プリンタを活用した教材作成の試み プリンタを活用した教材作成の試み プリンタを活用した教材作成の試み プリンタを活用した教材作成の試み プリンタを活用した教材作成の試み 分子モデル 結晶格子モデルの製作 -分子モデル・結晶格子モデルの製作- -分子モデル・結晶格子モデルの製作- 岩手県立総合教育センタ 2018.06 岩手県立総合教育センター http://www1.iwate-ed.jp/tantou/joho/material/3dprinter web/index.html 2018.06 岩手県立総合教育センタ http://www1.iwate ed.jp/tantou/joho/material/3dprinter_web/index.html はじめに ■3Dプリンタの種類と概要 ■はじめに ■3Dプリンタの種類と概要 ■はじめに ■3Dプリンタの種類と概要 ベンゼン 12-ジブロモ ベンゼン 1,2 ジブロモ エタン プ 近年,低価格で発売されるようになった3Dプリンタは,専門高校における生徒 3Dプリンタは 1980年に日本人 小玉秀男氏が発明したものである その 近年,低価格で発売されるようになった3Dプリンタは,専門高校における生徒 実習等で活用され始めるなど 学校教育の場に浸透してきている 3Dデ タさえ 3Dプリンタは,1980年に日本人,小玉秀男氏が発明したものである。その 実習等で活用され始めるなど,学校教育の場に浸透してきている。3Dデータさえ 後,英国を中心とする会社が商品化を行った。その当時は1台あたり最低でも数 あれば 手軽に作成できることは大きなメリットである そこで 本研究の取り組 後,英国を中心とする会社が商品化を行った。その当時は1台あたり最低でも数 百万円の価格であ たため 企業などの事業所での導入がメインであ たと言わ エチレン 1 プロパノ ル あれば,手軽に作成できることは大きなメリットである。そこで,本研究の取り組 百万円の価格であったため,企業などの事業所での導入がメインであったと言わ エチレン 1-プロパノール みでは 3Dプリンタによる分子モデル及び結晶格子モデルの製作を試み 授業へ れている みでは,3Dプリンタによる分子モデル及び結晶格子モデルの製作を試み,授業へ れている。 の活用を提案するものである しかし 2009年 基本特許の保護期限が終了し の活用を提案するものである。 しかし,2009年,基本特許の保護期限が終了し たことに伴い 数十万~数万円程度の安価な製品が メタン ホルムアルデヒド たことに伴い,数十万 数万円程度の安価な製品が 各社 発売され と な メタン ホルムアルデヒド 各社より発売されることになった。 ■分子モデル印刷の手順 各社より発売されることになった。 3Dプリンタにはさまざまな方式があり それぞ ■分子モデル印刷の手順 3Dプリンタにはさまざまな方式があり,それぞ ■分子モデル印刷の手順 れ製品化されている 例えば 液状の樹脂に紫外線 れ製品化されている。例えば,液状の樹脂に紫外線 化学の分野では肉眼で確認できな アンモニア 12-ジブロモ を照射して少しずつ硬化させていく「光造形方 化学の分野では肉眼で確認できな 1,2 ジブロモ シクロヘキサン を照射して少しずつ硬化させていく「光造形方 い原子や分子の理解を深めるため 式」 熱で融解した樹脂を少しずつ積み重ねていく い原子や分子の理解を深めるため, 式」,熱で融解した樹脂を少しずつ積み重ねていく 「熱溶解積層方式 粉末 樹脂に接着剤を吹き付け 「球モデル」や「球—棒モデル」な 「熱溶解積層方式,粉末の樹脂に接着剤を吹き付け 「球モデル」や「球 棒モデル」な ざ デ が 熱溶解積層方式,粉末の樹脂に接着剤を吹き付け ていく「粉末固着方式」などがある どさまざまな形式の分子モデルが開 【図1】3Dプリンタの外観 フラーレン 2 メチル ていく「粉末固着方式」などがある。 どさまざまな形式の分子モデルが開 発 活用されており その歴史は古 【図1】3Dプリンタの外観 2-メチル- 1-プロパノール 今回は 岩手県立総合教育センターに導入されて 発・活用されており,その歴史は古 1 プロパノ ル 今回は,岩手県立総合教育センターに導入されて い 組み立て式の分子モデル【図 いる「熱溶解積層方式」の3Dプリンタ「XYZプリン い。組み立て式の分子モデル【図 いる「熱溶解積層方式」の3Dプリンタ「XYZプリン グ ダ 3】などが商品化され 化学教育の 【図3】市販の分子モデル(球-棒モデル) シクロヘキサン ティング社 ダビンチ 1 0 Pro」【図1】の活用を検 3】などが商品化され,化学教育の 【図3】市販の分子モデル(球 棒モデル) シクロヘキサン ティング社 ダビンチ 1.0 Pro」【図1】の活用を検 討する 推進に貢献してきたところである シクロペンテン 討する。 推進に貢献してきたところである。 か れら 教材は安価 はな とから 生徒 人 人に触れさせる とが 本機は 熱可塑性樹脂(ABS樹脂)のフィラメン しかし,これらの教材は安価ではないことから,生徒一人一人に触れさせることが 本機は,熱可塑性樹脂(ABS樹脂)のフィラメン しかし,これらの教材は安価ではないことから,生徒 人 人に触れさせることが 難しい ト【図2】を高温(約210℃)で溶かして ノズル 難しい。 カーボン ト【図2】を高温(約210℃)で溶かして,ノズル そこで 授業の展開に合わせた分子モデル及び結晶格子モデルを3Dプリンタで ナノベルト より押し出し 造形テーブル(保温90℃)に押し付 そこで,授業の展開に合わせた分子モデル及び結晶格子モデルを3Dプリンタで P-ジクロロ より押し出し,造形テ ブル(保温90℃)に押し付 け きなが 積層 完成させ く仕様 も 製作して 触れて感じる教材として活用することで 更なる教育効果が期待される ベンゼン けていきながら積層し,完成させていく仕様のもの 製作して,触れて感じる教材として活用することで,更なる教育効果が期待される 【図 】カ トリ ジと けていきながら積層し,完成させていく仕様のもの である と考え,今回はこれらのモデルの製作を試みることとした。 【図2】カートリッジと である。 と考え,今回はこれらのモデルの製作を試みることとした。 フィラメント 黒鉛 フィラメント 黒鉛 アセトアルデヒド St 1 アセトアルデヒド Step1 3Dプリンタデ タの例 分子モデルの作成 Step1 3Dプリンタデータの例 分子モデルの作成 ナフタレン ナフタレン 現在,無償提供されている分子設計するた 現在,無償提供されている分子設計するた めのソフトウ アは数多くある その中でも エチレン グリ ル めのソフトウェアは数多くある。その中でも グリコール 操作性に優れている「Wi t 」を活用し 操作性に優れている「Winmostar」を活用し 六方最密充填 た テンプレートも多く添付しており 画面 た。テンプレートも多く添付しており,画面 上に原子を配置して分子を設計し [ファイ ジエチルエーテル 上に原子を配置して分子を設計し,[ファイ ] [ ポ ] [ ] 存 ル]→[エクスポート]→[VRML]で保存 立方格 ル] [エクスポ ト] [VRML]で保存 することでVRML形式のデ タが完成する 面心立方格子 することでVRML形式のデータが完成する。 なお Winmostar(無償版では30原子 【図4】Wi t の入力画面 なお,Winmostar(無償版では30原子 【図4】Winmostarの入力画面 【 】ベ ゼ 【図7】面心立方 【 】体心立方格 密 ベンゼン 以内の利用)では分子軌道の計算も行うこ 【図6】ベンゼン 【図7】面心立方 【図8】体心立方格 【図9】六方最密充填 スルホン酸 以内の利用)では分子軌道の計算も行うこ 【図6】 ンゼン 【図8】体心立方格 【図9】六方最密充填 体心立方格子 とができるので この結果から分子軌道の3Dプリンタ出力が可能となる 体心立方格子 とができるので,この結果から分子軌道の3Dプリンタ出力が可能となる。 246 トリニトロ 246-トリニトロ トルエン ブタン トルエン 3Dプリンタ用デ タへの変換 Step2 ブタン 3Dプリンタ用データへの変換 Step2 3Dプリンタ用デ タ の変換 VRML形式のデータファイルをSTL形式の m-キシレン VRML形式のデ タファイルをSTL形式の プ ヘキサン データファイルへ変換できる数少ないオープン 【図10】黒鉛 【図11】グリセリン 【図12】トルエン デ タファイルへ変換できる数少ないオ プン ソ スの3次元グラフ クスソフト 【図10】黒鉛 【図11】グリセリン 【図12】トルエン ソースの3次元グラフィックスソフト 「Bl d 」を使用する [ファイル] [イ 「Blender」を使用する。[ファイル]→[イ ペンタン o-キシレン ンポート]→(VRML形式ファイル)で先に作 ペンタン ンポート]→(VRML形式ファイル)で先に作 成したVRML形式のファイルを読み込む 成したVRML形式のファイルを読み込む。 次に [ ] [ ク ポ ト] 次に,[ファイル]→[rクスポート]→ 次に,[ファイル] [rクスポ ト] (STL形式)として保存して 3Dプリンタ出 メタノール p-キシレン (STL形式)として保存して,3Dプリンタ出 力可能なSTL形式のデ タが完成する 本ソ 力可能なSTL形式のデータが完成する。本ソ フトは ファイル形式変換にのみ活用するこ 【図5】Blenderの入力画面 フトは,ファイル形式変換にのみ活用するこ 【図5】Blenderの入力画面 【図13】熱溶解積層方式の特性と補助的対応 黒鉛 とになる。 【図13】熱溶解積層方式の特性と補助的対応 黒鉛 p-ジクロロ とになる。 ベンゼン St 3 分子モデルデ タ 印刷 Step3 分子モデルデータの印刷 Step3 ベンゼン(LUMO) 分子モデルデ タの印刷 クロロベンゼン 熱溶解積層方式では最も大きな特徴として 設置部分よりも上部の方が広くなるような形状では 支持(サポ ト)材を挿入して印刷をすることになる【図14】 熱溶解積層方式では最も大きな特徴として,設置部分よりも上部の方が広くなるような形状では,支持(サポート)材を挿入して印刷をすることになる【図14】。 印刷後は この支持材を除去して完成となる【図15】 印刷後は,この支持材を除去して完成となる【図15】。 ダ ヤ ド ダイヤモンド トルエン トルエン エタノール エタノ ル ナフタレン アセチレン アセチレン 2-メチル- 【図16】メタン 【図17】フラ レン C60 【図18】 ト ベ ゼ 2 メチル 1-プロパノール 【図16】メタン 【図17】フラーレン C60 【図18】ニトロベンゼン 【図14】出力後(サポート材あり) 【図15】サポート材除去後 エチレン(LUMO) 【図14】出力後(サポ ト材あり) 【図15】サポ ト材除去後 授業実践 ■授業実践 ■授業実践 trans-2-ブテン 【展開案】 プロピレン 今回製作した結晶格子モデルは,岩手県立不来方高等学 【展開案】 1 結晶についての基本的な事項を確認する 化学基礎で既習の結晶の分類を 今回製作した結晶格子モデルは,岩手県立不来方高等学 校 武田孝紀 教諭に依頼し 授業で活用していただいた 1 結晶についての基本的な事項を確認する。化学基礎で既習の結晶の分類を 校 武田孝紀 教諭に依頼し,授業で活用していただいた。 復習する 復習する。 グ プ( 人)に面心立方格子 体心立方格子 デ を配布する シクロヘキセン 【単元】固体の構造「金属結晶格子について」 2 グループ(4~6人)に面心立方格子,体心立方格子モデルを配布する。 酢酸 【単元】固体の構造「金属結晶格子について」 2 グル プ(4 6人)に面心立方格子,体心立方格子モデルを配布する。 3 各モデルについて 原子数を確認する 酢酸 3 各モデルについて、原子数を確認する。 【本時の目標】単位格子について基本事項(原子数・配位 4 モデルを確認しながら 中心となる原子を決め モデルを2つ合わせて配位 【本時の目標】単位格子について基本事項(原子数 配位 数 原子半径)を理解する 金属結晶格子の3種類につい 4 モデルを確認しながら,中心となる原子を決め,モデルを2つ合わせて配位 数を観察する 数・原子半径)を理解する。金属結晶格子の3種類につい 数を観察する。 乳酸 て 原子数・配位数について理解し 金属結晶格子につい 5 六方最密充填モデルについては 全員で情報共有を行う ギ酸 て,原子数・配位数について理解し,金属結晶格子につい 5 六方最密充填モデルについては、全員で情報共有を行う。 ギ酸 てイメージ化できるようにする。 6 面心立方格子の面を各自スケッチさせ 原子半径を持溶ける てイメ ジ化できるようにする。 6 面心立方格子の面を各自スケッチさせ,原子半径を持溶ける。 m-ニトロトルエン 【問い合わせ先】 岩手県立総合教育センター 〒025-0395 岩手県花巻市北湯口第2地割82番1 [email protected] ブタノール o ニトロトルエン 塩化ビニル ギ酸 グリセリン シュウ酸 マレイン酸 塩化ビニル アセトン フマル酸 酢酸エチル 酢酸ビニル ホルムアルデヒド cis-2-ブテン ニトロベンゼン シクロペンテン o-ニトロトルエン