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クラウドの能力を お客様のデータセンターに Microsoft Azure Stack バージョン 1.0 2016 年 1 月 29 日
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Oct 18, 2019

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クラウドの能力を

お客様のデータセンターに

Microsoft Azure Stack

バージョン 1.0

2016 年 1 月 29 日

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目次

クラウドは "場所" ではなく "パラダイム" である ..................................................................... 3

個別の条件に対応するクラウド コンピューティング.................................................................. 4

Microsoft Azure Stack のビジョン ....................................................................................... 5

クラウド サービスの提供によるデータセンターの俊敏性の向上 ................................................... 6

Azure Stack によるクラウド サービスの提供 .......................................................................... 7

開発者と IT 担当者のエクスペリエンス ............................................................................... 7

統合アプリケーション モデル ........................................................................................... 8

拡張可能なサービス フレームワーク ................................................................................... 9

コア サービス ............................................................................................................. 9

基本サービス ............................................................................................................ 10

追加サービス ............................................................................................................ 10

クラウド インフラストラクチャ....................................................................................... 11

継続的なイノベーションの実現 .......................................................................................... 11

データセンター内の Azure での第一歩 ................................................................................ 11

まとめ .......................................................................................................................... 12

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課題 目標 ソリューション

長年、さまざまな企業において、競

合との差別化要素 (サプライ チェー

ン、ディストリビューション モデ

ル、顧客データ、運用、R&D など) の

多くで、IT 投資による最適化が行わ

れてきました。しかし、それらの資

産は企業ファイアウォールの内側に

置かれ、規制の対象となる場合もあ

り、特定目的に専用化されています。

このような資産が多く存在する企業

では、クラウド コンピューティング

による変革の推進について十分に理

解が進んでいません。その間にも、

そうした "資産" を持たない新興企

業が、ビジネスを急速に加速させて

います。

企 業 資 産 全 体 で ク ラ ウ ド コ ン

ピューティング パラダイムの能力

を活用します。また、アプリケーショ

ンの実行場所に関係なく、アプリ

ケーションの最新化によって俊敏性

を高めます。そしてこのすべてを、

クラウド間を "仲介した" ソリュー

ションによる機能不足や停滞のリス

クを生じさせずに、かつ、限られた

リソースをビジネス価値の向上でな

く展開環境のカスタマイズに投資す

る必要のない方法で達成します。

このようなエンタープライズ クラ

スの価値は、主要パブリック クラウ

ド プロバイダーとの真の一貫性を

備えたハイブリッド クラウド プ

ラットフォームによって実現されま

す。そうしたソリューションから継

続的に提供されるイノベーションを

利用することで、開発者や IT 担当

者は、場所にとらわれずビジネス

ニーズにすばやく対応できるように

なります。

Microsoft Azure Stack なら、それ

が可能です。

クラウドは "場所" ではなく "パラダイム" である

全社規模で IT 投資を考えたとき、経時的にそれらの投資がビジネス基盤そのものに密接に組み込まれる

ようになったことがわかるでしょう。固定資産からサプライ チェーン、ディストリビューション ネット

ワーク、人材やプロセスに至るまで、社内のほぼすべての資産が IT 投資と共に有機的に成長してきたは

ずです。その有機的な成長パターンがエンタープライズにきわめて大きな価値をもたらしてきました。そ

して、それがうまく機能している企業では、競争上の戦略的優位性を得ています。しかし、こうした重要

な資産のほとんどが、パフォーマンス、カスタマイズ、コンプライアンスを最適に管理できると企業が考

える企業ファイアウォールの内側に置かれています。

クラウドがもたらす破壊的変化に対する理解がサーバー ルームから重役会議室にまで広がる中、企業も科

学技術者も、クラウド生まれの新たなイノベーションを既存投資の最新化に利用することで、自社に戦略

的優位性を継続的にもたらす方法を模索しています。マイクロソフトは、適切な最新化戦略の策定にはま

ず、モダン アプリケーション プラットフォームが必要だと考えています。昨今、モダン アプリケーショ

ン プラットフォームは、ハイパースケール クラウドから生み出されています。イノベーションにおいて

それらのベンダーが先導的役割を果たしていることから、ほとんどの組織が自社のアプリケーション ポー

トフォリオの最新化を判断する際にパブリック クラウドを検討するようになっています。

その戦略的意義を考えると、アプリケーション レベルでアプリケーションをとらえるのではなく、組織レ

ベルでアプリケーションの最新化をとらえる必要があります。しかし、既存の投資、資産、およびビジネ

ス環境についてはどうでしょうか。その場限りのクラウド ソリューションでもモダン アプリケーション

は手に入るかもしれませんが、全社規模でアプリケーションの最新化を行うには、ハイパースケール クラ

ウド プロバイダーによって構築されたプラットフォームと同様の、継続的に進化する一貫したプラット

フォームが必要です。そして、パブリック クラウドに移行できていない既存のビジネス資産が、クラウド

コンピューティング時代がもたらす俊敏性とイノベーションを得られないリスクを抱えているという、根

本的な問題が生じています。

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マイクロソフトは、これはしかるべき状態ではなく、エンタープライズにおける次世代のアプリケーショ

ンの最新化は、当社のデータセンターだけでなく、エンタープライズやサービス プロバイダーのデータセ

ンターでも Microsoft Azure の価値を利用することで実現されると考えています。このようにして、既存

の投資で真のハイブリッド クラウド プラットフォームの能力を利用できることがわかれば、ハイパース

ケール クラウドが提供できる最高の価値を逃すことなく、既存のビジネス環境に合った方法で自社のポー

トフォリオを最新化できるようになります。

個別の条件に対応するクラウド コンピューティング

パブリック クラウドの相互に異なる特性や個々のプライベート クラウドとは異なる特性によって、ほと

んどの組織ではクラウド パラダイムへの完全な移行が不可能でした。結局のところ、環境間の相違が、ク

ラウド コンピューティングの基礎となるイノベーションと俊敏性の実現を妨げています。お客様と連携し

て取り組む中で、マイクロソフトは次の 3 つの主要領域に気付き、一貫性のあるハイブリッド クラウド プ

ラットフォームの必要性を認識するようになりました。

組織には重要なビジネス上および技術上の考慮事項があり、総合的なクラウド

戦略の策定時にそのすべてを盛り込む必要があります。規制対象の業界であれ

ば、パブリック クラウド サービスの採用が制限されます。データ主権の要件

によって、国境を越えて情報を移動できないこともあります。遠隔地のお客様

にサービスを提供する場合には、地域間の待機時間が問題になることも考えら

れます。また単純に、グローバルなパブリック クラウド プロバイダーがニッ

チだと考えるカスタム要件であっても、特定の組織にとっては不可欠な場合も

あるでしょう。

適切なビジネス上の意思決定と柔軟性をもたらす、新たなアプリケーション パター

ンが求められています。すべてのクラウドで動作するハイブリッド アプリケーショ

ン パターンでは、プライベート クラウドとパブリック クラウドの両方の特性を必

要に応じて利用できます。このプラットフォームに合わせてアプリケーションを設

計することで、クラウド間のモビリティがビジネス ルールに基づいてランタイム時

に判断されるようになります。この方法では、パブリック クラウドとプライベート

クラウドのどちらの環境でも実行できるよう当初から設計しておくことで、開発作

業が一度だけで済みます。同様に、アプリケーションを開発/テスト環境から運用環

境に移行する際も、(インフラストラクチャへの宣言型アプローチまでずっと) コー

ドが同じなので、機能も変わりません。

次世代のアプリケーションの最新化は、ハイパースケール クラウド プロバイダーに

しか開発できない驚くべきイノベーションからもたらされます。もちろん、仮想化だ

けでは不十分です。サービスとしてのインフラストラクチャは、クラウドによる変革

の最終目標ではなく、始まりにすぎません。しかし、パブリック クラウド戦略にし

か興味のないベンダーは、上記のような顧客の課題をすべて満たすことはできませ

ん。同様に、高度にカスタマイズされたオンプレミス ソリューションをその場限り

で展開しても、テクノロジの断片化と異種混合につながるため、エコシステムの発展

や、クラウドの可能性を実現するために必要な人材とプロセスへの投資を阻害するこ

とになります。

不十分な

代替製品

ビジネス上/技術上の

考慮事項

アプリケーションの

柔軟性

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したがって、マイクロソフトは、オンプレミス環境とパブリック環境全体で "クラウド ファースト" の概

念が完全に実現される必要があると考えています。そこで、Microsoft Azure Stack では、データセンター

にクラウド コンピューティングの俊敏性とイノベーションを必要としている組織に対して、主なパブリッ

ク クラウドとの真の一貫性を備えた唯一のハイブリッド クラウド プラットフォームを提供します。ハイ

パースケールのデータセンターからエンタープライズ スケールの環境に至るまで、高度な PaaS サービス

を含む実証済みのイノベーションを提供し、お客様のビジネス要件に柔軟に対応できるのは、マイクロソ

フトだけです。当社は最終的に、組織がクラウド ファーストの概念を独自の条件で採用できるようにする

ことで、各ケースで異なるクラウド コンピューティングへの移行をすべてサポートしたいと考えています。

それにより、お客様が場所を問わず組織全体でクラウド パラダイムの価値を実現して、市場での競争で自

社を差別化するための投資にリソースを集中できるようになると信じています。

Microsoft Azure Stack のビジョン

Azure Stack は、クラウド コンピューティング モデルをすべてのデータセンターにもたらすことで、

Azure のビジョンを拡張します。Azure Stack は、組織が Azure と一貫した方法で自社のデータセンター

から Azure サービスを提供できる、新しい "ハイブリッド クラウド プラットフォーム" です。この方法

により、お客様は、独自のクラウド コンピューティング プラットフォームの構築に時間をかけず、ビジ

ネス イノベーションに集中できるようになります。

それらの Azure サービスをデータセンター リソースから構築できるので、開発者や IT 担当者は、Azure

と同じセルフサービス エクスペリエンスを使用して、サービスのプロビジョニングやスケーリングを促進

できます。また、この製品では、Azure で使用されているものと同じ管理および自動化ツールを利用でき

るため、IT 部門は、サービスを提供するビジネス部門に応じてサービス提供エクスペリエンスをカスタマ

イズすることも可能です。

こうして実現する環境では、リソースのプロビジョニング先に関係なく Azure API が共通なので、アプリ

ケーション開発者が "一度作成すれば、Azure にも Azure Stack にも展開できる" アプローチを使用して、

生産性を最大限に高めることができます。これは、Azure Stack が単純に Azure の拡張機能であるため

です。このアプローチには、マイクロソフトが Azure で構築しているオペレーティング システム、フレー

ムワーク、言語、ツール、およびアプリケーションの大規模なエコシステムを、個々のデータセンターに

展開できるという利点があります。開発者は、Windows、Linux、.NET、PHP、Ruby、Java などの各種

テクノロジに基づいてアプリケーションを構築し、オンプレミス データセンターでも Microsoft Azure

データセンターでも、同じ方法でアプリケーションを展開して運用することが可能です。また、テンプレー

ト、ツール、アプリケーションなどの充実した Azure エコシステムを利用することで、Azure Stack で

の開発および運用作業を促進できます。

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クラウド サービスの提供によるデータセンターの俊敏性の向上

Azure Stack のしくみを理解するうえで、クラウドの実行と運

用に必要な人材とプロセスについて一歩下がって検討すること

が重要になります。クラウド コンピューティングの時代は、需

要供給の経済原理と IT の運用がより緊密に整合されます。各自

の業務 (ビジネス アプリケーションの構築と実行) を行うため

にリソースを必要とするクラウド コンシューマーと呼ばれる

人々 (開発者、IT 担当者、DevOps など) が存在すると共に、

それらのリソースをお客様に提供するクラウド プロバイダーと

呼ばれる組織が存在します。Azure では、マイクロソフトがク

ラウド プロバイダーの役割を果たし、Azure のサブスクリプ

ションを保有する人々がクラウド コンシューマーになります。

どの企業もクラウド プロバイダーになることができます。

クラウド コンシューマーは、各自のビジネス目標を達成するためにさまざまなリソースを必要とします。

それらのクラウド リソースは、クラウド サービスからオンデマンドで提供されます。たとえば、一部の

クラウド コンシューマーは、仮想マシンだけを必要とします。これは、Azure が提供するリソースの 1 つ

です。具体的には、サービスとしてのインフラストラクチャ (IaaS) の形式です。一方、仮想マシン全体

を必要とせず、代わりに Web サイト リソースだけを必要とするクラウド コンシューマーの場合、その個

別のリソースを提供することも可能です。これは、サービスとしてのプラットフォーム (PaaS) によって

提供されるタイプのリソースになるでしょう。PaaS では、インフラストラクチャが不要になるため、ク

ラウド コンシューマーはインフラストラクチャの心配をする必要がなくなります。お客様のタイプによっ

て、各自の目標を達成するために使用されるリソースやツールの種類は異なります。開発者、IT 担当者、

DevOps ユーザーは、すべて Azure に最適なお客様です。これらのお客様に共通して言えることは、リ

ソースを必要としていて、それらのリソースを提供するプロバイダーを求めているということです。

クラウド プロバイダーには、クラウド コンシューマーがクラウド リソースを "要求" してアクセスでき

るようにするための、2 つの重要な役割があります。1 つ目は、クラウドサービス管理者の役割です。ク

ラウド サービス管理者は、既存サービスをサポートすると同時に、クラウドによって達成できるクラウド

コンシューマーの新たなニーズを特定します。たとえば、マイクロソフトの Azure チームには、クラウド

コンシューマーのニーズを満たす新しいサービスの構築と共に、クラウド サービスの展開後に開発、提供、

管理を行う担当者のグループがあります。2 つ目は、クラウドインフラストラクチャ管理者の役割です。

クラウド インフラストラクチャ管理者は、クラウド サービス管理者が促進したクラウド コンシューマー

の要求を "達成する" 十分な物理インフラストラクチャが提供されるようにします。また、サービス管理

者とインフラストラクチャ管理者は連携して、サービス管理者が開発した新しいクラウド サービスが実行

場所を得て、お客様からのクラウド リソースの要求を達成できるよう、非常に大規模な物理インフラスト

ラクチャのプールを確保します。Azure の提供では、マイクロソフトがサービス管理者とインフラストラ

クチャ管理者の両方の役割を担います。

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Azure Stack によるクラウド サービスの提供

Azure Stack は基本的に Azure から生まれたので、設計上の課題は明らかでした。Azure では、マイク

ロソフトは世界中でデータセンターを運営しています。各データセンターは、数万台のサーバーと 20 ラッ

クの最小 "スケール ユニット" で構成されています。Azure で "ハイパースケール" について言うとき、

それ以外の意味はありません。しかし、エンタープライズでも効果的に実行できるサービスを設計するに

は、"エンタープライズ スケール" (ハイパースケールよりも著しく小さいスケール) でのサービスのスケー

リングと運用を可能にする共有フレームワークの構築が必要でした。下図は、Azure Stack の製品アーキ

テクチャを簡単に示しています。

開発者と IT 担当者のエクスペリエンス

Azure Stack では、開発者と IT 担当者に Azure と一貫したエクスペリエンスが提供されます。これは基

本的に、Azure Stack のポータル環境が Azure と同じコードであるために実現したものです。ただし、

Azure Stack の真のイノベーションは、Azure と共通のクラウド API の実装にあります。クラウド間で

一貫した開発者エクスペリエンスが得られるのはそのためです。ポータルに接続して構成済みのパターン

を選択するだけでは不十分です。セルフサービスの定義は進化を遂げ、クラウドでワークロードの作成、

展開、および運用を行うために、プログラムを使用してクラウド API にアクセスできる機能も搭載される

ようになりました。

Azure と Azure Stack 間で一貫性のある API サーフェス領域は、すべてのクラウドで機能する一連のエ

クスペリエンス、ツール、アプリケーション パターン、自動化機能、展開と構成、および運用を実現しま

す。

エクスペリエンス: 通常、Azure と Azure Stack の最初の連携機能は、Web にアクセス可能

なコンジットをシステムにもたらすポータルを通じて提供されます。このポータルは、クラウ

ド API をグラフィカルに表現したものです。

ツール: クラウド コンシューマーは、Azure で使い慣れた、Azure Stack で機能することがわ

かっているツールを使用できます。また、ツールや展開環境の移行を絶えず行う必要がないの

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で、ビジネス問題の解決に集中できます。

アプリケーション パターン: クラウド サービスへのプログラムを使用した円滑なアクセスに

よって、アプリケーションの設計、開発、および運用の進め方が変化しています。アプリケー

ションでは、IaaS サービスと PaaS サービスの "間で" リソースを組み合わせて、グループと

してそれらのリソースを使用して作業できます。

自動化機能: API の一貫性が保たれていれば、クラウド コンシューマーは、Azure サービスを

提供するクラウド サプライヤーで使用するために作成し直す必要がないことを確信して、開発、

展開、運用作業の自動化に投資できます。

展開と構成: アプリケーションのすべてのリソースを、単一の調整された操作で展開、更新、

または削除します。この操作はポータルから実行するか、SDK を介してコードとしてプログラ

ムによって実行できます。

運用: テスト、ステージング、本番運用などのさまざまな環境に対して、テンプレート化され

た展開が機能します。役割ベースのアクセス制御、使用状況および監査機能が、展開内のすべ

てのクラウド リソースで標準化されます。アプリケーション リソースに対する更新は、増分

的に混乱なく実行できます。

これらはすべて、このハイブリッド クラウド プラットフォームによって実現する幅広い影響の例です。

各領域で、Azure のお客様には、人、プロセス、テクノロジへの投資が Azure と Azure Stack の間で完

全に移転可能であることを確信していただけると考えています。

統合アプリケーション モデル

前述したように、クラウドの実行と運用は基本的に、リソースを要求するクラウド コンシューマーと、そ

れらをオンデマンドで処理するクラウドに関係しています。これを実行するための Azure および Azure

Stack の主要なコンポーネントは、Azure リソース マネージャーです。Azure リソース マネージャーは、

Azure をハイパースケールで運用するための 2 つの重要な役割を果たします。最初の役割は、クラウド コ

ンシューマーがクラウド リソースを作成、整理、制御できるようにすることに重点を置いています。2 つ

目は、Azure データセンターにおけるその要求のフルフィルメントを調整することです。クラウド コン

シューマー向けにポータルに表示される各サービスは、1 つの、または複数のリソース プロバイダー (RP)

の組み合わせです。たとえば、Azure コンピューティングとは、コンピューティング リソース プロバイ

ダー (CRP)、ストレージ リソース プロバイダー (SRP)、ネットワーク リソース プロバイダー (NRP) と

呼ばれるものの組み合わせです。

リソース要求: まず、Azure リソース マネージャーは、クラウド コンシューマーが接続するクラウド エ

ンドポイントになります。これは、Azure の場合も、Azure Stack の場合もそうです。Azure リソース マ

ネージャーのすべてのインストールがクラウド エンドポイントであり、Azure API はその単一システムに

対して実装可能な一連のコマンドです。クラウド コンシューマーが起動する各コマンドは、それによって

動作する個々のサービスに対応するグループに整理できます。したがって、仮想マシン リソースを提供す

るサービスには、"Create VM" または "Delete VM" などのコマンドが付属します。同様に、Web サイト

リソースを作成するサービスには、“Create Website” または “Scale Website” などのコマンドが付属し

ます。

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リソース フルフィルメント: 2 点目に、Azure リソース マネージャーを使用することで、お客様は使用可

能な Azure サービス (IaaS 用の VM や PaaS 用の Web サイトなど) のリソース要件を記述し、リソー

ス プロバイダーを介してそれらをバックエンドのクラウド インフラストラクチャに積極的に配置できま

す。すべてのクラウド アプリケーション リソースは実際には単なるソフトウェア (仮想マシン、NIC、デー

タベースなど) なので、そのリソースがマイクロソフトのデータセンターに存在するのかユーザー所有で

あるのかに関係なく、Azure リソース マネージャーでは記述を分解し、それぞれに対応する Azure サー

ビスに対して個別に管理します。各リソース タイプは基本的に一意なので (データベースは仮想マシンと

は大きく異なります)、個々の Azure リソース プロバイダーが、クラウド コンシューマーの要求フルフィ

ルメントを達成するため、Azure リソース マネージャーと統合する責任を持ちます。

拡張可能なサービス フレームワーク

Microsoft Azure は現在 50 を超えるサービスで構成されています。マイクロソフトがイノベーションと

新しい Azure サービスのリリースを続けていくにつれ、それぞれに対応するリソース プロバイダーを

Azure データセンター全体で展開および管理する方法が必要になりました。ハイパースケール クラウドの

運用における重要な方針は、絶え間ないイノベーションであり、新しい機能、新しい洞察、新しいお客様

ニーズが達成基準になります。Azure は、新しいイノベーションを定期的かつ継続的にリリースできるよ

う基本設計されています。Azure Stack の場合も、新機能のインストールと公開に使用するフレームワー

クは同じです。唯一の違いは、ハイパースケールではなく、エンタープライズ スケール向けにサイズと自

動化の要件が調整されていることです。この新しいリソース プロバイダーとクラウド サービスのインス

トールは、制御された予測可能な方法ですべて実行されるので、基盤となるインフラストラクチャや実行

中のサービスが中断することはなく、クラウド コンシューマーが向き合うエクスペリエンスや API を変

更する必要もありません。

コア サービス

クラウド リソースの特性には、すべてのタイプの IaaS および PaaS サービスに共通するものと、ハイブ

リッド クラウド プラットフォームに必須のエンタープライズ機能があります。ここには、ID とクォータ

情報を含むサブスクリプションなどの、ビジネス レベルの情報が含まれます。本質的には、これによって

請求を目的とする財務上の責任が確立されます。もう 1 つのコア サービスは、役割ベースのアクセス制

御で、これは誰かが特定のリソースに対して実行可能な内容を記述している承認規則を処理します。さら

に、すべてのクラウド リソースについて使用量と変更実行者を "追跡" する必要があるので、使用状況と

監査は共通の要件です。Azure リソース マネージャーはこのサポートをすべてのサービスに提供し、クラ

ウド コンシューマーが自分の作業のために必要なリソース (仮想マシンやデータベースなど) に集中でき

るようにします。

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基本サービス

基本サービスには、IaaS と PaaS の両方のサービスが含まれます。これらのサービスが重要である理由

は次の 2 つです。1 つ目に、これらは特定のクラウド内でクラウド コンシューマーが向き合う一連のサー

ビスの一部として提供されるものだからです。2 つ目に、これらはさらに高次元の PaaS サービスのバッ

クボーンとなるものだからです。基本サービスでは、VM および VM 拡張機能、VM イメージ、仮想ネッ

トワーク、ソフトウェア ロード バランサー、ゲートウェイ、およびストレージ ディスクと BLOB などの

クラウド リソースを作成できます。基本サービスは、クラウド プロバイダーが追加サービスを Azure

Stack のレイヤーに加えるときに、その基礎を確立するためにも使用されます。

追加サービス

クラウド プロバイダーがクラウドにサービスを追加する場合、クラウドの API サーフェス領域を変更す

るので、実際には、クラウド コンシューマーに提供できる機能も増大します。マイクロソフトでは、今後

も Azure Stack にインストールできる追加サービスのリストを拡張していく予定です。マイクロソフトの

データセンターである Azure では、サービス同士が依存し合い、レイヤーを形成している点に注意するこ

とが重要です。このため、追加サービスのインストールには、依存先のサービスのインストールが含まれ

る場合もあります。Azure 内の各サービスが Azure Stack による配布の候補となっており、マイクロソ

フトはロードマップの決定において、お客様の入力に耳を傾け技術的な可能性を検討します。

さらに、拡張可能なサービス フレームワークは Azure サービスの増分的な提供を簡単に実現するため役

立つだけでなく、完全に新しいサービスを開始するためにサードパーティもリソース プロバイダーを作成

できるようなフレームワークを提供するという点も注目されます。このことは、それぞれの顧客向けに新

しいサービスを作成して提供したいと考えている ISV、SI、サービス プロバイダーにとって、非常に斬新

な拡張性をもたらします。

次の表には、Azure Stack を一般提供するときに使用可能になる予定のサービスが示されています。

カテゴリ 一般提供時の Azure Stack サービス

コンピューティング 仮想マシン (拡張機能と可用性セットを含む)、Service Fabric*

データおよびストレージ BLOB、Table、Queues*

ネットワーク Virtual Network、Load Balancer、VPN Gateway

管理およびセキュリティ Microsoft Azure Portal、Key Vault*

Web およびモバイル App Service (Web Apps、Logic Apps*、Mobile Apps*、API Apps*)

開発者向けサービス Azure SDK

* Azure Stack の一般提供時のプレビューに入る予定

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クラウド インフラストラクチャ

前述のとおり、Azure では、Azure リソース マネージャーが各サービスのリソース プロバイダーと連携

して、マイクロソフトのデータセンターで実行されているバックエンドのクラウド インフラストラクチャ

でお客様の要求を処理します。本書の目的上、クラウド インフラストラクチャとは、基礎となるクラウド

の物理容量だと考えることができます。クラウド コンシューマーが要求し、Azure リソース マネージャー

とリソース プロバイダーが処理するどのリソースも、最終的にはクラウド インフラストラクチャ内の容

量を消費するからです。この容量が一杯になると、マイクロソフトがバックエンド容量を増大させる責任

を負います。Azure の容量フットプリントを拡張する場合には、スケール単位で考えます。Azure の場合、

最小スケール単位は 20 ラックのサーバーです。この運用モデルには多くのメリットがありますが、最も

重要なメリットは、データセンターが目的に応じた性質を持つことです。汎用ではないのです。Azure 用

のバックエンド容量を提供するという 1 つの目的のみを果たします。これはハイパースケール クラウド

を実行する唯一の方法です。さらに、ハイパースケールで運用するためには、コンピューティング、スト

レージ、ネットワークという基本的なインフラストラクチャ コンポーネント全体にまたがる、ソフトウェ

ア定義のアプローチが必要になります。ソフトウェア定義のアプローチによって、"物理的な" スケーリン

グから解放されます。クラウド インフラストラクチャをコンポーネントごとに、自動化、プロビジョニン

グ、管理できます。この方法で、クラウド容量の増大に役立つ標準化されたアブストラクション レイヤー

を作成できます。

ソフトウェア定義のアプローチは、Azure Stack のクラウド インフラストラクチャについて検討する場合

にも等しく重要です。エンタープライズ スケールの場合、20 ラック単位の増分計画は現実的でなく、必

要もありません。したがって、Azure Stack に含まれるクラウド インフラストラクチャ管理テクノロジは、

Azure Service の容量をエンタープライズ スケールで提供するという目的に応じたものになっています。

コンピューティング、ストレージ、ネットワークの基本的な IaaS RP (CRP、SRP、NRP) は、それぞれ

に対応するプラットフォーム (Hyper-V クラスター、スケール アウト ファイル サーバー、ネットワーク

コントローラー) とインフラストラクチャ レベルで統合されます。物理システムにインストールされたソ

フトウェアは、Azure Stack の一部になります。

継続的なイノベーションの実現

こうしたすべての状況に基づいて、真のクラウド コンピューティングが、高度に仮想化および自動化され

た従来のデータセンターと抜本的に異なることは明白です。このことを理解したうえで、マイクロソフト

が Azure においてイノベーションを推進し、データセンターに新しいテクノロジを展開していることを把

握していただくことが重要です。本書に示したサービスは、継続的なイノベーションの流れの始まりを表

すもので、最終的なリストではありません。また、API の一貫性を維持するため、Azure Stack のオペレー

ターは、従来のソフトウェアよりも高い頻度でアップデートが実装されることを期待します。

データセンター内の Azure での第一歩

クラウド モデルによる成功の鍵を握るのは、そこにかかわる人とプロセスです。Azure Stack を導入する

には、アプリケーションやシステムの現在の管理方法を変更する必要があるかもしれないため、既存のア

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プローチの評価を開始することをお勧めします。

クラウド サービスの利用は、現在の Azure で実行可能です。現在の Azure を使用して、Azure Stack の

リリースによって使用可能になるサービスで実行できる内容を習得できます。最初に、Azure リソース マ

ネージャーの機能について学習し、Azure Stack で使用可能になるテンプレートのいくつかを Azure と

Azure Stack の両方で試してみることをお勧めします。

さらに、データセンターから提供するサービスと、必要とされるスケールと SLA の種類の優先順位付けを

開始することもできます。単一サーバーに展開する Azure Stack をダウンロードして、設定します。その

後、次のことを実行できます。

最初に、開発者や IT チームと協力し、Azure SDK を使用して、Azure と Azure Stack に対

して機能する自動化、展開、構成を開発および作成します。

2 番目に、データセンター チームと協力して、Azure Stack の単一サーバー展開におけるサー

ビス管理者の概念について学習し、理解します (プラン、サブスクリプション、RBAC など)。

最後に、すべてのサービス管理者が、追加サービスを実行するために使用する Azure および

Azure Stack 内の基本サービスを使い慣れていく必要があります。

まとめ

クラウド コンピューティング パラダイムは、一世代に 1 度しか発生しないテクノロジの大変換です。俊

敏性とイノベーションの可能性は明確ですが、大部分の組織は依然として、自社組織内で自社の条件に沿っ

てクラウド コンピューティングを完全に有効化する方法に関する問題に取り組んでいます。開発者や IT

担当者が最高の仕事をするための力を最も容易に与える方法に焦点を絞った場合、先進的なパブリック ク

ラウド プロバイダーのグローバル エコシステム内で作業することが非常に重要です。これにより、限ら

れたリソースをイノベーションに集中させることができ、単に隔離されたプライベート クラウド環境を作

成してサポートするだけではなくなります。また、アプリケーションやこれらのアプリケーションに力を

与えるリソースの処理に対して、統一された、宣言型のアプローチも可能になります。マイクロソフトは、

そのハイパースケール クラウド環境からイノベーションを引き出し、真に一貫したハイブリッド クラウ

ド プラットフォームを備えたそのエコシステムに、エンタープライズやサービス プロバイダーを完全に

参加させることができる唯一の企業です。Microsoft Azure Stack により、組織は自社のアプリケーショ

ンやデータセンターをクラウドに移行する方法に関する質問をやめ、自社のデータセンターにクラウドも

取り込む方法について検討を開始できます。

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