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哺乳類と人類の進化 自然科学概論 の補足資料 2019129金沢学院大学経営情報学部 藤本祥二
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哺乳類と人類の進化 - MyDNS.JPkj01.kgu.mydns.jp/fujimoto/natsci/nsld12.pdf · •原猿類のアダビス類(後の直鼻猿亜目)...

Sep 26, 2020

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哺乳類と人類の進化

自然科学概論の補足資料

2019年12月9日金沢学院大学経営情報学部

藤本祥二

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哺乳類の年表

画像元:哺乳類の起源と歩み~生物史は大絶滅の歴史であり、逆境によって進化してきた

今回の話

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各時代の特徴(ざっくりと)

画像元:だい三きどうぶつえん19世紀の区分では第二紀

19世紀の区分では第一紀

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新生代の気温6500万年

180万年

画像元:研究テーマ4 - Hitoshi Hasegawa's website

現在より13℃程、気温が高かった巨大哺乳類や巨大鳥類の繁栄

参考:3_63 PETM 1:突然の異変

新生代の中で現代は寒い時期(氷河期と間氷期の繰り返し)

5500万年

3500万年

2500万年

500万年 前

ぎょう ぜん

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南極環流

画像元:海流と大陸移動|川崎悟司オフィシャルブログ古世界の住人

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哺乳類の系統樹

古生代 中生代

新生代

画像元:動物の進化と系統

単孔類

有袋類

有胎盤類(真獣類)

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単孔類

• カモノハシ,ハリモグラ

• 子供を卵の状態で産み、母乳で育てる

• 爬虫類や鳥類のように、卵を産む管(孔)、排泄する管(孔)が一つにまとまっているので単孔類と呼ばれる

画像元:動物図鑑メニュー

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有袋類

• カンガルー,コアラ

• 子宮の真ん中を尿管が通っていて、妊娠すると尿管の間に小さな胎盤ができる

• 大きな胎盤を持つことができないので、超未熟児を産む

• 子供を育てる袋(育児嚢)が発達してる

• 子供を産む管とオシッコ用の管は一つにまとまってる

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有胎盤類(真獣類)

• おなかの中の胎児に栄養を送ったり酸素を送ったりする器官(胎盤)が発達してる

• 子供を産む管と排泄する管(ウンコ用,オシッコ用)の3つの管に分かれてる

• お母さんと胎児がヘソの緒でつながっているのでヘソがある

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胎盤

画像元:性と生殖 パートVIII:分娩と出産 ( 生物学 )

母親と胎児は胎盤を通じて物質の受け渡しが行われていて• 呼吸器• 消化器• 内分泌• 排泄器としての役割果たす

互いの血液は直接接触しないよう上手くできてる

参考動画:NHKスペシャル 2018年3月18日 180318 シリーズ - YouTube

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前適用

• ある適応形質が形作られる際に、以前持っていた別の形質を転用する進化を「前適用」という◦ 哺乳類の胎盤(尿嚢を転用)

◦ 鳥の羽(羽毛は飛ぶためじゃなく、元々体温保持に使われていた)

◦ 両生類の四肢(魚のひれを転用)

◦ 硬骨魚類の浮き袋(肺の転用)

◦ 他にもたくさんの例がある

進化には何か目的や方向性があるわけではない。

たまたま持っていた形質を転用し、淘汰されなかった種が生き残っている。

尿嚢が後の胎盤に転用された

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有袋類の分布

オーストラリアと南米の一部以外の有袋類は真獣類との生存競争に敗れたと考えられる

化石の分布から過去に有袋類と真獣類がどのように分布していたのか分かる

画像元:有袋類はなぜオーストラリアにいるのか?

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収斂進化(収束進化)しゅうれん

画像元:魚竜の進化と絶滅

進化的には異なる系統の生物なのに似たような形質に収斂することがある

魚類

哺乳類

爬虫類

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画像元:生態学的地位における有袋類と有胎盤類の対応

• 有袋類と有胎盤類の間にも収斂進化が起こっている

• 旧大陸では有胎盤類が占めている生態学的地位(ニッチ)を、オーストラリア大陸では有袋類が占めている

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画像元:収束進化(哺乳類の拡散適応) - 生物史から、自然の摂理を読み解く

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始新世の大型哺乳類

画像元:史上最大の陸生哺乳類がどんだけヤバイか

サイの仲間の絶滅種パラケラテリウム

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画像元:大型化する始新世の哺乳類 新生代国内最古哺乳類化石とは?

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哺乳類の歯

• 異歯性

◦ 様々な役割の歯

◦ 乳歯と永久歯

▪ ウサギのように胎児の時の乳歯が生まれる前に永久歯に生え変わる種もいる

◦ 哺乳類以外には見られない特徴

画像元:歯(は)とは - コトバンク

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哺乳類の首の骨の数

画像元:骨格の要、背骨について学ぼう!

ヒトの頸椎は7個

画像元:4.他の動物は? キリンやくじらにみる首の仕組み

哺乳類の頸椎は7個例外はホフマンナマケモノ6個ミツユビナマケモノ9個マナティー6個

の3種のみ参考:首の数

魚類は頸椎なし両生類は1個現生爬虫類は8個化石爬虫類や恐竜や鳥には決まった数はない

けいつい

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哺乳類の耳

鼓膜の振動を増幅する• アブミ骨,キヌタ骨,ツチ骨• 爬虫類はアブミ骨のみ

画像元:耳のしくみ|ワイデックスがお届けする難聴と補聴器の総合サイト「みみから。」

哺乳類の祖先は夜行性の時代が長かったため、音に敏感に進化したと考えられる

現生人類は複雑な言語を理解し、複雑な音楽を楽しむ

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杆体細胞と錐体細胞かんたい すいたい

哺乳類の祖先は夜行性の時代が長かった• 明暗を感じる杆体細胞(人間は片目に約1億2000万個)暗い所で目が慣れると働く• 色を感じる錐体細胞(人間は片目に約650万個,網膜の中心部に集中)

画像元:■まろ塾in横浜(第2回の内容…その4)

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ヒトの青は鳥の紫に,ヒトの緑と赤は鳥の赤に対応する。

ヒトと鳥(ムクドリ)の色素の吸収曲線。

画像元:色の3原色

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哺乳類の共通祖先• 青と緑の波長に反応するタンパク質(オプシン)を失った• 紫に反応するオプシンのピークが下がり青寄りになる• 2原色になる

狭鼻猿類の共通祖先• 赤のオプシンが重複変化• 緑寄りに反応するオプシン

ができた• 3原色になる

白人男性の約8%,日本人男性の約5%,日本人女性の約0.5%が緑色色覚異常• ロドプシンの遺伝情報は第3染色体、青オプシンの遺伝情報は第7染色体上にある• 赤オプシンと緑オプシンの遺伝情報は性染色体のX染色体上にあるので、男性に異常が出やすい

明暗を見分ける杆体細胞のオプシンがロドプシン

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• 赤と緑の担当が同程度に刺激されると脳は黄色と認識する

• 緑と青の担当が同程度に刺激されると脳は空色と認識する

• 青と赤の担当が同程度に刺激されると脳は赤紫と認識する

◦ 赤紫に対応する波長の光が存在するわけではない

• 青と赤と緑の担当が同程度に刺激されると脳は白と認識する

◦ 白に対応する波長の光が存在するわけではない

画像元:光と絵の具の三原色(色とは何か)

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画像元:Dog Walkers, Walking & pet sitting

人の視覚

犬の視覚

この色分布で写真を再構成

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ビタミンC

• ビタミン◦ 身体の中では作れない、または作られたとしても極僅かであるため十分ではない、そのため食物から摂取しなければならない栄養素

• ビタミンCがないと◦ コラーゲンが合成できなくなる◦ 壊血病にかかる

• 原猿類のアダビス類(後の直鼻猿亜目)◦ 約5000万年前ビタミンCを生成するための酵素の遺伝子を喪失

◦ 食物(果実)から摂取できてたので問題なかった◦ 人類はこの種から進化◦ 犬とか猫はビタミンCを食物から摂取しなくても大丈夫

壊血病:大航海時代の船乗りを殺しまくった病気。皮膚や粘膜、歯茎などの出血から始まり、消化管や尿路から出血することも。病が進行すると歯が抜け落ち、さらには倦怠感が強くなって免疫力が落ち、やがて死に至る。

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霊長類の系統樹

テナガザルからチンパンジーまでのしっぽがないサルが類人猿

画像元:原猿の進化 - 生物史から、自然の摂理を読み解く

約5000万年前ビタミンC生成遺伝子の喪失

約3000万年前緑色色覚遺伝子の獲得

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画像元:生き残っている原猿って?

←ビタミンC生成遺伝子の喪失

←緑色色覚遺伝子の獲得

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直立二足歩行

画像元:オラウータンと人類の起源 (ジェフリー・シュワルツ著)|探検塾

類人猿:ナックルウォーク 人類:直立二足歩行

• 大後頭孔の向き◦ 脳みそに垂直

• 脊柱の形◦ 頭を支えるS字型

• 骨盤の形◦ お椀型になって

内臓を支えるの変化によって直立二足歩行になった

森林生活から平地に適応• 遠くを見渡す• 長距離移動に最適化

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人類発祥の地の候補

• アフリカの地下のホットプルームの影響でアフリカ大陸が分裂を始める(約1000万年前)

• 大地溝帯(グレートリフトバレー)が形成される◦ 西側は熱帯雨林のまま

◦ 東側は草原に

• 大地溝帯の東側が人類発祥の地といわれてる

画像元:地球と生命の誕生と進化(14.人類の誕生(新生代))

→赤道西風→

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猿人(アウストラロピテクス属)

原人,旧人,新人(ホモ属)

画像元:ぼくたちはなぜぼくたちだけなのだろう - 第17回人類はこんなに多様だった

約600万年前チンパンジーと人類の共通祖先から猿人が誕生したといわれる

約200万年前猿人の一種から原人が誕生したといわれる

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アウストラロピテスク,ホモ属,違い

アウストラロピテスク属 ホモ属• c は木登りへの適応• w は歩行への適応• r は走行への適応

画像元「カラー図解進化の教科書第1巻」講談社ブルーバックス

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20~50万年前?

現世人類を除き他の人類は全て絶滅

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画像元:脳の話 その1

• 哺乳類は大脳新皮質が大きく発達• 現世人類は前頭葉が大きく発達

(猿人・原人に比べて額が大きい)

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上図、大脳は赤,小脳は黄,間脳は緑,中脳は青,延髄は茶色,脳は、脳幹→小脳→大脳→大脳新皮質と塗り重なって進化(無計画な増築の印象)• 爬虫類の脳と呼ばれる脳幹・小脳• 哺乳類の脳と呼ばれる大脳• 霊長類の脳と呼ばれる大脳新皮質 画像元:原猿から真猿へ:脳の進化

Page 36: 哺乳類と人類の進化 - MyDNS.JPkj01.kgu.mydns.jp/fujimoto/natsci/nsld12.pdf · •原猿類のアダビス類(後の直鼻猿亜目) 約5000万年前ビタミンcを生成するための酵素の遺伝子

頑丈な顎の欠如

ゴリラや頑丈型猿人(バラントロプス)• 頭頂部に矢状稜(しじょうりょう)がある

• 側頭筋の発達で顎の力が強い• 固い植物の根も食べられる

チンパンジーやホモ属の人類• 矢状稜がない

• 雑食性(肉食もする)• 脳が大きくなれる要素

画像元:アウストラロピテクス、旧人、原人、ホモ・エレクトスやネアンデルタール人などは本当に存在したのですか?

画像元:人類の誕生②~死肉をあさる地下生活

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脳容量の拡大

Homo sapiens sapiens

Homo sapiensneanderthalensis

Homo erectus

Homo habilis

AustralopithecusafricanusSinge

Anthropoide

急激に拡大

画像元:Evolutionary Transcendence

脳容量と関連する要素(様々な説)• 最古の石器の使用(約330万年前)• 脳の拡大を抑制する遺伝子の欠損(約300万年前)• 強い顎の筋肉を形成する遺伝子の欠損(約250万年前)• 肉食による良質なタンパク質の獲得(約250万年前)• 火の使用による食の多様化(約200万年前)

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多地域平行進化説とアフリカ単一起源説

画像元:イブ仮説とネアンデルタール人 ミトコンドリア遺伝子解析の結果アフリカ単一起源説に決着

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ミトコンドリア遺伝子

• 細胞核以外に、ミトコンドリアにも独自の遺伝子が存在

• 人類は受精の際に父親由来のミトコンドリアが分解される

• ミトコンドリア遺伝子の変異をたどれば、母方の系統を辿ることができる

画像元:ミトコンドリアは全て母親由来

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遺伝子の交叉

• 細胞核の相同染色体◦ 父親由来(青色)◦ 母親由来(赤色)

◦ 減数分裂の際に交叉(cross over)が起こり、父由来と母由来が混ざる

◦ 世代を重ねるうちに系統が混ざり合って分かりにくくなる

• 男性の性染色体◦ 父親由来(Y染色体)◦ 母親由来(X染色体)◦ 交叉が起こらない◦ Y染色体の遺伝子の変異

をたどれば、父方の系統を辿ることができる

画像元:性と生殖 パートI:減数分裂 ( 生物学 )

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分子系統学

DNAの変異差から確率統計を使って系統樹を推定する

画像元:系統の原理 | 語り合う | JT生命誌研究館

自然淘汰に関係ない部分のDNAの配列はランダムに変異するので確率の理論が使える

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ミトコンドリア遺伝子から辿った母系の系統樹(左)Y染色体遺伝子から辿った父系の系統樹(右) 両方ともアフリカ単一起源説を支持

画像元:Y染色体から日本人の故郷を探る

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画像元:縄文と古代文明を探求しよう!

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気候変動ミランコビッチサイクル

10万年周期

4万年周期 2万年周期

画像元:地球の軌道変化は太古の南極にいかなる影響を及ぼしたか

画像元:人類史メモ

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氷河期と人類の拡散

寒い時期に現世人類がアフリカから南米にまで拡散

画像元:●氷河期って?(4): 【漫画高校生物】マンガでわかる!超・高校生物入門

過去現在

現在は氷河期の中でも比較的暖かい時代

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氷河期の植生

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現世人類の出アフリカと拡散

画像元:人類歴史年表|出アフリカ

数万年程度で世界中に拡散

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移動ルートで「俗にいう人種」が形成された• 「人種」という分類は古い考え(差別的な感覚を含む場合があるので使わない)• 現世人類は1種(ホモ・サピエンス・サピエンス)なので全部同じ人種• 民族的,文化的違いの方が重要 地理的に離れて数万年程度,まだまだ交配可

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• 肌の色の適応(メラニン色素の量)

◦ 黒い肌紫外線を防ぎ、肌細胞のDNAの損傷を防ぐ

▪ 皮膚がんになる確率が減る

◦ 白い肌紫外線のエネルギーでビタミンD3の生成を促す

▪ カルシウムとリンの吸収促進(骨の形成と成長促進)

▪ 遺伝子の働きを調節(免疫向上・糖尿病予防・発ガンの抑制)

• 寒冷適応

◦ 短い手足や一重まぶた尖った部分を少しでも減らし熱の放散を防ぐ

◦ 巨大化

表面積に対する体積を大きくすることで、熱の放散より熱の発生を多くする

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旧人と新人

• 旧人(ネアンデルタール人)◦ 二万数千年前に絶滅

◦ 脳容量(1600 cm3)

◦ 後頭葉が発達

◦ 彫が深い顔立ち

◦ 喉の奥の上気道が短い(複雑な言葉を話せない?)

• 新人(クロマニヨン人)◦ 現世人類

◦ 男性平均脳容量(1450 cm3)

◦ 前頭葉が発達

◦ 咽頭が発達(複雑な言葉が話せる)

画像元:ネアンデルタール人

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頭蓋骨比較

H. erectus(原人)

H. neanderthalensis(旧人) H. sapiens(新人)

眼窩(がんか):目玉が入る穴頤(おとがい):顎を触るとコリコリしてるシニオン(シニヨン):束ねた髪を後頭部で

まとめた髪型

画像元:人類学

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原人(ホモ・エレクトス)の出アフリカ

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旧人と現世人類の交雑

遺伝子解析が発達して数10万年前の古い骨からもDNA抽出ができるようになった• ネアンデルタール人由来と考えられるDNAがヨーロッパ人に存在• デニソワ人由来のDNAがオーストラリア,ニューギニア,フィリピンの集団に存在

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デニソワ人

画像元:ネアンデルタール人とデニソワ人 ( その他の病気 )

2008年に子供の骨の断片と大人の臼歯が発見される.DNAが抽出された