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Amazon S3 に対するデータコアのストレージ階層化
はじめに
ソフトウェア駆動型アーキテクチャの強みの 1 つは、さまざまなハードウェア プラットフォームに
またがるソフトウェアの相互運用性です。また、これは他のソフトウェア駆動型アーキテクチャと
の相互運用性に関しても同様です。
このマルチパート シリーズでは、データコア製品と Amazon Web サービス(AWS)プラットフォ
ーム内のさまざまなレイヤーとの相互運用性について扱います。第 1 部では、まず、AWS Storage Gateway を介した、データコアのストレージ自動階層化機能と Amazon S3 のリンクにつ
いて説明します。この概要は、包括的な技術的実装ガイドとなるように書かれたものではなく、
確立した業界標準に基づいてこれら 2 つのテクノロジがどのように連携するかを簡潔に説明し
たものです。
データコアのストレージ自動階層化機能の詳細については、データコアの Web サイト またはこ
の 3 分ほどの短い ビデオ をご覧ください。
アーキテクチャの概要
スタックのさまざまなコンポーネント間の関係をまず理解しましょう。下の図は、Hyper-V を利用
してゲストの AWS Storage Gateway VM をデータコアのストレージ エンジン上に直接ホストする
場合の基本的なアーキテクチャを示したものです。
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データコア側から見れば、AWS Storage Gateway は、キャッシュ型ボリュームと呼ばれる RAW ボリュームを提供する iSCSI ストレージ ターゲットにすぎません。これらの iSCSI ターゲット ボリ
ュームは、いったんデータコア側から検出され、データコア プールのメンバーになったら、エン
ジンにアタッチされた他のあらゆるディスクと同様に 1 つのストレージ階層になります。
下の図は、完全なエンタープライズ デプロイメントの詳細を示したものです。データコア製のスト
レージ ボリュームを利用する任意の内部または外部システムでは AWS ストレージ階層を活用
できます。
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重要な作業から先に
作業に取りかかる前に、まず、データコアのストレージ エンジンが稼働していて、Amazon AWS アカウントが有効になっている必要があります。
AWS 側の作業から始めます。AWS アカウントにログインしたら、左上隅にあるオレンジ色の立
方体アイコンをクリックします。Amazon Web サービスの完全なメニューが表示されます。そこか
ら [Storage and Content Delivery] セクション下の [Storage Gateway] オプションをクリックします。
まず、ゲートウェイの種類を選択します。高速アクセスを実現するためにデータのローカル コピ
ーを保持する必要があるので(キャッシュ型ボリュームと呼ばれます)、ゲートウェイの種類は [Cached volumes] に設定する必要があります。
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次は、ローカルのデータコア製エンジンのストレージ ゲートウェイおよび iSCSI ターゲットとして
機能する仮想マシンの種類を選択します。
該当する仮想マシンの種類を選択し、それに対応する [Download <仮想マシン名>] ボタンをク
リックします。Hyper-V はデータコア製エンジン上に直接常駐して低レイテンシ アクセスを実現
できるので、この記事では、Hyper-V 内で動作する AWS Storage Gateway VM の例を示します。
ダウンロードが完了したら、Hyper-V マネージャーを使って VM を Hyper-V にインポートします。
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最後の手順
インポートが完了したら、VM を変更して仮想ディスクを少なくとも 2 基追加します。一方のディ
スクはアップロード バッファーに使用され、もう一方は(データがローカルに存在する)キャッシ
ュ ボリュームに使用されます。この設定が完了したら、VM を起動します。VM のオペレーティ
ング システムが起動され、AWS への接続とイニシエーターへの iSCSI ターゲット アクセスの提
供に必要なすべてのサービスが読み込まれます(イニシエーターは、ストレージ ボリュームをデ
ータコア製エンジン上にマウントするために後で使用されます)。
VM コンソールにログイン プロンプトが表示されたら、デフォルトの資格情報(sguser、sgpassword)を使ってログインします。ゲートウェイの静的 IP アドレスを構成するか、割り当てら
れている DHCP アドレスを取得する必要があります。これは次の手順で使用されます。
AWS Web インターフェイスで、AWS Storage Gateway VM の IP アドレスを入力します。このア
ドレスは、おそらく社内ファイアウォールの背後のプライベート アドレスになります。続行するに
は、[Begin Activation] ボタンをクリックします。
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アクティベーションが完了したら、アップロード バッファーとキャッシュ ボリュームに使用するディ
スクを指定する必要があります。使用可能なディスクの選択肢は、先ほど VM のインポート時に
作成した 2 つのボリュームに一致しなければなりません。
必要であれば、キャッシュ型ボリュームの iSCSI CHAP 認証パスワードを構成することもできま
す。
これで、ゲートウェイの iSCSI ターゲットとキャッシュ型ボリュームが使用可能になりました。ボリ
ュームをアタッチするには、iSCSI コントロール パネルを開き、ゲートウェイのローカル IP アドレ
スに接続するだけです。
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iSCSI インターフェイスが接続状態で表示されたら、データコア製エンジン上のディスク管理イ
ンターフェイス内から再スキャンを実行します。これで、ボリュームがデータコア側から見えるは
ずです。最後に、AWS キャッシュ型ボリュームをディスク プールに追加します。
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キャッシュ型ボリュームがプールに追加されたら、プール内の他のディスクを基準とする相対的
なディスク階層値を適切に設定します(通常、これはプール内の最後の階層になります)。これ
で、新しい AWS S3 階層が実稼働環境で使用できるようになりました。
単一のデータコア製エンジンを使用する場合は、ディスク プール ミラーリングを使ってキャッシ
ュ型ボリュームの冗長性を強化することができます。それには、元のキャッシュ型ボリュームとま
ったく同じサイズの別のキャッシュ型ボリュームが別の AWS Storage Gateway VM から必要に
なります。HA 構成のデータコア製エンジンを使用する場合は、エンジンごとに 1 つのゲートウ
ェイを導入でき、それらの間で同期ミラーリングが行われます。どちらの場合も、リージョン ゾー
ンおよび可用性ゾーンの異なる 2 つのゲートウェイをリンクして、サービスの多様性を実現する
ことができます。
まとめ
これで概要の説明を終わります。ストレージ ゲートウェイの構成に関連する詳細については、
『AWS Storage Gateway ユーザーガイド』の「ご利用開始にあたって」セクション(こちら )を参照
してください。