第55回応用物理学関係連合講演会 (2008.3.30) ナノプロセス用多価イオン源の開発と応用 ナノプロセス用多価イオン源の開発と応用 櫻井 誠 *1 、川瀬悠司 *1 ,大西弘行 *1 ,坂上裕之 *2 ,渡辺裕文 *3 , 戸名正英 *3 ,中村信行 *3 ,大谷俊介 *3 ,照井通文 *4 ,益子信郎 *4 *1 神戸大学大学院 理学研究科 *2 核融合科学研究所 *3 電気通信大学 レーザー新世代研究センター *4 情報通信研究機構 未来ICT研究センター ( NiCT )
第55回応用物理学関係連合講演会 (2008.3.30)
ナノプロセス用多価イオン源の開発と応用ナノプロセス用多価イオン源の開発と応用
櫻井 誠*1、川瀬悠司*1 ,大西弘行*1 ,坂上裕之*2 ,渡辺裕文*3 ,戸名正英*3 ,中村信行*3 ,大谷俊介*3 ,照井通文*4 ,益子信郎*4
*1神戸大学大学院 理学研究科 *2核融合科学研究所
*3電気通信大学 レーザー新世代研究センター
*4情報通信研究機構 未来ICT研究センター ( NiCT )
多価イオンとは多価イオンとは
・束縛電子をわずかしか持たないイオン
Highly Charged Ion : HCI
・束縛電子をわずかしか持たないイオン
・自然界ではたとえば太陽コロナ中に存在
・それ自身が莫大な内部エネルギーを持っている・それ自身が莫大な内部エネルギーを持っている
・物質(原子・分子、表面)との著しい相互作用
内側の軌道にいる電子ほど、電離さ内側の軌道にいる電子ほど、電離させるために高いエネルギーが必要
できた多価イオンは、それぞれの電子の電離エネルギーを、電離した電子について全て加えただけの 内部エネルギーを持って
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て加えただけの、内部エネルギーを持っている。
多価イオンの性質-著しい物質との相互作用多価イオンの性質-著しい物質との相互作用多価イオンの性質 著しい物質との相互作用多価イオンの性質 著しい物質との相互作用
多価イオンの内部エネルギーが固体表面のナノ領域に開放される
多価イオンが原子に衝突
衝突の途中で電子が移動多価イオ が表面に近づく
1個の電子は位置エネルギーの低い状態に移り、
多価イオンが表面に近づくと電子が外(真空中)にどんどん汲み出される :「 次電 収率が大き
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もう1個の電子は自由な状態に移る(オージェ遷移)。
「二次電子収率が大きい」
単一イオンリソグラフィー単一イオンリソグラフィー単 イオンリソグラフィ単 イオンリソグラフィ
(A)
水素終端したSi(100)に酸素を導入しながら
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水素終端したSi(100)に酸素を導入しながら多価イオンを照射した際の照射痕のSTM像
(電通大の多価イオン源を用いた実験)
多価イオン刺激表面活性化多価イオン刺激表面活性化グラファイト上の照射痕への分子の選択的吸着
(電通大の多価イオン源を用いた実験)
(A) (B)
50 nm
多価イオン(I30+)照射後(蒸着前)
50 nm
Bi MSB(色素)蒸着後多価イオン(I30+)照射後(蒸着前) Bis-MSB(色素)蒸着後
多価イオン照射痕周辺にのみ分子が吸着する
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多価イオンナノプロセスの特徴多価イオンナノプロセスの特徴
・多価イオン1個で1nmオーダーのナノ構造を作成できる。・構造の大きさは多価イオン-表面間の量子力学的相互作用で構造の大きさは多価イオン 表面間の量子力学的相互作用で
明確に規定される(量子分解能)。・マスク転写のように、ビーム技術による高効率なプロセスが
可能可能。
トップダウン的アプローチでありながら、ボトムアップレベルの分解能を実現できる。
・イオン1個の入射を確実に検知できる。
単 イオン注入(Si l I I l t ti )に応用できる単一イオン注入(Single Ion Implantation)に応用できる。
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電子ビーム多価電子ビーム多価イオン源イオン源Electron Beam Ion Source : EBISElectron Beam Ion Source : EBIS
超伝導マグネット
強磁場の作用で電子が細く絞られる
(ヘルムホルツ型)
コレクター
直径 0 1ミリ以下
コレクター
カソード
直径 0.1ミリ以下
イオンに対して井戸型ポテンシャルとなる電
ドリフトチューブ(DT)
ポテンシャルとなる電位をかける
トラップ領域は強磁場、カソードとコレクターは磁場 0
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トラップ領域は強磁場、カソ ドと クタ は磁場 0
(トラップ領域の電流密度を高くし、電子の逆流を防ぐため)
K b EBISK b EBISの構造の構造Kobe EBISKobe EBISの構造の構造
(特願2004-296890、国際出願PCT/JP2005/007284)国際出願PCT/JP2005/007284)
設計仕様
磁束密度:3T
電子電流:300mA
加速電圧:30kV
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Kobe EBISKobe EBISの性能の性能
・ Arq+(q ≦ 12)ではイオン電流がnAオーダー(109個/s)のビームが得られる。
・ イオン源中の残留ガスにより高価数イオンの生成が阻害されている。これにはドリフトチューブの冷却などの対策を予定。
Ar11+ 1 時間照射
・ 集束光学系の改良により照射密度を1014/cm2程度まで上げることが可能。
100nm
t
Ar9+:9.4nA
Ar11+:3.9nAAr12+:
2nA・電子ビーム電流: 150mA・ 電子エネルギー: 18keV・ Ar 圧力: ~1×10-7 Pa
cu
rren
tIo
n
10nm
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Current of analyzing magnetm/q=4 m/q= 8
照射密度: 1013/cm2
( 100nm2 中に10個の照射痕)
まとめまとめまとめまとめ
ナノプロセス応用を念頭に置き、イオンビーム強度を向上さナノプロセス応用を念頭に置き、イオンビ ム強度を向上させたEBIS型多価イオン源を開発した。
高強度化によりグラファイトへの多価イオンの高密度照射(10nm角あたり10個程度、1013/cm2)が可能となった。
多価イオンの局所活性化作用による分子の周期的吸着構造の作成が当面の課題作成が当面の課題。
ビームパラメータの測定が必要。
マスクを通して多価イオンを照射(ナノパターニング)
機能性分子を蒸着すると照射痕周辺だけに吸着
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(ナノパタ ニング)