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資料 つながり、問い、ふりかえり の詩(うた)
寺澤満春
[ESD]のカリキュラムをデザインするとき、
[ESD]の単元をデザインするとき、
[ESD]のジュギョウをデザインするとき、
いったいどうすればいいのだろう?
今までのジュギョウのどこを変えれば、
[ESD]のジュギョウになるんだろう?
埼玉県所沢市の小・中学校の先生4名と教頭先生・校長先生、
そして、指導主事と大学教授、計8名は、試行錯誤を続けた
あれから9年、珠玉のような、3つの視点が見つかった!
それは、①「深いふりかえり」
②「つながりへの気づき」
そして、③「永続的な問い」だった!
最初に見つけたのは、とってもシンプルな付箋による「ふりかえり」!
単元の学びをふりかえり、タテ 7.5cm・ヨコ 5cm の小さな付箋に、
漢字1字で表現してごらん、そして、なぜその漢字を選んだの?
イラストでもいい、空白でもいい、ただし、その理由を書いてみようね!
そう、短歌や俳句でもいいんだよ、ただし、その理由も忘れずに!
このふりかえりを試した S 先生、興奮しながら語り始めた
見てください、凄いんです、子どもたちはこんな学びをしてるんです
A3用紙に貼った 31 名の付箋を見せながら熱く語った
これまで学びの成果はテストやレポートで見てきたけれど、
これほどまでにその子の個性あふれる学びの姿は見たことありません
発達に課題を抱える子たちも書けてるんです!
それを見た K 先生はこのふりかえりを「フセフリ」と呼んだ
そして、K 先生は、ちょっと大きめの付箋やカードに、
単元の学びをふりかえりを詩にしてみようと呼びかけた
漢字やイラスト、短歌や俳句のフセフリ経験をもとに
ちょっと高いハードルだったが、子どもたちはチャレンジしていった
詩がかけたら、なぜ、それを書いたのか、理由をかいてみよう!
詩の形式は、自由詩、漢字、イラスト、短歌・俳句。、そして空白も OK!
学んだ「事実や経験」+その子の「想像力」→「創作叙事詩」
できた「創作叙事詩」+その子の「論理的思考力」→「解題」
こうして子どもの中で、ふたつの「化学反応」が起こっていった
K 先生は創作叙事詩・解題を「フカフリ」と呼びことにした
小さな付箋による「フセフリ」にも
ちょっと大きな付箋やカードによる「フカフリ」にも
共通していることは、
直観やひらめきによるふりかえり
それはホットなハートでふりかえり、
論理と証拠によるふりかえり
それはクールなヘッドでふりかえる
心と頭に橋を架け、往き来するんだ
それは、「深〜いふりかえり」となった
そして、次に見つけた視点は、「つながりへの気づき」だった
総合的な学習の時間や教科・領域のつながり
小学校の先生はとてもよくご存知だ!
でも、中・高の先生にゃ、なかなか難しい
教科の「壁」、専門の「壁」に阻まれ、つながりが見えづらい
教科書の章や節で区切られた機械的な単元や
見開き2頁の本時を淡々と進めてゆく
そもそも「単元」なんて意識はあんましない
学問体系に沿って構成された章や節しかイメージできない
しかし、子どもたちはどうだろう
何にも言わないけど
音楽で歌った合唱曲「君から吹く風」の背景に対人地雷の存在を知り
社会の時間で「対人地雷」に触れたとき
教科を超えて「対人地雷」の存在を知り、なぜ?何?どうして?と考える
子どもたちの内面で静かにつながる学び
中・高の先生は、教科を超えた学びの存在を
子どもたちの「学びの履歴」を知ることで
教科を横断したり縦断したりする「つながり」に気づくのかもしれない
そして、「永続的な問い」
こいつはとっても厄介なしろもの
今も先生たちは悶々としている
「いったいどんな問いが永続的な理解をもたらすのか?」
「毎時の発問はあるし、単元を貫く問いも何とかイメージできる」
「でも、永続的な理解をもたらす問いなんて意味あるんだろうか?」
ある日、大学院生の M さんがある中学校で実習を行った
学校の事情で「応仁の乱」と「室町文化」のジュギョウすることになった
政治史と文化史、学問的系統性の異なる内容のジュギョウ!
この M さん、見開き2頁を淡々と進めてはいかず
あえて「応仁の乱」と「室町文化」をひとつの単元としてデザインした
それは、この二つを貫く問い「歴史の担い手はどう変化 したのか?」
また、室町時代の生活文化と現代とのつながりをさぐり
子どもたちは、過去と現在との「対話」をしていった
「歴史の担い手はどう変化したか?」
「過去と現在はどんなふうにつながりっているの?」
これらの問いは、まさに永続的な理解をもたらす問いだと言える
シンプルで深〜いふりかえり「フセフリ」を開発した S 先生は
子どもたちの「学びの履歴」に触れれば触れるほど、
悶々としながらも永続的な理解をもたらす問いを模索し続けていった
そして、「何を大切にして生きていきたいか」という問いを
中学校3年間を貫き、子どもの生活と自他の教科や領域を超えてつながる
永続的な理解をもたらす問いを生み出していった
今、新しい COS、学習指導要領が求める「主体的・対話的で深い学び」「単元など内容や時
間のまとまり」「カリキュラム・マネジメント」は
ESD のカリキュラムをデザインするとき、
追い風となって ESD を進めるボクらの背中を押してくれる
①「深いふりかえり」
②「つながりへの気づき」
③「永続的なす問い」
また、これらは ESD のカリキュラム・デザインの視点であるだけじゃない、
新しい COS の趣旨を具体化するためにも強い味方となるのだ!
解 題 2018.5.15 学校法人・自由学園最高学部 特任教授 成田喜一郎
ESD は、時(じ)・空間、人間(じんかん)の「つながり」への気づきをもたらす。
そして、その「つながりへの気づき」の中から、深くて永く続く「問い」が生まれ、それでも、その
「問い」を抱え愛し、応答し続けたくなる。
また、共感やときに「違和感」を抱えながら、それでも「対話」を重ね、子どもたちと大人たちの見
方や考え方・感じ方、そして、在り方の広がりと深まりをもたらす。
ESD は、未来への学びに誘う「深いふりかえり」をもたらす「レンズ」や「手鏡」となる。
ESD、すなわち、持続可能な未来に向かう学びを通して、子どもたちと教師は、新たな時(じ)・空間、
人間(じんかん)の「つながりを創る人」をめざす。(ESD の定義)
2010 年5月、筆者は、本センターで講演「「ESD Education for Sustainable Development と