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ストレージ管理ガイド SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4
361

ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

Jan 24, 2021

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ストレージ管理ガイド

SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4

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ストレージ管理ガイドSUSE Linux Enterprise Server 11 SP4

発行日: 2015 年5 月22 日

SUSE LLC

1800 South Novell Place

Provo, UT 84606

USA

https://documentation.suse.com

Copyright © 2006–2013 Novell, Inc. and contributors.All rights reserved.

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目次

このガイドについて xv

1 Linuxファイルシステムの概要 11.1 用語集 1

1.2 Linuxの主要なファイルシステム 2

Btrfs 3 • Ext2 7 • Ext3 8 • ReiserFS 14 • XFS 15 • ファ

イルシステムの機能比較 17

1.3 サポートされている他のファイルシステム 17

1.4 Linux環境での大規模ファイルサポート 18

1.5 Linuxのカーネルにおけるストレージの制限 20

1.6 YaST パーティショナによるデバイスの管理 20

1.7 追加情報 21

2 SLES 11のストレージの新機能 22

2.1 SLES 11 SP3の新機能 22

Btrfsクォータ 22 • iSCSI LIOターゲットサーバ 22 • Linuxのソフトウェア

RAID 22 • LVM2 23 • マルチパスI/O 24

2.2 SLES 11 SP2の新機能 27

2.3 SLES 11 SP1の新機能 27

iSCSIターゲット情報の保存 28 • iSCSIイニシエータの認証パラメータの

変更 28 • MPIOデバイスの永続的な予約を許可 28 • MDADM

3.0.2 29 • MDRAID外部メタデータ用ブートローダサポー

ト 29 • MDRAID外部メタデータ用のYaSTのインストールとブートサポー

ト 29 • ルートファイルシステムを含むMDRAIDアレイのシャットダウン機能の

向上 29 • iSCSIデバイス上のMD 30 • MD-SGPIO 30 • LVM 2

ミラーのサイズ変更 30 • IBMサーバ上のアダプタ用ストレージドライバの更

新 30

iii ストレージ管理ガイド

Page 4: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

2.4 SLES 11の新機能 31

EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての

Ext3 33 • Ext3用にデフォルトのinodeサイズを増大 33 • JFSファイル

システムの廃止予定 33 • OCFS2ファイルシステムを高可用性リリースに

追加 33 • /dev/disk/by-nameの廃止予定 33 • /dev/disk/by-id

ディレクトリで継続的に有効なデバイス名 34 • マルチパスデバイスのフィル

タ 34 • マルチパスデバイスのユーザフレンドリな名前 34 • マルチパスの

ための高度な入出力負荷バランスオプション 35 • マルチパスツールコールア

ウトの場所の変更 35 • mkinitrd -fオプションのmpathからmultipathへの変

更 35 • MPIOパスグループ化ポリシーのデフォルト設定として、マルチバスから

フェールオーバーへの変更 35

3 ストレージソリューションのプラニング 37

3.1 デバイスのパーティショニング 37

3.2 マルチパスのサポート 37

3.3 ソフトウェアRAIDのサポート 37

3.4 ファイルシステムのスナップショット 38

3.5 バックアップとアーカイブのサポート 38

オープンソースバックアップ 38 • 商用バックアップとアンチウィルスのサポー

ト 38

4 LVMの設定 39

4.1 論理ボリュームマネージャ(LVM)の理解 39

4.2 LVMパーティションの作成 41

4.3 ボリュームグループの作成 43

4.4 物理ボリュームの設定 45

4.5 物理ボリュームの設定 46

4.6 非ルートLVMボリュームグループの自動アクティブ化 49

4.7 LVM2ストレージオブジェクトのタグ付け 50

LVM2タグの使用 51 • LVM2タグの作成要件 51 • コマンドラインでのタ

グ構文 52 • 設定ファイル構文 52 • クラスタで簡単なアクティベーション

iv ストレージ管理ガイド

Page 5: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

制御にタグを使用する 54 • タグを使用して、クラスタ内の好みのホストでアク

ティブにする 55

4.8 ボリュームグループのサイズ変更 58

4.9 YaSTによる論理ボリュームのサイズ変更 59

4.10 コマンドによる論理ボリュームのサイズ変更 60

4.11 ボリュームグループの削除 61

4.12 LVMパーティション(物理ボリューム)の削除 62

4.13 LVMコマンドの使用 62

5 ファイルシステムのサイズ変更 66

5.1 サイズ変更のガイドライン 66

サイズ変更をサポートしているファイルシステム 66 • ファイルシステムのサイズ

の増加 67 • ファイルシステムのサイズの削減 67

5.2 Ext2、Ext3、またはExt4ファイルシステムのサイズの増加 68

5.3 Reiserファイルシステムのサイズの増加 69

5.4 Ext2またはExt3ファイルシステムのサイズの削減 70

5.5 Reiserファイルシステムのサイズの削減 71

6 UUIDによるデバイスのマウント 72

6.1 udevによるデバイスの命名 72

6.2 UUIDの理解 73

UUIDによるファイルシステムデバイスのアセンブルまたは有効化 73 • ファイル

システムデバイスのUUIDの見つけ方 73

6.3 ブートローダと/etc/fstabファイルでのUUIDの使用(x86の場合) 74

6.4 ブートローダと/etc/fstabファイルでのUUIDの使用(IA64の場合) 76

6.5 追加情報 77

7 デバイスのマルチパスI/Oの管理 78

7.1 マルチパスI/Oの理解 79

v ストレージ管理ガイド

Page 6: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

7.2 マルチパス処理のプラニング 79

マルチパス処理のガイドライン 79 • multipath-tools-0.4.9におけるPRIO

設定 83 • マルチパスデバイスでのWWID、ユーザフレンドリ名、および別名

の使用 83 • マルチパスデバイスでのLVM2の使用 84 • マルチパス

デバイスでのmdadmの使用 87 • NetAppデバイスでのマルチパスの使

用 87 • マルチパスデバイスでの--noflushの使用 87 • ルートデバイ

スがマルチパスの場合のSANタイムアウト設定 88 • マルチパスデバイスの

パーティショニング 88 • マルチパスI/O用にサポートされているアーキテク

チャ 90 • マルチパス処理用にサポートされているストレージアレイ 90

7.3 マルチパス管理ツール 94

デバイスマッパーマルチパスモジュール 94 • マルチパスI/O管理ツー

ル 97 • マルチパスデバイスへのMDADMの使用 98 • Linux

multipath(8)コマンド 99 • Linux mpathpersist(8)ユーティリティ 103

7.4 マルチパス処理用システムの設定 107

マルチパス処理用SANデバイスの準備 107 • マルチパスデバイスのパーティ

ショニング 108 • initrdでデバイスドライバをマルチパス処理用に設定する

109 • ブートシーケンスへのmultipathdの追加 110

7.5 マルチパスI/Oサービスの有効化と機動 111

7.6 /etc/multipath.conf Fileの作成または修正 112

/etc/multipath.confファイルの作成 112 • /etc/multipath.confファイルの

セクション 113 • etc/multipath.confファイルでのマルチパスセットアップの確

認 114 • /etc/multipath.confファイルの変更を適用したマルチパスマップの更

新 116

7.7 ポーリング、待ち行列、およびフェールバック用のデフォルトポリシーの設定 117

7.8 非マルチパスデバイスのブラックリスト化 118

7.9 ユーザフレンドリ名または別名の設定 120

7.10 zSeriesデバイスのデフォルト設定の設定 124

7.11 パスフェールオーバーのポリシーと優先度の設定 125

パスのフェールオーバーポリシーの設定 125 • フェールオーバーポリシーの設

定 126 • スクリプトの使用によるパス優先度の設定 137 • ALUAの設定

(mpath_prio_alua) 138 • ターゲットパスグループの報告 140

vi ストレージ管理ガイド

Page 7: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

7.12 ルートデバイスのマルチパスI/Oの設定 140

インストール時にマルチパスI/Oを有効にする 140 • 既存ルートデバイス用マル

チパスI/Oの有効化 143 • ルートデバイスのマルチパスI/Oの無効化 144

7.13 既存ソフトウェアRAID用マルチパスI/Oの設定 144

7.14 新規デバイスのスキャン(再起動なし) 146

7.15 パーティショニングされた新規デバイスのスキャン(再起動なし) 149

7.16 マルチパスI/Oステータスの表示 151

7.17 エラーになったI/Oの管理 153

7.18 停止したI/Oの解決 154

7.19 MPIOのトラブルシューティング 155

マルチパス0.4.9への更新後に、個別デバイスのprio設定が失敗す

る 155 • multipath-tools-0.4.9への更新後に、引数を伴うprio設定が失敗す

る 155 • 技術情報ドキュメント 156

7.20 次に行う作業 156

8 ソフトウェアRAIDの設定 157

8.1 RAIDレベルの理解 157

RAID 0 158 • RAID 1 158 • RAID 2およびRAID 3 158 • RAID

4 159 • RAID 5 159 • ネストしたRAIDレベル 159

8.2 YaSTによるソフトウェアRAID設定 159

8.3 ソフトウェアRAIDのトラブルシューティング 161

8.4 詳細情報 161

9 ルートパーティション用のソフトウェアRAID1の設定 163

9.1 ルートパーティション用のソフトウェアRAID1デバイスを使用するための前提条件 163

9.2 インストール時にiSCSIイニシエータサポートを有効にする 164

9.3 インストール時にマルチパスI/Oのサポートを有効にする 164

9.4 ルート(/)パーティション用のソフトウェアRAID1デバイスの作成 165

vii ストレージ管理ガイド

Page 8: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

10 mdadmによるソフトウェアRAID 6および10の管理 170

10.1 RAID 6の作成 170

RAID 6の理解 170 • RAID 6の作成 171

10.2 mdadmによるネストしたRAID 10デバイスの作成 172

ネストしたRAIDデバイスの理解 172 • mdadmによるネストしたRAID 10 (1+0)

デバイスの作成 173 • mdadmによるネストしたRAID 10 (0+1)デバイスの作

成 174

10.3 コンプレックスRAID 10の作成 176

コンプレックスRAID10の理解 176 • mdadmによるコンプレックスRAID 10の作

成 180 • YaSTパーティショナ付きコンプレックスRAID 10の作成 181

10.4 ディグレードアレイの作成 184

11 mdadmによるソフトウェアRAIDアレイのサイズ変更 186

11.1 サイズ変更プロセスの理解 186

ソフトウェアRAIDサイズ変更のガイドライン 186 • タスクの概要 187

11.2 ソフトウェアRAIDのサイズの増加 188

コンポーネントパーティションのサイズの増加 188 • RAIDアレイのサイズの増

加 190 • ファイルシステムのサイズの増加 191

11.3 ソフトウェアRAIDのサイズの削減 193

ファイルシステムのサイズの削減 194 • RAIDアレイサイズの削減 196 • コン

ポーネントパーティションのサイズの削減 197

12 MDソフトウェアRAID用のストレージエンクロージャLEDユーティリティ 200

12.1 サポートされているLED管理プロトコル 200

12.2 サポートされているストレージエンクロージャシステム 201

12.3 ストレージエンクロージャLED監視サービス(ledmon(8)) 201

構文 201 • オプション 202 • ファイル 202 • 既知の問題 203

12.4 ストレージエンクロージャLED制御アプリケーション(ledctl(8)) 203

構文 204 • パターン名 204 • パターンの変換 206 • デバイスのリス

ト 207 • オプション 207 • ファイル 208 • 例 208

12.5 エンクロージャLEDユーティリティ設定ファイル(ledctl.conf(5)) 209

viii ストレージ管理ガイド

Page 9: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

12.6 追加情報 209

13 Linux用iSNS 210

13.1 iSNSのしくみ 210

13.2 Linux用iSNSサーバのインストール 212

13.3 iSNS検出ドメインの設定 213

iSNS検出ドメインの作成 214 • iSNS検出ドメインセットの作成 215 • iSCSI

ノードの検出ドメインへの追加 216 • 検出ドメインの検出ドメインセットへの追

加 218

13.4 iSNSの起動 218

13.5 iSNSの停止 219

13.6 詳細情報 219

14 IPネットワークの大容量記憶域 - iSCSI 220

14.1 iSCSIターゲットおよびイニシエータのインストール 222

iSCSIターゲットソフトウェアのインストール 223 • iSCSIイニシエータソフトウェア

のインストール 223

14.2 iSCSIターゲットのセットアップ 224

ストレージスペースの準備 224 • YaSTを使ったiSCSIターゲットの作

成 226 • iSCSIターゲットの手動設定 229 • ietadmを使ったオンラインター

ゲットの設定 230

14.3 iSCSIイニシエータの設定 232

YaSTを使ったiSCSIイニシエータの設定 233 • 手動によるiSCSIイニシエータの

設定 236 • iSCSIクライアントデータベース 237

14.4 インストール時のiSCSIディスクの使用 238

14.5 iSCSIのトラブルシューティング 239

ホットプラグでiSCSIターゲットをマウントできない 239 • iSCSIトラフィックの

データパッケージがドロップされる 239 • LVMでiSCSIボリュームを使用す

る 240 • 設定ファイルが手動に設定されていると、iSCSIターゲットがマウントされ

る 240

14.6 追加情報 241

ix ストレージ管理ガイド

Page 10: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

15 IP ネットワークの大容量記憶域: iSCSI LIOターゲットサーバ 242

15.1 iSCSI LIOターゲットサーバソフトウェアのインストール 242

15.2 iSCSI LIOターゲットサービスの開始 245

iSCSI LIO起動の初期設定 245 • iSCSI LIOターゲットおよびコマンドラインの

マニュアルでの開始 247 • YaSTでのiSCSI LIOターゲットのマニュアルでの開

始 248

15.3 iSCSI LIOターゲットおよびクライアントのディスカバリに対する認証の設定 249

15.4 ストレージスペースの準備 252

デバイスのパーティショニング 252 • 仮想環境でのデバイスのパーティション分

割 254

15.5 iSCSI LIOターゲットグループの設定 254

15.6 iSCSI LIOターゲットグループの変更 262

15.7 iSCSI LIOターゲットグループの削除 265

15.8 iSCSI LIOターゲットサーバのトラブルシューティング 266

ターゲットLUNのセットアップ時のポータルエラー 267 • iSCSI LIOターゲットが

他のコンピュータで表示されない 268

15.9 iSCSI LIOターゲットの用語 268

16 Fibre Channel Storage over Ethernet Networks:FCoE 271

16.1 FCoEおよびYaSTのFCoEクライアントのインストール 273

16.2 インストール時におけるFCoEインタフェースの設定 274

16.3 YaSTを使用したFCoEサービスの管理 275

16.4 コマンドを使用したFCoEの設定 280

16.5 FCoE管理ツールを使用したFCoEインスタンスの管理 281

16.6 FCoEイニシエータディスク用のパーティションの設定 286

16.7 FCoEイニシエータディスクでのファイルシステムの作成 286

x ストレージ管理ガイド

Page 11: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

16.8 追加情報 287

17 LVMボリュームスナップショット 288

17.1 ボリュームスナップショットの理解 288

17.2 LVMによるLinuxスナップショットの作成 290

17.3 スナップショットの監視 290

17.4 Linuxスナップショットの削除 291

17.5 仮想ホスト上の仮想マシンに対するスナップショットの使用 291

17.6 スナップショットをソース論理ボリュームとマージして変更を元に戻すか、前の状態にロールバックする 293

18 NFSv4上でのアクセス制御リストの管理 296

19 ストレージに関する問題のトラブルシュート 297

19.1 DM-MPIOはブートパーティションに使用できますか? 297

19.2 Btrfsエラー: デバイスに空き領域がない 297

Snapperスナップショットによるディスク容量の使用 297 • ログ、クラッシュ、およ

びキャッシュのファイルによるディスク容量の使用 299

19.3 マルチパスI/Oの問題 299

19.4 ソフトウェアRAIDの問題 299

19.5 iSCSIの問題 299

19.6 iSCSI LIOターゲットの問題 299

A GNU利用許諾契約書 300

A.1 GNU一般公開使用許諾 300

A.2 GNUフリー文書利用許諾契約書(GFDL) 306

B マニュアルの更新 315

B.1 2013年12月16日 316

デバイスのマルチパスI/Oの管理 316

xi ストレージ管理ガイド

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B.2 2013年11月4日 316

デバイスのマルチパスI/Oの管理 316

B.3 2013年10月14日 317

Linux用iSNS 317

B.4 2013年10月4日 317

デバイスのマルチパスI/Oの管理 317 • ボリュームのスナップショッ

ト 318 • SLES 11のストレージの新機能 319

B.5 2013年6月(SLES 11 SP3) 319

LVMの設定 319 • IP ネットワークの大容量記憶域: iSCSI LIOターゲットサー

バ 319 • デバイスのマルチパスI/Oの管理 320 • mdadmによるソフトウェ

アRAID 6および10の管理 321 • Linuxファイルシステムの概要 321 • ソ

フトウェアRAID用のストレージエンクロージャLEDユーティリティ 321 • ボ

リュームのスナップショット 322 • ストレージに関する問題のトラブルシュー

ト 322 • SLES 11のストレージの新機能 322

B.6 2013年3月19日 322

Linuxファイルシステムの概要 323

B.7 2013年3月11日 323

LVMの設定 323 • Linuxファイルシステムの概要 323

B.8 2013年2月8日 324

ルートパーティション用のソフトウェアRAID1の設定 324

B.9 2013年1月8日 324

LVMの設定 325 • デバイスのマルチパスI/Oの管理 325

B.10 2012年11月14日 326

Linuxファイルシステムの概要 326

B.11 2012年10月29日 327

B.12 2012年10月19日 327

デバイスのマルチパスI/Oの管理 327 • Linuxファイルシステムの概要 328

B.13 2012年9月28日 328

デバイスのマルチパスI/Oの管理 328 • Linuxファイルシステムの概要 329

xii ストレージ管理ガイド

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B.14 2012年4月12日 329

デバイスのマルチパスI/Oの管理 329 • mdadmによるソフトウェアRAIDアレイの

サイズ変更 330

B.15 2012年2月27日(SLES 11 SP2) 330

Fibre Channel Storage over Ethernet Networks: FCoE 330 • GNU利用

許諾契約書 330 • LVMの設定 331 • NFSv4上でのアクセス制御リスト

の管理 331 • デバイスのマルチパスI/Oの管理 331 • mdadmによるソフ

トウェアRAID 6および10の管理 332 • IPネットワークの大容量記憶域 - iSCSI

332 • Linuxファイルシステムの概要 332 • ファイルシステムのサイズ変

更 333 • mdadmによるソフトウェアRAIDアレイのサイズ変更 333

B.16 2011年7月12日 333

デバイスのマルチパスI/Oの管理 334

B.17 2011年6月14日 334

デバイスのマルチパスI/Oの管理 334 • SLES 11のストレージの新機能 334

B.18 2011年5月5日 335

B.19 2011年1月 335

LVMの設定 335 • デバイスのマルチパスI/Oの管理 335 • ファイルシステム

のサイズ変更 336

B.20 2010年9月16日 336

LVMの設定 336

B.21 2010年6月21日 337

LVMの設定 337 • マルチパスI/Oの管理 337 • mdadmによるソフトウェア

RAID 6および10の管理 337 • IPネットワークの大容量記憶域 - iSCSI 338

B.22 2010年5月(SLES 11 SP1) 338

デバイスのマルチパスI/Oの管理 338 • IPネットワークの大容量記憶域 -

iSCSI 339 • ソフトウェアRAIDの設定 340 • 新機能 340

B.23 2010年2月23日 340

ルートパーティション用のソフトウェアRAIDの設定 340 • マルチパスI/Oの管

理 341

B.24 2009年12月1日 341

デバイスのマルチパスI/Oの管理 341 • ファイルシステムのサイズ変

更 342 • 新機能 342

xiii ストレージ管理ガイド

Page 14: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

B.25 2009年10月20日 342

LVMの設定 342 • デバイスのマルチパスI/Oの管理 343 • 新機能 343

B.26 2009年8月3日 343

マルチパスI/Oの管理 344

B.27 2009年6月22日 344

マルチパスI/Oの管理 344 • mdadmによるソフトウェアRAID 6および10の管

理 345 • IPネットワークの大容量記憶域 - iSCSI 345

B.28 2009年5月21日 345

マルチパスI/Oの管理 346

xiv ストレージ管理ガイド

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このガイドについて

このガイドでは、SUSE Linux Enterprise Server 11 SP3 (Support Pack 3)サーバでストレージデ

バイスを管理する方法を説明します。

対象読者

このガイドは、システム管理者を対象としています。

フィードバック

本マニュアルおよびこの製品に含まれているその他のマニュアルについて、皆様のご意見やご要望

をお寄せください。オンラインマニュアルの各ページの下部にあるユーザコメント機能を使用するか

www.novell.com/documentation/feedback.htmlにアクセスしてコメントを記入してください。

マニュアルの更新

『SUSE Linux Enterprise Server 11ストレージ管理ガイド』の最新バージョンについて

は、SUSE Linux Enterprise Server 11用SUSEマニュアルWebサイト (http://www.suse.com/

documentation/sles11) をご覧ください。

その他のマニュアル

デバイスのパーティショニングと管理については、『SUSE Linux Enterprise Server 11導入

ガイド (https://www.suse.com/documentation/sles11/book_sle_deployment/data/

book_sle_deployment.html) 』の「高度なディスクセットアップ」 (http://www.suse.com/

documentation/sles11/book_sle_deployment/data/cha_advdisk.html) を参照してください。

xv 対象読者 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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1 Linuxファイルシステムの概要

SUSE Linux Enterprise Serverには、選択できる多数のさまざまなファイルシステム

(Btrfs、Ext3、Ext2、ReiserFS、XFSなど)が付属しています。各ファイルシステムには、それぞれ独自

の利点と欠点があります。

プロ級のハイパフォーマンスのセットアップには、可用性の高いストレージシステムが必要なことがあ

ります。ハイパフォーマンスのクラスタリングシナリオの要件を満たすため、SUSE Linux Enterprise

Serverでは、SLES HASI (High-Availability Storage Infrastructure)リリースにOCFS2 (Oracle

Cluster File System 2)とDRBD (Distributed Replicated Block Device)を組み込んでいます。

これらの高度なストレージシステムは、本書では扱いません。『SUSE Linux Enterprise 11 SP3 High

Availability Extension Guide (http://www.suse.com/documentation/sle_ha/book_sleha/

data/book_sleha.html) 』を参照してください。

1.1項 「用語集」

1.2項 「Linuxの主要なファイルシステム」

1.3項 「サポートされている他のファイルシステム」

1.4項 「Linux環境での大規模ファイルサポート」

1.5項 「Linuxのカーネルにおけるストレージの制限」

1.6項 「YaST パーティショナによるデバイスの管理」

1.7項 「追加情報」

1.1 用語集メタデータ(metadata)

ファイルシステムが内包するデータ構造です。これにより、すべてのオンディスクデータが正しく構

成され、アクセス可能になります。本質的には、「データに関するデータ」です。ほとんどすべての

ファイルシステムに独自のメタデータ構造があり、それが各ファイルシステムに異なるパフォーマ

ンス特性が存在する理由の1つになっています。メタデータが破損しないよう維持するのは、非常

に重要なことです。もし破損した場合、ファイルシステム内にあるすべてのデータがアクセス不能

になる可能性があるからです。

inode

サイズ、リンク数、ファイルの内容を実際に格納しているディスクブロックへのポインタ、作成日

時、変更日時、クセス日時など、ファイルに関する各種の情報を含むファイルシステムのデータ構

造。

1 用語集 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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ジャーナル(journal)

ファイルシステムのジャーナルは、ファイルシステムがそのメタデータ内で行う変更を特定のログ

に記録するオンディスク構造です。ジャーナル機能は、システム起動時にファイルシステム全体を

チェックする長い検索プロセスが不要なため、ファイルシステムの回復時間を大幅に短縮します。

ただし、それはジャーナルが再現できる場合に限定されます。

1.2 Linuxの主要なファイルシステムSUSE Linux Enterprise Serverでは、多様なファイルシステムを選択できます。このセクションでは、

それらのファイルシステムの機能および利点の概要を説明します。

ただし、すべてのアプリケーションに最適なファイルシステムは存在しません。各ファイルシステムには

特定の利点と欠点があり、それらを考慮する必要があります。最も高度なファイルシステムを選択する

場合でも、適切なバックアップ戦略が必要です。

本項で使用されるデータの完全性およびデータの一貫性という用語は、ユーザスペースデータ(ユー

ザが使用するアプリケーションによりファイルに書き込まれるデータ)の一貫性を指す言葉ではありませ

ん。ユーザスペースのデータが一貫しているかどうかは、アプリケーション自体が管理する必要がありま

す。

重要このセクションで特に指定のない限り、パーティションおよびファイルシステムの設定または変更

に必要なすべてのステップは、YaSTを使用して実行できます。

1.2.1項 「Btrfs」

1.2.2項 「Ext2」

1.2.3項 「Ext3」

1.2.4項 「ReiserFS」

1.2.5項 「XFS」

1.2.6項 「ファイルシステムの機能比較」

2 Linuxの主要なファイルシステム SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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1.2.1 Btrfs

Btrfsは、Chris Masonが開発したCOW(コピーオンライト)ファイルシステムです。このシステム

は、Ohad Rodehが開発したCOWフレンドリーなBツリーに基づいています。Btrfsは、ロギングスタイ

ルのファイルシステムです。このシステムでは、ブロックの変更をジャーナリングする代わりに、それらの

変更を新しい場所に書き込んで、リンクインします。新しい変更は、最後の書き込みまで確定されませ

ん。

重要Btrfsではファイルシステムのスナップショットを格納することができるため、標準のストレージ案

の2倍のディスクスペースを確保しておくことが推奨されます。これは、YaSTパーティショナによ

り、ルートファイルシステムに対するBtrfsのストレージ案において、自動的に行われます。

1.2.1.1項 「主な機能」

1.2.1.2項 「ブートローダのサポート」

1.2.1.3項 「Btrfsのサブボリューム」

1.2.1.4項 「ルートファイルシステムのスナップショット」

1.2.1.5項 「オンラインでのチェックと修復の機能」

1.2.1.6項 「RAIDとMultipathのサポート」

1.2.1.7項 「ExtファイルシステムからBtrfsへのマイグレーション」

1.2.1.8項 「Btrfsの管理」

1.2.1.9項 「サブボリュームに対するBtrfsクォータのサポート」

1.2.1.1 主な機能

Btrfsは、次のような耐障害性、修復、容易な管理機能を提供します。

書き込み可能なスナップショット。更新適用後に必要に応じてシステムを容易にロールバックした

り、ファイルをバックアップできます。

複数デバイスのサポート。ファイルシステムを拡大したり、縮小できます。この機能は、YaSTパー

ティショナの今後のリリースで利用可能となる予定です。

圧縮機能。ストレージスペースを効率的に使用できます。

3 Btrfs SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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Btrfsのコマンドを使用して、透過圧縮を設定します。 Btrfsの圧縮および暗号化の機能は目下開

発中であり、現在のところSUSE Linux Enterprise Serverではサポートされていません。

メタデータとユーザデータ用のさまざまなRAIDレベル。

メタデータとユーザデータ用のさまざまなチェックサム。エラー検出が向上します。

Linux LVM (Logical Volume Manager)ストレージオブジェクトとの統合。

SUSE Linux上でのYaSTパーティショナおよびAutoYaSTとの統合。

既存のExt2、Ext3、およびExt4ファイルシステムからの、オフラインのマイグレーション 。

1.2.1.2 ブートローダのサポート

Btrfs上の /bootに対するブートローダのサポートは、SUSE Linux Enterprise 12から利用可能とな

る予定です。

1.2.1.3 Btrfsのサブボリューム

BtrFSでは、割り当てられたスペースのプールにデフォルトのサブボリュームが作成されます。BtrFSで

は、同じスペースプール内で個々のファイルシステムとして機能する追加サブボリュームを作成できま

す。サブボリュームの数は、プールに割り当てられたスペースによってのみ制限されます。

Btrfsをルート( / )のファイルシステムに使用する場合は、YaSTパーティショナにより、Btrfsのサブボ

リュームとの使用のためのBtrfsファイルシステムが自動的に作成されます。いずれのサブディレクトリ

も、サブボリュームとして扱うことができます。たとえば、表1.1「YaSTにおける、Btrfs用のデフォルトのサ

ブボリュームの扱い」には、サブボリュームとして扱うことをが推奨されるサブディレクトリを示していま

す。これらのサブディレクトリには、記載の理由によりスナップショットするべきではないファイルが含ま

れているからです。

表 1.1: YASTにおける、BTRFS用のデフォルトのサブボリュームの扱い

パス サブボリュームとして扱う理由

/opt サードパーティのアドオンアプリケーションのソフトウェアパッケージを格納

します。

/srv httpファイルと ftpファイルを格納します。

/tmp 一時ファイルを格納します。

/var/crash クラッシュしたカーネルのメモリダンプを格納します。

4 Btrfs SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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パス サブボリュームとして扱う理由

/var/log システムおよびアプリケーションのログファイルを格納します。これはロール

バックできません。

/var/run ランタイム変数のデータを格納します。

/var/spool プログラム、ユーザ、または管理者による処理を待っているデータ(ニュー

ス、メール、プリンタのキューなど)を格納します。

/var/tmp システムの再起動間で保存する一時ファイルまたは一時ディレクトリを格

納します。

インストール後は、YaST Expert Partitionerを使用して、Btrfsサブボリュームの追加や削除が

可能です。詳細については、『SUSE Linux Enterprise Server 11 SP3導入ガイド』の、「YaST

を使用したBtrfsサブボリュームの管理」 (https://www.suse.com/documentation/sles11/

book_sle_deployment/data/sec_yast2_i_y2_part_expert.html#yast2_btrfs_yast)

(https://www.suse.com/documentation/sles11/book_sle_deployment/data/

book_sle_deployment.html) を参照してください。

1.2.1.4 ルートファイルシステムのスナップショット

Btrfsでは、SUSE Snapperのインフラストラクチャに書き込み可能なスナップショットが提供されてお

り、これを使用して、更新プログラムの適用後に必要に応じてシステムをロールバックすることも、バック

アップすることもできます。Snapperを使用すれば、スナップショットの作成や削除のほか、2つのスナッ

プショットを比較してその相違を元に戻すこともできます。Btrfsをルート( / )ファイルシステムに使用し

た場合は、YaSTによりルートファイルシステムに対するスナップショットが自動的に有効化されます。

Snapperと、ZYpp ( snapper-zypp-plugin )およびYaST ( yast2-snapper )におけるその統合に

ついては、『SUSE Linux Enterprise Server 11 SP3管理ガイド』の「Snapperを使用したスナップ

ショット/ロールバック」 (http://www.suse.com/documentation/sles11/book_sle_admin/data/

cha_snapper.html) (http://www.suse.com/documentation/sles11/book_sle_admin/

data/book_sle_admin.html) を参照してください。

システムディスクがスナップショットでいっぱいにならないように、 /etc/snapper/configs/

root設定ファイルまたは他のマウントポイントで、Snapperクリーンアップのデフォルトをより

制約された値に変更できます。Snapperでは、日次のcronジョブで実行された古いスナップ

ショットをクリーンアップするために、3つのアルゴリズムが提供されています。クリーンアップ頻度

は、マウントポイントのSnapper設定で定義されています。日次、月次、年次のクリーンアップの

TIMELINE_LIMITパラメータ値を下げると、スナップショットの数と保持期間を減らせます。詳

5 Btrfs SUSE Linux Enterp… 11 SP4

Page 21: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

細については、『SUSE Linux Enterprise Server 11 SP3管理ガイド (https://www.suse.com/

documentation/sles11/book_sle_admin/data/book_sle_admin.html) 』の「設定ファ

イルの調整」 (https://www.suse.com/documentation/sles11/book_sle_admin/data/

sec_snapper_config.html#sec_snapper_config_modify) を参照してください。

SUSEのSnapperプロジェクトについては、OpenSUSE.orgにあるSnapper Portal wiki (http://

en.opensuse.org/Portal:Snapper) を参照してください。

1.2.1.5 オンラインでのチェックと修復の機能

scrubを使用したチェックと修復の機能が、Btrfsのコマンドラインツールの一部として利用できます。

ツリー構造が正しいことを前提として、データとメタデータの完全性を検証します。マウントしたファイル

システム上で、 scrubを定期的に実行することができます。これは、通常の操作中にバックグラウンドプ

ロセスとして実行されます。

1.2.1.6 RAIDとMultipathのサポート

YaSTパーティショナを使用して、Multiple Devices (MD)およびDevice Mapper (DM)のストレー

ジ構成上でBtrfsを作成することができます。

1.2.1.7 ExtファイルシステムからBtrfsへのマイグレーション

既存のExtファイルシステム(Ext2、Ext3、またはExt4)から、Btrfsファイルシステムへデータボリューム

をマイグレートすることができます。変換プロセスはオフラインで、デバイス上において行われます。ファ

イルシステムは、デバイス上の空き領域の15%以上を必要とします。

ExtファイルシステムをBtrfsに変換するには、ファイルシステムをオフラインにしてから、次のように入力

します。

btrfs-convert <device>

マイグレーションを、元のExtファイルシステムにロールバックするには、ファイルシステムをオフラインに

してから、次のように入力します。

btrfs-convert -r <device>

重要元のExtファイルシステムにロールバックする際、Btrfsへの変換後に追加したデータはすべて失

われます。つまり、元のデータのみが、Extファイルシステムに逆変換されます。

6 Btrfs SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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1.2.1.8 Btrfsの管理

Btrfsは、YaSTパーティショナおよびAutoYaST内に統合されています。これはインストール時に利用

可能で、ルートファイルシステム用のソリューションを設定することができます。インストール後に、YaST

パーティショナを使用して、Btrfsのボリュームの参照と管理を行うことができます。

Btrfsの管理ツールは、 btrfsprogsパッケージ内に用意されています。Btrfsコマンドの使用について

は、 btrfs(8) 、 btrfsck(8) 、 mkfs.btrfs(8) 、および btrfsctl(8) のマニュアルページを参照し

てください。Btrfsの機能については、Btrfs wiki (http://btrfs.wiki.kernel.org) を参照してください。

fsck.btrfs(8)ツールは、SUSE Linux Enterpriseの更新リポジトリ内で近日中に利用可能となり

ます。

1.2.1.9 サブボリュームに対するBtrfsクォータのサポート

Btrfs rootファイルシステムのサブボリューム /var/log 、 /var/crashおよび /var/cacheが、通常

の操作時に利用可能なディスクスペースのすべてを使用でき、システムに不具合が発生します。この状

況を回避するため、SUSE Linux Enterpriseではサブボリュームに対するBtrfsクォータのサポートを

提供するようになりました。詳細については、 btrfs(8)のマニュアルページを参照してください。

1.2.2 Ext2

Ext2の起源は、Linuxの歴史の初期にさかのぼります。その前身であったExtended File System

は、1992年4月に実装され、Linux 0.96cに統合されました。Extended File Systemは多くの変更

を加えられ、Ext2として数年にわたって、最も人気のあるLinuxファイルシステムになりました。その後、

ジャーナルファイルシステムが作成され、回復時間が非常に短くなったため、Ext2の重要性は低下しま

した。

Ext2の利点に関する短い要約を読むと、かつて幅広く好まれ、そして今でも一部の分野で多くの

Linuxユーザから好まれるLinuxファイルシステムである理由を理解するのに役立ちます。

1.2.2.1項 「堅実性と速度」

1.2.2.2項 「容易なアップグレード性」

1.2.2.1 堅実性と速度

「古くからある標準」として、Ext2は過去に多くの改良がなされ、繰り返しテストされてきました。これ

が、Ext2がしばしば非常に堅実と評される理由かもしれません。ファイルシステムが正常にアンマウン

トできず、システムが機能停止した場合、e2fsckはファイルシステムのデータの分析を開始します。メタ

7 Ext2 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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データは一貫した状態に戻り、保留されていたファイルとデータブロックは、指定のディレクトリ( lost

+found )に書き込まれます。ジャーナルファイルシステムとは対照的に、e2fsckは、最近変更されたわ

ずかなメタデータだけではなく、ファイルシステム全体を分析します。この結果、ジャーナルファイルシス

テムがログデータだけをチェックするのに比べて、かなり長い時間を要します。ファイルシステムのサイ

ズにもよりますが、この手順は30分またはそれ以上を要することがあります。したがって、高可用性を必

要とするどのようなサーバでも、Ext2を選択することは望ましくありません。ただし、Ext2はジャーナルを

維持せず、使用するメモリも非常にわずかであるため、他のファイルシステムよりも高速である場合があ

ります。

1.2.2.2 容易なアップグレード性

Ext3は、Ext2のコードをベースとし、Ext2のオンディスクフォーマットとメタデータフォーマットも共用す

るので、Ext2からExt3へのアップグレードは非常に容易です。

1.2.3 Ext3

Ext3は、Stephen Tweedieによって設計されました。他のすべての次世代ファイルシステムとは異な

り、Ext3は完全に新しい設計理念に基づいているわけではありません。Ext3は、Ext2をベースとしてい

ます。これら2つのファイルシステムは、非常に似ています。Ext3ファイルシステムを、Ext2ファイルシス

テムの上に構築することも容易です。Ext2とExt3の最も重要な違いは、Ext3がジャーナルをサポート

していることです。要約すると、Ext3には、次の3つの主要な利点があります。

1.2.3.1項 「Ext2からの容易で信頼性の高いアップグレード」

1.2.3.2項 「信頼性とパフォーマンス」

1.2.3.3項 「Ext2ファイルシステムからExt3への変換」

1.2.3.4項 「Ext3ファイルシステムのinodeサイズとinode数」

1.2.3.1 Ext2からの容易で信頼性の高いアップグレード

Ext2のコードは、Ext3が次世代ファイルシステムであることを明確に主張するための強力な土台にな

りました。Ext3では、Ext2の信頼性および堅実性がExt3で採用されたジャーナルファイルシステムの

利点とうまく統合されています。ReiserFSまたはXFSのような他のファイルシステムへの移行はかなり

手間がかかります(ファイルシステム全体のバックアップを作成し、移行先ファイルシステムを新規に作

成する必要があります)が、それとは異なり、Ext3への移行は数分で完了します。ファイルシステム全体

を新たに作成し直しても、それが完璧に動作するとは限らないので、Ext3への移行は非常に安全でも

8 Ext3 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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あります。ジャーナルファイルシステムへのアップグレードを必要とする既存のExt2システムの数を考

慮に入れると、多くのシステム管理者にとってExt3が重要な選択肢となり得る理由が容易にわかりま

す。Ext3からExt2へのダウングレードも、アップグレードと同じほど容易です。Ext3ファイルシステムの

アンマウントを正常に行い、Ext2ファイルシステムとして再マウントするだけです。

1.2.3.2 信頼性とパフォーマンス

他のジャーナルファイルシステムは、「メタデータのみ」のジャーナルアプローチに従っています。つまり、

メタデータは常に一貫した状態に保持されますが、ファイルシステムのデータ自体については、一貫性

が自動的に保証されるわけではありません。Ext3は、メタデータとデータの両方に注意するよう設計さ

れています。「注意」の度合いはカスタマイズできます。Ext3の data=journalモードを有効にした場

合、最大の保護(データの完全性)を実現しますが、メタデータとデータの両方がジャーナル化されるの

で、システムの動作が遅くなります。比較的新しいアプローチは、 data=orderedモードを使用すること

です。これは、データとメタデータ両方の完全性を保証しますが、ジャーナルを適用するのはメタデータ

のみです。ファイルシステムドライバは、1つのメタデータの更新に対応するすべてのデータブロックを

収集します。これらのブロックは、メタデータの更新前にディスクに書き込まれます。その結果、パフォー

マンスを犠牲にすることなく、メタデータとデータの両方に関する一貫性を達成できます。3番目のオプ

ションは、 data=writebackを使用することです。これは、対応するメタデータをジャーナルにコミットし

た後で、データをメインファイルシステムに書き込むことを可能にします。多くの場合、このオプションは、

パフォーマンスの点で最善と考えられています。しかし、内部のファイルシステムの完全性が維持され

る一方で、クラッシュと回復を実施した後では、古いデータがファイル内に再登場させてしまう可能性が

あります。Ext3では、デフォルトとして、 data=orderedオプションを使用します。

1.2.3.3 Ext2ファイルシステムからExt3への変換

Ext2ファイルシステムをExt3に変換するには、次の手順に従います。

1. Ext3ジャーナルの作成には、 tune2fs -jを rootユーザとして実行します。

この結果、デフォルトのパラメータを使用してExt3ジャーナルが作成されます。

ジャーナルのサイズおよびジャーナルを常駐させるデバイスを指定するには、 tune2fs -Jとと

もに適切なジャーナルオプション size=および device=を指定して、実行します。 tune2fsプロ

グラムの詳細については、 tune2fsのマニュアルページを参照してください。

2. ファイル /etc/fstabを rootユーザとして編集して、該当するパーティションに指定されている

ファイルシステムタイプを ext2から ext3に変更し、その変更内容を保存します。

これにより、Ext3ファイルシステムが認識されるようになります。この変更結果は、次回の再起動

後に有効になります。

9 Ext3 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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3. Ext3パーティションとしてセットアップされたルートファイルシステムをブートするに

は、 ext3と jbdの各モジュールを initrdに組み込みます。

a. /etc/sysconfig/kernelを rootとして編集し、 ext3およ

び jbdを INITRD_MODULES変数に追加し、最後に変更内容を保存します。

b. mkinitrdコマンドを実行します。

これにより新規のinitrdがビルドされ、すぐに使用できます。

4. システムを再起動します。

1.2.3.4 Ext3ファイルシステムのinodeサイズとinode数

inodeには、ファイルシステム内のファイルとそのブロック位置に関する情報が格納されます。拡張した

属性とACLのためのスペースをinode内に確保するため、Ext3のデフォルトのinodeサイズは、SLES

10での128バイトから、SLES 11では256バイトに拡大されました。SLES 10と比較して、SLES 11上

でExt3ファイルシステムを作成する際、同数のinodeに対する事前割り当てされたデフォルトのスペー

スの量は2倍になり、ファイルシステム内のファイルに対して使用可能なスペースは、その分少なくなっ

ています。したがって、同数のinodeとファイルを収容するのに、SLES 10上のExt3ファイルシステムの

場合より大きなパーティションを使用する必要があります。

新規のExt3ファイルシステムを作成する際、inodeテーブル内のスペースは、作成可能なinodeの総

数に対して事前に割り当てられています。バイト数/inode数の比率と、ファイルシステムのサイズによっ

て、inode数の上限が決まります。ファイルシステムが作成されると、バイト数/inode数のバイト数の各

スペースに対して、1つのinodeが作成されます。

number of inodes = total size of the file system divided by the number of bytes per inode

inodeの数によって、ファイルシステム内に保有できるファイルの数が決まります。つまり、各ファイルに

つき1つのinodeです。inodeサイズの増大と、利用可能なスペースの縮小に対応するため、バイト数/

inode数の比率のデフォルトが、SLES 10での8192バイトから、SLES 11では16384バイトに増えて

います。この2倍に増えた比率により、作成可能なファイルの数は、SLES 10上のExt3ファイルシステ

ムで可能だった数の半分となります。

重要inodeの割り当て後は、inodeサイズやバイト数/inode数の比率の設定を変えることはできま

せん。異なる設定のファイルシステムを再度作成するか、ファイルシステムを拡張しない限り、新

規のinodeは設定できません。inodeの最大数を超えると、ファイルをいくつか削除するまで、

ファイルシステム上に新規のファイルを作成することはできません。

10 Ext3 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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新規のExt3ファイルシステムを作成する際に、inodeのスペース使用をコントロールするためのinode

サイズとバイト数/inode数の比率、およびファイルシステム上のファイル数の上限を指定することがで

きます。ブロックサイズ、inodeサイズ、およびバイト数/inode数の比率が指定されない場合は、 /etc/

mked2fs.confファイル内のデフォルト値が適用されます。詳細については、 mke2fs.conf(5)マニュ

アルページを参照してください。

次のガイドラインを使用します。

inodeサイズ: デフォルトのinodeサイズは256バイトです。2の累乗で、ブロックサイズ以下の

128以上のバイト数の値を指定します(128、256、512など)。Ext3ファイルシステムで拡張属性

またはACLを使用しない場合は、128バイトのみを使用してください。

バイト数/inode数の比率: デフォルトのバイト数/inode数の比率は、16384

バイトです。有効なバイト数/inode数の比率は、2の累乗で1024バイト以上

(1024、2048、4096、8192、16384、32768など)です。この値は、ファイルシステムのブロック

サイズより小さくはできません。なぜなら、ブロックサイズは、データを格納するために使用するス

ペースの最小チャンクだからです。Ext3ファイルシステムのデフォルトのブロックサイズは、4 KB

です。

また、格納する必要があるファイルの数とサイズを、検討する必要があります。たとえば、ファイル

システムに多数の小さなファイルを持つことになる場合は、バイト数/inode数の比率を小さめ

に指定すれば、inodeの数を増やすことができます。ファイルシステムに非常に大きなファイルを

入れる場合は、バイト数/inode数の比率を大きめに指定できますが、それによって許容される

inodeの数は減ります。

一般的に、inodeの数は、足りなくなるよりは多すぎる方が得策です。inodeの数が少な過ぎて

ファイルも非常に小さい場合、実際には空であってもディスク上のファイルの最大数に到達して

しまいます。inodeの数が多すぎて、ファイルが非常に大きい場合は、空き領域があることが表示

されたとしても、それを使うことができません。なぜなら、inode用に確保されたスペースに新規の

ファイルを作成することはできないからです。

Ext3ファイルシステムで拡張属性またはACLを使用しない場合は、ファイルシステムの作成時

に、inodeサイズとして128バイト、バイト数/inode数の比率として8192バイトを指定して、SLES 10の

動作を復元することができます。inodeサイズとバイト数/inode数の比率を設定するには、次のいずれ

かの方法を使用します。

すべての新規Ext3ファイルのデフォルト設定を変更する: テキストエディタで、 /

etc/mke2fs.confファイルの defaultsセクションを変更して、 inode_sizeおよ

び inode_ratioを、希望するデフォルト値に設定します。その値が、すべての新規のExt3ファイ

ルシステムに適用されます。たとえば、

blocksize = 4096inode_size = 128

11 Ext3 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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inode_ratio = 8192

コマンドラインで: Ext3ファイルシステムを作成する際に、inodeサイズ( -I 128 )およびバイト

数/inode数の比率( -i 8192 )を、 mkfs.ext3(8)コマンドまたは mke2fs(8)コマンドに渡しま

す。たとえば、次のコマンドのいずれかを使用します:

mkfs.ext3 -b 4096 -i 8092 -I 128 /dev/sda2

mke2fs -t ext3 -b 4096 -i 8192 -I 128 /dev/sda2

YaSTを使用したインストール時に: インストール時に新規のExt3ファイルシステムを作成する際

に、inodeサイズとバイト数/inode数の比率を渡します。YaST[フォーマット設定のオプション]

にある[パーティションの編集]ページで、[パーティションのフォーマット][Ext3]を選択して、

[オプション]をクリックします。[ファイルシステムオプション]ダイアログボックスで、[ブロックサ

イズ(バイト単位)]、[inodeごとのバイト数]、および[iノードのサイズ]ドロップダウンリストから、

希望の値を選択します。

たとえば、[ブロックサイズ(バイト単位)]ドロップダウンリストから4096を選択し、[ブロックサイズ

(バイト単位)]ドロップダウンリストから8192を選択し、[iノードのサイズ]ドロップダウンリストから

128を選択して、[OK]をクリックします。

12 Ext3 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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autoyastを使用したインストール時に: autoyastのプロファイルで、 fs_optionsタグを使用し

て、 opt_bytes_per_inodeの比率の値を、-iに対して8192に、 opt_inode_densityの値を-I

に対して128に設定することができます。

<partitioning config:type="list"> <drive> <device>/dev/sda</device> <initialize config:type="boolean">true</initialize> <partitions config:type="list"> <partition> <filesystem config:type="symbol">ext3</filesystem> <format config:type="boolean">true</format> <fs_options> <opt_bytes_per_inode> <option_str>-i</option_str> <option_value>8192</option_value> </opt_bytes_per_inode> <opt_inode_density> <option_str>-I</option_str> <option_value>128</option_value>

13 Ext3 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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</opt_inode_density> </fs_options> <mount>/</mount> <partition_id config:type="integer">131</partition_id> <partition_type>primary</partition_type> <size>25G</size> </partition>

SLES11のExt3パーティションには、SLES10で格納できるファイルの50%しか格納することができ

ません。詳細については、を参照してください。[技術情報文書7009075] (http://www.novell.com/

support/kb/doc.php?id=7009075)

1.2.4 ReiserFS

2.4カーネルリリースから公式に主要機能として採用されたReiserFSは、SUSE 6.4以降、2.2.x

SUSEカーネルのカーネルパッチとして利用可能となりました。ReiserFSは、Hans ReiserとNamesys

開発チームにより設計されました。ReiserFSは、Ext2に代わる強力な選択肢であることを実証してきま

した。ReiserFSの主要な利点としては、効率的なディスクスペース使用率、より良いディスクアクセスパ

フォーマンス、より高速なクラッシュリカバリ、およびデータジャーナリングの使用による信頼性の向上が

あります。

重要ReiserFSファイルシステムは、特にマイグレーション用として、SUSE Linux Enterprise

Server 11のライフタイムの間、完全にサポートされます。SUSEでは、SUSE Linux

Enterprise Server 12から、新しいReiserFSファイルシステムの作成をサポートしない予定で

す。

1.2.4.1項 「より良いディスクスペース使用効率」

1.2.4.2項 「より良いディスクアクセスパフォーマンス」

1.2.4.3項 「高速なクラッシュ回復機能」

1.2.4.4項 「データジャーナリングによる信頼性」

1.2.4.1 より良いディスクスペース使用効率

ReiserFSでは、すべてのデータが、B*-Tree(バランスドツリー)と呼ばれる構造で編成されています。こ

のツリー構造は、より良いディスクスペース使用効率に貢献しています。小さなファイルは、B*-Treeの

リーフノードに直接格納されるからです。そのようなファイルをどこか他の場所に格納して、ディスク上の

14 ReiserFS SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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実際の場所を指すポインタを維持するより優れています。それに加えて、ストレージ(記憶領域)は 1KB

または 4KBのチャンク単位で割り当てられるのではなく、実際に必要なサイズの構成部分(エクステン

ト)を割り当てられます。もう1つの利点は、inodeの動的割り当てに関係しています。これは、ファイルシ

ステムの作成時にinodeの密度を指定する必要のある、Ext2のような従来のファイルシステムに比べ

て、ファイルシステムの柔軟性を高めます。

1.2.4.2 より良いディスクアクセスパフォーマンス

小規模なファイルでは、多くの場合、ファイルのデータと「stat_data」 (inode)情報が互いに隣り合って

保存されます。これらは1回のディスクI/O操作で読み取れるので、1回のディスクアクセスで、必要な

情報すべてを取得できることを意味します。

1.2.4.3 高速なクラッシュ回復機能

ジャーナルを使用して、メタデータに加えられた最新の変更結果を記録しているので、ファイルシステム

が大規模な場合を含め、ファイルシステムを数秒でチェックできます。

1.2.4.4 データジャーナリングによる信頼性

ReiserFSは、1.2.3項 「Ext3」に概略されているコンセプトに類似のデータジャーナリングおよびオー

ダードモードもサポートしています。デフォルトのモードは、 data=orderedです。このモードでは、デー

タとメタデータの完全性は保証されますが、メタデータのジャーナリングだけが行われます。

1.2.5 XFS

本来は、IRIX OS用のファイルシステムを意図してSGIがXFSの開発を開始したのは、1990年代初期

です。XFSの開発動機は、ハイパフォーマンスの64ビットジャーナルファイルシステムの作成により、非

常に厳しいコンピューティングの課題に対応することでした。XFSは大規模なファイルを操作する点で

非常に優れていて、ハイエンドのハードウェアを適切に活用します。しかし、XFSには1つの欠点がありま

す。ReiserFSの場合と同様、XFSではメタデータの完全性は重視されていますが、データの完全性は

それほどではありません。

ただし、XFSの主要機能を一見すれば、XFSが、ハイエンドコンピューティングの分野で、他のジャーナ

リングファイルシステムの強力な競合相手となっている理由がわかります。

15 XFS SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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1.2.5.1項 「アロケーショングループの採用による高いスケーラビリティ」

1.2.5.2項 「ディスクスペースの効率的な管理によるハイパフォーマンス」

1.2.5.3項 「事前割り当てによるファイルシステムの断片化の回避」

1.2.5.1 アロケーショングループの採用による高いスケーラビリティ

XFSファイルシステムの作成時に、ファイルシステムの基にあるブロックデバイスは、等しいサイズをも

つ8つ以上の線形の領域に分割されます。これらを「アロケーショングループ」と呼びます。各アロケー

ショングループは、独自のinodeと空きディスクスペースを管理します。実用的には、アロケーショング

ループを、1つのファイルシステムの中にある複数のファイルシステムと見なすこともできます。アロケー

ショングループは互いに独立しているものではないため、複数のアロケーショングループをカーネルか

ら同時にアドレス指定できるという特徴があります。この機能は、XFSの高いスケーラビリティに大きく

貢献しています。独立性の高いアロケーショングループは、性質上、マルチプロセッサシステムのニーズ

に適しています。

1.2.5.2 ディスクスペースの効率的な管理によるハイパフォーマンス

空きスペースとinodeは、各アロケーショングループ内のB+-Treeによって処理されます。B+ツリーの採

用は、XFSのパフォーマンスとスケーラビリティを大きく向上させています。XFSでは、プロセスを2分割

して割り当てを処理する遅延割り当てを使用します。保留されているトランザクションはRAMの中に保

存され、適切な量のスペースが確保されます。XFSは、この時点では、データを正確にはどこに(ファイ

ルシステムのどのブロックに)格納するか決定していません。決定可能な最後の瞬間まで、この決定は

遅延(先送り)されます。暫定的に使用される一時データは、ディスクに書き込まれません。XFSがデータ

の実際の保存場所を決定するまでに、その役割を終えているからです。このように、XFSは、書き込みの

パフォーマンスを向上させ、ファイルシステムのフラグメンテーションを減少させます。遅延アロケーショ

ンは、他のファイルシステムより書き込みイベントの頻度を下げる結果をもたらすので、書き込み中にク

ラッシュが発生した場合、データ損失が深刻になる可能性が高くなります。

1.2.5.3 事前割り当てによるファイルシステムの断片化の回避

データをファイルシステムに書き込む前に、XFSはファイルが必要とする空きスペースを予約(プリアロ

ケート、事前割り当て)します。したがって、ファイルシステムの断片化は大幅に減少します。ファイルの

内容がファイルシステム全体に分散することがないので、パフォーマンスが向上します。

16 XFS SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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1.2.6 ファイルシステムの機能比較

SUSE Linux Enterprise Serverにおける主要オペレーティングシステムの機能の対照比較について

は、ファイルシステムのサポートおよびサイズ (http://www.suse.com/products/server/technical-

information/#FileSystem) (SUSE Linux Enterprise Server技術情報のWebサイト (http://

www.suse.com/products/server/technical-information/) に記載)を参照してください。

1.3 サポートされている他のファイルシステム表1.2「Linux環境でのファイルシステムのタイプ」は、Linuxがサポートしている他のいくつかのファイ

ルシステムを要約したものです。これらは主に、他の種類のメディアや外部オペレーティングシステムと

の互換性およびデータの相互交換を保証することを目的としてサポートされています。

表 1.2: LINUX環境でのファイルシステムのタイプ

ファイルシステムのタ

イプ

説明

cramfs Compressed ROM file system (圧縮ROMファイルシステム): ROM用

の圧縮された読み込み専用ファイルシステムです。

hpfs High Performance File System(ハイパフォーマンスファイルシステ

ム) :IBM OS/2の標準ファイルシステム。読み取り専用モードでのみサ

ポートされます。

iso9660 CD-ROMの標準ファイルシステム。

minix このファイルシステムは、オペレーティングシステムに関する学術的なプロ

ジェクトを起源とするもので、Linuxで最初に使用されたファイルシステム

です。現在では、フロッピーディスク用のファイルシステムとして使用されて

います。

msdos fat 、つまり当初はDOSで使用されていたファイルシステムであり、現在は

さまざまなオペレーティングシステムで使用されています。

nfs Network File System (ネットワークファイルシステム) :ネットワーク内の

任意のコンピュータにデータを格納でき、ネットワーク経由でアクセスを付

与できます。

ntfs Windows NT file system (NTファイルシステム) :読み取り専用です。

17 ファイルシステムの機能比較 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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ファイルシステムのタ

イプ

説明

smbfs Server Message Block (サーバメッセージブロック): Windowsのような

製品が、ネットワーク経由でのファイルアクセスを可能にする目的で採用し

ています。

sysv SCO UNIX、Xenix、およびCoherent (PC用の商用UNIXシステム)が採

用。

ufs BSD、SunOS、およびNextStepで使用されています。読み取り専用モード

でサポートされています。

umsdos UNIX on MS-DOS(MS-DOS上のUNIX) :標準 fatファイルシステム

に適用され、特別なファイルを作成することにより、UNIX機能(パーミッショ

ン、リンク、長いファイル名)を実現します。

vfat Virtual FAT: fatファイルシステムを拡張したものです(長いファイル名を

サポートします)。

1.4 Linux環境での大規模ファイルサポート当初、Linuxは、最大ファイルサイズとして 2GiB (231バイト)をサポートしていました。また、ファイルシ

ステムに大規模ファイルサポートが付いていない限り、32ビットシステム上での最大ファイルサイズは

2GiBです。

現在、弊社のすべての標準ファイルシステムでは、LFS (大規模ファイルサポート)を提供していま

す。LFSは、理論的には、263バイトの最大ファイルサイズをサポートします。表1.3「ファイルおよびファイ

ルシステムの最大サイズ(オンディスクフォーマット、4KiBブロックサイズ)」では、Linuxのファイルとファ

イルシステムの、現行のオンディスクフォーマットの制限事項を概説しています。表内の数字は、ファイ

ルシステムで使用しているブロックサイズが、共通規格である4KiBであることを前提としています。異

なるブロックサイズを使用すると結果は異なります。スパースブロックを使用している場合、表1.3「ファ

イルおよびファイルシステムの最大サイズ(オンディスクフォーマット、4KiBブロックサイズ)」に記載の最

大ファイルサイズは、ファイルシステムの実際のサイズより大きいことがあります。

18 Linux環境での大規模ファイルサポート SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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注記このマニュアルでの換算式: 1024バイト = 1KiB、1024KiB = 1MiB、1024MiB =

1GiB、1024GiB = 1TiB、1024TiB = 1PiB、1024PiB = 1EiB(「NIST: Prefixes for Binary

Multiples (http://physics.nist.gov/cuu/Units/binary.html) 」も参照してください)。

表 1.3: ファイルおよびファイルシステムの最大サイズ(オンディスクフォーマット、4KIBブロックサイズ)

ファイルシステム(4KiBブロッ

クサイズ)

ファイルシステムの最大サイズ ファイルの最大サイズ

Btrfs 16EiB 16EiB

Ext3 16TiB 2TiB

OCFS2 (High Availability

Extensionで使用可能な、クラ

スタ認識のファイルシステム)

16TiB 1EiB

ReiserFS v3.6 16TiB 1EiB

XFS 8EiB 8EiB

NFSv2 (クライアント側) 8EiB 2GiB

NFSv3 (クライアント側) 8EiB 8EiB

重要表1.3「ファイルおよびファイルシステムの最大サイズ(オンディスクフォーマット、4KiBブロックサ

イズ)」は、ディスクフォーマット時の制限について説明しています。Linuxカーネルは、操作する

ファイルとファイルシステムのサイズについて、独自の制限を課しています。管理の初期設定に

は、次のオプションがあります。

ファイルサイズ

32ビットシステムでは、ファイルサイズが2TiB (241バイト)を超えることはできません。

ファイルシステムのサイズ

ファイルシステムのサイズは、最大273バイトまで可能です。しかし、この制限は、現在使用

可能なハードウェアが到達可能な範囲を上回っています。

19 Linux環境での大規模ファイルサポート SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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1.5 Linuxのカーネルにおけるストレージの制限表1.4「ストレージの制限」は、SUSE Linux Enterprise 11 Service Pack 3に関連したストレージに

関するカーネルの制限をまとめています。

表 1.4: ストレージの制限

ストレージの機能 制限

サポートされるLUNの最大数 ターゲットあたり16384 LUN。

単一LUNあたりのパスの最大数 それ自体は無制限。それぞれのパスが、通常の

LUNとして扱われます。

実際の制限は、ターゲットあたりのLUNの数

と、HBAあたりのターゲットの数(ファイバチャネ

ルHBAの場合は16777215)により決まります。

HBAの最大数 無制限. 実際の制限は、システムのPCIスロット

の量で決まります。

オペレーティングシステムあたりの、デバイスマッ

パーマルチパス付きパスの最大数(合計)

約1024。実際の数は、デバイス番号文字列の

長さによります。これはマルチパスツール内のコ

ンパイル時間によって変わり、この制限が問題と

なる場合は、引き上げることもできます。

最大サイズ(ブロックデバイスごと) X86では、最大16TiB。

x86_64、ia64、s390x、およびppc64では、最

大8 EiB。

1.6 YaST パーティショナによるデバイスの管理YaST パーティションを使用すると、ファイルシステムとRAIDデバイスを作成し、管理できます。

『「SUSE Linux Enterprise Server 11 SP3導入ガイド」 (http://www.suse.com/documentation/

sles11/book_sle_deployment/data/cha_advdisk.html) 』の「高度なディスクセットアッ

プ」 (https://www.suse.com/documentation/sles11/book_sle_deployment/data/

book_sle_deployment.html) を参照してください。

20 Linuxのカーネルにおけるストレージの制限 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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1.7 追加情報ここまでに説明した各ファイルシステムのプロジェクトには、独自のWebページがあります。そこで詳し

いドキュメントとFAQ、さらにメーリングリストを参照することができます。

E2fsprogs: Ext2/3/4 File System Utilities (http://e2fsprogs.sourceforge.net/)

Introducing Ext3 (http://www.ibm.com/developerworks/linux/library/l-fs7/)

XFS: A High-Performance Journaling Filesytem (http://oss.sgi.com/projects/xfs/)

OCFS2 Project (http://oss.oracle.com/projects/ocfs2/)

Linuxファイルシステムの総合的なマルチパートチュートリアルは、「Advanced File System

Implementor’s Guide (https://www.ibm.com/developerworks/linux/library/l-fs/) 」にある

IBM developerWorksで見つけることができます。

ファイルシステム(Linuxファイルシステムに限らない)の詳しい比較については、「ファイル

システム」のWikipediaプロジェクトを参照してください。 (http://en.wikipedia.org/wiki/

Comparison_of_file_systems#Comparison)

21 追加情報 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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2 SLES 11のストレージの新機能

SUSE Linux Enterprise Server 11では、ここで示すように機能と動作が変更されました。

2.1項 「SLES 11 SP3の新機能」

2.2項 「SLES 11 SP2の新機能」

2.3項 「SLES 11 SP1の新機能」

2.4項 「SLES 11の新機能」

2.1 SLES 11 SP3の新機能SUSE Linux Enterprise Server 11 SP3リリースでは、バグの修正に加えて、この項に示すように機

能と動作が変更されました。

2.1.1項 「Btrfsクォータ」

2.1.2項 「iSCSI LIOターゲットサーバ」

2.1.3項 「LinuxのソフトウェアRAID」

2.1.4項 「LVM2」

2.1.5項 「マルチパスI/O」

2.1.1 Btrfsクォータ

rootファイルシステムでのサブボリュームに対するBtrfsクォータのサポートは、 btrfs(8)コマンド内

に追加されています。

2.1.2 iSCSI LIOターゲットサーバ

YaSTが、iSCSI LIOターゲットサーバソフトウェアをサポートします。詳細については、第15章 「IP ネッ

トワークの大容量記憶域: iSCSI LIOターゲットサーバ」を参照してください。

2.1.3 LinuxのソフトウェアRAID

LinuxのソフトウェアRAIDには、次の機能強化が追加されました。

22 SLES 11 SP3の新機能 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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2.1.3.1項 「Intel RSTe+のサポート」

2.1.3.2項 「LEDMONユーティリティ」

2.1.3.3項 「ソフトウェアRAIDにおけるデバイスの順番」

2.1.3.1 Intel RSTe+のサポート

ソフトウェアRAIDでは、RAIDレベル0、1、4、5、6、10をサポートするようにIntel RSTe+ (Rapid

Storage Technology Enterprise)プラットフォームが改善されました。

2.1.3.2 LEDMONユーティリティ

LEDMONユーティリティが、MDのソフトウェアRAID用のPCIe-SSDエンクロージャLEDをサポート

します。詳細については、第12章 「MDソフトウェアRAID用のストレージエンクロージャLEDユーティリ

ティ」を参照してください。

2.1.3.3 ソフトウェアRAIDにおけるデバイスの順番

YaSTパーティショナ内の[RAIDの追加]ウィザードで、[分類]オプションによって、Linuxのソフトウェ

アRAID内の選択したデバイスが使用される順番を指定して、アレイの半分が1つのディスクサブシス

テム上に置かれ、アレイのもう半分が別のディスクサブシステム上に確実に置かれるようにすることが

可能になりました。たとえば、1つのディスクサブシステムに障害が発生した場合、システムは2番目の

ディスクサブシステムから稼働し続けます。詳細については、10.3.3項 「YaSTパーティショナ付きコン

プレックスRAID 10の作成 」のステップ 4.dを参照してください。

2.1.4 LVM2

LVM2には、次の機能強化が追加されました。

2.1.4.1項 「シンプールおよびシンボリューム」

2.1.4.2項 「シンスナップショット」

2.1.4.1 シンプールおよびシンボリューム

LVMの論理ボリュームは、シンプロビジョニングできます。詳細については、4.5項 「物理ボリュームの

設定」を参照してください。

23 LVM2 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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シンプール: この論理ボリュームは、シンボリューム用に予約された領域のプールです。シンボ

リュームでは、必要な領域をそのプールからオンデマンドで割り当てることができます。

シンボリューム: ボリュームは疎ボリュームとして作成されます。このボリュームでは、必要な領域

はシンプールからオンデマンドで割り当てられます。

2.1.4.2 シンスナップショット

LVM論理ボリュームスナップショットは、シンプロビジョニングできます。サイズを指定しないでスナッ

プショットを作成した場合は、シンプロビジョニングと想定されます。詳細については、17.2項 「LVMに

よるLinuxスナップショットの作成」を参照してください。

2.1.5 マルチパスI/O

マルチパスI/Oには、次の変更と機能強化が加えられました。

2.1.5.1項 「mpathpersist(8)」

2.1.5.2項 「multipath(8)」

2.1.5.3項 「/etc/multipath.conf」

2.1.5.1 mpathpersist(8)

mpathpersist(8)は新しいユーティリティです。このユーティリティを使用して、デバイスマッパー

マルチパスのデバイスでSCSIの永続的な予約を管理できます。詳細については、7.3.5項 「Linux

mpathpersist(8)ユーティリティ」を参照してください。

2.1.5.2 multipath(8)

multipath(8)コマンドには、次の機能強化が追加されました。

-rオプションを使用すると、デバイスマップのリロードを強制できます。

2.1.5.3 /etc/multipath.conf

Device Mapper - このマルチパスツールでは、 /etc/multipath.confファイルに次の機能強化が

追加されました。

24 マルチパスI/O SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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udev_dir:

udev_dir属性は廃止予定です。SLES 11 SP3にアップグレードした後は、 /etc/

multipath.confファイルの defaultsセクションから次の行を削除できます。

udev_dir /dev

getuid_callout:

/etc/multipath.confファイルの defaultsセクションにある getuid_callout属性は廃止

予定なので、 uid_attributeパラメータに置き換えられました。このパラメータは、固有のパス識

別子を提供するudev属性です。デフォルト値は ID_SERIALです。

SLES 11 SP3にアップグレードした後は、 /etc/multipath.confファイルの defaultsセク

ションで属性を変更できます。

defaultsセクションから次の行を削除してください。

getuid_callout "/lib/udev/scsi_id --whitelisted --device=/dev/%n"

defaultsセクションに次の行を追加します。

uid_attribute "ID_SERIAL"

path_selector:

/etc/multipath.confファイルの defaultsセクションで、 path_selector属性のデフォル

ト値が「 round-robin 0 」から「 service-time 0 」に変更されました。 service-timeオプショ

ンは、このパスに残っているI/Oの量とその相対スループットに基づいて次のI/Oセットへのパス

を選択します。

SLES 11 SP3にアップグレードした後は、 /etc/multipath.confファイルの defaultsセク

ションにある属性値を変更して、推奨されるデフォルトを使用できます。

path_selector "service-time 0"

user_friendly_names:

user_friendly_names属性は、 devicesセクションおよび multipathsセクションで設定でき

ます。

max_fds:

max_fds属性のデフォルト設定が、 maxに変更されました。これにより、マルチパスデーモンでの

パスの監視時に、ファイル記述子をシステムで許可される数だけ開くことができます。

SLES 11 SP3にアップグレードした後は、 /etc/multipath.confファイルの属性値を変更で

きます。

25 マルチパスI/O SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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max_fds "max"

reservation_key:

/etc/multipath.confファイルの defaultsセクションまたは multipathsセクションで

は、 reservation_key属性を使用して、サービスアクション予約キーを割り当てることができま

す。この予約キーを mpathpersist(8)ユーティリティで使用することにより、デバイスマッパーマ

ルチパスのデバイスの永続的な予約が管理可能になります。この属性はデフォルトでは使用され

ません。この属性が設定されていない場合、 multipathdデーモンは、新しく検出されたパスまた

は復元されたパスの永続的な予約があるかどうかを確認しません。

reservation_key <reservation key>

次に例を示します。

multipaths { multipath { wwid XXXXXXXXXXXXXXXX alias yellow reservation_key 0x123abc }}

永続的な予約の設定の詳細については、7.3.5項 「Linux mpathpersist(8)ユーティリティ」を参

照してください。

hardware_handler:

DMマルチパスで使用できる、次の4つのSCSIハードウェアハンドラがSCSI層に追加されまし

た。

scsi_dh_alua

scsi_dh_rdac

scsi_dh_hp_sw

scsi_dh_emc

これらのハンドラは、LinuxカーネルのSCSIディレクトリに作成されるモジュールです。これまで

は、デバイスマッパー層のハードウェアハンドラを使用していました。

これらのモジュールを initrdイメージに追加してから、 /etc/multipath.confファイルでハー

ドウェアハンドラタイプ alua 、 rdac 、 hp_sw 、および emcとして指定します。デバイスドライバ

を initrdイメージに追加する方法については、7.4.3項 「initrdでデバイスドライバをマルチパス

処理用に設定する 」を参照してください。

26 マルチパスI/O SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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2.2 SLES 11 SP2の新機能SUSE Linux Enterprise Server 11 SP2リリースでは、バグの修正に加えて、この項に示すように機

能と動作が変更されました。

Btrfsファイルシステム。1.2.1項 「Btrfs」を参照してください。

Open Fibre Channel over Ethernet第16章 「Fibre Channel Storage over Ethernet

Networks: FCoE」を参照してください。

LVMストレージオブジェクトのタグ付け4.7項 「LVM2ストレージオブジェクトのタグ付け」を参照

してください。

NFSv4 ACLのツール第18章 「NFSv4上でのアクセス制御リストの管理」を参照してください。

mdadm resizeコマンドの --assume-cleanオプション11.2.2項 「RAIDアレイのサイズの増

加」を参照してください。

/etc/multipath.confファイルの defaultsセクションにある default_getuidパラメータは

廃止されたので、 getuid_calloutパラメータに置き換えられました。

このパラメータの行は、

default_getuid "/sbin/scsi_id -g -u -s /block/%n"

次のように変更されました。

getuid_callout "/lib/udev/scsi_id --whitelisted --device=/dev/%n"

2.3 SLES 11 SP1の新機能SUSE Linux Enterprise Server 11 SP1リリースでは、バグの修正に加えて、この項に示すように機

能と動作が変更されました。

2.3.1項 「iSCSIターゲット情報の保存」

2.3.2項 「iSCSIイニシエータの認証パラメータの変更」

2.3.3項 「 MPIOデバイスの永続的な予約を許可」

2.3.4項 「MDADM 3.0.2」

2.3.5項 「MDRAID外部メタデータ用ブートローダサポート」

27 SLES 11 SP2の新機能 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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2.3.6項 「MDRAID外部メタデータ用のYaSTのインストールとブートサポート」

2.3.7項 「ルートファイルシステムを含むMDRAIDアレイのシャットダウン機能の向上」

2.3.8項 「iSCSIデバイス上のMD」

2.3.9項 「MD-SGPIO」

2.3.10項 「LVM 2ミラーのサイズ変更 」

2.3.11項 「IBMサーバ上のアダプタ用ストレージドライバの更新」

2.3.1 iSCSIターゲット情報の保存

[YaST][ネットワークサービス][iSCSIターゲット] (14.2.2項 「YaSTを使ったiSCSIターゲットの作

成」)機能に、[保存]オプションが追加され、iSCSIターゲット情報をエクスポートできるようになりまし

た。これにより、リソースの利用者に情報を提供することが容易になりました。

2.3.2 iSCSIイニシエータの認証パラメータの変更

[YaST][ネットワークサービス][iSCSI イニシエータ] (14.2.2項 「YaSTを使ったiSCSIターゲットの

作成」)機能で、ターゲットデバイスに接続するための認証パラメータを変更できます。以前は、認証情

報を変更するには、エントリを削除して再作成する必要がありました。

2.3.3 MPIOデバイスの永続的な予約を許可

SCSIイニシエータは共有ストレージデバイス用にSCSI予約を発行することで、他のサーバのSCSIイ

ニシエータがそのデバイスにアクセスできないようにします。この予約は、SCSI例外処理プロセスの一

環として発生するSCSIリセット後も有効です。

次は、SCSI予約が役立つ可能性があるシナリオの例です。

単純なSAN環境では、永続的なSCSI予約により、あるサーバで使用中のLUNを別のサーバに

追加してしまうといった管理者エラーを回避することができます。このエラーが発生すると、データ

が破壊される可能性があります。この種のエラーを防ぐには、通常SANゾーニングが使用されま

す。

フェールオーバーが設定された高可用性環境では、永続的なSCSI予約によって、他のサーバに

予約されているSCSIデバイスに間違ったサーバが接続するのを防ぐことができます。

28 iSCSIターゲット情報の保存 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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2.3.4 MDADM 3.0.2

バグ修正と改良を利用するには、MDADM (Multiple Devices Administration)ユーティリティ

( mdadm )の最新バージョンを使用します。

2.3.5 MDRAID外部メタデータ用ブートローダサポート

MDADMユーティリティバージョン3.0の外部メタデータ機能を使用して、Intel Matrix Storage

Technologyメタデータ形式で定義されたRAIDボリュームからオペレーティングシステムをインス

トールおよび実行するためのサポートが追加されました。これによって、DMRAID (Device Mapper

RAID)インフラストラクチャから、MDRAID (Multiple Devices RAID)インフラストラクチャに機能が

移動します。その結果、RAID 5実装がより成熟し、MDカーネルインフラストラクチャの機能セットがよ

り広範になります。このため、Intel、DDF (一般的なRAIDディスクデータフォーマット)、およびネイティ

ブMDのメタデータを含むすべてのメタデータフォーマットで共通のRAIDドライバを使用することがで

きます。

2.3.6 MDRAID外部メタデータ用のYaSTのインストールとブートサポート

YaSTインストーラツールでは、RAID 0、1、10、5、および6用MDRAID外部メタデータのサポートが

追加されました。インストーラは、RAIDアレイ、およびプラットフォームのRAID機能が有効かどうかを

検出することができます。Intel Matrix Storage Manager用のプラットフォームBIOSでマルチパスの

RAIDが有効になっていると、「DMRAID」、「MDRAID」(推奨)、または「なし」のオプションが提供さ

れます。BIOSベースのRAIDアレイのアセンブルをサポートするように、 initrdも変更されました。

2.3.7 ルートファイルシステムを含むMDRAIDアレイのシャットダウン機能の向上

すべてのMDRAIDアレイが削除済みとしてマーキングされるまで待機するように、シャットダウンスクリ

プトが変更されました。すべてのMDRAIDボリュームが書き込み操作を終えるまで、オペレーティング

システムのシャットダウンプロセスがダーティビットのクリアを待機するようになりました。

ルート( / )ファイルシステム(オペレーティングシステムとアプリケーションファイルを含むシステムボ

リューム)がソフトウェアRAIDアレイに常駐するかどうか検討できるように、起動スクリプト、シャットダウ

ンスクリプト、および initrdに変更が加えられました。アレイのメタデータハンドラをシャットダウンプロ

セスの早期に開始して、シャットダウン中に最終的なルートファイルシステム環境を監視します。ハンドラ

29 MDADM 3.0.2 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

Page 45: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

は一般の killallイベントからは除外されます。このプロセスでは、書き込みを休止し、シャットダウン

の終了時にアレイのメタデータのダーティビット(アレイの再同期が必要かどうかを示す)をクリアするこ

ともできます。

2.3.8 iSCSIデバイス上のMD

YaSTインストーラで、iSCSIデバイス上でMDの設定が行えるようになりました。

ブート時にRAIDアレイが必要な場合は、iSCSIイニシエータソフトウェアを boot.mdの前にロード

し、iSCSIターゲットをRAID用の自動設定に使用できるようにします。

新規インストール用に、Libstorageは /etc/mdadm.confファイルを作成し、 AUTO -allの行を追加

します。更新中は、行は追加されません。 /etc/mdadm.confにこの行が含まれている場合は、

AUTO -all

/etc/mdadm.confに明記されていない限り、RAIDは自動アセンブルされません。

2.3.9 MD-SGPIO

MD-SGPIOユーティリティは、 sysfs(2)によってRAIDアレイを監視するスタンドアロンアプリケーショ

ンです。イベントによって、ストレージスシステムの筐体、またはドライブベイの各スロットに関連している

LEDライトの点滅を制御するLEDの変更要求がトリガされます。次の2種類のLEDシステムをサポート

しています。

2-LEDシステム(動作LED、状態LED)

3 LEDシステム(動作LED、配置LED、障害LED)

2.3.10 LVM 2ミラーのサイズ変更

論理ボリュームのサイズ変更に使用されるコマンド lvresize 、 lvextend 、およ

び lvreduceが、LVM 2ミラーのサイズを変更できるようになりました。以前は、これらのコマンドは、論

理ボリュームがミラーの場合にエラーを報告していました。

2.3.11 IBMサーバ上のアダプタ用ストレージドライバの更新

次のストレージドライバを利用可能な最新バージョンに更新することで、IBMサーバのストレージアダ

プタをサポートします。

30 iSCSIデバイス上のMD SUSE Linux Enterp… 11 SP4

Page 46: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

Adaptec: aacraid 、 aic94xx

Emulex: lpfc

LSI: mptas 、 megaraid_sas

mptsasドライバがネイティブEEH (Enhanced Error Handler)の回復をサポートするようにな

りました。これは、電源プラットフォームをご利用のお客様の入出力デバイスにとって主要な機能

です。

qLogic: qla2xxx 、 qla3xxx 、 qla4xxx

2.4 SLES 11の新機能このセクションで示す機能および動作の変更は、SUSE Linux Enterprise Server 11リリース用で

す。

2.4.1項 「EVMS2の廃止予定」

2.4.2項 「デフォルトファイルシステムとしてのExt3」

2.4.3項 「Ext3用にデフォルトのinodeサイズを増大」

2.4.4項 「JFSファイルシステムの廃止予定」

2.4.5項 「OCFS2ファイルシステムを高可用性リリースに追加」

2.4.6項 「/dev/disk/by-nameの廃止予定」

2.4.7項 「/dev/disk/by-idディレクトリで継続的に有効なデバイス名」

2.4.8項 「マルチパスデバイスのフィルタ」

2.4.9項 「マルチパスデバイスのユーザフレンドリな名前」

2.4.10項 「マルチパスのための高度な入出力負荷バランスオプション」

2.4.11項 「マルチパスツールコールアウトの場所の変更」

2.4.12項 「mkinitrd -fオプションのmpathからmultipathへの変更」

2.4.13項 「MPIOパスグループ化ポリシーのデフォルト設定として、マルチバスからフェールオー

バーへの変更」

31 SLES 11の新機能 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

Page 47: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

2.4.1 EVMS2の廃止予定

EVMS2 (Enterprise Volume Management Systems)ストレージ管理ソリューションは、廃止され

ます。すべてのEVMS管理モジュールが、SUSE Linux Enterprise Server 11パッケージから削除

されました。システムをアップグレードすると、ご利用になっている、システム以外のEVMS管理デバイ

スがLinux Volume Manager 2 (LVM2)によって自動認識され、管理されます。詳細については、

「SUSE Linux Enterpriseのストレージとボリューム管理の進化 (http://www.novell.com/linux/

volumemanagement/strategy.html) 」を参照してください。

EVMS管理のシステムデバイス(ルート( / )、 /boot 、または swapを含むすべてのデバイス)がある場

合、サーバを再起動してアップグレードする前に、SLES 10サーバで次の準備作業を行ってください。

1. /etc/fstabファイルで、ブートディスクとスワップディスクのパスをデフォルトの /dev/system/

sys_lxディレクトリに変更します。

a. swapパーティションとルート( / )パーティションのパスから /evms/lvm2を削除します。

b. /bootパーティションのパスから /evmsを削除します。

2. /boot/grub/menu.lstファイルで、パスから /evms/lvm2を削除します。

3. /etc/sysconfig/bootloaderファイルで、ブートデバイスのパスが /devディレクトリであるこ

とを確認します。

4. boot.lvmと boot.mdが有効化されていることを確認します。

a. YaSTで、[システム][Runlevel Editor (ランレベルエディタ)][エキスパートモード]の順

にクリックします。

b. boot.lvmを選択します。

c. [Set/Reset (設定/リセット)][Enable the Service (サービスを有効にする)]の順にク

リックします。

d. boot.mdを選択します。

e. [Set/Reset (設定/リセット)][Enable the Service (サービスを有効にする)]の順にク

リックします。

f. [完了]をクリックしてから、[はい]をクリックします。

5. 再起動してアップグレードを開始します。

32 EVMS2の廃止予定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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SUSE Linux Enterprise Server 10上でのEVMS2の管理についての詳細については、

『SUSE Linux Enterprise Server 10 SP3: ストレージ管理ガイド (http://www.novell.com/

documentation/sles10/stor_admin/data/bookinfo.html) 』を参照してください。

2.4.2 デフォルトファイルシステムとしてのExt3

Ext3ファイルシステムは、インストール時およびファイルシステムの作成時にYaSTツールで推奨さ

れるデフォルトファイルシステムとして、ReiserFSに置き換わっています。ただし、ReiserFSもまだサ

ポートされています。詳細については、「SUSE Linux Enterprise 11技術仕様」Webページの「File

System Support (http://www.novell.com/linux/techspecs.html?tab=2) 」を参照してくださ

い。

2.4.3 Ext3用にデフォルトのinodeサイズを増大

Ext3ファイルシステムのファイルに対する拡張属性およびACL用のスペースを確保するため、Ext3に

対するデフォルト のinodeサイズが、SLES 10での 256バイトから、SLES11では256バイトに増えま

した。詳細については、1.2.3.4項 「Ext3ファイルシステムのinodeサイズとinode数」を参照してくださ

い。

2.4.4 JFSファイルシステムの廃止予定

JFSファイルシステムのサポートが終了しました。JFSユーティリティが配布から削除されました。

2.4.5 OCFS2ファイルシステムを高可用性リリースに追加

SUSE Linux Enterprise High Availability Extensionの一部として、OCFS2ファイルシステムが

完全にサポートされるようになりました。

2.4.6 /dev/disk/by-nameの廃止予定

SUSE Linux Enterprise Server 11パッケージでは、 /dev/disk/by-nameパスが廃止予定です。

33 デフォルトファイルシステムとしてのExt3 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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2.4.7 /dev/disk/by-idディレクトリで継続的に有効なデバイス名

SUSE Linux Enterprise Server 11では、デフォルトのマルチパスセットアップは udevを使用して、

マルチパス処理の開始時に /dev/disk/by-idディレクトリ内の既存のシンボリックリンクを上書きし

ます。マルチパス処理開始前のシンボリックリンクは、SCSIデバイスをその scsi-xxx名でポイントしま

す。マルチパス処理実行中のシンボリックリンクは、SCSIデバイスをその dm-uuid-xxx名でポイントし

ます。これにより、マルチパス処理が開始したかどうかに関わりなく、 /dev/disk/by-idパス内のシン

ボリックリンクは、継続的に同じデバイスをポイントすることができます。自動的に正しいデバイスを指す

ので、設定ファイル( lvm.confや md.conf )を変更する必要はありません。

このような動作変更が他の機能に及ぼす影響の詳細については、次のセクションを参照してください。

2.4.8項 「マルチパスデバイスのフィルタ」

2.4.9項 「マルチパスデバイスのユーザフレンドリな名前」

2.4.8 マルチパスデバイスのフィルタ

/dev/disk/by-nameディレクトリの廃止によって(2.4.6項 「/dev/disk/by-nameの廃止予

定」)、設定ファイル内のマルチパスデバイスのフィルタ設定方法に影響を及ぼします。 /etc/lvm/

lvm.confファイルでマルチパスデバイスフィルタに /dev/disk/by-nameデバイス名パスを使用して

いた場合は、 /dev/disk/by-idパスを使用するようにファイルを変更する必要があります。 by-idパ

スを使用するフィルタの設定では、次の点に注意してください。

/dev/disk/by-id/scsi-*デバイス名は継続的に有効で、この目的のために作成されました。

フィルタに /dev/disk/by-id/dm-*という名前は使用しないでください。これらはデバイスマッ

パーデバイスへのシンボリックリンクで、 pvscanコマンドに対して重複したPVを報告することに

なります。名前が LVM-pvuuidから dm-uuidに変更され、再度 LVM-pvuuidに戻るように見えま

す。

フィルタの設定については、7.2.4項 「マルチパスデバイスでのLVM2の使用」を参照してください。

2.4.9 マルチパスデバイスのユーザフレンドリな名前

/dev/disk/by-idディレクトリ(2.4.7項 「/dev/disk/by-idディレクトリで継続的に有効なデバイス

名」)でのマルチパスデバイス名の処理方法の変更により、デバイスの2つの名前が異なっているため、

ユーザフレンドリな名前の設定に影響を及ぼします。マルチパス処理の設定後は、デバイスマッパー名

だけをスキャンするように、設定ファイルを変更する必要があります。

34 /dev/disk/by-idディレクトリで継続的に有効なデバイス名 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

Page 50: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

たとえば、マルチパスデバイス名を使用してスキャンするように、 lvm.confファイルを変更する必要が

あります。そのためには、 /dev/disk/by-id/dm-uuid-.*-mpath-.*パスを、 /dev/disk/by-idの

代わりに指定します。

2.4.10 マルチパスのための高度な入出力負荷バランスオプション次の高度な入出力負荷バランスオプションは、ラウンドロビンに加えて、デバイスマッパーマルチパスに

も使用きます。

Least-pending(最小保留)

Length-load-balancing(長さによる負荷分散)

Service-time(サービス時間)

詳細については、7.11.2.1項 「優先度グループと属性の理解」のpath_selectorを参照してください。

2.4.11 マルチパスツールコールアウトの場所の変更デバイスマッパーマルチパスツールの mpath_* prio_calloutsが、 /lib/libmultipath/lib*の共

有ライブラリに移動されました。共有ライブラリを使用することで、デーモンの起動時、コールアウトがメ

モリにロードされます。これによって、すべてのパスがダウンするというシステムデッドロックのシナリオを

回避することができます。このシナリオでは、プログラムをディスクからロードしなければなりませんが、こ

の時点ではそのディスクが利用できない場合があります。

2.4.12 mkinitrd -fオプションのmpathからmultipathへの変更デバイスマッパーマルチパスサービスを initrdに追加するオプションが、 -f mpathから -f

multipathに変更になりました。

新しい initrdを作成するためのコマンドは、次のようになりました。

mkinitrd -f multipath

2.4.13 MPIOパスグループ化ポリシーのデフォルト設定として、マルチバスからフェールオーバーへの変更/etc/multipath.conf ファイルにある path_grouping_policyのデフォルト設定が multibusか

ら failoverに変更されました。

35 マルチパスのための高度な入出力負荷バランスオプション SUSE Linux Enterp… 11 SP4

Page 51: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

path_grouping_policyの設定方法については、7.11項 「パスフェールオーバーのポリシーと優先度

の設定」を参照してください。

36

MPIOパスグループ化ポリシーのデフォルト設定として、マルチバスからフェールオーバーへの変

更 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

Page 52: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

3 ストレージソリューションのプラニング

ニーズを最適に満たすには、ストレージの要件と、ストレージスペースの効果的な管理および分割の方

法を考慮する必要があります。この項の情報を使用すると、SUSE® Linux Enterprise Server 11

サーバでファイルシステムのストレージをどのように展開するか計画することができます。

3.1項 「デバイスのパーティショニング」

3.2項 「マルチパスのサポート」

3.3項 「ソフトウェアRAIDのサポート」

3.4項 「ファイルシステムのスナップショット」

3.5項 「バックアップとアーカイブのサポート」

3.1 デバイスのパーティショニングYaST Expert Partitionerの使用については、『SUSE Linux Enterprise Server 11 Installation

and Administration Guide』の「Using the YaST Partitioner」)を参照してください。

3.2 マルチパスのサポートLinuxは、サーバ/ストレージデバイス間の耐障害性接続を実現するため、複数のI/Oパスの使用をサ

ポートしています。Linuxのマルチパスサポートは、デフォルトでは無効になっています。ストレージサブ

システムのベンダから提供されるマルチパスソリューションを使用する場合は、別途、Linuxマルチパス

を設定する必要はありません。

3.3 ソフトウェアRAIDのサポートLinuxは、ハードウェアRAIDデバイスおよびソフトウェアRAIDデバイスをサポートします。ハードウェア

RAIDデバイスを使用する場合は、ソフトウェアRAIDデバイスは不要です。ただし、同じサーバでハード

ウェアRAIDデバイスとソフトウェアRAIDデバイスの両方を使用できます。

ソフトウェアRAIDデバイスが最大限のパフォーマンスを発揮するには、それぞれのRAIDパーティショ

ンを別々の物理デバイスからとる必要があります。ソフトウェアRAID 1デバイスの場合、ミラーリングさ

れたパーティションは、ディスクを共有できません。

37 デバイスのパーティショニング SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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3.4 ファイルシステムのスナップショットLinuxは、ファイルシステムのスナップショットをサポートします。

3.5 バックアップとアーカイブのサポート3.5.1項 「オープンソースバックアップ」

3.5.2項 「商用バックアップとアンチウィルスのサポート」

3.5.1 オープンソースバックアップ

Linuxでデータのバックアップを行うためのオープンソースツールには、 tar 、 cpio 、および rsyncが

含まれています。詳細については、これらのツールのマニュアルページを参照してください。

PAX: POSIXファイルシステムアーカイバ。標準的なアーカイブ(バックアップ)ファイルの最も一

般的なフォーマットである cpioおよび tarの2つをサポートしています。詳細については、のマ

ニュアルページを参照してください。

Amanda: The Advanced Maryland Automatic Network Disk

Archiver。www.amanda.org (http://www.amanda.org/) を参照してください。

3.5.2 商用バックアップとアンチウィルスのサポート

Novell OES (Open Enterprise Server) 2 for Linuxには、SLES (SUSE Linux Enterprise

Server) 10が組み込まれています。OES 2をサポートするウィルス対策/バックアップのソフトウェアベ

ンダは、SLES 10もサポートします。スケジュールされたSLES 11のサポートについては、該当するベ

ンダのWebサイトをご覧ください。

可能なバックアップおよびウィルス対策のソフトウェアベンダの現行リストについては、『Novell Open

Enterprise Server Partner Support: Backup and Antivirus Support (http://www.novell.com/

products/openenterpriseserver/partners_communities.html) 』を参照してください。このリス

トは、四半期ごとに更新されます。

38 ファイルシステムのスナップショット SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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4 LVMの設定

本項では、LVM(Logical Volume Manager)の原理と多くの状況で役立つ基本機能を簡単に説明

します。YaST LVMの設定は、YaST Expert Partitionerからアクセスできます。このパーティショニ

ングツールにより、既存のパーティションを編集、および削除できます。また、LVMで使用する新規パー

ティションを作成することもできます。

警告LVMを使用することでデータ損失などの危険性が増加する恐れがあります。この危険性にはア

プリケーションのクラッシュ、電源障害、誤ったコマンドなども含まれます。LVMまたはボリューム

の再設定を実施する前にデータを保存してください。バックアップなしでは作業を実行しないで

ください。

4.1項 「論理ボリュームマネージャ(LVM)の理解」

4.2項 「LVMパーティションの作成」

4.3項 「ボリュームグループの作成」

4.4項 「物理ボリュームの設定」

4.5項 「物理ボリュームの設定」

4.6項 「非ルートLVMボリュームグループの自動アクティブ化」

4.7項 「LVM2ストレージオブジェクトのタグ付け」

4.8項 「ボリュームグループのサイズ変更」

4.9項 「YaSTによる論理ボリュームのサイズ変更」

4.10項 「コマンドによる論理ボリュームのサイズ変更」

4.11項 「ボリュームグループの削除」

4.12項 「LVMパーティション(物理ボリューム)の削除」

4.13項 「LVMコマンドの使用」

4.1 論理ボリュームマネージャ(LVM)の理解LVMは、複数のファイルシステムにハードディスクスペースを柔軟に分散することができます。LVMが

開発された理由は、インストール中に初期パーティショニングが終了した後でのみ、ハードディスクス

ペースのセグメンテーションを変更するニーズが発生する可能性があるためです。稼動中のシステム

39 論理ボリュームマネージャ(LVM)の理解 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

Page 55: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

でパーティションを変更することは困難なので、LVMは必要に応じて論理ボリューム(LV)を作成できる

メモリスペースの仮想プール(ボリュームグループ(VG))を提供します。オペレーティングシステムは物

理パーティションの代わりにこれらのLVにアクセスします。ボリュームグループは2つ以上のディスクに

またがることができます。したがって、複数のディスクまたはそれらの一部で1つのVGを構成できます。

この方法で、LVMは物理ディスクスペースから一種の抽象化を行います。この抽象化により、物理パー

ティショニングを使用する場合よりはるかに簡単で安全な方法でセグメンテーションを変更できます。

図4.1「物理パーティショニング対LVM」では物理パーティショニング(左)とLVM区分(右)を比較して

います。左側は、1つのディスクが割り当てられたマウントポイント(MP)をもつ3つの物理パーティショ

ン(PART)に分かれています。これによりオペレーティングシステムはそれぞれのパーティションにアク

セスできます。右側では2つのディスクがそれぞれ3つの物理パーティションに分かれています。2つの

LVMボリュームグループ(VG 1およびVG 2)が定義されています。VG 1には、DISK 1からのパーティ

ションが2つ、DISK 2からのパーティションが1つ含まれます。VG 2には、DISK 2からの残りの2パー

ティションが含まれます。

図 4.1: 物理パーティショニング対LVM

LVMでは、ボリュームグループに組み込まれた物理ディスクをPV (物理ボリューム)と呼びます。図

4.1「物理パーティショニング対LVM」のボリュームグループ内には、4つの論理ボリューム(LV 1から

LV 4)が定義されています。これらのボリュームは、関連付けられたマウントポイントを介してオペレー

ティングシステムに使用されます。別の論理ボリュームとの境界とパーティションの境界を並べることは

できません。この例ではLV 1およびLV 2の間に境界があります。

LVMの機能:

複数のハードディスクまたはパーティションを大きな論理ボリュームにまとめることができます。

提供された設定が適切であれば、LV( /usrなど)は空きスペースがなくなったときに拡張するこ

とができます。

40 論理ボリュームマネージャ(LVM)の理解 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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LVMを使用することで、実行中のシステムにハードディスクまたはLVを追加できます。ただし、こ

うしたディスクやLVを追加するには、ホットスワップ可能なハードウェアが必要になります。

複数の物理ボリューム上に論理ボリュームのデータストリームを割り当てるストライピングモー

ドを有効にすることもできます。これらの物理ボリュームが別のディスクに存在する場合、RAID 0

と同様に読み込みおよび書き込みのパフォーマンスを向上できます。

スナップショット機能は稼動中のシステムで一貫性のある(特にサーバ)バックアップを取得でき

ます。

これらの機能とともにLVMを使用することは、頻繁に使用されるホームPCや小規模サーバではそれ

だけでも意義があります。データベース、音楽アーカイブ、またはユーザディレクトリのように増え続ける

データストックがある場合は、LVMが特に役に立ちます。LVMを使用すると、物理ハードディスクより大

きなファイルシステムの作成が可能になります。LVMのもう1つの利点は最大256個のLVを追加でき

ることです。ただし、LVMでの作業は従来のパーティションでの作業とは異なることに留意してくださ

い。

カーネルバージョン2.6から開始して、LVMバージョン2を利用することができます。これはLVMの前

バージョンとの下方互換になり、これまでのボリュームグループを管理できるようにします。新しいボ

リュームグループを作成する場合は、新しいフォーマットまたは下方互換バージョンのどちらを使用す

るか決定します。LVM 2にはいずれのカーネルパッチも必要ありません。これは、カーネル2.6に統合さ

れているデバイスマッパーを活用しています。このカーネルはLVMバージョン2のみをサポートしていま

す。そのため、このセクションでLVMと書かれている場合、それはLVMバージョン2を指しています。

YaSTパーティショナの使用によって、新規および既存のLVMストレージオブジェクトを管理できま

す。LVMの設定に関する指示や詳細情報については、公式のLVM HOWTO (http://tldp.org/

HOWTO/LVM-HOWTO/) を参照してください。

重要LVMの構成後にマルチパスのサポートを追加する場合は、 /etc/lvm/lvm.confファイルを修

正し、 /dev/disk/by-idディレクトリ内のマルチパスデバイス名のみをスキャンするようにして

(7.2.4項 「マルチパスデバイスでのLVM2の使用」に記載するとおり)、 サーバを再起動します。

4.2 LVMパーティションの作成ディスクごとに、 0x8E Linux LVMとして、LVM用に使用したい空き領域をパーティション分割しま

す。1つのデバイスに1つ以上のLVMパーティションを作成できます。デバイス上のパーティションがす

べてLVMパーティションである必要はありません。

41 LVMパーティションの作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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ボリュームグループ機能を使用すると、1つ以上のLVMパーティションをボリュームグループと呼ばれ

るスペースの論理プールにまとめ、そのボリュームグループ内のスペースから1つ以上の論理ボリュー

ムを作成できます。

YaSTパーティショナでは、LVMパーティションを作成するときには、デスク上の空き領域しか使用でき

ません。単一のLVMパーティションにデスク全体を使用したいが、ディスク上に他のパーティションが

すでに存在する場合は、まず、既存のパーティションすべてを削除してスペースを解放しないと、そのス

ペースをLVMパーティションで使用することができません。

警告パーティションを削除すると、パーティション内のすべてのデータが破棄されます。

1. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

2. YaST内で、[ディスクの分割]を開きます。

3. (オプション)1つ以上の既存パーティションを削除し、そのスペースを解放して、作成するLVM

パーティションに使用できるようにします。

詳細については、4.12項 「LVMパーティション(物理ボリューム)の削除」を参照してください。

4. [パーティション]ページで、[追加]をクリックします。

5. [新しいパーティションの種類]の下で、[プライマリパーティション]または[拡張パーティション]

を選択して、[次へ]をクリックします。

6. [新しいパーティションのサイズ]を指定して、[次へ]をクリックします。

最大サイズ: ディスク上の使用可能な

空き領域をすべて使用します。

Custom Size (カスタムサイズ): ディ

スク上の使用可能な空きスペース量を

上限とするサイズを指定します。

カスタム領域: ディスク上の使用可能

な空き領域の開始シリンダーと終了シ

リンダーを指定します。

42 LVMパーティションの作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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7. パーティションフォーマットの設定:

1. [フォーマットのオプション]の下で、

[フォーマットしない]を選択します。

2. [ファイルシステムのID]ドロップダウ

ンリストから、パーティションのIDとして

[0x8E Linux LVM]を選択します。

3. [マウントのオプション]の下で、[パー

ティションをマウントしない]を選択しま

す。

8. [完了]をクリックします。

[次へ]と[完了]をクリックしてパーティショナを終了するまで、パーティションは実際に作成され

ません。

9. 追加したいLinux LVMパーティションごとに、ステップ 4からステップ 8まで繰り返します。

10. [次へ]をクリックし、新しいLinux LVMパーティションが一覧されることを確認してから、[完了]

をクリックしてパーティショナを終了します。

11. (オプション)4.3項 「ボリュームグループの作成」の説明に従って、ボリュームグループの設定を

続行します。

4.3 ボリュームグループの作成LVMボリュームグループは、Linux LVMパーティションをスペースの論理プールにします。グループ

内の使用可能なスペースから論理ボリュームを作成できます。グループ内のLinux LVMパーティショ

ンは、同じディスクに存在することも、さまざまなディスクに存在することも可能です。同じディスクまた

はさまざまなディスクからLVMパーティションを追加することにより、グループのサイズを拡張できま

す。LVM用に予約されているパーティションをすべて1つのボリュームグループに割り当ててください。

すべてのパーティションを割り当てないと、パーティションのスペースが未使用のまま残ります。

1. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

2. YaST内で、[ディスクの分割]を開きます。

3. 左のパネルで、[ボリューム管理]をクリックします。

既存のボリュームグループのリストが右のパネルに表示されます。

4. [ボリューム管理]ページの左下で、[ボリュームグループの追加]をクリックします。

43 ボリュームグループの作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

Page 59: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

5. [ボリュームグループ名]を指定します。

インストール時にボリュームグループを作成している場合は、SUSE Linux Enterprise Server

のシステムファイルを含むボリュームグループに対して systemという名前が示唆されます。

6. [PEサイズ]を指定します。

[PEサイズ]は、ボリュームグループの物理ブロックのサイズを定義します。ボリュームグループ

にある全ディスクスペースはこの物理ブロックサイズ内で使用されます。値の範囲は、2の累乗で

1KBから16GBまでです。通常、この値は4MBに設定されます。

LVM1では、LVごとに65534エクステントまでしかサポートしないので、4MBの物理エクステ

ントで最大LVサイズとして256GBが可能でした。LVM2では、物理エクステントの数に制限が

ありません。エクステントが多くても、論理ボリュームに対するI/Oパフォーマンスに影響しません

が、LVMツールの動作が遅くなります。

重要1つのボリュームグループに異なるサイズの物理エクステントを混在させないでください。

初期設定後はエクステントを変更しないでください。

7. [利用可能な物理ボリューム]リストで、このボリュームグループに含めたいLinux LVMパーティ

ションを選択し、[追加]をクリックして、それらのパーティションを[選択した物理ボリューム]リス

トに移動します。

8. [完了]をクリックします。

44 ボリュームグループの作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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[ボリュームグループ]リストに新しいグループが表示されます。

9. [ボリューム管理]ページで、[次へ]をクリックし、新しいグループが一覧されることを確認してか

ら、[完了]をクリックします。

4.4 物理ボリュームの設定Linux LVMパーティションは、ボリュームグループに割り当てられると、「物理ボリューム」と呼ばれるよ

うになります。

図 4.2: ホームという名前のボリュームグループ内の物理ボリューム

既存のボリュームグループに物理ボリュームを追加するには:

1. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

2. YaST内で、[ディスクの分割]を開きます。

3. 左のパネルで、[ボリューム管理]を選択し、グループのリストを展開します。

4. [ボリューム管理]の下でボリュームグループを選択し、[概要]タブをクリックします。

5. ページ下部にある[サイズ変更]をクリックします。

45 物理ボリュームの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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6. [利用可能な物理ボリューム]リストから物理ボリューム(LVMパーティション)を選択し、[追加]

をクリックしてそのボリュームを[選択した物理ボリューム]リストに移動します。

7. [完了]をクリックします。

8. [次へ]をクリックし、変更が一覧されることを確認してから、[完了]をクリックします。

4.5 物理ボリュームの設定物理ボリュームでボリュームグループが満たされたら、[論理ボリューム]ダイアログボックス(図4.3「論

理ボリューム管理」参照)を使用して、オペレーティングシステムで使用される論理ボリュームを定義お

よび管理します。このダイアログには、そのボリュームグループのすべての論理ボリュームが一覧され

ます。[追加]、[編集]、および[削除]の各オプションを使用して、論理ボリュームを管理できます。各ボ

リュームグループに少なくとも1つの論理ボリュームを割り当ててください。ボリュームグループ内の空

き領域を使い果たすまで、必要に応じて新しい論理ボリュームを作成できます。

SLES 11 SP3から、LVM論理ボリュームはシンプロビジョニング可能になっています。シンプロビジョ

ニングを使用すると、利用可能な空き領域を超えるサイズの論理ボリュームを作成できます。任意の数

のシンボリューム用に予約した未使用領域が含まれるシンプールを作成します。シンボリュームは疎ボ

リュームとして作成され、必要に応じてシンプールから領域が割り当てられます。ストレージ領域をコスト

効果の高い方法で割り当てなければならなくなった場合、シンプールを動的に拡張できます。

46 物理ボリュームの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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重要クラスタでシンプロビジョニングボリュームを使用するには、クラスタを使用するシンプールとシ

ンボリュームを1つのクラスタリソースで管理する必要があります。これにより、シンボリュームと

シンプールを常に同じノードに排他的にマウントできます。

図 4.3: 論理ボリューム管理

さらに、複数の物理ボリュームにまたがる論理ボリュームにデータストリームを分配すること(ストライピ

ング)も可能です。これらの物理ボリュームが別のハードディスクに存在する場合、この性質により、読み

込みおよび書込みのパフォーマンスが向上します(RAID 0など)。ただし、 nストライブでLVをストライピ

ングする場合、LVが必要とするハードディスクスペースが物理ボリューム n個に等しく配分されている

場合にのみ、ストライプが正しく作成されます。たとえば、使用可能な物理ボリュームが2つだけの場合

は、3つのストライプをもつ論理ボリュームは設定できません。

1. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

2. YaST内で、[ディスクの分割]を開きます。

3. 左のパネルで、[ボリューム管理]を選択して展開し、ボリュームグループのリストを表示します。

4. [ボリューム管理]の下でボリュームグループを選択し、[論理ボリューム]タブをクリックします。

5. 左下で、[追加]をクリックして[論理ボリュームの追加]ダイアログボックスを開きます。

47 物理ボリュームの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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6. 論理ボリュームの[名前]を指定し、[次へ]をクリックします。

7. LVMボリュームのタイプを指定します。

通常のボリューム: (デフォルト)ボリュームの領域は直ちに割り当てられます。

シンプール: この論理ボリュームは、シンボリューム用に予約された領域のプールです。シ

ンボリュームでは、必要な領域をそのプールからオンデマンドで割り当てることができます。

シンボリューム: ボリュームは疎ボリュームとして作成されます。このボリュームでは、必要

な領域はシンプールからオンデマンドで割り当てられます。

8. ボリュームのサイズと、複数ストライプを使用するかどうかを指定します。

1. 使用可能な最大サイズまでの論理ボ

リュームサイズを指定します。

現在のボリュームグループ内の空き領

域の量が[最大サイズ]オプションの

横に表示されます。

2. ストライプの数を指定します。

警告YaSTには、現時点でストライピ

ングの観点からエントリの正確

性を確認する機会はありませ

ん。何か間違いがあった場合、

48 物理ボリュームの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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それが明らかになるのはLVM

がディスクに実装された後で

す。

9. 論理ボリュームのフォーマットオプションを指定します。

1. [フォーマットのオプション]の下で、

[パーティションをフォーマットする]

を選択し、次に、[ファイルシステム]ド

ロップダウンリストからフォーマットのタ

イプ(Ext3など)を選択します。

2. [マウントのオプション]の下で、[パー

ティションをマウントする]を選択してか

ら、マウントポイントを選択します。

この論理ボリューム上に格納された

ファイルは、インストールしたシステム

上の該当するマウントポイントで検出

することができます。

3. [Fstabオプション]をクリックして、この

ボリュームの特別なマウントオプション

を追加します。

10. [完了]をクリックします。

11. [次へ]をクリックし、変更が一覧されることを確認してから、[完了]をクリックします。

4.6 非ルートLVMボリュームグループの自動アクティブ化非ルートLVMボリュームグループのアクティブ化の動作は、 /etc/sysconfig/lvmファイル内のパラ

メータ設定により制御されます。

デフォルトでは、非ルートLVMボリュームグループは、 /etc/rc.d/boot.lvmによって、 /etc/

sysconfig/lvmファイル内の LVM_VGS_ACTIVATED_ON_BOOTパラメータの設定にしたがって、システ

ムの再起動時に自動的にアクティブになります。このパラメータにより、システムの再起動時にすべての

ボリュームグループをアクティブにすることも、または指定した非ルートLVMボリュームグループのみを

アクティブにすることもできます。

49 非ルートLVMボリュームグループの自動アクティブ化 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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システムの再起動時にすべての非ルートLVMボリュームグループをアクティブにするには、 /etc/

sysconfig/lvmファイル内の LVM_VGS_ACTIVATED_ON_BOOTパラメータが空である( "" )ことを確認

します。これがデフォルトの設定です。ほぼすべての標準的なLVMのインストールでは、安全に空にし

ておくことができます。

LVM_VGS_ACTIVATED_ON_BOOT=""

指定した非ルートLVMボリュームグループのみをシステムの再起動時にアクティブにするには、ボ

リュームグループの名前を LVM_VGS_ACTIVATED_ON_BOOTパラメータに対する値として、次のように指

定します。

LVM_VGS_ACTIVATED_ON_BOOT="vg1"

デフォルトでは、新たに検出されたLVMボリュームグループは、自動的にはアクティブになりませ

ん。 LVM_ACTIVATED_ON_DISCOVEREDパラメータは、 /etc/sysconfig/lvmファイル内で次のコマン

ドにより非アクティブとなります。

LVM_ACTIVATED_ON_DISCOVERED="disable"

LVM_ACTIVATED_ON_DISCOVEREDパラメータを次のように設定して、新たに検出されたLVMボリュー

ムグループをudevルールを介してアクティブにすることができます。

LVM_ACTIVATED_ON_DISCOVERED="enable"

4.7 LVM2ストレージオブジェクトのタグ付けタグは、ストレージオブジェクトのメタデータに割り当てられる順序付けのないキーワードまたは用語で

す。タグを使用すると、順序付けのないタグのリストをLVMストレージオブジェクトのメタデータに添付

することによって、それらのオブジェクトのコレクションを有用になるように分類できます。

4.7.1項 「LVM2タグの使用」

4.7.2項 「LVM2タグの作成要件」

4.7.3項 「コマンドラインでのタグ構文」

4.7.4項 「設定ファイル構文」

4.7.5項 「クラスタで簡単なアクティベーション制御にタグを使用する」

4.7.6項 「タグを使用して、クラスタ内の好みのホストでアクティブにする」

50 LVM2ストレージオブジェクトのタグ付け SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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4.7.1 LVM2タグの使用

LVM2ストレージオブジェクトにタグを付けたら、それらのタグをコマンドで使用して、次のタスクを達成

できます。

特定のタグの有無に応じて、処理するLVMオブジェクトを選択します。

設定ファイル内でタグを使用することにより、サーバ上でアクティブにするボリュームグループと

論理ボリュームを制御します。

コマンド内でタグを指定することにより、グローバル設定ファイルの設定を上書きします。

コマンドラインでLVMオブジェクトを参照する代わりに、タグを使用して、次の項目を受け入れることが

できます。

オブジェクトのリスト

単一のオブジェクト(タグが単一オブジェクトに展開する限り)

オブジェクト名をタグで置き換えることは、一部ではサポートされていません。引数の展開後、リスト内

の重複引数は、重複引数を削除し、各引数の最初のインスタンスを保留することによって解決されま

す。

引数のタイプが曖昧になる可能性がある場合は、タグの前にアットマーク(@)文字を付けてください(た

とえば、 @mytag )。それ以外の接頭辞「@」の使用はオプションです。

4.7.2 LVM2タグの作成要件

LVMでタグを使用する場合は、以下の要件を考慮してください。

4.7.2.1項 「サポートされている文字」

4.7.2.2項 「サポートされているストレージオブジェクト」

4.7.2.1 サポートされている文字

LVMタグのワードには、ASCII 大文字A〜Z、小文字a〜z、数字0〜9、下線(_)、プラス(+)、ハイフン(-)、

およびピリオド(.)を含めることができます。ワードをハイフンで始めることはできません。最大128文字ま

で入力できます。

51 LVM2タグの使用 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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4.7.2.2 サポートされているストレージオブジェクト

タグ付けできるのは、LVM2の物理ボリューム、ボリュームグループ、論理ボリューム、および論理ボ

リュームセグメントです。PVタグは、そのボリュームグループのメタデータに保存されます。ボリュームグ

ループを削除すると、孤立した物理ボリューム内のタグも削除されます。スナップショットにはタグを付

けられませんが、元のオブジェクトはタグ付けできます。

LVM1オブジェクトは、そのディスクフォーマットがタグをサポートしていないので、タグ付けできませ

ん。

4.7.3 コマンドラインでのタグ構文

--addtag <タグ_情報>

LVM2ストレージオブジェクトにタグを追加(つまり、タグ付け)します。

例:

vgchange --addtag @db1 vg1

--deltag <タグ_情報>

LVM2ストレージオブジェクトからタグを削除(つまり、タグ解除)します。

例:

vgchange --deltag @db1 vg1

--tag <タグ_情報>

アクティブまたは非アクティブにするボリュームグループまたは論理ボリュームのリストを絞り込む

ために使用するタグを指定します。

例:

次のコマンドを入力すると、指定のタグに一致するタグをもつボリュームがアクティブになります。

lvchange -ay --tag @db1 vg1/vol2

4.7.4 設定ファイル構文

4.7.4.1項 「lvm.confファイルでホスト名タグを有効にする」

4.7.4.2項 「lvm.confファイルのホスト名タグを定義する」

52 コマンドラインでのタグ構文 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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4.7.4.3項 「アクティベーションを定義する」

4.7.4.4項 「複数のホスト名設定ファイルでアクティベーションを定義する」

4.7.4.1 lvm.confファイルでホスト名タグを有効にする

次のコードを /etc/lvm/lvm.confファイルに追加することにより、 /etc/lvm/lvm_<ホスト

名>.confファイルでホストに個別に定義されているホストタグを有効にします。

tags { # Enable hostname tags hosttags = 1}

ホストの /etc/lvm/lvm_<ホスト名>.confファイルにアクティベーションコードを入力します。4.7.4.3

項 「アクティベーションを定義する」を参照してください。

4.7.4.2 lvm.confファイルのホスト名タグを定義する

tags {

tag1 { } # Tag does not require a match to be set.

tag2 { # If no exact match, tag is not set. host_list = [ "hostname1", "hostname2" ] }}

4.7.4.3 アクティベーションを定義する

/etc/lvm/lvm.confファイルを変更すると、タグに基づいてLVM論理ボリュームをアクティブにでき

ます。

テキストエディタで、次のコードをファイルに追加します。

activation { volume_list = [ "vg1/lvol0", "@database" ] }

@databaseをご使用のタグで置き換えます。ホストに設定されているすべてのタグにタグを一致させる

には、 "@*"を使用します。

53 設定ファイル構文 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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アクティベーションコマンドは、ボリュームグループと論理ボリュームのメタデータで設定されているボ

リュームグループ名 、ボリュームグループ名/論理グループ名 、または@タグと照合を行います。ボ

リュームグループまたは論理グループは、メタデータタグが一致する場合のみアクティブになります。一

致しない場合のデフォルトは、アクティブにしないことです。

volume_listが存在せず、ホストにタグが定義されていると、ホストタグがメタデータタグに一致する

場合のみボリュームグループまたは論理グループがアクティブになります。

volume_listが存在せず、ホストにタグが定義されていないと、アクティベーションが実行されます。

4.7.4.4 複数のホスト名設定ファイルでアクティベーションを定義する

lvm.confファイルでホストタグが有効になっている場合、 ホストの設定ファイル( /etc/lvm/lvm_<ホ

スト_タグ>.conf )でアクティベーションコードを使用できます。たとえば、サーバの /etc/lvm/フォル

ダに、2つの設定ファイルがあるとします。

lvm.conf

lvm_<ホスト_タグ>.conf

スタートアップ時に、 /etc/lvm/lvm.confファイルがロードされ、ファイル内のすべてのタグ設定が処

理されます。ホストタグが定義されていた場合は、関連の /etc/lvm/lvm_<ホスト_タグ>.confファ

イルがロードされます。特定の設定ファイルエントリが検索される場合は、まず、ホストタグファイルが

検索されてから、 lvm.confファイルが検索され、最初の一致で検索が停止します。 lvm_<ホスト_タ

グ>.confファイル内では、タグの設定順序と逆の順序が使用されます。これによって、最後に設定され

たタグのファイルが最初に検索されます。ホストタグファイルで新しいタグが設定されると、追加の設定

ファイルがロードされます。

4.7.5 クラスタで簡単なアクティベーション制御にタグを使用する

簡単なアクティベーション制御は、 /etc/lvm/lvm.confファイルで hostname_tagsオプションを有

効にすることでセットアップできます。これがグローバル設定になるように、同じファイルをクラスタ内の

すべてのコンピュータで使用します。

1. テキストエディタで、次のコードを /etc/lvm/lvm.confファイルに追加します。

tags { hostname_tags = 1}

2. ファイルをクラスタ内のすべてのホストに複製します。

54 クラスタで簡単なアクティベーション制御にタグを使用する SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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3. クラスタ内の任意のコンピュータから、 vg1/lvol2をアクティブにするコンピュータのリスト

に db1を追加します。

lvchange --addtag @db1 vg1/lvol2

4. db1サーバで、次のコードを入力してvg1/lvol2をアクティブにします。

lvchange -ay vg1/vol2

4.7.6 タグを使用して、クラスタ内の好みのホストでアクティブにする

本項の例では、次のようなアクティベーションを行う2つの方法を示します。

ボリュームグループ vg1をデータベースホスト db1および db2でのみアクティブにします。

ボリュームグループ vg2をファイルサーバホスト fs1のみでアクティブにします。

ファイルサーバのバックアップホスト fsb1では、最初は何もアクティブにせず、ファイルサーバの

ホスト fs1に置き換わる準備をします。

4.7.6.1項 「オプション1:一元化された管理とホスト間で複製された設定」

4.7.6.2項 「オプション2:ローカライズされた管理と設定」

4.7.6.1 オプション1:一元化された管理とホスト間で複製された設定

次のソリューションでは、単一の設定ファイルを複数のホスト間で複製します。

1. @databaseタグをボリュームグループ vg1のメタデータに追加します。端末コンソールで、次の

コマンドを入力します。

vgchange --addtag @database vg1

2. @fileserverタグをボリュームグループ vg2のメタデータに追加します。端末コンソールで、次

のコマンドを入力します。

vgchange --addtag @fileserver vg2

3. テキストエディタで、次のコードを使用して /etc/lvm/lvm.confを変更することによ

り、 @database 、 @fileserver 、 @fileserverbackupの各タグを定義します。

tags {

55

タグを使用して、クラスタ内の好みのホストでアクティブにする SUSE Linux Enterp… 11

SP4

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database { host_list = [ "db1", "db2" ] } fileserver { host_list = [ "fs1" ] } fileserverbackup { host_list = [ "fsb1" ] }}

activation { # Activate only if host has a tag that matches a metadata tag volume_list = [ "@*" ]}

4. 変更した /etc/lvm/lvm.confファイルを4つのホスト( db1 、 db2 、 fs1 、および fsb1 )に複製

します。

5. ファイルサーバホストが故障した場合は、次のコマンドを任意のモードで端末コンソールから入力

することにより、 fsb1上で vg2を起動できます。

vgchange --addtag @fileserverbackup vg2vgchange -ay vg2

4.7.6.2 オプション2:ローカライズされた管理と設定

次のソリューションでは、各ホストがアクティブにするボリュームのクラスに関する情報をローカルに保

持します。

1. @databaseタグをボリュームグループ vg1のメタデータに追加します。端末コンソールで、次の

コマンドを入力します。

vgchange --addtag @database vg1

2. @fileserverタグをボリュームグループ vg2のメタデータに追加します。端末コンソールで、次

のコマンドを入力します。

vgchange --addtag @fileserver vg2

3. /etc/lvm/lvm.confファイルでホストタグを有効にします。

a. テキストエディタで、次のコードを使用して /etc/lvm/lvm.confファイルを変更することに

より、ホストタグ設定ファイルを有効にします。

56

タグを使用して、クラスタ内の好みのホストでアクティブにする SUSE Linux Enterp… 11

SP4

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tags { hosttags = 1}

b. 変更した /etc/lvm/lvm.confファイルを4つのホスト( db1 、 db2 、 fs1 、および fsb1 )

に複製します。

4. ホスト db1で、データベースホスト db1のアクティベーション設定ファイルを作成します。テキスト

エディタで、 a /etc/lvm/lvm_db1.confファイルを作成し、次のコードを追加します。

activation { volume_list = [ "@database" ]}

5. ホスト db2で、データベースホスト db2のアクティベーション設定ファイルを作成します。テキスト

エディタで、 a /etc/lvm/lvm_db2.confファイルを作成し、次のコードを追加します。

activation { volume_list = [ "@database" ]}

6. ホストfs1で、ファイルサーバホスト fs1のアクティベーション設定ファイルを作成します。テキスト

エディタで、 a /etc/lvm/lvm_fs1.confファイルを作成し、次のコードを追加します。

activation { volume_list = [ "@fileserver" ]}

7. ファイルサーバホスト fs1が故障した場合は、スペアのファイルサーバホストfsb1をファイルサー

バとして起動します。

a. ホスト fsb1で、ホスト fsb1のアクティベーション設定ファイルを作成します。テキストエ

ディタで、 a /etc/lvm/lvm_fsb1.confファイルを作成し、次のコードを追加します。

activation { volume_list = [ "@fileserver" ]}

b. 端末コンソールで、次のコマンドの1つを入力します。

vgchange -ay vg2

vgchange -ay @fileserver

57

タグを使用して、クラスタ内の好みのホストでアクティブにする SUSE Linux Enterp… 11

SP4

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4.8 ボリュームグループのサイズ変更Linux LVMのパーティションをボリュームグループに追加/削除することにより、ボリュームグループの

サイズを拡大/縮小できます。

警告論理ボリュームにより使用中のパーティションを削除すると、データが失われることがあります。

1. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

2. YaST内で、[ディスクの分割]を開きます。

3. 左のパネルで、[ボリューム管理]を選択して展開し、ボリュームグループのリストを表示します。

4. [ボリューム管理]の下でボリュームグループを選択し、[概要]タブをクリックします。

5. ページ下部にある[サイズ変更]をクリックします。

6. 次のいずれかの操作を行います。

58 ボリュームグループのサイズ変更 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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追加: 1つまたは複数の物理ボリューム(LVMパーティション)を[利用可能な物理ボ

リューム]リストから[選択した物理ボリューム]リストに移動することにより、ボリュームグ

ループのサイズを拡張します。

削除: 1つまたは複数の物理ボリューム(LVMパーティション)を[選択した物理ボリュー

ム]リストから[利用可能な物理ボリューム]リストに移動することにより、ボリュームグルー

プのサイズを縮小します。

7. [完了]をクリックします。

8. [次へ]をクリックし、変更が一覧されることを確認してから、[完了]をクリックします。

4.9 YaSTによる論理ボリュームのサイズ変更

1. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

2. YaST内で、[ディスクの分割]を開きます。

3. 左のパネルで、[ボリューム管理]を選択して展開し、ボリュームグループのリストを表示します。

4. [ボリューム管理]の下でボリュームグループを選択し、[論理ボリューム]タブをクリックします。

5. ページ下部で、[サイズ変更]をクリックして[論理ボリュームのサイズ変更]ダイアログボックス

を開きます。

6. スライダを使用して、論理ボリュームのサイズを拡大/縮小します。

59 YaSTによる論理ボリュームのサイズ変更 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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警告データを含む論理ボリュームのサイズを縮小すると、データが破損することがあります。

7. [OK]をクリックします。

8. [次へ]をクリックし、変更が一覧されることを確認してから、[完了]をクリックします。

4.10 コマンドによる論理ボリュームのサイズ変更論理ボリュームのサイズ変更には、コマンド lvresize 、 lvextend 、および lvreduceが使用されま

す。構文とオプションについては、これらの各コマンドのマニュアルページを参照してください。

YaSTパーティショナでも、論理ボリュームのサイズを増やすことができます。YaSTでは parted(8)を

使用してパーティションサイズを増やします。

LVを拡大するには、VG上に十分な未使用スペースがなければなりません。

LVは使用中に拡大または縮小できますが、LV上のファイルシステムについてはこれが不可能な場合

があります。LVを拡大、縮小しても、そのボリューム内のファイルシステムのサイズは自動的に変更され

ません。後でファイルシステムを拡大するには、別のコマンドを使用する必要があります。ファイルシステ

ムのサイズ変更の詳細については、第5章 「ファイルシステムのサイズ変更」を参照してください。

必ず正しいシーケンスを使用するようにしてください。

LVを拡大する場合は、ファイルシステムを拡大する前にLVを拡大する必要があります。

LVを縮小する場合は、LVを縮小する前にファイルシステムを縮小する必要があります。

論理ボリュームのサイズを拡張するには:

1. 端末コンソールを開き、 rootユーザとしてログインします。

2. 仮想マシン(Xen VMなど)用に提供されているファイルシステムが論理ボリュームに含まれてい

る場合は、VMをシャットダウンします。

3. 論理ボリューム上のファイルシステムのマウントを解除します。

4. 端末コンソールのプロンプトに対して、次のコマンドを入力し、論理ボリュームのサイズを拡大しま

す。

lvextend -L +size /dev/vgname/lvname

60 コマンドによる論理ボリュームのサイズ変更 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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sizeの場合は、10GBのように、論理ボリュームに追加したい容量を指定してください。 /dev/

vgname/lvnameを、 /dev/vg1/v1などの論理ボリュームへのLinuxパスに入れ替えます。次に

例を示します。

lvextend -L +10GB /dev/vg1/v1

たとえば、LVをLV上の(マウント済みでアクティブな)ReiserFSで10GB拡張するには:

lvextend −L +10G /dev/vgname/lvnameresize_reiserfs −s +10GB −f /dev/vg−name/lv−name

たとえば、LVをLV上のReiserFSで5GB縮小するには:

umount /mountpoint−of−LVresize_reiserfs −s −5GB /dev/vgname/lvnamelvreduce /dev/vgname/lvnamemount /dev/vgname/lvname /mountpoint−of−LV

4.11 ボリュームグループの削除

警告ボリュームグループを削除すると、グループの各メンバーパーティションに含まれているデータ

がすべて破棄されます。

1. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

2. YaST内で、[ディスクの分割]を開きます。

3. 左のパネルで、[ボリューム管理]を選択し、グループのリストを展開します。

4. [ボリューム管理]の下でボリュームグループを選択し、[概要]タブをクリックします。

5. ページ下部で、[削除]をクリックし、次に、[はい]をクリックして削除を確認します。

6. [次へ]をクリックし、削除したボリュームグループが一覧されることを確認してから(削除は赤い

フォントで示されます)、[完了]をクリックします。

61 ボリュームグループの削除 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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4.12 LVMパーティション(物理ボリューム)の削除

警告パーティションを削除すると、パーティション内のすべてのデータが破棄されます。

1. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

2. YaST内で、[ディスクの分割]を開きます。

3. If the Linux LVMパーティションがボリュームグループのメンバーとして使用中の場合は、

ボリュームグループからパーティションを削除するか、またはボリュームグループを削除します

(4.11項 「ボリュームグループの削除」)。

4. YaSTパーティショナで、[ハードディスク]の下でデバイス( sdcなど)を選択す。

5. [パーティション]ページで、削除したいパーティションを選択して[削除]をクリックし、[はい]で

削除を確認します。

6. [次へ]をクリックし、削除したパーティションが一覧されることを確認してから(削除は赤いフォン

トで示されます)、[完了]をクリックします。

4.13 LVMコマンドの使用LVMコマンドの使用の詳細については、表4.1「LVMコマンド」で説明されている各コマンドのマニュア

ルページを参照してください。 rootユーザとしてコマンドを実行します。

表 4.1: LVMコマンド

コマンド 説明

pvcreate <device> LVLMで物理ボリュームとして使用できるように

デバイス( /dev/sdbなど)を初期化します。

pvdisplay <device> LVM物理ボリュームに関する情報(現在、論理

ボリュームで使用中かどうかなど)を表示します。

vgcreate -c y <vg_name> <dev1> [dev2...] 指定した1つ以上のデバイスでクラスタ化ボ

リュームグループを作成します。

62 LVMパーティション(物理ボリューム)の削除 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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コマンド 説明

vgchange -a [ey | n] <vg_name> ボリュームグループおよびその論理ボリューム

を入出力用にアクティブ( -a ey )または非アク

ティブ( -a n )にします。

重要クラスタノード上のボリュームグループを

排他的にアクティブにするには、 eyオプ

ションを使用してください。ロードスクリプ

トではこのオプションがデフォルトで使用

されます。

vgremove <vg_name> ボリュームグループを削除します。このコマンド

を使用する前に、論理ボリュームを削除してボ

リュームグループを非アクティブにしてください。

vgdisplay <vg_name> 指定したボリュームグループに関する情報を表

示します。

ボリュームグループの合計物理エクステントを

確認するには、次のように入力します。

vgdisplay vg_name | grep "Total PE"

lvcreate -L size -n <lv_name> <vg_name> 指定したサイズの論理ボリュームを作成します。

lvcreate -L <size> <-T|--thinpool> <vg_name/thin_pool_name>

lvcreate -virtualsize <size> <-T|--thin> <vg_name/thin_pool_name> -n <thin_lv_name>

lvcreate -L <size> -T <vg_name/thin_pool_name> -virtualsize <size> -n <thin_lv_name>

指定したサイズのシン論理ボリュームまたはシ

ンプールを作成します。

シンプール、シン論理ボリューム、またはその両

方を作成します。オプションの引数(--size)を指

定すると、シンプール論理ボリュームが作成され

ます。オプションの引数(--virtualsize)を指定す

ると、所定のシンプールボリュームからシン論理

ボリュームが作成されます。両方の引数を指定

すると、このプールを使用してシンプールとシン

ボリュームが両方とも作成されます。

63 LVMコマンドの使用 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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コマンド 説明

lvcreate -s [-L size] -n <snap_volume> <source_volume_path>

指定した論理ボリュームに対してスナップショッ

トボリュームを作成します。サイズオプション(-

L、--size)を指定しなかった場合、スナップショッ

トはシンスナップショットとして作成されます。

lvremove</dev/vg_name/lv_name> /dev/vg_name/lv_nameなどの論理ボリュー

ムを削除します。

このコマンドを使用する前に、 umountコマンドで

論理ボリュームをマウント解除して閉じてくださ

い。

lvremove snap_volume_path スナップショットボリュームを削除します。

lvconvert --merge [-b] [-i <seconds>] [<snap_volume_path>[...<snapN>]|@<volume_tag>]

スナップショットデータを元のボリュームに戻しま

す(ロールバックまたはマージします)。

vgextend <vg_name><device> 指定した物理ボリュームを既存のボリュームグ

ループに追加します。

vgreduce <vg_name> <device> 指定した物理ボリュームを既存のボリュームグ

ループから削除します。

重要物理ボリュームが論理ボリュームによっ

て使用中でないことを確認してください。

使用中の場合は、 pvmoveコマンドを使

用してデータを別の物理ボリュームに移

動する必要があります。

lvextend -L size</dev/vg_name/lv_name> 指定した論理ボリュームのサイズを拡張します。

その後、新たに使用可能になった領域を利用で

きるようにするため、ファイルシステムを拡張する

必要もあります。

lvreduce -L size </dev/vg_name/lv_name> 指定した論理ボリュームのサイズを縮小します。

64 LVMコマンドの使用 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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コマンド 説明

重要ボリュームを縮小する前に、まずファイル

システムのサイズを縮小してください。そ

うしないと、データを失うリスクがありま

す。

lvrename </dev/vg_name/old_lv_name> </dev/vg_name/new_lv_name>

ボリュームグループの既存のLVM論理ボリュー

ムの名前を新しいボリューム名に変更します。ボ

リュームグループの名前は変更されません。

65 LVMコマンドの使用 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

Page 81: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

5 ファイルシステムのサイズ変更

データのボリュームを増やす必要がある場合は、そのファイルシステムに割り当てられた容量を増やす

必要があるかもしれません。

5.1項 「サイズ変更のガイドライン」

5.2項 「Ext2、Ext3、またはExt4ファイルシステムのサイズの増加」

5.3項 「Reiserファイルシステムのサイズの増加」

5.4項 「Ext2またはExt3ファイルシステムのサイズの削減」

5.5項 「Reiserファイルシステムのサイズの削減」

5.1 サイズ変更のガイドラインパーティションまたはファイルシステムのサイズ変更には、データを失う可能性をはらむリスクが伴いま

す。

警告データの喪失を避けるには、データを必ずバックアップしてから、サイズ変更タスクを開始します。

ファイルシステムのサイズを変更する場合は、次のガイドラインに従ってください。

5.1.1項 「サイズ変更をサポートしているファイルシステム」

5.1.2項 「ファイルシステムのサイズの増加」

5.1.3項 「ファイルシステムのサイズの削減」

5.1.1 サイズ変更をサポートしているファイルシステム

ボリュームに使用可能な容量を増やせるようにするには、ファイルシステムがサイズ変更をサ

ポートしている必要があります。SUSE® Linux Enterprise Server 2では、ファイルシステム

Ext2、Ext3、Ext4、およびReiserFSに対して、ファイルシステムのサイズ変更ユーティリティを使用でき

ます。このユーティリティは、次のようにサイズの増減をサポートします。

66 サイズ変更のガイドライン SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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表 5.1: ファイルシステムサイズ変更のサポート

ファイルシステム ユーティリティ サイズを増加(拡大) サイズの削減(縮小)

Ext2 resize2fs オフラインのみ オフラインのみ

Ext3 resize2fs オンラインまたはオフ

ライン

オフラインのみ

Ext4 resize2fs オフラインのみ オフラインのみ

ReiserFS resize_reiserfs オンラインまたはオフ

ライン

オフラインのみ

5.1.2 ファイルシステムのサイズの増加

デバイス上で使用可能な最大容量までファイルシステムを拡大することも、正確なサイズを指定するこ

ともできます。ファイルシステムのサイズを拡大する前に、必ずデバイス、または論理ボリュームのサイズ

を拡大しておいてください。

ファイルシステムに正確なサイズを指定する場合は、その新しいサイズが次の条件を満たすかどうかを

必ず確認してください。

新しいサイズは、既存データのサイズより大きくなければなりません。さもないと、データが失われ

ます。

ファイルシステムのサイズは使用可能な容量より大きくできないので、新しいサイズは、現在のデ

バイスサイズ以下でなければなりません。

5.1.3 ファイルシステムのサイズの削減

デバイス上のファイルシステムのサイズを削減する際には、新しいサイズが次の条件を満たすかどうか

を必ず確認してください。

新しいサイズは、既存データのサイズより大きくなければなりません。さもないと、データが失われ

ます。

ファイルシステムのサイズは使用可能な容量より大きくできないので、新しいサイズは、現在のデ

バイスサイズ以下でなければなりません。

ファイルシステムが保存されている論理ボリュームのサイズを削減する場合は、デバイス、または論理

ボリュームのサイズを削減しようとする前に、必ずファイルシステムのサイズを削減しておきます。

67 ファイルシステムのサイズの増加 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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5.2 Ext2、Ext3、またはExt4ファイルシステムのサイズの増加Ext2、Ext3、およびExt4ファイルシステムのサイズは、ファイルシステムをマウントする際

に resize2fsコマンドを使用して増加できます。Ext3ファイルシステムのサイズは、ファイルシステムを

アンマウントする際に resizefsコマンドを使用しても増加できます。

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

2. ファイルシステムがExt2またはExt4である場合は、そのファイルシステムをアンマウントする必

要があります。Ext3ファイルシステムは、マウントまたはアンマウントできます。

3. 次の方法の1つで、ファイルシステムのサイズを増加します。

ファイルシステムのサイズを /dev/sda1と呼ばれるデバイスの、利用可能な最大サイズま

で拡大するには、次のように入力します。

resize2fs /dev/sda1

sizeパラメータを指定しない場合、サイズはパーティションのサイズにデフォルト設定され

ます。

ファイルシステムを特定のサイズに拡張するには、次のコマンドを入力します。

resize2fs /dev/sda1 size

sizeパラメータは、要求されたファイルシステムの新サイズを指定します。単位を指定しな

い場合のsizeパラメータの単位は、ファイルシステムのブロックサイズです。オプションとし

て、sizeパラメータの後ろに、次の単位指定子の1つを付けることができます。sは512バイト

のセクタ、Kはキロバイト(1キロバイトは1024バイト)、Mはメガバイト、Gはギガバイトを表し

ます。

サイズ変更が完了するまで待って、続行します。

4. ファイルシステムがマウントされていない場合は、この時点で、ファイルシステムをマウントします。

たとえば、Ext2ファイルシステムを、 /dev/sda1という名前のデバイスに、マウントポイント /

homeでマウントするには、次のように入力します。

mount -t ext2 /dev/sda1 /home

5. 次のように入力して、マウントされたファイルシステムに対するサイズ変更の効果をチェックしま

す。

68 Ext2、Ext3、またはExt4ファイルシステムのサイズの増加 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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df -h

ディスクフリー( df )コマンドは、ディスクの合計サイズ、使用されたブロック数、およびファイルシ

ステムで使用可能なブロック数を表示します。-hオプションは、読みやすい形式でサイズを出力

します(1K、234M、2Gなど)。

5.3 Reiserファイルシステムのサイズの増加ReiserFSファイルシステムのサイズは、マウント中またはアンマウント中のいずれでも拡大することが

できます。

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

2. /dev/sda2と呼ばれるデバイスのファイルシステムのサイズを拡大するには、次のいずれかの

方法を使用します。

ファイルシステムのサイズをデバイスの使用可能な最大サイズまで拡張するには、次のよ

うに入力します。

resize_reiserfs /dev/sda2

サイズを指定しないと、ボリュームはパーティションのフルサイズまで拡張されます。

ファイルシステムを特定のサイズに拡張するには、次のコマンドを入力します。

resize_reiserfs -s size /dev/sda2

sizeを目的のサイズ(バイト単位)で置き換えます。50000K(キロバイト)、250M(メガバ

イト)、2G (ギガバイト)など、値の単位を指定することもできます。代わりに、プラス(+)記号

を値の前に付けることにより、現在のサイズに対する増加を指定することもできます。たとえ

ば、次のコマンドは、 /dev/sda2上のファイルシステムのサイズを500MB分増加します。

resize_reiserfs -s +500M /dev/sda2

サイズ変更が完了するまで待って、続行します。

3. ファイルシステムがマウントされていない場合は、この時点で、ファイルシステムをマウントします。

たとえば、ReiserFSファイルシステムを、デバイス /dev/sda2に、マウントポイント /homeでマウ

ントするには、次のように入力します。

mount -t reiserfs /dev/sda2 /home

69 Reiserファイルシステムのサイズの増加 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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4. 次のように入力して、マウントされたファイルシステムに対するサイズ変更の効果をチェックしま

す。

df -h

ディスクフリー( df )コマンドは、ディスクの合計サイズ、使用されたブロック数、およびファイルシ

ステムで使用可能なブロック数を表示します。-hオプションは、読みやすい形式でサイズを出力

します(1K、234M、2Gなど)。

5.4 Ext2またはExt3ファイルシステムのサイズの削減ボリュームがマウントされていないときは、Ext2、Ext3、またはExt4ファイルシステムのサイズを縮小で

きます。

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

2. ファイルシステムをマウント解除します。

3. /dev/sda1などのデバイスのファイルシステムのサイズを削減するには、次のコマンドを入力し

ます。

resize2fs /dev/sda1 <size>

sizeを、目的のサイズを表す整数値(キロバイト単位)で置き換えます(1キロバイトは1024バイ

ト)。

サイズ変更が完了するまで待って、続行します。

4. ファイルシステムをマウントします。たとえば、Ext2ファイルシステムを、 /dev/sda1という名前の

デバイスに、マウントポイント /homeでマウントするには、次のように入力します。

mount -t ext2 /dev/md0 /home

5. 次のように入力して、マウントされたファイルシステムに対するサイズ変更の効果をチェックしま

す。

df -h

ディスクフリー( df )コマンドは、ディスクの合計サイズ、使用されたブロック数、およびファイルシ

ステムで使用可能なブロック数を表示します。-hオプションは、読みやすい形式でサイズを出力

します(1K、234M、2Gなど)。

70 Ext2またはExt3ファイルシステムのサイズの削減 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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5.5 Reiserファイルシステムのサイズの削減Reiserファイルシステムは、ボリュームがアンマウントされている場合のみ、サイズを削減することがで

きます。

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

2. 次のコマンドを入力して、デバイスをアンマウントします。

umount /mnt/point

サイズを削減するパーティションにシステムファイル(ルート /ボリュームなど)が含まれていると、

ブート可能なCDまたはフロッピーからブートする場合のみ、アンマウントが可能です。

3. /dev/sda1という名前のデバイスのファイルシステムのサイズを削減するには、次のコマンドを

入力します。

resize_reiserfs -s size /dev/sda2

sizeを目的のサイズ(バイト単位)で置き換えます。50000K(キロバイト)、250M(メガバイ

ト)、2G (ギガバイト)など、値の単位を指定することもできます。代わりに、マイナス(-)記号を値

の前に付けて、現在のサイズに対する削減分を指定することもできます。たとえば、次のコマンド

は、 /dev/md0上のファイルシステムのサイズを 500 MB分減少させます。

resize_reiserfs -s -500M /dev/sda2

サイズ変更が完了するまで待って、続行します。

4. 次のコマンドで、ファイルシステムをマウントします。

mount -t reiserfs /dev/sda2 /mnt/point

5. 次のように入力して、マウントされたファイルシステムに対するサイズ変更の効果をチェックしま

す。

df -h

ディスクフリー( df )コマンドは、ディスクの合計サイズ、使用されたブロック数、およびファイルシ

ステムで使用可能なブロック数を表示します。-hオプションは、読みやすい形式でサイズを出力

します(1K、234M、2Gなど)。

71 Reiserファイルシステムのサイズの削減 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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6 UUIDによるデバイスのマウント

このセクションでは、オプションとして、デバイス名の代わりにUUIDを使用して、ブートローダファイル

と /etc/fstabファイルでファイルシステムのデバイスを識別する方法について説明します。

6.1項 「udevによるデバイスの命名」

6.2項 「UUIDの理解」

6.3項 「ブートローダと/etc/fstabファイルでのUUIDの使用(x86の場合)」

6.4項 「ブートローダと/etc/fstabファイルでのUUIDの使用(IA64の場合)」

6.5項 「追加情報」

6.1 udevによるデバイスの命名Linux 2.6以降のカーネルでは、 udevによって、永続的なデバイス名を使用した /devディレクトリの

ユーザスペースソリューションが提供されます。システムに対してデバイスを追加または削除する場合

は、ホットプラグシステムの一部として udevが実行されます。

ルールのリストが特定デバイス属性との比較に使用されます。 udevルールのインフラストラクチャ( /

etc/udev/rules.dディレクトリで定義)は、すべてのディスクデバイスに、それらの認識順序や当該デ

バイスに使用される接続に関わらず、安定した名前を提供します。 udevツールは、カーネルが作成す

るすべての該当ブロックデバイスを調べ、一定のバス、ドライブタイプ、またはファイルシステムに基づい

て、ネーミングルールを適用します。 udev用の独自ルールを定義する方法については、「Writing udev

Rules (http://reactivated.net/writing_udev_rules.html) 」を参照してください。

動的なカーネル提供のデバイスノード名に加えて、 udevは、 /dev/diskディレクトリ内のデバイスをポ

イントする永続的なシンボリックリンクのクラスを保持します。このディレクトリは、さらに、 by-id 、 by-

label 、 by-path 、および by-uuidの各サブディレクトリに分類されます。

注記udev以外のプログラム(LVMや mdなど)も、UUIDを生成することがありますが、それらの

UUIDは /dev/diskにリストされません。

72 udevによるデバイスの命名 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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6.2 UUIDの理解UUID (Universally Unique Identifier)は、ファイルシステムの128ビットの番号であり、ローカルシ

ステムと他のシステム全体に渡る固有な識別子です。UUIDは、システムハードウェア情報とタイムスタ

ンプをそのシードの一部として、ランダムに生成されます。UUIDは、通常、デバイスに固有なタグを付け

るために使用されます。

6.2.1項 「UUIDによるファイルシステムデバイスのアセンブルまたは有効化」

6.2.2項 「ファイルシステムデバイスのUUIDの見つけ方」

6.2.1 UUIDによるファイルシステムデバイスのアセンブルまたは有効化

UUIDは、常に、パーティションに対して固有であり、表示の順序またはマウントの場所に依存しません。

特定のSANデバイスがサーバに接続されると、システムパーティションが名前変更され、最後のデバ

イスに移動されます。たとえば、ルート( / )がインストール時に /dev/sda1に割り当てられている場合

は、SANの接続後に /dev/sdg1に割り当てられることがあります。この問題を回避する1つの方法は、

ブートデバイスのブートローダファイルと /etc/fstabファイルでUUIDを使用することです。

製造業者がドライブに割り当てたデバイスIDは、デバイスをどこにマウントしても変更されないので、常

に、ブート時に検出できます。UUIDは、ファイルシステムのプロパティであり、ドライブを再フォーマッ

トすれば変更できます。ブートローダファイルでは、通常、デバイスの場所( /dev/sda1など)を指定し

て、デバイスをシステムブート時にマウントします。ブートローダは、デバイスのUUIDと管理者指定のボ

リュームラベルによってもデバイスをマウントできます。ただし、ラベルとファイルの場所を使用する場合

は、パーティションのマウント時にラベル名を変更できません。

UUIDは、ソフトウェアRAIDデバイスのアセンブルと起動の基準として使用できます。RAIDが作成さ

れると、 mdドライバは、デバイスのUUIDを生成し、その値を mdスーパーブロックに保存します。

6.2.2 ファイルシステムデバイスのUUIDの見つけ方

どのブロックデバイスのUUIDも、 /dev/disk/by-uuidディレクトリ内で見つけることができます。たと

えば、次のようなUUIDがあります。

e014e482-1c2d-4d09-84ec-61b3aefde77a

73 UUIDの理解 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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6.3 ブートローダと/etc/fstabファイルでのUUIDの使用(x86の場合)インストール後、オプションとして、次の手順に従って、x86システムのブートローダファイルと /etc/

fstabファイルでシステムデバイスのUUIDを設定できます。

プロシージャを開始する前に、 /boot/grub/menu.1stファイルと /etc/fstabファイルのコピーを

とってください。

1. SANデバイスの接続なしで、SUSE Linux Enterprise Server for x86をインストールします。

2. インストール後、システムをブートします。

3. rootユーザまたはそれと同等の権限で、端末コンソールを開きます。

4. /dev/disk/by-uuidディレクトリにナビゲートして、 /boot 、 /root 、および swapをインストー

ルしたデバイスのUUIDを見つけます。

a. 端末コンソールのプロンプトで、次のように入力します。

cd /dev/disk/by-uuid

b. 次を入力して、すべてのパーティションをリストします。

ll

c. 次のようなUUIDを見つけます。

e014e482-1c2d-4d09-84ec-61b3aefde77a —> /dev/sda1

5. YaSTでブートローダオプションを使用するか、またはテキストエディタを使用して、 /boot/

grub/menu.1stファイルを編集します。

たとえば、次のように変更します。

kernel /boot/vmlinuz root=/dev/sda1

変更先:

kernel /boot/vmlinuz root=/dev/disk/by-uuid/e014e482-1c2d-4d09-84ec-61b3aefde77a

74

ブートローダと/etc/fstabファイルでのUUIDの使用(x86の場合) SUSE Linux Enterp… 11

SP4

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重要間違えた場合は、SAN接続なしでサーバをブートし、参考として /boot/grub/

menu.1stファイルのバックアップコピーを使用してエラーを修正できます。

YaSTでブートローダオプションを使用する場合は、値を変更すると、ブートローダファイルに重複

行が追加されるという欠陥があります。エディタを使用して、次の重複行を削除します。

color white/blue black/light-gray

default 0

timeout 8

gfxmenu (sd0,1)/boot/message

YaSTで、ルート( / )デバイスをマウントする方法(UUIDを使用する、ラベルを使用するなど)を変

更する際には、ブートローダの設定を再保存して、変更内容をブートローダに対して有効にする

必要があります。

6. rootユーザまたはそれと同等の権限で、次のいずれかを実行してUUIDを /etc/fstabファイ

ルに入力します。

rootユーザとしてYaSTを起動し、[システム] [パーティショナ]と選択し、目的のデバイ

スを選択して、[Fstabオプション]変更します。

/etc/fstabファイルを編集して、システムデバイスのエントリを場所からUUIDに変更し

ます。

たとえば、ルート( / )ボリュームのデバイスパスが /dev/sda1で、そのUUID

が e014e482-1c2d-4d09-84ec-61b3aefde77aの場合、次のように行エントリを変更し

ます。

/dev/sda1 / reiserfs acl,user_xattr 1 1

変更先:

UUID=e014e482-1c2d-4d09-84ec-61b3aefde77a / reiserfs acl,user_xattr 1 1

75

ブートローダと/etc/fstabファイルでのUUIDの使用(x86の場合) SUSE Linux Enterp… 11

SP4

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重要ファイル内に、不要な文字やスペースが残っていないようにしてください。

6.4 ブートローダと/etc/fstabファイルでのUUIDの使用(IA64の場合)インストール後、次のプロシージャに従って、IA64システムのブートローダファイルと /etc/fstabファ

イルにシステムデバイスのUUIDを設定します。IA64はEFI BIOSを使用します。ファイルシステムの

環境設定ファイルは、 /boot/efi/SuSE/elilo.confであり、 /etc/fstabではありません。

プロシージャを開始する前に、 /boot/efi/SuSE/elilo.confファイルのコピーをとります。

1. SANデバイスを接続せずに、SUSE Linux Enterprise Server for IA64をインストールしま

す。

2. インストール後、システムをブートします。

3. rootユーザまたはそれと同等の権限で、端末コンソールを開きます。

4. /dev/disk/by-uuidディレクトリにナビゲートして、 /boot 、 /root 、および swapをインストー

ルしたデバイスのUUIDを見つけます。

a. 端末コンソールのプロンプトで、次のように入力します。

cd /dev/disk/by-uuid

b. 次を入力して、すべてのパーティションをリストします。

ll

c. 次のようなUUIDを見つけます。

e014e482-1c2d-4d09-84ec-61b3aefde77a —> /dev/sda1

5. YaSTでブートローダオプションを使用して、ブートローダファイルを編集します。

たとえば、次のように変更します。

root=/dev/sda1

76

ブートローダと/etc/fstabファイルでのUUIDの使用(IA64の場合) SUSE Linux Enterp…

11 SP4

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変更先:

root=/dev/disk/by-uuid/e014e482-1c2d-4d09-84ec-61b3aefde77a

6. /boot/efi/SuSE/elilo.confファイルを編集して、システムデバイスのエントリを場所から

UUIDに変更します。

たとえば、次のように変更します。

/dev/sda1 / reiserfs acl,user_xattr 1 1

変更先:

UUID=e014e482-1c2d-4d09-84ec-61b3aefde77a / reiserfs acl,user_xattr 1 1

重要ファイル内に、不要な文字やスペースが残っていないようにしてください。

6.5 追加情報udev(8)によるデバイス管理の詳細については、『SUSE® Linux Enterprise Server 11

Administration Guide』の「Dynamic Kernel Device Management with udev」 (http://

www.suse.com/documentation/sles11/book_sle_admin/data/cha_udev.html) を参照して

ください。

udev(8)コマンドの詳細については、そのマニュアルページを参照してください。端末コンソールのプ

ロンプトで、次のように入力します。

man 8 udev

77 追加情報 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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7 デバイスのマルチパスI/Oの管理

このセクションでは、サーバ/ブロックストレージデバイス間のマルチパスのフェールオーバーおよびパ

スの負荷分散を管理する方法について説明します。

7.1項 「マルチパスI/Oの理解」

7.2項 「マルチパス処理のプラニング」

7.3項 「マルチパス管理ツール」

7.4項 「マルチパス処理用システムの設定」

7.5項 「マルチパスI/Oサービスの有効化と機動」

7.6項 「/etc/multipath.conf Fileの作成または修正」

7.7項 「ポーリング、待ち行列、およびフェールバック用のデフォルトポリシーの設定」

7.8項 「非マルチパスデバイスのブラックリスト化」

7.9項 「ユーザフレンドリ名または別名の設定」

7.10項 「zSeriesデバイスのデフォルト設定の設定」

7.11項 「パスフェールオーバーのポリシーと優先度の設定」

7.12項 「ルートデバイスのマルチパスI/Oの設定」

7.13項 「既存ソフトウェアRAID用マルチパスI/Oの設定」

7.14項 「新規デバイスのスキャン(再起動なし)」

7.15項 「パーティショニングされた新規デバイスのスキャン(再起動なし)」

7.16項 「マルチパスI/Oステータスの表示」

7.17項 「エラーになったI/Oの管理」

7.18項 「停止したI/Oの解決」

7.19項 「MPIOのトラブルシューティング」

7.20項 「次に行う作業」

78 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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7.1 マルチパスI/Oの理解マルチパス処理とは、サーバのホストバスアダプタおよびデバイスのストレージコントローラ間で、複数

の物理パスをまたいで、同じ物理または論理ブロックストレージデバイスと通信するサーバの機能で

す。これは、通常、FC (Fibre Channel)環境またはiSCSI SAN環境で行われます。複数のチャネルが

使用可能な際には、内蔵ストレージとのマルチ接続も可能です。

Linuxマルチ処理は、接続に耐障害性を与え、アクティブな接続全体.に負荷を分散します。マルチパス

処理が設定および実行されていると、自動的に、デバイス接続の障害が特定され、I/Oが代替の接続

に再経路指定されます。

接続に関しては、多くのトラブルが欠陥のあるアダプタ、ケーブル、またはコントローラが原因で発生し

ます。デバイスにマルチパスI/Oを設定すると、マルチパスドライバがデバイス間のアクティブな接続を

監視します。マルチパスドライバは、アクティブなパスのI/Oエラーを検出すると、トラフィックをデバイス

の指定セカンダリパスにフェールオーバーします。該当するパスが正常に戻ると、そのパスに制御を戻

すことができます。

7.2 マルチパス処理のプラニング7.2.1項 「マルチパス処理のガイドライン」

7.2.2項 「multipath-tools-0.4.9におけるPRIO設定」

7.2.3項 「マルチパスデバイスでのWWID、ユーザフレンドリ名、および別名の使用」

7.2.4項 「マルチパスデバイスでのLVM2の使用」

7.2.5項 「マルチパスデバイスでのmdadmの使用」

7.2.6項 「NetAppデバイスでのマルチパスの使用」

7.2.7項 「マルチパスデバイスでの--noflushの使用」

7.2.8項 「ルートデバイスがマルチパスの場合のSANタイムアウト設定」

7.2.9項 「マルチパスデバイスのパーティショニング」

7.2.10項 「マルチパスI/O用にサポートされているアーキテクチャ」

7.2.11項 「マルチパス処理用にサポートされているストレージアレイ」

7.2.1 マルチパス処理のガイドラインマルチパスI/Oソリューションのプラニング時には、このセクションのガイドラインに従ってください。

79 マルチパスI/Oの理解 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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7.2.1.1項 「前提条件」

7.2.1.2項 「ベンダ提供のマルチパスソリューション」

7.2.1.3項 「ディスク管理タスク」

7.2.1.4項 「ソフトウェアRAID」

7.2.1.5項 「高可用性ソリューション」

7.2.1.6項 「ボリュームマネージャ」

7.2.1.7項 「仮想化環境」

7.2.1.1 前提条件

マルチパス処理は、デバイスレベルで管理されます。

マルチパス処理対象のデバイスに使用するストレージアレイで、マルチパス処理がサポートされ

ている必要があります。詳細については、7.2.11項 「マルチパス処理用にサポートされているスト

レージアレイ」を参照してください。

サーバのホストバスアダプタおよびブロックストレージデバイスのバスコントローラ間に複数の物

理パスが存在している場合のみ、マルチパス処理を設定する必要があります。論理デバイスのマ

ルチパスは、サーバの見地から設定します。

7.2.1.2 ベンダ提供のマルチパスソリューション

一部のストレージアレイについては、アレイの物理および論理デバイスのマルチパス処理を管理するた

めの独自のマルチパス処理ソフトウェアがベンダから提供されます。この場合は、ベンダの指示に従っ

て、それらのデバイスのマルチ処理を設定してください。

7.2.1.3 ディスク管理タスク

マルチパスをもつ物理デバイスまたは論理デバイスのマルチパス処理を設定する前に、まず、次のよう

にディスク管理タスクを実行してください。

サードパーティーツールで、物理ディスクを小さな論理ディスクに切り分けます。

サードパーティーツールで、物理ディスクまたは論理ディスクをパーティションに分割します。稼

働中のシステムでパーティションを変更した場合は、DM-MP(Device Mapper Multipath: デ

バイスマッパーマルチパス)モジュールによるそれら変更の自動的な検出や反映は行われませ

ん。DM-MPIOは再初期化する必要があり、それには、通常、再起動が必要です。

80 マルチパス処理のガイドライン SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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サードパーティーのSANアレイ管理ツールを使用して、ハードウェアRAIDデバイスを作成および

設定します。

サードパーティーのSANアレイ管理ツールを使用して、LUNなどの論理デバイスを作成します。

所定のアレイにサポートされている論理デバイスタイプは、アレイベンダによって異なります。

7.2.1.4 ソフトウェアRAID

LinuxのソフトウェアRAIDの管理ソフトウェアは、マルチパス処理の上で実行されます。複数のI/Oパ

スを持ち、ソフトウェアRAIDで使用予定の各デバイスは、まず、マルチパス処理用に設定してから、ソフ

トウェアRAIDデバイスとして作成する必要があります。マルチパスデバイスは自動検出できません。ソ

フトウェアRAIDは、その下で実行されているマルチパス処理管理を認識しません。

既存のソフトウェアRAID用のマルチパス処理の設定については、7.13項 「既存ソフトウェアRAID用マ

ルチパスI/Oの設定」を参照してください。

7.2.1.5 高可用性ソリューション

ストレージリソースのクラスタリング用の高可用性ソリューションは、各ノード上でマルチパス処理サー

ビスをベースとして実行されます。各ノード上の /etc/multipath.confファイル内の構成設定が、ク

ラスタ全体で同一であるようにしてください。

以下を行って、マルチパスデバイスがすべてのデバイス間で同じ名前であるようにしてください。

UUIDと別名を使用して、マルチパスデバイスの名前が、クラスタ内のすべてのノードで同

一となるようにします。別名は、すべてのノードにわたって一意である必要があります。 /etc/

multipath.conf ファイルを、ノードからクラスタ内の他のすべてのノードの /etc/ディレクトリ

にコピーします。

マルチパスがマップされたデバイスを使用する場合は、 dm-uuid*名または別名を /dev/disk/

by-idディレクトリ内で指定し、デバイスの固定パスインスタンスは指定しないようにします。詳

細については、7.2.3項 「マルチパスデバイスでのWWID、ユーザフレンドリ名、および別名の使

用」を参照してください。

user_friendly_names構成オプションを、無効にしないよう設定します。ユーザフレンドリ名は

ノードに固有ですが、クラスタ内のすべてのノードにおいてデバイスに同じユーザフレンドリ名が割

り当てられてはいない可能性があります。

以下の操作により、システム定義のユーザフレンドリ名を、クラスタ内のすべてのノードについて同

一にすることができます。

1. 1つのノード上の /etc/multipath.confファイル内で、

81 マルチパス処理のガイドライン SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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a. user_friendly_names構成オプションをyesに設定して有効にします。

マルチパスは、 /var/lib/multipath/bindingsファイルを使用して、 /dev/

mapper ディレクトリ内で mpath<n>の形式で、デバイスに永続的かつ一意の名前を

割り当てます。

b. (オプション) bindingsファイルに対して別の場所を指定するには、 /etc/

multipath.confファイルの defaultsセクションにある、 bindings_fileオプショ

ンを設定します。

デフォルトの場所は、 /var/lib/multipath/bindingsです。

2. ノード上のマルチパスデバイスをすべて設定します。

3. /etc/multipath.conf ファイルを、ノードからクラスタ内の他のすべてのノードの /

etc/ディレクトリにコピーします。

4. bindingsファイルを、ノードから、クラスタ内の他のすべてのノード上

の bindings_fileパスにコピーします。

LAN上のデバイスをミラーリングするDRBD (Distributed Replicated Block Device)高可用性ソ

リューションは、マルチパス処理をベースとして実行されます。複数のI/Oパスを持ち、DRDBソリュー

ションで使用予定のデバイスごとに、マルチパス処理用デバイスを設定してから、DRBDを設定する必

要があります。

7.2.1.6 ボリュームマネージャ

LVM2やクラスタ化したLVM2などのボリュームマネージャは、マルチパス処理をベースとして実行さ

れます。LVM2またはcLVM2を使用してセグメントマネージャおよびそのファイルシステムを作成する

には、その前に、デバイスのマルチパス処理を設定する必要があります。詳細については、7.2.4項 「マ

ルチパスデバイスでのLVM2の使用」を参照してください。

7.2.1.7 仮想化環境

仮想化環境でマルチパス処理を使用する場合、マルチパス処理は、ホストサーバ環境で制御されま

す。デバイスのマルチパス処理を設定してから、デバイスを仮想ゲストマシンに割り当ててください。

82 マルチパス処理のガイドライン SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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7.2.2 multipath-tools-0.4.9におけるPRIO設定

SLES 11 SP2では、マルチパスツールを0.4.8から0.4.9にアップグレードしています。PRIO構文が一

部変更されているため、 /etc/multipath.confファイルを適宜マニュアルで修正して、新たな構文に

準拠するようにする必要があります。

/etc/multipath.confファイル内の prioキーワードが、 multipath-tools-0.4.9では変更され

ています。 prio行で、Prioritizerが指定されます。Prioritizerが引数を必要とする場合、その引数は2

行目の prio_argsキーワードで指定します。これまでは、Prioritizerとその引数は、 prio行に含まれ

ていました。

マルチパスツール0.4.9以降では、 /etc/multipath.confファイルの defaults{}また

は devices{}セクションの prio設定を使用します。キーワード prioが、 multipath{)セクションの

個別の multipaths定義に指定された場合は、暗黙のうちに無視されます。SLES 11 SP1用のマ

ルチパスツール0.4.8以前では、 multipath{)セクションの個別の multipaths定義内のprio設定

で、 defaults{}または devices{}セクションの prio設定を上書きすることができました。

7.2.3 マルチパスデバイスでのWWID、ユーザフレンドリ名、および別名の使用

マルチパスデバイスは、そのWWID、ユーザフレンドリ名、またはそれに割り当てた別名で一意に識別さ

れます。 /dev/sdnおよび /dev/dm-nの形式のデバイスノード名は、再起動の際に変わる可能性があ

り、毎回異なるデバイスに割り当てられることになります。デバイスのWWID、ユーザフレンドリ名、および

別名は、再起動の際にも変わることなく、デバイスの識別には望ましい方法です。

LUNディレクトリ全体を使用する場合は(たとえばSAN機能を使用してストレージのパーティショ

ンを行っている場合など)、 mkfs 、 fstab 、ご使用のアプリケーションなどに、 /dev/disk/by-id/

xxxという名前を使用することができます。パーティションで分割されたデバイスは、デバイス名の後ろ

に _part<n>が付加されます( /dev/disk/by-id/xxx_part1など)。

/dev/disk/by-idディレクトリでは、マルチパスのマップ処理がなされたデバイスは、 dm-uuid*名ま

たは別名( /etc/multipath.confファイル内で別名を割り当てている場合)で表されます。 scsi-お

よび wwn-のデバイス名は、そのデバイスへの物理的パスを表します。

重要マルチパスがマップされたデバイスを使用する場合は、 dm-uuid*名または別名を /dev/

disk/by-idディレクトリ内で指定し、デバイスの固定パスインスタンスは指定しないようにしま

す。

83 multipath-tools-0.4.9におけるPRIO設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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/etc/multipath.confファイル内でデバイスの別名を定義する場合は、必ず各デバイ

スのWWID ( 3600508e0000000009e6baa6f609e7908など)を使用し、そのWWNは

使用しないようにしてください。WWNは、デバイスIDの最初の文字を 0xで置き換えます

( 0x600508e0000000009e6baa6f609e7908など)。

マルチパスデバイスでのユーザフレンドリ名および別名の使用の詳細については、7.9項 「ユーザフレ

ンドリ名または別名の設定」を参照してください。

7.2.4 マルチパスデバイスでのLVM2の使用

lvm.conf用の設定ファイルが、固定のパス名ではなく、必ずマルチパスデバイス名をポイントするよう

にします。これは、 boot.multipathが有効になっていて、 boot.lvm以前にロードされていれば、自動

的に行われます。

7.2.4.1項 「/etc/lvm/lvm.confファイルでのマルチパスデバイスフィルタの追加」

7.2.4.2項 「boot.multipathの有効化」

7.2.4.3項 「LVMデバイスに対するMPIOマッピングのトラブルシューティング」

7.2.4.1 /etc/lvm/lvm.confファイルでのマルチパスデバイスフィルタの追加

LVM2は、デフォルトでは、マルチパスデバイスを認識しません。LVM2が物理ボリュームとしてマルチ

パスデバイスを認識するようにするには、 /etc/lvm/lvm.confを修正して、マルチパスのI/O階層で

マルチパスデバイスをスキャンするようにする必要があります。

マルチパスフィルタを追加すると、LVMは、SAN (/dev/sd*)への個別パスを表す生デバイスノードへ

の物理的パスをスキャンして使用することができません。マルチパス処理の設定後、必ず、LVMが、デ

バイス( /dev/disk/by-id/dm-uuid-.*-mpath- )のデバイスマッパー名だけをスキャンするように

フィルタパスを指定します。

/etc/lvm/lvm.confを変更してマルチパスを使用するには次の手順に従います。

1. /etc/lvm/lvm.confファイルをテキストエディタで開きます。

/etc/lvm/lvm.confが存在しない場合は、次のコマンドを端末コンソールのプロンプトで入力

することによって、現在のLVM設定に基づいた設定ファイルを作成できます。

lvm dumpconfig > /etc/lvm/lvm.conf

2. /etc/lvm/lvm.confにある filterエントリと typesエントリを、次のように変更します。

84 マルチパスデバイスでのLVM2の使用 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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filter = [ "a|/dev/disk/by-id/.*|", "r|.*|" ]types = [ "device-mapper", 1 ]

このように設定すると、LVM2はby-idパスだけをスキャンし、それ以外のすべてのパスを拒否し

ます。

ユーザフレンドリ名を使用している場合は、マルチパス処理の設定後に、デバイスマッパー名だけ

がスキャンされるようにフィルタパスを指定します。次のようにフィルタパスを指定すると、マルチ

パスデバイス上のパーティションのみが許容されます。

filter = [ "a|/dev/disk/by-id/dm-uuid-.*-mpath-.*|", "r|.*|" ]

デバイスマッパー名に対して生ディスクとパーティションの両方を許容する場合は、 mpathの前

にハイフン(-)を付けずに、次のように指定します。

filter = [ "a|/dev/disk/by-id/dm-uuid-.*mpath-.*|", "r|.*|" ]

3. 非マルチパスデバイスでもLVM2を使用する場合は、 filterエントリと typesエントリに必要な

調整を加えて、ご使用の設定に合わせます。さもないと、 lvm.confファイルをマルチパス向けに

変更後、 pvscanで他のLVMデバイスが認識できなくなります。

LVMを使用して設定されたデバイスだけをLVMキャッシュに含めるので、filterでどの非マルチ

パスデバイスを含めるかについて詳細に指定できる必要があります。

たとえば、ローカルディスクが /dev/sda 、すべてのSANデバイスが /dev/sdbとそれ以上の場

合、次のようにfilterでローカルパスとマルチパスを指定します。

filter = [ "a|/dev/sda.*|", "a|/dev/disk/by-id/.*|", "r|.*|" ]types = [ "device-mapper", 253 ]

4. ファイルを保存します。

5. dm-multipathを /etc/sysconfig/kernel:INITRD_MODULESに追加します。

6. 新しい initrdを作成して、デバイスマッパーマルチパスのサービスが変更後の設定でロードさ

れるようにします。 mkinitrdの実行が必要なのは、ルート(/)デバイスまたはその一部( /var 、 /

etc 、 /logなど)がSAN上にあり、マルチパスのブートが必要な場合のみです。

端末コンソールのプロンプトで、次のように入力します。

mkinitrd -f multipath

7. サーバを再起動して、変更内容を適用します。

85 マルチパスデバイスでのLVM2の使用 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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7.2.4.2 boot.multipathの有効化

マルチパスのマップが正しく構築されるよう、マルチパスは、LVMの前にロードされる必要があります。

LVMの後にマルチパスをロードすると、マルチパスデバイスに対するデバイスマップが不完全になる可

能性があります。なぜなら、LVMによりデバイスがロックされ、 MPIOが正しくマップを作成できないか

らです。

システムデバイスがMPIOやLVMを使用しないローカルなデバイスである場合

は、 boot.multipathと boot.lvmの両方を無効にできます。サーバの起動後、LVMを起動する前に

マニュアルでマルチパスを起動し、 pvscanコマンドを実行してLVMオブジェクトを認識することができ

ます。

7.2.4.3 LVMデバイスに対するMPIOマッピングのトラブルシューティング

LVMプロセスを開始するには、タイミングが重要です。MPIOのマッピングを行う前にLVMを起動した

場合、LVMは、そのマルチパスではなくデバイスに対する固定パスを使用する可能性があります。デバ

イスは機能するため、その固定パスが失敗となるまで、デバイスのMPIOマップが不完全であることに

気が付かないかもしれません。この問題は、 boot.multipathを有効にして、7.2.4.1項 「/etc/lvm/

lvm.confファイルでのマルチパスデバイスフィルタの追加」に記載する指示に従うことで、防ぐことがで

きます。

マッピングの問題に関するトラブルシューティングを行うには、 dmsetupを使用して、それぞれのマルチ

パスデバイスに、予定数のパスが存在するかどうかチェックすることができます。 rootユーザとして、コ

マンドプロンプトに次のように入力します。

dmsetup ls --tree

以下のサンプルの応答では、最初のデバイスに4つのパスがあります。2番目のデバイスでは、パスは

1つだけです。3番目のデバイスには、2つのパスがあります。アクティブなパスとパッシブなパスの区別

は、このツールでは報告されません。

vg910-lv00 (253:23) └─ 360a980006465576657346d4b6c593362 (253:10) |- (65:96) |- (8:128) |- (8:240) └─ (8:16) vg00-lv08 (253:9) └─ (8:3) system_vg-data_lv (253:1) └─36006016088d014007e0d0d2213ecdf11 (253:0) ├─ (8:32) └─ (8:48)

86 マルチパスデバイスでのLVM2の使用 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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不完全なマッピングの場合は通常、返されるパスの数が非常に少なく、メジャー番号の253が表示され

ません。たとえば、3番目のデバイスでマッピングが不完全な場合を、下に示します。

system_vg-data_lv (8:31) └─ (8:32)

7.2.5 マルチパスデバイスでのmdadmの使用mdadmツールでは、デバイスのノードパスではなく、IDでデバイスにアクセスする必要があります。した

がって、 /etc/mdadm.confファイル内の DEVICEを次のように設定して、マルチパスの設定後に、デバ

イスマッパー名のみがスキャンされるようにする必要があります。

DEVICE /dev/disk/by-id/dm-uuid-.*mpath-.*

ユーザフレンドリ名またはマルチパスの別名を使用している場合は、次のようにパスを指定します。

DEVICE /dev/disk/by-id/dm-name-.*

7.2.6 NetAppデバイスでのマルチパスの使用NetAppデバイスでマルチパスを使用する場合は、 /etc/multipath.confファイルで次の設定を行

うことを推奨します。

NetAppデバイスに対してグローバルに、次のパラメータにデフォルト値を設定する。

max_fds max

queue_without_daemon no

ハードウェアテーブル内で、NetAppデバイスに対する次のパラメータにデフォルト値を設定す

る。

dev_loss_tmo infinity

fast_io_fail_tmo 5

features "3 queue_if_no_path pg_init_retries 50"

7.2.7 マルチパスデバイスでの--noflushの使用マルチパスデバイス上で実行する場合は、オプション --noflushを必ず使用する必要があります。

87 マルチパスデバイスでのmdadmの使用 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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たとえば、テーブルのリロードを行うスクリプトでは、マルチパストポロジ情報が必要なので、再開時

に --noflushオプションを使用して、残っているI/Oがフラッシュされないようにします。

loadresume --noflush

7.2.8 ルートデバイスがマルチパスの場合のSANタイムアウト設定

マルチパスデバイスにルート( / )があるシステムは、すべてのパスに障害が発生し、それらのパスがシス

テムから削除されると、停止することがあります。これは、ストレージサブシステム(ファイバチャネルスト

レージアレイなど)から dev_loss_tmoタイムアウトを受信するからです。

システムデバイスがマルチパスを使用して設定され、マルチパスの no_path_retry設定がアクティ

ブな場合は、ストレージサブシステムの dev_loss_tmo設定を適宜変更して、すべてのパスがダウン

するシナリオでデバイスが削除されないようにする必要があります。 dev_loss_tmo値をマルチパス

の no_path_retry設定以上にすることを強くお勧めします。

ストレージサブシステムの dev_los_tmoの推奨設定は、次のとおりです。

<dev_loss_tmo> = <no_path_retry> * <polling_interval>

マルチパス値については、次の定義が適用されます。

no_path_retryは、パスが失われたとみなされて入出力のキューイングが停止されるまでのマ

ルチパス入出力の再試行数です。

polling_intervalは、パッチチェックの間隔(秒単位)です。

これらの各マルチパス値は、 /etc/multipath.conf環境設定ファイルから設定する必要があります。

詳細については、7.6項 「/etc/multipath.conf Fileの作成または修正」を参照してください。

7.2.9 マルチパスデバイスのパーティショニング

アップグレード中は、マルチパスデバイスのパーティション方法の動作変更によって、設定に影響を及

ぼすことがあります。

7.2.9.1項 「SUSE Linux Enterprise Server 11」

7.2.9.2項 「SUSE Linux Enterprise Server 10」

7.2.9.3項 「SUSE Linux Enterprise Server 9」

88 ルートデバイスがマルチパスの場合のSANタイムアウト設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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7.2.9.1 SUSE Linux Enterprise Server 11

SUSE Linux Enterprise Server 11では、デフォルトのマルチパスセットアップは udevを使用して、

マルチパス処理の開始時に /dev/disk/by-idディレクトリ内の既存のシンボリックリンクを上書きし

ます。マルチパス処理開始前のシンボリックリンクは、SCSIデバイスをその scsi-xxx名でポイントしま

す。マルチパス処理実行中のシンボリックリンクは、SCSIデバイスをその dm-uuid-xxx名でポイントし

ます。これによって、マルチパス処理が開始したかどうかに関わりなく、 /dev/disk/by-idパス内のシ

ンボリックリンクは、継続的に同じデバイスをポイントします。

lvm.confおよび md.confに対する環境設定ファイルが、必ずマルチパスデバイスの名前をポイント

するようにします。これは、 boot.multipathが有効になっていて、 boot.lvmおよび boot.md以前に

ロードされていれば、自動的に行われます。そうなっていない場合は、LVMおよびMDの環境設定ファ

イルにマルチパスデバイスに対する固定パスが含まれている可能性があり、マルチパスデバイス名を使

用するためにこれらを修正する必要があります。LVM2およびcLVMについては、7.2.4項 「マルチパ

スデバイスでのLVM2の使用」を参照してください。ソフトウェアRAIDについては、7.13項 「既存ソフト

ウェアRAID用マルチパスI/Oの設定」を参照してください。

7.2.9.2 SUSE Linux Enterprise Server 10

SUSE Linux Enterprise Server 10では、 kpartxソフトウェアを /etc/init.d/

boot.multipathで使用することで、再起動なしで、任意の新しく作成されたパーティションの環

境設定ファイル multipath.confの /dev/dm-*行にシンボリックリンクが追加されます。これによ

り、 udevdがトリガされて、 /dev/disk/by-*にシンボリックリンクを書き込みます。主なメリットは、サー

バの再起動なしで、新しいパラメータで kpartxを呼び出せることです。

7.2.9.3 SUSE Linux Enterprise Server 9

SUSE Linux Enterprise Server 9では、マルチパスI/Oデバイス自体をパーティショニングすること

はできません。ベースになる物理デバイスが既にパーティショニングされている場合、マルチパスI/Oデ

バイスはそれらのパーティションを反映し、レイヤが /dev/disk/by-id/<name>p1 ... pNデバイス

を提供するので、マルチパスI/Oレイヤを介してパーティションにアクセスできます。結果として、マルチ

パスI/Oの有効化の前にデバイスをパーティション分割する必要があります。実行中のシステムのパー

ティション分割を変更した場合、これらの変更は、DM-MPIOでは自動的な検出および反映はされませ

ん。デバイスは、再初期化する必要があり、その際には、通常、再起動が必要です。

89 マルチパスデバイスのパーティショニング SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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7.2.10 マルチパスI/O用にサポートされているアーキテクチャマルチパス処理のドライバおよびツールは、サポートされている7つのプロセッサアーキテクチャ

(IA32、AMD64/EM64T、IPF/IA64、32ビットと64ビットのp-Series、31ビットと64ビットのz-

Series)をすべてサポートします。

7.2.11 マルチパス処理用にサポートされているストレージアレイマルチパス処理のドライバおよび ツールは、大半のストレージアレイをサポートします。マルチパスデバ

イスを格納するストレージアレイは、マルチパス処理用のドライバとツールを使用するために、マルチパ

ス処理をサポートする必要があります。一部のストレージアレイベンダは、独自のマルチパス処理管理

ツールを提供しています。ベンダのハードウェアマニュアルを参照して、どのような設定が必要か判別し

てください。

7.2.11.1項 「マルチパス処理用に自動検出されるストレージアレイ」

7.2.11.2項 「マルチパス処理サポートについてテスト済みのストレージアレイ」

7.2.11.3項 「特定のハードウェアハンドラを必要とするストレージアレイ」

7.2.11.1 マルチパス処理用に自動検出されるストレージアレイ

multipath-toolsパッケージは、次のようなトレージアレイを自動的に検出します。

3PARdata VV

AIX NVDISK

AIX VDASD

APPLE Xserve RAID

COMPELNT Compellent Vol

COMPAQ/HP HSV101、HSV111、HSV200、HSV210、HSV300、HSV400、HSV 450

COMPAQ/HP MSA、HSV

COMPAQ/HP MSA VOLUME

DataCore SANmelody

DDN SAN DataDirector

DEC HSG80

DELL MD3000

DELL MD3000i

DELL MD32xx

DELL MD32xxi

DGC

90 マルチパスI/O用にサポートされているアーキテクチャ SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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EMC Clariion

EMC Invista

EMC SYMMETRIX

EUROLOGC FC2502

FSC CentricStor

FUJITSU ETERNUS_DX、DXL、DX400、DX8000

HITACHI DF

HITACHI/HP OPEN

HP A6189A

HP HSVX700

HP LOGICAL VOLUME

HP MSA2012fc、MSA 2212fc、MSA2012i

HP MSA2012sa、MSA2312 fc/i/sa、MCA2324 fc/i/sa、MSA2000s VOLUME

HP P2000 G3 FC|P2000G3 FC/iSCSI|P2000 G3 SAS|P2000 G3 iSCSI

IBM 1722-600

IBM 1724

IBM 1726

IBM 1742

IBM 1745、1746

IBM 1750500

IBM 1814

IBM 1815

IBM 1818

IBM 1820N00

IBM 2105800

IBM 2105F20

IBM 2107900

IBM 2145

IBM 2810XIV

IBM 3303 NVDISK

IBM 3526

IBM 3542

IBM IPR

IBM Nseries

IBM ProFibre 4000R

IBM S/390 DASD ECKD

IBM S/390 DASD FBA

Intel Multi-Flex

91 マルチパス処理用にサポートされているストレージアレイ SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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LSI/ENGENIO INF-01-00

NEC DISK ARRAY

NETAPP LUN

NEXENTA COMSTAR

Pillar Axiom

PIVOT3 RAIGE VOLUME

SGI IS

SGI TP9100、TP 9300

SGI TP9400、TP9500

STK FLEXLINE 380

STK OPENstorage D280

SUN CSM200_R

SUN LCSM100_[IEFS]

SUN STK6580、STK6780

SUN StorEdge 3510、T4

SUN SUN_6180

ただし、他のほとんどのストレージアレイも有効です。ストレージアレイが自動的に検出されると、マル

チパス処理のデフォルト設定が適用されます。デフォルト以外の設定を使用したい場合は、手動で /

etc/multipath.confファイルを作成および設定する必要があります。詳細については、7.6項 「/

etc/multipath.conf Fileの作成または修正」を参照してください。

IBM zSeriesデバイスをマルチパス処理でテストした結果、 dev_loss_tmoパラメータを90秒

に、 fast_io_fail_tmoパラメータを5秒に設定する必要があることがわかりました。zSeriesデバイス

をご使用の場合は、手動で /etc/multipath.confファイルの作成と設定を行い、値を指定する必要

があります。詳細については、7.10項 「zSeriesデバイスのデフォルト設定の設定」を参照してください。

自動検出されないハードウェアについては、 /etc/multipath.confファイルの devicesセクションに

環境設定の適切なエントリが必要です。この場合は、手動で、環境設定ファイルを作成し、設定する必

要があります。詳細については、7.6項 「/etc/multipath.conf Fileの作成または修正」を参照してくだ

さい。

次の点に留意してください。

92 マルチパス処理用にサポートされているストレージアレイ SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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自動検出されたすべてのストレージアレイがSUSE Linux Enterprise Serverでテスト済みとい

うわけではありません。詳細については、7.2.11.2項 「マルチパス処理サポートについてテスト済

みのストレージアレイ」を参照してください。

一部のストレージアレイでは、特定のハードウェアハンドラが必要なことがあります。ハードウェア

ハンドラは、パスグループの切り替え時とI/Oエラーの処理時に、ハードウェア固有のアクションを

実行するカーネルモジュールです。詳細については、7.2.11.3項 「特定のハードウェアハンドラを

必要とするストレージアレイ」を参照してください。

/etc/multipath.confファイルの変更後、 mkinitrdを実行してシステム上にINITRDを作成

し、次に、再起動で変更内容を有効にする必要があります。

7.2.11.2 マルチパス処理サポートについてテスト済みのストレージアレイ

次のストレージアレイは、SUSE Linux Enterprise Serverでテスト済みです。:

EMC

Hitachi

Hewlett-Packard/Compaq

IBM

NetApp

SGI

他のベンダのストレージアレイもほとんど機能するはずです。該当するベンダのマニュアルを参照してく

ださい。 multipath-toolsパッケージによって認識されるデフォルトストレージアレイのリストについて

は、7.2.11.1項 「マルチパス処理用に自動検出されるストレージアレイ」を参照してください。

7.2.11.3 特定のハードウェアハンドラを必要とするストレージアレイ

あるパスから他のパスにフェイルオーバーするには特別なコマンドが必要なストレージアレイ、または非

標準の特別なエラー処理が必要なストレージアレイには、より拡張されたサポートが必要なことがあり

ます。したがって、デバイスマッパーマルチパスサービスには、ハードウェアハンドラ用フックがあります。

たとえば、そのようなEMC CLARiiON CXファミリアレイ用ハンドラが1つ、既に提供されています。

重要ハードウェアベンダのマニュアルを参照して、そのハードウェアハンドラをデバイスマッパーマル

チパス用にインストールする必要があるかどうか判別してください。

93 マルチパス処理用にサポートされているストレージアレイ SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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multipath -tコマンドは、特定のハードウェアハンドラで特別な処理を必要とするストレージアレイの

内部テーブルを表示します。ただし、表示されるリストは、サポートされているアレイの包括的なリストで

はありません。特別な処理を必要とし、 multipath-toolsの開発者がツールの開発中にアクセスした

アレイだけがリストされます。

重要真のアクティブ/アクティブマルチパスサポートをもつアレイは、特別な処理を必要としないの

で、 multipath -tコマンドでは表示されません。

また、 multipath -tテーブルでリストされている場合でも、必ずしも、その特定ハードウェアでSUSE

Linux Enterprise Serverがテスト済みということではありません。テスト済みのストレージアレイのリ

ストについては、7.2.11.2項 「マルチパス処理サポートについてテスト済みのストレージアレイ」を参照

してください。

7.3 マルチパス管理ツールSUSE Linux Enterprise Server 10以降のマルチパス処理サポートは、Linux 2.6カーネルのデバ

イスマッパーマルチパスモジュールと multipath-toolsユーザスペースパッケージに基づいていま

す。MDADM (Multiple Devices Administration)ユーティリティ( mdadm )を使用すると、マルチパ

スデバイスの状態を表示できます。

7.3.1項 「デバイスマッパーマルチパスモジュール」

7.3.2項 「マルチパスI/O管理ツール」

7.3.3項 「マルチパスデバイスへのMDADMの使用」

7.3.4項 「Linux multipath(8)コマンド」

7.3.5項 「Linux mpathpersist(8)ユーティリティ」

7.3.1 デバイスマッパーマルチパスモジュール

デバイスマッパーマルチパス(DM-MP)モジュールは、Linuxにマルチパス処理機能を提供しま

す。DM-MPIOは、SUSE Linux Enterprise Server 11でのマルチパス処理の推奨ソリューションで

す。DM-MPIOは、NovellおよびSUSEによって完全にサポートされている製品に付属する唯一のマル

チパス処理オプションです。

94 マルチパス管理ツール SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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DM-MPIOは、多様なセットアップでマルチパス処理サブシステムを自動設定します。デバイスごとに

最大8個のパスの設定がサポートされています。アクティブ/パッシブ(1つのパスがアクティブで、他の

パスがパッシブ)またはアクティブ/アクティブ(ラウンドロビン方式の負荷分散で全パスがアクティブ)の

構成がサポートされています。

DM-MPIOフレームワークは、2つの方法で拡張できます。

特定のハードウェアハンドラの使用詳細については、7.2.11.3項 「特定のハードウェアハンドラを

必要とするストレージアレイ」を参照してください。

ラウンドロビンアルゴリズムより高度な負荷分散アルゴリズムの使用

DM-MPIOのユーザスペースコンポーネントにより、自動的なパスの検出とグループ化のほか、自動的

なパスの再テストが実行されるので、障害が発生したパスは、正常に戻ると、自動的に復帰します。これ

により、管理者の手間を最低限に抑えることができます。

DM-MPIOは、デバイス自体の障害ではなく、デバイスへのパスの障害からシステムを保護します。ア

クティブなパスの1つが失われると(たとえば、ネットワークアダプタが破損する、光ファイバケーブルが

外れるなど)、残りのパスにI/Oをリダイレクトします。アクティブ/パッシブ構成の場合は、パスがパッシ

ブパスの1つにフェールオーバーします。ラウンドロビン式負荷分散構成を使用している場合は、トラ

フィックの負荷が残りの正常なパス全体に分散されます。すべてのアクティブパスに障害が起きた場

合は、アクティブでないセカンダリパスが有効になり、約30秒の遅延でフェールオーバーが開始されま

す。

ディスクアレイに複数のストレージプロセッサがある場合は、アクセスしたいLUNを所有するストレージ

プロセッサにSANスイッチが接続していることを必ず確認してください。ほとんどのディスクアレイでは、

すべてのLUNが両方のストレージプロセッサに属しているので、両方の接続がアクティブです。

注記一部のディスクアレイでは、ストレージアレイがストレージプロセッサを介してトラフィックを管理

するので、一度に1つのストレージプロセッサだけが提示されます。1つのプロセッサがアクティ

ブとなり、もう1つのプロセッサは障害が発生するまでパッシブとなります。間違ったストレージプ

ロセッサ(パッシブなパスをもつプロセッサ)に接続している場合は、予期されたLUNが表示され

なかったり、それらのLUNが表示されてもアクセスしようとするとエラーが発生することがありま

す。

95 デバイスマッパーマルチパスモジュール SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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表 7.1: ストレージアレイのマルチパスI/O機能

ストレージアレイの機能 説明

アクティブ/パッシブコント

ローラ

1つのコントローラはアクティブで、すべてのLUNに対応します。2つ目

のコントローラは、スタンバイとして機能します。2つ目のコントローラ

は、オペレーティングシステムが冗長なパスを認識するように、マルチ

パスコンポーネントに対するLUNの提示も行います。プライマリコント

ローラに障害が発生した場合は、セカンダリコントローラが引き継ぎ、

すべてのLUNに対応します。

一部のアレイでは、LUNをさまざまなコントローラに割り当てることが

できます。所定のLUNは、そのアクティブコントローラとなる1つのコン

トローラに割り当てられます。一度に、1つのコントローラが所定のLUN

のディスクI/Oを行い、2つ目のコントローラがそのLUNのスタンバイ

コントローラとなります。2つ目のコントローラは、パスの提示もします

が、ディスクI/Oは行えません。そのLUNを使用するサーバは、LUN

の割り当て先のコントローラに接続します。LUNのセットに対するプラ

イマリコントローラに障害が発生すると、セカンダリコントローラが引き

継ぎ、すべてのLUNに対応します。

アクティブ/パッシブコント

ローラ

両方のコントローラがすべてのLUNの負荷を共有し、任意の所定の

LUNのディスクI/Oを処理できます。1つのコントローラに障害が発生

すると、2つ目のコントローラが自動的にすべてのトラフィックを処理し

ます。

負荷分散 デバイスマッパーマルチパスドライバは、自動的に、すべてのアクティ

ブパス全体にトラフィックの負荷を分散します。

コントローラのフェール

オーバー

アクティブなコントローラがパッシブなコントローラにフェールオーバー

すると、デバイスマッパーマルチパスドライバがホスト/スタンバイ間の

パスを自動的に有効にし、それらをプライマリパスにします。

ブート/ルートデバイスの

サポート

マルチパス処理は、SUSE Linux Enterprise Server 10以降の

ルート( / )デバイスに対してサポートされます。ホストサーバは、ブート

デバイス用の、現在アクティブなコントローラおよびストレージプロセッ

サに接続する必要があります。

マルチパス処理は、SUSE Linux Enterprise Server 11以降の /

bootデバイスに対してサポートされています。

96 デバイスマッパーマルチパスモジュール SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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デバイスマッパーマルチパスは、マルチパスデバイスの各パスを個別のSCSIデバイスとして検出し

ます。SCSIデバイス名は、 /dev/sdNの形式をとります。ここで、 Nは、デバイスに対して自動生成さ

れる文字であり、aで始まり、デバイスの生成に応じてシーケンシャルに発行されます( /dev/sda 、 /

dev/sdbなど)。デバイス数が26を超えると、文字が2つ使用され、 /dev/sdzの次のデバイスは /dev/

sdaa、その次は 、その次は /dev/sdabと続きます。

複数のパスが自動的に検出されない場合は、それらを /etc/multipath.confファイルで手動設定で

きます。 multipath.confファイルは、システム管理者によって作成および設定されるまで存在しませ

ん。詳細については、7.6項 「/etc/multipath.conf Fileの作成または修正」を参照してください。

7.3.2 マルチパスI/O管理ツールmultipath-toolsユーザスペースパッケージは、自動的にパスを検出し、グループ化します。このパッ

ケージは、自動的にパスの定期テストを行うので、障害が発生したパスは、正常に戻ると、自動的に復

帰します。これにより、管理者の手間を最低限に抑えることができます。

表 7.2: MULTIPATH-TOOLSパッケージに含まれるツール

ツール 説明

multipath システムをスキャンしてマルチパスデバイスを検出し、アセンブルしま

す。

multipathd mapsイベントを待機し、 multipathを実行します。

devmap-name デバイスマップ(devmap)のための udevに意味のあるデバイス名を

与えます。

kpartx マルチパスデバイス上のパーティションにリニアdevmapをマップしま

す。これにより、デバイス上のパーティションのマルチパスモニタリング

を作成することが可能になります。

mpathpersist デバイスマッパーマルチパスのデバイスで、SCSIの永続的な予約を管

理します。

パッケージのファイルリストは、サーバのアーキテクチャによって異なることがあります。multipath-

toolsパッケージに含まれたファイルのリストについては、「SUSE Linux Enterprise Server Technical

Specifications」>「Package Descriptions 」Webページ (http://www.novell.com/products/

server/techspecs.html?tab=1) にアクセスし、目的のアーキテクチャを見つけ、[パッケージを名前

でソート]を選択し、次に、「multipath-tools」で検索して、そのアーキテクチャのパッケージリストを見

つけます。

97 マルチパスI/O管理ツール SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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コマンドオプション rpm -qlまたは rpm -qplを使用してパッケージ自体をクエリすることによっ

て、RPMファイルのファイルリストを判別することもできます。

インストールしたパッケージをクエリするには、次のコマンドを入力します。

rpm -ql <package_name>

インストールしていないパッケージをクエリするには、次のコマンドを入力します。

rpm -qpl <URL_or_path_to_package>

multipath-toolsパッケージがインストールされているかどうか確認するには、次の操作を行いま

す。

端末コンソールのプロンプトで、次のように入力します。

rpm -q multipath-tools

パッケージがインストールされている場合は、パッケージ名を繰り返し、バージョン情報を示す応

答メッセージが表示されます。

multipath-tools-04.7-34.23

パッケージがインストールされていない場合は、次の応答メッセージが表示されます。

package multipath-tools is not installed

7.3.3 マルチパスデバイスへのMDADMの使用

デフォルトのデバイスハンドラはUdevであり、デバイスは、デバイスノード名ではな

く、Worldwide IDによって、システムに自動的に認識されます。これによって、環境設定ファイル

( mdadm.confと lvm.conf)がマルチパスデバイスを正しく認識しないという、MDADMおよびLVM

の旧リリースにあった問題が解決します。

LVM2の場合のようにmdadmでは、デバイスノードパスではなく、IDによってデバイスをアクセスする

必要があります。したがって、 /etc/mdadm.conf内の DEVICEエントリを次のように設定してください。

DEVICE /dev/disk/by-id/*

ユーザフレンドリな名前を使用している場合は、次のようにパスを指定し、マルチパス処理の設定後に、

デバイスマッパー名だけがスキャンされるようにします。

98 マルチパスデバイスへのMDADMの使用 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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DEVICE /dev/disk/by-id/dm-uuid-.*-mpath-.*

MDADMのインストールを確認するには、次を行います。

端末コンソールのプロンプトで、次のコマンドを入力し、 mdadmパッケージがインストールされて

いるかどうか確認します。

rpm -q mdadm

パッケージがインストールされている場合は、パッケージ名を繰り返し、バージョン情報を示す応

答メッセージが表示されます。次に例を示します。

mdadm-2.6-0.11

パッケージがインストールされていない場合は、次の応答メッセージが表示されます。

package mdadm is not installed

/etc/lvm/lvm.conf ファイルの変更方法については、7.2.4項 「マルチパスデバイスでのLVM2の

使用」を参照してください。

7.3.4 Linux multipath(8)コマンド

マルチパスデバイスを設定し、管理するには、 multipath(8)コマンドを使用します。

multipath(8)コマンドの一般構文:

multipath [-v verbosity_level] [-b bindings_file] [-d] [-h|-l|-ll|-f|-F|-B|-c|-q|-r|-w|-W] [-p failover|multibus|group_by_serial|group_by_prio|group_by_node_name] [devicename]

オプション

-v verbosity_level

すべてのパスとマルチパスをプリントします。

0

出力はありません。

1

作成または更新したマルチパスの名前のみをプリントします。 kpartxなどの他のツールへ

のフィード用として使用されます。

99 Linux multipath(8)コマンド SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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2+

検出したパス、マルチパス、デバイスマップなど、すべての情報をプリントします。

-h

使用テキストをプリントします。

-d

ドライ実行。デバイスマップの作成や更新は行いません。

-l

sysfsやデバイスマッパーからフェッチした情報に基づいて、現在のマルチパストポロジを表示

します。

-ll

すべての使用可能な情報(sysfs、デバイスマッパー、パスチェッカなど)から現在のマルチパスト

ポロジを表示します。

-f

未使用の場合、パラメータとして指定したマルチパスデバイスマップをフラッシュします。

-F

未使用のマルチパスデバイスのマップをすべてフラッシュします。

-t

内部のハードウェアテーブルを stdoutにプリントします。

-r

デバイスマップの再ロードを強制します。

-B

バインディングファイルを読み込み専用として処理します。

-b bindings_file

user_friendly_namesバインディングファイルの場所を設定します。デフォルトは /etc/

multipath/bindingsです。

-c

ブロックデバイスをマルチパスデバイスのパスにする必要があるかどうかをチェックします。

-q

multipathdが実行中でない場合、 queue_if_no_pathを指定したデバイステーブルを許可し

ます。

-w

100 Linux multipath(8)コマンド SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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WWIDファイルから、指定したデバイスのWWIDを削除します。

-W

現在のマルチパスデバイスのみを含めるようにWWIDファイルをリセットします。

-p policy

新しいマップでの指定したポリシーの使用を強制します。既存のマップは変更されません。

failover (フェールオーバー)

優先度グループごとに1つのパス

multibus

1つの優先度グループ内にすべてのパス

group_by_serial

シリアルごとに1つの優先度グループ。

group_by_prio

優先度値ごとに1つの優先度グループ。優先度は、コールアウトプログラムで決定されま

す。それらのプログラムは、グローバル、コントローラごと、またはマルチパスごとのオプショ

ンとして環境設定ファイルで指定されます。

group_by_node_name

ターゲットノード名ごとに1つの優先度グループターゲットノード名は /sys/class/

fc_transport/target*/node_nameにフェッチされます。

device_name

指定したデバイスのデバイスマップのみを更新します。 /dev/sdbなどのデバイスパ

ス、 major:minorフォーマット、またはマルチパスマップ名として名前を指定します。

一般的な例

multipath

すべてのマルチパスデバイスを設定します。

multipath devicename

特定のマルチパスデバイスを設定します。

devicenameを、 /dev/sdb (udevにより$DEVNAME変数で表示)またはmajor:minor形式

などのデバイスノード名で置き換えます。 デバイス名は、マルチパスマップ名でも構いません。

multipath -f

マルチパスマップとそのデバイスにマップされたパーティションを選択的に抑制します。

101 Linux multipath(8)コマンド SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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multipath -d

ドライ実行。可能性のあるマルチパスデバイスを表示しますが、デバイスの作成やデバイスマップ

の更新は行いません。

multipath -v2 -d

ドライ実行で可能性のあるマルチパスデバイスのマルチパスマップ情報を表示します。-v2オプ

ションを使用すると、ローカルディスクのみが表示されます。この冗長レベルでは、kpartxなどの

他のツールへのフィード用としてのみ、作成または更新したマルチパスの名前をプリントします。

デバイスがすでに存在し、変更がない場合には、出力はありません。設定されているマルチパス

デバイスのステータスを見るには、 multipath -llを使用します。

multipath -v2 devicename

特定の可能性のあるマルチパスデバイスを設定し、そのマルチパスマップ情報を表示します。この

冗長レベルでは、 kpartxなどの他のツールへのフィード用として、作成または更新したマルチパ

スの名前だけをプリントします。

デバイスがすでに存在し、変更がない場合には、出力はありません。設定されているマルチパス

デバイスのステータスを見るには、 multipath -llを使用します。

devicenameを、 /dev/sdb (udevにより$DEVNAME変数で表示)またはmajor:minor形式

などのデバイスノード名で置き換えます。 デバイス名は、マルチパスマップ名でも構いません。

multipath -v3

可能性のあるマルチパスデバイスを設定し、それらのマルチパスマップ情報を表示します。この

冗長レベルでは、すべての検出されたパス、マルチパス、およびデバイスマップがプリントされま

す。wwidおよびデバイスノードの両方でブラックリスト化されたデバイスが表示されます。

multipath -v3 devicename

特定の可能性のあるマルチパスデバイスを設定し、それらの情報を表示します。-v3オプションを

使用すると、フルパスリストが表示されます。この冗長レベルでは、すべての検出されたパス、マル

チパス、およびデバイスマップがプリントされます。wwidおよびデバイスノードの両方でブラックリ

スト化されたデバイスが表示されます。

devicenameを、 /dev/sdb (udevにより$DEVNAME変数で表示)またはmajor:minor形式

などのデバイスノード名で置き換えます。 デバイス名は、マルチパスマップ名でも構いません。

multipath -ll

すべてのマルチパスデバイスの状態を表示します。

multipath -ll devicename

指定されたマルチパスデバイスのステータスを表示します。

devicenameを、 /dev/sdb (udevにより$DEVNAME変数で表示)またはmajor:minor形式

などのデバイスノード名で置き換えます。 デバイス名は、マルチパスマップ名でも構いません。

102 Linux multipath(8)コマンド SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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multipath -F

すべての未使用のマルチパスデバイスマップをフラッシュします。これによって、マルチパスが解

消したり、デバイスが削除されることはありません。

multipath -F devicename

指定されたマルチパスデバイスの未使用のマルチパスデバイスマップをフラッシュします。これに

よって、マルチパスが解消したり、デバイスが削除されることはありません。

devicenameを、 /dev/sdb (udevにより$DEVNAME変数で表示)またはmajor:minor形式

などのデバイスノード名で置き換えます。 デバイス名は、マルチパスマップ名でも構いません。

multipath -p [ failover | multibus | group_by_serial | group_by_prio | group_by_node_name ]

表7.3「multipath -pコマンドのグループポリシーオプション」に説明されているグループポリシー

オプションの1つを指定することにより、グループポリシーを設定します。

表 7.3: MULTIPATH -Pコマンドのグループポリシーオプション

ポリシーオプション 説明

failover (フェールオー

バー)

(デフォルト)優先度グループごとに1つのパス一度に使用できるスパ

スは1つだけです。

multibus 1つの優先度グループ内にすべてのパス

group_by_serial 検出されたSCSIシリアル番号(コントローラノードの全世界規模の番

号)ごとに1つの優先度グループ

group_by_prio パス優先度値ごとに1つの優先度グループ同じ優先度のパスは同じ

優先度グループに属します。優先度は、コールアウトプログラムで決

定されます。それらのプログラムは、グローバル、コントローラごと、ま

たはマルチパスごとのオプションとして /etc/multipath.conf環

境設定ファイルで指定されます。

group_by_node_name ターゲットノード名ごとに1つの優先度グループターゲットノード名

は、 /sys/class/fc_transport/target*/node_nameにフェッチ

されます。

7.3.5 Linux mpathpersist(8)ユーティリティ

mpathpersist(8)ユーティリティを使用して、デバイスマッパーマルチパスのデバイスでSCSIの永続

的な予約を管理できます。

103 Linux mpathpersist(8)ユーティリティ SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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mpathpersist(8)コマンドの一般構文:

mpathpersist [options] [device]

このユーティリティを /etc/multipath.confファイルのサービスアクション予約キー

( reservation_key属性)と共に使用して、SCSIデバイスの永続的な予約を設定します。この属性は

デフォルトでは使用されません。この属性が設定されていない場合、 multipathdデーモンは、新しく

検出されたパスまたは復元されたパスの永続的な予約があるかどうかを確認しません。

reservation_key <reservation key>

この属性は defaultsセクションまたは multipathsセクションに追加できます。次に例を示します。

multipaths { multipath { wwid XXXXXXXXXXXXXXXX alias yellow reservation_key 0x123abc }}

永続的な管理の対象にするすべてのマルチパスデバイスに対して reservation_keyパラメータを設

定し、 multipathdデーモンを再起動します。設定後、mpathpersistコマンドで予約キーを指定できま

す。

オプション

-h,

--help

コマンドの使用情報を出力して終了します。

-d < device>,

--device=< device>

デバイスをクエリまたは変更します。

-H,

--hex

出力応答を16進数で表示します。

-X <tids>,

--transportID=<tids>

104 Linux mpathpersist(8)ユーティリティ SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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トランスポートIDは、さまざまな形式で記述できます。

-v < level>,

--verbose < level>

詳細レベルを指定します。

0

重要なメッセージおよびエラーメッセージ

1

警告メッセージ。

2

情報メッセージ。

3

トレースが有効化された情報メッセージ

PR Inのオプション

-i,

--での

PR Inコマンドを要求します。

-k,

--read-keys

PR In:キーを読み込みます。

-s,

--read-status

PR In:完全ステータスを読み込みます。

-r,

--read-reservation

PR In:予約を読み込みます。

-c,

--report-capabilities

PR In:機能を報告します。

105 Linux mpathpersist(8)ユーティリティ SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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PR Outのオプション

-o,

--out

PR Outコマンドを要求します。

-c,

--クリア

PR Out:消去します。

-Z,

--param-aptpl

PR Outパラメータ APTPL 。

-S SARK,

--param-sark=SARK

16進数のPR Outパラメータであるサービスアクション予約キー(SARK)。

-P,

--preempt

PR Out:強制排除します。

-A,

--preempt-abort

PR Out:強制排除して中止します。

-T < type>,

--prout-type=< type>

PR Outコマンドタイプ。

-G,

--登録

PR Out:登録します。

-I,

--register-ignore

PR Out:登録して無視します。

-L,

--release

106 Linux mpathpersist(8)ユーティリティ SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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PR Out:解放します。

-R,

--予約

PR Out:予約します。

/dev/mapper/mpath9デバイスのサービスアクション予約キーを登録します。

mpathpersist --out --register --param-sark=123abc --prout-type=5 -d /dev/mapper/mpath9

/dev/mapper/mpath9デバイスのサービスアクション予約キーを読み込みます。

mpathpersisst -i -k -d /dev/mapper/mpath9

/dev/mapper/mpath9デバイスのサービスアクション予約キーを予約します。

mpathpersist --out --reserve --param-sark=123abc --prout-type=8 -d /dev/mapper/mpath9

/dev/mapper/mpath9デバイスの予約状態を読み込みます。

mpathpersist -i -s -d /dev/mapper/mpath9

7.4 マルチパス処理用システムの設定

7.4.1項 「マルチパス処理用SANデバイスの準備」

7.4.2項 「マルチパスデバイスのパーティショニング」

7.4.3項 「initrdでデバイスドライバをマルチパス処理用に設定する 」

7.4.4項 「ブートシーケンスへのmultipathdの追加」

7.4.1 マルチパス処理用SANデバイスの準備

SANデバイスのマルチパスI/Oを設定する前に、必要に応じて、次のようにSANデバイスを準備してく

ださい。

107 マルチパス処理用システムの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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ベンダのツールで、SANデバイスを設定し、ゾーン化します。

ベンダのツールで、ストレージアレイ上のホストLUNのパーミッションを設定します。

Linux HBAドライバモジュールをインストールします。モジュールがインストールされると、ドライ

バがHBAを自動的にスキャンして、ホスト用のパーミッションをもつSANデバイスを検出します。

それらのSANデバイスは、以降の設定のため、ホストに提示されます。

注記ご使用のHBAドライバのネイティブマルチパス処理が有効化していないことを確認してく

ださい。

詳細については、ベンダの特定マニュアルを参照してください。

ドライバモジュールがロードされたら、特定アレイのLUNまたはパーティションに割り当てられた

デバイスノードを検出します。

SANデバイスがサーバ上でルートデバイスとして使用される場合は、7.2.8項 「ルートデバイスが

マルチパスの場合のSANタイムアウト設定」に示されているように、デバイスのタイムアウト設定を

変更します。

HBAドライバがLUNを認識しない場合は、 lsscsiを使用して、SCSIデバイスがオペレーティングシス

テムによって正しく認識されているかどうかチェックできます。LUNがHBAドライバによって認識されな

い場合は、SANのゾーン化セットアップをチェックします。特に、LUNのマスキングがアクティブである

かどうか、LUNがサーバに正しく割り当てられているかどうかをチェックしてください。

LUNがHBAドライバによって認識されても、対応するブロックデバイスが存在しない場合は、カー

ネルパラメータを追加して、SCSIデバイスのスキャン動作を変更する必要があります(LUNが連続

的に番号付けされていないことを示すなど)。NovellサポートナレッジベースにあるTID 3955167:

Troubleshooting SCSI (LUN) Scanning Issues (http://support.novell.com/) を参照してくだ

さい。

7.4.2 マルチパスデバイスのパーティショニング

複数のパスをもつパーティショニングデバイスは、推奨できませんが、サポートされていま

す。 kpartxツールを使用すると、再起動なしでマルチパスデバイスにパーティションを作成できます。

マルチパス処理の設定前に、YaSTのパーティショナ機能またはサードパーティーのパーティショニング

ツールの使用により、デバイスをパーティショニングすることもできます。

108 マルチパスデバイスのパーティショニング SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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マルチパスデバイスはデバイスマッパーデバイスです。コマンドラインツール(parted、kpartx、fdiskな

ど)を使用してデバイスマッパーデバイスを変更することはできますが、他の層を更新するために必要な

udevイベントが生成されるとは限りません。デバイスマッパーデバイスをパーティション化した後、マル

チパスマップをチェックして、デバイスマッパーデバイスがマップされていることを確認する必要がありま

す。デバイスが見つからない場合は、マルチパスデバイスを再マップするかサーバを再起動すると、マル

チパスマップにある新しいパーティションをすべて検出できます。

マルチパスデバイス上にあるパーティションのデバイスマッパーデバイスは、独立したデバイスと同じで

はありません。デバイス全体を使用するLVM論理ボリュームを作成する場合、パーティションが含まれ

ないデバイスを指定する必要があります。マルチパスパーティションをLVM論理ボリュームのターゲッ

トデバイスとして設定すると、LVMは、ベースを成す物理デバイスがパーティション化されていると認識

し、作成に失敗します。SANデバイスを再分割する必要がある場合、SANデバイス上のLUNを分割し、

各LUNを別個のマルチパスデバイスとしてサーバに認識させることができます。

7.4.3 initrdでデバイスドライバをマルチパス処理用に設定する

initrdで、マルチパスI/Oデバイスの接続先コントローラのデバイスドライバを自動的にロード

するには、サーバを手動で設定する必要があります。それには、必要なドライバモジュールを変数

INITRD_MODULES( /etc/sysconfig/kernelファイル内)に追加する必要があります。

たとえば、システムに ccissドライバでアクセスされるRAIDコントローラがあり、qla2xxxドライバでアク

セスされるQlogicコントローラにマルチパスデバイスが接続されている場合は、次のようなエントリにな

ります。

INITRD_MODULES="cciss"

QLogicドライバは、起動時に自動的にはロードされないので、ここで追加します。

INITRD_MODULES="cciss qla23xx"

/etc/sysconfig/kernelの変更後は、システム上で INITRDを再作成し( mkinitrdコマンド使用)、

次に、再起動して変更内容を有効にする必要があります。

ブートマネージャとしてLILOを使う場合は、 /sbin/liloコマンドでLILOを再インストールしま

す。GRUBを使っている場合は、何も操作する必要はありません。

SUSE Linux Enterprise Server 11 SP3以降、DMマルチパスで使用できる、次の4つのSCSIハー

ドウェアハンドラがSCSI層に追加されました。

scsi_dh_alua

scsi_dh_rdac

109 initrdでデバイスドライバをマルチパス処理用に設定する SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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scsi_dh_hp_sw

scsi_dh_emc

これらのモジュールを initrdイメージに追加してから、 /etc/multipath.confファイルでハードウェ

アハンドラタイプ alua 、 rdac 、 hp_sw 、および emcとして指定します。たとえば、デバイス定義に対して

次のいずれかの行を追加します。

hardware_handler "1 alua"

hardware_handler "1 rdac"

hardware_handler "1 hp_sw"

hardware_handler "1 emc"

initrdイメージにモジュールを組み込むには:

1. これらのデバイスハンドラモジュールを /etc/sysconfig/kernelのINITRD_MODULES変

数に追加します。

2. 新しい initrdを作成します。

mkinitrd -k /boot/vmlinux-<flavour> \-i /boot/initrd-<flavour>-scsi-dh \-M /boot/System.map-<flavour>

3. ブート環境設定ファイル( grub.conf 、 lilo.conf 、 yaboot.conf )を新しく作成し

た initrdで更新します。

4. サーバを再起動します。

7.4.4 ブートシーケンスへのmultipathdの追加このセクションに示すどちらかの方法を使用して、マルチパスI/Oサービス( multipathd )をブートシー

ケンスに追加します。

7.4.4.1項 「YaSTを使用してmultipathdを追加する」

7.4.4.2項 「コマンドラインを使用してmultipathdを追加する」

7.4.4.1 YaSTを使用してmultipathdを追加する

1. YaSTで内で、[システム][システムサービス(ランレベル)][簡易モード]の順にクリックします。

110 ブートシーケンスへのmultipathdの追加 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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2. [multipathd]を選択してから、[Enable(有効)]をクリックします。

3. [OK]をクリックして、サービスの開始メッセージを確認します。

4. [完了]をクリックしてから、[はい]をクリックします。

変更内容は、サーバが再起動するまで有効にはなりません。

7.4.4.2 コマンドラインを使用してmultipathdを追加する

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

2. 端末コンソールのプロンプトで、次のように入力します。

insserv multipathd

7.5 マルチパスI/Oサービスの有効化と機動マルチパスサービスを有効にし、再起動時に起動するには:

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

2. 端末コンソールのプロンプトで、次のように入力します。

chkconfig multipathd on

chkconfig boot.multipath on

boot.multipathサービスがシステムブートで自動的に開始しない場合は、次の手順に従って、手動で

サービスを開始します。

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

2. <Enter>

/etc/init.d/boot.multipath start

/etc/init.d/multipathd start

111 マルチパスI/Oサービスの有効化と機動 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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7.6 /etc/multipath.conf Fileの作成または修正/etc/multipath.confファイルは、作成しない限り、存在しません。マルチパスの設定ファイルを

作成して設定をパーソナライズしない限り、 multipathdデーモンの実行時にデフォルトのマルチ

パスデバイス設定が自動的に適用されます。 /usr/share/doc/packages/multipath-tools/

multipath.conf.syntheticファイルには、マルチパス設定の指針となるサンプルファイル /etc/

multipath.confが含まれています。

/etc/multipath.confファイルの作成または修正を行った場合、ファイルを保存する際に変更が自

動的には適用されません。これにより、変更をコミットする前に、それを検証するためのドライ実行を行う

時間がとれます。修正した設定で問題なければ、実行中のマルチパスのデーモンに対するマルチパス

マップを更新して使用するか、システムの再起動時など、multipathdデーモンの次回起動時に、変更

が適用されます。

7.6.1項 「/etc/multipath.confファイルの作成」

7.6.2項 「/etc/multipath.confファイルのセクション」

7.6.3項 「etc/multipath.confファイルでのマルチパスセットアップの確認」

7.6.4項 「/etc/multipath.confファイルの変更を適用したマルチパスマップの更新」

7.6.1 /etc/multipath.confファイルの作成/etc/multipath.confファイルが存在しない場合は、次のように、例をコピーしてファイルを作成して

いください。

1. 端末コンソールで、 rootユーザとしてログインします。

2. 次のコマンドを入力して(すべて1行で)、テンプレートをコピーします。

cp /usr/share/doc/packages/multipath-tools/multipath.conf.synthetic /etc/multipath.conf

3. /usr/share/doc/packages/multipath-tools/multipath.conf.annotatedファイルを、

システムのマルチパス処理の設定方法を決定する参考として使用します。

4. SAN用の適切な deviceエントリがあることを確認します。大半のベンダは、 deviceセクション

の正しいセットアップに関するマニュアルを提供しています。

/etc/multipath.confファイルでは、異なるSANには異なる deviceセクションが必要です。

自動的に検出されるストレージサブシステムを使用する場合(7.2.11.2項 「マルチパス処理サ

ポートについてテスト済みのストレージアレイ」参照)、そのデバイスのデフォルトエントリを使用で

きます。 /etc/multipath.confファイルをさらに設定する必要はありません。

112 /etc/multipath.conf Fileの作成または修正 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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5. ファイルを保存します。

7.6.2 /etc/multipath.confファイルのセクション

/etc/multipath.confファイルは、以下のセクションで構成されています。属性とそれらのオプ

ションに関する詳しいコメントの付いたテンプレートについては、 /usr/share/doc/packages/

multipath-tools/multipath.conf.annotatedを参照してください。

defaults

マルチパスI/0の全般的デフォルト設定。これらの値は、適切なデバイスセクションまたはマルチ

パスセクションで値が指定されていない場合に使用されます。詳細については、7.7項 「ポーリン

グ、待ち行列、およびフェールバック用のデフォルトポリシーの設定」を参照してください。

blacklist

マルチパスの候補ではないとして破棄するデバイス名の一覧。デバイスは、そのデバイスノード名

( devnode )、そのWWID ( wwid )、またはそのベンダまたは製品文字列( device )によって識別

できます。詳細については、7.8項 「非マルチパスデバイスのブラックリスト化」を参照してくださ

い。

通常、非マルチパスデバイス( cciss 、 fd 、 hd 、 md 、 dm 、 sr 、 scd 、 st 、 ram 、 raw 、 loopなど)

は無視します。

値:

例については、7.8項 「非マルチパスデバイスのブラックリスト化」を参照してください。

blacklist_exceptions

ブラックリストに記載されている場合でもマルチパスの候補として扱うデバイスのデバイス名の一

覧。デバイスは、そのデバイスノード名( devnode )、そのWWID ( wwid )、またはそのベンダまた

は製品文字列( device )によって識別できます。対象のデバイスを指定するには、ブラックリスト

で使用したのと同じキーワードを使用する必要があります。たとえば、ブラックリスト内のデバイス

にdevnodeキーワードを使用している場合は、devnodeキーワードを使用して、ブラックリスト例

外にあるデバイスの一部を除外します。 devnodeキーワードを使用し、それらの一部のデバイス

を wwidキーワードを使用して除外することで、デバイスをブラックリストに入れることはできませ

ん。

値:

例として、7.8項 「非マルチパスデバイスのブラックリスト化」および /usr/share/doc/

packages/multipath-tools/multipath.conf.annotatedファイルを参照してください。

multipaths

113 /etc/multipath.confファイルのセクション SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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個々のマルチパスデバイスの設定を指定します。個別設定をサポートしていない設定を除き、これ

らの値により、設定ファイルの defaultsおよび devicesセクションで指定された値が上書きさ

れます。

devices

個々のストレージコントローラの設定を指定します。これらの値により、設定ファイル内

の defaultsセクションで指定された値が上書きされます。デフォルトではサポートされていない

ストレージアレイを使用している場合は、 devicesサブセクションを作成して、そのデフォルト設

定を指定することができます。これらの値は、個々のマルチパスデバイスの設定により上書きが可

能です(キーワードでそれが許可されていれば)。

詳細については、次のリンクを参照してください。

7.9項 「ユーザフレンドリ名または別名の設定」

7.10項 「zSeriesデバイスのデフォルト設定の設定」

7.6.3 etc/multipath.confファイルでのマルチパスセットアップの確認

/etc/multipath.confファイルの作成または修正を行った場合、ファイルを保存する際に変更が自

動的には適用されません。セットアップの「ドライ実行」を行って、マルチパスのマップを更新する前に、

マルチパスセットアップを確認することができます。

サーバのコマンドプロンプトで、次のように入力します。

multipath -v2 -d

このコマンドによりデバイスがスキャンされ、変更をコミットしたときにセットアップがどのようになるかが

表示されます。 /etc/multipath.confファイルを修正してドライ実行を行う際に、変更前の(またはデ

フォルトの)マルチパス設定で、 multipathdデーモンがすでに実行されていることを前提とします。変

更内容に問題がなければ、7.6.4項 「/etc/multipath.confファイルの変更を適用したマルチパスマッ

プの更新」に進みます。

出力の例を以下に示します。

26353900f02796769[size=127 GB][features="0"][hwhandler="1 emc"]

\_ round-robin 0 [first]

114

etc/multipath.confファイルでのマルチパスセットアップの確認 SUSE Linux Enterp… 11

SP4

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\_ 1:0:1:2 sdav 66:240 [ready ] \_ 0:0:1:2 sdr 65:16 [ready ]

\_ round-robin 0 \_ 1:0:0:2 sdag 66:0 [ready ] \_ 0:0:0:2 sdc 8:32 [ready ]

パスは、優先度グループでグループ化されます。一度に1つの優先度グループだけがアクティブに使用

されます。アクティブ/アクティブ構成をモデル化するには、すべてのパスを同じグループにします。アク

ティブ/パッシブ構成をモデル化する場合は、並行してアクティブにしないパスを複数の別の優先度グ

ループに振り分けます。これは、通常、デバイス検出時に自動的に行われます。

出力として、順序、グループ内でのI/O負荷の分散に使用されるスケジュールポリシー、および各優

先度グループのパスが表示されます。また、各パスに対して、その物理アドレス(ホスト:バス:ターゲッ

ト:LUN)、デバイスノード名、メジャー:マイナー番号、および状態が表示されます。

ドライ実行で冗長レベルの-v3を使用することによって、すべての検出されたパス、マルチパス、およびデ

バイスマップを表示できます。WWIDおよびデバイスノードの両方でブラックリスト化されたデバイスが

表示されます。

multipath -v3 d

2つのQlogic HBAをXiotech Magnitude 3000 SANに接続した64ビットSLES 11 SP2サーバで

の-v3出力の例を、次に示します。例を短くするため、複数エントリの一部は省略されています。

dm-22: device node name blacklisted< content omitted >loop7: device node name blacklisted< content omitted >md0: device node name blacklisted< content omitted >dm-0: device node name blacklistedsdf: not found in pathvecsdf: mask = 0x1fsdf: dev_t = 8:80sdf: size = 105005056sdf: subsystem = scsisdf: vendor = XIOtechsdf: product = Magnitude 3Dsdf: rev = 3.00sdf: h:b:t:l = 1:0:0:2sdf: tgt_node_name = 0x202100d0b2028dasdf: serial = 000028DA0014sdf: getuid= "/lib/udev/scsi_id --whitelisted --device=/dev/%n" (config file default)sdf: uid = 200d0b2da28001400 (callout)sdf: prio = const (config file default)sdf: const prio = 1< content omitted >

115

etc/multipath.confファイルでのマルチパスセットアップの確認 SUSE Linux Enterp… 11

SP4

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ram15: device node name blacklisted< content omitted >===== paths list =====uuid hcil dev dev_t pri dm_st chk_st vend/prod/rev200d0b2da28001400 1:0:0:2 sdf 8:80 1 [undef][undef] XIOtech,Magnitude 3D200d0b2da28005400 1:0:0:1 sde 8:64 1 [undef][undef] XIOtech,Magnitude 3D200d0b2da28004d00 1:0:0:0 sdd 8:48 1 [undef][undef] XIOtech,Magnitude 3D200d0b2da28001400 0:0:0:2 sdc 8:32 1 [undef][undef] XIOtech,Magnitude 3D200d0b2da28005400 0:0:0:1 sdb 8:16 1 [undef][undef] XIOtech,Magnitude 3D200d0b2da28004d00 0:0:0:0 sda 8:0 1 [undef][undef] XIOtech,Magnitude 3Dparams = 0 0 2 1 round-robin 0 1 1 8:80 1000 round-robin 0 1 1 8:32 1000status = 2 0 0 0 2 1 A 0 1 0 8:80 A 0 E 0 1 0 8:32 A 0sdf: mask = 0x4sdf: path checker = directio (config file default)directio: starting new requestdirectio: async io getevents returns 1 (errno=Success)directio: io finished 4096/0sdf: state = 2< content omitted >

7.6.4 /etc/multipath.confファイルの変更を適用したマルチパスマップの更新

/etc/multipath.confファイルに対する変更は、 multipathdの実行中は有効になりません。変更

を行ったら、ファイルを保存して閉じ、次のように、変更内容を適用してマルチパスマップを更新してくだ

さい。

1. multipathdサービスを停止します。

2. 次のコマンドの入力で、古いmultipathバインディングをクリアします。

/sbin/multipath -F

3. 次のコマンドの入力で、新しいmultipathバインディングを作成します。

/sbin/multipath -v2 -l

4. multipathdサービスを開始します。

5. mkinitrdを実行して、システム上に initrdイメージを再作成し、再起動して変更内容を有効

にします。

116

/etc/multipath.confファイルの変更を適用したマルチパスマップの更新 SUSE Linux

Enterp… 11 SP4

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7.7 ポーリング、待ち行列、およびフェールバック用のデフォルトポリシーの設定マルチパスI/Oの最終目標は、ストレージシステムとサーバ間のコネクティビティ耐障害性を提供する

ことです。望ましいデフォルトの動作は、サーバがスタンダロンのサーバか、高可用性クラスタ内のノー

ドかにより、異なります。

スタンドアロンサーバに対してマルチパスI/Oを構成する際は、 no_path_retryの設定により、サーバ

のオペレーティングシステムを、I/Oエラーの受信から可能な限り保護することができます。この設定に

より、メッセージはマルチパスのフェールオーバーが発生するまで待ち行列に入れられ、正常な接続が

保たれます。

高可用性クラスタ内のノードに対してマルチパスI/Oを構成する際は、マルチパスI/Oに障害が発

生した場合に、マルチパスのフェールオーバーが解決されるのを待つのではなく、リソースのフェー

ルオーバーをトリガするために、マルチパスが報告を行うようにしたいと考えます。クラスタ環境で

は、 no_path_retry設定を、ストレージシステムへの接続が失われた場合に、クラスタノードがクラスタ

検証プロセスに関連するI/Oエラー(ハートビート許容値の50%を推奨)を受信するように変更する必要

があります。また、パスの障害によるリソースのピンポンを避けるため、マルチパスI/Oのフェールバック

は、マニュアルに設定した方がよいでしょう。

/etc/multipath.confファイルには、ポーリング、待ち行列、およびフェールバックのデフォルト動作

を指定できる defaultsセクションが含まれています。 deviceセクションで、フィールドが別途指定さ

れていない場合は、そのSAN構成にデフォルト設定が適用されます。

デフォルト設定では、以下のようにコンパイルされています。パーソナライズした /etc/

multipath.confファイルを作成して構成することでこれらの値を上書きしない限り、この設定が使用

されます。

defaults { verbosity 2# udev_dir is deprecated in SLES 11 SP3# udev_dir /dev polling_interval 5# path_selector default value is service-time in SLES 11 SP3# path_selector "round-robin 0" path selector "service-time 0" path_grouping_policy failover# getuid_callout is deprecated in SLES 11 SP3 and replaced with uid_attribute# getuid_callout "/lib/udev/scsi_id --whitelisted --device=/dev/%n"# uid_attribute is new in SLES 11 SP3 uid_attribute "ID_SERIAL" prio "const" prio_args "" features "0" path_checker "directio"

117

ポーリング、待ち行列、およびフェールバック用のデフォルトポリシーの設定 SUSE Linux

Enterp… 11 SP4

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alias_prefix "mpath" rr_min_io_rq 1 max_fds "max" rr_weight "uniform" queue_without_daemon "yes" flush_on_last_del "no" user_friendly_names "no" fast_io_fail_tmo 5 bindings_file "/etc/multipath/bindings" wwids_file "/etc/multipath/wwids" log_checker_err "always" retain_attached_hw_handler "no" detect_prio "no" failback "manual" no_path_retry "fail" }

ポーリング、待ち行列、およびフェールバックの詳細については、7.11項 「パスフェールオーバーのポリ

シーと優先度の設定」に記載のパラメータを参照してください。

polling_interval

no_path_retry

failback (フェールバック)

defaultsセクションで設定を変更した場合、その変更内容は、マルチパスマップを更新するまで、また

はmultipathdデーモンを再起動するまで(システムの再起動など)適用されません。

7.8 非マルチパスデバイスのブラックリスト化/etc/multipath.confファイルには、 blacklistセクションがあり、このセクションにすべての

非マルチパスデバイスがリストされます。WWID ( wwidキーワード)、デバイス名( devnodeキー

ワード)、またはデバイスタイプ( deviceセクション)を使用してデバイスをブラックリスト化できま

す。 blacklist_exceptionsセクションを使って、 blacklistセクションで使用している正規表現に

よってブラックリスト化された特定のデバイスに対してマルチパスを有効にすることもできます。

通常、非マルチパスデバイス( cciss 、 fd 、 hd 、 md 、 dm 、 sr 、 scd 、 st 、 ram 、 raw 、 loopなど)は無

視します。たとえば、ローカルのIDEハードドライブやフロッピードライブには通常、複数のパスはありま

せん。 multipathで単一パスデバイスを無視する場合は、それらのデバイスを blacklistセクション

に記述します。

118 非マルチパスデバイスのブラックリスト化 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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注記キーワード devnode_blacklistは廃止され、キーワード blacklistに代わりました。

たとえば、 ccissドライバからローカルデバイスとすべてのアレイを、multipathによる管理から外してブ

ラックリストに載せるには、 blacklistセクションを次のように指定します。

blacklist { wwid "26353900f02796769" devnode "^(ram|raw|loop|fd|md|dm-|sr|scd|st|sda)[0-9]*" devnode "^hd[a-z][0-9]*" devnode "^cciss.c[0-9]d[0-9].*"}

アレイ全体でなく、ドライバからのパーティションだけをブラックリスト化することもできます。たとえば、次

の正規表現を使用すると、アレイ全体ではなく、 ccissドライバからのパーティションだけをブラックリス

ト化できます。

blacklist { devnode "^cciss.c[0-9]d[0-9]*[p[0-9]*]"}

特定のデバイスタイプをブラックリスト化するには、ブラックリストに deviceセクションを追加して、キー

ワード vendorおよび productを使用します。

blacklist { device { vendor "DELL" product "*" }}

blacklist_exceptionsセクションを使って、 blacklistセクションで使用している正規表現によっ

てブラックリスト化された特定のデバイスに対してマルチパスを有効にできます。WWID ( wwidキー

ワード)、デバイス名( devnodeキーワード)、またはデバイスタイプ( deviceセクション)を使用して例外

を追加します。例外は、対応するデバイスをブラックリスト化したときと同じ方法で指定する必要があり

ます。つまり、 wwid例外は wwidブラックリストに適用され、 devnode例外は devnodeブラックリストに

適用され、デバイスタイプ例外はデバイスタイプブラックリストに適用されます。

たとえば、同じベンダのデバイスタイプが複数ある場合、目的のデバイスタイプに対してマルチパスを有

効にできます。そのベンダのデバイスタイプすべてを blacklistセクションに記述してブラックリスト化

してから、 blacklist_exceptionsセクションに deviceセクションを追加し、目的のデバイスタイプに

対してマルチパスを有効にします。

blacklist {

119 非マルチパスデバイスのブラックリスト化 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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devnode "^(ram|raw|loop|fd|md|dm-|sr|scd|st|sda)[0-9]*" device { vendor "DELL" product "*" }}

blacklist_exceptions { device { vendor "DELL" product "MD3220i" }}

blacklist_exceptionsを使用して、特定のデバイスに対してのみマルチパスを有効にすることもできま

す。次に例を示します。

blacklist { wwid "*"}

blacklist_exceptions { wwid "3600d0230000000000e13955cc3751234" wwid "3600d0230000000000e13955cc3751235"}

/etc/multipath.confファイルの変更後、 mkinitrdを実行してシステム上にINITRDを作成し、次

に、サーバを再起動して変更内容を有効にします。

その後は、 multipath -llコマンドの発行時に、ローカルデバイスがマルチパスマップに一覧されなく

なります。

7.9 ユーザフレンドリ名または別名の設定マルチパスデバイスは、そのWWID、ユーザフレンドリな名前、またはそれに割り当てた別名で識別さ

れます。始める前に、「7.2.3項 「マルチパスデバイスでのWWID、ユーザフレンドリ名、および別名の使

用」」の要件をレビューしてください。

重要/dev/sdnおよび /dev/dm-n形式のデバイスノード名は、再起動時に変更される可能性がある

ので、マルチパスデバイスは、そのWWIDで参照することを推奨します。また、WWIDにマップさ

れたユーザフレンドリ名または別名を、再起動時においてもデバイスを一意に識別するために使

用することもできます。

120 ユーザフレンドリ名または別名の設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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表7.4「マルチパスデバイス名のタイプの比較」では、 /etc/multipath.confファイル内のデバイス

に使用できるデバイス名のタイプについて説明しています。 multipath.conf設定の例については、 /

usr/share/doc/packages/multipath-tools/multipath.conf.syntheticファイルを参照して

ください。

表 7.4: マルチパスデバイス名のタイプの比較

名前のタイプ 説明

WWID (デ

フォルト)

シリアルWWID (Worldwide Identifier)は、グローバルに固有または非変更で

あることを保証されたマルチパスデバイスの識別子です。マルチパス処理で使用

されるデフォルト名は、 /dev/disk/by-idディレクトリにある論理ユニットのID

です。たとえば、WWIDが 3600508e0000000009e6baa6f609e7908のデバイス

は、 /dev/disk/by-id/scsi-3600508e0000000009e6baa6f609e7908と記載

されています。

ユーザフレンド

/dev/mapperディレクトリ内のデバイスマッパーマルチパスのデバイス名は、論

理ユニットのIDも参照します。これらのマルチパスデバイス名は、 /dev/mapper/

mpath<n>形式を使用するユーザフレンドリな名前です(たとえば、 /dev/mapper/

mpath0 )。これらの名前は、 /var/lib/multipath/bindingsファイルを使用し

てUUIDとユーザフレンドリな名前の関連付けを追跡するので、固有かつ永続的

です。

別名 別名は、グローバルに固有な名前であり、管理者がマルチパスデバイスに提供しま

す。別名は、WWIDとユーザフレンドリな /dev/mapper/mpathN名に優先します。

user_friendly_nameを使用している場合は、別名をmpathN形式に設定しない

でください。mpathN形式にすると、自動的に割り当てられたユーザフレンドリ名と

競合し、デバイスノードが正しくなくなる可能性があります。

/etc/multipath.confファイルのグローバルマルチパスオプション user_friendly_namesは、

マルチパスデバイスのユーザフレンドリ名の使用を有効または無効にするために使用されます。この

オプションが「no」(デフォルト)に設定されている場合、マルチパスはデバイス名としてWWIDを使用

します。このオプションが「yes」に設定されている場合は、 /var/lib/multipath/bindingsファイ

ルが使用されて、 mpath<n>形式の永続的で固有の名前が、 /dev/mapperディレクトリ内でデバイ

スに割り当てられます。 /etc/multipath.confファイルの bindings fileオプションを使用する

と、 bindingsファイルに代替の場所を指定できます。

/etc/multipath.confファイルのグローバルマルチパスオプション aliasは、デバイスに名前を明

示的に割り当てるために使用されます。別名がマルチパスデバイスに設定されている場合は、WWIDま

たはユーザフレンドリ名の代わりにその別名が使用されます。

121 ユーザフレンドリ名または別名の設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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user_friendly_namesオプションの使用は、以下の状況では問題を引き起こす可能性があります。

ルートデバイスでマルチパスを使用している場合: システムルートデバイスでマルチパス

を使用中に、 user_friendly_namesオプションを使用する場合は、 option, the user-

friendly settings in the /var/lib/multipath/bindingsファイルのユーザフレンドリ設定

が initrdに組み込まれます。デバイスの追加や削除などで、後でストレージのセットアップを変

更した場合は、 initrd内のバインディング設定と /var/lib/multipath/bindings内のバイ

ンディング設定に不一致が生じます。

警告initrdと /var/lib/multipath/bindingsのバインディングが不一致だと、デバイス

に間違ったマウントポイントが割り当てられることがあり、その場合は、ファイルシステムが

破損し、データが失われます。

この問題を回避するには、システムルートデバイスにデフォルトのWWID設定を使用することを

推奨します。システムのルートデバイスには、別名を使用してはなりません。デバイス名が異なるこ

とがあるため、別名を使用すると、カーネルのコマンドラインを通じてマルチパス処理をシームレス

にスイッチオフすることができなくなります。

別のパーティションから/varをマウントする場合: user_friendly_names設定ファイルのデフォ

ルトの格納場所は、 /var/lib/multipath/bindingsです。 /varデータがシステムルートデバ

イス上になく、このデータを別のパーティションからマウントする場合は、マルチパス処理のセット

アップ時に bindingsファイルを利用できません。

/var/lib/multipath/bindingsファイルをシステムルートデバイスで使用し、マルチパスで検

出できるようにしてください。これは、たとえば、次の手順で実行できます。

1. /var/lib/multipath/bindingsファイルを /etc/multipath/bindingsに移動しま

す。

2. この新しい場所に、/ etc/multipath.confの defaultsセクションにあ

る bindings_fileオプションを設定します。次に例を示します。

defaults { user_friendly_names yes bindings_file "/etc/multipath/bindings"

122 ユーザフレンドリ名または別名の設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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}

マルチパスがinitrdに含まれている場合: システムルートデバイスがマルチパス上にない場合

でも、マルチパスが initrdに含まれることがあります。これは、たとえば、システムルートデバイ

スがLVM上にある場合に起こります。 user_friendly_namesオプションを使用し、マルチパス

が initrd内にある場合は、パラメータ multipath=offでブートして問題を回避してください。

これにより、システムブート中は、 initrd内でのみマルチパスが無効になります。システムブー

ト後は、ブートスクリプト boot.multipathおよび multipathdによって、マルチパス処理をアク

ティブにすることができます。

ユーザフレンドリな名前を有効にするか、別名を指定する場合:

1. 端末コンソールで、 rootユーザとしてログインします。

2. /etc/multipath.confファイルをテキストエディタで開きます。

3. (オプション) /var/lib/multipath/bindingsファイルの場所を変更します。

代替パスは、マルチパスが代替パスを見つけることができるシステムルートデバイス上に存在す

る必要があります。

a. /var/lib/multipath/bindingsファイルを /etc/multipath/bindingsに移動しま

す。

b. この新しい場所に、/ etc/multipath.confの defaultsセクションにあ

る bindings_fileオプションを設定します。次に例を示します。

defaults { user_friendly_names yes bindings_file "/etc/multipath/bindings"}

4. (オプション、非推奨)ユーザフレンドリ名の有効にする:

a. defaultsセクションとその閉じ括弧を非コメント化します。

b. user_friendly_namesオプションを非コメント化し、次に、その値をNoからYesに変更し

ます。

次に例を示します。

## Use user friendly names, instead of using WWIDs as names.defaults { user_friendly_names yes}

123 ユーザフレンドリ名または別名の設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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5. (オプション) aliasオプション( multipathセクションにある)を使用して、独自のデバイス名を

指定します。

次に例を示します。

## Use alias names, instead of using WWIDs as names.multipaths { multipath { wwid 36006048000028350131253594d303030 alias blue1 } multipath { wwid 36006048000028350131253594d303041 alias blue2 } multipath { wwid 36006048000028350131253594d303145 alias yellow1 } multipath { wwid 36006048000028350131253594d303334 alias yellow2 }}

6. 変更内容を保存し、ファイルを閉じます。

変更内容は、マルチパスマップを更新するまで、またはmultipathdデーモンの再起動時(システ

ムの再起動時など)まで、適用されません。

7.10 zSeriesデバイスのデフォルト設定の設定IBM zSeriesデバイスをマルチパス処理でテストした結果、dev_loss_tmoパラメータを90秒

に、fast_io_fail_tmoパラメータを5秒に設定する必要があることわかりました。zSeriesデバイスをご使

用の場合は、 /etc/multipath.confファイルを変更して、値を次のように指定します。

defaults { dev_loss_tmo 90 fast_io_fail_tmo 5}

dev_loss_tmoパラメータは、マルチパスリンクに不良のマーキングがされるまでの秒数を設定します。

パスに障害が発生したら、そのパスの現在のI/Oが失敗します。デフォルト値は使用するデバイスドライ

バによって異なります。0〜600秒の値の範囲が有効です。ドライバの内部タイムアウトを使用するには、

ゼロ(0)または600より大きい値に設定します。

124 zSeriesデバイスのデフォルト設定の設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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fast_io_fail_tmoパラメータは、リンク障害を検出した場合に、I/Oが失敗するまでの待機時間を

設定します。ドライバに到達したI/Oは失敗します。ブロックしたキューにI/Oがある場合は、I/Oは

dev_loss_tmoで指定された時間が経過するまでは失敗せず、キューのブロックが解除されます。

/etc/multipath.confファイルを変更した場合、その変更内容は、マルチパスマップを更新するま

で、またはmultipathdデーモンを再起動するまで(システムの再起動など)適用されません。

7.11 パスフェールオーバーのポリシーと優先度の設定Linuxホスト内で、ストレージコントローラへのパスが複数ある場合は、各パスが別個のブロックデバイ

スとして表示され、その結果、1つのLUNに複数のブロックデバイスが存在することになります。デバイ

スマッパーマルチパスサービスは、同じLUN IDをもつ複数のパスワードを検出し、そのIDで新しいマ

ルチパスデバイスを作成します。たとえば、1つの非ゾーン化されたファイバチャネルのスイッチを介して

2つのポートでストレージコントローラに接続した2つのHBAをもつホストは、4つのブロックデバイスを

認識します( /dev/sda 、 /dev/sdb 、 /dev/sdc 、 /dev/sdd )。デバイスマッパーマルチパスサービス

は、1つのブロックデバイス /dev/mpath/mpath1を作成します。このデバイスは、既に示した4つのブ

ロックデバイスを介してI/Oを再経路指定します。

このセクションでは、フェールオーバーのポリシーを指定し、パスの優先順位を設定する方法について

説明します。

7.11.1項 「パスのフェールオーバーポリシーの設定」

7.11.2項 「フェールオーバーポリシーの設定」

7.11.3項 「スクリプトの使用によるパス優先度の設定」

7.11.4項 「ALUAの設定 (mpath_prio_alua)」

7.11.5項 「ターゲットパスグループの報告」

7.11.1 パスのフェールオーバーポリシーの設定

multipathコマンドを-pオプション付きで使用して、パスフェールオーバーポリシーを設定します。

multipath devicename -p policy

次のポリシーオプションの1つで、 policyを置き換えます。

125 パスフェールオーバーのポリシーと優先度の設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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表 7.5: MULTIPATH -Pコマンドのグループポリシーオプション

ポリシーオプション 説明

failover (フェール

オーバー)

(デフォルト)優先度グループごとに1つのパス

multibus 1つの優先度グループ内にすべてのパス

group_by_serial 検出されたシリアル番号ごとに1つの優先度グループ

group_by_prio パス優先度値ごとに1つの優先度グループ優先度は、コールアウトプログ

ラムで決定されます。それらのプログラムは、グローバル、コントローラごと、

またはマルチパスごとのオプションとして /etc/multipath.conf環境設

定ファイルで指定されます。

group_by_node_nameターゲットノード名ごとに1つの優先度グループターゲットノード 名は、 /

sys/class/fc_transport/target*/node_nameにフェッチされます。

7.11.2 フェールオーバーポリシーの設定

デバイスのフェールオーバーポリシーは、手動で、 /etc/multipath.confファイルに入力する必要

があります。すべての設定とオプションの例は、 /usr/share/doc/packages/multipath-tools/

multipath.conf.annotatedファイルにあります。

/etc/multipath.confファイルを修正した場合、ファイルを保存する際に変更が自動的には適用さ

れません。詳細については、7.6.3項 「etc/multipath.confファイルでのマルチパスセットアップの確

認」および7.6.4項 「/etc/multipath.confファイルの変更を適用したマルチパスマップの更新」を参照

してください。

7.11.2.1項 「優先度グループと属性の理解」

7.11.2.2項 「ラウンドロビン式負荷分散の設定」

7.11.2.3項 「単一パスフェールオーバーの設定」

7.11.2.4項 「ラウンドロビン式負荷分散用I/Oパスのグループ化」

126 フェールオーバーポリシーの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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7.11.2.1 優先度グループと属性の理解

優先度グループは、同じ物理LUNに属するパスのコレクションです。デフォルトでは、I/Oは、グルー

プ内のすべてのパス全体にラウンドロビン方式で配分されます。 multipathコマンドは、SANの

path_grouping_policy設定に基づいてそのSANの各LUNごとに、自動的に優先度グループを作

成します。 multipathコマンドは、グループ内のパス数にグループの優先度を掛け合わせて、どのグ

ループがプライマリか決定します。計算された値が最も高いグループがプライマリグループです。プライ

マリグループ内のすべてのパスが失敗すると、次に値の高い優先度グループがアクティブになります。

パス優先度は、パスに割り当てられた整数値です。優先度は、値が高いほど高くなります。パスごとに優

先度を割り当てるには、外部プログラムが使用されます。所定のデバイスに関して、同じ優先度のパス

が同じ優先度グループに属します。

SLES 11 SP2用マルチパスツール 2以降では、 /etc/multipath.confファイルの defaults{}ま

たは devices{}セクションの prio設定を使用します。キーワード prioが、 multipath{)セクション

の個別の multipaths定義に指定された場合は、暗黙のうちに無視されます。SLES 11 SP1用のマ

ルチパスツール0.4.8以前では、 multipath{)セクションの個別の multipaths定義内のprio設定

で、 defaults{}または devices{}セクションの prio設定を上書きすることができました。

/etc/multipath.confファイル内の prioキーワードが、 multipath-tools-0.4.9では変更され

ています。 prio行で、Prioritizerが指定されます。Prioritizerが引数を必要とする場合、その引数は2

行目の prio_argsキーワードで指定します。これまでは、Prioritizerとその引数は、 prio行に含まれ

ていました。

デフォルトセクションまたはデバイスセクションのprio設定

prio

パス優先度の値を取得するために呼び出すPrioritizerプログラムを指定します。加重は、障害の

発生時に使用する次のパスグループを決定するため、それぞれのパスグループに対して合計さ

れます。

指定したPrioritizerで引数が必要な場合は、 prio_argsキーワードを使用して、引数を指定しま

す。

値:

prio_キーワードを指定しない場合は、すべてのパスが同等になりますデフォルトの設定は

「const」で、 prio_argsの設定には値がありません。

prio "const"prio_args ""

Prioritizerのプログラム例には、以下のものがあります。

127 フェールオーバーポリシーの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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Prioritizerプログラム 説明

alua SCSI-3 ALUA設定に基づいてパス優先度を生成します。

const すべてのパスに同じ優先度を生成します。

emc EMCアレイのパス優先度を生成します。

hdc Hitachi HDS Modularストレージアレイのパス優先度を生成しま

す。

hp_sw アクティブ/スタンバイモードのCompaq/HPコントローラのパス

優先度を生成します。

ontap NetAppアレイのパス優先度を生成します。

random パスごとにランダムな優先度を生成します。

rdac LSI/Engenio RDACコントローラのパスの優先度を生成します。

weightedpath prio_argsに対する引数内で指定した加重値に基づいて、パス

優先度を生成します。たとえば

<hbtl|devname> <regex1> <prio1> <regex2> <prio2>...

hbtl regexの引数形式では、SCSI H:B:T:L表記法

( 1:0:.:. および *:0:0:.など)を、加重値とともに使用します。こ

こで、H、B、T、Lはそれぞれ、デバイスのホスト、バス、ターゲット、

およびLUN IDを示します。たとえば、

prio "weightedpath"prio_args "hbtl 1:.:.:. 2 4:.:.:. 4"

devname regexの引数形式では、デバイスノード名を、各ノードに

対する加重値とともに使用します。たとえば、

prio "weightedpath"prio_args "devname sda 50 sde 10 sdc 50 sdf 10"

prio_args

引数を必要とする指定したPrioritizerプログラムに対する引数を指定します。ほとんどの prioプ

ログラムでは、引数は不要です。

128 フェールオーバーポリシーの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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値:

デフォルト値はありません。値は、 prioの設定と、Prioritizerが引数を必要とするかどうかにより

ます。

prio "const"prio_args ""

マルチパス属性

デバイスに対するマルチパスI/Oの動作を制御するには、マルチパス属性を使用します。すべてのマル

チパスデバイスに対して、デフォルトとして属性を指定できます。また、あるマルチパスデバイスにのみ適

用する属性を、そのデバイス用のエントリを、マルチパス設定ファイルの multipathsセクションで作成

することで、指定することもできます。

user_friendly_names

WWID(world-wide ID)を使用するか、または /var/lib/multipath/bindingsファイルを使

用して永続的で固有な別名を /dev/mapper/mpathN形式のマルチパスデバイスに割り当てる

か指定します。

このオプションは、 devicesセクションおよび multipathsセクションで使用できます。

値:

値 説明

no (デフォルト) /dev/disk/by-id/に示されたWWIDを使用します。

yes 実際のIDの代わりに、マルチパスデバイスのエイリアスとして、ユー

ザフレンドリな名前を自動生成します。

failback (フェールバック)

エラーになったパスの回復を監視するかどうか指定し、パスサービス回復後のグループのフェー

ルバックのタイミングを示します。

エラーになったパスは、回復すると、この設定に基づいてマルチパス対応パスのリストに戻されま

す。multipathは、優先度グループを評価し、プライマリパスの優先度がセカンダリパスのそれを

超えると、アクティブな優先度グループを変更します。

値:

129 フェールオーバーポリシーの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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値 説明

manual デフォルト。エラーになったパスの回復は監視されません。管理者

が multipathコマンドを実行して、有効なパスと優先度グループを

更新します。

immediate パスが回復したら、ただちにパスを有効にします。

n パスが回復したら、 n秒後にパスを有効にします。0より大きい整数値

を指定してください。

クラスタ環境内のマルチパスに対するフェールバックの設定は、マルチパスのフェールオーバー

のピンポンを避けるため、「manual」にすることを推奨します。

failback "manual"

重要フェールバックの設定については、ストレージシステムのベンダに確認するようにしてくだ

さい。ストレージシステムが異なれば、必要な設定も異なります。

getuid_callout

固有のパス識別子を取得するためのコールのデフォルトプログラムと引数を指定します。場所を、

絶対Linuxパスで指定します。

この属性はSLES 11 SP3で廃止予定なので、 uid_attribute (uid_attribute)に置き換えら

れました。

値:

デフォルトの場所と引数は、

/lib/udev/scsi_id -g -u -s

例:

getuid_callout "/lib/udev/scsi_id -g -u -d /dev/%n"

getuid_callout "/lib/udev/scsi_id --whitelisted --device=/dev/%n"

no_path_retry

パスの障害時に使用する動作を指定します。

値:

130 フェールオーバーポリシーの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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値 説明

n multipathコマンドで待ち行列が停止し、パスがエラーになるまでの

再試行数を指定します。0より大きい整数値を指定してください。

クラスタでは、「0」を指定して、待ち行列を回避し、リソースのフェール

オーバーを許可することができます。

fail 即時失敗(待ち行列なし)を指定します。

queue 待ち行列を停止しません(パスが復帰するまで永久に待機します)。

クラスタでの作業では、 /etc/multipath.confファイルの再試行設定を、「fail」または「0」にす

ることを推奨します。これにより、ストレージへの接続が失われた場合に、リソースのフェールオー

バーが起こります。そうしないと、メッセージの待ち行列とリソースのフェールオーバーが行えませ

ん。

no_path_retry "fail"no_path_retry "0"

重要再試行設定については、ストレージシステムのベンダに確認するようにしてください。スト

レージシステムが異なれば、必要な設定も異なります。

path_checker

パスの状態を判別します。

値:

値 説明

directio ( multipath-toolsバージョン0.4.8以降でのデフォルト)。直接I/O

をもつ最初のセクタを読み込みます。DASDデバイスの場合、有用で

す。 /var/log/messagesに障害メッセージをログ記録します。

readsector0 ( multipath-toolsバージョン0.4.7以前でのデフォルト。廃止予定

なので directioに置き換えられました)。デバイスの最初のセクタを

読み込みます。 /var/log/messagesに障害メッセージをログ記録し

ます。

131 フェールオーバーポリシーの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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値 説明

tur デバイスに対するSCSIテストユニットレディコマンドを発行します。こ

れはLUNによってサポートされている場合の推奨設定です。このコ

マンドは、障害時に、 /var/log/messagesにメッセージを出力しま

せん。

custom_vendor_value一部のSANベンダは、カスタムオプションとしてpath_checkerを提

供しています。

cciss_tur: HP Smart Storage Arrayへのパスの状態を

チェックします。

emc_clariion: EMC ClariionのEVPDページ0xC0をクエリ

してパスの状態を判別します。

hp_sw: Active/StandbyファームウェアをもつHPストレージ

アレイのパスの状態(アップ、ダウン、またはゴースト)をチェック

します。

rdac: LSI/Engenio RDACストレージコントローラのパスmp

状態をチェックします。

path_grouping_policy

所定のコントローラがホストとなるマルチパスデバイスのパスグループ化ポリシーを指定します。

値:

値 説明

failover (フェール

オーバー)

(デフォルト)一度に1つのパスだけ使用されるように、優先度グルー

プごとに1つのパスが割り当てられます。

multibus すべての有効なパスが1つの優先度グループに含まれます。トラ

フィックが、グループ内のアクティブなパスすべてに渡って負荷分散

されます。

group_by_prio パス優先度値ごとに、1つの優先度グループが存在します。同じ優先

度のパスは同じ優先度グループに属します。優先度は外部プログラ

ムによって割り当てられます。

132 フェールオーバーポリシーの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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値 説明

group_by_serial パスがSCSIターゲットシリアル番号(コントローラノードのWWN)で

グループ化されます。

group_by_node_nameターゲットノード名ごとに1つの優先度グループが割り当てられま

す。ターゲットノード名は /sys/class/fc_transport/target*/

node_nameにフェッチされます。

path_selector

負荷分散に使用するパスセレクタアルゴリズムを指定します。

値:

値 説明

round-robin 0 (SLES 11 SP2以前でのデフォルト)優先度グループ内のすべての

アクティブパスに渡るトラフィックの分散に使用される負荷分散アル

ゴリズム。

queue-length 0 least-pendingオプションと同様に、パス上で実行中のI/Oの数に基

づく、動的負荷分散装置。

service-time 0 (SLES 11 SP3以降でのデフォルト)遅延に従って、パス上のI/Oを

調整するサービス時間に基づく負荷分散装置。

pg_timeout

パスグループのタイムアウト処理を指定します。

値:

なし(内部デフォルト)

polling_interval

1つのパスチェックサイクルの終了から次回のパスチェックサイクルの開始までの時間を、秒単位

で指定します。

値:

0より大きい整数値を指定してください。デフォルト値は5です。polling_intervalの設定について

は、ストレージシステムのベンダに確認するようにしてください。ストレージシステムが異なれば、

必要な設定も異なります。

prio_callout

133 フェールオーバーポリシーの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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マルチパスマップのレイアウトを決定するプログラムと引数を指定します。

マルチパスのprio_calloutsプログラムは、 /lib/libmultipath/lib*内の共有ライブラリ内に

あります。共有ライブラリを使用することで、デーモンの起動時、コールアウトプログラムがメモリに

ロードされます。

multipathコマンドでクエリされると、指定のmpath_prio_*コールアウトプログラムがマルチパ

スレイアウト全体との関係で所定のパスの優先度を返します。

この属性がgroup_by_prioのpath_grouping_policyとともに使用されると、同じ優先度をもつ

すべてのパスが1つのマルチパスグループにグループ化されます。総計の優先度が最も高いグ

ループがアクティブグループになります。

グループ内のすべてのパスが失敗すると、総計の優先度が次に高いグループがアクティブになり

ます。さらに、フェールオーバーコマンド(ハードウェアハンドラにより決定)がターゲットに送信され

ることもあります。

mpath_prio_*プログラムとして、指定のセットアップ用にベンダまたは管理者が作成したカスタ

ムスクリプトを使用することも可能です。

コマンドライン内の %nは、 /devディレクトリ内のデバイス名に展開します。

コマンドライン内の %bは、 /devディレクトリ内の major:minor形式のデバイス番号に展

開します。

コマンドライン内の %dは、 /dev/disk/by-idディレクトリ内のデバイスIDに展開します。

デバイスがホットプラグ可能な場合は、 %nの代わりに %dフラグを使用してください。これにより、

デバイスが利用可能になった時点と udevがデバイスノード を作成した時点の間に短い時間間

隔があるという問題が解決されます。

値:

値 説明

(値なし) prio_callout属性を使用しない場合は、すべてのパスが同等にな

りますこれがデフォルトの設定です。

/bin/true group_by_prioを使用しない場合は、これを指定します。

prioritizerプログラムは、 multipathコマンドによってクエリされると、パス優先度を生成しま

す。プログラム名は、 mpath_prio_で開始し、後に使用するデバイスタイプまたは負荷分散の方

法が続きます。現在の優先度プログラムには、次のものがあります。

Prioritizerプログラム 説明

mpath_prio_alua %n SCSI-3 ALUA設定に基づいてパス優先度を生成します。

134 フェールオーバーポリシーの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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Prioritizerプログラム 説明

mpath_prio_balance_units すべてのパスに同じ優先度を生成します。

mpath_prio_emc %n EMCアレイのパス優先度を生成します。

mpath_prio_hds_modular

%b

Hitachi HDS Modularストレージアレイのパス優先度を生

成します。

mpath_prio_hp_sw %n アクティブ/スタンバイモードのCompaq/HPコントローラの

パス優先度を生成します。

mpath_prio_netapp %n NetAppアレイのパス優先度を生成します。

mpath_prio_random %n パスごとにランダムな優先度を生成します。

mpath_prio_rdac %n LSI/Engenio RDACコントローラのパスの優先度を生成し

ます。

mpath_prio_tpc %n オプションとして、ベンダまたは管理者が作成したスクリプト

を使用できます。このスクリプトは、各パスの優先度を指定す

るファイルから優先度を取得します。

mpath_prio_spec.sh %n ユーザ作成スクリプトのパスを提供します。このスクリプトに

より、2つ目のデータファイルに含まれた情報に基づくマルチ

パス処理の優先度が生成されます。(このパスとファイル名

は、例として提供されています。ご使用のスクリプトの場所を

指定してください)。このスクリプトは、ベンダまたは管理者が

作成できます。スクリプトのターゲットファイルは、すべてのマ

ルチパスデバイスの各パスを識別し、パスごとに優先度を指

定します。例については、7.11.3項 「スクリプトの使用による

パス優先度の設定」を参照してください。

rr_min_io

path_selector設定の指定のアルゴリズムで決定される同じパスグループ内の次のパスに切

り替わる前に、パスに経路指定されるI/Oトランザクションの数を指定します。

rr_min_io属性は、カーネル2.6.31以前でのみ使用します。SLES 11 SP2では廃止にな

り、 rr_min_io_rq属性に置き換えられました。

値:

0より大きい整数値を指定してください。デフォルト値は「1000」です。

135 フェールオーバーポリシーの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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rr_min_io "1000"

rr_min_io_rq

現在のパスグループ内の次のパスに切り替える前に、リクエストベースのデバイス-マッパー-マル

チパスを使用して、あるパスへルートするI/Oリクエストの回数を指定します。

この属性は、SLES 11 SP2以降を実行しているシステムで利用できます。rr_min_io属性に代

わるものです。

値:

0より大きい整数値を指定してください。デフォルト値は「1」です。

rr_min_io_rq "1"

rr_weight

パスの重み付けの方法を指定します。

値:

値 説明

uniform (デフォルト)すべてのパスが同じラウンドロビン方式の重み付けを持

ちます。

priorities 各パスの重み付けが、rr_min_io_rqの設定(またはカーネル2.6.31

以降ではrr_min_io設定)によって決まります。

uid_attribute

固有のパス識別子を提供するudev属性。デフォルト値は ID_SERIALです。

7.11.2.2 ラウンドロビン式負荷分散の設定

すべてのパスがアクティブです。一定の秒数または一定数のI/Oトランザクションの後で、シーケンスの

次のオープンパスに移動するように、I/Oを設定します。

7.11.2.3 単一パスフェールオーバーの設定

優先度が最も高い(最も低い値の)単一パスがトランザクションに対してアクティブになります。他のパ

スは、フェールオーバーに使用できますが、フェールオーバーの発生までは使用されません。

136 フェールオーバーポリシーの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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7.11.2.4 ラウンドロビン式負荷分散用I/Oパスのグループ化

同じ優先度をもつ複数のパスがアクティブグループを形成します。そのグループのすべてのパスがエ

ラーになると、デバイスが優先度の次に高いグループにフェールオーバーします。グループのすべての

パスが、ラウンドロビン方式の負荷分散で、トラフィックロードを共有します。

7.11.3 スクリプトの使用によるパス優先度の設定

デバイスマッパーマルチパス(DM-MPIO)と対話することにより、 prio_callout設定のリソースとして

の設定時にLUNへのパスの優先度を提供するスクリプトを作成できます。

まず、各デバイスの情報と各パスに割り当てたい優先度値をリストするテキストファイルを設定します。

たとえば、ファイルを /usr/local/etc/primary-pathsと指定します。次の形式で、パスごとに1行入

力します。

host_wwpn target_wwpn scsi_id priority_value

デバイス上の各パスの優先度を返します。変数FILE_PRIMARY_PATHSが各デバイスの適切な

データ(host wwpn、target wwpn、scsi_id、priority value)を含む実際のファイルに解決するように

します。

1つのLUNに8つのパスが対応する場合、 primary-pathsファイルの内容が、次のようになることがあ

ります。

0x10000000c95ebeb4 0x200200a0b8122c6e 2:0:0:0 sdb 3600a0b8000122c6d00000000453174fc 50

0x10000000c95ebeb4 0x200200a0b8122c6e 2:0:0:1 sdc 3600a0b80000fd6320000000045317563 2

0x10000000c95ebeb4 0x200200a0b8122c6e 2:0:0:2 sdd 3600a0b8000122c6d0000000345317524 50

0x10000000c95ebeb4 0x200200a0b8122c6e 2:0:0:3 sde 3600a0b80000fd6320000000245317593 2

0x10000000c95ebeb4 0x200300a0b8122c6e 2:0:1:0 sdi 3600a0b8000122c6d00000000453174fc 5

0x10000000c95ebeb4 0x200300a0b8122c6e 2:0:1:1 sdj 3600a0b80000fd6320000000045317563 51

0x10000000c95ebeb4 0x200300a0b8122c6e 2:0:1:2 sdk 3600a0b8000122c6d0000000345317524 5

0x10000000c95ebeb4 0x200300a0b8122c6e 2:0:1:3 sdl 3600a0b80000fd6320000000245317593 51

prio_calloutに示された例を続行するには、 /usr/local/sbin/path_prio.shという名前のスクリ

プトを作成します。パスとファイル名は任意に指定できます。スクリプトは、次の処理を実行します。

137 スクリプトの使用によるパス優先度の設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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multipathからのクエリ時に、 /usr/local/etc/primary-pathsファイルからデバイスとその

パスをグレップ検索します。

multipathに戻り、ファイル内のそのエントリの最後のカラムにある優先度値を使用します。

7.11.4 ALUAの設定 (mpath_prio_alua)

mpath_prio_alua(8)コマンドは、Linux multipath(8)コマンドの優先度コールアウトとして使用さ

れます。このコマンドが返す番号をDM-MPIOが使用して、同じ優先度をもつSCSIデバイスをグループ

化します。このパス優先度ツールは、ALUA (Asynchronous Logical Unit Access)をベースとして

います。

7.11.4.1項 「構文」

7.11.4.2項 「必要条件」

7.11.4.3項 「オプション」

7.11.4.4項 「戻り値」

7.11.4.1 構文

mpath_prio_alua [-d directory] [-h] [-v] [-V] device [device...]

7.11.4.2 必要条件

SCSIデバイス.

7.11.4.3 オプション

-dディレクトリ

デバイスノード名の一覧を見つけることのできるLinuxディレクトリパスを指定します。デフォルト

ディレクトリは、 /devです。このオプションを使用する際には、管理するデバイスのデバイスノード

名( sdaなど)だけを指定します。

-h

このコマンドのヘルプを表示して、終了します。

-v

138 ALUAの設定 (mpath_prio_alua) SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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詳細出力をオンにして、読みやすい形式でステータスを表示します。指定のデバッガーが属する

ポートグループやその現在の状態に関する情報が表示されます。

-V

このツールのバージョン情報を表示して、終了します。

device [ device ...]

管理するSCSIデバイス(または複数のデバイス)を指定します。ターゲットポートグループの報告

コマンド( sg_rtpg(8) )をサポートするSCSIデバイスを指定してください。デバイスノード名には、

次の形式の1つを使用します。

完全なLinuxディレクトリパス( /dev/sdaなど)-dオプションとは併用しないでください。

デバイスノード名のみ( sdaなど)。-dオプションの使用で、ディレクトリパスを指定します。

スペース無しでコロンで区切ったデバイスのメジャーおよびマイナー番号( 8:0など)この形

式を使用すると、 /devディレクトリに、 tmpdev-<major>:<minor>-<pid>形式の名前で、

一時デバイスノードが作成されます。(たとえば、 /dev/tmpdev-8:0-<pid> )。

7.11.4.4 戻り値

成功すると、0値とグループの優先度値が返ります。表7.6「デバイスマッパーマルチパスのALUA優先

度」は、 mpath_prio_aluaコマンドが返す優先度値を示しています。

表 7.6: デバイスマッパーマルチパスのALUA優先度

優先度値 説明

50 デバイスはアクティブで最適化されたグループに属します。

10 デバイスは、アクティブだが最適化されていないグループに属します。

1 デバイスはスタンバイグループに属します。

0 他のすべてのグループ。

multipathコマンドでの処理方法により、値の間隔は大きくとられています。multipathコマンドは、グ

ループ内のパス数とグループの優先度の値を掛け合わせた結果の値が最も高いグループを選択しま

す。たとえば、非最適化パスグループが6つのパスをもち(6 x 10 = 60)、最適化パスグループが1つの

パスをもつ(1 x 50 = 50)場合は、非最適化グループが一番高い値をもつので、multipathは、非最適

化グループを選択します。デバイスに対するトラフィックは、グループ内の6つのパスすべてを、ラウンド

ロビン方式で使用します。

139 ALUAの設定 (mpath_prio_alua) SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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エラーが発生すると、コマンドの失敗原因を示す、1〜5の値が返ります。詳細について

は、 mpath_prio_aluaのマニュアルページを参照してください。

7.11.5 ターゲットパスグループの報告SCSIターゲットポートグループの報告( sg_rtpg(8) )コマンドを使用します。詳細について

は、 sg_rtpg(8)のマニュアルページを参照してください。

7.12 ルートデバイスのマルチパスI/Oの設定SUSE Linux Enterprise Server 11では、DM-MPIO (デバイスマッパーマルチパスI/O)が使用可

能であり、 /bootと /rootに対してサポートされています。また、YaSTインストーラ内のYaSTパーティ

ショナは、インストール中のマルチパスの有効化をサポートします。

7.12.1項 「インストール時にマルチパスI/Oを有効にする」

7.12.2項 「既存ルートデバイス用マルチパスI/Oの有効化」

7.12.3項 「ルートデバイスのマルチパスI/Oの無効化」

7.12.1 インストール時にマルチパスI/Oを有効にするオペレーティングシステムをマルチパスデバイスにインストールしたい場合は、マルチパスソフトウェア

がインストール時に実行されている必要があります。multipathdデーモンは、システムのインストール

時に自動的にアクティブになりません。このデーモンは、YaSTパーティショナの[マルチパスの設定]オ

プションを使用することによって起動できます。

7.12.1.1項 「アクティブ/アクティブマルチパスストレージLUNでインストール時にマルチパスI/O

を有効にする」

7.12.1.2項 「アクティブ/パッシブマルチパスストレージLUNでインストール時にマルチパスI/Oを

有効にする」

7.12.1.1 アクティブ/アクティブマルチパスストレージLUNでインストール時にマルチパスI/Oを有効にする

1. YaSTインストール設定ページでのインストール時に、[パーティション分割]をクリックし

て、YaSTパーティショナを開きます。

140 ターゲットパスグループの報告 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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2. [カスタムパーティション - エキスパート用]を選択します。

3. [ハードディスク]メインアイコンを選択し、[設定]ボタンをクリックし、最後に、[マルチパスの設

定]を選択します。

4. multipathを起動します。

YaSTがディスクの再スキャンを開始し、利用可能なマルチパスデバイスを表示します( /dev/

disk/by-id/dm-uuid-mpath-3600a0b80000f4593000012ae4ab0ae65など)。これが、以降

の処理すべての対象デバイスになります。

5. [次へ]をクリックして、インストールを続行します。

7.12.1.2 アクティブ/パッシブマルチパスストレージLUNでインストール時にマルチパスI/Oを有効にする

multipathdデーモンは、システムのインストール時に自動的にアクティブになりません。このデーモン

は、YaSTパーティショナの[マルチパスの設定]オプションを使用することによって起動できます。

アクティブ/パッシブマルチパスストレージLUNに対するインストール時にマルチパスI/Oを有効にする

には:

1. YaSTインストール設定ページでのインストール時に、[パーティション分割]をクリックし

て、YaSTパーティショナを開きます。

2. [カスタムパーティション - エキスパート用]を選択します。

3. [ハードディスク]メインアイコンを選択し、[設定]ボタンをクリックし、最後に、[マルチパスの設

定]を選択します。

4. multipathを起動します。

YaSTがディスクの再スキャンを開始し、利用可能なマルチパスデバイスを表示します( /dev/

disk/by-id/dm-uuid-mpath-3600a0b80000f4593000012ae4ab0ae65など)。これが、以降

の処理すべての対象デバイスになります。デバイスのパスとUUIDを書き留めてください。後で必

要になります。

5. [次へ]をクリックして、インストールを続行します。

6. すべての設定が完了し、インストールが終了すると、YaSTは、ブートローダ情報の書き込みを

開始し、システム再起動のカウントダウンを表示します。[中止]をクリックしてカウンタを中止

し、<CTRL> + <ALT> + <F5>を押してコンソールにアクセスします。

7. コンソールを使用して、 /boot/grub/device.mapファイルの hd0エントリにパッシブパスが入

力されているかどうか判別します。

141 インストール時にマルチパスI/Oを有効にする SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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これは、インストールではアクティブパスとパッシブパスが区別されないので必要です。

a. 次のように入力して、ルートデバイスを /mntにマウントします。

mount /dev/disk/by-id/<UUID>_part2 /mnt

例えば、次のように入力して、すべてのフォントについてアンチエイリアスを無効にします。

mount /dev/disk/by-id/dm-uuid-mpath-3600a0b80000f4593000012ae4ab0ae65_part2 /mnt

b. 次のように入力して、ブートデバイスを /mnt/bootにマウントします。

mount /dev/disk/by-id/<UUID>_part1 /mnt/boot

例えば、次のように入力して、すべてのフォントについてアンチエイリアスを無効にします。

mount /dev/disk/by-id/dm-uuid-mpath-3600a0b80000f4593000012ae4ab0ae65_part2 /mnt/boot

c. 次のように入力して、 /mnt/boot/grub/device.mapファイルを開きます。

less /mnt/boot/grub/device.map

d. /mnt/boot/grub/device.mapファイルで hd0エントリがパッシブパスをポイントしてい

るかどうか判別し、次のいずれかを実行します。

アクティブパス: アクションは不要です。ステップ 8をスキップして、ステップ 9に進み

ます。

パッシブパス: 設定を変更し、ブートローダを再インストールする必要があります。ス

テップ 8に進みます。

8. hd0エントリがパッシブパスをポイントする場合は、設定を変更し、ブートローダを再インストール

します。

a. コンソールのコンソールプロンプトで、次のコマンドを入力します。

mount -o bind /dev /mnt/dev

mount -o bind /sys /mnt/sys

mount -o bind /proc /mnt/proc

chroot

142 インストール時にマルチパスI/Oを有効にする SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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b. コンソールで、 multipath -llを実行し、その出力をチェックして、アクティブパスを見つ

けます。

パッシブパスには ghostフラグが付いています。

c. /mnt/boot/grub/device.mapファイルで hd0エントリをアクティブパスに変更し、変更

内容を保存し、ファイルを閉じます。

d. MBRからのブートが選択されていた場合、 /etc/grub.confは次のようになります。

setup --stage2=/boot/grub/stage2 (hd0) (hd0,0)quit

e. 次のコマンドを入力して、ブートローダを再インストールします。

grub < /etc/grub.conf

f. 次のコマンドを入力します。

exit

umount /mnt/*

umount /mnt

9. <CTRL> + <ALT> + <F7>を押して、YaSTグラフィック環境に戻ります。

10. [OK]をクリックして、インストールを再起動します。

7.12.2 既存ルートデバイス用マルチパスI/Oの有効化

1. Linuxをインストールし、1つだけパスをアクティブにします。このパスは、パーティショナで by-

idシンボリックリンクがリストされるパスがお勧めです。

2. インストール時に使用した /disk//disk/by-idパスを使用してデバイスをマウントします。

3. インストール後、 dm-multipathを /etc/sysconfig/kernel:INITRD_MODULESに追加しま

す。

4. System Zの場合、mkinitrdの実行前に、 /etc/zipl.confファイルを編集して zipl.conf内

のby-path情報を、/ etc/fstabで使用されたby-id情報に変更します。

5. /sbin/mkinitrdを再実行して、 initrdイメージを更新します。

143 既存ルートデバイス用マルチパスI/Oの有効化 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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6. System Zの場合は、 mkinitrdの実行後、 ziplを実行します。

7. サーバを再起動します。

7.12.3 ルートデバイスのマルチパスI/Oの無効化

multipath=offをカーネルコマンドラインに追加します。

これは、ルートデバイスだけに影響します。他のすべてのデバイスは影響されません。

7.13 既存ソフトウェアRAID用マルチパスI/Oの設定理想的には、デバイスのマルチパス処理を設定してから、それらのデバイスをソフトウェアRAIDデバイ

スのコンポーネントとして使用してください。ソフトウェアRAIDデバイスの作成後にマルチパス処理を

追加した場合は、再起動時に multipathサービスの後でDM-MPIOサービスが開始することがあり

ます。その場合は、マルチパス処理がRAIDに使用できないように見えます。本項の手順を使用すると、

すでに存在しているソフトウェアRAIDに対してマルチパス処理を実行できます。

たとえば、次のような場合は、ソフトウェアRAID内のデバイスにマルチパス処理を設定する必要がある

ことがあります。

新規インストールまたはアップグレード時にパーティショニング設定の一部として、新しいソフト

ウェアRAIDを作成する場合

マルチパス処理用に設定しなかったデバイスをメンバーデバイスまたはスペアとしてソフトウェア

RAIDで使用する場合

新しいHBAアダプタをサーバに追加するか、またはSAN内でストレージサブシステムを拡張する

ことで、システムを大きくする場合

注記以降の説明では、ソフトウェアRAIDデバイスを /dev/mapper/mpath0> (カーネルによって認

識されるデバイス名)と想定しています。 /etc/multipath.confファイルで、ユーザフレンドリ

名を有効にしている(7.9項 「ユーザフレンドリ名または別名の設定」に記載)ことを想定していま

す。

ソフトウェアRAIDのデバイス名の指定は、必ず変更してください。

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

特に指示のない限り、この端末を使用して、以降のステップでコマンドを入力します。

144 ルートデバイスのマルチパスI/Oの無効化 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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2. ソフトウェアRAIDデバイスが現在マウントされているか、または実行中の場合、デバイスごとに

次のコマンドを入力して、デバイスをマウント解除し、停止します。

umount /dev/mapper/mpath0

mdadm --misc --stop /dev/mapper/mpath0

3. 次のように入力して、 boot.mdサービスを停止します。

/etc/init.d/boot.md stop

4. 以降のコマンドで、 boot.multipathサービスおよび multipathdサービスを開始します。

/etc/init.d/boot.multipath start

/etc/init.s/multipathd start

5. マルチパス処理サービスの開始後、ソフトウェアRAIDのコンポーネントデバイスが /dev/disk/

by-idディレクトリにリストされているかどうか確認します。次のいずれかの操作を行います。

デバイスがリストされている: デバイス名に、デバイスマッパーマルチパスのデバイス名( /

dev/dm-1など)へのシンボリックリンクがあるはずです。

デバイスがリストされていない: デバイスをフラッシュし、再検出することで、マルチパス

サービスにデバイスを認識させます。

この操作を行うには、次のコマンドを入力します。

multipath -F

multipath -v0

これで、デバイスが /dev/disk/by-id内にリストされ、デバイスマッパーマルチパスのデ

バイス名へのシンボリックリンクを持ちます。次に例を示します。

lrwxrwxrwx 1 root root 10 2011-01-06 11:42 dm-uuid-mpath-36006016088d014007e0d0d2213ecdf11 -> ../../dm-1

6. 次のように入力して、 boot.mdサービスとRAIDデバイスを再起動します。

/etc/init.d/boot.md start

7. 次のように入力して、ソフトウェアRAIDの状態をチェックします。

mdadm --detail /dev/mapper/mpath0

145 既存ソフトウェアRAID用マルチパスI/Oの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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RAIDのコンポーネントデバイスは、そのデバイスマッパーマルチパスのデバイス名( /dev/

disk/by-idディレクトリにデバイスのシンボリックリンクとしてリストされている)と一致する必要

があります。

8. 新しい initrdを作成して、デバイスマッパーマルチパスのサービスが再起動時にRAIDサービ

スの前にロードされるようにしてください。 mkinitrdの実行が必要なのは、ルート(/)デバイスま

たはその一部( /var 、 /etc 、 /logなど)がSAN上にあり、マルチパスのブートが必要な場合の

みです。

以下を入力してください。

mkinitrd -f multipath

9. サーバを再起動して、これらのポストインストール構成の設定を適用します。

10. RAIDステータスをチェックして、ソフトウェアRAIDアレイが、マルチパスデバイスの上に正しく示

されることを確認します。以下を入力してください。

mdadm --detail /dev/mapper/mpath0

次に例を示します。

Number Major Minor RaidDevice State

0 253 0 0 active sync /dev/dm-0

1 253 1 1 active sync /dev/dm-1

2 253 2 2 active sync /dev/dm-2

7.14 新規デバイスのスキャン(再起動なし)ご使用のシステムがマルチパス処理用に設定されており、後からSANにストレージを追加する必要が

ある場合は、 rescan-scsi-bus.shスクリプトを使用して新しいデバイスをスキャンすることができま

す。デフォルトでは、このスクリプトは典型的なLUN範囲ですべてのHBAをスキャンします。

警告EMC PowerPath環境では、SCSIバスをスキャンする場合に、オペレーティングシステムに付

属する rescan-scsi-bus.shユーティリティまたはHBAベンダスクリプトを使用しないでくださ

い。ファイルシステムが破損する可能性を避けるため、EMCでは、Linux用EMC PowerPath

のベンダマニュアルに記載されている手順に従うよう求めています。

146 新規デバイスのスキャン(再起動なし) SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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構文

rescan-scsi-bus.sh [options] [host [host ...]]

コマンドラインでホストを指定するか(廃止予定)、 --hosts=LISTオプション(推奨)を使用することがで

きます。

オプション

ほとんどのストレージサブシステムでは、このスクリプトはオプションを指定しなくても正常に実行されま

す。ただし、特殊な場合は rescan-scsi-bus.shスクリプトに対して、次のいずれかのパラメータを使

用する必要があります。

オプション 説明

-l LUN 0〜7のスキャンを起動。[デフォルト: 0]

-L NUM LUN 0〜NUMのスキャンを起動。[デフォルト: 0]

-w ターゲットデバイスIDが0〜15をスキャンします。[デフォルト: 0〜7]

-c チャネル0または1のスキャンを有効にします。[デフォルト: 0]

-r--remove

デバイスの削除を有効にします。[デフォルト:無効]

-i--issueLip

ファイバチャネルLIPのリセットを発行します。[デフォルト:無効]

--forcerescan 既存デバイスを再度スキャンします。

--forceremove 各デバイスを削除し、再度追加します。

警告このオプションは危険なので、注意して使用してください。

--nooptscan 0が検出できない場合は、LUNの検索を中止しないでください。

147 構文 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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オプション 説明

--color 色付きのプレフィクス、OLD/NEW/DELを使用します。

--hosts=LIST LIST内のホストだけをスキャンします。ここでLISTは、単一の値と範囲をカ

ンマで区切ったリストです。スペースは使用できません。

--hosts=A[-B][,C[-D]]

--channels=LIST LIST内のチャネルだけをスキャンします。ここでLISTは、単一の値と範囲を

カンマで区切ったリストです。スペースは使用できません。

--channels=A[-B][,C[-D]]

--ids=LIST LIST内のターゲットIDだけをスキャンします。ここでLISTは、単一の値と範

囲をカンマで区切ったリストです。スペースは使用できません。

--ids=A[-B][,C[-D]]

--luns=LIST LIST内のLUNだけをスキャンします。ここでLISTは、単一の値と範囲をカ

ンマで区切ったリストです。スペースは使用できません。

--luns=A[-B][,C[-D]]

手順次のプロシージャを使用して、システムを再起動せずに、デバイスをスキャンして、マルチパス処理に使

用できるようにします。

1. ストレージサブシステムで、ベンダのツールを使用してデバイスを割り当て、そのアクセス制御設

定を更新して、Linuxシステムが新しいストレージをアクセスできるようにします。詳細について

は、ベンダのマニュアルを参照してください。

2. すべてのターゲットをスキャンしてホストの有無を調べ、LinuxカーネルのSCSIサブシステムのミ

ドルレイヤに新しいデバイスを認識させます。端末コンソールのプロンプトで、次のように入力しま

す。

rescan-scsi-bus.sh [options]

3. システムログ /var/log/messagesファイル)をチェックしてスキャニングの進行状況を調べま

す。端末コンソールのプロンプトで、次のように入力します。

148 手順 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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tail -30 /var/log/messages

このコマンドは、ログの最後の30行を表示します。次に例を示します。

# tail -30 /var/log/messages. . .Feb 14 01:03 kernel: SCSI device sde: 81920000Feb 14 01:03 kernel: SCSI device sdf: 81920000Feb 14 01:03 multipathd: sde: path checker registeredFeb 14 01:03 multipathd: sdf: path checker registeredFeb 14 01:03 multipathd: mpath4: event checker startedFeb 14 01:03 multipathd: mpath5: event checker startedFeb 14 01:03:multipathd: mpath4: remaining active paths: 1Feb 14 01:03 multipathd: mpath5: remaining active paths: 1

4. ステップ 2からステップ 3まで繰り返し、新しいデバイスに接続しているLinuxシステム上の他の

HBAアダプタを介して、パスを追加します。

5. multipathコマンドを実行して、DM-MPIO設定用のデバイスを認識します。端末コンソールの

プロンプトで、次のように入力します。

multipath

これで、新しいデバイスをマルチパス処理用に設定できます。

7.15 パーティショニングされた新規デバイスのスキャン(再起動なし)本項の例を使用して、新たに追加したマルチパスLUNを再起動なしで検出します。

警告EMC PowerPath環境では、SCSIバスをスキャンする場合に、オペレーティングシステムに付

属する rescan-scsi-bus.shユーティリティまたはHBAベンダスクリプトを使用しないでくださ

い。ファイルシステムが破損する可能性を避けるため、EMCでは、Linux用EMC PowerPath

のベンダマニュアルに記載されている手順に従うよう求めています。

1. 端末コンソールを開き、 rootユーザとしてログインします。

149

パーティショニングされた新規デバイスのスキャン(再起動なし) SUSE Linux Enterp… 11

SP4

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2. すべてのターゲットをスキャンしてホストの有無を調べ、LinuxカーネルのSCSIサブシステムのミ

ドルレイヤに新しいデバイスを認識させます。端末コンソールのプロンプトで、次のように入力しま

す。

rescan-scsi-bus.sh [options]

rescan-scsi-bus-shスクリプトの構文とオプション情報の詳細については、7.14項 「新規デ

バイスのスキャン(再起動なし)」を参照してください。

3. 次のように入力して、デバイスが認識されていること(リンクに新しいタイムスタンプが付いている

かどうかなど)を確認します。

ls -lrt /dev/dm-*

次のように入力して、 /dev/disk/by-id内のデバイスを確認することもできます。

ls -l /dev/disk/by-id/

4. 次のように入力して、新しいデバイスがログに表示されることを確認します。

tail -33 /var/log/messages

5. テキストエディタで、デバイスの新しいエイリアス定義を /etc/multipath.confファイルに追加

します( data_vol3など)。

たとえば、UUIDが 36006016088d014006e98a7a94a85db11であれば、次の変更を行います。

defaults { user_friendly_names yes }multipaths { multipath { wwid 36006016088d014006e98a7a94a85db11 alias data_vol3 } }

6. 次の入力で、デバイスのパーティションテーブルを作成します。

fdisk /dev/disk/by-id/dm-uuid-mpath-<UUID>

UUIDをデバイスのWWID( 36006016088d014006e98a7a94a85db11など)で置き換えます。

7. 次のように入力して、udevをトリガします。

echo 'add' > /sys/block/<dm_device>/uevent

150

パーティショニングされた新規デバイスのスキャン(再起動なし) SUSE Linux Enterp… 11

SP4

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たとえば、 dm-8上のパーティションに対して、デバイスマッパーデバイスを生成するには、次のよ

うに入力します。

echo 'add' > /sys/block/dm-8/uevent

8. 次のコマンドを入力して、新しいパーティションのファイルシステムおよびラベルを作成します。

mke2fs -j /dev/disk/by-id/dm-uuid-mpath-<UUID_partN>tune2fs -L data_vol3 /dev/disk/by-id/dm-uuid-<UUID_partN>

UUID_part1を、実際のUUIDおよびパーティション番号

(36006016088d014006e98a7a94a85db11_part1など)で置き換えます。

9. 次の入力で、DM-MPIOを再起動して、エイリアスを読み込ませます。

/etc/init.d/multipathd restart

10. 次の入力で、デバイスが multipathdによって認識されていることを確認します。

multipath -ll

11. テキストエディタで、 /etc/fstabファイルにマウントエントリを追加します。

この時点では、ステップ 5で作成したエイリアスは、まだ、 /dev/disk/by-labelディレクトリに

あります。マウントエントリを /dev/dm-9パスに追加した後、次回の再起動の前に、マウントエント

リを次のように変更します。

LABEL=data_vol3

12. 次のように入力して、マウントポイントとして使用するディレクトリを作成し、デバイスをマウントしま

す。

md /data_vol3

mount /data_vol3

7.16 マルチパスI/Oステータスの表示マルチパスI/Oのステータスをクエリすると、マルチパスマップの現在のステータスが出力されます。

multipath -lオプションを使用すると、パスチェッカが最後に実行された時点での現行パスステー

タスが表示されます。ただし、パスチェッカは実行されません。

151 マルチパスI/Oステータスの表示 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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multipath -llオプションを使用すると、パスチェッカが実行され、パス情報が更新され、最後に、現

在のステータス情報が表示されます。このオプションは、常に、パスステータスの最新情報を表示しま

す。

端末コンソールのプロンプトで、次のように入力します。

multipath -ll

各マルチパスデバイスの情報が表示されます。次に例を示します。

3600601607cf30e00184589a37a31d911[size=127 GB][features="0"][hwhandler="1 emc"]

\_ round-robin 0 [active][first] \_ 1:0:1:2 sdav 66:240 [ready ][active] \_ 0:0:1:2 sdr 65:16 [ready ][active]

\_ round-robin 0 [enabled] \_ 1:0:0:2 sdag 66:0 [ready ][active] \_ 0:0:0:2 sdc 8:32 [ready ][active]

デバイスごとに、デバイスのID、サイズ、機能、およびハードウェアハンドラが表示されます。

デバイスへのパスは、自動的に、デバイス検出時に優先度グループとしてグループ化されます。一度に

1つの優先度グループだけがアクティブになります。アクティブ/アクティブ構成の場合、すべてのパスが

同じグループに属します。アクティブ/パッシブ構成の場合、パッシブパスは別個の優先度グループに

属しれます。

グループごとに、次の情報が表示されます。

ラウンドロビン方式など、グループ内でのI/O負荷の分散に使用されるスケジューリングポリシー

グループがアクティブか、無効か、または有効か

最初の(優先度の最も高い)グループかどうか

グループ内に含まれるパス

パスごとに、次の情報が表示されます。

host:bus:target:lunとしての物理アドレス(1:0:1:2など)

デバイスノード 名( sdaなど)

メジャー/マイナー番号

デバイスのステータス

152 マルチパスI/Oステータスの表示 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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7.17 エラーになったI/Oの管理queue_if_no_pathを有効にすることで、すべてのパスで同時に障害が発生した場合は、I/Oをキュー

に登録するように、マルチパス処理を設定する必要があるかもしれません。設定しておかないと、すべて

のパスに障害が発生するとI/Oもすぐに失敗してしまいます。ドライバ、HBA、またはファブリックにスプ

リアスエラーが発生したというシナリオでは、それらのエラーですべてのパスが失われるI/Oをすべて待

ち行列に入れ、エラーを上方にプロパゲートしないように、DM-MPIOを設定してください。

マルチパスデバイスをクラスタで使用する場合は、queue_if_no_pathを無効にすることができます。こ

れにより、I/Oがキューに入る代わりに、パスがエラーになり、そのI/Oエラーがエスカレートしてクラスタ

リソースのフェールオーバーを引き起こします。

ただし、queue_if_no_pathを有効にすると、パスが回復しない限り、I/Oがいつまでもキューに留まるこ

とになるので、 multipathdが実行中であり、シナリオに有効なことを必ず確認してください。確認して

おかないと、再起動するまで、またはキューの代わりに手動でフェールオーバーに戻すまで、影響を受け

たマルチパスデバイスでI/Oが無限に停止する可能性があります。

シナリオをテストするには:

1. 端末コンソールで、 rootユーザとしてログインします。

2. 次の入力で、デバイスI/Oに関して、フェールオーバーの代わりに待ち行列処理をアクティブにし

ます。

dmsetup message device_ID 0 queue_if_no_path

device_IDを実際のデバイスのIDに置き換えます。値0はセクタを表し、セクタ情報が必要でな

いときに使用されます。

たとえば、次のように入力します。

dmsetup message 3600601607cf30e00184589a37a31d911 0 queue_if_no_path

3. 次の入力で、デバイスI/Oのフェールオーバーに戻ります。

dmsetup message device_ID 0 fail_if_no_path

このコマンドにより、ただちに、待ち行列に入ったすべてのI/Oがエラーになります。

device_IDを実際のデバイスのIDに置き換えます。たとえば、次のように入力します。

dmsetup message 3600601607cf30e00184589a37a31d911 0 fail_if_no_path

待ち行列内のI/Oをすべてのパスがエラーになるシナリオ用に設定するには:

1. 端末コンソールで、 rootユーザとしてログインします。

153 エラーになったI/Oの管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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2. /etc/multipath.confファイルをテキストエディタで開きます。

3. defaultsセクションとその閉じ括弧を非コメント化した後、次のように default_features設定

を追加します。

defaults { default_features "1 queue_if_no_path"}

4. /etc/multipath.confファイルの変更後、 mkinitrdを実行してシステム上にINITRDを作

成し、次に、再起動で変更内容を有効にします。

5. デバイスI/Oのフェールオーバーに戻る準備ができたら、次のように入力します。

dmsetup message mapname 0 fail_if_no_path

mapnameを該当デバイスのマップされたエイリアス名またはデバイスIDに置き換えます。値0は

セクタを表し、セクタ情報が必要でないときに使用されます。

このコマンドにより、待ち行列で待機中のすべてのI/Oがエラーとなり、エラーが呼び出し側アプ

リケーションにプロパゲートします。

7.18 停止したI/Oの解決すべてパスが同時にエラーとなり、I/Oが待ち行列に入って停止している場合は、次のプロシージャを

実行します。

1. 端末コンソールのプロンプトで、次のコマンドを入力します。

dmsetup message mapname 0 fail_if_no_path

mapnameをデバイスの正しいデバイスIDまたはマップされたエイリアス名で置き換えます。値0

はセクタを表し、セクタ情報が必要でないときに使用されます。

このコマンドにより、待ち行列で待機中のすべてのI/Oがエラーとなり、エラーが呼び出し側アプ

リケーションにプロパゲートします。

2. 端末コンソールのプロンプトで、次のコマンドを入力して、待ち行列を再度アクティブにします。

dmsetup message mapname 0 queue_if_no_path

154 停止したI/Oの解決 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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7.19 MPIOのトラブルシューティング本項では、MPIOに関するいくつかの既知の問題と、考えられる解決手段について説明します。

7.19.1項 「マルチパス0.4.9への更新後に、個別デバイスのprio設定が失敗する」

7.19.2項 「multipath-tools-0.4.9への更新後に、引数を伴うprio設定が失敗する」

7.19.3項 「技術情報ドキュメント」

7.19.1 マルチパス0.4.9への更新後に、個別デバイスのprio設定が失敗する

SLES 11 SP2用マルチパスツール 2以降では、 /etc/multipath.confファイルの defaults{}ま

たは devices{}セクションの prio設定を使用します。キーワード prioが、 multipath{)セクション

の個別の multipaths定義に指定された場合は、暗黙のうちに無視されます。

SLES 11 SP1用のマルチパスツール0.4.8以前では、 multipath{)セクションの個別

の multipaths定義内のprio設定で、 defaults{}または devices{}セクションの prio設定を上書

きすることができました。

7.19.2 multipath-tools-0.4.9への更新後に、引数を伴うprio設定が失敗する

multipath-tools-0.4.8から multipath-tools-0.4.9に更新すると、引数を必要とする

Prioritizerの場合、 /etc/multipath.confファイル内の prio設定が壊れます。multipath-

tools-0.4.9では、Prioritizerの指定には prioキーワードが使われ、引数を必要とするPrioritizerの

指定には、 prio_argsキーワードが使われます。これまでは、Prioritizerとその引数はいずれも、同

じ prio行で指定していました。

たとえば、multipath-tools-0.4.8では、次の行を使用してPrioritizerとその引数を同じ行で指定して

いました。

prio "weightedpath hbtl [1,3]:.:.+:.+ 260 [0,2]:.:.+:.+ 20"

multipath-tools-0.4.9への更新後は、このコマンドを使用するとエラーとなります。メッセージの例

を以下に示します。

<Month day hh:mm:ss> | Prioritizer 'weightedpath hbtl [1,3]:.:.+:.+ 260[0,2]:.:.+:.+ 20' not found in /lib64/multipath

155 MPIOのトラブルシューティング SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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この問題を解決するには、テキストエディタで、 /etc/multipath.confファイル内の prio行を変更し

ます。2つの行を作成して、 prio行にPrioritizerを指定し、その下の prio_args行にPrioritizerの引

数を指定します。

prio "weightedpath"prio_args "hbtl [1,3]:.:.+:.+ 260 [0,2]:.:.+:.+ 20"

7.19.3 技術情報ドキュメント

SUSE Linux Enterprise ServerのマルチパスI/Oの問題のトラブルシューティングについて

は、Novellサポートナレッジベースにある、次のTID (技術情報ドキュメント)を参照してください。

Troubleshooting SLES Multipathing (MPIO) Problems (TID 3231766) (http://

www.novell.com/support/kb/doc.php?id=3231766)

DM MPIO Device Blacklisting Not Honored in multipath.conf (TID3029706) (http://

www.novell.com/support/kb/doc.php?id=3029706)

Troubleshooting SCSI (LUN) Scanning Issues (TID 3955167) (http://

www.novell.com/support/kb/doc.php?id=3955167)

Using LVM on Multipath (DM MPIO) Devices (http://www.novell.com/support/kb/

doc.php?id=7007498)

7.20 次に行う作業ソフトウェアRAIDを使用したい場合は、デバイス上でファイルシステムを作成してから、ソフトウェア

RAIDの作成と設定をしてください。詳細については、次のリンクを参照してください。

第8章 「ソフトウェアRAIDの設定」

第10章 「mdadmによるソフトウェアRAID 6および10の管理」

156 技術情報ドキュメント SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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8 ソフトウェアRAIDの設定

RAID (Redundant Array of Independent Disks)の目的は、複数のハードディスクパーティション

を1つの大きい仮想ハードディスクに結合し、パフォーマンスとデータのセキュリティを最適化すること

です。ほとんどのRAIDコントローラはSCSIプロトコルを使用します。これは、IDEプロトコルも効率的

な方法で多数のハードディスクのアドレスを指定でき、コマンドのパラレル処理に適しているからです。

一方、IDEまたはSATAハードディスクをサポートしているRAIDコントローラもあります。ソフトウェア

RAIDは、ハードウェアRAIDコントローラ購入による追加コストなしで、RAIDシステムの利点を提供し

ます。ただし、これにはいくらかのCPU時間を要し、高性能なコンピュータには適さないメモリ要件があ

ります。

重要ソフトウェアRAIDは、OCFS2などのクラスタ化されたファイルシステムの下ではサポートされま

せん。これはRAIDが同時起動をサポートしないためです。OCFS2にRAIDを使用したい場合

は、RAIDをストレージサブシステムに処理させる必要があります。

SUSE Linux Enterpriseには、いくつかのハードディスクを1つのソフトウェアRAIDシステムに統合

するオプションがあります。RAIDには、それぞれが異なる目標、利点、および属性をもついくつかの

ハードディスクを1つのRAIDシステムに結合するためのいくつかの戦略が含まれています。これらは通

常、RAIDレベルと呼ばれます。

8.1項 「RAIDレベルの理解」

8.2項 「YaSTによるソフトウェアRAID設定」

8.3項 「ソフトウェアRAIDのトラブルシューティング」

8.4項 「詳細情報」

8.1 RAIDレベルの理解本項では、通常のRAIDレベル(0、1、2、3、4、5)とネストしたRAIDレベルについて説明します。

8.1.1項 「RAID 0」

8.1.2項 「RAID 1」

8.1.3項 「RAID 2およびRAID 3」

157 RAIDレベルの理解 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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8.1.4項 「RAID 4」

8.1.5項 「RAID 5」

8.1.6項 「ネストしたRAIDレベル」

8.1.1 RAID 0

このレベルでは、各ファイルのブロックが複数のディスクドライブに分散されるので、データアクセスの

パフォーマンスが向上します。このレベルはデータのバックアップを提供しないため、実際にはRAIDで

はありませんが、この種のシステムではRAID 0という名前が一般的です。RAID 0では、2つ以上の

ハードディスクが互いにプールします。高いパフォーマンスが得られます。ただし、1つのハードディスク

に障害が発生しただけで、RAIDシステムが破壊され、データは失われます。

8.1.2 RAID 1

このレベルでは、データが他のハードディスクに一対一でコピーされるため、データに対する適切なセ

キュリティが提供されます。これは、ハードディスクミラーリングとして知られています。ディスクが破壊さ

れた場合は、ディスクの内容のコピーをミラー先のもう1つのディスクで利用できます。したがって、1つ

のディスク以外のすべてのディスクが損なわれても、データを保全できます。ただし、損傷が検出されな

い場合は、正しいディスクに損傷したデータがミラーリングされる可能性があり、その場合はデータが

壊れます。単一ディスクアクセスの使用時と比較すると、コピープロセスで書き込みのパフォーマンス

が若干低下しますが(10〜 20%遅くなる)、読み取りアクセスは、通常の物理ハードディスクのどれと比

べても、著しく高速です。これは、データが複製されているので、それらを並行してスキャンできるためで

す。RAID 1では、一般に、読み取りトランザクションの速度が単一ディスクのほぼ2倍、書き込みトラン

ザクションの速度が単一ディスクと同じです。

8.1.3 RAID 2およびRAID 3

これらは、一般的なRAID実装ではありません。レベル2では、データは、ブロックレベルではなく、ビット

レベルでストライプ化されます。レベル3は、専用パリティディスクによってバイトレベルのストライプ化を

提供しますが、複数の要求を同時にサービスすることはできません。両レベルとも、まれにしか使用され

ません。

158 RAID 0 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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8.1.4 RAID 4

レベル4は、専用パリティディスクと結合されたレベル0と同様に、ブロックレベルのストライプ化を提供

します。データディスクがエラーになると、パリティデータで置き換え用のディスクが作成されます。ただ

し、パリティディスクは、書き込みアクセスにボトルネックを生成する可能性があります。にもかかわらず、

レベル4は時々使用されます。

8.1.5 RAID 5

RAIDD 5は、レベル0とレベル1の間をパフォーマンスおよび冗長性の面で調整して、最適化したも

のです。ハードディスクスペースは、使用されるディスク数から1を引いたものに等しくなります。データ

は、RAIDD 0の場合のようにハードディスク間で分散されます。パーティションの1つで作成されたパ

リティブロックがあるのは、セキュリティ上の理由からです。各パーティションはXORによって互いにリ

ンクされているので、システム障害の場合に、内容が対応するパリティブロックによって再構築されま

す。RAIDD 5の場合、同時に複数のハードディスクが障害を起こすことはありません。1つのハードディ

スクに障害がある場合は、そのハードディスクをできるだけ早く交換して、データ消失の危険性をなくす

必要があります。

8.1.6 ネストしたRAIDレベル

他にもいくつかのRAIDレベルが開発されています

(RAIDn、RAID 10、RAID 0+1、RAID 30、RAID 50など)。それらの一部は、ハードウェアベンダに

よって作成された専有インプリメンテーションです。これらのレベルは、あまり広く使用されてはいない

ので、ここでの説明は省略します。

8.2 YaSTによるソフトウェアRAID設定YaSTソフトRAID設定には、YaST Expert Partitionerからアクセスできます。このパーティション設定

ツールを使用すると、既存のパーティションを編集および削除したり、ソフトウェアRAIDで使用する新

規パーティションを作成できます。

RAIDパーティションを作成するには、まず、[作成] [Do not format(フォーマットしない)]の順に

クリックし、次に、[0xFD Linux RAID]を選択します。RAID 0およびRAID 1の場合、少なくとも2つ

のパーティションが必要です。RAID 1の場合、パーティションは2つだけです。RAID 5を使用する場

合、少なくとも3つのパーティションが必要です。各セグメントは最小サイズのパーティションと同量の

スペースしか提供できないので、同じサイズのパーティションだけを使用するようお勧めします。RAID

パーティションを異なるハードディスクに保存すると、 1つが損傷した場合のデータ消失のリスクが削減

159 RAID 4 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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され(RAID 1と5)、またRAID 0のパフォーマンスを最適化できます。RAIDで使用するすべてのパー

ティションを作成したら、[RAID] [Create RAID (RAIDの作成)]の順にクリックして、RAID設定を

開始します。

ウィザードの次のページで、RAIDレベルを0、1、5のうちから選び、[次へ]をクリックします。次のダイア

ログ(図8.1「RAIDパーティション」参照)では、[Linux RAID]または[Linuxネイティブ]のどちらかの

タイプのすべてのパーティションがリストされます。スワップパーティションまたはDOSパーティションは

表示されません。パーティションがRAIDボリュームにすでに割り当てられている場合は、RAIDデバイ

スの名前(たとえば /dev/md0 )がリストに表示されます。割り当てられていないパーティションは、「--」で

示されます。

図 8.1: RAIDパーティション

割り当て解除済みのパーティションを選択したRAIDボリュームに追加するには、まず、そのパーティ

ションを選択して、[追加]をクリックします。この時点で、選択したパーティションの横に、RAIDデバイス

の名前が表示されます。すべてのパーティションをRAID用の予約パーティションとして割り当てます。

すべてのパーティションを割り当てないと、パーティションのスペースが未使用のまま残ります。すべて

のパーティションを割り当てたら、[次へ]をクリックして、設定ダイアログに進みます。このダイアログで

はパフォーマンスを微調整できます(図8.2「ファイルシステム設定」を参照)。

160 YaSTによるソフトウェアRAID設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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図 8.2: ファイルシステム設定

従来のパーティションの場合と同様の設定以外だけでなく、暗号化とRAIDボリュームのマウントポイン

トを使用するように、ファイルシステムを設定します。[完了]で設定を完了した後、Expert Partitioner

で、RAIDと指定されている /dev/md0などのデバイスを参照してください。

8.3 ソフトウェアRAIDのトラブルシューティング/proc/mdstatファイルをチェックして、RAIDパーティションが破損しているかどうかを調べます。シ

ステム障害が発生した場合は、Linuxシステムをシャットダウンして、問題のあるハードディスクを、同じ

方法でパーティショニングされている新しいハードディスクに置き換えます。次に、システムを再起動し

て、 mdadm /dev/mdX --add /dev/sdXコマンドを入力します。「X」を特定のデバイス識別子に置き

換えてください。これにより、ハードディスクがRAIDシステムに自動的に統合され、そのRAIDシステ

ムが完全に再構築されます。

再構築中もすべてのデータにアクセスできますが、RAIDが完全に再構築されるまでは、パフォーマン

スに問題が発生する場合があります。

8.4 詳細情報ソフトウェアRAIDの設定方法と詳細情報が、次のHOWTOにあります。

161 ソフトウェアRAIDのトラブルシューティング SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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Linux RAID wiki (https://raid.wiki.kernel.org/index.php/Linux_Raid)

The Software RAID HOWTO( /usr/share/doc/packages/mdadm/Software-

RAID.HOWTO.htmlファイル)

「linux-raid (http://marc.info/?l=linux-raid) 」などのLinux RAIDメーリングリストもあります。

162 詳細情報 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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9 ルートパーティション用のソフトウェアRAID1の設定

SUSE Linux Enterprise Server 11では、Device Mapper RAIDツールがYaSTパーティショナに

統合されています。インストール時にパーティショナを使用して、ルート( / )パーティションを含むシステ

ムデバイス用にソフトウェアRAID1を作成することができます。 /bootパーティションは、MD RAID1

とは別のデバイス上に作成する必要があります。

9.1項 「ルートパーティション用のソフトウェアRAID1デバイスを使用するための前提条件」

9.2項 「インストール時にiSCSIイニシエータサポートを有効にする」

9.3項 「インストール時にマルチパスI/Oのサポートを有効にする」

9.4項 「ルート(/)パーティション用のソフトウェアRAID1デバイスの作成」

9.1 ルートパーティション用のソフトウェアRAID1デバイスを使用するための前提条件設定が次の要件を満たしていることを確認してください。

RAID1のミラーリングデバイスを作成するため、2つのハードドライブが必要です。ハードドライブ

は類似のサイズで構成する必要があります。RAIDは小さい方のドライブのサイズを採用します。

ブロックストレージデバイスには、ローカル(マシンに内蔵、または直結されたもの)、ファイバチャネ

ルストレージサブシステム、またはiSCSIストレージサブシステムを自由に組み合わせることがで

きます。

/boot パーティション用に使用する、3つ目のデバイスが必要です。 ブートデバイスは、ローカ

ルのデバイスである必要があります。

ハードウェアRAIDデバイスを使用している場合は、その上でソフトウェアRAIDを実行しようとし

ないでください。

iSCSIターゲットデバイスをご使用の場合は、RAIDデバイスを作成する前にiSCSIイニシエータ

サポートを有効にする必要があります。

ご使用のストレージサブシステムが、ソフトウェアRAIDを使用する予定の直結されたローカルデ

バイス、ファイバチャネル、またはiSCSIデバイスとサーバの間で複数のI/Oパスを提供している

場合は、RAIDデバイスを作成する前に、マルチパスサポートを有効にしなければなりません。

163

ルートパーティション用のソフトウェアRAID1デバイスを使用するための前提条件 SUSE

Linux Enterp… 11 SP4

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9.2 インストール時にiSCSIイニシエータサポートを有効にするルート(/)パーティションに使用する予定のiSCSIターゲットデバイスがある場合は、ソフトウェアRAID1

デバイスを作成する前に、iSCSIイニシエータソフトウェアを有効にして、これらのデバイスを使用可能

にしなければなりません。

1. [インストールの設定]ページが表示されるまで、SUSE Linux Enterprise 11のYaSTのインス

トールを行います。

2. [パーティション分割]をクリックして、[ハードディスクの準備]ページを開き、[カスタムパーティ

ション(エキスパート用)]をクリックし、次に[次へ]をクリックします。

3. [エキスパートパーティショナ]のページで、[システムビュー]パネルの[ハードディスク]を展開

し、デフォルトの提案内容を表示します。

4. [ハードディスク]ページで、[設定]、[iSCSIの設定]を選択し、次にiSCSIイニシエータの設定

を続行するかどうかのプロンプトが表示されたら[続ける]をクリックします。

9.3 インストール時にマルチパスI/Oのサポートを有効にするルート(/)パーティション用に使用する予定のデバイスへの複数のI/Oパスがある場合は、ソフトウェア

RAID1デバイスを作成する前にマルチパスサポートを有効にする必要があります。

1. [インストールの設定]ページが表示されるまで、SUSE Linux Enterprise 11のYaSTのインス

トールを行います。

2. [パーティション分割]をクリックして、[ハードディスクの準備]ページを開き、[カスタムパーティ

ション(エキスパート用)]をクリックし、次に[次へ]をクリックします。

3. [エキスパートパーティショナ]のページで、[システムビュー]パネルの[ハードディスク]を展開

し、デフォルトの提案内容を表示します。

4. [ハードディスク]ページで、[設定]、[マルチパスの設定]を選択し、次にマルチパスの起動を確

認するプロンプトが表示されたら、[はい]をクリックします。

これによってデバイスが再度スキャンされ、複数のパスが展開されるので、ハードディスクのリス

トに各デバイスが重複して掲載されることはありません。

164 インストール時にiSCSIイニシエータサポートを有効にする SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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9.4 ルート(/)パーティション用のソフトウェアRAID1デバイスの作成

1. [インストールの設定]ページが表示されるまで、SUSE Linux Enterprise 11のYaSTのインス

トールを行います。

2. [パーティション分割]をクリックして、[ハードディスクの準備]ページを開き、[カスタムパーティ

ション(エキスパート用)]をクリックし、次に[次へ]をクリックします。

3. [エキスパートパーティショナ]ページで、[システムビュー]パネルの[ハードディスク]を展開し、

デフォルトの提案内容を表示し、提案されているパーティションを選択して、[削除]をクリックしま

す。

4. /bootパーティションを作成します。

a. [エキスパートパーティショナ]ページの[ハードディスク]で、/bootパーティションに使用

するデバイスを選択し、次に[ハードディスクパーティション]タブの[追加]をクリックしま

す。

b. [新しいパーティションの種類]で、[プライマリパーティション]を選択し、次に[次へ]をク

リックします。

c. [新しいパーティションのサイズ]で、使用するサイズを指定し、次に[次へ]をクリックしま

す。

d. [フォーマットオプション]で、[フォーマットパーティション]を選択して、次にドロップダウン

リストから好みのファイルシステム(Ext2や Ext3など)を選択します。

e. [マウントオプション]で、[パーティションをマウントする]を選択し、次にドロップダウンリス

トから[/boot]を選択します。

f. [完了]をクリックします。

5. スワップパーティションを作成します。

a. [エキスパートパーティショナ]ページの[ハードディスク]で、スワップパーティションに使

用するデバイスを選択し、次に[ハードディスクパーティション]タブの[追加]をクリックしま

す。

b. [新しいパーティションの種類]で、[プライマリパーティション]を選択し、次に[次へ]をク

リックします。

c. [新しいパーティションのサイズ]で、使用するサイズを指定し、次に[次へ]をクリックしま

す。

165

ルート(/)パーティション用のソフトウェアRAID1デバイスの作成 SUSE Linux Enterp… 11

SP4

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d. [フォーマットオプション]で[パーティションをフォーマットする]を選択し、次にドロップダウ

ンリストから[スワップ]を選択します。

e. [マウントオプション]で、[パーティションをマウントする]を選択し、次にドロップダウンリス

トから[スワップ]を選択します。

f. [完了]をクリックします。

6. ソフトウェアRAID1に使用する各デバイスの[1xFD Linux RAID]フォーマットを設定します。

a. [エキスパートパーティショナ]ページの[ハードディスク]で、RAID1で使用するデバイス

を選択し、次に[ハードディスクパーティション]タブの[追加]をクリックします。

b. [新しいパーティションの種類]で、[プライマリパーティション]を選択し、次に[次へ]をク

リックします。

c. [新しいパーティションのズサイズ]で、最大サイズの使用を指定し、次に[次へ]をクリック

します。

d. [フォーマットオプション]で、[パーティションをフォーマットしない]を選択し、次にドロップ

ダウンリストから[0xFD Linux RAID]を選択します。

e. [マウントオプション]で、[パーティションをマウントしない]を選択します。

f. [完了]をクリックします。

g. ソフトウェアRAIDで使用する各デバイスに、ステップ 6.aからステップ 6.fを繰り返し実行し

ます。1.

7. RAIDデバイスを作成します。

a. [システムビュー]パネルで、[RAID]を選択し、次に[RAID]ページで[RAIDの追加]を

クリックします。

ステップ 6で作成したデバイスが[使用可能なデバイス]の一覧に表示されます。

166

ルート(/)パーティション用のソフトウェアRAID1デバイスの作成 SUSE Linux Enterp… 11

SP4

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b. [RAIDタイプ]で、[RAID 1 (ミラーリング)]を選択します。

c. [使用可能なデバイス]パネルで、RAIDに使用するデバイスを選択し、次に[追加]をクリッ

クして、[選択したデバイス]パネルにデバイスを移動します。

RAID1用のデバイスを、2つ以上指定します。

ここでは一例として、RAID 1に2つのデバイスを選択します。

d. [次へ]をクリックします。

167

ルート(/)パーティション用のソフトウェアRAID1デバイスの作成 SUSE Linux Enterp… 11

SP4

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e. [RAIDオプション]で、ドロップダウンリストからチャンクサイズを選択します。

RAID 1(ミラーリング)のデフォルトチャンクサイズは4KBです。

使用可能なチャンクサイズ

は、4KB、8KB、16KB、32KB、64KB、128KB、256KB、512KB、1MB、2MB、または

4MBです。

f. [フォーマットのオプション]で、[パーティションをフォーマットする]を選択し、次に[ファイ

ルシステム]ドロップダウンリストからファイルシステムの種類(Ext3など)を選択します。

g. [マウントオプション]で、[パーティションをマウントする]を選択し、次に[マウントポイント]

ドロップダウンリストから、 / を選択します。

h. [完了]をクリックします。

ソフトウェアRAIDデバイスはデバイスマッパーによって管理され、デバイスを /dev/md0パ

スの下に作成します。

8. [エキスパートパーティショナ]ページで、[受諾]をクリックします。

[インストールの設定]ページの[パーティション分割]の下に新しい提案内容が表示されます。

たとえば、次のセットアップが表示されます。

9. インストールを続行します。

168

ルート(/)パーティション用のソフトウェアRAID1デバイスの作成 SUSE Linux Enterp… 11

SP4

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サーバを再起動するたびに、デバイスマッパーが起動時に開始し、ソフトウェアRAIDが自動的に

認識され、ルート(/)パーティション上のオペレーティングシステムを開始することができます。

169

ルート(/)パーティション用のソフトウェアRAID1デバイスの作成 SUSE Linux Enterp… 11

SP4

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10 mdadmによるソフトウェアRAID 6および10の管理

このセクションでは、複数デバイス管理( mdadm(8) )ツールで、ソフトウェア RAID 6および10の

デバイスを作成する方法を説明します。 mdadmを使用すると、RAID 0、1、4、および5も作成できま

す。 mdadmツールは、レガシープログラム mdtoolsおよび raidtoolsの機能を提供します。

10.1項 「RAID 6の作成」

10.2項 「mdadmによるネストしたRAID 10デバイスの作成」

10.3項 「コンプレックスRAID 10の作成」

10.4項 「ディグレードアレイの作成」

10.1 RAID 6の作成10.1.1項 「RAID 6の理解」

10.1.2項 「RAID 6の作成」

10.1.1 RAID 6の理解

RAID 6は、本来、RAID 5の拡張であり、2つ目の独立した分散パリティスキーム(デュアルパリティ)の

使用により、耐障害性をさらに追加します。データ回復プロセスで、2つのハードディスクドライブに障害

が発生しても、システムは稼動し続け、データが失われることはありません。

RAID 6は、複数の同時ドライブエラーに耐えることで、非常に高いデータ 耐障害性を提供しま

す。RAID 6は、データを失うことなく、2つのデバイスの喪失を処理します。したがって、N個のドライブ

のデータを保存するには、N+2個のドライブが必要です。その結果、最低限4個のデバイスが必要とな

ります。

通常モードおよび単一ディスク障害モードでは、RAID 5と比べ、RAID 6のパフォーマンスは若干低い

ですが、同程度です。デュアルディスク障害モードでは、RAID 6は非常に低速です。

表 10.1: RAID 5とRAID 6の比較

機能 RAID 5 RAID 6

デバイスの数 N+1(最小限3個) N+2(最小限4個)

パリティ 分散型、シングル 分散型、デュアル

170 RAID 6の作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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機能 RAID 5 RAID 6

パフォーマンス 書き込みおよび再構築に中程

度の影響

シーケンシャルな書き込みで

は、RAID 5より影響大

耐障害性 1つのコンポーネントデバイス

の障害

2つのコンポーネントデバイス

の障害

10.1.2 RAID 6の作成

このセクションのプロシージャでは、RAID 6デバイス /dev/md0を4つのデバイスで作成します( /dev/

sda1 、 /dev/sdb1 、 /dev/sdc1 、 /dev/sdd1 )。必ず、プロシージャを変更して、実際のデバイスノード

を使用するようにしてください。

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

2. RAID 6デバイスを作成します。コマンドプロンプトで、次のように入力します

mdadm --create /dev/md0 --run --level=raid6 --chunk=128 --raid-devices=4 /dev/sdb1 /dev/sdc1 /dev/sdc1 /dev/sdd1

デフォルトのチャンクサイズは 64KBです。

3. Create a file system on the RAID 6デバイス /dev/md0上でファイルシステム(Reiserファイ

ルシステムなど)を作成します。たとえば、コマンドプロンプトで、次のように入力します。

mkfs.reiserfs /dev/md0

これとは別のファイルシステムを使用したい場合は、コマンドを変更します。

4. /etc/mdadm.confファイルを編集して、コンポーネントデバイスとRAIDデバイス /dev/md0の

エントリを追加します。

5. /etc/fstabファイルを編集して、RAID 6デバイス /dev/md0のエントリを追加します。

6. サーバを再起動します。

RAID 6デバイスが /localにマウントされます。

7. RAIDアレイにホットスペアを追加します(オプション)。たとえば、コマンドプロンプトで、次のように

入力します。

mdadm /dev/md0 -a /dev/sde1

171 RAID 6の作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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10.2 mdadmによるネストしたRAID 10デバイスの作成

10.2.1項 「ネストしたRAIDデバイスの理解」

10.2.2項 「mdadmによるネストしたRAID 10 (1+0)デバイスの作成」

10.2.3項 「mdadmによるネストしたRAID 10 (0+1)デバイスの作成」

10.2.1 ネストしたRAIDデバイスの理解

ネストしたRAIDデバイスは、物理ディスクを使用する代わりに、その基本エレメントとして別のRAIDア

レイを使用するRAIDアレイで構成されます。この構成の目的は、RAIDのパフォーマンスと耐障害性を

向上することです。

Linuxは、RAID 1 (ミラーリング)アレイとRAID 0 (ストライピング)アレイのネストをサポートします。一

般に、この組み合わせは、RAID 10と呼ばれます。ネストの順序を区別するため、このマニュアルでは、

次の用語を使用します。

RAID 1+0: まず、RAID 1(ミラー)アレイが構築され、次に、それらのアレイが組み合わされて

RAID 0 (ストライプ)アレイを構成します。

RAID 0+1: まず、RAID 0(ストライプ)アレイが構築され、次に、それらのアレイが組み合わされ

てRAID 1(ミラー)アレイを構成します。

次の表では、RAID 10ネスティングの欠点と利点を、1+0対0+1という形式で説明します。使用するス

トレージオブジェクトは、それぞれが専用のI/Oをもつ別々のディスクに常駐すると想定しています。

表 10.2: ネストしたRAIDレベル

RAIDレ

ベル

説明 パフォーマンスと耐障害性

10

(1+0)

RAID 1(ミラー)

アレイで構築さ

れたRAID (スト

ライプ)

RAID 1+0は、高レベルのI/Oパフォーマンス、データ冗長性、およ

びディスク耐障害性を提供します。RAIDの各メンバーデバイスは

個々にミラーリングされるので、エラーになったディスクのミラー先が

異なる限り、複数ディスクの障害を許容し、データを使用することが

できます。

オプションとして、ベースをなすミラーリングされたアレイごとにスペ

アを設定したり、すべてのミラーに対するスペアグループに対応する

スペアを設定できます。

172 mdadmによるネストしたRAID 10デバイスの作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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RAIDレ

ベル

説明 パフォーマンスと耐障害性

10

(0+1)

RAID 0(ストラ

イプ)アレイで構

築されたRAID

1(ミラー)

RAID 0+1は、高レベルのI/Oパフォーマンスとデータ冗長性を提

供しますが、耐障害性が1+0より若干低くなります。ミラーの一方の

サイドで複数のディスクがエラーになると、もう一方のミラーが使用

可能になります。ただし、ミラーの両サイドで同時にディスクが失わ

れると、すべてのデータが喪失します。

このソリューションは1+0ソリューションより耐障害性が低いです

が、別のサイトで保守を実行したり、ミラーを保持する必要がある場

合、ミラーのサイド全体をオフラインにしても、完全に機能するスト

レージデバイスを保持することができます。また、2つのサイト間の接

続が失われた場合は、どちらかのサイトがもう一方のサイトから独

立して稼動します。ミラーリングされたセグメントをストライプする場

合はこうなりません。ミラーが低レベルで管理されているからです。

デバイスがエラーになると、RAID 0には耐障害性がないので、そ

のサイドのミラーがエラーになります。新しいRAID 0を作成して、エ

ラーになったサイドに置き換え、次に、ミラーを再同期してください。

10.2.2 mdadmによるネストしたRAID 10 (1+0)デバイスの作成ネストしたRAID 1+0は、2つ以上のRAID 1(ミラー)デバイスを作成し、それらのRAID 1デバイスを

RAID 0のコンポーネントデバイスとして使用することで構築します。

重要デバイスに対する複数の接続を管理する必要がある場合は、マルチパスI/Oを設定してか

ら、RAIDデバイスを設定する必要があります。詳細については、第7章 「デバイスのマルチパス

I/Oの管理」を参照してください。

本項の手順では、次の表に示すデバイス名を使用します。それらのデバイス名は、必ず、ご使用のデバ

イスの名前で変更してください。

表 10.3: ネスティングでRAID 10(1+0)を作成するシナリオ

rawデバイス RAID 1(ミラー) RAID 1+0(ストライピングミ

ラー)

/dev/sdb1 /dev/md0 /dev/md2

173 mdadmによるネストしたRAID 10 (1+0)デバイスの作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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rawデバイス RAID 1(ミラー) RAID 1+0(ストライピングミ

ラー)

/dev/sdc1

/dev/sdd1

/dev/sde1/dev/md1

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

2. RAID 1デバイスごとに2つの異なるデバイスを使用して、2つのソフトウェアRAID 1デバイスを

作成します。コマンドプロンプトで、次の2つのコマンドを入力します。

mdadm --create /dev/md0 --run --level=1 --raid-devices=2 /dev/sdb1 /dev/sdc1

mdadm --create /dev/md1 --run --level=1 --raid-devices=2 /dev/sdd1 /dev/sde1

3. ネストしたRAID 1+0デバイスを作成します。コマンドプロンプトで、ステップ 2で作成したソフト

ウェアRAID 1デバイスを使用して、次のコマンドを入力します。

mdadm --create /dev/md2 --run --level=0 --chunk=64 --raid-devices=2 /dev/md0 /dev/md1

デフォルトのチャンクサイズは 64KBです。

4. RAID 1+0デバイス /dev/md2上で、Reiser(reiserfs)などのファイルシステムを作成します。た

とえば、コマンドプロンプトで、次のように入力します。

mkfs.reiserfs /dev/md2

これとは別のファイルシステムを使用したい場合は、コマンドを変更します。

5. /etc/mdadm.confファイルを編集して、コンポーネントデバイスとRAIDデバイス /dev/md2の

エントリを追加します。

6. /etc/fstabファイルを編集して、RAID 1+0デバイス /dev/md2のエントリを追加します。

7. サーバを再起動します。

RAID 1+0デバイスが /localにマウントされます。

10.2.3 mdadmによるネストしたRAID 10 (0+1)デバイスの作成ネストしたRAID 0+1は、2個から4個のRAID 0(ストライプ)デバイスで構築され、それらのRAID 0デ

バイスをミラーリングしてRAID 1のコンポーネントデバイスとします。

174 mdadmによるネストしたRAID 10 (0+1)デバイスの作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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重要デバイスに対する複数の接続を管理する必要がある場合は、マルチパスI/Oを設定してか

ら、RAIDデバイスを設定する必要があります。詳細については、第7章 「デバイスのマルチパス

I/Oの管理」を参照してください。

この構成では、RAID 0がデバイスの喪失に耐えられないので、ベースのRAID 0デバイスにスペア

デバイスを指定できません。デバイスがミラーの1つのサイドでエラーになった場合は、置き換え用の

RAID 0デバイスを作成して、ミラーに追加します。

本項の手順では、次の表に示すデバイス名を使用します。それらのデバイス名は、必ず、ご使用のデバ

イスの名前で変更してください。

表 10.4: ネストによるRAID 10 (0+1)作成のシナリオ

rawデバイス RAID 0 (ストライプ) RAID 0+1 (ミラー化ストライピ

ング)

/dev/sdb1

/dev/sdc1/dev/md0

/dev/sdd1

/dev/sde1/dev/md1

/dev/md2

1. 端末コンソールを開いて、rootユーザまたは同等の権限で、ログインします。

2. RAID 0デバイスごとに2つの異なるデバイスを使用して、2つのソフトウェアRAID 0デバイスを

作成します。コマンドプロンプトで、次の2つのコマンドを入力します。

mdadm --create /dev/md0 --run --level=0 --chunk=64 --raid-devices=2 /dev/sdb1 /dev/sdc1

mdadm --create /dev/md1 --run --level=0 --chunk=64 --raid-devices=2 /dev/sdd1 /dev/sde1

デフォルトのチャンクサイズは 64KBです。

3. ネストしたRAID 0+1デバイスの作成コマンドプロンプトで、ステップ 2で作成したソフトウェア

RAID 0デバイスを使用して、次のコマンドを入力します。

mdadm --create /dev/md2 --run --level=1 --raid-devices=2 /dev/md0 /dev/md1

4. RAID 0+1デバイス /dev/md2上で、Reiser(reiserfs)などのファイルシステムを作成します。た

とえば、コマンドプロンプトで、次のように入力します。

175 mdadmによるネストしたRAID 10 (0+1)デバイスの作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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mkfs.reiserfs /dev/md2

これとは別のファイルシステムを使用したい場合は、コマンドを変更します。

5. /etc/mdadm.confファイルを編集して、コンポーネントデバイスとRAIDデバイス /dev/md2の

エントリを追加します。

6. /etc/fstabファイルを編集して、RAID 0+1デバイス /dev/md2のエントリを追加します。

7. サーバを再起動します。

RAID 0+1デバイスが /localにマウントされます。

10.3 コンプレックスRAID 10の作成10.3.1項 「コンプレックスRAID10の理解」

10.3.2項 「mdadmによるコンプレックスRAID 10の作成」

10.3.3項 「YaSTパーティショナ付きコンプレックスRAID 10の作成 」

10.3.1 コンプレックスRAID10の理解mdadmでは、RAID10レベルで、RAID 0(ストライピング)とRAID 1(ミラーリング)の両方の機能を組

み合わせた単一の複雑なソフトウェアRAIDが作成されます。すべてのデータブロックの複数のコピー

が、ストライピングの規則に従って、複数のドライブ上に配置されます。コンポーネントデバイスは、すべ

て同じサイズにする必要があります。

10.3.1.1項 「コンプレックスRAID10とネストしたRAID 10 (1+0)の比較」

10.3.1.2項 「コンプレックスRAID10のレプリカ数」

10.3.1.3項 「コンプレックスRAID10のデバイス数」

10.3.1.4項 「nearレイアウト」

10.3.1.5項 「farレイアウト」

10.3.1.6項 「offsetレイアウト」

10.3.1.1 コンプレックスRAID10とネストしたRAID 10 (1+0)の比較

コンプレックスRAID は、ネストしたRAID 10 (1+0)と目的は同じですが、次の点で異なります。

176 コンプレックスRAID 10の作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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表 10.5: コンプレックスRAID 10対ネストしたRAID 10

機能 コンプレックスRAID10 ネストしたRAID 10(1+0)

デバイスの数 偶数個または奇数個のコン

ポーネントデバイス

偶数個のコンポーネントデバイ

コンポーネントデバイス 単一のRAIDデバイスとして管

理されます。

ネストしたRAIDデバイスとして

管理されます。

ストライピング ストライピングは、コンポーネン

トデバイス上にnearレイアウト

またはfarレイアウトを生じます。

farレイアウトでは、RAID 1ペ

アの数でなく、ドライブ数で増

減するシーケンシャルな読み込

みスループットを提供します。

ストライピングは、連続的に、す

べてのコンポーネントデバイス

をまたぎます。

データの複数コピー 2からアレイ内のデバイス数ま

ミラーリングされたセグメントご

とにコピー

ホットスペアデバイス 単一スペアですべてのコンポー

ネントデバイスに対応できます。

ベースをなすミラーリングされ

たアレイごとにスペアを設定し

たり、すべてのミラーに対応す

るスペアグループに対するスペ

アを設定できます。

10.3.1.2 コンプレックスRAID10のレプリカ数

コンプレックスRAID10アレイの設定時に、データブロックごとに必要なレプリカ数を指定する必要があ

ります。デフォルトのレプリカ数は2ですが、2からアレイ内のデバイス数まで可能です。

10.3.1.3 コンプレックスRAID10のデバイス数

少なくとも、指定のレプリカ数と同数のコンポーネントデバイスを使用する必要があります。ただ

し、RAID10アレイのコンポーネントデバイス数は各データブロックのレプリカ数の倍数である必要はあ

りません。有効なストレージサイズは、デバイス数をレプリカ数で割った数です。

177 コンプレックスRAID10の理解 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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たとえば、5個のコンポーネントデバイスで作成したアレイに2つのレプリカを指定した場合は、各ブロッ

クのコピーが2つの異なるデバイスに保存されます。したがって、すべてのデータの1コピーの有効なスト

レージサイズは、5/2(つまり、コンポーネントデバイスのサイズの2.5倍)となります。

10.3.1.4 nearレイアウト

nearレイアウトでは、異なるコンポーネントデバイス上で、データブロックのコピーが互いに接近してスト

ライプされます。つまり、あるデータブロックの複数のコピーが異なるデバイス内で同様にオフセットされ

ます。nearは、RAID10のデフォルトレイアウトです。たとえば、奇数個のコンポーネントデバイスとデー

タの2コピーを使用する場合は、一部のコピーが、1チャンク分、デバイス内を前進します。

mdadm RAID 10のnearレイアウトは、半数のドライブ上のRAID 0と同様の読み書きパフォーマンス

を提供します。

偶数個のディスクと2つのレプリカを使用したnearレイアウト

sda1 sdb1 sdc1 sde1 0    0    1    1 2    2    3    3 4    4    5    5 6    6    7    7 8    8    9    9

奇数個のディスクと2つのレプリカを使用したnearレイアウト

sda1 sdb1 sdc1 sde1 sdf1 0    0    1    1    2 2    3    3    4    4 5    5    6    6    7 7    8    8    9    9 10 10 11   11   12

10.3.1.5 farレイアウト

farレイアウトは、すべてのドライブの前半部分にデータをストライプし、次に、2つ目のデータコピーをす

べてのドライブの後半部分にストライプして、ブロックのすべてのコピーが異なるドライブに配置される

ようにします。値の2つ目のセットは、コンポーネントドライブの中ほどから開始します。

farレイアウトでは、 mdadm RAID10の読み込みパフォーマンスは、すべてのドライブを使用したRAID

0と同様ですが、書き込みパフォーマンスは、ドライブヘッドのシーク回数が増えるので、RAID 0よりか

なり遅くなります。このレイアウトは、 読み込み専用ファイルサーバなどの、読み込み集約型操作に最適

です。

178 コンプレックスRAID10の理解 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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raid10の書き込み速度は、付近のレイアウトを使用しているraid1やraid0などの他のミラーリング

RAIDの種類と同等です。これは、ファイルシステムのエレベータが生の書き込みよりも効率のよい書き

込みのスケジュールを行うためです。Raid10をfarレイアウトで使用する方法は、ミラーリングによる書

き込みアプリケーションに適しています。

偶数個のディスクと2つのレプリカを使用したfarレイアウト

sda1 sdb1 sdc1 sde1 0    1    2    3 4    5    6    7 . . . 3    0    1    2 7    4    5    6

奇数個のディスクと2つのレプリカを使用したfarレイアウト

sda1 sdb1 sdc1 sde1 sdf1 0    1    2    3    4 5    6    7    8    9 . . . 4    0    1    2    3 9    5    6    7    8

10.3.1.6 offsetレイアウト

offsetレイアウトでは、あるチャンクの複数のコピーが連続したドライブ上で連続したオフセットにレイア

ウトされるよう、ストライプが複製されます。実際は、それぞれのストライプが複製され、コピーが1つのデ

バイスでオフセットされます。これにより、適度な大きさのチャンクサイズを使用している場合は、farレイ

アウトと同様の読み込み特性が得られますが、書き込みのシーク回数は少なくなります。

偶数個のディスクと2つのレプリカを使用したoffsetレイアウト

sda1 sdb1 sdc1 sde1 0    1    2    3 3    0    1    2 4 5 6 7 7    4    5    6 8 9 10 11 11 8 9 10

奇数個のディスクと2つのレプリカを使用したoffsetレイアウト

sda1 sdb1 sdc1 sde1 sdf1 0    1    2    3    4 4 0 1 2 3

179 コンプレックスRAID10の理解 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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5 6 7 8 9 9 5 6 7 8 10 11 12 13 14 14 10 11 12 13

10.3.2 mdadmによるコンプレックスRAID 10の作成

mdadmのRAID10オプションでは、ネストなしのRAID 10デバイスが作成されます。RAID10について

は、10.3.1項 「コンプレックスRAID10の理解」を参照してください。

このセクションのプロシージャでは、次のテーブルに示すデバイス名を使用します。それらのデバイス名

は、必ず、ご使用のデバイスの名前で変更してください。

表 10.6: MDADM RAID10オプションでRAID 10を作成するシナリオ

rawデバイス RAID10(near/farストライピングスキーム)

/dev/sdf1

/dev/sdg1

/dev/sdh1

/dev/sdi1

/dev/md3

1. YaSTで、RAIDで使用したいデバイス( /dev/sdf1 、 /dev/sdg1 、 /dev/sdh1 、 /dev/sdi1な

ど)に0xFD Linux RAIDパーティションを作成します。

2. 端末コンソールを開いて、rootユーザまたは同等の権限で、ログインします。

3. RAID 10 コマンドを作成します。コマンドプロンプトで、次のように入力します(すべて同じ行)。

mdadm --create /dev/md3 --run --level=10 --chunk=4 --raid-devices=4 /dev/sdf1 /dev/sdg1 /dev/sdh1 /dev/sdi1

4. RAID 10デバイス /dev/md3上にReiserファイルシステムを作成します。コマンドプロンプトで、

次のように入力します

mkfs.reiserfs /dev/md3

5. /etc/mdadm.confファイルを編集して、コンポーネントデバイスとRAIDデバイス /dev/md3の

エントリを追加します。次に例を示します。

DEVICE /dev/md3

180 mdadmによるコンプレックスRAID 10の作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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6. /etc/fstabファイルを編集して、RAID 10デバイス /dev/md3のエントリを追加します。

7. サーバを再起動します。

RAID 10デバイスが /raid10にマウントされます。

10.3.3 YaSTパーティショナ付きコンプレックスRAID 10の作成

1. rootユーザとしてYaSTを起動して、パーティショナを開きます。

2. [ハードディスク]を選択して、利用可能なディスク(sdab、sdc、sdd、sdeなど)を確認します。

3. ソフトウェアRAIDで使用する予定の各ディスクについて、RAIDパーティションをデバイス上に

作成します。それぞれのパーティションは、同じサイズである必要があります。RAID 10デバイス

に対して、以下を行う必要があります。

a. [ハードディスク]で、デバイスを選択し、次に右側のパネルで[パーティション]を選択しま

す。

b. [追加]をクリックして、[パーティションを追加]ウィザードを開きます。

c. [新しいパーティションの種類]で、[プライマリパーティション]を選択し、次に[次へ]をク

リックします。

d. [新しいパーティションのサイズ]で、このディスク上のRAIDパーティションの希望のサイ

ズを指定し、次に[次へ]をクリックします。

e. [フォーマットオプション]で、[パーティションをフォーマットしない]を選択し、次に[ファイ

ルシステムID]ドロップダウンリストから[0xFD Linux RAID]を選択します。

f. [マウントオプション]で、[パーティションマウントしない]を選択し、次に[完了]をクリックし

ます。

g. 上記の手順を、RAID 10デバイスで使用する予定のディスク上のRAIDパーティションを

定義し終わるまで、繰り返します。

4. RAID 10デバイスを作成します。

a. [RAID]を選択し、次に右側のパネルで[RAIDを追加]を選択して、[RAIDの追加]ウィ

ザードを開きます。

b. [RAIDタイプ]で、[RAID 10 (ミラーリングおよびストライピング)]を選択します。

181 YaSTパーティショナ付きコンプレックスRAID 10の作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

Page 197: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

c. [利用可能なデバイス]リストで、希望のLinux RAIDパーティションを選択し、次に[追加]

をクリックして、それらを[選択したデバイス]リストに移動します。

d. (オプション)[Classify]をクリックして、RAIDアレイ内でのディスクの好みの順番を指定し

ます。

追加したディスクの順番が重要となるRAIDタイプの場合は、アレイの半分が1つのディス

クサブシステムに、もう半分が別のディスクサブシステムに置かれるよう、デバイスが使用

される順番を指定することができます。たとえば、1つのディスクサブシステムに障害が発

生した場合、システムは2番目のディスクサブシステムから稼働し続けます。

i. 各ディスクを順番に選択して、[Class X]ボタンのいずれかをクリックします。ここ

で、Xは、そのディスクに割り当てる文字です。用意されているクラスはA、B、C、Dお

よびEですが、多くの場合必要なクラスはそれより少ないです(たとえばAとBのみ)。

このようにして、すべての利用可能なRAIDディスクを割り当てます。

複数の を選択するには、CtrlキーまたはShiftキーを押します。選択したデバイスを右

クリックして、コンテキストメニューから適切なクラスを選択することもできます。

ii. 次のソートオプションのいずれかを選択して、デバイスの順序を指定します。

Sorted: クラスAのすべてのデバイスを、クラスBのすべてのデバイスより前に、とい

うように並べます。例: AABBCC 。

Interleaved: クラスAの最初のデバイス、次にクラスBの最初のデバイス、次にデバ

イスが割り当てられたすべての後続のクラスの順に、デバイスを並べます。次にクラス

182 YaSTパーティショナ付きコンプレックスRAID 10の作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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Aの2番目のデバイス、クラスBの2番目のデバイス、というように続きます。クラスを

持たないデバイスはすべて、デバイスリストの最後に並べられます。例: ABCABC 。

Pattern File: それぞれが正規表現とクラス名である、複数の行を含む既存のファ

イルを選択します( "sda.* A" )。その正規表現に合致するすべてのデバイスが、

その行に指定されたクラスに割り当てられます。正規表現は、カーネル名( /dev/

sda1 )、udevパス名( /dev/disk/by-path/pci-0000:00:1f.2-scsi-0:0:0:0-

part1 )、次にudev ID (/dev/disk/by-id/ata-ST3500418AS_9VMN8X8L-

part1)に対して照合されます。デバイスの名前が、2つ以上の正規表現に合致する

場合は、最初に合致したものでクラスが決定されます。

iii. ダイアログボックスの下で、[OK]をクリックして、順番を確定します。

e. [次へ]をクリックします。

f. [RAIDオプション]で、[チャンクサイズ]と[パリティアルゴリズム]を指定し、次に[次へ]

をクリックします。

RAID 10の場合、パリティオプションは、n (near)、f (far)、およびo (offset)です。数字は、

必要となる各データブロックのレプリカの数を示します。2がデフォルトの設定です。詳細に

ついては、10.3.1項 「コンプレックスRAID10の理解」を参照してください。

g. ファイルシステムとマウントオプションをRAIDデバイスに追加して、[完了]をクリックしま

す。

183 YaSTパーティショナ付きコンプレックスRAID 10の作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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5. [RAID]を選択し、新たに作成されたRAIDデバイスを選択してから、[使用するデバイス]をク

リックして、そのパーティションを確認します。

6. [次へ]をクリックします。

7. 変更する内容を確認して、[完了]をクリックすると、RAIDが作成されます。

10.4 ディグレードアレイの作成ディグレードアレイは、一部のデバイスが欠けたアレイです。ディグレードアレイは、RAID 1、RAID

4、RAID 5、およびRAID 6に対してのみサポートされています。これらのRAIDタイプは、その耐障害

性機能として、一部のデバイスの欠落に耐えるように設計されています。通常、デバイスに障害が発生

すると、ディグレードアレイが生成されます。ディグレードアレイは、意図的に作成するすることもできま

す。

RAIDの種類 許容可能な欠落スロット数

RAID 1 1つ以外の全スロット

RAID 4 1スロット

RAID 5 1スロット

RAID 6 1個または2個のスロット

184 ディグレードアレイの作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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一部のデバイスが欠落したディグレードアレイを作成するには、単に、デバイス名の代わり

に missingというワードを指定します。この指定により、 mdadmは、アレイ内の対応するスロットを空のま

ま残します。

RAID 5アレイの作成時に、 mdadmによって、余分なスペアドライブをもつディグレードアレイが自動的

に作成されます。これは、一般に、ディグレードアレイ内にスペアを構築した方が、ディグレードアレイで

はないが正常でないアレイ上でパリティを再同期するより高速なためです。この機能は、 --forceオプ

ションで無効にできます。

RAIDを作成したいが、使用するデバイスの1つに既にデータが入っている場合は、ディグレードアレイ

を作成すると便利なことがあります。その場合は、他のデバイスでディグレードアレイを作成し、その使用

中のデバイスからのデータをディグレードモードで実行中のRAIDにコピーし、デバイスをRAIDに追加

して、RAIDの再構築まで待機すると、データがすべてのデバイスに行き渡ります。このプロセスの例を、

次のプロシージャで示します。

1. ディグレードRAID 1デバイス /dev/md0を単一ドライブ /dev/sd1で作成します。コマンドプロン

プトで、次のように入力してください。

mdadm --create /dev/md0 -l 1 -n 2 /dev/sda1 missing

追加先のデバイスは、追加するデバイスと同じか、またはそれ以上のサイズをもつ必要がありま

す。

2. ミラーに追加したいデバイスに、RAIDアレイに移動したいデータが含まれている場合は、この時

点で、そのデータを、ディグレードモードで実行中のRAIDアレイにコピーします。

3. デバイスをミラーに追加します。たとえば、add /dev/sdb1をRAIDに追加するには、コマンドプ

ロンプトで、次のように入力します。

mdadm /dev/md0 -a /dev/sdb1

一度に1つのデバイスのみ追加できます。カーネルがミラーを構築し、完全にオンラインにした後、

別のミラーを追加できます。

4. 構築の進捗状況を監視するには、コマンドプロンプトで、次のように入力します。

cat /proc/mdstat

毎秒更新されている間に再構築の進捗を確認するには、次のように入力します。

watch -n 1 cat /proc/mdstat

185 ディグレードアレイの作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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11 mdadmによるソフトウェアRAIDアレイのサイズ変更

本項では、ソフトウェアRAID 1、4、5、または6のデバイスのサイズを複数デバイス管理( mdadm(8) )

ツールで増減する方法について説明します。

警告このセクションに示されたタスクを開始する前に、すべてのデータに有効なバックアップがあるこ

とを確認してください。

11.1項 「サイズ変更プロセスの理解」

11.2項 「ソフトウェアRAIDのサイズの増加」

11.3項 「ソフトウェアRAIDのサイズの削減」

11.1 サイズ変更プロセスの理解既存のソフトウェアRAIDデバイスのサイズ変更には、各コンポーネントパーティションが提供するス

ペースの増減が必要です。

11.1.1項 「ソフトウェアRAIDサイズ変更のガイドライン 」

11.1.2項 「タスクの概要」

11.1.1 ソフトウェアRAIDサイズ変更のガイドライン

mdadm(8)ツールは、ソフトウェアRAIDレベル1、4、5、および6に対してだけサイズ変更をサポートし

ます。これらのRAIDレベルには耐障害性があるので、一度に1つづつ、サイズ変更するコンポーネント

パーティションを削除できます。原則として、RAIDパーティションのホットリサイズが可能ですが、その

場合は、データの保全に特に注意する必要があります。

デバイス上の使用可能スペースで変更内容を利用するために、RAIDに常駐するファイルシステムも

サイズ変更できる必要があります。SUSE® Linux Enterprise Server 11では、ファイルシステム

Ext2、Ext3、およびReiserFSに対して、ファイルシステムのサイズ変更ユーティリティを使用できます。

このユーティリティは、次のようにサイズの増減をサポートします。

186 サイズ変更プロセスの理解 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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表 11.1: ファイルシステムサイズ変更のサポート

ファイルシステム ユーティリティ サイズを増加 サイズを減少

Ext2またはExt3 resize2fs はい(ただし、オフライ

ンのみ)

はい(ただし、オフライ

ンのみ)

ReiserFS resize_reiserfs はい(オンラインまたは

オフライン)

はい(ただし、オフライ

ンのみ)

パーティションまたはファイルシステムのサイズ変更には、データを失う可能性をはらむリスクが伴いま

す。

警告データの喪失を避けるには、データを必ずバックアップしてから、サイズ変更タスクを開始します。

11.1.2 タスクの概要

RAIDのサイズ変更には、次のようなタスクがあります。タスクの実行順序は、サイズを増加するか、減

少するかによって異なります。

表 11.2: RAIDのサイズ変更に必要なタスク

仕事 説明 サイズを

増大させ

る場合の

順序

サイズを

減少させ

る場合の

順序

各コンポーネントパー

ティションのサイズを

変更します。

各コンポーネントパーティションのアクティブな

サイズを増加または減少します。一度に1つのコ

ンポーネントパーティションだけを削除し、そのサ

イズを変更してから、パーティションをRAIDに戻

します。

1 2

ソフトウェアRAID自体

をサイズ変更します。

RAIDは、ベースのコンポーネントパーティショ

ンの増減を自動的には認識しません。したがっ

て、RAIDに新しいサイズを知らせる必要があり

ます。

2 3

187 タスクの概要 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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仕事 説明 サイズを

増大させ

る場合の

順序

サイズを

減少させ

る場合の

順序

ファイルシステムのサ

イズを変更します。

RAIDに常駐するファイルシステムをサイズ変更

する必要があります。これは、サイズ変更のツー

ルを提供するファイルシステムの場合のみ可能

です(Ext2、Ext3、ReiserFSなど)。

3 1

11.2 ソフトウェアRAIDのサイズの増加始める前に、11.1項 「サイズ変更プロセスの理解」のガイドラインをレビューしてください。

11.2.1項 「コンポーネントパーティションのサイズの増加」

11.2.2項 「RAIDアレイのサイズの増加」

11.2.3項 「ファイルシステムのサイズの増加」

11.2.1 コンポーネントパーティションのサイズの増加

RAID 1、4、5、または6のサイズを増加するには、本項の手順を適用します。RAID内のコンポーネント

パーティションごとに、RAIDからパーティションを削除し、そのサイズを変更し、パーティションをRAID

に戻し、RAIDが安定するまで待機してから続行します。パーティションが削除されている間、RAIDは

ディグレードモードで動作し、ディスクの 耐障害性がまったくないか、または低下しています。複数の同

時ディスク障害を許容できるRAIDの場合でも、一度に2つ以上のパーティションを削除しないでくださ

い。

警告RAIDに、ディスクの耐障害性がないか、単に一貫性がない場合、パーティションのどれかを削

除すると、データが失われます。パーティションの削除は注意深く行い、必ず、データのバック

アップをとってください。

このセクションのプロシージャでは、次のテーブルに示すデバイス名を使用します。これらの名前は変

更して、必ずご使用のデバイスの名前を使用してください。

188 ソフトウェアRAIDのサイズの増加 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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表 11.3: コンポーネントパーティションのサイズを増加するシナリオ

RAIDデバイス コンポーネントパーティション

/dev/md0 /dev/sda1

/dev/sdb1

/dev/sdc1

RAID用コンポーネントパーティションのサイズを増加するには:

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

2. 次のように入力して、RAIDアレイが一貫性を保っており、同期されていることを確認します。

cat /proc/mdstat

このコマンドの出力によって、RAIDアレイがまだ同期中とわかる場合は、同期化の完了まで待っ

て、続行してください。

3. コンポーネントパーティションの1つをRAIDアレイから削除します。たとえば、次のように入力し

て、 /dev/sda1を削除します。

mdadm /dev/md0 --fail /dev/sda1 --remove /dev/sda1

成功するためには、failとremoveの両方のアクションが行われる必要があります。

4. 次のオプションの1つを実行して、ステップ 3で削除したパーティションのサイズを増加します。

fdisk(8) 、 cfdisk(8) 、 parted(8)などのディスクパーティショナを使用して、パーティ

ションのサイズを増加します。通常は、このオプションが選択されます。

パーティションの常駐ディスクを、容量のより大きいデバイスに置き換えます。

このオプションは、元ディスクの他のファイルシステムがシステムによりアクセスされない

場合だけ選択できます。置き換え用デバイスをRAIDに追加すると、元のデバイスにあった

データをすべて再構築しなければならないので、データの同期にはるかに長い時間がかか

ります。

5. パーティションをRAIDアレイに再追加します。たとえば、次のように入力して、 /dev/sda1を追加

します。

mdadm -a /dev/md0 /dev/sda1

RAIDが同期され、一貫性をもつまで待機してから、次のパーティションの処理に進みます。

189 コンポーネントパーティションのサイズの増加 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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6. アレイ内の残りのコンポーネントデバイスごとに、ステップ 2からステップ 5まで繰り返します。正

しいコンポーネントパーティションに対して、必ずコマンドを変更してください。

7. カーネルがRAIDのパーティションテーブルを再読み込みできないというメッセージが表示され

たら、すべてのパーティションのサイズ変更後にコンピュータを再起動して、パーティションテーブ

ルの更新を強制する必要があります。

8. 11.2.2項 「RAIDアレイのサイズの増加」に進みます。

11.2.2 RAIDアレイのサイズの増加

RAID内の各コンポーネントパーティションのサイズ変更後(11.2.1項 「コンポーネントパーティション

のサイズの増加」参照)も、新しい使用可能スペースの認識を強制するまで、RAIDアレイの設定では、

元のアレイサイズが使用され続けます。RAIDアレイのサイズを指定したり、使用可能な最大スペースを

使用できます。

本項の手順では、RAIDデバイスのデバイス名として //dev/md0を使用しています。この名前は変更

して、必ずご使用のデバイスの名前を使用してください。

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

2. 次のように入力して、アレイのサイズとアレイに認識されるデバイスサイズをチェックします。

mdadm -D /dev/md0 | grep -e "Array Size" -e "Device Size"

3. 次のいずれかの操作を行います。

次のように入力して、アレイサイズを使用可能な最大サイズまで増加します。

mdadm --grow /dev/md0 -z max

次のように入力して、アレイサイズを使用可能な最大サイズまで増加します。

mdadm --grow /dev/md0 -z max --assume-clean

アレイは、デバイスに追加されたスペースを利用しますが、このスペースは同期されませ

ん。これがRAID1に推奨される理由は、同期が不要だからです。メンバーデバイスに追加

されたスペースが事前にゼロ化されていれば、他のRAIDレベルに有用なことがあります。

次のように入力して、アレイサイズを指定の値まで増加します。

mdadm --grow /dev/md0 -z size

190 RAIDアレイのサイズの増加 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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sizeを、キロバイト(1キロバイトは1024バイト)単位で目的のサイズを表す整数値で置き

換えます。

4. 次のように入力して、アレイのサイズとアレイに認識されるデバイスサイズを再チェックします。

mdadm -D /dev/md0 | grep -e "Array Size" -e "Device Size"

5. 次のいずれかの操作を行います。

アレイのサイズ変更が成功していたら、11.2.3項 「ファイルシステムのサイズの増加」を続

行します。

アレイが予期どおりにサイズ変更されていない場合は、いったん再起動してから、このプロ

シージャを再試行する必要があります。

11.2.3 ファイルシステムのサイズの増加

アレイサイズの増加後は (11.2.2項 「RAIDアレイのサイズの増加」参照)、ファイルシステムのサイズ変

更ができます。

ファイルシステムのサイズを使用可能な最大スペースまで増加したり、正確なサイズを指定できます。

ファイルシステムに正確なサイズを指定する場合は、その新しいサイズが次の条件を満たすかどうかを

必ず確認してください。

新しいサイズは、既存データのサイズより大きくなければなりません。さもないと、データが失われ

ます。

ファイルシステムのサイズは使用可能なスペースより大きくできないので、新しいサイズは、現在

のRAIDサイズ以下でなければなりません。

11.2.3.1 Ext2またはExt3

Ext2とExt3のファイルシステムは、 resize2fsコマンドでマウントまたはアンマウントする際にサイズ

変更できます。

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

2. 次の方法の1つで、ファイルシステムのサイズを増加します。

ファイルシステムのサイズを、 /dev/md0と呼ばれるソフトウェアRAIDデバイスの最大使

用可能サイズまで拡張するには、次のコマンドを入力します。

191 ファイルシステムのサイズの増加 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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resize2fs /dev/md0

sizeパラメータを指定しない場合、サイズはパーティションのサイズにデフォルト設定され

ます。

ファイルシステムを特定のサイズに拡張するには、次のコマンドを入力します。

resize2fs /dev/md0 size

sizeパラメータは、要求されたファイルシステムの新サイズを指定します。単位を指定しな

い場合のsizeパラメータの単位は、ファイルシステムのブロックサイズです。オプションとし

て、sizeパラメータの後ろに、次の単位指定子の1つを付けることができます。sは512バイト

のセクタ、Kはキロバイト(1キロバイトは1024バイト)、Mはメガバイト、Gはギガバイトを表し

ます。

サイズ変更が完了するまで待って、続行します。

3. ファイルシステムがマウントされていない場合は、この時点で、ファイルシステムをマウントします。

たとえば、Ext2ファイルシステムを、 /dev/md0という名前のRAIDに、マウントポイント /raidで

マウントするには、次のように入力します。

mount -t ext2 /dev/md0 /raid

4. 次のように入力して、マウントされたファイルシステムに対するサイズ変更の効果をチェックしま

す。

df -h

ディスクフリー( df )コマンドは、ディスクの合計サイズ、使用されたブロック数、およびファイルシ

ステムで使用可能なブロック数を表示します。-hオプションは、読みやすい形式でサイズを出力

します(1K、234M、2Gなど)。

11.2.3.2 ReiserFS

Ext2およびExt3と同様に、ReiserFSファイルシステムは、マウントまたはアンマウント時にサイズを増

加できます。サイズ変更は、RAIDアレイのブロックデバイス上で行われます。

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

2. /dev/md0と呼ばれるソフトウェアRAIDデバイスのファイルシステムのサイズを、次の方法の1

つを使用して変更します。

192 ファイルシステムのサイズの増加 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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ファイルシステムのサイズをデバイスの使用可能な最大サイズまで拡張するには、次のよ

うに入力します。

resize_reiserfs /dev/md0

サイズを指定しないと、ボリュームはパーティションのフルサイズまで拡張されます。

ファイルシステムを特定のサイズに拡張するには、次のコマンドを入力します。

resize_reiserfs -s size /dev/md0

sizeを目的のサイズ(バイト単位)で置き換えます。50000K(キロバイト)、250M(メガバ

イト)、2G (ギガバイト)など、値の単位を指定することもできます。代わりに、プラス(+)記号

を値の前に付けることにより、現在のサイズに対する増加を指定することもできます。たとえ

ば、次のコマンドは、 /dev/md0上のファイルシステムのサイズを500 MB分増加します。

resize_reiserfs -s +500M /dev/md0

サイズ変更が完了するまで待って、続行します。

3. ファイルシステムがマウントされていない場合は、この時点で、ファイルシステムをマウントします。

たとえば、ReiserFSファイルシステムを、 /dev/md0というRAIDに、マウントポイント /raidでマ

ウントするには、次のように入力します。

mount -t reiserfs /dev/md0 /raid

4. 次のように入力して、マウントされたファイルシステムに対するサイズ変更の効果をチェックしま

す。

df -h

ディスクフリー( df )コマンドは、ディスクの合計サイズ、使用されたブロック数、およびファイルシ

ステムで使用可能なブロック数を表示します。-hオプションは、読みやすい形式でサイズを出力

します(1K、234M、2Gなど)。

11.3 ソフトウェアRAIDのサイズの削減始める前に、11.1項 「サイズ変更プロセスの理解」のガイドラインをレビューしてください。

193 ソフトウェアRAIDのサイズの削減 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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11.3.1項 「ファイルシステムのサイズの削減」

11.3.2項 「RAIDアレイサイズの削減」

11.3.3項 「コンポーネントパーティションのサイズの削減」

11.3.1 ファイルシステムのサイズの削減

RAIDデバイス上のファイルシステムのサイズを削減する際には、新しいサイズが次の条件を満たすか

どうかを必ず確認してください。

新しいサイズは、既存データのサイズより大きくなければなりません。さもないと、データが失われ

ます。

ファイルシステムのサイズは使用可能なスペースより大きくできないので、新しいサイズは、現在

のRAIDサイズ以下でなければなりません。

SUSE Linux Enterprise Serverでは、Ext2、Ext3、およびReiserFSが、ファイルシステムのサイズを

縮小するユーティリティを提供します。以降の該当するプロシージャを使用して、ファイルシステムのサ

イズを減少させてください。

このセクションのプロシージャでは、RAIDデバイスのデバイス名として //dev/md0を使用しています。

コマンドを変更して、必ずご使用のデバイスの名前を使用してください。

11.3.1.1項 「Ext2またはExt3」

11.3.1.2項 「ReiserFS」

11.3.1.1 Ext2またはExt3

Ext2とExt3のファイルシステムは、マウントまたはアンマウント時にサイズ変更できます。

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

2. RAID上のファイルシステムのサイズを減少させるには、次のコマンドを入力します。

resize2fs /dev/md0 <size>

sizeを、目的のサイズを表す整数値(キロバイト単位)で置き換えます(1キロバイトは1024バイ

ト)。

サイズ変更が完了するまで待って、続行します。

194 ファイルシステムのサイズの削減 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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3. ファイルシステムがマウントされていない場合は、この時点で、ファイルシステムをマウントします。

たとえば、Ext2ファイルシステムを、 /dev/md0という名前のRAIDに、マウントポイント /raidで

マウントするには、次のように入力します。

mount -t ext2 /dev/md0 /raid

4. 次のように入力して、マウントされたファイルシステムに対するサイズ変更の効果をチェックしま

す。

df -h

ディスクフリー( df )コマンドは、ディスクの合計サイズ、使用されたブロック数、およびファイルシ

ステムで使用可能なブロック数を表示します。-hオプションは、読みやすい形式でサイズを出力

します(1K、234M、2Gなど)。

5. 11.3.2項 「RAIDアレイサイズの削減」に進みます。

11.3.1.2 ReiserFS

ReiserFSファイルシステムのサイズは、ボリュームがアンマウントされる場合のみ、減少させることがで

きます。

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

2. 次のコマンドを入力して、デバイスをアンマウントします。

umount /mnt/point

サイズを削減するパーティションにシステムファイル(ルート /ボリュームなど)が含まれていると、

ブート可能なCDまたはフロッピーからブートする場合のみ、アンマウントが可能です。

3. /dev/md0と呼ばれるソフトウェアRAIDデバイス上のファイルシステムのサイズを減らすには、

次のように入力します。

resize_reiserfs -s size /dev/md0

sizeを目的のサイズ(バイト単位)で置き換えます。50000K(キロバイト)、250M(メガバイ

ト)、2G (ギガバイト)など、値の単位を指定することもできます。代わりに、マイナス(-)記号を値

の前に付けて、現在のサイズに対する削減分を指定することもできます。たとえば、次のコマンド

は、 /dev/md0上のファイルシステムのサイズを 500 MB分減少させます。

resize_reiserfs -s -500M /dev/md0

195 ファイルシステムのサイズの削減 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

Page 211: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

サイズ変更が完了するまで待って、続行します。

4. 次のコマンドで、ファイルシステムをマウントします。

mount -t reiserfs /dev/md0 /mnt/point

5. 次のように入力して、マウントされたファイルシステムに対するサイズ変更の効果をチェックしま

す。

df -h

ディスクフリー( df )コマンドは、ディスクの合計サイズ、使用されたブロック数、およびファイルシ

ステムで使用可能なブロック数を表示します。-hオプションは、読みやすい形式でサイズを出力

します(1K、234M、2Gなど)。

6. 11.3.2項 「RAIDアレイサイズの削減」に進みます。

11.3.2 RAIDアレイサイズの削減

ファイルシステムのサイズ変更後、RAIDアレイ設定では、利用可能スペースを縮小するよう強制する

まで、元のアレイサイズを使い続けます。RAIDが、削減したセグメントサイズを使用するようにするに

は、 mdadm --growモードを使用します。それを行うには、-zオプションを使用して、RAID内の各デバ

イスが使用するスペースの量を、キロバイトで指定する必要があります。このサイズは、チャンクサイズ

の倍数である必要があり、RAIDのスーパーブロックをデバイスに書き込むためのスペースとして、約

128KBを残しておかなければなりません。

このセクションのプロシージャでは、RAIDデバイスのデバイス名として //dev/md0を使用しています。

コマンドを変更して、必ずご使用のデバイスの名前を使用してください。

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

2. 次のように入力して、アレイのサイズとアレイに認識されるデバイスサイズをチェックします。

mdadm -D /dev/md0 | grep -e "Array Size" -e "Device Size"

3. 次のコマンドで、アレイのデバイスサイズを指定の値まで減少させます。

mdadm --grow /dev/md0 -z <size>

sizeを、目的のサイズを表す整数値(キロバイト単位)で置き換えます(1キロバイトは1024バイ

ト)。

196 RAIDアレイサイズの削減 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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たとえば、次のコマンドでは、各RAIDデバイスのセグメントサイズを約40 GBに設定し、チャンク

サイズは64 KBです。これには、RAIDのスーパーブロック用の128 KBが含まれます。

mdadm --grow /dev/md2 -z 41943168

4. 次のように入力して、アレイのサイズとアレイに認識されるデバイスサイズを再チェックします。

mdadm -D /dev/md0 | grep -e "Array Size" -e "Device Size"

5. 次のいずれかの操作を行います。

アレイのサイズ変更が成功していたら、11.3.3項 「コンポーネントパーティションのサイズ

の削減」を続行します。

アレイが予期どおりにサイズ変更されていない場合は、いったん再起動してから、このプロ

シージャを再試行する必要があります。

11.3.3 コンポーネントパーティションのサイズの削減

RAID内の各デバイスで使用されるセグメントサイズの削減後、各コンポーネントパーティション内の

残りのスペースは、そのRAIDでは使われません。パーティションを現在のサイズのまま残して将来の

RAIDの拡大に備えることも、今は使用しないそのスペースを利用することもできます。

そのスペースを利用するには、コンポーネントパーティションを1つずつ削減します。コンポーネントパー

ティションごとに、そのパーティションをRAIDから削除し、パーティションサイズを縮小し、パーティショ

ンをRAIDに戻したら、RAIDが安定するまで待機します。メタデータに備えるには、11.3.2項 「RAIDア

レイサイズの削減」でRAIDに対して指定したサイズより、若干大きなサイズを指定する必要がありま

す。

パーティションが削除されている間、RAIDはディグレードモードで動作し、ディスクの 耐障害性がまっ

たくないか、または低下しています。複数の同時ディスクエラーに耐えるRAIDの場合でも、一度に2つ

以上のコンポーネントパーティションを削除しないでください。

警告RAIDに、ディスクの耐障害性がないか、単に一貫性がない場合、パーティションのどれかを削

除すると、データが失われます。パーティションの削除は注意深く行い、必ず、データのバック

アップをとってください。

このセクションのプロシージャでは、次のテーブルに示すデバイス名を使用します。これらのコマンドは

変更して、必ずご使用のデバイスの名前を使用してください。

197 コンポーネントパーティションのサイズの削減 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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表 11.4: コンポーネントパーティションのサイズを増加するシナリオ

RAIDデバイス コンポーネントパーティション

/dev/md0 /dev/sda1

/dev/sdb1

/dev/sdc1

RAID用コンポーネントパーティションのサイズを削減するには:

1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザまたは同等の権限でログインします。

2. 次のように入力して、RAIDアレイが一貫性を保っており、同期されていることを確認します。

cat /proc/mdstat

このコマンドの出力によって、RAIDアレイがまだ同期中とわかる場合は、同期化の完了まで待っ

て、続行してください。

3. コンポーネントパーティションの1つをRAIDアレイから削除します。たとえば、次のように入力し

て、 /dev/sda1を削除します。

mdadm /dev/md0 --fail /dev/sda1 --remove /dev/sda1

成功するためには、failとremoveの両方のアクションが行われる必要があります。

4. ステップ 3で削除したパーティションのサイズを、セグメントサイズに設定したサイズより若干小さ

いサイズに減らします。このサイズは、チャンクサイズの倍数であり、RAIDのスーパーブロック用

に128 KBを確保する必要があります。 fdisk 、 cfdisk 、 partedなどのディスクパーティショ

ナを使用して、パーティションのサイズを縮小します。

5. パーティションをRAIDアレイに再追加します。たとえば、次のように入力して、 /dev/sda1を追加

します。

mdadm -a /dev/md0 /dev/sda1

RAIDが同期され、一貫性をもつまで待機してから、次のパーティションの処理に進みます。

6. アレイ内の残りのコンポーネントデバイスごとに、ステップ 2からステップ 5まで繰り返します。正

しいコンポーネントパーティションに対して、必ずコマンドを変更してください。

7. カーネルがRAIDのパーティションテーブルを再読み込みできないというメッセージが表示され

たら、すべてのパーティションのサイズ変更後にコンピュータを再起動する必要があります。

198 コンポーネントパーティションのサイズの削減 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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8. (オプション) RAIDとファイルシステムのサイズを拡大して、現在は小さめのコンポーネントパー

ティション内のスペースの最大量を利用するには、次のようにします。

a. RAIDのサイズを拡大して、縮小したサイズのコンポーネントパーティション内で現在利用

可能なスペースの最大量を利用します。

mdadm --grow /dev/md0 -z max

b. ファイルシステムのサイズを拡大して、新たにサイズ変更したRAID内の利用可能なス

ペースをすべて利用します。詳細については、11.2.3項 「ファイルシステムのサイズの増

加」を参照してください。

199 コンポーネントパーティションのサイズの削減 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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12 MDソフトウェアRAID用のストレージエンクロージャLEDユーティリティ

ストレージエンクロージャLEDモニタリングユーティリティ( ledmon(8) )およびLEDコントロール

( ledctl(8) )ユーティリティは、多様なインタフェースおよびプロトコルを使用してストレージエンク

ロージャLEDを制御する、Linuxのユーザスペースアプリケーションです。その主たる用途は、mdadm

ユーティリティで作成されたLinux MDソフトウェアのRAIDデバイスの状態を視覚化することで

す。ledmonデーモンがドライブアレイの状態を監視し、ドライブLEDの状態を更新します。ledctlを使

用して、指定したデバイスに対するLEDパターンを設定できます。

12.1項 「サポートされているLED管理プロトコル」

12.2項 「サポートされているストレージエンクロージャシステム」

12.3項 「ストレージエンクロージャLED監視サービス(ledmon(8))」

12.4項 「ストレージエンクロージャLED制御アプリケーション(ledctl(8))」

12.5項 「エンクロージャLEDユーティリティ設定ファイル(ledctl.conf(5))」

12.6項 「追加情報」

12.1 サポートされているLED管理プロトコルこれらのLEDユーティリティでは、SGPIO (Serial General Purpose Input/Output)仕様(Small

Form Factor (SFF) 8485)およびSCSI Enclosure Services (SES) 2プロトコルを使用して、LED

を制御します。SGPIO用のSFF-8489仕様のInternational Blinking Pattern Interpretation

(IBPI)パターンを実装します。IBPIは、SGPIO規格がバックプレーン上のドライブやスロットの状態と

してどのように解釈されるか、またバックプレーンがLEDでどのように状態を視覚化すべきかを定義しま

す。

一部のストレージエンクロージャでは、SFF-8489仕様に厳格に準拠していないものがあります。エンク

ロージャプロセッサがIBPIパターンを受け入れていても、LEDの点滅はSFF-8489仕様に従っていな

い、あるいはプロセッサが限られた数のIBPIパターンしかサポートしていない場合があります。

LED管理(AHCI)およびSAF-TEプロトコルは、 ledmonおよび ledctlユーティリティではサポートさ

れていません。

200 サポートされているLED管理プロトコル SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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12.2 サポートされているストレージエンクロージャシステムledmonおよび ledctlアプリケーションは、インテルAHCIコントローラやインテルSASコントロー

ラなどの、インテルのストレージコントローラで機能することが検証されています。SUSE Linux

Enterprise Server 11 SP3からは、MDソフトウェアのRAIDボリュームの一部であるPCIe-SSDデバ

イスの、ストレージエンクロージャ状態(OK、Fail、Rebuilding)用LEDを制御するための、PCIe-SSD

(ソリッドステートディスク)エンクロージャLEDもサポートされています。これらのアプリケーションは、他

のベンダのIBPI準拠のストレージコントローラ(特にSAS/SCSIコントローラ)でも機能するはずですが、

他のベンダのコントローラはテストされていません。

12.3 ストレージエンクロージャLED監視サービス(ledmon(8))ledmonアプリケーションは、MDソフトウェアRAIDデバイスの状態またはストレージエンクロージャま

たはドライブベイ内のブロックデバイスの状態をコンスタントに監視する、デーモンプロセスです。一度

に実行しているデーモンのインスタンスは、1つのみである必要があります。 ledmonアプリケーション

は、インテルのエンクロージャLEDユーティリティの一部です。

状態は、ストレージアレイエンクロージャまたはドライブベイ内の、各スロットに関連付けられたLED上

で視覚化されます。このアプリケーションは、すべてのソフトウェアRAIDデバイスを監視し、その状態を

視覚化します。選択したソフトウェアRAIDボリュームのみを監視する方法は、備わっていません。

ledmonアプリケーションでは、2種類のLEDシステム、すなわち、2LEDシステム(Activity LEDと

Status LED)と、3LEDシステム(Activity LED、Locate LED、およびFail LED)をサポートしていま

す。このツールには、LEDへのアクセスの際に最高の優先度が与えられています。

12.3.1項 「構文」

12.3.2項 「オプション」

12.3.3項 「ファイル」

12.3.4項 「既知の問題」

12.3.1 構文

ledmon [options]

rootユーザまたは root権限を持つユーザとして、コマンドを発行します。

201 サポートされているストレージエンクロージャシステム SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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12.3.2 オプション

-c,

--confg=path

ローカルの環境設定ファイルへのパスを設定します。このオプションを指定すると、グローバルの

環境設定ファイルとユーザの環境設定ファイルは、無効になります。

-l,

--log=path

ローカルのログファイルへのパスを設定します。このユーザ定義ファイルを指定すると、グローバ

ルログファイル /var/log/ledmon.logは使用されません。

-t,

--interval=seconds

sysfsのスキャン間の時間間隔を設定します。値は秒単位です。最小値は5秒です。最大値の指

定はありません。

<--quiet|--error|--warning|--info|--debug|--all>

詳細レベルを指定します。このレベルオプションは、情報なしから、ほとんどの情報までの順番で

指定されます。ロギングを行わない場合は、--quietオプションを使用します。すべてをログする場

合は、--allオプションを使用します。2つ以上の詳細オプションを指定した場合は、コマンド内の最

後のオプションが適用されます。

-h,

--help

コマンド情報をコンソールに印刷して、終了します。

-v,

--version

ledmonのバージョンとライセンスに関する情報を表示して、終了します。

12.3.3 ファイル

/var/log/ledmon.log

グローバルログファイルで、 ledmonアプリケーションで使用します。ユーザ定義のファイルへのロ

ギングを強制するには、 -lオプションを使用します。

~/.ledctl

202 オプション SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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ユーザ環境設定ファイルで、 ledmonとすべての ledctlアプリケーションインスタンス間で共有

されます。

/etc/ledcfg.conf

グローバル環境設定ファイルで、 ledmonとすべての ledctlアプリケーションインスタンス間で

共有されます。

12.3.4 既知の問題ledmonデーモンは、SFF-8489仕様のPFA (Predicted Failure Analysis)状態は認識しません。し

たがって、PFAパターンは視覚化されません。

12.4 ストレージエンクロージャLED制御アプリケーション(ledctl(8))エンクロージャLEDアプリケーション( ledctl(8) )は、ストレージエンクロージャまたはドライブベイの

各スロットに関連付けられたLEDを制御する、ユーザスペースアプリケーションです。 ledctlアプリ

ケーションは、インテルのエンクロージャLEDユーティリティの一部です。

このコマンドを発行すると、指定したデバイスのLEDが指定したパターンに設定され、それ以外のLED

はすべてオフになります。 ユーザは、このアプリケーションを使用するには、ルート権限を持っている必

要があります。 ledmonアプリケーションはLEDへのアクセスに際して最高の優先度を持っているた

め、 ledmonを実行中の場合は、ledctlで設定した一部のパターンが有効にならないことがあります

(Locateパターン以外)。

ledctlアプリケーションでは、2種類のLEDシステム、すなわち、2LEDシステム(Activity LEDと

Status LED)と、3LEDシステム(Activity LED、Locate LED、およびFail LED)をサポートしていま

す。

12.4.1項 「構文」

12.4.2項 「パターン名」

12.4.3項 「パターンの変換」

12.4.4項 「デバイスのリスト」

12.4.5項 「オプション」

12.4.6項 「ファイル」

12.4.7項 「例」

203 既知の問題 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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12.4.1 構文

ledctl [options] pattern_name=list_of_devices

rootユーザまたは root権限を持つユーザとして、コマンドを発行します。

12.4.2 パターン名

ledctlアプリケーションでは、SFF-8489仕様に従い、[pattern_name]引数に次の名前を使用でき

ます。

locate

指定したデバイスまたはからのスロットに関連付けられたLocate LEDを点灯します。この状態

は、スロットまたはドライブの識別に使用されます。

locate_off

指定したデバイスまたはからのスロットに関連付けられたLocate LEDを消灯します。

normal

指定したデバイスに関連付けられたStatus LED、Failure LED、およびLocate LEDを消灯しま

す。

off

指定したデバイスに関連付けられたStatus LEDとFailure LEDのみを消灯します。

ica,

degraded

In a Critical Arrayパターンを視覚化します。

rebuild,

rebuild_p

Rebuildパターンを視覚化します。互換性とレガシーの理由から、両方のrebuild状態をサポー

トしています。

ifa,

failed_array

In a Failed Arrayパターンを視覚化します。

hotspare

Hotspareパターンを視覚化します。

204 構文 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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pfa

Predicted Failure Analysisパターンを視覚化します。

failure,

disk_failed

Failureパターンを視覚化します。

ses_abort

SES-2 R/R ABORT

ses_rebuild

SES-2 REBUILD/REMAP

ses_ifa

SES-2 IN FAILED ARRAY

ses_ica

SES-2 IN CRITICAL ARRAY

ses_cons_check

SES-2 CONS CHECK

ses_hotspare

SES-2 HOTSPARE

ses_rsvd_dev

SES-2 RSVD DEVICE

ses_ok

SES-2 OK

ses_ident

SES-2 IDENT

ses_rm

SES-2 REMOVE

ses_insert

SES-2 INSERT

ses_missing

SES-2 MISSING

ses_dnr

205 パターン名 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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SES-2 DO NOT REMOVE

ses_active

SES-2 ACTIVE

ses_enable_bb

SES-2 ENABLE BYP B

ses_enable_ba

SES-2 ENABLE BYP A

ses_devoff

SES-2 DEVICE OFF

ses_fault

SES-2 FAULT

12.4.3 パターンの変換

非SES-2のパターンがエンクロージャ内のデバイスに送信されると、そのパターンは、表12.1「非

SES-2パターンとSES-2パターン間での変換」に示すように、SCSI Enclosure Services (SES) 2のパ

ターンに自動的に変換されます。

表 12.1: 非SES-2パターンとSES-2パターン間での変換

非SES-2のパターン SES-2のパターン

locate ses_ident

locate_off ses_ident

normal ses_ok

off ses_ok

ica ses_ica

degraded ses_ica

rebuild ses_rebuild

rebuild_p ses_rebuild

206 パターンの変換 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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非SES-2のパターン SES-2のパターン

ifa ses_ifa

failed_array ses_ifa

hotspare ses_hotspare

pfa ses_rsvd_dev

failure ses_fault

disk_failed ses_fault

12.4.4 デバイスのリスト

ledctlコマンドを発行すると、指定したデバイスのLEDが指定したパターンに設定され、それ以外の

LEDはすべてオフになります。 デバイスのリストは、次の2つの形式のいずれかで提供できます。

スペースなしのカンマで区切られたデバイスのリスト

デバイスがスペースで区切られた波括弧内のリスト

同じコマンド内で複数のパターンを指定すると、各パターンに対するデバイスリストで、同一または異な

るフォーマットを使用できます。2つのリスト形式を示す例は、12.4.7項 「例」を参照してください。

デバイスは、 /devディレクトリまたは /sys/blockディレクトリ内のファイルへのパスです。パスにより、

ブロックデバイス、MDソフトウェアRAIDデバイス、またはコンテナデバイスを識別できます。ソフトウェ

アRAIDデバイスまたはコンテナデバイスの場合、報告されたLEDの状態は、 関連付けられたブロック

デバイスのすべてに対して設定されます。

list_of_devicesにリストされているデバイスのLEDは、特定のパターンのpattern_nameに設定され、

それ以外のすべてのLEDは消灯されます。

12.4.5 オプション

-c,

--confg=path

ローカルの環境設定ファイルへのパスを設定します。このオプションを指定すると、グローバルの

環境設定ファイルとユーザの環境設定ファイルは、無効になります。

207 デバイスのリスト SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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-l,

--log=path

ローカルのログファイルへのパスを設定します。このユーザ定義ファイルを指定すると、グローバ

ルログファイル /var/log/ledmon.logは使用されません。

--quiet

stdoutまたは stderrに送信されるすべてのメッセージをオフにします。メッセージは、ローカル

ファイルおよび syslogファシリティには引き続きログされます。

-h,

--help

コマンド情報をコンソールに印刷して、終了します。

-v,

--version

ledctlのバージョンとライセンスに関する情報を表示して、終了します。

12.4.6 ファイル

/var/log/ledctl.log

グローバルログファイルで、 ledctlアプリケーションのすべてのインスタンスで使用します。ユー

ザ定義のファイルへのロギングを強制するには、 -lオプションを使用します。

~/.ledctl

ユーザ環境設定ファイルで、 ledmonとすべての ledctlアプリケーションインスタンス間で共有

されます。

/etc/ledcfg.conf

グローバル環境設定ファイルで、 ledmonとすべての ledctlアプリケーションインスタンス間で

共有されます。

12.4.7 例

単一のブロックデバイスを見つけるには

ledctl locate=/dev/sda

単一のブロックデバイスのLocate LEDkを消灯するには

208 ファイル SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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ledctl locate_off=/dev/sda

MDソフトウェアRAIDデバイスのディスクを見つけて、そのブロックデバイスの2つに同時にrebuildパ

ターンを設定するには

ledctl locate=/dev/md127 rebuild={ /sys/block/sd[a-b] }

指定したデバイスに対するStatus LEDとFailure LEDを消灯するには

ledctl off={ /dev/sda /dev/sdb }

3つのブロックデバイスを見つけるには

ledctl locate=/dev/sda,/dev/sdb,/dev/sdc

ledctl locate={ /dev/sda /dev/sdb /dev/sdc }

12.5 エンクロージャLEDユーティリティ設定ファイル(ledctl.conf(5))ledctl.confファイルが、インテルエンクロージャLEDユーティリティ用の設定ファイルです。これらの

ユーティリティは、現時点では設定ファイルは使用しません。ファイルの名前と場所は、機能向上のため

に予約されています。

12.6 追加情報LEDのパターンおよび監視ツールに関する詳細は、次のリソースを参照してください。

Sourceforge.net上のLEDMONオープンソースプロジェクト (http://

ledmon.sourceforge.net/)

SGPIO仕様SFF-8485 (ftp://ftp.seagate.com/sff/SFF-8485.PDF)

IBPI仕様SFF-8489 (ftp://ftp.seagate.com/sff/SFF-8489.PDF)

209

エンクロージャLEDユーティリティ設定ファイル(ledctl.conf(5)) SUSE Linux Enterp… 11

SP4

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13 Linux用iSNS

ストレージエリアネットワーク(SAN)には、複数のネットワークにまたがる多数のディスクドライブを使用

できます。これによって、デバイス検出とデバイスの所有権の判定が難しくなります。iSCSIイニシエータ

はSANのストレージリソースを識別し、どれにアクセスできるか判定できる必要があります。

Internet Storage Name Service (iSNS)は、TCP/IPネットワーク上のiSCSIデバイスの自動化され

た検出、管理、および設定を容易にする、標準ベースのサービスです。iSNSでは、ファイバチャネルネッ

トワークと同等の知的なストレージの検出および管理のサービスを提供します。

重要iSNSは安全な社内ネットワークだけで使用してください。

13.1項 「iSNSのしくみ」

13.2項 「Linux用iSNSサーバのインストール」

13.3項 「iSNS検出ドメインの設定」

13.4項 「iSNSの起動」

13.5項 「iSNSの停止」

13.6項 「詳細情報」

13.1 iSNSのしくみiSCSIイニシエータがiSCSIターゲットを検出するには、ネットワークのどのデバイスがストレージリソー

スで、アクセスするにはどのIPアドレスが必要かを特定する必要があります。iSNSサーバへクエリする

と、iSCSIターゲットとイニシエータがアクセス許可をもつIPアドレスのリストが返されます。

iSNSを使用してiSNS検出ドメインと検出ドメインセットを作成します。次に、iSCSIターゲットとイニシ

エータを検出ドメインにグループ化またはまとめて、検出ドメインを検出ドメインセットにグループ化しま

す。多くのストレージノードを複数のドメインに振り分けることで、各ホストの検出プロセスをiSNSで登

録された最適なターゲットのサブセットに限定でき、これによって、不要な検出を削減し、各ホストが検

出関係の確立に費やす時間を制限することで、ストレージネットワークの規模を調整できるようになりま

す。このようにして、ディスカバリ対象のターゲットとイニシエータの数を制御し、簡略化できます。

210 iSNSのしくみ SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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図 13.1: ISNS検出ドメインと検出ドメインセット

iSCSIターゲットとiSCSIイニシエータは両方とも、iSNSクライアントを使用して、iSNSプロトコルによる

iSNSサーバとのトランザクションを開始します。iSCSIターゲットとiSCSIイニシエータは、次にデバイス

属性情報を共通検出ドメインに登録し、その他の登録されたクライアント情報をダウンロードし、検出ド

メインで発生したイベントの非同期通知を受け取ります。

iSNSサーバは、iSNSプロトコルクエリとiSNSクライアントがiSNSプロトコルを使用して作成した要求

に応答します。iSNSサーバはiSNSプロトコル状態変更通知を開始し、登録要求から送られてきた適切

に認証された情報をiSNSデータベースに保存します。

Linux向けiSNSには、次のようなメリットがあります。

ネットワーク接続させたストレージ資産の登録、検出、管理に役立つ情報を提供する。

DNSインフラストラクチャと統合する。

iSCSIストレージの登録、検出、管理を統合する。

ストレージ管理の実装が簡素化される。

その他のディスカバリ方法よりもスケーラビリティが向上する。

次のシナリオは、iSNSのメリットについて具体的に説明したものです。

100個のiSCSIイニシエータと100個のiSCSIターゲットが会社にあるとします。設定によっては、すべ

てのiSCSIイニシエータが100個のiSCSIターゲットを検出して接続しようとする可能性があります。こ

のため、検出や接続が困難になる場合があります。イニシエータとターゲットをいくつかの検出ドメイン

にグループ化することで、ある部門のiSCSIイニシエータが別の部門のiSCSIターゲットを検出しない

ようにできます。その結果、特定部門のiSCSIイニシエータは、その部門の検出ドメインに属するiSCSI

ターゲットしか検出しません。

211 iSNSのしくみ SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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13.2 Linux用iSNSサーバのインストールSLES 10 SP2以降のバージョンには、Linux用iSCSIサーバが含まれていますが、このサーバは、

デフォルトでは、インストールも設定もされません。したがって、iSNSパッケージモジュール ( isnsモ

ジュールおよび yast2-isnsモジュール)をインストールし、iSNSサービスを設定する必要があります。

注記iSNSは、iSCSIターゲットまたはiSCSIイニシエータのソフトウェアがインストールされる同じ

サーバにインストールできます。ただし、iSCSIターゲットソフトウェアとiSCSIイニシエータソフト

ウェアの両方を同じサーバにインストールすることはできません。

Linux向けiSNSをインストールするには、次の手順に従います。

1. YaSTを起動して、[][ネットワークサービスiSNSサーバ]を選択します。

2. isnsパッケージのインストールを促されたら、 [Install(インストール)]をクリックします。

3. インストールの指示に従って、SUSE Linux Enterprise Server 11のインストールディスクを挿

入します。

インストールが完了すると、iSNSサービスの設定ダイアログボックスが、自動的に、[サービス]

タブを開いた状態で表示されます。

4. [iSNSサーバのアドレス]で、iSNSサーバのDNS名またはIPアドレスを指定します。

5. [Service Start(サービスの開始)]で、次のオプションの1つを選択します。

212 Linux用iSNSサーバのインストール SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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ブート時: iSNSサービスは、サーバの起動時に自動的に開始します。

手動(デフォルト): サービスを開始するには、iSNSのインストール先サーバのサーバコン

ソールで、 rcisns startまたは /etc/init.d/isns startを入力する必要がありま

す。

6. 次のファイアウォール設定を指定します。

Open Port in Firewall(ファイアウォールのポートを開く): このチェックボックスを選択し

て、ファイアウォールを開き、リモートコンピュータからサービスにアクセスできるようにしま

す。ファイアウォールのポートは、デフォルトでは閉じています。

ファイアウォールの詳細: ファイアウォールのポートを開いた場合、デフォルトでは、ポート

がすべてのネットワークインタフェースで開きます。ポートを開くインタフェースを選択する

には、[Firewall Details(ファイアウォールの詳細)]をクリックし、使用するネットワークイン

タフェースを選択し、次に、[OK]をクリックします。

7. [完了]をクリックして、設定を適用し、インストールを完了します。

8. 13.3項 「iSNS検出ドメインの設定」に進みます。

13.3 iSNS検出ドメインの設定iSCSIイニシエータおよびターゲットでiSNSサービスを使用するには、これらが検出ドメインに属してい

る必要があります。

重要iSNS検出ドメインを設定するには、iSNSサービスがインストール済みで、実行されている必要

があります。詳細については、13.4項 「iSNSの起動」を参照してください。

13.3.1項 「iSNS検出ドメインの作成」

13.3.2項 「iSNS検出ドメインセットの作成」

13.3.3項 「iSCSIノードの検出ドメインへの追加」

13.3.4項 「検出ドメインの検出ドメインセットへの追加」

213 iSNS検出ドメインの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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13.3.1 iSNS検出ドメインの作成

iSNSサービスをインストールすると、[デフォルトDD]というデフォルトの検出ドメインが自動的に作成

されます。iSNSを使用するように設定されている既存のiSCSIターゲットとイニシエータは、デフォルト

検出ドメインに自動的に追加されます。

新しい検出ドメインを作成するには、次の手順に従います。

1. YaSTを起動して、[ネットワークサービス]の下で[iSNSサーバ]を選択します。

2. [検出ドメイン]タブをクリックします。

[検出ドメイン]の領域にすべての検出ドメインがリストされます。新しい検出ドメインを作成した

り、既存のドメインを削除できます。ドメインを削除すると、そのドメインからメンバーが削除されま

すが、iSCSIノードメンバーは削除されません。

[検出ドメインメンバー]の領域に、選択した検出ドメインに割り当てられているすべてのiSCSI

ノードがリストされます。別の検出ドメインを選択すると、その検出ドメインからのメンバーで、リ

ストが更新されます。選択した検出ドメインからiSCSIノード を追加したり、削除できます。iSCSI

ノード を削除すると、そのノードは、ドメインから削除されますが、iSCSIノード自体は削除されま

せん。

iSCSIノード を作成すると、未登録のノード を検出ドメインのメンバーとして追加できます。iSCSI

イニシエータまたはiSCSIターゲットがこのノード を登録すると、このノード は、このドメインの一

部となります。

iSCSIイニシエータが検出要求を発行すると、iSNSサービスは同じ検出ドメイン内のメンバーで

あるすべてのiSCSIノードターゲットを返します。

3. [検出ドメインの作成]ボタンをクリックします。

214 iSNS検出ドメインの作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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既存の検出ドメインを選択して[削除]ボタンをクリックして、その検出ドメインを削除できます。

4. 作成している検出ドメインの名前を指定して、[OK]をクリックします。

5. 13.3.2項 「iSNS検出ドメインセットの作成」に進みます。

13.3.2 iSNS検出ドメインセットの作成

検出ドメインは検出ドメインセットに属している必要があります。検出ドメインを作成してこの検出ドメイ

ンにノードを追加できますが、これはアクティブではないため、iSNSサービスは検出ドメインを検出ドメ

インセットに追加するまで機能しません。iSNSをインストールすると、[デフォルトDDS]というデフォル

トの検出ドメインセットが自動的に作成され、デフォルトの検出ドメインは自動的にこのドメインセットに

追加されます。

検出ドメインセットを作成するには、次の手順に従います。

1. YaSTを起動して、[ネットワークサービス]の下で[iSNSサーバ]を選択します。

2. [検出ドメインセット]タブをクリックします。

[検出ドメインセット]領域に、すべての検出ドメインセットがリストされます。検出ドメインをアク

ティブでするには、その検出ドメインを検出ドメインセットのメンバーでする必要があります。

iSNSデータベースでは、検出ドメインセットは検出ドメインを包含し、検出ドメインはiSCSIノード

メンバーを包含します。

[検出ドメインセットのメンバー]領域に、選択した検出ドメインセットに割り当てられているすべて

の検出ドメインがリストされます。別の検出ドメインセットを選択すると、その検出ドメインセットか

らのメンバーで、リストが更新されます。選択した検出ドメインセットから検出ドメインを追加した

り、削除できます。検出ドメインを削除すると、その検出ドメインは、検出ドメインセットから削除さ

れますが、検出ドメイン自体は削除されません。

検出ドメインをセットに追加すると、まだ登録されていないiSNS検出ドメインを、検出ドメインセッ

トのメンバーとして追加できます。

215 iSNS検出ドメインセットの作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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3. [検出ドメインセットの作成]ボタンをクリックします。

既存の検出ドメインセットを選択して[削除]ボタンをクリックして、その検出ドメインセットを削除

できます。

4. 作成している検出ドメインセットの名前を指定して、[OK]をクリックします。

5. 13.3.3項 「iSCSIノードの検出ドメインへの追加」に進みます。

13.3.3 iSCSIノードの検出ドメインへの追加

1. YaSTを起動して、[ネットワークサービス]の下で[iSNSサーバ]を選択します。

2. [iSCSIノード]タブをクリックします。

216 iSCSIノードの検出ドメインへの追加 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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3. ノード のリストをレビューして、iSNSサービスを使用させたい iSCSIターゲットおよびイニシエー

タがリストされていることを確認します。

iSCSIターゲットまたはイニシエータが一覧にない場合、ノード上のiSCSIサービスを再起動する

必要があります。これは、 rcopen-iscsi restartコマンドを実行してイニシエータを再起動す

るか、または rciscsitarget restartコマンドでターゲットを再起動して実行します。

iSCSIノードを選択して[削除]ボタンをクリックして、そのノードをiSNSデータベースから削除で

きます。iSCSIノードをもう使用しない場合や名前を変更した場合に有効です。

iSCSI環境設定ファイルのiSNSの部分を削除したりコメント化していない限り、iSCSIノード

は、iSCSIサービスの再開始時またはサーバの再起動時に、リスト(iSNSデータベース)に自動的

に追加されます。

4. [検出ドメイン]タブをクリックして該当する検出ドメインを選択し、[メンバーの表示]ボタンをク

リックします。

5. [Add existing iSCSI Node]をクリックしてドメインに追加するノードを選択し、[ノードの追加]

をクリックします。

6. 検出ドメインに追加するノードの数だけステップ 5を繰り返し、ノードの追加が終了したら[完了]

をクリックします。

iSCSIノードは複数の検出ドメインに属すことができます。

217 iSCSIノードの検出ドメインへの追加 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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7. 13.3.4項 「検出ドメインの検出ドメインセットへの追加」に進みます。

13.3.4 検出ドメインの検出ドメインセットへの追加

1. YaSTを起動して、[ネットワークサービス]の下で[iSNSサーバ]を選択します。

2. [検出ドメインセット]タブをクリックします。

3. [Create Discovery Domain Set]を選択して、新しいセットを検出ドメインセットのリストに追

加します。

4. 変更する検出ドメインを選択します。

5. [検出ドメインの追加]をクリックして検出ドメインセットに追加する検出ドメインを選択し、[検出

ドメインの追加]をクリックします。

6. 検出ドメインセットに追加する検出ドメインについて最後のステップを繰り返して、[完了]をクリッ

クします。

検出ドメインは複数の検出ドメインセットに属すことができます。

13.4 iSNSの起動iSNSは、インストール先のサーバで起動する必要があります。端末コンソールで、 rootユーザとして、

次のコマンドの1つを入力します。

rcisns start

/etc/init.d/isns start

iSNSでは、 stop 、 status 、 restartの各オプションも使用できます。

iSNSはサーバの再起動時に自動的に起動するように設定することもできます。

1. YaSTを起動して、[ネットワークサービス]の下で[iSNSサーバ]を選択します。

2. [サービス]タブを選択して、iSNSサーバのIPアドレスを指定して、[SaveAddress]を選択しま

す。

3. 画面の[サービスの開始]セクションで、[ブート時]を選択します。

iSNSサーバを手動で起動することもできます。この場合、 rcisns startコマンドを使用して、

サーバを再起動するときにサービスを毎回起動する必要があります。

218 検出ドメインの検出ドメインセットへの追加 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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13.5 iSNSの停止iSNSは、それが実行中のサーバで停止させる必要があります。端末コンソールで、 rootユーザとして、

次のコマンドの1つを入力します。

rcisns stop

/etc/init.d/isns stop

13.6 詳細情報詳細については、「Linux iSNS for iSCSI project (http://sourceforge.net/projects/

linuxisns/) 」を参照してください。プロジェクトの電子メールリストは、「Linux iSNS - Discussion

(http://sourceforge.net/mailarchive/forum.php?forum_name=linuxisns-discussion) 」に掲

載されています。

iSNSの一般情報は、「RFC 4171: Internet Storage Name Service (http://www.ietf.org/rfc/

rfc4171) 」に記載されています。

219 iSNSの停止 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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14 IPネットワークの大容量記憶域 - iSCSI

サーバの運用、またはコンピュータセンターの重要なタスクの1つには、サーバシステムに対してハード

ディスクスペースを提供することがあります。この用途には、多くの場合、ファイバチャネルが使用されま

す。iSCSI(Internet SCSI)ソリューションは、ファイバチャネルに対する低コストの代替であり、コモディ

ティサーバおよびEthernetネットワーキング装置を活用することができます。Linux iSCSIは、iSCSIイ

ニシエータおよびiSCSIターゲットのソフトウェアの提供により、Linuxサーバを中央ストレージシステム

に接続します。

220 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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図 14.1: ISNSサーバによるISCSI SAN

221 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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iSCSIは、ストレージネットワーキングプロトコルであり、ブロックストレージデバイスとサーバ間のTCP/

IPネットワーク上でSCSIパケットのデータ転送を容易にします。iSCSIターゲットソフトウェアは、ター

ゲットサーバ上で実行され、論理ユニットをiSCSIターゲットデバイスとして定義します。iSCSIイニシ

エータソフトウェアは異なるサーバ上で実行され、ターゲットデバイスに接続して、そのサーバ上でスト

レージデバイスを使用できるようにします。

重要iSCSIターゲットソフトウェアとiSCSIイニシエータソフトウェアを、運用環境内の同じサーバ上で

実行することはできません。

iSCSIターゲットサーバおよびイニシエータサーバは、LAN内のIPレベルでSCSIパケットを送信して通

信します。イニシエータサーバ上のアプリケーションがiSCSIターゲットデバイスに対する照会を開始す

ると、オペレーティングシステムが必要なSCSIコマンドを発行します。するとSCSIコマンドが、iSCSIイ

ニシエータと呼ばれるソフトウェアによってIPパケットに組み込まれ、必要に応じて暗号化されます。パ

ケットは社内IPネットワークで、iSCSIターゲットと呼ばれるiSCSIリモートステーションに転送されます。

多くのストレージソリューションが、iSCSIによるアクセス手段を提供しています。また、Linuxサーバに

iSCSIターゲットの役割をさせることもできます。この場合、Linuxサーバをファイルシステムサービス用

に最適化しておくことが重要です。iSCSIターゲットはLinux内のブロックデバイスにアクセスします。し

たがってRAIDソリューションを使用することでディスク容量を増やし、メモリも増量してデータキャッシ

ングを向上させることができます。RAIDの詳細については、第8章 「ソフトウェアRAIDの設定」も参照

してください。

14.1項 「iSCSIターゲットおよびイニシエータのインストール」

14.2項 「iSCSIターゲットのセットアップ」

14.3項 「iSCSIイニシエータの設定」

14.4項 「インストール時のiSCSIディスクの使用」

14.5項 「iSCSIのトラブルシューティング」

14.6項 「追加情報」

14.1 iSCSIターゲットおよびイニシエータのインストールYaSTにはiSCSIターゲットとiSCSIイニシエータソフトウェアのエントリが含まれていますが、パッケー

ジはデフォルトではインストールされません。

222 iSCSIターゲットおよびイニシエータのインストール SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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重要iSCSIターゲットソフトウェアとiSCSIイニシエータソフトウェアを、運用環境内の同じサーバ上で

実行することはできません。

14.1.1項 「iSCSIターゲットソフトウェアのインストール」

14.1.2項 「iSCSIイニシエータソフトウェアのインストール」

14.1.1 iSCSIターゲットソフトウェアのインストール

iSCSIターゲットデバイスを作成したいサーバに、iSCSIターゲットソフトウェアをインストールします。

1. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

2. [ネットワークサービス][iSCSI ターゲット]を選択します。

3. iscsitargetパッケージのインストールを促されたら、[インストール]をクリックします。

4. 画面上のインストール指示に従って、必要に応じてインストールメディアを提供します。

インストールが完了したら、[iSCSIターゲットの概要]ページで[サービス]タブを選択した状態

で、YaSTが開きます。

5. 14.2項 「iSCSIターゲットのセットアップ」に進みます。

14.1.2 iSCSIイニシエータソフトウェアのインストール

iSCSIサーバ上に設定したターゲットデバイスにアクセスしたい各サーバに、iSCSIイニシエータソフト

ウェアをインストールします。

1. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

2. [ネットワークサービス][iSCSIイニシエータ]を選択します。

3. open-iscsiパッケージのインストールを促されたら、[インストール]をクリックします。

4. 画面上のインストール指示に従って、必要に応じてインストールメディアを提供します。

インストールが完了したら、[iSCSIイニシエータの概要]ページで[サービス]タブを選択した状

態で、YaSTが開きます。

5. 14.3項 「iSCSIイニシエータの設定」に進みます。

223 iSCSIターゲットソフトウェアのインストール SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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14.2 iSCSIターゲットのセットアップSUSE® Linux Enterprise Serverには、Ardis iSCSIターゲットから進化したオープンソースの

iSCSIターゲットソリューションが付属しています。基本的な設定はYaSTを使って行えますが、iSCSIの

機能をフル活用するには、手動で設定を行う必要があります。

14.2.1項 「ストレージスペースの準備」

14.2.2項 「YaSTを使ったiSCSIターゲットの作成」

14.2.3項 「iSCSIターゲットの手動設定」

14.2.4項 「ietadmを使ったオンラインターゲットの設定」

14.2.1 ストレージスペースの準備

iSCSIターゲットの設定により、既存のブロックデバイスをiSCSIイニシエータにエクスポートしま

す。YaSTのパーティショナを使用して、またはコマンドラインからパーティション分割を行うことで、未

フォーマットのパーティションやデバイスを設定し、ターゲットデバイスで使用するストレージスペースを

準備する必要があります。iSCSI LIO ターゲットは、Linux、Linux LVM、またはLinux RAIDファイル

システムIDで未フォーマットのパーティションを使用できます。

重要iSCSIターゲットとして使用するデバイスやパーティションを設定したら、ローカルパス経由で直

接アクセスしないでください。作成時にはマウントポイントは指定しないでください。

14.2.1.1項 「デバイスのパーティショニング」

14.2.1.2項 「仮想環境でのデバイスのパーティション分割」

14.2.1.1 デバイスのパーティショニング

1. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

2. [システム][パーティショナ]を選択します。

3. パーティショナの使用に関する警告に対して[はい]を選択して続行します。

4. [追加]をクリックしてパーティションを作成しますが、フォーマットやマウントは行いません。

224 iSCSIターゲットのセットアップ SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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a. [プライマリパーティション]を選択し、[次へ]をクリックします。

b. 使用する容量を指定して、[次へ]をクリックします。

c. [フォーマットしない]を選択し、ファイルシステムIDの種類を指定します。

iSCSIターゲットは、Linux、Linux LVM、またはLinux RAIDファイルシステムIDで未

フォーマットのパーティションを使用できます。

d. [マウントしない]を選択します。

e. [完了]をクリックします。

5. 後でiSCSI LUNとして使用したい各エリアに対して、ステップ 4を繰り返し実行します。

6. [受諾]をクリックして変更を保存し、YaSTを閉じます。

14.2.1.2 仮想環境でのデバイスのパーティション分割

XenゲストサーバをiSCSIターゲットサーバとして使用することができます。iSCSIストレージデバイス

に使用するストレージスペースをゲストの仮想マシンに割り当て、ゲスト環境内の仮想ディスクとしてそ

のスペースにアクセスします。各仮想ディスクは、ディスク全体、パーティション、ボリュームなどの物理

ブロックデバイスでも、Xenホストサーバ上の大規模な物理ディスク上の単一イメージファイルが仮想

ディスクになっている、ファイルバックディスクイメージのいずれでも可能です。最適なパフォーマンスを

得るためには、物理ディスクまたはパーティションから各仮想ディスクを作成してください。ゲストの仮想

マシンに仮想ディスクを設定したら、ゲストサーバを起動し、物理サーバの場合と同じ方法で、新しいブ

ランクの仮想ディスクをiSCSIターゲットデバイスとして設定します。

ファイルバックディスクイメージがXenホストサーバ上に作成され、Xenゲストサーバに割り当てられま

す。デフォルトでは、Xenはファイルバックディスクイメージを /var/lib/xen/images/vm_nameディレ

クトリに保存します。ここで vm_nameは仮想マシンの名前です。

たとえば、サイズが4GBの /var/lib/xen/images/vm_one/xen--0ディスクイメージを作成する場

合は、まず、ディレクトリが存在することを確認し、次に、イメージ自体を作成します。

1. ホストサーバに rootユーザとしてログインします。

2. 端末コンソールプロンプトで次のコマンドを入力します。

mkdir -p /var/lib/xen/images/vm_onedd if=/dev/zero of=/var/lib/xen/images/vm_one/xen-0 seek=1M bs=4096 count=1

3. Xen設定ファイルで、ファイルシステムイメージをゲスト仮想マシンに割り当てます。

225 ストレージスペースの準備 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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4. ゲストサーバに rootユーザとしてログインし、YaSTを使用して14.2.1.1項 「デバイスのパーティ

ショニング」の手順で仮想ブロックデバイスを設定します。

14.2.2 YaSTを使ったiSCSIターゲットの作成

iSCSIターゲットを設定するには、YaSTの[iSCSIターゲット]モジュールを起動します(コマンド yast2

iscsi-server )。設定項目は、3つのタブに分かれています。[Service]タブでは、実行モードとファイ

アウォールの設定を行います。リモートコンピュータからiSCSIターゲットにアクセスする場合は、[ファイ

アウォールでポートを開く]を選択します。iSNSサーバが検出およびアクセス制御を管理する場合は、

[iSNSアクセス管理]を有効にして、iSNSサーバのIPアドレスを入力します。ホスト名やDNSは使用で

きません。IPアドレスを使用する必要があります。 iSNSの詳細は、第13章 「Linux用iSNS」を参照して

ください。

[Global]タブでは、iSCSIサーバの設定を行います。ここで設定する認証方法は、サービスの検出に

使用します。ターゲットにアクセスする場合のものではありません。ディスカバリへのアクセスを制限しな

い場合は、[No Authentication]を選択します。

認証が必要な場合、2つの検討事項があります。[]「incoming認証」では、イニシエータに、iSCSIター

ゲット上でディスカバリを実行するパーミッションがあることを証明するよう求めます。[]「outgoing

認証」では、iSCSIターゲットに、自らが目的のターゲットであることを証明するよう求めます。そのた

め、iSCSIターゲットもユーザ名とパスワードを使用できます。認証の詳細は、RFC 3720 (http://

www.ietf.org/rfc/rfc3720.txt) を参照してください。

ターゲットは、[Targets]タブで定義します。新しいiSCSIターゲットを作成するには、[追加]をクリック

します。最初のダイアログボックスでは、エクスポートするデバイスに関する情報を指定します。

ターゲット

[Target]行には、以下のような固定形式の構文を指定します。

iqn.yyyy-mm.<reversed domain name>:unique_id

この行は常に「iqn」から始まります。「yyyy-mm」の部分には、このターゲットをアクティブに

する日付を指定します。命名規則の詳細については、RFC 3722 (http://www.ietf.org/rfc/

rfc3722.txt) を参照してください。

Identifier

[Identifier]は、自由に指定することができます。ただし、システムを体系的に管理するためにも、

一定のスキーマを使用するようにしてください。

LUN

ターゲットに複数のLUNを割り当てることができます。そのためには、[ターゲット]タブでターゲッ

トを選択し、[編集]をクリックします。次に、既存ターゲットに新しいLUNを追加します。

226 YaSTを使ったiSCSIターゲットの作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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パス

エクスポートするブロックデバイス、またはファイルシステムイメージのパスを追加します。

次のメニューでは、ターゲットへのアクセス制限を設定します。ここの設定は、ディスカバリの認証設定

とほとんど変わりありません。この場合、少なくとも着信認証を設定する必要があります。

新しいターゲットの設定を完了するには、[次へ]をクリックします。[Target]タブの概要ページが表示

されます。変更内容を有効にするには、[完了]をクリックします。

ターゲットデバイスを作成するには:

1. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

2. [ネットワークサービス][iSCSI ターゲット]を選択します。

[iSCSIターゲットの概要]ページで[サービス]タブを選択した状態で、YaSTが開きます。.

3. [サービスの開始]領域で、次のいずれかを選択します。

起動時: その後の再起動時には、イニシエータサービスが自動的に開始します。

手動(デフォルト): サービスを手動で開始します。

4. ターゲットアドバタイジングにiSNSを使用する場合は、[iSNSアクセス制御]チェックボックスを

選択し、IPアドレスを入力します。

5. 必要に応じて、ファイアウォールポートを開き、リモートコンピュータからサーバへのアクセスを許

可します。

a. [ファイアウォールでポートを開く]チェックボックスを選択します。

227 YaSTを使ったiSCSIターゲットの作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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b. [ファイアウォールの詳細]をクリックして、ポートを開くネットワークインタフェースを指定

し、ネットワークインタフェースの横のチェックボックスをオンにして有効にし、[OK]をクリッ

クして設定を受け入れます。

6. このサーバで設定したターゲットデバイスへの接続に認証が必要な場合は、[グローバル]タブを

選択し、[認証なし]の選択を解除して、送受信の認証に必要な資格情報を指定します。

デフォルトでは[認証なし]のオプションが有効になっています。設定をより安全にするには、着

信、発信、または着信と発信の両方に認証を指定できます。ユーザ名とパスワードのペアを[受信

認証]の一覧に追加することで、受信認証の資格情報を複数セット指定することもできます。

7. iSCSIターゲットデバイスを指定します。

a. [ターゲット]タブを選択します。

b. まだそうしていない場合は、一覧からサンプルのiSCSIターゲットを選択して削除し、[続け

る]をクリックして削除を確認します。

c. [追加]をクリックして、新しいiSCSIターゲットを追加します。

iSCSIターゲットによって自動的に未フォーマットのパーティションやブロックデバイスが提

示され、[ターゲット]および[イニシエータ]フィールドに情報が入力されます。

d. これを受諾することも、別なスペースを選択することもできます。

[追加]をクリックして、そのLUNに割り当てるセクタを指定することで、スペースをさらに分

割して、デバイス上にLUNを作成することもできます。これらのLUNに追加のオプションが

必要な場合は、[エキスパート設定]を選択します。

228 YaSTを使ったiSCSIターゲットの作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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e. Click [Next]

f. 作成する各iSCSIターゲットデバイスに対して、ステップ 7.cからステップ 7.eを繰り返し実

行します。

g. (オプション)[サービス]タブで[保存]をクリックして、設定したiSCSIターゲットの情報を

ファイルにエクスポートします。

こうしておくと、後でこの情報をリソースの利用者に簡単に提供することができます。

h. [完了]をクリックしてデバイスを作成し、[はい]をクリックしてiSCSIソフトウェアスタックを

リスタートします。

14.2.3 iSCSIターゲットの手動設定iSCSIターゲットを設定するには、 /etc/ietd.confを編集します。このファイル中の、最初

のTarget宣言より前にあるすべてのパラメータは、ファイルのグローバルパラメータになります。この部

分にある認証情報は、グローバルパラメータではありません。iSCSIターゲットの検出に用いられます。

iSNSサーバにアクセスできる場合は、まず、ファイルを、このサーバについてターゲットに通知するよ

うに設定する必要があります。iSNSサーバのアドレスは、必ず、IPアドレスで指定する必要がありま

す。iSNSサーバのDNS名を指定することはできません。この機能の設定は、次のようになります。

iSNSServer 192.168.1.111iSNSAccessControl no

この設定では、iSCSIターゲットが iSNSサーバでそれ自体を登録し、ディスカバリのイニシエータとなり

ます。iSNSの詳細は、第13章 「Linux用iSNS」を参照してください。iSNSディスカバリのためのアクセ

ス制御はサポートされていません。[iSNSアクセス管理]を[いいえ]のままにします。

すべての直接iSCSI認証は、双方向で行うことができます。iSCSIターゲットがiSCSIイニシエータに認

証を要求するには、 IncomingUserを使用します。このオプションは、複数回追加できます。iSCSIイニ

シエータも、iSCSIターゲットに認証を要求することができます。この場合は、 OutgoingUserを使用し

ます。どちらの場合も、構文は同じです。

IncomingUser <username> <password>OutgoingUser <username> <password>

認証後は、1つまたは複数のターゲット定義を指定します。定義する各ターゲットについて、 Targetセク

ションを追加します。このセクションは、常に Target識別子で始まり、その後に論理ユニット番号の定

義が続きます。

Target iqn.yyyy-mm.<reversed domain name>[:identifier] Lun 0 Path=/dev/mapper/system-v3 Lun 1 Path=/dev/hda4

229 iSCSIターゲットの手動設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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Lun 2 Path=/var/lib/xen/images/xen-1,Type=fileio

Target行では、 yyyy-mmにターゲットを有効にする日付を指定し、 identifierに任意の識別子を

指定できます。命名規則の詳細については、RFC 3722 (http://www.ietf.org/rfc/rfc3722.txt) を

参照してください。この例では、3つの異なるブロックデバイスをエクスポートしています。最初のブロッ

クデバイスは論理ボリューム(第4章 「LVMの設定」も参照)、2番目はIDEパーティション、3番目は

ローカルファイルシステムで使用可能なイメージです。これらはすべてiSCSIイニシエータへのブロック

デバイスのようになります。

iSCSIターゲットを有効にする前に、 Lun定義の後に、最低1つの IncomingUserを追加してください。

このパラメータは、このターゲットの使用に対する認証を指定します。

変更内容を有効にするには、 rcopen-iscsi restartコマンドを実行して、iscsitargetデーモンを再

起動します。 /procファイルシステムで、設定内容を確認してください。

cat /proc/net/iet/volumetid:1 name:iqn.2006-02.com.example.iserv:systems lun:0 state:0 iotype:fileio path:/dev/mapper/system-v3 lun:1 state:0 iotype:fileio path:/dev/hda4 lun:2 state:0 iotype:fileio path:/var/lib/xen/images/xen-1

ここで説明しているほかにも、iSCSIターゲットの動作を制御するさまざまなオプションがあります。詳細

については、 ietd.confのマニュアルページを参照してください。

/procファイルシステムには、アクティブなセッションも表示されます。接続されている各イニシエー

タに対応するエントリが、 /proc/net/iet/sessionに追加されます。

cat /proc/net/iet/sessiontid:1 name:iqn.2006-02.com.example.iserv:system-v3 sid:562949957419520 initiator:iqn.2005-11.de.suse:cn=rome.example.com,01.9ff842f5645 cid:0 ip:192.168.178.42 state:active hd:none dd:none sid:281474980708864 initiator:iqn.2006-02.de.suse:01.6f7259c88b70 cid:0 ip:192.168.178.72 state:active hd:none dd:none

14.2.4 ietadmを使ったオンラインターゲットの設定iSCSIターゲットの設定の変更が必要な場合は、必ず、ターゲットを再起動して、設定ファイルで行った

変更を有効にする必要があります。ただし、この作業を行うと、アクティブなセッションがすべて中断され

ます。この問題を回避するには、環境設定ファイルの /etc/ietd.confを変更すると同時に、ietadm

管理ユーティリティを使って現在の設定も変更してください。

LUNを指定した新しいiSCSIターゲットを作成するには、まず設定ファイルを更新します。追加するエン

トリの例を以下に示します。

Target iqn.2006-02.com.example.iserv:system2 Lun 0 Path=/dev/mapper/system-swap2

230 ietadmを使ったオンラインターゲットの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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IncomingUser joe secret

この設定を手動で行うには、次の手順に従ってください。

1. ietadm --op new --tid=2 --params

Name=iqn.2006-02.com.example.iserv:system2コマンドを実行して、新しいターゲットを

作成します。

2. ietadm --op new --tid=2 --lun=0 --params Path=/dev/mapper/system-swap2コ

マンドを実行して、LUNを追加します。

3. ietadm --op new --tid=2 --user --

params=IncomingUser=joe,Password=secretコマンドを実行して、このターゲットにユーザ

名とパスワードを設定します。

4. cat /proc/net/iet/volumeコマンドを実行して、設定内容を確認します。

アクティブな接続を削除することもできます。まず、 cat /proc/net/iet/sessionコマンドを実行し

て、アクティブな接続を表示します。たとえば、次のように表示されます。

cat /proc/net/iet/sessiontid:1 name:iqn.2006-03.com.example.iserv:system sid:281474980708864 initiator:iqn.1996-04.com.example:01.82725735af5 cid:0 ip:192.168.178.72 state:active hd:none dd:none

セッションIDが 281474980708864のセッションを削除する場合は、 ietadm --op delete --

tid=1 --sid=281474980708864 --cid=0コマンドを実行します。このコマンドを実行すると、クライ

アントシステムからデバイスにアクセスできなくなるため、このデバイスにアクセスしているデバイスがハ

ングアップする可能性があることに注意してください。

ietadmを使って、さまざまな環境設定パラメータを変更することもできます。グローバル変数を一覧表

示する場合は、 ietadm --op show --tid=1 --sid=0コマンドを実行します。次のような実行結果

が表示されます。

InitialR2T=YesImmediateData=YesMaxConnections=1MaxRecvDataSegmentLength=8192MaxXmitDataSegmentLength=8192MaxBurstLength=262144FirstBurstLength=65536DefaultTime2Wait=2DefaultTime2Retain=20MaxOutstandingR2T=1DataPDUInOrder=YesDataSequenceInOrder=Yes

231 ietadmを使ったオンラインターゲットの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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ErrorRecoveryLevel=0HeaderDigest=NoneDataDigest=NoneOFMarker=NoIFMarker=NoOFMarkInt=RejectIFMarkInt=Reject

これらのパラメータは、すべて容易に変更できます。たとえば、最大接続数を2に変更する場合は、=2を

実行します。

ietadm --op update --tid=1 --params=MaxConnections=2.

/etc/ietd.confファイルでは、このパラメータに対応する行が MaxConnections 2のように指定さ

れています。

警告ietadmユーティリティによる変更は、システムに対して永久的なものではありません。これらの

変更は、 /etc/ietd.conf環境設定ファイルに追加しない限り、次の再起動で失われます。

ネットワークでのiSCSIの利用方法によっては、これによって重大な問題が発生する可能性があ

ります。

ietadmユーティリティには、他にも使用可能なオプションがあります。 ietadm -hを使用して、概要を

つかんでください。また、省略形も利用できます。省略形には、ターゲットID (tid)、セッションID (sid)、

および接続ID (cid)などがあります。これらの情報は、 /proc/net/iet/sessionにもあります。

14.3 iSCSIイニシエータの設定任意のiSCSIターゲットに接続するには、iSCSIイニシエータ(iSCSIクライアントとも呼ぶ)を使用できま

す。これは、14.2項 「iSCSIターゲットのセットアップ」で説明されているターゲットソリューションだけに

限りません。iSCSIイニシエータの設定には、利用可能なiSCSIターゲットの検出と、iSCSIセッションの

設定という2つの主要ステップがあります。どちらの設定も、YaSTを使って行うことができます。

14.3.1項 「YaSTを使ったiSCSIイニシエータの設定」

14.3.2項 「手動によるiSCSIイニシエータの設定」

14.3.3項 「iSCSIクライアントデータベース」

232 iSCSIイニシエータの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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14.3.1 YaSTを使ったiSCSIイニシエータの設定

YaSTの[iSCSIイニシエータの概要]が3つのタブに分割されます。

サービス: [サービス]タブでは、ブート時にiSCSIイニシエータを有効にできます。固有の[イニ

シエータ名]とディスカバリに使用するiSNSサーバも設定できます。iSNSのデフォルトポートは

3205です。

接続したターゲット: [Connected Targets]タブには、現在接続しているiSCSIターゲットの概

要が表示されます。このタブにも、[検出されたターゲット]タブのように、システムに新しいター

ゲットを追加するオプションが用意されています。

このページでは、ターゲットデバイスを選択して、各iSCSIターゲットデバイスの起動時の設定を

切り替えることができます。

自動: このオプションは、iSCSIサービス自体の起動時に接続するiSCSIターゲットに使用

されます。これが通常の設定です。

Onboot(起動時): このオプションは、起動時、つまりルート( / )がiSCSI上にある場合に接

続するiSCSIターゲットに使用します。したがって、iSCSIターゲットデバイスはサーバの起

動時にinitrdによって評価されます。

検出されたターゲット: [検出されたターゲット]では、ネットワーク内のiSCSIターゲットを手動で

検出することができます。

14.3.1.1項 「iSCSIイニシエータの設定」

14.3.1.2項 「iSNSによるiSCSIターゲットの検出」

14.3.1.3項 「iSCSIターゲットの手動検出」

14.3.1.4項 「iSCSIターゲットデバイスの起動設定」

14.3.1.1 iSCSIイニシエータの設定

1. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

2. [ネットワークサービス][iSCSIイニシエータ]の順に選択します( yast2 iscsi-clientも使

用できます)。

[iSCSIイニシエータの概要]ページで[サービス]タブが選択された状態で、YaSTが開きます。

233 YaSTを使ったiSCSIイニシエータの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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3. [サービスの開始]領域で、次のいずれかを選択します。

起動時: その後の再起動時には、イニシエータサービスが自動的に開始します。

手動(デフォルト): サービスを手動で開始します。

4. [イニシエータ名]を指定、または確認します。

このサーバ上のiSCSIイニシエータに、正しい形式のiSCSI修飾名(IQN)を指定します。イニシ

エータ名はネットワーク全体で固有のものでなければなりません。IQNは次の一般的なフォー

マットを使用します。

iqn.yyyy-mm.com.mycompany:n1:n2

ここでn1とn2はアルファベットか数字です。次に例を示します。

iqn.1996-04.de.suse:01:9c83a3e15f64

[イニシエータ名]には、サーバ上の /etc/iscsi/initiatorname.iscsiファイルから対応す

る値が自動的に入力されます。

サーバがiBFT(iSCSI Boot Firmware Table)をサポートしている場合は、[イニシエータ名]に

はIBFT内の対応する値が入力され、このインタフェースではイニシエータ名を変更できません。

代わりにBIOSセットアップを使用して変更してください。iBFTは、サーバのiSCSIターゲットとイ

ニシエータの説明を含む、iSCSIの起動プロセスに便利な各パラメータを含んだ情報ブロックで

す。

5. 次のいずれかの方法を使用して、ネットワーク上のiSCSIターゲットを検出します。

234 YaSTを使ったiSCSIイニシエータの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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iSNS: iSNS (Internet Storage Name Service)を使用してiSCSIターゲットを検出する

には、続いて14.3.1.2項 「iSNSによるiSCSIターゲットの検出」を実行します。

検出されたターゲット: iSCSIターゲットデバイスを手動で検出するには、続いて14.3.1.3

項 「iSCSIターゲットの手動検出」を実行します。

14.3.1.2 iSNSによるiSCSIターゲットの検出

このオプションを使用する前に、ご使用の環境内でiSNSサーバをインストールし、設定しておく必要が

あります。詳細については、第13章 「Linux用iSNS」を参照してください。

1. YaSTで[iSCSIイニシエータ]を選択し、次に[サービス]タブを選択します。

2. iSNSサーバのIPアドレスとポートを指定します。

デフォルトのポートは3205です。

3. [iSCSIイニシエータの概要]ページで、[完了]をクリックして変更内容を保存、および適用しま

す。

14.3.1.3 iSCSIターゲットの手動検出

iSCSIイニシエータを設定しているサーバからアクセスする各iSCSIターゲットサーバについて、次の手

順を繰り返し実行します。

1. YaSTで[iSCSIイニシエータ]を選択し、次に[検出されたターゲット]タブを選択します。

2. [検出]をクリックして[iSCSIイニシエータの検出]ダイアログボックスを開きます。

3. IPアドレスを入力し、必要に応じてポートを変更します。IPv6アドレスはサポートされています。

デフォルトポートは3260です。

4. 認証が必要な場合は、[認証なし]の選択を解除して、[受信]または[送信]認証用の資格情報

を指定します。

5. [次へ]をクリックして、検出を開始し、iSCSIターゲットサーバに接続します。

6. 資格情報が必要な場合は、検出成功後、[ログイン]を使用してターゲットを有効化します。

指定したiSCSIターゲットを使用するための、認証資格情報の提供を促されます。

7. [次へ]をクリックして、設定を完了します

作業が正常に完了すると、[Connected Targets]にターゲットが表示されます。

これで、仮想iSCSIデバイスを利用できるようになりました。

235 YaSTを使ったiSCSIイニシエータの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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8. [iSCSIイニシエータの概要]ページで、[完了]をクリックして変更内容を保存、および適用しま

す。

9. lsscsiコマンドを使用すると、iSCSIターゲットデバイスのローカルデバイスパスを検出すること

ができます。

lsscsi[1:0:0:0] disk IET VIRTUAL-DISK 0 /dev/sda

14.3.1.4 iSCSIターゲットデバイスの起動設定

1. YaSTで、[iSCSIイニシエータ]を選択し、次に[接続したターゲット]タブを選択して、現在サー

バに接続されているiSCSIターゲットデバイスの一覧を表示することができます。

2. 管理するiSCSIターゲットデバイスを選択します。

3. [起動の切り替え]をクリックして設定を変更します。

自動: このオプションは、iSCSIサービス自体の起動時に接続するiSCSIターゲットに使

用されます。これが通常の設定です。

Onboot(起動時): このオプションは、起動時、つまりルート( / )がiSCSI上にある場合に接

続するiSCSIターゲットに使用します。したがって、iSCSIターゲットデバイスはサーバの起

動時にinitrdによって評価されます。

4. [完了]をクリックして、変更を保存、および適用します。

14.3.2 手動によるiSCSIイニシエータの設定

iSCSI接続の検出や設定を行うには、iscsidが稼働していなければなりません。初めて検出(ディスカバ

リ)を実行する場合、iSCSIイニシエータの内部データベースが、 /var/lib/open-iscsiディレクトリ

に作成されます。

ディスカバリがパスワードにより保護されている場合は、iscsidに認証情報を渡します。最初にディスカ

バリを実行する時には内部データベースが存在していないため、現時点でこれは使用できません。かわ

りに、 /etc/iscsid.conf設定ファイルを編集して、情報を指定する必要があります。パスワード情報を

iscsidに渡すには、 /etc/iscsid.confファイルの最後に、次の行を追加します。

discovery.sendtargets.auth.authmethod = CHAPdiscovery.sendtargets.auth.username = <username>discovery.sendtargets.auth.password = <password>

236 手動によるiSCSIイニシエータの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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ディスカバリは、受け取ったすべての値を内部データベースに保存します。また、検出したターゲットをす

べて表示します。次のコマンドで、このディスカバリを実行します。

iscsiadm -m discovery --type=st --portal=<targetip>

次のように出力されます。

10.44.171.99:3260,1 iqn.2006-02.com.example.iserv:systems

iSNSサーバで使用できるターゲットを検出するには、次のコマンドを使用します。

iscsiadm --mode discovery --type isns --portal <targetip>

iSCSIターゲットに定義されている各ターゲットが、それぞれ1行に表示されます。保存されたデータの

詳細については、14.3.3項 「iSCSIクライアントデータベース」を参照してください。

iscsiadmコマンドの --loginオプションを使用すると、必要なすべてのデバイスが作成されます。

iscsiadm -m node -n iqn.2006-02.com.example.iserv:systems --login

lsscsiコマンドを実行すると、新しく生成されたデバイスが表示されます。これらのデバイスをマウント

して、アクセスできるようになりました。

14.3.3 iSCSIクライアントデータベース

iSCSIイニシエータが検出した情報は、 /var/lib/open-iscsiに格納されている2つのデータベー

スファイルに保管されます。1つは、ディスカバリが検出したターゲット用のデータベースで、もう1つは

検出したノード用のデータベースです。データベースにアクセスする場合、まずデータをディスカバリ

用データベースから取得するのか、またはノードデータベースから取得するのかを指定する必要があ

ります。指定するには、 iscsiadmコマンドの -m discoveryまたは -m nodeパラメータを使用しま

す。iscsiadmコマンドに、どちらかのパラメータを指定して実行すると、そのデータベースに保管され

ているレコードの概要が表示されます。

iscsiadm -m discovery10.44.171.99:3260,1 iqn.2006-02.com.example.iserv:systems

この例のターゲット名は iqn.2006-02.com.example.iserv:systemsです。

このデータセットに関連する操作を行う場合に、この名前が必要になります。ID

iqn.2006-02.com.example.iserv:systemsのデータレコードのコンテンツを調べるには、次のコマ

ンドを使用します。

iscsiadm -m node --targetname iqn.2006-02.com.example.iserv:systems

237 iSCSIクライアントデータベース SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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node.name = iqn.2006-02.com.example.iserv:systemsnode.transport_name = tcpnode.tpgt = 1node.active_conn = 1node.startup = manualnode.session.initial_cmdsn = 0node.session.reopen_max = 32node.session.auth.authmethod = CHAPnode.session.auth.username = joenode.session.auth.password = ********node.session.auth.username_in = <empty>node.session.auth.password_in = <empty>node.session.timeo.replacement_timeout = 0node.session.err_timeo.abort_timeout = 10node.session.err_timeo.reset_timeout = 30node.session.iscsi.InitialR2T = Nonode.session.iscsi.ImmediateData = Yes....

これらの変数の値を変更する場合は、 iscsiadmコマンドで updateオプションを使

用します。たとえば、初期化時にiscidをiSCSIターゲットにログインさせる場合は、値

に automaticと node.startupを設定します。

iscsiadm -m node -n iqn.2006-02.com.example.iserv:systems -p ip:port --op=update --name=node.startup --value=automatic

deleteで、古くなったデータセットを削除します。ターゲッ

ト iqn.2006-02.com.example.iserv:systemsが有効なレコードでなくなった場合は、次のコマンド

でこのレコードを削除してください。

iscsiadm -m node -n iqn.2006-02.com.example.iserv:systems -p ip:port --op=delete

重要このオプションでは、確認のメッセージを表示せずかにレコードを削除するため、使用する際に

は細心の注意を払うようにしてください。

検出したすべてのターゲットのリストを取得するには、 iscsiadm -m nodeコマンドを実行します。

14.4 インストール時のiSCSIディスクの使用iSCSI対応のファームウェアを使用している場合は、i386、x86_64、およびppc64アーキテクチャ上の

iSCSIディスクからの起動がサポートされています。

238 インストール時のiSCSIディスクの使用 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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インストール時にiSCSIディスクそ使用するには、次のパラメータをブートオプション行に追加する必要

があります。

withiscsi=1

インストール中に、インストールプロセスで使用するiSCSIディスクをシステムに接続するオプションが

記載された、追加の画面が表示されます。

14.5 iSCSIのトラブルシューティング14.5.1項 「ホットプラグでiSCSIターゲットをマウントできない」

14.5.2項 「iSCSIトラフィックのデータパッケージがドロップされる」

14.5.3項 「LVMでiSCSIボリュームを使用する」

14.5.4項 「設定ファイルが手動に設定されていると、iSCSIターゲットがマウントされる」

14.5.1 ホットプラグでiSCSIターゲットをマウントできない

SLES 10では、iSCSIターゲットをマウントするため、 /etc/fstabファイルで hotplugオプションをデ

バイスに追加できました。次に例を示します。

/dev/disk/by-uuid-blah /oracle/db ext3 hotplug,rw 0 2

SLES 11では、 hotplugオプションは機能しません。代わりに、 nofailオプションを使用してくださ

い。次に例を示します。

/dev/sdb1 /mnt/mountpoint ext3 acl,user,nofail 0 0

『TID 7004427: /etc/fstab entry does not mount iSCSI device

on boot up (http://www.novell.com/support/php/search.do?

cmd=displayKC&docType=kc&externalId=7004427) 』を参照してください。

14.5.2 iSCSIトラフィックのデータパッケージがドロップされる

ファイアウォールは、ビジーになるとパケットをドロップすることがあります。SUSEファイアウォールのデ

フォルトは、3分後にパケットをドロップすることです。iSCSIトラフィックのパケットがドロップされている

ことが分かった場合は、ファイアウォールがビジーになったとき、パケットをドロップする代わりにキュー

に入れるように、SUSEファイアウォールを設定することができます。

239 iSCSIのトラブルシューティング SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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14.5.3 LVMでiSCSIボリュームを使用するiSCSIターゲットでLVMを使用する際には、この項のトラブルシューティングのヒントを使用してくださ

い。

14.5.3.1項 「ブート時にiSCSIイニシエータの検出が行われることを確認する」

14.5.3.2項 「iSCSIターゲットの検出がブート時に起きることを確認する」

14.5.3.1 ブート時にiSCSIイニシエータの検出が行われることを確認する

iSCSIイニシエータをセットアップする際には、udevがブート時にiSCSIデバイスを検出し、LVMによる

それらのデバイスの使用をセットアップできるように、ブート時の検出を有効にしてください。

14.5.3.2 iSCSIターゲットの検出がブート時に起きることを確認する

SLES 11の udevでは、デバイスのデフォルトセットアップを提供することを思い出してください。デバイ

スを作成するすべてのアプリケーションに、ブート時に実行されるランレベル設定があることを確認して

ください。 udevがシステムのスタートアップ時にそれらを認識し、デバイスを割り当てることができます。

アプリケーションまたはサービスが後まで起動しない場合は、 udevがブート時のように自動的にデバイ

スを作成することはありません。

[YaST]でLVM2とiSCSIのランレベル設定を確認するには、[システム][システムサービス(ランレベ

ル)][エキスパートモード]の順に選択します。次のサービスをブート時に有効にします(B)。

boot.lvm

boot.open-iscsi

open-iscsi

14.5.4 設定ファイルが手動に設定されていると、iSCSIターゲットがマウントされるOpen-iSCSIは、 /etc/iscsi/iscsid.confファイルで node.startupオプションが手動に設定さ

れている場合でも、設定ファイルを手動で変更すれば、起動時にターゲットをマウントできます。

/etc/iscsi/nodes/<ターゲット_名>/<ip_アドレス,ポート>/defaultファイルを確認してくだ

さい。このファイルには、 /etc/iscsi/iscsid.confファイルを上書きする node.startup設定が

含まれています。YaSTインターフェイスを使用してマウントオプションを手動に設定すると、 /etc/

iscsi/nodes/<ターゲット_名>/<ip_アドレス,ポート>/default ファイルでも node.startup =

manualが設定されます。

240 LVMでiSCSIボリュームを使用する SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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14.6 追加情報iSCSIプロトコルは、数年に渡って利用されています。そのため、iSCSIとSANソリューションの比較、ベ

ンチマークテスト、ハードウェアソリューションの解説など、さまざまなレビューや参考資料が発表または

公開されています。open-iscsiの詳細に関する代表的なサイトを以下に示します。

Open-iSCSI Project (http://www.open-iscsi.org/)

AppNote: iFolder on Open Enterprise Server Linux Cluster using iSCSI (http://

www.novell.com/coolsolutions/appnote/15394.html)

このほか、オンラインマニュアルも利用できます。i scsiadm 、 iscsid 、 ietd.confおよび ietdの各マ

ニュアルページのほか、環境設定ファイルのサンプル /etc/iscsid.confも参照してください。

241 追加情報 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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15 IP ネットワークの大容量記憶域: iSCSI LIOターゲットサーバ

LIO (linux-iscsi.org)は、Linux用の標準のオープンソースマルチプロトコルSCSIターゲットで

す。LIOは、Linuxカーネルのバージョン2.6.38以降において、Linuxにおける標準の統一ストレージ

ターゲットとして、STGT (SCSI Target)フレームワークにとって代わりました。YaSTは、SUSE Linux

Enterprise Server 11 SP3以降で、iSCSI LIOターゲットサーバソフトウェアをサポートしています。

この項では、YaSTを使用してiSCSI LIOターゲットサーバを構成し、iSCSI LIOのターゲットデバイス

を設定する方法について説明します。任意のiSCSIイニシエータソフトウェアを使用して、ターゲットデ

バイスにアクセスすることができます。

15.1項 「iSCSI LIOターゲットサーバソフトウェアのインストール」

15.2項 「iSCSI LIOターゲットサービスの開始」

15.3項 「iSCSI LIOターゲットおよびクライアントのディスカバリに対する認証の設定 」

15.4項 「ストレージスペースの準備」

15.5項 「iSCSI LIOターゲットグループの設定」

15.6項 「iSCSI LIOターゲットグループの変更」

15.7項 「iSCSI LIOターゲットグループの削除」

15.8項 「iSCSI LIOターゲットサーバのトラブルシューティング」

15.9項 「iSCSI LIOターゲットの用語」

15.1 iSCSI LIOターゲットサーバソフトウェアのインストールYaSTソフトウェア管理ツールを使用して、iSCSI LIOターゲットサーバソフトウェアを、SUSE Linux

Enterprise Server 11 SP3サーバ上でiSCSI LIOターゲットデバイスを作成したい場所にインストー

ルします。

1. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

2. [ソフトウェア][ソフトウェア管理]の順に選択します。

242 iSCSI LIOターゲットサーバソフトウェアのインストール SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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3. [検索]を選択し、 lioと入力して、[検索]をクリックします。

4. iSCSI LIOターゲットサーバのパッケージを選択します。

iSCSI LIOターゲットサーバのパッ

ケージ

説明

yast2-iscsi-lio-server iSCSI LIOターゲットデバイスの設定用に、YaST内

にGUIインタフェースを提供します。

lio-utils yast2-iscsi-lio-serverが使用する、iSCSI

LIOターゲットデバイスの設定および制御用のAPIを

提供します。

lio-mibs Net-SNMPエージェントのダイナミックロードモ

ジュール( dlmod )機能を使用して、iSCSI LIO

ターゲットデバイスのSNMP (Simple Network

Management Protocol)モニタリングを提供しま

す。SNMP v1、v2c、およびv3に対応しています。環

境設定ファイルは、 /etc/snmp/snmpd.confです。

lio-mibsソフトウェアは、 perl-SNMPおよび net-

snmpパッケージを使用します。

Net-SNMPの詳細については、オープンソー

スのNet-SNMP Project (http://www.net-

snmp.org/) を参照してください。

lio -utils-debuginfo lio-utilsパッケージ用のデバッグ情報を提供し

ます。このパッケージは、 lio-utils用のアプリケー

ションの開発またはデバッグの際に仕様できます。

5. ダイアログボックスの右下部にある[承諾]をクリックして、選択したパッケージをインストールしま

す。

243 iSCSI LIOターゲットサーバソフトウェアのインストール SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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6. 自動変更を承認するかどうを尋ねるメッセージが表示されたら、[続行]をクリックして、 lio-

utils , perl-SNMP , および net-snmpパッケージに対するiSCSI LIOターゲットサーバの依存

性を承諾します。

7. YaSTを終了して再起動し、[ネットワークサービス]をクリックして、[ iSCSI LIOターゲット]オプ

ションがメニューにあることを確認します。

244 iSCSI LIOターゲットサーバソフトウェアのインストール SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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8. 15.2項 「iSCSI LIOターゲットサービスの開始」に進みます。

15.2 iSCSI LIOターゲットサービスの開始iSCSI LIOターゲットサービスは、マニュアルで開始するようデフォルトで設定されています。同サー

ビスを、システムの再起動時に自動的に開始するよう設定できます。サーバでファイアウォールを使

用していて、iSCSI LIOターゲットをほかのコンピュータでも利用可能としたい場合は、ターゲットへ

のアクセスに使用する各アダプタ用に、ファイアウォール内のポートを開放する必要があります。TCP

ポート3260が、iSCSIプロトコル用のポート番号です。これは、IANA (Internet Assigned Numbers

Authority)により定義されています。

15.2.1項 「iSCSI LIO起動の初期設定」

15.2.2項 「iSCSI LIOターゲットおよびコマンドラインのマニュアルでの開始」

15.2.3項 「YaSTでのiSCSI LIOターゲットのマニュアルでの開始」

15.2.1 iSCSI LIO起動の初期設定

iSCSI LIOターゲットサーバサービスの設定:

1. rootユーザとしてiSCSI LIOターゲットサーバにログインして、端末コンソールを起動します。

2. /etc/init.d/targetデーモンが実行中であることを確認します。コマンドプロンプトで、次のよ

うに入力します

/etc/init.d/target start

コマンドから、デーモンが起動した、またはデーモンがすでに実行中であることを確認するメッ

セージが返されます。

245 iSCSI LIOターゲットサービスの開始 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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3. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

4. YaSTコントロールセンターで、[ネットワークサービス]を選択して、次に[iSCSI LIOターゲット]

を選択します。

「lio」を検索してから、[iSCSI LIOターゲット]を選択することもできます。

5. [iSCSI LIOターゲット概要]ダイアログボックスで、[サービス]タブを選択します。

6. [サービスを開始]で、iSCSI LIOターゲットサービスの開始方法を指定します。

ブート時: サービスは、サーバの再起動時に自動的に開始します。

手動: (デフォルト)サーバの再起動後、マニュアルでサービスを開始する必要があります。

ターゲットデバイスは、サービスを開始するまで利用できません。

7. サーバでファイアウォールを使用していて、iSCSI LIOターゲットをほかのコンピュータでも利用

可能としたい場合は、ターゲットへのアクセスに使用する各アダプタインタフェース用に、ファイア

ウォール内のポートを開放します。

ファイアウォール設定は、デフォルトでは無効になっています。この設定は、サーバ上にファイア

ウォールを展開しない限り不要です。デフォルトのポート番号は3260です。このポートがネット

ワークインタフェースのすべてに対してクローズしている場合、iSCSI LIOターゲットはほかのコ

ンピュータでは利用できません。

a. [サービス]タブで、[ファイアウォールのポートを開く]チェックボックスをオンにして、ファイ

アウォール 設定を有効にします。

246 iSCSI LIO起動の初期設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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b. [ファイアウォールの詳細]をクリックして、使用するネットワークインタフェースを確認また

は設定します。

すべての利用可能なネットワークインタフェースが一覧表示され、デフォルトではすべてが

選択されています。

c. 各インタフェースについて、それに対するポートを開くか閉じるかを指定します。

開く: ポートを開くには、インタフェースのチェックボックスをオンにします。[すべて選

択]をクリックして、インタフェースのすべてでポートを開くこともできます。

閉じる: ポートを閉じるには、インタフェースのチェックボックスを選択解除します。

[すべて選択解除]をクリックして、インタフェースのすべてでポートを閉じることもで

きます。

d. [OK]をクリックして、変更内容を保存して適用します。

e. 設定の確認を求めるメッセージが表示されたら、[はい]をクリックして先に進むか、[いい

え]をクリックして、ダイアログボックスに戻って必要な変更を行います。

8. [完了]をクリックして、iSCSI LIOターゲットサービスの設定を保存して適します。

15.2.2 iSCSI LIOターゲットおよびコマンドラインのマニュアルでの開始

1. rootユーザとしてログインし、端末コンソールを起動します。

2. コマンドプロンプトで、次のように入力します

247

iSCSI LIOターゲットおよびコマンドラインのマニュアルでの開始 SUSE Linux Enterp… 11

SP4

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/etc/init.d/target start

コマンドから、デーモンが起動した、またはデーモンがすでに実行中であることを確認するメッ

セージが返されます。

15.2.3 YaSTでのiSCSI LIOターゲットのマニュアルでの開始

1. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

2. YaSTコントロールセンターで、[システム]を選択して、次に[システムサービス(Runlevel)]を選

択します。

3. [YaSTシステムサービス]ダイアログボックスで、[エキスパートモード]を選択し、次にサービスの

リストから[target] ([TCM/ConfigFS and LIO-Target])を選択します。

4. 右下で、[開始/中止/更新][今すぐ開始]を選択します。

5. [OK]をクリックします。

248 YaSTでのiSCSI LIOターゲットのマニュアルでの開始 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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15.3 iSCSI LIOターゲットおよびクライアントのディスカバリに対する認証の設定iSCSI LIOターゲットサーバソフトウェアは、PPP-CHAP (Point-to-Point Protocol Challenge

Handshake Authentication Protocol)をサポートしています。これは、Internet Engineering Task

Force (IETF) RFC 1994 (http://www.ietf.org/rfc/rfc1994.txt) で定義されている、3方向の認

証方法です。iSCSI LIOターゲットサーバはこの認証方法を、ターゲット上のファイルへのアクセスにで

はなく、iSCSI LIOのターゲットとクライアントのディスカバリ用に使用します。ディスカバリへのアクセス

を制限しない場合は、[認証なし]を選択します。デフォルトでは[認証なし]のオプションが有効になっ

ています。ディスカバリに対する認証を有効にしない場合、その設定は、すべてのiSCSI LIOターゲット

グループに適用されます。

重要運用環境では、ターゲットおよびクライアントのディスカバリに認証を使用することを推奨します。

よりセキュアな設定に対する認証が必要な場合は、incoming認証、outgoing認証またはその両方

を使用できます。 [incoming認証]では、iSCSIイニシエータに、iSCSI LIOターゲット上でディスカ

バリを実行するパーミッションがあることを証明するよう求めます。イニシエータは、incomingのユー

ザ名とパスワードを入力する必要があります。[outgoing認証]では、iSCSI LIOターゲットに、自ら

が目的のターゲットであることをイニシエータに対して証明するよう求めます。iSCSI LIOターゲット

は、outgoingのユーザ名とパスワードを、iSCSIイニシエータに提供する必要があります。ユーザ名とパ

スワードの組み合わせは、incomingとoutgoingディスカバリで異なっても構いません。

iSCSI LIOターゲットに対して認証の初期設定を行うには

1. rootユーザとしてiSCSI LIOターゲットサーバにログインして、端末コンソールを起動します。

2. /etc/init.d/targetデーモンが実行中であることを確認します。コマンドプロンプトで、次のよ

うに入力します

/etc/init.d/target start

コマンドから、デーモンが起動した、またはデーモンがすでに実行中であることを確認するメッ

セージが返されます。

3. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

4. YaSTコントロールセンターで、[ネットワークサービス]を選択して、次に[iSCSI LIOターゲット]

を選択します。

249

iSCSI LIOターゲットおよびクライアントのディスカバリに対する認証の設定 SUSE Linux

Enterp… 11 SP4

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「lio」を検索してから、[iSCSI LIOターゲット]を選択することもできます。

5. [iSCSI LIOターゲット概要]ダイアログボックスで、[グローバル]タブを選択して、認証の設定を

行います。認証設定は、デフォルトでは無効になっています。

6. iSCSI LIOターゲットに対して認証を求めるかどうかを指定します。

認証を無効にする: (デフォルト)このサーバ上のディスカバリに対してincomingと

outgoingの認証を無効にするには、[認証なし]チェックボックスをオンにします。このサー

バ上のすべてのiSCSI LIOターゲットは、同じネットワーク上のどのiSCSIイニシエータク

ライアントによっても検出することができます。このサーバは、ディスカバリに対する認証を

必要としない、同じネットワーク上のどのiSCSIイニシエータクライアントも検出することが

できます。ステップ 7をスキップしてステップ 8に進みます。

認証を有効にする: [認証なし]チェックボックスを、選択解除します。[incoming認証]と

[outgoing認証]の両方のチェックボックスが自動的にオンになります。ステップ 7に進み

ます。

250

iSCSI LIOターゲットおよびクライアントのディスカバリに対する認証の設定 SUSE Linux

Enterp… 11 SP4

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7. incomingディスカバリ、outgoingディスカバリ、またはその両方に必要な認証資格情報を設定

します。ユーザ名とパスワードの組み合わせは、incomingとoutgoingディスカバリで異なっても

構いません。

a. 次のいずれかを行って、incoming認証を設定します。

incoming認証を無効にする: [incoming認証]チェックボックスを、選択解除し

ます。このサーバ上のすべてのiSCSI LIOターゲットは、同じネットワーク上のどの

iSCSIイニシエータクライアントによっても検出することができます。

incoming認証を有効にする: [incoming認証]チェックボックスをオンにし

て、iSCSI LIOターゲットのincomingディスカバリに使用する、既存のユーザ名とパ

スワードの組み合わせを指定します。

b. 次のいずれかを行って、outgoing認証を設定します。

outgoing認証を無効にする: [outgoing認証]チェックボックスを、選択解除しま

す。このサーバは、ディスカバリに対する認証を必要としない、同じネットワーク上のど

のiSCSIイニシエータクライアントも検出することができます。

outgoing認証を有効にする: [outgoing認証]チェックボックスをオンにし

て、iSCSIイニシエータクライアントのoutgoingディスカバリに使用する、既存のユー

ザ名とパスワードの組み合わせを指定します。

8. [完了]をクリックして、設定を保存して適用します。

251

iSCSI LIOターゲットおよびクライアントのディスカバリに対する認証の設定 SUSE Linux

Enterp… 11 SP4

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15.4 ストレージスペースの準備iSCSI LIOターゲットの設定により、既存のブロックデバイスをiSCSIイニシエータにエクスポートしま

す。未フォーマットのパーティションまたはデバイスをサーバ上に設定して、ターゲットデバイスで使用す

るストレージスペースを準備する必要があります。iSCSI LIO ターゲットは、Linux、Linux LVM、また

はLinux RAIDファイルシステムIDで未フォーマットのパーティションを使用できます。

重要iSCSIターゲットとして使用するデバイスやパーティションを設定したら、ローカルパス経由で直

接アクセスしないでください。作成時にはマウントポイントは指定しないでください。

15.4.1項 「デバイスのパーティショニング」

15.4.2項 「仮想環境でのデバイスのパーティション分割」

15.4.1 デバイスのパーティショニング

1. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

2. YaSTで、[システム][パーティショナ]を選択します。

3. パーティショナの使用に関する警告に対して[はい]を選択して続行します。

4. [パーティション]ページの下部で、[追加]をクリックしてパーティションを作成します。ただし

フォーマットはせず、マウントもしないでください。

a. [エキスパートパーティショナ]ページで、[ハードディスク]を選択して、設定したいディスク

のリーフノード名( sdcなど)を選択します。

b. [プライマリパーティション]を選択し、[次へ]をクリックします。

c. 使用する容量を指定して、[次へ]をクリックします。

d. [フォーマットオプション]で、[フォーマットしない]を選択して、ドロップダウンリストからファ

イルシステムのIDタイプを選択します。

iSCSI LIO ターゲットは、Linux (0x83)、Linux LVM (0x8E)、またはLinux RAID

(0xFD)ファイルシステムIDで未フォーマットのパーティションを使用できます。

252 ストレージスペースの準備 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

Page 268: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

e. [マウントのオプション]で、[マウントしない]を選択します。

f. [完了]をクリックします。

5. ステップ 4を繰り返して、後でiSCSI LIOターゲットとして使用したい領域に、未フォーマットの

パーティションを作成します。

6. [次へ][完了]をクリックして変更を保存し、YaSTを閉じます。

253 デバイスのパーティショニング SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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15.4.2 仮想環境でのデバイスのパーティション分割

仮想マシンのゲストサーバを、iSCSI LIOターゲットサーバとして使用できます。この項では、Xen仮想

マシンにパーティションを割り当てる方法を説明します。また、SUSE Linux Enterprise Server 11

SP2以降でサポートされている、その他の仮想環境も使用できます。

Xen仮想環境で、iSCSI LIOターゲットデバイスに使用するストレージスペースをゲストの仮想マシン

に割り当て、ゲスト環境内の仮想ディスクとしてそのスペースにアクセスします。各仮想ディスクは、ディ

スク全体、パーティション、ボリュームなどの物理ブロックデバイスでも、Xenホストサーバ上の大規模な

物理ディスク上の単一イメージファイルが仮想ディスクになっている、ファイルバックディスクイメージの

いずれでも可能です。最適なパフォーマンスを得るためには、物理ディスクまたはパーティションから各

仮想ディスクを作成してください。ゲストの仮想マシンに仮想ディスクを設定したら、ゲストサーバを起

動し、物理サーバの場合と同じ方法で、新しいブランクの仮想ディスクをiSCSIターゲットデバイスとし

て設定します。

ファイルバックディスクイメージがXenホストサーバ上に作成され、Xenゲストサーバに割り当てられま

す。デフォルトでは、Xenはファイルバックディスクイメージを /var/lib/xen/images/vm_nameディレ

クトリに保存します。ここで vm_nameは仮想マシンの名前です。

たとえば、サイズが4GBの /var/lib/xen/images/vm_one/xen--0ディスクイメージを作成する場

合は、まず、ディレクトリが存在することを確認し、次に、イメージ自体を作成します。

1. ホストサーバに rootユーザとしてログインします。

2. 端末コンソールプロンプトで次のコマンドを入力します。:

mkdir -p /var/lib/xen/images/vm_onedd if=/dev/zero of=/var/lib/xen/images/vm_one/xen-0 seek=1M bs=4096 count=1

3. Xen設定ファイルで、ファイルシステムイメージをゲスト仮想マシンに割り当てます。

4. ゲストサーバに rootユーザとしてログインし、YaSTを使用して15.4.1項 「デバイスのパーティ

ショニング」の手順で仮想ブロックデバイスを設定します。

15.5 iSCSI LIOターゲットグループの設定YaSTを使用して、iSCSI LIOターゲットデバイスを設定することができます。YaSTでは、 lio-utilsソ

フトウェアにより提供されるAPIを使用します。iSCSI LIO ターゲットは、Linux、Linux LVM、または

Linux RAIDファイルシステムIDで未フォーマットのパーティションを使用できます。

254 仮想環境でのデバイスのパーティション分割 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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重要始める前に、15.4項 「ストレージスペースの準備」に記載しているように、iSCSI LIOターゲット

として使用する未フォーマットのパーティションを作成してください。

1. rootユーザとしてiSCSI LIOターゲットサーバにログインして、端末コンソールを起動します。

2. /etc/init.d/targetデーモンが実行中であることを確認します。コマンドプロンプトで、次のよ

うに入力します

/etc/init.d/target start

コマンドから、デーモンが起動した、またはデーモンがすでに実行中であることを確認するメッ

セージが返されます。

3. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

4. YaSTコントロールセンターで、[ネットワークサービス]を選択して、次に[iSCSI LIOターゲット]

を選択します。

「lio」を検索してから、[iSCSI LIOターゲット]を選択することもできます。

5. [iSCSI LIOターゲット概要]ダイアログボックスで、[ターゲット]タブを選択して、ターゲットの設

定を行います。

255 iSCSI LIOターゲットグループの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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6. [追加]をクリックして、新しいiSCSI LIOのターゲットグループとデバイスを定義します。

iSCSI LIOターゲットソフトウェアにより、[ターゲット]、[識別子]、[ポータルグループ]、[IPア

ドレス]、および[ポート番号]の各フィールドが自動的に記入されます。[認証を使用する]が、デ

フォルトで選択されています。

a. 複数のネットワークインタフェースがある場合は、IPアドレスのドロップダウンリストを使っ

て、このターゲットグループ用に使用するネットワークインタフェースのIPアドレスを選択し

ます。

b. このターゲットグループに対してクライアント認証を求めたい場合は、[認証を使用する]を

選択します。

重要運用環境では、認証を求めることが推奨されます。

c. [追加]をクリックして、ブラウズしてデバイスまたはパーティションを選択し、名前を指定し

てから、[OK]をクリックします。

0から始まるLUN番号が自動的に作成されます。フィールドを空にしておくと、名前が自動

的に生成されます。

256 iSCSI LIOターゲットグループの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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d. (オプション)ステップ 6.aからステップ 6.cまでを繰り返し、このターゲットグループにさらに

ターゲットを追加します。

e. 目的のターゲットがすべてグループに追加されたら、[次へ]をクリックします。

7. [iSCSIターゲットクライアントセットアップの変更]ページで、ターゲットグループ内のLUNへのア

クセスを許可されるクライアントに関する情報を設定します。

ターゲットグループに対して1つ以上のクライアントを指定すると、[LUNを編集]、[認証を編

集]、[削除]、および[コピー]の各ボタンが有効になります。[追加]または[コピー]を使用して、

ターゲットグループにさらにクライアントを追加できます。

257 iSCSI LIOターゲットグループの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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追加: 選択したiSCSI LIOターゲットグループに、新たなクライアントのエントリを追加しま

す。

LUNを編集: iSCSI LIOターゲットグループ内のどのLUNが、選択したクライアントにマッ

プするかを設定します。割り当てられたターゲットのそれぞれを、任意のクライアントLUNに

マップすることができます。

認証を編集: 選択したクライアントに対する好みの認証方法を設定します。認証なしを指

定することも、incoming認証、outgoing認証、またはその両方を設定することもできます。

削除: 選択したクライアントのエントリを、ターゲットグループに割り当てられたクライアント

の一覧から削除します。

コピー: 同じLUNのマッピングと認証設定を持つ新たなクライアントのエントリを、選択し

たクライアントのエントリとして追加します。これにより、容易に同じ共有LUNを、クラスタ内

の各ノードに順々に割り当てることができます。

a. [追加]をクリックして、クライアント名を指定し、[TPGからLUNをインポート]チェックボッ

クスを選択または選択解除してから、[OK]をクリックして設定を保存します。

b. クライアントのエントリを選択して、[LUNを編集]をクリックし、LUNのマッピングを変更し

てiSCSI LIOターゲットグループ内のどのLUNを選択したクライアントに割り当てるかを指

定して、[OK]をクリックして変更内容を保存します。

iSCSI LIOターゲットグループが複数のLUNで構成されている場合は、1つまたは複数の

LUNを、選択したクライアントに割り当てることができます。デフォルトでは、グループ内の

利用可能なLUNのそれぞれが、クライアントLUNに割り当てられます。

258 iSCSI LIOターゲットグループの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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LUNの割り当てを変更するには、次の操作の1つ以上を実行します。

追加: [追加]をクリックして新しい[クライアントLUN]のエントリを作成し、[変更]

ドロップダウンリストを使用して、それにターゲットLUNをマップします。

削除: [クライアントLUN]のエントリを選択して、[削除]をクリックしてターゲット

LUNのマッピングを削除します。

変更: [クライアントLUN]のエントリを選択し、[変更]ドロップダウンリストを使用し

て、それにマップするターゲットLUNを選択します。

一般的な割り当のプランには、次のようなものがあります。

259 iSCSI LIOターゲットグループの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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1台のサーバが、クライアントとして登録されています。ターゲットグループ内のLUN

がすべて、それに割り当てられています。

このグループ化戦略を使用して、特定のサーバに対して、iSCSI SANストレージを論

理的にグループ化することができます。

複数の独立したサーバが、クライアントとして登録されています。1つまたは複数の

ターゲットLUNが、それぞれのサーバに割り当てられています。それぞれのLUN

は、1台のサーバのみに割り当てられています。

このグループ化戦略を使用して、データセンター内の特定の部門またはサービスの

カテゴリに対して、iSCSI SANストレージを論理的にグループ化することができます。

260 iSCSI LIOターゲットグループの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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クラスタの各ノードが、クライアントとして登録されています。共有のターゲットLUN

がすべて、各ノードに割り当てられています。すべてのノードがデバイスに接続されて

いますが、ほとんどのファイルシステムに対して、クラスタソフトウェアによってデバイ

スによるアクセスがロックされ、一度に1つのノード上にのみデバイスがマウントされま

す。共有ファイルシステム(OCFS2など)では、複数のノードが同時に同じファイル構

造をマウントし、読み込みおよび書き込みアクセスを持つ同じファイルを開くことが可

能です。

このグループ化戦略を使用して、特定のサーバクラスタに対して、iSCSI SANスト

レージを論理的にグループ化することができます。

c. クライアントのエントリを選択して、[認証を編集]をクリックし、クライアントに対する認証設

定を指定して、[OK]をクリックして設定を保存します。

261 iSCSI LIOターゲットグループの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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[認証なし]とすることも、[incoming認証]、[outgoing認証]、またはその両方を設定す

ることもできます。各クライアントに対して指定できるユーザ名とパスワードの組み合わせ

は、1つだけです。クライアントに対するincoming認証とoutgoing認証の資格情報は、異

なっても構いません。資格情報は、クライアントごとに異なっても構いません。

d. このターゲットグループにアクセスできる各iSCSIクライアントについて、ステップ 7.aか

らステップ 7.cを繰り返します。

e. クライアントの割り当てを設定し終わったら、[次へ]をクリックします。

8. [完了]をクリックして、設定を保存して適用します。

15.6 iSCSI LIOターゲットグループの変更以下のようにして、iSCSI LIOターゲットグループに変更を加えることができます。

262 iSCSI LIOターゲットグループの変更 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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ターゲットLUNデバイスをターゲットグループに追加または削除する

ターゲットグループに対してクライアントを追加または削除する

ターゲットグループのクライアントに対して、クライアントLUNからターゲットLUNへのマッピング

を変更する

クライアント認証(incoming、outgoing、または両方)用のユーザ名とパスワードの資格情報を変

更する

iSCSI LIOターゲットグループに対する設定を確認または変更するには:

1. rootユーザとしてiSCSI LIOターゲットサーバにログインして、端末コンソールを起動します。

2. /etc/init.d/targetデーモンが実行中であることを確認します。コマンドプロンプトで、次のよ

うに入力します

/etc/init.d/target start

コマンドから、デーモンが起動した、またはデーモンがすでに実行中であることを確認するメッ

セージが返されます。

3. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

4. YaSTコントロールセンターで、[ネットワークサービス]を選択して、次に[iSCSI LIOターゲット]

を選択します。

「lio」を検索してから、[iSCSI LIOターゲット]を選択することもできます。

5. [iSCSI LIOターゲット概要]ダイアログボックスで、[ターゲット]タブを選択して、ターゲットグ

ループの一覧を表示します。

263 iSCSI LIOターゲットグループの変更 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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6. 変更するiSCSI LIOターゲットグループを選択して、[編集]をクリックします。

7. [iSCSIターゲットLUNのセットアップを変更]ページで、ターゲットグループにLUNを追加

し、LUNの割り当てを編集するか、またはターゲットLUNをグループから削除します。すべてグ

ループに目的の変更が行われたら、[次へ]をクリックします。

オプションについては、ステップ 6の15.5項 「iSCSI LIOターゲットグループの設定」を参照してく

ださい。

8. [iSCSIターゲットクライアントセットアップの変更]ページで、ターゲットグループ内のLUNへのア

クセスを許可されるクライアントに関する情報を設定します。すべてグループに目的の変更が行

われたら、[次へ]をクリックします。

オプションについては、ステップ 7の15.5項 「iSCSI LIOターゲットグループの設定」を参照してく

ださい。

264 iSCSI LIOターゲットグループの変更 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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9. [完了]をクリックして、設定を保存して適用します。

15.7 iSCSI LIOターゲットグループの削除iSCSI LIOターゲットグループを削除すると、グループの定義と、クライアントに対する関連のセットアッ

プ(LUNのマッピングや認証資格情報を含む)が削除されます。パーティション上のデータは破棄され

ません。クライアントに再度アクセス権を付与するには、ターゲットLUNを別のまたは新規のターゲット

グループに割り当てて、それらに対するクライアントアクセスを設定します。

1. rootユーザとしてiSCSI LIOターゲットサーバにログインして、端末コンソールを起動します。

2. /etc/init.d/targetデーモンが実行中であることを確認します。コマンドプロンプトで、次のよ

うに入力します

/etc/init.d/target start

コマンドから、デーモンが起動した、またはデーモンがすでに実行中であることを確認するメッ

セージが返されます。

3. YaSTを、 rootユーザとして起動します。

4. YaSTコントロールセンターで、[ネットワークサービス]を選択して、次に[iSCSI LIOターゲット]

を選択します。

「lio」を検索してから、[iSCSI LIOターゲット]を選択することもできます。

5. [iSCSI LIOターゲット概要]ダイアログボックスで、[ターゲット]タブを選択して、設定済みター

ゲットグループの一覧を表示します。

265 iSCSI LIOターゲットグループの削除 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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6. 削除するiSCSI LIOターゲットグループを選択して、[削除]をクリックします。

7. 確認のメッセージが表示されたら、[続行]をクリックして削除を確認するか、[キャンセル]をク

リックしてキャンセルします。

8. [完了]をクリックして、設定を保存して適用します。

15.8 iSCSI LIOターゲットサーバのトラブルシューティングこの項では、iSCSI LIOターゲットサーバに関するいくつかの既知の問題と、考えられる解決策につい

て説明します。

266 iSCSI LIOターゲットサーバのトラブルシューティング SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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15.8.1項 「ターゲットLUNのセットアップ時のポータルエラー 」

15.8.2項 「iSCSI LIOターゲットが他のコンピュータで表示されない」

15.8.1 ターゲットLUNのセットアップ時のポータルエラー

iSCSI LIOターゲットグループの追加または編集を行う際に、次のエラーが発生する:

Problem setting network portal <ip_address>:3260

/var/log/YasT2/y2logログファイルに、次のエラーが含まれている:

find: `/sys/kernel/config/target/iscsi': No such file or directory

この問題は、iSCSI LIOターゲットサーバソフトウェアがその時点で実行中ではない場合に発生しま

す。この問題を解決するには、YaSTを終了して、コマンドラインでマニュアルでiSCSI LIOを起動し、再

試行します。

1. rootユーザとして、端末コンソールを開きます。

2. コマンドプロンプトで、次のように入力します

/etc/init.d/target start

次のように入力して、 configfs 、 iscsi_target_mod 、および target_core_modがロードされてい

るかどうかチェックすることもできます。サンプルの応答を示しています。

lsmod | grep iscsi

iscsi_target_mod 295015 0 target_core_mod 346745 4 iscsi_target_mod,target_core_pscsi,target_core_iblock,target_core_file configfs 35817 3 iscsi_target_mod,target_core_mod scsi_mod 231620 16 iscsi_target_mod,target_core_pscsi,target_core_mod,sg,sr_mod,mptctl,sd_mod, scsi_dh_rdac,scsi_dh_emc,scsi_dh_alua,scsi_dh_hp_sw,scsi_dh,libata,mptspi, mptscsih,scsi_transport_spi

267 ターゲットLUNのセットアップ時のポータルエラー SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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15.8.2 iSCSI LIOターゲットが他のコンピュータで表示されない

ターゲットサーバでファイアウォールを使用している場合は、他のコンピュータでiSCSI LIOターゲット

を表示できるようにするために使用するiSCSIポートを開く必要があります。詳細については、15.2.1項

「iSCSI LIO起動の初期設定」のステップ 7を参照してください。

15.9 iSCSI LIOターゲットの用語

backstore

iSCSIのエンドポイントの基礎となる実際のストレージを提供する、物理的ストレージオブジェク

ト。

CDB (command descriptor block)

SCSIコマンドの標準フォーマット CDBは一般的に6、10、または12バイトの長さですが、16バイ

トまたは可変長でも構いません。

CHAP (Challenge Handshake Authentication Protocol)

ポイントツーポイントプロトコル(PPP)の認証方法で、あるコンピュータのアイデンティティを別の

コンピュータに対して確認するために使用します。Link Control Protocol (LCP)によって2台の

コンピュータが接続され、CHAPメソッドがネゴシエートされた後、認証者はランダムなチャレンジ

をピアに送信します。ピアは、チャレンジおよび秘密鍵に依存した、暗号学的にハッシュされたレ

スポンスを発行します。認証者は、ハッシュされたレスポンスを、予想されるハッシュ値の自身の

計算に対して検証し、認証を了承するか、接続を終了します。CHAPは、Internet Engineering

Task Force (IETF) (http://www.ietf.org) RFC 1994で定義されました。

CID (接続識別子)

イニシエータが生成する16ビットの番号で、2つのiSCSIデバイス間の接続を、一意に識別するも

の。この番号は、ログインフェーズの間に提示されます。

エンドポイント

iSCSIターゲット名とiSCSI TPG (IQN + Tag)の組み合わせ

EUI (extended unique identifier)

世界中のあらゆるデバイスを一意に識別する、64ビットの番号。フォーマットは、会社ごとに一意

である24ビットと、その会社が自社の各デバイスに割り当てる40ビットで構成されます。

イニシエータ

SCSIセッションの開始エンド。通常は、コンピュータなどの制御デバイス。

IPS (Internet Protocol storage)

268 iSCSI LIOターゲットが他のコンピュータで表示されない SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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IPプロトコルを使用してストレージネットワーク内のデータを移動する、プロトコルまたはデバイス

のクラス。FCIP (Fibre Channel over Internet Protocol)、iFCP (Internet Fibre Channel

Protocol)、およびiSCSI (Internet SCSI)は、すべてIPSプロトコルの例です。

IQN (iSCSI qualified name)

世界中のあらゆるデバイスを一意に識別する、iSCSIの名前形式(たとえば:

iqn.5886.com.acme.tapedrive.sn‐a12345678 )。

ISID (initiator session identifier)

イニシエータが生成する48ビットの番号で、イニシエータとターゲット間のセッションを一意に識

別するもの。この値はログインプロセスの間に作成され、ログインPDUとともにターゲットに送ら

れます。

MCS (multiple connections per session)

iSCSI仕様の一部で、イニシエータとターゲット間での複数のTCP/IP接続を可能にするもの。

MPIO (multipath I/O)

サーバとストレージ間でデータが複数の冗長パスをとることができるメソッド。

ネットワークポータル

iSCSIエンドポイントと、IPアドレスプラスTCP (Transmission Control Protocol)ポートの組

み合わせ。TCPポート3260が、iSCSIプロトコル用のポート番号です。これは、IANA (Internet

Assigned Numbers Authority)により定義されています。

SAM (SCSI architectural model)

SCSIの動作を一般的な表記で記載した文書で、異なる種類のデバイスがさまざまなメディア上

で通信することを可能にするもの。

ターゲット

SCSIセッションの受信側で、通常はディスクドライブ、テープドライブ、スキャナなどのデバイス。

ターゲットグループ(TG)

ビューの作成時にすべて同じ扱いを受ける、SCSIターゲットポートのリスト。ビューを作成する

ことで、LUN (論理ユニット番号)のマッピングが容易になります。それぞれのビューエントリが、

ターゲットグループ、ホストグループ、およびLUNを指定します。

ターゲットポート

iSCSIエンドポイントと、1つ以上のLUNの組み合わせ。

ターゲットポートグループ(TPG)

IPアドレスとTCPポート番号のリストで、特定のiSCSIターゲットがどのインタフェースから受信す

るかを決定するもの。

269 iSCSI LIOターゲットの用語 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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ターゲットセッション識別子(TSID)

ターゲットが生成する 16ビットの番号で、イニシエータとターゲット間のセッションを一意に識別

するもの。この値はログインプロセスの間に作成され、ログインレスポンスPDU(プロトコルデータ

ユニット)とともにイニシエータに送られます。

270 iSCSI LIOターゲットの用語 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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16 Fibre Channel Storage over EthernetNetworks: FCoE

多くの企業のデータセンターが、そのLANおよびデータトラフィックをEthernetに依存し、またその

ストレージインフラストラクチャをファイバチャネルに依存しています。Open Fibre Channel over

Ethernet (FCoE)イニシエータソフトウェアは、Ethernetアダプタが付いたサーバが、Ethernetネット

ワーク上でファイバチャネルストレージに接続できるようにします。このコネクティビティはこれまで、ファ

イバチャネルファブリック上にファイバチャネルアダプタを有するシステム用に、独占的に確保されてい

ました。FCoEテクノロジは、ネットワークコンバージェンスを支援することで、データセンター内の複雑

性を減らします。これにより、ファイバチャネルストレージへの既存の投資を無駄にすることなく、ネット

ワーク管理を簡素化することができます。

271 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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図 16.1: OPEN FIBRE CHANNEL OVER ETHERNET SAN

272 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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Open-FCoEでは、ホストバスアダプタ上の専有のハードウェアではなく、ホストでファイバチャネルの

プロトコルを実行することができます。対象としているのは10 Gbps (ギガバイト/秒)のEthernetアダ

プタですが、PAUSEフレームに対応したすべてのEthernetアダプタで使用可能です。イニシエータソ

フトウェアにより、ファイバチャネルプロトコルの処理モジュールと、Ethernetベースのトランスポートモ

ジュールが提供されます。Open-FCoEモジュールは、SCSI用の低レベルドライバの役割を果たしま

す。Open-FCoEトランスポートは、 net_deviceを使用してパケットの送受信を行います。DCB(データ

センターブリッジング)ドライバにより、FCoE向けのサービスの質が提供されます。

FCoEは、ファイバチャネルフレームを変えずに、ファイバチャネルのプロトコルトラフィックをEthernet接

続上で動かす、カプセル化プロトコルです。これにより、ネットワークセキュリティとトラフィック管理インフ

ラストラクチャが、ファイバチャネルにおけるのと同じようにFCoEでも機能することができます。

以下の条件が当てはまる企業では、Open-FCoEの導入を選択してもよいでしょう。

すでにファイバチャネルストレージシステムがあり、ファイバチャネルのスキルと知識を持つ管理

者がいる。

ネットワーク内に、10 GbpsのEthernetを展開している。

この項では、ネットワークにFCoEを設定する方法を説明します。

16.1項 「FCoEおよびYaSTのFCoEクライアントのインストール」

16.2項 「インストール時におけるFCoEインタフェースの設定」

16.3項 「YaSTを使用したFCoEサービスの管理」

16.4項 「コマンドを使用したFCoEの設定」

16.5項 「FCoE管理ツールを使用したFCoEインスタンスの管理」

16.6項 「FCoEイニシエータディスク用のパーティションの設定」

16.7項 「FCoEイニシエータディスクでのファイルシステムの作成」

16.8項 「追加情報」

16.1 FCoEおよびYaSTのFCoEクライアントのインストールサーバへの接続用のスイッチでFCoEを有効にすることで、ストレージインフラストラクチャ内にFCoE

ディスクを設定することができます。SUSE Linux Enterprise Serverオペレーティングシステムのイ

ンストール時にFCoEディスクが利用可能であれば、FCoEイニシエータソフトウェアが、その時点で自

動的にインストールされます。

273 FCoEおよびYaSTのFCoEクライアントのインストール SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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FCoEイニシエータソフトウェアとYaST FCoEクライアントソフトウェアがインストールされていない場

合は、次のプロシージャを使用して、既存のシステムにマニュアルでインストールします。

1. サーバに rootユーザとしてログインします。

2. YaSTで、[ソフトウェア][ソフトウェア管理]を選択します。

3. 次のFCoEパッケージを検索して選択します。

open-fcoe

yast2-fcoe-client

たとえば、[検索]フィールドに fcoeを入力して、[検索]をクリックしてソフトウェアパッケージを

見つけてから、インストールしたい各ソフトウェアパッケージの横にあるチェックボックスをオンに

します。

4. [承諾]をクリックし、次に[続行]をクリックして自動変更を承諾します。

16.2 インストール時におけるFCoEインタフェースの設定SUSE Linux Enterprise Server向けのYaSTのインストールでは、サーバとファイバチャネルストレー

ジインフラストラクチャ間の接続用のスイッチでFCoEが有効になっていれば、オペレーティングシス

テムのインストール時にFCoEディスクの設定を行うことができます。一部のシステムBIOSタイプで

は、FCoEディスクを自動的に検出することができ、そのディスクをYaSTのインストールソフトウェアに

274 インストール時におけるFCoEインタフェースの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

Page 290: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

報告します。ただし、FCoEディスクの自動検出は、すべてのBIOSのタイプでサポートされているわけ

ではありません。その場合、インストールの開始時に次の withfcoeオプションをカーネルのコマンドラ

インに追加することで、自動検出を有効にすることができます。

withfcoe=1

FCoEディスクが検出されると、YaSTのインストールでは、同時にFCoEを設定するオプションがありま

す。[ディスクアクティベーション]ページで、[FCoEインタフェースの設定]を選択して、FCoEの設定に

アクセスします。FCoEインタフェースの設定については、16.3項 「YaSTを使用したFCoEサービスの

管理」を参照してください。

16.3 YaSTを使用したFCoEサービスの管理YaST FCoEクライアント設定オプションを使用して、お使いのファイバチャネルストレージインフラ

ストラクチャ内のFCoEディスク用のFCoEインタフェースの作成、設定、および削除ができます。こ

のオプションを使用するには、FCoEイニシエータサービス( fcoemonデーモン)およびLink Layer

Discovery Protocolエージェントデーモン( lldpad )がインストールされて実行中であり、FCoE接続

が、FCoE対応のスイッチで有効になっている必要があります。

1. rootユーザとしてログインし、YaSTを起動します。

2. YaSTで、[ネットワークサービス][FCoEクライアントの設定]と選択します。

275 YaSTを使用したFCoEサービスの管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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[Fibre Channel over Ethernet Configuration]ダイアログボックスには、次の3つのタブがあ

ります。

[サービス]

[インタフェース]

[環境設定]

3. [サービス]タブで、FCoEサービスとLldpad (Link Layer Discovery Protocolエージェント

デーモン)サービスの開始時刻を確認し、必要に応じて変更します。

FCoEサービスの開始: Fibre Channel over Ethernetサービスの fcoemonデーモン

を、サーバの起動時に開始するか、マニュアルで開始するかを指定します。このデーモン

は、FCoEインタフェースを制御して、 lldpadデーモンとの接続を確立します。値は、[起動

時](デフォルト)または[マニュアル]です。

Lldpadサービスの開始: Link Layer Discovery Protocolエージェント lldpadデーモ

ンを、サーバの起動時に開始するか、マニュアルで開始するかを指定します。 lldpadデー

モンは、データセンターブリッジング機能およびFCoEインタフェースの設定につい

て、 fcoemonデーモンに情報を送ります。値は、[起動時](デフォルト)または[マニュアル]

です。

設定を変更した場合は、[OK]をクリックして変更内容を保存して適用します。

4. [インタフェース]タブで、サーバ上で検出されたすべてのネットワークアダプタに関する情報

(VLANおよびFCoEの設定に関する情報を含む)を確認します。また、FCoE VLANインタフェー

スの作成や既存のFCoEインタフェース設定の変更、FCoEインタフェースの削除もできます。

FCoE情報の参照:

[FCoEインタフェース]テーブルには、各アダプタに関する次の情報が表示されます。

276 YaSTを使用したFCoEサービスの管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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デバイス名: eth4などのアダプタ名を示します。

モデル: アダプタのモデル情報を示します。

FCoE VLANインタフェース:

インタフェース名: インタフェースに名前が割り当てられている( eth4.200など)場

合は、スイッチでFCoEが利用可能であり、FCoEインタフェースがアダプタに対して

アクティブになっています。

未設定: 状態が[未設定]である場合は、スイッチでFCoEが有効になっています

が、FCoEインタフェースはアダプタに対してアクティブになっていません。アダプタで

インタフェースを有効にするには、アダプタを選択して、[FCoE VLANインタフェー

スを作成]をクリックします。

使用不可: 状態が[使用不可]である場合は、FCoEがスイッチ上のその接続に対し

て有効になっていないため、そのアダプタではFCoEは使えません。

FCoEの有効化: アダプタ接続に対して、スイッチでFCoEを有効にするかどうかを指定し

ます。([はい]または[いいえ])

DCBが必要: アダプタでデータセンターブリッジングが必要かどうかを指定します。([は

い]または[いいえ])

Auto VLAN: アダプタでVLAN設定を有効にするかどうかを指定します。([はい]または

[いいえ])

DCB対応: アダプタがデータセンターブリッジングをサポートするかどうかを指定します。

([はい]または[いいえ])

FCoE設定を変更:

277 YaSTを使用したFCoEサービスの管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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FCoE VLANインタフェースを選択して、ページの下部にある[設定を変更]をクリックして、

[FCoE設定を変更]ダイアログボックスを開きます。

FCoEの有効化: アダプタに対してFCoEインスタンスの作成を有効または無効にします。

値は、[はい]または[いいえ]です。

DCBが必要: データセンターブリッジングがアダプタに必要かどうかを指定します。値は、

[はい](デフォルト)または[いいえ]です。DCBは通常、必要です。

Auto VLAN: fcoemonデーモンでVLANインタフェースを作成するかどうかを指定しま

す。値は、[はい]または[いいえ]です。

設定を変更した場合は、[次へ]をクリックして変更内容を保存して適用します。設定は、 /etc/

fcoe/ethXファイルに書き込まれます。 fcoemonデーモンにより、同デーモンが初期化された時

に、各FCoEインタフェースに対して環境設定ファイルが読み込まれます。すべてのFCoEインタ

フェースに対してファイルがあります。

FCoE VLANインタフェースを作成:

FCoEが有効になっていてもまだ構成されていないアダプタを選択して、[はい]をクリックし

て、FCoEインタフェースを構成します。割り当てられたインタフェース名( eth5.200など)が一覧

に表示されます。

278 YaSTを使用したFCoEサービスの管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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FCoEインタフェースを削除:

削除したいFCoEインタフェースを選択して、ページの下部にある[インタフェースを削除]をク

リックし、[続行]をクリックして確定します。FCoEインタフェースの値が、[未構成]に変わりま

す。

5. [設定]タブで、FCoEシステムサービスの全般設定を確認または変更します。

279 YaSTを使用したFCoEサービスの管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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デバッグ: FCoEのサービススクリプトおよび fcoemonデーモンからの、デバッグのメッ

セージを有効または無効にします。値は、[はい]または[]いいえ](デフォルト)です。

syslogを使用: メッセージをシステムログ( /var/log/syslog )に送信するかどうか

を指定します。値は、[はい](デフォルト)または[いいえ]です。(データは、 /var/log/

messagesにログされます。)

設定を変更した場合は、[OK]をクリックして変更内容を保存して適用します。設定は、 /etc/

fcoe/configファイルに書き込まれます。

6. [OK]をクリックして、変更内容を保存して適用します。

16.4 コマンドを使用したFCoEの設定

1. rootユーザとしてサーバにログインして、端末コンソールを起動します。

2. YaSTを使用して、Ethernetネットワークインタフェースカード( eth2など)を設定します。

3. Link Layer Discovery Protocolエージェントデーモン( lldpad )を起動します。

rclldpad start

4. お使いのEthernetアダプタ上で、データセンターブリッジングを有効にします 。

dcbtool sc eth2 dcb on Version: 2 Command: Set Config Feature: DCB State Port: eth2 Status: Successful

5. Priority Flow Control (PFC)設定を、データセンターブリッジングに対して有効にします。

dcbtool sc eth<x> pfc e:1 a:1 w:1

引数の設定値は次のとおりです。

e:<0|1>

機能の有効化を制御します。

a:<0|1>

280 コマンドを使用したFCoEの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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機能を、データセンターブリッジング交換プロトコルを介してピアにアドバタイズするかどう

かを制御します。

w:<0|1>

機能が、ピアから受け取った内容に基づいてその運用設定を積極的に変更するかどうかを

制御します。

6. データセンターブリッジングを有効にして、FCoEに対するスイッチの優先度設定を受け入れま

す。

dcbtool sc eth2 app:fcoe e:1 Version: 2 Command: Set Config Feature: Application FCoE Port: eth2 Status: Successful

7. デフォルトのFCoE環境設定ファイルを、 /etc/fcoe/cfg-eth2にコピーします。

cp /etc/fcoe/cfg-ethx /etc/fcoe/cfg-eth2

8. FCoEイニシエータサービスを開始します。

rcfcoe start Starting FCoE initiator service

9. Link Layer Discovery Protocolエージェントデーモン( lldpad )およびFCoEイニシエータ

サービスを、起動時に開始するよう設定します。

chkconfig boot.lldpad on

chkconfig boot.fcoe on

16.5 FCoE管理ツールを使用したFCoEインスタンスの管理fcoeadmユーティリティは、Open-FCoEプロジェクト用の、Fibre Channel over Ethernet (FCoE)

管理ツールです。これを使用して、所定のネットワークインタフェースのFCoEインスタンスの作成、破

棄、およびリセットを行うことができます。 fcoeadmユーティリティは、ソケットインタフェースを通じて、実

行中の fcoemonプロセスにコマンドを送ります。 fcoemonの詳細については、 fcoemon(8)マニュアル

ページを参照してください。

281 FCoE管理ツールを使用したFCoEインスタンスの管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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fcoeadmユーティリティを使用して、以下に関してFCoEインスタンスにクエリを行うことができます。

インタフェース

ターゲットLUN

ポートの統計データ

fcoeadmユーティリティは、 fcoe-utilsパッケージの一部です。Open-FCoEプロジェクト (http://

open-fcoe.org/) により保守管理されています。

構文

Fiber Channel over Ethernet Administrationバージョン1.0.12.

fcoeadm [-c|--create] [<ethX>] [-d|--destroy] [<ethX>] [-r|--reset] [<ethX>] [-S|--Scan] [<ethX>] [-i|--interface] [<ethX>] [-t|--target] [<ethX>] [-l|--lun] [<ethX>] [-s|--stats <ethX>] [<interval>] [-v|--version] [-h|--help]

オプション

-c ,

--create <ethX>

指定したネットワークインタフェースに基づいてFCoEインスタンスを作成しま

す。 fcoemon設定ファイルがOpen-FCoEサービスデーモンインタフェース( /etc/fcoe/

cfg-ethx 、 fcoemon(8)マニュアルページを参照)に対して存在しない場合、作成した

FCoEインスタンスはデータセンターブリッジングを必要としません。

例: FCoEインスタンスを eth2.101上に作成する:

fcoeadm -c eth2.101

-d ,

--destroy <ethX>

指定したネットワークインタフェース上のFCoEインスタンスを破棄します。これによっ

て、 fipvlanで作成されたFCoEインスタンスが破棄されることはありません。

例: FCoEインスタンス上の eth2.101を破棄する:

282 FCoE管理ツールを使用したFCoEインスタンスの管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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fcoeadm -d eth2.101

-h ,

--help

fcoeadmコマンドの使用に関するメッセージを表示します。

-i ,

--interface [<ethX>]

指定したネットワークインタフェース上のFCoEインスタンスに関する情報を表示します。

ネットワークインタフェースを指定しない場合は、すべてのFCoEインスタンスに関する情報

を表示します。

例:

FCoEインスタンスが作成されているアダプタとそのポートのすべてに関する情報を表示す

る:

fcoeadm -i

インタフェース eth3上のFCoEインスタンスすべてに関する情報を表示する:

fcoeadm -i eth3

-l ,

--lun [<ethX>]

指定したネットワークインタフェース上のFCoEインスタンスに関連付けられた、検出された

SCSI LUNに関する詳細情報を表示します。ネットワークインタフェースを指定しない場合

は、すべてのFCoEインスタンスからのSCSI LUNに関する情報を表示します。

例:

すべてのFCoE接続上で検出されたLUNのすべてに関する詳細情報を表示する:

fcoeadm -l

eth3.101など、特定の接続上で検出されたLUNのすべてに関する情報を表示する:

fcoeadm -l eth3.101

-r ,

--reset <ethX>

指定したネットワークインタフェース上のFCoEインスタンスをリセットします。これによっ

て、 fipvlanで作成されたFCoEインスタンスがリセットされることはありません。

283 FCoE管理ツールを使用したFCoEインスタンスの管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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例: eth2.101上のFCoEインスタンスをリセットする:

fcoeadm -r eth2.101

-s ,

--stats <ethX> [interval]

指定したネットワークインタフェース上のFCoEインスタンスの統計情報(FC4統計情報を

含む)を表示します。一定の時間間隔で1行ずつ表示します。間隔の値を、0より大きい整数

で指定します。間隔の値は、秒単位での間隔の経過時間です。間隔を指定しない場合、デ

フォルトの間隔は1秒です。

例:

FCoEインスタンスを持つ特定の eth3ポートに関する統計情報を表示できます。統計情報

は、時間間隔ごとに1行ずつ表示されます。このコマンドでは、デフォルトの間隔である1秒

は指定していません。

fcoeadm -s eth3

FCoEインスタンスを持つ特定の eth3ポートに関する統計情報を、3秒間隔で表示する場

合。統計情報は、時間間隔ごとに1行ずつ表示されます。

fcoeadm -s eth3 3

-S ,

--Scan <ethX>

指定したネットワークインタフェースに対する新規のターゲットとLUNを再スキャンします。

これによって、同じポート上で作成されたNPIV (N_Port ID Virtualization)インスタンス

が再スキャンされることはなく、また fipvlanにより作成されたFCoEインスタンスが再ス

キャンされることもありません。

-t ,

--target [<ethX>]

指定したネットワークインタフェース上のFCoEインスタンスに関連付けられた、検出された

ターゲットに関する情報を表示します。ネットワークインタフェースを指定しない場合は、す

べてのFCoEインスタンスからの検出されたターゲットに関する情報を表示します。

例:

FCoEインスタンスを持つポートのすべてからの、検出されたターゲットのすべてに関する

情報を表示できます。ターゲットは、異なるアダプタカード上のものであることもあります。検

出された各ターゲットの後ろに、関連付けられたLUNが列記されます。

284 FCoE管理ツールを使用したFCoEインスタンスの管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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fcoeadm -t

FCoEインスタンスを持つ所定の eth3ポートからの、検出されたターゲットのすべてに関す

る情報を表示できます。検出された各ターゲットの後ろに、関連付けられたLUNが列記さ

れます。

fcoeadm -t eth3

-v ,

--version

fcoeadmコマンドのバージョンを表示します。

FCoEの応答例

FC-IDノード/ポート番号に対するFCoEイニシエータの状態を表示

fcoeadm -i eth0.201 Description: 82599EB 10-Gigabit SFI/SFP+ Network Connection Revision: 01 Manufacturer: Intel Corporation Serial Number: 001B219B258C Driver: ixgbe 3.3.8-k2 Number of Ports: 1

Symbolic Name: fcoe v0.1 over eth0.201 OS Device Name: host8 Node Name: 0x1000001B219B258E Port Name: 0x2000001B219B258E FabricName: 0x2001000573D38141 Speed: 10 Gbit Supported Speed: 10 Gbit MaxFrameSize: 2112 FC-ID (Port ID): 0x790003 State: Online

FC-IDノード/ポート番号に対するFCoEターゲットを表示

fcoeadm -t eth0.201 Interface: eth0.201 Roles: FCP Target Node Name: 0x200000D0231B5C72 Port Name: 0x210000D0231B5C72 Target ID: 0 MaxFrameSize: 2048 OS Device Name: rport-8:0-7 FC-ID (Port ID): 0x79000C State: Online

285 FCoE管理ツールを使用したFCoEインスタンスの管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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LUN ID Device Name Capacity Block Size Description ------ ----------- ---------- ---------- ---------------------------- 40 /dev/sdqi 792.84 GB 512 IFT DS S24F-R2840-4 (rev 386C) 72 /dev/sdpk 650.00 GB 512 IFT DS S24F-R2840-4 (rev 386C) 168 /dev/sdgy 1.30 TB 512 IFT DS S24F-R2840-4 (rev 386C)

16.6 FCoEイニシエータディスク用のパーティションの設定fdisk(8)コマンドを使用して、FCoEイニシエータディスク用のパーティションを設定できます。

fdisk /dev/sdc Device contains neither a valid DOS partition table, nor Sun, SGI or OSF disklabel. Building a new DOS disklabel with disk identifier 0xfc691889. Changes will remain in memory only, until you decide to write them. After that, of course, the previous content won’t be recoverable.

Warning: Invalid flag 0x0000 of partition table 4 will be corrected by w(rite)

Command (n for help): n Command action e extended p primary partition (1-4)

p Partition number (1-4): 4 First cylinder (1-1017, default 1): Using default value 1 Last cylinder, *cylinders or *size(K,M,G) (1-1017, default 1017): Using default value 1017

Command (n for help): w The partition table has been altered!

Calling loctl() to re-read partition table. Syncing disks.

16.7 FCoEイニシエータディスクでのファイルシステムの作成mkfs(8)コマンドを使用して、FCoEイニシエータディスクにファイルシステムを作成できます。

286 FCoEイニシエータディスク用のパーティションの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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mkfs /dev/sdc mke2fs 1.41.9 (22-Aug-2011) /dev/sdc is entire device, not just one partition! Proceed anyway? (y, n) y Filesystem label= OS type: Linux Block size=4096 (log-2) 262144 inodes, 1048576 blocks 52428 blocks (5.00%) reserved for the super user First data block=0 Maximum filesystem blocks=1073741824 32 block groups 32768 blocks per group, 32768 fragments per group 8192 inodes per group Superblock backups stored on blocks: 32768, 98304, 163840, 229376, 294912, 819200, 804736

Writing inode tables: done Writing superblocks and filesystem accounting information: done

This filesystem will be automatically checked every 27 mounts or 180 days, whichever comes first. Use tune2fs -c or -i to override.

16.8 追加情報詳細については、以下のマニュアルを参照してください。

Open-FCoEのサービスデーモンについては、 fcoemon(8)マニュアルページを参照してくださ

い。

Open-FCoEの管理ツールについては、 fcoeadm(8)マニュアルページを参照してください。

データセンターブリッジング設定ツールについては、 dcbtool(8)マニュアルページを参照してく

ださい。

Link Layer Discovery Protocolエージェントデーモンについては、 lldpad(8)マニュアル

ページを参照してください。

Open Fibre Channel over Ethernet Quick Start (http://www.open-fcoe.org/open-

fcoe/wiki/quickstart) 。

287 追加情報 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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17 LVMボリュームスナップショット

LVM (Logical Volume Manager)論理ボリュームスナップショットはコピーオンライント技術の1つ

で、既存のボリュームのデータブロックに対する変更を監視し、いずれかのブロックに書き込みが行わ

れると、スナップショット時のブロックの値がスナップショットボリュームにコピーされます。こうすること

で、スナップショットボリュームが削除されるまで、データのその時点のコピーが保存されます。

17.1項 「ボリュームスナップショットの理解」

17.2項 「LVMによるLinuxスナップショットの作成」

17.3項 「スナップショットの監視」

17.4項 「Linuxスナップショットの削除」

17.5項 「仮想ホスト上の仮想マシンに対するスナップショットの使用」

17.6項 「スナップショットをソース論理ボリュームとマージして変更を元に戻すか、前の状態に

ロールバックする」

17.1 ボリュームスナップショットの理解ファイルシステムのスナップショットには、スナップショットの作成後に変更されたソース論理ボリューム

のメタデータとデータブロックが含まれています。スナップショットを介してデータにアクセスすると、ソー

ス論理ボリュームのその時点のコピーが表示されます。バックアップ媒体からデータを復元したり、変更

されたデータを上書きする必要はありません。

重要スナップショットのライフタイム中は、スナップショットを先にマウントしないと、ソース論理ボ

リュームをマウントできません。

LVMボリュームスナップショットでは、ファイルシステムのその時点のビューからバックアップを作成で

きます。スナップショットは瞬時に作成され、削除するまで保存されます。ボリューム自体はユーザが引

き続き利用できるようにしながら、スナップショットからファイルシステムのバックアップを作成できます。

当初のスナップショットには、スナップショットに関するメタデータが含まれていますが、ソース論理ボ

リュームの実際のデータは含まれていません。スナップショットはコピーオンライト技術を使用して、オリ

ジナルデータブロックのデータ変更を検出します。スナップショットをとった際に保存されていた値をス

288 ボリュームスナップショットの理解 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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ナップショットボリューム内のブロックにコピーし、ソースブロックに新しいデータを保存することができ

ます。ソース論理ボリュームで元の値から変更されるブロックが増えると、スナップショットのサイズが増

えます。

スナップショットのサイズを決定する際には、ソース論理ボリュームに対して予想されるデータ変更量、

およびスナップショットの保存期間を考慮する必要があります。スナップショットボリュームに割り当て

るスペースの量は、ソース論理ボリュームのサイズ、スナップショットの保持予定期間、およびスナップ

ショットのライフタイム中に変更が予期されるデータブロックの数によって異なります。スナップショット

ボリュームは、作成後のサイズ変更はできません。目安として、元の論理ボリュームの約10%のサイズ

で、スナップショットボリュームを作成してください。スナップショットの削除前に、ソース論理ボリューム

内のすべてのブロックが1回以上変更されると予期される場合は、スナップボリュームのサイズを、少な

くともソース論理ボリュームサイズにそのボリュームに関するメタデータ用スペースを加えたサイズにす

る必要があります。データ変更が頻繁でないか、またはライフタイムが十分短いと予期される場合、必

要なスペースは少なくなります。

LVM2では、スナップショットはデフォルトで読み書き可能です。データをスナップショットに直接書き

込む際は、そのブロックは例外テーブルで使用中とマークされ、ソース論理ボリュームからのコピーは

行われません。スナップショットボリュームをマウントし、そのスナップショットボリュームにデータを直接

書き込むことによって、アプリケーションの変更をテストできます。スナップショットをマウント解除してス

ナップショットを削除し、ソース論理ボリュームを再マウントするだけで、変更を簡単に破棄できます。

仮想ゲスト環境では、物理サーバの場合と同様に、サーバのディスク上に作成するLVM論理ボリュー

ムに対してスナップショット機能を使用できます。

仮想ホスト環境では、スナップショット機能を使用して、仮想マシンのストレージバックエンドをバック

アップしたり、仮想マシンイメージに対する変更(パッチやアップグレードなど)を、ソース論理ボリュー

ムを変更せずにテストしたりできます。仮想マシンは、仮想ディスクファイルの使用ではなく、ストレージ

バックエンドとして、LVM論理ボリュームを使用する必要があります。LVM論理ボリュームをマウント

し、ファイルに格納されたディスクとして仮想マシンイメージを保存するために使用できます。また、その

LVM論理ボリュームを物理ディスクとして割り当てて、ブロックデバイスとして書き込むことができます。

SLES 11 SP3から、LVM論理ボリュームスナップショットはシンプロビジョニング可能になっていま

す。サイズを指定しないでスナップショットを作成した場合は、シンプロビジョニングと想定されます。ス

ナップショットは、シンプールから必要な領域を使用するシンボリュームとして作成されます。シンスナッ

プショットボリュームは、他のシンボリュームと同じ特性を持ちます。ボリュームは個別にアクティブ化、

拡張、名前変更、および削除でき、そのスナップショットを作成することもできます。

重要クラスタでシンプロビジョニングスナップショットを使用するには、ソース論理ボリュームとそのス

ナップショットを1つのクラスタリソースで管理する必要があります。これにより、ボリュームとその

スナップショットを常に同じノードに排他的にマウントできます。

289 ボリュームスナップショットの理解 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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スナップショットが不要になったら、必ず、システムからスナップショットを削除してください。ソース論理

ボリュームでデータブロックが変化していくのに応じて、スナップショットは最終的に満杯になります。ス

ナップショットは満杯になると使用不可になるので、ソース論理ボリュームの再マウントができなくなりま

す。

ソース論理ボリュームのスナップショットを複数作成している場合、スナップショットの削除は、最後に

作成したものを最初に削除するという順番で行います。

17.2 LVMによるLinuxスナップショットの作成LVM (Logical Volume Manager)は、ファイルシステムのスナップショットの作成に使用できます。

端末コンソールを開いて、 rootユーザとしてログインし、次のように入力します。

lvcreate -s [-L <size>] -n snap_volume source_volume_path

サイズを指定しない場合、スナップショットはシンスナップショットとして作成されます。

次に例を示します。

lvcreate -s -L 1G -n linux01-snap /dev/lvm/linux01

スナップショットが /dev/lvm/linux01-snapボリュームとして作成されます。

17.3 スナップショットの監視端末コンソールを開いて、 rootユーザとしてログインし、次のように入力します。

lvdisplay snap_volume

次に例を示します。

lvdisplay /dev/vg01/linux01-snap

--- Logical volume --- LV Name /dev/lvm/linux01 VG Name vg01 LV UUID QHVJYh-PR3s-A4SG-s4Aa-MyWN-Ra7a-HL47KL LV Write Access read/write LV snapshot status active destination for /dev/lvm/linux01 LV Status available # open 0 LV Size 80.00 GB

290 LVMによるLinuxスナップショットの作成 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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Current LE 1024 COW-table size 8.00 GB COW-table LE 512 Allocated to snapshot 30% Snapshot chunk size 8.00 KB Segments 1 Allocation inherit Read ahead sectors 0 Block device 254:5

17.4 Linuxスナップショットの削除端末コンソールを開いて、 rootユーザとしてログインし、次のように入力します。

lvremove snap_volume_path

次に例を示します。

lvremove /dev/lvmvg/linux01-snap

17.5 仮想ホスト上の仮想マシンに対するスナップショットの使用仮想マシンのバックエンドストレージにLVM論理ボリュームを使用すると、基礎となるデバイスを柔軟

に管理でき、ストレージオブジェクトの移動、スナップショットの作成、データのバックアップなどの操作

を容易に行うことができるようになります。LVM論理ボリュームをマウントし、ファイルに格納されたディ

スクとして仮想マシンイメージを保存するために使用できます。また、そのLVM論理ボリュームを物理

ディスクとして割り当てて、ブロックデバイスとして書き込むことができます。LVM論理ボリューム上に

仮想ディスクイメージを作成してから、LVMのスナップショットを作成できます。

スナップショットの読み込み/書き込み機能を利用して、1つの仮想マシンのインスタンスを複数作成

できます。この場合、変更は、仮想マシンの特定のインスタンスのスナップショットに対して行われま

す。LVM論理ボリューム上に仮想ディスクイメージを作成してソース論理ボリュームのスナップショット

を作成し、仮想マシンの特定のインスタンスのスナップショットを変更できます。ソース論理ボリューム

のスナップショットをもう1つ作成して、仮想マシンの別のインスタンス用に変更できます。複数の仮想

マシンインスタンスのデータの大部分は、ソース論理ボリューム上のイメージと共に存在します。

スナップショットの読み込み/書き込み機能を利用すると、仮想ディスクイメージを維持したまま、ゲスト

環境でパッチやアップグレードをテストすることもできます。そのイメージが含まれるLVMボリュームの

スナップショットを作成し、そのスナップショットの場所で仮想マシンを実行します。ソース論理ボリュー

291 Linuxスナップショットの削除 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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ムは変更されず、そのマシンに対する変更はすべてスナップショットに書き込まれます。仮想マシンイ

メージのソース論理ボリュームに戻るには、仮想マシンの電源をオフにした後、ソース論理ボリュームか

らスナップショットを削除します。もう一度やり直すには、スナップショットを再作成してマウントしてから、

スナップショットイメージ上で仮想マシンを再起動します。

重要次の手順では、ファイルに格納された仮想ディスクイメージとXenハイパーバイザを使用しま

す。本項の手順は、KVMなど、SUSE Linuxプラットフォーム上で動作する他のハイパーバイザ

に適用できます。

スナップショットボリュームからファイルに格納された仮想マシンイメージを実行するには:

1. ファイルに格納された仮想マシンイメージが含まれるソース論理ボリュームがマウントされている

ことを確認します(たとえば、マウントポイント /var/lib/xen/images/<イメージ名> )。

2. 予想される差分を保存するのに十分な領域があるLVM論理ボリュームのスナップショットを作

成します。

lvcreate -s -L 20G -n myvm-snap /dev/lvmvg/myvm

サイズを指定しない場合、スナップショットはシンスナップショットとして作成されます。

3. スナップショットボリュームをマウントするマウントポイントを作成します。

mkdir -p /mnt/xen/vm/myvm-snap

4. 作成したマウントポイントにスナップショットボリュームをマウントします。

mount -t auto /dev/lvmvg/myvm-snap /mnt/xen/vm/myvm-snap

5. テキストエディタで、ソース仮想マシンの設定ファイルをコピーし、マウントしたスナップショット

ボリューム上の、ファイルに格納されたイメージファイルを指すようにパスを変更し、ファイルを /

etc/xen/myvm-snap.cfgなどの名前で保存します。

6. 仮想マシンのマウント済みスナップショットボリュームを使用して、仮想マシンを起動します。

xm create -c /etc/xen/myvm-snap.cfg

7. (オプション)スナップショットを削除して、ソース論理ボリューム上の変更されていない仮想マシ

ンイメージを使用します。

unmount /mnt/xenvms/myvm-snaplvremove -f /dev/lvmvg/mylvm-snap

292 仮想ホスト上の仮想マシンに対するスナップショットの使用 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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8. (オプション)このプロセスを必要なだけ繰り返します。

17.6 スナップショットをソース論理ボリュームとマージして変更を元に戻すか、前の状態にロールバックするスナップショットは、ボリューム上のデータを前の状態にロールバックまたは復元する必要がある場合に

役立ちます。たとえば、管理者の手違いがあった場合、またはパッケージのインストールやアップグレー

ドが失敗したり望む内容と違ったりした場合、データ変更を元に戻さなければならないことがあります。

lvconvert --mergeコマンドを使用して、LVM論理ボリュームの変更を元に戻すことができます。

マージは次のように開始されます。

ソース論理ボリュームとスナップショットボリュームが両方とも開かれていない場合、マージはす

ぐに開始されます。

ソース論理ボリュームまたはスナップショットボリュームが開かれていない場合、初めてソース論

理ボリュームまたはスナップショットボリュームのどちらかがアクティブになって両方が閉じられた

時点でマージが開始されます。

rootファイルシステムのように、閉じることができないソース論理ボリュームの場合、次にサーバ

が再起動されてソース論理ボリュームがアクティブになるときまで、マージは延期されます。

ソース論理ボリュームに仮想マシンイメージが含まれる場合、仮想マシンをシャットダウンしてソー

ス論理ボリュームとスナップショットボリュームを(この順序でマウント解除することによって)非

アクティブにした後、mergeコマンドを発行する必要があります。マージ完了時に、ソース論理ボ

リュームが自動的に再マウントされてスナップショットボリュームは削除されるので、マージ完了

後まで仮想マシンを再起動しないでください。マージが完了した後、生成された論理ボリュームを

仮想マシンで使用します。

マージが開始されると、サーバ再起動後もマージは自動的に続行され、これはマージが完了するまで

続きます。マージの進行中は、マージ中のソース論理ボリュームの新しいスナップショットを作成するこ

とはできません。

マージの進行中は、ソース論理ボリュームに対する読み込みまたは書き込みは、マージ中のスナップ

ショットに透過的にリダイレクトされます。これにより、ユーザは直接、スナップショット作成時のデータを

表示したり、そのデータにアクセスしたりできます。マージが完了するまで待つ必要はありません。

マージが完了すると、ソース論理ボリュームにはスナップショット作成時と同じデータと、マージ開始後

に行われたデータ変更がすべて含まれます。生成された論理ボリュームの名前、マイナー番号、および

UUIDは、ソース論理ボリュームと同じです。ソース論理ボリュームは自動的に再マウントされ、スナップ

ショットボリュームは削除されます。

293

スナップショットをソース論理ボリュームとマージして変更を元に戻すか、前の状態にロールバックす

る SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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1. 端末コンソールを開いて、 rootユーザとしてログインし、次のように入力します。

lvconvert --merge [-b] [-i <seconds>] [<snap_volume_path>[...<snapN>]|@<volume_tag>]

コマンドラインで1つ以上のスナップショットを指定できます。または、複数のソース論理ボリュー

ムに同じボリュームタグを設定し、「 @<ボリュームタグ> 」と指定することもできます。タグ付きボ

リュームのスナップショットは、それぞれのソース論理ボリュームにマージされます。タグ付き論理

ボリュームについては、4.7項 「LVM2ストレージオブジェクトのタグ付け」を参照してください。

次のオプションがあります。

-b,

--background

デーモンをバックグラウンドで実行します。これにより、指定した複数のスナップショットの

マージを同時に並行して実行できます。

-i,

--interval < seconds>

進行状況を定期的にパーセント値でレポートします。間隔を秒単位で指定します。

このコマンドの詳細については、 lvconvert(8)のマニュアルページを参照してください。

次に例を示します。

lvconvert --merge /dev/lvmvg/linux01-snap

このコマンドは、 /dev/lvmvg/linux01-snapをそのソース論理ボリュームにマージします。

lvconvert --merge @mytag

lvol1 、 lvol2 、および lvol3すべてにタグ mytagが付いている場合、各スナップショットは対

応するソース論理ボリュームに順番にマージされます。すなわち、 lvol1 、 lvol2 、 lvol3の順

にマージされます。 --backgroundオプションが指定されている場合、各タグ付きソース論理ボ

リュームのスナップショットは同時に並行してマージされます。

2. (オプション)ソース論理ボリュームとスナップショットが両方とも開いていて、閉じることができる

場合、手動でソース論理ボリュームを非アクティブにしてからアクティブにすることによって、すぐ

にマージを開始できます。

umount <original_volume>lvchange -an <original_volume>lvchange -ay <original_volume>mount <original_volume> <mount_point>

294

スナップショットをソース論理ボリュームとマージして変更を元に戻すか、前の状態にロールバックす

る SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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次に例を示します。

umount /dev/lvmvg/lvol01lvchange -an /dev/lvmvg/lvol01lvchange -ay /dev/lvmvg/lvol01mount /dev/lvmvg/lvol01 /mnt/lvol01

3. (オプション)ソース論理ボリュームとスナップショットボリュームが両方とも開いていて、ソース

論理ボリュームを閉じることができない場合( rootファイルシステムなど)、サーバを再起動して

ソース論理ボリュームをマウントすることによって、再起動後すぐにマージを開始できます。

295

スナップショットをソース論理ボリュームとマージして変更を元に戻すか、前の状態にロールバックす

る SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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18 NFSv4上でのアクセス制御リストの管理

Linuxには、簡単なuser/group/otherの読み込み、書き込み、および実行( rwx )の各フラグ以上の

ACL (アクセス制御リスト)の標準は1つもありません。よりきめ細かな制御のオプションの1つにDraft

POSIX ACLがあります。ただし、これらのACLは、POSIXによって正式に標準化されたことはあり

ません。もう1つは、NFSv4ネットワークファイルシステムの一部として設計されたNFSv4 ACLで

す。NFSv4 ACLは、Linux上のPOSIXシステムとMicrosoft Windows上のWIN32システム間に適

切な互換性を提供することを目的としています。

NFSv4 ACLは、Draft POSIX ACLを正しく実装できるほど十分ではないので、NFSv4クライアント

へのACLアクセスのマッピングは試みられていません( setfaclの使用など)。

NFSv4の使用時は、Draft POSIX ACLはエミュレーションでさえ使用できず、NFSv4 ACLを直接

使用する必要があります。つまり、 setfaclをNFSv3で動作させながら、NFSv4で動作させること

はできません。NFSv4 ACLをNFSv4ファイルシステムで使用できるようにするため、SUSE Linux

Enterprise Serverでは、次のファイルを含む nfs4-acl-toolsパッケージを提供しています。

nfs4-getfacl

nfs4-setfacl

nfs4-editacl

これらのファイルは、NFSv4 ACLのチェックと変更について getfaclおよび setfaclと大体同様に

動作します。これらのコマンドは、NFSサーバ上のファイルシステムがNFSv4 ACLのフルサポートを提

供する場合のみ有効です。サーバによって課される制限は、クライアントで実行されているこれらのプロ

グラムに影響を与え、ACE (Access Control Entries)の一部の特定の組み合わせが不可能なことが

あります。

エクスポート元のNFSサーバにNFSボリュームをローカルにマウントすることはサポートされていませ

ん。

追加情報

詳細については、Linux-nfs.org Webサイトhttp://wiki.linux-nfs.org/wiki/index.php/

ACLs#Introduction_to_NFSv4_ACLs の「Introduction to NFSv4 ACLs」を参照してください。

296 追加情報 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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19 ストレージに関する問題のトラブルシュート

このセクションでは、デバイス、ソフトウェア、RAID、マルチパス I/O、およびボリュームの既知の問題に

対処する方法について説明します。

19.1項 「DM-MPIOはブートパーティションに使用できますか?」

19.2項 「Btrfsエラー: デバイスに空き領域がない 」

19.3項 「マルチパスI/Oの問題」

19.4項 「ソフトウェアRAIDの問題」

19.5項 「iSCSIの問題」

19.6項 「iSCSI LIOターゲットの問題」

19.1 DM-MPIOはブートパーティションに使用できますか?DM-MPIO (Device Mapper Multipath I/O)は、SUSE Linux Enterprise Server 10 Support

Pack 1から、ブートパーティション用にサポートされています。詳細については、7.12項 「ルートデバイ

スのマルチパスI/Oの設定」を参照してください。

19.2 Btrfsエラー: デバイスに空き領域がないBtrfsファイルシステムを使用しているルート( / )パーティションにデータを書き込めなくなります。「 No

space left on device 」というエラーが表示されます。

考えられる原因とこの問題の回避策については、この後の各項を参照してください。

19.2.1項 「Snapperスナップショットによるディスク容量の使用」

19.2.2項 「ログ、クラッシュ、およびキャッシュのファイルによるディスク容量の使用 」

19.2.1 Snapperスナップショットによるディスク容量の使用BtrfsファイルシステムでSnapperが動作している場合、「 No space left on device 」が表示され

る問題は、通常は、システム上にスナップショットとして保存されているデータが多すぎるために発生し

ます。

297 DM-MPIOはブートパーティションに使用できますか? SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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Snapperからいくつかのスナップショットを削除することはできますが、スナップショットはすぐには削

除されないので、必要な容量が解放されない可能性があります。

Snapperからファイルを削除するには:

1. rootユーザとしてログインし、端末コンソールを起動します。

2. システムが起動するだけの十分なディスク容量を再確保します。

a. コマンドプロンプトで、次のように入力します

btrfs filesystem show

Label: none uuid: 40123456-cb2c-4678-8b3d-d014d1c78c78 Total devices 1 FS bytes used 20.00GB devid 1 size 20.00GB used 20.00GB path /dev/sda3

b. 次のように入力します。

btrfs fi balance start </mountpoint> -dusage=5

このコマンドは、データを空またはほぼ空のデータチャンクに再配置して、その容量を回収

し、メタデータに再割り当てしようとします。この処理にはしばらくかかります(1TBで数時

間)が、処理中もシステムは使用可能です。

3. Snapperのスナップショットを一覧にします。次のように入力します。

snapper -c root list

4. Snapperから1つ以上のスナップショットを削除します。次のように入力します。

snapper -c root delete #

必ず最も古いスナップショットを最初に削除してください。古いスナップショットほど、多くの容量

を使用します。

この問題を回避するために、 /etc/snapper/configs/root設定ファイルまたは他のマウントポ

イントで、Snapperクリーンアップのデフォルトをより制約された値に変更できます。Snapperには、

古いスナップショットのクリーンアップアルゴリズムが3種類あります。このアルゴリズムは、日次の

cronジョブとして実行されます。クリーンアップ頻度は、マウントポイントのSnapper設定で定義さ

れています。日次、月次、年次のクリーンアップのTIMELINE_LIMITパラメータ値を下げると、ス

ナップショットの数と保持期間を減らせます。詳細については、『SUSE Linux Enterprise Server 11

SP3管理ガイド (https://www.suse.com/documentation/sles11/book_sle_admin/data/

298 Snapperスナップショットによるディスク容量の使用 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

Page 314: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

book_sle_admin.html) 』の「設定ファイルの調整」 (https://www.suse.com/documentation/

sles11/book_sle_admin/data/sec_snapper_config.html#sec_snapper_config_modify) を

参照してください。

ファイルシステムディスクでBtrfsとSnapperを使用する場合、標準のストレージ案の2倍のディスク容

量を確保しておくことが推奨されます。YaSTパーティショナは、ルートファイルシステムでBtrfsを使用

する場合のストレージ案として、自動的に標準の2倍のディスク容量を提案します。

19.2.2 ログ、クラッシュ、およびキャッシュのファイルによるディスク容量の使用

システムディスクがデータでいっぱいになりつつある場合、 /var/log 、 /var/crash 、および /var/

cacheからファイルを削除する方法があります。

Btrfs rootファイルシステムのサブボリューム /var/log 、 /var/crashおよび /var/cacheが、通常

の操作時に利用可能なディスクスペースのすべてを使用でき、システムに不具合が発生します。この状

況を回避するため、SUSE Linux Enterprise 11 SP3ではサブボリュームに対するBtrfsクォータのサ

ポートを提供するようになりました。詳細については、 btrfs(8)のマニュアルページを参照してくださ

い。

19.3 マルチパスI/Oの問題7.19項 「MPIOのトラブルシューティング」を参照してください。

19.4 ソフトウェアRAIDの問題8.3項 「ソフトウェアRAIDのトラブルシューティング」を参照してください。

19.5 iSCSIの問題14.5項 「iSCSIのトラブルシューティング」を参照してください。

19.6 iSCSI LIOターゲットの問題15.8項 「iSCSI LIOターゲットサーバのトラブルシューティング」を参照してください。

299

ログ、クラッシュ、およびキャッシュのファイルによるディスク容量の使用 SUSE Linux

Enterp… 11 SP4

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A GNU利用許諾契約書

この付録には、GNU一般公衆利用許諾契約書バージョン2とGNUフリー文書利用許諾契約書バー

ジョン1.2が含まれています。

A.1項 「GNU一般公開使用許諾」

A.2項 「GNUフリー文書利用許諾契約書(GFDL)」

A.1 GNU一般公開使用許諾第2版、1991年6月

Copyright (C) 1989, 1991 Free Software Foundation, Inc. 59 Temple Place - Suite 330,

Boston, MA 02111-1307, USA

この使用許諾書を一字一句そのままの複製および頒布することは許可されますが、変更は許可されま

せん。

A.1.1 前文

ほとんどのソフトウェアの使用許諾は、共有や変更が自由にできないようになっています。対照的

に、GNU一般公衆利用許諾契約書(GPL)は、フリー\'83\'5cフトウェアの共有や変更の自由を保証

するように、つまり、フリー\'83\'5cフトウェアがそのすべてのユーザに対してフリーであることを保証

するように考えられています。このGPLは、フリーソフトウェア財団の大半のソフトウェア、および作者が

GPLを行使することにした他のプログラムに適用されます。(フリーソフトウェア財団の他の一部のソフト

ウェアは、かわりにGNU劣等一般公衆利用許諾契約書(LGPL)の適用を受けています)。また、LGPL

をユーザのプログラムに適用することができます。

フリーソフトウェアというのは、無償であるということではなく、自由であるということを指します。一般公

開使用許諾は、利用者がフリー\'83\'5cフトウェアの複製物を間違いなく自由に頒布できるように考

えられています(しかも、利用者が、希望に応じてこのようなサービスの対価も自由に設定できるように

なっています)。また、必要に応じた\'83\'5cースコードの受領または入手、フリー\'83\'5cフトウェアの

変更、あるいは新たなフリープログラムでのその部分的な流用が確実に行えるようになっています。さら

に、利用者はこうした作業を実行できることが確実にわかるようになっています。

利用者の権利を保護するには、利用者にこうした権利を与えないようにすることや、利用者に権利の放

棄を求めることを禁止するように制限を加える必要があります。このような制限のため、フリーソフトウェ

アの複製物を頒布する場合やソフトウェアを改変する場合には一定の責任が生じます。

300 GNU一般公開使用許諾 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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たとえば、フリープログラムの複製物を頒布する場合は、無料または有料にかかわらず、自分のすべて

の権利を受領者に与える必要があります。また、受領者が確実にソースコードを受領するか、または入

手できるようにする必要もあります。さらに、受領者に自分の権利を把握させるために、次の条項を受領

者に示す必要があります。

利用者の権利の保護は、2つの手順で行われます。(1)ソフトウェアを著作権で保護します。次に、(2)利

用者にソフトウェアの複製、頒布、改変を行うための法的な許可を与える本使用許諾を提供します。

また、作者やソフトウェアの保護のために、このフリーソフトウェアには保証がないことを皆に確実に理

解させたいと考えています。ソフトウェアが第三者によって改変されたり頒布されても、その受領者はオ

リジナル版を入手したわけではないため、第三者にもたらされた問題によってオリジナルの作者の評判

が損なわれるものではないことも受領者に理解させる必要があります。

最後に、フリープログラムは、絶えずソフトウェア特許の脅威を受けています。そこで、フリープログラム

の再頒布元が特許使用許諾を個々に取得してプログラムを事実上独占するという危険を回避したいと

考えています。このようなことを防ぐために、特許を誰でも自由に利用できるように利用許諾を与える必

要があるか、まったく利用許諾を与える必要がないかを明確にしました。

複製、頒布、改変の正確な条項は、この後に示します。

A.1.2 GNU一般公衆利用許諾契約書(GPL)の複製、頒布、改変に関する条項

0. 本利用許諾契約書は、この一般公衆利用許諾契約書(GPL)の条項に従って頒布できることを定

めた著作権者の通告が記載されているプログラムまたは他の著作物に適用されます。以下、「プログ

ラム」とは、そのようなプログラムまたは著作物を指し、「プログラムに基づく著作物」 とは、プログラム

自体か、または著作権が適用される任意の派生的著作物のいずれかを指します。つまり、逐語的か、ま

たは変更を含む、および/または別の言語に翻訳したプログラムまたはその一部を含む著作物を指しま

す。(以下、翻訳は「改変」という用語に含まれます)。「」各被許諾者のことを「利用者」と呼びます。「」

複製、頒布、改変以外の活動は、本使用許諾では適用されません。これらは対象外です。プログラムを

実行する行為は制限されません。また、プログラムからの出力は、その内容が(プログラムの実行によっ

て作成されたこととは無関係に)プログラムに基づく著作物を構成する場合にのみ適用されます。それ

が本当かどうかは、プログラムの実行内容によって異なります。

1. 利用者は、受領したプログラムのソースコードを任意のメディアでそのまま複製または頒布すること

ができます。その際には、各複製物に適切な著作権表示と保証の放棄を適宜明記し、本利用許諾契約

書および一切の保証の否定に関する通告すべてを維持したまま、プログラムの他の受領者に本利用許

諾契約書の複製物をプログラムとともに頒布することを条件とします。

利用者は、複製物の移送に関する実際的な行為を有償にすることができます。また、自己裁量により有

償の代わりに保証を提供してもかまいません。

301

GNU一般公衆利用許諾契約書(GPL)の複製、頒布、改変に関する条項 SUSE Linux

Enterp… 11 SP4

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2. 利用者は、プログラムの複製物またはその一部を改変することができます。したがって、プログラム

に基づいた著作物を形成し、第1項の条項に従ってそのような改変を複製または頒布することができま

す。ただし、次のすべての条件を満たしていることも前提とします。

a): 利用者は、ファイルを改変したことおよび改変日を示す情報を、改変したファイルに明記する必要

があります。

b): 利用者は、利用者が頒布または公開する著作物、プログラムの全体または一部を含む著作物、あ

るいはプログラムまたはその一部から派生した著作物を、総じて本使用許諾の条項に従ってすべての

サードパーティに無償で使用許諾する必要があります。

c): 改変されたプログラムが、通常、実行時に対話形式でコマンドを読み取るようになっている場合に、

そのプログラムを最も一般的な方法で対話形式での利用に向けて実行するときは、適切な著作権表示

および無保証(あるいは利用者が保証)通告、ユーザがプログラムをここの条件の下で再頒布できるこ

と、本使用許諾の複製物をユーザが閲覧する方法の説明などの告知を出力または表示できるようにす

る必要があります(例外: プログラム自体が対話型にもかかわらず通常そのような告知を出力しない場

合は、プログラムに基づいた利用者の著作物でも告知を出力する必要はありません)。

こうした要件は、総じて改変された著作物に適用されます。その著作物の一部がプログラムから派生し

ていないと特定できて、それぞれが別の独立した著作物であると合理的に考えられる場合、利用者が

それらを別の著作物として頒布するときには、本使用許諾およびその条項はそうした部分には適用さ

れません。しかし、利用者が同じ部分をプログラムに基づいた著作物全体の一部として頒布する場合

は、頒布物全体が、本使用許諾の条項に従わなければなりません。これは、本使用許諾の条項により他

の被許諾者に与えられる許可はプログラム全体に及ぶため、作者にかかわらずあらゆる部分に本使用

許諾が適用されるためです。

したがって、この項の趣旨は、利用者がすべて作成した著作物に対して権利を主張したり、利用者の権

利に異議を申し立てることはではなく、プログラムに基いた派生著作物または集合著作物の頒布を管

理する権利を行使することです。

さらに、プログラムに基づいていない別の著作物をプログラム(またはプログラムに基づいた著作物)と

ともに記憶装置のボリュームや頒布メディアにまとめただけでは、本使用許諾の適用範囲が他の著作

物にまで及ぶことはありません。

3. 利用者は第1項および第2項の条項に従って、プログラム(または第2項のプログラムに基づいた著

作物)をオブジェクトコードまたは実行形式で複製または頒布することができます。ただし、次のいずれ

かを実施するという条件も付きます。

a): 著作物に、該当するコンピュータの読み取り可能なソースコード一式を添付します。このソースコー

ドを第1項および第2項の条項に従ってソフトウェアの交換で習慣的に使われるメディアで頒布する必

要があります。または、

302

GNU一般公衆利用許諾契約書(GPL)の複製、頒布、改変に関する条項 SUSE Linux

Enterp… 11 SP4

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b): マシンで読み取り可能な該当するソースコードの複製を、ソースの頒布に実際にかかるコストを上

回らない程度の手数料で第三者に提供するために、著作物に、3年以上有効な書面による提案を添付

します。このソースコードの複製を第1項および第2項の条項に従ってソフトウェアの交換で習慣的に使

われるメディアで頒布します。あるいは、

c): 著作物に、該当するソースコードの頒布の提案に関して利用者が得た情報を添付します(この選

択肢は、非営利目的の頒布の場合、および利用者が、先ほどのb項と一致するような提案とともにオブ

ジェクトコードまたは実行可能ファイル形式でプログラムを受領した場合に限り選択できます)。

著作物のソースコードとは、それに改変を加える場合に好ましい著作物の形式のことです。実行形式の

著作物の場合、「ソースコード一式」とは、その著作物に含まれているすべてのモジュールのすべての

ソースコードのほかに、関連するあらゆるインタフェース定義ファイル、および実行可能ファイルのコン

パイルやインストールの制御に使用されるスクリプトを加えたものを意味します。しかし、特別な例外と

して、ソースコードを頒布する場合は、通常の頒布物(ソースまたはバイナリ形式)に実行可能ファイルの

実行先オペレーティングシステムの主要なコンポーネント(コンパイラ、カーネルなど)まで加える必要は

ありません。ただし、そのコンポーネント自体に実行可能ファイルが付随する場合は除きます。

指定された場所から複製するためのアクセス手段を提供することによって、実行可能ファイルまたはオ

ブジェクトコードを頒布している場合は、第三者がオブジェクトコードとともにソースを複製するように強

制されなくても、ソースコードを同じ場所から複製するために同等のアクセス手段を提供していればソー

スコードの頒布と見なされます。

4. 利用者は、本利用許諾契約書に明示的に記載されている形態を除き、プログラムを複製、改変、二

次利用許諾、および頒布してはなりません。別の方法でプログラムを複製、改変、二次使用許諾、または

頒布しようとするのは無効であり、本使用許諾の下で利用者の権利は自動的に消滅します。ただし、本

使用許諾の下で利用者から複製物または権利を受領した関係者は、条項を遵守している限り、権利が

消滅することはありません。

5. 利用者は、本利用許諾契約書に署名しない限り、それを受け入れる必要はありません。しかし、利用

者にプログラムまたはその派生著作物の改変または頒布の許可を与えるものは、本使用許諾以外に

ありません。こうした行為は、利用者が本使用許諾を受け入れなければ、法的に禁じられます。したがっ

て、プログラム(またはプログラムに基づいた著作物)を改変または頒布すれば、利用者は、そうした行為

に関して本使用許諾を受け入れ、プログラムまたはプログラムに基づいた著作物の複製、頒布、または

改変に関するすべての条項を承認したことになります。

6. 利用者がプログラム(またはプログラムに基づいた著作物)を再頒布するたびに、受領者は、本利用

許諾契約書の条項に従ってプログラムを複製、頒布、または改変するための利用許諾を元の許諾者か

ら自動的に受領します。利用者は、本利用許諾契約書で受領者に付与された権利の行使に関してさら

に制約を課すことはできません。利用者は、第三者の本使用許諾の遵守に対して責任を負うものでは

ありません。

303

GNU一般公衆利用許諾契約書(GPL)の複製、頒布、改変に関する条項 SUSE Linux

Enterp… 11 SP4

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7. 特許侵害に関する裁判所の判決または申し立ての結果として、あるいはその他の理由(特許問題

に限らない)で、利用者に課せられた条件(裁判所の命令、契約などを問わず)が利用許諾契約書の条

件と矛盾している場合でも、利用者は利用許諾契約書の条件を免除されません。利用者が本使用許

諾の下での義務と他の関連する義務を同時に満たすように頒布できない場合は、結果としてプログラ

ムを頒布してはなりません。たとえば、特許利用許諾で、利用者から直接的または間接的に複製物を受

領した者によるプログラムの無償再頒布が許されていない場合、利用者が特許利用許諾と利用許諾

契約書の両方を満足させる唯一の方法は、プログラムの頒布を全面的に中止することです。

本条項の任意の部分が、特定の状況の下で無効または実施不能になっている場合は、本条項の残り

の部分が適用されるようになっていますが、他の状況では本条項は総じて適用されるようになっていま

す。

本条項の目的は、特許または他の財産権を侵害したり、そのような権利の主張の正当性を争うことを利

用者に勧めることではありません。本条項の唯一の目的は、フリーソフトウェア流通システムの完全性

を保護することであり、一般使用許諾の実践によって実現されます。多くの人々が、このシステムの一貫

した用途を信頼して、このシステムを介して頒布される広い範囲のソフトウェアに多大な貢献を果たし

てきました。作者や寄贈者が他のシステムを介してソフトウェアを頒布するかどうかを決めるのは本人

次第であり、被許諾者がその選択を強要することはできません。

本条項は、本使用許諾の他の条項の結果と考えられることを徹底的に明らかにすることを目的として

います。

8. プログラムの頒布または使用が、特定の国の特許または著作権で保護されたインタフェースのどち

らかで制限されている場合、プログラムに本利用許諾契約書を適用した元の著作権者は、そうした国を

除外する明示的な地域頒布制限を加えるため、頒布は除外されていない国の中やそうした国同士でし

か許可されません。そのような場合は、地域頒布制限が本使用許諾の本文に記載されているのと同様

に解釈されます。

9. フリーソフトウェア財団は、一般公衆利用許諾契約書(GPL)の改訂版または新版を随時公表するこ

とがあります。そのような新版は、性格的には現行版と似たものになりますが、新たな問題や懸案事項

に対応するために細部が異なる可能性があります。

各版には、区別するための版番号が設定されます。プログラムに、それに適用される本利用許諾契約

書の版番号と「後継版」が指定されている場合、利用者は、選択によって現行版の条項またはフリーソ

フトウェア財団から公開される後継版の条項に従うことになります。「」プログラムに、本利用許諾契約

書の版番号が指定されていない場合、利用者は、フリーソフトウェア財団からこれまでに公開された任

意の版を選択することができます。

10. 利用者が、頒布条件の異なる他のフリープログラムにプログラムの一部を組み込みたい場合は、

作者に書面で許可を求めてください。フリーソフトウェア財団が著作権を有するソフトウェアについて

は、フリーソフトウェア財団に書面で問い合わせてください。例外を認める場合もあります。FSFの意思

決定は、FSFのフリーソフトウェアのすべての派生物をフリーな状態に保つこと、および一般にソフトウェ

アの共有と再利用を促進することという2つの目標を手がかりにしています。

304

GNU一般公衆利用許諾契約書(GPL)の複製、頒布、改変に関する条項 SUSE Linux

Enterp… 11 SP4

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A.1.2.1 無保証

11. 本プログラムには無償で利用許諾が付与されるため、本プログラムには適用される法律によって

許容される範囲まで保証はありません。特に書面に記載されていない限り、著作権者またはその他の

当事者(またはその両方)は、本プログラムを「現状のまま」で提供し、商品性および特定目的に対する

適合性の暗示的な保証を含めて(ただしそれに限定されず)、明示的、暗示的を問わず、いかなる保証

の責任も負いません。本プログラムの品質および性能に関する全体的なリスクは利用者が負うものとし

ます。本プログラムに問題があると判明した場合、必要な点検、修復、修正にかかる費用はすべて利用

者が負担するものとします。

12. 適用される法律によって要求されているか、または書面によって合意されていない限り、いかなる

場合も、上記で許可されているとおりに本プログラムを変更または頒布(またはその両方)することがで

きる著作権者またはいずれかの他の当事者は、本プログラムの使用または使用不可によって生じた一

般的、特殊、偶発的、または間接的な損害を含めて(データの損失、データの不正確な出力、または利用

者かその他の当事者が被った損失、あるいは他の本プログラムと合わせて動作する本プログラムの障

害を含むがそれに限定されない)、利用者のいかなる損害に対しても責任を負わず、また、そのような著

作権者またはその他の当事者がそのような損傷の可能性について知らされていても一切の責任を負

いません。

A.1.2.2 条項の終わり

A.1.3 こうした条項を新しいプログラムに適用する方法

利用者が新しいプログラムを開発し、できる限り広く一般に使用させたい場合は、本使用許諾の条項

に従ってそのプログラムを誰でも再頒布および変更できるフリーソフトウェアにする方法が最も優れて

います。

そのためには、プログラムに次の通告を添付してください。保証のないことを最も効果的に伝えるには、

各ソースファイルの冒頭に通告を添付するのが最も無難です。また、各ファイルには、少なくとも「著作

権」の行を用意し、全文がある場所を示す必要があります。「」

one line to give the program’s name and an idea of what it does. Copyright (C) yyyy name of author

This program is free software; you can redistribute it and/ormodify it under the terms of the GNU General Public Licenseas published by the Free Software Foundation; either version 2of the License, or (at your option) any later version.

This program is distributed in the hope that it will be useful,

305 こうした条項を新しいプログラムに適用する方法 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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but WITHOUT ANY WARRANTY; without even the implied warranty ofMERCHANTABILITY or FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE. See theGNU General Public License for more details.

You should have received a copy of the GNU General Public Licensealong with this program; if not, write to the Free SoftwareFoundation, Inc., 59 Temple Place - Suite 330, Boston, MA 02111-1307,USA.

また、電子メールや郵送で利用者に連絡する方法に関する情報も加えてください。

対話型プログラムの場合は、それを対話モードで起動したときに次のような短い通告が出力されるよう

にしてください。

Gnomovision version 69, Copyright (C) year name of authorGnomovision comes with ABSOLUTELY NO WARRANTY; for detailstype `show w’. This is free software, and you are welcometo redistribute it under certain conditions; type `show c’ for details.

仮想コマンド「show w」と「show c」は、一般公衆利用許諾契約書(GPL)の該当する箇所を示すよ

うになっている必要があります。言うまでもなく、利用者が使用するコマンドは、必ずしも「show w」や

「show c」のような形式に限定されません。こうしたコマンドには、利用者のプログラムに合わせたマウ

スクリックやメニュー項目も考えられます。

また、利用者は、必要に応じて雇用主(プログラマとして作業する場合)または場合によっては学校に、プ

ログラムの「著作権放棄声明書」に署名してもらう必要があります。「」次に例を示しますが、名前は適当

に変更してください。

Yoyodyne, Inc., hereby disclaims all copyrightinterest in the program `Gnomovision’(which makes passes at compilers) written by James Hacker.

signature of Ty Coon, 1 April 1989Ty Coon, President of Vice

本一般公衆利用許諾契約書(GPL)では、著作権を有するプログラムに利用者のプログラムを組み込

むことは許可していません。利用者のプログラムがサブルーチンライブラリである場合、利用者は、著作

権を有するアプリケーションをそのライブラリとリンクすることを許可した方が有用と考えるかもしれませ

ん。利用者がこのような操作を希望する場合は、本利用許諾契約書ではなく、「GNU劣等一般公衆利

用許諾契約書(LGPL)」を適用します。

A.2 GNUフリー文書利用許諾契約書(GFDL)第1.2版、2002年11月

306 GNUフリー文書利用許諾契約書(GFDL) SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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Copyright (C) 2000,2001,2002 Free Software Foundation, Inc. 59 Temple Place, Suite

330, Boston, MA 02111-1307 USA

この使用許諾書を一字一句そのままの複製および頒布することは許可されますが、変更は許可されま

せん。

A.2.1 前文

この利用許諾契約書の目的は、マニュアル、テキストブック、またはその他の機能的で有用な文書を、

自由という意味で「フリー」にすることです。つまり、そのような文書を、変更の有無や商用非商用に関わ

らず、コピーまたは再配布する実効的な自由をすべての人々に保証することです。第二に、本利用許諾

契約書は、作者または発行者が他者によって行われた変更について責任を負わないとともに、その著

作物の功績が確保されるように意図されています。

本利用許諾契約書は、「コピーレフト」(著作物を自由に複製および改変できるようにすること)の一種で

あり、文書の派生著作物は、それ自体が同じ意味においてフリーでなければなりません。「」フリーソフト

ウェア向けに考慮されたコピーレフト利用許諾であるGNU一般公衆利用許諾契約書(GPL)を補足す

るものです。

弊社は、この利用許諾契約書をフリーソフトウェアのマニュアルに使用するために設計しました。それ

は、フリーソフトウェアにはフリーマニュアルが必要だからです。つまり、フリープログラムには、そのソフト

ウェアと同じ自由を提供するマニュアルが付属しなければなりません。ただし、本利用許諾契約書は、ソ

フトウェアマニュアルに制限されるものではありません。主題であるか否か、または印刷された本として

発行されるか否かに関わらず、任意のテキスト著作物に使用することができます。本利用許諾契約書

は、その目的が指示または参照に置かれている著作物に主に使用することを推奨します。

A.2.2 適用範囲と定義

本利用許諾契約書は、この利用許諾の条項に従って頒布できることを定めた著作権者の通告が記載

されている任意のメディアにおけるマニュアルまたは他の著作物に適用されます。そのような通告は、

その著作物をここに記載されている条件に従って使用するための世界的な無償の利用許諾を無期限

で付与します。次に示す「文書」は、そのような任意のマニュアルまたは著作物を指します。「」その公衆

ユーザはいずれも被許諾者であり、「利用者」と呼ばれます。「」利用者は、著作権法に従った許可が必

要になるような方法で著作物を複製、変更または頒布する場合に、利用許諾を受け入れます。

文書の「変更された版」とは、そのまま複製されるか、変更または別の言語に翻訳された(またはその両

方)文書あるいはその一部を含んだ著作物のことです。「」

307 前文 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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「二次セクション」は、文書の発行者または作者と文書の全体的な主題(または関連事項)との関係の

みを示す文書の名前付き付録または前付け部分です。総体的な主題に直接関わる内容は含まれてい

ません。「」(したがって、文書が部分的に数学のテキストブックになっている場合、二次セクションでは数

学について説明されない場合があります)。関係には、主題または関連事項との歴史的なつながり、ある

いはそれらに関する法的、商的、哲学的、倫理的、政治的位置付けが含まれる場合があります。

「不変セクション」は、文書が本利用許諾契約書の条件の下でリリースされる旨を述べている通告にお

いて、そのタイトルが不変セクションのものとして指定されている、ある特定の二次セクションです。「」セ

クションが、すでに説明した二次セクションの定義に一致しない場合は、不変として指定することはでき

ません。文書には、不変セクションが含まれない場合があります。文書で不変セクションを特定しない場

合、不変セクションは含まれません。

「カバーテキスト」とは、文書が本利用許諾契約書の条件の下でリリースされる旨を述べている通告に

おいて、表カバーテキストまたは裏カバーテキストとして列挙されている、ある一定の短い文章のことで

す。「」表カバーテキストは、最大で5語、裏カバーテキストは、最大で25語によって構成できます。

文書の「透過的な複製」とは、その仕様が一般の利用者にとって入手可能で、一般的なテキストエディ

タまたは一般的な描画プログラム(画素で構成される画像用)、あるいは広く使用されている図面エディ

タ(図面用)で文書を直接改訂するのに適した形式で表される機械可読の複製のことです。テキスト

フォーマッタへの入力またはテキストフォーマッタへの入力に適したさまざまな形式への変換に適して

いることも前提になります。読者による以後の変更を阻止または妨げるようにマークアップまたはマーク

アップのない状態が調整されている、他の点では透過的なファイル形式で行われた複製は、透過的な

複製ではありません。イメージ形式は、相当量のテキストに使用されている場合、透過的ではありませ

ん。「透過的」ではない複製は、「不透明」と呼ばれます。

透過的な複製に適した形式として、マークアップのないプレーンなASCII、Texinfo入力形式、LaTeX

入力形式、一般に取得可能なDTDを使用するSGMLまたはXML、標準に準拠したHTML、人為的変

更用のPostScriptまたはPDFがあります。透過的なイメージ形式には、PNG、XCF、JPGが含まれま

す。不透明な形式には、独自のワードプロセッサのみで読み取りおよび編集を行える独自の形式、DTD

または処理(またはその両方)ツールを一般に取得できないSGMLまたはXML、機械生成HTML、出力

のみを目的として一部のワードプロセッサによって作成されるPostScriptまたはPDFが含まれます。

「タイトルページ」とは、印刷された本の場合、タイトルページ自体、および本利用許諾契約書でタイ

トルページに表示することが要求されるマテリアルを読みやすいように保持するために必要な以降の

ページのことを指します。「」そのようなタイトルページがない形式の著作物の場合、「タイトルページ」

は、本文の開始部分に先行する、著作物のタイトルを最も顕著に表している部分の近くにあるテキスト

のことを指します。「」

「XYZという表題の付いた」セクションとは、そのタイトルが正確にXYZになっているか、またはXYZを

別の言語に翻訳しているテキストに続いてカッコ付きのXYZが含まれている文書の名前付きサブユ

ニットのことです。「」(ここで、XYZは、次に示すように、「謝辞」、「献辞」、「推薦」、「履歴」などの特定の

セクション名を表します)。「」「」「」「」文書を変更するときに、そのようなセクションの「タイトルを保存す

る」とは、この定義に従って「XYZという表題の付いた」セクションが残されることを表します。「」「」

308 適用範囲と定義 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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文書では、本利用許諾契約書が文書に適用される旨を述べている通告の付近に保証の放棄を含める

ことができます。保証の放棄条項は、本利用許諾契約書内の参照によって、保証の放棄に関してのみ

組み込まれると見なされます。つまり、これらの保証の放棄条項がもつ可能性のある他のいかなる含意

も無効であり、本利用許諾契約書の意味にまったく影響を与えません。

A.2.3 そのままの複製

利用者は、商用か否かを問わず、任意のメディアにおいて文書を複製または頒布することができます。

その際に、本利用許諾契約書、著作権表示、および本利用許諾契約書が文書に適用される旨を述べる

利用許諾通告をすべての複製で再生し、本利用許諾契約書の条件に他のいかなる条件も追加しない

ことが前提条件になります。利用者は、技術的手段によって、作成または頒布する複製の読み込みまた

はさらなる複製を妨げたり、制御したりすることはできません。ただし、複製と引き換えに対価を受け取る

ことができます。十分に大量の複製を頒布する場合は、セクション3の条件に従う必要もあります。

すでに述べた同じ条件に従って複製を貸与したり、複製を公開したりすることもできます。

A.2.4 大量の複製

発行する文書の印刷した複製(または、通常、印刷したカバーをもつメディアに含まれた複製)が100部

を超え、文書の利用許諾通告でカバーテキストを必要とする場合は、すべてのカバーテキスト(表カバー

の表カバーテキスト、裏カバーの裏カバーテキスト)を明瞭かつ読みやすく記載したカバーに文書の複

製を同封する必要があります。また、両方のカバーでは、これらの複製の発行者として、利用者を読みや

すい状態で明確に識別しなければなりません。表カバーには、フルタイトルを記述し、タイトルのすべて

の語が同等に目立つようにする必要があります。カバーには他のマテリアルを追加することもできます。

カバーに限って変更を行った場合の複製は、文書のタイトルが保持されていて、これらの条件を満たし

ている限り、他の点に関してそのままの複製と見なすことができます。

いずれかのカバーで、必要なテキストが多すぎて、読みやすい状態に収まらない場合は、列挙されてい

る最初の部分(問題なく収まる分)を実際のカバーに記載し、残りの部分を隣接ページに入れます。

文書の不透明な複製を100部以上公開または頒布する場合は、それぞれの不透明な複製とともに機

械可読の透過的な複製を含めるか、それぞれの不透明な複製内あるいはその複製とともに、ネットワー

クの一般利用者が標準的な一般ネットワークプロトコルを使用して、追加マテリアルのない文書の完全

な透過的複製をダウンロードするときにアクセスできるコンピュータネットワークの場所を明記する必要

があります。後者のオプションを使用する場合は、不透明な複製の大量頒布を開始するときに十分慎

重な手順を取り、この透過的な複製が、その版の不透明な複製を最後に一般頒布した後(直接または

エージェントや小売業者を通じて)少なくとも1年間、指定した場所で継続的にアクセス可能となるよう

に配慮する必要があります。

309 そのままの複製 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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大量の複製を再頒布する時点よりもかなり前に、文書の作者に連絡して、文書の更新版を提供する機

会を与えることが要求されますが、必須ではありません。

A.2.5 変更

文書の変更された版を、すでに述べた第2項および第3項の条件に従って複製および頒布することがで

きます。その際は、本利用許諾契約書に確実に従って、変更された版をリリースし、変更された版が文

書の役割を担うようにして、その複製を所要する任意の利用者に変更された版の頒布および変更の利

用許諾を与えることが前提になります。また、変更された版で次のことを行う必要があります。

A. タイトルページ(カバーがある場合はカバー上も含める)で、文書、および以前の版の文書(以前の版

がある場合は、その旨、文書の履歴セクションに列挙する)と識別されるタイトルを使用します。前の版と

同じタイトルは、その版の元の発行者が許可を与えた場合に、使用することができます。

B. タイトルページ上に、この要件から解放されない限り、変更された版において変更の著者としての責

任を担う1人以上の人またはエンティティとともに、文書の筆頭著者を少なくとも5人、作者として列挙し

ます(5人に満たない場合は、その筆頭著者のすべて)。

C. タイトルページ上に、変更された版の発行者の名前を、発行者として記載します。

D. 文書のすべての著作権表示を保持します。

E. 変更に関する適切な著作権表示を、他の著作権表示の隣に追加します。

F. 著作権表示の直後に、本利用許諾契約書の条項に従って変更された版を利用するための許可を

一般利用者に与える利用許諾通告を、次の補遺に示す形式で含めます。

G. その利用許諾通告に、不変セクションの全リスト、および文書の利用許諾通告で指定されている必

須カバーテキストを保持します。

H. 本利用許諾契約書の変更されていない複製を含めます。

I. 「履歴」という表題のセクションを保持して、そのタイトルを保持し、タイトルページに記載されている

とおりに、変更された版のタイトル、年度、新しい作者、発行者を少なくとも示す項目を追加します。文

書に「履歴」というセクションがない場合は、そのタイトルページに記載されているとおりに文書のタイト

ル、年度、作者、発行者を示すセクションを作成し、前の文章に記載されているとおりに変更された版を

示す項目を追加します。

J. 文書の透過的な複製に一般利用者がアクセスできるように文書で指定されている場合は、そのネッ

トワークの場所、およびその文書の基盤となった前の版に対応して文書で指定されているネットワーク

の場所を保持します。これらは、「履歴」セクションに配置することができます。文書自体よりも4年以上

310 変更 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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前に発行された著作物の場合、または参照されているその版の元の発行者が許可を与えている場合

は、そのネットワークの場所を省略することができます。

K. 「謝辞」または「献辞」という表題のセクションの場合は、そのセクションのタイトルを保持し、セクショ

ン内に、それぞれの貢献者謝辞またはその中の献辞(またはその両方)のすべての内容と意味合いを

保持します。「」「」

L. 文書のすべての不変セクションを保持し、そのテキストおよびタイトルを未変更のままにします。セク

ション番号またはそれと同等の要素は、セクションタイトルの一部と見なされません。

M. 「推薦」という表題の任意のセクションを削除します。「」そのようなセクションは、変更された版に含

めることはできません。

N. 既存のセクションのタイトルを変更して、「推薦」という表題にしたり、タイトルが不変セクションと矛

盾したりしないようにします。「」

O. 保証の放棄を保持します。

変更された版に、二次セクションと見なされ、文書から複製されたマテリアルを含まない新しい前付けセ

クションまたは付録が含まれる場合は、これらの一部またはすべてを任意に「不変」として指定すること

ができます。これを行うには、変更された版の利用許諾表示内で列挙されている不変セクションにその

タイトルを追加します。これらのタイトルは、他のすべてのセクションタイトルと異なっている必要があり

ます。

「推薦」という表題のセクションを追加することができますが、その際は、変更された版のさまざまな当

事者による推薦以外の要素が含まれていないことが前提になります。たとえば、校正者によるコメント、

または文が標準的な信頼できる定義として組織によって承認されていることを示すという宣言文などが

相当します。「」

表カバーテキストとしての最大5語の短い文、および裏カバーテキストとしての最大25語の短い文を、

変更された版のカバーテキストのリストの終わりに追加できます。表カバーテキストの短い1文および裏

カバーテキストの短い1文のみを、1つのエンティティが追加できます(またはエンティティによって行わ

れた調整を通じて)。文書に、利用者または利用者が関わる同じエンティティによって行われた調整を通

じて前に追加された同じカバーのカバーテキストがすでに含まれている場合は、別のものを追加するこ

とはできませんが、古いものを置き換えることができます。ただし、その古いものを追加した前の発行者

から明示的な許可を得る必要があります。

文書の作者および発行者は、本利用許諾契約書により、その名前を得るために使用したり、変更された

版の推薦を主張または暗示したりする許可を与えるものではありません。

311 変更 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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A.2.6 文書の結合

文書は、すでに述べた変更された版に関するセクション4の条件に従って、本利用許諾契約書の下でリ

リースされた他の文書と結合することができます。その際は、その組み合わせの中に、元の全文書のす

べての不変セクションを未変更のまま含めて、そのすべてを結合された著作物の不変セクションとして

その利用許諾表示に列挙し、そのすべての保証の放棄を保持することが前提となります。

結合された著作物には、本利用許諾契約書の複製を1つのみ含める必要があります。複数の同一の不

変セクションは、単一の複製で置き換えることができます。同じ名前だが内容の異なる複数の不変セク

ションがある場合は、そのような各セクションのタイトルを固有なものにします。その際は、その終わりに、

カッコ付きで、そのセクションの元の作者または発行者の名前(既知の場合)、あるいは固有の番号を追

加します。不変セクションのリスト内のセクションタイトルには、結合された著作物の利用許諾表示の場

合と同じ調整を加えます。

組み合わせでは、さまざまな元の文書の「履歴」という表題のセクションを結合して、1つの「履歴」とい

うセクションを構築する必要があります。同じように、「謝辞」という表題のセクション、および「献辞」とい

う表題のセクションも結合します。「」「」「」「」「推薦」という表題のすべてのセクションを削除する必要が

あります。「」

A.2.7 文書のコレクション

文書および本利用許諾契約書の下でリリースされた他の文書から成るコレクションを作成して、さまざ

まな文書に含まれる本利用許諾契約書の個々の複製を、コレクションに含まれる単一の複製で置き換

えることができますが、他のすべての点での各文書のそのままの複製に関する本利用許諾契約書の規

則に従うことが前提になります。

そのようなコレクションから単一の文書を抽出して、その文書を本利用許諾契約書に従って個々に頒布

することができますが、その際は、本利用許諾契約書の複製を抽出した文書に挿入して、その文書のそ

のままの複製に関するその他のすべての点で、本利用許諾契約書に従う必要があります。

A.2.8 独立した著作物の集積

文書またはその派生物を他の個別および独立した文書または著作物とともに、ストレージまたは頒布メ

ディア内またはそのボリューム上に蓄積することを「集積」と呼びます。その場合は、個々の著作物の許

可を超えてその蓄積の利用者の法的権限を制限することに、蓄積による著作権を使用しないことが前

提になります。文書が集積に含まれる場合、本利用許諾契約書は、それ自体が文書の派生著作物では

ない集積内の他の著作物に適用されません。

312 文書の結合 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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セクション3のカバーテキスト要件が文書のこれらの複製に適用可能であり、文書が集積全体の半分

に満たない場合は、文書のカバーテキストを、集積内の文書のカバー、または文書が電子形式の場合

は、電子的な同等のカバーに配置することができます。それ以外の場合は、集積全体の印刷されたカ

バー上に表示する必要があります。

A.2.9 翻訳

翻訳は変更の一種と見なされるため、セクション4の条件に従って文書の翻訳を頒布することができま

す。不変セクションを翻訳で置き換えるには、その著作権者による特殊な許可が必要ですが、これらの

不変セクションの元の版に加えて、不変セクションのすべて、または一部の翻訳を含めることができま

す。本利用許諾契約書、文書内のすべての利用許諾表示、および保証の放棄の翻訳を含めることがで

きますが、その際は、本利用許諾契約書の元の英語版、およびそれらの利用許諾表示と保証の放棄の

元の版も含めることが前提になります。本利用許諾契約書、利用許諾表示、または保証の放棄の翻訳

と元の版との間に不一致がある場合は、元の版が優先されます。

文書内のセクションに、「謝辞」、「献辞」、または「履歴」という表題が付いている場合は、そのタイトルを

保持する(セクション1)ための要件(セクション4)により、通常は実際のタイトルを変更する必要がありま

す。「」「」「」

A.2.10 消滅

利用者は、本利用許諾契約書に明示的に記載されている形態を除き、文書を複製、改変、二次利用許

諾、および頒布してはなりません。別の方法で文書を複製、改変、二次利用許諾、または頒布しようとす

るのは無効であり、本利用許諾契約書の下で利用者の権利は自動的に消滅します。ただし、本使用許

諾の下で利用者から複製物または権利を受領した関係者は、条項を遵守している限り、権利が消滅す

ることはありません。

A.2.11 本利用許諾契約書の将来の改訂

フリーソフトウェア財団は、GNUフリー文書利用許諾契約書(GFDL)の新版または改訂版を随時公表

することがあります。そのような新版は、性格的には現行版と似たものになりますが、新たな問題や懸案

事項に対応するために細部が異なる可能性があります。http://www.gnu.org/copyleft/を参照して

ください。

313 翻訳 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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本利用許諾契約書の各版には、区別するための版番号が設定されます。文書に、それに適用される本

利用許諾契約書の特定の版番号と「後継版」が指定されている場合、利用者は、選択によって、その指

定された版の条項またはフリーソフトウェア財団から公開される後継版の条項(ドラフトではない)に従

うことになります。「」文書に、本利用許諾契約書の版番号が指定されていない場合、利用者は、フリー

ソフトウェア財団からこれまでに公開された任意の版(ドラフトではない)を選択することができます。

A.2.12 補遺: 本利用許諾書をご使用の文書に使用する方法

作成した文書内で本利用許諾契約書を使用するには、本利用許諾契約書の複製を文書に含め、タイト

ルページの直後に、次の著作権および利用許諾表示を挿入します。

Copyright (c) YEAR YOUR NAME.Permission is granted to copy, distribute and/or modify this documentunder the terms of the GNU Free Documentation License, Version 1.2or any later version published by the Free Software Foundation;with no Invariant Sections, no Front-Cover Texts, and no Back-CoverTexts.A copy of the license is included in the section entitled “GNUFree Documentation License”.

不変セクション、表カバーテキスト、および裏カバーテキストがある場合は、「with...Texts」の行を次の

ように置き換えます。

with the Invariant Sections being LIST THEIR TITLES, with theFront-Cover Texts being LIST, and with the Back-Cover Texts being LIST.

カバーテキストのない不変セクションが含まれている場合、またはこの3つの他の組み合わせの場合

は、その2つの代替要素をマージして状況に合わせます。

文書にプログラムコードの重要な例が含まれている場合は、GNU一般公衆利用許諾契約書(GPL)な

どの選択したフリーソフトウェアの利用許諾に従って、これらの例を平行してリリースし、フリーソフトウェ

アでのその利用を許可することを推奨します。

314 補遺: 本利用許諾書をご使用の文書に使用する方法 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B マニュアルの更新

この項では、SUSE Linux Enterprise Server 11の最初のリリース以降に、『SUSE Linux

Enterprise Serverストレージ管理ガイド』に対して行われた文書内容の変更に関する情報を提供し

ます。

このドキュメントは次の日付に更新されました。

B.1項 「2013年12月16日」

B.2項 「2013年11月4日」

B.3項 「2013年10月14日」

B.4項 「2013年10月4日」

B.5項 「2013年6月(SLES 11 SP3)」

B.6項 「2013年3月19日」

B.7項 「2013年3月11日」

B.8項 「2013年2月8日」

B.9項 「2013年1月8日」

B.10項 「2012年11月14日」

B.11項 「2012年10月29日」

B.12項 「2012年10月19日」

B.13項 「2012年9月28日」

B.14項 「2012年4月12日」

B.15項 「2012年2月27日(SLES 11 SP2)」

B.16項 「2011年7月12日」

B.17項 「2011年6月14日」

B.18項 「2011年5月5日」

B.19項 「2011年1月」

B.20項 「2010年9月16日」

B.21項 「2010年6月21日」

315 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.22項 「2010年5月(SLES 11 SP1)」

B.23項 「2010年2月23日」

B.24項 「2009年12月1日」

B.25項 「2009年10月20日」

B.26項 「2009年8月3日」

B.27項 「2009年6月22日」

B.28項 「2009年5月21日」

B.1 2013年12月16日

B.1.1 デバイスのマルチパスI/Oの管理

次の節が更新されました。変更内容は次のとおりです。

場所 変更

7.8項 「非マルチパスデバイスのブラックリスト

化」

次のccissの例を修正しました。

devnode "^cciss.c[0-9]d[0-9].*"

devnode "^cciss.c[0-9]d[0-9]*[p[0-9]*]"

B.2 2013年11月4日

B.2.1 デバイスのマルチパスI/Oの管理

次の節が更新されました。変更内容は次のとおりです。

場所 変更

7.4.2項 「マルチパスデバイスのパーティショニ

ング」

マルチパスのデバイスのパーティショニングに

関する問題を追加しました。

316 2013年12月16日 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.3 2013年10月14日次の節が更新されました。変更内容は次のとおりです。

B.3.1 Linux用iSNS

場所 変更

13.3.3項 「iSCSIノードの検出ドメインへの追

加」

次のコマンドに-p ip:portオプションを追加しま

した。

iscsiadm -m node -t iqn.2006-02.com.example.iserv:systems -p ip:port --op=update --name=node.startup --value=automatic

iscsiadm -m node -t iqn.2006-02.com.example.iserv:systems -p ip:port --op=delete

B.4 2013年10月4日次の項が更新されています。変更内容は次のとおりです。

B.4.1項 「デバイスのマルチパスI/Oの管理」

B.4.2項 「ボリュームのスナップショット」

B.4.3項 「SLES 11のストレージの新機能」

B.4.1 デバイスのマルチパスI/Oの管理

場所 変更

blacklist_exceptions 7.8項 「非マルチパスデバイスのブラックリスト

化」の blacklist_exceptionsの例にリンクを

追加しました。

317 2013年10月14日 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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場所 変更

7.8項 「非マルチパスデバイスのブラックリスト

化」

blacklist_exceptionsセクションを使っ

て、 blacklistセクションで使用している正規

表現によってブラックリスト化されたデバイスに

対してマルチパスを有効にする例を追加しまし

た。

B.4.2 ボリュームのスナップショット

場所 変更

第17章 「LVMボリュームスナップショット」 わかりやすくするため、「元のボリューム」を「ソー

ス論理ボリューム」に変更しました。

17.1項 「ボリュームスナップショットの理解」 Xenホスト環境では、スナップショット機能を使

用して、仮想マシンのストレージバックエンドを

バックアップしたり、仮想マシンイメージに対する

変更(パッチやアップグレードなど)をテストしたり

できます。

17.5項 「仮想ホスト上の仮想マシンに対するス

ナップショットの使用」

このセクションは新たに追加されました。

17.6項 「スナップショットをソース論理ボリュー

ムとマージして変更を元に戻すか、前の状態に

ロールバックする」

ソース論理ボリュームに仮想マシンイメージが

含まれる場合、仮想マシンをシャットダウンして

ソース論理ボリュームとスナップショットボリュー

ムを(この順序でマウント解除することによって)

非アクティブにした後、mergeコマンドを発行す

る必要があります。続いて、スナップショットボ

リュームとソース論理ボリュームを(この順序で

マウントすることによって)アクティブにします。

マージ完了時に、ソース論理ボリュームが自動

的に再マウントされてスナップショットボリューム

は削除されるので、マージ完了後まで仮想マシ

ンを再起動しないでください。マージが完了した

後、生成された論理ボリュームを仮想マシンで

使用します。

318 ボリュームのスナップショット SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.4.3 SLES 11のストレージの新機能

場所 変更

2.4項 「SLES 11の新機能」 EVMSで管理しているシステムデバイスを

SLES 10 SP4からSLES 11へアップグレードす

る際の準備方法に関する情報を追加しました。

B.5 2013年6月(SLES 11 SP3)次の項が更新されています。変更内容は次のとおりです。

B.5.1項 「LVMの設定」

B.5.2項 「IP ネットワークの大容量記憶域: iSCSI LIOターゲットサーバ」

B.5.3項 「デバイスのマルチパスI/Oの管理」

B.5.4項 「mdadmによるソフトウェアRAID 6および10の管理」

B.5.5項 「Linuxファイルシステムの概要」

B.5.6項 「ソフトウェアRAID用のストレージエンクロージャLEDユーティリティ」

B.5.7項 「ボリュームのスナップショット」

B.5.8項 「ストレージに関する問題のトラブルシュート」

B.5.9項 「SLES 11のストレージの新機能」

B.5.1 LVMの設定

場所 変更

4.5項 「物理ボリュームの設定」 LVMの論理ボリュームのシンプロビジョニング

に関する情報を追加しました。

B.5.2 IP ネットワークの大容量記憶域: iSCSI LIOターゲットサーバ

第15章 「IP ネットワークの大容量記憶域: iSCSI LIOターゲットサーバ」は、新たに追加されました。

319 SLES 11のストレージの新機能 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.5.3 デバイスのマルチパスI/Oの管理

場所 変更

7.2.6項 「NetAppデバイスでのマルチパスの使

用」

このセクションは新たに追加されました。

7.2.11.1項 「マルチパス処理用に自動検出さ

れるストレージアレイ」

/usr/share/doc/packages/multipath-

tools/multipath.conf.defaultsファイル

にデフォルトの定義があるストレージアレイのリ

ストを更新しました。

7.3.4項 「Linux multipath(8)コマンド」 -rは新しいオプションです。

7.3.5項 「Linux mpathpersist(8)ユーティリ

ティ」

このセクションは新たに追加されました。

7.4.3項 「initrdでデバイスドライバをマルチパ

ス処理用に設定する 」

alua 、 rdac 、 hp-sw 、 emc用のSCSIハード

ウェアハンドラに関する情報を追加しました。

7.7項 「ポーリング、待ち行列、およびフェール

バック用のデフォルトポリシーの設定」

廃止予定の属

性 udev_dirと getuid_callout 、

新しい属性 uid_attribute 、およ

び path_selectorと max_fdsの変更されたデ

フォルト値に関する注釈を付けることで、デフォ

ルト値のリストを更新しました。

7.11.2.1項 「優先度グループと属性の理解」 path_selectorのデフォルトを、 round-

robinから service-timeに変更しました。

getuid_callout属性は廃止予定なの

で、 uid_attributeパラメータに置き換えられ

ました。

uid_attributeを追加しました。

7.14項 「新規デバイスのスキャン(再起動なし)」

7.15項 「パーティショニングされた新規デバイ

スのスキャン(再起動なし)」

警告EMC PowerPath環境では、SCSIバス

をスキャンする場合に、オペレーティン

グシステムに付属する rescan-scsi-

bus.shユーティリティまたはHBAベン

320 デバイスのマルチパスI/Oの管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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場所 変更

ダスクリプトを使用しないでください。

ファイルシステムが破損する可能性を

避けるため、EMCでは、Linux用EMC

PowerPathのベンダマニュアルに記載

されている手順に従うよう求めています。

B.5.4 mdadmによるソフトウェアRAID 6および10の管理

場所 変更

10.3.3項 「YaSTパーティショナ付きコンプレック

スRAID 10の作成 」

このセクションは新たに追加されました。

B.5.5 Linuxファイルシステムの概要

場所 変更

1.2.1.4項 「ルートファイルシステムのスナップ

ショット」

クリーンアップ頻度は、マウントポイントの

Snapper設定で定義されています。日次、月次、

年次のクリーンアップのTIMELINE_LIMITパ

ラメータ値を下げると、スナップショットの数と保

持期間を減らせます。

1.2.1.9項 「サブボリュームに対するBtrfsクォー

タのサポート」

このセクションは新たに追加されました。

B.5.6 ソフトウェアRAID用のストレージエンクロージャLEDユーティリティ

第12章 「MDソフトウェアRAID用のストレージエンクロージャLEDユーティリティ」は、新たに追加されま

した。

321 mdadmによるソフトウェアRAID 6および10の管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.5.7 ボリュームのスナップショット

場所 変更

17.2項 「LVMによるLinuxスナップショットの作

成」

LVM論理ボリュームスナップショットのシンプロ

ビジョニングに関する情報を追加しました。

17.6項 「スナップショットをソース論理ボリュー

ムとマージして変更を元に戻すか、前の状態に

ロールバックする」

このセクションは新たに追加されました。

B.5.8 ストレージに関する問題のトラブルシュート

場所 変更

19.2項 「Btrfsエラー: デバイスに空き領域がな

い 」

このセクションは新たに追加されました。

B.5.9 SLES 11のストレージの新機能

場所 変更

2.1項 「SLES 11 SP3の新機能」 このセクションは新たに追加されました。

B.6 2013年3月19日次の項が更新されています。変更内容は次のとおりです。

322 ボリュームのスナップショット SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.6.1項 「Linuxファイルシステムの概要」

B.6.1 Linuxファイルシステムの概要

場所 変更

1.2.3.4項 「Ext3ファイルシステムのinodeサイ

ズとinode数」

本項は、SLES 11におけるinodeサイズとバイト

数/inode数の比率に対するデフォルト設定の

変更を説明するために更新されました。

B.7 2013年3月11日次の項が更新されています。変更内容は次のとおりです。

B.7.1項 「LVMの設定」

B.7.2項 「Linuxファイルシステムの概要」

B.7.1 LVMの設定

場所 変更

4.6項 「非ルートLVMボリュームグループの自

動アクティブ化」

このセクションは新たに追加されました。

B.7.2 Linuxファイルシステムの概要

場所 変更

1.2.1項 「Btrfs」 複数デバイスのサポート。ファイルシステムを拡

大したり、縮小できます。この機能は、YaSTパー

ティショナの今後のリリースで利用可能となる予

定です。

323 Linuxファイルシステムの概要 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.8 2013年2月8日次の項が更新されています。変更内容は次のとおりです。

B.8.1項 「ルートパーティション用のソフトウェアRAID1の設定」

B.8.1 ルートパーティション用のソフトウェアRAID1の設定

このセクションは、ソフトウェアRAID1タイプに重点を置くために変更されました。ソフトウェアRAID0お

よびRAID5はサポートされていません。これらは、これまでエラーに含まれていました。追加の重要な変

更点を以下に記載しています。

場所 変更

9.1項 「ルートパーティション用のソフトウェア

RAID1デバイスを使用するための前提条件」

/boot パーティション用に使用する、3つ目の

デバイスが必要です。 デバイスは、ローカルのデ

バイスである必要があります。

ステップ 4 での 9.4項 「ルート(/)パーティション

用のソフトウェアRAID1デバイスの作成」

/bootパーティションを作成します。デバイス

は、ローカルのデバイスである必要があります。

ステップ 7.b での 9.4項 「ルート(/)パーティショ

ン用のソフトウェアRAID1デバイスの作成」

[RAIDタイプ]で、[RAID 1 (ミラーリング)]を

選択します。

B.9 2013年1月8日次の項が更新されています。変更内容は次のとおりです。

B.9.1項 「LVMの設定」

B.9.2項 「デバイスのマルチパスI/Oの管理」

324 2013年2月8日 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.9.1 LVMの設定

場所 変更

4.1項 「論理ボリュームマネージャ(LVM)の理

解」重要LVMの構成後にマルチパスのサポー

トを追加する場合は、 /etc/lvm/

lvm.confファイルを修正し、 /dev/

disk/by-idディレクトリ内のマルチパ

スデバイス名のみをスキャンするように

して(7.2.4項 「マルチパスデバイスでの

LVM2の使用」に記載するとおり)、 サー

バを再起動します。

B.9.2 デバイスのマルチパスI/Oの管理

場所 変更

7.2.1.5項 「高可用性ソリューション」 各ノード上の /etc/multipath.confファイル

内の構成設定が、クラスタ全体で同一であるよ

うにしてください。

7.2.3項 「マルチパスデバイスでのWWID、ユー

ザフレンドリ名、および別名の使用」

/dev/disk/by-idディレクトリでマルチパス

マップのデバイスへのリンクを使用する際は、

デバイスの固定パスインスタンスではなく、 dm-

uuid*名または別名を指定するようにしてくださ

い。

7.2.4項 「マルチパスデバイスでのLVM2の使

用」

デバイスマッパー名に対して生ディスクとパー

ティションの両方を許容する場合は、 mpathの

前にハイフン(-)を付けずに、次のように指定しま

す。

filter = [ "a|/dev/disk/by-id/dm-uuid-.*mpath-.*|", "r|.*|" ]

325 LVMの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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場所 変更

7.2.9項 「マルチパスデバイスのパーティショニ

ング」

lvm.confおよび md.confに対する環境

設定ファイルが、必ずマルチパスデバイス

の名前をポイントするようにします。これ

は、 boot.multipathが有効になってい

て、 boot.lvmおよび boot.md以前にロードさ

れていれば、自動的に行われます。そうなってい

ない場合は、LVMおよびMDの環境設定ファイ

ルにマルチパスデバイスに対する固定パスが含

まれている可能性があり、マルチパスデバイス名

を使用するためにこれらを修正する必要があり

ます。

7.9項 「ユーザフレンドリ名または別名の設定」 始める前に、「7.2.3項 「マルチパスデバイスで

のWWID、ユーザフレンドリ名、および別名の使

用」」の要件をレビューしてください。

B.10 2012年11月14日次の節が更新されました。変更内容は次のとおりです。

B.10.1項 「Linuxファイルシステムの概要」

B.10.1 Linuxファイルシステムの概要

場所 変更

1.4項 「Linux環境での大規模ファイルサポー

ト」

このセクションは、SUSE Linux Enterprise

Server技術情報Webサイト (http://

www.suse.com/products/server/

technical-information/) のファイルシステム

のサポートとサイズ (http://www.suse.com/

products/server/technical-information/

#FileSystem) との一貫性を持たせるため、更

新されました。

326 2012年11月14日 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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場所 変更

1.5項 「Linuxのカーネルにおけるストレージの

制限」

このセクションは新たに追加されました。

B.11 2012年10月29日前付けおよび誤植正誤表の修正。

B.12 2012年10月19日次の項が更新されています。変更内容は次のとおりです。

B.12.1項 「デバイスのマルチパスI/Oの管理」

B.12.2項 「Linuxファイルシステムの概要」

B.12.1 デバイスのマルチパスI/Oの管理

場所 変更

7.6項 「/etc/multipath.conf Fileの作成また

は修正」

デバイス設定の具体例が、より上位の組織レベ

ルに移動しました。

7.6.3項 「etc/multipath.confファイルでのマ

ルチパスセットアップの確認」

/etc/multipath.confファイルを修正してド

ライ実行を行う際に、変更前の(またはデフォルト

の)マルチパス設定で、 multipathdデーモンが

すでに実行されていることを前提とします。

327 2012年10月29日 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.12.2 Linuxファイルシステムの概要

場所 変更

1.2.3.4項 「Ext3ファイルシステムのinodeサイ

ズとinode数」

Ext3ファイルシステムのファイルに対する拡

張属性およびACL用のスペースを確保するた

め、Ext3に対するデフォルト のinodeサイズ

が、SLES 10での 256バイトから、SLES11で

は256バイトに増えました。

B.13 2012年9月28日次の項が更新されています。変更内容は次のとおりです。

B.13.1項 「デバイスのマルチパスI/Oの管理」

B.13.2項 「Linuxファイルシステムの概要」

B.13.1 デバイスのマルチパスI/Oの管理

場所 変更

7.2.2項 「multipath-tools-0.4.9における

PRIO設定」

SLES 11 SP2では、Prioritizerの指定に

は prioキーワードが使われ、Prioritizerが

引数を必要とする場合は、その引数の指定

に prio_argsキーワードが使われます。

マルチパスツール0.4.9以降では、 /etc/

multipath.confファイルの defaults{}また

は devices{}セクションの prio設定を使用

します。キーワード prioが、 multipath{)セク

ションの個別の multipaths定義に指定された

場合は、暗黙のうちに無視されます。

7.11.2.1項 「優先度グループと属性の理解」 prioおよび prio_argsキーワードの使用に関

する情報を追加しました。

328 Linuxファイルシステムの概要 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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場所 変更

7.11.2.1項 「優先度グループと属性の理解」 SLES 11 SP2では、rr_min_ioマルチパス属性

は廃止となり、rr_min_io_rq属性に代わりまし

た。

7.19.1項 「マルチパス0.4.9への更新後に、個

別デバイスのprio設定が失敗する」

このセクションは新たに追加されました。

7.19.2項 「multipath-tools-0.4.9への更新後

に、引数を伴うprio設定が失敗する」

このセクションは新たに追加されました。

7.19.3項 「技術情報ドキュメント」 こわれたリンクを修正しました。

B.13.2 Linuxファイルシステムの概要

場所 変更

1.2.1項 「Btrfs」 Btrfsツールパッケージは btrfsprogsです。

B.14 2012年4月12日次の項が更新されています。変更内容は次のとおりです。

B.14.1項 「デバイスのマルチパスI/Oの管理」

B.14.2項 「mdadmによるソフトウェアRAIDアレイのサイズ変更」

B.14.1 デバイスのマルチパスI/Oの管理

この項は、すべての例でデバイスパスに /dev/disk/by-idディレクトリを使用するよう更新されまし

た。

329 Linuxファイルシステムの概要 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.14.2 mdadmによるソフトウェアRAIDアレイのサイズ変更

場所 変更

11.3項 「ソフトウェアRAIDのサイズの

削減」

個々のコンポーネントパーティションのサイズを縮小する

前にRAIDのサイズを縮小するよう、手順の順番を修正し

ました。

B.15 2012年2月27日(SLES 11 SP2)次の項が更新されています。変更内容は次のとおりです。

B.15.1項 「Fibre Channel Storage over Ethernet Networks: FCoE」

B.15.2項 「GNU利用許諾契約書」

B.15.3項 「LVMの設定 」

B.15.4項 「NFSv4上でのアクセス制御リストの管理」

B.15.5項 「デバイスのマルチパスI/Oの管理」

B.15.6項 「mdadmによるソフトウェアRAID 6および10の管理」

B.15.7項 「IPネットワークの大容量記憶域 - iSCSI 」

B.15.8項 「Linuxファイルシステムの概要」

B.15.9項 「ファイルシステムのサイズ変更」

B.15.10項 「mdadmによるソフトウェアRAIDアレイのサイズ変更」

B.15.1 Fibre Channel Storage over Ethernet Networks: FCoE

このセクションは新たに追加されました。OpenFCoE (Open Fibre Channel over Ethernet)のサ

ポートは、SLES 11から開始されています。

B.15.2 GNU利用許諾契約書

このセクションは新たに追加されました。

330 mdadmによるソフトウェアRAIDアレイのサイズ変更 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.15.3 LVMの設定

場所 変更

4.7項 「LVM2ストレージオブジェクト

のタグ付け」

このセクションは新たに追加されました。

B.15.4 NFSv4上でのアクセス制御リストの管理

このセクションは新たに追加されました。

B.15.5 デバイスのマルチパスI/Oの管理

場所 変更

7.7項 「ポーリング、待ち行列、および

フェールバック用のデフォルトポリシー

の設定」

SLES 11のデフォルトパス getuidは、/lib/udev/

scsi_idです。

7.17項 「エラーになったI/Oの管理」

7.18項 「停止したI/Oの解決」

dmsetup messageコマンドでは、値0はセクタを表し、セ

クタ情報が不要なときに使用されます。

7.11.2.1項 「優先度グループと属性

の理解」

クラスタ環境でマルチパスI/Oを使用する際の

no_path_retryおよびフェールバックの設定に関して、推

奨事項を追加しました。

7.11.2.1項 「優先度グループと属性

の理解」

パスセレクタオプションの名前と設定が修正されました:

round-robin 0

least-pending 0

service-time 0

queue-length 0

331 LVMの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.15.6 mdadmによるソフトウェアRAID 6および10の管理

場所 変更

10.3.1.6項 「offsetレイアウト」 このセクションは新たに追加されました。

B.15.7 IPネットワークの大容量記憶域 - iSCSI

場所 変更

14.4項 「インストール時のiSCSIディ

スクの使用」

このセクションは新たに追加されました。

14.5.4項 「設定ファイルが手動に設

定されていると、iSCSIターゲットがマウ

ントされる」

このセクションは新たに追加されました。

B.15.8 Linuxファイルシステムの概要

場所 変更

1.2.1項 「Btrfs」 このセクションは新たに追加されました。

SUSE Linux Enterprise 11 SP2から、Btrfsファイルシ

ステムがルートのファイルシステムとしてサポートされま

す。つまり、SUSE Linux Enterprise 11 SP2のすべての

アーキテクチャにわたる、オペレーティングシステム用の

ファイルシステムです。

1.2.4項 「ReiserFS」 重要ReiserFSファイルシステムは、特にマイグレーショ

ン用として、SUSE Linux Enterprise Server

11のライフタイムの間、完全にサポートされ

ます。SUSEでは、SUSE Linux Enterprise

Server 12から、新しいReiserFSファイルシステム

の作成をサポートしない予定です。

332 mdadmによるソフトウェアRAID 6および10の管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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場所 変更

1.2.6項 「ファイルシステムの機能比

較」

このセクションは新たに追加されました。

1.4項 「Linux環境での大規模ファイル

サポート」

このセクションの値は、現在の規格に合わせて更新されま

した。

1.6項 「YaST パーティショナによるデ

バイスの管理」

このセクションは新たに追加されました。

B.15.9 ファイルシステムのサイズ変更

場所 変更

5.1項 「サイズ変更のガイドライン」

5.4項 「Ext2またはExt3ファイルシス

テムのサイズの削減」

resize2fsコマンドでは、マウントされている場合にExt3

ファイルシステムのみサイズ変更可能です。 Ext3ボ

リュームのサイズを、ボリュームのマウントまたはアンマウ

ント時に拡大または縮小できます。ボリュームサイズを拡

大または縮小するためには、Ext2/4ファイルシステムをア

ンマウントする必要があります。

B.15.10 mdadmによるソフトウェアRAIDアレイのサイズ変更

場所 変更

11.2.2項 「RAIDアレイのサイズの増

加」

--assume-cleanは新しいオプションです。

B.16 2011年7月12日次の節が更新されました。変更内容は次のとおりです。

333 ファイルシステムのサイズ変更 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.16.1項 「デバイスのマルチパスI/Oの管理」

B.16.1 デバイスのマルチパスI/Oの管理

場所 変更

7.2.4項 「マルチパスデバイスでの

LVM2の使用」

7.13項 「既存ソフトウェアRAID用マル

チパスI/Oの設定」

mkinitrdの実行が必要なのは、ルート(/)デバイスまた

はその一部( /var 、 /etc 、 /logなど)がSAN上にあり、

マルチパスのブートが必要な場合のみです。

B.17 2011年6月14日次の節が更新されました。変更内容は次のとおりです。

B.17.1項 「デバイスのマルチパスI/Oの管理」

B.17.2項 「SLES 11のストレージの新機能」

B.17.1 デバイスのマルチパスI/Oの管理

場所 変更

7.11.2.1項 「優先度グループと属性

の理解」

path_grouping_policyのデフォルト設定が、SLES 11

ではマルチバスからフェールオーバーに変更となりまし

た。

B.17.2 SLES 11のストレージの新機能

場所 変更

2.4.13項 「MPIOパスグループ化ポリ

シーのデフォルト設定として、マルチバ

スからフェールオーバーへの変更」

このセクションは新たに追加されました。

334 デバイスのマルチパスI/Oの管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.18 2011年5月5日このリリースでは、壊れたリンクが修復され、古い参照が削除されています。

B.19 2011年1月次の節が更新されました。変更内容は次のとおりです。

B.19.1項 「LVMの設定」

B.19.2項 「デバイスのマルチパスI/Oの管理」

B.19.3項 「ファイルシステムのサイズ変更」

B.19.1 LVMの設定

場所 変更

4.3項 「ボリュームグループの作成」 LVM2では、物理エクステントのい数を制限しません。

エクステントが多くても、論理ボリュームに対するI/Oパ

フォーマンスに影響しませんが、LVMツールの動作が遅く

なります。

B.19.2 デバイスのマルチパスI/Oの管理

場所 変更

特定ホストバスアダプタのフェイル

オーバーの調整

このセクションは削除されました。HBAフェールオーバー

のガイダンスについては、ベンダのマニュアルをを参照し

てください。

335 2011年5月5日 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.19.3 ファイルシステムのサイズ変更

場所 変更

11.3.1項 「ファイルシステムのサイズ

の削減」

ファイルシステムのサイズの縮小は、ファイルシステムの

マウント解除時にサポートされています。

B.20 2010年9月16日次の項が更新されています。変更内容は次のとおりです。

B.20.1項 「LVMの設定」

B.20.1 LVMの設定

場所 変更

4.2項 「LVMパーティションの作成」 説明と手順が拡張され、ディスク全体を使用するパーティ

ションの設定方法が説明されています。

手順は、YaSTパーティショナでハードディスクのパーティ

ショニング機能を使用するように変更されました。

すべてのLVM管理セクション この章全体を通じて、YaSTパーティショナでボリューム管

理を使用するように手順が変更されました。

4.8項 「ボリュームグループのサイズ変

更」

このセクションは新たに追加されました。

4.9項 「YaSTによる論理ボリュームの

サイズ変更」

このセクションは新たに追加されました。

4.11項 「ボリュームグループの削除」 このセクションは新たに追加されました。

4.12項 「LVMパーティション(物理ボ

リューム)の削除」

このセクションは新たに追加されました。

336 ファイルシステムのサイズ変更 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.21 2010年6月21日次の項が更新されています。変更内容は次のとおりです。

B.21.1項 「LVMの設定」

B.21.2項 「マルチパスI/Oの管理」

B.21.3項 「mdadmによるソフトウェアRAID 6および10の管理」

B.21.4項 「IPネットワークの大容量記憶域 - iSCSI」

B.21.1 LVMの設定

場所 変更

4.2項 「LVMパーティションの作成」 手順に詳細が追加されました。

B.21.2 マルチパスI/Oの管理

場所 変更

7.9項 「ユーザフレンドリ名または別名

の設定」

ルートデバイスにユーザフレンドリな名前を使用

すると、データが失われることがあります。「TID

7001133: Recommendations for the usage of

user_friendly_names in multipath configurations

(http://www.novell.com/support/search.do?

cmd=displayKC&docType=kc&externalId=7001133) 」

から代替の方法が追加されました。

B.21.3 mdadmによるソフトウェアRAID 6および10の管理

場所 変更

10.3.1.5項 「farレイアウト」 例のエラーが修正されました。

337 2010年6月21日 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.21.4 IPネットワークの大容量記憶域 - iSCSI

場所 変更

14.5.1項 「ホットプラグでiSCSIター

ゲットをマウントできない」

このセクションは新たに追加されました。

B.22 2010年5月(SLES 11 SP1)次の項が更新されています。変更内容は次のとおりです。

B.22.1項 「デバイスのマルチパスI/Oの管理」

B.22.2項 「IPネットワークの大容量記憶域 - iSCSI」

B.22.3項 「ソフトウェアRAIDの設定」

B.22.4項 「新機能」

B.22.1 デバイスのマルチパスI/Oの管理

場所 変更

7.2.4項 「マルチパスデバイスでの

LVM2の使用」

ステップ 3の例は修正されました。

7.2.8項 「ルートデバイスがマルチパ

スの場合のSANタイムアウト設定」

このセクションは新たに追加されました。

7.3.2項 「マルチパスI/O管理ツール」 パッケージのファイルリストは、サーバのアーキテクチャ

によって異なることがあります。multipath-toolsパッケー

ジに含まれているファイルのリストについては、[SUSE

Linux Enterprise Server Technical Specifications]

の[Package Descriptions]Webページ (http://

www.novell.com/products/server/techspecs.html?

tab=1) にアクセスして、目的のアーキテクチャを見

つけ、[パッケージを名前でソート]を選択し、次に、

「multipath-tools」で検索して、そのアーキテクチャの

パッケージリストを見つけます。

338 IPネットワークの大容量記憶域 - iSCSI SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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場所 変更

7.4.1項 「マルチパス処理用SANデバ

イスの準備」

SANデバイスがサーバ上でルートデバイスとして使用さ

れる場合は、7.2.8項 「ルートデバイスがマルチパスの場

合のSANタイムアウト設定」に示されているように、デバイ

スのタイムアウト設定を変更します。

7.6.3項 「etc/multipath.confファイ

ルでのマルチパスセットアップの確認」

-v3冗長レベルの出力例が追加されました。

7.12.1.1項 「アクティブ/アクティブマ

ルチパスストレージLUNでインストー

ル時にマルチパスI/Oを有効にする」

このセクションは新たに追加されました。

7.12.1.2項 「アクティブ/パッシブマル

チパスストレージLUNでインストール

時にマルチパスI/Oを有効にする」

このセクションは新たに追加されました。

B.22.2 IPネットワークの大容量記憶域 - iSCSI

場所 変更

ステップ 7.g での 14.2.2項 「YaSTを

使ったiSCSIターゲットの作成」

[YaST]の[Network Services][iSCSI Target]機能

の[保存]オプションを使用すると、iSCSIターゲット情報

をエクスポートできます。これにより、この情報をリソースの

利用者に簡単に提供することができます。

14.5項 「iSCSIのトラブルシューティン

グ」

このセクションは新たに追加されました。

339 IPネットワークの大容量記憶域 - iSCSI SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.22.3 ソフトウェアRAIDの設定

場所 変更

8.4項 「詳細情報」 『Software RAID HOW-TO』は、サポートされなく

なりました。代わりに、「Linux RAID wiki (https://

raid.wiki.kernel.org/index.php/Linux_Raid) 」を使

用してください。

B.22.4 新機能

場所 変更

2.3項 「SLES 11 SP1の新機能」 このセクションは新たに追加されました。

B.23 2010年2月23日次の項が更新されています。変更内容は次のとおりです。

B.23.1項 「ルートパーティション用のソフトウェアRAIDの設定」

B.23.2項 「マルチパスI/Oの管理」

B.23.1 ルートパーティション用のソフトウェアRAIDの設定

場所 変更

9.1項 「ルートパーティション用のソフ

トウェアRAID1デバイスを使用するた

めの前提条件」

RAID 0の定義のエラーを修正しました。

340 ソフトウェアRAIDの設定 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.23.2 マルチパスI/Oの管理

場所 変更

7.14項 「新規デバイスのスキャン(再

起動なし)」

再起動せずにデバイスをスキャンできる rescan-scsi-

bus.shスクリプトの使用に関する情報を追加しました。

7.15項 「パーティショニングされた新

規デバイスのスキャン(再起動なし)」

再起動せずにデバイスをスキャンできる rescan-scsi-

bus.shスクリプトの使用に関する情報を追加しました。

B.24 2009年12月1日次の項が更新されています。変更内容は次のとおりです。

B.24.1項 「デバイスのマルチパスI/Oの管理」

B.24.2項 「ファイルシステムのサイズ変更」

B.24.3項 「新機能」

B.24.1 デバイスのマルチパスI/Oの管理

場所 変更

7.2.4項 「マルチパスデバイスでの

LVM2の使用」

7.13項 「既存ソフトウェアRAID用マル

チパスI/Oの設定」

-f mpathオプションが-f multipathに変更されました。

mkinitrd -f multipath

7.11.2.1項 「優先度グループ

と属性の理解」のprio_callout

(prio_callout)

マルチパスのprio_calloutsプログラムは、 /lib/

libmultipath/lib*内の共有ライブラリ内にあります。

共有ライブラリを使用することで、デーモンの起動時、コー

ルアウトプログラムがメモリにロードされます。

341 マルチパスI/Oの管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.24.2 ファイルシステムのサイズ変更

場所 変更

5.1.1項 「サイズ変更をサポートしてい

るファイルシステム」

resize2fsユーティリティが、ext3ファイルシステムのオン

ライン、またはオフラインのサイズ変更をサポートするよう

になりました。

B.24.3 新機能

場所 変更

2.4.11項 「マルチパスツールコールア

ウトの場所の変更」

このセクションは新たに追加されました。

2.4.12項 「mkinitrd -fオプションの

mpathからmultipathへの変更」

このセクションは新たに追加されました。

B.25 2009年10月20日次の項が更新されています。変更内容は次のとおりです。

B.25.1項 「LVMの設定」

B.25.2項 「デバイスのマルチパスI/Oの管理」

B.25.3項 「新機能」

B.25.1 LVMの設定

場所 変更

4.1項 「論理ボリュームマネージャ

(LVM)の理解」

YaSTコントロールセンターで、[システム] [パーティ

ショナ]の順に選択します。

342 ファイルシステムのサイズ変更 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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場所 変更

B.25.2 デバイスのマルチパスI/Oの管理

場所 変更

7.8項 「非マルチパスデバイスのブ

ラックリスト化」

キーワードdevnode_blacklistは廃止され、キーワード

blacklistに代わりました。

7.7項 「ポーリング、待ち行列、および

フェールバック用のデフォルトポリシー

の設定」

getuid_calloutがgetuidに変更されました。

7.11.2.1項 「優先度グループと属性

の理解」

getuid_calloutがgetuidに変更されました。

7.11.2.1項 「優先度グループと属性

の理解」

least-pending、length-load-balancing、および

service-timeの各オプションのパスセレクタに関する説

明を追加しました。

B.25.3 新機能

場所 変更

2.4.10項 「マルチパスのための高度

な入出力負荷バランスオプション」

このセクションは新たに追加されました。

B.26 2009年8月3日次の節が更新されました。この変更については次に説明しています。

343 デバイスのマルチパスI/Oの管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

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B.26.1項 「マルチパスI/Oの管理」

B.26.1 マルチパスI/Oの管理

場所 変更

7.2.7項 「マルチパスデバイスでの--

noflushの使用」

このセクションは新たに追加されました。

B.27 2009年6月22日次の項が更新されています。変更内容は次のとおりです。

B.27.1項 「マルチパスI/Oの管理」

B.27.2項 「mdadmによるソフトウェアRAID 6および10の管理」

B.27.3項 「IPネットワークの大容量記憶域 - iSCSI 」

B.27.1 マルチパスI/Oの管理

場所 変更

7.12項 「ルートデバイスのマルチパス

I/Oの設定」

System Zにステップ 4およびステップ 6を追加しました。

7.15項 「パーティショニングされた新

規デバイスのスキャン(再起動なし)」

ステップ2のコマンドラインの構文を修正しました。

7.15項 「パーティショニングされた新

規デバイスのスキャン(再起動なし)」

ステップ 7ではステップ7とステップ8を変更しました。

344 マルチパスI/Oの管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

Page 360: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

B.27.2 mdadmによるソフトウェアRAID 6および10の管理

場所 変更

10.4項 「ディグレードアレイの作成」 毎秒更新されている間に再構築の進捗を確認するには、

次のように入力します。

watch -n 1 cat /proc/mdstat

B.27.3 IPネットワークの大容量記憶域 - iSCSI

場所 変更

14.3.1項 「YaSTを使ったiSCSIイニシ

エータの設定」

わかりやすくするため、内容を整理しました。

iSCSIターゲットデバイスの起動オプションの設定の使用

法に関する情報を追加しました。

自動: このオプションは、iSCSIサービス自体の起

動時に接続するiSCSIターゲットに使用されます。こ

れが通常の設定です。

Onboot(起動時): このオプションは、起動時、つ

まりルート( / )がiSCSI上にある場合に接続する

iSCSIターゲットに使用します。したがって、iSCSI

ターゲットデバイスはサーバの起動時にinitrdに

よって評価されます。

B.28 2009年5月21日次の節が更新されました。変更内容は次のとおりです。

345 mdadmによるソフトウェアRAID 6および10の管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4

Page 361: ストレージ管理ガイド - SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4...2.4 SLES 11の新機能 31 EVMS2の廃止予定 32 • デフォルトファイルシステムとしての Ext3

B.28.1項 「マルチパスI/Oの管理」

B.28.1 マルチパスI/Oの管理

場所 変更

7.2.11.1項 「マルチパス処理用に自

動検出されるストレージアレイ」

IBM zSeriesデバイスをマルチパス処理でテス

トした結果、dev_loss_tmoパラメータを90秒

に、fast_io_fail_tmoパラメータを5秒に設定する必要が

あることわかりました。zSeriesデバイスをご使用の場合

は、手動で /etc/multipath.confファイルの作成と設

定を行い、値を指定する必要があります。詳細について

は、7.10項 「zSeriesデバイスのデフォルト設定の設定」を

参照してください。

7.3.1項 「デバイスマッパーマルチパス

モジュール」

マルチパス処理は、SUSE Linux Enterprise Server

11以降の /bootデバイスに対してサポートされていま

す。

7.10項 「zSeriesデバイスのデフォルト

設定の設定」

このセクションは新たに追加されました。

7.12項 「ルートデバイスのマルチパス

I/Oの設定」

SUSE Linux Enterprise Server 11では、 /bootおよ

び /root用のDM-MPがサポート、および提供されるよう

になりました。

346 マルチパスI/Oの管理 SUSE Linux Enterp… 11 SP4