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オバマ大統領のパレスチナ/イスラエル政策に関するメモ・ノート
君 塚 大 学
1 は じ め に
今年(2011年)は,アルカーイダのメンバーがハイジャックした旅客機でワシントンのペ
ンタゴンとニューヨークの世界貿易センタービルを襲った 9・11反米襲撃事件(1)の惨事から,
ちょうど 10年の節目にあたる。そして,この 5月には事件の首謀者と目されたオサマ・ビン
ラディンがオバマ大統領の指示のもと(2)アメリカ軍の特殊部隊によって暗殺された。ビンラ
ディンの暗殺は,今後の歴史的推移によっては,アルカーイダ運動の終焉を象徴することにな
るかもしれない。けれども,むしろ今年のいわゆる「アラブの春」こそがアルカーイダに代表
されるイスラーム原理主義運動(3)を終息させる実質的な要因と考えられるべきだとも思われ
る。この点は,今の時点で「アラブの春」の行方が定かではないこともあり,さらなる情報収
集と分析と考察が必要である。このメモ・ノートで踏み込める点ではない。
本稿が注目するのは,9・11事件に先立つ 1996年に発せられたビンラディンの「ジハード
宣言」(4)で言及されたパレスチナ問題と,今年のやはり 5月,ビンラディン暗殺の後に表明さ
れたオバマ大統領のパレスチナ/イスラエル政策(5)についてである。
ビンラディンが 1996年 8月に発した「二聖モスクの地を占領するアメリカ人に対するジハ
〔抄 録〕
本稿は,中東問題の鍵となっているパレスチナとイスラエルの和平の進め方に関す
るオバマ大統領の政策に注目し,そこにシオニズムおよびオリエンタリズムというイ
デオロギーが内在していることを見出した。まず彼の言う「二国家」案を同定し,続
いて 1947年の国連総会決議 181号のパレスチナ/イスラエル分割案を規定している
観念がシオニズム・オリエンタリズムであることを浮き彫りにし,オバマの政策と対
質してみるという手続きをとった。
キーワード パレスチナ,イスラエル,オバマ,シオニズム,オリエンタリズム
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ード宣言」は,9・11以前にはほとんど無視されていたが,その後,当然と言えば当然だが,
事件を考察するうえで不可欠な資料として扱われるようになった(6)。その宣言の内容は,表
題から推察される「二聖モスクの地」すなわちサウジアラビアからのアメリカ軍の撤退を勝ち
とるということだけではなく,世界各地で虐げられているムスリムたちの解放を闘いとるとい
うものである。この闘いでの相手方とされているのが「シオニスト・十字軍連合」と呼ばれて
いるように,パレスチナ/イスラエル問題が強く念頭におかれていることは確かである。シオ
ニストによってパレスチナの地がイスラエルの地として占領され,パレスチナの人々が悲惨な
生活を強いられている屈辱的な現実,この現実に世界が無関心に陥っている状況が彼の言うジ
ハードの主要根拠の一つにされているのである。
「シオニスト・十字軍連合」の一主体と見なされたアメリカは,9・11事件後,G. W. ブッ
シュ大統領のもと,一方でアフガニスタンおよびイラクへの「正戦」性の欠落した侵略戦争に
進み,他方でパレスチナ/イスラエル和平ロードマップを試みたが,後者は文字通りのポーズ
にすぎず何の成果も産まなかったと言っても過言ではない。ブッシュを襲いだオバマは大統領
就任早々に悪名高きグァンタナモ基地内の拷問収容所を廃する第一号の大統領令を布告し,6
月にはカイロにて主にイスラーム世界に向けて宥和を訴える「新たな始まり」と題するスピー
チを行うなど,パレスチナ/イスラエル問題を含むアメリカの中東政策の積極的転換を目指す
姿勢を見せ,大いなる期待を寄せた。けれども,その宥和的姿勢はその後,具体的な施策とし
て成果を挙げることができず(この点は,後にまた触れる),期待は急速にしぼんだ。こうし
たオバマ大統領の耳に優しい演説とそれを裏切る現実といった希望-失望のパターンがまさに
数日のうちに顕著に現われたのが,先に触れたパレスチナ/イスラエル政策の表明である。
このメモ・ノートでは,ビンラディンをしてジハードに駆り立てた一主要因としてのパレス
チナ/イスラエル問題,その和平への途を提示しえないでいる現今の政策的困窮の根を探って
みたい。この課題について,これまで汗牛充棟の先行研究があることは確かだ。それらは管見
するところ,パレスチナ側かイスラエル側に立ってナショナリズムに注目するか宗教的信念に
止目するか,あるいは歴史的・偶発的な敵対的事件の集積に着目するか,政治経済を孕んだ軍
事的布置構造の解消困難な面を指目するか,多様な論究があるようで,これらの先行研究をノ
ートとして整理することも必要であろう。しかし,ここではそうした学究的スタイルを採るこ
とができず,極細の思考の糸をたぐってみることにする。
2 パレスチナ/イスラエル問題に関するオバマの所信
このノートで考察してみたいオバマの所信は,この 5月 19日に国務省にてアメリカの外交
関係の政治家・官僚を集めて,同時にテレビ放映もされた「中東・北アフリカについての大統
領所信」(Remarks by the President on the Middle East and North Africa)の後半にあた
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るパレスチナ/イスラエル問題に関する部分である。
所信の前半は,2010年末からチュニジアが先駆けとなって始まった通称「アラブの春」に
関してアメリカは経済から財政,政治にわたって最大限の支援を惜しまないといった,かの地
での政変を歓迎するものである。なにごとにも「自由」や「民主主義」を名分とするアメリカ
外交の習性からして見れば,当然に予想されることである。しかも,あのサウジアラビアの専
制政体について何の見解を示すことなく黙認するといった他面を見れば,アメリカの未だ続く
帝国主義的性質が浮かび上がってくる。ややミスリーディングになるかもしれないエピソード
を敢えてここで挿んでおこう。駐日エジプト大使のワリード・マフムード・アブデルナーセル
氏の発言(7)は必ずしも強調したわけではなくむしろさりげなさを装ったものであったが,そ
の発言によれば,アメリカの「民間団体」がエジプトの活動グループに関与しようとしている
ことが体制移行プロセスの混乱要因の一つとなっているとのことである。CIA などの政府機
関が陰にも陽にも介入しにくい情勢下にあって,アメリカの帝国主義的意識を内面化した「市
民」が政府を代補しているのではないかと想うのは私の過剰な猜疑というものであろうか。
話を本筋にもどして,オバマの所信の後半部分にあたるパレスチナ/イスラエル問題に目を
向けよう。まず,彼の言葉を拙訳しておこう(8)。
「最後に,この地(中東:引用者補)の平和にとってもうひとつ最も重要な問題に触れ
たいと思います。
数 10年間,イスラエル人とアラブ人との紛争はこの地に影を投げかけてきました。イ
スラエル人にとって,子どもたちがバスの中で吹き飛ばされるかもしれず,家をロケット
で攻撃されるかもしれないといった恐怖のなかで生活することを意味しているし,またこ
の地の子どもたちがイスラエル人を憎むように教え込まれているということを知っている
といった痛みを意味しています。他方パレスチナ人にとって,紛争は占領の屈辱に苛まれ
ることであり,自分たちの国家に住まうことができないということを意味しています。さ
らに,この紛争は中東全体に厖大な損失をもたらしています。本来なら普通の人々に安全
と繁栄と活力をもたらすはずの協調関係を妨げているのです。
私の政府は,歴代政府の仕事の上に立って,この 2年以上,当事国および国際社会と
力を合わせ,この紛争の終結に向け,尽力してきました。しかし,期待どおりに事は進ん
でいません。イスラエルの入植活動が続いています。パレスチナは話し合いにつこうとし
ません。紛争はこじれにこじれ膠着状態に陥っていると見られています。実際,この地で
の異変や不確実な状況のため,今,事態は進みようがないと見る人もいます。
しかし,私はそうは思いません。中東・北アフリカの人々が過去の重荷をおろしつつあ
る時に,紛争を終わらせ全ての主張を調整する継続的な和平を推進することがかつてなく
緊要です。パレスチナ,イスラエルの双方にもこのことは言えます。
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パレスチナにとって,イスラエルの正統性を剥ごうとするのは失敗に終わるでしょう。
今年 9月の国連でイスラエルを孤立化させるような表象的な(symbolic)行為はパレス
チナ国家の独立には繋がらないでしょう。ハマスがテロルを続けイスラエルを否認するか
ぎり,パレスチナの指導者たちは平和も繁栄ももたらさないでしょう。パレスチナ人たち
はイスラエルの生存権を否定するかぎり自らの独立も決して実現できるものではありませ
ん。
イスラエルに関して言えば,我われの友好関係は共通の歴史,共通の価値観に深く根づ
いています。イスラエルの安全保障への我われの関与は揺るぎないものです。国際会議で
イスラエルを批判に晒すような動きがあれば,我われはそれを阻みます。我われの友好関
係,そのためにこそ言いますが,現状は維持できません。イスラエルもまた平和の持続の
ために勇気をふるって行動しなければなりません。
事実として,ヨルダン川西岸に住むパレスチナ人の人口が増えています。技術的にイス
ラエルの自己防衛はいっそう難しくなっています。大きな変化が起こっている地域では,
一人や二人の指導者ではなく数百万の人々が平和の実現を信じているはずです。国際社会
は結果の見えない事態に愛想を尽かしています。ユダヤ人の民主的な国家といった夢は占
領を続けていては実現できません。
イスラエルとパレスチナがともに行動を起こすのは今です,この先ではありません。ア
メリカによっても,他の誰によっても平和を与えることはできません。いつまでもぐずぐ
ずしていては,問題の解決にはなりません。アメリカと国際社会ができることは,誰でも
が分かっていることを率直に明言することです。つまり,持続する平和とは二つの人々に
二つの国を,ということです。ユダヤ人の国家でありユダヤ人の郷土としてのイスラエル
であり,パレスチナ人の郷土としてのパレスチナ国家です。それぞれ自己決定権をもち,
互いに承認しあい,平和を享受することなのです。
紛争の中心的争点は交渉されなければなりませんが,交渉の土台は明確です。つまり,
パレスチナがうまく立ち上がれることとイスラエルの安全保障です。交渉の結果,二つの
国家ができ,パレスチナはイスラエル,ヨルダン,エジプトとの恒久的な国境を,イスラ
エルはパレスチナとの恒久的な国境を確定することになるとアメリカは信じます。イスラ
エルとパレスチナの国境は 1967年の線(1967 lines)に基づいて,互いの話し合い・譲
り合いで確定されるべきです。それによって,安全で公認された国境が設定できるので
す。パレスチナの人々は独立した統合(contiguous)国家のもとで自らの統治権を持ち,
その潜在能力をフルに開花させなければなりません。
安全保障に関しては,どの国家も自衛権を持ちます。イスラエルはいかなる脅威からも
自らによって防衛できなくてはなりません。テロリズムの再発を抑え込み,武器の密輸入
を阻止し,国境の保全を十全にできるように,備えは鞏固にしなければなりません。イス
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ラエル軍の段階的な,最後には完全な撤退は,パレスチナ人が主権をもった非武装国家の
もとで安全を保障されるという前提条件に基づいて調整されなければなりません。この移
行期間の手順は合意のもとでなされ,安全が確保されるということが強調されねばなりま
せん。
このような原則が交渉の基礎です。パレスチナ人は自国の領土の境界を知るはずである
し,イスラエル人の基本的な安全保障への関心も充たされるはずです。このような段階を
踏むだけで紛争の解決ができると私は思っていません。と言うのも,二つの捩れた感情的
問題が残っているからです。つまり,エルサレムの未来とパレスチナ難民の今後です。け
れども,領土と安全保障の基盤構築によって,この二つの問題が公正かつ適切に(just and
fair)解決される土台を造ることができるし,イスラエル人,パレスチナ人双方の権利と
希望が尊重されることになるのです。
ところで,領土と安全保障問題から交渉を始める必要があると分かっているからと言っ
て,双方が交渉のテーブルに容易に戻れるというわけではありません。特に最近の報告で
は,ファタファとハマスが一致して,イスラエルにとって根本的な正統性問題を起こして
います。つまり,イスラエルの生存権を認めようとしない相手とどのように交渉ができる
のか,ということです。近いうちにパレスチナの指導者はこの問題に信頼できる答えを示
さなければなりません。他方,合衆国,四者会議,アラブ諸国は今の袋小路を超えるあら
ゆる努力を続けねばなりません。」
ここでオバマが訴えているのは,いわゆる「二国家」案である。この案だと直ちに問題とな
るのがその国境線である。これに関し彼は,上に引いたように,the borders of Israel and Pal-
estine should be based on the 1967 lines with mutually agreed swaps(イスラエルとパレ
スチナの国境は 1967年の線に基づいて,互いの話し合い・譲り合いで確定されるべき)と言
っている。「1967年の線」とは,1967年の第 3次中東戦争以前の停戦ライン,通称グリーン
・ラインと言われているもので,エルサレム付近について言えば,旧エルサレム城市を含まず
それよりも西方に引かれていた(9)。この「1967年の線に基づくべき should be based on the
1967 lines」というフレーズは第 3次中東戦争による占領支配をナシにするということを意味
し,オバマの所信をライブ放送していた報道メディアに驚きを以って受け取られた。なぜな
ら,オバマはアメリカの歴代大統領で初めて,大きく踏み出した原則を提示したと解されたか
らである。BBC のコメンテイターも CNN の人も興奮気味にそう言っていた。翌日の NHK,
BS「ワールド WAVE トゥナイト」でも同じ解説であった。新聞でも朝日は「米大統領が,
占領以前の境界線を和平交渉の出発点とするよう,演説で明確に求めたのは初めて」と記事本
文の冒頭で記している。
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3 オバマ所信の実質的撤回
これまでのイスラエルの占領政策,とりわけ現首相のネタニヤフの大イスラエル主義に近い
立場からすれば当然のことに,オバマの「1967年の線」発言は彼を激怒させた。翌日(5月
20日)のオバマとの会談で,彼はこの「1967年の線」に対し極めて強く拒否する発言をし
た。ヨルダン川西岸の占領から撤退するつもりは全くないというわけである。
ネタニヤフのこの強い拒絶をうけて,オバマは「1967年の線」発言をほとんど撤回するに
いたった。2日後の 22日 AIPAC(The American Israel Public Affairs Committee)という
在米イスラエル圧力団体の総会にオバマが招聘され演説する機会があった(10)。その演説の中
で,「1967年の線」発言の意味が誤解されているので,彼自身の真意を開陳するとして,次の
ような説明をしている(11)。
「私が言ったのはこうです。交渉の結果,二つの国家ができ,パレスチナはイスラエル,
ヨルダン,エジプトとの恒久的な国境を,イスラエルはパレスチナとの恒久的な国境を確
定することになるとアメリカは信じます。イスラエルとパレスチナの国境は 1967年の線
(1967 lines)に基づいて,互いの話し合い・譲り合いで確定されるべきです。それによ
って,安全で公認された国境が設定できるのです。パレスチナの人々は独立した統合(con-
tiguous)国家のもとで自らの統治権を持ち,その潜在能力をフルに開花させなければな
りません。
安全保障に関しては,どの国家も自衛権を持ちます。イスラエルはいかなる脅威からも
自らによって防衛できなくてはなりません。テロリズムの再発を抑え込み,武器の密輸入
を阻止し,国境の保全を十全にできるように,備えは鞏固にしなければなりません。イス
ラエル軍の段階的な,最後には完全な撤退は,パレスチナ人が主権をもった非武装国家の
もとで安全を保障されるという前提条件に基づいて調整されなければなりません。この移
行期間の手順は合意のもとでなされ,安全が確保されるということが強調されねばなりま
せん。
これが私の発言でした。最も注目され,今でも注目されているのは,1967年の線・・
互いの話し合い・譲り合いで・・と言及したところ(my reference to the 1967 lines-
with mutually agreed swaps-)でした。この点が何度も間違って説明されていますの
で,「互いの話し合い・譲り合いを持った 1967年の線」(1967 lines with mutually agreed
⑽ AIPAC などのユダヤ人圧力団体のロビー活動,「思想警察」行動については,J. J. ミアシャイマー&S. M. ウォルト,2007=2007『イスラエル・ロビーⅠ,Ⅱ』副島隆彦訳 講談社
⑾ 当該の原文は以下のとおり。I said that the United States believes that negotiations should result in two states, with per-
manent Palestinian borders with Israel, Jordan, and Egypt, and permanent Israeli borders
with Palestine. The borders of Israel and Palestine should be based on the 1967 lines with
mutually agreed swaps-(applause)-so that secure and recognized borders are established
for both states. The Palestinian people must have the right to govern themselves, and reach
their potential, in a sovereign and contiguous state.
As for security, every state has the right to self-defense, and Israel must be able to defend it-
self-by itself-against any threat.(Applause.)Provisions must also be robust enough to pre-
vent a resurgence of terrorism, to stop the infiltration of weapons, and to provide effective
border security.(Applause.)And a full and phased withdrawal of Israeli military forces should
be coordinated with the assumption of Palestinian security responsibility in a sovereign and
non-militarized state.(Applause.)And the duration of this transition period must be agreed,
and the effectiveness of security arrangements must be demonstrated.(Applause.)Now, that is what I said. And it was my reference to the 1967 lines-with mutually agreed
swaps-that received the lion’s share of the attention, including just now. And since my posi-
tion has been misrepresented several times, let me reaffirm what“1967 lines with mutually
agreed swaps”means.
By definition, it means that the parties themselves-Israelis and Palestinians-will negotiate
a border that is different than the one that existed on June 4, 1967.(Applause.)That’s what
mutually agreed-upon swaps means. It is a well-known formula to all who have worked on
this issue for a generation. It allows the parties themselves to account for the changes that
have taken place over the last 44 years.(Applause.)It allows the parties themselves to take
account of those changes, including the new demographic realities on the ground, and the
needs of both sides. The ultimate goal is two states for two people : Israel as a Jewish state
and the homeland for the Jewish people-(applause)-and the State of Palestine as the
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homeland for the Palestinian people-each state in joined self-determination, mutual recogni-
tion, and peace.(Applause.)If there is a controversy, then, it’s not based in substance. What I did on Thursday was to say
publicly what has long been acknowledged privately. I’ve done so because we can’t afford to
wait another decade, or another two decades, or another three decades to achieve peace.(Ap-
plause.)The world is moving too fast. The world is moving too fast. The extraordinary chal-
lenges facing Israel will only grow. Delay will undermine Israel’s security and the peace that