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【臨床試験成績のまとめ】 1898)長期投与における胃粘膜萎縮に関する考察 近年, H.pylori 陽性患者に PPI を長期間投与すると胃粘膜萎縮が進展するとの報告がなされ ている。H.pylori 感染と胃癌の進展についての浅香の仮説 5 (図ト-71)では,胃粘膜萎 縮は腸上皮化生を経て胃癌発生へと至ると考えられている。本項では,PPI 長期投与による胃 粘膜萎縮に関する臨床報告を示し,RPZ を長期投与した際の胃粘膜萎縮の進展,胃癌発生の可 能性について考察する。 図ト-71 H.pylori 感染と胃癌の進展についての浅香の仮説 1) ①胃粘膜萎縮に関する文献報告 1996 年に Kuipers 6 は,H.pylori 陽性の逆流性食道炎患者に対して PPI を長期間投与す ると胃体部の萎縮性胃炎が進展すると報告している。この報告は,逆流性食道炎を対象に, omeprazole 維持療法群(オランダ人 105 例<平均年齢 62 歳>に omeprazole 2040mg/日投与) と外科的治療群(スウェーデン人 72 例<平均年齢 53 歳>)との間の萎縮性胃炎の発現を,そ れぞれの国において平均 5 年間(38 年)にわたって追跡調査したものである。その結果, omeprazole 維持療法群の H.pylori 陽性患者では胃体部の萎縮性胃炎の進展が認められたが, omeprazole 維持療法群の H.pylori 陰性患者及び外科的治療群では胃体部の萎縮性胃炎の進展 はほとんど認められなかった(表ト-735)。この結果より,Kuipers 6 H.pylori 陽性 の逆流性食道炎患者に PPI を長期投与すると胃体部の萎縮性胃炎が進展すると結論している。 表ト-735 omeprazole 維持療法群及び外科的治療群の胃体部萎縮性胃炎の推移 2 胃体部萎縮性胃炎の割合 H.pylori 陽性患者 H.pylori 陰性患者 調査開始時 調査終了時 調査開始時 調査終了時 omeprazole 維持療法群 0/59(0) 18/59(30.5) 0/46(0) 2/46(4.3) 外科的治療群 1/31(3.2) 1/31(3.2) 0/41(0) 0/41(0) omeprazole 維持療法群>オランダ人,平均年齢:62 歳,omeprazole 投与量:2040mg/日, 追跡調査期間:平均 5 年間 <外科的治療群>スウェーデン人,平均年齢:53 歳,追跡調査期間:平均 5 年間 : 5Asaka, M. et al.: What role does Helicobacter pylori play in gastric cancer?. Gastoroenterology, 113, S56-S60(1997) 6Kuipers, E. J. et al.: Atrophic gastritis and Helicobacter pylori infection in patients with reflux esophagitis treated with omeprazole or fundoplication. N. Engl. J. Med., 334, 1018-1022(1996) H.pylori 感染 は関与しない 正常胃粘膜 表層性胃炎 未分化型胃癌 萎縮性胃炎 腸上皮化生 環境因子 宿主要因 抗体価の高い H.pylori 感染 進行癌 分化型早期胃癌 全てのH.pylori 遺伝子損傷
17

長期投与における胃粘膜萎縮に関する考察 H.pylori PPI を長 …...近年,H.pylori陽性患者に...

Feb 04, 2021

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  • 【臨床試験成績のまとめ】

    -189-

    8)長期投与における胃粘膜萎縮に関する考察

    近年,H.pylori陽性患者に PPIを長期間投与すると胃粘膜萎縮が進展するとの報告がなされ

    ている。H.pylori 感染と胃癌の進展についての浅香の仮説 5)(図ト-7-1)では,胃粘膜萎

    縮は腸上皮化生を経て胃癌発生へと至ると考えられている。本項では,PPI 長期投与による胃

    粘膜萎縮に関する臨床報告を示し,RPZ を長期投与した際の胃粘膜萎縮の進展,胃癌発生の可

    能性について考察する。

    図ト-7-1 H.pylori感染と胃癌の進展についての浅香の仮説 1)

    ①胃粘膜萎縮に関する文献報告

    1996年に Kuipersら 6)は,H.pylori陽性の逆流性食道炎患者に対して PPIを長期間投与す

    ると胃体部の萎縮性胃炎が進展すると報告している。この報告は,逆流性食道炎を対象に,

    omeprazole維持療法群(オランダ人 105例<平均年齢 62歳>に omeprazole 20~40mg/日投与)

    と外科的治療群(スウェーデン人 72例<平均年齢 53歳>)との間の萎縮性胃炎の発現を,そ

    れぞれの国において平均 5 年間(3~8 年)にわたって追跡調査したものである。その結果,

    omeprazole 維持療法群の H.pylori陽性患者では胃体部の萎縮性胃炎の進展が認められたが,

    omeprazole 維持療法群の H.pylori陰性患者及び外科的治療群では胃体部の萎縮性胃炎の進展

    はほとんど認められなかった(表ト-7-35)。この結果より,Kuipersら 6)は H.pylori陽性

    の逆流性食道炎患者に PPIを長期投与すると胃体部の萎縮性胃炎が進展すると結論している。

    表ト-7-35 omeprazole維持療法群及び外科的治療群の胃体部萎縮性胃炎の推移 2)

    胃体部萎縮性胃炎の割合

    H.pylori陽性患者 H.pylori陰性患者 群

    調査開始時 調査終了時 調査開始時 調査終了時

    omeprazole

    維持療法群 0/59(0) 18/59(30.5) 0/46(0) 2/46(4.3)

    外科的治療群 1/31(3.2) 1/31(3.2) 0/41(0) 0/41(0)

    <omeprazole維持療法群>オランダ人,平均年齢:62歳,omeprazole投与量:20~40mg/日, 追跡調査期間:平均 5年間

    <外科的治療群>スウェーデン人,平均年齢:53歳,追跡調査期間:平均 5年間 ( ): % 5)Asaka, M. et al.: What role does Helicobacter pylori play in gastric cancer?. Gastoroenterology, 113, S56-S60(1997) 6)Kuipers, E. J. et al.: Atrophic gastritis and Helicobacter pylori infection in patients with reflux esophagitis

    treated with omeprazole or fundoplication. N. Engl. J. Med., 334, 1018-1022(1996)

    H.pylori 感染は関与しない

    正常胃粘膜

    表層性胃炎

    未分化型胃癌

    萎縮性胃炎

    腸上皮化生環境因子

    宿主要因

    抗体価の高い

    H.pylori 感染

    進行癌 分化型早期胃癌

    全てのH.pylori

    遺伝子損傷

  • 【臨床試験成績のまとめ】

    -190-

    Kuipersらの報告に対して FDAは,omeprazole維持療法群と外科的治療群は異なる背景の国

    の成績であることや群間に年齢差がある等の理由により, PPIの長期投与が胃体部の萎縮性胃

    炎を進展させるか否かを結論づけることはできないと提言している 7)。

    一方,Lundellら 8)は 1999年に H.pylori陽性の逆流性食道炎患者に対して PPIを長期間投

    与しても胃体部の萎縮性胃炎は進展させないと報告している。この報告は,北欧(スウェーデ

    ン,フィンランド,ノルウェー,デンマーク)の逆流性食道炎患者を,omeprazole維持療法群

    (155例:男性 116例で平均年齢 50歳/女性 39例で平均年齢 59歳,omeprazole 20~40mg/日

    投与)と外科的治療群(144例:男性 110例で平均年齢 48歳/女性 34例で平均年齢 62歳)に

    無作為に割付け,約 3 年間追跡調査したものである。その結果,H.pylori 陽性患者では

    omeprazole 維持療法群と外科的治療群ともに胃体部の萎縮性胃炎の進展が認められたが,

    H.pylori 陰性患者では omeprazole 維持療法群と外科的治療群ともに胃体部の萎縮性胃炎の進

    展はほとんど認められなかった(表ト-7-36,37)。このことから,Lundell ら 8)は,胃粘

    膜萎縮は治療法には関係なく進展し,H.pyloriの感染の有無に関係があると結論している。

    表ト-7-36 H.pylori陽性逆流性食道炎患者における胃体部萎縮性胃炎保有者の推移8)

    試験終了時 omeprazole

    維持療法群 なし 軽度 中等度 高度 不明 計

    なし 25(62.5) 3(7.5) 5(12.5) 0 (0) 33(82.5) 軽度 4(10.0) 0 (0) 1(2.5) 1(2.5) 1(2.5) 7(17.5) 中等度 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 高度 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 不明 0 (0)

    試験開始前

    計 29(72.5) 3(7.5) 6(15.0) 1(2.5) 1(2.5) 40(100) 試験終了時 外科的

    治療群 なし 軽度 中等度 高度 不明 計

    なし 32(60.4) 4(7.5) 2(3.8) 0(0) 5(9.4) 43(81.1) 軽度 4(7.5) 2(3.8) 0 (0) 0(0) 6(11.3) 中等度 1(1.9) 1(1.9) 0 (0) 1(1.9) 3(5.7) 高度 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 不明 1(1.9) 1(1.9)

    試験開始前

    計 38(71.7) 7(13.2) 2(3.8) 1(1.9) 5(9.4) 53(100)

    シドニー分類による程度(なし,軽度,中等度,高度)の分類 ( ): %

    7)Proton pump inhibitor relabeling for cancer risk not warranted;long-term studies recommended. FDC report 11(1996)

    8)Lundell, L. et al.: Lack of effect of acid suppression therapy on gastric atrophy. Gastoroenterology, 117, 319- 326(1999)

  • 【臨床試験成績のまとめ】

    -191-

    表ト-7-37 H.pylori陰性逆流性食道炎患者における胃体部萎縮性胃炎の推移8)

    試験終了時 omeprazole

    維持療法群 なし 軽度 中等度 高度 不明 計

    なし 105(91.3) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 4(3.5) 109(94.8)軽度 3(2.6) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 3(2.6) 中等度 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 高度 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 不明 3(2.6) 3(2.6)

    試験開始前

    計 111(96.5) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 4(3.5) 115(100)試験終了時 外科的

    治療群 なし 軽度 中等度 高度 不明 計

    なし 72(80.0) 4(4.4) 0 (0) 0 (0) 8(8.9) 84(93.3)軽度 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 1(1.1) 1(1.1) 中等度 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 高度 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 不明 5(5.6) 5(5.6)

    試験開始前

    計 77(85.6) 4(4.4) 0 (0) 0 (0) 9(10.0) 90(100) シドニー分類による程度(なし,軽度,中等度,高度)の分類

    ( ): %

    さらに,Lundellら 8)は腸上皮化生についても検討を行っており,H.pylori陰性患者につい

    ては,omeprazole維持療法群,外科的治療群ともに試験前後で腸上皮化生が認められた患者の

    割合に変化は認められなかった。一方,H.pylori 陽性患者では omeprazole 維持療法群で試験

    終了時に新たに腸上皮化生を発現した患者が認められたが,いずれも胃癌の発症リスクがない

    と考えられている type I であり,外科的治療群との間に違いは認められなかった(表ト-7-

    38)。

    このことから,Lundell ら 8)は,PPI の長期投与によって腸上皮化生は進展しないと結論し

    ている。

    表ト-7-38 H.pylori陽性逆流性食道炎患者における胃体部腸上皮化生の推移8)

    試験終了時 omeprazole

    維持療法群 なし 軽度 中等度 高度 不明 計

    なし 36(90.0) 1(2.5) 1(2.5) 0 (0) 1(2.5) 39(97.5) 軽度 0 (0) 1(2.5) 0 (0) 0 (0) 1(2.5) 中等度 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 高度 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 不明 0 (0)

    試験開始前

    計 36(90.0) 2(5.0) 1(2.5) 0 (0) 1(2.5) 40(100) 試験終了時 外科的

    治療群 なし 軽度 中等度 高度 不明 計

    なし 42(79.2) 2(3.8) 0 (0) 0 (0) 5(9.4) 49(92.4) 軽度 2(3.8) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 2(3.8) 中等度 0 (0) 0 (0) 0 (0) 1(1.9) 1(1.9) 高度 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 不明 1(1.9) 1(1.9)

    試験開始前

    計 45(84.9) 2(3.8) 0 (0) 1(1.9) 5(9.4) 53(100) シドニー分類による程度(なし,軽度,中等度,高度)の分類

    ( ): %

  • 【臨床試験成績のまとめ】

    -192-

    また,上村ら 9)は H.pylori 陽性の消化性潰瘍及び逆流性食道炎患者に 3 年間の胃酸分泌抑制剤

    による治療を行い(omeprazole 20mg/日のみを 3年間投与した患者 7例,omeprazole 20mg/日で 8

    週間初期治療を行った後 famotidine 40mg/日の維持療法を行った患者 134例),胃体部の H.pylori

    菌量,組織学的胃炎(好中球浸潤),胃粘膜萎縮を内視鏡的あるいは病理組織学的に検討している。

    omeprazole 20mg/日のみで 3年間治療した患者のうち,治療開始前に中等度もしくは高度の胃炎が

    認められた 4 例は H.pylori 菌量及び好中球浸潤が減少し,治療開始前の胃炎の程度が軽度であっ

    た 3例は omeprazole投与 8週後に一過性に好中球浸潤の増悪が認められた(図ト-7-2)。また,

    141 例全体の胃体部の萎縮性胃炎及び胃体部と前庭部の腸上皮化生の重症度推移は,ともに観察前

    後で有意な差は認められなかった(図ト-7-3)。これらの結果から上村ら 9)は,酸分泌抑制剤の

    投与による胃体部胃炎への影響は投与前の胃炎の重症度に関係し,日本人の患者では胃酸分泌抑制

    剤の長期投与によって胃粘膜萎縮や腸上皮化生を明らかに進展させることはないと結論している。

    図ト-7-2 omeprazole長期投与時の胃体部の H.pylori菌量及び好中球浸潤の推移 9)

    ○は中等度もしくは高度の胃炎患者,●は軽度の胃炎患者

    図ト-7-3胃酸分泌抑制剤長期投与時の胃粘膜萎縮及び腸上皮化生の推移 9)

    9) Uemura, N. et al.: Changes in Helicobacter pylori-induced gastritis in the antrum and corpus during long-term acid-suppressive treatment in Japan. Aliment. Pharmacol. Ther., 14, 1345-1352(2000)

    3

    2

    1

    0

    観察期間

    スコア

    前 8w 1y 2y 3y

    H.pylori 菌量 好中球浸潤3

    2

    1

    0

    観察期間

    スコア

    前 8w 1y 2y 3y

    スコア

    2

    1.8

    1.6

    1.4

    1.2

    1前 8w 1y 2y 3y

    観察期間

    胃粘膜萎縮3

    2

    1

    0

    観察期間

    スコア

    前 8w 1y 2y 3y

    胃体部前庭部

    腸上皮化生

  • 【臨床試験成績のまとめ】

    -193-

    ②RPZ長期投与における胃粘膜萎縮の検討

    国内試験(添付資料ト-1,投与期間:24週間)の病理組織学的検査における H.pylori陽性、

    陰性別の胃体上部大弯部の HE染色胃粘膜細胞数の推移を表ト-7-39に示した。

    H.pylori陽性の患者において,継続投与期(20mg/日投与)及び維持療法期の 10mg群で試験

    終了時の HE染色陽性細胞密度が試験開始時より増加していたが,維持療法期 20mg群では減少

    していた。これらの変動はいずれも有意ではなく,胃粘膜細胞密度の明らかな変動は認められ

    なかった(Wilcoxonの 1標本検定)。

    表ト-7-39 国内試験の病理組織学的検査による HE染色胃粘膜細胞密度(/mm2)

    H.pylori陽性注) H.pylori陰性注)

    例数 開始時 終了時 例数 開始時 終了時

    継続投与期

    (20mg/日) 4 3444.0±1462.3 3608.0±875.5 16 4689.4±2277.4 4448.5±1467.9

    10mg 10 3952.4±1650.4 4772.4±1181.2 19 3733.2±1423.8 4358.9±1743.8維持療法期

    20mg 8 4546.9±1995.9 4346.0±1009.1 15 4499.1±1193.5 4072.7±1398.7

    注)陽性:抗 H. pylori IgG抗体が+,陰性:抗 H. pylori IgG抗体が-及び±

    海外で実施した RPZの臨床試験(参考資料ト-1~4,投与期間:52週間)の胃粘膜組織学的

    検査による胃粘膜萎縮及び腸上皮化生の検討結果を表ト-7-40に示した。

    米国と欧州のいずれの試験においても,胃粘膜萎縮及び腸上皮化生のない患者の割合が試験

    開始時と終了時とで大きく異なることはなかった(概要 110,122,139,154)。

    表ト-7-40 海外臨床試験の胃粘膜組織学的検査における萎縮並びに腸上皮化生

    前庭部萎縮なし 胃体部萎縮なし前庭部

    腸上皮化生なし

    胃体部

    腸上皮化生なし

    国名

    (資料

    番号)

    投与群

    開始時 終了時 開始時 終了時 開始時 終了時 開始時 終了時

    10mg群 78/95

    (82) 73/95(77)

    82/95 (86)

    73/95(77)

    20mg群 78/94

    (83) 76/94(81)

    79/94 (84)

    75/94(80)

    米国 (参ト-1)

    プラセボ群 82/99

    (83) 78/99(79)

    83/99 (84)

    79/99(80)

    10mg群 53/70

    (76) 33/70(47)

    52/70 (74)

    32/70(46)

    20mg群 53/69

    (77) 42/69(61)

    53/69 (77)

    43/69(62)

    米国 (参ト-2)

    プラセボ群 53/70

    (76) 33/70(47)

    53/70 (76)

    33/70(47)

    10mg群 51/82 (62)

    50/82(61)

    66/82(80)

    67/82(82)

    53/82(65)

    49/82 (60)

    75/82 (91)

    70/82(85)

    20mg群 52/78 (67)

    51/78(65)

    60/78(77)

    57/78(73)

    55/78(71)

    44/78 (56)

    67/78 (86)

    69/78(88)

    欧州 (参ト-3)

    omeprazole群

    57/83 (69)

    47/83(57)

    69/83(83)

    62/83(75)

    56/83(67)

    43/83 (52)

    74/83 (89)

    71/83(86)

    10mg群 59/63 (94)

    48/56(86)

    58/65(89)

    53/59(90)

    56/61(92)

    45/54 (83)

    63/65 (97)

    58/58(100)

    20mg群 58/62 (94)

    49/52(94)

    53/63(84)

    40/51(78)

    53/59(90)

    45/48 (94)

    61/64 (95)

    49/52(94)

    欧州 (参ト-4)注)

    omeprazole群

    57/61 (93)

    46/48(96)

    54/64(84)

    42/52(81)

    55/60(92)

    43/47 (91)

    63/64 (98)

    52/52(100)

    “該当例数/全検査例数”を示した。

    ( ): % 注)先行試験(参ト-3)にて再発が認められなかった患者に 52週間(計 104週間)投与

  • 【臨床試験成績のまとめ】

    -194-

    ③長期投与における胃粘膜萎縮に関する考察のまとめ

    前述したように,国内及び海外での文献報告では,PPI の長期投与における胃粘膜萎縮の進

    展について一定の見解が得られていないのが現状である。

    しかし,RPZ の国内試験では長期投与によって胃粘膜細胞数の明らかな変動はなく,海外試

    験では胃粘膜萎縮及び腸上皮化生のない患者の割合が試験開始時と終了時とで大きく異なる

    ことはなかったことから,RPZ の長期投与によって胃粘膜萎縮が進展することはなく,さらに

    腸上皮化生,胃癌が発生する可能性は非常に低いものと考えられる。

    なお,国内試験(添付資料ト-1)において内視鏡的に胃ポリープが 2例に認められ、その後

    いずれの症例も病理組織学的に過形成性であることが確認されている。 1例は治療期に発現し,

    もう 1例は維持療法期終了時(famotidine投与群の症例であったが,治療期薬剤との因果関係

    が否定できなかった)に発現した。

    胃ポリープは本邦においては集団検診においても 0.1~1.6%の割合で発見されており,中で

    も過形成性ポリープは胃ポリープの 88~96%と大半を占めると言われている 10)。さらに,過

    形成性胃ポリープは胃の良性腫瘍の中で最も多い疾患であり,癌化の頻度は低く,また比較的

    高齢者に多く自然発生することも報告されている 11)。しかし,海外(欧州)試験(参考資料

    ト-4)においても過形成性胃ポリープが 2 例に認められていることから,「使用上の注意」

    の「9.その他の注意」の項に胃ポリープの発現について追加記載し,注意喚起を図ることとし

    た(概要 234頁)。

    10)原田一道ら:胃ポリープの内視鏡分類.消化器内視鏡. 12, 44-46(2000) 11)山田達也,石川勉:胃ポリープ. 最新内科学体系 43「4.胃癌」, 中山書店, 127-136(1992)

  • 【臨床試験成績のまとめ】

    -195-

    9)肝薬物代謝酵素チトクローム P450 2C19(CYP 2C19)の遺伝的多型に関する考察

    ①RPZの代謝と CYP2C19の遺伝的多型

    RPZの代謝については,これまでに実施された臨床試験 12,13)の結果から図ト-7-4に示す代謝経

    路が推定されている 14,15)。すなわち,血中における主代謝物はスルホキサイド部位が還元されたチ

    オエーテル体であり,次いで同部位が酸化されたスルホン体である。脱メチル体及び脱メチルチオ

    エーテル体は血中にほとんど検出されず,最終的に尿中にチオエーテルカルボン酸体及びそのグル

    クロン酸抱合体,メルカプツール酸抱合体として排泄される。さらに RPZの代謝に関与する肝薬物

    代謝酵素については,肝ミクロゾームを用いた検討により,スルホン体の生成に CYP3A4,脱メチル

    体の生成に CYP2C19 が関与するが,チオエーテル体の生成過程は P450 分子種が関与しない非酵素

    的還元反応であることが明らかにされている 16)。

    図ト-7-4 RPZの代謝経路 15)

    12)ラベプラゾールナトリウム及びパリエット錠 10mg,20mg製造承認申請書添付資料ヘー23

    13)ラベプラゾールナトリウム及びパリエット錠 10mg,20mg製造承認申請書添付資料ヘー26

    14)Yasuda S. et al.:Pharmacokinetic properties of E3810, a new proton pump inhibitor, in healthy male volunteers.

    Int. J. Clin. Pharmacol. Ther.,32,466-473(1994) 15)安田早苗ら:ラベプラゾールナトリウムの薬物動態.BIO Clinica,15,482-486(2000) 16)VandenBranden M. et al.:Interaction of human liver cytochromes P450 in vitro with LY307640, a gastric proton

    pump inhibitor.,Parmacogenetics,6,81-91(1996)

  • 【臨床試験成績のまとめ】

    -196-

    一方,CYP2C19は遺伝的多型を示すことが知られており,EM(extensive metabolizer)と PM(poor

    metabolizer)が存在する 17)。さらに近年,遺伝子解析技術の進歩により CYP2C19の 3種の genotype

    (homozygous EM:homo EM,heterozygous EM:hetero EM,PM)の同定が可能となった。

    PMにおける CYP2C19の代謝活性は EMに比べて低くなるため,代謝経路に CYP2C19が関与する RPZ

    の薬物動態は CYP2C19の遺伝的多型の影響を受けることが予想される。そこで,健康成人男子を対

    象に CYP2C19の遺伝的多型を phenotype別(S-mephenytoinを用いて EM,PMにタイピング),genotype

    別に分けて RPZ 単回投与時の薬物動態パラメータを検討した。その結果,phenotype 別では AUC,

    genotype別では Cmax,AUCにおいて PMが EMに比し高値を示した(表ト-7-41,42)13,18)。なお,

    phenotype別の検討で対照とした omeprazoleでは Cmax,AUCとも RPZ以上に明らかな変動を示した

    (表ト-7-41)13)。

    表ト-7-41 健康成人男子における RPZ,omeprazole単回投与時の CYP2C19遺伝的多型

    の影響 ~phenotype別の検討~13)

    CYP2C19 phenotype 薬物動態

    パラメータ 投与薬剤

    EM(n=9) PM(n=6)

    RPZ 20mg 508±270 493±170 Cmax(ng/mL)

    Omeprazole 20mg 475±354 1455±333

    RPZ 20mg 763±373 1348±301 AUC(ng・hr/mL)

    Omeprazole 20mg 716±620 4493±1314

    平均値±標準偏差

    表ト-7-42 健康成人男子における RPZ単回投与時の CYP2C19遺伝的多型の影響

    ~genotype別の検討~18)

    CYP2C19 genotype 薬物動態

    パラメータ 投与量

    homo EM(n=5) hetero EM(n=6) PM(n=6)

    10mg 143±86 156±76 259±90 Cmax(ng/mL)

    20mg 202±147 338±224 723±174

    10mg 228±87 306±104 697±210 AUC(ng・hr/mL)

    20mg 348±155 713±350 1513±336

    平均値±標準偏差

    ②CYP2C19遺伝的多型の影響に関する他のプロトンポンプ阻害薬(PPI)との比較

    PPIである omeprazole及び lansoprazoleにおいても代謝経路に CYP2C19が関与し,各薬剤の薬物動

    態が CYP2C19の遺伝的多型の影響を受けることが知られている 17)。そこで,CYP2C19の遺伝的多型

    の影響を対比すべく,健康成人男子における各種 PPIの単回投与時の薬物動態パラメータを表ト-

    7-43に示した。

    17)Ishizaki T. et al.:Cytochrome P450 and the metabolism of proton pump inhibitors - emphasis on rabeprazole.,

    Aliment. Pharmacol. Ther.,13(suppl.3),27-36(1999) 18)Horai Y. et al.:Pharmacodynamic effects and kinetic disposition of rabeprazole in relation to CYP2C19 genotypes.,

    Aliment. Pharmacol. Ther.,15,793-803(2001)

  • 【臨床試験成績のまとめ】

    -197-

    表ト-7-43 健康成人男子における PPI 単回投与時の CYP2C19 遺伝的多型の影響

    ~Cmax,AUC の相対比~13,18~22)

    投与薬剤 投与量 例数 a) Cmaxの相対比b) AUC の相対比 b)

    RPZ 20mg 1. 0:0.97 1. 0:1.8

    Omeprazole 20mg 9,6

    1.0:3.1 1.0:6.3 Phenotype 別

    Lansoprazole 30mg 8,8 1.0:2.4 1.0:4.7

    10mg 1.0:1.1:1.8 1.0:1.3:3.1 RPZ

    20mg 5,6,4

    1.0:1.7:3.6 1.0:2.0:4.3

    Omeprazole 20mg 5,4,5 1.0:2.6:7.6 1.0:3.7:20.0 Genotype 別

    Lansoprazole 30mg 3,2,3 1.0:1.3:1.9 1.0:1.9:4.1c)

    a)Phenotype 別では EM,PM の順,genotype 別では homo EM,hetero EM,PM の順に表示。

    b) Phenotype 別では EM の値を 1.0 とした時の相対比(EM:PM),genotype 別では homo EM の値を 1.0 とした

    時の相対比(homo EM:hetero EM:PM)を表示。

    c)AUC0-10での相対比

    表ト-7-43 をみると,phenotype 別では omeprazole が最も CYP2C19 の遺伝的多型の影響を受け

    ており,RPZ が最も CYP2C19 の遺伝的多型の影響を受けていなかった。また,genotype 別でも

    omeprazole が最も CYP2C19 の遺伝的多型の影響を受けており,RPZ は lansoprazole と同程度であ

    った。

    これらの結果は各薬剤の代謝における CYP2C19 の寄与率を反映しており,RPZ においては非酵素

    的還元反応によるチオエーテル体の生成が主代謝経路であるため,omeprazole,lansoprazole に比

    べて CYP2C19 の遺伝的多型の影響を受けにくいと考えられる(図ト-7-5)17)。

    図ト-7-5 各種 PPI の代謝経路と P450 分子種の関与(文献 17 を一部改編)

    19)Yasuda S. et al.:Comparison of the kinetic disposition and metabolism of E3810, a new proton pump inhibitor,

    and omeprazole in relation to S-mephenytoin 4’-hydroxylation status.,Clin. Pharmacol. Ther.,58,143-154(1995) 20)Sohn D-R. et al.:Metabolic disposition of lansoprazole in relation to the S-mephenytoin 4’-hydroxylation

    phenotype status.,Clin. Pharmacol. Ther.,61,574-582(1997)

    21)Chang M. et al.:Interphenotype differences in disposition and effect on gastrin levels of omeprazole - suitability

    of omeprazole as a probe for CYP2C19.,Br. J. Clin. Pharmacol.,39,511-518(1995)

    22)Katsuki H. et al.:Genetic polymorphism of CYP2C19 and lansoprazole pharmacokinetics in Japanese subjects.,

    Eur. J. Clin. Pharmacol.,52,391-396(1997)

  • 【臨床試験成績のまとめ】

    -198-

    ③CYP2C19遺伝的多型の安全性(副作用)への影響

    CYP2C19の遺伝的多型における PMの存在比率には人種差があり,Caucasianで 2~6%であるのに

    対して日本人では 19~23%であることが報告されている 17)ことから,PPI 投与による副作用の発

    現率は欧米人に比べて日本人で高くなる可能性が推測された。

    そこで,国内及び海外で実施した臨床試験(添付資料ト-1,参考資料ト-1~3)について維持

    療法で認められた自他覚的副作用の発現症例率を対比した(表ト-7-44)。なお,各試験の投与

    期間が国内は 24 週間,海外は 52 週間であるため,海外の臨床試験については維持療法開始 24 週

    間までの集計とした。

    その結果,各試験における副作用発現症例率は日本で 11.9%,米国で 18.0%,20.1%,欧州で

    14.4%であり,国内の臨床試験の発現症例率が海外の臨床試験の発現症例率を上回ることはなかっ

    た。また,投与量(10mg,20mg)別にみても同様に国内の臨床試験の発現症例率が海外の臨床試験

    の発現症例率を上回ることはなかった。

    表ト-7-44 国内及び海外における自他覚的副作用の発現症例率(維持療法)

    ~維持療法開始 24週間後までの集計~

    国 名

    (資料番号)

    10mg群 20mg群 計

    日 本

    (ト-1)

    13.3%

    (6例/45例)

    [6件]

    10.3%

    (4例/39例)

    [5件]

    11.9%

    (10例/84例)

    [11件]

    (参ト-1)

    17.9%

    (17例/95例)

    [31件]

    18.1%

    (17例/94例)

    [29件]

    18.0%

    (34例/189例)

    [60件]

    米 国

    (参ト-2)

    22.9%

    (16例/70例)

    [30件]

    17.4%

    (12例/69例)

    [20件]

    20.1%

    (28例/139例)

    [50件]

    欧 州

    (参ト-3)

    13.4%

    (11例/82例)

    [13件]

    15.4%

    (12例/78例)

    [19件]

    14.4%

    (23例/160例)

    [32件]

    いずれの臨床試験においても登録被験者の CYP 2C19の phenotypeあるいは genotypeを同定して

    いないため,CYP 2C19 の遺伝的多型の影響について正確に論じることはできないが,PM の存在比

    率が多いとされる日本人での副作用の発現率が欧米人での発現率を上回っていなかったことから,

    安全性に対する CYP 2C19の遺伝的多型の影響は必ずしも大きいものではないと考えられた。

  • 【臨床試験成績のまとめ】

    -199-

    10)重篤な有害事象一覧

    国内における臨床試験(添付資料ト-1)で発現した重篤な有害事象の一覧を表ト-7-45~47に示した(治

    療期,継続投与期,維持療法期別に表示)。また,海外(米国,欧州)における臨床試験(参考資料ト-1~4)

    で報告された重篤な有害事象を表ト-7-48~51にそれぞれ示した。

    国内における臨床試験(添付資料ト-1)で認められた重篤な有害事象は 17例 19件であった( 組 番は

    治療期と維持療法期に各1件, 組 番は維持療法期に2件認められた。また, 組 番では「白内障悪化」

    が治療期と継続投与期に報告されたが,同一事象であることから1件とした)。このうち治療期で認められた

    2例2件( 組 番:嘔気, 組 番:間質性肺炎)が治験薬との関連性が否定できない事象であった。なお,

    維持療法期における重篤な有害事象は10mg群で2例(4.4%)2件,20mg群で4例(10.3%)5件の計6例(7.1%)

    7件であった。維持療法期の20mg群の1例( 組 番:転移性脳腫瘍)で治験終了後に死亡が報告されたが,

    本症例を含め維持療法期で報告された重篤な有害事象についてはいずれも治験薬との因果関係は否定された。

    海外における臨床試験 3試験(米国その 1及びその 2,欧州その 1)(参考資料ト-1~3)で認められた重

    篤な有害事象は,10mg群で27例45件,20mg群で24例40件であった。これらのうち,治験薬との因果関係

    が否定されなかったのは 10mg群の1例1件(消化管出血:参考資料ト-1)であった。

    また,海外における臨床試験(欧州その 1)の投与期間を延長して実施した臨床試験(欧州その 2)(参考

    資料ト-4)において認められた重篤な有害事象は10mg群で2例6件,20mg群で4例5件であった。このうち

    治験薬との因果関係が否定されなかったのは20mg群の1例 2件(発熱,肝炎)であった(「 :過量

    投与(RPZ 20mg)」については因果関係に関する記載なし)。また,20mg群の1例で死亡例(症例番号

    ,参考資料ト-4)が認められたが,治験薬との因果関係は否定された。なお,本症例については表ト-7

    -51では,「死亡」との記載はなく「心脈管障害/心臓発作」と記述されている。

  • 【臨床試験成績のまとめ】

    -200-

    表ト-7-45 国内の臨床試験(治療期)において発現した重篤な有害事象 (添付資料ト-1の表14.3.2を改編)

    重篤な有害事象

    内容 (重症度)

    薬剤番号

    性別

    年齢

    合併症

    重篤因子

    発現

    日注1)

    投与

    状況処置・経過

    因果

    関係

    担当医のコメント 概 括

    安全度

    嘔気

    (軽度)

    組 番

    7!

    心室性期外収縮

    心房細動

    入院

    9日 継続 精査目的で入院,

    発現日翌日消失。

    疑い

    あり

    投与 9日嘔気を訴え来院あり。症状は

    軽度と判断されたが(家族の希望もあ

    り)精査目的で同日入院。病棟担当医

    によりメトクロプラミド 10mg注投与。発現

    日翌日症状は消失。投与17日腹部CT,

    超音波検査とも異常所見なく,投与24

    日に治験の対象外であったことから

    治験を中止し,中止 15日後に退院。

    これまでにあまり嘔気の症状を訴え

    たことがなかったことから,治験薬と

    の因果関係は否定できないと考え,疑

    いありとした。

    や や

    問題あり

    歯周炎

    (中等度)

    組 番

    7!

    脳梗塞後遺症

    狭心症

    心室性期外収縮

    変形性膝関節症

    高脂血症

    慢性気管支炎

    入院

    26日 継続 投与26日に発現し

    (処置あり),試

    験を継続,投与 61

    日に消失。

    なし 慢性辺縁性歯周炎については事象の

    発現と投与開始との時間的経過から

    治験との関係はないと判断した。

    やや問題

    あり注2)

    間質性

    肺炎

    (軽度)

    組 番

    5!

    不整脈

    重篤なもの

    42日 中止 投与 42 日に発現

    (処置なし),投

    与69日(維持療法

    期)に中止(中止

    221日後に消失)。

    疑い

    あり

    治験薬の服用開始以後,投与 21日動

    悸あり。投与 42日ノドのむせる様な

    せき込み,痰あり。投与45日chestCT

    上両下肺に間質影あり。投与 69日採

    血にてKL-6が758と上昇し,呼吸器

    専門医の診断にて間質性肺炎と考え

    られた。治験薬開始後の出現と,中止

    後の改善より因果関係は強く疑わし

    い。上記動悸は間質性肺炎に伴う症状

    と判断した。

    極めて

    問題あり

    腸炎

    (中等度)

    組 番

    4!

    高脂血症

    耐糖能異常

    過敏性大腸炎

    低カリウム血症

    洞性徐脈

    高血圧症

    浮腫

    脂肪肝

    入院

    22日 休薬 投与22日に発現し

    (処置あり),発

    現日翌日から 3 日

    間休薬し,休薬 3

    日目に消失。

    なし 因果関係が疑われず,治験を継続した

    まま処置し,軽快した。結果として症

    状と治験薬の因果関係はないと判断

    した。

    問題なし

    不安定

    狭心症

    (高度)

    組 番

    7!

    狭心症

    高血圧

    胆石

    入院

    16日 中止 投与16日に胸痛が

    出現し,同日試験

    を中止し,処置に

    より軽減(中止 10

    日後)。

    なし 投与 16日(当日は中止日で治験薬の

    服用はない)に胸痛が出現。同日当院

    循環器科にてCAGを施行しPTCA及び

    冠動脈内ステントを行った。ステント処置を行

    っており塩酸チクロピジンを投与され中

    止 10日後に軽快退院した。治験薬と

    の因果関係については以前より基礎

    疾患に狭心症があり,数回の入院加療

    歴もあることから因果関係はないと

    判断する。

    問題なし

    白内障

    悪化

    (高度)

    組 番

    7!

    人工水晶体脱臼

    慢性気管支炎

    アトピー性皮膚炎

    心房細動

    気管支喘息

    慢性中耳炎

    高血圧症

    前立腺肥大症

    変形性膝関節症

    大腿内顆骨壊死

    便秘症

    入院

    20日 継続 投与20日に発現し

    (処置あり),投

    与34日に軽減。

    なし 白内障悪化は人工レンズの脱落による

    ものである。治験薬に関連性はないと

    判断した。

    問題なし

    間質性肺炎

    (中等度)

    組 番

    6!

    なし

    入院

    36日頃 中止 投与36日頃に発現

    し(処置あり),

    投与61日に試験中

    止。中止 8 日後に

    軽減。

    なし 咳,発熱出現し肺の繊維化が認めら

    れ,中止1日後入院となったが,過去

    の胸部 Xpより以前より肺の繊維化が

    存在していたことが判明した。よっ

    て,治験薬との因果関係はないと考え

    た。

    問題なし

    注1)投与開始日を1日とする。

    注2)治験薬との因果関係が疑われる白血球数減少がみられたため。

  • 【臨床試験成績のまとめ】

    -201-

    表ト-7-45 国内の臨床試験(治療期)において発現した重篤な有害事象(つづき) (添付資料ト-1の表14.3.2を改編)

    重篤な有害事象

    内容

    (重症度)

    薬剤番号

    性別

    年齢

    合併症

    重篤因子

    発現

    日注1)

    投与

    状況処置・経過

    因果

    関係

    担当医のコメント 概 括

    安全度

    蕁麻疹

    (中等度)

    組 番

    3!

    過敏性腸症候群

    閉塞性動脈硬化症

    腰部椎間板変性症

    先天性股関節脱臼

    後遺症

    気管支喘息

    クラインフェルター症候群

    入院

    21日 中止 投与21日に発現し

    (処置あり),同

    日,試験中止(中

    止2日後に軽減)。

    なし 治験薬中止後,逆流性食道炎に対する処置と

    して,治験薬と同じ薬剤(RPZ 20mg)を同量

    投与しているにもかかわらずじんま疹は軽快

    傾向にあった。また,その後の投薬にて注射針

    に対するアレルギーであることが判明したため治

    験薬との因果関係はないものと判断した。

    問題なし

    注1)投与開始日を1日とする。

    表ト-7-46 国内の臨床試験(継続投与期)において発現した重篤な有害事象 (添付資料ト-1の表14.3.2を改編)

    重篤な有害事象

    内容

    (重症度)

    重篤因子

    薬剤番号

    性別

    年齢

    合併症

    入院

    発現

    日注1)

    投与

    状況処置・経過

    因果

    関係

    担当医のコメント 概 括

    安全度

    食道癌

    (中等度)

    組 番

    6!

    高血圧

    悪性腫瘍

    112日 終了 投与 112 日(継続

    投与期終了日)の

    内視鏡検査で食道

    癌であることが判

    明し,その後内視

    鏡的粘膜切除術,

    外科的切除を施行

    し消失(終了 100

    日後)。

    なし 治療期 8週で未治癒と判定したため継続投与

    期に入ったが,さらに 8週後未治癒と判定し

    治験終了となった。終了時に未治癒と判定し

    たびらん部分より生検し,1 週後,食道腺癌

    と判明した。治験終了30日後内視鏡的食道粘

    膜切除術を施行したが,深達度がm3であった

    ため,終了 100日後,当院第一外科にて手術

    を施行した。未治癒と思われたびらん部分が,

    実際には腺癌であり,本例は逆流性食道炎に

    合併する頻度が高いバレット腺癌と考えられる。

    内視鏡写真をさかのぼって見直すと,治験開

    始前からこの病変が存在していた可能性が高

    く,よって因果関係はないと考えられる。

    や や

    問題あり注2)

    血小板減少

    (症)

    (高度)

    組 番

    8!

    骨粗鬆症

    高脂血症

    重篤なもの

    試験

    終了

    4日後

    終了 終了 4 日後の臨床

    検査結果から判明

    し(処置なし),

    追跡調査でも不変

    であった。

    なし 治験薬(RPZ)に対する DLST検査が陰性で,

    PAIgG が高値であり,偶発した特発性血小板

    減少性紫斑病の可能性が極めて高く,治験薬

    との因果関係はなしと判断した。

    問題なし

    白内障悪化

    (低眼圧黄

    斑症)

    (高度)

    組 番

    7!

    人工水晶体脱臼

    慢性気管支炎

    アトピー性皮膚炎

    心房細動

    気管支喘息

    慢性中耳炎

    高血圧症

    前立腺肥大症

    変形性膝関節症

    大腿内顆骨壊死

    便秘症

    入院

    91日 継続 投与91日に発現し

    (処置あり),試

    験を継続し,投与

    104日に軽減。

    なし 白内障悪化は人工レンズの脱落によるものであ

    る。治験薬に関連性はないと判断した。

    問題なし

    フレグモーネ(蜂

    巣炎,蜂窩

    織炎)

    (高度)

    組 番

    7!

    狭心症

    心筋症

    閉塞性動脈硬化症

    便秘症

    貧血症

    めまい 入院

    173日 継続 投与 173 日に発現

    し(処置あり),

    試験を継続,投与

    212日に軽減。

    なし 頚部痛を以前より自覚していたが,他院(整

    形外科)で頸部に注射を打った(ブロック)(投

    与173日)。その後,頸部蜂窩織炎を発症し,

    当院整形外科に入院,抗生物質にて軽快した。

    このため治験薬には因果関係がないものと判

    断した。

    問題なし

    消化管出血

    (高度)

    組 番

    6!

    変形性腰椎症

    慢性動脈閉塞症

    変形性膝関節症

    不眠症

    高血圧症

    慢性呼吸不全

    過敏性腸症候群

    貧血

    心不全

    肺気腫

    入院

    154日 中止 投与 154 日に発現

    し,同日試験を中

    止(処置あり)し

    た(中止10日後に

    軽減)。

    なし 継続投与期14週目に患者が吐血し,緊急来院

    した。内視鏡検査にて逆流性食道炎による出

    血と診断し,治験薬の服用を中止し,入院加

    療とした。入院後,絶食の上,経静脈的に

    famotidine,塩酸ピレンゼピンを3日間投与し,

    その後RPZ 20mg,アルギン酸ナトリウム150mlを投与。

    症状軽快後,退院の上,外来経過観察とした。

    今回の症状悪化は,原疾患に起因するもので

    あり,治験薬との因果関係はないと考える。

    問題なし

    注1)投与開始日を1日とする。

    注2)治験薬との因果関係が疑われる血小板数減少がみられたため。

  • 【臨床試験成績のまとめ】

    -202-

    表ト-7-47 国内の臨床試験(維持療法期)において発現した重篤な有害事象 (添付資料ト-1の表14.3.2を改編)

    重篤な有害事象

    内容

    (重症度)

    薬剤番号

    性別

    年齢

    投与群 合併症

    重篤因子

    発現

    日注)

    投与

    状況処置・経過

    因果

    関係

    担当医のコメント 概 括

    安全度

    肺 炎

    (中等度)

    組 番

    4!

    RPZ

    10mg群

    高脂血症

    耐糖能異常

    過敏性大腸炎

    低カリウム血症

    洞性徐脈

    高血圧症

    浮腫

    脂肪肝

    入院

    202日 継続 投与202日に発現し

    (処置あり),208

    日に消失。

    なし 因果関係が疑われず,治験を継続したまま処置し,軽快した。結果として症状と治験薬の因果関係はないと判断した。

    問題なし

    腰 痛

    (胸椎圧迫

    骨折)

    (高度)

    組 番

    6!

    RPZ

    10mg群

    腰痛症

    (腰椎椎間板

    症)

    入院

    135日 継続 投与135日に発現し

    (処置あり),試験

    終了時まで不変。

    なし 本有害事象については,以前より腰痛にて加療を受けており,発現日当日重い物を持ち上げたことにより腰痛が急激に悪化しており,本治験薬との因果関係はない。

    問題なし

    血 尿

    (中等度)

    組 番

    8!

    RPZ

    20mg群

    高脂血症

    神経因性膀胱

    便秘症

    入院

    153日頃 継続 投与153日頃に発現

    し(処置あり),199

    日に軽減。

    なし 投与153日頃,血尿生じ,投与183日に泌尿器科入院となる。投与190日内視鏡的膀胱癌治療施行。投与199日退院となる。血尿はエントリー前にも生じており治験薬との因果関係は否定的であり,なしと判断した。

    問題なし

    神経根病変

    (高度)

    組 番

    7!

    RPZ

    20mg群

    不眠症

    脂肪肝

    腸虚弱

    変形性脊椎症

    入院

    192日 継続 投与192日に発現し

    (処置あり),試験

    終了48日後に軽減。

    なし 元来本症例は変形性脊椎症にて当院整形外科を定期的に受診していた。以前にもしばしば右肩から前腕にかけてのしびれ疼痛を訴えることがあり,3 年以上前に整形外科により上記の診断がされている。今回の症状の出現はその病状の進行した形であり,本症の自然経過に一致すると考えられ,因果関係ありとは言えないし,むしろなしとする方が医学的見地からは妥当と考える。その後,整形外科にて手術施行。

    問題なし

    転移性

    脳腫瘍

    組 番

    7!

    RPZ

    20mg群

    不眠症

    死亡

    試験終了

    89日後

    試験

    終了

    試験終了後,他の

    PPIが約2カ月間投

    与された。その後,

    嘔吐により入院と

    なったが,意識障害

    が出現し,頭部 CT

    で多発腫瘍を認め

    転移性脳腫瘍と判

    明した。加療を行っ

    たが効果がなく,試

    験終了約3カ月後に

    死亡した。

    なし

    転移性脳腫瘍と治験薬との因果関係は「関連なし」と判断された。

    問題なし

    不 安

    (高度)

    食欲不振

    (高度)

    組 番

    8!

    RPZ

    20mg群

    高血圧

    不眠症

    貧血症

    下肢浮腫

    入院

    入院

    168日

    168日

    継続 投与168日に発現し

    (処置あり),他院

    へ入院したため追

    跡不能。

    なし

    なし

    被験者の配偶者が自殺未遂をおこし,そのため精神的ダメージが大きく精神的不安,食欲不振をきたした。配偶者が入院している他院に被験者も入院させたいとの家族の希望もあり,他院へ入院となった。入院先から当院への外来受診は困難のため投与 190日治験中止とした。精神的不安,食欲不振は上記の理由にて治験薬と因果関係がないものと判断した。

    問題なし

    注)投与開始日を1日とする。

  • 【臨床試験成績のまとめ】

    -203-

    表ト-7-48 海外の臨床試験(米国その1)において発現した重篤な有害事象

    症例番号有害事象名

    COSTART Term/Verbatim Term投与群(QAM)

    発症時期注)

    (週後)重症度 因果関係

    重篤の理由

    膵炎/急性膵炎 RPZ 10mg 39 高度 関連なし 入院

    外科処置/右膝の外科手術 RPZ 10mg 39 中等度 関連なし 入院

    抑鬱症/抑鬱症 RPZ 10mg 26 高度 関連なし 入院

    自殺未遂/自殺未遂 RPZ 10mg 26 高度 関連なし 入院

    耽溺/アルコール中毒 RPZ 10mg 26 中等度 関連なし 入院

    心筋梗塞/心筋梗塞 RPZ 10mg 26 中等度 関連なし 入院

    背痛/椎間板ヘルニア RPZ 10mg 13 中等度 関連なし 入院

    外科処置/椎間板ヘルニア除去術 RPZ 10mg 13 中等度 関連なし 入院

    消化管癌/大腸癌 RPZ 10mg 26 高度 関連なし 癌

    血栓性静脈炎/深在性静脈血栓症 RPZ 10mg 26 高度 関連なし 入院

    過量投与/薬剤の過量投与 RPZ 10mg 26 中等度 関連なし 入院

    皮膚癌/基底細胞癌 RPZ 10mg 13 中等度 関連なし 癌

    関節炎/既往歴 手術による炎症性関節炎

    RPZ 10mg 13 中等度 関連なし 入院

    心筋梗塞/流産による心筋梗塞 RPZ 10mg 52 高度 関連なし 入院

    冠動脈障害/右冠動脈の病変 RPZ 10mg 52 高度 関連なし 入院

    消化管出血/消化管出血 RPZ 10mg 13 高度 不明 入院

    胸痛/胸痛 RPZ 10mg 4 高度 関連なし 入院

    呼吸困難/呼吸困難 RPZ 10mg 4 中等度 関連なし 入院

    冠動脈障害/冠動脈病 RPZ 10mg 13 中等度 関連なし 入院

    外科処置/血管形成術 RPZ 10mg 13 中等度 関連なし 入院

    皮膚癌/基底細胞癌 RPZ 10mg 4 中等度 関連なし 癌

    良性皮膚新生物/角質乳頭腫,首の右側

    RPZ 10mg 52 高度 関連なし 癌

    メレナ/黒色便 RPZ 10mg 13 高度 関連なし 入院

    偶発的な傷害/足首の骨折 RPZ 20mg 26 高度 関連なし 入院

    偶発的な傷害/大腿骨の骨折 RPZ 20mg 26 高度 関連なし 入院

    背痛/脊髄の前方腰椎の椎間板ヘルニア

    RPZ 20mg 39 高度 関連なし 入院

    外科処置/切椎弓除術 RPZ 20mg 39 中等度 関連なし 入院

    外科処置/切椎弓除術 RPZ 20mg 52 高度 関連なし 入院

    肝癌/肝癌 RPZ 20mg 26 高度 関連なし 致死

    血栓症/右足の潜在性静脈血栓症 RPZ 20mg 26 高度 関連なし 入院

    筋痛症/骨格筋の胸痛 RPZ 20mg 4 中等度 関連なし 入院

    皮膚癌/偏平細胞癌 RPZ 20mg 13 軽度 関連なし 癌

    皮膚癌/偏平細胞癌 RPZ 20mg 52 軽度 関連なし 癌

    腹痛/腹痛 RPZ 20mg 26 高度 関連なし 入院

    出血性下痢/出血性下痢 RPZ 20mg 26 高度 関連なし 入院

    潰瘍性大腸炎/潰瘍性大腸炎 RPZ 20mg 26 高度 関連なし 入院

    胃腸障害/クローン病 RPZ 20mg 26 高度 関連なし 入院

    心筋梗塞/心内膜下の心筋梗塞 RPZ 20mg 26 高度 関連なし 入院

    肺炎/右下葉の肺炎 RPZ 20mg 26 高度 関連なし 入院

    痙攣/癇癪発作 RPZ 20mg 39 中等度 関連なし 入院

    癌/転移癌 RPZ 20mg 26 高度 関連なし 致死,癌

    外科処置/酸素計測定法のための入院 RPZ 20mg 26 中等度 関連なし 入院

    注)有害事象を感知した患者来院日

    「 :一過性の虚血性発作,脳血管性障害」については,治験薬投与前の事象であり割愛した。

  • 【臨床試験成績のまとめ】

    -204-

    表ト-7-49 海外の臨床試験(米国その2)において発現した重篤な有害事象

    症例番号有害事象名

    COSTART Term/Verbatim Term投与群(QAM)

    発症時期注)

    (週後)重症度 因果関係

    重篤の理由

    下痢/下痢 RPZ 10mg 39 中等度 関連なし 入院

    過換気/過換気 RPZ 10mg 39 中等度 関連なし 入院

    失神/失神 RPZ 10mg 39 中等度 関連なし 入院

    抑鬱症/自殺観念を持った抑鬱症 RPZ 10mg 39 高度 関連なし 入院

    心筋梗塞/心筋梗塞 RPZ 10mg 13 高度 関連なし死の危険,入院

    外科処置/バイパス手術 RPZ 10mg 13 高度 関連なし死の危険,入院

    脳出血/脳内出血 RPZ 10mg 26 高度 関連なし 入院

    胆管炎/胆管炎 RPZ 10mg 52 高度 関連なし 入院

    胆石症/急性結石性胆石症 RPZ 10mg 52 高度 関連なし 入院

    感染症/大腸菌血症 RPZ 10mg 52 高度 関連なし 入院

    外科処置/胆嚢切除術 RPZ 10mg 52 高度 関連なし 入院

    肺炎/二重肺炎 RPZ 10mg 13 高度 関連なし 入院

    関節痛/肋軟骨炎 RPZ 20mg 13 中等度 関連なし 入院

    外科処置/ヘルニア修復 RPZ 20mg 39 中等度 関連なし 入院

    嚢胞/左卵巣嚢胞 RPZ 20mg 26 中等度 関連なし 入院

    外科処置/両側の卵巣剔除術 RPZ 20mg 26 中等度 関連なし 入院

    外科処置/左卵管切除術 RPZ 20mg 26 中等度 関連なし 入院

    高血圧/高血圧の悪化 RPZ 20mg 26 高度 関連なし 入院

    上室性頻脈/多巣性心房性瀕脈 RPZ 20mg 26 中等度 関連なし 入院

    外科処置/腎結石の破壊術 RPZ 20mg 26 軽度 関連なし 入院

    外科処置/腎石摘出術 RPZ 20mg 39 軽度 関連なし 入院

    皮膚黒色腫/左膝悪性黒色腫 RPZ 20mg 13 高度 関連なし 癌

    痙攣/癇癪障害の評価 RPZ 20mg 13 中等度 関連なし 入院

    注)有害事象を感知した患者来院日

    「 :感染症(RPZ 20mg)」は,腹痛にて救命救急に受診し1晩過ごしたが加療時間(入院)が 24 時間未満のため,

    担当医が重篤な有害事象と判断しなかったため,本表から割愛した。

  • 【臨床試験成績のまとめ】

    -205-

    表ト-7-50 海外の臨床試験(欧州その1)において発現した重篤な有害事象

    症例番号有害事象名

    COSTART Term/Verbatim Term投与群(QAM)

    発症時期注)

    (週後)重症度 因果関係

    重篤の理由

    過量投与/過量投与 RPZ 10mg 39 軽度 関連なし 過量投与

    癌/小細胞肺癌 RPZ 10mg 13 高度 関連なし 入院

    新生物/グラウィツ腫瘍 RPZ 10mg 13 高度 関連なし 入院

    新生物/右卵巣腫瘍 RPZ 10mg 13 高度 関連なし 入院

    外科処置/腎切除術 RPZ 10mg 13 高度 関連なし 入院

    外科処置/腹部ヘルニア手術 RPZ 10mg 13 軽度 関連なし 入院

    肺障害/慢性閉塞性肺疾患 RPZ 10mg 39 中等度 関連なし 入院

    冠動脈障害/除脈を伴う虚血性冠動脈心疾患

    RPZ 10mg 39 高度 関連なし 入院

    胆石症/胆石症 RPZ 10mg 13 高度 関連なし 入院

    外科処置/子宮切除術 RPZ 10mg 13 中等度 関連なし 入院

    心筋梗塞/心梗塞 RPZ 20mg 39 高度 関連なし 入院

    過量投与/過量投与 RPZ 20mg 0 軽度 関連なし 過量投与

    心筋梗塞/心梗塞 RPZ 20mg 13 中等度 関連なし 死の危険

    心筋梗塞/心梗塞 RPZ 20mg 13 中等度 関連なし 死の危険

    心筋梗塞/心梗塞 RPZ 20mg 39 高度 関連なし 入院

    外科処置/子宮切除術 RPZ 20mg 13 軽度 関連なし 入院

    外科処置/子宮切除術 RPZ 20mg 0 軽度 関連なし 入院

    外科処置/脊椎手術 RPZ 20mg 0 中等度 関連なし 入院

    感染症/外傷の感染 RPZ 20mg 4 高度 関連なし 入院

    外科処置/脊椎手術 RPZ 20mg 26 中等度 関連なし 入院 注)有害事象を感知した患者来院日

    表ト-7-51 海外の臨床試験(欧州その2)において発現した重篤な有害事象

    症例番号有害事象名

    COSTART Term/Verbatim Term投与群(QAM)

    発症時期(日後)

    重症度 因果関係重篤の理由

    偶発的な傷害/小指の傷害 RPZ 10mg 45 高度 関連なし永続的な機能不全

    外科処置/子宮鏡検査 RPZ 10mg 282 中等度 関連なし その他

    貧血/貧血 RPZ 10mg 84 高度 関連なし 入院

    貧血/低ヘマトクリット値 RPZ 10mg -342 高度 関連なし 入院

    低色素性貧血/低ヘモグロビン量 RPZ 10mg -342 高度 関連なし 入院

    貧血/貧血 RPZ 10mg 117 中等度 関連なし 入院

    心脈管障害/心臓発作 RPZ 20mg 90 高度 関連なし 死の危険

    肛門出血/痔静脈瘤の出血 RPZ 20mg 346 中等度 関連なし 入院

    発熱/多分猩紅熱 RPZ 20mg 155 高度 不明 入院

    肝炎/薬物性肝炎 RPZ 20mg 155 高度 不明 入院

    注1) 過量投与 RPZ 20mg 65 週後注2)(記載なし)(記載なし) 過量投与

    注1) 「 :過量投与(RPZ 20mg)」については,参考資料ト-3 Table 7.2より引用した。重症度及び因果関係の記載はない。

    注2) 「 :過量投与(RPZ 20mg)」の発生時期は「週後」で示した。

    「 :感染症/外傷の感染(RPZ 20mg)」については,海外の臨床試験(欧州その1)中に発生した事象であり,表ト-7-50に記載

    されている( )ことから本表からは割愛した。