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同志社大学文化情報学部 矢野 環 今は 文献学 芸道 等であるが、 昔の理学部的な話となります 泉先生は Typology のはずであった。 私も実は、縄文土器のフーリエ記述子 関連のことを指導したこともあるが・・ 1
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Clocks 2013.2.22

Jul 06, 2015

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Yu Fujimoto
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同志社大学文化情報学部

矢野 環

今は 文献学 芸道 等であるが、

昔の理学部的な話となります

泉先生は Typology のはずであった。

私も実は、縄文土器のフーリエ記述子

関連のことを指導したこともあるが・・1

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時計の原器 sheets 2-5

体内時計 7-15

分子時計 17-51

タイムリーな企画なのです

2011年だとまだはっきりしない

終章 53-56

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時間は何で測る? 時計

いわゆる 時間 原子時計 セシウム

2012年10月 イッテルビウム光格子時計(日本)が、国際規格の参考にされた

細かい時間が解る ⇒ 相対論効果確認

相対論は様々な実験で裏付けされているが、なお仮説である。「時計」で確認できるか?

確かに、原子時計を置く場所で異なるとか

本日は、この方向は無し

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2011年11月 昇格

137億年(宇宙の年齢)で1秒の誤差程度

誤差 1秒/300億年 にできるとか

セシウム原子時計 3000万年に1秒

8000万年で一秒 にもできるとか

光格子時計は8月に、6500万年に1秒という精度を確認したとされる(詳細をしらない)

香取秀俊氏は、准教授のときに開発した

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今、太陽電池電波時計は1万円もしない

1969年に、セイコーが腕時計アストロンを発表した時、45万円だったという。現物を見た記憶がある。スマートなものだった。

そのあとでどこだったか(といっても、シチズンしかないが)、液晶表示(多分水晶振動子だが、音叉かもしれない)の腕時計が25万円ほどだった。更に、バカでかい(縦方向に)不細工なデザインだった。それを、私の目の前で本当に買って行った人がいた。四条河原町の寺内時計店だが、その場所に今店は無い。

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大腸菌など

藍藻

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体内時計

(人間やネズミでも)視交叉上核にあり(主時計)、松果体からメラトニン で眠りへ 目に光でreset etc.というのが古典的 but盲人が時差ボケ

某実験(サイエンスに出たレベルだが)目ではなく、膝の裏に光センサーがある?

最近の説 すべての細胞が体内時計を持つ

2012年 理研 細胞内体内時計は、3種類の物質から構成できると、スパコンシミュレーションタンパク+結合酵素+解除酵素

上田 泰己 (東大、理研)37 血液から時計のズレを検出 http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2012/120828/detail.html

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昔は 藻 今は 細菌

葉緑体の本家。植物の元祖ではない。

光合成 遺伝子の水平移動 Horizontal

transmission があったか?

文献学 混態! 系統の混雑

体内時計 で著名

Tracking and Visualizing the Circadian Ticking

of the Cyanobacterial Clock Protein KaiC in

Solution これは名大 近藤孝男教授代表グループ The EMBO Journal 速報 2010.11.26

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最後の秋山修志氏(当時名大講師。京大分子工学出身。現:分子科学研究所教授)が、問い合わせの場合の筆頭代表です。実際の研究の中心でもある。

一般向けの書籍 秋山 修志, ”タンパク質によって操られている体内時計” 「放射光が解き明かす驚異のナノ世界」,講談社ブルーバックス(2011) もあり。

大学病院では、手術は教授よりも講師にお願いするのが良いという場合も多いとされる。

私立大学で、助教 講師 准教授 教授 という布陣にしているところはよくある。例えば、武庫川女子大学。

同志社の多くの学部は、講師 は実質なくて、全部准教授にしてしまうので、他大学の 講師 を軽視する人も現れる。遺憾なこと。

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Takeya Kasukawa, Masahiro Sugimoto, Akiko Hida, Yoichi Minami, Masayo

Mori, Sato Honma, Ken-ichi Honma, Kazuo Mishima, Tomoyoshi Soga, and

Hiroki R. Ueda: “Human blood metabolite timetable indicates internal

body time”. PNAS, 2012,doi/10.1073/pnas.1207768109

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用いた SPring-8 は、世界最高輝度 大型放射光施設 (播磨科学公園都市) 光速に近い電子を磁界で曲げたときに生じる電磁波を観測

世界最高です 二位じゃだめなんですか?

http://www.youtube.com/watch?v=d_MTjeK6d2c

2004年にKaiABC(=回)の基礎研究がある。

周期の様子 は次のシートに 下記URLより

左は24hではない。

www.jst.go.jp/pr/announce/20101127/ index.html

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分子時計

1962 Emile Zuckerkandl and Linus

Pauling(この年、ノーベル平和賞。1954年にノーベル化学賞 <DNA三重螺旋説も>)

ヘモグロビンのα鎖の、動物間の転移座を数えた <相違度 というわけです>。それと、化石での分岐年代を比較。

その後、DNAの安定性を見る手法<混合したとき、どの程度の熱で分解するか>など、さまざまに精密化されてきた

しかし・ 問題点も様々露わになり・・・

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4部分で構成 α鎖、β鎖 2個づつ

http://en.wikipedia.org/wiki/Hemoglobin

このαには 141個のアミノ酸、βは146個

動物によって、構成は異なるが、長さは同じであるという性質がある。このαの部分を、色々な動物で比較します

もうちょっとよく見てみましょう。

ヘモグロビンに限らず、分子構造をみるソフトウェアを使いましょう。フリーです。

<画面変更> Cn3D

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1968 木村資生(京大理学部)1924-94

Evolutionary rate at the molecular level. Nature 217:624-6.

1969 Jack L. King & Thomas H. Jukes

“Non-Darwinian Evolution”

ダーウィンの自然淘汰説への対立仮説と理解されたが、本人はそうではないとする。

木村はダーウィンメダル 日本人で一人1992

遺伝子レベルの突然変異は、自然選択に対して中立(有利でも不利でもない)。たまたま突然変異体が固定されたもの。適者生存はあってよいが、たまたま残ったものも多い。

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数学的原理に裏打ちされていた

中立説は、分子時計の成立基盤でもある。

中立説のエビデンス(いくつかの分野では、このカタカナ表記が好まれる。生物学でそうだということではありません)

ヘモグロビン偽遺伝子 何らかの原因で重複したが、遺伝子機能を失い、形質として発現した表現型(phenotype)に効果がない。その部分の突然変異は中立。かつ、進化速度は非常に速い。

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1962 Emile Zuckerkandl and Linus

Pauling(この年、ノーベル平和賞。1954年にノーベル化学賞 <DNA三重螺旋説も>)

クラスター分析

& ⇒ 分子時計

線形回帰

文化情報学部学生ならできる??

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ヒトハツカネズミ

ウマニワトリ

イモリ

コイ サメ

ヒト 0 16 18 36 62 68 79

ハツカネズミ 16 0 22 39 63 68 79

ウマ 18 22 0 40 64 67 77

ニワトリ 36 39 40 0 63 72 83

イモリ 62 63 64 63 0 74 84

コイ 68 68 67 72 74 0 85

サメ 79 79 77 83 84 85 0

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相違点が多いほど、昔に分岐したのだ。

では、どうやって、いまの相違点から分岐の時期を推定するのか。

相違点データから、分岐するダイアグラムを作ろう。その他との分岐タイミングは、その他との相違点数の平均でいいだろう。つまり

ヒト ハツカネズミウマ ニワトリイモリ コイ サメ average

ヒト 0 16 18 36 62 68 79

ハツカネズミ 16 0 22 39 63 68 79 16

ウマ 18 22 0 40 64 67 77 20

ニワトリ 36 39 40 0 63 72 83 38.333

イモリ 62 63 64 63 0 74 84 63

コイ 68 68 67 72 74 0 85 69.8

サメ 79 79 77 83 84 85 0 81.167

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実は、相違点数を距離とした、averageによるクラスタ分析に他ならない。

サメ

コイ

イモリ

ニワトリ

ウマ

ヒト

ハツカネズミ

10

20

30

40

50

60

70

80

Cluster Dendrogram

hclust (*, "average")

dhem

Heig

ht

16

20

38.333

63

69.8

81.167 26

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今、理論生物学でクラスタ分析を使うのは、例外的です。1970年代の論争により、1980年代にはすでにクラスタ分析は理論生物学から排除されていた。

しかし、1962年頃なら、使います。

ともかく、相違個数と「線形」に時間が経過したという暗黙の仮説をおいている。

さて、問題はこれをどういう実年代と当てはめるかですが・・・

証拠は化石しかないな・・・

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分岐が明確なもの、といっても、意見は様々別れるでしょう。合意の出来る範囲で、分岐の明確なのと、相違個数との比較をおこない、実年代あたりの相違個数を考える。

おおざっぱに言って、550万年くらいで、1箇所の相違となる。ここでは、線形回帰を用いて法則を決める(原点を通る)

ヒト と ゴリラ は1つの相違だから、550万年くらい前かな、ということになる。超大雑把だが、結構あたっている。

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http://ksgeo.kj.yamagata-u.ac.jp/~kazsan/class/chronology/biomolecular_clock.html

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ヒト

ウマ

ハツカネズミ

ニワトリ

イモリ

コイ

サメ

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瀬名秀明 東北大学大学院薬学研究科博士課程(今でいう後期課程)在籍中に

1995 パラサイト イブ 日本ホラー小説大賞

1997 映画化 葉月里緒奈

つまりは、ドーキンス の利己的な遺伝子への実質的反論のようにもみえる。

尚、父はインフルエンザ研究者 鈴木康夫(中部大学)

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mtDNA Eve

Y-MRCA

ミトコンドリアDNAは、基本的に母系遺伝する。ただし、父系から入り込む部分があることも確認されている。最終的に起源を求めると、16±4万年前のイブを見出す。

Y-染色体の特異領域にある遺伝子変異からさかのぼると、アダムが求まる。男子は6万年くらい前までしか行けない。

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Rebecca L. Cann; Mark Stoneking & Allan C.

Wilson (1987). “Mitochondrial DNA and

human evolution”. Nature 325: 31 - 36.

147人の各国人を調べたというが、実はアフリカ人とした殆どが、アフリカ系アメリカ人であった。

また、提示された系統樹よりも総長の短い系統樹があることが指摘された。

専門的にはそういうことを考慮せねばならないが、大筋ではあっているとみなされる。

別の確認でも、18万年ほど前に先祖がいる。

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Peter A. Underhill; et al. (2000). “Y

chromosome sequence variation and the

history of human populations”. Nature

Genetics 26: 358 - 361.

男性は6万年まえくらい、という事ではない。

しかし、とかくY染色体(男系にのみ伝わる)は途切れやすい。

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オスの生殖細胞形成の際の分裂回数がメスに比べてはるかに多く、その結果複製ミスによる塩基の置換が発生しやすい

つまりは、精子の染色体には、その人の遺伝子とは異なる部分が十分に生じる。

しかも、20歳男性の精子に比較して、36歳男性の場合、その「異なる部分」は2倍になる、という報告もある。

しかし、個人差はあるでしょう。

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当初からかなり最近までは全くの線形理論

これまで、おかしいとされたことも順次解決。

しかし、どうにも矛盾が激しい部分が出る。

結局、非線形、もしくは、区分線形で考えるべきではないのか。種(その概念が何かはまた議論の的)が成立したら、以前の先祖とは異なる分子時計が刻まれてもよい。

また、モンテカルロシミュレーションも極度に発達してきた。焼き入れ1万回、本番5万回など日常茶飯事。

ともかく、イベントは古い方向に動いている

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1st MC マルコフチェイン

2nd MC モンテカルロ

BayesPhylogenies

枝による進化速度の違いの問題が軽減される。とはいえ、すごい計算量。

(WinBugs+R2WinBUGS -->) OpenBugs+Brugs or R2OpenBUGS, jags+rjags という組み合わせもRで可能

R 独自に MCMCpack をはじめとして、いろいろある。一番最初の 説明はR News, 6(1):2-7, March 2006

語呂合わせで MCmcmc もある

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実際にどう遺伝するのか

新生児と親を比べればよい。いままで、なかなかできなかった。

病気の遺伝子の追跡は2003から

また、David Reich に注目を

衝撃的な論文も出している

また、yuihaga.blog.fc2.com にも引用あり

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ネアンデルタールと現人類の分岐は

70万年から17万年前

この程度の誤差はしかたない。

なお、Reich は現代のヒトに、ネアンデルタール人の痕跡があるという論文も。

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確実なオランウータン 1300万年前にある。また、その先祖系統かと思われるのが、ラマピテクス(かつて人類の祖先とおもわれていた)で、1400万年前。

なお、チンパンジーやゴリラの古い化石は見つかっていない。

これまで、オランウータンの分岐は1100から900万年前とされていた。それ以前とすべきなのでしょう。

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分岐は600-400万年前とされる。

700-600万年前 Sahelanthropus

600万年前 Orrorin

580-440万年前 Ardeipithecus

などと、ピッタリ合っている。2002年にはそれで確証となっていた。だが・・・

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2012年8月 アイスランド

78組での変異率は完全なゲノム解読

すべての新生児に36か所の自然な変異がある。30億塩基対からいうと微細。

その他すべて

任意の塩基部位で 1.2x10^-8 変異

年に部位あたり 24億分の1

(但し、世代間隔を29年とする)

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出アフリカ 9-13万年前

以前は 7万年前以前。すると、中東や北米の10万年前のものは、「出アフリカの失敗」

Human – Neandertal 分岐 40-60万年前

35-60万年前とするハイデルベルゲンシスの化石(先の頭蓋骨)とよく合う。それはネアンデルタールの祖先。

昔は 27.2-43.5万年前

しかしながら、これらも異論はあり、さらに合わなくなったものもある

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Human – オランウータン 34-46百万年前

昔の説では 13-14百万年前

オランウータンの化石は 900-1390万年前まで

Human – チンパンジー 8-10百万年前

(細かく言うと 830-1010万年前)

これは早すぎるとされる

昔の説では 4-7百万年前

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変異率は進化の最初には早く

アフリカ類人猿で遅くなり

人類進化でさらに遅くなった

という説は30年前にあった

Linda Visilant はそれを採用

人間ーチンパンジー

700-1300万年前

世代間隔の問題

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マイクロサテライトの変異をみる

12億分の1から20億分の1

人間ーチンパンジー

370-660万年前

よさそうだが、サヘラントロプスは?

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大きなゲノム、大きな個体数は、変異率を遅くする

あれやこれやで、いまは混乱状態

しかし、分子時計の考え方、中立説 は正しいと認められている。

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生物的な 中立説 はあるいみ正しいが、平行した議論は到底できない気配もある。

全然 写本クロック が進まないこともある。また、発現する部分と、内部徴証とが整合する訳ではない。

つまり、江戸写本でも、為家(1198-1275)の写本そっくりのこともある。右は定家本人の臨書。

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大阪 青山大学

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