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1 難民問題ワークショップ ~当事者の目線で考えてみよう~ 実施マニュアル 早稲田大学高等学院 SGH 教材開発チーム
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難民問題ワークショップ ~当事者の目線で考えてみよう~ 実施 … · 2.クイズが書かれたスライド(アイスブレイクで使用)...

Dec 28, 2019

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難民問題ワークショップ

~当事者の目線で考えてみよう~

実施マニュアル

早稲田大学高等学院

SGH 教材開発チーム

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「難民問題ワークショップ~当事者の目線で考えてみよう~」

進行案

対象:中学・高校生

人数:20~40人程度

所要時間:50~60分程度

用意するもの:

1.会場を 4つに区切るための紐(アイスブレイク、活動1・2で使用)

2.クイズが書かれたスライド(アイスブレイクで使用)

3.カード A(難民申請した国と認められたか否かが書かれたカード)(活動1で使用)

4.難民及び移民の割合を書いたスライド(活動1で使用)

5.カード B(審査官/難民の役割や条件が書かれたカード)(活動2で使用)

6.司会者からのメッセージ(まとめで使用)

行程案:

行程 所要時間 内容

Section1.

アイスブレイク

10分 司会者の自己紹介、活動のねらい・流れ・ルールの確認、

難民に関する簡単な 3択クイズ

Section2.

活動1

10分 「日本の現状を知ろう」

難民を多く受け入れているほかの国々(今回はオースト

ラリア・カナダ・フランス)と日本の難民認定率を比較

して、日本の難民認定率がいかに低いかを、視覚的に体

感する。

Section3.

活動2

15分 「もし自分が難民になったら」

配布されたカードに書いてある条件にしたがって、難民

として入国先を探す。他国に受け入れてもらう、または

もらえないという感覚を体感する。

Section4.

振り返り

10分 それまでの活動を通して感じたことなどを、4つ前後の

グループで意見交換する。

Section5.

まとめ

5分 司会者からのまとめ

(たとえば、ある日突然難民になった家族のエピソード

を読み聞かせる。本人の想いなどを朗読し、難民問題の

恒久的解決について触れ、司会者からの締めの言葉で終

わる。)

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手順

<事前の準備>

・紐で会場を4つに区切っておく。

・カードは参加人数に合わせて印刷し、切っておく。

・スライドを表示できるようにする。

・司会者からのメッセージを考えておく。

<Section1>

総合司会がメンバーを紹介し、簡単な流れの説明、グランドルールの確認を行う。次に

あらかじめ作ったアイスブレイクのための3択クイズを行う。その後、数人に感想を聞く。

【この活動のねらい】

・活動のねらいを知る

・今日の流れの把握

・ワークショップをやる雰囲気づくり

・クイズに答える際、答え別に会場内を移動してもらい、緊張をほぐせると◎

ねらいの説明

グローバル課題である難民の問題についての体験的に学習することです。「日本も難民

を受け入れるべき」や、「難民を助けるべき」という考えを強制するものではありませ

んが、問題を自分のこととして考える体験を通して、難民が置かれている状況を気持

ちで理解してもらい、無関心になりがちな日本人に関心を持ってもらうことを目的と

しています。

流れの説明

①アイスブレイク

②アクティビティ1

③アクティビティ2

④振り返り

⑤司会者からのメッセージ

グランドルール

①人の意見を聞こう(否定しない、ばかにしない)

②自分の気もちに気づこう(ささいな気持ちを大切にしよう)

③無理をしない(言いたくないことは言わない)

流れの説明

アイスブレイク(3択クイズ)

①2016年に避難を余儀なくされた人は 1時間につき何人でしょう?

1.12人 2.120人 3.1200人 答え 3.1200人

補足説明:毎分20人の人々が避難を余儀なくされました。

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②2016年に新たに避難民になった人々の数はどれくらいでしょうか?

1.103万人 2.1030万人 3.1億300万人 答え2.1030万人

補足説明:1030万人は、東京の23区と多摩地区の人口をたした数とほぼ一致

します。

③難民のうち18歳未満の子どもはどれくらいの割合を占めると思いますか?

1.約30% 2.約50% 3・約80% 答え2.約50%

補足説明:全難民のうち、51%が18歳未満の子ども。ちなみに、子供は世界の

人口の31%を占めると推計されています。

④庇護申請した保護者のいない子どもは何人ぐらいだと思いますか?

1.3万5000人 2.7万5000人 3.10万5000人

答え2.7万5000人

補足説明:主にアフガニスタンとシリア出身の子どもです。なぜ、保護者がいな

いかわかりますか?また、①の3万5000人は、ドイツが受け入れ

た庇護申請の数です。全体の半分近くの子どもを受け入れています。

(資料参考:国連 UNHCR 協会 HP https://japanforunhcr.org

「難民についての授業の手引き ~いのちのもちものけんさ~

~あるものないものワークショップ~」

感想を聞く

予想される感想:わずか 1時間で 1200人もの人々が難民になっているなんて知らな

かった。全難民のうち半分が子供だということに衝撃を受けた。など

司会者からのコメント等について

最初にグランドルールを確認することで、積極的な発言や新たな気付きを促すこと

ができると思います。また難民に関して全く知識のない人たちでも、このクイズに

答えることで、難民の現状を知ることができると思います。

<Section2>

【この活動のねらい】

日本の難民認定率の低さを可視化することで、より鮮明に記憶に刻む。

①カード Aを参加者にランダムに配布する。

②カード A を受け取ったら、手持ちのカードに記載された国 4 か所(事前に床に置いて

あるヒモで区切られた4つの場所)にそれぞれに移動してもらい、しゃがんでもらう。

③カードに記載された難民認定を受けられた人に立ってもらう。

④周りを見渡してもらう。

⑤4つの国がそれぞれオーストラリア・カナダ・フランスを表していることを告げ、日

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本の難民認定率を比較して、日本の難民認定率がいかに低いかを、視覚的に体感する。

⑥日本以外の国々の正確な割合を提示し、日本は何%だと思うかを聞く。同じことを全

人口に占める外国籍の人の割合でも行う。

⑦各国の立っているひと、しゃがんでいる人に数人に気づいたこと・思ったことを聞く

感想を聞く

予想される意見や感想:カナダは認定率が高いことがわかる。複数人が認定されると心

強い。日本では起立している人が一人もいないが、拒否された難民たちはどこへ行くの

か気になった。など

司会者からのコメントについて

このワークショップの目的は参加した方々に考える、または調べるきっかけを作ること

が目的です。日本の認定率が低いからといって、主催者側から「日本はもっと難民を受

け入れるべきだ」というような趣旨の発言は、決してしないように留意してください。

<Section3>

【この活動のねらい】

・実際に難民になったことを仮想し、難民の手続きを体験することで理解する。

・体験して考えたことや感じたことをもとにして、実際の難民の心情に思いを寄せる。

カード B に記載されている入国先は A 国、B 国、C 国、D国があり、それぞれの国には

参加者の中から選ばれた入国審査官がいる。

①カード Bを参加者にランダムに配布する。

②審査官役、難民役に分かれる。

③審査官役の参加者には、A~D国の入り口に立ってもらう。

④難民役の参加者には、ランダムに入国審査を受け付ける列に並んでもらう。

⑤各国の入国審査官は、難民役が持っているカード B に記載された申請者の情報と自分

が持っているカード Bの自国の基準とを照らし合わせ、入国できるか否かを告げる。

⑥入国できた難民役は区切られた国の中でしゃがんで待機する。入国できなかった難民

役は、また別の国に申請をしに行く。

⑦一定の時間が過ぎたら、入れた人と入れなかった人、審査官役にコメントを聞く。

感想を聞く

予想される意見や感想:同じ難民受け入れでも国ごとにこんなに差があるとは知らな

かった。判断基準の仕組みを知ることができてよかった(審査官側)。など

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司会者からのコメント等について

このアクティビティはワークショップ全体の中でもメインの活動で、参加者に多くの

気づきを得てもらえるものだと思います。それと同時に最も複雑なものでもあります

ので、多くの時間と主催者側の助けが必要となります。路頭に迷う参加者がいたら、

声掛けをしてください。

<Section4>

【この活動のねらい】

・ワークショップ全体を通して得たもの、感じたことを自分だけに留めず他者と共有

することで、自分の意見を明確にする。

・自分にはなかった意見や感想を聞くことで、多角的な視点を養う。

①3~4人のグループをつくり、それまでの活動を振り返って感想を述べ合ってもらう。

②適宜、司会者から「活動1,2それぞれから、どんなことがわかるでしょう」「どんな

気持ちになったでしょう」「どうしてゆけばいいでしょう」などの質問を投げかけ、グ

ループごとにどのような意見が出たか聞いてみる。

感想・意見を聞く

予想される意見や感想:今まで全く意識したことはなかったが、このワークショップ

を通して、難民について少しだけ理解できた。1や 2や 3で出た感想が再び出る。など

司会者からのコメント等について

この時間は自分の気持ちを再確認し、記憶を定着させる貴重な時間です。主催者側が

グループを回って、できるだけ多くの意見を聞き、問いを投げかけ活性化させられる

と非常に有意義なものになると思います。難民の気もちだけではなく、受け入れ国側

の事情や責任について等も触れられれば深まるかもしれません。

<Section5>

難民の体験談を朗読したり、難民を生まない世界という難民問題の恒久的解決につ

いて触れ、司会者からの締めの言葉で終わる。

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「難民問題ワークショップ~当事者の目線で考えてみよう~」資料集

カード A (参加人数は 40人を想定しています。カードに下に記載されている枚数をコピ

ーして切って使ってください。人数が前後する場合は上から順に使用してください)

↑2枚コピーする

↑2枚コピーする

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↑3枚コピーする

↑3枚コピーする

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カード B

審査官役カード

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難民役カード

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