Page 1
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二)樊
穎
二〇一一年三月十一日、東日本大地震後、テレビで繰
り返し流れるACジャパンのコマーシャル金子みすゞの
詩「こだまでせうか」に、日本全国の人々が心を打たれ
た。その際にも筆者は金子みすゞの詩から受けた感動を
何かの形で表現したいと思い、「海」をテーマにした二
十首の詩と「こだまでせうか」を中国語に訳し、『城西
人文研究』第三十一巻(二〇一二年三月)に発表した。
金子みすゞの詩の中国語訳は、早くも呉菲さん(現山
口大学の非常勤講師)の精力的な活動により、『向着明
亮那方』(新星出版社
二〇〇七年)『星星和蒲公英』
(新星出版社
二〇一二年)などの翻訳が出版されてい
る。また、二〇一二年、下関市在住の中国語講師閻先会
さんは、金子みすゞの詩全五百十二
�を中国語に訳し、
日中国交正常化四十周年記念として、金子みすゞ記念館
に寄贈した。
先輩翻訳者たちの活動により、金子みすゞの詩は少し
ずつ中国語圏の人々に知られ、人々の心を癒している。
今更自ら新しく翻訳する意義があるのかと自分に問いか
けたこともあったが、翻訳は十人十色であり、翻訳する
人は年齢、性別、生活経験などの違いによって、違う感
性を持ち、異なる言葉づかいをし、同じ詩に対しても、
それぞれの理解と表現があると思う。ぜひ自分の言葉で、
私が感じた金子みすゞを伝えたいという気持ちで、翻訳
を続けることにした。
(71)50
(城西人文研究第
32巻)
Page 2
今回は「寂しい」をテーマに以下の詩を訳した。寂し
い気持ちを抱えながら必死にお母さんの注意を引き、お
母さんの愛を求めている女の子が、みすゞの詩の中で描
かれている。それはみすゞ自身の経験とも深く関わって
いると思われる。みすゞは幼いころ父に死別され、十代
のころ、母も再婚し、家族からの愛情が一番必要な子供
時代に、それを満足にもらえなかった。みすゞの寂しさ
は「お母さん」の存在と離して考えることができない。
「寂しい」というテーマの詩を訳すことによって、みすゞ
の心の世界への理解がさらに深まっていくことができる
と考えられる。
翻訳に使用したテキストは、JULA出版局から出版
されている『金子みすゞ童謡全集』(六冊)である。
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二)(72) 49
Page 3
(一)小さなうたがい
あたしひとりが
叱 しかられた。
女のくせにって
しかられた。
兄さんばっかし
ほんの子で、
あたしはどっかの
親なし子。
ほんのおうちは
どこかしら。
(一)小小的山山疑
只有我一个
�次都
��。
因
�短短有
�頃頃
�儿
�次都
��。
�像只有哥哥
是
生的
�
而我
�像是
趣趣来的短短弟弟儿。
我
正的
�
��在
�里?
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二) (73)48
Page 4
(二)さかむけ
なめても、吸 す
っても、まだ痛 いたむ
紅 べにさし指のさかむけよ。
おもい出す、
おもい出す、
いつだかねえやにきいたこと。
「指にさかむけできる子は、
親のいうこときかぬ子よ。」
おとつい、すねて泣いたっけ、
きのうも、お使いしなかった。
母さんにあやまりゃ、
なおろうか。
(二)
�刺儿
役役役役、吸吸、
�是
�
无名指
�了个
�刺儿。
想起来了、
想起来了、
�前听純純純純
��。
『
��刺
儿的頃頃子
是不听
的頃頃子。』
前
�我
任性、哭
�不休
昨
�也
短短有
���脱脱
。
快向
��道
个歉
�刺儿快
��。
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二)(74) 47
Page 5
(三)忘 わすれた唄 うた
野 の�
ばらのはなの咲 さ
いている、
この草山にきょうも来て、
忘れた唄をおもいます。
夢 ゆめより遠い、なつかしい、
ねんねの唄をおもいます。
ああ、あの唄をうとうたら、
この草山の扉 と
があいて、
とおいあの日のかあさまを、
うつつに、ここに、みられましょ。
きょうも、さみしく草にいて、
きょうも海みておもいます。
「船はしろがね、櫓 ろ
は黄金
こがね」
ああ、そのあとの、そのさきの、
おもい出せないねんね唄。
(三)
凖凖
�的歌劵劵
野脳脳薇盛
�的
�坡
�
��我
又来了
�
回想那凖凖
�的歌劵劵。
回想那
旧梦
遥
��
�人山山
的辧辧精精曲。
�、只
�唱起那首歌劵劵
�
�坡
�打
��秘
的大
��
�像回
�遥
�的旧日
�
��重
���在
凛凛前。
��我
也
��地
坐在草地上
�
��我
也看
�大
��日
回想。
『
�色的
�儿、金色的蛄蛄』
�
�� 句
!后和
!前、
是那
"也想不起来的辧辧精精曲。
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二) (75)46
Page 6
(四)私 わたしのお里
母さまお里は
山こえて、
桃 ももの花さく
桃の村。
ねえやのお里は
海越 こ
えて、
かもめの群 む
れる
はなれ島。
私のお里は
知らないの、
どこかにあるよな
気がするの。
(四)我的故
�
��的
故
�
翻
���
在桃雑雑盛
�的
桃源村。
純純純純的故
�
���
在
成
群的
��。
我的故
�
在
里?
一
�在某个
遥
�的地
�。
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二)(76) 45
Page 7
(五)喧嘩
けんかのあと
ひとりになった
ひとりになった。
むしろの上はさみしいな。
私 わたしは知らない
あの子がさきよ。
だけどもだけども、さみしいな。
お人形さんも
ひとりになった。
お人形抱 だ
いてもさみしいな。
あんずの花が
ほろほろほろり、
むしろの上はさみしいな。
(五)
崖崖嘴
�后
只剩我一人
�
只剩我一人。
坐在草朗朗上
����。
不
�我的事
�
是那个頃頃子先崖崖的。
可是、可是
����。
布抑抑抑抑也
一个人溝溝
��。
布
抑抑抑抑
��是
���。
杏雑雑
把把然闘闘落
�
坐在草朗朗上
����。
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二) (77)44
Page 8
(六)赤いお舟 ふね
一本松
一本立って
海みてる、
私 わたしもひとりで
海みてる。
海はまっ青、
雲は白、
赤いお舟は、
まだみえぬ。
赤いお舟の
父さまは、
いつかの夢 ゆめの
父さまは、
一本松
(
�)
��
一
�防防
溝溝独
��
眺
�大
我也溝溝
�一人
眺
�大
。
大
碧清清
�儿雪白
�色的
�儿
旧看不
�。
乘
���的
慰慰慰慰
我梦中的
慰慰慰慰
一薪薪防防、
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二)(78) 43
Page 9
一本松
いつだろうか。
一薪薪防防、
(慰慰慰慰)何
��回
来?
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二) (79)42
Page 10
(七)箱庭
私 わたしのこさえた箱庭を、
たあれも見てはくれないの。
お空は青いに母さんは、
いつもお店で忙 せわしそう。
まつりはすんだに母さんは、
いつまであんなにいそがしい。
�
せみのなく声ききながら、
私はお庭をこわします。
(七)
紐紐
�
我做的紐紐
��
�也不来看。
��碧
清清
�可
��
在
里脱脱袖袖。
��已
�束
�可
��
永
�那
�脱脱袖袖。
听
�壊壊
��
我砲砲哩哩了紐紐
�。
注
�「箱 はこ庭 にわ」
�原
�指源于中国的嶋嶋尚尚簒簒
�。但在
�里
�嶋嶋尚尚涙涙
��而
是指頃頃子
�的一
���。
在紐紐
�里任
�畏畏
�喜
�的
玩
�或小物件
� !造
或
"器器自己的内心
#界。
$者注。
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二)(80) 41
Page 11
(八)ながい夢 ゆめ
きょうも、きのうも、みんな夢、
去年、一昨年
おととし、みんな夢。
ひょいとおめめがさめたなら、
かわい、二つの赤ちゃんで、
おっ母 か
ちゃんのお乳 ちちをさがしてる。
もしもそうなら、そうしたら、
それこそ、どんなにうれしかろ。
ながいこの夢、おぼえてて、
こんどこそ、いい子になりたいな。
(八)
�梦
��、
昨
�、都是梦
�
�年、
�年、都是梦。
忽然尠尠
�凛凛
�
又
�回可
的
�小
咾咾儿
�
儖儖找
� 的
乳
�。
�果是
����果
是
���
那
�多
��!
我
��住
��个
��的
梦
�
�次一
���做
个乖頃頃子。
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二) (81)40
Page 12
(九)口真 ま
似 ね
父さんのない子の唄 うた
「お父ちゃん、
おしえてよう。」
あの子は甘 あまえて
いっていた。
別れてもどる
裏 うらみちで、
「お父ちゃん。」
そっと口真似
してみたら、
なんだか誰 だれかに
はずかしい。
生 いけ垣 がきの
しろい木 む
槿 くげが、
笑うよう。
(九)学恁恁
短短有慰慰慰慰的頃頃子的歌
『慰慰慰慰
�
教教我
�!』
那个頃頃子撒
�戎戎
�
���。
�后
又回
原地
�
路
��落
里
�
『慰慰慰慰……』
我把把把把模径径
他的口气
�
怕
人听
�
又
�又喜。
千千笆上的
白色木槿雑雑
�恁恁笑了。
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二)(82) 39
Page 13
(十)闇夜
やみよの星
闇夜に迷子
まいごの
星ひとつ。
あの子は
女の子でしょうか。
私 わたしのように
ひとりぼっちの、
あの子は
女の子でしょうか。
(十)
���星
漆黑
��里
�迷路的
星一薪薪。
那薪薪星
是小
�頃頃
�?
像我一
溝溝汽汽一人
�
那薪薪星
是小
�頃頃
�?
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二) (83)38
Page 14
(十一)お使い
お月さま、
私 わたしは使いにまいります。
よその嬢 じょっちゃんのいいおべべ、
しっかり胸 むねに抱 だ
きしめて。
お月さま、
あなたも行ってくださるの、
私の駆 か
けてゆくとこへ。
お月さま、
いたずらっ子に
�
あ
わなけりゃ、
いつも私はうれしいの。
おかあさんのおしごとを、
よそへ届 とどけにゆくことは。
それに、それに、
お月さま、
(十一)小
�手
月疏疏
�月疏疏
�
我是
��的
小
�手。
把
��的
小甲甲弟弟做的漂疏疏
服
�
���在
胸前。
月疏疏
�月疏疏
�
也和我一起
��?
我
�送
�的地
�。
月疏疏
�月疏疏
�
只
�不遇
��皮
的頃頃子
�
我都
��心
。
���把
血血制
�的
服
送
���。
�有、
�有、
月疏疏
�月疏疏
�
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二)(84) 37
Page 15
私はほんとにうれしいの。
あなたがまあるくなるころに、
私も春着ができるから。
我
�的
����
等
��得
的
候
�
我的春廾廾也做
�了。
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二) (85)36
Page 16
(十二)あるとき
お家 うちのみえる角へ来て、
おもい出したの、あのことを。
私 わたしはもっと、ながいこと、
すねていなけりゃいけないの。
だって、かあさんはいったのよ、
「晩 ばんまでそうしておいで」って。
だのに、みんなが呼 よ
びにきて、
わすれて飛んで出ちゃったの。
なんだかきまりが悪いけど、
でもいいわ、
ほんとはきげんのいいほうが、
きっと、母さんは好 す
きだから。
(十二)那
�候
来
���前
的拐
��
我又想起
�的
事。
我
��
生更
�� 的
气。
������
『
��砌砌
气砌砌
��上
�。』
可是
�大
�喊我
��玩
�
�了生气
�奔
��。
埋埋然有点渭渭淮淮
�
不
��算
了。
其�我
����的
�
��一�更
喜
�。
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二)(86) 35
Page 17
(十三)さびしいとき
私 わたしがさびしいときに、
よその人は知らないの。
私がさびしいときに、
お友だちは笑うの。
私がさびしいときに、
お母さんはやさしいの。
私がさびしいときに、
仏 ほとけさまはさびしいの。
(十三)
��的
�候
我
��的
�候
�
�人不知道。
我
��的
�候
�
朋友笑呵呵。
我
��的
�候
�
���温
柔。
我
��的
�候
�
佛也
��。
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二) (87)34
Page 18
(十四)誰 だれがほんとを
誰がほんとをいうでしょう、
私 わたしのことを、わたしに。
よその小 お
母 ば
さんはほめたけど、
なんだかすこうし笑ってた。
誰がほんとをいうでしょう、
花にきいたら首ふった。
それもそのはず、花たちは、
みんな、あんなにきれいだもの。
誰がほんとをいうでしょう、
小鳥にきいたら逃 に
げちゃった。
きっといけないことなのよ、
だから、言わずに飛んだのよ。
誰がほんとをいうでしょう、
かあさんにきくのは、おかしいし、
(十四)
�告
�我
��
��告
�我
���
告
�我
��于
我的事。
不
的
阿厂厂
�剌剌我了
�
� 象
挂
�一某某
��的
笑。
��告
�我
���
�小雑雑
�小雑雑
�辧辧
�。
那也是当然
�雑雑儿
��
都那
�漂疏疏。
��告
�我
���
�小
��小
�逃走了。
一
�是
��不
���
���什
�不
��走
了。
��告�我
���
����太
怪了
�
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二)(88) 33
Page 19
(私は、かわいい、いい子なの、
それとも、おかしなおかおなの。)
誰がほんとをいうでしょう、
わたしのことをわたしに。
(是
��我是不是可
�的、听
�的頃頃子?
�是
��我
是不是
�了
�古怪的
?)
�告
�我
��
告
�我
��于
我的事。
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二) (89)32
Page 20
(十五)いい眼 め
山のむこうの鳩 はとの眼を、
ねらって鉄砲
てっぽが射 う
てるよな、
いい眼が私 わたしにあったなら、
町のかあさんのそばにいて、
田舎
いなかの、林の、木の枝 えだの、
小鳥の巣かけもみな見える。
沖 おきの、小島の、片 かたかげの、
岩の鮑 あわびもみなみえる。
空の、夕焼の、雲のうえ、
天使のすがたもよくみえる。
そんないい眼があったなら、
いつも、母さんのそばにいて、
いろんなことをみようもの。
(十五)
�凛凛力
�使是
�那
�的碁碁子的凛凛商商
�
也
�忠忠准
��
果我有
��的
�凛凛力
�
待在小將將上
的
���
田野里的、森林里的、峯峯枝上的
小
�的
��也
都
�看
�。
�面上的、小
�上的、日呻呻里的
岩石上的雨雨噬噬
�也都
�看
�。
��中
的、
�霞里的、白
�上的
�使的
���也
都
�看
�。
果我有
��的
�凛凛力
�
一
�待在
���
也
�桟桟
���。
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二)(90) 31
Page 21
(十六)みんなを好きに
私 わたしは好 す
きになりたいな、
何でもかんでもみいんな。
葱 ねぎも、トマトも、おさかなも、
残らず好きになりたいな。
うちのおかずは、みいんな、
母さまがおつくりなったもの。
私は好きになりたいな、
誰 だれでもかれでもみいんな。
お医者
いしゃさんでも、烏 からすでも、
残らず好きになりたいな。
世界のものはみィんな、
神さまがおつくりなったもの。
(十
�)都
�喜
�
我希
�自己涙涙
�什
�都喜
��
个、那个、
有的。
大葱、西
�柄柄、噬噬、
一个不剩
�全都
�喜
�。
因
� 里
的
�菜
�
都是
��做
的。
我希
�自己涙涙
�是
�都喜
��
个人、那个人、
有人。
不管是医生
��是
鱗鱗
��
一个不例
��全
都
�喜
�。
因
��上有
的事物
�
都是
�造的。
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二) (91)30
Page 22
(十七)私 わたしの髪 かみの
私の髪の光るのは、
いつも母さま、撫 な
でるから。
私のお鼻の低 ひくいのは、
いつも私が鳴らすから。
私のエプロンの白いのは、
いつも母さま、洗 あらうから。
私のお色の黒いのは、
私が
�
いり豆 まめたべるから。
(十七)我的
��
我的
��有
光夾夾
�
因
���常
硯硯摸。
我的鼻子繭繭繭繭的
�
因
�我
�是气在在在在。
我的律律塙塙雪白
�
因
����是
我洗。
我的券券色
黑
�
因
�我裕裕吃慨慨豆子。
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二)(92) 29
Page 23
(十八)こころ
お母さまは
大人
おとなで大きいけれど、
お母さまの
おこころはちいさい。
だって、お母さまはいいました、
ちいさい私 わたしでいっぱいだって。
私は子供
こどもで
ちいさいけれど、
ちいさい私の
こころは大きい。
だって、大きいお母さまで、
まだいっぱいにならないで、
いろんな事をおもうから。
(十八)心
��
埋埋然是大人
�个儿
�����
但是
��的
心
�
��小
�小。
因
������
慢慢的心
小小的我廾廾得
��的
。
我埋埋然是小頃頃
�
个儿
�小
�小
�
但小小的我的心
�
��大
�大。
因
��銭銭
大大的
���
都廾廾不
�我的心
�
我
�想 �多
�多事儿椿椿。
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二) (93)28
Page 24
(十九)女王さま
私 わたしが女王さまならば、
国じゅうのお菓 か
子 し
屋 や
呼 よ
びあつめ、
お菓子の塔 とうをつくらせて、
そのてっぺんに椅 い
子 す
据 す
えて、
あまい鉛 えん筆 ぴつなめながら、
いろんなお布 ふ
令 れ
を書 か
きましょう。
いちばんさきに書くことは、
「私の国に住 す
むものは、
子供
こどもひとりにお留守番
るすばん、
させとく事はできません。」
そしたらいまの私のように、
さみしい子供はいないでしょう。
それから、つぎに書くことは、
「私の国に住 す
むものは、
(十九)
�王
�果我是
�王
�
�把全国的点心
�召
�起来
�
建
�点心塔
�
在塔
上
右右
��
一
�役役
�甜甜的忍忍永永
�
一
� 下
各
���。
首先
� 的
是
�
『在我的王国里
�
不
�俯俯
�小頃頃一个人藻藻
��中
。』
����短短
有像
�在的我一
�
��的
小頃頃了。
��� 的
是
�
『在我的王国里
�
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二)(94) 27
Page 25
私の毬 まりより大きい毬 まりを、
誰 だれも持つことできません。」
そしたら私も大きい毬が、
欲 ほ
しくなくなることでしょう。
不
�俯俯
有人有
�我
�大的皮球。』
���我
�不
想
更大的皮球了。
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二) (95)26
Page 26
(二十)玩 おも具 ちゃのない子が
玩 おも具 ちゃのない子が
さみしけりゃ、
玩具をやったらなおるでしょう。
母さんのない子が
かなしけりゃ、
母さんをあげたら嬉 うれしいでしょう。
母さんはやさしく
髪 かみを撫 な
で、
玩具は箱から
こぼれてて、
それで私 わたしの
さみしいは、
何を貰 もらうたらなおるでしょう。
(二十)
短短有玩
�的頃頃子
短短有玩
�的頃頃子
�溝溝汽汽
�
送
�他玩
���了
。
短短有
��的
頃頃子
�丑丑
�
找
�����了
。
��温
柔地
硯硯摸我的
��
玩
�多得从箱子里
吝吝
�来。
可是
�我的
���
�用什
��西
����椿椿
?
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二)(96) 25
Page 27
*翻訳する際、中国語の文法や表現の特徴をふまえ、原文の
一部の順番や句読点の付け方を翻訳者によって改めた。
*テキスト『金子みすゞ童謡全集』(現代仮名づかい版)全
六冊JULA出版局二〇〇三年~二〇〇四年。
原文出典一覧
(一)小さなうたがい(金子みすゞ童謡全集①『美しい町』・
上五〇頁)
(二)さかむけ(金子みすゞ童謡全集①『美しい町』・上
六〇頁)
(三)忘 わす
れた唄 うた
(金子みすゞ童謡全集①『美しい町』・上
一四二頁)
(四)私 わたし
のお里(金子みすゞ童謡全集②『美しい町』・下
二四頁)
(五)喧 けん
嘩 か
のあと(金子みすゞ童謡全集②『美しい町』・下
五十頁)
(六)赤いお舟 ふね
(金子みすゞ童謡全集②『美しい町』・下
七十八頁)
(七)箱庭(金子みすゞ童謡全集②『美しい町』・下
一〇
八頁)
(八)ながい夢 ゆめ
(金子みすゞ童謡全集②『美しい町』・下
一二六頁)
(九)口真ま
似 ね
父さんのない子の唄 うた
(金子みすゞ童謡
全集②『美しい町』・下一五四頁)
(十)闇夜の星(金子みすゞ童謡全集③『空のかあさま』・
上七十六頁)
(十一)お使い(金子みすゞ童謡全集③『空のかあさま』・
上四十四頁)
(十二)あるとき(金子みすゞ童謡全集③『空のかあさま』・
上二○四頁)
(十三)さびしいとき(金子みすゞ童謡全集④『空のかあさ
ま』・下四八頁)
(十四)誰がほんとを(金子みすゞ童謡全集④『空のかあさ
ま』・下一四〇頁)
(十五)いい眼(金子みすゞ童謡全集④『空のかあさま』・
下一六六頁)
(十六)みんなを好きに(金子みすゞ童謡全集⑤『さみしい
王女』・上一○四頁)
(十七)私の髪の(金子みすゞ童謡全集⑤『さみしい王女』・
上一二六頁)
(十八)こころ(金子みすゞ童謡全集⑥『さみしい王女』・
下一六頁)
(十九)女王さま(金子みすゞ童謡全集⑥『さみしい王女』・
下三六頁)
(二十)玩具のない子が(金子みすゞ童謡全集⑥『さみしい
王女』・下一六〇頁)
金子みすゞ童謡の中国語訳の試み(二) (97)24