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令和元年度 制度運用篇 政策・実務研修 固定資産税課税事務( 家屋) 償却資産課税の実務 令和元年8月23日(金) (公財)全国市町村研修財団 (公財)東京税務協会 専門講師 登里 よし ひろ
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償却資産課税の実務 - JIAM 全国市町村国際 ...€¦ · 固定資産税の課税客体である償却資産とは、土地及び家屋以外の事業の用に供する

Jun 07, 2020

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令和元年度 制度運用篇

政策・実務研修

固定資産税課税事務(家屋)

償却資産課税の実務

令和元年8月23日(金)

(公財)全国市町村研修財団

(公財)東京税務協会

専門講師 登里の ぼ り

幹よ し

宏ひ ろ

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第1 固定資産税の償却資産について 1

1 課税客体となる償却資産 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1

2 課税客体となる土地 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 12

3 課税客体となる家屋 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 14

4 移動性・可動性償却資産 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 22

第2 償却資産についての課税制度 24

1 納税義務者 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 24

2 課税団体 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 28

3 課税標準、免税点、税率、税額 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 29

4 価格等の決定 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 29

5 非課税等 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 32

6 償却資産の申告 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 34

第3 償却資産の評価 36

1 償却資産の評価計算 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 36

2 取得時期 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 41

3 取得価額 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 41

4 耐用年数 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 46

5 特殊な評価計算等 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 46

6 評価額の最低限度 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 49

7 評価の特例 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 50

目 次

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第4 償却資産の調査 51

1 実地調査の目的と効果 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 51

2 資産捕捉調査 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 52

3 申告内容確認調査 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 52

4 新・増築建物における適正申告指導 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 52

資料1 固定資産評価基準 58

資料2 地方税法の施行に関する取扱い(固定資産税) 63

資料3 家屋の建築設備の評価上の取扱い 65

参考4 特定附帯設備(法第 343 条第 9 項の適用に関する留意事項等) 67

資料5 参照条文 70

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第1 固定資産税の償却資産について 1 課税客体となる償却資産 (1)固定資産税における償却資産

固定資産税の課税客体である償却資産とは、土地及び家屋以外の事業の用に供する

ことができる資産でその減価償却額又は減価償却費が法人税法又は所得税法の規定に

よる所得の計算上損金又は必要な経費に算入されるもの(これに類する資産で法人税

又は所得税を課されない者が所有するものを含む。)をいうものとされています。 ただし、使用可能期間1年未満又はその取得価額が10万円未満の減価償却資産で

法人税法等の規定により一時に損金に算入するもの及び20万円未満の減価償却資産

で法人税法等の規定により事業年度ごとに一括して3年間で償却を行うことを選択し

たもの並びに自動車税の課税客体である自動車及び軽自動車税は償却資産から除くも

のとされている。なお、ファイナンス・リース取引に係るリース資産で、その所有者

が取得した際の取得価額が20万円未満のものについては、償却資産から除かれてい

ます。 簡単にいえば、土地、家屋及び自動車以外の事業の用に供することができる有形固

定資産で、税務会計上の減価償却費を計上できるものをいいます。 (2)税務会計における減価償却資産との比較

税務会計における減価償却資産と固定資産税における償却資産の意義を比較してみ

ると、両者の相違点は次のとおりです。 ① 事業の用に供する建物については、税務会計において減価償却資産とされるが、

固定資産税においては、たとえ事業用のものであっても、別個に家屋として取り扱

われるから、償却資産には該当しません。なお、事業用の建物の附属設備について

は、附属設備の種類、実態等により家屋の一部として家屋に含めて評価するか、償

却資産として別個に取り扱うかを区分することとなります。 ② 無形減価償却資産は、償却資産とはなりません。 ③ 牛、馬、果樹その他の生物(観賞用、興行用その他これらに準ずる用に供する生

物を除く)は、固定資産税の課税客体たる償却資産から除外する取扱いとされてい

ます。 ④ 固定資産税における償却資産からは、自動車税の課税客体である自動車及び軽自

動車税の課税客体である軽自動車等は除かれます。 (3)課税客体となる償却資産の要件

償却資産は、土地や家屋のように事業用であると非事業用であるとを問わず課税客

体となるというものではなく、必ず事業の用に供することができるものでなければな

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りません。

① 事業の用に供することの意義 「事業」とは一般に、一定の目的のために一定の行為を継続、反復して行うこと

をいうものであって、必ずしも営利又は収益そのものを得ることを直接の目的とす

ることを必要としません。そのため、公益法人(財団法人、社団法人)の行う活動

についても事業に該当します。

ア 「事業の用に供する」とは、事業用資産ということであり、「事業を行ううえで、

使用(利用)する」という意味です。そのため、同じ資産であっても「家庭専用

として使用されている資産」や「商品として陳列されている資産」は「事業の用

に供されている資産」とはいえません。

イ 「事業の用に供する」主体については、必ずしも所有者がその償却資産を自己

の営む事業のために使用することを要件とするものではありません。所有者自身

は事業を行わず、これを他の者に貸し付けて、その他の者がこれを事業の用に供

している場合等においても、償却資産として課税客体となります。

ウ 事業を行うものがその本来の業務として行っている事業種目の用に直接使用す

ることができる資産だけでなく、その事業の直接たると間接たるとを問わず使用

される資産については課税客体となります。

エ 清算中の法人は、事業を行っているとは認められないことから、一般的には償

却資産の範囲に含まれないものです。 しかし、当該清算中の法人が自ら清算事務の用に供している資産及び他の事業

者に事業用資産として貸し付けている資産等は、事業の用に供していることから、

固定資産税の課税客体となります。

② 「事業に用に供することができる」の意義 現在事業の用に供しているものはもちろんのこと、事業の用に供する目的をもって

所有され、かつ、それが事業の用に供することができると認められる状態にあれば足

りるものです。 したがって、一時的に活動を停止し、遊休、未稼働の状態にある資産であっても、

その休止期間中必要な維持補修が行われていて、いつでも稼動しうる状態にあるもの

は、償却資産の課税客体に含まれます。 しかしながら、従来、償却資産として使用されてきたものが生産方式の変更、機

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能の劣化、旧式化等の事由によって現実には使用されなくなり、将来他に転用する

見込みもないまま、解体または撤去もなされず、原形をとどめている状態にある場

合であれば、課税客体である償却資産には含めません。

③ 事業の用に供することとなった時期の判定 ア 賦課期日現在において事業の用に供することができる状態にあることが課税客

体たる償却資産としての要件となります。単に所有権を取得したということだけ

では償却資産を取得したとはいえない場合があり、このような場合には、事業の

用に供することができる状態になってはじめて償却資産を取得したといえます。

イ 竣工及び使用について監督官庁の許認可を必要とするような償却資産について

は、賦課期日現在においてその許認可があったものを事業の用に供し得る状態に

あるものと判断して取り扱うことが適当です。

ウ 建設仮勘定において経理されている資産であっても、それが賦課期日までに完

成し、事業の用に供することができる場合には、その完成部分が償却資産として

課税客体となるものです。

④ 無形減価償却資産の除外 固定資産税においては、鉱業権、漁業権、特許権その他の無形減価償却資産は課

税客体である償却資産の範囲から除外することとされています。

⑤ 減価償却額又は減価償却費が損金又は必要な経費に算入されるものの意義 法人税又は所得税における所得の算定に当たって、現実にその減価償却額又は減

価償却費が損金又は必要な経費に算入されているものはもとより、現実には損金又

は必要な経費に算入されていないものであっても、本来損金又は必要な経費に算入

されるべき性格のものであれば課税客体となります。 したがって、簿外資産、減価償却済の資産、減価償却を行っていない資産、建設

仮勘定中の資産で事業の用に供されているようなものは、いずれも償却資産に該当

します。

⑥ 法人税又は所得税を課されない者が所有するものの意義 法人税法又は所得税法において非課税とされている法人又は個人については、固

定資産税の課税客体とならないのでは同種の資産を有する者との負担の均衡を失す

るので、これらの資産をも固定資産税の課税客体である償却資産として取り扱う趣

旨です。

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<公共法人>(法人税法第 2 条五、別表一) 法人税を納税する義務がない、国立大学法人、日本中央競馬会、日本放送協会等

<公益法人等>(法人税法第2条六、別表二) 収益事業を行う場合に限って法人税を納税する義務のあるもので、一般財団法人、

一般社団法人、公益財団法人、公益社団法人、学校法人、宗教法人、日本赤十字社等 <事例1>

水族館の生物は、償却資産の課税対象となりますか。 <事例2>

競馬の競走馬は、償却資産の課税対象となりますか。 <事例3>

民宿を経営している食堂に置いてあるテレビ、ソファーは宿泊者とともに家族も使

用している場合、これらの備品は償却資産として課税されますか。 <事例4>

一般家庭に盗難防止用カメラを貸付業者からレンタルを受けて自宅家屋の入口に取

り付けている場合、このカメラは償却資産として課税されますか。

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<事例5> 社員の福利厚生のために建設した独身寮の設備・備品等は、課税できますか。

<事例6>

業績不振による赤字が続いているため、当期の決算では減価償却を行っていません。

このような減価償却を行っていない資産に対して課税できますか。 <事例7>

不景気のため生産調整中で稼働していない機械や装置でも、いつでも稼働しうる状

態にある場合は、課税できますか。 <事例8>

都合により工場を移転することとなり、その準備のために機械設備の動力配線等を

取り外し、賦課期日を含む2ヶ月程度稼働休止状態にある資産は課税対象とならない

ですか。 <事例9>

技術革新や生産方式の変更のため使用しなくなった資産が、そのまま解体破棄され

ず残っている場合は、課税できますか。

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<事例10> 清算中の法人が所有する資産は、事業を行っていると認められませんので、課税で

きますか。また、清算事務に供されている資産はどのようになりますか。 <事例11>

A銀行は印刷会社に貸付を行っていましたが、営業不振により倒産したので、貸付

金に対する対物弁済として、印刷工場の機械設備を全て取得した。この場合、A銀行

が取得した機械設備は、償却資産の課税対象となりますか。 <事例12>

ある資産を4月に購入したが、市役所からの使用許可が下りていなかったので、代

金を支払わなかった。その後、6月に許可が下りたので、8月に代金を支払った。こ

の資産の取得時期は購入した4月としてよいですか。 <事例13>

建設仮勘定により経理されている資産の一部が賦課期日までに完成し事業の用に供

されている場合、その部分は課税できますか。 <事例14>

30号の大きさの絵画を25万円で購入し、応接室に掲げている絵画は償却資産の

課税対象となりますか。

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<事例15> 償却資産の課税台帳に登録がなく、更に企業の固定資産台帳等にも資産計上されて

いない耐用年数を経過した資産が、事業の用に供されている場合、課税対象となりま

すか。 <事例16>

償却資産課税台帳に登録され、さらに企業の固定資産台帳等にも資産計上され国税

の申告は減価償却資産として費用計算されているにもかかわらず、現実に資産がない

場合、償却資産は課税できますか。 <事例17>

不動産業者が棚卸資産として処理している機械式駐車場を商品として売りに出して

いましたが、売れなかったために貸し駐車場としていた場合、課税できますか。 <事例18>

法人税を課されない公共法人は、償却資産の課税対象とならないですか。

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⑦ 少額の減価償却資産の取扱い 少額資産は、個別償却している場合は、償却資産の課税客体となりますが、税務会

計において当該少額資産を次により処理している場合は、課税客体としません。 ア 耐用年数が1年未満または取得価額が10万円未満の償却資産で、当該資産の取

得に要した経費の全部が法人税法または所得税法の規定による所得の計算上一時

に損金または必要な経費に算入されたもの。

イ 取得価額が20万円未満の償却資産で、事業年度ごとに一括して3年間で減価償

却を行うことを選択したもの。

ウ リース資産の所有者が取得した取得価額が20万円未満のものについても、課

税客体としないものとされています。 <事例19>

取得価額が20万円未満の資産で、税務会計上3年一括償却資産として選択し、損

金又は必要な経費に算入したものは、課税できますか。 <事例20>

当社は27年5月に消費税込みの105,840円のデジタルカメラを購入しまし

た。消費税抜きの本体価額は98,000円となるので、少額の減価償却資産として

損金経理してよいですか。 <事例21>

テーブルとソファーで17万円(テーブル 9 万円、椅子 8 万円)の応接セットを購

入し、少額の減価償却資産として一時損金算入としている場合、償却資産としないで

よいですか。

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<事例22> 税務会計で損金経理されている「中小企業者の少額資産の特例」(租税特別措置法第

67 条の 5)該当資産が申告、課税されていることが確認された場合は、これらについ

ては5年間遡及して還付しなければならないですか。

⑧ 自動車税及び軽自動車税の課税客体以外の資産 二重課税を避ける必要上、固定資産税(償却資産)の課税客体から除外するもの

とされています。 したがって、自動車税及び軽自動車税の課税客体から除外されている大型特殊自

動車等は、償却資産として、固定資産税の課税客体として取り扱うものとされてい

ます。 普通自動車 自動車税

三輪車以上のもの 小型自動車

自動車 二輪車 軽自動車 軽自動車税 小型特殊自動車 大型特殊自動車 固定資産税

(償却資産)

<自動車に取り付けられた設備の取扱い> 自動車に取り付けられたカーエアコン、カーオーディオ、カーナビゲーションにつ

いては、その性能、形式、構造等が自動車用として特別に設計されたもので自動車固

有の設備であり、たとえ自動車から取り外しが可能であっても、これらの設備等は自

動車そのものと一体をなしているものですから、固定資産税の課税客体には該当しま

せん。ただし、カーナビゲーション等がリース資産である場合は、固定資産税の課税

客体となります。

(道路運送車両法第 3 条)

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<事例23> 校内練習場のみ使用している教習用自動車で、ナンバープレートの無い自動車があ

ります。このような登録していない自動車は償却資産として課税されますか。 <事例24>

営業用の自動車に、カーエアコン、カーオーディオ、カーナビゲーション、ETC

車載器を取り付けている場合、償却資産の課税対象となりますか。 (4)その他の注意すべき資産

① 棚卸資産 棚卸資産とは販売により、又は生産に投入されることにより数量的に減少する資産

をいい、商品、製品、半製品、原材料又は貯蔵品が該当します。

② 繰延資産 繰延資産とは、法人が支出する費用のうち、支出の効果が支出の日以後 1 年以上に

及ぶものをいいます。 減価償却資産が、換価価値を有するものであるのに対して、繰延資産は基本的に換

価価値を持たない擬制資産です。 ③ 特別な償却率を適用している資産

償却資産で採用されている償却方法は、定率法に限定されており、その他の減価償

却方法を採用する余地はありません。特別な償却率も償却方法の一つなので、償却資

産には適用がなく、映画フイルム、専用金型、魚網等について特別な償却率を適用し

た場合でも、償却資産の申告を要し課税客体となります。

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<事例25> メーカーと代理店契約がされているA店舗に広告宣伝用として無償で贈与した看板

は、メーカーの繰延資産であり、A店舗では減価償却資産として計上されていないの

で償却資産とならないですか。

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2 課税客体となる土地 (1)土地と償却資産の区分

土地と償却資産の区分についての留意点は、次のとおりです。 ① 土地に定着する岸壁、橋、桟橋、ドッグ、軌道、貯水池、坑道、煙突、庭園、緑

化施設、人工芝等は、一般的には償却資産とされます。

② 舗装道路すなわち道路の舗装部分及び砂利道、舗装路面、すなわち、工場の構内、

作業広場、飛行場の滑走路、誘導路等の舗装部分は、構築物として償却資産とされ

ます。なお、民間企業の経営する自動車道については、道路の舗装部分のみならず、

原野、山林等を切り開いて構築した切土、盛土、路床、路盤、土留等の土工施設も

構築物として償却資産に該当します。 (2) 土地との区分が紛らわしいもの

① 土地についてした防壁、石積み等の費用 償却資産となるか否かは、税務会計の処理にあわせて取り扱うことになります。

また、上水道又は下水道の工事に要した費用の額についても、同様となります。 ② 砂利道等

表面に砂利、砕石等を敷設した道路及び路面は、税務会計上減価償却資産とされ

ていますので、償却資産となります。

③ 緑化施設 緑化施設とは、植栽された樹木、芝生等が一体となって緑化の用に供されている

ものをいい、いわゆる庭園と称されるもののうち、花壇、植樹等植物を主体として

構成されているものはこれに含まれ、償却資産となります。

④ 庭園 庭園とは、泉水、池、とうろう、築山、あずまや、花壇、植樹等により構成され

ているもののうち、緑化施設以外のものをいい、償却資産となります。

⑤ 工場用地等の土工費 土地を利用するためにした防壁、上下水道、石垣等であっても、その規模、構造

等からみて独立の構築物とすることが適当と認められるものについては、税務会計

上減価償却資産とするか否かは企業の任意とされているので、その企業が減価償却

を行った場合は償却資産となります。

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⑥ 野球場、陸上競技場、ゴルフコース等の土工施設等 野球場、テニスコート、陸上競技場の暗きょ、アンツーカー等の土工施設及びゴ

ルフコースと分離して独立の構築物とみられるものは、償却資産となります。ゴル

フコースを構成するものについては、土地に含めて評価することとなります。フェ

アウェイ及びグリーンの芝植え付け費は、修繕費として処理されるものなので土地

及び償却資産のいずれにも含めないものとなります。 <事例26>

料亭の庭園、賃貸住宅の緑化施設やゴルフ場のゴルフコースの芝生は償却資産とし

て課税されますか。 <事例27>

道路のよう壁部分を資本的支出として、土地とは別途で計上していますが、償却資

産として課税されますか。

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3 課税客体となる家屋 (1)家屋と償却資産の区分

固定資産税の課税客体となる家屋とは、一般的には、土地に定着して建造され、屋

根及び周壁又はこれらに類するものを有し、独立して風雨を凌ぎ得る外界から遮断さ

れた一定の空間を有する建造物であり、居住、作業、貯蔵等の用途に供し得る状態に

あるものをいうと解されています。 一般的には、これ以外の有形減価償却資産が償却資産であるとされます。

建築設備等の取扱いについても、まず家屋の判定を行い、これ以外のもので事業の

用に供するものが償却資産になります。ここで問題は、まず「家屋と構造上一体とな

って家屋の効用を全うするための設備」は建築設備として家屋に含めて評価すること

になっていますが、この判断が非常に困難なことです。 個々の状況に応じて判断することになるため、どうしても曖昧さが残ります。 事業用のものである場合に限り償却資産として固定資産税の課税客体とされ、その

評価は取得価額によることになります。 家屋と償却資産の区分の問題は、評価担当者ですら判定に迷うような複雑な建築設

備の存在や、家屋と償却資産の区分についての判定基準が一般に周知されていないこ

とから、納税者に説明して納得を得る際にも苦慮することも多くあります。 (2)家屋と認定できるための3要素

①「土地への定着性」 ②「外気分断性」 ③「用途性」

定着性について 建物に定着性があるというためには、その建造物自体の本性が、永続性を有している

ものでなければならないものです。

外気分断性について 「屋根及び周壁又はこれに類するものを有し」と規定されており、これによって外気

が遮断され、人貨の滞留するための空間ができなければならないものと考えられていま

す。

用途性について 用途性を判断する場合は、その目的とする用に供しえる状態にあるか否かにより判断

する必要があります。

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(3)建造物との区分

① 構造からみれば構築物であり、効用からみれば家屋と考えられるような、家屋か

どうかを定め難い建造物については、不動産登記事務取扱手続準則第77条の例示

から類推し、その利用状況等を勘案して判定することとなります。 「家屋として取り扱わないもの」であって事業の用に供するものは、償却資産とし

て取り扱います。

<不動産登記事務取扱手続準則(建物認定の基準)第 77 条> ○ 建物として取り扱うもの> ア 停車場の乗降場及び荷物積卸場。ただし、上屋を有する部分に限る。 イ 野球場又は競馬場の観覧席。ただし、屋根を有する部分に限る。 ウ ガード下を利用して築造した店舗、倉庫等の建造物 エ 地下停車場、地下駐車場又は地下街の建造物 オ 園芸又は農耕用の温床施設。ただし、半永久的な建造物と認められるものに限る。

○ 建物として取り扱わないもの ア ガスタンク、石油タンク又は給水タンク イ 機械上に建設した建造物。ただし、地上に基脚を有し、又は支柱を施したものを

除く。 ウ 浮船を利用したもの。ただし、固定しているものを除く。 エ アーケード付街路(公衆用道路上に屋根覆いを施した部分) オ 容易に運搬することができる切符売場又は入場券売場等

② なお、事業のために使用されている家屋であってその家屋の全部又は一部がそれ

に 付設する構築物とその区分が明瞭でなく、その所有者の資産区分においても構

築物として経理されているものについては、その区分の不明確な部分を償却資産と

して取り扱うことが適当であるとされています。

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<具体例> (4)家屋の附帯設備(建築設備)について

家屋の附帯設備(建築設備)の中にも、家屋に含めず、償却資産として取り扱うも

のがあり、判定に苦慮することも多くあります。 家屋に含めて評価するものとされる建築設備は、評価基準によれば、「家屋の所有者

が所有する電気設備、ガス設備、給水設備、排水設備、衛生設備、冷暖房設備、空調

設備、防災設備、運搬設備、清掃設備等の建築設備で、家屋に取り付けられ、家屋と

構造上一体となって、家屋の効用を高めるもの」であることを要するとされ、その具

体的な取扱いについては、「家屋の建築設備の評価上の取扱いについて」(平成 12 年1

月 28 日付け 自治省税務局資産評価室長通知)をもって示されているところです。 <家屋の評価に含まれる建築設備と認定できるための3要素> ①「家屋の所有者が所有するものであること」 ②「家屋に取り付けられ、家屋と構造上一体となっていること」 ③「家屋の効用を高めるものであること」

① 「家屋の所有者が所有する」ことの要件

「家屋の所有者が所有する」とは、家屋の所有者が当該建築設備の所有権を有す

るものであることをいいます。

② 「家屋に取り付けられ、家屋と構造上一体となっている」ことの要件 家屋に固定されて構造上一体となっているものについてのみ家屋に含めて評価す

ることとされています。

建物壁面

雨よけ、庇 (家屋評価対象)

家屋と一体となり効用を発揮

家屋と分離されている雨よけ (キャノピー)

雨よけ、日よけ (償却資産対象)

入口 入口

建物壁面

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したがって、同一の設備であっても、その設備の取付の状況によって、家屋の評

価に含めるものと含めないものが生ずることとなります。

ア 家屋の特定の場所に固定されているものであること。

イ 壁仕上、天井仕上、床仕上等の裏側に取り付けられているものは、家屋に含め

るものであること。

ウ 屋外に設置された配線・配管及び家屋から独立して設置された設備は家屋と

構造上一体となっているものではないので、家屋に含めません。

エ 屋外に設置された設備であっても、配線、配管等により屋内の機器と一体と

なって一式の建築設備としての効用を発揮しているものについては、当該一式

の建築設備について、家屋に含めるか否かを判定するものです。

オ 消耗品に属するものは、家屋に含めないものです。

③ 「家屋の効用を高めるもの」の要件 家屋に含めて評価する建築設備について「家屋自体の利便性」を高めるものに限

定しているのは、特定の生産又は業務上の利便性を高める設備を除外する趣旨によ

るものです。 家屋に設置される設備のうちには、必ずしも家屋自体の効用と関係のない他の目

的のために設置されるものがあります。物の生産、加工のために必要とされる設備

が設置されるものについては、固定資産税における償却資産の課税客体となり、家

屋としての評価には含めないものとなります。 (5)附帯設備(建築設備)の家屋と償却資産の区分について

① 内装工事 ア 可動間仕切り、移動間仕切り、パーテーション

間仕切り等の本体が天井部分まで届いていないものは償却資産になります。こ

の場合、天井付近の一部分が開放されていても取付支柱が天井に固定されていれ

ば家屋の評価対象になります。 単に移動を防止する程度に家屋に取り付けられたもので、いわゆる「つい立て」

程度の簡易なものは、償却資産になります。 イ ブラインド、カーテン、郵便受、宅配ボックス、駐輪機等は、独立した器具・

備品に該当するので償却資産になります。

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② 特定の生産または業務用設備等 ア 特定の生産活動を行うために必要な「動力源、熱源、水処理、汚水処理、冷却、

照明」用として用いられるボイラー、動力配線・配管、コンセント、ガス配管、

給排水配管、給排気設備、エアー配管、油配管、照明設備等及びその付属設備は、

償却資産になる。例えば、工場内で製造用機械を動かすための動力配線設備、ガ

スバーナー用のガス配管、工業用水道配管や汚水配管、精密機械工場内の空調設

備や集塵設備、熱処理用のボイラー設備、コンピュータ室(人が作業することが

想定されない部屋)に設置されている大型コンピュータを冷却するための専用空

調設備等が該当します。 ただし、「事務室の照明用電気配線」や「生活用の上下水道配管、冷暖房用空調

配管、ガス配管」等は家屋の評価対象になります。 なお、例えば、冷凍倉庫における冷凍設備、ホテルや病院における厨房設備、

洗濯設備等も償却資産に該当します。 イ 生産用(工場用)又は一般用(事務所ビル、賃貸マンション、寮、福利厚生施

設等)を問わず、電気設備のなかで受変電設備、蓄電池設備、発電機設備は償却

資産になります。

ウ 受変電設備、発電機設備、製造用機械、プレス機等を備え付けるための基礎工

事については、特定の生産用設備の付属設備に該当するので償却資産になります。 ただし、家屋の評価対象となる設備を構成する機器(事務所ビルの空調用ヒー

トポンプ、受水槽、消火ポンプ等)を設置するための基礎工事・架台工事等は家

屋の評価対象になります。

③ 屋外構築物 ア 屋外に設置されている物置、自転車置場、ポンプ小屋、ゴミ置場等は、原則と

して基礎があり、外気分断性があると認められるものの場合、家屋として評価の

対象となるものと考えられますが、それ以外の場合で事業の用に供されているも

のについては構築物として償却資産になります。 イ 渡り廊下、通路、上屋は、利用状況等から判断し、これらが取り付けられてい

る家屋と構造上一体となっているものであれば家屋として評価します。しかし、

既存の建物とは独立して築造されている場合には、基礎があり屋根及び周壁によ

って風雨が防げる構造でなければ、償却資産に該当する場合があります。 なお、停車場の乗降場及び荷物積卸場の上屋を有する部分は家屋となります。

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ウ 屋外にある外灯、手洗場、電気、上下水道、ガス配管、電力引込線、屋外電気

設備、門、塀、花壇等は、屋外構築物となるので償却資産になります。

エ ネオンサイン、広告塔、航空障害灯、ライトアップ工事、ビルの名称を表示し

た箱文字等は、家屋自体の効用(利便性)を高めるものには該当せず、家屋とし

ては評価をしないので償却資産になります。 同様の理由により、不特定多数の人へのサービス設備としての停車場における

列車やバスの発着表示、証券会社の株式価格表示設備も償却資産になります。

オ 電気、ガス、水道メーター(集中検針盤を含む)については、その設備の効用

上必ずしも必要なものではなく保守監視等の目的から付けられているものである

こと及び家屋との構造上の一体性がないことから、一般的にメーター(通常は屋

外に設置されている場合が多い)は家屋の評価対象とはなりません。 カ 屋外に設置されていても、室内の機器と一体となって効用を発揮している受水

槽や空調設備の室外機(空調設備については、配管が壁仕上、天井仕上、床仕上

等の裏側に取り付けられているものに限る)、給湯器、温水器等については、室内

機及び配管ともに家屋として評価をします。 一方、家庭用タイプのエアコンの室外機(配管が壁仕上、天井仕上、床仕上等

の裏側に取り付けられていないもの)は、室内機及び配管ともに家屋の評価対象

とはなりません。 <事例28>

高層ビルの屋上・外壁に設置されている航空障害灯は、償却資産の課税対象となり

ますか。

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(6)特定附帯設備の取扱いについて 家屋評価の対象となる資産については、家屋の所有者に課税することが原則ですが、

平成16年度の地方税法改正で平成16年4月1日以降、「家屋の附帯設備であって、

当該家屋の所有者以外の者がその事業の用に供するため取り付けたものであり、かつ、

当該家屋に付合したことにより当該家屋の所有者が所有することとなったものについ

ては、当該取り付けた者の事業の用に供することができる資産である場合に限り、当

該取り付けた者をもって所有者とみなし、当該特定附帯設備のうち家屋に属する部分

は家屋以外の資産とみなして固定資産税を課することができる。」という規定が設けら

れました(法 343⑨) 。 このみなし規定は、各市町村の税条例が制定された場合に家屋以外の資産とみなし

て固定資産税を課することが出来るのであって、市町村の条例が制定されない場合は、

「みなし課税」は出来ません。

<事例29> 園芸用、農耕用の温床施設は全て償却資産の課税対象となりますか。

<事例30>

事務所などの間仕切とか病院の診察室など広範囲に用いられ、床面から天井に達す

る規模のアルミニユゥム骨組及びパネルからなる既製間仕切(スライディグウォール)

は、家屋の評価対象となりますか。 <事例31>

社員食堂の厨房設備、料理飲食店の厨房設備は家屋の建築設備に含まれますか。

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<事例32> 全く内装がない状態のスケルトンで建築され、賃借人が内装、建築設備等を施した

賃貸ビルに付加された内装、設備で建物と一体不分離のものについては家屋の所有者

(家主)に課税すべきですか。 <事例33>

賃貸借契約終了時に附帯設備を撤去しなかった場合や、附帯設備を取り付けた者が

家屋の所有者となった場合、どのような取扱いになりますか。 <事例34>

特定附帯設備が居住用に供されるなど、非事業用資産となった場合、どのような取

扱いになりますか。 <事例35>

A法人に調査に行ったところ、固定資産台帳(減価償却明細書)にB法人の工場に

A法人が取り付けたガスボンベが計上されていました。A法人に説明を求めたところ、

自社製品の販売促進のため、無償で取り付けているとのことであった。 この場合、ガスボンベの取扱はどのようになりますか。

<事例36>

外構工事、給排水設備の配線等が家屋や機械工事一式で資産計上されている場合は、

これらの確認をどのように行えばよいですか。

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4 移動性・可動性償却資産 (1)移動性償却資産

移動性償却資産とは、船舶、車両、航空機など自力によって移動することのできる

償却資産です。 (2)可動性償却資産

可動性償却資産とは、建設用機械、推進器のない浚渫船のように人力、他の機械力

その他によって移動させることができるもので、かつ、工事現場や作業場等の移動に

伴ってその所在が移動する償却資産をいいます。 (3)移動性償却資産又は可動性償却資産の課税団体

移動性及び可動性償却資産については、本来の用途が移動を前提としており、賦課期

日現在の所在地を特定することが困難です。 このような資産については、賦課期日現在の主たる定けい場又は定置場の所在する市

町村が課税団体になります(法 342②)。 年間ほとんど外航にある場合、又は多くの港湾に短時日ずつ定けいする場合等で、主

たる定けい場が不明な場合には、定けい場所在の市町村で船籍港のあるものを主たる定

けい場所在の市町村とみなします(法 342②)。 なお、賦課期日を含み、一年以上の長期にわたり、引き続き本邦外に所在する償却資

産については、課税客体とはなりません。 <事例37>

建設業を営む本社において、ブルドーザー等の土木建設用機械を管理し、工事があ

る都度本社から各出張所あてこれらを輸送し、工事の完了に伴い返送、修理・保管等

を行っている場合、この土木建設用機械の課税は本社所在の市町村となりますか。

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(4)配分資産の課税団体 移動性又は可動性償却資産でその価格が高いものについて、主たる定けい場又は定置

場の所在する市町村にのみ課税権を認めることは、他の関係市町村との受益関係を考慮

すると均衡を失します。また、その資産の性質上、各市町村が個別に評価することは適

切でないものもあります。このような資産については(二以上の市町村にわたって使用

されるもの及び鉄道、軌道、発電、送電、配電若しくは電気通信の用に供する固定資産

又は二以上の市町村にわたって所在する資産)、総務大臣が特別に指定し、都道府県知

事(関係市町村が二以上の都道府県にまたがるときは総務大臣)が価格等を決定し、関係

市町村に配分することとされています(法 389①)。 (5)大規模償却資産の課税団体(課税標準の特例等)

大規模な償却資産を、その資産の所在する市町村で課税すると、他の市町村との間

で税源の格差が生じてしまい、全体としての効率的な財政運営ができません。大規模

償却資産については、その価格のうち、一定の課税標準額(市町村の人口段階に応じて

定められている)までを市町村が課税し、それを超える部分については、大規模の償

却資産が所在する都道府県となります(法 349 の4、349 の5、740)。

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第2 償却資産についての課税制度 固定資産税は、法人税や所得税のように納税者本人が自分の責任で納税額を計算し申

告する方式の「申告税目」ではなく、納付すべき税額が市町村長などの行政庁の処分(賦

課決定)によって確定する方式の「賦課税目」です。 しかし、償却資産においては、土地・家屋の不動産登記に相当するものがないことから、

所有者や資産詳細の確認が困難です。したがって、納税義務者(所有者)から、賦課期

日時点で所有している資産の価額等に関する申告を毎年 1 月末までに受け(法 383)、こ

れにより評価・課税を行っています。 <事例38>

ある法人が、A市の事業所で平成29年4月に取得しその年の8月に廃棄した発電

機と、平成29年12月に取得し平成30年3月に売却した看板をA市に申告してい

ません。A市はこれらの資産に30年度課税することができますか。 1 納税義務者 (1)通常の場合の納税義務者

固定資産税は賦課期日(1 月 1 日)現在の固定資産(土地・家屋・償却資産)の所有者

に課税されます(法 343①)。 (2)共有資産の納税義務者

地方税法では、共有資産の納税義務は、民法上での取り扱いのように持分に応じて

分けられるものではなく、共有者全員で全額の納税義務を負う連帯納税義務としてい

ます(法 10 の 2①)。

<連帯納税義務> 連帯納税義務とは、複数の納税義務者が同一の納税義務を連帯して負担することを

いいます。 (3)特殊な場合の納税義務者

① 信託償却資産の納税義務者

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信託とは、不動産などの財産を持っている人が、その所有権等を相手(受託者)

に移転して、その管理や処分を任せることです。受託者の例としては信託銀行など

があります。 ただし、当該資産を譲渡条件付で第三者に賃貸し、その第三者がこれを事業の用

に供しているものについては、その第三者を所有者とみなして固定資産税を課税し

ます(法 343⑧、取扱通知第 3 章第 1 節十二)。

② 所有権留保付売買資産の納税義務者 所有権留保付売買とは、購入代金の全額支払いなどの条件を満たすまでは、買主

でなく売主が所有権を留保しておく売買契約です。地方税法ではこのような償却資

産を売主と買主との共有物(法 342③)とみなしますので、売主と買主とに連帯納税

義務があります(法 10 の2①)。 なお、割賦販売の場合等は、社会の納税意識に合致するよう、原則として買主が

申告し、課税するという取扱いになっています(取扱通知 3 章 1 節第 1 の十)。

③ リース資産の納税義務者 リース資産の所有権は、一般的にリース会社が保有していることから、原則とし

てリース会社が納税義務者となります。ただし、実質的所有権が借主にあると考え

られる場合は、前記②の割賦販売と同様の取り扱いとなります。

<ファイナンス・リースとオペレーティング・リース> 1 ファイナンス・リース

ファイナンス・リースとは、リース期間中にリース契約を解除することができない

リース取引の一形態であり、借手はリース物件を使用することによりその経済的利益

を享受するとともに、当該リース物件の使用に伴って発生する費用を負担することに

なります。また、ファイナンス・リースは機械・設備等を必要とする特定の相手方に

リース会社が購入代金の貸付の代わりに機械・設備等を長期間賃貸し、リース期間中

にリース料の支払いを受け、物件の価格の全額を回収するものです。 2 オペレーティング・リース

オペレーティング・リースとは、ファイナンス・リース以外のリースをいい、例え

ばコピー機・パソコン等を 1 年のリース契約により導入し、期間満了後にリース会社

に返還するというリース取引の一形態です。 当該資産の保守、管理は原則として賃借人が行うもので、ファイナンス・リースは

金融的色彩が強いものであるのに対し、サービスの提供としての色彩が強いものです。

また、リース期間は比較的短いですが、リース期間中における契約の解除も一定の予

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告期間をおいて認められます。 (4)災害等によって所有者が不明な資産の納税義務者 (5)家屋の附帯設備に係る納税義務者

家屋の所有者以外の者が取り付け、付合により家屋の所有者が所有することとなっ

た附帯設備で、当該取り付けた者の事業の用に供することができるものについては、

現にその償却資産の使用収益を行う者は、当該附帯設備を取り付けた者であることか

ら、当該取り付けた者を所有者とみなして償却資産課税台帳に登録し、固定資産税を

課税することができます(法 343⑨)。 なお、この場合において当該取り付けた者に対して固定資産税を課税するためには、

その旨を市町村の条例に定める必要がある。 (6)所有者が死亡した場合の納税義務者

賦課期日前に固定資産の所有者である個人が死亡した場合、相続手続きが完了する

までは、その固定資産は相続権者全員の共有に属するとされるので(民法 898)、これ

らの者が「現に所有している者」として固定資産の所有者となります。 この場合、共有物に対する固定資産税は、共有者が連帯して納付する義務を負うこ

ととなります(法 10 の 2①)。 なお、賦課期日後に固定資産の所有者である個人が死亡した場合には、固定資産税

の納税義務はその死亡した者に対して発生した後、相続人に当該納税義務が承継され

ることとなります(法 9)。 <事例39>

同じ事業を行っているAとBに申告しょうようをしたところ、Aは廃業し、全ての

資産をBに無償(使用貸借契約あり)で貸している場合、事業を行っているBが償却

資産の申告・課税対象となりますか。

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<事例40> Aは、取得価額500万円の事務機器を所有していますが、それとは別に取得価額

900万円の機械をBとCと持分3分の1ずつで共有しており、所得税法上での取得

価額合計は800万円(500万円+300万円)となっています。Aが納税義務を

負っている償却資産の取得価額合計はいくらですか。 <事例41>

共有資産については、国税で自己の持分相当の減価償却が認められ申告している場

合、国税に準拠する形で持分相当の申告とすることが出来ますか。 <事例42>

A社は、建設機械を販売しています。B社に割賦販売(所有権留保付)したブルド

ーザーについて、B社が倒産した場合、A社に償却資産を課税することができますか。 <事例43>

A社は米国のリース会社からA社で製造している自動車の部品を製造する特殊な工

作機械をリースしています。契約では、公租公課についてはA社が負担することとな

っているので、A社が納税義務者となりますか。 <事例44>

B 社は米国のある企業から印刷機械をリースしており、リース期間終了後は機械をそ

の企業に返還することにしてい益々。契約では、公租公課については B 社が負担する

こととなっているので B 社が納税義務者となりますか。

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2 課税団体 (1)償却資産の課税団体

固定資産税(償却資産)の課税団体は、原則としてその償却資産が所在する市町村

です(法 342①)。 (2)移動性、可動性償却資産の課税団体

「移動性償却資産」とは、船舶、車両、航空機等のように自力によって移動するこ

とを目的とする償却資産です。また、「可動性償却資産」とは、建設用機械、推進器の

ない浚渫船等のように人力又は機械力その他によって移動することが可能で、かつ、

工事現場等の移動に伴ってその所在を移動する償却資産です。 移動性、可動性償却資産の課税団体は、地方税法第 389 条第 1 項第 1 号の規定があ

る場合を除いて、その主たる定けい場又は定置場所在の市町村となります(法 342②)。 (3)都道府県知事又は総務大臣が評価する償却資産の課税団体

前記(1)、(2)の例外として、地方税法第389条第1項各号に該当する固定資

産については、都道府県知事又は総務大臣が評価し、価格等とその固定資産が所在す

るものとされる市町村を決定して、決定した価格等を関係市町村に配分することとさ

れています。 地方税法第389条第1項各号に該当する固定資産の例としては、総務大臣が指定

する、船舶、車両、2以上の市町村に渡って所在する鉄道や送電線等があり、これら

の資産を「配分資産」といいます。 <事例45>

1年に一度も帰航しない船舶に積載されているコンテナは償却資産の課税対象とな

らないですか。

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3 課税標準、免税点、税率、税額 (1)課税標準

償却資産に対して課する固定資産税の課税標準は、賦課期日(1 月 1 日)における当

該償却資産の価格で償却資産課税台帳に登録されたものとなります(法 348 の 2)。 (2)免税点

免税点は150万円です。同一の者がその市町村の区域内に所有する全ての償却資

産について、合計した課税標準となるべき額が免税点(150 万円)に満たない場合は、

固定資産税(償却資産)を課税することはできません(法 351)。 (3)税率

税率は100分の1.4(標準税率)です。具体的に適用される税率は各市町村が

それぞれの条例によって定めるとされています(法 350①)。 (4)税額

課税標準額に税率をかけて、100円未満を切り捨てた金額が税額となります。

(計算例) 評価額 =14,244,360 円 決定価格 =14,244,360 円 課税標準額=14,244,000 円(千円未満切捨て) 税額 =14,244,000 円×1,4%(税率)

=199,416 =199,400 円(百円未満切捨て)

4 価格等の決定 (1)固定資産の評価

固定資産評価員は、地方税法第409条に基づき、当該市町村に所在する償却資産

について、その賦課期日現在の価格によって評価します。また、その内容を基に評価

調書を作成し、市町村長に提出します。 (2)固定資産の価格等の決定

市町村長は、受理した評価調書に基づいて、固定資産の価格等を毎年 3 月 31 日まで

に決定します(法 410①)。

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(3)価格等の登録 市町村長は、価格等を決定した場合は、直ちに当該固定資産の価格等を固定資産課

税台帳(償却資産課税台帳)に登録します(法 411①)。 また、固定資産課税台帳に登録すべき固定資産の価格等のすべてを登録した場合は、

直ちに、その旨を公示します(法 411②)。 (4)閲覧

決定した価格等が登録された課税台帳は、地方税法第382条の2に基づき納税義

務者等に閲覧に供します。これにより、納税義務者等は課税台帳に登録された価額等

を確認することができます(償却資産においては、土地・家屋のような縦覧制度はあり

ません)。 (5)賦課決定

決定された価格等に基づき、税額を確定する賦課決定を行います。 (6)納税通知書、納期

賦課決定を行い、課税額が発生した納税義務者に対して納税通知書を発付します。 納税通知書とは、納税者が納付すべき地方税について、その賦課の根拠となった法

規等、納税者の住所及び氏名、課税標準額、税率、税額、納期、各納期における納付

額、納付の場所並びに納期限までに税金を納付しなかった場合において執られるべき

措置及び賦課に不服がある場合における救済の方法を記載した文書で各地方団体が作

成するものをいいます。 なお、固定資産税の納期は、地方税法第 362 条(原則 4 月、7 月、12 月、2 月)に

基づいた市町村の条例により、定められています。 (7)公示以後における価格等の決定又は修正

市町村長は、前記(3)で述べた公示の日以後に、固定資産の価格等の登録がなさ

れていないことを発見した場合、その固定資産の価格等を決定し固定資産課税台帳に

登録します(法 417①)。 また、固定資産課税台帳(償却資産課税台帳)に登録した価格等に重大な錯誤等を

発見した場合においては、決定された価格等を修正して、これを固定資産課税台帳に

登録します(法 417①)。 (8)賦課決定等の期間制限

過去に課税すべきでありながら課税されていない資産や課税すべきではないものを

課税している資産が判明した場合の賦課決定については、法定納期限の翌日から起算

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して5年以内に限られます(法 17 の 5③)。 <事例46>

平成20年7月取得の資産が申告されず、課税されていなかったことが平成31年

7月に判明した場合、どのような処理とされるのが適当ですか。 <事例47>

本来償却資産として課税すべきものの附帯設備について、家屋と償却資産で二重課

税されていたことが判明した場合、どのような取扱いになりますか。 <事例48>

申告された償却資産の中に課税対象でないものが発見され、訂正申告書が提出され

還付する必要が生じた場合、加算金の計算の始期はいつからとなりますか。 (9)質問検査権

固定資産税の価格等の決定に関する調査を行う必要があるときは、納税義務者又は

その関係人等に対して、質問し、その事業に関する帳簿書類、対象物件等を検査する

ことができます。 (10)救済制度(審査の申出、審査請求)

① 審査の申出 固定資産課税台帳に登録されている価格に不服のある納税者は、固定資産評価審

査委員会に審査の申出をすることができます(法 432)。

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② 審査請求 5 非課税等

非課税とは、地方税法により全国画一的に、一定の範囲のものに対して課税しないこと

としている特例措置をいいます。地方団体の課税権を制限するもので、非課税とされるも

のについては、地方団体の意思にかかわらず、納税義務を負わせることができません。 固定資産税の非課税については、その根拠を固定資産の所有者に求める人的非課税と、

固定資産の性格、用途に求める用途非課税とがあります。 課税標準の特例とは、公共料金の抑制、企業体質の改善、公害対策の充実等の経済政策

的又は社会政策的要請に基づき、課税標準額の一定割合を減額することをいいます。 減免とは、納税者の担税力の減少、その他納税義務者個人の事情に着目し、地方団体が

一旦課税したものについて、その税額の全部又は一部を免除することをいいます。 (1)非課税(法 348、法附則 14)

① 人的非課税 市町村は、国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区及び地方

開発事業団に対しては、固定資産税を課することができないとされています(法 348①)。

② 用途非課税

地方税法第348条第2項各号に列挙する固定資産並びに同条第4項、第5項及

び第6項等に規定する固定資産に対しては、課税することができないものとされて

います。ただし、地方税法第348条第2項各号に列挙する資産に該当するもので

あっても、その固定資産を有料で借り受けたものがこれを法第348条第2項各号

の固定資産として使用する場合においては、その固定資産の所有者に固定資産税を

課すことができることとされています。また、地方税法第348条第2項各号の固

定資産税がそれぞれ各号に定められている目的以外の目的に使用される場合には、

固定資産税を課すこととされています(法 348③)。 <事例49>

Aリース会社は、土木建設用機械をB地方公共団体に有料で貸し付けている。土木

用機械については、非課税になりますか。

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<事例50> リース会社が地方公共団体に対し一定期間のパソコンのリースを行い、リース期間

終了後無償で当該地方公共団体に譲渡する旨の契約が締結されている場合、非課税に

なりますか。 <事例51>

農業協同組合等の事務所及び倉庫に通常設置される比較的軽易な器具備品等の償却

資産は非課税としてよいですか。 (2)課税標準の特例

固定資産税においては、経済政策的要請に基づく課税上の特例として課税標準の特例

措置が設けられています(法 349 の 3、法附則 15)。 <事例52>

① 釣り船(遊漁船)、② 快遊船(プレジャーボート)、③ 浚渫船、④砂利採取

船、⑤はしけ(自力では動くことができない)の船舶について、地方税法349条の

3第6項による課税標準の特例の適用を受けることができますか。 <事例53>

船舶に設置されているクレーンは、特例(法 349 の 3⑥)を適用できますか。

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6 償却資産の申告 償却資産では、土地・家屋のように不動産登記に相当するものがなく、所有者や資産詳

細の把握が非常に困難です。このため、所有者(納税義務者)に賦課期日時点で所有し

ている資産を、その価格の決定に必要な事項を毎年1月末までに申告することを義務つ

けています(法 383)。 (1)申告義務者

申告義務者は、固定資産税の納税義務のある償却資産の所有者です。 (2)申告内容

申告すべき内容は、毎年1月1日現在における該当償却資産について、その所在、

種類、数量、取得時期、取得価額、耐用年数その他償却資産課税台帳の登録及び当該

償却資産の価格の決定に必要な事項です。 (3)申告期限・申告先

1月31日までに当該償却資産の所在地の市町村長に申告しなければならないとさ

れています。

<納税者と納税義務者の違い> 納税者とは、実際に固定資産税が賦課されている者であり、納税義務者とは、免税点

未満のため実際には固定資産税が賦課されていない者も含んだ概念です。

<虚偽申告等に関する罪>(法 385、395、745①) 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が処せられます。

<不申告に関する過料>(法 386、745①) 市町村の条例で10万円以下の過料を科する規定を設けることが出来ます。

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<事例54> 小さな店を経営している飲食店です。償却資産も150万円に満たないので申告は

しなくてもよいですか。また、税金がかからない場合でも申告しないと罰則が適用さ

れますか。 <事例55>

申告書の提出がなくても国税資料の「減価償却費の計算」欄の記載内容に基づいて

課税できますか。

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第3 償却資産の評価 償却資産の課税標準は、賦課期日における価格として固定資産課税台帳(償却資産台

帳)に登録されたものです。 償却資産の評価とは、固定資産評価基準にしたがい、償却資産の価格を算定すること

をいいます(法 388①)。 現行評価基準においては、償却資産の取得価額、減価方法等について、原則として、

法人税法又は所得税法における税務計算上の取り扱いの方法に合わせることとされてい

ます。 1 償却資産の評価計算

償却資産の評価では、経過年数に応ずる減価方法として、特殊な資産以外は、税務会計

における定率法を採用しています。 ただし、資産を取得した初年度については、半年償却法によっている点、税務会計と異

なります。 前年中に取得された償却資産にあっては当該償却資産の取得価額を、前年前に取得され

た償却資産にあっては当該償却資産の前年度の評価額を基準とし、当該償却資産の耐用年

数に応ずる減価を考慮してその価額を求める方法によります(評価基準第 3 章第 1 節)。 (1)前年中に取得された償却資産の評価(評価基準第 3 章第 1 節二)

前年中に取得 前年の 1 月 2 日から今年度 1 月 1 日までに取得したもの <算式>

評価額=取得価額-取得価額× 耐用年数に応ずる減価率

* 耐用年数に応ずる減価率は、評価基準別表 15 の「耐用年数に応ずる減価率表」

の減価率です。 (2)前年前に取得された償却資産の評価(評価基準第 3 章第 1 節三)

前年前に取得 前年 1 月 1 日以前に取得された償却資産 <算式>

評価額=前年度の評価額-前年度の評価額×耐用年数に応ずる減価率

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(3)前年前に取得された償却資産で新たに課税されることとなるものの評価 上記(1)、(2)に準じて行います(評価基準第 3 章第 1 節四)。

<事例56> 次の償却資産について平成31年度の評価額を求めてください。

アスファルト舗装路面

取得価額 20,000,000 円 耐用年数 10 年(減価率 0.206) 取得時期 平成 29 年 7 月

〔答〕 端数処理 (前年中の半年償却は小数点第 4 位切り捨て)

平成31年度評価額

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<事例57> 次の償却資産について平成31年度の評価額を求めてください。

取得価額 6,000,000 円 一部減少額 2,000,000 円 耐用年数 10 年 減価率 0.206 残存率 半年 0.897 1 年 0.794 取得時期 平成 26 年 7 月 除却時期 平成 30 年 7 月 平成30年度評価額 2,694,046 円

〔答〕

除却資産の前年度(平成 30 年度)の評価額

平成31年度評価額

「評価実務上の計算方法」 実務的には、納税者からの減少資産の取得価額が申告されたとき、それをもとに次の

算式により算定します。 <算式> 当該年度の評価額=減少前の当該年度評価

-(減少前の当該年度評価額× ) 減少分の取得価額 減少前の取得価額

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<事例58>

<事例57>の償却資産について、前記<算式>に当てはめて平成31年度の評

価額を求めてください。

平成31年度の減少前の評価額 2,139,072=2,694,046(円)×0.794)(円) 減少資産の平成31年度評価額 平成31年度評価額 = 2,139,072 円-① = 1,426,048 円

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(4)前年中の減少資産の評価 前年 1月 2日から当年 1月 1日までの間に除却、廃棄、滅失または譲渡があった場合、

当年度の評価において、その減少した資産に係るすべての価額を控除しなければなりま

せん。このため、前年中に減少した償却資産の取得価額を申告することになっています。 具体的には、 「前年中に減少した資産」を把握し、「前年中に減少した資産に係る前年度の評価額」

を算定し、「前年度の評価額」から「前年中に減少した資産に係る前年度の評価額」を

控除した金額を基準とし、その価額を求めます。 <算式> 評価額 =(前年度の評価額―除却資産の前年度の評価額)

×1 年分の減価残存率

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2 取得時期 (1)評価の三要素

償却資産の評価は、前年中に取得された償却資産にあってはその償却資産の取得価額

を、前年前に取得された償却資産にあってはその償却資産の前年度の評価額を基準とし、

それぞれの償却資産の耐用年数に応ずる減価を考慮してその価額を求める方法のよる

ものとされています。 したがって、償却資産の評価を行うためには、償却資産の取得時期、取得価額、耐用

年数のいわゆる「評価の3要素」が決まらなければなりません。 (2)償却資産の取得時期

一般的に資産の取得時期とは、資産の所有権を取得した日ですが、償却資産は、事業

の用に供する資産ですから、単に所有権を取得した日というだけでなく、その資産を事

業の用に供することができる状態になって、初めて償却資産を取得したといえます。 (3)事業の用に供することができる状態の判定

事業の用に供することができる状態にあるかどうかの判定は、その資産の種類、機能、

企業の形態、内容等を検討し、客観的な事実認定によって判断すべきものですが、判断

はきわめて難しい場合もあります。 固定資産税(償却資産)における取得時期は、税務計算における取得時期と同様なの

で、取得時期の判定については、国の税務官署の取り扱いに準じて行います。 3 取得価額 (1)償却資産の取得価額

償却資産の取得価額とは、償却資産を取得するために、その取得時において通常支

出すべき金額(その償却資産の引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税、

据付費、その他その償却資産をその用途に供するために直接要した費用の額(以下「付

帯費の額」という)を含む)をいいます(評価基準第 3 章第 1 節五前段)。 その取得時において通常支出すべき金額とは、償却資産を他から取得するための費

用の額と、償却資産の取得者が事業の用に供するために直接要した費用の額との合計

額です(承継取得主義)。 (2)取得価額算定の原則

取得価額算定は、原則として他から購入した償却資産にあっては、その購入の代価

に、自己の建設、製作、製造等に係る償却資産にあっては、その建設、製作、製造の

ための原材料費、労務費及び経費の額に、その償却資産の付帯費の額を含めた金額に

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よります(評価基準第 3 章第 1 節五後段)。 (3)特殊な場合の取得価額の算定

① 所有権留保付割賦販売(法 342③) 事業の用に供している買主の通常支出すべき金額を算定します。 リース契約であっても、実質的にその所有権が賃借人にある場合は、所有権留保

付割賦販売と同様に取扱います。

② 賃貸借 所有者である賃貸人がその償却資産を事業(賃貸業)に供するために通常支出す

べき金額を算定します。

③ 共有(所有権留保付割賦販売の場合を除く) 各共有者がその償却資産を事業に供するために通常支出すべき金額の合計額を算

定します。 (4)取得価額の具体的算定

算定方法 償却資産の取得価額は、評価基準に特別の定めがある場合を除き、税務会計におい

て償却資産の減価償却費の計算の基礎となる取得価額の算定の方法の例によって算定

するものとされています。 消費税法の施行に伴う償却資産の取得価額の取扱い 償却資産の取得価額を算定するに当たって、税抜経理方式と税込経理方式のいずれ

かを選択して適用することとされています。 なお、個々の固定資産又は個々の経理ごとに、これらの異なる方式を適用すること

はできません。 購入した償却資産の取得価額 購入した償却資産の取得価額は、購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購

入手数料、関税、その他購入のために要した費用がある場合は、その費用を加算した

金額。 事業の用に供するために直接要した費用とは、償却資産そのものとしてはすでに完

成しているが、その費用の支出がなければ事業の用に供することができないか、又は

困難となるような費用でしかも直接的な関連をもつものです。 値引き等があった場合 値引き、割戻し又は割引があった場合は、取得価額から値引き等があった額を控除

できます。

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取得するために実際に支出した金額と通常支出すべき金額が、明らかに、かつ、著

しく相違すると認められる場合の償却資産の取得価額 その取得時における通常支出すべき金額によります。 資産の評価換えをした償却資産の取得価額 法人税法第 25 条に規定する資産の評価換えを行い、償却資産の国税における帳簿価

額を増額した場合、その増額した金額(評価益)は、その償却資産の取得価額に加算

しません。 また、法人税法第 33 条に規定する資産の評価換えを行い、償却資産の国税における

帳簿価額を減額した場合、その減額した金額(評価損)は、その償却資産の取得価額

から減算しません。 <事例59> 〔問〕A法人は、会社更生法の適用により財産価額を評定し、建物附属設備、構築物、機

械装置、備品類のうちほとんどの資産について減額評定を行い、評価損については損

金算入をしています。償却資産の評価は「評価替え後の価額」、「前年度の評価額」う

ちどちらを基礎とすればよいですか。

圧縮記帳 固定資産の評価においては、資産本来の価格つまり取得時の正常な時価を課税標準

とする必要から、圧縮記帳の圧縮分を認めていません。 圧縮記帳は、政策上の配慮に過ぎず、本来の償却資産の取得価額(正常な時価)を

表すものではないので、償却資産には適用がありません。したがって、償却資産の取

得価額は、圧縮前の取得価額となります。 特別償却の取扱い 固定資産の評価においては、租税特別措置法に基づく税務計算上の特別償却制度は

認めていません。 (5)取得価額が明らかでない償却資産の取得価額

取得価額が明らかでない償却資産の取得価額は、次によります(評価基準第 3 章第 1節七)。

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取得価額が明らかでない償却資産については、まず、再取得価額を求め、再取得価

額が明らかでないときは、取得価額を推定します。

再取得価額が明らかな場合……再取得価額 再取得価額が不明な場合………推定取得価額

(6)改良費(資本的支出)

改良費の評価の方法 償却資産の改良のため支出した金額がある場合において、当該改良を加えられたこ

とにより増加した部分の評価は、当該改良を加えられた償却資産の取得価額又は前年

度の評価額と区分し、当該改良費を一つの資産とみなして行います。 <事例60>

相続により取得した資産は中古資産の取得にあたりますか。 〔答〕相続により取得した償却資産は、相続人が引き続き所有したものとみなします。

所得税法施行令第126条第2項及び所得税法第60条の規定によれば、相続によ

り取得した資産の取得価額は、この償却資産を相続した者が引き続き所有したものと

みなした場合における金額とされています。したがって、相続により取得した償却資

産は中古資産の取得とはならず、相続人が引き続き所有したものとみなして評価額を

算定することとなります((財)資産評価システム研究センター固定資産評価関係質疑

応答集問 39)。 <事例61>

実地調査を行った際に、提示された固定資産明細票の中に、「割賦手数料」という名

目のものがいくつか計上されていました。割賦手数料を伴う資産そのものについては、

固定資産明細書に計上され、固定資産税(償却資産)の申告もされています。この「割

賦手数料」は申告対象ですか。

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<事例62> 備え付図書として追録式法規集一式、全100巻35万円(一巻 3,500 円)で購入

しています。この法規集の減価償却資産の取得価額の判定単位は全巻35万円です。

また、図書の購入費用を資産計上した場合、その後支出する追録費用(年 12~13 万円)

は、図書の取得価額に加算しないのですか。 <事例63>

事業を行っている企業の経理担当者から、固定資産の償却資産の取得価額に係る消

費税の扱いについて、「消費税を取得価額に含めるべきか否か」の問い合わせを受けた

ため、消費税を取得価額に含めて申告するよう指導してよいですか。 <事例64>

中古資産を取得した場合の評価額の算定基礎は、前所有者が所有していたと想定し

た場合の評価額によりますか。 <事例65>

A社はB県の推進する開発事業を行うのに必要な2,000万円の機械設備を購入

するため、B県から1,000万円の補助を受け、A社は1,000万円支払ってい

ます。法人税の申告では取得価額1,000万円で減価償却を行い、先日税務調査を

受けて是認されています。償却資産の申告はどのようにしたらよいですか。

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4 耐用年数 (1)耐用年数の適用

耐用年数の意義 耐用年数とは、固定資産の物質的減価と機能的減価の双方を考慮して決定された固

定資産の使用可能年数です。 物質的減価とは、利用による損耗と時の経過による減価をいい、機能的減価とは、

物質的には未だ使用に耐えられるが、新しい機械の開発等により現在使用しているも

のが陳腐化をしたり、あるいは製造方法の改善等により設備等が不適応化することか

ら生ずる減価をいいます。 償却資産の評価に当たって使用する耐用年数は、「減価償却資産の耐用年数等に関す

る省令」(以下「耐用年数省令」という。)別表第1、別表第2、別表第5及び別表第

6に掲げる耐用年数です(評価基準第 3 章第 1 節八)。

償却資産の種類と適用する耐用年数表 償却資産の種類と耐用年数省令別表との関係は、次のとおりです。 一般的な耐用年数

償却資産の種類 耐用年数省令別表 構築物(建物附属設備を含む。) 船舶 航空機 車両及び運搬具(別表第2に掲げる

ものを除く。) 工具、器具及び備品

別表第1(機械及び装置以外の有形減価償

却資産の耐用年数表)

機械及び装置 車両及び運搬具(ブルドーザー等)

別表第2(機械及び装置の耐用年数表)

耐用年数の適用時期 償却資産の評価に当たり適用すべき耐用年数は当該年度の賦課期日現在における耐

用年数によります。 5 特殊な評価計算等 (1)耐用年数の短縮

耐用年数は、原則として減価償却の耐用年数等に関する省令に掲げる耐用年数(法定

耐用年数)によりますが、材質及び製作方法が、他と著しく異なる等による耐用年数の

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短縮(使用可能期間が、法定耐用年数に比べて、概ね 10%以上短い年数となるもの)に

ついては、納税地の所轄国税局長の承認を受けたときに、短縮した耐用年数によること

ができます。 (2)中古資産の耐用年数

税法に定められている耐用年数は、新たに製作又は建設されたいわゆる新品を基準

として定めています。したがって、他の者がすでに使用していた減価償却資産、いわ

ゆる中古資産を取得して、個人が業務又は法人が事業の用に供した場合のその資産の

耐用年数は、それぞれの法定耐用年数によることもできますが、実際上、すでに使用

してから相当の年数を経過しているため、法定耐用年数をそのまま適用するのは実情

にそぐわないことから、法定耐用年数によらないでその取得後の使用可能期間を見積

って、その見積った耐用年数によることもできるものとされています。 中古の個別償却資産の耐用年数の見積り 中古資産の残存耐用年数は、原則として、その中古資産をその用に供したとき以後

の使用可能期間の年数を見積って算定する方法(見積法)によることとされています。 耐用年数見積りの簡便法 中古資産を取得し、その耐用年数を見積る場合において、その耐用年数の見積りが

困難であるときは、次の(ア)又は(イ)の算式によって計算した年数(その年数が

2年に満たない場合には、2 年とする)を耐用年数とすることができますまた、経過年

数は月まで求め、年数の端数処理はしません。

(ア)法定耐用年数の全部を経過したもの その法定耐用年数 × = 見積耐用年数

(イ)法定耐用年数の一部を経過したもの

その法定 -

経過 +

経過 ×

20 = 見積耐用年数

耐用年数 年数 年数 100

法人が中古資産を事業の用に供するに当たって、その資産の改良等のために支出し

た金額、つまり資本的支出の金額が、その中古資産の取得価額の 100 分の 50に相当す

る金額を超えるときは、その資本的支出があったことにより効用持続年数が延びると

考えられるため、その中古資産の耐用年数は上記③の簡便法を適用することができず、

20 100

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上記①の見積法により合理的に見積った年数によることになります。 見積耐用年数を適用できない中古資産 法人が中古資産を取得した場合において、その資産を事業の用に供するに当たって

支出した資本的支出の金額が、その資産の再取得価額(新品として取得する場合の価

額)の 100 分の 50 に相当する金額を超えるときは、その資産の減価償却については、

新品と同様になったものと考えられるので、本来の耐用年数すなわち法定耐用年数に

よることとされています。

<事例66> 次の償却資産について、見積耐用年数を求めてください。

中古取得価額 100 万円 改良費用 60 万円 法定耐用年数 10 年 経過年数 5 年

見積耐用年数を求めてください。

(端数切捨て 耐用年数の適用等に関する取扱通達 1-5-6)

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(3)増加償却 増加償却とは 機械及び装置の法定耐用年数は、通常の平均的な使用時間に基づいて算定されてい

ます。ところが通常の平均的な使用時間を超えて機械及び装置を使用することがあり

ます。 その平均的使用時間を超えて使用した分、一時的に償却を増加させる方法(増加償

却)をとる場合があります。この場合、増加償却の適用を受ける旨の届出書を、確定

申告書の提出期限までに、納税地の所轄税務署長に提出することが条件になっていま

す。この増加償却制度は、機械装置に限って認められるものです。 (4)陳腐化償却

陳腐化償却とは 法人税申告書又は青色申告を提出する者の有する償却資産が、技術の進歩等により、

相対的に資産価値が低下し、あるいは流行の変化等により著しく陳腐化し、その資産

の現実の使用可能期間が、著しく短くなるような場合、所轄国税局長の承認を受ける

ことにより、減価償却額を増額することができます。

(5)評価額の補正 償却資産が災害その他の事故等により著しく損傷したこと、その他これに類する特

別の事由があり、かつ、償却資産の価額が著しく低下した場合においては、償却資産

の価額の低下の程度に応じ、当該償却資産の評価額を減額します(評価基準第3章第

1節十一)。 6 評価額の最低限度 (1)一般の償却資産

一般の償却資産の評価額の最低限度は、当該償却資産の評価額が当該償却資産の取

得価額又は改良費の価額の100分の5に相当する額を下回ることとなる場合におい

ては、当該100分の5に相当する額とします。 (2)取替資産

取替資産に係る評価額の最低限度は、取替資産の評価の特例により、取替資産の取

得価額の100分の50に相当する額を下回ることとなる場合には当該100分の5

0に相当する額とします。

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7 評価の特例 取替資産の評価の特例 固定資産税における取替資産とは、税務署長の承認を受けた減価償却資産です。「取替

資産」とは、軌条、まくら木等多量に同一の目的のために使用される償却資産です。

鉱業用坑道の評価の特例 固定資産税における償却資産の評価は、採掘された鉱物の量に応ずる減価を行って評

価する(生産高比例法)ものとされています。

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第4 償却資産の調査

償却資産における実地調査は、資産捕捉調査、申告内容確認調査、新・増築建物にお

ける適正申告指導に分けることができます。

資産捕捉調査 ・外観調査

実地調査 ・所内外公簿調査 申告内容確認調査(帳簿調査) 新・増築建物における適正申告指導(初期調査)

1 実地調査の目的と効果

実地調査を実施することにより、課税対象となる固定資産の掘り起こしと、潜在的な

納税義務者の掘り起しが図られます。この結果として適正・公平な課税が確保されると

ともに、納税者の理解・協力が獲得されます。 なぜ、調査が必要か?それは、①申告対象資産・納税義務者の把握の困難(登記制度

がなく、資産の移動が土地・家屋と比べて多数)であり、②申告内容の不備・誤り(法

人税等における取扱と償却資産の評価方法の相違)が多く、③短期間での事務処理(価

格決定期限等の関係で、申告書の内容どおり価格決定・賦課決定せざるを得ない現状)

をせざるを得ない理由からです。

<調査に当たっての留意点>(税務会計と固定資産税相違点) 税務会計においては、減価償却資産についてその償却費として損金に算入する額は、

企業の確定決算において償却費として損金経理した金額の範囲内とされている(法人

税法第 31 条)ことからも明らかなように、企業会計と税務会計における減価償却資産

の意義は、ほぼ同様です。 ところで、税務会計と固定資産税における償却資産の意義を比較してみると両者の

相違点は次のとおりです。 ① 建物については、税務会計においては、減価償却資産とされるが、固定資産税に

おいては家屋として取り扱われます。 なお、事業用の建物の附属設備については、その種類、実態等により家屋の一部

として家屋に含めて評価するか、償却資産として別個に取り扱うか区分することと

なります。 ② 無形減価償却資産は、固定資産税の償却資産とはなりません。 ③ 牛、馬、果樹その他の生物(観賞用、興行用その他これらに準ずる用に供する生

物は除く)は、固定資産税の償却資産から除外されています。

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④ 固定資産税の償却資産からは、自動車税の課税客体である自動車及び軽自動車税

の課税客体である軽自動車等は除かれます。 2 資産捕捉調査

資産捕捉調査とは、所内公簿等及び現地調査により、償却資産の課税客体及び事業者

を捕捉する調査です。 3 申告内容確認調査(帳簿調査)

適正公平な課税を行うため、国税申告書、財務諸表、固定資産台帳等帳簿書類を基に、

償却資産の申告内容が適正か否か確認するための調査です。 4 新・増築建物における適正申告指導

新築又は増築の建物について、工事見積書や現地確認により、償却資産の対象となる

資産を所有者に提示し、適正に申告させることを目的とした調査です。 <事例67>

償却資産の申告額と法人税申告書別表 16 の取得額の合計を比較したところ、次のと

おり数値に乖離がみられました。この場合どこに留意して調査を進めたらよいでしょ

うか。なお、調査日は令和元年 7 月、国税資料は平成 31 年 3 月決算のものです。 建物 構築物 機械 器具備品 課税台帳(取得価額計) - 3,000,000 50,000,000 30,000,000 別表 16(1)(2)(取得価額計) 600,000,000 3,000,000 120,000,000 26,000,000

① ② ③ ① ・②・③について、どのように対応したらよいですか。

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<事例68> ビルが建築され家屋の調査に同行した際、附帯設備としてどのような償却資産があ

りますでしょうか。

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<事例69> 調査事例 <ガソリンスタンドの場合>(自己所有家屋) <償却資産申告書> 平成30年度 ○○商会㈱

番号 資産の 種 類

資 産 コ ー ド

資 産 の 名 称 等 数量

取 得 年 月 取 得 価 額 耐用年数

年号 年 月

1 1 0201 コンクリート舗装 1 4 29 4 2,500,000 15

2 1 0202 塀 1 4 29 4 2,000,000 13

3 1 0203 間仕切り 1 4 29 4 300,000 15

4 2 0204 オイルタンク 1 4 29 4 6,000,000 8

5 2 0205 計量器 4 4 29 4 1,500,000 8

6 2 0206 洗車機 1 4 29 4 3,000,000 8

7 2 0207 充電器 1 4 29 4 200,000 8

8 2 0208 オイルチェンジャー 1 4 29 4 350,000 8

9 2 0209 リフト 1 4 29 4 500,000 8

10 2 0210 空気圧調整器 1 4 29 4 150,000 8

11 2 0211 バランサー 1 4 29 4 400,000 8

12 6 0212 レジスター 1 4 29 4 210,000 5

<固定資産台帳(減価償却資産明細書)> (平成 30 年 3 月 31 日現在)

資産番号 種 類 資 産 名 数量 取 得 年 月 日 取 得 価 額 耐用年数 A1 建物 事務所 1 290401 200,000,000 39

B1 建物付属 キャノピー 1 290401 8,000,000 45

B2 建物付属 サインポール看板 1 290401 500,000 20

B3 建物付属 受変電設備 1 290401 1,500,000 15

B4 建物付属 火災報知設備 1 290401 200,000 8

B5 建物付属 照明設備 1 290401 1,800,000 15

B6 建物付属 その他電気設備 1 290401 2,050,000 8

B7 建物付属 間仕切り 1 290401 300,000 15

C1 構築物 コンクリート舗装 1 290401 2,500,000 15

C2 構築物 塀 1 290401 2,000,000 13

D1 機械装置 オイルタンク 1 290401 6,000,000 8

D2 機械装置 ガソリンスタンド設備 10 290401 6,100,000 8

E1 器具備品 レジスター 1 290401 210,000 5

E2 器具備品 ジャッキ 1 290401 50,000 3

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〔設問〕チェック作業として、資産を 1 品ずつ、資産の名称、取得年月、取得価額、耐用

年数について照合し、申告誤りや申告漏れ資産の有無を確認します。どのようなこと

がわかりますか。 〔答〕照合の結果、 1 適正に申告されたもの (1)薄い網掛け をした資産

(2)濃い網掛け をした資産

種類別明細書に記載されている資産(「計量器」から「バランサー」までの資産)

は、減価償却資産明細書上では一括して「ガソリンスタンド設備(機械及び装置)」

として計上されている。しかし、当該資産の取得年月、取得価額の合計、耐用年数

が一致しているので申告としては適正である。 2 照合できなかった資産及び申告誤りと思われるもの

A1 事務所

B1 キャノピー

B2 サインポール看板 B3 受変電設備 B4 火災報知設備 B5 照明設備

B6 その他電気設備

B7 間仕切り

E2 ジャッキ

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<事例70> 調査事例 <賃貸マンションの場合> この賃貸マンションは、専業農家の方が自分の所有する農地を転用して建築したも

のである。再三申告しょうようをしているが償却資産の申告が一度もない状況である。

先日、税務署に所得税の申告書の閲覧調査に行き、確定申告書の添付資料である「平

成29年分収支内訳書(不動産所得用)」の裏面に記載されている「減価償却費の計算」

欄を転写してきた。 <減価償却費の計算>

減価償却資産

の 名 称 等

面積又は

数 量

取 得 年 月

( 平 成 ) 取 得 価 額

償却の基礎にな

る 金 額

償 却

方 法

耐 用

年 数

鉄筋マンショ

ン(建物本体) 1 28 年 7 月 250,000,000 225,000,000 定額 47

電 気 設 備 1 28 月 7 月 6,000,000 4,103,378 定額 15

給 排 水

ガ ス 設 備 1 28 年 7 月 9,000,000 6,155,067 定額 15

エレベーター 1 28 年 7 月 12,000,000 8,564,805 定額 17

自 転 車 置 場 1 28 年 7 月 900,000 810,000 定額 10

駐 車 場 舗 装 1 28 年 7 月 3,000,000 1,696,503 定額 10

外 構 工 事 1 28 年 7 月 1,200,000 820,675 定額 15

植 込 工 事 1 28 年 7 月 500,000 375,307 定額 20

物 置 10 28 年 7 月 2,500,000 2,250,000 定額 10

〔設問〕この資料をもとに、家屋の評価対象部分と償却資産の課税対象部分とに区分して

ください。

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〔答〕照合の結果、

各資産を家屋の評価対象部分と償却資産(薄い網掛け をした資産)の課税

対象部分とに区分すると以下のとおりになります。

鉄筋マンション 電気設備

給排水・ガス設備

エレベーター 自転車置場

駐車場舗装 外構工事

植込工事 物置

* 償却資産の申告書が出ていないからといって、この事例では電気設備や給排水設備

の詳細な金額の把握が必要なので、確定申告書だけでは償却資産の価格の決定を行え

ない。家屋の評価に伴い、償却資産と家屋の区分のための調査に入っているのか調べ

る。見積書等から受変電設備や屋外給排水設備の金額が明確に把握されていれば、一

度金額確定の手紙を送付した後、価格決定通知書を出すことが必要である。

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固定資産評価基準

昭和 38 年 12 月 25 日 自治省告示第 158 号

最終改正 平成 29 年 11 月 22 日総務省告示第 390 号

第 3 章 償却資産

第1節 償却資産

一 償却資産の評価の基本

償却資産の評価は、前年中に取得された償却資産にあっては当該償却資産の取得価額

を、前年前に取得された償却資産にあっては当該償却資産の前年度の評価額を基準とし、

当該償却資産の耐用年数に応ずる減価を考慮してその価額を求める方法によるものとす

る。

二 前年中に取得された償却資産の評価

前年中に取得された償却資産の評価は、当該償却資産の取得価額から当該償却資産の

取得価額にr/2を乗じて得た額を控除してその価額を求める方法によるものとする。

この場合においてrは、当該償却資産の「耐用年数に応ずる減価率表」(別表第15)

に掲げる耐用年数に応ずる減価率とする。 三 前年前に取得された償却資産の評価

前年前に取得された償却資産(四の償却資産を除く。)の評価は、当該償却資産の前

年度の評価額から当該償却資産の評価額に当該償却資産の「耐用年数に応ずる減価率表」

に掲げる耐用年数に応ずる減価率を乗じて得た額を控除してその価額を求める方法によ

るものとする。ただし、法人税法施行令(昭和40年政令第97号)第57条第1項又

は所得税法施行令(昭和40年政令第96号)第130条第1項の規定により、当該償

却資産の使用可能期間のうちいまだ経過していない期間(以下「未経過使用可能期間」

という。)を基礎として償却限度額を計算することについて、当該年度の賦課期日まで

に国税局長の承認を受け、未経過使用可能期間をもつて耐用年数とみなすこととされた

当該償却資産の評価は、前年度の評価額から未経過使用可能期間に応ずる減価率を乗じ

て得た額を控除してその価額を求める方法によるものとする。 四 前年前に取得された償却資産で新たに課税されることとなるものの評価

前年前に取得された償却資産で当該年度において新たに課税されることとなるものの

評価は、二及び三に準じて行うものとする。ただし、当該償却資産が昭和25年12月

31日以前に取得されたものであるときは、当該償却資産の取得価額に「物価の変動に

資料1

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応ずる補正倍数表」(別表第16)に掲げる取得の時期に応ずる倍数を乗じて補正を行

うものとする。 五 取得価額

償却資産の取得価額とは、償却資産を取得するためにその取得時において通常支出す

べき金額(当該償却資産の引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税、据付費

その他当該償却資産をその用途に供するために直接要した費用の額(以下「付帯費の額」

という。)を含む。)をいうものとし、原則として、他から購入した償却資産にあって

はその購入の代価に、自己の建設、製作、製造等に係る償却資産にあってはその建設、

製作、製造等のための原材料費、労務費及び経費の額に当該償却資産の付帯費の額を含

めた金額によるものとする。ただし、当該金額が当該償却資産を取得するためにその取

得時において通常支出すべき金額と認められる額と明らかに、かつ、著しく相違すると

認められる場合にあっては、その取得時において通常支出すべき金額によるものとする。 六 取得価額の算定

償却資産の取得価額は、本章に特別の定めがある場合を除くほか、法人税法(昭和4

0年法律第34号)及びこれに基づく命令又は所得税法(昭和40年法律第33号)及

びこれに基づく命令による所得の計算上当該償却資産の減価償却費の計算の基礎となる

取得価額の算定の方法の例によって算定するものとする。ただし、法人税法第42条か

ら第50条まで及び第142条の規定により法人の各事業年度の所得の計算上損金に算

入される額並びに所得税法第42条から第44条まで及び第165条の規定により個人

の各年の所得の計算上総収入金額に算入しない額は、当該償却資産の取得価額に含めて

算定するものとし、同法第58条に規定する取得資産の取得価額は、当該取得資産の取

得時における価額によって算定するものとする。 七 取得価額が明らかでない償却資産の取得価額

取得価額が明らかでない償却資産の取得価額は、当該償却資産の再取得価額(再取得

価額が明らかでないときは、資産再評価の基準の特例に関する省令(昭和25年大蔵省

令第54号)第2条又は第3条の規定の例によって推定して求めた当該償却資産の取得

の時期における正常な価額)によるものとする。この場合において、再取得価額とは、

当該年度の賦課期日に一般市場において当該償却資産を新品として取得するために通常

支出すべき金額(付帯費の額を含み、当該償却資産が承継して取得されたもので新品以

外のものであるときは、当該金額から当該償却資産の取得の日までの経過年数に応じ二

から四までに準じて当該償却資産の耐用年数に応ずる減価を行った後の額)をいうもの

とする。 八 耐用年数

償却資産の耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省

令第15号)別表第1、別表第2、別表第5及び別表第6に掲げる耐用年数によるもの

とする。ただし、耐用年数の全部又は一部を経過した償却資産で減価償却資産の耐用年

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数等に関する省令第3条第1項及び第2項の規定による耐用年数によるものにあっては

当該耐用年数によるものとする。 九 控除額の加算

法人税法施行令第60条又は所得税法施行令第133条の規定の適用を受ける償却資

産については、二又は三によって当該償却資産の取得価額又は前年度の評価額から控除

する額は、二又は三にかかわらず、次の1に掲げる額に、2に掲げる額を加算した額と

する。 1 二又は三によって当該償却資産の取得価額又は前年度の評価額から控除する額 2 1に掲げる額のうち、法人税法施行令第60条又は所得税法施行令第133条の規

定の適用を受けた期間に係る額(前年中に取得された償却資産で、当該適用を受けた

期間が6月を超える場合は6月として計算した額)に法人税法施行規則(昭和40年

大蔵省令第12号)第20条又は所得税法施行規則(昭和40年大蔵省令第11号)

第34条に定めるところにより計算した増加償却割合を乗じて計算した額 十 評価額の最低限度

償却資産の評価額は、当該償却資産の評価額が当該償却資産の取得価額(物価変動に

伴う取得価額の補正を行った場合においては、当該補正後の額とする。)又は改良費の

価額の百分の五に相当する額を下ることとなる場合においては、当該百分の五に相当す

る額とする。 十一 評価額の補正

償却資産について当該償却資産が災害その他の事故により著しく損傷したことその他

これに類する特別の事由があり、かつ、その価額が著しく低下した場合においては、当

該償却資産の評価額は、当該償却資産の価額の低下の程度に応じ、二又は三によって求

めた当該償却資産の価額を減額して求めるものとする。 十二 物価の変動に伴う取得価額の補正

償却資産の取得の時期と当該年度の賦課期日との間において償却資産の取得価額につ

いて著しい変動があると認められる場合においては、当該償却資産の当該年度の前年度

の評価額は、当該評価額の基礎となっている取得価額を卸売物価指数等を基準として総

務大臣が定める補正率によって補正した額を基準とし、当該償却資産の耐用年数に応ず

る減価を行って求めた額によるものとする。 十三 改良費

償却資産の改良のため支出した金額(以下「改良費の価額」という。)がある場合に

おいて、当該改良を加えられたことにより増価した部分の評価は、当該改良を加えられ

た償却資産の取得価額又は前年度の評価額と区分して、当該改良費の価額を基準とし、

当該改良を加えられた償却資産の「耐用年数に応ずる減価率表」に掲げる耐用年数に応

ずる減価率により本節の定めの例によって行うものとする。この場合において、改良費

の価額は、その有する償却資産について支出した金額で次に該当するもの(次のいずれ

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にも該当する場合には、いずれか多い金額)とする。 1 当該支出した金額のうち、その支出により、当該償却資産の取得時においてこれに

つき通常の管理又は修理をするものとした場合に予測される当該償却資産の使用可能

期間を延長させる部分に対応する金額 2 当該支出した金額のうち、その支出により、当該償却資産の取得時においてこれに

つき通常の管理又は修理をするものとした場合に予測されるその支出を行った時にお

ける当該償却資産の価額を増加させる部分

第2節 取替資産の評価の特例 略 取替資産は規模が大きいケースがほとんどであり、通常「配分資産」(法 389)で取扱わ

れていますで、実務上はなじみが薄いといえます。 第3節 鉱業用坑道の評価の特例 略

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別表第 15(耐用年数に応ずる減価率表)

耐用年数 減価率 耐用年数 減価率 耐用年数 減価率 2 年

3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34

0.684 0.536 0.438 0.369 0.319 0.280 0.250 0.226 0.206 0.189 0.175 0.162 0.152 0.142 0.134 0.127 0.120 0.114 0.109 0.104 0.099 0.095 0.092 0.088 0.085 0.082 0.079 0.076 0.074 0.072 0.069 0.067 0.066

35 年 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67

0.064 0.062 0.060 0.059 0.057 0.056 0.055 0.053 0.052 0.051 0.050 0.049 0.048 0.047 0.046 0.045 0.044 0.043 0.043 0.042 0.041 0.040 0.040 0.039 0.038 0.038 0.037 0.036 0.036 0.035 0.035 0.034 0.034

68 年 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100

0.033 0.033 0.032 0.032 0.032 0.031 0.031 0.030 0.030 0.030 0.029 0.029 0.028 0.028 0.028 0.027 0.027 0.026 0.026 0.026 0.026 0.026 0.025 0.025 0.025 0.025 0.024 0.024 0.024 0.023 0.023 0.023 0.023

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地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係) 第3章固定資産税 第1節通則 第1 課税客体 1 固定資産税の課税客体である固定資産とは、従前地租、家屋税の課税客体であった土

地、家屋のほか、償却資産を併せて総称するものであること。(法 341 一) 2 家屋とは不動産登記法の建物とその意義を同じくするものであり、したがって登記簿

に登記されるべき建物をいうものであること。例えば鶏舎、豚舎等の畜舎、堆肥舎等は

一般に社会通念上家屋とは認められないと考えるので、特にその構造その他からみて一

般家屋との権衡上課税客体とせざるを得ないものを除いては、課税客体とはしないもの

とすること。 3 事業用家屋であってその家屋の全部又は一部がそれに附接する構築物とその区分が明

瞭でなく、その所有者の資産区分においても構築物として経理されているものについて

は、その区分の不明確な部分を償却資産として取り扱うことが適当であること。 4 法第 341 条第 4 号の償却資産の定義のうち、「事業の用に供することができる」とは、

現在事業の用に供しているものはもとより、遊休、未稼動のものも含まれる趣旨である

が、いわゆる貯蔵品とみられるものは、棚卸資産に該当するので、償却資産には含まな

いものであること。(法 341 四) 5 「その減価償却額又は減価償却費が法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上

損金又は必要な経費に算入されるもの」とは、法人税法施行令第 13 条又は所得税法施行

令第 6 条に規定する資産をいうものであるが、法第 341 条第 4 号の償却資産は、これら

の資産のうち家屋及び無形固定資産以外の資産をいうものであり、現実に必ずしも所得

の計算上損金又は必要な経費に算入されていることは要しないのであって、当該資産の

性質上損金又は必要な経費に算入されるべきものであれば足りるものであること。 ただし、法人税法施行令第 13 条第 9 号又は所得税法施行令第 6 条第 9 号に掲げる牛、

馬、果樹その他の生物は、これらの資産の性格にかんがみ、固定資産税の課税客体とは

しないものとすること。(法 341 四) 6 いわゆる簿外資産も事業の用に供し得るものについては、償却資産の中に含まれるも

のであること。 7 建設中仮勘定において経理されているものであっても、その一部が賦課期日までに完

成し、事業の用に供されているものは、償却資産として取り扱うこと。 8 鉱山の主要坑道以外の坑道は、地下埋蔵資源と一体をなすものと考えられ、かつ、経

費的な性格を有するものである点をも考慮して一般の償却資産と同様の取扱いをするこ

とは不適当であるので、鉱業権と一体をなすものと考え課税客体としないものであるこ

と。また、鉱山道路も公共の用に供している限りは課税客体とならないものであること。 9 自転車及び荷車のうち事業用のものとして課税の対象にするのは、原則として企業が

資料2

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現に減価償却資産としてその減価償却額又は減価償却費を損金又は必要な経費に算入す

ることとしているものに限ること。 なお、一般の農家、小売商店等において同一の自転車又は荷車を家事用にも使用して

いるような場合には、原則として、非事業用として取り扱うこと。 10 「償却資産に係る売買があつた場合において売主が当該償却資産の所有権を留保し

ているとき」とは、例えば、所有権留保付割賦販売の場合等をいい、この場合は、売主

及び買主は、当該償却資産に対する固定資産税については法第 10 条の 2 第 1 項の規定に

より連帯納税義務者となるものであること。したがって、売主又は買主に対し、納税通

知書の発付、督促及び滞納処分をすることができるものであるが、割賦販売の場合等に

あっては、社会の納税意識に合致するよう原則として買主に対して課税するものとする

こと。 なお、当該償却資産の申告についても、原則として買主が行うよう取り扱うものとす

ること。(法 342③) 第2 納税義務者 11 公有水面埋立法の規定による埋立地等で竣功前に使用されているものは土地とみな

して、国又は地方公共団体以外の者が造成する埋立地等にあっては埋立権者、国又は地

方公共団体が造成する埋立地等で当該国又は地方公共団体以外の者が使用するものにあ

っては、現に使用する者(土地改良法の規定により国又は都道府県が造成する埋立地等

を無償で一時使用する入植者等を除く。)に課税することができるのであるが、この規定

による埋立地等に対する課税は、埋立の竣功認可等の処分が埋立予定地域の全部の完了

を待って行われることが通常であるため、当該処分前において既に造成された埋立地等

が一般の土地と異ならない状態で使用されていることが多いことにかんがみ、土地に対

する固定資産税の負担の均衡を確保するために設けられたものであること。(法 343⑦) 12 信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和 18 年法律第 43 号)に

より同法第 1 条第 1 項に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含む。以下

本項において同じ。)が信託の引受けをした償却資産で、その信託行為の定めるところに

したがい当該信託会社が他の者にこれを譲渡することを条件として当該他の者に賃貸し、

かつ、当該他の者がこれを事業の用に供しているものについては、当該他の者をもって

固定資産税の納税義務者である所有者とみなすこととされているが、これは、当該資産

については、信託業務の運営上、名目上の所有権者は信託会社となっているが、信託会

社が名目的な所有権を保有するにとどまり、当該資産の実質的な収益の帰属はむしろ当

該資産を現に使用収益し、究極的には、その所有権を取得することとなる当該他の者に

帰属するものと考えられるので、このような事実を考慮して実態に即するように、当該

他の者に固定資産税を負担させることとしているものであること。(法 343⑧)

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家屋の建築設備の評価上の取扱いについて

自 治 評 第 5 号 平成12年1月28日

各 道 府 県 総 務 部 長 東京都総務・主税局長 殿

自治省税務局資産評価室長

家屋の建築設備の評価上の取扱いについて 今般、地方税法(昭和 25 年法律第 226 号)第388条第1項の規定に基づく固定資産評

価基準(昭和 38 年自治省告示第 158 号)の一部が平成12年1月28日付け自治省告示第

12号により改正され、平成12年度分の固定資産税から適用されることになりました。 この改正において、建築設備の評価についても規定の整備が行われたことに伴い、同法

同条第3項第1号の規定に基づき、別添のとおり標記の評価の手引を作成し、平成12年

度分の固定資産税から適用することとしましたので通知します。 追って、従前の自治省税務局固定資産税課長通知(昭和 38 年 6 月 8 日付自治丁固発第

60 号)は廃止します。 なお、本通知は従来までの建築設備の取扱いの基本的な考え方を変えるものではなく、

その改正内容は、従前の課長通知の文章表現の見直しと表の削除です。 この旨、貴都道府県内市町村に対しても御連絡をお願いします。

資料3

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(別 添)

家屋の建築設備の評価上の取扱いについて 家屋の評価に当たり家屋に含めて評価するものとする建築設備は、「家屋の所有者が所有

する」もので、「家屋に取り付けられ、家屋と構造上一体となって」、「家屋の効用を高める

もの」であることを要するが、具体的な取扱いについては次によるものとする。 1 「家屋の所有者が所有する」とは、家屋の所有者が当該建築設備の所有権を有するも

のであること。 2 「家屋に取り付けられ、家屋の構造上一体となって」の判断は次によるものであるこ

と。 (1)家屋の評価に含める建築設備は、当該家屋の特定の場所に固定されているものであ

ること。すなわち取り外しが容易で、別の場所に自在に移動できるものは含めない

ものであること。 (2)固定されていない配線等であっても、壁仕上げ、天井仕上げ、床仕上げ等の裏側に

取り付けられているものは、構造上一体となっているものとして家屋に含めるもの

であること。 (3)屋外に設置された電気の配線及びガス・水道の配管並びに家屋から独立して設置さ

れた焼却炉等は家屋と構造上一体となっているものではないので含めないものであ

ること。 (4)給水設備の給水タンク、給湯式浴槽に給湯する給湯器、空調設備の室外機等屋外に

設置されたものであっても、配管、配線等により屋内の機器と一体となって一式の

建築設備としての効用を発揮しているものについては、当該一式の建築設備につい

て判定するものとすること。 (5)電球、蛍光管のような消耗品に属するものは含めないものであること。 3 「家屋の効用を高めるもの」の判断は次によるものであること。 「家屋の効用を高めるもの」とは、当該建築設備を備えることによって、家屋自体の利

便性が高まるものをいうものである。したがって、特定の生産又は業務の用に供される

ものは、家屋の評価に含めないものであること。 例えば、店舗のネオンサイン、病院における自家発電設備、工場における受変電設備、

冷凍倉庫における冷凍設備、ホテルにおける厨房設備、洗濯設備等がこれに該当するも

のである。

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地方税法第343条第9項の適用に関する留意事項等について

平成16年10月8日 総 税 固 第 4 6 号 総 税 評 第 3 0 号

各 道 府 県 総 務 部 長 東京都総務・主税局長 殿

総務省自治税務局固定資産税課長 総務省自治税務局資産評価室長

地方税法第343条第9項の適用に関する留意事項等について

先の、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の

一部を改正する法律(平成 16 年法律第 17 号)により、地方税法(昭和 25 年法律第

226 号)第343条第9項が創設されたところですが、同項の創設の趣旨並びにその解

釈及び運用等の留意事項については、下記のとおりですので、適切に対処されるよう

お願いいたします。 また、貴都道府県内市町村に対しても、この旨周知されるようよろしくお願いしま

す。

記 1 創設の趣旨

地方税法(以下「法」という。)第343条第9項(以下「本項」という。に規定する特

定附帯設備については、家屋の所有者に課税することが原則であるが、当該家屋の

所有者にとっては課税の原因が自らに起因しない事由によるものであり、また、そ

の使用収益は特定附帯設備を取り付けた者に帰属すると考えられるため、課税関係

を所有者課税の原則により、一律に取り扱うことが必ずしも合理的とはいえない場

合があること。 そのため、当該特定附帯設備については、これを取り付けた者の事業の用に供す

ることができる資産である場合に限り、当該取り付けた者を所有者とみなし、当該

特定附帯設備のうち家屋に属する部分は償却資産とみなすことができることとした

ものである。 これにより、固定資産税制度を、より納税者意識に合致し、かつ、実態に即した

ものとし、家屋の附帯設備に係る課税関係の合理化を図るとともに、その適用の有

資料4

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無を市町村の実情に応じた判断に委ねることにより、課税事務の円滑な実施に寄与

するものであること。

2 「家屋の附帯設備」の範囲 本項に規定する「家屋の附帯設備」には、家屋に属する部分と家屋に属さない部

分があること。 家屋に属する部分とは、固定資産評価基準2章における建築設備及び特珠設備

並びに地方税法施行規則(昭和 29 年総理府令第 2 3 号)第10条の2の7に規定

するものであり、家屋に属さない部分とは、法第 341 条第 4 号に規定する償却資

産その他家屋に取り付けられたものであること。

3 「取り付けた者」の範囲 本項の「取り付けた者」には、特定附帯設備を自らの事業の用に供するために取

り付けた者のほか、当該取り付けた者から、その法的地位を承継(包括承継、個

別承継を問わない。)した者が含まれるものであること。こうした者としては、例

えば、当該取り付けた者からの相続、賃借権若しくは営業の譲渡、当該取り付け

た者が法人である場合における当該法人の合併若しくは分割、又は当該取り付け

た者が個人事業者である場合における当該個人事業者のいわゆる法人成り等によ

り、家屋の所有者に対して特定附帯設備を使用する権原を取得した者が該当する

こと。

4 条例の制定及び適用関係等 (1)本項の規定を適用するためには、市町村において、 条例に本項の規定を措置

する必要があること。なお、課税の公平性を確保するため、本項の適用は、当

該市町村内の全ての家屋及び特定附帯設備について一律に行われなければなら

ないものであること。 (2)本項の規定は、平成16年4月1日以後に取り付けられた特定附帯設備に対

して課する平成17年度以後の年度分の固定資産税について適用されるもので

あること。これは、課税関係の安定に配慮し、本項の規定を遡及適用しない趣

旨であることから、条例に規定する場合においても、適用期日等に留意する必

要があること。 (3)本項を適用するに当たっては、事業用賃貸家屋の所有者(賃貸人)、賃借人等、

関係者に対してご本制度の趣旨、内容等について十分周知するとともに、特定

附帯設備に係る納税義務者及び資産区分に変更が生じるものの、課税対象の範

囲が拡大するものではないことについても十分周知を図ること。

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5 市町村内における特定附帯設備の状況の把握 本項を適用する市町村においては、特定附帯設備に対する課税を適正かつ公平

に行うため、事業用賃貸家屋の賃借人の異動及び賃借人が取り付けた特定附帯設

備の状況を的確に把握できるよう留意すること。 6 都道府県と市町村間の協力関係の強化

本項を適用する市町村においては、特定附帯設備に係る納税義務者及び資

産区分が、一般的には、不動産取得税におけるそれと異なること。したがって、

都道府県と市町村の間において、とられている家屋評価事務に関する相互の連

絡・協力関係について、より一層強化する必要があること。

7 都道府県知事から価格を通知された家屋の評価 本項を適用する市町村において、本項の規定により償却資産とみなして課

税される部分が取り付けられた家屋について、都道府県知事から法第 73 条の 21第 3 項の規定によって通知された価格があるときは、法第 40 9 条第 2 項に規定す

る「その他特別の事情があるため当該通知に係る価格により難い場合」として、当

該価格から当該部分を控除して当該家屋の評価を行うものであること。

8 家屋の附帯設備が収去され、特定附帯設備が取り付けられた場合の取扱い 家屋に含めて課税されている附帯設備{以下「旧附帯設備」という。)が収去され、

新たに特定附帯設備が取り付けられた場合には、納税者意識等を考慮し、第2又

は第3年度であっても、法第349条第2項第1号に規定する「その他これらに類

する特別の事情」があり、前年度の課税標準の基礎となった価格によることが不適

当であると市町村長が認める場合に該当するものとし、同条第2項、第3項又は

第5項の規定に基づき、当該収去部分を控除して価格変更を行い、課税標準を変

更することが適当であること。

9 特定附帯設備がその要件を満たさなくなった場合等の取扱い 特定附帯設備がその要件を満たさなくなった場合又は取り付けた者の事業の用

に供することができる資産でなくなった場合は、当該附帯設備については、本項

の対象外となり、納税義務者又は資産区分が変更されること。 ただし、当該変更による家屋の価格の変更の要因は、増改築等のように家屋自

体の形態の変化によるものではないため、法第349条第2項第1号に規定する

「その他これらに類する特別の事情」に該当しないことから、基準年度を待って当

該家屋の価格を変更決定し、課税標準の変更を行うべきものであり、第2及び第

3年度においては課税標準の変更を行う必要はないと解されること。

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<参照条文>

(連帯納税義務) 第10条の2 共有物、共同使用物、共同事業、共同事業により生じた物件又は共同行為

に対する地方団体の徴収金は、納税者が連帯して納付する義務を負う。

(更正、決定等の期間制限)

第17条の5

5 不動産取得税、固定資産税又は都市計画税に係る賦課決定は、前2項の規定にかかわ

らず、法定納期限の翌日から起算して5年を経過した日以後においては、することができ

ない。

(固定資産税に関する用語の意義)

第341条

4 償却資産 土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産(鉱業権、漁業権、

特許権その他の無形減価償却資産を除く。)でその減価償却額又は減価償却費が法人税法

又は所得税法の規定による所得の計算上損金又は必要な経費に算入されるもののうちその

取得価額が少額である資産その他の政令で定める資産以外のもの(これに類する資産で法

人税又は所得税を課されない者が所有するものを含む。)をいう。ただし、自動車税の課

税客体である自動車並びに軽自動車税の課税客体である原動機付自転車、軽自動車、小型

特殊自動車及び二輪の小型自動車を除くものとする。

(固定資産税の課税客体等)

第342条 固定資産税は、固定資産に対し、当該固定資産所在の市町村において課する。

2 償却資産のうち船舶、車両その他これらに類する物件については、第389条第1項

第17号の規定の適用がある場合を除き、その主たる定場又は定置場所在の市町村を前項

の市町村とし、船舶についてその主たる定けい不明である場合においては、定けい在の市

町村で船籍港があるものを主たる定けい在の市町村とみなす。

3 償却資産に係る売買があつた場合において売主が当該償却資産の所有権を留保してい

るときは、固定資産税の賦課徴収については、当該償却資産は、売主及び買主の共有物と

みなす。

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(固定資産税の納税義務者等)

第343条 固定資産税は、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定めの

ある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。以下固定資産

税について同様とする。)に課する。

3 第1項の所有者とは、償却資産については、償却資産課税台帳に所有者として登録さ

れている者をいう。

8 信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律により同法第1条第 10月項に規

定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含む。以下この項において同じ。)が信

託の引受けをした償却資産で、その信託行為の定めるところにしたがい当該信託会社が他

の者にこれを譲渡することを条件として当該他の者に賃貸しているものについては、当該

償却資産が当該他の者の事業の用に供するものであるときは、当該他の者をもつて第一項

の所有者とみなす。

9 家屋の附帯設備(家屋のうち附帯設備に属する部分その他総務省令で定めるものを含

む。)であつて、当該家屋の所有者以外の者がその事業の用に供するため取り付けたもの

であり、かつ、当該家屋に付合したことにより当該家屋の所有者が所有することとなった

もの(以下この項において「特定附帯設備」という。)については、当該取り付けた者の

事業の用に供することができる資産である場合に限り、当該取り付けた者をもつて第1項

の所有者とみなし、当該特定附帯設備のうち家屋に属する部分は家屋以外の資産とみなし

て固定資産税を課することができる。

(固定資産税の非課税の範囲)

第348条 市町村は、国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区及び

合併特例区に対しては、固定資産税を課することができない。

2 固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。ただし、固定

資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合には、当該固

定資産の所有者に課することができる。

3 市町村は、前項各号に掲げる固定資産を当該各号に掲げる目的以外の目的に使用する

場合においては、前項の規定にかかわらず、これらの固定資産に対し、固定資産税を課す

る。

(償却資産に対して課する固定資産税の課税標準)

第349条の2 償却資産に対して課する固定資産税の課税標準は、賦課期日における当

該償却資産の価格で償却資産課税台帳に登録されたものとする。

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(固定資産税の税率)

第350条 固定資産税の標準税率は、百分の1.4とする。但し、標準税率をこえる税

率で課する場合においても、百分の2.1をこえることができない。

(道府県知事又は総務大臣の評価の権限等)

第389条 道府県知事(次に掲げる固定資産について関係市町村が2以上の道府県に係

るときは、総務大臣。以下この条において同じ。)は、次に掲げる固定資産について、固

定資産評価基準により、第409条第1項から第3項までの規定の例により評価を行つた

後、総務省令で定めるところにより、当該固定資産が所在するものとされる市町村並びに

その価格及び第349条の3、第349条の3の2又は第349条の3の4の規定の適用

を受ける固定資産についてはその価格にそれぞれこれらの規定に定める率を乗じて得た額

(以下固定資産税について「価格等」という。)を決定し、決定した価格等を当該市町村

に配分し、毎年3月31日までに当該市町村の長に通知しなければならない。ただし、災

害その他特別の事情がある場合には、4月1日以後に通知することができる。

一 総務省令で定める船舶、車両その他の移動性償却資産又は可動性償却資産で二以上の

市町村にわたって使用されるもののうち総務大臣が指定するもの

二 鉄道、軌道、発電、送電、配電若しくは電気通信の用に供する固定資産又は二以上の

市町村にわたって所在する固定資産で、その全体を一の固定資産として評価しなければ適

正な評価ができないと認められるもののうち総務大臣が指定するもの

(固定資産の価格等の決定等)

第410条 市町村長は、前条第4項に規定する評価調書を受理した場合においては、こ

れに基づいて固定資産の価格等を毎年3月31日までに決定しなければならない。ただし、

災害その他特別の事情がある場合においては、4月1日以後に決定することができる。

(固定資産の価格等の登録)

第411条 市町村長は、前条第一項の規定によつて固定資産の価格等を決定した場合に

おいては、直ちに当該固定資産の価格等を固定資産課税台帳に登録しなければならない。

2 市町村長は、前項の規定によって固定資産課税台帳に登録すべき固定資産の価格等の

すべてを登録した場合においては、直ちに、その旨を公示しなければならない。