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岩手県 橋梁長寿命化修繕計画 平成 29 3 岩手県 県土整備部 道路環境課 ※補修工事によってよみがえった荒瀬橋 2016 年(平成 28 年)補修実施 (詳細は裏面に記載)
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岩手県 橋梁長寿命化修繕計画...1 第1章 長寿命化修繕計画の背景と目的 1.1. 長寿命化修繕計画の背景...

Oct 17, 2020

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Page 1: 岩手県 橋梁長寿命化修繕計画...1 第1章 長寿命化修繕計画の背景と目的 1.1. 長寿命化修繕計画の背景 岩手県が管理する橋梁は、2016年3月末時点にて2,791橋※1あり、今後、建設後50年を経

岩手県 橋梁長寿命化修繕計画

平成 29 年 3 月

岩手県 県土整備部 道路環境課

※補修工事によってよみがえった荒瀬橋 2016 年(平成 28 年)補修実施

(詳細は裏面に記載)

Page 2: 岩手県 橋梁長寿命化修繕計画...1 第1章 長寿命化修繕計画の背景と目的 1.1. 長寿命化修繕計画の背景 岩手県が管理する橋梁は、2016年3月末時点にて2,791橋※1あり、今後、建設後50年を経

※一般県道二戸一戸線 荒瀬橋 71.8m 1936 年(昭和 11 年)架設

荒瀬橋は、二戸市のJR二戸駅から南に約2

kmの二戸市と一戸町の境にほど近い場所に位

置しています。

初代の荒瀬橋は大正時代に木橋として架けら

れ、昭和 11 年に現在のコンクリートアーチ橋

へ架け替えられました。

アーチ上の支柱と高欄の窓枠の間隔に配慮す

るなど、景観に配慮されたデザインの橋梁です。

○ 位置図

○ 基本諸元

建設当時の荒瀬橋

年  齢 81歳橋  長 71.8m

型  式 RCアーチ橋

有効幅員 6.0m径間数 3

河川名 馬淵川路線名 一般県道二戸一戸線

架設年次 1936年(昭和11年)

橋  名橋名(フリガナ)

荒瀬橋アラセバシ

位  置 岩手県二戸市

二戸市

荒瀬橋

JR 二戸駅

至 盛岡

至 八戸

Page 3: 岩手県 橋梁長寿命化修繕計画...1 第1章 長寿命化修繕計画の背景と目的 1.1. 長寿命化修繕計画の背景 岩手県が管理する橋梁は、2016年3月末時点にて2,791橋※1あり、今後、建設後50年を経

- 目 次 -

第1章 長寿命化修繕計画の背景と目的 ............................................................................................. 1

1.1. 長寿命化修繕計画の背景 ................................................................................................................................... 1

1.2. 長寿命化修繕計画更新の目的 ......................................................................................................................... 1

第2章 県内の橋梁の現状 ........................................................................................................................... 2

2.1. 管理橋梁の内訳 ....................................................................................................................................................... 2

2.2. 建設年度 ...................................................................................................................................................................... 3

2.3. 損傷状況 ...................................................................................................................................................................... 4

第3章 橋梁のアセットマネジメントの取組 ................................................................................... 9

3.1. アセットマネジメントとは ........................................................................................................................................... 9

3.2. 予防保全と事後保全 ........................................................................................................................................... 10

3.3. アセットマネジメントの取組状況 ........................................................................................................................ 11

(1) 長寿命化修繕計画の策定・更新

(2) 点検・診断

(3) 措置(修繕など)

(4) 日常の維持管理

(5) アセットマネジメントの取組事例

(6) アセットマネジメントの取組効果

第4章 長寿命化修繕計画の策定方針(更新) ........................................................................... 23

4.1. 対策優先度 .............................................................................................................................................................. 23

(1) 重要度の評価方法

(2) 対策優先度の評価方法

4.2. 予防保全対策 ......................................................................................................................................................... 25

第5章 修繕計画(平成 29~31 年度概算対策費)の策定 ................................................... 26

第6章 計画更新に係るアドバイザー会議 ..................................................................................... 28

Page 4: 岩手県 橋梁長寿命化修繕計画...1 第1章 長寿命化修繕計画の背景と目的 1.1. 長寿命化修繕計画の背景 岩手県が管理する橋梁は、2016年3月末時点にて2,791橋※1あり、今後、建設後50年を経

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第1章 長寿命化修繕計画の背景と目的

1.1. 長寿命化修繕計画の背景

岩手県が管理する橋梁は、2016 年 3 月末時点にて 2,791 橋※1あり、今後、建設後 50 年を経

過した高齢化橋梁が急増する見通しです。2016 年度現在で、建設後 50 年以上を経過した橋梁

は 666 橋(約 24%)ですが、2036 年度には 1,898 橋(68%)になると予測されています。

これらの橋梁に対して、損傷が深刻化してはじめて大規模な修繕を実施する事後保全的な維

持管理を継続した場合、維持管理費用が非常に高くなり、適切な維持管理が困難になる恐れがあ

ることから、計画的かつ予防保全的な対応により、長寿命化によるコスト縮減と道路交通の安全性

を確保する必要があります。

※1 15m 以上:1,268 橋、15m 未満 1,506 橋、横断歩道橋 17 橋

建設後 50 年以上が経過する橋梁の割合

1.2. 長寿命化修繕計画更新の目的

岩手県では、平成 24 年 3 月に「岩手県橋梁長寿命化修繕計画」を策定し、これまでの事後保

全型から予防保全型の維持管理に移行して、橋梁の長寿命化及びコスト縮減対策に取り組んでい

るところです。

しかしながら、前回の修繕計画の策定から 5 年が経過し、その間に橋梁の維持管理に係る様々

な動きがありました。今後、より効果的・効率的な維持管理を実施していくため、これらの動きを反

映した修繕計画への見直しを行うこととしました。

▼橋梁の維持管理に係る代表的な動き

① 道路法の改正により、健全度の判定区分が新たに4段階(Ⅰ~Ⅳ)に規定されたこと。

② 2巡目の定期点検が完了し、既存計画へ反映させる必要があること。

③ 橋梁の新設や移管等により、対象橋梁が変更していること。

現在行っている法定点検は平成 30 年度に完了予定であり、その結果を受けて、平成 31 年度

に再度長寿命化修繕計画の見直しを予定しています。そこで本計画では、平成 29 年度から平成

31 年度までの3年間を対象として短期的な修繕計画を策定しました。

68%

32%45%

55%

24%

76%

【2016 年度】 【2026 年度】 【2036 年度】

24%(666 橋) 45%(1,262 橋) 68%(1,898 橋)

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第2章 県内の橋梁の現状

2.1. 管理橋梁の内訳

岩手県では 2,791 橋(橋長 2m 以上)の橋梁を管理しており、橋長 15m 以上(1,268 橋)、15m

未満(1,506 橋)、横断歩道橋(17 橋)で区分しています。

橋長 15m 以上の橋梁は PC 橋と鋼橋、15m 未満は RC 橋と溝橋(BOX カルバート)がそれぞれ

40%程度を占めています。横断歩道橋は全てが鋼橋です。

管理橋梁の内訳

45%54%

1%

15m以上 15m未満 横断歩道橋

全2,791橋全2,791橋

17橋

1,268橋1,506橋

橋種別の内訳

142, 11%

522, 41%

3, 0%

571, 45%

11, 1%19, 2%

15m以上

558, 37%

262, 18%

599, 40%

21, 1%2, 0% 64, 4%

15m未満

RC PC BOXカルバート 鋼 混合 その他

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2.2. 建設年度

岩手県の橋梁建設は、高度経済成長期(1950 年中頃~1970 年中頃)に集中しており、1990

年頃から減少傾向を辿っています。これは全国と同様の傾向です。

岩手県の年度別橋梁建設数

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

0

20

40

60

80

100

120

1900 1910 1920 1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020

累計建設数(橋)

単年度建設数(橋)

15m以上 15m未満 横断歩道橋 累計

高度成長期

バブル景気

オイルショック

全国の年度別橋梁建設数

出典:道路メンテナンス年報(国土交通省 道路局、H27.11)

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2.3. 損傷状況

平成 22 年度から平成 26 年度に点検した橋梁の健全度については以下のとおりです。全体のう

ち、約9%が「早期に措置を講ずべき状態(Ⅲ)」と判定されています。

健全度区分の内訳

704 25%

1,667 60%

255 9%

0 0%

165 6%

新設橋梁など

全2,791橋

出典:岩手県定期点検要領(案)(岩手県県土整備部道路環境課、H27.6)

269 21%

786 62%

117 9%

0 0% 96 

8%

全1,268橋

432 29%

871 58%

136 9%

0 0%

67 4%

全1,506橋

3 17%

10 59%

2 12%

0 0% 2 

12%

全17橋

全橋梁

15m 以上 15m 未満 横断歩道橋

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橋梁部材の名称(橋面、上部構造)

▼橋面

道路橋の定期点検に関する参考資料(国土交通省 国土技術政策総合研究所、H25.7)を加工して作成

▼上部構造

○鋼橋 ○コンクリート(PC 橋)

道路橋の定期点検に関する参考資料(国土交通省 国土技術政策総合研究所、H25.7)を加工して作成

支承部

地覆

防護柵

排水桝

舗装

縁石高欄

地覆

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橋梁部材の名称(下部構造)

▼下部構造

○橋台

○橋脚

道路橋の定期点検に関する参考資料(国土交通省 国土技術政策総合研究所、H25.7)を加工して作成

竪壁

基礎杭

基礎(フーチング)

基礎(フーチング)

基礎杭

柱部(壁部)

基礎

橋脚 橋台

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以下は、点検により発見された早期に対策が必要な損傷(Ⅲ判定)事例です。

主桁端部に著しい錆が発生しています

支承(主桁を支える部材)等 桁端部に腐食が発生しています

橋脚のコンクリートが欠損し 内部の鉄筋が露出しています

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損傷に対する対策が遅れると、通行止めなどの甚大な被害につながる恐れがあります。適切な

時期に対策を施すことでこれらのリスクを排除し、県内の道路ネットワークを維持し続けることができ

ます。

床版を下から見た写真です。

前回の点検で損傷を発見し、補修対策予定となっていましたが損傷が拡大してしまいました。

路面陥没などの重大な損傷は通行止めとなる恐れもあります。

《路面陥没》 主要地方道盛岡環状線 岩姫橋 《床版損傷》 国道 340 号 新井田橋

床版の状況

路面の状況

桁下の状況

損傷箇所拡大

損傷を放置すると・・・ 損傷を放置すると・・・

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第3章 橋梁のアセットマネジメントの取組

3.1. アセットマネジメントとは

アセットとは「資産」、マネジメントとは「運用」を意味します。公共施設である橋梁を県民の共有資

産として捉え、建設から維持、撤去に至るまで、長期的な視点で効率的かつ効果的に管理(運用)

していくことが「アセットマネジメント」です。

橋梁のアセットマネジメントでは、点検によって橋梁の状態・健全度を適切に診断・評価するととも

に、将来の状態を予想することで、予算の制限を考慮し、 適な対策(修繕・更新など)を実践して

いく必要があります。

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3.2. 予防保全と事後保全

橋梁のアセットマネジメントを行う上で欠かせないキーワードは、「予防保全」と「事後保全」です。

○「予防保全」とは、きちんと点検し、損傷が深刻化する前に修繕を実施すること

⇒ 橋梁の架け替えサイクルは長くなる。

○「事後保全」とは、損傷が深刻化してはじめて大規模な修繕を実施すること

⇒ 橋梁の架け替えサイクルは短い。

一般的に「予防保全」を行うことが、橋の健全性の確保や経済性に優れています。岩手県では、

平成 24 年3月に策定した橋梁長寿命化修繕計画に基づき「事後保全」から「予防保全」への転換

を図り、アセットマネジメントへの取組を始めています。

塗装の状態 塗り替え費用

供用後の経過年数

橋の劣化曲線

健全度

健全性区分Ⅰ

健全性区分Ⅱ

健全性区分Ⅲ

健全性区分Ⅳ

予防保全 事後保全

錆が急激

に進展!

まだまだ

大丈夫!

予防保全

事後保全

・ 橋梁の健全度は、新設後あるいは修繕

後しばらくは緩やかに低下し、ある時

点から急激に低下していきます。

・ そのまま放置すれば損傷が深刻化し

落橋等の危険性が増大します。

早め早めの修繕をすることは、橋の健全

性の確保や経済性に優れています。

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3.3. アセットマネジメントの取組状況

岩手県では、平成 17 年度から橋梁の点検、橋に関する情報の一括管理や点検結果に基づい

た 適な修繕計画の検討についてスタートしています。

平成 28 年度は、平成 23 年度に策定した岩手県橋梁長寿命化修繕計画の対象橋梁 2,704

橋に対して、新設、他の道路管理者への管理の移管、撤去による増減を整理するとともに、 新の

点検結果を反映し 2,791 橋の長寿命化修繕計画の更新を図りました。

長寿命化修繕計画の対象橋梁

国道(※県管理) 県道 合計

1,010 1,781 2,791

511 757 1,268

これまでの計画策定橋梁数 493 710 1,203

移管や撤去等による増減 18 47 65

494 1,012 1,506

これまでの計画策定橋梁数 488 998 1,486

移管や撤去等による増減 6 14 20

5 12 17

これまでの計画策定橋梁数 5 10 15

移管や撤去等による増減 0 2 2

対象橋梁数

橋長15m以上

橋長15m未満

横断歩道橋

計画

修繕記録

・管理

点検・

定期的に橋梁の点検を実施し、損傷状況の把握に努める。

点検結果に基づき、損傷の客観的な評価を行い、予算制約の中で 適な計画(修繕または架換)を策定・更新する。

策定された計画に基づき、計画的かつ効率的に修繕または架替工事を行う。

橋梁の維持管理に活用するため、各種点検結果、修繕等の結果を記録する。

診断 (更新)

点検・計画・修繕・記録管理を繰り返し継続的に実施していきます

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(1) 長寿命化修繕計画の策定・更新

岩手県では、点検結果に基づいて、どの時期にどのような修繕を行うのが望ましいかを専門

的な知識を有する有識者から助言を受けながら、橋梁の修繕計画策定に取り組んでいます。

平成 19 年度に 初の橋梁長寿命化修繕計画を策定し、以降、4 回に渡って対象橋梁・予

算シミュレーションなどを更新してきました。

長寿命化修繕計画のこれまでの経緯

年度 対象橋梁 予算シミュレーション(今後50年間の補修費用)

H19年度全226橋①早急な対応が必要な橋(35橋)②重要度の高い路線に位置する橋(191橋)

段階投資パターン○現行予算を5年間倍増(8.8億円/年)○H26年以降は4億円/年

H20年度H21年度

全1,156橋※橋長15m以上の橋梁930橋を追加

予防保全移行型○現行予算から一定期間中に増資(→36億円/年)

H22年度全1,887橋※橋長15m以上の橋梁31橋、橋長15m未満の橋梁700橋を追加

予防保全移行型○現行予算から一定期間中に増資(→32億円/年)

H23年度全2,704橋※橋長15m未満の橋梁791橋、自転車道線の橋梁12橋、横断歩道橋15橋を追加

予防保全移行型○年間予算を現行予算程度(約30億円/年)で一定

期間維持

H28年度

全2,791橋※新設橋や移管橋梁等を更新

予防保全移行型○修繕方針に重要度評価による対策優先度を設定○年間予算を現行予算程度(約28億円/年)でH31

年度までの短期計画を策定

岩手県橋梁長寿命化検討委員会

(H19~H21)

岩手県橋梁長寿命化修繕計画

検討意見交換会(H22)

岩手県橋梁長寿命化修繕計画

検討意見交換会(H23)

岩手県橋梁長寿命化修繕計画更新

技術アドバイザー会議(H28)

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(2) 点検・診断

1) 点検

▼点検頻度

初期の損傷状況を把握しておくことは、その後の劣化傾向(劣化要因や劣化速度等)を

把握する上で必要不可欠です。そのため、新設橋梁に対しては供用後2年以内に初回点

検を実施、以降の定期点検は5年に1回を基本とします。

▼点検手法

主に目視及び簡易な点検機械・器具により、原則として可能な範囲内で各部材に接近し

て近接目視を実施します。

岩手県では、平成 17 年度に橋梁の定期点検を開始し、現在 3 巡目(横断歩道橋は 2 巡

目)を実施中です。

点検の取組状況

橋梁の点検【5 年毎に実施】 1 巡目 2 巡目 3 巡目

橋長 15m 以上 H17~20 H22~26 H26~28

橋長 15m 未満 H20~22 H22~26 H26~28

横断歩道橋 H23~26 H27~28

橋梁点検車による点検 近接目視による点検状況

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2) 診断

橋梁の損傷状況は、①損傷程度の評価、②対策区分の判定、③健全性の診断(部材単

位)、④健全性の診断(橋梁単位)の流れでそれぞれ評価・診断します。

損傷状況の評価の流れ

②対策区分の判定

③健全性の診断(部材単位)

①損傷程度の評価

[e]判定露出面積:大 腐食:大

部材ごとに、部材の種別・損傷の種類に応じて評価損傷の程度や範囲等に応じて2段階~5段階で評価

(評価指標:a,b,c,d,e)[d]判定

幅:大(2.0mm) 間隔:小

10

対策区分は部材ごとに判定構造安全性や第三者被害等の観点から、早期の対応の要否を区分

(評価指標:A,B,C1,C2,E1,E2,M)対象部材の重要度や劣化要因、構造条件、環境条件等を踏まえ評価

国土交通省が規定する指標により、部材単位で診断(評価指標:Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ )

着目する部材とその損傷が橋の機能に及ぼす影響の観点から診断

④健全性の診断(橋梁単位)橋梁単位で総合的な評価を診断 (評価指標:Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ)一般には、橋梁の性能に影響を及ぼす主要な部材に着目して、 も厳しい評価で代表

「健全性の診断」と「対策区

分の判定」の関係の目安

Ⅰ:A、BⅡ:C1、MⅢ:C2Ⅳ:E1、E2

ひびわれ

剥離、鉄筋露出

<部材単位で判定>

<橋梁単位で判定>

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15

以下は、①~④の各評価指標と各指標が示す損傷事例です。

①-1 損傷程度の評価指標

a b c d e

なし 深さ小,面積小 深さ小,面積大 深さ大,面積小 深さ大,面積大

なし - 規模小 - 規模大

なし - 規模小 - 規模大

なし - - - あり

なし - 規模小 規模中 規模大

幅小,間隔小 幅中,間隔小

幅中,間隔大 幅大,間隔大

なし - 剥離のみ 鉄筋露出,腐食小 鉄筋露出,腐食大

なし - 規模小 規模中 規模大

なし - - - あり

漏水・

遊離石灰あり

間隔1.0m以上

幅0.05mm以下幅0.1mm以下 幅0.2mm以下

幅0.2mm以上

角落ちあり

漏水・

遊離石灰なし- - 幅0.2mm以下

幅0.2mm以上

角落ちあり

漏水・

遊離石灰あり-

格子の大きさ0.5m以上

幅0.1mm以下

格子の大きさ0.5~0.2m

幅0.2mm以下

格子の大きさ0.2m以下

幅0.2mm以上

角落ちあり

漏水・

遊離石灰なし- - 幅0.2mm以下

幅0.2mm以上

角落ちあり

なし - - - あり

なし - 規模小 - 規模大

なし - 20mm未満 - 20mm以上

なし - - - あり

なし - - - あり

なし - - - あり

なし - 規模小 - 規模大

なし - 規模小 - 規模大

なし - - - あり

なし - - - あり

なし - - - あり

なし - - - あり

なし - 規模小 - 規模大

なし - - - あり

なし - - - あり

なし - 規模小 - 規模大 洗掘

コンクリート補強部材の損傷

定着部の異常

変色・劣化

漏水・滞水

異常な音・振動

異常なたわみ

変形・欠損

土砂詰り

沈下・移動・傾斜

なし

2

うき

遊間の異常

路面の凹凸

舗装の異常

支承の機能障害

その他

ひびわれ なし

床版

ひびわれ

1

幅小,間隔大 幅大,間隔小

剥離・鉄筋露出

漏水・遊離石灰

抜け落ち

料損傷種類

損傷ランク

腐食

亀裂

ゆるみ・脱落

破断

防食機能の劣化

出典:岩手県定期点検要領(案)(岩手県県土整備部道路環境課、H27.6)

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①-2 損傷程度の評価<損傷事例>

▼ひびわれ

d e

損傷種類損傷ランク

a b c d e

ひびわれ なし 幅小 , 間隔大幅小 , 間隔小 幅中 , 間隔小

幅大 , 間隔小幅中 , 間隔大 幅大 , 間隔大

b c

道路橋の定期点検に関する参考資料(国土交通省 国土技術政策総合研究所、H25.7)を編集して作成

▼剥離・鉄筋露出

損傷種類損傷ランク

a b c d e

剥離・鉄筋露出 なし ― 剥離のみ 鉄筋露出 , 腐食小 鉄筋露出 , 腐食大

b c

d e

道路橋の定期点検に関する参考資料(国土交通省 国土技術政策総合研究所、H25.7)を編集して作成

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②対策区分の判定フロー及び評価指標

出典:岩手県定期点検要領(案)(岩手県県土整備部道路環境課、H27.6)

判定区分 判定の内容

A 損傷が認められないか,損傷が軽微で補修を行う必要がない。

B 状況に応じて補修を行う必要がある。

C1 予防保全の観点から,速やかに補修等を行う必要がある。

C2 橋梁構造の安全性の観点から,速やかに補修等を行う必要がある。

E1 橋梁構造の安全性の観点から,緊急対応の必要がある。

E2 その他(第三者被害の観点等),緊急対応の必要がある。

M 維持工事で対応する必要がある。 道路橋定期点検要領(国土交通省道路局、H26.6)を元に作成

判定区分

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③-1 健全性の診断(部材単位)の評価指標

出典:道路橋定期点検要領(国土交通省道路局、H26.6)

③-2 健全性の診断(部材単位)<損傷事例>

▼ひびわれ

Ⅱ区分

Ⅲ区分

損傷種類損傷ランク

a b c d e

ひびわれ なし幅小,

間隔大

幅小,間隔小

幅中,間隔小 幅大,

間隔小幅中,間隔大

幅大,間隔大

損傷評価 [c]判定:幅中・間隔大↓

対策区分 [C1]判定↓

健全性 [Ⅱ]判定

損傷評価 [d]判定:幅大・間隔大↓

対策区分 [C2]判定↓

健全性 [Ⅲ]判定

損傷種類損傷ランク

a b c d e

ひびわれ なし幅小,

間隔大

幅小,間隔小

幅中,間隔小 幅大,

間隔小幅中,間隔大

幅大,間隔大

▼剥離・鉄筋露出

Ⅱ区分

Ⅲ区分

損傷種類損傷ランク

a b c d e剥離・

鉄筋露出なし - 剥離のみ

鉄筋露出,腐食小

鉄筋露出,腐食大

損傷評価 [d]判定:鉄筋露出・腐食小↓

対策区分 [C1]判定↓

健全性 [Ⅱ]判定

損傷評価 [e]判定:鉄筋露出・腐食大↓

対策区分 [C2]判定↓

健全性 [Ⅲ]判定

損傷種類損傷ランク

a b c d e剥離・

鉄筋露出なし - 剥離のみ

鉄筋露出,腐食小

鉄筋露出,腐食大

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④健全性の診断(橋梁単位)の評価指標

出典:岩手県定期点検要領(案)(岩手県県土整備部道路環境課、H27.6)

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(3) 措置(修繕など)

▼修繕工事の実施

損傷が発見された橋梁に対して、計画的に修繕工事を実施

▼構造の安全性に係る損傷の確認

健全度Ⅲ判定橋梁に対しては、対策を実施するまでの間は、年 1 回程度劣化の進行

状況を確認

修繕工事の写真事例

(4) 日常の維持管理

岩手県ではアセットマネジメントによる取り組みのほか、橋の上に堆積した土砂の撤去(清掃)

や軽微な損傷の修繕、日常的なパトロール等の維持管理に取り組んで行きます。

▼日常の維持管理作業

路面清掃

小規模な地覆等のコンクリート欠損や高欄の変形・欠損の補修

排水管の欠損部復旧、小改良、清掃

橋座の堆積土砂の撤去

排水ますの土砂撤去等

橋梁前後の路肩の土砂撤去

橋下の立木伐採

橋台・橋脚等の小規模な鉄筋露出部の錆取り、モルタル・コンクリート補修

橋げたの塗替え コンクリート床版の打替え 舗装打替え、高欄の取替え

塗装の剥がれ コンクリート床版のひびわれ 舗装のひびわれ、高欄の損傷

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(5) アセットマネジメントの取組事例

実際の橋梁におけるアセットマネジメントの取組事例を紹介します。

二戸市に架かる荒瀬橋では、定期点検で橋梁全体のコンクリート部材に「剥離・鉄筋露出」

「鉄筋腐食」などの損傷が確認され、修繕が必要と診断されました。

これを受けて長寿命化修繕計画を策定し、損傷の詳細調査、補修設計、工事計画の策定

を経て、修繕工事を実施しました。

これらの取組履歴は記録・管理し、以降の維持管理において参考資料として活用されます。

アセットマネジメントの具体的な事例

▼一般県道二戸一戸線 荒瀬橋 71.8m 1936 年(昭和 11 年)架設

計画策定・更新

定期点検で損傷を確認

修繕計画に基づき、修繕工事を実施

点検・計画策定・修繕

工事の履歴を記録

修繕計画策定

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(6) アセットマネジメントの取組効果

橋梁の健康状態を常に把握し、どの時期にどのような修繕を行うのが望ましいかを考えなが

ら計画的に実行していくことで、費用の縮減や安全・安心な橋を保つことができます。

事後保全のトータルコスト

予防保全のトータルコスト

傷みの限界で大規模修繕

傷みが酷くなる前にこまめに塗り替え

良 費用

年数

事後保全

予防保全

将来かかる費用の総額は予防保全が圧倒的に安価です。

傷みが酷くてもう駄目。早く通行止めにして下さい。

※大規模修繕や架替えの橋梁に対しては通行止めのリスクが高くなります。

いつもこまめに修繕してもらっているから健全。通行止めの心配はない。

予防保全によるコスト縮減

適切な時期に修繕した場合(予防保全)と、損傷を放置してから修繕した場合(事後保全)どのような

差があるでしょうか。

以下の橋は、岩手県が管理する西前橋で、橋長約 120m の鋼橋です。現在は健全な状態ですが(下

の点検時写真を参照)、今後の修繕として、予防保全と事後保全の場合を比べてみます。

(予防保全)塗装の表面が傷み始めた段階(軽微な損傷段階)で桁の塗装塗替えを実施します。

(事後保全)橋としての機能が完全に失われる重大な損傷が発見された段階で、大規模修繕あるいは

架替えを実施します。

西前橋の側面状況 西前橋の桁下面状況

岩手県は安全・安心な道路ネットワークの確保に努めていきます!

一般県道 東山薄衣線 西前橋

建設年:1993 年

橋長:122.8m

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第4章 長寿命化修繕計画の策定方針(更新)

4.1. 対策優先度

(1) 重要度の評価方法

安全性の確保、道路ネットワークの確保など、橋梁に求められる機能の視点から橋梁の重要

度の評価項目を設定しました。

各評価項目に従って各橋梁の重要度を(A、B、C、D)の4グループに分類します。

重要度の評価項目

確保すべき機能 供用状況の指標 考え方

安全性の確保交差条件(跨道橋、跨線橋等) 通行者等に被害を及ぼす恐れ

大型車交通量 大型車交通量が多いほど劣化進行が早い

道路ネットワークの確保

緊急輸送道路 災害発生時にも通行が求められる

橋長 復旧に膨大な時間を要する

重要度グループの分類表

評価項目グループ A グループ B グループ C グループ D

交差条件

大型車交通量

緊急輸送道路

橋長

跨線橋、跨道橋(道路橋)

1,000(台/日)以上

第1次路線 第2次路線 指定なし

100m以上 15m以上 15m未満

その他(河川等)

1,000(台/日)未満

跨線橋、跨道橋(横断歩道橋)

重要度高 低

跨線橋事例

コンクリート片やボルト等の落下

⇒ 電車に被害を及ぼす恐れ

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(2) 対策優先度の評価方法

対策の優先度は重要度(グループ A~D)と健全度区分(Ⅰ~Ⅳ)の 2 軸で評価します。

Ⅳ・Ⅲ判定の全グループ橋梁は、構造上の安全面、通行者等への被害防止の観点から

対策を実施します。

Ⅱ判定のうちグループ A の橋梁は、重要度の高い橋梁のため、積極的な予防保全対策

を実施します。

対策は優先度①から②、③、④、⑤の順に実施していきます。

Ⅱ判定のグループ B 以下の橋梁は、ただちに対策は実施せず、定期点検等で損傷の進

行を確認、監視していきます。

対策優先度評価方法の概念図

対策なし

対策なし(巡回等による監視)

緊急措置

※緊急対応のため、優先度の設定なし

グループDグループCグループBグループA

優先度高 低

① ② ③ ④

優先度

健全度区分

重要度

出典:岩手県定期点検要領(案)(岩手県県土整備部道路環境課、H27.6)

:対策対象

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4.2. 予防保全対策

も重要度の高いグループ A の橋梁に対しては、予防保全的な対策を重点的に実施します。

▼重点的な予防保全対策の内容

橋台・橋脚の漏水・滞水、支承本体の腐食 ⇒ 伸縮装置の漏水対策(湿潤環境除去対策)

桁下(跨道・跨線橋部)の剥離・鉄筋露出、うき ⇒ 剥落防止対策(通行者等への被害防止)

橋面の防水対策

予防保全対策の実施前後の事例

▼伸縮装置の漏水対策

▼剥落防止対策

対策前 対策後

対策後 対策前

橋の下では・・・

桁下(支承、橋脚・橋台)への漏水

濡れたまま放置 ⇒劣化進行の要因

伸縮装置交換による漏水対策の実施

通行車両への剥落防止として表面保護

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第5章 修繕計画(平成 29~31 年度概算対策費)の策定 対策対象橋梁に対する修繕計画(平成 29 年度から平成 31 年度)を策定しました。

平成 29 年度から 31 年度の 3 ヶ年で、対策が急がれるⅢ判定に対する事後保全型対策および

重要度の高い(グループ A)橋梁の予防保全型対策の完了を目標とします。平成 32 年度以降は、

岩手県が管理する全橋梁(2,791 橋)に対する予防保全型維持管理を目指します。

▼策定条件

[対象橋梁] 岩手県が管理する全橋梁(2,791 橋)のうち、平成 22 年度から平成 26 年度

までの定期点検結果から対策対象となった 371 橋

(※371 橋の内訳)

①Ⅲ判定と診断された 251 橋

②Ⅱ判定と診断された橋梁のうち、重要度がグループ A に属する 120 橋

[年間予算] ここ数年の予算規模(約 30~35 億/年)を想定

▼策定結果

Ⅲ判定橋梁(251橋)及びⅡ判定のうちグループAに属する橋梁(120橋)を対象橋梁(371

橋)について対策を実施

平成30年度までの法定点検結果を踏まえ、平成31年度に長寿命化修繕計画の更新を予

定していることから、平成 29 年度から 31 年度の 3 年間の短期計画を策定

優先度 健全度重要度

(グループ)

① Ⅲ A

② Ⅲ B

③ Ⅲ C

④ Ⅲ D

⑤ Ⅱ A

凡例

(対象橋梁数)

10 

15 

20 

25 

30 

H29 H30 H31

単年度概算対策費(億円)

(107橋)

(31橋)

(17橋)

(52橋)

(68橋)

(83橋)

(13橋)

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参考 [修繕計画による対策効果]

予防保全型による橋梁の修繕対策を行うことにより橋梁の健全性が確保され、安全・安心な道路

ネットワークを提供することが出来るとともに、予算の平準化が図られ、効率的・効果的な修繕対策

を行うことが出来ます。

また、今回対策が必要と評価された対策対象橋梁(371 橋)の修繕に要する工事費について、修

繕計画に基づいて対策する予防保全型と、使用限界に至った時点で対策する事後対策型とを比

較すると、平成 29 年度から平成 79 年度までの 50 年間で約 325 億円(57%)のコスト縮減が見込

まれます。

▼コスト比較※1(50 年間、371 橋を対象)

予防保全型による工事費:約 246 億円※2

事後対策型による工事費:約 571 億円

⇒約 325 億円(57%)のコスト縮減見込

※1 今後、維持管理に係るデータを蓄積していくことで、修繕対策にかかる予算シミュレーションのさ

らなる精度向上が図られると予想されます。そのため、上記コストは現在の値に固定されるもの

ではありません。

※2 今回の修繕計画対象外と評価された橋梁についても、今後の法定点検の結果により対策が必

要となる可能性があり、対象橋梁及び対策費用は見直しされることがあります。

対策対象橋梁 371 橋における修繕計画による予算シミュレーション

100 

200 

300 

400 

500 

600 

H29 H34 H39 H44 H49 H54 H59 H64 H69 H74

累計コスト(億円)

事後保全型累計コスト 予防保全型累計コスト

約 325 億円

のコスト縮減

対象橋梁:371 橋

※対策対象橋梁 371 橋における予算シミュレーション結果であり、岩手県が

管理する全橋梁の維持管理に関する予算を示したものではありません。

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第6章 計画更新に係るアドバイザー会議

岩手県では、橋梁の学識経験者など外部有識者による技術アドバイザー会議を開催し、専門的

な意見を聴きながら橋梁の長寿命化修繕計画の更新に取り組みました。

○意見を聴取した学識経験者等の専門知識を有する者(敬称略)

平成 28 年度 岩手県橋梁長寿命化修繕計画更新 アドバイザー会議

技術アドバイザー 座長 大西 弘志 (岩手大学理工学部 システム創成工学科准教授)

副座長 小山田 哲也 (岩手大学理工学部 システム創成工学科准教授)

南 正昭 (岩手大学理工学部 システム創成工学科教授)

石井 一人 (一般社団法人 建設コンサルタンツ協会)

高橋 征司 (一般社団法人 プレストレスト・コンクリート建設業協会)

吉田 昌由 (一般社団法人 日本橋梁建設協会)

比志島 康久 (一般社団法人 日本支承協会)

古川 晃 (一般社団法人 日本支承協会)

向井田 岳 (一般社団法人 岩手県建設業協会)

○担当課

岩手県 県土整備部 道路環境課 TEL:019-629-5878

平成 28 年度 アドバイザー会議 開催状況

第 1 回 平成 28 年 10 月 5 日

第 2 回 平成 28 年 11 月 11 日

第 3 回 平成 28 年 12 月 20 日

第 4 回 平成 29 年 2 月 1 日