Top Banner
関西情報化実態調査2006 報 告 書 平成193財団法人 関西情報・産業活性化センター
191

関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ...

Aug 17, 2020

Download

Documents

dariahiddleston
Welcome message from author
This document is posted to help you gain knowledge. Please leave a comment to let me know what you think about it! Share it to your friends and learn new things together.
Transcript
Page 1: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

関西情報化実態調査2006

報 告 書

平成19年3月

財団法人 関西情報・産業活性化センター

Page 2: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

KEIRIN

この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。

Page 3: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

はじめに

Page 4: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

目 次

Page 5: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

第1章 調査の概要

第1節 本調査の趣旨

2006年1月に政府の IT戦略本部により発表された「IT新改革戦略」は、わが国の最

初の IT戦略である「e-Japan戦略」と「e-Japan戦略 II」に続く戦略として、2010年度

までの IT 政策の方向性を展望したものである。その内容は、これまでの成果や課題を

踏まえ、IT の利活用で世界を先導するとともに、少子高齢化や環境問題、安全・安心

の確保などの様々な社会的課題に対し、IT による構造改革を推進して対応することが

謳われている。

「IT 新改革戦略」は3つの政策群より構成されており、第一の政策群は、IT による

構造改革に関するものとして「ITによる医療の構造改革」「世界に誇れる安全で安心な

社会」等の 7分野が挙げられている。第二の政策群は、ユビキタスネットワーク社会の

実現に向けた基盤整備に関するもので、「ユニバーサルデザイン化された IT 社会」「世

界に通用する高度 IT 人材の育成」等の 6 分野が述べられている。第三の政策群は、第

一と第二の政策群で達成される成果を世界に情報発信し、技術・産業・観光分野におけ

る日本のプレゼンス向上と国際貢献を実現しようとするもので、「国際競争力社会にお

ける日本のプレゼンス向上」等の 2分野が示された。

こうした強力な IT 政策の推進と軌をひとつにして、我が国の社会・経済は情報化と

その利活用によって大きく変化してきた。それらは国民の生活を変化させ、新しいビジ

ネスの仕組みをもたらした。

企業においては、部門間、企業全体、取引企業間をつなぐ全体最適の手段として IT

を活用するケースが増加しており、顧客や企業間の情報連携が発展しつつある。また、

地方自治体においても、情報化による業務・システムの最適化や住民サービスに直結し

た IT利活用が推進されている。

2005 年度の関西情報化実態調査では、関西における上場企業と地方自治体の情報化

と、それに伴う組織・業務改革の現状、セキュリティ対策の現状把握を行った。その結

果、上場企業の IT利活用としては、ITを活用した効率的な経営を目指す姿勢が窺え、

一方で人材の配置転換や人員整理には IT が用いられていないことが分かった。自治体

においては、効率的な住民サービスの点で優先的に ITを活用していることが分かった。

以上を踏まえ、2006 年度関西情報化実態調査では、昨年度に引き続き、関西地域の

各分野における情報化の実態を把握し、その課題を整理するとともに、より広範で詳細

な調査を行った。調査より得られた関西地域における IT 利活用の現状と寄せられた意

見等を参考に、関西地域の情報化について、その必要性並びに将来展望も含めて提言を

行い、将来的には「関西情報化白書(仮称)」を作成し、関西地域の情報化の指針とな

ることを目指すものである。

1

Page 6: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

第2節 調査の概要 1. 上場企業、自治体 上場企業と地方自治体に対しては、昨年度と同様の IT 利活用に関するアンケートに

加え、CIO に求められる能力や IT 教育・活用、大規模災害時の業務継続対策に関する

質問を増加して実施した。また、アンケート結果の裏付けとしてそれぞれ5機関ずつの

ヒアリング調査を行った。

○ IT利活用部分について

今年度調査では、経営戦略と IT 戦略の整合性に視点を置き、より精緻な調査を行っ

た。特に CIO については、求められる能力と実現している能力をたずね、CIO 像(あ

り姿)を把握した。また、IT 人材の育成に関する課題をクローズアップするため、IT

教育・活用に関しては、情報システムに関する理解度やスキル把握、教育プログラムに

ついての把握を行った。

○ 大規模災害時業務継続対策

2000 年問題の際に情報システムの機器管理マニュアルの整備が各所で行われたが、

米国では 9.11 の際に貿易センタービルに主要拠点を置きながら翌日には業務を再開さ

せた金融機関があったことをかんがみ、我が国でも関心が高まっている。

今回の調査では、このような背景をもとに、企業における大規模災害発生時の業務継

続性対策の現状、大規模災害発生時の業務継続性に対する意識、問題点等を把握すると

ともに、IT関連に関する業務継続性に関する実態を把握することとした。

○ 情報セキュリティ対策

企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ

リティガバナンス」という考え方である。この考え方は 2005年 3月、経済産業省が発

表した「企業における情報セキュリティガバナンスのあり方に関する研究会報告書」の

中で提唱された。同報告書では、「情報セキュリティガバナンス」を「社会的責任にも

配慮したコーポレートガバナンスと、それを支えるメカニズムの観点から企業内に構

築・運用すること」と定義している。この背景には、どのような対策を行っても、セキ

ュリティ事故はゼロにはできないという事故前提の考え方があり、そして、いったんセ

キュリティ事故が起こると、社会的信用度の失墜から、組織の存続の危機にも繋がりか

ねない。こうしたことを背景に、今回のアンケート調査では、「情報セキュリティ全般

(セキュリティポリシー策定状況・取り組みの目的・方針など)」「組織・体制」「情報

セキュリティ対策の現状」「情報セキュリティに関する庁内教育」「情報セキュリティ監

査」「個人情報保護」について詳細把握を行った。

2

Page 7: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

2. 中小企業調査 中小企業に対しては、昨年度は簡潔な内容だったアンケート調査の項目を増加し、中

小企業における CIOの有無や IT教育の内容等にまで踏み込んだ調査とした。また、関

西圏にある IT先進 15企業に対してヒアリング調査を実施した。

3. 調査方法

(1)アンケート調査について

調査方針

主に IT 利活用と情報セキュリティ対策について、関西圏に本社を置く上場企業と、

関西2府5県の自治体に対しアンケート調査を行い、状況の把握を行った。また、関西

圏の中小企業に対しても IT利活用その他についてアンケートを行った。

調査方法

郵送によりアンケートを送付し、郵送または FAX にて回収した。上場企業、中小企

業に対しては同時期に同内容でWebアンケートも行った。

送付日 :平成 18年 10月 6日 (自治体 10月 27日)

回収期間:平成 18年 10月 6日 ~ 平成 18年 12月 18日

質問内容

■ 上場企業・自治体 ■ 中小企業 ・ 経営課題と IT ・ IT導入状況

・ 革新的な IT導入 ・ IT活用状況(昨年より強化)

・ CIOについて(昨年より強化) ・ 活用されてない理由

・ 情報システムについて ・ CIOの有無(新規)

・ IT教育・活用について(昨年より強化)

・ IT教育について

・ 大規模災害時業務継続対策(新規) ・ 情報セキュリティ対策等

・ 情報セキュリティ対策 ・ 大規模災害時業務継続対策

・ 情報セキュリティに関する教育につい

・ 個人情報保護について

3

Page 8: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

回収実績

送付件数 回収件数 回収率(昨年度)

上場企業 734 96 13.1%(11.2%)

自治体 260 112 43.1%(43.9%)

中小企業 3896 709 18.2%(20.0%)

総数 4890 907 18.5%(19.9%)

(2)ヒアリング調査について

上場企業については、アンケート結果より、設問項目中、特に特徴を持って取り組ま

れていると思われた企業5社を抽出し、ヒアリング調査を行った。

自治体についても、上場企業調査と同様に、アンケート結果より5自治体を抽出し、

ヒアリング調査を行った。

中小企業に関しては、アンケート結果より、積極的に IT 導入を図り問題意識の高い

企業を抽出し、選定を行った。また、業種の偏りを考慮して、IT 化による経営革新支

援事業採択企業や文献調査より数社抽出し、併せて 16社のヒアリング調査を行った。

■ IT利活用について

(1)IT利活用ステージとは

「IT利活用ステージ」は、IT利活用の進展度合いを測る指標として、平成 15年に経

済産業省が発表した評価指標である。その内

ら共同体最適化状態までのステージ1~4

に分類し、ステージごとの利活用の状況を示

したものとなっている。平成 17 年に経済産

業省が行った『IT 投資促進税制に関するア

ンケート調査』では、全国の上場企業を対象

にアンケート調査を行い、ステージ3以上の

企業が 26%という結果であった。

容は、企業の IT 利活用段階を初期段階か

2)アンケート調査における IT利活用ステージの利用解釈 より作成している。評価

製品としての

ERP

人事

財務

製品としての

SCM

CRM

SFA

ステージ①IT初期段階

情報技術導入するも

活用せず

特定業務の改善

情報技術の活用により

部門内最適化を実現

ステージ②

部門内最適化

ステージ③組織全体最適化

経営と直結した情報技術活用

により企業組織全体の最適化

を実現

ビジネス/経営管理

     の高付加価値化

ステージ④共同体最適化

情報技術活用によりバリュー

チェーンを構成する共同体全体

の最適化を実現

人材力/ブランド力

      の総合強化

「深化する組織」への脱皮

「システム」の時代

「経営」の時代

「経

」の壁

「企

」の

顧客視点の徹底

トリガー

組織改革

トリガー

企業

割の

変革

自治体版 IT 利活用ステージは、主に自治体経営という視点に

項目は企業版と同じく「組織形態」、「人材、評価制度」等であり、企業における「顧客」

を自治体では「住民」と読み替えた。

4

Page 9: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

4. 調査範囲の拡大(医療、教育、IT産業) 今年度調査では、調査範囲を「IT 新改革戦略」で重要項目と位置付けられた医療分

野、教育分野の情報化と、関西の IT産業の動向調査について拡大を行った。

教育分野の情報化については、コンピュータの設置状況等を把握する「平成 17 年度

における公立学校の教育の情報化の実態調査」(文部科学省)では、関西2府5県は下

位に位置している。それらを踏まえ、環境整備が充実していない中でも、学校現場の授

業等で実践的に活用している事例を取り上げ、導入・活用に際しての目的意識、効果、

課題、将来展望等についてヒアリング調査を行い、教育の情報化の促進への参考とした。

医療分野については、地域・広域での医療情報のネットワーク活用に焦点を当て、先

進事例である病院、ベンダー、協会・学会の関係者に対してヒアリング調査を行い、医

療情報化の進展状況ならびに情報化が遅れている要因を調べた。

関西の IT産業の動向調査としては、統計データから関西の IT産業の現状を把握する

とともに、関西に特徴のあるハード系、ソフト系 IT産業の現状を高速電力線通信(PLC)、

ゲームソフト産業、放送と通信の融合、IC カードビジネスといった基づき関西に特徴

のあるハード系、ソフト系 IT 産業関連団体に対するヒアリング調査によって把握し、

将来展望を行った。

5

Page 10: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

第2章 上場企業調査

第1節 アンケート調査結果

1. IT利活用について

■ IT利活用ステージ分析結果

・ 上場企業(サンプル数 96) 企業数 割合(%)

ステージ3(組織全体最適化) 32 33.3

ステージ2(部門内最適化) 50 52.1

ステージ1(IT初期段階) 14 14.6

<参考>平成 17 年度 IT利活用ステージ分析結果 <参考>平成 17 年経済産業省調査

・ 上場企業(89) 企業数 割合(%)

ステージ3 28 31.5

ステージ2 53 59.6

ステージ1 8 9.0

割合(%)

ステージ3以上 26

ステージ2 68

ステージ1 6

上場企業では昨年度よりステージ1の割合が増えている。これは回答数の増加によっ

て、より正確な数値が測れたのではないかと推測する。

6

Page 11: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

0.0%

20.0%

40.0%

60.0%

80.0%経営手法・経営スタイル

組織形態

人材

情報共有

取引関係変化への対応・BPR

IT部門の体制

システム利用スキル

IT投資効果分析

上場企業平均

自治体平均

上場企業平均

自治体平均

0.0%

20.0%

40.0%

60.0%

80.0%経営手法・経営スタイル

組織形態

人材

情報共有

取引関係変化への対応・BPR

IT部門の体制

システム利用スキル

IT投資効果分析

図1 IT利活用ステージ平均点チャート(右は昨年度)

図1は、IT 利活用ステージ分析で用いた得点配分を、項目別平均点でそれぞれ表し

たものである。上場企業は平均点で見ると、「人材(人材評価への取り組み状況、人材

流動化、人員整理)」の項目が、他の項目に比べて達成度が低いことが分かる。

図2でステージ別の平均点分布を見ると、ステージ2とステージ3で開きが大きい項

目は、「組織形態(組織のフラット化、トップダウンによる経営方針の徹底)」と「取引

関係」であることが分かる。上場企業では昨年度に比べて「経営手法・経営スタイル」

の達成度が上昇しているが、特に内訳では、経営資源の選択と集中に IT を活用してい

るとの回答が増えていた。「取引関係」の上昇では、取引(調達)先の絞り込み・変更

を含む見直しに ITを活用しているという回答増による。

7

Page 12: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

上場企業ステージ3

上場企業ステージ2

上場企業ステージ1

0.0%

20.0%

40.0%

60.0%

80.0%

100.0%経営手法・経営スタイル

組織形態

人材

情報共有

取引関係変化への対応・BPR

IT部門の体制

システム利用スキル

IT投資効果分析

上場企業ステージ3

上場企業ステージ2

上場企業ステージ1

0.0%

20.0%

40.0%

60.0%

80.0%

100.0%経営手法・経営スタイル

組織形態

人材

情報共有

取引関係変化への対応・BPR

IT部門の体制

システム利用スキル

IT投資効果分析

図2 ステージごとの平均点分布(上場企業・右は昨年度)

Q2:IT利活用のステージ (N=92)

14.5%

13.6%

20.0%

11.1%

100.0%

49.1%

63.6%

60.0%

44.4%

0.0%

36.4%

22.7%

20.0%

44.4%

0.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

製造(N=55)

流通(N=22)

金融(N=5)

サービス(N=9)

その他(N=1)

ステージ1 ステージ2 ステージ3

図3 業種別の IT 利活用ステージ状況

IT 利活用ステージ結果を業種ごとで見たのが上図である。製造業で 36.4%の企業が

ステージ3という結果であった。

8

Page 13: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

Q14-6:貴社の業況 (N=81)

23.1%

26.8%

37.0%

46.2%

31.7%

48.1%

30.8%

36.6%

14.8%

0.0%

4.9%

0.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

ステージ1

ステージ2

ステージ3

IT利活用のステージ

上向いている 上向いているが、将来は不透明 横ばいである 悪化している

図4 業況と IT 利活用ステージ

業況と IT利活用ステージの関係を見たのが上図である。「上向いている」という回答

はステージが上がるに連れて多いという結果であった。

Q1-4M001:IT投資による効率化についてお伺いします。次の項目のうちIT投資により、どの程度効率化が図られましたか。 (N=93)

14.0%

7.5%

4.3%

9.7%

44.1%

24.7%

33.3%

40.9%

29.0%

40.9%

41.9%

30.1%

11.8%

17.2%

9.7%

8.6%

1.1%

9.7%

10.8%

10.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

間接部門人員(総務・人事・経理など、直接利益を獲得しない部門)が減少した

従業員一人当たりのTCO(コンピュータシステムの導入、維持・管理などに掛かる総経費を表す指標)が一年前よりもかな

り減少した

一年前と比較して、ITに関する効率的な予算配分ができるようになった

トラブル発生率(従業員一人当たりのトラブル件数)が一年前に比べてかなり減少した

自信を持って実現していると思う

実現していると思う

あまり実現していないと思う

実現していないと思う

わからない

図5 IT 投資による効率化

IT投資による効率化については、「間接部門人員の減少」、「トラブル発生率」が実現

しているとの回答が多く、「従業員当たりの TCO減少」があまり実現していないという

回答が最も多いという結果であった。

9

Page 14: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

Q1-5M001:IT投資による経営・組織の高度化についてお伺いします。次の項目のうちIT投資により、どの程度経営・組織の高度化が図られましたか。一つ選択してください。 (N=94)

6.4%

2.1%

15.1%

16.0%

10.6%

8.5%

34.0%

25.5%

75.3%

76.6%

52.1%

50.0%

30.9%

41.5%

6.5%

6.4%

26.6%

27.7%

12.8%

11.7%

2.2%

1.1%

2.1%

16.0%

19.1%

11.7%

1.1%

9.6%

1.1%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

組織のフラット化が進んだ

人材の最適配置が進んだ

社内の情報伝達の確度、徹底度合いが進んだ

社内情報の共有度合いが進んだ

より多くの有用な経営情報の収集が可能となり、迅速な経営判断を行うことが可能となった

より正確な経営判断を行うことが可能となった

自信を持って実現していると思う

実現していると思う

あまり実現していないと思う

実現していないと思う

わからない

図6 IT 投資による経営・組織の高度化

IT投資による経営・組織の高度化については、「社内の情報伝達」、「社内情報の共有」、

「経営情報の収集と迅速な経営判断」、「正確な経営判断」といった項目で高度化が図ら

れたとの回答が多かった。一方で、「組織のフラット化」と「人材の最適配置」につい

てはまだ実現していないという回答が目立った。

2. CIO について

今年度のアンケートでは、CIO に関して、求められる能力とその実現度合い、また、

CIO機能の実現度合いを質問している。

Q4-1:貴社の経営戦略的な視点から情報化を進める立場の役員:CIO(あるいはCIO相当役)の人物像についてお伺いします。(1)貴社のCIO(あるいはCIO相当役)に特に求められる能力について次の項目から選択してください。(2)また、それは実現していますか。 (N=84)

79.8%

63.2%

48.8%

32.4%

42.9%

27.9%

78.6%

44.1%

40.5%

27.9%

32.1%

25.0%

58.3%

42.6%

14.3%

11.8%

22.6%

10.3%

29.8%

14.7%

69.0%

55.9%

29.8%

19.1%

60.7%

48.5%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

求められる能力

実現している

組織の仕組みに対する知識と戦略立案能力

組織の管理と人材育成能力

業務手続や情報の管理と変更管理能力

情報化戦略立案能力

企業のパフォーマンスの管理測定能力

プロジェクト/プログラム管理能力

投資リスク・変更管理能力

調達戦略の策定と変更能力

電子商取引やウェブサービスの戦略管理能力

エンタプライズ・アーキテクチャを使った経営能力

情報セキュリティと情報保全に関する知識

利用者の状況把握能力とアクセシビリティに関する知識

社会環境の把握と予測能力

-----------------------------------------------------------------------------------------------

図7 CIO の人物像

10

Page 15: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

「CIO の人物像」に関する設問では、「求められる能力」として「組織の仕組みに対す

る知識と戦略立案能力」、「情報化戦略立案能力」と回答した企業が、それぞれ 79.8%、

78.6%と高い数値であった。また、「情報セキュリティと情報保全に関する知識」につ

いても、69.0%と比較的高い数値を示しており、昨今の個人情報保護漏洩事件などに対

する意識の高さが見える結果であった。実現度では、「情報化戦略立案能力」が 44.1%

であり、求められてはいるものの達成できていないという結果であった。「CIO 像」と

しては、情報の専門的能力より経営的センスが求められていると言える。

Q4-2:貴社におけるCIOの機能として、各項目の実現度合はいかがですか。 (N=87)

8.0%

5.6%

15.7%

22.7%

3.4%

1.1%

20.9%

6.8%

9.1%

8.0%

33.3%

21.3%

39.3%

50.0%

19.1%

6.7%

51.2%

35.2%

38.6%

26.4%

26.4%

21.3%

18.0%

6.8%

32.6%

23.6%

9.3%

31.8%

25.0%

20.7%

25.3%

44.9%

19.1%

15.9%

32.6%

56.2%

12.8%

19.3%

17.0%

39.1%

6.9%

6.7%

7.9%

4.5%

12.4%

12.4%

5.8%

6.8%

10.2%

5.7%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

CIOのミッションは明確に定められている

CIOは情報通信技術において専門的な経験を有している

CIOは会社の主要業務の経験を有している

CIOは自社内から選任している

CIOに求められる要素と水準が明確になっている

CIOの育成プログラムがある、あるいは、将来のCIO候補を

ある程度絞ってキャリアを積ませている

CIOは経営層と頻繁に情報交換を行っている

CIOはITに関する新技術、価格動向、将来動向を

定期的に把握しているCIOは自社に必要なITは何か、またそのITの利用・活用の

タイミングを常に意識しているITシステム投資・IT資産を企業グループベースで

把握するグループCIO・グループIT部門を有している

自信を持って実現していると思う 実現していると思う あまり実現していないと思う 実現していないと思う わからない

図8 CIO 機能の実現度合い

CIOの機能の実現度合いでは、「CIOは経営層と頻繁に情報交換を行っている」「CIO

は自社に必要な ITは何か、またその ITの利用・活用のタイミングを常に意識している」

と回答した企業が、ぞれぞれ「自信を持って実現している」「実現していると思う」を

合わせて、72.1%、47.7%と比較的高い数値を示した。

11

Page 16: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

Q2:IT利活用のステージ (N=96)

17.6%

10.5%

0.0%

0.0%

60.3%

42.1%

16.7%

0.0%

22.1%

47.4%

83.3%

100.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

ランク1(10点未満)

ランク2(15点未満)

ランク3(20点未満)

ランク4(20点以上)

CIOのランク

ステージ1 ステージ2 ステージ3

図9 CIO 機能と IT 利活用ステージ

CIO の機能実現度をポイント化し、IT 利活用ステージとのクロス集計を行ったのが

上図である。CIO が多くの機能を有する企業ほど、IT 利活用ステージも高いという結

果であった。

図表.CIO に求められる能力における実現度合いと IT 利活用ステージの関係

Q2:IT利活用のステージ (N=96)

13.6%

13.0%

10.0%

9.7%

20.0%

5.6%

13.3%

18.2%

7.7%

11.8%

18.5%

50.0%

47.8%

50.0%

61.3%

40.0%

55.6%

56.7%

75.0%

71.4%

36.4%

51.3%

69.2%

52.9%

59.3%

36.4%

39.1%

40.0%

29.0%

40.0%

38.9%

30.0%

25.0%

28.6%

45.5%

41.0%

30.8%

35.3%

22.2%

0.0%

0.0%

0.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

組織の仕組みに対する知識と戦略立案能力 N=44

組織の管理と人材育成能力 N=23

業務手続や情報の管理と変更管理能力 N=20

情報化戦略立案能力 N=31

企業のパフォーマンスの管理測定能力 N=20

プロジェクト/プログラム管理能力 N=18

投資リスク・変更管理能力 N=30

調達戦略の策定と変更能力 N=8

電子商取引やウェブサービスの戦略管理能力 N=7

エンタプライズ・アーキテクチャを使った経営能力 N=11

情報セキュリティと情報保全に関する知識 N=39

利用者の状況把握能力とアクセシビリティに関する知識 N=13

社会環境の把握と予測能力 N=34

無回答 N=27

ステージ1 ステージ2 ステージ3

また、CIO に求められる能力における実現度合いと IT 利活用ステージとのクロス集

計を行ったのが上図である。これを見ると、「IT 利活用ステージ」が最も高い「3」に

おいて、割合が高かった CIOに求められる能力では、「エンタープライズ・アーキテク

チャーを使った経営能力」(45.5%)となっている。単純集計での結果では、最も高かっ

た項目は「組織の仕組みに対する知識と戦略立案能力」や「情報セキュリティと情報保

12

Page 17: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

全に関する知識」という結果であったが、「IT利活用ステージ」が高い企業では、この

結果とは異なるものであった。

「エンタープライズ・アーキテクチャー」とは、企業や政府機関・自治体などの組織

(enterprise:エンタープライズ)が、社会環境や情報技術自体の変化に素早く対応で

きるよう、「全体最適」の観点から業務や情報システムの最適化を進めるための方法論・

設計手法(architecture:アーキテクチャ)である。近年の組織における IT 化の推進に

は、業務や情報システムを最適化することは、避けて通れないものとなっており、この

結果は、経済産業省が平成 17年 8月に「EA」に関するポータルサイトを開設したよう

なことも、背景になっていると考えられる。

3. 企業情報システムについて

Q5-1:貴社の企業情報システムに対する従業員の理解度(システム利用スキルの習得度)における目標についてお伺いします。目標と実現についてそれぞれもっとも近い項目を一つ選択してください。 (N=66)

69.7%

24.6%

18.2%

12.3%

9.1%

43.1%

3.0%

18.5%

0.0%

1.5%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

目標

実現

全従業員が、各職責に応じた業務を可視化・数値化し、適正かつ合理的に進めることができる

管理職の従業員が業務を可視化・数値化し、適正かつ合理的に進めることができることを目標とする

業務上必要な、一部の従業員だけが業務を可視化・数値化し、適正かつ合理的に進めることができる

理解度は教育を受ける従業員各自に任せている

その他

図10 企業情報システム理解度の目標と実現

企業情報システムの理解度では、「全従業員が各職責に応じた業務を可視化・数値化

し、適正かつ合理的に進めることができる」が最も多く、69.7%という結果であった。

目標の実現度合いでは、「全従業員」は 24.6%にとどまり、「業務上必要な、一部の従業

員だけ」という回答が 43.1」%という実態であった。

13

Page 18: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

4. IT教育・活用について

Q6-1:貴社の従業員に対するIT教育・活用についてお伺いします。各項目について、該当すると思われる実現度を一つ選択してください。 (N=92)

7.6%

3.3%

4.3%

2.2%

7.8%

4.3%

2.2%

4.3%

5.4%

52.2%

21.7%

7.6%

28.3%

24.4%

23.9%

12.0%

20.7%

38.0%

30.4%

35.9%

22.8%

32.6%

26.7%

27.2%

30.4%

42.4%

37.0%

8.7%

38.0%

59.8%

33.7%

34.4%

39.1%

54.3%

32.6%

18.5%

1.1%

1.1%

5.4%

3.3%

6.7%

5.4%

1.1%

0.0%

1.1%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

社内IT部門のミッション・職務機能・スキルミックス・責任分解を明確にしている

ITスキル標準などを活用して、社内IT部門の従業員の技術力・スキルを

客観的・数量的に把握する仕組みを持っている

社内IT部門の従業員のスキルを外部の評価基準(第三者など)を参照して評価している

社内のIT部門の従業員のスキル獲得は、人事評価やキャリアパスとリンクされている

社内IT部門の従業員に対して、経営戦略とIT戦略の関係について、CIO自らが定期的に説明して

いる

IT戦略に沿って、社内IT部門の従業員の採用計画(人数、スキル等を考慮)、採用方針を設定し

ている

社内IT部門の従業員が、一定期間、ITユーザ部門に異動する仕組みがある

社内IT部門の従業員のスキル獲得のための教育プログラムを整備している

社内IT部門の従業員が新技術や不足するスキルを獲得するために、定期的に

社外のプログラムに参加したり、先進企業で研修を受けたりさせている

自信を持って実現していると思う 実現していると思う あまり実現していないと思う 実現していないと思う わからない

図12 IT 教育・活用について

「従業員に対する IT 教育・活用」に関する設問では、「社内 IT 部門のミッション・職

務機能・スキルミックス・責任分解を明確にしている」と回答した企業が、59.8%と最

も多かった。しかし、「社内 IT部門の従業員が一定期間、ITユーザ部門に異動する仕組

みがある」「社内 IT 部門の従業員のスキル獲得のための教育プログラムを整備してい

る」「社内 IT部門の従業員が新技術や不足する技術を獲得するために、定期的に社外の

プログラムに参加したり、先進企業で研修を受けたりさせている」と回答した企業は、

「自信を持って実現している」「実現していると思う」を合わせて、それぞれ、14.4%、

25.0%、43.4%と比較的、低い数値を示しており、IT部門の人材育成については、積極

的な取り組みは見られないという結果であった。

5. 大規模災害時の業務継続対策について (1)大規模災害時業務継続対策

図表.大規模災害を想定した防災計画の策定状況

Q7-1:第2部 大規模災害時 業務継続対策/大規模災害時業務継続対策について/【大規模災害】次の(1)~(6)が発生し、甚大な被害があった時 (または、発生が予想され、甚大な被害が想定される時) (1) 震度5以上の地震 (2) 火山の噴火 (3) 台風・大雨・落雷 (4) 火災・事故 (5) 広域な疾病 (6) その他緊急対応が生じた時/貴社では、地震や水害などの大規模災害を想定した防災計画を作成していますか。もっとも

近い項目を一つ選択してください。 (N=92)

34.8% 13.0% 35.9% 10.9% 0.0%5.4%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

全社の防災計画を作成済み 本社のみを対象とした防災計画は作成済み 作成を検討中 何もしていない 分からない その他

図表.大規模災害発生時の従業員の行動マニュアル

の策定状況 Q7-2:貴社では、大規模災害発生時の従業員用行動マニュアルを作成していますか。もっとも近い項目を

一つ選択してください。 (N=93)

37.6% 15.1% 31.2% 12.9% 0.0%3.2%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

全社対象に行動マニュアルを作成済み 本社のみを対象とした行動マニュアルは作成済み 作成を検討中 何もしていない 分からない その他

図13 大規模災害時業務継続対策

14

Page 19: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

まず、地震や水害などの大規模災害を想定した防災計画の策定状況では、最も多かっ

た回答は、「作成を検討中」(35.9%)であった。次いで多かった回答は、「全社対象に

防災計画を作成済み」(34.8%)であった。また、大規模災害発生時の職員用行動マニ

ュアルの作成状況については、最も多かった回答は「全社対象に行動マニュアルを作成

済み」(37.6%)であった。次いで多かった回答は「作成を検討中」(31.2%)であった。

(2)ITの視点から立てているガイドラインについて

図表.大規模災害を想定した事業復旧ガイドラインのうち、ITの視点から立てているもの

Q7-4:貴社における大規模災害を想定した、事業復旧にかかわるガイドラインのうち、ITの視点から立てているガイドラインとしてどのようなものがありますか。 (N=90)

42.2%

26.7%

24.4%

14.4%

8.9%

47.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%

IT 運用上の役割と責任体制を明確化したガイドライン

IT 関連のシステム、オペレーションの文書化と最新内容の維持に関するガイドライン

IT 関連資産の詳細リストの作成と最新内容の維持に関するガイドライン

音声/データ通信にかかわる内部・外部接続にかかわるネットワーク・トポロジーの最新情報維持に関するガイドライン

システム、オペレーション間の相互依存を考慮したデータ・フローとビジネスプロセスの可視化に関するガイドライン

上記に該当するガイドラインは特にない

次に、ITの視点から立てているガイドラインについては、(1)の結果から全体の 30%

の企業しか策定していない中、「IT運用上の役割と責任体制を明確化したガイドライン」

(42.2%)との視点で立てている企業が大半であるが、「上記に該当するガイドライン

は特にない」(47.8%)となっており、IT の視点から立てているガイドラインは、まだ

少ない。

(3)大規模災害への対応として立てている対策

図表.大規模災害への対応として立てている対策

Q7-5:貴社における大規模災害への対応として、どのような対策を立てていますか。 (N=85)

29.4%

61.2%

21.2%

5.9%

49.4%

41.2%

37.6%

34.1%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

基幹業務システムの冗長化

バックアップデータを遠隔地に保管する

基幹業務システムのバックアップシステムを遠隔地に用意する

オフィススペースやオフィス機器等を含むオフィス全体のバックアップサイトを遠隔地に用意する

信頼性の高い外注先の選択

信頼性の高い(耐震性・防水性などが高い)ハードウェアを使用する

代替通信回線の確保

自家発電装置の設置

大規模災害への対応において立てている対策として最も多かった回答は「バックアッ

プデータを遠隔地に保管する」(61.2%)であり、次いで「信頼性の高い外注先の選択」

(49.4%)となっている。しかし、「オフィススペースやオフィス機器等を含むオフィ

ス全体のバックアップサイトを遠隔地に用意する」は、わずか 5.0%であり、厳格なバ

15

Page 20: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

ックアップ体制の確立までには至っていない様子が窺える。

(4)CIOと大規模災害対策の関係

図表.CIO機能実現度と大模災害対策を想定した防災計画の策定状況の関係

Q7-1:第2部 大規模災害時 業務継続対策/大規模災害時業務継続対策について/【大規模災害】次の(1)~(6)が発生し、甚大な被害があった時 (または、発生が予想され、甚大な被害が想定される時) (1) 震度5以上の地震 (2) 火山の噴火 (3) 台風・大雨・落雷 (4) 火災・事故 (5) 広域な疾病 (6) その他緊急対応が生じた時/貴社では、地震や水害などの大規模災害を想定した防災計画を作成していますか。もっとも

近い項目を一つ選択してください。 (N=93)

27.7%

42.1%

66.7%

100.0%

15.4%

10.5%

0.0%

0.0%

40.0%

31.6%

16.7%

0.0%

10.8%

10.5%

16.7%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

6.2%

5.3%

0.0%

0.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

ランク1(10点未満)

ランク2(15点未満)

ランク3(20点未満)

ランク4(20点以上)

CIOのランク

全社の防災計画を作成済み 本社のみを対象とした防災計画は作成済み 作成を検討中 何もしていない 分からない その他

CIO機能実現度数と大規模災害対策の関係を示したのが、上の図である。これを見る

と、CIOランク 4の企業では、全ての企業が「全社の防災計画を作成済み」となってい

る。その他、CIOのランク 2や 3の割合をみても、概ね、CIO機能の充実度と情報セキ

ュリティ対策のランクには、関係があることが窺える。

6. 情報セキュリティ対策 (1)情報セキュリティ全般

図表.情報セキュリティの取り組み方針・目的

Q8-2:貴社では、情報セキュリティに対する取り組みの方針や目的について、どのようにお考えですか。該当するものを全て選択してください。 (N=93)

90.3%

61.3%

40.9%

69.9%

58.1%

18.3%

12.9%

28.0%

47.3%

16.1%

0.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

リスクマネジメントの一環として取り組んでいる

セキュリティ事故がブランドイメージや業績に与える影響を避けるため顧客に提供する製品やサービスに一定レベルのクオリティを確保する責任を果た

すため社会的責任を果たすために取り組む必要がある

事業を推進する上で必須の項目である

企業としての競争力を高めるため(他社との差別化を図るため)

ビジネスプロセスの合理化の一環として取り組んでいる

事業活動に情報セキュリティ活動を整合させることが重要であるため

法律に従う必要があるため

他社の取り組み状況に遅れないようにするため

その他

情報セキュリティ対策の方針や目的としては、「リスクマネジメントの一環として」

(90.3%)が最も多く、次いで「社会的責任を果たすため取り組む必要がある」(69.9%)、

「セキュリティ事故がブランドイメージや業績に与える影響を避けるため」(61.3%)

と続き、企業の情報セキュリティに対する位置づけが社会的な責任として取り組まれて

いることが窺える。

16

Page 21: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

(2)情報セキュリティに関する組織・体制について

図表.情報セキュリティの推進体制

Q9-1:情報セキュリティに関する組織・体制について/貴社では、情報セキュリティに対する取り組みをどのような体制で推進されていますか。以下の中から該当するものを一つ選択してください。 (N=93)

31.2% 4.3% 57.0% 7.5%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

組織の経営責任者等が長を務める情報セキュリティ監理委員会等の委員会形式

セキュリティ担当の専任者を任命している

情報システム部門が担当している

その他

図表.情報セキュリティ担当の責任者

Q9-2:貴社では、どのような方が実質的な情報セキュリティ担当の責任者をされていますか。以下の中から該当するものを一つ選んでください。 (N=92)

14.1% 15.2% 8.7% 4.3% 4.3% 16.3% 10.9% 14.1% 12.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

情報セキュリティ担当責任者(CSO) 企業情報戦略最高責任者(CIO) リスク担当責任者(CRO)

プライバシー担当責任者(CPO) 財務部門の責任者 総務部門の責任者

その他の役員クラスの者 その他 情報セキュリティ担当責任者を設置していない

次に、組織・体制について見てみたのが、上の図になる。推進体制として「組織の責

任者等が長を務める情報セキュリティ監理委員会等の委員会形式」とした回答が、

31.2%を占めているが、「情報システム部門が担当している」が半数以上の 57.0%を占

めている。また、実質的な情報セキュリティ担当の責任者について尋ねてみたところ、

「情報戦略最高責任者(CIO)」(15.2%)、「情報セキュリティ担当責任者(CSO)」(14.1%)

と IT系の責任者が担当している例も見受けられたが、最も多かった回答は、「総務部門

の責任者」(16.3%)であり、単に情報システムの専任にとどまらず社会的責任者を配

置していることが分かる。

(3)情報セキュリティ対策の現状について

図表.セキュリティポリシーを基にしたセキュリティ対策の現状

Q10-2M001:貴社のセキュリティポリシーを基にしたセキュリティ対策の現状について、行われているものを選択してください。 (N=92)

79.3%

40.9%

76.7%

63.7%

73.3%

66.3%

58.2%

59.1%

49.4%

63.5%

10.9%

15.9%

17.8%

19.8%

21.1%

19.1%

13.2%

21.6%

27.1%

9.6%

9.8%

43.2%

5.6%

16.5%

5.6%

14.6%

28.6%

19.3%

23.5%

26.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

サーバ室などの入退室の管理

執務用PCの盗難防止策措置

PC等の情報機器の目的外での使用禁止

PC等の端末の持出し及び外部における情報処理作業の制限(データの外部持ち出しの制限)

外部からのPCの持込に関する制限

PC等の情報機器におけるセキュリティ設定変更の禁止

机上の端末等の管理(離席時の端末のロック)

退職時等の遵守事項の明確化

非常勤及び臨時職員の遵守事項の明確化

特に規定はないが、問題が発生する都度、対応

実施済み 実施予定 今のところ実施予定はない

セキュリティポリシーをもとにしたセキュリティ対策の現状では、「サーバ室などへ

の入退室の管理」「PC等の情報機器の目的外での使用禁止」に対する「実施済み」とし

た回答が、がそれぞれ 79.3%、76.7%となっており、高いポイントを示している。その

他の項目についても、「実施済み」との回答は、概ね高いポイントの傾向ではあるが、

「執務用の PCの盗難防止措置」(40.9%)、「非常勤及び臨時職員の遵守事項の明確化」

(49.4%)となっており、他の項目と比較すると低めのポイントとなっている。

17

Page 22: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

(4)情報セキュリティに関する庁内教育について

図表.情報セキュリティの教育実施状況

Q11-1:情報セキュリティに関する社内教育について/貴社では、従業員に対して情報セキュリティに関する教育や研修を実施されていますか。 (N=93)

66.7% 33.3%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

実施している 実施していない

図表.情報セキュリティ教育の実施形態

Q11-2:貴社では、従業員に対して情報セキュリティに関する教育や研修を実施する場合、どのような形態が効果的だとお考えですか。以下の中から該当するものを全て選択してください。 (N=92)

67.4%

41.3%

15.2%

26.1%

3.3%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80%

集合型(教室型)の研修

Webベースのトレーニング(e-ラーニング)

社外の専門機関への委託

テキストの配布と自習

その他

図表.情報セキュリティ教育が実施できない理由

Q11-3:Q11-1で「実施していない」と回答された方にお伺いします。情報セキュリティ教育を実施していない理由についてお伺いします。以下の中から該当するものを全て選択してください。 (N=31)

61.3%

22.6%

25.8%

22.6%

3.2%

12.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

他の業務で多忙であるため

予算が確保できないため

実施するための知識・ノウハウがないため

適切な教材がないため

情報セキュリティ教育の必要性を感じないため

その他

情報セキュリティに関する社内教育の実施状況は、「実施している」とした回答が、

66.7%を占めている。また、教育の実施形態については、「集合型の研修」が、67.4%と

なっている。今回、教育を実施していないとした企業は、33.3%であったが、実施して

いない理由としては、「他の業務で多忙であるため」との回答が、61.3%を占めていた。

ここでも、社会的責任の意識の高さと実態との間のは、ギャップがあることが窺える。

(5)情報セキュリティ監査について

図表.情報セキュリティ監査の実施状況

Q12-1:情報セキュリティ監査について/貴社における情報セキュリティ監査の実施状況についてお伺いします。以下の中から該当するものを選択してください。 (N=92)

28.3% 31.5% 22.8% 3.3% 10.9% 3.3%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

定期的に実施している 実施したことがあるが、定期的に実施しているわけではない

実施したことがないが、近い将来に実施予定である 実施したことがあるが、当面必要ではない

実施したことがなく、将来も実施予定はない 情報セキュリティ監査を知らない

定期的に実施しているとした回答は、28.3%となっている。今後も実施予定はないと

の回答を合計すると約 2 割弱となるが、これの理由については、「情報セキュリティ監

査よりも、システム開発や構築の推進を優先しているため」(467.7%)、「全社的に、情

報セキュリティの重要性に対する認識が薄い」(40.0%)となっており、社内における

重要度、意識の高低差が、このような結果に表れていると考えられる。

18

Page 23: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

(6)個人情報の保護について

図表.個人情報保護に関する規定の策定状況

Q13-1:個人情報の保護について/貴社では、個人情報保護法の施行に伴って、個人情報保護に関する規定(プライバシーポリシー 等)を策定されていますか。以下の中から該当するものを一つ選択してください

(N=93)

10.8% 20.4% 55.9% 3.2% 6.5% 3.2%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

個人情報保護法施行以前から策定していたものを継続して利用している

個人情報保護法施行以前から策定していたが、個人情報保護法の施行に伴って改定した

個人情報保護法の施行に伴って新たに策定した

現在策定中

今後、策定を予定している

策定の予定はない

図表.個人情報保護法の施行に伴って見直した業務

Q13-2:貴社では、個人情報保護法の施行に伴って自社の業務を見直すなどの対策を行いましたか。以下の中から該当するもの全て選択してください。 (N=92)

80.4%59.8%

55.4%40.2%

50.0%71.7%

62.0%29.3%

44.6%30.4%

40.2%21.7%

53.3%47.8%

28.3%45.7%

1.1%5.4%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

自社で保有する個人情報の洗い出し個人情報ごとの管理責任者の明確化

各部署での個人情報取扱担当者の設置や明確化全社で個人情報の台帳を一元管理使用していない個人情報の廃棄

従業員や関連業者に対する個人情報保護対策の徹底個人情報を収集、利用、開示、廃棄する際の管理規定の見直し

ダイレクトメール発送先リストの購入など個人情報の入手に関するルールの見外部委託に関する規定の見直し

個人情報が外部に漏洩してしまったときの対応マニュアルの策定電子媒体の個人情報ファイルの暗号化など、情報漏洩対策の見直し

個人情報を取り扱うシステム(Webサイト等)のセキュリティ評価(監査)の実施Webページへのプライバシーポリシーの掲示

申込書、申込画面など個人情報を記入する文面の見直し店舗へのポスター掲示など、顧客に対する個人情報保護への取り組みの説明

個人情報に関する苦情や問合せに対する部署の設置その他

上記のような対策は実施していない

個人情報保護に関する規定(プライバシーポリシー)の策定状況については、約 9割

弱の企業において、すでに策定済みとなっている。また、個人情報保護法の施行に伴っ

て実施した業務の見直しについては、「自社で保有する個人情報の洗い出し」(80.4%)、

次いで「従業員や関連業者に対する個人情報保護対策の徹底」(71.7%)となっている。

その他の項目についても、実施しているものが多く、「上記のような対策は実施してい

ない」は、5.4%にとどまっており、個人情報保護法の施行によって、多くの業務見直

しが行われたことが窺える。

(7)CIOと情報セキュリティ対策の関係

図表.CIOのランクと情報セキュリティ対策のランクの関係

Q1:情報セキュリティ対策のランク (N=96)

11.8%

5.3%

16.7%

0.0%

14.7%

10.5%

16.7%

0.0%

33.8%

26.3%

0.0%

33.3%

39.7%

57.9%

66.7%

66.7%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

ランク1(10点未満)

ランク2(15点未満)

ランク3(20点未満)

ランク4(20点以上)

CIOのランク

ランク1(10点未満) ランク2(15点未満) ランク3(20点未満) ランク4(20点以上)

CIOの機能実現度が高い(ランク 4)企業で、情報セキュリティ対策のランクが 4と

なっている企業が、66.7%となっている。逆に、CIOのランク 1の企業では、情報セキ

ュリティ対策のランク 4となっている企業は、39.7%となっている。その他、CIOのラ

ンク 2や 3の割合をみても、概ね、CIOのランクと情報セキュリティ対策のランクには、

関係があることが窺える。

19

Page 24: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

第2節 ヒアリング調査結果

1. 調査対象企業について

アンケート結果より、IT 利活用のとある点に対する意識は特化して高いといった特

徴的な上場企業を抽出し、ヒアリング調査を行った。

ヒアリング調査対象企業の業種と主だった質問項目は以下の通り。

企業名 業種 主な質問項目

株式会社日本触媒 化学・薬品 IT投資による競争力の向上、効率化

株式会社指月電機製作所 電機・精密機械 大規模災害時業務継続対策

株式会社ジーエス・ユアサ

・コーポレーション

電機・精密機械 CIOの能力、機能

株式会社カイゲン 商社・卸売・小売 IT教育・活用

センコー株式会社 運輸・倉庫 情報セキュリティ対策

2. 主な調査結果

20

Page 25: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

第3章 自治体調査

第1節 アンケート調査結果

1. IT利活用について

■ IT利活用ステージ分析結果

・ 自治体(サンプル数 112) 団体数 割合(%)

ステージ3(組織全体最適化) 13 11.6

ステージ2(部門内最適化) 72 64.3

ステージ1(IT初期段階) 27 24.1

<参考>平成 17 年度 IT利活用ステージ分析結果

・ 自治体(130) 団体数 割合(%)

ステージ3 17 13.1

ステージ2 71 54.6

ステージ1 42 32.3

0.0%

20.0%

40.0%

60.0%

80.0%経営手法・経営スタイル

組織形態

人材

情報共有

取引関係変化への対応・BPR

IT部門の体制

システム利用スキル

IT投資効果分析

上場企業平均

自治体平均

上場企業平均

自治体平均

0.0%

20.0%

40.0%

60.0%

80.0%経営手法・経営スタイル

組織形態

人材

情報共有

取引関係変化への対応・BPR

IT部門の体制

システム利用スキル

IT投資効果分析

図1(再掲) IT利活用ステージ平均点チャート(右は昨年度)

21

Page 26: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

自治体の IT 利活用ステージ分析では、昨年度に比べてステージ3の割合が減ってい

るが、こちらは市町村合併の影響によるものではないかと推測する。

図1は、IT 利活用ステージ分析でも用いた得点配分を、項目別平均点でそれぞれ表

したものである。昨年度に比べて「IT 投資効果分析(IT 投資目的の明確化、IT 投資評

価の明確化)」の達成度が高くなったという結果になった。「IT 部門の体制」と「シス

テム利用スキル」の達成率が昨年度に比べて下がっているのは、アンケートが詳細を訊

ねるものになったためであると考える。

図3でステージ別の平均点分布を見ると、ステージ2とステージ3で開きが大きい項

目は、「組織形態(組織のフラット化、トップダウンによる経営方針の徹底)」と「取引

関係」であることが分かる。「取引関係」の上昇では、取引(調達)先の絞り込み・変

更を含む見直しに ITを活用しているという回答増による。

自治体ステージ3

自治体ステージ2

自治体ステージ1

0.0%

20.0%

40.0%

60.0%

80.0%

100.0%経営手法・経営スタイル

組織形態

人材

情報共有

取引関係変化への対応・BPR

IT部門の体制

システム利用スキル

IT投資効果分析

自治体ステージ3

自治体ステージ2

自治体ステージ1

0.0%

20.0%

40.0%

60.0%

80.0%

100.0%経営手法・経営スタイル

組織形態

人材

情報共有

取引関係変化への対応・BPR

IT部門の体制

システム利用スキル

IT投資効果分析

図2 ステージごとの平均点分布(自治体・右は昨年度)

22

Page 27: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

Q2:IT利活用のステージ (N=108)

47.4%

20.0%

23.3%

5.6%

25.0%

47.4%

76.0%

66.7%

77.8%

50.0%

5.3%

4.0%

10.0%

16.7%

25.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1万人未満(N=19)

5万人未満(N=25)

10万人未満(N=30)

30万人未満(N=18)

30万人以上(N=16)

ステージ1 ステージ2 ステージ3

図3 人口規模と IT 利活用ステージ

IT 利活用ステージを人口規模別で見ると、人口規模が上がるに連れてほぼステージ

3の割合もほぼ高くなることが分かる。

Q1-4M001:IT投資による効率化についてお伺いします。次の項目のうちIT投資により、どの程度効率化が図られましたか。 (N=109)

3.7%

2.8%

3.7%

4.6%

25.7%

12.8%

17.4%

25.7%

46.8%

49.5%

48.6%

33.0%

15.6%

11.9%

16.5%

15.6%

8.3%

22.9%

13.8%

21.1%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

間接部門人員(総務・人事・経理など、直接利益を獲得しない部門)が減少した

職員一人あたりのTCO(コンピュータシステムの導入・維持・管理などにかかる総経費を表す指標)が一年前よりもかなり減少した

一年前と比較して、ITに関する効率的な予算配分ができるようになった

トラブル発生率(職員一人当たりのトラブル件数)が一年前に比べてかなり減少した

自信を持って実現していると思う 実現していると思う あまり実現していないと思う 実現していないと思う わからない

図4 IT 投資による効率化

IT 投資による効率化では、実現しているとの回答は「トラブル発生率」、「間接部門

人員の減少」の2項目で 30%前後という結果であった。

23

Page 28: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

Q1-5M001:IT投資による経営・組織の高度化についてお伺いします。次の項目のうちIT投資により、どの程度経営・組織の高度化が図られましたか。一つ選択してください。 (N=109)

0.9%

0.9%

12.8%

17.4%

3.7%

1.8%

22.0%

9.2%

60.6%

62.4%

33.0%

29.4%

41.3%

50.5%

16.5%

15.6%

38.5%

36.7%

21.1%

27.5%

5.5%

2.8%

10.1%

10.1%

14.7%

11.9%

4.6%

1.8%

14.7%

22.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

組織のフラット化が進んだ

人材の最適配置が進んだ

庁内の情報伝達の速度、徹底度合いが進んだ

庁内情報の共有度合いが進んだ

より多くの有用な地域情報の収集が可能となり、迅速な施策判断を行うことが可能となった

より正確な施策判断を行うことが可能となった

自信を持って実現していると思う 実現していると思う あまり実現していないと思う 実現していないと思う わからない

図5 IT 投資による経営・組織の高度化

IT投資による経営・組織の高度化に関しては、「庁内の伝達速度、徹底」と「庁内情

報の共有」が進んだとの回答が得られた。一方で実現していないとの回答は、「人材の

最適配置」、「組織のフラット化」等である。

2. CIOについて

Q4-1:貴団体のCIO(あるいはCIO補佐官(CIO相当役))の人物像についてお伺いします。(1)貴社のCIO(あるいはCIO補佐官(CIO相当役))に特に求められる能力について次の項目から選択してください。(2)また、それは実現していますか。 (N=101)

81.2%

74.6%

64.4%

61.0%

39.6%

30.5%

68.3%

32.2%

31.7%

20.3%

30.7%

25.4%

47.5%

22.0%

26.7%

11.9%

19.8%

6.8%

22.8%

3.4%

84.2%

50.8%

31.7%

13.6%

67.3%

55.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

求められる能力

実現している

組織の仕組みに対する知識と戦略立案能力

組織の管理と人材育成能力

業務手続や情報の管理と変更管理能力

情報化戦略立案能力

企業のパフォーマンスの管理測定能力

プロジェクト/プログラム管理能力

投資リスク・変更管理能力

調達戦略の策定と変更能力

電子商取引やウェブサービスの戦略管理能力

エンタプライズ・アーキテクチャを使った経営能力

情報セキュリティと情報保全に関する知識

利用者の状況把握能力とアクセシビリティに関する知識社会環境の把握と予測能力

-----------------------------------------------------------------------------------------------

図6 CIO の人物像

自治体においても CIOに求められる能力は上場企業と同様に、「組織の仕組みに対す

る知識と戦略立案能力」、「情報化戦略立案能力」であるが、自治体では「情報セキュリ

24

Page 29: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

ティと情報保全に関する知識」が 84.2%ともっとも高く、自治体の個人情報保護に対す

る意識の高さが分かる。実現度では、「組織の仕組みに対する知識と戦略立案能力」は

74.6%でありほぼ実現されているが、「情報セキュリティと情報保全に関する知識」の

実現度は 50.8%にとどまっている。自治体においては、CIOには情報セキュリティ関連

の能力が主に求められていると言える。

Q4-2:貴団体におけるCIOの機能として、各項目の実現度合はいかがですか。 (N=102)

2.9%

3.0%

19.0%

44.1%

3.0%

1.0%

18.6%

3.9%

4.9%

6.9%

30.4%

5.9%

36.0%

37.3%

15.8%

2.0%

34.3%

8.8%

13.7%

14.7%

36.3%

21.8%

13.0%

3.9%

42.6%

27.7%

14.7%

40.2%

38.2%

21.6%

22.5%

57.4%

24.0%

9.8%

28.7%

62.4%

19.6%

35.3%

31.4%

48.0%

7.8%

11.9%

8.0%

4.9%

9.9%

6.9%

12.7%

11.8%

11.8%

8.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

CIOのミッショ ンは明確に定められている

CIOは情報通信技術において専門的な経験を有している

CIOは庁内の主要業務の経験を有している

CIOは自庁内から選任している

CIOに求められる要素と水準が明確になっている

CIOの育成プログラムがある、あるいは、将来のCIO候補を

有る程度絞ってキャリア積ませている

CIOは経営層と頻繁に情報交換を行っている

CIOはITに関する新技術、価格動向、将来動向を

定期的に把握している

CIOは団体に必要なITは何か、またそのITの利用・活用の

タイミングを常に意識している

ITシステム投資・IT資産を庁内グループベースで把握する

グループCIO・グループIT部門を有している

自信を持って実現していると思う 実現していると思う あまり実現していないと思う 実現していないと思う わからない

図7 CIO 機能の実現度

CIOの機能の実現度合いでは、「CIOは庁内の主要業務の経験を有している」「CIOは

経営層と頻繁に情報交換を行っている」と回答した自治体が、ぞれぞれ「自信を持って

実現している」「実現していると思う」を合わせて、55.0%、52.9%と比較的高い数値を

示した。また、「団体に必要な IT は何か、またその IT の利用・活用のタイミングを常

に意識している」の実現度が上場企業に比べて低い。

Q3:人口規模 (N=108)

22.4%

11.8%

0.0%

0.0%

22.4%

23.5%

30.0%

20.0%

27.6%

23.5%

40.0%

20.0%

14.5%

23.5%

20.0%

20.0%

13.2%

17.6%

10.0%

40.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

ランク1(10点未満)

ランク2(15点未満)

ランク3(20点未満)

ランク4(20点以上)

CIOのランク

1万人未満 5万人未満 10万人未満 30万人未満 30万人以上

図8 CIO 機能実現度と人口規模

25

Page 30: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

上図は、CIOの実現している機能が多いほど高ランクとしたものと人口規模をクロス

集計したグラフである。ランク4の CIOを持つ自治体は 30万人以上規模が 40%を占め

る結果であり、概ね高ランクの CIOは大きな人口規模の自治体にいることが分かる。

図表.CIO に求められる能力における実現度合いと IT 利活用ステージの関係

Q2:IT利活用のステージ (N=111)

4.5%

5.6%

5.6%

5.3%

7.7%

3.3%

44.2%

75.0%

75.0%

83.3%

73.7%

75.0%

73.3%

61.5%

71.4%

75.0%

50.0%

80.0%

62.5%

78.8%

51.9%

20.5%

19.4%

11.1%

21.1%

25.0%

26.7%

30.8%

28.6%

25.0%

50.0%

16.7%

37.5%

21.2%

3.8%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

組織の仕組みに対する知識と戦略立案能力 N=44

組織の管理と人材育成能力 N=36

業務手続や情報の管理と変更管理能力 N=18

情報化戦略立案能力 N=19

庁内のパフォーマンスの管理測定能力 N=12

プロジェクト/プログラム管理能力 N=15

投資リスク・変更管理能力 N=13

調達戦略の策定と変更能力 N=7

電子商取引やウェブサービスの戦略管理能力 N=4

エンタプライズ・アーキテクチャを使った経営能力 N=2

情報セキュリティと情報保全に関する知識 N=30

利用者の状況把握能力とアクセシビリティに関する知識 N=8

社会環境の把握と予測能力 N=33

無回答 N=52

ステージ1 ステージ2 ステージ3

また、CIO に求められる能力における実現度合いと IT 利活用ステージとのクロス集

計を行ったのが上図である。これを見ると、「IT 利活用ステージ」が最も高い「3」に

おいて、割合が高かった CIOに求められる能力では母数は「2」と非常に少ないものの、

上場企業での結果と同様に「エンタープライズ・アーキテクチャーを使った経営能力」

(50.0%)となっている。

これは単純集計での結果とは異なっており、「組織の仕組みに対する知識と戦略立案

能力」や「情報セキュリティと情報保全に関する知識」といった項目が高い割合を示し

ていたが、「IT 利活用ステージ」が高い自治体では、「EA」に関する項目が、上位を占

めた。これは、まだ事例としては少ないものの、平成 18 年度における総務省の電子自

治体推進重点施策のうちの一つであった「自治体 EA事業」なども、影響していると考

えられる。

26

Page 31: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

3. 自治体情報システムについて

Q5-1:情報システムについて/貴団体の情報システムに対する職員の理解度(システム利用スキルの習得度)における目標についてお伺いします。目標と実現についてそれぞれもっとも近い項目を一つ選択してください。 (N=79)

70.9%

3.8%

10.1%

6.3%

8.9%

57.0%

10.1%

32.9%

0.0%

0.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

目標

実現

全職員が、各職責に応じた業務を可視化・数値化し、適正かつ合理的に進めることができる

管理職の職員が業務を可視化・数値化し、適正かつ合理的に進めることができることを目標とする

業務上必要な、一部の職員だけが業務を可視化・数値化し、適正かつ合理的に進めることができる

理解度は教育を受ける職員各自に任せている

その他

「全職員が各職責に応じた業務を可視化・数値化し、適正かつ合理的に進めることがで

きる」が最も多く、70.9%という結果であった。しかし、目標に対する実現度合いを見

ると、3.8%という数値となっており、「業務上必要な一部の職員」が 57%という結果で

あり、目標と実態には、大きな開きが見られた。

4. IT教育・活用について

Q6-1:貴団体の職員に対するIT教育・活用についてお伺いします。各項目について、該当すると思われる実現度を一つ選択してください。 (N=109)

4.6%

0.9%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.9%

1.8%

7.3%

28.4%

3.7%

5.5%

2.8%

6.5%

8.3%

10.1%

23.9%

36.7%

33.0%

38.0%

17.4%

22.0%

20.4%

18.3%

14.7%

23.9%

28.4%

30.3%

54.6%

75.2%

66.1%

70.4%

64.2%

70.6%

49.5%

26.6%

3.7%

2.8%

1.8%

9.2%

2.8%

9.2%

3.7%

0.9%

0.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

庁内IT部門のミッション・職務機能・スキルミックス・責任分解を明確にしている

ITスキル標準などを活用して、庁内IT部門の従業員の技術力・スキルを客観的・数量的に把握する仕組みを持っている

庁内IT部門の職員のスキルを外部の評価基準(第三者など)を参照して評価している

庁内のIT部門の職員のスキル獲得は、人事評価やキャリアパスとリンクされている

庁内IT部門の職員に対して、経営戦略とIT戦略の関係について、首長自らが定期的に説明している

IT戦略に沿って、庁内IT部門の職員の採用計画、採用方針を設定している

庁内IT部門の職員が、一定期間、ITユーザ部門に異動する仕組みがある

庁内IT部門の職員のスキル獲得のための教育プログラムを整備している

庁内IT部門の職員が新技術や不足するスキルを獲得するために、、定期的に庁外のプログラムに参加したり、先進企業・団体で研修を受けたりさせている

自信を持って実現していると思う 実現していると思う あまり実現していないと思う 実現していないと思う わからない

「職員に対する IT 教育・活用」に関する設問では、「庁内 IT 部門の職員が新技術や不

足するスキルを獲得するために、定期的に潮害のプログラムに参加したり先進企業・団

体で研修を受けさせたりしている」と回答した自治体が、44.0%と最も多かった。しか

し、「庁内の IT部門の職員のスキル獲得は、人事評価やキャリアパスとリンクされてい

る」と回答した自治体は、「自信を持って実現している」「実現していると思う」を合わ

せて、2.8%と非常に低い数値を示しており、IT スキルと評価が必ずしもリンクしてい

ないという現状が浮き彫りになった。

27

Page 32: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

5. 大規模災害時の業務継続対策について (1)大規模災害時業務継続対策

図表.大規模災害を想定した防災計画の策定状況

Q7-1:第2部 大規模災害時 業務継続対策/大規模災害時業務継続対策について/【大規模災害】次の(1)~(6)が発生し、甚大な被害があった時 (または、発生が予想され、甚大な被害が想定される時) (1) 震度5以上の地震 (2) 火山の噴火 (3) 台風・大雨・落雷 (4) 火災・事故 (5) 広域な疾病 (6) その他緊急対応が生じた時/貴社では、地震や水害などの大規模災害を想定した防災計画を作成していますか。もっとも

近い項目を一つ選択してください。 (N=109)

80.7% 3.7% 10.1% 0.9%3.7%0.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

全庁の防災計画を作成済み 本庁のみを対象とした防災計画は作成済み 作成を検討中 何もしていない 分からない その他

図表.大規模災害発生時の従業員の行動マニュアルの

策定状況

Q7-2:貴団体では、大規模災害発生時の従業員用行動マニュアルを作成していますか。もっとも近い項目を一つ選択してください。 (N=108)

67.6% 2.8% 17.6% 0.9% 8.3% 2.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

全庁対象に行動マニュアルを作成済み 本庁のみを対象とした行動マニュアルは作成済み 作成を検討中 何もしていない 分からない その他

まず、地震や水害などの大規模災害を想定した防災計画の策定状況では、最も多かっ

た回答は、「全庁対象に防災計画を作成済み」(80.7%)であり、約 8 割の自治体では、

作成済みという結果であった。また、大規模災害発生時の職員用行動マニュアルの作成

状況については、最も多かった回答は「全社対象に行動マニュアルを作成済み」(67.6%)

であった。

なお、防災計画、行動マニュアルを作成している企業での、マニュアルの見直しでは、

「不定期ではあるが、見直している」(58.2%)と全体の 6割弱を占めた。

(2)ITの視点から立てているガイドラインについて

図表.大規模災害を想定した事業復旧ガイドラインのうち、ITの視点から立てているもの

Q7-4:貴団体における大規模災害を想定した、事業復旧にかかわるガイドラインのうち、ITの視点から立てているガイドラインとしてどのようなものがありますか。 (N=108)

16.7%

12.0%

7.4%

2.8%

2.8%

73.1%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80%

IT 運用上の役割と責任体制を明確化したガイドライン

IT 関連のシステム、オペレーションの文書化と最新内容の維持に関するガイドライン

IT 関連資産の詳細リストの作成と最新内容の維持に関するガイドライン

音声/データ通信にかかわる内部・外部接続にかかわるネットワーク・トポロジーの最新情報維持に関するガイドライン

システム、オペレーション間の相互依存を考慮したデータ・フローとビジネスプロセスの可視化に関するガイドライン

上記に該当するガイドラインは特にない

次に、ITの視点から立てているガイドラインについて見てみたのが、上の図になる。

「上記に該当するガイドラインは特にない」(73.1%)との回答が、約 7 割強を占めて

おり、ITの視点から立てているガイドラインは、まだ少ない。

(3)大規模災害への対応として立てている対策

図表.大規模災害への対応として立てている対策

28

Page 33: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

Q7-5:貴団体における大規模災害への対応として、どのような対策を立てていますか。 (N=98)

33.7%

41.8%

8.2%

0.0%

27.6%

20.4%

22.4%

63.3%

5.1%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

基幹業務システムの冗長化

バックアップデータを遠隔地に保管する

基幹業務システムのバックアップシステムを遠隔地に用意する

オフィススペースやオフィス機器等を含むオフィス全体のバックアップサイトを遠隔地に用意する

信頼性の高い外注先の選択

信頼性の高い(耐震性・防水性などが高い)ハードウェアを使用する

代替通信回線の確保

自家発電装置の設置

その他

大規模災害への対応として立てている対策で、最も多かった回答は「自家発電装置の

設置」(63.3%)であり、次いで「バックアップデータを遠隔地に保管する」(41.8%)

となっている。しかし、「オフィススペースやオフィス機器等を含むオフィス全体のバ

ックアップサイトを遠隔地に用意する」は全くなく、庁舎が崩壊した際の対策までは、

現状では採られていないことが窺える。

(4)CIOと大規模災害対策の関係

図表.CIOのランク模災害対策を想定した防災計画の策定状況の関係

Q7-1:第2部 大規模災害時 業務継続対策/大規模災害時業務継続対策について/【大規模災害】次の(1)~(6)が発生し、甚大な被害があった時 (または、発生が予想され、甚大な被害が想定される時) (1) 震度5以上の地震 (2) 火山の噴火 (3) 台風・大雨・落雷 (4) 火災・事故 (5) 広域な疾病 (6) その他緊急対応が生じた時/貴社では、地震や水害などの大規模災害を想定した防災計画を作成していますか。もっとも

近い項目を一つ選択してください。 (N=109)

78.7%

82.4%

91.7%

80.0%

4.0%

0.0%

0.0%

20.0%

10.7%

17.6%

0.0%

0.0%

1.3%

0.0%

0.0%

0.0%

5.3%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

8.3%

0.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

ランク1(10点未満)

ランク2(15点未満)

ランク3(20点未満)

ランク4(20点以上)

CIOのランク

全社の防災計画を作成済み 本社のみを対象とした防災計画は作成済み 作成を検討中 何もしていない 分からない その他

CIO機能実現度のランクに関わらず、概ね大規模災害を想定した防災計画の作成状況

は良好である。このことから自治体においては、CIOと大規模災害対策の間には、大き

な関係は見られないことが窺える。

29

Page 34: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

6. 情報セキュリティ対策について (1)情報セキュリティ全般

図表.人口規模別のセキュリティポリシー策定状況

Q8-1:第3部 情報セキュリティ対策/情報セキュリティ全般/貴団体における情報セキュリティに関する全社的な基本方針である情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの策定状況について、該当するものを一

つ選択してください。 (N=109)

21.1%

28.0%

33.3%

33.3%

29.4%

68.4%

68.0%

53.3%

66.7%

64.7%

10.5%

4.0%

10.0%

0.0%

5.9%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

3.3%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1万人未満

5万人未満

10万人未満

30万人未満

30万人以上

既に策定してあり、定期的に見直している 策定済みだが、1年以上、見直しをしていない

現在、策定を進めている段階である 策定を検討中である

現在のところ策定していないが、今後策定予定である 今後も策定の予定はない

「情報セキュリティポリシー」について、よく分からない

セキュリティポリシーの策定状況については、人口規模別に見てみても、若干の差は

あるものの、大きな差異は見られず、概ね 90%前後の策定状況である。

(2)情報セキュリティに関する組織・体制について

図表.情報セキュリティの推進体制

Q9-1:情報セキュリティに関する組織・体制について/貴社では、情報セキュリティに対する取り組みをどのような体制で推進されていますか。以下の中から該当するものを一つ選択してください。 (N=110)

36.4% 6.4% 56.4% 0.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

組織の経営責任者等が長を務める情報セキュリティ監理委員会等の委員会形式

セキュリティ担当の専任者を任命している

情報システム部門が担当している

その他

図表.情報セキュリティ担当の責任者

Q9-2:貴団体では、どのような方が実質的な情報セキュリティ担当の責任者をされていますか。以下の中から該当するものを一つ選んでください。 (N=107)

20.6% 33.6% 0.9%0.0%0.0% 25.2% 5.6% 10.3% 3.7%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

情報セキュリティ担当責任者(CSO) 情報戦略最高責任者(CIO) リスク担当責任者(CRO)

プライバシー担当責任者(CPO) 財務部門の責任者 総務部門の責任者

その他の役員クラスの者 その他 情報セキュリティ担当責任者を設置していない

次に組織・体制について見てみたのが、上の図になる。推進体制として「組織の責任

者等が長を務める情報セキュリティ監理委員会等の委員会形式」とした回答が、36.4%

を占めているが、「情報システム部門が担当している」が半数以上の 56.4%を占めてい

る。また、実質的な情報セキュリティ担当の責任者について尋ねてみたところ、最も多

かった回答は、「情報戦略最高責任者(CIO)」であり、33.6%を占めた。「情報セキュリ

ティ担当責任者(CSO)」は、20.6%であり、これは 3番目に多かった回答ではあるが、

実態としては CIOが CSOを兼任している事例が多いものと見られる。

30

Page 35: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

(3)情報セキュリティ対策の現状について

図表.セキュリティポリシーを基にしたセキュリティ対策の現状

Q10-2M001:貴団体のセキュリティポリシーを基にしたセキュリティ対策の現状について、行われているものを選択してください。 (N=110)

95.5%

57.8%

90.8%

82.9%

81.8%

85.6%

51.4%

55.0%

66.4%

67.2%

1.8%

12.8%

4.6%

10.8%

11.8%

4.5%

16.5%

16.5%

12.7%

8.6%

2.7%

29.4%

4.6%

6.3%

6.4%

9.9%

32.1%

28.4%

20.9%

24.1%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

サーバ室などの入退室の管理

執務用PCの盗難防止策措置

PC等の情報機器の目的外での使用禁止

PC等の端末の持出し及び外部における情報処理作業の制限(データの外部持ち出しの制限)

外部からのPCの持込に関する制限

PC等の情報機器におけるセキュリティ設定変更の禁止

机上の端末等の管理(離席時の端末のロック)

退職時等の遵守事項の明確化

非常勤及び臨時職員の遵守事項の明確化

特に規定はないが、問題が発生する都度、対応

実施済み 実施予定 今のところ実施予定はない

セキュリティポリシーをもとにしたセキュリティ対策の現状では、「サーバ室などへ

の入退室の管理」「PC等の情報機器の目的外での使用禁止」に対する「実施済み」とし

た回答が、がそれぞれ 95.5%、90.8%となっており、非常に高いポイントを示している。

その他の項目についても、「実施済み」との回答は、概ね高いポイントの傾向ではある

が、「執務用の PC の盗難防止措置」「机上の端末等の管理(離籍時の端末のロック)」

については、それぞれ 57.8%、51.4%と若干、他の項目と比較すると低めのポイントと

なっている。

31

Page 36: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

(4)情報セキュリティに関する庁内教育について

図表.情報セキュリティの教育実施状況

Q11-1:情報セキュリティに関する社内教育について/貴団体では、職員に対して情報セキュリティに関する教育や研修を実施されていますか。 (N=111)

78.4% 21.6%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

実施している 実施していない

図表.情報セキュリティ教育の実施形態

Q11-3:Q11-1で「実施していない」と回答された方にお伺いします。情報セキュリティ教育を実施していない理由についてお伺いします。以下の中から該当するものを全て選択してください。 (N=23)

73.9%

43.5%

56.5%

8.7%

0.0%

8.7%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80%

他の業務で多忙であるため

予算が確保できないため

実施するための知識・ノウハウがないため

適切な教材がないため

情報セキュリティ教育の必要性を感じないため

その他

図表.情報セキュリティ教育の実施形態

Q11-2:貴団体では、職員に対して情報セキュリティに関する教育や研修を実施する場合、どのような形態が効果的だとお考えですか。以下の中から該当するものを全て選択してください。 (N=109)

72.5%

52.3%

47.7%

12.8%

1.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80%

集合型(教室型)の研修

Webベースのトレーニング(e-ラーニング)

社外の専門機関への委託

テキストの配布と自習

その他

図表.人口規模別の情報セキュリティの教育実施状況の関係

Q11-1:情報セキュリティに関する社内教育について/貴団体では、職員に対して情報セキュリティに関する教育や研修を実施されていますか。 (N=109)

68.4%

80.0%

76.7%

100.0%

76.5%

31.6%

20.0%

23.3%

0.0%

23.5%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1万人未満

5万人未満

10万人未満

30万人未満

30万人以上

実施している 実施していない

情報セキュリティに関する庁内教育の実施状況は、「実施している」とした回答が、

78.4%を占めている。また、教育の実施形態については、「集合型の研修」が、72.5%を

占めている。今回、教育を実施していないとした自治体は、21.6%であったが、実施し

ていない理由としては、「他の業務で多忙であるため」との回答が、73.8%を占めてい

た。

この教育の実施状況を、自治体の人口規模別で見てみたところ、人口 1万人未満の自

治体が最も低く、68.4%が「実施している」と回答しているが、人口規模が 30 万人以

上の自治体が、76.5%となっており、5万人以上、10万人未満の自治体の 76.7%をやや

下回っている。こちらも実施状況と人口規模の間には関係があるという結果は見られな

かった。

32

Page 37: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

(5)情報セキュリティ監査について

図表.情報セキュリティ監査の実施状況

Q12-1:情報セキュリティ監査について/貴団体における情報セキュリティ監査の実施状況についてお伺いします。以下の中から該当するものを選択してください。 (N=110)

15.5% 20.9% 44.5% 0.9% 17.3% 0.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

定期的に実施している 実施したことがあるが、定期的に実施しているわけではない

実施したことがないが、近い将来に実施予定である 実施したことがあるが、当面必要ではない

実施したことがなく、将来も実施予定はない 情報セキュリティ監査を知らない

図表.人口規模別の情報セキュリティ監査の実施状況の関係

Q12-1:情報セキュリティ監査について/貴団体における情報セキュリティ監査の実施状況についてお伺いします。以下の中から該当するものを選択してください。 (N=108)

15.8%

12.0%

6.9%

11.1%

47.1%

15.8%

20.0%

17.2%

33.3%

11.8%

26.3%

48.0%

62.1%

50.0%

23.5%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

5.9%

36.8%

20.0%

13.8%

5.6%

11.8%

5.3%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1万人未満

5万人未満

10万人未満

30万人未満

30万人以上

定期的に実施している 実施したことがあるが、定期的に実施しているわけではない

実施したことがないが、近い将来に実施予定である 実施したことがあるが、当面必要ではない

実施したことがなく、将来も実施予定はない 情報セキュリティ監査を知らない

定期的に実施しているとした回答は、15.5%と低いポイントになっている。これを人

口規模別で見たところ、「実施している」とした回答が最も多かったのは、30万人以上

の自治体であり、47.1%であった。一方、「実施している」が最も少なかったのは 5 万

人以上、10万人未満の自治体で、6.9%であった。

33

Page 38: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

(6)個人情報の保護について

図表.個人情報保護に関する規定の策定状況

Q13-1:個人情報の保護について/貴社では、個人情報保護法の施行に伴って、個人情報保護に関する規定(プライバシーポリシー 等)を策定されていますか。以下の中から該当するものを一つ選択してください

(N=110)

18.2% 37.3% 25.5% 2.7% 9.1% 7.3%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

個人情報保護法施行以前から策定していたものを継続して利用している

個人情報保護法施行以前から策定していたが、個人情報保護法の施行に伴って改定した

個人情報保護法の施行に伴って新たに策定した

現在策定中

今後、策定を予定している

策定の予定はない

図表.個人情報保護法の施行に伴って見直した業務

Q13-2:貴団体では、個人情報保護法の施行に伴って自社の業務を見直すなどの対策を行いましたか。以下の中から該当するもの全て選択してください。 (N=106)

45.3%36.8%

28.3%14.2%15.1%

67.0%39.6%42.5%

15.1%17.9%

7.5%22.6%

19.8%8.5%

27.4%8.5%

5.7%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80%

自治体で保有する個人情報の洗い出し

個人情報ごとの管理責任者の明確化

各部署での個人情報取扱担当者の設置や明確化

全庁で個人情報の台帳を一元管理

使用していない個人情報の廃棄

職員や関連業者に対する個人情報保護対策の徹底

個人情報を収集、利用、開示、廃棄する際の管理規定の見直し

外部委託に関する規定の見直し

個人情報が外部に漏洩してしまったときの対応マニュアルの策定

電子媒体の個人情報ファイルの暗号化など、情報漏洩対策の見直し

個人情報を取り扱うシステム(Webサイト等)のセキュリティ評価(監査)の実施

Webページへのプライバシーポリシーの掲示

申込書、申込画面など個人情報を記入する文面の見直し

店舗へのポスター掲示など、顧客に対する個人情報保護への取り組みの説明

個人情報に関する苦情や問合せに対する部署の設置

その他

上記のような対策は実施していない

図表.人口規模別の個人情報保護に関する規定の策定状況の関係

Q13-1:個人情報の保護について/貴社では、個人情報保護法の施行に伴って、個人情報保護に関する規定(プライバシーポリシー 等)を策定されていますか。以下の中から該当するものを一つ選択してください

(N=108)

10.5%

29.2%

20.0%

16.7%

5.9%

5.3%

25.0%

50.0%

50.0%

58.8%

36.8%

33.3%

16.7%

22.2%

17.6%

10.5%

0.0%

3.3%

0.0%

0.0%

21.1%

8.3%

3.3%

5.6%

11.8%

15.8%

4.2%

6.7%

5.6%

5.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1万人未満

5万人未満

10万人未満

30万人未満

30万人以上

個人情報保護法施行以前から策定していたものを継続して利用している

個人情報保護法施行以前から策定していたが、個人情報保護法の施行に伴って改定した

個人情報保護法の施行に伴って新たに策定した

現在策定中

今後、策定を予定している

策定の予定はない

個人情報保護に関する規定(プライバシーポリシー)の策定状況については、約 8割

弱の自治体において、すでに策定済みとなっている。これを人口規模別に見てみると、

人口 1万人以上の自治体では、半数以上の団体でプライバシーポリシーは策定済みとな

っているが、人口 1万人未満の団体 では、約 15%のポイントとなっており、か

なりの差異が見られた。セキュリティポポリシーの策定については、総務省において平

成 12年度にガイドラインが示され(最新版は平成 18年 9月 29日版)、これに基づいた

内容のものを策定することができたが、プライバシーポリシーについては、同様のガイ

ドラインは示されていないといった背景が影響しているものと思われる。

34

Page 39: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

(7)CIO 機能と情報セキュリティ対策の関係

図表.CIOのランクと情報セキュリティ対策のランクの関係

Q1:情報セキュリティ対策のランク (N=111)

7.8%

0.0%

0.0%

0.0%

28.6%

11.8%

25.0%

20.0%

24.7%

29.4%

16.7%

20.0%

39.0%

58.8%

58.3%

60.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

ランク1(10点未満)

ランク2(15点未満)

ランク3(20点未満)

ランク4(20点以上)

CIOのランク

ランク1(10点未満) ランク2(15点未満) ランク3(20点未満) ランク4(20点以上)

CIO機能実現度と情報セキュリティ対策の関係を見ると、CIOのランク 4の自治体で、

情報セキュリティ対策のランクが 4となっている自治体が、60.0%となっている。逆に、

CIOのランク 1の自治体では、情報セキュリティ対策のランク 4となっている自治体が、

39.0%となっている。その他、CIOのランク 2や 3の割合をみても、概ね、CIOの機能

充実度合いと情報セキュリティ対策には、関係があることが窺える。

35

Page 40: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

第2節 ヒアリング調査結果

1. 調査対象自治体 アンケート調査結果より、IT 利活用ステージ分析において特徴的な傾向を持つと考

えられる次の5団体に対して、情報化実態の特徴的な項目についてその具体的な取り組

み内容を中心にヒアリングを行った。

自治体名 人口規模 主な質問項目

神戸市 100万人以上 IT利活用、大規模災害時業務継続対策

高槻市 30万人~100万人 IT利活用、大規模災害時業務継続対策

伊丹市 10万人~30万人 IT利活用、大規模災害時業務継続対策

近江八幡市 5万人~10万人 IT利活用、情報セキュリティ対策

精華町 5万人未満 IT利活用

2. 主な調査結果 以下に、ヒアリング調査と調査時に提供された資料及び各市町のホームページから

の情報により補足した内容からみた各市町の情報化への取組状況の中での特徴的な

取組みを、庁内情報化、行政サービス、災害時対策、情報セキュリティ、その他に分

けて概略を述べる。

(1) 庁内情報化

■ 電子決済の導入による組織のフラット化

高槻市においては、文書の電子決済の徹底した実践が行われている。従来は決裁の

順番や決裁する人が特定されていたが、電子決裁導入後は該当する役職の中で早く見

たものの決裁となり回示される。システムに役所が合わせたというところだが、従前

の良いところは選択して残せるシステムにしているという。庁内インフラの導入時か

ら、メール、掲示板は見るのが前提で見ない方が悪いという風土が出来ていて電子決

済もスムーズに導入され、その結果、組織のフラット化が図られたものである。

同種の取り組みとしては、神戸市における兵庫県の共同運用システムを利用し

ての電子申請、文書管理システムの電子決済の導入、伊丹市における同システムを利

用しての電子申請と全庁における電子決済の導入を初めとする事務的なものすべて

における電子化があげられる。

■ 庁内 LANの敷設とグループウェア

精華町においては、庁内では庁内 LAN と自前のグループウェアがあり、これらを

36

Page 41: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

利用した事務レベルの連携を図っていて、庁内の会議室予約やファイルの掲示板機能

を活用している。

近江八幡市では、庁内 LAN 導入とグループウェアのもつ電子メール、掲示板、フ

ァイル共有、スケジュール管理、会議室等の予約機能により、庁内の伝達事項及び情

報の共有化が図られている。このグループウェアは「おうみ自治体ネット」といい平

成 14 年に稼動をはじめた「県市町グループウェアシステム」であり、滋賀県及び同

県内各自治体を結ぶ情報共有を図る上で必要な基礎的な機能を有したシステムであ

る。インターネットと分離したセキュリティの高い専用線網で、県と全市町等の公共

団体が共通のグループウェアを活用するという取り組みは、全国的にも数少ない取り

組みとなっている。

伊丹市においては、平成 11年度にグループウェアが、平成 15年度に PC端末1人

1台が整備され、平成 16、17 年と徐々に使い慣れてきた。庁内の車両や会議室の予

約がグループウェア上で行うことにより、庁内情報伝達の確度、職員への徹底度合い、

共有度合いが進んだといえる。

(2) 行政サービス

■ 総合窓口支援システム

精華町においては、総合窓口支援システムが稼動している。窓口応対として、特に

転入、転出、出産等のライフイベントの手続きをナビゲーションする別システムが動

いていて、住民は窓口に来て端末の前に座ると画面の手続きの指示に従い担当職員が

窓口まで来てくれ、住民は移動せずに手続きが完了するというシステムになっており、

住民にとっては便利なシステムである。

■ ホームページにおける担当部署と住民間のダイレクトな意見聴取・回答、行政評

価のホームページ上への公開

高槻市においては、ホームページにおいて担当部長のメールの開示により住民から

のダイレクトな意見聴取と住民への回答をしていることからも IT 化を受けいれる自

由な風土が想像される。

同種の取り組みとしては、神戸市における市民の声データベースの設置及びホーム

ページ上への一般的な要望並びに回答としての公開、伊丹市におけるホームページか

らの住民意見聴取とPHSを利用した迅速な対応のしくみ、行政評価のホームページ

上への公開があげられる。伊丹市においては、ホームページ上で市民からの意見、質

問などを 24時間受けていて、市職員は一人一台の PHSを持っているので、住民の意

見等は適切な部署に転送することにより迅速に対応できる。子どもに関する事につい

ては、「子ども企画」で受けて適切なところに紹介することにより迅速で的確な対応

を図っている。

37

Page 42: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

ホームページを活用した取組みでは、近江八幡市におけるCMS導入と市民の目線

に立った見やすく使いやすく工夫した組織横断的なホームページの鏡等の取組みが

あげられる。

■ 地域情報化への対応(CATVを利用した地域イントラネット)

近江八幡市においては、市内全域に整備されたケーブル網を利用し、地域情報化へ

の対応を行っているのが特徴的である。地域医療システムとして島内独居老人家庭と

総合医療センターや保険センターとを結ぶTV会議システムを導入。また、学校間T

V会議システム、図書検索システム、環境防災監視カメラも行っている。

本市が出資している第三セクター近江八幡ケーブルネットワーク株式会社(首長が

代表者)に行政番組作成業務を委託し、行政・防災等の情報を提供している。運営は

近江八幡市文化政策部 IT推進課の担当である。

(3)災害時対策

■ 大規模災害時業務継続対策における取組み

神戸市においては、阪神淡路大震災の教訓を活かして、災害時においては実践的な

レベルまでの取組みが行われている。安全・安心情報の電子メールサービス(ひょう

ご防災ネット)のシステムは兵庫防災ネットに乗った上に、神戸市独自のシステムを

積んでいる。運用主体はシステム的な部分は県でありソフトの中身は市の危機管理室

が行っている。職員用のシステムでは、メールアドレスを登録(登録は任意)してお

けば、危機管理、災害や防災の情報が各自の対応を含んだ内容として、瞬時にメール

で届く仕組みになっている。職員用の登録を始めたのは平成 17年度からである。

(4)情報セキュリティへの取組み

■ISO手順に則った IT化の事業展開(情報セキュリティポリシーの策定と運用及び

職員への啓発、防災計画の見直し)

品質マネジメントシステムの国際規格 ISO9001と環境マネジメントシステム 14001

規格認証を取得している。ISOのキーワードには「情報」があることから規格の手順

により業務を遂行することと情報化の推進が一体となっている。情報セキュリティポ

リシーが策定、運用され、職員への啓発を行っている。

(5)その他

■PDCAの進行管理の定期的な実施

神戸市においては、「ICT 推進計画」では、「PDCA サイクルによる進行」に重点

が置かれている点である。神戸市においては「ICT推進計画」のすべての進行管理に

おいて、この「PDCAサイクル」を適用し、予算・組織などへの適切な対応を図ると

38

Page 43: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

している。

なお、これらの先進的な取り組みを支えるものとして、トップの意志を実現しよう

とする庁内の熱意や仕組み、施策決定機関としての IT 推進組織の設置、全庁的な施

策導入にあたっての IT 推進担当部署と財政部署とのリンク、IT を基礎データとして

行った事前事業評価、事後評価としての行政評価を住民や全庁職員へ公開する取組み

が行われている。

39

Page 44: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

第4章 中小企業調査

第1節 アンケート調査結果

1. IT導入状況

Q1:貴社の業務へのIT導入状況について、もっとも近い項目を一つだけ選択してください。 (N=703)

81.4% 14.2% 4.4%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

積極的に活用し、業務に活かしている

導入済みであるが、業務に活かされていない

導入していない(パソコン、その他のコンピュータもしくは携帯電話、ハンディターミナル、POSなどによるITシステムもない)

Q2:どのような業務でITを活用されていますか。下記の中から該当するものをすべて選択してください。(N=596)

68.1%

40.4%

20.3%

58.6%

39.3%

77.2%

56.4%

61.7%

4.5%

1.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

自社のホームページを作成し、情報発信を行っている

企業間でホームページや電子メールを利用した電子商取引を行なっている

企業-消費者間でホームページや電子メールを利用した電子商取引を行なっている

企業間や企業-消費者間で電子メールを利用した情報交換を行っている

社員のスケジュール管理など内部業務用として利用している

会計・経理処理を行っている

顧客管理で利用している

売上高管理など経営分析の手段として利用している

その他

当てはまるものはない/わからない

Q3-1:どのような理由でIT導入が経営に活用されていないとお考えですか。下記の中から該当するものをす

べて選択してください。 (N=126)

19.8%

61.9%

31.0%

15.9%

8.7%

23.0%

7.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

財政的理由

ITを理解できる人材の不足

ITを活用する優先順位が低い

何から手を付けてよいのか分からない

ITを活用する効果が疑わしい

ITを活用する必要性を感じない

その他

IT を業務に活かしていると回答した中小企業は 81.4%であり、昨年度の 75%を上回

る結果になった。活用業務としては、「会計・経理処理」、「ホームページ」、「売上高管

理等」といった業務が多い。

また、活用されない理由としては、昨年同様に人材不足が他の回答を引き離して多く、

IT導入の問題点であると考えられる。

40

Page 45: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

2. CIOの有無

Q4:貴社には、経営戦略的な視点から情報化を進める立場の役員(CIOあるいはCIO相当役)はいますか。該当するものを一つ選択してください。 (N=695)

27.2% 72.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

CIOまたはCIO相当役はいる CIOまたはCIO相当役はいない

CIO(相当役)については、27.2%の中小企業がいるという結果であった。

Q4:貴社には、経営戦略的な視点から情報化を進める立場の役員(CIOあるいはCIO相当役)はいますか。該当するものを一つ選択してください。 (N=649)

29.5%

17.0%

37.5%

32.9%

29.2%

70.5%

83.0%

62.5%

67.1%

70.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

製造(N=248)

流通(N=168)

金融(N=8)

サービス(N=168)

その他(N=64)

CIOまたはCIO相当役はいる CIOまたはCIO相当役はいない

CIO(相当役)の有無を業種別で見ると、金融業・サービス業が CIO設置率が高いと

いう結果であった。

Q4:貴社には、経営戦略的な視点から情報化を進める立場の役員(CIOあるいはCIO相当役)はいますか。該当するものを一つ選択してください。 (N=663)

20.9%

25.3%

35.1%

27.8%

79.1%

74.7%

64.9%

72.2%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

10人以下

11~50人

51~100人

101~300人

CIOまたはCIO相当役はいる CIOまたはCIO相当役はいない

従業員規模別で見ると、概ね従業員が多い企業は CIO 設置率も高いという結果とな

った。

41

Page 46: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

3. IT教育

Q5:社員に対するIT教育についておたずねします。貴社で行ったことのある項目について該当するものを選択してください。 (N=676)

26.0%

31.2%

61.1%

44.5%

7.7%

3.4%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

社内での講習会の開催

外部の機関・団体などの講習会への派遣

日常の仕事を通じた育成・教育

社員個々人の努力や資質向上にまかせてきた

IT技能向上策について、いままで意識したことがなかった

その他

IT 教育に関する質問では、「日常の仕事を通じた育成」が 61.1%、「社員個々人の労

力や資質向上にまかせてきた」が 44.5%であり、OJT的であることが分かる。

Q5:社員に対するIT教育についておたずねします。貴社で行ったことのある項目について該当するものを選択してください。 (N=668)

45.7%

18.5%

50.0%

24.0%

81.4%

52.7%

30.3%

50.2%

2.1%

10.0%

2.7%

3.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

CIOまたはCIO相当役はいる

CIOまたはCIO相当役はいない

社内での講習会の開催

外部の機関・団体などの講習会への派遣

日常の仕事を通じた育成・教育

社員個々人の努力や資質向上にまかせてきた

IT技能向上策について、いままで意識したことがなかった

その他

この結果を、CIO(相当役)の有無でクロス集計すると、CIO(相当役)がいる企業

の方が育成・教育を行っていることがわかる。

4. 大規模災害時の業務継続対策 (1)災害や情報システムの障害が発生した際の事業継続対策

図表.災害や情報システムの障害が発生した際の事業継続対策実施状況

Q9:貴社では、災害や情報システムの障害が発生した場合、事業を継続するための対応策を講じてしていますか。以下の中から該当するものを一つ選んでください。 (N=681)

19.8% 11.6% 29.5% 16.6% 20.4% 2.1%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

対応策を策定し、いつでも対応できる状態になっている 対応策を策定中である

策定していないが、今後、策定する予定である 策定する予定はない

分からない その他

まず、災害や情報システムの障害が発生した際の事業継続対策の策定状況では、最も

42

Page 47: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

多かった回答は、「策定していないが、今後、策定する予定である」(29.5%)であり、

次いで「分からない」(20.4%)という結果であった。なお、すでに策定できている企

業は約 2割弱にとどまった。

(2)「策定する予定がない」理由

図表.対策を策定する予定がない理由

Q11:策定しない理由は、どのようなものでしょうか。 (N=146)

18.5%

7.5%

5.5%

2.1%

8.9%

40.4%

28.8%

6.8%

1.4%

0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45%

知識やノウハウがない

実施するための予算化が難しい

効果が分からない

策定に時間がかかる

人材に余裕がない

現在のところ、特に問題ない

必要性を感じない

分からない

その他

次に、「策定する予定がない」とした理由について尋ねてみたところ、最も多かった

回答は「現在のところ、特に問題ない」(40.4%)、次いで「必要性を感じない」(28.8%)

となっており、災害対・システム障害発生時の対策に対する意識の低さが窺える結果で

あった。

(3)CIO と災害・システム障害発生時対策の関係

図表.CIO 設置の有無と災害・システム発生時の対

策の実施状況の関係 Q9:貴社では、災害や情報システムの障害が発生した場合、事業を継続するための対応策を講じてしてい

ますか。以下の中から該当するものを一つ選んでください。 (N=674)

33.9%

14.3%

19.4%

8.8%

29.6%

29.7%

5.4%

20.7%

10.2%

24.2%

1.6%

2.3%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

CIOまたはCIO相当役はいる

CIOまたはCIO相当役はいない

対応策を策定し、いつでも対応できる状態になっている 対応策を策定中である

策定していないが、今後、策定する予定である 策定する予定はない

分からない その他

図表.CIO設置の有無と策定した対応策の見直し状

況の関係 Q10:貴社では、策定した対応策の見直しを行っていますか。 (N=158)

46.3%

29.7%

35.8%

46.2%

11.9%

18.7%

3.0%

2.2%

3.0%

3.3%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

CIOまたはCIO相当役はいる

CIOまたはCIO相当役はいない

定期的に見直しを行っている 不具合が発生した場合、見直しを行っている 特に行っていない 分からない その他

今回の中小企業の調査においては、IT の利活用だけでなく、これを機能的に導入・

運用を行うための責任者、すなわち「CIO」設置の有無についても、問うてみた。この

「CIO」の設置の有無が、情報セキュリティ対策とどのような関係があるのかを見たの

が、上の図となる。この図のうち、まず大規模災害発生時の事業継続対策の策定状況を

見ると、「CIOまたは CIO相当役がいる」と回答した企業ほど、災害・システム障害発

生時の対策を講じている傾向があることが分かる。また、対策の見直し状況についても、

「CIO または CIO 相当役がいる」と回答した企業ほど、定期的に見直しているとした

企業が多いことが分かる。これらの結果から、CIOの有無が大規模災害対策の充実度合

いとの間に関係があることが窺える。

43

Page 48: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

5. 情報セキュリティ対策について (1)ネットワーク管理とセキュリティ対策の現状

図表.ネットワーク管理における情報セキュリティ

対策

Q6M001:貴社のインターネット接続におけるネットワーク管理とセキュリティ対策の現状について、実施されているものを全て選択してください。 (N=645)

85.6%

66.3%

42.0%

4.0%

12.3%

9.8%

27.1%

18.1%

27.1%

6.9%

7.2%

5.6%

12.5%

7.6%

1.6%

4.3%

4.3%

4.0%

5.1%

12.0%

7.8%

7.1%

7.5%

3.9%

4.1%

4.5%

7.2%

5.0%

8.5%

18.9%

42.0%

71.7%

62.1%

63.1%

49.2%

57.7%

48.3%

67.5%

67.6%

69.8%

64.2%

70.4%

4.3%

10.5%

11.7%

20.2%

20.5%

15.0%

15.8%

17.0%

17.1%

21.6%

21.1%

20.2%

16.2%

16.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

アンチウィルスソフト(※1)

ファイアウォール(※2)

ネットワークやOSにおけるセキュリティ診断

バイオメトリクスを利用した認証ツール(※3)

デジタル証明書(※4)

情報の不正な持ち出しを防止するためのツール

PCやサーバのログ取得ツール

フィッシング(※5)対策ツール

SPAMメール(※6)対策ツール

情報セキュリティ関連認証取得コンサルティング

情報セキュリティポリシー対策コンサルティング

セキュリティ保険

セキュリティ教育(集合教育、講師招聘など)

セキュリティ教育(e-ラーニング(※7))

導入済み 導入予定 今のところ導入予定はない そのような製品やサービスを知らない

図表.セキュリティポリシーを基にしたセキュリティ

対策

Q7M001:貴社のセキュリティポリシーを基にしたセキュリティ対策の現状について、行われているものを全て選択してください。 (N=571)

18.2%

15.7%

38.6%

33.6%

28.8%

33.6%

20.3%

28.8%

20.6%

56.9%

4.7%

10.1%

12.0%

13.9%

8.0%

7.6%

11.8%

14.2%

9.9%

14.3%

77.1%

74.3%

49.4%

52.5%

63.1%

58.8%

67.8%

56.9%

69.4%

28.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

サーバ室などの入退室の管理

執務用PCの盗難防止策措置

PC等の情報機器の目的外での使用禁止

PC等の端末の持出し及び外部における情報処理作業の制限(データの外部持ち出しの制限)

外部からのPCの持込に関する制限

PC等の情報機器におけるセキュリティ設定変更の禁止

机上の端末等の管理(離席時の端末のロック)

退職時等の遵守事項の明確化

非常勤及び臨時職員の遵守事項の明確化

特に規定はないが、問題が発生する都度、対応

実施済み 実施予定 今のところ実施予定はない

セキュリティ対策において、実施している内容としては、「アンチウィルスソフト」

(85.6%)、次いで「ファイアウォール」(66.3%)が高いポイントを示している。また、

「SPAM メール対策ツール」(27.1%)、「PC やサーバのログ取得ツール」(27.1%)、次

いで「フィッシング対策ツール」(18.1%)と、最低限必要と思われるツールは導入し

ている傾向が比較的高い。しかし、「バイオメトリクスを利用した認証ツール」(4.0%)、

「情報セキュリティ関連認証取得コンサルティング」(6.9%)、「情報セキュリティポリ

シー対策コンサルティング」(7.2%)では、いずれも低いポイントとなっている。また、

これらの結果を反映するように、「そのような製品やサービスを知らない」とした回答

が、それぞれ 20%を超えていた。

また、セキュリティポリシーをもとにしたセキュリティ対策の実施状況では、「特に

規定はないが、問題が発生する都度、対応」(56.9%)となっており、「場当たり的な対

応」が中心となっている様子が窺える。本問では、設問文中に「どのような情報資産を

どのような脅威からどのように守るのかといった基本的な考え方、ならびに情報セキュ

リティを確保するための体制、運用規定、基本方針、対策基準などを具体的に記載する

のが一般的(出典:総務省「国民のための情報セキュリティサイト」)ものと定義され

ており、セキュリティポリシーが策定されていれば、「特に規定はないが、問題が発生

する都度、対応」といった回答にはなり得ない性格のものである。

今後はシステム的なセキュリティ対策のみならず、セキュリティポリシーの策定をは

じめとした運用・評価面でのセキュリティ対策の推進が必要であるが、まずはそれらの

認知度を上げるための方策(国や行政からの広報や施策など)が必要と思われる。

44

Page 49: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

(2)個人情報保護に関する規定(プライバシーポリシー等)の策定状況

図表.個人情報保護に関する規定の策定状況

Q8:貴社では、個人情報保護法(※)の制定に伴って、個人情報保護に関する規定(プライバシーポリシー等)の策定を行っていますか。以下の中から該当するものを一つ選んでください。 (N=675)

7.6% 5.8% 22.2% 8.9% 23.6% 32.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

個人情報保護法施行以前から策定していたものを継続して利用している

個人情報保護法施行以前から策定していたが、個人情報保護法の施行に伴って改定した

個人情報保護法の施行に伴って新たに策定した

現在策定中

今後、策定を予定している

策定の予定はない

図表.業種別の個人情報保護に関する規定の策定状況

Q8:貴社では、個人情報保護法(※)の制定に伴って、個人情報保護に関する規定(プライバシーポリシー等)の策定を行っていますか。以下の中から該当するものを一つ選んでください。 (N=634)

7.1%

7.4%

0.0%

8.6%

8.1%

3.4%

1.8%

25.0%

10.4%

8.1%

11.3%

19.6%

62.5%

36.2%

27.4%

6.3%

10.4%

0.0%

10.4%

8.1%

32.8%

20.9%

0.0%

17.2%

21.0%

39.1%

39.9%

12.5%

17.2%

27.4%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

製造

流通

金融

サービス

その他

業種

個人情報保護法施行以前から策定していたものを継続して利用している

個人情報保護法施行以前から策定していたが、個人情報保護法の施行に伴って改定した

個人情報保護法の施行に伴って新たに策定した

現在策定中

今後、策定を予定している

策定の予定はない

次に、プライバシーポリシー等の策定状況について見てみたのが、上の図になる。す

でに策定している企業は、約 4割弱であるが、「策定の予定はない」とした企業が、32.0%

も存在している。個人情報保護法の対象となる事業者は、「過去 6 ヶ月以内に 5,000 名

以上の個人情報を扱った事業者(=個人情報取扱事業者)」となっている。中小企業に

おいて、業種にもよるが、5,000 名以上の個人情報を取り扱っている企業は、限られて

くるといったことも、策定状況の低さにつながっているものと思われる。参考までに、

業種別によるプライバシーポリシー等の策定状況を見てみると、最も高かった業種は、

「金融業」であり、約 9割弱を占めている。一方、最も策定状況が低かった業種は「製

造業」(21.3%)となっている。「金融業」は、個人情報取扱業種の最たる例であるため、

この結果は当然であろう。また、「製造業」では、取引先・顧客が多くの場合、企業で

あることが予想されるため、この結果もある意味、当然と言える。しかしながら、取り

扱っている人数の問題にかかわらず、個人情報保護に対する意識を高いレベルで持って

おくことは、企業の社会的責任上、避けては通れないものと思われる。繰り返しになる

が、今後は政府レベルでの中小企業に対する情報セキュリティに対する意識の向上を図

45

Page 50: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

るための施策などが必要と思われる。

(3)CIOと情報セキュリティ対策の関係

図表.CIOのランクと情報セキュリティ対策のランクの関係

Q0:情報セキュリティ対策のランク (N=695)

55.0%

80.6%

16.9%

12.1%

13.2%

5.5%

14.8%

1.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

CIOまたはCIO相当役はいる

CIOまたはCIO相当役はいない

ランク1(10点未満) ランク2(15点未満) ランク3(20点未満) ランク4(20点以上)

図表.情報セキュリティ対策のランク(参考)

Q0:情報セキュリティ対策のランク (N=709)

74.2% 13.1% 7.5% 5.2%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

ランク1(10点未満) ランク2(15点未満) ランク3(20点未満) ランク4(20点以上)

今回の中小企業の調査においては、IT の利活用だけでなく、これを機能的に導入・

運用を行うための責任者、すなわち「CIO」設置の有無についても、問うてみた。この

「CIO」の設置の有無が、情報セキュリティ対策とどのような関係があるのかを見たの

が、上の図となる。この図を見ると、「CIOまたは CIO相当役がいる」と回答した企業

ほど、情報セキュリティ対策のランクが高い企業が多く存在することが見られる。「CIO

または CIO相当役がいない」場合の情報セキュリティ対策ランク 4の割合は、1.8%で

あるのに対し、「CIOまたは CIO相当役がいる」とした場合、情報セキュリティ対策ラ

ンク 4の企業は、14.8%となっており、CIOがいない場合と比較して、約 8倍の割合で

ランク 4の企業が占めるといった結果になっている。一方で、「CIOまたは CIO相当役

はいない」場合の情報セキュリティランク 1 の企業は、80.6%となっており、「CIO ま

たは CIO 相当役がいる」場合の 55.0%を大きく上回っている。その他の情報セキュリ

ティ対策とのランクを比較しても、概ね CIO がいる場合において、情報セキュリティ

対策のランクにおいて上位の割合が高くなっている。これらの結果から、CIOの有無が

情報セキュリティ対策の充実度合いと大いに関係があることが窺える。

46

Page 51: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

第2節 ヒアリング調査結果

1. 調査対象企業 アンケート結果より、積極的に IT導入(「問1.業務へのIT導入を積極的活用して

いる」および「問4.経営戦略的な視点から情報化を進める立場の役員(CIO または

CIO相当役)がいる」)を図っている中小企業を選抜し、これらの IT活用状況を見るこ

とで選定を行った。また、業種の偏りを考慮して、IT 化による経営革新支援事業採択

企業や文献調査より数社抽出した。

2. 主な調査結果

47

Page 52: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

第5章 教育分野の情報化調査

第1節 調査概要 IT 新改革戦略における「重点計画-2006」(平成 18 年 7 月 26 日)において、政府が

迅速かつ重点的に実施すべき具体的施策のうち、IT 基盤の整備として「次世代を見据

えた人的基盤づくり」の中で『普通教室における教育用 PC整備の充実』が上げられて

いる。

そこでは、「PCを活用した教育の充実に向け、2010年度までに児童・生徒 3.6人当た

り 1台を目標として、普通教室における教育用 PCの整備を促進。」と明記されている。

これを受けて文部科学省では、e-Japan戦略等により、学校における各種 IT機器の整

備等を推進してきたが、校内LAN整備の遅れなど、十分に進んでいるとは言えないこ

とから、今後はハード面の整備について引続き必要な支援策を講じていくが、IT を活

用した教育効果の明確化等、学校の IT 化することによるインセンティブを高めること

を通じて、強力に整備を促進していくとしている。併せて、生徒が魅力を感じ、理解が

高まる効果的なコンテンツ開発や教員の IT 活用指導力の基準の具体化等によって、教

員の IT活用指導力の向上を進め、学校の IT化を実現し、ITを活用した教育の学力向上

や次世代を担う子供たちの情報活用能力向上を実現させていくとしている。

主な具体的な施策は、以下の通り。

① 学校における IT基盤の整備 教員一人に一台のコンピュータ及びネットワーク環境の整備並びに IT 基盤

のサポート体制の整備等を通じ、学校の IT化を行う。

(1) ITインフラの整備 (2) 情報システム担当外部専門家(学校 CIO)等のサポート体制の在り方の検討

② 教育の IT活用指導力の向上 教員の IT活用指導力の評価等により教員の IT活用能力を向上させる。

(1) 教員の IT活動指導力の評価の基準の具体化・明確化 (2) 教員の IT活用環境の整備

③ 児童生徒の学力向上のための学習コンテンツの充実 自ら学ぶ意欲に応えるような、ITをかつようした学習機会を提供。

(1) 教育情報ナショナルセンター機能の充実 (2) 先進的科学技術・理科教育用デジタル教材等の開発・普及

④ 児童生徒の情報活用能力の向上 (1) 小学校段階からの情報活用能力の向上 (2) 情報モラル教育の推進

48

Page 53: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

文部科学省が、公立学校の IT 環境整備推進のために行った支援処置は以下の通り

である。近年、強化すべき情報化の分野として教育分野が挙げられていることから、毎

年 100億円強、措置額が増加している。

(出典:教育情報化推進協議会 HPより)

平成 17年度全国公立学校の教育の情報化の実態調査(平成 18年 3月 31日現在)で

の関西の設置状況は、多くの府県において全国的には下位に位置していることから、相

対的に遅れているといわざるを得ない。しかし、本調査結果は概ね学校数の少ない府県

において設置率が高くなる傾向やコンピュータの性能(古いバージョンの OS等)にバ

ラつきがあり、設置率等だけでは一概にその実態は捉えられないとも言われている。し

かし、福井県、滋賀県、奈良県など学校数の少ない県においても下位に位置しているこ

とから、関西地域の公立学校において ITの整備環境や教員の IT指導力において、充実

しているとは言いがたい。

49

Page 54: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

○都道府県別「コンピュータの設置状況」「校内LAN整備状況」及び「コンピュータで指導できる教員状況」の実態(合計)(平成18年3月現在)

都 道 府 県 別 学校数

( 合 計 ) A  C (c/a)校 人/台 % %

岐 阜 県 669 5.0 1 89.6% 1 92.8% 4 1 1 1 →

徳 島 県 362 5.6 7 73.6% 8 91.7% 6 2 13 8 ↑

茨 城 県 945 6.7 16 65.9% 15 96.5% 2 3 6 7 ↑

富 山 県 359 5.9 9 83.5% 3 82.7% 13 4 2 3 ↓

沖 縄 県 515 6.9 22 65.8% 16 95.1% 3 5 3 2 ↓

兵 庫 県 1,391 7.7 34 59.2% 22 75.4% 28 30 29 27 ↓

福 井 県 337 6.8 21 53.2% 29 72.6% 36 31 27 28 ↓

京 都 府 696 7.2 29 34.9% 42 79.2% 19 33 35 33 →

滋 賀 県 391 8.5 40 36.6% 37 80.0% 17 36 42 43 ↑

和 歌 山 県 494 6.8 18 36.5% 38 65.6% 46 39 38 38 ↓

埼 玉 県 1,441 9.6 45 35.2% 41 73.8% 30 43 43 40 ↓

奈 良 県 392 9.3 43 24.5% 46 75.5% 27 44 45 44 →

大 阪 府 1,719 9.3 42 30.8% 43 70.9% 41 45 44 45 →

神 奈 川 県 1,502 11.7 47 30.2% 44 72.9% 35 46 47 47 ↑

東 京 都 2,240 9.8 46 20.5% 47 65.1% 47 47 46 46 ↓

合 計 37,618 7.7 50.6% 76.8%

注1) 「教育の情報化の実態調査は平成18年3月現在の結果である。

注5)「総合順位」は、各項目の偏差値から教育情報化推進協議会が独自に求めている。

対前年度比較

注2)「教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数」とは、平成1注3)「高速インターネット接続学校数」とは、インターネット注4)「普通教室のLAN整備率」は、全普通教室数のうち、L

前年度順位

順位 順位 順位 総合順位平成17年9月中間値順位

総合得点教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数

普通教室のLAN整備率

コンピュータで指導できる教員割合

(出典:教育情報化推進協議会HPより抜粋・加工)

以下に、平成 17年度全国公立学校の教育の情報化の実態調査(平成 18年 3月現在)

での平均値を記す。

(単位) 平均 小学校 中学校 高等学校学校の教育用コンピュータの総台数 (台) 45.3 32.9 47.5 112.7教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数 (人) 7.7 9.6 6.9 5.7普通教室のLAN整備率 (%) 50.6 43.7 48.0 75.5インターネットの接続率 (%) 99.9 99.9 100 100コンピュータで指導できる教員 (%) 76.8 85.6 71.3 67.3

関西の公立学校においてのコンピュータの設置率等、環境整備面において充実したも

のとなってはいないが、一方、実際の学校現場の授業等における IT の利活用について

は、西高東低とも言われている。

従って、本ヒアリング調査では、教育の情報化、特に授業における IT の活用に関し

て、教育委員会の考え方や学校現場において実践的に活用している事例等をとりあげ、

導入、活用に際しての効果、課題、将来展望等について調査を行うこととした。

また、今後の課題として、学校現場の情報化の進展に伴い、児童生徒や教員の情報セ

キュリティや情報モラルの意識の醸成も喫緊の課題であるとの問題意識から、有識者の

50

Page 55: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

意見を付加するものである。

□ ヒアリング先

・ 大阪府教育委員会

・ 池田市教育委員会

・ 京都府八幡市教育研究所

・ 羽衣学園 中学・高等学校(大阪府)

第2節 主な調査結果

51

Page 56: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

第6章 医療分野の情報化調査

医療の情報化には、①院内の情報化(レセプト、オーダリングシステム、電子カルテ

等)と、②それらの情報を地域や広域での情報ネットワーク活用とがある。

日本の医療の情報化は欧米と比べ遅れをとっているといわれているが、関西地域では

全国的にみても先進的な取り組みをしている(病院への電子カルテ導入率:7.9%、

関東の導入率7.7%より上、全国平均7.1% 詳細は別紙)。

今回の調査では地域・広域での医療情報のネットワーク活用にポイントをおいて、病

院、ベンダーの関係者へのヒアリング調査を行い、医療情報化の進展状況ならびに情報

化が遅れている要因の分析や対応の方向性などをまとめた。

(1)ヒアリング先

①情報化先進病院へのヒアリング(3病院)

・洛和会音羽病院(児島部長)

音羽病院内の IT による顧客満足の向上化と山科音羽地区の情報ネットワーク化を推

・京大附属病院(医療情報部 吉原先生)

東京、宮崎、熊本、京都間で国レベルの医療情報ネットワークを構築し実験的に運用

・阪大病院(医療情報部 松原先生)

阪大病院内の IT(インテリジェントホスピタル)化と医療情報ネットワークを実施

②ベンダーへのヒアリング先

関西地域で医療情報化の実績の豊富なベンダーとして東芝情報システムを訪問した。

(2)医療情報の執筆依頼

医療の情報化の動向全般については、大阪大学医学部付属病院の松村助教授に、医療情

報の人材育成については神戸市立中央市民病院医療情報部の宮原先生に依頼した。

(3)ヒアリング結果

3つの情報化先進病院にヒアリングしたが、情報化が推進している病院については情

報化のための情報化ではなく、他の目的の手段として情報化を推進している。京都市山

科の音羽病院では待ち時間削減を通じた顧客満足向上の手段として情報化を推進して

いる。

情報化の前に現状の業務プロセスを可視化してプロセスの無駄を排除させた上で、情

報化に取り組んでいる。 また、院内の情報システム構築のプロセスを通じて全員を巻

52

Page 57: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

き込んで問題点の共有化や試行システムの課題の共有化や医療と情報がわかる人材育

成をしながら、システムを構築していったことが、システム成功につながっている。ま

た、待ち時間の短縮をケアー時間の充実に当てるなどサービスの向上につなげている。

また、地域の医療情報のネットワーク化では地域の医師会のコンセンサスを十分にとっ

た上でおこなっているので、地域内の患者の診療歴情報の共有化や医師間の情報交換や

相談機能がうまく機能している。

京大附属病院では京都地域での医療情報ネットワークに加えて、日本各地での医療情

報ネットワークとの接続し患者の診療歴情報を国レベルの段階で共有する実験をして

おり成功裏に推移している。 その際にベンダーによって異なる各種の医療コードを統

一コードに書き換えて運用するのではなく、現状のコードを活かしながら、コードのテ

ンポラリーな翻訳システムを利用して運用している。

阪大病院では電子カルテを国内でいち早く導入したが、一気に電子化によるペーパー

レスを図るのではなく、紙カルテも残している。 医療現場が望むきめ細かい段階まで

技術が追いつくまで様子を見ながら情報化を進めている。 技術の方は進展が期待でき

るが、医療と情報の両面を理解する人材不足が課題となっており、この点を改善してい

くことの方が重要となっている。特に公的病院では情報担当が事務官でせっかく人材が

養成されても人事のローテーションで異動してしまうことがあり、情報化の阻害要因に

なっている。

また、情報化の狙いを診療をしやすくすることにおいており、今後は診療をサポート

(相談機能、チェック機能)する形での情報化をねらっている。

ベンダー(東芝情報システム㈱)へのヒアリングでは情報では、情報化の阻害要因と

して医師の高齢化(慣れないことに対する強い抵抗)や情報化による入力業務量の追加

などがあったので、この方面の技術的なソリューションが望まれる。

また、個人情報保護の観点では、医療部門は特にナーバスになっているが、ようやく

安全な情報伝送の解決にめどがついてきたので技術的には解決ができてきたが、情報を

入手人の妥当性や内容についてのコンセンサスできないと容易には地域のネットワー

クが進まないことがわかった。

いずれにせよ関西地域は現場サイドの現実的な視点から医療部門の情報化を進めて

おり、

結局長い目で見ると情報化がスムーズに進展するものと思われる。

53

Page 58: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

病院への電子カルテ導入状況(2005年10月1日)

都道府県 病院総数 導入計 導入率 全導入 一部導入 今後予定 予定なし 予定なし率1 北海道 620 29 4.7% 24 5 92 499 80.5%2 青森 109 8 7.3% 7 1 17 84 77.1%3 岩手 107 5 4.7% 4 1 19 83 77.6%4 宮城 151 10 6.6% 10 0 21 120 79.5%5 秋田 78 2 2.6% 2 0 6 70 89.7%6 山形 70 4 5.7% 3 1 11 55 78.6%7 福島 147 8 5.4% 4 4 19 120 81.6%8 茨城 205 10 4.9% 5 5 30 165 80.5%9 栃木 118 6 5.1% 3 3 21 91 77.1%10 群馬 143 9 6.3% 6 3 30 104 72.7%11 埼玉 361 17 4.7% 15 2 59 285 78.9%12 千葉 287 27 9.4% 19 8 46 214 74.6%13 東京 667 60 9.0% 43 17 129 478 71.7%14 神奈川 356 36 10.1% 24 12 70 250 70.2%15 新潟 139 0 0.0% 0 0 17 122 87.8%16 富山 115 12 10.4% 11 1 16 87 75.7%17 石川 109 11 10.1% 9 2 29 69 63.3%18 福井 86 7 8.1% 5 2 18 61 70.9%19 山梨 61 2 3.3% 1 1 16 43 70.5%20 長野 137 12 8.8% 10 2 30 95 69.3%21 岐阜 110 5 4.5% 4 1 19 86 78.2%22 静岡 189 11 5.8% 10 1 43 135 71.4%23 愛知 350 27 7.7% 20 7 58 265 75.7%24 三重 113 5 4.4% 4 1 26 82 72.6%25 滋賀 63 2 3.2% 2 0 15 46 73.0%26 京都 177 13 7.3% 11 2 34 130 73.4%27 大阪 552 47 8.5% 39 8 104 401 72.6%28 兵庫 350 23 6.6% 16 7 66 261 74.6%29 奈良 78 7 9.0% 3 4 17 54 69.2%30 和歌山 91 12 13.2% 7 5 15 64 70.3%31 鳥取 45 3 6.7% 3 0 13 29 64.4%32 島根 58 4 6.9% 3 1 10 44 75.9%33 岡山 183 20 10.9% 15 5 26 137 74.9%34 広島 261 25 9.6% 19 6 56 180 69.0%35 山口 151 7 4.6% 6 1 20 124 82.1%36 徳島 123 11 8.9% 9 2 26 86 69.9%37 香川 105 12 11.4% 7 5 19 74 70.5%38 愛媛 153 6 3.9% 5 1 25 122 79.7%39 高知 141 16 11.3% 12 4 16 109 77.3%40 福岡 478 29 6.1% 23 6 70 379 79.3%41 佐賀 111 4 3.6% 4 0 21 86 77.5%42 長崎 168 8 4.8% 8 0 30 130 77.4%43 熊本 222 11 5.0% 7 4 40 171 77.0%44 大分 165 9 5.5% 6 3 35 121 73.3%45 宮崎 149 10 6.7% 7 3 27 112 75.2%46 鹿児島 279 13 4.7% 8 5 42 224 80.3%47 沖縄 95 11 11.6% 7 4 18 66 69.5%合計 9026 626 6.9% 470 156 1587 6813 75.5%

地域 病院総数 導入計 導入率 全導入 一部導入 今後予定 予定なし 予定なし率北海道・東北 1282 66 5.1% 54 12 185 1031 80.4%関東 2137 165 7.7% 115 50 385 1587 74.3%中部 1409 92 6.5% 74 18 272 1045 74.2%関西 1311 104 7.9% 78 26 251 956 72.9%中国・四国 1220 104 8.5% 79 25 211 905 74.2%九州・沖縄 1667 95 5.7% 70 25 283 1289 77.3%

合計 25473 1796 7.1% 1348 448 4525 19152 75.2%出展:厚生労働省統計表データーベースシステム(医療施設調査)より

54

Page 59: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

55

Page 60: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

資料編

アンケート集計結果

1.上場企業アンケート

第1部 IT利活用

問1.IT利活用

N数実現している

一部実現している

検討レベル

未達である

IT以外で実現している

この項目は課題としていない

カウント数

% 93 29.0 53.8 5.4 8.6 3.2 0.0 100.0N 27 50 5 8 3 0 93% 94 29.8 29.8 6.4 10.6 22.3 1.1 100.0N 28 28 6 10 21 1 94% 93 7.5 35.5 14.0 14.0 29.0 0.0 100.0N 7 33 13 13 27 0 93% 90 4.4 22.2 13.3 17.8 36.7 5.6 100.0N 4 20 12 16 33 5 90% 90 15.6 38.9 10.0 12.2 21.1 2.2 100.0N 14 35 9 11 19 2 90% 92 17.4 40.2 14.1 4.3 21.7 2.2 100.0N 16 37 13 4 20 2 92% 94 18.1 51.1 9.6 10.6 9.6 1.1 100.0N 17 48 9 10 9 1 94% 90 7.8 41.1 21.1 20.0 8.9 1.1 100.0N 7 37 19 18 8 1 90% 89 10.1 36.0 21.3 19.1 12.4 1.1 100.0N 9 32 19 17 11 1 89% 93 6.5 36.6 20.4 10.8 24.7 1.1 100.0N 6 34 19 10 23 1 93% 93 15.1 53.8 19.4 5.4 6.5 0.0 100.0N 14 50 18 5 6 0 93% 93 12.9 45.2 29.0 7.5 5.4 0.0 100.0N 12 42 27 7 5 0 93% 94 22.3 37.2 18.1 6.4 16.0 0.0 100.0N 21 35 17 6 15 0 94% 94 6.4 40.4 19.1 10.6 22.3 1.1 100.0N 6 38 18 10 21 1 94

■問1-2M001:IT投資を成功に導く為に実施した施策についてお伺いします。次の項目のうちIT投資を成功させる為の施策の実現度はどの程度ですか。

N数実現している

一部実現している

検討レベル

実現していない

わからない

カウント数

% 94 27.7 43.6 11.7 14.9 2.1 100.0N 26 41 11 14 2 94% 94 31.9 40.4 16.0 9.6 2.1 100.0N 30 38 15 9 2 94% 94 19.1 43.6 29.8 6.4 1.1 100.0N 18 41 28 6 1 94% 94 18.1 41.5 26.6 11.7 2.1 100.0N 17 39 25 11 2 94% 92 6.5 27.2 30.4 31.5 4.3 100.0N 6 25 28 29 4 92% 94 35.1 37.2 16.0 8.5 3.2 100.0N 33 35 15 8 3 94% 94 8.5 29.8 33.0 24.5 4.3 100.0N 8 28 31 23 4 94% 94 21.3 30.9 25.5 20.2 2.1 100.0N 20 29 24 19 2 94% 93 41.9 28.0 18.3 7.5 4.3 100.0N 39 26 17 7 4 93% 94 13.8 44.7 27.7 10.6 3.2 100.0N 13 42 26 10 3 94% 93 12.9 34.4 23.7 20.4 8.6 100.0N 12 32 22 19 8 93% 93 20.4 49.5 17.2 11.8 1.1 100.0N 19 46 16 11 1 93% 93 21.5 54.8 12.9 9.7 1.1 100.0N 20 51 12 9 1 93% 92 6.5 40.2 23.9 21.7 7.6 100.0N 6 37 22 20 7 92% 92 8.7 40.2 35.9 15.2 0.0 100.0N 8 37 33 14 0 92% 93 25.8 46.2 17.2 9.7 1.1 100.0N 24 43 16 9 1 93

■問1-3M001:IT投資による競争力の向上・差別化についてお伺いします。次の項目のうちIT投資により、どの程度競争力の向上・差別化が図られましたか。

N数

自信を持って実現していると思う

実現していると思う

あまり実現していないと思う

実現していないと思う

わからない

カウント数

% 92 6.5 52.2 20.7 4.3 16.3 100.0N 6 48 19 4 15 92% 92 4.3 32.6 37.0 9.8 16.3 100.0N 4 30 34 9 15 92% 92 6.5 38.0 33.7 6.5 15.2 100.0N 6 35 31 6 14 92% 92 4.3 38.0 34.8 6.5 16.3 100.0N 4 35 32 6 15 92% 89 7.9 36.0 18.0 13.5 24.7 100.0N 7 32 16 12 22 89

欠品・返品が大幅に減少した

顧客満足度が高まった

自社製品・サービスの差別化が進んだ製品・サービス市場の動向を把握するスピードが製品・サービス市場の動向を把握する際の精度

厳格な予算管理

優秀な人材の確保

ITや業務知識の情報共有や教育体制の充実実績の有るITベンダーの登用

企業ビジョンの明確化

業務改革(BPR)の実施

組織のフラット化

PDCAサイクルの実践(PDCA:計画・実行・評

IT投資の効果測定指標の明確化

IT投資目的の明確化

柔軟な組換え可能な情報システム(モジュールトップダウンによるIT戦略の徹底

IT化に対する充分な予算確保IT計画実行における役割分担の明確化あるべき業務プロセスの明確化的確な費用見積もり施策

スピード経営

業務の効率的再編成(BPR)

顧客重視の経営

自社製品・サービスの差別化

全社的課題に関する経営トップと従業員間の情サプライチェーンを意識した取引先との関係見

グローバル化対応

経営資源(人・モノ・金)の選択と集中

■問1-1M001:第1部 IT利活用/経営課題とIT/貴社における経営課題についてお伺いします。次の項目に示した経営課題に対するITによる解決の実現度はどの程度ですか。項目ごとにITによる実現度から一つ選択してください。

経営トップにおける迅速な業績把握経営に影響を与える可能性のある出来事のトッ人材の配置転換(人材の流動化)

人員整理・雇用調整

株主重視の経営

経営トップと従業員間の価値観の共有

56

Page 61: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

■問1-4M001:IT投資による効率化についてお伺いします。次の項目のうちIT投資により、どの程度効率化が図られましたか。

N数

自信を持って実現していると思う

実現していると思う

あまり実現していないと思う

実現していないと思う

わからない

カウント数

% 93 14.0 44.1 29.0 11.8 1.1 100.0N 13 41 27 11 1 93% 93 7.5 24.7 40.9 17.2 9.7 100.0N 7 23 38 16 9 93% 93 4.3 33.3 41.9 9.7 10.8 100.0N 4 31 39 9 10 93% 93 9.7 40.9 30.1 8.6 10.8 100.0N 9 38 28 8 10 93

■問1-5M001:IT投資による経営・組織の高度化についてお伺いします。次の項目のうちIT投資により、どの程度経営・組織の高度化が図られましたか。一つ選択してください。

N数

自信を持って実現していると思う

実現していると思う

あまり実現していないと思う

実現していないと思う

わからない

カウント数

% 94 6.4 34.0 30.9 12.8 16.0 100.0N 6 32 29 12 15 94% 94 2.1 25.5 41.5 11.7 19.1 100.0N 2 24 39 11 18 94% 93 15.1 75.3 6.5 2.2 1.1 100.0N 14 70 6 2 1 93% 94 16.0 76.6 6.4 1.1 0.0 100.0N 15 72 6 1 0 94% 94 10.6 52.1 26.6 1.1 9.6 100.0N 10 49 25 1 9 94% 94 8.5 50.0 27.7 2.1 11.7 100.0N 8 47 26 2 11 94

問2.組織の業績評価と人材評価について■問2-1M001:組織の業績評価と人材評価について/ITを活用した組織の業績評価及び人材評価の現状についてお伺いします。もっとも近い項目をそれぞれ一つ選択してください。

N数実施している

一部実施している

検討レベル

全く取り組んでいない

わからない

カウント数

% 94 22.3 26.6 28.7 12.8 9.6 100.0N 21 25 27 12 9 94% 93 17.2 31.2 30.1 14.0 7.5 100.0N 16 29 28 13 7 93

問3.革新的なIT導入■問3-1:革新的なIT導入/経営戦略とIT戦略はどの程度関係性がありますか。もっとも近い項目を一つ選択してください。

N数

経営戦略とIT戦略は強く関わっている

どちらかといえば経営戦略とIT戦略は関わっている

どちらかといえば経営戦略とIT戦略は独立して実施されている

経営戦略とIT戦略は全く独立して実施されている

カウント数

% 94 27.7 43.6 22.3 6.4 100.0N 26 41 21 6 94

■問3-2M001:IT戦略の実行状況をお伺いします。次の項目の中から実現度はどの程度ですか。一つ選択してください。

N数実現している

一部実現している

検討レベル

実現していない

カウント数

% 90 5.6 46.7 14.4 33.3 100.0N 5 42 13 30 90% 89 3.4 40.4 28.1 28.1 100.0N 3 36 25 25 89% 88 4.5 46.6 26.1 22.7 100.0N 4 41 23 20 88% 90 10.0 58.9 15.6 15.6 100.0N 9 53 14 14 90% 89 5.6 46.1 27.0 21.3 100.0N 5 41 24 19 89% 90 14.4 50.0 21.1 14.4 100.0N 13 45 19 13 90% 90 11.1 33.3 28.9 26.7 100.0N 10 30 26 24 90% 93 23.7 49.5 20.4 6.5 100.0N 22 46 19 6 93% 93 21.5 45.2 29.0 4.3 100.0N 20 42 27 4 93% 90 12.2 28.9 38.9 20.0 100.0N 11 26 35 18 90% 87 2.3 26.4 39.1 32.2 100.0N 2 23 34 28 87

問4.CIOについて

N数

組織の仕組みに対する知識と戦略立案能力

組織の管理と人材育成能力

業務手続や情報の管理と変更管理能力

情報化戦略立案能力

企業のパフォーマンスの管理測定能力

プロジェクト/プログラム管理能力

投資リスク・変更管理能力

% 85 80.0 49.4 43.5 78.8 41.2 32.9 58.8N 68 42 37 67 35 28 50% 69 63.8 33.3 29.0 44.9 29.0 26.1 43.5N 44 23 20 31 20 18 30

調達戦略の策定と変更能力

電子商取引やウェブサービスの戦略管理能力

エンタプライズ・アーキテクチャを使った経営能力

情報セキュリティと情報保全に関する知識

利用者の状況把握能力とアクセシビリティに関する知識

社会環境の把握と予測能力

カウント数

14.1 22.4 30.6 69.4 29.4 61.2 611.812 19 26 59 25 52 52011.6 10.1 15.9 56.5 18.8 49.3 431.98 7 11 39 13 34 298

配置転換の実施

求められる能力

実現している

物流拠点や物流手段の見直し

財務会計制度の見直し

管理会計の仕組みの見直し

人事制度の改革

開発・設計方法の見直し生産・調達方法の見直し

販売方法の見直し

在庫・発注方式の見直し

人材評価

全体

取引先の絞込み・変更を含む見直し

取引条件の変更

社内情報の共有度合いが進んだより多くの有用な経営情報の収集が可能となり、より正確な経営判断を行うことが可能となった

組織の業績評価

トラブル発生率(従業員一人当たりのトラブル件

組織のフラット化が進んだ人材の最適配置が進んだ社内の情報伝達の確度、徹底度合いが進ん

間接部門人員(総務・人事・経理など、直接利益従業員一人当たりのTCO(コンピュータシステ一年前と比較して、ITに関する効率的な予算配

■問4-1M001:CIOについて/貴社の経営戦略的な視点から情報化を進める立場の役員:CIO(あるいはCIO相当役)の人物像についてお伺いします。(1)貴社のCIO(あるいはCIO相当役)に特に求められる能力について次の項目から選択してください。(2)また、それは実現していますか。

57

Page 62: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

■問4-2M001:貴社におけるCIOの機能として、各項目の実現度合はいかがですか。

N数

自信を持って実現していると思う

実現していると思う

あまり実現していないと思う

実現していないと思う

わからない

カウント数

% 88 8.0 34.1 26.1 25.0 6.8 100.0N 7 30 23 22 6 88% 90 5.6 21.1 22.2 44.4 6.7 100.0N 5 19 20 40 6 90% 90 16.7 38.9 17.8 18.9 7.8 100.0N 15 35 16 17 7 90% 89 23.6 49.4 6.7 15.7 4.5 100.0N 21 44 6 14 4 89% 90 3.3 20.0 32.2 32.2 12.2 100.0N 3 18 29 29 11 90% 90 1.1 6.7 24.4 55.6 12.2 100.0N 1 6 22 50 11 90% 87 21.8 50.6 9.2 12.6 5.7 100.0N 19 44 8 11 5 87% 89 6.7 36.0 31.5 19.1 6.7 100.0N 6 32 28 17 6 89% 89 9.0 39.3 24.7 16.9 10.1 100.0N 8 35 22 15 9 89% 88 8.0 27.3 20.5 38.6 5.7 100.0N 7 24 18 34 5 88

問5.企業情報システムについて

N数

全従業員が、各職責に応じた業務を可視化・数値化し、適正かつ合理的に進めることができる

管理職の従業員が業務を可視化・数値化し、適正かつ合理的に進めることができることを目標とする

業務上必要な、一部の従業員だけが業務を可視化・数値化し、適正かつ合理的に進めることができる

理解度は教育を受ける従業員各自に任せている

その他 カウント数

% 66 69.7 18.2 9.1 3.0 0.0 100.0N 46 12 6 2 0 66% 65 24.6 12.3 43.1 18.5 1.5 100.0N 16 8 28 12 1 65

問6.従業員に対するIT教育・活用について■問6-1M001:従業員に対するIT教育・活用について/貴社の従業員に対するIT教育・活用についてお伺いします。各項目について、該当すると思われる実現度を一つ選択してください。

N数

自信を持って実現していると思う

実現していると思う

あまり実現していないと思う

実現していないと思う

わからない

カウント数

% 93 7.5 51.6 30.1 9.7 1.1 100.0N 7 48 28 9 1 93% 93 3.2 21.5 35.5 38.7 1.1 100.0N 3 20 33 36 1 93% 93 4.3 7.5 22.6 60.2 5.4 100.0N 4 7 21 56 5 93% 93 2.2 28.0 32.3 34.4 3.2 100.0N 2 26 30 32 3 93% 91 7.7 24.2 26.4 35.2 6.6 100.0N 7 22 24 32 6 91% 93 4.3 23.7 26.9 39.8 5.4 100.0N 4 22 25 37 5 93% 93 2.2 11.8 30.1 54.8 1.1 100.0N 2 11 28 51 1 93% 93 4.3 20.4 41.9 33.3 0.0 100.0N 4 19 39 31 0 93% 93 5.4 37.6 37.6 18.3 1.1 100.0N 5 35 35 17 1 93

第2部 大規模災害時業務継続対策

問7. 大規模災害時業務継続対策について

N数全社の防災計画を作成済み

本社のみを対象とした防災計画は作成済み

作成を検討中

何もしていない

分からない

その他 カウント数

% 93 35.5 12.9 35.5 10.8 0.0 5.4 100.0N 33 12 33 10 0 5 93

■問7-2:貴社では、大規模災害発生時の従業員用行動マニュアルを作成していますか。もっとも近い項目を一つ選択してください。

N数

全社対象に行動マニュアルを作成済み

本社のみを対象とした行動マニュアルは作成済み

作成を検討中

何もしていない

分からない

その他 カウント数

% 94 37.2 14.9 31.9 12.8 0.0 3.2 100.0N 35 14 30 12 0 3 94

全体

全体

IT戦略に沿って、社内IT部門の従業員の採用計社内IT部門の従業員が、一定期間、ITユーザ社内IT部門の従業員のスキル獲得のための教社内IT部門の従業員が新技術や不足するスキ

ITスキル標準などを活用して、社内IT部門の従社内IT部門の従業員のスキルを外部の評価基社内のIT部門の従業員のスキル獲得は、人事社内IT部門の従業員に対して、経営戦略とIT戦

ITシステム投資・IT資産を企業グループベース

目標

実現

社内IT部門のミッション・職務機能・スキルミック

CIOの育成プログラムがある、あるいは、将来のCIOは経営層と頻繁に情報交換を行っているCIOはITに関する新技術、価格動向、将来動CIOは自社に必要なITは何か、またそのITの

CIOは情報通信技術において専門的な経験をCIOは会社の主要業務の経験を有しているCIOは自社内から選任しているCIOに求められる要素と水準が明確になってい

CIOのミッションは明確に定められている

■問5-1M001:企業情報システムについて/貴社の企業情報システムに対する従業員の理解度(システム利用スキルの習得度)における目標についてお伺いします。目標と実現についてそれぞれもっとも近い項目を一つ選択してください。

■問7-1:第2部 大規模災害時 業務継続対策/大規模災害時業務継続対策について/【大規模災害】次の(1)~(6)が発生し、甚大な被害があった時 (または、発生が予想され、甚大な被害が想定される時)(1) 震度5以上の地震 (2) 火山の噴火 (3) 台風・大雨・落雷 (4) 火災・事故 (5) 広域な疾病 (6) その他緊急対応が生じた時/貴社では、地震や水害などの大規模災害を想定した防災計画を作成していますか。もっとも近い項目を一つ選択してください。

58

Page 63: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

■問7-3:問7-1及び問7-2で「作成済み」と回答された方にお伺いします。防災計画や行動マニュアルの見直しは行っていますか。もっとも近い項目を一つ選択してください。

N数

定期的に見直している/年ごと

不定期ではあるが、見直している

5年以上見直していない

一度も見直していない

分からない

カウント数

% 58 15.5 63.8 8.6 6.9 5.2 100.0N 9 37 5 4 3 58

■問7-4:貴社における大規模災害を想定した、事業復旧にかかわるガイドラインのうち、ITの視点から立てているガイドラインとしてどのようなものがありますか。

N数

IT 運用上の役割と責任体制を明確化したガイドライン

IT 関連のシステム、オペレーションの文書化と最新内容の維持に関するガイドライン

IT 関連資産の詳細リストの作成と最新内容の維持に関するガイドライン

音声/データ通信にかかわる内部・外部接続にかかわるネットワーク・トポロジーの最新情報維持に関するガイドライン

システム、オペレーション間の相互依存を考慮したデータ・フローとビジネスプロセスの可視化に関するガイドライン

上記に該当するガイドラインは特にない

カウント数

% 91 41.8 26.4 24.2 14.3 8.8 48.4 163.7N 38 24 22 13 8 44 149

■問7-5:貴社における大規模災害への対応として、どのような対策を立てていますか。

N数基幹業務システムの冗長化

バックアップデータを遠隔地に保管する

基幹業務システムのバックアップシステムを遠隔地に用意する

オフィススペースやオフィス機器等を含むオフィス全体のバックアップサイトを遠隔地に用意する

信頼性の高い外注先の選択

信頼性の高い(耐震性・防水性などが高い)ハードウェアを使用する

代替通信回線の確保

自家発電装置の設置

カウント数

% 86 29.1 60.5 20.9 5.8 50.0 40.7 37.2 33.7 277.9N 25 52 18 5 43 35 32 29 239

全体

全体

全体

59

Page 64: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

■問7-6:貴社では大規模災害を想定し、日ごろから訓練を実施していますか。

N数

災害時を想定した体制(バックアップサイトや代替オフィスに出勤し、バックアップされたデータに基づき、代替システムや代替ネットワークを利用)で実際に業務を行っている

災害時を想定した体制で、模擬的に業務を行っている

特に訓練は実施していない

カウント数

% 93 5.4 16.1 81.7 103.2N 5 15 76 96

■問7-7:貴社における大規模災害対策を進める上での問題や課題はどのようなものですか。

N数

対策を講じるにも、人的余裕がない

対策を講じるにも、資金的な余裕がない

対策方法や手段などの情報が少ない

災害対策に対する認識が低い

何から手をつけてよいのか分からない

その他

すでに対策済みであり、問題ない

対策は特に必要ない

分からない

カウント数

% 90 50.0 41.1 22.2 42.2 11.1 7.8 6.7 1.1 3.3 185.6N 45 37 20 38 10 7 6 1 3 167

第3部 情報セキュリティ対策

問8.情報セキュリティ全般

N数

既に策定してあり、定期的に見直している

策定済みだが、1年以上、見直しをしていない

現在、策定を進めている段階である

策定を検討中である

現在のところ策定していないが、今後策定予定である

今後も策定の予定はない

「情報セキュリティポリシー」について、よく分からない

カウント数

% 94 36.2 26.6 16.0 10.6 10.6 0.0 0.0 100.0N 34 25 15 10 10 0 0 94

■問8-2:貴社では、情報セキュリティに対する取り組みの方針や目的について、どのようにお考えですか。該当するものを全て選択してください。

N数

リスクマネジメントの一環として取り組んでいる

セキュリティ事故がブランドイメージや業績に与える影響を避けるため

顧客に提供する製品やサービスに一定レベルのクオリティを確保する責任を果たすため

社会的責任を果たすために取り組む必要がある

事業を推進する上で必須の項目である

企業としての競争力を高めるため(他社との差別化を図るため)

ビジネスプロセスの合理化の一環として取り組んでいる

事業活動に情報セキュリティ活動を整合させることが重要であるため

法律に従う必要があるため

他社の取り組み状況に遅れないようにするため

その他 カウント数

% 94 90.4 60.6 40.4 70.2 58.5 18.1 12.8 27.7 46.8 17.0 0.0 442.6N 85 57 38 66 55 17 12 26 44 16 0 416

問9.情報セキュリティに関する組織・体制について■問9-1:情報セキュリティに関する組織・体制について/貴社では、情報セキュリティに対する取り組みをどのような体制で推進されていますか。以下の中から該当するものを一つ選択してください。

N数

組織の経営責任者等が長を務める情報セキュリティ監理委員会等の委員会形式

セキュリティ担当の専任者を任命している

情報システム部門が担当している

その他 カウント数

% 94 31.9 4.3 56.4 7.4 100.0N 30 4 53 7 94

■問9-2:貴社では、どのような方が実質的な情報セキュリティ担当の責任者をされていますか。以下の中から該当するものを一つ選んでください。

N数

情報セキュリティ担当責任者(CSO)

企業情報戦略最高責任者(CIO)

リスク担当責任者(CRO)

プライバシー担当責任者(CPO)

財務部門の責任者

総務部門の責任者

その他の役員クラスの者

その他

情報セキュリティ担当責任者を設置していない

カウント数

% 93 15.1 15.1 8.6 4.3 4.3 16.1 10.8 14.0 11.8 100.0N 14 14 8 4 4 15 10 13 11 93

全体

全体

■問8-1:第3部 情報セキュリティ対策/情報セキュリティ全般/貴社における情報セキュリティに関する全社的な基本方針である情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの策定状況について、該当するものを一つ選択してください。

全体

全体

全体

全体

60

Page 65: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

問10.情報セキュリティ対策の現状について■問10-1M001:情報セキュリティ対策の現状について/貴社のインターネット接続におけるネットワーク管理とセキュリティ対策の現状について、行われているものを選択してください。

N数 導入済み 導入予定今のところ導入予定はない

そのような製品やサービスを知らない

カウント数

% 94 100.0 0.0 0.0 0.0 100.0N 94 0 0 0 94% 88 25.0 21.6 46.6 6.8 100.0N 22 19 41 6 88% 88 19.3 10.2 67.0 3.4 100.0N 17 9 59 3 88% 90 50.0 25.6 23.3 1.1 100.0N 45 23 21 1 90% 89 44.9 21.3 28.1 5.6 100.0N 40 19 25 5 89% 91 94.5 2.2 3.3 0.0 100.0N 86 2 3 0 91% 91 39.6 15.4 45.1 0.0 100.0N 36 14 41 0 91% 90 32.2 11.1 55.6 1.1 100.0N 29 10 50 1 90% 88 19.3 22.7 53.4 4.5 100.0N 17 20 47 4 88% 88 34.1 12.5 50.0 3.4 100.0N 30 11 44 3 88% 87 31.0 17.2 48.3 3.4 100.0N 27 15 42 3 87% 89 32.6 19.1 46.1 2.2 100.0N 29 17 41 2 89% 91 27.5 19.8 49.5 3.3 100.0N 25 18 45 3 91% 87 14.9 11.5 70.1 3.4 100.0N 13 10 61 3 87% 87 33.3 16.1 46.0 4.6 100.0N 29 14 40 4 87% 88 76.1 8.0 14.8 1.1 100.0N 67 7 13 1 88% 88 6.8 19.3 69.3 4.5 100.0N 6 17 61 4 88% 89 30.3 29.2 38.2 2.2 100.0N 27 26 34 2 89% 90 48.9 30.0 21.1 0.0 100.0N 44 27 19 0 90% 87 18.4 25.3 54.0 2.3 100.0N 16 22 47 2 87% 89 47.2 25.8 23.6 3.4 100.0N 42 23 21 3 89% 87 13.8 8.0 71.3 6.9 100.0N 12 7 62 6 87% 87 13.8 10.3 70.1 5.7 100.0N 12 9 61 5 87% 87 16.1 6.9 72.4 4.6 100.0N 14 6 63 4 87% 89 33.7 32.6 29.2 4.5 100.0N 30 29 26 4 89

■問10-2M001:貴社のセキュリティポリシーを基にしたセキュリティ対策の現状について、行われているものを選択してください。

N数 実施済み 実施予定今のところ実施予定はない

カウント数

% 93 79.6 10.8 9.7 100.0N 74 10 9 93% 89 40.4 15.7 43.8 100.0N 36 14 39 89% 91 76.9 17.6 5.5 100.0N 70 16 5 91% 92 64.1 19.6 16.3 100.0N 59 18 15 92% 91 73.6 20.9 5.5 100.0N 67 19 5 91% 90 66.7 18.9 14.4 100.0N 60 17 13 90% 92 58.7 13.0 28.3 100.0N 54 12 26 92% 89 59.6 21.3 19.1 100.0N 53 19 17 89% 86 48.8 26.7 24.4 100.0N 42 23 21 86% 52 63.5 9.6 26.9 100.0N 33 5 14 52

問11.情報セキュリティに関する社内教育について■問11-1:情報セキュリティに関する社内教育について/貴社では、従業員に対して情報セキュリティに関する教育や研修を実施されていますか。

N数実施している

実施していない

カウント数

% 94 67.0 33.0 100.0N 63 31 94

■問11-2:貴社では、従業員に対して情報セキュリティに関する教育や研修を実施する場合、どのような形態が効果的だとお考えですか。以下の中から該当するものを全て選択してください。

N数集合型(教室型)の研修

Webベースのトレーニング(e-ラーニング)

社外の専門機関への委託

テキストの配布と自習

その他 カウント数

% 93 67.7 40.9 15.1 25.8 3.2 152.7N 63 38 14 24 3 142

全体

退職時等の遵守事項の明確化非常勤及び臨時職員の遵守事項の明確化特に規定はないが、問題が発生する都度、対

全体

PC等の端末の持出し及び外部における情報処外部からのPCの持込に関する制限PC等の情報機器におけるセキュリティ設定変更机上の端末等の管理(離席時の端末のロッ

セキュリティ教育(e-ラーニング等)

サーバ室などの入退室の管理執務用PCの盗難防止策措置PC等の情報機器の目的外での使用禁止

SPAMメール対策ツール

情報セキュリティ関連認証取得コンサルティング情報セキュリティポリシー対策コンサルティン

セキュリティ保険

シンクライアント

情報の不正な持ち出しを防止するためのツーPCやサーバのログ取得ツール

フィッシング対策ツール

侵入防止システム(IPS)

バイオメトリクスを利用した認証ツール

デジタル証明書

VPN機器

脆弱性管理ツール

セキュリティホール情報提供サービス

管理ソフト

侵入検知システム(IDS)

OS・アプリケーションの堅牢化

ファイアウォール

ネットワークやOSにおけるセキュリティ診断Webアプリケーションにおけるセキュリティ診断

アンチウィルスソフト

シングルサインオン

ワンタイムパスワード

データ・電子メールの暗号化

61

Page 66: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

■問11-3:問11-1で「実施していない」と回答された方にお伺いします。情報セキュリティ教育を実施していない理由についてお伺いします。以下の中から該当するものを全て選択してください。

N数他の業務で多忙であるため

予算が確保できないため

実施するための知識・ノウハウがないため

適切な教材がないため

情報セキュリティ教育の必要性を感じないため

その他 カウント数

% 31 61.3 22.6 25.8 22.6 3.2 12.9 148.4N 19 7 8 7 1 4 46

問12.情報セキュリティ監査について■問12-1:情報セキュリティ監査について/貴社における情報セキュリティ監査の実施状況についてお伺いします。以下の中から該当するものを選択してください。

N数定期的に実施している

実施したことがあるが、定期的に実施しているわけではない

実施したことがないが、近い将来に実施予定である

実施したことがあるが、当面必要ではない

実施したことがなく、将来も実施予定はない

情報セキュリティ監査を知らない

カウント数

% 93 28.0 32.3 22.6 3.2 10.8 3.2 100.0N 26 30 21 3 10 3 93

■問12-2:「実施したことがあるが、当面必要ではない」、「実施したことがなく、将来も実施予定はない」と回答された理由はどのようなものでしょうか。以下の中から該当するもの全て選択してください。

N数

情報セキュリティ監査よりも、システム開発や構築の推進を優先しているため

情報セキュリティ監査の実施に向けた社内のコンセンサスや文化がない

情報セキュリティ監査を実施する担当者の確保が難しい

全社的に、情報セキュリティの重要性に対する認識が薄い

情報セキュリティ監査の効果が不明

経営陣が情報セキュリティ監査の必要性を認識していない

予算が確保できない

監査が必要なほどの情報資産を保有していない

情報セキュリティ対策が万全であるため、監査は必要ではない

その他 カウント数

% 15 46.7 33.3 33.3 40.0 26.7 20.0 13.3 6.7 0.0 0.0 220.0N 7 5 5 6 4 3 2 1 0 0 33

問13.個人情報の保護について

N数

個人情報保護法施行以前から策定していたものを継続して利用している

個人情報保護法施行以前から策定していたが、個人情報保護法の施行に伴って改定した

個人情報保護法の施行に伴って新たに策定した

現在策定中

今後、策定を予定している

策定の予定はない

カウント数

% 94 10.6 20.2 56.4 3.2 6.4 3.2 100.0N 10 19 53 3 6 3 94

■問13-2:貴社では、個人情報保護法の施行に伴って自社の業務を見直すなどの対策を行いましたか。以下の中から該当するもの全て選択してください。

N数

自社で保有する個人情報の洗い出し

個人情報ごとの管理責任者の明確化

各部署での個人情報取扱担当者の設置や明確化

全社で個人情報の台帳を一元管理

使用していない個人情報の廃棄

従業員や関連業者に対する個人情報保護対策の徹底

個人情報を収集、利用、開示、廃棄する際の管理規定の見直し

ダイレクトメール発送先リストの購入など個人情報の入手に関するルールの見直し

外部委託に関する規定の見直し

個人情報が外部に漏洩してしまったときの対応マニュアルの策定

電子媒体の個人情報ファイルの暗号化など、情報漏洩対策の見直し

個人情報を取り扱うシステム(Webサイト等)のセキュリティ評価(監査)の実施

Webページへのプライバシーポリシーの掲示

% 93 80.6 60.2 55.9 39.8 49.5 71.0 61.3 29.0 44.1 30.1 39.8 21.5 53.8N 75 56 52 37 46 66 57 27 41 28 37 20 50

申込書、申込画面など個人情報を記入する文面の見直し

店舗へのポスター掲示など、顧客に対する個人情報保護への取り組みの説明

個人情報に関する苦情や問合せに対する部署の設置

その他

上記のような対策は実施していない

カウント数

47.3 28.0 45.2 1.1 5.4 763.444 26 42 1 5 710

第4部 プロフィル(その1)

■問14-1:第4部 プロファイル/貴社の概要についてお答えください。/業種をお答えください。

N数 製造業 流通業 金融業サービス業

その他 カウント数

% 92 59.8 23.9 5.4 9.8 1.1 100.0N 55 22 5 9 1 92

■Q14-6:貴社の業況

N数上向いている

上向いているが、将来は不透明

横ばいである

悪化している

カウント数

% 80 30.0 40.0 27.5 2.5 100.0N 24 32 22 2 80

■Q14-7:Web2.0に関連するツールの活用状況(販促目的など対外的な用途として)をお教えください。

N数ブログを活用している

SNS を活用している

Wiki を活用している

その他のWeb2.0に関連するツールを活用している

特に活用していない

カウント数

% 72 4.2 1.4 0.0 1.4 93.1 100.0N 3 1 0 1 67 72

全体

全体

全体

全体

全体

■問13-1:個人情報の保護について/貴社では、個人情報保護法の施行に伴って、個人情報保護に関する規定(プライバシーポリシー 等)を策定されていますか。以下の中から該当するものを一つ選択してください

全体

全体

全体

62

Page 67: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

2.自治体アンケート

第1部 IT利活用

問1.自治体経営とIT

N数実現している

一部実現している

検討レベル

未達である

IT以外で実現している

この項目は課題としていない

カウント数

% 108 13.0 16.7 20.4 18.5 31.5 0.0 100.0N 14 18 22 20 34 0 108% 106 11.3 30.2 28.3 17.0 13.2 0.0 100.0N 12 32 30 18 14 0 106% 107 2.8 28.0 23.4 29.0 16.8 0.0 100.0N 3 30 25 31 18 0 107% 108 10.2 41.7 21.3 17.6 9.3 0.0 100.0N 11 45 23 19 10 0 108% 107 8.4 51.4 20.6 16.8 2.8 0.0 100.0N 9 55 22 18 3 0 107% 108 11.1 42.6 14.8 12.0 19.4 0.0 100.0N 12 46 16 13 21 0 108% 108 17.6 44.4 9.3 11.1 17.6 0.0 100.0N 19 48 10 12 19 0 108% 108 7.4 25.0 33.3 21.3 13.0 0.0 100.0N 8 27 36 23 14 0 108% 107 4.7 35.5 28.0 20.6 11.2 0.0 100.0N 5 38 30 22 12 0 107% 106 2.8 17.9 40.6 24.5 14.2 0.0 100.0N 3 19 43 26 15 0 106% 108 10.2 17.6 37.0 28.7 6.5 0.0 100.0N 11 19 40 31 7 0 108% 108 5.6 23.1 40.7 22.2 8.3 0.0 100.0N 6 25 44 24 9 0 108% 108 1.9 25.0 34.3 24.1 14.8 0.0 100.0N 2 27 37 26 16 0 108% 108 2.8 22.2 40.7 25.9 8.3 0.0 100.0N 3 24 44 28 9 0 108

■問1-2M001:IT投資を成功に導く為に実施した施策についてお伺いします。次の項目のうちIT投資を成功させる為の施策の実現度はどの程度ですか。

N数実現している

一部実現している

検討レベル

実現していない

わからない

カウント数

% 108 18.5 28.7 26.9 19.4 6.5 100.0N 20 31 29 21 7 108% 109 4.6 27.5 30.3 29.4 8.3 100.0N 5 30 33 32 9 109% 109 14.7 36.7 24.8 17.4 6.4 100.0N 16 40 27 19 7 109% 109 1.8 29.4 29.4 36.7 2.8 100.0N 2 32 32 40 3 109% 108 3.7 10.2 38.9 39.8 7.4 100.0N 4 11 42 43 8 108% 109 2.8 9.2 32.1 48.6 7.3 100.0N 3 10 35 53 8 109% 109 24.8 52.3 15.6 4.6 2.8 100.0N 27 57 17 5 3 109% 109 4.6 25.7 31.2 32.1 6.4 100.0N 5 28 34 35 7 109% 108 9.3 19.4 47.2 19.4 4.6 100.0N 10 21 51 21 5 108% 109 4.6 22.0 36.7 29.4 7.3 100.0N 5 24 40 32 8 109% 109 2.8 15.6 36.7 33.9 11.0 100.0N 3 17 40 37 12 109% 109 1.8 16.5 47.7 26.6 7.3 100.0N 2 18 52 29 8 109% 109 33.9 28.4 14.7 19.3 3.7 100.0N 37 31 16 21 4 109% 108 18.5 57.4 12.0 10.2 1.9 100.0N 20 62 13 11 2 108% 109 6.4 26.6 28.4 32.1 6.4 100.0N 7 29 31 35 7 109

■問1-3M001:IT投資によるサービスの向上・差別化 についてお伺いします。次の項目のうちIT投資により、どの程度競争力の向上・差別化が図られましたか。

N数

自信を持って実現していると思う

実現していると思う

あまり実現していないと思う

実現していないと思う

わからない

カウント数

% 109 0.9 37.6 35.8 10.1 15.6 100.0N 1 41 39 11 17 109% 109 0.9 21.1 41.3 14.7 22.0 100.0N 1 23 45 16 24 109% 109 4.6 38.5 39.4 8.3 9.2 100.0N 5 42 43 9 10 109% 109 0.9 33.0 43.1 10.1 12.8 100.0N 1 36 47 11 14 109% 109 0.0 18.3 38.5 12.8 30.3 100.0N 0 20 42 14 33 109

■問1-4M001:IT投資による効率化についてお伺いします。次の項目のうちIT投資により、どの程度効率化が図られましたか。

N数

自信を持って実現していると思う

実現していると思う

あまり実現していないと思う

実現していないと思う

わからない

カウント数

% 109 3.7 25.7 46.8 15.6 8.3 100.0N 4 28 51 17 9 109% 109 2.8 12.8 49.5 11.9 22.9 100.0N 3 14 54 13 25 109% 109 3.7 17.4 48.6 16.5 13.8 100.0N 4 19 53 18 15 109% 109 4.6 25.7 33.0 15.6 21.1 100.0N 5 28 36 17 23 109

トラブル発生率(職員一人当たりのトラブル件

行政サービスに対する住民の不満が減少した

間接部門人員(総務・人事・経理など、直接利益職員一人あたりのTCO(コンピュータシステムの一年前と比較して、ITに関する効率的な予算配

住民満足度が高まった

行政サービスの差別化が進んだ住民からの意見や要望を把握するスピードが向住民からの意見や要望を把握する歳の精度が

IT投資におけるPDCAサイクルの実践

CIOの確保

全職員に対するITや業務知識の教育の実施ITベンダーの登用に際しての能力の精査

トップダウンによるIT戦略の徹底

ビジョンの明確化

業務改革(BPR)の実施

柔軟な組織の組替え

IT実行に対する充分な予算的確な金額見積もり施策(積算ガイドラインのIT投資の効果測定指標の明確化庁内で連携が図れる情報システム

特徴ある住民サービスの提供

IT投資目的の明確化

あるべき業務プロセスの明確化(ガイドライン等)IT実行における庁内の役割分担の明確化

施設に応じた資源(人・モノ・金)の選択と集中

決裁プロセスの迅速化

業務の見直し(BPR)

住民とのパートナー湿布(PPP)

首長の考えや政策が職員に浸透している住民からの意見要望を首長が常に把握できる全庁的な調達の最適化(価格・品質ともに最適

広域行政への対応

■問1-1M001:第1部 IT利活用/経営課題とIT/貴団体における経営課題についてお伺いします。次の項目に示した経営課題に対するITによる解決の実現度はどの程度ですか。項目ごとにITによる実現度から一つ選択してください。

首長もしくは上層部が総合計画の進捗度を把握

危機管理対応の迅速化

職員スキルに応じた庁内人事情報システム導入による職員数削減ITによる行政サービスの提供(実現度につい

63

Page 68: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

■問1-5M001:IT投資による経営・組織の高度化についてお伺いします。次の項目のうちIT投資により、どの程度経営・組織の高度化が図られましたか。一つ選択してください。

N数

自信を持って実現していると思う

実現していると思う

あまり実現していないと思う

実現していないと思う

わからない

カウント数

% 109 0.9 22.0 41.3 21.1 14.7 100.0N 1 24 45 23 16 109% 109 0.9 9.2 50.5 27.5 11.9 100.0N 1 10 55 30 13 109% 109 12.8 60.6 16.5 5.5 4.6 100.0N 14 66 18 6 5 109% 109 17.4 62.4 15.6 2.8 1.8 100.0N 19 68 17 3 2 109% 109 3.7 33.0 38.5 10.1 14.7 100.0N 4 36 42 11 16 109% 109 1.8 29.4 36.7 10.1 22.0 100.0N 2 32 40 11 24 109

問2.組織の業績評価と人材評価について■問2-1M001:組織の業績評価と人材評価について/ITを活用した組織の業績評価及び人材評価の現状についてお伺いします。もっとも近い項目をそれぞれ一つ選択してください。

N数実施している

一部実施している

検討レベル

全く取り組んでいない

わからない

カウント数

% 109 6.4 11.9 42.2 31.2 8.3 100.0N 7 13 46 34 9 109% 109 0.0 9.2 43.1 34.9 12.8 100.0N 0 10 47 38 14 109

問3.革新的なIT導入■問3-1:自治体経営上の改革とIT戦略はどの程度関係性がありますか。もっとも近い項目を一つ選択してください。

N数

経営戦略とIT戦略は強く関わっている

どちらかといえば経営戦略とIT戦略は関わっている

どちらかといえば経営戦略とIT戦略は独立して実施されている

経営戦略とIT戦略は全く独立して実施されている

カウント数

% 107 15.0 41.1 30.8 13.1 100.0N 16 44 33 14 107

■問3-2M001:IT戦略の実行状況をお伺いします。次の項目の中から実現度はどの程度ですか。一つ選択してください。

N数実現している

一部実現している

検討レベル

実現していない

カウント数

% 108 5.6 21.3 44.4 28.7 100.0N 6 23 48 31 108% 108 3.7 20.4 47.2 28.7 100.0N 4 22 51 31 108% 106 4.7 13.2 51.9 30.2 100.0N 5 14 55 32 106% 108 1.9 25.9 46.3 25.9 100.0N 2 28 50 28 108% 108 2.8 29.6 50.0 17.6 100.0N 3 32 54 19 108% 108 3.7 36.1 46.3 13.9 100.0N 4 39 50 15 108% 108 15.7 22.2 43.5 18.5 100.0N 17 24 47 20 108% 105 7.6 20.0 46.7 25.7 100.0N 8 21 49 27 105% 107 2.8 9.3 61.7 26.2 100.0N 3 10 66 28 107% 107 1.9 15.0 54.2 29.0 100.0N 2 16 58 31 107

問4.CIOについて

N数

組織の仕組みに対する知識と戦略立案能力

組織の管理と人材育成能力

業務手続や情報の管理と変更管理能力

情報化戦略立案能力

企業のパフォーマンスの管理測定能力

プロジェクト/プログラム管理能力

投資リスク・変更管理能力

調達戦略の策定と変更能力

電子商取引やウェブサービスの戦略管理能力

エンタプライズ・アーキテクチャを使った経営能力

情報セキュリティと情報保全に関する知識

利用者の状況把握能力とアクセシビリティに関する知識

社会環境の把握と予測能力

カウント数

% 101 81.2 64.4 39.6 68.3 31.7 30.7 47.5 26.7 19.8 22.8 84.2 31.7 67.3 615.8N 82 65 40 69 32 31 48 27 20 23 85 32 68 622% 59 74.6 61.0 30.5 32.2 20.3 25.4 22.0 11.9 6.8 3.4 50.8 13.6 55.9 408.5N 44 36 18 19 12 15 13 7 4 2 30 8 33 241

■問4-2M001:貴団体におけるCIOの機能として、各項目の実現度合はいかがですか。

N数

自信を持って実現していると思う

実現していると思う

あまり実現していないと思う

実現していないと思う

わからない

カウント数

% 102 2.9 30.4 36.3 22.5 7.8 100.0N 3 31 37 23 8 102% 101 3.0 5.9 21.8 57.4 11.9 100.0N 3 6 22 58 12 101% 100 19.0 36.0 13.0 24.0 8.0 100.0N 19 36 13 24 8 100% 102 44.1 37.3 3.9 9.8 4.9 100.0N 45 38 4 10 5 102% 101 3.0 15.8 42.6 28.7 9.9 100.0N 3 16 43 29 10 101% 101 1.0 2.0 27.7 62.4 6.9 100.0N 1 2 28 63 7 101% 102 18.6 34.3 14.7 19.6 12.7 100.0N 19 35 15 20 13 102% 102 3.9 8.8 40.2 35.3 11.8 100.0N 4 9 41 36 12 102% 102 4.9 13.7 38.2 31.4 11.8 100.0N 5 14 39 32 12 102% 102 6.9 14.7 21.6 48.0 8.8 100.0N 7 15 22 49 9 102

CIOは経営層と頻繁に情報交換を行っているCIOはITに関する新技術、価格動向、将来動CIOは団体に必要なITは何か、またそのITのITシステム投資・IT資産を庁内グループベース

CIOは庁内の主要業務の経験を有しているCIOは自庁内から選任しているCIOに求められる要素と水準が明確になっていCIOの育成プログラムがある、あるいは、将来の

求められる能力

実現している

CIOのミッションは明確に定められているCIOは情報通信技術において専門的な経験を

財務会計制度の見直し

管理会計の仕組みの見直し

人事制度の改革

配置転換の実施

施策立案方法の見直し

調達方法の見直し

行政サービス内容の見直し行政サービス提供方法の見直し

人材評価

全体

調達先の絞り込み・変更を含む見直し

調達条件の変更

庁内情報の共有度合いが進んだより多くの有用な地域情報の収集が可能となり、より正確な施策判断を行うことが可能となった

組織の業績評価

組織のフラット化が進んだ人材の最適配置が進んだ庁内の情報伝達の角度、徹底度合いが進ん

■問4-1M001:CIOについて/貴団体のCIO(あるいはCIO補佐官(CIO相当役))の人物像についてお伺いします。(1)貴社のCIO(あるいはCIO補佐官(CIO相当役))に特に求められる能力について次の項目から選択してください。(2)また、それは実現していますか。

64

Page 69: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

問5.情報システムについて

N数

全職員が、各職責に応じた業務を可視化・数値化し、適正かつ合理的に進めることができる

管理職の職員が業務を可視化・数値化し、適正かつ合理的に進めることができることを目標とする

業務上必要な、一部の職員だけが業務を可視化・数値化し、適正かつ合理的に進めることができる

理解度は教育を受ける職員各自に任せている

その他 カウント数

% 79 70.9 10.1 8.9 10.1 0.0 100.0N 56 8 7 8 0 79% 79 3.8 6.3 57.0 32.9 0.0 100.0N 3 5 45 26 0 79

問6.職員に対するIT教育・活用について■問6-1M001:職員に対するIT教育・活用について/貴団体の職員に対するIT教育・活用についてお伺いします。各項目について、該当すると思われる実現度を一つ選択してください。

N数

自信を持って実現していると思う

実現していると思う

あまり実現していないと思う

実現していないと思う

わからない

カウント数

% 109 4.6 28.4 33.0 30.3 3.7 100.0N 5 31 36 33 4 109% 108 0.9 3.7 38.0 54.6 2.8 100.0N 1 4 41 59 3 108% 109 0.0 5.5 17.4 75.2 1.8 100.0N 0 6 19 82 2 109% 109 0.0 2.8 22.0 66.1 9.2 100.0N 0 3 24 72 10 109% 108 0.0 6.5 20.4 70.4 2.8 100.0N 0 7 22 76 3 108% 109 0.0 8.3 18.3 64.2 9.2 100.0N 0 9 20 70 10 109% 109 0.9 10.1 14.7 70.6 3.7 100.0N 1 11 16 77 4 109% 109 1.8 23.9 23.9 49.5 0.9 100.0N 2 26 26 54 1 109% 109 7.3 36.7 28.4 26.6 0.9 100.0N 8 40 31 29 1 109

第2部 大規模災害時業務継続対策

問7. 大規模災害時業務継続対策について

N数全庁の防災計画を作成済み

本庁のみを対象とした防災計画は作成済み

作成を検討中

何もしていない

分からない

その他 カウント数

% 109 80.7 3.7 10.1 0.9 3.7 0.9 100.0N 88 4 11 1 4 1 109

■問7-2:貴団体では、大規模災害発生時の従業員用行動マニュアルを作成していますか。もっとも近い項目を一つ選択してください。

N数

全庁対象に行動マニュアルを作成済み

本庁のみを対象とした行動マニュアルは作成済み

作成を検討中

何もしていない

分からない

その他 カウント数

% 108 67.6 2.8 17.6 0.9 8.3 2.8 100.0N 73 3 19 1 9 3 108

■問7-3:問7-1及び問7-2で「作成済み」と回答された方にお伺いします。防災計画や行動マニュアルの見直しは行っていますか。もっとも近い項目を一つ選択してください。

N数

定期的に見直している/年ごと

不定期ではあるが、見直している

5年以上見直していない

一度も見直していない

分からない

カウント数

% 91 27.5 58.2 4.4 3.3 6.6 100.0N 25 53 4 3 6 91

■問7-4:貴団体における大規模災害を想定した、事業復旧にかかわるガイドラインのうち、ITの視点から立てているガイドラインとしてどのようなものがありますか。

N数

IT 運用上の役割と責任体制を明確化したガイドライン

IT 関連のシステム、オペレーションの文書化と最新内容の維持に関するガイドライン

IT 関連資産の詳細リストの作成と最新内容の維持に関するガイドライン

音声/データ通信にかかわる内部・外部接続にかかわるネットワーク・トポロジーの最新情報維持に関するガイドライン

システム、オペレーション間の相互依存を考慮したデータ・フローとビジネスプロセスの可視化に関するガイドライン

上記に該当するガイドラインは特にない

カウント数

% 108 16.7 12.0 7.4 2.8 2.8 73.1 114.8N 18 13 8 3 3 79 124

全体

全体

全体

庁内IT部門の職員が、一定期間、ITユーザ部庁内IT部門の職員のスキル獲得のための教育庁内IT部門の職員が新技術や不足するスキル

全体

庁内IT部門の職員のスキルを外部の評価基準庁内のIT部門の職員のスキル獲得は、人事評庁内IT部門の職員に対して、経営戦略とIT戦略IT戦略に沿って、庁内IT部門の職員の採用計

目標

実現

庁内IT部門のミッション・職務機能・スキルミックITスキル標準などを活用して、庁内IT部門の従

■問5-1M001:情報システムについて/貴団体の情報システムに対する職員の理解度(システム利用スキルの習得度)における目標についてお伺いします。目標と実現についてそれぞれもっとも近い項目を一つ選択してください。

■問7-1:第2部 大規模災害時 業務継続対策/大規模災害時業務継続対策について/【大規模災害】次の(1)~(6)が発生し、甚大な被害があった時 (または、発生が予想され、甚大な被害が想定される時)(1) 震度5以上の地震 (2) 火山の噴火 (3) 台風・大雨・落雷 (4) 火災・事故 (5) 広域な疾病 (6) その他緊急対応が生じた時/貴社では、地震や水害などの大規模災害を想定した防災計画を作成していますか。もっとも近い項目を一つ選択してください。

65

Page 70: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

■問7-5:貴団体における大規模災害への対応として、どのような対策を立てていますか。

N数基幹業務システムの冗長化

バックアップデータを遠隔地に保管する

基幹業務システムのバックアップシステムを遠隔地に用意する

オフィススペースやオフィス機器等を含むオフィス全体のバックアップサイトを遠隔地に用意する

信頼性の高い外注先の選択

信頼性の高い(耐震性・防水性などが高い)ハードウェアを使用する

代替通信回線の確保

自家発電装置の設置

その他 カウント数

% 98 33.7 41.8 8.2 0.0 27.6 20.4 22.4 63.3 5.1 222.4N 33 41 8 0 27 20 22 62 5 218

■問7-6:貴団体では大規模災害を想定し、日ごろから訓練を実施していますか。

N数

災害時を想定した体制(バックアップサイトや代替オフィスに出勤し、バックアップされたデータに基づき、代替システムや代替ネットワークを利用)で実際に業務を行っている

災害時を想定した体制で、模擬的に業務を行っている

特に訓練は実施していない

カウント数

% 108 2.8 12.0 85.2 100.0N 3 13 92 108

■問7-7:貴団体における大規模災害対策を進める上での問題や課題はどのようなものですか。

N数

対策を講じるにも、人的余裕がない

対策を講じるにも、資金的な余裕がない

対策方法や手段などの情報が少ない

災害対策に対する認識が低い

何から手をつけてよいのか分からない

その他

すでに対策済みであり、問題ない

対策は特に必要ない

分からない

カウント数

% 109 56.9 78.9 31.2 27.5 11.9 2.8 2.8 0.9 1.8 214.7N 62 86 34 30 13 3 3 1 2 234

第3部 情報セキュリティ対策

問8.情報セキュリティ全般

N数

既に策定してあり、定期的に見直している

策定済みだが、1年以上、見直しをしていない

現在、策定を進めている段階である

策定を検討中である

現在のところ策定していないが、今後策定予定である

今後も策定の予定はない

「情報セキュリティポリシー」について、よく分からない

カウント数

% 111 28.8 64.0 6.3 0.0 0.9 0.0 0.0 100.0N 32 71 7 0 1 0 0 111

■問8-2:貴団体では、情報セキュリティに対する取り組みの方針や目的について、どのようにお考えですか。該当するものを全て選択してください。

N数

リスクマネジメントの一環として取り組んでいる

セキュリティ事故がブランドイメージや業績に与える影響を避けるため

顧客に提供する製品やサービスに一定レベルのクオリティを確保する責任を果たすため

社会的責任を果たすために取り組む必要がある

事業を推進する上で必須の項目である

自治体としての競争力を高めるため(他社との差別化を図るため)

ビジネスプロセスの合理化の一環として取り組んでいる

事業活動に情報セキュリティ活動を整合させることが重要であるため

法律に従う必要があるため

他の自治体の取り組み状況に遅れないようにするため

その他 カウント数

% 111 65.8 37.8 66.7 80.2 48.6 2.7 4.5 40.5 37.8 14.4 0.0 399.1N 73 42 74 89 54 3 5 45 42 16 0 443

問9.情報セキュリティに関する組織・体制について■問9-1:情報セキュリティに関する組織・体制について/貴社では、情報セキュリティに対する取り組みをどのような体制で推進されていますか。以下の中から該当するものを一つ選択してください。

N数

組織の経営責任者等が長を務める情報セキュリティ監理委員会等の委員会形式

セキュリティ担当の専任者を任命している

情報システム部門が担当している

その他 カウント数

% 110 36.4 6.4 56.4 0.9 100.0N 40 7 62 1 110

■問9-2:貴団体では、どのような方が実質的な情報セキュリティ担当の責任者をされていますか。以下の中から該当するものを一つ選んでください。

N数

情報セキュリティ担当責任者(CSO)

情報戦略最高責任者(CIO)

リスク担当責任者(CRO)

プライバシー担当責任者(CPO)

財務部門の責任者

総務部門の責任者

その他の役員クラスの者

その他

情報セキュリティ担当責任者を設置していない

カウント数

% 107 20.6 33.6 0.9 0.0 0.0 25.2 5.6 10.3 3.7 100.0N 22 36 1 0 0 27 6 11 4 107

全体

全体

全体

全体

全体

全体

■問8-1:第3部 情報セキュリティ対策/情報セキュリティ全般/貴団体における情報セキュリティに関する全社的な基本方針である情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの策定状況について、該当する

全体

66

Page 71: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

問10.情報セキュリティ対策の現状について■問10-1M001:情報セキュリティ対策の現状について/貴団体のインターネット接続におけるネットワーク管理とセキュリティ対策の現状について、行われているものを選択してください。

N数 導入済み 導入予定今のところ導入予定はない

そのような製品やサービスを知らない

カウント数

% 111 99.1 0.9 0.0 0.0 100.0N 110 1 0 0 111% 103 25.2 7.8 56.3 10.7 100.0N 26 8 58 11 103% 107 7.5 0.9 83.2 8.4 100.0N 8 1 89 9 107% 109 15.6 20.2 64.2 0.0 100.0N 17 22 70 0 109% 106 38.7 9.4 46.2 5.7 100.0N 41 10 49 6 106% 110 96.4 0.9 2.7 0.0 100.0N 106 1 3 0 110% 107 44.9 18.7 36.4 0.0 100.0N 48 20 39 0 107% 106 23.6 14.2 61.3 0.9 100.0N 25 15 65 1 106% 107 12.1 9.3 74.8 3.7 100.0N 13 10 80 4 107% 107 22.4 6.5 66.4 4.7 100.0N 24 7 71 5 107% 106 19.8 8.5 69.8 1.9 100.0N 21 9 74 2 106% 108 23.1 10.2 63.0 3.7 100.0N 25 11 68 4 108% 107 18.7 7.5 70.1 3.7 100.0N 20 8 75 4 107% 108 9.3 5.6 80.6 4.6 100.0N 10 6 87 5 108% 107 27.1 16.8 53.3 2.8 100.0N 29 18 57 3 107% 109 45.9 6.4 44.0 3.7 100.0N 50 7 48 4 109% 108 3.7 6.5 84.3 5.6 100.0N 4 7 91 6 108% 110 15.5 23.6 57.3 3.6 100.0N 17 26 63 4 110% 110 51.8 20.0 26.4 1.8 100.0N 57 22 29 2 110% 108 14.8 13.0 69.4 2.8 100.0N 16 14 75 3 108% 108 33.3 25.0 38.0 3.7 100.0N 36 27 41 4 108% 108 0.0 6.5 88.9 4.6 100.0N 0 7 96 5 108% 108 2.8 10.2 85.2 1.9 100.0N 3 11 92 2 108% 108 4.6 3.7 89.8 1.9 100.0N 5 4 97 2 108% 109 59.6 12.8 27.5 0.0 100.0N 65 14 30 0 109

■問10-2M001:貴団体のセキュリティポリシーを基にしたセキュリティ対策の現状について、行われているものを選択してください。

N数 実施済み 実施予定今のところ実施予定はない

カウント数

% 110 95.5 1.8 2.7 100.0N 105 2 3 110% 109 57.8 12.8 29.4 100.0N 63 14 32 109% 109 90.8 4.6 4.6 100.0N 99 5 5 109% 111 82.9 10.8 6.3 100.0N 92 12 7 111% 110 81.8 11.8 6.4 100.0N 90 13 7 110% 111 85.6 4.5 9.9 100.0N 95 5 11 111% 109 51.4 16.5 32.1 100.0N 56 18 35 109% 109 55.0 16.5 28.4 100.0N 60 18 31 109% 110 66.4 12.7 20.9 100.0N 73 14 23 110% 58 67.2 8.6 24.1 100.0N 39 5 14 58

問11.情報セキュリティに関する庁内教育について■問11-1:情報セキュリティに関する社内教育について/貴団体では、職員に対して情報セキュリティに関する教育や研修を実施されていますか。

N数実施している

実施していない

カウント数

% 111 78.4 21.6 100.0N 87 24 111

■問11-2:貴団体では、職員に対して情報セキュリティに関する教育や研修を実施する場合、どのような形態が効果的だとお考えですか。以下の中から該当するものを全て選択してください。

N数集合型(教室型)の研修

Webベースのトレーニング(e-ラーニング)

社外の専門機関への委託

テキストの配布と自習

その他 カウント数

% 109 72.5 52.3 47.7 12.8 1.8 187.2N 79 57 52 14 2 204

非常勤及び臨時職員の遵守事項の明確化特に規定はないが、問題が発生する都度、対

全体

全体

外部からのPCの持込に関する制限PC等の情報機器におけるセキュリティ設定変更机上の端末等の管理(離席時の端末のロッ退職時等の遵守事項の明確化

サーバ室などの入退室の管理執務用PCの盗難防止策措置PC等の情報機器の目的外での使用禁止PC等の端末の持出し及び外部における情報処

情報セキュリティ関連認証取得コンサルティング情報セキュリティポリシー対策コンサルティン

セキュリティ保険

セキュリティ教育(e-ラーニング等)

情報の不正な持ち出しを防止するためのツーPCやサーバのログ取得ツール

フィッシング対策ツール

SPAMメール対策ツール

バイオメトリクスを利用した認証ツール

デジタル証明書

VPN機器

シンクライアント

セキュリティホール情報提供サービス

管理ソフト

侵入検知システム(IDS)

侵入防止システム(IPS)

ファイアウォール

ネットワークやOSにおけるセキュリティ診断Webアプリケーションにおけるセキュリティ診断

脆弱性管理ツール

シングルサインオン

ワンタイムパスワード

データ・電子メールの暗号化OS・アプリケーションの堅牢化

アンチウィルスソフト

67

Page 72: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

■問11-3:問11-1で「実施していない」と回答された方にお伺いします。情報セキュリティ教育を実施していない理由についてお伺いします。以下の中から該当するものを全て選択してください。

N数他の業務で多忙であるため

予算が確保できないため

実施するための知識・ノウハウがないため

適切な教材がないため

情報セキュリティ教育の必要性を感じないため

その他 カウント数

% 23 73.9 43.5 56.5 8.7 0.0 8.7 191.3N 17 10 13 2 0 2 44

問12.情報セキュリティ監査について■問12-1:情報セキュリティ監査について/貴団体における情報セキュリティ監査の実施状況についてお伺いします。以下の中から該当するものを選択してください。

N数定期的に実施している

実施したことがあるが、定期的に実施しているわけではない

実施したことがないが、近い将来に実施予定である

実施したことがあるが、当面必要ではない

実施したことがなく、将来も実施予定はない

情報セキュリティ監査を知らない

カウント数

% 110 15.5 20.9 44.5 0.9 17.3 0.9 100.0N 17 23 49 1 19 1 110

■問12-2:「実施したことがあるが、当面必要ではない」、「実施したことがなく、将来も実施予定はない」と回答された理由はどのようなものでしょうか。以下の中から該当するもの全て選択してください。

N数

情報セキュリティ監査よりも、システム開発や構築の推進を優先しているため

情報セキュリティ監査の実施に向けた庁内のコンセンサスや文化がない

情報セキュリティ監査を実施する担当者の確保が難しい

全庁的に、情報セキュリティの重要性に対する認識が薄い

情報セキュリティ監査の効果が不明

首長が情報セキュリティ監査の必要性を認識していない

予算が確保できない

監査が必要なほどの情報資産を保有していない

情報セキュリティ対策が万全であるため、監査は必要ではない

その他 カウント数

% 22 22.7 31.8 63.6 22.7 22.7 9.1 59.1 4.5 0.0 0.0 236.4N 5 7 14 5 5 2 13 1 0 0 52

問13.個人情報の保護について

N数

個人情報保護法施行以前から策定していたものを継続して利用している

個人情報保護法施行以前から策定していたが、個人情報保護法の施行に伴って改定した

個人情報保護法の施行に伴って新たに策定した

現在策定中

今後、策定を予定している

策定の予定はない

カウント数

% 110 18.2 37.3 25.5 2.7 9.1 7.3 100.0N 20 41 28 3 10 8 110

■問13-2:貴団体では、個人情報保護法の施行に伴って自社の業務を見直すなどの対策を行いましたか。以下の中から該当するもの全て選択してください。

N数

自治体で保有する個人情報の洗い出し

個人情報ごとの管理責任者の明確化

各部署での個人情報取扱担当者の設置や明確化

全庁で個人情報の台帳を一元管理

使用していない個人情報の廃棄

職員や関連業者に対する個人情報保護対策の徹底

個人情報を収集、利用、開示、廃棄する際の管理規定の見直し

外部委託に関する規定の見直し

個人情報が外部に漏洩してしまったときの対応マニュアルの策定

電子媒体の個人情報ファイルの暗号化など、情報漏洩対策の見直し

個人情報を取り扱うシステム(Webサイト等)のセキュリティ評価(監査)の実施

Webページへのプライバシーポリシーの掲示

申込書、申込画面など個人情報を記入する文面の見直し

% 106 45.3 36.8 28.3 14.2 15.1 67.0 39.6 42.5 15.1 17.9 7.5 22.6 19.8N 48 39 30 15 16 71 42 45 16 19 8 24 21

店舗へのポスター掲示など、顧客に対する個人情報保護への取り組みの説明

個人情報に関する苦情や問合せに対する部署の設置

その他

上記のような対策は実施していない

カウント数

8.5 27.4 8.5 5.7 421.79 29 9 6 447

第4部 プロフィル(その1)

■Q14-4:Web2.0に関連するツールの活用状況(販促目的など対外的な用途として)をお教えください。

N数ブログを活用している

SNS※1を活用している

Wiki※2 を活用している

その他のWeb2.0に関連するツールを活用している

特に活用していない

カウント数

% 85 1.2 2.4 0.0 2.4 94.1 100.0N 1 2 0 2 80 85

全体

全体

全体

全体

全体

■問13-1:個人情報の保護について/貴社では、個人情報保護法の施行に伴って、個人情報保護に関する規定(プライバシーポリシー 等)を策定されていますか。以下の中から該当するものを一つ選択してください。

全体

68

Page 73: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

3.中小企業アンケート

■問1:貴社の業務へのIT導入状況について、もっとも近い項目を一つだけ選択してください。

N数

積極的に活用し、業務に活かしている

導入済みであるが、業務に活かされていない

導入していない(パソコン、その他のコンピュータもしくは携帯電話、ハンディターミナル、POSなどによるITシステムもない)

カウント数

% 487 75.4 18.3 6.4 100.0N 367 89 31 487

■問2:どのような業務でITを活用されていますか。下記の中から該当するものをすべて選択してください。

N数

自社のホームページを作成し、情報発信を行っている

企業間でホームページや電子メールを利用した電子商取引を行なっている

企業-消費者間でホームページや電子メールを利用した電子商取引を行なっている

企業間や企業-消費者間で電子メールを利用した情報交換を行っている

社員のスケジュール管理など内部業務用として利用している

会計・経理処理を行っている

顧客管理で利用している

売上高管理など経営分析の手段として利用している

その他

当てはまるものはない/わからない

カウント数

% 386 58.5 36.8 18.4 54.9 30.1 76.7 52.1 58.8 3.9 1.3 391.5N 226 142 71 212 116 296 201 227 15 5 1511

■問3-1:どのような理由でIT導入が経営に活用されていないとお考えですか。下記の中から該当するものをすべて選択してください。

N数財政的理由

ITを理解できる人材の不足

ITを活用する優先順位が低い

何から手を付けてよいのか分からない

ITを活用する効果が疑わしい

ITを活用する必要性を感じない

その他 カウント数

% 112 19.6 60.7 32.1 15.2 8.0 25.0 8.9 169.6N 22 68 36 17 9 28 10 190

■問4:貴社には、経営戦略的な視点から情報化を進める立場の役員(CIOあるいはCIO相当役)はいますか。該当するものを一つ選択してください。

N数CIOまたはCIO相当役はいる

CIOまたはCIO相当役はいない

カウント数

% 475 10.3 89.7 100.0N 49 426 475

■問5:社員に対するIT教育についておたずねします。貴社で行ったことのある項目について該当するものを選択してください。

N数社内での講習会の開催

外部の機関・団体などの講習会への派遣

日常の仕事を通じた育成・教育

社員個々人の努力や資質向上にまかせてきた

IT技能向上策について、いままで意識したことがなかった

その他 カウント数

% 457 14.4 23.2 53.0 48.1 10.1 3.5 152.3N 66 106 242 220 46 16 696

■問6M001:貴社のインターネット接続におけるネットワーク管理とセキュリティ対策の現状について、実施されているものを全て選択してください。

N数 導入済み 導入予定今のところ導入予定はない

そのような製品やサービスを知らない

カウント数

% 432 82.6 1.9 9.7 5.8 100.0N 357 8 42 25 432% 403 60.0 4.2 22.8 12.9 100.0N 242 17 92 52 403% 377 35.8 3.4 45.9 14.9 100.0N 135 13 173 56 377% 359 1.7 2.2 70.8 25.3 100.0N 6 8 254 91 359% 359 7.5 3.1 63.8 25.6 100.0N 27 11 229 92 359% 356 3.1 9.3 69.1 18.5 100.0N 11 33 246 66 356% 357 16.8 5.6 57.7 19.9 100.0N 60 20 206 71 357% 367 14.4 4.6 59.9 21.0 100.0N 53 17 220 77 367% 364 19.8 5.5 53.3 21.4 100.0N 72 20 194 78 364% 353 2.5 1.7 70.3 25.5 100.0N 9 6 248 90 353% 350 2.0 1.4 72.0 24.6 100.0N 7 5 252 86 350% 355 2.0 1.7 73.2 23.1 100.0N 7 6 260 82 355% 357 4.5 3.4 72.8 19.3 100.0N 16 12 260 69 357% 357 2.5 2.5 75.1 19.9 100.0N 9 9 268 71 357

セキュリティ保険

セキュリティ教育(集合教育、講師招聘など)セキュリティ教育(e-ラーニング)

フィッシング(※5)対策ツールSPAMメール(※6)対策ツール情報セキュリティ関連認証取得コンサルティング情報セキュリティポリシー対策コンサルティン

バイオメトリクスを利用した認証ツール

デジタル証明書

情報の不正な持ち出しを防止するためのツーPCやサーバのログ取得ツール

全体

アンチウィルスソフト(※1)

ファイアウォール

ネットワークやOSにおけるセキュリティ診断

全体

全体

全体

全体

69

Page 74: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

■問7M001:貴社のセキュリティポリシーを基にしたセキュリティ対策の現状について、行われているものを全て選択してください。

N数 実施済み 実施予定今のところ実施予定はない

カウント数

% 373 7.2 2.7 90.1 100.0N 27 10 336 373% 374 8.8 6.4 84.8 100.0N 33 24 317 374% 378 29.6 9.8 60.6 100.0N 112 37 229 378% 378 24.6 11.6 63.8 100.0N 93 44 241 378% 374 18.4 7.8 73.8 100.0N 69 29 276 374% 363 21.8 6.6 71.6 100.0N 79 24 260 363% 373 12.1 8.6 79.4 100.0N 45 32 296 373% 373 17.7 12.3 70.0 100.0N 66 46 261 373% 359 11.1 7.2 81.6 100.0N 40 26 293 359% 379 52.2 14.2 33.5 100.0N 198 54 127 379

■問8:貴社では、個人情報保護法(※)の制定に伴って、個人情報保護に関する規定(プライバシーポリシー 等)の策定を行っていますか。以下の中から該当するものを一つ選んでください。

N数

個人情報保護法施行以前から策定していたものを継続して利用している

個人情報保護法施行以前から策定していたが、個人情報保護法の施行に伴って改定した

個人情報保護法の施行に伴って新たに策定した

現在策定中

今後、策定を予定している

策定の予定はない

カウント数

% 460 5.9 2.4 17.8 8.9 24.6 40.4 100.0N 27 11 82 41 113 186 460

■問9:貴社では、災害や情報システムの障害が発生した場合、事業を継続するための対応策を講じてしていますか。以下の中から該当するものを一つ選んでください。

N数

対応策を策定し、いつでも対応できる状態になっている

対応策を策定中である

策定していないが、今後、策定する予定である

策定する予定はない

分からない

その他 カウント数

% 465 13.1 8.4 29.9 21.7 24.5 2.4 100.0N 61 39 139 101 114 11 465

■問10:貴社では、策定した対応策の見直しを行っていますか。

N数

定期的に見直しを行っている

不具合が発生した場合、見直しを行っている

特に行っていない

分からない

その他 カウント数

% 83 26.5 38.6 24.1 6.0 4.8 100.0N 22 32 20 5 4 83

■問11:策定しない理由は、どのようなものでしょうか。

N数知識やノウハウがない

実施するための予算化が難しい

効果が分からない

策定に時間がかかる

人材に余裕がない

現在のところ、特に問題ない

必要性を感じない

分からない

その他 カウント数

% 128 18.0 5.5 3.1 0.8 7.8 39.8 31.3 7.8 0.8 114.8N 23 7 4 1 10 51 40 10 1 147

■問12:第4部 プロファイル/貴社の概要についてお答えください。/業種をお答えください。

N数 製造業 流通業 金融業サービス業

その他 カウント数

% 587 39.7 27.4 1.4 21.8 9.7 100.0N 233 161 8 128 57 587

■問13:従業員数をお答えください。

N数 10人以下 11~50人51~100人

101~300人

301人以上

カウント数

% 469 46.7 38.0 6.0 6.6 2.8 100.0N 219 178 28 31 13 469

■問14:資本金をお答えください。

N数1000万円以下

1000万1円~5000万円

5000万1円~1億円

1億1円~3億円

3億1円以上

カウント数

% 467 54.2 34.5 6.9 1.7 2.8 100.0N 253 161 32 8 13 467

■問15:貴社の業況をお答えください。

N数上向いている

上向いているが、将来は不透明

横ばいである

悪化している

カウント数

% 463 12.3 21.2 48.6 17.7 100.0N 57 98 225 82 463

■問16:Web2.0に関連するツールの活用状況(販促目的など対外的な用途として)をお答えください。

N数ブログを活用している

SNS(※8)を活用している

Wiki(※9)を活用している

その他のWeb2.0に関連するツールを活用している

特に活用していない

カウント数

% 408 4.7 0.7 0.0 2.2 92.9 100.5N 19 3 0 9 379 410

全体

全体

全体

全体

全体

全体

特に規定はないが、問題が発生する都度、対

全体

全体

全体

PC等の情報機器におけるセキュリティ設定変更机上の端末等の管理(離席時の端末のロッ退職時等の遵守事項の明確化非常勤及び臨時職員の遵守事項の明確化

執務用PCの盗難防止策措置PC等の情報機器の目的外での使用禁止PC等の端末の持出し及び外部における情報処外部からのPCの持込に関する制限

サーバ室などの入退室の管理

70

Page 75: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

第4部 プロフィル(上場企業その2)

NoQ14-2:昨年度IT投資額の支出に占めた割合(総支出に対する割合)/約/%

Q14-3:回答者が現在利用している業務システムに対する満足度/約/%

Q14-4:昨年度IT導入によってあったと思われるコスト削減効果(総支出に対する割合)/約/%

Q14-5:昨年度ITによってもたらされたと思う経済効果(売上高に対する割合)/約/%

1 2.0 65.02 1.0 60.03 1.0 50.04 2.0 60.0 10.0 10.05 5.0 85.0 20.0 10.06 10.0 70.0 10.0 5.07 0.8 50.08 0.2 30.09 29.0 70.0 0.3 9.710 0.3 70.011 0.1 80.012 1.2 70.0 120.013 1.6 40.014 30.0 80.0 2.015 8.0 80.016 0.6 80.017 1.0 100.0 1.0 3.018 1.3 70.0 0.319 5.0 30.0 10.0 20.020 1.0 60.021 95.0 70.022 1.0 60.023 0.7 70.0 0.1 1.024 3.025 13.0 70.0 4.0 5.026 1.1 70.0 20.0 90.027 10.0 50.0 10.0 10.028 0.8 70.029 1.0 70.0 1.0 3.0

71

Page 76: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

第4部 プロフィル(上場企業その2)

NoQ14-1:昨年度IT投資額の支出に占めた割合(総支出に対する割合)/約/%

Q14-2:回答者が現在利用している業務システムに対する満足度/約/%

Q14-3:昨年度IT導入によってあったと思われるコスト削減効果(総支出に対する割合)/約/%

1 把握していない 50 測定できない2 1.2 70.03 0.5 30.0 1.04 1.0 70.0 3.05 0.46 2.6 100.0 0.17 0.9 2.0 2.08 1.2 30.09 1.810 1.1 70.011 0.0 80.0 0.012 0.6 90.0 0.013 1.0 60.0 1.014 5.0 50.0 0.015 1.0 70.0

16H18.3.20合併のため不明

60.0H18.3.20合併のため不明

17 1.0 60.018 0.1 60.0 0.019 0.5 50.0 特別な投資はなし20 0.9 75.0 0.221 0.32 50 不明22 不明 50.0 不明23 11.0 60.0 不明24 1.9 60.0 不明25 1.5 65.0 0.126 0.65 70 不明27 17(光ファイバー網整備) 60 不明28 89.0 70.0 7.029 0.4 50.0 0.030 1.0 50.031 0.5 80.032 0.8 70.0 0.033 2.0 30.0 ?34 0.05 8035 1.5 50 不明36 6.4 4037 0.6 4038 0.7 50 139 0.37 把握していません 把握しておりません40 0.5 7041 不明 80 不明42 5.0 40.0 10.043 不明 不明 不明44 0.0 60.0 0.045 0.7 70.0 1.646 1.0 80.047 1.0 70.0 0.048 0.4 0.049 1.0 80.0 不明50 0.4 40.0 不明51 0.7 100.0 不明52 0.7 70.0 0.053 2.0 50.054 10.0 50.055 1.0 80.056 0.6 70.0 0.157 不明 80 不明58 0.4 70.059 3.7 80.060 0.8 40.061 0.4 80.0 0.062 7.0 50.0 10.063 0.6 60.064 1.2 50.0 0.065 10.0 30.0 0.066 1.0 100.0 1.067 不明 75.0 不明68 2.0 70.0 1.069 70.0 60.0 4.070 0.1 60.071 0.0 50.0 0.072 1.0

72

Page 77: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

上上場場企企業業 ヒヒアアリリンンググままととめめ

73

Page 78: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

1.ヒアリング実施企業一覧

No. 企業名

1-1 (株)日本触媒

1-2 (株)指月電機製作所

1-3 (株)ジーエス・ユアサコーポレーション

1-4 (株)カイゲン

1-5 センコー(株)

74

Page 79: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

1-1.株式会社 日本触媒 (1) IT管理室の役割と ERP導入の取り組み

IT 管理室の役割は、日本触媒とそのグループ企業の情報システム全般をサポートすることである。具体的にはハードとソフト両面の維持・運営、さらに、グループ企業のハ

ードとソフトの購買やセキュリティ指導までを担っている。 最近の主要な業務は、基幹システムである ERP(SAP社の R3)の導入・運営で、2004年 4 月に導入し、約 3 年経過した現在、10 名のスタッフで運営している。この他、グループウェア(ノーツ)の運営に 5名、ネットワークなどのインフラ整備に 7~8名など、IT管理室のスタッフは合計 25名。社長直属の部署で、担当役員は財務担当役員が兼ねている。

(2) 財務情報共有化へのニーズが ERP(R3)導入のきっかけ ERP(R3)導入のきっかけは、前社長が財務情報にリアルタイムにアクセスできる環境を望んだことから始まる。それまでは自社開発の専用システムを使っていたが、社長

が経理に要求しないと前月の売上が把握できないという状況だった。それでは、最新情

報を素早く入手・検討できないだけでなく、財務部門が加工した試算表や決算書などの

結果情報しか入手できないとの問題もはらんでいた。もちろん、財務部門による加工に

問題があるというわけではなく、むしろ、結果情報は鳥瞰的に見るには欠かせない情報

であるが、財務部門でしか生データを把握できていないとの状況は望ましくない。 そこで R3を導入することとなったが、結果、現在では社長をはじめ経営陣が直接、リアルタイムで毎日の粗利益までを把握できるようになっている。さらに、たとえば社長

が端末をたたいて、限界利益がマイナスの商品をいち早く発見し、担当部長に指導を入

れるなど、迅速な業績把握と対応が実現している。 なお、以上のシステム導入の前提として、原価計算を実際原価から標準原価に切り替え

たが、これが財務情報のリアルタイムな共有化を実現しただけでなく、BPR の推進にも大きく役立った。

(3) R3標準にあわせた業務改革で BPRを推進 2004年 4月の R3導入に際しては、事前に ERP推進室を設立。全社を貫く基幹システムであるだけに、営業、購買、生産、品質管理、物流、経理、財務、経営企画など、主

要全部門からメンバーを募り、それぞれの立場からの意見を集約し、議論を尽くして導

入を進めた。その際には、各部門の従来の業務のやり方にあわせてアドオンするという

発想を捨て、標準原価の採用に象徴されるように R3の標準にあわせて業務フローを刷新した。それにより、たとえば、全部門ひとつの共通コードで統一するなど、基幹業務

の全体最適と効率化が進んだ。R3 標準で構築した業務フローは現在、内部統制の仕組みとしても効果を上げている。 もっとも、業務のやり方を刷新するのは、移行する段階で現場に大きな負担を強いるこ

75

Page 80: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

とにもなり、反発も予想される。それが回避できたのは、前社長が積極的に音頭を取り、

実行にあたってトップダウンで進めたこと。そして、事前に ERP 推進室で主要全部門のメンバーで議論を重ね、コンセンサスを得たことの意義は大きかった。 ただし、業務のすべてを R3標準にあわせたのではなく、従来のやり方が合理的だと判断される部分はそのまま残した。R3 はもともとドイツ製なので、請求と回収が毎回発生するドイツの商慣習をベースに開発されており、日本のように月極めで請求を起こし

回収するという売掛管理の商習慣は想定されていない。これについては、日本の商習慣

にあわさざるを得ず、R3にアドオンしたが、予想以上に手間がかかった。 R3の操作マニュアルは e-ラーニングで公開しているが、このあと整備を急がれているのが、万が一 R3 が止まったときの人的対応マニュアルである。R3 が動かないと出荷ができないという状況は本末転倒であり、止まっても業務は円滑に遂行されなければな

らない。すでに部門ごとには対応策は考えられており、それをもとに近々、全社的な統

一マニュアルを作成する予定である。

(4) 次の課題は顧客情報の共有化や、EPRのグループ企業への展開など これまでは財務分野を中心に数量処理できる部分の BPR は成果をあげてきた。次の課題は取引先の絞込みと生産・調達方法の見直し、ならびに、顧客情報の共有化による営

業支援システムの構築である。 現状は、基本的には営業社員一人ひとりの属人的能力や暗黙知で顧客対応しているが、

営業力を強化するためには、将来、営業日報で報告される顧客情報などを一元管理し、

属人営業を組織営業へと変えていく必要がある。今はまだ計画レベルにも至っていない

が、次の重要な課題ではあることは間違いない。 また、中国・インドネシア・ヨーロッパの海外子会社も含めたグループ企業 20 数社への R3展開にも取り組む予定をしている。ITのキーワードとして、①安定稼動、②グループ経営対応、③時代にあった技術習得、の 3つが挙げられるが、それほどにグループ企業を共通の基幹システムで統合することの意義は大きいと考える。 当然ながら R3導入には大きなコストがかかるので、20数社すぐにというわけにはいかない。資金的に難しい会社もあるので、逆に IT 化推進が引き金になって、子会社統合へと向かうこともありうるのではないだろうか。

(5) 最新情報は雑誌や研究会で収集、実務は大阪のベンダーに委託 IT 分野の技術革新は日進月歩どころか、秒進分歩とまで言われるほど進歩が速く、最新情報の収集も非常に重要だ。それには、IT 雑誌購読やベンダー主宰のセミナー参加をはじめ、同業者の IT 部門の集まりや異業種の企業研究会にも参加するなど、さまざまな機会を利用している。 ベンダーは大阪の企業である。名だたるベンダーはほとんどが東京本社で、ベンダー数

も東京が圧倒的に多いが、そのような会社では優秀な SEもほとんど東京に在籍している。そのため、東京のベンダーに委託すると東京の SEが出向いてくる場合が多く、大阪での対応は鈍くなりがちである。こちらのニーズに的確に対応してくれるかどうかは

企業ではなく、結局は SE個人の能力によるところが大きいので、大阪のベンダーに委

76

Page 81: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

託する方が業務を円滑に進められることがわかった。

(6) 経営戦略に沿った的確な指示が CIOの大きな役割 前述したとおり、財務担当役員が CIO を兼任している。IT 技術の専門家ではないが、経営戦略の IT 化推進への落とし込みが CIO の主要な役割なので、IT の専門技術は特に必要はないと考える。むしろ、IT 担当のスタッフに経営戦略を正しく理解させ、戦略の主旨に沿ってシステムを運用させる指導能力の方が重要である。 実際、CIOによる IT管理室のスタッフへの戦略指導は熱心に行っている。具体的には週 1回のミーティングと月 1回の食事会の場で、経営の方向性や ITへの関連などを必ず報告している。食事会には、業務委託先であるベンダーのスタッフにも参加してもら

うこともある。 逆に、新たな IT 課題に取り組む必要性を、経営陣に説得する役割も重要である。生産設備への投資などに比べて、IT 投資は対費用効果が見えにくい。従来はそれでも、その IT 投資によって省力化がどのくらい図れたかという尺度で評価することができたのでまだよかった。しかし、現在、IT 投資に一番に求められるのは省力化ではなく、投資による付加価値の創造、あるいは投資しないことによる機会損失などで、それを上手

くプレゼンテーションしなければならない。 たとえば、今後の大きな課題に大規模災害対策があるが、そのひとつにデータのバック

アップ体制構築がある。すでに一部、データセンターにサーバを置き始めているが、す

べてをデータセンターに移行するには大きな資金が必要で、重要であるにもかかわらず、

日常業務から外れるこの分野への投資には目が向きにくい。そのため、どうすれば経営

陣や社内を説得できるかを検討中で、説得に必要だと思われる情報収集も行っている。

CIOおよび IT管理室の役割としては、このような役割がますます重要になるだろう。 現在の CIO も IT管理室長も、R3導入当初からの EPR 推進室のメンバーで、EPR 導入の戦略的主旨も現場の意見もよく理解できる立場にある。業務革新を伴う基幹システ

ム導入を上手く進めるためには、CIOと IT部門のスタッフが経営戦略を理解すること、その経営戦略について現場の理解を得ること、そのためにトップダウンで進めること、

この 3つが非常に重要な条件ではないだろうか。

77

Page 82: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

1-2.株式会社 指月電機製作所 「関西情報化実態調査アンケート」に回答の上場企業のうち同社は大規模災害対策の取り組

みが特に進んでいるものであった。そこで、同社へのヒアリングは、特に当該テーマに絞り

実施し、以下、それを中心にまとめている。 (1) 関連部署の位置付け

同社の組織は、開発本部、マーケティング本部、管理本部の 3本部制で編成されており、管理本部が危機管理と情報システムを管轄している。管理本部はさらに、総務部、経理

部、広報部からなり、総務部が危機管理を、経理部内の IT グループが情報システム関連を扱っている。つまり、情報システムの大規模災害対策は、この 2部署の連携で企画・運営されている。

(2) 危機管理規定の制定から BCP(事業継続計画)の取り組みへ 創業社長の時代から同社はもともと危機管理意識は高かった。加えて、1995年 1月 17日の阪神淡路大震災では社屋の一部が倒壊。その前には工場で小火を出すなど、長い社

歴の中で実際に何度かの災害や事故を被っている。そのような経緯もあり、早くから危

機管理に個別には取り組んできたが、現在のように体系的に取り組むようになったのは、

2003 年 3 月に危機管理規定を制定してからである。現在の危機管理体制は、そこからスタートしている。それはその時期、監査役設置法人から委員会設置法人へと移行した

のに伴い、内部統制強化の一貫で、危機管理についても文書化が求められたからだ。も

ちろん、そのような制度上の理由からだけではなく、現社長が危機管理について問題意

識を強く持っていたことにもよる。 2003年 3月に制定された危機管理規定では、まず危機の内容が定義づけられ、16項目に分類された。①商品の欠陥による危機、②労働災害(「による危機」を省略、以下同

様)、③環境汚染、④火災、⑤自然災害(台風、水害、地震など)、⑥機密漏えい、⑦取

引先倒産、⑧知的財産権の侵害、⑨中傷・デマ、⑩民事暴力、⑪テロ、⑫不慮の事件・

事故、⑬株式買占め、⑭社員・役員による法律違反、⑮金融犯罪、⑯その他の会社存亡

に関わる問題、の 16 項目である。ここには IT に関連する言葉は出てきていないが、16 項目のほとんどに関係があり、台風・地震などの自然災害によってコンピュータがダメージを受けたり、逆に情報システムを原因として会社の重要情報や個人情報が漏え

いすることなどがリスクとして想定されている。 この危機管理規定に基づき、翌年 2004年 4月には内部統制システム規定を制定。会社を取り巻く 16項目のリスクを未然に防止するための規定や、発生した場合に被害を最小限に抑えるための規定が設けられた。内部統制システム規定には、IT システムのリスクに関する規定も独立して設けられている。現在はそこから進んで、リスクの未然防

止や発生時の被害抑制に向けた具体的な行動マニュアルの文書化に取り組んでいる段

階である。たとえば、火災や地震が発生したときの行動指針や機密漏えいが起こったと

きの対策などが決められている。あまり重大事でないと思われがちな停電というリスク

78

Page 83: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

も実は大きなリスクで、その対策も立てられている。さらに、来年 2008年 4月からの運用を目標に、プロジェクトチームを作って BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)を立案中で、それができれば、各種規定やマニュアル類はそこに包括されて

完成する。

(3) 年間計画に基づく訓練実施と、情報システムの大規模災害対策 このように危機管理に対する体制作り、システム構築は着々と進められているが、リス

クはいつなんどき発生するかわからないので、システムが完成するまで何もしないとい

うわけにはいかない。そのため、すでに社員をメンバーとする自衛消防隊が組織され、

年間を通じて各種訓練等が実施されている。その訓練も思いつきでやっていては継続的

な取り組みにならないので、1年間に何日か訓練等を実施する日を「○○強化の日」と決めて、計画的に進めている。たとえば、1991 年の盆休み明けの工場再稼動時に起こった感電事故の苦い経験から、毎年、盆休み明けの初出社日を「感電事故防止強化の日」

と決めて、再稼動時の気を引き締めている。あるいは、2004 年の台風による被害の経験から、「台風被害対策強化の日」を設け、その日には、懐中電灯や排水ポンプなどの

機器備品の点検を行っている。この他、「火災予防対策強化の日」、「地震被害対策強化

の日」、「交通事故防止強化の日」が設けられており、避難訓練や消火訓練などが実施さ

れるなど、大規模災害対策は非常に徹底されている。 さまざまな危機の中でも自然災害だけは防止のしようがないリスクだけに、発生したと

きの対策が重要となるが、IT 関連分野での対策のひとつとして、データのバックアップ体制が整備されている。その方法は、本社以外に工場が九州と秋田にあるので、各工

場でデータをバックアップし、相互保管体制を採っている。それにより、万が一システ

ムダウンなどが発生した場合でも、最悪 1日前のデータに復旧できる。現在、そのリード時間短縮に取り組んでおり、リアルタイムに近い状態でバックアップできる仕組みを

構築中である。

(4) 経営課題を提起する CIOと、具現化を担う ITグループのスタッフ 現在の CIOは取締役兼常務執行役の管理本部長で、2004年に 3本部制が導入され管理本部が設立されたときから現職に就いている。CIOの主な役割は、経営陣の一人として、経営的な観点から IT 分野の課題を提起し、IT グループのスタッフに指示・命令して、具現化のためのプロジェクトを立上げさせるとことである。それを受けて、IT グループのスタッフはプロジェクトを管理・運営し、課題解決とシステム実現に向けた業務を

遂行、それぞれの役割分担は上手く回っている。 現 CIOはもともと経理畑の出身で ITの専門技術について詳しくはないが、コンピュータにできることはコンピュータに任せるべきだとの意識が高く、IT 分野の最新動向に対しては広くアンテナを張り、情報収集を熱心に行っている。経営課題を提起する立場

の CIOの知識としては、それで十分であると考える。 それよりも重要なことは、IT グループが的確に業務を進められるよう、常日頃からコミュニケーションをとり、教育・指導を通して、経営戦略や経営課題を周知徹底させる

ことだ。実際に、月 1回の全体朝礼や毎朝の管理本部内の朝礼の場で、経営戦略に関わ

79

Page 84: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

る内容や日々の課題について、コンスタントに情報提供を行っている。それ以外にも、

新しいシステム導入の必要性を理解させるなど、個別のコミュニケーションが必要だと

考えた場合には、IT グループや管理本部のスタッフだけでなく、営業や工場の社員を呼んで積極的に個別指導も行っている。

80

Page 85: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

1-3.株式会社 ジーエス・ユアサコーポレーション (1) IT関連部署の位置付けと役割

ジーエス・ユアサコーポレーションは、2004 年 4 月に日本電池とユアサコーポレーションが合併してできた会社で、現在、事業会社 4社とスタッフ機能を持つ会社 3社の計主要 7社を統括するホールディングカンパニーである。新しい IT関連部署も合併の際に旧 2社の部署が統合されてできた。グループ全社の IT化推進の戦略立案・指導を担っているのが、ジーエス・ユアサコーポレーションの経営戦略統括部内の情報システム

で、総責任者である CIO は財務担当の常務取締役が兼任している。グループ全社のシステム開発・運営は、グループ会社の 1社であるジーエス・ユアサビジネスサポート内の情報サポート部(スタッフ 15名)が請負っている。

(2) 合併による事業統合を早急に進めるために EPRを導入 合併に際して基幹システムをどうするかについては 2つの選択肢があった。合併前の旧2社では、日本電池が IBMのホストコンピュータ、ユアサコーポレーションが NECのACOSを運用していたが、そのどちらかをベースにして開発するという選択肢が 1つ。もう 1つ選択肢は、どちらのシステムも捨てて、まったく新規のシステムを導入するというもの。それについては、合併当時の社長の強い意思もあって、従来の慣習や業務ル

ールに囚われず統合効果を早期に実現するためには、まったく新しい ERP を導入すべきであるとの選択となった。具体的には SAP社の R3が採用され、それに伴い、R3の標準にあわせた業務改革が進められることになった。 導入に際しては、プロジェクトチームが設立された。社長をトップに、プロジェクトリ

ーダーに CIO、事務局に経営戦略統括部長、それに各部門の部長と各事業会社の社長が参加し、毎週 1回のミーティングが続けられた。それほどまでに全部門を網羅して取り組んだ理由は、業務改革を円滑に進めるには、現場のマネジメント層の理解を徹底する

ことが欠かせないからである。 旧 2社の業務内容がほとんど同じであったこと、それに加えて、プロジェクトチームで十分議論を尽くしたことにより、導入は順調に進むはずだと考えられていたが、実際に

蓋を開けてみると、予想以上の手間がかかったのも事実だ。たとえば、会計システムの

費目ひとつとっても、「売上高」については各部門の定義に違いはなかったが、「製造原

価」についての認識は部門ごとにバラバラで、すべての費目の定義を統一するだけでも

一苦労があった。現場の業務ルールを新しい標準にあわせて変更するのはもっとたいへ

んで、自社業務にあわせて開発された従来システムが感覚的に受け入れやすかったのに

比べ、今回は R3標準を教育することから始めなければならず、それが時間のかかる原因なった。 しかし、会計費目を統一することで、グループ企業すべての会計が簡単に連結できるよ

うになり、また、業務ルールを R3標準に統一することで、つまり、各部門が従来のルールややり方を捨てることで、業務全体の全体最適を実現できたことは、非常に大きな

成果である。

81

Page 86: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

(3) 最初に会計系システムが完成、日時の原価把握が可能に

2004年 4月の合併から 2年を経て、2006年 4月にまず、会計系システムのグループ企業全社への導入が完了した。成果のひとつは、従来は月次でしか把握できなかった製造

原価を日次で把握できるようになったことである。それを可能にしたのは標準原価を採

用したことによるが、現在はで実際原価との原価差額も日次で把握できるようになりつ

つあり、これが完成すれば精度はさらに高まる。また、リアルタイムで製造原価が把握

できるというスピード面でのメリットだけでなく、全部門の会計が横串で統合できるよ

うになったことのメリットも大きい。部門ごとはもちろんのこと、全社の業績もあわせ

てトータルに業績把握できるようになった。 会計系のシステムに続いて、出荷・流通を含む業務系のシステム導入が進められている。

すでに 2006年 4月に、一部の事業会社への導入が完了し、その後、順次、残りのグループ企業への導入が進められている。 このように、造って販売するという基本業務のシステム化から着手はしているが、それ

が済めば、組織の業績評価などマネジメントに関する経営情報や海外子会社を対象とし

たグローバル展開が次の課題として控えている。

(4) 毎日の品質情報をノーツのデータベース上で共有 ここまで述べてきた R3とは別のノーツ上のシステムとして、毎日の品質情報を共有するデータベースも動いている。品質統括部が主幹するシステムで、お客様からのクレー

ムや苦情を含む品質に関する情報や、あるいは、主要なお客様で行われる品質監査や講

習会などの情報があれば、品質日報でノーツ上に登録し、同時に経営幹部に登録がメー

ルで知らされてすぐに閲覧できるというシステムである。 販売チャネルが全国に広がっているため、以前はさまざまな情報が組織階層を通して経

営幹部に到達するのに時間がかかっていた。しかし、数年前に危機管理に対する意識が

社会的に高まった時期に、クレーム情報を吸い上げるのに時間がかかっていていいのか、

との議論があり、その結果、このシステムが導入された。起こったすべてとはいかない

が、重要な品質情報が経営陣に迅速に報告されるようになり、評判もよく、継続運用さ

れている。

(5) 簡易な設計・見積システムで、スピーディな顧客対応を実現 これも R3とは別だが、受注生産品の問い合わせが顧客からあったときに、すぐに簡易な仕様・設計図・結線図と簡易見積を提案できるシステムが開発されてから、顧客対応

力が大幅に高まった。それまでは、正式に受注して本格的に設計にかかるまでは顧客に

十分な情報が提供できず、そのために顧客側も発注指示が鈍り、結果、生産が遅れると

いう悪循環にあった。物品をクイックレスポンスで提供することも重要だが、情報のリ

ードタイムを短縮することも同程度に重要である。現在は、簡易設計・簡易見積情報を

素早くお客様にお届けできるようになり、顧客満足度が高まったのと同時に、受注窓口

である販売店にも喜ばれ、さらには、顧客からの発注指示が早まることで製造の進捗も

82

Page 87: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

早まり、生産効率も高まった。

(6) CIOに一番求められるのは、総合的な経営の視点からの指導力 現在の CIOは合併後 2代目となる。合併当時の CIOは当時の専務取締役で、情報システム分野での経験もあり IT技術にも詳しかった。現在の CIOは銀行出身で情報システム分野の経験はなく、IT の現状は理解しているが、技術に詳しいわけではない。このように短期間で違ったタイプの CIOのもと、IT関連部署が運営されてきた経験から思うに、IT技術に詳しいかどうかは CIOの機能としてはそれほど重要ではないと考えられる。技術に詳しい CIO はスタッフとコミュニケーションが取りやすいとのメリットはあるが、逆に技術を知ってくれていることを前提とする甘えが生じるやすい。IT 業務の経験のない CIO に対してはそのような甘えもなくなり、専門外の視点からの貴重なアドバイスもあり、それぞれ一長一短である。 それよりもむしろ、総合的な経営戦略の視点から、IT 化推進を的確に指示・指導する機能の方がずっと重要である。そういう意味では、CIOがホールディングカンパニーであるジーエス・ユアサコーポレーションの経営戦略統括部に属し、同じ部署の経営戦略

担当副部長と常に接することのできる今の組織構造は望ましいあり方だ。また、これは

たまたまではあるが、現 CIOの銀行時代の経験からのアドバイスは、IT関連部署専属で仕事をしているスタッフにとってたいへん有益である。

(7) 危機管理規則に基づくリスクマネジメントについて 大規模災害が発生したときの対策指針としては、人事総務部主幹で危機管理規則が制定

されている。そこでは経営関連の危機、社会関連の危機、災害事故と、危機のあり方が

3つに分類され、災害事故の中に地震・風水害などの自然災害と火災などの事故が含まれる。また、大規模災害が発生した場合の緊急連絡体制や有事対策本部の設置なども規

定されている。 具体的な対策としては、基幹システムにはホットスタンバイ方式を採用し、冗長化を実

現している。また、主要データはベンダーにも預けるなどのバックアップ体制をとって

おり、主要通信回線についても代替回線を確保している。 それでも万が一、コンピュータが止まったときの具体的な対応策は、情報システム内で

ルールが決められている。同部門内およびユーザー部門への連絡体制が整備されており、

それに基づく年に一度の訓練実施、スタッフが転籍した場合の見直し、事業復旧に関す

るガイドラインの制定などが行われているが、まだまだ、十分なレベルとは言えず、今

後の充実が大きな課題として残っている。

83

Page 88: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

1-4.株式会社 カイゲン (1) IT投資により大きな成果をあげた業績把握、市場動向把握

カイゲンは、親会社である堺化学工業の製造する医薬品をはじめ、他社から仕入れる各

種医薬品を病院や薬局に販売する医薬品商社である。その営業構造は、直接の販売実績

は得意先である医薬品問屋から上がるが、営業対象となるお客様は病院や薬局という構

造となっている。 これまでの IT 投資による最も大きな成果は、月次や四半期の業績をスピーディーに共有できる体制を実現したことである。具体的には翌月の第 4営業日には月次損益が出て、メールで経営陣に配信される。メールでの配信はここ数年のことだが、第 4営業日に月次損益を出せるようになったのは、すでに 10 年ほど前からだ。これは、後述する内容とも関連することだが、データを重視する経営姿勢が徹底されていることによる。 また、共有できている情報は財務ベースのものだけではない。売上高の内容は販売先の

医薬品問屋別にアウトプットできるだけでなく、最終のお客様である病院、薬局別に対

して商品別の実績もアウトプットできるので、より重要度の高い自社製品の動向や市場

動向をスピーディーに正確に把握できるようになった。

(2) ITによる効率化によって現有人員で企業規模拡大に対応 IT 化推進によるスタッフ部門の効率化も顕著に進んでいる。それは、人員削減やコスト削減という結果に現れているのではなく、逆に、人員やコストを増やすことなく、売

上増や営業拠点の全国展開、そして企業規模拡大を確実に支えてきたという結果に現れ

ている。 中堅企業の場合、もともとスタッフ部門に多くの人員が当てられることは少なく、カイ

ゲンではそれを補うべく、社内での IT 化を積極的に推進してきた。現在、パソコン上のグループウェアや携帯で情報伝達や情報共有が円滑に行われており、たとえば、商品

在庫をどこからでもリアルタイムで確認できる。さらに、それが製品在庫の絞込みや物

流の効率化という成果にもつながっている。また、些細なことのように思われるかもし

れないが、メールを上手く活用することで、電話だけで取引していた頃と比べてトラブ

ルも減少した。このような積み重ねが大きな効率化と省力化を生んでいる。 これまでは経理業務を中心に IT 化による効率化を進めてきたが、この分野ではかなりの完成度が達成されたので、次の課題として、企業の業績向上に直接影響のある営業活

動の IT化推進に取り組んでいる。

(3) 営業支援システムにより、個人の営業データを蓄積・共有・活用 営業活動の IT 化推進の目玉は、カイゲン独自の営業支援システムの開発である。3 年前から開発に着手し、2年前から順調に稼動している。 営業社員は病院担当、薬局担当あわせて 140名ほどいるが、以前は紙ベースで全員が営業日報を提出していた。しかし、紙ベースの日報は提出されても活用しづらく、まして

84

Page 89: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

やデータとして有効に蓄積することはできない。あまり有効活用されていないという実

態の前で、提出も滞りがちだった。この状況に対して、営業部門から営業支援システム

導入の要望が強く上がった。大きな IT 投資には違いないが、次のステージに成長していくためには、個人営業から組織営業に革新していかざるを得ず、それを痛感していた

営業部門と情報システムが経営陣や社内を説得し、理解を得て導入が決まった。 こうして、紙ベースでの営業日報のパソコン入力への変更による業務改革が行われた結

果、毎日の報告(=入力)が徹底されるようになった。なお、入力作業の負担を軽減するために、日報の記載内容を分析し、できるだけ記述部分を少なくし項目を選択するだ

けで済むようにするなど、さまざまな工夫が凝らされている。現在、営業社員一人ひと

りが、受け持ちの病院や薬局への訪問の有無や、訪問の際にどんな情報を提供し、どん

な商談をしたかなど、毎日の営業活動を入力。同時に売上などの数値も入力され、各営

業チームの責任者は、チーム内の部下のデータを見て指示・指導を行っている。また、

閲覧は営業部門だけでなく、経営陣をはじめ、全社員ができるようになっている。この

あたりにも、データ重視の経営姿勢がうかがえる。 これまでのところは、日報が入力され閲覧しやすいデータとして蓄積されているだけだ

が、それが軌道に乗り出した今、蓄積された全営業社員の毎日の営業データを分析し、

次の営業戦略立案に活用できるよう、システムのバージョンアップに取り組み始めた。

まだ、全営業社員にまでは広げていないが、コンサルティングファームのアドバイスを

受けながら、特定チームのサンプルデータをベースに試運転を始めている。

(4) ハードやソフトの導入を通して IT教育を実施 社内のスタッフ社員や営業社員がパソコンと携帯を駆使して、業務の効率化を図るため

には、一人ひとりのリテラシーを高めなければならない。そのために、IT 教育にも積極的に取り組んでいる。その方法は主に、実際にハードやソフトを持たせる、使わせる

ことを徹底するというやり方だ。たとえば、Windows95 が発売された頃から社員一人ひとりにまずパソコンを支給することから始め、その後モバイルもいち早く取り入れて

きた。前述したとおり、現在は営業支援システムを運用する中で、営業社員はいやでも

毎日、パソコンや携帯を使う習慣を身につけている。 今のところ、それを補う形でテキストの配布を行っているが、この上に集合教育を行う

のは時間もかかり効率的でない。むしろ、全社員のリテラシーが高まりつつあるので、

今後は e-ラーニングによる教育が有効になると思われる。また、その延長線上で Web会議による情報共有も検討されている。

(5) 現在進めている大きな課題は情報セキュリティの確立 IT 分野におけるリスクマネジメントも非常に大きな課題である。そのひとつである自然災害や事故などの大規模災害対策は、大きな課題ではあるが何をどこまで想定すれば

いいかは難しい問題だ。企業規模が中堅以下の場合は予算的にも取り組みは難しいので

はないか。それよりも今は、リスクマネジメントのもうひとつの課題である情報セキュ

リティの確保が優先的に進められている。 特に営業社員一人ひとりにとって、ノートパソコンが欠かせない道具となった現状で、

85

Page 90: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

顧客情報のセキュリティ確保などは早急に充実していかなければならない。インターネ

ット接続上においては、アンチウイルスソフト、シングルサインオン、ワンタイムパス

ワード、メールの暗号化、ファイアウォールなどは実施済みで、今後は、情報の不正持

ち出し防止ツール、PCやサーバのログ取得ツール、フィッシング対策、SPAMメール対策などが検討課題である。PC 等の持ち出しルールの確立や机上端末の管理ルールなども検討されている。 それに加えて重要なことは、情報セキュリティ教育である。セキュリティは重要だとわ

かっていても、それを確保するためには、どうしてもルーズなときに比べて操作性に制

約が生じ、使い勝手が悪くなる。その理解も得なければならない。営業社員を中心に、

人材によって成り立っている企業であるだけに、最後は一人ひとりのセキュリティに対

する心構えによるところが大きい。 また、情報セキュリティに対する投資は、業績向上には直接、効果を生まない投資だけ

に経営陣の理解を取り付けることも重要である。直接効果を生まないものの、企業とし

ての信頼を買い取る投資だと位置づけて、経営陣を説得していくことが IT 関連部署の責任でもあるだろう。

86

Page 91: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

1-5.センコー 株式会社 (1) センコー株式会社の IT推進室と、センコー情報システム株式会社の役割

センコー株式会社は運送業、倉庫業を行っている企業で、10 年ほど前から企業コンセプトとして「流通情報企業」を掲げ、情報化に注力してきた。それは物を右から左に輸

送し保管するだけでは、もはや時代のニーズにあわず、お客様の SCM(サプライチェーンマネジメント)構築の支援まで求められるようになってきたからである。 センコー株式会社内の IT化推進を担う部署としては IT推進室があり、室長を含めてスタッフは 3名で、経営陣から提起される IT課題を進めるための企画立案をしたり、他部門に対して IT 面でのアドバイスを行うことを主たる業務としている。したがって、実際の開発業務は、IT 推進室からグループ会社の 1 社であるセンコー情報システム株式会社にアウトソーシングされている。ここでは、自社の情報システムの開発・運用・

サポートを担うだけでなく、前述のお客様の SCM構築のためのシステム開発も手がけており、さらに、その業務で蓄積したノウハウをもとに地方自治体などのシステム開発

を請負っている。つまり、自社内の情報システムの運営に責任を持つと同時に、他社の

情報システム開発を請け負う事業会社でもある。 センコー情報システムのもともとの出発は、昭和 48年という早い時期に、他社に先んじて倉庫システムのオンライン化に着手したことにある。このときすでに、経営的観点

から情報化の重要性を認識していた当時の社長は、オンライン化を担当していた経営管

理室を社長直轄に置いて開発を進めた。その後、昭和 53 年にセンコー情報システムとして独立するが、今に至るまで情報化が重要であるとの認識は受け継がれ、IT 化推進に積極的に取り組んでいる。

(2) グループウェア(ノーツ)と社内ポータルによる情報公開 成果をあげている IT 投資のひとつに、株主や社員に対する情報公開がある。株主に対しては、4年前に広報部を設立、その後、ホームページ上で株主や証券会社が求める IR情報を積極的に公開している。また、社員持株会に対しては一般に公開しているホーム

ページだけでなく、クローズドの社内ポータルサイトを開設し、情報提供を行っている。

以前より社内の情報共有はグループウェア(ロータスノーツ)で行われてきたが、社内

ポータルを開設してからは社外からもアクセスできるようになり、情報共有はさらに進

んだと思われる。 なお、グループウェア上での情報公開として、最近、社内公募制度を導入した。社内で

新しい仕事が発生したとき(たとえば、海外向け業務が発生したときなど)に、必要な

スタッフをグループウェア上で社内公募する制度である。IT 技術を活用した人材配置のいい例である。人事面での IT 技術の活用事例にはこの他、社員一人ひとりの出退勤の情報や保有資格の情報など人事情報のデータベース化がある。ただし、人手の作業を

基本とする運送業の性格上、データベース上の人事情報だけで人事評価することはでき

ない。参考程度に見ることがあっても、人事評価に IT 技術を活用するところまでは今のところ考えていない。

87

Page 92: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

(3) 営業分野の IT投資は、利益計画を立案して導入・効果測定

営業部が主体となる IT 投資は、投資による利益計画を審査することによって採否が決められている。サーバやパソコン以外の細かなコストまでを積み上げ、それによる売上

と利益を見込んだ計画を立てて、審査・判定する仕組みである。審査の手順は一律では

なく、投資額が 700 万円~800 万円(10 人月相当の投資)を超えるものと、それ以下のもので異なる。 投資額の小さなものは投資を希望する部署から、まず開発支援依頼書が IT 推進室に提出され、そこで判断されたのちに、センコー情報システムに回される。受け取ったセン

コー情報システムでは、SE が当該部署に出向き、詳細をヒアリングして見積と仕様を提案。当該部署の部長が検討して、実施するかどうかを決める。実施後の費用対効果も

当該部署内で評価される。 一方、投資額の大きいものは、当該部署の部長だけでなく、IT 推進室長、センコー情報システムの担当部長からなる審査会が設けられ、投資目的や投資効果などが審査・判

定される。このように、投資額の大きい案件は IT 推進室で投資効果を把握できるが、小さな案件は部署ごとに扱われ IT 推進室に集約されないので、すべての投資案件を合算した全社レベルの投資効果までは把握できていない。 営業分野以外の IT 投資については、売上や利益のような指標がなく、人員削減数などで判断するのも適切ではないので、投資効果測定は難しい。現在、社内の IT 白書を作成中で、そこで過去の IT 投資額を洗い出して、投資額や投資効果の分析に努めているが、各部門の日常のランニングコストまだ捕捉するのは難しく、今のところ結果が出る

かどうかは見えていない。 なお、年間の対売上高 IT 投資額比率は約 1%程度だと推定される。売上高 2 千数百億円に対して、経理上捕捉できる投資額が 20~30億円。経理上では見えない額が同額あるとして合計 40~60億円。そのうち、ランニングコストを除く投資額が半分だとすると、投資額は 20~30 億円、売上高の約 1%程度になる。今後ますます、情報化が重要になると見た場合、本来なら 3~4%程度の IT投資が理想的だと考える。

(4) 現場力向上のために、TV会議システムを使って IT教育を積極推進 現社長が打ち出している直近の大きなテーマは現場力の向上、つまり、トラックドライ

バーや倉庫のデリバリースタッフのスキルの向上である。特に IT スキルの向上は重要な課題で、そのために週 2回の IT教育をスタートさせたところだ。営業拠点が全国に200 箇所もあって集合教育は難しいので、TV 会議システムを使ってコンテンツを提供している。教育内容が経理・人事・現場作業など非常に多岐にわたるので、まず基本と

なる IT 教育科目体系を作成した。それに基づき、現在は 6 コース 26 科目のコンテンツが用意され、1講座当たり 60名程度が受講している。コンテンツは IT推進室で作成しているが、すべて一から作成しているのではなく、これまでにセンコー情報システム

が揃えていた資料なども活用している。経理分野での出金伝票の切り方や出張旅費清算

の仕方などは、すでにグループウェア上にマニュアルが掲載されているのだが、そのこ

とを忘れている社員も多く、既存のマニュアルの活用を促す教育も行っている。

88

Page 93: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

教育という意味では、IT 関連部署のスタッフが他部門の業務を経験したり、他部門の社員が IT業務を経験したり、部門間の人事異動を行うことが本来望ましいと思われる。しかし、この人事異動を実施すると作業効率や作業品質が低下しかねないので、現在は

行っていない。それをある程度補う目的で、必ず入社半年は現場で経験を積ませる新入

社員教育を実施している。

(5) システムやネットワーク系から情報セキュリティを確立 情報セキュリティの確立については、できるところから着実に進めているというのが実

情である。前述したとおり営業拠点は全国に約 200箇所もあり、そこで 24時間フル稼働でトラックが出入りしている状況で、現場での細かなセキュリティを確立するのは難

しい。しかし一方で、自社だけでなく他社の情報システム開発を請負っているセンコー

情報システムでは、業務上、情報セキュリティ確立は必須であり、すでに Pマークも取得している。 情報セキュリティ対策の進捗にもこの状況が反映されており、システムやネットワーク

系での対策は進んでいるが、現場での推進はまだまだこれからである。たとえば、アン

チウィルスソフト、ファイアウォール、SPAM メール対策、侵入検知・防止システム、各種セキュリティ診断ソフトなどはすでに導入済みだが、パソコンの持ち出し制限など

の現場対応の課題は残されている。もっとも、システムやネットワーク系の対策も簡単

に進められたわけではない。なにしろ、約 200箇所の営業拠点で使われているパソコンが約 3,000 台(登録は約 3,600 台)。ノート型もありデスクトップもあり、OS はWindows95、98 から XP までさまざまな環境下にあって、セキュリティツールの導入にもかなりの時間がかかった。 今後の現場での IT化推進や情報セキュリティ確立に向けて、各拠点に一人ずつ ITリーダーを任命し、現場の指導に当たらせている。特に IT に苦手意識を持つ年配社員のサポートなど、IT リーダーが果たすべき役割は大きい。そのために、全国の何箇所かの拠点に講座を設けて、年 2回の集合教育も受けさせている。

(6) 本業の物流業務の情報システム化で進む技術革新 センコー情報システムの中心業務に SCM支援システムの開発があるが、業績に直結する主力サービスであるだけに、常に技術革新に取り組んでいる。 現在の SCM支援システムのサービスとして、約 5年前に独自開発された「ベストパートナーシステム(BPS)」がある。お客様により品質の高い物流サービスを提供するために開発されたシステムで、ロット管理や入出荷の履歴管理、Web 上での配送状況の追跡などがきめ細かにできる。このサービスの開始に際しては、従来のシステムが東京

と大阪に置いた 2台のホストコンピュータで運用されていたのを、よりきめ細かなシステムが開発できるようにサーバシステムに一部、業務を移行し、同時に情報セキュリテ

ィも強化した。 お客様の工場内物流の合理化を進めるために、無線 LANの構築・運用サービスも提供している。出荷指示を無線で飛ばし、デリバリースタッフの持つ無線ハンディターミナ

ルで受信、出荷作業を進めるシステムである。出荷指示と一緒に倉庫のロケーションデ

89

Page 94: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

ータが送れるので、荷物の場所を探す手間が省けて出荷作業が大幅に短縮できる。また、

出荷時にバーコードをスキャン・送信することで出庫記録をそのまま在庫に反映でき、

伝票レスでリアルタイムの在庫管理が実現できるようになった。さらに、無線ハンディ

ターミナルは作業者を特定できるので、出荷ミスやロスタイムの原因を詳細に追跡でき、

作業の改善や作業者の能力評価、個人指導にも効果を上げている。 最近、導入した新技術としては、トラック一台一台に搭載した電子タコメーターがある。

これまでは、ドライバーは毎日、アナログのタコメーターを読んで運行記録を手書きで

作成・提出していたが、これがたいへんな手間であった。それに対して、電子タコメー

ターを搭載すれば、運行状況はもちろんのこと、スピード、急ハンドルから急ブレーキ

までもが自動で記録される。給油情報なども記録されるので、トラックごとの燃費や経

済走行も管理できる。今後は、既存のベストパートナーシステムの荷役情報をつなげて、

どの車がどの荷主のどんな荷物を運んだかまでを詳細に把握して、それをもとにお客様

により経済的な運送方法を提案するサービスを予定している。

(7) 運送業界での ITの主要課題はデータ処理の統一化 現在、全日本トラック協会で出されている大きな課題に、送り状の統一がある。かつて、

データ伝送のための伝送フォーマットの統一が議論されたことがあったが、その流れで

再び、送り状の統一が言われている。具体的には現在、各社、バーコードを使った省力

化を進めているが、そのバーコード体系を統合したり、伝票上の表示位置を統一するこ

となどが検討されている。それが達成できれば、次は統一のデータベースを構築し、デ

ータを一元管理するところに進むだろう。そうなれば、各社間のデータ交換や着荷情報

の共通管理などができるようになり、業界全体の合理化が大幅に進むと思われる。また、

それと並行して、荷札の共通化や RFIDタグの搭載なども検討され始めている。

90

Page 95: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

中中小小企企業業

ヒヒアアリリンンググままととめめ

91

Page 96: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

3.ヒアリング実施企業一覧

No. 業種 企業名

1 製造業

1-1 朝日熱処理工業㈱

1-2 大阪真空化学㈱

1-3 山陽製紙㈱

1-4 大日メタックス㈱

1-5 中西印刷㈱

1-6 山岡製作所㈱

1-7 ㈱レザック

2 情報サービス業

2-1 ㈱デリコ

2-2 ㈱ハイパーテック

2-3 ㈱プロット

3 サービス業、その他

3-1 ㈱入船

3-2 梅田美容商事㈱

3-3 ㈲クリーク

3-4 ㈱コスモ

3-5 ㈲ジェーネットプランニング

3-6 ㈱杉田総合経営センター

92

Page 97: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

1.製造業 1-1.朝日熱処理工業(株)(寝屋川市)

◇会社概要

所在地 大阪府寝屋川市葛原 2丁目 9番 1号 代表者名 村田 茂 資本金 4,900万円 設立年 1978年 業務内容 真空熱処理、軟窒化処理、PSNプロセス、浸炭焼入、一般熱入処理等、

精密金属部品の熱処理全般 従業員数 36名

1.事業の概要

1978年、現在地にガス軟窒化処理工場を設立、熱処理受託加工の操業を開始した。 同社が得意としている熱処理技術は、設立以来、技術革新を重ねてきた「ガス軟窒化処

理(SN プロセス)」である。このガス軟窒化処理は、自動車部品・弱電部品・プラ型等、広範囲に適用されている。その他にも、プラズマ(イオン)窒化処理(真空中でプラズマ

エネルギーを利用した窒化法)で、SUS部品、各種金型を中心に処理している。 同社は上記の中でも精密部品加工等の熱処理を得意としている。「多品種小ロット」「短納

期」を企業戦略として掲げ、即納のために 3交代制の 24時間稼動体制をとり、耐摩耗性・疲労強度改善の他、バネ性を持った加工を行っている。 現在、主要な炉は 4 機、サブの炉は 5 機あり、熱処理によって炉が決まっている。炉は

ほとんど一品物である。同社の強みは加工技術にあり、その加工ノウハウを組み込めるよ

うにメーカーにオーダーメードでスペックを出して作っているため世界に一つしかない炉

である。 2.IT化による競争力の向上、業務の効率化への考え方

◎IT導入による生産管理体制の整備

同社の扱う製品は、多品種小ロットである上に、個々の顧客からの硬さ要望が異なるた

めに、手間のかる業務形態となっている。 熱処理加工は、炉の微妙な温度差を利用するもので、高温処理の必要な製品を炉の上部

から入れていく。その微妙な位置関係の設定が各製品により異なっている。また、同じ製

品であっても、同じ条件で熱処理するために条件を設定し直さなければならない。このた

め、短納期を同社の強みとしているため、品物が来た順番に処理を行うということが出来

93

Page 98: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

ず、処理加工の組み合わせをその都度設定しなければならない。 このような納期と品質のバランスをとりながらの作業は、ベテランのノウハウを必要と

する作業であり、これまでは納期管理、生産進捗管理、品質管理等をすべて人手に頼り、

職人の技能中心で行ってきた。 しかし、経験と勘に頼るには限界があり、顧客からの問い合わせに即応し、信頼・信用

を得るために、IT導入による生産管理体制を整備することによる業務効率化に着手した。 3.IT導入により、効率化等を図っている業務内容

◎事務処理の効率化 第一段階として、1984年にオフィスコンピュータを導入し、月 400件に及ぶ販売管理上の請求業務の事務処理の効率化を図った。具体的には、受注の伝票発行、顧客に渡す納品

書を自動化した。 その後、規模拡大に伴い、1987年にはオフィスコンピュータを大型化し、品質管理および工程管理業務のコンピュータ化に着手した(EDP 化の基盤を作る)。これにより、工程管理表がコンピュータで作成できるようになったが、チェックは紙で行うという体制に変わ

りはなかった。 また、同社の顧客は約 2,000社であり、毎月 400~500社から受注している。製品の配送に際しては、専属の運送業者 3 社と提携している。運送は、朝、昼、夜の一日 3 回であるが、朝、夕方にピークがあり、スムーズな対応を図るために、2004 年に IT を活用した独自のシステムを導入し、伝票発行のスピード化を実現した。

◎品質管理や短納期化に対応したシステム構築 同社は工程管理と納期管理に力を入れている。

・工程管理 工程管理については、まず、受注した品物の受注カードにバーコードで記号を入れ、炉

に入れる際に集める。次に、炉に対してチャージが決められており、その後はチャージナ

ンバーで動く。そして、処理が終わると元の受注ナンバーに戻るという管理方法である。

これらの製品は、異なる顧客から単品で受注しており、約 30社を同時に対応することもある。 加工処理工程が一旦動き出すと比較的単純であるが、問題は炉に入れる前と後である。

製品を元に戻し、顧客ごとの製品として振り分ける。これに加えて、検査情報も入れなけ

ればならないという難点がある。炉で加工するという製品特性のため、受注した品物自体

にバーコードを貼り付けることはできない。そこで、伝票ごとに受注品を炉に入れる前に

絵でスケッチし、管理している。硬さの異なる製品をいかに同時に処理するかに関して、

94

Page 99: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

同社はノウハウを有している。 生産ライン工程、生産体制の合理化のために情報化が大きな目的になるが、「経験」「技」

「コツ」の世界であるため情報化できる部分とできない部分がある。できる部分としては

流れやそれに対する指示である。 情報化できない部分として、熱処理後の製品検査、歪みの確認など人間の力がないとで

きない作業である。同じ品物であれば自動化も可能であるが、多品種小ロットであるため、

その都度硬さや条件が変わってくる。検査結果をすべて PCに記録し、顧客に対する保証書として渡すようにしている。また、これまでの顧客情報や製品情報も全て PCに記録している。納期遅れになった製品への対応については、原因を書き出すようにしている。納期遅

れへの対応としては、品質チェックを行う従業員と不適合対策処理を作成し、PC上での情報共有も行っている。 ・納期管理 納期管理については、IT 導入により、製品納期がいつで、現在どのような状況になっているかをコンピュータ上で把握できるようになった。納期の一番遅れそうなものが PC画面に表示されるようになっており、毎日 3回チェックをしている。1日に 150~180件くらい(少ない場合で 100 件)の製品が動いており、これを 1 日、2 日の納期でいかに処理するかを求められる。現在は、ほとんど納期遅れはないが、100%ではない。処理前の製品を預かり、熱処理をした後に歪みが出た時点で納期不確定になるためである。製品に歪みが出

た場合、どのように修正するかは、職人芸の世界であるため、これが納期不確実の要因と

なる。2、3日の納期で受けたものが 10日以上かかることもある。 出来上がった製品について、全品検査は以前から行ってきたが、時間短縮のために検査

結果のデータを 30分以内に回すというルールを作成し、厳密に実行していくことで検査時間を改善することができた。製品を納める際の運送についても、ピーク時の作業負荷を軽

減するために、2004年に独自のシステムを導入し、伝票発行のスピード化を図ることができた。 納期短縮にはつながってないが、業務効率は改善できたと考えている。リードタイム(全

体で 60時間)は変化しておらず、納期短縮については、今後は 30時間を目標としている。 顧客が注文した製品がいつ出来るかという納期問い合わせと、品物を持ち込むといつで

きるかという納期見積もりに関する問い合わせがある。従来は、これらの問い合わせに対

して、現場に行き、直接聞いて回ることで納期を計算して、返答していた。そのため返答

までに 30分程度の時間を要した。現在は PCの画面上で納期のチェックをできるようになったことで、4分以内での回答が可能になった。 しかし、工程におけるチェックポイントが少ないために、検査結果待ちの状況になる場

合があり、納期確定が遅れることが課題である。今後は、画面を見て即回答することが目

標である。

95

Page 100: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

◎ホームページの立ち上げ

2006年に HPを立ち上げた。展示会よりも HPの方が問い合わせ件数が多く、効果を実感している。関西圏以外にも、関東や九州からも問い合わせがある。遠方の顧客であって

も期待する納期に合えば発注してもらえる。 4.IT導入に当たってのシステム構築等の対応上、苦慮した点

3交代制で 24時間稼動しているために、製造工程において、製品を炉に入れた従業員、組み付けをする従業員、処理をする従業員がすべて異なっており、意思疎通を図ることが

苦慮した点である。 5.IT導入上の課題

熱加工する際の製品の組み合わせについては、まだコンピュータを利用できていない状

態である。同じ品物であっても、形が異なると、組み合わせが変わってくる。組み合わせ

の参考情報はこれまでのデータ蓄積からある程度把握できるが、組み合わせに関してはそ

の都度変化するものであるため職人の判断に拠っている(組み合わせの判断ができるよう

になるまでに 1年くらいの年月がかかる)。これを PCで熱処理にどの製品を組み合わせて炉に入れるかを把握できるようにするには、形やスペックが入力されていないとできない

ため、自動化は難しい。 顧客からの依頼製品は、現在、新しいものだけで9,600件の品番をPCに入力しているが、登録をしていてもスペックが次々変わっていくので対応が難しく、情報が流しにくいとい

う問題がある。したがって、現在は、情報と製品が完全に一致していない状態である。処

理を炉に入れたという情報、出てきたという情報、検査したという情報といった作業ごと

の情報をもとに納期に間に合うかどうかの計算をさせるだけに留まっている。 6.今後の取り組みと対応方向

◎リードタイム短縮に向けて一層のIT化を推進

今後は、設備管理、検査機器の管理を PCと結び付けることにより生産性向上、リードタイムの短縮を可能にすることが目標である。リードタイムを短くするためには、設備や検

査機器を自動的に PCと結び、工程待ち時間をいかに効率よく行うかという工夫が必要である。 ◎製造工程をスピーディに把握するためのシステム構築

96

Page 101: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

現状では製造の工程情報を把握するために、現場にいちいち問い合わせなければならな

い。これを解消するには、位置情報を現場で把握できるようなシステムを導入すればよい

が、これを行うと現場に負荷がかかるという問題もある。 また、現状は工程のポイントを絞って製造の工程情報を把握しているが、今後は、ポイ

ントを増やし、製造工程情報を瞬時に把握し作業員自身がコンピュータで指示し、設備と

検査機器をコントロールするような仕組みを構築する必要がある。 ◎熱処理のタグ(印)付けの自動化システム 熱処理製品はタグ(印)がつけにくく、どの製品がどの顧客のものかをすぐに把握でき

ず、仕分けが大変な作業となっている。現在の対処法としては、最初に品物が入ってきた

ときにスケッチするという方法をとっている。デジタルカメラを使用する方法も考えたが、

綺麗に写すという必要はなく、輪郭が分かればいいので、取り込む時間を考慮すると手書

きの方が早い。この手書き作業をいかに自動化できるかが今後の課題として残っている。 ◎組み付け工程の省力化 加工した製品は、重力によって変形しないように吊るして組み付けという工夫が必要で

ある。そのため、品物の梱包が大変な作業である。そのやり方いかんで歪み、曲がりが出

てしまう。このような品質を維持するための組み付けのやり方も IT利用を考えており、組み込む時間がいかに早くできるかが課題である。

97

Page 102: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

1-2.(株)大阪真空科学

◇会社概要

所在地 大阪市平野区加美北 9丁目 14番 29号 代表者名 安達 直祐 資本金 1,000万円 設立年 1963年 業務内容 設計、金型製作、射出成形、蒸着、化学メッキ、電気メッキ等の総合

表面処理および、装飾部品、機能部品の製作 従業員数 45名

1.事業の概要

同社は現代表取締役が、付加価値性の高い真空蒸着技術に着目し、1953年当時大阪工業試験所と産官協力により、国内では初めてその企業化を行い創業した。 現在では、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、ケミカルコーティング

等の物理的、化学的手法を用いて機能的な表面処理加工に取り組んでいる。 同社は、プラスチック、ガラス、金属材料に加飾、光学機能、表面改質を目的とした有

機、無機等の機能膜、複合膜の表面処理加工をしている。また、塗装機、蒸着機等にも独

自の改造を加え、同業他社メーカーにない独自のノウハウを蓄積し、顧客のニーズに対応

している。さらに、機能膜等の評価が自社で行えるように各種測定機器も取り揃えている。

最近では、イギリスの Teer社より、アンバランス・マグネトロン・スパッタリング機を導入、新たなDLC、MOSTコーティングにも力を注いでいる。今後は、ケミカルコーテ

ィングの開拓に、ナノ粒子、希少金属等を使用し、新しい高機能膜を開発することにより、

高付加価値の製品群を揃え、電子、電気、光学、医工学、環境、安全等広い分野にわたっ

て、機能的な表面加工処理に取り組んでいる。 2.IT化による競争力の向上、業務の効率化への考え方

◎外注先との情報共有化で品質向上を目指す

同社は部品の製造から完成にいたるまで一貫して大手メーカーから受注している。 そのため、同社が社内で製造しているときには問題がなくとも、成型等を担当している

外注先がミスを犯すと、そのミスは即座に同社製品(完成品)の品質に影響を与える。ま

た、外注先の不良品が多いと、メーカーに製品をスピーディに納入することができない。 したがって同社の製品の品質改善を達成ためには、調達する部品の品質向上が求められ、

98

Page 103: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

このための外注先と情報を共有することが重要である。 情報を共有化すると、次のようなことが可能になる。 ①外注先は納入した部品が同社のチェックをクリアしたかどうかが分かる。 ②同社は外注先の不良品率が実際にどのくらいであるかを把握できる(過去に同社が不

良品率を 10%程度と予測した製品が、実際には 50%であった例もある)。 情報共有システムを構築すると、このような場合に迅速かつ的確に対応することが可能

になり、最終的に損失を減らすことができる。 ただし、外注先と情報を共有する際に、同社のノウハウも同時に提供することになるが、

ノウハウは同社の技術が入っているために、信頼のある会社としか情報を共有することは

出来ない。そのため、強固な信頼関係に基づく連携ネットワークを重視し、これまでの 20社以上あった外注先を6社に絞り込んでいる。

3.IT導入により、効率化等を図っている業務内容

◎専用ソフトの導入により、業務の効率化と品質向上を図る

経理系のシステム(仕入れ等)は市販のものを使っているものの、業務系のシステムは

市販のソフトでは対応できないため、専用ソフトを導入し現在システム開発を行っている

ところである。専用ソフトを導入することによるメリットは以下のようなものが考えられ

る。 ①経理処理をエクセルでする場合、同じデータを何度も入力する必要があり、作業の無

駄が多いが、専用ソフトではそれが一度の操作で処理できることによって経理処理が

効率化する。 ②業務の流れを記録したソフトがあれば、新入社員でも業務の流れを覚えられる。 一方、外注先との情報交換は、不良品が出たときに、写真付のデータを外注先に配信し

て、不良品の状態を確認させて対応してもらっている。この方法では専用のソフトは不要で、

PC さえあればできるが、迅速さや正確さに欠ける。このため現在、外注先との情報共有化をさらに進めるため、外注先と同社で納品状況や品質情報を共有するためのシステムを開

発中である。

4.IT導入に当たってのシステム構築等の対応上、苦慮した点

◎生産工程の管理には専用ソフトの開発が必要

売買取引の管理といった支援業務に関するソフトは数多く市販されているが、生産工程

の管理といった工業系のソフトはあまりない。売買を管理するソフトは、商品の移動のみ

を考慮すればよいのに対し、工業系の取引では、同じ材質でも加工の程度によって違うも

のとみなされる。例えば、A 社が製造した部品を B 社が仕入れる。そして、B 社で二次加

99

Page 104: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

工して出荷する。市販ソフトでは、この A社と B社の製品は別々の製品として認識される。この 2つの製品を同一製品であると認識させるためには、特殊仕様のソフトが必要になってくる。 ◎受注先から指定されたソフト利用に際しての短所

同社は、製品を納入している大手メーカーから指定されたソフトを購入している。費用は、

購入時に 14~5万円、メンテナンス料が年間 4~5万円かかっている。業務を効率化するために外注先にも同じシステムを導入して欲しいが、外注先にそれだけの負担をさせること

は難しいだろう。 また、複数の製品納入先がそれぞれのシステムやソフトの導入を要求してきている。結果

として、社内に複数のシステムが存在することとなり、互いに他の用途にも使えないので困

っている。

100

Page 105: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

◎システムの導入コストが高額

外注先の負担を最小限にする打開策としては、同社がソフトを開発してシステムを構築

し、後に外注先にはそのシステムに入ってもらう方法をとることが考えられる。このよう

な方法をとれば、外注先は子システムとして同社の検査結果を見ることが出来る。 他方、去年、ソフトを開発してもらおうとしてベンダーに見積もりをしたところ、その

費用は 2 千万円であった。その金額を中小企業で負担するのは難しい。同社はソフトを内製で開発していない。 しかし、それだけの費用に見合うと考えられなければ、投資は難しい。投資の決断は最

後は思い切りである。また、長期間の投資に耐えられるだけの体力も必要である。 5.IT導入上の課題

◎利益の見えない IT 投資

通常の設備投資であれば、その生産設備がフル稼働した場合、生産量がどのくらいで、そ

の結果、利益がいくらになるかということを計算できる。しかし、情報共有化システムの導

入による利益は目に見えない上に、成果が出るまでに何年もかかる場合もある。また、自

社開発でなければ、システム導入には相当な費用がかかる。必要であるとしても、その利

益を理解できないと、システムの構築の投資に踏み切ることは難しい。

6.今後の取り組みと対応方向

◎好調な自動車部品の製造と海外進出に伴うネットワークの構築

これまで携帯電話の部品を中心に製造していたが、生産工程の海外移転によって、携帯

電話部品の国内生産シェアは低下している。携帯電話、デジタルカメラについては、最新機

種以外の生産が海外に移転している。そこで同社は現在、自動車の部品製造へと事業のウェ

イトをシフトしている。 しかし、携帯電話部品と自動車部品では製品のサイズが大きく異なるため同一の生産ラ

インを用いることが難しい場合もあり、今後外注先が変わる可能性もある。同時に車の部品

生産関係でシステム統合の話がでる可能性がある。 さらに現在、医学系から 2,3 件打診がきている。しかしこれは試作の段階である。大量生産される製品を作り続けることは、人件費の安い海外と競争しなければならないので難し

い。 現在、マレーシアへの進出を考えている。海外生産拠点の情報システム整備とネットワ

ーク構築も検討しているところである。

101

Page 106: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

1-3.山陽製紙(株)

◇会社概要

所在地 大阪府泉南市男里 6丁目 4番 25号 代表者名 原田 六次郎 資本金 3,000万円 設立年 1957年 業務内容 各種クレープ紙の製造販売

紙・その他の貼り合わせ加工 電子部品用副資材の加工販売

従業員数 51名

1.事業の概要

同社はクレープ紙メーカーとして約半世紀にわたり、製袋業界、鉄鋼業界、電線業界、

電子部品業界、花ラッピング業界など、幅広い分野の顧客に様々な商品を開発、提供して

きた。クレープ紙で 50年の蓄積がある。クレープ紙は同社がほとんどのシェアを占めているものの、需要はピーク時の3分の1にまで減少している。 この需要減少をカバーするために花のラッピング用などの新しい用途開発を行ってきた。

また、環境を重視した事業展開も行っている。和歌山県みなべ町では、村おこしの一貫と

して、海に投棄されていた梅の種の再生を試み、和歌山大学との共同研究で備長炭の釜で

梅の種を焼き、クレープ紙に活用した。また、環境展に出展したことを契機に、ゼロエミ

ッションに取り組むアサヒビールから関心をもたれ、ビールのモルト粕を活用し炭焼きに

したクレープ紙も製造している。

2.IT化による競争力の向上、業務の効率化への考え方

同社の IT化への取り組みは早く、1981~1982年に顧客が使っていた OBIC(伝票発行)

を譲り受けたのが発端である。それまで手書きだった伝票を簡単に処理できるようになっ

たことから興味を持ち、販売管理・顧客管理の情報化を積極的に進めていった。当時は、

事務処理の IT化が中心であり、製造工程にまでは活用していなかった。 7~8年前に生産工程への IT導入を検討したが、現場にアレルギーがあったことなどから導入を見送っていた。しかし、これまでの「経験・勘・ドンブリ」の生産工程管理や生産

計画では、顧客へのスピーディな納期対応や生産ロスの防止等には限界があることを実感

しており、今後の経営戦略も含めて IT化に取り組むこととなった。取り組みにあたっては、

102

Page 107: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

各部署の主担当者と若手の前向きさによるボトムアップで、ゼロからシステムをつくりあ

げていった。

103

Page 108: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

3.IT導入により、効率化等を図っている業務内容

今回導入したシステムは生産工程を中心に、生産・販売・在庫管理という入口から出口

までを総合的に管理するものである。現状では、完全なIT化にはなっていないが、骨組

みは完成したと考えている。 ◎「経験・勘・ドンブリ」のこれまでの製造工程 同社の製造工程の概略は、以下のとおりである。 ・紙を受注する(「○○の紙質のものを、△△の大きさで、何枚」と受注する)。 ・ロール紙を生産する(製造パートという)。 ・ロール紙を受注した大きさに切り分ける(加工パートという)。 ・この切り分けたものが納品物である。 ここでロール紙の生産は受注してからではなく、季節変動などを考慮した上で見込み生

産をしておき(仕掛在庫となる)、仕上げ加工(加工パート)で切り分けて製品となる。 見込み生産の際、季節変動などを考慮しなければならないが、その判断の大部分を「経

験・勘・ドンブリ」頼っている。これまでの受注傾向などから今後の生産計画を立ててい

る。 また製造する場合の抄紙機と呼ばれる製紙マシーンが2台しかないため、ロスのないよ

うに生産する必要があるが、製品をどの順番にラインに流していくかについても、経験に

依存する部分が大きい。 受注情報の流れ

受注伝票

在庫確認

加工 複写

受注伝票

受注伝票 受注情報 営業

加工パート

製造パート ◎「生産現場のコンピュータの導入」による生産管理システムの構築 ・スピーディな在庫確認 これまでは、現場担当者が日報に生産量を手書きし、監督者が確認した紙ベースの

が事務所に入ってくるのは夕方であったため、翌日にならなければ在庫確認ができな

た。完全に一日遅れで、前日の生産量が翌日にならないと分からない状態だった。 このため、営業は顧客から納期の問い合わせを受けても前日までの状況しか分から

った。しかし、IT 化により加工パートのデータを即座に確認することができるので、

104

在庫が少なくなってい

れば

見込生産

情報

かっ

なか

納期

Page 109: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

をリアルタイムに回答できるようになった。 ・製品管理の充実 現在動いている製品は 2,000~3,000 アイテムであるが、全体では 5,000~6,000 アイテ

ムに達するため、類似品を見分けることは難しかった。IT 化により現在では、1つ1つの製品にコードを付与し、製品管理を行っている。このことで製品管理が充実するとともに、

製品に何らかの問題が生じた場合に、コード番号にから各工程をたどり、問題を根本から

解決することが可能となった。 ◎IT教育の実施 定期的なIT教育はしていないが、覚えて欲しい仕事の内容について計画を立て、先輩

が後輩の教育にあたっている。

4.IT導入に当たってのシステム構築等の対応上、苦慮した点

◎製造現場への協力確保 製造現場では、情報入力などの手間がかかることから当初は抵抗もあった。メリットを

伝え、理解と協力を要請した。以前は、手作業だった製品ラベルがプリンタ出力により見

やすくなるなど、現場でもそのメリットを実感している。 また、システム構築やハンディターミナルの仕様などについては、社内でプロジェクト・

チームを組み、ベンダーとやり取りをしながら決定していった。苦慮したことは、IT に馴染みのない現場の人が、手間と思わず操作などに慣れてもらうことであった。

5.IT導入上の課題

◎顧客からのクレーム対応に係わるシステム化が課題 顧客からクレームがあると、まず顧客にロット番号を尋ねる。これは原紙のロット番号

であるため、どの機械で何番目に作られた製品であるかといった情報を入手し、そこから

製品検査記録表をもとに、いつ、どの機械で加工したものかがわかるようになった。 しかし、課題も残っている。製品が社内にある場合、仕掛品と最終製品との関係は管理

できるが、顧客に納品したものは管理できず、顧客からクレームがあってはじめて対応し

ている状態である。この課題はシステム導入時にも検討した。しかし、現場での手間と出

荷が遅れる可能性も指摘されることから、IT導入のメリットは小さいと判断した。

6.今後の取り組みと対応方向

105

Page 110: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

◎省力化への対応 これまでの生産管理は、勘とドンブリに頼っていた部分が大きいが、システム化により、

誰でもオペレーションできるようになり、生産効率を上げることができた。 今後は、省力化に対応し、包装などの手作業を自動化していきたい。包装は、商品のア

イテム数が多く、大きさも様々であるため、すぐに対応することが難しいが、自動化する

機械の導入を図りたい。

◎在庫管理のための IT化 これまでの在庫データの蓄積があり、このデータを製品ごとに、どのような時期にどの

ような頻度でどのような形で生産されるかを加工・分析し、在庫管理に活かしていきたい。

106

Page 111: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

1-4.大日メタックス(株)

◇会社概要

所在地 福井市森行町 2-5 代表者名 加藤 邦夫 資本金 9,500万円 設立年 1973年 業務内容 アルミを軸とした各種金属製品の製造、販売

ビル用サッシ製造販売、各種アルミ製品製造販売、アルミ形材販売、

アルミ形材加工品販売、アルミ加工機販売 従業員数 105名

1.事業の概要

大日メタックスは、創業時から進めてきたビル用アルミサッシ枠を製造販売する「ビル

サッシ事業」、ビルサッシ用の細かい部品類の製造販売する「部品事業」、アルミ形材販売、

アルミ加工品を製造・販売する「形販・加工品事業」アルミ OEM製品、アルミ共同開発製品を製造・販売する「アルミ製品事業」、精度が良く作業能率も良い、アルミサッシの加工

機を開発・販売する「加工システム事業」の 5事業を行っている。 これまで同社は、ビルサッシ製造販売をメインとした業務を行ってきたが、バブルの崩

壊後 新規建設ビルの激減と建設業界の冷え込みに飲み込まれ、じり貧の状態であった。

建設業受注への依存から脱却し、新しい事業の柱を構築することが求められた。「アルミを

離れるな」という方針のもとに、「他社と比較して切削・切断精度が良い技術を持っている」

という強みに着目。「部品事業」(6,000種類ものプレス部品を製造)や「形販・加工品事業」を立ち上げることとなる。 またビルサッシを離れマンション用アルミ製自転車置き場、ゴミ置き場、ペット用納骨

堂、異業種共同開発分野なども手がけており、現在では、「ビルサッシ事業」以外のアルミ

製品製造の新規事業が、同社の売上げの7割以上を占めるに至っている。 2.IT化による競争力の向上、業務の効率化への考え方

◎ITは、「課題解決のツール」であり、まずは「経営革新ありき」

ITは、「課題解決のツール」であり、まずは「経営革新ありき」である。バブル崩壊後の建設不況の波にのまれ、売上げダウンとなる中で、自社を見つめ直して、強みを把握し、

経営課題を明確化した。

107

Page 112: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

それは、あくまでも「アルミ」にこだわり、 ①SWOT 分析により、今まで気が付かなかった「他社と比較して切削・切断精度が良い技術を持っている」という強みを明確化した。サッシでは 1~2 ㎜、アルミ部品では 3/10mm、弱電向きでは 5/100mmという切断精度を磨き上げ、高い技術を提供していった。

②「部品」と「アルミ素材」を組み合わせることにより、異業種共同開発の新製品開発

に発展させた。 ③扱う商品は「アルミ」であるが、同社にとっては未知の業界に、営業所を開設して間

もない大阪で、液晶パネル生産ラインのアルミ部品製造販売を求めて営業展開してい

った。 ④特にマンション開発を手掛ける不動産デベロッパーへの販売ルートを開拓し、マンシ

ョンで使用するアルミ製品を丸ごと受注に成功した。 ⑤大阪営業所で新規事業を立ち上げ、東京事業所を強化した。

これらの結果、得意先は 100社から 250社へと増大した。また、一部の取引企業からの

売上依存度は 60%から 15%まで低下し、安定した経営を達成している。ビルサッシ製造業では黒字経営を継続し、アルミ製品事業を進めてから、売上、利益共に順調に業績を伸ば

し始めた。売上は前年度比で 2004年7%増、2005年 15%増を計上し、経常利益も対前年比で 25%増を達成している。 こうした経営革新を推進するための課題解決にITを活用している。2004年度(平成 16

年度)の「IT活用型経営革新モデル事業」を活用し構築した「全社基幹業務統合管理シ

ステムの構築」により、「いつでも」「どこでも」「誰でも」福井・大阪・東京の営業状況を

把握できるようになった。

3.IT導入により、効率化等を図っている業務内容

◎社内連携・コミュニケーションの活性化 これまでは、1つの事業の中で異なる複数のシステムを運用してきた。例えば「ビルサッ

シ事業」では、建設業特有の工事別管理や出来高管理というように商品分野毎に管理形態

が異なっている。そのため、重複作業による入力ミス、売上・仕入・在庫モレ、各種管理

資料の作成に時間がかかる、事業部間の連携が困難といった多くの問題が発生していた。 そこで、 ①福井・大阪・東京の営業拠点、福井本社・末広・石田の 3 工場を 1 つのネットワークで結んだことにより、グループウェアや社内メールが活用される

②新規営業に関しては、相談に対し他の営業所からの情報提供などが進行する

③部門間での受発注、完成売上に関しては一方での入力により相手方の入力が自動化さ

108

Page 113: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

れる

ことにより、社内連携・コミュニケーションの活性化を促している。

◎業務管理・営業面での効率化 自社開発した全社統合管理システムの構築により、どの営業所で深夜に見積りを作成し

ても在庫状況が即座にわかることや、過去の受注履歴がデータベース化され、どこでも、

誰でも参照できるため、よく似た受注・又は見積に漏れがなくなった。部門間での受発注、

完成売上に関しては、一方での入力により相手方の入力が自動化され、複数部門で製造す

る案件の契約管理、売上管理、原価管理が可能となった。 また、納期の長い受注も多いため、売上計上予定ベースでの 6 ヶ月先までの全社予想が把握できるようになり、経営管理に寄与している。

4.IT導入に当たってのシステム構築等の対応上、苦慮した点

これまでは、事業部間でコンピュータシステムが分断されており、たとえサッシ事業部

が顧客から部品の依頼を受けても対応ができなかった。この縦割りシステムから横のネッ

トワークを構築し、営業事務のスピードアップ、管理業務の合理化、情報共有、事業部間、

拠点間の連携を図る必要があった。 しかし、IT 導入には高額な投資が必要でその捻出に苦慮した。幸いにも 2004 年度(平成 16年度)の「IT活用型経営革新モデル事業」の採択を受けることができたことを契機に、ITコーディネータのサポートを受けながらシステム構築を進めることとなった。

5.IT導入上の課題

IT導入は、あくまでも経営革新に向けた「課題解決のツール」であり、まずは経営課

題を明確化することが必要である。 「全社基幹業務統合管理システム」の導入は、3ヶ月を掛け徐々に切り替えていった。社内の各部署へは、熟知した2人の社員が1週間出向き指導にあたった。システムの活用指

導も含め、ある程度の期間を用意し、徐々に進めていくことが必要である。 同社では、2004 年度(平成 16 年度)の「IT活用型経営革新モデル事業」の採択を受けることにより、システム構築への投資ができたが、多額の投資コストの捻出は大きな課

題である。 また、情報セキュリティ対策については、ログ管理を充実し、操作する各担当者に操作

履歴の残ることを示して情報漏洩対策の教育を実施した。なお、サーバー管理は、ベンダ

ーによる外部からの遠隔監視を依頼し、不正進入などのチェックを実施している。

109

Page 114: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

6.今後の取り組みと対応方向

建設業受注への依存から脱却し、新しい事業の柱として、「ビルサッシ事業」以外のアル

ミ製品製造の新規事業が、同社の売上げの 7 割以上を占めるに至っているが、これらの新規事業は、OEM生産や他社との共同開発製品である。 今後は、自社製品の開発を進めていく方針である。しかし、販路をはじめ中小企業にと

っては難しい面が多い。そこで、信頼できる他社とのネットワークを構築し、自社製品の

開発と販売を進めていくことを検討している。このため、IT 化の今後の取り組みは、連携事業者間の連携ネットワークの構築にある。

110

Page 115: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

1-5.中西印刷(株)

◇会社概要

所在地 京都市上京区下立売通り小川東入る西大路町 146番地 代表者名 中西 隆太郎 資本金 2,000万円 設立年 1901年 業務内容 印刷業 従業員数 80名

1.事業の概要

中西印刷は 1870年に創業し、官公庁印刷物や学術公刊物に関して、高い信頼性と豊富な実績を誇っている。同社の業務は、印刷(オンラインも含む)、出版、学会事務を含む印刷業全般である。社内業務のほとんどが電子化されている。 主な顧客は、大学、学会、自治体で、学会誌の印刷は約 50 誌を取り扱っている。同社は京都府庁に隣接している関係で、京都府庁、京都市役所関連の印刷物も手掛けている。ま

た、学会事務サービスは約 20の学会を担当している。 同社は京都大学が編集する学術雑誌を印刷してきた。しかし、京都大学が学術雑誌のオン

ライン化を決め、Oxford University Pressにオンライン化を依頼することになり、印刷は同社が担当することになった。これがきっかけとなり、同社と Oxford University Pressは提携し、1999年に Oxford University Pressからオンラインジャーナルの作成に関する技術を導入。その後、今日までに独自の技術を開発してきた。現在、オンラインジャーナルの

顧客は大学が中心である。 2.IT化による競争力の向上、業務の効率化への考え方

約 10 年前から論文はインターネットで読むという機運が強くなっていたということが、同社のオンラインジャーナル事業進出のきっかけである。1999 年より Oxford University Press と提携しており、そうした背景の中で、オンラインジャーナルも日本でできないかという話が浮上した。 国際的には学術雑誌をオンラインで購読することが主流で、図書館でさえも半分以上が

オンラインジャーナルを導入している。ここ 10年で書籍などの印刷物の流通形態が根本的に変化を遂げた。IT の発展のおかげで書籍・雑誌・論文の検索が飛躍的に容易になり、必要なときに必要な物を入手したいというニーズが高まっている。オンライン購読であれば、保

111

Page 116: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

管するスペースも必要なく、インターネットに接続すればどこからでもアクセスできると

いうメリットがある。 同社の組版は、文字の大きさや位置を、コンピュータが理解できるような形で指示する、

構造化組版という手法を用いている。これを効率的に作成する独自ノウハウを持っている。

もとは Oxford社より技術導入したものを参考に独自に開発した。 現在、ジャーナルの編集作業についても電子査読、電子編集が進んでいる。今までは校正

のやりとりを紙ベースで行ってきたが、現在は原稿をオンラインで行う機会が増えている。

郵送する習慣がなくなりつつある。こうした業界全体の変化に対応して、情報化を進めるこ

とは、避けられない流れである。 3.IT導入により、効率化等を図っている業務内容

◎原価計算システム

校正・印刷プロセスの電子化により、個別原価を把握することができるようになった。

もともと印刷業は、実際の原価を把握することが難しい業種である。昔は職人が手で文字を

一字一句拾っていたが、手間のかかる作業とかからない作業があり、単純に一字あたりの

単価だけで原価を計算できないからである。また、組上がってから校正に注文を付ける顧

客もおり、手間暇がかかった。そこで、人件費が実際にいくらかかっているのかという情

報を得るためのシステムを 20 年以上前に構築した。「ベーシック」を利用して、日報を集計した上で、外注費を合計して、個別原価を割り出すというものである。 ◎社内業務を電子化

同社の情報化への取り組みは早く、約20年前にオフィスコンピュータを導入している。10年前には、現在のクライアントサーバーに置き換えた。全社サーバー式となっており、販売

管理、受注管理、見積もり、納品、請求書に関する業務はすべて電子化している。 ◎オンデマンド印刷

オンデマンド印刷のメリットは速いということである。逆にデメリットは大量発行には

向かない点であり、少量多品種の印刷に向いている手法である。消費者の嗜好の変化から、

これまで大量印刷してきた書物はオンライン印刷に切り替わると予想される。情報をピン

ポイントで探す際には、オンラインの方が利便性が格段に高い。冊子としての印刷が完全に

ゼロになることはないけれども、印刷量は減少していくと見込んでいる。そこで同社は、少

量多品種の印刷物の注文が今後の主流になると考えて、オンデマンド印刷に力を入れてい

る。

4.IT導入に当たってのシステム構築等の対応上、苦慮した点

112

Page 117: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

◎導入当初は非協力的な従業員もいる

システムの構築には印刷業者の協力が不可欠であるが、初期には、職人の理解・協力が

得られないという問題が生じた。個別原価がわかると自分のところが非効率であることが

わかってしまうからである。 ◎システムダウンの対策も不可欠

また、コンピュータを中心にシステム構築しているので、コンピュータがダウンすると

基幹業務が停止してしまう。去年も基幹業務が一週間停止したことがあった。システムを

二重化するという対応をとっていたけれども、コントロールする部分がダウンしてしまっ

たために対処できなかった。 ◎小規模企業には同業者組合がサポート

同社は自前でシステムを開発できるが、中小企業の中には自社開発できないところもあ

る。京都府印刷工業組合(http://www.kyoinko.jp/)は、そうした企業のためにソフトを開発して、個々の小さな業者にシステム導入を促している。 5.IT導入上の課題

◎日本の印刷業の現状認識が不足

日本の出版業界は、世界的に見ると最も IT 化が遅れている。日本では、学会誌をオンライン化しようとする発想がほとんどない。Oxford社でも Springer社でも紙媒体をすでに見限っている。現在、印刷会社のトップにいる人間は 60歳~70歳代であり、コンピュータをほとんどさわることができないため、電子化によって自らの業務が増えることを嫌がる。

これに対し、欧米では昔からタイプライターを使っていたという土壌があるので、ワープロ

ソフトの導入が比較的スムーズに進んだ。トップが自身の保守的な考え方を変えなければ

IT導入は難しいだろう。 その一方で、オンライン化を進めると印刷業のシェアが縮小するというジレンマに直面

する。 6.今後の取り組みと対応方向

◎社内業務をペーパーレス化

ほとんどの社内業務が電子化されている。2007年にシステムを大幅改訂して、すべての

113

Page 118: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

業務をペーパーレスにしようと計画している。今までは、営業担当者が受注伝票を作成し、

総務が入力していた。今後は営業担当者が PC に直接入力することで、受注伝票の処理が完結することになる。 ◎独自分野で事業展開

今後の事業展開については、情報化をさらに進めていく方針であるが、IT 関連はライバル企業が多い。印刷業界では、オンライン化ですすんでいる。日本では英語のオンライン

ジャーナルを作ることはできないと見られている。人件費の安さではインドなど新興国に

勝てないので、日本独自の印刷技術を生かせるような方向で進んでいきたい。さらに、日

本語オンライン、学会事務等の周辺事務を新しいシステムで展開していこうと考えている。

所属、住所変更などの学会会員情報のWEB管理も有望な分野である。 ◎オンデマンド印刷で日本の印刷業界をリード

印刷業界はこの 20年の間に最も遅れた産業から最も進んだ産業へ変貌を遂げた。印刷に特化していれば、IT化しなくても良いかもしれない。しかし、特に組版関係は、この IT化の流れについていけないと仕事がなくなる恐れがある。コンピュータによるダイレクト製版

システム CTPを導入するなど、今後もオンデマンド印刷への対応を進めていく。

114

Page 119: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

1-6.(株)山岡製作所

◇会社概要

所在地 京都府城陽市平川横道 93 代表者名 山岡祥二 資本金 6,240万円 設立年 1954年 業務内容 半導体関連製造装置・金型の設計製作、精密金型の設計製作、精密プ

レス加工及びメカトロ装置の設計製作等 従業員数 230名

1.事業の概要

同社は、1938年に京都左京区において、プレス部品の製造を開始し、1954年に株式会社に改組した。1970年に現在の城陽市に本社工場を新築した。1997年に ISO-9001認証を、1999年に ISO-14001認証取得している。 各種半導体プレス装置、ディスクリート(電子部品)プレス装置、LED(発光ダイオード)プ

レス装置、超精密金型の開発・設計・製造・販売、並びに各種超精密プレス加工を行なっ

ている。薄物の精密抜型、精密金型全般の設計製作、精密部品、プレス品加工及びメカト

ロ装置の精密加工等が得意分野である。 2.IT化による競争力の向上、業務の効率化への考え方

◎技能伝承とIT化 同社の経営基本方針に「自由闊達な企業風土と失敗を恐れぬチャレンジ精神を育む」「人

が育つ環境を造る」というのがあり、失敗を恐れず、社員を育成することが書かれている。 この経営方針のとおり同社のものづくりは、職人のもつ技能(経験値)を重視しており、

ベテラン技能者の優れた技能を伝承していく仕組みとして、1997年から社内教育体制である「マンパワーUP活動」を開始し、精密金型技術等の伝承のスピードアップに努めてい

る。 この「マンパワーUP活動」とは、ベテラン技能者が後輩に、1週間に2時間の教える

ことをノルマに昇給制度も含めて制度化したものであり、従業員一人一人が年 1 テーマの課題を決めて、その達成に取り組み、その成果を社長等に報告する試みである。活動期間

は約十ヶ月である。 活動報告は、すべて社内 LAN を通じて行われる。したがって、全ての社員がその活動内容を見ることができるため、その活動で得られた知識を社内全体で共有することができる。

115

Page 120: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

技能を高めるインセンティブを与えるために、マンパワーUP 活動に対し、賞金は最高で 5万円が与えられる。また、年度経営計画発表会において優秀例を 6例選び、その中で最優秀例の 3名には 10分くらい皆の前でプレゼンテーションしてもらうという名誉を与えている。例えば、マンパワーUP活動において、アクセスの使い方について探求する人もいる。 経験値を伝承するこの「マンパワーUP活動」には、電子文書化は必須であり、データベ

ース化する必要がある。改善、提案、マンパワーUP 活動、失敗の対策、不適合品処理、クレームへの対処からノウハウが生まれる。一般に失敗の部分は公表したがらないが、同社

はあえて公表する。失敗から来る経験が最も有効に使えるからである。それをデータベース

化して、新入社員に対する教育や不適合品の再発防止教材に活用している。 3.IT導入により、効率化等を図っている業務内容

◎ノウハウ集のデータベース化 同社では、設計者のミス(失敗)はなく、開発要素である。例えば、3工程か 5工程のどちらが効率的かわからなければ、どちらを先にするかの話であるし、開発者に責任を求めた

ら誰も開発しない。その考えは従業員にも当然浸透している。「どこを間違えたから不適合

品が生じた」という失敗から開発要素が生まれる。 この不適合品処理の対策を本人かその上司が「ノウハウ集」に入れる。一般社員には改

善提案をノルマにしているが、技術系・技能系にはノウハウ集を月 1 件提出することをノルマにしている。ノウハウなので、失敗例に限らず成功例でも良い。それがどんどんたま

っていく。 「ノウハウ集」は、社員が提出したものが、100 点を「満点」として、それがたとえ 20

点のものであっても受け入れてうる。0点(対策を全く知らない)よりはいいと考えているからである。ストーリーになっていないものは書き直させるが、完璧を要求するのではな

く、社員の「やる気」を重視している。一生懸命に何かを伝えたいので有れば、文章力が無

くても構わない。 「ノウハウ集」を始めたのは 8年前である。3年くらいたつと社員の間で「勉強会」が始

まった。週 3時間でもいいからさせている。 月 1 個でも何年もすれば膨大な量になり、各々が過去のものを読んでノウハウが蓄積していく。過去のノウハウを引っ張り出すためのきっかけを作るのが「勉強会」であり、細

かいところを覚えていなくても、データベース化しているため、いつでも検索できる(デ

ータは、Microsoft Excelに入力している)。 データベースは、装置(組み立て装置、プレス機、急送機)、金型(曲げ金型、抜き金型)、

OEM(Original Equipment Manufacturing)等に分けて、登録している。それぞれに検索番号を付けてアクセスで管理している。制御のノウハウ、メカ型ノウハウ、ものづくりのノ

ウハウ(勘所、工程の順番)等がある。

116

Page 121: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

工程の順番は設計図では表現することが難しいが、工程の順番を工夫することによって

効率が良くなったり、失敗も減る。加工条件(送るスピード、材質の相性)もものづくり

の重要なノウハウである。 ◎生産システム 現在はワークステーションでもその他の OSでも機能的にはほとんど変わらない。 そこで CAD(Computer Aided Design)はMicrosoft Windowsで稼働している。在庫管理

はMicrosoft Accessで行い、特殊なソフトは使っていない。 8 年前からシステム部員にソフトを作らせるのはやめた。何 10 万、何 100 万円もの4年間の授業料を出して専門学校に行かせても、限界を口にするばかりでソフトの製作には余

り役に立たない。現在はシステム管理のみをさせて、ソフト開発は、メーカーのサポート

を利用している。 同社は多品種少量生産であるが、金型については同じものも多く、パンチ等については

小さいながらもライン化して、リードタイムの短縮、生産性を追求している。 ◎IT教育 社内教育では、基本的なソフトであるエクセル、ワードは社員のスキルマネジメント教

育の底辺である初等教育において 1年で習得させているので、社員全員が PCを使える。

4.IT導入に当たってのシステム構築等の対応上、苦慮した点

自社の CADで 100%で書かれた図面とNC(Numerical Control)で機械が自動で動くのが理想である。しかし、同社は高精度のものを追求するので、様々なメーカーのコンピュー

ターが混在することになる。メーカーの標準化が進んでいないので、部分的にしかプロセ

スが進まない。対策として手動で直し、ここ数年で改善している。これはインターフェー

スの問題であり、企業 1社の問題にするのは酷である。 設計上ミスが許されないような細かいところはCADで一発で自動で処理するのではなく、ベテランが手動で数値を入力せざるをえない。

5.IT導入上の課題

同社では、製造の情報化はできているが、取引や販売促進面での情報化が遅れている。 顧客が購入した同社の製品がどのくらいで消耗するかはわかる。例えば、刃を替える時期

がいつ頃かは分かる。現在はその時期に顧客への売り込みを人界戦術で営業マンが出向い

ている。新規注文を取る時は営業マンが直接出向く必要があるが、それ以外の場合は、そこ

を IT化すれば、営業マンが顧客の元へ出向かなくても良い。顧客 1人 1人に対して、それぞれの対応を行う One to One marketingが可能となる。

117

Page 122: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

6.今後の取り組みと対応方向

◎顧客密着型のネットワークの構築 同社の行動理念に「私達はお客様の満足と環境を考え行動します」というものがある。「儲

けの哲学」は同社には存在しない。同社はどうしたら利益が上がるかではなく、どうした

ら商談がまとまるのか、顧客に満足してもらってリピーターとなってもらうことが可能と

なるのかを常に考えている。 同社は ISO認証を比較的早く取った。他の企業から、ISOをとったのは名刺の肩書きに書くためで、更新はしないということをよく聞く。しかし同社はそうではなく、ISOの要求を真面目に捉えて、積極的に更新していく。同様に、顧客の要望にも真面目に捉えて、積極的に対

応していく。 こうした考えから、今後の IT活用は、顧客密着型のネットワークの構築を図る予定としている。このためのソフトを作製し顧客に無料で配って注文を取る電子商取引を行ってい

きたいと考えている。IT によって顧客が同社へ注文する手続きが楽になったと感じてもらえたらいいということを目指している。

118

Page 123: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

1-7.(株)レザック

◇会社概要

所在地 大阪府八尾市南木の本 9丁目 84-1 代表者名 柳本忠二 資本金 5,000万円 設立年 1982年 業務内容 CADシステムの製造・販売、及び関連機器の販売

データ管理、画像処理システムの製造・販売 自動製図・サンプル加工機システムの製造・販売 ブランキングシステム・ストリッピングマシンの製造・販売 レーザー加工機システムの製造・販売 ウォータージェット加工機システムの製造・販売 抜型用刃物自動切断機システムの製造・販売 抜型用刃物自動曲げ機システムの製造・販売 上記、製品のメンテナンス及び消耗品の販売 レーザー加工サービス(ダイボード・プラスチック・金属など)

従業員数 120人

1.事業の概要

◎各種抜型製造用自動加工機を製造・販売 同社は、全国で 600 余社の抜型メーカーのうち、450 社に対して抜型製作用の自動機を納入し、これら自動機の国内販売シェアは 60~70%を占める。また、印刷紙器・段ボール箱のメーカーを含む、各種工業製品メーカーに対しても CADシステムを含む自動機を数多く納入している。自社工場にて製造する自動機は 20種類に及ぶ。 同社のシステムは、CADシステムで作成したデータを、レーザ加工機、自動製図サンプルカット機、自動刃材切断・自動曲げ機、面板加工機、ウォータージェット加工機などで、

同社開発システムの共通プラットフォーム(自動コンバート)により統一して利用できる

ことから、国内のみならずアジアを中心に EU諸国でも採用され、高い評価を得ている。 ◎会社設立の経緯 同社現社長の柳本氏は、1959年からプレス職人として働いていた。当時、型を発注して仕様するプレスにおいて打ち抜くために歯型が必要であったが、プレス機械を扱う職人が

少なく、職人を見つけたら引き抜くという時代で、同氏も 40社近くの会社を変わっている。

119

Page 124: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

それぞれの会社で独自の仕事を覚えることができ、腕も上がり、その経験が現在の抜き型

製造システムづくりで大いに役に立っている。同氏は、1964年に独立し、これまで手作業にて行っていた抜き型製作に対し、機械による自動化の目標を打ち立て、CAD、CAMシステムの開発を開始した。1979年、ドイツからレーザー加工機を導入し、抜き型用ベニア板への加工を始める。 レーザー加工機を動かすためには、データを作らなければならなかった。当時は、10 分で加工できるもののデータ作成に 2時間かかったという。これでは非効率だということで、社内でデータ作成機能を設け、ベーシックなプログラム作成を開始した。あらゆる抜き型

で使えるデータ設計システムはかなり稀少なものであり、FAX でデータを送り始めたのも同社が初めてであった。CADのデータ作りシステムを完成させると、作図してチェックをしなければならない。そこで、社内で製図機を作り始めることになった。 同氏は、これからはデータでものが動くと見込み、別会社にてレーザー加工を専門に行

おうと、1982年にレザックを設立する。レザックは当初から NCデータを活用するという前提のもとにある CADメーカーである。同氏は、レザックの歴史は CAD開発の歴史であると言う。 2.IT化による競争力の向上、業務の効率化への考え方

◎技術計算の世界から事務計算の見積もりまでに応用する IT 化は、一般に、事務計算の部分で拡がっていたが、同社は、それ以前の機械を動かす

NCデータを作るところから始まり、技術計算の世界から事務計算の見積もりまで応用し拡げてきたという逆の流れになっている。事務処理用の IT化を促進することと、工場・生産ラインの IT化は別であると考える。これを一体化して始めて IT化であると考えている。 抜き型の自動化は日本が世界でも先進国である。世界の窓口となって IT化を推進すべき

であると考える。 3.IT導入により、効率化等を図っている業務内容

◎最初の設計データ一つで一連の流れが自動ででき、見積もりまで出るシステムを構築 レーザー加工は、市販のものではできない。加工範囲を大きくするとなると、データの

互換性、販売価格が問題になる。価格は、専用機なので高額である。抜き型を作るための

コストには限界があるため、その範囲で作らなければならないという難点がある。同社の

加工機はベース(部品)が全て同じである。そうすることによって低価格を維持している。

同社は部品加工も 90%まで社内で手掛けている。レーザーは光の集約であるため水に弱いという性質を持つ。板は湿気を含んでおり、その湿気も均一でないため、レーザーで切っ

ても水が均一につかないという困難性があった。そこで、同社は湿気に合わせてコントロ

120

Page 125: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

ール可能な技術を開発し、数多くの特許を取得している。 ペン書き、刃物、振動を与えて切る、削り加工、の一連の加工についてもデータ加工、

自動処理が可能である。全てのプログラムはハード、ソフトともに社内開発ができるとい

う。そのため、次の機械の製造が可能となっている。 これまで、書く、切る、レーザーで切るなどの一連の流れについて、最初にデータ入力

をすると必要な加工を機械が自動で考えるというシステムを目指してやってきた。設計デ

ータを書く、切る、レーザーで加工するという流れは全て違うデータが必要になる。これ

を最初の設計データ一つで一連の流れが自動ででき、見積もりまで出るシステムを構築し

た。 同社の元にある部隊は、現在はグループ会社のソフトの専門会社として行っている。シ

ャープの亀山工場の製造ラインは全て同社が手掛けている。亀山工場には 2年間に渡り 150人のプログラマーを派遣した。また、トヨタの製造ラインも手掛けている。 このように、抜型用に造ってきた製造設備であったものが、異業種製造業において採用

されているというのは、どこにでも通用可能な精度を保有しているということである。 同社はこれまで、過剰な精度(部品加工レベルが 1 万分の 1 という精度)を持ってやっ

てきた。日本企業、現地企業に限らず、設備の供給を行っており、中国、東南アジアから

インドに至るまで、第 1号抜型システムを製造したのは全て同社である。 ◎職人芸のデータベース化 同社現社長の柳本氏は、一人での創業であったため、創業後に入ってきた人材は全て素

人であった。そこで、職人の経験、勘については全て記録化するという方法をとった。そ

して、その記録を使ってデータベースを作成していった。このように、職人が経験したこ

とをプログラム化する窓をつくるよう工夫した。手がけた仕事を登録していくと、自動的

にデータベース化されるという仕組みであるため、くせに応じた顧客のオリジナルのデー

タベース作成を可能にしている。 同社は、何か製造する際には、誰がそれを設定するか、何を条件化するかを考え、それ

をデータベースとして蓄積してきた。この蓄積が、同社の CADで作ったということを機械に認識させるだけで、どんなデータとも自動変換できるという互換性を持ち、どこのデー

タとも読み込みが可能になっている。 4.IT導入に当たってのシステム構築等の対応上、苦慮した点

データ作成にあたっては、最初に頭の中でどこまでを自動化するか設定するかを考えな

ければならない。これまで手作業でやってきたので、どこまで最終的に自動化するかとい

う設定をしておかないと、後で追加、修正が不可能であるという困難性を伴う。さらに、

パソコンの変化に即した対応が必要となり、非常に労力がかかったという。

121

Page 126: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

同社は、全て自社開発であり、当時は何をやっているのかを国に説明することが困難で

あったため、補助金も獲得することができなかった。それゆえ、全て社内で研究開発費を

投資しなければならなかった。現在は、新しい曲げ加工(刃物を加工したのではできない

微細加工をする、新しい研磨の方式)の手法を研究開発している。これは、国に補助金を

申請し、昨年採択されたものである。ようやく国に必要なもの(全てのものが抜型で加工

しているという)であるという認知が出てきたと感じている。当時は、抜型自体が知られ

ておらず、開発支援が得られなかったことが最も困難な点であったという。 5.IT導入上の課題

◎余剰人材の活用 中小企業の IT 化については、生産から事務処理まで一貫した IT 化による効率化を図ることが必要であると考えるが、IT 化の問題として余剰人材がある。同社の機械を持ち込むと専門職の人数は減る。しかし、高度な IT化が進むほど、技術をジャッジする目が必要になり、レベルの高い専門職はより必要になると考える。一定レベル以下の人を排除する方

向になってしまうことが一番の問題である。能力の高い人はジャッジする人になるが、こ

れらの人の運用、転用をどうしていくかが企業戦略上の課題であると考える。方向性とし

ては、技術力がある人は高齢者であっても会社に残り、過去の経験を重視するということ

が考えられる。IT化を推進すると、格差ができてしまうことには課題が残っている。 6.今後の取り組みと対応方向

◎製造データ管理から事務計算レベルまでリアルタイムに処理するシステム構築を目指す テレビのガラス関係の加工、プリント基板の製造、保護膜のカットなどデジタル機器分

野、自動車分野などに採用され、抜き型業界向けの販売売上げは 50%を切っており、これまで開発してきた機械が様々な業界で使用されるようになっている。 今後も抜き型業界向けは当社の基本となる分野であるが、抜き型業界以外の分野を伸ば

していく考えである。 現在は、設計から見積もりまでは業界ごと、仕事ごとのデータベース化が可能になって

いるが、今後は、製造の段階でのデータ管理(管理プログラムを使用したもの)から事務

計算のレベルまで拡張し、データ管理を高度化していきたい。 同社の製品は、異業種に同社機械を供給しているため、同社の CADで作成したデータだけでなく、世界中のどんなデータとも自動変換できるという互換性を持っている。それゆ

え、製造データ管理と同様に、事務計算のレベルまでいかに同じリアルタイムに処理でき

るかということが今後の課題である。 開発の時間とスケール(人数、時間)がかかることが課題である。結果的に異業種に拡

122

Page 127: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

大していったものに関しては、ほとんど特許申請を行っている。また、新規機械開発は 2~3年かかるが、全て特許取得を行っている。知財の方にも力を入れており、大阪工大の知財大学院とインターンシップを行い、今期はマスターの新卒採用も行った。会社の規模と

は関係なく、工業所有権で守るという方向については米国に近くなってきたと感じている。

これからは、設計データ基準に、伝票発行から請求書まで、見積書、作図、サンプルカッ

ト、レーザー、曲げ加工、ウォータージェット、ブランキングマシーン、という事務計算

と技術計算の一体化を目指していく方向である。現時点では、結果として見積もりのとこ

ろまではきている。今後は、事務計算のプログラムに使えるデータとして入れていきたい

と考える。マシニングセンター、ワイヤーカットでは実際に使われているが、これを部品

加工の世界まで持っていこうと考えている。

123

Page 128: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

2.情報サービス業 2-1.(株)デリコ

◇ 会社概要

所在地 大阪府堺市堺区昭和通 1丁 147番地 代表者名 前田 正雄 資本金 設立年 業務内容 食品関連企業のコンサルティングおよびアウトソーシング

自社開発製品の販売 規格書作成ソフトおよびトレーサビリティシステムの販売 栄養成分計算ソフト開発・販売

従業員数 11名

1.事業の概要

同社の事業は、すべて「食」に関連しており、原料メーカー、食品メーカー、大手小売

店や飲食業を顧客に、①食品・食材の卸(売り上げは大きいが、利益は非常に小さい)、②

食品の企画・開発(創業当時から行っており、原料メーカーの場合、メーカーが開発した

原材料を活用した食品の用途開発やレシピづくり)、③システム・ソフトの開発(規格書作

成ソフトおよびトレーサビリティシステムの販売、栄養成分計算ソフト開発・販売)を行っ

ている。 2.IT化による競争力の向上、業務の効率化への考え方

◎食品への深い知識と業界では珍しかった IT 知識を武器にクライアントを増やす

代表の前田氏は、食品会社で開発を行ってきた知識を活用して食品会社などのコンサル

ティングを行ってきた。 当時すでに食品業界には高齢のコンサルタントが多くいたが、90 年代にはすでに、顧客企業は報告書などを手書きではなくデータで欲しがっていた。 他のコンサルタントは IT を使っていなかったが、前田氏は IT を使い、データを自分で入力することもできた。今振り返ると、それも比較優位となったところではないかと感じ

ている。

3.IT導入により、効率化等を図っている業務内容

124

Page 129: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

◎クライアントへのソフト提供をきっかけにシステム開発・販売を開始 6~7年前から、食品の安全がいわれる前から取り組んできた。もともとは代表者が

Excelのマクロや関数を用いて、栄養計算ソフトを作っていた。科学技術庁からの許可を得て作成・販売していた。そこからシステムへ利用できないかと思い、1990年くらいから常に考えていた。 栄養計算ソフトは家庭でも使えるソフトだが、企業に特化し、特に食品工場が使いやす

いものにした。栄養計算が、栄養士でなくてもパートでできることを目的に工夫した。具

体的には栄養素を栄養コード順ではなく、50 音順に並べた。このソフトはコンサルティングを行っていた企業を中心に喜ばれた。例えばツヤを出すための水飴がある場合、糖とは

分子の長さが長ければ長いほど粘りが出てきて、ツヤも出る。しかし、あまり長いと重く

なる、甘さが変わってくるなどの面も出てくる。同社ではこのタレに使うためには、この

分子の長さがいいですよ、ということを実験してアドバイスしている。 4.IT導入に当たってのシステム構築等の対応上、苦慮した点

◎産地公開システムの失敗と失敗から見つけた新たなチャンス 産地などの公開が日本は遅れていたため、これから問題になってくるだろうと考えてい

た。また、原料を探すのに苦労していたため、そのようなサイトがあればいいと考えてい

た。 当時、企業が産地情報を公開しようという機運があった。当時はまた2~3社だったが、

Web上に産地情報を公開するシステムを作れば利用されるのではないかと考えた。 産地情報をWeb上に各企業が公開したものを TV画面で見られるものを作ったところ、大阪の阪神百貨店の食品売場で採用された。 安価で公開できるシステムであるため、企業は利用すると思っていたが、この当時、産

地偽装という事件が発生した。この事件のように、産地を公開してもその後仕入れ元が偽

装していたことが発覚する可能性があったため、企業が公開を差し控えてしまった。 小売店も肉など、生鮮食品については公開しているが、同社が手がけようとしていた加

工食品については障害があるようである。 加工食品の産地公開は進まなかったが、その進まない原因を考えた。同時にトレーサビ

リティなどが浸透しはじめたため、加工食品についても産地を特定しやすくするため、規

格書をつくりやすいシステムを作ることとした。

5.IT導入上の課題

◎投資を利益に変えるために智恵を絞る時間があるかどうかが IT 投資の成否を決める

125

Page 130: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

中小企業はなぜ ITを導入しないのか。それは、投資が必要であり、またその投資への見返りがわかりずらいことにあるのではないか。 同社は IT投資について数多くの失敗を重ねてきたことからその失敗を活かしている。また、IT 投資を利益に変えるためにはどうしたらいいかを社長としてじっくり考えた。そこが他社と違ったのではないか。 多くの場合、本業に時間を割く必要があるため、IT投資をしてうまくいかなかった場合、次にどうしたらいいかがわからなくても、考える時間がない。

◎IT のことも分かる業界のスペシャリストが必要

IT コーディネータもいるが、産業別に、例えば食品であれば、食品関係にくわしく、ITも少しくわしい人が求められている。このような人でないと、適切なアドバイスを行うこ

とはできない。 同社はこれらのことを失敗を通して痛切に感じている。これまでにも ITコーディネータ

を雇ったが、「SWOT分析をしましょう」というアドバイスは受けるが、具体的にどのような手を打っていこうかというときにアドバイスがもらえない。的確にアドバイスしてくれ

るスペシャリストがいない。 ◎IT 技術者と現場をつなぐ人材の育成が急務

例えば食品業界の場合、食品業界に詳しい人が具体的にアドバイスした内容を IT技術者に伝えられる、翻訳者のような人材が育たなければいけない。 食品の場合には、添加物の順番や捉え方、関係する個々に存在する法律なども正確に伝

えないと、使えないシステムが出来てしまう。 ITのシステム投資は時には1億ほどかかることもある。現状では、現場の人間が ITをよく理解していないために、システム会社の人は伝えたつもりでも、依頼側が理解していな

い場合がある。そうなれば現場が使いやすいシステムになっていないため、投資が無駄に

なってしまう。この乖離を解消する必要がある。 6.今後の取り組みと対応方向

◎データベースの構築が今後の課題 同社では、社内で知識を共有し、蓄積するためのデータベースの整備が今後の取り組み

であり、課題である。 データベースを最初から構築することは考えておらず、すでにあるファイルを活用して

データベース化していく方法を模索している。具体的には、社内に蓄積した Excel 形式のファイルを CSV形式で蓄積することを予定している。 これを進める上で、課題として2点挙げられる。

126

Page 131: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

①どうしたらすでにあるファイルをデータベース化していけるのか ②データベース構築にあたってセキュリティをどうしていったらいいか 2番目のセキュリティは、会社のためのみでなく社員のためにも必要なことだと考えて

いる。何か不祥事が起きたとき、セキュリティ体制ができていれば、社員は「私はやって

いません」ということができる。 また、データベースが構築できれば、そのデータベースに自然言語を入力し、回答が得

られるようにできればいいと思っている。例えば、「少し甘くしたいが、水分活性は下げた

くない」などの日本語を入れたときに、配合比率などが出てきたら作業効率などが上がる

ため、検討したい。

127

Page 132: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

2-2.(株)ハイパーテック

◇会社概要

所在地 京都市下京区中堂寺南町 134番地 京都リサーチパーク (財)京都高度技術研究所 5F

代表者名 小川秀明 小川睦美 資本金 4,000万円 設立年 1994年 業務内容 特許明細書作成支援ソフト「Patent Creator」、「Patent Editor」の開

発と販売 特許調査、特許マップ作成、特許無効性調査、特許価値評価、コンサ

ルティング リバースエンジニアリング防止セキュリティソフト「Crack Proof」の開発・販売 ファイル隠蔽セキュリティソフト DVDビデオ制作・VideoCD制作 機器組み込みマイコンソフトの開発 など

従業員数 14名

1.事業の概要

◎ビデオCD製作からスタート 同社は、代表小川睦美氏が設立以前に、光ディスク事業(画像圧縮技術など)に携っており、

DVD ビデオ市場がこの先伸びていくことを予期し、ビデオ CD の製作に取り組むために1994年に設立した研究開発型ベンチャー企業である。

1985年、音楽と同じ光ディスクに電子データが入らないかと考え、CDDA(81年)と同じ規格の上に CD-ROM 規格を作成した。当時、欧州で流行していた CDI は、インタラクティブ性の高いコンテンツを製作できる規格があったが、日本には向いていないと考え、簡

単なメニューからビデオを見ることができる「ビデオCDコンテンツ」を 1994年に規格し、これが世界標準となる。 これは、世界中のどこに持って行ってもビデオ CD プレーヤーで流すことができ、世界標準で統一することができたため、製造に乗り出した。当時は機器をセット売りしており、

1億円~3億円という形でメーカーが規格決めしたものが売られていたが、同社が規格通りのコンテンツを製造することができたことが強みとなり、その後、バンドルという形でい

ろんなメーカーに使われてきた。 ◎特許取得とセキュリティソフトの開発が事業の柱

128

Page 133: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

現在は、特許取得とセキュリティを柱にソフト開発事業を行っている。 特許については、思考回路を柔らかくする発想理論、トゥーリーズ理論をソフトウェア

化した「オプティマイザー」(アイデアを導き出してくれるもの)などを通信教育として出

している。製品としては、特許明細書作成支援の「パテントクリエーター」や「パテント

エディタ」というソフトを販売。それに関連して、アイデアを出すソフト「オプティマイ

ザー」「ゴールドファイヤー」なども(三菱総研の代理店として)同時開発・販売している。 セキュリティ事業では、クラッキングを防止するソフトを販売している。同社製品は、

通常のセキュリティ概念とは異なり、「プログラムの脆弱性が根本の問題にある」という考

えである。雑誌などでソフトウェアの紹介がされたことで顧客の信頼を得、活用者が増え

ている。 2.IT化による競争力の向上、業務の効率化への考え方

業務の競争力、速度、効率化が要請される中で、IT化を少しずつではあるが進めている。

その際にセキュリティも同時に考えることが重要である。 IT 化は、便利さの反面では、セキュリティが重視される。社内でもセキュリティ製品を取り入れ、LANの構築、内部セキュリティ、防犯システムについても少しずつ考えている。 業務の効率化を考えると IT化は欠かせないが、顧客の大事なデータを取り扱っているという点で社内のセキュリティも重視していく必要がある。 また、PC使用時の社内教育をするなど、IT化と同時にセキュリティ対応、社内教育をし

ていかなければならない。 3.IT導入により、効率化等を図っている業務内容

◎業務の効率化、通信手段、販促ツールに、ITを活用 業務の効率化、通信手段、販促ツールに、ITを活用している。販促については webの方

の土台を外注し、デザイナーを内部に置いている。また、ホームページで検索にかかるよ

うに工夫をしている。 ISO14001を取得し、データ整理も行っている。データの共有を促進し、利用できるものは利用する考えである。発注業務であれば、クロネコヤマトのプログラムをいち早く導入

するなどの実績がある。 ◎業務における電子データベースの活用 現在の事業の一つとして、特許庁のデータベース、契約しているデータベース、海外の

データベースなどを使って無効性調査(権利化された際に海外で同じような事例があった

かどうかを調査するもの)を行っている。同社にはどこで調べたら良いかについてのノウ

129

Page 134: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

ハウがある。特許調査に関しては、特許の中身を見て、特に請求項に要求が書かれている

ので似たようなものがないかということを調査している。大きな事業案件になってくると、

他社の特許との違いを聞かれたりもするので、事業に結び付く前に特許調査で進行の判断

をすることもある。調査の結果次第では、商品自体の販売を中止する場合もある。 同社事業には、特許調査、市場調査、信用調査、内容証明を利用している。また、海外

出願(pcp出願)をCDが出る前にいち早く実施することを心がけている。いかに情報を早くキャッチして有用な情報を得ることができているところに同社の強みがある。新しいシス

テムをいち早く取り入れ、顧客への提案にも役立っている。 社内でも、業務の一つとしていろんなものを試してみるということを行っている。FAXもリコーの紙を出さずに電子データでやり取りするという最新のものを活用しているなど、

ITを積極的に導入し業務効率向上に取り組んでいる。 ◎セキュリティ対策

IT の積極的に導入により、業務効率が向上する反面、セキュリティの問題が発生するため、重要なデータを保持するためにバックアップ用のディスクに変えるなど工夫している。 同社業務においても、今年度最も力を入れているのはセキュリティ事業である。同社で

は、これまでにやられていないセキュリティの分野をクローズアップし、昨年 4 月からパッケージソフトとして販売を開始し、日経にも取り上げられた。 今年度は、セキュリティソフト「クラックプルー」(クラッキング防止ソフト、プログラムのセキュリティ)を積極的に販売する(クラッキング防止ソフトはパッケージソフトとして 360万で販売中)。京阪奈や近経局、大阪商工会議所で発表やウィンドウズ、マックで大事なデータを守るというプロジェクトにも個別に取り組んでいる。 同社は、シーズ先行ではなくニーズ先行である。クラッキング防止ソフトは、ウィンド

ウズベースのソフトとしてカーナビに入るなどの可能性が考えられる。セキュリティ問題

の根本の部分をパッケージングできないかということで、製品開発を行ってきた。 セキュリティ関連の反応は高く、1、2回行って購入を検討する顧客が多いという。同

社の納品も CD とプロテクトキーだけという簡単なものであるので手軽さがあり、かつ取り扱いやすいという利点もある。日本で同じようなソフトを売っているところはなく、ク

ラッキングの体制や技術はプログラミングとは別のスキルがいるため、ニーズがあると考

える。 4.IT導入上の課題

◎労力と時間がかかること、効率化への不安があること 中小企業の IT導入上の課題としては、会社に新しくプログラムを入れデジタルデータ化することには、労力がかかる。また、効率化に対しての不安もあるため、敷居が高いこと

が IT化の促進を妨げる要因ではないかと考える。

130

Page 135: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

同社も模索しながら IT化を推進してきた。IT化は一旦波に乗れば便利に業務が流れるものであると考える。難しいプログラムであるほど教育も大変であるため、ノウハウを知っ

ている人が近くにいたり、すでに導入しているところを参考にすることが対策として考え

られる。 経営者にとっては、IT 化に関する知識を自分だけが知れば良いというものではなく、社

内に普及させるのにも苦労があると考える。 5.今後の取り組みと対応方向

昨年 7、8月ごろから、知財評価(特許 1件あたりの値段を財務諸表を元に計算する方法)、事業分野ごとの企業ランキング(特許件数だけでなく、中身の品質を統計してみることに

より、効率よく特許を出している企業のランキングを出すもの)など、市場に出ていない

ような特許調査、価値評価を行っている。特許調査は、顧客の競合相手が保有する特許の

中身を見て、どこが具体的に違うのか、回避方法があるかどうかを提案するといった、メ

ーカーに対して特許事業でマップや方向性を提示するなどのコンサルティング業務である。 こうした業務は、顧客の大事なデータを取り扱っているという点でも万全なセキュリテ

ィが必要であり、今後より一層の社内のセキュリティセキュリティ対応を図っていかなけ

ればならない。

131

Page 136: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

2-3.(株)プロット

◇会社概要

所在地 大阪市北区曽根崎新地 2-5-3 堂島 TSSビル 7F 代表者名 津島 裕 資本金 3,000万円 設立年 1968年 業務内容 企画、制作、デザイン、

WEBサイト構築、WEBアプリケーション開発、 ネットワークサーバ構築、パッケージシステム開発

従業員数 30人

1.事業の概要

同社の事業は、Web 受託事業、情報セキュリティ事業、出版事業の 3 つである。売上構成は、約 7割が IT化サポート・受託(シェアドライブ、サーバーなどオリジナルの開発、パッケージでの提供があるがオリジナルの方が大きい)、2割がセキュリティ、1割が出版となっている。IT 化サポート・受託部門が大きく占めており、出版事業は縮小傾向、情報セキュリティ事業は伸びている。

IT 化サポート・受託に関しては、オリジナルでの開発が多く、顧客に合わせて提供している。提供するパッケージはセキュリティが多く、電子データのやり取りなどが含まれる。

同社は、「ぴあ」などの情報誌などの出版関係の事業がメインであったが、インターネッ

トの普及と、情報誌の購入により情報を入手することが減少している時代の中で、これに

変わる事業として、1999年頃からインターネット事業部を立ち上げた。 同社は、様々な業界の中小企業の支援を行うが、顧客は B to Cの方が多く、コンシューマー向けに販売や予約のシステム構築を行うことが多い。具体的には、旅行関係、イベン

ト関係、車検(フランチャイズ店が本部で一括して予約をとるなど、本部側のサーバーで受けた案件を加盟店に自動的に FAXされる仕組みを作るシステムなどがある)の顧客が多い。

2.IT化による競争力の向上、業務の効率化への考え方

◎集客の工夫と顧客への提案

同社の事業は、集客と提案に分かれている。集客は HP にいかにアクセスしてもらうかである。その手法として検索エンジンの上位表示やインターネット広告などがある。提案

活動は、資料請求に行き着くまでの導線をいかに確保できるかであり、簡単に情報にアク

132

Page 137: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

セスできる方法を考え、資料請求に結び付けるようなサイト構築を心がけている。 IT 化の促進により、業務はデジタル化されていくが、顧客に対してはアナログな対応が必要であると考える。同社は、東京にも事務所を設けているが、東京はビジネス志向が強

く、クオリティを求められる代わりに単価が高い。これに対して大阪は、昔からの付き合

いなどを重視する側面がある。IT 化普及の度合いは大阪が本社であるので、大阪の方が売上額は大きいが、伸びは東京の方が大きい。東京は、値引き交渉はないが大阪では値引き

が前提にあるため、受注件数が同じでも、単価が東京の方が高くなるということである。 ◎IT導入における留意点

IT化については、IT導入によるメリットを理解することが大事であると考える。対象が経営者になるため、経営者の理解だけでなく、使う側の従業員についても理解することが

必要となる。 IT 化を進めるということは、経営方針に関ってくるということを理解しなければならない。同社は、以前、美容院の予約システムをパッケージで売り出したが失敗したという経

験がある。美容業界に IT活用のスキルが浸透していなかったこと、市場調査をしていなかったことが失敗原因であると考えている。IT 化を推進するには、顧客ニーズを的確に把握し、顧客と関係性を持って導入を提案、支援していくことが必要であると考える。 中小企業の IT化促進については、IT化による効果が見えないことが、投資が進まない原

因ではないかと考える。効果が無いからやめる企業と、効果があるのでさらに投資をする

企業の差が出てきていると考える。一旦 IT化を進めて効果が見られなかった企業に対していくら提案してもなかなか難しい。中小企業の中には、IT 化に適する企業と適さない(効果が上がらない)企業があると考える。IT化をするメリットを見極めることが重要であり、そのような企業には別の形で IT化促進のアプローチをしていくようにしている。

ITが普及しない理由として IT業界のイメージが悪くなっていることもあると考える。投資金額も会社によって異なるため不信感を持たれることもある。IT 業界のイメージを向上していかないといけないと考える。

3.IT導入により、効率化等を図っている業務内容

◎社内での情報共有、セキュリティ強化

同社は、IT 導入により、社内での情報共有、セキュリティの強化を推進している。社内の IT化については、情報共有を促進することにより、記事の共有や業務ミスをした際の失敗事例共有などのメリットがある。社内では、グループウェアを自社開発し、立ち上げ 1~2年後に情報共有ができる体制を構築した。業務的なこと意外にも営業的に顧客情報などの周知ができるなどのメリットがあるという。当初は、社内管理を目的としていたため、

外に販売する意向はなかった。自社開発の動機となったのは、外から購入するソフトでは

133

Page 138: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

自社の業務に合わず、業務ごとにソフトを変える必要性があったことである。当時は、出

版関係の仕事もあったため、取引先は PC 操作ができてもインターネットが使えないなどIT 化が進んでおらず、出来るだけ使いやすいことを目的に自社開発を推進することになった。 同社は、顧客の販売促進、業務効率化によるコスト削減、優秀な人材確保のサポートな

ど、顧客の経営に関しても IT化支援を行ってきた。最近はリスクマネジメントとして企業の情報漏えいの管理、情報セキュリティも手掛けている。同時に、社内においても、全社

で情報セキュリティを進めている。顧客から営業ノウハウ、技術ノウハウも預かる場合が

あるため、個人情報だけでなく、それらの情報を守るために ISOの取得を選択した。

◎ホームページ開設による顧客増加と人材獲得

販促に関しては、IT 導入によりホームページを立ち上げ、顧客増加につながったという効果があった。顧客管理では、顧客からの問い合わせの際に情報登録によって会計システ

ムとの連携を行うといった効率化を図ることができる。 本来、同社の事業は製品を売るという体質ではなかったため、HPを立ち上げてすぐ購入

(受注)するというものではなく、顧客とコンタクトを取るきっかけを作るという意味で、HPの効果があると考える。同社の事業は B to Cであるため、HPを活用した顧客分析が可能である。紙であればチラシを見てきた顧客かどうか判断できないが、HPであればアクセス解析により、制約率や資料請求率など全て数字として現れるため、費用対効果が測りや

すいという IT化のメリットがある。 投資を少なく集客を実現しようとすれば、検索エンジンにいかに上位に起用されるかと

いう手法がある。そこで上位表示させることによって、ニーズを持つ顧客を得ることがで

きる。インターネット上での広告には様々な形態がある。グーグルの場合は「アドワーズ

広告」といい、広告のオークションのようなものであるキーワードにあった広告が表示さ

れ、その中でも単価が高いものが上位にでる仕組みになっている。ある程度絞り込んだ顧

客を対象に広告が提示されるため効果が高いものである。 もう一つは、「アフィリエイ

ト広告」というもので、1件受注があれば広告を載せた顧客に対価を支払うなど成果報酬型の広告である。これらを組み合わせながら、HPにアクセスしてもらえるように工夫することが考えられる。 顧客獲得だけでなく、人材採用の面でも、ホームページ開設による効果があった。これ

までは職安で募集をしており、募集要項に限りがあったが、HPで採用サイトを立ち上げることによって応募者に対して企業理念や雰囲気をアピールできるようになり、それに共感

して応募する人が増え、採用した後に伸びる人材を得ることができた。

◎ISO取得による品質管理 また、同社は ISO9001を取得しており、品質マネジメントを行っている。同社立ち上げ

134

Page 139: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

の際は、少人数でもともと出版業であったことから、ドキュメントなど定型的なものを作

成せず、顧客との打合せのみで見積もりもしないという習慣があった。しかし、ISO を取得し、品質マネジメントを行うことによって、顧客にとっても発注する際の信用になると

いう利点がある。品質マネジメントシステム、情報マネジメントシステムの運用はかなり

困難を伴う面もあるが、特に大手は ISO 取得を条件にしている場合もあるため、重要な取り組みであると考える。

4.IT導入に当たってのシステム構築等の対応上、苦慮した点

同社は、グループウェアを自社開発し、社内で情報共有ができる体制を構築したが、こ

れは外から購入するソフトが自社経営に不適合であったことが開発動機となっている。外

から買うソフトは、ワークフローについては対して違わないが、プロジェクトの管理の仕

方が同社のやり方に合わなかった。

5.IT導入上の課題

◎コミュニケーション不足

経営者側と社員とのコミュニケーションがうまくとれておらず、溝があると感じている。

IT 活用により、グループウェアで情報共有、効率的な情報通達は可能になったが、コミュニケーション不足が課題である。顔を見て話をするということは企業経営上重要な要素で

あり、IT を使い過ぎることによる弊害を防ぐことが必要であると考える。同社はこのような考えから、メールで顔文字を使い、なるべく感情が伝わるようにするなどの工夫がなさ

れている。社員とコミュニケーションをとる上で、あまり ITばかりに頼らないようにするという考えである。 ◎顧客のセキュリティ意識の向上

顧客のセキュリティ意識についても課題がある。関西は東京に比べ、セキュリティ意識

が低いという。セキュリティには、ウイルス感染、情報漏えいなどがあるが、ウイルス駆

除レベルでのセキュリティでは顧客として何社か保有しているが、情報漏えいについては

今後推進していく意向である。 ◎価格設定

受注に関しては、同社程度の規模の会社であると、大手企業並みの価格帯では受注でき

ず、SOHO のように安くはできず、価格設定が難しいという問題がある。経産省が進めている ITSSが浸透すればもう少し価格設定が容易になる可能性もあるが、まだまだ市場が未熟であることが課題である。

135

Page 140: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

6.今後の取り組みと対応方向

◎情報セキュリティの強化

現在、社内で、ISMS の取得(情報セキュリティ)を進めている。ISMS 自体は人のマネジメントになるので IT化と直接リンクはしていないが、それを促進するためのツールとしてIT を活用する意向である。今後は、不要なソフトをインストールできないようにするなど情報セキュリティ面の強化、社内の情報漏えい対策において、IT 化を推進していきたいと考える。 ◎顧客への提案を強化

また、顧客に対しては、現在は業界を特定してはいない。しかし、あまり広く浅くなっ

てしまうと、顧客に対して有効な提案ができなくなってしまう。今後の方向性としては、

業種別に各業界の知識を持って提案していきたいと考える。その一貫として、現在は不動

産業界に対してアプローチを試みている。不動産業界は、仲介会社と管理会社(マンションのメンテナンスや家賃の回収を行う)があるが、最近は管理会社が販売する傾向になってきている。物件の取扱では、管理会社が仲介会社に委託し、仲介会社が販売するという構造

になっており、それが直接販売するという流れにもなっている。現在は、基幹系のシステ

ムを開発している会社と一緒に仕事を進めている。 ◎IT人材の獲得

IT 人材の不足についても課題がある。求人サイトに出してもほとんど反応がないため、今後は、中国からの人材獲得も考えている。

136

Page 141: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

3.サービス業、その他 3-1.(株)入船

◇ 会社概要

所在地 高砂市高砂町横町 1033

代表者名 入江祥浩

資本金 1,000万円 設立年 1916年 業務内容 一般給食、委託給食、仕出し、

レストラン(わっさ、ごちそう村、炭火焼肉いこる家など 17 店舗) 従業員数

1.事業の概要

大正 5 年に高砂市において、神戸製鋼等の地元企業への給食サービスを主要業務に「料亭入船」を開業したのが同社の創業である。 これまでの給食サービス事業に加え、昭和 60年、レストラン「入船」を加古川に開店し、レストラン事業をスタートした。給食事業部とレストラン事業部を別にして、外食産業部

門を設立し、昭和 63年以降、兵庫県下に「ごちそう村」、「イタリアンキッチン麦収舎」、「ごちそう村」、「土間土間」、「いこる家」、「わっさ」を オープン。現在は年2,3軒のペースで店舗展開を行っている。 2.IT化による競争力の向上、業務の効率化への考え方

飲食業は閉鎖的な業界であり、帳票は会計時点で、夜間にそのデータを収集するため、1日の総売上は翌日でないと把握できない。また、飲食業は、夕刻の時間帯では、アルコー

ル類が入り、来店者が長時間滞在し、入店時と会計時のタイムラグが大きくなる。タイム

ラグが大きくなると、どの時間帯に何が注文されたかの情報が正確に把握できなくなる。 飲食店には来店を促す販売促進が欠かせない。しかし、クーポン券をつけたチラシや雑

誌広告など様々な宣伝活動を実行しているが、「販促してもデータがすぐ取れず翌日でない

と結果がわからない。しかも手計算で、正確性にも欠ける」のでは効果的な販促活動がで

きない。さらに、オーダー時点で管理することにより、スピーディなシフト管理や店舗情

報が把握でき充実した経営管理が可能となる。

3.IT導入により、効率化等を図っている業務内容

137

Page 142: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

◎自社の方針に則った POS システムを構築

具体的なシステムを探し始めたが、価格も含めて今のレジメーカーには希望に沿うもの

がなかった。そんなときに、システム会社「エムトーン」が提供するASPサービスの無

料試用の提案を受けた。 本サービスはパソコンにレジ機能を持たせ、入力した情報をインターネットを経由して

システム会社が運営するサーバー上に保管し、活用するものである。店舗側はパソコンと

インターネット設備があれば始められ、また必要に応じたカスタマイズができる。 この POO(point of order)は初期費用が低い。既存のレジは初期に 5~600万円かかるのに対し、POOに必要な PCや無線機は価格競争によって安くなっており、120~200万円で導入できる。投資に見合うだけの収益が期待できなければ、投資に踏み切るのは難しい

が、初期費用が低ければ、投資の決断もしやすい。 2005年より、本格的なカスタマイズに取り掛かった。POSは精算時、つまり顧客が帰ったあとのデータであり、それ以前、顧客が入店してから帰るまでの 90分のリアルな情報を取ることことを目的に、スタッフが注文時にオーダー情報を PDAに入力して、その情報を活用する「POO(point of order)システム」を企画した。

◎店舗内の顧客の動向をリアルタイムに伝えるシステムへ

このことにより、店舗ごとの来店者数やオーダー内容が本社で瞬時に把握でき、対応策

が取れる。また、得られたデータは、最適な座席配置など店舗経営にも活かせる。 販売管理を超えて、店舗内の顧客の動向をリアルタイムに伝えるシステムへの進化によ

り、店舗運営担当部門がデータを元に時間帯でスタッフのシフトを変更したり、商品企画

のチェックが細かくなっている。現在では、混雑している店舗がすぐわかるので、本部か

らヘルプに入るのもスムーズになった。 小規模な店舗展開を行っている会社にはいいシステムである。在庫もリアルタイムでわ

かり、店舗運営を効率的に進めることができる。

138

Page 143: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

◎店舗間での競争意識の向上 顧客からの注文を PDAに入力すると、その注文内容がサーバーに移動する。その後、サ

ーバーからキッチンに指示が出る。サーバーに蓄積された注文データはどの店舗からでも

リアルタイムで見ることができる。 シフトコントロールの精度を増加させるために、30 分ごとの来客者のデータを作っている。こういった作業を通じて従業員に数字に興味をもってもらう。ネットで他店の情報も

見ることができるので、いい意味の競争意識が生まれており、ハンディは受信機としても

利用できるので、予算達成メッセージを発信することも考えている。 4.IT導入に当たってのシステム構築等の対応上、苦慮した点

◎実験しながら自社に適したシステムを構築 販売管理を超えて、店舗内の顧客の動向をリアルタイムに伝えるシステムへの進化は、

「システムを試しながら使う」というステップがあって生まれた。初期の開発においては、

ベンダーとよく喧嘩をし、得るものも多くいい経験であった。 店舗へのシステム導入も神戸・元町駅前の「わっさ」を実験店舗にスタートし、現在で

は 17店舗中7店に導入している。 また、システムの導入時に、精度は上がっているもののシステムの全てを市販のものに

頼っており、無線が遮断されたり、ネットが寸断されたりすることがごくたまにあったり、

時間帯によっては無線がつながりにくいときがあり、その対応に苦慮した。

5.IT導入上の課題

同社は一般ユースの PDAを使用しているが、専用機と比べると画面が小さく操作上は劣

ってしまう。料理のメニューが多数有るので、画面の大きな操作しやすい PDAに改善したい。従業員が、機械操作に夢中になって顧客の顔を見れなくなるのは困る。 ネクタイをしたくないという人が多い業界であり、PCの習熟度はまだまだ低い。これは

社内教育でカバーするしかない。

139

Page 144: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

また、情報化に前向きでない上司がいると IT 推進の障害となる。トップの判断が IT 化の推進には欠かせない。

6.今後の取り組みと対応方向

◎経理との連動による経営管理への連動 「POO(point of order)システム」の導入により、店舗ごとの来店者数やオーダー内容が本社で瞬時に把握でき対応策が取れるとともに店舗経営に活かすことができた。今後は、

経理との連動することにより、経営管理に活かしていきたい。 ◎IT教育の充実

PCを操作することが必須であるので、パソコン講座等の開催などの社内教育を充実していくこととしている。

140

Page 145: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

3-2.梅田美容商事(株)

◇会社概要

所在地 大阪市淀川区野中南 1-12-39 代表者名 橋本健治 資本金 2,000万円 設立年 1948年 業務内容 美容器具・材料、頭髪化粧品及び関連商品販売卸

店舗改装・設計・施工 従業員数 約 60人

1.事業の概要

梅田美容商事の主な事業は、美容器具・材料、頭髪化粧品・関連商品の卸販売および店舗改

装・設計・施工である。美容と理容でディーラーの取扱商品が分かれているが、同社は美容関

連の商品を専門に取り扱う。美容師が使う物全般を販売しており、主に美容師や美容サロン

に卸している。内装機械等については、タカラベルモント、大広製作所といったメーカーと

連携して販売している。店舗を新たにオープンする、もしくはリニューアルする顧客にも対

応できるように、内装機械からヘアピンまで幅広い品揃えで応えている。 店舗改装、設計、施工については、主に顧客と専門業者との取次業務を行っている。社内に

自前のデザイン部門等を設置しているわけではない。 売上はおよそ 23 億円で、うち 9 割近くを「水物」と呼ばれるカラーリング剤、シャンプー、リンス、パーマ液が占めている。同社は、国内メーカー最大手のミルボンをはじめとする各

メーカーと代理店契約を結んでいる。雑貨については、業界で問屋と呼ばれる滝川㈱や㈱武

田から仕入れて、美容サロンに納入している。 取扱商品は、在庫商品として8,000~9,000アイテム。全ての商品では、5万アイテムを越え

る。サロンへの納品は、基本的にバラ単位で対応している。各店舗へのルートセールスは週

に一回店舗に出向く。1日に 15~20件まわり、80店舗ぐらいに商品を卸している。顧客からの注文は平均すると月に 3,500件ぐらい。顧客アカウント数は 5,000件程度。月の取引額が 5万円以下の取引先が全体の 3~4 割を占めている。本社の新規顧客の獲得件数は、平均で月20~30件となっている。 なお、現在の橋本健治社長は創業者から数えて 3 代目。大阪美容器具卸商共同組合の理事

長を務める他、全国美容用品商業協同組合連合会の理事にも就いている。 2.IT化による競争力の向上、業務の効率化への考え方

141

Page 146: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

取扱アイテムの種類が多く、美容師は忙しいことから、店舗からの注文は「いつもの」とい

ったような曖昧なものが多い。こうした注文に対応するためには「熟練」した営業担当者が

不可欠で、営業担当者が辞めてしまうと受注にも問題が生じていた。営業の担当者は 2~3年経験を積まないと正確に注文を受けることができない。 また、従来は倉庫から商品を取ってくる際に、ピッキングリストのみを頼りにピッキング

作業を行っていた。倉庫の中は、メーカーごとに商品を並べただけで、系統的に管理されて

いなかった。そのため、習熟した社員にしか商品の場所が分からないという課題があった。 誰でも注文を受けてピッキングでき、発送できないといけないという意識からシステム

の整備に取り組んだ。システムの整備により、受注からピッキング、配送までの業務の効率

化が期待された。

3.IT導入により、効率化等を図っている業務内容

◎経営革新支援事業の認定を受けシステム整備

2004年に経営革新支援事業に認定されたことを契機として、社内のシステムを整備した。戦略的美容ディーラー基幹業務統合システムと呼ばれるもので、発注、ピッキング、配送業

務に加え、在庫管理などを含む総合システムである。 ◎経営戦略に基づき流通を把握

同社は、納品書や請求業務については、オフィスコンピュータを 20年ぐらい前から使っていた。しかし、これらは事後的なシステムであった。業界内では新商品が年間 2,000アイテム発表され、流行はめまぐるしく変化し、売れ筋も変わっていく。これまでは経営戦略に基づ

いた流通が把握できていなかったが、システムの導入のおかげで数値を把握できるように

なり、経営戦略により正確に反映させることができるようになった。 ◎物流の効率化で人員削減を達成

現在の従業員数は 60 名弱で、そのうちパート従業員は 30 人(出荷関係で土日だけの人を含む)程度である。従来は、物流関係に従業員を 7~8人配置していたが、システムの整備後は、2 人で業務を行うことができるようになった。パート従業員は 15 人ぐらいが物流関係の業務に従事している。各営業所には 3人ずつの営業担当者が配置されている。

◎在庫の削減に成功!

同社は月商で 1 カ月分程度の在庫を保有している。発注は 1 週間毎に行っており、メーカーからケースで商品が納入される。しかし、各店舗への販売は「ばら売り」のために在庫が発

生する。各営業所も在庫を多く抱えており、本社の在庫よりも多いというのが実状であっ

た。

142

Page 147: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

システム導入後は、姫路・神戸・福知山の各営業所の在庫量を、当日の注文に対応できるだ

けの量に抑えている。残りの商品に関しては、注文を受けてから本社から発送される。こう

したシステムの構築により、以前は 500~600 万円ほどの在庫を抱えていたが、現在は 100万円を下回っている。 ◎月次棚卸をスタート

以前は棚卸を年に 1回のみ行っていた。システム導入から 1年半が経つが、2006年は 3月と 9月の年 2回棚卸を実施した。さらに 2007年 2月より棚卸を毎月実施している。これは、従来 2~3日を要していた棚卸が、1回 2~3時間へと大幅な時間短縮を実現したことで可能となった。ただし、業界特有の取引慣習である「リベート」などの取り扱いの問題が残ってい

る。 ◎受発注の正確性が大幅アップ

システム整備前は、誤発注・誤納が多いという問題を抱えていた。しかし、現在は過去に納

入した商品履歴を画面で確認することができるので、ミスがなくなった。パート従業員でも

受発注をできる体制ができあがっている。現在、事務員 3人、パート従業員 6人で受注関係の業務に当たっている。以前は、営業担当者が午前中の全ての勤務時間を受注関係の業務に費

やしていた。この業務が簡略化されたことで、営業担当者は顧客と接する時間を増やすこと

が可能になった。 ◎グループウェア導入で業務効率が改善

経営革新支援事業の認定と同時期に、従業員 1 人に 1 台のパソコン支給を決定し、グループウェア「サイボウズ」を導入した。連絡事項、スケジュール、イベントなどを PDF ファイルにして、社内で情報の共有化を図っている。営業担当者が毎日の営業活動を上司に報告する

際にも、このグループウェアを利用している。情報を共有化することで、他の人がどのよう

な活動をしているかを知ることができるというメリットがあった。この他にもメーカー主

催の商品イベントの報告、サロンが開く勉強会の内容などを共有フォルダに入れて共有化

している。ファイルなどはサーバー管理している。 ◎商品の管理

社内の情報化を進めたことで、売れ筋商品の回転率が上がった。また、倉庫の整理がすす

み、ピッキング作業は容易になり、品揃えの強化も可能となっている。

4.IT導入に当たってのシステム構築等の対応上、苦慮した点

◎情報化にも「人」「物」「金」

社内業務の情報化を進めるにあたって、「人」「物」「金」の面で大変苦労した。システム導入

143

Page 148: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

のための第一段階としてシステム会社との打合せをしなければならない。しかし、当時は社

内に IT に精通した人材がいなかったために打合せは大変だった。システム会社にすべてやってもらうと費用が高額になる。 システム導入後は、パソコンに馴染むまでが大変だった。販売・管理業務は、システム導入

後の半年間は混乱を続けた。メリットを体感するまでに 1年ぐらいかかった。IT専門人材がおらず、計画的に情報化を進めることができなかったことが原因と考えられる。また、IT システム導入後、IT関係以外の所に費用がかかった。

5.IT導入上の課題

◎パソコン未経験の従業員

システムを導入した当初、パソコンをさわったことのない従業員が多かった。社内での訓

練を通して、現在は、従業員がワードやエクセルを使えるようになっている。パソコンに慣

れたことで日常の作業効率が上がり、データの加工も可能になるなど、人材育成効果があっ

た。提案書を書いたこともない人が多く、書くことができるまでに半年かかった。 ◎IT専門人材の確保 同社に CIO は今のところいない。しかし、CIO を置かないといけないと考えている。情報

化を進めるにあたっての一番の問題は人材の問題であり、その責任者が必要とされる。4 月に入ってくる新入社員のうち 1人を ITの専門家に育成していく予定。システムは、日常業務の中で問題も生じる。専門的・体系的に習熟していかないといけない。 ◎同業他社とのシステム整合性

チェーン展開しているような大きなサロンでは、通常、2~3 社が商品を納入している。発注システムなどを導入してもらいたいが、各納入業者が異なるフォーマットを用いている

ために、サロン側の負担がおおきくなることから、導入が進んでいない。業界全体でフォー

マットを統一することが必要であり、全国理美容製造者協会(NBA JAPAN)が前向きに検討していると聞いている。

6.今後の取り組みと対応方向

◎業界全体は↓

業界全体の景気はあまり良くない。売上の大部分を占めるカラーリング剤の売れ行きが

悪化しているためである。3~4 年前から東京で髪の色のトーンが茶色から黒に変化した。2年ほど前からは関西でも黒が主流になってきている。薬局などでも販売しているホームカ

ラーと呼ばれるカラーリング剤の質が良くなってきた。これが美容室でカラーリング人の

144

Page 149: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

ホームカラーへの切り替えを助長している。現在、カラーリング剤の売上に占めるホームカ

ラーの割合は約 6割にまで伸びてきている。 ◎業界挙げてのシステム整備が必要

全国理美容製造者協会(NBA JAPAN)は、ディーラーへの発注をインターネット経由で行っている。このシステムを担当したのは日立。サロンからディーラーへの発注をインターネ

ットでしていく。流通情報システムにおいて重要な役割を果たす共通商品コード、

JAN(Japanese Article Number)コードを最近使い始めた。NBA JAPANの中に EDIの部会があり、全国の代理店を集めて EDIなどの説明会を開いている。 個人が美容院やサロンで販売しているシャンプーなどの注文をできるようにして、売上

だけを店舗につけることのできるようなシステムが欲しいといった要望もある。 ◎ITインフラの問題は小さい インターネット回線料はここ数年で大幅に安くなった。インフラが整ってきていると実

感している。あと 10年すれば、IT人材の問題も解決するのではないだろうか。 ◎他地域企業の進出

最近では東北のディーラーが関西に進出してきている。これは物流の発達により、受注し

て、翌日発送が可能になったことが要因と考えられる。

145

Page 150: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

3-3.(有)クリーク

◇会社概要

所在地 大阪市都島区都島本通 2丁目 6番 5号 代表者名 谷川英二 資本金 300万円 設立年 2000年 業務内容 ネーム印 (印鑑) の製造・販売

ソフトウェアの企画・設計・開発 従業員数 9名

1.事業の概要

同社は 1997 年に個人として日用雑貨品の卸売取引をはじめ、2000 年の業務拡張にともない法人化した。現在ではホームセンターや 100 円ショップ向けに印鑑を製造・販売している。100円ショップに置いてもらうことで、今まであまり購入していなかった層(主婦等)を取り込むことに成功し、マーケットの拡大につながった。一般に印鑑の需要に季節変動は

ないが、異動の季節(3~5月)は需要が比較的多い。年末・年始の買い物ついでの需要もある。 同社製品を取り扱う店舗は沖縄を除く全国各地に広がっており、その数は約 3,500店舗にのぼる。取り扱いアイテム数は約 30,000種類である。 また、これまでに構築された受発注および製造工程を高速化するシステムを活かし、2005

年よりソフトウェアの企画・設計・開発事業にも乗り出している。同事業は、システム会社

と共同出資する別会社(株)エモシスが担当している。エモシスでは同社の従業員も兼務

しており、クリークのWEBデザインができる従業員は、エモシスの業務にも関わっている。エモシスはクリークと取引のある印刷物供給会社と加工発送会社向けのシステムを構築し

た。 2.IT化による競争力の向上、業務の効率化への考え方

◎多数の取引先と多品種のアイテム数から IT 化の必要性を痛感

印鑑は個別性が高く、典型的な多品種小ロット商品である。設立当初、同社には印鑑業界

のノウハウがなく、多数の取引相手と多品種のアイテムのやりとりを手計算で行うことは

困難であったため、PCを導入することにした。 ◎データの蓄積・分析により商品の欠品をなくす

146

Page 151: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

また、受注管理において、欠品は大きな問題である。取引先も電子化しているので、伝票

が往復する事になり、在庫管理が複雑になる。取引先が少ないときには、店舗ごとにファイ

ルを作ってデータ管理していたが、店舗数が数百社にまで増加してくると管理が煩雑にな

ってきたため、システム化による一元管理の必要性を感じた。 事業を開始した当初は欠品が発生していたため、欠品をデータ化して蓄積・分析し、欠品

をなくすように努めてきた。「何の」、「なぜ」、「いつ」欠品が生じるのかというデータを

収集することにより、全店舗で欠品のないスムーズな取引を実現しつつある。 3.IT導入により、効率化等を図っている業務内容

◎他企業と連携したシステムによりビジネスモデルを改革 もともとのビジネスモデルでは、注文は「店舗→本部→商社→同社」という流れになっ

ており、同社は商社から注文を受けて、商社へ商品を発送していた。このために各店舗が商

品を注文してから商品を受け取るまでのリードタイムが長くなってしまっていた。 そこで、リードタイムを短縮するために、以下のような流通形態へと変更し、情報伝達が

迅速にできるようにWebシステムを構築した。 ①まず、同社は各店舗から直接注文をもらう ②その注文を受けて、同社は各店舗へと商品を発送する ③注文があったことを同社から本部や商社に報告する このWebシステムの構築により、同社と各部品供給会社が情報を共有化するようになり、各店舗からの注文情報が同社を通じて即座に各部品供給会社に伝わるようになった。 その結果、以下のようなメリットが出てきた。 ①店舗が注文してから商品を受け取るまでのリードタイムを大幅短縮 ②システム導入により伝票はほとんどなくなり、各店舗の明細のみが残るようになった ③店舗・本部・商社・同社のどの企業にも一定のメリットが生じている

147

Page 152: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

148

Page 153: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

◎システム導入で見込み生産が可能に

本来、印鑑は注文を受けてから生産する類の商品であるが、100 円で販売するためには、見込み生産で対応しないと採算がとれない。同社のWebシステムでは印鑑の製造・販売に関する情報を電子化・活用できるため販売情報が同社にすぐに伝わり、その結果、商品を補

充するまでのレスポンスが速くなった。 そのため商品の補充までを素早く対応できており、よほど突発的な販売増が起こらない

限り欠品は起きず、見込み生産が可能となった。 ◎欠品の防止と商品納入のスピードアップを実現

通常のシステムでは、欠品の報告を受けてから商品を発送するまでに最低 3 日はかかる。週末をはさむ場合、出荷・発送に 1週間かかるケースもある。100円ショップの消費者は、1週間も商品を待てない。 同社の Web システムでは午前中に注文を受ければ、その日のうちに発送することができる。地域にもよるが、通常は翌日、遅くても 3日以内に届く仕組みとなっている。 4.IT導入に当たってのシステム構築等の対応上、苦慮した点

◎関係企業との連携が業務効率を上げる 上記のようなシステムを構築するには一定の信頼関係が必要とされる。 また、自社だけがシステム構築しても、取引相手もシステム構築しないとシステムは作

用しない。同社の場合、取引先は主に上場企業である。しかし、システムの構築にあたっ

ては同社が主導権を握り、同社のシステムで仕事をしてくれるように依頼する。このよう

に信頼関係を築きながらシステム構築にあたっての主導権を握ることにより、業務の効率

が上がる。 ◎情報システムの勘所は目に見えないメリットを理解すること

システムは無形であり、人の目には見えない。費用対効果で考えると、「いつ採算がとれ

るのか」「収益があるのか」ということを疑問に感じてしまい、投資に踏み切ることが難し

くなる。しかし、システムの改善により、就業環境が良くなり、従業員が働きやすくなれば、

残業が少なくなり、処理能力がアップする。 処理が迅速になれば、他社からの信頼が生まれて取引が多くなるというメリットも期待

できる。そのメリットを金額に換算することは難しいが、こうした目に見えないメリットを

理解することが IT化のキーポイントになる。 ◎段階的なシステム投資が効果的

中小企業にとって、システムを構築する費用負担は決して軽くない。1,000 万円は高すぎ

149

Page 154: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

て投資できないが、100 万円なら何とか投資できる企業は存在する。そこで小規模の投資を組み合わせて段階的にシステム化していくことが現実的な手法であろう。 具体的には、一番困っているところから IT 化に着手するのがよい。一番困っているところなら、費用対効果で見たコストは安く、全てシステム化することを考えれば初期投資を低

く抑えることができる。

150

Page 155: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

5.IT導入上の課題

◎効果的な IT システムの構築には取引企業の協力と業務知識が不可欠

同社だけが IT化しても、取引相手が情報システムを導入してくれないと、期待される効果を得られない。そこで、イニシアチブをとって相手企業の情報化への投資を促していくこと

が必要である。 システム作りには、基幹業務についての業務知識が不可欠である。取引相手の業務知識

をある程度習得していなければ、取引相手の業務内容や非効率な分野を把握できず、システ

ムを構築できない。

◎中小企業は大型投資よりインターネットの有効活用を

たとえ中小企業が大型 IT投資に積極的ではないとしても、電子データのやりとりは、インターネットを活用することで十分に可能である。セキュリティの問題は残るが、専用の通信

回線を引く必要はないだろう。一般の人がインターネットで注文するのと同様に、部材屋、

印刷業者への注文は WEB を通して行えばよい。PC さえあればできるので安く、かつ速くできる。 ◎システム構築は専門家に

IT に関する知識やスキルのない人がシステムを構築することは難しい。その場合、十分な知識やスキルを持つ会社に委託する方が望ましい。業務の効率が良くなるのであれば、

情報化のための投資は無駄ではない。印鑑業の事例では、欠品を請求するために、アナログ

方式では何万行の書類を使用しなければならない。これをデジタル化すれば、異なる部分を

チェックしてピックアップするだけなので容易である。デジタル化の良さを理解してもら

うためには、困っているところを IT化するのがよい。

6.今後の取り組みと対応方向

同社主導による取引先の IT化を実行するための開発部門を結成して、段階的にシステムの導入を図っていく。また、連携帯システムのネットワーク化を進める。 今後は印鑑だけではなく、異業種の商品にも同社が開発したシステムを応用していきた

い。典型例としては、多品種少ロットの商品を管理している倉庫業の場合である。ねじ、部

品、パーツといったものを取り扱う場合も同システムを利用できる。 システム構築のチームを作り、ホームページ作成も社内で行っている。今後は、頻繁に

取り引きしている会社にこのノウハウを安価で提供していく。ノウハウの提供により、互い

に発展することが目的である。

151

Page 156: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

3-4.(株)コスモ

◇会社概要

所在地 〒556-0011 大阪市浪速区難波中3-18-14 代表者名 島村金太郎 資本金 5,000万円 設立年 1968年 業務内容 書籍・CD・DVD・ビデオ・ゲーム・リサイクル関連商品のレンタルと販

売を主とした、ホームエンタテイメント大型店舗のチェーン展開 従業員数 社員 25名(男子 22名 女子 3名)

パート 183人(男子 112名 女子 71名)

1.事業の概要

同社は 1968 年に島村現社長が創業した。創業当初の事業は書店業のみで、新刊書を販売していた。1982年ごろにレンタルビデオ業に参入している。レンタルビデオ事業を手掛ける関西の企業の中では最も早いグループに入る。ゲーム業界に参入した 1985~86年頃というのは、ゲームの草創期の頃である。新品ソフトと中古ソフトの両方を扱っていた。ゲーム

のレンタルはしていなかった。現在は、書籍、レンタルビデオ、ゲームの 3つの業務を柱としている。 最初は書店から始め、その後の展開、管理の仕方、今後の流行について、従業員と相談しな

がら事業を進めてきた。事業を一緒にやっている仲間は書店関係だけでなく、研究会、セミ

ナー、商標会等で知り合った企業である。 本部スタッフは自分も含めて 6名である。

2.IT化による競争力の向上、業務の効率化への考え方

個人情報保護法については、同社はレンタルビデオで個人情報を扱っているので、施行前

から気を付けていた。

3.IT導入により、効率化等を図っている業務内容

◎製品情報の管理 同社設立当初から、製品の情報管理を目的に、レジスター(レジ)を導入していた。レ

ンタルビデオ事業に参入した当初から、POS(Point of Sales System)を入れている。 3年前に書籍・ゲーム・レンタルビデオの POSシステムを統一した。これら 3つを同時

152

Page 157: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

に扱っている店舗もあり、経理処理の簡素化のために行った。今のところ、問題は生じてい

ない。 仲間で同じ POSを使用し、特にレンタルに関しては、POSシステムはこちらの要望に合わせて作ってもらっているので使いやすい。ビデオにはジャンル(4 桁、配置に関係する)と商品コード(配置に関係なし)の 2 種類の番号があるが、同社は独自ジャンルで番号を振り、新作が出れば新しい番号をつけるようにしている。レンタル事業を開始した当時は

ビデオ本体をバックヤードに置いていたため、パッケージ用と本体用の二つのバーコード

(番号は同じ)が必要であったが、現在は、棚にビデオ本体を入れているため一つのバー

コードでの管理で、統一できるようになっている。 POSには中古ゲームの価格相場の変動のデータも入っている。ゲームの売買においては、売買価格の相場の変動が発生する。そのために独自の POSを入れている。新刊書籍は再販制度のため定価販売であるが、古書には相場がある。新刊のみを扱っているところは古書を

嫌がる。これらのデータを仲間と共有している。 店員の多くは、顧客との対面販売と事務を兼務しているため、店員同士の連絡手段はメ

ールによる方が多い。メールアドレスは店舗ごとに用意されている。 携帯電話を利用したサービスはしていない。共同発注はしていない。各社ごとにしてい

る。それによってオリジナリティを出せることもある。 ◎顧客管理

1982年(昭和 57年)からレンタルビデオ屋用に作ってもらった富士通の PCを使用し、顧客情報を管理していた。会員情報はカードで管理し、PCには顧客の会員番号と商品番号という誰が何を借りていたか程度の簡単な情報を入力していた。POS はレンタル事業に関してはしっかりしたものができているので、年齢層等の分析ができる。地域を反映して、店舗

(9店舗)によって年齢層は大きく違う。顧客数が少ないので、送り先の分析はしていない。

◎経営方針に反映

経営分析も POS で行っている。経営方針は、担当者会議で決める。あらかじめ経営トップで方向性は決めている。POS のデータを元に議論する。経理処理は会計ソフトを用いて行い、毎日メールで送られてくる各店舗の売上を会計ソフトに取り込んでいる。 ◎セキュリティ対策 セキュリティについては、ウイルス対策のみである。POSと PCは連動していない(POS

は、インターネット接続はしておらず、社内ネットワークのみでの接続となっている)の

で、PCを通じた情報漏洩の心配はほとんどない。ただし、POSのデータをエクセルに落とすことはある。PCはメール送信くらいしか使っていない。アルバイト店員は PCをほとんどさわらず、POSしかさわらない。セキュリティ関係は IT企業にアウトソーシングしている。

153

Page 158: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

アルバイトを通じてデータが漏れることはない。ただし、家族が本人のカードを持ち出して、

貸し出し履歴が漏れることは今でもある。データ自身がアルバイトにとっては、名簿屋に売

るか 2 チャンネルに流すかくらいしか用途がない。個人情報の漏洩については、個人情報保護法が施工される以前から気を付けていたので、同法の施行に伴って問題となることは

なかった。POSは個人情報保護法対応版になっている。権限が規制されていて、アルバイトでも経験のない人は重要な情報にアクセスできないようになっている。 前週、前月の分析は POSで行っている。POSの操作はマニュアル化されているので、早い人は 1日で覚えられる。ただし、クレジットカードでの支払いは別の端末を使わなければならないので、時間がかかる人もいる。

4.IT導入に当たってのシステム構築等の対応上、苦慮した点

POSと PCが連動していない。 コンピュータが止まることがよくあるので、手書きとコンピュータを併用していた。

5.IT導入上の課題

同社のホームページは、昨年、中途採用のために作成した。内容は、簡易なリクルート用

のみであるが、今後は、中古のゲームソフトの買い取り価格の相場を表示するようにしたい。

しかし、現在は、それができる人材がいないことが課題である。現在までのところ、CIO以外に情報システム畑の人材の育成や部署の新設は考えていない。 新刊書店等で問題となっている万引きは、窃盗であると考える。何冊かではなく一束ごと

持って行かれて古本屋に転売され換金される。鏡や監視カメラの死角に運んでいってバッ

グに入れて盗むという手口である。タグはビデオとゲームには付けているが、タグをはずさ

れてしまうという。これらの防犯対策についても課題が残る。

6.今後の取り組みと対応方向

◎POSと PCの連動

POS と会計ソフトの一体化すれば経理処理が効率的になる(現在は、それぞれシステム的に独立している)。しかし、これらのシステムを統合することにより、業務の効率化が図

られる反面、これまで問題になりにくかった、ネットワークを通じた個人情報の漏洩等、

情報セキュリティ対策が必須とる。同社ではまだ、そこまでの対応は困難とのこと。 ◎顧客開拓

154

Page 159: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

ダイレクトメール(はがき)の効果はほとんどない。特に最近の若い人は郵便も見ない

し、チラシも見ない。電子メールはそれに比べて効果がある。しかし、入会規約で説明して

いるのに、何らかの特典がなければ、送っただけでクレームが来ることもある。メール会員

は何百人規模であり、会員全体の 1~2割である。こういったツールを利用した顧客拡大を今後も続けていきたいと考える。 ◎生き残り ビデオ業界は、ツタヤと GEOの 2極化が進んでいる。その中で同社がどのようにして生き残るか、次の事業の開拓を模索中である。基本的に競争相手であるので、他の企業とのグル

ープ化の動きはない。小さな書店は撤退している状況で、書店事業のみで展開していたら同

社は生き残っていなかったであろう。現在は、中小の書店は撤退して、チェーン展開する書

店だけが残っている。しかし、中小書店も消費者にとっては必要であると思う。大手ばかり

になると、駅前にしか本屋がなくなってしまう。書店に関しては地域に根ざした品揃えで対

応していきたい。競争相手はコンビニとアマゾンである。アマゾンでは、早ければ翌日に注

文したものが届くのに対し、書店では 2週間くらいかかるものがほとんどである。

155

Page 160: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

3-5.ジェーネットプランニング

所在地 京都市下京区新町七条東塩小路町 727番地 5 センターしんまち 5-B

代表者名 青地 一守 資本金 - 設立年 1989年 業務内容 経営コンサルティング 従業員数 コンサルタント 3名

会計専門 1名 スタッフ 2名

1.事業の概要

同社がコンサル業務を開始したのは、バブル崩壊の後である。主に税理士事務所や公認

会計士事務所向けの業務改善支援からスタートした。経理高度化研究所という名前は一般

企業への訴求力に乏しいとして、法人化した際に現在のジェーネットプラニングへと名称

を変更した。しかし、経理高度化研究所は一部署として残している。これは、会計事務所の

間では経理高度化研究所の名前で通っているためである。一般企業には、ジェーネットプラ

ンニングとして知られている。 現在の主な業務は、コンサル業務全般、インターネット図書館(ITLIB)、インターネット

講座(ITLEC)、ネットコンサル業務である。 会計事務所は様々な業種の顧客を抱えている。したがって、同社は様々な業種の企業の相

談にも応じることになる。コンサルティングに入っている顧客企業は地元京都にはほとん

どなく、6割が関東甲信越(東京・横浜、千葉、群馬、栃木)の企業である。残りの 40%のうち、20%は中国・四国、20%は中部地方となっている。自ら出向いて全ての業務を担当することは難しいので、地元で提携しているコンサルタントにも外部委託している。現代表が独

立する前の専門地域は中・四国・九州であった。したがって、設立当初は中・四国・九州の顧客

が多かった。これまで、福岡、広島、大阪、東京、仙台、札幌等で定期的に会計事務所向けの業

務改善セミナーを実施している。 ITLIBの現在の会員数は 2年契約が 14件となっている。1時期は 400件を超えるほどで

あったが、大幅に減少している。なお、ITLIBは同社が商標登録している。 また、同社が HP を作成したある会社は、ネット通販の楽天市場でコスメティック部門売上 NO.1に輝くなどの実績もある。

156

Page 161: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

2.IT化による競争力の向上、業務の効率化への考え方

◎会計業界に改善の余地大

会計業界の問題として、コンピュータの進化にも関わらず業務の仕方が戦後から全く変

わっていないということが挙げられる。一般職員でも月に 80~150 時間もの残業をしている。コンピュータ化を進めていないために、残業の削減ができていない。判断業務、税務相

談以外の業務の 8割はルーチン作業である。したがって、それらの業務は効率化する余地を大幅に残している。

◎蓄積したノウハウを公開して競争力強化

社内のノウハウを全てと言わないまでもある程度公開することが次のビジネスにつなが

ると考えている。ノウハウというのは作った人が価値を感じて使っているものであり、第 3者がすぐに使えるものではない。商品として公開できるノウハウは、商品として販売するの

がいい。同社はコンサルティングの仕事からノウハウを蓄積している。その蓄積した情報を

ITLIBに入れて公開している。ノウハウは新鮮なうちに活用して始めて価値がある。 ◎システムの維持管理が重要

ただし、情報化の投資に一度踏み切ったのであれば、システム構築から維持・管理をやり

続ける人がいないといけない。従業員が辞めてもシステムを維持・管理できるように、仕事

の伝承が必要である。ある従業員が辞めた途端に管理できなくなるのは、引継ぎがうまくで

きていないということである。

3.IT導入により、効率化等を図っている業務内容

◎業界特性を把握して業務を拡張

会計業界には、どの会計事務所でも事務作業の仕方が同一という特徴がある。つまり、あ

る事務所で業務改善の支援に成功すれば、同じ問題を抱えている事務所の業務改善にその

対策を用いることができる。売上が数億円にものぼる事務所がある一方で、数千万円しかな

い事務所もある。しかし、経営課題はどちらでも全く同じである。そこで、収入の多い事務

所からコンサル料をもらって、業務改善支援の成功体験をパッケージ化する。その支援パッ

ケージをインターネット経由で提供することで、より安い料金で小さな会計事務所にもサ

ービスを提供できるようになった。これが ITLIBである。

◎図書館形式でいつでも閲覧

ITLIB には会計事務所の成功事例が標準化されており、図書館形式で自由に閲覧してもらっている。情報ファイルはワード・エクセル形式で入っている。顧客自らが最初から作る

157

Page 162: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

必要がなく、さらに改良を加えることも容易である。これまでに 124の会計事務所を支援してきた。情報ファイルはおよそ 5000アイテムある。

◎場所を問わず情報にアクセス

同社は零細企業であるので、人手が有り余っているわけではない。訪問先から資料が急に

必要となったときに取り寄せることは簡単にできない。そこで、ウェブサイト上の ITLIBからダウンロードできるようにしている。出張のたびに USBにデータを入れて運ぶ必要はなく、訪問先で経営問題にあたったときにすぐ調べることができ、スピーディな対応をとる

ことができる。 データには、講演会のテキスト、研修会、業務のクローズ、人事に関するものがある。1997年には ISO資料一式が入っていた。原則として春と秋の年 2回、データを更新している。データ更新時に削除するものもある。 ◎ノウハウ公開で顧客獲得

同社はノウハウをすべてネット上で公開している。ITLIBの会員の中には、そのデータを全部ダウンロードして CD を作成して、知人に配っている者もいる。しかし、ノウハウはソフトと違ってパッケージ化されていないので、入手しただけでは活用できない。結局、コピ

ーした資料だけでは使えないので、使い方について同社に問い合わせが来る。コピーに歯止

めを掛けることはしないことが、逆に顧客の獲得につながっている。 ◎冊子でもノウハウ公開で顧客獲得

いくらインターネットやパソコン利用が普及してきたとはいえ、インターネットを使え

ない経営者は存在する。そうした人達のために冊子も作っている。しかし、印刷コストがか

かるだけでなく、情報はすぐに陳腐化するので、できれば作りたくない。報酬規程、個人

情報、後継者養成講座、内部監査の冊子は、平成 14年 12月頃から作っている。ただし、webサイト上で公開してから 1年遅れでの製作である。 インターネットでの本の販売は、関東のニーズが高い。ほとんどが関東である。関西の

人はあまり買わない。インターネットでの申し込みは、東京、千葉、神奈川、静岡、長野、三重、

富山、新潟、大阪、京都、沖縄等である。月 20~30本の申し込みがある。 ◎ネット会員から顧客へ

以前はネット会員の件数が 400 件を超えていた。しかし、最近はネット会員件数が大きく落ち込んでいる。ネット会員を辞めた企業の中にはコンサル指導を受けてくれている。ネッ

トでの情報だけでは物足りなくて、体系的に教えて欲しいということになる。これは当初は

想定していなかった事態である。

158

Page 163: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

◎メールマガジンで定期的に情報発信!

入会金を払ってから 1年以内にデータをすべてダウンロードしてしまうい、ネット会員の契約を 1年で辞めてしまうケースも多い。ただし、メールマガジンを取っている人もいる。辞めた人のほとんどが、メールマガジンを継続している。メールマガジンの登録件数は、一

時期は 2500件を超えていた。平成 16年までは月 2回、現在は月 1回発行している。 ◎低額 HP作成が好調 会計事務所からの HP 作成を受注している。他社では 200 万円もの費用を請求するとこ

ろもあるが、自社は 30 万円で作成している。同社のリンクバナーを貼るという条件をつけることで、低額サービスを提供している。HP の作成スキルの高い人は、値段も高く、100~200万円の費用は普通である。これでは中小企業の支払い能力を超えている。 ◎ITLECでどこからでも講習会に参加 現代表は、かつては年 4 回講演会をしていた。講演会に参加するためには、講習費以外に交通費が何万円とかかり、一泊二日で半日しか話を聞けない場合は負担が大きすぎるとい

う話を聞いていた。そこでインターネット講座(ITLEC)として、講演会の内容をビデオで放映すれば、低額でサービスを提供できる。ネット上でやれば、1 アクセス 1,500 円くらいですむ。動画配信を行って、テキストはダウンロードしてもらう。質問があればメールで無料

相談も受け付ける。ネット講演会から関心を持ってもらい、会員獲得にもつながっている。 ◎ホームページで営業活動

戦略的に HPを作ることも仕事である。最近はブログ形式の HPも多いので、最近はブログ形式に変えている。自社で HPを作成していた男性が独立して辞めたので、現在は HPをブログ化している会社と外注契約を結んでいる。コンサルの仕事から HP 作成の仕事がとれる。 また、HPを通じて、5万円の本が月に 7~15セット売れている。営業マンが走り回ってもこれだけ売るのは大変。仕事をしていく中でノウハウは自然と蓄積されていくので、商品で

あるノウハウの原価はほとんどゼロである。ただし、協力企業に対して版権はいくらか返し

ている。

4.IT導入に当たってのシステム構築等の対応上、苦慮した点

◎大変だったデータの分類

インターネット図書館(ITLIB)にアップロードするデータの作成は、さほど難しくない。ワード・エクセルで作ってリンクコードをつけるだけでよい。しかし、業務を確認して各カ

テゴリーに分類することは大変である。例えば、会計業務は、月次処理、決算申告・確定申

159

Page 164: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

告、給与計算、記帳代行という 4つに分類することができる。この 4項目に正確に分類しなければならない。そこから更に、基本知識、作業の仕方、申告の仕方といった小項目に分類さ

れる。それを会計事務所の事例を通じて分類するのに時間がかかる。決算でも、決算処理、

申告届、申告処理がある。税務上の税務監査には、税法チェックリストを作るために、資料関

係をまとめなければならない。業務を税理士に聞いて、取り出し方をインタビューするのに

時間がかかる。

5.IT導入上の課題

◎会計事務所は顧客企業の IT化もセット 本来、顧客企業の請求書、伝票の処理等は顧客企業自身が行うべき業務である。大企業で

は社内分業ができているので、経理担当者が請求書、伝票の処理等を行っている。しかし中

小企業の中には、面倒だからといって会計事務所に任せてしまっているケースがある。そ

のために、会計事務所の業務が増えて残業が増加するというのが実情である。会計士の業務

は、できあがったものをコンピュータに入力して税務申告上の書類を出すだけである。企業

のいわれるままに業務をするから残業が増えるのである。会計事務所の改善をすると同時

に、会計事務所の顧客である中小企業の経理業務も改善しなければならない。 ◎コンサル料の値下げが必要

企業のコンサルティング費用は、時間が短ければ安いという事実を広く広報したい。ITをさらに普及していくにあたって、コンサル会社が設定している費用は高額すぎる。コンサル

タントは、同業務が自分たちにしかできないと考えて高い金額を設定しがちである。実際に

目に見えないコンサルティングに対して 200~300万も払える中小企業はほとんどない。50万円でも分割でないと払えない。そういう現実を認識できているコンサル会社が少ない。 同社では、料金の分割支払い制度を設けており、契約の締結にプラスとなっている。中・長

期的に見れば、料金を一括でもらっても分割でもらっても同じである。入ってくるお金はお

なじで、キャッシュフローが違うだけである。10回分割でも良い。 ◎可視化への理解が不可欠

経営者は技術を可視化したいが、ベテランが協力してくれないという話を経営者から聞

くことがある。職人は若い人に技術を盗まれて自分の仕事がなくなると考えるから技術を

出さない。熟練技術者にはマネジメント部門に移ってもらい、楽をするために技術を標準化

すると思わせないと可視化はできないだろう。自分をお払い箱にするために技術を標準化

すると考える職人が多いからである。 ◎IT推進は東高西低

160

Page 165: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

現場の人がマニュアルを作り、技術を可視化することは企業にメリットをもたらす。関東

では、技術の標準化によって仕事を分散化したい、楽をしたいと考える。関東では後継者育

成の課題もあり、文書化、技術の標準化は必要と認識されている。一方、関西では技術を標準

化するという意識が比較的低い。関西の企業は見えないものにはお金を出さないところが

多いと感じる。コンサルや業務の標準化に資金を出したくないと考えている。しかし、実際

には、可視化をして、後継者を養成するのが育成が急務である。 関西の企業 HP はパンフレットの焼き直しが多いのではないか。インターネットは広告

媒体と見ていても、営業の手段としては見ていない企業が多い。そのため、会社のアピール

すべきところを見せて、その会社の関心を引くような作り方をしていない。きちんと作って

アクセスするようにすれば営業マン 1 人くらいの働きはする。実体験を HP に取り込むことが大事である。 ◎ITは有能な営業マン

ITに 100万円出すよりも設備投資をしたがる人が多い。ITで食べていけないと考える人が多い。技術の世界は機械ありきである。IT は営業マンの役割を果たすということをわかってもらいたい。 ◎IT担当者を複数に

HPの担当者は少なくとも 3人は必要である。1人が辞めてしまい 2人になっても HPを勝手に変更される恐れはないだろう。1 人なら悪いことをしてもばれないため、複数いる必要がある。

6.今後の取り組みと対応方向

同社の HP は会計事務所向けにデザインしている。会計関係向けに専門的になりすぎていて、一般企業は入りづらい。HPを少し修正すれば、医師向け、建設会社向けにも変更できる。

161

Page 166: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

3-6.(株)杉田総合経営センター

◇会社概要

所在地 〒612-0807 京都市伏見区深草稲荷中之町 33番地 杉田センタービル

代表者名 杉田徳行 資本金 27,000千円(グループ全体) 設立年 1964年 業務内容 コンサルティング 従業員数 約 12名

1.事業の概要

同社は 1989年 1月 7日に創立した。父親が亡くなったのがきっかけである。当時アメリ

カにいたが、家の方が大事だと思った。自分は長男であり、父は商売人であった。松下に

約 10年勤めていて、経理課長をしていた。 業務は、「会計」を主体として「税務指導」を中心として行ってきた。これを「事業承継」

「M&A」「自計化指導」「給与計算」「経営計画の予実対比と先行管理」に発展させている。

主な事業内容としては、財務会計システム業務、相続・事業継承対策業務、資産コンサル

ティング等があり、社会の変化に対応して、業務内容を変化させている。 顧客は医者が多い。なぜなら、医者は収入・経営が安定して、倒産することは少ないか

らである。そのなかでも、診療所が多い。病院は診療報酬でたたかれているが、診療所は

まだ経営的にも余裕がある。顧客の 3 分の 1 が医者であるが、その他は中小企業ばかりである。中小企業は、製造、飲食、建設、サービス、卸、不動産といった事業を展開してい

る。 医者の開業指導については、一般企業の経営分析と共通する点もある。開業指導におい

ては代表的な会計ソフトを加工したものを用いており、このソフトを 1 ヶ月に 1 回売り込みにいっている。 開業とは、「ヒト」「モノ」「カネ」の 3 つを整えていくプロセスである。「ヒト」は診療所スタッフと患者である。スタッフの良し悪しが診療所の業績を決めるので重要である。「モノ」

とは、土地、建物、医療機器、備品である。「カネ」とは開業資金であり、自己資金でまか

なえない部分は金融機関から借り入れることになる。どこで開業するかを医者自身に決め

てもらった上で、業者を選んで、建設設計・計画を立てる。開業計画には、資金分析、返済・

借り入れ計画、雇用計画等が含まれる。金融機関においてその計画を説明して、資金を確

保してから、人の雇用、広告、行政手続きを進めている。

162

Page 167: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

2.IT化による競争力の向上、業務の効率化への考え方

IT化にはコストがかかるが、IT化によって顧客を囲い込める。つまり、同社のシステムを継続的に利用してくれるようになる。 現在、病院ではカルテの電子化が進んでいる。電子カルテは医師会からの要求である。し

かし、小さな診療所では人手の関係で難しいと感じる。

3.IT導入により、効率化等を図っている業務内容

◎会計処理の効率化

会計業界では、「自計化」指導によって業務は楽になってきている。「自計化」とは社内

で決算業務を行い、会計事務所はチェックするだけということである。また、会計ソフト

の充実により、会計処理は効率的になっている。代表的な会計ソフトには、弥生会計、TKC、MJS、ICS、JDL等がある。同社では、TKCとMJSを使っている。

OCR(光学式文字読取装置)導入により、会計処理が高速化し、業務効率が向上した。所定の様式に数字と摘要のみを書き込み、機械がそれを読み込む。例えば、交通費につい

ては、出先と行き先を顧客が数字で書くだけで、後は機械が高速で読み取る。金銭出納帳

のようなもので資産表を作成することができる。 ◎会計ソフトの加工販売

同社の取扱商品として、企業経営 IT戦略パック「マイ顧問」がある。これは会計事務所とネット接続することによって、オフィスにいても全国の経営者と商談することが出来る

というソフトである。書式も 3,000本くらい入っているので、それを修正して利用できる。挨拶状などのビジネス補助ツールの利用、給与計算、商工リサーチ、三井物産と提携した

資金分析もできる。料金の方も安価で、弥生会計は 3~4万円し、更新も必要であるのに対し、同ソフトは自動更新ができ、追加費用も必要ないというメリットがある。 電子書表で入力すれば、往復の時間も必要なくなる。業務の効率化は、競争力の向上に

つながる。 このシステムはここ 7、8年で構築した。ソフトの充実も背景にある。手書きの場合には

書き間違えたらやり直し。電子であればその必要はなく、使い回しも簡単にできる。 ◎電子申告の推進

韓国では電子申告が進んでいるが、日本であまり進んでいない。今年から 5 カ年計画で電子申告を進めようとしている。韓国では、電子申告すると税金が安くなる。日本でも、

今年から電子申告すると所得税が 5,000 円安くなる。電子入力であれば、電話と違い、相

163

Page 168: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

手の都合を考えなくて良い。USB メモリに入れれば、データを手軽に持ち歩けるため便利である。 4.IT導入に当たってのシステム構築等の対応上、苦慮した点

同社では 1999年から機械をどんどん導入していった。徹底したのが 2001年くらいである。セキュリティ対策に富士ゼロックスのビートを入れたのは、ウイルスに感染したため

である。3、4年前、PCシステムを導入し、LANを構築した後に、ウイルスに感染したために、個人情報保護の目的でビートを導入した。そしてシステムが固まってきた後に、個

人情報保護法が施行された。 代表は 54~57歳の間に PCの入力から勉強した。年輩の人にとっては PCの操作方法を習得することは厳しいと実感している。 5.IT導入上の課題

◎零細企業への IT化支援 従業員が 10 人以下の零細企業(八百屋等)が中小企業の IT 支援からはずれていることが問題である。また、零細企業では、社長本人が IT 化を進める気になっていないのも問題であるが、これは時代の流れで変わっていくであろうと考える。 ◎社長の牽引力

企業で IT 化を促進する際に重要になるのが、社長の考え方である。秘書に IT 関連を全部やらせたら、企業内でどのように構築してどのような仕組みで動いていているかが分か

らないために、ブラックボックスになってしまう。 ◎企業全体に必要な IT活用能力

IT 化促進を牽引するのは社長であるが、団塊世代の社長は PC を扱えない人が多いことが問題である。同様に、ITを導入したとしても、50代、60代の従業員に IT活用能力を身につけさせることが難しい。若い従業員に期待するのが良いと考える。

6.今後の取り組みと対応方向

現在は小学生でも PC を扱うことができているので、今後 10 年で IT 化が急速に進展していくであろう。PC を全く触ったことのない、団塊世代の人は次第に引退していくので、今後は PCを扱える人ばかりになるであろう。

OCRによって仕分け等を自動化できれば、同社はルーチンワークからコンサル業務といった付加価値の高い仕事にシフトできる。コンサルティングにおいて、顧客同士のマッチ

164

Page 169: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

ングにより、新たなビジネスが生まれることも期待できる。

165

Page 170: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

高槻市

IT 利活用

■組織形態

① IT推進本部

・ IT推進本部は、市長を本部長、副本部長に助役、その他全部門の部長で構成されて

いる IT専用の施策的な決定機関であり、事務局は常設だが、会議的な組織である。

・ 情報化関連の施策は、まず予算込みで、IT推進本部に出される。

・ IT推進本部においては、提出された施策について、重要性を討議したうえで評価を

行う。ボトムアップだけでなく、トップダウン的でもあるといえる。

②CIO及び CIO補佐官について

・ CIOは総務部担当の助役で、専門職ではない。CIOは、IT推進課の所管であり、セ

キュリティ面、システム運用管理・施策の実行機関を統括している。

・ CIO補佐官は、庁外の専門員で、現在は関西大学総合情報学部 小林助教授。補佐

官は条例上は電子自治体推進員であり、週 2日勤務で毎年の更新制である。セキュ

リティ面は補佐官が担当している。

③人材

・情報システム部と他の部門間の人事異動について、メインフレームのところへの、

異動は多い。IT 競売を始めたのはメインフレームからであるが、電子入札が入った

ときには、IT 課の職員はいなかった。

■経営課題

①システム導入による職員数の削減

・主に、バックオフィス部門でシステム導入により人員削減効果が出ている。例えば

税部門で、従来は紙に手書きしていたものをオンライン入力にすることにより職員

数を減らすことができた。

・新システム導入の際には、費用対効果の算定を厳密に行っている。

・システム導入により既存業務のスリム化を図ったうえで、人員が必要な部署に再配

置して全体としての効率化を図るもので、システム導入業務だけの人員減少による

効率化ではない。

②決済プロセスの迅速化

・ 平成18年 8月から文書管理システムの電子決裁の導入を行った。文書管理システ

ムは、内部調整が大変であり実際に導入している団体はそう多くはないと思う。先

進の団体はそろそろ決裁部分のシステム化が図れないかと考え始めている頃だ。

■経営手法・経営スタイル

1

166

Page 171: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

①目的の明確化とトップダウンによるIT戦略の徹底

・施策は、市長をトップとした IT推進本部で全体を見通して決定されるが、市長の意

志が強い。

・基本的には原課サイドでの点数化された優先順位だけでなく、施策の重要性などに

つき各部長が論議して採用するといった形での目的の明確化を図っている。高槻市

の施策としては、市長の考えに最も近いサービスは何かということについて、各部

長たちが議論をして行く中で決めていくというところを原則としている。この面で、

ボトムアップだけでなくトップダウン的な施策を反映した明確化が出来ていると考

える。

②投資効果の明確化

・行政の場合、政策的なものが絶対にありお金に変えられない部分が存在するので必

ずしも物理的な結果がすべてではない仕組みになっている。

③庁内の役割分担の明確化

・IT実行による庁内の役割分担については、IT推進本部において明確化されている。

市長が本部長、助役が副本部長、あとは全ての部長であり、重役会議のメンバーが

すべて揃っている。専用の IT用の協議を行うというイメージである。

④ボトムアップとトップダウン

・こういう形をやりたいですというのを、まず担当部署にあげる。各部長がそれぞれ

やりたいことをあげてくる。

・ IT推進本部の事務局は情報システム課、総合調整室、市民情報室の3課で、事務

局にあがってくる案件は、基本的には各課で仕様や費用対効果も整った形であがっ

てくる。

・これらについて議論をする中で優先順位を決める。

・IT予算という意識はない。IT推進本部でお墨付きがついている施策には必ず予算が

ついてくる。

⑤ e-たかつき計画

・「e-たかつき計画」自身は基本的な概念を述べているのだが、「e-たかつき計画」の

アクションプログラムの個別の事業(32プログラム)については、IT推進本部でオ

ーソライズされる。

⑥費用対効果の評価(事前評価)

・業務にはフロントオフィスのように主に定性的な業務があり、単純に人員減少数を

評価に結びつけられない。フロントオフィス部分については定性的な評価、例えば、

これをやれば住民サービスがこれだけ向上するとか手続きが簡単になるとかいう形

で点数付けをして評価している。

・ バックオフィスについては確実に金額的なものが出てくるので、削減効果が数値で

表せる。

2

167

Page 172: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

・IT 戦略の総合的評価は、事後評価として行政評価で行っており、市民公開されてい

る。事前評価は IT推進本部で費用対効果表を含めてきっちり行っている。

⑦評価表の作成

・書き込めるというのは、庁内全体の部長なり課長なりの IT に関する知識が高いと理

解してよいのか。

・過去に経験がない人には、作り方、考え方を教えながらやっている。

・風土的にかなり昔から自分のところの仕事は自分で考えねばという原課意識があった

が、専門的なことは判らないからアドバイスはしている。我々も助言協力は惜しまな

かった。原課のことは原課が一番良く知っている。だが情報化するに当たっての専門

的技術的なことは情報システム課がアドバイスする。

⑧ IT投資における PDCAサイクル

・評価までは出来ているが、改善は出来ていない。

⑨アクションプランの中で、数値化は IT化の部分だけで、アクションプランの総合計画

での位置づけでいうと安心安全のまちづくりで位置づけられている。

■経営・組織の高度化

①組織のフラット化、人材の最適化

・組織のフラット化は従来から進めていたが、組織のフラット化及び人材の最適化が

進んだ要因は電子決裁の導入である。

・ 従来は決裁の順番や決裁する人が特定されていたが、電子決裁導入後は該当する役

職の中で早く見たものの決裁となり回示される。システムに役所が合わせたという

ところだが、良いところは選択して残せる。

・ 庁内インフラ導入時に手続きとして、メール、掲示板はみない方が悪いという風土

が出来ている。

■組織の業績評価

①事後評価

・計画を推進していく中で、時代が変わり要請が合わなくなった時の検証は、行政評

価で行っている。システム的な定性効果ははっきり出せるのだが、定量的なものを

出すことは難しいと考えている。

・目に見えないサービス向上も含めて財政、行革、総合調整で行っている評価結果を

市民に公表して、良し悪しを評価していくシステムが高槻市のシステムではないか

と考える。

・この様な方法は、推進本部の中ではなく全庁的なシステムの中でのフィードバック

であり、事業評価を財政、行革、総合調整等違う視点から評価する。

・事務事業評価、行政評価両方を含んでいるかはわからないが、少なくとも財政、行

3

168

Page 173: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

革、総合調整での査定を原課は受けることになる。

■革新的な IT 導入

①経営戦略と IT戦略の一致

・ITは、首長との施策を実現するためのツールとして利用したという考えであり、IT

戦略という言葉はなじまない。

■市民へのサービス

①住民からの意見を把握

・庁内の全部署で、9時~5時に拘わらず、ホームページ上から住民の意見が聴取でき

る。(目安箱、パブリックコメント etc)

・文書言葉による意見なので形としてすぐ庁内インフラで担当にまわせる。

・各部長宛の個人メールがホームページ上に掲載されているため、ダイレクトに意見等

が入って来る仕組みになっている。部長が直接何らか返答する。トップダウン的な処

置である。

②テレトピア計画における整備システム

・スポーツ施設予約(オーバス)システム、図書館情報システム(蔵書検索・予約)、

福祉緊急通報システム

③ e-たかつき計画

・フロントオフィス(電子入札、たかつき e-ラーニング等)

・子育て支援情報提供システム、介護支援情報提供システム(ホームページ)

■人材育成

①IT教育・活用について

・IT 推進課の職員は 21 人でそのうちで電算職員は 10 人程度。彼らは専門職として採

用し、汎用部門に関しては専門職の先輩が教えて行く。

・新技術などは、ベンダーなどから必要に応じて教育を受けている。

大規模災害時業務継続対策

①「事業復旧にかかわるガイドライン」を立てているところは少ないのだが、高槻市で

は障害回復のガイドラインは立てている。

②「バックアップデータ」は阪神淡路大震災の教訓を活かして、外部の業者が遠隔地に

保管している。このバックアップデータで同種のシステムを立ち上げたら稼動するよ

うに、現システム構築の際の仕様要件として定めてある。

4

169

Page 174: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

その他

【現状】

① 関西の IT 化においては広域化的な共同利用システムの運用という話は出るが、いざ

導入となると参加しないのが現状。これが問題。

② 関西全体の IT 化の問題は人材

・東高西低の IT 人材でその格差がますます広がりつつあると感じる。ソリューション

の提供、国を含めての実証実験等は、東高西低であり、調査表のランキングに見えな

いもので、底力やシステムの土壌のようなもののレベルが違ってきていると感じる。

③ そのためにも行政自らがアンテナを張っておくことが必要。

④ 市民サービスとして、市民が 1年に 1回でも有給休暇を取らずに窓口業務を済ませら

れれば効果があると思う。

【課題】

① CRSやコールセンターの設置

② 窓口を IT に変える。

③ 人材の大量退職への対応

以上

5

170

Page 175: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

伊丹市 2007.03.18

担当:伊丹市総合政策部 情報政策課 下笠

IT 利活用

■組織形態

【情報化推進組織の現状】

① IT推進本部

・CIOである助役を筆頭に全部門の部長で構成されていて、年に数回、IT計画や IT事業

の検討や報告を行っている。

・推進本部の下、課長級で構成される部会、特定の事項を研究する専門部会を構成して

おり年に数回、講習会、研修会を実施している。

②IT戦略の実行

・IT部門では ITは手段であって目的ではないと考えているが、他部署の認識は情報化に

ついては IT部門に任せておけばいいと考える傾向にある。

・IT部門は昨年までは総務部門にあったが、(IT戦略を)さまざまな施策に展開していこ

うという狙いで今年度からは企画部門に移したところである。

③CIO 及び CIO 補佐官

・CIO は助役だが、事案により最終的な判断をトップが行うものもある。

・本市の CIO である助役には補佐官はいないので、具体的な部分ではボトムアップにな

らざるを得ない。IT 部門をして CIO 補佐官と考えている。この考え方においては、

CIO 或いは CIO 補佐官に求められる能力については、すべての求められる機能を実現

している。

■経営手法・経営スタイル

【現状】

①トップにおける総合計画進捗度の把握等

・情報化計画は総合計画の下で策定されているが、あくまで独立している。情報化計画

は国や県の動向も参考にしながら調整している。

・情報化計画に基づく施策についても他の施策と同様に行政評価を行っていて、その結

果をWEB上で市民、職員に公開している。

②住民の意見・要望の首長把握

・市民から行政への意見は電話や窓口から電子化され、スピードは増した。行政サービス

の差別化はよくわからない。ITを入れたからといって如実にサービスに差が出るとは思

わない。でも、IT を入れないとサービスができない、ということはある。住民が IT を

利用していることは事実。

1

171

Page 176: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

・IT 以外の手段では、従来どおり窓口や文書で或いは電話で対応している。また、ラウ

ンドテーブル事業があり、市長が 2~4 ヶ月に1回、団体をまわって意見交換を行い、

議事録がWEB上でも公開されている。

・これら様々な方法により住民の意見や要望を把握しており、把握するスピードが向上

しているといえる。

■IT による行政サービスの提供

【現状】

①電子申請

・県下の市町で、共同運用システムとして電子申請システムを利用していて、申請や

届け出が自宅や職場から、インターネットを活用して24時間いつでも行える。

利用時間の傾向から夜間利用が多いため、住民サービスの向上に貢献していると

いえる。

②市への意見等

・市では、ホームページ上で市民からの意見、質問などを 24時間受けている。

・市職員は一人一台の PHS を持っているので、住民の意見等は適切な部署に転送するこ

とにより迅速に対応できる。子どもに関する事については、「子ども企画」で受けて適

切なところに紹介している。

■庁内業務の効率化、高度化

①決裁プロセスの迅速化

・電子決裁を、平成18年5月から本庁及び教育委員会等全庁に本格的に導入し、事務

的なものについてはすべて電子化している。

②トラブル発生率の減少

・市民への各種証明書の発行はIT化が基本で、手作業自体が減っていることによる単

純ミスとデータ自体がきっちり管理されていることによる無用なトラブルが減少して

いる。

■情報の共有

① グループウェアの導入

・平成 11 年度にグループウェアが、平成 15 年度に PC 端末1人1台が整備され、平成

16、17 年と徐々に使い慣れてきた。庁内の車両や会議室の予約がグループウェア上で

行えること等により、庁内情報伝達の確度、徹底度合い、共有度合いが進んだといえ

る。

② 平成 18年に電子決裁が導入され、さらに共有度合いが進んだ。

③ 地域の団体は殆ど WEB 情報を立ち上げていて、その活動支援する組織もあるので、

2

172

Page 177: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

情報が得られるようになって支援しやすくなった。

■人材及び職員に対するIT教育・活用について

【現状】

① 人事

・IT採用枠を平成 16、17、18年と募集し、民間経験者を4名採用し、うち3名が IT部

門へ配属されている。

②人員削減

・グループウェアにより業務が減少したのは事実であるが、間接部門人員が減少しても、

機械が入ったから業務はこなせるという感じである。

③人材評価

・人材評価の仕組みはグループウェア上にあり、管理職級以上の職員に対してのみ実施

している。被評価者の上司が段階的に評価し、人事部門に送られるという仕組みである。

④ 職員に対する IT教育・活用について

・教育は、LASDECのプログラムを中心に利用している。

まず、基礎研修で、能力を判断する。2週間の期間で多くのメニューが用意されている

ので基礎体力をつけるには十分であると考えている。

・セキュリティ研修、パソコン研修、情報化はどんなものかという研修は必要に応じて行

っている。

大規模災害時業務継続対策

【現状】

①「事業復旧にかかるガイドライン」は特にはもたないが、ここ数年見直すよう提言し

ているので、来年には対応予定である。

②「バックアップデータ」は阪神淡路大震災の教訓を活かして、外部の業者に遠隔地に

保管して貰っている。自家発電装置は市としても整備している。

③伊丹市は防災に関する意識は高いが、IT対策に対しての意識が高いとは限らない。過

去に大雨時の冠水に対してホームページにすぐに情報がでていなかったことがある。

④危機管理担当部署が出来て、防災情報などをメールマガジンで流すことやハザードマ

ップをホームページ上に UP するなどを行った。今後も必要に応じた IT の活用を行う予

定である。

【課題】

①「人手と資金不足」のため、危機管理業務の中で IT部門の業務に手がつい

ていない。バックアップ態勢をとるには今の2倍の資金が必要で、なかなか実現しな

いが必要である。(具体説明の一項目ですので、これだけを記しても全体のイメージ

3

173

Page 178: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

が伝わりにくくなると感じます。)

②「危機管理室」という危機管理の専任の専門部隊が平成 18年に設置された。この中で

の IT部門の位置づけが明確でない。防災計画の中に明確化する必要がある。

③被害の捉え方、現実味が薄くなっているのではないか。CIO補佐相当役である IT部門

から危機管理室に提案して行く必要がある。

④災害時の業務は通常と全く異なる。従って、現実化するのは非常に難しいが「災害発

生時の業務システム」が必要である。

その他

① 関西の IT 化ですべきことは?

・住民からみた生活圏、阪神域あるいは府県を越えた隣接エリアでの共同運営や広域連携

が図れれば良いと思う。

・関西でも他の自治体が何をしているかは、隣接する自治体以外、特に府県を越えると判

らない。伊丹市はベッドタウンなので、住民は大阪を向いている。

・出来る範囲で住民票などの各種証明等の取得や医療分野などで一つのシステムで共有

化する。実現には、2~3レベルアップしないと共有化できないと思う。

・民間と行政の情報提供を垣根なく(官民連携)、市民に対してやっていきたい。例えば、

保育所は公営と民営があるが、公営の保育所の情報は流しやすいが、民営はつかみに

くい。そういうことを集めた事業をしたい。伊丹市だけでなく、将来的には広域的に

やりたい。

② 県内の動きは?

・兵庫県からの情報発信はまめにしてくれていると思っている。それと比較して住民の

生活圏である大阪府下の情報が少ない。

以上

4

174

Page 179: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

精華町

ご担当:精華町総務部 財務課 情報システム係

IT 利活用

■組織形態

【現状】

① CIO等について

・CIOは助役であり、CIOをサポートする CIO補佐官的な職務を担う人はいない。

・ 首長は経営戦略と IT 戦略の一致が必要であるという点について理解はあるが活用

するまでの余裕がないと思われ、情報システム係からの提案が出来れば IT 化が進

む面もあるかも知れない。

・ トップの意識としては、現在整備面では一定レベルに達しているという面もあるの

か、トップレベルでは積極的に IT 化を推進するという機運はなく、IT 化推進事業

の優先順位はあまり高くない。

②新施策の決定プロセス及び全庁的な取組は情報システム係が主導

・情報システム係は財政課の中に所属していて、予算的には各部署のシステム周り

も財政課に集約するような体制としている。セキュリティの問題もあるので各課で

は勝手に出来ない仕組みとし、相談は全部集まってくるようにしている。内容につ

いては直接原課で作っているものもあると思う。

・全庁的な取組のプロセスは横断的な組織が必要な部分もあるし、課題により異なる。

予算面、全庁的な取組みは各課間の調整が必要であるが、調整は情報システム係が

事務局となって進めていき、会議とメール発信の2通りの方法で調整する。

・ICT一般の戦略、言い換えるとシステム企画は、情報システム係が単独で発案し主導

する。また、企画調整課が掘りおこしてきた企画(戦略)でこういう仕掛けでやる

ようにと降りてくる場合もある。

・地域情報も情報システム係が担当で、情報は、行政が仕掛ける部分と住民ニーズで

あがってくるものがあり、これらについては、IT係が発案して起案する。

・横断的な取り組みで現在行われているものでは、窓口サービスにかかる担当課が行

っている窓口サービス部会というシステムを含めて検討する会がある。

【課題】

・トップレベルが目的達成のために、IT をもっと戦略的に活用することが出来るので

はないかという意味で課題があると思う。

■ITインフラ整備と運用

【現状】

1

175

Page 180: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

①IT投資とIT導入状況

・IT 化に対する投資は、これまで全庁的な取り組みの中で、比較的充分であり、特に

新庁舎建設時(平成 13年 2月)に当時としては充実した ITインフラを整備した。PC

は1人 1台。

②IT運用

・町には ITのスキル標準はなく、運用は基幹系も含めて情報システム係の3人ですべ

て行っている。市販のグループウェアはランニングコストが高いが、自前のものは

殆ど経費がかからない。

【課題】

・IT システム、機器等の今後の更新の時期には、予算を確保することが課題である。

■戦略的なITの導入について

【現状】

①経営戦略とIT戦略

・願いを含めてであるが、IT 計画と総合計画をきっちりと整合性を取っているという意

味で経営戦略と IT 戦略は強く関わっているといえる。

②庁内 LANの敷設とグループウェア

・庁内では庁内 LANと自前のグループウェアが動いていて、事務レベルでは連携でき

ている。グループウェアを利用して、庁内の会議室予約やファイルの掲示板機能を

活用していて、庁内の情報の共有度は進んだと思う。

③財務会計制度・公会計の見直し

・ 時期的にシステム更新をしたところであり、財務会計は特にシステム更新を行った。

元々、財務会計は全体の見直しに取組んでいたところであり、自治体の会計も一般

的な会計指標での発表を財務会計システムの中で実現して行く取り組みをしてい

たところなので、システムの中で公会計を先取りしたかなり独自性をもったものに

している。

・ 税徴収の支援ソフトウェアがあり、その検討も行っている。

【課題】

①電子調達

・府で共同開発をしていて、精華町も参加している。文書管理の電子決済、電子入札な

ど現在町で稼動していない分野で利用できるものがあれば、積極的に考えていこうと

思っている。

■住民へのサービス

【現状】

① 電話による苦情受け付け

2

176

Page 181: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

・ 住民意見の把握方法としては、庁舎建設時にCTIを導入し、住民の声のデータベ

ース化を試みたが、手間がかかり過ぎたため現在は稼動していない。また、住民の

側と役場の側の意識もここ十数年の間に旧庁舎時代とは変化してきているように

思われる。苦情を言った人は、本人を役場側に特定されるのを好まない、或いは役

場内の他の部署が知っているのはおかしいという意識をもつ人もいる。時代が早す

ぎたのかもしれない。

② 総合窓口支援システム

・ 窓口応対として、特に転入、転出、出産等のライフイベントの手続きをナビゲーシ

ョンする別システムが動いている。例えば、転入なら、年金、健康保険、税の手続

き、学校へは教育委員会などの手続きが必要になってくるが、住民が窓口に来て端

末の前に座ると移動せずに画面の手続きの指示に従い担当職員が窓口まで来るシ

ステムになっており手続きが完了する。

③ ホームページからの手続き等

・ ホームページからは手続き的には、申請書のダウンロードだけが出来る。ホームペ

ージ゙そのものは、広報の担当で情報システム係とは切り離している。ホームペー

ジ上で、情報システム係が担当するコーナーで施設予約が出来る。支払いは対応し

ていない。登録者は 600 人くらい、常時の利用者は 50~60 人位である。

【課題】

・住民の不満については、努力したことに対してある程度理解して満足する住民もい

るが、それは全体に及ぶものではないと思う。理解が得られる層とそうでない層が

あり、層の広がりという意味においては救えてないと思う。

・ 住民の不満の解消を検討することが今後の課題といえる。解決法としての地域 SNS

について関心はあるが、現時点では経費がかかるし効果に対する確信も持てない。

・ 施設使用料支払いの電子決済については、今後の課題である。

■人材及び職員に対する IT 教育・活用について

【現状】

①人事

・IT部門の職員は専門職的になっている。

②IT教育・活用

・ITシステム部門の人は LASDECの研修は参加している。

大規模災害時業務継続対策

【現状】

① 職員用行動マニュアル等

・ 防災計画は作成済みで全庁対象の行動マニュアルは総務課で検討中であり、平成 19

3

177

Page 182: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

年度早々にはできると思う。

② ハードでの災害時対応

・大規模災害時の遠距離でのデータのバックアップは行っていないが、主旨を考える

と今後実施する必要があると思う。自家発電装置はすべてのサーバーに電池がつな

がっているので、瞬停対策は出来ている。堅牢な庁舎なので破壊とかの対策は基本

的には計画していないと思う。

情報セキュリティ対策

① 庁内教育について

・全庁的には一般的なセキュリティ研修を年1回、集合形式で行っている。

その他

① 国、府への要望等

・ IT システム係は、情報収集手段としてはけいはんな地域独自では持たず府内での会

議しかないが、府は最近非常に活発で町は会議等に積極的に参加しているのでいろ

いろな話が聞けると思う。

・ 国の住基ネット、LGWAN などシステムの運用に多額の経費がかかる。また、保守業

者も固定されている。

②広域的な取組み

・ 学研都市のバックボーンとなる情報インフラの敷設のため広域的に共同利用する

IMネットを行っていたが、平成 18 年度中で一応終了し、今後は各団体それぞれ

独自の道を歩みだしたところである。

・学研都市に参加している企業との官民連携の地でありたい。そのためにも今後も IT

は有効に活用できると思う。

⑤今後やりたいこと

・ 住民が直接 ICT の恩恵が受けられるようなサービスを進めたいと思う。例えば地域

SNS などは、時間的な制約のなかで魅力的である。また、行政が行うのではなく、

運用はNPOが行う等、考えられる。今やっている総合窓口サービスを自宅から受

けられるようになれば良いと思う。そうすることによって住民からの理解が得られ

るようになることを期待する。住民から行政に求めることが多い中で行政は財政難

なのでお金を使わず満足して貰いお互い幸せを感じられるようにICTで少しでもな

ったら良いと思う。

以上

4

178

Page 183: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

医療の情報化実態に関するヒアリング調査

地域医療情報連携システム「洛和会ヘルスケアシステム」

洛和会音羽病院(京都市)

1.洛和会音羽病院の事業概要

洛和会音羽病院は、洛和会ヘルスケアシステムの中核病院として、診療科目30科、救急医療や急性

期医療を展開するとともに、療養型病床群・痴呆疾患治療病棟などがあるリハビリテーション棟を併設

し、「地域に根ざした医療」を実践している。京都市内の大病院グループの一つであり、患者さんの満

足第一指向でITを活用した医療サービスを地域に提供している同病院をヒアリングした。

洛和会施設一覧

出所:洛和会ホームページ(http://www.rakuwa.or.jp/rakuwakai/shisetsu.html)より

1179

Page 184: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

2

2.IT化推進の経緯

◎平成9年に「医療にIT化は必要か」の議論からスタート!

IT化への取り組みは、平成9年に「医療にIT化は必要か?」、「IT化する場合にどのようなもの

が必要か?」の議論がIT化に取り組むスタートであった。まずIT化を検討するに当たり、他の病院

との差別化を図るためには、ハード(MRIなどの大型医療機器)の導入を早期に行って対応するべき

か、あるいはソフト(情報システムの構築)で対応を図るべきかという議論があった。

議論の決め手となった考え方は医療を一種のサービス業として捉えることであった。患者さんを顧客

(お客さま)としてとらえた場合に、長期的視点から洛和会として患者さんに何をご提供することが一

番喜ばれるのかを考えた。将来あるべき姿を病棟という現場の立場から考えた時、患者さんの待ち時間

を減らすことが求められているという認識を持ち、それを実現する情報システムを構築すればよいとい

う結論になった。

そのためには、過去の病気に関するデータの検索に有効であること、カルテなどの患者さんの情報を

共有することにより、適切な処方が即座にできるようになることがあげられた。そして、院内での情報

共有(IT化)によるメリットとしては、安全性の確保、紙カルテの伝達時間の短縮化(院内で迷子にな

ることもある)、仕事の処理時間が早くなる(患者さんの待ち時間が少なくなる)、診断結果の正確な伝

達 (字の誤認、誤転記が生じにくい)、即時性などがあり、これらを①サービスメリット、②安全メリ

ット、③業務メリット、④治療メリットに分類し、具体的なメリットを書き上げるという作業をまず行

った。

◎投資コストを検討

紙でも仕事はできる。IT化には投資が必要である。机上論でのIT化の促進は必要であるというこ

とは理解できたが、そのための投資費用の問題とどのようなシステム構築が必要であるかが課題でなっ

た。投資費用に関しては、10億円では足りないほどの巨額の投資となる。コストに見合うメリットと

は何かを考えていった。

◎医療情報は院内完結だけでいいのか?という疑問

医療情報は院内完結だけでよいのか?という疑問を抱き始めた。地域にいる患者さんはいろんな病院

に行く。どこの病院でどのような薬を処方されて飲んでいるかということを患者さん単位で情報共有で

きれば、安全性を確保できる。患者さんに対してもメリットがあると考えた。

そこで、音羽病院の中と京都の山科地域の中のIT化を想定し、その範囲に限定した「地域完結型の

IT化(医療情報ネットワーク)」を構築するという構想があがってきた。

地域の中の医師同士は人間関係がある。ITをベースにしながらオンサイトでも医師同士で相談がで

きるということが日常的に起こっており、信頼関係をベースにはじめてIT化は成り立つという考えに

より医療情報のネットワークの範囲を地域までとした。

これにより、地域の医療知識の集約することが可能になった。病院内では、判断しにくい症例が見つ

かった場合は医師達が議論をする。もし、院内で完結できない場合はそれぞれの出身大学や地域の開業

医の幅広い人的ネットワークを活用して相談して適切な処方する。一方、開業医が悩んだ場合は、通常

相談相手が余りなくて一人で悩んでしまう。多くの場合は出身大学や友人の医師に相談することもある

が、地域の医療情報のネットワークがあれば、ネットワーク上ですぐに相談でき、手遅れを少なくする

ことができる。

180

Page 185: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

3

この地域、山科地区は人口13万人、400人の医師がいる。その400人が医療情報ネットワーク

を形成する。病院の中でのIT化のメリットと地域に拡大した場合のメリットは違う。これが当初から

の想定であった。

◎院内のIT化と地域のIT化の実現

平成12年1月の初めに前述の構想に基づくIT化を実施しようと決意し、その夏に銀行に構想の実

現化に必要な資金の融資について折衝した。まず平成13年に院内のIT化を実現し、次に平成16年

に山科地域でのIT化を実現した。

地域のIT化の実績は、山科地域の100の病院のうち97の病院が医療情報のネットワークに参加

しており、極めて高い参加率となっている。なお、地域に診療所が増えるわけではないので会員数の増

減は少ないと考えられる。高い参加率の要因として、医師会のコミュニケーションが地域としてまとま

っていたことにも一因である。山科地域は、地理的に閉鎖地域であり、地域としての独立性もある。

3.IT化推進の効果

◎地域医療の最適化と業務の効率化

電子カルテは、地域診療所との連携のために導入されたものである。電子カルテによって、これまで

の患者さんのデータを蓄積し、それを活用することができる。また、地域の病院が連携することにより、

病診連携と情報交流が可能になる。

画像システムは、将来的に診療所へのWebでの画像配信も考え、レントゲン等の画像の可逆圧縮が

できるテクマトリックス社のPACSシステムを採用した。電子カルテはASP(アプリケーション・

ソフトウエアー・プロバイダー*)運用で、クリニックや診療所は高価なハードやソフトの投資なしに

電子カルテや画像情報(電子化されたレントゲンフィルム等)の利用ができるというメリットがある。

IT化には、院内と地域の双方にメリットがある。電子カルテでは、診療情報、会計情報、資材情報

を一元管理することができるため、院内においては業務の効率化や診療の最適化を含む経営戦略の検討

に有効な医療実態の情報も入手することができる。

*ネットワークを通じて業務機能を利用するシステムで、ネットワークに接続された山科地域の各診

療所から音羽病院の電子カルテ情報を利用ですることができる。

◎患者さんの立場にたった業務改善の実現化

電子カルテの導入により、職種の壁を取り払い、オーダリングシステム(検査・処方にかかわる情報

伝達システム)では実現出来なかった患者さんの診療情報を各部署が共有することで迅速かつ適切な治

療を効率良く行うことができるようになり、患者さんの診療後の会計待ちの時間の短縮をはじめ患者さ

んの立場から見た業務の改善が実現した。

電子化はあくまでもツールであり、IT化を進める上で重要なことは業務効率の改善と、それにより

生み出される人材余力を活用した患者さん志向のよりよいサービス(患者さんへの充実したケアー等)

を提供することにあると考える。

4.IT導入に当たって苦慮した点

◎関係者へのIT知識の啓発

概ね計画通りに進んだが、想定外のこともあった。病院の医師はコンピューターを使った経験がある

181

Page 186: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

4

のだけれども、看護士は当時コンピューターを使った経験がなかった。また、地域の医師の平均年齢も

60歳を越えており、IT知識・技能を学ぶ機会(勉強会)が必要であった。

◎IT活用による業務再構築へのモチベーションの高揚

医師、看護師含めた検討チームを編成し、2週間の検討を重ねた。普段、治療、看護する人たちがチ

ームで検討するには大変な労力がいる。チームの結束力、チーム員のモチベーションをどう高めるかに

苦労した。現場の係長や若い職員を対象に、いろいろな会議に出席させ、発言ができるかどうか、まと

める能力、プレゼン能力などを事前にチェックし、メンバーを選定した。

さらに、自分が決定したことが病院のルールになることでモチベーションがあがるようにした。決定

したことは翌日医局の入り口に掲示したことは効果があった。病院全体のメンバーを巻き込むように工

夫をこらした。

5.IT化導入の成功要因

◎IT化のコンセプトを明確化

IT化のコンセプトを「ドアトゥードア 1時間以内」とした。1時間の内訳は、診察前の待ち時間は

30分以内、診察時間は10~15分、診察後の待ち時間はゼロを理想とし、60分以内のドアトゥー

ドアの実現を8割達成できている。

また、会計処理は、デビット、クレジット、現金OKで、自動支払いになっており、領収書、薬の半

券がでる仕組みとしている。

診察システムは、患者さんが電話や前の診察で予約をする。当日でも可。時間を指定したアポイント

を取る。病院に行くと、総合受付には寄らずにそのまま診察室に行く。出窓受付(簡便な受付)で心理

的、物理的にサポートをし、医師のPC画面に一日分の患者さんの予約が表示される。その患者さんの

カルテが出て、患者さんの到着情報は医師に即時連絡される。待機や検査中などの状態がわかる。何人

患者さんが待っているかもわかる。

診察では、PCを一緒に見ながらカルテに書いていくので患者さんも不信感をもたずに理解ができる。

安心、信頼感を持てる。検査にいくらかかるかなども気軽に医師に聞けるなど、医療がオープンな状態

になっている。

診察が終わると、カウンターで紙を一枚もらう。高齢の患者さんが多いので、次にどこに検査に行け

ばよいかがわからなくなることがある。そこでスタンプラリーのようにして検査室を巡る仕組みにした。

このような方式にすると患者さんが記憶しなくてもすむ。カウンターに戻ると全部検査終わっているこ

とが確認できる。

◎IT化はサービスを向上させることが主目的

IT化に伴いこれまでの業務フローが変わり、余剰の人材も生まれる。この人材をサービス向上のた

めに活用する。サービス業は「部屋の中にいるな」というのがコンセプトである。患者さんに質問をさ

れる前に先に声をかけるトレーニングをし、患者さんの身近にいることを病院のメンバーにミッション

として持たせている。入院の患者さんが来られたときには、部屋まで案内し、室長を紹介するというサ

ービスを始めるなど、IT化を進めるだけでなく同時にホットするような暖かいサービスを提供してい

くことが必要である。

会計システムにおいても、最後に声をかけるために薬の半券を出すようにしている。ITだけだと冷

182

Page 187: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

5

たい感じを持たれるが、高齢化時代に対応した人にやさしいサービスをもっと考えていく必要がある。

◎検討チームの編成と新たなルールづくり

診察するまでの時間、視察した後の時間で言うと、診察後の時間をゼロにすることを目指した。

IT化で待ち時間をゼロに近づけるためには、どのようなプロセスフローが良いかをシュミレーショ

ンした。患者さんがどう歩くのか、どこからどこに行くのか、どこでどのようなメッセージを伝えるの

かを色々なな職種の人間が集まって検討したことにより、業務プロセスの無駄を省くことができ業務効

率を向上させることができた。

また、デモ環境を整えた上で医師が50の診察モデルでトレーニングする仕組みを作った。各医師に

は何も伝えず、初診、腹痛などの患者さんの情報だけを教え、問診、入力ができるかをトレーニングし、

時間と点数がカウントされ、翌日医局に貼り出されるという流れである。診察の時間などのデータを出

力し、医師間の競争心を煽り、また、問題点の改善によりシステムの使いやすさを向上させていった。

写真で記録をとり、棒グラフでデータを出すなど視覚に訴える形で進捗の結果を表示するなど、興味を

持って取り組めるようにした。また、IT化にのらないレアケースなどに対しても十分な議論を積み上

げていった。

6.今後の取り組みと地域医療システム構築上のポイント

◎他の病院での適用拡大に向けた明文化

医療の世界は、文章化が苦手である。ITに精通した人材が医療の知識を持ちIT化を推進すること

が必要であり、システムエンジニア(SE)と医療側が相互理解をしないとうまく進まない。今回の医

療システム構築を通じて、どこでSEが困るのか、医師はどこでSE的感覚を理解できなくなるのかと

いうことを経験として学んでおり、他の病院でも適用拡大できるように、明文化をしようという構想を

持っている。

医師がリードしてITと医療の両部門に精通した人材即ちメディカルシステムエンジニア(MES)

を育成する必要がある。そういう研究チームを作って、全国で人材育成をしてもよいと考えている。

洛和会音羽病院では、若いSEを9名雇っている。彼等はSEについても医学についても学ぶ必要が

ある。そのような人材が育成されると、患者さんのことをもっと考えるSEが生まれてくる。現場での

リアルタイムなシステム改善を重視しているので、手元にSEがいることは病院にとって大きなメリッ

トがある。

◎地域医療ネットワーシステム構築上のポイント

「医師会中心モデル」の場合は、主役は医師会であり、ITに関してはサポートでネットワークの安

全性を説明できる人などが必要である。現状は医師が個人情報の漏洩(個人情報保護法)に対して過敏

になっている(IT化推進上の障壁の一つになっている)。サーバーを安心して管理できるところが必

要であり、IT化が進んだ病院におかないと、セキュリティ上の問題が生じる恐れがある。サーバーを

設置された病院は、医師会のサーバーを安全に預かっているというスタンスである。医師会立病院があ

ればそこに設置すればよい。また、「中核病院モデル」もある。洛和会には中核病院として音羽病院と

丸太町病院がある。両病院間を専用の光ファイバー線で結び情報の共有化を図っているのであるが、京

都市内の掘削工事でこの専用線が切断され、情報のやりとりができなくなるというネットワークのリス

クが現実に発生したこともある。

183

Page 188: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

6

ところで、病院には、手術をする病院、検査する病院などの役割分担(機能分離)をする必要がある。

高度な技術を持った人が集まる病院は手術に特化すべきであり、社会資源活用として役割分担をするこ

とが効率的である。大学病院は教育をする場や特殊な病気を扱う所であり、ミッションが異なる。特殊

な技能・知識を有する医師が通常の風邪も診察するというのは、社会全体から見てもロスである。

国民の方も、ある程度病院と診療所を使い分けるという認識を持つことも必要である。なお、医師の

出身大学により治療法などが違うので、病院間の医療情報ネットワーク化が進まないというのは大きな

誤解である。病院と診療所間の連携の確保は、コミュニケーション(信頼関係の確立)がうまくいけば

ネットワークとしてつながれると思う。人的コミュニケーションがうまくいっている地域ではIT化が

うまく進展していく。

◎ その他医療部門の情報化の問題点 レセプト(診療報酬請求事務)に関するIT化は95%ぐらいできている。各病院はレセプトの情報を

1ヶ月単位で社会保険事務所にMO電子媒体で送付している。 社会保険事務所ではその情報を紙でアウトプットしている。そして2ヶ月後に各病院に診療報酬請求に対する支払いがされる。これは厚生労

働省が個人情報情報の漏洩を恐れてネットワーク上での医療情報の伝達を禁じているからである。 レセプト以外の情報化の対象としてオーダリングシステムや電子カルテがある。オーダリングシステ

ムをIT化すればその結果として業務フローが変わる。現実には両方ができていないとシステム全体と

してIT化のメリットが発揮できない。特に電子カルテは医師や経営者にとってあまり費用対効果が感

じられないので、国は電子カルテの導入6割を目標に掲げているものの導入が伸び悩んでいるというの

が実情である。韓国で医療部門のIT化が一気に進んだのは、IT化を実施した病院のキャッシュフロ

ーが2ヶ月から1ヶ月に短縮されて病院の経営(経理状況)が改善されるというインセンティブが働い

たからである。日本でも国がこのような病院側に経営的メリットを享受できる政策を行うべきである。

また、医療部門のIT化の推進のために広報をもっと実施して欲しい。 (事務局のヒアリング訪問時の感想)

ヒアリングのため洛和会音羽病院ヘルスケアシステムの児島部長を訪ねて受付に行った際に、受付

の女性が航空会社のエアーアテンダントのようなユニフォームで直接児島先生の部屋までご案内し

ていただき、その時はとまどいを感じた。先生へのヒアリングの後、これも医療をサービス業の一種

ととらえ、病院の印象を少しでも改善しようというサービス化の取り組みの一環であると納得した。

また、ヒアリングの後に児島先生に診療棟の中をご案内いただいた。総合受付の待合室のスペースが

病院の規模に比べて非常に狭いのに驚いた。待ち時間が少ないので待合室を大きくする必要がないと

いうご説明をうけ、これも納得した。患者さんの立場に立った医療(待ち時間の削減)を考え、顧客

満足の達成手段としてIT化があり、そのIT化を通じて病院の経営の効率化(診察患者さん数/時間の増加による収益の向上)も同時に図られるというWin-Winの関係が実現していると実感した。ヒアリングを通じて音羽病院のIT化が成功した要因として次のことが感じられた。 ・病院の経営方針とシステム構築の狙いがリンクし、病院全体としての取り組みになっている。 ・IT化の旗振り役が医療とITの両面に精通していた。 ・システム構築の段階で問題点が全体を巻き込んで十分に議論され、使う者の声が反映されたオー

ダーメイドの使いやすいシステムとなっており、導入後の運用がスムーズにいった。 ・山科地域は地域的なまとまりもあり、医師会を通じた信頼関係が既にあった。

184

Page 189: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

委員会開催記録

■ 第1回委員会

日時:平成 18年 7月 28日(金)、15:00~17:00 場所:第二吉本ビルディング 貸会議室 議事:平成 18年度調査、アンケート案について 等

■ 第2回委員会

日時:平成 19年 1月 12日(金)、15:00~17:00 場所:(財)関西情報・産業活性化センター 第1会議室 議事:アンケート途中経過報告、ヒアリング調査について 等

■ 第3回委員会

日時:平成 19年 3月 29日(木)、15:00~17:00 場所:財団法人関西情報・産業活性化センター 第1会議室 議事:報告書案審議、次年度調査について 等

185

Page 190: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

委員名簿

平成 18年度 関西情報化実態調査委員会

(敬称略、順不同)

主査 大阪市立大学大学院 創造都市研究科 教授 中野 潔

委員 近畿経済産業局 地域経済部 情報政策課長 福田 秀俊

近畿総合通信局 情報通信部 情報通信連携推進課長 今井 盛

京都府 企画環境部 IT政策監 伊藤 秀一

大阪府 商工労働部 産業労働企画室 参事(情報政策担当) 本田 隆

兵庫県 企画管理部 教育・情報局 情報政策課長 和久屋 聡

京都市 総合企画局 情報化推進室 情報政策課 情報企画担当課長 鷲頭 雅浩

豊中市 政策推進部 情報政策担当理事 松岡 勝義

松下電

西宮市 電子自治体推進担当本部 CIO補佐官 吉田 稔

大阪ガス株式会社 理事 情報通信部長 平山 輝

関西電力株式会社 経営改革・IT本部 IT企画部長 南浮 泰造

住友電気工業株式会社 情報システム部長 長谷川和義

西日本電信電話株式会社 ソリューション営業本部 ソリューションビジネス部 担当部長 喜瀬 眞史

日本電気株式会社 関西支社 関西官庁・公共営業部公共ソリューション推進部長 大石 裕之

器産業株式会社 e サービスグループ事業開発チーム チームリーダー 白川 千治

財団法人日本情報処理開発協会 調査部次長 高橋眞理子

社団法人情報サービス産業協会関西地区会 事務局長 下村 宗一

事務局 財団法人 関西情報・産業活性化センター 常務理事 荒井喜代志 財団法人 関西情報・産業活性化センター 調査グループ 部長 太田 智子

財団法人 関西情報・産業活性化センター 調査グループ 主席研究員 橋本 恵子

財団法人 関西情報・産業活性化センター 調査グループ 主席研究員 山岸 隆男

財団法人 関西情報・産業活性化センター 調査グループ 研究員 牧野 尚弘

財団法人 関西情報・産業活性化センター 調査グループ 研究員 布施 匡章

(所属・役職は平成 19年 3月 31日現在)

186

Page 191: 関西情報化実態調査2006 報 告 書 - kiis.or.jp · 企業の情報セキュリティ対策を考えるとき、最近重要視されているのは「情報セキュ リティガバナンス」という考え方である。この考え方は2005年3月、経済産業省が発

平成 19年3月発行

関西情報化実態調査 2006

報 告 書

発行 財団法人関西情報・産業活性化センター 調査グループ

〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田一丁目3番1-800号

大阪駅前第1ビル8階

電話 06-6346-2641

e-mail [email protected]

187