Page 1
1
Ⅰ部 C科 3年
メディアと信号処理
講義:木曜 第4時限
講師: 金田 豊
講義概要
様々なメディアに対する
信号処理の
基本理論を解説
信号処理技術とは
◇ 変形した、汚れた、信号をきれいにする
◇ 見えない信号を見えるようにする
◇ 信号の理解(意味情報抽出)
◇ 信号を作り出す(合成)
メデイア信号処理 の例
◇ 音や画像信号を聞き(見)やすく変える
雑音の除去、音質(画質)改善
◇ 音や画像信号からの情報抽出
◇ 音や画像の認識・理解
◇ 音や画像の合成、生成
信号処理は、メディア分野だけではなく、
通信、情報、計測など、多数の分野における
重要な基本技術である。
信号処理の 基本理論
1.フーリエ変換 (周波数分析)
2.最小2乗法
3.相関関数
同時開講の「ディジタル信号処理」は、
ディジタル技術に重点をおいて、
もう少し基礎的な話 (重要)
信号処理と数学の関連性
1.フーリエ変換 (周波数分析)
信号理論、微分・積分
2.最小2乗法
微分、線形代数
3.相関関数
確率・統計
これまで学んできた、数学や専門科目が
どのように役立つかを紹介してみたい。
Page 2
2
ディジタル信号 (2進数表示)
272 800 1024 272 272 272 544 0 -272 -272 0 544 272 272 544 800 544 272 272 272 0 0 0 0 0 -272 -800 -272 0 -272
-272 -272 -272 0 272 0 0 0 0 272 272 0 0 -272 -2720 0 -544 -272 -272 -272 0 -272 -544 -272 -544 -544 -544 -272 -544
-800 -800 -1024 -1344 -1344 -1344 -1344 -1344 -1344 -1024 -800 -544 -272 -272 -2720 0 -272 -544 -544 -544 -544 -544 -800 -544 -544 -272 544 544 272 0 272 272 800 272 -544 -800 -800 -1024 -1024 -1024 -1344 -1344 -544 -272 0 272 272 544 1344 1344 1024 800 544 544 800 272 0 0 -544
-800 -272 -800 -800 -544 -800 -1600 -800 -544 -544 0 0 -272 -544 272 544 1024 1344 1344 1024 1024 1600 2048 1792 1344 1344 800 -272 -272 -544
-544 -800 -1024 -2048 -2688 -2688 -2432 -1344 -1344 -1600 -1344 -800 0 0 272 272 0 272 800 272 0 0 0 0 544 1024 0 0 0 0
0 -544 -1344 -1600 -1344 -800 -800 -1024 2432 -800 1600 -2432 -1344 -800 -2048 -2688 -1024 544 3200 1792 4736 800 544 -1600 -5760 -2944 -3200 0 -3584 800 -1024 272 2048 2688 1792 1792 0 1024 1344 1792 2944 2048 2432 1344 -1024 -3456 -2432 -3584 -3840 -3200 -3584 -3200 -3584 -2688 -1792 544 2688 3200 3456 2688 2432 2688 4480 5248 5760 6784 6272 7040 7296 7040 6016 4480 3200 1024 0
0 -272 -1024 -2688 -2944 -3584 -5248 -5760 -5248 -4992 -4736 -3840 -3584 -3584 -3456 -3200 -2432 -1792 -2432 -2944 -4480 -5248 -4992 -4736 -4736 -4736 -3584 -3584 -2688 -2432 -2432 -3200 -4992 -4992 -4992 -4736 -3968 -3584 -2688 -2048 -2048 -2432 -1600 544 1024 2432 3968 2944 1344 1344 1024 800 2048 2688 5504 4480 3200 3200 2048 2048-1024 2688 4992 4992 3456 2688 2048 272 -4480 -3456 -1792 -2048 -2048 -1792 1024 -272 -2048 1024 544 3584 4480 5760 4480 3968 800 800 800 0 544 -1600 544 272 -1792 -544 -800 -1024 -1344 -1024 0 0 544 1792 2432 3584 5504
5760 6272 7296 9600 8576 9088 8064 8064 6528 5760 5504 5248 4736 3456 2688 3200 1024 -1024 -1600 -2944 -3968 -4480 -4992 -4480 -4480 -3456 -3584 -3456 -2944 -2048 -2048 -3456 -6528 -7296 -7040 -2944 0 -1792 -4736 -6272 -6784 -7296 -8064 -9088-12160
-12672-11648 -9600 -6784 -3200 544 3584 4992 3584 1344 -1344 -3584 -4480 -3840 -2688 -4736 -7296 -9088 -9600-10624-10112 -9600 -7296 -3584 1024 4480 5760 6784 5248 3968 4736 4480 2432 -1344 -4480 -4480 -1792 -544 -1344 -2688 -1600 -272 800 1344 1792
(272) (800)
0000000010001000 0000000110010000
ディジタル信号 (波形表示)
272 800 1024 272 272 272 544 0 -272 -272 0 544 272 272 544 800 544 272 272 272 0 0 0 0 0 -272 -800 -272 0 -272
-272 -272 -272 0 272 0 0 0 0 272 272 0 0 -272 -2720 0 -544 -272 -272 -272 0 -272 -544 -272 -544 -544 -544 -272 -544
-800 -800 -1024 -1344 -1344 -1344 -1344 -1344 -1344 -1024 -800 -544 -272 -272 -2720 0 -272 -544 -544 -544 -544 -544 -800 -544 -544 -272 544 544 272 0 272 272 800 272 -544 -800 -800 -1024 -1024 -1024 -1344 -1344 -544 -272 0 272 272 544 1344 1344 1024 800 544 544 800 272 0 0 -544
-800 -272 -800 -800 -544 -800 -1600 -800 -544 -544 0 0 -272 -544 272 544 1024 1344 1344 1024 1024 1600 2048 1792 1344 1344 800 -272 -272 -544
-544 -800 -1024 -2048 -2688 -2688 -2432 -1344 -1344 -1600 -1344 -800 0 0 272 272 0 272 800 272 0 0 0 0 544 1024 0 0 0 0
0 -544 -1344 -1600 -1344 -800 -800 -1024 2432 -800 1600 -2432 -1344 -800 -2048 -2688 -1024 544 3200 1792 4736 800 544 -1600 -5760 -2944 -3200 0 -3584 800 -1024 272 2048 2688 1792 1792 0 1024 1344 1792 2944 2048 2432 1344 -1024 -3456 -2432 -3584 -3840 -3200 -3584 -3200 -3584 -2688 -1792 544 2688 3200 3456 2688 2432 2688 4480 5248 5760 6784 6272 7040 7296 7040 6016 4480 3200 1024 0
0 -272 -1024 -2688 -2944 -3584 -5248 -5760 -5248 -4992 -4736 -3840 -3584 -3584 -3456 -3200 -2432 -1792 -2432 -2944 -4480 -5248 -4992 -4736 -4736 -4736 -3584 -3584 -2688 -2432 -2432 -3200 -4992 -4992 -4992 -4736 -3968 -3584 -2688 -2048 -2048 -2432 -1600 544 1024 2432 3968 2944 1344 1344 1024 800 2048 2688 5504 4480 3200 3200 2048 2048-1024 2688 4992 4992 3456 2688 2048 272 -4480 -3456 -1792 -2048 -2048 -1792 1024 -272 -2048 1024 544 3584 4480 5760 4480 3968 800 800 800 0 544 -1600 544 272 -1792 -544 -800 -1024 -1344 -1024 0 0 544 1792 2432 3584 5504
5760 6272 7296 9600 8576 9088 8064 8064 6528 5760 5504 5248 4736 3456 2688 3200 1024 -1024 -1600 -2944 -3968 -4480 -4992 -4480 -4480 -3456 -3584 -3456 -2944 -2048 -2048 -3456 -6528 -7296 -7040 -2944 0 -1792 -4736 -6272 -6784 -7296 -8064 -9088-12160
-12672-11648 -9600 -6784 -3200 544 3584 4992 3584 1344 -1344 -3584 -4480 -3840 -2688 -4736 -7296 -9088 -9600-10624-10112 -9600 -7296 -3584 1024 4480 5760 6784 5248 3968 4736 4480 2432 -1344 -4480 -4480 -1792 -544 -1344 -2688 -1600 -272 800 1344 1792
0 5 10 15-1500
-1000
-500
0
500
1000
1500
宿題
1) は、複素数値をとる 時間 t の関数であるが、
a)サイン、コサインを使ってどのように表されるか?
b)時間 t が進むにつれて、複素平面上でどのよう
な軌跡を描くか?
2) フーリエ級数とは ?
式を示して、「フーリエ級数」の意味するもの
を述べよ。(簡単でよい)
3) 質問や意見・要望があれば記入してください。
・ A4用紙に、学籍番号、氏名を最上段に記載・ 提出は次回の授業の終了後
tje ω
Ⅰ部 C科 3年
メディアと信号処理
宿題は、講義の 最後に 提出してください
( 第2回 )
演 習 と 宿 題
◇ 先週の宿題の最後に、
1) 問題 → sin ωt を 複素正弦波(ejωt )で表せcos ωt は使わない。
2) 質問や、意見・要望など(あれば)
を 記入して、提出してください。
◇ 今週の宿題
微分と積分の定義と、その定性的な意味を説
明せよ。 ( 関数 y(t) の微分および積分とは、
関数 y(t) の、何を計算しているのか?)
それぞれ、式1つ、図1つ、数行程度の説明
Page 3
3
Ⅰ部 C科 3年
メディアと信号処理
宿題は、講義の 最後に 提出してください
( 第3回 )
演習解答
( )
)sin(2
sincossincos
21sin
tjee
tjtetjte
eej
t
tjtj
tj
tj
tjtj
ω
ωω
ωω
ω
ωω
ω
ω
ωω
=−
−=
+=
−=
−
−
−
Q
オイラーの公式
j 2 ⇔ 2 j ( ×ωj )
-)
周波数分析が有効な例
(1)周期信号の検出
(長時間周波数分析)
0 1 2 3 4 5 6 7 8
x 10-3
-4
-2
0
2
4
0 1 2 3 4 5 6 7 8
x 10-3
-4
-2
0
2
4
0 1 2 3 4 5 6 7 8
x 10-3
-4
-2
0
2
4
波形(時間領域)で見た信号
正弦波750Hz
雑音
正弦波+ 雑音
正弦波が含まれていることがわかりづらい
波形(時間領域)で見た信号
正弦波750Hz
雑音
0 1 2 3 4 5 6 7 8
x 10-3
-4
-2
0
2
4
0 1 2 3 4 5 6 7 8
x 10-3
-4
-2
0
2
4
0 1 2 3 4 5 6 7 8
x 10-3
-4
-2
0
2
4
正弦波+ 雑音
Page 4
4
周波数スペクトルで見てみると
0 1000 2000 3000 400020
30
40
50
60
70
80
90
100
周波数 [Hz]
成分
の大
きさ
[dB
]
正弦波
雑音
正弦波が、はっきり見える
周波数 [Hz]
パルス信号(小レベル)の場合
パルス信号500Hz
雑音
パルス+ 雑音
時間
0 0.002 0.004 0.006 0.008 0.01 0.012-4
-2
0
2
4
0 0.002 0.004 0.006 0.008 0.01 0.012-4
-2
0
2
4
0 0.002 0.004 0.006 0.008 0.01 0.012-4
-2
0
2
4
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 400020
30
40
50
60
70
80
90
100
周波数 [Hz]
成分
の大
きさ
[dB
]
周波数スペクトルで見ると
周期信号の倍周波数構造が見える
周波数 [Hz]500
まとめ
信号を、
周波数領域で表して見ると、
時間領域では見えなかった
微小な信号も検出することができる
応用:車の回転音故障診断
心電図、脳波などの解析
電波望遠鏡、他
周波数分析が有効な例
(2)信号の性質を把握
波形で見る信号の違い
-2
-1.5
-1
-0.5
0
0.5
1
1.5
2
時間
・ 波形 → 大きな違いはない・ 音 → 大きな印象の差
-2
-1.5
-1
-0.5
0
0.5
1
1.5
2
時間
Page 5
5
調波構造を持った音
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000-60
-50
-40
-30
-20
-10
0
10
20
周波数 [Hz]
調波音 (高域を含む)高域を含む
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000-60
-50
-40
-30
-20
-10
0
10
20
周波数 [Hz]
調波音 (フルート風)4倍周波数まで含む
・ 周波数で見ると差が明確・ 差の意味 (信号の性質の差) も明確
問題 と 宿 題
◇ 先週の宿題の最後に、1) 問題 → フーリエ変換・逆変換の式を示せ
( しっかりと書いて記憶してください )
2) 質問や、意見・要望などあれば、 記入ください。
◇ 今週の宿題
問題配布 (倍周波数の正弦波の和)
Ⅰ部 C科 3年
メディアと信号処理
( 第4回 )
母音のスペクトル
「イ」
「オ」
「ウ」
低・高
中
低・中
「ア」 低・中・高
短時間分析の例(音声)
GoldWave aiueok_fem1_stereo.wav
Page 6
6
スペクトルグラムの例
ba kuon ga g i nse kaino ko gen ni hiro garu
bakuon0.wav suzumushiCO029[1].wav
方形波は正弦波の和として合成できる
x(t) = sin(ωt) +1/3・sin(3ωt)
+1/5・sin(5ωt) +1/7・sin(7ωt)+ ・・・・・
方形波 の合成
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
基本波 + 3倍波 + 5倍波
+ 7倍波 + 9倍波 + 11倍波
+ 13倍波 + 15倍波 + 17倍波
のこぎり波 の合成
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
基本波 + 2倍波 + 3倍波
+ 4倍波 + 5倍波 + 6倍波
+ 7倍波 + 8倍波 + 9倍波
0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06-1.5
-1
-0.5
0
0.5
信号の合成 (フルート風)
500Hz
1000Hz
1500Hz2000Hz
∑
0.03
0.1
0.3
1.00
-0.025 -0.02 -0.015 -0.01 -0.005 0 0.005 0.01 0.015 0.02 0.025
∑
f02f03f04f05f06f07f08f09f010f0
全ての周波数成分を等振幅で足すと、パルス信号になる。
0
信号の合成 (パルス信号)
Page 7
7
信号 の合成 (まとめ)
パルス信号のような孤立信号でも
正弦波を使って合成できた
いろいろな周波数の正弦波を
適当な比率で加え合わせることで、
あらゆる信号を合成できることができる
というフーリエ変換の意味が理解できる
信号の時間表現 と 周波数表現
0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06-1.5
-1
-0.5
0
0.5 500
時間
周波数
1000
1500
2000
0見る方向が違うだけで、両者は等価
周波数スペクトル
時間波形
信号 の分析と合成 (まとめ)
信号は、それを作っている
多数の正弦波に分解できる。
それを時間軸にそって合成したものが、
われわれの眼にする時間波形である。
一方、それを周波数軸にそって
各正弦波の振幅と位相で表したのが
周波数スペクトルである。
両者は、見る方向が違うだけの
等価な情報である。
問題 と 宿 題
◇ 先週の宿題の最後に、1) 問題 → 信号 x(t) のフーリエ変換を X(ω)
としたとき、振幅と位相はどのように表されるか? を示せ。
2) 質問や、意見・要望などあれば、 記入ください。
◇ 今週の宿題
1) 低域通過フィルタとは、どのような性質を持った
フィルタか?
2) 電気的な(またはディジタル)フィルタが
使われている応用例をあげよ。
Ⅰ部 C科 3年
メディアと信号処理
( 第5回 )
低域フィルタによる音楽・音声の周波数帯域制限
周波数[Hz]
20k16k8k4k2k1k
CDFMAM電話
利得
低域通過フィルタの特性
帯域制限 → 情報量が低減する→ 1本の電話線(電波)にたくさんの通話
Page 8
8
低域(通過)フィルタ(高域遮断)による雑音低減
sp_wn_01_02.wav
sp_wn_01_02_05kbnd.wav
音声区間検出 明瞭性とは別
「距離測定」の原理
測定信号発射
反射信号受信
時間
距離 =
電波が往復した時間
2
波の速度 ×波が往復した時間
現実の測定環境
測定電波
遠方になると反射音は小さくなる 妨害電波
「信号検出」の必要性
測定信号発射
反射信号受信
時間
音が往復した時間
雑音に埋もれた反射音を検出する必要がある
「距離測定」 が 使われる例
電波・ レーダー (気象・軍事)
水中音波:・ 潜水艦のソナー・ 魚群探知機
空中超音波:・ 自動車の障害物との距離(ソナー)・ カメラの被写体との距離
生体・ 超音波診断装置
などなど
問題 と 宿 題
◇ 先週の宿題の最後に、1)
上記の入出力系において、H(ω)=e-jωτ
である時、出力信号の振幅スペクトル|Y(ω)| は、どのようになるか?
2) 質問や、意見・要望などあれば、 記入ください。
◇ 今週の宿題
1) 帯域通過フィルタの応用例を一つ挙げよ。
2) 方形波形を低域通過フィルタに通すと
どのように波形が変化するか? (想像で良い)
系H(ω)
X(ω) Y(ω)
Page 9
9
Ⅰ部 C科 3年
メディアと信号処理
( 第6回 )
先週の問題の解答
基礎を忘れていた人は、http://www.asp.c.dendai.ac.jp/ (金田 Web ページ)
の、「授業」 → 「基本事項の解説」で、復習しておいてください。
Y(ω) = H(ω) X(ω) = e - jωτ X(ω)
なので、
| Y(ω)| = | e - jωτ X(ω) |
= | e - jωτ | ・|X(ω) | = |X(ω) |
1
高域通過フィルタによる雑音低減
s_n_500lpf_01_hpf.wav
s_n_500lpf_01.wav
画像と周波数、およびフィルタ
例
例えば、こういう信号(方形信号)の集まり。
信号の値は、各横線上の濃淡を表す( 1:白、 0:黒 )
1
1
1
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
各横線を信号として表示
信号と画像 の 例 (白黒図形)
信号の値は1と0。1は白、0は黒。この信号から四角が描ける。
Page 10
10
信号と画像 の 例 : 濃淡図形
1と0以外の値をとることで、濃淡画像が描ける
AZ:1, El:-86
一般の写真も信号の集まり
AZ:1, El:-86
一本の横信号
0 5 0 1 0 0 1 5 0 2 0 0 2 5 0 3 0 0 3 5 0 4 0 0 4 5 00
5 0
1 0 0
1 5 0
2 0 0
2 5 0明
暗
AZ:1, El:-86
一本の横信号
0 5 0 1 0 0 1 5 0 2 0 0 2 5 0 3 0 0 3 5 0 4 0 0 4 5 00
5 0
1 0 0
1 5 0
2 0 0
2 5 0
個々の横信号は、・ 正弦波に分解できる
画像は周波数成分を持つ
低い周波数(基本波) 3倍周波数
Page 11
11
このように、画像は、縦方向と横方向に
周波数成分を持っている。
したがって、
特定の周波数成分を除去したり、取り出したり、
などのフィルタ操作が実行できる。
画像とフィルタ 周波数と波形
・ 波形の角ばった部分、急激な変化部には、
高い周波数が含まれる。
→ 角や急激な変化を表すためには、
高い周波数が必要
→ 高い周波数が含まれないと、
角や急激な変化がなまってしまう。
方形波 の合成
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
0 50 100 150-2
-1
0
1
2
基本波 + 3倍波 + 5倍波
+ 7倍波 + 9倍波 + 11倍波
+ 13倍波 + 15倍波 + 17倍波
角を表現するには、高い周波数が必要
700 800 900 1000 1100 1200 1300-1
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
方形波の高周波成分をカット
方形波(199 倍波まで)
16倍以上をカット
8倍以上をカット
4倍以上をカット
高周波成分をカットすると、
波形の角がとれ、丸くなる。
0.08
0.04
0.02
1
情報の量
画像と低域フィルタ の 例
4倍周波以上の周波数を低域フィルタでカット
200倍周波まで含む
画像のプログレッシブ伝送・表示
0 225
180180×225 = 40k
100×100 = 10k
50×50 = 2.5k
25×25 = 0.6k
周波数成分の数
100%
25%
6%
1.5%
MAT Demo: imag_lpf_demo03MAT Demo: imag_lpf_demo02
f1
f2
ドットではなく周波数成分を伝送
Page 12
12
問題 と 宿 題
◇ 問題1) ラジオのチャンネルなどには帯域通過フィルタ
が使われているが、通過帯域の幅は色々である。以下の3つの応用において、帯域の幅の広いほうから順に並べよ。
AM放送、 FM放送、 テレビ2) 質問や、意見・要望などあれば、 記入ください。
◇ 今週の宿題
1) 信号(例えば音声信号)に対して、微分および積分を
行うと、信号の周波数成分はどのように変化するか ?
( 可能ならその根拠を示す。当てずっぽうでも可)
Ⅰ部 C科 3年
メディアと信号処理
( 第7回 )
先週の問題の解答
◇ 問題ラジオのチャンネルなどには帯域通過フィルタが使われているが、通過帯域の幅は色々である。以下の3つの応用において、帯域の幅の広いほうから順に並べよ。
AM放送、 FM放送、 テレビ
情報量が多い = 広い帯域幅を必要とする① テレビ: 画像信号も含まれているから② FM: 音の帯域が広い(高音質)し、ステレオ③ AM: モノラル
先々週の宿題の解答2) 方形波形を低域通過フィルタに通すと
どのように波形が変化するか? (想像で良い)
低域フィルタ ?時間
700 800 900 1000 1100 1200 1300-1
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
方形波の高周波成分をカット
方形波(199 倍波まで)
16倍以上をカット
8倍以上をカット
4倍以上をカット
高周波成分をカットすると、
波形の角がとれ、丸くなる。
時間
AZ:1, El:-86
微分(差分)の効果: 画像
0 5 0 1 0 0 1 5 0 2 0 0 2 5 0 3 0 0 3 5 0 4 0 0 4 5 00
5 0
1 0 0
1 5 0
2 0 0
2 5 0明
暗
Page 13
13
微分(差分)の効果: 画像
エッジの強調効果 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20-0.04
-0.02
0
0.02
0.04
0.06
0.08
0.1
0.12
積分(平均化)の効果: 音声
積分(平均化)の効果: 音声
0 50 100 150 200 250 300 350 400-0.2
-0.1
0
0.1
0.2
0 50 100 150 200 250 300 350 400-0.2
-0.1
0
0.1
0.2
いろいろなフィルタ
◇ グラフィックイコライザ
逆フィルタの例 (1)
逆フィルタ1 / H(f)
伝送系H(f)
0 1 0 1 0
◇ ディジタル信号の伝送系(アナログ)
変形
逆フィルタの例 (2)
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000
-60
-50
-40
-30
-20
-10
0
10スピーカの周波数特性
周波数[Hz]
相対
パワ
ー[d
B]
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000
-60
-50
-40
-30
-20
-10
0
10逆フィルタの周波数特性
周波数[Hz]
相対
パワ
ー[d
B]
◇ スピーカの特性の補正
Page 14
14
逆フィルタ(スピーカの特性をキャンセル)
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000
-60
-50
-40
-30
-20
-10
0
10 総合の周波数特性
周波数[Hz]
相対
パワ
ー[d
B]
逆フィルタの例 (2) 音声生成の数学モデル
音源信号 声道フィルタ
1A(z)
Y(z)E(z)
(微細構造) (スペクトル包絡)
声の大きさ高さ
音色
声帯 声道(全極モデル)
フィルタ作成デモ
filter_sekkei_demo01.m
今週の宿題
1) x-y 平面上の2点、(2, 3) と (4, 5) を通る直線の式を求めよ。
( y = a x + b の形)
2) x-y 平面上の3点、(2, 3) と (4, 5) と
(6, 6) を通る直線の式を求めよ。
求まらない場合は、理由を述べよ。
(問1の解法が使えない理由。
わかる範囲で)
問題
1) ・ ディジタルフィルタは、自由な特性が設計できるなどの点が、アナログフィルタより優れている。
・ ディジタルフィルタはコンピュータ技術の進歩に
伴い、この10年間で大幅に利用が進んだ。
・ 現在、オーディオの分野(イコライザなど)では、
ディジタルフィルタが主流であるが、
通信の分野(選局など)では、アナログフィルタが
多く使われている。
その理由を考えて、簡単に述べよ。
2) 質問や、意見・要望などあれば、 記入ください。
オーディオと通信の説明補足
音声ディジタル音声情報圧縮
電波通信処理(変調・選局
など)
オーディオ(Audio: 可聴信号)
通信(有線、無線)
Page 15
15
Ⅰ部 C科 3年
メディアと信号処理
( 第8回 )
扱う信号の周波数と ディジタルデータ量
オーディオ: 20kHz 以下ディジタルデータ数は、数万データ/秒
通信: 数 MHz ~数 GHz
ディジタルデータ数は、数百万~数十億データ/秒
ディジタルフィルタはコンピュータ。
通信の場合、オーディオの場合と比べて毎秒 百~十万倍もの計算が必要
通信に対しては、高速演算処理が必要
(利用が遅れている原因)
先週の回答に対するコメント
・ ディジタル信号は離散量になるので、誤差(量子化誤差)が発生するので、アナログフィルタのほうが精度が高い。
→ 誤り (アナログの雑音 > 誤差)
・ アナログフィルタは安価(半分 Yes)「選局」や「変調」などの簡単な定型処理はアナログのほうが安い。
雑音除去など、複雑や高性能なフィルタは
ディジタルが安価
・ ディジタルフィルタを通すと信号が遅延するので、リアルタイム性に優れたアナログフィルタを用いる(半分 Yes)ディジタルも、高速サンプリング高速処理で、遅延は減少できる
先週の回答に対するコメント
平均2乗誤差 J
t1 t 2 t 3 t 4 t 5
y1
y2
e1
e2 e3e4
e5
図 5.2 近似直線と誤差eは、データ点 (t1,y1)、(t2,y2)、・・・ を表す
近似直線
y = at + b
)(1 222
21 Neee
NJ +++= L
誤差の大きさを表す評価量
誤差の2乗の平均
( )btaye iii +−=
最小2乗法の原理
平均2乗誤差 J を最小にするパラメータ
を求める方法
例) 直線近似の場合、
∑
∑
=
=
−−=
=
N
iii
N
ii
btayN
eN
J
1
2
1
2
)(1
1
最小にすべき評価量 J は
パラメータ a、b の
2次関数
Page 16
16
平均2乗誤差 J を最小にするパラメータ
J は、パラメータ a,bの2次関数なので、
J を パラメータで偏微分して、0と置いた
連立方程式を解けばよい
0)(21
0)(21
1
1
=−⋅−−=∂∂
=−⋅−−=∂∂
∑
∑
=
=
N
iii
N
iiii
btayNb
J
btaytNa
J
最小2乗法
望ましい値 - 実現値 = 誤差 として、
誤差の2乗和(平均) J を最小にする
パラメータを見つける方法。
J がパラメータの2次関数であるとき、
J をパラメータで偏微分して 0 とおいた
連立方程式を解く
問題
(3) 質問、意見、要望などがあれば、記入ください。
⎩⎨⎧
+⋅=+⋅=
btaybtay
22
11
を行列を使って表せ。
(1) 連立1次方程式
(2) 行列を使って、上記の方程式を解け。→ a,b を t1,t2,y1,y2 を使った行列で表す。行列の要素を計算する必要は無い。
Ⅰ部 C科 3年
メディアと信号処理
( 第9回 )
前回の問題
⎩⎨⎧
+=+=
btaybtay
22
11
を行列を使って表せ。 a,b を求めよ。
aTy =
⎥⎦
⎤⎢⎣
⎡⎥⎦
⎤⎢⎣
⎡=⎥
⎦
⎤⎢⎣
⎡
+⎥⎦
⎤⎢⎣
⎡=⎥
⎦
⎤⎢⎣
⎡
ba
tt
yy
btt
ayy
11
2
1
2
1
2
1
2
1
yTa 1
2
11
2
1
11
−
−
=
⎥⎦
⎤⎢⎣
⎡⎥⎦
⎤⎢⎣
⎡=⎥
⎦
⎤⎢⎣
⎡
yy
tt
ba
×
○
これでは a,b が解けない。
Page 17
17
平均2乗誤差最小の正弦波
J = { y(t)-b・sin(ωt) }2
y(t)
0=∂∂bJ
を最小にする b を求める
を解けばよい
平均2乗誤差最小の正弦波
∫ ⋅=T
dtttyT
b0
)sin()(2 ω
最適なパラメータの求め方
= フーリエ係数の求め方
FIR フィルタ
x(k) y(k)x(k)
x(k-1)
x(k-2)
x(k-Q)
hQ
h2
h1
h0
y(k) =Σhi x(k-i)i = 0
Qz-1
z-1
z-1
フィルタの特性は、係数(hi)で決定
差分フィルタ{ h0=1, h1=-1 }
x y
平均フィルタ{ h0=0.5, h1=0.5 }
x y高域カット
低域カット
0 50 100 150 200 250 300 350 400-0.2
-0.1
0
0.1
0.2
0 50 100 150 200 250 300 350 400-0.2
-0.1
0
0.1
0.2
Ⅰ部 C科 3年
メディアと信号処理
( 第10回 )
Page 18
18
フィルタ設計理論
定型フィルタ
(ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ
などの周波数選択型フィルタ、など)
→ 別授業で設計理論
定型形 フィルタの設計例
目的依存型のフィルタの作り方
フィルタの目的→ 欲しい信号(目標信号)の出力
欲しい信号を出力するフィルタの代表的な作り方
最小二乗法の利用
平均2乗誤差を最小にするフィルタ
FIR
フィルタ
+-
目標信号
誤差
入力xk
出力yk
hk
dk
ek
出力を目標信号に近づけたい
目標信号と出力の差(誤差)の二乗平均値を最小にする FIR フィルタ係数 hk
評価量(誤差)を最小とするフィルタを
最適フィルタ と呼ぶ。
雑音(不要音)の除去
S
スピーカと部屋の特性
が付加→ 波形変形
Page 19
19
雑音(不要音)の除去
スピーカと部屋の特性
を持つフィルタ
+-
スピーカと部屋の特性
が付加→ 波形変形
d
y e
x
h
雑音(不要音)の除去
S
スピーカと部屋の特性
を持つフィルタ
+-
スピーカと部屋の特性
が付加→ 波形変形
逆フィルタ
+-
d(k)
y(k)x(k)逆フィルタ
誤差 e(k)伝達系
誤差最小で復元するフィルタを求める。
d(k)
伝達系で変形した信号を元の信号 x(k) に戻す。
安物スピーカ
逆フィルタ
逆フィルタ
安物スピーカ
伝達系
安物スピーカ
伝達系
悪くなったもの、なるもの、を良くする
Ⅰ部 C科 3年
メディアと信号処理
( 第11回 )
Page 20
20
試験について
◇ 範囲: 授業で説明した内容すべて
黒板に書いた内容、
配布資料の内容、
話をした内容、
問題や宿題、ほか
◇ ノート・資料の持込は不可です
試験について
◇ 勉強方法
ノートと資料をよく読んで、内容を理解してください。
覚える、ことも必要ですが、
理解すること、にも重点をおいてください。
例) 最小2乗法とは、
どういう問題を解くための どういう手法で、
どのような応用例を持つか?
というようなことが説明できるように
遅延時間τ(波形のズレ)がわかれば、音源方向θがわかる
τ= d sinθ / c θ:音源方向c:音速
θ
d
M1
M2
τ
θ= sin-1(cτ/d)
x1(k)
x2(k)
相関関数が必要な例
t
t
T
x(t)
y(t)
y(t) と x(t) との遅れ時間
(波形のズレ)を
求める問題
実際の状況では、
この図のように、見てすぐに
わかる場合は少ない!
(雑音が加わって、
波形も変形している)
どちらがどの位ずれているか?
x(t)
y(t)
0 200 400 600 800 1000-4
-2
0
2
4
0 200 400 600 800 1000-4
-2
0
2
4
相関関数を計算して見ると、
φxy(τ)
τy(k) が 100 遅れている
-200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200-100
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
Page 21
21
視覚ではわかりにくい
x(t)
y(t)
0 200 400 600 800 1000-4
-2
0
2
4
0 200 400 600 800 1000-4
-2
0
2
4
波形を拡大してみた
x(t)
y(t)
0 50 100 150 200-4
-2
0
2
4
0 50 100 150 200-4
-2
0
2
4
これでわかった
0 50 100 150 200-4
-2
0
2
4
0 50 100 150 200-4
-2
0
2
4
x(t)
y(t)
相関関数を用いれば、一目瞭然
φxy(τ)
τy(k) が 100 遅れている
-200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200-100
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
問題(1):ディジタル信号 x,y,z の相関 φxy φxz を計算せよ
x
x
y
z
(2): 質問・意見・要望など
時間
⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜
⎝
⎛
−
−=
10101
010
x
⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜
⎝
⎛
−
−=
5.005.0
05.0
05.0
0
y
⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜
⎝
⎛
−
−
−
−
=
5.05.0
5.05.0
5.05.0
5.05.0
z
Page 22
22
Ⅰ部 C科 3年
メディアと信号処理
( 第12回 )
信号の相関
∫∞
∞−= dttytx
tytx
xy
xy
)()(
)( )(
φ
φ はの相関信号と信号
相関は、2つの信号の積の積分
信号の類似性 と 信号の積
10 20 30 40 50-3
-2
-1
0
1
2
3
10 20 30 40 50-5
0
5
10 20 30 40 50-3
-2
-1
0
1
2
3
10 20 30 40 50-5
0
5
)()( kykx
)(kx)(ky
積はすべて正 → 相関大 正負が混じる → 相関小
信号の積
似ている 似ていない
相関の意味
相関の大小は、
2つの信号波形の類似性を
反映している
相関関数
∫∞
∞−= dttytx
tytx
xy
xy
)()(
)( )(
φ
φ はの相関信号と信号
一方の信号をτずらした時の相関
τは変数
∫∞
∞−+= dttytxxy
xy
)()()(
)( )(
ττφ
τφ は相関関数相互
相関関数のイメージ
t
t
x(t)
y(t)
ty(t +τ)
ττずらす
τずらした波形とどのくらい似ているか
Page 23
23
相関の応用: 「距離測定」の原理
測定音
反射音
測定信号発射
反射信号受信
時間
往復の時間
「距離測定」の原理
測定信号発射
反射信号受信
時間
距離 =
音が往復した時間
2
音速 ×音が往復した時間
現実の測定環境
測定音
遠方になると反射音は小さくなる
妨害音(周囲騒音など)
周波数選択フィルタによる「信号検出」
測定信号発射
反射信号受信
時間
音が往復した時間
周波数選択フィルタで雑音に埋もれた反射音を検出
「信号検出」の必要性
測定信号発射
反射信号受信
時間
音が往復した時間
信号と雑音の周波数成分が重なっている場合には、周波数選択フィルタは使えない。
→ 相関関数の利用
周波数選択フィルタで雑音に埋もれた反射音を検出
雑音に埋もれた信号検出の例
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000-4
-2
0
2
4
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000-4
-2
0
2
4
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000-4
-2
0
2
4
この信号がどこかに埋もれている
s(t)
n(t)
x(t)= n(t) + s(t +τ)
Page 24
24
検出結果
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000-4
-2
0
2
4
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000-4
-2
0
2
4
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000-4
-2
0
2
4
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000-4
-2
0
2
4
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000-4
-2
0
2
4
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000-4
-2
0
2
4
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000
-20
-10
0
10
20
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000-4
-2
0
2
4
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000-4
-2
0
2
4
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000-4
-2
0
2
4
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000
-20
-10
0
10
20
s(t)
n(t)
x(t)
φsx(τ)
最大
相関関数
カメラの手ぶれ検出
・ 画像のズレを検出する・ 実際には回転方向に対しても
相関を検出する。
自己相関関数 φxx(τ)の応用例
NixixN
ixx /)()()(
1∑=
+⋅= ττφ
母音の周期性
0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4-0.25
-0.2
-0.15
-0.1
-0.05
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
時間 [s]5 10 15
-0.25
-0.2
-0.15
-0.1
-0.05
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
時間 [ms]
周期
声の高さ(ピッチ)は周期の逆数
自己相関関数 φxx(τ)を計算
5 10 15
-0.25
-0.2
-0.15
-0.1
-0.05
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
時間 [ms]-6 -4 -2 0 2 4 6
-100
-50
0
50
100
150
200
時間 [ms]
自己相関関数
τ=0 で最大
周期を表すピーク
∑=
+⋅=N
ixx ixix
1)()()( ττφ
時間:)( iix
3.5 3.6 3.7 3.8 3.9 4 4.1
40
60
80
100
120
140
160
180
200
時間 [ms]
自己相関関数
周期 T は 3.8 ms、声の高さ(周波数)は、1/T =263 Hz
(フーリエ変換より計算が簡単で早い)
雑音が重畳した信号の周期
信号
雑音
信号+雑音周期はわかりづらい
周期
0 50 100 150-0.5
0
0.5
0 50 100 150-0.5
0
0.5
0 50 100 150-0.5
0
0.5
0 50 100 150-50
0
50
100
自己相関を計算すると周期がわかる
)(τφxx
Page 25
25
自己相関関数
◇ 信号の周期性が検出できる。
◇ 応用は、
・ 音声の周期検出、(=声の高さ検出)
・ 周期性に基づいた情報圧縮
・ 雑音に埋もれた周期性の検出
(生体信号、 現象の予測、など)
むすび
信号処理は、
音声や画像などのメディア技術のほか、
無線・有線通信技術、生体工学、計測、
機械制御工学など、さまざまな分野で
役立つ、重要な基本技術である。
むすび
本講義では、
これまで学んできた、数学や専門科目と
関連付けて
信号処理の基礎を説明してきた。
講義のまとめ
□ 周波数分析: フーリエ変換( 全ての信号は正弦波に分解できる )
□ フィルタ: 周波数選択、微分・積分
( 音質改善や雑音除去 )( 画像も周波数成分を含み、フィルタが適用できる)
□ 最小2乗法: 評価関数(2次関数)、偏微分
( 平均2乗誤差を最小にする最適フィルタの設計 )( 系の同定、信号の予測、逆フィルタ)
□ 相関関数: ディジタル信号ではベクトルの内積
(類似性、時間差、周期性などの検出 )
おわりに
信号を扱う研究室・職業をめざす人は
今後、より高度な信号処理技術の
勉強を進めていくことになると思うが、
この講義で学んだことが、
理解への一助になれば幸いである。