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神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画 計画段階環境配慮書 〔要約書〕 平成 26 年 12 月 株式会社神戸製鋼所
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神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画 計画段階環境配慮書 ...神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画 計画段階環境配慮書 〔 要 約

Jan 29, 2021

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  • 神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画

    計画段階環境配慮書

    〔 要 約 書 〕

    平成 26 年 12 月

    株式会社神戸製鋼所

  • 本書に掲載した地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の20万分の1地勢図、5万分の1地

    形図及び空中写真を複製したものである。(承認番号 平26近複、第37号)

    また、本書で承認を得て作成した複製品を第三者がさらに複製する場合には、国土地理院の長の承

    認を得なければならない。

  • 目 次

    第1章 第一種事業を実施しようとする者の名称、

    代表者の氏名及び主たる事業所の所在地 ·········································· 1

    第2章 第一種事業の目的及び内容 ······················································ 2

    2.1 第一種事業の目的 ······························································· 2

    2.2 第一種事業の内容 ······························································· 3

    2.2.1 第一種事業の名称 ····························································· 3

    2.2.2 第一種事業により設置される発電所の原動力の種類 ······························· 3

    2.2.3 第一種事業により設置される発電所の出力 ······································· 3

    2.2.4 第一種事業の実施が想定される区域及びその面積 ································· 3

    2.2.5 第一種事業により設置される発電所の設備の配置計画の概要 ······················· 3

    2.2.6 構造等の複数案に関する事項 ··················································· 8

    2.2.7 第一種事業に係る電気工作物その他の設備に係る事項 ····························· 8

    2.2.8 第一種事業に係る工事の実施に係る期間および工程計画の概要 ····················· 12

    2.2.9 その他の事項·································································· 12

    第3章 事業実施想定区域及びその周囲の概況 ············································ 13

    3.1 自然的状況······································································ 13

    3.1.1 大気環境の状況 ······························································· 13

    3.1.2 水環境の状況·································································· 16

    3.1.3 土壌及び地盤の状況 ··························································· 18

    3.1.4 地形及び地質の状況 ··························································· 19

    3.1.5 動植物の生息又は生育、植生及び生態系の状況 ··································· 20

    3.1.6 景観及び人と自然との触れ合いの活動の場の状況 ································· 23

    3.2 社会的状況······································································ 23

    3.2.1 人口及び産業の状況 ··························································· 23

    3.2.2 土地利用の状況 ······························································· 24

    3.2.3 河川、湖沼及び海域の利用並びに地下水の利用の状況 ····························· 25

    3.2.4 交通の状況···································································· 25

    3.2.5 学校、病院その他の環境の保全についての配慮が特に必要な施設の配置の

    状況及び住宅の配置の概況 ····················································· 26

    3.2.6 下水道の整備状況 ····························································· 26

    3.2.7 廃棄物の状況·································································· 26

    3.2.8 環境の保全を目的として法令等により指定された地域その他の対象及び

    当該対象に係る規制の内容その他の環境の保全に関する施策の内容················· 27

    第4章 第一種事業に係る計画段階配慮事項に関する調査、予測及び評価の結果·············· 32

    4.1 計画段階配慮事項の選定及び理由 ················································· 32

    4.1.1 計画段階配慮事項の選定 ······················································· 32

    4.1.2 選定の理由···································································· 35

    4.2 調査、予測及び評価の手法の選定及び理由 ········································· 38

  • 4.3 調査、予測及び評価の結果 ······················································· 39

    4.3.1 大気質(硫黄酸化物、窒素酸化物、浮遊粒子状物質) ····························· 39

    4.3.2 動物(海域に生息する動物) ··················································· 55

    4.3.3 植物(海域に生育する植物) ··················································· 58

    4.3.4 景観·········································································· 59

    4.4 総合評価········································································ 74

    第5章 計画段階環境配慮書を委託した事業者の名称、

    代表者の氏名及び主たる事業所の所在地 ··········································· 75

  • 1

    第1章 第一種事業を実施しようとする者の名称、代表者の氏名及び主たる事業所の所在地

    事業者の名称 :株式会社神戸製鋼所

    代表者の氏名 :代表取締役社長 川崎 博也

    主たる事務所の所在地:兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通2丁目2番4号

  • 2

    第2章 第一種事業の目的及び内容

    2.1 第一種事業の目的

    当社神戸製鉄所は、昭和 34 年の高炉火入れ以降、銑鋼一貫製鉄所として操業してきた。平成 7

    年には「電気事業法」が改正され、入札制度の下で一般企業等が電力卸供給事業に参入することが

    可能となり、関西電力株式会社(以下、「関西電力」という。)による電力卸供給入札募集が実施

    された。当社は、この入札募集に応募、落札者となり、発電規模 140 万kWの石炭火力発電所(神鋼

    神戸発電所)を神戸製鉄所内に建設し、平成 14 年に 1 号機を運転開始以降、地元神戸市の電力自

    給率の向上に貢献している。

    また、昨年5月には鋼材事業の構造改革を決定し、神戸製鉄所の高炉をはじめとする上工程設備

    を休止し、加古川製鉄所に集約することで鋼材事業の競争力強化を図るとともに、その休止する高

    炉跡地の活用策として火力発電所の増設による電力供給事業の拡大の可能性を検討してきた。

    本年 3 月、関西電力は、火力発電所の高経年化への対応及び経済性向上の観点より火力電源入札

    募集を発表した。当社は、神鋼神戸発電所で長年培った大型石炭火力設備の安定操業のノウハウと

    ともに、製鉄所の岸壁や石炭荷揚げ設備等のインフラを有している。神戸製鉄所の高炉跡地におい

    て、これらを活用した石炭火力発電設備の導入を計画し、本年 11 月、同社の火力電源入札に応募

    した。

    今回の事業計画は、最新鋭の発電技術である超々臨界圧発電設備を導入することに加え、電力需

    要地の神戸市及び阪神地域に近接した電源立地であることから、電源の高効率化・低炭素化に貢献

    することができる。加えて、安価な電力を大量かつ安定的に供給することで、地域経済の更なる安

    定・発展に貢献できるものと考えている。

    また、最新の環境対策を実施し環境保全協定を遵守することはもとより、景観や地域社会との共

    生等にも配慮し、企業市民としての役割も果たしていきたいと考えている。

    本年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」では、石炭は「安定供給性や経済性に優れた

    重要なベースロード電源の燃料として再評価されており、高効率石炭火力発電の有効利用等により

    環境負荷を低減しつつ活用していくエネルギー源である」とされている。また、石炭火力発電につ

    いては「老朽火力発電所のリプレースや新増設による利用可能な最新技術の導入を促進する」とさ

    れており、当社の事業計画はその方向性にも沿ったものと考えている。

    なお、運転開始は、新設1号機は平成 33 年度、新設2号機は平成 34 年度を予定している。

  • 3

    2.2 第一種事業の内容

    2.2.1 第一種事業の名称

    神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画

    2.2.2 第一種事業により設置される発電所の原動力の種類

    汽力(石炭火力)

    2.2.3 第一種事業により設置される発電所の出力

    発電所の出力は、第2.2.3-1表のとおりである。

    第2.2.3-1表 発電所の原動力種類及び出力

    項目神戸製鉄所火力発電所

    (参考)神鋼神戸発電株式会社

    神鋼神戸発電所

    新設1号機 新設2号機 1号機 2号機

    原動力の種類 汽力 同左 汽力 同左

    出力 約65万 kW 同左 70万 kW 同左

    2.2.4 第一種事業の実施が想定される区域及びその面積

    所 在 地:兵庫県神戸市灘区灘浜東町2番地

    事業実施想定区域面積:約100万m2

    (神戸製鉄所火力発電所 設置予定地 約20万m2)

    事業実施想定区域の位置図及びその周囲の状況は第2.2.4-1図のとおりである。

    2.2.5 第一種事業により設置される発電所の設備の配置計画の概要

    発電所の設備の配置計画の概要は、第2.2.5-1図のとおりである。

    新たに設置する発電設備は、神戸製鉄所の高炉設備等を撤去した跡地等の狭隘な敷地を利用して

    配置することから、単一案の計画とした。なお、港湾設備、揚貯運炭設備の一部については、既設

    設備を有効利用する計画である。

  • 4

    第 2.2.4-1 図(1) 事業実施想定区域の位置

  • 5

    第 2.2.4-1 図(2) 事業実施想定区域の位置及びその周辺の状況

  • 6

    〔「国土地理院撮影の空中写真(平成 21 年撮影)」(国土地理院ホームページ)より作成〕

    第 2.2.4-1 図(3) 発電設備の設置予定地及びその周辺の状況

    発電設備の設置予定地

    事業実施想定区域

    発電設備の設置予定地

    事業実施想定区域

  • 7

    第2.2.5-1図

    発電

    設備

    の配

    置計

    画の

    概要

  • 8

    2.2.6 構造等の複数案に関する事項

    本事業により、硫黄酸化物、窒素酸化物及びばいじんが排出されること、また、神戸港と六甲山

    の山並みが一体となった神戸らしい都市景観の形成をめざす神戸市内での立地となることから、ば

    い煙の拡散状況及び景観に配慮するため、発電設備等の構造について、煙突高さに係る複数案を設

    定した。

    煙突高さについては、隣接する神鋼神戸発電所と同じ 150mを計画しているが、計画施設供用後

    の煙突位置が、神鋼神戸発電所の煙突よりも南側の配置となることから、海側から見た六甲山の山

    並みへの影響を考慮し、計画より 30m低くした煙突高さ 120m(A案)と、神鋼神戸発電所と同じ

    煙突高さ 150m(B案)、また比較対象として計画より 30m高くした煙突高さ 180m(C案)の3

    案について、煙突高さによる環境への影響の違いを検討した。

    2.2.7 第一種事業に係る電気工作物その他の設備に係る事項

    1. 主要機器等の種類

    主な機器等の種類は、第2.2.7-1表のとおりである。

    第2.2.7-1表 主要な機器等の種類

    項目神戸製鉄所火力発電所

    (参考)神鋼神戸発電株式会社

    神鋼神戸発電所

    新設1号機 新設2号機 1号機 2号機

    ボイラー 種類 超々臨界圧再熱式貫流型 同左 超臨界圧再熱式貫流型 同左

    蒸気タービン 種類 再熱復水型 同左 再熱復水型 同左

    容量 約650,000kW 同左 700,000kW 同左

    発電機 種類 横軸円筒回転界磁型 同左 横軸円筒回転界磁型 同左

    主変圧器 種類 導油風冷式 同左 導油風冷式 同左

    燃料貯蔵設備 種類 屋内式貯炭設備 同左 屋内式貯炭設備 同左

    石炭灰貯蔵設備 種類 屋内式貯蔵設備 同左 鋼板製円筒型 同左

    石こう貯蔵設備 種類 屋内式貯蔵設備 同左 鋼板製円筒型 同左

    2. 発電用燃料の種類

    発電用燃料は、石炭にて計画する。

    既存の港湾設備を有効利用して船舶により受け入れ、発電所内の屋内式貯炭設備に貯蔵する計

    画である。

    3. ばい煙に関する事項

    ばい煙に関する事項については、第2.2.7-2表のとおりである。

    以下の環境保全措置を講じることにより、施設の稼働に伴う大気質への影響を抑制する。

    ・排煙脱硫装置を設置して、硫黄酸化物の濃度及び排出量を可能な限り低減する。

    ・排煙脱硝装置を設置して、窒素酸化物の濃度及び排出量を可能な限り低減する。

    ・集じん装置を設置して、ばいじんの濃度及び排出量を可能な限り低減する。

    ・上記設備について適切な運転管理及び定期的な点検により性能維持に努める。

  • 9

    第2.2.7-2表 ばい煙に関する事項

    項目 単位神戸製鉄所火力発電所

    (参考)神鋼神戸発電株式会社

    神鋼神戸発電所

    新設1号機 新設2号機 1号機 2号機

    煙突

    種類 - 2筒身集合型 2筒身集合型

    地上高 m

    A案:120

    B案:150

    C案:180

    150

    排出ガス量 湿り103m3N/h

    約 2,200 同左 2,420 同左

    乾き 約 2,000 同左 2,143 同左

    煙突出口ガス 温度 ℃ 90 同左 90 同左

    速度 m/s 30 同左 30 同左

    硫黄酸化物 排出濃度 ppm 13 同左 24 同左

    排出量 m3N/h 約 26 同左 51.4 同左

    窒素酸化物 排出濃度 ppm 20 同左 24 同左

    排出量 m3N/h 約 42 同左 54.5 同左

    ばいじん 排出濃度 mg/m3N 5 同左 10 同左

    排出量 kg/h 約 11 同左 22.7 同左

    注:窒素酸化物及びばいじんの排出濃度は、乾きガスベースでO2濃度6%換算値である。

    4. 復水器の冷却水に関する事項

    復水器の冷却水に関する事項は、第 2.2.7-3 表のとおりである。

    冷却方式は海水冷却方式を採用し、神戸港内の海水を深層取水して、同港内へ表層放水する。

    取放水の温度差は7℃以下とし、海生生物への影響を低減する。

    第 2.2.7-3 表 復水器の冷却水に関する事項

    項目 単位神戸製鉄所火力発電所

    (参考)神鋼神戸発電株式会社

    神鋼神戸発電所

    新設1号機 新設2号機 1号機 2号機

    復水器冷却方式 - 海水冷却 同左 海水冷却 同左

    冷却水取放

    水方式

    取水方式 - 深層取水 同左 深層取水 同左

    放水方式 - 表層放水 同左 表層放水 同左

    冷却水使用量 m3/s 約 30 同左 32.5 同左

    取放水温度差 ℃ 7以下 同左 7以下 同左

  • 10

    5. 用水に関する事項

    発電所で使用する工業用水及び飲料水は、神戸市工業用水道、神戸市水道から神戸製鉄所経由

    で受水する計画である。工業用水は 7,600m3/日程度、飲料水は 4~8m3/日程度を想定している。

    6. 一般排水に関する事項

    施設の稼働に伴って発生する一般排水は、新たに設置する排水処理設備で適切な処理を行った

    後、海域に排出する。

    7. 騒音・振動に関する事項

    騒音発生源としては、ボイラー、タービン、発電機、送風機、ポンプ等があり、建屋内への設

    置又は低騒音型機器の採用等の適切な対策を講じることにより、騒音の低減を図る。また、振動

    の発生源となる機器については、基礎を強固なものとする等の適切な対策を講じ、振動の低減を

    図る。

    8. 石炭粉じん、石炭灰に関する事項

    燃料の石炭は密閉型サイロに貯蔵し、コンベアによりボイラーへ輸送する計画である。揚炭設

    備及びコンベアは、飛散防止を考慮した密閉構造とし、石炭粉じん飛散防止対策を行う計画であ

    る。

    発電所の稼働に伴い発生する石炭灰については、屋内式貯蔵設備に保管し、セメント原料等と

    して有効利用する計画である。

    9. 資材等の搬出入の方法

    (1)工事用資材等の運搬方法

    ボイラー、タービン、発電機、変圧器、鉄骨類などの大型資材等は海上輸送、その他の小型機

    器類、工事用資材については陸上輸送により運搬する計画である。海上輸送による資材等の搬入

    は、神戸製鉄所南側の岸壁より行う計画である。また、資材等の搬出入車両及び工事関係者の通

    勤車両の通行には、第 2.2.7-1 図に示す主要道路等を利用する計画である。

    (2)運転開始後の資材の運搬方法等

    陸上輸送としては、発電所の補修用資材・運転用薬品等の運搬車両、従業員の通勤車両等があ

    り、主要な交通ルートは第 2.2.7-1 図に示す主要道路等を利用する計画である。また、石炭灰、

    石こうの搬出については、主に海上輸送により運搬する計画である。

  • 11

    第 2.2.7-1 図 主要な交通ルート

  • 12

    2.2.8 第一種事業に係る工事の実施に係る期間および工程計画の概要

    工事工程は第 2.2.8-1 表のとおりである。主要な工事としては、ボイラー設備、タービン発電機

    設備、取放水設備、石炭灰貯蔵設備、煙突、排ガス処理設備等の設置に係る基礎工事、本体工事が

    ある。用地としては既存の製鉄所敷地を活用し、新規の埋め立て・造成や森林の伐採は行わない。

    第 2.2.8-1 表 工事工程

    1年目 2年目 3年目 4年目 5年目

    全体工程

    新設1号機

    基礎工事

    本体工事

    試運転

    新設2号機

    基礎工事

    本体工事

    試運転

    2.2.9 その他の事項

    1. 景観対策

    「神戸市都市景観条例」(昭和 53 年 10 月 20 日条例第 59 号)に基づき、建屋の色彩等について

    周辺環境との調和に配慮する。また、煙突等による圧迫感の低減を図るとともに眺望景観に配慮

    する。

    2. 緑化対策

    「工場立地法」(昭和 34 年 3 月 20 日法律第 24 号)、「神戸市建築物等における環境配慮の

    推進に関する条例」(平成 24 年 3 月 20 日条例第 45 号)に基づき、必要な緑地等を整備する。

    3. 産業廃棄物

    発生量の抑制及び発生した廃棄物の有効利用に努め、有効利用が困難なものは関係法令に基づ

    き適切に処理する。

    4. 土壌汚染

    工事中及び運転開始後において、土壌汚染の原因となる物質は使用しない。

    5. 地盤沈下

    地盤沈下の原因となる地下水の汲み上げは行わない。

    6. 温室効果ガス

    温室効果ガス(二酸化炭素)については、石炭を燃料とする最新鋭の発電技術(経済性・信頼

    性において問題なく商用プラントとして既に運転開始をしている最新鋭の発電技術)である超々

    臨界圧発電設備の導入により、発電電力量当たりの二酸化炭素排出量を低減する計画である。

    新設2号機運転開始▼

    ▼新設1号機着工 新設1号機運転開始▼

    ▼新設2号機着工

  • 13

    第3章 事業実施想定区域及びその周囲の概況

    事業実施想定区域の位置する神戸市及びその周辺の自然的状況及び社会的状況について、環境要

    素ごとに影響を受けるおそれがあると考えられる範囲を対象に入手可能な最新の文献その他の資料

    により情報を収集した。

    また、市町村単位の統計等については、関連する環境要素の範囲を包含する市町村単位で引用し

    た。

    3.1 自然的状況

    3.1.1 大気環境の状況

    1. 気象の状況

    (1) 気候特性

    神戸の気候は、瀬戸内海気候帯に属し、全般的に冬は温暖で夏は涼しいという特徴をもってい

    る。また、六甲山系南側の既成市街地の夏季の風系は、南西からの海風で形成され、夜間には、

    北東からの陸風に加え、六甲山系の涼しい空気が斜面に沿って市街地に下降してくる。

    (2) 気象概要

    事業実施想定区域の最寄りの気象官署として西約3kmに神戸地方気象台があり、平成 25 年に

    おける風配図をみると、西南西及び西の風の出現頻度が高くなっている。神戸地方気象台(統計

    期間 1981~2010 年、風向は 1990~2010 年)における平均気温は 16.7℃、平均風速は 3.2m/s、

    年間降水量は 1,216.2mmとなっている。

    2. 大気質の状況

    (1) 大気汚染発生源の状況

    平成 24 年度末現在、神戸市、阪神南地域及び兵庫県におけるばい煙発生施設については、法

    規制対象の工場等は神戸市では 861 事業場 2,100 施設、阪神南地域では 426 事業場 1,343 施設、

    兵庫県では 3,284 事業場 9,127 施設となっている。

    (2) 大気質の状況

    大気質の状況については、事業実施想定区域を中心とする半径 20kmの範囲内(以下「20km圏

    内」という。)を既存資料により整理した。

    平成 25 年度末現在、20km圏内には一般環境大気測定局(以下「一般局」という。)33 局及び

    自動車排出ガス測定局(以下「自排局」という。)23 局の計 56 局があり、二酸化硫黄、二酸化

    窒素、浮遊粒子状物質等の測定が行われている。また、有害大気汚染物質等については、定期的

    に一般局等において測定が行われている。

    ① 二酸化硫黄(SO2)

    二酸化硫黄の状況については、20km圏内において一般局 21 局、自排局7局の計 28 局で測定が

    行われている。平成25年度の測定結果によると、一般局では年平均値は0.001~0.006ppm、日平

    均値の2%除外値は 0.004~0.014ppm、1時間値の最高値は 0.015~0.041ppmであり、自排局で

    は年平均値は 0.001~0.004ppm、日平均値の2%除外値は 0.004~0.008ppm、1時間値の最高値

    は 0.016~0.025ppmとなっており、年間有効測定時間未満の1局を除く全ての測定局で環境基準

    の長期的評価及び短期的評価に適合している。

    ② 二酸化窒素(NO2)

    二酸化窒素の状況については、20km圏内において一般局 33 局、自排局 22 局の計 55 局で測定

  • 14

    が行われている。平成25年度の測定結果によると、一般局では年平均値は0.008~0.025ppm、日

    平均値の年間 98%値は 0.019~0.051ppm、1時間値の最高値は 0.046~0.092ppmであり、自排局

    では年平均値は 0.016~0.034ppm、日平均値の年間 98%値は 0.030~0.058ppm、1時間値の最高

    値は 0.065~0.131ppmとなっており、年間有効測定時間未満の3局を除く全ての測定局で環境基

    準の評価に適合している。

    ③ 一酸化炭素(CO)

    一酸化炭素の状況については、20km圏内において一般局2局、自排局 17 局の計 19 局で測定が

    行われている。平成25年度の測定結果によると、一般局では年平均値は0.3~0.4ppm、日平均値

    の2%除外値は 0.6~0.7ppm、1時間値の最高値は 1.2~2.1ppmであり、自排局では年平均値は

    0.3~0.6ppm、日平均値の2%除外値は 0.6~1.0ppm、1時間値の最高値は 1.2~3.1ppmとなって

    おり、全ての測定局で環境基準の長期的評価及び短期的評価に適合している。

    ④ 浮遊粒子状物質(SPM)

    浮遊粒子状物質の状況については、20km圏内において一般局 31 局、自排局 18 局の計 49 局で

    測定が行われている。平成 25 年度の測定結果によると、一般局では年平均値は 0.016~

    0.031mg/m3、日平均値の2%除外値は 0.045~0.077mg/m3、1時間値の最高値は 0.086~

    0.223mg/m3 であり、自排局では年平均値は 0.020~0.025mg/m3、日平均値の2%除外値は 0.048

    ~0.070mg/m3、1時間値の最高値は 0.093~0.219mg/m3 となっており、一般局では年間有効測定

    時間未満の1局を除く 30 局中 29 局、自排局では 18 局中 17 局が環境基準の長期的評価に適合し

    ており、一般局では年間有効測定時間未満の1局を除く 30 局中 29 局、自排局では 18 局中 14 局

    が環境基準の短期的評価に適合している。

    ⑤ 微小粒子状物質(PM2.5)

    微小粒子状物質の状況については、20km圏内において一般局 18 局、自排局 14 局の計 32 局で

    測定が行われている。平成 25年度の測定結果によると、一般局では年平均値は 11.1~19.0μg/m3、

    日平均値の年間 98%値は 33.7~43.9μg/m3 であり、自排局では年平均値は 12.3~19.6μg/m3、日

    平均値の年間 98%値は 32.8~48.0μg/m3 となっており、一般局 18 局の内、年間有効測定日数未

    満の5局を除く 13 局中6局(約 46%)で環境基準の長期基準に適合しているが、年間有効測定

    日数未満の1局を除く全ての自排局で環境基準の長期基準に適合していない。一般局 18 局の内、

    年間有効測定日数未満の5局を除く13局中1局(約8%)で環境基準の短期基準に適合している

    が、年間有効測定日数未満の1局を除く全ての自排局で環境基準の短期基準に適合していない。

    ⑥ 光化学オキシダント(OX)

    光化学オキシダントの状況については、20km圏内において一般局 27 局、自排局1局の計 28 局

    で測定が行われている。平成 25 年度の測定結果によると、一般局では昼間の1時間値の年平均

    値は 0.027~0.038ppm、昼間の1時間値が 0.06ppmを超えた時間数は 226~560 時間であり、自排

    局では昼間の1時間値の年平均値は 0.024ppm、昼間の1時間値が 0.06ppmを超えた時間数は 234

    時間となっており、全ての測定局で環境基準の評価に適合していない。なお、平成 25 年度に神

    戸市及び芦屋市で光化学スモッグ予報及び注意報の発令はない。

    ⑦ 降下ばいじん

    降下ばいじんの状況については、事業実施想定区域周辺の神戸市市街地において1地点で測定

    されている。平成 24 年度の測定結果によると、2.00t/km2/30 日となっている。平成 20~24 年度

  • 15

    の降下ばいじんの年平均値の経年変化は、増減しながらも減少傾向となっている。なお、降下ば

    いじんについては、環境基準は定められていない。

    ⑧ 有害大気汚染物質

    環境基準が定められている有害大気汚染物質(ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロ

    エチレン、ジクロロメタン)の状況については、20km圏内において 12 地点で測定が行われてい

    る。平成 24 年度の測定結果によると、年平均値はベンゼンが 0.94~1.6μg/m3、トリクロロエチ

    レンが 0.077~1.0μg/m3、テトラクロロエチレンが 0.085~1.2μg/m3、ジクロロメタンが 0.58~

    1.6μg/m3の範囲となっており、全ての測定点で環境基準に適合している。

    ⑨ ダイオキシン類

    ダイオキシン類の状況については、20km圏内において一般局6局とその他3地点で測定が行わ

    れている。平成24年度の測定結果によると、年平均値は 0.0072~0.14pg-TEQ/m3の範囲となって

    おり、全ての測定点で環境基準に適合している。

    ⑩ 大気汚染に係る苦情の発生状況

    神戸市、芦屋市及び兵庫県における平成 24 年度の大気汚染に係る苦情の発生状況は、神戸市

    では 116 件、芦屋市では 2 件、兵庫県では 488 件となっている。

    3. 騒音の状況

    (1) 騒音発生源の状況

    平成 24 年度末現在、神戸市、阪神南地域及び兵庫県における騒音発生施設については、法規

    制対象の工場等は神戸市では 1,896 工場等の 12,323 施設、阪神南地域では 8,312 施設、兵庫県

    では 78,730 施設となっている。

    (2) 環境騒音の状況

    環境騒音については、事業実施想定区域周辺において 11 地点で測定が行われている。平成 21

    年度の測定結果によると、昼間の時間帯(6:00~22:00)は8地点、夜間の時間帯(22:00~翌日

    6:00)は8地点、昼間及び夜間の両時間帯は6地点で環境基準に適合している。

    (3) 道路交通騒音の状況

    道路交通騒音については、事業実施想定区域周辺の主要な道路において 13 地点で測定が行わ

    れている。平成 25 年度の測定結果によると、12 地点で環境基準に適合している。1地点のみ環

    境基準に適合していないが、騒音規制法に定める自動車騒音の要請限度は下回っている。

    (4) 騒音に係る苦情の発生状況

    神戸市、芦屋市及び兵庫県における平成 24 年度の騒音に係る苦情の発生状況は、神戸市では

    105 件、芦屋市では 26 件、兵庫県では 383 件となっている。

    4. 振動の状況

    (1) 振動発生源の状況

    平成 24 年度末現在、神戸市、阪神南地域及び兵庫県における振動発生施設については、法規

    制対象の工場等は神戸市では 567 工場等の 2,382 施設、阪神南地域では 4,584 施設、兵庫県では

    42,937 施設となっている。

  • 16

    (2) 道路交通振動の状況

    道路交通振動については、事業実施想定区域周辺の主要な道路において6地点で測定が行われ

    ている。平成 25 年度の測定結果によると、昼間の時間帯(午前8時~午後7時)及び夜間の時

    間帯(午後7時~翌日の午前8時)とも6地点全てで要請限度を下回っている。

    (3) 振動に係る苦情の発生状況

    神戸市、芦屋市及び兵庫県における平成 24 年度の振動に係る苦情の発生状況は、神戸市では

    19 件、芦屋市では2件、兵庫県では 36 件となっている。

    5. その他の大気に係る環境の状況

    (1) 悪臭に係る苦情の発生状況

    神戸市、芦屋市及び兵庫県における平成 24 年度の悪臭に係る苦情の発生状況は、神戸市では

    48 件、芦屋市では4件、兵庫県では 250 件となっている。

    3.1.2 水環境の状況

    1. 水象の状況

    (1) 海象の概況

    事業実施想定区域が位置する大阪湾沿岸は、全般的に瀬戸内型の気候に区分され、温暖で穏や

    かな気候であるが、夏季から秋季にかけて台風の経路となり、高潮・波浪の影響を受けることも

    ある。大阪湾沿岸は、長径 58km、短径 26kmの楕円状をした大阪湾の北側から東側を取り囲んで

    おり、常時の風波は小さい。潮流は、下げ潮時には明石海峡から大阪湾に流入し湾全体に広がり、

    主流は淡路島沿いに友ヶ島水道に向かう。上げ潮時にはほぼ逆の流れとなる。恒流については、

    明石海峡東側の沖の瀬を中心とする時計回りの循環流が特徴となっている。海岸線は工業専用地

    域としての利用が多い埋立地が多く、人工的な地形となっている。

    (2) 潮位

    事業実施想定区域の周辺海域における潮位については、事業実施想定区域の最寄りの潮位観測

    所として、西南西約5.5kmに神戸検潮所がある。平成21~25年における平均潮位は、T.P.(東京

    湾平均海面)+19.1cm、朔望平均満潮位及び朔望平均干潮位は、T.P.からそれぞれ+84.3cm、

    -69.8cm、潮位差は 154.1cmとなっている。高極潮位は、大正 15~平成 25 年の昭和 36 年9月 16

    日にT.P.+230.0cmが記録されている。

    (3) 流向及び流速(流況)

    事業実施想定区域が位置する神戸市沖の潮流については、神戸から南方に引いた一線の東側海

    域では、流速は概ね 0.5 ノット(約 26cm/s)を超えることはなく、流向は日によって著しく変化

    し一定しない。事業実施想定区域の前面海域においては、明石海峡の東流最強時には東に 0.4 ノ

    ット(約21cm/s)、西流最強時には西に 0.5 ノット(約26cm/s)の潮流がみられる。

    (4) 流入河川

    事業実施想定区域の周辺海域の流入河川としては、事業実施想定区域から北東約 0.7kmに二級

    河川の天神川及び石屋川、北方約 0.5kmに二級河川の高羽川、西方約 0.9kmに二級河川の都賀川

    がある。

  • 17

    2. 水質の状況

    (1) 水質汚濁発生源の状況

    平成 26 年4月現在の神戸市及び平成 24 年度末現在の兵庫県における「水質汚濁防止法」(昭

    和 45 年法律第 138 号)及び「瀬戸内海環境保全特別措置法」(昭和 48 年法律第 110 号)に基づ

    く届出状況については、法規制対象の事業場は、神戸市では 1,052 事業場、兵庫県では 9,741 事

    業場となっている。

    (2) 水質の状況

    ① 海域

    事業実施想定区域の周辺海域における水質の状況については、平成 24 年度に兵庫県による4

    地点、神戸市による 13 地点の計 17 地点の水質測定点で、水素イオン濃度、溶存酸素量、化学的

    酸素要求量等の測定が行われている。

    a. 生活環境の保全に関する項目(生活環境項目・海域)

    生活環境の保全に関する項目(生活環境項目・海域)の水質の状況については、事業実施想

    定区域の周辺海域において 17 地点で測定が行われている。平成 24 年度における環境基準点4

    地点の測定結果によると、化学的酸素要求量では神戸市東部沖 1 で、全窒素及び全燐では全て

    の地点で環境基準に適合している。その他の 13 地点については、化学的酸素要求量の 75%値

    では9地点で、全窒素及び全燐の平均値では全ての調査点で環境基準値を下回っている。

    b. 人の健康の保護に関する項目(健康項目・海域)

    人の健康の保護に関する項目(健康項目・海域)の水質の状況については、事業実施想定区

    域の周辺海域において 17 地点で測定が行われている。平成 24 年度の測定結果によると、いず

    れの項目も全ての地点で環境基準に適合している。

    c. ダイオキシン類(海域)

    水質(ダイオキシン類・海域)の状況については、事業実施想定区域の周辺海域において7

    地点で測定が行われている。平成 24 年度の測定結果によると、全ての地点で環境基準に適合

    している。

    d. 水温(海域)

    海域における水温(表層)の状況については、事業実施想定区域の周辺海域において4地点

    で測定が行われている。平成24年度の測定結果によると、表層における水温は8.9~28.8℃の

    範囲にあり、8、9月に高く、2、3月に低い季節変化を示している。

    ② 河川

    事業実施想定区域の周辺海域の流入河川における水質測定点の位置(河川)としては、兵庫県

    で1地点、神戸市で 10 地点の計 11 地点の水質測定点で、水素イオン濃度、溶存酸素量、生物化

    学的酸素要求量等の測定が行われている。

    a. 生活環境の保全に関する項目(生活環境項目・河川)

    生活環境の保全に関する項目(生活環境項目・河川)の水質の状況については、事業実施想

    定区域の周辺海域の流入河川において 11 地点で測定が行われている。平成 24 年度の測定結果

    によると、河川の代表的な汚濁指標である生物化学的酸素要求量の 75%値については、類型

    指定されている河川がなく、

  • 18

    b. 人の健康の保護に関する項目(健康項目・河川)

    人の健康の保護に関する項目(健康項目・河川)の水質の状況については、事業実施想定区

    域の周辺海域の流入河川において 11 地点で測定が行われている。平成 24 年度の測定結果によ

    ると、1地点でふっ素が環境基準を超過したが、その他の項目は全ての地点で環境基準に適合

    している。

    c. ダイオキシン類(河川)

    河川における水質(ダイオキシン類・河川)の状況については、事業実施想定区域の周辺海

    域の流入河川において4地点で測定が行われている。平成 24 年度の測定結果によると、全て

    の地点において環境基準(1pg-TEQ/L以下)に適合している。

    ③ 地下水

    a. 地下水質

    地下水質については、神戸市において概況調査9地点、継続監視調査3地点で測定が行われ

    ている。平成 24 年度の測定結果によると、概況調査の9地点とも全ての項目で環境基準に適

    合している。継続監視調査では2地点で砒素が、1地点でテトラクロロエチレンが、2地点で

    ふっ素が、1地点でほう素が環境基準に適合していない。

    b. ダイオキシン類(地下水)

    地下水のダイオキシン類については、神戸市において4地点で測定が行われている。平成

    24 年度の測定結果によると、全ての地点において 0.037pg-TEQ/Lであり、環境基準(1pg-

    TEQ/L以下)に適合している。

    (3) 水質汚濁に係る苦情の発生状況

    神戸市、芦屋市及び兵庫県における平成 24 年度の水質汚濁に係る苦情の発生状況は、神戸市

    では 50 件、芦屋市では0件、兵庫県では 307 件となっている。

    3. 水底の底質の状況(海域)

    事業実施想定区域の周辺海域における底質の状況については、平成 24 年度では9地点、平成

    25年度では1地点で測定が行われている。底質の暫定除去基準値が定められているPCBについ

    ては、10 地点中4地点で測定され、0.009~0.055mg/kgの範囲であり、全ての地点で暫定除去基

    準値(10mg/kg以上)に比べ低濃度となっている。

    また、海域のダイオキシン類については、事業実施想定区域の周辺海域において7地点で測定

    が行われている。平成 24 年度の測定結果によると、全ての地点で環境基準に適合している。

    3.1.3 土壌及び地盤の状況

    1. 土壌の状況

    (1) 土壌汚染の状況

    事業実施想定区域の周辺における土壌のダイオキシン類については、平成 24 年度に2地点で

    測定が行われており、全ての地点で環境基準に適合している。

    (2) 事業実施想定区域の土地利用履歴

    事業実施想定区域の敷地は、昭和 20 年代後半から 30 年代に公有水面埋め立てによって造成さ

    れた埋立地で、造成完了後は神戸製鉄所の用地として利用してきた。発電設備設置予定地は、

  • 19

    平成 29 年に予定している製鉄所の上工程設備休止後の高炉等の跡地を活用する。また、敷地西

    側の一部は、平成 12 年から神鋼神戸発電所として利用されている。

    (3) 土壌汚染に係る苦情の発生状況

    神戸市、芦屋市及び兵庫県における平成 24 年度の土壌汚染に係る苦情の発生状況は、神戸市

    では0件、芦屋市では0件、兵庫県では4件となっている。

    2. 地盤の状況

    (1) 地盤沈下の状況

    事業実施想定区域の周辺を含む神戸市、芦屋市において、平成 24 年度に地盤沈下に関する情

    報はない。

    (2) 地盤沈下に係る苦情の発生状況

    神戸市、芦屋市及び兵庫県における平成 24 年度の地盤沈下に係る苦情の発生状況は、神戸市

    では0件、芦屋市では0件、兵庫県では0件となっている。

    3.1.4 地形及び地質の状況

    1. 地形の状況

    (1) 陸上の地形

    事業実施想定区域及びその周辺における地形分類は、事業実施想定区域の位置する海岸部は埋

    立地となっており、北部後背地は沿岸低地が続く。山地から海岸方向に幅の狭い、ゆるい傾斜地

    形とその南側に東西方向に細長く延びる海岸低地部とから構成されている。山麓に近い部分は、

    丘陵や段丘などから成り、芦屋川、住吉川、石屋川、都賀川、生田川などのそれぞれの河川の流

    域は扇状地形を形成し、河口付近には沿岸砂州が形成されている。

    (2) 海底の地形

    事業実施想定区域の周辺海域における海底の地形については、前面海域の水深は約 10m~

    約 15mとなっている。

    2. 地質の状況

    (1) 陸上の地質

    事業実施想定区域及びその周辺における表層地質については、事業実施想定区域の位置する海

    岸部は埋立地となっており、北部後背地の低地は礫及び砂からなる低位段丘となっている。また、

    山地は六甲花崗岩や角閃黒雲母花崗閃緑岩となっている。

    事業実施想定区域及びその周辺における表層土壌については、事業実施想定区域の位置する海

    岸部からその背後地の市街地にかけておおむね未区分地となっている。山地は褐色森林土や受食

    土となっている。

    (2) 海底の底質

    事業実施想定区域の周辺海域における海底の底質については、主に泥、石となっている。

    3. 重要な地形、地質

    事業実施想定区域及びその周辺における重要な地形及び地質として、高座の滝、ロックガーデ

    ン等 12 件が選定されている。

  • 20

    3.1.5 動植物の生息又は生育、植生及び生態系の状況

    1. 動物の生息の状況

    (1) 動物相の概要(陸域)

    「兵庫県立人と自然の博物館 自然環境モノグラフ2号 兵庫県における鳥類の分布と変遷」

    (兵庫県立人と自然の博物館、平成 18 年)、「兵庫県立人と自然の博物館 自然環境モノグラ

    フ4号 兵庫県の淡水魚」(兵庫県立人と自然の博物館、平成 20 年)(以下「自然環境モノグ

    ラフ」という。)及び「神鋼神戸発電所環境影響評価書」(株式会社神戸製鋼所、平成10年)*

    (以下「神鋼神戸発電所環境影響評価書」という。)等に基づいて、事業実施想定区域及びその

    周辺における動物相の概要(陸域)を整理した。

    「自然環境モノグラフ」における鳥類については神戸市及び芦屋市を対象とし、淡水魚類につ

    いては生田川、西郷川、都賀川、石屋川、住吉川を対象とした。

    *「神鋼神戸発電所環境影響評価書」(株式会社神戸製鋼所、平成 10 年)は、「神戸市環境影響評価等に関

    する条例」(平成9年 10 月条例第 29 号)に基づき作成・届出したものである。

    ① 哺乳類相

    事業実施想定区域及びその周辺における哺乳類の出現種としては、「神鋼神戸発電所環境影響

    評価書」によると、アブラコウモリ、イノシシの2目2科2種が確認されている。

    ② 鳥類相

    事業実施想定区域及びその周辺における鳥類の出現種としては、「自然環境モノグラフ」によ

    ると、ウズラ、ツクシガモ等の 17 目 47 科 157 種、「神鋼神戸発電所環境影響評価書」による

    と、ヒドリガモ、キジバト等の8目 21 科 43 種が確認されている。

    ③ 爬虫類相

    事業実施想定区域及びその周辺における爬虫類の出現種としては、「神鋼神戸発電所環境影響

    評価書」によると、ニホンヤモリ、ニホントカゲ等の1目3科3種が確認されている。

    ④ 両生類相

    事業実施想定区域及びその周辺における両生類の出現種としては、「神鋼神戸発電所環境影響

    評価書」によると、ウシガエル、ツチガエルの1目1科2種が確認されている。

    ⑤ 昆虫類相

    事業実施想定区域及びその周辺における昆虫類の出現種としては、「神鋼神戸発電所環境影響

    評価書」によると、カゲロウ目、トンボ目等の 16 目 80 科 199 種が確認されている。

    ⑥ 淡水魚類相

    淡水魚類の出現種としては、「自然環境モノグラフ」によると、ウナギ、コイ等の4目9科

    15 種が確認されている。

    (2) 重要な種及び注目すべき生息地の概要(陸域)

    事業実施想定区域及びその周辺における動物(陸域)の重要な種としては、鳥類はウズラ、ツ

    クシガモ等の 77 種、爬虫類はニホントカゲ、アオダイショウの2種、両生類はツチガエル1種、

    昆虫類はアキアカネ、ヤマトクロスジヘビトンボ等の4種、淡水魚類はウナギ、ドジョウ等の5

    種が確認されている。

  • 21

    「兵庫の貴重な自然 兵庫県版レッドデータブック 2011(地形・地質・自然景観・生態系)」

    (兵庫県、平成 23 年)に基づく重要な生態系として「六甲山」が選定されている。また、「第

    4回自然環境保全基礎調査 兵庫県自然環境情報図」(環境庁、平成7年)に基づく鳥類の集団

    繁殖地及び集団ねぐらは事業実施想定区域周辺にはない。

    (3) 動物相の概要(海域)

    「神鋼神戸発電所環境影響評価書」に基づいて、事業実施想定区域の周辺海域における動物相

    の概要(海域)を整理した。

    ① 魚等の遊泳動物

    事業実施想定区域の周辺海域における魚等の遊泳動物の主な出現種としては、小型底びき網で

    はスジハゼ、ヒイラギ等が、刺網ではメナダ、マコガレイ等が確認されている。

    ② 潮間帯生物(動物)

    事業実施想定区域の周辺海域における潮間帯生物(動物:ベルトトランセクト調査)の主な出

    現種としては、軟体動物門のムラサキイガイ、節足動物門のイワフジツボ等が確認されている。

    また、事業実施想定区域の周辺海域における潮間帯生物(動物:枠取り調査)の主な出現種と

    しては、軟体動物門のムラサキイガイ、その他のHaliplanella spp.等が確認されている。

    ③ 底生生物(マクロベントス)

    事業実施想定区域の周辺海域における底生生物(マクロベントス)の主な出現種としては、環

    形動物門のParaprionospio sp.(A型)等が確認されている。

    ④ 底生生物(メガロベントス)

    事業実施想定区域の周辺海域における底生生物(メガロベントス)の主な出現種としては、甲

    殻類のシャコ、フタホシイシガニ等が確認されている。

    ⑤ 動物プランクトン

    事業実施想定区域の周辺海域における動物プランクトンの主な出現種としては、甲殻綱の

    Evadne nordmanni、Evadne tergestina、Oithona davisae等が確認されている。

    ⑥ 卵・稚仔

    事業実施想定区域の周辺海域における魚卵・稚仔魚の主な出現種としては、魚卵では不明卵を

    除くとカタクチイワシ、コノシロ等、稚仔魚ではイカナゴ、カサゴ等が確認されている。

    (4) 重要な種及び注目すべき生息地の概要(海域)

    事業実施想定区域の周辺海域において重要な種及び注目すべき生息地は確認されていない。

    また、「天然記念物緊急調査 植生図・主要動植物地図 兵庫県」(文化庁、昭和 45 年)等

    に基づく天然記念物の指定はなく、学術上貴重な海生生物の生息は確認されていない。さらに、

    事業実施想定区域の周辺海域において、「第4回自然環境保全基礎調査 兵庫県自然環境情報図」

    (環境庁、平成7年)に基づくサンゴ礁の分布は確認されていない。

  • 22

    2. 植物の生育の状況

    (1) 植物相及び植生の概要(陸域)

    「兵庫県産維管束植物」(福岡・黒崎・高橋、平成 11~21 年)、「神鋼神戸発電所環境影響

    評価書」及び「自然環境保全基礎調査 植生調査情報提供(1/25,000 植生図 神戸首部、西宮、

    神戸南部、有馬、宝塚)」(環境省ホームページ)に基づいて、事業実施想定区域及びその周辺

    における植物相及び植生の概要(陸域)を整理した。「兵庫県産維管束植物」については神戸市

    灘区、東灘区、中央区、芦屋市及び摂津を対象とした。

    ① 植物相

    事業実施想定区域及びその周辺におけるシダ植物以上の高等植物の出現種としては、「兵庫県

    産維管束植物」によると、145 科 1,343 種、「神鋼神戸発電所環境影響評価書」によると、94 科

    368 種が確認されている。

    ② 植生

    事業実施想定区域及びその近傍は工場地帯となっており、その周辺の平地では市街地が広く分

    布している。事業実施想定区域の北側の山地ではシイ・カシ二次林、モチツツジ-アカマツ群集

    が優占している。

    (2) 重要な種及び重要な群落等の概要(陸域)

    事業実施想定区域及びその周辺における植物(陸域)の重要な種としては、マンネンスギ、ア

    カハナワラビ等の 73 科 213 種が確認されている。

    また、重要な群落等の位置については、事業実施想定区域の周辺において、摩耶山のシイ林、

    岡本・素戔鳴神社のアラカシ-ヒメユズリハ林、神前の大クス等 35 件が選定されている。

    (3) 植物相の概要(海域)

    「神鋼神戸発電所環境影響評価書」に基づいて、事業実施想定区域の周辺海域おける植物相の

    概要(海域)を整理した。

    ① 潮間帯生物(植物)

    事業実施想定区域の周辺海域における潮間帯生物(植物:ベルトトランセクト調査)の主な出

    現種としては、緑藻植物門のアオノリ属、その他の藍藻綱等が確認されている。また、事業実施

    想定区域の周辺海域における潮間帯生物(植物:枠取り調査)の主な出現種としては、緑藻植物

    門のアナアオサ、ウスバアオノリ、紅藻植物門のアマノリ属等が確認されている。

    ② 植物プランクトン

    事業実施想定区域の周辺海域における植物プランクトンの主な出現種としては、珪藻綱の

    Skeletonema costatum*、Thalassiosira spp.、渦鞭毛藻綱のProrocentrum minimum等が確認さ

    れている。*従来“Skeletonema costatum”とされていた種は、近年の研究において光学顕微鏡で区別できない複数の種からなるこ

    とが明らかになっているが、文献等調査結果については出典の記述のままとした。

    (4) 注目すべき生育地の概要(海域)

    事業実施想定区域の周辺海域において、学術上又は希少性の観点から注目すべき生育地として

    干潟及び藻場は確認されていない。

  • 23

    なお、神戸港港湾区域において事業実施想定区域から西南西方向約 15kmの位置に藻場(神戸

    市 須磨)が確認されている。

    3. 生態系の状況

    事業実施想定区域の位置する神戸市及び芦屋市は、六甲山地の南側に位置し、東西に細長い山

    麓台地と中小河川によって作られた扇状地群で構成されている。扇状地群には山麓から海に向か

    って住宅地、住・商・工複合地帯、工業・港湾地の3地区が分布している既成市街地が形成され

    ている。事業実施想定区域は利用区分としては工場地帯で、人工建造物が優占する区域となって

    おり、草地、樹林地等の自然的な環境は少ない。

    事業実施想定区域が含まれる平野部における生態系の食物連鎖については、市街地の神社林、

    公園においては、生産者ではエノキ-ムクノキ群落、クスノキ植林、クロマツ植林、修景植栽樹

    群、路傍雑草群落等が、下位消費者ではコウチュウ・カメムシ目等の昆虫類等が、上位消費者で

    はイノシシ等の哺乳類、ハシブトガラス等の鳥類が主要な構成種となっている。また、河川周辺

    においては、生産者では水際植生、付着藻類が、下位消費者ではカワゲラ・トンボ目等の昆虫類、

    オイカワ等の魚類が、上位消費者ではコサギ等の鳥類が主要な構成種となっている。

    3.1.6 景観及び人と自然との触れ合いの活動の場の状況

    1. 景観の状況

    事業実施想定区域は臨海工業地帯の埋立地に位置し、周辺には港湾関連施設や工場施設等が存

    在し、工業地特有の景観となっている。事業実施想定区域及びその周辺における眺望点としては、

    「六甲展望台(六甲ケーブル山頂駅)」、「神戸市役所1号館展望ロビー」等がある。事業実施

    想定区域及びその周辺における景観資源としては、「兵庫の貴重な自然 兵庫県版レッドデータ

    ブック 2011(地形・地質・自然景観・生態系)」(兵庫県、平成 23 年)で貴重な自然景観に選

    定されている「六甲山系の準平原・断層・アカマツ林」、「ロックガーデン」等がある。

    2. 人と自然との触れ合いの活動の場

    事業実施想定区域及びその周辺における人と自然との触れ合いの活動の場としては、「灘浜緑

    地」、「五鬼城山展望公園」等がある。また、後背地の六甲山系には多くの登山コースがある。

    3.2 社会的状況

    3.2.1 人口及び産業の状況

    1. 人口の状況

    平成 25 年 10 月1日現在の神戸市における人口は 1,539,751 人、世帯数が 690,863 世帯となっ

    ており、兵庫県全体に対してそれぞれ約 28%、約 30%を占めている。芦屋市における人口は

    94,404 人、世帯数が 40,604 世帯となっており、兵庫県全体に対してともに約2%となっている。

    2. 産業の状況

    (1) 産業構造及び産業配置

    神戸市、芦屋市及び兵庫県の平成 22 年における産業大分類別就業者数については、神戸市で

    は総就業者数 665,482 人に対して、第3次産業が 488,217 人(総数の約 73%)と最も多くなって

    いる。芦屋市では総就業者数 40,469 人に対して、第3次産業が 32,073 人(総数の約 79%)と最

    も多くなっている。また、兵庫県の総就業者数は2,489,617人であり、神戸市はその約27%を、

    芦屋市はその約2%を占めている。

  • 24

    (2) 生産量及び生産額等

    ① 農業

    神戸市、芦屋市及び兵庫県の平成22年における農家数については、神戸市では農家総数5,057

    戸に対して、第2種兼業農家が2,509戸(総数の約50%)と最も多くなっている。芦屋市では農

    家総数5戸に対して、第2種兼業農家が3戸(総数の約 60%)と最も多くなっている。また、

    兵庫県の農家の総数は95,499戸であり、神戸市はその約5%を、芦屋市はその0.1%未満を占め

    ている。

    神戸市、芦屋市及び兵庫県の平成 24 年における主要な農作物収穫量については、神戸市では

    米の収穫量が 12,000tと最も多く、次いで野菜の 5,964tとなっている。また、兵庫県では、米

    の収穫量が 194,300tと最も多く、次いで野菜の 232,761tとなっている。

    ② 水産業

    神戸市、芦屋市及び兵庫県(瀬戸内海区)の平成 20 年における主とする漁業種類別の経営体

    数については、神戸市では主とする漁業種類別の経営体数の合計 209 経営体に対して、釣が 50

    経営体(神戸市合計の約 24%)と最も多く、次いで船びき網が 41 経営体(同約 20%)となって

    いる。芦屋市では主とする漁業種類別の経営体は 1 経営体のみとなっている。また、兵庫県(瀬

    戸内海区)の主とする漁業種類別の経営体数の合計は 3,272 経営体であり、神戸市はその約6%、

    芦屋市はその 0.1%未満を占めている。

    神戸市、芦屋市及び兵庫県(瀬戸内海区)の平成 24 年における漁業種類別の漁獲量について

    は、神戸市では漁獲量合計 4,159tに対して、船びき網が 2,869t(合計の約 69%)と最も多く

    なっている。また、兵庫県(瀬戸内海区)の漁獲量合計は 41,368tであり、神戸市はその約

    10%を占めている。神戸市、芦屋市及び兵庫県(瀬戸内海区)の平成 24 年における魚種別の神

    戸市の漁獲量は、魚類が 3,828tで、このうちしらすが最も多く漁獲されており、魚類以外では

    たこ類、いか類、その他の水産動物類等が漁獲されている。また、兵庫県(瀬戸内海区)の平成

    24 年における漁獲量は、魚類が 36,362tであり、神戸市はその約 11%を占めている。

    ③ 製造業

    神戸市、芦屋市及び兵庫県の平成 24 年における製造業の事業所数、従業者数及び製造品出荷

    額等については、神戸市の事業所数は 1,754 所、従業者数は 65,430 人、製造品出荷額等は

    2,866,785 百万円であり、それぞれ兵庫県全体の約 19%、約 19%、約 20%を占めている。芦屋

    市の事業所数は 17 所、従業者数は 238 人、製造品出荷額等は 2,694 百万円であり、それぞれ兵

    庫県全体の約 0.2%、約 0.1%、0.1%未満を占めている。

    ④ 商業

    神戸市、芦屋市及び兵庫県の平成 19 年における商業の事業所数、従業者数及び平成 18 年度に

    おける年間商品販売額については、神戸市の事業所数は 19,232 所、従業者数は 146,219 人、年

    間商品販売額は 5,861,796 百万円であり、それぞれ兵庫県全体の約 31%、約 34%、約 44%を占

    めている。芦屋市の事業所数は 723 所、従業者数は 4,786 人、年間商品販売額は 108,199 百万円

    であり、いずれも兵庫県全体の約1%を占めている。

    3.2.2 土地利用の状況

    1. 土地利用状況

    神戸市、芦屋市及び兵庫県の平成 24 年度における土地利用区分別の面積及び土地利用の現況

    については、土地利用区分別の面積は、神戸市では雑種地が 15,011ha(神戸市全体の約 27%)

  • 25

    と最も多く、次いで山林が13,795ha(同約25%)となっている。芦屋市では宅地が670ha(芦屋

    市全体の約 36%)と最も多く、次いで山林が 156ha(同約8%)となっている。

    2. 土地利用規制の状況

    神戸市、芦屋市及び兵庫県の平成 25 年における用途地域別の面積については、神戸市では低

    層住居専用地域が 6,544ha(神戸市全体の約 32%)と最も多く、次いで中高層住居専用地域が

    4,265ha(同約 21%)となっている。芦屋市では中高層住居専用地域が 441ha(芦屋市全体の約

    46%)と最も多く、次いで低層住居専用地域が 299ha(同約 31%)となっている。なお、事業実

    施想定区域は工業専用地域に指定されている。

    3.2.3 河川、湖沼及び海域の利用並びに地下水の利用の状況

    1. 河川及び湖沼の利用状況

    事業実施想定区域の周辺海域に流入する主な河川としては、二級河川の石屋川、都賀川、住吉

    川がある。また、上記河川には内水面漁業権は設定されていない。

    2. 海域の利用状況

    事業実施想定区域の周辺海域は、「港則法」(昭和 23 年法律第 174 号)に基づく阪神港神戸

    区港域に属し、「港湾法」(昭和 25 年法律第 218 号)に基づく国際戦略港湾の神戸港港湾区域

    に指定されている。神戸港内には神戸中央航路等の航路が設定されており、年間約 40 千隻の船

    舶の入出港がある。なお、事業実施想定区域の周辺海域には、「漁港法」(昭和25年法律第137

    号)に基づく漁港はない。

    3. 地下水の利用状況

    神戸市、芦屋市及び兵庫県における平成 24 年度の地下水の利用状況は、工業用では、神戸市

    で 6.8 千m3/日、兵庫県全体で 167.5 千m3/日、上水道用では、兵庫県全体で 137,388 千m3/年とな

    っている。なお、神戸市、芦屋市では条例による地下水の採取規制は行われていない。

    3.2.4 交通の状況

    1. 陸上交通

    (1)道路

    事業実施想定区域の周辺における主要な道路としては、高速道路として阪神高速5号湾岸線、

    阪神高速3号神戸線が概ね東西に、幹線道路として一般国道2号、一般国道 43 号、市道山手幹

    線が概ね東西に走っている。その他に、一般県道灘三田線が南東から北西に走っている。

    事業実施想定区域の周辺における平成 22 年度の交通量調査結果は、平日の昼間の 12 時間(7

    ~19 時)道路交通量が最も多いのは阪神高速3号神戸線の観測地点である真砂通2丁目(生田

    川~摩耶)で 68,486 台となっている。

    (2)鉄道

    鉄道については、JR神戸線、阪急神戸本線、阪神本線等が東西に走っている。事業実施想定

    区域の最寄り駅は、阪神電気鉄道(阪神電鉄)阪神本線新在家駅である。

    2. 海上交通

    航路としては、「港則法」に基づく神戸中央航路、新港航路、神戸西航路、東神戸航路が設定

    されている。神戸港における平成 24 年の入港船舶数は、40,160 隻となっている。

  • 26

    3.2.5 学校、病院その他の環境の保全についての配慮が特に必要な施設の配置の状況及び住宅の

    配置の概況

    1. 学校、病院等

    事業実施想定区域の最寄りの学校等については、事業実施想定区域の北北西約 1.1kmに神戸さ

    くら保育園、西北西約 1.3kmに神戸市立西郷小学校、北西約 1.3kmに烏帽子中学校がある。病院

    等については、西北西約1.5kmに田所病院、北北西約1.2kmに井上医院、北東約1.1kmに特別養護

    老人ホームロングステージ御影がある。

    2. 住宅

    事業実施想定区域の周辺における住宅の配置の状況については、最寄りでは北約 0.9kmの新在

    家が準住居地域に指定されており、発電設備の設置予定地から最寄りの住居までの距離は北北西

    約 0.4kmである。

    3.2.6 下水道の整備状況

    平成 24 年度末における下水道普及率は、神戸市では 98.7%、芦屋市では 100%、兵庫県では

    92%となっている。

    3.2.7 廃棄物の状況

    1. 一般廃棄物

    神戸市の一般廃棄物処理量は約 51 万tであり、このうち直接焼却量は約 44 万t(神戸市一般

    廃棄物処理量の約 87%)となっている。芦屋市の一般廃棄物処理量は約 3 万tであり、このうち

    直接焼却量は約 3万t(芦屋市一般廃棄物処理量の約 89%)となっている。また、兵庫県全体の

    一般廃棄物処理量は約 186 万tであり、このうち直接焼却量は約 158 万t(兵庫県一般廃棄物処

    理量の約 85%)となっている。

    2. 産業廃棄物

    (1) 産業廃棄物の状況

    神戸市における平成21年度の産業廃棄物の排出量は約370万tであり、このうち電気・ガス・

    熱供給・水道業が約 158 万t(排出量合計の約 43%)で最も多く、次いで製造業が約 127 万t

    (同約 34%)となっている。阪神地域*における産業廃棄物の排出量は約 130 万tであり、この

    うち電気・ガス・熱供給・水道業が約 79 万t(排出量合計の約 61%)で最も多く、次いで製造

    業が約 25 万t(同約 19%)となっている。また、兵庫県の産業廃棄物の排出量は約 2,439 万t

    であり、このうち製造業が約 1,207 万t(排出量合計の約 50%)で最も多く、次いで電気・ガ

    ス・熱供給・水道業が約 838 万t(同約 34%)となっている。

    * 阪神地域:芦屋市、伊丹市、川西市、宝塚市、三田市、猪名川町を含む地域。

    (2) 産業廃棄物処理施設の立地状況

    事業実施想定区域を中心とした半径約 50km以内の市町にある産業廃棄物処理施設の立地状況

    は、中間処理施設が 846 施設、最終処分場が 21 施設ある。

  • 27

    3.2.8 環境の保全を目的として法令等により指定された地域その他の対象及び当該対象に係る規制

    の内容その他の環境の保全に関する施策の内容

    1. 公害関係法令等

    (1) 環境基準等

    ① 大気汚染

    大気汚染に係る環境基準は、「環境基本法」(平成5年法律第 91 号)に基づく「大気の汚染

    に係る環境基準について」(昭和 48 年環境庁告示第 25 号)、「二酸化窒素に係る環境基準につ

    いて」(昭和 53 年環境庁告示第 38 号)、「ベンゼン等による大気の汚染に係る環境基準につい

    て」(平成9年環境庁告示第4号)、「微小粒子状物質による大気の汚染に係る環境基準につい

    て」(平成 21 年環境省告示第 33 号)により定められている。なお、各環境基準は、工業専用地

    域、車道その他一般公衆が通常生活していない地域又は場所については適用されない。

    ② 騒音

    騒音に係る環境基準は、「環境基本法」に基づく「騒音に係る環境基準について」(平成 10

    年環境庁告示第 64 号)により定められている。

    ③ 水質汚濁

    水質汚濁に係る環境基準は、「環境基本法」に基づく「水質汚濁に係る環境基準について」

    (昭和 46 年環境庁告示第 59 号)より定められている。このうち、「人の健康の保護に関する環

    境基準」は、全公共用水域に、「生活環境の保全に関する環境基準」は、各公共用水域が該当す

    る水域類型ごとに定められている。事業実施想定区域の周辺海域における類型指定の状況は、一

    般項目についてはC類型に、栄養塩類についてはⅣ類型に、水生生物についてはA類型に指定さ

    れている。なお、全亜鉛、ノニルフェノール、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の類

    型は未指定である。地下水については、「地下水の水質汚濁に係る環境基準について」(平成9

    年環境庁告示第 10 号)により定められている。

    ④ 土壌汚染

    土壌の汚染に係る環境基準は、「環境基本法」に基づく「土壌の汚染に係る環境基準について」

    (平成3年環境庁告示第 46 号)により定められている。

    ⑤ ダイオキシン類

    ダイオキシン類に係る環境基準に基づく「ダイオキシン類対策特別措置法」(平成 11 年法律

    第 105 号)により定められている。

    (2) 規制基準等

    ① 大気汚染

    大気汚染に関しては、「大気汚染防止法」(昭和 43 年法律第 97 号)及び「環境の保全と創造

    に関する条例」(平成7年兵庫県条例第 28 号)に基づき、規制が行われている。

    a. 硫黄酸化物に関する基準

    硫黄酸化物については、「大気汚染防止法」により、地域の区分ごとに定められた規制基準

    が適用されている。なお、「環境の保全と創造に関する条例」においても法と同じ基準が定め

    られている。また、事業実施想定区域の位置する神戸市は、「大気汚染防止法」第5条の2第

    1項の規定に基づく地域に指定されており、硫黄酸化物の総量規制基準が適用される。

  • 28

    b. ばいじんに関する基準

    ばいじんについては、「大気汚染防止法」及び「環境の保全と創造に関する条例」に基づき、

    ばい煙発生施設の種類、使用燃料の種類及び規模ごとに定められた排出基準が適用される。

    c. 窒素酸化物に関する基準

    窒素酸化物については、「大気汚染防止法」に基づき、ばい煙発生施設の種類、使用燃料の

    種類及び規模ごとに定められた排出基準が適用されている。なお、事業実施想定区域の位置す

    る神戸市は、同法規定に基づく総量規制地域に指定されていないが、「阪神地域窒素酸化物総

    量削減基本方針」(平成 5年兵庫県告示第 1730号の 3)の規定に基づき、窒素酸化物排出量を

    指導する工場・事業場の規模及び指導基準等に関し、「大規模工場・事業場に係る窒素酸化物

    総量指導指針」(平成 5 年兵庫県告示第 1730 号の 5)が定められている。

    d. 自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域

    神戸市は、「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削

    減等に関する特別措置法」(平成4年法律第 70 号)の対策地域に指定されている。また、神

    戸市の東灘区及び灘区は、「環境の保全と創造に関する条例」において、排出基準を満たさな

    い自動車の運行を規制する特別対策地域に指定されている。

    ② 騒音

    騒音に関しては、「騒音規制法」(昭和 43 年法律第 98 号)及び「環境の保全と創造に関する

    条例」に基づき、規制する地域(指定地域)を指定して工場騒音、建設作業騒音、自動車騒音に

    対して規制が行われている。

    a. 工場騒音の規制基準

    工場騒音については、「騒音規制法」及び「環境の保全と創造に関する条例」に基づき、指

    定地域内の特定工場等に対して規制が行われている。また、「環境の保全と創造に関する条例」

    における指定地域及び基準値は「騒音規制法」と同じものが定められている。事業実施想定区

    域は臨港地区であり、「騒音規制法」の特定工場等において発生する騒音の規制基準は適用さ

    れないが、第3種区域と隣接しており、事業実施想定区域の北側に第4種区域の規制基準が適

    用される。

    b. 建設作業騒音の規制基準

    特定建設作業については、「騒音規制法」及び「環境の保全と創造に関する条例」で規定す

    る特定建設作業に対して規制が行われている。また、「環境の保全と創造に関する条例」にお

    いても法に基づくものと同じ基準値が定められている。事業実施想定区域は臨港地区であり、

    「騒音規制法」及び「環境の保全と創造に関する条例」の特定建設作業に伴って発生する騒音

    の規制基準は適用されない。

    c. 自動車騒音の要請限度

    自動車騒音については、「騒音規制法」に基づく「騒音規制法第 17 条第1項の規定に基づ

    く指定地域内における自動車騒音の限度を定める省令」(平成 12 年総理府令第 15 号)、「騒

    音規制法第 17 条第1項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める省令別

    表の備考欄に規定する区域の指定」(平成 13 年神戸市告示第 313 号)、「自動車騒音の限度

    を定める省令に係る区域の指定」(平成 24 年芦屋市告示第 44-2 号)により要請限度が定めら

    れている。

  • 29

    ③ 振動

    振動に関しては、「振動規制法」(昭和 51 年法律第 64 号)及び「環境の保全と創造に関する

    条例」に基づき、規制する地域(指定地域)を指定して工場振動、建設作業振動、自動車振動に

    対して規制が行われている。

    a. 工場振動の規制基準

    工場振動については、「振動規制法」及び「環境の保全と創造に関する条例」に基づき、指

    定地域内の特定工場等に対して規制が行われている。また、「環境の保全と創造に関する条例」

    における指定地域及び基準値は「振動規制法」と同じものが定められている。事業実施想定区

    域は臨港地区であり、「振動規制法」及び「環境の保全と創造に関する条例」の特定工場等に

    おいて発生する振動の規制基準は適用されない。

    b. 建設作業振動の規制基準

    建設作業振動については、「振動規制法」で規定する特定建設作業に対して規制が行われて

    いる。また、「環境の保全と創造に関する条例」においても法に基づくものと同じ基準値が定

    められている。事業実施想定区域は臨港地区であり、「振動規制法」及び「環境の保全と創造

    に関する条例」の特定建設作業に伴って発生する振動の規制基準は適用されない。

    c. 道路交通振動の要請限度

    道路交通振動については、「振動規制法」に基づく「振動規制法施行規則」(昭和 51 年総

    理府令第 58 号)、「振動規制法施行規則別表第2の備考1の区域及び備考2の時間の指定」

    (昭和 61 年神戸市告示第 259 号)、「振動規制法施行規則別表第2の備考1の区域及び同表

    備考2の時間」(平成 24 年芦屋市告示第 43-3 号)により要請限度が定められている。

    ④ 悪臭

    悪臭に関しては、「悪臭防止法」(昭和 46 年法律第 91 号)に基づき、工場その他の事業場か

    ら排出される悪臭物質の排出規制が行われている。神戸市では「臭気指数」により規制を行って

    おり、芦屋市では「物質濃度」により規制を行っている。対象事業において使用、排出する悪臭

    物質としてはアンモニアがある。

    ⑤ 水質汚濁

    水質汚濁に関しては、「水質汚濁防止法」(昭和 45 年法律第 138 号)、「瀬戸内海環境保全

    特別措置法」(昭和 48 年法律第 110 号)及び「環境の保全と創造に関する条例」に基づき規制

    が行われている。特定施設を有する事業場に対しては、「水質汚濁防止法」に基づき、全国一律

    の排水基準等が適用されるとともに、「水質汚濁防止法第3条第3項の排水基準に関する条例」

    に基づき、兵庫県域を対象とする上乗せ排水基準が適用される。また、「環境の保全と創造に関

    する条例」に定める工場等に対しては、「環境の保全と創造に関する条例」に基づく排出基準が

    適用される。さらに、事業場からの日最大排水量が 50m3 以上の場合は、「水質汚濁防止法」に

    規定される指定地域内事業場に該当し、同法に基づく総量規制基準が適用される。

    ⑥ 地盤沈下

    地盤沈下については、「工業用水法」(昭和 31 年法律第 146 号)及び「建築物用地下水の採

    取の規制に関する法律」(昭和 37 年法律第 100 号)に基づき、地下水の採取について規制が行

    われているが、神戸市は規制対象地域に指定されていない。

  • 30

    ⑦ 土壌汚染

    土壌汚染については、「土壌汚染対策法」(平成 14 年法律第 53 号)に基づき、特定有害物質

    の濃度基準が定められている。なお、事業実施想定区域は、有害物質使用特定施設の設置及び廃

    止はこれまでになく、また、「土壌汚染対策法」に基づく要措置区域又は形質変更時要届出区域

    となっていない。

    ⑧ 産業廃棄物

    産業廃棄物については、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和 45 年法律第 137 号)

    に基づき、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プ

    ラスチック類その他政令で定める廃棄物を排出する事業者は、自らの責任において適正に処理し

    なければならない。

    ⑨ 残土

    残土については、「産業廃棄物等の不適正な処理の防止に関する条例」(平成 15 年兵庫県条

    例第 23 号)に基づき、土砂の搬出の場合には搬入搬出管理簿の作成、一定規模(1,000m2)以上の

    土砂埋立て等を行う場合には知事の許可が必要となる。

    ⑩ 日照

    日照については、「建築基準法」(昭和 25 年法律第 201 号)及び「神戸市民の住環境等をま

    もりそだてる条例」(平成6年神戸市条例第 51 号)に基づき、日影規制時間が定められいる。

    (3) その他、環境保全計画等

    ① 第4次兵庫県環境基本計画

    兵庫県では、「環境の保全と創造に関する条例」に基づき、平成8年6月に「兵庫県環境基本

    計画」を策定した。

    平成 14 年5月には、21 世紀の環境適合型社会の実現を目指して、新たに生じてきた環境問題

    にも的確に対応するため、新しい環境保全・創造に関する指針となる「新兵庫県環境基本計画」

    を策定し、平成 20 年 12 月には「新兵庫県環境基本計画」を改定し、「第3次兵庫県環境基本計

    画」を策定した。

    平成 26 年3月には、地球温暖化や生物多様性等の新たな環境課題を踏まえ、兵庫県が目指す

    べき持続可能な社会の将来像及び県として重点的に取り組むべき施策を明らかにするため、「第

    4次兵庫県環境基本計画」を策定している。

    ② 第3次兵庫県地球温暖化防止推進計画

    兵庫県では、「環境の保全と創造に関する条例」に基づき、平成 12 年7月に「新兵庫県地球

    温暖化防止推進計画」を策定した。

    平成 25 年6月には、「兵庫県地球温暖化対策方針~当面取り組むべき施策の方向性~」を策

    定し、その後、平成 25 年 11 月に国の削減目標が示されたことを受け、平成 26 年3月に低炭素

    社会の実現を目指す「第3次兵庫県地球温暖化防止推進計画」を策定している。

    ③ 兵庫県地域公害防止計画

    兵庫県では、昭和 47 年度に兵庫県東部地域公害防止計画を策定して以来、阪神・播磨地方の

    臨海部の人口や産業が集積した地域を対象として公害防止計画を策定し、総合的かつ計画的な公

    害防止対策事業を展開してきた。

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    平成 24 年3月には、さらに改善を要する地域もあることから、平成 23~32 年度を計画期間と

    する「兵庫県地域公害防止計画」を策定し、公害防止対策を推進している。

    ④ 神戸市環境基本計画

    神戸市では、平成8年3月に「神戸市民の環境をまもる条例」第7条に基づき「神戸市環境保

    全基本計画」を策定し、その後、新たな環境施策を展開するため、平成 14 年3月に、平成 22 年