阿蘇山上ビ おける官民連 株式会社プレック研究 所九州事務所 事務所長 山口朋浩 国立公鴎と阿蘇に おける官民連携 阿蘇くじゅう国立公園は、国内 最大級のカルデラを擁する 「 活火 山 」 と、長い年月をかけた人の営 みにより維持されてきた 「 草原 」 という希有な自然景観を有してお り、昭和九年 ( 一 九三四年 ) に囲 内最初の八つの国立公園の 一 つと して公園指定された。以降、国・ 県・各自治体等の行政機関、およ び多様な事業者や諸団体、生業を 営む地域の住民らとともに、阿蘇 の自然景観の保全や草原再生とい ったさまざまな仕組みづくりや取 り組みが進められてきた。 国立公園の阿蘇地域では、平成 二 八年 ( 二 O 一 六年 )に熊 本地震お よび豪雨、噴火等の自然災害によ り甚大な被害に見舞われた。 一 方 で、二 O 二 O 年の訪日外国人旅行 者数を四、 000 万人とするわが国 の政策である 「 明日の日本を支え る観光ビジ ョ ン 」 の 一 O 施策の一つ として、 「 国立公園満喫プロジ ェ ク ト 」 が立ち上がり、阿蘇くじゅう 国立公園が選定されたところであ る。阿蘇くじゅう国立公園満喫プ ロジェ ク トにおいては 、阿蘇地域の 復興が盛り込まれた方策となって おり、さらなる自然環境の保全と 利活用、地域の官民連携の推進が 取り組み方針として示された。こ のなかで、阿蘇復興に係る環境省 の主要事業の 一 つとして、阿蘇山 上地区に直轄ビジターセンター設 置が位置付けられることとなった。 阿蘇における三つめの 利用拠点施設の役割 阿蘇地域では、自然学習・散策 ができる阿蘇 いる博物展示施 ジターセンタ ー(高 森町 ) 、草原 学習・再生活動の拠点と した阿蘇草原保全活動センタ ( 阿蘇市 ) が既に整備されている。 一 方、阿蘇山上地区は、園内有 数の火山に係る博物館である阿蘇 火山博物館や飲食物販等の民間施 設が集積しており、草千里ヶ浜等 の利用者の多い特性がみられる。 これを活かし、阿蘇地域の三つめ の利用拠点施設は 「 阿蘇の玄関 口 」 と位置付け、利用者へ地域の 情報提供を行い、山上地区のみな らず各センターや園地・ジオサイ ト 等への利用を促す、阿蘇くじゅ う国立公園全体での利用のハブ拠 点として機能するものとした。 三 .ビジターセンター設置を通 じた新しい宮民の連携の形 阿蘇火山博物館は、昭和五五年 (一九 八 O 年 )に草千 里博物展示 事業として公園事業認可され、昭 和五七年に民間施設としてオープ ン、平成二ハ年 ( 二 OO 四年)か らは公益財団法人による運営がな されている。阿蘇火山を中心とし た常設展示の他、ジオガイドツア ーも開 催する等の しているととも ジオパ l クネッ トワー クに登録さ れた 「 阿蘇ジオパ l ク 」 の事務局 も併設し、国際的な学術研 域のとりまとめに 一 翼を担ってお り、多面的な利用拠点施設として 成立している。 この阿蘇火山博物館の 一 階フロ ア約三 002m に、環境省阿蘇山上 ビジターセンターが併設されるこ とになった。今回のような民間施 設への直轄ビジターセンターの設 置は全国初の例である。これによ り、新設と比較して整備コストの 低減化、既存施設との相互利用に よる利用の活性化など、高い既 存 公園施設のリ ニュ l アル効果が期 No.778/NOVEMBER.20 l 9 24 国立公園 フロアの一角の阿蘇山上ビ ジタ ーセンター