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藤沢市市民電子会議室 第4期運営委員会活動報告書 (平成 1516 年度) 藤沢市市民電子会議室 第4期運営委員会 2005 年(平成 17 年)3
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藤沢市市民電子会議室 第4期運営委員会活動報告書 · 報告 国際シンポジウムから 新津運営委員 パネルディスカション...

Dec 31, 2020

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Page 1: 藤沢市市民電子会議室 第4期運営委員会活動報告書 · 報告 国際シンポジウムから 新津運営委員 パネルディスカション 「私が市民エリアに参加する理由(わけ)」

藤 沢 市 市 民 電 子 会 議 室

第4期運営委員会活動報告書

(平成 15・16年度)

藤沢市市民電子会議室 第4期運営委員会 2005年(平成 17年)3月

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- 1 -

目 次

1 はじめに … 3

2 活動の概要

(1) 運営委員会開催状況 … 4

(2) 出版部会活動状況 … 4

(3) イベント実施状況

-1 交流会 … 5

-1-1 平成 15 年度交流会

-1-2 平成 16 年度出版記念シンポジウム

-2 市民まつり … 6

-2-1 平成 15 年度市民まつり

-2-2 平成 16 年度市民まつり

3 実績

(1) 会議室開設状況 … 8

(2) 市役所エリア会議室の開設とテーマの設定 … 8

-1 (市)第 4 期運営委員会

-2 (市)地域福祉ってなんだろう

-3 (市)市民活動推進方策を考える

-4 (市)「総合計画」について考えよう

4 評価と課題

(1) データに見る考察 …10

(2) 会議室の動きについて …12

-1 市役所エリアの会議室

-2 市民エリアの会議室

(3) イベントについて …17

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- 2 -

-1 交流会

-2 出版記念シンポジウム

-3 市民まつり

(4) 出版について …18

(5) 市民と行政の協働(パートナーシップ) …19

-1 市役所エリアにおける行政職員の参加

-2 市民電子会議室にまつわる市民と行政の協働

(6) 運営委員会のあり方 …20

-1 進め方

-2 運営委員会方式

(7) 市民電子会議室の目的・価値・評価軸 …21

(8) 現代社会における市民電子会議室 …23

(9) 長期的な考え方 …24

-1 8年間を振り返って

-2 今後の展望

-2-1 市役所エリア-行政との協働による電子会議室と市民参加

-2-2 情報ネットワークとコミュニティ形成の可能性

5 おわりに …27

資料1 第 4 期運営委員会活動経過(年表) …28

資料2 運営委員レビュー(個人報告) …31

資料3 運営委員名簿 …57

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1 はじめに

藤沢市市民電子会議室は、市民と行政との協働による共生的自治を実現する

ための一方策として、インターネットを利用した市民提案システムの構築、及

び、ネットワーク上の新しいコミュニティの形成を目指して、1997 年(平成 9

年)に実験をスタートさせ、2001 年(平成 13 年)から本格稼動を始めて現在

に至っている。市民電子会議室は自治体による新しい試みとして、日本全国の

市町村からも注目を集めており、藤沢市にとって ICT(情報通信技術)関連の

貴重な資産になっている。

市民電子会議室の運営を担当する運営委員会は、2005 年(平成 17 年)3 月

末で第 4 期の活動が終了する。この第 4 期運営委員会(2003 年 4 月~2005 年

3 月)の期間中に特筆されることに、行政の職員が市民電子会議室に積極的に

参加し発言するようになり、市民と行政との協働による新しいコミュニティの

形成がおおいに推進されたことが挙げられる。

もうひとつ、この期間中に特筆される出来事に、藤沢市市民電子会議室の歩

みを 1 冊の本にまとめた「eデモクラシーへの挑戦」の出版がある(2004 年 4

月発行)。この本は慶応義塾大学金子郁容教授と市民電子会議室運営委員会の共

著によるもので、市民電子会議室の概要を知るための良い参考書である。

第 4期運営委員会は藤沢市の貴重な資産である市民電子会議室の継続を基本

として、これを更に発展させるべく、2 年間努めてきた。その経緯と結果につ

いて以下に報告する。

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2 活動の概要

(1) 運営委員会開催状況

運営委員会では、市民電子会議室の運営にかかわる事項を協議するために、

市民電子会議室上に、「第 4 期運営委員会会議室」を開設した。

また、市民電子会議室上の議論と平行して、運営委員および事務局が一同に

会して会議をおこなう「運営委員会オフ会議」を、平成 15 年度には 6 回、平

成 16 年度にも 6 回、合計 12 回開催した。

※参考 第 2 期(平成 11 年度 5 回、平成 12 年度 6 回、合計 11 回開催)、

第 3 期(平成 13 年度 7 回、平成 14 年度 10 回、合計 17 回開催)

第 4 期運営委員会で協議された主な事項としては、ルールの改正(運営方法

の見直し、研究員制度の検討)、市民電子会議室システムの変更、市役所エリア

について(進行役指名、進行方法、新規会議室検討、地域福祉計画に関するヒ

アリング、江の島工作物に関する関係課ヒアリング)、市民まつりへの出展、交

流会の開催、他委員会(市民活動推進委員会、eコミュニティふじさわ推進委

員会)への委員の出席、市民電子会議室に関する本の出版、同出版シンポジウ

ムの開催、市民エリア開設者懇談会、日経情報化大賞への応募などである。

なお、集中的に特定のテーマで議論や検討を継続すべき事項がある場合は、

専門部会を設置した。任期中に設置した部会は次のものがある。

市民まつり企画部会、交流会企画部会、出版記念シンポジウム部会、出版部会。

(2) 出版部会活動状況

藤沢市市民電子会議室がスタートして 6 年、実験から本格稼働に移行してか

ら 2 年が経過した 2003 年(平成 15 年)1 月に、これまでのノウハウやあゆみ

を総まとめし次の世代に伝えていこうという試みとして、市民電子会議室に関

する本の出版を検討し始めた。

第 4 期運営委員会においても、引き続き運営委員会の活動の一環として出版

作業を継続することを確認し、出版社担当者を交え計 12 回の出版部会を開催

した。部会では手分けをしてヒアリングや取材、情報収集を積極的に行い、原

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稿執筆の依頼先も世話人や市長、過去の担当者である市職員にまで及んだ。

その努力の結果、岩波書店より「eデモクラシーへの挑戦 ~藤沢市市民電

子会議室のあゆみ~」を 2004 年(平成 16 年)4 月 28 日に出版することがで

きた。

(3) イベント実施状況

(3)-1 交流会

(3)-1-1 平成 15 年度交流会

日 時 2004 年 3 月 7 日(日) 午後 1 時 30 分~午後 4 時 45 分

場 所 藤沢市民会館 2 階 第 2 会議室(保育:第 1 会議室)

内 容 テーマ ~市民エリアについて語ろう~

○報告 国際シンポジウムから 新津運営委員

○パネルディスカション 「私が市民エリアに参加する理由(わけ)」

コーディネーター:田中運営委員

パネリスト:

出演者(市民エリア会議室開設者)

�e-ZEN(善行エコマネー研究会) 宮田英夫さん

�WEB 版『ふじさわ自然通信』 案内人さん

�旧モーガン邸の保存と活用を考える 佐藤里沙さん

�飯島農園 飯島あい子さん

○ワークショップ ~パネリストを迎えて~

「市民エリアに期待するもの」

4 グループに分かれて意見交換しました。

参加者 47 人

(3)-1-2 平成 16 年度出版記念シンポジウム

ふじさわ発 新しい市民コミュニティの夜明け

~藤沢市市民電子会議室をめぐって~

藤沢市市民電子会議室の歩みをまとめた本『eデモクラシーへの挑戦

~藤沢市市民電子会議室の歩み~』(岩波書店)を 2004 年 4 月 28 日に

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出版したことを記念し、市民電子会議室について大いに語るシンポジウ

ムを開催。執筆代表の慶應義塾大学金子郁容教授が、なぜコミュニティ

にはうまくゆくものとうまくゆかないものがあるのか、様々なコミュニ

ティが重なりあった市民電子会議室の意味合いから、コミュニティの要

となる「コモンズとは何か」を基調講演。後半では、パネラーから「藤

沢のソーシャルキャピタルとはなんだろう」「市役所エリアがどうなるか、

ルールに着目して考えていきたい」「市民参加がなぜ必要なのだろうか。

藤沢では電子会議室の次のステップ(チャネル)を考えていこう」など

の問題提起がされ、これからの新しい市民コミュニティについて参加し

た方々と一緒に会場全体で楽しく討論できた。

日 時 2004 年 6 月 20 日(日) 午後 1 時~午後 4 時

場 所 藤沢市市民会館 2 階 第 1 展示集会ホール

主 催 藤沢市市民電子会議室運営委員会、藤沢市

概 要

○第 1 部 基調講演

コモンズとはなにか

藤沢市市民電子会議室の意味合い

講師:慶應義塾大学総合政策学部 金子郁容教授

○第 2 部 ディスカッション

新しい市民コミュニティの夜明け

コーディネーター:三菱総合研究所研究員 橋本岳さん

1. パネル・ディスカッション

パネリスト:『e-デモクラシーへの挑戦』執筆者

(安咸子運営委員,太田剛さん,三輪大介さん)

2. 会場討論

参加人数 82 人

(3)-2 市民まつり

(3)-2-1 平成 15 年度市民まつり

藤沢市では、毎年 9 月の最終土曜、日曜日、藤沢駅周辺を中心に、藤

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沢市最大かつ市民主体のイベント「藤沢市民まつり」が実施されている。

第 4 期運営委員会では、市民電子会議室の PR を目的に市民まつりへ参

加した。

日 時 2003 年 9 月 28 日(日) 午前 10 時~午後 5 時

場 所 JR藤沢駅コンコース(自由通路)

内 容 ・「藤沢どこ?そこ!マップコーナー」を設置。情報記入シート

を好きな場所、困った場所、自然系情報、バリアフリー情報、

グルメ情報、子育て情報、おすすめ情報の7種類用意し、来

場者に自由に書き込み及びマップへの貼り付けをしてもらっ

た。情報を出すことからスタッフとの交流、他来場者との交

流のきっかけとした。また、情報の集まり方により市民はど

こに関心を持っているのか、一目でわかる地図となった。

・「市民エリア会議室パネル展示・チラシ配布」を行いPR。

・「会議室体験コーナー」を開設し来場者に開放、説明。

・「着ぐるみ」による呼び込み。

・「電子会議室エプロン」によるPR。

・「ウォーターレタス」の頒布。

運営者 会議室開設者・参加者、運営委員、事務局 計 19 名(当日)

来場者 マップ書き込み 61 人。チラシ 50 セット。

�企画当初から「市民まつりに出るよ!」会議室にて公開議論し、参加

者主体で運営した。

(3)-2-2 平成 16 年度市民まつり

日 時 2004 年 9 月 26 日(日) 午前 10 時~午後 5 時

場 所 JR藤沢駅コンコース(自由通路)

内 容 �「かんたんマップ コーナー」

・プラズマディスプレイの大画面で、『みんなで育てるふじ

さわ電縁マップ』を紹介。

・「ご近所公園」マップと「ハザード(ヒヤリハット)」

マップを用意し、電子地図づくりを体験。

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�「市民電子会議室 コーナー」

《PCよろず相談》

・『パソコンよろず相談室』会議室メンバーが相談対応。

《市民エリアPR》

・工夫を凝らしたパネルやチラシを展示や配布。

運営者 会議室開設者・参加者、運営委員、事務局計 22 名以上(当日)

来場者 チラシ 100 セット。

�企画当初から「市民まつりに出るよ!」会議室にて公開議論し、参加

者主体で運営した。

3 実績

(1) 会議室開設状況

�特に記述のない数値は、2005 年(平成 17 年)3 月 1 日現在。

藤沢市市民電子会議室は、数々の開発・実験を経て 1999 年(平成 11 年)

6 月に導入した会議室専用ソフトウェア「コミュニティエディタ」を現在

も利用している。会議室数は現在では 137 会議室あり、導入時の約 8 倍に

増えた。また、発言登録者は 3 倍以上に増え、2,456 人となっている。会

議室アクセス件数、発言件数とも、月による上下はあるものの概ね増加傾

向にあり、会議室合計アクセス件数が 829,953件(1日あたり平均 513件)、

合計発言件数が 81,640 件(1 日あたり平均 52 件)に達している。

発言登録者の男女別内訳は、男性 65%、女性 35%である。年代別内訳

は、30 代が 33%と最も多く、次に 20 代の 23%、40 代の 17%と続いてい

る。20 代から 40 代で全体の 73%を占めている。職業別内訳は、会社員等

の就業者と学生が全体の 60%を占めている。居住地割合としては、市外居

住者が 34%を占めている。これらの数字には、インターネットの「いつで

も」「どこでも」「誰からでも」という特徴が良く現れている。

(2) 市役所エリア会議室の開設とテーマの設定

第 4 期運営委員会の任期中、市役所エリアに開設された会議室は、「第 4

期運営委員会」「地域福祉ってなんだろう」「市民活動推進方策を考える」

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「「総合計画」について考えよう」の 4 会議室である。また、前期より継続

している会議室は「くらし・まちづくり会議室」「鵠沼海浜公園をみんなで

話そう」「引地川ダイオキシン問題」の 3 会議室である。

(2)-1 「第 4 期運営委員会」会議室

第 4 期運営委員会がオンラインによる意見交換を行うための会議室で、

閲覧は誰でもできるが、発言は原則として運営委員・事務局・世話人・

市役所エリア進行役に限った。但し、「「総合計画」について考えよう」

会議室を開設するにあたって、主管課である経営企画課職員を招へいし

一時的に参加させた時期もあった。その他、この会議室では、運営委員

の紹介、運営基準、運営委員会議事概要など活動状況について閲覧する

ことができるようになっている。

開設期間 2003 年(平成 15 年)4 月 9 日~2005 年(平成 17 年)3 月 31 日

進行役 運営委員長

(2)-2 「地域福祉ってなんだろう」会議室

市が策定を進めている「藤沢市地域福祉計画」に関する情報提供と情

報交換を行う場として設置した。この地域ではこんな活動していている

とか、こちらでは問題を住民の協力で解決したなど、日頃から地域で市

民が実践している地域の福祉活動等の事例やアイデアについて情報交換

した。ここで集約した意見や情報は、「藤沢市地域福祉計画策定委員会」

で報告された。

開設期間 2003 年(平成 15 年)8 月 13 日午後 1 時~9 月 26 日終日

進行役 大井運営委員、堀運営委員、伊勢運営委員

担当課 福祉推進課

(2)-3 「市民活動推進方策を考える」会議室

市民活動推進委員会が検討してきた市民活動推進方策の中間答申素案

について意見をいただき、答申に反映していく場として開設した。

開設期間 2003 年(平成 15 年)11 月 27 日正午~12 月 25 日午後 5 時

進行役 新津運営委員、菅沼副運営委員長、手塚市民活動推進委員

担当課 市民自治推進課

(2)-4 「「総合計画」について考えよう」会議室

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これから 2010 年までの藤沢市の市政運営の基本となる総合計画の基

本計画見直しにあたり、見直し案について様々な視点から意見交換を行

う場として開設した。

開設期間 2004 年(平成 16 年)11 月 1 日正午~11 月 30 日午後 5 時

2005 年(平成 17 年)2 月 10 日正午~3 月 3 日午後 5 時

進行役 新津副運営委員長、菅沼副運営委員長、大井運営委員

担当課 経営企画課

4 評価と課題

(1) データにみる考察

市民電子会議室登録者数の推移を見ると 2005年(平成 17年)2月現在 2,400

人となっている。総務省統計によると平成 15 年度末のインターネット人口(6

歳以上)普及率が 54.5%とあり、これより藤沢市民のインターネット人口を推

定すると約 21万 7千人であるから、藤沢市の電子会議室の登録者率は約 1.1%

となり、インターネットにアクセスする人の 100 人に 1 人が登録者というこ

とになる。

『市民電子会議室登録者数の推移』(図1)によると、登録者数はほぼ直線

的でゆるやかな安定増加傾向にあることがわかる。この傾向は 1999 年(平成

11 年)以来ほとんど変わらない。

1,800

1,900

2,000

2,100

2,200

2,300

2,400

2,500

2003年4月

2003年5月

2003年6月

2003年7月

2003年8月

2003年9月

2003年10月

2003年11月

2003年12月

2004年1月

2004年2月

2004年3月

2004年4月

2004年5月

2004年6月

2004年7月

2004年8月

2004年9月

2004年10月

2004年11月

登録者数

図1. 市民電子会議室登録者数の推移(2003.4~2004.11)

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過去の評価の中でたびたび、インターネットの利用人口の割合に対して、

市民電子会議室登録者数が少ないことが指摘されてきた。しかし、インター

ネットが日常化しブロードバンドも生活に定着し、様々なコミュニティメデ

ィア(掲示板,ML,blog,SNSなど)が存在する中で、爆発的な登録者

増はないものの、流行に左右されることなく市民電子会議室の登録者が安定

増加をし続けているという状況は評価できる。

藤沢市の全人口に対する割合を 1999 年(平成 11 年)から 2004 年(平成 16

年)で見ると約 0.2%→0.6%の増加傾向にある。このように、市民電子会議室

への市民参加は、ネットでのはやりすたりに左右されることなく徐々に浸透

し、そうした中で地域のコミュニティメディアとして少しずつ醸成されてゆ

くものと捉えることも可能であるといえる。

とはいえ、登録者、発言者数を増やすことが前期からの課題となっており、

引き続き取り組む必要性がある。

『アクセス数+配信数の推移』(図 2-1)によると、第 4 期における会議室

合計のアクセス数は上下しつつも 2003 年(平成 15 年)4 月から 2004 年(平成

16 年)11 月までに約 6 万から 10 万アクセスへと倍増している。

配信数は、市役所エリアと市民エリアとも同様な傾向が見られる。これは

市役所エリアでの発言数に連動して市民エリアでの発言数が多いことを示し

ている。市役所エリア配信数は、「(市)地域福祉って何だろう」、「(市)市民

活動推進方策を考える」、「(市)「総合計画」について考えよう」の 3 つの会

議室の開設期間中が多く、特に 2003 年(平成 14 年)9 月は地域福祉の話題が

市役所エリア・市民エリア双方で多かったことが伺える。

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

03/04

03/05

03/06

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04/01

04/02

04/03

04/04

04/05

04/06

04/07

04/08

04/09

04/10

04/11

アクセス数+配信数

会議室合計

市役所エリア

市民エリア

特設エリア

図 2-1. アクセス数+配信数の推移 (2003.4~2004.11)

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(2) 電子会議室の動きについて

(2)-1 市役所エリアの会議室

第 4期運営委員会の任期中に市役所エリアに新規に開設された会議室は

「地域福祉ってなんだろう」「市民活動推進方策を考える」「藤沢市総合計

画について考えよう」の 3 会議室である。

これらの会議室はいずれも藤沢市や市の設置した委員会からの開催要請

に基づいて開設されたものである。それぞれの会議室の開催期間は1~2

ヶ月でありその間の発言数はいずれも 200 弱であった。

2003 年 8 月~9 月まで開催された『地域福祉ってなんだろう』の会議室

は藤沢市地域福祉計画の策定に伴い、電子会議室上での意見交換を目的に

開設したものである。

この会議室では、担当課(福祉推進課)の会議室に求める意図や目的が

はっきりしなかったこともあり、進行が難しいものとなった。

「地域福祉」というテーマが専門的かつ抽象的であったこともあり、会

議室の開設当初は「地域福祉とはなにか」という概念の理解や解釈に対す

る意見が続き、地域福祉計画に対する意見交換という本論からややはずれ

た議論が多かった。これは、会議の参加者の発言が関心ある部分に集中し

ていたためであり、こうした議論が行なわれた意義は大きいが、期間が限

られた中で急激に行うよりも、常設会議室や市民エリアにおいて思想や哲

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,00003/04

03/05

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04/05

04/06

04/07

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04/09

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04/11

配信数

会議室合計

市役所エリア

市民エリア

特設エリア

図2-2. 配信数の推移 (2003.4~2004.11)

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学なども含めた幅広い議論を行ったほうが効果的であったともいえる。参

加者は福祉に関心のある市民が多かったためか、専門的な意見が多く見ら

れたが、担当課からの情報提供は必ずしも迅速ではなく、漠然と会議室を

開設した感が否めない結果となった。

2003 年 11 月~12 月まで開催された『市民活動推進方策を考える』の会

議室は市民活動推進委員会のまとめた「市民活動推進委員会答申案」につ

いて市民より意見を求めるために開設したものである。進行役として 2 人

の運営委員がつき、サブの進行役として市民活動推進委員会の委員が務め

た。こうした方法は初めての試みであったが、過去にも問題となっていた

市民活動推進委員会と電子会議室の連携が図れたことは高く評価できる。

会議の進行については、短いスケジュールであることや答申案が項目立

てされていたことから、答申案の項目に沿ってタイムスケジュールを決め

て行われ、比較的多くの発言が見られた。

こうした方法は、期間を区切った会議室の進行方法としては一定の効果

をもたらすことがわかったことは特筆すべきである。

また、推進委員会の委員も一部の委員ではあるが積極的に発言をするこ

とにより情報提供がはかられた。

2004 年 11 月と 2005 年 2 月~3 月に開催された『総合計画について考

えよう』会議室は、「ふじさわ総合計画2020」の見直しに際し「見直し

素案」について広く意見交換を行うために開催された。2004 年 11 月の 1

ヶ月間で見直し素案についての意見交換、その後 2005 年 2 月~3 月に、

修正された見直し案について意見交換を行った。

会議室の進行は運営委員 3 名がメインの進行役を、担当課である経営企

画課の担当職員がサブの進行役を務めた。

会議室の進行は、「市民活動を考える」会議室での経験を生かし、事前に

経営企画課との打ち合わせにより検討されたシナリオに沿って進められた。

基本計画の素案は広報や共有フォルダから参照できたことや、会議室参加

者から求められているテーマの明確さもあったので、テーマを絞った進行

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方法は、参加者には発言しやすかったようである。また、市民からの発言

に対する担当課からのレスポンスはかつてないほど迅速であった。議論の

テーマを時間で区切ったため多少タイトな空気を生み出したが、意見が散

漫することなく会議が進行できたといえる。会議室スタート時に進行役チ

ームから、進行についての詳しい案内やローカルルールを提示した進め方

は、今後こうした会議の進行としてひとつのモデルとなると評価できる。

市役所エリアに設置されたこれら、3 つの会議室開催を通し、市役所エ

リアで行われる会議室(特に期間が限られているもの)は、ある程度明確

な指針や進行シナリオが用意されているほうが市民からの意見を引き出し

やすいということがいえる。

一方、継続して開催されている「くらし・まちづくり会議室」は波があ

るもののアクセス数は年々右肩上がりとなっており、市役所エリアの玄関

口として今後も続けるべきであるといえる。あるテーマが盛り上がった場

合、そのテーマを新会議室に独立させるという従来の方式は一定の効果が

あると思われるが、新会議室開設のタイミングについては決め手がないの

が現状である。

また、同じく継続して開催されている「引地川ダイオキシン問題」「鵠沼

海浜公園をみんなで話そう」会議室は、発言こそ少ないが一定のアクセス

数がある。発言が少ないのは平穏無事であるとも言え、両会議室は危機管

理の象徴とも言える。

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市役所エリアで開設された会議室に対する、進行役以外の運営委員の、

サポートのあり方については運営委員会で意見交換がなされたこともあっ

た。運営委員全体で進行をサポートするというのは共通の考えであるが、

具体的にどのように関わるべきか、ということについては、それぞれの運

営委員にとって葛藤があった。表立って発言のフォローをしたり、議論を

進めたりするのは進行役業務と重なるところもあるので、その他の方法と

しては自主発言などで会議室全体を盛り上げたり、他の参加者の意見を引

き出したりするべきということが考えられるが、必ずしも全員が、知識や

経験に基づき、発言につながるような内容が用意できるとも限らない。そ

のような状態において、運営委員だからということで、形式的に発言をし

ていくというあり方については疑問を抱いたり、さらには運営委員ばかり

のやりとりに終始してしまったりすることへの危惧なども指摘された。

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アクセス数

くらしまちづくり会議

引地側ダイオキシン

鵠沼海岸公園をみんなで話そう

第4期運営委員会

図3-1. 市役所エリアアクセス数の推移 (2003.4~2004.11)

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発言数

くらしまちづくり会議

引地側ダイオキシン

鵠沼海岸公園をみんなで話そう

第4期運営委員会

図3-2. 市役所エリア発言数の推移 (2003.4~2004.11)

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(2)-2 市民エリアの会議室

市民エリアの会議室は、初期の頃は趣味的テーマの会議室の開設が多かっ

たが、2000 年(平成 12 年)頃からコミュニティの形成を意識した会議室が開

設されるようになる。

特に、第 4 期中に新たに開設された会議室の傾向は、テーマ中心からカフ

ェスタイルへと変化してきている。この結果、市民エリアにはテーマを絞っ

た会議室と、特にテーマを定めない会議室とが混在するようになった。

このことは、市民エリアの参加者が、「藤沢市市民電子会議室」というコミ

ュニティに属していることを意識しだした結果であり、あたかもそれぞれの

会議室に「住民」が住み着き、他の会議室の「住民」と交流する、というコ

ミュニケーションを持ち始めていると例えることができる。これらの「住民」

は、単独の会議室にしか発言しないケースもあるが、いくつもの会議室に重

複しているケースも多く、会議室ごとにキャラクターを変えるなど、参加者

の遊びこころがうかがえる。

市民エリアの会議室では、それぞれローカルルールが出来上がっている。

ほとんどの場合は必ずしも明文化されているわけではないが、開設者や参加

者の自主的な判断により、まるでローカルルールが存在するかのような振る

舞いを見せている。市民エリアでの自由な発言は、電子会議室へ「発言する」

「他の市民の意見を聞く」「交流する」というスキルを自然と身につける場所

ともなっているが、こうした参加者は、市民電子会議室を支えるソーシャル

キャピタルであり、緊急時にはそのコミュニケーションを生かした活動や市

役所エリアでの発言が期待できる。

(3) イベントについて

(3)-1 交流会

2004 年(平成 16 年)3 月 7 日行なわれた交流会では、「市民エリアについて

話そう」というタイトルで市民エリアにスポットを当てたパネルディスカッ

ションを行った。このことからも、第 4 期は、市民エリアの注目度が高い時

代が確実にスタートしたことがわかる。これまでは行政と市民をつなぐこと

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や、政策提言システムとしての機能といったものに焦点をあてられてきた電

子会議室だが、開設当初よりあったコミュニティ形成というもう1つの目的

と機能が頭角を現し始めたと言える。交流会の後半は参加者らによるワーク

ショップで、非常に活発な意見交換やレビューが行われ、そのことは以降の

電子会議室隆盛の一翼を担うことにつながったと評価する。

毎年継続して行われている交流会は、単なる懇親の場としてだけでなくワ

ークショップを取り入れるなど、電子会議室の参加者の「学び」の場として

も定着してきており、電子会議室の特徴のひとつと言って良い。一方で、初

めての参加者にはやや敷居の高いプログラムとなっているという指摘もある。

今後は市民祭りの企画同様、開設者や参加者を含めた企画委員会方式とする

方法もある。

(3)-2 出版シンポジウム

2004 年(平成 16 年)春に出版された「e―デモクラシーへの挑戦」の出版を

記念して 2004 年(平成 16 年)6 月 20 日に開催されたシンポジウムは、多くの

参加者に恵まれ盛況のうちに終了した。

慶應義塾大学大学院教授金子郁容氏の基調講演と歴代関係者によるパネル

ディスカッションでは、本の内容同様にこれまでの電子会議室を振り返りな

がら新しい展開に期待する内容であり、「コミュニティ・ソリューション」「ソ

ーシャルキャピタル」などといったアカデミックな概念で市民電子会議室の

特徴や意義を表現することが可能となった。「e―デモクラシーへの挑戦」の

出版とともに第 4 期中のインパクトのあるイベントであった。

(3)-3 市民まつり

市民電子会議室では毎年秋に行われる地域イベントである市民まつりに参

加してきた。

第 4 期運営委員会では、市民エリアの開設者にも呼びかけて企画委員会方

式で市民まつりへの参加企画を行った。

2003 年(平成 15 年)9 月 28 日の市民まつりでは、「電縁まちづくり」とい

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うテーマで、電子会議室のブースを訪れる市民にマップ作りに参加してもら

うという企画を行った。

2004 年(平成 16 年)9 月 24 日の市民まつりでは、「みんなで育てるふじさ

わ電縁マップ」のPRを兼ね電縁マップに書き込んでもらうという企画とパ

ソコンよろず相談などを行った。

いずれも、企画については会議室を利用して行い、2 年続けて電子会議室

の参加者主体で企画・参加できたことは高く評価できる。こうした企画はス

タッフがたくさんあつまることで、イベントの 8 割ぐらいの成否が決まると

言われているが、そういう意味では成功だったと言って良いであろう。

また、こうしたイベントへの参加は「参加しやすい大きなオフ会」と捉え

ることもできる。会議室においてニックネームで発言している市民が顔を合

わせることにより、市民電子会議室のコミュニケーションがさらに進化して

いくと期待できる。

(4) 出版について

第 3 期運営委員会の任期中、これまでの電子会議室の記録を運営に携わっ

ている側からまとめてみよう、という発案から出版計画は始まった。出版部

会を設け、おもに第 3 期運営委員が中心となって出版事業を進めた。編集方

法は、各担当ごとにオンラインかつ共有フォルダを利用しながら原稿を集め、

代表者が章ごとにまとめ、最後に編集者と金子郁容氏が編纂する形で行われ

た。

1997年(平成 9年)の市民電子会議室スタート時から現在までの経験と流れ

をまとめられたことについて非常に有意義なものであると言える。

(5) 市民と行政の協働(パートナーシップ)

(5)-1 市役所エリアにおける行政職員の参加

第 4 期運営委員会の任期中において、行政からの情報提供の量と迅速性の

向上は顕著であるといえる。市役所エリア会議室の「くらしまちづくり会議

室」では、特にテーマを固定せず、市民が疑問に思うことや生活者としての

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「つぶやき」を自由に発言できる掲示板としての機能をもたせているが、そ

うした市民からの声に対して担当課からの情報提供の頻度は明らかに高くな

っている。情報提供というのは、受け手が必要と感じたときに行われるのが

望ましいので、担当課により温度差はあるというもののこの傾向は大変評価

できる。さらに、行政からばかりではなく、市民同志でも情報提供が活発に

なっていることは、市民電子会議室の成長が一段と進んでいるとも言えよう。

(5)-2 市民電子会議室にまつわる市民と行政の協働

第 4 期運営委員会の任期中、市役所エリアでは新たに 3 つの会議室が開催

されたがどの会議室も開設期間が短く、市民にとっては満足に意見を言うま

もなく終わってしまったとの声があった。行政が会議室で意見交換を行ない

たいと思った場合は、くらしまちづくり会議室で事前に基本的な情報を流し

ておくなど、内容についてある程度の周知をしてから本会議室を開くなどの

工夫が必要であると指摘できる。

また、会議室での議論の内容が難しくなりすぎる傾向にあり、そのため発

言してくる市民は専門的な話題についていける特定の人に偏りがちとなる。

むろん専門的な意見は重要であるが、市民の素朴な意見も同等に重要である。

こうした温度差をなるべく起こさないような市民電子会議室運営が重要な課

題である。

また別の問題として、市の外郭団体の市民電子会議室への理解不足が指摘

できる。

電子会議室の有効性を説明しても、所属する各団体が平等に使用できない

ことを理由に、その参加が妨げられることもある。市の職員のみならず、外

郭団体など関連職員への講習なども必要であると指摘できる。

(6) 運営委員会のあり方

(6)-1 進め方

運営委員会は藤沢市市民電子会議室の「ロール・ルール・ツール」のロー

ルを担うものであり、ここまで 8 年間、運営ノウハウを継承しながら市民電

子会議室の運営に携わってきた。この市民公募の運営委員会方式は、市民電

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子会議室を成功に導いた優れた制度であることは多くの研究者により指摘さ

れている。また運営委員会の「仕事」は規約など明文化された役割以上のこ

とが求められている。

運営委員会は、電子会議室というオンライン会議で進めるというイメージ

があるが、実際には顔をあわせてのオフライン会議を頻繁に開催する必要が

あることは、8 年間の経験からわかってきた。

第 4期では、当初運営委員会の活動計画をたてるべきとの意見があったが、

実現していない。市民電子会議室の運営委員会は年次目標を立て活動する委

員会ではない、また、定期的に市民提案を行うものでもない。そのため、活

動計画というものになじみにくいということが指摘できる。しかし、委員の

中には市民電子会議室であるからオンラインで会議をする、運営委員会が市

民提案を行う、という規約などから推察できる役割をイメージしている場合

があり、再任している委員との意識の差が生ずることがある。運営委員会を

進めるにあたり、オンライン会議オフライン会議を問わず、常にこうしたこ

とを委員が共有できるようにする必要がある。

(6)-2 運営委員会方式

運営委員会については本来ネット上の運営委員会会議室で行うべきである

が、必ずしも運営委員に公募する市民がオンラインでの議論に慣れているわ

けではない。このため実質的には重要事項を含めオフライン会議での決定場

面が多い。この結果、第 4 期運営委員会ではオフライン会議と呼ばずに単に

「運営委員会」、オンライン会議を「オンライン会議」と呼ぶことにした。

一方で開設者の意見交換会などの継続的な実施、市民祭りへの参加により、

電子会議室を愛する参加者は確実に増えている、こうした開設者たちを運営

委員会のサポーターとして運営に参加してもらうことも運営委員のモチベー

ションを高めるのに有効である。

藤沢市市民電子会議室は公募による市民運営が「うり」であることは間違

いないが、公募制度によるデメリットも見え始めている。各世代から性別の

差別なく選出することと円滑な運営とは必ずしも結びつくわけではなく、む

しろ責任ある運営のできる委員を選出する方法を検討すべき時期に来ている。

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(7) 市民電子会議室の目的・価値・評価軸

第 4 期運営委員会の任期中、しばしば、定性的な評価と定量的な評価とい

うことで議論をする機会があった。そうした中で、市民電子会議室の経済性

(費用対効果)についてこれまで論じられなかったことへの疑問が投げかけ

られた。また、外部の研究者や自治体を含む団体からのヒアリング時に、こ

うしたことが問われるのもしばしばである。多くの委員の考えは、「会議室の

効果や成果は経済性で論ずべきではない」という意見であったが、これにつ

いては以下のように考えることができる。

行政としてどの施策に力を入れて取り組んでいくかということは、各自治

体の価値観と判断とに委ねられる。全国各地で行政の ICT 化が進む中、どの

くらい重点をおいて予算配分するかについては地域格差も大きく、この結果

が今年度 e 都市ランキングにおいて藤沢市が第一位となったことにも現れて

いる。

ICT 施策に消極的な自治体はいくらでもあり、しかし、各自治体の事情も

あるのでその善し悪しを一般化して語ることはできないが、藤沢市の場合、

市民電子会議室が行政の ICT 施策の一環として全国に先駆けて行われ、それ

が行政職員の意識改革につながり、e 都市ランキングの首位として全国的に

高い評価を得られる結果となっていることは言うまでもない。

一方で、自治体における電子コミュニティの分析、経済効果を測定する方

法はいろいろと研究はされているが、定量的な効果測定の方法がまだないと

いうのが現状である。企業における社内電子コミュニティについても同様で

ある。

この課題については大学や各研究機関に委ねるべきであり、また市民電子

会議室をどのような位置づけで重点化し予算配分してゆくかは、行政の ICT

化推進の立場も含めて、藤沢市自身が将来性を見据えてその経済性効果を判

断することであって、運営委員会が判断することではない。運営委員会の役

割は、藤沢市から要請された期待に応えて、最大のパフォーマンスを発揮す

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ることである

すべての自治体が藤沢市に習う必要は全くないが、時流として行政の ICT

化の流れは変わらず、これからも進んでいくことは間違いない。それゆえ、

これからも藤沢市は市民電子会議室のパイロットモデルとして注目され、全

国からの期待を背負っていることは確かであろう。

最近では外部ヒアリングに事務局だけでなく運営委員も対応するようにな

ったが、運営委員としては市民電子会議室における成果や効果などを、定性

的な感覚で伝えることしかできないという現実に直面している。今回の評価

に当たっても、データを分析した結果をもとにレビューを作成しているが、

成果について、そういった数値で示す手法や、あるいは明文化した形で伝え

ていくことが、市民電子会議室の本質的な能力を浸透させ波及させる大きな

ポイントになると指摘できる。

電子会議室の効果は「文書」や「政策」や「施設」など、目に見えるよう

なものだけではなく、ましてや、”藤沢市は、市民電子会議室の設置に○○○円

かけて、実際のところいくらぐらい回収できたのか。”という話ではない。

もっとも重要なことは「人のつながり」や「人との信頼感、コミュニケー

ション」といった、ガバナンスの形成であると言える。

(8) 現代社会における市民電子会議室

一時期ほど電子会議室というシステムが珍しくなくなったとは言え、藤沢

市市民電子会議室はいまだに「成功事例」として取り上げられ、他の自治体

からの視察、ヒアリング、取材、シンポジウムへの参加依頼などは多い。

そうした場では、藤沢の特徴的なことは市民運営方式と市民と職員との連

携の良さであるとの指摘を受ける。多くの自治体の場合は、自治体が運営主

体であることが多いため、市民との「会話」が成り立ちにくい。藤沢では市

民同士あるいは市民と行政がきちんと「会話」ができているという評価があ

ることを忘れてはならない。

このことは、8 年前にこの仕組みを作ったとき以来、運営委員と市の担当

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職員ら、参加市民が協働して一歩一歩実績を積み重ねて来た結果である。

こうしたことは、第 1 期のときの「総合計画基本構想」会議室と第 4 期の

「総合計画について考えよう」会議室を比較したときに今昔の感があること

からも明らかである。

次なるステージは、藤沢市のその他の e 政策(市民自治推進課が担当して

いる電縁マップ、IT 推進課が担当している市域ポータルサイト)との連携で

ある。

今後、地域コミュニティのための様々な便利なツールが用意される中で、

コミュニケーションの軸となる場として、市民電子会議室がよりいっそうの

市民の活躍を生み出せるように、サポートしていく必要がある。

その上でも、藤沢市市民電子会議室の運営委員会方式はユニークかつ有効

な方法であるので、こうしたシステムを継続させる努力を怠ってはならない。

市民電子会議室の立ち上がり時とくらべ、現在の電子会議室は地に足のつ

いた状態で着実な成長をするべき時期である。着実とは言っても、めまぐる

しいツールの開発や情報社会の発展の流れをまともに受けるこの世界では、

ともすれば逡巡していることが外部から見ると後退ととらえられてしまうこ

ともある。

しかし、そうした情報ツールであるからこそ、情報社会の変化についてい

くべきであり、市民電子会議室は安定しているべきものではないと言える。

(9) 長期的な考え方

(9)-1 8 年間を振り返って

「くらし・まちづくり会議室」への、それまでの行政への要望型の発言が

大きく変化するのが、2000 年(平成 12 年)4 月の引地川ダイオキシン問題で

ある。すでに多くの場所で語られているように一企業がおこした問題は、市

民と自治体が同じ情報を同時に得ることで、市民がいたずらにパニックに陥

ったりいい加減な風評を押える効果があったことは、電子会議室の有効性を

示した事件であった。

続いて起こった「くげぷー問題」では、藤沢市が情報をコントロールした

ことにより市民電子会議室参加者に行政不信をいだかせたが、この二つの事

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件は藤沢市が電子会議室に対して情報提供の仕方を大きく変えさせることと

なるターニングポイントとなったことは間違いない。

これらの事件はその後、運営委員会と事務局、必要に応じて担当課も交え

事前相談を行いながら電子会議室を運営する現在のスタイルを確立した。

2001 年(平成 13 年)の本格稼動後は、内部研修の成果もあり市役所内部で

の市民電子会議室への参加度が目に見えてよくなっている。また、審議会な

どと平行して市役所エリアに会議室を開催したい、という発案が提出される

ようになる。こうしたことは、市役所エリアの風通しを良くした一方、「くら

し・まちづくり会議室」での「テーマの空白」につながっていく。電子会議

室とはいえ、市役所エリアへ発言する市民のモチベーションは「行政への注

文」であり、行政がフットワークよく返信発言することによって、議論が途

絶えてしまうという現象が現れる。一方で、審議会等と平行して開催される

会議室では、担当課が「返答」でなく議論に参加する形で発言することによ

り、市民との議論のキャッチボールが継続することも実証された。

しかし、「くらし・まちづくり会議室」への発言は伸び悩み、発言者の固定

化が顕著である。

これらを改善するためには、議論のテーマに担当課が積極的に参加するこ

とにより、潜在的な参加者の発言を促す効果が期待される。

(9)-2 今後の展望

(9)-2-1 市役所エリア-行政との協働による電子会議室と市民参加

第 4 期運営委員会の任期中、市役所エリアに開設された 3 つの会議室で

は、行政の抱えている課題や施策について議論をするための情報集積の場

として機能することが期待された。それ故、行政が情報を提供し、また構

想や目標、さらに現状などを示すことによって、会議室へ参加した市民が

自らの問題として受け止め、理解し、課題解決に向けた議論が展開された。

その中では、行政が提供する情報には様々な制約があり、ともするとき

め細かなものになりにくく、それを補う柔軟な情報を求められた。このよ

うなやりとりの繰り返しと、近年の行政の情報提供に対する認識向上から、

発言数はあまり多くはないものの着実に市民と情報の共有や集約が図られ

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てきたのではないだろうか。そして、市民も単に参加するだけでなく、生

活者としての様々な情報を提供し、地域をよりよくするための意見や、環

境・まちづくりの提案や対案を出すといった電子会議室においての市民参

加の意義が効果的に機能していったと考えられる。今後は市役所エリアの

会議室で発言する参加者は、単なる参加ではなく、参画、対案提起の主体

者となり、情報化社会にふさわしい、新しい電子会議室での役割を担う進

行役として成長していくことが展望できる。

これからの藤沢を創って行くためには、市民の市政への積極的な参加が

不可欠であり、市の提唱している「いつでもどこでもだれでも市政に参加

できる開かれた市政」を実現するためにも市民電子会議室の有効活用は大

切である。

現在のルールでは市役所エリアの会議室の開設は市役所であり、運営委

員会はそれをサポートしていく立場である。会議室で意見交換されること

による市民への広報効果も大きく、各施策にたいする「市民関心度、満足

度」も向上する効果が期待できる。そのためには電子会議室をアンケート

として利用するなどより敷居の低い活用方法なども考えられる。

(9)-2-2 情報ネットワークとコミュニティ形成の可能性

情報化の進展という流れのなかで、地域社会も大きく変化している。近

年の地域社会をコミュニティとして機能させるためには、様々な相互関係

が不可避となってくる。今日では情報通信メディアの急速な普及に伴って、

人々が対面で情報をやりとりするという旧来のコミュニケーションが限り

なく減少し、多様化している。そのため、従来の地域社会の基盤に制約さ

れることなく人々が結びつき、コミュニケーションを拡大し分散化しつつ

ある。それは情報ネットワークを活用することにより、共通の目標や関心

をもった人々が出会って集団を形成し、交流や情報の共有が可能となった

からである。個々人にとっては新たな相互関係を作りあげる可能性が高ま

ってきたのではないだろうか。

このような観点からすれば、市民電子会議室の情報ネットワークは地

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縁・血縁などで結ばれている人間関係を越えて、情報の縁で結びつく役割

を果たしていると考えられる。情報の縁で形成された関係は、自発的に情

報を発信し、その情報を誰もが共有することができる。また、地域や環境

問題について積極的に議論をしたり、子育てやまちづくりなどそれぞれの

目的、関心事などの共通意識が存在している。さらに、そこには強制力は

なく、自らの意志での自由参加、交流が可能な集まりであるだけに、現実

の人間関係を円滑にすることもありえる。それは市民電子会議室の情報ネ

ットワークで結ばれた縁を活用して、従来の地域社会を活性化させ、地域

住民の意識的な協力や参加による新たな取り組みとなる可能性を秘めてい

るのではないだろうか。

現在、市民電子会議室は、安定期もしくは倦怠期に入っている。市役所

エリアをにぎわすような「事件」が起こらず、携帯電話を代表とするモバ

イル世代を参加者として取り込むには至っていない。これは、電子会議室

だけの問題ではなく、多彩なネットコミュニティシステムの混在する現状

なども大きくかかわっている。とはいえ、市民参加システムとして有効で

あることを継続して実証していく必要がある。

5 おわりに

市民電子会議室の参加登録者数および閲覧件数は着実に増えており、市民電

子会議室という仕組みが定着し、現在も成長し続けていることを素直に喜びた

い。

第 3 期運営委員会(2001 年 4 月~2003 年 3 月)の報告書では、活発な市民

エリア会議室に比べて、市役所エリア会議室はいまひとつ盛り上がりに欠けて

おり、市役所エリア会議室を活性化するために、市職員に対して、市役所エリ

ア会議室での積極的な情報提供を要望した。

第 4 期運営委員会(2003 年 4 月~2005 年 3 月)の期間中には、市職員が市

役所エリア会議室に積極的に参加し、適切な情報をタイミング良く提供する事

例が目立った。大変良いことであり、今後も市職員が市民電子会議室を積極的

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に活用し、市民と行政との協働によるまちづくりが推進されることを期待する。

第 4 期運営委員会では途中で委員長が交替するというアクシデントがあり、

市民電子会議室の運営は第 3 期からの継続が中心になり、会議室の運営を大き

く改革するなどの試みは行われなかった。

しかし、運営委員会に課せられた課題は数多く残っている。例えば、市役所

エリア会議室での市民の発言を活発化させて、市民からの意見を取りまとめ、

市長に政策提言するという運営委員会の役割が 4 年間実行されていない、市役

所エリア会議室での発言者の層が広がらないなどが、第 4 期運営委員会で議論

された。

これらの課題について、次期運営委員会で再度検討して頂ければ有り難い。

以 上

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資料2 運営委員レビュー(個人報告)

■伊豆山善夫

第 4期運営委員会の期間中での最大のイベントは藤沢市市民電子会議室を紹

介する本「eデモクラシーへの挑戦」の出版だと思います。執筆作業は第 3 期

運営委員会の時から始まりましたが、2003 年度に執筆活動が進み、2004 年 4

月に本が出版されました。メインの著者である慶應義塾大学金子教授の力はい

うまでもありませんが、執筆に貢献された運営委員、市役所職員など、執筆委

員の方々のお蔭です。そして、原稿や資料作成のための市役所エリア会議室「出

版部会」が役に立ちました。

第 4 期運営委員会の期間において、市民電子会議室が過去に比べて大きく変

わったと思うことに、市職員が電子会議室で積極的に、タイミング良く発言す

るようになったことがあります。市民からの質問への回答や市からの情報提供

が第 3 期以前に比べて格段に数多く、素早い対応でした。

市職員が市民電子会議室に積極的に参加するようになったので、運営委員会

および運営委員の役割が今後変わることになるでしょう。市と市民との間をつ

なぐという、従来の運営委員の役割がなくなるわけではありませんが、重要性

は低くなるのではないかと思います。今後の運営委員会および運営委員の主要

な役割はなにかを議論することになりそうです。私が現在その答えを用意して

いるわけではありません。

第 4 期運営委員会の期間中に新規に開設された会議室は「地域福祉ってなん

だろう」「市民活動推進方策を考える」「藤沢市総合計画 2020 見直し」の3つ

でした。いずれも1~2 ヶ月の短期間に発言数 200 弱と活発な発言があったと

思います。「地域福祉」の場合には地域福祉とはなにかという発言が多くて、内

容の進展が遅れた感じがあります。これは参加者の発言の流れでそうなったわ

けで、会議室進行役が努力すれば、流れを変えることができたとは思いません。

「市民活動」では開設の期間中にテーマを分割するという新しい試みがなされ、

進行役の旗振りのもと発言者も良く対応してくれたと思います。また市民活動

推進センターの担当者がサブ進行役を勤めてくれ、積極的に発言するとともに、

会議室のまとめまでやって、この会議室の活用に貢献してくれました。有り難

いことです。「総合計画」は上記の経験を土台にして、比較的円滑に運営された

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と思います。市側の発言もタイムリーで良かったです。

従来からあった市役所エリア会議室では、「くらしまちづくり会議室」は藤沢

市市民電子会議室市役所エリアの玄関口として、今後も続くでしょう。あるテ

ーマの発言がここで盛り上がれば、そのテーマを新会議室に独立させるという

従来の方式を引き継ぐべきです。「引地川ダイオキシン問題」「鵠沼海浜公園を

みんなで話そう」会議室には発言が少ないですが、発言が少ないのは平穏無事

な証拠で、いざという時に役立てば良いという考えもあります。

第 4 期の期間中全体にいえることは、会議室での発言者が特定の人に限られ

ており、発言者の層が広がらなかったことです。これは第 4 期に限らず、第 3

期以前から継続している問題ですが、第 4 期でなんら対策をうてなかったこと

を反省します。会議室参加者の層を広げる効果的な方法がなかなか見つからな

いという現実がありますが、それでも市民電子会議室の発展のために、藤沢市

民への普及と利用者層の拡大に勤めることは運営委員会の使命でしょう。

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■伊勢 哲郎

1. 運営委員会の行動方針および業績について。

第4期の電子会議室運営委員会(以下、委員会という)では、発足時委員長

より委員会のミッションを示され、それに基づく行動方針を検討するはずであ

った。個人的には、これら課題に対する取り組みについて2回私案を提出した。

しかし、前委員長が方針を決定しないまま任期途中に辞任した結果、前期の

路線をそのまま踏襲することになった(と小職は思っているが、委員の中には

異論もあろう)。したがって、今期の行動内容および評価は、前期報告書と殆ど

同じであると考えている。

新しい試みとして、市側から依頼された策定・長期計画等に対して、電子会

議室を媒体として市民からの意見を吸い上げる試みがあった。進行役に当たっ

た委員は大変な努力をされたようであるが、結果としてその成果には疑問を持

っている。

例えば、市民自治推進の策定に当たって、現実の活動当事者(NPO 等)から

の発言が少なく抽象的な文言が羅列した原案のまま容認されてしまった。他の

案件についても、同様な傾向であったように思える。

今期最大の実績は、「e デモクラシーへの挑戦」の出版であろう。内容を読む

と、立ち上がりから今日に到るまでの関係者のご苦労がしのばれる。今後は、

内外からの高い評価に恥じない発展を祈りたい。

2. 電子会議室の評価について

会議室の実績および運営委員による内部評価については、前期委員会が立派

な報告書にまとめている。

その路線を受け継いだ今期委員会は、前期で積み残した課題を解決すること

が最大の任務であった筈である。その成果については委員毎に異なる意見があ

ろうが、自らの実績を省みると内心忸怩たる思いである。

一点不思議に思っているのは、本事業の経済性(費用対効果)についてこれ

まで議題とならなかったことである。分子である成果のみが論じられて、投入

費用・投下人員等の分母については話題にあがらなかった。絶対評価は難しく

とも、他の媒体(例えば、広報)との比較評価はできる筈である。経済性の評

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価を外しては、全体の評価が片手落ちになるのではなかろうか?一般企業では、

考えられないことである。

本件については、当方も新参委員のため今期はあえて言い出す勇気を持たな

かった。

難しい問題かもしれないが、財政難の折から来期の委員会ではその是非も含

めて、検討して頂くことを望みたい。

以 上

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■大井園子

今期も他の方々がまとめておられるように様様なことがあったが、市民電子

会議室の存続を問われるような大きなトラブルもなく、また画期的な施策提案

につながる目をみはる活躍ということもなく、ゆるやかに前期から継続され

時期に継続していくように 私には思われる二年間であった。

このこと さしたる変化なしとしてマイナス点として評価することも見方を

変えれば可能であるかもしれないのだが 一運営委員である私は これを着実

さというプラス面で考えたいと思っている。

ともかくインターネットの世界は膨張と変わり身が早い。また インターネ

ットというものが デマ・風評そのほか実際に人が人の生活や財産・生命をお

びやかす凶器と直接・間接になりうるなどマイナス面にも目をつぶるわけには

いかない。市民電子会議室をより良いものとすべくボランティアとしてかかわ

っている私たちこそ よくよく留意しなければならないと思うのだが、今年度

は さまざま国内外の災害や 藤沢市の未来を占う総合計画などの話題にも

冷静かつ思いやりのある発言が主で このことには ほんとうに胸をなでおろ

した。 災害 総合計画 これは個人生活に直結することだか きわめて個人

的な発言はほとんどなく 単なる不満をのべるのではなく 「全体としてこう

あったらよいのに。」「市としてこうあったら良いと思いませんか。」という発言。

これは そういった場を提供できたということで 市民電子会議室とりわけ市

役所エリア会議室の実績であると思う。

今も登録者および発言数を なんとかもっと増やせないかが わたしたち運

営委員の課題になっており 市民まつりそのほかでの勧誘活動も行ってきた。

私自身も かねてより 「実名発言ということが 参加への大きな障害となっ

ているのであろうか?」などの仮設を立てて活動してきたりもしたわけだが、

今回の評価にあたっては 「発言数が多いこと参加者が多いこと、いづれ多く

なるに越したことはないが 多ければ会議の質が向上したり 新しい人が入り

やすくなったりするものではなかろう。」ということを 強調して言っておきた

いと思っている。

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市民電子会議室とりわけ市役所エリア会議室が、四角四面の形式的な会議室、

また否定的な話ご法度の生ぬるい限られたメンバーの社交界のような会議室、

そういった形に堕してはならないと思うが、街の平場のくらしまちづくり会議

などへの参加率、市長選挙・市議会議員選挙の投票率、PTAの役員が集まら

ない実情、などなどをみても 公のことをあつかうに やはりブームのように

人はあつまらない現実が先にあるわけで、逆に 市民電子会議室だけが PC の

家庭電化製品としての普及速度で お手軽さゆえに爆発的な勢力になってしま

ったら 他の民主的な手段のなかにあって やはりバランスを欠くのではない

かと思っている。そうなったら勝手に歩き出しかねない多数決の暴れ馬をどう

やって なだめればいいだろうか。運営上 たいへんな問題である。

現在のわたしは 藤沢市民電子会議室は参加者を増やすことよりも、むしろ

当然見こまれる参加者膨張の時代に備えて、やはり今参加している大人が 起

承転結のある言葉で 立場の違いに想像力を働かせあいながら対話を深めてい

く実践を残していく、その努力を続け残していくことが先決であると考えてい

る。

たくさんの次世代の人たちが 話の脈絡・起承転結や前提の情報の確認など

をとばして連鎖のように 携帯メールで 賛成・反対 さっさと多数決を行っ

ていくような会議室大量参入(そして大量離脱 そこでは育つものも育つ暇が

ない)。 それは私の好むところではなく 民主主義の方法としての会議という

ものの危機だと思う。そんな危機を招いてはいけない。

ここ市民電子会議室では きちんと相手にわかりやすい話をし 相手の話も

よく傾聴する。あたりまえの 人間関係の場として 問題を解決しあってゆき

たいものである。とかく前の世代は批判の対象となるわけだが 次世代に批判

されることを怖れず流行にまどわされず 対話を深める場として今の流れを伸

ばす工夫を今の参加者が互いに行う場とすること。 目標は 高い。

ひとつひとつの話題を大切に共有しあう。

文明の進歩すなわち 文化の深まり ではないこと。

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ツール・立派な通信手段・技術的習熟・権威などが かならずしも心ある充実

した対話を産むものではないという認識。

そのあたりから ゆっくり着実に対話の努力をあきらめず続ける。

今期 私が学んだことは そんなことである。

はからずも 今期の市民電子会議室交流会で 古代ギリシャ民主制のことが

俎上にのったが、大切なことは コンピューターなどなにもなかった時代と同

じであると痛感する。

「無知の知」「対話法」である。人の発言を読んで 知らないということを知

る。

結局そこからしかはじまらないと 運営委員を何期か続け 原点でしかないな

と思っている。

強いて言えば 市の施策が変わらなくていいのである。むしろ選挙で選ばれ

たわけでもない市民電子会議室参加者の一挙手で ぐらぐらするような施策で

は困るのである。たいせつなのは対話であり充分な対話がまだ必要であると思

う。あたらしい施策をおこなうについてもである。

町内会のホームページについては 何を公的情報ととらえるか いささかの

疑義ありであると述べさせていただいたが、今も もうすこし対話を深めてか

らでよかったのではないかと個人的には感じている。

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■菅沼久美子

(1) 市役所エリア-行政との協働による電子会議室と市民参加

第 4 期運営委員会の任期中、市役所エリアに開設された会議室は、「(市)地域福

祉って何だろう」、「(市)市民活動推進方策を考える」、「(市)「総合計画」につ

いて考えよう」の3会議室である。これらの会議室では、行政の抱えている課

題や施策について議論をするための情報集積の場として機能することが期待さ

れた。それ故、行政が情報を提供し、また構想や目標、さらに現状などを示す

ことによって、会議室へ参加した市民が自らの問題として受け止め、理解し、

課題解決に向けた議論が展開された。その中では、行政が提供する情報には様々

な制約があり、ともするときめ細かなものになりにくく、それを補う柔軟な情

報を求められた。このようなやりとりの繰り返しと、近年の行政の情報提供に

対する認識向上から、発言数はあまり多くはないものの着実に市民と情報の共

有や集約が図られてきたのではないだろうか。そして、市民も単に参加するだ

けでなく、生活者としての様々な情報を提供し、地域をよりよくするための意

見や、環境・まちづくりの提案や対案を出すといった電子会議室においての市

民参加の意義が効果的に機能していったと考えられる。今後は市役所エリアの

会議室で発言する参加者は、単なる参加ではなく、参画、対案提起の主体者と

なり、情報化社会にふさわしい、新しい電子会議室での役割を担う進行役とし

て成長していくことが展望できるのではないだろうか。

「(市)地域福祉ってなんだろう」会議室

2003 年 8 月~2003 年 9 月開催.藤沢市が策定を進めている「藤沢市地域福

祉計画」に関する情報提供と情報交換を行う場として開設された.

「(市)市民活動推進方策を考える」 会議室

2003年 11月 27日~12月 25日開催. 藤沢市が設置した市民活動推進委員会と

市民電子会議室運営委員会との協働により会議室が開設された.市長より諮問

を受けた「市民活動推進計画に関する事項」について市民とともに議論が行わ

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れた.

「(市)「総合計画」について考えよう」会議室

2004年 11月 1日~30日開催. 藤沢市経営企画課と市民電子会議室運営委員会

との協働により会議室が開設され,「ふじさわ総合計画 2020」について市民と

ともに議論が行われた.

(2) 情報ネットワークとコミュニティ形成の可能性

情報化の進展という流れのなかで、地域社会も大きく変化している。近年の地

域社会をコミュニティとして機能させるためには、様々な相互関係が不可避と

なってくる。今日では情報通信メディアの急速な普及に伴って、人々が対面で

情報をやりとりするという旧来のコミュニケーションが限りなく減少し、多様

化している。その為、従来の地域社会の基盤に制約されることなく人々が結び

つき、コミュニケーションを拡大し分散化しつつある。それは情報ネットワー

クを活用することにより、共通の目標や関心をもった人々が出会って集団を形

成し、交流や情報の共有が可能となったからである。個々人にとっては新たな

相互関係を作りあげる可能性が高まってきたのではないだろうか。

このような観点からすれば、市民電子会議室の情報ネットワークは地縁・血縁

などで結ばれている人間関係を越えて、情報の縁で結びつく役割を果たしてい

ると考えられる。情報の縁で形成された関係は、自発的に情報を発信し、その

情報を誰もが共有することができる。また、地域や環境問題について積極的に

議論をしたり、子育てやまちづくりなどそれぞれの目的、関心事などの共通意

識が存在している。さらに、そこには強制力はなく、自らの意志での自由参加、

交流が可能な集まりであるだけに、現実の人間関係を円滑にする場合もありえ

る。それは市民電子会議室の情報ネットワークで結ばれた縁を活用して、従来

の地域社会を活性化させ、地域住民の意識的な協力や参加による新たな取り組

みとなる可能性を秘めているのではないだろうか。

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■田中美乃里

●第 4 期を振り返って(運営委員会のことと電子会議室のこと)

<できごと:市役所エリアの会議室>

市役所エリアの会議室は、総合的に見てうまくできたけど、ちょっと迫られて

業務的にやっている感があった。でも進行役の各 2 人を中心とした回し方はと

てもすばらしかった。運営委員のサポートのあり方としては、必ずしも委員全

体でということではなかったが、まあまあできていたと思う。委員全体で積極

的な完全サポートという形にならなかった理由の1つとしては、運営委員の市

役所エリアの会議室に対する関わり方についての葛藤があげられる。2つの会

議室期間中も、運営委員間のサポートのうち、表立って発言フォローをするも

のやその他自主発言などについて、二の足を踏むことがあった。運営委員だけ

のディスカッションにしたくなかったからだ。また、知識や興味や発言したい

内容が特になくても、形式的に発言するということについて、ふさわしいのか

どうか考えてしまったというものだ。

<できごと:イベント>

・ 交流会

市民エリアにスポットを当てたパネルディスカッションをやった。このことか

らも、今期は市民エリアの注目度が高かった時代が確実にスタートしたことが

わかる。これまでは行政と市民をつなぐことや、政策提言システムとしての機

能といったものに焦点をあてられてきた電子会議室だが、開始当初よりあった

コミュニティ形成というもう1つの目的と機能が頭角を表し始めたといえる。

交流会の後半は参加者らによるワークショップで、非常に活発な意見交換やレ

ビューが行われ、そのことは以降の電子会議室隆盛の一翼を担うことにつなが

ったと評価する。

・ 出版と出版シンポジウム

流れをいったんまとめられたことの意義。

「コミュニティ・ソリューション」「ソーシャルキャピタル」などといった概念

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で市民電子会議室の特徴や意義を表現することが可能になった。

・ 市民まつり

市民主体でやれたこと。成功例として 2 年目も続けられたこと。会議室上で準

備が出来たこと。新しい仲間が増えたこと。

<うごきとあり方>

・ 市民エリアのもりあがり、利用の拡大

・ テーマ中心からカフェスタイルへ

---------

「新たに開設される会議室の傾向がかわってきた」

> (こうしたぼやきは山彦食堂のほうがよかったのかなぁ?)

先週末あたりに、電子会議室の人と話をしていたときに出ていたんですが、

最近、開設される会議室って、

なにげなくぼやいたり、今思っていることをおしゃべりしたり、

そういう「カフェ」みたいな、「公園」みたいな、会議室が多いですよね。…(A)

前はそうじゃなかった。何かテーマをもって、

「○○に興味ある人この指とまれ」風に開設される会議室だったと思う。

「ねこ」だったり、「切手」だったり、「野球」だったり。…(B)

(A)に登録している人は、同じ人があちこちに登録する感じがあったり、

ひらやまさん風に言うと、“電子会議室の中のまちの達人”。

(B)には、テーマに興味を持った人が、登録。そこだけっていう人もいる。

市民電子会議室的時代が変わってきたのでしょうか。

---------

●いくつか思うこと

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・ 電子会議室の評価について

今期間中には、しばしば、定性的な評価と定量的な評価ということで議論をす

る機会があった。評価のやり方や項目を決めるために運営委員会内で検討して

いた際にも、委員から費用対効果の評価項目を含めるべきであるとの意見が出

たのも一つである。また、外部の研究者や自治体を含む団体からのヒアリング

時に、そこが問われるのもしばしばである。最近ではヒアリング対応に事務局

だけでなく運営委員も対応するようになったが、私たちは、市民電子会議室に

おける成果や効果などを、定性的な感覚で伝えることしかできないという現実

に直面しているように思う。今回の評価に当たっても新津委員がデータを分析

した結果をもとにレビューを作成しているが、成果について、そういった数値

で示す手法や、あるいは明文化した形で伝えていくことが、市民電子会議室の

本質的な能力を浸透させ波及させる大きなポイントになるような気がしている。

---------

> > よく会社等では成果をだせなどと要求されがちですが、

> > システムさえ整えば、結果として自然と大きく実るものかも知れませんね。

> > アイドリングの話しもあるけどそれはまた

>

会社でもそうですし、研究の場でも何でも、「費用対効果は?」などと言われた

りして。

会議室の効果なんてお金にできません。

”藤沢市は、市民電子会議室の設置に○○○円かけて、

実際のところいくらぐらい回収できたのか。”とか、そんな話ではないでしょ

う。

しかしこのご時世。

世の中は、お金にして効果をあらわさないと認めてくれないんでしょうか。

そんなことない!の強い気持ちで、お金以外の単位の効果をアピールしていく

か、それとも無理やり金額であらわしてやって、費用対効果信徒を説得するか。

どちらも難しくて頭が痛いです。

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成果は、お金で換算できるものではないと書きましたが、そのほか、

「文書」や「政策」や「施設」など、目に見えるようなものだけでもないと思

います。

・人のつながり

・人との信頼感

・勉強したコミュニケーション

・自分の地域に、○○ができる場所(電子会議室)が“ある”ということの価

・何かあったときにきっと役に立つもの

…耐震補強にお金をかけるのはばからしいと思うか?

---------

●歴史上における今の電子会議室の位置とこれからのこと(私が思う電子会議

室のこと)

私が運営委員と電子会議室参加者を経験した、第三期と第四期は、誕生から軌

道に乗るところだった第一期第二期とは異なり、地に足のついた状態で着実な

成長をするべき時代であると思う。着実とは言っても、めまぐるしいツールの

開発や情報社会の発展の流れをまともに受けるこの世界では、止まっているこ

とが後退とも言えることがつらい。市民電子会議室は安定しているべきもので

はないのかもしれない。

第三期で

次なるステージは、藤沢市のその他の e 政策との連携だろう。今後地域コミュ

ニティのための様々な便利なツールが用意される中で、コミュニケーションの

軸となる場として、市民電子会議室がよりいっそうの市民の活躍を生み出せる

ように、サポートしていきたいし、していくよう呼びかけたい。

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■新津 岳洋

◆ 第4期での市民電子会議室レビュー

(1) 登録者数の推移について (登録者数の安定増加)

図『市民電子会議室の登録者数推移』によると、1999 年以来、登録者数はほ

ぼ直線的な安定増加傾向にあることがわかる。過去の電子会議室の評価の中で

たびたび、インターネットの利用人口増の割合に対して、市民電子会議室登録

者数が少ないことが指摘されてきた。しかし、インターネットが普及しブロー

ドバンドも日常化し、様々なコミュニティメディア(掲示板(2ch なども含む)

やメーリングリストや blog、SNS(ソーシャルネットワークサービス)など)が

乱立する中にありながら、爆発的な登録者増はないものの、流行に左右される

ことなく市民電子会議室の登録者が安定増加をし続けているという状況に注目

すべきである。

藤沢市の全人口に対する割合を 1999年から 2004年で見ると約 0.2%→0.6%

(#暫定概算値)の増加傾向にある。このように市民電子会議室への市民参加

は、インターネット環境での流行廃りに左右されることなく徐々に浸透してゆ

き、そうした中で地域のコミュニティメディアとして少しずつ醸成されてゆく

ものと捉えるべきであると考える。

(2) アクセス数、発言数について (アクセス数の倍増)

図『市民電子会議室のアクセス・配信データ』によると、第4期においては

会議室合計のアクセス数は上下しつつも 2003 年 4 月から 2004 年 11 月までに

約1万から2万アクセスへと倍増している。また、2003 年 9 月の「地域福祉

ってなんだろう?」、2003 年 12 月の「市民活動推進方策を考える」の時期は

市役所エリアのアクセス数が増加しているが、それにつられて市民エリアのア

クセス数も凸になっている状況が見受けられ、行政の意見収集の会議室開設は、

市民エリアにも立ち寄るきっかけとなっていることが推察される。

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(3) 市役所エリアへの行政の参加状況について

表『くらしまちづくり会議室への行政の参加状況』によると、第2期、3期

に続き、第4期も行政の発言割合が人数割・発言割ともに増えている。くらし

まちづくり会議室での市民の問いかけへのレスポンスもよく、市役所エリアへ

の行政の参加意識の向上が見られる。

(4) 「市役所エリア」での計画策定等の会議室について

第4期中には、「(市)地域福祉って何だろう」、「(市)市民活動推進方策を考

える」、「(市)「総合計画」について考えよう」の3つの会議室が開設された。

開設期間は短いものであるが、この期間のアクセス数は非常に多く、市民の関

心度の高さが推察される。一般市民の発言者は少ないものの、運営委員の発言

も合わせて、開設期間中は多くの市民の注目を得ていると思われる。

「(市)「総合計画」について考えよう」では、これまでになく行政の素早い

レスポンスも見られ、またまとめの編集も早く、電子会議室や Web の使いこな

しスキルの高さも感じさせられた。

◆ 第4期運営委員会レビュー

(1) 「e デモクラシーへの挑戦」の出版および記念シンポジウム

第4期運営委員の大きな仕事の一つはこの出版作業であったかと思う(その

ために第4期の前半の多くの時間を費やすことになってしまったことは反省す

べきかもしれないが)。編集作業にあたっては、これまでの電子会議室の経緯を

振り返りつつ、またインタビューを行ったり、記事を書いたりという活動を通

じて市民電子会議室だけでなく、地域とのつながりも実感できるよい機会とな

った。

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(2) 「市役所エリア」での計画策定等の会議室進行について

「(市)市民活動推進方策を考える」、「(市)「総合計画」について考えよう」

の2つの会議室で進行役を務めさせていただいた。担当課や事務局などの行政

と運営委員との連携をうまくとれてスムーズな会議室の進行をすることができ

た。個人的には、進行役として十分なフォローアップができなかったところを、

サブの進行役の委員にいろいろ助けていただいた。また他の委員からの積極的

な発言により、議論をより深めることができたのではないかと思う。ご協力い

ただいた委員各位に深く感謝する。この会議室進行を通じて、電子会議室上で

の運営委員のチームワークが発揮されたのではないかと思う。

◆ 第4期をふりかえって

藤沢市の 10 大ニュースでも取り上げられているが、日経パソコンの「e 都

市ランキング 2004」で藤沢市が首位を獲得したことは記憶に新しい。この評価

の中では、自治体の電子会議室は直接とりあげられてはいないのだが、日経パ

ソコン 2004.8.30のインタビュー記事の中で藤沢市 CIO久世助役は次のように

語っている。

「藤沢市では市民がネット上で意見交換できる『市民電子会議室』という取

り組みを 97 年 2 月から他の自治体に先駆けて進めてきた。会議室での市民の

生の声にこたえようとしてきたことが、現在提供している情報やサービスにつ

ながっている。」 (日経パソコン 2004.8.30, p.127)

今年は藤沢市民電子会議室の 7 周年を迎え「e デモクラシーへの挑戦」を出

版し、記念シンポジウムも盛大に行った。その直後に、日経パソコン「e 都市

ランキング 2004」で藤沢市が首位を獲得できたということはとても感慨深い。

藤沢市民電子会議室は、自治体の運営する市民参加型の電子会議室として全国

から注目をあびてきたのであるが、その注目とは裏腹に、第2期、3期、4期

と運営委員会では市役所エリアの活性化を課題として長く議論と試行錯誤をつ

づけてきた。その傍らで藤沢市は電子会議室での経験をふまえながら e 都市と

して確実に成長し、今回の栄誉に結びつく結果となった。今の e 都市ふじさわ

は市民電子会議室なくしてありえなかったのである。

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市民電子会議室の効果や成果というのはなかなか目に見えず実感しにくいも

のである。しかし目に見えなくとも、市民が市民電子会議室を育て、市民電子

会議室が行政を育てているのだという感触が、今回の受賞で少し感じられた第

4期だったのではないかと思っている。

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■平山元英

【藤沢市市民電子会議室を振り返る】

『市役所エリア』

くらしまちづくり会議室への、それまでの行政への要望型の発言が大きく変化

するのが、2000 年 4 月の引地川ダイオキシン問題である。すでに多くの場所

で語られているように一企業がおこした問題は、市民と自治体が同じ情報を同

時に得ることで、市民がいたずらにパニックに陥ったりいい加減な風評を押え

る効果があったことは、電子会議室の有効性を示した事件であった。

続いておこったくげぷー問題では、藤沢市が情報をコントロールしたことによ

り市民電子会議室参加者に行政不信をいだかせたが、この二つの事件は藤沢市

が電子会議室に対して情報提供の仕方を大きく変えさせることとなるターニン

グポイントとなったことは間違いない。

これらの事件はその後、運営委員会と事務局、必要に応じて担当課も交え事前

相談を行いながら電子会議室を運営する現在のスタイルを確立した。

2001 年の本格稼動後は、内部研修の成果もあり市役所内部での市民電子会議室

への参加度が目に見えてよくなっている。また、審議会などと平行して市役所

エリアに会議室を開催したい、という発案が提出されるようになる。こうした

ことは、市役所エリアの風通しをよくした一方、くらしまちづくり会議室での

「テーマの空白」につながっていく。電子会議室とはいえ、市役所エリアへ発

言する市民のモチベーションは「行政への注文」であり、行政がフットワーク

よく返信発言することによって、議論が途絶えてしまうという現象が現れる。

一方で、審議会等と平行して開催される会議室では、担当課が「返答」でなく

議論に参加する形で発言することにより、市民との議論のキャッチボールが継

続することも実証された。

しかし、くらしまちづくり会議室への発言は伸び悩み、発言者の固定化が顕著

である。

これらを改善するためには議論のテーマに担当課が積極的に参加することによ

り潜在的な参加者の発言を促す効果が期待される。

『市民エリア』

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初期の頃は趣味的な会議室の開設が多かったが、2000 年頃からコミュニティの

形成を意識した会議室が大半を占めるようになる。このことは、市民エリアの

参加者が、「藤沢市市民電子会議室」というコミュニティに属していることを意

識しだした結果であり、あたかもそれぞれの会議室に「住民」が住み着き、他

の会議室の「住民」と交流する、というコミュニケーションを持ち始めている。

これらの「住民」は重複しているケースがおおいが、会議室ごとにキャラクタ

ーを変えるなど、参加者の遊びこころがうかがえる。市民エリアの参加者は、

市民電子会議室を支えるソーシャルキャピタルであり、緊急時にはそのコミュ

ニケーションを生かした活動が期待できる。

『市民電子会議室の今後』

現在、市民電子会議室は安定期もしくは倦怠期に入っている。市役所エリアを

にぎわすような「事件」が起こらず、携帯電話を代表とするモバイル世代を参

加者として取り込むには至っていない。これは、電子会議室だけの問題ではな

く、多彩なネットコミュニティシステムの混在する現状なども大きくかかわっ

ている。とはいえ、市民参加システムとして有効であることを継続して実証し

ていく必要がある。

【第 4 期運営委員会について】

○活動全体について

第 4 期運営委員会の立ち上がり時に「運営委員会のミッション」に関する議題

があがり、議論を継続することなく約 1 年を費やしたことが、その後の活動の

活性化を妨げてしまった。立ち上げ期、黎明期を経験した運営委員と新規委員

の意識の共有化が図れなかったことにあるが、その要因は実質的に委員長が不

在であったことが大きく影響している。また、運営委員会が一丸となるような

事件が起こらなかったことなども関係があるであろう。

以上の点を除いては、大きな変化もなく後半は一体性がよく出ていた。特に市

民祭りへの参加度、貢献度はおおきかった。やはり具体的なイベントに向けて

モチベーションを上げていくといった方法が有効である。

○会議室運営について

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市から開設を要望された会議室の進行方法については、第 4 期運営委員会で試

みた方法である程度確立された。期限を決め、運営委員と担当課による協働進

行、という方法は多くの意見をうながすのには有効であったといえよう。課題

としては、会議室開設期間が十分でないということであるが、これらは、従来

の広聴の発想でいるためであり、庁内へ周知すべき事項である。

運営委員会については本来運営委員会会議室で行うべきであるが、必ずしも運

営委員に公募する市民がオンラインでの議論に慣れているわけではないので、

相変わらずの課題である。徹底させるのであれば公募の条件とするなどの方法

も考えられる。

開設者の意見交換会などの継続的な実施、市民祭りへの参加により、電子会議

室を愛する参加者は確実に増えている、こうした開設者たちを運営委員会のサ

ポーターとして運営に参加してもらうことも運営委員のモチベーションを高め

るのに有効である。

○ 外部からの評価

一時期ほど電子会議室というシステムが珍しくなくなったとはいえ、藤沢市市

民電子会議室はいまだに「成功事例」として取り上げられ、他の自治体からの

視察、ヒアリング、取材、シンポジウムへの参加依頼などは多い。そうした場

では藤沢の特徴的なことは市民運営と市民と職員との連携の良さであるとの指

摘を受ける。多くの自治体の場合は、自治体が運営主体であることが多いため、

市民との「会話」が成り立ちにくい。藤沢では市民同士あるいは市民と行政が

きちんと「会話」ができているという評価があることを忘れてはならない。そ

の上でも、運営委員会方式はユニークかつ有効な方法であるので、こうしたシ

ステムを継続させる努力を怠ってはならない。

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■堀 正直

第4期運営委員会においての最大の仕事は、本を作ったこと。金子先生を始

め運営委員と職員の方々の努力の結晶である。電子会議室の誕生から今までの

悲喜こもごもが、よく表されている。この本の内容が、藤沢市民にどれだけ周

知されているか不明だが、資料として残せたことには、大きな意義がある。

会議室の登録者数については、確実に増加はしているが、PC の普及や携帯

電話での参加可能等を考慮するともう少し伸びて欲しかった。新市民の伸びも

著しいので、会議室の広報活動も一考する時期かもしれない。

藤沢市のホームページも以前に比べ大変に良くなった。しかし、市民が希望

する情報にたどり着くまで大変だとの声も聞く、場合によっては Yahoo 等の検

索の方が早いとも聞いている。電子会議室の講習会等でも藤沢市のホームペー

ジの使い方等を入れた方が良いかもしれない。

市役所エリアでの行政の対応については、各担当課について温度差はあるも

のの、市民の声に対するレスポンスは、最近非常に良くなっている。情報提供

に対しても欲を言えばきりがないが、大変に良くなっている。

市役所エリアで新規に開設される会議室については、第4期の場合3件あっ

たが、どの会議室も開設期間が短く、市民にとっては意見を言うまもなく終わ

ってしまったと感じる方も多かったのではと思う。行政も会議室で意見収集を

したいなと思った場合は、くらまち等の会議室で基本的な情報を事前に流して

おき、内容についてある程度の周知をしてから本会議室を開くなどの、テクニ

ックを使うべきと思う。情報を流す期間を2~3ヶ月とれば2~3ヶ月での会

議室でも意見収集はうまくいくのではないか。また、会議室での議論の内容が

難しくなりすぎる傾向にあり、発言してくる市民は特定の人に偏りがちである、

専門的な意見は重要であるが、市民の素朴な意見のほうが重要だと思う。この

ような面でも市役所エリアは、敷居が高いのだと思われる。その点市民エリア

は気軽に発言しやすいので、市民の興味にあった会議室は盛況になるのではな

いか。市役所エリアの運営に一考が必要ではないか。

最近、新潟地震・東南アジアでの大津波など、大災害が続いている。藤沢市

も阪神大震災を教訓にインターネットの整備に着手した。もし今、藤沢市を大

災害が襲った場合、インターネット網はどうなるか、会議室は有効に情報提供

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が出来るか、などを総点検する良い機会だと思う。市民に対して災害時に会議

室をいかに有効に利用し情報収集をするか等を説明し環境の整備を市に促して

行くのも仕事だと思う。

もう一つ感じることは、市の外郭団体で、市民の団体をまとめているところ

は、へんな社会主義的平等意識があり、「みんな一緒に」との合い言葉で職員が

まとまっている。新しく情報交換しましょう、電子会議室が有効ですよと説明

しても、わずかの団体が参加できないと全部ダメと職員が押さえてしまう傾向

がある。どうすれば出来るようになるかとの思考ではなく、一つダメだから全

部ダメという思考であるので、職員の教育も課題と思う。ただし、職員は市の

顔色もうかがっているので、市の対応にも問題があるのではと思っている。

これからの藤沢を創って行くためには市民の市政への積極的な参加が不可欠

であり、市長の提唱している「いつでもどこでもだれでも市政に参加できる開

かれた市政」を実現するためにも市民電子会議室の有効活用は大切である。

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■安 咸子

1. 登録者数をどのように見るか?

市民電子会議室が藤沢市で公式にスタートした 1997 年以来の登録者数の推

移は、901 人(1999)、1400 人(2001)、2248 人(2003)、2359 人(2004)

へと着実に増加して来ている。市民と行政のパートナーシップを考えるとき、

市役所エリア会議室を通して実名で行政に直接意見の言える感度の高い市民が

2400 人近くいるということは、母集団としては無視できないものといえよう。

市役所エリア会議室において市政の各種施策に対しての意見交換が即座に開始

できることは、藤沢市のもつ高い自治機能と評しても良いものと思われる。

2. 行政からの情報提供はどのように向上したか?

4期において、著しく改善されたものに、行政からの情報提供機会の増大と

提供スピードの向上がある。市役所エリア会議室の「くらしまちづくり会議室」

では、特にテーマを固定せず、市民が疑問に思うことや生活者としての「つぶ

やき」を自由に発言できる掲示板としての機能をもたせているが、質問に対し

て担当課からの返答が極めて高くなった。情報提供というのは、受け手が「ほ

しい」と思ったときに与えられるのが、最も身につく情報提供になるので、こ

の傾向はとても望ましい。更に行政からばかりではなく、市民同志でも情報提

供が活発になっていることは、市民電子会議室の成長が一段と進んでいるとも

言えよう。

3. 市民と行政の協働作業としての市民電子会議室の位置づけは?

市民と行政の協働作業については日本の各自治体において種々な試みがなさ

れているが、著者はこの市民電子会議室を藤沢市が誇れる実践例として位置づ

けたい。8年前に藤沢市がこの仕組みを作ったとき以来、着実に市民の運営委

員と市役所の事務局が協働して実績を積み重ねて来たといえよう。このことは

1期のときの「総合計画基本構想」会議室と今期の「総合計画について考えよ

う」会議室を比較したときに今昔の感があることからも明らかである。なかで

も担当課、事務局、運営委員の3者が非公開のメーリングリストで24時間対

応の用意周到な連携をはかって、会議室進行に齟齬を来たさないように進めた

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スキルなどは、8年の経験の積み重ねによるものだと思う。この3者連携さえ

あれば、今後どのような市役所エリア会議室のテーマが出てきたとしても「市

民参画」の機会をこなしていけるであろう。

4.「信頼関係」こそ、これからの市民電子会議室活用のキーワード。

現在のルールでは市役所エリアにどのようなテーマで会議室を作るのか?の

主導権は市役所にある。運営委員会はあくまでもそれをサポートしていく立場

である。したがって、各担当課においては是非市民へのアンケートの簡易版と

して、市民電子会議室を活用していただくことを提案したい。活用した実践例

に対して「インセンテイブ」が与えられることも重要である。会議室で意見交

換されることによる市民への広報効果も大きく、各施策にたいする「市民関心

度、満足度」も向上するであろう。それを繰り返すことにより、市民と行政と

の間に信頼関係が生まれてくると思う。市民電子会議室の仕組みが藤沢市にお

いて8年も続いていることはインターネット関連研究者の間でも驚かれている

点である。「市民力」と「行政のガバナンス」両者の信頼関係こそがその理由で

あろう。

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■矢崎辰參

インターネットで情報収集するのは実に楽しく、時にはその成果に身震いする

ほどなのに、こと情報交換となると何故プレッシャーを感じるのかと考え続け

た 2 年間でした。イベントに関するレビューは議事録に譲って、このあたりの

問題について少々考察を加えて見たいと思います。

まず登録者について、総数が 2003/12 で 2498 人、2004/11 に 2359 人と成って

います。委員会でしばしばこの数字は話題となり、全国平均で上位という評価

でした。

総務省統計に 2003 末のインターネット人口(6歳以上)普及率が 60.6%とあり、

これより藤沢市民のインターネット人口を推定すると約 224 千人、従って藤沢

市の電子会議室の人口登録者率は約 1.1%(2003/12)と成ります。即ちインター

ネットにアクセスする人の 100 人に 1 人が登録者と言うわけです。インターネ

ット人口に比較してこの数値は低いような気がします。せめて数人程度の参加

が欲しいように感じます。

登録者の背景にはこの何倍もの閲覧者がいるのでトータルでは相当な参加者に

なるし、また従来型の市民会議でも発言者数は似たようなものという意見も聞

かれました。

しかし小生はこの説明には与しないと感じていました。会議で意志を伝達する

には発言が不可欠ですから発言者率こそが重要で、閲覧者が多くても発言者率

を上げることにはならないからです。あくまでも登録者、発言者を増やすこと

が必要となるわけです。

ところでその施策は有るのでしょうか? 小生には妙案は有りませんが、情報

交換に伴うプレッシャーに関連していないかと考えるのです。まわりのインタ

ーネット愛好者に電子会議への参加をお願いしましたがその反応は決まって、

「メンバーが固定的だ」、「気後れする」、「サロン的だ」、「実名だと発言しにく

い」、「責任が伴い軽はずみに発言できない」、「面倒だ」、「見るだけで良い」、等々

でした。実は小生と同じ思いだなーと思ったものです。

さて情報交換できないのはもちろん本人の意志の問題ですが、悠々と参加され

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ている方々にもひょっとして原因が有るかもしれないと申し上げたら怒られま

すか? やや逆説的発言ですが、WEB 上での発言に熟達されておられる諸氏

が今ひとつ発言を我慢されて、新人が発言できるような雰囲気を醸成されたな

らば登録者数が上がるのではないかなあーと思ったりするのですが、どんなも

のでしょう。いつかのセッションで下手な発言の勉強会が必要かもと聞いた記

憶があります。それと実名でないと駄目という部分が有りますが、ニックネー

ムは駄目ですかね、それなら参加するという人が多く居るわけで何か工夫の余

地はないかと思います。

次に運営委員会そのもののオフ会(響きが良くないですね)について、電子会

議の定義からしてもう少し OFF の頻度を下げたらどうでしょう。ON では難し

いから OFF でというケースが随分と有りました。気持ちは分かりますが、「文

字通り電子会議をやっています」と胸を張るためにも 100%OFF に挑戦しませ

んか。近未来に e 民主主義などという言葉が普通になるならばその準備のため

にもますますそう有りたいと思います。

以上

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資料3