研究室紹介2019年11⽉芝浦⼯業⼤学都市デザイン研究室・前 …‰田研パワポ...研究室のねらい＝建築系都市デザイン 都市デザイン（Urban

研究室紹介2019年11⽉芝浦⼯業⼤学都市デザイン研究室・前⽥英寿

１ 研究室のねらい

研究室のねらい＝建築系都市デザイン都市デザイン（Urban design）は都市の空間形成に係る技術、「専⾨家が⾏うまちづくり」です。⼟⽊、建築、造園、どれかの職能を⾝につけ、どれとも関わります。前⽥英寿研究室は建築を基本に公共空間、地区・街区、それら実現の仕組みを研究します。参考 建築系都市デザインの職場①設計会社（描く）建築設計組織や建設⼟⽊コンサルタンツの建築設計・都市計画部⾨②公務員（司る）都道府県市町村の地⽅⾃治体の建築職。受験対策すれば⼟⽊職も可。③建設会社（作る）ゼネコンやハウスメーカーの住宅・都市開発部⾨④不動産（商う）UR都市機構、⼤⼿デベロッパー、鉄道会社

卒研・修論のテーマ研究テーマは上記のねらいの中で各⾃⾃由です。あえて分類してみますと。★建築と公共空間（ハード）街並、街路・広場、交通施設、河川・港湾★地区・街区計画（中間的）伝統界隈保全、中⼼市街地再⽣、再開発★景観・空間政策（ソフト）都市の歴史と形態、緑化政策、観光計画

★地区・街区計画︓仮設可変建築による裏街区の市⺠利⽤↑★建築と公共空間︓⾼架下仮設建築を通した市街地の縫合→★建築と公共空間︓近隣施設をともなう⼩中学校の統廃合↓

卒業研究例テーマ別

★景観・空間政策︓静岡県東海道の宿場町★建築と公共空間︓都市のサードプレイス

宿場町の近代都市形成　－静岡県東海道 22 宿－ 主査　前田英寿副査　篠崎道彦

都市デザイン研究室ｙ10029　中村　悠

1.　研究の背景と目的　静岡県には五街道の東海道が通っている。 東海道には、 江戸時代に幕府が目的をもって

整備した宿場が 53 か所あり、 その宿場を中心にして商工業者が集まり形成された街を宿場町

という。 この宿場町が静岡県内には 22 か所ある。 本研究で宿場町を取り上げた理由は、 先

に述べたように宿場町に関する研究が少ないことと、 宿場町から近代都市に至る近代化過程

の視点が既往研究に乏しいからである。 資料として明治 20 ～ 23 年 （明治地図）、 昭和 31

～ 32 年 （昭和地図）、 平成 8～ 21 年 （平成地図） の国土地理院地形図を使用した。 明

治地図は江戸時代の状況に近い。 昭和地図は高度経済成長期、 平成地図は今日の姿であ

る。 本研究で江戸時代の宿場町と近代以降の市街地や都市施設を照らし合わせ、 宿場町を

起源とする近代都市の形成過程を明らかにすることを目的とする。 　

2.　22 宿の都市形成過程　静岡県内にある三島宿～白須賀宿の 22 宿について分析を行った。1宿に対して、宿

場の概要、街の特徴、宿場と駅の位置関係、市街地の変遷（明治～昭和・昭和～平成）、

公共施設の立地について記している。

図 1　三島宿の街分析（宿場と駅の位置関係、市街地拡大（明治～平成））

3.　22 宿の分析と考察　22 宿場町の分析をもとに、宿場と駅の位置関係、明治時代から昭和時代にかけての

市街地拡大、バイパス・東海道と市街地の位置関係、公共施設の立地、宿場端の旧東海

道に着目して分類を行った。

(1) 市街地の拡大　明治と昭和の地図から市街地の拡大に着目して、22 宿を①広範囲拡

大、②宿場周辺で拡大、③宿場・市役所周辺で拡大、④宿場・駅周辺で拡大、⑤駅周辺で拡

大、⑥変化なし、の 6つに分類した。分析の結果、山中や海沿いなど地勢の制約が大きい

町は市街地拡大の範囲は小さい。一方、市街地が大きく拡大した宿場町都市は宿場に駅

が敷設されて市街地が拡大したといえる。そして、人口が 10 万人以上の地方中核都市の

規模である町は広範囲拡大をしている。

(2) 公共施設の立地　各宿場の平成地図を参考に公共施設をプロットして立地場所を分析

した。22 宿を①バイパスの周辺、②東海道の周辺、③旧東海道の周辺、④道路と道路の間、

⑤分散している、⑥鉄道駅周辺、⑦公共施設なし、の 7つに分類した。分析の結果、宿場

町都市において公共施設は駅よりも旧宿場やその周辺の市街地に立地する傾向が強いと

いえる。

　また、公共施設の中でも利用者の多い市庁舎を選び、宿場町と駅と市庁舎の位置関係

とそれぞれの距離を出して分析した。分析の結果、宿場町と市庁舎がともに中心市街地

に立地、または宿場町と市庁舎がともに郊外に立地する。さらに、宿場町と市庁舎は駅

によって隔たれることがなく、宿場町の近くに市庁舎が立地する傾向があるといえる。

人口（S35） 都市機能 地勢 私鉄 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ a（宿場町と駅） b（宿場町と市庁舎） c（駅と市庁舎） a+b+c ① ② ③

①三島 62,966 門前町 内陸 駿豆鉄道 ○ 800 100 1000 1900 ○②沼津 142,609 城下町・港町 海沿い 駿豆鉄道 ○ 800 550 900 2250 ○③原 15,059 海沿い ○ 150④吉原 80,944 内陸 岳南鉄道 ○ 2000 700 3000 5700 ○⑤蒲原 18,586 海沿い ○ 2000 200 1600 3800 ○⑥由比 13,740 海沿い ○ 2000 500 1600 4100 ○⑦興津 海沿い ○ 400 ○⑧江尻 193,259 港町 海沿い 静岡鉄道 ○ 500 600 1000 2100 ○⑨府中 328,819 城下町 内陸 静岡鉄道 ○ 400 250 600 1250 ○⑩丸子 山中 ○⑪岡部 10,248 山中 ○⑫藤枝 66,921 城下町 内陸 静岡鉄道 ○ 2500 400 2000 4900 ○⑬島田 61,510 内陸 ○ 300 450 800 1550 ○⑭金谷 22,683 山中 大井川本線 ○ 100⑮日坂 山中 ○⑯掛川 59,762 城下町 内陸 ○ 350 800 1500 2650 ○⑰袋井 37,777 内陸 静岡鉄道 ○ 700 50 1000 1750 ○⑱見附 57,380 国府 内陸 ○ 2000 2000 1000 5000 ○⑲浜松 357,098 城下町 内陸 遠州鉄道 ○ 400 400 1200 2000 ○⑳舞阪 9,468 海沿い ○ 1500㉑新居町 13,432 関所 海沿い ○ 750 650 1000 2400 ○㉒白須賀 山中 ○

駅・市庁舎なし駅なし

市庁舎なし駅・市庁舎なし

市庁舎なし

駅・市庁舎なし

条件 市街化拡大 距離 位置関係

市庁舎なし

4.　宿場町起源の主要都市　－沼津・清水－　市街地拡大の分類において、広範囲に拡大したと分類したのは、三島、沼津、清水、

静岡、浜松の 5都市である。人口県内第 1位の浜松市と県庁所在地の静岡市と同様の変

化が見られた沼津と清水を取り上げ、宿場町起源都市として分析を進めた。

(1) 沼津　沼津は港町と宿場町としてつくられ、その後沼津城がつくられたことで城下

町の性格が加えられた街である。地勢を見ると沼津市は海沿いであり山が多い。中心市

街地の沼津駅周辺は平地で市街地が集中しやすい上に、後背地を多く持つことが沼津の

街を発展させた要因であると考えられる。以上より、沼津の近代都市形成の発展要因は

東海道宿場町（陸路）、港（海路）と河川（内陸水運）があったこと、城下町であった

こと、そして周りの後背地があったことである。

(2) 清水　清水の都市発展の起源は城下町と宿場町、港町にある。江尻の街は城下町に

よって商工業者が集積し、その後、東海道宿場町の機能が付加され、家康が築城した駿

府城の外港となることで商業都市と港町の性格が強くなっていったと考えられる。地勢

を見ると、清水は東海道筋の蒲原・由比・興津、三保半島など周囲に後背地を持ち、大

都市静岡の都市圏である。以上より、清水の近代都市形成における発展要因は、①城下

町・宿場町・港町の 3つの町が重なっていたこと、②後背地が東海道筋にあり、それら

の後背地は地形的制約により小規模のため、清水の求心力が相対的に大きかったこと、

③大都市静岡市の都市圏だったことである。

　 明治 20 年 昭和 31 年 平成 19 年

三島駅

三島宿

三島大社楽寿園三島宿 三島宿 三島宿

図 2　明治から昭和の市街地拡大（府中宿・蒲原宿）

表 1　宿場町都市の都市条件と市街地拡大の分類・宿場町と駅と市庁舎の位置関係の一覧

図３　宿場町と駅と市庁舎の位置関係図

宿場町

駅 市庁舎

a b

c①駅・宿場町・市庁舎　の位置関係

②駅・市庁舎・宿場町　の位置関係

③市庁舎・駅・宿場町　の位置関係

市庁舎

市庁舎

市庁舎

駅

駅駅

宿場町

宿場町 宿場町

図 4　沼津中心部での市街地拡大（明治 20 年、昭和 31 年）

図 5　沼津中心部（広域）での市街地拡大（明治 20 年、昭和 31 年）

図 6　清水中心部での市街地拡大（明治 22 年、昭和 31 年）

図 7　清水中心部（広域）での市街地拡大（明治 22 年、昭和 31 年）

沼津駅 沼津駅

沼津宿 沼津宿

沼津 沼津

三島三島 原原

江尻宿 江尻宿江尻駅 清水駅

巴川 巴川

清水 清水

静岡 静岡

蒲原 蒲原

由比 由比

興津 興津

２ 研究室の⼀年

2019年11⽉現在修⼠２年６名（内、エチオピア留学⽣１名）修⼠１年４名（内、中国留学⽣１名）卒研４年７名（デザイン⼯学部）

卒業研究（B4）の１年〜３⽉ ポートフォリオ各⾃

４〜５⽉ 進路と研究室プロジェクト※６〜７⽉ 卒研に係るリサーチ８〜９⽉ 夏休み、設計対象の決定１０〜１２⽉ 図⾯と模型１〜３⽉ 提出発表、学外・学会発表

⼤学院修⼠課程M1 授業と研究室プロジェクト※M2 修⼠論⽂

※研究室プロジェクトの分類①教授の関⼼・2013-14 芝浦キャンパス周辺調査②学外から研究室へ委託・出題・2015 東京都世⽥⾕区公共施設調査・2016-18 さいたま市浦和美園③教授が携わるもの・2017-柏アーバンデザインセンター・2018-静岡県清⽔みなとまちづくり④設計競技（コンペ）

さいたま市浦和美園

スタジアムのあるサッカータウン賑わいと住まいの両⽴

アーバンデザインセンターみそのさいたま市+埼⽟⾼速鉄道＋浦和レッズ＋イオン埼⽟⼤学+芝浦⼯業⼤学

2016 マスタープランと全体の⾒える化2017 仮設建築による⼟地活⽤提案と試作2018 集合住宅と街並みの試設計2019 デザインガイドライン

http://www.misono-tm.org/udcmi/

千葉県柏駅周辺①2016-18基本構想

商業偏重から居住を含む複合市街地へ転換

柏アーバンデザインセンター http://udc2.jp/・柏市＋柏商⼯会議所・東京⼤学、麗澤⼤学、芝浦⼯業⼤学

2016 基礎調査2017 柏セントラルグランドデザイン2018 国際ワークショップと社会実験2018〜修⼠1年1名リサーチアシスタント派遣

柏アーバンデザインセンター・三協フロンテア(株)・芝浦工業大学　既製建築フレームによる小さな公共空間2019

　芝浦工業大学都市デザイン研究室は、千葉県柏市柏駅通称ダブルデッキで、既製建築フレームを用いた「小さな公共空間」の仮設実験を行なっている。地元のまちづくり組織 UDC2 柏アーバンデザインセンター、市内に本社のある既製建築企業（三協フロンテア株式会社）と共同で行なっている。「かしわテラス」と称する 2.2m × 5.6m のフレーム３基が、情報拠点 Info-house と店舗 Nigiwai-house を併設する。１年間の仮設とはいえ、駅前広場上部デッキの建築には技術上・使用上の課題があり、各方面との協議調整を経て実現にたどり着いた。芝浦工業大学建築学部・大学院建設工学専攻　都市デザイン研究室教授 前田英寿　修士 1年 秋元優介・豊嶋達也・松本宗磨

Urban Design Laboratory, Shibaura Institute of Technology, collaborates Urban Design Center Kashiwa and Sankyo-frontier in temporary public space with prefabricated modular frames at Kashiwa Station, Kashiwa City, Chiba Prefecture, which set information and a retail in three frames.

Presentation at Urban Design Center

Site, Kashiwa staition, Chiba Prefecture

Alternatives

Process

On siteScheme

Sma l l Pub l i c Space w i th P r e f ab r i c a t ed Modu l a r F r ame 2019Sh i bau r a I n s t i t u t e o f Te chno l ogy U rban De s i gn L abo r a t o r y

Preliminary proposal

Hollowing-out in city center1993 2013

Detail Study

Final Design

千葉県柏駅周辺②⼩さな公共空間の実証実験 2018〜柏駅前デッキ上に移動可能な既製フレーム建築を仮設、賑わいを起こす実証実験

柏アーバンデザインセンターhttp://udc2.jp/ ・柏市＋柏商⼯会議所＋柏市まちづくり公社三協フロンテア株式会社芝浦⼯業⼤学都市デザイン研究室

2018年10⽉〜基本構想（前⽥+三協フロンテア）2019年４〜５⽉基本設計（研究室修⼠１年３名）2019年６〜７⽉実施設計（三協フロンテア）2019年８⽉施⼯、９⽉供⽤開始

静岡県清⽔港①グランドデザイン港湾地区の産業持続発展と⼟地利⽤転換

清⽔みなとまちづくり公⺠連携協議会

https://shimizuportcity.jp/・静岡県＋静岡市＋静岡商⼯会議所・清⽔港振興＋清⽔埠頭＋鈴与・静岡銀⾏＋静岡鉄道+清⽔銀⾏・芝浦⼯業⼤学＋東海⼤学

2017.12第1回みなとまちづくりワークショップ2018.3みなとまちづくりグランドデザイン2019.4第1回みなとまちづくりシンポジウム2019.7開港120周年みなとまちシンポジウム2019.11第2回みなとまちづくりワークショップ

静岡県清⽔港②リーディングプロジェクト

３ 過去の研究室活動

2012年度

卒業研究

★公共空間と建築・都市のサードプレイス・運河沿い市街地の再開発

★地区・街区計画・JR⽥町駅の再開発・埼⽟県志⽊市引⼜宿の再⽣・⼭梨県都留市⾕村城下町の再⽣

★景観・空間政策・江⼾川の流域集落（埼⽟県吉川市）・関東⼤震災直後の郊外宅地開発・岐⾩県御嵩町の観光デザイン・⼭梨県富⼠吉⽥市のコミュニティバス・学童保育と児童館（学校と家庭の中間）

2013年度

卒業研究

★公共空間と建築・公園のような駅（JR四⾕駅）・静岡県沼津市アーケード商店街・東京の運河沿い公営住宅の建て替え

★地区・街区計画・茨城県潮来⽔郷都市の再⽣・島根県益⽥市県営公園の再⽣

★建築単体・廃校のコンバージョン・社務所のコンバージョン

★景観・空間政策・埼⽟県⽇光御成街道の宿場町・静岡県東海道の宿場町・世⽥⾕区景観資源の評価

2014年度

卒業研究

★公共空間と建築・JR原宿駅の建替・東京都⼼の公園のような商業空間・東京都⼼の学校と美術館の融合的合築

★地区・街区計画・東⽇本⼤震災の復興計画・城下町⼟浦の再⽣

★景観・空間政策・⼭⼿線駅と駅前広場の空間構成・街と建築のインターフェース・市街地再開発事業における住宅デザイン・東京都港区の変容と街区公園・埼⽟県の市町村合併と都市の変化・⻑野県の近代都市形成・東京⼈形町の街路と町並み

2015年度卒業研究

★公共空間と建築・駅と川をつなぐ再開発（JR五反⽥駅）・荒川緩傾斜堤防と後背地のデザイン・千葉モノレール駅と沿線地区・川辺の温泉旅館

★地区・街区計画・栃⽊重伝建地区の隣接街区・東京都中野商店街

★建築単体・サッカースタジアム・中層RCマンションのコンバージョン・千葉県鎌ヶ⾕市駅前図書館

★景観・空間政策・鎌倉の寺社参道・川越の景観制度・福岡歴史まちあるきカード・UCDプロセスによる被災地の交流施設

2016年度

卒業研究

★公共空間と建築・臨港鉄道廃線路沿い津波避難ビル・菜園付き斜⾯住宅・中国伝統集落の美術館への転⽤

★地区・街区計画・JR⽥町駅の建て替え・⽯神井川⽼朽市街地を緑園都市へ・暫定建築連鎖による密集市街地修復

★景観・空間政策・建築と公共空間の境界形態・⼤学の校地境界 キャンパスエッジ・東京都⽂京区の街区公園

2017年度

卒業研究

★公共空間と建築・⾼架下仮設建築による市街地の縫合・市⺠図書館と企業オフィスの合築・河川沿い⼤規模⼯場の博物館転⽤・⽊架構の⼩さな公共空間・丘を囲む⾼齢者グループホームと保育所

★地区・街区計画・仮設可変建築による裏街区の市⺠利⽤・北池袋の⽴体都市都市計画

★その他・建築家が設計した個⼈住宅の分析

2018年度

卒業研究

★公共空間と建築・四ツ⾕駅外堀博物館・近隣施設をともなう⼩中学校の統廃合

★地区・街区計画・⾳楽都市による駅前再々開発・屋上連担増築による⽤途積層街並建築

★建築単体・⽔辺の郊外型オフィス・ボールパーク型サッカースタジアム・多世代交流を促す⾼齢者集合住宅

★景観・空間政策・中⼼市街地駐⾞場の緑化と⼩建築

詳しくは研究室HPへ

https://murbanism.net/