Top Banner
小児先天性疾患および難治性疾患における 小児先天性疾患および難治性疾患における 臨床的遺伝子診断の基盤整備 臨床的遺伝子診断の基盤整備 緒方 国立成育医療センター研究所 先天性疾患の臨床的遺伝子診断 と拠点施設の機能拡充 大喜多肇 国立成育医療センター研究所 腫瘍性疾患の臨床的遺伝子診断 福嶋義光 信州大学医学部、遺伝医学・予 防医学講座 倫理的基盤の確立 斎藤加代子 東京女子医科大学・遺伝子医療 センター 遺伝カウンセリングの体制整備 松原洋一 東北大学医学部、遺伝病学分野 NPO法人ONJ代表) 経済的基盤の整備
16

小児先天性疾患および難治性疾患における 臨床的遺伝子診断 …nrichd.ncchd.go.jp/endocrinology/gene/images/shindan.pdf小児固形腫瘍の遺伝子診断の対象疾患

Oct 22, 2020

Download

Documents

dariahiddleston
Welcome message from author
This document is posted to help you gain knowledge. Please leave a comment to let me know what you think about it! Share it to your friends and learn new things together.
Transcript
  • 小児先天性疾患および難治性疾患における小児先天性疾患および難治性疾患における臨床的遺伝子診断の基盤整備臨床的遺伝子診断の基盤整備

    緒方 勤 国立成育医療センター研究所 先天性疾患の臨床的遺伝子診断と拠点施設の機能拡充

    大喜多肇 国立成育医療センター研究所 腫瘍性疾患の臨床的遺伝子診断

    福嶋義光 信州大学医学部、遺伝医学・予防医学講座

    倫理的基盤の確立

    斎藤加代子 東京女子医科大学・遺伝子医療センター

    遺伝カウンセリングの体制整備

    松原洋一 東北大学医学部、遺伝病学分野(NPO法人ONJ代表)

    経済的基盤の整備

  • 小児先天性疾患および難治性疾患における小児先天性疾患および難治性疾患における臨床的遺伝子診断の基盤整備臨床的遺伝子診断の基盤整備

    遺伝子診断の基盤整備

    倫理的基盤の

    確立

    中核施設

    遺伝カウンセリングの

    体制整備

    経済的基盤の

    整備

    ホームページによる情報発信ホームページによる情報発信

  • 遺伝子医療システム:新しい診断法の開発遺伝子医療システム:新しい診断法の開発

    遺伝子診断チップの開発

    1枚のチップで約30個の遺伝子が解析可能

    Wildtype Mutant

    遺伝子配列をチップ化

    A T C Gで異なるシグナル

    高速変異スクリーニング法の開発

    全てのPCRを同一条件で行えるようにプライマ−を設計し,同一プレートで解析

    DHPLC

    FISHプローブ、MLPAプライマーの作製 インプリンティング疾患診断法の開発

    精度管理システムの構築種々の変異について、プライマーや反応条件をデータベース化し、解析の精度管理の基礎を構築した。

  • 小児固形腫瘍の遺伝子診断の対象疾患

    (染色体転座と融合遺伝子)

    IG-D

    MR

    IG-D

    MR

    SN

    RP

    NS

    NR

    PN

    PE

    G3

    PE

    G3

    100

    80

    40

    20

    0

    60

    (%) L SZA

    C1

    Ch.

    IGF2

    DM

    R2

    IGF2

    DM

    R2

    H19

    DM

    RH

    19 D

    MR

    LIT1

    LIT1

    11 14 15 19N

    ESP

    55N

    ES

    P55

    MC

    TS2

    MC

    TS2

    NN

    AT

    NN

    AT

    L3M

    BTL

    L3M

    BTL

    NE

    SP

    AS

    NE

    SP

    AS

    20

    GR

    B10

    GR

    B10

    PE

    G10

    PE

    G10

    ME

    ST

    ME

    ST

    7

    AR

    HI

    AR

    HI

    1

    NAP

    1L5

    NA

    P1L

    5

    4

    ZAC

    1

    6

    XIS

    T

    X

    Methylation index (%)

    既知インプリンティング領域のメチル化解析システムの開発

    今後の課題(次年度ー最終年度)• 多数の高速かつ正確な遺伝子診断法の開発• 遺伝子診断実施施設情報の蓄積、更新、公開

  • 臨床的遺伝子診断の倫理基盤の臨床的遺伝子診断の倫理基盤の確立:資料添付確立:資料添付倫理委員会のない施設などを主たる対象

    1.担当医師への説明文書(案)の作成担当医師が遺伝子解析施設に遺伝学的検査の実施を依頼する際の留意点を記載

    ・ 患者(または代諾者)からインフォームド・コンセントを得ること・ 遺伝学的検査の特殊性と遺伝カウンセリングの必要性について・ 検体保存と研究使用への協力依頼について

    2.患者・家族への説明文書(案)の作成担当医師が患者・家族に説明する際に使用

    ・ 遺伝学的検査に関すること (特殊性と遺伝カウンセリングの必要性)・ 結果報告の方法・ 検体試料の保存,および他施設への提供の可能性・ 検体試料の研究使用への協力・ 承諾した内容の変更の方法

    3.患者・家族の同意文書(案)の作成遺伝学的検査解析実施責任者と担当医師に提出する文書

    ・ 遺伝学的検査に関すること・ 保存/研究使用に関すること・ 説明した担当医師の署名

  • 「遺伝学的検査の実施」と「保存/研究使用」に関する同意書(資料添付)

    遺伝学的検査 解析実施責任者 殿

    患者氏名 生年月日(西暦) 年 月 日 記入日 年 月 日 代理人氏名(患者との関係)

    検体の種類(○で囲む): 血液 ・ その他( ) 細胞培養の有無(○で囲む): あり ・ なし

    遺伝学的検査に関すること私は、担当医師( )から説明を受け、その趣旨を十分理解しましたので、上記検体を用いて、次の遺伝学的検査を下記の遺伝子解析実施者に依頼することを承諾いたします。 署名(患者または代諾者)

    (いずれかの番号を○で囲む)1.可能性のある全ての遺伝子を対象とした遺伝学的検査2.疾患名( )においてすでに関連が知られている遺伝子のみを対象とした遺伝学的検査3.その他( )

    保存/研究使用に関すること私は、疾患名( )の病因・病態解明と治療法開発のために、上記検体の一部が保存され、下記遺伝子解析実施者の所属施設または共同研究者の施設において、遺伝子解析を含む研究に使用されることについて、担当医師から必要かつ適切な説明を受け、その趣旨を十分理解しましたので、承諾いたします。 署名(患者または代諾者)

    公共バンクへの検体の供与: 1.認める 2.認めない

    将来の研究で本疾患に関する情報が判明した場合に、その結果を:1.知りたい、2.知りたくない

    説明を行った医師の署名私は、上記患者(または代諾者)に、説明文書の内容も含めて、十分な説明を行い、承諾を得ました.( )上記の遺伝学的検査の実施を依頼します。( )検体の保存,および研究使用についての承諾も得られています.また,遺伝学的検査の特殊性については,遺伝カウンセリングの必要性を含めて説明し,遺伝子解析実施者より遺伝学的検査の結果の通知を受けた際には、責任を持って上記患者(または代諾者)にその内容を説明するとともに,遺伝医療(遺伝子医療)部門や臨床遺伝専門医等と連携し,適切な遺伝カウンセリングを実施します.

    医師署名 病 院 名 科 名 .

  • 次年度最終年度の課題• 関連学会(遺伝10学会など)における審議• 遺伝学的検査の分析的妥当性,臨床的妥当性,臨床的有用性の

    客観的評価→ Gene Reviewを参考とする(小児遺伝学会の見解)

    • 倫理関連書類をホームページで公表• インターネット会議システムの確立

    小児遺伝学会

    遺伝子診断委員会

    「小児遺伝学領域において医学的に臨床的有用性が確立されている疾患・遺伝

    学的検査」についての小児遺伝学会の見解(案)(資料添付)

    小崎健次郎、 慶應義塾大学医学部小児科学教室

    福嶋義光、 信州大学医学部 遺伝医学・予防医学講座

    緒方勤、 国立成育医療センター研究所

    難波栄二、 鳥取大学 生命機能研究支援センター

    小児内分泌学会

    遺伝子診断委員会、希少疾患予備委員会

    緒方が中心になって活動

  • 遺伝カウンセリング:実態把握調査

    登録のない県が登録のない県が1010存在する存在する

    • 学会横断型の調査はなく、実態には不明な点が多い

    • 実際に遺伝性疾患の臨床に携わる医師の資格取得が乏しい

    調査内容:アンケート内容と詳細な解析結果は添付• 実施実績、スタッフ、教育、コスト、遺伝子診断など、全7ページにおよぶ内容• 全国遺伝子診療部門連絡会議全員、日本小児神経学会役員、日本小児内

    分泌学会役員、日本小児循環器学会役員• 回収率40%(500通投函、201通を回収、1通は、白紙にて200通が有効)

  • 平均:初診8千円、再診6千円

    施設の専門分野に偏重 遺伝子検査のコストは自費か研究費

    半数以上の施設で対応できていない

  • 同意は両親が最多(アセントも多くの施設で確認)プレカウンセリングは半数程度

    同意は書面と口頭の両者 結果説明は両親

  • 今後の課題(次年度最終年度)• カウンセリング実施施設の公開(ホームページ)• 適正なカウンセリングコストの試算• カウンセラーの育成(e-ラーニングシステム)• 学生教育・スタッフ教育の呼びかけ• 情報発信(学会シンポジウム)

    学生等のカウンセリング経験は乏しい(マンパワーの問題もある)

    スタッフカンファレンスは不十分(スタッフが少ない)

  • 経済的基盤の確立

    遺伝性疾患の遺伝学的検査●欧米では、標準医療として遺伝子検査が可能な疾患は約2,000種類●わが国では、わずか13疾患のみ保険収載●研究施設による無償提供は、継続困難●早急に検査提供体制を構築する必要

    •高度先進検査•医療特区••NPONPO法人(代表:松原教授)法人(代表:松原教授)(慶応大学と契約)遺伝子診断臨床応用支援機構

    検体費用

    結果報告

    依頼医検体費用

    結果報告

    成育医療センター慶應大学

    オーファンネット

    ジャパン

  • Orphan Net Japanの活動(平成21年から稼働)• 国内で遺伝子検査を提供している研究室の協力を得て、36種

    類の遺伝子検査提供体制を整備し、ホームページで公開した。• これまでに22件の遺伝子検査を提供し、また、海外の稀少遺伝

    性疾患検査ネットワークとの提携について検討を行った。

    代表的疾患の検査日数と料金糖原病Ia 型 7週以内 65000円メチルマロン酸血症 7週以内 65000円カルニチンパルミトイル基転移酵素Ⅱ欠損症 7週以内 65000円ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症 8週以内 55000円de Lange 症候群 4 ヶ月以内 125000円CHARGE 症候群 4 ヶ月以内 125000円Alagille 症候群 4 ヶ月以内 115000円

  • 遺伝子検査費用の国際比較

    ¥ 65,000 $ 1,120 € 1,200(¥ 100,000) (¥ 160,000)

    GENDIA

    米国 欧州日本

    オーファンネットジャパン

    海外検査ラボへの委託よりも安価に提供可能

    + DNA抽出・送料 + DNA抽出・送料

    カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ2(CPT2)欠損症

  • 次年度ー最終年度の課題• 対象疾患の拡大:全国の稀少遺伝性疾患に対する

    遺伝学的検査を提供する研究室をネットワーク化し、検査を依頼する医療機関との間のコーディネート

    • 精度管理:検査を提供する研究室の精度管理• 検査結果報告の標準化• 医療機関への教育・啓発:遺伝学的検査にかかわる

    倫理・遺伝カウンセリングについて実施する

  • 小児先天性疾患および難治性疾患における小児先天性疾患および難治性疾患における臨床的遺伝子診断の基盤整備臨床的遺伝子診断の基盤整備

    遺伝子診断の基盤整備

    倫理的基盤の

    確立

    中核施設

    遺伝カウンセリングの

    体制整備

    経済的基盤の

    整備

    ホームページによる情報発信ホームページによる情報発信