既設橋梁における電気防食効果の検証 令和2年3月 橋梁塩害対策検討委員会 北陸地方整備局 北陸技術事務所
既設橋梁における電気防食効果の検証
令和2年3月
橋 梁 塩 害 対 策 検 討 委 員 会 北陸地方整備局 北陸技術事務所
目 次
第1章 検討の目的 ....................................................................... 1
1.1 背景・目的 ........................................................................ 1
1.2 対象橋梁概要 ...................................................................... 1
1.3 補修補強履歴 ...................................................................... 2
1.4 地形改変履歴・環境特性 ............................................................ 2
第2章 電気防食概要 ..................................................................... 3
2.1 配線系統 .......................................................................... 3
2.2 配線機器 .......................................................................... 4
2.3 試験施工工法仕様 .................................................................. 5
第3章 モニタリング方法 ................................................................. 6
3.1 現地点検 .......................................................................... 6
3.2 日常通電の確認 .................................................................... 6
3.3 電気防食効果の確認 ................................................................ 7
第4章 追跡調査 ......................................................................... 8
4.1 外観変状 .......................................................................... 8
4.1.1 変状経年比較 .................................................................. 9
4.2 復極量試験 ....................................................................... 12
4.3 不具合事象と対応 ................................................................. 12
4.3.1 不具合事象 ................................................................... 12
4.3.2 処置 ......................................................................... 14
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第1章 検討の目的
1.1 背景・目的
<平成 7 年度(1995 年度)の試験施工>
著しい塩害が生じていたことから,昭和 59年(1984 年)~平成 3年(1991 年)に大規模な塩害
補修が実施されたが,再劣化などが確認されたことを受け,当時の塩害対策として期待された電気
防食の 3 工法を平成 7 年(1995 年)に試験施工として設置。
3 工法は,外部電源方式 2工法(チタンメッシュ工法,チタングリッド工法),流電陽極工法(亜
鉛シート方式)を設置。
<平成 7 年度(1994 年度)~9年(1997 年度)度の現地点検・日常モニタリング>
設置後 3 年間は,年 3 回の現地点検が実施され,平成 10 年(1998 年)の追跡調査で異常が見ら
れず,遠隔監視システムにより高田河川国道事務所での日常モニタリングを実施。
<平成 13年度(2001 年度)~追跡調査:高田工事事務所橋梁塩害対策検討委員会>
平成 12 年(2000 年)に高田河川国道事務所において「高田工事事務所橋梁塩害対策検討委員会」
が設置され,電気防食工法の効果検証(有効性・工法選定)および維持管理上の課題を把握するこ
とを目的に,外観変状調査と復極量試験による追跡調査を実施。
<平成 16年度(2004 年度)~追跡調査:橋梁塩害対策検討委員会>
平成 16 年度(2004 年度)より,「橋梁塩害対策検討委員会」の一環として平成 29 年度(2017 年
度)まで継続調査を実施。平成 30 年度(2018 年)より橋梁架替に伴い,解体調査と合わせ調査を
実施予定。
図 1.1.1 橋梁断面図
1.2 対象橋梁概要
橋長:340.020m
幅員:11.350m
上部工形式:単純 PC ポステン T桁×17連
完成年:昭和 47 年(1972 年)
図 1.2.1 橋梁側面図
G11 G10 G9 G8 G7 G6 G5 G4 G3 G2 G1チタングリッド方式流電陽極方式
山側 海側
チタンメッシュ方式
11353539 9000 1500 314
橋長991.6至 朝日至 柏崎
44.8
▽18.7▽18.1
▽18.6
▽18.0
▽17.5▽17.0
▽16.5
▽16.0
▽15.5▽15.0
▽14.5
▽14.0
▽13.6▽13.1
▽12.7
▽12.3
▽12.1▽11.9
▽11.8
▽11.7
▽11.6▽11.6
▽11.6
▽12.2
▽12.0▽11.6
▽11.6
▽11.5
▽11.511.5
▽11.4
▽11.4
A1 P1 P2 P3 P4 P5 P6 P7 P8 P9 P10 P11 P12 P13 P14 P15 P16 P17 P18 P19 P20 P21 P22 P23 P24 P25 P26 P27 P28 P29 P30 P31 A2
22.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 30.8 0.1
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1.3 補修補強履歴
上部工の主な補修歴を表 1.3.1 に示す。
表 1.3.1 補修補強履歴一覧表
年度 対象径間 内容
昭和 59 年(1984年) 第 12~17 径間 断面修復,部分表面保護工(コンクリート塗装)
昭和 62 年(1987年) 第 8~10 径間 断面修復,部分表面保護工(コンクリート塗装)
昭和 63 年(1988年) 第 5~7 径間 断面修復,部分表面保護工(コンクリート塗装)
平成元年(1989年) 第 2~4 径間 断面修復,部分表面保護工(コンクリート塗装)
平成 2年(1990年) 第 11~13 径間 断面修復,表面保護工(コンクリート塗装)
※第 12・13 径間は 2 回目(前回補修から 6 年)
平成 3(1991年) 第 14~17 径間 断面修復,表面保護工(コンクリート塗装)
※第 14~17 径間は 2 回目(前回補修から 7 年)
平成 7年(1995年) 第 8 径間 電気防食
平成 8年(1996年) 第 9・10 径間 炭素繊維シート接着補強,表面保護工(コンクリート塗装)
※第 9・10 径間は 2回目(前回補修から 9 年)
平成 12 年(2000年)
~平成 16(2004年)
第 1~7・11・
13~17 径間
断面修復,表面保護工(コンクリート塗装)
※第 3~5・11 径間は 2 回目(第 3・4径間は前回補修か
ら 11年,第 5径間は 12年,第 11径間は 10年)
第 4 径間 脱塩(G10 のみ)
第 12 径間 電気防食,炭素繊維シート接着補強
平成 17 年(2005年) 第 6 径間 断面修復(犠牲材設置含む),表面保護工(コンクリート塗装)
※第 6径間は 3回目(前回補修から 5 年)
平成 18 年(2006年) 第 9・10 径間 断面修復(犠牲材設置含む),表面保護工(コンクリート塗装)
※第 9・10 径間は 3回目(前回補修から 10年)
平成 27 年(2015年) 第 4・6 径間
断面修復,炭素繊維シート接着補強
※第4径間は 3回目(前回補修から 14年)
第 6径間は4回目(前回補修から 10年)
1.4 地形改変履歴・環境特性
架設時は,一部海洋上に架橋されていたが,平成 15 年(2003 年)(架設から 31 年経過後)に海岸
整備から埋め立てが行われ,地形改変がなされている。
地形改変前に海洋からの塩害を多く受けた第 8 径間を電気防食による試験施工対象として選定。
図 1.4.1 地形改変
架橋時 現在
-3-
第2章 電気防食概要
2.1 配線系統
配線は,第 6 径間山側にある電柱より,P7橋脚へ電力線を整備。
P7 橋脚より第 8径間の電気防食工法にそれぞれ通電。
図 2.1.1 橋梁一般図
海側
山側 P7
P8P9
P10
27
28
30
29
31
32
1
2122
平面図
海側
山側
G1
G2
G3
G4
G5
G6
G7
G8
G9
G10
G11
P8P7
20
20
19
18
18
18
18
平面図(第 8径間)
海側 山側
G1G2G3G4G5G6G7G8G9G10G11
P10
23
25
26
2224
断面図(P10:老番側)
P8
G1 G2 G3 G4 G5 G6 G7 G8 G9 G10 G11
2020
18
1012
1119
2
14
9 1513
3
4
5
6
7
8
16
17
断面図(P7:老番側) 海側 山側
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2.2 配線機器
配線系統に示した各配線機器を表 2.2.1 に示す。
表 2.2.1 配線機器一覧表
No. 系統 種別
1 電柱(第6径間山側)⇒P7(固定金具) 電力線(第 8径間電気防食の電力供給)
2 P7(固定金具)⇒電気メーター 電力線(第 8径間電気防食の電力供給)
3 電気メーター 電気メーター
4 電気メーター⇒分電盤 電力線(第 8径間電気防食の電力供給)
5 分電盤 分電盤
6 分電盤⇒プルボックス 電力線(第 8径間電気防食の電力供給)
7 プルボックス プルボックス
8 プルボックス⇒チタンメッシュ方式電源装置 電力線(第 8径間電気防食の電力供給)
9 プルボックス⇒チタングリッド方式電源装置 電力線(第 8径間電気防食の電力供給)
10 チタンメッシュ方式電源装置 電気防食電源装置
11 チタングリッド方式電源装置 電気防食電源装置
12 流電陽極方式計測装置 電気防食電源装置
13 P7(固定金具)⇒遠隔監視制御装置 通信線
14 チタンメッシュ方式電源装置⇒遠隔監視制御装置 通信線
15 流電陽極方式計測装置⇒遠隔監視制御装置 通信線
16 遠隔監視制御装置⇒山側地覆下面 電力線(第 12径間電気防食の電力供給)
17 遠隔監視制御装置⇒情報通信管 通信線(NTT 専用回線)
18 チタンメッシュ方式電源装置⇒プルボックス(その後の配線含む) 電力線(電気防食の電力供給)及び照合電極線
19 チタングリッド方式電源装置⇒プルボックス(その後の配線含む) 電力線(電気防食の電力供給)及び照合電極線
20 流電陽極方式計測装置⇒プルボックス(その後の配線含む) 照合電極線
21 山側地覆下面(第 8径間)⇒山側地覆下面(第 10径間) 電力線(第 12径間電気防食の電力供給)
22 情報通信管⇒P10 計測装置 通信線
23 P10 計測装置 計測装置
24 P10 計測装置⇒G3 照合電極線
25 P10 計測装置⇒G4 照合電極線
26 P10 計測装置⇒地面 アース
27 山側地覆下面(第 11径間)⇒山側地覆下面(第 12径間) 電力線(第 12径間電気防食の電力供給)
28 電柱(第 10径間山側)⇒P10(固定金具) 電力線(第 12径間電気防食の電力供給)
29 P10(固定金具)⇒電気メーター 電力線(第 12径間電気防食の電力供給)
30 電気メーター 電気メーター
31 電気メーター⇒山側地覆下面(第 10径間) 電力線(第 12径間電気防食の電力供給)
32 山側地覆下面(第 11径間)⇒山側地覆下面(第 12径間) 電力線(第 12径間電気防食の電力供給)
33 山側地覆下面(第 12径間)⇒電源装置(P12) 電力線(第 12径間電気防食の電力供給):2条
34 電源装置(P12)⇒各桁 電力線(第 12径間電気防食の電力供給)
凡例
… 電力線関連… 電気防食電源関連
… 通信線関連
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2.3 試験施工工法仕様
表 2.3.1 施工工法一覧
⽅式
外部電源⽅式 流電陽極⽅式
⾯状陽極⽅式 線状陽極⽅式 ⾯状陽極⽅式
チタンメッシュ⽅式 チタングリッド⽅式 亜鉛シート⽅式
概要図
概要
⾦属酸化物をコーティングしたメッシュ状のチタン陽極をコンクリート表⾯に設置し,これをモルタル(オーバーレイ材)で被覆する
⾦属酸化物をコーティングしたグリッド陽極をコンクリート表⾯に⼀定間隔で切削した溝に設置し,セメントモルタルにより充填する
亜鉛合⾦を陽極材として鉄筋との⾦属固有の電位差によって防⾷電流を供給する⽅式
特徴
死荷重増加 有り 無し 有り
▲ ◎ ▲
切削の有無 無し 有り(範囲中)
◎ △
設置後の 観察性
主桁コンクリートは⽬視できない ⽬視可能 ⽬視できない
▲ ◎ ▲
⾶砂耐久性 表⾯保護材による 耐久性あり
△ ◎
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第3章 モニタリング方法
3.1 現地点検
防食装置,陽極部分および配線などの異常の有無を 1年に 1回確認する。
現地における点検項目を表 3.1.1 に示す。
表 3.1.1 点検項目一覧
点検項目 内容
外観観察
電源ボックス
目視による電気防食システムの異常の有無
電源装置
測定盤
陽極・オーバーレイ材
配管・配線
電源装置作動 確認
鋼材電位 通常時および復極試験の電位測定
防食電流 電流値測定
気象条件 天候と気温
写真 3.1.1 モニタニングの様子① 写真 3.1.2 モニタニングの様子②
3.2 日常通電の確認
日常通電を 4 ヶ月に 1 回以上,確認する。
通常時の電位(ON電位)に大きな変化が現れていないかを従来の測定値と比較する。
通電時の鉄筋電位の基準参考値(飽和甘こう電極基準)を表 3.2.1 に示す。
表 3.2.1 通電の鉄筋電位の基準参考値
適用工法 参考値(mVvsSCE)
チタンメッシュ工法 -540~-220
チタングリッド工法 -790~-450
流電陽極工法 -860~-470
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3.3 電気防食効果の確認
1 年に 1 回(10月~12月程度の間),防食効果を確認する。
防食効果は,通電 24 時間後の復極量を測定することにより確認する。
記録は,ON 電位,インスタントオフ電位,オフ後 1 時間,オフ後 4 時間,オフ後 24 時間について
行う。
復極量の基準値を以下に示す。また,PC 鋼材の水素脆化を防止する為にインスタントオフ電位
(Eio;通電停止直後の電位)が-980mVvsSCE よりも貴であることも確認する。
表 3.3.1 復極量の基準
24 時間後の復極量(㎷) 処置 備考
<100 調整が必要(不足)
チタンメッシュ工法,チタングリッド
工法,流電陽極工法の 3工法とも共通
100~119 調整が望ましい
120~500 調整不要
501≦ 調整が必要(やや過剰)
図 3.3.1 電流・電圧・電位測定
電流 電圧 電位
電源スイッチ
電位
電源スイッチ
電流
電源スイッチ
電位
チタンメッシュ工法
チタングリッド工法 流電陽極工法
電源装置状況
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第4章 追跡調査
4.1 外観変状
平成 30 年(2018 年)までに確認された外観変状を図 4.1.1 に示す。
図 4.1.1 損傷図
20190
1965
0
350
494
548
004800
4945
350
4675
4800
4800
467
5350
350
11353
364 10400 589
海側
チタンメッシュ工法
山側
P8橋脚
流電陽極工法チタングリッド工法
P7橋脚
G1 G2 G3 G4 G5 G6 G7 G8 G9 G10 G11
側面
縦断
ひび割れ
ハ
ガ
レ
側面
補修跡
ハガレ
側面
ひび割れ
本数増加
側面
腐食
側面
ひび割れ側面ひび割れ本数増加0.05
100×100
600×250
側面
補修跡
側面
ひび割れ
ハガレ
ハガレ ハガレ
床版
塗装割れ
サビ
浮き
浮き
浮き
浮き
浮き
浮き
モルタル
浮き
浮き
浮き
浮き
浮き
浮き
浮き
補修跡
サビ
サビ
腐食
張出床版
塗装割れ
サビ
サビ
サビ
サビ
サビ
サビ
張出床版
塗装割れ
張出床版
塗装割れ
張出床版
塗装割れ
張出床版
塗装割れ
張出床版
塗装割れ
腐食
床版
塗装割れ床版
塗装割れ
サビ
塗装割れ
サビ
サビ
床版
塗装割れ
モルタル
浮き
浮き
浮き
モルタル
浮き
浮き
モルタル
浮き
浮き
浮き
補修跡
ひび割れ
ひび割れ
床版
塗装割れ
床版
塗装割れ
析出物
浮き
床版
塗装割れ
浮き
跡
ひび割れ
コンクリート
剥落進行
側面
コンクリートうき・剥離
コンクリート
剥離進行
側面
コンクリート
うき・剥離
コンクリート
剥離
ハガレ
塗装割れ
モルタル浮き
ハガレ
床版
塗装割れ
床版
塗装割れ
床版
コンクリート
剥離
コンクリート
剥離
間詰樹脂
剥離
間詰樹脂
剥離
ハガレ
側面
ハガレ
側面
モルタル浮き
サビ
モルタル
浮き
サビ
:損傷('10以前)
:損傷('10~'12点検)
:損傷('13~'15点検)
張出床版
塗装割れ
高欄浮き
横桁
塗装割れ
コンクリート
剥落
側面
ひび割れ
サビ
張出床版
塗装割れ
張出床版
塗装割れ
排水管取付金具
の腐食進行
桁下面
ひび割れ
コンクリートうき・剥離
間詰樹脂
剥離
コンクリートうき・剥離
側面
ひび割れ
側面
ひび割れ
ボルト
錆び
下面
ひび割れ
コンクリート剥離:損傷('16.10点検時)
コンクリートうき・剥離
:損傷('17.10点検時)
側面ひび割れ
サビ
ハガレ
ハガレ
ハガレ
ハガレ
コンクリートうき
側面コンクリートうき・剥離 側面コンクリートうき
コンクリートうき
うき
ひび割れ
遊離石灰
側面コンクリートうき
側面コンクリートうき側面
コンクリートうき
コンクリートうき
コンクリートうき
側面コンクリートうき
コンクリートうき・剥離
側面コンクリートうき・剥離
側面水平ひび割れ
コンクリート剥離
床版
塗装割れ
側面コンクリート剥離
損傷なし
コンクリートうき
側面コンクリート剥離
ハガレ
コンクリートうき
床版
塗装割れ
コンクリートうき
:損傷('18. 8点検時)
鉄筋露出
うき
うき鉄筋露出
鉄筋露出
うき
鉄筋露出鉄筋露出
うき
鉄筋露出
うき
うき
鉄筋露出
うき
うき
うき
PC鋼材露出
うきPC鋼材露出
うき
ひびわれ
うき
うき
うき
うき
鉄筋露出
うきうき
ひびわれ
ひびわれ
遊離石灰を伴うひびわれ
鉄筋露出
うき
うき
うき
PC鋼材露出
うきPC鋼材露出
剥離
うき
うき
剥離
剥離
剥離
うき
剥離
剥離
表面劣化
うき
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4.1.1 変状経年比較
全体的に電気防食範囲以外のウェブ・床版下面の変状(うき・剥離)が進行。
チタンメッシュ工法およびチタングリッド工法では下フランジのひび割れ進行がみられる。
表 4.1.1 変状経年比較
チタンメッシュ工法
(桁下面・側面)
チタングリッド工法
(陽極材被覆モルタル劣化)
流電陽極工法
(亜鉛シート保護板間詰め箇所)
平
成
20
年
(2008 年)
・主桁に幅 0.05mm 程度のひび割れが散見
・オーバーレイ材のはがれ確認 ・オーバーレイ材の浮きを確認 ・主桁にひび割れを確認
平
成
21
年
(2009 年)
・主桁に幅 0.05mm 程度のひび割れが散見 ・オーバーレイ材の浮きを確認 ・主桁にひび割れを確認
平
成
22
年
(2010 年)
・桁側面モルタル(陽極材被覆)浮き
・桁側面コンクリート剥離(電気防食以外)・桁下面モルタル(陽極材被覆)浮き
・保護板間詰樹脂の剥離
・桁側面塗装割れ(電気防食以外)
平
成
23
年
(2011 年)
・桁側面モルタル浮き【進展なし】
・桁下面コンクリートひび割れ【進展なし】・桁下面モルタル浮き【進展なし】 ・保護板間詰樹脂の剥離【進展あり】
-10-
チタンメッシュ工法
(桁下面・側面)
チタングリッド工法
(陽極材被覆モルタル劣化)
流電陽極工法
(亜鉛シート保護板間詰め箇所)
平
成
24
年
(2012 年)
・桁側面モルタル浮き【進展なし】
・桁下面コンクリートひび割れ【進展なし】・桁下面モルタル劣化(変色)【進展あり】
・保護板間詰樹脂の剥離【進展あり】
・H23 取り替え箇所の異常はなし
平
成
25
年
(2013 年)
・桁側面モルタル浮き【進展なし】
・桁下面コンクリートひび割れ【進展なし】・桁下面モルタル劣化(変色)【進展あり】
・保護板間詰樹脂の剥離【進展あり】
・H23 取り替え箇所の異常はなし
平
成
26
年
(2014 年)
・桁側面モルタル浮き【進展なし】
・桁下面コンクリートひび割れ【進展なし】
・桁下面モルタル劣化(変色)【進展あり】
・桁側面モルタルのひび割れ
・保護板間詰樹脂の剥離【進展あり】
・H23 取り替え箇所の異常はなし
平
成
27
年
(2015 年)
特徴的な変化なし
・桁側面モルタルひび割れ ・保護板間詰樹脂の剥離【進展あり】
-11-
チタンメッシュ工法
(桁下面・側面)
チタングリッド工法
(陽極材被覆モルタル劣化)
流電陽極工法
(亜鉛シート保護板間詰め箇所)
平
成
28
年
(2016 年)
・桁側面モルタルひび割れ ・桁側面にひび割れ ・保護板間詰樹脂の剥離
・ボルト部の腐食
平
成
29
年
(2017 年)
・電気防食範囲外のウェブ・床版下面の変
状が進行
・桁下面コンクリートひび割れ【進展あり】
・電気防食範囲外のウェブ・床版下面の変
状が進行
・桁側面コンクリートひび割れ
・電気防食範囲外のウェブ・床版下面の変
状が進行
・桁側面コンクリートに浮き
平
成
30
年
(2018 年)
特徴的な変化なし
・電気防食範囲外のウェブ・床版下面の変
状が進行
・桁下面コンクリートひび割れ【進展あり】
・電気防食範囲外のウェブ・床版下面の変
状が進行
・桁側面コンクリートひび割れ
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4.2 復極量試験
チタンメッシュ工法:復極量は 100mV以上となっている。
チタングリッド工法:全体的に低下傾向にある。
平成 19 年(2007 年)以降復極量が回復している。
平成 24 年(2012 年)に復極量は 100mV を下回っている。
流 電 陽 極 工 法:復極量は 100mV以上となっている。
表 4.2.1 復極量結果
チタンメッシュ工法
チタングリッド工法
流電陽極工法
-80
-60
-40
-20
0
20
40
0
100
200
300
400
500
600
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 210 220 230 240 250 260
気温
(℃)
復極
量(
mV
)
通 電 期 間 ( 月 )
R1 R2
R3 R4
管理値(120mV) 気温 (℃)
2001.121999.2
1998.2
1998.7
1997.10
1997.8
1996.10
1997.2
1998.10
1996.6
2003.22003.12 2004.12
2005.12
2006.12
管理値(120mV)
2007.11
2001.102008.11
2009.10
2010.11 2011.11
2012.11
2013.11
2014.11
2014.11R3測定不能
2015.10
2015.10
R3測定不能
2016.10
2017.10
-80
-60
-40
-20
0
20
40
0
100
200
300
400
500
600
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 210 220 230 240 250 260
気温
(℃)
復極
量(
mV
)
通 電 期 間 ( 月 )
R11 R12
R21 R22
管理値(120mV) 気温 (℃)
2002.1
1999.2
1998.2
1998.7
1997.10
1997.8
1996.10
1997.2
1998.10
1996.6
2003.2
2003.12
2004.12
2005.122006.12
管理値(120mV)
2008.112007.11
2009.10 2010.11
2011.11
2012.11 2013.12
2014.11
2015.10 2016.10
2017.10
-80
-60
-40
-20
0
20
40
0
100
200
300
400
500
600
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 210 220 230 240 250 260
気温
(℃
)
復極
量(
mV
)
通 電 期 間 ( 月 )
R1 R2
R3 R4
管理値(120mV) 気温 (℃)
2001.121999.2
1998.21997.10
1997.8
1996.10
1997.2
1996.6
2003.2
2003.12
2004.12
2005.12
2006.12
管理値(120mV)
2007.11
2008.11
2009.10
2010.11
2011.11
2012.112015.10
2016.10
1998.7
1998.10
2017.10
2013.11
2014.11
-13-
4.3 不具合事象と対応
4.3.1 不具合事象
電気防食システムの現状を把握する為,各工法の測定端子台を用いてデジタルマルチデータにて
電圧,電流,電位を計測した結果,チタンメッシュ工法および流電陽極工法は,例年同様となった。
しかし,チタングリッド工法については,電流が測定不可能であり,電流が流れていない可能性
を示した(平成 25年度(2013 年度)の報告書より)。
表 4.3.1 電圧・電流・電位測定結果
基板の作業確認を行う為,基板のデータ(モニタニングデータ)を取り出し,端子台のデータと
比較した。
その結果,電流と電位について,全ての端子測定データとモニタリングデータに差が生じている
ことが判明した。
回路 測定
箇所
電圧
(V)
電流
(mV)
電位(mV)
制御方法 R1(mV) R2(mV) R3(mV) R4(mV)
直読値 補正値 直読値 補正値 直読値 補正値 直読値 補正値
チタンメッシュ工法 端子台
(a) 2.1 107 -381 -429 -438 -486 -519 -567 -606 -654
定電流方法
(107mV)
チタングリッド工法 端子台
(a) 10
測定
不可
23 -702 261 -536 定電流方法
(-600mV) 174 -649 106 -581
流動電極工法端子台
(a) 3.9 -680 -520 -617 -457 -779 -619 -599 -439 -
-14-
4.3.2 処置
通信不良の改善および基板の交換を行った。
チタングリッド工法の通電不良については,通電の切替スイッチの接点において抵抗が発生した
ことから,切替スイッチに不良があると判断し,接触が良くなるように調整を行った(切替スイッ
チ間の抵抗が極端に小さい)。
基板については,新規の基板(IS08S60mV,IS08S)に交換した。
<処置前>
基板については,3工法とも同一基板である。
表 4.3.2 不具合一覧表(処置前)
工法名 通電状況 基板
電圧置表示基板 電流値表示基板 電位値表示基板
チタンメッシュ工法 ○
○ × × チタングリット工法
(1回路,2回路) ×
流電陽極工法 ○
<処置後>
チタングリッド工法は,調整を行った。
電流値表示基板と電位表示基板は,基板を交換した。
表 4.3.3 不具合一覧表(処置後)
工法名 通電状況 基板
電圧置表示基板 電流値表示基板 電位値表示基板
チタンメッシュ工法 ○
○ ○ ○ チタングリット工法
(1回路,2回路) ○
流電陽極工法 ○