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可視光照射により狙った領域・タイミングで NO を放出できる試薬 Controllable NOdonor〈NO-Rosa5〉 Web ページ番号 検索 64931 黄緑色光照射により一酸化窒素(NO)を放出する Photo-controllable NO donor です。光毒性の少ない可視光 照射で NO 放出を時空間的に制御できます。 本製品は名古屋市立大学中川秀彦教授の研究成果を元に製品化されました。 黄緑色光(530~590nm:吸収極大:~560nm)の照射で NO 放出が起こります。 光を照射していない時はNOの放出が極めて小さく抑えられています(実験中の環境光には十分注意が必要です)。 培養細胞系,exvivo 大動脈血管弛緩試験で生物学的活性を確認されています。 光源として,顕微鏡の 543nm レーザー(He-Ne レーザー)およびキセノン光源が確認されています。 NO 電極による NO 放出活性の定量 本試薬(10μM), 100mMHEPES(pH7.3),0.1% DMSO 溶液に黄緑色光(530~ 590nm バンドパスフィルター)を照射し,放出された遊離 NO 濃度を定量した。300 秒間継続照射した場合,最大 4μM の NO が観察された(左)。光照射時間を 20 秒間ず つパルスすると段階的に NO 放出が観察され,試薬の枯渇に伴い NO 放出量が減少する ことが分かる(右)。 局所的光照射による部位特異的 NO の放出 HEK293T 細胞に蛍光性 NO 検出試薬 DAF-FMDA(10μM)を 30 分間前処 理後,PBS で細胞を洗浄し,本試薬を添 加して 60 分間培養した。共焦点顕微鏡 の 543nm レーザーで白枠部分(直径 31μm)のみに光照射し,NO の放出を DAF-FM で検出した。白枠部分のみで NO()の放出が確認できた。 本試薬を用いることで,光により時空間 的に NO の放出をコントロールするこ とができる。 ex vivo 血管弛緩試験 摘出したラット大動脈片を Krebs バッファーを満たしたマグナスチューブに浸し,内在性の NO 生成を抑えるため NO 合成酵素の阻害剤 L-NAME を添加した。次いで,ノルアドレナリンを添加 し,血管を収縮させた状態にした。緑色光を 3 分間照射しても光自体は血管収縮には効果が見ら れなかったが(図中①),本試薬添加後に緑色光を照射すると著しい血管の弛緩が観察された(図 中②④)。光照射を止めると再度血管の収縮が見られた(図中③⑤)。NO による血管の弛緩は sGC(solubleguanylylcyclase)-cGMP 経路が関与するが,この状態に sGC 阻害剤である ODQを添加すると,緑色光を照射しても血管の拡張は抑えられていた(図中⑥)。この結果より, 本試薬を用いることで光照射により血管弛緩を制御できることが分かる。 Light on 10 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 550 600 0 50 100 150 200 250 300 350 400 8 6 4 2 0 -2 10 Add Controllable NOdonor 8 6 4 2 0 -2 [NO] (μM) [NO] (μM) time (sec) time (sec) Light on 品  名 メーカー 商品コード 包装 / 価格(¥) Controllable NOdonor〈NO-Rosa5〉 FNA FDV-0032 0.25mg/ 30,000 様々な細胞内シグナル伝達に関わる NO の生理現象の解析 こんな時に使える NO は分子量わずか 30 のガス分子ですが,生体内においてシグナル伝達物質として機能することが知られ,その生理的意義の解明は重要な課題 とされています。しかし,NO は生理的条件下では極めて不安定(半減期は数秒程度)で,非常に狭い範囲(<100μm)でのみ機能する局所的 なシグナル伝達物質と考えられ,更にガス分子であるため,NO そのものを実験に利用することが難しく,従来 NO の生理効果の検証には NO 放 出試薬(NOdonor)が使用されてきました。ただし,従来の試薬では溶液全体に NO が放出され,局所的かつ一過的な効果を観察することが困 難でした。それに対して,Controllable NOdonor〈NO-Rosa5〉は名古屋市立大学中川秀彦教授らにより開発された光応答性の NOdonor で, Rosamine 色素骨格が光吸収アンテナとして機能し,黄緑色光(530~590nm)を吸収する際に,光誘起電子移動(PeT:Photoinduced electronTransfer)が誘導され,NO を放出します。本試薬を用いることで,任意のタイミングおよび局所で NO 放出が制御できるため,NO 研 究の新たなツールとして期待されています。 参考文献:Ieda, etal.,Sci.Rep., 9,1430, (2019) .Ieda, etal.,Chem.Pharm.Bull., 67,576~579 (2019) . ここがすごい 特 長 使用例 0 5 10 15 20 25 30 35 tension (g) time (min) Light on 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.7 0.3 ③④ ODQ Controllable NOdonor Noradrenaline L-NAME ODQ Controllable NOdonor NA L-NAME フナコシニュース 2020 年 3 月 15 日号(No.699) funakoshi news 試薬  TEL 03 - 5684 - 1620 FAX 03 - 5684 - 1775  [email protected] 4
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可視光照射により狙った領域・タイミングでNOを放出できる試 … · 2020-03-16 · Controllable NOdonor〈NO-Rosa5〉 Webページ番号 64931 検索...

Jul 20, 2020

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可視光照射により狙った領域・タイミングで NO を放出できる試薬

Controllable NOdonor〈NO-Rosa5〉

Webページ番号検索64931

黄緑色光照射により一酸化窒素(NO)を放出する Photo-controllable NO donor です。光毒性の少ない可視光 照射で NO 放出を時空間的に制御できます。※�本製品は名古屋市立大学�中川秀彦教授の研究成果を元に製品化されました。

●黄緑色光(530~590�nm:吸収極大:~560�nm)の照射でNO放出が起こります。●�光を照射していない時はNOの放出が極めて小さく抑えられています(実験中の環境光には十分注意が必要です)。●�培養細胞系,ex�vivo 大動脈血管弛緩試験で生物学的活性を確認されています。●�光源として,顕微鏡の 543�nmレーザー(He-Ne レーザー)およびキセノン光源が確認されています。

NO 電極による NO 放出活性の定量本試薬(10�μM),�100�mM�HEPES(pH�7.3),0.1% DMSO 溶液に黄緑色光(530~590�nmバンドパスフィルター)を照射し,放出された遊離NO濃度を定量した。300秒間継続照射した場合,最大 4�μMの NOが観察された(左)。光照射時間を 20 秒間ずつパルスすると段階的にNO放出が観察され,試薬の枯渇に伴いNO放出量が減少することが分かる(右)。

局所的光照射による部位特異的NO の放出HEK293T 細胞に蛍光性 NO 検出試薬DAF-FM�DA(10�μM)を 30 分間前処理後,PBS で細胞を洗浄し,本試薬を添加して 60分間培養した。共焦点顕微鏡の 543�nm レーザーで白枠部分(直径31�μm)のみに光照射し,NOの放出をDAF-FM で検出した。白枠部分のみでNO(緑)の放出が確認できた。本試薬を用いることで,光により時空間的に NO の放出をコントロールすることができる。

ex vivo 血管弛緩試験摘出したラット大動脈片を Krebs バッファーを満たしたマグナスチューブに浸し,内在性のNO生成を抑えるためNO合成酵素の阻害剤 L-NAMEを添加した。次いで,ノルアドレナリンを添加し,血管を収縮させた状態にした。緑色光を 3分間照射しても光自体は血管収縮には効果が見られなかったが(図中①),本試薬添加後に緑色光を照射すると著しい血管の弛緩が観察された(図中②④)。光照射を止めると再度血管の収縮が見られた(図中③⑤)。NO による血管の弛緩はsGC(soluble�guanylyl�cyclase)-cGMP 経路が関与するが,この状態に sGC 阻害剤であるODQを添加すると,緑色光を照射しても血管の拡張は抑えられていた(図中⑥)。この結果より,本試薬を用いることで光照射により血管弛緩を制御できることが分かる。

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0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 550 6000 50 100 150 200 250 300 350 400

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品  名メーカー 商品コード 包装/ 価格(¥)

ControllableNOdonor〈NO-Rosa5〉FNA FDV-0032 0.25�mg�/ 30,000 FNA000032✓ 様々な細胞内シグナル伝達に関わるNOの生理現象の解析

こんな時に使える !

NOは分子量わずか 30のガス分子ですが,生体内においてシグナル伝達物質として機能することが知られ,その生理的意義の解明は重要な課題とされています。しかし,NOは生理的条件下では極めて不安定(半減期は数秒程度)で,非常に狭い範囲(<100�μm)でのみ機能する局所的なシグナル伝達物質と考えられ,更にガス分子であるため,NOそのものを実験に利用することが難しく,従来NOの生理効果の検証にはNO放出試薬(NO�donor)が使用されてきました。ただし,従来の試薬では溶液全体にNOが放出され,局所的かつ一過的な効果を観察することが困難でした。それに対して,Controllable NOdonor〈NO-Rosa5〉は名古屋市立大学�中川秀彦教授らにより開発された光応答性のNO�donorで,Rosamine 色素骨格が光吸収アンテナとして機能し,黄緑色光(530~590�nm)を吸収する際に,光誘起電子移動(PeT:�Photoinduced�electron�Transfer)が誘導され,NOを放出します。本試薬を用いることで,任意のタイミングおよび局所で NO 放出が制御できるため,NO研究の新たなツールとして期待されています。

参考文献:Ieda,�et�al.,�Sci.�Rep.,�9,�1430,�(2019).�Ieda,�et�al.,�Chem.�Pharm.�Bull.,�67,�576~579�(2019).

ここがすごい

特 長�

使用例�

0 5 10 15 20 25 30 35

tension (g)

time (min)Light on

①1

0.9

0.8

0.7

0.6

0.5

0.7

0.3

② ③④ ⑤ ⑥

ODQControllable NOdonorNoradrenalineL-NAME

ODQControllable NOdonorNAL-NAME

フナコシニュース 2020 年 3 月 15 日号(No.699)funakoshi news

試薬  TEL 03- 5684-1620 FAX 03-5684- 1775 

[email protected]

価格・内容は発刊日現在です

掲載品はすべて研究用です

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