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参考資料 複写機等の現状
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総合資源エネルギー調査会省エネルギー基準部会( …...- 6 - 3.省エネ法基準達成状況 (1)省エネ法判断基準区分...

Jul 11, 2020

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参考資料

複写機等の現状

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目次

複写機由来の複合機の市場動向について

1. 複写機由来の複合機の市場動向について ・・・・・・・・ 3

(1)複写機・複合機の構成と定義

(2)国内出荷実績

2. 国内主要製造業者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

3. 省エネ法基準達成状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

(1)省エネ法判断基準区分

(2)エネルギー消費効率改善状況

4. 省エネ技術への取り組み ・・・・・・・・・・・・・・ 7

(1)待機電力の低減技術

(2)省エネ技術への取り組みによる改善効果

5.今後の省エネ技術への取り組みと課題 ・・・・・・・・ 11

プリンタ由来の複合機の市場動向について

6. プリンタの種類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

(1)プリンタ

① インクジェット方式

② 電子写真方式

③ その他の方式

(2)複合機

① インクジェット方式

② 電子写真方式

③ その他の方式

7. 市場規模(出荷動向) ・・・・・・・・・・・・・・・ 16

(1)プリンタ全体

(2)インクジェット

(3)国内製造・販売事業者

8. 省エネに対する取組み ・・・・・・・・・・・・・・・ 18

(1) 国際エネルギースター基準について

(2) インクジェット方式プリンタ/複合機

① 現状

② 省エネ技術

(3) 電子写真方式プリンタ/複合機

① 現状

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② 省エネ技術

(4) その他のプリンタ/複合機

9.まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21

ファクシミリ由来の複合機の市場動向について

10. ファクシミリの市場動向について ・・・・・・・・・ 22

(1)ファクシミリ単体機・複合機の構成と定義

(2)国内出荷実績

11.国内主要製造事業者 ・・・・・・・・・・・・・・ 23

12.複合機における省エネへの対応状況 ・・・・・・・・ 23

(1)省エネ法判断基準区分

(2)年間エネルギー消費量改善状況

13.省エネ技術への取り組み ・・・・・・・・・・・・・・24

14.今後の省エネ技術への取り組みと課題 ・・・・・・・・24

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複写機由来の複合機の現状

1.複写機・複合機の市場動向について

(1)複写機・複合機の構成と定義

複写機・複合機は、外見上からデスクトップタイプとコンソールタイプがあり、

一般的なオフィスではコンソールタイプ(図1)が多く使われており、下記

のような構成から成っている。

マーキング技術としては、電子写真(EPと略す)を利用したものが殆どで、通

常、感光ドラム上にトナーと呼ばれる粉体現像剤で画像を形成し、普通紙に転

写する間接静電式である。転写後の普通紙は、熱と圧力を加えトナーの定着し

印刷物が完成する。

尚、90年代前半までの複写機は、アナログ方式(図2)が主流だったが、現在は

殆んどデジタル方式である。デジタル方式では、原稿画像をCCD等で読み取

り電気信号化し、画像処理の後、レーザー等で再び光信号に戻し、印刷を行っ

ている。レーザー等による印字部(図3)は、プリンタと同様の書込み方式と

なる。 (図2、図3は日経 BP のWebより引用)

(原稿像が光学系を介して感光ドラム上に直接投影)

図2.アナログ方式 図3.デジタル方式

自動原稿送り装置

印字部(書込み)

スキャナー部(読取り)

大容量給紙デッキ

フィニッシャー

図1.コンソールタイプ

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従来のスタンドアロンのアナログ複写機が、デジタル方式に置き換わったこと

で、複写機に拡張性が備わり、多機能な複合機へと発展してきた。

デジタル複合機では、従来の複写に加え、プリントやファックス、スキャナー

などの機能が搭載され、さらに、LANなどネットワークへの接続も加わった

ことで、オフィスにおける中核機器として役割を果たしている。

①複写機の定義

紙などの画像原本からハードコピーの印刷物を生成することを唯一の機能

とする画像製品。尚、オプションの装着により複合機になるものがある。

②複合機(MFD: Multifunction Device)の定義

複写、プリント、スキャン、またはファックスのうち2つ以上を標準機能

として有する画像機器。

(2)国内出荷実績

図4は、国内に於ける直近8年間の電子写真方式の複写機(複合機器を含む)の

出荷状況である。総量として大きな増減は見られないが、デジタル化、カラー

化の流れが顕著である。また、アナログ機の出荷はまだあるが、新製品は皆無

である。

図4.出荷実績グラフ

注)P17 図4 プリンタ国内出荷実績グラフ(台数)の台数と重複がある。

複写機・複合機の国内出荷実績(台数)

0

100

200

300

400

500

600

700

800

平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年

千台

デジタル機(カラー)

デジタル機(モノクロ)

アナログ機(モノクロ)

アナログ機(カラー)

JBMIA自主統計より

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複合機には、インクジェットと呼ばれる電子写真方式(EP)とは全く異なる

マーキング技術を利用した複合機があるが、上記図4には含まれていない。

参考:

昨年行なわれた「複写機等エネルギー消費効率検討会」での、複写機・複合

機の普及台数調査では、図5のような状況である。

図5.普及割合

上記調査結果による電子写真(EP)方式複写機・複合機の普及台数の内訳を図6、7に

記す。

図6.複写機普及割合 図7.複合機普及割合

2.国内主要製造事業者(50音順)

NECアクセステクニカ株式会社、株式会社沖データ、キヤノン株式会社、

コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社、京セラミタ株式会社、

三洋電機株式会社、シャープ株式会社、セイコーエプソン株式会社、

東芝テック株式会社、パナソニックコミュニケーションズ株式会社、

富士ゼロックス株式会社、ブラザー工業株式会社、村田機械株式会社、

株式会社リコー

インクジェット複合機は、普及台数は多い

が、定着に熱を使用しない方式が多く(自

然乾燥)、電子写真方式に比べエネルギー

消費は非常に尐ない。但し、印字速度が遅

いためパーソナルユースが中心でオフィ

スでの使用は尐ない。

普及台数(割合)3%

87%

10%

モノクロ複写機

カラー複写機

大判複写機

普及台数(割合)2%

56%

42%

モノクロ複合機カラー複合機大判複合機

普及台数(割合)

83%

13%

0%4%

EP複写機

EP複合機

インクジェット複合機

インクジェット複写機

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3.省エネ法基準達成状況

(1)省エネ法判断基準区分

現行の省エネ法ではモノクロの複写機が対象であり、複写機のエネルギー消費

効率を区分ごとに出荷台数により加重平均した値が基準エネルギー消費効率

(表1)の数値を上回らないようにする必要がある。

表1.省エネ法区分

・86枚以上は対象外である。

(2)エネルギー消費効率改善状況

2000年度からの各複写速度区分におけるA3機の業界全体における改善推移を

図8に示す。

図8.複写機の省エネ基準に対するエネルギー消費効率改善推移

各速度区分ともトップランナー方式の施行当初から継続的な改善が行われ、基

準値(100%)を大きく上回るエネルギー消費の低減が達成できている。

特に、オフィスで多く使われ、全体への環境に影響の大きい 21~50枚では、技

術開発の努力により、大きな改善がされている。尚、各区分とも飽和傾向が見

られ、改善率を維持することが難しくなりつつある。

エネルギー消費効率の改善推移(ECCJ:省エネ性能カタログ:コピー機)

各速度区分毎の基準値を100%とした時の登録製品平均値

0%

20%

40%

60%

80%

100%

120%

140%

2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年

基準

エネ

ルギ

ー消

費効

率_割

11~20枚

21~30枚

31~40枚

41~50枚

51~60枚

61~70枚

71~80枚

81~85枚

複写速度区分(CPM) 2006年度目標基準値(Wh/h)

A4機 B4機 A3機 A3Y機~10 11 17 19 27

11~20 17 20 55 7721~30 69 85 99 13931~40 88 108 125 17541~50 123 151 176 24651~60 144 176 205 28761~70 180 221 257 38371~80 200 246 286 43381~85 258 317 369 483

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4.省エネ技術への取り組み

複写機・複合機では、普通紙へのトナーの定着処理に熱を使っており、定着装

置での電力消費の割合が多くなっている。また、オフィスユースではコピーやプ

リントの要求があった時に即座に使用可能とするため、定着装置を暖めた状態で

機器を待機させる使われ方が一般的である。このためコピーが行われていない待

機中の電力を削減する技術開発が行われてきた。

現行の省エネ法での、エネルギー消費効率の測定方法に対応させると図9のよう

になる。現行法は 1日 8時間の就業時間に合わせた稼働時間の消費電力量を対象

にしたものであり、朝の電源スイッチオンからの1時間を想定したAパターンと、

その後のコピーと待機の繰り返しを想定したBパターンからなっている。上記の

待機時の電力削減は、コピーが行なわれていない時間帯(図のグレー部)に該当

する。

(1)待機電力の低減技術

待機電力の低減は、当初は、コピーが終わると電源スイッチを自動的に切るこ

とからスタートした。

しかし、再度使う場合の待ち時間が長く、使い勝手が良くないため、タイマー

による段階的な定着電力の抑制へ移行した。さらに、定着装置のウォームアッ

プタイムを短縮し、待ち時間を改善する技術が開発されている。

複写機と複合機は、主にネットワークへの接続の有無で分けられるが、複合機

化の伸展により、夜間も含めた 24時間の使用が増加している。これに呼応し、

タイマーによる節電を更に進化させ、夜間または長時間使用しない場合はネッ

トワークに応答する部分だけを残して、他の部分への電力を遮断するスリープ

技術が開発され市場に供給されている。

図9.省エネ法の測定パターン

ウォームアップ

コピー低電力

オフ

Aパターン:1h Bパターン:1h

リカバリ

レディー

コピー

電力

レディーオフ低電力

 図の用語

用 語 状 態

ウォームアップ 電源スイッチオンからの起動

リカバリ オフ/低電力からの起動

レディー すぐコピーが可能な待機状態

低電力 定着温度を下げた状態

オフ 定着をオフした状態

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①タイマーによる節電技術

消費電力の尐ない省エネモードへの移行をタイマーにて行うもので、移行時

間は使用者の使用条件に応じて選択することができる。また、移行条件もコ

ピー動作終了後の時間、所定の時刻などから選択可能である。

この節電技術では定着装置への通電の抑制や遮断を行うため、省エネモード

を解除したときに復帰時間が必要となる。

このためタイマー方式が単独で用いられることは尐なく、定着装置のウォー

ムアップタイム短縮など他の低減手段と併用され、使い勝手の向上が図られ

ている。表2にタイマーによる節電技術を示す。

表2.タイマーによる節電技術

②定着装置のウォームアップタイムの短縮技術

複写機の電源スイッチオン時や省エネ状態からの復帰時に、定着装置が普通

紙へのトナーの定着に必要な温度となるまで、待ち時間(定着装置のウォー

ムアップタイムやリカバリータイム)が発生する。

待ち時間は主に、定着装置の熱ローラーの熱容量に左右されるが、トナーの

定着性やカラー画像における光沢性など、画質への影響もあるため、両者の

バランスを保ち種々の方式が開発されている。

次頁、表3に各種の定着装置のウォームアップタイム短縮技術を示す。

また、一般的な定着装置を図 10に示す。加熱したローラー間に、トナーが

転写された普通紙を通し、トナーの定着処理を行っている。

図10.一般的な定着装置

56%

方式 機能 特徴

A 低電力モード

コピーが完了すると所定時間後に、定着装置の温度を通常よりも低い状態に設定することで節電する。

・定着装置が使用可能な温度へ復帰するまで待ち時間が発生する。・待ち時間はBやCよりも短い

B オフモード

低電力モードを更に進めたもので、低電力モードが所定時間継続した時に、定着装置を含む大部分の通電を遮断することで節電する。主に複写機に搭載される。

・Aよりも省エネ性能が高い・Aよりも待ち時間は長いが、原稿の読み込み等を先行して行う工夫をしている。

C スリープモード

ネットワークに接続された他の機器からプリント指示やファックス受信などを受付ける部分を残して通電を遮断する。主に複合機に搭載される。

・省エネ性能はBと同様に高いが、ネットワークの影響を受ける事がある。

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表3.定着装置のウォームアップタイム短縮技術

尚、B、C、Dなどで熱源にハロゲンヒータを使う場合は、ヒータ自体の熱応

答性を早めた高効率タイプとの併用が多い。各方式の構造を下図に示す。

図11.サーフ定着 図12.薄肉熱ローラー

図13.フリーベルトニップ定着 図14.ベルト定着

方式 特 徴 構造図

A サーフ定着トナー面に接する部分を低熱容量のフィルムで構成し、熱源にセラミックヒータを用いることで、短縮を図っている。また、低熱容量化で消費電力も低減している。

図11

B熱ローラーの

薄肉化

熱源を内蔵する定着ローラーを薄肉にすることで低熱容量化し、短縮を図っている。また、低熱容量化で消費電力も低減している。

図12

Cフリーベルトニップ定着

加圧ローラーにフリーベルトを用い、熱容量を小さくすると共に、加熱面積を拡大してトナー加熱時間を確保し、短縮を図っている。 また、消費電力も低減している。

図13

D ベルト定着大径の加熱ローラーと熱源のローラーをベルトで接続することで、トナーの加熱時間を確保し、短縮を図っている。また、消費電力も低減している。

図14

E IH定着IH調理器等と同じく、誘導加熱により定着ローラー自体を昇温させることで熱効率を上げ、短縮を図っている。また、熱効率アップで消費電力も低減している。

図15

F 蓄電補助商用電源の一部を蓄電し、起動時にサブヒータへ放電することで、短縮を図っている。また、消費電力も低減している。

図16

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図15.IH定着 図16.蓄電補助

(2)省エネ技術への取り組みによる改善効果

2006年に行なわれた「複写機・複合機のエネルギー消費量調査」の結果を表4

に示す。普及台数が若干増加しているが、エネルギー消費は原油換算で約 35%

削減している。

表4.エネルギー消費量調査結果

1998年 2004年

エネルギー消費量(原油換算;千kl) 127 83

普及台数 (千台) 3997 4190

1台あたりの平均エネルギー消費効率値(消費電力量)は、98年の 176Wh/h

から 04年は 110Wh/hと推測され、37%の削減効果を上げている。

図17.省エネ効果

省エネ効果

176

110

3997

4190

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

1998年 2004年

平均

エネ

ルギ

ー消

費効

3500

3750

4000

4250

4500

普及

台数

平均エネルギー消費効率(1台当り)普及台数

(ECCJ:調査結果より抜粋)

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5.今後の省エネ技術への取り組みと課題

複写機・複合機では、省エネと使い易さの両立を目標にエネルギー消費効率の継

続的な改善を図り、トップランナー方式の施行当初に比べ大幅な低減を達成して

いる。

今後は更なるカラー機の高画質化および複合機の高機能化により、カラー印刷で

の稼動電力アップや、休日や夜間も含むスリープモードでのネットワーク対応電

力アップが考えられ、エネルギー消費効率も増加する方向へ推移することが予想

される。

カラー機では、Y・M・C・Kの4色の印刷部が必要であり、そのままでは従来のモノ

クロ機に比べ4倍のエネルギーが必要となる。特に、従来から機器全体の約半分

の電力を必要としていた定着装置では、4層に積層されたトナーを定着するため、

1層しかなかったモノクロ機に比べ、稼動電力のアップが避けられなくなってい

る。

一方、複合機では、夜間や休日も海外を含むネットワーク(インターネットやLAN)

からのデータアクセスへの対応が必須となるため、特にオフィスでは機器の電源

を切ることができなくなってきている。更に、いろいろな通信インタフェースの

装備やセキュリティ対応などの高機能化も、消費電力のアップの要因となってい

る。

業界では省エネ技術の開発に努力しているが、電子写真方式ではこれまでに多く

の改善を実施してきおり、現時点では新たな改善の見込みが、尽きてきている状

態である。今後、改善の可能性が残っている部分は、電力自体が小さくなってき

ていることもあり、従来のような大幅な改善は大変厳しい状況となっている。

このような中、残された省エネの取り組みについて示す。

① 稼動電力の低減技術

電子写真方式では普通紙にトナーを固定するために、熱と圧力を加える定着装

置が使われている。定着装置での消費電力を低減する手段として、熱効率や熱

容量など定着装置そのものの改善と、トナーを低融点化し定着温度(トナー溶

融温度)を下げることでの改善が考えられる。

前者は表3のウォームアップタイム短縮技術の延長上で検討されている。後者

のトナーの低融点化は、より低い温度で溶融して普通紙に定着させるための検

討が行われている。低融点化の具体例を示す。

カラー化、高機能化での電力アップの要因

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・トナーの小粒径化:

トナーの粒を小さくすることで、画像を形成するトナーを薄層化でき、

低い温度での定着により、電力低減を目指すものである。

・バインダーの低融点化:

トナーを構成するバインダー(色材を普通紙に固定する糊の機能)の、

融けだし温度(融点)を低い材料に変更できれば、定着装置の温度を下

げることが可能となり、電力低減を目指すものである。

尚、トナー低融点化は、画質、解像度を落さないことが前提であり、電力低減

との両立ができるかどうかが、今後の課題となっている。

② ネットワーク対応電力の低減技術

オフィスでの複合機の稼動が、24時間のフルタイムになりつつある。この流れ

に呼応し、2007年 4月から施行された国際エネルギースタープログラム TECで

は、夜間および休日を含む、1 週間の標準消費電力量の基準値が示された。

このような背景から業界では、省エネモード中でもネットワークの機能を生か

し、しかも消費電力を低減することにも取組んでいる。

具体的には、スリープ時には、デジタル画像処理や印刷時にだけ動作する、不

要なデバイスの電力遮断やクロックの停止を行うなど、電気的な制御を強化し

て電力の低減を図ることが検討されている。

更に、これらの制御装置に搭載する CPUや ASIC(個々の機器専用に作られた集

積回路)など、半導体の更なる低消費電力への検討もされている。

今後の高速化、高機能化に伴い、CPU や ASIC のチップサイズの増大による、電

力増加や開発費用の膨大化、ネットワークでの通信規格上の制約条件(例えば応

答速度など)に対応するための電力アップなど、マイナス要因も大きいため、電

力低減との両立が課題となっている。

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プリンタ・複合機の現状

説明主旨:

複合機の説明として、電子写真(EP)方式は複写機ベースの複合機と大きな差異は無く、同様の説明

内容となるため、インクジェット方式とその複合機を中心に説明を行う。

6.プリンタの種類

(1) プリンタ

① インクジェット方式

ノンインパクトプリント方式の一つであって、インク粒子や小滴を用紙に噴射させて文字等を形成

する方式。

インク滴を連続的に発生させながら、インク滴への電荷を制御する方式のコンティニュアスタイプ

と、インク滴を印字必要なときだけ噴射させる方式のオンデマンドタイプに分かれる。 オンデマン

ドタイプには、電気機械変換式、電気熱変換式、静電方式がある。

電子写真方式に比べ、トナーを定着する熱源が不要のため、消費電力が非常に尐ない特徴があ

る。

図1.コンティニュアスタイプ

図2 オンデマンドタイプ:電気機械変換式 図3 オンデマンドタイプ:電気熱変換式

・ ・

・ ・ ・

・・・・・

インク タンク

ポンプ

インク回収口

印字

ヘッド 偏向装置

印字面

インク

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②電子写真方式

光源を用いて対象のハードコピー画像の形に感光体を発光させ、対象箇所のトナー有無を判断するた

めに感光体上の潜像を用いてトナー粒子で現像し、最終的なハードコピー媒体にトナーを転写して、対

象のハードコピー画像の耐久性が高まるように定着させることを特徴とする方式である。

電子写真方式の種類には、レーザー、LED、および LCD がある。

カラー電子写真方式は、任意の生成画像 1 つにおいて、同時に最尐 3 色のトナーが使用されるという

点で、モノクロ電子写真方式と区別される。カラー電子写真方式には、以下の 2 種類がある。

・タンデム方式:

カラー印刷の最大速度を高めるために、複数の光源と複数の感光体を使用する。

・4サイクル方式:

1つの感光体を連続的に使用し、マルチカラーハードコピー出力を実現させるために1つ又は複

数の光源を使用する。

③その他の方式

a. インパクト方式

打ち付ける行為により着色剤を「リボン」から媒体に転写して、対象のハードコピー画像を生成する方

式であり、ドット形式インパクトと完全型インパクトの 2 種類がある。

b.熱転写方式

溶解/流動状態にある固形着色剤(通常はカラーワックス)の微細液滴を点配列方式で印刷媒体に直

接付着させて対象のハードコピー画像を生成する方式である。インクが室温で固体であり熱で流体と

なる点で、インクジェット方式と区別される。

c.固体インク方式

室温では固体であり、噴出温度に温めると液化するインクを用いる方式である。媒体への直接転写は

可能だが、ほとんどの場合、中間ドラムまたはベルトに転写して媒体にオフセット印刷する。

(2) 複合機

① インクジェット方式

PC からのプリント機能と複写、スキャン、ファックスのうち1つ以上を標準機能として有し、印字部

分がインクジェット方式で構成されている画像機器。

スキャン及びコピー機能を有する複合機は,ホームオフィスやスモールオフィスなどの小規模事業

所でも使用されているものの、主に家庭での個人使用中心の需要が大きい。

② 電子写真方式

プリンタベースの複合機は一体型となっているものもあるため、外観では複写機ベースなのか、プリン

タベースなのか、明確な区分けはできない。

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【1. プリンタベースの複合機例】

プリンタ部分をそのまま流用し、スキャナ機能を拡張しているもの(下記例)の場合には、外観で判別可

能。

但し、プリンタ部分の機能としてはプリンタベースであるが、当初から一体型の複合機として開発してい

るものは、複写機ベースの複合機と外観上の差異はないため、判別できないものもある。

例)富士ゼロックス株式会社殿 商品の場合

プリンタ: DocuPrint C525A 複合機: DocuPrint C2090FS (海外商品)

例)株式会社リコー殿 商品の場合

プリンタ: Aficio SP C220N 複合機: Aficio SP C220N(海外商品)

【2. 複写機ベースの複合機例】

複写機と複合機は外観ではほとんど区別できない。プリンタ・FAX のコネクト部の有無により判断でき

る。

例)富士ゼロックス株式会社殿 商品の場合

複写機: DocuCentreⅡ 4000 複合機: DocuCentreⅡ 4000 PF

例)株式会社リコー殿 商品の場合

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複写機: Aficio MP 1600 複合機: Aficio MP 1600SP (海外商品)

③その他の方式

インクジェット、電子写真方式以外の印刷方式(インパクト方式等)での複合機は、市場規模データ(後

述)から見て、現状ではほとんど存在しないと判断出来る。

7. 市場規模(出荷動向)

(1) プリンタ全体

複合機を含むプリンタ全体としての出荷台数は 804 万台。そのうち電子写真(ページ)プリンタは 100

万台、電子写真(ページ)プリンタ複合機は55万台で、全体の19%であるのに対して、インクジェッ

トプリンタ(複合機を含む)は全体の 79%を占め、台数としてはインクジェットが圧倒的に多い。

プ リ ン タ ーの国 内 出 荷 台 数 実 績(台 数)

0100020003000400050006000700080009000

平 成1 4年 平 成1 5年 平 成1 6年 平 成1 7年 平 成1 8年

(千台)

ドッ ト マ ト リ ッ ク ス プリ ン タ イ ン ク ジェ ツ ト プリ ン タ イ ン ク ジェ ツ ト プリ ン タ複 合 機

ページプリンタ ページプリンタ複合機

図4 プリンタ国内出荷実績グラフ(台数)

注)P4 図4.出荷実績グラフの出荷台数と重複がある。

(2) インクジェットプリンタ

平成 18 年の JEITA 調査によれば、インクジェットプリンタ(複合機を含む)の国内出荷台数は 634

万台

(インクジェットプリンタ 254 万台、インクジェット複合機 380 万台)で平成 17 年の 91%と減尐した。

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図5 インクジェット国内出荷実績グラフ(台数)

(3) 国内製造・販売事業者

インクジェットプリンターの国内出荷実績(台数)

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年

(千

台)

インクジェット単機能機 インクジェット複合機

㈱アプティ

エプソン販売㈱

㈱沖データ

カシオ計算機㈱

キヤノン㈱

京セラミタジャパン㈱

グラフテック㈱

コニカミノルタビジネステクノロジーズ㈱

シチズン・システムズ㈱

シャープ㈱

ソニー㈱

日本アイ・ビー・エム㈱

日本電気㈱

日本ヒューレット・パッカード㈱

㈱日立製作所

富士ゼロックス㈱

富士通㈱

富士フイルムビジネスサプライ㈱

ブラザー工業㈱

武藤工業㈱

メモレックス・テレックス㈱

㈱リコー

リコープリンティングシステムズ㈱

レックスマークインターナショナル㈱

ローランド ディー.ジー.㈱

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8.省エネに対する取組み

(1) 国際エネルギースタープログラム基準について

「国際エネルギースタープログラム」は、米国環境保護庁(EPA)が制定する省エネ制度で、世界7カ

国・地域で実施されている。日本においても日米政府間合意により 1995 年 10 月からこのプログラムに

オフィス製品分野で参加している。そのロゴマークは省エネ基準を達成した製品に貼られることで、省

エネ製品の目印として機能している。

一方、このプログラムは世界的な認知度から省エネ基準のデファクトスタンダードになっており、各環

境関連規格に引用されてきている。例えば、日本のエコマークやグリーン購入法の判断基準でも省エ

ネ要件として採用されている。

このプログラムの内容は、昨年大幅改正が行われたため、第1期(1995 年~2007 年 3 月)と第2期

(2007 年 4 月~)と分けられる。

第1期の内容は、例えばプリンタでは印刷していない時、即ちオフィス製品の待機時の電力を低減させ

ることを主眼に制定された。従って、製造者は製品へ電力消費を抑える省エネ待機状態(Sleep)を持

たせることで、待機中の電力の低減を図ってきた。しかしながら、Sleep 状態へ一旦入ると使用時に起

きあがるための遅延を有する。プログラムでは、その製品の仕様である印刷速度に応じて Sleep へ入

るまでの時間の目安も示してきた。更に複写機においてはユーザがコピー時に製品の全面に立ち操

作することに着目し、制定時の技術動向を考慮しつつ、起きあがる時間について基準化された。

製造者は従来の品質・安全に加え、このプログラムの基準に適合すべくSleepの電力低減とSleepから

の起きあがる遅延時間の短縮の両面について省エネ技術開発を図ってきた。この技術には相当な開

発投資と部品費を計上し、更にはその画像品質等にも影響を与えるため、一般消費者向け製品や高

画質が必要印刷会社向け製品等、製品毎にトレードオフされている。

第2期は、近年オフィス製品の殆どの新製品が、このプログラム基準を適合している状況から、2007 年

4月大幅に改正された。販売中製品の約25%のみが達成できる水準の厳しい基準となった。この基準

は 待機時の電力低減から、印刷時も含めた標準的な一週間の就業に合わせた使用モデルによる積

算電力量、言い換えれば電気代を指標として用いた基準になった。これにより製造者は昨年から、前

述の技術開発に加え印刷時の消費電力低減といった技術開発が課せられることになった。積算電力

の考え方は、改正省エネ法の特定機器であるモノクロ複写機では既にエネルギー消費効率として採用

されている。

国際エネルギースタープログラムの改正により、このプログラムの対象となるオフィス製品は全て積算

電力量を採用されることなった。これを受け昨年 3 月の“複写機等エネルギー消費効率検討会 報告

書”においても新エネルギー消費効率としてこのプログラムの積算電力指標を用いることが提案され

た。

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(2) インクジェット方式プリンタ/複合機

① 現状

JEITA の平成 18 年新製品調査によると、印刷時と待機時(稼働準備(レディー))の平均電力は下

表の通りで、プリンタ・複合機とも、インクジェット方式は電子写真方式に比較すると、概ね30分に

1以下の電力消費となっている。

消費電力 印刷時平均(W) 待機時平均(W)

(稼働準備)

プリンタ

電子写真(カラー) 724 130

インクジェット 22.7 3.6

複合機

電子写真(カラー) 1182 228

インクジェット 30.1 8.9

② 省エネ技術

省エネ対応として、製品によって以下の技術が採用されている

a. オンデマンドオペレーション技術

インクジェット複合機では,プリント機能のほかに,スキャナ機能,コピー機能,液晶モニター機能

などがありプリント機能しか持たないインクジェットプリンタに比較して,待機時の消費電力量が大

きくなる傾向があった。 そこでプリンタ、スキャナ、液晶表示などの各単体機能部にスイッチ機能

を設け、コピー、プリント、スキャンの各動作モード時に、動作の不要な機能部のスイッチをオフに

し、必要な単体機能部のみに電力供給を行うことにより、複合機としての総合的な省エネを実現し

ている。

b.スキャナ光源への白色 LED の採用

インクジェット複合機のスキャナ用光源として従来蛍光灯光源を使用していたが,消費電力も大き

く,また,ウォームアップを必要としていた。光源として LED(特に白色 LED)を採用することにより,

ウォームアップレス/低消費電力を実現し,光源用消費電力を約 2/3 としている。

c.低電力待機時、モーターへの電流や回路消費電流の削減

制御 CPU の改良により、待機時、電源オフ時に、ロジック回路部において必要最小限のロジック

部のみ動作させるように改善し,また待機中に動作させているロジックについても、クロック周波数

をダウンさせることにより電力消費量を削減している。

d.電源回路のエネルギー損失を抑え効率をアップ

ロジック回路部の電源は、従来三端子レギュレータで生成していたが、これを高効率同期整流型

DC/DC コンバータで生成するように改善し、三端子レギュレータでは、電力の一部が熱として逃げ

ていたのを、無駄なく使用できるようになり、消費電力の削減につなげた。

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e.データ待ちの待機状態から低電力待機状態へ早期に移行

CPU から“待機時”へ移行する信号を送り、信号を受けた電源部は低消費電力動作に入るように

改善。

(3) 電子写真方式プリンタ/複合機

① 現状

JEITA の平成 18 年新製品調査によると、電子写真方式の印刷時、待機時、省電力モード時の平

均電力は下表の通りで、複合機はスキャナ等の機能が追加される為、プリンタより消費電力は総

合して多くなる傾向である。

消費電力 印刷時

平均(W)

待機時

平均(W)

省電力モード時

平均(W)

プリンタ モノクロ 692 77 12

カラー 724 130 19

複合機 モノクロ 943 103 16

カラー 1182 228 64

消費電力

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

モノクロ カラー モノクロ カラー

プリンタ 複合機

(W

)

印刷時平均(W)

待機時平均(W)

省電力モード時平均(W)

② 省エネ技術

電子写真方式の省エネ技術としては JBMIA より報告の「複写機・複合機の現状」の資料の4.項にて説

明の‘省エネ技術への取り組み’として待機電力の低減技術として、タイマーによる節電技術と定着装

置のウォームアップタイムの短縮技術の開発が行われてきた。

今後としては、同資料の5.項の‘今後の省エネ技術への取り組みと課題‘で説明の通り、稼動電力の

低減技術とネットワーク対応電力の低減技術があるが、今後の改善の可能部分は尐なくなってきてお

り、大幅な改善は厳しい状況となっている。

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(4) その他のプリンタ/複合機

その他のプリンタは OM 方式に分類される製品であり、出荷台数も極めて尐ない為、省エネ法の対象

からは除外が適当と考える。

9.まとめ

インクジェットは複合機を含め、出荷台数は多いが主に家庭での個人使用中心である。また、プリ

ント時の電力消費は尐なく、スリープ時の電力低減は既に行なわれているため、現状レベルより電力

を低減することは技術的に厳しい。

従って、昨年にも報告を行ったが(別紙参照)、インクジェットを含むOM製品の、省エネ法の対応は

優先度を下げ、省エネ効果が大きい TEC 製品の電子写真方式とその複合機を対象とすべきと考え

る。

ただし、電子写真方式とその複合機に関しても JBMIA より報告の通り、大幅な改善は厳しい状況とな

っている。

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ファクシミリ由来の複合機の現状

10.ファクシミリの市場動向について

(1)ファクシミリ単体機・複合機の構成と定義

市場で販売されている FAXは以下のカテゴリに区分することができる。

① パーソナルファクシミリ

主として家庭での使用を目的とする記録紙が50m相当未満の感熱ファク

シミリおよび、普通紙ファクシミリ。(除くフラットベッド機)

② パーソナルファクシミリ複合機

フラットベッドスキャナを備えたインクジェット方式のA4記録普通紙

ファクシミリ。

③ ビジネスファクシミリ

主としてオフィスでの使用を目的とする記録紙が50m相当以上の感熱フ

ァクシミリおよび、普通紙ファクシミリ。(除くフラットベッド機)

④ ビジネスファクシミリ複合機

フラットベッドスキャナを備えたインクジェット方式のB4以上もしくは、

電子写真方式の普通紙ファクシミリ。

参考:複写機での複合機の定義

複写、プリント、スキャン、またはファックスのうち2つ以上を標準機能

として有する画像機器。

(2)国内出荷実績

図1は、国内に於ける直近9年間のファクシミリ(複合機器を含む)の出荷状況

である。総量として大きな増減は見られないが、複合機の伸びが顕著である。

総 計

パーソナル機 ビジネス機

年度 内複合機 内複合機

1998年 330 277 52 24

1999年 355 303 51 28

2000年 369 316 53 31

2001年 312 262 50 33

2002年 297 243 53 39

2003年 316 245 70 57

2004年 325 250 75 62

2005年 334 258 36 76 65

2006年 340 263 34 77 67

表1.出荷台数表(万台)

別紙

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図1.出荷台数グラフ

11.国内主要製造事業者(50音順)

NECアクセステクニカ株式会社、株式会社沖データ、キヤノン株式会社、

コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社、京セラミタ株式会社、

シャープ株式会社、セイコーエプソン株式会社、東芝テック株式会社、

鳥取三洋電機株式会社、パナソニックコミュニケーションズ株式会社、

富士ゼロックス株式会社、ブラザー工業株式会社、村田機械株式会社、

株式会社リコー

12.複合機における省エネへの対応状況

(1)省エネ法判断基準区分

① パーソナルファクシミリ複合機

パーソナル機の印刷方式は、感熱、感熱転写、インクジェット方式で構成さ

れる。パーソナルファクシミリについては、省エネ法判断基準区分からは対象

外であり、現状でもこれらの消費電力は電子写真方式に比較して尐ない状態で

推移している。(図2)

② ビジネスファクシミリ複合機

ビジネス複合機の印刷方式は主に電子写真方式であり、またフラットベッド

の読み取りを有する機種である。こちらの区分はビジネス機械・情報産業協会

(JBMIA)で取りまとめされており、JBMIA提出の「複写機・複合機

の現状」資料を参照されたい。

0

50

100

150

200

250

300

350

400

1998年

2000年

2002年

2004年

2006年

2008年

万台

ビジネス複合機

ビジネス機

パーソナル複合機

パーソナル機

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(2)年間エネルギー消費量改善状況

1998 年と 2006年での国内稼動全体での改善推移予測値を図2に示す。

図2.年間エネルギー消費量改善状況

13.省エネ技術への取り組み

パーソナル複合機の多くはインクジェット方式を採用しており、電子写真方式

と比較して電力消費が尐ない技術を採用し省エネも配慮している。

パーソナル複合機はビジネス複合機に比較して稼動時間が短いため、特に待機

電力の低減が有効となる。各社とも、待機電力削減には注意を払っておりここ

数年は横ばいで推移していると判断している。

14.今後の省エネ技術への取り組みと課題

業界では、更なる省エネ技術の開発への取り組みを行っているが、これまでの大

幅な削減により、新たに改善可能な所が無くなってきており、改善される電力量

も小さくなっている。このため、従来のような大幅な改善は厳しい状況である。

56%

2006年予測値

1台あたりの年平均消費電力量(kWh/年・台)

普及台数

(千台)

原油換算率

(10-3kl/kWh)

年間エネルギー消費量(kl/年)

年間エネルギー消費量(kWh/年)

ファクシミリ(パーソナル機) 6.25 X 14,153 X 0.0942 = 8,333 88,456,006

ファクシミリ(ビジネス機) 208 X 2,104 X 0.0942 = 41,218 437,558,784合計 16257 49,551 526,014,790

参考:1998年統計予測値

1台あたりの年平均消費電力量(kWh/年・台)

普及台数

(千台)

原油換算率

(10-3

kl/kWh)

年間エネルギー消費量(kl/年)

年間エネルギー消費量(kWh/年)

ファクシミリ(パーソナル機) 81.7 X 20,454 X 0.0930 = 155,412 1,671,091,800

ファクシミリ(ビジネス機) 209.6 X 5,104 X 0.0930 = 99,491 1,069,798,400合計 254,903 2,740,890,200

前回データとの差分の考察1)パーソナル機(感熱機)は待機時の消費電力が大幅に低下した。(約10W>約0.7W)2)市場の台数が減尐した。(複合機に移行したため)