仙台市経済局 次長兼国際経済・観光部長 嶺岸浩友
仙台市経済局 次長兼国際経済・観光部長 嶺岸浩友
●東日本大震災の被害 ・・・・・・・・・・・・・・3 ●震災から順調に復旧・復興 ・・・・・・・・・・・4 ●震災後の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・5 ●震災後の取り組み -東北の連携- ・・・・・・・・・・・・・・・7 -国内外からの誘客促進- ・・・・・・・・・・8 -国際会議の誘致・国連防災世界会議- ・・・・9 ●おもてなし・受入環境整備 -多言語による情報発信- ・・・・・・・・・・11 -サイン、WiFi環境整備- ・・・・・・・・・・15 -民間との連携- ・・・・・・・・・・・・・・16 -市民・留学生との連携- ・・・・・・・・・・20 -おもてなしの心- ・・・・・・・・・・・・・22 ●まとめ 官民連携、効果的な情報発信、おもてなし ・・・23
目 次
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東日本大震災の被害
■ 2011年3月11日発生の東日本大震災により,仙台・東北では大きな被害が発生 ・規模:マグニチュード9.0 震度 最大7(栗原市) ※仙台市では最大震度6強 ・人的被害:死 者 19,225人 ,行方不明者 2,614人,負 傷 者 6,219人 (うち,仙台市:死 者917人 ,行方不明者 28人,負 傷 者 2,275人) ・被害額:16兆9,000億円(うち,仙台市:1兆3,684億円) ※ 東北地方太平洋沖地震被害報第151報(2015年3月 消防庁)等より
福島県白河市 宮城県気仙沼市 岩手県宮古市
仙台市立荒浜小学校 仙台国際貿易港 仙台市青葉区折立地区
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震災から順調に復旧・復興
■国内外からの救援物資,資金や人的支援
■復旧から復興へ
支援物資倉庫からの運搬 全国からの支援技術者 海外からの支援
地下鉄東西線工事再開 津波避難タワー(仙台港) 被災地の販売支援拠点
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震災後の課題①
■企業の再建は進む一方,人材確保・育成,販路拡大に課題 H26.12 震災復興支援に向けたアンケート結果より(仙台市)
【受注量・売上の状況】
7割超の企業が震災前の
業績を実感
調査数
震災直前 以上
震災直前 同等まで
8割程度
半分程度
回復 半分以下
全く 回復せず
変化なし
707 145 197 166 32 18 10 139
% 13.7 29.6 20.2 3.5 2.2 1.9 28.9
■人口減少時代の到来,交流人口の伸び悩み
【今後重視する項目】
53%の企業が人材確保
や販路拡大を挙げる
調査数
人材確保 育成
販路拡大
技術向上
マーケティング強化
設備投資
新製品開発
その他
664 191 161 52 46 44 41 129
% 28.8 24.2 7.8 6.9 6.6 6.2 19.5
外国人観光客 2010年 2014年
東北 505,400人 341,270人
仙台 90,706人 68,844人
人口 2013年 2014年
東北 909.5万人 903.6万人
仙台 106.9万人 107.3万人
宿泊者数
●「学都仙台」としての差別化の徹底
●市民・行政・企業が一体となった支援体制の整備
●新展示施設オープンや東西線開通を受けた、
大規模会議への対応能力の強化
過去最高値
震災による
激減
→
単位(人)
■外国人宿泊者数の推移
実現に向けたロードマップ
震災復興計画最終年(平成27年)までに震災前水準に回復
平成29年までに外国人宿泊者数の過去最高を目指す
海外プロモーション
事業開始
55,871
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仙台市の取り組み⑥(インバウンド)
震災後の課題②
68,834
★ 東北は厳しい状況にあり,地域経済の持続的な発展や風評被害の払拭には,
東北の官民が一体となった連携強化が必要
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震災後の取組①
東北の連携
◆東北六魂祭
震災4か月後の2011年7月、東北六市等が民間企業と連
携し、鎮魂、震災への支援の感謝・復興を発信のため、東北六祭りを一同に集めた「東北六魂祭」を仙台で開催、その後継続実施
◆ミラノ万博での東北10祭りのパレード
2015年7月11日、六市はもとより、国や民間企業と連携し、ミラノ万博での東北10祭りのパレードを実施し、ミラノから支援への感謝と東北の復興を発信
◆アメリカでの物産展「Rising Tohoku Food Fair」 2014年10月、東北六魂祭で培った六市の連携を活かし、地元商
社と連携、カリフォルニアを始めアメリカ4箇所(トーランス、サンノゼ、シカゴ、ニュージャージー)で開催
仙台市・東北六県
東京都
交通
事業者
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震災後の取組②
国内外からの誘客促進
仙台空港の民営化によるゲートウェイ機能の強化
2016年7月には仙台空港が国管理空港として初め
て民営化予定。効率的かつ柔軟な運営が実現することにより、LCCを含めた航空路線の誘致など、空港の
機能強化が期待され、宮城県や地元経済界、空港運営権者とも連携し空港活性化に取り組む
仙台市・東北六県と東京都が東京オリンピック・パラリンピックに向けて観光連携
2015年4月、仙台市・東北六県・東京都・交通事業
者などで復興支援のために観光連携協定を締結。東京オリンピック・パラリンピックへの来訪者に東北にも立ち寄ってもらうための招請事業・WEBでのPRなど共同観光プロモーションを開始
東京・東北地域の連携による
外国人旅行者誘致推進協議会
仙台空港
震災後の取組③
復興支援への感謝、復興の発信、地域経済の持続的発展、風評被害の払拭などを図るため、経済団体、東北大学や会議運営事業者(PCO)など地域全体が連携して国際会議の誘致を推進
■第67回IMF世銀総会特別イベント 「防災と開発に関する仙台会合」 開催時期:2012年10月9日~10日
参加者:約320人
■世界防災閣僚会議in東北 開催時期:2012年7月3日~4日
参加者:約700人
■東北大学と仙台市において、 「コンベンションの誘致・開催における連携・協力に関する協定」締結 締結時期:2012年10月
【その他会議開催実績・予定】 ■ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁代理会議(2011年12月開催/約150人参加) ■世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)仙台サミット(2012年4月開催/約700人参加) ■第3回国連防災世界会議(2015年3月開催/約6,500人参加) ■2016年サミット財務大臣・中央銀行総裁会議(2016年開催予定)
国際会議の誘致
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震災後の取組④
・日本で開催された国連関係の国際会議としては、過去最大規模。国連に加盟する187ヶ国、 約6,500人が出席し、シンポジウム等の関連イベントには延べ15万人以上が参加 ・主会場となる国際センター展示棟を2015年1月に新設。
第3回国連防災世界会議2015年3月仙台開催
インバウンドや国際会議の誘致をさらに進めるには、来訪者の満足度を高めるためのおもてなしと受入環境の整備が必要
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おもてなし・受入環境整備 -多言語による情報発信①-
多言語のガイドブックの作成
◆仙台観光ガイドブック
• 外国人個人旅行客(FIT)の利用を想定した観光コース、選定した飲食店、旅館、ホテル、広域的や詳細な地図を掲載
• 携帯しやすいA5版、約65ページ
• 5言語(英語、繁体字、簡体字、ハングル、タイ語) • 海外の旅行博覧会、JNTO海外事務所、仙台市観光案内所等で配布
• 仙台市ホームページにも掲載し、ダウンロード可能
◆現地で出版したガイドブック
タイ、香港などの現地の旅行雑誌や旅行作家等と連携し、仙台、東北のガイドブックを制作
◆関係団体と連携したパンフレットの多言語展開
仙台空港を起点とした東北の食、観光地、飲食店情報・周遊券・中心部マップなどの情報についても、仙台空港国際化利用促進協議会等と連携し、英・中・韓・タイなど4言語で展開
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WEBサイト
「Sendai Restaurant Shopping Guide」
外国人観光客への飲食店やショッピングの情報提供
外国語メニューのある飲食店や物販店の情報を日・英・繁・簡・ タイの5言語で情報提供。
事業者への外国人受け入れ態勢支援
• 外国語メニュー作成支援
英語・タイ語・繁体字・簡体字・韓国語・日本語の多言語メニュー
をWeb上で簡単に作成し、印刷可能。
• 外国語接客支援ツールの提供
指さし様式で接客できる外国語接客支援シートをダウンロード
可能。
• 外国人対応のすすめ
店舗で外国人対応を行うためのポイントをまとめた資料を提供
• セミナー情報
外国人客対応のためのセミナー情報を掲載
おもてなし・受入環境整備 -多言語による情報発信②-
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英語、中国語、タイ語でのSNSの展開
仙台の観光・イベントの情報をタイムリーに配信するFACEBOOK、ウェイボーなどSNS
による情報発信により、特にインターネット上の情報を重視するFIT層を中心に、通常のパンフレットでは得られないコアな情報の発信や、口コミによる情報発信を目指す。
仙台市タイ語版FACEBOOK
約60,000いいね
仙台市英語版FACEBOOK
約30,000いいね
仙台市中国語
新浪微博(ウェイボー) 約53,000フォロワー
おもてなし・受入環境整備 -多言語による情報発信③-
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災害時の多言語による情報発信
◆仙台市災害多言語支援センターの設置
大規模災害発生時に、仙台国際センターに設置。外国人住民や外国人旅行者など、言葉や習慣の違いから情報を入手しにくく、支援を受けられない恐れのある方を支援するため、必要な情報を収集し、多言語化して提供。通訳スタッフと一緒に避難所巡回も行う。東日本大震災時も2011年3月11日から4月30日まで設置。
◆多言語表示シートの避難所への配置
避難所に避難した外国人住民・旅行者の避難所での不安を少しでも解消するよう、避難所での必要な表示・注意事項等についてあらかじめ多言語での表示した多言語表示シートを各指定避難所に配備。
◆災害時の多言語「指差し対話集」作成協力
観光庁が作成した災害時の指差し対話集の作成に
宮城県・松島町などとともに協力。
おもてなし・受入環境整備 -多言語による情報発信④-
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多言語での歩行者系案内誘導サインの整備 平成26年度に「仙台市歩行者系案内誘導サイン等基本方針」を制定し、国連防災世界会場周辺の観光サイン104か所について、伝達性、連続性、景観に配慮し新規設置や改善を図った。
①駅など行動の拠点となる場所から目的地まで重要度に応じて情報を階層配置
②視認性の向上:ピクトグラム、市独自の施設アイコンの表示
③多言語表記:日本語、英語を基本とし、重要施設については4か国語(日、英、中(簡)、韓)を表記
④主要なサインについては、QRトランスレーターを掲載し、スマートフォンで読み取ると15か国語で解説
おもてなし・受入環境整備 -サイン・WiFi環境整備①-
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無料Wi-Fi環境の整備
• 今年3月の国連防災世界会議に合わせ、仙台城跡に「Sendai Free Wi-Fi 」サービスをスタート。
• 今後、個人旅行者向けの対応を強化するため、市内周遊バス「るーぷる仙台」の車内とバス停、仙台駅の観光案内所などに整備予定。
民間と連携したWi-Fi環境の整備
• NTT東日本(株)様と連携し、外国人向けWi-FiのID・PWカードを観光案内所等で配布。
• 市内商店街と連携し、市内中心部アーケード街で無料Wi-Fi環境を整備
おもてなし・受入環境整備 -サイン・WiFi環境整備②-
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SIMカード自動販売機の設置
• 外国人旅行客のインターネット接続環境の改善のため、So-net(株)様と連携し、仙台空港にSIMカード自動販売機を設置。(国内では関西国際空港に次いで2例目)
• 自動販売機には、「Welcome to Sendai, Miyagi」のメッセージとともに、仙台・宮城の
観光地の写真と「むすび丸」イラストをラッピング。このようなラッピングをしたSIMカード自動販売機の設置は全国初。
通信容量 価格
1GB 3,000円
3GB 5,000円
おもてなし・受入環境整備 -民間との連携①-
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仙台市を訪れる外国人への一層のサービス向上を図るため、宮城県タクシー協会と連携し、市内を走るタクシーに「タクシー楽々対応シート」を配備し、研修会を行うなどし、外国人観光客の市内での移動利便性を向上。
シートには、行先の確認、支払、クレジットカード支払いの可否などに関する文例を記載し、該当部分を指さすことで必要なコミュニケーションをとることができる。
タクシーの指さしシートの制作
おもてなし・受入環境整備 -民間との連携②-
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外国人向けの買い物環境の整備
飲食店、小売店向けの免税に関するセミナーの開催
2014年 7月 インバウンドセミナー
・消費税免税制度の改正やショッピングツーリズムに関する講演を実施
2014年10月 ショッピングツーリズム検討会
・市内中心部小売店舗を中心に外国人のショッピング促進の具体的方策を検討
H26.4.1 H26.10.1 H27.4.1
免税店数(県内) 58 94 267
2014年12月から東北から初めて仙台地域
としてジャパンショッピングフェスティバルに主催団体であるジャパンショッピングツーリズム協会と連携
おもてなし・受入環境整備 -民間との連携③-
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外国人留学生と連携した取組
ムスリム・ベジタリアン向け情報ページ掲載
• ムスリムの外国人留学生と協力して市内飲食店等を取材し、WEBでムスリム向けの配慮が可能な施設の情報を掲載。
外国人モニターツアーの実施
• 市内在住の留学生が地下鉄などで移動し、観光資源等を視察。外国人の意見を、今後の観光資源づくりに生かす。
おもてなし・受入環境整備 -市民・留学生との連携①-
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・国連防災世界会議開催に向けて、語学ボランティアを募集し、語学レベルの把握、 おもてなし研修の実施などにより、会議、パブリックフォーラム、懇親会等で活躍。 ・会議終了後、ボランティアの方々には国際会議開催時や観光での語学ボランティア として登録する「ボランティアバンク」を創設。
■活躍する語学ボランティア
語学ボランティアの活用
おもてなし・受入環境整備 -市民・留学生との連携②-
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外国人おもてなしセミナーの開催
①8月26日 第一回外国人観光客おもてなし英語セミナー
②9月 2日 第二回外国人観光客おもてなし英語セミナー
③10月22日 店外表示作成ワークショップセミナー
④11月 4日 タイ人観光客おもてなし対策セミナー
⑤11月27日 中国人・台湾人観光客へのおもてなし対応セミナー
⑥1月27日 外国人観光客おもてなしセミナー(外国人パネルディスカッション編) ⑦2月18日 外国人観光客おもてなしセミナー(国連防災世界会議直前対策編)
• 3月の国連防災世界会議開催に向けて、宿泊施設・飲食店等の従業員などを対象に、計7回にわたりおもてなしに関するセミナーを開催
おもてなし・受入環境整備 -おもてなしの心-
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まとめ
■官民連携
• 東北、首都圏などの官民一体となった連携
• 特に、交通事業者、旅行会社、IT事業者、クリエイターなどの専門分野を持った民間事業者のほか、現地旅行会社や地元留学生など現地の事情に精通した方との連携
■効果的な案内表示と情報発信
• 案内表示板の整備と紙媒体、WEBサイト、SNSなどの多面的な情報発信
■ICTの活用
• 無料Wi-Fiエリアの拡大、SIMカードなどのスマートフォンの利用環境の拡大と活用
■おもてなしの心
ご清聴ありがとうございました