公認会計士 租税法 改正論点の概要 高田講師レジュメ1019 EL19940 0 000512 199407
公認会計士
租税法
改正論点の概要
高田講師レジュメ1019
EL19940
0 0 0 0 5 1 2 1 9 9 4 0 7
2019.10.19(土)公認会計士講座:「租税法」改正論点の概要
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租税法改正論点の概要 1.本試験における事業年度・課税期間
法人:平成 31 年4月1日~令和2年3月 31日(法人税法・消費税法)
個人・個人事業者:令和1年分(所得税法・消費税法)
なお、令和1年分とは、平成 31 年1月1日から令和1年 12 月 31 日までの期間に係る年分をいう。
2.改正について
改正 試験範囲の改正
令和1年6月 19 日公表(現時点最新)の内容は前年と変更なし。
租税法は、令和2年1月1日現在施行(適用)の法令等による。
税制改正 下記の通り。
3.改正の概要(各税目ごと)
以下、主な税制改正点をピックアップしたものであり、詳細については 2020 年本試験向け論文
テキストに記載されています。その旨ご了承のうえ、ご確認をお願いします。
3-1.法人税法
項目 条文 税制改正の内容
中小企業関連
措令
27 の4
ほか
中小企業関連 → 改正点1.へ
中小企業者等とは、青色申告書を提出する中小企業者(適用除外事業者を除く。)
をいう。従来から、中小企業者向けの租税特別措置による優遇規定が大企業の子
会社にも適用されていることが問題視されていたことを受け、中小企業者の意義
及びその判定の基礎となる大規模法人の意義についての見直しが行なわれた。
試験研究費の
特別控除
措法
42 の4
試験研究費の特別控除 → 改正点2.へ
研究開発投資を増加させるためのインセンティブ強化として、また、研究開発
投資の多様化の後押しとして、研究開発税制について次の見直しが行われた。
区 分 改 正 の 概 要
総額に係る特別控除
又は
中小企業者等の
特別控除
・ 税額控除割合の増加率の分岐点となる増減試験
研究費割合が5%から8%に変更された。
・ 試験研究費割合が 10%超の場合には、税額控除
割合に一定の率の上乗せがされることとなった。
平均売上の 10%超の
場合
廃止(上記下線部に統合)
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【中小企業者の意義(措令 27 の4⑫)】
「中小企業者」とは、資本金の額1億円以下の法人(いわゆる中小法人)で、次の法人以外..
の法人をいう。
⑴ 同一の大規模法人に発行済株式の総数(自己株式を除く。)の1
2以上を所有されている法人
⑵ 複数の大規模法人に発行済株式の総数(自己株式を除く。)の2
3以上を所有されている法人
【大規模法人の意義(措令 27 の4⑫)】
大規模法人とは、次の法人をいう。
⑴ 資本金の額が1億円超の法人又は資本金等を有しない法人のうち常時使用する従業員の数
が 1,000 人を超える法人
⑵ 大法人の 100%子法人
⑶ 100%グループ内の複数の大法人に発行済株式又は出資の全部を保有されている法人
【適用除外事業者の意義(措法 42の4⑧八)】
「適用除外事業者」とは、その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得の
金額の平均額が 15億円を超える法人をいう。
特別試験研究費
・ 一定の研究開発型ベンチャー企業との共同研究、
下記委託研究が特別試験研究費に該当することと
なった(控除割合 25%)。
・ 民間企業間の委託研究(基礎・応用研究目的の
もの又は受託者の知財利用を目的としたもので一
定のものに限る。)が特別試験研究費に該当するこ
ととなった(控除割合 20%)。
・ 税額基準額が法人税額の5%から 10%に引き上
げられた。
改正点1.中小企業関連
1、中小企業者の意義及びその判定の基礎となる大規模法人の意義について
中小企業者等とは、青色申告書を提出する中小企業者(適用除外事業者を除く。)をいう。
従来から、中小企業者向けの租税特別措置による優遇規定が大企業の子会社にも適用されてい
ることが問題視されていたことを受け、中小企業者の意義及びその判定の基礎となる大規模法人
の意義についての見直しが行なわれた。
上記のように、中小企業者については、その判定の対象となる法人の発行済株式総数から自己
株式が除外された。また、大規模法人の対象に大法人の 100%子法人等が追加された。
用語解説
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例えば、下記の「資本金1億円の法人」は、大法人(大規模法人)の 100%子会社であるため中
小企業者には該当しないが、資本金1億円超でないため大規模法人にも該当しなかった。本改正
により大規模法人の範囲が見直され、大法人の 100%子法人は大規模法人に該当することとなった。
したがって、従来は大法人の孫会社である「資本金1千万円の法人」は中小企業者であったが、
大法人(大規模法人)の 100%子会社である「資本金1億円の法人」が大規模法人となったことで、
「同一の大規模法人に発行済株式の総数の2分の1以上を所有されている法人」となり、中小企
業者に該当しないこととなる。
2、中小企業者等の設備投資関連税制
次の3税制について、適用期限が令和3年3月 31日まで2年延長されることとなった。
⑴ 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除
中小企業投資促進税制(措法 42 の6)
⑵ 特定中小企業者等が経営改善設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除
商業・サービス業等活性化税制(措法 42 の 12 の3)
⑶ 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除
中小企業経営強化税制(措法 42 の 12 の4)
3、中小法人の軽減税率
中小法人(普通法人のうち、資本金1億円以下等の法人)等の各事業年度の所得の金額のうち、
年 800 万円以下の部分の税率は 19%(法法 66②)が原則であるが、租税特別措置法第 42 条の3
の2の特例により 15%に軽減されている。この特例の適用期限が2年延長され「令和3年3月 31
日までに開始する事業年度」とされた。
〈改正前〉 〈改正後〉
資本金1億円の法人 ⇒ 大規模法人ではない
資本金5億円の大法人 ⇒ 大規模法人
資本金1千万円の法人 ⇒ 中小企業者に該当
100%
100%
資本金1億円の法人 ⇒ 大規模法人
資本金5億円の大法人 ⇒ 大規模法人
資本金1千万円の法人 ⇒ 中小企業者ではない
100%
100%
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改正点2.試験研究費の特別控除(措法 42 の4)
研究開発投資を増加させるためのインセンティブ強化として、また、研究開発投資の多様化の後押
しとして、研究開発税制について次の見直しが行われた。
1、試験研究費の総額に係る特別控除
⑴ 税額控除限度額
税額控除限度額は次のように計算される。
当期試験研究費の額 × 増減試験研究費割合*に応じた税額控除割合
* 増減試験研究費割合(措法42の4⑧三)
増減試験研究費割合とは、増減試験研究費の額の比較試験研究費の額に対する割合のこと
であり、次のとおりに計算する。
増減試験研究費の額*1
比較試験研究費の額*2
*1 増減試験研究費の額
当期試験研究費の額-比較試験研究費の額
*2 比較試験研究費の額(措法 42の4⑧五)
比較試験研究費の額とは、当期首前3年以内に開始した各事業年度の試験研究費の額
の合計額を各事業年度の数(通常は3)で除して計算した金額をいう。つまり、前期、
前々期、前々々期の試験研究費の額の平均額である。
当期首前3年以内に開始した各事業年度の試験研究費の額の合計額
3
⑵ 増減..
試験研究費.....
割合..
に応じた税額控除割合
① 増減試験研究費割合が8%超の場合(措法42の4①一)
9.9%+{(増減試験研究費割合-8%)×0.3}
(小数点以下3位未満切捨て、上限 14%)
② 増減試験研究費割合が8%以下の場合(措法42の4①二)
9.9%-{(8%-増減試験研究費割合)×0.175}
(小数点以下3位未満切捨て、下限6%)
③ 適用事業年度が設立事業年度である場合又は比較試験研究費の額が0である場合
(措法42の4①三)
8.5%
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⑶ 試験研究費割合が10%を超える場合の税額控除割合(措法42の4③二)
上記⑵で算出した税額控除割合
(小数点以下3位未満切捨て前。以下「原則控除率」という。)
+原則控除率×控除割増率(小数点以下3位未満切捨て、上限 14%)
控除割増率とは、試験研究費割合が 10%を超える場合における税額控除割合の上乗せ率であ
り、次のように計算する。ただし、10%を上限とする(措法 42の4③二)。
(試験研究費割合*1-10%)×0.5(上限 10%)
*1 試験研究費割合とは、当期試験研究費の額の平均売上金額に対する割合のことであり、
次のように計算する(措法 42の4⑧六)。
当期試験研究費の額
平均売上金額*2
*2 平均売上金額とは、当期及び当期首前3年以内に開始した各事業年度(つまり、当期を
含む4年間)の平均売上金額であり、次のように計算する(措法 42 の4⑧十一)。
平均売上金額=(当期、前期、前々期、前々々期の売上金額)÷4
なお、売上金額とは、棚卸資産の販売その他事業として継続して行われる資産の譲渡等に係
る収益の額(営業外収益の額とされるべきものを除く。)である。
⑷ 税額基準額
法人税額(別表一(一)2)× 25%※
※ 試験研究費割合が 10%を超える場合の特例(措法 42 の4③二)
25%+{(試験研究費割合-10%)×2}
(小数点以下3位未満切捨て、上限35%)
⑸ 特別控除額の計算
⑴税額控除限度額と⑷税額基準額のいずれか小さい金額とする。
次の〔資料〕に基づき、当期(平成31年4月1日~令和2年3月31日)の増減試験研究費割合及
び試験研究費の総額に係る税額控除割合を求めなさい。
〔資料〕
⑴ 最近4事業年度における試験研究費の額は次のとおりである。
事業年度 平成28年4月1日~
平成29年3月31日
平成29年4月1日~
平成30年3月31日
平成30年4月1日~
平成31年3月31日
平成31年4月1日~
令和2年3月31日
試験研究費の額 32,500,000 円 34,200,000 円 41,300,000 円 30,420,000 円
⑵ 当期試験研究費の額には、特別試験研究費に該当するものはない。
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⑴ 増減試験研究費割合
30,420,000 円-36,000,000 円*
=△0.155 → △15.5%≦8%36,000,000 円*
* 比較試験研究費の額
(32,500,000円+34,200,000円+41,300,000円)÷3=36,000,000円
⑵ 税額控除割合
9.9%-{(8%-△15.5%)×0.175}= 0.057875 → 0.057(小数点以下3位未満切捨て)
0.057 ≦ 0.06 ∴6%(下限6%)
大規模法人の場合
〔試験研究費の特別控除額〕
⑴ 当期試験研究費の額
⑵ 試験研究費の総額に係る特別控除額
① 税額控除割合
1)増減試験研究費割合
増減試験研究費の額*
比較試験研究費の額=α
*⑴-比較試験研究費の額
2)税額控除割合
α>8%→9.9%+{(α-8%)×0.3}(上限14%)=β
α≦8%→9.9%-{(8%-α)×0.175}(下限6%)=β
設立事業年度又は比較試験研究費0→8.5%
※ 試験研究費割合が10%超の場合
→β+β×{(試験研究費割合-10%)×0.5(上限10%)}
(小数点以下3位未満切捨て、上限14%)
② 税額控除限度額
⑴×⑵①2)
③ 税額基準額
法人税額(別表一(一)2)×25%*
*試験研究費割合が 10%超の場合
→25%+{(試験研究費割合-10%)×2}(小数点以下3位未満切捨て、上限 35%)
④ ②と③のいずれか小さい金額
→「試験研究費の特別控除額(別表一(一))」
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次の〔資料〕に基づき、当期(平成31年4月1日~令和2年3月31日)の試験研究費の特別控除
額を求めなさい。
〔資料〕
⑴ 当期に試験研究のために支出した金額は 78,000,000 円であるが、この中には工場と研究所兼任
の研究員の人件費 18,000,000 円が含まれている。
なお、特別試験研究費に該当するものはない。
⑵ 当期に係る比較試験研究費の額は 50,000,000 円である。
⑶ 当期に係る平均売上金額は 500,000,000 円である。
⑷ 当期に係る別表一(一)2の法人税額 30,000,000 円
なお、当社は、期末資本金1億5,000万円(設立以来異動なし。)の普通法人であり、設立以来毎
期青色申告書により確定申告を行っている。
〔試験研究費の特別控除額〕
⑴ 当期試験研究費の額
78,000,000 円-18,000,000 円=60,000,000 円
⑵ 試験研究費の総額に係る特別控除額
① 税額控除割合
1)増減試験研究費割合
⑴-50,000,000円
50,000,000円 =0.2>8%
2)税額控除割合
9.9%+{(20%-8%)×0.3}=0.135→13.5%
※ 試験研究費割合 ⑴
500,000,000円 =0.12=12%>10%
∴ 13.5%+13.5%×{(12%-10%)×0.5}=0.13635→0.136=13.6%
② 税額控除限度額
⑴×13.6%=8,160,000 円
③ 税額基準額
30,000,000 円×29%※=8,700,000 円
※ 試験研究費割合 12%>10%
∴ 25%+{(12%-10%)×2}=29%
④ ②<③ ∴8,160,000 円 →「試験研究費の特別控除額(別表一(一))」
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2、中小企業者等の特別控除
⑴ 税額控除限度額
当期試験研究費の額 × 増減試験研究費割合.........
に応じた税額控除割合
⑵ 増減試験研究費割合(「試験研究費の総額に係る特別控除」の場合と同じ。)
⑶ 増減試験研究費割合に応じた税額控除割合
① 増減試験研究費割合が8%超の場合(措法42の4⑤一)
12%+{(増減試験研究費割合-8%)×0.3)}
(小数点以下3位未満切捨て、上限 17%)
② 増減試験研究費割合が、8%以下の場合(措法42の4④)
12%
⑷ 試験研究費割合が10%を超える場合の税額控除割合(措法42の4⑥)
上記⑶で算出した税額控除割合
(小数点以下3位未満切捨て前。以下「原則控除率」という。)
+原則控除率×控除割増率(小数点以下3位未満切捨て、上限 17%)
(「控除割増率」等については、「試験研究費の総額に係る特別控除」の場合と同じ。
⑸ 税額基準額
① 増減試験研究費割合が8%超の場合(措法 42の4⑤二)
法人税額(別表一(一)2)× 35%
② 増減試験研究費割合が8%以下の場合(措法42の4④)
法人税額(別表一(一)2)× 25%※
※ 試験研究費割合が10%を超える場合の特例(措法42の4⑥一)
25%+{(試験研究費割合-10%)×2}
(小数点以下3位未満切捨て、上限35%)
⑹ 特別控除額の計算
⑴税額控除限度額と⑸税額基準額のいずれか小さい金額とする。
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中小企業者等の場合
〔試験研究費の特別控除額〕
⑴ 当期試験研究費の額
⑵ 中小企業者等の特別控除額(中小企業者等である場合のみ(明らかに有利))
① 税額控除割合
1)増減試験研究費割合
増減試験研究費の額*
比較試験研究費の額=α
*⑴-比較試験研究費の額
2)税額控除割合
α>8%→12%+{(α-8%)×0.3}(上限17%)=β
α≦8%→12%(=β)
※ 試験研究費割合が10%超の場合
→ β+β×{(試験研究費割合-10%)×0.5(上限10%)}
(小数点以下3位未満切捨て、上限17%)
② 税額控除限度額
⑴×⑵①2)
③ 税額基準額
α>8%の場合→法人税額(別表一(一)2)×35%
α≦8%の場合→法人税額(別表一(一)2)×25%*
*試験研究費割合が 10%超の場合
→25%+{(試験研究費割合-10%)×2}(小数点以下3位未満切捨て、上限 35%)
④ ②と③のいずれか小さい金額
→「試験研究費の特別控除額(別表一(一))」
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次の〔資料〕に基づき、当期(平成31年4月1日~令和2年3月31日)の試験研究費の特別控除
額を求めなさい。
なお、当社は期末資本金の額1億円の中小企業者に該当する普通法人(青色申告法人)であり、
株主はすべて個人である。
〔資料〕
⑴ 当期に係る別表一(一)2の法人税額17,000,000 円
⑵ 最近4事業年度における売上金額及び当期試験研究費の額は、次のとおりである。
事 業 年 度平成 28 年 4 月 1 日
~平成 29 年 3 月 31 日
平成 29 年 4 月 1 日
~平成 30 年 3 月 31 日
平成 30 年 4 月 1 日
~平成 31 年 3 月 31 日
平成 31 年 4 月 1 日
~令和 2 年 3 月 31 日
売 上 金 額 285,500,000 円 296,800,000 円 324,300,000 円 313,400,000 円
当期試験研究費の額 32,500,000 円 34,200,000 円 41,300,000 円 37,500,000 円
〔試験研究費の特別控除額〕
⑴ 当期試験研究費の額 37,500,000 円
⑵ 中小企業者等の特別控除額
① 税額控除割合
1)増減試験研究費割合
37,500,000円-36,000,000円*
36,000,000円* =0.0416…≦8%
* 比較試験研究費の額
(32,500,000円+34,200,000円+41,300,000円)÷3=36,000,000円
2)税額控除割合
12%
※ 試験研究費割合 ⑴
305,000,000円*=0.1229…>10%
∴12%+12%×{(0.1229…-10%)×0.5}=0.1213…→0.121→12.1%
*(285,500,000円+296,800,000円+324,300,000円+313,400,000円)÷4=305,000,000円
② 税額控除限度額
⑴×12.1%=4,537,500 円
③ 税額基準額
17,000,000 円×29.5%*=5,015,000 円
※ 試験研究費割合 0.1229…>10%
∴ 25%+{(0.1229…-10%)×2}=0.2959…→0.295→29.5%
④ ②<③ ∴ 4,537,500 円 →「試験研究費の特別控除額(別表一(一))」
2019.10.19(土)公認会計士講座:「租税法」改正論点の概要
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3、特別試験研究費に係る特別控除
⑴ 税額控除割合
内 容 税額控除
割合
特
別
試
験
研
究
費
の
額
特別試験研究機関等(国の試験研究機関、大学等)と共同して行う試験研究 30%
特別試験研究機関等に委託する試験研究
研究開発型ベンチャー企業*と共同して行う試験研究 25%
研究開発型ベンチャー企業*に委託する試験研究
その他の者(民間企業、民間研究所、公設試験研究機関等)との共同試験研究
20%
民間企業*に委託する試験研究
中小企業者等への委託試験研究
中小企業者等へ支払う知的財産権の使用料
その用途に係る対象者が少数である医薬品に関する試験研究
* 基礎・応用研究目的のもの又は受託者の知財利用を目的としたもので一定のものに限る。
⑵ 特別試験研究税額控除限度額
特別研究税額控除限度額は、次のとおりに計算される。
① 特別試験研究機関等との共同・委託研究に係る試験研究費の額×30%
② 研究開発型ベンチャー企業との共同・委託研究に係る試験研究費の額×25%
③ ①、②以外の特別試験研究費の額×20%
④ ①+②+③
〈総額に係る特別控除と特別試験研究費の特別控除がある場合〉
当期
試験研究費の額
当期の
特別試験研究費の額 × 税額控除割合(30%又は 25%又は 20%)
その他の
試験研究費の額 ×
試験研究費の総額
又は中小企業者等
に係る税額控除割合
⑶ 税額基準額の計算
法人税額(別表一(一)2)×10%
⑷ 特別控除額の計算
⑵特別試験研究税額控除限度額と⑶税額基準額のいずれか小さい金額とする。
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~大規模法人・特別試験研究費の額がある場合~
〔試験研究費の特別控除額〕
⑴ 試験研究費の額
① 当期試験研究費の額
② 当期の特別試験研究費の額
1)特別試験研究機関等の共同・委託研究費の額
2)研究開発型ベンチャー企業との共同・委託研究
3)1)2)以外の特別試験研究費の額
4)1)+2)+3)
③ その他の試験研究費の額(①-②)
⑵ 試験研究費の総額(⑴③)に係る特別控除額
① 税額控除割合
1)増減試験研究費割合
増減試験研究費の額*
比較試験研究費の額=α
*⑴①-比較試験研究費の額
2)税額控除割合(試験研究割合が10%超の場合は省略)
α>8%→9.9%+{(α-8%)×0.3}(上限 14%)=β
α≦8%→9.9%-{(8%-α)×0.175}(下限6%)=β
設立事業年度又は比較試験研究費0→8.5%
② 税額控除限度額
⑴③×⑵①2)
③ 税額基準額
法人税額(別表一(一)2)×25~35%
④ ②と③のいずれか小さい金額
⑶ 特別試験研究費の額(⑴②)に係る特別控除額
① 特別試験研究税額控除限度額
1)⑴②1)×30%
2)⑴②2)×25%
3)⑴②3)×20%
4)1)+2)+3)
② 税額基準額
法人税額(別表一(一)2)×10%
③ ①と②のいずれか小さい金額
⑷ ⑵+⑶=××× → 「試験研究費の特別控除額(別表一(一))」
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次の〔資料〕に基づき、当期(平成31年4月1日~令和2年3月31日)の試験研究費の特別控除
額を求めなさい。
〔資料〕
⑴ 当期の試験研究費の額は、次のとおりである。
① 大学と共同で行った試験研究に係る費用 6,000,000 円
② 研究開発型ベンチャー企業に委託した試験研究に係る費用 5,000,000 円
③ 中小企業者に支払う知的財産権の使用料 7,500,000 円
④ 上記①②以外のもの 41,500,000 円
⑵ 当期の試験研究費割合は 9.9%である。
⑶ 当期の増減試験研究費割合は 15%である。
⑷ 当期に係る別表一(一)2の法人税額 84,000,000 円
なお、当社の期末資本金の額は2億円であり、設立以来毎期青色申告書により確定申告を行って
いる。
〔試験研究費の特別控除額〕
⑴ 試験研究費の額
① 当期試験研究費の額 6,000,000 円+5,000,000 円+7,500,000 円+41,500,000 円
=60,000,000 円
② 特別試験研究費
1)特別試験研究機関等 6,000,000 円
2)研究開発ベンチャー 5,000,000 円
3)1)2)以外 7,500,000 円
4)1)+2)+3)=18,500,000 円
③ その他の試験研究費の額
①-②4)=41,500,000 円
⑵ 総額に係る特別控除額
① 税額控除割合
1)増減試験研究費割合 0.15≧8%
2)税額控除割合 9.9%+{(15%-8%)×0.3}=12%
② 税額控除限度額
⑴③×12%=4,980,000 円
③ 税額基準額(試験研究費割合が 10%以下)
84,000,000 円×25%=21,000,000 円
④ ②<③ ∴ 4,980,000 円
2019.10.19(土)公認会計士講座:「租税法」改正論点の概要
14
⑶ 特別試験研究費の額に係る特別控除額
① 特別試験研究税額控除限度額
1)⑴②1)×30%=1,800,000 円
2)⑴②2)×25%=1,250,000 円
3)⑴②3)×20%=1,500,000 円
4)1)+2)+3)=4,550,000 円
② 税額基準額
84,000,000 円×10%=8,400,000 円
③ ①<② ∴ 4,550,000 円
⑷ ⑵+⑶=9,530,000 円 →「試験研究費の特別控除額(別表一(一))」
:::Memo:::
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15
3-2.所得税法
項目 条文 税制改正の内容
所得控除
令和1年
分の所得
税から適
用される。
措法
41
住宅借入金等特別控除 → 改正点3.へ
消費税率の引上げに際し、需要変動の平準化の観点から、住宅に関する税制上の
支援策が設けられた。
⑴ 消費税率 10%が適用される住宅取得等に関しては、住宅ローン控除の控除期
間が3年延長され 13 年となった。
⑵ 11 年目以降の3年間は、控除額の上限が下記となる(①~③いずれか小さい
金額)。
① 住宅借入金等の年末残高の1%
② 建物購入価格の3分の2%
③ 4,000 万円(認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅の場合 5,000 万円)
⑶ 令和1年10月1日から令和2年12月31日までの間に居住の用に供した場合
に適用される。
※ 特別特定取得とは、住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消
費税額等の税率が 10%である場合におけるその住宅の取得等をいう。
非課税
平成 31 年
4月1日
以後に出
国をする
居住者等
について
適用され
る。
措法
37 の 14
非課税口座を開設している居住者等の一時的な出国
非課税口座を開設している居住者等が一時的な出国により居住者等に該当しない
こととなる場合に以下の措置が講じられる。
⑴ 当該居住者等がその出国の日の前日までに当該非課税口座が開設されている
金融商品取引業者等の営業所の長に、その者に係る給与等の支払をする者から
の転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由に基因して出国をする旨、
引き続き非課税措置の適用を受けようとする旨、帰国をした後再び当該非課税
口座において非課税上場株式等管理契約又は非課税累積投資契約に基づく上場
株式等の受入れを行う旨その他の事項を記載した届出書(以下「継続適用届出
書」という。)の提出をしたときは、その出国の時から、その者が当該金融商品
取引業者等の営業所の長に、帰国をした年月日、当該非課税口座において再び
非課税上場株式等管理契約又は非課税累積投資契約に基づく上場株式等の受入
れを行わせようとする旨その他の事項を記載した届出書(以下「帰国届出書」
という。)の提出をする日と当該継続適用届出書の提出をした日から起算して5
年を経過する日の属する年の 12 月 31 日とのいずれか早い日までの間は、その
者を居住者等に該当する者とみなして、本措置を引き続き適用する。この場合
において、 当該帰国届出書の提出をする日までは、当該非課税口座に設けられ
た非課税管理勘定又は累積投資勘定に上場株式等を受け入れることができな
い。
⑵ 継続適用届出書の提出をした者が当該提出をした日から起算して5年を経過
する日の属する年の 12 月 31 日までに当該金融商品取引業者等の営業所の長に
帰国届出書の提出をしなかった場合には、同日においてその者が当該金融商品
2019.10.19(土)公認会計士講座:「租税法」改正論点の概要
16
取引業者等の営業所の長に非課税口座廃止届出書を提出したものとみなされ
る。
⑶ その出国につき、国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の対象となる者は、
継続適用届出書の提出をすることができないこととする。
改正点3.住宅借入金等特別控除(措法 41)
⑴ 適用要件(措法 41①⑬⑭)
次に掲げる要件をいずれも満たす場合に適用がある。
① 居住者が、国内において住宅の取得等をすること
② 令和3年 12 月 31 日(特別特定取得の場合、令和2年 12 月 31 日)までの間にその者の居
住の用に供すること(住宅の取得等の日から6月以内に居住の用に供する場合に限る。)
③ その住宅の取得等に係る住宅借入金等を有すること
※ なお、非居住者が帰国後の住居の確保のために前もって住宅の取得をした場合のように、非
居住者期間中に住宅の取得等した場合についても適用を受けることができる。
⑵ 住宅の取得等の範囲(措法 41①)
① 居住用家屋の新築
② 居住用家屋で建築後使用されたことのないもの又は既存住宅の取得
③ その者の居住用家屋につき行う増改築等(工事費用が 100 万円超のもの)
※ 上記の居住用家屋の床面積は 50 ㎡以上であることが必要。なお、店舗併用住宅等の場合には
家屋全体の床面積が50㎡以上あり、その床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用
に供されるものであればよい。(措令26①)
⑶ 住宅借入金等の範囲(措法 41①、措令 26⑦~⑯、⑱、⑲)
住宅借入金等は契約において償還期間が10年以上の割賦償還等の方法により返済することとさ
れている次の借入金又は債務をいう。
① 借入金
金融機関、住宅金融公庫又はその者の使用者等から借入れたもの
② 債務
建設業者、宅地建物取引業者又はその者の使用者等に対するもの
⑷ 控除対象年
居住の用に供した日の属する年以後10年間(特別特定取得の場合、13年間)の各年のうち、合
計所得金額が3,000万円以下であり、かつ、年末まで引続き居住している年であること。
⑸ 控除額(令和1年居住開始分)
① 一般の住宅の場合
(イ) 平成26年4月~令和1年9月30日→※1特定取得
年末借入金残高 ×1%=控除額(百円未満切捨て)
(4,000 万円を限度)
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17
(ロ) 令和1年10月1日~令和2年12月31日→※2特別特定取得
・1~10年目
年末借入金残高×1%=控除額(百円未満切捨て)
(4,000 万円を限度)
・11~13年目
⒜ 年末借入金残高×1%
(4,000 万円を限度)
⒝ (住宅取得等対価の額*-消費税額)×2%÷3
(4,000 万円を限度)
*住宅取得等対価の額とは、補助金及び住宅取得等資金の贈与の額を控除しない
こととした金額をいう。
② 認定住宅(認定長期優良住宅、認定低炭素住宅)の場合
(イ) 平成26年4月~令和1年9月30日→※1特定取得
年末借入金残高 ×1%=控除額(百円未満切捨て)
(5,000 万円を限度)
(ロ) 令和1年10月1日~令和2年12月31日→※2特別特定取得
・1~10年目
年末借入金残高×1%=控除額(百円未満切捨て)
(5,000 万円を限度)
・11~13年目
⒜ 年末借入金残高×1%
(5,000 万円を限度)
⒝ (住宅取得等対価の額*-消費税額)×2%÷3
(5,000 万円を限度)
*住宅取得等対価の額とは、補助金及び住宅取得等資金の贈与の額を控除しない
こととした金額をいう。
※1 特定取得とは、住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等
の税率が8%である場合におけるその住宅の取得等をいう(措法 41⑤)。
※2 特別特定取得とは、住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税
額等の税率が 10%である場合におけるその住宅の取得等をいう(措法 41⑭)。
いずれか小さい額が控除額 (百円未満切捨て)
いずれか小さい額が控除額(百円未満切捨て)
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18
Ⅴ 納付税額 (単位:円)
摘 要 金 額 計 算 過 程
算 出 税 額 ×××
配 当 控 除 ×××
住 宅 借 入 金 等
特 別 控 除
××× 合計所得金額≦30,000,000 ∴適用あり
(合計所得金額>30,000,000 ∴適用なし)
一般の住宅
令和1年居住開始の場合
① 年末借入金残高≦40,000,000
(>40,000,000)
② 年末借入金残高(40,000,000)×1%
=×××(百円未満切捨て)
下記の〔資料〕に基づき、居住者Aの令和1年分の住宅借入金等特別控除額を計算しなさい。
〔資料〕
居住者Aは、令和1年8月に自己資金20,000,000円とB銀行からの借入金20,000,000円(償還期
間20年)をもって新築の居住用家屋(床面積は125㎡)及びその敷地をそれぞれ15,000,000円及び
25,000,000円で取得し、直ちに居住の用に供している。なお、Aの本年分の合計所得金額は
12,000,000円であり、上記借入金の本年末における残高は19,567,000円である。
12,000,000円≦30,000,000円 ∴適用あり
(1) 19,567,000円≦40,000,000円 ∴19,567,000
(2) 19,567,000円×1%=195,670円→195,600円(百円未満切捨て)
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19
3-3.消費税法
項目 条文 税制改正の内容
課税の
対象
消法
29
消費税増税 → 改正点4.へ
消費税率 国税 地方税 合計 旧税率①(平成9年3月 31 日まで) 3% 0% 3% 旧税率②(平成26年3月31日まで) 4% 1% 5% 旧税率③(令和1年9月 30 日まで) 6.3% 1.7% 8% 標準税率(令和1年 10 月1日から) 7.8% 2.2% 10%
軽減税率(令和1年 10 月1日から) 6.24% 1.76% 8%
平 28
改正法
附則
34①
軽減税率の導入 → 改正点5.へ
事業者が、令和1年10月1日から令和5年9月30日までの間に、国内において行う
課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。)のうち、軽減対象資
産の譲渡等は、次の①及び②に掲げるものをいう(平成28年改正法附則34①)。
① 飲食料品の譲渡
② 新聞の定期購読契約に基づく譲渡
→ 令和1年 10 月1日以後に行われる課税資産の譲渡等について適用。
改正点4.消費税増税(消法 29)
〈税率の引上げ〉
令和1年 10 月1日以後、消費税率は 6.3%から 7.8%へ引き上げられた(平成 24 年改正法による改
正後の消法 29、平成 24年改正法附則 1ニ)。
消費税率 国税 地方税 合計 旧税率①(平成9年3月 31 日まで) 3% 0% 3% 旧税率②(平成26年3月31日まで) 4% 1% 5% 旧税率③(令和1年9月 30 日まで) 6.3% 1.7% 8% 標準税率(令和1年 10 月1日から) 7.8% 2.2% 10%
軽減税率(令和1年 10 月1日から) 6.24% 1.76% 8%
令和2年の本試験では、法人の場合:令和2年3月期、個人事業者の場合:令和1年分で出題され
ることから、複数の税率が出題された場合には、上記の表の太枠部分の税率で出題される。 なお、軽減税率制度実施後の消費税額計算は、消費税率が標準税率と軽減税率の2つとなることか
ら、売上げと仕入れを税率ごとに区分して税額計算を行う必要があるが、売上税額から仕入税額を控
除するといった消費税額の計算方法は、現行と変わらない。
2019.10.19(土)公認会計士講座:「租税法」改正論点の概要
20
売上税額(預かった消費税額)
⑴ 課税標準額
①「旧税率③」課税資産の譲渡等の税込対価合計額×100
108 =×××円⇒○○○円(千円未満切捨て)
②「標準税率」課税資産の譲渡等の税込対価合計額×100
110 =×××円⇒○○○円(千円未満切捨て)
③「軽減税率」課税資産の譲渡等の税込対価合計額×100
108 =×××円⇒○○○円(千円未満切捨て)
⑵ 課税標準額に対する消費税額
⑴①×6.3%+⑴②×7.8%+⑴③×6.24%=〇〇〇円
仕入税額(支払った消費税額)
⑴ 控除対象仕入税額
①「旧税率③」課税仕入れ対価(税込)×6.3
108 -課税仕入れに係る返還等対価の額(税込)×
6.3
108 =×××円
②「標準税率」課税仕入れ対価(税込)×7.8
110 -課税仕入れに係る返還等対価の額(税込)×
7.8
110 =×××円
③「軽減税率」課税仕入れ対価(税込)×6.24
108 -課税仕入れに係る返還等対価の額(税込)×
6.24
108 =×××円
④ ①+②+③=〇〇〇円
⑵ 売上げに係る対価の返還等に係る税額(返還等対価に係る税額)
①「旧税率③」売上返還等対価(税込)×6.3
108 =×××円
②「標準税率」売上返還等対価(税込)× 7.8
110 =×××円
③「軽減税率」売上返還等対価(税込)×6.24
108 =×××円
④ ①+②+③=〇〇〇円
⑶ 貸倒れに係る税額
①「旧税率③」貸倒れ額(税込)×6.3
108 =×××円
②「標準税率」貸倒れ額(税込)× 7.8
110 =×××円
③「軽減税率」貸倒れ額(税込)×6.24
108 =×××円
④ ①+②+③=〇〇〇円
⑷ 控除税額計
⑴+⑵+⑶=○○○円
売上税額(預かった消費税額)⑵ - 仕入税額(支払った消費税額)⑷ = 納付税額
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改正点5.軽減税率の導入
事業者が、令和1年10月1日から令和5年9月30日までの間に、国内において行う課税資産の譲渡
等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。)のうち、軽減対象資産の譲渡等は、次の①及び②に掲
げるものをいう。
① 飲食料品の譲渡
② 新聞の定期購読契約に基づく譲渡
☆考えてみましょう! ⑴ 販売方法と軽減税率の適用関係
販売方法 内 容 軽減税率の対象
通信販売 通信販売の販売商品
飲食料品以外 なる・ならない
飲食料品 なる・ならない
送料込み商品 (別途送料を求めない場合)
その商品 飲食料品以外 なる・ならない
飲食料品 なる・ならない
保冷剤を付けた 飲食料品の販売
保冷剤 別途料金受領 なる・ならない
サービス(無償) なる・ならない
新聞の定期購読 『紙と電子版』セット販売
紙 なる・ならない
電子版 なる・ならない
⑵ 食事の提供と軽減税率の適用関係
食事の提供 軽減税率の対象
野球場、遊園地等の施設内の
売店の設備
飲食料品
売店から離れて食べ歩く、 売店から離れた席で食べる。
なる・ならない
売店併設の椅子などで食べる。 なる・ならない
酒・ビール
売店から離れて食べ歩く、 売店から離れた席で食べる
なる・ならない
売店併設の椅子などで食べる。 なる・ならない
ファストフード店の飲食料品 全て持ち帰り なる・ならない
一部店内飲食 なる・ならない
自動販売機 ジュース・パン・菓子 なる・ならない
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22
:::Memo:::
2019.10.19(土)公認会計士講座:「租税法」改正論点の概要
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複数の税率が出題された場合の消費税額の計算パターン
Ⅰ 納税義務の判定
基準期間における課税売上高(税抜)≦ 1,000万円 → 納税義務なし
基準期間における課税売上高(税抜)> 1,000万円 → 納税義務あり
Ⅱ 課税標準額に対する消費税額(「旧税率③」or「標準税率」or「軽減税率」)
⑴ 課税標準額
課税資産の譲渡等*の税込対価合計額×100
108 or
100
110 or
100
108 =×××円
⇒○○○円(千円未満切捨て)
* 免税とされるものを除く。
※ ×100
108 の電卓上の計算は÷1.08、×
100
110 の電卓上の計算は÷1.1、とすると便利。
⑵ 課税標準額に対する消費税額
⑴×6.3% or 7.8% or 6.24%=○○○円
Ⅲ 控除過大調整税額
過年度償却済債権取立益(税込)×6.3
108 =○○○円
※ ×6.3
108 の電卓上の計算は、÷108×6.3とする。
Ⅳ 課税売上割合(「旧税率③」or「標準税率」or「軽減税率」)
⑴ 6.3% or 7.8% or 6.24%課税取引
① 6.3% or 7.8% or 6.24%課税売上高(課税標準額(端数処理前))
② ①に係る税込対価の返還等の額×100
108 or
100
110 or
100
108 =×××円
③ ①-②=○○○円
⑵ 輸出免税取引
① 輸出免税売上高
② ①に係る対価の返還等の額
③ ①-②=○○○円
⑶ 非課税資産の輸出等
① 非課税資産の輸出売上高及び国外移送した資産の価額
② ①に係る対価の返還等の額
③ ①-②=○○○円
⑷ 非課税取引
① 非課税売上高
2019.10.19(土)公認会計士講座:「租税法」改正論点の概要
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② ①に係る対価の返還等の額
③ ①-②=○○○円
⑸ 課税売上割合
⑴③+⑵③+⑶③
⑴③+⑵③+⑶③+⑷③
※ ×100
108 の電卓上の計算は÷1.08、×
100
110 の電卓上の計算は÷1.1、とすると便利。
Ⅴ 控除税額(「旧税率③」or「標準税率」or「軽減税率」)
⑴ 控除対象仕入税額
① 課税仕入れ対価(税込)×6.3
108 or
7.8
110 or
6.24
108 =×××円
② ①に係る返還等対価の額(税込)×6.3
108 or
7.8
110 or
6.24
108 =×××円
③ ①-②=×××円
⑵ 売上げに係る対価の返還等に係る税額(返還等対価に係る税額)
売上返還等対価(税込)×6.3
108 or
7.8
110 or
6.24
108 =×××円
⑶ 貸倒れに係る税額
貸倒れ額(税込)×6.3
108 or
7.8
110 or
6.24
108 =×××円
⑷ 控除税額計
⑴+⑵+⑶= ○○○円
※ ×6.3
108 の電卓上の計算は÷108×6.3、×
7.8
110 の電卓上の計算は÷110×7.8、×
6.24
108 の電
卓上の計算は÷108×6.24、とする。
Ⅵ 差引税額
Ⅱ+Ⅲ-Ⅴ=×××円 ⇒ ○○○円(百円未満切捨て)
Ⅶ 中間納付額
Ⅷ 納付税額
Ⅵ-Ⅶ=納付税額
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次の〔資料〕に基づき、当社の当課税期間(平成31年4月1日~令和2年3月31日)における納
税義務の判定及び納付すべき消費税の額をその計算過程(判定を要する部分については、その判定
を含む。)を示して計算しなさい。
なお、当社は、消費税に関する経理を税込経理により行っている。また、適用する税率は、令和
1年9月30日までに行われた取引については、旧税率(消費税6.3%、地方消費税1.7%、合わせて
8%)、令和1年10月1日から行われた取引については、標準税率(消費税7.8%、地方消費税2.2%、
合わせて10%)とする。
〔資料〕
⑴ 当社の当課税期間(事業年度)の損益計算書は、次のとおりである。
損益計算書
自平成30年4月1日 至令和2年3月31日 (単位:円)
Ⅰ 総売上高 50,000,000
Ⅱ 売上原価 28,000,000
売上総利益 22,000,000
Ⅲ 販売費及び一般管理費
⑴ 販売費 3,500,000
⑵ 一般管理費 6,900,000 10,400,000
営業利益 11,600,000
Ⅳ 営業外収益
⑴ 受取利息 60,000
⑵ 受取配当金 45,000 105,000
税引前当期純利益 11,705,000
⑵ 損益計算書の内容に関して、付記すべき事項は次のとおりである。
① 「総売上高」はすべて国内における課税売上高であり、旧税率に係る金額20,000,000円と標
準税率に係る金額30,000,000円との合計額である。
② 「売上原価」のうち、当課税期間における控除対象仕入税額の計算の基礎となる課税仕入れの
金額は、26,155,000 円であり、旧税率に係る金額 10,462,000 円と標準税率に係る金額
15,693,000 円との合計額である。
③ 「販売費」のうち、当課税期間における控除対象仕入税額の計算の基礎となる課税仕入れの金
額は、3,090,000 円であり、旧税率に係る金額 1,236,000 円と標準税率に係る金額 1,854,000 円
との合計額である。
④ 「一般管理費」のうち、当課税期間における控除対象仕入税額の計算の基礎となる課税仕入れ
の金額は、6,780,000円であり、旧税率に係る金額2,712,000円と標準税率に係る金額4,068,000
円との合計額である。
⑤ 「受取利息」はすべて国内の銀行の預金に係る利息である。
2019.10.19(土)公認会計士講座:「租税法」改正論点の概要
26
⑥ 「受取配当金」はすべて株式の配当金である。
⑶ 当社の基準期間における課税売上高(税抜金額)は、15,000,000円であった。
Ⅰ 納税義務の判定
15,000,000円 > 10,000,000円 ∴納税義務あり
Ⅱ 課税標準額に対する消費税額
⑴ 課税標準額
① 旧税率適用の課税資産の譲渡等
20,000,000円×100
108=18,518,518円 ⇒ 18,518,000円(千円未満切捨て)
② 標準税率適用の課税資産の譲渡等
30,000,000円×100
110=27,272,727円 ⇒ 27,272,000円(千円未満切捨て)
⑵ 課税標準額に対する消費税額
① 旧税率適用分
上記⑴①×6.3%=1,166,634円
② 標準税率適用分
上記⑴①×7.8%=2,127,216円
③ ①+②=3,293,850円
Ⅲ 控除税額
控除対象仕入税額
① 旧税率適用分
(10,462,000 円+1,236,000 円+2,712,000 円)×6.3
108=840,583 円
② 標準税率適用分
(15,693,000 円+1,854,000 円+4,068,000 円)×7.8
110=1,532,700 円
③ ①+②=2,373,283円
Ⅳ 差引税額
3,293,850円-2,373,283円=920,567円 → 920,500円(百円未満切捨て)
Ⅴ 納付税額
920,500円-0円=920,500円
2019.10.19(土)公認会計士講座:「租税法」改正論点の概要
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3-4.国際課税関係
項目 条文 税制改正の内容
恒久的
施設
の定義
法法2
十二の十九
所法2①
八の四
消法4④
法法
69④一
所法
95④一
恒久的施設(PE)の定義の見直し → 改正点6.へ
日本国内において外国企業が経済活動を行う場合に、恒久的施設(PE)がなければ
その企業の事業所得に課税しないというのが国際課税の原則となっているため、外
国企業が恒久的施設(PE)認定されない活動のみをあえて行う等の課税回避行為に
対処する観点から、恒久的施設(PE)の定義の見直しが行われた。
なお、外国税額控除制度における「国外事業所等帰属所得」に係る『国外事業所
等(国外にある恒久的施設(PE)に相当するものその他政令で定めるもの)』の定義
についても、上記同様の改正が行われている。
→ 平成 31 年1月1日以後開始する事業年度の法人税について適用。
→ 令和1年分以後の所得税について適用。
改正点6.恒久的施設(PE)の定義の見直し(法法2十二の十九・所法2①八の四)
恒久的施設 改 正 前 改 正 後
支店 PE
非居住者又は外国法人の国内にある支店、工
場その他事業を行う一定の場所で政令で定
めるもの
非居住者又は外国法人の国内にある支店、工
場その他事業を行う一定の場所で政令で定
めるもの *保管・展示・引渡しなどの特定活動のみを
行う場所は除く。→特定活動のみ行う場所
も、その活動が外国法人等の事業の遂行にあ
たって準備的で補助的な性格のものでない
場合は PE 該当。
建設 PE
非居住者又は外国法人の国内にある建設作
業場(非居住者又は外国法人が国内において
建設作業等(建設、据付け、組立てその他の
作業又はその作業の指揮監督の役務の提供
で一年を超えて行われるものをいう。)を行
う場所をいい、当該非居住者又は外国法人の
国内における当該建設作業等を含む。)
非居住者又は外国法人の国内にある建設若
しくは据付けの工事又はこれらの指揮監督
の役務の提供を行う場所その他これに準ず
るものとして政令に定めるもの *12 ヶ月超の建設工事現場等。→PE 認定回
避を主目的として契約期間を分割した場合
は当該期間を合計して判定。
代理人 PE
非居住者又は外国法人が国内に置く自己の
ために契約を締結する権限のある者その他
これに準ずる者で政令で定めるもの
非居住者又は外国法人が国内に置く自己の
ために契約を締結する権限のある者その他
これに準ずる者で政令で定めるもの *独立代理人を除く。→・外国法人等の所有
権の移転等に関する契約の締結に関する業
務を行う者を追加。・独立代理人から、専ら
又は主として関連企業に代わって行動する
者を除く。
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4.租税法の出題傾向(各税目ごと) 4-1.法人税法
税
目
論 点
理 論 計 算
2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1
法
人
税
法
所得の金額の計算
益金の額 〇 〇 〇 〇 〇
損金の額 〇 〇 〇 〇
受取配当等の益金不算入額 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
短期所有株式等 〇 〇
みなし配当 〇 〇 〇 〇
所得税額控除 〇 〇 〇 〇 〇
貸倒損失 〇 〇 〇 〇 〇
貸倒引当金 〇 〇 〇 〇
繰延資産 〇
減価償却 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
特別償却・特別償却準備金
特別控除 〇 〇
リース取引 〇 〇
有価証券 〇
棚卸資産 〇
評価損益 〇 〇 〇 〇
外貨建資産等 〇
デリバティブ取引
寄附金 〇 〇 〇 〇 〇 〇
租税公課 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
不正行為等 〇
控除対象外消費税額等 〇
交際費 〇 〇 〇 〇 〇
試験研究費 〇
外国税額控除 〇 〇 〇 〇
外国子会社配当等の益金不算入額 〇 〇 〇 〇
海外取引 〇
圧縮記帳 〇 〇 〇 〇
繰越欠損金 〇 〇 〇
同族会社 〇
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留保金課税 〇
役員給与 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
税効果会計 〇 〇
ストック・オプション
リストリクテッド・ストック 〇
損益の帰属時期 〇
保険料 〇
借地権
組織再編成税制 〇 〇 〇
グループ法人税制 〇 〇 〇 〇 〇 〇
信託税制 〇
外国法人の法人税 〇
別表五 〇
清算・残余財産の分配 〇
中小法人 〇 〇 〇
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4-2.所得税法
税
目
論 点
理 論 計 算
2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1
所
得
税
法
利子所得 〇 〇
配当所得 〇 〇 〇
不動産所得 〇 〇 〇 〇
資産損失
事業所得 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
みなし譲渡・低額譲渡
資産損失 〇
同一生計親族 〇 〇
給与所得 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
特定支出控除
ストック・オプション 〇
退職所得 〇 〇 〇 〇
特定役員退職手当 〇 〇
山林所得
譲渡所得 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
生活に通常必要ない資産損失
みなし譲渡・低額譲渡 〇 〇 〇
国外転出する場合の譲渡所得 〇 〇
一時所得 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
雑所得 〇 〇 〇 〇 〇 〇
非課税所得 〇 〇
損益通算 〇 〇 〇
生活に通常必要ない資産の特例
上場株式の特例 〇 〇
損失の繰越控除
所得控除 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
雑損控除 〇
医療費控除 〇 〇 〇 〇
社会保険料控除 〇 〇
小規模企業共済等掛金控除 〇
生命保険料控除 〇 〇
寄附金控除 〇
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:::Memo:::
配偶者控除 〇 〇 〇 〇 〇 〇
配偶者特別控除 〇
扶養控除 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
基礎控除 〇
税額控除 〇 〇 〇
配当控除 〇 〇 〇 〇
源泉徴収 〇 〇
税額計算・申告・納付・還付 〇 〇 〇 〇 〇 〇
青色申告 〇 〇
非居住者及び法人の納税義務 〇
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4-3.消費税法
:::Memo:::
税
目
論 点
理 論 計 算
2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
H25 H26 H27 H29 H28 H30 R1 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1
消
費
税
法
課税の対象 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
非課税取引 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
国境を越えた役務の提供 〇 〇
納税義務者 〇
課税標準 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
低額譲渡
みなし譲渡 〇 〇 〇
土地と建物の一括譲渡 〇
課税売上割合 〇 〇 〇 〇 〇 〇
仕入税額控除 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
全額控除 〇
個別対応方式のみ 〇 〇 〇
一括比例配分方式のみ 〇
有利選択 〇 〇 〇 〇 〇
非課税資産の輸出 〇 〇 〇
調整対象固定資産 著しい変動 〇
調整対象固定資産 転用 〇 〇 〇
棚卸資産に係る税額調整
売上対価の返還 〇 〇 〇 〇 〇 〇
貸倒れ 〇 〇 〇 〇
申告・納付 〇 〇 〇 〇 〇
中間申告 〇
簡易課税 〇 〇
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