Itami City Museum of Art | Press Release ver.2 | December 26th,
2017
プレスリリース ver.2
開催概要
ドーミエ流パリっ子図鑑
展覧会名コレクション 2しかめっつら ドーミエ流パリっ子図鑑
Collection 2Expressive Grimaces:
Parisian Physiognomies by Daumier
会期2018 年 1 月 13 日(土) ~ 2 月 25 日(日)
休館日月曜日休館(ただし 2/12 開館、2/13 休館)
開館時間10:00-18:00(入館は 17:30 まで)
主催伊丹市立美術館[公益財団法人いたみ文化・スポーツ財団 /伊丹市]
共催伊丹市教育委員会
入館料一般 300(240)円/大高生 200(160)円/中小生 100(80)円
*( )内は 20 名以上の団体割引料金*兵庫県内の小・中学生はココロンカードの呈示にて入場無料
*4市 1町(伊丹市・川西市・宝塚市・三田市・猪名川町)の高齢者割引有(平日は 60 歳以上、土日祝は 65 歳以上)
拝啓 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。このたび伊丹市立美術館では、2018 年 1 月 13
日(土)より「コレクション 2 しかめっつら ドーミエ流パリっ子図鑑」展を開催いたします。本展では、1,000
点を優に超える当館のドーミエ・コレクションのなかから「しかめっつら」をテーマに喜怒哀楽に富んだ約 110
点のリトグラフを紹介します。つきましては、貴媒体にて「コレクション2 しかめっつら
ドーミエ流パリっ子図鑑」展をご紹介くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
コレクション2
40 年に及ぶ画業のなかで、ドーミエが遺した作品はリトグラフだけで 4,000
点以上。当館ではその4割にあたる約1,700点のリトグラフを収蔵し、テーマを変えて随時紹介しています。一昨年の「ドーミエどーみる?─しりあがり寿の場合」展ではマンガ家のしりあがり寿氏をゲストに迎え時代を超えた新旧時事ネタ対決を行いました。今回は趣向を新たにドーミエ
の人物表現に迫ります。
「ドーミエどーみる?」 世界有数のドーミエ・コレクション
~ ~はじめに
1830
年代後半からオノレ・ドーミエ(1808-1879)はいち早くパリの都市生活に取材し、人々の暮らしぶりを活写しました。“現代性”(モデルニテ)を帯びた一連の風俗諷刺画は、バルザックやボードレールといった文学者から称賛されたばかりでなく、リアリスム絵画の嚆矢となりドガやロートレック等後進の画家にも影響を与えました。 真実を捉える眼差しは、日々のニュースだけでなく人物描写にも遺憾なく発揮されます。当時文学の世界で流行した「生理学もの」にならい制作された連作《観相学画廊》(1836-37)や《パリっ子のタイプ》(1839-1843)では、パリっ子の様相や特徴をコード化するにとどまらず、動きや視線を交えて感情豊かに表現しています。そこにはよそ行きの顔ではなく、浮かれたり、眉をひそめたり、驚いては顔をしかめる素の表情が刻まれ、人間の本質そのものが照らし出されています。 ──
ドーミエの笑いは率直にして闊達、彼の情け深さの徴(しるし)さながら輝き渡る── ボードレールが讃えたこの言葉のとおり、彼が描く「しかめっつら」は、逞しい生命力に満ちあふれています。本展ではこうした人物表現に冴えを見せる風俗諷刺約
110 点を4つの連作を通して紹介します。醜さをも個性に変えてしまうドーミエの生き生きとした表現をご堪能ください。
1.観相学画廊 8おいしい嗅ぎタバコの一服1837 年リトグラフ当館蔵
市民社会の成立とともに都市が形成され、19
世紀パリは見知らぬ者が行き交う、猥雑で活力にみちた空間へと変貌していきました。自分とは異なる「他者」への意識が育まれることで、外見上の特徴=相貌によって性格・気質・感情といった内面を読み解こうとする観相学(フィジオノミー)が流行し、様々な分野に影響を与えました。パリっ子の風貌を鋭く捉えたドーミエの作品は、そうした時代背景から生まれてきたのです。ドーミエの人物描写の特徴に、
動感/上半身の構図があげられます。当時としては珍しくドーミエは上半身の構図を諷刺画に取り入れました。その結果、画面に占める顔の比率が大きくなり、より動勢に満ちた表情の描写が可能になりました。眉の上がり下がりや視線、頬の動きに注目ください。登場人物の生き生きとした感情が、そうした動きににじみ出ています。
「しかめっつら / 渋面」とは、不
満げに顔をゆがめた表情のことで、フランス語で「grimace(グリマス)」と言います。19
世紀に入り表情の解釈がなされはじめると、より率直な感情を明示する「もの言う顔」としての「しかめっつら」にも注目が集まりました。 ドーミエが描く「しかめっつら」は感情豊かで、まさに「もの言う顔」そのものです。
構図と動勢
しかめっつら
4.時事問題 35(パリっ子感情 40)雪解けの散歩
「わ…わ…悪がきめ!」「何だって!… だからあいつを狙っていただけだって言っているだろう…。もう、うるさい大人だな!」
「お…お…おまえの親と、け…け…警察にどなりこんでやる!… 覚えとけよ!」「それはこっちのせりふさ!… もうひとつ放り投げてやるぞ!」1841
年リトグラフ当館蔵
3.パリっ子のタイプ 32商品の匂いを嗅ぎましょう… 文句を言う前に !…1839 年(1842
年発行)リトグラフ当館蔵
2.パリっ子のタイプ 35火をひと吹き!1839 年(1842 年発行)リトグラフ当館蔵
5. パリのボヘミアン 8旧友「やあ!
友よ、すっかり太って…抱き締めさせてくれ!この胸に!」(勘違いだったと分かった直後、この紳士は、不意の友人が近づきたかったのは彼の懐中時計だった…と悟るのである!)1841
年リトグラフ , 手彩色当館蔵
近代都市と観相学