2015A1657 BL19B2 鉄 鋼 に 生 成 す る 酸 化 物 ス ケ ー ル と 鋼 に 発 生 す る 熱 応 力 の 推 定 Evaluation of Thermal Stresses between Oxide Steel Interfaces 佐伯 功 a , 林 重成 b , 上田 光敏 b , 米田 鈴枝 b , 山内 啓 c , 大塚 伸夫 d , 日高 康善 d , 河内 礼文 d , 土岐 隆太郎 d , 林 篤剛 e , 佐藤 眞直 f Isao Saeki a , Shigenari Hayashi b , Mitsutoshi Ueda b , Suzue Yoneda b , Akira Yamauchi c , Nobuo Otsuka d , Yasuyoshi Hidaka d , Norifumi Kochi d , Ryutaro Toki d , Atsutaka Hayashi e , Masugu Sato f a 室蘭工業大学大学院, b 東京工業大学大学院, c 群馬工業高等専門学校, d 新日鐵住金(株), e 新日鉄住金ステンレス(株), f (公財)高輝度光科学研究センター a Muroran Institute of Technology, b Tokyo Institute of Technology, c National Institute of Technology, Gunma College d Nippon Steel and Sumitomo Metals, e Nippon Steel and Sumikin Stainless Steel, f JASRI 鋼板生産の際に問題となる鋼と酸化物スケール界面剥離の原因として,界面に生じる熱応力が 考えられてきた。しかし従来はこれら物質の熱膨張係数が不明なため応力の推定が出来なかった。 今回高温 X 線回折法を用いてスケール生成の際の格子定数を精密測定し,熱膨張係数を求めるこ とにより界面応力の定量化を行うことができた。また,熱応力の計算にはウスタイトの塑性変形 を考慮し,600C 以上では応力が蓄積しないと考えた場合に実験結果をうまく再現できることが 分かった。 キ ー ワ ー ド : 鉄鋼スケール,X 線回折,熱膨張係数 背 景 と 研 究 目 的 : 鉄鋼材料の製造工程のうち,熱間圧延において鋼板上に生成する酸化スケールは,機械的ある いは化学的な方法でデスケールされるが,その際デスケール性の良否は鋼板の歩留まりに多大な 影響を与えるため,デスケール性は鋼鈑とスケールの密着性に大きく依存すると考えられており, これまでスケール密着性あるいは剥離性に関する研究が行われてきたが,そのほとんどは冷却後 の鋼板とスケールの密着性を観察評価し,観察結果と密着性に影響するスケール・鋼板界面応力 を数式により推定することにとどまっていた。しかしながら,剥離は熱間圧延後の冷却過程でお こる現象であるため,室温まで冷却した後の試料評価では密着性や剥離を定量的に評価すること は不可能である。したがって,剥離を高温その場で測定し評価する必要があった。さらに,スケ ールの剥離は高温で生成した酸化物が冷却される際,酸化物相(ヘマタイト,マグネタイト,ウス タイト)および母相の熱膨張係数の違いに基づいた熱応力によって引き起こされると考えられ,応 力値の算出が試みられてきた。しかし,肝心の熱膨張係数は高温での信頼できるデータが得られ ておらず,正確な応力値を推定するためには高温における熱膨張係数の測定が不可欠である。以 上のような現状に基づき,今回,酸化スケール構成要素特にウスタイトの熱膨張係数を格子定数 精密測定から決定し,試料の冷却中,母層の鋼(鉄)とウスタイトスケール界面に蓄積する剪断応力 を推定し,さらに冷却中の応力蓄積がスケール剥離の原因になりうるかどうかを検討した。 実 験 : 試料は鉄とマグネタイトを等量混合後,ホットプレスにて焼結して得たウスタイト試料および Cを0.1 mass%含む冷間圧延普通鋼(0.1%C鋼)を用いた。X線回折実験はBL19B2で行った。X線波 長は0.1 nm,サイズは概ね150 μm,検出には多軸ゴニオメーターを用い,2θ=25に設置したPilatus 300kを用い,サンプリングタイムは3 s,インターバルは5 sとした。ウスタイト試料をAnton Paar HT-1100高温ステージにセットし, 50および100 C/minの昇温速度で1000Cまで加熱したのち冷却 する過程でのX線回折像を取得した。その際,鉄と平衡したウスタイトの測定のためにはウスタイ ト試料の近傍に酸素ゲッターであるTiリボンを配置し,アルゴンガス流通下で測定した。一方, マグネタイトと平衡したウスタイトの測定では試料を大気に開放し,ほぼ大気組成の酸素分圧と した。純鉄試料は大気開放条件で加熱し, 700-1000Cの温度で0もしくは900 s保持した後に冷却し http://support.spring8.or.jp/Report_JSR/PDF_JSR_27A/2015A1657.pdf
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2015A1657 BL19B2
鉄鋼に生成する酸化物スケールと鋼に発生する熱応力の推定 Evaluation of Thermal Stresses between Oxide Steel Interfaces
aMuroran Institute of Technology, bTokyo Institute of Technology, cNational Institute of Technology, Gunma College dNippon Steel and Sumitomo Metals, eNippon Steel and Sumikin Stainless Steel, fJASRI