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豪雪地帯の高齢者の安全安心に資する取り組み
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豪雪地帯の高齢者の安全安心に資する取り組み · における地域住民の除排雪に係る負担軽減、歩行者空間の確保、さらには、堆雪による交通

Oct 29, 2019

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豪雪地帯の高齢者の安全安心に資する取り組み

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雪に強いまちづくり

○豪雪地帯対策基本計画

(快適な都市づくり)

降積雪を考慮した都市計画の策定

広幅員道路の整備

電線の地中化

雪捨て場等の創出

適切な建ぺい率の確保

冬期利用を配慮した公園

○道府県豪雪地帯対策基本計画から抜粋

(青森県抜粋)

冬期バリアフリー

堆雪スペースの考慮した街路整備

公共交通機関の連携 など

(秋田県抜粋)

広幅員街路の整備

流雪溝の整備

四季を通じた歩行空間を確保 など

(新潟県抜粋)

雪に強く快適な都市空間の創造

良好な克雪街区の形成促進

歩道除雪等の推進

冬期歩行者空間のネットワーク化

克雪用水の確保 など

※まちづくりに関する記述を抜粋

「札幌市雪対策基本計画」より

目標4:環境にやさしい雪対策システム

の追求

雪に強い街区の形成:地域内の雪の

移動を最小限にすることによって除雪

費用の削減やCO2・NOxの排出抑制

青森市都市計画マスタープランよる都市(まち)づくりの理念

青い森・青い海に抱かれたコンパクトシティの形成

◇ 雪に強い都市◇ 高齢・福祉社会に対応した都市◇ 環境調和型の都市◇ 災害に強い都市◇ 効率的で快適な都市

備考 札幌市ホームページより

備考 青森市ホームページより

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冬期歩行者空間の確保

消融雪施設による歩道融雪地域住民による除雪

(流雪溝)

地域住民との連携により、冬期間の安全で快適な道路空間を確保します。

市街地や通学路等において冬期の安全な歩行者空間を確保します。

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雪崩防止施設の施工事例

○雪崩予防柵 雪崩堆積区に柵構造物を設置し、流下してくる雪崩を堰き止める

○防護柵工雪崩発生区に柵構造物を設置し、雪崩の発生を防ぐ

○グライド防止工 ○減勢柵工グライド(※)の発生を抑えるとともに、雪塊等の流下を防ぐ

(※)グライド:沈降と重力の作用により積雪層全体が斜面下方に移動する現象

雪崩の走路に柵構造物を設置し、流下してくる雪崩の速度を低減する

【新潟県糸魚川市(旧能生町)】

【長野県栄村】

【長野県白馬村】

【北海道積丹町】

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下水道による雪対策(1)

下水道事業においては、冬季においても10度から15度程度の水温を持つ下水処理水を活用し、あるいは、雨水の排水路を活用して、様々な積雪対策を行っており、市街地・住宅地における地域住民の除排雪に係る負担軽減、歩行者空間の確保、さらには、堆雪による交通障害を排除するなど、積雪期における市民の安全確保を図っている。

○補助率 :1/2 (公共下水道・流域下水道)

4/10(都市下水路)

1/3 (特定公共下水道)

新世代下水道支援事業制度リサイクル推進事業(積雪排除としての下水処理水等の利活用により再生資源の活(積雪排除としての下水処理水等の利活用により再生資源の活

用を図るもの)用を図るもの)

○事業概要 :積雪対策に資する公共下水道、流域下水道、

都市下水路の整備事業であって、以下の施設の整備を行う事業について、新世代下水道支援事業制度 リサイクル推進事業として事業採択。

①①処理水を消雪パイプ、流雪溝に導水処理水を消雪パイプ、流雪溝に導水 (12)(12)→貯水槽、送水ポンプ、送水管など整備

②②処理水を利用した融雪槽の整備処理水を利用した融雪槽の整備 (5)(5)→下水処理場に融雪槽を整備

③③雨水の排水路を流雪溝として利用雨水の排水路を流雪溝として利用 (17)(17)→投雪口や詰まり防止の鉄製の格子蓋(グレーチング)など整備

④④処理場の未利用地等への堆雪処理場の未利用地等への堆雪

( )内は実施市町村数

28市町村(重複を除き)で実施28市町村(重複を除き)で実施

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下水道による雪対策(2)

処理水を利用した消雪パイプの整備事例

下水処理場に貯水槽、送水ポンプおよび送水管を整備し、下水処理水を消雪パイプまで導水する。

【湯沢町 西山地区】

消雪区域

湯沢浄化センター

処理水を活用した消雪の様子

JR越後湯沢駅

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下水道による雪対策(3)

処理水を利用した流雪溝の整備事例

下水処理場に貯水槽、送水ポンプおよび送水管を整備し、下水処理水を流雪溝まで導水する。

流雪溝に投雪する様子

魚津市浄化センター

送水ポンプ

送水管

送水ポンプ(既設)

送水管(既設)

流雪溝(既設)

本地区では、海水利用をしていたが、より高温でゴミの少ない処理水を利用するための整備を行った。

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厳寒期に著しく減少する水量に対応するため、水路の中間の所々に止水板を設けて、流水を堰き上げることによって、僅かな水で効率的な融雪処理を図る。

雪投入作業中雪投入作業中

作業完了後作業完了後

公共下水道の雨水排水路に投雪口を設置することにより、冬期間には、流雪溝として利用されている。

流雪溝の構造

【妙高市 西部第4排水区(流雪溝)】

鉄製の格子蓋(グレーチング)を設けることにより作業中転落時の被害軽減も図っている。

下水道による雪対策(4)

雨水の排水路を利用した流雪溝の整備事例

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地域住宅交付金の概要

地方公共団体が主体となり、公営住宅の建設や面的な居住環境整備など地域における住宅政策を自主性と創意工夫を活かしながら総合的かつ

計画的に推進するための支援制度

○地方の自主性・裁量性の向上

・既存の補助事業をメニュー化し、地方公共団体が作成

した計画に基づき弾力的に実施可能

・地方公共団体独自の提案による従来補助対象外の事

業も交付対象として支援

○地方の使い勝手の向上

・各事業への交付金の充当率を地方公共団体が自由に

決定

・事業間流用・年度間流用が自由

○事前審査から事後評価へ

・地方公共団体が自ら設定した目標等をもとにした事後

評価を実施して公表

○既存の補助対象事業

公営住宅・高齢者向け優良賃貸住宅の整備、既設

公営住宅の改善、不良住宅地区の改良、密集住宅

市街地の整備、関連公共施設の整備 など

○地方公共団体独自の提案による地域の住宅政策実施

に必要な事業等

(例)・民間住宅の耐震改修・建替え、克雪住宅の整備

・公営住宅等と社会福祉施設等の一体的整備

・住宅相談・住情報提供

地域における住宅政策の推進を総合的に支援

安心して利用できる住宅相談・住情報提供

生活道路の整備(密集住宅市街地等)

民間住宅の耐震改修

公営住宅の建替え

デイサービスセンター・保育所等の整備

特定優良賃貸住宅 ・

高齢者向け優良賃貸住宅の整備

緑地の整備

筋交い

構造用合板

克雪住宅の整備

【ポイント】

【交付対象事業】

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克雪住宅に対する助成の実績

1.新潟県

補助実績(県単独補助、国費補助の合計)

H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17(見込) 合計

9 673 904 1145 1418 1334 1279 1264 1308 1087 856 730 641 514 13162

※克雪住宅共同整備事業(国費補助)は、幅員4~16mの沿道、建坪率30%以上で地区住民の協定締結地区において助成(実績119戸)。

※平成18年度から地域住宅交付金を活用予定。

※この他に、新潟県中越大震災における半壊以上の被災住宅の建て替えに対し、基金を活用した克雪住宅整備支援を実施。

(平成17年度実績見込641戸)

2.石川県

県単補助(屋根融雪化促進事業)

H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 合計

- - - 10 20 24 16 30 20 24 26 13 7 未集計 190

※平成18年度から地域住宅交付金を活用予定。

3.その他

この他に、平成17年度より、山形県尾花沢市、岐阜県飛騨市において、克雪住宅整備支援に地域住宅交付金を活用。

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長岡市における取り組み①

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長岡市における取り組み②

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新技術(消融雪)

無散水消融雪施設は、舗装道路や融雪の必要な箇所に放熱管を埋設し、この管に地下水や温水などを循環させることで、路面上の雪を融かしたり、凍結防止を行う。

無散水消融雪施設に関する豪雪地帯の行政及び住民のニーズは極めて高く、特に市町村からはコストダウンを望む声が強い。

イニシャルコスト及びランニングコストの両方におけるコスト低減が普及促進における課題。

岩手県遠野市では、1年を通して強い風が吹く風土を利用し、道の駅「遠野風の丘」の建物へのアプローチ(レンガ敷き)に、風力発電装置で発電した電力を利用するロードヒーティングシステムを整備。

風力発電で得られる電力はわずかであり、十分な融雪効果を得るには至っていないが、風車は地域のシンボルとして定着。

参考事例 風力発電による道の駅の融雪システム(岩手県遠野市)

参考事例 冬期バリアフリー計画に伴う歩道融雪(青森県青森市)

青森県青森市では、「青森市冬期バリアフリー計画」を策定。

この計画に基づき、地区内の歩道で無散水消融雪施設の整備を進めており、海水を利用するもの、地熱を利用するもの、太陽熱を地中に蓄積して利用するものなど、様々な新技術を活用。

(備考) 出典:国土交通省都市・地域整備局「雪に関する新技術を活用した地域づくり促進方策検討調査報告書」 (平成17年3月)

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新技術(流雪溝)

流雪溝は、流水の勢いを利用して、側溝内に投雪した雪を流末(河川等)まで押し流す施設。

水源確保が課題であり、最近は下水処理水を活用した流雪溝も整備。最新のITを活用した流雪溝管理システム等の開発・導入も進められている。

消融雪溝は、側溝内を仕切り、水をためることで投雪した雪に水の熱を伝えやすくし、雪を融かす施設。駐車場、交差点、細い街路などにスポット的に整備。

北海道札幌市では、公園等に集めた雪を下水道を利用して融かす雪処理事業を実施。

市の委託業者は生活道路から集めた雪をいったん公園内に堆積し、近くを通る下水道管の上に投雪口を設置して、集めた雪を処理する。

下水の温度は12℃程度であり、雪は下水と一緒に流れる。地域の雪を地域内で処理するため、トラック排雪の作業効率の向上と河川敷の堆積場の負荷軽減が期待される。

参考事例 下水道を利用して排雪処理する事業(北海道札幌市)

参考事例 下水熱を利用したまちなかコミュニティ雪処理事業(青森県青森市)

青森県青森市では、既存の合流下水道管とそこを流れる汚水の熱エネルギーを利用した雪処理施設を整備し、市街地・住宅地の地域住民の除排雪に係る負担の軽減を図る「まちなかコミュニティ雪処理事業」を実施。

平成15年度より青森市街地の5箇所で試験的に整備を行い、地域住民の協力も得ながら、施設の有効性を検証。

新設 投雪口

新設 流入管

既設合流管

新設 投雪口

新設 流入管

既設合流管

投雪状況

流下状況

路肩の雪路肩の雪

(備考) 出典:国土交通省都市・地域整備局「雪に関する新技術を活用した地域づくり促進方策検討調査報告書」 (平成17年3月)

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新技術(屋根雪処理)

屋根雪処理に関する技術は、民間主導で研究開発が進められており、商品も充実してきている。

散水消雪方式では、地下水や温水を散水して屋根雪を消雪する。地下水は長年使用すると目詰まりを生ずるおそれがあるため、一般にはボイラー等により加熱した水道水を使用。

無散水融雪方式は、以下のとおり。技術開発・改良が最も盛んな方法であり、このほか太陽熱等の自然エネルギーを活用する取組も始まっている。

参考事例 風力・太陽光・太陽熱を活用した保育所(青森県大畑町 大畑中央保育所)

青森県大畑町の大畑中央保育所は、太陽熱暖房、太陽光発電、風力発電の3つの装置を備えた公共施設

屋根に設置した集熱ガラスで屋根下を流れる空気を暖め、床下のコンクリートに蓄熱し、降雪時には送風ファインを逆回転することにより、屋根の融雪も行うことができる。

電熱方式 電熱ケーブルや面状発熱体に通電発熱させ、その熱を利用して屋根雪を融雪したり、凍結を防止したりする。

温水循環方式 ボイラー等で加熱した不凍液を循環させ、放熱ユニットで循環温水熱を放熱させることで屋根雪を融雪する。熱量調整が容易であり、省エネルギー型の融雪も可能である。

ヒートパイプ方式 ボイラー等の熱をヒートパイプにより屋根面で放熱し、屋根雪を融雪する。導入コストは高価であるが、メンテナンスが不要であり、ランニングコストは低い。

生活排熱を用いた方式 家屋内の生活排熱を屋根裏に循環させて、屋根雪を融雪する。融雪設備を設置することなく融雪できるため、経済的であるが、家屋を半耐雪型にするためのコストがかかる。

(備考) 出典:国土交通省都市・地域整備局「雪に関する新技術を活用した地域づくり促進方策検討調査報告書」 (平成17年3月)

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新技術に関するアンケート

49.4 48.7

36.834.5 34.5

25.8

19.8 19.215.4 15.2 14.4 14.4 13.9 13.9

10.0

45.8

62.5

50.0

8.3

45.8

37.5

12.5

41.7

4.2

12.58.3 8.3

4.2 4.28.3

39.0

65.6

45.1

13.7

36.030.9

10.4 10.76.2

12.3

24.9

9.5 8.8

15.9

4.7

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

太陽熱、地熱、風力などの自然エネルギー

を活用した融雪装置

効率・性能のよい道路除雪機械、

低コストで稼動する道路除雪機械

環境にやさしい材料を用いた

凍結防止剤、融雪剤

家庭排熱、下水熱、ごみ焼却熱などの

エネルギーを活用した融雪装置

凍結防止効果の高い舗装、

水はけのよい舗装

歩道を効率よく、または低コストで

除雪する機械(小型ロータリ車など)

家庭から排出される熱を利用した

屋根融雪装置

雪氷災害・雪崩災害などを予知・

予防するためのシステム

雪を利用した発電、温度差発電

下水道、下水処理水を利用した

流雪溝・消雪溝

地域内の積雪状況を自動観測・

モニタリングするシステム

廃棄物や廃材を再利用・リサイクル

した凍結防止剤、融雪剤

太陽エネルギーを利用した屋根融雪装置

各家庭の敷地内を融雪する簡便な装置

民間や家庭で利用できる雪冷房システム

住民(N=1706)

道府県(N=24)

市町村(N=634)

(備考) 1 出典:国土交通省都市・地域整備局「雪に関する新技術を活用した地域づくり促進方策検討調査報告書」 (平成17年3月)2 行政については、平成16年度、豪雪地帯の道府県24 団体、市町村833団体を対象にアンケートを実施。回収数は道府県24団体(100%)、市町村634団体(76.1%)。

3 住民については、平成16年度、豪雪地帯に居住している人(民間調査会社のモニター会員)を対象にインターネット・アンケート。有効回答数1706。4 雪国で導入が進んでいる事例、研究開発が進んでいる事例等から32項目を選択肢とし、5つまで選択可とした。上記は上位15事例まで表示。

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雪処理の担い手

2006/01/14 新潟日報

(懇談会で用いた資料のうち、ホームページに掲載できないものは削除しています。)

雪処理の担い手の関係性

自助努力

・能力超過

行政支援

・各種支援

コミュニティによる支援

・相互扶助能力減退

家族、近親者協力

・能力超過、居ない

高齢化の進展、コミュニティ減退により高齢者の負担と被害の増加が懸念

広域的な支援

・民間(ボランティア、

企業など)

・自治体間

通常時 : 高齢化、過疎化の進行により自助努力や地域で行うことができたことも、徐々に縮小する。

大雪時 : 広い範囲で大雪となると、家族や近所からの支援も遅れる。

同時に様々な事象(交通障害、通信不通など)が発生し、きめ細かな対応が行き届かない。

(備考) 国土交通省都市・地域整備局地方整備課作成

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住民組織等の活動状況

住民組織等が主体となった雪国活動の実施状況(実施されている豪雪地帯市町村数と割合)

地方別にみた住民組織等が主体となった雪国活動の実施状況(実施されている豪雪地帯市町村数と割合)

a 高齢者世帯等の除雪・屋根雪下ろし

b 生 活 道 路 の 除 雪 作 業

c 歩 道 の 除 雪 作 業

d 流 雪 溝 の 管 理 ・ 運 営

e 消 雪 パ イ プ の 管 理 ・ 運 営

f ロー ド ヒーテ ィ ングの管理 ・運営

g 凍結防止剤・融雪剤・焼砂の散布

h 雪まつり・イベント等の企画・運営

i 雪を活用した都市部・非雪国との交流

j 雪中貯蔵・雪冷房に関する取り組み

k 克雪 ・ 利 雪 ・ 親 雪 に関す る 研究

l そ の 他

0 10 20 30 40

実施市町村割合(N=756)

13 (1.7%)

222 (29.4%)

10 (1.3%)

32 (4.2%)

167 (22.1%)

130 (17.2%)

58 (7.7%)

88 (11.6%)

11 (1.5%)

60 (7.9%)

16 (2.1%)

234 (31.0%)

(%)

75662465618427225156回答市町村数(割合の基数)

( 2.1%)( 0.0%)( 0.0%)( 3.6%)( 1.6%)( 3.7%)( 2.7%)( 2.6%)160023164

そ の 他l

( 1.3%)( 0.0%)( 0.0%)( 0.0%)( 2.2%)( 0.0%)( 1.8%)( 1.3%)100004042克雪・利雪・親雪に

関 す る 研 究k

( 1.7%)( 0.0%)( 0.0%)( 0.0%)( 1.6%)( 0.0%)( 1.8%)( 3.8%)130003046雪中貯蔵・雪冷房に

関 す る 取 り 組 みj

( 4.2%)( 4.8%)( 8.7%)( 8.9%)( 4.9%)( 0.0%)( 4.4%)( 0.6%)3234590101雪を活用した都市部・

非 雪 国 と の 交 流i

(29.4%)(12.9%)(15.2%)(26.8%)(22.8%)(22.2%)(34.2%)(42.9%)22287154267767雪まつり・イベント等

の 企 画 ・ 運 営h

( 7.9%)( 8.1%)(10.9%)(28.6%)( 7.6%)( 7.4%)( 6.7%)( 1.9%)605516142153凍結防止剤・融 雪剤・

焼 砂 の 散 布g

( 1.5%)( 0.0%)( 0.0%)( 5.4%)( 0.5%)( 0.0%)( 1.3%)( 2.6%)110031034ロードヒーティングの

管 理 ・ 運 営f

( 7.7%)( 4.8%)(13.0%)( 7.1%)(19.0%)( 0.0%)( 4.0%)( 0.6%)5836435091消 雪 パ イ プ の

管 理 ・ 運 営e

(11.6%)( 4.8%)( 4.3%)(14.3%)(12.5%)( 0.0%)(18.2%)( 7.1%)883282304111

流 雪 溝の 管 理 ・運 営d

(17.2%)(24.2%)(43.5%)(25.0%)(19.0%)(29.6%)(13.8%)( 4.5%)130152014358317

歩 道 の 除 雪 作 業c

(22.1%)(35.5%)(58.7%)(35.7%)(24.5%)(29.6%)(13.3%)( 9.6%)1672227204583015

生活道路の除雪作業b

(31.0%)(17.7%)(21.7%)(25.0%)(19.6%)(11.1%)(37.8%)(48.1%)2341110143638575高齢者世帯等の除雪・

屋 根 雪 下 ろ しa

計中国地方

近畿地方

中部地方

北陸地方

関東地方

東北地方

北海道地方活動分野

    : 各地方ブロック及び計において実施市町村が最も多い活動分野

    : 各地方ブロック及び計において実施市町村が2番目に多い活動分野

(備考) 1 出典:国土庁地方振興局「雪国における住民組織等の参加に地域づくり促進方策検討調査報告書」 (平成112年3月)2 平成11年12月時点で、豪雪地帯962市町村に対してアンケートを実施。回収数756市町村(78.6%)。3 各活動分野別に活動の有無をたずねており、分野間は複数回答。

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ボランティア参加意欲等(1)

-関心や参加意欲のある人は比較的多いが、現在参加している人は少ない-

ボランティア活動等に対する関心 ボランティア活動等に対する参加意欲 ボランティア活動等に対する参加状況

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

積極的に

参加したい

どちらかというと

参加したい

あまり参加したい

とは思わない

参加したいとは

思わない

105

(10.1%)

400

(38.6%)

402

(38.8%)

130

(12.5%)

367

(41.4%)

326

(36.8%)

113

(12.7%)

81

(9.1%)

112

(12.7%)

326

(37.0%)

327

(37.1%)

117

(13.3%)

313

(34.8%)

170

(18.9%)

94

(10.6%)

342

(38.7%)

326

(36.9%)

121

(13.7%)

94

(10.4%)

323

(35.9%)

N=1,037

N= 887

N= 882

N= 883

N= 900

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

非常に

関心がある

ある程度

関心がある

あまり

関心がない

ほとんど

関心がない

105

(9.5%)

589

(53.4%)

299

(27.1%)

109

(9.9%)

519

(54.3%)

213

(22.3%)

83

(8.7%)

140

(14.7%)

217

(22.8%)

474

(49.7%)

202

(21.2%)

60

(6.3%)

318

(33.2%)

139

(14.5%)

175

(18.6%)

468

(49.7%)

221

(23.5%)

78

(8.3%)

104

(10.8%)

398

(41.5%)

ボランティア・地域活動全般

高齢者世帯等の除雪支援活動

生 活 道 路 の 除 雪 活 動

歩 道 の 除 雪 活 動

親 雪イ ベン ト・ 交流 活動

N=1,102

N= 955

N= 953

N= 942

N= 959

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

現在参加している過去に参加

したことがある

これまでに参加

したことがない

279

(25.3%)

406

(36.8%)

419

(38.0%)

147

(15.9%)

743

(80.2%)37

(4.0%)

145

(15.7%)

235

(25.4%)

545

(58.9%)

529

(57.3%)

78

(8.7%)

190

(21.3%)

625

(70.0%)

84

(9.1%)

311

(33.7%)

N=1,104

N= 927

N= 925

N= 893

N= 924

(備考) 1 出典:国土交通省都市・地域整備局「住民参加による雪国づくり促進方策検討調査報告書」 (平成13年3月)2 平成12年11月、豪雪地帯に在住する2,800人(28市町村、1市町村につき100人ずつ)に対してアンケートを実施。回収数1,285人(45.9%)。3 上記グラフは、無回答を除いて集計。

34

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ボランティア参加意欲等(2)

-関心や参加意欲のある人は比較的多いが、現在参加している人は少ない-

除雪支援活動に対する関心 除雪支援活動に対する参加意欲 除雪支援活動に対する参加状況

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

積極的に参加したい

どちらかというと参加したい

あまり参加したいとは思わない

参加したいとは思わない

9

(6.3%)

47

(32.9%)

61

(42.7%)

26

(18.2%)

63

(35.4%)

73

(41.0%)

27

(15.2%)

15

(8.4%)

14

(5.7%)

103

(42.0%)

99

(40.4%)

29

(11.8%)

39

(31.7%)

16

(13.0%)

27

(14.1%)

97

(50.5%)

53

(27.6%)

15

(7.8%)

14

(11.4%)

54

(43.9%)

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

現在参加している 過去に参加したことがある

これまでに参加したことがない

3

(2.1%)

11

(7.6%)

130

(90.3%)

4

(2.2%)

160

(88.9%)

16

(8.9%)

4

(1.6%)

30

(12.0%)

215

(86.3%)

91

(61.1%)

14

(7.0%)

43

(21.6%)

142

(71.4%)

12

(8.1%)

46

(30.9%)

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

非常に

関心がある

ある程度

関心がある

あまり

関心がない

ほとんど

関心がない

14

(9.8%)

63

(44.1%)

52

(36.4%)

14

(9.8%)

93

(48.2%)

57

(29.5%)

26

(13.5%)

17

(8.8%)

35

(13.5%)

150

(57.7%)

54

(20.8%)

21

(8.1%)

21

(14.4%)

13

(8.9%)

41

(20.0%)

128

(62.4%)

29

(14.1%)

7

(3.4%)

32

(21.9%)

80

(54.8%)

20~ 29歳

30~ 39歳

40~ 49歳

50~ 59歳

60歳以上

(備考) 1 出典:国土交通省都市・地域整備局「住民参加による雪国づくり促進方策検討調査報告書」 (平成13年3月)2 平成12年11月、豪雪地帯に在住する2,800人(28市町村、1市町村につき100人ずつ)に対してアンケートを実施。回収数1,285人(45.9%)。3 上記グラフは、無回答を除いて集計。

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災害救援ボランティアセンター

災害が起こった場合、被災地の社会福祉協議会等が役割分担を進め相互に負荷を軽くしながら協働して災害救援ボランティア活動

を行う必要があります。また、近年では、災害救援ボランティアセンター等が設置され、近隣だけでなく遠くからの支援も受けられ

るようになっているので、こうした外部の力と上手に連携し、協働することも重要です。

○地域関係機関の協働

災害VC

ボランティア等ボランティア等

地域・近隣の支援者

/関係者

地域・近隣の支援者

/関係者被災地域の住民被災地域の住民

日赤・共募・

生協 etc

日赤・共募・

生協 etc 企業企業

民生委員・児童委員民生委員・児童委員

福祉施設福祉施設

福祉協力福祉協力

社会福祉協議会社会福祉協議会

行政行政

商工会・JC商工会・JC

学校・PTA学校・PTA

子ども会子ども会

自治会自治会

婦人会・

青年会

婦人会・

青年会

地域

ボランティア・市民活動団体/災害救援・防災分野のNPO 等ボランティア・市民活動団体/災害救援・防災分野のNPO 等

地域における協働の主体と枠組み〔プラットフォームによる協働のイメージ〕

より広域な関係

平常時から、行政や企業、NPO、専門

職能団体等が協働して地域防災に取り組む

とともに、災害時にそれぞれがどのような

役割を担い、分担して行動するか、具体的

にイメージした上でネットワークを形成す

ることが必要です。

○外部ボランティアとの協働

被災地には、外部からの多くのボラン

ティア、NPOなどの救援団体がかけつけ

てくれます。被災地では、被災地住民によ

る自助活動・助け合い活動の力の回復を図

り、地域の力と外部の力を有機的に組み合

わせて住民生活を支援することが重要です。

(備考):「協働で進める災害救援・ボランティア活動の手引き」(平成16年3月社会福祉法人全国社会福祉協議会)より引用

36

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ボランティアによる広域的支援

(備考)1 出展:新潟県企画調整部地域政策課雪対策室 「新潟の雪堀ボランティア」(平成11年3月)2 松代町は平成17年4月1日に十日町市、川西町、松之山町、中里村と合併し新「十日町市」となった

37

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他機関等への応援要請

自衛隊の災害派遣

(内閣府資料(防衛庁調べ2月8日18時現在)より抜粋)

今冬における新潟県の応援要請(新潟県資料より抜粋)

(2月7日現在)

○長野県(1月6日長野県知事から災害派遣要請→13日撤収要請)・飯山市(1月7日~11日)、栄村(1月11日~13日)において緊急車両の通行確保のための除排雪、孤立予想世帯・高齢者世帯の除排雪を実施

○新潟県(1月7日新潟県知事から災害派遣要請→16日撤収要請・津南町(1月8日~14日)、十日町市(1月8日~12日)、妙高市(1月9日~13日)、上越市(1月10日~13日)、湯沢町(1月10日~14日)、魚沼市(1月14日~15日)おいて、緊急車両の通行確保のための除排雪、孤立予想世帯・公共施設等の除排雪を実施

○秋田県(1月8日秋田県知事から災害派遣要請→11日撤収要請)・秋田市(1月9日~11日)において一人暮らし高齢者世帯の家屋からの雪下ろしを実施

○北海道(1月13日北海道知事から災害派遣要請→20日撤収要請)・積丹町(1月14日~20日)において緊急車両の通行確保のための除排雪を実施

○群馬県(1月13日群馬県知事から災害派遣要請→15日撤収要請)・みなかみ町(1月14日~15日)において公共施設(小学校)の除雪を実施

○福島県(1月24日福島県知事から災害派遣要請→28日撤収要請)・金山町(1月25日~28日)において雪崩予防のための除雪を実施

・自衛隊への災害派遣要請 6市町

十日町市、妙高市、上越市、魚沼市、湯沢町、津南町への派遣を

要請し、隊員延べ1,652名、車両延べ286両が参加して緊急性の

ある公共施設等と災害時要援護者等の住宅除雪作業等を実施した。

・消防団等の除雪広域応援要請 延べ780名派遣

応援要請を行った結果、1月9日から15日の間で、12の市町の消

防本部及び消防団から消防団員や消防職員など延べ780名が、十

日町市や津南町など6市町において、要援護者宅の除雪作業を実

施した。

・県建設業界への協力要請 延べ294名派遣

新潟県建設業協会に対して協力を要請し、会員の協力により、

車両の提供を受けるとともに、要援護世帯の屋根雪等の除雪作業を

実施した。

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冬期コミュニティの形成(1)

高齢者除排雪支援の進め方について(山形県冬期コミュニティ形成研究会報告書(平成16年2月)より抜粋)

○支援を受ける高齢者に対する配慮・支援を受ける高齢者にとっても精神的な負担が大きくならない配慮・家族や親戚あるいは隣近所などによる支援が望ましい・高齢化の進展を考慮し、市町村全体で支援を行う体制が必要

○支援を行う人に対する配慮・支援を行う人の負担が大きくならないよう交代で支援作業を行える体制・他出子(他の地域に移り住んでいる子供)の理解など、支援を行う人が気持ちよく活動を行える環境づくり

○集落・地区内での支援・町内会が直営で行う場合の対象者の把握、人材の確保への役員等の協力・他の団体が取組む場合の町内会や社会福祉協議会の協力・支援・町内会が柔軟に支援し、コミュニティの活性化につながることを期待

○地域もしくは市町村全体での取組み①NPO法人やボランティア団体による取組み・賛同する人を見つけ、一歩を踏み出す・対象者の把握についての社会福祉協議会等の協力を得ておくことが望ましい・既存団体が社会福祉協議会の要請に応えて取組む場合、円滑に進みやすい②市町村全体を単位としたネットワーク・市町村のリーダーシップを発揮してNPO法人等に協力を要請して支援のネットワークを構築する方が円滑に進む・NPO法人には調整役としての役割発揮が期待され、将来的にネットワークの構築・運営の主体となることが望ましい・支援対象者の把握は、基準をもうけるより民生委員や町内会に任せた方が公平なものになると期待される・近くの人が作業を行ったり、若干の金銭負担を伴わせるなど、支援を受ける人の精神的な負担を小さくすることが長続きさせる上で有効。エコマネーも一つの方法・各集落等で取組が活発となるように、併せて、啓発や指導に取り組む

○学校における取組み・ボランティア・マインドの醸成や地域理解を深める効果・社協支部や民生委員の協力を得て適切な対象家屋へ行くことで、やりがいのあるボランティア体験となる

○公務員の地域づくりへの参画・公務員が地域住民の1人として地域づくりに積極的に参画し、高齢者支援のより良い体制整備が期待される

○企業の地域貢献活動・企業も協働して高齢者の除排雪支援体制が構築されることが望ましい

○地域外からの支援・地域外からの支援はマンパワー確保の面から有効・あらゆる地縁・血縁やインターネットによる広報を図り、地域外からの支援を得られる工夫を検討 39

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冬期コミュニティの形成(2)

地域コミュニティの連携のあり方や実施のポイント

(備考) 1出典 山形県資料 地区住民が共同して除排雪作業を実施している地区(集落)等についてアンケート調査(平成18年2月調査)を行い、

モデル事例をもとに、地域コミュニティの連携のあり方や実施のポイント等をまとめた。

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生活支援ハウス(1)

2.事業の経緯(1)平成2年度:「高齢者生活福祉センター」として創設。

(2)平成10年第3次補正予算において、山村、過疎、離島等の設置地域の限定を解除するとともに、事業名を「生活支援ハウス」に改正。

(3)平成17年度から、運営費に係る国庫補助を廃止し、市町村に税源移譲。

(注)山村、過疎、離島等における施設整備については、地域介護・福祉空間整備等交付金(市町村交付金)による国庫助成あり。

1.事業概要

独居生活に不安のある高齢者等に対する居住機能、介護支援機能及び交流機能を総合的に提供する「生活支援ハウス」において、

下記の内容を行う事業。

① 高齢等のため居宅生活が不安な者に対する住居の提供

② 利用者に対する相談助言及び緊急時の対応

③ 利用者が通所介護、訪問介護等の在宅介護サービスが必要となった際の利用手続きの援助

④ 利用者と地域住民との交流を図るための各種事業及び交流のための場の提供など

3.か所数(単位:か所)

年 度 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度

か所数(実績) 292 359 429 488 537

※各年交付決定ベース

4.生活支援ハウスを、冬期間のみ利用している利用者がいる施設の例

都道府県 利用 左のうち冬期間施 設 名

市町村名 者数 のみの利用者

新潟県妙高市 妙高市高齢者生活福祉センター妙高の里 11 6

新潟県上越市 浦川原高齢者生活福祉センター 6 1

長野県木島平村 木島平村高齢者福祉総合センター福寿苑 4 2

(※ 北海道、秋田県、新潟県及び長野県に依頼し、管内の市町村に聞き取りした結果、 あがってきたもの。)

(備考)1 厚生労働省資料より抜粋

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生活支援ハウス(2)

新潟県と長野県内にある生活支援ハウスを例にとり、平成16年度における月別の利用状況を見てみると、冬期間の利用がわずかに多くなっている。(なお、補助金申請時の計画書を集計したものであり、実績とは異なっている可能性がある。)

生活支援ハウス(高齢者生活福祉センター)運営事業実施計画調(平成16年度)より(厚生労働省調べ)

361369

369

371

369355

354

351351

353350

353

100

150

200

250

300

350

400

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

(人)

42

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東北地方の高齢者向け施設の例

居室数 都道府県 市町村 施設の名称 設置年 併設

夫婦 単身現在の状況(平成 18年 2月)

青森県 碇ヶ関村

(現平川市)

高齢者世話付き住宅「やすらぎの家」 2001 専用 2 8 冬季居住は可能であるが、近年は通年利用で部屋が埋まっている

状況である。 岩手県 沢内村

(現西和賀町)

高齢者生活福祉センター「かたくりの園」 1994 デイサービス 7 現在、4室に 1人ずつ、単身世帯高齢者が冬季居住。毎年希望者が多く、基準を設けて選定している。入居者の自宅はスノーバス

ターズ等が除雪。 上小阿仁村 高齢者生活福祉センター 1993 通所介護サービス事業 8 現在は 2室に 1人ずつ、単身世帯高齢者が冬季居住。入居する人

数は毎年変わる。入居者の自宅の雪処理は各人の責任で対応。 田代町

(現大館市)

こぶしの家 1998 専用 6 今年は豪雪で特に希望者が多く、和室を開放して 2室追加し、全8部屋に 1人ずつ、単身世帯高齢者が冬季居住。すべて女性で 80歳以上が多い。自宅は各人で対応。親戚、近所の方、業者が雪下

ろし等を行っている。

秋田県

西木村

(現仙北市)

特養「清流園」内高齢者共同生活支援施設 2000 特養・デイサービス

・ケアハウス

2 11 仙北市高齢者共同生活支援事業として実施。利用期間は 11 月~翌年 4月までの 6ヶ月間。平成 17年度は 1人部屋 6室、夫婦部屋 1室に対して計 10 人の募集があり、現在7人が入居中。自宅の雪処理は親戚や近所の方がやっているもよう。

最上町 高齢者生活福祉センター「陽だまりの家」 2000 痴呆性老人グループ

ホーム

0 10 冬季居住は可能であるが、通年利用で部屋が埋まっており、待機

している人もいるため、本年度は冬季のみの入居者はいない。 櫛引町

(現鶴岡市)

高齢者生活福祉センター 2001 専用 0 10 現在、7 室に入居者がおり、うち 1 人(単身世帯高齢者 75 歳)の方が冬季居住。全般的に利用は長期ではなく、一時的に居住す

る方がほとんどである。

山形県

朝日村 高齢者生活福祉センター 1993 デイサービス 5 現在、3室に 1人ずつ、単身世帯高齢者が冬季居住。毎年希望者がいる。自宅の雪処理は親戚や近所の方がやっているもよう。

柳津町 高齢者生活福祉センター「のぞみ」 1998 デイサービス・ショート

ステイ、在宅支援

2 6 現在、6室に入居者がおり、うち 1人(単身世帯高齢者)の方が冬季居住。冬季居住については、毎年 2~3 人の希望がある。入居者の自宅の雪処理は各人の責任で対応。

山都町

(現喜多方市)

高齢者生活福祉センターしゃくなげホーム 1991 デイサービス 10 現在、4室に 1人ずつ、単身世帯高齢者が冬季居住。他の 6室は空いている。毎年希望者がいる。自宅の雪処理は親戚や近所の方

がやっているもよう。

福島県

只見町 高齢者生活福祉センター 1995 デイサービス・保健

センター・在宅支援

9 現在、4室を冬季居住者(単身者 3人、夫婦 1組)、5部屋を通年居住者(単身者 4人、夫婦 1組)が利用している。毎年、部屋数以上の希望者あり。自宅の雪処理については、社会福祉協議会で

助成制度がある。

(備考) 1 出典:沼野夏生「東北地方における高齢者向け冬季居住施設の実態について」 第19回日本雪工学会大会論文報告集 pp.51-52,20022 平成13年12月、東北地方の特別豪雪地帯89市町村を対象にアンケートを実施。回収数は56市町村(63%)。3 高齢者の冬季居住を受け入れる施設として、上記の回答が得られた。4 上表の最右列には、各施設の平成18年2月時点の状況について、電話でヒアリングした内容を記す。

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新潟県津南町の例

目的 在宅高齢者福祉対策の一環として、冬期間雪による日常生活の困難と、精神的苦悩を和らげ、自宅で積雪の中過ごすことが困難な一人暮らし高齢者等に集団で暮らす居室を提供する。

取組内容 津南町の遊休施設(旧公民館)を町で改造、この施設運営を町から津南町社会福祉協議会が受託(資金不足分は社協予算で補てん)し、冬季居住施設として提供 。

利用対象者 冬期間積雪等により自宅で生活が困難と思われる一人暮らし高齢者、又はこれに準ずるもので民生・児童委員、老人福祉相談員等が必要と認める入室希望者とする。

※日常生活を自らできることが必要であるが、入居者の高齢化に伴い、給食サービス(弁当週2回)をうけている者もいる。

入居定員 7室(世帯)、最大9人程度

現在の入居状況 高齢者一人世帯女性3人、高齢者夫婦1組 計5名

入居者の自宅の除雪・

雪下ろし

町の要援護世帯除雪支援事業(平均年3回までの雪降ろし)の対象により、

近所の知人等が除雪支援をおこなっている。

入居施設の概要 位置は町中心地にあり、町立病院にも徒歩でいける距離であり、町保健師も密接に関係をもてる距離にある。

木造2階建ての建物の1階部分を間仕切りして、6畳間5室、8畳間2室を確保、各室に水道配備。

炊事、風呂、トイレは共用。

利用期間 入居は毎年12月1日より翌年3月31日まで。但し、降積雪の状態により変更。(実態は12/1から5月ゴールデンウイーク明けまで入居)

入居者の利用料等 ・6畳部屋 5千円/月

・8畳部屋 7千円/月

・利用料等の補足 水道、光熱費、消耗品類等共用費は無償。

・進入路の除雪(道踏み負担あり)は、当初入居者が行っていたが、高齢化に伴いシルバー人材センターに外注。

・日常生活に必要な寝具・暖房器具・身の回り品・台所用品等は本人が持参。

入居実績 近年は毎年4~5世帯程度(5人前後)が入居している。(昭和61年から入居開始)

平成8年~10年は利用者が多く、7世帯(8人)が入居。

その他、課題など ・お茶のみと称した互いの居室の訪問があり孤独感はないようである。

・雪のみでなく、冬期一人暮らしの不安からの入居者も見られるようになった。

・施設が非常に老朽化している。

(備考) 平成18年2月、新潟県津南町社会福祉協議会に問い合わせ、上記回答を得る。

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Page 30: 豪雪地帯の高齢者の安全安心に資する取り組み · における地域住民の除排雪に係る負担軽減、歩行者空間の確保、さらには、堆雪による交通

住民への注意喚起の例(1)

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Page 31: 豪雪地帯の高齢者の安全安心に資する取り組み · における地域住民の除排雪に係る負担軽減、歩行者空間の確保、さらには、堆雪による交通

住民への注意喚起の例(2)

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Page 32: 豪雪地帯の高齢者の安全安心に資する取り組み · における地域住民の除排雪に係る負担軽減、歩行者空間の確保、さらには、堆雪による交通

住民への注意喚起の例(3)

(備考)文献 上村靖司(長岡技術科学大学)、渡邊洋(福井大学) より

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