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12

エコノミーの取組みの現状と課題 本県におけるシェアリング要約 インターネットなどを介して個人が所有す...

Feb 14, 2021

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  • 目   

    はじめに

    1.シェアリングエコノミーとは何か

    ⑴ 

    シェアリングエコノミーの定義

    ⑵ 

    シェアリングエコノミーの分類と市場規模

    ⑶ 

    シェアリングエコノミーが普及する背景

    2.政府などの取組み

    ⑴ 

    シェア・ニッポン100

    ⑵ 

    シェアリングシティ

    ⑶ 

    シェアリングシティ推進協議会

    3.本県における取組み

    ⑴ 

    遠恋複業課(岩手県)

    ⑵ 

    副業人材受け入れプロジェクト・

    八幡平市まちの人事部(八幡平市)

    ⑶ 

    いしわり(特定非営利活動法人wウィ

    ズiz)

    ⑷ 

    一いち

    ばBA((一社)世界遺産平泉・一関DMO)

    4.

    シェアリングエコノミーの課題

    おわりに

    本県におけるシェアリング

    エコノミーの取組みの現状と課題

    左上:「八幡平市まちの人事部」ホームページ 右上:「遠恋複業課」ホームページ

    左下:「いしわり」ホームページ 右下:「一い ち ば

    BA」外観    (提供:一般社団法人世界遺産平泉・一関DMO)

    岩手経済研究 2020年9月号 4

    特別調査 特 別 調 査

  • 要約

    ● インターネットなどを介して個人が所有す

    る資産(モノ、空間等)を別の個人が共有す

    ることにより、シェアリングエコノミー(共

    有経済)と呼ばれる新しい経済の仕組みが世

    界的に急速な広がりを見せている。

    ● シェアリングエコノミーの対象として、空

    間、移動、モノ、スキル、お金の5つの分野

    があり、市場規模は今後も拡大することが見

    込まれている。

    ● その背景には、インターネットやスマート

    フォンが普及したことから瞬時に画面越しの

    人とつながり、相手の状況や所有する資産の

    状況を把握できるようになったこと、若い世

    代を中心として「所有」から「利用」へ価値

    観が変化していることなどがある。

    ● 政府などの取組みとして、内閣官房シェア

    リングエコノミー促進室の「シェア・ニッポ

    ン100」のほか、(一社)シェアリングエ

    コノミー協会の「シェアリングシティ推進協

    議会」の活動が挙げられ、同協議会では30年

    までに全自治体がシェアリングエコノミーを

    活用することを目標としている。

    ● 岩手県は、「遠恋複業課」の取組みを通して、

    首都圏の人材と本県の企業や地域コミュニ

    ティ等とのマッチングを促進している。

    ● 八幡平市は、「副業受け入れプロジェクト」

    と「八幡平市まちの人事部」の取組みにより、

    副業人材のマッチングおよび企業人材確保を

    支援する活動を実施している。

    ● 特定非営利活動法人wizは岩手県に特化

    したクラウドファンディングサイト「いしわ

    り」を通して、岩手で活動する個人や団体の

    支援を行っている。

    ● (一社)世界遺産平泉・一関DMOは、地

    域の人材をつなげる場として「一BA」のサー

    ビスを提供し、地域活性化に取組んでいる。

    ● シェアリングエコノミーの課題としては、

    認知度の向上のほか、提供者と利用者のトラ

    ブルに対する準備が挙げられる。

    ● 

    本県の自治体や企業、県民一人ひとりが

    シェアリングエコノミーのメリットやデメ

    リット等の特性を理解し活用していくこと

    で、より住みよい社会が実現していくことを

    期待したい。

    はじめに

    総務省が実施した通信利用動向調査によると、

    2019年9月末時点における総人口に占める

    インターネット利用者の割合は89・8%となっ

    たほか、本県でも85・9%となるなど、いずれ

    も9割に迫る結果となった。また、スマートフォ

    ンを保有する世帯の割合は、全国で83・4%、本

    県で74・9%となっており、インターネットや

    スマートフォンの普及によって、実際に対面し

    たことがない個人同士がつながりを持つことや

    画面上で瞬時に取引を行うことが容易になった。

    こうしたなか、民泊サービスのAエア

    ビーアンドビー

    irbnb

    やライドシェアサービスのUberをはじめと

    して、インターネットなどを介して個人が所有

    する資産(モノ、空間等)を別の個人が共有す

    ることにより、シェアリングエコノミー(共有

    経済、以下SE)と呼ばれる新しい経済の仕組

    みが世界的に急速な広がりを見せている。日本

    国内でもSEのサービスが拡大を続けているほ

    か、SEの特徴を活かして経済活性化に取組む

    団体や自治体が増加しつつあり、本県でもこの

    動きがみられるようになった。

    本稿ではSEの特徴などを整理しながら、本県

    における取組みや今後の課題について考察する。

    5 岩手経済研究 2020年9月号

    特 別調 査

  • 図表1 シェアリングエコノミーに関わる主体

    資料:経済産業省ホームページ

    各種サービスを比較的広範にカバーできる内容

    であると考えられることから、本稿においては、

    ISOの定義を用いることとする。

    ④ 

    シェアリングエコノミーに関わる主体

    SEに関わる提供者、利用者、プラットフォー

    ムの3つの主体については次のとおりである

    (図表1)。

    提供者は、モノや空間等の資産を所有してお

    り、それを他者に提供する意思がある個人など

    である。これらの資産には、能力や特技といっ

    たスキルなど無形のものも含まれる。提供者は

    自らの資産を利用者と共有(シェア)すること

    を含む国内での取組みについて発表している。

    また、太平洋地域諸国間の産業標準化に関して

    共通意見を形成する場である太平洋地域標準会

    議(PASC)等の国際的な会議で各国と意見

    交換を行い、国際標準に向けて多国間の連携を

    図ってきた。こうした国内外での取組みの経験

    を踏まえ、政府が主導してISOにおける「シェ

    アリングエコノミーに係る技術委員会」の設立

    を各国に提案し、19年1月のISOにおいて承

    認された。同委員会は設立後3度にわたる会議

    において議論を進めており、その成果として暫

    定的な定義を公表している。

    同委員会ではSEを「プラットフォームがプロ

    バイダとユーザーに製品や資産の交換を可能と

    させる経済モデル」としており、プロバイダ(提

    供者)、ユーザー(利用者)、プラットフォーム

    の三者構成の上に成り立つ経済モデルである点

    について概ね合意が形成されている段階である。

    ※「国際標準化機構(ISO)」は、世界各国の代表的標

    準化機関により構成され、電気・通信分野などを除く

    全産業分野に関する国際規格の作成を行っている。

    ③ 

    本稿における定義

    前述のように、SEの世界共通の確定した定

    義は存在しないものの、「シェアリングエコノ

    ミーに係る技術委員会」の定義が既存のSEの

    1.シェアリングエコノミーとは何か

    ⑴ 

    シェアリングエコノミーの定義

    SEの世界共通の確定した定義は存在してお

    らず、むしろ、世界各国で多様な定義や取引の

    方法が存在しているため、市場規模の計測や国

    を跨いだ取引等の把握が困難であることが指摘

    されている。このような状況のなか、SEの国

    際的な発展にむけて、その定義やルール作りに

    ついての国際的な合意形成が進められている。

    ① 

    政府による定義

    内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室の

    「シェアリングエコノミー検討会議第2次報告書」

    によれば、SEとは「個人等が保有する活用可

    能な資産等(スキルや時間等の無形のものを含

    む。)を、インターネット上のマッチングプラッ

    トフォームを介して他の個人等も利用可能とす

    ることにより、社会経済を活性化する活動」と

    している。

    ② 

    国際標準化機構(ISO)による定義

    政府は、SEに関しての業務を行う事業者が

    遵守すべき事項を規定したモデルガイドライン

    (模範的な指針)を2016年11月に策定し、

    翌年3月には国際標準化機構(ISO※)にお

    けるSEの検討会において、当該ガイドライン

    岩手経済研究 2020年9月号 6

    特別調査

  • 図表2 シェアリングエコノミーの5類型

    シェアの対象 概 要 代表的なサービス例

    空 間 民泊や空き家、駐車場、会議室等のシェアAirbnb、Spacemarket

    移 動 カーシェア、ライドシェア、シェアサイクル等、乗り物のシェア Uber、Anyca

    モ ノ 不要品等のシェアおよび売買 メルカリ、エアークローゼット

    スキル HP作成、介護、育児、家事等のスキルのシェア Asmama、Lancers

    お 金クラウドファンディング(プロジェクト実行に必要な資金を不特定多数の個人等から募集)

    Crowd Realty、Makuake

    資料:総務省「情報通信白書」(2018年)をもとに当研究所作成

    図表3 世界全体の市場規模

    0

    500

    1,000

    1,500

    2,000

    2,500

    3,000

    3,500

    4,000

    3,3503,350

    150150

    25年25年2013年2013年

    (単位:億ドル)(単位:億ドル)

    資料:PwCホームページをもとに当研究所作成

    争解決の仲介も行うなどの体制も整えている。

    なお、提供者と利用者については、例えば企

    業がプラットフォーム上で副業人材を採用する

    場合などのように、法人が該当する場合も想定

    される。また、プラットフォーム事業者が自動

    車を資産として所有して利用者に一時的に貸出

    す場合はプラットフォーム事業者と提供者が同

    一となり、SEに関わる主体が提供者を兼ねる

    プラットフォーム事業者と利用者という二者に

    なる場合も想定できる。

    ⑵ 

    シェアリングエコノミーの分類と市場規模

    SEの対象としては、空間、移動、モノ、ス

    キル、お金の5つの分野が挙げられる(図表2)。

    また、SEの市場規模については、世界規模

    で会計監査やビジネスコンサルティングを手掛

    けるプライスウォーターハウスクーパース(P

    wC)が実施した調査では、SEの世界全体の

    市場規模は2013年に150億ドルであった

    が、25年には約3350億ドルに拡大すると予

    測されている(図表3)。日本については、(一

    社)シェアリングエコノミー協会の調査による

    と、市場規模は2018年度に1兆8874億

    円となり、30年度に5兆7589億円となるな

    ど、今後も市場の拡大が続くとみられている

    で収入を得ることができる。

    また、利用者は、提供者の持つ資産を一時的

    に利用することで自らの目的を達成しようとす

    る個人などである。利用者は、多くの場合イン

    ターネットなどを介して簡単かつ安価に提供者

    の資産をシェアすることができるほか、例えば

    普段では運転できない輸入車を一時的に利用す

    るなど、消費行動における選択肢が増えること

    も利用者にとってはメリットになる。

    プラットフォームは、提供者と利用者をつな

    げるためのウェブサイトやスマートフォンアプ

    リなどのことであり、実際にプラットフォーム

    の提供を行うのは「プラットフォーム事業者」

    である。見知らぬ者同士の取引では互いの情報

    が少ないがゆえに双方が取引に対して消極的に

    なることが予想される。そこでプラットフォー

    ム事業者は取引の安全性の確保を図るため、プ

    ラットフォーム利用にあたり提供者と利用者の

    双方に本人の情報を事前登録させるほか、提供

    者のサービスの質や利用者の利用状況などにつ

    いて相互に評価させ、それをプラットフォーム

    に掲載することで他の提供者や利用者が把握で

    きるようにしている。また、取引において問題

    が発生した場合、提供者と利用者の間での解決

    が難しい場面ではプラットフォーム事業者が紛

    7 岩手経済研究 2020年9月号

    特 別調 査

  • 図表4 日本における市場規模

    0

    10,000

    20,000

    30,000

    40,000

    50,000

    60,000

    70,000

    57,58957,589

    18,87418,87422,90922,909

    36,83336,833

    30年度30年度25年度25年度20年度20年度2018年度2018年度

    (単位:億円)(単位:億円)

    資料: (一社)シェアリングエコノミー協会ホームページをもとに当研究所作成

    るとみられる点である。特に若い世代を中心と

    して、「所有」から「利用」へと価値観が変化し

    ていることが他人の資産を共有することに対し

    ての心理的な障壁を和らげていることにつながっ

    ていると考えられる。

    三点目としては、人手不足の問題がある。例

    えば、共働き世帯やひとり親世帯では家庭内で

    の家事や育児の担い手が不足しがちであり、そ

    のスキルが必要とされている。また、地方にお

    いては首都圏などへの人口流出が進んでいるな

    か、副業を通じて人材の獲得を目指す企業も少

    なくない。

    なお、SEはSDGs(「Sustainable Developm

    ent

    Goals

    (持続可能な開発目標)」)との親和性が

    高いものとなっている。SDGsの目標11は「包

    摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可

    能な都市及び人間居住を実現する」であり、例

    えば、子育てを終えた主婦(夫)が子育てや家

    事のスキルをSEにより居住地域などに還元す

    ることは、多様な人材の活躍につながると考え

    られることから、この目標の趣旨に沿うもので

    ある。また、目標12は「持続可能な生産消費形

    態を確保する」であり、SEは既存資源の有効

    活用によって地球環境に対する負荷の低減が期

    待されることからこの目標と整合的である。

    2.政府などの取組み

    ⑴ 

    シェア・ニッポン100

    内閣官房シェアリングエコノミー促進室は、

    地域課題解決にSEを活用した事例をまとめる

    「シェア・ニッポン100」の取組みを実施し

    てきた。20年度までに100事例を掲載すると

    いう目標を設定していたところ、19年度に10

    1の事例が集まり前倒しで目標を達成している。

    この事例のなかには岩手県のほか、本県の4自

    治体(一関市、釜石市、盛岡市、八幡平市)の

    取組みが含まれており、東北地方では本県の事

    例数が最多となっている(次頁図表5)。

    ⑵ 

    シェアリングシティ

    SEを推進する事業者で構成される(一社)

    シェアリングエコノミー協会は、同法人独自の

    基準でSEを推進している自治体を「シェアリ

    ングシティ」として認定する取組みを行ってき

    た。シェアリングシティとは、地域が抱える問

    題を「公助(公共のサービス)」に加え、「共助

    (個人同士が助け合う)」により補完することで

    解決を図り、持続可能な自治体を実現しようと

    する試みのことを指す。同協会は19年度末まで

    に19自治体をシェアリングシティに認定し、本

    県では釜石市が認定を受けている。

    (図表4)。

    ⑶ 

    シェアリングエコノミーが普及する背景

    SEが拡大している要因としては、次の三点

    が挙げられる。

    一点目は、インターネットやスマートフォン

    が普及したことによるものである。瞬時に画面

    越しの人とつながり、相手の状況や所有する資

    産の状況を把握できるようになったことなどか

    ら、手軽に取引ができるようになった。

    二点目は、高齢化が進展し老後生活に対する

    不安などから節約志向が強くなるなかで、新品

    を購入して所有することの重要性が低下してい

    岩手経済研究 2020年9月号 8

    特別調査

  • 図表5 シェア・ニッポン100における東北地方の事例県 名 自治体等 取組みの概要

    岩手県

    岩手県 「複業」を通じ社会貢献を考えている首都圏の人材と、人材を求めている県内企業や地域コミュニティ等とのマッチングを促進し、関係人口の創出、拡大を図る。

    盛岡市 ひとり親世帯の「所得の向上」、「親子のふれあいの時間の確保」を目指し、テレワークに必要な知識や技術の習得を目的とした研修や業務受注の支援を実施。

    一関市・平泉町 地域に住む人の「能力のシェア」を目的として、人とアイディアが集う場所「一BA(いちば)」を開設。「地域のフロント」として観光資源をフックとした地域経営力・収益力強化を民間主体で実施。

    釜石市民泊プラットフォームと体験型観光マッチングサイトとの連携による、ラグビーワールドカップ2019™の開催を見据えた観光地域づくり。

    大規模イベント時における一時的な宿泊需要の増加に対するイベント民泊の活用。

    八幡平市 都市部のハイスキル人材を八幡平市の中小企業へ副業社員としてマッチングし、地域産業の活性化、関係人口の増加に繋げる。

    宮城県

    石巻市 地域コミュニティで楽しく住民が主体的に運営する寄付車のカーシェアにより、地域色のある外出支援活動を市内10地域で展開。

    気仙沼市 市の公用車にカーシェアリングの仕組みを導入することで観光客等も車両の使用を可能とし、地域の二次交通の多様化を図る実証事業を実施。

    宮城インバウンドDMO 南宮城におけるスポーツイベント時の一時的な宿泊施設不足を解消とインバウンド(訪日外国人)旅行者との交流を促進し、地域経済の活性化を目的にイベント民泊を実施。

    福島県

    喜多方市 駐車場シェアリングサービスと連携し、「日中線のしだれ桜」花見シーズンの渋滞緩和・駐車場不足解消に取り組む他、遊休地の収益化にも成功。地域資源の新たな活用方法を見出す。

    南相馬市 ストックフォト(オンライン上で画像や動画などを売買するサービス)のマーケットプレイスを運営する、PIXTA・Snapmartによる写真撮影と写真販売の講座を実施し、所得を得られる人口を増やす。

    伊達市 「共助社会構築推進事業」の一環として、送迎マッチングサービスの導入により、住民同士の助け合いによる送迎を効率化し、地域住民の移動手段の確保に向けた取組み。

    秋田県 湯沢市

    子育て&家事のシェアサービスと提携することにより、家事負担の軽減を図り、育児を応援し、働く女性の活躍推進することで、子育て世代が暮らしやすい街を目指す。

    スペースシェアサービスを通じた遊休公共施設の有効活用、およびマイナンバーカードの公的個人認証の活用による施設管理コストの削減等に関する取組み。

    イベントなどの際に遊休スペースを臨時の有料駐車場として活用するとともに、店舗の空き時間を活用してテストマーケティングを実証。

    青森県 弘前市 遊休資産と雪かたづけのニーズをマッチングし、地域共助の活性化により間口除雪の課題解決を図る。

    資料:内閣官房ホームページをもとに当研究所作成

    ⑶ 

    シェアリングシティ推進協議会

    (一社)シェアリングエコノミー協会は、20

    年7月に「シェアリングシティ推進協議会」を

    設立した。この協議会は、SEの推進による地

    域活性化に取り組んできた前記2つの取組みを

    引継ぎ、さらに発展的に活動を進めていくなか

    で生まれたものである。

    「シェアリングシティ推進協議会」では、「シェ

    ア・ニッポン100」で創出した101事例と

    同協会が「シェアリングシティ」で認定した19

    自治体の取組みをベースとして、SEを社会的

    な基盤として整備していくことを目指している。

    同協議会は、全国を12エリアに分けて23年ま

    でに各エリアにリーダーとなる自治体を配置

    し、最終的には30年までに全ての自治体がSE

    を活用することを目標として掲げている。

    3.本県における取組み

    本章では、本県の自治体、団体の事例を紹介

    する。

    ⑴ 

    遠えん恋れん複業課(岩手県)

    ① 「複業」を通じてパートナー関係を構築

    県では、「複業」を通じ社会貢献を考えてい

    る首都圏などの人材と人材を求めている本県

    の企業や地域コミュニティなどをマッチング

    9 岩手経済研究 2020年9月号

    特 別調 査

  • コミュニティに関わっていくというものであり、

    双方にメリットのある持続可能な関係の構築を

    目指している。

    「遠恋複業課」の名称における「遠恋」とは、

    首都圏の人材と本県の企業や地域コミュニティ

    の関係を離れた場所で遠距離恋愛をする恋人の

    関係に例えたものである。また、「副業」では

    なく「複業」としたのは、本業と副業という主

    従の関係ではなく、マッチングによって関わっ

    民や本県の企業が一方的に恩恵を受ける関係で

    はなく、一歩踏み込んだパートナーの関係の構

    築に注力している。具体的には、首都圏に生活

    の基盤を置きながら自身が持つ「スキル」を生

    かして岩手県への貢献を考えている人材に対し

    てSNSなどを通じてセミナーなどのイベント

    を告知し、そういった人材がイベントへの参加

    を通して各地域の課題を把握したうえで、最終

    的には実際に「複業」の形で本県の企業や地域

    することにより、継続的な関係人口(※)の創

    出・拡大を図る「遠恋複業課」の取組みを行っ

    ている。

    本県においては、東日本大震災発生以降、全

    国の復興支援者やボランティアと築いた交流関

    係の継続・発展のほか、人口減少が進むなかで

    地域の活性化、コミュニティの維持を担う人材

    の育成も課題となっている。

    これらの課題に対して「遠恋複業課」は、県

    首都圏における人材募集イベントの様子(提供:岩手県)

    宮古市でのフィールドワークの様子(同上)

    花巻市でのフィールドワークの様子(同上)

    岩手経済研究 2020年9月号 10

    特別調査

  • ジェクト」を2017年からスタートしている。

    本事業はSEの5つの類型における「スキル」

    のシェアであり、副業人材を受入れるためのプ

    ラットフォームとして、㈱gグ

    roovesが提

    供するウェブサービス「Sス

    kill Sシフ

    hift」

    (※)を採用した。

    同市においては、一般的な移住相談のほか、

    フリーランスを対象とした定住人口増加のため

    の事業を実施してきたが、働き方改革の影響に

    より大手企業が副業を解禁したことなどから、

    首都圏にいながら自らのスキルを活かしたいと

    考える人材が関係人口になり得ることに着目

    し、八幡平市の企業がそういった人材に対して

    アプローチする取組みを始めたものである。

    ※現在は㈱スキルシフトが運営している。

    b.プロジェクトの内容

    本プロジェクトの開始にあたって同市が初め

    に取組んだのは、副業人材の活用について学ぶ

    勉強会の開催である。市内の金融機関などとの

    連携により、市内の企業に勉強会への参加を呼

    び掛けた。勉強会には15社21名が参加したほか、

    勉強会参加企業のうち6社がスキルシフトへの

    副業人材採用ページの掲載を決め、約半年の掲

    載期間における応募は72名に上った。また、最

    終的には2社(いずれも宿泊業)において副業

    イルス感染症の対策を講じながら、今後も取組

    みを継続していく予定である。

    ⑵ 

    副業受け入れプロジェクト・

    八幡平市まちの人事部(八幡平市)

    ① 

    副業受け入れプロジェクト

    a.ウェブサービスを利用した副業受け入れ

    八幡平市は、首都圏の人材と人材を求める同

    市の企業をマッチングし、継続的な関係人口を

    創出することを目的として「副業受け入れプロ

    た仕事を本業と同じ次元で捉えていくという想

    いを参加者に感じ取ってもらうためである。

    ※「関係人口」とは、地域や地域の人々と多様に関わる人々

    のことを指す。なお、「定住人口」はその地域に住んで

    いる人々、「交流人口」は観光のほか通勤・通学などで

    その地域を訪れる人々のことである。

    ② 

    取組みの内容

    取組みの具体的な内容は、首都圏で地域の課

    題についての学習会を開催したうえで、岩手で

    のフィールドワークを行い、本県の企業とのマッ

    チングを希望する参加者に課題解決のプレゼン

    を実施させている。19年度における「遠恋複業

    課」主催のイベント参加延べ人数は131人と

    なったほか、22件のマッチングが成立した。

    本事業の利用者のうち、年代別で最も多い世

    代は20代の約4割、次いで30代が約3割となっ

    ている。また、登録のきっかけについては、S

    NSやインターネットでの検索がおよそ半数を

    占めている。

    ③ 

    今後の課題

    県は、今後の課題として、市町村や地元の関

    係団体と連携しながら継続的に実施できる仕組

    みの構築を挙げる。また、新型コロナウイルス

    の感染拡大の影響を踏まえて対面でのマッチン

    グをリモートに切り替えて実施するなど、同ウ

    副業受入れにあたっての勉強会の様子(提供:八幡平市)

    11 岩手経済研究 2020年9月号

    特 別調 査

  • て、「八幡平市まちの人事部」のウェブサービ

    スを立ち上げた。このサービスは市内の企業を

    対象としており、比較的安価での掲載が可能で

    あることから、小規模な地元の企業のほか、大

    手の就職活動支援サイトでは広告費用などが嵩

    むために掲載を断念した企業も採用情報の提供

    が可能となり、就職希望者は採用情報を手軽に

    入手することができる。また、「まちの人事部」

    を通じて同じ年度に採用された人は違う会社に

    入社していても「同期」となり、新人研修やフォ

    ロー研修などを合同で行うことで結束を強化し

    ながら、人材の市外への流出を食い止める考え

    である。

    なお、市内の企業と採用者の間で労働条件や

    職場環境についてのミスマッチが生じた場合、

    「まちの人事部」が市内でキャリアや能力を活

    かせる別の「事業部」への「人事異動」を支援

    する。これにより、従来であれば市外の企業へ

    転職する可能性が高かった人材が市内の企業に

    おいて新たなキャリアを形成するきっかけを作

    ることが可能になる。

    現在は主に新卒や第二新卒(大学などを卒業

    した後に一旦就職して3年以内で転職を志す人)

    向けのサービスとなっているが、同市は今後、

    中途採用や副業人材の受入れについてもサービ

    スを拡充させていくとのことである。

    ⑶ 

    いしわり(特定非営利活動法人wiz)

    ① 

    不特定多数の個人などから資金を調達

    「いしわり」は特定非営利活動法人wizが

    運営するクラウドファンディングサイトである。

    同法人は「若者によって、岩手・地元が将来的

    な選択肢になる環境を提供する」をミッション

    に、2014年4月に設立された。「いしわり」

    は地域おこし協力隊の採用・活動支援、実践型

    インターンシップと並んで同法人が取組んでい

    る事業であり、本県での取組みに特化したクラ

    ウドファンディングサイトとして15年4月から

    サービスを提供している。クラウドファンディ

    ングとは、プラットフォームとなるウェブサイ

    トに事業者が実現したいプロジェクトを紹介す

    るページを掲載し、不特定多数の個人などから

    資金を調達する仕組みであり、SEにおける

    「お金」のシェアに該当する。また、その形態

    には寄付型、購入型、投資型等の類型があり、

    「いしわり」は購入型のクラウドファンディン

    グに該当する(次頁図表6)。

    ② 「いしわり」の仕組み

    同法人は、プロジェクトの立案、プロジェク

    トページの作成、協力者の募集、プロジェクト

    実行後のフォローまで一貫して行う。前提とし

    人材の採用が決定した。

    ② 

    八幡平市まちの人事部

    同市は20年7月、「八幡平市まちの人事部」

    の取組みをスタートさせた。この取組みは、市

    内企業全体で「人事部」をシェアすることで人

    事に関わる問題を解消するとともに、都市部の

    高度人材の活用によって市内企業の経営課題の

    解決を図るものである。

    同市では、新卒として市内の企業に採用され

    た人材が、就職後に短期間で労働条件や職場環

    境などでの企業とのミスマッチから市外の企業

    に就職するなど、若者の人口流出が課題とされ

    てきた。その原因として同市では、中小企業で

    は専任の担当を配置して戦略的に人事を行う余

    力が不足していることに加え、企業の十分かつ

    効果的な情報の提供が行われていないこと、ま

    た、一企業での採用人数は小規模にならざるを

    得ないケースがあり、相談し合える同期入社の

    人材が少ないことなどを挙げている。そこで、

    市内の産業界全体をひとつの大きな「会社」、

    個々の企業を「事業部」として見立て、これら

    の事業部への配属を統括する「まちの人事部」

    を設置することで、課題の解決を目指したもの

    である。

    同市では、20年7月にプラットフォームとし

    岩手経済研究 2020年9月号 12

    特別調査

  • 図表6 クラウドファンディングの類型

    類型 主な対象 見返り ウェブサイト例

    寄付型 慈善活動等 ない場合が多い Ready for Charity

    購入型 事業やイベント等 モノ、体験、サービス等 いしわり、Campfire

    投資型 事業やイベント等 配当等の金銭 CrowdRealty

    資料:内閣府ホームページをもとに当研究所作成

    ることなどから実行者の評価を得ており、15年

    のサービス開始から順調にクラウドファンディ

    ングの実績を伸ばし続けている。20年6月時点

    で68事業者のうち56事業者がチャレンジに成功

    して資金調達額は延べ約6700万円となって

    おり、その達成率は82・4%と高い水準を保っ

    ている。また、メールマガジンの登録者数が約

    3200人となったこと、協力者のうち約3割

    がリピーターであることも「いしわり」の強み

    になっている。

    ④ 「岩手な人」への情報発信を強化

    今後の課題については、「県外にいる岩手に

    関わりたい人(同法人は「岩手な人」と呼ぶ)」

    と「岩手で活動する人(個人・団体)」のつな

    がりをより強固なものにしていき、資金獲得を

    サポートすることだという。この考えはサイト

    オープン以来大切にしており、今後もより多く

    のプロジェクトのサポートを通じて「岩手な

    人」に対する情報発信を強化していきたいとし

    ている。

    ⑷ 一いちばBA((一社)世界遺産平泉・一関DMO)

    一BAは(一社)世界遺産平泉・一関DMO

    が運営する地域活性化拠点である。

    同法人は、「将来世代へ平泉・一関地域をよ

    り良い姿にして残していく」ことを目的として

    チャレンジ(クラウドファンディングによる資金

    調達)が成立し、実行者に対して最終的な協力

    金額の80%が支払われる。残り20%は、決済手

    数料や運営費用に充てられる(※)。実行者は、

    協力金をもとにプロジェクトを実行に移したの

    ち、協力者へのプロジェクトの進捗報告やリ

    ターンの送付を通して情報発信を行う。

    ※なお、募集期間終了時点で協力金額の合計が目標金額

    に達しなかった場合には、プロジェクトの支援金につ

    いての決済は行われず、支援者に返金される「A

    ll or nothing

    方式」を採用している。

    ③ 「いしわり」の特徴

    「いしわり」の最大の特徴は、実行者へのサ

    ポートにある。具体的には、プロジェクトに対

    する実行者の想いなどを伝わりやすくするため

    に、同法人と連携するライターやカメラマンな

    どの助力を受けつつ、サイト閲覧者に訴える構

    成やデザインをプロジェクトページに反映する

    サポートを行う。また、SNSだけではなく、

    プロジェクトページの立ち上げ時にはプレスリ

    リースも実施している。さらに、プロジェクト

    終了後には協力者への報告などについてのアド

    バイスも実施するなど、サポート内容は多岐に

    わたる。

    同法人は前述のようにサポートが充実してい

    て、プロジェクトの実行者は本県在住者や個

    人に限らず、「岩手をもっとよくしたい」とい

    う思いがあることがポイントとなる。また、プ

    ロジェクトについても、本県を活性化する内容

    であることを同法人が確認できることが求めら

    れる。

    プロジェクト実行に至るまでの流れは次のと

    おりとなっている。リターン(協力したことへ

    の対価となるモ

    ノや体験、サー

    ビス)や目標金

    額などをまとめ

    たプロジェクト

    内容を「いしわ

    り」内の個別プ

    ロジェクトペー

    ジに掲載し、最

    大60日間協力者

    を募集する。募

    集期間内に協力

    者からのリター

    ンの購入総額

    が、プロジェク

    トの目標金額に

    達した場合に

    13 岩手経済研究 2020年9月号

    特 別調 査

  • フェイスブックにおけるフォロワーは1336

    人となるなど、一BAを通じたネットワーク

    は拡大しており、デザインに関する委託案件

    が5件発生しているとのことである。直近で

    は、20年6月、地元の酒造会社「磐乃井酒造」

    とのコラボレーション商品として発売される

    純米吟醸「集

    ─岩手のつどい─」の応援プロ

    ジェクトをクラウドファンディングサイトの

    Mマク

    akuakeに立ち上げた(応援購入期間

    は20年8月末で終了)。この取組みは一BAが

    きっかけでつながりができた複数の企業により

    進められている。さらに、新たな取組みとし

    て、一BAを通してつながりができた地元農家

    や企業と連携して、プライベートブランドの米

    や餅といった商品のプロデュースも検討してい

    るという。

    が期待できるほか、利用者同士での交流を通

    して新たなビジネスチャンスが生まれる可能

    性もある。一BAが運営するレンタルスペー

    スの利用料は、3時間まで500円、1日で

    1000円(いずれも税別)となっており、

    電源やインターネットなども利用できる。ま

    た、新型コロナウイルスの感染防止の観点か

    らレンタルスペースの席数を少なくするなど、

    感染症予防に努めているとのことである。一

    BAはJR一ノ関駅西口から歩いてすぐの立

    地で、もともと薬局が入っていた空き店舗を

    改装して賃借しており、遊休資産である空き

    店舗を有効活用している点で一BAはSEに

    おける「空間」のシェアに該当する。さらに、

    同法人は一BAを「人とアイディアが集う場

    所」と位置づけている。一BAに集う人たち

    が「空間」だけではなく「スキル」

    もシェアすることで一人では実

    現困難なアイディアを地域全体

    で形にしていく場として一BA

    の利用を呼び掛けている。

    同法人では、フェイスブックや

    ツイッター等のSNSを用いて、

    イベントの宣伝や事業の紹介を実

    施している。20年8月24日現在

    地元の老舗企業や首都圏の出版社等8社が参画

    して2018年4月に発足した。

    同法人は観光と地域活性化を事業の主軸と

    しており、一BAでは、観光案内と物産販売

    の業務のほか、レンタルスペースの運営も行っ

    ている。レンタルスペースは特定の事業所を

    持たない個人事業主や起業家等が集うオフィ

    スのことで、家賃や電気代など、経費の削減

    月次でイベントを開催し、人材交流を図る(提供:(一社)世界遺産平泉・一関DMO)

    一BAで生まれたコラボレーション商品「集 ─岩手のつどい─」(同上)

    岩手経済研究 2020年9月号 14

    特別調査

  • どが想定される。

    また、世界中で新型コロナウイルスが猛威を

    振るっており、政府はウェブ会議システムを用

    いたテレワークやオンライン帰省などを推奨し

    てきている。このような状況のなか、SEの認

    知度向上に向けて、プラットフォーム事業者が

    オンライン上で利用者に対してSEの利用方法

    について周知を図っていくことのほか、提供者

    に対しては、サービスの提供の方法やSE導入

    に関しての注意点などのノウハウを提供してい

    くことも考えられる。プラットフォーム事業者

    などにとっては、利用者および提供者の増加が

    見込めるばかりでなく、ライブ配信などオンラ

    インに係るノウハウを蓄積することで提供で

    きるサービスの多様化につながることが期待さ

    れる。

    ② 

    トラブルに対する準備

    提供者と利用者の間でのトラブルに対する備

    えも課題である。提供者と利用者の間の取引で

    トラブルが発生した場合、基本的には当事者間

    で解決することが前提とされている。従って、

    提供者と利用者のいずれもSEの利用によって

    起こりうるトラブルを事前に確認するなどの工

    夫が必要となるほか、取引の種類によっては犯

    罪や詐欺等のトラブルに巻き込まれる可能性が

    同法人は、地元における一BAの認知度の向

    上を今後の課題として挙げている。イベントの

    周知やプロジェクトの紹介等についてSNSで

    の情報発信や関連施設へのチラシの配布は行っ

    ているが、それだけでは集客に限界があり、地

    域の多様な人材に情報を拡散するため、今後は

    地域に根差した発信方法を模索するとのことで

    ある。4.

    シェアリングエコノミーの課題

    本稿で取上げた事例を踏まえて、SEの普及

    に向けた課題について整理したい。

    ① 

    シェアリングエコノミーの認知度の向上

    前述の「シェア・ニッポン100」の取組み

    のなかで多くの自治体が「SE自体の認知度が

    低く、住民の理解が進まない」ことを課題とし

    ており、本稿で取上げた事例においても同様の

    課題が挙げられた。今後のSEの更なる推進の

    ためには継続的に認知度向上の取組みを行って

    SEの理解を深めていくことが必要であり、具

    体的な方法としては地域の企業やスキルなどを

    持った個人を対象に勉強会やセミナーといった

    形でSEの利用方法についての理解を進めるほ

    か、実際にSEのサービスを利用してもらうこ

    とでSEの特徴や取引の過程を体験することな

    あることからプラットフォームおよび取引する

    相手の選定には十分に注意を払う必要がある。

    また、プラットフォーム事業者もトラブルを未

    然に防止する仕組み作りが今後さらに重要に

    なってくると考えられる。

    おわりに

    現在のSEの利用者の傾向としては、年齢層

    が比較的低い点が挙げられるが、今後はSEの

    拡大が見込まれるなかでスマートフォンの普及

    と相まって幅広い年齢層でSEの仕組みが利用

    されていくことが予想される。

    また、自治体においては、シェアリングシティ

    の導入がさらに加速するとみられるほか、企業

    においてもSEの考え方を理解して実践するこ

    とが持続可能な社会の構築に貢献できるという

    視点が必要であり、企業価値の向上に資するS

    Eについての知見を蓄積しておくことが重要に

    なってくると考えられる。

    本県の自治体や企業をはじめとして、県民一

    人ひとりがSEのメリットやデメリットなどの

    特性を理解したうえでSEを活用していくこと

    によって、より住みよい社会が実現していくこ

    とを期待したい。

    (研究員 

    高橋 

    宏輔)

    15 岩手経済研究 2020年9月号

    特 別調 査