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租税特別措置法等(間接税等関係)の改正
一 酒税関係の改正
1 入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例措置の改正
⑴ 改正前の制度の概要 輸入する酒類には、関税、酒税及び消費税(地方消費税を含みます。一及び二において同じです。)がそれぞれ課されることが原則ですが、本邦に入国する旅行者等(一及び二において「入国者」といいます。)がその入国の際に携帯し、又は別送して輸入する酒類(免税とな
る数量を超えて商業量に達するまでの数量のものに限られます。)については、通関時における納税手続の簡素化等を図る観点から、関税、酒税及び消費税の率を総合した率が定められ、関税の簡易税率として適用されています(関税定率法 3の 2)。 しかし、この関税の簡易税率は関税が課される物品に対する特例税率として設けられているものであり、関税が無税のものには適用されません(関税定率法 3 の 2 ②一)。このため、輸
目 次
一 酒税関係の改正���������� 8381 入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例措置の改正���� 8382 沖縄県産酒類に対する酒税の軽減措置等の改正������������� 839
(参考)� 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(酒税法の特例措置の創設部分)の概要����������� 840
二 たばこ税関係の改正�������� 8411 入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例措置の改正����� 841
三 揮発油税及び地方揮発油税関係の改正�������������������� 8421 揮発油税及び地方揮発油税の税率の見直し��������������� 842
四 航空機燃料税関係の改正������ 8441 沖縄路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例措置の見直し����������� 844
五 自動車重量税関係の改正������ 8441 自動車重量税の免税等の特例措置(いわゆる「エコカー減税」)の延長等������������������� 8442 公共交通移動等円滑化基準に適合した乗合自動車等に係る免税措置の見直し����������������� 8483 被災自動車等に係る自動車重量税の還付措置の延長����������� 8494 被災自動車等の使用者であった者が取得する自動車に係る自動車重量税の免税措置の延長����������� 850
六 印紙税関係の改正��������� 8511 農業協同組合中央会に対する税制上の措置��������������� 8512 特定の学資としての資金の貸付けに係る消費貸借契約書の印紙税の非課税措置の延長������������� 8533 特別貸付けに係る消費貸借契約書の印紙税の非課税措置の見直し����� 853
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入する酒類のうち関税が無税とされているウイスキー、ブランデー、スピリッツ(ラム、ジン、ウオッカ等の蒸留酒の一部)、リキュール等、ビール及び発泡酒(一において「ウイスキー等」といいます。)については、関税の簡易税率が適用されませんので、入国者が携帯し、又は別送して輸入するウイスキー等については、通関時における納税手続の簡素化等を図る観点から、関税の簡易税率の代替措置として、酒税及び消費税の率を総合した率により酒税を課税する特例措置が租税特別措置法に規定されています。(注) ウイスキー等については、平成14年の関税
関係の改正等により、平成14年 4 月 1 日から
関税が無税とされたことに伴い、それまで入
国者が携帯し、又は別送して輸入するウイス
キー等に適用されていた関税の簡易税率が適
用できなくなったことから、平成14年度税制
改正において、酒税の特例税率が租税特別措
置法に規定されました。
改正前の本特例の税率は、次の表のとおりとされていました(旧措法87の 3 )。
対象酒類 特例税率
一� ビール(関税についての条約の税率が無税とされるものに限られます。)又は発泡酒
200,000円/㎘
二� ウイスキー又はブランデー(アルコール分が50%以上のもの( 2ℓ未満の容器入りにしたものは除かれます。)は除かれます。)
600,000円/㎘
三� スピリッツ(ラム、ジン又はウオッカ等) 400,000円/㎘
四� リキュール 300,000円/㎘
(注) 本特例の適用を受けるウイスキー等につい
ては、消費税を課さないこととされています
(措法86の 3 )。
⑵ 改正の内容 令和元年10月 1 日から消費税率(地方消費税率を含みます。二において同じです。)が10%に引き上げられることを踏まえ、入国者が携帯
して輸入する対象酒類の通関実態等を勘案し、本特例の対象酒類のうち、ウイスキー及びブランデーの特例税率を800,000円/㎘に、スピリッツの特例税率を500,000円/㎘に、リキュールの特例税率を400,000円/㎘に引き上げることとされました(措法87の 3 )。
⑶ 適用関係 上記の改正は、令和元年10月 1 日以後に、入国者が携帯し、又は別送して輸入するウイスキー等について適用されます(改正法附則 1)。
2 沖縄県産酒類に対する酒税の軽減措置等の改正
⑴ 改正前の制度の概要 沖縄県の区域内にある酒類の製造場のうち沖縄の酒税法の規定による免許を受けて復帰前から引き続き酒類を製造していたものとして所轄税務署長の指定を受けた製造場において製造された酒類で、令和元年 5月14日までに、沖縄県の区域内にある酒類の製造場から移出されるもの(沖縄県の区域以外の本邦の地域へ移出する目的で酒類の製造場から移出されるものは除かれます。)に係る酒税の税額は、単式蒸留焼酎(泡盛等)にあっては本土の税額の100分の65、その他の酒類にあっては本土の税額の100分の80とされていました(旧沖特法80①一、旧沖特令72)。(注) 昭和47年 5 月に沖縄が本土に復帰するに際
し、復帰前の沖縄における酒類の税負担を本
土と比較すると総体として低い水準にあった
という実情を踏まえ、酒税について復帰後直
ちに本土の税制をそのまま適用するとした場
合には、沖縄における一般消費者の生活や産
業経済に及ぼす影響が大きいと考えられたこ
とから、その影響を緩和するため、復帰後 5
年間は、沖縄県産酒類については、原則とし
て復帰前の税負担水準を維持する措置が講じ
られました。
その後、昭和52年においては、本特例措置
の適用期限を 5 年間延長するとともに、税負
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担水準を段階的に本土並みに近づけていくた
めの措置が講じられましたが、沖縄県の社会
経済情勢等を考慮して、昭和57年度、同62年度、
平成 4 年度、同 9 年度、同14年度、同19年度
及び同24年度においては 5 年間、平成29年度
においては 2 年間、それぞれ期限延長措置が
講じられてきたところです。
また、沖縄県の区域の全部又は一部の区域を地区とする酒販組合については、令和元年 5月14日までは、酒類業組合法における酒販組合の構成要件に関する規定及び構成要件を欠く酒販組合に対する解散命令に関する規定は適用しないこととされていました(旧沖特令110)。(注) 酒類販売業者については、酒類業組合法の
規定により、酒販組合を設立することができ
るとされています。
その設立に際しては、組合員の総数がその
地区内の組合員たる資格を有する者の総数の
3 分の 2 以上であることが必要とされていま
す(酒類業組合法14③)。
また、酒販組合がこの構成要件を欠くに至
ったときは、財務大臣は、酒販組合に対して、
その解散を命ずることができることとされて
います(酒類業組合法90二)。
⑵ 改正の内容① 適用期限の延長 本特例は、沖縄の復帰に伴い、本土税制の沖縄県における円滑な実施を図るための経過的な措置として講じられたものであり、沖縄県の産業振興、県民生活の安定向上に大きく寄与してきたところです。 本特例の適用期限の到来に際して、沖縄県の社会経済情勢、酒類販売業者の特殊事情等を考慮しつつ、他の沖縄関係税制の延長期間を踏まえ、その適用期限を令和 3年 5月14日まで 2年延長することとされました(沖特法80①一、沖特令72、110)。② 酒税改革(平成29年度税制改正)への対応 平成29年度改正において行われた酒税改革
による税率改正の第一段階(以下「第一段階税率改正」といいます。)は、令和 2 年10月1 日に実施することとされていますが、本特例が同日以後の令和 3年 5月14日まで延長されたことに伴い、第一段階税率改正実施時に本特例の適用を受ける一定の酒類を販売のため所持する酒類の製造者又は販売業者の当該酒類に対して、第一段階税率改正前の本特例により軽減された税額と第一段階税率改正後の本特例により軽減された税額との差額に相当する額について、平成29年度税制改正において措置された第一段階税率改正の際の手持品課税及び手持品戻税と同様の措置が講じられています(沖特法82、沖特令89)。
(参考) 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域
法の一部を改正する法律案(酒税法の特例措
置の創設部分)の概要
⑴ 酒税法の特例措置の創設の背景 清酒の酒蔵は伝統的に地域の経済・社会や祭事などコミュニティ形成の中心的役割を担ってきたものも多く、地域活性化の取組みに対する関心が高い清酒製造者や地域への発信力の大きな清酒製造者も存在しており、こうした清酒製造者が地域社会の担い手として自ら主体となって地方公共団体と連携しつつ地方創生に取り組むことが期待されているところです。 清酒の製造は他の酒類と比べて手作業に頼る部分が多く製造体験に親和的であると考えられ、清酒の製造体験は観光客を中心とする交流人口の拡大を通じて地域の活性化に繋がることが期待されることから、清酒の製造体験に係る酒税法の特例措置を創設することとされています。
⑵ 酒税法の特例措置の内容 構造改革特別区域法上の特例として、構造改革特別区域内において清酒の製造免許を受けた者が、当該構造改革特別区域の魅力の増進に資する施設において清酒の製造体験の機会の提供
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を行う場合には、当該施設に所在する一の場所を既存の清酒の製造場と一つの清酒の製造場とみなすこととされています(構造特区法27)。 具体的には、次のような要件を満たす場合には、この特例が適用されます。①� 清酒の製造者は、構造改革特別区域内において清酒の製造免許を受けている者であること②� 体験製造場は、構造改革特別区域内に所在する当該構造改革特別区域の魅力の増進に資する施設内の一の場所であること③� 地方公共団体が、その設定する構造改革特別区域内において清酒の製造者が、当該構造改革特別区域の魅力の増進に資する施設において、清酒の製造体験の機会を提供することを通じて地域の活性化を図ることが必要であると認めて内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けること
④� 清酒の製造者が、内閣総理大臣の認定を受けた当該構造改革特別区域計画で特定事業の実施主体として定められていること⑤� 当該構造改革特別区域の魅力の増進に資する施設が、内閣総理大臣の認定を受けた当該構造改革特別区域計画で特定施設として定められていること⑥� 清酒の製造者が、清酒の製造体験に係る酒税法の特例の適用について税務署長に申請し、その承認を受けること
⑶ 適用関係 上記の特例措置は、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律の公布の日から起算して 3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされています(改正特区法附則 1)。
二 たばこ税関係の改正
1 入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例措置の改正
⑴ 改正前の制度の概要 入国者が携帯して輸入する紙巻たばこについて、免税となる数量を超えて商業量に達するまでの数量については、昭和62年 3 月末までは、通関時における納税手続の簡素化等を図る観点から、関税及び内国消費税の税率を総合したものを基礎として算出されていた簡易税率(下記(注 1)をご参照ください。)が関税定率法に定められており、これを適用することとされていました。 紙巻たばこについては、昭和61年の日米たばこ協議合意に基づき、昭和62年 4 月から、紙巻たばこに対する関税が無税とされたことに伴い、それまで入国者が携帯して輸入する紙巻たばこに適用されていた関税定率法に基づく簡易税率が適用できなくなりましたが、入国者に係る通
関事務が円滑に行われることの重要性に変化はないことから、昭和62年度税制改正において、関税の簡易税率の代替措置として、その簡易税率の水準で「入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例措置」が租税特別措置法に設けられました。 その後、平成元年度の税制改正において、その適用対象に別送品が加えられ、また、平成15年度、平成18年度、平成22年度及び平成30年度の税制改正におけるたばこ税率の引上げ並びに平成26年 4 月の消費税率の引上げに伴い、それぞれ本特例措置の税率も引き上げられており、平成31年 3 月31日までの措置として、1,000本につき12,000円の税率とされていました(旧措法88の 2 )。(注 1) 「簡易税率」とは、入国者が入国の際に携
帯又は別送して輸入する貨物に対して適用
される関税率であり、関税、内国消費税及
び地方消費税の税率を総合したものを基礎
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に定められたものですが、関税が無税の貨
物には適用できないこととされています(関
税定率法 3 の 2)。また、簡易税率の適用を
受ける貨物については、消費税などの内国
消費税は課されないこととされています(輸
徴法 2の 2)。(注 2) 平成10年12月に創設されたたばこ特別税
についての入国者が携帯又は別送して輸入
する紙巻たばこに係る特例税率は、1,000本
につき500円とされています(財源確保法 8
②)。したがって、入国者が携帯又は別送し
て輸入する紙巻たばこのうち免税となる数
量を超えて商業量に達するまでの数量につ
いては、たばこ税及びたばこ特別税を合わ
せて、1,000本につき12,500円の税負担とな
ります。
なお、入国者が携帯又は別送して輸入する紙巻たばこについては、地方のたばこ税は課されず、また、入国者が携帯又は別送して輸入する紙巻たばこのうち、本特例措置の適用を受ける紙巻たばこについては、租税特別措置法の規定により消費税が課されないこととされています(措法86の 3 )。
⑵ 改正の内容① 適用期限の延長 本特例措置については、紙巻たばこに係る
関税の無税化が関税暫定措置法により 1年ごとの措置とされていることから、本特例措置の適用期限も関税暫定措置法の改正に併せて1年ごとに延長されてきました。 平成31年 3 月31日に期限が到来する本特例措置の適用期限については、令和元年度税制改正においても、紙巻たばこに係る関税を無税とする関税暫定措置法の適用期限が 1年延長されることに併せて、令和 2年 3月31日まで1年延長することとされました(措法88の 2)。
② 税率の引上げ 令和元年10月 1 日から消費税率が10%に引き上げられることを踏まえ、入国者が携帯して輸入する紙巻たばこの通関実態等を勘案し、本特例の適用を受ける紙巻たばこに係る特例税率を1,000本につき12,500円に引き上げることとされました(措法88の 2 )。 これにより、入国者が携帯又は別送して輸入する紙巻たばこのうち免税となる数量を超えて商業量に達するまでの数量については、たばこ税及びたばこ特別税を合わせて、1,000本につき13,000円の税負担となります。
⑶ 適用関係 上記⑵②の改正は、令和元年10月 1 日以後に、入国者が携帯し、又は別送して輸入する紙巻たばこについて適用されます(改正法附則 1)。
三 揮発油税及び地方揮発油税関係の改正
1 揮発油税及び地方揮発油税の税率の見直し
⑴ 改正前の制度の概要 揮発油税及び地方揮発油税の税率については、昭和49年度の税制改正において税率引上げが行われた際に、暫定的な措置として、租税特別措置法により税率の特例措置が講じられました。その後、昭和51年度及び昭和54年度の税率引上げの際にも同法による税率の特例措置として改
正がなされ、以来、累次その適用期限が延長されていました(いわゆる「暫定税率」)が、平成22年度改正において、そのような暫定的な措置は廃止した上で、厳しい財政事情や、地球温暖化対策との関係に留意する必要があること等から、当分の間、その税率水準を維持することとされました(旧揮法 9、旧地方揮法 4、旧措法88の 8 )。
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(参考) 改正前の税率水準( 1㎘当たり)
揮発油税 地方揮発油税 計
48,600円(本則税率:24,300円)
5,200円(本則税率:4,400円)
53,800円(本則税率:28,700円)
また、地方揮発油税の税収については、地方揮発油譲与税法(昭和30年法律第113号)の規定に基づき、その全額を都道府県及び市町村(特別区を含みます。)に譲与することとされています。
⑵ 改正の背景及び内容 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成24年法律第68号。以下「税制抜本改革法」といいます。)において、次のとおり、車体課税の見直しについて規定されています。(参考) 税制抜本改革法(抄)
(税制に関する抜本的な改革及び関連する諸
施策に関する措置)
第 7 条 第 2 条及び第 3 条の規定により講じ
られる措置のほか、政府は、所得税法等の
一部を改正する法律(平成21年法律第13号)
附則第104条第 1 項及び第 3 項に基づく平成
24年 2 月17日に閣議において決定された社
会保障・税一体改革大綱に記載された消費
課税、個人所得課税、法人課税、資産課税
その他の国と地方を通じた税制に関する抜
本的な改革及び関連する諸施策について、
次に定める基本的方向性によりそれらの具
体化に向けてそれぞれ検討し、それぞれの
結果に基づき速やかに必要な措置を講じな
ければならない。
一 消費課税については、消費税率(地方
消費税率を含む。以下この号において同
じ。)の引上げを踏まえて、次に定めると
おり検討すること。
イ~ワ 省 略
カ 自動車取得税及び自動車重量税につ
いては、国及び地方を通じた関連税制
の在り方の見直しを行い、安定的な財
源を確保した上で、地方財政にも配慮
しつつ、簡素化、負担の軽減及びグリ
ーン化(環境への負荷の低減に資する
ための施策をいう。)の観点から、見直
しを行う。
ヨ 省 略
二~八 省 略
この規定に基づき、平成26年度税制改正において、消費税率の 8%への引上げを踏まえた自動車取得税の税率の引下げや自動車重量税の免税等の特例措置(いわゆる「エコカー減税」)の拡充などの措置が講じられました。また、令和元年度税制改正においては、令和元年10月 1日からの消費税率の10%への引上げにあわせ、自動車ユーザーの負担を軽減するとともに消費税率引上げ前後の需要を平準化する等の観点から、自動車の保有に係る税である自動車税(地方税)の恒久的な引下げ等を行い、その一方で、この恒久減税による地方税の減収について、地方税の見直しにより財源を確保し、なお生じる財源不足額についてはその全額を国費で補填することとされ、この地方税財源の確保策の一つとして、揮発油税及び地方揮発油税の税率を変更することとされました。 具体的には、揮発油税及び地方揮発油税の税率について、次のとおり、揮発油税の税率を300円引き下げ、地方揮発油税の税率を300円引き上げることとされました(揮法 9、地方揮法4、措法88の 8 )。
( 1㎘当たり)
改正前 改正後
揮発油税48,600円
(本則税率:24,300円)
48,300円(本則税率:24,000円)
地方揮発油税5,200円
(本則税率:4,400円)
5,500円(本則税率:4,700円)
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⑶ 適用関係 上記の改正は、令和16年 4 月 1 日に施行することとされました(改正法附則 1 十二)。また、その改正前の規定の適用を受けた揮発油につき、戻入れの場合の揮発油税の控除等の規定(揮法17、地方揮法 9①)の適用がある場合に、当該規定による控除等を受けようとする月分が令和
16年 4 月分以後の各月分であるときは、当該揮発油については、改正後の規定の適用を受けた揮発油を揮発油の製造者がその製造場に戻し入れ、又は移入したものとみなして、戻入れの場合の揮発油税の控除等の規定を適用することとされています(改正法附則26、82)。
四 航空機燃料税関係の改正
1 沖縄路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例措置の見直し
⑴ 改正前の制度の概要 平成 9年度税制改正において、沖縄振興策の一環として、沖縄の重要な産業の一つである観光の一層の振興を図る観点から、本土-那覇路線(本土-沖縄本島間)の航空運賃引下げのための措置として、空港使用料の引下げ及び航空会社による協力とともに、当該路線航空機に平成14年 3 月31日までに積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率を 1 ㎘当たり15,600円(本則の 5分の 3)に軽減する特例措置が講じられました。 その後、平成11年度税制改正及び平成23年度税制改正において、税率が引き下げられ、 1㎘当たり9,000円(本則の 2分の 1)とされました。 また、累次の税制改正において、本特例措置の適用対象に、貨物便並びに本土-宮古島、石垣島又は久米島間(那覇経由便を除きます。)
及び沖縄県の区域内の各地間を航行する航空機が追加されるとともに、その適用期限が延長され、令和 2年 3月31日までの措置とされていました(旧措法90の 8 の 2 )。
⑵ 改正の内容 平成31年 3 月30日に下地島空港旅客ターミナルが開業し、下地島と本土間の定期路線が就航しています。宮古圏域への観光客は年々増加しており、本路線に搭乗する乗客の多くもそうした宮古圏域への観光客であると考えられるため、沖縄の観光の振興を図る観点から、本特例措置の適用対象に、下地島と沖縄県以外の本邦の地域(離島振興法に規定する離島振興対策実施地域に含まれる離島等を除きます。)との間を航行する航空機を追加することとされました(措法90の 8 の 2 )。
⑶ 適用関係 上記の改正は、平成31年 4 月 1 日から施行されています(改正法附則 1)。
五 自動車重量税関係の改正
1 自動車重量税の免税等の特例措置(いわゆる「エコカー減税」)の延長等
⑴ 制度の趣旨等 平成20年当時、厳しい経済情勢の下で、自動車の販売台数が減少し、裾野の広い関連産業に
影響を及ぼすことが懸念されたことから、自動車の買換え・購入需要を促進するとともに、環境性能に優れた自動車の普及・促進を図り、今後我が国が目指すべき低炭素社会の実現につながる措置を講ずる観点から、平成21年度税制改正において、平成21年 4 月 1 日から平成24年 4
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月30日までの間に最初に受ける車検の際に納付すべき自動車重量税について、環境性能に優れた自動車に係る負担を時限的に免除・軽減する措置が創設されました。 その後、累次の税制改正において、燃費基準等の切り替えや 2回目の車検時に係る自動車重量税の免除など、所要の見直しが行われるとともに、平成24年度税制改正、平成27年度税制改正及び平成29年度税制改正において、その適用期限が延長され、平成31年 4 月30日までの措置とされていました。
⑵ 改正前の制度の概要 排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい検査自動車のうち、平成29年 5 月 1 日から平成31年 4 月30日までの間に新車に係る新規検査を受けたものについて、その納付すべき自動車重量税を免税、75%軽減、50%軽減又は25%軽減とすることとされていました(旧措法90の12①~④、旧措規40の 4 ①~�)。
⑶ 改正の背景及び内容 本特例措置は、自動車の買換え・購入需要を促進するとともに、環境性能に優れた自動車の普及・促進を図り、今後我が国が目指すべき低炭素社会の実現につながる措置を講ずる観点から措置されたものですが、燃費水準の向上により、特例の対象となる自動車が増加し、見直しを行わなければ政策インセンティブ機能が低下するという性質を有しています。こうした点を踏まえ、政策インセンティブ機能の強化を図る
観点から、軽減割合等の見直しを行った上で、その適用期限を 2年延長することとされました(措法90の12)。 具体的には、次のとおり対象となる自動車の軽減割合等を見直すこととされました。① 乗用自動車イ 税率が75%軽減されていた自動車に係る軽減割合を50%とし、税率が50%軽減されていた自動車に係る軽減割合を25%とすることとされました。ロ 新車に係る新規検査後に受ける最初の継続検査等の際に納付すべき自動車重量税を免除する措置(②及び③において「 2回目免税」といいます。)の対象となるガソリン自動車及び石油ガス自動車は、平成32年度燃費基準値より90%以上(改正前:50%以上)燃費性能の良い自動車とすることとされました。
② バス・トラック(車両総重量が2.5t以下のもの) 2回目免税の対象となる自動車の範囲から、ガソリン自動車を除外することとされました。③ バス・トラック(車両総重量が2.5tを超えるもの)イ 本特例措置の適用対象となる自動車の範囲から、改正前において税率が25%軽減されていた自動車を除外することとされました。ロ 2回目免税の対象となる自動車の範囲から、ガソリン自動車及びディーゼル自動車を除外することとされました。
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初回車検 2回目車検 初回車検 2回目車検
電気自動車等(注 1) 免税 免税2020 年度燃費基準+90%達成 免税 免税
2020 年度燃費基準+80%達成 免税 免税
2020 年度燃費基準+70%達成 免税 免税
2020 年度燃費基準+60%達成 免税 免税
2020 年度燃費基準+50%達成 免税 免税
2020 年度燃費基準+40%達成 免税
免税 免税
免税 免税
免税
免税
免税
免税
免税2020 年度燃費基準+30%達成 ▲75%軽減 ▲50%軽減2020 年度燃費基準+20%達成
2020 年度燃費基準+10%達成 ▲50%軽減
▲25%軽減2020 年度燃費基準達成 ▲25%軽減
2015 年度燃費基準+10%達成 (本則)(注 2)
改正前(平成 30 年(2018 年)5月 1日~ 31 年(2019 年)4月 30 日)
改正後(令和元年(2019 年)5月 1日~ 3年(2021 年)4月 30 日)
(注 1) 電気自動車等とは、電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車及びクリーンディーゼル車をいう。
(注 2) ガソリン車への配慮、円滑な基準の切替えの観点から、経過措置として、平成 30 年(2018 年)5月 1日~平成 31 年(2019年)4月 30 日の間は、2015 年度燃費基準+10%を達成しているガソリン車(ハイブリッド車、軽自動車除く。新車。)には本則税率を適用。
(注 3) ガソリン車及び石油ガス自動車は、いずれも平成 17 年排出ガス基準 75%低減車(☆☆☆☆)又は平成 30 年排出ガス基準50%低減車に限る。
自動車重量税のエコカー減税の見直し(乗用車)
自動車重量税のエコカー減税の見直し(バス・トラック)
(注 1) 電気自動車等とは、電気自動車、燃料電池車、天然ガス自動車及びプラグインハイブリッド車をいう(中量車・重量車において同じ。)。
(注 2) 電気自動車等を除き、いずれも平成 17 年排出ガス基準 75%低減達成車又は平成 30 年排出ガス基準 50%低減達成車(★★★★)に限る。
軽量車 :車両総重量 2.5t 以下のバス又はトラック
区 分 軽減割合
電気自動車等
2015 年度基準+25%達成
2015 年度基準+20%達成ガソリン車 2015 年度基準+15%達成
2015 年度基準+ 5%達成
免税( 2回目:免税)
75%軽減
50%軽減
25%軽減
区 分 軽減割合
電気自動車等
2015 年度基準+25%達成
2015 年度基準+20%達成ガソリン車 2015 年度基準+15%達成
2015 年度基準+ 5%達成
免税( 2回目:免税)
75%軽減
免税
50%軽減
25%軽減
【改正前】 【改正後】
─�846�─
――租税特別措置法等(間接税等関係)の改正――
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(注) H17 規制、H21 規制及びH30 規制とは、平成 17 年排出ガス基準、平成 21 年排出ガス基準及び平成 30 年排出ガス基準をいう。
中量車 :車両総重量2.5t 超3.5t 以下のバス又はトラック【改正前】 【改正後】
区 分 軽減割合
電気自動車等 免税( 2回目:免税)
ガソリン車
ガソリン車
H17 規制+50%低減又は
H30 規制+25%低減
- 免税( 2回目:免税)
2015 年度基準+15%達成 75%軽減
2015 年度基準+10%達成 50%軽減
H17 規制+75%低減又は
H30 規制+50%低減
H17 規制+50%低減又は
H30 規制+25%低減
H17 規制+75%低減又は
H30 規制+50%低減
2015 年度基準+15%達成
2015 年度基準+10%達成
2015 年度基準+ 5%達成
2015 年度基準達成
2015 年度基準+ 5%達成 25%軽減
免税( 2回目:免税)
2015 年度基準+15%達成 75%軽減
2015 年度基準+10%達成 50%軽減
2015 年度基準+15%達成
2015 年度基準+10%達成
2015 年度基準+ 5%達成
2015 年度基準達成
2015 年度基準+ 5%達成 25%軽減
ディーゼル車
H21 規制 NOx・PM+10%低減又はH30 規制適合
H21 規制適合H21 規制 NOx・PM+10%低減又はH30 規制適合
H21 規制適合
-
ディーゼル車
区 分 軽減割合
電気自動車等 免税( 2回目:免税)
75%軽減
50%軽減
2015 年度基準+15%達成
2015 年度基準+10%達成
2015 年度基準+15%達成
2015 年度基準+10%達成
2015 年度基準+ 5%達成
- 免税
75%軽減
50%軽減
2015 年度基準+15%達成
2015 年度基準+10%達成
2015 年度基準+15%達成
2015 年度基準+10%達成
2015 年度基準+ 5%達成
- 免税
(注) 電気自動車等を除き、いずれも平成 21 年排出ガス基準NOx・PM+10%低減達成車又は平成 28 年排出ガス基準達成車に限る。
重量車 :車両総重量 3.5t 超のバス又はトラック
区 分 区 分軽減割合
電気自動車等
2015 年度基準+15%達成
2015 年度基準+10%達成ディーゼル車
ディーゼル車2015 年度基準+ 5%達成
2015 年度基準+15%達成
2015 年度基準+10%達成
2015 年度基準+ 5%達成
2015 年度基準達成
免税( 2回目:免税)
75%軽減
50%軽減
25%軽減
【改正前】 【改正後】
軽減割合
電気自動車等 免税( 2回目:免税)
免税
75%軽減
50%軽減
─�847�─
――租税特別措置法等(間接税等関係)の改正――
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⑷ 適用関係 上記の改正は、令和元年 5月 1日から施行されています(改正法附則 1一)。
2 公共交通移動等円滑化基準に適合した乗合自動車等に係る免税措置の見直し
⑴ 改正前の制度の概要等 乗合自動車等のバリアフリー化については、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第 3条第 1項に基づき定められた「移動等円滑化の促進に関する基本方針」に基づき、計画的に進められているところですが、高齢者等の増加に加え、ベビーカーや子ども連れでも利用しやすい公共交通機関の実現等の要請の高まりもあり、より高い新たな目標(平成32年度(令和 2 年度)末目標)を定める同基本方針の改正(平成23年 3 月31日国家公安委員会・総務省・国土交通省告示第 1号)が行われました。(参考) 「移動等円滑化の促進に関する基本方針」
における目標
バス車両
総車両数約60,000台から(中略)適用除外認定車両約10,000台を除いた約50,000台のうち、約70%に当たる約35,000台について、平成32年度までに、ノンステップバスとする。適用除外認定車両については、平成32年度までに、その約25%に当たる約2,500台をリフト付きバス又はスロープ付きバスとする等、(中略)可能な限りの移動等円滑化を実施する。
タクシー車両
平成32年度までに、約28,000台の福祉タクシー(ユニバーサルデザインタクシー(中略)を含む。)を導入する。
また、バリアフリー化は社会に望まれているものの、事業者にとってバリアフリー車両の導入に応じて収入が増加するものではないことから、バリアフリー化をさらに進めていくためには、公的な支援を通じた適切な導入インセンティブを確保する必要があります。 さらに、乗合自動車等は、一般の乗用車等と
比べて、一度に輸送できる人員が多いことなどから、交通渋滞、交通事故、CO2等の温室効果ガスの発生という外部不経済がその車両重量に比して軽減されているといった面もあります。 こうした点を踏まえ、平成24年度税制改正において、バリアフリー車両の新車に係る新規検査を受ける際の自動車重量税を免除する特例措置が創設されました。 具体的には、平成24年 5 月 1 日から平成27年4 月30日までの間に新車に係る新規検査を受ける次の自動車について、その納付すべき自動車重量税を免除することとされました。① 一般乗合旅客自動車運送事業を経営する者が路線定期運行の用に供する次の自動車イ ノンステップバス(自動車検査証にその自動車がノンステップバスであることが記載されている自動車に限ります。)(旧措法90の13一、旧措規40の 6 ①一②一)ロ リフト付きバス(自動車検査証にその自動車がリフト付きバスであることが記載されている自動車に限ります。)(旧措法90の13一、旧措規40の 6 ①二②二)
② 一般乗用旅客自動車運送事業を経営する者がその事業の用に供するユニバーサルデザインタクシー(自動車検査証にその自動車がユニバーサルデザインタクシーであることが記載されている自動車に限ります。)(旧措法90の13二、旧措規40の 6 ③④) その後、平成27年度税制改正及び平成30年度税制改正においてその適用期限が延長され、「移動等円滑化の促進に関する基本方針」において定められている目標の期限である令和 3年3月31日までの措置とされていました。
⑵ 改正の内容 2020年の東京パラリンピック大会の開催を見据え、平成31年 4 月 1 日より、これまでバリアフリー化の対象とされていなかった一般貸切旅客自動車運送事業を経営する者がその事業の用に供する自動車(いわゆる「貸切バス」)につ
─�848�─
――租税特別措置法等(間接税等関係)の改正――
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いてもバリアフリー基準適合が義務化されるとともに、「移動等円滑化の促進に関する基本方針」において、貸切バスについても新たにバリアフリー車両の導入目標が設定されることになりました。新たな導入目標は次のとおりです。(参考) 「移動等円滑化の促進に関する基本方針」
における目標
乗合バス車両
総車両数約60,000台から(中略)適用除外認定車両約10,000台を除いた約50,000台のうち、約70%に当たる約35,000台について、平成32年度までに、ノンステッ
プバスとする。適用除外認定車両については、平成32年度までに、その約25%に当たる約2,500台をリフト付きバス又はスロープ付きバスとする等、(中略)可能な限りの移動等円滑化を実施する。
貸切バス車両
平成32年度までに、約2,100台のノンステップバス、リフト付きバス又はスロープ付きバスを導入する。
タクシー車両
平成32年度までに、約44,000台の福祉タクシー(ユニバーサルデザインタクシー(中略)を含む。)を導入する。
上記を踏まえ、貸切バスについても、バリアフリー化をさらに進めるため、公的な支援を通じたバリアフリー車両の適切な導入インセンティブを確保する観点から、貸切バスとして使用される一定のバリアフリー車両を本特例措置の対象とすることとされました。具体的には、一般貸切旅客自動車運送事業を経営する者がその事業の用に供する次の自動車を対象に加えることとされました。① ノンステップバス(自動車検査証においてその自動車がノンステップバスであることが明らかにされている自動車に限ります。)(措法90の13一、措規40の 6 ①二イ②二イ)② リフト付きバス(自動車検査証においてその自動車がリフト付きバスであることが明らかにされている自動車に限ります。)(措法90
の13一、措規40の 6 ①二ロ②二ロ)
⑶ 適用関係 上記の改正は、平成31年 4 月 1 日から施行されています(改正法附則 1)。
3 被災自動車等に係る自動車重量税の還付措置の延長
⑴ 制度の趣旨等 平成23年 3 月11日に発生した東日本大震災により多くの自動車が被災し、特に津波により自動車自体が滅失してしまうケースが数多く発生しました。津波により滅失してしまった自動車については、自動車リサイクル制度に基づいた解体はできないため、自動車重量税の廃車還付制度(措法90の15)を適用できませんでした。 こうした状況を踏まえ、平成25年 3 月31日までの間、東日本大震災により被災した一定の検査自動車に係る自動車重量税の還付措置が創設され、その後、本特例措置の対象に二輪の小型自動車、届出軽自動車等が追加されました。 平成25年度税制改正、平成26年度税制改正及び平成28年度税制改正において、当時の申請状況等を考慮して、その適用期限をそれぞれ 1年、2年又は 3年延長することとされました。
⑵ 改正前の制度の概要 被災自動車及び被災届出軽自動車の所有者が、平成31年 3 月31日までに還付申請書を国土交通大臣等を通じて税務署長に提出することにより、自動車重量税の還付を受けることができることとされていました(旧震災税特法45)。(注 1) 「被災自動車」とは、自動車検査証の交付
又は返付を受けた自動車(大型特殊自動車
及び一定の被牽引自動車を除きます。)のう
ち、自動車検査証の交付又は返付を受けた
際に当該自動車検査証に記載された有効期
間の満了する日前に東日本大震災を原因と
して滅失し、解体し、又は自動車の用途を
廃止したもので永久抹消登録等の手続がさ
─�849�─
――租税特別措置法等(間接税等関係)の改正――
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れたものをいいます(旧震災税特法45①、
旧震災税特令35①②)。(注 2) 「被災届出軽自動車」とは、車両番号の指
定を受けた軽自動車のうち、車両番号の指
定を受けた後に東日本大震災を原因として
軽自動車の使用を廃止したもので軽自動車
届出済証を返納する手続がされたものをい
います(旧震災税特法45②、旧震災税特規
18①)。(注 3) 災害被害者に対する租税の減免、徴収猶
予等に関する法律(昭和22年法律第175号)
第 9 条の規定の適用がある場合は、本特例
措置の適用はありません。
⑶ 改正の内容 「被災自動車等に係る自動車重量税の還付措置」については、最近における申請状況等を考慮し、その適用期限を 2年延長し、復興・創生期間が終了する令和 3年 3月31日までの措置とすることとされました(震災税特法45)。
4 被災自動車等の使用者であった者が取得する自動車に係る自動車重量税の免税措置の延長
⑴ 制度の趣旨等 上記 3 ⑴で記述したとおり、東日本大震災により多くの自動車が被災し、使用できない状態となりましたが、被災地域においては、自動車は生活の足として重要な移動手段となっていることから、使用不能となった自動車の買換えを支援するため、平成23年 3 月11日から平成26年4 月30日までの間、被災自動車の使用者であった者等が取得する一定の検査自動車に係る自動車重量税を免除する措置が創設され、その後、本特例措置の対象に二輪の小型自動車、届出軽自動車等が追加されました。 平成26年度税制改正及び平成28年度税制改正において、当時の申請状況等を考慮して、その適用期限を 2年又は 3年延長することとされました。
⑵ 改正前の制度の概要 被災使用者が、平成23年 3 月11日から平成31年 4 月30日までの間に検査自動車(大型特殊自動車及び一定の被牽引自動車を除きます。)又は届出軽自動車を取得し当該検査自動車又は当該届出軽自動車について自動車検査証の交付又は返付(平成23年 3 月11日以後最初に受けるものに限ります。)を受ける場合には、自動車重量税を免除することとされていました(旧震災税特法46①)。(注 1) 「被災使用者」とは、以下の者をいいます
(旧震災税特法46①、旧震災税特令36①)。
①� 被災自動車又は被災届出軽自動車の使
用者(法人も含みます。)
②� 被災自動車又は被災届出軽自動車の使
用者の相続人(当該使用者と生計を一に
していた者に限ります。)
③� 被災自動車若しくは被災届出軽自動車
の使用者が法人であって、当該法人が合
併により消滅した場合又は分割により被
災自動車若しくは被災届出軽自動車に係
る事業に関して有する権利義務を承継さ
せた場合における当該合併に係る合併法
人又は当該分割に係る分割承継法人(注 2) 被災使用者が平成23年 3 月11日から平成
31年 4 月30日までの間に取得し自動車検査
証の交付等を受けた検査自動車の数と当該
期間内に取得し車両番号の指定を受けた届
出軽自動車の数とを合計した数が、当該被
災使用者に係る被災自動車の数と被災届出
軽自動車の数とを合計した数を超える場合
には、当該合計した数を超えることとなる
検査自動車又は届出軽自動車については、
自動車重量税は免除されません(旧震災税
特法46②)。
⑶ 改正の内容 「被災自動車等の使用者であった者が取得する自動車に係る自動車重量税の免税措置」については、最近における適用状況等を考慮し、そ
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――租税特別措置法等(間接税等関係)の改正――
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の適用期限を復興・創生期間が終了する令和 3年 3月31日まで延長することとされました(震
災税特法46)。
六 印紙税関係の改正
1 農業協同組合中央会に対する税制上の措置
⑴ 改正前の制度の概要 印紙税では、国、地方公共団体又は印紙税法別表第 2に掲げる者が作成する文書については、その作成者の人格の特殊性等を理由として非課税とされています。 農業協同組合中央会については、それまで別表第 2に掲げられていましたが、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律第63号。以下「改正農協法等」といいます。)の施行により、中央会の制度が廃止されたため、改正農協法等により、印紙税法の別表第 2から削除することとされました。ただし、改正農協法等の施行の際現に存するものは、その施行の日以後も移行期間内においては農業協同組合中央会としてなお存続するものとされている(改正農協法等附則 9、10、12、21、27①)ことから、このなお存続するものとされた農業協同組合中央会(以下「存続中央会」といいます。)は、印紙税法の規定の適用については、同法別表第 2に掲げる者とみなすこととされています(改正農協法等附則72)。(注) 移行期間とは、改正農協法等の施行の日(平
成28年 4 月 1 日)から起算して 3 年 6 月を経
過する日(令和元年 9 月30日)までの期間を
いいます。存続中央会は、この移行期間内に、
存続都道府県中央会(改正農協法等附則第 9
条の規定によりなお存続するものとされた都
道府県農業協同組合中央会をいいます。以下
同じです。)にあっては農業協同組合連合会に、
存続全国中央会(改正農協法等附則第 9 条の
規定によりなお存続するものとされた全国農
業協同組合中央会をいいます。)にあっては一
般社団法人に、それぞれ組織変更をすること
ができることとされ、移行期間の満了の日に
現に存する存続中央会は、同日に解散したも
のとみなすこととされています(改正農協法
等附則12、21、27①)。
⑵ 改正の内容 存続都道府県中央会から組織変更をした農業協同組合連合会のうち、改正農協法等附則第18条の規定により、その名称中に、引き続き農業協同組合中央会という文字を用いるものは、印紙税法別表第 2に掲げる者とみなして、同法の規定を適用することとされました(印法附則 9の 2)。(注) 存続都道府県中央会が、農業協同組合連合
会への組織変更後も引き続き農業協同組合中
央会という文字を用いるためには、農業協同
組合法施行規則第240条各号に掲げる要件のい
ずれにも該当する必要があります(改正農協
法等附則18、農協規240)。(参考 1) 農業協同組合法等の一部を改正する等
の法律(平成27年法律第63号)(抄)
附 則
(旧農業協同組合中央会の存続)
第 9 条 旧農協法の規定により設立された
農業協同組合中央会であってこの法律の
施行の際現に存するものは、施行日以後も、
旧農協法の規定により設立された農業協
同組合中央会としてなお存続するものと
する。
(存続中央会に係る旧農協法の効力)
第10条 前条の規定によりなお存続するも
のとされた農業協同組合中央会(以下「存
続中央会」という。)については、旧農協
法(第73条の17、第73条の21、第73条の
─�851�─
――租税特別措置法等(間接税等関係)の改正――
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34第 3 項及び第 5 項、第73条の42、第 3
章第 5 節並びに第73条の48第 2 項を除
く。)の規定は、存続中央会が解散した場
合又は附則第27条第 1 項の規定により解
散したものとみなされた場合にあっては
その清算結了の登記の時、附則第12条又
は第21条の規定により組織変更をする場
合にあってはその組織変更の効力が生ず
る時までの間は、なおその効力を有する。
(存続都道府県中央会の農業協同組合連合
会への組織変更)
第12条 附則第 9 条の規定によりなお存続
するものとされた都道府県農業協同組合
中央会(以下「存続都道府県中央会」と
いう。)は、施行日から起算して 3 年 6 月
を経過する日までの期間(以下「移行期
間」という。)内に、その組織を変更し、
農業協同組合連合会(会員に出資をさせ
ないものに限る。)になることができる。
第13条 存続都道府県中央会は、前条の規
定による組織変更(以下この条から附則
第20条までにおいて「組織変更」とい
う。)をするには、組織変更計画を作成し
て、総会の決議により、その承認を受け
なければならない。
2~ 4 省 略
5 組織変更計画を定める場合には、前項
第 1 号に掲げる事項のうち新農協法第28
条第 1 項第 1 号に掲げる事項についての
定めは、組織変更後の農業協同組合連合
会が次に掲げる事業の全部又は一部を行
うことを内容とするものでなければなら
ない。
一 会員である組合の組織、事業及び経
営に関する相談に応ずること。
二 会員である組合の求めに応じて監査
を行うこと。
三 会員である組合の意見を代表するこ
と。
四 会員である組合相互間の総合調整を
行うこと。
五 前各号の事業に附帯する事業
6~ 8 省 略
(組織変更後の農業協同組合連合会に係る
事業等に関する特例)
第18条 組織変更後の農業協同組合連合会
は、附則第13条第 5 項に規定する事業の
全部又は一部のみを行うことその他の農
林水産省令で定める要件に該当するもの
である間は、新農協法第 3 条第 1 項の規
定にかかわらず、その名称中に、農業協
同組合連合会という文字に代えて、引き
続き農業協同組合中央会という文字を用
いることができる。
(存続中央会のみなし解散)
第27条 移行期間の満了の日に現に存する
存続中央会は、同日に解散したものとみ
なす。
2 省 略(参考 2) 農業協同組合法施行規則(平成17年農
林水産省令第27号)(抄)
(組織変更後農業協同組合連合会に係る名
称の使用制限に関する特例の要件)
第240条 平成27年改正法附則第18条の農林
水産省令で定める要件は、次の各号のい
ずれにも該当するものであることとする。
一 その行う事業が平成27年改正法附則
第13条第 5 項に規定する事業の全部又
は一部のみであること。
二 都道府県の区域を地区とすること。
三 会員に出資をさせないこと。
四 その定款に剰余金の配当をする旨の
定めがないこと。
五 その定款に解散したときはその残余
財産が特定の個人又は団体(国、地方
公共団体及び次に掲げる法人を除く。)
に帰属する旨の定めがないこと。
イ 公益社団法人又は公益財団法人
ロ その目的と類似の目的を有する一
般社団法人又は一般財団法人
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――租税特別措置法等(間接税等関係)の改正――
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ハ 組織変更後農業協同組合連合会の
うち、平成27年改正法附則第18条の
規定により、その名称中に、引き続
き農業協同組合中央会という文字を
用いるもの
⑶ 適用関係 上記⑵の改正は、平成31年 4 月 1 日から施行されています(改正法附則 1)。
2 特定の学資としての資金の貸付けに係る消費貸借契約書の印紙税の非課税措置の延長
⑴ 改正前の制度の概要等 我が国においては、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、教育の機会均等の実現を図ることが、国や地方公共団体はもとより、国民全体に対して求められています(子どもの貧困対策の推進に関する法律 3~ 5)。(参考) 子どもの貧困対策の推進に関する法律(平
成25年法律第64号)(抄)
(国の責務)
第 3 条 国は、前条の基本理念(次条におい
て「基本理念」という。)にのっとり、子ど
もの貧困対策を総合的に策定し、及び実施
する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第 4条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、
子どもの貧困対策に関し、国と協力しつつ、
当該地域の状況に応じた施策を策定し、及
び実施する責務を有する。
(国民の責務)
第 5 条 国民は、国又は地方公共団体が実施
する子どもの貧困対策に協力するよう努め
なければならない。
このため、義務教育以降の後期中等教育及び高等教育段階においても、意欲と能力のある者が家庭の経済状況によって進学を断念することがないよう支援をしていくことが重要となりま
す。 このような観点を踏まえ、平成28年度税制改正において、それまでその事業に関し作成される消費貸借契約書について印紙税の非課税措置が講じられていた都道府県(都道府県に代わって奨学金事業を実施する公益社団法人及び公益財団法人を含みます。)及び独立行政法人日本学生支援機構が実施する奨学金事業に加え、教育の機会均等の補完的な役割を担う公益法人等が実施する特定の学資としての資金の貸付けに係る消費貸借契約書についても印紙税の非課税対象とすることとされました。 具体的には、高等学校、大学等の生徒又は学生であって経済的理由により修学に困難がある者に対して文部科学大臣の確認を受けた無利息で行われる学資としての資金の貸付けに係る消費貸借契約書のうち、平成28年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に作成されるものには、印紙税を課さないこととされました(旧措法91の 3 ②)。
⑵ 改正の内容 本特例措置については、引き続き、教育の機会均等の実現を図るため、その補完的な役割を担う公益法人等が実施する奨学金事業が重要であること等を踏まえ、その適用期限を 3年延長し、令和 4年 3月31日までの措置とすることとされました(措法91の 3 ②)。
3 特別貸付けに係る消費貸借契約書の印紙税の非課税措置の見直し
⑴ 改正前の制度の概要等① 制度創設の背景 事業資金や住宅資金などを金融機関等から借り入れる際に作成する借用証書、ローン契約書などの消費貸借契約書については、その記載金額の区分に応じて、一通につき、200円から60万円まで(階級定額税率)の印紙税が課税されることから、公的貸付機関等又は金融機関が災害被害者に対して低利で融資す
─�853�─
――租税特別措置法等(間接税等関係)の改正――
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る特別貸付制度により、災害被害者が金銭の貸付けを受ける際に作成する消費貸借契約書についても、原則として、その記載金額に応じた印紙税を納付することとされています(印法別表第一 1号の 3)。 これまで阪神・淡路大震災や東日本大震災といった大規模な災害の際には、被害の状況や規模などを踏まえ、特別立法により、きめ細やかな対応を行ってきましたが、近年、災害が頻発していることを踏まえ、被災者や被災事業者の不安を早期に解消するとともに、復旧や復興の動きに遅れることなく税制上の対応を手当てする観点から、災害への税制上の対応の規定の常設化が検討されました。その結果、指定災害(激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律第 2条第 1項の規定により激甚災害として指定され、同条第 2項の規定により当該激甚災害に対して適用すべき措置として同法第12条に規定する措置が適用されたものをいいます。以下同じです。)の被災者の復旧等のための資金調達に係る負担を軽減し、公的貸付機関等又は金融機関による金融支援を側面から支える観点から、平成29年度税制改正において、公的貸付機関等又は金融機関が指定災害により被害を受けた者に対して行う特別貸付けに係る消費貸借契約書に係る印紙税の非課税措置を講ずることとされました。② 制度の概要 公的貸付機関等又は金融機関が、指定災害により被害を受けた者に対して他の金銭の貸付けの条件に比し特別に有利な条件で行う特別貸付けに係る消費貸借契約書のうち、当該指定災害が発生した日から同日以後 5年を経過する日までの間に作成されるものについては、印紙税が非課税とされています(措法91
の 4 、措令52の 3 )。
⑵ 改正の内容 株式会社商工組合中央金庫は、これまでも、指定金融機関として、指定災害の被害者に対して危機対応融資を行っており、当該融資に係る消費貸借契約書は本特例措置の対象とされていました。平成28年10月に商工中金の危機対応融資において不正事案が発覚し、これを受けて「商工中金の在り方検討会」が設置されました。平成29年11月から同検討会において議論が行われ、平成30年 1 月11日にとりまとめられた提言では、危機対応融資の実施は真の危機時に限定するよう抜本的に見直すこととされました。これにより、平成30年 5 月20日以後に発生した西日本豪雨等については、激甚災害には指定されているものの危機対応融資の対象となる災害には認定されず、株式会社商工組合中央金庫が危機対応融資によらずに被災者に対して融資を行うという状況が新たに生じることとなりました。こうした状況に対応するため、本特例措置の適用対象となる金融機関の範囲に株式会社商工組合中央金庫を加えることとされました(措令52の 3 ③十五)。
⑶ 適用関係 上記の改正は、平成30年 5 月20日以後に発生した指定災害に係る消費貸借契約書について適用されます(改正令附則40①)。なお、平成30年 5 月20日から平成31年 3 月31日までの間に改正後であれば本特例措置が適用される消費貸借契約書が作成され、当該消費貸借契約書に係る印紙税が納付されている場合には、当該納付された印紙税は印紙税法第14条第 1項の過誤納金とみなして還付することとする措置が設けられています(改正令附則40②)。
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――租税特別措置法等(間接税等関係)の改正――