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アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす影響 1 宮本章裕 横浜国立大学経営学部 国際経営学科4年 2005年1月 【要旨】 本論文では、日本を巡るアウトソーシングの進展が製造業の熟練労働者と非熟練労働者の賃金格 差の拡大を生んでいるのか、また全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇をもたらしているの かについて1998年から2001年を分析対象として分析・考察を行った。分析の結果、アウトソーシ ングの進展が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を拡大させているという結論は得られなかっ た。一方、アウトソーシングの進展が全労働者に占める熟練労働者比率の上昇に影響を与えてい るということが本分析からわかった。本論文の結果により、日本でのアウトソーシングの進展は、欧 米とは異なる影響を労働市場にもたらしていることがわかる。 1 本論文は卒業論文として執筆したものである。本論文の執筆にあたっては、清田耕造横浜国立 大学経営学部助教授、木村福成慶應義塾大学経済学部教授、高橋悠也慶應義塾大学経済学部 助手より、有益なコメント・ご指導をいただいた。また、賃金データ利用の際には、賃金構造基本統 計調査の『賃金センサス』に未収録のデータを、厚生労働省厚生労働大臣官房統計情報部賃金 福祉統計課賃金第四係の方々のご厚意により利用させていただいた。この場を借りて感謝の意を 表したい。ただし、あり得る誤りは筆者に属するものであり、本論文の内容、意見は筆者個人に属 するものである。 1
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アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

Jan 11, 2020

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アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす影響1

宮本章裕

横浜国立大学経営学部 国際経営学科4年

2005年1月

【要旨】

本論文では日本を巡るアウトソーシングの進展が製造業の熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差の拡大を生んでいるのかまた全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇をもたらしているの

かについて1998年から2001年を分析対象として分析考察を行った分析の結果アウトソーシ

ングの進展が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を拡大させているという結論は得られなかっ

た一方アウトソーシングの進展が全労働者に占める熟練労働者比率の上昇に影響を与えてい

るということが本分析からわかった本論文の結果により日本でのアウトソーシングの進展は欧

米とは異なる影響を労働市場にもたらしていることがわかる

1 本論文は卒業論文として執筆したものである本論文の執筆にあたっては清田耕造横浜国立

大学経営学部助教授木村福成慶應義塾大学経済学部教授高橋悠也慶應義塾大学経済学部

助手より有益なコメントご指導をいただいたまた賃金データ利用の際には賃金構造基本統

計調査の『賃金センサス』に未収録のデータを厚生労働省厚生労働大臣官房統計情報部賃金

福祉統計課賃金第四係の方々のご厚意により利用させていただいたこの場を借りて感謝の意を

表したいただしあり得る誤りは筆者に属するものであり本論文の内容意見は筆者個人に属

するものである

1

目次

1 はじめに

2 先行研究のサーベイ

21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ

22 実証研究

3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状

31 日本のアウトソーシングの進展状況

311 海外事業活動基本調査から見たアウトソーシング

312 貿易データから見たアウトソーシング

32 日本の労働市場の現状

321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移

322 製造業における賃金格差

323 賃金格差と労働者数の関係

4 実証分析

41 モデルの説明

42 データ

43 予想される符号結果

44 結果考察

5 結論

APPENDIX

参考文献

図表

2

1 はじめに

近年経済のグローバル化の帰結として日本を含む東アジアで製造業の部品貿易が活発化し

ているまた企業レベルに視点を移してみても1980年代のバブル期以降日本の多国籍企業

をはじめとして海外生産活動を急速に拡大させてきたこれにより労働集約的な生産工程はア

ジア各国を始めとする低賃金の国で生産されるようになり各国から安価な工業製品の輸入が盛

んに行なわれるようになったこのことによって日系企業のコスト削減による企業の強みを発揮す

ることができ消費者にとってはより安価な製品を手に入れることができるようになり日本国内で見る

と厚生水準は上がるはずであるしかしその反面生産拠点の移行により地方を中心とする日本国

内の産業空洞化の議論が巻き起こってきた日本国内へのインパクトとして非熟練労働者の労働

需要を下げ賃金水準を押し下げる一方高付加価値な生産工程に特化することによる熟練労働

者の労働需要の増加により賃金水準を上げ熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が広がって

いるかもしれないまた非熟練労働者の需要が減少することにより多くの失業者が生まれている

かもしれない1980年以降アメリカやイギリスなどの多くの先進国で熟練労働者と非熟練労働者

との賃金格差が広がってきていることが政治的に叫ばれその原因を解明しようとする研究が進め

られてきたそれらの研究では労働集約的な中間投入財の輸入などを代理変数としたアウトソーシ

ングやコンピュータ化などの偏向的技術進歩が重要な賃金格差や労働市場にインパクトをもたら

す要素であるということが国際経済学の先行研究で多く結論付けられた

当然日本においても労働集約的な生産工程の海外シフトにより熟練労働者と非熟練労働者

の賃金格差や従業者数などの労働市場に影響を与えていることが予想される日本の労働市場を

解明しアメリカやイギリスなどと同様にアウトソーシングが労働市場に与える影響を解明することは

非常に重要であるしかし日本においては賃金データの不備やアウトソーシングの代理変数の難

しさにより同様の研究は非常に少ない熟練労働者と非熟練労働者を生産労働者と非生産労働

者の区分で分析した日本における先行研究は筆者の知る限り存在しないだが今回私は厚生労

働省実施の賃金構造基本統計調査の『賃金センサス』に未収録のデータを利用して産業中分類

まで生産労働者と管理事務技術労働者という枠組みで賃金データを手に入れることができた

そこで本稿ではアウトソーシングが日本の熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者

比率などの労働市場に与える影響について分析する

本研究における方法論はイギリスについて研究を行った Anderton and Brenton (1998)に従うこと

にするアウトソーシングの変数の取得方法についても同研究を参照とした

本稿ではイギリスの Anderton and Brenton (1998)とは異なる次のような結論を得たアウトソーシン

グの進展が日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差に影響を与えてい

るという有意な係数は推定されなかった一方被説明変数を全労働者に占める熟練労働者数

(熟練労働者比率)とした場合はアウトソーシングの進展が熟練労働者比率の上昇に影響を与えて

いるという有意な係数が推定された日本においてはグローバル化の帰結によるアウトソーシング

の進展により労働者の賃金よりもむしろ従業者数に影響を及ぼしているのである今後アウトソ

3

ーシング変数の工夫や偏向的技術進歩の変数の工夫により本研究の精緻化が望まれ一層の研

究の重要性を示唆している

本論文の構成は以下のとおり第二節ではアウトソーシングに関連するターミノロジーとアウト

ソーシングの進展が賃金格差に与える影響についての先行研究をサーベイする第三節では近

年の日本をめぐるアウトソーシングの進展状況と日本の労働市場内の熟練労働者と非熟練労働

者の賃金や従業者数について分析考察していくそして第四節ではアウトソーシングの進展が

熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差または熟練労働者比率に影響を与えているか否かにつ

いて実証分析をする最後に第五節で本論文から得られた結論と今後の課題について言及し本

論文の結びとしたい

2 先行研究のサーベイ

本章ではアウトソーシングと労働市場の関係について分析を進めた先行研究をサーベイして

いく国際貿易論の文脈でのアウトソーシングの広義の意味とされる「ある財の生産活動が2国

3国に分散して行なわれること Feenstra and Hanson (2001)」を厳密に捉え数値化することのでき

る指標は研究者の間で統一されていないアウトソーシング や fragmentation といった多くのターミ

ノロジーが存在するそこで本章ではまず第1節でこうしたターミノロジーや指標をサーベイし本

分析で私が採用したアウトソーシング 変数の道程を示したいまた第2節ではアウトソーシングが

各国の労働市場に与える影響について分析した先行研究をサーベイしていきたい

21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ

Feeenstra and Hanson (2001)によればアウトソーシングを「ある財の生産活動が2国3国に分

散して生産活動が行なわれること」としている彼らがアウトソーシングが熟練労働者と非熟練労

働者の賃金格差に与える影響について分析する際にアウトソーシングの数値化を試みたそれは

輸入中間投入額を中間財額または非エネルギ中間財額で除したものである輸入に注目し簡単

にアウトソーシングを数値化し賃金格差に与える影響について分析してきたしかしある多国籍

企業のアウトソーシングを考える際この定義では厳密ではない例えば日本から部品を持ち込

み東アジアなどの低賃金国で組立てをする場合などもアウトソーシングと言えるこの場合輸入と

いう要素以外にも輸出という要素が入っているため輸入しか捉えていない彼らのアウトソーシング

の定義ではこうしたアウトソーシングを把握することができない

このためアウトソーシングに関連して多くの研究者によってターミノロジーや理論の研究がなさ

れている以下ではこうした先行研究について考察する

4

outsourcing fragmentation

intra-product specialization Super-specialization

Vertical speccialization

先行研究

Feenstra and

Hanson (1998)など

Jones and Kierzkowski (1990)

Deardorff (1998)など

Arndt (1998)

など

Hummels Ishii

and Yi (2001)など

特徴 独自に

数値化 各生産ブロックをつなぐ

サービスリンクに注目 H-O の定理 の枠組みで考察 輸出を考慮

変数の取り方

輸入中間 投入額divide非エネル ギー中間財

(imported intermediates gross output) export

上の表はアウトソーシングに関連する様々なターミノロジーをまとめたものであるまずこれらの

中で多くの研究者が使用している fragmentation をあげる fragmentation は Jones and

Kierzkowski (1990)によって初めて発表され「ある同一の最終生産物を生産するプロセスを複

数のプロセスに分割して異なる場所に立地させること」であるこのターミノロジーの特徴は各生

産ブロック間をつなぎ合わせるサービスリンクコストに注目しているということである一般に

fragmentation は各生産拠点間の生産コストの差があることによって行なわれるのであるがその中

の重要なファクターとして拠点間をつなぎ合わせるサービスリンクコストが十分に低いことが大い

に影響してくる

次にHummmels Ishii and Yi (2001)が定義したvertical specialization を見てみるこれは産

業連関表を用いた分析で 式を ( imported intermediatesgross output )timesexport とし輸出最終

財に占める輸入中間財の割合で定義しているそして彼らは OECD の産業連関表を用いて

OECD 諸国の vertical specialization の値を計測している

このように研究者によりアウトソーシングや工程間分業の定義はまちまちでどのターミノロジー

が企業活動におけるアウトソーシングそのものを厳密に表すかのコンセンサスは得られていない

しかしアウトソーシングの定義や把握が非常に難しい中熟練労働者と非熟練労働者との賃金格

差拡大の原因をアウトソーシングに求めた実証研究がアメリカやヨーロッパで盛んに行なわれてい

るそこではアウトソーシング代理変数の定義に際して様々な工夫がなされている次節ではこ

うした実証研究をサーベイし私のアウトソーシング変数の取り方についても言及したい

22 実証研究

5

前節でアウトソーシングに関連する様々な理論やターミノロジーをサーベイしてきた本節では

本論文のメインとなる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差とアウトソーシングの関係を分析した

論文をサーベイしていく

まず賃金格差が広がることの要因をアウトソーシング に求めた最初の大きな研究として

Feenstra and Hanson (1995)が挙げられる彼らは熟練労働者を非生産労働者非熟練労働者を

熟練労働者と定義して分析している熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が広がっている原

因としてアウトソーシングなどの貿易量の増加が議論される前には技術進歩が賃金格差を広げ

る主な要因として研究されてきた彼らは賃金格差拡大の原因を技術進歩であるとし分析を進め

た Berman et al (1994)以来の可変費用関数を用いた分析手法に倣ったそしてアウトソーシング

を総中間投入財額に占める輸入中間投入額の割合として定義した1979年から1990年を 2 期

間に分け上昇率を測りクロスセクションで分析することにより分析を進めているそこで彼らは熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差とアウトソーシングの間に正の相関を見出しているさらに

Feenstra and Hanson (1998)では賃金格差を引き起こす原因としてアウトソーシングの進展と偏向

的技術進歩であるとして両者どちらの影響が強いかを論じているその結果どの分析方法をとっ

てみても偏向的技術進歩とアウトソーシングの進展の両者とも熟練労働者賃金支払い比率の上昇

を説明することができると示唆している

次にイギリスについて Anderton and Brenton (1998)の先行研究を見てみるこの研究は繊維

産業と非電気機械の11産業について1970年から1983年までパネルデータを取って分析したも

のであるFeenstra and Hanson (1995)と同じ可変費用関数の推計しで分析を進めアウトソーシン

グの代理変数を年次の産業別の輸入額で先進国からの輸入と途上国からの輸入額に分け途

上国からの輸入額をアウトソーシングの代理変数としている当分析ではイギリスにおいてアウトソ

ーシングの進展が熟練労働者賃金支払い比率の上昇に影響を与えている推計された一方被

説明変数を熟練労働者賃金支払い比率から熟練労働従業者比率にかえて考察したところアウトソ

ーシングの進展が熟練労働従業者比率の上昇に影響を及ぼしていることがわかったしかしこの

分析によるアウトソーシングの代理変数は一般のアウトソーシング と厳密には異なると考えられる

途上国へのアウトソーシングの重要な帰結である中間財の輸入が産業別の貿易額では厳密に把

握できないためであるまたある生産工程で先進国が資本集約的な生産プロセスを担当しそ

の部員を途上国にアウトソースし組立てるといったタイプのアウトソーシングについても把握でき

ないしかしながら途上国低賃金国からの輸入はアウトソーシングの帰結を多く含むものであり

先進国で非熟練労働者を多く必要とする労働集約的な生産工程や財の生産に大きく影響を与え

るものであると考えられる

また輸入という概念以外をアウトソーシングと定義した研究に Head and Ries (2001)が日本の製

造業について行った研究がある彼らは東洋経済新報社の『海外企業進出総覧』というマイクロ

データを利用しアウトソーシングの代理変数を取得している彼らはアウトソーシングの概念を目的

別 FDI の割合の集計や途上国の従業者比率を計測することによって変数化しoffshore

production と定義しているこの研究によればオフショアプロダクションの進展が非熟練労働者の

6

需要を押し下げ日本の技術集約度の上昇に寄与しているという結論を得ている

私は本論文の分析でアウトソーシングの代理変数を Anderton and Brenton (1998)の手法をとるこ

とにしたその理由として世界各国からの輸入特に東アジアにおける工程間分業の進展に伴い

東アジアの低賃金国からの輸入が日本における労働集約的な生産工程や財の生産に影響を与

えていると予想されることがあげられるまたデータが毎年利用可能なことも理由として挙げられる

日本において賃金データはアメリカやイギリスほど細かい産業レベルまで揃っていない3 章と同

じように熟練労働者を賃金構造基本統計調査の管理事務技術労働者と定義し非熟練労働者

を生産労働者と定義して分析を進めるが利用可能なデータは生産労働者と管理事務技術労

働者の別の賃金データは製造業において産業中分類までであり22産業しかないFeenstra and

Hanson (1995)などと同様に数十年間の成長率を取り22産業でクロスセクションで分析を行うに

はサンプル数が少なすぎるそのため5年おきにしか公表されない総務省やアジア経済研究所

の産業連関表を用いて輸入中間投入額や中間投入額の比率をアウトソーシング の変数とできな

いそこで私はAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別の輸入額をとり彼らが途上国からの

輸入額を日本において最も国内の産業構造労働市場に影響を与えていると考えられる東アジ

アからの輸入額とし全世界からの輸入額と東アジアからの輸入額に分けて分析していく

3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状

アウトソーシングが日本の労働市場へ与える影響について分析する前に本章では日本のアウ

トソーシングの進展状況と労働市場について個別に概観していく第 1 節では経済産業省の海

外事業活動基本調査や貿易データを基に日本のアウトソーシングの進展状況を概観するまた

第 2 節では日本の労働市場について分析する

31日本企業のアウトソーシングの進展状況

本節では日本企業のアウトソーシングの進展状況を見ていくまず1節ではアウトソーシングを

概観する際の指標である経済産業省の『海外事業活動基本調査』をもとに日本の多国籍企業のプ

レゼンスに焦点をあててアウトソーシング の断片を概観していきたい次に2節ではアウトソーシン

グを概観する際に重要なマクロの指標となる部品貿易データをもとに概観していきたい

311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング

lt挿入 図31 図32 表31gt

7

本節では日本企業のアウトソーシングの進展状況を概観するまず図31に注目してみる

図31は経済産業省の『海外事業活動基本調査』より引用した日本における製造業の海外生産

比率の推移である日本国内の全法人ベースの海外生産比率は1990年代において一定して上

昇し2002年度には過去最高の171に達したまた母体を海外進出企業のみとした海外

進出企業ベースの海外生産比率を見てみると1993以来上昇し2002年度には410にも及ん

でいる

次に図32の現地法人の従業者数についてみてみる2002年における現地法人の海外従業

者数は341万にも達し1990年以降ずっと上昇している地域別に見てみるとアジアにおいて90

年代永続して従業者数が増加しているのを確認することができるこうした現地法人の従業者数の

増加は日本国内の労働市場雇用にどういった影響をもたらすのであろうか表31は経済産

業省が実施した海外事業活動基本調査の中での海外生産活動と日本国内の生産活動との関係

を質問したアンケート結果である表31によると「現地需要への対応で国内の生産活動に変化

はない」の項目が依然として高い回答率を得ているが年々この項目に対する回答率は年々減少

してきているそれに変わって徐々にではあるが上昇してきているのが「国内の生産は減少する

が人員削減は行わない」より右の3項目であるこのように海外生産が国内生産に影響を及ぼさ

ないという回答は減少し海外生産により雇用の面や何らかの形で日本国内の生産に影響を及ぼ

すであろうという回答が増加している

この節では日本企業の海外生産比率現地法人の従業者数などを概観しアウトソーシングの

現状を見てきたしかし日本企業のアウトソーシングや製造業の工程間分業においては EMS

の存在や OEM が活用されることもあり日系企業の海外進出企業内貿易だけが全てのファクタ

ーではないアウトソーシングを含む全てを把握した工程間分業を概観するために次節では日

本国内に関連する部品貿易について観察していきたい

312 貿易データからみたアウトソーシング

本節ではアウトソーシングを概観する際の重要なファクターである部品貿易に関する研究につ

いてサーベイしていく

まずYeats (1998)によれば1970代以降製造業における貿易が急速に拡大していると言ってい

る年間の貿易額は8000億ドルを越し世界全体の貿易額の30パーセントを占めると言っている

また製造業において部品貿易は急速に伸びておりその速度は最終財よりも圧倒的に速い

また東アジアにおいて部品貿易が急速に拡大しているといった研究にNg and Yeats (2001)が

ある彼らは東アジアの製造業における部品貿易は一般的に知られているよりも大きくアジア諸

国における製造業の輸出うち5分の1を占めOECD 諸国よりもより速いスピードで拡大していると

言及している

東アジアの部品貿易についてAndo and Kimura (2003)によると東アジアにおいて機械産業

や機械部品の貿易が非常に活発であると言う東アジアにおいては製造業特に機械産業にお

8

いて未曾有の精緻な生産ネットワークが作られている

このように日本を含む東アジアにおいては製造業の貿易や部品貿易がヨーロッパや南北ア

メリカの他地域と比して活発に行なわれており特に機械産業の貿易額に占める比率は大変大きく

部品貿易の額も大きいさらに東アジアにおいては日本企業も大きく関わる精緻な生産流通

ネットワークが形成されており工程間分業が盛んに行なわれている日本国内や日本企業を巻

き込む工程間分業が近年進展していることは明らかであるこのため日本においてもアメリカやイ

ギリスなどで確認されたように労働集約的な生産プロセスの低賃金国へのアウトソーシングにより

労働市場に大きく影響を及ぼしている可能性がある次節では日本の労働市場について概観し

ていきたい

32日本の労働市場

本節では近年の日本国内における労働市場の動向について分析していきたいなお本論文

は厚生労働省実施の賃金構造基本統計調査の生産労働者を非熟練労働者管理事務技術

労働者を熟練労働者と定義して分析を進めていくまた賃金構造基本統計調査上の10人以上

の事業所における男性の調査結果を使用する

<図33>

まず図33を見てみるこれは日本標準産業分類において産業大分類で製造業を見たとき

の1988年から2001年までの男子の総従業者数と非熟練労働者と熟練労働者数の変遷である

この図を見ると1990年を境として製造業に置ける労働者数は大きく減少していることがわかる

さらに熟練労働者と非熟練労働者の変遷を見てみる熟練労働者数は若干であるが減少してい

るが大きな減少は見られない一方非熟練労働者数を見てみると顕著に減少していることが見て

とれるこのように近年製造業において非熟練労働者と熟練労働者の間に変化が起こっている

ことがわかる

このため本節では製造業における熟練労働者と非熟練労働者の関係について詳しく概観して

いきたい

321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移

本節では日本国内の製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の関係を日本標準産業

分類の大分類で見ていく

<挿入 図34 図35 >

9

まず図34を見てみるこれは賃金構造基本統計調査結果が収録されている賃金センサスを

用いて分析した製造業の熟練労働者比率1であるこれによると熟練労働者比率は1998年から

2001年にかけて顕著な上昇傾向を見せている図33で確認できるように1990年代非熟練

労働者数が減少し熟練労働者数が増加してきたかもしくは熟練労働者数と非熟練労働者数との

差が減少してきていることがわかるこれは日本企業の海外展開や東アジアにおける工程間分業

の進展により労働集約的で特殊な技術力を必要としない部品の製造や組立てを賃金の安い海

外へ生産活動をシフトさせ日本は資本集約的な生産工程や高い技術力を必要とする高付加価

値品へ特化してきた結果かもしれない

次に製造業の中でも特にどの産業が熟練労働者比率を上昇させてきているかを見てみるため

に日本標準産業分類の中分類で分析してみるデータについては厚生労働省実施の賃金構造

基本統計調査結果の原本を使用した

<挿入 表32 図38 図310 >

表32は産業中分類で見た製造業の熟練労働者比率であるここで電気機械器具製造業に注

目するために図38を見る電気機械器具製造業において1988年から2001年にかけて熟練

労働者比率が大きく増加しているこの増加の原因として東アジアにおける電気機械産業での工

程間分業が加速していることが考えられる電気機械産業は非常に多くの部品からなり多くの工

程を必要とするAndo and Kimura (2003)などで言われているように東アジアでは製造業特に

機械産業において機械部品の貿易が盛んに行なわれ非常に多くの生産拠点を東アジア各国

にフラグメントさせた工程間分業が起こり精緻な生産流通ネットワークが築かれているこうした

東アジアにおける工程間分業の進展により各国が比較優位を持つ工程に特化し最適な資源配

分を達成し生産することができるこれにより非熟練労働者を必要とし労働集約的な工程が東ア

ジア各国などの低賃金国にシフトし高付加価値名財や工程の生産を日本国内に特化させるよう

になるこうして電気機械器具製造業において非熟練労働者の需要は減少し非熟練労働者数は

減少していることが考えられるのではないだろうかまた高付加価値産業への生産の集約や経

営資源の集中により非熟練労働者の需要は減るがその一方熟練労働者の需要は増え熟練労

働者数は上昇し熟練労働者比率が1990年代に上昇していることが考えられる

また一般機械産業輸送用機器産業を見てみても1990年代に熟練労働者比率は上昇してい

ることがわかるこうした産業の上昇の原因にも日本の低質な工程の低賃金国への生産拠点の

移行や日本国内のプラントや施設において高付加価値の工程へ資源集中や生産の集約の帰

結があげられる

1 熟練労働者比率=管理事務技術労働者数divide(生産労働者数+管理事務技術労働者数)

と定義した

10

次に衣服その他の繊維製品製造業に注目する図310によれば注目すべき点として19

98年ごろからの急速な熟練労働者比率の上昇が挙げられるここ5年の間に管理事務技術労

働者といった熟練労働者の比率は上昇し労働集約的な生産活動を東アジア各国を中心とする

低賃金国に移行させてきた帰結でないかということが予想されるこうした時期にバブルが崩壊し

デフレの進行に伴いユニクロなどの廉価な商品を販売する企業が活躍し廉価な消費財に高い

需要があったことを考えて見てもこの熟練労働者比率の上昇は大変興味深い結果である

322 製造業における賃金格差

前節では非熟練労働者と熟練労働者数の推移を観察してきたこの節では熟練労働者と非熟

練労働者の賃金格差について観察していきたい

まずデータについては前節と同様に賃金構造基本統計調査結果を利用したまた賃金につ

いては産業による特性を排除するため橘木他(1995)に倣い現金給与と年間賞与他の和を所定時

間と超過時間の和で除したものを各賃金とした

lt挿入 図36 図37gt

まず製造業全体の熟練労働者賃金比率をとった図36を見てみるこれを見てみると1998

年から2001年にかけて緩やかな上昇傾向であることがわかるしかし図37で示した Goumlrg

(2003) が1982年から1997年まで分析したイギリスの熟練労働者賃金比率のような一定した顕著

な上昇傾向は見られない日本では1992年まで下がり続け1998年までまた上がり1999年から

緩やかな上昇傾向であることが確認される日本においては熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差はそれほど拡大していないのかもしれない各種製造業における動向を分析するため産業

中分類で熟練労働者賃金比率を計測した

lt挿入 表33 図39 図311gt

表33を見てみるこの中で少し上昇しているのが飲料タバコ飼料製造業電気機械器具

製造業であるしかし図39で電気機械器具製造業を見てみると図38の熟練労働者比率の

上昇に比してそれほど大きな熟練労働者賃金比率の上昇は引き起こされていない図311の衣

服その他の繊維製品製造業を見てみても熟練労働者比率の上昇に比して賃金比率はそれほ

ど上昇していないその他の産業についてもはっきりとした熟練労働者賃金比率の上昇を読み取

ることができなかった日本の労働市場における賃金格差はそれほど拡大していない図35や

図37で確認できるようにアメリカやイギリスなどの欧米諸国は熟練労働者比率よりも熟練労働者

賃金比率のほうが顕著に上昇しており労働市場の動向は日本と同じではない

11

このように近年日本の労働市場のトレンドはイギリスやアメリカなどの多くの先進国とは大きく

異なる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が生まれているというよりも熟練労働者比率の上

昇という形で顕著に表れている323ではより詳しく賃金格差の拡大のスピードと熟練労働者

比率上昇のスピードとではどちらが速いかについて考察していきたい

323賃金格差と労働者数の関係

前節では産業別の熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差と熟練労働者比率についてみてき

たこの節では前節までの分析を踏まえ熟練労働者比率の変遷と熟練労働者賃金比率の変遷と

の両者の関係に焦点を当てていく

<挿入 図312 図313 図314>

この図は熟練労働者賃金比率を熟練労働者比率で除した図であるこの図上の折れ線が減

少していると熟練労働者賃金比率の上昇よりも熟練労働者比率の拡大が早いスピードで起こっ

ていることを意味するまた増加していると熟練労働者賃金比率のほうが熟練労働者比率より速

いスピードで拡大していることを意味し労働市場に賃金格差という影響をもたらしていることがい

える

ここで折れ線を見てみるとほとんどの産業においてこの値は減少しているほとんどの産業では

賃金格差の拡大というよりもむしろ熟練労働者比率の拡大のスピードが速いしかし食料品製

造業金属製造業において折れ線は上昇しておりこれらの産業においては熟練労働者比率の

拡大というよりも賃金格差として現れているしかしながら製造業内の産業において賃金格差の

拡大よりも熟練労働者比率の上昇のスピードが速く欧米とは異なった形で労働市場に変化が起き

ている

本節では日本のアウトソーシングの進展状況と近年の労働市場の動向について考察を進め

てきた近年日本企業の海外生産は活発化し部品貿易も拡大しアウトソーシングは進展してき

たまた労働市場を見てみても製造業の従業者数は減少し特に非熟練労働者が顕著に減少す

るなど大きな変化が起こっているそこで筆者はこうしたアウトソーシングの進展が労働市場に

何らかの影響を及ぼしているのではないかと考えた次節では日本においてアウトソーシングが

労働市場に与える影響について実証分析をしていく

4 実証分析

本章ではアウトソーシングの拡大がもたらす日本の労働市場内の非熟練労働者と熟練労働者

12

の賃金格差熟練労働者比率に与える影響について実証分析をすることにするまず1節では

本分析で用いる費用関数の回帰式の説明をする2節ではデータの出所について言及する

41モデルの説明

本節では私が用いた回帰分析のモデルの説明をする 私の分析ではAnderton and

Brenton(1998)の先行研究を参考とし分析を進めていきたい最初に彼等も用いた Berman et al

(1994)以来のアウトソーシングまたは偏向的技術進歩が熟練労働者と非熟練労働者に与える影

響について分析をした際のモデルとなるトランスログ型の可変費用関数を説明する

まずこのモデルの前提として i 産業の生産要素には資本 K と非熟練労働jと熟練労働kが存在

すると仮定するまたここで資本 K は短期的には固定要素であるとし熟練労働jと非熟練労働kは

可変要素であると仮定するT はアウトソーシングや偏向的技術進歩など i 産業の費用を変化させ

る要素を一括したものであるまたこの可変費用関数としてトランスログ型をとるとすると下のような

①式が出来上がる

ijij

iwjiiKTiiYTiTTiT

iiijiKJijij

YJikijj k

jk

ijj

jiKKiKiiyi

WTKTYTTT

KYWYWYWW

WKKYYYYC

lnlnln21

lnlnlnlnlnlnlnln21

ln)ln(21ln)ln(

21lnln 22

0

sum

sumsumsum sum

sum

+++++

++++

+++++=

φλλλλ

ρδδγ

γββααα

① ここで ln で一次微分しシェファードの補題を適用すると以下のような方程式が出来上がる

左辺は熟練労働向けの費用が総可変費用に占める比率である iW

iiwjK

jkiKjiYjjij TKYS φγδδα ++++= sumlnln ②

また価格を所与とするとトランスログ型の費用関数が一次同次でなければならないのでそのため

の条件が

0==== sumsumsumsumj

Yjj

iKj

iKK

iK δδγγ

であるまた規模に関して収穫一定であるので②式は次のような式に書き換えることができる

13

iiwjk

jiKjiYjjij T

WW

dKYS φδδα +

+++= lnlnln ③

そして③式の変化量をとると

+++=

k

jiYjiKjiijij W

WdYdKddTds lnlnln γδδφ ④

④式が出来上がる

ここで④式のうち YKT はともに外生変数であると仮定しているしかしk

j

WW

外生変数であると

は考えられないしたがって本研究では先行研究に倣い被説明変数に熟練労働者賃金支払

い比率をとる際の分析に関してはk

j

WW

を除外して推計することにする

本分析では可変費用の変化をもたらすその他の要因である T を先行研究に倣いアウトソーシン

グと偏向的技術進歩として分析を進めていくことにする回帰式は以下の⑤式に示す

( ) ititititititit UDMSdDRYdKddSW +++++= minus γλρβα lnamplnln 1 ⑤

そして⑤式を基にAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別のデータをプールさせパネルデ

ータで分析を始める

この式においてSW は総賃金支払いに占める熟練労働者への賃金支払いK は資本ストック

Y はアウトプットであるMS はアウトソーシングの代理変数である本研究では Anderton and

Brenton (1998)に倣い産業別の貿易額をアウトソーシングの代理変数とするまた先行研究と同

様に産業別の輸入額を全世界から東アジアから東アジア以外からの輸入額に分けて取得し

た近年日本の多国籍企業の安価な労働力を求めた東アジアへの進出や東アジア各国での

労働集約的部品の輸入が上昇していることを3節で確認したこのため日本の労働市場へ影響を

与えていると予想されるアウトソーシングは東アジアからの輸入額が一番近いと考えられるまた

RampD は偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率である労働市場の賃金格差や熟

練労働者比率に与える影響として本分析では主にアウトソーシング として分析を進めるが欧米

の先行研究ではアウトソーシングとするものと偏向的技術進歩とするものの論争が巻き起こった

Berman et al (1994)も偏向的技術進歩とした研究であった日本においても賃金格差や熟練労

働者比率の拡大に偏向的技術進歩が考えられるため研究開発費比率を追加して分析を進めて

いくなお研究開発比率の波及効果は即時現れずタイムラグを経て賃金に影響を与えると予

14

想されるので添え字を i-1 としている

次に被説明変数に全従業者に占める熟練労働者の従業者比率を取った回帰式を分析する

⑤式は可変費用関数を変形したものであり左辺の熟練労働者賃金支払い比率を熟練労働者

比率として比較考察することは理論的背景は弱いしかし両推計を比較考察することはアウト

ソーシングが労働市場に影響を与えるメカニズムを解明する上で大変興味深いそのため

Machin (1998)や Anderton and Brenton (1998)と同様に賃金比率を従業者比率に変えた回帰式に

ついても分析を進めていく以下の⑥式である

( ) itititititititit UDRWdMSdDRYdKddSE ++++++= minus γϖλρβα lnlnamplnln 1 ⑥

ここでRW は非熟練労働者の賃金に対する熟練労働者の賃金であるこのモデルではパネル

データを取って分析していくパネルデータの分析に際しては一般的に固定効果モデルと変量効

果モデルの 2 種類の推定法が考えられるこの分析では各変数のトレンドとして産業による特性

が考慮され重要なファクターとなってくるこのため先行研究に倣いダミー変数で産業の特性を

コントロールした固定効果モデルで推定していくことにする

42 データ

本分析でのデータは次のものを利用したまず熟練労働者と非熟練労働者の賃金そして従業

者については厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査報告の昭和63年度から

平成13年度調査結果の10人以上の事業所を対象とした男性の統計結果を使用した 産業につ

いては産業中分類の製造業 F12~F34 までの中でデータの制約上F21(石油製品石炭製品製

造業)F24(なめし皮同製品毛皮製造業)F33(武器製造業)F34(その他製造業)を除外し

た19産業で分析を進めていくことにする次に資本ストックについては経済産業省が毎年実施し

公表している工業統計表産業編の製造業産業中分類別で集計してある有形固定資産額の投資

総額を資本ストックとしたまた付加価値も工業統計表産業編の調査結果を使用し有形固定資

産総額と同様に製造業の産業中分類別に平成元年~平成13年調査結果からとった

次に貿易データについて言及する本分析においては先行研究による途上国からの産業別の

輸入額を日本の多国籍企業が多く進出し低賃金の豊富な労働資源を利用し低品質な工程

や低付加価値な財を生産している東アジアからの産業別の輸入額としたここで東アジアとは

ASEAN 諸国(カンボジアタイマレーシアベトナムインドネシアラオスブルネイフィリピン

シンガポール)中国韓国香港としたデータの出所については全世界からの貿易量国別の

貿易量共に1988年から2001年まで国連のデータベースである United Nations Statistics

Division Commodity Trade Statistics Database から SITC(R1)で取得したそれにより得られた商品

別の貿易データを小浜木村(1995)総務省ホームページを参照に日本標準産業分類の製造

15

業産業中分類別にコンバート1することにより日本標準産業分類別の貿易額を得たなお1992

年は当データベースにおいて結果が提供されておらず除外したまた当データデータベースに

おいてドルベースのためInternational Financial Statistics より PPP 換算した為替レートを参照し円

換算することにより分析を進めた

次に偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率について言及するここで研究開発

費は総務省統計局が出版している科学技術調査研究の調査結果を利用した科学技術研究調

査における産業分類と日本標準産業分類とは産業分類が異なるためお互いをマッチングさせて

分析を進めなければならない科学技術研究調査の付録を参照に日本標準産業分類を科学技

術調査研究が製造業において分析対象である14産業にコンバートさせた日本標準産業分類に

おける F12(食料品製造業)と F13(飲料たばこ飼料製造業)を集計し科学技術調査研究の食

品製造業としたまたF14(繊維工業)と F15(衣服その他の繊維製造業)を集計し科学技術調

査研究の繊維製造業とした一連の集計作業において非熟練労働者と熟練労働者の賃金を集

計する際には従業者数でウエイト付けしたまた日本標準産業分類と科学技術研究調査報告に

おいてマッチングの悪い F16(木材木製品製造業)F17(家具装備品製造業)F29(一般機械

器具製造業)の産業については偏向的技術進歩を回帰式に加える分析からは削除したこれによ

り説明変数に偏向的技術進歩を加える分析に関しては14産業で分析することする

43予想される符号結果

この分析で予想される符号を下の表に図示する先行研究と同じような結果になることが予想さ

れる

予想される符号 RampD 貿易額 (全世界)

貿易額 (東アジア)

貿易額(東アジ

ア以外)

熟練労働者賃金比率 + + + +

熟練労働者比率 + + + +

まず非説明変数に熟練労働者賃金比率をとったときの予想を見てみるRampD の符号を見てみ

ると一連の RampD と熟練労働者と非熟練労働者との関係を示した論文と同様にプラスの符号が

予想されるこれは研究開発費が増えるほど国内に資本集約的で高付加価値な生産活動に集

約することにより非熟練労働者の労働需要が落ち込み賃金が下がることが予想されるためである

次に貿易額の符号を見てみるこれは東アジア全世界ともプラスの係数が予想されるこれは

日本以外の低賃金の国から労働集約的で低質な財の輸入額が上昇することにより日本国内の

低質な財を作る労働集約的な財の生産が海外にシフトし生産労働者の労働需要が落ち込み非

1 データの利用上の注意については APPENDIX 参照

16

熟練労働者の賃金が減少することが予想されるまた資本集約的な工程や財の生産に特化する

ことにより熟練労働者への労働需要があがり熟練労働者賃金が上がることも予想される

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの予想される符号を見てみるRDに関して

は研究開発比率が増えるほど熟練労働者を必要とし資本集約的な工程や財に生産を特化し

非熟練労働者への労働需要が落ち込み労働者数が減少することが予想されるこのためプラス

であることが予想される最後にアウトソーシングの代理変数である貿易額を見てみるこれも同

様に低賃金国からの労働集約的な部品や財の輸入額が上昇することにより国内の労働集約的

な生産工程や非熟練労働者を多く必要とする労働集約な財の生産は海外の低賃金国にシフトし

非熟練労働者への労働需要は落ち込み非熟練労働者数が減少することが予想される

しかしAnderton and Brenton(1998)がイギリスで行った先行研究とは異なる結果が出る可能性

がある熟練労働者賃金比率を被説明変数としたときに輸入額の係数が有意に推定されない可

能性があるそれは日本においては賃金格差があまり広がっていないことが原因としてあげられ

る3節で概観したように2000年にかけてのアウトソーシングの進展に比して製造業の熟練労

働者賃金比率を個別に概観してみると顕著に上昇している産業はあまり確認することはできなか

った一方熟練労働者比率は産業別に見てみても顕著に上昇しているこのためアウトソーシ

ングの進展により熟練労働者比率に大きく影響を与えていることが予想される

44 結果考察

lt挿入 表41gt

表41は被説明変数を熟練労働者賃金比率とした時の回帰分析の結果であるこの回帰分析

結果において(1a)~(1c)を見てみるとAnderton and Brenton (1998)の先行研究とは大きく異な

る結果であることがわかるまず注目すべき点として輸入額の係数を見てみると全世界東アジア

東アジアの国以外からの係数がそろって有意な係数が推定されていないこのことより産業別の

輸入額がアウトソーシングの帰結の一部であると考えるとアウトソーシングが国内の熟練労働者と

非熟練労働者の賃金格差に影響を与えているとは言えないことがわかる

また(1d)~(1f)の研究開発比率を回帰式に加えた式を見ても各方面からの輸入額研究開

発費の項に有意な係数は推定されていない

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの結果を見てみる

lt挿入 表43gt

表42は被説明変数を熟練労働者比率とした時の回帰分析の結果であるまず研究開発費

を回帰式に加えない(2a)~(2c)までの分析結果を見てみると全世界からの輸入額東アジア

17

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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23

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 2: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

目次

1 はじめに

2 先行研究のサーベイ

21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ

22 実証研究

3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状

31 日本のアウトソーシングの進展状況

311 海外事業活動基本調査から見たアウトソーシング

312 貿易データから見たアウトソーシング

32 日本の労働市場の現状

321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移

322 製造業における賃金格差

323 賃金格差と労働者数の関係

4 実証分析

41 モデルの説明

42 データ

43 予想される符号結果

44 結果考察

5 結論

APPENDIX

参考文献

図表

2

1 はじめに

近年経済のグローバル化の帰結として日本を含む東アジアで製造業の部品貿易が活発化し

ているまた企業レベルに視点を移してみても1980年代のバブル期以降日本の多国籍企業

をはじめとして海外生産活動を急速に拡大させてきたこれにより労働集約的な生産工程はア

ジア各国を始めとする低賃金の国で生産されるようになり各国から安価な工業製品の輸入が盛

んに行なわれるようになったこのことによって日系企業のコスト削減による企業の強みを発揮す

ることができ消費者にとってはより安価な製品を手に入れることができるようになり日本国内で見る

と厚生水準は上がるはずであるしかしその反面生産拠点の移行により地方を中心とする日本国

内の産業空洞化の議論が巻き起こってきた日本国内へのインパクトとして非熟練労働者の労働

需要を下げ賃金水準を押し下げる一方高付加価値な生産工程に特化することによる熟練労働

者の労働需要の増加により賃金水準を上げ熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が広がって

いるかもしれないまた非熟練労働者の需要が減少することにより多くの失業者が生まれている

かもしれない1980年以降アメリカやイギリスなどの多くの先進国で熟練労働者と非熟練労働者

との賃金格差が広がってきていることが政治的に叫ばれその原因を解明しようとする研究が進め

られてきたそれらの研究では労働集約的な中間投入財の輸入などを代理変数としたアウトソーシ

ングやコンピュータ化などの偏向的技術進歩が重要な賃金格差や労働市場にインパクトをもたら

す要素であるということが国際経済学の先行研究で多く結論付けられた

当然日本においても労働集約的な生産工程の海外シフトにより熟練労働者と非熟練労働者

の賃金格差や従業者数などの労働市場に影響を与えていることが予想される日本の労働市場を

解明しアメリカやイギリスなどと同様にアウトソーシングが労働市場に与える影響を解明することは

非常に重要であるしかし日本においては賃金データの不備やアウトソーシングの代理変数の難

しさにより同様の研究は非常に少ない熟練労働者と非熟練労働者を生産労働者と非生産労働

者の区分で分析した日本における先行研究は筆者の知る限り存在しないだが今回私は厚生労

働省実施の賃金構造基本統計調査の『賃金センサス』に未収録のデータを利用して産業中分類

まで生産労働者と管理事務技術労働者という枠組みで賃金データを手に入れることができた

そこで本稿ではアウトソーシングが日本の熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者

比率などの労働市場に与える影響について分析する

本研究における方法論はイギリスについて研究を行った Anderton and Brenton (1998)に従うこと

にするアウトソーシングの変数の取得方法についても同研究を参照とした

本稿ではイギリスの Anderton and Brenton (1998)とは異なる次のような結論を得たアウトソーシン

グの進展が日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差に影響を与えてい

るという有意な係数は推定されなかった一方被説明変数を全労働者に占める熟練労働者数

(熟練労働者比率)とした場合はアウトソーシングの進展が熟練労働者比率の上昇に影響を与えて

いるという有意な係数が推定された日本においてはグローバル化の帰結によるアウトソーシング

の進展により労働者の賃金よりもむしろ従業者数に影響を及ぼしているのである今後アウトソ

3

ーシング変数の工夫や偏向的技術進歩の変数の工夫により本研究の精緻化が望まれ一層の研

究の重要性を示唆している

本論文の構成は以下のとおり第二節ではアウトソーシングに関連するターミノロジーとアウト

ソーシングの進展が賃金格差に与える影響についての先行研究をサーベイする第三節では近

年の日本をめぐるアウトソーシングの進展状況と日本の労働市場内の熟練労働者と非熟練労働

者の賃金や従業者数について分析考察していくそして第四節ではアウトソーシングの進展が

熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差または熟練労働者比率に影響を与えているか否かにつ

いて実証分析をする最後に第五節で本論文から得られた結論と今後の課題について言及し本

論文の結びとしたい

2 先行研究のサーベイ

本章ではアウトソーシングと労働市場の関係について分析を進めた先行研究をサーベイして

いく国際貿易論の文脈でのアウトソーシングの広義の意味とされる「ある財の生産活動が2国

3国に分散して行なわれること Feenstra and Hanson (2001)」を厳密に捉え数値化することのでき

る指標は研究者の間で統一されていないアウトソーシング や fragmentation といった多くのターミ

ノロジーが存在するそこで本章ではまず第1節でこうしたターミノロジーや指標をサーベイし本

分析で私が採用したアウトソーシング 変数の道程を示したいまた第2節ではアウトソーシングが

各国の労働市場に与える影響について分析した先行研究をサーベイしていきたい

21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ

Feeenstra and Hanson (2001)によればアウトソーシングを「ある財の生産活動が2国3国に分

散して生産活動が行なわれること」としている彼らがアウトソーシングが熟練労働者と非熟練労

働者の賃金格差に与える影響について分析する際にアウトソーシングの数値化を試みたそれは

輸入中間投入額を中間財額または非エネルギ中間財額で除したものである輸入に注目し簡単

にアウトソーシングを数値化し賃金格差に与える影響について分析してきたしかしある多国籍

企業のアウトソーシングを考える際この定義では厳密ではない例えば日本から部品を持ち込

み東アジアなどの低賃金国で組立てをする場合などもアウトソーシングと言えるこの場合輸入と

いう要素以外にも輸出という要素が入っているため輸入しか捉えていない彼らのアウトソーシング

の定義ではこうしたアウトソーシングを把握することができない

このためアウトソーシングに関連して多くの研究者によってターミノロジーや理論の研究がなさ

れている以下ではこうした先行研究について考察する

4

outsourcing fragmentation

intra-product specialization Super-specialization

Vertical speccialization

先行研究

Feenstra and

Hanson (1998)など

Jones and Kierzkowski (1990)

Deardorff (1998)など

Arndt (1998)

など

Hummels Ishii

and Yi (2001)など

特徴 独自に

数値化 各生産ブロックをつなぐ

サービスリンクに注目 H-O の定理 の枠組みで考察 輸出を考慮

変数の取り方

輸入中間 投入額divide非エネル ギー中間財

(imported intermediates gross output) export

上の表はアウトソーシングに関連する様々なターミノロジーをまとめたものであるまずこれらの

中で多くの研究者が使用している fragmentation をあげる fragmentation は Jones and

Kierzkowski (1990)によって初めて発表され「ある同一の最終生産物を生産するプロセスを複

数のプロセスに分割して異なる場所に立地させること」であるこのターミノロジーの特徴は各生

産ブロック間をつなぎ合わせるサービスリンクコストに注目しているということである一般に

fragmentation は各生産拠点間の生産コストの差があることによって行なわれるのであるがその中

の重要なファクターとして拠点間をつなぎ合わせるサービスリンクコストが十分に低いことが大い

に影響してくる

次にHummmels Ishii and Yi (2001)が定義したvertical specialization を見てみるこれは産

業連関表を用いた分析で 式を ( imported intermediatesgross output )timesexport とし輸出最終

財に占める輸入中間財の割合で定義しているそして彼らは OECD の産業連関表を用いて

OECD 諸国の vertical specialization の値を計測している

このように研究者によりアウトソーシングや工程間分業の定義はまちまちでどのターミノロジー

が企業活動におけるアウトソーシングそのものを厳密に表すかのコンセンサスは得られていない

しかしアウトソーシングの定義や把握が非常に難しい中熟練労働者と非熟練労働者との賃金格

差拡大の原因をアウトソーシングに求めた実証研究がアメリカやヨーロッパで盛んに行なわれてい

るそこではアウトソーシング代理変数の定義に際して様々な工夫がなされている次節ではこ

うした実証研究をサーベイし私のアウトソーシング変数の取り方についても言及したい

22 実証研究

5

前節でアウトソーシングに関連する様々な理論やターミノロジーをサーベイしてきた本節では

本論文のメインとなる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差とアウトソーシングの関係を分析した

論文をサーベイしていく

まず賃金格差が広がることの要因をアウトソーシング に求めた最初の大きな研究として

Feenstra and Hanson (1995)が挙げられる彼らは熟練労働者を非生産労働者非熟練労働者を

熟練労働者と定義して分析している熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が広がっている原

因としてアウトソーシングなどの貿易量の増加が議論される前には技術進歩が賃金格差を広げ

る主な要因として研究されてきた彼らは賃金格差拡大の原因を技術進歩であるとし分析を進め

た Berman et al (1994)以来の可変費用関数を用いた分析手法に倣ったそしてアウトソーシング

を総中間投入財額に占める輸入中間投入額の割合として定義した1979年から1990年を 2 期

間に分け上昇率を測りクロスセクションで分析することにより分析を進めているそこで彼らは熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差とアウトソーシングの間に正の相関を見出しているさらに

Feenstra and Hanson (1998)では賃金格差を引き起こす原因としてアウトソーシングの進展と偏向

的技術進歩であるとして両者どちらの影響が強いかを論じているその結果どの分析方法をとっ

てみても偏向的技術進歩とアウトソーシングの進展の両者とも熟練労働者賃金支払い比率の上昇

を説明することができると示唆している

次にイギリスについて Anderton and Brenton (1998)の先行研究を見てみるこの研究は繊維

産業と非電気機械の11産業について1970年から1983年までパネルデータを取って分析したも

のであるFeenstra and Hanson (1995)と同じ可変費用関数の推計しで分析を進めアウトソーシン

グの代理変数を年次の産業別の輸入額で先進国からの輸入と途上国からの輸入額に分け途

上国からの輸入額をアウトソーシングの代理変数としている当分析ではイギリスにおいてアウトソ

ーシングの進展が熟練労働者賃金支払い比率の上昇に影響を与えている推計された一方被

説明変数を熟練労働者賃金支払い比率から熟練労働従業者比率にかえて考察したところアウトソ

ーシングの進展が熟練労働従業者比率の上昇に影響を及ぼしていることがわかったしかしこの

分析によるアウトソーシングの代理変数は一般のアウトソーシング と厳密には異なると考えられる

途上国へのアウトソーシングの重要な帰結である中間財の輸入が産業別の貿易額では厳密に把

握できないためであるまたある生産工程で先進国が資本集約的な生産プロセスを担当しそ

の部員を途上国にアウトソースし組立てるといったタイプのアウトソーシングについても把握でき

ないしかしながら途上国低賃金国からの輸入はアウトソーシングの帰結を多く含むものであり

先進国で非熟練労働者を多く必要とする労働集約的な生産工程や財の生産に大きく影響を与え

るものであると考えられる

また輸入という概念以外をアウトソーシングと定義した研究に Head and Ries (2001)が日本の製

造業について行った研究がある彼らは東洋経済新報社の『海外企業進出総覧』というマイクロ

データを利用しアウトソーシングの代理変数を取得している彼らはアウトソーシングの概念を目的

別 FDI の割合の集計や途上国の従業者比率を計測することによって変数化しoffshore

production と定義しているこの研究によればオフショアプロダクションの進展が非熟練労働者の

6

需要を押し下げ日本の技術集約度の上昇に寄与しているという結論を得ている

私は本論文の分析でアウトソーシングの代理変数を Anderton and Brenton (1998)の手法をとるこ

とにしたその理由として世界各国からの輸入特に東アジアにおける工程間分業の進展に伴い

東アジアの低賃金国からの輸入が日本における労働集約的な生産工程や財の生産に影響を与

えていると予想されることがあげられるまたデータが毎年利用可能なことも理由として挙げられる

日本において賃金データはアメリカやイギリスほど細かい産業レベルまで揃っていない3 章と同

じように熟練労働者を賃金構造基本統計調査の管理事務技術労働者と定義し非熟練労働者

を生産労働者と定義して分析を進めるが利用可能なデータは生産労働者と管理事務技術労

働者の別の賃金データは製造業において産業中分類までであり22産業しかないFeenstra and

Hanson (1995)などと同様に数十年間の成長率を取り22産業でクロスセクションで分析を行うに

はサンプル数が少なすぎるそのため5年おきにしか公表されない総務省やアジア経済研究所

の産業連関表を用いて輸入中間投入額や中間投入額の比率をアウトソーシング の変数とできな

いそこで私はAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別の輸入額をとり彼らが途上国からの

輸入額を日本において最も国内の産業構造労働市場に影響を与えていると考えられる東アジ

アからの輸入額とし全世界からの輸入額と東アジアからの輸入額に分けて分析していく

3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状

アウトソーシングが日本の労働市場へ与える影響について分析する前に本章では日本のアウ

トソーシングの進展状況と労働市場について個別に概観していく第 1 節では経済産業省の海

外事業活動基本調査や貿易データを基に日本のアウトソーシングの進展状況を概観するまた

第 2 節では日本の労働市場について分析する

31日本企業のアウトソーシングの進展状況

本節では日本企業のアウトソーシングの進展状況を見ていくまず1節ではアウトソーシングを

概観する際の指標である経済産業省の『海外事業活動基本調査』をもとに日本の多国籍企業のプ

レゼンスに焦点をあててアウトソーシング の断片を概観していきたい次に2節ではアウトソーシン

グを概観する際に重要なマクロの指標となる部品貿易データをもとに概観していきたい

311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング

lt挿入 図31 図32 表31gt

7

本節では日本企業のアウトソーシングの進展状況を概観するまず図31に注目してみる

図31は経済産業省の『海外事業活動基本調査』より引用した日本における製造業の海外生産

比率の推移である日本国内の全法人ベースの海外生産比率は1990年代において一定して上

昇し2002年度には過去最高の171に達したまた母体を海外進出企業のみとした海外

進出企業ベースの海外生産比率を見てみると1993以来上昇し2002年度には410にも及ん

でいる

次に図32の現地法人の従業者数についてみてみる2002年における現地法人の海外従業

者数は341万にも達し1990年以降ずっと上昇している地域別に見てみるとアジアにおいて90

年代永続して従業者数が増加しているのを確認することができるこうした現地法人の従業者数の

増加は日本国内の労働市場雇用にどういった影響をもたらすのであろうか表31は経済産

業省が実施した海外事業活動基本調査の中での海外生産活動と日本国内の生産活動との関係

を質問したアンケート結果である表31によると「現地需要への対応で国内の生産活動に変化

はない」の項目が依然として高い回答率を得ているが年々この項目に対する回答率は年々減少

してきているそれに変わって徐々にではあるが上昇してきているのが「国内の生産は減少する

が人員削減は行わない」より右の3項目であるこのように海外生産が国内生産に影響を及ぼさ

ないという回答は減少し海外生産により雇用の面や何らかの形で日本国内の生産に影響を及ぼ

すであろうという回答が増加している

この節では日本企業の海外生産比率現地法人の従業者数などを概観しアウトソーシングの

現状を見てきたしかし日本企業のアウトソーシングや製造業の工程間分業においては EMS

の存在や OEM が活用されることもあり日系企業の海外進出企業内貿易だけが全てのファクタ

ーではないアウトソーシングを含む全てを把握した工程間分業を概観するために次節では日

本国内に関連する部品貿易について観察していきたい

312 貿易データからみたアウトソーシング

本節ではアウトソーシングを概観する際の重要なファクターである部品貿易に関する研究につ

いてサーベイしていく

まずYeats (1998)によれば1970代以降製造業における貿易が急速に拡大していると言ってい

る年間の貿易額は8000億ドルを越し世界全体の貿易額の30パーセントを占めると言っている

また製造業において部品貿易は急速に伸びておりその速度は最終財よりも圧倒的に速い

また東アジアにおいて部品貿易が急速に拡大しているといった研究にNg and Yeats (2001)が

ある彼らは東アジアの製造業における部品貿易は一般的に知られているよりも大きくアジア諸

国における製造業の輸出うち5分の1を占めOECD 諸国よりもより速いスピードで拡大していると

言及している

東アジアの部品貿易についてAndo and Kimura (2003)によると東アジアにおいて機械産業

や機械部品の貿易が非常に活発であると言う東アジアにおいては製造業特に機械産業にお

8

いて未曾有の精緻な生産ネットワークが作られている

このように日本を含む東アジアにおいては製造業の貿易や部品貿易がヨーロッパや南北ア

メリカの他地域と比して活発に行なわれており特に機械産業の貿易額に占める比率は大変大きく

部品貿易の額も大きいさらに東アジアにおいては日本企業も大きく関わる精緻な生産流通

ネットワークが形成されており工程間分業が盛んに行なわれている日本国内や日本企業を巻

き込む工程間分業が近年進展していることは明らかであるこのため日本においてもアメリカやイ

ギリスなどで確認されたように労働集約的な生産プロセスの低賃金国へのアウトソーシングにより

労働市場に大きく影響を及ぼしている可能性がある次節では日本の労働市場について概観し

ていきたい

32日本の労働市場

本節では近年の日本国内における労働市場の動向について分析していきたいなお本論文

は厚生労働省実施の賃金構造基本統計調査の生産労働者を非熟練労働者管理事務技術

労働者を熟練労働者と定義して分析を進めていくまた賃金構造基本統計調査上の10人以上

の事業所における男性の調査結果を使用する

<図33>

まず図33を見てみるこれは日本標準産業分類において産業大分類で製造業を見たとき

の1988年から2001年までの男子の総従業者数と非熟練労働者と熟練労働者数の変遷である

この図を見ると1990年を境として製造業に置ける労働者数は大きく減少していることがわかる

さらに熟練労働者と非熟練労働者の変遷を見てみる熟練労働者数は若干であるが減少してい

るが大きな減少は見られない一方非熟練労働者数を見てみると顕著に減少していることが見て

とれるこのように近年製造業において非熟練労働者と熟練労働者の間に変化が起こっている

ことがわかる

このため本節では製造業における熟練労働者と非熟練労働者の関係について詳しく概観して

いきたい

321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移

本節では日本国内の製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の関係を日本標準産業

分類の大分類で見ていく

<挿入 図34 図35 >

9

まず図34を見てみるこれは賃金構造基本統計調査結果が収録されている賃金センサスを

用いて分析した製造業の熟練労働者比率1であるこれによると熟練労働者比率は1998年から

2001年にかけて顕著な上昇傾向を見せている図33で確認できるように1990年代非熟練

労働者数が減少し熟練労働者数が増加してきたかもしくは熟練労働者数と非熟練労働者数との

差が減少してきていることがわかるこれは日本企業の海外展開や東アジアにおける工程間分業

の進展により労働集約的で特殊な技術力を必要としない部品の製造や組立てを賃金の安い海

外へ生産活動をシフトさせ日本は資本集約的な生産工程や高い技術力を必要とする高付加価

値品へ特化してきた結果かもしれない

次に製造業の中でも特にどの産業が熟練労働者比率を上昇させてきているかを見てみるため

に日本標準産業分類の中分類で分析してみるデータについては厚生労働省実施の賃金構造

基本統計調査結果の原本を使用した

<挿入 表32 図38 図310 >

表32は産業中分類で見た製造業の熟練労働者比率であるここで電気機械器具製造業に注

目するために図38を見る電気機械器具製造業において1988年から2001年にかけて熟練

労働者比率が大きく増加しているこの増加の原因として東アジアにおける電気機械産業での工

程間分業が加速していることが考えられる電気機械産業は非常に多くの部品からなり多くの工

程を必要とするAndo and Kimura (2003)などで言われているように東アジアでは製造業特に

機械産業において機械部品の貿易が盛んに行なわれ非常に多くの生産拠点を東アジア各国

にフラグメントさせた工程間分業が起こり精緻な生産流通ネットワークが築かれているこうした

東アジアにおける工程間分業の進展により各国が比較優位を持つ工程に特化し最適な資源配

分を達成し生産することができるこれにより非熟練労働者を必要とし労働集約的な工程が東ア

ジア各国などの低賃金国にシフトし高付加価値名財や工程の生産を日本国内に特化させるよう

になるこうして電気機械器具製造業において非熟練労働者の需要は減少し非熟練労働者数は

減少していることが考えられるのではないだろうかまた高付加価値産業への生産の集約や経

営資源の集中により非熟練労働者の需要は減るがその一方熟練労働者の需要は増え熟練労

働者数は上昇し熟練労働者比率が1990年代に上昇していることが考えられる

また一般機械産業輸送用機器産業を見てみても1990年代に熟練労働者比率は上昇してい

ることがわかるこうした産業の上昇の原因にも日本の低質な工程の低賃金国への生産拠点の

移行や日本国内のプラントや施設において高付加価値の工程へ資源集中や生産の集約の帰

結があげられる

1 熟練労働者比率=管理事務技術労働者数divide(生産労働者数+管理事務技術労働者数)

と定義した

10

次に衣服その他の繊維製品製造業に注目する図310によれば注目すべき点として19

98年ごろからの急速な熟練労働者比率の上昇が挙げられるここ5年の間に管理事務技術労

働者といった熟練労働者の比率は上昇し労働集約的な生産活動を東アジア各国を中心とする

低賃金国に移行させてきた帰結でないかということが予想されるこうした時期にバブルが崩壊し

デフレの進行に伴いユニクロなどの廉価な商品を販売する企業が活躍し廉価な消費財に高い

需要があったことを考えて見てもこの熟練労働者比率の上昇は大変興味深い結果である

322 製造業における賃金格差

前節では非熟練労働者と熟練労働者数の推移を観察してきたこの節では熟練労働者と非熟

練労働者の賃金格差について観察していきたい

まずデータについては前節と同様に賃金構造基本統計調査結果を利用したまた賃金につ

いては産業による特性を排除するため橘木他(1995)に倣い現金給与と年間賞与他の和を所定時

間と超過時間の和で除したものを各賃金とした

lt挿入 図36 図37gt

まず製造業全体の熟練労働者賃金比率をとった図36を見てみるこれを見てみると1998

年から2001年にかけて緩やかな上昇傾向であることがわかるしかし図37で示した Goumlrg

(2003) が1982年から1997年まで分析したイギリスの熟練労働者賃金比率のような一定した顕著

な上昇傾向は見られない日本では1992年まで下がり続け1998年までまた上がり1999年から

緩やかな上昇傾向であることが確認される日本においては熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差はそれほど拡大していないのかもしれない各種製造業における動向を分析するため産業

中分類で熟練労働者賃金比率を計測した

lt挿入 表33 図39 図311gt

表33を見てみるこの中で少し上昇しているのが飲料タバコ飼料製造業電気機械器具

製造業であるしかし図39で電気機械器具製造業を見てみると図38の熟練労働者比率の

上昇に比してそれほど大きな熟練労働者賃金比率の上昇は引き起こされていない図311の衣

服その他の繊維製品製造業を見てみても熟練労働者比率の上昇に比して賃金比率はそれほ

ど上昇していないその他の産業についてもはっきりとした熟練労働者賃金比率の上昇を読み取

ることができなかった日本の労働市場における賃金格差はそれほど拡大していない図35や

図37で確認できるようにアメリカやイギリスなどの欧米諸国は熟練労働者比率よりも熟練労働者

賃金比率のほうが顕著に上昇しており労働市場の動向は日本と同じではない

11

このように近年日本の労働市場のトレンドはイギリスやアメリカなどの多くの先進国とは大きく

異なる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が生まれているというよりも熟練労働者比率の上

昇という形で顕著に表れている323ではより詳しく賃金格差の拡大のスピードと熟練労働者

比率上昇のスピードとではどちらが速いかについて考察していきたい

323賃金格差と労働者数の関係

前節では産業別の熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差と熟練労働者比率についてみてき

たこの節では前節までの分析を踏まえ熟練労働者比率の変遷と熟練労働者賃金比率の変遷と

の両者の関係に焦点を当てていく

<挿入 図312 図313 図314>

この図は熟練労働者賃金比率を熟練労働者比率で除した図であるこの図上の折れ線が減

少していると熟練労働者賃金比率の上昇よりも熟練労働者比率の拡大が早いスピードで起こっ

ていることを意味するまた増加していると熟練労働者賃金比率のほうが熟練労働者比率より速

いスピードで拡大していることを意味し労働市場に賃金格差という影響をもたらしていることがい

える

ここで折れ線を見てみるとほとんどの産業においてこの値は減少しているほとんどの産業では

賃金格差の拡大というよりもむしろ熟練労働者比率の拡大のスピードが速いしかし食料品製

造業金属製造業において折れ線は上昇しておりこれらの産業においては熟練労働者比率の

拡大というよりも賃金格差として現れているしかしながら製造業内の産業において賃金格差の

拡大よりも熟練労働者比率の上昇のスピードが速く欧米とは異なった形で労働市場に変化が起き

ている

本節では日本のアウトソーシングの進展状況と近年の労働市場の動向について考察を進め

てきた近年日本企業の海外生産は活発化し部品貿易も拡大しアウトソーシングは進展してき

たまた労働市場を見てみても製造業の従業者数は減少し特に非熟練労働者が顕著に減少す

るなど大きな変化が起こっているそこで筆者はこうしたアウトソーシングの進展が労働市場に

何らかの影響を及ぼしているのではないかと考えた次節では日本においてアウトソーシングが

労働市場に与える影響について実証分析をしていく

4 実証分析

本章ではアウトソーシングの拡大がもたらす日本の労働市場内の非熟練労働者と熟練労働者

12

の賃金格差熟練労働者比率に与える影響について実証分析をすることにするまず1節では

本分析で用いる費用関数の回帰式の説明をする2節ではデータの出所について言及する

41モデルの説明

本節では私が用いた回帰分析のモデルの説明をする 私の分析ではAnderton and

Brenton(1998)の先行研究を参考とし分析を進めていきたい最初に彼等も用いた Berman et al

(1994)以来のアウトソーシングまたは偏向的技術進歩が熟練労働者と非熟練労働者に与える影

響について分析をした際のモデルとなるトランスログ型の可変費用関数を説明する

まずこのモデルの前提として i 産業の生産要素には資本 K と非熟練労働jと熟練労働kが存在

すると仮定するまたここで資本 K は短期的には固定要素であるとし熟練労働jと非熟練労働kは

可変要素であると仮定するT はアウトソーシングや偏向的技術進歩など i 産業の費用を変化させ

る要素を一括したものであるまたこの可変費用関数としてトランスログ型をとるとすると下のような

①式が出来上がる

ijij

iwjiiKTiiYTiTTiT

iiijiKJijij

YJikijj k

jk

ijj

jiKKiKiiyi

WTKTYTTT

KYWYWYWW

WKKYYYYC

lnlnln21

lnlnlnlnlnlnlnln21

ln)ln(21ln)ln(

21lnln 22

0

sum

sumsumsum sum

sum

+++++

++++

+++++=

φλλλλ

ρδδγ

γββααα

① ここで ln で一次微分しシェファードの補題を適用すると以下のような方程式が出来上がる

左辺は熟練労働向けの費用が総可変費用に占める比率である iW

iiwjK

jkiKjiYjjij TKYS φγδδα ++++= sumlnln ②

また価格を所与とするとトランスログ型の費用関数が一次同次でなければならないのでそのため

の条件が

0==== sumsumsumsumj

Yjj

iKj

iKK

iK δδγγ

であるまた規模に関して収穫一定であるので②式は次のような式に書き換えることができる

13

iiwjk

jiKjiYjjij T

WW

dKYS φδδα +

+++= lnlnln ③

そして③式の変化量をとると

+++=

k

jiYjiKjiijij W

WdYdKddTds lnlnln γδδφ ④

④式が出来上がる

ここで④式のうち YKT はともに外生変数であると仮定しているしかしk

j

WW

外生変数であると

は考えられないしたがって本研究では先行研究に倣い被説明変数に熟練労働者賃金支払

い比率をとる際の分析に関してはk

j

WW

を除外して推計することにする

本分析では可変費用の変化をもたらすその他の要因である T を先行研究に倣いアウトソーシン

グと偏向的技術進歩として分析を進めていくことにする回帰式は以下の⑤式に示す

( ) ititititititit UDMSdDRYdKddSW +++++= minus γλρβα lnamplnln 1 ⑤

そして⑤式を基にAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別のデータをプールさせパネルデ

ータで分析を始める

この式においてSW は総賃金支払いに占める熟練労働者への賃金支払いK は資本ストック

Y はアウトプットであるMS はアウトソーシングの代理変数である本研究では Anderton and

Brenton (1998)に倣い産業別の貿易額をアウトソーシングの代理変数とするまた先行研究と同

様に産業別の輸入額を全世界から東アジアから東アジア以外からの輸入額に分けて取得し

た近年日本の多国籍企業の安価な労働力を求めた東アジアへの進出や東アジア各国での

労働集約的部品の輸入が上昇していることを3節で確認したこのため日本の労働市場へ影響を

与えていると予想されるアウトソーシングは東アジアからの輸入額が一番近いと考えられるまた

RampD は偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率である労働市場の賃金格差や熟

練労働者比率に与える影響として本分析では主にアウトソーシング として分析を進めるが欧米

の先行研究ではアウトソーシングとするものと偏向的技術進歩とするものの論争が巻き起こった

Berman et al (1994)も偏向的技術進歩とした研究であった日本においても賃金格差や熟練労

働者比率の拡大に偏向的技術進歩が考えられるため研究開発費比率を追加して分析を進めて

いくなお研究開発比率の波及効果は即時現れずタイムラグを経て賃金に影響を与えると予

14

想されるので添え字を i-1 としている

次に被説明変数に全従業者に占める熟練労働者の従業者比率を取った回帰式を分析する

⑤式は可変費用関数を変形したものであり左辺の熟練労働者賃金支払い比率を熟練労働者

比率として比較考察することは理論的背景は弱いしかし両推計を比較考察することはアウト

ソーシングが労働市場に影響を与えるメカニズムを解明する上で大変興味深いそのため

Machin (1998)や Anderton and Brenton (1998)と同様に賃金比率を従業者比率に変えた回帰式に

ついても分析を進めていく以下の⑥式である

( ) itititititititit UDRWdMSdDRYdKddSE ++++++= minus γϖλρβα lnlnamplnln 1 ⑥

ここでRW は非熟練労働者の賃金に対する熟練労働者の賃金であるこのモデルではパネル

データを取って分析していくパネルデータの分析に際しては一般的に固定効果モデルと変量効

果モデルの 2 種類の推定法が考えられるこの分析では各変数のトレンドとして産業による特性

が考慮され重要なファクターとなってくるこのため先行研究に倣いダミー変数で産業の特性を

コントロールした固定効果モデルで推定していくことにする

42 データ

本分析でのデータは次のものを利用したまず熟練労働者と非熟練労働者の賃金そして従業

者については厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査報告の昭和63年度から

平成13年度調査結果の10人以上の事業所を対象とした男性の統計結果を使用した 産業につ

いては産業中分類の製造業 F12~F34 までの中でデータの制約上F21(石油製品石炭製品製

造業)F24(なめし皮同製品毛皮製造業)F33(武器製造業)F34(その他製造業)を除外し

た19産業で分析を進めていくことにする次に資本ストックについては経済産業省が毎年実施し

公表している工業統計表産業編の製造業産業中分類別で集計してある有形固定資産額の投資

総額を資本ストックとしたまた付加価値も工業統計表産業編の調査結果を使用し有形固定資

産総額と同様に製造業の産業中分類別に平成元年~平成13年調査結果からとった

次に貿易データについて言及する本分析においては先行研究による途上国からの産業別の

輸入額を日本の多国籍企業が多く進出し低賃金の豊富な労働資源を利用し低品質な工程

や低付加価値な財を生産している東アジアからの産業別の輸入額としたここで東アジアとは

ASEAN 諸国(カンボジアタイマレーシアベトナムインドネシアラオスブルネイフィリピン

シンガポール)中国韓国香港としたデータの出所については全世界からの貿易量国別の

貿易量共に1988年から2001年まで国連のデータベースである United Nations Statistics

Division Commodity Trade Statistics Database から SITC(R1)で取得したそれにより得られた商品

別の貿易データを小浜木村(1995)総務省ホームページを参照に日本標準産業分類の製造

15

業産業中分類別にコンバート1することにより日本標準産業分類別の貿易額を得たなお1992

年は当データベースにおいて結果が提供されておらず除外したまた当データデータベースに

おいてドルベースのためInternational Financial Statistics より PPP 換算した為替レートを参照し円

換算することにより分析を進めた

次に偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率について言及するここで研究開発

費は総務省統計局が出版している科学技術調査研究の調査結果を利用した科学技術研究調

査における産業分類と日本標準産業分類とは産業分類が異なるためお互いをマッチングさせて

分析を進めなければならない科学技術研究調査の付録を参照に日本標準産業分類を科学技

術調査研究が製造業において分析対象である14産業にコンバートさせた日本標準産業分類に

おける F12(食料品製造業)と F13(飲料たばこ飼料製造業)を集計し科学技術調査研究の食

品製造業としたまたF14(繊維工業)と F15(衣服その他の繊維製造業)を集計し科学技術調

査研究の繊維製造業とした一連の集計作業において非熟練労働者と熟練労働者の賃金を集

計する際には従業者数でウエイト付けしたまた日本標準産業分類と科学技術研究調査報告に

おいてマッチングの悪い F16(木材木製品製造業)F17(家具装備品製造業)F29(一般機械

器具製造業)の産業については偏向的技術進歩を回帰式に加える分析からは削除したこれによ

り説明変数に偏向的技術進歩を加える分析に関しては14産業で分析することする

43予想される符号結果

この分析で予想される符号を下の表に図示する先行研究と同じような結果になることが予想さ

れる

予想される符号 RampD 貿易額 (全世界)

貿易額 (東アジア)

貿易額(東アジ

ア以外)

熟練労働者賃金比率 + + + +

熟練労働者比率 + + + +

まず非説明変数に熟練労働者賃金比率をとったときの予想を見てみるRampD の符号を見てみ

ると一連の RampD と熟練労働者と非熟練労働者との関係を示した論文と同様にプラスの符号が

予想されるこれは研究開発費が増えるほど国内に資本集約的で高付加価値な生産活動に集

約することにより非熟練労働者の労働需要が落ち込み賃金が下がることが予想されるためである

次に貿易額の符号を見てみるこれは東アジア全世界ともプラスの係数が予想されるこれは

日本以外の低賃金の国から労働集約的で低質な財の輸入額が上昇することにより日本国内の

低質な財を作る労働集約的な財の生産が海外にシフトし生産労働者の労働需要が落ち込み非

1 データの利用上の注意については APPENDIX 参照

16

熟練労働者の賃金が減少することが予想されるまた資本集約的な工程や財の生産に特化する

ことにより熟練労働者への労働需要があがり熟練労働者賃金が上がることも予想される

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの予想される符号を見てみるRDに関して

は研究開発比率が増えるほど熟練労働者を必要とし資本集約的な工程や財に生産を特化し

非熟練労働者への労働需要が落ち込み労働者数が減少することが予想されるこのためプラス

であることが予想される最後にアウトソーシングの代理変数である貿易額を見てみるこれも同

様に低賃金国からの労働集約的な部品や財の輸入額が上昇することにより国内の労働集約的

な生産工程や非熟練労働者を多く必要とする労働集約な財の生産は海外の低賃金国にシフトし

非熟練労働者への労働需要は落ち込み非熟練労働者数が減少することが予想される

しかしAnderton and Brenton(1998)がイギリスで行った先行研究とは異なる結果が出る可能性

がある熟練労働者賃金比率を被説明変数としたときに輸入額の係数が有意に推定されない可

能性があるそれは日本においては賃金格差があまり広がっていないことが原因としてあげられ

る3節で概観したように2000年にかけてのアウトソーシングの進展に比して製造業の熟練労

働者賃金比率を個別に概観してみると顕著に上昇している産業はあまり確認することはできなか

った一方熟練労働者比率は産業別に見てみても顕著に上昇しているこのためアウトソーシ

ングの進展により熟練労働者比率に大きく影響を与えていることが予想される

44 結果考察

lt挿入 表41gt

表41は被説明変数を熟練労働者賃金比率とした時の回帰分析の結果であるこの回帰分析

結果において(1a)~(1c)を見てみるとAnderton and Brenton (1998)の先行研究とは大きく異な

る結果であることがわかるまず注目すべき点として輸入額の係数を見てみると全世界東アジア

東アジアの国以外からの係数がそろって有意な係数が推定されていないこのことより産業別の

輸入額がアウトソーシングの帰結の一部であると考えるとアウトソーシングが国内の熟練労働者と

非熟練労働者の賃金格差に影響を与えているとは言えないことがわかる

また(1d)~(1f)の研究開発比率を回帰式に加えた式を見ても各方面からの輸入額研究開

発費の項に有意な係数は推定されていない

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの結果を見てみる

lt挿入 表43gt

表42は被説明変数を熟練労働者比率とした時の回帰分析の結果であるまず研究開発費

を回帰式に加えない(2a)~(2c)までの分析結果を見てみると全世界からの輸入額東アジア

17

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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工業統計表 産業編 昭和 63 年度調査結果~平成 13 年度調査結果 経済産業省

23

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 3: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

1 はじめに

近年経済のグローバル化の帰結として日本を含む東アジアで製造業の部品貿易が活発化し

ているまた企業レベルに視点を移してみても1980年代のバブル期以降日本の多国籍企業

をはじめとして海外生産活動を急速に拡大させてきたこれにより労働集約的な生産工程はア

ジア各国を始めとする低賃金の国で生産されるようになり各国から安価な工業製品の輸入が盛

んに行なわれるようになったこのことによって日系企業のコスト削減による企業の強みを発揮す

ることができ消費者にとってはより安価な製品を手に入れることができるようになり日本国内で見る

と厚生水準は上がるはずであるしかしその反面生産拠点の移行により地方を中心とする日本国

内の産業空洞化の議論が巻き起こってきた日本国内へのインパクトとして非熟練労働者の労働

需要を下げ賃金水準を押し下げる一方高付加価値な生産工程に特化することによる熟練労働

者の労働需要の増加により賃金水準を上げ熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が広がって

いるかもしれないまた非熟練労働者の需要が減少することにより多くの失業者が生まれている

かもしれない1980年以降アメリカやイギリスなどの多くの先進国で熟練労働者と非熟練労働者

との賃金格差が広がってきていることが政治的に叫ばれその原因を解明しようとする研究が進め

られてきたそれらの研究では労働集約的な中間投入財の輸入などを代理変数としたアウトソーシ

ングやコンピュータ化などの偏向的技術進歩が重要な賃金格差や労働市場にインパクトをもたら

す要素であるということが国際経済学の先行研究で多く結論付けられた

当然日本においても労働集約的な生産工程の海外シフトにより熟練労働者と非熟練労働者

の賃金格差や従業者数などの労働市場に影響を与えていることが予想される日本の労働市場を

解明しアメリカやイギリスなどと同様にアウトソーシングが労働市場に与える影響を解明することは

非常に重要であるしかし日本においては賃金データの不備やアウトソーシングの代理変数の難

しさにより同様の研究は非常に少ない熟練労働者と非熟練労働者を生産労働者と非生産労働

者の区分で分析した日本における先行研究は筆者の知る限り存在しないだが今回私は厚生労

働省実施の賃金構造基本統計調査の『賃金センサス』に未収録のデータを利用して産業中分類

まで生産労働者と管理事務技術労働者という枠組みで賃金データを手に入れることができた

そこで本稿ではアウトソーシングが日本の熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者

比率などの労働市場に与える影響について分析する

本研究における方法論はイギリスについて研究を行った Anderton and Brenton (1998)に従うこと

にするアウトソーシングの変数の取得方法についても同研究を参照とした

本稿ではイギリスの Anderton and Brenton (1998)とは異なる次のような結論を得たアウトソーシン

グの進展が日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差に影響を与えてい

るという有意な係数は推定されなかった一方被説明変数を全労働者に占める熟練労働者数

(熟練労働者比率)とした場合はアウトソーシングの進展が熟練労働者比率の上昇に影響を与えて

いるという有意な係数が推定された日本においてはグローバル化の帰結によるアウトソーシング

の進展により労働者の賃金よりもむしろ従業者数に影響を及ぼしているのである今後アウトソ

3

ーシング変数の工夫や偏向的技術進歩の変数の工夫により本研究の精緻化が望まれ一層の研

究の重要性を示唆している

本論文の構成は以下のとおり第二節ではアウトソーシングに関連するターミノロジーとアウト

ソーシングの進展が賃金格差に与える影響についての先行研究をサーベイする第三節では近

年の日本をめぐるアウトソーシングの進展状況と日本の労働市場内の熟練労働者と非熟練労働

者の賃金や従業者数について分析考察していくそして第四節ではアウトソーシングの進展が

熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差または熟練労働者比率に影響を与えているか否かにつ

いて実証分析をする最後に第五節で本論文から得られた結論と今後の課題について言及し本

論文の結びとしたい

2 先行研究のサーベイ

本章ではアウトソーシングと労働市場の関係について分析を進めた先行研究をサーベイして

いく国際貿易論の文脈でのアウトソーシングの広義の意味とされる「ある財の生産活動が2国

3国に分散して行なわれること Feenstra and Hanson (2001)」を厳密に捉え数値化することのでき

る指標は研究者の間で統一されていないアウトソーシング や fragmentation といった多くのターミ

ノロジーが存在するそこで本章ではまず第1節でこうしたターミノロジーや指標をサーベイし本

分析で私が採用したアウトソーシング 変数の道程を示したいまた第2節ではアウトソーシングが

各国の労働市場に与える影響について分析した先行研究をサーベイしていきたい

21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ

Feeenstra and Hanson (2001)によればアウトソーシングを「ある財の生産活動が2国3国に分

散して生産活動が行なわれること」としている彼らがアウトソーシングが熟練労働者と非熟練労

働者の賃金格差に与える影響について分析する際にアウトソーシングの数値化を試みたそれは

輸入中間投入額を中間財額または非エネルギ中間財額で除したものである輸入に注目し簡単

にアウトソーシングを数値化し賃金格差に与える影響について分析してきたしかしある多国籍

企業のアウトソーシングを考える際この定義では厳密ではない例えば日本から部品を持ち込

み東アジアなどの低賃金国で組立てをする場合などもアウトソーシングと言えるこの場合輸入と

いう要素以外にも輸出という要素が入っているため輸入しか捉えていない彼らのアウトソーシング

の定義ではこうしたアウトソーシングを把握することができない

このためアウトソーシングに関連して多くの研究者によってターミノロジーや理論の研究がなさ

れている以下ではこうした先行研究について考察する

4

outsourcing fragmentation

intra-product specialization Super-specialization

Vertical speccialization

先行研究

Feenstra and

Hanson (1998)など

Jones and Kierzkowski (1990)

Deardorff (1998)など

Arndt (1998)

など

Hummels Ishii

and Yi (2001)など

特徴 独自に

数値化 各生産ブロックをつなぐ

サービスリンクに注目 H-O の定理 の枠組みで考察 輸出を考慮

変数の取り方

輸入中間 投入額divide非エネル ギー中間財

(imported intermediates gross output) export

上の表はアウトソーシングに関連する様々なターミノロジーをまとめたものであるまずこれらの

中で多くの研究者が使用している fragmentation をあげる fragmentation は Jones and

Kierzkowski (1990)によって初めて発表され「ある同一の最終生産物を生産するプロセスを複

数のプロセスに分割して異なる場所に立地させること」であるこのターミノロジーの特徴は各生

産ブロック間をつなぎ合わせるサービスリンクコストに注目しているということである一般に

fragmentation は各生産拠点間の生産コストの差があることによって行なわれるのであるがその中

の重要なファクターとして拠点間をつなぎ合わせるサービスリンクコストが十分に低いことが大い

に影響してくる

次にHummmels Ishii and Yi (2001)が定義したvertical specialization を見てみるこれは産

業連関表を用いた分析で 式を ( imported intermediatesgross output )timesexport とし輸出最終

財に占める輸入中間財の割合で定義しているそして彼らは OECD の産業連関表を用いて

OECD 諸国の vertical specialization の値を計測している

このように研究者によりアウトソーシングや工程間分業の定義はまちまちでどのターミノロジー

が企業活動におけるアウトソーシングそのものを厳密に表すかのコンセンサスは得られていない

しかしアウトソーシングの定義や把握が非常に難しい中熟練労働者と非熟練労働者との賃金格

差拡大の原因をアウトソーシングに求めた実証研究がアメリカやヨーロッパで盛んに行なわれてい

るそこではアウトソーシング代理変数の定義に際して様々な工夫がなされている次節ではこ

うした実証研究をサーベイし私のアウトソーシング変数の取り方についても言及したい

22 実証研究

5

前節でアウトソーシングに関連する様々な理論やターミノロジーをサーベイしてきた本節では

本論文のメインとなる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差とアウトソーシングの関係を分析した

論文をサーベイしていく

まず賃金格差が広がることの要因をアウトソーシング に求めた最初の大きな研究として

Feenstra and Hanson (1995)が挙げられる彼らは熟練労働者を非生産労働者非熟練労働者を

熟練労働者と定義して分析している熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が広がっている原

因としてアウトソーシングなどの貿易量の増加が議論される前には技術進歩が賃金格差を広げ

る主な要因として研究されてきた彼らは賃金格差拡大の原因を技術進歩であるとし分析を進め

た Berman et al (1994)以来の可変費用関数を用いた分析手法に倣ったそしてアウトソーシング

を総中間投入財額に占める輸入中間投入額の割合として定義した1979年から1990年を 2 期

間に分け上昇率を測りクロスセクションで分析することにより分析を進めているそこで彼らは熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差とアウトソーシングの間に正の相関を見出しているさらに

Feenstra and Hanson (1998)では賃金格差を引き起こす原因としてアウトソーシングの進展と偏向

的技術進歩であるとして両者どちらの影響が強いかを論じているその結果どの分析方法をとっ

てみても偏向的技術進歩とアウトソーシングの進展の両者とも熟練労働者賃金支払い比率の上昇

を説明することができると示唆している

次にイギリスについて Anderton and Brenton (1998)の先行研究を見てみるこの研究は繊維

産業と非電気機械の11産業について1970年から1983年までパネルデータを取って分析したも

のであるFeenstra and Hanson (1995)と同じ可変費用関数の推計しで分析を進めアウトソーシン

グの代理変数を年次の産業別の輸入額で先進国からの輸入と途上国からの輸入額に分け途

上国からの輸入額をアウトソーシングの代理変数としている当分析ではイギリスにおいてアウトソ

ーシングの進展が熟練労働者賃金支払い比率の上昇に影響を与えている推計された一方被

説明変数を熟練労働者賃金支払い比率から熟練労働従業者比率にかえて考察したところアウトソ

ーシングの進展が熟練労働従業者比率の上昇に影響を及ぼしていることがわかったしかしこの

分析によるアウトソーシングの代理変数は一般のアウトソーシング と厳密には異なると考えられる

途上国へのアウトソーシングの重要な帰結である中間財の輸入が産業別の貿易額では厳密に把

握できないためであるまたある生産工程で先進国が資本集約的な生産プロセスを担当しそ

の部員を途上国にアウトソースし組立てるといったタイプのアウトソーシングについても把握でき

ないしかしながら途上国低賃金国からの輸入はアウトソーシングの帰結を多く含むものであり

先進国で非熟練労働者を多く必要とする労働集約的な生産工程や財の生産に大きく影響を与え

るものであると考えられる

また輸入という概念以外をアウトソーシングと定義した研究に Head and Ries (2001)が日本の製

造業について行った研究がある彼らは東洋経済新報社の『海外企業進出総覧』というマイクロ

データを利用しアウトソーシングの代理変数を取得している彼らはアウトソーシングの概念を目的

別 FDI の割合の集計や途上国の従業者比率を計測することによって変数化しoffshore

production と定義しているこの研究によればオフショアプロダクションの進展が非熟練労働者の

6

需要を押し下げ日本の技術集約度の上昇に寄与しているという結論を得ている

私は本論文の分析でアウトソーシングの代理変数を Anderton and Brenton (1998)の手法をとるこ

とにしたその理由として世界各国からの輸入特に東アジアにおける工程間分業の進展に伴い

東アジアの低賃金国からの輸入が日本における労働集約的な生産工程や財の生産に影響を与

えていると予想されることがあげられるまたデータが毎年利用可能なことも理由として挙げられる

日本において賃金データはアメリカやイギリスほど細かい産業レベルまで揃っていない3 章と同

じように熟練労働者を賃金構造基本統計調査の管理事務技術労働者と定義し非熟練労働者

を生産労働者と定義して分析を進めるが利用可能なデータは生産労働者と管理事務技術労

働者の別の賃金データは製造業において産業中分類までであり22産業しかないFeenstra and

Hanson (1995)などと同様に数十年間の成長率を取り22産業でクロスセクションで分析を行うに

はサンプル数が少なすぎるそのため5年おきにしか公表されない総務省やアジア経済研究所

の産業連関表を用いて輸入中間投入額や中間投入額の比率をアウトソーシング の変数とできな

いそこで私はAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別の輸入額をとり彼らが途上国からの

輸入額を日本において最も国内の産業構造労働市場に影響を与えていると考えられる東アジ

アからの輸入額とし全世界からの輸入額と東アジアからの輸入額に分けて分析していく

3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状

アウトソーシングが日本の労働市場へ与える影響について分析する前に本章では日本のアウ

トソーシングの進展状況と労働市場について個別に概観していく第 1 節では経済産業省の海

外事業活動基本調査や貿易データを基に日本のアウトソーシングの進展状況を概観するまた

第 2 節では日本の労働市場について分析する

31日本企業のアウトソーシングの進展状況

本節では日本企業のアウトソーシングの進展状況を見ていくまず1節ではアウトソーシングを

概観する際の指標である経済産業省の『海外事業活動基本調査』をもとに日本の多国籍企業のプ

レゼンスに焦点をあててアウトソーシング の断片を概観していきたい次に2節ではアウトソーシン

グを概観する際に重要なマクロの指標となる部品貿易データをもとに概観していきたい

311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング

lt挿入 図31 図32 表31gt

7

本節では日本企業のアウトソーシングの進展状況を概観するまず図31に注目してみる

図31は経済産業省の『海外事業活動基本調査』より引用した日本における製造業の海外生産

比率の推移である日本国内の全法人ベースの海外生産比率は1990年代において一定して上

昇し2002年度には過去最高の171に達したまた母体を海外進出企業のみとした海外

進出企業ベースの海外生産比率を見てみると1993以来上昇し2002年度には410にも及ん

でいる

次に図32の現地法人の従業者数についてみてみる2002年における現地法人の海外従業

者数は341万にも達し1990年以降ずっと上昇している地域別に見てみるとアジアにおいて90

年代永続して従業者数が増加しているのを確認することができるこうした現地法人の従業者数の

増加は日本国内の労働市場雇用にどういった影響をもたらすのであろうか表31は経済産

業省が実施した海外事業活動基本調査の中での海外生産活動と日本国内の生産活動との関係

を質問したアンケート結果である表31によると「現地需要への対応で国内の生産活動に変化

はない」の項目が依然として高い回答率を得ているが年々この項目に対する回答率は年々減少

してきているそれに変わって徐々にではあるが上昇してきているのが「国内の生産は減少する

が人員削減は行わない」より右の3項目であるこのように海外生産が国内生産に影響を及ぼさ

ないという回答は減少し海外生産により雇用の面や何らかの形で日本国内の生産に影響を及ぼ

すであろうという回答が増加している

この節では日本企業の海外生産比率現地法人の従業者数などを概観しアウトソーシングの

現状を見てきたしかし日本企業のアウトソーシングや製造業の工程間分業においては EMS

の存在や OEM が活用されることもあり日系企業の海外進出企業内貿易だけが全てのファクタ

ーではないアウトソーシングを含む全てを把握した工程間分業を概観するために次節では日

本国内に関連する部品貿易について観察していきたい

312 貿易データからみたアウトソーシング

本節ではアウトソーシングを概観する際の重要なファクターである部品貿易に関する研究につ

いてサーベイしていく

まずYeats (1998)によれば1970代以降製造業における貿易が急速に拡大していると言ってい

る年間の貿易額は8000億ドルを越し世界全体の貿易額の30パーセントを占めると言っている

また製造業において部品貿易は急速に伸びておりその速度は最終財よりも圧倒的に速い

また東アジアにおいて部品貿易が急速に拡大しているといった研究にNg and Yeats (2001)が

ある彼らは東アジアの製造業における部品貿易は一般的に知られているよりも大きくアジア諸

国における製造業の輸出うち5分の1を占めOECD 諸国よりもより速いスピードで拡大していると

言及している

東アジアの部品貿易についてAndo and Kimura (2003)によると東アジアにおいて機械産業

や機械部品の貿易が非常に活発であると言う東アジアにおいては製造業特に機械産業にお

8

いて未曾有の精緻な生産ネットワークが作られている

このように日本を含む東アジアにおいては製造業の貿易や部品貿易がヨーロッパや南北ア

メリカの他地域と比して活発に行なわれており特に機械産業の貿易額に占める比率は大変大きく

部品貿易の額も大きいさらに東アジアにおいては日本企業も大きく関わる精緻な生産流通

ネットワークが形成されており工程間分業が盛んに行なわれている日本国内や日本企業を巻

き込む工程間分業が近年進展していることは明らかであるこのため日本においてもアメリカやイ

ギリスなどで確認されたように労働集約的な生産プロセスの低賃金国へのアウトソーシングにより

労働市場に大きく影響を及ぼしている可能性がある次節では日本の労働市場について概観し

ていきたい

32日本の労働市場

本節では近年の日本国内における労働市場の動向について分析していきたいなお本論文

は厚生労働省実施の賃金構造基本統計調査の生産労働者を非熟練労働者管理事務技術

労働者を熟練労働者と定義して分析を進めていくまた賃金構造基本統計調査上の10人以上

の事業所における男性の調査結果を使用する

<図33>

まず図33を見てみるこれは日本標準産業分類において産業大分類で製造業を見たとき

の1988年から2001年までの男子の総従業者数と非熟練労働者と熟練労働者数の変遷である

この図を見ると1990年を境として製造業に置ける労働者数は大きく減少していることがわかる

さらに熟練労働者と非熟練労働者の変遷を見てみる熟練労働者数は若干であるが減少してい

るが大きな減少は見られない一方非熟練労働者数を見てみると顕著に減少していることが見て

とれるこのように近年製造業において非熟練労働者と熟練労働者の間に変化が起こっている

ことがわかる

このため本節では製造業における熟練労働者と非熟練労働者の関係について詳しく概観して

いきたい

321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移

本節では日本国内の製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の関係を日本標準産業

分類の大分類で見ていく

<挿入 図34 図35 >

9

まず図34を見てみるこれは賃金構造基本統計調査結果が収録されている賃金センサスを

用いて分析した製造業の熟練労働者比率1であるこれによると熟練労働者比率は1998年から

2001年にかけて顕著な上昇傾向を見せている図33で確認できるように1990年代非熟練

労働者数が減少し熟練労働者数が増加してきたかもしくは熟練労働者数と非熟練労働者数との

差が減少してきていることがわかるこれは日本企業の海外展開や東アジアにおける工程間分業

の進展により労働集約的で特殊な技術力を必要としない部品の製造や組立てを賃金の安い海

外へ生産活動をシフトさせ日本は資本集約的な生産工程や高い技術力を必要とする高付加価

値品へ特化してきた結果かもしれない

次に製造業の中でも特にどの産業が熟練労働者比率を上昇させてきているかを見てみるため

に日本標準産業分類の中分類で分析してみるデータについては厚生労働省実施の賃金構造

基本統計調査結果の原本を使用した

<挿入 表32 図38 図310 >

表32は産業中分類で見た製造業の熟練労働者比率であるここで電気機械器具製造業に注

目するために図38を見る電気機械器具製造業において1988年から2001年にかけて熟練

労働者比率が大きく増加しているこの増加の原因として東アジアにおける電気機械産業での工

程間分業が加速していることが考えられる電気機械産業は非常に多くの部品からなり多くの工

程を必要とするAndo and Kimura (2003)などで言われているように東アジアでは製造業特に

機械産業において機械部品の貿易が盛んに行なわれ非常に多くの生産拠点を東アジア各国

にフラグメントさせた工程間分業が起こり精緻な生産流通ネットワークが築かれているこうした

東アジアにおける工程間分業の進展により各国が比較優位を持つ工程に特化し最適な資源配

分を達成し生産することができるこれにより非熟練労働者を必要とし労働集約的な工程が東ア

ジア各国などの低賃金国にシフトし高付加価値名財や工程の生産を日本国内に特化させるよう

になるこうして電気機械器具製造業において非熟練労働者の需要は減少し非熟練労働者数は

減少していることが考えられるのではないだろうかまた高付加価値産業への生産の集約や経

営資源の集中により非熟練労働者の需要は減るがその一方熟練労働者の需要は増え熟練労

働者数は上昇し熟練労働者比率が1990年代に上昇していることが考えられる

また一般機械産業輸送用機器産業を見てみても1990年代に熟練労働者比率は上昇してい

ることがわかるこうした産業の上昇の原因にも日本の低質な工程の低賃金国への生産拠点の

移行や日本国内のプラントや施設において高付加価値の工程へ資源集中や生産の集約の帰

結があげられる

1 熟練労働者比率=管理事務技術労働者数divide(生産労働者数+管理事務技術労働者数)

と定義した

10

次に衣服その他の繊維製品製造業に注目する図310によれば注目すべき点として19

98年ごろからの急速な熟練労働者比率の上昇が挙げられるここ5年の間に管理事務技術労

働者といった熟練労働者の比率は上昇し労働集約的な生産活動を東アジア各国を中心とする

低賃金国に移行させてきた帰結でないかということが予想されるこうした時期にバブルが崩壊し

デフレの進行に伴いユニクロなどの廉価な商品を販売する企業が活躍し廉価な消費財に高い

需要があったことを考えて見てもこの熟練労働者比率の上昇は大変興味深い結果である

322 製造業における賃金格差

前節では非熟練労働者と熟練労働者数の推移を観察してきたこの節では熟練労働者と非熟

練労働者の賃金格差について観察していきたい

まずデータについては前節と同様に賃金構造基本統計調査結果を利用したまた賃金につ

いては産業による特性を排除するため橘木他(1995)に倣い現金給与と年間賞与他の和を所定時

間と超過時間の和で除したものを各賃金とした

lt挿入 図36 図37gt

まず製造業全体の熟練労働者賃金比率をとった図36を見てみるこれを見てみると1998

年から2001年にかけて緩やかな上昇傾向であることがわかるしかし図37で示した Goumlrg

(2003) が1982年から1997年まで分析したイギリスの熟練労働者賃金比率のような一定した顕著

な上昇傾向は見られない日本では1992年まで下がり続け1998年までまた上がり1999年から

緩やかな上昇傾向であることが確認される日本においては熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差はそれほど拡大していないのかもしれない各種製造業における動向を分析するため産業

中分類で熟練労働者賃金比率を計測した

lt挿入 表33 図39 図311gt

表33を見てみるこの中で少し上昇しているのが飲料タバコ飼料製造業電気機械器具

製造業であるしかし図39で電気機械器具製造業を見てみると図38の熟練労働者比率の

上昇に比してそれほど大きな熟練労働者賃金比率の上昇は引き起こされていない図311の衣

服その他の繊維製品製造業を見てみても熟練労働者比率の上昇に比して賃金比率はそれほ

ど上昇していないその他の産業についてもはっきりとした熟練労働者賃金比率の上昇を読み取

ることができなかった日本の労働市場における賃金格差はそれほど拡大していない図35や

図37で確認できるようにアメリカやイギリスなどの欧米諸国は熟練労働者比率よりも熟練労働者

賃金比率のほうが顕著に上昇しており労働市場の動向は日本と同じではない

11

このように近年日本の労働市場のトレンドはイギリスやアメリカなどの多くの先進国とは大きく

異なる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が生まれているというよりも熟練労働者比率の上

昇という形で顕著に表れている323ではより詳しく賃金格差の拡大のスピードと熟練労働者

比率上昇のスピードとではどちらが速いかについて考察していきたい

323賃金格差と労働者数の関係

前節では産業別の熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差と熟練労働者比率についてみてき

たこの節では前節までの分析を踏まえ熟練労働者比率の変遷と熟練労働者賃金比率の変遷と

の両者の関係に焦点を当てていく

<挿入 図312 図313 図314>

この図は熟練労働者賃金比率を熟練労働者比率で除した図であるこの図上の折れ線が減

少していると熟練労働者賃金比率の上昇よりも熟練労働者比率の拡大が早いスピードで起こっ

ていることを意味するまた増加していると熟練労働者賃金比率のほうが熟練労働者比率より速

いスピードで拡大していることを意味し労働市場に賃金格差という影響をもたらしていることがい

える

ここで折れ線を見てみるとほとんどの産業においてこの値は減少しているほとんどの産業では

賃金格差の拡大というよりもむしろ熟練労働者比率の拡大のスピードが速いしかし食料品製

造業金属製造業において折れ線は上昇しておりこれらの産業においては熟練労働者比率の

拡大というよりも賃金格差として現れているしかしながら製造業内の産業において賃金格差の

拡大よりも熟練労働者比率の上昇のスピードが速く欧米とは異なった形で労働市場に変化が起き

ている

本節では日本のアウトソーシングの進展状況と近年の労働市場の動向について考察を進め

てきた近年日本企業の海外生産は活発化し部品貿易も拡大しアウトソーシングは進展してき

たまた労働市場を見てみても製造業の従業者数は減少し特に非熟練労働者が顕著に減少す

るなど大きな変化が起こっているそこで筆者はこうしたアウトソーシングの進展が労働市場に

何らかの影響を及ぼしているのではないかと考えた次節では日本においてアウトソーシングが

労働市場に与える影響について実証分析をしていく

4 実証分析

本章ではアウトソーシングの拡大がもたらす日本の労働市場内の非熟練労働者と熟練労働者

12

の賃金格差熟練労働者比率に与える影響について実証分析をすることにするまず1節では

本分析で用いる費用関数の回帰式の説明をする2節ではデータの出所について言及する

41モデルの説明

本節では私が用いた回帰分析のモデルの説明をする 私の分析ではAnderton and

Brenton(1998)の先行研究を参考とし分析を進めていきたい最初に彼等も用いた Berman et al

(1994)以来のアウトソーシングまたは偏向的技術進歩が熟練労働者と非熟練労働者に与える影

響について分析をした際のモデルとなるトランスログ型の可変費用関数を説明する

まずこのモデルの前提として i 産業の生産要素には資本 K と非熟練労働jと熟練労働kが存在

すると仮定するまたここで資本 K は短期的には固定要素であるとし熟練労働jと非熟練労働kは

可変要素であると仮定するT はアウトソーシングや偏向的技術進歩など i 産業の費用を変化させ

る要素を一括したものであるまたこの可変費用関数としてトランスログ型をとるとすると下のような

①式が出来上がる

ijij

iwjiiKTiiYTiTTiT

iiijiKJijij

YJikijj k

jk

ijj

jiKKiKiiyi

WTKTYTTT

KYWYWYWW

WKKYYYYC

lnlnln21

lnlnlnlnlnlnlnln21

ln)ln(21ln)ln(

21lnln 22

0

sum

sumsumsum sum

sum

+++++

++++

+++++=

φλλλλ

ρδδγ

γββααα

① ここで ln で一次微分しシェファードの補題を適用すると以下のような方程式が出来上がる

左辺は熟練労働向けの費用が総可変費用に占める比率である iW

iiwjK

jkiKjiYjjij TKYS φγδδα ++++= sumlnln ②

また価格を所与とするとトランスログ型の費用関数が一次同次でなければならないのでそのため

の条件が

0==== sumsumsumsumj

Yjj

iKj

iKK

iK δδγγ

であるまた規模に関して収穫一定であるので②式は次のような式に書き換えることができる

13

iiwjk

jiKjiYjjij T

WW

dKYS φδδα +

+++= lnlnln ③

そして③式の変化量をとると

+++=

k

jiYjiKjiijij W

WdYdKddTds lnlnln γδδφ ④

④式が出来上がる

ここで④式のうち YKT はともに外生変数であると仮定しているしかしk

j

WW

外生変数であると

は考えられないしたがって本研究では先行研究に倣い被説明変数に熟練労働者賃金支払

い比率をとる際の分析に関してはk

j

WW

を除外して推計することにする

本分析では可変費用の変化をもたらすその他の要因である T を先行研究に倣いアウトソーシン

グと偏向的技術進歩として分析を進めていくことにする回帰式は以下の⑤式に示す

( ) ititititititit UDMSdDRYdKddSW +++++= minus γλρβα lnamplnln 1 ⑤

そして⑤式を基にAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別のデータをプールさせパネルデ

ータで分析を始める

この式においてSW は総賃金支払いに占める熟練労働者への賃金支払いK は資本ストック

Y はアウトプットであるMS はアウトソーシングの代理変数である本研究では Anderton and

Brenton (1998)に倣い産業別の貿易額をアウトソーシングの代理変数とするまた先行研究と同

様に産業別の輸入額を全世界から東アジアから東アジア以外からの輸入額に分けて取得し

た近年日本の多国籍企業の安価な労働力を求めた東アジアへの進出や東アジア各国での

労働集約的部品の輸入が上昇していることを3節で確認したこのため日本の労働市場へ影響を

与えていると予想されるアウトソーシングは東アジアからの輸入額が一番近いと考えられるまた

RampD は偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率である労働市場の賃金格差や熟

練労働者比率に与える影響として本分析では主にアウトソーシング として分析を進めるが欧米

の先行研究ではアウトソーシングとするものと偏向的技術進歩とするものの論争が巻き起こった

Berman et al (1994)も偏向的技術進歩とした研究であった日本においても賃金格差や熟練労

働者比率の拡大に偏向的技術進歩が考えられるため研究開発費比率を追加して分析を進めて

いくなお研究開発比率の波及効果は即時現れずタイムラグを経て賃金に影響を与えると予

14

想されるので添え字を i-1 としている

次に被説明変数に全従業者に占める熟練労働者の従業者比率を取った回帰式を分析する

⑤式は可変費用関数を変形したものであり左辺の熟練労働者賃金支払い比率を熟練労働者

比率として比較考察することは理論的背景は弱いしかし両推計を比較考察することはアウト

ソーシングが労働市場に影響を与えるメカニズムを解明する上で大変興味深いそのため

Machin (1998)や Anderton and Brenton (1998)と同様に賃金比率を従業者比率に変えた回帰式に

ついても分析を進めていく以下の⑥式である

( ) itititititititit UDRWdMSdDRYdKddSE ++++++= minus γϖλρβα lnlnamplnln 1 ⑥

ここでRW は非熟練労働者の賃金に対する熟練労働者の賃金であるこのモデルではパネル

データを取って分析していくパネルデータの分析に際しては一般的に固定効果モデルと変量効

果モデルの 2 種類の推定法が考えられるこの分析では各変数のトレンドとして産業による特性

が考慮され重要なファクターとなってくるこのため先行研究に倣いダミー変数で産業の特性を

コントロールした固定効果モデルで推定していくことにする

42 データ

本分析でのデータは次のものを利用したまず熟練労働者と非熟練労働者の賃金そして従業

者については厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査報告の昭和63年度から

平成13年度調査結果の10人以上の事業所を対象とした男性の統計結果を使用した 産業につ

いては産業中分類の製造業 F12~F34 までの中でデータの制約上F21(石油製品石炭製品製

造業)F24(なめし皮同製品毛皮製造業)F33(武器製造業)F34(その他製造業)を除外し

た19産業で分析を進めていくことにする次に資本ストックについては経済産業省が毎年実施し

公表している工業統計表産業編の製造業産業中分類別で集計してある有形固定資産額の投資

総額を資本ストックとしたまた付加価値も工業統計表産業編の調査結果を使用し有形固定資

産総額と同様に製造業の産業中分類別に平成元年~平成13年調査結果からとった

次に貿易データについて言及する本分析においては先行研究による途上国からの産業別の

輸入額を日本の多国籍企業が多く進出し低賃金の豊富な労働資源を利用し低品質な工程

や低付加価値な財を生産している東アジアからの産業別の輸入額としたここで東アジアとは

ASEAN 諸国(カンボジアタイマレーシアベトナムインドネシアラオスブルネイフィリピン

シンガポール)中国韓国香港としたデータの出所については全世界からの貿易量国別の

貿易量共に1988年から2001年まで国連のデータベースである United Nations Statistics

Division Commodity Trade Statistics Database から SITC(R1)で取得したそれにより得られた商品

別の貿易データを小浜木村(1995)総務省ホームページを参照に日本標準産業分類の製造

15

業産業中分類別にコンバート1することにより日本標準産業分類別の貿易額を得たなお1992

年は当データベースにおいて結果が提供されておらず除外したまた当データデータベースに

おいてドルベースのためInternational Financial Statistics より PPP 換算した為替レートを参照し円

換算することにより分析を進めた

次に偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率について言及するここで研究開発

費は総務省統計局が出版している科学技術調査研究の調査結果を利用した科学技術研究調

査における産業分類と日本標準産業分類とは産業分類が異なるためお互いをマッチングさせて

分析を進めなければならない科学技術研究調査の付録を参照に日本標準産業分類を科学技

術調査研究が製造業において分析対象である14産業にコンバートさせた日本標準産業分類に

おける F12(食料品製造業)と F13(飲料たばこ飼料製造業)を集計し科学技術調査研究の食

品製造業としたまたF14(繊維工業)と F15(衣服その他の繊維製造業)を集計し科学技術調

査研究の繊維製造業とした一連の集計作業において非熟練労働者と熟練労働者の賃金を集

計する際には従業者数でウエイト付けしたまた日本標準産業分類と科学技術研究調査報告に

おいてマッチングの悪い F16(木材木製品製造業)F17(家具装備品製造業)F29(一般機械

器具製造業)の産業については偏向的技術進歩を回帰式に加える分析からは削除したこれによ

り説明変数に偏向的技術進歩を加える分析に関しては14産業で分析することする

43予想される符号結果

この分析で予想される符号を下の表に図示する先行研究と同じような結果になることが予想さ

れる

予想される符号 RampD 貿易額 (全世界)

貿易額 (東アジア)

貿易額(東アジ

ア以外)

熟練労働者賃金比率 + + + +

熟練労働者比率 + + + +

まず非説明変数に熟練労働者賃金比率をとったときの予想を見てみるRampD の符号を見てみ

ると一連の RampD と熟練労働者と非熟練労働者との関係を示した論文と同様にプラスの符号が

予想されるこれは研究開発費が増えるほど国内に資本集約的で高付加価値な生産活動に集

約することにより非熟練労働者の労働需要が落ち込み賃金が下がることが予想されるためである

次に貿易額の符号を見てみるこれは東アジア全世界ともプラスの係数が予想されるこれは

日本以外の低賃金の国から労働集約的で低質な財の輸入額が上昇することにより日本国内の

低質な財を作る労働集約的な財の生産が海外にシフトし生産労働者の労働需要が落ち込み非

1 データの利用上の注意については APPENDIX 参照

16

熟練労働者の賃金が減少することが予想されるまた資本集約的な工程や財の生産に特化する

ことにより熟練労働者への労働需要があがり熟練労働者賃金が上がることも予想される

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの予想される符号を見てみるRDに関して

は研究開発比率が増えるほど熟練労働者を必要とし資本集約的な工程や財に生産を特化し

非熟練労働者への労働需要が落ち込み労働者数が減少することが予想されるこのためプラス

であることが予想される最後にアウトソーシングの代理変数である貿易額を見てみるこれも同

様に低賃金国からの労働集約的な部品や財の輸入額が上昇することにより国内の労働集約的

な生産工程や非熟練労働者を多く必要とする労働集約な財の生産は海外の低賃金国にシフトし

非熟練労働者への労働需要は落ち込み非熟練労働者数が減少することが予想される

しかしAnderton and Brenton(1998)がイギリスで行った先行研究とは異なる結果が出る可能性

がある熟練労働者賃金比率を被説明変数としたときに輸入額の係数が有意に推定されない可

能性があるそれは日本においては賃金格差があまり広がっていないことが原因としてあげられ

る3節で概観したように2000年にかけてのアウトソーシングの進展に比して製造業の熟練労

働者賃金比率を個別に概観してみると顕著に上昇している産業はあまり確認することはできなか

った一方熟練労働者比率は産業別に見てみても顕著に上昇しているこのためアウトソーシ

ングの進展により熟練労働者比率に大きく影響を与えていることが予想される

44 結果考察

lt挿入 表41gt

表41は被説明変数を熟練労働者賃金比率とした時の回帰分析の結果であるこの回帰分析

結果において(1a)~(1c)を見てみるとAnderton and Brenton (1998)の先行研究とは大きく異な

る結果であることがわかるまず注目すべき点として輸入額の係数を見てみると全世界東アジア

東アジアの国以外からの係数がそろって有意な係数が推定されていないこのことより産業別の

輸入額がアウトソーシングの帰結の一部であると考えるとアウトソーシングが国内の熟練労働者と

非熟練労働者の賃金格差に影響を与えているとは言えないことがわかる

また(1d)~(1f)の研究開発比率を回帰式に加えた式を見ても各方面からの輸入額研究開

発費の項に有意な係数は推定されていない

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの結果を見てみる

lt挿入 表43gt

表42は被説明変数を熟練労働者比率とした時の回帰分析の結果であるまず研究開発費

を回帰式に加えない(2a)~(2c)までの分析結果を見てみると全世界からの輸入額東アジア

17

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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23

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 4: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

ーシング変数の工夫や偏向的技術進歩の変数の工夫により本研究の精緻化が望まれ一層の研

究の重要性を示唆している

本論文の構成は以下のとおり第二節ではアウトソーシングに関連するターミノロジーとアウト

ソーシングの進展が賃金格差に与える影響についての先行研究をサーベイする第三節では近

年の日本をめぐるアウトソーシングの進展状況と日本の労働市場内の熟練労働者と非熟練労働

者の賃金や従業者数について分析考察していくそして第四節ではアウトソーシングの進展が

熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差または熟練労働者比率に影響を与えているか否かにつ

いて実証分析をする最後に第五節で本論文から得られた結論と今後の課題について言及し本

論文の結びとしたい

2 先行研究のサーベイ

本章ではアウトソーシングと労働市場の関係について分析を進めた先行研究をサーベイして

いく国際貿易論の文脈でのアウトソーシングの広義の意味とされる「ある財の生産活動が2国

3国に分散して行なわれること Feenstra and Hanson (2001)」を厳密に捉え数値化することのでき

る指標は研究者の間で統一されていないアウトソーシング や fragmentation といった多くのターミ

ノロジーが存在するそこで本章ではまず第1節でこうしたターミノロジーや指標をサーベイし本

分析で私が採用したアウトソーシング 変数の道程を示したいまた第2節ではアウトソーシングが

各国の労働市場に与える影響について分析した先行研究をサーベイしていきたい

21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ

Feeenstra and Hanson (2001)によればアウトソーシングを「ある財の生産活動が2国3国に分

散して生産活動が行なわれること」としている彼らがアウトソーシングが熟練労働者と非熟練労

働者の賃金格差に与える影響について分析する際にアウトソーシングの数値化を試みたそれは

輸入中間投入額を中間財額または非エネルギ中間財額で除したものである輸入に注目し簡単

にアウトソーシングを数値化し賃金格差に与える影響について分析してきたしかしある多国籍

企業のアウトソーシングを考える際この定義では厳密ではない例えば日本から部品を持ち込

み東アジアなどの低賃金国で組立てをする場合などもアウトソーシングと言えるこの場合輸入と

いう要素以外にも輸出という要素が入っているため輸入しか捉えていない彼らのアウトソーシング

の定義ではこうしたアウトソーシングを把握することができない

このためアウトソーシングに関連して多くの研究者によってターミノロジーや理論の研究がなさ

れている以下ではこうした先行研究について考察する

4

outsourcing fragmentation

intra-product specialization Super-specialization

Vertical speccialization

先行研究

Feenstra and

Hanson (1998)など

Jones and Kierzkowski (1990)

Deardorff (1998)など

Arndt (1998)

など

Hummels Ishii

and Yi (2001)など

特徴 独自に

数値化 各生産ブロックをつなぐ

サービスリンクに注目 H-O の定理 の枠組みで考察 輸出を考慮

変数の取り方

輸入中間 投入額divide非エネル ギー中間財

(imported intermediates gross output) export

上の表はアウトソーシングに関連する様々なターミノロジーをまとめたものであるまずこれらの

中で多くの研究者が使用している fragmentation をあげる fragmentation は Jones and

Kierzkowski (1990)によって初めて発表され「ある同一の最終生産物を生産するプロセスを複

数のプロセスに分割して異なる場所に立地させること」であるこのターミノロジーの特徴は各生

産ブロック間をつなぎ合わせるサービスリンクコストに注目しているということである一般に

fragmentation は各生産拠点間の生産コストの差があることによって行なわれるのであるがその中

の重要なファクターとして拠点間をつなぎ合わせるサービスリンクコストが十分に低いことが大い

に影響してくる

次にHummmels Ishii and Yi (2001)が定義したvertical specialization を見てみるこれは産

業連関表を用いた分析で 式を ( imported intermediatesgross output )timesexport とし輸出最終

財に占める輸入中間財の割合で定義しているそして彼らは OECD の産業連関表を用いて

OECD 諸国の vertical specialization の値を計測している

このように研究者によりアウトソーシングや工程間分業の定義はまちまちでどのターミノロジー

が企業活動におけるアウトソーシングそのものを厳密に表すかのコンセンサスは得られていない

しかしアウトソーシングの定義や把握が非常に難しい中熟練労働者と非熟練労働者との賃金格

差拡大の原因をアウトソーシングに求めた実証研究がアメリカやヨーロッパで盛んに行なわれてい

るそこではアウトソーシング代理変数の定義に際して様々な工夫がなされている次節ではこ

うした実証研究をサーベイし私のアウトソーシング変数の取り方についても言及したい

22 実証研究

5

前節でアウトソーシングに関連する様々な理論やターミノロジーをサーベイしてきた本節では

本論文のメインとなる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差とアウトソーシングの関係を分析した

論文をサーベイしていく

まず賃金格差が広がることの要因をアウトソーシング に求めた最初の大きな研究として

Feenstra and Hanson (1995)が挙げられる彼らは熟練労働者を非生産労働者非熟練労働者を

熟練労働者と定義して分析している熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が広がっている原

因としてアウトソーシングなどの貿易量の増加が議論される前には技術進歩が賃金格差を広げ

る主な要因として研究されてきた彼らは賃金格差拡大の原因を技術進歩であるとし分析を進め

た Berman et al (1994)以来の可変費用関数を用いた分析手法に倣ったそしてアウトソーシング

を総中間投入財額に占める輸入中間投入額の割合として定義した1979年から1990年を 2 期

間に分け上昇率を測りクロスセクションで分析することにより分析を進めているそこで彼らは熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差とアウトソーシングの間に正の相関を見出しているさらに

Feenstra and Hanson (1998)では賃金格差を引き起こす原因としてアウトソーシングの進展と偏向

的技術進歩であるとして両者どちらの影響が強いかを論じているその結果どの分析方法をとっ

てみても偏向的技術進歩とアウトソーシングの進展の両者とも熟練労働者賃金支払い比率の上昇

を説明することができると示唆している

次にイギリスについて Anderton and Brenton (1998)の先行研究を見てみるこの研究は繊維

産業と非電気機械の11産業について1970年から1983年までパネルデータを取って分析したも

のであるFeenstra and Hanson (1995)と同じ可変費用関数の推計しで分析を進めアウトソーシン

グの代理変数を年次の産業別の輸入額で先進国からの輸入と途上国からの輸入額に分け途

上国からの輸入額をアウトソーシングの代理変数としている当分析ではイギリスにおいてアウトソ

ーシングの進展が熟練労働者賃金支払い比率の上昇に影響を与えている推計された一方被

説明変数を熟練労働者賃金支払い比率から熟練労働従業者比率にかえて考察したところアウトソ

ーシングの進展が熟練労働従業者比率の上昇に影響を及ぼしていることがわかったしかしこの

分析によるアウトソーシングの代理変数は一般のアウトソーシング と厳密には異なると考えられる

途上国へのアウトソーシングの重要な帰結である中間財の輸入が産業別の貿易額では厳密に把

握できないためであるまたある生産工程で先進国が資本集約的な生産プロセスを担当しそ

の部員を途上国にアウトソースし組立てるといったタイプのアウトソーシングについても把握でき

ないしかしながら途上国低賃金国からの輸入はアウトソーシングの帰結を多く含むものであり

先進国で非熟練労働者を多く必要とする労働集約的な生産工程や財の生産に大きく影響を与え

るものであると考えられる

また輸入という概念以外をアウトソーシングと定義した研究に Head and Ries (2001)が日本の製

造業について行った研究がある彼らは東洋経済新報社の『海外企業進出総覧』というマイクロ

データを利用しアウトソーシングの代理変数を取得している彼らはアウトソーシングの概念を目的

別 FDI の割合の集計や途上国の従業者比率を計測することによって変数化しoffshore

production と定義しているこの研究によればオフショアプロダクションの進展が非熟練労働者の

6

需要を押し下げ日本の技術集約度の上昇に寄与しているという結論を得ている

私は本論文の分析でアウトソーシングの代理変数を Anderton and Brenton (1998)の手法をとるこ

とにしたその理由として世界各国からの輸入特に東アジアにおける工程間分業の進展に伴い

東アジアの低賃金国からの輸入が日本における労働集約的な生産工程や財の生産に影響を与

えていると予想されることがあげられるまたデータが毎年利用可能なことも理由として挙げられる

日本において賃金データはアメリカやイギリスほど細かい産業レベルまで揃っていない3 章と同

じように熟練労働者を賃金構造基本統計調査の管理事務技術労働者と定義し非熟練労働者

を生産労働者と定義して分析を進めるが利用可能なデータは生産労働者と管理事務技術労

働者の別の賃金データは製造業において産業中分類までであり22産業しかないFeenstra and

Hanson (1995)などと同様に数十年間の成長率を取り22産業でクロスセクションで分析を行うに

はサンプル数が少なすぎるそのため5年おきにしか公表されない総務省やアジア経済研究所

の産業連関表を用いて輸入中間投入額や中間投入額の比率をアウトソーシング の変数とできな

いそこで私はAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別の輸入額をとり彼らが途上国からの

輸入額を日本において最も国内の産業構造労働市場に影響を与えていると考えられる東アジ

アからの輸入額とし全世界からの輸入額と東アジアからの輸入額に分けて分析していく

3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状

アウトソーシングが日本の労働市場へ与える影響について分析する前に本章では日本のアウ

トソーシングの進展状況と労働市場について個別に概観していく第 1 節では経済産業省の海

外事業活動基本調査や貿易データを基に日本のアウトソーシングの進展状況を概観するまた

第 2 節では日本の労働市場について分析する

31日本企業のアウトソーシングの進展状況

本節では日本企業のアウトソーシングの進展状況を見ていくまず1節ではアウトソーシングを

概観する際の指標である経済産業省の『海外事業活動基本調査』をもとに日本の多国籍企業のプ

レゼンスに焦点をあててアウトソーシング の断片を概観していきたい次に2節ではアウトソーシン

グを概観する際に重要なマクロの指標となる部品貿易データをもとに概観していきたい

311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング

lt挿入 図31 図32 表31gt

7

本節では日本企業のアウトソーシングの進展状況を概観するまず図31に注目してみる

図31は経済産業省の『海外事業活動基本調査』より引用した日本における製造業の海外生産

比率の推移である日本国内の全法人ベースの海外生産比率は1990年代において一定して上

昇し2002年度には過去最高の171に達したまた母体を海外進出企業のみとした海外

進出企業ベースの海外生産比率を見てみると1993以来上昇し2002年度には410にも及ん

でいる

次に図32の現地法人の従業者数についてみてみる2002年における現地法人の海外従業

者数は341万にも達し1990年以降ずっと上昇している地域別に見てみるとアジアにおいて90

年代永続して従業者数が増加しているのを確認することができるこうした現地法人の従業者数の

増加は日本国内の労働市場雇用にどういった影響をもたらすのであろうか表31は経済産

業省が実施した海外事業活動基本調査の中での海外生産活動と日本国内の生産活動との関係

を質問したアンケート結果である表31によると「現地需要への対応で国内の生産活動に変化

はない」の項目が依然として高い回答率を得ているが年々この項目に対する回答率は年々減少

してきているそれに変わって徐々にではあるが上昇してきているのが「国内の生産は減少する

が人員削減は行わない」より右の3項目であるこのように海外生産が国内生産に影響を及ぼさ

ないという回答は減少し海外生産により雇用の面や何らかの形で日本国内の生産に影響を及ぼ

すであろうという回答が増加している

この節では日本企業の海外生産比率現地法人の従業者数などを概観しアウトソーシングの

現状を見てきたしかし日本企業のアウトソーシングや製造業の工程間分業においては EMS

の存在や OEM が活用されることもあり日系企業の海外進出企業内貿易だけが全てのファクタ

ーではないアウトソーシングを含む全てを把握した工程間分業を概観するために次節では日

本国内に関連する部品貿易について観察していきたい

312 貿易データからみたアウトソーシング

本節ではアウトソーシングを概観する際の重要なファクターである部品貿易に関する研究につ

いてサーベイしていく

まずYeats (1998)によれば1970代以降製造業における貿易が急速に拡大していると言ってい

る年間の貿易額は8000億ドルを越し世界全体の貿易額の30パーセントを占めると言っている

また製造業において部品貿易は急速に伸びておりその速度は最終財よりも圧倒的に速い

また東アジアにおいて部品貿易が急速に拡大しているといった研究にNg and Yeats (2001)が

ある彼らは東アジアの製造業における部品貿易は一般的に知られているよりも大きくアジア諸

国における製造業の輸出うち5分の1を占めOECD 諸国よりもより速いスピードで拡大していると

言及している

東アジアの部品貿易についてAndo and Kimura (2003)によると東アジアにおいて機械産業

や機械部品の貿易が非常に活発であると言う東アジアにおいては製造業特に機械産業にお

8

いて未曾有の精緻な生産ネットワークが作られている

このように日本を含む東アジアにおいては製造業の貿易や部品貿易がヨーロッパや南北ア

メリカの他地域と比して活発に行なわれており特に機械産業の貿易額に占める比率は大変大きく

部品貿易の額も大きいさらに東アジアにおいては日本企業も大きく関わる精緻な生産流通

ネットワークが形成されており工程間分業が盛んに行なわれている日本国内や日本企業を巻

き込む工程間分業が近年進展していることは明らかであるこのため日本においてもアメリカやイ

ギリスなどで確認されたように労働集約的な生産プロセスの低賃金国へのアウトソーシングにより

労働市場に大きく影響を及ぼしている可能性がある次節では日本の労働市場について概観し

ていきたい

32日本の労働市場

本節では近年の日本国内における労働市場の動向について分析していきたいなお本論文

は厚生労働省実施の賃金構造基本統計調査の生産労働者を非熟練労働者管理事務技術

労働者を熟練労働者と定義して分析を進めていくまた賃金構造基本統計調査上の10人以上

の事業所における男性の調査結果を使用する

<図33>

まず図33を見てみるこれは日本標準産業分類において産業大分類で製造業を見たとき

の1988年から2001年までの男子の総従業者数と非熟練労働者と熟練労働者数の変遷である

この図を見ると1990年を境として製造業に置ける労働者数は大きく減少していることがわかる

さらに熟練労働者と非熟練労働者の変遷を見てみる熟練労働者数は若干であるが減少してい

るが大きな減少は見られない一方非熟練労働者数を見てみると顕著に減少していることが見て

とれるこのように近年製造業において非熟練労働者と熟練労働者の間に変化が起こっている

ことがわかる

このため本節では製造業における熟練労働者と非熟練労働者の関係について詳しく概観して

いきたい

321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移

本節では日本国内の製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の関係を日本標準産業

分類の大分類で見ていく

<挿入 図34 図35 >

9

まず図34を見てみるこれは賃金構造基本統計調査結果が収録されている賃金センサスを

用いて分析した製造業の熟練労働者比率1であるこれによると熟練労働者比率は1998年から

2001年にかけて顕著な上昇傾向を見せている図33で確認できるように1990年代非熟練

労働者数が減少し熟練労働者数が増加してきたかもしくは熟練労働者数と非熟練労働者数との

差が減少してきていることがわかるこれは日本企業の海外展開や東アジアにおける工程間分業

の進展により労働集約的で特殊な技術力を必要としない部品の製造や組立てを賃金の安い海

外へ生産活動をシフトさせ日本は資本集約的な生産工程や高い技術力を必要とする高付加価

値品へ特化してきた結果かもしれない

次に製造業の中でも特にどの産業が熟練労働者比率を上昇させてきているかを見てみるため

に日本標準産業分類の中分類で分析してみるデータについては厚生労働省実施の賃金構造

基本統計調査結果の原本を使用した

<挿入 表32 図38 図310 >

表32は産業中分類で見た製造業の熟練労働者比率であるここで電気機械器具製造業に注

目するために図38を見る電気機械器具製造業において1988年から2001年にかけて熟練

労働者比率が大きく増加しているこの増加の原因として東アジアにおける電気機械産業での工

程間分業が加速していることが考えられる電気機械産業は非常に多くの部品からなり多くの工

程を必要とするAndo and Kimura (2003)などで言われているように東アジアでは製造業特に

機械産業において機械部品の貿易が盛んに行なわれ非常に多くの生産拠点を東アジア各国

にフラグメントさせた工程間分業が起こり精緻な生産流通ネットワークが築かれているこうした

東アジアにおける工程間分業の進展により各国が比較優位を持つ工程に特化し最適な資源配

分を達成し生産することができるこれにより非熟練労働者を必要とし労働集約的な工程が東ア

ジア各国などの低賃金国にシフトし高付加価値名財や工程の生産を日本国内に特化させるよう

になるこうして電気機械器具製造業において非熟練労働者の需要は減少し非熟練労働者数は

減少していることが考えられるのではないだろうかまた高付加価値産業への生産の集約や経

営資源の集中により非熟練労働者の需要は減るがその一方熟練労働者の需要は増え熟練労

働者数は上昇し熟練労働者比率が1990年代に上昇していることが考えられる

また一般機械産業輸送用機器産業を見てみても1990年代に熟練労働者比率は上昇してい

ることがわかるこうした産業の上昇の原因にも日本の低質な工程の低賃金国への生産拠点の

移行や日本国内のプラントや施設において高付加価値の工程へ資源集中や生産の集約の帰

結があげられる

1 熟練労働者比率=管理事務技術労働者数divide(生産労働者数+管理事務技術労働者数)

と定義した

10

次に衣服その他の繊維製品製造業に注目する図310によれば注目すべき点として19

98年ごろからの急速な熟練労働者比率の上昇が挙げられるここ5年の間に管理事務技術労

働者といった熟練労働者の比率は上昇し労働集約的な生産活動を東アジア各国を中心とする

低賃金国に移行させてきた帰結でないかということが予想されるこうした時期にバブルが崩壊し

デフレの進行に伴いユニクロなどの廉価な商品を販売する企業が活躍し廉価な消費財に高い

需要があったことを考えて見てもこの熟練労働者比率の上昇は大変興味深い結果である

322 製造業における賃金格差

前節では非熟練労働者と熟練労働者数の推移を観察してきたこの節では熟練労働者と非熟

練労働者の賃金格差について観察していきたい

まずデータについては前節と同様に賃金構造基本統計調査結果を利用したまた賃金につ

いては産業による特性を排除するため橘木他(1995)に倣い現金給与と年間賞与他の和を所定時

間と超過時間の和で除したものを各賃金とした

lt挿入 図36 図37gt

まず製造業全体の熟練労働者賃金比率をとった図36を見てみるこれを見てみると1998

年から2001年にかけて緩やかな上昇傾向であることがわかるしかし図37で示した Goumlrg

(2003) が1982年から1997年まで分析したイギリスの熟練労働者賃金比率のような一定した顕著

な上昇傾向は見られない日本では1992年まで下がり続け1998年までまた上がり1999年から

緩やかな上昇傾向であることが確認される日本においては熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差はそれほど拡大していないのかもしれない各種製造業における動向を分析するため産業

中分類で熟練労働者賃金比率を計測した

lt挿入 表33 図39 図311gt

表33を見てみるこの中で少し上昇しているのが飲料タバコ飼料製造業電気機械器具

製造業であるしかし図39で電気機械器具製造業を見てみると図38の熟練労働者比率の

上昇に比してそれほど大きな熟練労働者賃金比率の上昇は引き起こされていない図311の衣

服その他の繊維製品製造業を見てみても熟練労働者比率の上昇に比して賃金比率はそれほ

ど上昇していないその他の産業についてもはっきりとした熟練労働者賃金比率の上昇を読み取

ることができなかった日本の労働市場における賃金格差はそれほど拡大していない図35や

図37で確認できるようにアメリカやイギリスなどの欧米諸国は熟練労働者比率よりも熟練労働者

賃金比率のほうが顕著に上昇しており労働市場の動向は日本と同じではない

11

このように近年日本の労働市場のトレンドはイギリスやアメリカなどの多くの先進国とは大きく

異なる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が生まれているというよりも熟練労働者比率の上

昇という形で顕著に表れている323ではより詳しく賃金格差の拡大のスピードと熟練労働者

比率上昇のスピードとではどちらが速いかについて考察していきたい

323賃金格差と労働者数の関係

前節では産業別の熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差と熟練労働者比率についてみてき

たこの節では前節までの分析を踏まえ熟練労働者比率の変遷と熟練労働者賃金比率の変遷と

の両者の関係に焦点を当てていく

<挿入 図312 図313 図314>

この図は熟練労働者賃金比率を熟練労働者比率で除した図であるこの図上の折れ線が減

少していると熟練労働者賃金比率の上昇よりも熟練労働者比率の拡大が早いスピードで起こっ

ていることを意味するまた増加していると熟練労働者賃金比率のほうが熟練労働者比率より速

いスピードで拡大していることを意味し労働市場に賃金格差という影響をもたらしていることがい

える

ここで折れ線を見てみるとほとんどの産業においてこの値は減少しているほとんどの産業では

賃金格差の拡大というよりもむしろ熟練労働者比率の拡大のスピードが速いしかし食料品製

造業金属製造業において折れ線は上昇しておりこれらの産業においては熟練労働者比率の

拡大というよりも賃金格差として現れているしかしながら製造業内の産業において賃金格差の

拡大よりも熟練労働者比率の上昇のスピードが速く欧米とは異なった形で労働市場に変化が起き

ている

本節では日本のアウトソーシングの進展状況と近年の労働市場の動向について考察を進め

てきた近年日本企業の海外生産は活発化し部品貿易も拡大しアウトソーシングは進展してき

たまた労働市場を見てみても製造業の従業者数は減少し特に非熟練労働者が顕著に減少す

るなど大きな変化が起こっているそこで筆者はこうしたアウトソーシングの進展が労働市場に

何らかの影響を及ぼしているのではないかと考えた次節では日本においてアウトソーシングが

労働市場に与える影響について実証分析をしていく

4 実証分析

本章ではアウトソーシングの拡大がもたらす日本の労働市場内の非熟練労働者と熟練労働者

12

の賃金格差熟練労働者比率に与える影響について実証分析をすることにするまず1節では

本分析で用いる費用関数の回帰式の説明をする2節ではデータの出所について言及する

41モデルの説明

本節では私が用いた回帰分析のモデルの説明をする 私の分析ではAnderton and

Brenton(1998)の先行研究を参考とし分析を進めていきたい最初に彼等も用いた Berman et al

(1994)以来のアウトソーシングまたは偏向的技術進歩が熟練労働者と非熟練労働者に与える影

響について分析をした際のモデルとなるトランスログ型の可変費用関数を説明する

まずこのモデルの前提として i 産業の生産要素には資本 K と非熟練労働jと熟練労働kが存在

すると仮定するまたここで資本 K は短期的には固定要素であるとし熟練労働jと非熟練労働kは

可変要素であると仮定するT はアウトソーシングや偏向的技術進歩など i 産業の費用を変化させ

る要素を一括したものであるまたこの可変費用関数としてトランスログ型をとるとすると下のような

①式が出来上がる

ijij

iwjiiKTiiYTiTTiT

iiijiKJijij

YJikijj k

jk

ijj

jiKKiKiiyi

WTKTYTTT

KYWYWYWW

WKKYYYYC

lnlnln21

lnlnlnlnlnlnlnln21

ln)ln(21ln)ln(

21lnln 22

0

sum

sumsumsum sum

sum

+++++

++++

+++++=

φλλλλ

ρδδγ

γββααα

① ここで ln で一次微分しシェファードの補題を適用すると以下のような方程式が出来上がる

左辺は熟練労働向けの費用が総可変費用に占める比率である iW

iiwjK

jkiKjiYjjij TKYS φγδδα ++++= sumlnln ②

また価格を所与とするとトランスログ型の費用関数が一次同次でなければならないのでそのため

の条件が

0==== sumsumsumsumj

Yjj

iKj

iKK

iK δδγγ

であるまた規模に関して収穫一定であるので②式は次のような式に書き換えることができる

13

iiwjk

jiKjiYjjij T

WW

dKYS φδδα +

+++= lnlnln ③

そして③式の変化量をとると

+++=

k

jiYjiKjiijij W

WdYdKddTds lnlnln γδδφ ④

④式が出来上がる

ここで④式のうち YKT はともに外生変数であると仮定しているしかしk

j

WW

外生変数であると

は考えられないしたがって本研究では先行研究に倣い被説明変数に熟練労働者賃金支払

い比率をとる際の分析に関してはk

j

WW

を除外して推計することにする

本分析では可変費用の変化をもたらすその他の要因である T を先行研究に倣いアウトソーシン

グと偏向的技術進歩として分析を進めていくことにする回帰式は以下の⑤式に示す

( ) ititititititit UDMSdDRYdKddSW +++++= minus γλρβα lnamplnln 1 ⑤

そして⑤式を基にAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別のデータをプールさせパネルデ

ータで分析を始める

この式においてSW は総賃金支払いに占める熟練労働者への賃金支払いK は資本ストック

Y はアウトプットであるMS はアウトソーシングの代理変数である本研究では Anderton and

Brenton (1998)に倣い産業別の貿易額をアウトソーシングの代理変数とするまた先行研究と同

様に産業別の輸入額を全世界から東アジアから東アジア以外からの輸入額に分けて取得し

た近年日本の多国籍企業の安価な労働力を求めた東アジアへの進出や東アジア各国での

労働集約的部品の輸入が上昇していることを3節で確認したこのため日本の労働市場へ影響を

与えていると予想されるアウトソーシングは東アジアからの輸入額が一番近いと考えられるまた

RampD は偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率である労働市場の賃金格差や熟

練労働者比率に与える影響として本分析では主にアウトソーシング として分析を進めるが欧米

の先行研究ではアウトソーシングとするものと偏向的技術進歩とするものの論争が巻き起こった

Berman et al (1994)も偏向的技術進歩とした研究であった日本においても賃金格差や熟練労

働者比率の拡大に偏向的技術進歩が考えられるため研究開発費比率を追加して分析を進めて

いくなお研究開発比率の波及効果は即時現れずタイムラグを経て賃金に影響を与えると予

14

想されるので添え字を i-1 としている

次に被説明変数に全従業者に占める熟練労働者の従業者比率を取った回帰式を分析する

⑤式は可変費用関数を変形したものであり左辺の熟練労働者賃金支払い比率を熟練労働者

比率として比較考察することは理論的背景は弱いしかし両推計を比較考察することはアウト

ソーシングが労働市場に影響を与えるメカニズムを解明する上で大変興味深いそのため

Machin (1998)や Anderton and Brenton (1998)と同様に賃金比率を従業者比率に変えた回帰式に

ついても分析を進めていく以下の⑥式である

( ) itititititititit UDRWdMSdDRYdKddSE ++++++= minus γϖλρβα lnlnamplnln 1 ⑥

ここでRW は非熟練労働者の賃金に対する熟練労働者の賃金であるこのモデルではパネル

データを取って分析していくパネルデータの分析に際しては一般的に固定効果モデルと変量効

果モデルの 2 種類の推定法が考えられるこの分析では各変数のトレンドとして産業による特性

が考慮され重要なファクターとなってくるこのため先行研究に倣いダミー変数で産業の特性を

コントロールした固定効果モデルで推定していくことにする

42 データ

本分析でのデータは次のものを利用したまず熟練労働者と非熟練労働者の賃金そして従業

者については厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査報告の昭和63年度から

平成13年度調査結果の10人以上の事業所を対象とした男性の統計結果を使用した 産業につ

いては産業中分類の製造業 F12~F34 までの中でデータの制約上F21(石油製品石炭製品製

造業)F24(なめし皮同製品毛皮製造業)F33(武器製造業)F34(その他製造業)を除外し

た19産業で分析を進めていくことにする次に資本ストックについては経済産業省が毎年実施し

公表している工業統計表産業編の製造業産業中分類別で集計してある有形固定資産額の投資

総額を資本ストックとしたまた付加価値も工業統計表産業編の調査結果を使用し有形固定資

産総額と同様に製造業の産業中分類別に平成元年~平成13年調査結果からとった

次に貿易データについて言及する本分析においては先行研究による途上国からの産業別の

輸入額を日本の多国籍企業が多く進出し低賃金の豊富な労働資源を利用し低品質な工程

や低付加価値な財を生産している東アジアからの産業別の輸入額としたここで東アジアとは

ASEAN 諸国(カンボジアタイマレーシアベトナムインドネシアラオスブルネイフィリピン

シンガポール)中国韓国香港としたデータの出所については全世界からの貿易量国別の

貿易量共に1988年から2001年まで国連のデータベースである United Nations Statistics

Division Commodity Trade Statistics Database から SITC(R1)で取得したそれにより得られた商品

別の貿易データを小浜木村(1995)総務省ホームページを参照に日本標準産業分類の製造

15

業産業中分類別にコンバート1することにより日本標準産業分類別の貿易額を得たなお1992

年は当データベースにおいて結果が提供されておらず除外したまた当データデータベースに

おいてドルベースのためInternational Financial Statistics より PPP 換算した為替レートを参照し円

換算することにより分析を進めた

次に偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率について言及するここで研究開発

費は総務省統計局が出版している科学技術調査研究の調査結果を利用した科学技術研究調

査における産業分類と日本標準産業分類とは産業分類が異なるためお互いをマッチングさせて

分析を進めなければならない科学技術研究調査の付録を参照に日本標準産業分類を科学技

術調査研究が製造業において分析対象である14産業にコンバートさせた日本標準産業分類に

おける F12(食料品製造業)と F13(飲料たばこ飼料製造業)を集計し科学技術調査研究の食

品製造業としたまたF14(繊維工業)と F15(衣服その他の繊維製造業)を集計し科学技術調

査研究の繊維製造業とした一連の集計作業において非熟練労働者と熟練労働者の賃金を集

計する際には従業者数でウエイト付けしたまた日本標準産業分類と科学技術研究調査報告に

おいてマッチングの悪い F16(木材木製品製造業)F17(家具装備品製造業)F29(一般機械

器具製造業)の産業については偏向的技術進歩を回帰式に加える分析からは削除したこれによ

り説明変数に偏向的技術進歩を加える分析に関しては14産業で分析することする

43予想される符号結果

この分析で予想される符号を下の表に図示する先行研究と同じような結果になることが予想さ

れる

予想される符号 RampD 貿易額 (全世界)

貿易額 (東アジア)

貿易額(東アジ

ア以外)

熟練労働者賃金比率 + + + +

熟練労働者比率 + + + +

まず非説明変数に熟練労働者賃金比率をとったときの予想を見てみるRampD の符号を見てみ

ると一連の RampD と熟練労働者と非熟練労働者との関係を示した論文と同様にプラスの符号が

予想されるこれは研究開発費が増えるほど国内に資本集約的で高付加価値な生産活動に集

約することにより非熟練労働者の労働需要が落ち込み賃金が下がることが予想されるためである

次に貿易額の符号を見てみるこれは東アジア全世界ともプラスの係数が予想されるこれは

日本以外の低賃金の国から労働集約的で低質な財の輸入額が上昇することにより日本国内の

低質な財を作る労働集約的な財の生産が海外にシフトし生産労働者の労働需要が落ち込み非

1 データの利用上の注意については APPENDIX 参照

16

熟練労働者の賃金が減少することが予想されるまた資本集約的な工程や財の生産に特化する

ことにより熟練労働者への労働需要があがり熟練労働者賃金が上がることも予想される

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの予想される符号を見てみるRDに関して

は研究開発比率が増えるほど熟練労働者を必要とし資本集約的な工程や財に生産を特化し

非熟練労働者への労働需要が落ち込み労働者数が減少することが予想されるこのためプラス

であることが予想される最後にアウトソーシングの代理変数である貿易額を見てみるこれも同

様に低賃金国からの労働集約的な部品や財の輸入額が上昇することにより国内の労働集約的

な生産工程や非熟練労働者を多く必要とする労働集約な財の生産は海外の低賃金国にシフトし

非熟練労働者への労働需要は落ち込み非熟練労働者数が減少することが予想される

しかしAnderton and Brenton(1998)がイギリスで行った先行研究とは異なる結果が出る可能性

がある熟練労働者賃金比率を被説明変数としたときに輸入額の係数が有意に推定されない可

能性があるそれは日本においては賃金格差があまり広がっていないことが原因としてあげられ

る3節で概観したように2000年にかけてのアウトソーシングの進展に比して製造業の熟練労

働者賃金比率を個別に概観してみると顕著に上昇している産業はあまり確認することはできなか

った一方熟練労働者比率は産業別に見てみても顕著に上昇しているこのためアウトソーシ

ングの進展により熟練労働者比率に大きく影響を与えていることが予想される

44 結果考察

lt挿入 表41gt

表41は被説明変数を熟練労働者賃金比率とした時の回帰分析の結果であるこの回帰分析

結果において(1a)~(1c)を見てみるとAnderton and Brenton (1998)の先行研究とは大きく異な

る結果であることがわかるまず注目すべき点として輸入額の係数を見てみると全世界東アジア

東アジアの国以外からの係数がそろって有意な係数が推定されていないこのことより産業別の

輸入額がアウトソーシングの帰結の一部であると考えるとアウトソーシングが国内の熟練労働者と

非熟練労働者の賃金格差に影響を与えているとは言えないことがわかる

また(1d)~(1f)の研究開発比率を回帰式に加えた式を見ても各方面からの輸入額研究開

発費の項に有意な係数は推定されていない

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの結果を見てみる

lt挿入 表43gt

表42は被説明変数を熟練労働者比率とした時の回帰分析の結果であるまず研究開発費

を回帰式に加えない(2a)~(2c)までの分析結果を見てみると全世界からの輸入額東アジア

17

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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23

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 5: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

outsourcing fragmentation

intra-product specialization Super-specialization

Vertical speccialization

先行研究

Feenstra and

Hanson (1998)など

Jones and Kierzkowski (1990)

Deardorff (1998)など

Arndt (1998)

など

Hummels Ishii

and Yi (2001)など

特徴 独自に

数値化 各生産ブロックをつなぐ

サービスリンクに注目 H-O の定理 の枠組みで考察 輸出を考慮

変数の取り方

輸入中間 投入額divide非エネル ギー中間財

(imported intermediates gross output) export

上の表はアウトソーシングに関連する様々なターミノロジーをまとめたものであるまずこれらの

中で多くの研究者が使用している fragmentation をあげる fragmentation は Jones and

Kierzkowski (1990)によって初めて発表され「ある同一の最終生産物を生産するプロセスを複

数のプロセスに分割して異なる場所に立地させること」であるこのターミノロジーの特徴は各生

産ブロック間をつなぎ合わせるサービスリンクコストに注目しているということである一般に

fragmentation は各生産拠点間の生産コストの差があることによって行なわれるのであるがその中

の重要なファクターとして拠点間をつなぎ合わせるサービスリンクコストが十分に低いことが大い

に影響してくる

次にHummmels Ishii and Yi (2001)が定義したvertical specialization を見てみるこれは産

業連関表を用いた分析で 式を ( imported intermediatesgross output )timesexport とし輸出最終

財に占める輸入中間財の割合で定義しているそして彼らは OECD の産業連関表を用いて

OECD 諸国の vertical specialization の値を計測している

このように研究者によりアウトソーシングや工程間分業の定義はまちまちでどのターミノロジー

が企業活動におけるアウトソーシングそのものを厳密に表すかのコンセンサスは得られていない

しかしアウトソーシングの定義や把握が非常に難しい中熟練労働者と非熟練労働者との賃金格

差拡大の原因をアウトソーシングに求めた実証研究がアメリカやヨーロッパで盛んに行なわれてい

るそこではアウトソーシング代理変数の定義に際して様々な工夫がなされている次節ではこ

うした実証研究をサーベイし私のアウトソーシング変数の取り方についても言及したい

22 実証研究

5

前節でアウトソーシングに関連する様々な理論やターミノロジーをサーベイしてきた本節では

本論文のメインとなる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差とアウトソーシングの関係を分析した

論文をサーベイしていく

まず賃金格差が広がることの要因をアウトソーシング に求めた最初の大きな研究として

Feenstra and Hanson (1995)が挙げられる彼らは熟練労働者を非生産労働者非熟練労働者を

熟練労働者と定義して分析している熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が広がっている原

因としてアウトソーシングなどの貿易量の増加が議論される前には技術進歩が賃金格差を広げ

る主な要因として研究されてきた彼らは賃金格差拡大の原因を技術進歩であるとし分析を進め

た Berman et al (1994)以来の可変費用関数を用いた分析手法に倣ったそしてアウトソーシング

を総中間投入財額に占める輸入中間投入額の割合として定義した1979年から1990年を 2 期

間に分け上昇率を測りクロスセクションで分析することにより分析を進めているそこで彼らは熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差とアウトソーシングの間に正の相関を見出しているさらに

Feenstra and Hanson (1998)では賃金格差を引き起こす原因としてアウトソーシングの進展と偏向

的技術進歩であるとして両者どちらの影響が強いかを論じているその結果どの分析方法をとっ

てみても偏向的技術進歩とアウトソーシングの進展の両者とも熟練労働者賃金支払い比率の上昇

を説明することができると示唆している

次にイギリスについて Anderton and Brenton (1998)の先行研究を見てみるこの研究は繊維

産業と非電気機械の11産業について1970年から1983年までパネルデータを取って分析したも

のであるFeenstra and Hanson (1995)と同じ可変費用関数の推計しで分析を進めアウトソーシン

グの代理変数を年次の産業別の輸入額で先進国からの輸入と途上国からの輸入額に分け途

上国からの輸入額をアウトソーシングの代理変数としている当分析ではイギリスにおいてアウトソ

ーシングの進展が熟練労働者賃金支払い比率の上昇に影響を与えている推計された一方被

説明変数を熟練労働者賃金支払い比率から熟練労働従業者比率にかえて考察したところアウトソ

ーシングの進展が熟練労働従業者比率の上昇に影響を及ぼしていることがわかったしかしこの

分析によるアウトソーシングの代理変数は一般のアウトソーシング と厳密には異なると考えられる

途上国へのアウトソーシングの重要な帰結である中間財の輸入が産業別の貿易額では厳密に把

握できないためであるまたある生産工程で先進国が資本集約的な生産プロセスを担当しそ

の部員を途上国にアウトソースし組立てるといったタイプのアウトソーシングについても把握でき

ないしかしながら途上国低賃金国からの輸入はアウトソーシングの帰結を多く含むものであり

先進国で非熟練労働者を多く必要とする労働集約的な生産工程や財の生産に大きく影響を与え

るものであると考えられる

また輸入という概念以外をアウトソーシングと定義した研究に Head and Ries (2001)が日本の製

造業について行った研究がある彼らは東洋経済新報社の『海外企業進出総覧』というマイクロ

データを利用しアウトソーシングの代理変数を取得している彼らはアウトソーシングの概念を目的

別 FDI の割合の集計や途上国の従業者比率を計測することによって変数化しoffshore

production と定義しているこの研究によればオフショアプロダクションの進展が非熟練労働者の

6

需要を押し下げ日本の技術集約度の上昇に寄与しているという結論を得ている

私は本論文の分析でアウトソーシングの代理変数を Anderton and Brenton (1998)の手法をとるこ

とにしたその理由として世界各国からの輸入特に東アジアにおける工程間分業の進展に伴い

東アジアの低賃金国からの輸入が日本における労働集約的な生産工程や財の生産に影響を与

えていると予想されることがあげられるまたデータが毎年利用可能なことも理由として挙げられる

日本において賃金データはアメリカやイギリスほど細かい産業レベルまで揃っていない3 章と同

じように熟練労働者を賃金構造基本統計調査の管理事務技術労働者と定義し非熟練労働者

を生産労働者と定義して分析を進めるが利用可能なデータは生産労働者と管理事務技術労

働者の別の賃金データは製造業において産業中分類までであり22産業しかないFeenstra and

Hanson (1995)などと同様に数十年間の成長率を取り22産業でクロスセクションで分析を行うに

はサンプル数が少なすぎるそのため5年おきにしか公表されない総務省やアジア経済研究所

の産業連関表を用いて輸入中間投入額や中間投入額の比率をアウトソーシング の変数とできな

いそこで私はAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別の輸入額をとり彼らが途上国からの

輸入額を日本において最も国内の産業構造労働市場に影響を与えていると考えられる東アジ

アからの輸入額とし全世界からの輸入額と東アジアからの輸入額に分けて分析していく

3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状

アウトソーシングが日本の労働市場へ与える影響について分析する前に本章では日本のアウ

トソーシングの進展状況と労働市場について個別に概観していく第 1 節では経済産業省の海

外事業活動基本調査や貿易データを基に日本のアウトソーシングの進展状況を概観するまた

第 2 節では日本の労働市場について分析する

31日本企業のアウトソーシングの進展状況

本節では日本企業のアウトソーシングの進展状況を見ていくまず1節ではアウトソーシングを

概観する際の指標である経済産業省の『海外事業活動基本調査』をもとに日本の多国籍企業のプ

レゼンスに焦点をあててアウトソーシング の断片を概観していきたい次に2節ではアウトソーシン

グを概観する際に重要なマクロの指標となる部品貿易データをもとに概観していきたい

311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング

lt挿入 図31 図32 表31gt

7

本節では日本企業のアウトソーシングの進展状況を概観するまず図31に注目してみる

図31は経済産業省の『海外事業活動基本調査』より引用した日本における製造業の海外生産

比率の推移である日本国内の全法人ベースの海外生産比率は1990年代において一定して上

昇し2002年度には過去最高の171に達したまた母体を海外進出企業のみとした海外

進出企業ベースの海外生産比率を見てみると1993以来上昇し2002年度には410にも及ん

でいる

次に図32の現地法人の従業者数についてみてみる2002年における現地法人の海外従業

者数は341万にも達し1990年以降ずっと上昇している地域別に見てみるとアジアにおいて90

年代永続して従業者数が増加しているのを確認することができるこうした現地法人の従業者数の

増加は日本国内の労働市場雇用にどういった影響をもたらすのであろうか表31は経済産

業省が実施した海外事業活動基本調査の中での海外生産活動と日本国内の生産活動との関係

を質問したアンケート結果である表31によると「現地需要への対応で国内の生産活動に変化

はない」の項目が依然として高い回答率を得ているが年々この項目に対する回答率は年々減少

してきているそれに変わって徐々にではあるが上昇してきているのが「国内の生産は減少する

が人員削減は行わない」より右の3項目であるこのように海外生産が国内生産に影響を及ぼさ

ないという回答は減少し海外生産により雇用の面や何らかの形で日本国内の生産に影響を及ぼ

すであろうという回答が増加している

この節では日本企業の海外生産比率現地法人の従業者数などを概観しアウトソーシングの

現状を見てきたしかし日本企業のアウトソーシングや製造業の工程間分業においては EMS

の存在や OEM が活用されることもあり日系企業の海外進出企業内貿易だけが全てのファクタ

ーではないアウトソーシングを含む全てを把握した工程間分業を概観するために次節では日

本国内に関連する部品貿易について観察していきたい

312 貿易データからみたアウトソーシング

本節ではアウトソーシングを概観する際の重要なファクターである部品貿易に関する研究につ

いてサーベイしていく

まずYeats (1998)によれば1970代以降製造業における貿易が急速に拡大していると言ってい

る年間の貿易額は8000億ドルを越し世界全体の貿易額の30パーセントを占めると言っている

また製造業において部品貿易は急速に伸びておりその速度は最終財よりも圧倒的に速い

また東アジアにおいて部品貿易が急速に拡大しているといった研究にNg and Yeats (2001)が

ある彼らは東アジアの製造業における部品貿易は一般的に知られているよりも大きくアジア諸

国における製造業の輸出うち5分の1を占めOECD 諸国よりもより速いスピードで拡大していると

言及している

東アジアの部品貿易についてAndo and Kimura (2003)によると東アジアにおいて機械産業

や機械部品の貿易が非常に活発であると言う東アジアにおいては製造業特に機械産業にお

8

いて未曾有の精緻な生産ネットワークが作られている

このように日本を含む東アジアにおいては製造業の貿易や部品貿易がヨーロッパや南北ア

メリカの他地域と比して活発に行なわれており特に機械産業の貿易額に占める比率は大変大きく

部品貿易の額も大きいさらに東アジアにおいては日本企業も大きく関わる精緻な生産流通

ネットワークが形成されており工程間分業が盛んに行なわれている日本国内や日本企業を巻

き込む工程間分業が近年進展していることは明らかであるこのため日本においてもアメリカやイ

ギリスなどで確認されたように労働集約的な生産プロセスの低賃金国へのアウトソーシングにより

労働市場に大きく影響を及ぼしている可能性がある次節では日本の労働市場について概観し

ていきたい

32日本の労働市場

本節では近年の日本国内における労働市場の動向について分析していきたいなお本論文

は厚生労働省実施の賃金構造基本統計調査の生産労働者を非熟練労働者管理事務技術

労働者を熟練労働者と定義して分析を進めていくまた賃金構造基本統計調査上の10人以上

の事業所における男性の調査結果を使用する

<図33>

まず図33を見てみるこれは日本標準産業分類において産業大分類で製造業を見たとき

の1988年から2001年までの男子の総従業者数と非熟練労働者と熟練労働者数の変遷である

この図を見ると1990年を境として製造業に置ける労働者数は大きく減少していることがわかる

さらに熟練労働者と非熟練労働者の変遷を見てみる熟練労働者数は若干であるが減少してい

るが大きな減少は見られない一方非熟練労働者数を見てみると顕著に減少していることが見て

とれるこのように近年製造業において非熟練労働者と熟練労働者の間に変化が起こっている

ことがわかる

このため本節では製造業における熟練労働者と非熟練労働者の関係について詳しく概観して

いきたい

321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移

本節では日本国内の製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の関係を日本標準産業

分類の大分類で見ていく

<挿入 図34 図35 >

9

まず図34を見てみるこれは賃金構造基本統計調査結果が収録されている賃金センサスを

用いて分析した製造業の熟練労働者比率1であるこれによると熟練労働者比率は1998年から

2001年にかけて顕著な上昇傾向を見せている図33で確認できるように1990年代非熟練

労働者数が減少し熟練労働者数が増加してきたかもしくは熟練労働者数と非熟練労働者数との

差が減少してきていることがわかるこれは日本企業の海外展開や東アジアにおける工程間分業

の進展により労働集約的で特殊な技術力を必要としない部品の製造や組立てを賃金の安い海

外へ生産活動をシフトさせ日本は資本集約的な生産工程や高い技術力を必要とする高付加価

値品へ特化してきた結果かもしれない

次に製造業の中でも特にどの産業が熟練労働者比率を上昇させてきているかを見てみるため

に日本標準産業分類の中分類で分析してみるデータについては厚生労働省実施の賃金構造

基本統計調査結果の原本を使用した

<挿入 表32 図38 図310 >

表32は産業中分類で見た製造業の熟練労働者比率であるここで電気機械器具製造業に注

目するために図38を見る電気機械器具製造業において1988年から2001年にかけて熟練

労働者比率が大きく増加しているこの増加の原因として東アジアにおける電気機械産業での工

程間分業が加速していることが考えられる電気機械産業は非常に多くの部品からなり多くの工

程を必要とするAndo and Kimura (2003)などで言われているように東アジアでは製造業特に

機械産業において機械部品の貿易が盛んに行なわれ非常に多くの生産拠点を東アジア各国

にフラグメントさせた工程間分業が起こり精緻な生産流通ネットワークが築かれているこうした

東アジアにおける工程間分業の進展により各国が比較優位を持つ工程に特化し最適な資源配

分を達成し生産することができるこれにより非熟練労働者を必要とし労働集約的な工程が東ア

ジア各国などの低賃金国にシフトし高付加価値名財や工程の生産を日本国内に特化させるよう

になるこうして電気機械器具製造業において非熟練労働者の需要は減少し非熟練労働者数は

減少していることが考えられるのではないだろうかまた高付加価値産業への生産の集約や経

営資源の集中により非熟練労働者の需要は減るがその一方熟練労働者の需要は増え熟練労

働者数は上昇し熟練労働者比率が1990年代に上昇していることが考えられる

また一般機械産業輸送用機器産業を見てみても1990年代に熟練労働者比率は上昇してい

ることがわかるこうした産業の上昇の原因にも日本の低質な工程の低賃金国への生産拠点の

移行や日本国内のプラントや施設において高付加価値の工程へ資源集中や生産の集約の帰

結があげられる

1 熟練労働者比率=管理事務技術労働者数divide(生産労働者数+管理事務技術労働者数)

と定義した

10

次に衣服その他の繊維製品製造業に注目する図310によれば注目すべき点として19

98年ごろからの急速な熟練労働者比率の上昇が挙げられるここ5年の間に管理事務技術労

働者といった熟練労働者の比率は上昇し労働集約的な生産活動を東アジア各国を中心とする

低賃金国に移行させてきた帰結でないかということが予想されるこうした時期にバブルが崩壊し

デフレの進行に伴いユニクロなどの廉価な商品を販売する企業が活躍し廉価な消費財に高い

需要があったことを考えて見てもこの熟練労働者比率の上昇は大変興味深い結果である

322 製造業における賃金格差

前節では非熟練労働者と熟練労働者数の推移を観察してきたこの節では熟練労働者と非熟

練労働者の賃金格差について観察していきたい

まずデータについては前節と同様に賃金構造基本統計調査結果を利用したまた賃金につ

いては産業による特性を排除するため橘木他(1995)に倣い現金給与と年間賞与他の和を所定時

間と超過時間の和で除したものを各賃金とした

lt挿入 図36 図37gt

まず製造業全体の熟練労働者賃金比率をとった図36を見てみるこれを見てみると1998

年から2001年にかけて緩やかな上昇傾向であることがわかるしかし図37で示した Goumlrg

(2003) が1982年から1997年まで分析したイギリスの熟練労働者賃金比率のような一定した顕著

な上昇傾向は見られない日本では1992年まで下がり続け1998年までまた上がり1999年から

緩やかな上昇傾向であることが確認される日本においては熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差はそれほど拡大していないのかもしれない各種製造業における動向を分析するため産業

中分類で熟練労働者賃金比率を計測した

lt挿入 表33 図39 図311gt

表33を見てみるこの中で少し上昇しているのが飲料タバコ飼料製造業電気機械器具

製造業であるしかし図39で電気機械器具製造業を見てみると図38の熟練労働者比率の

上昇に比してそれほど大きな熟練労働者賃金比率の上昇は引き起こされていない図311の衣

服その他の繊維製品製造業を見てみても熟練労働者比率の上昇に比して賃金比率はそれほ

ど上昇していないその他の産業についてもはっきりとした熟練労働者賃金比率の上昇を読み取

ることができなかった日本の労働市場における賃金格差はそれほど拡大していない図35や

図37で確認できるようにアメリカやイギリスなどの欧米諸国は熟練労働者比率よりも熟練労働者

賃金比率のほうが顕著に上昇しており労働市場の動向は日本と同じではない

11

このように近年日本の労働市場のトレンドはイギリスやアメリカなどの多くの先進国とは大きく

異なる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が生まれているというよりも熟練労働者比率の上

昇という形で顕著に表れている323ではより詳しく賃金格差の拡大のスピードと熟練労働者

比率上昇のスピードとではどちらが速いかについて考察していきたい

323賃金格差と労働者数の関係

前節では産業別の熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差と熟練労働者比率についてみてき

たこの節では前節までの分析を踏まえ熟練労働者比率の変遷と熟練労働者賃金比率の変遷と

の両者の関係に焦点を当てていく

<挿入 図312 図313 図314>

この図は熟練労働者賃金比率を熟練労働者比率で除した図であるこの図上の折れ線が減

少していると熟練労働者賃金比率の上昇よりも熟練労働者比率の拡大が早いスピードで起こっ

ていることを意味するまた増加していると熟練労働者賃金比率のほうが熟練労働者比率より速

いスピードで拡大していることを意味し労働市場に賃金格差という影響をもたらしていることがい

える

ここで折れ線を見てみるとほとんどの産業においてこの値は減少しているほとんどの産業では

賃金格差の拡大というよりもむしろ熟練労働者比率の拡大のスピードが速いしかし食料品製

造業金属製造業において折れ線は上昇しておりこれらの産業においては熟練労働者比率の

拡大というよりも賃金格差として現れているしかしながら製造業内の産業において賃金格差の

拡大よりも熟練労働者比率の上昇のスピードが速く欧米とは異なった形で労働市場に変化が起き

ている

本節では日本のアウトソーシングの進展状況と近年の労働市場の動向について考察を進め

てきた近年日本企業の海外生産は活発化し部品貿易も拡大しアウトソーシングは進展してき

たまた労働市場を見てみても製造業の従業者数は減少し特に非熟練労働者が顕著に減少す

るなど大きな変化が起こっているそこで筆者はこうしたアウトソーシングの進展が労働市場に

何らかの影響を及ぼしているのではないかと考えた次節では日本においてアウトソーシングが

労働市場に与える影響について実証分析をしていく

4 実証分析

本章ではアウトソーシングの拡大がもたらす日本の労働市場内の非熟練労働者と熟練労働者

12

の賃金格差熟練労働者比率に与える影響について実証分析をすることにするまず1節では

本分析で用いる費用関数の回帰式の説明をする2節ではデータの出所について言及する

41モデルの説明

本節では私が用いた回帰分析のモデルの説明をする 私の分析ではAnderton and

Brenton(1998)の先行研究を参考とし分析を進めていきたい最初に彼等も用いた Berman et al

(1994)以来のアウトソーシングまたは偏向的技術進歩が熟練労働者と非熟練労働者に与える影

響について分析をした際のモデルとなるトランスログ型の可変費用関数を説明する

まずこのモデルの前提として i 産業の生産要素には資本 K と非熟練労働jと熟練労働kが存在

すると仮定するまたここで資本 K は短期的には固定要素であるとし熟練労働jと非熟練労働kは

可変要素であると仮定するT はアウトソーシングや偏向的技術進歩など i 産業の費用を変化させ

る要素を一括したものであるまたこの可変費用関数としてトランスログ型をとるとすると下のような

①式が出来上がる

ijij

iwjiiKTiiYTiTTiT

iiijiKJijij

YJikijj k

jk

ijj

jiKKiKiiyi

WTKTYTTT

KYWYWYWW

WKKYYYYC

lnlnln21

lnlnlnlnlnlnlnln21

ln)ln(21ln)ln(

21lnln 22

0

sum

sumsumsum sum

sum

+++++

++++

+++++=

φλλλλ

ρδδγ

γββααα

① ここで ln で一次微分しシェファードの補題を適用すると以下のような方程式が出来上がる

左辺は熟練労働向けの費用が総可変費用に占める比率である iW

iiwjK

jkiKjiYjjij TKYS φγδδα ++++= sumlnln ②

また価格を所与とするとトランスログ型の費用関数が一次同次でなければならないのでそのため

の条件が

0==== sumsumsumsumj

Yjj

iKj

iKK

iK δδγγ

であるまた規模に関して収穫一定であるので②式は次のような式に書き換えることができる

13

iiwjk

jiKjiYjjij T

WW

dKYS φδδα +

+++= lnlnln ③

そして③式の変化量をとると

+++=

k

jiYjiKjiijij W

WdYdKddTds lnlnln γδδφ ④

④式が出来上がる

ここで④式のうち YKT はともに外生変数であると仮定しているしかしk

j

WW

外生変数であると

は考えられないしたがって本研究では先行研究に倣い被説明変数に熟練労働者賃金支払

い比率をとる際の分析に関してはk

j

WW

を除外して推計することにする

本分析では可変費用の変化をもたらすその他の要因である T を先行研究に倣いアウトソーシン

グと偏向的技術進歩として分析を進めていくことにする回帰式は以下の⑤式に示す

( ) ititititititit UDMSdDRYdKddSW +++++= minus γλρβα lnamplnln 1 ⑤

そして⑤式を基にAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別のデータをプールさせパネルデ

ータで分析を始める

この式においてSW は総賃金支払いに占める熟練労働者への賃金支払いK は資本ストック

Y はアウトプットであるMS はアウトソーシングの代理変数である本研究では Anderton and

Brenton (1998)に倣い産業別の貿易額をアウトソーシングの代理変数とするまた先行研究と同

様に産業別の輸入額を全世界から東アジアから東アジア以外からの輸入額に分けて取得し

た近年日本の多国籍企業の安価な労働力を求めた東アジアへの進出や東アジア各国での

労働集約的部品の輸入が上昇していることを3節で確認したこのため日本の労働市場へ影響を

与えていると予想されるアウトソーシングは東アジアからの輸入額が一番近いと考えられるまた

RampD は偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率である労働市場の賃金格差や熟

練労働者比率に与える影響として本分析では主にアウトソーシング として分析を進めるが欧米

の先行研究ではアウトソーシングとするものと偏向的技術進歩とするものの論争が巻き起こった

Berman et al (1994)も偏向的技術進歩とした研究であった日本においても賃金格差や熟練労

働者比率の拡大に偏向的技術進歩が考えられるため研究開発費比率を追加して分析を進めて

いくなお研究開発比率の波及効果は即時現れずタイムラグを経て賃金に影響を与えると予

14

想されるので添え字を i-1 としている

次に被説明変数に全従業者に占める熟練労働者の従業者比率を取った回帰式を分析する

⑤式は可変費用関数を変形したものであり左辺の熟練労働者賃金支払い比率を熟練労働者

比率として比較考察することは理論的背景は弱いしかし両推計を比較考察することはアウト

ソーシングが労働市場に影響を与えるメカニズムを解明する上で大変興味深いそのため

Machin (1998)や Anderton and Brenton (1998)と同様に賃金比率を従業者比率に変えた回帰式に

ついても分析を進めていく以下の⑥式である

( ) itititititititit UDRWdMSdDRYdKddSE ++++++= minus γϖλρβα lnlnamplnln 1 ⑥

ここでRW は非熟練労働者の賃金に対する熟練労働者の賃金であるこのモデルではパネル

データを取って分析していくパネルデータの分析に際しては一般的に固定効果モデルと変量効

果モデルの 2 種類の推定法が考えられるこの分析では各変数のトレンドとして産業による特性

が考慮され重要なファクターとなってくるこのため先行研究に倣いダミー変数で産業の特性を

コントロールした固定効果モデルで推定していくことにする

42 データ

本分析でのデータは次のものを利用したまず熟練労働者と非熟練労働者の賃金そして従業

者については厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査報告の昭和63年度から

平成13年度調査結果の10人以上の事業所を対象とした男性の統計結果を使用した 産業につ

いては産業中分類の製造業 F12~F34 までの中でデータの制約上F21(石油製品石炭製品製

造業)F24(なめし皮同製品毛皮製造業)F33(武器製造業)F34(その他製造業)を除外し

た19産業で分析を進めていくことにする次に資本ストックについては経済産業省が毎年実施し

公表している工業統計表産業編の製造業産業中分類別で集計してある有形固定資産額の投資

総額を資本ストックとしたまた付加価値も工業統計表産業編の調査結果を使用し有形固定資

産総額と同様に製造業の産業中分類別に平成元年~平成13年調査結果からとった

次に貿易データについて言及する本分析においては先行研究による途上国からの産業別の

輸入額を日本の多国籍企業が多く進出し低賃金の豊富な労働資源を利用し低品質な工程

や低付加価値な財を生産している東アジアからの産業別の輸入額としたここで東アジアとは

ASEAN 諸国(カンボジアタイマレーシアベトナムインドネシアラオスブルネイフィリピン

シンガポール)中国韓国香港としたデータの出所については全世界からの貿易量国別の

貿易量共に1988年から2001年まで国連のデータベースである United Nations Statistics

Division Commodity Trade Statistics Database から SITC(R1)で取得したそれにより得られた商品

別の貿易データを小浜木村(1995)総務省ホームページを参照に日本標準産業分類の製造

15

業産業中分類別にコンバート1することにより日本標準産業分類別の貿易額を得たなお1992

年は当データベースにおいて結果が提供されておらず除外したまた当データデータベースに

おいてドルベースのためInternational Financial Statistics より PPP 換算した為替レートを参照し円

換算することにより分析を進めた

次に偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率について言及するここで研究開発

費は総務省統計局が出版している科学技術調査研究の調査結果を利用した科学技術研究調

査における産業分類と日本標準産業分類とは産業分類が異なるためお互いをマッチングさせて

分析を進めなければならない科学技術研究調査の付録を参照に日本標準産業分類を科学技

術調査研究が製造業において分析対象である14産業にコンバートさせた日本標準産業分類に

おける F12(食料品製造業)と F13(飲料たばこ飼料製造業)を集計し科学技術調査研究の食

品製造業としたまたF14(繊維工業)と F15(衣服その他の繊維製造業)を集計し科学技術調

査研究の繊維製造業とした一連の集計作業において非熟練労働者と熟練労働者の賃金を集

計する際には従業者数でウエイト付けしたまた日本標準産業分類と科学技術研究調査報告に

おいてマッチングの悪い F16(木材木製品製造業)F17(家具装備品製造業)F29(一般機械

器具製造業)の産業については偏向的技術進歩を回帰式に加える分析からは削除したこれによ

り説明変数に偏向的技術進歩を加える分析に関しては14産業で分析することする

43予想される符号結果

この分析で予想される符号を下の表に図示する先行研究と同じような結果になることが予想さ

れる

予想される符号 RampD 貿易額 (全世界)

貿易額 (東アジア)

貿易額(東アジ

ア以外)

熟練労働者賃金比率 + + + +

熟練労働者比率 + + + +

まず非説明変数に熟練労働者賃金比率をとったときの予想を見てみるRampD の符号を見てみ

ると一連の RampD と熟練労働者と非熟練労働者との関係を示した論文と同様にプラスの符号が

予想されるこれは研究開発費が増えるほど国内に資本集約的で高付加価値な生産活動に集

約することにより非熟練労働者の労働需要が落ち込み賃金が下がることが予想されるためである

次に貿易額の符号を見てみるこれは東アジア全世界ともプラスの係数が予想されるこれは

日本以外の低賃金の国から労働集約的で低質な財の輸入額が上昇することにより日本国内の

低質な財を作る労働集約的な財の生産が海外にシフトし生産労働者の労働需要が落ち込み非

1 データの利用上の注意については APPENDIX 参照

16

熟練労働者の賃金が減少することが予想されるまた資本集約的な工程や財の生産に特化する

ことにより熟練労働者への労働需要があがり熟練労働者賃金が上がることも予想される

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの予想される符号を見てみるRDに関して

は研究開発比率が増えるほど熟練労働者を必要とし資本集約的な工程や財に生産を特化し

非熟練労働者への労働需要が落ち込み労働者数が減少することが予想されるこのためプラス

であることが予想される最後にアウトソーシングの代理変数である貿易額を見てみるこれも同

様に低賃金国からの労働集約的な部品や財の輸入額が上昇することにより国内の労働集約的

な生産工程や非熟練労働者を多く必要とする労働集約な財の生産は海外の低賃金国にシフトし

非熟練労働者への労働需要は落ち込み非熟練労働者数が減少することが予想される

しかしAnderton and Brenton(1998)がイギリスで行った先行研究とは異なる結果が出る可能性

がある熟練労働者賃金比率を被説明変数としたときに輸入額の係数が有意に推定されない可

能性があるそれは日本においては賃金格差があまり広がっていないことが原因としてあげられ

る3節で概観したように2000年にかけてのアウトソーシングの進展に比して製造業の熟練労

働者賃金比率を個別に概観してみると顕著に上昇している産業はあまり確認することはできなか

った一方熟練労働者比率は産業別に見てみても顕著に上昇しているこのためアウトソーシ

ングの進展により熟練労働者比率に大きく影響を与えていることが予想される

44 結果考察

lt挿入 表41gt

表41は被説明変数を熟練労働者賃金比率とした時の回帰分析の結果であるこの回帰分析

結果において(1a)~(1c)を見てみるとAnderton and Brenton (1998)の先行研究とは大きく異な

る結果であることがわかるまず注目すべき点として輸入額の係数を見てみると全世界東アジア

東アジアの国以外からの係数がそろって有意な係数が推定されていないこのことより産業別の

輸入額がアウトソーシングの帰結の一部であると考えるとアウトソーシングが国内の熟練労働者と

非熟練労働者の賃金格差に影響を与えているとは言えないことがわかる

また(1d)~(1f)の研究開発比率を回帰式に加えた式を見ても各方面からの輸入額研究開

発費の項に有意な係数は推定されていない

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの結果を見てみる

lt挿入 表43gt

表42は被説明変数を熟練労働者比率とした時の回帰分析の結果であるまず研究開発費

を回帰式に加えない(2a)~(2c)までの分析結果を見てみると全世界からの輸入額東アジア

17

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

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24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 6: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

前節でアウトソーシングに関連する様々な理論やターミノロジーをサーベイしてきた本節では

本論文のメインとなる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差とアウトソーシングの関係を分析した

論文をサーベイしていく

まず賃金格差が広がることの要因をアウトソーシング に求めた最初の大きな研究として

Feenstra and Hanson (1995)が挙げられる彼らは熟練労働者を非生産労働者非熟練労働者を

熟練労働者と定義して分析している熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が広がっている原

因としてアウトソーシングなどの貿易量の増加が議論される前には技術進歩が賃金格差を広げ

る主な要因として研究されてきた彼らは賃金格差拡大の原因を技術進歩であるとし分析を進め

た Berman et al (1994)以来の可変費用関数を用いた分析手法に倣ったそしてアウトソーシング

を総中間投入財額に占める輸入中間投入額の割合として定義した1979年から1990年を 2 期

間に分け上昇率を測りクロスセクションで分析することにより分析を進めているそこで彼らは熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差とアウトソーシングの間に正の相関を見出しているさらに

Feenstra and Hanson (1998)では賃金格差を引き起こす原因としてアウトソーシングの進展と偏向

的技術進歩であるとして両者どちらの影響が強いかを論じているその結果どの分析方法をとっ

てみても偏向的技術進歩とアウトソーシングの進展の両者とも熟練労働者賃金支払い比率の上昇

を説明することができると示唆している

次にイギリスについて Anderton and Brenton (1998)の先行研究を見てみるこの研究は繊維

産業と非電気機械の11産業について1970年から1983年までパネルデータを取って分析したも

のであるFeenstra and Hanson (1995)と同じ可変費用関数の推計しで分析を進めアウトソーシン

グの代理変数を年次の産業別の輸入額で先進国からの輸入と途上国からの輸入額に分け途

上国からの輸入額をアウトソーシングの代理変数としている当分析ではイギリスにおいてアウトソ

ーシングの進展が熟練労働者賃金支払い比率の上昇に影響を与えている推計された一方被

説明変数を熟練労働者賃金支払い比率から熟練労働従業者比率にかえて考察したところアウトソ

ーシングの進展が熟練労働従業者比率の上昇に影響を及ぼしていることがわかったしかしこの

分析によるアウトソーシングの代理変数は一般のアウトソーシング と厳密には異なると考えられる

途上国へのアウトソーシングの重要な帰結である中間財の輸入が産業別の貿易額では厳密に把

握できないためであるまたある生産工程で先進国が資本集約的な生産プロセスを担当しそ

の部員を途上国にアウトソースし組立てるといったタイプのアウトソーシングについても把握でき

ないしかしながら途上国低賃金国からの輸入はアウトソーシングの帰結を多く含むものであり

先進国で非熟練労働者を多く必要とする労働集約的な生産工程や財の生産に大きく影響を与え

るものであると考えられる

また輸入という概念以外をアウトソーシングと定義した研究に Head and Ries (2001)が日本の製

造業について行った研究がある彼らは東洋経済新報社の『海外企業進出総覧』というマイクロ

データを利用しアウトソーシングの代理変数を取得している彼らはアウトソーシングの概念を目的

別 FDI の割合の集計や途上国の従業者比率を計測することによって変数化しoffshore

production と定義しているこの研究によればオフショアプロダクションの進展が非熟練労働者の

6

需要を押し下げ日本の技術集約度の上昇に寄与しているという結論を得ている

私は本論文の分析でアウトソーシングの代理変数を Anderton and Brenton (1998)の手法をとるこ

とにしたその理由として世界各国からの輸入特に東アジアにおける工程間分業の進展に伴い

東アジアの低賃金国からの輸入が日本における労働集約的な生産工程や財の生産に影響を与

えていると予想されることがあげられるまたデータが毎年利用可能なことも理由として挙げられる

日本において賃金データはアメリカやイギリスほど細かい産業レベルまで揃っていない3 章と同

じように熟練労働者を賃金構造基本統計調査の管理事務技術労働者と定義し非熟練労働者

を生産労働者と定義して分析を進めるが利用可能なデータは生産労働者と管理事務技術労

働者の別の賃金データは製造業において産業中分類までであり22産業しかないFeenstra and

Hanson (1995)などと同様に数十年間の成長率を取り22産業でクロスセクションで分析を行うに

はサンプル数が少なすぎるそのため5年おきにしか公表されない総務省やアジア経済研究所

の産業連関表を用いて輸入中間投入額や中間投入額の比率をアウトソーシング の変数とできな

いそこで私はAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別の輸入額をとり彼らが途上国からの

輸入額を日本において最も国内の産業構造労働市場に影響を与えていると考えられる東アジ

アからの輸入額とし全世界からの輸入額と東アジアからの輸入額に分けて分析していく

3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状

アウトソーシングが日本の労働市場へ与える影響について分析する前に本章では日本のアウ

トソーシングの進展状況と労働市場について個別に概観していく第 1 節では経済産業省の海

外事業活動基本調査や貿易データを基に日本のアウトソーシングの進展状況を概観するまた

第 2 節では日本の労働市場について分析する

31日本企業のアウトソーシングの進展状況

本節では日本企業のアウトソーシングの進展状況を見ていくまず1節ではアウトソーシングを

概観する際の指標である経済産業省の『海外事業活動基本調査』をもとに日本の多国籍企業のプ

レゼンスに焦点をあててアウトソーシング の断片を概観していきたい次に2節ではアウトソーシン

グを概観する際に重要なマクロの指標となる部品貿易データをもとに概観していきたい

311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング

lt挿入 図31 図32 表31gt

7

本節では日本企業のアウトソーシングの進展状況を概観するまず図31に注目してみる

図31は経済産業省の『海外事業活動基本調査』より引用した日本における製造業の海外生産

比率の推移である日本国内の全法人ベースの海外生産比率は1990年代において一定して上

昇し2002年度には過去最高の171に達したまた母体を海外進出企業のみとした海外

進出企業ベースの海外生産比率を見てみると1993以来上昇し2002年度には410にも及ん

でいる

次に図32の現地法人の従業者数についてみてみる2002年における現地法人の海外従業

者数は341万にも達し1990年以降ずっと上昇している地域別に見てみるとアジアにおいて90

年代永続して従業者数が増加しているのを確認することができるこうした現地法人の従業者数の

増加は日本国内の労働市場雇用にどういった影響をもたらすのであろうか表31は経済産

業省が実施した海外事業活動基本調査の中での海外生産活動と日本国内の生産活動との関係

を質問したアンケート結果である表31によると「現地需要への対応で国内の生産活動に変化

はない」の項目が依然として高い回答率を得ているが年々この項目に対する回答率は年々減少

してきているそれに変わって徐々にではあるが上昇してきているのが「国内の生産は減少する

が人員削減は行わない」より右の3項目であるこのように海外生産が国内生産に影響を及ぼさ

ないという回答は減少し海外生産により雇用の面や何らかの形で日本国内の生産に影響を及ぼ

すであろうという回答が増加している

この節では日本企業の海外生産比率現地法人の従業者数などを概観しアウトソーシングの

現状を見てきたしかし日本企業のアウトソーシングや製造業の工程間分業においては EMS

の存在や OEM が活用されることもあり日系企業の海外進出企業内貿易だけが全てのファクタ

ーではないアウトソーシングを含む全てを把握した工程間分業を概観するために次節では日

本国内に関連する部品貿易について観察していきたい

312 貿易データからみたアウトソーシング

本節ではアウトソーシングを概観する際の重要なファクターである部品貿易に関する研究につ

いてサーベイしていく

まずYeats (1998)によれば1970代以降製造業における貿易が急速に拡大していると言ってい

る年間の貿易額は8000億ドルを越し世界全体の貿易額の30パーセントを占めると言っている

また製造業において部品貿易は急速に伸びておりその速度は最終財よりも圧倒的に速い

また東アジアにおいて部品貿易が急速に拡大しているといった研究にNg and Yeats (2001)が

ある彼らは東アジアの製造業における部品貿易は一般的に知られているよりも大きくアジア諸

国における製造業の輸出うち5分の1を占めOECD 諸国よりもより速いスピードで拡大していると

言及している

東アジアの部品貿易についてAndo and Kimura (2003)によると東アジアにおいて機械産業

や機械部品の貿易が非常に活発であると言う東アジアにおいては製造業特に機械産業にお

8

いて未曾有の精緻な生産ネットワークが作られている

このように日本を含む東アジアにおいては製造業の貿易や部品貿易がヨーロッパや南北ア

メリカの他地域と比して活発に行なわれており特に機械産業の貿易額に占める比率は大変大きく

部品貿易の額も大きいさらに東アジアにおいては日本企業も大きく関わる精緻な生産流通

ネットワークが形成されており工程間分業が盛んに行なわれている日本国内や日本企業を巻

き込む工程間分業が近年進展していることは明らかであるこのため日本においてもアメリカやイ

ギリスなどで確認されたように労働集約的な生産プロセスの低賃金国へのアウトソーシングにより

労働市場に大きく影響を及ぼしている可能性がある次節では日本の労働市場について概観し

ていきたい

32日本の労働市場

本節では近年の日本国内における労働市場の動向について分析していきたいなお本論文

は厚生労働省実施の賃金構造基本統計調査の生産労働者を非熟練労働者管理事務技術

労働者を熟練労働者と定義して分析を進めていくまた賃金構造基本統計調査上の10人以上

の事業所における男性の調査結果を使用する

<図33>

まず図33を見てみるこれは日本標準産業分類において産業大分類で製造業を見たとき

の1988年から2001年までの男子の総従業者数と非熟練労働者と熟練労働者数の変遷である

この図を見ると1990年を境として製造業に置ける労働者数は大きく減少していることがわかる

さらに熟練労働者と非熟練労働者の変遷を見てみる熟練労働者数は若干であるが減少してい

るが大きな減少は見られない一方非熟練労働者数を見てみると顕著に減少していることが見て

とれるこのように近年製造業において非熟練労働者と熟練労働者の間に変化が起こっている

ことがわかる

このため本節では製造業における熟練労働者と非熟練労働者の関係について詳しく概観して

いきたい

321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移

本節では日本国内の製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の関係を日本標準産業

分類の大分類で見ていく

<挿入 図34 図35 >

9

まず図34を見てみるこれは賃金構造基本統計調査結果が収録されている賃金センサスを

用いて分析した製造業の熟練労働者比率1であるこれによると熟練労働者比率は1998年から

2001年にかけて顕著な上昇傾向を見せている図33で確認できるように1990年代非熟練

労働者数が減少し熟練労働者数が増加してきたかもしくは熟練労働者数と非熟練労働者数との

差が減少してきていることがわかるこれは日本企業の海外展開や東アジアにおける工程間分業

の進展により労働集約的で特殊な技術力を必要としない部品の製造や組立てを賃金の安い海

外へ生産活動をシフトさせ日本は資本集約的な生産工程や高い技術力を必要とする高付加価

値品へ特化してきた結果かもしれない

次に製造業の中でも特にどの産業が熟練労働者比率を上昇させてきているかを見てみるため

に日本標準産業分類の中分類で分析してみるデータについては厚生労働省実施の賃金構造

基本統計調査結果の原本を使用した

<挿入 表32 図38 図310 >

表32は産業中分類で見た製造業の熟練労働者比率であるここで電気機械器具製造業に注

目するために図38を見る電気機械器具製造業において1988年から2001年にかけて熟練

労働者比率が大きく増加しているこの増加の原因として東アジアにおける電気機械産業での工

程間分業が加速していることが考えられる電気機械産業は非常に多くの部品からなり多くの工

程を必要とするAndo and Kimura (2003)などで言われているように東アジアでは製造業特に

機械産業において機械部品の貿易が盛んに行なわれ非常に多くの生産拠点を東アジア各国

にフラグメントさせた工程間分業が起こり精緻な生産流通ネットワークが築かれているこうした

東アジアにおける工程間分業の進展により各国が比較優位を持つ工程に特化し最適な資源配

分を達成し生産することができるこれにより非熟練労働者を必要とし労働集約的な工程が東ア

ジア各国などの低賃金国にシフトし高付加価値名財や工程の生産を日本国内に特化させるよう

になるこうして電気機械器具製造業において非熟練労働者の需要は減少し非熟練労働者数は

減少していることが考えられるのではないだろうかまた高付加価値産業への生産の集約や経

営資源の集中により非熟練労働者の需要は減るがその一方熟練労働者の需要は増え熟練労

働者数は上昇し熟練労働者比率が1990年代に上昇していることが考えられる

また一般機械産業輸送用機器産業を見てみても1990年代に熟練労働者比率は上昇してい

ることがわかるこうした産業の上昇の原因にも日本の低質な工程の低賃金国への生産拠点の

移行や日本国内のプラントや施設において高付加価値の工程へ資源集中や生産の集約の帰

結があげられる

1 熟練労働者比率=管理事務技術労働者数divide(生産労働者数+管理事務技術労働者数)

と定義した

10

次に衣服その他の繊維製品製造業に注目する図310によれば注目すべき点として19

98年ごろからの急速な熟練労働者比率の上昇が挙げられるここ5年の間に管理事務技術労

働者といった熟練労働者の比率は上昇し労働集約的な生産活動を東アジア各国を中心とする

低賃金国に移行させてきた帰結でないかということが予想されるこうした時期にバブルが崩壊し

デフレの進行に伴いユニクロなどの廉価な商品を販売する企業が活躍し廉価な消費財に高い

需要があったことを考えて見てもこの熟練労働者比率の上昇は大変興味深い結果である

322 製造業における賃金格差

前節では非熟練労働者と熟練労働者数の推移を観察してきたこの節では熟練労働者と非熟

練労働者の賃金格差について観察していきたい

まずデータについては前節と同様に賃金構造基本統計調査結果を利用したまた賃金につ

いては産業による特性を排除するため橘木他(1995)に倣い現金給与と年間賞与他の和を所定時

間と超過時間の和で除したものを各賃金とした

lt挿入 図36 図37gt

まず製造業全体の熟練労働者賃金比率をとった図36を見てみるこれを見てみると1998

年から2001年にかけて緩やかな上昇傾向であることがわかるしかし図37で示した Goumlrg

(2003) が1982年から1997年まで分析したイギリスの熟練労働者賃金比率のような一定した顕著

な上昇傾向は見られない日本では1992年まで下がり続け1998年までまた上がり1999年から

緩やかな上昇傾向であることが確認される日本においては熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差はそれほど拡大していないのかもしれない各種製造業における動向を分析するため産業

中分類で熟練労働者賃金比率を計測した

lt挿入 表33 図39 図311gt

表33を見てみるこの中で少し上昇しているのが飲料タバコ飼料製造業電気機械器具

製造業であるしかし図39で電気機械器具製造業を見てみると図38の熟練労働者比率の

上昇に比してそれほど大きな熟練労働者賃金比率の上昇は引き起こされていない図311の衣

服その他の繊維製品製造業を見てみても熟練労働者比率の上昇に比して賃金比率はそれほ

ど上昇していないその他の産業についてもはっきりとした熟練労働者賃金比率の上昇を読み取

ることができなかった日本の労働市場における賃金格差はそれほど拡大していない図35や

図37で確認できるようにアメリカやイギリスなどの欧米諸国は熟練労働者比率よりも熟練労働者

賃金比率のほうが顕著に上昇しており労働市場の動向は日本と同じではない

11

このように近年日本の労働市場のトレンドはイギリスやアメリカなどの多くの先進国とは大きく

異なる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が生まれているというよりも熟練労働者比率の上

昇という形で顕著に表れている323ではより詳しく賃金格差の拡大のスピードと熟練労働者

比率上昇のスピードとではどちらが速いかについて考察していきたい

323賃金格差と労働者数の関係

前節では産業別の熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差と熟練労働者比率についてみてき

たこの節では前節までの分析を踏まえ熟練労働者比率の変遷と熟練労働者賃金比率の変遷と

の両者の関係に焦点を当てていく

<挿入 図312 図313 図314>

この図は熟練労働者賃金比率を熟練労働者比率で除した図であるこの図上の折れ線が減

少していると熟練労働者賃金比率の上昇よりも熟練労働者比率の拡大が早いスピードで起こっ

ていることを意味するまた増加していると熟練労働者賃金比率のほうが熟練労働者比率より速

いスピードで拡大していることを意味し労働市場に賃金格差という影響をもたらしていることがい

える

ここで折れ線を見てみるとほとんどの産業においてこの値は減少しているほとんどの産業では

賃金格差の拡大というよりもむしろ熟練労働者比率の拡大のスピードが速いしかし食料品製

造業金属製造業において折れ線は上昇しておりこれらの産業においては熟練労働者比率の

拡大というよりも賃金格差として現れているしかしながら製造業内の産業において賃金格差の

拡大よりも熟練労働者比率の上昇のスピードが速く欧米とは異なった形で労働市場に変化が起き

ている

本節では日本のアウトソーシングの進展状況と近年の労働市場の動向について考察を進め

てきた近年日本企業の海外生産は活発化し部品貿易も拡大しアウトソーシングは進展してき

たまた労働市場を見てみても製造業の従業者数は減少し特に非熟練労働者が顕著に減少す

るなど大きな変化が起こっているそこで筆者はこうしたアウトソーシングの進展が労働市場に

何らかの影響を及ぼしているのではないかと考えた次節では日本においてアウトソーシングが

労働市場に与える影響について実証分析をしていく

4 実証分析

本章ではアウトソーシングの拡大がもたらす日本の労働市場内の非熟練労働者と熟練労働者

12

の賃金格差熟練労働者比率に与える影響について実証分析をすることにするまず1節では

本分析で用いる費用関数の回帰式の説明をする2節ではデータの出所について言及する

41モデルの説明

本節では私が用いた回帰分析のモデルの説明をする 私の分析ではAnderton and

Brenton(1998)の先行研究を参考とし分析を進めていきたい最初に彼等も用いた Berman et al

(1994)以来のアウトソーシングまたは偏向的技術進歩が熟練労働者と非熟練労働者に与える影

響について分析をした際のモデルとなるトランスログ型の可変費用関数を説明する

まずこのモデルの前提として i 産業の生産要素には資本 K と非熟練労働jと熟練労働kが存在

すると仮定するまたここで資本 K は短期的には固定要素であるとし熟練労働jと非熟練労働kは

可変要素であると仮定するT はアウトソーシングや偏向的技術進歩など i 産業の費用を変化させ

る要素を一括したものであるまたこの可変費用関数としてトランスログ型をとるとすると下のような

①式が出来上がる

ijij

iwjiiKTiiYTiTTiT

iiijiKJijij

YJikijj k

jk

ijj

jiKKiKiiyi

WTKTYTTT

KYWYWYWW

WKKYYYYC

lnlnln21

lnlnlnlnlnlnlnln21

ln)ln(21ln)ln(

21lnln 22

0

sum

sumsumsum sum

sum

+++++

++++

+++++=

φλλλλ

ρδδγ

γββααα

① ここで ln で一次微分しシェファードの補題を適用すると以下のような方程式が出来上がる

左辺は熟練労働向けの費用が総可変費用に占める比率である iW

iiwjK

jkiKjiYjjij TKYS φγδδα ++++= sumlnln ②

また価格を所与とするとトランスログ型の費用関数が一次同次でなければならないのでそのため

の条件が

0==== sumsumsumsumj

Yjj

iKj

iKK

iK δδγγ

であるまた規模に関して収穫一定であるので②式は次のような式に書き換えることができる

13

iiwjk

jiKjiYjjij T

WW

dKYS φδδα +

+++= lnlnln ③

そして③式の変化量をとると

+++=

k

jiYjiKjiijij W

WdYdKddTds lnlnln γδδφ ④

④式が出来上がる

ここで④式のうち YKT はともに外生変数であると仮定しているしかしk

j

WW

外生変数であると

は考えられないしたがって本研究では先行研究に倣い被説明変数に熟練労働者賃金支払

い比率をとる際の分析に関してはk

j

WW

を除外して推計することにする

本分析では可変費用の変化をもたらすその他の要因である T を先行研究に倣いアウトソーシン

グと偏向的技術進歩として分析を進めていくことにする回帰式は以下の⑤式に示す

( ) ititititititit UDMSdDRYdKddSW +++++= minus γλρβα lnamplnln 1 ⑤

そして⑤式を基にAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別のデータをプールさせパネルデ

ータで分析を始める

この式においてSW は総賃金支払いに占める熟練労働者への賃金支払いK は資本ストック

Y はアウトプットであるMS はアウトソーシングの代理変数である本研究では Anderton and

Brenton (1998)に倣い産業別の貿易額をアウトソーシングの代理変数とするまた先行研究と同

様に産業別の輸入額を全世界から東アジアから東アジア以外からの輸入額に分けて取得し

た近年日本の多国籍企業の安価な労働力を求めた東アジアへの進出や東アジア各国での

労働集約的部品の輸入が上昇していることを3節で確認したこのため日本の労働市場へ影響を

与えていると予想されるアウトソーシングは東アジアからの輸入額が一番近いと考えられるまた

RampD は偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率である労働市場の賃金格差や熟

練労働者比率に与える影響として本分析では主にアウトソーシング として分析を進めるが欧米

の先行研究ではアウトソーシングとするものと偏向的技術進歩とするものの論争が巻き起こった

Berman et al (1994)も偏向的技術進歩とした研究であった日本においても賃金格差や熟練労

働者比率の拡大に偏向的技術進歩が考えられるため研究開発費比率を追加して分析を進めて

いくなお研究開発比率の波及効果は即時現れずタイムラグを経て賃金に影響を与えると予

14

想されるので添え字を i-1 としている

次に被説明変数に全従業者に占める熟練労働者の従業者比率を取った回帰式を分析する

⑤式は可変費用関数を変形したものであり左辺の熟練労働者賃金支払い比率を熟練労働者

比率として比較考察することは理論的背景は弱いしかし両推計を比較考察することはアウト

ソーシングが労働市場に影響を与えるメカニズムを解明する上で大変興味深いそのため

Machin (1998)や Anderton and Brenton (1998)と同様に賃金比率を従業者比率に変えた回帰式に

ついても分析を進めていく以下の⑥式である

( ) itititititititit UDRWdMSdDRYdKddSE ++++++= minus γϖλρβα lnlnamplnln 1 ⑥

ここでRW は非熟練労働者の賃金に対する熟練労働者の賃金であるこのモデルではパネル

データを取って分析していくパネルデータの分析に際しては一般的に固定効果モデルと変量効

果モデルの 2 種類の推定法が考えられるこの分析では各変数のトレンドとして産業による特性

が考慮され重要なファクターとなってくるこのため先行研究に倣いダミー変数で産業の特性を

コントロールした固定効果モデルで推定していくことにする

42 データ

本分析でのデータは次のものを利用したまず熟練労働者と非熟練労働者の賃金そして従業

者については厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査報告の昭和63年度から

平成13年度調査結果の10人以上の事業所を対象とした男性の統計結果を使用した 産業につ

いては産業中分類の製造業 F12~F34 までの中でデータの制約上F21(石油製品石炭製品製

造業)F24(なめし皮同製品毛皮製造業)F33(武器製造業)F34(その他製造業)を除外し

た19産業で分析を進めていくことにする次に資本ストックについては経済産業省が毎年実施し

公表している工業統計表産業編の製造業産業中分類別で集計してある有形固定資産額の投資

総額を資本ストックとしたまた付加価値も工業統計表産業編の調査結果を使用し有形固定資

産総額と同様に製造業の産業中分類別に平成元年~平成13年調査結果からとった

次に貿易データについて言及する本分析においては先行研究による途上国からの産業別の

輸入額を日本の多国籍企業が多く進出し低賃金の豊富な労働資源を利用し低品質な工程

や低付加価値な財を生産している東アジアからの産業別の輸入額としたここで東アジアとは

ASEAN 諸国(カンボジアタイマレーシアベトナムインドネシアラオスブルネイフィリピン

シンガポール)中国韓国香港としたデータの出所については全世界からの貿易量国別の

貿易量共に1988年から2001年まで国連のデータベースである United Nations Statistics

Division Commodity Trade Statistics Database から SITC(R1)で取得したそれにより得られた商品

別の貿易データを小浜木村(1995)総務省ホームページを参照に日本標準産業分類の製造

15

業産業中分類別にコンバート1することにより日本標準産業分類別の貿易額を得たなお1992

年は当データベースにおいて結果が提供されておらず除外したまた当データデータベースに

おいてドルベースのためInternational Financial Statistics より PPP 換算した為替レートを参照し円

換算することにより分析を進めた

次に偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率について言及するここで研究開発

費は総務省統計局が出版している科学技術調査研究の調査結果を利用した科学技術研究調

査における産業分類と日本標準産業分類とは産業分類が異なるためお互いをマッチングさせて

分析を進めなければならない科学技術研究調査の付録を参照に日本標準産業分類を科学技

術調査研究が製造業において分析対象である14産業にコンバートさせた日本標準産業分類に

おける F12(食料品製造業)と F13(飲料たばこ飼料製造業)を集計し科学技術調査研究の食

品製造業としたまたF14(繊維工業)と F15(衣服その他の繊維製造業)を集計し科学技術調

査研究の繊維製造業とした一連の集計作業において非熟練労働者と熟練労働者の賃金を集

計する際には従業者数でウエイト付けしたまた日本標準産業分類と科学技術研究調査報告に

おいてマッチングの悪い F16(木材木製品製造業)F17(家具装備品製造業)F29(一般機械

器具製造業)の産業については偏向的技術進歩を回帰式に加える分析からは削除したこれによ

り説明変数に偏向的技術進歩を加える分析に関しては14産業で分析することする

43予想される符号結果

この分析で予想される符号を下の表に図示する先行研究と同じような結果になることが予想さ

れる

予想される符号 RampD 貿易額 (全世界)

貿易額 (東アジア)

貿易額(東アジ

ア以外)

熟練労働者賃金比率 + + + +

熟練労働者比率 + + + +

まず非説明変数に熟練労働者賃金比率をとったときの予想を見てみるRampD の符号を見てみ

ると一連の RampD と熟練労働者と非熟練労働者との関係を示した論文と同様にプラスの符号が

予想されるこれは研究開発費が増えるほど国内に資本集約的で高付加価値な生産活動に集

約することにより非熟練労働者の労働需要が落ち込み賃金が下がることが予想されるためである

次に貿易額の符号を見てみるこれは東アジア全世界ともプラスの係数が予想されるこれは

日本以外の低賃金の国から労働集約的で低質な財の輸入額が上昇することにより日本国内の

低質な財を作る労働集約的な財の生産が海外にシフトし生産労働者の労働需要が落ち込み非

1 データの利用上の注意については APPENDIX 参照

16

熟練労働者の賃金が減少することが予想されるまた資本集約的な工程や財の生産に特化する

ことにより熟練労働者への労働需要があがり熟練労働者賃金が上がることも予想される

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの予想される符号を見てみるRDに関して

は研究開発比率が増えるほど熟練労働者を必要とし資本集約的な工程や財に生産を特化し

非熟練労働者への労働需要が落ち込み労働者数が減少することが予想されるこのためプラス

であることが予想される最後にアウトソーシングの代理変数である貿易額を見てみるこれも同

様に低賃金国からの労働集約的な部品や財の輸入額が上昇することにより国内の労働集約的

な生産工程や非熟練労働者を多く必要とする労働集約な財の生産は海外の低賃金国にシフトし

非熟練労働者への労働需要は落ち込み非熟練労働者数が減少することが予想される

しかしAnderton and Brenton(1998)がイギリスで行った先行研究とは異なる結果が出る可能性

がある熟練労働者賃金比率を被説明変数としたときに輸入額の係数が有意に推定されない可

能性があるそれは日本においては賃金格差があまり広がっていないことが原因としてあげられ

る3節で概観したように2000年にかけてのアウトソーシングの進展に比して製造業の熟練労

働者賃金比率を個別に概観してみると顕著に上昇している産業はあまり確認することはできなか

った一方熟練労働者比率は産業別に見てみても顕著に上昇しているこのためアウトソーシ

ングの進展により熟練労働者比率に大きく影響を与えていることが予想される

44 結果考察

lt挿入 表41gt

表41は被説明変数を熟練労働者賃金比率とした時の回帰分析の結果であるこの回帰分析

結果において(1a)~(1c)を見てみるとAnderton and Brenton (1998)の先行研究とは大きく異な

る結果であることがわかるまず注目すべき点として輸入額の係数を見てみると全世界東アジア

東アジアの国以外からの係数がそろって有意な係数が推定されていないこのことより産業別の

輸入額がアウトソーシングの帰結の一部であると考えるとアウトソーシングが国内の熟練労働者と

非熟練労働者の賃金格差に影響を与えているとは言えないことがわかる

また(1d)~(1f)の研究開発比率を回帰式に加えた式を見ても各方面からの輸入額研究開

発費の項に有意な係数は推定されていない

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの結果を見てみる

lt挿入 表43gt

表42は被説明変数を熟練労働者比率とした時の回帰分析の結果であるまず研究開発費

を回帰式に加えない(2a)~(2c)までの分析結果を見てみると全世界からの輸入額東アジア

17

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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工業統計表 産業編 昭和 63 年度調査結果~平成 13 年度調査結果 経済産業省

23

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 7: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

需要を押し下げ日本の技術集約度の上昇に寄与しているという結論を得ている

私は本論文の分析でアウトソーシングの代理変数を Anderton and Brenton (1998)の手法をとるこ

とにしたその理由として世界各国からの輸入特に東アジアにおける工程間分業の進展に伴い

東アジアの低賃金国からの輸入が日本における労働集約的な生産工程や財の生産に影響を与

えていると予想されることがあげられるまたデータが毎年利用可能なことも理由として挙げられる

日本において賃金データはアメリカやイギリスほど細かい産業レベルまで揃っていない3 章と同

じように熟練労働者を賃金構造基本統計調査の管理事務技術労働者と定義し非熟練労働者

を生産労働者と定義して分析を進めるが利用可能なデータは生産労働者と管理事務技術労

働者の別の賃金データは製造業において産業中分類までであり22産業しかないFeenstra and

Hanson (1995)などと同様に数十年間の成長率を取り22産業でクロスセクションで分析を行うに

はサンプル数が少なすぎるそのため5年おきにしか公表されない総務省やアジア経済研究所

の産業連関表を用いて輸入中間投入額や中間投入額の比率をアウトソーシング の変数とできな

いそこで私はAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別の輸入額をとり彼らが途上国からの

輸入額を日本において最も国内の産業構造労働市場に影響を与えていると考えられる東アジ

アからの輸入額とし全世界からの輸入額と東アジアからの輸入額に分けて分析していく

3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状

アウトソーシングが日本の労働市場へ与える影響について分析する前に本章では日本のアウ

トソーシングの進展状況と労働市場について個別に概観していく第 1 節では経済産業省の海

外事業活動基本調査や貿易データを基に日本のアウトソーシングの進展状況を概観するまた

第 2 節では日本の労働市場について分析する

31日本企業のアウトソーシングの進展状況

本節では日本企業のアウトソーシングの進展状況を見ていくまず1節ではアウトソーシングを

概観する際の指標である経済産業省の『海外事業活動基本調査』をもとに日本の多国籍企業のプ

レゼンスに焦点をあててアウトソーシング の断片を概観していきたい次に2節ではアウトソーシン

グを概観する際に重要なマクロの指標となる部品貿易データをもとに概観していきたい

311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング

lt挿入 図31 図32 表31gt

7

本節では日本企業のアウトソーシングの進展状況を概観するまず図31に注目してみる

図31は経済産業省の『海外事業活動基本調査』より引用した日本における製造業の海外生産

比率の推移である日本国内の全法人ベースの海外生産比率は1990年代において一定して上

昇し2002年度には過去最高の171に達したまた母体を海外進出企業のみとした海外

進出企業ベースの海外生産比率を見てみると1993以来上昇し2002年度には410にも及ん

でいる

次に図32の現地法人の従業者数についてみてみる2002年における現地法人の海外従業

者数は341万にも達し1990年以降ずっと上昇している地域別に見てみるとアジアにおいて90

年代永続して従業者数が増加しているのを確認することができるこうした現地法人の従業者数の

増加は日本国内の労働市場雇用にどういった影響をもたらすのであろうか表31は経済産

業省が実施した海外事業活動基本調査の中での海外生産活動と日本国内の生産活動との関係

を質問したアンケート結果である表31によると「現地需要への対応で国内の生産活動に変化

はない」の項目が依然として高い回答率を得ているが年々この項目に対する回答率は年々減少

してきているそれに変わって徐々にではあるが上昇してきているのが「国内の生産は減少する

が人員削減は行わない」より右の3項目であるこのように海外生産が国内生産に影響を及ぼさ

ないという回答は減少し海外生産により雇用の面や何らかの形で日本国内の生産に影響を及ぼ

すであろうという回答が増加している

この節では日本企業の海外生産比率現地法人の従業者数などを概観しアウトソーシングの

現状を見てきたしかし日本企業のアウトソーシングや製造業の工程間分業においては EMS

の存在や OEM が活用されることもあり日系企業の海外進出企業内貿易だけが全てのファクタ

ーではないアウトソーシングを含む全てを把握した工程間分業を概観するために次節では日

本国内に関連する部品貿易について観察していきたい

312 貿易データからみたアウトソーシング

本節ではアウトソーシングを概観する際の重要なファクターである部品貿易に関する研究につ

いてサーベイしていく

まずYeats (1998)によれば1970代以降製造業における貿易が急速に拡大していると言ってい

る年間の貿易額は8000億ドルを越し世界全体の貿易額の30パーセントを占めると言っている

また製造業において部品貿易は急速に伸びておりその速度は最終財よりも圧倒的に速い

また東アジアにおいて部品貿易が急速に拡大しているといった研究にNg and Yeats (2001)が

ある彼らは東アジアの製造業における部品貿易は一般的に知られているよりも大きくアジア諸

国における製造業の輸出うち5分の1を占めOECD 諸国よりもより速いスピードで拡大していると

言及している

東アジアの部品貿易についてAndo and Kimura (2003)によると東アジアにおいて機械産業

や機械部品の貿易が非常に活発であると言う東アジアにおいては製造業特に機械産業にお

8

いて未曾有の精緻な生産ネットワークが作られている

このように日本を含む東アジアにおいては製造業の貿易や部品貿易がヨーロッパや南北ア

メリカの他地域と比して活発に行なわれており特に機械産業の貿易額に占める比率は大変大きく

部品貿易の額も大きいさらに東アジアにおいては日本企業も大きく関わる精緻な生産流通

ネットワークが形成されており工程間分業が盛んに行なわれている日本国内や日本企業を巻

き込む工程間分業が近年進展していることは明らかであるこのため日本においてもアメリカやイ

ギリスなどで確認されたように労働集約的な生産プロセスの低賃金国へのアウトソーシングにより

労働市場に大きく影響を及ぼしている可能性がある次節では日本の労働市場について概観し

ていきたい

32日本の労働市場

本節では近年の日本国内における労働市場の動向について分析していきたいなお本論文

は厚生労働省実施の賃金構造基本統計調査の生産労働者を非熟練労働者管理事務技術

労働者を熟練労働者と定義して分析を進めていくまた賃金構造基本統計調査上の10人以上

の事業所における男性の調査結果を使用する

<図33>

まず図33を見てみるこれは日本標準産業分類において産業大分類で製造業を見たとき

の1988年から2001年までの男子の総従業者数と非熟練労働者と熟練労働者数の変遷である

この図を見ると1990年を境として製造業に置ける労働者数は大きく減少していることがわかる

さらに熟練労働者と非熟練労働者の変遷を見てみる熟練労働者数は若干であるが減少してい

るが大きな減少は見られない一方非熟練労働者数を見てみると顕著に減少していることが見て

とれるこのように近年製造業において非熟練労働者と熟練労働者の間に変化が起こっている

ことがわかる

このため本節では製造業における熟練労働者と非熟練労働者の関係について詳しく概観して

いきたい

321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移

本節では日本国内の製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の関係を日本標準産業

分類の大分類で見ていく

<挿入 図34 図35 >

9

まず図34を見てみるこれは賃金構造基本統計調査結果が収録されている賃金センサスを

用いて分析した製造業の熟練労働者比率1であるこれによると熟練労働者比率は1998年から

2001年にかけて顕著な上昇傾向を見せている図33で確認できるように1990年代非熟練

労働者数が減少し熟練労働者数が増加してきたかもしくは熟練労働者数と非熟練労働者数との

差が減少してきていることがわかるこれは日本企業の海外展開や東アジアにおける工程間分業

の進展により労働集約的で特殊な技術力を必要としない部品の製造や組立てを賃金の安い海

外へ生産活動をシフトさせ日本は資本集約的な生産工程や高い技術力を必要とする高付加価

値品へ特化してきた結果かもしれない

次に製造業の中でも特にどの産業が熟練労働者比率を上昇させてきているかを見てみるため

に日本標準産業分類の中分類で分析してみるデータについては厚生労働省実施の賃金構造

基本統計調査結果の原本を使用した

<挿入 表32 図38 図310 >

表32は産業中分類で見た製造業の熟練労働者比率であるここで電気機械器具製造業に注

目するために図38を見る電気機械器具製造業において1988年から2001年にかけて熟練

労働者比率が大きく増加しているこの増加の原因として東アジアにおける電気機械産業での工

程間分業が加速していることが考えられる電気機械産業は非常に多くの部品からなり多くの工

程を必要とするAndo and Kimura (2003)などで言われているように東アジアでは製造業特に

機械産業において機械部品の貿易が盛んに行なわれ非常に多くの生産拠点を東アジア各国

にフラグメントさせた工程間分業が起こり精緻な生産流通ネットワークが築かれているこうした

東アジアにおける工程間分業の進展により各国が比較優位を持つ工程に特化し最適な資源配

分を達成し生産することができるこれにより非熟練労働者を必要とし労働集約的な工程が東ア

ジア各国などの低賃金国にシフトし高付加価値名財や工程の生産を日本国内に特化させるよう

になるこうして電気機械器具製造業において非熟練労働者の需要は減少し非熟練労働者数は

減少していることが考えられるのではないだろうかまた高付加価値産業への生産の集約や経

営資源の集中により非熟練労働者の需要は減るがその一方熟練労働者の需要は増え熟練労

働者数は上昇し熟練労働者比率が1990年代に上昇していることが考えられる

また一般機械産業輸送用機器産業を見てみても1990年代に熟練労働者比率は上昇してい

ることがわかるこうした産業の上昇の原因にも日本の低質な工程の低賃金国への生産拠点の

移行や日本国内のプラントや施設において高付加価値の工程へ資源集中や生産の集約の帰

結があげられる

1 熟練労働者比率=管理事務技術労働者数divide(生産労働者数+管理事務技術労働者数)

と定義した

10

次に衣服その他の繊維製品製造業に注目する図310によれば注目すべき点として19

98年ごろからの急速な熟練労働者比率の上昇が挙げられるここ5年の間に管理事務技術労

働者といった熟練労働者の比率は上昇し労働集約的な生産活動を東アジア各国を中心とする

低賃金国に移行させてきた帰結でないかということが予想されるこうした時期にバブルが崩壊し

デフレの進行に伴いユニクロなどの廉価な商品を販売する企業が活躍し廉価な消費財に高い

需要があったことを考えて見てもこの熟練労働者比率の上昇は大変興味深い結果である

322 製造業における賃金格差

前節では非熟練労働者と熟練労働者数の推移を観察してきたこの節では熟練労働者と非熟

練労働者の賃金格差について観察していきたい

まずデータについては前節と同様に賃金構造基本統計調査結果を利用したまた賃金につ

いては産業による特性を排除するため橘木他(1995)に倣い現金給与と年間賞与他の和を所定時

間と超過時間の和で除したものを各賃金とした

lt挿入 図36 図37gt

まず製造業全体の熟練労働者賃金比率をとった図36を見てみるこれを見てみると1998

年から2001年にかけて緩やかな上昇傾向であることがわかるしかし図37で示した Goumlrg

(2003) が1982年から1997年まで分析したイギリスの熟練労働者賃金比率のような一定した顕著

な上昇傾向は見られない日本では1992年まで下がり続け1998年までまた上がり1999年から

緩やかな上昇傾向であることが確認される日本においては熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差はそれほど拡大していないのかもしれない各種製造業における動向を分析するため産業

中分類で熟練労働者賃金比率を計測した

lt挿入 表33 図39 図311gt

表33を見てみるこの中で少し上昇しているのが飲料タバコ飼料製造業電気機械器具

製造業であるしかし図39で電気機械器具製造業を見てみると図38の熟練労働者比率の

上昇に比してそれほど大きな熟練労働者賃金比率の上昇は引き起こされていない図311の衣

服その他の繊維製品製造業を見てみても熟練労働者比率の上昇に比して賃金比率はそれほ

ど上昇していないその他の産業についてもはっきりとした熟練労働者賃金比率の上昇を読み取

ることができなかった日本の労働市場における賃金格差はそれほど拡大していない図35や

図37で確認できるようにアメリカやイギリスなどの欧米諸国は熟練労働者比率よりも熟練労働者

賃金比率のほうが顕著に上昇しており労働市場の動向は日本と同じではない

11

このように近年日本の労働市場のトレンドはイギリスやアメリカなどの多くの先進国とは大きく

異なる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が生まれているというよりも熟練労働者比率の上

昇という形で顕著に表れている323ではより詳しく賃金格差の拡大のスピードと熟練労働者

比率上昇のスピードとではどちらが速いかについて考察していきたい

323賃金格差と労働者数の関係

前節では産業別の熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差と熟練労働者比率についてみてき

たこの節では前節までの分析を踏まえ熟練労働者比率の変遷と熟練労働者賃金比率の変遷と

の両者の関係に焦点を当てていく

<挿入 図312 図313 図314>

この図は熟練労働者賃金比率を熟練労働者比率で除した図であるこの図上の折れ線が減

少していると熟練労働者賃金比率の上昇よりも熟練労働者比率の拡大が早いスピードで起こっ

ていることを意味するまた増加していると熟練労働者賃金比率のほうが熟練労働者比率より速

いスピードで拡大していることを意味し労働市場に賃金格差という影響をもたらしていることがい

える

ここで折れ線を見てみるとほとんどの産業においてこの値は減少しているほとんどの産業では

賃金格差の拡大というよりもむしろ熟練労働者比率の拡大のスピードが速いしかし食料品製

造業金属製造業において折れ線は上昇しておりこれらの産業においては熟練労働者比率の

拡大というよりも賃金格差として現れているしかしながら製造業内の産業において賃金格差の

拡大よりも熟練労働者比率の上昇のスピードが速く欧米とは異なった形で労働市場に変化が起き

ている

本節では日本のアウトソーシングの進展状況と近年の労働市場の動向について考察を進め

てきた近年日本企業の海外生産は活発化し部品貿易も拡大しアウトソーシングは進展してき

たまた労働市場を見てみても製造業の従業者数は減少し特に非熟練労働者が顕著に減少す

るなど大きな変化が起こっているそこで筆者はこうしたアウトソーシングの進展が労働市場に

何らかの影響を及ぼしているのではないかと考えた次節では日本においてアウトソーシングが

労働市場に与える影響について実証分析をしていく

4 実証分析

本章ではアウトソーシングの拡大がもたらす日本の労働市場内の非熟練労働者と熟練労働者

12

の賃金格差熟練労働者比率に与える影響について実証分析をすることにするまず1節では

本分析で用いる費用関数の回帰式の説明をする2節ではデータの出所について言及する

41モデルの説明

本節では私が用いた回帰分析のモデルの説明をする 私の分析ではAnderton and

Brenton(1998)の先行研究を参考とし分析を進めていきたい最初に彼等も用いた Berman et al

(1994)以来のアウトソーシングまたは偏向的技術進歩が熟練労働者と非熟練労働者に与える影

響について分析をした際のモデルとなるトランスログ型の可変費用関数を説明する

まずこのモデルの前提として i 産業の生産要素には資本 K と非熟練労働jと熟練労働kが存在

すると仮定するまたここで資本 K は短期的には固定要素であるとし熟練労働jと非熟練労働kは

可変要素であると仮定するT はアウトソーシングや偏向的技術進歩など i 産業の費用を変化させ

る要素を一括したものであるまたこの可変費用関数としてトランスログ型をとるとすると下のような

①式が出来上がる

ijij

iwjiiKTiiYTiTTiT

iiijiKJijij

YJikijj k

jk

ijj

jiKKiKiiyi

WTKTYTTT

KYWYWYWW

WKKYYYYC

lnlnln21

lnlnlnlnlnlnlnln21

ln)ln(21ln)ln(

21lnln 22

0

sum

sumsumsum sum

sum

+++++

++++

+++++=

φλλλλ

ρδδγ

γββααα

① ここで ln で一次微分しシェファードの補題を適用すると以下のような方程式が出来上がる

左辺は熟練労働向けの費用が総可変費用に占める比率である iW

iiwjK

jkiKjiYjjij TKYS φγδδα ++++= sumlnln ②

また価格を所与とするとトランスログ型の費用関数が一次同次でなければならないのでそのため

の条件が

0==== sumsumsumsumj

Yjj

iKj

iKK

iK δδγγ

であるまた規模に関して収穫一定であるので②式は次のような式に書き換えることができる

13

iiwjk

jiKjiYjjij T

WW

dKYS φδδα +

+++= lnlnln ③

そして③式の変化量をとると

+++=

k

jiYjiKjiijij W

WdYdKddTds lnlnln γδδφ ④

④式が出来上がる

ここで④式のうち YKT はともに外生変数であると仮定しているしかしk

j

WW

外生変数であると

は考えられないしたがって本研究では先行研究に倣い被説明変数に熟練労働者賃金支払

い比率をとる際の分析に関してはk

j

WW

を除外して推計することにする

本分析では可変費用の変化をもたらすその他の要因である T を先行研究に倣いアウトソーシン

グと偏向的技術進歩として分析を進めていくことにする回帰式は以下の⑤式に示す

( ) ititititititit UDMSdDRYdKddSW +++++= minus γλρβα lnamplnln 1 ⑤

そして⑤式を基にAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別のデータをプールさせパネルデ

ータで分析を始める

この式においてSW は総賃金支払いに占める熟練労働者への賃金支払いK は資本ストック

Y はアウトプットであるMS はアウトソーシングの代理変数である本研究では Anderton and

Brenton (1998)に倣い産業別の貿易額をアウトソーシングの代理変数とするまた先行研究と同

様に産業別の輸入額を全世界から東アジアから東アジア以外からの輸入額に分けて取得し

た近年日本の多国籍企業の安価な労働力を求めた東アジアへの進出や東アジア各国での

労働集約的部品の輸入が上昇していることを3節で確認したこのため日本の労働市場へ影響を

与えていると予想されるアウトソーシングは東アジアからの輸入額が一番近いと考えられるまた

RampD は偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率である労働市場の賃金格差や熟

練労働者比率に与える影響として本分析では主にアウトソーシング として分析を進めるが欧米

の先行研究ではアウトソーシングとするものと偏向的技術進歩とするものの論争が巻き起こった

Berman et al (1994)も偏向的技術進歩とした研究であった日本においても賃金格差や熟練労

働者比率の拡大に偏向的技術進歩が考えられるため研究開発費比率を追加して分析を進めて

いくなお研究開発比率の波及効果は即時現れずタイムラグを経て賃金に影響を与えると予

14

想されるので添え字を i-1 としている

次に被説明変数に全従業者に占める熟練労働者の従業者比率を取った回帰式を分析する

⑤式は可変費用関数を変形したものであり左辺の熟練労働者賃金支払い比率を熟練労働者

比率として比較考察することは理論的背景は弱いしかし両推計を比較考察することはアウト

ソーシングが労働市場に影響を与えるメカニズムを解明する上で大変興味深いそのため

Machin (1998)や Anderton and Brenton (1998)と同様に賃金比率を従業者比率に変えた回帰式に

ついても分析を進めていく以下の⑥式である

( ) itititititititit UDRWdMSdDRYdKddSE ++++++= minus γϖλρβα lnlnamplnln 1 ⑥

ここでRW は非熟練労働者の賃金に対する熟練労働者の賃金であるこのモデルではパネル

データを取って分析していくパネルデータの分析に際しては一般的に固定効果モデルと変量効

果モデルの 2 種類の推定法が考えられるこの分析では各変数のトレンドとして産業による特性

が考慮され重要なファクターとなってくるこのため先行研究に倣いダミー変数で産業の特性を

コントロールした固定効果モデルで推定していくことにする

42 データ

本分析でのデータは次のものを利用したまず熟練労働者と非熟練労働者の賃金そして従業

者については厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査報告の昭和63年度から

平成13年度調査結果の10人以上の事業所を対象とした男性の統計結果を使用した 産業につ

いては産業中分類の製造業 F12~F34 までの中でデータの制約上F21(石油製品石炭製品製

造業)F24(なめし皮同製品毛皮製造業)F33(武器製造業)F34(その他製造業)を除外し

た19産業で分析を進めていくことにする次に資本ストックについては経済産業省が毎年実施し

公表している工業統計表産業編の製造業産業中分類別で集計してある有形固定資産額の投資

総額を資本ストックとしたまた付加価値も工業統計表産業編の調査結果を使用し有形固定資

産総額と同様に製造業の産業中分類別に平成元年~平成13年調査結果からとった

次に貿易データについて言及する本分析においては先行研究による途上国からの産業別の

輸入額を日本の多国籍企業が多く進出し低賃金の豊富な労働資源を利用し低品質な工程

や低付加価値な財を生産している東アジアからの産業別の輸入額としたここで東アジアとは

ASEAN 諸国(カンボジアタイマレーシアベトナムインドネシアラオスブルネイフィリピン

シンガポール)中国韓国香港としたデータの出所については全世界からの貿易量国別の

貿易量共に1988年から2001年まで国連のデータベースである United Nations Statistics

Division Commodity Trade Statistics Database から SITC(R1)で取得したそれにより得られた商品

別の貿易データを小浜木村(1995)総務省ホームページを参照に日本標準産業分類の製造

15

業産業中分類別にコンバート1することにより日本標準産業分類別の貿易額を得たなお1992

年は当データベースにおいて結果が提供されておらず除外したまた当データデータベースに

おいてドルベースのためInternational Financial Statistics より PPP 換算した為替レートを参照し円

換算することにより分析を進めた

次に偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率について言及するここで研究開発

費は総務省統計局が出版している科学技術調査研究の調査結果を利用した科学技術研究調

査における産業分類と日本標準産業分類とは産業分類が異なるためお互いをマッチングさせて

分析を進めなければならない科学技術研究調査の付録を参照に日本標準産業分類を科学技

術調査研究が製造業において分析対象である14産業にコンバートさせた日本標準産業分類に

おける F12(食料品製造業)と F13(飲料たばこ飼料製造業)を集計し科学技術調査研究の食

品製造業としたまたF14(繊維工業)と F15(衣服その他の繊維製造業)を集計し科学技術調

査研究の繊維製造業とした一連の集計作業において非熟練労働者と熟練労働者の賃金を集

計する際には従業者数でウエイト付けしたまた日本標準産業分類と科学技術研究調査報告に

おいてマッチングの悪い F16(木材木製品製造業)F17(家具装備品製造業)F29(一般機械

器具製造業)の産業については偏向的技術進歩を回帰式に加える分析からは削除したこれによ

り説明変数に偏向的技術進歩を加える分析に関しては14産業で分析することする

43予想される符号結果

この分析で予想される符号を下の表に図示する先行研究と同じような結果になることが予想さ

れる

予想される符号 RampD 貿易額 (全世界)

貿易額 (東アジア)

貿易額(東アジ

ア以外)

熟練労働者賃金比率 + + + +

熟練労働者比率 + + + +

まず非説明変数に熟練労働者賃金比率をとったときの予想を見てみるRampD の符号を見てみ

ると一連の RampD と熟練労働者と非熟練労働者との関係を示した論文と同様にプラスの符号が

予想されるこれは研究開発費が増えるほど国内に資本集約的で高付加価値な生産活動に集

約することにより非熟練労働者の労働需要が落ち込み賃金が下がることが予想されるためである

次に貿易額の符号を見てみるこれは東アジア全世界ともプラスの係数が予想されるこれは

日本以外の低賃金の国から労働集約的で低質な財の輸入額が上昇することにより日本国内の

低質な財を作る労働集約的な財の生産が海外にシフトし生産労働者の労働需要が落ち込み非

1 データの利用上の注意については APPENDIX 参照

16

熟練労働者の賃金が減少することが予想されるまた資本集約的な工程や財の生産に特化する

ことにより熟練労働者への労働需要があがり熟練労働者賃金が上がることも予想される

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの予想される符号を見てみるRDに関して

は研究開発比率が増えるほど熟練労働者を必要とし資本集約的な工程や財に生産を特化し

非熟練労働者への労働需要が落ち込み労働者数が減少することが予想されるこのためプラス

であることが予想される最後にアウトソーシングの代理変数である貿易額を見てみるこれも同

様に低賃金国からの労働集約的な部品や財の輸入額が上昇することにより国内の労働集約的

な生産工程や非熟練労働者を多く必要とする労働集約な財の生産は海外の低賃金国にシフトし

非熟練労働者への労働需要は落ち込み非熟練労働者数が減少することが予想される

しかしAnderton and Brenton(1998)がイギリスで行った先行研究とは異なる結果が出る可能性

がある熟練労働者賃金比率を被説明変数としたときに輸入額の係数が有意に推定されない可

能性があるそれは日本においては賃金格差があまり広がっていないことが原因としてあげられ

る3節で概観したように2000年にかけてのアウトソーシングの進展に比して製造業の熟練労

働者賃金比率を個別に概観してみると顕著に上昇している産業はあまり確認することはできなか

った一方熟練労働者比率は産業別に見てみても顕著に上昇しているこのためアウトソーシ

ングの進展により熟練労働者比率に大きく影響を与えていることが予想される

44 結果考察

lt挿入 表41gt

表41は被説明変数を熟練労働者賃金比率とした時の回帰分析の結果であるこの回帰分析

結果において(1a)~(1c)を見てみるとAnderton and Brenton (1998)の先行研究とは大きく異な

る結果であることがわかるまず注目すべき点として輸入額の係数を見てみると全世界東アジア

東アジアの国以外からの係数がそろって有意な係数が推定されていないこのことより産業別の

輸入額がアウトソーシングの帰結の一部であると考えるとアウトソーシングが国内の熟練労働者と

非熟練労働者の賃金格差に影響を与えているとは言えないことがわかる

また(1d)~(1f)の研究開発比率を回帰式に加えた式を見ても各方面からの輸入額研究開

発費の項に有意な係数は推定されていない

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの結果を見てみる

lt挿入 表43gt

表42は被説明変数を熟練労働者比率とした時の回帰分析の結果であるまず研究開発費

を回帰式に加えない(2a)~(2c)までの分析結果を見てみると全世界からの輸入額東アジア

17

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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and Demand Factorsrdquo Quarterly Journal of Economics 107 35-78 Krugman Paul (1995) ldquoGrowing World Trade Causes and Consequencesrdquo Brooking Paper on

Economic Activity 1 327-362 Ng Francis and Alexander Yeats(2001)ldquo Production Sharing in East Asia Who Does What for

Whom and Whyrdquoin Fragmentation new production patterns in the world economy edited by

Sven W Arndt and Henryk Kierzkowski

Yeats Alexander J (1998) ldquoJust How Big Is Production Sharing rdquo

httpwwwworldbankorghtmldecPublicationsWorkpapersWPS1800serieswps1871wps1871pd

f

Yi Kei-Mu (2000) ldquoCan Vertical Specialization Explain the Growth of World Traderdquo Federal

Reserve Bank of New York Staff Report No 96

日本語参考文献

浅野皙中村二朗(2000)『計量経済学』 有斐閣

木村福成(2000)『国際経済学入門』日本評論社

木村福成小浜裕之(1995)『実証|国際経済学入門』日本評論社

橘木俊諮森川正行西村太郎(1995)「貿易と雇用賃金」―アジア諸国の経済発展と日本の雇

用及び賃金― 通商産業研究所

山澤成康(2004)『実証経済学入門』日本評論社

データソース 海外事業活動基本調査 2003 年調査結果 経済産業省 httpwwwmetigojp

科学技術研究調査報告 昭和 62 年度調査結果~平成 12 年度調査結果

工業統計表 産業編 昭和 63 年度調査結果~平成 13 年度調査結果 経済産業省

23

賃金構造基本統計調査報告 昭和 63 年度実施結果~平成 13 年度実施結果

賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 8: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

本節では日本企業のアウトソーシングの進展状況を概観するまず図31に注目してみる

図31は経済産業省の『海外事業活動基本調査』より引用した日本における製造業の海外生産

比率の推移である日本国内の全法人ベースの海外生産比率は1990年代において一定して上

昇し2002年度には過去最高の171に達したまた母体を海外進出企業のみとした海外

進出企業ベースの海外生産比率を見てみると1993以来上昇し2002年度には410にも及ん

でいる

次に図32の現地法人の従業者数についてみてみる2002年における現地法人の海外従業

者数は341万にも達し1990年以降ずっと上昇している地域別に見てみるとアジアにおいて90

年代永続して従業者数が増加しているのを確認することができるこうした現地法人の従業者数の

増加は日本国内の労働市場雇用にどういった影響をもたらすのであろうか表31は経済産

業省が実施した海外事業活動基本調査の中での海外生産活動と日本国内の生産活動との関係

を質問したアンケート結果である表31によると「現地需要への対応で国内の生産活動に変化

はない」の項目が依然として高い回答率を得ているが年々この項目に対する回答率は年々減少

してきているそれに変わって徐々にではあるが上昇してきているのが「国内の生産は減少する

が人員削減は行わない」より右の3項目であるこのように海外生産が国内生産に影響を及ぼさ

ないという回答は減少し海外生産により雇用の面や何らかの形で日本国内の生産に影響を及ぼ

すであろうという回答が増加している

この節では日本企業の海外生産比率現地法人の従業者数などを概観しアウトソーシングの

現状を見てきたしかし日本企業のアウトソーシングや製造業の工程間分業においては EMS

の存在や OEM が活用されることもあり日系企業の海外進出企業内貿易だけが全てのファクタ

ーではないアウトソーシングを含む全てを把握した工程間分業を概観するために次節では日

本国内に関連する部品貿易について観察していきたい

312 貿易データからみたアウトソーシング

本節ではアウトソーシングを概観する際の重要なファクターである部品貿易に関する研究につ

いてサーベイしていく

まずYeats (1998)によれば1970代以降製造業における貿易が急速に拡大していると言ってい

る年間の貿易額は8000億ドルを越し世界全体の貿易額の30パーセントを占めると言っている

また製造業において部品貿易は急速に伸びておりその速度は最終財よりも圧倒的に速い

また東アジアにおいて部品貿易が急速に拡大しているといった研究にNg and Yeats (2001)が

ある彼らは東アジアの製造業における部品貿易は一般的に知られているよりも大きくアジア諸

国における製造業の輸出うち5分の1を占めOECD 諸国よりもより速いスピードで拡大していると

言及している

東アジアの部品貿易についてAndo and Kimura (2003)によると東アジアにおいて機械産業

や機械部品の貿易が非常に活発であると言う東アジアにおいては製造業特に機械産業にお

8

いて未曾有の精緻な生産ネットワークが作られている

このように日本を含む東アジアにおいては製造業の貿易や部品貿易がヨーロッパや南北ア

メリカの他地域と比して活発に行なわれており特に機械産業の貿易額に占める比率は大変大きく

部品貿易の額も大きいさらに東アジアにおいては日本企業も大きく関わる精緻な生産流通

ネットワークが形成されており工程間分業が盛んに行なわれている日本国内や日本企業を巻

き込む工程間分業が近年進展していることは明らかであるこのため日本においてもアメリカやイ

ギリスなどで確認されたように労働集約的な生産プロセスの低賃金国へのアウトソーシングにより

労働市場に大きく影響を及ぼしている可能性がある次節では日本の労働市場について概観し

ていきたい

32日本の労働市場

本節では近年の日本国内における労働市場の動向について分析していきたいなお本論文

は厚生労働省実施の賃金構造基本統計調査の生産労働者を非熟練労働者管理事務技術

労働者を熟練労働者と定義して分析を進めていくまた賃金構造基本統計調査上の10人以上

の事業所における男性の調査結果を使用する

<図33>

まず図33を見てみるこれは日本標準産業分類において産業大分類で製造業を見たとき

の1988年から2001年までの男子の総従業者数と非熟練労働者と熟練労働者数の変遷である

この図を見ると1990年を境として製造業に置ける労働者数は大きく減少していることがわかる

さらに熟練労働者と非熟練労働者の変遷を見てみる熟練労働者数は若干であるが減少してい

るが大きな減少は見られない一方非熟練労働者数を見てみると顕著に減少していることが見て

とれるこのように近年製造業において非熟練労働者と熟練労働者の間に変化が起こっている

ことがわかる

このため本節では製造業における熟練労働者と非熟練労働者の関係について詳しく概観して

いきたい

321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移

本節では日本国内の製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の関係を日本標準産業

分類の大分類で見ていく

<挿入 図34 図35 >

9

まず図34を見てみるこれは賃金構造基本統計調査結果が収録されている賃金センサスを

用いて分析した製造業の熟練労働者比率1であるこれによると熟練労働者比率は1998年から

2001年にかけて顕著な上昇傾向を見せている図33で確認できるように1990年代非熟練

労働者数が減少し熟練労働者数が増加してきたかもしくは熟練労働者数と非熟練労働者数との

差が減少してきていることがわかるこれは日本企業の海外展開や東アジアにおける工程間分業

の進展により労働集約的で特殊な技術力を必要としない部品の製造や組立てを賃金の安い海

外へ生産活動をシフトさせ日本は資本集約的な生産工程や高い技術力を必要とする高付加価

値品へ特化してきた結果かもしれない

次に製造業の中でも特にどの産業が熟練労働者比率を上昇させてきているかを見てみるため

に日本標準産業分類の中分類で分析してみるデータについては厚生労働省実施の賃金構造

基本統計調査結果の原本を使用した

<挿入 表32 図38 図310 >

表32は産業中分類で見た製造業の熟練労働者比率であるここで電気機械器具製造業に注

目するために図38を見る電気機械器具製造業において1988年から2001年にかけて熟練

労働者比率が大きく増加しているこの増加の原因として東アジアにおける電気機械産業での工

程間分業が加速していることが考えられる電気機械産業は非常に多くの部品からなり多くの工

程を必要とするAndo and Kimura (2003)などで言われているように東アジアでは製造業特に

機械産業において機械部品の貿易が盛んに行なわれ非常に多くの生産拠点を東アジア各国

にフラグメントさせた工程間分業が起こり精緻な生産流通ネットワークが築かれているこうした

東アジアにおける工程間分業の進展により各国が比較優位を持つ工程に特化し最適な資源配

分を達成し生産することができるこれにより非熟練労働者を必要とし労働集約的な工程が東ア

ジア各国などの低賃金国にシフトし高付加価値名財や工程の生産を日本国内に特化させるよう

になるこうして電気機械器具製造業において非熟練労働者の需要は減少し非熟練労働者数は

減少していることが考えられるのではないだろうかまた高付加価値産業への生産の集約や経

営資源の集中により非熟練労働者の需要は減るがその一方熟練労働者の需要は増え熟練労

働者数は上昇し熟練労働者比率が1990年代に上昇していることが考えられる

また一般機械産業輸送用機器産業を見てみても1990年代に熟練労働者比率は上昇してい

ることがわかるこうした産業の上昇の原因にも日本の低質な工程の低賃金国への生産拠点の

移行や日本国内のプラントや施設において高付加価値の工程へ資源集中や生産の集約の帰

結があげられる

1 熟練労働者比率=管理事務技術労働者数divide(生産労働者数+管理事務技術労働者数)

と定義した

10

次に衣服その他の繊維製品製造業に注目する図310によれば注目すべき点として19

98年ごろからの急速な熟練労働者比率の上昇が挙げられるここ5年の間に管理事務技術労

働者といった熟練労働者の比率は上昇し労働集約的な生産活動を東アジア各国を中心とする

低賃金国に移行させてきた帰結でないかということが予想されるこうした時期にバブルが崩壊し

デフレの進行に伴いユニクロなどの廉価な商品を販売する企業が活躍し廉価な消費財に高い

需要があったことを考えて見てもこの熟練労働者比率の上昇は大変興味深い結果である

322 製造業における賃金格差

前節では非熟練労働者と熟練労働者数の推移を観察してきたこの節では熟練労働者と非熟

練労働者の賃金格差について観察していきたい

まずデータについては前節と同様に賃金構造基本統計調査結果を利用したまた賃金につ

いては産業による特性を排除するため橘木他(1995)に倣い現金給与と年間賞与他の和を所定時

間と超過時間の和で除したものを各賃金とした

lt挿入 図36 図37gt

まず製造業全体の熟練労働者賃金比率をとった図36を見てみるこれを見てみると1998

年から2001年にかけて緩やかな上昇傾向であることがわかるしかし図37で示した Goumlrg

(2003) が1982年から1997年まで分析したイギリスの熟練労働者賃金比率のような一定した顕著

な上昇傾向は見られない日本では1992年まで下がり続け1998年までまた上がり1999年から

緩やかな上昇傾向であることが確認される日本においては熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差はそれほど拡大していないのかもしれない各種製造業における動向を分析するため産業

中分類で熟練労働者賃金比率を計測した

lt挿入 表33 図39 図311gt

表33を見てみるこの中で少し上昇しているのが飲料タバコ飼料製造業電気機械器具

製造業であるしかし図39で電気機械器具製造業を見てみると図38の熟練労働者比率の

上昇に比してそれほど大きな熟練労働者賃金比率の上昇は引き起こされていない図311の衣

服その他の繊維製品製造業を見てみても熟練労働者比率の上昇に比して賃金比率はそれほ

ど上昇していないその他の産業についてもはっきりとした熟練労働者賃金比率の上昇を読み取

ることができなかった日本の労働市場における賃金格差はそれほど拡大していない図35や

図37で確認できるようにアメリカやイギリスなどの欧米諸国は熟練労働者比率よりも熟練労働者

賃金比率のほうが顕著に上昇しており労働市場の動向は日本と同じではない

11

このように近年日本の労働市場のトレンドはイギリスやアメリカなどの多くの先進国とは大きく

異なる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が生まれているというよりも熟練労働者比率の上

昇という形で顕著に表れている323ではより詳しく賃金格差の拡大のスピードと熟練労働者

比率上昇のスピードとではどちらが速いかについて考察していきたい

323賃金格差と労働者数の関係

前節では産業別の熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差と熟練労働者比率についてみてき

たこの節では前節までの分析を踏まえ熟練労働者比率の変遷と熟練労働者賃金比率の変遷と

の両者の関係に焦点を当てていく

<挿入 図312 図313 図314>

この図は熟練労働者賃金比率を熟練労働者比率で除した図であるこの図上の折れ線が減

少していると熟練労働者賃金比率の上昇よりも熟練労働者比率の拡大が早いスピードで起こっ

ていることを意味するまた増加していると熟練労働者賃金比率のほうが熟練労働者比率より速

いスピードで拡大していることを意味し労働市場に賃金格差という影響をもたらしていることがい

える

ここで折れ線を見てみるとほとんどの産業においてこの値は減少しているほとんどの産業では

賃金格差の拡大というよりもむしろ熟練労働者比率の拡大のスピードが速いしかし食料品製

造業金属製造業において折れ線は上昇しておりこれらの産業においては熟練労働者比率の

拡大というよりも賃金格差として現れているしかしながら製造業内の産業において賃金格差の

拡大よりも熟練労働者比率の上昇のスピードが速く欧米とは異なった形で労働市場に変化が起き

ている

本節では日本のアウトソーシングの進展状況と近年の労働市場の動向について考察を進め

てきた近年日本企業の海外生産は活発化し部品貿易も拡大しアウトソーシングは進展してき

たまた労働市場を見てみても製造業の従業者数は減少し特に非熟練労働者が顕著に減少す

るなど大きな変化が起こっているそこで筆者はこうしたアウトソーシングの進展が労働市場に

何らかの影響を及ぼしているのではないかと考えた次節では日本においてアウトソーシングが

労働市場に与える影響について実証分析をしていく

4 実証分析

本章ではアウトソーシングの拡大がもたらす日本の労働市場内の非熟練労働者と熟練労働者

12

の賃金格差熟練労働者比率に与える影響について実証分析をすることにするまず1節では

本分析で用いる費用関数の回帰式の説明をする2節ではデータの出所について言及する

41モデルの説明

本節では私が用いた回帰分析のモデルの説明をする 私の分析ではAnderton and

Brenton(1998)の先行研究を参考とし分析を進めていきたい最初に彼等も用いた Berman et al

(1994)以来のアウトソーシングまたは偏向的技術進歩が熟練労働者と非熟練労働者に与える影

響について分析をした際のモデルとなるトランスログ型の可変費用関数を説明する

まずこのモデルの前提として i 産業の生産要素には資本 K と非熟練労働jと熟練労働kが存在

すると仮定するまたここで資本 K は短期的には固定要素であるとし熟練労働jと非熟練労働kは

可変要素であると仮定するT はアウトソーシングや偏向的技術進歩など i 産業の費用を変化させ

る要素を一括したものであるまたこの可変費用関数としてトランスログ型をとるとすると下のような

①式が出来上がる

ijij

iwjiiKTiiYTiTTiT

iiijiKJijij

YJikijj k

jk

ijj

jiKKiKiiyi

WTKTYTTT

KYWYWYWW

WKKYYYYC

lnlnln21

lnlnlnlnlnlnlnln21

ln)ln(21ln)ln(

21lnln 22

0

sum

sumsumsum sum

sum

+++++

++++

+++++=

φλλλλ

ρδδγ

γββααα

① ここで ln で一次微分しシェファードの補題を適用すると以下のような方程式が出来上がる

左辺は熟練労働向けの費用が総可変費用に占める比率である iW

iiwjK

jkiKjiYjjij TKYS φγδδα ++++= sumlnln ②

また価格を所与とするとトランスログ型の費用関数が一次同次でなければならないのでそのため

の条件が

0==== sumsumsumsumj

Yjj

iKj

iKK

iK δδγγ

であるまた規模に関して収穫一定であるので②式は次のような式に書き換えることができる

13

iiwjk

jiKjiYjjij T

WW

dKYS φδδα +

+++= lnlnln ③

そして③式の変化量をとると

+++=

k

jiYjiKjiijij W

WdYdKddTds lnlnln γδδφ ④

④式が出来上がる

ここで④式のうち YKT はともに外生変数であると仮定しているしかしk

j

WW

外生変数であると

は考えられないしたがって本研究では先行研究に倣い被説明変数に熟練労働者賃金支払

い比率をとる際の分析に関してはk

j

WW

を除外して推計することにする

本分析では可変費用の変化をもたらすその他の要因である T を先行研究に倣いアウトソーシン

グと偏向的技術進歩として分析を進めていくことにする回帰式は以下の⑤式に示す

( ) ititititititit UDMSdDRYdKddSW +++++= minus γλρβα lnamplnln 1 ⑤

そして⑤式を基にAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別のデータをプールさせパネルデ

ータで分析を始める

この式においてSW は総賃金支払いに占める熟練労働者への賃金支払いK は資本ストック

Y はアウトプットであるMS はアウトソーシングの代理変数である本研究では Anderton and

Brenton (1998)に倣い産業別の貿易額をアウトソーシングの代理変数とするまた先行研究と同

様に産業別の輸入額を全世界から東アジアから東アジア以外からの輸入額に分けて取得し

た近年日本の多国籍企業の安価な労働力を求めた東アジアへの進出や東アジア各国での

労働集約的部品の輸入が上昇していることを3節で確認したこのため日本の労働市場へ影響を

与えていると予想されるアウトソーシングは東アジアからの輸入額が一番近いと考えられるまた

RampD は偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率である労働市場の賃金格差や熟

練労働者比率に与える影響として本分析では主にアウトソーシング として分析を進めるが欧米

の先行研究ではアウトソーシングとするものと偏向的技術進歩とするものの論争が巻き起こった

Berman et al (1994)も偏向的技術進歩とした研究であった日本においても賃金格差や熟練労

働者比率の拡大に偏向的技術進歩が考えられるため研究開発費比率を追加して分析を進めて

いくなお研究開発比率の波及効果は即時現れずタイムラグを経て賃金に影響を与えると予

14

想されるので添え字を i-1 としている

次に被説明変数に全従業者に占める熟練労働者の従業者比率を取った回帰式を分析する

⑤式は可変費用関数を変形したものであり左辺の熟練労働者賃金支払い比率を熟練労働者

比率として比較考察することは理論的背景は弱いしかし両推計を比較考察することはアウト

ソーシングが労働市場に影響を与えるメカニズムを解明する上で大変興味深いそのため

Machin (1998)や Anderton and Brenton (1998)と同様に賃金比率を従業者比率に変えた回帰式に

ついても分析を進めていく以下の⑥式である

( ) itititititititit UDRWdMSdDRYdKddSE ++++++= minus γϖλρβα lnlnamplnln 1 ⑥

ここでRW は非熟練労働者の賃金に対する熟練労働者の賃金であるこのモデルではパネル

データを取って分析していくパネルデータの分析に際しては一般的に固定効果モデルと変量効

果モデルの 2 種類の推定法が考えられるこの分析では各変数のトレンドとして産業による特性

が考慮され重要なファクターとなってくるこのため先行研究に倣いダミー変数で産業の特性を

コントロールした固定効果モデルで推定していくことにする

42 データ

本分析でのデータは次のものを利用したまず熟練労働者と非熟練労働者の賃金そして従業

者については厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査報告の昭和63年度から

平成13年度調査結果の10人以上の事業所を対象とした男性の統計結果を使用した 産業につ

いては産業中分類の製造業 F12~F34 までの中でデータの制約上F21(石油製品石炭製品製

造業)F24(なめし皮同製品毛皮製造業)F33(武器製造業)F34(その他製造業)を除外し

た19産業で分析を進めていくことにする次に資本ストックについては経済産業省が毎年実施し

公表している工業統計表産業編の製造業産業中分類別で集計してある有形固定資産額の投資

総額を資本ストックとしたまた付加価値も工業統計表産業編の調査結果を使用し有形固定資

産総額と同様に製造業の産業中分類別に平成元年~平成13年調査結果からとった

次に貿易データについて言及する本分析においては先行研究による途上国からの産業別の

輸入額を日本の多国籍企業が多く進出し低賃金の豊富な労働資源を利用し低品質な工程

や低付加価値な財を生産している東アジアからの産業別の輸入額としたここで東アジアとは

ASEAN 諸国(カンボジアタイマレーシアベトナムインドネシアラオスブルネイフィリピン

シンガポール)中国韓国香港としたデータの出所については全世界からの貿易量国別の

貿易量共に1988年から2001年まで国連のデータベースである United Nations Statistics

Division Commodity Trade Statistics Database から SITC(R1)で取得したそれにより得られた商品

別の貿易データを小浜木村(1995)総務省ホームページを参照に日本標準産業分類の製造

15

業産業中分類別にコンバート1することにより日本標準産業分類別の貿易額を得たなお1992

年は当データベースにおいて結果が提供されておらず除外したまた当データデータベースに

おいてドルベースのためInternational Financial Statistics より PPP 換算した為替レートを参照し円

換算することにより分析を進めた

次に偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率について言及するここで研究開発

費は総務省統計局が出版している科学技術調査研究の調査結果を利用した科学技術研究調

査における産業分類と日本標準産業分類とは産業分類が異なるためお互いをマッチングさせて

分析を進めなければならない科学技術研究調査の付録を参照に日本標準産業分類を科学技

術調査研究が製造業において分析対象である14産業にコンバートさせた日本標準産業分類に

おける F12(食料品製造業)と F13(飲料たばこ飼料製造業)を集計し科学技術調査研究の食

品製造業としたまたF14(繊維工業)と F15(衣服その他の繊維製造業)を集計し科学技術調

査研究の繊維製造業とした一連の集計作業において非熟練労働者と熟練労働者の賃金を集

計する際には従業者数でウエイト付けしたまた日本標準産業分類と科学技術研究調査報告に

おいてマッチングの悪い F16(木材木製品製造業)F17(家具装備品製造業)F29(一般機械

器具製造業)の産業については偏向的技術進歩を回帰式に加える分析からは削除したこれによ

り説明変数に偏向的技術進歩を加える分析に関しては14産業で分析することする

43予想される符号結果

この分析で予想される符号を下の表に図示する先行研究と同じような結果になることが予想さ

れる

予想される符号 RampD 貿易額 (全世界)

貿易額 (東アジア)

貿易額(東アジ

ア以外)

熟練労働者賃金比率 + + + +

熟練労働者比率 + + + +

まず非説明変数に熟練労働者賃金比率をとったときの予想を見てみるRampD の符号を見てみ

ると一連の RampD と熟練労働者と非熟練労働者との関係を示した論文と同様にプラスの符号が

予想されるこれは研究開発費が増えるほど国内に資本集約的で高付加価値な生産活動に集

約することにより非熟練労働者の労働需要が落ち込み賃金が下がることが予想されるためである

次に貿易額の符号を見てみるこれは東アジア全世界ともプラスの係数が予想されるこれは

日本以外の低賃金の国から労働集約的で低質な財の輸入額が上昇することにより日本国内の

低質な財を作る労働集約的な財の生産が海外にシフトし生産労働者の労働需要が落ち込み非

1 データの利用上の注意については APPENDIX 参照

16

熟練労働者の賃金が減少することが予想されるまた資本集約的な工程や財の生産に特化する

ことにより熟練労働者への労働需要があがり熟練労働者賃金が上がることも予想される

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの予想される符号を見てみるRDに関して

は研究開発比率が増えるほど熟練労働者を必要とし資本集約的な工程や財に生産を特化し

非熟練労働者への労働需要が落ち込み労働者数が減少することが予想されるこのためプラス

であることが予想される最後にアウトソーシングの代理変数である貿易額を見てみるこれも同

様に低賃金国からの労働集約的な部品や財の輸入額が上昇することにより国内の労働集約的

な生産工程や非熟練労働者を多く必要とする労働集約な財の生産は海外の低賃金国にシフトし

非熟練労働者への労働需要は落ち込み非熟練労働者数が減少することが予想される

しかしAnderton and Brenton(1998)がイギリスで行った先行研究とは異なる結果が出る可能性

がある熟練労働者賃金比率を被説明変数としたときに輸入額の係数が有意に推定されない可

能性があるそれは日本においては賃金格差があまり広がっていないことが原因としてあげられ

る3節で概観したように2000年にかけてのアウトソーシングの進展に比して製造業の熟練労

働者賃金比率を個別に概観してみると顕著に上昇している産業はあまり確認することはできなか

った一方熟練労働者比率は産業別に見てみても顕著に上昇しているこのためアウトソーシ

ングの進展により熟練労働者比率に大きく影響を与えていることが予想される

44 結果考察

lt挿入 表41gt

表41は被説明変数を熟練労働者賃金比率とした時の回帰分析の結果であるこの回帰分析

結果において(1a)~(1c)を見てみるとAnderton and Brenton (1998)の先行研究とは大きく異な

る結果であることがわかるまず注目すべき点として輸入額の係数を見てみると全世界東アジア

東アジアの国以外からの係数がそろって有意な係数が推定されていないこのことより産業別の

輸入額がアウトソーシングの帰結の一部であると考えるとアウトソーシングが国内の熟練労働者と

非熟練労働者の賃金格差に影響を与えているとは言えないことがわかる

また(1d)~(1f)の研究開発比率を回帰式に加えた式を見ても各方面からの輸入額研究開

発費の項に有意な係数は推定されていない

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの結果を見てみる

lt挿入 表43gt

表42は被説明変数を熟練労働者比率とした時の回帰分析の結果であるまず研究開発費

を回帰式に加えない(2a)~(2c)までの分析結果を見てみると全世界からの輸入額東アジア

17

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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23

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 9: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

いて未曾有の精緻な生産ネットワークが作られている

このように日本を含む東アジアにおいては製造業の貿易や部品貿易がヨーロッパや南北ア

メリカの他地域と比して活発に行なわれており特に機械産業の貿易額に占める比率は大変大きく

部品貿易の額も大きいさらに東アジアにおいては日本企業も大きく関わる精緻な生産流通

ネットワークが形成されており工程間分業が盛んに行なわれている日本国内や日本企業を巻

き込む工程間分業が近年進展していることは明らかであるこのため日本においてもアメリカやイ

ギリスなどで確認されたように労働集約的な生産プロセスの低賃金国へのアウトソーシングにより

労働市場に大きく影響を及ぼしている可能性がある次節では日本の労働市場について概観し

ていきたい

32日本の労働市場

本節では近年の日本国内における労働市場の動向について分析していきたいなお本論文

は厚生労働省実施の賃金構造基本統計調査の生産労働者を非熟練労働者管理事務技術

労働者を熟練労働者と定義して分析を進めていくまた賃金構造基本統計調査上の10人以上

の事業所における男性の調査結果を使用する

<図33>

まず図33を見てみるこれは日本標準産業分類において産業大分類で製造業を見たとき

の1988年から2001年までの男子の総従業者数と非熟練労働者と熟練労働者数の変遷である

この図を見ると1990年を境として製造業に置ける労働者数は大きく減少していることがわかる

さらに熟練労働者と非熟練労働者の変遷を見てみる熟練労働者数は若干であるが減少してい

るが大きな減少は見られない一方非熟練労働者数を見てみると顕著に減少していることが見て

とれるこのように近年製造業において非熟練労働者と熟練労働者の間に変化が起こっている

ことがわかる

このため本節では製造業における熟練労働者と非熟練労働者の関係について詳しく概観して

いきたい

321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移

本節では日本国内の製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の関係を日本標準産業

分類の大分類で見ていく

<挿入 図34 図35 >

9

まず図34を見てみるこれは賃金構造基本統計調査結果が収録されている賃金センサスを

用いて分析した製造業の熟練労働者比率1であるこれによると熟練労働者比率は1998年から

2001年にかけて顕著な上昇傾向を見せている図33で確認できるように1990年代非熟練

労働者数が減少し熟練労働者数が増加してきたかもしくは熟練労働者数と非熟練労働者数との

差が減少してきていることがわかるこれは日本企業の海外展開や東アジアにおける工程間分業

の進展により労働集約的で特殊な技術力を必要としない部品の製造や組立てを賃金の安い海

外へ生産活動をシフトさせ日本は資本集約的な生産工程や高い技術力を必要とする高付加価

値品へ特化してきた結果かもしれない

次に製造業の中でも特にどの産業が熟練労働者比率を上昇させてきているかを見てみるため

に日本標準産業分類の中分類で分析してみるデータについては厚生労働省実施の賃金構造

基本統計調査結果の原本を使用した

<挿入 表32 図38 図310 >

表32は産業中分類で見た製造業の熟練労働者比率であるここで電気機械器具製造業に注

目するために図38を見る電気機械器具製造業において1988年から2001年にかけて熟練

労働者比率が大きく増加しているこの増加の原因として東アジアにおける電気機械産業での工

程間分業が加速していることが考えられる電気機械産業は非常に多くの部品からなり多くの工

程を必要とするAndo and Kimura (2003)などで言われているように東アジアでは製造業特に

機械産業において機械部品の貿易が盛んに行なわれ非常に多くの生産拠点を東アジア各国

にフラグメントさせた工程間分業が起こり精緻な生産流通ネットワークが築かれているこうした

東アジアにおける工程間分業の進展により各国が比較優位を持つ工程に特化し最適な資源配

分を達成し生産することができるこれにより非熟練労働者を必要とし労働集約的な工程が東ア

ジア各国などの低賃金国にシフトし高付加価値名財や工程の生産を日本国内に特化させるよう

になるこうして電気機械器具製造業において非熟練労働者の需要は減少し非熟練労働者数は

減少していることが考えられるのではないだろうかまた高付加価値産業への生産の集約や経

営資源の集中により非熟練労働者の需要は減るがその一方熟練労働者の需要は増え熟練労

働者数は上昇し熟練労働者比率が1990年代に上昇していることが考えられる

また一般機械産業輸送用機器産業を見てみても1990年代に熟練労働者比率は上昇してい

ることがわかるこうした産業の上昇の原因にも日本の低質な工程の低賃金国への生産拠点の

移行や日本国内のプラントや施設において高付加価値の工程へ資源集中や生産の集約の帰

結があげられる

1 熟練労働者比率=管理事務技術労働者数divide(生産労働者数+管理事務技術労働者数)

と定義した

10

次に衣服その他の繊維製品製造業に注目する図310によれば注目すべき点として19

98年ごろからの急速な熟練労働者比率の上昇が挙げられるここ5年の間に管理事務技術労

働者といった熟練労働者の比率は上昇し労働集約的な生産活動を東アジア各国を中心とする

低賃金国に移行させてきた帰結でないかということが予想されるこうした時期にバブルが崩壊し

デフレの進行に伴いユニクロなどの廉価な商品を販売する企業が活躍し廉価な消費財に高い

需要があったことを考えて見てもこの熟練労働者比率の上昇は大変興味深い結果である

322 製造業における賃金格差

前節では非熟練労働者と熟練労働者数の推移を観察してきたこの節では熟練労働者と非熟

練労働者の賃金格差について観察していきたい

まずデータについては前節と同様に賃金構造基本統計調査結果を利用したまた賃金につ

いては産業による特性を排除するため橘木他(1995)に倣い現金給与と年間賞与他の和を所定時

間と超過時間の和で除したものを各賃金とした

lt挿入 図36 図37gt

まず製造業全体の熟練労働者賃金比率をとった図36を見てみるこれを見てみると1998

年から2001年にかけて緩やかな上昇傾向であることがわかるしかし図37で示した Goumlrg

(2003) が1982年から1997年まで分析したイギリスの熟練労働者賃金比率のような一定した顕著

な上昇傾向は見られない日本では1992年まで下がり続け1998年までまた上がり1999年から

緩やかな上昇傾向であることが確認される日本においては熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差はそれほど拡大していないのかもしれない各種製造業における動向を分析するため産業

中分類で熟練労働者賃金比率を計測した

lt挿入 表33 図39 図311gt

表33を見てみるこの中で少し上昇しているのが飲料タバコ飼料製造業電気機械器具

製造業であるしかし図39で電気機械器具製造業を見てみると図38の熟練労働者比率の

上昇に比してそれほど大きな熟練労働者賃金比率の上昇は引き起こされていない図311の衣

服その他の繊維製品製造業を見てみても熟練労働者比率の上昇に比して賃金比率はそれほ

ど上昇していないその他の産業についてもはっきりとした熟練労働者賃金比率の上昇を読み取

ることができなかった日本の労働市場における賃金格差はそれほど拡大していない図35や

図37で確認できるようにアメリカやイギリスなどの欧米諸国は熟練労働者比率よりも熟練労働者

賃金比率のほうが顕著に上昇しており労働市場の動向は日本と同じではない

11

このように近年日本の労働市場のトレンドはイギリスやアメリカなどの多くの先進国とは大きく

異なる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が生まれているというよりも熟練労働者比率の上

昇という形で顕著に表れている323ではより詳しく賃金格差の拡大のスピードと熟練労働者

比率上昇のスピードとではどちらが速いかについて考察していきたい

323賃金格差と労働者数の関係

前節では産業別の熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差と熟練労働者比率についてみてき

たこの節では前節までの分析を踏まえ熟練労働者比率の変遷と熟練労働者賃金比率の変遷と

の両者の関係に焦点を当てていく

<挿入 図312 図313 図314>

この図は熟練労働者賃金比率を熟練労働者比率で除した図であるこの図上の折れ線が減

少していると熟練労働者賃金比率の上昇よりも熟練労働者比率の拡大が早いスピードで起こっ

ていることを意味するまた増加していると熟練労働者賃金比率のほうが熟練労働者比率より速

いスピードで拡大していることを意味し労働市場に賃金格差という影響をもたらしていることがい

える

ここで折れ線を見てみるとほとんどの産業においてこの値は減少しているほとんどの産業では

賃金格差の拡大というよりもむしろ熟練労働者比率の拡大のスピードが速いしかし食料品製

造業金属製造業において折れ線は上昇しておりこれらの産業においては熟練労働者比率の

拡大というよりも賃金格差として現れているしかしながら製造業内の産業において賃金格差の

拡大よりも熟練労働者比率の上昇のスピードが速く欧米とは異なった形で労働市場に変化が起き

ている

本節では日本のアウトソーシングの進展状況と近年の労働市場の動向について考察を進め

てきた近年日本企業の海外生産は活発化し部品貿易も拡大しアウトソーシングは進展してき

たまた労働市場を見てみても製造業の従業者数は減少し特に非熟練労働者が顕著に減少す

るなど大きな変化が起こっているそこで筆者はこうしたアウトソーシングの進展が労働市場に

何らかの影響を及ぼしているのではないかと考えた次節では日本においてアウトソーシングが

労働市場に与える影響について実証分析をしていく

4 実証分析

本章ではアウトソーシングの拡大がもたらす日本の労働市場内の非熟練労働者と熟練労働者

12

の賃金格差熟練労働者比率に与える影響について実証分析をすることにするまず1節では

本分析で用いる費用関数の回帰式の説明をする2節ではデータの出所について言及する

41モデルの説明

本節では私が用いた回帰分析のモデルの説明をする 私の分析ではAnderton and

Brenton(1998)の先行研究を参考とし分析を進めていきたい最初に彼等も用いた Berman et al

(1994)以来のアウトソーシングまたは偏向的技術進歩が熟練労働者と非熟練労働者に与える影

響について分析をした際のモデルとなるトランスログ型の可変費用関数を説明する

まずこのモデルの前提として i 産業の生産要素には資本 K と非熟練労働jと熟練労働kが存在

すると仮定するまたここで資本 K は短期的には固定要素であるとし熟練労働jと非熟練労働kは

可変要素であると仮定するT はアウトソーシングや偏向的技術進歩など i 産業の費用を変化させ

る要素を一括したものであるまたこの可変費用関数としてトランスログ型をとるとすると下のような

①式が出来上がる

ijij

iwjiiKTiiYTiTTiT

iiijiKJijij

YJikijj k

jk

ijj

jiKKiKiiyi

WTKTYTTT

KYWYWYWW

WKKYYYYC

lnlnln21

lnlnlnlnlnlnlnln21

ln)ln(21ln)ln(

21lnln 22

0

sum

sumsumsum sum

sum

+++++

++++

+++++=

φλλλλ

ρδδγ

γββααα

① ここで ln で一次微分しシェファードの補題を適用すると以下のような方程式が出来上がる

左辺は熟練労働向けの費用が総可変費用に占める比率である iW

iiwjK

jkiKjiYjjij TKYS φγδδα ++++= sumlnln ②

また価格を所与とするとトランスログ型の費用関数が一次同次でなければならないのでそのため

の条件が

0==== sumsumsumsumj

Yjj

iKj

iKK

iK δδγγ

であるまた規模に関して収穫一定であるので②式は次のような式に書き換えることができる

13

iiwjk

jiKjiYjjij T

WW

dKYS φδδα +

+++= lnlnln ③

そして③式の変化量をとると

+++=

k

jiYjiKjiijij W

WdYdKddTds lnlnln γδδφ ④

④式が出来上がる

ここで④式のうち YKT はともに外生変数であると仮定しているしかしk

j

WW

外生変数であると

は考えられないしたがって本研究では先行研究に倣い被説明変数に熟練労働者賃金支払

い比率をとる際の分析に関してはk

j

WW

を除外して推計することにする

本分析では可変費用の変化をもたらすその他の要因である T を先行研究に倣いアウトソーシン

グと偏向的技術進歩として分析を進めていくことにする回帰式は以下の⑤式に示す

( ) ititititititit UDMSdDRYdKddSW +++++= minus γλρβα lnamplnln 1 ⑤

そして⑤式を基にAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別のデータをプールさせパネルデ

ータで分析を始める

この式においてSW は総賃金支払いに占める熟練労働者への賃金支払いK は資本ストック

Y はアウトプットであるMS はアウトソーシングの代理変数である本研究では Anderton and

Brenton (1998)に倣い産業別の貿易額をアウトソーシングの代理変数とするまた先行研究と同

様に産業別の輸入額を全世界から東アジアから東アジア以外からの輸入額に分けて取得し

た近年日本の多国籍企業の安価な労働力を求めた東アジアへの進出や東アジア各国での

労働集約的部品の輸入が上昇していることを3節で確認したこのため日本の労働市場へ影響を

与えていると予想されるアウトソーシングは東アジアからの輸入額が一番近いと考えられるまた

RampD は偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率である労働市場の賃金格差や熟

練労働者比率に与える影響として本分析では主にアウトソーシング として分析を進めるが欧米

の先行研究ではアウトソーシングとするものと偏向的技術進歩とするものの論争が巻き起こった

Berman et al (1994)も偏向的技術進歩とした研究であった日本においても賃金格差や熟練労

働者比率の拡大に偏向的技術進歩が考えられるため研究開発費比率を追加して分析を進めて

いくなお研究開発比率の波及効果は即時現れずタイムラグを経て賃金に影響を与えると予

14

想されるので添え字を i-1 としている

次に被説明変数に全従業者に占める熟練労働者の従業者比率を取った回帰式を分析する

⑤式は可変費用関数を変形したものであり左辺の熟練労働者賃金支払い比率を熟練労働者

比率として比較考察することは理論的背景は弱いしかし両推計を比較考察することはアウト

ソーシングが労働市場に影響を与えるメカニズムを解明する上で大変興味深いそのため

Machin (1998)や Anderton and Brenton (1998)と同様に賃金比率を従業者比率に変えた回帰式に

ついても分析を進めていく以下の⑥式である

( ) itititititititit UDRWdMSdDRYdKddSE ++++++= minus γϖλρβα lnlnamplnln 1 ⑥

ここでRW は非熟練労働者の賃金に対する熟練労働者の賃金であるこのモデルではパネル

データを取って分析していくパネルデータの分析に際しては一般的に固定効果モデルと変量効

果モデルの 2 種類の推定法が考えられるこの分析では各変数のトレンドとして産業による特性

が考慮され重要なファクターとなってくるこのため先行研究に倣いダミー変数で産業の特性を

コントロールした固定効果モデルで推定していくことにする

42 データ

本分析でのデータは次のものを利用したまず熟練労働者と非熟練労働者の賃金そして従業

者については厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査報告の昭和63年度から

平成13年度調査結果の10人以上の事業所を対象とした男性の統計結果を使用した 産業につ

いては産業中分類の製造業 F12~F34 までの中でデータの制約上F21(石油製品石炭製品製

造業)F24(なめし皮同製品毛皮製造業)F33(武器製造業)F34(その他製造業)を除外し

た19産業で分析を進めていくことにする次に資本ストックについては経済産業省が毎年実施し

公表している工業統計表産業編の製造業産業中分類別で集計してある有形固定資産額の投資

総額を資本ストックとしたまた付加価値も工業統計表産業編の調査結果を使用し有形固定資

産総額と同様に製造業の産業中分類別に平成元年~平成13年調査結果からとった

次に貿易データについて言及する本分析においては先行研究による途上国からの産業別の

輸入額を日本の多国籍企業が多く進出し低賃金の豊富な労働資源を利用し低品質な工程

や低付加価値な財を生産している東アジアからの産業別の輸入額としたここで東アジアとは

ASEAN 諸国(カンボジアタイマレーシアベトナムインドネシアラオスブルネイフィリピン

シンガポール)中国韓国香港としたデータの出所については全世界からの貿易量国別の

貿易量共に1988年から2001年まで国連のデータベースである United Nations Statistics

Division Commodity Trade Statistics Database から SITC(R1)で取得したそれにより得られた商品

別の貿易データを小浜木村(1995)総務省ホームページを参照に日本標準産業分類の製造

15

業産業中分類別にコンバート1することにより日本標準産業分類別の貿易額を得たなお1992

年は当データベースにおいて結果が提供されておらず除外したまた当データデータベースに

おいてドルベースのためInternational Financial Statistics より PPP 換算した為替レートを参照し円

換算することにより分析を進めた

次に偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率について言及するここで研究開発

費は総務省統計局が出版している科学技術調査研究の調査結果を利用した科学技術研究調

査における産業分類と日本標準産業分類とは産業分類が異なるためお互いをマッチングさせて

分析を進めなければならない科学技術研究調査の付録を参照に日本標準産業分類を科学技

術調査研究が製造業において分析対象である14産業にコンバートさせた日本標準産業分類に

おける F12(食料品製造業)と F13(飲料たばこ飼料製造業)を集計し科学技術調査研究の食

品製造業としたまたF14(繊維工業)と F15(衣服その他の繊維製造業)を集計し科学技術調

査研究の繊維製造業とした一連の集計作業において非熟練労働者と熟練労働者の賃金を集

計する際には従業者数でウエイト付けしたまた日本標準産業分類と科学技術研究調査報告に

おいてマッチングの悪い F16(木材木製品製造業)F17(家具装備品製造業)F29(一般機械

器具製造業)の産業については偏向的技術進歩を回帰式に加える分析からは削除したこれによ

り説明変数に偏向的技術進歩を加える分析に関しては14産業で分析することする

43予想される符号結果

この分析で予想される符号を下の表に図示する先行研究と同じような結果になることが予想さ

れる

予想される符号 RampD 貿易額 (全世界)

貿易額 (東アジア)

貿易額(東アジ

ア以外)

熟練労働者賃金比率 + + + +

熟練労働者比率 + + + +

まず非説明変数に熟練労働者賃金比率をとったときの予想を見てみるRampD の符号を見てみ

ると一連の RampD と熟練労働者と非熟練労働者との関係を示した論文と同様にプラスの符号が

予想されるこれは研究開発費が増えるほど国内に資本集約的で高付加価値な生産活動に集

約することにより非熟練労働者の労働需要が落ち込み賃金が下がることが予想されるためである

次に貿易額の符号を見てみるこれは東アジア全世界ともプラスの係数が予想されるこれは

日本以外の低賃金の国から労働集約的で低質な財の輸入額が上昇することにより日本国内の

低質な財を作る労働集約的な財の生産が海外にシフトし生産労働者の労働需要が落ち込み非

1 データの利用上の注意については APPENDIX 参照

16

熟練労働者の賃金が減少することが予想されるまた資本集約的な工程や財の生産に特化する

ことにより熟練労働者への労働需要があがり熟練労働者賃金が上がることも予想される

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの予想される符号を見てみるRDに関して

は研究開発比率が増えるほど熟練労働者を必要とし資本集約的な工程や財に生産を特化し

非熟練労働者への労働需要が落ち込み労働者数が減少することが予想されるこのためプラス

であることが予想される最後にアウトソーシングの代理変数である貿易額を見てみるこれも同

様に低賃金国からの労働集約的な部品や財の輸入額が上昇することにより国内の労働集約的

な生産工程や非熟練労働者を多く必要とする労働集約な財の生産は海外の低賃金国にシフトし

非熟練労働者への労働需要は落ち込み非熟練労働者数が減少することが予想される

しかしAnderton and Brenton(1998)がイギリスで行った先行研究とは異なる結果が出る可能性

がある熟練労働者賃金比率を被説明変数としたときに輸入額の係数が有意に推定されない可

能性があるそれは日本においては賃金格差があまり広がっていないことが原因としてあげられ

る3節で概観したように2000年にかけてのアウトソーシングの進展に比して製造業の熟練労

働者賃金比率を個別に概観してみると顕著に上昇している産業はあまり確認することはできなか

った一方熟練労働者比率は産業別に見てみても顕著に上昇しているこのためアウトソーシ

ングの進展により熟練労働者比率に大きく影響を与えていることが予想される

44 結果考察

lt挿入 表41gt

表41は被説明変数を熟練労働者賃金比率とした時の回帰分析の結果であるこの回帰分析

結果において(1a)~(1c)を見てみるとAnderton and Brenton (1998)の先行研究とは大きく異な

る結果であることがわかるまず注目すべき点として輸入額の係数を見てみると全世界東アジア

東アジアの国以外からの係数がそろって有意な係数が推定されていないこのことより産業別の

輸入額がアウトソーシングの帰結の一部であると考えるとアウトソーシングが国内の熟練労働者と

非熟練労働者の賃金格差に影響を与えているとは言えないことがわかる

また(1d)~(1f)の研究開発比率を回帰式に加えた式を見ても各方面からの輸入額研究開

発費の項に有意な係数は推定されていない

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの結果を見てみる

lt挿入 表43gt

表42は被説明変数を熟練労働者比率とした時の回帰分析の結果であるまず研究開発費

を回帰式に加えない(2a)~(2c)までの分析結果を見てみると全世界からの輸入額東アジア

17

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

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24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 10: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

まず図34を見てみるこれは賃金構造基本統計調査結果が収録されている賃金センサスを

用いて分析した製造業の熟練労働者比率1であるこれによると熟練労働者比率は1998年から

2001年にかけて顕著な上昇傾向を見せている図33で確認できるように1990年代非熟練

労働者数が減少し熟練労働者数が増加してきたかもしくは熟練労働者数と非熟練労働者数との

差が減少してきていることがわかるこれは日本企業の海外展開や東アジアにおける工程間分業

の進展により労働集約的で特殊な技術力を必要としない部品の製造や組立てを賃金の安い海

外へ生産活動をシフトさせ日本は資本集約的な生産工程や高い技術力を必要とする高付加価

値品へ特化してきた結果かもしれない

次に製造業の中でも特にどの産業が熟練労働者比率を上昇させてきているかを見てみるため

に日本標準産業分類の中分類で分析してみるデータについては厚生労働省実施の賃金構造

基本統計調査結果の原本を使用した

<挿入 表32 図38 図310 >

表32は産業中分類で見た製造業の熟練労働者比率であるここで電気機械器具製造業に注

目するために図38を見る電気機械器具製造業において1988年から2001年にかけて熟練

労働者比率が大きく増加しているこの増加の原因として東アジアにおける電気機械産業での工

程間分業が加速していることが考えられる電気機械産業は非常に多くの部品からなり多くの工

程を必要とするAndo and Kimura (2003)などで言われているように東アジアでは製造業特に

機械産業において機械部品の貿易が盛んに行なわれ非常に多くの生産拠点を東アジア各国

にフラグメントさせた工程間分業が起こり精緻な生産流通ネットワークが築かれているこうした

東アジアにおける工程間分業の進展により各国が比較優位を持つ工程に特化し最適な資源配

分を達成し生産することができるこれにより非熟練労働者を必要とし労働集約的な工程が東ア

ジア各国などの低賃金国にシフトし高付加価値名財や工程の生産を日本国内に特化させるよう

になるこうして電気機械器具製造業において非熟練労働者の需要は減少し非熟練労働者数は

減少していることが考えられるのではないだろうかまた高付加価値産業への生産の集約や経

営資源の集中により非熟練労働者の需要は減るがその一方熟練労働者の需要は増え熟練労

働者数は上昇し熟練労働者比率が1990年代に上昇していることが考えられる

また一般機械産業輸送用機器産業を見てみても1990年代に熟練労働者比率は上昇してい

ることがわかるこうした産業の上昇の原因にも日本の低質な工程の低賃金国への生産拠点の

移行や日本国内のプラントや施設において高付加価値の工程へ資源集中や生産の集約の帰

結があげられる

1 熟練労働者比率=管理事務技術労働者数divide(生産労働者数+管理事務技術労働者数)

と定義した

10

次に衣服その他の繊維製品製造業に注目する図310によれば注目すべき点として19

98年ごろからの急速な熟練労働者比率の上昇が挙げられるここ5年の間に管理事務技術労

働者といった熟練労働者の比率は上昇し労働集約的な生産活動を東アジア各国を中心とする

低賃金国に移行させてきた帰結でないかということが予想されるこうした時期にバブルが崩壊し

デフレの進行に伴いユニクロなどの廉価な商品を販売する企業が活躍し廉価な消費財に高い

需要があったことを考えて見てもこの熟練労働者比率の上昇は大変興味深い結果である

322 製造業における賃金格差

前節では非熟練労働者と熟練労働者数の推移を観察してきたこの節では熟練労働者と非熟

練労働者の賃金格差について観察していきたい

まずデータについては前節と同様に賃金構造基本統計調査結果を利用したまた賃金につ

いては産業による特性を排除するため橘木他(1995)に倣い現金給与と年間賞与他の和を所定時

間と超過時間の和で除したものを各賃金とした

lt挿入 図36 図37gt

まず製造業全体の熟練労働者賃金比率をとった図36を見てみるこれを見てみると1998

年から2001年にかけて緩やかな上昇傾向であることがわかるしかし図37で示した Goumlrg

(2003) が1982年から1997年まで分析したイギリスの熟練労働者賃金比率のような一定した顕著

な上昇傾向は見られない日本では1992年まで下がり続け1998年までまた上がり1999年から

緩やかな上昇傾向であることが確認される日本においては熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差はそれほど拡大していないのかもしれない各種製造業における動向を分析するため産業

中分類で熟練労働者賃金比率を計測した

lt挿入 表33 図39 図311gt

表33を見てみるこの中で少し上昇しているのが飲料タバコ飼料製造業電気機械器具

製造業であるしかし図39で電気機械器具製造業を見てみると図38の熟練労働者比率の

上昇に比してそれほど大きな熟練労働者賃金比率の上昇は引き起こされていない図311の衣

服その他の繊維製品製造業を見てみても熟練労働者比率の上昇に比して賃金比率はそれほ

ど上昇していないその他の産業についてもはっきりとした熟練労働者賃金比率の上昇を読み取

ることができなかった日本の労働市場における賃金格差はそれほど拡大していない図35や

図37で確認できるようにアメリカやイギリスなどの欧米諸国は熟練労働者比率よりも熟練労働者

賃金比率のほうが顕著に上昇しており労働市場の動向は日本と同じではない

11

このように近年日本の労働市場のトレンドはイギリスやアメリカなどの多くの先進国とは大きく

異なる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が生まれているというよりも熟練労働者比率の上

昇という形で顕著に表れている323ではより詳しく賃金格差の拡大のスピードと熟練労働者

比率上昇のスピードとではどちらが速いかについて考察していきたい

323賃金格差と労働者数の関係

前節では産業別の熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差と熟練労働者比率についてみてき

たこの節では前節までの分析を踏まえ熟練労働者比率の変遷と熟練労働者賃金比率の変遷と

の両者の関係に焦点を当てていく

<挿入 図312 図313 図314>

この図は熟練労働者賃金比率を熟練労働者比率で除した図であるこの図上の折れ線が減

少していると熟練労働者賃金比率の上昇よりも熟練労働者比率の拡大が早いスピードで起こっ

ていることを意味するまた増加していると熟練労働者賃金比率のほうが熟練労働者比率より速

いスピードで拡大していることを意味し労働市場に賃金格差という影響をもたらしていることがい

える

ここで折れ線を見てみるとほとんどの産業においてこの値は減少しているほとんどの産業では

賃金格差の拡大というよりもむしろ熟練労働者比率の拡大のスピードが速いしかし食料品製

造業金属製造業において折れ線は上昇しておりこれらの産業においては熟練労働者比率の

拡大というよりも賃金格差として現れているしかしながら製造業内の産業において賃金格差の

拡大よりも熟練労働者比率の上昇のスピードが速く欧米とは異なった形で労働市場に変化が起き

ている

本節では日本のアウトソーシングの進展状況と近年の労働市場の動向について考察を進め

てきた近年日本企業の海外生産は活発化し部品貿易も拡大しアウトソーシングは進展してき

たまた労働市場を見てみても製造業の従業者数は減少し特に非熟練労働者が顕著に減少す

るなど大きな変化が起こっているそこで筆者はこうしたアウトソーシングの進展が労働市場に

何らかの影響を及ぼしているのではないかと考えた次節では日本においてアウトソーシングが

労働市場に与える影響について実証分析をしていく

4 実証分析

本章ではアウトソーシングの拡大がもたらす日本の労働市場内の非熟練労働者と熟練労働者

12

の賃金格差熟練労働者比率に与える影響について実証分析をすることにするまず1節では

本分析で用いる費用関数の回帰式の説明をする2節ではデータの出所について言及する

41モデルの説明

本節では私が用いた回帰分析のモデルの説明をする 私の分析ではAnderton and

Brenton(1998)の先行研究を参考とし分析を進めていきたい最初に彼等も用いた Berman et al

(1994)以来のアウトソーシングまたは偏向的技術進歩が熟練労働者と非熟練労働者に与える影

響について分析をした際のモデルとなるトランスログ型の可変費用関数を説明する

まずこのモデルの前提として i 産業の生産要素には資本 K と非熟練労働jと熟練労働kが存在

すると仮定するまたここで資本 K は短期的には固定要素であるとし熟練労働jと非熟練労働kは

可変要素であると仮定するT はアウトソーシングや偏向的技術進歩など i 産業の費用を変化させ

る要素を一括したものであるまたこの可変費用関数としてトランスログ型をとるとすると下のような

①式が出来上がる

ijij

iwjiiKTiiYTiTTiT

iiijiKJijij

YJikijj k

jk

ijj

jiKKiKiiyi

WTKTYTTT

KYWYWYWW

WKKYYYYC

lnlnln21

lnlnlnlnlnlnlnln21

ln)ln(21ln)ln(

21lnln 22

0

sum

sumsumsum sum

sum

+++++

++++

+++++=

φλλλλ

ρδδγ

γββααα

① ここで ln で一次微分しシェファードの補題を適用すると以下のような方程式が出来上がる

左辺は熟練労働向けの費用が総可変費用に占める比率である iW

iiwjK

jkiKjiYjjij TKYS φγδδα ++++= sumlnln ②

また価格を所与とするとトランスログ型の費用関数が一次同次でなければならないのでそのため

の条件が

0==== sumsumsumsumj

Yjj

iKj

iKK

iK δδγγ

であるまた規模に関して収穫一定であるので②式は次のような式に書き換えることができる

13

iiwjk

jiKjiYjjij T

WW

dKYS φδδα +

+++= lnlnln ③

そして③式の変化量をとると

+++=

k

jiYjiKjiijij W

WdYdKddTds lnlnln γδδφ ④

④式が出来上がる

ここで④式のうち YKT はともに外生変数であると仮定しているしかしk

j

WW

外生変数であると

は考えられないしたがって本研究では先行研究に倣い被説明変数に熟練労働者賃金支払

い比率をとる際の分析に関してはk

j

WW

を除外して推計することにする

本分析では可変費用の変化をもたらすその他の要因である T を先行研究に倣いアウトソーシン

グと偏向的技術進歩として分析を進めていくことにする回帰式は以下の⑤式に示す

( ) ititititititit UDMSdDRYdKddSW +++++= minus γλρβα lnamplnln 1 ⑤

そして⑤式を基にAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別のデータをプールさせパネルデ

ータで分析を始める

この式においてSW は総賃金支払いに占める熟練労働者への賃金支払いK は資本ストック

Y はアウトプットであるMS はアウトソーシングの代理変数である本研究では Anderton and

Brenton (1998)に倣い産業別の貿易額をアウトソーシングの代理変数とするまた先行研究と同

様に産業別の輸入額を全世界から東アジアから東アジア以外からの輸入額に分けて取得し

た近年日本の多国籍企業の安価な労働力を求めた東アジアへの進出や東アジア各国での

労働集約的部品の輸入が上昇していることを3節で確認したこのため日本の労働市場へ影響を

与えていると予想されるアウトソーシングは東アジアからの輸入額が一番近いと考えられるまた

RampD は偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率である労働市場の賃金格差や熟

練労働者比率に与える影響として本分析では主にアウトソーシング として分析を進めるが欧米

の先行研究ではアウトソーシングとするものと偏向的技術進歩とするものの論争が巻き起こった

Berman et al (1994)も偏向的技術進歩とした研究であった日本においても賃金格差や熟練労

働者比率の拡大に偏向的技術進歩が考えられるため研究開発費比率を追加して分析を進めて

いくなお研究開発比率の波及効果は即時現れずタイムラグを経て賃金に影響を与えると予

14

想されるので添え字を i-1 としている

次に被説明変数に全従業者に占める熟練労働者の従業者比率を取った回帰式を分析する

⑤式は可変費用関数を変形したものであり左辺の熟練労働者賃金支払い比率を熟練労働者

比率として比較考察することは理論的背景は弱いしかし両推計を比較考察することはアウト

ソーシングが労働市場に影響を与えるメカニズムを解明する上で大変興味深いそのため

Machin (1998)や Anderton and Brenton (1998)と同様に賃金比率を従業者比率に変えた回帰式に

ついても分析を進めていく以下の⑥式である

( ) itititititititit UDRWdMSdDRYdKddSE ++++++= minus γϖλρβα lnlnamplnln 1 ⑥

ここでRW は非熟練労働者の賃金に対する熟練労働者の賃金であるこのモデルではパネル

データを取って分析していくパネルデータの分析に際しては一般的に固定効果モデルと変量効

果モデルの 2 種類の推定法が考えられるこの分析では各変数のトレンドとして産業による特性

が考慮され重要なファクターとなってくるこのため先行研究に倣いダミー変数で産業の特性を

コントロールした固定効果モデルで推定していくことにする

42 データ

本分析でのデータは次のものを利用したまず熟練労働者と非熟練労働者の賃金そして従業

者については厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査報告の昭和63年度から

平成13年度調査結果の10人以上の事業所を対象とした男性の統計結果を使用した 産業につ

いては産業中分類の製造業 F12~F34 までの中でデータの制約上F21(石油製品石炭製品製

造業)F24(なめし皮同製品毛皮製造業)F33(武器製造業)F34(その他製造業)を除外し

た19産業で分析を進めていくことにする次に資本ストックについては経済産業省が毎年実施し

公表している工業統計表産業編の製造業産業中分類別で集計してある有形固定資産額の投資

総額を資本ストックとしたまた付加価値も工業統計表産業編の調査結果を使用し有形固定資

産総額と同様に製造業の産業中分類別に平成元年~平成13年調査結果からとった

次に貿易データについて言及する本分析においては先行研究による途上国からの産業別の

輸入額を日本の多国籍企業が多く進出し低賃金の豊富な労働資源を利用し低品質な工程

や低付加価値な財を生産している東アジアからの産業別の輸入額としたここで東アジアとは

ASEAN 諸国(カンボジアタイマレーシアベトナムインドネシアラオスブルネイフィリピン

シンガポール)中国韓国香港としたデータの出所については全世界からの貿易量国別の

貿易量共に1988年から2001年まで国連のデータベースである United Nations Statistics

Division Commodity Trade Statistics Database から SITC(R1)で取得したそれにより得られた商品

別の貿易データを小浜木村(1995)総務省ホームページを参照に日本標準産業分類の製造

15

業産業中分類別にコンバート1することにより日本標準産業分類別の貿易額を得たなお1992

年は当データベースにおいて結果が提供されておらず除外したまた当データデータベースに

おいてドルベースのためInternational Financial Statistics より PPP 換算した為替レートを参照し円

換算することにより分析を進めた

次に偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率について言及するここで研究開発

費は総務省統計局が出版している科学技術調査研究の調査結果を利用した科学技術研究調

査における産業分類と日本標準産業分類とは産業分類が異なるためお互いをマッチングさせて

分析を進めなければならない科学技術研究調査の付録を参照に日本標準産業分類を科学技

術調査研究が製造業において分析対象である14産業にコンバートさせた日本標準産業分類に

おける F12(食料品製造業)と F13(飲料たばこ飼料製造業)を集計し科学技術調査研究の食

品製造業としたまたF14(繊維工業)と F15(衣服その他の繊維製造業)を集計し科学技術調

査研究の繊維製造業とした一連の集計作業において非熟練労働者と熟練労働者の賃金を集

計する際には従業者数でウエイト付けしたまた日本標準産業分類と科学技術研究調査報告に

おいてマッチングの悪い F16(木材木製品製造業)F17(家具装備品製造業)F29(一般機械

器具製造業)の産業については偏向的技術進歩を回帰式に加える分析からは削除したこれによ

り説明変数に偏向的技術進歩を加える分析に関しては14産業で分析することする

43予想される符号結果

この分析で予想される符号を下の表に図示する先行研究と同じような結果になることが予想さ

れる

予想される符号 RampD 貿易額 (全世界)

貿易額 (東アジア)

貿易額(東アジ

ア以外)

熟練労働者賃金比率 + + + +

熟練労働者比率 + + + +

まず非説明変数に熟練労働者賃金比率をとったときの予想を見てみるRampD の符号を見てみ

ると一連の RampD と熟練労働者と非熟練労働者との関係を示した論文と同様にプラスの符号が

予想されるこれは研究開発費が増えるほど国内に資本集約的で高付加価値な生産活動に集

約することにより非熟練労働者の労働需要が落ち込み賃金が下がることが予想されるためである

次に貿易額の符号を見てみるこれは東アジア全世界ともプラスの係数が予想されるこれは

日本以外の低賃金の国から労働集約的で低質な財の輸入額が上昇することにより日本国内の

低質な財を作る労働集約的な財の生産が海外にシフトし生産労働者の労働需要が落ち込み非

1 データの利用上の注意については APPENDIX 参照

16

熟練労働者の賃金が減少することが予想されるまた資本集約的な工程や財の生産に特化する

ことにより熟練労働者への労働需要があがり熟練労働者賃金が上がることも予想される

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの予想される符号を見てみるRDに関して

は研究開発比率が増えるほど熟練労働者を必要とし資本集約的な工程や財に生産を特化し

非熟練労働者への労働需要が落ち込み労働者数が減少することが予想されるこのためプラス

であることが予想される最後にアウトソーシングの代理変数である貿易額を見てみるこれも同

様に低賃金国からの労働集約的な部品や財の輸入額が上昇することにより国内の労働集約的

な生産工程や非熟練労働者を多く必要とする労働集約な財の生産は海外の低賃金国にシフトし

非熟練労働者への労働需要は落ち込み非熟練労働者数が減少することが予想される

しかしAnderton and Brenton(1998)がイギリスで行った先行研究とは異なる結果が出る可能性

がある熟練労働者賃金比率を被説明変数としたときに輸入額の係数が有意に推定されない可

能性があるそれは日本においては賃金格差があまり広がっていないことが原因としてあげられ

る3節で概観したように2000年にかけてのアウトソーシングの進展に比して製造業の熟練労

働者賃金比率を個別に概観してみると顕著に上昇している産業はあまり確認することはできなか

った一方熟練労働者比率は産業別に見てみても顕著に上昇しているこのためアウトソーシ

ングの進展により熟練労働者比率に大きく影響を与えていることが予想される

44 結果考察

lt挿入 表41gt

表41は被説明変数を熟練労働者賃金比率とした時の回帰分析の結果であるこの回帰分析

結果において(1a)~(1c)を見てみるとAnderton and Brenton (1998)の先行研究とは大きく異な

る結果であることがわかるまず注目すべき点として輸入額の係数を見てみると全世界東アジア

東アジアの国以外からの係数がそろって有意な係数が推定されていないこのことより産業別の

輸入額がアウトソーシングの帰結の一部であると考えるとアウトソーシングが国内の熟練労働者と

非熟練労働者の賃金格差に影響を与えているとは言えないことがわかる

また(1d)~(1f)の研究開発比率を回帰式に加えた式を見ても各方面からの輸入額研究開

発費の項に有意な係数は推定されていない

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの結果を見てみる

lt挿入 表43gt

表42は被説明変数を熟練労働者比率とした時の回帰分析の結果であるまず研究開発費

を回帰式に加えない(2a)~(2c)までの分析結果を見てみると全世界からの輸入額東アジア

17

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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23

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 11: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

次に衣服その他の繊維製品製造業に注目する図310によれば注目すべき点として19

98年ごろからの急速な熟練労働者比率の上昇が挙げられるここ5年の間に管理事務技術労

働者といった熟練労働者の比率は上昇し労働集約的な生産活動を東アジア各国を中心とする

低賃金国に移行させてきた帰結でないかということが予想されるこうした時期にバブルが崩壊し

デフレの進行に伴いユニクロなどの廉価な商品を販売する企業が活躍し廉価な消費財に高い

需要があったことを考えて見てもこの熟練労働者比率の上昇は大変興味深い結果である

322 製造業における賃金格差

前節では非熟練労働者と熟練労働者数の推移を観察してきたこの節では熟練労働者と非熟

練労働者の賃金格差について観察していきたい

まずデータについては前節と同様に賃金構造基本統計調査結果を利用したまた賃金につ

いては産業による特性を排除するため橘木他(1995)に倣い現金給与と年間賞与他の和を所定時

間と超過時間の和で除したものを各賃金とした

lt挿入 図36 図37gt

まず製造業全体の熟練労働者賃金比率をとった図36を見てみるこれを見てみると1998

年から2001年にかけて緩やかな上昇傾向であることがわかるしかし図37で示した Goumlrg

(2003) が1982年から1997年まで分析したイギリスの熟練労働者賃金比率のような一定した顕著

な上昇傾向は見られない日本では1992年まで下がり続け1998年までまた上がり1999年から

緩やかな上昇傾向であることが確認される日本においては熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差はそれほど拡大していないのかもしれない各種製造業における動向を分析するため産業

中分類で熟練労働者賃金比率を計測した

lt挿入 表33 図39 図311gt

表33を見てみるこの中で少し上昇しているのが飲料タバコ飼料製造業電気機械器具

製造業であるしかし図39で電気機械器具製造業を見てみると図38の熟練労働者比率の

上昇に比してそれほど大きな熟練労働者賃金比率の上昇は引き起こされていない図311の衣

服その他の繊維製品製造業を見てみても熟練労働者比率の上昇に比して賃金比率はそれほ

ど上昇していないその他の産業についてもはっきりとした熟練労働者賃金比率の上昇を読み取

ることができなかった日本の労働市場における賃金格差はそれほど拡大していない図35や

図37で確認できるようにアメリカやイギリスなどの欧米諸国は熟練労働者比率よりも熟練労働者

賃金比率のほうが顕著に上昇しており労働市場の動向は日本と同じではない

11

このように近年日本の労働市場のトレンドはイギリスやアメリカなどの多くの先進国とは大きく

異なる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が生まれているというよりも熟練労働者比率の上

昇という形で顕著に表れている323ではより詳しく賃金格差の拡大のスピードと熟練労働者

比率上昇のスピードとではどちらが速いかについて考察していきたい

323賃金格差と労働者数の関係

前節では産業別の熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差と熟練労働者比率についてみてき

たこの節では前節までの分析を踏まえ熟練労働者比率の変遷と熟練労働者賃金比率の変遷と

の両者の関係に焦点を当てていく

<挿入 図312 図313 図314>

この図は熟練労働者賃金比率を熟練労働者比率で除した図であるこの図上の折れ線が減

少していると熟練労働者賃金比率の上昇よりも熟練労働者比率の拡大が早いスピードで起こっ

ていることを意味するまた増加していると熟練労働者賃金比率のほうが熟練労働者比率より速

いスピードで拡大していることを意味し労働市場に賃金格差という影響をもたらしていることがい

える

ここで折れ線を見てみるとほとんどの産業においてこの値は減少しているほとんどの産業では

賃金格差の拡大というよりもむしろ熟練労働者比率の拡大のスピードが速いしかし食料品製

造業金属製造業において折れ線は上昇しておりこれらの産業においては熟練労働者比率の

拡大というよりも賃金格差として現れているしかしながら製造業内の産業において賃金格差の

拡大よりも熟練労働者比率の上昇のスピードが速く欧米とは異なった形で労働市場に変化が起き

ている

本節では日本のアウトソーシングの進展状況と近年の労働市場の動向について考察を進め

てきた近年日本企業の海外生産は活発化し部品貿易も拡大しアウトソーシングは進展してき

たまた労働市場を見てみても製造業の従業者数は減少し特に非熟練労働者が顕著に減少す

るなど大きな変化が起こっているそこで筆者はこうしたアウトソーシングの進展が労働市場に

何らかの影響を及ぼしているのではないかと考えた次節では日本においてアウトソーシングが

労働市場に与える影響について実証分析をしていく

4 実証分析

本章ではアウトソーシングの拡大がもたらす日本の労働市場内の非熟練労働者と熟練労働者

12

の賃金格差熟練労働者比率に与える影響について実証分析をすることにするまず1節では

本分析で用いる費用関数の回帰式の説明をする2節ではデータの出所について言及する

41モデルの説明

本節では私が用いた回帰分析のモデルの説明をする 私の分析ではAnderton and

Brenton(1998)の先行研究を参考とし分析を進めていきたい最初に彼等も用いた Berman et al

(1994)以来のアウトソーシングまたは偏向的技術進歩が熟練労働者と非熟練労働者に与える影

響について分析をした際のモデルとなるトランスログ型の可変費用関数を説明する

まずこのモデルの前提として i 産業の生産要素には資本 K と非熟練労働jと熟練労働kが存在

すると仮定するまたここで資本 K は短期的には固定要素であるとし熟練労働jと非熟練労働kは

可変要素であると仮定するT はアウトソーシングや偏向的技術進歩など i 産業の費用を変化させ

る要素を一括したものであるまたこの可変費用関数としてトランスログ型をとるとすると下のような

①式が出来上がる

ijij

iwjiiKTiiYTiTTiT

iiijiKJijij

YJikijj k

jk

ijj

jiKKiKiiyi

WTKTYTTT

KYWYWYWW

WKKYYYYC

lnlnln21

lnlnlnlnlnlnlnln21

ln)ln(21ln)ln(

21lnln 22

0

sum

sumsumsum sum

sum

+++++

++++

+++++=

φλλλλ

ρδδγ

γββααα

① ここで ln で一次微分しシェファードの補題を適用すると以下のような方程式が出来上がる

左辺は熟練労働向けの費用が総可変費用に占める比率である iW

iiwjK

jkiKjiYjjij TKYS φγδδα ++++= sumlnln ②

また価格を所与とするとトランスログ型の費用関数が一次同次でなければならないのでそのため

の条件が

0==== sumsumsumsumj

Yjj

iKj

iKK

iK δδγγ

であるまた規模に関して収穫一定であるので②式は次のような式に書き換えることができる

13

iiwjk

jiKjiYjjij T

WW

dKYS φδδα +

+++= lnlnln ③

そして③式の変化量をとると

+++=

k

jiYjiKjiijij W

WdYdKddTds lnlnln γδδφ ④

④式が出来上がる

ここで④式のうち YKT はともに外生変数であると仮定しているしかしk

j

WW

外生変数であると

は考えられないしたがって本研究では先行研究に倣い被説明変数に熟練労働者賃金支払

い比率をとる際の分析に関してはk

j

WW

を除外して推計することにする

本分析では可変費用の変化をもたらすその他の要因である T を先行研究に倣いアウトソーシン

グと偏向的技術進歩として分析を進めていくことにする回帰式は以下の⑤式に示す

( ) ititititititit UDMSdDRYdKddSW +++++= minus γλρβα lnamplnln 1 ⑤

そして⑤式を基にAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別のデータをプールさせパネルデ

ータで分析を始める

この式においてSW は総賃金支払いに占める熟練労働者への賃金支払いK は資本ストック

Y はアウトプットであるMS はアウトソーシングの代理変数である本研究では Anderton and

Brenton (1998)に倣い産業別の貿易額をアウトソーシングの代理変数とするまた先行研究と同

様に産業別の輸入額を全世界から東アジアから東アジア以外からの輸入額に分けて取得し

た近年日本の多国籍企業の安価な労働力を求めた東アジアへの進出や東アジア各国での

労働集約的部品の輸入が上昇していることを3節で確認したこのため日本の労働市場へ影響を

与えていると予想されるアウトソーシングは東アジアからの輸入額が一番近いと考えられるまた

RampD は偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率である労働市場の賃金格差や熟

練労働者比率に与える影響として本分析では主にアウトソーシング として分析を進めるが欧米

の先行研究ではアウトソーシングとするものと偏向的技術進歩とするものの論争が巻き起こった

Berman et al (1994)も偏向的技術進歩とした研究であった日本においても賃金格差や熟練労

働者比率の拡大に偏向的技術進歩が考えられるため研究開発費比率を追加して分析を進めて

いくなお研究開発比率の波及効果は即時現れずタイムラグを経て賃金に影響を与えると予

14

想されるので添え字を i-1 としている

次に被説明変数に全従業者に占める熟練労働者の従業者比率を取った回帰式を分析する

⑤式は可変費用関数を変形したものであり左辺の熟練労働者賃金支払い比率を熟練労働者

比率として比較考察することは理論的背景は弱いしかし両推計を比較考察することはアウト

ソーシングが労働市場に影響を与えるメカニズムを解明する上で大変興味深いそのため

Machin (1998)や Anderton and Brenton (1998)と同様に賃金比率を従業者比率に変えた回帰式に

ついても分析を進めていく以下の⑥式である

( ) itititititititit UDRWdMSdDRYdKddSE ++++++= minus γϖλρβα lnlnamplnln 1 ⑥

ここでRW は非熟練労働者の賃金に対する熟練労働者の賃金であるこのモデルではパネル

データを取って分析していくパネルデータの分析に際しては一般的に固定効果モデルと変量効

果モデルの 2 種類の推定法が考えられるこの分析では各変数のトレンドとして産業による特性

が考慮され重要なファクターとなってくるこのため先行研究に倣いダミー変数で産業の特性を

コントロールした固定効果モデルで推定していくことにする

42 データ

本分析でのデータは次のものを利用したまず熟練労働者と非熟練労働者の賃金そして従業

者については厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査報告の昭和63年度から

平成13年度調査結果の10人以上の事業所を対象とした男性の統計結果を使用した 産業につ

いては産業中分類の製造業 F12~F34 までの中でデータの制約上F21(石油製品石炭製品製

造業)F24(なめし皮同製品毛皮製造業)F33(武器製造業)F34(その他製造業)を除外し

た19産業で分析を進めていくことにする次に資本ストックについては経済産業省が毎年実施し

公表している工業統計表産業編の製造業産業中分類別で集計してある有形固定資産額の投資

総額を資本ストックとしたまた付加価値も工業統計表産業編の調査結果を使用し有形固定資

産総額と同様に製造業の産業中分類別に平成元年~平成13年調査結果からとった

次に貿易データについて言及する本分析においては先行研究による途上国からの産業別の

輸入額を日本の多国籍企業が多く進出し低賃金の豊富な労働資源を利用し低品質な工程

や低付加価値な財を生産している東アジアからの産業別の輸入額としたここで東アジアとは

ASEAN 諸国(カンボジアタイマレーシアベトナムインドネシアラオスブルネイフィリピン

シンガポール)中国韓国香港としたデータの出所については全世界からの貿易量国別の

貿易量共に1988年から2001年まで国連のデータベースである United Nations Statistics

Division Commodity Trade Statistics Database から SITC(R1)で取得したそれにより得られた商品

別の貿易データを小浜木村(1995)総務省ホームページを参照に日本標準産業分類の製造

15

業産業中分類別にコンバート1することにより日本標準産業分類別の貿易額を得たなお1992

年は当データベースにおいて結果が提供されておらず除外したまた当データデータベースに

おいてドルベースのためInternational Financial Statistics より PPP 換算した為替レートを参照し円

換算することにより分析を進めた

次に偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率について言及するここで研究開発

費は総務省統計局が出版している科学技術調査研究の調査結果を利用した科学技術研究調

査における産業分類と日本標準産業分類とは産業分類が異なるためお互いをマッチングさせて

分析を進めなければならない科学技術研究調査の付録を参照に日本標準産業分類を科学技

術調査研究が製造業において分析対象である14産業にコンバートさせた日本標準産業分類に

おける F12(食料品製造業)と F13(飲料たばこ飼料製造業)を集計し科学技術調査研究の食

品製造業としたまたF14(繊維工業)と F15(衣服その他の繊維製造業)を集計し科学技術調

査研究の繊維製造業とした一連の集計作業において非熟練労働者と熟練労働者の賃金を集

計する際には従業者数でウエイト付けしたまた日本標準産業分類と科学技術研究調査報告に

おいてマッチングの悪い F16(木材木製品製造業)F17(家具装備品製造業)F29(一般機械

器具製造業)の産業については偏向的技術進歩を回帰式に加える分析からは削除したこれによ

り説明変数に偏向的技術進歩を加える分析に関しては14産業で分析することする

43予想される符号結果

この分析で予想される符号を下の表に図示する先行研究と同じような結果になることが予想さ

れる

予想される符号 RampD 貿易額 (全世界)

貿易額 (東アジア)

貿易額(東アジ

ア以外)

熟練労働者賃金比率 + + + +

熟練労働者比率 + + + +

まず非説明変数に熟練労働者賃金比率をとったときの予想を見てみるRampD の符号を見てみ

ると一連の RampD と熟練労働者と非熟練労働者との関係を示した論文と同様にプラスの符号が

予想されるこれは研究開発費が増えるほど国内に資本集約的で高付加価値な生産活動に集

約することにより非熟練労働者の労働需要が落ち込み賃金が下がることが予想されるためである

次に貿易額の符号を見てみるこれは東アジア全世界ともプラスの係数が予想されるこれは

日本以外の低賃金の国から労働集約的で低質な財の輸入額が上昇することにより日本国内の

低質な財を作る労働集約的な財の生産が海外にシフトし生産労働者の労働需要が落ち込み非

1 データの利用上の注意については APPENDIX 参照

16

熟練労働者の賃金が減少することが予想されるまた資本集約的な工程や財の生産に特化する

ことにより熟練労働者への労働需要があがり熟練労働者賃金が上がることも予想される

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの予想される符号を見てみるRDに関して

は研究開発比率が増えるほど熟練労働者を必要とし資本集約的な工程や財に生産を特化し

非熟練労働者への労働需要が落ち込み労働者数が減少することが予想されるこのためプラス

であることが予想される最後にアウトソーシングの代理変数である貿易額を見てみるこれも同

様に低賃金国からの労働集約的な部品や財の輸入額が上昇することにより国内の労働集約的

な生産工程や非熟練労働者を多く必要とする労働集約な財の生産は海外の低賃金国にシフトし

非熟練労働者への労働需要は落ち込み非熟練労働者数が減少することが予想される

しかしAnderton and Brenton(1998)がイギリスで行った先行研究とは異なる結果が出る可能性

がある熟練労働者賃金比率を被説明変数としたときに輸入額の係数が有意に推定されない可

能性があるそれは日本においては賃金格差があまり広がっていないことが原因としてあげられ

る3節で概観したように2000年にかけてのアウトソーシングの進展に比して製造業の熟練労

働者賃金比率を個別に概観してみると顕著に上昇している産業はあまり確認することはできなか

った一方熟練労働者比率は産業別に見てみても顕著に上昇しているこのためアウトソーシ

ングの進展により熟練労働者比率に大きく影響を与えていることが予想される

44 結果考察

lt挿入 表41gt

表41は被説明変数を熟練労働者賃金比率とした時の回帰分析の結果であるこの回帰分析

結果において(1a)~(1c)を見てみるとAnderton and Brenton (1998)の先行研究とは大きく異な

る結果であることがわかるまず注目すべき点として輸入額の係数を見てみると全世界東アジア

東アジアの国以外からの係数がそろって有意な係数が推定されていないこのことより産業別の

輸入額がアウトソーシングの帰結の一部であると考えるとアウトソーシングが国内の熟練労働者と

非熟練労働者の賃金格差に影響を与えているとは言えないことがわかる

また(1d)~(1f)の研究開発比率を回帰式に加えた式を見ても各方面からの輸入額研究開

発費の項に有意な係数は推定されていない

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの結果を見てみる

lt挿入 表43gt

表42は被説明変数を熟練労働者比率とした時の回帰分析の結果であるまず研究開発費

を回帰式に加えない(2a)~(2c)までの分析結果を見てみると全世界からの輸入額東アジア

17

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 12: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

このように近年日本の労働市場のトレンドはイギリスやアメリカなどの多くの先進国とは大きく

異なる熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が生まれているというよりも熟練労働者比率の上

昇という形で顕著に表れている323ではより詳しく賃金格差の拡大のスピードと熟練労働者

比率上昇のスピードとではどちらが速いかについて考察していきたい

323賃金格差と労働者数の関係

前節では産業別の熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差と熟練労働者比率についてみてき

たこの節では前節までの分析を踏まえ熟練労働者比率の変遷と熟練労働者賃金比率の変遷と

の両者の関係に焦点を当てていく

<挿入 図312 図313 図314>

この図は熟練労働者賃金比率を熟練労働者比率で除した図であるこの図上の折れ線が減

少していると熟練労働者賃金比率の上昇よりも熟練労働者比率の拡大が早いスピードで起こっ

ていることを意味するまた増加していると熟練労働者賃金比率のほうが熟練労働者比率より速

いスピードで拡大していることを意味し労働市場に賃金格差という影響をもたらしていることがい

える

ここで折れ線を見てみるとほとんどの産業においてこの値は減少しているほとんどの産業では

賃金格差の拡大というよりもむしろ熟練労働者比率の拡大のスピードが速いしかし食料品製

造業金属製造業において折れ線は上昇しておりこれらの産業においては熟練労働者比率の

拡大というよりも賃金格差として現れているしかしながら製造業内の産業において賃金格差の

拡大よりも熟練労働者比率の上昇のスピードが速く欧米とは異なった形で労働市場に変化が起き

ている

本節では日本のアウトソーシングの進展状況と近年の労働市場の動向について考察を進め

てきた近年日本企業の海外生産は活発化し部品貿易も拡大しアウトソーシングは進展してき

たまた労働市場を見てみても製造業の従業者数は減少し特に非熟練労働者が顕著に減少す

るなど大きな変化が起こっているそこで筆者はこうしたアウトソーシングの進展が労働市場に

何らかの影響を及ぼしているのではないかと考えた次節では日本においてアウトソーシングが

労働市場に与える影響について実証分析をしていく

4 実証分析

本章ではアウトソーシングの拡大がもたらす日本の労働市場内の非熟練労働者と熟練労働者

12

の賃金格差熟練労働者比率に与える影響について実証分析をすることにするまず1節では

本分析で用いる費用関数の回帰式の説明をする2節ではデータの出所について言及する

41モデルの説明

本節では私が用いた回帰分析のモデルの説明をする 私の分析ではAnderton and

Brenton(1998)の先行研究を参考とし分析を進めていきたい最初に彼等も用いた Berman et al

(1994)以来のアウトソーシングまたは偏向的技術進歩が熟練労働者と非熟練労働者に与える影

響について分析をした際のモデルとなるトランスログ型の可変費用関数を説明する

まずこのモデルの前提として i 産業の生産要素には資本 K と非熟練労働jと熟練労働kが存在

すると仮定するまたここで資本 K は短期的には固定要素であるとし熟練労働jと非熟練労働kは

可変要素であると仮定するT はアウトソーシングや偏向的技術進歩など i 産業の費用を変化させ

る要素を一括したものであるまたこの可変費用関数としてトランスログ型をとるとすると下のような

①式が出来上がる

ijij

iwjiiKTiiYTiTTiT

iiijiKJijij

YJikijj k

jk

ijj

jiKKiKiiyi

WTKTYTTT

KYWYWYWW

WKKYYYYC

lnlnln21

lnlnlnlnlnlnlnln21

ln)ln(21ln)ln(

21lnln 22

0

sum

sumsumsum sum

sum

+++++

++++

+++++=

φλλλλ

ρδδγ

γββααα

① ここで ln で一次微分しシェファードの補題を適用すると以下のような方程式が出来上がる

左辺は熟練労働向けの費用が総可変費用に占める比率である iW

iiwjK

jkiKjiYjjij TKYS φγδδα ++++= sumlnln ②

また価格を所与とするとトランスログ型の費用関数が一次同次でなければならないのでそのため

の条件が

0==== sumsumsumsumj

Yjj

iKj

iKK

iK δδγγ

であるまた規模に関して収穫一定であるので②式は次のような式に書き換えることができる

13

iiwjk

jiKjiYjjij T

WW

dKYS φδδα +

+++= lnlnln ③

そして③式の変化量をとると

+++=

k

jiYjiKjiijij W

WdYdKddTds lnlnln γδδφ ④

④式が出来上がる

ここで④式のうち YKT はともに外生変数であると仮定しているしかしk

j

WW

外生変数であると

は考えられないしたがって本研究では先行研究に倣い被説明変数に熟練労働者賃金支払

い比率をとる際の分析に関してはk

j

WW

を除外して推計することにする

本分析では可変費用の変化をもたらすその他の要因である T を先行研究に倣いアウトソーシン

グと偏向的技術進歩として分析を進めていくことにする回帰式は以下の⑤式に示す

( ) ititititititit UDMSdDRYdKddSW +++++= minus γλρβα lnamplnln 1 ⑤

そして⑤式を基にAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別のデータをプールさせパネルデ

ータで分析を始める

この式においてSW は総賃金支払いに占める熟練労働者への賃金支払いK は資本ストック

Y はアウトプットであるMS はアウトソーシングの代理変数である本研究では Anderton and

Brenton (1998)に倣い産業別の貿易額をアウトソーシングの代理変数とするまた先行研究と同

様に産業別の輸入額を全世界から東アジアから東アジア以外からの輸入額に分けて取得し

た近年日本の多国籍企業の安価な労働力を求めた東アジアへの進出や東アジア各国での

労働集約的部品の輸入が上昇していることを3節で確認したこのため日本の労働市場へ影響を

与えていると予想されるアウトソーシングは東アジアからの輸入額が一番近いと考えられるまた

RampD は偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率である労働市場の賃金格差や熟

練労働者比率に与える影響として本分析では主にアウトソーシング として分析を進めるが欧米

の先行研究ではアウトソーシングとするものと偏向的技術進歩とするものの論争が巻き起こった

Berman et al (1994)も偏向的技術進歩とした研究であった日本においても賃金格差や熟練労

働者比率の拡大に偏向的技術進歩が考えられるため研究開発費比率を追加して分析を進めて

いくなお研究開発比率の波及効果は即時現れずタイムラグを経て賃金に影響を与えると予

14

想されるので添え字を i-1 としている

次に被説明変数に全従業者に占める熟練労働者の従業者比率を取った回帰式を分析する

⑤式は可変費用関数を変形したものであり左辺の熟練労働者賃金支払い比率を熟練労働者

比率として比較考察することは理論的背景は弱いしかし両推計を比較考察することはアウト

ソーシングが労働市場に影響を与えるメカニズムを解明する上で大変興味深いそのため

Machin (1998)や Anderton and Brenton (1998)と同様に賃金比率を従業者比率に変えた回帰式に

ついても分析を進めていく以下の⑥式である

( ) itititititititit UDRWdMSdDRYdKddSE ++++++= minus γϖλρβα lnlnamplnln 1 ⑥

ここでRW は非熟練労働者の賃金に対する熟練労働者の賃金であるこのモデルではパネル

データを取って分析していくパネルデータの分析に際しては一般的に固定効果モデルと変量効

果モデルの 2 種類の推定法が考えられるこの分析では各変数のトレンドとして産業による特性

が考慮され重要なファクターとなってくるこのため先行研究に倣いダミー変数で産業の特性を

コントロールした固定効果モデルで推定していくことにする

42 データ

本分析でのデータは次のものを利用したまず熟練労働者と非熟練労働者の賃金そして従業

者については厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査報告の昭和63年度から

平成13年度調査結果の10人以上の事業所を対象とした男性の統計結果を使用した 産業につ

いては産業中分類の製造業 F12~F34 までの中でデータの制約上F21(石油製品石炭製品製

造業)F24(なめし皮同製品毛皮製造業)F33(武器製造業)F34(その他製造業)を除外し

た19産業で分析を進めていくことにする次に資本ストックについては経済産業省が毎年実施し

公表している工業統計表産業編の製造業産業中分類別で集計してある有形固定資産額の投資

総額を資本ストックとしたまた付加価値も工業統計表産業編の調査結果を使用し有形固定資

産総額と同様に製造業の産業中分類別に平成元年~平成13年調査結果からとった

次に貿易データについて言及する本分析においては先行研究による途上国からの産業別の

輸入額を日本の多国籍企業が多く進出し低賃金の豊富な労働資源を利用し低品質な工程

や低付加価値な財を生産している東アジアからの産業別の輸入額としたここで東アジアとは

ASEAN 諸国(カンボジアタイマレーシアベトナムインドネシアラオスブルネイフィリピン

シンガポール)中国韓国香港としたデータの出所については全世界からの貿易量国別の

貿易量共に1988年から2001年まで国連のデータベースである United Nations Statistics

Division Commodity Trade Statistics Database から SITC(R1)で取得したそれにより得られた商品

別の貿易データを小浜木村(1995)総務省ホームページを参照に日本標準産業分類の製造

15

業産業中分類別にコンバート1することにより日本標準産業分類別の貿易額を得たなお1992

年は当データベースにおいて結果が提供されておらず除外したまた当データデータベースに

おいてドルベースのためInternational Financial Statistics より PPP 換算した為替レートを参照し円

換算することにより分析を進めた

次に偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率について言及するここで研究開発

費は総務省統計局が出版している科学技術調査研究の調査結果を利用した科学技術研究調

査における産業分類と日本標準産業分類とは産業分類が異なるためお互いをマッチングさせて

分析を進めなければならない科学技術研究調査の付録を参照に日本標準産業分類を科学技

術調査研究が製造業において分析対象である14産業にコンバートさせた日本標準産業分類に

おける F12(食料品製造業)と F13(飲料たばこ飼料製造業)を集計し科学技術調査研究の食

品製造業としたまたF14(繊維工業)と F15(衣服その他の繊維製造業)を集計し科学技術調

査研究の繊維製造業とした一連の集計作業において非熟練労働者と熟練労働者の賃金を集

計する際には従業者数でウエイト付けしたまた日本標準産業分類と科学技術研究調査報告に

おいてマッチングの悪い F16(木材木製品製造業)F17(家具装備品製造業)F29(一般機械

器具製造業)の産業については偏向的技術進歩を回帰式に加える分析からは削除したこれによ

り説明変数に偏向的技術進歩を加える分析に関しては14産業で分析することする

43予想される符号結果

この分析で予想される符号を下の表に図示する先行研究と同じような結果になることが予想さ

れる

予想される符号 RampD 貿易額 (全世界)

貿易額 (東アジア)

貿易額(東アジ

ア以外)

熟練労働者賃金比率 + + + +

熟練労働者比率 + + + +

まず非説明変数に熟練労働者賃金比率をとったときの予想を見てみるRampD の符号を見てみ

ると一連の RampD と熟練労働者と非熟練労働者との関係を示した論文と同様にプラスの符号が

予想されるこれは研究開発費が増えるほど国内に資本集約的で高付加価値な生産活動に集

約することにより非熟練労働者の労働需要が落ち込み賃金が下がることが予想されるためである

次に貿易額の符号を見てみるこれは東アジア全世界ともプラスの係数が予想されるこれは

日本以外の低賃金の国から労働集約的で低質な財の輸入額が上昇することにより日本国内の

低質な財を作る労働集約的な財の生産が海外にシフトし生産労働者の労働需要が落ち込み非

1 データの利用上の注意については APPENDIX 参照

16

熟練労働者の賃金が減少することが予想されるまた資本集約的な工程や財の生産に特化する

ことにより熟練労働者への労働需要があがり熟練労働者賃金が上がることも予想される

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの予想される符号を見てみるRDに関して

は研究開発比率が増えるほど熟練労働者を必要とし資本集約的な工程や財に生産を特化し

非熟練労働者への労働需要が落ち込み労働者数が減少することが予想されるこのためプラス

であることが予想される最後にアウトソーシングの代理変数である貿易額を見てみるこれも同

様に低賃金国からの労働集約的な部品や財の輸入額が上昇することにより国内の労働集約的

な生産工程や非熟練労働者を多く必要とする労働集約な財の生産は海外の低賃金国にシフトし

非熟練労働者への労働需要は落ち込み非熟練労働者数が減少することが予想される

しかしAnderton and Brenton(1998)がイギリスで行った先行研究とは異なる結果が出る可能性

がある熟練労働者賃金比率を被説明変数としたときに輸入額の係数が有意に推定されない可

能性があるそれは日本においては賃金格差があまり広がっていないことが原因としてあげられ

る3節で概観したように2000年にかけてのアウトソーシングの進展に比して製造業の熟練労

働者賃金比率を個別に概観してみると顕著に上昇している産業はあまり確認することはできなか

った一方熟練労働者比率は産業別に見てみても顕著に上昇しているこのためアウトソーシ

ングの進展により熟練労働者比率に大きく影響を与えていることが予想される

44 結果考察

lt挿入 表41gt

表41は被説明変数を熟練労働者賃金比率とした時の回帰分析の結果であるこの回帰分析

結果において(1a)~(1c)を見てみるとAnderton and Brenton (1998)の先行研究とは大きく異な

る結果であることがわかるまず注目すべき点として輸入額の係数を見てみると全世界東アジア

東アジアの国以外からの係数がそろって有意な係数が推定されていないこのことより産業別の

輸入額がアウトソーシングの帰結の一部であると考えるとアウトソーシングが国内の熟練労働者と

非熟練労働者の賃金格差に影響を与えているとは言えないことがわかる

また(1d)~(1f)の研究開発比率を回帰式に加えた式を見ても各方面からの輸入額研究開

発費の項に有意な係数は推定されていない

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの結果を見てみる

lt挿入 表43gt

表42は被説明変数を熟練労働者比率とした時の回帰分析の結果であるまず研究開発費

を回帰式に加えない(2a)~(2c)までの分析結果を見てみると全世界からの輸入額東アジア

17

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

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24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 13: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

の賃金格差熟練労働者比率に与える影響について実証分析をすることにするまず1節では

本分析で用いる費用関数の回帰式の説明をする2節ではデータの出所について言及する

41モデルの説明

本節では私が用いた回帰分析のモデルの説明をする 私の分析ではAnderton and

Brenton(1998)の先行研究を参考とし分析を進めていきたい最初に彼等も用いた Berman et al

(1994)以来のアウトソーシングまたは偏向的技術進歩が熟練労働者と非熟練労働者に与える影

響について分析をした際のモデルとなるトランスログ型の可変費用関数を説明する

まずこのモデルの前提として i 産業の生産要素には資本 K と非熟練労働jと熟練労働kが存在

すると仮定するまたここで資本 K は短期的には固定要素であるとし熟練労働jと非熟練労働kは

可変要素であると仮定するT はアウトソーシングや偏向的技術進歩など i 産業の費用を変化させ

る要素を一括したものであるまたこの可変費用関数としてトランスログ型をとるとすると下のような

①式が出来上がる

ijij

iwjiiKTiiYTiTTiT

iiijiKJijij

YJikijj k

jk

ijj

jiKKiKiiyi

WTKTYTTT

KYWYWYWW

WKKYYYYC

lnlnln21

lnlnlnlnlnlnlnln21

ln)ln(21ln)ln(

21lnln 22

0

sum

sumsumsum sum

sum

+++++

++++

+++++=

φλλλλ

ρδδγ

γββααα

① ここで ln で一次微分しシェファードの補題を適用すると以下のような方程式が出来上がる

左辺は熟練労働向けの費用が総可変費用に占める比率である iW

iiwjK

jkiKjiYjjij TKYS φγδδα ++++= sumlnln ②

また価格を所与とするとトランスログ型の費用関数が一次同次でなければならないのでそのため

の条件が

0==== sumsumsumsumj

Yjj

iKj

iKK

iK δδγγ

であるまた規模に関して収穫一定であるので②式は次のような式に書き換えることができる

13

iiwjk

jiKjiYjjij T

WW

dKYS φδδα +

+++= lnlnln ③

そして③式の変化量をとると

+++=

k

jiYjiKjiijij W

WdYdKddTds lnlnln γδδφ ④

④式が出来上がる

ここで④式のうち YKT はともに外生変数であると仮定しているしかしk

j

WW

外生変数であると

は考えられないしたがって本研究では先行研究に倣い被説明変数に熟練労働者賃金支払

い比率をとる際の分析に関してはk

j

WW

を除外して推計することにする

本分析では可変費用の変化をもたらすその他の要因である T を先行研究に倣いアウトソーシン

グと偏向的技術進歩として分析を進めていくことにする回帰式は以下の⑤式に示す

( ) ititititititit UDMSdDRYdKddSW +++++= minus γλρβα lnamplnln 1 ⑤

そして⑤式を基にAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別のデータをプールさせパネルデ

ータで分析を始める

この式においてSW は総賃金支払いに占める熟練労働者への賃金支払いK は資本ストック

Y はアウトプットであるMS はアウトソーシングの代理変数である本研究では Anderton and

Brenton (1998)に倣い産業別の貿易額をアウトソーシングの代理変数とするまた先行研究と同

様に産業別の輸入額を全世界から東アジアから東アジア以外からの輸入額に分けて取得し

た近年日本の多国籍企業の安価な労働力を求めた東アジアへの進出や東アジア各国での

労働集約的部品の輸入が上昇していることを3節で確認したこのため日本の労働市場へ影響を

与えていると予想されるアウトソーシングは東アジアからの輸入額が一番近いと考えられるまた

RampD は偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率である労働市場の賃金格差や熟

練労働者比率に与える影響として本分析では主にアウトソーシング として分析を進めるが欧米

の先行研究ではアウトソーシングとするものと偏向的技術進歩とするものの論争が巻き起こった

Berman et al (1994)も偏向的技術進歩とした研究であった日本においても賃金格差や熟練労

働者比率の拡大に偏向的技術進歩が考えられるため研究開発費比率を追加して分析を進めて

いくなお研究開発比率の波及効果は即時現れずタイムラグを経て賃金に影響を与えると予

14

想されるので添え字を i-1 としている

次に被説明変数に全従業者に占める熟練労働者の従業者比率を取った回帰式を分析する

⑤式は可変費用関数を変形したものであり左辺の熟練労働者賃金支払い比率を熟練労働者

比率として比較考察することは理論的背景は弱いしかし両推計を比較考察することはアウト

ソーシングが労働市場に影響を与えるメカニズムを解明する上で大変興味深いそのため

Machin (1998)や Anderton and Brenton (1998)と同様に賃金比率を従業者比率に変えた回帰式に

ついても分析を進めていく以下の⑥式である

( ) itititititititit UDRWdMSdDRYdKddSE ++++++= minus γϖλρβα lnlnamplnln 1 ⑥

ここでRW は非熟練労働者の賃金に対する熟練労働者の賃金であるこのモデルではパネル

データを取って分析していくパネルデータの分析に際しては一般的に固定効果モデルと変量効

果モデルの 2 種類の推定法が考えられるこの分析では各変数のトレンドとして産業による特性

が考慮され重要なファクターとなってくるこのため先行研究に倣いダミー変数で産業の特性を

コントロールした固定効果モデルで推定していくことにする

42 データ

本分析でのデータは次のものを利用したまず熟練労働者と非熟練労働者の賃金そして従業

者については厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査報告の昭和63年度から

平成13年度調査結果の10人以上の事業所を対象とした男性の統計結果を使用した 産業につ

いては産業中分類の製造業 F12~F34 までの中でデータの制約上F21(石油製品石炭製品製

造業)F24(なめし皮同製品毛皮製造業)F33(武器製造業)F34(その他製造業)を除外し

た19産業で分析を進めていくことにする次に資本ストックについては経済産業省が毎年実施し

公表している工業統計表産業編の製造業産業中分類別で集計してある有形固定資産額の投資

総額を資本ストックとしたまた付加価値も工業統計表産業編の調査結果を使用し有形固定資

産総額と同様に製造業の産業中分類別に平成元年~平成13年調査結果からとった

次に貿易データについて言及する本分析においては先行研究による途上国からの産業別の

輸入額を日本の多国籍企業が多く進出し低賃金の豊富な労働資源を利用し低品質な工程

や低付加価値な財を生産している東アジアからの産業別の輸入額としたここで東アジアとは

ASEAN 諸国(カンボジアタイマレーシアベトナムインドネシアラオスブルネイフィリピン

シンガポール)中国韓国香港としたデータの出所については全世界からの貿易量国別の

貿易量共に1988年から2001年まで国連のデータベースである United Nations Statistics

Division Commodity Trade Statistics Database から SITC(R1)で取得したそれにより得られた商品

別の貿易データを小浜木村(1995)総務省ホームページを参照に日本標準産業分類の製造

15

業産業中分類別にコンバート1することにより日本標準産業分類別の貿易額を得たなお1992

年は当データベースにおいて結果が提供されておらず除外したまた当データデータベースに

おいてドルベースのためInternational Financial Statistics より PPP 換算した為替レートを参照し円

換算することにより分析を進めた

次に偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率について言及するここで研究開発

費は総務省統計局が出版している科学技術調査研究の調査結果を利用した科学技術研究調

査における産業分類と日本標準産業分類とは産業分類が異なるためお互いをマッチングさせて

分析を進めなければならない科学技術研究調査の付録を参照に日本標準産業分類を科学技

術調査研究が製造業において分析対象である14産業にコンバートさせた日本標準産業分類に

おける F12(食料品製造業)と F13(飲料たばこ飼料製造業)を集計し科学技術調査研究の食

品製造業としたまたF14(繊維工業)と F15(衣服その他の繊維製造業)を集計し科学技術調

査研究の繊維製造業とした一連の集計作業において非熟練労働者と熟練労働者の賃金を集

計する際には従業者数でウエイト付けしたまた日本標準産業分類と科学技術研究調査報告に

おいてマッチングの悪い F16(木材木製品製造業)F17(家具装備品製造業)F29(一般機械

器具製造業)の産業については偏向的技術進歩を回帰式に加える分析からは削除したこれによ

り説明変数に偏向的技術進歩を加える分析に関しては14産業で分析することする

43予想される符号結果

この分析で予想される符号を下の表に図示する先行研究と同じような結果になることが予想さ

れる

予想される符号 RampD 貿易額 (全世界)

貿易額 (東アジア)

貿易額(東アジ

ア以外)

熟練労働者賃金比率 + + + +

熟練労働者比率 + + + +

まず非説明変数に熟練労働者賃金比率をとったときの予想を見てみるRampD の符号を見てみ

ると一連の RampD と熟練労働者と非熟練労働者との関係を示した論文と同様にプラスの符号が

予想されるこれは研究開発費が増えるほど国内に資本集約的で高付加価値な生産活動に集

約することにより非熟練労働者の労働需要が落ち込み賃金が下がることが予想されるためである

次に貿易額の符号を見てみるこれは東アジア全世界ともプラスの係数が予想されるこれは

日本以外の低賃金の国から労働集約的で低質な財の輸入額が上昇することにより日本国内の

低質な財を作る労働集約的な財の生産が海外にシフトし生産労働者の労働需要が落ち込み非

1 データの利用上の注意については APPENDIX 参照

16

熟練労働者の賃金が減少することが予想されるまた資本集約的な工程や財の生産に特化する

ことにより熟練労働者への労働需要があがり熟練労働者賃金が上がることも予想される

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの予想される符号を見てみるRDに関して

は研究開発比率が増えるほど熟練労働者を必要とし資本集約的な工程や財に生産を特化し

非熟練労働者への労働需要が落ち込み労働者数が減少することが予想されるこのためプラス

であることが予想される最後にアウトソーシングの代理変数である貿易額を見てみるこれも同

様に低賃金国からの労働集約的な部品や財の輸入額が上昇することにより国内の労働集約的

な生産工程や非熟練労働者を多く必要とする労働集約な財の生産は海外の低賃金国にシフトし

非熟練労働者への労働需要は落ち込み非熟練労働者数が減少することが予想される

しかしAnderton and Brenton(1998)がイギリスで行った先行研究とは異なる結果が出る可能性

がある熟練労働者賃金比率を被説明変数としたときに輸入額の係数が有意に推定されない可

能性があるそれは日本においては賃金格差があまり広がっていないことが原因としてあげられ

る3節で概観したように2000年にかけてのアウトソーシングの進展に比して製造業の熟練労

働者賃金比率を個別に概観してみると顕著に上昇している産業はあまり確認することはできなか

った一方熟練労働者比率は産業別に見てみても顕著に上昇しているこのためアウトソーシ

ングの進展により熟練労働者比率に大きく影響を与えていることが予想される

44 結果考察

lt挿入 表41gt

表41は被説明変数を熟練労働者賃金比率とした時の回帰分析の結果であるこの回帰分析

結果において(1a)~(1c)を見てみるとAnderton and Brenton (1998)の先行研究とは大きく異な

る結果であることがわかるまず注目すべき点として輸入額の係数を見てみると全世界東アジア

東アジアの国以外からの係数がそろって有意な係数が推定されていないこのことより産業別の

輸入額がアウトソーシングの帰結の一部であると考えるとアウトソーシングが国内の熟練労働者と

非熟練労働者の賃金格差に影響を与えているとは言えないことがわかる

また(1d)~(1f)の研究開発比率を回帰式に加えた式を見ても各方面からの輸入額研究開

発費の項に有意な係数は推定されていない

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの結果を見てみる

lt挿入 表43gt

表42は被説明変数を熟練労働者比率とした時の回帰分析の結果であるまず研究開発費

を回帰式に加えない(2a)~(2c)までの分析結果を見てみると全世界からの輸入額東アジア

17

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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工業統計表 産業編 昭和 63 年度調査結果~平成 13 年度調査結果 経済産業省

23

賃金構造基本統計調査報告 昭和 63 年度実施結果~平成 13 年度実施結果

賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 14: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

iiwjk

jiKjiYjjij T

WW

dKYS φδδα +

+++= lnlnln ③

そして③式の変化量をとると

+++=

k

jiYjiKjiijij W

WdYdKddTds lnlnln γδδφ ④

④式が出来上がる

ここで④式のうち YKT はともに外生変数であると仮定しているしかしk

j

WW

外生変数であると

は考えられないしたがって本研究では先行研究に倣い被説明変数に熟練労働者賃金支払

い比率をとる際の分析に関してはk

j

WW

を除外して推計することにする

本分析では可変費用の変化をもたらすその他の要因である T を先行研究に倣いアウトソーシン

グと偏向的技術進歩として分析を進めていくことにする回帰式は以下の⑤式に示す

( ) ititititititit UDMSdDRYdKddSW +++++= minus γλρβα lnamplnln 1 ⑤

そして⑤式を基にAnderton and Brenton (1998)に倣い産業別のデータをプールさせパネルデ

ータで分析を始める

この式においてSW は総賃金支払いに占める熟練労働者への賃金支払いK は資本ストック

Y はアウトプットであるMS はアウトソーシングの代理変数である本研究では Anderton and

Brenton (1998)に倣い産業別の貿易額をアウトソーシングの代理変数とするまた先行研究と同

様に産業別の輸入額を全世界から東アジアから東アジア以外からの輸入額に分けて取得し

た近年日本の多国籍企業の安価な労働力を求めた東アジアへの進出や東アジア各国での

労働集約的部品の輸入が上昇していることを3節で確認したこのため日本の労働市場へ影響を

与えていると予想されるアウトソーシングは東アジアからの輸入額が一番近いと考えられるまた

RampD は偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率である労働市場の賃金格差や熟

練労働者比率に与える影響として本分析では主にアウトソーシング として分析を進めるが欧米

の先行研究ではアウトソーシングとするものと偏向的技術進歩とするものの論争が巻き起こった

Berman et al (1994)も偏向的技術進歩とした研究であった日本においても賃金格差や熟練労

働者比率の拡大に偏向的技術進歩が考えられるため研究開発費比率を追加して分析を進めて

いくなお研究開発比率の波及効果は即時現れずタイムラグを経て賃金に影響を与えると予

14

想されるので添え字を i-1 としている

次に被説明変数に全従業者に占める熟練労働者の従業者比率を取った回帰式を分析する

⑤式は可変費用関数を変形したものであり左辺の熟練労働者賃金支払い比率を熟練労働者

比率として比較考察することは理論的背景は弱いしかし両推計を比較考察することはアウト

ソーシングが労働市場に影響を与えるメカニズムを解明する上で大変興味深いそのため

Machin (1998)や Anderton and Brenton (1998)と同様に賃金比率を従業者比率に変えた回帰式に

ついても分析を進めていく以下の⑥式である

( ) itititititititit UDRWdMSdDRYdKddSE ++++++= minus γϖλρβα lnlnamplnln 1 ⑥

ここでRW は非熟練労働者の賃金に対する熟練労働者の賃金であるこのモデルではパネル

データを取って分析していくパネルデータの分析に際しては一般的に固定効果モデルと変量効

果モデルの 2 種類の推定法が考えられるこの分析では各変数のトレンドとして産業による特性

が考慮され重要なファクターとなってくるこのため先行研究に倣いダミー変数で産業の特性を

コントロールした固定効果モデルで推定していくことにする

42 データ

本分析でのデータは次のものを利用したまず熟練労働者と非熟練労働者の賃金そして従業

者については厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査報告の昭和63年度から

平成13年度調査結果の10人以上の事業所を対象とした男性の統計結果を使用した 産業につ

いては産業中分類の製造業 F12~F34 までの中でデータの制約上F21(石油製品石炭製品製

造業)F24(なめし皮同製品毛皮製造業)F33(武器製造業)F34(その他製造業)を除外し

た19産業で分析を進めていくことにする次に資本ストックについては経済産業省が毎年実施し

公表している工業統計表産業編の製造業産業中分類別で集計してある有形固定資産額の投資

総額を資本ストックとしたまた付加価値も工業統計表産業編の調査結果を使用し有形固定資

産総額と同様に製造業の産業中分類別に平成元年~平成13年調査結果からとった

次に貿易データについて言及する本分析においては先行研究による途上国からの産業別の

輸入額を日本の多国籍企業が多く進出し低賃金の豊富な労働資源を利用し低品質な工程

や低付加価値な財を生産している東アジアからの産業別の輸入額としたここで東アジアとは

ASEAN 諸国(カンボジアタイマレーシアベトナムインドネシアラオスブルネイフィリピン

シンガポール)中国韓国香港としたデータの出所については全世界からの貿易量国別の

貿易量共に1988年から2001年まで国連のデータベースである United Nations Statistics

Division Commodity Trade Statistics Database から SITC(R1)で取得したそれにより得られた商品

別の貿易データを小浜木村(1995)総務省ホームページを参照に日本標準産業分類の製造

15

業産業中分類別にコンバート1することにより日本標準産業分類別の貿易額を得たなお1992

年は当データベースにおいて結果が提供されておらず除外したまた当データデータベースに

おいてドルベースのためInternational Financial Statistics より PPP 換算した為替レートを参照し円

換算することにより分析を進めた

次に偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率について言及するここで研究開発

費は総務省統計局が出版している科学技術調査研究の調査結果を利用した科学技術研究調

査における産業分類と日本標準産業分類とは産業分類が異なるためお互いをマッチングさせて

分析を進めなければならない科学技術研究調査の付録を参照に日本標準産業分類を科学技

術調査研究が製造業において分析対象である14産業にコンバートさせた日本標準産業分類に

おける F12(食料品製造業)と F13(飲料たばこ飼料製造業)を集計し科学技術調査研究の食

品製造業としたまたF14(繊維工業)と F15(衣服その他の繊維製造業)を集計し科学技術調

査研究の繊維製造業とした一連の集計作業において非熟練労働者と熟練労働者の賃金を集

計する際には従業者数でウエイト付けしたまた日本標準産業分類と科学技術研究調査報告に

おいてマッチングの悪い F16(木材木製品製造業)F17(家具装備品製造業)F29(一般機械

器具製造業)の産業については偏向的技術進歩を回帰式に加える分析からは削除したこれによ

り説明変数に偏向的技術進歩を加える分析に関しては14産業で分析することする

43予想される符号結果

この分析で予想される符号を下の表に図示する先行研究と同じような結果になることが予想さ

れる

予想される符号 RampD 貿易額 (全世界)

貿易額 (東アジア)

貿易額(東アジ

ア以外)

熟練労働者賃金比率 + + + +

熟練労働者比率 + + + +

まず非説明変数に熟練労働者賃金比率をとったときの予想を見てみるRampD の符号を見てみ

ると一連の RampD と熟練労働者と非熟練労働者との関係を示した論文と同様にプラスの符号が

予想されるこれは研究開発費が増えるほど国内に資本集約的で高付加価値な生産活動に集

約することにより非熟練労働者の労働需要が落ち込み賃金が下がることが予想されるためである

次に貿易額の符号を見てみるこれは東アジア全世界ともプラスの係数が予想されるこれは

日本以外の低賃金の国から労働集約的で低質な財の輸入額が上昇することにより日本国内の

低質な財を作る労働集約的な財の生産が海外にシフトし生産労働者の労働需要が落ち込み非

1 データの利用上の注意については APPENDIX 参照

16

熟練労働者の賃金が減少することが予想されるまた資本集約的な工程や財の生産に特化する

ことにより熟練労働者への労働需要があがり熟練労働者賃金が上がることも予想される

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの予想される符号を見てみるRDに関して

は研究開発比率が増えるほど熟練労働者を必要とし資本集約的な工程や財に生産を特化し

非熟練労働者への労働需要が落ち込み労働者数が減少することが予想されるこのためプラス

であることが予想される最後にアウトソーシングの代理変数である貿易額を見てみるこれも同

様に低賃金国からの労働集約的な部品や財の輸入額が上昇することにより国内の労働集約的

な生産工程や非熟練労働者を多く必要とする労働集約な財の生産は海外の低賃金国にシフトし

非熟練労働者への労働需要は落ち込み非熟練労働者数が減少することが予想される

しかしAnderton and Brenton(1998)がイギリスで行った先行研究とは異なる結果が出る可能性

がある熟練労働者賃金比率を被説明変数としたときに輸入額の係数が有意に推定されない可

能性があるそれは日本においては賃金格差があまり広がっていないことが原因としてあげられ

る3節で概観したように2000年にかけてのアウトソーシングの進展に比して製造業の熟練労

働者賃金比率を個別に概観してみると顕著に上昇している産業はあまり確認することはできなか

った一方熟練労働者比率は産業別に見てみても顕著に上昇しているこのためアウトソーシ

ングの進展により熟練労働者比率に大きく影響を与えていることが予想される

44 結果考察

lt挿入 表41gt

表41は被説明変数を熟練労働者賃金比率とした時の回帰分析の結果であるこの回帰分析

結果において(1a)~(1c)を見てみるとAnderton and Brenton (1998)の先行研究とは大きく異な

る結果であることがわかるまず注目すべき点として輸入額の係数を見てみると全世界東アジア

東アジアの国以外からの係数がそろって有意な係数が推定されていないこのことより産業別の

輸入額がアウトソーシングの帰結の一部であると考えるとアウトソーシングが国内の熟練労働者と

非熟練労働者の賃金格差に影響を与えているとは言えないことがわかる

また(1d)~(1f)の研究開発比率を回帰式に加えた式を見ても各方面からの輸入額研究開

発費の項に有意な係数は推定されていない

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの結果を見てみる

lt挿入 表43gt

表42は被説明変数を熟練労働者比率とした時の回帰分析の結果であるまず研究開発費

を回帰式に加えない(2a)~(2c)までの分析結果を見てみると全世界からの輸入額東アジア

17

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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23

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

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24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 15: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

想されるので添え字を i-1 としている

次に被説明変数に全従業者に占める熟練労働者の従業者比率を取った回帰式を分析する

⑤式は可変費用関数を変形したものであり左辺の熟練労働者賃金支払い比率を熟練労働者

比率として比較考察することは理論的背景は弱いしかし両推計を比較考察することはアウト

ソーシングが労働市場に影響を与えるメカニズムを解明する上で大変興味深いそのため

Machin (1998)や Anderton and Brenton (1998)と同様に賃金比率を従業者比率に変えた回帰式に

ついても分析を進めていく以下の⑥式である

( ) itititititititit UDRWdMSdDRYdKddSE ++++++= minus γϖλρβα lnlnamplnln 1 ⑥

ここでRW は非熟練労働者の賃金に対する熟練労働者の賃金であるこのモデルではパネル

データを取って分析していくパネルデータの分析に際しては一般的に固定効果モデルと変量効

果モデルの 2 種類の推定法が考えられるこの分析では各変数のトレンドとして産業による特性

が考慮され重要なファクターとなってくるこのため先行研究に倣いダミー変数で産業の特性を

コントロールした固定効果モデルで推定していくことにする

42 データ

本分析でのデータは次のものを利用したまず熟練労働者と非熟練労働者の賃金そして従業

者については厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査報告の昭和63年度から

平成13年度調査結果の10人以上の事業所を対象とした男性の統計結果を使用した 産業につ

いては産業中分類の製造業 F12~F34 までの中でデータの制約上F21(石油製品石炭製品製

造業)F24(なめし皮同製品毛皮製造業)F33(武器製造業)F34(その他製造業)を除外し

た19産業で分析を進めていくことにする次に資本ストックについては経済産業省が毎年実施し

公表している工業統計表産業編の製造業産業中分類別で集計してある有形固定資産額の投資

総額を資本ストックとしたまた付加価値も工業統計表産業編の調査結果を使用し有形固定資

産総額と同様に製造業の産業中分類別に平成元年~平成13年調査結果からとった

次に貿易データについて言及する本分析においては先行研究による途上国からの産業別の

輸入額を日本の多国籍企業が多く進出し低賃金の豊富な労働資源を利用し低品質な工程

や低付加価値な財を生産している東アジアからの産業別の輸入額としたここで東アジアとは

ASEAN 諸国(カンボジアタイマレーシアベトナムインドネシアラオスブルネイフィリピン

シンガポール)中国韓国香港としたデータの出所については全世界からの貿易量国別の

貿易量共に1988年から2001年まで国連のデータベースである United Nations Statistics

Division Commodity Trade Statistics Database から SITC(R1)で取得したそれにより得られた商品

別の貿易データを小浜木村(1995)総務省ホームページを参照に日本標準産業分類の製造

15

業産業中分類別にコンバート1することにより日本標準産業分類別の貿易額を得たなお1992

年は当データベースにおいて結果が提供されておらず除外したまた当データデータベースに

おいてドルベースのためInternational Financial Statistics より PPP 換算した為替レートを参照し円

換算することにより分析を進めた

次に偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率について言及するここで研究開発

費は総務省統計局が出版している科学技術調査研究の調査結果を利用した科学技術研究調

査における産業分類と日本標準産業分類とは産業分類が異なるためお互いをマッチングさせて

分析を進めなければならない科学技術研究調査の付録を参照に日本標準産業分類を科学技

術調査研究が製造業において分析対象である14産業にコンバートさせた日本標準産業分類に

おける F12(食料品製造業)と F13(飲料たばこ飼料製造業)を集計し科学技術調査研究の食

品製造業としたまたF14(繊維工業)と F15(衣服その他の繊維製造業)を集計し科学技術調

査研究の繊維製造業とした一連の集計作業において非熟練労働者と熟練労働者の賃金を集

計する際には従業者数でウエイト付けしたまた日本標準産業分類と科学技術研究調査報告に

おいてマッチングの悪い F16(木材木製品製造業)F17(家具装備品製造業)F29(一般機械

器具製造業)の産業については偏向的技術進歩を回帰式に加える分析からは削除したこれによ

り説明変数に偏向的技術進歩を加える分析に関しては14産業で分析することする

43予想される符号結果

この分析で予想される符号を下の表に図示する先行研究と同じような結果になることが予想さ

れる

予想される符号 RampD 貿易額 (全世界)

貿易額 (東アジア)

貿易額(東アジ

ア以外)

熟練労働者賃金比率 + + + +

熟練労働者比率 + + + +

まず非説明変数に熟練労働者賃金比率をとったときの予想を見てみるRampD の符号を見てみ

ると一連の RampD と熟練労働者と非熟練労働者との関係を示した論文と同様にプラスの符号が

予想されるこれは研究開発費が増えるほど国内に資本集約的で高付加価値な生産活動に集

約することにより非熟練労働者の労働需要が落ち込み賃金が下がることが予想されるためである

次に貿易額の符号を見てみるこれは東アジア全世界ともプラスの係数が予想されるこれは

日本以外の低賃金の国から労働集約的で低質な財の輸入額が上昇することにより日本国内の

低質な財を作る労働集約的な財の生産が海外にシフトし生産労働者の労働需要が落ち込み非

1 データの利用上の注意については APPENDIX 参照

16

熟練労働者の賃金が減少することが予想されるまた資本集約的な工程や財の生産に特化する

ことにより熟練労働者への労働需要があがり熟練労働者賃金が上がることも予想される

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの予想される符号を見てみるRDに関して

は研究開発比率が増えるほど熟練労働者を必要とし資本集約的な工程や財に生産を特化し

非熟練労働者への労働需要が落ち込み労働者数が減少することが予想されるこのためプラス

であることが予想される最後にアウトソーシングの代理変数である貿易額を見てみるこれも同

様に低賃金国からの労働集約的な部品や財の輸入額が上昇することにより国内の労働集約的

な生産工程や非熟練労働者を多く必要とする労働集約な財の生産は海外の低賃金国にシフトし

非熟練労働者への労働需要は落ち込み非熟練労働者数が減少することが予想される

しかしAnderton and Brenton(1998)がイギリスで行った先行研究とは異なる結果が出る可能性

がある熟練労働者賃金比率を被説明変数としたときに輸入額の係数が有意に推定されない可

能性があるそれは日本においては賃金格差があまり広がっていないことが原因としてあげられ

る3節で概観したように2000年にかけてのアウトソーシングの進展に比して製造業の熟練労

働者賃金比率を個別に概観してみると顕著に上昇している産業はあまり確認することはできなか

った一方熟練労働者比率は産業別に見てみても顕著に上昇しているこのためアウトソーシ

ングの進展により熟練労働者比率に大きく影響を与えていることが予想される

44 結果考察

lt挿入 表41gt

表41は被説明変数を熟練労働者賃金比率とした時の回帰分析の結果であるこの回帰分析

結果において(1a)~(1c)を見てみるとAnderton and Brenton (1998)の先行研究とは大きく異な

る結果であることがわかるまず注目すべき点として輸入額の係数を見てみると全世界東アジア

東アジアの国以外からの係数がそろって有意な係数が推定されていないこのことより産業別の

輸入額がアウトソーシングの帰結の一部であると考えるとアウトソーシングが国内の熟練労働者と

非熟練労働者の賃金格差に影響を与えているとは言えないことがわかる

また(1d)~(1f)の研究開発比率を回帰式に加えた式を見ても各方面からの輸入額研究開

発費の項に有意な係数は推定されていない

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの結果を見てみる

lt挿入 表43gt

表42は被説明変数を熟練労働者比率とした時の回帰分析の結果であるまず研究開発費

を回帰式に加えない(2a)~(2c)までの分析結果を見てみると全世界からの輸入額東アジア

17

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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23

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 16: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

業産業中分類別にコンバート1することにより日本標準産業分類別の貿易額を得たなお1992

年は当データベースにおいて結果が提供されておらず除外したまた当データデータベースに

おいてドルベースのためInternational Financial Statistics より PPP 換算した為替レートを参照し円

換算することにより分析を進めた

次に偏向的技術進歩の代理変数である研究開発費比率について言及するここで研究開発

費は総務省統計局が出版している科学技術調査研究の調査結果を利用した科学技術研究調

査における産業分類と日本標準産業分類とは産業分類が異なるためお互いをマッチングさせて

分析を進めなければならない科学技術研究調査の付録を参照に日本標準産業分類を科学技

術調査研究が製造業において分析対象である14産業にコンバートさせた日本標準産業分類に

おける F12(食料品製造業)と F13(飲料たばこ飼料製造業)を集計し科学技術調査研究の食

品製造業としたまたF14(繊維工業)と F15(衣服その他の繊維製造業)を集計し科学技術調

査研究の繊維製造業とした一連の集計作業において非熟練労働者と熟練労働者の賃金を集

計する際には従業者数でウエイト付けしたまた日本標準産業分類と科学技術研究調査報告に

おいてマッチングの悪い F16(木材木製品製造業)F17(家具装備品製造業)F29(一般機械

器具製造業)の産業については偏向的技術進歩を回帰式に加える分析からは削除したこれによ

り説明変数に偏向的技術進歩を加える分析に関しては14産業で分析することする

43予想される符号結果

この分析で予想される符号を下の表に図示する先行研究と同じような結果になることが予想さ

れる

予想される符号 RampD 貿易額 (全世界)

貿易額 (東アジア)

貿易額(東アジ

ア以外)

熟練労働者賃金比率 + + + +

熟練労働者比率 + + + +

まず非説明変数に熟練労働者賃金比率をとったときの予想を見てみるRampD の符号を見てみ

ると一連の RampD と熟練労働者と非熟練労働者との関係を示した論文と同様にプラスの符号が

予想されるこれは研究開発費が増えるほど国内に資本集約的で高付加価値な生産活動に集

約することにより非熟練労働者の労働需要が落ち込み賃金が下がることが予想されるためである

次に貿易額の符号を見てみるこれは東アジア全世界ともプラスの係数が予想されるこれは

日本以外の低賃金の国から労働集約的で低質な財の輸入額が上昇することにより日本国内の

低質な財を作る労働集約的な財の生産が海外にシフトし生産労働者の労働需要が落ち込み非

1 データの利用上の注意については APPENDIX 参照

16

熟練労働者の賃金が減少することが予想されるまた資本集約的な工程や財の生産に特化する

ことにより熟練労働者への労働需要があがり熟練労働者賃金が上がることも予想される

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの予想される符号を見てみるRDに関して

は研究開発比率が増えるほど熟練労働者を必要とし資本集約的な工程や財に生産を特化し

非熟練労働者への労働需要が落ち込み労働者数が減少することが予想されるこのためプラス

であることが予想される最後にアウトソーシングの代理変数である貿易額を見てみるこれも同

様に低賃金国からの労働集約的な部品や財の輸入額が上昇することにより国内の労働集約的

な生産工程や非熟練労働者を多く必要とする労働集約な財の生産は海外の低賃金国にシフトし

非熟練労働者への労働需要は落ち込み非熟練労働者数が減少することが予想される

しかしAnderton and Brenton(1998)がイギリスで行った先行研究とは異なる結果が出る可能性

がある熟練労働者賃金比率を被説明変数としたときに輸入額の係数が有意に推定されない可

能性があるそれは日本においては賃金格差があまり広がっていないことが原因としてあげられ

る3節で概観したように2000年にかけてのアウトソーシングの進展に比して製造業の熟練労

働者賃金比率を個別に概観してみると顕著に上昇している産業はあまり確認することはできなか

った一方熟練労働者比率は産業別に見てみても顕著に上昇しているこのためアウトソーシ

ングの進展により熟練労働者比率に大きく影響を与えていることが予想される

44 結果考察

lt挿入 表41gt

表41は被説明変数を熟練労働者賃金比率とした時の回帰分析の結果であるこの回帰分析

結果において(1a)~(1c)を見てみるとAnderton and Brenton (1998)の先行研究とは大きく異な

る結果であることがわかるまず注目すべき点として輸入額の係数を見てみると全世界東アジア

東アジアの国以外からの係数がそろって有意な係数が推定されていないこのことより産業別の

輸入額がアウトソーシングの帰結の一部であると考えるとアウトソーシングが国内の熟練労働者と

非熟練労働者の賃金格差に影響を与えているとは言えないことがわかる

また(1d)~(1f)の研究開発比率を回帰式に加えた式を見ても各方面からの輸入額研究開

発費の項に有意な係数は推定されていない

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの結果を見てみる

lt挿入 表43gt

表42は被説明変数を熟練労働者比率とした時の回帰分析の結果であるまず研究開発費

を回帰式に加えない(2a)~(2c)までの分析結果を見てみると全世界からの輸入額東アジア

17

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

参考文献 英語参考文献

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Wage Approachrdquo

httpwwwnottinghamacukeconomicsleverhulmeresearch_papers03_17pdf

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UKrdquo CSGR Working Paaper No1298

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ProductionDistribution Networks in East Asiardquo

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23

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 17: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

熟練労働者の賃金が減少することが予想されるまた資本集約的な工程や財の生産に特化する

ことにより熟練労働者への労働需要があがり熟練労働者賃金が上がることも予想される

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの予想される符号を見てみるRDに関して

は研究開発比率が増えるほど熟練労働者を必要とし資本集約的な工程や財に生産を特化し

非熟練労働者への労働需要が落ち込み労働者数が減少することが予想されるこのためプラス

であることが予想される最後にアウトソーシングの代理変数である貿易額を見てみるこれも同

様に低賃金国からの労働集約的な部品や財の輸入額が上昇することにより国内の労働集約的

な生産工程や非熟練労働者を多く必要とする労働集約な財の生産は海外の低賃金国にシフトし

非熟練労働者への労働需要は落ち込み非熟練労働者数が減少することが予想される

しかしAnderton and Brenton(1998)がイギリスで行った先行研究とは異なる結果が出る可能性

がある熟練労働者賃金比率を被説明変数としたときに輸入額の係数が有意に推定されない可

能性があるそれは日本においては賃金格差があまり広がっていないことが原因としてあげられ

る3節で概観したように2000年にかけてのアウトソーシングの進展に比して製造業の熟練労

働者賃金比率を個別に概観してみると顕著に上昇している産業はあまり確認することはできなか

った一方熟練労働者比率は産業別に見てみても顕著に上昇しているこのためアウトソーシ

ングの進展により熟練労働者比率に大きく影響を与えていることが予想される

44 結果考察

lt挿入 表41gt

表41は被説明変数を熟練労働者賃金比率とした時の回帰分析の結果であるこの回帰分析

結果において(1a)~(1c)を見てみるとAnderton and Brenton (1998)の先行研究とは大きく異な

る結果であることがわかるまず注目すべき点として輸入額の係数を見てみると全世界東アジア

東アジアの国以外からの係数がそろって有意な係数が推定されていないこのことより産業別の

輸入額がアウトソーシングの帰結の一部であると考えるとアウトソーシングが国内の熟練労働者と

非熟練労働者の賃金格差に影響を与えているとは言えないことがわかる

また(1d)~(1f)の研究開発比率を回帰式に加えた式を見ても各方面からの輸入額研究開

発費の項に有意な係数は推定されていない

次に被説明変数に熟練労働者比率をとったときの結果を見てみる

lt挿入 表43gt

表42は被説明変数を熟練労働者比率とした時の回帰分析の結果であるまず研究開発費

を回帰式に加えない(2a)~(2c)までの分析結果を見てみると全世界からの輸入額東アジア

17

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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工業統計表 産業編 昭和 63 年度調査結果~平成 13 年度調査結果 経済産業省

23

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 18: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

からの輸入額東アジア以外からの輸入額の項ともそろって予想通りの正の有意な係数が推定さ

れているしかし全世界からの輸入額東アジアからの輸入額東アジア以外からの輸入額の係

数がそれぞれ 0015000750012 と予想とは異なる係数が推定された1990年代の東アジア

諸国への低品質な工程や低付加価値財の生産拠点のシフトにより東アジア諸国へのアウトソー

シングが熟練労働者比率に与える影響が一番大きいことが予想されたしかし(2b)を見てみると

係数は 00075 と全世界からの輸入額また東アジア諸国以外からの輸入額の方が大きな係数が

推定されたこのことにより日本の労働市場熟練労働者と非熟練労働者の従業者に与える影響

として東アジア諸国だけのアウトソーシングよりも全世界さらにはアジア諸国以外へのアウトソ

ーシングの影響の方が大きいことが本分析の結果から示唆された

最後に研究開発費を回帰式に加えた(2d)~(2f)の結果を見る研究開発費を説明変数に加

えてみても全世界からの輸入額の項は1有意水準で有意な正の係数 0017 が推定されたま

た東アジア諸国からの輸入額においても5有意水準で有意な正の係数 0008 が推定されたし

かし研究開発費の項を見てみるとどの式にも有意な正の係数は推定されていない日本にお

いては研究開発費の増加が労働市場に与える影響を本回帰式では確認することができなかっ

たこのことから日本国内の労働市場の中で熟練労働者と非熟練労働者の従業者数に与える影

響として偏向的技術変化というよりもアウトソーシングの進展が 1 つの重要なファクターであること

が分かる

本章ではアウトソーシングの進展や民間企業の研究開発の進展が日本の労働市場内の熟

練労働者と非熟練労働者の賃金格差と労働者数に与える影響を分析するために回帰分析を通し

て分析を進めてきた本章から導かれる重要な示唆として日本においてアウトソーシングの進展

が熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を広げる要因であるいうような有意な係数が推定できな

かったということがあげられるまた偏向的技術進歩と賃金格差の関係をみてみても偏向的技

術進歩が賃金格差を拡大させているというような係数を推定することはできなかった日本の労働

市場内熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差や熟練労働者比率に影響をもたらすものとして

アウトソーシング 偏向的技術進歩とも有意な係数を推定することができなかった一方日本にお

いてアウトソーシングの進展が製造業の全労働者に占める熟練労働者の比率の上昇に影響を与

えているという有意な係数は推定されたしかし偏向的技術進歩が熟練労働者比率の上昇に影

響を与えているという有意な係数は推定されなかったこのことから日本において労働市場内

の熟練労働者比率の拡大に寄与しているものとして偏向的技術進歩というよりもアウトソーシング

の進展によるものが大きいことが分かった

次章では本論文で得られたこと今後の労働政策や通商政策における日本政府の指針を提

言し結論を論じることにより本論文の結びとしたい

18

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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科学技術研究調査報告 昭和 62 年度調査結果~平成 12 年度調査結果

工業統計表 産業編 昭和 63 年度調査結果~平成 13 年度調査結果 経済産業省

23

賃金構造基本統計調査報告 昭和 63 年度実施結果~平成 13 年度実施結果

賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 19: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

5 結論

本論文では賃金構造基本統計調査によって得られたデータにより日本の労働市場における

熟練労働者と非熟練労働者の従業者数と賃金格差を分析したまた全労働者に占める熟練労

働者の比率と熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を中心とする日本の労働市場にアウトソ

ーシングの進展が影響しているかという回帰分析も実施した

主な結果として1990年代の日本の労働市場において熟練労働者と非熟練労働者の賃金格

差が拡大するというよりもむしろ全労働者に占める熟練労働者の比率が高まっているということが

わかった特に近年東アジアの工程間分業の活発化が言われる電気機械産業を中心とする機

械産業や衣服その他の繊維製品製造業で顕著であった

またアウトソーシングが労働市場に与える影響についての考察結果では世界各国や東アジア

各国へのアウトソーシングの進展が熟練労働者比率を高めているという示唆が導かれた一方

偏向的技術進歩により熟練労働者比率を高めているという示唆は本考察からは導かれなかった

次にアメリカやイギリスで確認されたアウトソーシングの進展による熟練労働者と非熟練労働

者の賃金格差への影響は日本において確認できなかった偏向的技術進歩が賃金格差を広げ

ているという結論も得ることができなかった

こうした日本国内の労働市場の現状とアウトソーシングの進展状況の中経済のグローバル化

がさらに進むことは疑いようもない日本も先日シンガポールに続いて2国目の FTA であるメキシ

コと FTA を締結しフィリピンや韓国とも交渉途中であるこうしたFTA の締結の帰結となるグロー

バリゼーションはモノの交流だけでだけでなくヒトの交流も推し進めていく日本においてはこうし

たグローバリゼーションの進展や輸送費や通信費などのサービスリンクコストの低下によりさらに

アウトソーシングは加速し労働集約的で低付加価値の工程は低賃金国へシフトし続けるであろう

さらにはアウトソーシングの進展により国内の非熟練労働者の需要が減少し従業者数は減少し

ていくことが考えられるこのような現状の中政府はこうした非熟練労働者の受け皿と簡単に他の

産業に労働者が異動できるような労働市場の流動性を作ることが必要である製造業やサービス

業における新規事業が多く立ち上がるような制度を作ることや直接投資の誘致による労働者

の受け皿を作っていくことが必要だろう

最後に本稿の課題について言及し結びとする本稿では熟練労働者と非熟練労働者の賃金

格差熟練労働者の全労働者に占める比率の拡大の原因を主にアウトソーシングとして分析を

進めてきたしかしこうした労働市場の変化への原因として欧米諸国ではアウトソーシングと偏

向的技術進歩率とする論争が続いている本稿で分析した日本においてはアウトソーシングと偏

向的技術進歩ではアウトソーシングが熟練労働者比率の拡大に寄与しているという結論であった

しかしこうした労働市場の構造変化をもたらす他の要因も考えられアウトソーシングや偏向的技

術進歩の変数に関して工夫する余地がある本稿ではアウトソーシングの変数を産業別の貿易額

と定義して分析を進めてきた本文でも触れたが産業別の貿易額は垂直的なアウトソーシングを

性格に測ることができないまた東アジア固有の生産流通ネットワークを正確に測ることのでき

19

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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工業統計表 産業編 昭和 63 年度調査結果~平成 13 年度調査結果 経済産業省

23

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 20: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

る指標を定義することも非常に難しいそのため本研究においてはアウトソーシングを正確に数

値化することができるような研究が進められることが今後の課題として挙げられるさらには日本に

おける賃金データについても改善が望まれる欧米諸国に比してデータの制約が非常にあり今

回賃金構造基本統計調査において日本標準産業分類において産業中分類までしか賃金データ

を手に入れることができなかった産業小分類まで利用可能になれば本研究はより精緻になること

が期待される賃金構造基本統計調査の賃金データが産業小分類レベルまで整理公表される

ことを期待するこうした改善点を改められることによってアウトソーシングの進展が及ぼす日本国

内の労働市場への影響に関する研究がより精緻に進められ本研究は発展し重要な労働政策や

通商政策における政策提言につながるであろう

20

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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23

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 21: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

APPENDIX データの利用上の注意

<挿入 表5>

本分析ではアウトソーシングの代理変数を産業別の輸入額として分析をした現在日本標準産

業分類などの産業別の貿易額を時系列で取得することは非常に難しい貿易データを取得する際

一般的に利用される財務省の貿易統計や国連のデータベースである UN COMTRADE などは

商品分類である HS (国際統一商品分類)や SITC (標準国際貿易商品分類)を分類として提供して

いる産業別の貿易額は総務省の産業連関表を用いれば取得可能であるが5年毎の公表であり

本分析に用いることはできないまた近年内閣府経済社会総合研究所のプロジェクトにより Japan

Industry Productivity DatabaseJIP データベースという84産業別の要素投入や産業連関表が作成

されたしかしこのデータベースは1998年まででさらに毎年取得することは不可能であるその

ため最終手段として本分析では SITC 分類で得た商品別の貿易データを表5を用いて日本標

準産業分類別にコンバートすることにより貿易額を得たしかしながらこの手法は厳密性を欠くもの

である例えば鉄鋼業製造業の輸入として分類される鉄板なども輸送用機械器具産業に属す

る自動車メーカーの輸入もあるかもしれないまた精密機械器具産業の輸入とコンバートされる

半導体も商社などのサービス業が輸入している可能性があるこうしたコンバートにおけるマッチ

ングの厳密性の欠如は存在するが他に代替案が考えられないためこうした方法論で産業別の貿

易額を得ることにする今後産業別の貿易額が時系列で取得可能になるデータベースが設置さ

れることを期待する

21

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科学技術研究調査報告 昭和 62 年度調査結果~平成 12 年度調査結果

工業統計表 産業編 昭和 63 年度調査結果~平成 13 年度調査結果 経済産業省

23

賃金構造基本統計調査報告 昭和 63 年度実施結果~平成 13 年度実施結果

賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 22: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

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工業統計表 産業編 昭和 63 年度調査結果~平成 13 年度調査結果 経済産業省

23

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賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

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24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 23: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

Inequalityrdquo Economic Journal 110 1-27 Hummels David Jun Ishii and Kei-Mu Yi (2001) ldquoThe Nature and Growth of Vertical

Specialization in World Traderdquo Journal of International Economics 54 75-96 Jones Ronald W and Henryk Kierzkowski (1990) ldquoThe Role of Services in Production and

International Trade A Theoretical Frameworkrdquo ch 3 in Jones and Anne Krueger (eds) The

Political Economy of International Trade (Blackwells)

Katz Lawrence F and David Autor (1999) ldquoChanges in the Wage Structure and

EarningsInequalityrdquo in Orley Ashenfelter and David Card eds Handbook of Labor EconomicsVol

3A Amsterdam Elsevier 1463-1555

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and Demand Factorsrdquo Quarterly Journal of Economics 107 35-78 Krugman Paul (1995) ldquoGrowing World Trade Causes and Consequencesrdquo Brooking Paper on

Economic Activity 1 327-362 Ng Francis and Alexander Yeats(2001)ldquo Production Sharing in East Asia Who Does What for

Whom and Whyrdquoin Fragmentation new production patterns in the world economy edited by

Sven W Arndt and Henryk Kierzkowski

Yeats Alexander J (1998) ldquoJust How Big Is Production Sharing rdquo

httpwwwworldbankorghtmldecPublicationsWorkpapersWPS1800serieswps1871wps1871pd

f

Yi Kei-Mu (2000) ldquoCan Vertical Specialization Explain the Growth of World Traderdquo Federal

Reserve Bank of New York Staff Report No 96

日本語参考文献

浅野皙中村二朗(2000)『計量経済学』 有斐閣

木村福成(2000)『国際経済学入門』日本評論社

木村福成小浜裕之(1995)『実証|国際経済学入門』日本評論社

橘木俊諮森川正行西村太郎(1995)「貿易と雇用賃金」―アジア諸国の経済発展と日本の雇

用及び賃金― 通商産業研究所

山澤成康(2004)『実証経済学入門』日本評論社

データソース 海外事業活動基本調査 2003 年調査結果 経済産業省 httpwwwmetigojp

科学技術研究調査報告 昭和 62 年度調査結果~平成 12 年度調査結果

工業統計表 産業編 昭和 63 年度調査結果~平成 13 年度調査結果 経済産業省

23

賃金構造基本統計調査報告 昭和 63 年度実施結果~平成 13 年度実施結果

賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 24: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

賃金構造基本統計調査報告 昭和 63 年度実施結果~平成 13 年度実施結果

賃金センサス 昭和 63年度調査結果~平成 13 年度調査結果 厚生労働省

United Nations Statistics Division Commodity Trade Statistics Database

Research and Development Expenditure in industry 1987-2001 OECD

24

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 25: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

付表 図 31 日本における製造業の海外生産比率の推移

出所)海外事業活動基本調査

図32 日本企業の現地法人の従業者数

出所)図31に同じ

25

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 26: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

表31 国内生産活動との関連性のアンケート結果

出所)図31図32と同じ httpwwwmetigojp

図 33 製造業の労働者数の変遷

製造業の労働者数の変遷

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

非熟練労働者

熟練労働者

製造業労働者数

出所)賃金センサスより筆者作成

26

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 27: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

図34 日本の製造業の熟練労働者比率

employment share of skilled labor

041

0415

042

0425

043

0435

044

0445

045

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

skill

ed e

mpl

oym

ent

shar

e

employmentshare of skilledlabor

出所)賃金センサスより筆者作成

図35 イギリスの熟練労働者比率

出所)Goumlrg (2003)

27

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 28: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

図36 日本の製造業の熟練労働者賃金比率

cost share of skilled labor

0622

0624

0626

0628

063

0632

0634

0636

0638

064

1985 1990 1995 2000 2005

YEAR

cost

shar

e o

f sk

illed

labo

r

wage share

出所)賃金センサスより筆者作成

図37 イギリスの製造業の熟練労働者賃金比率

出所)図35と同様

28

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 29: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

図38 電気機械器具製造業熟練労働者比率

電気機械器具製造業熟練労働者比率

0505105205305405505605705805906

061

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)賃金構造基本統計調査報告より筆者作成

図39 電気機械器具製造業の熟練労働者賃金支払い比率

電気機械器具製造業賃金比率

0615

0620

0625

0630

0635

0640

0645

0650

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

電気機械器具製造業

出所)図38と同様

29

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 30: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

図310 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者比率

042

044

046

048

05

052

054

056

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

図311 衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金支払い比率

衣服その他の繊維製品製造業熟練労働者賃金比率

0600

0610

0620

0630

0640

0650

0660

0670

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

衣服その他の繊維製品製造業

出所)図38と同様

30

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 31: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

図312 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

35

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

食料品製造業

飲料たばこ飼料製造業

繊維工業

衣服その他の繊維製品製造業

木材木製品製造業

家具装備品製造業

パルプ紙紙加工品製造業

出所)図38と同様

31

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 32: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

図313 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

3

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

出版印刷同関連産業

化学工業

プラスチック製品製造業

ゴム製品製造業

窯業土石製品製造業

鉄鋼業

非鉄金属製造業

出所)図38と同様

図314 賃金比率と従業者比率の関係

賃金比率と従業者比率の関係

0

05

1

15

2

25

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

金属製品製造業

一般機械器具製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

精密機械器具製造業

武器製造業

出所)図38と同じ

32

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 33: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

表32 産業中分類で見た熟練労働者比率

熟練労働者比率

食 料 品 製

造業

飲料たば

こ飼料製

造業

繊維工業

衣 服 そ の

他の繊維製

品製造業

木材木製

品製造業

家具装備

品製造業

パ ル プ

紙 紙 加

工品製造

出 版 印

刷 同 関

連産業

化学工業

プラスチック

製品製造業

ゴ ム 製 品

製造業

窯業土石

製 品 製 造

鉄鋼業 非 鉄 金 属

製造業

金 属 製 品

製造業

一般機械器

具製造業

電 気 機 械

器 具 製 造

輸 送 用 機

械 器 具 製

造業

精 密 機 械

器 具 製 造

武器製造業

1988 0409 0442 0349 04668 0211 0233 0335 0541 0577 03573 0349 0304 0254 0341 0317 04047 054 0342 0539 04307545

1989 0439 047 0347 05063 0193 0247 0342 0547 0569 0374 0342 0335 026 035 0303 04246 0542 0367 0552 04571734

1990 0414 048 0357 04875 0207 027 0344 0537 0572 03504 035 0335 025 0333 0314 04332 0558 0367 0532 04504639

1991 0417 0493 036 04809 0219 0274 0332 0566 0554 03888 0404 033 0266 0363 0316 04541 0553 0383 0562 04928703

1992 0414 0474 0374 05469 0231 0275 0323 0506 0593 036 0358 0336 0271 0402 0329 04528 0571 0386 0547 05159625

1993 0412 0463 0364 05114 0221 0278 032 0511 0595 03561 0387 0317 0277 0374 0329 04644 0583 0398 0564 05210997

1994 041 0468 036 04822 0222 0275 0317 0547 0593 03574 0387 0312 0291 0369 0349 04695 0565 0388 0542 04907293

1995 0393 0456 0349 0526 0234 0251 0336 0537 0587 00553 0394 0335 0282 0384 0326 04619 0585 0398 0563 04584514

1996 0406 0449 0341 05006 0249 0269 0308 0529 0579 03643 04 0314 0276 0386 0315 04673 0581 0373 056 04798082

1997 041 0475 034 05275 0226 0271 032 0543 0557 035 0365 0308 027 0379 0328 04555 0575 0403 0548 05271572

1998 0395 0452 0329 0538 0225 0271 0334 0536 0569 03537 0393 0314 027 0393 0368 04497 0589 0391 0541 04785346

1999 0391 0476 0329 05326 0264 0279 0328 0531 0569 03446 036 0313 0287 0402 0312 0432 0566 0393 0538 04530505

2000 0382 0479 037 05329 0243 0267 0333 0543 0563 03695 0369 0312 0281 0394 0302 04567 0593 0399 0528 04853346

2001 0364 044 0353 05426 0254 0284 0326 0551 0554 03529 0369 0329 0276 0407 0322 04501 0601 0355 0563 04966134

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

33

表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
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表33産業中分類で見た熟練労働者賃金比率

熟練労働者

賃金比率

食料品

製造業

飲 料

たばこ

飼料製

造業

繊維工

衣 服

そ の 他

の 繊 維

製 品 製

造業

木 材

木製品

製造業

家 具

装備品

製造業

パ ル

紙 紙

加 工

品 製

造業

出 版

印 刷

同 関

連 産

化学工

プ ラ ス

チ ッ ク

製 品 製

造業

ゴム製

品 製

造業

窯 業

土石製

品製造

鉄鋼業

非鉄金

属製造

金属製

品製造

一 般 機

械 器 具

製造業

電気機

械器具

製造業

輸送用

機械器

具製造

精密機

械器具

製造業

武 器 製 造

1988 0602 0563 0634 0639 0623 0645 0604 0650 0608 0633 0607 0619 0647 0625 0632 0622 0638 0626 0612 0634

1989 0616 0579 0639 0646 0614 0633 0609 0648 0608 0625 0616 0620 0649 0634 0615 0614 0638 0620 0623 0630

1990 0607 0569 0628 0634 0614 0626 0614 0635 0608 0622 0620 0613 0643 0622 0605 0614 0640 0616 0621 0638

1991 0606 0578 0632 0631 0611 0631 0610 0631 0611 0619 0608 0612 0637 0621 0601 0608 0639 0614 0614 0392

1992 0612 0589 0634 0653 0618 0628 0615 0642 0608 0622 0610 0610 0642 0628 0620 0613 0633 0616 0613 0625

1993 0621 0600 0617 0655 0624 0617 0604 0663 0607 0621 0596 0603 0639 0625 0611 0612 0627 0625 0609 0637

1994 0623 0590 0614 0650 0619 0617 0593 0643 0612 0629 0600 0610 0637 0632 0616 0614 0633 0613 0602 0620

1995 0611 0589 0622 0637 0630 0628 0606 0623 0607 0626 0601 0606 0645 0631 0613 0621 0637 0608 0618 0621

1996 0607 0594 0642 0622 0635 0632 0600 0647 0612 0638 0604 0616 0649 0634 0617 0626 0642 0629 0609 0630

1997 0623 0586 0626 0632 0628 0607 0595 0686 0600 0630 0599 0603 0632 0643 0609 0622 0648 0623 0621 0635

1998 0618 0598 0629 0639 0626 0633 0596 0648 0598 0618 0603 0597 0627 0631 0627 0611 0642 0621 0613 0616

1999 0595 0585 0628 0625 0613 0647 0600 0634 0606 0613 0614 0602 0636 0627 0625 0622 0648 0627 0627 0611

2000 0617 0593 0648 0661 0624 0641 0590 0635 0610 0623 0610 0611 0634 0629 0623 0621 0635 0622 0628 0607

2001 0632 0600 0630 0649 0635 0625 0610 0691 0613 0626 0596 0613 0641 0645 0614 0628 0641 0602 0618 0615

出所)賃金構造基本統計調査より筆者作成

34

表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
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表41 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者賃金比率 (1a) (1b) (1c) (1d) (1e) (1f)

C 089 091 091 095 102093

(t) (274) (284) (285) (398) (423)(391)

アウトプットの変化量 0009 0008 0008 0008 0007 0006

(t) (109) (097) (11) (136) (108)(128)

資本ストックの変化量 -001 -004 -0005 0004 0001 0004

(t) (-028) (-075) (-012) (134) (132)(041)

1期前の研究開発比率 005 011 004

(t) (067) (154) (062)

全世界からの輸入額の変化量 001 0004

(t) (04) (098)

東アジアからの輸入額の変化量 -00008 -00015

(t) (-054) (-064)

東アジア以外の国からの輸入額の変化量 0003 0005

(t) (108) (16)

観測数 209 209 209 166 166 166

決定係数 0069 0004 001 003 002 002

注)有意水準はは1は5は10

35

表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

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表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

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  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
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表43 回帰分析結果

被説明変数熟練労働者比率 (2a) (2b) (2c) (2d) (2e) (2f)

C 225 245 251 265 284276

(t) (416) (454) (463) (358) (369) (369)

アウトプットの変化量 -0033 -004 -004 -004 -004 -0048

(t) (-243) (-285) (-298) (-224) (-238) (-25)

資本ストックの変化量 02 002 001 0024 0026 002

(t) (243) (231) (177) (249) (249) (191)

賃金比率の変化量 001 0016 0007 0005 0005 -0002

(t) (036) (026) (015) (016) (-006)

1期前の研究開発比率 -03 003 011

(t) (-013) (016) (034)

全世界からの輸入額の変化量 0015 0017

(t) (326) (227)

東アジアからの輸入額の変化量 00075 0008

(t) (266) (196)

東アジア以外からの輸入額の変化量 0012 001

(t) (245) (136)

観測数 209 209 209 154 154 154

決定係数 01 008 008 003 007 003

注)有意水準はは1は5は10

36

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表
Page 37: アウトソーシングの進展が日本の労働市場に及ぼす …user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Miyamoto2005.pdfoutsourcing fragmentation intra-product specialization,

表5 日本標準産業分類 SITC 対応表

日本標準産業分類 SITC 対応表 日本標準産業分類 製造業 F SITC(R1)

F12(食料品製造業)

01201302302406070

F13(飲料たばこ飼料製造業) 1112

F14(繊維工業) 266 651 652 653

F15(衣服その他の繊維製品製造業) 84

F16(木材木製品製造業) 63

F17(家具装備品製造業) 82

F18(パルプ紙紙加工品製造業) 25 64

F19(出版印刷同関連産業) 892

F20(化学工業) 5

F21(石油製品石炭製品製造業) 33102 332

F22(プラスチック製品製造業) 58 893

F23(ゴム製品製造業) 2311 62

F24(なめし皮同製品毛皮製造業) 61 85

F25(窯業土石製品製造業) 666

F26(鉄鋼業) 67

F27(非鉄金属製造業) 68

F28(金属製品製造業) 69

F29(一般機械器具製造業) 71

F30(電気機械器具製造業) 72

F31(輸送用機械器具製造業) 35134353352+359

F32(精密機械器具製造業) 3386

出所)木村小浜 (1995)総務省ホームページを参照に筆者作成

37

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のサーベイ
    • 21 アウトソーシングに関連する理論ターミノロジーのサーベイ
    • 22 実証研究
      • 3 日本のアウトソーシングと労働市場の現状
        • 31日本企業のアウトソーシングの進展状況
          • 311 海外事業活動基本調査からみた日系企業のアウトソーシング
          • 312 貿易データからみたアウトソーシング
            • 32日本の労働市場
              • 321 製造業における熟練労働者と非熟練労働者数の推移
              • 322 製造業における賃金格差
                • 323賃金格差と労働者数の関係
                  • 4 実証分析
                    • 41モデルの説明
                    • 42 データ
                    • 43予想される符号結果
                    • 44 結果考察
                      • 5 結論
                      • APPENDIX データの利用上の注意
                      • 参考文献
                        • 英語参考文献
                        • 日本語参考文献
                          • データソース
                          • 付表