クラークと新島襄 - Doshisha...クラークと新島襄 W S..) 、つ力 心社を訪問したクラークが同...

クラークと新島襄

W

S.

.

)

、つ力ク

ラークが同

心社を訪問した

のは、札幌農学

校教頭の任期が

終わり、怜米す

る途中であった

クラークがわざ

わざ京都の同志

社まで足を運ん

クラークの同志社訪問

.如0イ仂、ずn円ヨずミ0三一,と聞けば、多くの

人々が、かの札幌農学校の教頭を務めた

クラーク博士を思い起こすであろう今

同志士社史資料センター社史資料凋査員 4 枝弘不

から134年前の1877年5月9日、

そのクラークは確かにこの同志社大学今

出川キャンパスを訪れて、新島襄とJ

D .ディヴィスに会い、後日印ドルを寄

付したこの事実を知っている人はどれ

ほどいるであろ

だ理由は、当然新島襄がいたからである

クラークにとって新島は、彼が札幌農学

校の生徒である佐藤界に宛てた手紙で

明園しているように、彼にとっての最初

の日本人生徒であった教えfの活躍を

目にしたいと考えるのは教師としては本

極然の咸橘であろう

アマースト・カレッジでの出会い

では、いつ人に接点があったのかと

いぇぱ、彼らの出会いは、アマースト

カレヅジが最初であったと考えられる

1867年9月、新島一裳はカレッ、シに入

学したちょうどクラークはこの時カレ

ツジの教授であり、同時に開講を問近に

控えたマサチユーセッツ農科大学の学長

こ8月に就任したぱかりであったクラ

ークは9月からおよそ1力月問はカレッ

ジで化学を教えており、新島はこの授業

を受けたと想像されるたとえこの時に

人の出会いが無かったとしても、農科

大学はカレツジと2加ほどしか際れてお

らず、初期の農科大学は教員不足から力

レツジの教員の恊力を仰いでぃたし、逆

に農科大学の教員がカレッジに赴くこと

而

軍服姿のクラーク(Amherst c011egeArcNeves & special c011ectionS所蔵)

もあった農科大学の学生の礼仟は、開

"後数年開は、カレッジのジヨンソン

チャヘルで行われていたし、それまでに

カレッジにΠ本人が入学した事例は認め

られない方で農科大学倫拓使が派

辿した日本人学生が人学してくるのはー

872年であるこのようにして老,えれ

ぱ、カレッジが.人の出会いの場になっ

たことはまず剛述いないであろう

クラーク

力

もカレッジの教

員時代の千紙が

.

ほとんど存仟し

L非

ないため、この

."

時の新島の印象

.

を」国き残したも

のはない人

の印象はどのよ

うなものであつ

たのかはよく分

からなし力新島はクラークの良い評判

を剛くことは小ノなかったのではないかと

思われるクラークは確かに魅力的な教

員であったが、新島がカレッジに入学す

る一儲まで農科大学誘致述動に専心して

いたそのため、カレッジの義務がおろ

そかになってしたと批判する当時の学生

がいるこの時、クラークは州議会の下

院腎<に選挙で儒され、農科大学をア

マーストに誘散する仕事を扣っていた

そして、川の人の期待を身に曹3て、

誘致を・災現するこれは彼を州議会に送

り込んだ人々の期待を災現したとい、愚

眛で縛く岼価されるが、カレヅジの学

エソセイ

み

お互いの印象

新島がカレッジ在川両代にk署残した

ものが小ノなく、クラークのことをどのよ

うにみなしていたかはよく分からない

生としては教授として良い評価を行うこ

とは出来なかったであろう暫岡もこの

ようなことを聞いていたのではないであ

ろう力暫おこのころの手紙に出てく

るのはもっぱらシーリー教授であるち

なみに、シーリーはカレッジでクラーク

の1年後ポである

二人の関係

現在のところ、人の関係がよくわか

る晢料として残っているものは、新島遺

品庫(大学今川川校地)に収蔵されたク

ラークの手紙である令ての手紙がクラ

ーク帰米後の1877年以降に交わされ

たそこから覗えることは、クラークが

札幌農〕袈で教えた学生たちの助力を新

島に頼んだこと、新岬が」示都農牧γ交の

數員斡旋をクラークに頼んだことなどで

ある同志社に現存するクラークの手紙

は7通で、その内容から五いが五いを必

要としていたことはわかるが、どれほど

の」需があったのかは今のところわから

ない嘔実としていくつかの接点が残る

のみであるクラークにしてみれぱ、新

島はともに「イエスを仏ずる者」として

101

クラークとキ(同志社社史'

幌学校一期生センター所蔵)

、

の二いを交わした農袈の学生たちの事

後を託すにたる人物であったし、新島に

してみれば、クラークは農牧学校教員斡

旋の亊例にみられるような、いざという

時の相談相手であったと芸えられる特

にクラークにとって日本に新島がいるこ

とが心強かったクラークの彬Uを受け

た学生らがのちに設立する札幌独立基督

教会は、その性楕上、他の教派から問題

視されることが多かったが、これを救っ

てくれたのは他ならぬ新島であった

二人の共通点

ーアマースト・カレッジ卒業生

、

クラークと新島の生涯を見ていくと

両者には共通点がある第に、ともに

アマースト・カレッジの卒業生で、クラ

ークは新島の舗年先輩になるクラーク

はg0牙一0"0、ミ誘の学位を1848年に

取得し、新島はず弐ずn-90、仇含nヌnの学位

を1870年に取得したこれらつの

学位には大きな違いがあるいうまでも

なく、ず弐丁n-0門0、習誘は正規に亭業した

学生が、学んだすべての学問に対してそ

の嵐度を認められた学位であり、方

でず弐ずn-90才ハ昂コ容は、限定さ^た分^

の習熟度のみが認められ傘位である

ともにキリスト教的な・恵味で品行方正な

学生飯められる学位ではあるが、厳密

には大きな違いがあるこの違いが木す

ところは、カレツジの自由教育をどの程

度嵐{していたのかを大学が学位名にょ

つて分けていた点にあろう

そのほかにも人には面白い共通点と

そこに見られる大きな違いがあるそれ

は人がともに学校長経験者でありなが

ら、そこで日指した大学構想がまったく

異なることである

二人の共通点

学校長としてクラークの場合

クラークは州立大学であるマサチユー

セツツ農科大学の学校長(U歳)に、新

島は園、つまでもなく私学同志社の長(詑

歳)となったちなみに札幌農学校でク

ラークは教頭であり、学校方針に関する

多くの決定権は開拓使もしくは開拓使が

任命した校長調所広郷が持っていたので

この場合はあたらない

農科大学と同志社の発展の過程を見て

いけぱ、興墜休いことが兄えてくるま

ずクラークであるが、 1869年8同に

マサチユーセッツ農科大学第三代〕煮に

就任する実質的に開講時の初代山姦で

ある農科大学は1860年に成立した

モリル法を根拠に設立された州立大学で、

農業の発展と振興を目指した学校である

ただし、単に専門技術だけを学ぶ学校で

はなく、モリル法には専門教育と共に自

由教育も行うべきとの[が付されてぃ

るつまり、カレッジが行っていた自由

教育と専門教育を融合する大学であり、

クラークはこれに果敢に挑んだ実際の

ところ、クラークが構築した農科大学の

カリキユラムは、農学専門の教科に、自

由教育のエッセンスを加えたものである

このエヅセンスとは、尽国語としての英

語教育、教養となる英文学やドイッ語、

フランス碕こうした内容をアウトプッ

トする方法論である雄介術や修辞学とそ

の・笑践である演説、ソ然のことながら数

学、物理学などの幽然科学である。つま

り、思老を練る元になる知識のインプッ

トと、それをアウトプットしながら思老

を練り上げることで、ゾ時上流階級の子

弟の独上U状態となっていた,日由教育を、

比較的社会的地位の低かった農業に携わ

る人々にも教えるという老え方である

クラークは「教養ある農場懇●者」とい

う.園葉を用いて、農科大学の理想を端的

に表わしたクラークが吉えた学校構想

は、明らかに彼がカレッジで学んだ内容

の反映であった当然キリスト教の仏仰

を持っていることは大前提である

実際、クラークのやり方は世問の批判

を浴ぴた新聞は農科大学の学生が実践

を幌視し、鯉厶州ぱかり学んでいると批判

したそれは農科大学と銘打っているに

も力力わらず、農場を冨む卒業生が少な

かったためであるしかし、新しい・笑験

成巣や農機具の大会を開催するなど、着

実に成果は挙げていたただし、川厶州と

クラークの考え方は大きく飛解していた

話は変わるが、札幌農学校か農業専門

学校らしくないカリキユラムであったこ

とは幾分知られている実は、農学校開

設前のカリキュラム案の苧稿は農科大学

のカリキユラムの日本研訳である多小ノ

農学重視に変更されているが、農〕穫は

農科大学からカリキユラムを偵輸入して

いたのであるから、Π本ではオリジナリ

ティあふれゑ穫と受け取られたのは小1

然である

クラークカなぜモリル法に1一し、専

門教育と訂由教育を融合させることに心

血を江いだのかは、彼のドイツ貿子体験

にある彼は当時としてはドイツ取尚峰

の大学のつであるゲッティンゲン大学

に留学していた 2年剖の研究の後、博

ーの学位をとってh凶するが、クラーク

はドイッの教育に小満をもっていた彼

は、大学人{而に既にギムナジウムにて

局い教養を身につけ、大学ではひたすら

専門に打ち込む学生をドイツで兄たそ

の制度の優秀さはクラークの認めるとこ

ろであるしかし、彼はそこに自らが倫

じるキリスト教のあり力を見いだせなか

つたこのような観点からクラークはキ

リスト教のある国こそアメリカであり、

キリスト教と臼由教育に専門教育が介わ

されぱ最高の学問になるとの老え方を抱

くようになったつまり、彼の考え力の

具L底には常に白山教育とキリスト教にょ

つて教養ある人開が育成されるべきとい

う考、え方があり、そのうえで忠門教育

となるわけであるそしてこれはカレツ

市位で行われる必票あった

人の共通点

ψ綏長として新島の場合

カ、新島においては少し事情が異な

るというのはそもそも学校の教育内{谷

にまで貝体的に.[及した史料が余りにも

少ないためである

◇判明している史料から見ていけぱ、

暫お寺え方はクラークとは明らかに界<

なる恬知のように1875年に同志社

英冲校が開校したのち、詞志社普通学校、

同1少下料学校、型心社予備校、同'士丙

宛、

靴石病婦学校など、ますます学校

規模は拡大されていくこれらの施設や

エッセイ

103

海外留学中の

(同志社社史資料センター所蔵)

学校はそれぞれが独自の役割を与えられ

ており、先程のクラークが実践してぃた、

つの学校の中で教育を完結させる方法

とは全く別であるつまり、新島の考え

た学校は総合大学である議小、新島に

おいてもキリスト教の仏仰、表現を変え

れぱキリスト教主義は大前提である

分かりやすい事例としてあげるならぱ、

新島襄が大学設立運動の際に事例として

゛

如

(1

1

三▼

↑

゛

.登J.一

.

ヘ

ハ

挙げた大学であろう彼は明らかに

ヴァードを一織していたもう1校加え

るならぱイエールとなるこれらはいず

れも単なるカレッジではなく、カレッジ

を含む総合大学であるこのような大学

を例.那した上で、新島は法学部、嘆学部、

文学部などの設置を訴えた。さらには、

大ψ需教育である同志社普通学校の予備

門として同志社予備校を設遣するなど、

彼が学んだアマースト・カレッジとはか

なり異なる構成である。当時の唯の大

学であった東京大学を新島が土織してぃ

たことや、文部理事官の田中不麻呂と

ヨーロツパ諸国の教育事情を視察した影

辨もあってか、このような大学の構成に

なったのかもしれないいずれにせよ、

彼の老えた教育階梯は、中等教育機関で

人問形成を、大学で専門をと、専門の学

問レベルの程度はここでは問わないにし

ても、ずいぶんと大規模な学校構想であ

つ九

日本の二つのアマースト

1922作2月、アマースト.カレヅ

て発行する雑'

こ向け

ジが同窓生

ーーーーーーー

驫

'

、ミヘミ令ミ、ミミ、んミNミ§第C丹に

「日本のアマースト」というタイトルで

つのエツセイが掲載された。一っは当

時同、心社の教員であった宣教師ロンハー

ドが描いた「同志社大学」、もう一つは

クラークの孫であるクラークニ世が描い

た札幌農学校」であるここではクラ

ークと新島が関わった学校が日本のアマ

ーストとして紹介されているわけである

既に'を進めてきたように、マサチユ

ーセツツ農科大学も、札幌農学校も、そ

して同志社も厳密な意味では決してアマ

ーストではないそして、ロンバードと

クラーク川が描いている内{谷も、厳.密

な意味でつの学校がアマーストである

とい切っているわけではないクラーゞ一

ク世は「高度な知性、優れた品性、

,

利d的喜恙が両校に共通する理念であ

る」と述べている。つまり、カレッジが

本来持っている、人を育てる姿勢こそが、

両校にも共通するとしてぃるわけである

これこそクラークと新島がカレッジから

両校に引き継いだものである。今だから

こそ噛みしめるべき園葉であろう。

「章

.、

,

L

<

゛

初期の英学校生徒(同志社社史資料センター所蔵)

((