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異種材料の接合技術の現状 大阪大学 名誉教授 大阪大学 接合科学研究所 特任教授 中田 一博 静岡県東部精密技術研究会 第77回研究会 共催:静岡県工業技術研究所沼津センター協議会 2016年10月7日
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異種材料の接合技術の現状3. 金属材料における異材接合の可能性 4. 第2世代異種材料接合 ・アルミニウム/鉄の異材接合の現状...

Jul 31, 2020

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Page 1: 異種材料の接合技術の現状3. 金属材料における異材接合の可能性 4. 第2世代異種材料接合 ・アルミニウム/鉄の異材接合の現状 溶融溶接、ブレーズ溶接、固相接合(FSW等)

異種材料の接合技術の現状

大阪大学 名誉教授

大阪大学 接合科学研究所 特任教授

中田 一博

静岡県東部精密技術研究会 第77回研究会

共催:静岡県工業技術研究所沼津センター協議会

2016年10月7日

Page 2: 異種材料の接合技術の現状3. 金属材料における異材接合の可能性 4. 第2世代異種材料接合 ・アルミニウム/鉄の異材接合の現状 溶融溶接、ブレーズ溶接、固相接合(FSW等)

講 演 内 容1.異材接合の目的

2.異材接合技術への期待

3. 金属材料における異材接合の可能性

4. 第2世代異種材料接合

・アルミニウム/鉄の異材接合の現状

溶融溶接、ブレーズ溶接、固相接合(FSW等)

検討例

・その他組み合わせ例

5. 第3世代異種材料接合

・金属/樹脂異材接合

・金属/セラミックス異材接合

現状と課題の俯瞰

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異種材料接合の目的

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材料:構造用材料金属、高分子(樹脂)、セラミックス(ガラス)(複合材料、生体材料、半導体)

異種材料接合の目的:異なる機能を有する材料を適材適所で使用し、部材の高機能化、多機能化、ハイブリッド機能化による高付加価値化と低級材料の代替によるコスト削減を図る

マルチマテリアル化

異種材料接合技術

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種類 構成物質 結合状態

金属材料金属元素から成る

無機物質金属結合

高分子材料(*)主に炭素と水素から成る

有機物質共有結合

セラミックス材料金属元素と非金属元素(酸素や窒素など)との

無機化合物共有結合

構造用材料

(*炭素繊維強化樹脂複合材料:CFRP) (中田作成)

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代表的な構造用金属材料とその機能

材料機能 構造用金属材料

軽量性ハイテン鋼、アルミ合金、マグネ合金、チタン合金、(樹脂、CFRP)

耐熱性 ニッケル基合金、チタン合金、CrMo鋼

耐低温性(靭性) アルミ合金、ステンレス鋼、インバー合金

耐食性 チタン、ステンレス鋼、銅合金、タンタル

熱伝導性 アルミ合金、銅

電気伝導性 アルミ合金、銅

(中田作成)

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過去の調査研究結果に見る異種材料接合技術への期待

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54.6

24.7

7.2

7.2

4.1

1.1

1.1

金属/金属

金属/セラミックス

金属/プラスチックス

金属/複合材

金属/その他

プラスチックス/複合材

その他/その他

割合(%)組合せ

NEDO[異材溶接技術の基礎研究]

NEDO-ITK-0009(2001.3),68.

(主要製造業約100社)

将来的に必要と考えられる異材継手の組み合わせ

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金属の組合せ 割合(%)

鉄鋼(SUSを含む)

(62.6%)

鉄鋼/アルミ 27.9

鉄鋼/鉄鋼 9.7

鉄鋼/銅 6.7

鉄鋼/チタン 5.7

鉄鋼/マグネシウム 1.0

鉄鋼/その他 11.6

アルミニウム(18.3%)

アルミ/銅 5.8

アルミ/マグネシウム 2.9

アルミ/チタン 1.9

アルミ/アルミ 1.9

アルミ/その他 5.8

銅(7.7%)

銅/銅 1.0

銅/その他 6.7

チタン(3.9%)

チタン/チタン 1.0

チタン/その他 2.9

その他(7.5%)

その他/その他 7.7

NEDO[異材溶接技術の基礎研究]NEDO-ITK-0009(2001.3),68.

将来的に必要と考えられる異材継手の組み合わせ:金属/金属

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将来的に使用したい異材接合法

4.3その他(4.3%)

10.6接着剤(10.6%)

3.0各種

0.8リベット

0.8かしめ

1.5ボルト

機械的接合(6.1%)

3.8各種

4.5ガス圧接

1.5熱間圧接

1.5電磁圧接

2.3爆発圧接

3.0常温圧接

3.0摩擦圧接

4.5超音波接合

4.5拡散接合

固相接合法(28.6%)

9.1ろう接(9.1%)

0.8各種

0.8ガス溶接

3.8電子ビーム溶接

6.8抵抗溶接

12.9レーザ溶接

16.2アーク溶接

溶融溶接(41.3%)

割合(%)接合法

NEDO[異材溶接技術の基礎研究]NEDO-ITK-0009(2001.3),68.

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54.6

24.7

7.2

7.2

4.1

1.1

1.1

金属/金属

金属/セラミックス

金属/プラスチックス

金属/複合材

金属/その他

プラスチックス/複合材

その他/その他

割合(%)組合せ

NEDO[異材溶接技術の基礎研究]

NEDO-ITK-0009(2001.3),68.

将来的に必要と考えられる異材継手の組み合わせ

平成23年度NEDO調査(2012.3)「省エネルギー社会構築に向けた異種材料接合技術開発動向調査」アンケート結果

*全体の傾向は前回2000年度の結果とほぼ同様

*実用化が期待される異材接合材料の組み合わせが明確になった:

・鉄/樹脂・CFRP・アルミ/樹脂・CFRP・鉄/アルミ

平成25年度開始の未来開拓国プロ「革新的新構造材料等技術開発」

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ベンツS-Class車体:Euro Car Body 2013

上部構造:車体(ボディー):①高強度鋼による薄肉化:ハイテン鋼薄板②軽量非鉄金属:アルミ合金、(マグネ合金)③樹脂材料:CFRP (BMWのi3、i8)

異種材料接合の組合せ:①鉄鋼/アルミ合金②アルミ合金/樹脂・CFRP

自動車の軽量化:燃費と排ガス対策

強度、加工性、軽量性、(コスト)を考慮したマルチマテリアル化 BMWの7シリーズ

平成23年度NEDO調査(2012.3)「省エネルギー社会構築に向けた異種材料接合技術開発動向調査」アンケート結果

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異種材料接合技術の現状

・第1世代:同種金属基(合金):既に実用化

・第2世代:異種金属(合金):困難(実用化は極一部)

・第3世代:異種材料:困難(実用化は極一部)

未解決課題の解決とさらなる適用拡大

斬新なアイデア、先進的・革新的な研究開発

異種材料接合の組み合わせ:

金属/樹脂/セラミックス

鉄鋼/非鉄(Al,Mg,Ti,Cu等)等

鉄鋼材料同士等

(中田作成)

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溶接・接合法の分類と種類

溶接・接合

アーク溶接

機械的接合(かしめ、リベット、ボルト)接着ろう接

固相接合

溶融溶接

抵抗溶接

レーザビーム溶接

電子ビーム溶接

ティグ溶接

プラズマアーク溶接

ミグ溶接

拡散接合

爆発圧接

熱間・冷間圧接

超音波圧接

摩擦撹拌接合(FSW)

摩擦圧接

高エネルギービーム溶接

プロジェクション溶接

シーム溶接

スポット溶接

フラッシュバット溶接

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(f)機械的接合法

(a)溶融溶接法(アーク溶接の例)

(d)ろう接法

ろう材

(b)圧接法(摩擦圧接法の例)

圧接面

加圧

開先加工面溶融部

接着剤

(c)圧接法(摩擦撹拌接合法の例)

(e)接着剤リベット

当て板

各種溶接・接合法の模式図

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接合プロセス異種材料の組み合わせ

同種金属基

異種金属基

金属/樹脂金属/CFRP

金属/セラミックス

溶融溶接アーク溶接 ◎ △ × ×

電子ビーム溶接 ◎ ○ × ×レーザ溶接 ◎ ○ ◎* ×

ろう付 ろう付 ◎ ◎ × ◎

固相接合拡散接合 ◎ ○ × ×圧接 ◎ ○ △ ×FSW ◎ ◎ ◎* ×

接着 接着剤 ◎ ◎ ◎ ◎機械的締結

リベット、ボルト、かしめ

◎ ◎ ◎ △

異材接合の可能性:◎高い、○材料に大きく依存、△低い、×不可、*特別な手法

接合プロセスの異材接合への適用性

(中田作成)

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金属材料における異種材料接合の可能性

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平衡状態図から分かる異種材料接合の可能性

T.B.Massalski: Binary Alloy Phase Diagram, 2nd ed., ASM (1990)

(a) 全率固溶 Cu-Ni

Cu Ni

固溶体

(b) 2相分離 Fe-Cu

Fe Cu

固溶体

(c) 一部固溶体+金属間化合物 Al-Mg

MgAl

固溶体

金属間化合物

(d)一部固溶体+金属間化合物 Fe-Al

Fe Al

固溶体

金属間化合物

接合界面組織が固溶体か、金属間化合物かで接合性が決まる

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Ag Al Au Be Co Cu Fe Mg Mo Nb Ni Pt Re Sn Ta Ti W

Al 2

Au 1 5

Be 5 2 5

Co 3 5 2 5

Cu 2 2 1 5 2

Fe 3 5 2 5 2 2

Mg 5 2 5 5 5 5 3

Mo 3 5 2 5 5 3 2 3

Nb 4 5 4 5 5 2 5 4 1

Ni 2 5 1 5 1 1 2 5 5 5

Pt 2 5 1 5 1 1 1 5 2 5 1

Re 3 4 4 5 1 3 5 4 5 5 3 2

Sn 2 2 5 3 5 2 5 5 3 5 5 5 3

Ta 5 5 4 5 5 3 5 4 1 1 5 5 5 5

Ti 2 5 5 5 5 5 5 3 1 1 5 5 5 5 1

W 3 5 4 5 5 3 5 3 1 1 5 1 5 3 1 2

Zr 5 5 5 5 5 5 5 3 5 1 5 5 5 5 2 1 5

1:溶接可能(固溶体形成)2:ほぼ溶接可能(複雑な組織形成)3:溶接には注意が必要(溶接に関するデータが不十分)4:溶接には極めて注意が必要(信頼できるデータ無し),5:溶接不可能(金属間化合物形成)*)Welding handbook, Vol.2, 8th edition, America Welding Society, Miami, FL, 1991

平衡状態図的にはAl/FeやTi/Feの溶接は不可能

状態図と関連づけた異材接合の可能性(レーザ溶接)

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部材 溶融溶接性圧延材 ◎押出材 ◎鍛造材 ◎鋳造材 ○

高圧鋳造(ダイカスト)材 △粉末焼結材 ×複合材 ×

発泡・ポーラス材 ×その他:非晶質材、強塑性加工材

×

◎容易、○要注意、△困難、×不可

成形加工プロセスの異なる部材

異材接合:材料素材の組み合わせ+成形加工の組み合わせ両方を考慮する必要がある

(中田作成)

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第1世代:同種金属基(合金)

・同じ種類の金属とその合金のグループ同士の異種材料接合・主に鉄鋼材料において、古くから実用化・溶接施工法等がほぼ確立、整備

・炭素鋼/合金鋼/ステンレス鋼など・アルミニウム合金同士・溶接材料・溶接法・溶接条件の最適化

異種材料接合の組み合わせ:

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第2世代:異種金属基(合金)

・異なる種類の金属とその合金間の異種材料接合・金属の種類の組合せにより実用化の程度は大きく異なる

・最もニーズの大きい組合せ:鉄鋼/アルミ合金(状態図では極めて困難な異材組合せ)

異種材料接合の組み合わせ:

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日経ものづくり2016.6月号より

鋼板/Al合金の異材接合:機械的締結と接着剤

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・アルミニウム/鉄の直接接合の現状溶融溶接、ブレーズ溶接、固相接合

(FSW等)検討例

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・Al/Fe界面での脆い化合物Al3Fe,Al2Fe5 の優先析出

・融点差:1538℃/660℃

・熱膨張係数差:12x10-6/23x10-6

Al / Fe異材継手のティグアーク溶融形状

Al-Fe平衡状態図

対応法:脆い化合物の形成防止は困難なので化合物層の厚さを薄くする方法が主として検討されている

アルミ/鉄異材継手の溶融溶接上の問題点

Al

Fe

Al Fe

ビード表面

ビード断面

溶融部

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接合プロセス

高温反応

接合界面構造

低温反応塑性流動現象

溶融溶接

抵抗溶接

ろう付

拡散接合

圧接摩擦圧接超音波爆接

FSW

・高温反応のため金属間化合物層形成・金属間化合物層の厚さが支配因子・数μm(1μm)以下で良好な継手強度

・金属間化合物層がSEM程度では認められない・界面にアモルファス層形成(数nm〜数十nm厚さ,酸化物層)

・化合物との複合層

Al / Fe異材接合プロセスと接合可能な接合界面構造(過去の文献等からの取り纏め結果)

(中田作成)

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アルミニウム/鉄の直接異材接合・高温反応接合プロセス例

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拡散接合の例(高温反応プロセス)

・金属間化合物層形成

・金属間化合物層厚さが継手強度の支配因子

・金属間化合物層厚さ1〜2μmで最高強度

・これより薄いと低下(接触部が不均一)

・これより厚いと低下(金属間化合物層内破断)

黒田ら;溶接学会論文集,17(1999),484

固相接合であるが、融点直下の高温の、真空中で長時間加熱

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レーザ溶接の例(高温反応プロセス)

M.Kreimeyer:Schw. & Schen

2002,DVS220,256.

Al合金/Steel異材継手の断面マクロおよびミクロ組織

突合せ継手:レーザ照射置をAl側としAlのみ溶融

Al合金 鋼

Al合金

金属間化合物層

重ね継手:レーザ照射位置を鋼板裏面とし間接加熱でAlのみ溶融

Al合金

Al合金

金属間化合物層

溶融部

F.Wagner:

ICALEO

2001,

C,1301

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アルミニウム/鉄のブレーズ溶接検討例(高温反応プロセス)

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溶融溶接と、ろう付およびブレーズ溶接との違い

継手 ろう付 溶接 ブレーズ溶接

突合せ

重ね

溶接金属 (溶加材+母材)

母材1 母材2

母材2(上板)

母材1(下板)

溶接金属 (溶加材+母材)

母材1 母材2

ろう材

母材1(下板)

母材2(上板)ろう材

溶接金属 (溶加材+母材)

母材1 母材2母材1

母材2(上板)

溶接金属 (溶加材+母材)

母材1(下板)

(中田作成)

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状態図により推定した代表的なろう材素材の適合性

化合物なし共晶Al/Zn

○化合物形成広い範囲で固溶体△Zn

多数の化合物形成×全率固溶体○Ni

多数の化合物形成×化合物なし

2相分離Cu/Fe

○Cu

多数の化合物形成広い範囲で共晶△

化合物なし2相分離Au/Fe

○Au

全率固溶体○多数の化合物形成×Al

化合物形成広い範囲で共晶△

化合物なし2相分離Fe/Ag

○Ag

AlFe

異材母材ろう材素材

(中田作成)

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ミグアークブレーズ溶接重ね継手(ろう接の一種)

接合界面ミクロ組織

継手:アルミA1050/炭素鋼SPCC

溶加材ワイヤ(フラックス内蔵)BA4047(Al-12%Si合金)

A1050/SPCCの外観

断面

1~3mm厚さでAl母材破断T.Murakami, K.Nakata et al:ISIJ Int.43(2003)1596.

FeAlSi

3元系化合物

FeAl2元系化合物

母材よりも融点の低いろう材を用いて、できるだけ母材を溶融しないで溶接する

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Zn-Si溶加材の出現とレーザブレージングによるアルミ合金/亜鉛めっき鋼板の異材接合

(脇坂、鈴木:溶接学会論文集、30(2012)274-279)

(ホンダエンジニアリング)

Zn-6%Al溶加材ろう付部破断

Zn-1%Si溶加材Al合金母材破断

ピール試験後の継手断面

半導体レーザ、フレア継手GA鋼板/6022Al合金

FeAl化合物厚さ10mm

Fe3Al2Si3化合物厚さ100nm程度a-Fe/結晶整合性良好

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アルミニウム/鉄の固相接合摩擦撹拌接合FSWの検討例(金属の塑性流動を利用する

低温反応プロセス)

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溶接・接合法の分類と種類

溶接・接合

アーク溶接

機械的接合(かしめ、リベット、ボルト)接着ろう接

固相接合

溶融溶接

抵抗溶接

レーザビーム溶接

電子ビーム溶接

ティグ溶接

プラズマアーク溶接

ミグ溶接

拡散接合

爆発圧接

熱間・冷間圧接

超音波圧接

摩擦撹拌接合(FSW)

摩擦圧接

高エネルギービーム溶接

プロジェクション溶接

シーム溶接

スポット溶接

フラッシュバット溶接

Page 37: 異種材料の接合技術の現状3. 金属材料における異材接合の可能性 4. 第2世代異種材料接合 ・アルミニウム/鉄の異材接合の現状 溶融溶接、ブレーズ溶接、固相接合(FSW等)

摩擦攪拌接合FSW : Friction Stir Weldingの出現

英国溶接研究所TWIが1991年に国際特許を取得、

2015年まで有効。

(1)R198 - Improvements Relating To Friction Welding

(Friction Stir Welding)

GRANTED PATENTS: Japan, 271 283 8,

granted 27 Nov. 1992 for 20 years

(2)R227 - Friction Stir Welding

GRANTED PATENTS: Japan, 279 223 3,

granted 5 Jan. 1995 for 20 years

国内企業から多数の応用特許が出願されており、その調整が必要!

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高速回転しているツールを突合せた2枚の板の突合せ部表面に押しつけると、摩擦熱によりツールと接触している部分の温度が上昇し、ちょうど水あめのように塑性流動を起こし2枚の板が混ざり合う。このときツールを突合せ部に沿って移動することにより連続した接合が可能となる。接合部の温度は固相線温度以下であり,このため溶融溶接が困難な材料、例えばジュラルミン系の2024や7075等の航空機用高強度Al合金などの接合が可能となる。

前進側(Advancing side)

後退側(Retreating side)

摩擦撹拌接合FSWの原理

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FSWの原理:FSW装置

[大阪大学 接合科学研究所]

荷重制御式FSW装置 複動式FSW装置

片持梁式 両持梁式(門形)

(中田作成)

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FSW作動ビデオ

回転ツール

裏当金

押さえジグ

被接合材:アルミ合金板、板厚6mm

アルミ板

プローブ開先

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FSWによるAl合金/鉄鋼の異材接合の提案

・回転プローブによる接合界面の清浄化/活性化

・低温・短時間接合と金属の塑性流動の活用

接合部断面とピン挿入位置

接合界面

鋼 アルミニウム

ピン

接合界面

(a)突合せ継手 (b)重ね継手

アルミニウム

岡本ら:軽金属溶接 42(2004)49.岡村ら:溶接学会誌72(2003)436.

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オフセットが大きいとピンにより削り取られた微小鉄片が摩擦撹拌部へ混入

金属間化合物の形成は抑制されている

渡辺ら:溶接学会論文集22(2004)141

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接合性に及ぼすピン回転方向と試片配置の組合せの影響

福本ら:溶接学会論文集22(2004)309

プローブに削られた清浄面4に塑性流動アルミが押し付けられる

6の接合面は清浄面では無い

前進側

後退側

前進側

後退側

オフセット量の最適化

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摩擦撹拌点接合:FSJ,FSSW

1. アルミ合金の抵抗スポット溶接の代替2.高張力鋼シート材の抵抗スポット溶接の代替3.アルミ合金/鉄鋼シート材の重ね異材接合

省エネ型スポット溶接プロセスとして注目

摩擦点接合の接合過程

ツ ール

被接合材

回 転 方 向

塑 性 流 動

上 下 方 向

塑 性 流 動

( 1) ピ ン 圧入 ( 2) 攪拌・ 一体化 ( 3) ピ ン 引抜き

接合条件のパラメータ

ツール回転数

押込み荷重

ツール形状

接合時間

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回転ツール

アルミシート(上板)

アルミシート(下板)

アルミ合金シート材の重ねスポット接合

摩擦撹拌点接合:動画

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摩擦攪拌点接合によるAl合金/鉄鋼異材接合(低温反応プロセス例)

・Mg-Si-O系アモルファス層

2〜4nm接合界面全域

・3.6kN(Al/Fe) / 3.9kN(Al/Al) = 92%

田中ら;軽金属,56(2006),317

Al: 6000系合金(Al-1Si-0.5Mg)

Fe:炭素鋼SPCC

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超音波圧接によるAl合金/鉄鋼異材接合(低温反応プロセス例)

50nmFe2Al5+アモルファス 加藤ら;溶接学会論文集,23(2005),194

母材の75%の接合強度

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鋼板とAl合金のFSWによる直接異材接合実用化例:ホンダ

日経ものづくり2012年10月p.18-19

サブフレーム

重ね継手への展開

マツダ:2005年アルミ材/鋼板の点接合実用化:アルミ製トランクリッドヒンジ部

Al合金

鋼板接合部(連続接合部)

シリコーン製シート

回転工具

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間接接合法:・接着法・機械的締結法

直接接合法:・FSW・レーザブレージング法

アルミ合金/鋼板の異種材料接合実用化技術

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アルミ合金/鉄の異材直接接合技術:まとめ

現状:・アルミ/鉄の異材溶接は平衡状態図的には困難・異材接合界面構造の制御で静的強度の高い継手の形成が可能

課題:・動的機械的性質(疲労強度など)がどうなるか?・化学的性質(腐食)は?・接合プロセス・継手強度の安定性/再現性の保証・生産現場への適用性(研究から現場へ)・品質評価法・コスト(装置,維持など)・規格化・標準化

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第2世代異種材料接合

・その他の組み合わせ例

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FSWによる純チタン/鉄鋼SPCCの重ね異材接合

Ti Steel

接合部Ti母材破断部

CP-Ti SPCC

FeTi+b-Ti複合層

引張せん断試験後の外観と界面組織

(Y.Gao, K.Nakataら:Materials & Design, 65(2015)17-23)

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FSWによる黄銅と炭素鋼の異材重ね接合

RS

黄銅

炭素鋼 接合界面

3mm

黄銅

炭素鋼 5μm接合界面

(a)

(b)

位置 (単位nm)

元素量

(at%

)FeCu

Zn

約80nm (d)

炭素鋼 黄銅

500nm

(c)

炭素鋼 黄銅

拡散層

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摩擦圧接によるアルミニウム/ステンレス鋼異材接合

SUS304A1070

接合界面

接合界面部

SUS304

A1070工業用純アルミ

破断面

直径24mm丸棒、A1070/SUS304

摩擦圧接後表面機械加工

繰返し90度曲げアルミ母材部破断(精密工業㈱提供)

異材接合継手の新しいJIS評価法への取り組み(経産省産業技術環境局)

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AZ61A

0 2 4 6 8 10 12

Inte

nsity (

a.u

.)

Distance , mm

AZ31B CP-Ti

Al

2mm

Mg

Ti

接合界面

距離, mm

FSWによるMg合金と工業用純チタンの突合せ接合

濃度

接合界面のミクロ組織と合金元素分布

Mg合金AZ31の合金元素であるAlが接合界面でごく薄い金属間化合物TiAl3層を形成する

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FSWによるAl合金A5083とMg合金AZ31の異材接合

マグネシウム合金

アルミニウム合金

金属間化合物層

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ティグ溶接金属部

アルミニウム合金 チタン

2mm

アルミニウム合金と工業用純チタンのティグ溶接による突合せ継手の断面マクロ組織

(赤星工業株式会社提供)

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FSW of Die Cast & Metal Matrix Composite (中田作成)

AZ91Dダイカスト材MIG溶接部に発生した

ブローホール(AZ61 ワイヤ)

Blow holes in GMAW of die cast Mg alloy

20mm

(b)20mm

(c)

(b) Base Metal

母材(c) Stirred Zone (SZ)

接合部(攪拌部)

Retreating side Advancing side

1mm(a)

(b)(c)

FSW of AZ91D die cast without defects

10%Al2O3

6061MMC

YAG laser

welds

10%Al2O3 6061MMCのFSW接合継手

断面組織(a),母材 (b) ,攪拌部 (c)

Porosity & cracks in laser welds

of 10%Al2O3-6061MMC

FSW of MMC without defects

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成形法の異なる合金の組合せ(Al合金の例)(FSWによる異材接合例)

圧延材/ダイカスト材/鋳造材/粉末成形材/複合材

後退側 前進側

ADC12 A5052

10%Al2O3 6061MMCと6061アルミ合金とのFSW突合継手 (中田作成)

ダイカスト材と圧延材との接合気孔等の発生により溶融溶接不可

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第3世代異種材料接合

・異なる材料間の接合

・金属/樹脂・CFRP

・金属/セラミックス

異種材料接合の組み合わせ:

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接合法 接合手法 特長 欠点

接着法 接着剤

・継手形状、寸法の自由度大

・熱可塑性及び熱硬化性樹脂に適用可

・消耗品(接着剤)必要

・溶媒溶液の安全性・接着剤固化時間の確保

機械的締結法・リベット・ボルト・かしめ

・継手形状、寸法の自由度大

・熱可塑性及び熱硬化性樹脂に適用可

・リベット、ボルトなどの消耗品必要

・かしめでは消耗品不要

熱圧着法・高周波加熱・抵抗加熱・レーザ加熱

・継手形状、寸法の自由度大

・熱可塑性樹脂に適用・消耗品不要

・熱硬化性樹脂への適用困難

インサート成形法

金型を用いる溶融樹脂の射出成形

・小物部品の大量生産可能

・熱可塑性及び熱硬化性樹脂に適用可

・部品形状、寸法に大きな制約有り

実用化されている金属/樹脂異種材料接合法の特徴 (中田作成)

Page 62: 異種材料の接合技術の現状3. 金属材料における異材接合の可能性 4. 第2世代異種材料接合 ・アルミニウム/鉄の異材接合の現状 溶融溶接、ブレーズ溶接、固相接合(FSW等)

日経ものづくり2016.6月号より

Page 63: 異種材料の接合技術の現状3. 金属材料における異材接合の可能性 4. 第2世代異種材料接合 ・アルミニウム/鉄の異材接合の現状 溶融溶接、ブレーズ溶接、固相接合(FSW等)

日経ものづくり2016.6月号より

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金属/樹脂・CFRPの異種材料接合●インサート成形法:小物部品等で実用化●板材の接合:開発途上(一部実用化)

間接接合法:(熱可塑樹脂・熱硬化樹脂)・接着剤・機械的締結法:リベット、ボルト、かしめ等

直接接合法:

・熱溶着法:(熱可塑性樹脂)

・加熱方法:超音波、抵抗、高周波等・レーザ接合法(レーザエネルギー利用)・摩擦重ね接合法(摩擦エネルギー利用)

マルチマテリアル化に向けた多様な接合方法の整備が必要:継手形状、特性、量産性、コストなど

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PETType 304

(a) 304ステンレス鋼/樹脂PET重ね異材継手

(b) 重ね異材継手の引張せん断試験後の外観

PET母材部での破断

SUS304

接合部

PET母材

(a) レーザ照射による金属/樹脂の重ね異材接合法の概略図(LAMP法:透明樹脂側からレーザを照射)

レーザエネルギーを利用した金属と樹脂との直接異種材料接合法

(川人、片山:溶接学会論文集、28(2010)16-21)

金属側からのレーザ照射によりCFRPとの接合も可能

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摩擦エネルギーを利用した金属と樹脂との直接接合法:摩擦重ね接合法(Friction Lap Joining, FLJ法)

(特許第5817140号、H27.10.9登録)

樹脂板

Al合金板接合部

樹脂板

Al合金板

接合継手外観

ツール加圧部

接合継手断面

Al 合金板

樹脂板

(接合部)

樹脂板

Al合金板

回転ツール

熱伝導

溶融した樹脂

ツール回転

荷重

摩擦発熱

接合機構

FLJ接合法概略図

(岡田、中田ら:軽金属溶接、53(2015)298-306)

ツール

加熱温度:400‐600℃

接合条件例:回転速度:200-2000rpm

接合速度:100-2000mm/min

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FSW作動ビデオ

回転ツール

裏当金

押さえジグ

被接合材:アルミ合金板、板厚6mm

アルミ板

プローブ開先

(大阪大学接合科学研究所)

Page 68: 異種材料の接合技術の現状3. 金属材料における異材接合の可能性 4. 第2世代異種材料接合 ・アルミニウム/鉄の異材接合の現状 溶融溶接、ブレーズ溶接、固相接合(FSW等)

摩擦重ね接合法(Friction Lap Joining, FLJ法)動画

金属板

樹脂・CFRP板

回転ツール

固定ジグ

固定ジグ

裏当板

(大阪大学接合科学研究所)

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接合性に及ぼす樹脂特性とアルミ合金の表面状態の影響

Al

EAA

Al

EAA

PE

EAA

Al表面状態樹脂

アルマイト

皮膜

受入材

のまま

Al

PE

5mm

Al

PE

重ね接合継手断面組織

受入材

のまま

アルマイト皮膜

ツール加圧部

ツール加圧部

ツール加圧部

ツール加圧部

EAA:エチレンアクリル酸コポリマ

極性官能基としてCOOH基(カルボキシル基)を有する

アルミ合金の表面状態によらず直接接合可能

PE:ポリエチレン

無極性:極性官能基なし

アルマイト皮膜処理アルミ合金では接合可能

*アルミ合金表面特性:アルマイト処理皮膜*樹脂特性:極性官能基

熱可塑性樹脂

Page 70: 異種材料の接合技術の現状3. 金属材料における異材接合の可能性 4. 第2世代異種材料接合 ・アルミニウム/鉄の異材接合の現状 溶融溶接、ブレーズ溶接、固相接合(FSW等)

接合性に及ぼす樹脂特性とアルミ合金の表面状態の影響

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45接合継手の引張せん断強度

/N・m

m

受入材Al

緻密皮膜アルマイト皮膜ポーラス皮膜

接合界面破断

樹脂母材破断

接合不可

極性官能基 EAA 無極性樹脂PE

接合部樹脂母材破断部

樹脂 Al合金

受入材Al

緻密皮膜

アルマイト皮膜ポーラス皮膜

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6nm

EAA樹脂

Al合金(a)

接合界面

20nm

自然酸化皮膜(Al2O3)

アルミ合金

酸化皮膜Al2O3

極性官能基CO

分極(静電引力)による分子間力

(水素結合力)

EAA樹脂

OH-δ

Al

O-δ

+δ 酸化物

水素結合

金属

想定される金属/樹脂の直接接合機構

接合界面構造:受入材のままのAl合金

アルマイト皮膜(ポーラス構造)

PE樹脂

(b) アルマイト皮膜

PE

(c)

接合界面

20nm

200nm

ポア内への樹脂の侵入

アンカー効果(機械的締結)(Interlocking)

無極性のPE樹脂では水素結合はない

接合界面構造:アルマイト皮膜処理Al合金

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コロナ放電処理によるポリエチレンPE表面への極性官能基の付与による接合性改善

Te

nsile

sh

ea

r fr

actu

re lo

ad

/ k

N

受入材PA6

0

0.5

1

1.5

2

2.5極性官能基有りPA6母材破断

極性官能基有りPE母材破断

極性官能基無し接合不可

(A5052/PE界面破断)引張せん断荷重

/kN

受入材PE

コロナ放電処理材

PE

280285290295

PA6

PE (受入材)

PE (コロナ放電

処理材)

C-H,C-C

強度

(a.u

)

結合エネルギ / eV

O=C-OH

O=C-NHC-OH

C1s

ヒドロキシル基(C-OH)およびカルボキシル基(O=C-OH)

による水素結合の効果を示唆

アルミニウム合金A5052 表面研磨処理材

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コロナ放電処理高周波高電圧を印加して電子を発生させ、試料表面に衝突させることで、表面に親水性の極性官能基を生成し、濡れ性、接着性を向上させる表面処理

気相中の反応:大気中の酸素の電離、解離により酸素ラジカルやオゾン等が発生する

試料の反応:・高エネルギー電子が表層に衝突することによって高分子結合の主鎖や側鎖を切り離す・切断された高分子表層と、気相中の酸素ラジカル、オゾンと再結合することで、極性官能基が付加される。

Corona discharge

-OH, >C=O, -COOH

極性官能基

HOC C CH H H

O

C

H

H

C

H

H

C

H

H

C

H

H

C

H

H

高分子主鎖

表層

O3

O3

電子

O*

酸素ラジカル

オゾン

陰極陽極

O*

試料

C

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摩擦重ね接合法による鉄鋼材料/樹脂の直接接合

極性官能基:アミド基CONHを有するポリアミドPA6はナノレベルのごく薄い鉄酸化物層を介して接合

低炭素冷間圧延鋼板SPCC/ポリアミド樹脂PA6

樹脂PA6

鋼板SPCC

ツール通過部10 mm

(a) 継手外観

PA6

SPCC

1 mm樹脂溶融部

(b) 継手断面マクロ組織

50 nm

SPCC

PA6

Fe3O4

2 2 0

2 2 0

0 4 0

ツール通過部

(c) 接合界面微細構造

K.Nagatsuka,K.Nakata 他、ISIJ Int. Vol.56 No.7掲載予定

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鋼板SPCC/無極性樹脂ポリエチレンPEの接合性に及ぼすコロナ放電処理の効果

0

0.5

1

1.5

2

PA6 0 min 1 min 5 min

引張せん断破断荷重

/ kN

コロナ放電処理時間

PE

破断位置×: 接合界面○: 樹脂母材

(a) 樹脂母材破断

(b) 接合界面破断

10 mm

10 mm

ツール通過部

SPCC

SPCC

樹脂破断部

ツール通過部

樹脂

樹脂

アルミニウム合金、鉄鋼材料共に同じ接合機構:樹脂の極性官能基と金属表面の酸化皮膜を介した水素結合

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0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

200 400 600 800 10000

接合速度 / mm min-1

引張せん断破断荷重

/ k

N

SPCC

6Nylon

Bubble SPCC

6Nylon

SPCC

6Nylon

Joining speed / mm·min -1

200 600 1000

1mm1mm 1mm

200

300

400

500

600

700

800

900

0 50 100

200 mm min-1

600 mm min-1

1000 mm min-1

温度

/ K

時間 / s

PA6 融点225℃

PA6 熱分解温度350℃

鋼板SPCC/樹脂の接合性に及ぼす接合速度の影響

〇:樹脂母材破断×:接合界面破断

PA6PEコロナ処理

接合部断面マクロ組織

接合速度:最適値が存在低速度:気泡と樹脂の

熱劣化高速度:接合面積の減少

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摩擦重ね接合法によるAl合金/熱可塑性CFRPの直接接合

上板

A5052 (150×75×2 t (mm))

湿式研磨:流水中にて

#800エメリー紙で研磨

下板

試作CFRTP:射出成形

寸法:80×80×3 t (mm)

マトリックス: Polyamide 6

(融点225℃ 熱分解温度約350℃)

炭素繊維:長さ約300μm短繊維添加量20wt%

引張強度 TD:約117MPa

FD:約140MPa

供試材料

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摩擦重ね接合法によるAl合金/熱可塑性CFRPの直接接合

(a) Al合金板

熱可塑性CFRP板

接合部

(b)(b)

CFRP母材破断部

熱可塑性CFRP板

Al合金板接合部

炭素繊維PA6

Al合金(A5052)

5μm

SEI

2μm

A5052

PA6

炭素繊維

酸化皮膜MgO

BFI

アルミニウム合金表面の酸化皮膜とマトリックス樹脂との間で接合

(永塚、中田ら:溶接学会論文集、32(2014)235-241)

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A5052 / PA6・CFRP接合継手引張せん断強度に及ぼす各種表面処理の影響

(a)

(a)

5mm 50mm

(a)

(a)

アルミニウム合金側破断面形態

未処理材

表面研磨材

FLJ条件:ツール回転数:2000rpm

接合速度:400mm/min

未処理材 酸化皮膜処理

湿式表面研磨処理

引張せん断破断荷重

/ k

N

PA6

PA6 PA6

CFRP

CFRP

CFRP

幅15mmの短冊状試験片を3本試験に供した。

:接合界面破断

:樹脂母材破断

:PA6:CFRP(PA6マトリックス)

アルミニウム合金A5052の表面処理

4

3

2

1

0 CFRP母材の部分層間剥離

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A5052 / PA6接合継手引張せん断強度と表面粗さ

• 表面粗さ(Ra)が0.3程度まではアンカー効果や表面積増加の効果により表面粗さの増加に伴って接合強度が増加し、その後飽和した(機械的状態)。

• 受入材と湿式研磨処理材を比較すると、表面粗さに依らず湿式研磨処理材の接合強度が高かった(化学的状態)。

Ra [μm]

Te

nsile

sh

ea

r str

en

gth

[kN

]

#400 #220#800

#1500

DP1μm

Untreated

: Fractured at the joint interface

: Fractured at the plastic base material

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8

Surface roughness; Ra /μm

As-received

Ten

sil

e s

hear

fractu

re l

oad

/ k

N

湿式研磨

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・表面処理を施すことで明確なケミカルシフトが認められ、受入材ではAl2O3、表面処理材ではAl(OH)3の形成が示唆された。・OとAlの比率が、表面処理を施すことで大きくなり、Al2O3からAl(OH)3の組成へと近づいた⇒酸化皮膜処理および湿式研磨処理によってA5052表面の水酸化物の形成量が増加したと考えられる。

各種表面処理後のA5052表面(接合前)のXPS分析

527530533536

As-received

Oxide film treated

#800 wet-ground

Binding Energy / eV

Inte

nsit

y (

a.u

.)

Al(OH)3 Al2O3O1s

Element / at.%OAl

/AlAl O Mg C OAl*

As-

receive

d

16.8 35.9 3.7 43.6 32.2 1.9

Oxide

film

treated

20.6 50.4 1.2 26.9 49.2 2.4

#800

Wet-

ground

15.2 45.0 1.3 38.5 43.7 2.9

*OAl = O-Mg

組成分析(at%)O1sの結合状態分析 Al2O3=1.5, Al(OH)3=3

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We

ttin

g t

en

sio

n / m

N·m

-1

Surface condition

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

Untreated Dry polished Wet polished

濡れ性試験での上限値

As-received Oxide film treated #800 wet-ground

表面濡れ性試験 (JIS K 6768)

酸化皮膜処理および湿式研磨処理により著しく表面濡れ性が向上し、濡れ性試験の最大値(73.0mN/m)となった。

⇒酸化皮膜処理および湿式研磨処理によって、水酸化物が表面に生成し、溶融した樹脂との濡れ性が改善されたと考えられる。

エチレングリコール、ホルムアルデヒド、メタノールおよび水を所定の割合で混合した種々の表面張力を持つ試液をAl合金表面に塗布し、濡れ性を評価

Test solution Test solution

Application area Application area

濡れる場合

Test solution Test solution

Application area Application area

濡れない場合

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接合界面微細構造解析O

xid

e f

ilm

trea

ted

#8

00

wet-

gro

und

As-r

ece

ive

d

100nm

BFI Al C MgO

100nm

100nm

CFRTP

A5052

A5052

A5052

CFRTP

CFRTP

Oxide layer:

MgO

Oxide layer:

MgO

Oxide layer:

γ-Al2O3

受入材および湿式研磨処理材ではMgO、酸化皮膜処理材ではγ-Al2O3を介してA5052とCFRTP中のPA6が接合された。

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0

1

2

3

0 0.2 0.4 0.6 0.8

DP1μm

#220#400#800

#1500

As-recieved

Surface roughness, Ra / μm

Te

nsile s

he

ar

fra

ctu

re loa

d /

kN

・湿式研磨処理を施した場合、Ra約0.2μm(#800)までは表面粗さの増加に伴い接合強度

は増加し、それ以上では飽和した。また、いずれの表面粗さでも受入材より、接合強度は高かった。

・酸化皮膜処理材では、封孔処理を行わない方が接合強度が高く、皮膜中の孔径約115nmまでは、孔径が大きくなるに伴って接合強度は増加し、130nmでは低下した。

表面粗さの影響 酸化皮膜中の孔径の影響

0

1

2

3

4

0 50 100 150Diameter of pore in oxide film / nm

Te

nsile

sh

ea

r fr

actu

re lo

ad

/ k

N

Sealed Pore Φ115nm

1μm

Sealed

1μm

アルマイト皮膜では、ポア径50nm程度では封孔処理材と同程度の破断強度、しかし100 - 130nmでは大きく増加した。《Micro Interlocking 効果》

酸化皮膜(アルマイト皮膜)のポア径の影響

A5052/CFRP接合継手

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より強い接合強度:水素結合から化学結合へシランカップリング処理による化学結合の導入

金属表面へのシランカップリング処理:アルミニウム合金、鉄鋼・#800研磨紙を用い、水中で金属板表面を研磨・シランカップリング水溶液に金属板を浸漬・乾燥炉内で乾燥・常温にて冷却・それぞれの最適条件において摩擦重ね接合により接合を実施

Si

O

O

Y

HO Si

O

OH

Y

Metal

Plasticシランカップリング剤

Si (OR)3-n

(CH3)n

Y樹脂と化学結合

金属と化学結合

供試シランカップリング剤

シラノールアミノ基

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化学結合(共有結合)により継手強度上昇(反応層形成)

Al合金表面へのシランカップリング処理の効果

永塚、中田ら:溶接学会論文集、33-4(2015)317-325

Te

nsile

sh

ear

fra

ctu

re lo

ad / k

N 継手引張せん断強度の差異

: CFRTP base material

: Joint interface

Fracture position

0

1

2

3

4

5

6

#800 wetpolished

Silane treated

界面破断

CFRP

母材破断

シランカップリング処理湿式研磨処理

1. 化学結合(共有結合)2. 水素結合3. アンカー効果4. (ファンデルワールス力)

>1. 水素結合2. アンカー効果3. (ファンデルワールス力)

Al合金A5052 Al合金A5052

水素結合分子間力

酸化皮膜

極性官能基

-d

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・大成プラス株式会社1)

NMT(Nano molding technology), NAT(Nano adhesion technology)

化成処理により数十~数百nmの凹を形成し、アンカー効果で接合する。炭素鋼, SUS材, Al, Mg, Cu, TiとPPS、PA6等の異材接合において、せん断強度(20℃)は、射出接合で40-50MPa、エポキシ系接着剤併用で60-70MPa

・ダイセルポリマー株式会社3)

DLAMP®

レーザ照射によって表面に複雑な凹凸を形成し、ステッチアンカー効果により接合せん断強度は、射出接合で40-50MPa程度

アンカー効果に有効な注目される金属表面処理

1) http://taiseiplas.lek

umo.biz/blog/index

.html

2) 堀内伸, 計測と制御,

Vol.54, No.10

(2015) 743.

3) http://www.daicelp

olymer.com/ja/topi

cs/archive/1404DL

AMP/

化成処理後の金属表面2) DLAMPを適用した継手の断面3)

金属表面の凹凸部に溶融樹脂が入り込み、固化して機械的に締結

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金属/樹脂・CFRPの熱溶着法による直接接合のポイント:

(1)樹脂の要件:①熱可塑性樹脂であること②極性官能基をバルクあるいは表面に有していること

(2)金属の要件:①表面に酸化皮膜層を有していること

(3)金属の表面処理:

①化学反応層を形成する表面処理層(シランカップリングなど)

②アンカー効果を発揮する表面処理

接合機構として:・水素結合:分子間力・化学結合:共有結合力・アンカー効果:機械的締結力(Interlocking)

これら3つの結合力のハイブリッド化が最も効果的である

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金属/セラミックス異材接合

ろう接法のトピックス

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セラミックス/金属異材レーザブレージング

レーザブレージング条件

レーザ加熱装置外観

X-Y tableLaser oscillator

Pulsed YAG average output : 0.134 kW

CW LD output : 0.02 kW

Pulse frequency : 100 Hz

Scanning speed : 0.6-1.0mm/s

Atmosphere : Ar (1atm)

Thermo couple

Heating area

レーザブレージング法模式図

Glass fiber

Specimen stage

Beam head

WC-Co

Braze

Single Crystal

Diamond

Laser beam

Transparent quartz

Glass plate

活性金属ろう:(70%Ag-28%Cu-1.68%Ti)

厚さ 0.1mm t

(炉中ろう付からインラインろう付への展開)

(Y.Sechi, K.Nakata:Materials & Design, 31(2010),2071-2077)

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単結晶ダイヤモンド/ろう材の接合界面

2mm

Single

Crystal

Diamond

WC-Co

試料外観Single Crystal

Diamond

Braze

WC-Co 40μm

断面組織

WC-Co

Ag-Cu-Ti

Braze

超音波顕微鏡像

2mm

Diamond

WC-Co

Ag-Cu-Ti

BrazeSingle

Crystal

Diamond

WC-Co

Jig

せん断試験によりダイヤモンドが破断

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単結晶ダイヤモンド/ろう材界面のSEM元素分析とTEM解析

cBN、サイアロン、アルミナ、SiC、黒鉛等の接合可能

a) SEM Image

5μm

b) Ag c) C

d) Cu e) Ti

Single Crystal

Diamond

Braze

TiC反応層形成単結晶ダイヤモンド

Ag-Cu-Tiろう合金

接合界面反応層(TiC層)

500nm

(瀬知、中田:溶接技術、63(2015)6、51-56)

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ダイヤモンド/プラチナ台の直接ろう付(赤い矢印部)により作製したダイヤモンドブローチ例

((㈱)スカイライト提供)

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期待される新しい視点からの取り組み:

・可逆接合・常温接合

異種材料接合の今後の展開

構造用材料への適用は20年後?

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講演参考資料:

中田一博著:『マルチマテリアル時代の接合技術ー異種材料接合を用いたものづくりー』

産報ブックレット1、産報出版(株)B5版63ページ、本体価格800円

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ご清聴有難うございました

本講演内容のうち、摩擦重ね接合FLJに関する研究結果は主としてNEDO未来開拓研究「革新的新材料等研究開発」によるものであり、謝意を表します。

連絡先:[email protected]

大阪大学接合科学研究所特任教授 中田一博