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第9回日本気象予報士会研究成果発表会 稿 2017 2 25 一般社団法人日本気象予報士会
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第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

Jul 10, 2020

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第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

2017 年 2 月 25 日

一般社団法人日本気象予報士会

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

日時 2017 年 2 月 25 日(土)1000~1700

会場 慶応義塾大学日吉キャンパス来往舎 大会議室 (223-8521 神奈川県横浜市港北区日吉4minus1minus1) コメンテーター

大西晴夫会長(日本気象予報士会)

瀬上哲秀先生(日本気象予報士会)

座長 関 隆則 内山 常雄

プログラム

1000~1010(開会案内コメンテーター紹介 開会挨拶平松信昭副会長) 研究成果発表(午前の部) 1010~1030 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況 藤井聡(静岡県)

1030~1050 投票率に対する天気の影響 志摩恭臣(徳島県)

1050~1110 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災 小室善隆(東京都)

1110~1120 休憩

1120~1140 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察 上田博康(兵庫県)

1140~1200 直近 28 年間の日本の地表から高層の気温変動傾向 内山常雄(神奈川県)

1200~1300 昼休み

研究成果発表(午後の部)

1300~1320 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2) 荒川知子(神奈川県)

1320~1340 大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2 や O2 など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

1340~1400 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分 一広志(愛媛県)

1400~1420 2016 年 4 月 17 日の寒冷前線の特徴 實本正樹(京都府)

1420~1440 高温事例からみた多治見の暑さ 吉田信夫(岐阜県)

1440~1500 休憩

1500~1520 山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

1520~1540 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野哲夫(新潟県)

1540~1600 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ 梶原和利(神奈川県)

1600~1620 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置 関隆則(千葉県)

1620~1630 休憩

1630~ コメンテーター 総評(瀬上先生)

1640~ コメンテーター 総評(大西会長)

1650~ (閉会挨拶岩田修幹事長終了)

≪ 目 次 ≫

102 解技-01 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況 藤井聡(静岡県)

202 事例-01 投票率に対する天気の影響 志摩恭臣(徳島県)

303 教育-01 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災 小室善隆(東京都)

402 統解-01 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察 上田博康(兵庫県)

502 統解-02 直近 28 年間の日本の地表から高層の気温変動傾向 内山常雄(神奈川県)

604 授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2) 荒川知子(神奈川県)

704 教育-05 大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2 や O2 など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

802 統解-03 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分 一広志(愛媛県)

901 事例-23 2016 年 4 月 17 日の寒冷前線の特徴 實本正樹(京都府)

1001 統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ 吉田信夫(岐阜県)

1101 解技-10 山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

1202 WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野哲夫(新潟県)

1304 実験-02 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ 梶原和利(神奈川県)

1404 実験-03 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置 関隆則(千葉県)

付 録 研究成果発表一覧

当研究成果発表会予稿集に掲載された研究発表の文章図表を複製あるいは翻訳して利用する場合は

日本気象予報士会の文書による利用許諾を得た上で出所を明示して利用しなければなりませんただし

著作者自身による利用の場合は利用許諾の申請は不要です本プログラムの記載内容に関する問い合

わせは105-0001 東京都港区虎ノ門 3-3-3 虎ノ門南ビル 3 階 A 本部事務所(jimuyohojp)まで

研究区分凡例

【大区分】 【中区分】

01 気象一般 解技 解析技法

02 気象情報作成活用 統解 統計解析

03 防災気象 事例 事例解析

04 気象知識普及 予測 気象予測

05 古気候古気象 WB 気象ビジネス

06 気象情報ニーズ 実験 気象実験

07 文化と気象 授業 出前授業

08 その他 教育 気象教育

運用 活動要領

スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況

日本気象予報士会 静岡支部 藤井 聡

1はじめに

関東南部に降雪をもたらす気圧配置にはいくつかのパター

ンがあると考えられる(例えば藤井 2010)がその代表的

なものは南岸低気圧による降雪でありたびたび当地方に大

雪をもたらすことがある南岸低気圧による降雪を予想する

ことは雪に弱い首都圏にとって重要な意味を持つそこで

スグダス2((株)ウェザーニューズ提供)にある850hPa~1000hPa予想図から降雪を予想し実況について考察した

2 南岸低気圧による降雪のメカニズム

関東南部の降雪について加藤(2014)によれば高度500m の気温をみると関東地方平野部では南岸低気圧通過前には

0以下に下がりこの下層寒気吹き出しが関東の低温や南岸

低気圧発生に寄与していると考えられているまた冨山

(2001)は降雪時に館野の上空930~970hPa付近に安定層

を確認しているが大雪時にはこの安定層はしばしば逆転層

となり850hPa気温よりも低い場合がある(藤井 2010) この安定層は上空からの降水が内陸に滞留した下層だけ

の乾いた気塊を加湿しこの気塊が蒸発の潜熱吸収によって

急冷却されることを報告している(冨山 2001)さらに降

水粒子の蒸発によって急激に冷却された地域には局地高気圧

が形成され東京の気温降下のおもな部分は北北西からの寒

気移流によることを報告しているがこの移流は上記の局地

高気圧によるものであり降雪時に秩父付近に発生すること

が多くここからの下層寒気吹き出しが北北西の風になって

関東南部に入り当地方では急速に気温が下降するようであ

る(藤井 2010) こうしたメカニズムから降雪を予想するにあたって以下

の条件から予想を考える

(1) 総観場と降水について ① 冬型がくずれ日本海から三陸沖は高圧部となり低

気圧が南岸を発達しながら東北東進し関東地方では

内陸部まで降水となる

② 降水に伴い局地的高気圧が内陸に発生し東京など

関東南部で地上風向がほぼ北北西となる

③ 短期予報ではMSMとの予想一致が見られる

(2) 気温について ① 850hPa気温が0以下である(降雪の目安は-6

とされるが実際にはこれより高くても雪になる例が

多く報告されている)

② 950hPa気温が0以下である(850hPa以下も0以下だが900hPa付近から地上にかけ安定層となる)

③ 950~1000hPaは0前後なら降水が雪となる場合

がけっこう多く雪質を決める

これらを基にして東京における降雪についてスグダス2を

用い関東南部で降雪のあった事例(2014年2月8日同14日2016年11月28日)の予想図と実況を報告する

3 降雪予想と事例

(1) 2014 年 2 月 8 日の事例

南岸低気圧が

発達しながら通過

し(図1)気温が

低く日中は氷点

下となって当地方

では20cmを超え

る大雪となった

東京では27cmの

積雪となった関

東南部では警報が

発表された所も多

かった 図1 ASAS 2014年2月8日09時JST

この 0800Z(2 月 8 日 09 時 JST)についての予想につい

て前述の通り FT=108 から追ってみたまず850hPa 気温

は東京付近で 2ぐらいだが南岸低気圧予想だったECMも南岸低気圧だったが 850hPa 気温は 0前後だった

950hPa は 5前後とても雪になる感じでないところが

気温が FT=84 になって大きく下方修正され850hPa は-

5950hPa は-1となりFT=36 では 950hPa が-5前後にも下方修正された(図 2)

図2 8日09時JSTの950hPa気温予想変化 FT=108とFT=84

また地上予想図で降水と局地的高気圧の発生による関東

南部の北北西の風も確認した1000hPa 気温は東京付近で

-1とサラサラの積もりやすい雪と判断した(図 3)また

MSM でも同様な予想図となり予想の一致が見られた

図3 8日09時JSTについてFT=36における地上予想と

1000hPa気温予想 引用元ウェザーニューズ社提供

図スグダス2(ウェザーニューズ社)を引用 以下同じ

02解技-1

(2) 2014 年 2 月 14 日の事例

発達した低気圧(図4)により関東甲信地方では大雪暴風

雪になり最深積雪が甲府で114cmを記録するなど観測史上1位となる積雪と

なった地点が相

次いだ東京でも

27cmの積雪とな

ったが試験観測

が始まっていた

北の丸公園観測

点では39cmもの

最深積雪が記録

(出典東京管区

気象台ホームペ

ージ)された 図4 ASAS 2014年2月14日21時JST

この 1412Z(2 月 14 日 21 時 JST)についての予想につ

いて FT=120 から追ってみたまず850hPa 気温は東京付

近で 0ぐらいだったが南岸低気圧予想だったFT=120 で

は 950hPa は 5前後だった気温が FT=96 になってまた大

きく下方修正され0前後となり(図 5)FT=48 では

950hPa が-1前後に下方修正された

図5 14日21時JSTの950hPa気温予想変化 FT=120とFT=96

この雪は 1000hPa 予想が 0前後なので水分が多くなり

そうだ降水量が関東南部に 12 時間降水量の 50mm 線がか

かりこの時期としては非常に多くもし雪として降り続い

たらすごいことになると思ったが低気圧の接近で夜半前後

から雨に変わる可能性が高いと判断し積雪は 10cm 程度か

と最終的に予想したところが低気圧への寒気の引き込み

が激しく雪は南部で未明まで内陸では朝まで降り続き

多摩西部でも積雪が 1m 前後にも達した場所があった(中山

2014図 6 参照)

図6 2014年2月14~15日の積雪情報(中山 2014)

(3) 2016 年 11 月 28 日の事例

東京では11月としては54年ぶりの初雪積雪は史上初とし

て話題となったがこの雪も上記条件が整っていたこの11月東日本ではほ

ぼ平年並みの気温

だったが北日本

の月平均気温平年

差は-21とか

なり低く(統計開

始1946年以降低

い方から第3位)

乾燥した冷たい空

気が関東地方に南

下し影響したと考

えられる(図7) 図7 ASAS 2016年11月24日09時JST これには 950hPa1000hPa の気温が T=84 においてどち

らとも 0以下と異例の予想となり推移を見守ったがT=36でさらに下方修正があった(図 8)

図8 24日 09時 JSTの 1000hPa気温予想変化 FT=84と FT=36

引用元ウェザーニューズ社提供

24 日は関東一円で雪が降った0以下と異例の予想とな

り推移を見守ったがT=36 で気温予想がさらに下方修正と

なった

4 南岸低気圧による雪予想に関する 23の問題点

上記のような条件で当地方が降雪となるものと考えられ

るが雪となる場合気温についての予想が下方修正されて

いく場合が多い(特に T=120~96 前後)ただMSM との

一致が見られない場合雪予想が外れることがよくあるので

注意したい

関東地方の降雪メカニズムとして「内陸に滞留した乾燥寒

気塊が上空からの降水によって加湿されこの気塊が蒸発の

潜熱吸収によって急冷却されて気団変質したこと」(冨山

2001)により雪が降ることが知られている今回の予想

もこのことが基本となっているしかし総観場として日

本海~三陸沖が高圧部となることは必須であると私は考え

ている日本海に前線をともなった低気圧があると雨になる

ことは暖気が日本海まで北上していることで説明はつくが

日本海が高気圧であっても三陸沖に低気圧があるときは雪

にならない場合が多いこのことは気団変質とは別のことと

考えるその意味で日本海~三陸沖の高圧部がもたらす意

味は何か(いわゆる北東気流の影響)さらに研究したい

図スグダス2(ウェザーニューズ社)を引用

02解技-1

- 1 -

投票率に対する天気の影響志摩恭臣(四国支部(徳島))

第1 はじめに

人の日常の行動として天気の良い日は出かける人が多く天気が悪い日は出かけるのを控え

る人が多くなるという経験則がある

選挙における投票日の有権者の投票行動についても天気が良ければより多くの有権者が投票

に行き天気が悪ければ投票所へ足を運ぶ有権者が減ると思われるがまれに報道記事で簡単な

ものを目にすることはあってもこのことについて深く検討した論考はあまり見当たらない

この問題への関心は以前からありいつかこの問題に焦点を当てて検討したいと思っていた

ので今回不完全ながら少しまとめてみた

第2 この問題の難しさ

投票率と天気の関係を検討するにあたっては幾つか難しい問題を孕んでいるその幾つかを

先ず指摘してみる

1 天気が投票率に与える影響の度合は他の要因に比べて大きくはない

図は戦後の衆議院総選挙の投票率の推移

であるがこの上下は天気により定まってい

るのではなく国政における争点の有無大

小や国民の選挙に対する関心の大小など

無論政治本体の事情に主として左右されて

いることは明らかである

したがって天気が投票率に与える影響を

検討するに際してはその影響の寄与は比較

的小さいであろうことを念頭に置かなけれ

ばならない

2 期日前投票制度の存在

平成15年12月1日から期日前投票制度が創設され投票日より前に投票を済ませる有権

者が増加している平成28年7月10日執行の参議院選挙では期日前投票をした人は15

98万人であり全有権者(1億0620万人)の15全投票者(5809万人)の27

5を占めるようになった

したがって投票者の14程度は投票日に投票していない以上投票日の天気には何ら

左右されていないこととなる

3 気象のどの要素が有権者の投票行動に影響するのか

よく言われるのは天気が悪ければ投票率が落ちるというものであるこの言葉をそのま

まの意味に捉えれば天気が悪い日(降水日)と無降水日との間で投票率に有意の差が出ると

いうことになる

しかし一方で他の気象要素も影響する可能性がある①気温(気温の寒暖が人の外出には

影響していると思われる)②積雪(冬季雪寒地域においては晴れていても積雪が残ってい

ればそれが外出判断に影響する可能性がある)③強風④日照などである一方単純に

降水日と言っても「量」(降水量の大小)や「質」(雪か雨かもしくは連続降水が対流性

降水か降水時間の長短など)によりまた事前予報の内容により影響の度合いの大小には

違いがあることが想像できる

4 気象観測の地域代表性の問題

以下の検討においては情報量の充実の面から各都道府県の気象代表値として各地方気象

台(等)の値を用いざるを得なかったしかしある都道府県の地域内全てが同じ気象状態で

あったわけではないものを1地点の観測値で代表させることにやや難があることは論をまた

ない

第3 対象となる選挙

今回検討の対象としたのは次の直近5回の衆議院議員総選挙である

第47回衆議院議員総選挙 平成26年12月14日執行(全国投票率5266)

第46回衆議院議員総選挙 平成24年12月16日執行(全国投票率5932)

第45回衆議院議員総選挙 平成21年08月30日執行(全国投票率6928)

第44回衆議院議員総選挙 平成17年09月11日執行(全国投票率6751)

第43回衆議院議員総選挙 平成15年11月09日執行(全国投票率5986)

第4 検討の手法

投票率に対する天気の影響を見いだすにあたって何を比較対象にするべきか非常に難しい

02事例-1

- 2 -

今回過去5回の都道府県別の投票率を平均しその都道府県別平均投票率を各都道府県の「基

礎投票率」と考え各回の選挙における投票率との差を議論の対象とすることとした

天気については投票日における各都道府県に存する管区気象台地方気象台(北海道は札幌

管区沖縄は那覇気象台で代表させる)の天気概況(6h~18h)を基礎に降水量を加味

して次のように7種類に区分しそれを投票日の当該都道府県の天気とした

晴 天気概況に雨などの降水を表す表記がなく晴時々曇など概ね晴のもの

曇 天気概況が雨などの降水を表す表記がなく曇時々晴など概ね曇のもの

雨 天気概況中に降水を表す表記があり日降水量が10mm以上のもの

小雨 天気概況中に降水を表す表記があり日降水量が10mm未満のもの

大雨 天気概況中に「大雨」の表記があるもの

雪 天気概況中に雪又はみぞれがあり日降水量が10mm以上のもの

小雪 天気概況中に雪又はみぞれがあり日降水量が10mm未満のもの

第5 検討結果

次の表は各衆議院総選挙について天気別に各都道府県の投票率と当該都道府県の「基礎投

票率」の差を単純平均した結果を表すものである(括弧内は都道府県数)

雪 小雪 大雨 雨 小雨 曇 晴

47回 - 1 2 0 6 ( 1 1 ) - 9 5 4 ( 8 ) - - - 1 0 9 8 ( 3 ) - - 9 1 9 ( 2 5 )

46回 - 5 8 2 ( 1 ) - - - 4 0 6 ( 5 ) - 4 2 6 ( 5 ) - 3 0 5 ( 1 0 ) - 2 6 3 ( 2 6 )

45回 - - - 7 2 7 ( 1 1 ) 7 9 2 ( 2 ) 8 2 9 ( 2 1 ) 8 7 5 ( 1 3 )

44回 - - 7 3 6 ( 2 ) 5 7 4 ( 1 9 ) 6 2 9 ( 9 ) 6 0 4 ( 1 4 ) 5 9 3 ( 3 )

43回 - - 1 5 8 ( 1 ) - - 1 3 9 ( 2 9 ) - 0 3 2 ( 1 6 ) - 1 6 3 ( 1 ) -

各回別に総観場の概説と天気別の投票率の差について少し解説する

第47回(平成26年12月14日)

西高東低の冬型で寒気の流入が強く日本海側では雪で大雪のところも

天気別の投票率は晴と雨(小雨)との間に約2の差があるまた雪との間には3程

度の差がある

第46回(平成24年12月16日)

北日本は冬型だが西から緩み気圧の谷が近づく

天気別の投票率は晴に対し小雨雨雪は2~3程度の差があるまた晴と曇との間

にも04~05程度の差がある

第45回(平成21年8月30日)

台風11号が30~31日にかけて房総沖を進む関東地方を中心に荒れた天気

天気別の投票率は晴に対し雨が15程度低いなお台風進路に近い東京都は基礎投

票率との差が500千葉県が567と3近い差があった

第44回(平成17年9月11日)

北陸に前線が停滞し北日本を除き曇や雨の天気

天気別の投票率はやや逆転気味であり「晴」に対し「雨」のみは02程度低いもの

の「小雨」は03程度「大雨」(富山県長野県)に至っては14程度それぞ

れ高かった

(この逆転現象の解釈は難しいが「晴」が3都道府県と少数であったこと上記の表が都

道府県の単純加算平均を用いているところ例えば「雨」に分類されている東京都は422

であり人口を加味した加重平均を用いれば逆転は解消されるかもしれないことそもそも

都道府県別の政局の事情の寄与が大きすぎたことなどが原因として考えられる)

第43回(平成15年11月9日)

前線が日本海から本州の南に南下し全国的に雨模様

天気別の投票率は降水なしに分類された都道府県が1つのみ(佐賀県)なので降水の有

無での議論がしづらい「小雨」に対して「雨」が1程度低くなっていることは明瞭である

第6 まとめと今後

各回ごとに特性の差が大きくまだまだ定量的な議論ができる状況にはないが大雑把に言っ

て降水のない日に対し降水のある日は2程度投票率が落ちる効果があると言えると思わ

れる

しかも降水のある日もその現象がシビアであればあるほど投票率の減少効果が大きいこ

とも分かる(雪や台風接近時であれば3程度の減少)

今後は検討する選挙を増やしこまめな検討と他の気象要素への拡張が望まれるところであ

るが研究成果発表会の席上での議論をお願いしたい

02事例-1

身体の外の気象防災と身体の中の気象防災

全ての病は「気象病」 中國古典醫學理論=気象学天文学物理学

東京支部 小室善隆

1はじめに(研究の動機)

研究のテーマを決定するのに当たりかなり悩みまし

た何故ならこの発表会の募集要項を見ますと「対象

となる研究」は01から08までと決められています

従って私の発表は06にいやその他の08にしよう

かかなり悩みましたどちらにしてもしっくり来ない

のですが中國古典醫學を患者さんなどに説明する時

に「身体の外の異常気象が災害で身体の中の異常気象

が病気だよ」と話をしておりましたそうそこで「身

体の中の気象防災」としました

もう一つは私にとってこれは研究だけではなく余

りにあまりに大きな驚きだったのです中國古典醫學

理論の講義が始まりその内容を聴き始めると何と「あ

んなに苦しんで取得した気象学を再び学び始めるのか」

と思う程全く同じ内容だったのです

それも気象予報士試験問題で言えば「予報業務におけ

る一般知識(法律を除く)」と全く同じなのです逆を言

えば全ての気象予報士は既に中國古典醫學理論その物

を学んでしまっているのですそれも膝上位までサブ

タイトルはこれが理由です

また研究発表に当たりこの会場には気象庁気象

予報士気象学会以外の方がいらっしゃいましたら席を

お外し下さいと建前なのですがこのテーマですと

日本の医師法に違反する事になりかねません何故なら

「治る」と言う言葉が国家試験に合格した医師にしか許

されていないだけでなく不特定多数の一般人に対して

医師ではない者は流布出来ないのです

この様な法律が存在するのは先進国に於いては日本

だけで後は一部のイスラム国家だけです国によって

は西洋医学と東洋医学(中國古典醫學)が対等に窓口を

開いていますもしいらっしゃいましたら気象予報士

の資格を得る為の勉強でとでもして下さい

さて「東洋医学」と表現致しましたが厳密に言うと

「中國古典醫學」ですこの後もし東洋医学と言って

しまった場合には断りが無い限り「中國古典醫學」と読

み替えて下さい

他に昨年のこの発表会において東北支部の岡田みは

るさんが「気象病」について発表されましたそれを聴

いて西洋医学と異なり中國古典醫學理論においては

全ての病を気象病だと考えておりますさらに感染症ま

でをも「温病学」として気象病の一つと考えています

また準備を行う段階で検索を繰り返し鍼灸士で気

象予報士の方も居られる事が分かりましたその方の出

版物の目録を見ただけなのですが過去の理論を並べ直

しただけで何ともしっくり来ませんでした決して誤り

ではないのですが折角気象予報士の資格を取得された

のならば小難しい中國古典理論の用語を今の気象用語で

説明されたらと思います

2中國古典醫學理論

ここから中國古典醫學理論の講義を始めます中國古

典醫學理論の最初の記述は地面に棒を垂直に立てて

その影の長さを測り最も短くなった日を夏至に最も

長くなった日を冬至としますとすると1年は365

日と4分の1日4年で1日分になります1年の36

5日を半分にすると春分の日と秋分の日が決まります

さらにその半分を決めると4立立春立夏立秋立

冬が決まり春夏秋冬が決まりますでも春夏秋冬の

季節の境目に何があるでしょう雨季がありますその

為に4立の前に土用として18日間を決めます従って

1年間の季節が「春夏梅雨(長夏土用)秋冬」

になります

ここで独特と思われている「陰陽」の講義を行います

その陰としての象徴が月であり陽の象徴が太陽になり

ますさらに人間の背中側が陽お腹側が陰身体の

外が陽身体の内側が陰五臓六腑の五臓が陰六腑が

陽男が陽で性器も陽女が陰で性器も陰生まれて来

る赤ちゃんが陰で産む母親は陽さらに太平洋陽気圧に

移動性陽気圧温帯陰気圧に寒冷陰気圧街中の陽イ

オンに森の中の陰イオン春が陽で秋が陰この様に陰

03教育-1

陽は決して象徴では無く常用し常に相対的なのです

決して中国思想の事だけではないのです

中國古典醫學理論に「陰陽五行(月日水火木金土)」

と言う言葉があります「五臓六腑」をこの陰陽五行に割

り当てます春の木に陰の肝臓と陽の胆嚢を夏の火に

陰の心臓と陽の小腸を雨季(梅雨長夏)土用に陰の

脾臓と陽の胃を秋の金に陰の肺臓と陽の大腸をそし

て冬の水に陰の腎臓と陽の膀胱を割り当てます何故は

時間の関係上省略しますこれらを図の上に置きますと

上に腎臓右に心臓下に心臓左に肺臓そして真ん

中に脾臓を置きます何とこの配置は仏教曼荼羅図の金

剛界の配置と同じになりますまた地球の北半球に於い

ては何処へ行っても同じになります

3病気(症状)と気象注意報警報との関係

私が10代後半から20代後半にかけて4回の親族

の葬式を行なった記憶がありますそこで坊主様が言わ

れたお説教が忘れられないのですそれは「本来人間に

病は無い」と言われた事です直ちに腹の中で「嘘だ

皆病気で死んでいるそれも治せないで」ここに来られ

ている聴衆の皆さんが不特定多数の場合は私のこの発言

が医師法違反になってしまう可能性があります

横道に反れましたが元に戻って世界最古の中國古典

醫學理論は世界最新の気象学とこの様に寸分たがわず同

じだったのです違うと言えばせいぜい身体の内と外

位の違いしか思い当たりませんいやもう1つありま

した先に触れた太陽高度の計測方法です

気象予報士が毎日繰り返し発表している気象予報は

何を出しているのかです表現は中國古典醫學理論の

都合の良い様に順番は変えますが「明日の風はどんな

暑い雨晴それとも寒い」ですいや波浪があると

言われるのであればそれは風が原因でしょうこれらを

内臓に割り当ててしまったのが「中國古典醫學理論」だ

ったのですそしてその動作作用効果結果を陰

陽五行で考えるとどれを取っても説明に都合が良いので

そして極一部ですが西洋医学において中國古典醫學

理論が結果として証明されています余計な事ですが

それでも中國古典醫學を否定されるのであれば漢方薬な

んて使わないで欲しいです生薬の無駄遣いです

自然界に対して発表される気象防災の注意報警報の

1つに大雨洪水注意報警報がありますこれらも人

間の身体の中において存在します注意報は「肺気腫」

であり警報は「肺水腫」になります肺に病気を発症

させていますが悪いのは大雨と低温なのです他にも

大雨低温強風注意報はリューマチ大雨高温強風注意報

はアトピーと言う具合に消防庁の管轄にはなりますが

火災警報もありますこの場合には心臓や脳の病気にな

ります注意報警報の中には自然界には存在せず人間

の身体の中にだけある気象災害もあります低温大雨火

災警報です

まさに全てが気象病そのもので身体の中の注意報警

報は何と病気(症状)の治療方法を示しているのです

先の低温大雨火災警報は各種の癌ですさらに癌の治療

方法は遥か2世紀には開発されておりましたしかも薬

までありますが残念ながら大方の西洋医学の先生方

は当然の事中國古典醫學理論を知らない筈つまり

気象学を知らないからです従って西洋医学の先生方

に取り扱える代物ではありませんですが気象予報士

で西洋医学の諸先生方は中國古典醫學理論の基礎を学ん

でしまったのであり中國古典醫學理論を否定する事は

出来ないはずですぜひ一歩進めて下さい

気象学中國古典醫學のそれぞれの文献は多数ありま

すが気象学と中國古典醫學を直接結びつける参考文献

は現在の所は殆ど或いは全くありません

ここへ出る勇気を頂いたのは1年余り前に亡くなら

れた元千葉支部長根本由紀子さんにお会いしたお陰

ですご冥福をお祈りします

03教育-1

揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察

日本気象予報士会 上田博康

1 研究の動機

兵庫県朝来市に位置する国史跡竹田城跡は標

高 354mの山頂に南北 400m東西 100mに及ぶ全

国屈指の石垣遺構であるとともに麓の円山川に

秋から冬にかけて発生する雲海に浮かぶ姿が「天

空に浮かぶ城」と称され近年観光地として注目さ

れていますただしこの雲海が見られるのは夜

間の放射冷却次第であるといわれており旅行計

画を組むうえでリスクが高いといえます

今回は竹田城跡の南側にある揚水発電所であ

る奥多々良木(おくたたらぎ)発電所および大河内

(おおかわち)発電所が日および週サイクルで稼

働することから雲海が発生しやすいあるいは発

生しにくい曜日があるのかどうか考察を試みた

ものです

図1兵庫県図における竹田城跡発電所の位置

図2アメダスダム竹田城跡の位置と標高

2 研究方法

揚水発電所が発電を行うと上部ダムの水位が

低下し下部ダムの水位が上昇しますがこのこと

は地表面近くに低気圧と高気圧が発生することを

意味します逆に電気を使って揚水を行うと上

部ダムで高気圧と下部ダムで低気圧が発生すると

考えられます発電所の運転は電力需要バランス

が最も厳しいあるいは余裕のある時間帯に集中し

ますから特定の曜日時間帯にのみ強まる風が観

測されれば発電所の稼働に伴う気圧傾度風との

関連が考えられます

そこで2007年1月から 2016 年 11月までのア

メダス和田山とアメダス生野の風向風速の1時

間値から風速の東西成分南北成分を算出し曜

日時間ごとに平均値を取り同時間平均値が曜日

によって差がないか確認を行い特に深夜早朝の

特異な風が雲海に与える影響を考察します

02統解-1

3 研究成果の概要

アメダス2地点の風速を 24 時間times7 曜日に分け

て平均を取り「全曜日平均と比べて合成風速が

01ms 以上ずれた状態が3時間以上続く」特異な

条件の曜日時間帯は次のとおりでした

【アメダス和田山】

月曜日 1-3UTC(月曜日 10~12時)

月曜日 5-8UTC(月曜日 14~17時)

土曜日 23UTC-日曜日 1UTC(日曜日 8~10時)

図3アメダス和田山の時間帯別平均風向風速

【アメダス生野】

水曜日 2-4UTC(水曜日 11~13時)

日曜日 16-23UTC(月曜日 2~7時)

図4アメダス生野の時間帯別平均風向風速

これらのうち雲海の形成消滅に関連するもの

は最後の「アメダス生野の日曜日 16-23UTC に強

まる風」だけですがその成分は風速 010~

013msの南西~西南西風と推測されます

なおこの日曜日 16-23UTC の和田山の全曜日

平均と比べて強まる成分は風速 003~011ms の

南南東~南西風と推測され生野での日曜日の特

異風とのシアを考慮しますとアメダス生野を抜

けた風の一部はアメダス和田山に至らずに中間で

とどまっていると考えることができます

なお雲海が発生しやすい時期に限ってみれば

この時間帯の生野の平均気温の差は次のとおりで

す生野と和田山の標高差が 240mなので標準大

気の気温減率 65Kkm相当の気温差が 015程度

であることを考えると平均的には寒気移流が生

じていると考えることができます(縦月横

UTC 時網掛けは平均気温差>015の時間帯)

16 17 18 19 20 21 22 23

9 -04 -05 -04 -05 -04 -05 -05 -05

10 -03 -02 -03 -03 -03 -04 -03 +01

11 00 -06 -04 -04 -03 -02 -02 -02

12 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -09

図5両地点の時間帯月別気温差(日曜日)

【結論】

月曜日の早朝に強まるのみ南西風の成分が生野

で観測されており寒気移流が強まることで竹田

城跡付近で雲海が発生しやすくなると思われます

4 今後の課題

今回の考察はアメダス観測値から平均的な傾

向を調べるにとどまっていますきめ細かい観測

を行い雲海の発生解消メカニズムを把握するこ

とが必要と考えています

また実際の発電所の稼働状況の変化を踏まえ

今後もこのような気圧傾度風が確実に発生すると

いえるのか見極めが必要と考えます

【参考にした資料】

関西電力株式会社和田山町観光協会の各 WEB サ

イト国土地理院の地形図SUGDASS2データ

02統解-1

直近 28 年間の日本の地表から高層の気温変動傾向

内山 常雄(神奈川支部)

1 はじめに

著者はこれまで日本の年平均気温の変動を調べて

きたがそれらの発表に対して①気温の測定機材や

測定頻度が変更されてきた②すでに地表から高層の

再解析データがあり限られた地点の地表の気温を

解析する意味はないといった指摘を受けた

第 46 回メソ気象研究会のテーマは「擬似温暖化実

験のメソ気象研究に対する可能性」であったがそこ

では「対流圏の気温は高層ほど上昇し成層圏は寒冷

化する」が前提とされていた

容易に入手できる高層の気温データからそのよう

な結論が得られるか調べ地上の気温変動予測への

利用可能性を探ることが本研究の目的である

2 気象庁の高層気象観測の変遷

気象庁の高層気象観測の変遷については詳しい解

説がある1)2)それによると観測機種の交換が何

度かあり同一時期でも観測点によって異なる機種

が使用されていることもある気温の測定はバイメ

タル式サーミスタ温度計静電容量ワイヤ温度計と

変遷した日射補正の方法の改良や吊紐の長さの7

m15m30mへの変更もあった高層気象観測

はそもそも高度方向の変化を調べるための測定で

時系列的にデータを見る目的で使われるようになっ

たのは気候変動が問題になった近年からだという

現在気象庁のホームページで閲覧できる高層気象

観測データは 1988 年以降でありその間 RS2-80 型

サーミスタ温度計から RS2-19型サーミスタ温度計を

経て RS92-SGP型静電容量式ワイヤ温度計へと測定機

器は変遷しているその変遷期日は観測点ごとに異

なる

RS2-80 型以前の測定値は00UTC と 12UTCの測定

値の差が高度が高くなるにつれて拡大するなど日

射補正に問題があるというが1988 年以降のデータ

ではこの点の問題は発生しない

3稚内 9 時の月平均気温の推移

気象庁の地上の気温観測点は 900 か所ほどあり

10 分ごとの気温データが得られるが気温変動予測

の解析には 15地点の日平均気温や月平均気温などを

解析してきた高層の気温のデータは国内で 20 観測

点のデータがあり1988 年以降の 9 時と 21 時の高

度方向の測定値が気象庁のホームページで閲覧でき

るただこのデータの処理は難しいので指定高度

面の月平均値を解析した指定高度面は 1000hPa か

ら 5hPa まで 25 面あるが925hPa10 及び5hPa 面

のデータには欠測があるここでは 1000hPa から

20hPa までを解析対象としたデータはマイクロソフ

トエクセルを用いて解析した最初に稚内について

調べた

図1 稚内 9 時 2 月の平均気温の推移

図 1 に稚内の 9 時の 2 月の平均気温の 1988 年から

2016 年の地上から 20hPa までの推移を図 2 に同じ

く 8 月の推移を示した

図2 稚内 9時 8月の平均気温の推移

一番上の線が地上で下に向かって高層のデータで

下の方で線が密集しているところは成層圏である

02統解-2

対流圏では地上と高層の変動に類似性がある

8 月は 2 月と比較して地上の気温が 20上昇し

成層圏との圏界面の気温が 10下がりグラフの上

下の幅が約 30拡大している8 月の地上と高層の

変動の相関は 2 月より低いように見える

地上と高層の気温の相関係数を計算すると10 月

から 4 月までの(寒候期)は相関係数 07 以上の高

度が 600hPa まであるが5 月から 9 月の(暖候期)

は 800hPa までであった(定義と異なりかっこ付)

4稚内 9 時と 21 時の月平均気温の差

9 時の気温の測定値は日射の影響を受け21 時は

その影響がないので測定値の信頼性が高いという2)

公開されているデータは日射補正後のものとされる

が稚内の 9 時と 21 時のデータを比較しそれらの差

を調べた1981 年以降この差は小さいとのことだ

が年間平均では地上は 9 時の方が約 05高く

900hPa 前後は 21 時の方が約 05高く高層に向け

てその差を縮めながらも 21 時の方が高い30hPa か

ら上では再び 9 時の方が高くなる

51988 年から 2016 年の間の変化傾向

稚内について対流圏は高層ほど気温が上昇し成層

図3 稚内 9時 200hPa8月の月平均気温の推移

圏は気温が低下するという傾向が表れているかを各

図4 稚内 9時の各月各高度の気温変化傾向

指定高度面で調べた 9 時 200hPa の 8 月の例を 図

3に示す各月各高度面の結果を 9 時について図

4に21 時の結果を図5に示す夏場は前述の傾向

が表れているが冬場はその傾向がつかみにくい

図5 稚内 21時の各月各高度の気温変化傾向

6その他の観測点の月平均気温の推移

その他の観測地点の例として南鳥島の 9 時の各

月の気温変化傾向を図6に示す

図6 南鳥島 9時の各月各高度の気温変化傾向

南鳥島では成層圏の低温化傾向がいずれの月で

も認められる

7今後の研究方針

国内の 20 高層観測点すべてについて解析し地域

別の傾向をとらえ地上気温変動推定への利用法を

考える

5参考文献

1)阿部豊雄2015気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 1部 高層気象観測の変遷

天気62161-185

2)阿部豊雄2016気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 2部 観測値の特性天気

63267-295

02統解-2

神奈川支部田園調布学園中等部高等部 2 千葉支部 3 北関東支部 4 東京支部 5 神奈川支部

生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)

荒川 知子関 隆則2池上 榮3大野 昭彦4遠藤 君江5

1はじめに

筆者は勤務校である田園調布学園の土曜プログ

ラムにおいて「やってみよう天気予報」と題した気

象の講座を2004 年より主催してきた(荒川 2010)

その中で生徒の主体的活動を重視することが気

象特に気象防災における生徒の意識を向上させる

ことができることを提示した(荒川 20152016)

これまでに日本気象予報士会会員の協力を得

て新たな 3 つの講座を開発し一定の成果が得ら

れた3 件のうちクロスロードによる防災意識の

向上については2016 年度日本気象学会秋季大会に

おいて発表済みであり今回はそれ以外の 2 件につ

いて報告する

2 実施内容

2-1 高層天気図予想図を使った天気予報

1) 概要

1 コマ 65 分の講座を 2 週にわたり連続で実施し

受講者は中 1 から高 1 までの 30 名であり8 班編制

とした

1 週目は天気予報のしくみについて簡単に講義

し当日朝の天気図予想図を使用して図の貼り

合わせや着色の方法について練習を行った

2 週目は当日朝の天気図予想図を配布して

前週と同様の作業をし翌日の予報を作成して発表

させた

2) 方法

①SUGDaSS より当日朝の FAFE502FXFE504

FXFE5782FXFE584 を入手し時系列高度の

順に 貼り合わせる

②日本列島の位置を着色し確認する

③500hPa-9-12等温線を赤で着色する

④700hPa 湿域を着色する

⑤予報したい地域の 850hPa を通る等温線を赤で

着色する

⑥地上で降水が予想される地域を着色する(図

1)

⑦予報したい地域の 500hPa 気温700hPa の湿り

具合850hPa 気温をワークシートに書き入れ

⑧850hPa 気温に 9 を加え地上気温を予想する

⑨500hPa 気温と地上気温の差をワークシートに

記入する

⑩ワークシートに予想を記入する

図 1 天気図に着色しながら予報を考える

3) 注意点

次のような点に着目して生徒に予報文を作成さ

せた

①500hPa と地上の気温差が 30以上であれば不

安定と考える

②700hPa が湿っていても地上に降水が予想され

ていなければ曇り700hPaが湿っており地上に

も降水が予想されていれば雨と予想する

③予報を作成したら予報に合わせ生活上の注

意点を予報文に盛り込む

2-2 お天気紙芝居の作成

1) 概要

65 分の講座 1 コマで実施した

受講者は中 1 から高 2 までの 20 名であった

ストーリー作成のため本校の生徒が作成したキ

ャラクターである「なでりん」を主役とし「なで

りんの 1年間」というタイトルで小学校低学年の児

童に説明することを目標とした

2) 方法

①受講者を 4 名ずつ 5 グループに分け更にその

中で 2 名ずつのペアを作らせた

②季節を春梅雨夏秋冬の 5 つに分け各

グループが 1 つの季節を担当した

③各季節の天気の特徴と防災事項をそれぞれの

ペアが担当しそれぞれ相談しながら紙芝居の

絵と説明を作成した

④1 年分の紙芝居を集め講師がコメントを入れ

発表した

3) 注意点

天気の特徴を担当するペアには典型的な 10 種

類の天気図を印刷して配布し絵の中に天気図を組

み入れさせた配布した天気図には日付を入れず

04授業-12

その季節の天気図として妥当なものを生徒自身に

判断させた

3教育効果

どちらの講座においても生徒が積極的に取り組

む姿勢が認められた

天気予報においては生徒は高層天気図にふれる

のが初めてであり大気の立体構造を理解した上で

予報に取り組んではいないしかし単に低気圧の

移動から雨域の移動を類推するのとは異なり予報

時刻の予想図から必要事項を読み取り予報を作成

することでより実感を持って予報に取り組めた様

子が伺えた今回は翌日の東京における予報を作

成した班がほとんどであったが「雨」という班と

「曇り」という班があったこれは地上予想図に

おける雨域の端が東京付近を通っていたことで雨

と判断した班と曇と判断した班とに分かれたもの

である根拠も含めて説明させたので生徒が確か

な裏付けを持って予報しようとする姿勢を持てた

ことそれを生徒自身の言葉で表現できたことが成

果である

通常の授業では与えられた問いに対し想定で

きる答が用意されていることが多く生徒は常に

「正解を知る」ことを求めがちであるしかしこ

れからの社会においては正解の無い問いに取り組

む姿勢が重要である天気予報はまさに「正解の分

からない問い」であり結果は翌日以降の予報時刻

になって初めて確かめられる予報士が実際に取り

組む方法を体験することで答が見えない問いに対

しても答を準備しなくてはならないことの難しさ

を生徒が体感することができた

紙芝居の作成においては生徒が自分たちの言葉

で季節や防災を表現するoutput による理解の深化

と興味の喚起が主な目的であったOutput のために

は生徒自身がその内容を理解しさらに人に伝え

るための工夫が必要である対象を小学校低学年程

度としたことで生徒が伝えるポイントを絞り簡

潔な言葉で伝えることを意識できた生徒は予想以

上に積極的に取り組んでいた

新しい指導要領においては答の無い問いを解決

し人との交わりの中でそれを活かそうとする力-

21 世紀型スキル-の育成が課題となっているこの

講座はまさに 21 世紀型スキルの育成を目指すも

のである

4今後の展開

4-1 高層天気図予想図を使った天気予報

予報時刻予報地点を生徒に選ばせたため「翌

日の東京」の天気を予想した生徒が大半を占め他

の地点を選んだのは高校生 2 名のみであった予報

時刻や予報地点をグループごとに指定することで

生徒が地域的な広がりや時間変化を感じより実感

を持って予報に臨めるものと思われる

またこの講座では実施時期により天気図を見

るポイントが異なってくる夏であれば上空の気温

に着目して不安定を検出する低気圧の通過時であ

ればその予測をするなどのテーマが考えられる

当日の状況により着目点が異なってくることから

ワークシートを直前に作成する必要がある既成の

ワークシートをそのまま利用できず着目点をその

都度確認することは気象予報士としての技術研

鑽にも繋がることとなる

4-2 お天気紙芝居

「なでりんの一年間」として一年間の季節の流

れとそれぞれの季節ごとの防災事項を生徒に考え

させた

季節ごとの防災事項を認識することは大切であ

るが台風大雪など防災事項を具体化するには

テーマが大きかったともいえる今後「防災」に

焦点を当て大雨大雪台風等テーマを決めた

上で各グループが防災事項を検討しそれを紙芝

居の形で表現することでさらに「防災に役立つ」

という意識を生徒に喚起することが可能である

なお今回は時間の関係で最後の発表は講師が

行ったが2 コマの連続講座として展開し生徒自

身に発表させればさらに生徒が主体的に取り組め

るものと考えられる

4-3 講座の構築

いわゆる出前講座のお天気教室においては講師

側と受講者側が初対面であることも多いそのた

め講師側が受講者の基礎知識や講座に対する参加

意識を把握できずに講座を進めなくてはならず生

徒を主体的に行動させることが難しい場合もある

開発した 2 つの講座は年齢や生徒の基礎知識によ

らず受講者が主体的に行動することで達成感を得

られるものである

今後中高生に限らず成人向けにもこのような

手法を用いた講座を実践することで気象に対する

興味や知識がより深まるものと考えられる

5まとめ

中高生に対し気象予報士の業務を疑似体験させ

て高層天気図を用いた予報を行わせたり防災を

伝える工夫をさせたりすることで気象や防災に対

する生徒の意識が向上することが分かった

参考文献

荒川知子(2010)奨励賞を受賞して天気 35-37

荒川知子(2015)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上日本気象学会秋季大会予

稿集

荒川知子(2016)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上(2)日本気象学会秋季大会

予稿集

04授業-12

大気圧に対する見方を変える -『空気分子(N2や O2など)の運動』の視点で-

槇 野 泰 夫(東海支部)

1 はじめに

「地表付近の物体は空気

の重さによる圧力を受けて

いる圧力はあらゆる面に

対して垂直である」と「大

気の柱の図解」(写真1)と

ともに大気圧について中学

で学習している

「室内では空気の柱が

天井や机の下までしかない 写真1 大気の柱の図

これで屋外と同じ気圧確かに1気圧だが」と

腑に落ちないでいた空気分子があらゆる方向に圧力

を与えているという漠然とした考え方や実験結果から

私はなんとなく納得()していた

釈然としない気持ちを解決すべく教材開発の日々に

木村龍治先生のご指導を受ける機会があった『空気分

子の運動』から見た大気圧に対する見方である私の長

年のもやもやはすっきりと解消された

教員養成の大学で教える機会があり理科研究の地

学を担当し『空気分子の運動』を視点にした「大気圧

による現象」の講義をすることにしたここに報告する

2 『空気分子の運動』から見た大気圧の現象

① 大気圧によって力を受ける現象

下敷きの中央部分に摘み

を取り付け机などの滑ら

かな面に置いて摘みを引

き上げようとすると下敷

は取れなくなる(写真2)

ほとんどの大学生はこ 写真2 摘み取れない下敷

の現象が大気圧によるものである

ことに気付かない「下敷きの上に

あるものは下には」などと考

え進めていくと半信半疑ながら

大気圧に気付く身近にある下敷

きで大気圧による現象を実感し

かなりの衝撃を受ける 写真3 壁に張り付く下敷

さらに下敷を壁などの側面に張り付く現象(写真3)

も体験させると衝撃を受け驚く「大気圧」と自

信なくつぶやく大学生がいるが多くは「」

ここで空気中を飛び回る N2や O2などの分子の存

在(図1)に視点をあてる空気分子の量は地表に近い

程多いN2やO2な

どの分子は秒速

450m 近くの速度

で物体の表面に衝

突し瞬間だけの力

を与え分子の集団

効果で圧力となる

この圧力が大気圧 図1 飛び回る空気分子の存在

であるという見方を示す

机の上の下敷き(写真2図1A)が摘み取れない現

象や下敷が壁に張り付く現象(写真3図1B)を学

生は『空気分子の運動』から容易に理解した以下の感

想から読み取れる

<学生の感想>

〇 空中にある物にはいろいろな方向から分子が衝突

するので全方向から圧力がかかっているなるほど

〇 空気の分子が下敷きに一方的に高速でぶつかるこ

とがわかりすごい力で取れないことを肌で感じた

〇 大気圧は上にある空気の押す力によるものだと思

っていたしかし空気分子の運動で考えると室内

でも屋外でも差がないことや横から押す圧力も同じ

ように生じていることが矛盾なく理解できた

〇 空気分子の運動はすごく納得ができより理解が

深まった

<考察>

空気中の下敷きはあらゆる方向から同じ圧力を受

けるので重さ以外の力を感じないしかし下敷きに

空気分子が一方的に衝突するようにすると大気圧を

一方的に受け大きな力を感じさせることができる大

気圧を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は大気圧を動的に見せる

ことができあらゆる方向から大気圧がかかることを

理解させるのに有効な見方となっている

B

A

04教育-5

② 圧力差から生じる力によって起こる現象

箱の周りの空気分

子と同じ密度の空気

分子を閉じ込めた容

器(図2C)がある

この容器内の空気

分子の密度が内と外

で差が生じるように

空気の量を減らすと 図2 空気中の容器

容器(図2D)はどのようになるかを考えさせた

「空気分子の量が減るため内側から押す力が弱まり

周りから力がかか

り凹む」と多くの

学生は予想した

ラップフィルム

で蓋をした容器か

ら逆流防止弁を付

写真4 減圧した図2Dの実験 けて(写真4)のよ

うに空気を減らし圧量差が力を生む現象を示した

次に容器(図2C)を上空(図2E)へ移動すると

どうなるかの問いに「容器は内部から外に力がかかり

膨らむ」と答えていたこの(図2C)から(図2E)

への移動は空気の上昇膨張の現象となり水蒸気の

凝結雲の発生の話につながる重要な過程である

<学生の感想>

〇 あんなにラップが凹み硬くなったことが衝撃的

だった空気分子の動きが見えるようだった

〇 空気が減っていく様子が目の前で分かり空気分

子の圧力の強さをパンパンになるラップで感じた

〇 空気分子の量の違いによって力が生じ凹んだり

膨らんだりすることがわかったわかりやすい

<考察>

硬く凹むラップフィルムパンパンになるラップフ

ィルムなどの記述から『空気分子の運動』という見え

ないものをラップフィルムの様子の変化から捉えてい

る圧力差を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は容器内外の空気分子の

密度(量)の違いを圧力差と関連付け圧力差から生じ

る力を理解させるのに有効な見方となっている

空気の上昇膨張の現象は仕切りのある容器の現象

ではない温度低下との関係も説明しきれていない

③ 気圧差で起こる広範囲の現象

図3 連通管の模式図 写真5 圧力差のある連通管

連通管(図3)の入り口で圧力差を作るとどうなるか

を考えさせた大学生は圧力差を空気分子の量の違い

で捉え水面の変化を容易に考えることができた

(写真5)は圧力差があるときの水面の様子である

海洋など広い範囲では水平方向に気圧差が生じる

ことがある高気圧や低気圧(台風)などの気圧配置が

これにあたる図4を示して高潮の様子を類推させた

図4 海洋など広い範囲での気圧差

<学生の感想>

〇 連通管の実験を踏まえて空気分子の運動で考え

ると自然界で起きている現象(高潮)がわかった

〇 大きなスケールの実験はできないが小さなスケ

ールの実験から空気分子の運動で推測できた

<考察>

連通管の水位は空気分子の量と圧力との関係を明

確に捉えさせることができ圧力差を意識させる有効

な実験である

『空気分子の運動』の見方は水平方向に気圧差があ

る広い範囲の現象を理解させるのに有効な見方とな

っている

3 おわりに

『空気分子の運動』の視点で考えることに対して

147名の大学生の 68が「よくわかる」32が「やや

わかる」(あまりわからないぜんぜんわからないは 0)

と回答している中学で学習した「大気の柱」の見方に

加えて『空気分子の運動』の見方で考えさせることは

大気圧に対する理解を深めさせることになると考える

こうした実践に至るまでのきっかけを与えてくださ

った木村龍治先生のご指導に感謝を申し上げます

C D

E

04教育-5

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 2: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

日時 2017 年 2 月 25 日(土)1000~1700

会場 慶応義塾大学日吉キャンパス来往舎 大会議室 (223-8521 神奈川県横浜市港北区日吉4minus1minus1) コメンテーター

大西晴夫会長(日本気象予報士会)

瀬上哲秀先生(日本気象予報士会)

座長 関 隆則 内山 常雄

プログラム

1000~1010(開会案内コメンテーター紹介 開会挨拶平松信昭副会長) 研究成果発表(午前の部) 1010~1030 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況 藤井聡(静岡県)

1030~1050 投票率に対する天気の影響 志摩恭臣(徳島県)

1050~1110 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災 小室善隆(東京都)

1110~1120 休憩

1120~1140 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察 上田博康(兵庫県)

1140~1200 直近 28 年間の日本の地表から高層の気温変動傾向 内山常雄(神奈川県)

1200~1300 昼休み

研究成果発表(午後の部)

1300~1320 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2) 荒川知子(神奈川県)

1320~1340 大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2 や O2 など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

1340~1400 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分 一広志(愛媛県)

1400~1420 2016 年 4 月 17 日の寒冷前線の特徴 實本正樹(京都府)

1420~1440 高温事例からみた多治見の暑さ 吉田信夫(岐阜県)

1440~1500 休憩

1500~1520 山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

1520~1540 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野哲夫(新潟県)

1540~1600 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ 梶原和利(神奈川県)

1600~1620 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置 関隆則(千葉県)

1620~1630 休憩

1630~ コメンテーター 総評(瀬上先生)

1640~ コメンテーター 総評(大西会長)

1650~ (閉会挨拶岩田修幹事長終了)

≪ 目 次 ≫

102 解技-01 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況 藤井聡(静岡県)

202 事例-01 投票率に対する天気の影響 志摩恭臣(徳島県)

303 教育-01 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災 小室善隆(東京都)

402 統解-01 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察 上田博康(兵庫県)

502 統解-02 直近 28 年間の日本の地表から高層の気温変動傾向 内山常雄(神奈川県)

604 授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2) 荒川知子(神奈川県)

704 教育-05 大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2 や O2 など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

802 統解-03 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分 一広志(愛媛県)

901 事例-23 2016 年 4 月 17 日の寒冷前線の特徴 實本正樹(京都府)

1001 統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ 吉田信夫(岐阜県)

1101 解技-10 山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

1202 WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野哲夫(新潟県)

1304 実験-02 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ 梶原和利(神奈川県)

1404 実験-03 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置 関隆則(千葉県)

付 録 研究成果発表一覧

当研究成果発表会予稿集に掲載された研究発表の文章図表を複製あるいは翻訳して利用する場合は

日本気象予報士会の文書による利用許諾を得た上で出所を明示して利用しなければなりませんただし

著作者自身による利用の場合は利用許諾の申請は不要です本プログラムの記載内容に関する問い合

わせは105-0001 東京都港区虎ノ門 3-3-3 虎ノ門南ビル 3 階 A 本部事務所(jimuyohojp)まで

研究区分凡例

【大区分】 【中区分】

01 気象一般 解技 解析技法

02 気象情報作成活用 統解 統計解析

03 防災気象 事例 事例解析

04 気象知識普及 予測 気象予測

05 古気候古気象 WB 気象ビジネス

06 気象情報ニーズ 実験 気象実験

07 文化と気象 授業 出前授業

08 その他 教育 気象教育

運用 活動要領

スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況

日本気象予報士会 静岡支部 藤井 聡

1はじめに

関東南部に降雪をもたらす気圧配置にはいくつかのパター

ンがあると考えられる(例えば藤井 2010)がその代表的

なものは南岸低気圧による降雪でありたびたび当地方に大

雪をもたらすことがある南岸低気圧による降雪を予想する

ことは雪に弱い首都圏にとって重要な意味を持つそこで

スグダス2((株)ウェザーニューズ提供)にある850hPa~1000hPa予想図から降雪を予想し実況について考察した

2 南岸低気圧による降雪のメカニズム

関東南部の降雪について加藤(2014)によれば高度500m の気温をみると関東地方平野部では南岸低気圧通過前には

0以下に下がりこの下層寒気吹き出しが関東の低温や南岸

低気圧発生に寄与していると考えられているまた冨山

(2001)は降雪時に館野の上空930~970hPa付近に安定層

を確認しているが大雪時にはこの安定層はしばしば逆転層

となり850hPa気温よりも低い場合がある(藤井 2010) この安定層は上空からの降水が内陸に滞留した下層だけ

の乾いた気塊を加湿しこの気塊が蒸発の潜熱吸収によって

急冷却されることを報告している(冨山 2001)さらに降

水粒子の蒸発によって急激に冷却された地域には局地高気圧

が形成され東京の気温降下のおもな部分は北北西からの寒

気移流によることを報告しているがこの移流は上記の局地

高気圧によるものであり降雪時に秩父付近に発生すること

が多くここからの下層寒気吹き出しが北北西の風になって

関東南部に入り当地方では急速に気温が下降するようであ

る(藤井 2010) こうしたメカニズムから降雪を予想するにあたって以下

の条件から予想を考える

(1) 総観場と降水について ① 冬型がくずれ日本海から三陸沖は高圧部となり低

気圧が南岸を発達しながら東北東進し関東地方では

内陸部まで降水となる

② 降水に伴い局地的高気圧が内陸に発生し東京など

関東南部で地上風向がほぼ北北西となる

③ 短期予報ではMSMとの予想一致が見られる

(2) 気温について ① 850hPa気温が0以下である(降雪の目安は-6

とされるが実際にはこれより高くても雪になる例が

多く報告されている)

② 950hPa気温が0以下である(850hPa以下も0以下だが900hPa付近から地上にかけ安定層となる)

③ 950~1000hPaは0前後なら降水が雪となる場合

がけっこう多く雪質を決める

これらを基にして東京における降雪についてスグダス2を

用い関東南部で降雪のあった事例(2014年2月8日同14日2016年11月28日)の予想図と実況を報告する

3 降雪予想と事例

(1) 2014 年 2 月 8 日の事例

南岸低気圧が

発達しながら通過

し(図1)気温が

低く日中は氷点

下となって当地方

では20cmを超え

る大雪となった

東京では27cmの

積雪となった関

東南部では警報が

発表された所も多

かった 図1 ASAS 2014年2月8日09時JST

この 0800Z(2 月 8 日 09 時 JST)についての予想につい

て前述の通り FT=108 から追ってみたまず850hPa 気温

は東京付近で 2ぐらいだが南岸低気圧予想だったECMも南岸低気圧だったが 850hPa 気温は 0前後だった

950hPa は 5前後とても雪になる感じでないところが

気温が FT=84 になって大きく下方修正され850hPa は-

5950hPa は-1となりFT=36 では 950hPa が-5前後にも下方修正された(図 2)

図2 8日09時JSTの950hPa気温予想変化 FT=108とFT=84

また地上予想図で降水と局地的高気圧の発生による関東

南部の北北西の風も確認した1000hPa 気温は東京付近で

-1とサラサラの積もりやすい雪と判断した(図 3)また

MSM でも同様な予想図となり予想の一致が見られた

図3 8日09時JSTについてFT=36における地上予想と

1000hPa気温予想 引用元ウェザーニューズ社提供

図スグダス2(ウェザーニューズ社)を引用 以下同じ

02解技-1

(2) 2014 年 2 月 14 日の事例

発達した低気圧(図4)により関東甲信地方では大雪暴風

雪になり最深積雪が甲府で114cmを記録するなど観測史上1位となる積雪と

なった地点が相

次いだ東京でも

27cmの積雪とな

ったが試験観測

が始まっていた

北の丸公園観測

点では39cmもの

最深積雪が記録

(出典東京管区

気象台ホームペ

ージ)された 図4 ASAS 2014年2月14日21時JST

この 1412Z(2 月 14 日 21 時 JST)についての予想につ

いて FT=120 から追ってみたまず850hPa 気温は東京付

近で 0ぐらいだったが南岸低気圧予想だったFT=120 で

は 950hPa は 5前後だった気温が FT=96 になってまた大

きく下方修正され0前後となり(図 5)FT=48 では

950hPa が-1前後に下方修正された

図5 14日21時JSTの950hPa気温予想変化 FT=120とFT=96

この雪は 1000hPa 予想が 0前後なので水分が多くなり

そうだ降水量が関東南部に 12 時間降水量の 50mm 線がか

かりこの時期としては非常に多くもし雪として降り続い

たらすごいことになると思ったが低気圧の接近で夜半前後

から雨に変わる可能性が高いと判断し積雪は 10cm 程度か

と最終的に予想したところが低気圧への寒気の引き込み

が激しく雪は南部で未明まで内陸では朝まで降り続き

多摩西部でも積雪が 1m 前後にも達した場所があった(中山

2014図 6 参照)

図6 2014年2月14~15日の積雪情報(中山 2014)

(3) 2016 年 11 月 28 日の事例

東京では11月としては54年ぶりの初雪積雪は史上初とし

て話題となったがこの雪も上記条件が整っていたこの11月東日本ではほ

ぼ平年並みの気温

だったが北日本

の月平均気温平年

差は-21とか

なり低く(統計開

始1946年以降低

い方から第3位)

乾燥した冷たい空

気が関東地方に南

下し影響したと考

えられる(図7) 図7 ASAS 2016年11月24日09時JST これには 950hPa1000hPa の気温が T=84 においてどち

らとも 0以下と異例の予想となり推移を見守ったがT=36でさらに下方修正があった(図 8)

図8 24日 09時 JSTの 1000hPa気温予想変化 FT=84と FT=36

引用元ウェザーニューズ社提供

24 日は関東一円で雪が降った0以下と異例の予想とな

り推移を見守ったがT=36 で気温予想がさらに下方修正と

なった

4 南岸低気圧による雪予想に関する 23の問題点

上記のような条件で当地方が降雪となるものと考えられ

るが雪となる場合気温についての予想が下方修正されて

いく場合が多い(特に T=120~96 前後)ただMSM との

一致が見られない場合雪予想が外れることがよくあるので

注意したい

関東地方の降雪メカニズムとして「内陸に滞留した乾燥寒

気塊が上空からの降水によって加湿されこの気塊が蒸発の

潜熱吸収によって急冷却されて気団変質したこと」(冨山

2001)により雪が降ることが知られている今回の予想

もこのことが基本となっているしかし総観場として日

本海~三陸沖が高圧部となることは必須であると私は考え

ている日本海に前線をともなった低気圧があると雨になる

ことは暖気が日本海まで北上していることで説明はつくが

日本海が高気圧であっても三陸沖に低気圧があるときは雪

にならない場合が多いこのことは気団変質とは別のことと

考えるその意味で日本海~三陸沖の高圧部がもたらす意

味は何か(いわゆる北東気流の影響)さらに研究したい

図スグダス2(ウェザーニューズ社)を引用

02解技-1

- 1 -

投票率に対する天気の影響志摩恭臣(四国支部(徳島))

第1 はじめに

人の日常の行動として天気の良い日は出かける人が多く天気が悪い日は出かけるのを控え

る人が多くなるという経験則がある

選挙における投票日の有権者の投票行動についても天気が良ければより多くの有権者が投票

に行き天気が悪ければ投票所へ足を運ぶ有権者が減ると思われるがまれに報道記事で簡単な

ものを目にすることはあってもこのことについて深く検討した論考はあまり見当たらない

この問題への関心は以前からありいつかこの問題に焦点を当てて検討したいと思っていた

ので今回不完全ながら少しまとめてみた

第2 この問題の難しさ

投票率と天気の関係を検討するにあたっては幾つか難しい問題を孕んでいるその幾つかを

先ず指摘してみる

1 天気が投票率に与える影響の度合は他の要因に比べて大きくはない

図は戦後の衆議院総選挙の投票率の推移

であるがこの上下は天気により定まってい

るのではなく国政における争点の有無大

小や国民の選挙に対する関心の大小など

無論政治本体の事情に主として左右されて

いることは明らかである

したがって天気が投票率に与える影響を

検討するに際してはその影響の寄与は比較

的小さいであろうことを念頭に置かなけれ

ばならない

2 期日前投票制度の存在

平成15年12月1日から期日前投票制度が創設され投票日より前に投票を済ませる有権

者が増加している平成28年7月10日執行の参議院選挙では期日前投票をした人は15

98万人であり全有権者(1億0620万人)の15全投票者(5809万人)の27

5を占めるようになった

したがって投票者の14程度は投票日に投票していない以上投票日の天気には何ら

左右されていないこととなる

3 気象のどの要素が有権者の投票行動に影響するのか

よく言われるのは天気が悪ければ投票率が落ちるというものであるこの言葉をそのま

まの意味に捉えれば天気が悪い日(降水日)と無降水日との間で投票率に有意の差が出ると

いうことになる

しかし一方で他の気象要素も影響する可能性がある①気温(気温の寒暖が人の外出には

影響していると思われる)②積雪(冬季雪寒地域においては晴れていても積雪が残ってい

ればそれが外出判断に影響する可能性がある)③強風④日照などである一方単純に

降水日と言っても「量」(降水量の大小)や「質」(雪か雨かもしくは連続降水が対流性

降水か降水時間の長短など)によりまた事前予報の内容により影響の度合いの大小には

違いがあることが想像できる

4 気象観測の地域代表性の問題

以下の検討においては情報量の充実の面から各都道府県の気象代表値として各地方気象

台(等)の値を用いざるを得なかったしかしある都道府県の地域内全てが同じ気象状態で

あったわけではないものを1地点の観測値で代表させることにやや難があることは論をまた

ない

第3 対象となる選挙

今回検討の対象としたのは次の直近5回の衆議院議員総選挙である

第47回衆議院議員総選挙 平成26年12月14日執行(全国投票率5266)

第46回衆議院議員総選挙 平成24年12月16日執行(全国投票率5932)

第45回衆議院議員総選挙 平成21年08月30日執行(全国投票率6928)

第44回衆議院議員総選挙 平成17年09月11日執行(全国投票率6751)

第43回衆議院議員総選挙 平成15年11月09日執行(全国投票率5986)

第4 検討の手法

投票率に対する天気の影響を見いだすにあたって何を比較対象にするべきか非常に難しい

02事例-1

- 2 -

今回過去5回の都道府県別の投票率を平均しその都道府県別平均投票率を各都道府県の「基

礎投票率」と考え各回の選挙における投票率との差を議論の対象とすることとした

天気については投票日における各都道府県に存する管区気象台地方気象台(北海道は札幌

管区沖縄は那覇気象台で代表させる)の天気概況(6h~18h)を基礎に降水量を加味

して次のように7種類に区分しそれを投票日の当該都道府県の天気とした

晴 天気概況に雨などの降水を表す表記がなく晴時々曇など概ね晴のもの

曇 天気概況が雨などの降水を表す表記がなく曇時々晴など概ね曇のもの

雨 天気概況中に降水を表す表記があり日降水量が10mm以上のもの

小雨 天気概況中に降水を表す表記があり日降水量が10mm未満のもの

大雨 天気概況中に「大雨」の表記があるもの

雪 天気概況中に雪又はみぞれがあり日降水量が10mm以上のもの

小雪 天気概況中に雪又はみぞれがあり日降水量が10mm未満のもの

第5 検討結果

次の表は各衆議院総選挙について天気別に各都道府県の投票率と当該都道府県の「基礎投

票率」の差を単純平均した結果を表すものである(括弧内は都道府県数)

雪 小雪 大雨 雨 小雨 曇 晴

47回 - 1 2 0 6 ( 1 1 ) - 9 5 4 ( 8 ) - - - 1 0 9 8 ( 3 ) - - 9 1 9 ( 2 5 )

46回 - 5 8 2 ( 1 ) - - - 4 0 6 ( 5 ) - 4 2 6 ( 5 ) - 3 0 5 ( 1 0 ) - 2 6 3 ( 2 6 )

45回 - - - 7 2 7 ( 1 1 ) 7 9 2 ( 2 ) 8 2 9 ( 2 1 ) 8 7 5 ( 1 3 )

44回 - - 7 3 6 ( 2 ) 5 7 4 ( 1 9 ) 6 2 9 ( 9 ) 6 0 4 ( 1 4 ) 5 9 3 ( 3 )

43回 - - 1 5 8 ( 1 ) - - 1 3 9 ( 2 9 ) - 0 3 2 ( 1 6 ) - 1 6 3 ( 1 ) -

各回別に総観場の概説と天気別の投票率の差について少し解説する

第47回(平成26年12月14日)

西高東低の冬型で寒気の流入が強く日本海側では雪で大雪のところも

天気別の投票率は晴と雨(小雨)との間に約2の差があるまた雪との間には3程

度の差がある

第46回(平成24年12月16日)

北日本は冬型だが西から緩み気圧の谷が近づく

天気別の投票率は晴に対し小雨雨雪は2~3程度の差があるまた晴と曇との間

にも04~05程度の差がある

第45回(平成21年8月30日)

台風11号が30~31日にかけて房総沖を進む関東地方を中心に荒れた天気

天気別の投票率は晴に対し雨が15程度低いなお台風進路に近い東京都は基礎投

票率との差が500千葉県が567と3近い差があった

第44回(平成17年9月11日)

北陸に前線が停滞し北日本を除き曇や雨の天気

天気別の投票率はやや逆転気味であり「晴」に対し「雨」のみは02程度低いもの

の「小雨」は03程度「大雨」(富山県長野県)に至っては14程度それぞ

れ高かった

(この逆転現象の解釈は難しいが「晴」が3都道府県と少数であったこと上記の表が都

道府県の単純加算平均を用いているところ例えば「雨」に分類されている東京都は422

であり人口を加味した加重平均を用いれば逆転は解消されるかもしれないことそもそも

都道府県別の政局の事情の寄与が大きすぎたことなどが原因として考えられる)

第43回(平成15年11月9日)

前線が日本海から本州の南に南下し全国的に雨模様

天気別の投票率は降水なしに分類された都道府県が1つのみ(佐賀県)なので降水の有

無での議論がしづらい「小雨」に対して「雨」が1程度低くなっていることは明瞭である

第6 まとめと今後

各回ごとに特性の差が大きくまだまだ定量的な議論ができる状況にはないが大雑把に言っ

て降水のない日に対し降水のある日は2程度投票率が落ちる効果があると言えると思わ

れる

しかも降水のある日もその現象がシビアであればあるほど投票率の減少効果が大きいこ

とも分かる(雪や台風接近時であれば3程度の減少)

今後は検討する選挙を増やしこまめな検討と他の気象要素への拡張が望まれるところであ

るが研究成果発表会の席上での議論をお願いしたい

02事例-1

身体の外の気象防災と身体の中の気象防災

全ての病は「気象病」 中國古典醫學理論=気象学天文学物理学

東京支部 小室善隆

1はじめに(研究の動機)

研究のテーマを決定するのに当たりかなり悩みまし

た何故ならこの発表会の募集要項を見ますと「対象

となる研究」は01から08までと決められています

従って私の発表は06にいやその他の08にしよう

かかなり悩みましたどちらにしてもしっくり来ない

のですが中國古典醫學を患者さんなどに説明する時

に「身体の外の異常気象が災害で身体の中の異常気象

が病気だよ」と話をしておりましたそうそこで「身

体の中の気象防災」としました

もう一つは私にとってこれは研究だけではなく余

りにあまりに大きな驚きだったのです中國古典醫學

理論の講義が始まりその内容を聴き始めると何と「あ

んなに苦しんで取得した気象学を再び学び始めるのか」

と思う程全く同じ内容だったのです

それも気象予報士試験問題で言えば「予報業務におけ

る一般知識(法律を除く)」と全く同じなのです逆を言

えば全ての気象予報士は既に中國古典醫學理論その物

を学んでしまっているのですそれも膝上位までサブ

タイトルはこれが理由です

また研究発表に当たりこの会場には気象庁気象

予報士気象学会以外の方がいらっしゃいましたら席を

お外し下さいと建前なのですがこのテーマですと

日本の医師法に違反する事になりかねません何故なら

「治る」と言う言葉が国家試験に合格した医師にしか許

されていないだけでなく不特定多数の一般人に対して

医師ではない者は流布出来ないのです

この様な法律が存在するのは先進国に於いては日本

だけで後は一部のイスラム国家だけです国によって

は西洋医学と東洋医学(中國古典醫學)が対等に窓口を

開いていますもしいらっしゃいましたら気象予報士

の資格を得る為の勉強でとでもして下さい

さて「東洋医学」と表現致しましたが厳密に言うと

「中國古典醫學」ですこの後もし東洋医学と言って

しまった場合には断りが無い限り「中國古典醫學」と読

み替えて下さい

他に昨年のこの発表会において東北支部の岡田みは

るさんが「気象病」について発表されましたそれを聴

いて西洋医学と異なり中國古典醫學理論においては

全ての病を気象病だと考えておりますさらに感染症ま

でをも「温病学」として気象病の一つと考えています

また準備を行う段階で検索を繰り返し鍼灸士で気

象予報士の方も居られる事が分かりましたその方の出

版物の目録を見ただけなのですが過去の理論を並べ直

しただけで何ともしっくり来ませんでした決して誤り

ではないのですが折角気象予報士の資格を取得された

のならば小難しい中國古典理論の用語を今の気象用語で

説明されたらと思います

2中國古典醫學理論

ここから中國古典醫學理論の講義を始めます中國古

典醫學理論の最初の記述は地面に棒を垂直に立てて

その影の長さを測り最も短くなった日を夏至に最も

長くなった日を冬至としますとすると1年は365

日と4分の1日4年で1日分になります1年の36

5日を半分にすると春分の日と秋分の日が決まります

さらにその半分を決めると4立立春立夏立秋立

冬が決まり春夏秋冬が決まりますでも春夏秋冬の

季節の境目に何があるでしょう雨季がありますその

為に4立の前に土用として18日間を決めます従って

1年間の季節が「春夏梅雨(長夏土用)秋冬」

になります

ここで独特と思われている「陰陽」の講義を行います

その陰としての象徴が月であり陽の象徴が太陽になり

ますさらに人間の背中側が陽お腹側が陰身体の

外が陽身体の内側が陰五臓六腑の五臓が陰六腑が

陽男が陽で性器も陽女が陰で性器も陰生まれて来

る赤ちゃんが陰で産む母親は陽さらに太平洋陽気圧に

移動性陽気圧温帯陰気圧に寒冷陰気圧街中の陽イ

オンに森の中の陰イオン春が陽で秋が陰この様に陰

03教育-1

陽は決して象徴では無く常用し常に相対的なのです

決して中国思想の事だけではないのです

中國古典醫學理論に「陰陽五行(月日水火木金土)」

と言う言葉があります「五臓六腑」をこの陰陽五行に割

り当てます春の木に陰の肝臓と陽の胆嚢を夏の火に

陰の心臓と陽の小腸を雨季(梅雨長夏)土用に陰の

脾臓と陽の胃を秋の金に陰の肺臓と陽の大腸をそし

て冬の水に陰の腎臓と陽の膀胱を割り当てます何故は

時間の関係上省略しますこれらを図の上に置きますと

上に腎臓右に心臓下に心臓左に肺臓そして真ん

中に脾臓を置きます何とこの配置は仏教曼荼羅図の金

剛界の配置と同じになりますまた地球の北半球に於い

ては何処へ行っても同じになります

3病気(症状)と気象注意報警報との関係

私が10代後半から20代後半にかけて4回の親族

の葬式を行なった記憶がありますそこで坊主様が言わ

れたお説教が忘れられないのですそれは「本来人間に

病は無い」と言われた事です直ちに腹の中で「嘘だ

皆病気で死んでいるそれも治せないで」ここに来られ

ている聴衆の皆さんが不特定多数の場合は私のこの発言

が医師法違反になってしまう可能性があります

横道に反れましたが元に戻って世界最古の中國古典

醫學理論は世界最新の気象学とこの様に寸分たがわず同

じだったのです違うと言えばせいぜい身体の内と外

位の違いしか思い当たりませんいやもう1つありま

した先に触れた太陽高度の計測方法です

気象予報士が毎日繰り返し発表している気象予報は

何を出しているのかです表現は中國古典醫學理論の

都合の良い様に順番は変えますが「明日の風はどんな

暑い雨晴それとも寒い」ですいや波浪があると

言われるのであればそれは風が原因でしょうこれらを

内臓に割り当ててしまったのが「中國古典醫學理論」だ

ったのですそしてその動作作用効果結果を陰

陽五行で考えるとどれを取っても説明に都合が良いので

そして極一部ですが西洋医学において中國古典醫學

理論が結果として証明されています余計な事ですが

それでも中國古典醫學を否定されるのであれば漢方薬な

んて使わないで欲しいです生薬の無駄遣いです

自然界に対して発表される気象防災の注意報警報の

1つに大雨洪水注意報警報がありますこれらも人

間の身体の中において存在します注意報は「肺気腫」

であり警報は「肺水腫」になります肺に病気を発症

させていますが悪いのは大雨と低温なのです他にも

大雨低温強風注意報はリューマチ大雨高温強風注意報

はアトピーと言う具合に消防庁の管轄にはなりますが

火災警報もありますこの場合には心臓や脳の病気にな

ります注意報警報の中には自然界には存在せず人間

の身体の中にだけある気象災害もあります低温大雨火

災警報です

まさに全てが気象病そのもので身体の中の注意報警

報は何と病気(症状)の治療方法を示しているのです

先の低温大雨火災警報は各種の癌ですさらに癌の治療

方法は遥か2世紀には開発されておりましたしかも薬

までありますが残念ながら大方の西洋医学の先生方

は当然の事中國古典醫學理論を知らない筈つまり

気象学を知らないからです従って西洋医学の先生方

に取り扱える代物ではありませんですが気象予報士

で西洋医学の諸先生方は中國古典醫學理論の基礎を学ん

でしまったのであり中國古典醫學理論を否定する事は

出来ないはずですぜひ一歩進めて下さい

気象学中國古典醫學のそれぞれの文献は多数ありま

すが気象学と中國古典醫學を直接結びつける参考文献

は現在の所は殆ど或いは全くありません

ここへ出る勇気を頂いたのは1年余り前に亡くなら

れた元千葉支部長根本由紀子さんにお会いしたお陰

ですご冥福をお祈りします

03教育-1

揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察

日本気象予報士会 上田博康

1 研究の動機

兵庫県朝来市に位置する国史跡竹田城跡は標

高 354mの山頂に南北 400m東西 100mに及ぶ全

国屈指の石垣遺構であるとともに麓の円山川に

秋から冬にかけて発生する雲海に浮かぶ姿が「天

空に浮かぶ城」と称され近年観光地として注目さ

れていますただしこの雲海が見られるのは夜

間の放射冷却次第であるといわれており旅行計

画を組むうえでリスクが高いといえます

今回は竹田城跡の南側にある揚水発電所であ

る奥多々良木(おくたたらぎ)発電所および大河内

(おおかわち)発電所が日および週サイクルで稼

働することから雲海が発生しやすいあるいは発

生しにくい曜日があるのかどうか考察を試みた

ものです

図1兵庫県図における竹田城跡発電所の位置

図2アメダスダム竹田城跡の位置と標高

2 研究方法

揚水発電所が発電を行うと上部ダムの水位が

低下し下部ダムの水位が上昇しますがこのこと

は地表面近くに低気圧と高気圧が発生することを

意味します逆に電気を使って揚水を行うと上

部ダムで高気圧と下部ダムで低気圧が発生すると

考えられます発電所の運転は電力需要バランス

が最も厳しいあるいは余裕のある時間帯に集中し

ますから特定の曜日時間帯にのみ強まる風が観

測されれば発電所の稼働に伴う気圧傾度風との

関連が考えられます

そこで2007年1月から 2016 年 11月までのア

メダス和田山とアメダス生野の風向風速の1時

間値から風速の東西成分南北成分を算出し曜

日時間ごとに平均値を取り同時間平均値が曜日

によって差がないか確認を行い特に深夜早朝の

特異な風が雲海に与える影響を考察します

02統解-1

3 研究成果の概要

アメダス2地点の風速を 24 時間times7 曜日に分け

て平均を取り「全曜日平均と比べて合成風速が

01ms 以上ずれた状態が3時間以上続く」特異な

条件の曜日時間帯は次のとおりでした

【アメダス和田山】

月曜日 1-3UTC(月曜日 10~12時)

月曜日 5-8UTC(月曜日 14~17時)

土曜日 23UTC-日曜日 1UTC(日曜日 8~10時)

図3アメダス和田山の時間帯別平均風向風速

【アメダス生野】

水曜日 2-4UTC(水曜日 11~13時)

日曜日 16-23UTC(月曜日 2~7時)

図4アメダス生野の時間帯別平均風向風速

これらのうち雲海の形成消滅に関連するもの

は最後の「アメダス生野の日曜日 16-23UTC に強

まる風」だけですがその成分は風速 010~

013msの南西~西南西風と推測されます

なおこの日曜日 16-23UTC の和田山の全曜日

平均と比べて強まる成分は風速 003~011ms の

南南東~南西風と推測され生野での日曜日の特

異風とのシアを考慮しますとアメダス生野を抜

けた風の一部はアメダス和田山に至らずに中間で

とどまっていると考えることができます

なお雲海が発生しやすい時期に限ってみれば

この時間帯の生野の平均気温の差は次のとおりで

す生野と和田山の標高差が 240mなので標準大

気の気温減率 65Kkm相当の気温差が 015程度

であることを考えると平均的には寒気移流が生

じていると考えることができます(縦月横

UTC 時網掛けは平均気温差>015の時間帯)

16 17 18 19 20 21 22 23

9 -04 -05 -04 -05 -04 -05 -05 -05

10 -03 -02 -03 -03 -03 -04 -03 +01

11 00 -06 -04 -04 -03 -02 -02 -02

12 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -09

図5両地点の時間帯月別気温差(日曜日)

【結論】

月曜日の早朝に強まるのみ南西風の成分が生野

で観測されており寒気移流が強まることで竹田

城跡付近で雲海が発生しやすくなると思われます

4 今後の課題

今回の考察はアメダス観測値から平均的な傾

向を調べるにとどまっていますきめ細かい観測

を行い雲海の発生解消メカニズムを把握するこ

とが必要と考えています

また実際の発電所の稼働状況の変化を踏まえ

今後もこのような気圧傾度風が確実に発生すると

いえるのか見極めが必要と考えます

【参考にした資料】

関西電力株式会社和田山町観光協会の各 WEB サ

イト国土地理院の地形図SUGDASS2データ

02統解-1

直近 28 年間の日本の地表から高層の気温変動傾向

内山 常雄(神奈川支部)

1 はじめに

著者はこれまで日本の年平均気温の変動を調べて

きたがそれらの発表に対して①気温の測定機材や

測定頻度が変更されてきた②すでに地表から高層の

再解析データがあり限られた地点の地表の気温を

解析する意味はないといった指摘を受けた

第 46 回メソ気象研究会のテーマは「擬似温暖化実

験のメソ気象研究に対する可能性」であったがそこ

では「対流圏の気温は高層ほど上昇し成層圏は寒冷

化する」が前提とされていた

容易に入手できる高層の気温データからそのよう

な結論が得られるか調べ地上の気温変動予測への

利用可能性を探ることが本研究の目的である

2 気象庁の高層気象観測の変遷

気象庁の高層気象観測の変遷については詳しい解

説がある1)2)それによると観測機種の交換が何

度かあり同一時期でも観測点によって異なる機種

が使用されていることもある気温の測定はバイメ

タル式サーミスタ温度計静電容量ワイヤ温度計と

変遷した日射補正の方法の改良や吊紐の長さの7

m15m30mへの変更もあった高層気象観測

はそもそも高度方向の変化を調べるための測定で

時系列的にデータを見る目的で使われるようになっ

たのは気候変動が問題になった近年からだという

現在気象庁のホームページで閲覧できる高層気象

観測データは 1988 年以降でありその間 RS2-80 型

サーミスタ温度計から RS2-19型サーミスタ温度計を

経て RS92-SGP型静電容量式ワイヤ温度計へと測定機

器は変遷しているその変遷期日は観測点ごとに異

なる

RS2-80 型以前の測定値は00UTC と 12UTCの測定

値の差が高度が高くなるにつれて拡大するなど日

射補正に問題があるというが1988 年以降のデータ

ではこの点の問題は発生しない

3稚内 9 時の月平均気温の推移

気象庁の地上の気温観測点は 900 か所ほどあり

10 分ごとの気温データが得られるが気温変動予測

の解析には 15地点の日平均気温や月平均気温などを

解析してきた高層の気温のデータは国内で 20 観測

点のデータがあり1988 年以降の 9 時と 21 時の高

度方向の測定値が気象庁のホームページで閲覧でき

るただこのデータの処理は難しいので指定高度

面の月平均値を解析した指定高度面は 1000hPa か

ら 5hPa まで 25 面あるが925hPa10 及び5hPa 面

のデータには欠測があるここでは 1000hPa から

20hPa までを解析対象としたデータはマイクロソフ

トエクセルを用いて解析した最初に稚内について

調べた

図1 稚内 9 時 2 月の平均気温の推移

図 1 に稚内の 9 時の 2 月の平均気温の 1988 年から

2016 年の地上から 20hPa までの推移を図 2 に同じ

く 8 月の推移を示した

図2 稚内 9時 8月の平均気温の推移

一番上の線が地上で下に向かって高層のデータで

下の方で線が密集しているところは成層圏である

02統解-2

対流圏では地上と高層の変動に類似性がある

8 月は 2 月と比較して地上の気温が 20上昇し

成層圏との圏界面の気温が 10下がりグラフの上

下の幅が約 30拡大している8 月の地上と高層の

変動の相関は 2 月より低いように見える

地上と高層の気温の相関係数を計算すると10 月

から 4 月までの(寒候期)は相関係数 07 以上の高

度が 600hPa まであるが5 月から 9 月の(暖候期)

は 800hPa までであった(定義と異なりかっこ付)

4稚内 9 時と 21 時の月平均気温の差

9 時の気温の測定値は日射の影響を受け21 時は

その影響がないので測定値の信頼性が高いという2)

公開されているデータは日射補正後のものとされる

が稚内の 9 時と 21 時のデータを比較しそれらの差

を調べた1981 年以降この差は小さいとのことだ

が年間平均では地上は 9 時の方が約 05高く

900hPa 前後は 21 時の方が約 05高く高層に向け

てその差を縮めながらも 21 時の方が高い30hPa か

ら上では再び 9 時の方が高くなる

51988 年から 2016 年の間の変化傾向

稚内について対流圏は高層ほど気温が上昇し成層

図3 稚内 9時 200hPa8月の月平均気温の推移

圏は気温が低下するという傾向が表れているかを各

図4 稚内 9時の各月各高度の気温変化傾向

指定高度面で調べた 9 時 200hPa の 8 月の例を 図

3に示す各月各高度面の結果を 9 時について図

4に21 時の結果を図5に示す夏場は前述の傾向

が表れているが冬場はその傾向がつかみにくい

図5 稚内 21時の各月各高度の気温変化傾向

6その他の観測点の月平均気温の推移

その他の観測地点の例として南鳥島の 9 時の各

月の気温変化傾向を図6に示す

図6 南鳥島 9時の各月各高度の気温変化傾向

南鳥島では成層圏の低温化傾向がいずれの月で

も認められる

7今後の研究方針

国内の 20 高層観測点すべてについて解析し地域

別の傾向をとらえ地上気温変動推定への利用法を

考える

5参考文献

1)阿部豊雄2015気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 1部 高層気象観測の変遷

天気62161-185

2)阿部豊雄2016気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 2部 観測値の特性天気

63267-295

02統解-2

神奈川支部田園調布学園中等部高等部 2 千葉支部 3 北関東支部 4 東京支部 5 神奈川支部

生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)

荒川 知子関 隆則2池上 榮3大野 昭彦4遠藤 君江5

1はじめに

筆者は勤務校である田園調布学園の土曜プログ

ラムにおいて「やってみよう天気予報」と題した気

象の講座を2004 年より主催してきた(荒川 2010)

その中で生徒の主体的活動を重視することが気

象特に気象防災における生徒の意識を向上させる

ことができることを提示した(荒川 20152016)

これまでに日本気象予報士会会員の協力を得

て新たな 3 つの講座を開発し一定の成果が得ら

れた3 件のうちクロスロードによる防災意識の

向上については2016 年度日本気象学会秋季大会に

おいて発表済みであり今回はそれ以外の 2 件につ

いて報告する

2 実施内容

2-1 高層天気図予想図を使った天気予報

1) 概要

1 コマ 65 分の講座を 2 週にわたり連続で実施し

受講者は中 1 から高 1 までの 30 名であり8 班編制

とした

1 週目は天気予報のしくみについて簡単に講義

し当日朝の天気図予想図を使用して図の貼り

合わせや着色の方法について練習を行った

2 週目は当日朝の天気図予想図を配布して

前週と同様の作業をし翌日の予報を作成して発表

させた

2) 方法

①SUGDaSS より当日朝の FAFE502FXFE504

FXFE5782FXFE584 を入手し時系列高度の

順に 貼り合わせる

②日本列島の位置を着色し確認する

③500hPa-9-12等温線を赤で着色する

④700hPa 湿域を着色する

⑤予報したい地域の 850hPa を通る等温線を赤で

着色する

⑥地上で降水が予想される地域を着色する(図

1)

⑦予報したい地域の 500hPa 気温700hPa の湿り

具合850hPa 気温をワークシートに書き入れ

⑧850hPa 気温に 9 を加え地上気温を予想する

⑨500hPa 気温と地上気温の差をワークシートに

記入する

⑩ワークシートに予想を記入する

図 1 天気図に着色しながら予報を考える

3) 注意点

次のような点に着目して生徒に予報文を作成さ

せた

①500hPa と地上の気温差が 30以上であれば不

安定と考える

②700hPa が湿っていても地上に降水が予想され

ていなければ曇り700hPaが湿っており地上に

も降水が予想されていれば雨と予想する

③予報を作成したら予報に合わせ生活上の注

意点を予報文に盛り込む

2-2 お天気紙芝居の作成

1) 概要

65 分の講座 1 コマで実施した

受講者は中 1 から高 2 までの 20 名であった

ストーリー作成のため本校の生徒が作成したキ

ャラクターである「なでりん」を主役とし「なで

りんの 1年間」というタイトルで小学校低学年の児

童に説明することを目標とした

2) 方法

①受講者を 4 名ずつ 5 グループに分け更にその

中で 2 名ずつのペアを作らせた

②季節を春梅雨夏秋冬の 5 つに分け各

グループが 1 つの季節を担当した

③各季節の天気の特徴と防災事項をそれぞれの

ペアが担当しそれぞれ相談しながら紙芝居の

絵と説明を作成した

④1 年分の紙芝居を集め講師がコメントを入れ

発表した

3) 注意点

天気の特徴を担当するペアには典型的な 10 種

類の天気図を印刷して配布し絵の中に天気図を組

み入れさせた配布した天気図には日付を入れず

04授業-12

その季節の天気図として妥当なものを生徒自身に

判断させた

3教育効果

どちらの講座においても生徒が積極的に取り組

む姿勢が認められた

天気予報においては生徒は高層天気図にふれる

のが初めてであり大気の立体構造を理解した上で

予報に取り組んではいないしかし単に低気圧の

移動から雨域の移動を類推するのとは異なり予報

時刻の予想図から必要事項を読み取り予報を作成

することでより実感を持って予報に取り組めた様

子が伺えた今回は翌日の東京における予報を作

成した班がほとんどであったが「雨」という班と

「曇り」という班があったこれは地上予想図に

おける雨域の端が東京付近を通っていたことで雨

と判断した班と曇と判断した班とに分かれたもの

である根拠も含めて説明させたので生徒が確か

な裏付けを持って予報しようとする姿勢を持てた

ことそれを生徒自身の言葉で表現できたことが成

果である

通常の授業では与えられた問いに対し想定で

きる答が用意されていることが多く生徒は常に

「正解を知る」ことを求めがちであるしかしこ

れからの社会においては正解の無い問いに取り組

む姿勢が重要である天気予報はまさに「正解の分

からない問い」であり結果は翌日以降の予報時刻

になって初めて確かめられる予報士が実際に取り

組む方法を体験することで答が見えない問いに対

しても答を準備しなくてはならないことの難しさ

を生徒が体感することができた

紙芝居の作成においては生徒が自分たちの言葉

で季節や防災を表現するoutput による理解の深化

と興味の喚起が主な目的であったOutput のために

は生徒自身がその内容を理解しさらに人に伝え

るための工夫が必要である対象を小学校低学年程

度としたことで生徒が伝えるポイントを絞り簡

潔な言葉で伝えることを意識できた生徒は予想以

上に積極的に取り組んでいた

新しい指導要領においては答の無い問いを解決

し人との交わりの中でそれを活かそうとする力-

21 世紀型スキル-の育成が課題となっているこの

講座はまさに 21 世紀型スキルの育成を目指すも

のである

4今後の展開

4-1 高層天気図予想図を使った天気予報

予報時刻予報地点を生徒に選ばせたため「翌

日の東京」の天気を予想した生徒が大半を占め他

の地点を選んだのは高校生 2 名のみであった予報

時刻や予報地点をグループごとに指定することで

生徒が地域的な広がりや時間変化を感じより実感

を持って予報に臨めるものと思われる

またこの講座では実施時期により天気図を見

るポイントが異なってくる夏であれば上空の気温

に着目して不安定を検出する低気圧の通過時であ

ればその予測をするなどのテーマが考えられる

当日の状況により着目点が異なってくることから

ワークシートを直前に作成する必要がある既成の

ワークシートをそのまま利用できず着目点をその

都度確認することは気象予報士としての技術研

鑽にも繋がることとなる

4-2 お天気紙芝居

「なでりんの一年間」として一年間の季節の流

れとそれぞれの季節ごとの防災事項を生徒に考え

させた

季節ごとの防災事項を認識することは大切であ

るが台風大雪など防災事項を具体化するには

テーマが大きかったともいえる今後「防災」に

焦点を当て大雨大雪台風等テーマを決めた

上で各グループが防災事項を検討しそれを紙芝

居の形で表現することでさらに「防災に役立つ」

という意識を生徒に喚起することが可能である

なお今回は時間の関係で最後の発表は講師が

行ったが2 コマの連続講座として展開し生徒自

身に発表させればさらに生徒が主体的に取り組め

るものと考えられる

4-3 講座の構築

いわゆる出前講座のお天気教室においては講師

側と受講者側が初対面であることも多いそのた

め講師側が受講者の基礎知識や講座に対する参加

意識を把握できずに講座を進めなくてはならず生

徒を主体的に行動させることが難しい場合もある

開発した 2 つの講座は年齢や生徒の基礎知識によ

らず受講者が主体的に行動することで達成感を得

られるものである

今後中高生に限らず成人向けにもこのような

手法を用いた講座を実践することで気象に対する

興味や知識がより深まるものと考えられる

5まとめ

中高生に対し気象予報士の業務を疑似体験させ

て高層天気図を用いた予報を行わせたり防災を

伝える工夫をさせたりすることで気象や防災に対

する生徒の意識が向上することが分かった

参考文献

荒川知子(2010)奨励賞を受賞して天気 35-37

荒川知子(2015)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上日本気象学会秋季大会予

稿集

荒川知子(2016)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上(2)日本気象学会秋季大会

予稿集

04授業-12

大気圧に対する見方を変える -『空気分子(N2や O2など)の運動』の視点で-

槇 野 泰 夫(東海支部)

1 はじめに

「地表付近の物体は空気

の重さによる圧力を受けて

いる圧力はあらゆる面に

対して垂直である」と「大

気の柱の図解」(写真1)と

ともに大気圧について中学

で学習している

「室内では空気の柱が

天井や机の下までしかない 写真1 大気の柱の図

これで屋外と同じ気圧確かに1気圧だが」と

腑に落ちないでいた空気分子があらゆる方向に圧力

を与えているという漠然とした考え方や実験結果から

私はなんとなく納得()していた

釈然としない気持ちを解決すべく教材開発の日々に

木村龍治先生のご指導を受ける機会があった『空気分

子の運動』から見た大気圧に対する見方である私の長

年のもやもやはすっきりと解消された

教員養成の大学で教える機会があり理科研究の地

学を担当し『空気分子の運動』を視点にした「大気圧

による現象」の講義をすることにしたここに報告する

2 『空気分子の運動』から見た大気圧の現象

① 大気圧によって力を受ける現象

下敷きの中央部分に摘み

を取り付け机などの滑ら

かな面に置いて摘みを引

き上げようとすると下敷

は取れなくなる(写真2)

ほとんどの大学生はこ 写真2 摘み取れない下敷

の現象が大気圧によるものである

ことに気付かない「下敷きの上に

あるものは下には」などと考

え進めていくと半信半疑ながら

大気圧に気付く身近にある下敷

きで大気圧による現象を実感し

かなりの衝撃を受ける 写真3 壁に張り付く下敷

さらに下敷を壁などの側面に張り付く現象(写真3)

も体験させると衝撃を受け驚く「大気圧」と自

信なくつぶやく大学生がいるが多くは「」

ここで空気中を飛び回る N2や O2などの分子の存

在(図1)に視点をあてる空気分子の量は地表に近い

程多いN2やO2な

どの分子は秒速

450m 近くの速度

で物体の表面に衝

突し瞬間だけの力

を与え分子の集団

効果で圧力となる

この圧力が大気圧 図1 飛び回る空気分子の存在

であるという見方を示す

机の上の下敷き(写真2図1A)が摘み取れない現

象や下敷が壁に張り付く現象(写真3図1B)を学

生は『空気分子の運動』から容易に理解した以下の感

想から読み取れる

<学生の感想>

〇 空中にある物にはいろいろな方向から分子が衝突

するので全方向から圧力がかかっているなるほど

〇 空気の分子が下敷きに一方的に高速でぶつかるこ

とがわかりすごい力で取れないことを肌で感じた

〇 大気圧は上にある空気の押す力によるものだと思

っていたしかし空気分子の運動で考えると室内

でも屋外でも差がないことや横から押す圧力も同じ

ように生じていることが矛盾なく理解できた

〇 空気分子の運動はすごく納得ができより理解が

深まった

<考察>

空気中の下敷きはあらゆる方向から同じ圧力を受

けるので重さ以外の力を感じないしかし下敷きに

空気分子が一方的に衝突するようにすると大気圧を

一方的に受け大きな力を感じさせることができる大

気圧を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は大気圧を動的に見せる

ことができあらゆる方向から大気圧がかかることを

理解させるのに有効な見方となっている

B

A

04教育-5

② 圧力差から生じる力によって起こる現象

箱の周りの空気分

子と同じ密度の空気

分子を閉じ込めた容

器(図2C)がある

この容器内の空気

分子の密度が内と外

で差が生じるように

空気の量を減らすと 図2 空気中の容器

容器(図2D)はどのようになるかを考えさせた

「空気分子の量が減るため内側から押す力が弱まり

周りから力がかか

り凹む」と多くの

学生は予想した

ラップフィルム

で蓋をした容器か

ら逆流防止弁を付

写真4 減圧した図2Dの実験 けて(写真4)のよ

うに空気を減らし圧量差が力を生む現象を示した

次に容器(図2C)を上空(図2E)へ移動すると

どうなるかの問いに「容器は内部から外に力がかかり

膨らむ」と答えていたこの(図2C)から(図2E)

への移動は空気の上昇膨張の現象となり水蒸気の

凝結雲の発生の話につながる重要な過程である

<学生の感想>

〇 あんなにラップが凹み硬くなったことが衝撃的

だった空気分子の動きが見えるようだった

〇 空気が減っていく様子が目の前で分かり空気分

子の圧力の強さをパンパンになるラップで感じた

〇 空気分子の量の違いによって力が生じ凹んだり

膨らんだりすることがわかったわかりやすい

<考察>

硬く凹むラップフィルムパンパンになるラップフ

ィルムなどの記述から『空気分子の運動』という見え

ないものをラップフィルムの様子の変化から捉えてい

る圧力差を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は容器内外の空気分子の

密度(量)の違いを圧力差と関連付け圧力差から生じ

る力を理解させるのに有効な見方となっている

空気の上昇膨張の現象は仕切りのある容器の現象

ではない温度低下との関係も説明しきれていない

③ 気圧差で起こる広範囲の現象

図3 連通管の模式図 写真5 圧力差のある連通管

連通管(図3)の入り口で圧力差を作るとどうなるか

を考えさせた大学生は圧力差を空気分子の量の違い

で捉え水面の変化を容易に考えることができた

(写真5)は圧力差があるときの水面の様子である

海洋など広い範囲では水平方向に気圧差が生じる

ことがある高気圧や低気圧(台風)などの気圧配置が

これにあたる図4を示して高潮の様子を類推させた

図4 海洋など広い範囲での気圧差

<学生の感想>

〇 連通管の実験を踏まえて空気分子の運動で考え

ると自然界で起きている現象(高潮)がわかった

〇 大きなスケールの実験はできないが小さなスケ

ールの実験から空気分子の運動で推測できた

<考察>

連通管の水位は空気分子の量と圧力との関係を明

確に捉えさせることができ圧力差を意識させる有効

な実験である

『空気分子の運動』の見方は水平方向に気圧差があ

る広い範囲の現象を理解させるのに有効な見方とな

っている

3 おわりに

『空気分子の運動』の視点で考えることに対して

147名の大学生の 68が「よくわかる」32が「やや

わかる」(あまりわからないぜんぜんわからないは 0)

と回答している中学で学習した「大気の柱」の見方に

加えて『空気分子の運動』の見方で考えさせることは

大気圧に対する理解を深めさせることになると考える

こうした実践に至るまでのきっかけを与えてくださ

った木村龍治先生のご指導に感謝を申し上げます

C D

E

04教育-5

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
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≪ 目 次 ≫

102 解技-01 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況 藤井聡(静岡県)

202 事例-01 投票率に対する天気の影響 志摩恭臣(徳島県)

303 教育-01 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災 小室善隆(東京都)

402 統解-01 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察 上田博康(兵庫県)

502 統解-02 直近 28 年間の日本の地表から高層の気温変動傾向 内山常雄(神奈川県)

604 授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2) 荒川知子(神奈川県)

704 教育-05 大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2 や O2 など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

802 統解-03 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分 一広志(愛媛県)

901 事例-23 2016 年 4 月 17 日の寒冷前線の特徴 實本正樹(京都府)

1001 統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ 吉田信夫(岐阜県)

1101 解技-10 山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

1202 WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野哲夫(新潟県)

1304 実験-02 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ 梶原和利(神奈川県)

1404 実験-03 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置 関隆則(千葉県)

付 録 研究成果発表一覧

当研究成果発表会予稿集に掲載された研究発表の文章図表を複製あるいは翻訳して利用する場合は

日本気象予報士会の文書による利用許諾を得た上で出所を明示して利用しなければなりませんただし

著作者自身による利用の場合は利用許諾の申請は不要です本プログラムの記載内容に関する問い合

わせは105-0001 東京都港区虎ノ門 3-3-3 虎ノ門南ビル 3 階 A 本部事務所(jimuyohojp)まで

研究区分凡例

【大区分】 【中区分】

01 気象一般 解技 解析技法

02 気象情報作成活用 統解 統計解析

03 防災気象 事例 事例解析

04 気象知識普及 予測 気象予測

05 古気候古気象 WB 気象ビジネス

06 気象情報ニーズ 実験 気象実験

07 文化と気象 授業 出前授業

08 その他 教育 気象教育

運用 活動要領

スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況

日本気象予報士会 静岡支部 藤井 聡

1はじめに

関東南部に降雪をもたらす気圧配置にはいくつかのパター

ンがあると考えられる(例えば藤井 2010)がその代表的

なものは南岸低気圧による降雪でありたびたび当地方に大

雪をもたらすことがある南岸低気圧による降雪を予想する

ことは雪に弱い首都圏にとって重要な意味を持つそこで

スグダス2((株)ウェザーニューズ提供)にある850hPa~1000hPa予想図から降雪を予想し実況について考察した

2 南岸低気圧による降雪のメカニズム

関東南部の降雪について加藤(2014)によれば高度500m の気温をみると関東地方平野部では南岸低気圧通過前には

0以下に下がりこの下層寒気吹き出しが関東の低温や南岸

低気圧発生に寄与していると考えられているまた冨山

(2001)は降雪時に館野の上空930~970hPa付近に安定層

を確認しているが大雪時にはこの安定層はしばしば逆転層

となり850hPa気温よりも低い場合がある(藤井 2010) この安定層は上空からの降水が内陸に滞留した下層だけ

の乾いた気塊を加湿しこの気塊が蒸発の潜熱吸収によって

急冷却されることを報告している(冨山 2001)さらに降

水粒子の蒸発によって急激に冷却された地域には局地高気圧

が形成され東京の気温降下のおもな部分は北北西からの寒

気移流によることを報告しているがこの移流は上記の局地

高気圧によるものであり降雪時に秩父付近に発生すること

が多くここからの下層寒気吹き出しが北北西の風になって

関東南部に入り当地方では急速に気温が下降するようであ

る(藤井 2010) こうしたメカニズムから降雪を予想するにあたって以下

の条件から予想を考える

(1) 総観場と降水について ① 冬型がくずれ日本海から三陸沖は高圧部となり低

気圧が南岸を発達しながら東北東進し関東地方では

内陸部まで降水となる

② 降水に伴い局地的高気圧が内陸に発生し東京など

関東南部で地上風向がほぼ北北西となる

③ 短期予報ではMSMとの予想一致が見られる

(2) 気温について ① 850hPa気温が0以下である(降雪の目安は-6

とされるが実際にはこれより高くても雪になる例が

多く報告されている)

② 950hPa気温が0以下である(850hPa以下も0以下だが900hPa付近から地上にかけ安定層となる)

③ 950~1000hPaは0前後なら降水が雪となる場合

がけっこう多く雪質を決める

これらを基にして東京における降雪についてスグダス2を

用い関東南部で降雪のあった事例(2014年2月8日同14日2016年11月28日)の予想図と実況を報告する

3 降雪予想と事例

(1) 2014 年 2 月 8 日の事例

南岸低気圧が

発達しながら通過

し(図1)気温が

低く日中は氷点

下となって当地方

では20cmを超え

る大雪となった

東京では27cmの

積雪となった関

東南部では警報が

発表された所も多

かった 図1 ASAS 2014年2月8日09時JST

この 0800Z(2 月 8 日 09 時 JST)についての予想につい

て前述の通り FT=108 から追ってみたまず850hPa 気温

は東京付近で 2ぐらいだが南岸低気圧予想だったECMも南岸低気圧だったが 850hPa 気温は 0前後だった

950hPa は 5前後とても雪になる感じでないところが

気温が FT=84 になって大きく下方修正され850hPa は-

5950hPa は-1となりFT=36 では 950hPa が-5前後にも下方修正された(図 2)

図2 8日09時JSTの950hPa気温予想変化 FT=108とFT=84

また地上予想図で降水と局地的高気圧の発生による関東

南部の北北西の風も確認した1000hPa 気温は東京付近で

-1とサラサラの積もりやすい雪と判断した(図 3)また

MSM でも同様な予想図となり予想の一致が見られた

図3 8日09時JSTについてFT=36における地上予想と

1000hPa気温予想 引用元ウェザーニューズ社提供

図スグダス2(ウェザーニューズ社)を引用 以下同じ

02解技-1

(2) 2014 年 2 月 14 日の事例

発達した低気圧(図4)により関東甲信地方では大雪暴風

雪になり最深積雪が甲府で114cmを記録するなど観測史上1位となる積雪と

なった地点が相

次いだ東京でも

27cmの積雪とな

ったが試験観測

が始まっていた

北の丸公園観測

点では39cmもの

最深積雪が記録

(出典東京管区

気象台ホームペ

ージ)された 図4 ASAS 2014年2月14日21時JST

この 1412Z(2 月 14 日 21 時 JST)についての予想につ

いて FT=120 から追ってみたまず850hPa 気温は東京付

近で 0ぐらいだったが南岸低気圧予想だったFT=120 で

は 950hPa は 5前後だった気温が FT=96 になってまた大

きく下方修正され0前後となり(図 5)FT=48 では

950hPa が-1前後に下方修正された

図5 14日21時JSTの950hPa気温予想変化 FT=120とFT=96

この雪は 1000hPa 予想が 0前後なので水分が多くなり

そうだ降水量が関東南部に 12 時間降水量の 50mm 線がか

かりこの時期としては非常に多くもし雪として降り続い

たらすごいことになると思ったが低気圧の接近で夜半前後

から雨に変わる可能性が高いと判断し積雪は 10cm 程度か

と最終的に予想したところが低気圧への寒気の引き込み

が激しく雪は南部で未明まで内陸では朝まで降り続き

多摩西部でも積雪が 1m 前後にも達した場所があった(中山

2014図 6 参照)

図6 2014年2月14~15日の積雪情報(中山 2014)

(3) 2016 年 11 月 28 日の事例

東京では11月としては54年ぶりの初雪積雪は史上初とし

て話題となったがこの雪も上記条件が整っていたこの11月東日本ではほ

ぼ平年並みの気温

だったが北日本

の月平均気温平年

差は-21とか

なり低く(統計開

始1946年以降低

い方から第3位)

乾燥した冷たい空

気が関東地方に南

下し影響したと考

えられる(図7) 図7 ASAS 2016年11月24日09時JST これには 950hPa1000hPa の気温が T=84 においてどち

らとも 0以下と異例の予想となり推移を見守ったがT=36でさらに下方修正があった(図 8)

図8 24日 09時 JSTの 1000hPa気温予想変化 FT=84と FT=36

引用元ウェザーニューズ社提供

24 日は関東一円で雪が降った0以下と異例の予想とな

り推移を見守ったがT=36 で気温予想がさらに下方修正と

なった

4 南岸低気圧による雪予想に関する 23の問題点

上記のような条件で当地方が降雪となるものと考えられ

るが雪となる場合気温についての予想が下方修正されて

いく場合が多い(特に T=120~96 前後)ただMSM との

一致が見られない場合雪予想が外れることがよくあるので

注意したい

関東地方の降雪メカニズムとして「内陸に滞留した乾燥寒

気塊が上空からの降水によって加湿されこの気塊が蒸発の

潜熱吸収によって急冷却されて気団変質したこと」(冨山

2001)により雪が降ることが知られている今回の予想

もこのことが基本となっているしかし総観場として日

本海~三陸沖が高圧部となることは必須であると私は考え

ている日本海に前線をともなった低気圧があると雨になる

ことは暖気が日本海まで北上していることで説明はつくが

日本海が高気圧であっても三陸沖に低気圧があるときは雪

にならない場合が多いこのことは気団変質とは別のことと

考えるその意味で日本海~三陸沖の高圧部がもたらす意

味は何か(いわゆる北東気流の影響)さらに研究したい

図スグダス2(ウェザーニューズ社)を引用

02解技-1

- 1 -

投票率に対する天気の影響志摩恭臣(四国支部(徳島))

第1 はじめに

人の日常の行動として天気の良い日は出かける人が多く天気が悪い日は出かけるのを控え

る人が多くなるという経験則がある

選挙における投票日の有権者の投票行動についても天気が良ければより多くの有権者が投票

に行き天気が悪ければ投票所へ足を運ぶ有権者が減ると思われるがまれに報道記事で簡単な

ものを目にすることはあってもこのことについて深く検討した論考はあまり見当たらない

この問題への関心は以前からありいつかこの問題に焦点を当てて検討したいと思っていた

ので今回不完全ながら少しまとめてみた

第2 この問題の難しさ

投票率と天気の関係を検討するにあたっては幾つか難しい問題を孕んでいるその幾つかを

先ず指摘してみる

1 天気が投票率に与える影響の度合は他の要因に比べて大きくはない

図は戦後の衆議院総選挙の投票率の推移

であるがこの上下は天気により定まってい

るのではなく国政における争点の有無大

小や国民の選挙に対する関心の大小など

無論政治本体の事情に主として左右されて

いることは明らかである

したがって天気が投票率に与える影響を

検討するに際してはその影響の寄与は比較

的小さいであろうことを念頭に置かなけれ

ばならない

2 期日前投票制度の存在

平成15年12月1日から期日前投票制度が創設され投票日より前に投票を済ませる有権

者が増加している平成28年7月10日執行の参議院選挙では期日前投票をした人は15

98万人であり全有権者(1億0620万人)の15全投票者(5809万人)の27

5を占めるようになった

したがって投票者の14程度は投票日に投票していない以上投票日の天気には何ら

左右されていないこととなる

3 気象のどの要素が有権者の投票行動に影響するのか

よく言われるのは天気が悪ければ投票率が落ちるというものであるこの言葉をそのま

まの意味に捉えれば天気が悪い日(降水日)と無降水日との間で投票率に有意の差が出ると

いうことになる

しかし一方で他の気象要素も影響する可能性がある①気温(気温の寒暖が人の外出には

影響していると思われる)②積雪(冬季雪寒地域においては晴れていても積雪が残ってい

ればそれが外出判断に影響する可能性がある)③強風④日照などである一方単純に

降水日と言っても「量」(降水量の大小)や「質」(雪か雨かもしくは連続降水が対流性

降水か降水時間の長短など)によりまた事前予報の内容により影響の度合いの大小には

違いがあることが想像できる

4 気象観測の地域代表性の問題

以下の検討においては情報量の充実の面から各都道府県の気象代表値として各地方気象

台(等)の値を用いざるを得なかったしかしある都道府県の地域内全てが同じ気象状態で

あったわけではないものを1地点の観測値で代表させることにやや難があることは論をまた

ない

第3 対象となる選挙

今回検討の対象としたのは次の直近5回の衆議院議員総選挙である

第47回衆議院議員総選挙 平成26年12月14日執行(全国投票率5266)

第46回衆議院議員総選挙 平成24年12月16日執行(全国投票率5932)

第45回衆議院議員総選挙 平成21年08月30日執行(全国投票率6928)

第44回衆議院議員総選挙 平成17年09月11日執行(全国投票率6751)

第43回衆議院議員総選挙 平成15年11月09日執行(全国投票率5986)

第4 検討の手法

投票率に対する天気の影響を見いだすにあたって何を比較対象にするべきか非常に難しい

02事例-1

- 2 -

今回過去5回の都道府県別の投票率を平均しその都道府県別平均投票率を各都道府県の「基

礎投票率」と考え各回の選挙における投票率との差を議論の対象とすることとした

天気については投票日における各都道府県に存する管区気象台地方気象台(北海道は札幌

管区沖縄は那覇気象台で代表させる)の天気概況(6h~18h)を基礎に降水量を加味

して次のように7種類に区分しそれを投票日の当該都道府県の天気とした

晴 天気概況に雨などの降水を表す表記がなく晴時々曇など概ね晴のもの

曇 天気概況が雨などの降水を表す表記がなく曇時々晴など概ね曇のもの

雨 天気概況中に降水を表す表記があり日降水量が10mm以上のもの

小雨 天気概況中に降水を表す表記があり日降水量が10mm未満のもの

大雨 天気概況中に「大雨」の表記があるもの

雪 天気概況中に雪又はみぞれがあり日降水量が10mm以上のもの

小雪 天気概況中に雪又はみぞれがあり日降水量が10mm未満のもの

第5 検討結果

次の表は各衆議院総選挙について天気別に各都道府県の投票率と当該都道府県の「基礎投

票率」の差を単純平均した結果を表すものである(括弧内は都道府県数)

雪 小雪 大雨 雨 小雨 曇 晴

47回 - 1 2 0 6 ( 1 1 ) - 9 5 4 ( 8 ) - - - 1 0 9 8 ( 3 ) - - 9 1 9 ( 2 5 )

46回 - 5 8 2 ( 1 ) - - - 4 0 6 ( 5 ) - 4 2 6 ( 5 ) - 3 0 5 ( 1 0 ) - 2 6 3 ( 2 6 )

45回 - - - 7 2 7 ( 1 1 ) 7 9 2 ( 2 ) 8 2 9 ( 2 1 ) 8 7 5 ( 1 3 )

44回 - - 7 3 6 ( 2 ) 5 7 4 ( 1 9 ) 6 2 9 ( 9 ) 6 0 4 ( 1 4 ) 5 9 3 ( 3 )

43回 - - 1 5 8 ( 1 ) - - 1 3 9 ( 2 9 ) - 0 3 2 ( 1 6 ) - 1 6 3 ( 1 ) -

各回別に総観場の概説と天気別の投票率の差について少し解説する

第47回(平成26年12月14日)

西高東低の冬型で寒気の流入が強く日本海側では雪で大雪のところも

天気別の投票率は晴と雨(小雨)との間に約2の差があるまた雪との間には3程

度の差がある

第46回(平成24年12月16日)

北日本は冬型だが西から緩み気圧の谷が近づく

天気別の投票率は晴に対し小雨雨雪は2~3程度の差があるまた晴と曇との間

にも04~05程度の差がある

第45回(平成21年8月30日)

台風11号が30~31日にかけて房総沖を進む関東地方を中心に荒れた天気

天気別の投票率は晴に対し雨が15程度低いなお台風進路に近い東京都は基礎投

票率との差が500千葉県が567と3近い差があった

第44回(平成17年9月11日)

北陸に前線が停滞し北日本を除き曇や雨の天気

天気別の投票率はやや逆転気味であり「晴」に対し「雨」のみは02程度低いもの

の「小雨」は03程度「大雨」(富山県長野県)に至っては14程度それぞ

れ高かった

(この逆転現象の解釈は難しいが「晴」が3都道府県と少数であったこと上記の表が都

道府県の単純加算平均を用いているところ例えば「雨」に分類されている東京都は422

であり人口を加味した加重平均を用いれば逆転は解消されるかもしれないことそもそも

都道府県別の政局の事情の寄与が大きすぎたことなどが原因として考えられる)

第43回(平成15年11月9日)

前線が日本海から本州の南に南下し全国的に雨模様

天気別の投票率は降水なしに分類された都道府県が1つのみ(佐賀県)なので降水の有

無での議論がしづらい「小雨」に対して「雨」が1程度低くなっていることは明瞭である

第6 まとめと今後

各回ごとに特性の差が大きくまだまだ定量的な議論ができる状況にはないが大雑把に言っ

て降水のない日に対し降水のある日は2程度投票率が落ちる効果があると言えると思わ

れる

しかも降水のある日もその現象がシビアであればあるほど投票率の減少効果が大きいこ

とも分かる(雪や台風接近時であれば3程度の減少)

今後は検討する選挙を増やしこまめな検討と他の気象要素への拡張が望まれるところであ

るが研究成果発表会の席上での議論をお願いしたい

02事例-1

身体の外の気象防災と身体の中の気象防災

全ての病は「気象病」 中國古典醫學理論=気象学天文学物理学

東京支部 小室善隆

1はじめに(研究の動機)

研究のテーマを決定するのに当たりかなり悩みまし

た何故ならこの発表会の募集要項を見ますと「対象

となる研究」は01から08までと決められています

従って私の発表は06にいやその他の08にしよう

かかなり悩みましたどちらにしてもしっくり来ない

のですが中國古典醫學を患者さんなどに説明する時

に「身体の外の異常気象が災害で身体の中の異常気象

が病気だよ」と話をしておりましたそうそこで「身

体の中の気象防災」としました

もう一つは私にとってこれは研究だけではなく余

りにあまりに大きな驚きだったのです中國古典醫學

理論の講義が始まりその内容を聴き始めると何と「あ

んなに苦しんで取得した気象学を再び学び始めるのか」

と思う程全く同じ内容だったのです

それも気象予報士試験問題で言えば「予報業務におけ

る一般知識(法律を除く)」と全く同じなのです逆を言

えば全ての気象予報士は既に中國古典醫學理論その物

を学んでしまっているのですそれも膝上位までサブ

タイトルはこれが理由です

また研究発表に当たりこの会場には気象庁気象

予報士気象学会以外の方がいらっしゃいましたら席を

お外し下さいと建前なのですがこのテーマですと

日本の医師法に違反する事になりかねません何故なら

「治る」と言う言葉が国家試験に合格した医師にしか許

されていないだけでなく不特定多数の一般人に対して

医師ではない者は流布出来ないのです

この様な法律が存在するのは先進国に於いては日本

だけで後は一部のイスラム国家だけです国によって

は西洋医学と東洋医学(中國古典醫學)が対等に窓口を

開いていますもしいらっしゃいましたら気象予報士

の資格を得る為の勉強でとでもして下さい

さて「東洋医学」と表現致しましたが厳密に言うと

「中國古典醫學」ですこの後もし東洋医学と言って

しまった場合には断りが無い限り「中國古典醫學」と読

み替えて下さい

他に昨年のこの発表会において東北支部の岡田みは

るさんが「気象病」について発表されましたそれを聴

いて西洋医学と異なり中國古典醫學理論においては

全ての病を気象病だと考えておりますさらに感染症ま

でをも「温病学」として気象病の一つと考えています

また準備を行う段階で検索を繰り返し鍼灸士で気

象予報士の方も居られる事が分かりましたその方の出

版物の目録を見ただけなのですが過去の理論を並べ直

しただけで何ともしっくり来ませんでした決して誤り

ではないのですが折角気象予報士の資格を取得された

のならば小難しい中國古典理論の用語を今の気象用語で

説明されたらと思います

2中國古典醫學理論

ここから中國古典醫學理論の講義を始めます中國古

典醫學理論の最初の記述は地面に棒を垂直に立てて

その影の長さを測り最も短くなった日を夏至に最も

長くなった日を冬至としますとすると1年は365

日と4分の1日4年で1日分になります1年の36

5日を半分にすると春分の日と秋分の日が決まります

さらにその半分を決めると4立立春立夏立秋立

冬が決まり春夏秋冬が決まりますでも春夏秋冬の

季節の境目に何があるでしょう雨季がありますその

為に4立の前に土用として18日間を決めます従って

1年間の季節が「春夏梅雨(長夏土用)秋冬」

になります

ここで独特と思われている「陰陽」の講義を行います

その陰としての象徴が月であり陽の象徴が太陽になり

ますさらに人間の背中側が陽お腹側が陰身体の

外が陽身体の内側が陰五臓六腑の五臓が陰六腑が

陽男が陽で性器も陽女が陰で性器も陰生まれて来

る赤ちゃんが陰で産む母親は陽さらに太平洋陽気圧に

移動性陽気圧温帯陰気圧に寒冷陰気圧街中の陽イ

オンに森の中の陰イオン春が陽で秋が陰この様に陰

03教育-1

陽は決して象徴では無く常用し常に相対的なのです

決して中国思想の事だけではないのです

中國古典醫學理論に「陰陽五行(月日水火木金土)」

と言う言葉があります「五臓六腑」をこの陰陽五行に割

り当てます春の木に陰の肝臓と陽の胆嚢を夏の火に

陰の心臓と陽の小腸を雨季(梅雨長夏)土用に陰の

脾臓と陽の胃を秋の金に陰の肺臓と陽の大腸をそし

て冬の水に陰の腎臓と陽の膀胱を割り当てます何故は

時間の関係上省略しますこれらを図の上に置きますと

上に腎臓右に心臓下に心臓左に肺臓そして真ん

中に脾臓を置きます何とこの配置は仏教曼荼羅図の金

剛界の配置と同じになりますまた地球の北半球に於い

ては何処へ行っても同じになります

3病気(症状)と気象注意報警報との関係

私が10代後半から20代後半にかけて4回の親族

の葬式を行なった記憶がありますそこで坊主様が言わ

れたお説教が忘れられないのですそれは「本来人間に

病は無い」と言われた事です直ちに腹の中で「嘘だ

皆病気で死んでいるそれも治せないで」ここに来られ

ている聴衆の皆さんが不特定多数の場合は私のこの発言

が医師法違反になってしまう可能性があります

横道に反れましたが元に戻って世界最古の中國古典

醫學理論は世界最新の気象学とこの様に寸分たがわず同

じだったのです違うと言えばせいぜい身体の内と外

位の違いしか思い当たりませんいやもう1つありま

した先に触れた太陽高度の計測方法です

気象予報士が毎日繰り返し発表している気象予報は

何を出しているのかです表現は中國古典醫學理論の

都合の良い様に順番は変えますが「明日の風はどんな

暑い雨晴それとも寒い」ですいや波浪があると

言われるのであればそれは風が原因でしょうこれらを

内臓に割り当ててしまったのが「中國古典醫學理論」だ

ったのですそしてその動作作用効果結果を陰

陽五行で考えるとどれを取っても説明に都合が良いので

そして極一部ですが西洋医学において中國古典醫學

理論が結果として証明されています余計な事ですが

それでも中國古典醫學を否定されるのであれば漢方薬な

んて使わないで欲しいです生薬の無駄遣いです

自然界に対して発表される気象防災の注意報警報の

1つに大雨洪水注意報警報がありますこれらも人

間の身体の中において存在します注意報は「肺気腫」

であり警報は「肺水腫」になります肺に病気を発症

させていますが悪いのは大雨と低温なのです他にも

大雨低温強風注意報はリューマチ大雨高温強風注意報

はアトピーと言う具合に消防庁の管轄にはなりますが

火災警報もありますこの場合には心臓や脳の病気にな

ります注意報警報の中には自然界には存在せず人間

の身体の中にだけある気象災害もあります低温大雨火

災警報です

まさに全てが気象病そのもので身体の中の注意報警

報は何と病気(症状)の治療方法を示しているのです

先の低温大雨火災警報は各種の癌ですさらに癌の治療

方法は遥か2世紀には開発されておりましたしかも薬

までありますが残念ながら大方の西洋医学の先生方

は当然の事中國古典醫學理論を知らない筈つまり

気象学を知らないからです従って西洋医学の先生方

に取り扱える代物ではありませんですが気象予報士

で西洋医学の諸先生方は中國古典醫學理論の基礎を学ん

でしまったのであり中國古典醫學理論を否定する事は

出来ないはずですぜひ一歩進めて下さい

気象学中國古典醫學のそれぞれの文献は多数ありま

すが気象学と中國古典醫學を直接結びつける参考文献

は現在の所は殆ど或いは全くありません

ここへ出る勇気を頂いたのは1年余り前に亡くなら

れた元千葉支部長根本由紀子さんにお会いしたお陰

ですご冥福をお祈りします

03教育-1

揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察

日本気象予報士会 上田博康

1 研究の動機

兵庫県朝来市に位置する国史跡竹田城跡は標

高 354mの山頂に南北 400m東西 100mに及ぶ全

国屈指の石垣遺構であるとともに麓の円山川に

秋から冬にかけて発生する雲海に浮かぶ姿が「天

空に浮かぶ城」と称され近年観光地として注目さ

れていますただしこの雲海が見られるのは夜

間の放射冷却次第であるといわれており旅行計

画を組むうえでリスクが高いといえます

今回は竹田城跡の南側にある揚水発電所であ

る奥多々良木(おくたたらぎ)発電所および大河内

(おおかわち)発電所が日および週サイクルで稼

働することから雲海が発生しやすいあるいは発

生しにくい曜日があるのかどうか考察を試みた

ものです

図1兵庫県図における竹田城跡発電所の位置

図2アメダスダム竹田城跡の位置と標高

2 研究方法

揚水発電所が発電を行うと上部ダムの水位が

低下し下部ダムの水位が上昇しますがこのこと

は地表面近くに低気圧と高気圧が発生することを

意味します逆に電気を使って揚水を行うと上

部ダムで高気圧と下部ダムで低気圧が発生すると

考えられます発電所の運転は電力需要バランス

が最も厳しいあるいは余裕のある時間帯に集中し

ますから特定の曜日時間帯にのみ強まる風が観

測されれば発電所の稼働に伴う気圧傾度風との

関連が考えられます

そこで2007年1月から 2016 年 11月までのア

メダス和田山とアメダス生野の風向風速の1時

間値から風速の東西成分南北成分を算出し曜

日時間ごとに平均値を取り同時間平均値が曜日

によって差がないか確認を行い特に深夜早朝の

特異な風が雲海に与える影響を考察します

02統解-1

3 研究成果の概要

アメダス2地点の風速を 24 時間times7 曜日に分け

て平均を取り「全曜日平均と比べて合成風速が

01ms 以上ずれた状態が3時間以上続く」特異な

条件の曜日時間帯は次のとおりでした

【アメダス和田山】

月曜日 1-3UTC(月曜日 10~12時)

月曜日 5-8UTC(月曜日 14~17時)

土曜日 23UTC-日曜日 1UTC(日曜日 8~10時)

図3アメダス和田山の時間帯別平均風向風速

【アメダス生野】

水曜日 2-4UTC(水曜日 11~13時)

日曜日 16-23UTC(月曜日 2~7時)

図4アメダス生野の時間帯別平均風向風速

これらのうち雲海の形成消滅に関連するもの

は最後の「アメダス生野の日曜日 16-23UTC に強

まる風」だけですがその成分は風速 010~

013msの南西~西南西風と推測されます

なおこの日曜日 16-23UTC の和田山の全曜日

平均と比べて強まる成分は風速 003~011ms の

南南東~南西風と推測され生野での日曜日の特

異風とのシアを考慮しますとアメダス生野を抜

けた風の一部はアメダス和田山に至らずに中間で

とどまっていると考えることができます

なお雲海が発生しやすい時期に限ってみれば

この時間帯の生野の平均気温の差は次のとおりで

す生野と和田山の標高差が 240mなので標準大

気の気温減率 65Kkm相当の気温差が 015程度

であることを考えると平均的には寒気移流が生

じていると考えることができます(縦月横

UTC 時網掛けは平均気温差>015の時間帯)

16 17 18 19 20 21 22 23

9 -04 -05 -04 -05 -04 -05 -05 -05

10 -03 -02 -03 -03 -03 -04 -03 +01

11 00 -06 -04 -04 -03 -02 -02 -02

12 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -09

図5両地点の時間帯月別気温差(日曜日)

【結論】

月曜日の早朝に強まるのみ南西風の成分が生野

で観測されており寒気移流が強まることで竹田

城跡付近で雲海が発生しやすくなると思われます

4 今後の課題

今回の考察はアメダス観測値から平均的な傾

向を調べるにとどまっていますきめ細かい観測

を行い雲海の発生解消メカニズムを把握するこ

とが必要と考えています

また実際の発電所の稼働状況の変化を踏まえ

今後もこのような気圧傾度風が確実に発生すると

いえるのか見極めが必要と考えます

【参考にした資料】

関西電力株式会社和田山町観光協会の各 WEB サ

イト国土地理院の地形図SUGDASS2データ

02統解-1

直近 28 年間の日本の地表から高層の気温変動傾向

内山 常雄(神奈川支部)

1 はじめに

著者はこれまで日本の年平均気温の変動を調べて

きたがそれらの発表に対して①気温の測定機材や

測定頻度が変更されてきた②すでに地表から高層の

再解析データがあり限られた地点の地表の気温を

解析する意味はないといった指摘を受けた

第 46 回メソ気象研究会のテーマは「擬似温暖化実

験のメソ気象研究に対する可能性」であったがそこ

では「対流圏の気温は高層ほど上昇し成層圏は寒冷

化する」が前提とされていた

容易に入手できる高層の気温データからそのよう

な結論が得られるか調べ地上の気温変動予測への

利用可能性を探ることが本研究の目的である

2 気象庁の高層気象観測の変遷

気象庁の高層気象観測の変遷については詳しい解

説がある1)2)それによると観測機種の交換が何

度かあり同一時期でも観測点によって異なる機種

が使用されていることもある気温の測定はバイメ

タル式サーミスタ温度計静電容量ワイヤ温度計と

変遷した日射補正の方法の改良や吊紐の長さの7

m15m30mへの変更もあった高層気象観測

はそもそも高度方向の変化を調べるための測定で

時系列的にデータを見る目的で使われるようになっ

たのは気候変動が問題になった近年からだという

現在気象庁のホームページで閲覧できる高層気象

観測データは 1988 年以降でありその間 RS2-80 型

サーミスタ温度計から RS2-19型サーミスタ温度計を

経て RS92-SGP型静電容量式ワイヤ温度計へと測定機

器は変遷しているその変遷期日は観測点ごとに異

なる

RS2-80 型以前の測定値は00UTC と 12UTCの測定

値の差が高度が高くなるにつれて拡大するなど日

射補正に問題があるというが1988 年以降のデータ

ではこの点の問題は発生しない

3稚内 9 時の月平均気温の推移

気象庁の地上の気温観測点は 900 か所ほどあり

10 分ごとの気温データが得られるが気温変動予測

の解析には 15地点の日平均気温や月平均気温などを

解析してきた高層の気温のデータは国内で 20 観測

点のデータがあり1988 年以降の 9 時と 21 時の高

度方向の測定値が気象庁のホームページで閲覧でき

るただこのデータの処理は難しいので指定高度

面の月平均値を解析した指定高度面は 1000hPa か

ら 5hPa まで 25 面あるが925hPa10 及び5hPa 面

のデータには欠測があるここでは 1000hPa から

20hPa までを解析対象としたデータはマイクロソフ

トエクセルを用いて解析した最初に稚内について

調べた

図1 稚内 9 時 2 月の平均気温の推移

図 1 に稚内の 9 時の 2 月の平均気温の 1988 年から

2016 年の地上から 20hPa までの推移を図 2 に同じ

く 8 月の推移を示した

図2 稚内 9時 8月の平均気温の推移

一番上の線が地上で下に向かって高層のデータで

下の方で線が密集しているところは成層圏である

02統解-2

対流圏では地上と高層の変動に類似性がある

8 月は 2 月と比較して地上の気温が 20上昇し

成層圏との圏界面の気温が 10下がりグラフの上

下の幅が約 30拡大している8 月の地上と高層の

変動の相関は 2 月より低いように見える

地上と高層の気温の相関係数を計算すると10 月

から 4 月までの(寒候期)は相関係数 07 以上の高

度が 600hPa まであるが5 月から 9 月の(暖候期)

は 800hPa までであった(定義と異なりかっこ付)

4稚内 9 時と 21 時の月平均気温の差

9 時の気温の測定値は日射の影響を受け21 時は

その影響がないので測定値の信頼性が高いという2)

公開されているデータは日射補正後のものとされる

が稚内の 9 時と 21 時のデータを比較しそれらの差

を調べた1981 年以降この差は小さいとのことだ

が年間平均では地上は 9 時の方が約 05高く

900hPa 前後は 21 時の方が約 05高く高層に向け

てその差を縮めながらも 21 時の方が高い30hPa か

ら上では再び 9 時の方が高くなる

51988 年から 2016 年の間の変化傾向

稚内について対流圏は高層ほど気温が上昇し成層

図3 稚内 9時 200hPa8月の月平均気温の推移

圏は気温が低下するという傾向が表れているかを各

図4 稚内 9時の各月各高度の気温変化傾向

指定高度面で調べた 9 時 200hPa の 8 月の例を 図

3に示す各月各高度面の結果を 9 時について図

4に21 時の結果を図5に示す夏場は前述の傾向

が表れているが冬場はその傾向がつかみにくい

図5 稚内 21時の各月各高度の気温変化傾向

6その他の観測点の月平均気温の推移

その他の観測地点の例として南鳥島の 9 時の各

月の気温変化傾向を図6に示す

図6 南鳥島 9時の各月各高度の気温変化傾向

南鳥島では成層圏の低温化傾向がいずれの月で

も認められる

7今後の研究方針

国内の 20 高層観測点すべてについて解析し地域

別の傾向をとらえ地上気温変動推定への利用法を

考える

5参考文献

1)阿部豊雄2015気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 1部 高層気象観測の変遷

天気62161-185

2)阿部豊雄2016気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 2部 観測値の特性天気

63267-295

02統解-2

神奈川支部田園調布学園中等部高等部 2 千葉支部 3 北関東支部 4 東京支部 5 神奈川支部

生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)

荒川 知子関 隆則2池上 榮3大野 昭彦4遠藤 君江5

1はじめに

筆者は勤務校である田園調布学園の土曜プログ

ラムにおいて「やってみよう天気予報」と題した気

象の講座を2004 年より主催してきた(荒川 2010)

その中で生徒の主体的活動を重視することが気

象特に気象防災における生徒の意識を向上させる

ことができることを提示した(荒川 20152016)

これまでに日本気象予報士会会員の協力を得

て新たな 3 つの講座を開発し一定の成果が得ら

れた3 件のうちクロスロードによる防災意識の

向上については2016 年度日本気象学会秋季大会に

おいて発表済みであり今回はそれ以外の 2 件につ

いて報告する

2 実施内容

2-1 高層天気図予想図を使った天気予報

1) 概要

1 コマ 65 分の講座を 2 週にわたり連続で実施し

受講者は中 1 から高 1 までの 30 名であり8 班編制

とした

1 週目は天気予報のしくみについて簡単に講義

し当日朝の天気図予想図を使用して図の貼り

合わせや着色の方法について練習を行った

2 週目は当日朝の天気図予想図を配布して

前週と同様の作業をし翌日の予報を作成して発表

させた

2) 方法

①SUGDaSS より当日朝の FAFE502FXFE504

FXFE5782FXFE584 を入手し時系列高度の

順に 貼り合わせる

②日本列島の位置を着色し確認する

③500hPa-9-12等温線を赤で着色する

④700hPa 湿域を着色する

⑤予報したい地域の 850hPa を通る等温線を赤で

着色する

⑥地上で降水が予想される地域を着色する(図

1)

⑦予報したい地域の 500hPa 気温700hPa の湿り

具合850hPa 気温をワークシートに書き入れ

⑧850hPa 気温に 9 を加え地上気温を予想する

⑨500hPa 気温と地上気温の差をワークシートに

記入する

⑩ワークシートに予想を記入する

図 1 天気図に着色しながら予報を考える

3) 注意点

次のような点に着目して生徒に予報文を作成さ

せた

①500hPa と地上の気温差が 30以上であれば不

安定と考える

②700hPa が湿っていても地上に降水が予想され

ていなければ曇り700hPaが湿っており地上に

も降水が予想されていれば雨と予想する

③予報を作成したら予報に合わせ生活上の注

意点を予報文に盛り込む

2-2 お天気紙芝居の作成

1) 概要

65 分の講座 1 コマで実施した

受講者は中 1 から高 2 までの 20 名であった

ストーリー作成のため本校の生徒が作成したキ

ャラクターである「なでりん」を主役とし「なで

りんの 1年間」というタイトルで小学校低学年の児

童に説明することを目標とした

2) 方法

①受講者を 4 名ずつ 5 グループに分け更にその

中で 2 名ずつのペアを作らせた

②季節を春梅雨夏秋冬の 5 つに分け各

グループが 1 つの季節を担当した

③各季節の天気の特徴と防災事項をそれぞれの

ペアが担当しそれぞれ相談しながら紙芝居の

絵と説明を作成した

④1 年分の紙芝居を集め講師がコメントを入れ

発表した

3) 注意点

天気の特徴を担当するペアには典型的な 10 種

類の天気図を印刷して配布し絵の中に天気図を組

み入れさせた配布した天気図には日付を入れず

04授業-12

その季節の天気図として妥当なものを生徒自身に

判断させた

3教育効果

どちらの講座においても生徒が積極的に取り組

む姿勢が認められた

天気予報においては生徒は高層天気図にふれる

のが初めてであり大気の立体構造を理解した上で

予報に取り組んではいないしかし単に低気圧の

移動から雨域の移動を類推するのとは異なり予報

時刻の予想図から必要事項を読み取り予報を作成

することでより実感を持って予報に取り組めた様

子が伺えた今回は翌日の東京における予報を作

成した班がほとんどであったが「雨」という班と

「曇り」という班があったこれは地上予想図に

おける雨域の端が東京付近を通っていたことで雨

と判断した班と曇と判断した班とに分かれたもの

である根拠も含めて説明させたので生徒が確か

な裏付けを持って予報しようとする姿勢を持てた

ことそれを生徒自身の言葉で表現できたことが成

果である

通常の授業では与えられた問いに対し想定で

きる答が用意されていることが多く生徒は常に

「正解を知る」ことを求めがちであるしかしこ

れからの社会においては正解の無い問いに取り組

む姿勢が重要である天気予報はまさに「正解の分

からない問い」であり結果は翌日以降の予報時刻

になって初めて確かめられる予報士が実際に取り

組む方法を体験することで答が見えない問いに対

しても答を準備しなくてはならないことの難しさ

を生徒が体感することができた

紙芝居の作成においては生徒が自分たちの言葉

で季節や防災を表現するoutput による理解の深化

と興味の喚起が主な目的であったOutput のために

は生徒自身がその内容を理解しさらに人に伝え

るための工夫が必要である対象を小学校低学年程

度としたことで生徒が伝えるポイントを絞り簡

潔な言葉で伝えることを意識できた生徒は予想以

上に積極的に取り組んでいた

新しい指導要領においては答の無い問いを解決

し人との交わりの中でそれを活かそうとする力-

21 世紀型スキル-の育成が課題となっているこの

講座はまさに 21 世紀型スキルの育成を目指すも

のである

4今後の展開

4-1 高層天気図予想図を使った天気予報

予報時刻予報地点を生徒に選ばせたため「翌

日の東京」の天気を予想した生徒が大半を占め他

の地点を選んだのは高校生 2 名のみであった予報

時刻や予報地点をグループごとに指定することで

生徒が地域的な広がりや時間変化を感じより実感

を持って予報に臨めるものと思われる

またこの講座では実施時期により天気図を見

るポイントが異なってくる夏であれば上空の気温

に着目して不安定を検出する低気圧の通過時であ

ればその予測をするなどのテーマが考えられる

当日の状況により着目点が異なってくることから

ワークシートを直前に作成する必要がある既成の

ワークシートをそのまま利用できず着目点をその

都度確認することは気象予報士としての技術研

鑽にも繋がることとなる

4-2 お天気紙芝居

「なでりんの一年間」として一年間の季節の流

れとそれぞれの季節ごとの防災事項を生徒に考え

させた

季節ごとの防災事項を認識することは大切であ

るが台風大雪など防災事項を具体化するには

テーマが大きかったともいえる今後「防災」に

焦点を当て大雨大雪台風等テーマを決めた

上で各グループが防災事項を検討しそれを紙芝

居の形で表現することでさらに「防災に役立つ」

という意識を生徒に喚起することが可能である

なお今回は時間の関係で最後の発表は講師が

行ったが2 コマの連続講座として展開し生徒自

身に発表させればさらに生徒が主体的に取り組め

るものと考えられる

4-3 講座の構築

いわゆる出前講座のお天気教室においては講師

側と受講者側が初対面であることも多いそのた

め講師側が受講者の基礎知識や講座に対する参加

意識を把握できずに講座を進めなくてはならず生

徒を主体的に行動させることが難しい場合もある

開発した 2 つの講座は年齢や生徒の基礎知識によ

らず受講者が主体的に行動することで達成感を得

られるものである

今後中高生に限らず成人向けにもこのような

手法を用いた講座を実践することで気象に対する

興味や知識がより深まるものと考えられる

5まとめ

中高生に対し気象予報士の業務を疑似体験させ

て高層天気図を用いた予報を行わせたり防災を

伝える工夫をさせたりすることで気象や防災に対

する生徒の意識が向上することが分かった

参考文献

荒川知子(2010)奨励賞を受賞して天気 35-37

荒川知子(2015)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上日本気象学会秋季大会予

稿集

荒川知子(2016)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上(2)日本気象学会秋季大会

予稿集

04授業-12

大気圧に対する見方を変える -『空気分子(N2や O2など)の運動』の視点で-

槇 野 泰 夫(東海支部)

1 はじめに

「地表付近の物体は空気

の重さによる圧力を受けて

いる圧力はあらゆる面に

対して垂直である」と「大

気の柱の図解」(写真1)と

ともに大気圧について中学

で学習している

「室内では空気の柱が

天井や机の下までしかない 写真1 大気の柱の図

これで屋外と同じ気圧確かに1気圧だが」と

腑に落ちないでいた空気分子があらゆる方向に圧力

を与えているという漠然とした考え方や実験結果から

私はなんとなく納得()していた

釈然としない気持ちを解決すべく教材開発の日々に

木村龍治先生のご指導を受ける機会があった『空気分

子の運動』から見た大気圧に対する見方である私の長

年のもやもやはすっきりと解消された

教員養成の大学で教える機会があり理科研究の地

学を担当し『空気分子の運動』を視点にした「大気圧

による現象」の講義をすることにしたここに報告する

2 『空気分子の運動』から見た大気圧の現象

① 大気圧によって力を受ける現象

下敷きの中央部分に摘み

を取り付け机などの滑ら

かな面に置いて摘みを引

き上げようとすると下敷

は取れなくなる(写真2)

ほとんどの大学生はこ 写真2 摘み取れない下敷

の現象が大気圧によるものである

ことに気付かない「下敷きの上に

あるものは下には」などと考

え進めていくと半信半疑ながら

大気圧に気付く身近にある下敷

きで大気圧による現象を実感し

かなりの衝撃を受ける 写真3 壁に張り付く下敷

さらに下敷を壁などの側面に張り付く現象(写真3)

も体験させると衝撃を受け驚く「大気圧」と自

信なくつぶやく大学生がいるが多くは「」

ここで空気中を飛び回る N2や O2などの分子の存

在(図1)に視点をあてる空気分子の量は地表に近い

程多いN2やO2な

どの分子は秒速

450m 近くの速度

で物体の表面に衝

突し瞬間だけの力

を与え分子の集団

効果で圧力となる

この圧力が大気圧 図1 飛び回る空気分子の存在

であるという見方を示す

机の上の下敷き(写真2図1A)が摘み取れない現

象や下敷が壁に張り付く現象(写真3図1B)を学

生は『空気分子の運動』から容易に理解した以下の感

想から読み取れる

<学生の感想>

〇 空中にある物にはいろいろな方向から分子が衝突

するので全方向から圧力がかかっているなるほど

〇 空気の分子が下敷きに一方的に高速でぶつかるこ

とがわかりすごい力で取れないことを肌で感じた

〇 大気圧は上にある空気の押す力によるものだと思

っていたしかし空気分子の運動で考えると室内

でも屋外でも差がないことや横から押す圧力も同じ

ように生じていることが矛盾なく理解できた

〇 空気分子の運動はすごく納得ができより理解が

深まった

<考察>

空気中の下敷きはあらゆる方向から同じ圧力を受

けるので重さ以外の力を感じないしかし下敷きに

空気分子が一方的に衝突するようにすると大気圧を

一方的に受け大きな力を感じさせることができる大

気圧を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は大気圧を動的に見せる

ことができあらゆる方向から大気圧がかかることを

理解させるのに有効な見方となっている

B

A

04教育-5

② 圧力差から生じる力によって起こる現象

箱の周りの空気分

子と同じ密度の空気

分子を閉じ込めた容

器(図2C)がある

この容器内の空気

分子の密度が内と外

で差が生じるように

空気の量を減らすと 図2 空気中の容器

容器(図2D)はどのようになるかを考えさせた

「空気分子の量が減るため内側から押す力が弱まり

周りから力がかか

り凹む」と多くの

学生は予想した

ラップフィルム

で蓋をした容器か

ら逆流防止弁を付

写真4 減圧した図2Dの実験 けて(写真4)のよ

うに空気を減らし圧量差が力を生む現象を示した

次に容器(図2C)を上空(図2E)へ移動すると

どうなるかの問いに「容器は内部から外に力がかかり

膨らむ」と答えていたこの(図2C)から(図2E)

への移動は空気の上昇膨張の現象となり水蒸気の

凝結雲の発生の話につながる重要な過程である

<学生の感想>

〇 あんなにラップが凹み硬くなったことが衝撃的

だった空気分子の動きが見えるようだった

〇 空気が減っていく様子が目の前で分かり空気分

子の圧力の強さをパンパンになるラップで感じた

〇 空気分子の量の違いによって力が生じ凹んだり

膨らんだりすることがわかったわかりやすい

<考察>

硬く凹むラップフィルムパンパンになるラップフ

ィルムなどの記述から『空気分子の運動』という見え

ないものをラップフィルムの様子の変化から捉えてい

る圧力差を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は容器内外の空気分子の

密度(量)の違いを圧力差と関連付け圧力差から生じ

る力を理解させるのに有効な見方となっている

空気の上昇膨張の現象は仕切りのある容器の現象

ではない温度低下との関係も説明しきれていない

③ 気圧差で起こる広範囲の現象

図3 連通管の模式図 写真5 圧力差のある連通管

連通管(図3)の入り口で圧力差を作るとどうなるか

を考えさせた大学生は圧力差を空気分子の量の違い

で捉え水面の変化を容易に考えることができた

(写真5)は圧力差があるときの水面の様子である

海洋など広い範囲では水平方向に気圧差が生じる

ことがある高気圧や低気圧(台風)などの気圧配置が

これにあたる図4を示して高潮の様子を類推させた

図4 海洋など広い範囲での気圧差

<学生の感想>

〇 連通管の実験を踏まえて空気分子の運動で考え

ると自然界で起きている現象(高潮)がわかった

〇 大きなスケールの実験はできないが小さなスケ

ールの実験から空気分子の運動で推測できた

<考察>

連通管の水位は空気分子の量と圧力との関係を明

確に捉えさせることができ圧力差を意識させる有効

な実験である

『空気分子の運動』の見方は水平方向に気圧差があ

る広い範囲の現象を理解させるのに有効な見方とな

っている

3 おわりに

『空気分子の運動』の視点で考えることに対して

147名の大学生の 68が「よくわかる」32が「やや

わかる」(あまりわからないぜんぜんわからないは 0)

と回答している中学で学習した「大気の柱」の見方に

加えて『空気分子の運動』の見方で考えさせることは

大気圧に対する理解を深めさせることになると考える

こうした実践に至るまでのきっかけを与えてくださ

った木村龍治先生のご指導に感謝を申し上げます

C D

E

04教育-5

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 4: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況

日本気象予報士会 静岡支部 藤井 聡

1はじめに

関東南部に降雪をもたらす気圧配置にはいくつかのパター

ンがあると考えられる(例えば藤井 2010)がその代表的

なものは南岸低気圧による降雪でありたびたび当地方に大

雪をもたらすことがある南岸低気圧による降雪を予想する

ことは雪に弱い首都圏にとって重要な意味を持つそこで

スグダス2((株)ウェザーニューズ提供)にある850hPa~1000hPa予想図から降雪を予想し実況について考察した

2 南岸低気圧による降雪のメカニズム

関東南部の降雪について加藤(2014)によれば高度500m の気温をみると関東地方平野部では南岸低気圧通過前には

0以下に下がりこの下層寒気吹き出しが関東の低温や南岸

低気圧発生に寄与していると考えられているまた冨山

(2001)は降雪時に館野の上空930~970hPa付近に安定層

を確認しているが大雪時にはこの安定層はしばしば逆転層

となり850hPa気温よりも低い場合がある(藤井 2010) この安定層は上空からの降水が内陸に滞留した下層だけ

の乾いた気塊を加湿しこの気塊が蒸発の潜熱吸収によって

急冷却されることを報告している(冨山 2001)さらに降

水粒子の蒸発によって急激に冷却された地域には局地高気圧

が形成され東京の気温降下のおもな部分は北北西からの寒

気移流によることを報告しているがこの移流は上記の局地

高気圧によるものであり降雪時に秩父付近に発生すること

が多くここからの下層寒気吹き出しが北北西の風になって

関東南部に入り当地方では急速に気温が下降するようであ

る(藤井 2010) こうしたメカニズムから降雪を予想するにあたって以下

の条件から予想を考える

(1) 総観場と降水について ① 冬型がくずれ日本海から三陸沖は高圧部となり低

気圧が南岸を発達しながら東北東進し関東地方では

内陸部まで降水となる

② 降水に伴い局地的高気圧が内陸に発生し東京など

関東南部で地上風向がほぼ北北西となる

③ 短期予報ではMSMとの予想一致が見られる

(2) 気温について ① 850hPa気温が0以下である(降雪の目安は-6

とされるが実際にはこれより高くても雪になる例が

多く報告されている)

② 950hPa気温が0以下である(850hPa以下も0以下だが900hPa付近から地上にかけ安定層となる)

③ 950~1000hPaは0前後なら降水が雪となる場合

がけっこう多く雪質を決める

これらを基にして東京における降雪についてスグダス2を

用い関東南部で降雪のあった事例(2014年2月8日同14日2016年11月28日)の予想図と実況を報告する

3 降雪予想と事例

(1) 2014 年 2 月 8 日の事例

南岸低気圧が

発達しながら通過

し(図1)気温が

低く日中は氷点

下となって当地方

では20cmを超え

る大雪となった

東京では27cmの

積雪となった関

東南部では警報が

発表された所も多

かった 図1 ASAS 2014年2月8日09時JST

この 0800Z(2 月 8 日 09 時 JST)についての予想につい

て前述の通り FT=108 から追ってみたまず850hPa 気温

は東京付近で 2ぐらいだが南岸低気圧予想だったECMも南岸低気圧だったが 850hPa 気温は 0前後だった

950hPa は 5前後とても雪になる感じでないところが

気温が FT=84 になって大きく下方修正され850hPa は-

5950hPa は-1となりFT=36 では 950hPa が-5前後にも下方修正された(図 2)

図2 8日09時JSTの950hPa気温予想変化 FT=108とFT=84

また地上予想図で降水と局地的高気圧の発生による関東

南部の北北西の風も確認した1000hPa 気温は東京付近で

-1とサラサラの積もりやすい雪と判断した(図 3)また

MSM でも同様な予想図となり予想の一致が見られた

図3 8日09時JSTについてFT=36における地上予想と

1000hPa気温予想 引用元ウェザーニューズ社提供

図スグダス2(ウェザーニューズ社)を引用 以下同じ

02解技-1

(2) 2014 年 2 月 14 日の事例

発達した低気圧(図4)により関東甲信地方では大雪暴風

雪になり最深積雪が甲府で114cmを記録するなど観測史上1位となる積雪と

なった地点が相

次いだ東京でも

27cmの積雪とな

ったが試験観測

が始まっていた

北の丸公園観測

点では39cmもの

最深積雪が記録

(出典東京管区

気象台ホームペ

ージ)された 図4 ASAS 2014年2月14日21時JST

この 1412Z(2 月 14 日 21 時 JST)についての予想につ

いて FT=120 から追ってみたまず850hPa 気温は東京付

近で 0ぐらいだったが南岸低気圧予想だったFT=120 で

は 950hPa は 5前後だった気温が FT=96 になってまた大

きく下方修正され0前後となり(図 5)FT=48 では

950hPa が-1前後に下方修正された

図5 14日21時JSTの950hPa気温予想変化 FT=120とFT=96

この雪は 1000hPa 予想が 0前後なので水分が多くなり

そうだ降水量が関東南部に 12 時間降水量の 50mm 線がか

かりこの時期としては非常に多くもし雪として降り続い

たらすごいことになると思ったが低気圧の接近で夜半前後

から雨に変わる可能性が高いと判断し積雪は 10cm 程度か

と最終的に予想したところが低気圧への寒気の引き込み

が激しく雪は南部で未明まで内陸では朝まで降り続き

多摩西部でも積雪が 1m 前後にも達した場所があった(中山

2014図 6 参照)

図6 2014年2月14~15日の積雪情報(中山 2014)

(3) 2016 年 11 月 28 日の事例

東京では11月としては54年ぶりの初雪積雪は史上初とし

て話題となったがこの雪も上記条件が整っていたこの11月東日本ではほ

ぼ平年並みの気温

だったが北日本

の月平均気温平年

差は-21とか

なり低く(統計開

始1946年以降低

い方から第3位)

乾燥した冷たい空

気が関東地方に南

下し影響したと考

えられる(図7) 図7 ASAS 2016年11月24日09時JST これには 950hPa1000hPa の気温が T=84 においてどち

らとも 0以下と異例の予想となり推移を見守ったがT=36でさらに下方修正があった(図 8)

図8 24日 09時 JSTの 1000hPa気温予想変化 FT=84と FT=36

引用元ウェザーニューズ社提供

24 日は関東一円で雪が降った0以下と異例の予想とな

り推移を見守ったがT=36 で気温予想がさらに下方修正と

なった

4 南岸低気圧による雪予想に関する 23の問題点

上記のような条件で当地方が降雪となるものと考えられ

るが雪となる場合気温についての予想が下方修正されて

いく場合が多い(特に T=120~96 前後)ただMSM との

一致が見られない場合雪予想が外れることがよくあるので

注意したい

関東地方の降雪メカニズムとして「内陸に滞留した乾燥寒

気塊が上空からの降水によって加湿されこの気塊が蒸発の

潜熱吸収によって急冷却されて気団変質したこと」(冨山

2001)により雪が降ることが知られている今回の予想

もこのことが基本となっているしかし総観場として日

本海~三陸沖が高圧部となることは必須であると私は考え

ている日本海に前線をともなった低気圧があると雨になる

ことは暖気が日本海まで北上していることで説明はつくが

日本海が高気圧であっても三陸沖に低気圧があるときは雪

にならない場合が多いこのことは気団変質とは別のことと

考えるその意味で日本海~三陸沖の高圧部がもたらす意

味は何か(いわゆる北東気流の影響)さらに研究したい

図スグダス2(ウェザーニューズ社)を引用

02解技-1

- 1 -

投票率に対する天気の影響志摩恭臣(四国支部(徳島))

第1 はじめに

人の日常の行動として天気の良い日は出かける人が多く天気が悪い日は出かけるのを控え

る人が多くなるという経験則がある

選挙における投票日の有権者の投票行動についても天気が良ければより多くの有権者が投票

に行き天気が悪ければ投票所へ足を運ぶ有権者が減ると思われるがまれに報道記事で簡単な

ものを目にすることはあってもこのことについて深く検討した論考はあまり見当たらない

この問題への関心は以前からありいつかこの問題に焦点を当てて検討したいと思っていた

ので今回不完全ながら少しまとめてみた

第2 この問題の難しさ

投票率と天気の関係を検討するにあたっては幾つか難しい問題を孕んでいるその幾つかを

先ず指摘してみる

1 天気が投票率に与える影響の度合は他の要因に比べて大きくはない

図は戦後の衆議院総選挙の投票率の推移

であるがこの上下は天気により定まってい

るのではなく国政における争点の有無大

小や国民の選挙に対する関心の大小など

無論政治本体の事情に主として左右されて

いることは明らかである

したがって天気が投票率に与える影響を

検討するに際してはその影響の寄与は比較

的小さいであろうことを念頭に置かなけれ

ばならない

2 期日前投票制度の存在

平成15年12月1日から期日前投票制度が創設され投票日より前に投票を済ませる有権

者が増加している平成28年7月10日執行の参議院選挙では期日前投票をした人は15

98万人であり全有権者(1億0620万人)の15全投票者(5809万人)の27

5を占めるようになった

したがって投票者の14程度は投票日に投票していない以上投票日の天気には何ら

左右されていないこととなる

3 気象のどの要素が有権者の投票行動に影響するのか

よく言われるのは天気が悪ければ投票率が落ちるというものであるこの言葉をそのま

まの意味に捉えれば天気が悪い日(降水日)と無降水日との間で投票率に有意の差が出ると

いうことになる

しかし一方で他の気象要素も影響する可能性がある①気温(気温の寒暖が人の外出には

影響していると思われる)②積雪(冬季雪寒地域においては晴れていても積雪が残ってい

ればそれが外出判断に影響する可能性がある)③強風④日照などである一方単純に

降水日と言っても「量」(降水量の大小)や「質」(雪か雨かもしくは連続降水が対流性

降水か降水時間の長短など)によりまた事前予報の内容により影響の度合いの大小には

違いがあることが想像できる

4 気象観測の地域代表性の問題

以下の検討においては情報量の充実の面から各都道府県の気象代表値として各地方気象

台(等)の値を用いざるを得なかったしかしある都道府県の地域内全てが同じ気象状態で

あったわけではないものを1地点の観測値で代表させることにやや難があることは論をまた

ない

第3 対象となる選挙

今回検討の対象としたのは次の直近5回の衆議院議員総選挙である

第47回衆議院議員総選挙 平成26年12月14日執行(全国投票率5266)

第46回衆議院議員総選挙 平成24年12月16日執行(全国投票率5932)

第45回衆議院議員総選挙 平成21年08月30日執行(全国投票率6928)

第44回衆議院議員総選挙 平成17年09月11日執行(全国投票率6751)

第43回衆議院議員総選挙 平成15年11月09日執行(全国投票率5986)

第4 検討の手法

投票率に対する天気の影響を見いだすにあたって何を比較対象にするべきか非常に難しい

02事例-1

- 2 -

今回過去5回の都道府県別の投票率を平均しその都道府県別平均投票率を各都道府県の「基

礎投票率」と考え各回の選挙における投票率との差を議論の対象とすることとした

天気については投票日における各都道府県に存する管区気象台地方気象台(北海道は札幌

管区沖縄は那覇気象台で代表させる)の天気概況(6h~18h)を基礎に降水量を加味

して次のように7種類に区分しそれを投票日の当該都道府県の天気とした

晴 天気概況に雨などの降水を表す表記がなく晴時々曇など概ね晴のもの

曇 天気概況が雨などの降水を表す表記がなく曇時々晴など概ね曇のもの

雨 天気概況中に降水を表す表記があり日降水量が10mm以上のもの

小雨 天気概況中に降水を表す表記があり日降水量が10mm未満のもの

大雨 天気概況中に「大雨」の表記があるもの

雪 天気概況中に雪又はみぞれがあり日降水量が10mm以上のもの

小雪 天気概況中に雪又はみぞれがあり日降水量が10mm未満のもの

第5 検討結果

次の表は各衆議院総選挙について天気別に各都道府県の投票率と当該都道府県の「基礎投

票率」の差を単純平均した結果を表すものである(括弧内は都道府県数)

雪 小雪 大雨 雨 小雨 曇 晴

47回 - 1 2 0 6 ( 1 1 ) - 9 5 4 ( 8 ) - - - 1 0 9 8 ( 3 ) - - 9 1 9 ( 2 5 )

46回 - 5 8 2 ( 1 ) - - - 4 0 6 ( 5 ) - 4 2 6 ( 5 ) - 3 0 5 ( 1 0 ) - 2 6 3 ( 2 6 )

45回 - - - 7 2 7 ( 1 1 ) 7 9 2 ( 2 ) 8 2 9 ( 2 1 ) 8 7 5 ( 1 3 )

44回 - - 7 3 6 ( 2 ) 5 7 4 ( 1 9 ) 6 2 9 ( 9 ) 6 0 4 ( 1 4 ) 5 9 3 ( 3 )

43回 - - 1 5 8 ( 1 ) - - 1 3 9 ( 2 9 ) - 0 3 2 ( 1 6 ) - 1 6 3 ( 1 ) -

各回別に総観場の概説と天気別の投票率の差について少し解説する

第47回(平成26年12月14日)

西高東低の冬型で寒気の流入が強く日本海側では雪で大雪のところも

天気別の投票率は晴と雨(小雨)との間に約2の差があるまた雪との間には3程

度の差がある

第46回(平成24年12月16日)

北日本は冬型だが西から緩み気圧の谷が近づく

天気別の投票率は晴に対し小雨雨雪は2~3程度の差があるまた晴と曇との間

にも04~05程度の差がある

第45回(平成21年8月30日)

台風11号が30~31日にかけて房総沖を進む関東地方を中心に荒れた天気

天気別の投票率は晴に対し雨が15程度低いなお台風進路に近い東京都は基礎投

票率との差が500千葉県が567と3近い差があった

第44回(平成17年9月11日)

北陸に前線が停滞し北日本を除き曇や雨の天気

天気別の投票率はやや逆転気味であり「晴」に対し「雨」のみは02程度低いもの

の「小雨」は03程度「大雨」(富山県長野県)に至っては14程度それぞ

れ高かった

(この逆転現象の解釈は難しいが「晴」が3都道府県と少数であったこと上記の表が都

道府県の単純加算平均を用いているところ例えば「雨」に分類されている東京都は422

であり人口を加味した加重平均を用いれば逆転は解消されるかもしれないことそもそも

都道府県別の政局の事情の寄与が大きすぎたことなどが原因として考えられる)

第43回(平成15年11月9日)

前線が日本海から本州の南に南下し全国的に雨模様

天気別の投票率は降水なしに分類された都道府県が1つのみ(佐賀県)なので降水の有

無での議論がしづらい「小雨」に対して「雨」が1程度低くなっていることは明瞭である

第6 まとめと今後

各回ごとに特性の差が大きくまだまだ定量的な議論ができる状況にはないが大雑把に言っ

て降水のない日に対し降水のある日は2程度投票率が落ちる効果があると言えると思わ

れる

しかも降水のある日もその現象がシビアであればあるほど投票率の減少効果が大きいこ

とも分かる(雪や台風接近時であれば3程度の減少)

今後は検討する選挙を増やしこまめな検討と他の気象要素への拡張が望まれるところであ

るが研究成果発表会の席上での議論をお願いしたい

02事例-1

身体の外の気象防災と身体の中の気象防災

全ての病は「気象病」 中國古典醫學理論=気象学天文学物理学

東京支部 小室善隆

1はじめに(研究の動機)

研究のテーマを決定するのに当たりかなり悩みまし

た何故ならこの発表会の募集要項を見ますと「対象

となる研究」は01から08までと決められています

従って私の発表は06にいやその他の08にしよう

かかなり悩みましたどちらにしてもしっくり来ない

のですが中國古典醫學を患者さんなどに説明する時

に「身体の外の異常気象が災害で身体の中の異常気象

が病気だよ」と話をしておりましたそうそこで「身

体の中の気象防災」としました

もう一つは私にとってこれは研究だけではなく余

りにあまりに大きな驚きだったのです中國古典醫學

理論の講義が始まりその内容を聴き始めると何と「あ

んなに苦しんで取得した気象学を再び学び始めるのか」

と思う程全く同じ内容だったのです

それも気象予報士試験問題で言えば「予報業務におけ

る一般知識(法律を除く)」と全く同じなのです逆を言

えば全ての気象予報士は既に中國古典醫學理論その物

を学んでしまっているのですそれも膝上位までサブ

タイトルはこれが理由です

また研究発表に当たりこの会場には気象庁気象

予報士気象学会以外の方がいらっしゃいましたら席を

お外し下さいと建前なのですがこのテーマですと

日本の医師法に違反する事になりかねません何故なら

「治る」と言う言葉が国家試験に合格した医師にしか許

されていないだけでなく不特定多数の一般人に対して

医師ではない者は流布出来ないのです

この様な法律が存在するのは先進国に於いては日本

だけで後は一部のイスラム国家だけです国によって

は西洋医学と東洋医学(中國古典醫學)が対等に窓口を

開いていますもしいらっしゃいましたら気象予報士

の資格を得る為の勉強でとでもして下さい

さて「東洋医学」と表現致しましたが厳密に言うと

「中國古典醫學」ですこの後もし東洋医学と言って

しまった場合には断りが無い限り「中國古典醫學」と読

み替えて下さい

他に昨年のこの発表会において東北支部の岡田みは

るさんが「気象病」について発表されましたそれを聴

いて西洋医学と異なり中國古典醫學理論においては

全ての病を気象病だと考えておりますさらに感染症ま

でをも「温病学」として気象病の一つと考えています

また準備を行う段階で検索を繰り返し鍼灸士で気

象予報士の方も居られる事が分かりましたその方の出

版物の目録を見ただけなのですが過去の理論を並べ直

しただけで何ともしっくり来ませんでした決して誤り

ではないのですが折角気象予報士の資格を取得された

のならば小難しい中國古典理論の用語を今の気象用語で

説明されたらと思います

2中國古典醫學理論

ここから中國古典醫學理論の講義を始めます中國古

典醫學理論の最初の記述は地面に棒を垂直に立てて

その影の長さを測り最も短くなった日を夏至に最も

長くなった日を冬至としますとすると1年は365

日と4分の1日4年で1日分になります1年の36

5日を半分にすると春分の日と秋分の日が決まります

さらにその半分を決めると4立立春立夏立秋立

冬が決まり春夏秋冬が決まりますでも春夏秋冬の

季節の境目に何があるでしょう雨季がありますその

為に4立の前に土用として18日間を決めます従って

1年間の季節が「春夏梅雨(長夏土用)秋冬」

になります

ここで独特と思われている「陰陽」の講義を行います

その陰としての象徴が月であり陽の象徴が太陽になり

ますさらに人間の背中側が陽お腹側が陰身体の

外が陽身体の内側が陰五臓六腑の五臓が陰六腑が

陽男が陽で性器も陽女が陰で性器も陰生まれて来

る赤ちゃんが陰で産む母親は陽さらに太平洋陽気圧に

移動性陽気圧温帯陰気圧に寒冷陰気圧街中の陽イ

オンに森の中の陰イオン春が陽で秋が陰この様に陰

03教育-1

陽は決して象徴では無く常用し常に相対的なのです

決して中国思想の事だけではないのです

中國古典醫學理論に「陰陽五行(月日水火木金土)」

と言う言葉があります「五臓六腑」をこの陰陽五行に割

り当てます春の木に陰の肝臓と陽の胆嚢を夏の火に

陰の心臓と陽の小腸を雨季(梅雨長夏)土用に陰の

脾臓と陽の胃を秋の金に陰の肺臓と陽の大腸をそし

て冬の水に陰の腎臓と陽の膀胱を割り当てます何故は

時間の関係上省略しますこれらを図の上に置きますと

上に腎臓右に心臓下に心臓左に肺臓そして真ん

中に脾臓を置きます何とこの配置は仏教曼荼羅図の金

剛界の配置と同じになりますまた地球の北半球に於い

ては何処へ行っても同じになります

3病気(症状)と気象注意報警報との関係

私が10代後半から20代後半にかけて4回の親族

の葬式を行なった記憶がありますそこで坊主様が言わ

れたお説教が忘れられないのですそれは「本来人間に

病は無い」と言われた事です直ちに腹の中で「嘘だ

皆病気で死んでいるそれも治せないで」ここに来られ

ている聴衆の皆さんが不特定多数の場合は私のこの発言

が医師法違反になってしまう可能性があります

横道に反れましたが元に戻って世界最古の中國古典

醫學理論は世界最新の気象学とこの様に寸分たがわず同

じだったのです違うと言えばせいぜい身体の内と外

位の違いしか思い当たりませんいやもう1つありま

した先に触れた太陽高度の計測方法です

気象予報士が毎日繰り返し発表している気象予報は

何を出しているのかです表現は中國古典醫學理論の

都合の良い様に順番は変えますが「明日の風はどんな

暑い雨晴それとも寒い」ですいや波浪があると

言われるのであればそれは風が原因でしょうこれらを

内臓に割り当ててしまったのが「中國古典醫學理論」だ

ったのですそしてその動作作用効果結果を陰

陽五行で考えるとどれを取っても説明に都合が良いので

そして極一部ですが西洋医学において中國古典醫學

理論が結果として証明されています余計な事ですが

それでも中國古典醫學を否定されるのであれば漢方薬な

んて使わないで欲しいです生薬の無駄遣いです

自然界に対して発表される気象防災の注意報警報の

1つに大雨洪水注意報警報がありますこれらも人

間の身体の中において存在します注意報は「肺気腫」

であり警報は「肺水腫」になります肺に病気を発症

させていますが悪いのは大雨と低温なのです他にも

大雨低温強風注意報はリューマチ大雨高温強風注意報

はアトピーと言う具合に消防庁の管轄にはなりますが

火災警報もありますこの場合には心臓や脳の病気にな

ります注意報警報の中には自然界には存在せず人間

の身体の中にだけある気象災害もあります低温大雨火

災警報です

まさに全てが気象病そのもので身体の中の注意報警

報は何と病気(症状)の治療方法を示しているのです

先の低温大雨火災警報は各種の癌ですさらに癌の治療

方法は遥か2世紀には開発されておりましたしかも薬

までありますが残念ながら大方の西洋医学の先生方

は当然の事中國古典醫學理論を知らない筈つまり

気象学を知らないからです従って西洋医学の先生方

に取り扱える代物ではありませんですが気象予報士

で西洋医学の諸先生方は中國古典醫學理論の基礎を学ん

でしまったのであり中國古典醫學理論を否定する事は

出来ないはずですぜひ一歩進めて下さい

気象学中國古典醫學のそれぞれの文献は多数ありま

すが気象学と中國古典醫學を直接結びつける参考文献

は現在の所は殆ど或いは全くありません

ここへ出る勇気を頂いたのは1年余り前に亡くなら

れた元千葉支部長根本由紀子さんにお会いしたお陰

ですご冥福をお祈りします

03教育-1

揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察

日本気象予報士会 上田博康

1 研究の動機

兵庫県朝来市に位置する国史跡竹田城跡は標

高 354mの山頂に南北 400m東西 100mに及ぶ全

国屈指の石垣遺構であるとともに麓の円山川に

秋から冬にかけて発生する雲海に浮かぶ姿が「天

空に浮かぶ城」と称され近年観光地として注目さ

れていますただしこの雲海が見られるのは夜

間の放射冷却次第であるといわれており旅行計

画を組むうえでリスクが高いといえます

今回は竹田城跡の南側にある揚水発電所であ

る奥多々良木(おくたたらぎ)発電所および大河内

(おおかわち)発電所が日および週サイクルで稼

働することから雲海が発生しやすいあるいは発

生しにくい曜日があるのかどうか考察を試みた

ものです

図1兵庫県図における竹田城跡発電所の位置

図2アメダスダム竹田城跡の位置と標高

2 研究方法

揚水発電所が発電を行うと上部ダムの水位が

低下し下部ダムの水位が上昇しますがこのこと

は地表面近くに低気圧と高気圧が発生することを

意味します逆に電気を使って揚水を行うと上

部ダムで高気圧と下部ダムで低気圧が発生すると

考えられます発電所の運転は電力需要バランス

が最も厳しいあるいは余裕のある時間帯に集中し

ますから特定の曜日時間帯にのみ強まる風が観

測されれば発電所の稼働に伴う気圧傾度風との

関連が考えられます

そこで2007年1月から 2016 年 11月までのア

メダス和田山とアメダス生野の風向風速の1時

間値から風速の東西成分南北成分を算出し曜

日時間ごとに平均値を取り同時間平均値が曜日

によって差がないか確認を行い特に深夜早朝の

特異な風が雲海に与える影響を考察します

02統解-1

3 研究成果の概要

アメダス2地点の風速を 24 時間times7 曜日に分け

て平均を取り「全曜日平均と比べて合成風速が

01ms 以上ずれた状態が3時間以上続く」特異な

条件の曜日時間帯は次のとおりでした

【アメダス和田山】

月曜日 1-3UTC(月曜日 10~12時)

月曜日 5-8UTC(月曜日 14~17時)

土曜日 23UTC-日曜日 1UTC(日曜日 8~10時)

図3アメダス和田山の時間帯別平均風向風速

【アメダス生野】

水曜日 2-4UTC(水曜日 11~13時)

日曜日 16-23UTC(月曜日 2~7時)

図4アメダス生野の時間帯別平均風向風速

これらのうち雲海の形成消滅に関連するもの

は最後の「アメダス生野の日曜日 16-23UTC に強

まる風」だけですがその成分は風速 010~

013msの南西~西南西風と推測されます

なおこの日曜日 16-23UTC の和田山の全曜日

平均と比べて強まる成分は風速 003~011ms の

南南東~南西風と推測され生野での日曜日の特

異風とのシアを考慮しますとアメダス生野を抜

けた風の一部はアメダス和田山に至らずに中間で

とどまっていると考えることができます

なお雲海が発生しやすい時期に限ってみれば

この時間帯の生野の平均気温の差は次のとおりで

す生野と和田山の標高差が 240mなので標準大

気の気温減率 65Kkm相当の気温差が 015程度

であることを考えると平均的には寒気移流が生

じていると考えることができます(縦月横

UTC 時網掛けは平均気温差>015の時間帯)

16 17 18 19 20 21 22 23

9 -04 -05 -04 -05 -04 -05 -05 -05

10 -03 -02 -03 -03 -03 -04 -03 +01

11 00 -06 -04 -04 -03 -02 -02 -02

12 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -09

図5両地点の時間帯月別気温差(日曜日)

【結論】

月曜日の早朝に強まるのみ南西風の成分が生野

で観測されており寒気移流が強まることで竹田

城跡付近で雲海が発生しやすくなると思われます

4 今後の課題

今回の考察はアメダス観測値から平均的な傾

向を調べるにとどまっていますきめ細かい観測

を行い雲海の発生解消メカニズムを把握するこ

とが必要と考えています

また実際の発電所の稼働状況の変化を踏まえ

今後もこのような気圧傾度風が確実に発生すると

いえるのか見極めが必要と考えます

【参考にした資料】

関西電力株式会社和田山町観光協会の各 WEB サ

イト国土地理院の地形図SUGDASS2データ

02統解-1

直近 28 年間の日本の地表から高層の気温変動傾向

内山 常雄(神奈川支部)

1 はじめに

著者はこれまで日本の年平均気温の変動を調べて

きたがそれらの発表に対して①気温の測定機材や

測定頻度が変更されてきた②すでに地表から高層の

再解析データがあり限られた地点の地表の気温を

解析する意味はないといった指摘を受けた

第 46 回メソ気象研究会のテーマは「擬似温暖化実

験のメソ気象研究に対する可能性」であったがそこ

では「対流圏の気温は高層ほど上昇し成層圏は寒冷

化する」が前提とされていた

容易に入手できる高層の気温データからそのよう

な結論が得られるか調べ地上の気温変動予測への

利用可能性を探ることが本研究の目的である

2 気象庁の高層気象観測の変遷

気象庁の高層気象観測の変遷については詳しい解

説がある1)2)それによると観測機種の交換が何

度かあり同一時期でも観測点によって異なる機種

が使用されていることもある気温の測定はバイメ

タル式サーミスタ温度計静電容量ワイヤ温度計と

変遷した日射補正の方法の改良や吊紐の長さの7

m15m30mへの変更もあった高層気象観測

はそもそも高度方向の変化を調べるための測定で

時系列的にデータを見る目的で使われるようになっ

たのは気候変動が問題になった近年からだという

現在気象庁のホームページで閲覧できる高層気象

観測データは 1988 年以降でありその間 RS2-80 型

サーミスタ温度計から RS2-19型サーミスタ温度計を

経て RS92-SGP型静電容量式ワイヤ温度計へと測定機

器は変遷しているその変遷期日は観測点ごとに異

なる

RS2-80 型以前の測定値は00UTC と 12UTCの測定

値の差が高度が高くなるにつれて拡大するなど日

射補正に問題があるというが1988 年以降のデータ

ではこの点の問題は発生しない

3稚内 9 時の月平均気温の推移

気象庁の地上の気温観測点は 900 か所ほどあり

10 分ごとの気温データが得られるが気温変動予測

の解析には 15地点の日平均気温や月平均気温などを

解析してきた高層の気温のデータは国内で 20 観測

点のデータがあり1988 年以降の 9 時と 21 時の高

度方向の測定値が気象庁のホームページで閲覧でき

るただこのデータの処理は難しいので指定高度

面の月平均値を解析した指定高度面は 1000hPa か

ら 5hPa まで 25 面あるが925hPa10 及び5hPa 面

のデータには欠測があるここでは 1000hPa から

20hPa までを解析対象としたデータはマイクロソフ

トエクセルを用いて解析した最初に稚内について

調べた

図1 稚内 9 時 2 月の平均気温の推移

図 1 に稚内の 9 時の 2 月の平均気温の 1988 年から

2016 年の地上から 20hPa までの推移を図 2 に同じ

く 8 月の推移を示した

図2 稚内 9時 8月の平均気温の推移

一番上の線が地上で下に向かって高層のデータで

下の方で線が密集しているところは成層圏である

02統解-2

対流圏では地上と高層の変動に類似性がある

8 月は 2 月と比較して地上の気温が 20上昇し

成層圏との圏界面の気温が 10下がりグラフの上

下の幅が約 30拡大している8 月の地上と高層の

変動の相関は 2 月より低いように見える

地上と高層の気温の相関係数を計算すると10 月

から 4 月までの(寒候期)は相関係数 07 以上の高

度が 600hPa まであるが5 月から 9 月の(暖候期)

は 800hPa までであった(定義と異なりかっこ付)

4稚内 9 時と 21 時の月平均気温の差

9 時の気温の測定値は日射の影響を受け21 時は

その影響がないので測定値の信頼性が高いという2)

公開されているデータは日射補正後のものとされる

が稚内の 9 時と 21 時のデータを比較しそれらの差

を調べた1981 年以降この差は小さいとのことだ

が年間平均では地上は 9 時の方が約 05高く

900hPa 前後は 21 時の方が約 05高く高層に向け

てその差を縮めながらも 21 時の方が高い30hPa か

ら上では再び 9 時の方が高くなる

51988 年から 2016 年の間の変化傾向

稚内について対流圏は高層ほど気温が上昇し成層

図3 稚内 9時 200hPa8月の月平均気温の推移

圏は気温が低下するという傾向が表れているかを各

図4 稚内 9時の各月各高度の気温変化傾向

指定高度面で調べた 9 時 200hPa の 8 月の例を 図

3に示す各月各高度面の結果を 9 時について図

4に21 時の結果を図5に示す夏場は前述の傾向

が表れているが冬場はその傾向がつかみにくい

図5 稚内 21時の各月各高度の気温変化傾向

6その他の観測点の月平均気温の推移

その他の観測地点の例として南鳥島の 9 時の各

月の気温変化傾向を図6に示す

図6 南鳥島 9時の各月各高度の気温変化傾向

南鳥島では成層圏の低温化傾向がいずれの月で

も認められる

7今後の研究方針

国内の 20 高層観測点すべてについて解析し地域

別の傾向をとらえ地上気温変動推定への利用法を

考える

5参考文献

1)阿部豊雄2015気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 1部 高層気象観測の変遷

天気62161-185

2)阿部豊雄2016気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 2部 観測値の特性天気

63267-295

02統解-2

神奈川支部田園調布学園中等部高等部 2 千葉支部 3 北関東支部 4 東京支部 5 神奈川支部

生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)

荒川 知子関 隆則2池上 榮3大野 昭彦4遠藤 君江5

1はじめに

筆者は勤務校である田園調布学園の土曜プログ

ラムにおいて「やってみよう天気予報」と題した気

象の講座を2004 年より主催してきた(荒川 2010)

その中で生徒の主体的活動を重視することが気

象特に気象防災における生徒の意識を向上させる

ことができることを提示した(荒川 20152016)

これまでに日本気象予報士会会員の協力を得

て新たな 3 つの講座を開発し一定の成果が得ら

れた3 件のうちクロスロードによる防災意識の

向上については2016 年度日本気象学会秋季大会に

おいて発表済みであり今回はそれ以外の 2 件につ

いて報告する

2 実施内容

2-1 高層天気図予想図を使った天気予報

1) 概要

1 コマ 65 分の講座を 2 週にわたり連続で実施し

受講者は中 1 から高 1 までの 30 名であり8 班編制

とした

1 週目は天気予報のしくみについて簡単に講義

し当日朝の天気図予想図を使用して図の貼り

合わせや着色の方法について練習を行った

2 週目は当日朝の天気図予想図を配布して

前週と同様の作業をし翌日の予報を作成して発表

させた

2) 方法

①SUGDaSS より当日朝の FAFE502FXFE504

FXFE5782FXFE584 を入手し時系列高度の

順に 貼り合わせる

②日本列島の位置を着色し確認する

③500hPa-9-12等温線を赤で着色する

④700hPa 湿域を着色する

⑤予報したい地域の 850hPa を通る等温線を赤で

着色する

⑥地上で降水が予想される地域を着色する(図

1)

⑦予報したい地域の 500hPa 気温700hPa の湿り

具合850hPa 気温をワークシートに書き入れ

⑧850hPa 気温に 9 を加え地上気温を予想する

⑨500hPa 気温と地上気温の差をワークシートに

記入する

⑩ワークシートに予想を記入する

図 1 天気図に着色しながら予報を考える

3) 注意点

次のような点に着目して生徒に予報文を作成さ

せた

①500hPa と地上の気温差が 30以上であれば不

安定と考える

②700hPa が湿っていても地上に降水が予想され

ていなければ曇り700hPaが湿っており地上に

も降水が予想されていれば雨と予想する

③予報を作成したら予報に合わせ生活上の注

意点を予報文に盛り込む

2-2 お天気紙芝居の作成

1) 概要

65 分の講座 1 コマで実施した

受講者は中 1 から高 2 までの 20 名であった

ストーリー作成のため本校の生徒が作成したキ

ャラクターである「なでりん」を主役とし「なで

りんの 1年間」というタイトルで小学校低学年の児

童に説明することを目標とした

2) 方法

①受講者を 4 名ずつ 5 グループに分け更にその

中で 2 名ずつのペアを作らせた

②季節を春梅雨夏秋冬の 5 つに分け各

グループが 1 つの季節を担当した

③各季節の天気の特徴と防災事項をそれぞれの

ペアが担当しそれぞれ相談しながら紙芝居の

絵と説明を作成した

④1 年分の紙芝居を集め講師がコメントを入れ

発表した

3) 注意点

天気の特徴を担当するペアには典型的な 10 種

類の天気図を印刷して配布し絵の中に天気図を組

み入れさせた配布した天気図には日付を入れず

04授業-12

その季節の天気図として妥当なものを生徒自身に

判断させた

3教育効果

どちらの講座においても生徒が積極的に取り組

む姿勢が認められた

天気予報においては生徒は高層天気図にふれる

のが初めてであり大気の立体構造を理解した上で

予報に取り組んではいないしかし単に低気圧の

移動から雨域の移動を類推するのとは異なり予報

時刻の予想図から必要事項を読み取り予報を作成

することでより実感を持って予報に取り組めた様

子が伺えた今回は翌日の東京における予報を作

成した班がほとんどであったが「雨」という班と

「曇り」という班があったこれは地上予想図に

おける雨域の端が東京付近を通っていたことで雨

と判断した班と曇と判断した班とに分かれたもの

である根拠も含めて説明させたので生徒が確か

な裏付けを持って予報しようとする姿勢を持てた

ことそれを生徒自身の言葉で表現できたことが成

果である

通常の授業では与えられた問いに対し想定で

きる答が用意されていることが多く生徒は常に

「正解を知る」ことを求めがちであるしかしこ

れからの社会においては正解の無い問いに取り組

む姿勢が重要である天気予報はまさに「正解の分

からない問い」であり結果は翌日以降の予報時刻

になって初めて確かめられる予報士が実際に取り

組む方法を体験することで答が見えない問いに対

しても答を準備しなくてはならないことの難しさ

を生徒が体感することができた

紙芝居の作成においては生徒が自分たちの言葉

で季節や防災を表現するoutput による理解の深化

と興味の喚起が主な目的であったOutput のために

は生徒自身がその内容を理解しさらに人に伝え

るための工夫が必要である対象を小学校低学年程

度としたことで生徒が伝えるポイントを絞り簡

潔な言葉で伝えることを意識できた生徒は予想以

上に積極的に取り組んでいた

新しい指導要領においては答の無い問いを解決

し人との交わりの中でそれを活かそうとする力-

21 世紀型スキル-の育成が課題となっているこの

講座はまさに 21 世紀型スキルの育成を目指すも

のである

4今後の展開

4-1 高層天気図予想図を使った天気予報

予報時刻予報地点を生徒に選ばせたため「翌

日の東京」の天気を予想した生徒が大半を占め他

の地点を選んだのは高校生 2 名のみであった予報

時刻や予報地点をグループごとに指定することで

生徒が地域的な広がりや時間変化を感じより実感

を持って予報に臨めるものと思われる

またこの講座では実施時期により天気図を見

るポイントが異なってくる夏であれば上空の気温

に着目して不安定を検出する低気圧の通過時であ

ればその予測をするなどのテーマが考えられる

当日の状況により着目点が異なってくることから

ワークシートを直前に作成する必要がある既成の

ワークシートをそのまま利用できず着目点をその

都度確認することは気象予報士としての技術研

鑽にも繋がることとなる

4-2 お天気紙芝居

「なでりんの一年間」として一年間の季節の流

れとそれぞれの季節ごとの防災事項を生徒に考え

させた

季節ごとの防災事項を認識することは大切であ

るが台風大雪など防災事項を具体化するには

テーマが大きかったともいえる今後「防災」に

焦点を当て大雨大雪台風等テーマを決めた

上で各グループが防災事項を検討しそれを紙芝

居の形で表現することでさらに「防災に役立つ」

という意識を生徒に喚起することが可能である

なお今回は時間の関係で最後の発表は講師が

行ったが2 コマの連続講座として展開し生徒自

身に発表させればさらに生徒が主体的に取り組め

るものと考えられる

4-3 講座の構築

いわゆる出前講座のお天気教室においては講師

側と受講者側が初対面であることも多いそのた

め講師側が受講者の基礎知識や講座に対する参加

意識を把握できずに講座を進めなくてはならず生

徒を主体的に行動させることが難しい場合もある

開発した 2 つの講座は年齢や生徒の基礎知識によ

らず受講者が主体的に行動することで達成感を得

られるものである

今後中高生に限らず成人向けにもこのような

手法を用いた講座を実践することで気象に対する

興味や知識がより深まるものと考えられる

5まとめ

中高生に対し気象予報士の業務を疑似体験させ

て高層天気図を用いた予報を行わせたり防災を

伝える工夫をさせたりすることで気象や防災に対

する生徒の意識が向上することが分かった

参考文献

荒川知子(2010)奨励賞を受賞して天気 35-37

荒川知子(2015)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上日本気象学会秋季大会予

稿集

荒川知子(2016)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上(2)日本気象学会秋季大会

予稿集

04授業-12

大気圧に対する見方を変える -『空気分子(N2や O2など)の運動』の視点で-

槇 野 泰 夫(東海支部)

1 はじめに

「地表付近の物体は空気

の重さによる圧力を受けて

いる圧力はあらゆる面に

対して垂直である」と「大

気の柱の図解」(写真1)と

ともに大気圧について中学

で学習している

「室内では空気の柱が

天井や机の下までしかない 写真1 大気の柱の図

これで屋外と同じ気圧確かに1気圧だが」と

腑に落ちないでいた空気分子があらゆる方向に圧力

を与えているという漠然とした考え方や実験結果から

私はなんとなく納得()していた

釈然としない気持ちを解決すべく教材開発の日々に

木村龍治先生のご指導を受ける機会があった『空気分

子の運動』から見た大気圧に対する見方である私の長

年のもやもやはすっきりと解消された

教員養成の大学で教える機会があり理科研究の地

学を担当し『空気分子の運動』を視点にした「大気圧

による現象」の講義をすることにしたここに報告する

2 『空気分子の運動』から見た大気圧の現象

① 大気圧によって力を受ける現象

下敷きの中央部分に摘み

を取り付け机などの滑ら

かな面に置いて摘みを引

き上げようとすると下敷

は取れなくなる(写真2)

ほとんどの大学生はこ 写真2 摘み取れない下敷

の現象が大気圧によるものである

ことに気付かない「下敷きの上に

あるものは下には」などと考

え進めていくと半信半疑ながら

大気圧に気付く身近にある下敷

きで大気圧による現象を実感し

かなりの衝撃を受ける 写真3 壁に張り付く下敷

さらに下敷を壁などの側面に張り付く現象(写真3)

も体験させると衝撃を受け驚く「大気圧」と自

信なくつぶやく大学生がいるが多くは「」

ここで空気中を飛び回る N2や O2などの分子の存

在(図1)に視点をあてる空気分子の量は地表に近い

程多いN2やO2な

どの分子は秒速

450m 近くの速度

で物体の表面に衝

突し瞬間だけの力

を与え分子の集団

効果で圧力となる

この圧力が大気圧 図1 飛び回る空気分子の存在

であるという見方を示す

机の上の下敷き(写真2図1A)が摘み取れない現

象や下敷が壁に張り付く現象(写真3図1B)を学

生は『空気分子の運動』から容易に理解した以下の感

想から読み取れる

<学生の感想>

〇 空中にある物にはいろいろな方向から分子が衝突

するので全方向から圧力がかかっているなるほど

〇 空気の分子が下敷きに一方的に高速でぶつかるこ

とがわかりすごい力で取れないことを肌で感じた

〇 大気圧は上にある空気の押す力によるものだと思

っていたしかし空気分子の運動で考えると室内

でも屋外でも差がないことや横から押す圧力も同じ

ように生じていることが矛盾なく理解できた

〇 空気分子の運動はすごく納得ができより理解が

深まった

<考察>

空気中の下敷きはあらゆる方向から同じ圧力を受

けるので重さ以外の力を感じないしかし下敷きに

空気分子が一方的に衝突するようにすると大気圧を

一方的に受け大きな力を感じさせることができる大

気圧を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は大気圧を動的に見せる

ことができあらゆる方向から大気圧がかかることを

理解させるのに有効な見方となっている

B

A

04教育-5

② 圧力差から生じる力によって起こる現象

箱の周りの空気分

子と同じ密度の空気

分子を閉じ込めた容

器(図2C)がある

この容器内の空気

分子の密度が内と外

で差が生じるように

空気の量を減らすと 図2 空気中の容器

容器(図2D)はどのようになるかを考えさせた

「空気分子の量が減るため内側から押す力が弱まり

周りから力がかか

り凹む」と多くの

学生は予想した

ラップフィルム

で蓋をした容器か

ら逆流防止弁を付

写真4 減圧した図2Dの実験 けて(写真4)のよ

うに空気を減らし圧量差が力を生む現象を示した

次に容器(図2C)を上空(図2E)へ移動すると

どうなるかの問いに「容器は内部から外に力がかかり

膨らむ」と答えていたこの(図2C)から(図2E)

への移動は空気の上昇膨張の現象となり水蒸気の

凝結雲の発生の話につながる重要な過程である

<学生の感想>

〇 あんなにラップが凹み硬くなったことが衝撃的

だった空気分子の動きが見えるようだった

〇 空気が減っていく様子が目の前で分かり空気分

子の圧力の強さをパンパンになるラップで感じた

〇 空気分子の量の違いによって力が生じ凹んだり

膨らんだりすることがわかったわかりやすい

<考察>

硬く凹むラップフィルムパンパンになるラップフ

ィルムなどの記述から『空気分子の運動』という見え

ないものをラップフィルムの様子の変化から捉えてい

る圧力差を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は容器内外の空気分子の

密度(量)の違いを圧力差と関連付け圧力差から生じ

る力を理解させるのに有効な見方となっている

空気の上昇膨張の現象は仕切りのある容器の現象

ではない温度低下との関係も説明しきれていない

③ 気圧差で起こる広範囲の現象

図3 連通管の模式図 写真5 圧力差のある連通管

連通管(図3)の入り口で圧力差を作るとどうなるか

を考えさせた大学生は圧力差を空気分子の量の違い

で捉え水面の変化を容易に考えることができた

(写真5)は圧力差があるときの水面の様子である

海洋など広い範囲では水平方向に気圧差が生じる

ことがある高気圧や低気圧(台風)などの気圧配置が

これにあたる図4を示して高潮の様子を類推させた

図4 海洋など広い範囲での気圧差

<学生の感想>

〇 連通管の実験を踏まえて空気分子の運動で考え

ると自然界で起きている現象(高潮)がわかった

〇 大きなスケールの実験はできないが小さなスケ

ールの実験から空気分子の運動で推測できた

<考察>

連通管の水位は空気分子の量と圧力との関係を明

確に捉えさせることができ圧力差を意識させる有効

な実験である

『空気分子の運動』の見方は水平方向に気圧差があ

る広い範囲の現象を理解させるのに有効な見方とな

っている

3 おわりに

『空気分子の運動』の視点で考えることに対して

147名の大学生の 68が「よくわかる」32が「やや

わかる」(あまりわからないぜんぜんわからないは 0)

と回答している中学で学習した「大気の柱」の見方に

加えて『空気分子の運動』の見方で考えさせることは

大気圧に対する理解を深めさせることになると考える

こうした実践に至るまでのきっかけを与えてくださ

った木村龍治先生のご指導に感謝を申し上げます

C D

E

04教育-5

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
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(2) 2014 年 2 月 14 日の事例

発達した低気圧(図4)により関東甲信地方では大雪暴風

雪になり最深積雪が甲府で114cmを記録するなど観測史上1位となる積雪と

なった地点が相

次いだ東京でも

27cmの積雪とな

ったが試験観測

が始まっていた

北の丸公園観測

点では39cmもの

最深積雪が記録

(出典東京管区

気象台ホームペ

ージ)された 図4 ASAS 2014年2月14日21時JST

この 1412Z(2 月 14 日 21 時 JST)についての予想につ

いて FT=120 から追ってみたまず850hPa 気温は東京付

近で 0ぐらいだったが南岸低気圧予想だったFT=120 で

は 950hPa は 5前後だった気温が FT=96 になってまた大

きく下方修正され0前後となり(図 5)FT=48 では

950hPa が-1前後に下方修正された

図5 14日21時JSTの950hPa気温予想変化 FT=120とFT=96

この雪は 1000hPa 予想が 0前後なので水分が多くなり

そうだ降水量が関東南部に 12 時間降水量の 50mm 線がか

かりこの時期としては非常に多くもし雪として降り続い

たらすごいことになると思ったが低気圧の接近で夜半前後

から雨に変わる可能性が高いと判断し積雪は 10cm 程度か

と最終的に予想したところが低気圧への寒気の引き込み

が激しく雪は南部で未明まで内陸では朝まで降り続き

多摩西部でも積雪が 1m 前後にも達した場所があった(中山

2014図 6 参照)

図6 2014年2月14~15日の積雪情報(中山 2014)

(3) 2016 年 11 月 28 日の事例

東京では11月としては54年ぶりの初雪積雪は史上初とし

て話題となったがこの雪も上記条件が整っていたこの11月東日本ではほ

ぼ平年並みの気温

だったが北日本

の月平均気温平年

差は-21とか

なり低く(統計開

始1946年以降低

い方から第3位)

乾燥した冷たい空

気が関東地方に南

下し影響したと考

えられる(図7) 図7 ASAS 2016年11月24日09時JST これには 950hPa1000hPa の気温が T=84 においてどち

らとも 0以下と異例の予想となり推移を見守ったがT=36でさらに下方修正があった(図 8)

図8 24日 09時 JSTの 1000hPa気温予想変化 FT=84と FT=36

引用元ウェザーニューズ社提供

24 日は関東一円で雪が降った0以下と異例の予想とな

り推移を見守ったがT=36 で気温予想がさらに下方修正と

なった

4 南岸低気圧による雪予想に関する 23の問題点

上記のような条件で当地方が降雪となるものと考えられ

るが雪となる場合気温についての予想が下方修正されて

いく場合が多い(特に T=120~96 前後)ただMSM との

一致が見られない場合雪予想が外れることがよくあるので

注意したい

関東地方の降雪メカニズムとして「内陸に滞留した乾燥寒

気塊が上空からの降水によって加湿されこの気塊が蒸発の

潜熱吸収によって急冷却されて気団変質したこと」(冨山

2001)により雪が降ることが知られている今回の予想

もこのことが基本となっているしかし総観場として日

本海~三陸沖が高圧部となることは必須であると私は考え

ている日本海に前線をともなった低気圧があると雨になる

ことは暖気が日本海まで北上していることで説明はつくが

日本海が高気圧であっても三陸沖に低気圧があるときは雪

にならない場合が多いこのことは気団変質とは別のことと

考えるその意味で日本海~三陸沖の高圧部がもたらす意

味は何か(いわゆる北東気流の影響)さらに研究したい

図スグダス2(ウェザーニューズ社)を引用

02解技-1

- 1 -

投票率に対する天気の影響志摩恭臣(四国支部(徳島))

第1 はじめに

人の日常の行動として天気の良い日は出かける人が多く天気が悪い日は出かけるのを控え

る人が多くなるという経験則がある

選挙における投票日の有権者の投票行動についても天気が良ければより多くの有権者が投票

に行き天気が悪ければ投票所へ足を運ぶ有権者が減ると思われるがまれに報道記事で簡単な

ものを目にすることはあってもこのことについて深く検討した論考はあまり見当たらない

この問題への関心は以前からありいつかこの問題に焦点を当てて検討したいと思っていた

ので今回不完全ながら少しまとめてみた

第2 この問題の難しさ

投票率と天気の関係を検討するにあたっては幾つか難しい問題を孕んでいるその幾つかを

先ず指摘してみる

1 天気が投票率に与える影響の度合は他の要因に比べて大きくはない

図は戦後の衆議院総選挙の投票率の推移

であるがこの上下は天気により定まってい

るのではなく国政における争点の有無大

小や国民の選挙に対する関心の大小など

無論政治本体の事情に主として左右されて

いることは明らかである

したがって天気が投票率に与える影響を

検討するに際してはその影響の寄与は比較

的小さいであろうことを念頭に置かなけれ

ばならない

2 期日前投票制度の存在

平成15年12月1日から期日前投票制度が創設され投票日より前に投票を済ませる有権

者が増加している平成28年7月10日執行の参議院選挙では期日前投票をした人は15

98万人であり全有権者(1億0620万人)の15全投票者(5809万人)の27

5を占めるようになった

したがって投票者の14程度は投票日に投票していない以上投票日の天気には何ら

左右されていないこととなる

3 気象のどの要素が有権者の投票行動に影響するのか

よく言われるのは天気が悪ければ投票率が落ちるというものであるこの言葉をそのま

まの意味に捉えれば天気が悪い日(降水日)と無降水日との間で投票率に有意の差が出ると

いうことになる

しかし一方で他の気象要素も影響する可能性がある①気温(気温の寒暖が人の外出には

影響していると思われる)②積雪(冬季雪寒地域においては晴れていても積雪が残ってい

ればそれが外出判断に影響する可能性がある)③強風④日照などである一方単純に

降水日と言っても「量」(降水量の大小)や「質」(雪か雨かもしくは連続降水が対流性

降水か降水時間の長短など)によりまた事前予報の内容により影響の度合いの大小には

違いがあることが想像できる

4 気象観測の地域代表性の問題

以下の検討においては情報量の充実の面から各都道府県の気象代表値として各地方気象

台(等)の値を用いざるを得なかったしかしある都道府県の地域内全てが同じ気象状態で

あったわけではないものを1地点の観測値で代表させることにやや難があることは論をまた

ない

第3 対象となる選挙

今回検討の対象としたのは次の直近5回の衆議院議員総選挙である

第47回衆議院議員総選挙 平成26年12月14日執行(全国投票率5266)

第46回衆議院議員総選挙 平成24年12月16日執行(全国投票率5932)

第45回衆議院議員総選挙 平成21年08月30日執行(全国投票率6928)

第44回衆議院議員総選挙 平成17年09月11日執行(全国投票率6751)

第43回衆議院議員総選挙 平成15年11月09日執行(全国投票率5986)

第4 検討の手法

投票率に対する天気の影響を見いだすにあたって何を比較対象にするべきか非常に難しい

02事例-1

- 2 -

今回過去5回の都道府県別の投票率を平均しその都道府県別平均投票率を各都道府県の「基

礎投票率」と考え各回の選挙における投票率との差を議論の対象とすることとした

天気については投票日における各都道府県に存する管区気象台地方気象台(北海道は札幌

管区沖縄は那覇気象台で代表させる)の天気概況(6h~18h)を基礎に降水量を加味

して次のように7種類に区分しそれを投票日の当該都道府県の天気とした

晴 天気概況に雨などの降水を表す表記がなく晴時々曇など概ね晴のもの

曇 天気概況が雨などの降水を表す表記がなく曇時々晴など概ね曇のもの

雨 天気概況中に降水を表す表記があり日降水量が10mm以上のもの

小雨 天気概況中に降水を表す表記があり日降水量が10mm未満のもの

大雨 天気概況中に「大雨」の表記があるもの

雪 天気概況中に雪又はみぞれがあり日降水量が10mm以上のもの

小雪 天気概況中に雪又はみぞれがあり日降水量が10mm未満のもの

第5 検討結果

次の表は各衆議院総選挙について天気別に各都道府県の投票率と当該都道府県の「基礎投

票率」の差を単純平均した結果を表すものである(括弧内は都道府県数)

雪 小雪 大雨 雨 小雨 曇 晴

47回 - 1 2 0 6 ( 1 1 ) - 9 5 4 ( 8 ) - - - 1 0 9 8 ( 3 ) - - 9 1 9 ( 2 5 )

46回 - 5 8 2 ( 1 ) - - - 4 0 6 ( 5 ) - 4 2 6 ( 5 ) - 3 0 5 ( 1 0 ) - 2 6 3 ( 2 6 )

45回 - - - 7 2 7 ( 1 1 ) 7 9 2 ( 2 ) 8 2 9 ( 2 1 ) 8 7 5 ( 1 3 )

44回 - - 7 3 6 ( 2 ) 5 7 4 ( 1 9 ) 6 2 9 ( 9 ) 6 0 4 ( 1 4 ) 5 9 3 ( 3 )

43回 - - 1 5 8 ( 1 ) - - 1 3 9 ( 2 9 ) - 0 3 2 ( 1 6 ) - 1 6 3 ( 1 ) -

各回別に総観場の概説と天気別の投票率の差について少し解説する

第47回(平成26年12月14日)

西高東低の冬型で寒気の流入が強く日本海側では雪で大雪のところも

天気別の投票率は晴と雨(小雨)との間に約2の差があるまた雪との間には3程

度の差がある

第46回(平成24年12月16日)

北日本は冬型だが西から緩み気圧の谷が近づく

天気別の投票率は晴に対し小雨雨雪は2~3程度の差があるまた晴と曇との間

にも04~05程度の差がある

第45回(平成21年8月30日)

台風11号が30~31日にかけて房総沖を進む関東地方を中心に荒れた天気

天気別の投票率は晴に対し雨が15程度低いなお台風進路に近い東京都は基礎投

票率との差が500千葉県が567と3近い差があった

第44回(平成17年9月11日)

北陸に前線が停滞し北日本を除き曇や雨の天気

天気別の投票率はやや逆転気味であり「晴」に対し「雨」のみは02程度低いもの

の「小雨」は03程度「大雨」(富山県長野県)に至っては14程度それぞ

れ高かった

(この逆転現象の解釈は難しいが「晴」が3都道府県と少数であったこと上記の表が都

道府県の単純加算平均を用いているところ例えば「雨」に分類されている東京都は422

であり人口を加味した加重平均を用いれば逆転は解消されるかもしれないことそもそも

都道府県別の政局の事情の寄与が大きすぎたことなどが原因として考えられる)

第43回(平成15年11月9日)

前線が日本海から本州の南に南下し全国的に雨模様

天気別の投票率は降水なしに分類された都道府県が1つのみ(佐賀県)なので降水の有

無での議論がしづらい「小雨」に対して「雨」が1程度低くなっていることは明瞭である

第6 まとめと今後

各回ごとに特性の差が大きくまだまだ定量的な議論ができる状況にはないが大雑把に言っ

て降水のない日に対し降水のある日は2程度投票率が落ちる効果があると言えると思わ

れる

しかも降水のある日もその現象がシビアであればあるほど投票率の減少効果が大きいこ

とも分かる(雪や台風接近時であれば3程度の減少)

今後は検討する選挙を増やしこまめな検討と他の気象要素への拡張が望まれるところであ

るが研究成果発表会の席上での議論をお願いしたい

02事例-1

身体の外の気象防災と身体の中の気象防災

全ての病は「気象病」 中國古典醫學理論=気象学天文学物理学

東京支部 小室善隆

1はじめに(研究の動機)

研究のテーマを決定するのに当たりかなり悩みまし

た何故ならこの発表会の募集要項を見ますと「対象

となる研究」は01から08までと決められています

従って私の発表は06にいやその他の08にしよう

かかなり悩みましたどちらにしてもしっくり来ない

のですが中國古典醫學を患者さんなどに説明する時

に「身体の外の異常気象が災害で身体の中の異常気象

が病気だよ」と話をしておりましたそうそこで「身

体の中の気象防災」としました

もう一つは私にとってこれは研究だけではなく余

りにあまりに大きな驚きだったのです中國古典醫學

理論の講義が始まりその内容を聴き始めると何と「あ

んなに苦しんで取得した気象学を再び学び始めるのか」

と思う程全く同じ内容だったのです

それも気象予報士試験問題で言えば「予報業務におけ

る一般知識(法律を除く)」と全く同じなのです逆を言

えば全ての気象予報士は既に中國古典醫學理論その物

を学んでしまっているのですそれも膝上位までサブ

タイトルはこれが理由です

また研究発表に当たりこの会場には気象庁気象

予報士気象学会以外の方がいらっしゃいましたら席を

お外し下さいと建前なのですがこのテーマですと

日本の医師法に違反する事になりかねません何故なら

「治る」と言う言葉が国家試験に合格した医師にしか許

されていないだけでなく不特定多数の一般人に対して

医師ではない者は流布出来ないのです

この様な法律が存在するのは先進国に於いては日本

だけで後は一部のイスラム国家だけです国によって

は西洋医学と東洋医学(中國古典醫學)が対等に窓口を

開いていますもしいらっしゃいましたら気象予報士

の資格を得る為の勉強でとでもして下さい

さて「東洋医学」と表現致しましたが厳密に言うと

「中國古典醫學」ですこの後もし東洋医学と言って

しまった場合には断りが無い限り「中國古典醫學」と読

み替えて下さい

他に昨年のこの発表会において東北支部の岡田みは

るさんが「気象病」について発表されましたそれを聴

いて西洋医学と異なり中國古典醫學理論においては

全ての病を気象病だと考えておりますさらに感染症ま

でをも「温病学」として気象病の一つと考えています

また準備を行う段階で検索を繰り返し鍼灸士で気

象予報士の方も居られる事が分かりましたその方の出

版物の目録を見ただけなのですが過去の理論を並べ直

しただけで何ともしっくり来ませんでした決して誤り

ではないのですが折角気象予報士の資格を取得された

のならば小難しい中國古典理論の用語を今の気象用語で

説明されたらと思います

2中國古典醫學理論

ここから中國古典醫學理論の講義を始めます中國古

典醫學理論の最初の記述は地面に棒を垂直に立てて

その影の長さを測り最も短くなった日を夏至に最も

長くなった日を冬至としますとすると1年は365

日と4分の1日4年で1日分になります1年の36

5日を半分にすると春分の日と秋分の日が決まります

さらにその半分を決めると4立立春立夏立秋立

冬が決まり春夏秋冬が決まりますでも春夏秋冬の

季節の境目に何があるでしょう雨季がありますその

為に4立の前に土用として18日間を決めます従って

1年間の季節が「春夏梅雨(長夏土用)秋冬」

になります

ここで独特と思われている「陰陽」の講義を行います

その陰としての象徴が月であり陽の象徴が太陽になり

ますさらに人間の背中側が陽お腹側が陰身体の

外が陽身体の内側が陰五臓六腑の五臓が陰六腑が

陽男が陽で性器も陽女が陰で性器も陰生まれて来

る赤ちゃんが陰で産む母親は陽さらに太平洋陽気圧に

移動性陽気圧温帯陰気圧に寒冷陰気圧街中の陽イ

オンに森の中の陰イオン春が陽で秋が陰この様に陰

03教育-1

陽は決して象徴では無く常用し常に相対的なのです

決して中国思想の事だけではないのです

中國古典醫學理論に「陰陽五行(月日水火木金土)」

と言う言葉があります「五臓六腑」をこの陰陽五行に割

り当てます春の木に陰の肝臓と陽の胆嚢を夏の火に

陰の心臓と陽の小腸を雨季(梅雨長夏)土用に陰の

脾臓と陽の胃を秋の金に陰の肺臓と陽の大腸をそし

て冬の水に陰の腎臓と陽の膀胱を割り当てます何故は

時間の関係上省略しますこれらを図の上に置きますと

上に腎臓右に心臓下に心臓左に肺臓そして真ん

中に脾臓を置きます何とこの配置は仏教曼荼羅図の金

剛界の配置と同じになりますまた地球の北半球に於い

ては何処へ行っても同じになります

3病気(症状)と気象注意報警報との関係

私が10代後半から20代後半にかけて4回の親族

の葬式を行なった記憶がありますそこで坊主様が言わ

れたお説教が忘れられないのですそれは「本来人間に

病は無い」と言われた事です直ちに腹の中で「嘘だ

皆病気で死んでいるそれも治せないで」ここに来られ

ている聴衆の皆さんが不特定多数の場合は私のこの発言

が医師法違反になってしまう可能性があります

横道に反れましたが元に戻って世界最古の中國古典

醫學理論は世界最新の気象学とこの様に寸分たがわず同

じだったのです違うと言えばせいぜい身体の内と外

位の違いしか思い当たりませんいやもう1つありま

した先に触れた太陽高度の計測方法です

気象予報士が毎日繰り返し発表している気象予報は

何を出しているのかです表現は中國古典醫學理論の

都合の良い様に順番は変えますが「明日の風はどんな

暑い雨晴それとも寒い」ですいや波浪があると

言われるのであればそれは風が原因でしょうこれらを

内臓に割り当ててしまったのが「中國古典醫學理論」だ

ったのですそしてその動作作用効果結果を陰

陽五行で考えるとどれを取っても説明に都合が良いので

そして極一部ですが西洋医学において中國古典醫學

理論が結果として証明されています余計な事ですが

それでも中國古典醫學を否定されるのであれば漢方薬な

んて使わないで欲しいです生薬の無駄遣いです

自然界に対して発表される気象防災の注意報警報の

1つに大雨洪水注意報警報がありますこれらも人

間の身体の中において存在します注意報は「肺気腫」

であり警報は「肺水腫」になります肺に病気を発症

させていますが悪いのは大雨と低温なのです他にも

大雨低温強風注意報はリューマチ大雨高温強風注意報

はアトピーと言う具合に消防庁の管轄にはなりますが

火災警報もありますこの場合には心臓や脳の病気にな

ります注意報警報の中には自然界には存在せず人間

の身体の中にだけある気象災害もあります低温大雨火

災警報です

まさに全てが気象病そのもので身体の中の注意報警

報は何と病気(症状)の治療方法を示しているのです

先の低温大雨火災警報は各種の癌ですさらに癌の治療

方法は遥か2世紀には開発されておりましたしかも薬

までありますが残念ながら大方の西洋医学の先生方

は当然の事中國古典醫學理論を知らない筈つまり

気象学を知らないからです従って西洋医学の先生方

に取り扱える代物ではありませんですが気象予報士

で西洋医学の諸先生方は中國古典醫學理論の基礎を学ん

でしまったのであり中國古典醫學理論を否定する事は

出来ないはずですぜひ一歩進めて下さい

気象学中國古典醫學のそれぞれの文献は多数ありま

すが気象学と中國古典醫學を直接結びつける参考文献

は現在の所は殆ど或いは全くありません

ここへ出る勇気を頂いたのは1年余り前に亡くなら

れた元千葉支部長根本由紀子さんにお会いしたお陰

ですご冥福をお祈りします

03教育-1

揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察

日本気象予報士会 上田博康

1 研究の動機

兵庫県朝来市に位置する国史跡竹田城跡は標

高 354mの山頂に南北 400m東西 100mに及ぶ全

国屈指の石垣遺構であるとともに麓の円山川に

秋から冬にかけて発生する雲海に浮かぶ姿が「天

空に浮かぶ城」と称され近年観光地として注目さ

れていますただしこの雲海が見られるのは夜

間の放射冷却次第であるといわれており旅行計

画を組むうえでリスクが高いといえます

今回は竹田城跡の南側にある揚水発電所であ

る奥多々良木(おくたたらぎ)発電所および大河内

(おおかわち)発電所が日および週サイクルで稼

働することから雲海が発生しやすいあるいは発

生しにくい曜日があるのかどうか考察を試みた

ものです

図1兵庫県図における竹田城跡発電所の位置

図2アメダスダム竹田城跡の位置と標高

2 研究方法

揚水発電所が発電を行うと上部ダムの水位が

低下し下部ダムの水位が上昇しますがこのこと

は地表面近くに低気圧と高気圧が発生することを

意味します逆に電気を使って揚水を行うと上

部ダムで高気圧と下部ダムで低気圧が発生すると

考えられます発電所の運転は電力需要バランス

が最も厳しいあるいは余裕のある時間帯に集中し

ますから特定の曜日時間帯にのみ強まる風が観

測されれば発電所の稼働に伴う気圧傾度風との

関連が考えられます

そこで2007年1月から 2016 年 11月までのア

メダス和田山とアメダス生野の風向風速の1時

間値から風速の東西成分南北成分を算出し曜

日時間ごとに平均値を取り同時間平均値が曜日

によって差がないか確認を行い特に深夜早朝の

特異な風が雲海に与える影響を考察します

02統解-1

3 研究成果の概要

アメダス2地点の風速を 24 時間times7 曜日に分け

て平均を取り「全曜日平均と比べて合成風速が

01ms 以上ずれた状態が3時間以上続く」特異な

条件の曜日時間帯は次のとおりでした

【アメダス和田山】

月曜日 1-3UTC(月曜日 10~12時)

月曜日 5-8UTC(月曜日 14~17時)

土曜日 23UTC-日曜日 1UTC(日曜日 8~10時)

図3アメダス和田山の時間帯別平均風向風速

【アメダス生野】

水曜日 2-4UTC(水曜日 11~13時)

日曜日 16-23UTC(月曜日 2~7時)

図4アメダス生野の時間帯別平均風向風速

これらのうち雲海の形成消滅に関連するもの

は最後の「アメダス生野の日曜日 16-23UTC に強

まる風」だけですがその成分は風速 010~

013msの南西~西南西風と推測されます

なおこの日曜日 16-23UTC の和田山の全曜日

平均と比べて強まる成分は風速 003~011ms の

南南東~南西風と推測され生野での日曜日の特

異風とのシアを考慮しますとアメダス生野を抜

けた風の一部はアメダス和田山に至らずに中間で

とどまっていると考えることができます

なお雲海が発生しやすい時期に限ってみれば

この時間帯の生野の平均気温の差は次のとおりで

す生野と和田山の標高差が 240mなので標準大

気の気温減率 65Kkm相当の気温差が 015程度

であることを考えると平均的には寒気移流が生

じていると考えることができます(縦月横

UTC 時網掛けは平均気温差>015の時間帯)

16 17 18 19 20 21 22 23

9 -04 -05 -04 -05 -04 -05 -05 -05

10 -03 -02 -03 -03 -03 -04 -03 +01

11 00 -06 -04 -04 -03 -02 -02 -02

12 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -09

図5両地点の時間帯月別気温差(日曜日)

【結論】

月曜日の早朝に強まるのみ南西風の成分が生野

で観測されており寒気移流が強まることで竹田

城跡付近で雲海が発生しやすくなると思われます

4 今後の課題

今回の考察はアメダス観測値から平均的な傾

向を調べるにとどまっていますきめ細かい観測

を行い雲海の発生解消メカニズムを把握するこ

とが必要と考えています

また実際の発電所の稼働状況の変化を踏まえ

今後もこのような気圧傾度風が確実に発生すると

いえるのか見極めが必要と考えます

【参考にした資料】

関西電力株式会社和田山町観光協会の各 WEB サ

イト国土地理院の地形図SUGDASS2データ

02統解-1

直近 28 年間の日本の地表から高層の気温変動傾向

内山 常雄(神奈川支部)

1 はじめに

著者はこれまで日本の年平均気温の変動を調べて

きたがそれらの発表に対して①気温の測定機材や

測定頻度が変更されてきた②すでに地表から高層の

再解析データがあり限られた地点の地表の気温を

解析する意味はないといった指摘を受けた

第 46 回メソ気象研究会のテーマは「擬似温暖化実

験のメソ気象研究に対する可能性」であったがそこ

では「対流圏の気温は高層ほど上昇し成層圏は寒冷

化する」が前提とされていた

容易に入手できる高層の気温データからそのよう

な結論が得られるか調べ地上の気温変動予測への

利用可能性を探ることが本研究の目的である

2 気象庁の高層気象観測の変遷

気象庁の高層気象観測の変遷については詳しい解

説がある1)2)それによると観測機種の交換が何

度かあり同一時期でも観測点によって異なる機種

が使用されていることもある気温の測定はバイメ

タル式サーミスタ温度計静電容量ワイヤ温度計と

変遷した日射補正の方法の改良や吊紐の長さの7

m15m30mへの変更もあった高層気象観測

はそもそも高度方向の変化を調べるための測定で

時系列的にデータを見る目的で使われるようになっ

たのは気候変動が問題になった近年からだという

現在気象庁のホームページで閲覧できる高層気象

観測データは 1988 年以降でありその間 RS2-80 型

サーミスタ温度計から RS2-19型サーミスタ温度計を

経て RS92-SGP型静電容量式ワイヤ温度計へと測定機

器は変遷しているその変遷期日は観測点ごとに異

なる

RS2-80 型以前の測定値は00UTC と 12UTCの測定

値の差が高度が高くなるにつれて拡大するなど日

射補正に問題があるというが1988 年以降のデータ

ではこの点の問題は発生しない

3稚内 9 時の月平均気温の推移

気象庁の地上の気温観測点は 900 か所ほどあり

10 分ごとの気温データが得られるが気温変動予測

の解析には 15地点の日平均気温や月平均気温などを

解析してきた高層の気温のデータは国内で 20 観測

点のデータがあり1988 年以降の 9 時と 21 時の高

度方向の測定値が気象庁のホームページで閲覧でき

るただこのデータの処理は難しいので指定高度

面の月平均値を解析した指定高度面は 1000hPa か

ら 5hPa まで 25 面あるが925hPa10 及び5hPa 面

のデータには欠測があるここでは 1000hPa から

20hPa までを解析対象としたデータはマイクロソフ

トエクセルを用いて解析した最初に稚内について

調べた

図1 稚内 9 時 2 月の平均気温の推移

図 1 に稚内の 9 時の 2 月の平均気温の 1988 年から

2016 年の地上から 20hPa までの推移を図 2 に同じ

く 8 月の推移を示した

図2 稚内 9時 8月の平均気温の推移

一番上の線が地上で下に向かって高層のデータで

下の方で線が密集しているところは成層圏である

02統解-2

対流圏では地上と高層の変動に類似性がある

8 月は 2 月と比較して地上の気温が 20上昇し

成層圏との圏界面の気温が 10下がりグラフの上

下の幅が約 30拡大している8 月の地上と高層の

変動の相関は 2 月より低いように見える

地上と高層の気温の相関係数を計算すると10 月

から 4 月までの(寒候期)は相関係数 07 以上の高

度が 600hPa まであるが5 月から 9 月の(暖候期)

は 800hPa までであった(定義と異なりかっこ付)

4稚内 9 時と 21 時の月平均気温の差

9 時の気温の測定値は日射の影響を受け21 時は

その影響がないので測定値の信頼性が高いという2)

公開されているデータは日射補正後のものとされる

が稚内の 9 時と 21 時のデータを比較しそれらの差

を調べた1981 年以降この差は小さいとのことだ

が年間平均では地上は 9 時の方が約 05高く

900hPa 前後は 21 時の方が約 05高く高層に向け

てその差を縮めながらも 21 時の方が高い30hPa か

ら上では再び 9 時の方が高くなる

51988 年から 2016 年の間の変化傾向

稚内について対流圏は高層ほど気温が上昇し成層

図3 稚内 9時 200hPa8月の月平均気温の推移

圏は気温が低下するという傾向が表れているかを各

図4 稚内 9時の各月各高度の気温変化傾向

指定高度面で調べた 9 時 200hPa の 8 月の例を 図

3に示す各月各高度面の結果を 9 時について図

4に21 時の結果を図5に示す夏場は前述の傾向

が表れているが冬場はその傾向がつかみにくい

図5 稚内 21時の各月各高度の気温変化傾向

6その他の観測点の月平均気温の推移

その他の観測地点の例として南鳥島の 9 時の各

月の気温変化傾向を図6に示す

図6 南鳥島 9時の各月各高度の気温変化傾向

南鳥島では成層圏の低温化傾向がいずれの月で

も認められる

7今後の研究方針

国内の 20 高層観測点すべてについて解析し地域

別の傾向をとらえ地上気温変動推定への利用法を

考える

5参考文献

1)阿部豊雄2015気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 1部 高層気象観測の変遷

天気62161-185

2)阿部豊雄2016気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 2部 観測値の特性天気

63267-295

02統解-2

神奈川支部田園調布学園中等部高等部 2 千葉支部 3 北関東支部 4 東京支部 5 神奈川支部

生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)

荒川 知子関 隆則2池上 榮3大野 昭彦4遠藤 君江5

1はじめに

筆者は勤務校である田園調布学園の土曜プログ

ラムにおいて「やってみよう天気予報」と題した気

象の講座を2004 年より主催してきた(荒川 2010)

その中で生徒の主体的活動を重視することが気

象特に気象防災における生徒の意識を向上させる

ことができることを提示した(荒川 20152016)

これまでに日本気象予報士会会員の協力を得

て新たな 3 つの講座を開発し一定の成果が得ら

れた3 件のうちクロスロードによる防災意識の

向上については2016 年度日本気象学会秋季大会に

おいて発表済みであり今回はそれ以外の 2 件につ

いて報告する

2 実施内容

2-1 高層天気図予想図を使った天気予報

1) 概要

1 コマ 65 分の講座を 2 週にわたり連続で実施し

受講者は中 1 から高 1 までの 30 名であり8 班編制

とした

1 週目は天気予報のしくみについて簡単に講義

し当日朝の天気図予想図を使用して図の貼り

合わせや着色の方法について練習を行った

2 週目は当日朝の天気図予想図を配布して

前週と同様の作業をし翌日の予報を作成して発表

させた

2) 方法

①SUGDaSS より当日朝の FAFE502FXFE504

FXFE5782FXFE584 を入手し時系列高度の

順に 貼り合わせる

②日本列島の位置を着色し確認する

③500hPa-9-12等温線を赤で着色する

④700hPa 湿域を着色する

⑤予報したい地域の 850hPa を通る等温線を赤で

着色する

⑥地上で降水が予想される地域を着色する(図

1)

⑦予報したい地域の 500hPa 気温700hPa の湿り

具合850hPa 気温をワークシートに書き入れ

⑧850hPa 気温に 9 を加え地上気温を予想する

⑨500hPa 気温と地上気温の差をワークシートに

記入する

⑩ワークシートに予想を記入する

図 1 天気図に着色しながら予報を考える

3) 注意点

次のような点に着目して生徒に予報文を作成さ

せた

①500hPa と地上の気温差が 30以上であれば不

安定と考える

②700hPa が湿っていても地上に降水が予想され

ていなければ曇り700hPaが湿っており地上に

も降水が予想されていれば雨と予想する

③予報を作成したら予報に合わせ生活上の注

意点を予報文に盛り込む

2-2 お天気紙芝居の作成

1) 概要

65 分の講座 1 コマで実施した

受講者は中 1 から高 2 までの 20 名であった

ストーリー作成のため本校の生徒が作成したキ

ャラクターである「なでりん」を主役とし「なで

りんの 1年間」というタイトルで小学校低学年の児

童に説明することを目標とした

2) 方法

①受講者を 4 名ずつ 5 グループに分け更にその

中で 2 名ずつのペアを作らせた

②季節を春梅雨夏秋冬の 5 つに分け各

グループが 1 つの季節を担当した

③各季節の天気の特徴と防災事項をそれぞれの

ペアが担当しそれぞれ相談しながら紙芝居の

絵と説明を作成した

④1 年分の紙芝居を集め講師がコメントを入れ

発表した

3) 注意点

天気の特徴を担当するペアには典型的な 10 種

類の天気図を印刷して配布し絵の中に天気図を組

み入れさせた配布した天気図には日付を入れず

04授業-12

その季節の天気図として妥当なものを生徒自身に

判断させた

3教育効果

どちらの講座においても生徒が積極的に取り組

む姿勢が認められた

天気予報においては生徒は高層天気図にふれる

のが初めてであり大気の立体構造を理解した上で

予報に取り組んではいないしかし単に低気圧の

移動から雨域の移動を類推するのとは異なり予報

時刻の予想図から必要事項を読み取り予報を作成

することでより実感を持って予報に取り組めた様

子が伺えた今回は翌日の東京における予報を作

成した班がほとんどであったが「雨」という班と

「曇り」という班があったこれは地上予想図に

おける雨域の端が東京付近を通っていたことで雨

と判断した班と曇と判断した班とに分かれたもの

である根拠も含めて説明させたので生徒が確か

な裏付けを持って予報しようとする姿勢を持てた

ことそれを生徒自身の言葉で表現できたことが成

果である

通常の授業では与えられた問いに対し想定で

きる答が用意されていることが多く生徒は常に

「正解を知る」ことを求めがちであるしかしこ

れからの社会においては正解の無い問いに取り組

む姿勢が重要である天気予報はまさに「正解の分

からない問い」であり結果は翌日以降の予報時刻

になって初めて確かめられる予報士が実際に取り

組む方法を体験することで答が見えない問いに対

しても答を準備しなくてはならないことの難しさ

を生徒が体感することができた

紙芝居の作成においては生徒が自分たちの言葉

で季節や防災を表現するoutput による理解の深化

と興味の喚起が主な目的であったOutput のために

は生徒自身がその内容を理解しさらに人に伝え

るための工夫が必要である対象を小学校低学年程

度としたことで生徒が伝えるポイントを絞り簡

潔な言葉で伝えることを意識できた生徒は予想以

上に積極的に取り組んでいた

新しい指導要領においては答の無い問いを解決

し人との交わりの中でそれを活かそうとする力-

21 世紀型スキル-の育成が課題となっているこの

講座はまさに 21 世紀型スキルの育成を目指すも

のである

4今後の展開

4-1 高層天気図予想図を使った天気予報

予報時刻予報地点を生徒に選ばせたため「翌

日の東京」の天気を予想した生徒が大半を占め他

の地点を選んだのは高校生 2 名のみであった予報

時刻や予報地点をグループごとに指定することで

生徒が地域的な広がりや時間変化を感じより実感

を持って予報に臨めるものと思われる

またこの講座では実施時期により天気図を見

るポイントが異なってくる夏であれば上空の気温

に着目して不安定を検出する低気圧の通過時であ

ればその予測をするなどのテーマが考えられる

当日の状況により着目点が異なってくることから

ワークシートを直前に作成する必要がある既成の

ワークシートをそのまま利用できず着目点をその

都度確認することは気象予報士としての技術研

鑽にも繋がることとなる

4-2 お天気紙芝居

「なでりんの一年間」として一年間の季節の流

れとそれぞれの季節ごとの防災事項を生徒に考え

させた

季節ごとの防災事項を認識することは大切であ

るが台風大雪など防災事項を具体化するには

テーマが大きかったともいえる今後「防災」に

焦点を当て大雨大雪台風等テーマを決めた

上で各グループが防災事項を検討しそれを紙芝

居の形で表現することでさらに「防災に役立つ」

という意識を生徒に喚起することが可能である

なお今回は時間の関係で最後の発表は講師が

行ったが2 コマの連続講座として展開し生徒自

身に発表させればさらに生徒が主体的に取り組め

るものと考えられる

4-3 講座の構築

いわゆる出前講座のお天気教室においては講師

側と受講者側が初対面であることも多いそのた

め講師側が受講者の基礎知識や講座に対する参加

意識を把握できずに講座を進めなくてはならず生

徒を主体的に行動させることが難しい場合もある

開発した 2 つの講座は年齢や生徒の基礎知識によ

らず受講者が主体的に行動することで達成感を得

られるものである

今後中高生に限らず成人向けにもこのような

手法を用いた講座を実践することで気象に対する

興味や知識がより深まるものと考えられる

5まとめ

中高生に対し気象予報士の業務を疑似体験させ

て高層天気図を用いた予報を行わせたり防災を

伝える工夫をさせたりすることで気象や防災に対

する生徒の意識が向上することが分かった

参考文献

荒川知子(2010)奨励賞を受賞して天気 35-37

荒川知子(2015)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上日本気象学会秋季大会予

稿集

荒川知子(2016)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上(2)日本気象学会秋季大会

予稿集

04授業-12

大気圧に対する見方を変える -『空気分子(N2や O2など)の運動』の視点で-

槇 野 泰 夫(東海支部)

1 はじめに

「地表付近の物体は空気

の重さによる圧力を受けて

いる圧力はあらゆる面に

対して垂直である」と「大

気の柱の図解」(写真1)と

ともに大気圧について中学

で学習している

「室内では空気の柱が

天井や机の下までしかない 写真1 大気の柱の図

これで屋外と同じ気圧確かに1気圧だが」と

腑に落ちないでいた空気分子があらゆる方向に圧力

を与えているという漠然とした考え方や実験結果から

私はなんとなく納得()していた

釈然としない気持ちを解決すべく教材開発の日々に

木村龍治先生のご指導を受ける機会があった『空気分

子の運動』から見た大気圧に対する見方である私の長

年のもやもやはすっきりと解消された

教員養成の大学で教える機会があり理科研究の地

学を担当し『空気分子の運動』を視点にした「大気圧

による現象」の講義をすることにしたここに報告する

2 『空気分子の運動』から見た大気圧の現象

① 大気圧によって力を受ける現象

下敷きの中央部分に摘み

を取り付け机などの滑ら

かな面に置いて摘みを引

き上げようとすると下敷

は取れなくなる(写真2)

ほとんどの大学生はこ 写真2 摘み取れない下敷

の現象が大気圧によるものである

ことに気付かない「下敷きの上に

あるものは下には」などと考

え進めていくと半信半疑ながら

大気圧に気付く身近にある下敷

きで大気圧による現象を実感し

かなりの衝撃を受ける 写真3 壁に張り付く下敷

さらに下敷を壁などの側面に張り付く現象(写真3)

も体験させると衝撃を受け驚く「大気圧」と自

信なくつぶやく大学生がいるが多くは「」

ここで空気中を飛び回る N2や O2などの分子の存

在(図1)に視点をあてる空気分子の量は地表に近い

程多いN2やO2な

どの分子は秒速

450m 近くの速度

で物体の表面に衝

突し瞬間だけの力

を与え分子の集団

効果で圧力となる

この圧力が大気圧 図1 飛び回る空気分子の存在

であるという見方を示す

机の上の下敷き(写真2図1A)が摘み取れない現

象や下敷が壁に張り付く現象(写真3図1B)を学

生は『空気分子の運動』から容易に理解した以下の感

想から読み取れる

<学生の感想>

〇 空中にある物にはいろいろな方向から分子が衝突

するので全方向から圧力がかかっているなるほど

〇 空気の分子が下敷きに一方的に高速でぶつかるこ

とがわかりすごい力で取れないことを肌で感じた

〇 大気圧は上にある空気の押す力によるものだと思

っていたしかし空気分子の運動で考えると室内

でも屋外でも差がないことや横から押す圧力も同じ

ように生じていることが矛盾なく理解できた

〇 空気分子の運動はすごく納得ができより理解が

深まった

<考察>

空気中の下敷きはあらゆる方向から同じ圧力を受

けるので重さ以外の力を感じないしかし下敷きに

空気分子が一方的に衝突するようにすると大気圧を

一方的に受け大きな力を感じさせることができる大

気圧を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は大気圧を動的に見せる

ことができあらゆる方向から大気圧がかかることを

理解させるのに有効な見方となっている

B

A

04教育-5

② 圧力差から生じる力によって起こる現象

箱の周りの空気分

子と同じ密度の空気

分子を閉じ込めた容

器(図2C)がある

この容器内の空気

分子の密度が内と外

で差が生じるように

空気の量を減らすと 図2 空気中の容器

容器(図2D)はどのようになるかを考えさせた

「空気分子の量が減るため内側から押す力が弱まり

周りから力がかか

り凹む」と多くの

学生は予想した

ラップフィルム

で蓋をした容器か

ら逆流防止弁を付

写真4 減圧した図2Dの実験 けて(写真4)のよ

うに空気を減らし圧量差が力を生む現象を示した

次に容器(図2C)を上空(図2E)へ移動すると

どうなるかの問いに「容器は内部から外に力がかかり

膨らむ」と答えていたこの(図2C)から(図2E)

への移動は空気の上昇膨張の現象となり水蒸気の

凝結雲の発生の話につながる重要な過程である

<学生の感想>

〇 あんなにラップが凹み硬くなったことが衝撃的

だった空気分子の動きが見えるようだった

〇 空気が減っていく様子が目の前で分かり空気分

子の圧力の強さをパンパンになるラップで感じた

〇 空気分子の量の違いによって力が生じ凹んだり

膨らんだりすることがわかったわかりやすい

<考察>

硬く凹むラップフィルムパンパンになるラップフ

ィルムなどの記述から『空気分子の運動』という見え

ないものをラップフィルムの様子の変化から捉えてい

る圧力差を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は容器内外の空気分子の

密度(量)の違いを圧力差と関連付け圧力差から生じ

る力を理解させるのに有効な見方となっている

空気の上昇膨張の現象は仕切りのある容器の現象

ではない温度低下との関係も説明しきれていない

③ 気圧差で起こる広範囲の現象

図3 連通管の模式図 写真5 圧力差のある連通管

連通管(図3)の入り口で圧力差を作るとどうなるか

を考えさせた大学生は圧力差を空気分子の量の違い

で捉え水面の変化を容易に考えることができた

(写真5)は圧力差があるときの水面の様子である

海洋など広い範囲では水平方向に気圧差が生じる

ことがある高気圧や低気圧(台風)などの気圧配置が

これにあたる図4を示して高潮の様子を類推させた

図4 海洋など広い範囲での気圧差

<学生の感想>

〇 連通管の実験を踏まえて空気分子の運動で考え

ると自然界で起きている現象(高潮)がわかった

〇 大きなスケールの実験はできないが小さなスケ

ールの実験から空気分子の運動で推測できた

<考察>

連通管の水位は空気分子の量と圧力との関係を明

確に捉えさせることができ圧力差を意識させる有効

な実験である

『空気分子の運動』の見方は水平方向に気圧差があ

る広い範囲の現象を理解させるのに有効な見方とな

っている

3 おわりに

『空気分子の運動』の視点で考えることに対して

147名の大学生の 68が「よくわかる」32が「やや

わかる」(あまりわからないぜんぜんわからないは 0)

と回答している中学で学習した「大気の柱」の見方に

加えて『空気分子の運動』の見方で考えさせることは

大気圧に対する理解を深めさせることになると考える

こうした実践に至るまでのきっかけを与えてくださ

った木村龍治先生のご指導に感謝を申し上げます

C D

E

04教育-5

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 6: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

- 1 -

投票率に対する天気の影響志摩恭臣(四国支部(徳島))

第1 はじめに

人の日常の行動として天気の良い日は出かける人が多く天気が悪い日は出かけるのを控え

る人が多くなるという経験則がある

選挙における投票日の有権者の投票行動についても天気が良ければより多くの有権者が投票

に行き天気が悪ければ投票所へ足を運ぶ有権者が減ると思われるがまれに報道記事で簡単な

ものを目にすることはあってもこのことについて深く検討した論考はあまり見当たらない

この問題への関心は以前からありいつかこの問題に焦点を当てて検討したいと思っていた

ので今回不完全ながら少しまとめてみた

第2 この問題の難しさ

投票率と天気の関係を検討するにあたっては幾つか難しい問題を孕んでいるその幾つかを

先ず指摘してみる

1 天気が投票率に与える影響の度合は他の要因に比べて大きくはない

図は戦後の衆議院総選挙の投票率の推移

であるがこの上下は天気により定まってい

るのではなく国政における争点の有無大

小や国民の選挙に対する関心の大小など

無論政治本体の事情に主として左右されて

いることは明らかである

したがって天気が投票率に与える影響を

検討するに際してはその影響の寄与は比較

的小さいであろうことを念頭に置かなけれ

ばならない

2 期日前投票制度の存在

平成15年12月1日から期日前投票制度が創設され投票日より前に投票を済ませる有権

者が増加している平成28年7月10日執行の参議院選挙では期日前投票をした人は15

98万人であり全有権者(1億0620万人)の15全投票者(5809万人)の27

5を占めるようになった

したがって投票者の14程度は投票日に投票していない以上投票日の天気には何ら

左右されていないこととなる

3 気象のどの要素が有権者の投票行動に影響するのか

よく言われるのは天気が悪ければ投票率が落ちるというものであるこの言葉をそのま

まの意味に捉えれば天気が悪い日(降水日)と無降水日との間で投票率に有意の差が出ると

いうことになる

しかし一方で他の気象要素も影響する可能性がある①気温(気温の寒暖が人の外出には

影響していると思われる)②積雪(冬季雪寒地域においては晴れていても積雪が残ってい

ればそれが外出判断に影響する可能性がある)③強風④日照などである一方単純に

降水日と言っても「量」(降水量の大小)や「質」(雪か雨かもしくは連続降水が対流性

降水か降水時間の長短など)によりまた事前予報の内容により影響の度合いの大小には

違いがあることが想像できる

4 気象観測の地域代表性の問題

以下の検討においては情報量の充実の面から各都道府県の気象代表値として各地方気象

台(等)の値を用いざるを得なかったしかしある都道府県の地域内全てが同じ気象状態で

あったわけではないものを1地点の観測値で代表させることにやや難があることは論をまた

ない

第3 対象となる選挙

今回検討の対象としたのは次の直近5回の衆議院議員総選挙である

第47回衆議院議員総選挙 平成26年12月14日執行(全国投票率5266)

第46回衆議院議員総選挙 平成24年12月16日執行(全国投票率5932)

第45回衆議院議員総選挙 平成21年08月30日執行(全国投票率6928)

第44回衆議院議員総選挙 平成17年09月11日執行(全国投票率6751)

第43回衆議院議員総選挙 平成15年11月09日執行(全国投票率5986)

第4 検討の手法

投票率に対する天気の影響を見いだすにあたって何を比較対象にするべきか非常に難しい

02事例-1

- 2 -

今回過去5回の都道府県別の投票率を平均しその都道府県別平均投票率を各都道府県の「基

礎投票率」と考え各回の選挙における投票率との差を議論の対象とすることとした

天気については投票日における各都道府県に存する管区気象台地方気象台(北海道は札幌

管区沖縄は那覇気象台で代表させる)の天気概況(6h~18h)を基礎に降水量を加味

して次のように7種類に区分しそれを投票日の当該都道府県の天気とした

晴 天気概況に雨などの降水を表す表記がなく晴時々曇など概ね晴のもの

曇 天気概況が雨などの降水を表す表記がなく曇時々晴など概ね曇のもの

雨 天気概況中に降水を表す表記があり日降水量が10mm以上のもの

小雨 天気概況中に降水を表す表記があり日降水量が10mm未満のもの

大雨 天気概況中に「大雨」の表記があるもの

雪 天気概況中に雪又はみぞれがあり日降水量が10mm以上のもの

小雪 天気概況中に雪又はみぞれがあり日降水量が10mm未満のもの

第5 検討結果

次の表は各衆議院総選挙について天気別に各都道府県の投票率と当該都道府県の「基礎投

票率」の差を単純平均した結果を表すものである(括弧内は都道府県数)

雪 小雪 大雨 雨 小雨 曇 晴

47回 - 1 2 0 6 ( 1 1 ) - 9 5 4 ( 8 ) - - - 1 0 9 8 ( 3 ) - - 9 1 9 ( 2 5 )

46回 - 5 8 2 ( 1 ) - - - 4 0 6 ( 5 ) - 4 2 6 ( 5 ) - 3 0 5 ( 1 0 ) - 2 6 3 ( 2 6 )

45回 - - - 7 2 7 ( 1 1 ) 7 9 2 ( 2 ) 8 2 9 ( 2 1 ) 8 7 5 ( 1 3 )

44回 - - 7 3 6 ( 2 ) 5 7 4 ( 1 9 ) 6 2 9 ( 9 ) 6 0 4 ( 1 4 ) 5 9 3 ( 3 )

43回 - - 1 5 8 ( 1 ) - - 1 3 9 ( 2 9 ) - 0 3 2 ( 1 6 ) - 1 6 3 ( 1 ) -

各回別に総観場の概説と天気別の投票率の差について少し解説する

第47回(平成26年12月14日)

西高東低の冬型で寒気の流入が強く日本海側では雪で大雪のところも

天気別の投票率は晴と雨(小雨)との間に約2の差があるまた雪との間には3程

度の差がある

第46回(平成24年12月16日)

北日本は冬型だが西から緩み気圧の谷が近づく

天気別の投票率は晴に対し小雨雨雪は2~3程度の差があるまた晴と曇との間

にも04~05程度の差がある

第45回(平成21年8月30日)

台風11号が30~31日にかけて房総沖を進む関東地方を中心に荒れた天気

天気別の投票率は晴に対し雨が15程度低いなお台風進路に近い東京都は基礎投

票率との差が500千葉県が567と3近い差があった

第44回(平成17年9月11日)

北陸に前線が停滞し北日本を除き曇や雨の天気

天気別の投票率はやや逆転気味であり「晴」に対し「雨」のみは02程度低いもの

の「小雨」は03程度「大雨」(富山県長野県)に至っては14程度それぞ

れ高かった

(この逆転現象の解釈は難しいが「晴」が3都道府県と少数であったこと上記の表が都

道府県の単純加算平均を用いているところ例えば「雨」に分類されている東京都は422

であり人口を加味した加重平均を用いれば逆転は解消されるかもしれないことそもそも

都道府県別の政局の事情の寄与が大きすぎたことなどが原因として考えられる)

第43回(平成15年11月9日)

前線が日本海から本州の南に南下し全国的に雨模様

天気別の投票率は降水なしに分類された都道府県が1つのみ(佐賀県)なので降水の有

無での議論がしづらい「小雨」に対して「雨」が1程度低くなっていることは明瞭である

第6 まとめと今後

各回ごとに特性の差が大きくまだまだ定量的な議論ができる状況にはないが大雑把に言っ

て降水のない日に対し降水のある日は2程度投票率が落ちる効果があると言えると思わ

れる

しかも降水のある日もその現象がシビアであればあるほど投票率の減少効果が大きいこ

とも分かる(雪や台風接近時であれば3程度の減少)

今後は検討する選挙を増やしこまめな検討と他の気象要素への拡張が望まれるところであ

るが研究成果発表会の席上での議論をお願いしたい

02事例-1

身体の外の気象防災と身体の中の気象防災

全ての病は「気象病」 中國古典醫學理論=気象学天文学物理学

東京支部 小室善隆

1はじめに(研究の動機)

研究のテーマを決定するのに当たりかなり悩みまし

た何故ならこの発表会の募集要項を見ますと「対象

となる研究」は01から08までと決められています

従って私の発表は06にいやその他の08にしよう

かかなり悩みましたどちらにしてもしっくり来ない

のですが中國古典醫學を患者さんなどに説明する時

に「身体の外の異常気象が災害で身体の中の異常気象

が病気だよ」と話をしておりましたそうそこで「身

体の中の気象防災」としました

もう一つは私にとってこれは研究だけではなく余

りにあまりに大きな驚きだったのです中國古典醫學

理論の講義が始まりその内容を聴き始めると何と「あ

んなに苦しんで取得した気象学を再び学び始めるのか」

と思う程全く同じ内容だったのです

それも気象予報士試験問題で言えば「予報業務におけ

る一般知識(法律を除く)」と全く同じなのです逆を言

えば全ての気象予報士は既に中國古典醫學理論その物

を学んでしまっているのですそれも膝上位までサブ

タイトルはこれが理由です

また研究発表に当たりこの会場には気象庁気象

予報士気象学会以外の方がいらっしゃいましたら席を

お外し下さいと建前なのですがこのテーマですと

日本の医師法に違反する事になりかねません何故なら

「治る」と言う言葉が国家試験に合格した医師にしか許

されていないだけでなく不特定多数の一般人に対して

医師ではない者は流布出来ないのです

この様な法律が存在するのは先進国に於いては日本

だけで後は一部のイスラム国家だけです国によって

は西洋医学と東洋医学(中國古典醫學)が対等に窓口を

開いていますもしいらっしゃいましたら気象予報士

の資格を得る為の勉強でとでもして下さい

さて「東洋医学」と表現致しましたが厳密に言うと

「中國古典醫學」ですこの後もし東洋医学と言って

しまった場合には断りが無い限り「中國古典醫學」と読

み替えて下さい

他に昨年のこの発表会において東北支部の岡田みは

るさんが「気象病」について発表されましたそれを聴

いて西洋医学と異なり中國古典醫學理論においては

全ての病を気象病だと考えておりますさらに感染症ま

でをも「温病学」として気象病の一つと考えています

また準備を行う段階で検索を繰り返し鍼灸士で気

象予報士の方も居られる事が分かりましたその方の出

版物の目録を見ただけなのですが過去の理論を並べ直

しただけで何ともしっくり来ませんでした決して誤り

ではないのですが折角気象予報士の資格を取得された

のならば小難しい中國古典理論の用語を今の気象用語で

説明されたらと思います

2中國古典醫學理論

ここから中國古典醫學理論の講義を始めます中國古

典醫學理論の最初の記述は地面に棒を垂直に立てて

その影の長さを測り最も短くなった日を夏至に最も

長くなった日を冬至としますとすると1年は365

日と4分の1日4年で1日分になります1年の36

5日を半分にすると春分の日と秋分の日が決まります

さらにその半分を決めると4立立春立夏立秋立

冬が決まり春夏秋冬が決まりますでも春夏秋冬の

季節の境目に何があるでしょう雨季がありますその

為に4立の前に土用として18日間を決めます従って

1年間の季節が「春夏梅雨(長夏土用)秋冬」

になります

ここで独特と思われている「陰陽」の講義を行います

その陰としての象徴が月であり陽の象徴が太陽になり

ますさらに人間の背中側が陽お腹側が陰身体の

外が陽身体の内側が陰五臓六腑の五臓が陰六腑が

陽男が陽で性器も陽女が陰で性器も陰生まれて来

る赤ちゃんが陰で産む母親は陽さらに太平洋陽気圧に

移動性陽気圧温帯陰気圧に寒冷陰気圧街中の陽イ

オンに森の中の陰イオン春が陽で秋が陰この様に陰

03教育-1

陽は決して象徴では無く常用し常に相対的なのです

決して中国思想の事だけではないのです

中國古典醫學理論に「陰陽五行(月日水火木金土)」

と言う言葉があります「五臓六腑」をこの陰陽五行に割

り当てます春の木に陰の肝臓と陽の胆嚢を夏の火に

陰の心臓と陽の小腸を雨季(梅雨長夏)土用に陰の

脾臓と陽の胃を秋の金に陰の肺臓と陽の大腸をそし

て冬の水に陰の腎臓と陽の膀胱を割り当てます何故は

時間の関係上省略しますこれらを図の上に置きますと

上に腎臓右に心臓下に心臓左に肺臓そして真ん

中に脾臓を置きます何とこの配置は仏教曼荼羅図の金

剛界の配置と同じになりますまた地球の北半球に於い

ては何処へ行っても同じになります

3病気(症状)と気象注意報警報との関係

私が10代後半から20代後半にかけて4回の親族

の葬式を行なった記憶がありますそこで坊主様が言わ

れたお説教が忘れられないのですそれは「本来人間に

病は無い」と言われた事です直ちに腹の中で「嘘だ

皆病気で死んでいるそれも治せないで」ここに来られ

ている聴衆の皆さんが不特定多数の場合は私のこの発言

が医師法違反になってしまう可能性があります

横道に反れましたが元に戻って世界最古の中國古典

醫學理論は世界最新の気象学とこの様に寸分たがわず同

じだったのです違うと言えばせいぜい身体の内と外

位の違いしか思い当たりませんいやもう1つありま

した先に触れた太陽高度の計測方法です

気象予報士が毎日繰り返し発表している気象予報は

何を出しているのかです表現は中國古典醫學理論の

都合の良い様に順番は変えますが「明日の風はどんな

暑い雨晴それとも寒い」ですいや波浪があると

言われるのであればそれは風が原因でしょうこれらを

内臓に割り当ててしまったのが「中國古典醫學理論」だ

ったのですそしてその動作作用効果結果を陰

陽五行で考えるとどれを取っても説明に都合が良いので

そして極一部ですが西洋医学において中國古典醫學

理論が結果として証明されています余計な事ですが

それでも中國古典醫學を否定されるのであれば漢方薬な

んて使わないで欲しいです生薬の無駄遣いです

自然界に対して発表される気象防災の注意報警報の

1つに大雨洪水注意報警報がありますこれらも人

間の身体の中において存在します注意報は「肺気腫」

であり警報は「肺水腫」になります肺に病気を発症

させていますが悪いのは大雨と低温なのです他にも

大雨低温強風注意報はリューマチ大雨高温強風注意報

はアトピーと言う具合に消防庁の管轄にはなりますが

火災警報もありますこの場合には心臓や脳の病気にな

ります注意報警報の中には自然界には存在せず人間

の身体の中にだけある気象災害もあります低温大雨火

災警報です

まさに全てが気象病そのもので身体の中の注意報警

報は何と病気(症状)の治療方法を示しているのです

先の低温大雨火災警報は各種の癌ですさらに癌の治療

方法は遥か2世紀には開発されておりましたしかも薬

までありますが残念ながら大方の西洋医学の先生方

は当然の事中國古典醫學理論を知らない筈つまり

気象学を知らないからです従って西洋医学の先生方

に取り扱える代物ではありませんですが気象予報士

で西洋医学の諸先生方は中國古典醫學理論の基礎を学ん

でしまったのであり中國古典醫學理論を否定する事は

出来ないはずですぜひ一歩進めて下さい

気象学中國古典醫學のそれぞれの文献は多数ありま

すが気象学と中國古典醫學を直接結びつける参考文献

は現在の所は殆ど或いは全くありません

ここへ出る勇気を頂いたのは1年余り前に亡くなら

れた元千葉支部長根本由紀子さんにお会いしたお陰

ですご冥福をお祈りします

03教育-1

揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察

日本気象予報士会 上田博康

1 研究の動機

兵庫県朝来市に位置する国史跡竹田城跡は標

高 354mの山頂に南北 400m東西 100mに及ぶ全

国屈指の石垣遺構であるとともに麓の円山川に

秋から冬にかけて発生する雲海に浮かぶ姿が「天

空に浮かぶ城」と称され近年観光地として注目さ

れていますただしこの雲海が見られるのは夜

間の放射冷却次第であるといわれており旅行計

画を組むうえでリスクが高いといえます

今回は竹田城跡の南側にある揚水発電所であ

る奥多々良木(おくたたらぎ)発電所および大河内

(おおかわち)発電所が日および週サイクルで稼

働することから雲海が発生しやすいあるいは発

生しにくい曜日があるのかどうか考察を試みた

ものです

図1兵庫県図における竹田城跡発電所の位置

図2アメダスダム竹田城跡の位置と標高

2 研究方法

揚水発電所が発電を行うと上部ダムの水位が

低下し下部ダムの水位が上昇しますがこのこと

は地表面近くに低気圧と高気圧が発生することを

意味します逆に電気を使って揚水を行うと上

部ダムで高気圧と下部ダムで低気圧が発生すると

考えられます発電所の運転は電力需要バランス

が最も厳しいあるいは余裕のある時間帯に集中し

ますから特定の曜日時間帯にのみ強まる風が観

測されれば発電所の稼働に伴う気圧傾度風との

関連が考えられます

そこで2007年1月から 2016 年 11月までのア

メダス和田山とアメダス生野の風向風速の1時

間値から風速の東西成分南北成分を算出し曜

日時間ごとに平均値を取り同時間平均値が曜日

によって差がないか確認を行い特に深夜早朝の

特異な風が雲海に与える影響を考察します

02統解-1

3 研究成果の概要

アメダス2地点の風速を 24 時間times7 曜日に分け

て平均を取り「全曜日平均と比べて合成風速が

01ms 以上ずれた状態が3時間以上続く」特異な

条件の曜日時間帯は次のとおりでした

【アメダス和田山】

月曜日 1-3UTC(月曜日 10~12時)

月曜日 5-8UTC(月曜日 14~17時)

土曜日 23UTC-日曜日 1UTC(日曜日 8~10時)

図3アメダス和田山の時間帯別平均風向風速

【アメダス生野】

水曜日 2-4UTC(水曜日 11~13時)

日曜日 16-23UTC(月曜日 2~7時)

図4アメダス生野の時間帯別平均風向風速

これらのうち雲海の形成消滅に関連するもの

は最後の「アメダス生野の日曜日 16-23UTC に強

まる風」だけですがその成分は風速 010~

013msの南西~西南西風と推測されます

なおこの日曜日 16-23UTC の和田山の全曜日

平均と比べて強まる成分は風速 003~011ms の

南南東~南西風と推測され生野での日曜日の特

異風とのシアを考慮しますとアメダス生野を抜

けた風の一部はアメダス和田山に至らずに中間で

とどまっていると考えることができます

なお雲海が発生しやすい時期に限ってみれば

この時間帯の生野の平均気温の差は次のとおりで

す生野と和田山の標高差が 240mなので標準大

気の気温減率 65Kkm相当の気温差が 015程度

であることを考えると平均的には寒気移流が生

じていると考えることができます(縦月横

UTC 時網掛けは平均気温差>015の時間帯)

16 17 18 19 20 21 22 23

9 -04 -05 -04 -05 -04 -05 -05 -05

10 -03 -02 -03 -03 -03 -04 -03 +01

11 00 -06 -04 -04 -03 -02 -02 -02

12 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -09

図5両地点の時間帯月別気温差(日曜日)

【結論】

月曜日の早朝に強まるのみ南西風の成分が生野

で観測されており寒気移流が強まることで竹田

城跡付近で雲海が発生しやすくなると思われます

4 今後の課題

今回の考察はアメダス観測値から平均的な傾

向を調べるにとどまっていますきめ細かい観測

を行い雲海の発生解消メカニズムを把握するこ

とが必要と考えています

また実際の発電所の稼働状況の変化を踏まえ

今後もこのような気圧傾度風が確実に発生すると

いえるのか見極めが必要と考えます

【参考にした資料】

関西電力株式会社和田山町観光協会の各 WEB サ

イト国土地理院の地形図SUGDASS2データ

02統解-1

直近 28 年間の日本の地表から高層の気温変動傾向

内山 常雄(神奈川支部)

1 はじめに

著者はこれまで日本の年平均気温の変動を調べて

きたがそれらの発表に対して①気温の測定機材や

測定頻度が変更されてきた②すでに地表から高層の

再解析データがあり限られた地点の地表の気温を

解析する意味はないといった指摘を受けた

第 46 回メソ気象研究会のテーマは「擬似温暖化実

験のメソ気象研究に対する可能性」であったがそこ

では「対流圏の気温は高層ほど上昇し成層圏は寒冷

化する」が前提とされていた

容易に入手できる高層の気温データからそのよう

な結論が得られるか調べ地上の気温変動予測への

利用可能性を探ることが本研究の目的である

2 気象庁の高層気象観測の変遷

気象庁の高層気象観測の変遷については詳しい解

説がある1)2)それによると観測機種の交換が何

度かあり同一時期でも観測点によって異なる機種

が使用されていることもある気温の測定はバイメ

タル式サーミスタ温度計静電容量ワイヤ温度計と

変遷した日射補正の方法の改良や吊紐の長さの7

m15m30mへの変更もあった高層気象観測

はそもそも高度方向の変化を調べるための測定で

時系列的にデータを見る目的で使われるようになっ

たのは気候変動が問題になった近年からだという

現在気象庁のホームページで閲覧できる高層気象

観測データは 1988 年以降でありその間 RS2-80 型

サーミスタ温度計から RS2-19型サーミスタ温度計を

経て RS92-SGP型静電容量式ワイヤ温度計へと測定機

器は変遷しているその変遷期日は観測点ごとに異

なる

RS2-80 型以前の測定値は00UTC と 12UTCの測定

値の差が高度が高くなるにつれて拡大するなど日

射補正に問題があるというが1988 年以降のデータ

ではこの点の問題は発生しない

3稚内 9 時の月平均気温の推移

気象庁の地上の気温観測点は 900 か所ほどあり

10 分ごとの気温データが得られるが気温変動予測

の解析には 15地点の日平均気温や月平均気温などを

解析してきた高層の気温のデータは国内で 20 観測

点のデータがあり1988 年以降の 9 時と 21 時の高

度方向の測定値が気象庁のホームページで閲覧でき

るただこのデータの処理は難しいので指定高度

面の月平均値を解析した指定高度面は 1000hPa か

ら 5hPa まで 25 面あるが925hPa10 及び5hPa 面

のデータには欠測があるここでは 1000hPa から

20hPa までを解析対象としたデータはマイクロソフ

トエクセルを用いて解析した最初に稚内について

調べた

図1 稚内 9 時 2 月の平均気温の推移

図 1 に稚内の 9 時の 2 月の平均気温の 1988 年から

2016 年の地上から 20hPa までの推移を図 2 に同じ

く 8 月の推移を示した

図2 稚内 9時 8月の平均気温の推移

一番上の線が地上で下に向かって高層のデータで

下の方で線が密集しているところは成層圏である

02統解-2

対流圏では地上と高層の変動に類似性がある

8 月は 2 月と比較して地上の気温が 20上昇し

成層圏との圏界面の気温が 10下がりグラフの上

下の幅が約 30拡大している8 月の地上と高層の

変動の相関は 2 月より低いように見える

地上と高層の気温の相関係数を計算すると10 月

から 4 月までの(寒候期)は相関係数 07 以上の高

度が 600hPa まであるが5 月から 9 月の(暖候期)

は 800hPa までであった(定義と異なりかっこ付)

4稚内 9 時と 21 時の月平均気温の差

9 時の気温の測定値は日射の影響を受け21 時は

その影響がないので測定値の信頼性が高いという2)

公開されているデータは日射補正後のものとされる

が稚内の 9 時と 21 時のデータを比較しそれらの差

を調べた1981 年以降この差は小さいとのことだ

が年間平均では地上は 9 時の方が約 05高く

900hPa 前後は 21 時の方が約 05高く高層に向け

てその差を縮めながらも 21 時の方が高い30hPa か

ら上では再び 9 時の方が高くなる

51988 年から 2016 年の間の変化傾向

稚内について対流圏は高層ほど気温が上昇し成層

図3 稚内 9時 200hPa8月の月平均気温の推移

圏は気温が低下するという傾向が表れているかを各

図4 稚内 9時の各月各高度の気温変化傾向

指定高度面で調べた 9 時 200hPa の 8 月の例を 図

3に示す各月各高度面の結果を 9 時について図

4に21 時の結果を図5に示す夏場は前述の傾向

が表れているが冬場はその傾向がつかみにくい

図5 稚内 21時の各月各高度の気温変化傾向

6その他の観測点の月平均気温の推移

その他の観測地点の例として南鳥島の 9 時の各

月の気温変化傾向を図6に示す

図6 南鳥島 9時の各月各高度の気温変化傾向

南鳥島では成層圏の低温化傾向がいずれの月で

も認められる

7今後の研究方針

国内の 20 高層観測点すべてについて解析し地域

別の傾向をとらえ地上気温変動推定への利用法を

考える

5参考文献

1)阿部豊雄2015気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 1部 高層気象観測の変遷

天気62161-185

2)阿部豊雄2016気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 2部 観測値の特性天気

63267-295

02統解-2

神奈川支部田園調布学園中等部高等部 2 千葉支部 3 北関東支部 4 東京支部 5 神奈川支部

生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)

荒川 知子関 隆則2池上 榮3大野 昭彦4遠藤 君江5

1はじめに

筆者は勤務校である田園調布学園の土曜プログ

ラムにおいて「やってみよう天気予報」と題した気

象の講座を2004 年より主催してきた(荒川 2010)

その中で生徒の主体的活動を重視することが気

象特に気象防災における生徒の意識を向上させる

ことができることを提示した(荒川 20152016)

これまでに日本気象予報士会会員の協力を得

て新たな 3 つの講座を開発し一定の成果が得ら

れた3 件のうちクロスロードによる防災意識の

向上については2016 年度日本気象学会秋季大会に

おいて発表済みであり今回はそれ以外の 2 件につ

いて報告する

2 実施内容

2-1 高層天気図予想図を使った天気予報

1) 概要

1 コマ 65 分の講座を 2 週にわたり連続で実施し

受講者は中 1 から高 1 までの 30 名であり8 班編制

とした

1 週目は天気予報のしくみについて簡単に講義

し当日朝の天気図予想図を使用して図の貼り

合わせや着色の方法について練習を行った

2 週目は当日朝の天気図予想図を配布して

前週と同様の作業をし翌日の予報を作成して発表

させた

2) 方法

①SUGDaSS より当日朝の FAFE502FXFE504

FXFE5782FXFE584 を入手し時系列高度の

順に 貼り合わせる

②日本列島の位置を着色し確認する

③500hPa-9-12等温線を赤で着色する

④700hPa 湿域を着色する

⑤予報したい地域の 850hPa を通る等温線を赤で

着色する

⑥地上で降水が予想される地域を着色する(図

1)

⑦予報したい地域の 500hPa 気温700hPa の湿り

具合850hPa 気温をワークシートに書き入れ

⑧850hPa 気温に 9 を加え地上気温を予想する

⑨500hPa 気温と地上気温の差をワークシートに

記入する

⑩ワークシートに予想を記入する

図 1 天気図に着色しながら予報を考える

3) 注意点

次のような点に着目して生徒に予報文を作成さ

せた

①500hPa と地上の気温差が 30以上であれば不

安定と考える

②700hPa が湿っていても地上に降水が予想され

ていなければ曇り700hPaが湿っており地上に

も降水が予想されていれば雨と予想する

③予報を作成したら予報に合わせ生活上の注

意点を予報文に盛り込む

2-2 お天気紙芝居の作成

1) 概要

65 分の講座 1 コマで実施した

受講者は中 1 から高 2 までの 20 名であった

ストーリー作成のため本校の生徒が作成したキ

ャラクターである「なでりん」を主役とし「なで

りんの 1年間」というタイトルで小学校低学年の児

童に説明することを目標とした

2) 方法

①受講者を 4 名ずつ 5 グループに分け更にその

中で 2 名ずつのペアを作らせた

②季節を春梅雨夏秋冬の 5 つに分け各

グループが 1 つの季節を担当した

③各季節の天気の特徴と防災事項をそれぞれの

ペアが担当しそれぞれ相談しながら紙芝居の

絵と説明を作成した

④1 年分の紙芝居を集め講師がコメントを入れ

発表した

3) 注意点

天気の特徴を担当するペアには典型的な 10 種

類の天気図を印刷して配布し絵の中に天気図を組

み入れさせた配布した天気図には日付を入れず

04授業-12

その季節の天気図として妥当なものを生徒自身に

判断させた

3教育効果

どちらの講座においても生徒が積極的に取り組

む姿勢が認められた

天気予報においては生徒は高層天気図にふれる

のが初めてであり大気の立体構造を理解した上で

予報に取り組んではいないしかし単に低気圧の

移動から雨域の移動を類推するのとは異なり予報

時刻の予想図から必要事項を読み取り予報を作成

することでより実感を持って予報に取り組めた様

子が伺えた今回は翌日の東京における予報を作

成した班がほとんどであったが「雨」という班と

「曇り」という班があったこれは地上予想図に

おける雨域の端が東京付近を通っていたことで雨

と判断した班と曇と判断した班とに分かれたもの

である根拠も含めて説明させたので生徒が確か

な裏付けを持って予報しようとする姿勢を持てた

ことそれを生徒自身の言葉で表現できたことが成

果である

通常の授業では与えられた問いに対し想定で

きる答が用意されていることが多く生徒は常に

「正解を知る」ことを求めがちであるしかしこ

れからの社会においては正解の無い問いに取り組

む姿勢が重要である天気予報はまさに「正解の分

からない問い」であり結果は翌日以降の予報時刻

になって初めて確かめられる予報士が実際に取り

組む方法を体験することで答が見えない問いに対

しても答を準備しなくてはならないことの難しさ

を生徒が体感することができた

紙芝居の作成においては生徒が自分たちの言葉

で季節や防災を表現するoutput による理解の深化

と興味の喚起が主な目的であったOutput のために

は生徒自身がその内容を理解しさらに人に伝え

るための工夫が必要である対象を小学校低学年程

度としたことで生徒が伝えるポイントを絞り簡

潔な言葉で伝えることを意識できた生徒は予想以

上に積極的に取り組んでいた

新しい指導要領においては答の無い問いを解決

し人との交わりの中でそれを活かそうとする力-

21 世紀型スキル-の育成が課題となっているこの

講座はまさに 21 世紀型スキルの育成を目指すも

のである

4今後の展開

4-1 高層天気図予想図を使った天気予報

予報時刻予報地点を生徒に選ばせたため「翌

日の東京」の天気を予想した生徒が大半を占め他

の地点を選んだのは高校生 2 名のみであった予報

時刻や予報地点をグループごとに指定することで

生徒が地域的な広がりや時間変化を感じより実感

を持って予報に臨めるものと思われる

またこの講座では実施時期により天気図を見

るポイントが異なってくる夏であれば上空の気温

に着目して不安定を検出する低気圧の通過時であ

ればその予測をするなどのテーマが考えられる

当日の状況により着目点が異なってくることから

ワークシートを直前に作成する必要がある既成の

ワークシートをそのまま利用できず着目点をその

都度確認することは気象予報士としての技術研

鑽にも繋がることとなる

4-2 お天気紙芝居

「なでりんの一年間」として一年間の季節の流

れとそれぞれの季節ごとの防災事項を生徒に考え

させた

季節ごとの防災事項を認識することは大切であ

るが台風大雪など防災事項を具体化するには

テーマが大きかったともいえる今後「防災」に

焦点を当て大雨大雪台風等テーマを決めた

上で各グループが防災事項を検討しそれを紙芝

居の形で表現することでさらに「防災に役立つ」

という意識を生徒に喚起することが可能である

なお今回は時間の関係で最後の発表は講師が

行ったが2 コマの連続講座として展開し生徒自

身に発表させればさらに生徒が主体的に取り組め

るものと考えられる

4-3 講座の構築

いわゆる出前講座のお天気教室においては講師

側と受講者側が初対面であることも多いそのた

め講師側が受講者の基礎知識や講座に対する参加

意識を把握できずに講座を進めなくてはならず生

徒を主体的に行動させることが難しい場合もある

開発した 2 つの講座は年齢や生徒の基礎知識によ

らず受講者が主体的に行動することで達成感を得

られるものである

今後中高生に限らず成人向けにもこのような

手法を用いた講座を実践することで気象に対する

興味や知識がより深まるものと考えられる

5まとめ

中高生に対し気象予報士の業務を疑似体験させ

て高層天気図を用いた予報を行わせたり防災を

伝える工夫をさせたりすることで気象や防災に対

する生徒の意識が向上することが分かった

参考文献

荒川知子(2010)奨励賞を受賞して天気 35-37

荒川知子(2015)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上日本気象学会秋季大会予

稿集

荒川知子(2016)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上(2)日本気象学会秋季大会

予稿集

04授業-12

大気圧に対する見方を変える -『空気分子(N2や O2など)の運動』の視点で-

槇 野 泰 夫(東海支部)

1 はじめに

「地表付近の物体は空気

の重さによる圧力を受けて

いる圧力はあらゆる面に

対して垂直である」と「大

気の柱の図解」(写真1)と

ともに大気圧について中学

で学習している

「室内では空気の柱が

天井や机の下までしかない 写真1 大気の柱の図

これで屋外と同じ気圧確かに1気圧だが」と

腑に落ちないでいた空気分子があらゆる方向に圧力

を与えているという漠然とした考え方や実験結果から

私はなんとなく納得()していた

釈然としない気持ちを解決すべく教材開発の日々に

木村龍治先生のご指導を受ける機会があった『空気分

子の運動』から見た大気圧に対する見方である私の長

年のもやもやはすっきりと解消された

教員養成の大学で教える機会があり理科研究の地

学を担当し『空気分子の運動』を視点にした「大気圧

による現象」の講義をすることにしたここに報告する

2 『空気分子の運動』から見た大気圧の現象

① 大気圧によって力を受ける現象

下敷きの中央部分に摘み

を取り付け机などの滑ら

かな面に置いて摘みを引

き上げようとすると下敷

は取れなくなる(写真2)

ほとんどの大学生はこ 写真2 摘み取れない下敷

の現象が大気圧によるものである

ことに気付かない「下敷きの上に

あるものは下には」などと考

え進めていくと半信半疑ながら

大気圧に気付く身近にある下敷

きで大気圧による現象を実感し

かなりの衝撃を受ける 写真3 壁に張り付く下敷

さらに下敷を壁などの側面に張り付く現象(写真3)

も体験させると衝撃を受け驚く「大気圧」と自

信なくつぶやく大学生がいるが多くは「」

ここで空気中を飛び回る N2や O2などの分子の存

在(図1)に視点をあてる空気分子の量は地表に近い

程多いN2やO2な

どの分子は秒速

450m 近くの速度

で物体の表面に衝

突し瞬間だけの力

を与え分子の集団

効果で圧力となる

この圧力が大気圧 図1 飛び回る空気分子の存在

であるという見方を示す

机の上の下敷き(写真2図1A)が摘み取れない現

象や下敷が壁に張り付く現象(写真3図1B)を学

生は『空気分子の運動』から容易に理解した以下の感

想から読み取れる

<学生の感想>

〇 空中にある物にはいろいろな方向から分子が衝突

するので全方向から圧力がかかっているなるほど

〇 空気の分子が下敷きに一方的に高速でぶつかるこ

とがわかりすごい力で取れないことを肌で感じた

〇 大気圧は上にある空気の押す力によるものだと思

っていたしかし空気分子の運動で考えると室内

でも屋外でも差がないことや横から押す圧力も同じ

ように生じていることが矛盾なく理解できた

〇 空気分子の運動はすごく納得ができより理解が

深まった

<考察>

空気中の下敷きはあらゆる方向から同じ圧力を受

けるので重さ以外の力を感じないしかし下敷きに

空気分子が一方的に衝突するようにすると大気圧を

一方的に受け大きな力を感じさせることができる大

気圧を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は大気圧を動的に見せる

ことができあらゆる方向から大気圧がかかることを

理解させるのに有効な見方となっている

B

A

04教育-5

② 圧力差から生じる力によって起こる現象

箱の周りの空気分

子と同じ密度の空気

分子を閉じ込めた容

器(図2C)がある

この容器内の空気

分子の密度が内と外

で差が生じるように

空気の量を減らすと 図2 空気中の容器

容器(図2D)はどのようになるかを考えさせた

「空気分子の量が減るため内側から押す力が弱まり

周りから力がかか

り凹む」と多くの

学生は予想した

ラップフィルム

で蓋をした容器か

ら逆流防止弁を付

写真4 減圧した図2Dの実験 けて(写真4)のよ

うに空気を減らし圧量差が力を生む現象を示した

次に容器(図2C)を上空(図2E)へ移動すると

どうなるかの問いに「容器は内部から外に力がかかり

膨らむ」と答えていたこの(図2C)から(図2E)

への移動は空気の上昇膨張の現象となり水蒸気の

凝結雲の発生の話につながる重要な過程である

<学生の感想>

〇 あんなにラップが凹み硬くなったことが衝撃的

だった空気分子の動きが見えるようだった

〇 空気が減っていく様子が目の前で分かり空気分

子の圧力の強さをパンパンになるラップで感じた

〇 空気分子の量の違いによって力が生じ凹んだり

膨らんだりすることがわかったわかりやすい

<考察>

硬く凹むラップフィルムパンパンになるラップフ

ィルムなどの記述から『空気分子の運動』という見え

ないものをラップフィルムの様子の変化から捉えてい

る圧力差を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は容器内外の空気分子の

密度(量)の違いを圧力差と関連付け圧力差から生じ

る力を理解させるのに有効な見方となっている

空気の上昇膨張の現象は仕切りのある容器の現象

ではない温度低下との関係も説明しきれていない

③ 気圧差で起こる広範囲の現象

図3 連通管の模式図 写真5 圧力差のある連通管

連通管(図3)の入り口で圧力差を作るとどうなるか

を考えさせた大学生は圧力差を空気分子の量の違い

で捉え水面の変化を容易に考えることができた

(写真5)は圧力差があるときの水面の様子である

海洋など広い範囲では水平方向に気圧差が生じる

ことがある高気圧や低気圧(台風)などの気圧配置が

これにあたる図4を示して高潮の様子を類推させた

図4 海洋など広い範囲での気圧差

<学生の感想>

〇 連通管の実験を踏まえて空気分子の運動で考え

ると自然界で起きている現象(高潮)がわかった

〇 大きなスケールの実験はできないが小さなスケ

ールの実験から空気分子の運動で推測できた

<考察>

連通管の水位は空気分子の量と圧力との関係を明

確に捉えさせることができ圧力差を意識させる有効

な実験である

『空気分子の運動』の見方は水平方向に気圧差があ

る広い範囲の現象を理解させるのに有効な見方とな

っている

3 おわりに

『空気分子の運動』の視点で考えることに対して

147名の大学生の 68が「よくわかる」32が「やや

わかる」(あまりわからないぜんぜんわからないは 0)

と回答している中学で学習した「大気の柱」の見方に

加えて『空気分子の運動』の見方で考えさせることは

大気圧に対する理解を深めさせることになると考える

こうした実践に至るまでのきっかけを与えてくださ

った木村龍治先生のご指導に感謝を申し上げます

C D

E

04教育-5

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 7: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

- 2 -

今回過去5回の都道府県別の投票率を平均しその都道府県別平均投票率を各都道府県の「基

礎投票率」と考え各回の選挙における投票率との差を議論の対象とすることとした

天気については投票日における各都道府県に存する管区気象台地方気象台(北海道は札幌

管区沖縄は那覇気象台で代表させる)の天気概況(6h~18h)を基礎に降水量を加味

して次のように7種類に区分しそれを投票日の当該都道府県の天気とした

晴 天気概況に雨などの降水を表す表記がなく晴時々曇など概ね晴のもの

曇 天気概況が雨などの降水を表す表記がなく曇時々晴など概ね曇のもの

雨 天気概況中に降水を表す表記があり日降水量が10mm以上のもの

小雨 天気概況中に降水を表す表記があり日降水量が10mm未満のもの

大雨 天気概況中に「大雨」の表記があるもの

雪 天気概況中に雪又はみぞれがあり日降水量が10mm以上のもの

小雪 天気概況中に雪又はみぞれがあり日降水量が10mm未満のもの

第5 検討結果

次の表は各衆議院総選挙について天気別に各都道府県の投票率と当該都道府県の「基礎投

票率」の差を単純平均した結果を表すものである(括弧内は都道府県数)

雪 小雪 大雨 雨 小雨 曇 晴

47回 - 1 2 0 6 ( 1 1 ) - 9 5 4 ( 8 ) - - - 1 0 9 8 ( 3 ) - - 9 1 9 ( 2 5 )

46回 - 5 8 2 ( 1 ) - - - 4 0 6 ( 5 ) - 4 2 6 ( 5 ) - 3 0 5 ( 1 0 ) - 2 6 3 ( 2 6 )

45回 - - - 7 2 7 ( 1 1 ) 7 9 2 ( 2 ) 8 2 9 ( 2 1 ) 8 7 5 ( 1 3 )

44回 - - 7 3 6 ( 2 ) 5 7 4 ( 1 9 ) 6 2 9 ( 9 ) 6 0 4 ( 1 4 ) 5 9 3 ( 3 )

43回 - - 1 5 8 ( 1 ) - - 1 3 9 ( 2 9 ) - 0 3 2 ( 1 6 ) - 1 6 3 ( 1 ) -

各回別に総観場の概説と天気別の投票率の差について少し解説する

第47回(平成26年12月14日)

西高東低の冬型で寒気の流入が強く日本海側では雪で大雪のところも

天気別の投票率は晴と雨(小雨)との間に約2の差があるまた雪との間には3程

度の差がある

第46回(平成24年12月16日)

北日本は冬型だが西から緩み気圧の谷が近づく

天気別の投票率は晴に対し小雨雨雪は2~3程度の差があるまた晴と曇との間

にも04~05程度の差がある

第45回(平成21年8月30日)

台風11号が30~31日にかけて房総沖を進む関東地方を中心に荒れた天気

天気別の投票率は晴に対し雨が15程度低いなお台風進路に近い東京都は基礎投

票率との差が500千葉県が567と3近い差があった

第44回(平成17年9月11日)

北陸に前線が停滞し北日本を除き曇や雨の天気

天気別の投票率はやや逆転気味であり「晴」に対し「雨」のみは02程度低いもの

の「小雨」は03程度「大雨」(富山県長野県)に至っては14程度それぞ

れ高かった

(この逆転現象の解釈は難しいが「晴」が3都道府県と少数であったこと上記の表が都

道府県の単純加算平均を用いているところ例えば「雨」に分類されている東京都は422

であり人口を加味した加重平均を用いれば逆転は解消されるかもしれないことそもそも

都道府県別の政局の事情の寄与が大きすぎたことなどが原因として考えられる)

第43回(平成15年11月9日)

前線が日本海から本州の南に南下し全国的に雨模様

天気別の投票率は降水なしに分類された都道府県が1つのみ(佐賀県)なので降水の有

無での議論がしづらい「小雨」に対して「雨」が1程度低くなっていることは明瞭である

第6 まとめと今後

各回ごとに特性の差が大きくまだまだ定量的な議論ができる状況にはないが大雑把に言っ

て降水のない日に対し降水のある日は2程度投票率が落ちる効果があると言えると思わ

れる

しかも降水のある日もその現象がシビアであればあるほど投票率の減少効果が大きいこ

とも分かる(雪や台風接近時であれば3程度の減少)

今後は検討する選挙を増やしこまめな検討と他の気象要素への拡張が望まれるところであ

るが研究成果発表会の席上での議論をお願いしたい

02事例-1

身体の外の気象防災と身体の中の気象防災

全ての病は「気象病」 中國古典醫學理論=気象学天文学物理学

東京支部 小室善隆

1はじめに(研究の動機)

研究のテーマを決定するのに当たりかなり悩みまし

た何故ならこの発表会の募集要項を見ますと「対象

となる研究」は01から08までと決められています

従って私の発表は06にいやその他の08にしよう

かかなり悩みましたどちらにしてもしっくり来ない

のですが中國古典醫學を患者さんなどに説明する時

に「身体の外の異常気象が災害で身体の中の異常気象

が病気だよ」と話をしておりましたそうそこで「身

体の中の気象防災」としました

もう一つは私にとってこれは研究だけではなく余

りにあまりに大きな驚きだったのです中國古典醫學

理論の講義が始まりその内容を聴き始めると何と「あ

んなに苦しんで取得した気象学を再び学び始めるのか」

と思う程全く同じ内容だったのです

それも気象予報士試験問題で言えば「予報業務におけ

る一般知識(法律を除く)」と全く同じなのです逆を言

えば全ての気象予報士は既に中國古典醫學理論その物

を学んでしまっているのですそれも膝上位までサブ

タイトルはこれが理由です

また研究発表に当たりこの会場には気象庁気象

予報士気象学会以外の方がいらっしゃいましたら席を

お外し下さいと建前なのですがこのテーマですと

日本の医師法に違反する事になりかねません何故なら

「治る」と言う言葉が国家試験に合格した医師にしか許

されていないだけでなく不特定多数の一般人に対して

医師ではない者は流布出来ないのです

この様な法律が存在するのは先進国に於いては日本

だけで後は一部のイスラム国家だけです国によって

は西洋医学と東洋医学(中國古典醫學)が対等に窓口を

開いていますもしいらっしゃいましたら気象予報士

の資格を得る為の勉強でとでもして下さい

さて「東洋医学」と表現致しましたが厳密に言うと

「中國古典醫學」ですこの後もし東洋医学と言って

しまった場合には断りが無い限り「中國古典醫學」と読

み替えて下さい

他に昨年のこの発表会において東北支部の岡田みは

るさんが「気象病」について発表されましたそれを聴

いて西洋医学と異なり中國古典醫學理論においては

全ての病を気象病だと考えておりますさらに感染症ま

でをも「温病学」として気象病の一つと考えています

また準備を行う段階で検索を繰り返し鍼灸士で気

象予報士の方も居られる事が分かりましたその方の出

版物の目録を見ただけなのですが過去の理論を並べ直

しただけで何ともしっくり来ませんでした決して誤り

ではないのですが折角気象予報士の資格を取得された

のならば小難しい中國古典理論の用語を今の気象用語で

説明されたらと思います

2中國古典醫學理論

ここから中國古典醫學理論の講義を始めます中國古

典醫學理論の最初の記述は地面に棒を垂直に立てて

その影の長さを測り最も短くなった日を夏至に最も

長くなった日を冬至としますとすると1年は365

日と4分の1日4年で1日分になります1年の36

5日を半分にすると春分の日と秋分の日が決まります

さらにその半分を決めると4立立春立夏立秋立

冬が決まり春夏秋冬が決まりますでも春夏秋冬の

季節の境目に何があるでしょう雨季がありますその

為に4立の前に土用として18日間を決めます従って

1年間の季節が「春夏梅雨(長夏土用)秋冬」

になります

ここで独特と思われている「陰陽」の講義を行います

その陰としての象徴が月であり陽の象徴が太陽になり

ますさらに人間の背中側が陽お腹側が陰身体の

外が陽身体の内側が陰五臓六腑の五臓が陰六腑が

陽男が陽で性器も陽女が陰で性器も陰生まれて来

る赤ちゃんが陰で産む母親は陽さらに太平洋陽気圧に

移動性陽気圧温帯陰気圧に寒冷陰気圧街中の陽イ

オンに森の中の陰イオン春が陽で秋が陰この様に陰

03教育-1

陽は決して象徴では無く常用し常に相対的なのです

決して中国思想の事だけではないのです

中國古典醫學理論に「陰陽五行(月日水火木金土)」

と言う言葉があります「五臓六腑」をこの陰陽五行に割

り当てます春の木に陰の肝臓と陽の胆嚢を夏の火に

陰の心臓と陽の小腸を雨季(梅雨長夏)土用に陰の

脾臓と陽の胃を秋の金に陰の肺臓と陽の大腸をそし

て冬の水に陰の腎臓と陽の膀胱を割り当てます何故は

時間の関係上省略しますこれらを図の上に置きますと

上に腎臓右に心臓下に心臓左に肺臓そして真ん

中に脾臓を置きます何とこの配置は仏教曼荼羅図の金

剛界の配置と同じになりますまた地球の北半球に於い

ては何処へ行っても同じになります

3病気(症状)と気象注意報警報との関係

私が10代後半から20代後半にかけて4回の親族

の葬式を行なった記憶がありますそこで坊主様が言わ

れたお説教が忘れられないのですそれは「本来人間に

病は無い」と言われた事です直ちに腹の中で「嘘だ

皆病気で死んでいるそれも治せないで」ここに来られ

ている聴衆の皆さんが不特定多数の場合は私のこの発言

が医師法違反になってしまう可能性があります

横道に反れましたが元に戻って世界最古の中國古典

醫學理論は世界最新の気象学とこの様に寸分たがわず同

じだったのです違うと言えばせいぜい身体の内と外

位の違いしか思い当たりませんいやもう1つありま

した先に触れた太陽高度の計測方法です

気象予報士が毎日繰り返し発表している気象予報は

何を出しているのかです表現は中國古典醫學理論の

都合の良い様に順番は変えますが「明日の風はどんな

暑い雨晴それとも寒い」ですいや波浪があると

言われるのであればそれは風が原因でしょうこれらを

内臓に割り当ててしまったのが「中國古典醫學理論」だ

ったのですそしてその動作作用効果結果を陰

陽五行で考えるとどれを取っても説明に都合が良いので

そして極一部ですが西洋医学において中國古典醫學

理論が結果として証明されています余計な事ですが

それでも中國古典醫學を否定されるのであれば漢方薬な

んて使わないで欲しいです生薬の無駄遣いです

自然界に対して発表される気象防災の注意報警報の

1つに大雨洪水注意報警報がありますこれらも人

間の身体の中において存在します注意報は「肺気腫」

であり警報は「肺水腫」になります肺に病気を発症

させていますが悪いのは大雨と低温なのです他にも

大雨低温強風注意報はリューマチ大雨高温強風注意報

はアトピーと言う具合に消防庁の管轄にはなりますが

火災警報もありますこの場合には心臓や脳の病気にな

ります注意報警報の中には自然界には存在せず人間

の身体の中にだけある気象災害もあります低温大雨火

災警報です

まさに全てが気象病そのもので身体の中の注意報警

報は何と病気(症状)の治療方法を示しているのです

先の低温大雨火災警報は各種の癌ですさらに癌の治療

方法は遥か2世紀には開発されておりましたしかも薬

までありますが残念ながら大方の西洋医学の先生方

は当然の事中國古典醫學理論を知らない筈つまり

気象学を知らないからです従って西洋医学の先生方

に取り扱える代物ではありませんですが気象予報士

で西洋医学の諸先生方は中國古典醫學理論の基礎を学ん

でしまったのであり中國古典醫學理論を否定する事は

出来ないはずですぜひ一歩進めて下さい

気象学中國古典醫學のそれぞれの文献は多数ありま

すが気象学と中國古典醫學を直接結びつける参考文献

は現在の所は殆ど或いは全くありません

ここへ出る勇気を頂いたのは1年余り前に亡くなら

れた元千葉支部長根本由紀子さんにお会いしたお陰

ですご冥福をお祈りします

03教育-1

揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察

日本気象予報士会 上田博康

1 研究の動機

兵庫県朝来市に位置する国史跡竹田城跡は標

高 354mの山頂に南北 400m東西 100mに及ぶ全

国屈指の石垣遺構であるとともに麓の円山川に

秋から冬にかけて発生する雲海に浮かぶ姿が「天

空に浮かぶ城」と称され近年観光地として注目さ

れていますただしこの雲海が見られるのは夜

間の放射冷却次第であるといわれており旅行計

画を組むうえでリスクが高いといえます

今回は竹田城跡の南側にある揚水発電所であ

る奥多々良木(おくたたらぎ)発電所および大河内

(おおかわち)発電所が日および週サイクルで稼

働することから雲海が発生しやすいあるいは発

生しにくい曜日があるのかどうか考察を試みた

ものです

図1兵庫県図における竹田城跡発電所の位置

図2アメダスダム竹田城跡の位置と標高

2 研究方法

揚水発電所が発電を行うと上部ダムの水位が

低下し下部ダムの水位が上昇しますがこのこと

は地表面近くに低気圧と高気圧が発生することを

意味します逆に電気を使って揚水を行うと上

部ダムで高気圧と下部ダムで低気圧が発生すると

考えられます発電所の運転は電力需要バランス

が最も厳しいあるいは余裕のある時間帯に集中し

ますから特定の曜日時間帯にのみ強まる風が観

測されれば発電所の稼働に伴う気圧傾度風との

関連が考えられます

そこで2007年1月から 2016 年 11月までのア

メダス和田山とアメダス生野の風向風速の1時

間値から風速の東西成分南北成分を算出し曜

日時間ごとに平均値を取り同時間平均値が曜日

によって差がないか確認を行い特に深夜早朝の

特異な風が雲海に与える影響を考察します

02統解-1

3 研究成果の概要

アメダス2地点の風速を 24 時間times7 曜日に分け

て平均を取り「全曜日平均と比べて合成風速が

01ms 以上ずれた状態が3時間以上続く」特異な

条件の曜日時間帯は次のとおりでした

【アメダス和田山】

月曜日 1-3UTC(月曜日 10~12時)

月曜日 5-8UTC(月曜日 14~17時)

土曜日 23UTC-日曜日 1UTC(日曜日 8~10時)

図3アメダス和田山の時間帯別平均風向風速

【アメダス生野】

水曜日 2-4UTC(水曜日 11~13時)

日曜日 16-23UTC(月曜日 2~7時)

図4アメダス生野の時間帯別平均風向風速

これらのうち雲海の形成消滅に関連するもの

は最後の「アメダス生野の日曜日 16-23UTC に強

まる風」だけですがその成分は風速 010~

013msの南西~西南西風と推測されます

なおこの日曜日 16-23UTC の和田山の全曜日

平均と比べて強まる成分は風速 003~011ms の

南南東~南西風と推測され生野での日曜日の特

異風とのシアを考慮しますとアメダス生野を抜

けた風の一部はアメダス和田山に至らずに中間で

とどまっていると考えることができます

なお雲海が発生しやすい時期に限ってみれば

この時間帯の生野の平均気温の差は次のとおりで

す生野と和田山の標高差が 240mなので標準大

気の気温減率 65Kkm相当の気温差が 015程度

であることを考えると平均的には寒気移流が生

じていると考えることができます(縦月横

UTC 時網掛けは平均気温差>015の時間帯)

16 17 18 19 20 21 22 23

9 -04 -05 -04 -05 -04 -05 -05 -05

10 -03 -02 -03 -03 -03 -04 -03 +01

11 00 -06 -04 -04 -03 -02 -02 -02

12 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -09

図5両地点の時間帯月別気温差(日曜日)

【結論】

月曜日の早朝に強まるのみ南西風の成分が生野

で観測されており寒気移流が強まることで竹田

城跡付近で雲海が発生しやすくなると思われます

4 今後の課題

今回の考察はアメダス観測値から平均的な傾

向を調べるにとどまっていますきめ細かい観測

を行い雲海の発生解消メカニズムを把握するこ

とが必要と考えています

また実際の発電所の稼働状況の変化を踏まえ

今後もこのような気圧傾度風が確実に発生すると

いえるのか見極めが必要と考えます

【参考にした資料】

関西電力株式会社和田山町観光協会の各 WEB サ

イト国土地理院の地形図SUGDASS2データ

02統解-1

直近 28 年間の日本の地表から高層の気温変動傾向

内山 常雄(神奈川支部)

1 はじめに

著者はこれまで日本の年平均気温の変動を調べて

きたがそれらの発表に対して①気温の測定機材や

測定頻度が変更されてきた②すでに地表から高層の

再解析データがあり限られた地点の地表の気温を

解析する意味はないといった指摘を受けた

第 46 回メソ気象研究会のテーマは「擬似温暖化実

験のメソ気象研究に対する可能性」であったがそこ

では「対流圏の気温は高層ほど上昇し成層圏は寒冷

化する」が前提とされていた

容易に入手できる高層の気温データからそのよう

な結論が得られるか調べ地上の気温変動予測への

利用可能性を探ることが本研究の目的である

2 気象庁の高層気象観測の変遷

気象庁の高層気象観測の変遷については詳しい解

説がある1)2)それによると観測機種の交換が何

度かあり同一時期でも観測点によって異なる機種

が使用されていることもある気温の測定はバイメ

タル式サーミスタ温度計静電容量ワイヤ温度計と

変遷した日射補正の方法の改良や吊紐の長さの7

m15m30mへの変更もあった高層気象観測

はそもそも高度方向の変化を調べるための測定で

時系列的にデータを見る目的で使われるようになっ

たのは気候変動が問題になった近年からだという

現在気象庁のホームページで閲覧できる高層気象

観測データは 1988 年以降でありその間 RS2-80 型

サーミスタ温度計から RS2-19型サーミスタ温度計を

経て RS92-SGP型静電容量式ワイヤ温度計へと測定機

器は変遷しているその変遷期日は観測点ごとに異

なる

RS2-80 型以前の測定値は00UTC と 12UTCの測定

値の差が高度が高くなるにつれて拡大するなど日

射補正に問題があるというが1988 年以降のデータ

ではこの点の問題は発生しない

3稚内 9 時の月平均気温の推移

気象庁の地上の気温観測点は 900 か所ほどあり

10 分ごとの気温データが得られるが気温変動予測

の解析には 15地点の日平均気温や月平均気温などを

解析してきた高層の気温のデータは国内で 20 観測

点のデータがあり1988 年以降の 9 時と 21 時の高

度方向の測定値が気象庁のホームページで閲覧でき

るただこのデータの処理は難しいので指定高度

面の月平均値を解析した指定高度面は 1000hPa か

ら 5hPa まで 25 面あるが925hPa10 及び5hPa 面

のデータには欠測があるここでは 1000hPa から

20hPa までを解析対象としたデータはマイクロソフ

トエクセルを用いて解析した最初に稚内について

調べた

図1 稚内 9 時 2 月の平均気温の推移

図 1 に稚内の 9 時の 2 月の平均気温の 1988 年から

2016 年の地上から 20hPa までの推移を図 2 に同じ

く 8 月の推移を示した

図2 稚内 9時 8月の平均気温の推移

一番上の線が地上で下に向かって高層のデータで

下の方で線が密集しているところは成層圏である

02統解-2

対流圏では地上と高層の変動に類似性がある

8 月は 2 月と比較して地上の気温が 20上昇し

成層圏との圏界面の気温が 10下がりグラフの上

下の幅が約 30拡大している8 月の地上と高層の

変動の相関は 2 月より低いように見える

地上と高層の気温の相関係数を計算すると10 月

から 4 月までの(寒候期)は相関係数 07 以上の高

度が 600hPa まであるが5 月から 9 月の(暖候期)

は 800hPa までであった(定義と異なりかっこ付)

4稚内 9 時と 21 時の月平均気温の差

9 時の気温の測定値は日射の影響を受け21 時は

その影響がないので測定値の信頼性が高いという2)

公開されているデータは日射補正後のものとされる

が稚内の 9 時と 21 時のデータを比較しそれらの差

を調べた1981 年以降この差は小さいとのことだ

が年間平均では地上は 9 時の方が約 05高く

900hPa 前後は 21 時の方が約 05高く高層に向け

てその差を縮めながらも 21 時の方が高い30hPa か

ら上では再び 9 時の方が高くなる

51988 年から 2016 年の間の変化傾向

稚内について対流圏は高層ほど気温が上昇し成層

図3 稚内 9時 200hPa8月の月平均気温の推移

圏は気温が低下するという傾向が表れているかを各

図4 稚内 9時の各月各高度の気温変化傾向

指定高度面で調べた 9 時 200hPa の 8 月の例を 図

3に示す各月各高度面の結果を 9 時について図

4に21 時の結果を図5に示す夏場は前述の傾向

が表れているが冬場はその傾向がつかみにくい

図5 稚内 21時の各月各高度の気温変化傾向

6その他の観測点の月平均気温の推移

その他の観測地点の例として南鳥島の 9 時の各

月の気温変化傾向を図6に示す

図6 南鳥島 9時の各月各高度の気温変化傾向

南鳥島では成層圏の低温化傾向がいずれの月で

も認められる

7今後の研究方針

国内の 20 高層観測点すべてについて解析し地域

別の傾向をとらえ地上気温変動推定への利用法を

考える

5参考文献

1)阿部豊雄2015気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 1部 高層気象観測の変遷

天気62161-185

2)阿部豊雄2016気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 2部 観測値の特性天気

63267-295

02統解-2

神奈川支部田園調布学園中等部高等部 2 千葉支部 3 北関東支部 4 東京支部 5 神奈川支部

生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)

荒川 知子関 隆則2池上 榮3大野 昭彦4遠藤 君江5

1はじめに

筆者は勤務校である田園調布学園の土曜プログ

ラムにおいて「やってみよう天気予報」と題した気

象の講座を2004 年より主催してきた(荒川 2010)

その中で生徒の主体的活動を重視することが気

象特に気象防災における生徒の意識を向上させる

ことができることを提示した(荒川 20152016)

これまでに日本気象予報士会会員の協力を得

て新たな 3 つの講座を開発し一定の成果が得ら

れた3 件のうちクロスロードによる防災意識の

向上については2016 年度日本気象学会秋季大会に

おいて発表済みであり今回はそれ以外の 2 件につ

いて報告する

2 実施内容

2-1 高層天気図予想図を使った天気予報

1) 概要

1 コマ 65 分の講座を 2 週にわたり連続で実施し

受講者は中 1 から高 1 までの 30 名であり8 班編制

とした

1 週目は天気予報のしくみについて簡単に講義

し当日朝の天気図予想図を使用して図の貼り

合わせや着色の方法について練習を行った

2 週目は当日朝の天気図予想図を配布して

前週と同様の作業をし翌日の予報を作成して発表

させた

2) 方法

①SUGDaSS より当日朝の FAFE502FXFE504

FXFE5782FXFE584 を入手し時系列高度の

順に 貼り合わせる

②日本列島の位置を着色し確認する

③500hPa-9-12等温線を赤で着色する

④700hPa 湿域を着色する

⑤予報したい地域の 850hPa を通る等温線を赤で

着色する

⑥地上で降水が予想される地域を着色する(図

1)

⑦予報したい地域の 500hPa 気温700hPa の湿り

具合850hPa 気温をワークシートに書き入れ

⑧850hPa 気温に 9 を加え地上気温を予想する

⑨500hPa 気温と地上気温の差をワークシートに

記入する

⑩ワークシートに予想を記入する

図 1 天気図に着色しながら予報を考える

3) 注意点

次のような点に着目して生徒に予報文を作成さ

せた

①500hPa と地上の気温差が 30以上であれば不

安定と考える

②700hPa が湿っていても地上に降水が予想され

ていなければ曇り700hPaが湿っており地上に

も降水が予想されていれば雨と予想する

③予報を作成したら予報に合わせ生活上の注

意点を予報文に盛り込む

2-2 お天気紙芝居の作成

1) 概要

65 分の講座 1 コマで実施した

受講者は中 1 から高 2 までの 20 名であった

ストーリー作成のため本校の生徒が作成したキ

ャラクターである「なでりん」を主役とし「なで

りんの 1年間」というタイトルで小学校低学年の児

童に説明することを目標とした

2) 方法

①受講者を 4 名ずつ 5 グループに分け更にその

中で 2 名ずつのペアを作らせた

②季節を春梅雨夏秋冬の 5 つに分け各

グループが 1 つの季節を担当した

③各季節の天気の特徴と防災事項をそれぞれの

ペアが担当しそれぞれ相談しながら紙芝居の

絵と説明を作成した

④1 年分の紙芝居を集め講師がコメントを入れ

発表した

3) 注意点

天気の特徴を担当するペアには典型的な 10 種

類の天気図を印刷して配布し絵の中に天気図を組

み入れさせた配布した天気図には日付を入れず

04授業-12

その季節の天気図として妥当なものを生徒自身に

判断させた

3教育効果

どちらの講座においても生徒が積極的に取り組

む姿勢が認められた

天気予報においては生徒は高層天気図にふれる

のが初めてであり大気の立体構造を理解した上で

予報に取り組んではいないしかし単に低気圧の

移動から雨域の移動を類推するのとは異なり予報

時刻の予想図から必要事項を読み取り予報を作成

することでより実感を持って予報に取り組めた様

子が伺えた今回は翌日の東京における予報を作

成した班がほとんどであったが「雨」という班と

「曇り」という班があったこれは地上予想図に

おける雨域の端が東京付近を通っていたことで雨

と判断した班と曇と判断した班とに分かれたもの

である根拠も含めて説明させたので生徒が確か

な裏付けを持って予報しようとする姿勢を持てた

ことそれを生徒自身の言葉で表現できたことが成

果である

通常の授業では与えられた問いに対し想定で

きる答が用意されていることが多く生徒は常に

「正解を知る」ことを求めがちであるしかしこ

れからの社会においては正解の無い問いに取り組

む姿勢が重要である天気予報はまさに「正解の分

からない問い」であり結果は翌日以降の予報時刻

になって初めて確かめられる予報士が実際に取り

組む方法を体験することで答が見えない問いに対

しても答を準備しなくてはならないことの難しさ

を生徒が体感することができた

紙芝居の作成においては生徒が自分たちの言葉

で季節や防災を表現するoutput による理解の深化

と興味の喚起が主な目的であったOutput のために

は生徒自身がその内容を理解しさらに人に伝え

るための工夫が必要である対象を小学校低学年程

度としたことで生徒が伝えるポイントを絞り簡

潔な言葉で伝えることを意識できた生徒は予想以

上に積極的に取り組んでいた

新しい指導要領においては答の無い問いを解決

し人との交わりの中でそれを活かそうとする力-

21 世紀型スキル-の育成が課題となっているこの

講座はまさに 21 世紀型スキルの育成を目指すも

のである

4今後の展開

4-1 高層天気図予想図を使った天気予報

予報時刻予報地点を生徒に選ばせたため「翌

日の東京」の天気を予想した生徒が大半を占め他

の地点を選んだのは高校生 2 名のみであった予報

時刻や予報地点をグループごとに指定することで

生徒が地域的な広がりや時間変化を感じより実感

を持って予報に臨めるものと思われる

またこの講座では実施時期により天気図を見

るポイントが異なってくる夏であれば上空の気温

に着目して不安定を検出する低気圧の通過時であ

ればその予測をするなどのテーマが考えられる

当日の状況により着目点が異なってくることから

ワークシートを直前に作成する必要がある既成の

ワークシートをそのまま利用できず着目点をその

都度確認することは気象予報士としての技術研

鑽にも繋がることとなる

4-2 お天気紙芝居

「なでりんの一年間」として一年間の季節の流

れとそれぞれの季節ごとの防災事項を生徒に考え

させた

季節ごとの防災事項を認識することは大切であ

るが台風大雪など防災事項を具体化するには

テーマが大きかったともいえる今後「防災」に

焦点を当て大雨大雪台風等テーマを決めた

上で各グループが防災事項を検討しそれを紙芝

居の形で表現することでさらに「防災に役立つ」

という意識を生徒に喚起することが可能である

なお今回は時間の関係で最後の発表は講師が

行ったが2 コマの連続講座として展開し生徒自

身に発表させればさらに生徒が主体的に取り組め

るものと考えられる

4-3 講座の構築

いわゆる出前講座のお天気教室においては講師

側と受講者側が初対面であることも多いそのた

め講師側が受講者の基礎知識や講座に対する参加

意識を把握できずに講座を進めなくてはならず生

徒を主体的に行動させることが難しい場合もある

開発した 2 つの講座は年齢や生徒の基礎知識によ

らず受講者が主体的に行動することで達成感を得

られるものである

今後中高生に限らず成人向けにもこのような

手法を用いた講座を実践することで気象に対する

興味や知識がより深まるものと考えられる

5まとめ

中高生に対し気象予報士の業務を疑似体験させ

て高層天気図を用いた予報を行わせたり防災を

伝える工夫をさせたりすることで気象や防災に対

する生徒の意識が向上することが分かった

参考文献

荒川知子(2010)奨励賞を受賞して天気 35-37

荒川知子(2015)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上日本気象学会秋季大会予

稿集

荒川知子(2016)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上(2)日本気象学会秋季大会

予稿集

04授業-12

大気圧に対する見方を変える -『空気分子(N2や O2など)の運動』の視点で-

槇 野 泰 夫(東海支部)

1 はじめに

「地表付近の物体は空気

の重さによる圧力を受けて

いる圧力はあらゆる面に

対して垂直である」と「大

気の柱の図解」(写真1)と

ともに大気圧について中学

で学習している

「室内では空気の柱が

天井や机の下までしかない 写真1 大気の柱の図

これで屋外と同じ気圧確かに1気圧だが」と

腑に落ちないでいた空気分子があらゆる方向に圧力

を与えているという漠然とした考え方や実験結果から

私はなんとなく納得()していた

釈然としない気持ちを解決すべく教材開発の日々に

木村龍治先生のご指導を受ける機会があった『空気分

子の運動』から見た大気圧に対する見方である私の長

年のもやもやはすっきりと解消された

教員養成の大学で教える機会があり理科研究の地

学を担当し『空気分子の運動』を視点にした「大気圧

による現象」の講義をすることにしたここに報告する

2 『空気分子の運動』から見た大気圧の現象

① 大気圧によって力を受ける現象

下敷きの中央部分に摘み

を取り付け机などの滑ら

かな面に置いて摘みを引

き上げようとすると下敷

は取れなくなる(写真2)

ほとんどの大学生はこ 写真2 摘み取れない下敷

の現象が大気圧によるものである

ことに気付かない「下敷きの上に

あるものは下には」などと考

え進めていくと半信半疑ながら

大気圧に気付く身近にある下敷

きで大気圧による現象を実感し

かなりの衝撃を受ける 写真3 壁に張り付く下敷

さらに下敷を壁などの側面に張り付く現象(写真3)

も体験させると衝撃を受け驚く「大気圧」と自

信なくつぶやく大学生がいるが多くは「」

ここで空気中を飛び回る N2や O2などの分子の存

在(図1)に視点をあてる空気分子の量は地表に近い

程多いN2やO2な

どの分子は秒速

450m 近くの速度

で物体の表面に衝

突し瞬間だけの力

を与え分子の集団

効果で圧力となる

この圧力が大気圧 図1 飛び回る空気分子の存在

であるという見方を示す

机の上の下敷き(写真2図1A)が摘み取れない現

象や下敷が壁に張り付く現象(写真3図1B)を学

生は『空気分子の運動』から容易に理解した以下の感

想から読み取れる

<学生の感想>

〇 空中にある物にはいろいろな方向から分子が衝突

するので全方向から圧力がかかっているなるほど

〇 空気の分子が下敷きに一方的に高速でぶつかるこ

とがわかりすごい力で取れないことを肌で感じた

〇 大気圧は上にある空気の押す力によるものだと思

っていたしかし空気分子の運動で考えると室内

でも屋外でも差がないことや横から押す圧力も同じ

ように生じていることが矛盾なく理解できた

〇 空気分子の運動はすごく納得ができより理解が

深まった

<考察>

空気中の下敷きはあらゆる方向から同じ圧力を受

けるので重さ以外の力を感じないしかし下敷きに

空気分子が一方的に衝突するようにすると大気圧を

一方的に受け大きな力を感じさせることができる大

気圧を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は大気圧を動的に見せる

ことができあらゆる方向から大気圧がかかることを

理解させるのに有効な見方となっている

B

A

04教育-5

② 圧力差から生じる力によって起こる現象

箱の周りの空気分

子と同じ密度の空気

分子を閉じ込めた容

器(図2C)がある

この容器内の空気

分子の密度が内と外

で差が生じるように

空気の量を減らすと 図2 空気中の容器

容器(図2D)はどのようになるかを考えさせた

「空気分子の量が減るため内側から押す力が弱まり

周りから力がかか

り凹む」と多くの

学生は予想した

ラップフィルム

で蓋をした容器か

ら逆流防止弁を付

写真4 減圧した図2Dの実験 けて(写真4)のよ

うに空気を減らし圧量差が力を生む現象を示した

次に容器(図2C)を上空(図2E)へ移動すると

どうなるかの問いに「容器は内部から外に力がかかり

膨らむ」と答えていたこの(図2C)から(図2E)

への移動は空気の上昇膨張の現象となり水蒸気の

凝結雲の発生の話につながる重要な過程である

<学生の感想>

〇 あんなにラップが凹み硬くなったことが衝撃的

だった空気分子の動きが見えるようだった

〇 空気が減っていく様子が目の前で分かり空気分

子の圧力の強さをパンパンになるラップで感じた

〇 空気分子の量の違いによって力が生じ凹んだり

膨らんだりすることがわかったわかりやすい

<考察>

硬く凹むラップフィルムパンパンになるラップフ

ィルムなどの記述から『空気分子の運動』という見え

ないものをラップフィルムの様子の変化から捉えてい

る圧力差を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は容器内外の空気分子の

密度(量)の違いを圧力差と関連付け圧力差から生じ

る力を理解させるのに有効な見方となっている

空気の上昇膨張の現象は仕切りのある容器の現象

ではない温度低下との関係も説明しきれていない

③ 気圧差で起こる広範囲の現象

図3 連通管の模式図 写真5 圧力差のある連通管

連通管(図3)の入り口で圧力差を作るとどうなるか

を考えさせた大学生は圧力差を空気分子の量の違い

で捉え水面の変化を容易に考えることができた

(写真5)は圧力差があるときの水面の様子である

海洋など広い範囲では水平方向に気圧差が生じる

ことがある高気圧や低気圧(台風)などの気圧配置が

これにあたる図4を示して高潮の様子を類推させた

図4 海洋など広い範囲での気圧差

<学生の感想>

〇 連通管の実験を踏まえて空気分子の運動で考え

ると自然界で起きている現象(高潮)がわかった

〇 大きなスケールの実験はできないが小さなスケ

ールの実験から空気分子の運動で推測できた

<考察>

連通管の水位は空気分子の量と圧力との関係を明

確に捉えさせることができ圧力差を意識させる有効

な実験である

『空気分子の運動』の見方は水平方向に気圧差があ

る広い範囲の現象を理解させるのに有効な見方とな

っている

3 おわりに

『空気分子の運動』の視点で考えることに対して

147名の大学生の 68が「よくわかる」32が「やや

わかる」(あまりわからないぜんぜんわからないは 0)

と回答している中学で学習した「大気の柱」の見方に

加えて『空気分子の運動』の見方で考えさせることは

大気圧に対する理解を深めさせることになると考える

こうした実践に至るまでのきっかけを与えてくださ

った木村龍治先生のご指導に感謝を申し上げます

C D

E

04教育-5

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 8: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

身体の外の気象防災と身体の中の気象防災

全ての病は「気象病」 中國古典醫學理論=気象学天文学物理学

東京支部 小室善隆

1はじめに(研究の動機)

研究のテーマを決定するのに当たりかなり悩みまし

た何故ならこの発表会の募集要項を見ますと「対象

となる研究」は01から08までと決められています

従って私の発表は06にいやその他の08にしよう

かかなり悩みましたどちらにしてもしっくり来ない

のですが中國古典醫學を患者さんなどに説明する時

に「身体の外の異常気象が災害で身体の中の異常気象

が病気だよ」と話をしておりましたそうそこで「身

体の中の気象防災」としました

もう一つは私にとってこれは研究だけではなく余

りにあまりに大きな驚きだったのです中國古典醫學

理論の講義が始まりその内容を聴き始めると何と「あ

んなに苦しんで取得した気象学を再び学び始めるのか」

と思う程全く同じ内容だったのです

それも気象予報士試験問題で言えば「予報業務におけ

る一般知識(法律を除く)」と全く同じなのです逆を言

えば全ての気象予報士は既に中國古典醫學理論その物

を学んでしまっているのですそれも膝上位までサブ

タイトルはこれが理由です

また研究発表に当たりこの会場には気象庁気象

予報士気象学会以外の方がいらっしゃいましたら席を

お外し下さいと建前なのですがこのテーマですと

日本の医師法に違反する事になりかねません何故なら

「治る」と言う言葉が国家試験に合格した医師にしか許

されていないだけでなく不特定多数の一般人に対して

医師ではない者は流布出来ないのです

この様な法律が存在するのは先進国に於いては日本

だけで後は一部のイスラム国家だけです国によって

は西洋医学と東洋医学(中國古典醫學)が対等に窓口を

開いていますもしいらっしゃいましたら気象予報士

の資格を得る為の勉強でとでもして下さい

さて「東洋医学」と表現致しましたが厳密に言うと

「中國古典醫學」ですこの後もし東洋医学と言って

しまった場合には断りが無い限り「中國古典醫學」と読

み替えて下さい

他に昨年のこの発表会において東北支部の岡田みは

るさんが「気象病」について発表されましたそれを聴

いて西洋医学と異なり中國古典醫學理論においては

全ての病を気象病だと考えておりますさらに感染症ま

でをも「温病学」として気象病の一つと考えています

また準備を行う段階で検索を繰り返し鍼灸士で気

象予報士の方も居られる事が分かりましたその方の出

版物の目録を見ただけなのですが過去の理論を並べ直

しただけで何ともしっくり来ませんでした決して誤り

ではないのですが折角気象予報士の資格を取得された

のならば小難しい中國古典理論の用語を今の気象用語で

説明されたらと思います

2中國古典醫學理論

ここから中國古典醫學理論の講義を始めます中國古

典醫學理論の最初の記述は地面に棒を垂直に立てて

その影の長さを測り最も短くなった日を夏至に最も

長くなった日を冬至としますとすると1年は365

日と4分の1日4年で1日分になります1年の36

5日を半分にすると春分の日と秋分の日が決まります

さらにその半分を決めると4立立春立夏立秋立

冬が決まり春夏秋冬が決まりますでも春夏秋冬の

季節の境目に何があるでしょう雨季がありますその

為に4立の前に土用として18日間を決めます従って

1年間の季節が「春夏梅雨(長夏土用)秋冬」

になります

ここで独特と思われている「陰陽」の講義を行います

その陰としての象徴が月であり陽の象徴が太陽になり

ますさらに人間の背中側が陽お腹側が陰身体の

外が陽身体の内側が陰五臓六腑の五臓が陰六腑が

陽男が陽で性器も陽女が陰で性器も陰生まれて来

る赤ちゃんが陰で産む母親は陽さらに太平洋陽気圧に

移動性陽気圧温帯陰気圧に寒冷陰気圧街中の陽イ

オンに森の中の陰イオン春が陽で秋が陰この様に陰

03教育-1

陽は決して象徴では無く常用し常に相対的なのです

決して中国思想の事だけではないのです

中國古典醫學理論に「陰陽五行(月日水火木金土)」

と言う言葉があります「五臓六腑」をこの陰陽五行に割

り当てます春の木に陰の肝臓と陽の胆嚢を夏の火に

陰の心臓と陽の小腸を雨季(梅雨長夏)土用に陰の

脾臓と陽の胃を秋の金に陰の肺臓と陽の大腸をそし

て冬の水に陰の腎臓と陽の膀胱を割り当てます何故は

時間の関係上省略しますこれらを図の上に置きますと

上に腎臓右に心臓下に心臓左に肺臓そして真ん

中に脾臓を置きます何とこの配置は仏教曼荼羅図の金

剛界の配置と同じになりますまた地球の北半球に於い

ては何処へ行っても同じになります

3病気(症状)と気象注意報警報との関係

私が10代後半から20代後半にかけて4回の親族

の葬式を行なった記憶がありますそこで坊主様が言わ

れたお説教が忘れられないのですそれは「本来人間に

病は無い」と言われた事です直ちに腹の中で「嘘だ

皆病気で死んでいるそれも治せないで」ここに来られ

ている聴衆の皆さんが不特定多数の場合は私のこの発言

が医師法違反になってしまう可能性があります

横道に反れましたが元に戻って世界最古の中國古典

醫學理論は世界最新の気象学とこの様に寸分たがわず同

じだったのです違うと言えばせいぜい身体の内と外

位の違いしか思い当たりませんいやもう1つありま

した先に触れた太陽高度の計測方法です

気象予報士が毎日繰り返し発表している気象予報は

何を出しているのかです表現は中國古典醫學理論の

都合の良い様に順番は変えますが「明日の風はどんな

暑い雨晴それとも寒い」ですいや波浪があると

言われるのであればそれは風が原因でしょうこれらを

内臓に割り当ててしまったのが「中國古典醫學理論」だ

ったのですそしてその動作作用効果結果を陰

陽五行で考えるとどれを取っても説明に都合が良いので

そして極一部ですが西洋医学において中國古典醫學

理論が結果として証明されています余計な事ですが

それでも中國古典醫學を否定されるのであれば漢方薬な

んて使わないで欲しいです生薬の無駄遣いです

自然界に対して発表される気象防災の注意報警報の

1つに大雨洪水注意報警報がありますこれらも人

間の身体の中において存在します注意報は「肺気腫」

であり警報は「肺水腫」になります肺に病気を発症

させていますが悪いのは大雨と低温なのです他にも

大雨低温強風注意報はリューマチ大雨高温強風注意報

はアトピーと言う具合に消防庁の管轄にはなりますが

火災警報もありますこの場合には心臓や脳の病気にな

ります注意報警報の中には自然界には存在せず人間

の身体の中にだけある気象災害もあります低温大雨火

災警報です

まさに全てが気象病そのもので身体の中の注意報警

報は何と病気(症状)の治療方法を示しているのです

先の低温大雨火災警報は各種の癌ですさらに癌の治療

方法は遥か2世紀には開発されておりましたしかも薬

までありますが残念ながら大方の西洋医学の先生方

は当然の事中國古典醫學理論を知らない筈つまり

気象学を知らないからです従って西洋医学の先生方

に取り扱える代物ではありませんですが気象予報士

で西洋医学の諸先生方は中國古典醫學理論の基礎を学ん

でしまったのであり中國古典醫學理論を否定する事は

出来ないはずですぜひ一歩進めて下さい

気象学中國古典醫學のそれぞれの文献は多数ありま

すが気象学と中國古典醫學を直接結びつける参考文献

は現在の所は殆ど或いは全くありません

ここへ出る勇気を頂いたのは1年余り前に亡くなら

れた元千葉支部長根本由紀子さんにお会いしたお陰

ですご冥福をお祈りします

03教育-1

揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察

日本気象予報士会 上田博康

1 研究の動機

兵庫県朝来市に位置する国史跡竹田城跡は標

高 354mの山頂に南北 400m東西 100mに及ぶ全

国屈指の石垣遺構であるとともに麓の円山川に

秋から冬にかけて発生する雲海に浮かぶ姿が「天

空に浮かぶ城」と称され近年観光地として注目さ

れていますただしこの雲海が見られるのは夜

間の放射冷却次第であるといわれており旅行計

画を組むうえでリスクが高いといえます

今回は竹田城跡の南側にある揚水発電所であ

る奥多々良木(おくたたらぎ)発電所および大河内

(おおかわち)発電所が日および週サイクルで稼

働することから雲海が発生しやすいあるいは発

生しにくい曜日があるのかどうか考察を試みた

ものです

図1兵庫県図における竹田城跡発電所の位置

図2アメダスダム竹田城跡の位置と標高

2 研究方法

揚水発電所が発電を行うと上部ダムの水位が

低下し下部ダムの水位が上昇しますがこのこと

は地表面近くに低気圧と高気圧が発生することを

意味します逆に電気を使って揚水を行うと上

部ダムで高気圧と下部ダムで低気圧が発生すると

考えられます発電所の運転は電力需要バランス

が最も厳しいあるいは余裕のある時間帯に集中し

ますから特定の曜日時間帯にのみ強まる風が観

測されれば発電所の稼働に伴う気圧傾度風との

関連が考えられます

そこで2007年1月から 2016 年 11月までのア

メダス和田山とアメダス生野の風向風速の1時

間値から風速の東西成分南北成分を算出し曜

日時間ごとに平均値を取り同時間平均値が曜日

によって差がないか確認を行い特に深夜早朝の

特異な風が雲海に与える影響を考察します

02統解-1

3 研究成果の概要

アメダス2地点の風速を 24 時間times7 曜日に分け

て平均を取り「全曜日平均と比べて合成風速が

01ms 以上ずれた状態が3時間以上続く」特異な

条件の曜日時間帯は次のとおりでした

【アメダス和田山】

月曜日 1-3UTC(月曜日 10~12時)

月曜日 5-8UTC(月曜日 14~17時)

土曜日 23UTC-日曜日 1UTC(日曜日 8~10時)

図3アメダス和田山の時間帯別平均風向風速

【アメダス生野】

水曜日 2-4UTC(水曜日 11~13時)

日曜日 16-23UTC(月曜日 2~7時)

図4アメダス生野の時間帯別平均風向風速

これらのうち雲海の形成消滅に関連するもの

は最後の「アメダス生野の日曜日 16-23UTC に強

まる風」だけですがその成分は風速 010~

013msの南西~西南西風と推測されます

なおこの日曜日 16-23UTC の和田山の全曜日

平均と比べて強まる成分は風速 003~011ms の

南南東~南西風と推測され生野での日曜日の特

異風とのシアを考慮しますとアメダス生野を抜

けた風の一部はアメダス和田山に至らずに中間で

とどまっていると考えることができます

なお雲海が発生しやすい時期に限ってみれば

この時間帯の生野の平均気温の差は次のとおりで

す生野と和田山の標高差が 240mなので標準大

気の気温減率 65Kkm相当の気温差が 015程度

であることを考えると平均的には寒気移流が生

じていると考えることができます(縦月横

UTC 時網掛けは平均気温差>015の時間帯)

16 17 18 19 20 21 22 23

9 -04 -05 -04 -05 -04 -05 -05 -05

10 -03 -02 -03 -03 -03 -04 -03 +01

11 00 -06 -04 -04 -03 -02 -02 -02

12 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -09

図5両地点の時間帯月別気温差(日曜日)

【結論】

月曜日の早朝に強まるのみ南西風の成分が生野

で観測されており寒気移流が強まることで竹田

城跡付近で雲海が発生しやすくなると思われます

4 今後の課題

今回の考察はアメダス観測値から平均的な傾

向を調べるにとどまっていますきめ細かい観測

を行い雲海の発生解消メカニズムを把握するこ

とが必要と考えています

また実際の発電所の稼働状況の変化を踏まえ

今後もこのような気圧傾度風が確実に発生すると

いえるのか見極めが必要と考えます

【参考にした資料】

関西電力株式会社和田山町観光協会の各 WEB サ

イト国土地理院の地形図SUGDASS2データ

02統解-1

直近 28 年間の日本の地表から高層の気温変動傾向

内山 常雄(神奈川支部)

1 はじめに

著者はこれまで日本の年平均気温の変動を調べて

きたがそれらの発表に対して①気温の測定機材や

測定頻度が変更されてきた②すでに地表から高層の

再解析データがあり限られた地点の地表の気温を

解析する意味はないといった指摘を受けた

第 46 回メソ気象研究会のテーマは「擬似温暖化実

験のメソ気象研究に対する可能性」であったがそこ

では「対流圏の気温は高層ほど上昇し成層圏は寒冷

化する」が前提とされていた

容易に入手できる高層の気温データからそのよう

な結論が得られるか調べ地上の気温変動予測への

利用可能性を探ることが本研究の目的である

2 気象庁の高層気象観測の変遷

気象庁の高層気象観測の変遷については詳しい解

説がある1)2)それによると観測機種の交換が何

度かあり同一時期でも観測点によって異なる機種

が使用されていることもある気温の測定はバイメ

タル式サーミスタ温度計静電容量ワイヤ温度計と

変遷した日射補正の方法の改良や吊紐の長さの7

m15m30mへの変更もあった高層気象観測

はそもそも高度方向の変化を調べるための測定で

時系列的にデータを見る目的で使われるようになっ

たのは気候変動が問題になった近年からだという

現在気象庁のホームページで閲覧できる高層気象

観測データは 1988 年以降でありその間 RS2-80 型

サーミスタ温度計から RS2-19型サーミスタ温度計を

経て RS92-SGP型静電容量式ワイヤ温度計へと測定機

器は変遷しているその変遷期日は観測点ごとに異

なる

RS2-80 型以前の測定値は00UTC と 12UTCの測定

値の差が高度が高くなるにつれて拡大するなど日

射補正に問題があるというが1988 年以降のデータ

ではこの点の問題は発生しない

3稚内 9 時の月平均気温の推移

気象庁の地上の気温観測点は 900 か所ほどあり

10 分ごとの気温データが得られるが気温変動予測

の解析には 15地点の日平均気温や月平均気温などを

解析してきた高層の気温のデータは国内で 20 観測

点のデータがあり1988 年以降の 9 時と 21 時の高

度方向の測定値が気象庁のホームページで閲覧でき

るただこのデータの処理は難しいので指定高度

面の月平均値を解析した指定高度面は 1000hPa か

ら 5hPa まで 25 面あるが925hPa10 及び5hPa 面

のデータには欠測があるここでは 1000hPa から

20hPa までを解析対象としたデータはマイクロソフ

トエクセルを用いて解析した最初に稚内について

調べた

図1 稚内 9 時 2 月の平均気温の推移

図 1 に稚内の 9 時の 2 月の平均気温の 1988 年から

2016 年の地上から 20hPa までの推移を図 2 に同じ

く 8 月の推移を示した

図2 稚内 9時 8月の平均気温の推移

一番上の線が地上で下に向かって高層のデータで

下の方で線が密集しているところは成層圏である

02統解-2

対流圏では地上と高層の変動に類似性がある

8 月は 2 月と比較して地上の気温が 20上昇し

成層圏との圏界面の気温が 10下がりグラフの上

下の幅が約 30拡大している8 月の地上と高層の

変動の相関は 2 月より低いように見える

地上と高層の気温の相関係数を計算すると10 月

から 4 月までの(寒候期)は相関係数 07 以上の高

度が 600hPa まであるが5 月から 9 月の(暖候期)

は 800hPa までであった(定義と異なりかっこ付)

4稚内 9 時と 21 時の月平均気温の差

9 時の気温の測定値は日射の影響を受け21 時は

その影響がないので測定値の信頼性が高いという2)

公開されているデータは日射補正後のものとされる

が稚内の 9 時と 21 時のデータを比較しそれらの差

を調べた1981 年以降この差は小さいとのことだ

が年間平均では地上は 9 時の方が約 05高く

900hPa 前後は 21 時の方が約 05高く高層に向け

てその差を縮めながらも 21 時の方が高い30hPa か

ら上では再び 9 時の方が高くなる

51988 年から 2016 年の間の変化傾向

稚内について対流圏は高層ほど気温が上昇し成層

図3 稚内 9時 200hPa8月の月平均気温の推移

圏は気温が低下するという傾向が表れているかを各

図4 稚内 9時の各月各高度の気温変化傾向

指定高度面で調べた 9 時 200hPa の 8 月の例を 図

3に示す各月各高度面の結果を 9 時について図

4に21 時の結果を図5に示す夏場は前述の傾向

が表れているが冬場はその傾向がつかみにくい

図5 稚内 21時の各月各高度の気温変化傾向

6その他の観測点の月平均気温の推移

その他の観測地点の例として南鳥島の 9 時の各

月の気温変化傾向を図6に示す

図6 南鳥島 9時の各月各高度の気温変化傾向

南鳥島では成層圏の低温化傾向がいずれの月で

も認められる

7今後の研究方針

国内の 20 高層観測点すべてについて解析し地域

別の傾向をとらえ地上気温変動推定への利用法を

考える

5参考文献

1)阿部豊雄2015気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 1部 高層気象観測の変遷

天気62161-185

2)阿部豊雄2016気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 2部 観測値の特性天気

63267-295

02統解-2

神奈川支部田園調布学園中等部高等部 2 千葉支部 3 北関東支部 4 東京支部 5 神奈川支部

生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)

荒川 知子関 隆則2池上 榮3大野 昭彦4遠藤 君江5

1はじめに

筆者は勤務校である田園調布学園の土曜プログ

ラムにおいて「やってみよう天気予報」と題した気

象の講座を2004 年より主催してきた(荒川 2010)

その中で生徒の主体的活動を重視することが気

象特に気象防災における生徒の意識を向上させる

ことができることを提示した(荒川 20152016)

これまでに日本気象予報士会会員の協力を得

て新たな 3 つの講座を開発し一定の成果が得ら

れた3 件のうちクロスロードによる防災意識の

向上については2016 年度日本気象学会秋季大会に

おいて発表済みであり今回はそれ以外の 2 件につ

いて報告する

2 実施内容

2-1 高層天気図予想図を使った天気予報

1) 概要

1 コマ 65 分の講座を 2 週にわたり連続で実施し

受講者は中 1 から高 1 までの 30 名であり8 班編制

とした

1 週目は天気予報のしくみについて簡単に講義

し当日朝の天気図予想図を使用して図の貼り

合わせや着色の方法について練習を行った

2 週目は当日朝の天気図予想図を配布して

前週と同様の作業をし翌日の予報を作成して発表

させた

2) 方法

①SUGDaSS より当日朝の FAFE502FXFE504

FXFE5782FXFE584 を入手し時系列高度の

順に 貼り合わせる

②日本列島の位置を着色し確認する

③500hPa-9-12等温線を赤で着色する

④700hPa 湿域を着色する

⑤予報したい地域の 850hPa を通る等温線を赤で

着色する

⑥地上で降水が予想される地域を着色する(図

1)

⑦予報したい地域の 500hPa 気温700hPa の湿り

具合850hPa 気温をワークシートに書き入れ

⑧850hPa 気温に 9 を加え地上気温を予想する

⑨500hPa 気温と地上気温の差をワークシートに

記入する

⑩ワークシートに予想を記入する

図 1 天気図に着色しながら予報を考える

3) 注意点

次のような点に着目して生徒に予報文を作成さ

せた

①500hPa と地上の気温差が 30以上であれば不

安定と考える

②700hPa が湿っていても地上に降水が予想され

ていなければ曇り700hPaが湿っており地上に

も降水が予想されていれば雨と予想する

③予報を作成したら予報に合わせ生活上の注

意点を予報文に盛り込む

2-2 お天気紙芝居の作成

1) 概要

65 分の講座 1 コマで実施した

受講者は中 1 から高 2 までの 20 名であった

ストーリー作成のため本校の生徒が作成したキ

ャラクターである「なでりん」を主役とし「なで

りんの 1年間」というタイトルで小学校低学年の児

童に説明することを目標とした

2) 方法

①受講者を 4 名ずつ 5 グループに分け更にその

中で 2 名ずつのペアを作らせた

②季節を春梅雨夏秋冬の 5 つに分け各

グループが 1 つの季節を担当した

③各季節の天気の特徴と防災事項をそれぞれの

ペアが担当しそれぞれ相談しながら紙芝居の

絵と説明を作成した

④1 年分の紙芝居を集め講師がコメントを入れ

発表した

3) 注意点

天気の特徴を担当するペアには典型的な 10 種

類の天気図を印刷して配布し絵の中に天気図を組

み入れさせた配布した天気図には日付を入れず

04授業-12

その季節の天気図として妥当なものを生徒自身に

判断させた

3教育効果

どちらの講座においても生徒が積極的に取り組

む姿勢が認められた

天気予報においては生徒は高層天気図にふれる

のが初めてであり大気の立体構造を理解した上で

予報に取り組んではいないしかし単に低気圧の

移動から雨域の移動を類推するのとは異なり予報

時刻の予想図から必要事項を読み取り予報を作成

することでより実感を持って予報に取り組めた様

子が伺えた今回は翌日の東京における予報を作

成した班がほとんどであったが「雨」という班と

「曇り」という班があったこれは地上予想図に

おける雨域の端が東京付近を通っていたことで雨

と判断した班と曇と判断した班とに分かれたもの

である根拠も含めて説明させたので生徒が確か

な裏付けを持って予報しようとする姿勢を持てた

ことそれを生徒自身の言葉で表現できたことが成

果である

通常の授業では与えられた問いに対し想定で

きる答が用意されていることが多く生徒は常に

「正解を知る」ことを求めがちであるしかしこ

れからの社会においては正解の無い問いに取り組

む姿勢が重要である天気予報はまさに「正解の分

からない問い」であり結果は翌日以降の予報時刻

になって初めて確かめられる予報士が実際に取り

組む方法を体験することで答が見えない問いに対

しても答を準備しなくてはならないことの難しさ

を生徒が体感することができた

紙芝居の作成においては生徒が自分たちの言葉

で季節や防災を表現するoutput による理解の深化

と興味の喚起が主な目的であったOutput のために

は生徒自身がその内容を理解しさらに人に伝え

るための工夫が必要である対象を小学校低学年程

度としたことで生徒が伝えるポイントを絞り簡

潔な言葉で伝えることを意識できた生徒は予想以

上に積極的に取り組んでいた

新しい指導要領においては答の無い問いを解決

し人との交わりの中でそれを活かそうとする力-

21 世紀型スキル-の育成が課題となっているこの

講座はまさに 21 世紀型スキルの育成を目指すも

のである

4今後の展開

4-1 高層天気図予想図を使った天気予報

予報時刻予報地点を生徒に選ばせたため「翌

日の東京」の天気を予想した生徒が大半を占め他

の地点を選んだのは高校生 2 名のみであった予報

時刻や予報地点をグループごとに指定することで

生徒が地域的な広がりや時間変化を感じより実感

を持って予報に臨めるものと思われる

またこの講座では実施時期により天気図を見

るポイントが異なってくる夏であれば上空の気温

に着目して不安定を検出する低気圧の通過時であ

ればその予測をするなどのテーマが考えられる

当日の状況により着目点が異なってくることから

ワークシートを直前に作成する必要がある既成の

ワークシートをそのまま利用できず着目点をその

都度確認することは気象予報士としての技術研

鑽にも繋がることとなる

4-2 お天気紙芝居

「なでりんの一年間」として一年間の季節の流

れとそれぞれの季節ごとの防災事項を生徒に考え

させた

季節ごとの防災事項を認識することは大切であ

るが台風大雪など防災事項を具体化するには

テーマが大きかったともいえる今後「防災」に

焦点を当て大雨大雪台風等テーマを決めた

上で各グループが防災事項を検討しそれを紙芝

居の形で表現することでさらに「防災に役立つ」

という意識を生徒に喚起することが可能である

なお今回は時間の関係で最後の発表は講師が

行ったが2 コマの連続講座として展開し生徒自

身に発表させればさらに生徒が主体的に取り組め

るものと考えられる

4-3 講座の構築

いわゆる出前講座のお天気教室においては講師

側と受講者側が初対面であることも多いそのた

め講師側が受講者の基礎知識や講座に対する参加

意識を把握できずに講座を進めなくてはならず生

徒を主体的に行動させることが難しい場合もある

開発した 2 つの講座は年齢や生徒の基礎知識によ

らず受講者が主体的に行動することで達成感を得

られるものである

今後中高生に限らず成人向けにもこのような

手法を用いた講座を実践することで気象に対する

興味や知識がより深まるものと考えられる

5まとめ

中高生に対し気象予報士の業務を疑似体験させ

て高層天気図を用いた予報を行わせたり防災を

伝える工夫をさせたりすることで気象や防災に対

する生徒の意識が向上することが分かった

参考文献

荒川知子(2010)奨励賞を受賞して天気 35-37

荒川知子(2015)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上日本気象学会秋季大会予

稿集

荒川知子(2016)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上(2)日本気象学会秋季大会

予稿集

04授業-12

大気圧に対する見方を変える -『空気分子(N2や O2など)の運動』の視点で-

槇 野 泰 夫(東海支部)

1 はじめに

「地表付近の物体は空気

の重さによる圧力を受けて

いる圧力はあらゆる面に

対して垂直である」と「大

気の柱の図解」(写真1)と

ともに大気圧について中学

で学習している

「室内では空気の柱が

天井や机の下までしかない 写真1 大気の柱の図

これで屋外と同じ気圧確かに1気圧だが」と

腑に落ちないでいた空気分子があらゆる方向に圧力

を与えているという漠然とした考え方や実験結果から

私はなんとなく納得()していた

釈然としない気持ちを解決すべく教材開発の日々に

木村龍治先生のご指導を受ける機会があった『空気分

子の運動』から見た大気圧に対する見方である私の長

年のもやもやはすっきりと解消された

教員養成の大学で教える機会があり理科研究の地

学を担当し『空気分子の運動』を視点にした「大気圧

による現象」の講義をすることにしたここに報告する

2 『空気分子の運動』から見た大気圧の現象

① 大気圧によって力を受ける現象

下敷きの中央部分に摘み

を取り付け机などの滑ら

かな面に置いて摘みを引

き上げようとすると下敷

は取れなくなる(写真2)

ほとんどの大学生はこ 写真2 摘み取れない下敷

の現象が大気圧によるものである

ことに気付かない「下敷きの上に

あるものは下には」などと考

え進めていくと半信半疑ながら

大気圧に気付く身近にある下敷

きで大気圧による現象を実感し

かなりの衝撃を受ける 写真3 壁に張り付く下敷

さらに下敷を壁などの側面に張り付く現象(写真3)

も体験させると衝撃を受け驚く「大気圧」と自

信なくつぶやく大学生がいるが多くは「」

ここで空気中を飛び回る N2や O2などの分子の存

在(図1)に視点をあてる空気分子の量は地表に近い

程多いN2やO2な

どの分子は秒速

450m 近くの速度

で物体の表面に衝

突し瞬間だけの力

を与え分子の集団

効果で圧力となる

この圧力が大気圧 図1 飛び回る空気分子の存在

であるという見方を示す

机の上の下敷き(写真2図1A)が摘み取れない現

象や下敷が壁に張り付く現象(写真3図1B)を学

生は『空気分子の運動』から容易に理解した以下の感

想から読み取れる

<学生の感想>

〇 空中にある物にはいろいろな方向から分子が衝突

するので全方向から圧力がかかっているなるほど

〇 空気の分子が下敷きに一方的に高速でぶつかるこ

とがわかりすごい力で取れないことを肌で感じた

〇 大気圧は上にある空気の押す力によるものだと思

っていたしかし空気分子の運動で考えると室内

でも屋外でも差がないことや横から押す圧力も同じ

ように生じていることが矛盾なく理解できた

〇 空気分子の運動はすごく納得ができより理解が

深まった

<考察>

空気中の下敷きはあらゆる方向から同じ圧力を受

けるので重さ以外の力を感じないしかし下敷きに

空気分子が一方的に衝突するようにすると大気圧を

一方的に受け大きな力を感じさせることができる大

気圧を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は大気圧を動的に見せる

ことができあらゆる方向から大気圧がかかることを

理解させるのに有効な見方となっている

B

A

04教育-5

② 圧力差から生じる力によって起こる現象

箱の周りの空気分

子と同じ密度の空気

分子を閉じ込めた容

器(図2C)がある

この容器内の空気

分子の密度が内と外

で差が生じるように

空気の量を減らすと 図2 空気中の容器

容器(図2D)はどのようになるかを考えさせた

「空気分子の量が減るため内側から押す力が弱まり

周りから力がかか

り凹む」と多くの

学生は予想した

ラップフィルム

で蓋をした容器か

ら逆流防止弁を付

写真4 減圧した図2Dの実験 けて(写真4)のよ

うに空気を減らし圧量差が力を生む現象を示した

次に容器(図2C)を上空(図2E)へ移動すると

どうなるかの問いに「容器は内部から外に力がかかり

膨らむ」と答えていたこの(図2C)から(図2E)

への移動は空気の上昇膨張の現象となり水蒸気の

凝結雲の発生の話につながる重要な過程である

<学生の感想>

〇 あんなにラップが凹み硬くなったことが衝撃的

だった空気分子の動きが見えるようだった

〇 空気が減っていく様子が目の前で分かり空気分

子の圧力の強さをパンパンになるラップで感じた

〇 空気分子の量の違いによって力が生じ凹んだり

膨らんだりすることがわかったわかりやすい

<考察>

硬く凹むラップフィルムパンパンになるラップフ

ィルムなどの記述から『空気分子の運動』という見え

ないものをラップフィルムの様子の変化から捉えてい

る圧力差を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は容器内外の空気分子の

密度(量)の違いを圧力差と関連付け圧力差から生じ

る力を理解させるのに有効な見方となっている

空気の上昇膨張の現象は仕切りのある容器の現象

ではない温度低下との関係も説明しきれていない

③ 気圧差で起こる広範囲の現象

図3 連通管の模式図 写真5 圧力差のある連通管

連通管(図3)の入り口で圧力差を作るとどうなるか

を考えさせた大学生は圧力差を空気分子の量の違い

で捉え水面の変化を容易に考えることができた

(写真5)は圧力差があるときの水面の様子である

海洋など広い範囲では水平方向に気圧差が生じる

ことがある高気圧や低気圧(台風)などの気圧配置が

これにあたる図4を示して高潮の様子を類推させた

図4 海洋など広い範囲での気圧差

<学生の感想>

〇 連通管の実験を踏まえて空気分子の運動で考え

ると自然界で起きている現象(高潮)がわかった

〇 大きなスケールの実験はできないが小さなスケ

ールの実験から空気分子の運動で推測できた

<考察>

連通管の水位は空気分子の量と圧力との関係を明

確に捉えさせることができ圧力差を意識させる有効

な実験である

『空気分子の運動』の見方は水平方向に気圧差があ

る広い範囲の現象を理解させるのに有効な見方とな

っている

3 おわりに

『空気分子の運動』の視点で考えることに対して

147名の大学生の 68が「よくわかる」32が「やや

わかる」(あまりわからないぜんぜんわからないは 0)

と回答している中学で学習した「大気の柱」の見方に

加えて『空気分子の運動』の見方で考えさせることは

大気圧に対する理解を深めさせることになると考える

こうした実践に至るまでのきっかけを与えてくださ

った木村龍治先生のご指導に感謝を申し上げます

C D

E

04教育-5

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
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陽は決して象徴では無く常用し常に相対的なのです

決して中国思想の事だけではないのです

中國古典醫學理論に「陰陽五行(月日水火木金土)」

と言う言葉があります「五臓六腑」をこの陰陽五行に割

り当てます春の木に陰の肝臓と陽の胆嚢を夏の火に

陰の心臓と陽の小腸を雨季(梅雨長夏)土用に陰の

脾臓と陽の胃を秋の金に陰の肺臓と陽の大腸をそし

て冬の水に陰の腎臓と陽の膀胱を割り当てます何故は

時間の関係上省略しますこれらを図の上に置きますと

上に腎臓右に心臓下に心臓左に肺臓そして真ん

中に脾臓を置きます何とこの配置は仏教曼荼羅図の金

剛界の配置と同じになりますまた地球の北半球に於い

ては何処へ行っても同じになります

3病気(症状)と気象注意報警報との関係

私が10代後半から20代後半にかけて4回の親族

の葬式を行なった記憶がありますそこで坊主様が言わ

れたお説教が忘れられないのですそれは「本来人間に

病は無い」と言われた事です直ちに腹の中で「嘘だ

皆病気で死んでいるそれも治せないで」ここに来られ

ている聴衆の皆さんが不特定多数の場合は私のこの発言

が医師法違反になってしまう可能性があります

横道に反れましたが元に戻って世界最古の中國古典

醫學理論は世界最新の気象学とこの様に寸分たがわず同

じだったのです違うと言えばせいぜい身体の内と外

位の違いしか思い当たりませんいやもう1つありま

した先に触れた太陽高度の計測方法です

気象予報士が毎日繰り返し発表している気象予報は

何を出しているのかです表現は中國古典醫學理論の

都合の良い様に順番は変えますが「明日の風はどんな

暑い雨晴それとも寒い」ですいや波浪があると

言われるのであればそれは風が原因でしょうこれらを

内臓に割り当ててしまったのが「中國古典醫學理論」だ

ったのですそしてその動作作用効果結果を陰

陽五行で考えるとどれを取っても説明に都合が良いので

そして極一部ですが西洋医学において中國古典醫學

理論が結果として証明されています余計な事ですが

それでも中國古典醫學を否定されるのであれば漢方薬な

んて使わないで欲しいです生薬の無駄遣いです

自然界に対して発表される気象防災の注意報警報の

1つに大雨洪水注意報警報がありますこれらも人

間の身体の中において存在します注意報は「肺気腫」

であり警報は「肺水腫」になります肺に病気を発症

させていますが悪いのは大雨と低温なのです他にも

大雨低温強風注意報はリューマチ大雨高温強風注意報

はアトピーと言う具合に消防庁の管轄にはなりますが

火災警報もありますこの場合には心臓や脳の病気にな

ります注意報警報の中には自然界には存在せず人間

の身体の中にだけある気象災害もあります低温大雨火

災警報です

まさに全てが気象病そのもので身体の中の注意報警

報は何と病気(症状)の治療方法を示しているのです

先の低温大雨火災警報は各種の癌ですさらに癌の治療

方法は遥か2世紀には開発されておりましたしかも薬

までありますが残念ながら大方の西洋医学の先生方

は当然の事中國古典醫學理論を知らない筈つまり

気象学を知らないからです従って西洋医学の先生方

に取り扱える代物ではありませんですが気象予報士

で西洋医学の諸先生方は中國古典醫學理論の基礎を学ん

でしまったのであり中國古典醫學理論を否定する事は

出来ないはずですぜひ一歩進めて下さい

気象学中國古典醫學のそれぞれの文献は多数ありま

すが気象学と中國古典醫學を直接結びつける参考文献

は現在の所は殆ど或いは全くありません

ここへ出る勇気を頂いたのは1年余り前に亡くなら

れた元千葉支部長根本由紀子さんにお会いしたお陰

ですご冥福をお祈りします

03教育-1

揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察

日本気象予報士会 上田博康

1 研究の動機

兵庫県朝来市に位置する国史跡竹田城跡は標

高 354mの山頂に南北 400m東西 100mに及ぶ全

国屈指の石垣遺構であるとともに麓の円山川に

秋から冬にかけて発生する雲海に浮かぶ姿が「天

空に浮かぶ城」と称され近年観光地として注目さ

れていますただしこの雲海が見られるのは夜

間の放射冷却次第であるといわれており旅行計

画を組むうえでリスクが高いといえます

今回は竹田城跡の南側にある揚水発電所であ

る奥多々良木(おくたたらぎ)発電所および大河内

(おおかわち)発電所が日および週サイクルで稼

働することから雲海が発生しやすいあるいは発

生しにくい曜日があるのかどうか考察を試みた

ものです

図1兵庫県図における竹田城跡発電所の位置

図2アメダスダム竹田城跡の位置と標高

2 研究方法

揚水発電所が発電を行うと上部ダムの水位が

低下し下部ダムの水位が上昇しますがこのこと

は地表面近くに低気圧と高気圧が発生することを

意味します逆に電気を使って揚水を行うと上

部ダムで高気圧と下部ダムで低気圧が発生すると

考えられます発電所の運転は電力需要バランス

が最も厳しいあるいは余裕のある時間帯に集中し

ますから特定の曜日時間帯にのみ強まる風が観

測されれば発電所の稼働に伴う気圧傾度風との

関連が考えられます

そこで2007年1月から 2016 年 11月までのア

メダス和田山とアメダス生野の風向風速の1時

間値から風速の東西成分南北成分を算出し曜

日時間ごとに平均値を取り同時間平均値が曜日

によって差がないか確認を行い特に深夜早朝の

特異な風が雲海に与える影響を考察します

02統解-1

3 研究成果の概要

アメダス2地点の風速を 24 時間times7 曜日に分け

て平均を取り「全曜日平均と比べて合成風速が

01ms 以上ずれた状態が3時間以上続く」特異な

条件の曜日時間帯は次のとおりでした

【アメダス和田山】

月曜日 1-3UTC(月曜日 10~12時)

月曜日 5-8UTC(月曜日 14~17時)

土曜日 23UTC-日曜日 1UTC(日曜日 8~10時)

図3アメダス和田山の時間帯別平均風向風速

【アメダス生野】

水曜日 2-4UTC(水曜日 11~13時)

日曜日 16-23UTC(月曜日 2~7時)

図4アメダス生野の時間帯別平均風向風速

これらのうち雲海の形成消滅に関連するもの

は最後の「アメダス生野の日曜日 16-23UTC に強

まる風」だけですがその成分は風速 010~

013msの南西~西南西風と推測されます

なおこの日曜日 16-23UTC の和田山の全曜日

平均と比べて強まる成分は風速 003~011ms の

南南東~南西風と推測され生野での日曜日の特

異風とのシアを考慮しますとアメダス生野を抜

けた風の一部はアメダス和田山に至らずに中間で

とどまっていると考えることができます

なお雲海が発生しやすい時期に限ってみれば

この時間帯の生野の平均気温の差は次のとおりで

す生野と和田山の標高差が 240mなので標準大

気の気温減率 65Kkm相当の気温差が 015程度

であることを考えると平均的には寒気移流が生

じていると考えることができます(縦月横

UTC 時網掛けは平均気温差>015の時間帯)

16 17 18 19 20 21 22 23

9 -04 -05 -04 -05 -04 -05 -05 -05

10 -03 -02 -03 -03 -03 -04 -03 +01

11 00 -06 -04 -04 -03 -02 -02 -02

12 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -09

図5両地点の時間帯月別気温差(日曜日)

【結論】

月曜日の早朝に強まるのみ南西風の成分が生野

で観測されており寒気移流が強まることで竹田

城跡付近で雲海が発生しやすくなると思われます

4 今後の課題

今回の考察はアメダス観測値から平均的な傾

向を調べるにとどまっていますきめ細かい観測

を行い雲海の発生解消メカニズムを把握するこ

とが必要と考えています

また実際の発電所の稼働状況の変化を踏まえ

今後もこのような気圧傾度風が確実に発生すると

いえるのか見極めが必要と考えます

【参考にした資料】

関西電力株式会社和田山町観光協会の各 WEB サ

イト国土地理院の地形図SUGDASS2データ

02統解-1

直近 28 年間の日本の地表から高層の気温変動傾向

内山 常雄(神奈川支部)

1 はじめに

著者はこれまで日本の年平均気温の変動を調べて

きたがそれらの発表に対して①気温の測定機材や

測定頻度が変更されてきた②すでに地表から高層の

再解析データがあり限られた地点の地表の気温を

解析する意味はないといった指摘を受けた

第 46 回メソ気象研究会のテーマは「擬似温暖化実

験のメソ気象研究に対する可能性」であったがそこ

では「対流圏の気温は高層ほど上昇し成層圏は寒冷

化する」が前提とされていた

容易に入手できる高層の気温データからそのよう

な結論が得られるか調べ地上の気温変動予測への

利用可能性を探ることが本研究の目的である

2 気象庁の高層気象観測の変遷

気象庁の高層気象観測の変遷については詳しい解

説がある1)2)それによると観測機種の交換が何

度かあり同一時期でも観測点によって異なる機種

が使用されていることもある気温の測定はバイメ

タル式サーミスタ温度計静電容量ワイヤ温度計と

変遷した日射補正の方法の改良や吊紐の長さの7

m15m30mへの変更もあった高層気象観測

はそもそも高度方向の変化を調べるための測定で

時系列的にデータを見る目的で使われるようになっ

たのは気候変動が問題になった近年からだという

現在気象庁のホームページで閲覧できる高層気象

観測データは 1988 年以降でありその間 RS2-80 型

サーミスタ温度計から RS2-19型サーミスタ温度計を

経て RS92-SGP型静電容量式ワイヤ温度計へと測定機

器は変遷しているその変遷期日は観測点ごとに異

なる

RS2-80 型以前の測定値は00UTC と 12UTCの測定

値の差が高度が高くなるにつれて拡大するなど日

射補正に問題があるというが1988 年以降のデータ

ではこの点の問題は発生しない

3稚内 9 時の月平均気温の推移

気象庁の地上の気温観測点は 900 か所ほどあり

10 分ごとの気温データが得られるが気温変動予測

の解析には 15地点の日平均気温や月平均気温などを

解析してきた高層の気温のデータは国内で 20 観測

点のデータがあり1988 年以降の 9 時と 21 時の高

度方向の測定値が気象庁のホームページで閲覧でき

るただこのデータの処理は難しいので指定高度

面の月平均値を解析した指定高度面は 1000hPa か

ら 5hPa まで 25 面あるが925hPa10 及び5hPa 面

のデータには欠測があるここでは 1000hPa から

20hPa までを解析対象としたデータはマイクロソフ

トエクセルを用いて解析した最初に稚内について

調べた

図1 稚内 9 時 2 月の平均気温の推移

図 1 に稚内の 9 時の 2 月の平均気温の 1988 年から

2016 年の地上から 20hPa までの推移を図 2 に同じ

く 8 月の推移を示した

図2 稚内 9時 8月の平均気温の推移

一番上の線が地上で下に向かって高層のデータで

下の方で線が密集しているところは成層圏である

02統解-2

対流圏では地上と高層の変動に類似性がある

8 月は 2 月と比較して地上の気温が 20上昇し

成層圏との圏界面の気温が 10下がりグラフの上

下の幅が約 30拡大している8 月の地上と高層の

変動の相関は 2 月より低いように見える

地上と高層の気温の相関係数を計算すると10 月

から 4 月までの(寒候期)は相関係数 07 以上の高

度が 600hPa まであるが5 月から 9 月の(暖候期)

は 800hPa までであった(定義と異なりかっこ付)

4稚内 9 時と 21 時の月平均気温の差

9 時の気温の測定値は日射の影響を受け21 時は

その影響がないので測定値の信頼性が高いという2)

公開されているデータは日射補正後のものとされる

が稚内の 9 時と 21 時のデータを比較しそれらの差

を調べた1981 年以降この差は小さいとのことだ

が年間平均では地上は 9 時の方が約 05高く

900hPa 前後は 21 時の方が約 05高く高層に向け

てその差を縮めながらも 21 時の方が高い30hPa か

ら上では再び 9 時の方が高くなる

51988 年から 2016 年の間の変化傾向

稚内について対流圏は高層ほど気温が上昇し成層

図3 稚内 9時 200hPa8月の月平均気温の推移

圏は気温が低下するという傾向が表れているかを各

図4 稚内 9時の各月各高度の気温変化傾向

指定高度面で調べた 9 時 200hPa の 8 月の例を 図

3に示す各月各高度面の結果を 9 時について図

4に21 時の結果を図5に示す夏場は前述の傾向

が表れているが冬場はその傾向がつかみにくい

図5 稚内 21時の各月各高度の気温変化傾向

6その他の観測点の月平均気温の推移

その他の観測地点の例として南鳥島の 9 時の各

月の気温変化傾向を図6に示す

図6 南鳥島 9時の各月各高度の気温変化傾向

南鳥島では成層圏の低温化傾向がいずれの月で

も認められる

7今後の研究方針

国内の 20 高層観測点すべてについて解析し地域

別の傾向をとらえ地上気温変動推定への利用法を

考える

5参考文献

1)阿部豊雄2015気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 1部 高層気象観測の変遷

天気62161-185

2)阿部豊雄2016気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 2部 観測値の特性天気

63267-295

02統解-2

神奈川支部田園調布学園中等部高等部 2 千葉支部 3 北関東支部 4 東京支部 5 神奈川支部

生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)

荒川 知子関 隆則2池上 榮3大野 昭彦4遠藤 君江5

1はじめに

筆者は勤務校である田園調布学園の土曜プログ

ラムにおいて「やってみよう天気予報」と題した気

象の講座を2004 年より主催してきた(荒川 2010)

その中で生徒の主体的活動を重視することが気

象特に気象防災における生徒の意識を向上させる

ことができることを提示した(荒川 20152016)

これまでに日本気象予報士会会員の協力を得

て新たな 3 つの講座を開発し一定の成果が得ら

れた3 件のうちクロスロードによる防災意識の

向上については2016 年度日本気象学会秋季大会に

おいて発表済みであり今回はそれ以外の 2 件につ

いて報告する

2 実施内容

2-1 高層天気図予想図を使った天気予報

1) 概要

1 コマ 65 分の講座を 2 週にわたり連続で実施し

受講者は中 1 から高 1 までの 30 名であり8 班編制

とした

1 週目は天気予報のしくみについて簡単に講義

し当日朝の天気図予想図を使用して図の貼り

合わせや着色の方法について練習を行った

2 週目は当日朝の天気図予想図を配布して

前週と同様の作業をし翌日の予報を作成して発表

させた

2) 方法

①SUGDaSS より当日朝の FAFE502FXFE504

FXFE5782FXFE584 を入手し時系列高度の

順に 貼り合わせる

②日本列島の位置を着色し確認する

③500hPa-9-12等温線を赤で着色する

④700hPa 湿域を着色する

⑤予報したい地域の 850hPa を通る等温線を赤で

着色する

⑥地上で降水が予想される地域を着色する(図

1)

⑦予報したい地域の 500hPa 気温700hPa の湿り

具合850hPa 気温をワークシートに書き入れ

⑧850hPa 気温に 9 を加え地上気温を予想する

⑨500hPa 気温と地上気温の差をワークシートに

記入する

⑩ワークシートに予想を記入する

図 1 天気図に着色しながら予報を考える

3) 注意点

次のような点に着目して生徒に予報文を作成さ

せた

①500hPa と地上の気温差が 30以上であれば不

安定と考える

②700hPa が湿っていても地上に降水が予想され

ていなければ曇り700hPaが湿っており地上に

も降水が予想されていれば雨と予想する

③予報を作成したら予報に合わせ生活上の注

意点を予報文に盛り込む

2-2 お天気紙芝居の作成

1) 概要

65 分の講座 1 コマで実施した

受講者は中 1 から高 2 までの 20 名であった

ストーリー作成のため本校の生徒が作成したキ

ャラクターである「なでりん」を主役とし「なで

りんの 1年間」というタイトルで小学校低学年の児

童に説明することを目標とした

2) 方法

①受講者を 4 名ずつ 5 グループに分け更にその

中で 2 名ずつのペアを作らせた

②季節を春梅雨夏秋冬の 5 つに分け各

グループが 1 つの季節を担当した

③各季節の天気の特徴と防災事項をそれぞれの

ペアが担当しそれぞれ相談しながら紙芝居の

絵と説明を作成した

④1 年分の紙芝居を集め講師がコメントを入れ

発表した

3) 注意点

天気の特徴を担当するペアには典型的な 10 種

類の天気図を印刷して配布し絵の中に天気図を組

み入れさせた配布した天気図には日付を入れず

04授業-12

その季節の天気図として妥当なものを生徒自身に

判断させた

3教育効果

どちらの講座においても生徒が積極的に取り組

む姿勢が認められた

天気予報においては生徒は高層天気図にふれる

のが初めてであり大気の立体構造を理解した上で

予報に取り組んではいないしかし単に低気圧の

移動から雨域の移動を類推するのとは異なり予報

時刻の予想図から必要事項を読み取り予報を作成

することでより実感を持って予報に取り組めた様

子が伺えた今回は翌日の東京における予報を作

成した班がほとんどであったが「雨」という班と

「曇り」という班があったこれは地上予想図に

おける雨域の端が東京付近を通っていたことで雨

と判断した班と曇と判断した班とに分かれたもの

である根拠も含めて説明させたので生徒が確か

な裏付けを持って予報しようとする姿勢を持てた

ことそれを生徒自身の言葉で表現できたことが成

果である

通常の授業では与えられた問いに対し想定で

きる答が用意されていることが多く生徒は常に

「正解を知る」ことを求めがちであるしかしこ

れからの社会においては正解の無い問いに取り組

む姿勢が重要である天気予報はまさに「正解の分

からない問い」であり結果は翌日以降の予報時刻

になって初めて確かめられる予報士が実際に取り

組む方法を体験することで答が見えない問いに対

しても答を準備しなくてはならないことの難しさ

を生徒が体感することができた

紙芝居の作成においては生徒が自分たちの言葉

で季節や防災を表現するoutput による理解の深化

と興味の喚起が主な目的であったOutput のために

は生徒自身がその内容を理解しさらに人に伝え

るための工夫が必要である対象を小学校低学年程

度としたことで生徒が伝えるポイントを絞り簡

潔な言葉で伝えることを意識できた生徒は予想以

上に積極的に取り組んでいた

新しい指導要領においては答の無い問いを解決

し人との交わりの中でそれを活かそうとする力-

21 世紀型スキル-の育成が課題となっているこの

講座はまさに 21 世紀型スキルの育成を目指すも

のである

4今後の展開

4-1 高層天気図予想図を使った天気予報

予報時刻予報地点を生徒に選ばせたため「翌

日の東京」の天気を予想した生徒が大半を占め他

の地点を選んだのは高校生 2 名のみであった予報

時刻や予報地点をグループごとに指定することで

生徒が地域的な広がりや時間変化を感じより実感

を持って予報に臨めるものと思われる

またこの講座では実施時期により天気図を見

るポイントが異なってくる夏であれば上空の気温

に着目して不安定を検出する低気圧の通過時であ

ればその予測をするなどのテーマが考えられる

当日の状況により着目点が異なってくることから

ワークシートを直前に作成する必要がある既成の

ワークシートをそのまま利用できず着目点をその

都度確認することは気象予報士としての技術研

鑽にも繋がることとなる

4-2 お天気紙芝居

「なでりんの一年間」として一年間の季節の流

れとそれぞれの季節ごとの防災事項を生徒に考え

させた

季節ごとの防災事項を認識することは大切であ

るが台風大雪など防災事項を具体化するには

テーマが大きかったともいえる今後「防災」に

焦点を当て大雨大雪台風等テーマを決めた

上で各グループが防災事項を検討しそれを紙芝

居の形で表現することでさらに「防災に役立つ」

という意識を生徒に喚起することが可能である

なお今回は時間の関係で最後の発表は講師が

行ったが2 コマの連続講座として展開し生徒自

身に発表させればさらに生徒が主体的に取り組め

るものと考えられる

4-3 講座の構築

いわゆる出前講座のお天気教室においては講師

側と受講者側が初対面であることも多いそのた

め講師側が受講者の基礎知識や講座に対する参加

意識を把握できずに講座を進めなくてはならず生

徒を主体的に行動させることが難しい場合もある

開発した 2 つの講座は年齢や生徒の基礎知識によ

らず受講者が主体的に行動することで達成感を得

られるものである

今後中高生に限らず成人向けにもこのような

手法を用いた講座を実践することで気象に対する

興味や知識がより深まるものと考えられる

5まとめ

中高生に対し気象予報士の業務を疑似体験させ

て高層天気図を用いた予報を行わせたり防災を

伝える工夫をさせたりすることで気象や防災に対

する生徒の意識が向上することが分かった

参考文献

荒川知子(2010)奨励賞を受賞して天気 35-37

荒川知子(2015)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上日本気象学会秋季大会予

稿集

荒川知子(2016)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上(2)日本気象学会秋季大会

予稿集

04授業-12

大気圧に対する見方を変える -『空気分子(N2や O2など)の運動』の視点で-

槇 野 泰 夫(東海支部)

1 はじめに

「地表付近の物体は空気

の重さによる圧力を受けて

いる圧力はあらゆる面に

対して垂直である」と「大

気の柱の図解」(写真1)と

ともに大気圧について中学

で学習している

「室内では空気の柱が

天井や机の下までしかない 写真1 大気の柱の図

これで屋外と同じ気圧確かに1気圧だが」と

腑に落ちないでいた空気分子があらゆる方向に圧力

を与えているという漠然とした考え方や実験結果から

私はなんとなく納得()していた

釈然としない気持ちを解決すべく教材開発の日々に

木村龍治先生のご指導を受ける機会があった『空気分

子の運動』から見た大気圧に対する見方である私の長

年のもやもやはすっきりと解消された

教員養成の大学で教える機会があり理科研究の地

学を担当し『空気分子の運動』を視点にした「大気圧

による現象」の講義をすることにしたここに報告する

2 『空気分子の運動』から見た大気圧の現象

① 大気圧によって力を受ける現象

下敷きの中央部分に摘み

を取り付け机などの滑ら

かな面に置いて摘みを引

き上げようとすると下敷

は取れなくなる(写真2)

ほとんどの大学生はこ 写真2 摘み取れない下敷

の現象が大気圧によるものである

ことに気付かない「下敷きの上に

あるものは下には」などと考

え進めていくと半信半疑ながら

大気圧に気付く身近にある下敷

きで大気圧による現象を実感し

かなりの衝撃を受ける 写真3 壁に張り付く下敷

さらに下敷を壁などの側面に張り付く現象(写真3)

も体験させると衝撃を受け驚く「大気圧」と自

信なくつぶやく大学生がいるが多くは「」

ここで空気中を飛び回る N2や O2などの分子の存

在(図1)に視点をあてる空気分子の量は地表に近い

程多いN2やO2な

どの分子は秒速

450m 近くの速度

で物体の表面に衝

突し瞬間だけの力

を与え分子の集団

効果で圧力となる

この圧力が大気圧 図1 飛び回る空気分子の存在

であるという見方を示す

机の上の下敷き(写真2図1A)が摘み取れない現

象や下敷が壁に張り付く現象(写真3図1B)を学

生は『空気分子の運動』から容易に理解した以下の感

想から読み取れる

<学生の感想>

〇 空中にある物にはいろいろな方向から分子が衝突

するので全方向から圧力がかかっているなるほど

〇 空気の分子が下敷きに一方的に高速でぶつかるこ

とがわかりすごい力で取れないことを肌で感じた

〇 大気圧は上にある空気の押す力によるものだと思

っていたしかし空気分子の運動で考えると室内

でも屋外でも差がないことや横から押す圧力も同じ

ように生じていることが矛盾なく理解できた

〇 空気分子の運動はすごく納得ができより理解が

深まった

<考察>

空気中の下敷きはあらゆる方向から同じ圧力を受

けるので重さ以外の力を感じないしかし下敷きに

空気分子が一方的に衝突するようにすると大気圧を

一方的に受け大きな力を感じさせることができる大

気圧を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は大気圧を動的に見せる

ことができあらゆる方向から大気圧がかかることを

理解させるのに有効な見方となっている

B

A

04教育-5

② 圧力差から生じる力によって起こる現象

箱の周りの空気分

子と同じ密度の空気

分子を閉じ込めた容

器(図2C)がある

この容器内の空気

分子の密度が内と外

で差が生じるように

空気の量を減らすと 図2 空気中の容器

容器(図2D)はどのようになるかを考えさせた

「空気分子の量が減るため内側から押す力が弱まり

周りから力がかか

り凹む」と多くの

学生は予想した

ラップフィルム

で蓋をした容器か

ら逆流防止弁を付

写真4 減圧した図2Dの実験 けて(写真4)のよ

うに空気を減らし圧量差が力を生む現象を示した

次に容器(図2C)を上空(図2E)へ移動すると

どうなるかの問いに「容器は内部から外に力がかかり

膨らむ」と答えていたこの(図2C)から(図2E)

への移動は空気の上昇膨張の現象となり水蒸気の

凝結雲の発生の話につながる重要な過程である

<学生の感想>

〇 あんなにラップが凹み硬くなったことが衝撃的

だった空気分子の動きが見えるようだった

〇 空気が減っていく様子が目の前で分かり空気分

子の圧力の強さをパンパンになるラップで感じた

〇 空気分子の量の違いによって力が生じ凹んだり

膨らんだりすることがわかったわかりやすい

<考察>

硬く凹むラップフィルムパンパンになるラップフ

ィルムなどの記述から『空気分子の運動』という見え

ないものをラップフィルムの様子の変化から捉えてい

る圧力差を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は容器内外の空気分子の

密度(量)の違いを圧力差と関連付け圧力差から生じ

る力を理解させるのに有効な見方となっている

空気の上昇膨張の現象は仕切りのある容器の現象

ではない温度低下との関係も説明しきれていない

③ 気圧差で起こる広範囲の現象

図3 連通管の模式図 写真5 圧力差のある連通管

連通管(図3)の入り口で圧力差を作るとどうなるか

を考えさせた大学生は圧力差を空気分子の量の違い

で捉え水面の変化を容易に考えることができた

(写真5)は圧力差があるときの水面の様子である

海洋など広い範囲では水平方向に気圧差が生じる

ことがある高気圧や低気圧(台風)などの気圧配置が

これにあたる図4を示して高潮の様子を類推させた

図4 海洋など広い範囲での気圧差

<学生の感想>

〇 連通管の実験を踏まえて空気分子の運動で考え

ると自然界で起きている現象(高潮)がわかった

〇 大きなスケールの実験はできないが小さなスケ

ールの実験から空気分子の運動で推測できた

<考察>

連通管の水位は空気分子の量と圧力との関係を明

確に捉えさせることができ圧力差を意識させる有効

な実験である

『空気分子の運動』の見方は水平方向に気圧差があ

る広い範囲の現象を理解させるのに有効な見方とな

っている

3 おわりに

『空気分子の運動』の視点で考えることに対して

147名の大学生の 68が「よくわかる」32が「やや

わかる」(あまりわからないぜんぜんわからないは 0)

と回答している中学で学習した「大気の柱」の見方に

加えて『空気分子の運動』の見方で考えさせることは

大気圧に対する理解を深めさせることになると考える

こうした実践に至るまでのきっかけを与えてくださ

った木村龍治先生のご指導に感謝を申し上げます

C D

E

04教育-5

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 10: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察

日本気象予報士会 上田博康

1 研究の動機

兵庫県朝来市に位置する国史跡竹田城跡は標

高 354mの山頂に南北 400m東西 100mに及ぶ全

国屈指の石垣遺構であるとともに麓の円山川に

秋から冬にかけて発生する雲海に浮かぶ姿が「天

空に浮かぶ城」と称され近年観光地として注目さ

れていますただしこの雲海が見られるのは夜

間の放射冷却次第であるといわれており旅行計

画を組むうえでリスクが高いといえます

今回は竹田城跡の南側にある揚水発電所であ

る奥多々良木(おくたたらぎ)発電所および大河内

(おおかわち)発電所が日および週サイクルで稼

働することから雲海が発生しやすいあるいは発

生しにくい曜日があるのかどうか考察を試みた

ものです

図1兵庫県図における竹田城跡発電所の位置

図2アメダスダム竹田城跡の位置と標高

2 研究方法

揚水発電所が発電を行うと上部ダムの水位が

低下し下部ダムの水位が上昇しますがこのこと

は地表面近くに低気圧と高気圧が発生することを

意味します逆に電気を使って揚水を行うと上

部ダムで高気圧と下部ダムで低気圧が発生すると

考えられます発電所の運転は電力需要バランス

が最も厳しいあるいは余裕のある時間帯に集中し

ますから特定の曜日時間帯にのみ強まる風が観

測されれば発電所の稼働に伴う気圧傾度風との

関連が考えられます

そこで2007年1月から 2016 年 11月までのア

メダス和田山とアメダス生野の風向風速の1時

間値から風速の東西成分南北成分を算出し曜

日時間ごとに平均値を取り同時間平均値が曜日

によって差がないか確認を行い特に深夜早朝の

特異な風が雲海に与える影響を考察します

02統解-1

3 研究成果の概要

アメダス2地点の風速を 24 時間times7 曜日に分け

て平均を取り「全曜日平均と比べて合成風速が

01ms 以上ずれた状態が3時間以上続く」特異な

条件の曜日時間帯は次のとおりでした

【アメダス和田山】

月曜日 1-3UTC(月曜日 10~12時)

月曜日 5-8UTC(月曜日 14~17時)

土曜日 23UTC-日曜日 1UTC(日曜日 8~10時)

図3アメダス和田山の時間帯別平均風向風速

【アメダス生野】

水曜日 2-4UTC(水曜日 11~13時)

日曜日 16-23UTC(月曜日 2~7時)

図4アメダス生野の時間帯別平均風向風速

これらのうち雲海の形成消滅に関連するもの

は最後の「アメダス生野の日曜日 16-23UTC に強

まる風」だけですがその成分は風速 010~

013msの南西~西南西風と推測されます

なおこの日曜日 16-23UTC の和田山の全曜日

平均と比べて強まる成分は風速 003~011ms の

南南東~南西風と推測され生野での日曜日の特

異風とのシアを考慮しますとアメダス生野を抜

けた風の一部はアメダス和田山に至らずに中間で

とどまっていると考えることができます

なお雲海が発生しやすい時期に限ってみれば

この時間帯の生野の平均気温の差は次のとおりで

す生野と和田山の標高差が 240mなので標準大

気の気温減率 65Kkm相当の気温差が 015程度

であることを考えると平均的には寒気移流が生

じていると考えることができます(縦月横

UTC 時網掛けは平均気温差>015の時間帯)

16 17 18 19 20 21 22 23

9 -04 -05 -04 -05 -04 -05 -05 -05

10 -03 -02 -03 -03 -03 -04 -03 +01

11 00 -06 -04 -04 -03 -02 -02 -02

12 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -09

図5両地点の時間帯月別気温差(日曜日)

【結論】

月曜日の早朝に強まるのみ南西風の成分が生野

で観測されており寒気移流が強まることで竹田

城跡付近で雲海が発生しやすくなると思われます

4 今後の課題

今回の考察はアメダス観測値から平均的な傾

向を調べるにとどまっていますきめ細かい観測

を行い雲海の発生解消メカニズムを把握するこ

とが必要と考えています

また実際の発電所の稼働状況の変化を踏まえ

今後もこのような気圧傾度風が確実に発生すると

いえるのか見極めが必要と考えます

【参考にした資料】

関西電力株式会社和田山町観光協会の各 WEB サ

イト国土地理院の地形図SUGDASS2データ

02統解-1

直近 28 年間の日本の地表から高層の気温変動傾向

内山 常雄(神奈川支部)

1 はじめに

著者はこれまで日本の年平均気温の変動を調べて

きたがそれらの発表に対して①気温の測定機材や

測定頻度が変更されてきた②すでに地表から高層の

再解析データがあり限られた地点の地表の気温を

解析する意味はないといった指摘を受けた

第 46 回メソ気象研究会のテーマは「擬似温暖化実

験のメソ気象研究に対する可能性」であったがそこ

では「対流圏の気温は高層ほど上昇し成層圏は寒冷

化する」が前提とされていた

容易に入手できる高層の気温データからそのよう

な結論が得られるか調べ地上の気温変動予測への

利用可能性を探ることが本研究の目的である

2 気象庁の高層気象観測の変遷

気象庁の高層気象観測の変遷については詳しい解

説がある1)2)それによると観測機種の交換が何

度かあり同一時期でも観測点によって異なる機種

が使用されていることもある気温の測定はバイメ

タル式サーミスタ温度計静電容量ワイヤ温度計と

変遷した日射補正の方法の改良や吊紐の長さの7

m15m30mへの変更もあった高層気象観測

はそもそも高度方向の変化を調べるための測定で

時系列的にデータを見る目的で使われるようになっ

たのは気候変動が問題になった近年からだという

現在気象庁のホームページで閲覧できる高層気象

観測データは 1988 年以降でありその間 RS2-80 型

サーミスタ温度計から RS2-19型サーミスタ温度計を

経て RS92-SGP型静電容量式ワイヤ温度計へと測定機

器は変遷しているその変遷期日は観測点ごとに異

なる

RS2-80 型以前の測定値は00UTC と 12UTCの測定

値の差が高度が高くなるにつれて拡大するなど日

射補正に問題があるというが1988 年以降のデータ

ではこの点の問題は発生しない

3稚内 9 時の月平均気温の推移

気象庁の地上の気温観測点は 900 か所ほどあり

10 分ごとの気温データが得られるが気温変動予測

の解析には 15地点の日平均気温や月平均気温などを

解析してきた高層の気温のデータは国内で 20 観測

点のデータがあり1988 年以降の 9 時と 21 時の高

度方向の測定値が気象庁のホームページで閲覧でき

るただこのデータの処理は難しいので指定高度

面の月平均値を解析した指定高度面は 1000hPa か

ら 5hPa まで 25 面あるが925hPa10 及び5hPa 面

のデータには欠測があるここでは 1000hPa から

20hPa までを解析対象としたデータはマイクロソフ

トエクセルを用いて解析した最初に稚内について

調べた

図1 稚内 9 時 2 月の平均気温の推移

図 1 に稚内の 9 時の 2 月の平均気温の 1988 年から

2016 年の地上から 20hPa までの推移を図 2 に同じ

く 8 月の推移を示した

図2 稚内 9時 8月の平均気温の推移

一番上の線が地上で下に向かって高層のデータで

下の方で線が密集しているところは成層圏である

02統解-2

対流圏では地上と高層の変動に類似性がある

8 月は 2 月と比較して地上の気温が 20上昇し

成層圏との圏界面の気温が 10下がりグラフの上

下の幅が約 30拡大している8 月の地上と高層の

変動の相関は 2 月より低いように見える

地上と高層の気温の相関係数を計算すると10 月

から 4 月までの(寒候期)は相関係数 07 以上の高

度が 600hPa まであるが5 月から 9 月の(暖候期)

は 800hPa までであった(定義と異なりかっこ付)

4稚内 9 時と 21 時の月平均気温の差

9 時の気温の測定値は日射の影響を受け21 時は

その影響がないので測定値の信頼性が高いという2)

公開されているデータは日射補正後のものとされる

が稚内の 9 時と 21 時のデータを比較しそれらの差

を調べた1981 年以降この差は小さいとのことだ

が年間平均では地上は 9 時の方が約 05高く

900hPa 前後は 21 時の方が約 05高く高層に向け

てその差を縮めながらも 21 時の方が高い30hPa か

ら上では再び 9 時の方が高くなる

51988 年から 2016 年の間の変化傾向

稚内について対流圏は高層ほど気温が上昇し成層

図3 稚内 9時 200hPa8月の月平均気温の推移

圏は気温が低下するという傾向が表れているかを各

図4 稚内 9時の各月各高度の気温変化傾向

指定高度面で調べた 9 時 200hPa の 8 月の例を 図

3に示す各月各高度面の結果を 9 時について図

4に21 時の結果を図5に示す夏場は前述の傾向

が表れているが冬場はその傾向がつかみにくい

図5 稚内 21時の各月各高度の気温変化傾向

6その他の観測点の月平均気温の推移

その他の観測地点の例として南鳥島の 9 時の各

月の気温変化傾向を図6に示す

図6 南鳥島 9時の各月各高度の気温変化傾向

南鳥島では成層圏の低温化傾向がいずれの月で

も認められる

7今後の研究方針

国内の 20 高層観測点すべてについて解析し地域

別の傾向をとらえ地上気温変動推定への利用法を

考える

5参考文献

1)阿部豊雄2015気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 1部 高層気象観測の変遷

天気62161-185

2)阿部豊雄2016気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 2部 観測値の特性天気

63267-295

02統解-2

神奈川支部田園調布学園中等部高等部 2 千葉支部 3 北関東支部 4 東京支部 5 神奈川支部

生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)

荒川 知子関 隆則2池上 榮3大野 昭彦4遠藤 君江5

1はじめに

筆者は勤務校である田園調布学園の土曜プログ

ラムにおいて「やってみよう天気予報」と題した気

象の講座を2004 年より主催してきた(荒川 2010)

その中で生徒の主体的活動を重視することが気

象特に気象防災における生徒の意識を向上させる

ことができることを提示した(荒川 20152016)

これまでに日本気象予報士会会員の協力を得

て新たな 3 つの講座を開発し一定の成果が得ら

れた3 件のうちクロスロードによる防災意識の

向上については2016 年度日本気象学会秋季大会に

おいて発表済みであり今回はそれ以外の 2 件につ

いて報告する

2 実施内容

2-1 高層天気図予想図を使った天気予報

1) 概要

1 コマ 65 分の講座を 2 週にわたり連続で実施し

受講者は中 1 から高 1 までの 30 名であり8 班編制

とした

1 週目は天気予報のしくみについて簡単に講義

し当日朝の天気図予想図を使用して図の貼り

合わせや着色の方法について練習を行った

2 週目は当日朝の天気図予想図を配布して

前週と同様の作業をし翌日の予報を作成して発表

させた

2) 方法

①SUGDaSS より当日朝の FAFE502FXFE504

FXFE5782FXFE584 を入手し時系列高度の

順に 貼り合わせる

②日本列島の位置を着色し確認する

③500hPa-9-12等温線を赤で着色する

④700hPa 湿域を着色する

⑤予報したい地域の 850hPa を通る等温線を赤で

着色する

⑥地上で降水が予想される地域を着色する(図

1)

⑦予報したい地域の 500hPa 気温700hPa の湿り

具合850hPa 気温をワークシートに書き入れ

⑧850hPa 気温に 9 を加え地上気温を予想する

⑨500hPa 気温と地上気温の差をワークシートに

記入する

⑩ワークシートに予想を記入する

図 1 天気図に着色しながら予報を考える

3) 注意点

次のような点に着目して生徒に予報文を作成さ

せた

①500hPa と地上の気温差が 30以上であれば不

安定と考える

②700hPa が湿っていても地上に降水が予想され

ていなければ曇り700hPaが湿っており地上に

も降水が予想されていれば雨と予想する

③予報を作成したら予報に合わせ生活上の注

意点を予報文に盛り込む

2-2 お天気紙芝居の作成

1) 概要

65 分の講座 1 コマで実施した

受講者は中 1 から高 2 までの 20 名であった

ストーリー作成のため本校の生徒が作成したキ

ャラクターである「なでりん」を主役とし「なで

りんの 1年間」というタイトルで小学校低学年の児

童に説明することを目標とした

2) 方法

①受講者を 4 名ずつ 5 グループに分け更にその

中で 2 名ずつのペアを作らせた

②季節を春梅雨夏秋冬の 5 つに分け各

グループが 1 つの季節を担当した

③各季節の天気の特徴と防災事項をそれぞれの

ペアが担当しそれぞれ相談しながら紙芝居の

絵と説明を作成した

④1 年分の紙芝居を集め講師がコメントを入れ

発表した

3) 注意点

天気の特徴を担当するペアには典型的な 10 種

類の天気図を印刷して配布し絵の中に天気図を組

み入れさせた配布した天気図には日付を入れず

04授業-12

その季節の天気図として妥当なものを生徒自身に

判断させた

3教育効果

どちらの講座においても生徒が積極的に取り組

む姿勢が認められた

天気予報においては生徒は高層天気図にふれる

のが初めてであり大気の立体構造を理解した上で

予報に取り組んではいないしかし単に低気圧の

移動から雨域の移動を類推するのとは異なり予報

時刻の予想図から必要事項を読み取り予報を作成

することでより実感を持って予報に取り組めた様

子が伺えた今回は翌日の東京における予報を作

成した班がほとんどであったが「雨」という班と

「曇り」という班があったこれは地上予想図に

おける雨域の端が東京付近を通っていたことで雨

と判断した班と曇と判断した班とに分かれたもの

である根拠も含めて説明させたので生徒が確か

な裏付けを持って予報しようとする姿勢を持てた

ことそれを生徒自身の言葉で表現できたことが成

果である

通常の授業では与えられた問いに対し想定で

きる答が用意されていることが多く生徒は常に

「正解を知る」ことを求めがちであるしかしこ

れからの社会においては正解の無い問いに取り組

む姿勢が重要である天気予報はまさに「正解の分

からない問い」であり結果は翌日以降の予報時刻

になって初めて確かめられる予報士が実際に取り

組む方法を体験することで答が見えない問いに対

しても答を準備しなくてはならないことの難しさ

を生徒が体感することができた

紙芝居の作成においては生徒が自分たちの言葉

で季節や防災を表現するoutput による理解の深化

と興味の喚起が主な目的であったOutput のために

は生徒自身がその内容を理解しさらに人に伝え

るための工夫が必要である対象を小学校低学年程

度としたことで生徒が伝えるポイントを絞り簡

潔な言葉で伝えることを意識できた生徒は予想以

上に積極的に取り組んでいた

新しい指導要領においては答の無い問いを解決

し人との交わりの中でそれを活かそうとする力-

21 世紀型スキル-の育成が課題となっているこの

講座はまさに 21 世紀型スキルの育成を目指すも

のである

4今後の展開

4-1 高層天気図予想図を使った天気予報

予報時刻予報地点を生徒に選ばせたため「翌

日の東京」の天気を予想した生徒が大半を占め他

の地点を選んだのは高校生 2 名のみであった予報

時刻や予報地点をグループごとに指定することで

生徒が地域的な広がりや時間変化を感じより実感

を持って予報に臨めるものと思われる

またこの講座では実施時期により天気図を見

るポイントが異なってくる夏であれば上空の気温

に着目して不安定を検出する低気圧の通過時であ

ればその予測をするなどのテーマが考えられる

当日の状況により着目点が異なってくることから

ワークシートを直前に作成する必要がある既成の

ワークシートをそのまま利用できず着目点をその

都度確認することは気象予報士としての技術研

鑽にも繋がることとなる

4-2 お天気紙芝居

「なでりんの一年間」として一年間の季節の流

れとそれぞれの季節ごとの防災事項を生徒に考え

させた

季節ごとの防災事項を認識することは大切であ

るが台風大雪など防災事項を具体化するには

テーマが大きかったともいえる今後「防災」に

焦点を当て大雨大雪台風等テーマを決めた

上で各グループが防災事項を検討しそれを紙芝

居の形で表現することでさらに「防災に役立つ」

という意識を生徒に喚起することが可能である

なお今回は時間の関係で最後の発表は講師が

行ったが2 コマの連続講座として展開し生徒自

身に発表させればさらに生徒が主体的に取り組め

るものと考えられる

4-3 講座の構築

いわゆる出前講座のお天気教室においては講師

側と受講者側が初対面であることも多いそのた

め講師側が受講者の基礎知識や講座に対する参加

意識を把握できずに講座を進めなくてはならず生

徒を主体的に行動させることが難しい場合もある

開発した 2 つの講座は年齢や生徒の基礎知識によ

らず受講者が主体的に行動することで達成感を得

られるものである

今後中高生に限らず成人向けにもこのような

手法を用いた講座を実践することで気象に対する

興味や知識がより深まるものと考えられる

5まとめ

中高生に対し気象予報士の業務を疑似体験させ

て高層天気図を用いた予報を行わせたり防災を

伝える工夫をさせたりすることで気象や防災に対

する生徒の意識が向上することが分かった

参考文献

荒川知子(2010)奨励賞を受賞して天気 35-37

荒川知子(2015)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上日本気象学会秋季大会予

稿集

荒川知子(2016)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上(2)日本気象学会秋季大会

予稿集

04授業-12

大気圧に対する見方を変える -『空気分子(N2や O2など)の運動』の視点で-

槇 野 泰 夫(東海支部)

1 はじめに

「地表付近の物体は空気

の重さによる圧力を受けて

いる圧力はあらゆる面に

対して垂直である」と「大

気の柱の図解」(写真1)と

ともに大気圧について中学

で学習している

「室内では空気の柱が

天井や机の下までしかない 写真1 大気の柱の図

これで屋外と同じ気圧確かに1気圧だが」と

腑に落ちないでいた空気分子があらゆる方向に圧力

を与えているという漠然とした考え方や実験結果から

私はなんとなく納得()していた

釈然としない気持ちを解決すべく教材開発の日々に

木村龍治先生のご指導を受ける機会があった『空気分

子の運動』から見た大気圧に対する見方である私の長

年のもやもやはすっきりと解消された

教員養成の大学で教える機会があり理科研究の地

学を担当し『空気分子の運動』を視点にした「大気圧

による現象」の講義をすることにしたここに報告する

2 『空気分子の運動』から見た大気圧の現象

① 大気圧によって力を受ける現象

下敷きの中央部分に摘み

を取り付け机などの滑ら

かな面に置いて摘みを引

き上げようとすると下敷

は取れなくなる(写真2)

ほとんどの大学生はこ 写真2 摘み取れない下敷

の現象が大気圧によるものである

ことに気付かない「下敷きの上に

あるものは下には」などと考

え進めていくと半信半疑ながら

大気圧に気付く身近にある下敷

きで大気圧による現象を実感し

かなりの衝撃を受ける 写真3 壁に張り付く下敷

さらに下敷を壁などの側面に張り付く現象(写真3)

も体験させると衝撃を受け驚く「大気圧」と自

信なくつぶやく大学生がいるが多くは「」

ここで空気中を飛び回る N2や O2などの分子の存

在(図1)に視点をあてる空気分子の量は地表に近い

程多いN2やO2な

どの分子は秒速

450m 近くの速度

で物体の表面に衝

突し瞬間だけの力

を与え分子の集団

効果で圧力となる

この圧力が大気圧 図1 飛び回る空気分子の存在

であるという見方を示す

机の上の下敷き(写真2図1A)が摘み取れない現

象や下敷が壁に張り付く現象(写真3図1B)を学

生は『空気分子の運動』から容易に理解した以下の感

想から読み取れる

<学生の感想>

〇 空中にある物にはいろいろな方向から分子が衝突

するので全方向から圧力がかかっているなるほど

〇 空気の分子が下敷きに一方的に高速でぶつかるこ

とがわかりすごい力で取れないことを肌で感じた

〇 大気圧は上にある空気の押す力によるものだと思

っていたしかし空気分子の運動で考えると室内

でも屋外でも差がないことや横から押す圧力も同じ

ように生じていることが矛盾なく理解できた

〇 空気分子の運動はすごく納得ができより理解が

深まった

<考察>

空気中の下敷きはあらゆる方向から同じ圧力を受

けるので重さ以外の力を感じないしかし下敷きに

空気分子が一方的に衝突するようにすると大気圧を

一方的に受け大きな力を感じさせることができる大

気圧を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は大気圧を動的に見せる

ことができあらゆる方向から大気圧がかかることを

理解させるのに有効な見方となっている

B

A

04教育-5

② 圧力差から生じる力によって起こる現象

箱の周りの空気分

子と同じ密度の空気

分子を閉じ込めた容

器(図2C)がある

この容器内の空気

分子の密度が内と外

で差が生じるように

空気の量を減らすと 図2 空気中の容器

容器(図2D)はどのようになるかを考えさせた

「空気分子の量が減るため内側から押す力が弱まり

周りから力がかか

り凹む」と多くの

学生は予想した

ラップフィルム

で蓋をした容器か

ら逆流防止弁を付

写真4 減圧した図2Dの実験 けて(写真4)のよ

うに空気を減らし圧量差が力を生む現象を示した

次に容器(図2C)を上空(図2E)へ移動すると

どうなるかの問いに「容器は内部から外に力がかかり

膨らむ」と答えていたこの(図2C)から(図2E)

への移動は空気の上昇膨張の現象となり水蒸気の

凝結雲の発生の話につながる重要な過程である

<学生の感想>

〇 あんなにラップが凹み硬くなったことが衝撃的

だった空気分子の動きが見えるようだった

〇 空気が減っていく様子が目の前で分かり空気分

子の圧力の強さをパンパンになるラップで感じた

〇 空気分子の量の違いによって力が生じ凹んだり

膨らんだりすることがわかったわかりやすい

<考察>

硬く凹むラップフィルムパンパンになるラップフ

ィルムなどの記述から『空気分子の運動』という見え

ないものをラップフィルムの様子の変化から捉えてい

る圧力差を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は容器内外の空気分子の

密度(量)の違いを圧力差と関連付け圧力差から生じ

る力を理解させるのに有効な見方となっている

空気の上昇膨張の現象は仕切りのある容器の現象

ではない温度低下との関係も説明しきれていない

③ 気圧差で起こる広範囲の現象

図3 連通管の模式図 写真5 圧力差のある連通管

連通管(図3)の入り口で圧力差を作るとどうなるか

を考えさせた大学生は圧力差を空気分子の量の違い

で捉え水面の変化を容易に考えることができた

(写真5)は圧力差があるときの水面の様子である

海洋など広い範囲では水平方向に気圧差が生じる

ことがある高気圧や低気圧(台風)などの気圧配置が

これにあたる図4を示して高潮の様子を類推させた

図4 海洋など広い範囲での気圧差

<学生の感想>

〇 連通管の実験を踏まえて空気分子の運動で考え

ると自然界で起きている現象(高潮)がわかった

〇 大きなスケールの実験はできないが小さなスケ

ールの実験から空気分子の運動で推測できた

<考察>

連通管の水位は空気分子の量と圧力との関係を明

確に捉えさせることができ圧力差を意識させる有効

な実験である

『空気分子の運動』の見方は水平方向に気圧差があ

る広い範囲の現象を理解させるのに有効な見方とな

っている

3 おわりに

『空気分子の運動』の視点で考えることに対して

147名の大学生の 68が「よくわかる」32が「やや

わかる」(あまりわからないぜんぜんわからないは 0)

と回答している中学で学習した「大気の柱」の見方に

加えて『空気分子の運動』の見方で考えさせることは

大気圧に対する理解を深めさせることになると考える

こうした実践に至るまでのきっかけを与えてくださ

った木村龍治先生のご指導に感謝を申し上げます

C D

E

04教育-5

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 11: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

3 研究成果の概要

アメダス2地点の風速を 24 時間times7 曜日に分け

て平均を取り「全曜日平均と比べて合成風速が

01ms 以上ずれた状態が3時間以上続く」特異な

条件の曜日時間帯は次のとおりでした

【アメダス和田山】

月曜日 1-3UTC(月曜日 10~12時)

月曜日 5-8UTC(月曜日 14~17時)

土曜日 23UTC-日曜日 1UTC(日曜日 8~10時)

図3アメダス和田山の時間帯別平均風向風速

【アメダス生野】

水曜日 2-4UTC(水曜日 11~13時)

日曜日 16-23UTC(月曜日 2~7時)

図4アメダス生野の時間帯別平均風向風速

これらのうち雲海の形成消滅に関連するもの

は最後の「アメダス生野の日曜日 16-23UTC に強

まる風」だけですがその成分は風速 010~

013msの南西~西南西風と推測されます

なおこの日曜日 16-23UTC の和田山の全曜日

平均と比べて強まる成分は風速 003~011ms の

南南東~南西風と推測され生野での日曜日の特

異風とのシアを考慮しますとアメダス生野を抜

けた風の一部はアメダス和田山に至らずに中間で

とどまっていると考えることができます

なお雲海が発生しやすい時期に限ってみれば

この時間帯の生野の平均気温の差は次のとおりで

す生野と和田山の標高差が 240mなので標準大

気の気温減率 65Kkm相当の気温差が 015程度

であることを考えると平均的には寒気移流が生

じていると考えることができます(縦月横

UTC 時網掛けは平均気温差>015の時間帯)

16 17 18 19 20 21 22 23

9 -04 -05 -04 -05 -04 -05 -05 -05

10 -03 -02 -03 -03 -03 -04 -03 +01

11 00 -06 -04 -04 -03 -02 -02 -02

12 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -08 -09

図5両地点の時間帯月別気温差(日曜日)

【結論】

月曜日の早朝に強まるのみ南西風の成分が生野

で観測されており寒気移流が強まることで竹田

城跡付近で雲海が発生しやすくなると思われます

4 今後の課題

今回の考察はアメダス観測値から平均的な傾

向を調べるにとどまっていますきめ細かい観測

を行い雲海の発生解消メカニズムを把握するこ

とが必要と考えています

また実際の発電所の稼働状況の変化を踏まえ

今後もこのような気圧傾度風が確実に発生すると

いえるのか見極めが必要と考えます

【参考にした資料】

関西電力株式会社和田山町観光協会の各 WEB サ

イト国土地理院の地形図SUGDASS2データ

02統解-1

直近 28 年間の日本の地表から高層の気温変動傾向

内山 常雄(神奈川支部)

1 はじめに

著者はこれまで日本の年平均気温の変動を調べて

きたがそれらの発表に対して①気温の測定機材や

測定頻度が変更されてきた②すでに地表から高層の

再解析データがあり限られた地点の地表の気温を

解析する意味はないといった指摘を受けた

第 46 回メソ気象研究会のテーマは「擬似温暖化実

験のメソ気象研究に対する可能性」であったがそこ

では「対流圏の気温は高層ほど上昇し成層圏は寒冷

化する」が前提とされていた

容易に入手できる高層の気温データからそのよう

な結論が得られるか調べ地上の気温変動予測への

利用可能性を探ることが本研究の目的である

2 気象庁の高層気象観測の変遷

気象庁の高層気象観測の変遷については詳しい解

説がある1)2)それによると観測機種の交換が何

度かあり同一時期でも観測点によって異なる機種

が使用されていることもある気温の測定はバイメ

タル式サーミスタ温度計静電容量ワイヤ温度計と

変遷した日射補正の方法の改良や吊紐の長さの7

m15m30mへの変更もあった高層気象観測

はそもそも高度方向の変化を調べるための測定で

時系列的にデータを見る目的で使われるようになっ

たのは気候変動が問題になった近年からだという

現在気象庁のホームページで閲覧できる高層気象

観測データは 1988 年以降でありその間 RS2-80 型

サーミスタ温度計から RS2-19型サーミスタ温度計を

経て RS92-SGP型静電容量式ワイヤ温度計へと測定機

器は変遷しているその変遷期日は観測点ごとに異

なる

RS2-80 型以前の測定値は00UTC と 12UTCの測定

値の差が高度が高くなるにつれて拡大するなど日

射補正に問題があるというが1988 年以降のデータ

ではこの点の問題は発生しない

3稚内 9 時の月平均気温の推移

気象庁の地上の気温観測点は 900 か所ほどあり

10 分ごとの気温データが得られるが気温変動予測

の解析には 15地点の日平均気温や月平均気温などを

解析してきた高層の気温のデータは国内で 20 観測

点のデータがあり1988 年以降の 9 時と 21 時の高

度方向の測定値が気象庁のホームページで閲覧でき

るただこのデータの処理は難しいので指定高度

面の月平均値を解析した指定高度面は 1000hPa か

ら 5hPa まで 25 面あるが925hPa10 及び5hPa 面

のデータには欠測があるここでは 1000hPa から

20hPa までを解析対象としたデータはマイクロソフ

トエクセルを用いて解析した最初に稚内について

調べた

図1 稚内 9 時 2 月の平均気温の推移

図 1 に稚内の 9 時の 2 月の平均気温の 1988 年から

2016 年の地上から 20hPa までの推移を図 2 に同じ

く 8 月の推移を示した

図2 稚内 9時 8月の平均気温の推移

一番上の線が地上で下に向かって高層のデータで

下の方で線が密集しているところは成層圏である

02統解-2

対流圏では地上と高層の変動に類似性がある

8 月は 2 月と比較して地上の気温が 20上昇し

成層圏との圏界面の気温が 10下がりグラフの上

下の幅が約 30拡大している8 月の地上と高層の

変動の相関は 2 月より低いように見える

地上と高層の気温の相関係数を計算すると10 月

から 4 月までの(寒候期)は相関係数 07 以上の高

度が 600hPa まであるが5 月から 9 月の(暖候期)

は 800hPa までであった(定義と異なりかっこ付)

4稚内 9 時と 21 時の月平均気温の差

9 時の気温の測定値は日射の影響を受け21 時は

その影響がないので測定値の信頼性が高いという2)

公開されているデータは日射補正後のものとされる

が稚内の 9 時と 21 時のデータを比較しそれらの差

を調べた1981 年以降この差は小さいとのことだ

が年間平均では地上は 9 時の方が約 05高く

900hPa 前後は 21 時の方が約 05高く高層に向け

てその差を縮めながらも 21 時の方が高い30hPa か

ら上では再び 9 時の方が高くなる

51988 年から 2016 年の間の変化傾向

稚内について対流圏は高層ほど気温が上昇し成層

図3 稚内 9時 200hPa8月の月平均気温の推移

圏は気温が低下するという傾向が表れているかを各

図4 稚内 9時の各月各高度の気温変化傾向

指定高度面で調べた 9 時 200hPa の 8 月の例を 図

3に示す各月各高度面の結果を 9 時について図

4に21 時の結果を図5に示す夏場は前述の傾向

が表れているが冬場はその傾向がつかみにくい

図5 稚内 21時の各月各高度の気温変化傾向

6その他の観測点の月平均気温の推移

その他の観測地点の例として南鳥島の 9 時の各

月の気温変化傾向を図6に示す

図6 南鳥島 9時の各月各高度の気温変化傾向

南鳥島では成層圏の低温化傾向がいずれの月で

も認められる

7今後の研究方針

国内の 20 高層観測点すべてについて解析し地域

別の傾向をとらえ地上気温変動推定への利用法を

考える

5参考文献

1)阿部豊雄2015気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 1部 高層気象観測の変遷

天気62161-185

2)阿部豊雄2016気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 2部 観測値の特性天気

63267-295

02統解-2

神奈川支部田園調布学園中等部高等部 2 千葉支部 3 北関東支部 4 東京支部 5 神奈川支部

生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)

荒川 知子関 隆則2池上 榮3大野 昭彦4遠藤 君江5

1はじめに

筆者は勤務校である田園調布学園の土曜プログ

ラムにおいて「やってみよう天気予報」と題した気

象の講座を2004 年より主催してきた(荒川 2010)

その中で生徒の主体的活動を重視することが気

象特に気象防災における生徒の意識を向上させる

ことができることを提示した(荒川 20152016)

これまでに日本気象予報士会会員の協力を得

て新たな 3 つの講座を開発し一定の成果が得ら

れた3 件のうちクロスロードによる防災意識の

向上については2016 年度日本気象学会秋季大会に

おいて発表済みであり今回はそれ以外の 2 件につ

いて報告する

2 実施内容

2-1 高層天気図予想図を使った天気予報

1) 概要

1 コマ 65 分の講座を 2 週にわたり連続で実施し

受講者は中 1 から高 1 までの 30 名であり8 班編制

とした

1 週目は天気予報のしくみについて簡単に講義

し当日朝の天気図予想図を使用して図の貼り

合わせや着色の方法について練習を行った

2 週目は当日朝の天気図予想図を配布して

前週と同様の作業をし翌日の予報を作成して発表

させた

2) 方法

①SUGDaSS より当日朝の FAFE502FXFE504

FXFE5782FXFE584 を入手し時系列高度の

順に 貼り合わせる

②日本列島の位置を着色し確認する

③500hPa-9-12等温線を赤で着色する

④700hPa 湿域を着色する

⑤予報したい地域の 850hPa を通る等温線を赤で

着色する

⑥地上で降水が予想される地域を着色する(図

1)

⑦予報したい地域の 500hPa 気温700hPa の湿り

具合850hPa 気温をワークシートに書き入れ

⑧850hPa 気温に 9 を加え地上気温を予想する

⑨500hPa 気温と地上気温の差をワークシートに

記入する

⑩ワークシートに予想を記入する

図 1 天気図に着色しながら予報を考える

3) 注意点

次のような点に着目して生徒に予報文を作成さ

せた

①500hPa と地上の気温差が 30以上であれば不

安定と考える

②700hPa が湿っていても地上に降水が予想され

ていなければ曇り700hPaが湿っており地上に

も降水が予想されていれば雨と予想する

③予報を作成したら予報に合わせ生活上の注

意点を予報文に盛り込む

2-2 お天気紙芝居の作成

1) 概要

65 分の講座 1 コマで実施した

受講者は中 1 から高 2 までの 20 名であった

ストーリー作成のため本校の生徒が作成したキ

ャラクターである「なでりん」を主役とし「なで

りんの 1年間」というタイトルで小学校低学年の児

童に説明することを目標とした

2) 方法

①受講者を 4 名ずつ 5 グループに分け更にその

中で 2 名ずつのペアを作らせた

②季節を春梅雨夏秋冬の 5 つに分け各

グループが 1 つの季節を担当した

③各季節の天気の特徴と防災事項をそれぞれの

ペアが担当しそれぞれ相談しながら紙芝居の

絵と説明を作成した

④1 年分の紙芝居を集め講師がコメントを入れ

発表した

3) 注意点

天気の特徴を担当するペアには典型的な 10 種

類の天気図を印刷して配布し絵の中に天気図を組

み入れさせた配布した天気図には日付を入れず

04授業-12

その季節の天気図として妥当なものを生徒自身に

判断させた

3教育効果

どちらの講座においても生徒が積極的に取り組

む姿勢が認められた

天気予報においては生徒は高層天気図にふれる

のが初めてであり大気の立体構造を理解した上で

予報に取り組んではいないしかし単に低気圧の

移動から雨域の移動を類推するのとは異なり予報

時刻の予想図から必要事項を読み取り予報を作成

することでより実感を持って予報に取り組めた様

子が伺えた今回は翌日の東京における予報を作

成した班がほとんどであったが「雨」という班と

「曇り」という班があったこれは地上予想図に

おける雨域の端が東京付近を通っていたことで雨

と判断した班と曇と判断した班とに分かれたもの

である根拠も含めて説明させたので生徒が確か

な裏付けを持って予報しようとする姿勢を持てた

ことそれを生徒自身の言葉で表現できたことが成

果である

通常の授業では与えられた問いに対し想定で

きる答が用意されていることが多く生徒は常に

「正解を知る」ことを求めがちであるしかしこ

れからの社会においては正解の無い問いに取り組

む姿勢が重要である天気予報はまさに「正解の分

からない問い」であり結果は翌日以降の予報時刻

になって初めて確かめられる予報士が実際に取り

組む方法を体験することで答が見えない問いに対

しても答を準備しなくてはならないことの難しさ

を生徒が体感することができた

紙芝居の作成においては生徒が自分たちの言葉

で季節や防災を表現するoutput による理解の深化

と興味の喚起が主な目的であったOutput のために

は生徒自身がその内容を理解しさらに人に伝え

るための工夫が必要である対象を小学校低学年程

度としたことで生徒が伝えるポイントを絞り簡

潔な言葉で伝えることを意識できた生徒は予想以

上に積極的に取り組んでいた

新しい指導要領においては答の無い問いを解決

し人との交わりの中でそれを活かそうとする力-

21 世紀型スキル-の育成が課題となっているこの

講座はまさに 21 世紀型スキルの育成を目指すも

のである

4今後の展開

4-1 高層天気図予想図を使った天気予報

予報時刻予報地点を生徒に選ばせたため「翌

日の東京」の天気を予想した生徒が大半を占め他

の地点を選んだのは高校生 2 名のみであった予報

時刻や予報地点をグループごとに指定することで

生徒が地域的な広がりや時間変化を感じより実感

を持って予報に臨めるものと思われる

またこの講座では実施時期により天気図を見

るポイントが異なってくる夏であれば上空の気温

に着目して不安定を検出する低気圧の通過時であ

ればその予測をするなどのテーマが考えられる

当日の状況により着目点が異なってくることから

ワークシートを直前に作成する必要がある既成の

ワークシートをそのまま利用できず着目点をその

都度確認することは気象予報士としての技術研

鑽にも繋がることとなる

4-2 お天気紙芝居

「なでりんの一年間」として一年間の季節の流

れとそれぞれの季節ごとの防災事項を生徒に考え

させた

季節ごとの防災事項を認識することは大切であ

るが台風大雪など防災事項を具体化するには

テーマが大きかったともいえる今後「防災」に

焦点を当て大雨大雪台風等テーマを決めた

上で各グループが防災事項を検討しそれを紙芝

居の形で表現することでさらに「防災に役立つ」

という意識を生徒に喚起することが可能である

なお今回は時間の関係で最後の発表は講師が

行ったが2 コマの連続講座として展開し生徒自

身に発表させればさらに生徒が主体的に取り組め

るものと考えられる

4-3 講座の構築

いわゆる出前講座のお天気教室においては講師

側と受講者側が初対面であることも多いそのた

め講師側が受講者の基礎知識や講座に対する参加

意識を把握できずに講座を進めなくてはならず生

徒を主体的に行動させることが難しい場合もある

開発した 2 つの講座は年齢や生徒の基礎知識によ

らず受講者が主体的に行動することで達成感を得

られるものである

今後中高生に限らず成人向けにもこのような

手法を用いた講座を実践することで気象に対する

興味や知識がより深まるものと考えられる

5まとめ

中高生に対し気象予報士の業務を疑似体験させ

て高層天気図を用いた予報を行わせたり防災を

伝える工夫をさせたりすることで気象や防災に対

する生徒の意識が向上することが分かった

参考文献

荒川知子(2010)奨励賞を受賞して天気 35-37

荒川知子(2015)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上日本気象学会秋季大会予

稿集

荒川知子(2016)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上(2)日本気象学会秋季大会

予稿集

04授業-12

大気圧に対する見方を変える -『空気分子(N2や O2など)の運動』の視点で-

槇 野 泰 夫(東海支部)

1 はじめに

「地表付近の物体は空気

の重さによる圧力を受けて

いる圧力はあらゆる面に

対して垂直である」と「大

気の柱の図解」(写真1)と

ともに大気圧について中学

で学習している

「室内では空気の柱が

天井や机の下までしかない 写真1 大気の柱の図

これで屋外と同じ気圧確かに1気圧だが」と

腑に落ちないでいた空気分子があらゆる方向に圧力

を与えているという漠然とした考え方や実験結果から

私はなんとなく納得()していた

釈然としない気持ちを解決すべく教材開発の日々に

木村龍治先生のご指導を受ける機会があった『空気分

子の運動』から見た大気圧に対する見方である私の長

年のもやもやはすっきりと解消された

教員養成の大学で教える機会があり理科研究の地

学を担当し『空気分子の運動』を視点にした「大気圧

による現象」の講義をすることにしたここに報告する

2 『空気分子の運動』から見た大気圧の現象

① 大気圧によって力を受ける現象

下敷きの中央部分に摘み

を取り付け机などの滑ら

かな面に置いて摘みを引

き上げようとすると下敷

は取れなくなる(写真2)

ほとんどの大学生はこ 写真2 摘み取れない下敷

の現象が大気圧によるものである

ことに気付かない「下敷きの上に

あるものは下には」などと考

え進めていくと半信半疑ながら

大気圧に気付く身近にある下敷

きで大気圧による現象を実感し

かなりの衝撃を受ける 写真3 壁に張り付く下敷

さらに下敷を壁などの側面に張り付く現象(写真3)

も体験させると衝撃を受け驚く「大気圧」と自

信なくつぶやく大学生がいるが多くは「」

ここで空気中を飛び回る N2や O2などの分子の存

在(図1)に視点をあてる空気分子の量は地表に近い

程多いN2やO2な

どの分子は秒速

450m 近くの速度

で物体の表面に衝

突し瞬間だけの力

を与え分子の集団

効果で圧力となる

この圧力が大気圧 図1 飛び回る空気分子の存在

であるという見方を示す

机の上の下敷き(写真2図1A)が摘み取れない現

象や下敷が壁に張り付く現象(写真3図1B)を学

生は『空気分子の運動』から容易に理解した以下の感

想から読み取れる

<学生の感想>

〇 空中にある物にはいろいろな方向から分子が衝突

するので全方向から圧力がかかっているなるほど

〇 空気の分子が下敷きに一方的に高速でぶつかるこ

とがわかりすごい力で取れないことを肌で感じた

〇 大気圧は上にある空気の押す力によるものだと思

っていたしかし空気分子の運動で考えると室内

でも屋外でも差がないことや横から押す圧力も同じ

ように生じていることが矛盾なく理解できた

〇 空気分子の運動はすごく納得ができより理解が

深まった

<考察>

空気中の下敷きはあらゆる方向から同じ圧力を受

けるので重さ以外の力を感じないしかし下敷きに

空気分子が一方的に衝突するようにすると大気圧を

一方的に受け大きな力を感じさせることができる大

気圧を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は大気圧を動的に見せる

ことができあらゆる方向から大気圧がかかることを

理解させるのに有効な見方となっている

B

A

04教育-5

② 圧力差から生じる力によって起こる現象

箱の周りの空気分

子と同じ密度の空気

分子を閉じ込めた容

器(図2C)がある

この容器内の空気

分子の密度が内と外

で差が生じるように

空気の量を減らすと 図2 空気中の容器

容器(図2D)はどのようになるかを考えさせた

「空気分子の量が減るため内側から押す力が弱まり

周りから力がかか

り凹む」と多くの

学生は予想した

ラップフィルム

で蓋をした容器か

ら逆流防止弁を付

写真4 減圧した図2Dの実験 けて(写真4)のよ

うに空気を減らし圧量差が力を生む現象を示した

次に容器(図2C)を上空(図2E)へ移動すると

どうなるかの問いに「容器は内部から外に力がかかり

膨らむ」と答えていたこの(図2C)から(図2E)

への移動は空気の上昇膨張の現象となり水蒸気の

凝結雲の発生の話につながる重要な過程である

<学生の感想>

〇 あんなにラップが凹み硬くなったことが衝撃的

だった空気分子の動きが見えるようだった

〇 空気が減っていく様子が目の前で分かり空気分

子の圧力の強さをパンパンになるラップで感じた

〇 空気分子の量の違いによって力が生じ凹んだり

膨らんだりすることがわかったわかりやすい

<考察>

硬く凹むラップフィルムパンパンになるラップフ

ィルムなどの記述から『空気分子の運動』という見え

ないものをラップフィルムの様子の変化から捉えてい

る圧力差を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は容器内外の空気分子の

密度(量)の違いを圧力差と関連付け圧力差から生じ

る力を理解させるのに有効な見方となっている

空気の上昇膨張の現象は仕切りのある容器の現象

ではない温度低下との関係も説明しきれていない

③ 気圧差で起こる広範囲の現象

図3 連通管の模式図 写真5 圧力差のある連通管

連通管(図3)の入り口で圧力差を作るとどうなるか

を考えさせた大学生は圧力差を空気分子の量の違い

で捉え水面の変化を容易に考えることができた

(写真5)は圧力差があるときの水面の様子である

海洋など広い範囲では水平方向に気圧差が生じる

ことがある高気圧や低気圧(台風)などの気圧配置が

これにあたる図4を示して高潮の様子を類推させた

図4 海洋など広い範囲での気圧差

<学生の感想>

〇 連通管の実験を踏まえて空気分子の運動で考え

ると自然界で起きている現象(高潮)がわかった

〇 大きなスケールの実験はできないが小さなスケ

ールの実験から空気分子の運動で推測できた

<考察>

連通管の水位は空気分子の量と圧力との関係を明

確に捉えさせることができ圧力差を意識させる有効

な実験である

『空気分子の運動』の見方は水平方向に気圧差があ

る広い範囲の現象を理解させるのに有効な見方とな

っている

3 おわりに

『空気分子の運動』の視点で考えることに対して

147名の大学生の 68が「よくわかる」32が「やや

わかる」(あまりわからないぜんぜんわからないは 0)

と回答している中学で学習した「大気の柱」の見方に

加えて『空気分子の運動』の見方で考えさせることは

大気圧に対する理解を深めさせることになると考える

こうした実践に至るまでのきっかけを与えてくださ

った木村龍治先生のご指導に感謝を申し上げます

C D

E

04教育-5

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 12: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

直近 28 年間の日本の地表から高層の気温変動傾向

内山 常雄(神奈川支部)

1 はじめに

著者はこれまで日本の年平均気温の変動を調べて

きたがそれらの発表に対して①気温の測定機材や

測定頻度が変更されてきた②すでに地表から高層の

再解析データがあり限られた地点の地表の気温を

解析する意味はないといった指摘を受けた

第 46 回メソ気象研究会のテーマは「擬似温暖化実

験のメソ気象研究に対する可能性」であったがそこ

では「対流圏の気温は高層ほど上昇し成層圏は寒冷

化する」が前提とされていた

容易に入手できる高層の気温データからそのよう

な結論が得られるか調べ地上の気温変動予測への

利用可能性を探ることが本研究の目的である

2 気象庁の高層気象観測の変遷

気象庁の高層気象観測の変遷については詳しい解

説がある1)2)それによると観測機種の交換が何

度かあり同一時期でも観測点によって異なる機種

が使用されていることもある気温の測定はバイメ

タル式サーミスタ温度計静電容量ワイヤ温度計と

変遷した日射補正の方法の改良や吊紐の長さの7

m15m30mへの変更もあった高層気象観測

はそもそも高度方向の変化を調べるための測定で

時系列的にデータを見る目的で使われるようになっ

たのは気候変動が問題になった近年からだという

現在気象庁のホームページで閲覧できる高層気象

観測データは 1988 年以降でありその間 RS2-80 型

サーミスタ温度計から RS2-19型サーミスタ温度計を

経て RS92-SGP型静電容量式ワイヤ温度計へと測定機

器は変遷しているその変遷期日は観測点ごとに異

なる

RS2-80 型以前の測定値は00UTC と 12UTCの測定

値の差が高度が高くなるにつれて拡大するなど日

射補正に問題があるというが1988 年以降のデータ

ではこの点の問題は発生しない

3稚内 9 時の月平均気温の推移

気象庁の地上の気温観測点は 900 か所ほどあり

10 分ごとの気温データが得られるが気温変動予測

の解析には 15地点の日平均気温や月平均気温などを

解析してきた高層の気温のデータは国内で 20 観測

点のデータがあり1988 年以降の 9 時と 21 時の高

度方向の測定値が気象庁のホームページで閲覧でき

るただこのデータの処理は難しいので指定高度

面の月平均値を解析した指定高度面は 1000hPa か

ら 5hPa まで 25 面あるが925hPa10 及び5hPa 面

のデータには欠測があるここでは 1000hPa から

20hPa までを解析対象としたデータはマイクロソフ

トエクセルを用いて解析した最初に稚内について

調べた

図1 稚内 9 時 2 月の平均気温の推移

図 1 に稚内の 9 時の 2 月の平均気温の 1988 年から

2016 年の地上から 20hPa までの推移を図 2 に同じ

く 8 月の推移を示した

図2 稚内 9時 8月の平均気温の推移

一番上の線が地上で下に向かって高層のデータで

下の方で線が密集しているところは成層圏である

02統解-2

対流圏では地上と高層の変動に類似性がある

8 月は 2 月と比較して地上の気温が 20上昇し

成層圏との圏界面の気温が 10下がりグラフの上

下の幅が約 30拡大している8 月の地上と高層の

変動の相関は 2 月より低いように見える

地上と高層の気温の相関係数を計算すると10 月

から 4 月までの(寒候期)は相関係数 07 以上の高

度が 600hPa まであるが5 月から 9 月の(暖候期)

は 800hPa までであった(定義と異なりかっこ付)

4稚内 9 時と 21 時の月平均気温の差

9 時の気温の測定値は日射の影響を受け21 時は

その影響がないので測定値の信頼性が高いという2)

公開されているデータは日射補正後のものとされる

が稚内の 9 時と 21 時のデータを比較しそれらの差

を調べた1981 年以降この差は小さいとのことだ

が年間平均では地上は 9 時の方が約 05高く

900hPa 前後は 21 時の方が約 05高く高層に向け

てその差を縮めながらも 21 時の方が高い30hPa か

ら上では再び 9 時の方が高くなる

51988 年から 2016 年の間の変化傾向

稚内について対流圏は高層ほど気温が上昇し成層

図3 稚内 9時 200hPa8月の月平均気温の推移

圏は気温が低下するという傾向が表れているかを各

図4 稚内 9時の各月各高度の気温変化傾向

指定高度面で調べた 9 時 200hPa の 8 月の例を 図

3に示す各月各高度面の結果を 9 時について図

4に21 時の結果を図5に示す夏場は前述の傾向

が表れているが冬場はその傾向がつかみにくい

図5 稚内 21時の各月各高度の気温変化傾向

6その他の観測点の月平均気温の推移

その他の観測地点の例として南鳥島の 9 時の各

月の気温変化傾向を図6に示す

図6 南鳥島 9時の各月各高度の気温変化傾向

南鳥島では成層圏の低温化傾向がいずれの月で

も認められる

7今後の研究方針

国内の 20 高層観測点すべてについて解析し地域

別の傾向をとらえ地上気温変動推定への利用法を

考える

5参考文献

1)阿部豊雄2015気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 1部 高層気象観測の変遷

天気62161-185

2)阿部豊雄2016気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 2部 観測値の特性天気

63267-295

02統解-2

神奈川支部田園調布学園中等部高等部 2 千葉支部 3 北関東支部 4 東京支部 5 神奈川支部

生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)

荒川 知子関 隆則2池上 榮3大野 昭彦4遠藤 君江5

1はじめに

筆者は勤務校である田園調布学園の土曜プログ

ラムにおいて「やってみよう天気予報」と題した気

象の講座を2004 年より主催してきた(荒川 2010)

その中で生徒の主体的活動を重視することが気

象特に気象防災における生徒の意識を向上させる

ことができることを提示した(荒川 20152016)

これまでに日本気象予報士会会員の協力を得

て新たな 3 つの講座を開発し一定の成果が得ら

れた3 件のうちクロスロードによる防災意識の

向上については2016 年度日本気象学会秋季大会に

おいて発表済みであり今回はそれ以外の 2 件につ

いて報告する

2 実施内容

2-1 高層天気図予想図を使った天気予報

1) 概要

1 コマ 65 分の講座を 2 週にわたり連続で実施し

受講者は中 1 から高 1 までの 30 名であり8 班編制

とした

1 週目は天気予報のしくみについて簡単に講義

し当日朝の天気図予想図を使用して図の貼り

合わせや着色の方法について練習を行った

2 週目は当日朝の天気図予想図を配布して

前週と同様の作業をし翌日の予報を作成して発表

させた

2) 方法

①SUGDaSS より当日朝の FAFE502FXFE504

FXFE5782FXFE584 を入手し時系列高度の

順に 貼り合わせる

②日本列島の位置を着色し確認する

③500hPa-9-12等温線を赤で着色する

④700hPa 湿域を着色する

⑤予報したい地域の 850hPa を通る等温線を赤で

着色する

⑥地上で降水が予想される地域を着色する(図

1)

⑦予報したい地域の 500hPa 気温700hPa の湿り

具合850hPa 気温をワークシートに書き入れ

⑧850hPa 気温に 9 を加え地上気温を予想する

⑨500hPa 気温と地上気温の差をワークシートに

記入する

⑩ワークシートに予想を記入する

図 1 天気図に着色しながら予報を考える

3) 注意点

次のような点に着目して生徒に予報文を作成さ

せた

①500hPa と地上の気温差が 30以上であれば不

安定と考える

②700hPa が湿っていても地上に降水が予想され

ていなければ曇り700hPaが湿っており地上に

も降水が予想されていれば雨と予想する

③予報を作成したら予報に合わせ生活上の注

意点を予報文に盛り込む

2-2 お天気紙芝居の作成

1) 概要

65 分の講座 1 コマで実施した

受講者は中 1 から高 2 までの 20 名であった

ストーリー作成のため本校の生徒が作成したキ

ャラクターである「なでりん」を主役とし「なで

りんの 1年間」というタイトルで小学校低学年の児

童に説明することを目標とした

2) 方法

①受講者を 4 名ずつ 5 グループに分け更にその

中で 2 名ずつのペアを作らせた

②季節を春梅雨夏秋冬の 5 つに分け各

グループが 1 つの季節を担当した

③各季節の天気の特徴と防災事項をそれぞれの

ペアが担当しそれぞれ相談しながら紙芝居の

絵と説明を作成した

④1 年分の紙芝居を集め講師がコメントを入れ

発表した

3) 注意点

天気の特徴を担当するペアには典型的な 10 種

類の天気図を印刷して配布し絵の中に天気図を組

み入れさせた配布した天気図には日付を入れず

04授業-12

その季節の天気図として妥当なものを生徒自身に

判断させた

3教育効果

どちらの講座においても生徒が積極的に取り組

む姿勢が認められた

天気予報においては生徒は高層天気図にふれる

のが初めてであり大気の立体構造を理解した上で

予報に取り組んではいないしかし単に低気圧の

移動から雨域の移動を類推するのとは異なり予報

時刻の予想図から必要事項を読み取り予報を作成

することでより実感を持って予報に取り組めた様

子が伺えた今回は翌日の東京における予報を作

成した班がほとんどであったが「雨」という班と

「曇り」という班があったこれは地上予想図に

おける雨域の端が東京付近を通っていたことで雨

と判断した班と曇と判断した班とに分かれたもの

である根拠も含めて説明させたので生徒が確か

な裏付けを持って予報しようとする姿勢を持てた

ことそれを生徒自身の言葉で表現できたことが成

果である

通常の授業では与えられた問いに対し想定で

きる答が用意されていることが多く生徒は常に

「正解を知る」ことを求めがちであるしかしこ

れからの社会においては正解の無い問いに取り組

む姿勢が重要である天気予報はまさに「正解の分

からない問い」であり結果は翌日以降の予報時刻

になって初めて確かめられる予報士が実際に取り

組む方法を体験することで答が見えない問いに対

しても答を準備しなくてはならないことの難しさ

を生徒が体感することができた

紙芝居の作成においては生徒が自分たちの言葉

で季節や防災を表現するoutput による理解の深化

と興味の喚起が主な目的であったOutput のために

は生徒自身がその内容を理解しさらに人に伝え

るための工夫が必要である対象を小学校低学年程

度としたことで生徒が伝えるポイントを絞り簡

潔な言葉で伝えることを意識できた生徒は予想以

上に積極的に取り組んでいた

新しい指導要領においては答の無い問いを解決

し人との交わりの中でそれを活かそうとする力-

21 世紀型スキル-の育成が課題となっているこの

講座はまさに 21 世紀型スキルの育成を目指すも

のである

4今後の展開

4-1 高層天気図予想図を使った天気予報

予報時刻予報地点を生徒に選ばせたため「翌

日の東京」の天気を予想した生徒が大半を占め他

の地点を選んだのは高校生 2 名のみであった予報

時刻や予報地点をグループごとに指定することで

生徒が地域的な広がりや時間変化を感じより実感

を持って予報に臨めるものと思われる

またこの講座では実施時期により天気図を見

るポイントが異なってくる夏であれば上空の気温

に着目して不安定を検出する低気圧の通過時であ

ればその予測をするなどのテーマが考えられる

当日の状況により着目点が異なってくることから

ワークシートを直前に作成する必要がある既成の

ワークシートをそのまま利用できず着目点をその

都度確認することは気象予報士としての技術研

鑽にも繋がることとなる

4-2 お天気紙芝居

「なでりんの一年間」として一年間の季節の流

れとそれぞれの季節ごとの防災事項を生徒に考え

させた

季節ごとの防災事項を認識することは大切であ

るが台風大雪など防災事項を具体化するには

テーマが大きかったともいえる今後「防災」に

焦点を当て大雨大雪台風等テーマを決めた

上で各グループが防災事項を検討しそれを紙芝

居の形で表現することでさらに「防災に役立つ」

という意識を生徒に喚起することが可能である

なお今回は時間の関係で最後の発表は講師が

行ったが2 コマの連続講座として展開し生徒自

身に発表させればさらに生徒が主体的に取り組め

るものと考えられる

4-3 講座の構築

いわゆる出前講座のお天気教室においては講師

側と受講者側が初対面であることも多いそのた

め講師側が受講者の基礎知識や講座に対する参加

意識を把握できずに講座を進めなくてはならず生

徒を主体的に行動させることが難しい場合もある

開発した 2 つの講座は年齢や生徒の基礎知識によ

らず受講者が主体的に行動することで達成感を得

られるものである

今後中高生に限らず成人向けにもこのような

手法を用いた講座を実践することで気象に対する

興味や知識がより深まるものと考えられる

5まとめ

中高生に対し気象予報士の業務を疑似体験させ

て高層天気図を用いた予報を行わせたり防災を

伝える工夫をさせたりすることで気象や防災に対

する生徒の意識が向上することが分かった

参考文献

荒川知子(2010)奨励賞を受賞して天気 35-37

荒川知子(2015)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上日本気象学会秋季大会予

稿集

荒川知子(2016)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上(2)日本気象学会秋季大会

予稿集

04授業-12

大気圧に対する見方を変える -『空気分子(N2や O2など)の運動』の視点で-

槇 野 泰 夫(東海支部)

1 はじめに

「地表付近の物体は空気

の重さによる圧力を受けて

いる圧力はあらゆる面に

対して垂直である」と「大

気の柱の図解」(写真1)と

ともに大気圧について中学

で学習している

「室内では空気の柱が

天井や机の下までしかない 写真1 大気の柱の図

これで屋外と同じ気圧確かに1気圧だが」と

腑に落ちないでいた空気分子があらゆる方向に圧力

を与えているという漠然とした考え方や実験結果から

私はなんとなく納得()していた

釈然としない気持ちを解決すべく教材開発の日々に

木村龍治先生のご指導を受ける機会があった『空気分

子の運動』から見た大気圧に対する見方である私の長

年のもやもやはすっきりと解消された

教員養成の大学で教える機会があり理科研究の地

学を担当し『空気分子の運動』を視点にした「大気圧

による現象」の講義をすることにしたここに報告する

2 『空気分子の運動』から見た大気圧の現象

① 大気圧によって力を受ける現象

下敷きの中央部分に摘み

を取り付け机などの滑ら

かな面に置いて摘みを引

き上げようとすると下敷

は取れなくなる(写真2)

ほとんどの大学生はこ 写真2 摘み取れない下敷

の現象が大気圧によるものである

ことに気付かない「下敷きの上に

あるものは下には」などと考

え進めていくと半信半疑ながら

大気圧に気付く身近にある下敷

きで大気圧による現象を実感し

かなりの衝撃を受ける 写真3 壁に張り付く下敷

さらに下敷を壁などの側面に張り付く現象(写真3)

も体験させると衝撃を受け驚く「大気圧」と自

信なくつぶやく大学生がいるが多くは「」

ここで空気中を飛び回る N2や O2などの分子の存

在(図1)に視点をあてる空気分子の量は地表に近い

程多いN2やO2な

どの分子は秒速

450m 近くの速度

で物体の表面に衝

突し瞬間だけの力

を与え分子の集団

効果で圧力となる

この圧力が大気圧 図1 飛び回る空気分子の存在

であるという見方を示す

机の上の下敷き(写真2図1A)が摘み取れない現

象や下敷が壁に張り付く現象(写真3図1B)を学

生は『空気分子の運動』から容易に理解した以下の感

想から読み取れる

<学生の感想>

〇 空中にある物にはいろいろな方向から分子が衝突

するので全方向から圧力がかかっているなるほど

〇 空気の分子が下敷きに一方的に高速でぶつかるこ

とがわかりすごい力で取れないことを肌で感じた

〇 大気圧は上にある空気の押す力によるものだと思

っていたしかし空気分子の運動で考えると室内

でも屋外でも差がないことや横から押す圧力も同じ

ように生じていることが矛盾なく理解できた

〇 空気分子の運動はすごく納得ができより理解が

深まった

<考察>

空気中の下敷きはあらゆる方向から同じ圧力を受

けるので重さ以外の力を感じないしかし下敷きに

空気分子が一方的に衝突するようにすると大気圧を

一方的に受け大きな力を感じさせることができる大

気圧を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は大気圧を動的に見せる

ことができあらゆる方向から大気圧がかかることを

理解させるのに有効な見方となっている

B

A

04教育-5

② 圧力差から生じる力によって起こる現象

箱の周りの空気分

子と同じ密度の空気

分子を閉じ込めた容

器(図2C)がある

この容器内の空気

分子の密度が内と外

で差が生じるように

空気の量を減らすと 図2 空気中の容器

容器(図2D)はどのようになるかを考えさせた

「空気分子の量が減るため内側から押す力が弱まり

周りから力がかか

り凹む」と多くの

学生は予想した

ラップフィルム

で蓋をした容器か

ら逆流防止弁を付

写真4 減圧した図2Dの実験 けて(写真4)のよ

うに空気を減らし圧量差が力を生む現象を示した

次に容器(図2C)を上空(図2E)へ移動すると

どうなるかの問いに「容器は内部から外に力がかかり

膨らむ」と答えていたこの(図2C)から(図2E)

への移動は空気の上昇膨張の現象となり水蒸気の

凝結雲の発生の話につながる重要な過程である

<学生の感想>

〇 あんなにラップが凹み硬くなったことが衝撃的

だった空気分子の動きが見えるようだった

〇 空気が減っていく様子が目の前で分かり空気分

子の圧力の強さをパンパンになるラップで感じた

〇 空気分子の量の違いによって力が生じ凹んだり

膨らんだりすることがわかったわかりやすい

<考察>

硬く凹むラップフィルムパンパンになるラップフ

ィルムなどの記述から『空気分子の運動』という見え

ないものをラップフィルムの様子の変化から捉えてい

る圧力差を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は容器内外の空気分子の

密度(量)の違いを圧力差と関連付け圧力差から生じ

る力を理解させるのに有効な見方となっている

空気の上昇膨張の現象は仕切りのある容器の現象

ではない温度低下との関係も説明しきれていない

③ 気圧差で起こる広範囲の現象

図3 連通管の模式図 写真5 圧力差のある連通管

連通管(図3)の入り口で圧力差を作るとどうなるか

を考えさせた大学生は圧力差を空気分子の量の違い

で捉え水面の変化を容易に考えることができた

(写真5)は圧力差があるときの水面の様子である

海洋など広い範囲では水平方向に気圧差が生じる

ことがある高気圧や低気圧(台風)などの気圧配置が

これにあたる図4を示して高潮の様子を類推させた

図4 海洋など広い範囲での気圧差

<学生の感想>

〇 連通管の実験を踏まえて空気分子の運動で考え

ると自然界で起きている現象(高潮)がわかった

〇 大きなスケールの実験はできないが小さなスケ

ールの実験から空気分子の運動で推測できた

<考察>

連通管の水位は空気分子の量と圧力との関係を明

確に捉えさせることができ圧力差を意識させる有効

な実験である

『空気分子の運動』の見方は水平方向に気圧差があ

る広い範囲の現象を理解させるのに有効な見方とな

っている

3 おわりに

『空気分子の運動』の視点で考えることに対して

147名の大学生の 68が「よくわかる」32が「やや

わかる」(あまりわからないぜんぜんわからないは 0)

と回答している中学で学習した「大気の柱」の見方に

加えて『空気分子の運動』の見方で考えさせることは

大気圧に対する理解を深めさせることになると考える

こうした実践に至るまでのきっかけを与えてくださ

った木村龍治先生のご指導に感謝を申し上げます

C D

E

04教育-5

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 13: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

対流圏では地上と高層の変動に類似性がある

8 月は 2 月と比較して地上の気温が 20上昇し

成層圏との圏界面の気温が 10下がりグラフの上

下の幅が約 30拡大している8 月の地上と高層の

変動の相関は 2 月より低いように見える

地上と高層の気温の相関係数を計算すると10 月

から 4 月までの(寒候期)は相関係数 07 以上の高

度が 600hPa まであるが5 月から 9 月の(暖候期)

は 800hPa までであった(定義と異なりかっこ付)

4稚内 9 時と 21 時の月平均気温の差

9 時の気温の測定値は日射の影響を受け21 時は

その影響がないので測定値の信頼性が高いという2)

公開されているデータは日射補正後のものとされる

が稚内の 9 時と 21 時のデータを比較しそれらの差

を調べた1981 年以降この差は小さいとのことだ

が年間平均では地上は 9 時の方が約 05高く

900hPa 前後は 21 時の方が約 05高く高層に向け

てその差を縮めながらも 21 時の方が高い30hPa か

ら上では再び 9 時の方が高くなる

51988 年から 2016 年の間の変化傾向

稚内について対流圏は高層ほど気温が上昇し成層

図3 稚内 9時 200hPa8月の月平均気温の推移

圏は気温が低下するという傾向が表れているかを各

図4 稚内 9時の各月各高度の気温変化傾向

指定高度面で調べた 9 時 200hPa の 8 月の例を 図

3に示す各月各高度面の結果を 9 時について図

4に21 時の結果を図5に示す夏場は前述の傾向

が表れているが冬場はその傾向がつかみにくい

図5 稚内 21時の各月各高度の気温変化傾向

6その他の観測点の月平均気温の推移

その他の観測地点の例として南鳥島の 9 時の各

月の気温変化傾向を図6に示す

図6 南鳥島 9時の各月各高度の気温変化傾向

南鳥島では成層圏の低温化傾向がいずれの月で

も認められる

7今後の研究方針

国内の 20 高層観測点すべてについて解析し地域

別の傾向をとらえ地上気温変動推定への利用法を

考える

5参考文献

1)阿部豊雄2015気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 1部 高層気象観測の変遷

天気62161-185

2)阿部豊雄2016気象庁における高層気象観測の

変遷と観測値の特性 第 2部 観測値の特性天気

63267-295

02統解-2

神奈川支部田園調布学園中等部高等部 2 千葉支部 3 北関東支部 4 東京支部 5 神奈川支部

生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)

荒川 知子関 隆則2池上 榮3大野 昭彦4遠藤 君江5

1はじめに

筆者は勤務校である田園調布学園の土曜プログ

ラムにおいて「やってみよう天気予報」と題した気

象の講座を2004 年より主催してきた(荒川 2010)

その中で生徒の主体的活動を重視することが気

象特に気象防災における生徒の意識を向上させる

ことができることを提示した(荒川 20152016)

これまでに日本気象予報士会会員の協力を得

て新たな 3 つの講座を開発し一定の成果が得ら

れた3 件のうちクロスロードによる防災意識の

向上については2016 年度日本気象学会秋季大会に

おいて発表済みであり今回はそれ以外の 2 件につ

いて報告する

2 実施内容

2-1 高層天気図予想図を使った天気予報

1) 概要

1 コマ 65 分の講座を 2 週にわたり連続で実施し

受講者は中 1 から高 1 までの 30 名であり8 班編制

とした

1 週目は天気予報のしくみについて簡単に講義

し当日朝の天気図予想図を使用して図の貼り

合わせや着色の方法について練習を行った

2 週目は当日朝の天気図予想図を配布して

前週と同様の作業をし翌日の予報を作成して発表

させた

2) 方法

①SUGDaSS より当日朝の FAFE502FXFE504

FXFE5782FXFE584 を入手し時系列高度の

順に 貼り合わせる

②日本列島の位置を着色し確認する

③500hPa-9-12等温線を赤で着色する

④700hPa 湿域を着色する

⑤予報したい地域の 850hPa を通る等温線を赤で

着色する

⑥地上で降水が予想される地域を着色する(図

1)

⑦予報したい地域の 500hPa 気温700hPa の湿り

具合850hPa 気温をワークシートに書き入れ

⑧850hPa 気温に 9 を加え地上気温を予想する

⑨500hPa 気温と地上気温の差をワークシートに

記入する

⑩ワークシートに予想を記入する

図 1 天気図に着色しながら予報を考える

3) 注意点

次のような点に着目して生徒に予報文を作成さ

せた

①500hPa と地上の気温差が 30以上であれば不

安定と考える

②700hPa が湿っていても地上に降水が予想され

ていなければ曇り700hPaが湿っており地上に

も降水が予想されていれば雨と予想する

③予報を作成したら予報に合わせ生活上の注

意点を予報文に盛り込む

2-2 お天気紙芝居の作成

1) 概要

65 分の講座 1 コマで実施した

受講者は中 1 から高 2 までの 20 名であった

ストーリー作成のため本校の生徒が作成したキ

ャラクターである「なでりん」を主役とし「なで

りんの 1年間」というタイトルで小学校低学年の児

童に説明することを目標とした

2) 方法

①受講者を 4 名ずつ 5 グループに分け更にその

中で 2 名ずつのペアを作らせた

②季節を春梅雨夏秋冬の 5 つに分け各

グループが 1 つの季節を担当した

③各季節の天気の特徴と防災事項をそれぞれの

ペアが担当しそれぞれ相談しながら紙芝居の

絵と説明を作成した

④1 年分の紙芝居を集め講師がコメントを入れ

発表した

3) 注意点

天気の特徴を担当するペアには典型的な 10 種

類の天気図を印刷して配布し絵の中に天気図を組

み入れさせた配布した天気図には日付を入れず

04授業-12

その季節の天気図として妥当なものを生徒自身に

判断させた

3教育効果

どちらの講座においても生徒が積極的に取り組

む姿勢が認められた

天気予報においては生徒は高層天気図にふれる

のが初めてであり大気の立体構造を理解した上で

予報に取り組んではいないしかし単に低気圧の

移動から雨域の移動を類推するのとは異なり予報

時刻の予想図から必要事項を読み取り予報を作成

することでより実感を持って予報に取り組めた様

子が伺えた今回は翌日の東京における予報を作

成した班がほとんどであったが「雨」という班と

「曇り」という班があったこれは地上予想図に

おける雨域の端が東京付近を通っていたことで雨

と判断した班と曇と判断した班とに分かれたもの

である根拠も含めて説明させたので生徒が確か

な裏付けを持って予報しようとする姿勢を持てた

ことそれを生徒自身の言葉で表現できたことが成

果である

通常の授業では与えられた問いに対し想定で

きる答が用意されていることが多く生徒は常に

「正解を知る」ことを求めがちであるしかしこ

れからの社会においては正解の無い問いに取り組

む姿勢が重要である天気予報はまさに「正解の分

からない問い」であり結果は翌日以降の予報時刻

になって初めて確かめられる予報士が実際に取り

組む方法を体験することで答が見えない問いに対

しても答を準備しなくてはならないことの難しさ

を生徒が体感することができた

紙芝居の作成においては生徒が自分たちの言葉

で季節や防災を表現するoutput による理解の深化

と興味の喚起が主な目的であったOutput のために

は生徒自身がその内容を理解しさらに人に伝え

るための工夫が必要である対象を小学校低学年程

度としたことで生徒が伝えるポイントを絞り簡

潔な言葉で伝えることを意識できた生徒は予想以

上に積極的に取り組んでいた

新しい指導要領においては答の無い問いを解決

し人との交わりの中でそれを活かそうとする力-

21 世紀型スキル-の育成が課題となっているこの

講座はまさに 21 世紀型スキルの育成を目指すも

のである

4今後の展開

4-1 高層天気図予想図を使った天気予報

予報時刻予報地点を生徒に選ばせたため「翌

日の東京」の天気を予想した生徒が大半を占め他

の地点を選んだのは高校生 2 名のみであった予報

時刻や予報地点をグループごとに指定することで

生徒が地域的な広がりや時間変化を感じより実感

を持って予報に臨めるものと思われる

またこの講座では実施時期により天気図を見

るポイントが異なってくる夏であれば上空の気温

に着目して不安定を検出する低気圧の通過時であ

ればその予測をするなどのテーマが考えられる

当日の状況により着目点が異なってくることから

ワークシートを直前に作成する必要がある既成の

ワークシートをそのまま利用できず着目点をその

都度確認することは気象予報士としての技術研

鑽にも繋がることとなる

4-2 お天気紙芝居

「なでりんの一年間」として一年間の季節の流

れとそれぞれの季節ごとの防災事項を生徒に考え

させた

季節ごとの防災事項を認識することは大切であ

るが台風大雪など防災事項を具体化するには

テーマが大きかったともいえる今後「防災」に

焦点を当て大雨大雪台風等テーマを決めた

上で各グループが防災事項を検討しそれを紙芝

居の形で表現することでさらに「防災に役立つ」

という意識を生徒に喚起することが可能である

なお今回は時間の関係で最後の発表は講師が

行ったが2 コマの連続講座として展開し生徒自

身に発表させればさらに生徒が主体的に取り組め

るものと考えられる

4-3 講座の構築

いわゆる出前講座のお天気教室においては講師

側と受講者側が初対面であることも多いそのた

め講師側が受講者の基礎知識や講座に対する参加

意識を把握できずに講座を進めなくてはならず生

徒を主体的に行動させることが難しい場合もある

開発した 2 つの講座は年齢や生徒の基礎知識によ

らず受講者が主体的に行動することで達成感を得

られるものである

今後中高生に限らず成人向けにもこのような

手法を用いた講座を実践することで気象に対する

興味や知識がより深まるものと考えられる

5まとめ

中高生に対し気象予報士の業務を疑似体験させ

て高層天気図を用いた予報を行わせたり防災を

伝える工夫をさせたりすることで気象や防災に対

する生徒の意識が向上することが分かった

参考文献

荒川知子(2010)奨励賞を受賞して天気 35-37

荒川知子(2015)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上日本気象学会秋季大会予

稿集

荒川知子(2016)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上(2)日本気象学会秋季大会

予稿集

04授業-12

大気圧に対する見方を変える -『空気分子(N2や O2など)の運動』の視点で-

槇 野 泰 夫(東海支部)

1 はじめに

「地表付近の物体は空気

の重さによる圧力を受けて

いる圧力はあらゆる面に

対して垂直である」と「大

気の柱の図解」(写真1)と

ともに大気圧について中学

で学習している

「室内では空気の柱が

天井や机の下までしかない 写真1 大気の柱の図

これで屋外と同じ気圧確かに1気圧だが」と

腑に落ちないでいた空気分子があらゆる方向に圧力

を与えているという漠然とした考え方や実験結果から

私はなんとなく納得()していた

釈然としない気持ちを解決すべく教材開発の日々に

木村龍治先生のご指導を受ける機会があった『空気分

子の運動』から見た大気圧に対する見方である私の長

年のもやもやはすっきりと解消された

教員養成の大学で教える機会があり理科研究の地

学を担当し『空気分子の運動』を視点にした「大気圧

による現象」の講義をすることにしたここに報告する

2 『空気分子の運動』から見た大気圧の現象

① 大気圧によって力を受ける現象

下敷きの中央部分に摘み

を取り付け机などの滑ら

かな面に置いて摘みを引

き上げようとすると下敷

は取れなくなる(写真2)

ほとんどの大学生はこ 写真2 摘み取れない下敷

の現象が大気圧によるものである

ことに気付かない「下敷きの上に

あるものは下には」などと考

え進めていくと半信半疑ながら

大気圧に気付く身近にある下敷

きで大気圧による現象を実感し

かなりの衝撃を受ける 写真3 壁に張り付く下敷

さらに下敷を壁などの側面に張り付く現象(写真3)

も体験させると衝撃を受け驚く「大気圧」と自

信なくつぶやく大学生がいるが多くは「」

ここで空気中を飛び回る N2や O2などの分子の存

在(図1)に視点をあてる空気分子の量は地表に近い

程多いN2やO2な

どの分子は秒速

450m 近くの速度

で物体の表面に衝

突し瞬間だけの力

を与え分子の集団

効果で圧力となる

この圧力が大気圧 図1 飛び回る空気分子の存在

であるという見方を示す

机の上の下敷き(写真2図1A)が摘み取れない現

象や下敷が壁に張り付く現象(写真3図1B)を学

生は『空気分子の運動』から容易に理解した以下の感

想から読み取れる

<学生の感想>

〇 空中にある物にはいろいろな方向から分子が衝突

するので全方向から圧力がかかっているなるほど

〇 空気の分子が下敷きに一方的に高速でぶつかるこ

とがわかりすごい力で取れないことを肌で感じた

〇 大気圧は上にある空気の押す力によるものだと思

っていたしかし空気分子の運動で考えると室内

でも屋外でも差がないことや横から押す圧力も同じ

ように生じていることが矛盾なく理解できた

〇 空気分子の運動はすごく納得ができより理解が

深まった

<考察>

空気中の下敷きはあらゆる方向から同じ圧力を受

けるので重さ以外の力を感じないしかし下敷きに

空気分子が一方的に衝突するようにすると大気圧を

一方的に受け大きな力を感じさせることができる大

気圧を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は大気圧を動的に見せる

ことができあらゆる方向から大気圧がかかることを

理解させるのに有効な見方となっている

B

A

04教育-5

② 圧力差から生じる力によって起こる現象

箱の周りの空気分

子と同じ密度の空気

分子を閉じ込めた容

器(図2C)がある

この容器内の空気

分子の密度が内と外

で差が生じるように

空気の量を減らすと 図2 空気中の容器

容器(図2D)はどのようになるかを考えさせた

「空気分子の量が減るため内側から押す力が弱まり

周りから力がかか

り凹む」と多くの

学生は予想した

ラップフィルム

で蓋をした容器か

ら逆流防止弁を付

写真4 減圧した図2Dの実験 けて(写真4)のよ

うに空気を減らし圧量差が力を生む現象を示した

次に容器(図2C)を上空(図2E)へ移動すると

どうなるかの問いに「容器は内部から外に力がかかり

膨らむ」と答えていたこの(図2C)から(図2E)

への移動は空気の上昇膨張の現象となり水蒸気の

凝結雲の発生の話につながる重要な過程である

<学生の感想>

〇 あんなにラップが凹み硬くなったことが衝撃的

だった空気分子の動きが見えるようだった

〇 空気が減っていく様子が目の前で分かり空気分

子の圧力の強さをパンパンになるラップで感じた

〇 空気分子の量の違いによって力が生じ凹んだり

膨らんだりすることがわかったわかりやすい

<考察>

硬く凹むラップフィルムパンパンになるラップフ

ィルムなどの記述から『空気分子の運動』という見え

ないものをラップフィルムの様子の変化から捉えてい

る圧力差を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は容器内外の空気分子の

密度(量)の違いを圧力差と関連付け圧力差から生じ

る力を理解させるのに有効な見方となっている

空気の上昇膨張の現象は仕切りのある容器の現象

ではない温度低下との関係も説明しきれていない

③ 気圧差で起こる広範囲の現象

図3 連通管の模式図 写真5 圧力差のある連通管

連通管(図3)の入り口で圧力差を作るとどうなるか

を考えさせた大学生は圧力差を空気分子の量の違い

で捉え水面の変化を容易に考えることができた

(写真5)は圧力差があるときの水面の様子である

海洋など広い範囲では水平方向に気圧差が生じる

ことがある高気圧や低気圧(台風)などの気圧配置が

これにあたる図4を示して高潮の様子を類推させた

図4 海洋など広い範囲での気圧差

<学生の感想>

〇 連通管の実験を踏まえて空気分子の運動で考え

ると自然界で起きている現象(高潮)がわかった

〇 大きなスケールの実験はできないが小さなスケ

ールの実験から空気分子の運動で推測できた

<考察>

連通管の水位は空気分子の量と圧力との関係を明

確に捉えさせることができ圧力差を意識させる有効

な実験である

『空気分子の運動』の見方は水平方向に気圧差があ

る広い範囲の現象を理解させるのに有効な見方とな

っている

3 おわりに

『空気分子の運動』の視点で考えることに対して

147名の大学生の 68が「よくわかる」32が「やや

わかる」(あまりわからないぜんぜんわからないは 0)

と回答している中学で学習した「大気の柱」の見方に

加えて『空気分子の運動』の見方で考えさせることは

大気圧に対する理解を深めさせることになると考える

こうした実践に至るまでのきっかけを与えてくださ

った木村龍治先生のご指導に感謝を申し上げます

C D

E

04教育-5

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 14: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

神奈川支部田園調布学園中等部高等部 2 千葉支部 3 北関東支部 4 東京支部 5 神奈川支部

生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)

荒川 知子関 隆則2池上 榮3大野 昭彦4遠藤 君江5

1はじめに

筆者は勤務校である田園調布学園の土曜プログ

ラムにおいて「やってみよう天気予報」と題した気

象の講座を2004 年より主催してきた(荒川 2010)

その中で生徒の主体的活動を重視することが気

象特に気象防災における生徒の意識を向上させる

ことができることを提示した(荒川 20152016)

これまでに日本気象予報士会会員の協力を得

て新たな 3 つの講座を開発し一定の成果が得ら

れた3 件のうちクロスロードによる防災意識の

向上については2016 年度日本気象学会秋季大会に

おいて発表済みであり今回はそれ以外の 2 件につ

いて報告する

2 実施内容

2-1 高層天気図予想図を使った天気予報

1) 概要

1 コマ 65 分の講座を 2 週にわたり連続で実施し

受講者は中 1 から高 1 までの 30 名であり8 班編制

とした

1 週目は天気予報のしくみについて簡単に講義

し当日朝の天気図予想図を使用して図の貼り

合わせや着色の方法について練習を行った

2 週目は当日朝の天気図予想図を配布して

前週と同様の作業をし翌日の予報を作成して発表

させた

2) 方法

①SUGDaSS より当日朝の FAFE502FXFE504

FXFE5782FXFE584 を入手し時系列高度の

順に 貼り合わせる

②日本列島の位置を着色し確認する

③500hPa-9-12等温線を赤で着色する

④700hPa 湿域を着色する

⑤予報したい地域の 850hPa を通る等温線を赤で

着色する

⑥地上で降水が予想される地域を着色する(図

1)

⑦予報したい地域の 500hPa 気温700hPa の湿り

具合850hPa 気温をワークシートに書き入れ

⑧850hPa 気温に 9 を加え地上気温を予想する

⑨500hPa 気温と地上気温の差をワークシートに

記入する

⑩ワークシートに予想を記入する

図 1 天気図に着色しながら予報を考える

3) 注意点

次のような点に着目して生徒に予報文を作成さ

せた

①500hPa と地上の気温差が 30以上であれば不

安定と考える

②700hPa が湿っていても地上に降水が予想され

ていなければ曇り700hPaが湿っており地上に

も降水が予想されていれば雨と予想する

③予報を作成したら予報に合わせ生活上の注

意点を予報文に盛り込む

2-2 お天気紙芝居の作成

1) 概要

65 分の講座 1 コマで実施した

受講者は中 1 から高 2 までの 20 名であった

ストーリー作成のため本校の生徒が作成したキ

ャラクターである「なでりん」を主役とし「なで

りんの 1年間」というタイトルで小学校低学年の児

童に説明することを目標とした

2) 方法

①受講者を 4 名ずつ 5 グループに分け更にその

中で 2 名ずつのペアを作らせた

②季節を春梅雨夏秋冬の 5 つに分け各

グループが 1 つの季節を担当した

③各季節の天気の特徴と防災事項をそれぞれの

ペアが担当しそれぞれ相談しながら紙芝居の

絵と説明を作成した

④1 年分の紙芝居を集め講師がコメントを入れ

発表した

3) 注意点

天気の特徴を担当するペアには典型的な 10 種

類の天気図を印刷して配布し絵の中に天気図を組

み入れさせた配布した天気図には日付を入れず

04授業-12

その季節の天気図として妥当なものを生徒自身に

判断させた

3教育効果

どちらの講座においても生徒が積極的に取り組

む姿勢が認められた

天気予報においては生徒は高層天気図にふれる

のが初めてであり大気の立体構造を理解した上で

予報に取り組んではいないしかし単に低気圧の

移動から雨域の移動を類推するのとは異なり予報

時刻の予想図から必要事項を読み取り予報を作成

することでより実感を持って予報に取り組めた様

子が伺えた今回は翌日の東京における予報を作

成した班がほとんどであったが「雨」という班と

「曇り」という班があったこれは地上予想図に

おける雨域の端が東京付近を通っていたことで雨

と判断した班と曇と判断した班とに分かれたもの

である根拠も含めて説明させたので生徒が確か

な裏付けを持って予報しようとする姿勢を持てた

ことそれを生徒自身の言葉で表現できたことが成

果である

通常の授業では与えられた問いに対し想定で

きる答が用意されていることが多く生徒は常に

「正解を知る」ことを求めがちであるしかしこ

れからの社会においては正解の無い問いに取り組

む姿勢が重要である天気予報はまさに「正解の分

からない問い」であり結果は翌日以降の予報時刻

になって初めて確かめられる予報士が実際に取り

組む方法を体験することで答が見えない問いに対

しても答を準備しなくてはならないことの難しさ

を生徒が体感することができた

紙芝居の作成においては生徒が自分たちの言葉

で季節や防災を表現するoutput による理解の深化

と興味の喚起が主な目的であったOutput のために

は生徒自身がその内容を理解しさらに人に伝え

るための工夫が必要である対象を小学校低学年程

度としたことで生徒が伝えるポイントを絞り簡

潔な言葉で伝えることを意識できた生徒は予想以

上に積極的に取り組んでいた

新しい指導要領においては答の無い問いを解決

し人との交わりの中でそれを活かそうとする力-

21 世紀型スキル-の育成が課題となっているこの

講座はまさに 21 世紀型スキルの育成を目指すも

のである

4今後の展開

4-1 高層天気図予想図を使った天気予報

予報時刻予報地点を生徒に選ばせたため「翌

日の東京」の天気を予想した生徒が大半を占め他

の地点を選んだのは高校生 2 名のみであった予報

時刻や予報地点をグループごとに指定することで

生徒が地域的な広がりや時間変化を感じより実感

を持って予報に臨めるものと思われる

またこの講座では実施時期により天気図を見

るポイントが異なってくる夏であれば上空の気温

に着目して不安定を検出する低気圧の通過時であ

ればその予測をするなどのテーマが考えられる

当日の状況により着目点が異なってくることから

ワークシートを直前に作成する必要がある既成の

ワークシートをそのまま利用できず着目点をその

都度確認することは気象予報士としての技術研

鑽にも繋がることとなる

4-2 お天気紙芝居

「なでりんの一年間」として一年間の季節の流

れとそれぞれの季節ごとの防災事項を生徒に考え

させた

季節ごとの防災事項を認識することは大切であ

るが台風大雪など防災事項を具体化するには

テーマが大きかったともいえる今後「防災」に

焦点を当て大雨大雪台風等テーマを決めた

上で各グループが防災事項を検討しそれを紙芝

居の形で表現することでさらに「防災に役立つ」

という意識を生徒に喚起することが可能である

なお今回は時間の関係で最後の発表は講師が

行ったが2 コマの連続講座として展開し生徒自

身に発表させればさらに生徒が主体的に取り組め

るものと考えられる

4-3 講座の構築

いわゆる出前講座のお天気教室においては講師

側と受講者側が初対面であることも多いそのた

め講師側が受講者の基礎知識や講座に対する参加

意識を把握できずに講座を進めなくてはならず生

徒を主体的に行動させることが難しい場合もある

開発した 2 つの講座は年齢や生徒の基礎知識によ

らず受講者が主体的に行動することで達成感を得

られるものである

今後中高生に限らず成人向けにもこのような

手法を用いた講座を実践することで気象に対する

興味や知識がより深まるものと考えられる

5まとめ

中高生に対し気象予報士の業務を疑似体験させ

て高層天気図を用いた予報を行わせたり防災を

伝える工夫をさせたりすることで気象や防災に対

する生徒の意識が向上することが分かった

参考文献

荒川知子(2010)奨励賞を受賞して天気 35-37

荒川知子(2015)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上日本気象学会秋季大会予

稿集

荒川知子(2016)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上(2)日本気象学会秋季大会

予稿集

04授業-12

大気圧に対する見方を変える -『空気分子(N2や O2など)の運動』の視点で-

槇 野 泰 夫(東海支部)

1 はじめに

「地表付近の物体は空気

の重さによる圧力を受けて

いる圧力はあらゆる面に

対して垂直である」と「大

気の柱の図解」(写真1)と

ともに大気圧について中学

で学習している

「室内では空気の柱が

天井や机の下までしかない 写真1 大気の柱の図

これで屋外と同じ気圧確かに1気圧だが」と

腑に落ちないでいた空気分子があらゆる方向に圧力

を与えているという漠然とした考え方や実験結果から

私はなんとなく納得()していた

釈然としない気持ちを解決すべく教材開発の日々に

木村龍治先生のご指導を受ける機会があった『空気分

子の運動』から見た大気圧に対する見方である私の長

年のもやもやはすっきりと解消された

教員養成の大学で教える機会があり理科研究の地

学を担当し『空気分子の運動』を視点にした「大気圧

による現象」の講義をすることにしたここに報告する

2 『空気分子の運動』から見た大気圧の現象

① 大気圧によって力を受ける現象

下敷きの中央部分に摘み

を取り付け机などの滑ら

かな面に置いて摘みを引

き上げようとすると下敷

は取れなくなる(写真2)

ほとんどの大学生はこ 写真2 摘み取れない下敷

の現象が大気圧によるものである

ことに気付かない「下敷きの上に

あるものは下には」などと考

え進めていくと半信半疑ながら

大気圧に気付く身近にある下敷

きで大気圧による現象を実感し

かなりの衝撃を受ける 写真3 壁に張り付く下敷

さらに下敷を壁などの側面に張り付く現象(写真3)

も体験させると衝撃を受け驚く「大気圧」と自

信なくつぶやく大学生がいるが多くは「」

ここで空気中を飛び回る N2や O2などの分子の存

在(図1)に視点をあてる空気分子の量は地表に近い

程多いN2やO2な

どの分子は秒速

450m 近くの速度

で物体の表面に衝

突し瞬間だけの力

を与え分子の集団

効果で圧力となる

この圧力が大気圧 図1 飛び回る空気分子の存在

であるという見方を示す

机の上の下敷き(写真2図1A)が摘み取れない現

象や下敷が壁に張り付く現象(写真3図1B)を学

生は『空気分子の運動』から容易に理解した以下の感

想から読み取れる

<学生の感想>

〇 空中にある物にはいろいろな方向から分子が衝突

するので全方向から圧力がかかっているなるほど

〇 空気の分子が下敷きに一方的に高速でぶつかるこ

とがわかりすごい力で取れないことを肌で感じた

〇 大気圧は上にある空気の押す力によるものだと思

っていたしかし空気分子の運動で考えると室内

でも屋外でも差がないことや横から押す圧力も同じ

ように生じていることが矛盾なく理解できた

〇 空気分子の運動はすごく納得ができより理解が

深まった

<考察>

空気中の下敷きはあらゆる方向から同じ圧力を受

けるので重さ以外の力を感じないしかし下敷きに

空気分子が一方的に衝突するようにすると大気圧を

一方的に受け大きな力を感じさせることができる大

気圧を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は大気圧を動的に見せる

ことができあらゆる方向から大気圧がかかることを

理解させるのに有効な見方となっている

B

A

04教育-5

② 圧力差から生じる力によって起こる現象

箱の周りの空気分

子と同じ密度の空気

分子を閉じ込めた容

器(図2C)がある

この容器内の空気

分子の密度が内と外

で差が生じるように

空気の量を減らすと 図2 空気中の容器

容器(図2D)はどのようになるかを考えさせた

「空気分子の量が減るため内側から押す力が弱まり

周りから力がかか

り凹む」と多くの

学生は予想した

ラップフィルム

で蓋をした容器か

ら逆流防止弁を付

写真4 減圧した図2Dの実験 けて(写真4)のよ

うに空気を減らし圧量差が力を生む現象を示した

次に容器(図2C)を上空(図2E)へ移動すると

どうなるかの問いに「容器は内部から外に力がかかり

膨らむ」と答えていたこの(図2C)から(図2E)

への移動は空気の上昇膨張の現象となり水蒸気の

凝結雲の発生の話につながる重要な過程である

<学生の感想>

〇 あんなにラップが凹み硬くなったことが衝撃的

だった空気分子の動きが見えるようだった

〇 空気が減っていく様子が目の前で分かり空気分

子の圧力の強さをパンパンになるラップで感じた

〇 空気分子の量の違いによって力が生じ凹んだり

膨らんだりすることがわかったわかりやすい

<考察>

硬く凹むラップフィルムパンパンになるラップフ

ィルムなどの記述から『空気分子の運動』という見え

ないものをラップフィルムの様子の変化から捉えてい

る圧力差を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は容器内外の空気分子の

密度(量)の違いを圧力差と関連付け圧力差から生じ

る力を理解させるのに有効な見方となっている

空気の上昇膨張の現象は仕切りのある容器の現象

ではない温度低下との関係も説明しきれていない

③ 気圧差で起こる広範囲の現象

図3 連通管の模式図 写真5 圧力差のある連通管

連通管(図3)の入り口で圧力差を作るとどうなるか

を考えさせた大学生は圧力差を空気分子の量の違い

で捉え水面の変化を容易に考えることができた

(写真5)は圧力差があるときの水面の様子である

海洋など広い範囲では水平方向に気圧差が生じる

ことがある高気圧や低気圧(台風)などの気圧配置が

これにあたる図4を示して高潮の様子を類推させた

図4 海洋など広い範囲での気圧差

<学生の感想>

〇 連通管の実験を踏まえて空気分子の運動で考え

ると自然界で起きている現象(高潮)がわかった

〇 大きなスケールの実験はできないが小さなスケ

ールの実験から空気分子の運動で推測できた

<考察>

連通管の水位は空気分子の量と圧力との関係を明

確に捉えさせることができ圧力差を意識させる有効

な実験である

『空気分子の運動』の見方は水平方向に気圧差があ

る広い範囲の現象を理解させるのに有効な見方とな

っている

3 おわりに

『空気分子の運動』の視点で考えることに対して

147名の大学生の 68が「よくわかる」32が「やや

わかる」(あまりわからないぜんぜんわからないは 0)

と回答している中学で学習した「大気の柱」の見方に

加えて『空気分子の運動』の見方で考えさせることは

大気圧に対する理解を深めさせることになると考える

こうした実践に至るまでのきっかけを与えてくださ

った木村龍治先生のご指導に感謝を申し上げます

C D

E

04教育-5

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
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その季節の天気図として妥当なものを生徒自身に

判断させた

3教育効果

どちらの講座においても生徒が積極的に取り組

む姿勢が認められた

天気予報においては生徒は高層天気図にふれる

のが初めてであり大気の立体構造を理解した上で

予報に取り組んではいないしかし単に低気圧の

移動から雨域の移動を類推するのとは異なり予報

時刻の予想図から必要事項を読み取り予報を作成

することでより実感を持って予報に取り組めた様

子が伺えた今回は翌日の東京における予報を作

成した班がほとんどであったが「雨」という班と

「曇り」という班があったこれは地上予想図に

おける雨域の端が東京付近を通っていたことで雨

と判断した班と曇と判断した班とに分かれたもの

である根拠も含めて説明させたので生徒が確か

な裏付けを持って予報しようとする姿勢を持てた

ことそれを生徒自身の言葉で表現できたことが成

果である

通常の授業では与えられた問いに対し想定で

きる答が用意されていることが多く生徒は常に

「正解を知る」ことを求めがちであるしかしこ

れからの社会においては正解の無い問いに取り組

む姿勢が重要である天気予報はまさに「正解の分

からない問い」であり結果は翌日以降の予報時刻

になって初めて確かめられる予報士が実際に取り

組む方法を体験することで答が見えない問いに対

しても答を準備しなくてはならないことの難しさ

を生徒が体感することができた

紙芝居の作成においては生徒が自分たちの言葉

で季節や防災を表現するoutput による理解の深化

と興味の喚起が主な目的であったOutput のために

は生徒自身がその内容を理解しさらに人に伝え

るための工夫が必要である対象を小学校低学年程

度としたことで生徒が伝えるポイントを絞り簡

潔な言葉で伝えることを意識できた生徒は予想以

上に積極的に取り組んでいた

新しい指導要領においては答の無い問いを解決

し人との交わりの中でそれを活かそうとする力-

21 世紀型スキル-の育成が課題となっているこの

講座はまさに 21 世紀型スキルの育成を目指すも

のである

4今後の展開

4-1 高層天気図予想図を使った天気予報

予報時刻予報地点を生徒に選ばせたため「翌

日の東京」の天気を予想した生徒が大半を占め他

の地点を選んだのは高校生 2 名のみであった予報

時刻や予報地点をグループごとに指定することで

生徒が地域的な広がりや時間変化を感じより実感

を持って予報に臨めるものと思われる

またこの講座では実施時期により天気図を見

るポイントが異なってくる夏であれば上空の気温

に着目して不安定を検出する低気圧の通過時であ

ればその予測をするなどのテーマが考えられる

当日の状況により着目点が異なってくることから

ワークシートを直前に作成する必要がある既成の

ワークシートをそのまま利用できず着目点をその

都度確認することは気象予報士としての技術研

鑽にも繋がることとなる

4-2 お天気紙芝居

「なでりんの一年間」として一年間の季節の流

れとそれぞれの季節ごとの防災事項を生徒に考え

させた

季節ごとの防災事項を認識することは大切であ

るが台風大雪など防災事項を具体化するには

テーマが大きかったともいえる今後「防災」に

焦点を当て大雨大雪台風等テーマを決めた

上で各グループが防災事項を検討しそれを紙芝

居の形で表現することでさらに「防災に役立つ」

という意識を生徒に喚起することが可能である

なお今回は時間の関係で最後の発表は講師が

行ったが2 コマの連続講座として展開し生徒自

身に発表させればさらに生徒が主体的に取り組め

るものと考えられる

4-3 講座の構築

いわゆる出前講座のお天気教室においては講師

側と受講者側が初対面であることも多いそのた

め講師側が受講者の基礎知識や講座に対する参加

意識を把握できずに講座を進めなくてはならず生

徒を主体的に行動させることが難しい場合もある

開発した 2 つの講座は年齢や生徒の基礎知識によ

らず受講者が主体的に行動することで達成感を得

られるものである

今後中高生に限らず成人向けにもこのような

手法を用いた講座を実践することで気象に対する

興味や知識がより深まるものと考えられる

5まとめ

中高生に対し気象予報士の業務を疑似体験させ

て高層天気図を用いた予報を行わせたり防災を

伝える工夫をさせたりすることで気象や防災に対

する生徒の意識が向上することが分かった

参考文献

荒川知子(2010)奨励賞を受賞して天気 35-37

荒川知子(2015)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上日本気象学会秋季大会予

稿集

荒川知子(2016)アクティブラーニング型気象教

育による防災意識の向上(2)日本気象学会秋季大会

予稿集

04授業-12

大気圧に対する見方を変える -『空気分子(N2や O2など)の運動』の視点で-

槇 野 泰 夫(東海支部)

1 はじめに

「地表付近の物体は空気

の重さによる圧力を受けて

いる圧力はあらゆる面に

対して垂直である」と「大

気の柱の図解」(写真1)と

ともに大気圧について中学

で学習している

「室内では空気の柱が

天井や机の下までしかない 写真1 大気の柱の図

これで屋外と同じ気圧確かに1気圧だが」と

腑に落ちないでいた空気分子があらゆる方向に圧力

を与えているという漠然とした考え方や実験結果から

私はなんとなく納得()していた

釈然としない気持ちを解決すべく教材開発の日々に

木村龍治先生のご指導を受ける機会があった『空気分

子の運動』から見た大気圧に対する見方である私の長

年のもやもやはすっきりと解消された

教員養成の大学で教える機会があり理科研究の地

学を担当し『空気分子の運動』を視点にした「大気圧

による現象」の講義をすることにしたここに報告する

2 『空気分子の運動』から見た大気圧の現象

① 大気圧によって力を受ける現象

下敷きの中央部分に摘み

を取り付け机などの滑ら

かな面に置いて摘みを引

き上げようとすると下敷

は取れなくなる(写真2)

ほとんどの大学生はこ 写真2 摘み取れない下敷

の現象が大気圧によるものである

ことに気付かない「下敷きの上に

あるものは下には」などと考

え進めていくと半信半疑ながら

大気圧に気付く身近にある下敷

きで大気圧による現象を実感し

かなりの衝撃を受ける 写真3 壁に張り付く下敷

さらに下敷を壁などの側面に張り付く現象(写真3)

も体験させると衝撃を受け驚く「大気圧」と自

信なくつぶやく大学生がいるが多くは「」

ここで空気中を飛び回る N2や O2などの分子の存

在(図1)に視点をあてる空気分子の量は地表に近い

程多いN2やO2な

どの分子は秒速

450m 近くの速度

で物体の表面に衝

突し瞬間だけの力

を与え分子の集団

効果で圧力となる

この圧力が大気圧 図1 飛び回る空気分子の存在

であるという見方を示す

机の上の下敷き(写真2図1A)が摘み取れない現

象や下敷が壁に張り付く現象(写真3図1B)を学

生は『空気分子の運動』から容易に理解した以下の感

想から読み取れる

<学生の感想>

〇 空中にある物にはいろいろな方向から分子が衝突

するので全方向から圧力がかかっているなるほど

〇 空気の分子が下敷きに一方的に高速でぶつかるこ

とがわかりすごい力で取れないことを肌で感じた

〇 大気圧は上にある空気の押す力によるものだと思

っていたしかし空気分子の運動で考えると室内

でも屋外でも差がないことや横から押す圧力も同じ

ように生じていることが矛盾なく理解できた

〇 空気分子の運動はすごく納得ができより理解が

深まった

<考察>

空気中の下敷きはあらゆる方向から同じ圧力を受

けるので重さ以外の力を感じないしかし下敷きに

空気分子が一方的に衝突するようにすると大気圧を

一方的に受け大きな力を感じさせることができる大

気圧を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は大気圧を動的に見せる

ことができあらゆる方向から大気圧がかかることを

理解させるのに有効な見方となっている

B

A

04教育-5

② 圧力差から生じる力によって起こる現象

箱の周りの空気分

子と同じ密度の空気

分子を閉じ込めた容

器(図2C)がある

この容器内の空気

分子の密度が内と外

で差が生じるように

空気の量を減らすと 図2 空気中の容器

容器(図2D)はどのようになるかを考えさせた

「空気分子の量が減るため内側から押す力が弱まり

周りから力がかか

り凹む」と多くの

学生は予想した

ラップフィルム

で蓋をした容器か

ら逆流防止弁を付

写真4 減圧した図2Dの実験 けて(写真4)のよ

うに空気を減らし圧量差が力を生む現象を示した

次に容器(図2C)を上空(図2E)へ移動すると

どうなるかの問いに「容器は内部から外に力がかかり

膨らむ」と答えていたこの(図2C)から(図2E)

への移動は空気の上昇膨張の現象となり水蒸気の

凝結雲の発生の話につながる重要な過程である

<学生の感想>

〇 あんなにラップが凹み硬くなったことが衝撃的

だった空気分子の動きが見えるようだった

〇 空気が減っていく様子が目の前で分かり空気分

子の圧力の強さをパンパンになるラップで感じた

〇 空気分子の量の違いによって力が生じ凹んだり

膨らんだりすることがわかったわかりやすい

<考察>

硬く凹むラップフィルムパンパンになるラップフ

ィルムなどの記述から『空気分子の運動』という見え

ないものをラップフィルムの様子の変化から捉えてい

る圧力差を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は容器内外の空気分子の

密度(量)の違いを圧力差と関連付け圧力差から生じ

る力を理解させるのに有効な見方となっている

空気の上昇膨張の現象は仕切りのある容器の現象

ではない温度低下との関係も説明しきれていない

③ 気圧差で起こる広範囲の現象

図3 連通管の模式図 写真5 圧力差のある連通管

連通管(図3)の入り口で圧力差を作るとどうなるか

を考えさせた大学生は圧力差を空気分子の量の違い

で捉え水面の変化を容易に考えることができた

(写真5)は圧力差があるときの水面の様子である

海洋など広い範囲では水平方向に気圧差が生じる

ことがある高気圧や低気圧(台風)などの気圧配置が

これにあたる図4を示して高潮の様子を類推させた

図4 海洋など広い範囲での気圧差

<学生の感想>

〇 連通管の実験を踏まえて空気分子の運動で考え

ると自然界で起きている現象(高潮)がわかった

〇 大きなスケールの実験はできないが小さなスケ

ールの実験から空気分子の運動で推測できた

<考察>

連通管の水位は空気分子の量と圧力との関係を明

確に捉えさせることができ圧力差を意識させる有効

な実験である

『空気分子の運動』の見方は水平方向に気圧差があ

る広い範囲の現象を理解させるのに有効な見方とな

っている

3 おわりに

『空気分子の運動』の視点で考えることに対して

147名の大学生の 68が「よくわかる」32が「やや

わかる」(あまりわからないぜんぜんわからないは 0)

と回答している中学で学習した「大気の柱」の見方に

加えて『空気分子の運動』の見方で考えさせることは

大気圧に対する理解を深めさせることになると考える

こうした実践に至るまでのきっかけを与えてくださ

った木村龍治先生のご指導に感謝を申し上げます

C D

E

04教育-5

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
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大気圧に対する見方を変える -『空気分子(N2や O2など)の運動』の視点で-

槇 野 泰 夫(東海支部)

1 はじめに

「地表付近の物体は空気

の重さによる圧力を受けて

いる圧力はあらゆる面に

対して垂直である」と「大

気の柱の図解」(写真1)と

ともに大気圧について中学

で学習している

「室内では空気の柱が

天井や机の下までしかない 写真1 大気の柱の図

これで屋外と同じ気圧確かに1気圧だが」と

腑に落ちないでいた空気分子があらゆる方向に圧力

を与えているという漠然とした考え方や実験結果から

私はなんとなく納得()していた

釈然としない気持ちを解決すべく教材開発の日々に

木村龍治先生のご指導を受ける機会があった『空気分

子の運動』から見た大気圧に対する見方である私の長

年のもやもやはすっきりと解消された

教員養成の大学で教える機会があり理科研究の地

学を担当し『空気分子の運動』を視点にした「大気圧

による現象」の講義をすることにしたここに報告する

2 『空気分子の運動』から見た大気圧の現象

① 大気圧によって力を受ける現象

下敷きの中央部分に摘み

を取り付け机などの滑ら

かな面に置いて摘みを引

き上げようとすると下敷

は取れなくなる(写真2)

ほとんどの大学生はこ 写真2 摘み取れない下敷

の現象が大気圧によるものである

ことに気付かない「下敷きの上に

あるものは下には」などと考

え進めていくと半信半疑ながら

大気圧に気付く身近にある下敷

きで大気圧による現象を実感し

かなりの衝撃を受ける 写真3 壁に張り付く下敷

さらに下敷を壁などの側面に張り付く現象(写真3)

も体験させると衝撃を受け驚く「大気圧」と自

信なくつぶやく大学生がいるが多くは「」

ここで空気中を飛び回る N2や O2などの分子の存

在(図1)に視点をあてる空気分子の量は地表に近い

程多いN2やO2な

どの分子は秒速

450m 近くの速度

で物体の表面に衝

突し瞬間だけの力

を与え分子の集団

効果で圧力となる

この圧力が大気圧 図1 飛び回る空気分子の存在

であるという見方を示す

机の上の下敷き(写真2図1A)が摘み取れない現

象や下敷が壁に張り付く現象(写真3図1B)を学

生は『空気分子の運動』から容易に理解した以下の感

想から読み取れる

<学生の感想>

〇 空中にある物にはいろいろな方向から分子が衝突

するので全方向から圧力がかかっているなるほど

〇 空気の分子が下敷きに一方的に高速でぶつかるこ

とがわかりすごい力で取れないことを肌で感じた

〇 大気圧は上にある空気の押す力によるものだと思

っていたしかし空気分子の運動で考えると室内

でも屋外でも差がないことや横から押す圧力も同じ

ように生じていることが矛盾なく理解できた

〇 空気分子の運動はすごく納得ができより理解が

深まった

<考察>

空気中の下敷きはあらゆる方向から同じ圧力を受

けるので重さ以外の力を感じないしかし下敷きに

空気分子が一方的に衝突するようにすると大気圧を

一方的に受け大きな力を感じさせることができる大

気圧を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は大気圧を動的に見せる

ことができあらゆる方向から大気圧がかかることを

理解させるのに有効な見方となっている

B

A

04教育-5

② 圧力差から生じる力によって起こる現象

箱の周りの空気分

子と同じ密度の空気

分子を閉じ込めた容

器(図2C)がある

この容器内の空気

分子の密度が内と外

で差が生じるように

空気の量を減らすと 図2 空気中の容器

容器(図2D)はどのようになるかを考えさせた

「空気分子の量が減るため内側から押す力が弱まり

周りから力がかか

り凹む」と多くの

学生は予想した

ラップフィルム

で蓋をした容器か

ら逆流防止弁を付

写真4 減圧した図2Dの実験 けて(写真4)のよ

うに空気を減らし圧量差が力を生む現象を示した

次に容器(図2C)を上空(図2E)へ移動すると

どうなるかの問いに「容器は内部から外に力がかかり

膨らむ」と答えていたこの(図2C)から(図2E)

への移動は空気の上昇膨張の現象となり水蒸気の

凝結雲の発生の話につながる重要な過程である

<学生の感想>

〇 あんなにラップが凹み硬くなったことが衝撃的

だった空気分子の動きが見えるようだった

〇 空気が減っていく様子が目の前で分かり空気分

子の圧力の強さをパンパンになるラップで感じた

〇 空気分子の量の違いによって力が生じ凹んだり

膨らんだりすることがわかったわかりやすい

<考察>

硬く凹むラップフィルムパンパンになるラップフ

ィルムなどの記述から『空気分子の運動』という見え

ないものをラップフィルムの様子の変化から捉えてい

る圧力差を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は容器内外の空気分子の

密度(量)の違いを圧力差と関連付け圧力差から生じ

る力を理解させるのに有効な見方となっている

空気の上昇膨張の現象は仕切りのある容器の現象

ではない温度低下との関係も説明しきれていない

③ 気圧差で起こる広範囲の現象

図3 連通管の模式図 写真5 圧力差のある連通管

連通管(図3)の入り口で圧力差を作るとどうなるか

を考えさせた大学生は圧力差を空気分子の量の違い

で捉え水面の変化を容易に考えることができた

(写真5)は圧力差があるときの水面の様子である

海洋など広い範囲では水平方向に気圧差が生じる

ことがある高気圧や低気圧(台風)などの気圧配置が

これにあたる図4を示して高潮の様子を類推させた

図4 海洋など広い範囲での気圧差

<学生の感想>

〇 連通管の実験を踏まえて空気分子の運動で考え

ると自然界で起きている現象(高潮)がわかった

〇 大きなスケールの実験はできないが小さなスケ

ールの実験から空気分子の運動で推測できた

<考察>

連通管の水位は空気分子の量と圧力との関係を明

確に捉えさせることができ圧力差を意識させる有効

な実験である

『空気分子の運動』の見方は水平方向に気圧差があ

る広い範囲の現象を理解させるのに有効な見方とな

っている

3 おわりに

『空気分子の運動』の視点で考えることに対して

147名の大学生の 68が「よくわかる」32が「やや

わかる」(あまりわからないぜんぜんわからないは 0)

と回答している中学で学習した「大気の柱」の見方に

加えて『空気分子の運動』の見方で考えさせることは

大気圧に対する理解を深めさせることになると考える

こうした実践に至るまでのきっかけを与えてくださ

った木村龍治先生のご指導に感謝を申し上げます

C D

E

04教育-5

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 17: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

② 圧力差から生じる力によって起こる現象

箱の周りの空気分

子と同じ密度の空気

分子を閉じ込めた容

器(図2C)がある

この容器内の空気

分子の密度が内と外

で差が生じるように

空気の量を減らすと 図2 空気中の容器

容器(図2D)はどのようになるかを考えさせた

「空気分子の量が減るため内側から押す力が弱まり

周りから力がかか

り凹む」と多くの

学生は予想した

ラップフィルム

で蓋をした容器か

ら逆流防止弁を付

写真4 減圧した図2Dの実験 けて(写真4)のよ

うに空気を減らし圧量差が力を生む現象を示した

次に容器(図2C)を上空(図2E)へ移動すると

どうなるかの問いに「容器は内部から外に力がかかり

膨らむ」と答えていたこの(図2C)から(図2E)

への移動は空気の上昇膨張の現象となり水蒸気の

凝結雲の発生の話につながる重要な過程である

<学生の感想>

〇 あんなにラップが凹み硬くなったことが衝撃的

だった空気分子の動きが見えるようだった

〇 空気が減っていく様子が目の前で分かり空気分

子の圧力の強さをパンパンになるラップで感じた

〇 空気分子の量の違いによって力が生じ凹んだり

膨らんだりすることがわかったわかりやすい

<考察>

硬く凹むラップフィルムパンパンになるラップフ

ィルムなどの記述から『空気分子の運動』という見え

ないものをラップフィルムの様子の変化から捉えてい

る圧力差を意識させる有効な実験である

『空気分子の運動』の見方は容器内外の空気分子の

密度(量)の違いを圧力差と関連付け圧力差から生じ

る力を理解させるのに有効な見方となっている

空気の上昇膨張の現象は仕切りのある容器の現象

ではない温度低下との関係も説明しきれていない

③ 気圧差で起こる広範囲の現象

図3 連通管の模式図 写真5 圧力差のある連通管

連通管(図3)の入り口で圧力差を作るとどうなるか

を考えさせた大学生は圧力差を空気分子の量の違い

で捉え水面の変化を容易に考えることができた

(写真5)は圧力差があるときの水面の様子である

海洋など広い範囲では水平方向に気圧差が生じる

ことがある高気圧や低気圧(台風)などの気圧配置が

これにあたる図4を示して高潮の様子を類推させた

図4 海洋など広い範囲での気圧差

<学生の感想>

〇 連通管の実験を踏まえて空気分子の運動で考え

ると自然界で起きている現象(高潮)がわかった

〇 大きなスケールの実験はできないが小さなスケ

ールの実験から空気分子の運動で推測できた

<考察>

連通管の水位は空気分子の量と圧力との関係を明

確に捉えさせることができ圧力差を意識させる有効

な実験である

『空気分子の運動』の見方は水平方向に気圧差があ

る広い範囲の現象を理解させるのに有効な見方とな

っている

3 おわりに

『空気分子の運動』の視点で考えることに対して

147名の大学生の 68が「よくわかる」32が「やや

わかる」(あまりわからないぜんぜんわからないは 0)

と回答している中学で学習した「大気の柱」の見方に

加えて『空気分子の運動』の見方で考えさせることは

大気圧に対する理解を深めさせることになると考える

こうした実践に至るまでのきっかけを与えてくださ

った木村龍治先生のご指導に感謝を申し上げます

C D

E

04教育-5

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

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補償金(万円)

インデックス(日)

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8

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1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 18: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分

一 広志(日本気象予報士会四国支部)

1 はじめに

気候気象に関する地域区分のうち我々の

生活に最も密接な関係を持つものは天気予報の

発表区域であろうこれらは地方自治体の行

政区域とそれらの組み合わせを基本としており

防災活動を展開する基盤となっている

ローカルな視点からの自然科学的手法に基づ

いた愛媛県地方の気候区分として深石(1982)

によるものが挙げられるこの研究は気象要

素ごとに地域区分を行ないこれらを重ね合わ

せて気候区分を行なう静気候学的方法に立脚し

ており内陸高原山地気候区南部内陸盆地気

候区南部海岸気候区中東部海岸気候区の4

大気候区を設定しこれらをさらに 16 の地域

に細分しているまた一(2007)は愛媛県内の

1月の降水地域区分を試みているこれは

AMeDAS4要素(降水量気温風向風速日照

時間)観測地点における月間降水量と月平均気

温との関係を表わす一次式を算出しその結果

示される数学的統計的特徴に基づいて地域区

分を行なったものであり瀬戸内型南海型

準日本海側気候区および山岳地域の 3 地域を設

定している

本研究は愛媛県地方における降水パターン

の類似性に着目した降水地域区分を季節ごとに

行ない水資源の有効な利活用ならびに防災計

画の立案に資する基礎資料を整備することを目

的とする

2 データと考察方法 (1) 考察の対象とする時期

考察の対象とする時期は季節を代表し得る

1 か月間もしくは基準を定めて設定した期間と

した本考察では1 月4 月梅雨期10 月

の 4 期を取り扱う

(2) 考察の対象とする観測点および期間 考察を行なう降水量観測地点は気象庁管轄

の気象官署および AMeDAS とした期間は1 月

4 月10 月についてはAMeDAS のネットワーク

が構築された 1978 年から 2015 年までとし各

年の月間降水量を考察の基本単位としたデー

タ解析ならびに他観測点との比較に支障を来た

す欠測がある観測点に関しては該当年のデー

タを除外して考察を行なった梅雨期について

は梅雨前線の直接の影響による降水分布を地

域区分に反映させる観点から入梅期間におい

て地上天気図上の九州島四国島中国地方の

陸地上のどこかの地点に梅雨前線が解析された

日を梅雨前線接近日と定義しこれの日降水量

を考察の基本単位とした期間は 2006 年から

2015 年までの 10 年間で先述の定義による梅

雨前線接近日の 217 日とした

(3) 考察方法

考察対象期間において基準とする観測点の

月間降水量もしくは日降水量と愛媛県内の各

AMeDAS 観測点におけるそれらとを対比させて

相関係数 r を求めこれを降水パターンの類似

性を表わす指標値とした数値が高い観測点群

は月間降水量の年ごとの分布変動パターンの

類似性が高く基準観測点と同じ降水地域を構

成しているものと捉えまた逆に低い観測点

群は別の降水地域を形成していると考えること

が可能であるこの論理に基づくと同じ地域

と見なす閾値しての r の値をどのように定める

かが問題となる本稿では基準観測点におけ

る県内各観測点との r の平均値rを求め標準

偏差σを算出しr+05σおよびr+σとなる範

囲を内挿により図示し試行的にr ge r+05σと

なる観測点群を同じ降水地域を構成しているも

のと定義した

上述の作業はまず松山を基準にして実施し

た地図上に表現される二次元空間において

松山との r が最小もしくは極小となる観測地点

は松山とは別の降水地域の中心であると見なし

てそこを基準として同じ作業を行ない同質で

あると考えられる降水地域を設定した

降水地域を設定するにあたっては各基準観

測点においてまずr ge r+σを示す観測点群を

確定し次にr+σgt r ge r+05σとなる観測点

群を確定する手順を採った複数の基準観測点

02統解-3

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 19: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

の勢力圏の下にある観測点はrの値が最大を

示す基準観測点が成す降水地域に属するものと

して扱うことを基本とした

3 考察の結果 以上の考察に基づいて設定された降水地域

は以下の通りである (1)1 月

a 東予東部地域(基準観測点富郷)

b 東予西部地域(同大三島)

c 西条松山地域(同松山)

d 久万高原山岳地域(同久万)

e 南予北部地域(同宇和)

f 南予南部地域(同御荘)

g 佐田岬地域(同瀬戸)

(2)4 月

a 東予東部地域(基準観測点四国中央)

b 東予西部中予地域(同松山)

c 南予北部地域(同長浜)

d 南予南部地域(同御荘)

(3)梅雨期 a 大三島今治四国中央地域

(基準観測点大三島)

b 松山西条新居浜地域(同松山)

c 山地東部地域(同成就社)

d 南予北部山地西部地域(同獅子越峠)

e 南予南部地域(同御荘)

(4)10 月

a 東予地域(基準観測点富郷)

b 中予および大洲地域(同松山)

c 南予地域(同御荘)

地域名は同じであっても包括する観測点

や推定される降水地域の空間的な広がりは時期

ごとに異なっていることに注意を要する

4 今後の課題 降水パターンの類似性を指標とした愛媛県

地方の降水地域は季節時期ごとに大きく異

なっているこのような違いがもたらされる要

因について究明し地域区分の精度をさらに向

上させるとともに年間を通しての降水地域区

分の策定に取り組む所存である

1 月の降水地域区分

4 月の降水地域区分

梅雨期の降水地域区分

10 月の降水地域区分

02統解-3

1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

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    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
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1 はじめに

2016 年 4 月 17 日発達した温帯低気圧が日本海を

東北東進しこれに伴う寒冷前線が東北地方から南西諸

島にかけて通過した(第1図)

同年 4月 14日以降二度の最大震度 7を記録した「熊

本地震」の余震が続くなか九州中部を襲う相次ぐ自然災

害に心痛む事例であったことは記憶に新しい

第1図 速報天気図 417 9時(左) 15時(右)(JST)

2 データ解析方法

気象台及び気象観測所の諸データのうち気圧降水量

気温平均風速とその風向の10分値を用いて解析した

風向の変化を解析するために16方位で示された10分

ごとの風速を南北及び東西成分に分けた

高層気象に関してラジオゾンデータにより上空の相

当温位と相対湿度及び風向風速を解析し気象業務支援セ

ンターより入手したウィンドプロファイラデータを用い

近畿地方とその周辺の上空における前線面の解析を試み

合わせて高層天気図や気象衛星画像を調べた

3 結果

31 気象台及び気象観測所

例として京都地方気象台(京都アメダス)のデータを示

す(第2図)気圧は12時に10030hPaと極小となった

風向は南~南西と大きな変化はなかったが平均風速は

このとき33msから58ms最大瞬間風速は90msから

127msと大きく変化した気温は220から236と大

きく昇温しこのあとも昇温は続いたこれらのことから

京都では1200に寒冷前線が通過したものと見做した

これと同様に近畿地方とその周辺の寒冷前線通過時刻

を解析した

第2図 京都地方気象台(京都アメダス)データ

32 高層天気図

500hPa 面は日本海にある気圧の谷が明瞭であり湿

数は松江320潮岬350と乾燥していた(第3図)

850hPa面は気圧の谷の南東にある松江や潮岬では

暖気移流が顕著であった(第4図)

第3図 500hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

第4図 850hPa高層天気図 2016年4月17日 9時(JST)

33 気象衛星画像

赤外画像可視画像とも寒冷前線に伴う雲が確認できた

しかし寒冷前線の位置は対流活動が活発な領域の後方

にあり対流雲は ほとんど存在しなかった(第5図)

第5図 赤外画像 417 9時(左) 15時(右) (JST)

34 ウインドプロファイラ

例として和歌山美浜の図を示す(第6図)1100頃に

寒冷前線が通過したものと見られるが乾燥域の流入があ

りあまり有効とは言えない他の地点も同様である

2016年 4月 17日の寒冷前線の特徴

實本正樹(関西支部)

01事例-23

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 21: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

第6図 ウィンドプロファイラ 和歌山美浜

35 ラジオゾンデ

松江潮岬浜松輪島の9時と21時の相当温位(第7

図)相対湿度(第 8 図)及び風向風速(第 9 図)を南

北及び東西成分に分け解析した

9時松江では 3500m潮岬では 5000mより上空に乾

燥域があるが浜松輪島ではほぼ全域に渡って湿潤層と

なっていたまた輪島を除く3地点では約 1500m 以下で

対流不安定であった21時4地点とも約1500m以下が

湿潤層で対流不安定でそれ以上が乾燥域となっていた

風向変化は 9 時と 21 時で松江ではほぼ変化が見られな

かったが潮岬浜松輪島では 21 時では南寄り成分に

対して西寄り成分の割合が増した

第7図 相対湿度 (9時)

第8図 相当温位 (9時)

第9図 風向風速 (9時 左 21時 右)

4 考察

この寒冷前線通過後南寄りの気流により各地点では

気温や相当温位が上昇し対流不安定となったしかし上

層に乾燥域の流入の影響が大きく激しい降水はなかった

フェーン現象が顕著であった津では 1400 に気温

306相対湿度 22舞鶴では 1540 に 28130

を記録した気圧や風向風速気温の変化が小さい地点も

あったが得られたデータにより地上における寒冷前線

の位置を描いた (第10図)

寒冷前線の移動方向とその速度を低気圧の中心や気象

庁により解析されたキンクの位置に基づき 9 時から 15 時

にかけて東北東方向に約300km約50kmhと見積もった

第10図 3時間ごとの寒冷前線の推定位置

5 まとめ

本事例は寒冷前線が南北に近い走向をもち寒冷前線

通過後も南寄りの風が強まり気温と相当温位の上昇が著

しい事例であった

6 参照資料参考資料

気象庁HP httpwwwjmagojpjmaindexhtml

気象業務支援センター「気象観測月報2016年4月号」

ワイオミング大学 httpweatheruwyoeduwyoming

気象庁予報部予報課 原基2016今月のひまわり画像

-2016年4月天気63494

實本正樹20162013 年 3 月 10 日の温帯低気圧に伴

う寒冷前線の解析日本気象学会 2016年度秋季大会

講演予稿集B209

空と雲の記録 httpjitsumskcom

7 謝辞

京都産業大学名誉教授 藤井 健先生からご助言を頂き

ました感謝致します

本研究はJSPS 科研費 JP16H00322の助成を受けたも

のです

01事例-23

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 22: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

高温事例からみた多治見の暑さ 東海支部 吉田 信夫

1はじめに

多治見はなぜ暑いのか疑問を持った市民が集ま

って真夏の気温を測り始めて14回を数えた

2015年夏名古屋市で10年ぶりに市民による広域

の気温調査が計画され多治見の気温調査も連携し

て実施することになった

22015年気温調査の概要

(1)調査方法

2015年は名古屋市の気温調査にあわせ観測日

観測方法機材等の統一を図った

(2)調査の実施内容

調査日時2015年8月8日(土)

7~19時(毎正時合計13回)

調査地点市内29地点+(気温自動測定)1地点

調査項目気温風向風の強さ天気

32015年調査から分かったこと

(1)観測地点毎の日変化とグループ分け

気温と風の日変化をみると盆地中央部の市街地

丘陵上部あるいは日陰になりやすい場所など周辺

の地形や環境によって特徴的な日変化がみられた

そこで各観測地点のグループ分けを試みた

グループ分けはクラスター分析により

観測地点毎の ➀最高気温②平均気温③気温較差

④「時刻毎の気温-観測地点平均値」の2乗平均値

の4要素を変数とした

その結果地理的条件や地形条件毎にまとまりの

ある8つのグループに特徴付けられた(図1)

8つのグループのうち最も気温が高く推移してい

るのがグループ➆である

グループ➆の各地点は盆地中央部の市街地に位置

し商業地域や準工業地域住居地域で高層階の

建物や大規模建築物が多く風向によっては風通し

の良くない場所が多かった

アメダス(1時間値)もグループ➆に属しグルー

プ内でみるとほぼ平均的な日変化となっている

(2)名古屋気温調査との比較

多治見で最も高かったのは土岐川観察館の

376で名古屋で最も高い中村区砂田や長久手の

375とほぼ同じであったこれは地理的位置関

係よりも観測点周辺の地形や構造物の影響が大き

かったことによるものと考えられる

多治見の各グループと名古屋の各地点について

クラスター分析を行い類似性を比較した結果でも

周辺の地形や構造物の影響の方が大きかった

4気温に及ぼすアメダスの周辺環境の影響

多治見のアメダスは高温の発生頻度が多く設置環

境の適否が取りざたされてきた

しかしながら市内一斉気温観測結果をみるとア

メダスは盆地中央部の中では平均的な日変化を示し

ている一方で盆地中央部は風が通りにくく日射

の強い場所で気温が上がりやすいことが分かった

ここではアメダスの盛夏期の気温と風向日照時間

の関係を分析した使用したのは2006 年~2015 年

の10年間の盛夏期(7~8月)の10分間観測値である

(1)10分間値から求めた日最高気温と風向の関係

アメダスの日最高気温の統計方法は 2003 年及び

2008年に改訂されているここでは期間全体の整

合性を図り10分間値から求めた

日最高気温が出現するのは主に南~西の5風向で

全体の8割を超えているこの5風向について日最

高気温の気温階級毎の出現状況を調べてみた

西南西は全体の日数も多いが他の風向に比べて

高温になるほど出現比率が高まっている隣接す

る南西及び西も高温の出現が多いが西の出現ピ

ークは南西~西南西よりもやや低い

(2)気温と日照時間風向の関係

気温に及ぼす日射風向の影響をみるため日照

時間が少ない場合(1~5 分)と多い場合(6~10

分)に分け風向別の気温階級別出現率を比較した

日照時間が少ない場合は各風向ともピーク

を中心に対称的な分布である日照時間が多

い場合南~南南西はピークがやや高温にシ

フトするものの対称的な分布は変わらない

一方南西~西はやや高温側に偏っている図1 クラスター分析による地域区分

図2 日最高気温の風向別気温階級別出現率

01統解-32

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 23: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

(3)アメダスの周辺環境の影響

①局所的空間スケールの影響

アメダスの北~東は中央自動車道多治見ICに

連なる林地斜面西は平屋建ての建物が近接して

いる西側の建物の高さは約3m建屋の位置は

温度計センサーからみてほぼ南西~西にあたる

また西に向かうほど建屋壁面が近くなり建屋

の影響が大きくなっているしたがって南西~西

の風の場合特に西に向かうほど風が弱まりやす

くなりいわゆる「陽だまり効果」注)で気温が高

くなる可能性が考えられる

②多治見盆地スケールの影響

盆地スケールでみるとアメダスの夏季の主風

向にあたる西南西や南側の地域で20~30年ほど前

から都市開発が急速に進み水田畑から宅地へ

地表面性状が大きく変化したこれが高温出現頻

度の増大に関わっている可能性が考えられる

③総観場スケールの影響

盛夏期に背の高い高気圧に覆われた場合広い

範囲で下降気流が発生し盆地内では日中の気温

上昇に加えて下降気流を伴った上空の暖かい空

気に覆われて気温が上昇し特に安定して晴天が

続く場合は地表面も乾燥し高温となりやすい

5多治見の高温事例

多治見のアメダス気温観測資料が整備されている

のは 1979 年 4 月以降である日最高気温の統計方法

は現在まで2回改訂されておりここでは期間全体の

整合性を図り1時間値による日最高気温を用いた

1979年~2015年8月までの37年間で日最高気温

注)近藤純正HP 研究の指針47(8)

( httpwwwasahi-netorjp~rk7j-kndukenkyukenkyu00html)

38以上は 52 日あった詳しくみると1994 年以前

は1983 年に 1日あるだけでそれ以外はすべて1994

年以降に発生している

このうち日最高気温が39以上の記録は4日間で

あった39以上の日の概要を表1に示すまた当

該日の日中の10分毎の気温変化を図4に示す

4 日間のうち最も気温が高かったのは 2007 年 8

月16日であったその他の3日間は朝方の立ち上

がりの気温が低かったり昼頃からの風の変化によ

って気温の上昇が抑えられるなどの要因で最高気温

が少し低めとなったが共通した要因も多かった

高温事例 4 日間をみると500hPa の高度及び

850hpaの気温が高くなっているまた当該日の数

日前から高温が続きまとまった降水もなくて地表

面が乾燥した状態が続いていた地上風向(10分間

値)は南西~西北西の場合が多いが最高気温出現

時の風向はかならずしも定まっていない

高温事例からみる限り総観場スケールの大気の

安定具合が最も支配的な要因であり次いで地表面

の乾燥の進み具合が関わり地上風向はバラツキが

みられ影響が小さいものと考えられる

6多治見の高温のしくみと今後の課題

これまでの調査から日射が強い場合アメダス

の気温は周辺の局所的環境の影響により南西~西の

風では高温側にシフトする傾向がみられる

一方で高温になるほど局所的環境よりも総観場

スケールの大気の安定状態や地表面の乾燥の影響が

大きく地上風向の影響は小さくなっている

多治見の盛夏期の高温については様々な空間スケ

ールの気象現象が関わっており今後の調査計画の

策定実施にあたってはこの点に留意することが

必要と考えられる

年月日

日最高気

温()

(時間値)

日最高気

温()

(10分値)

850hpa

の気温

()

500hpa

の高度

(m)

199485 398 398 198 5913

200181 399 403 207 5906

2006810 390 390 217 5894

2007816 407 409 214 5939

図3 日照区分毎の風向別気温階級別出現率

図4 日最高気温39以上の日の気温の日変化

表1 日最高気温39以上の日の概要

01統解-32

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 24: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野 哲夫

1諸言

東北地方南部の日本海側に位置する山形県は北に丁ひのと

岳だけ

山地と神室か む ろ

山地東に奥おう

羽う

山脈南に飯豊い い で

山地と吾妻あ づ ま

峰県央には朝日山地が連なりその地形は起伏に富んで

いる山形県は庄内しょうない

最上も が み

村山むらやま

置賜おきたま

の4地域に分け

られる(第1図)

第1図 山形県内の主な地形

筆者はこれまで 冬季の季節風の風向と強弱(フルー

ド数)の関係に着目し山形県内における局地風と降水域

について検討してきた(高野 200920142015a)この結

果季節風が弱い(フルード数が低い)場合は降水域は

県央の朝日連峰よりも海寄りに広がる一方季節風が強ま

る(フルード数が高まる)につれて降水域は朝日連峰を

迂回するように南東および北東の内陸側に進入する傾向

が見られた

また高野(2015b)では新たにニューラルネットワ

ークに基づく数値モデル(ニューロモデル)を用いたサ

クラ開花日の学習予測実験を試みたこの手法を応用し

高野(2016)では冬季の季節風の強弱と降水域の分布

及び夜間の気温分布の関係について解析を試みた今回は

最新の研究成果について報告する

2ニューロモデルの構造

第2図にニューロモデルの構造を示す21時と翌 09

時の高層観測(秋田)の 850hPa 面における風ベクトルの

東西成分南北成分および気温を入力変数とし山形県

内 22 地点に下関(新潟県)を加えた 23 地点における地

上の相対降水量と夜間気温の偏差を各々出力変数とする

ニューロモデルを構築した

21 相対降水量モデル

山形県内 22 地点における 21 時~翌 09 時の 12 時間降

水量の平均値(空間平均)を「10」(基準)とした場合の

各地点における降水量の相対比率(相対降水量)を用いる

入力変数と出力変数の組合せは2008~2015 年の各 1

~2月の観測値を基に 466パターン用意した1回の学習

で 466パターンを 1巡するものとしこれを 10万回反復

することによりニューロモデルの学習を図った

22 気温偏差モデル

山形県内 22地点における 03時の気温を気温減率 65

times10-3[m]で標高補正しその平均値(空間平均)を

「00」(基準)とする各地点における偏差を用いる

なおモデルの学習は上記 21と同様である

第2図 ニューロモデルの構造(高野 2016)

(降水量モデルと気温モデルは同じ構造を持つもの)

3ニューロモデルの計算結果

第3図には季節風が弱い場合と強い場合の相対降水量

の分布を示したここでは相対降水量が 10以上の領域を

降水域として着色している季節風が弱い場合は降水域

が朝日連峰の手前で停滞する一方季節風が強い場合は降

水域が朝日連峰を南北に迂回する特性が見られたこのよ

うな季節風と降水域の関係は数値シミュレーション結果

(第4図 高野 2015a)と一致する

第5図には季節風が弱い場合と強い場合の夜間の気温

偏差の分布を示したここでは気温偏差が-05以下の領

域を低温域として着色している季節風が弱い場合は低

温域が内陸側で南北の広い範囲に分布する一方季節風が

強い場合は低温域が内陸側の中央部付近に集中する傾向

が見られたこのように季節風の強弱によって低温域の

広がり方が異なる

第3図 相対降水量の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

01解技-10

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 25: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

第4図数値シミュレーション結果(高野 2015a)

第5図気温偏差の分布 (季節風の風向は西北西)

(左季節風が弱い場合右季節風が強い場合)

4考察

季節風が弱い場合は低温域が内陸側で南北の広い範囲

に分布する一方降水域(降雪域に相当)が朝日連峰の手

前で停滞する傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「I」字状になる(I字型)

また季節風が強い場合は低温域が内陸側の中央部付

近に集中する一方降水域が朝日連峰を南北に迂回して内

陸側に広がる傾向が見られたこの時降水域の分布形状

はアルファベットの「C」字状になる(C字型)

このように季節風の強弱によって低温域と降水域の広

がり方は異なり降水域は低温域を迂回するように分布す

る特性が描き出された(第6図)

第6図降雪域と低温域の分布パターン

5 事例検証

季節風が弱い事例は 2 月 5 日 21 時~6 日 09 時を用い

た850hPa面の風向風速は5日 21時では西 8msで

あり6日 09時では西北西 10msであったこの時の 12

時間降水量と 6日 03時における気温偏差を第7図に示す

また季節風が強い事例は 2月 9日 21時~10日 09時

を用いた850hPa 面の風向風速は9 日 21 時では西

北西 14msであり10日 09時では北西 15msであった

この時の 12時間降水量と 10日 03時における気温偏差を

第8図に示す両者共に第6図の特性が現れている

第7図季節風が弱い場合(2016年 02月 05日~06日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

第8図季節風が強い場合(2016年 02月 09日~10日)

(左12時間降水量右03時の気温偏差)

6 参考文献

高野哲夫 20093 次元熱流体数値モデルの独自開発

山形県置賜地方の冬季局地風への適用 天気 (56)

471-476

高野哲夫2014山形県における冬季の降水域形成の数

値実験天気(61)499-503

高野 哲夫 2015a 山形県内における降雪域形成の数値シ

ミュレーション 日本気象予報士会第7回研究成果発表

会 httpwwwyohojpeventkenkyuseika2014data07_

y01pdf

高野哲夫2015bニューラルネットワークによるサクラ

開花日の学習予測実験天気(62)807-812

高野哲夫2016ニューラルネットワークを用いた山形

県内の冬季降水域気温分布の解析日本気象学会 2016

年度春季大会講演予稿集 P406

Fr = 06 Fr = 10

01解技-10

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

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連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

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    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
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Page 26: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み

高野 哲夫

1諸言

天候デリバティブは将来の気象の変化に対して「保険」

を掛けることによりそのリスクをヘッジする手段である

これは契約時に設定された一定の気象条件が実現した場

合(指定された気象要素が閾値を超えたことが観測された

場合)にその観測値(閾値からの差分)に応じた補償金

が支払われる金融商品である

契約の際には利用者は「保険の掛け金」に相当する「プ

レミアム料」を保険会社等に支払うこのプレミアム料は

将来における天候の影響とその発生確率に基づく期待値

を基に算出されるため将来における天候リスクの経済効

果の指標と言えるだろう

そこで本研究では具体的な天候デリバティブ契約例を

紹介し独自にプレミアム料を算定し比較を試みた

2オプション取引の基礎理論

天候デリバティブの多くはオプション取引の形態であ

る本節では木島(2002)に基づきその基礎理論につ

いて述べる必要に応じて土方(2003)等も参照した

オプション取引とは将来の一定期間に約束した金額

で金融資産を売買できる「権利」の売買であるオプショ

ン(権利)を適正に行使または放棄する事で原資産の価

格変動リスクをヘッジすることができる

いまある価値を有する原資産119878(119905)を満期119879の時点で119870

円(権利行使価格)で購入できるオプションを考える(第

1図)満期119879の時点で原資産の価値が暴落し時価が119870を

下回れば権利を放棄することで損失を回避できる一方

原資産の価値が高騰し時価が119870を上回れば権利を行使

することで利得119878(119879) minus 119870が発生するここで119878(119879)を「イ

ンデックス」119870を「ストライク」を呼ぶ

なおオプション取引を行う際は予め「プレミアム」

と呼ばれるコストを支払い権利を購入する必要がある

満期時のインデックス119878(119879)とストライク119870の差額から

生じる利得をℎ(119878)で表しこれを以下に示すペイオフ関数

として定義する

第1図 コールオプション

(インデックスがストライクを超えるほど利得が増大)

[ペイオフ関数]

ℎ(119878) = 119878(119879) minus 119870 (119878 ge 119870)

0 (119878 lt 119870) (1)

= 119898119886119909119878(119879) minus 119870 0 (2)

ここで119898119886119909119886 119887は 内の最大値を表す

また時点119905におけるオプション価格(プレミアム)119862(119905)

は次の支配方程式(3)に従いその解(4)または(5)から算出

できるなお(4)および(5)は等価である(北川 2014)

偏微分方程式(3)の解法には変数変換を経由して熱伝

導方程式の形に置換する方法が用いられる(山本 2009)

また(5)からも公式(4)を導出することが出来る(籠 2011)

[Black-Scholes方程式]

120597119862

120597119905+

1

212059021198782

1205972119862

1205971198782+ 119903119878

120597119862

120597119878minus 119903119862 = 0 (3)

[Black-Scholesの公式]

119862(119905) = 119878(119905)119873(1198891) minus 119870119890minus119903(119879minus119905)119873(1198892) (4)

= 119890minus119903(119879minus119905)119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (5)

但し

1198891 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 +

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (6)

1198892 =119897119900119892 (

119878119870) + (119903 minus

1205902

2 ) (119879 minus 119905)

120590radic119879 minus 119905 (7)

119873(119909) =1

radic2120587int 119890119909119901 (minus

1199062

2) 119889119906

119909

minusinfin

(8)

ここで新たに120590はボラティリティ119903は無リスク利子

率(非危険利子率) 119873(119909)は標準正規分布119864(119909)は期待

値logは自然対数を表す

3天候デリバティブの条件設定例

第 1表に天候デリバティブの条件設定例を紹介する

これはA銀行の商品概要説明書に紹介されていた日数カ

ウント方式の一例である

取引形態は降水日数を指数とするコールオプション取

引であるインデックスには観測期間中の土日祝日かつ

観測点における日降水量が5mm以上を観測した日数の合

計値を用いその値が 7日(ストライク)を超えると補償

金が発生する仕様である単位支払額はインデックス 1

日当たり 100万円支払(ペイアウト)限度額は 1000万

円であるインデックスと補償金の関係を第2図に示す

02WB-10

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 27: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

この取引における実際のプレミアム料は 1363000円

であった次節では独自に気象データの分析を行いオ

プション取引のプレミアム算出を試みこの値との比較を

試みる

第1表天候デリバティブの条件設定例

取引形態 降水日数を指数とするコールオプショ

ン取引

観測地点 A地点

観測期間 2008年 04月 01日から 06月 30日

インデックス 観測期間中の土日祝日かつ観測点にお

ける日降水量が 5mm以上となる日の合計

日数

ストライク値 7日

決済額 対象指標がストライク値を上回る場合

「( 対象指標-ストライク)times単位価

額」を支払う対象指標がストライク値

と等しいかまたはこれを下回る場合

の支払金額は 0 円となる

単位価格 1000000 円

支払限度額 10000000 円

プレミアム 1363000 円

第2図 インデックスと補償金の関係

4気象データの分析およびプレミアム試算

第3図には1908~2007年の各 04月 01日~06月 30

日(計 9100 日)における土日祝日(計 2898 日)の中で

日降水量5mm以上が観測された日数の年次変化を示した

図中のストライク値以上の部分がペイオフ関数に相当し

これを赤色で表記した

第3図 過去 100 年の土日祝の降水日数(A地点)

(ストライク値以下を青超過分を赤で表示)

続いてオプションのプレミアム料は北川(2014)

に基づき (5)式を次のように修正して算定に用いた

[オプションプレミアム価格]

119862(0) = 119890minus119903119879119862119871119864[119898119886119909119878(119879) minus 119870 0] (9)

ここで119903は 01と仮定し119879は 91365年を適用した

119890minus119903119879は連続複利に基づいて将来時点(満期119879)におけ

る資産価値を契約時点の資産価値に換算するための係数

である

また119862119871は単位支払額でありインデックスとストライ

ク値の差から成るペイオフ関数の期待値119864[119898119886119909119878(119879) minus

119870 0]は1908~2007 年の観測値を基に算出された平均

値(= 112)を適用したここで過去における事象発生

の平均値と将来における事象発生の期待値が等しい状態

(マルチンゲール状態)を仮定している

これらの値を(9)式に適用しオプションプレミアム

価格は1119721円と算出された

5プレミアムの比較

前節では気象データを基に第1表のオプションプレ

ミアムを独自に試算したこの結果(1119721円)と第

1表のプレミアムの価格(1363000 円)は概ね良く一

致したと考えられ本研究の計算手法の有効性が示された

なお第 1表の観測期間中における土日祝日の日数は計

29 日でありその中で日降雪量 5mm 以上が観測された

のは計 5日であったこの値はストライク値(7日)を

下回ったため補償金の発生には至らなかったものと考え

られる

6参考文献

籠 義樹2011ファイナンス基礎

httpwwwiereitaku-uacjp~ykagolecturesfe_basic

fe_basichtml(2016年 07月 19日閲覧)

北川徹哉2014淡路花博 2000に導入された天候デリバ

ティブについての一考察第 23回 風工学シンポジウム

論文集19-24

木島正明2002金融工学日経文庫 856日本経済新

聞出版社 213pp

中谷 巌1982マクロ経済学入門日経文庫 1030日

本経済新聞出版社 244pp

奥野正寛1982ミクロ経済学入門日経文庫 523日

本経済新聞出版社 239pp

田島義博1988マーチャンダイジングの知識日経文

庫 1043日本経済新聞出版社 195pp

土方 薫2003総論 天候デリバティブシグマベイス

キャピタル243pp

高野哲夫2016大雪に備えた天候デリバティブの検討

プライシングの試み日本気象予報士会 東北支部

2016年 09月例会(2016-09-03) 話題提供

山本有作2009特別講義 II(c) 計算ファイナンスの基礎

httpwwwnasciteckobe-uacjp~yamamotolectures

special_lecture_IIcspecial_lecture_IIc_091021PDF

(2016年 07月 16日閲覧)

0

200

400

600

800

1000

0 5 10 15 20 25

補償金(万円)

インデックス(日)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1908

1913

1918

1923

1928

1933

1938

1943

1948

1953

1958

1963

1968

1973

1978

1983

1988

1993

1998

2003

土日祝の降水日数

300

17 7

02WB-10

ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
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ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ

梶原 和利 (神奈川支部)  

1はじめに

 昨年の第8回研究成果発表会において「傘を叩く雨の音量から推測する降雨量」と題して発表をさせて頂いた この方法による今降っている雨の強さの推測は音量から直ぐに降雨量の推測ができる利点がある反面騒音計と言った特殊な測定器を必要としたり周囲の雑音が大きい場所では使えないという欠点がある そこでもう少しシンプルで何処でも使える方法で雨の強さの推測ができないかと考えていた時雨を受けたロートから滴る水滴の間隔時間から強さを推測できるのでは とのアイデアが浮び観測検証を行ってみた

2観測方法と使用機材

理科教材用のロートを使いロートに降った雨がロート先端から落ちるときの水滴の間隔時間をストップウォッチで計ると同時にその時間に降った雨を容器に溜め容器の重さを量ることで水量を求める ストップウォッチ 求めた水量と容器の受水口径 (間隔時間測定用)観測時間から時間降雨量を算出する

上記の測定をぱらぱらと降ってている雨からどしゃ降りの雨まで多くの雨で測定して水滴の間隔時間と降雨量の関係を散布図を使い 電子秤検証する (水量測定用)

3間隔時間と雨量の測定に関して

① ロートから滴る水滴はロート上部に溜まった水の粒がある程度大きくなった時に落ちてくる こともあり個々の水滴の時間間隔で見ると前後の落下等の短時間でも大きな変動が見られる場 合があるがある程度まとめた水滴から算出した平均落下時間で見るとバラツキは小さい

② 容器に溜まった水量から算出する時間雨量は溜まった水量が多い(観測時間が長い)ほど 精度が上がる

③ 雨の降り方は一様ではなく変動しており短時間に強い雨が降るような場合のデータ取得 においては長時間の観測は適さない

 以上のことから観測は容器に2cm3 以上の雨が溜る時間(水滴数にして20~40程度の水滴が落ちるまでの時間)を目安に行い間隔時間は観測時間内に落ちた水滴数と時間から平均値を算出する事とした

4測定値例 表-1に測定値計算例を示す表-1

水滴数

a b ab c d 3600atimescdtimes10

253688 115694

20160908 30 35 3955

11063812554

20161119628

3018 694 74420160922 20

1時間換算雨量( mmh )

容器に溜まった(秒) 間隔 (秒) 水量( cm3 )

受水口径( cm2 )

694

平均水滴観測時間

1534590

ロート 自転車用缶ホルダーで保持

雨量測定用容器

04実験-2

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
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Page 29: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

5測定結果と考察

 表-2にロートを落ちる水滴の平均間隔時間と時間雨量の観測値を 図-1に両者の関係を表す散布図を示す

表-2 図-1

(mmh) (mmh)

 図-1の散布図より水滴の平均間隔時間と1時間換算降雨量の間には累乗関数で近似できる強い負の相関関係があることが分かる

6平均間隔時間から算出した雨量とアメダス観測雨量との比較

 図-1の散布図から導かれる近似式の妥当性を確かめるためアメダス観測点で測定した水滴の平均間隔時間から算出した10分雨量及びその積算による1時間雨量とアメダス観測雨量とを比較してみた

年月日2016年 9月20日場 所横浜地方気象台近く 表-3

アメダス観測雨量は05mm単位である為10分雨量の比較では計算雨量との間に時間的量的に微妙な差が見られるが1時間雨量での比較ではそれなりの値と言える

7まとめ

 雨を受けたロートから落ちる水滴の平均間隔時間と降雨量の間には累乗近似できる強い負の相関がありまたアメダス観測点においての水滴観測結果から近似式を使って計算した雨量とアメダス観測雨量の比較においてもほぼ同程度の値を示しておりロートを落ちる水滴の平均間隔時間から今降っている雨の大まかな強さ(降雨量)の推測は可能であると言える

時間雨量

1213

77

345

12

平均間隔

18

6

505

8396

6725

5906

63986

12

726

242

2616815

10分

05

(mm)1時間

08988779

369149 22

12

アメダス観測雨量

04

861028

平均間隔(秒)

2122232425

28562102

時間雨量(秒)

202

09

31245

42

2278

1時間(mm)

036

(秒)

016003

057474

226146

10分

021019

042158366419

004

037

053

1920

197

177033

009

248218834

20

19114

1617

15

254

144137

28

20

時刻平均間隔 計算雨量

930

950940

1819

91011 56

7414

28

32

6350 123

184

248

1630

294

150

005000050050500

112011101100105010401030102010101000

04実験-2

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 30: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置

関隆則(日本気象予報士会千葉支部)

1はじめに

気象教室などで竜巻の仕組みを説明するには竜巻実験

装置で渦を見せることが必須であるそのためには実験装

置を軽量可搬にすることとじっくりと観察できるよう

安定した渦を作ることが必要であるまた渦の生成要素を

変えての実験は受講者の気象に対する興味を持たせるた

めに極めて効果的である今回は軽量のプラスッチクボー

ドを使用し収束部をスワール比に対応して交換できる構

成になっている

2スワール比と渦の形状について

スワール比 Sは収束層における旋回速度と鉛直速度の比

に関する数値で竜巻の形状との関係で研究されている

図 1スワール比の考え方

3実験装置の概要

図2に竜巻の構造と実験装置の対応を示す

図2 実験装置の概要

4実験装置の組み立て

収束部は渦を可視化する霧を発生する加湿器の上に組

み立てるミストプールの上に収束ユニットで蓋をする

図3 収束部の組み立て

図4 収束ユニットの構造

収束ユニットの上に対流部を組み立てるガイドベー

ンの角度毎にユニットを用意する外気の乱れから渦を守

るため透明フイルムを通して渦を観察する

図5 対流部の組み立て

04実験-3

図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

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105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

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図6 ファンの制御と装置の全体像

5実験結果

スワル比とともに渦が太くなるファンの排気量を強め

ると渦が長くなる

図7 角度による渦の変化(h=95mm風速は同じ)

図8 ファンの数で上昇流を調整(θ=30degh=95mm)

7ファンの改良

夏休みのお天気フェアーで小学生の親子から竜巻実験

の相談を受けた課題はファンの調達で100 円均一で購

入できるハンディー扇風器の活用を検討した

図9ハンディー扇風器による渦の観察

図10ハンディー扇風器の組み込み方法と実装

8まとめ

1)安定に渦を観察できることで渦の説明がやり易くなっ

たまた受講者に実験条件の設定に参加させることで竜

巻についての関心が高まると期待できる

9参考文献 1)「竜巻状流れ場の可視化実験および流速

計測によるスワール比粗度の影響」松井田村東京工

芸大学工学部紀要 Vol28No1(2005) 2)「竜巻渦の実験に

おける相似性」文字日本風工学会誌第 59号 H65 3)「流

れのふしぎ」BLUE BACKS 日本機械学会編

04実験-3

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 32: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

付 録

研究区分一連番号

研究テーマ 発表者 発表日 備考

1 01解技- 1 MT法による冬型気圧配置判別のための一方法関 隆則

(千葉支部)2009215

2 01解技- 2 分布関数による降水パターンの解析関 隆則

(千葉支部)2009215

3 01解技- 3 10分降水量の度数分布で見た降水パターンの特徴関 隆則

(千葉支部)2010213 09年度木村賞

4 01解技- 4 2010年11月~2011年4月の船橋市における結氷観測関 隆則

(千葉支部)2012225

5 01解技- 5 結氷観測冷却要因と結氷パターンの関係関 隆則(千葉県)

2013223

6 01解技- 6 2地点の最低気圧観測時刻と風向変化から割り出す台風の位置梶原和利

(神奈川県)201431

7 01解技- 7夏季インド洋~赤道上の850hPa高気圧性循環と熱帯収束帯の関連季節予報資料を台風発生(傾向)予報に活かせないか

藤井 聡(静岡県)

201431

8 01解技- 8 山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション高野哲夫(新潟県)

2015228

9 01解技- 9 夏の1か月予報~週間予報支援図から集中豪雨の可能性を見る藤井 聡(静岡県)

2015228

10 01解技-10山形県内の冬季降水域および気温分布に関するニューロモデルの独自開発

高野哲夫(新潟県)

2017225

11 01統解- 1 夏の最高気温と標準偏差千歳と岩泉根本由紀子(千葉支部)

2009215

12 01統解- 2 地上気温の変化と500hPa高度変化の関係根本由紀子(千葉支部)

2009215

13 01統解- 3 8~9月台風の経年変化藤井 聡

(静岡支部)2009215

14 01統解- 4 夏季晴天日の気温変化に着目した千葉県内アメダスの特徴竹村雅之

(千葉支部)2009215

15 01統解- 5 2009年夏の天候と2003年日本の冷夏との比較井澤愼郷

(関西支部)2010213

16 01統解- 6 東京における冬季の気温と降水量の関係根本由紀子(千葉支部)

2010213

17 01統解- 7 桜開花の経年変化大貫信彦

(埼玉支部)2010213

18 01統解- 8 関東南部の降雪メカニズム藤井聡

(静岡支部)2010213

19 01統解- 9 東京の無降水継続日数の順位分布と特徴関 隆則(千葉県)

2011220

20 01統解-10 東京における1月の気温と降水量根本由紀子(千葉県)

2011220

21 01統解-11 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2011220

22 01統解-12 桜の開花に対する冬季の気温の影響について関 典央(静岡県)

2011220

23 01統解-13 桜の開花予想に関する考察大貫信彦(埼玉県)

2012225 12年度木村賞

24 01統解-14 5年移動データから見た台風の経年活動と気候変動藤井 聡(静岡県)

2012225

25 01統解-15 国内の気温上昇はピークアウトしたか内山常雄

(神奈川県)2013223 13年度木村賞

26 01統解-16 岩木山の雪形「クロウサギ」の消長と気候の監視について小関英明(青森県)

2013223

27 01統解-17 京都と舞鶴における夏場の最高気温の比較土井修二(京都府)

2013223

28 01統解-18 平年値に関する考究~単純平年値の効用~志摩恭臣(徳島県)

2013223

29 01統解-19 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

2013223

30 01統解-20 桜の開花予想に関する考察―第2報―大貫信彦(埼玉県)

2013223

31 01統解-21 多治見の夏の暑さと降雨の関係吉田信夫(岐阜県)

2013223 13年度木村賞

32 01統解-22 自宅の気温からアメダスの気温を推定する内山常雄

(神奈川県)201431

33 01統解-23 東海地方における海陸風の研究川井睦夫(愛知県)

201431

研究成果発表一覧(第1回~第9回)

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
Page 33: 第9回日本気象予報士会研究成果発表会yuzz.holy.jp/.../research_presentation/09/2017020601.pdf第9回日本気象予報士会研究成果発表会 講 演 予 稿 集

34 01統解-24四国沖を北東に進む台風によってもたらされる愛媛県東予地方の大雨について

一 広志(愛媛県)

201431

35 01統解-25 2015年の日本の気温偏差を推定する内山常雄

(神奈川県)2015228

36 01統解-26 夏のテレコネクションと日本の天候井澤愼郷(兵庫県)

2016220

37 01統解-27 九州における2000年代6月前半の降水量の減少と広域場の特徴大谷和男(岡山県)

2016220

38 01統解-28 雨に関するある考察~雨はいつ降りやすいのか~志摩恭臣(徳島県)

2016220

39 01統解-29 大阪における寒候期の降水形態と地上気温湿度について中島保則(大阪府)

2016220

40 01統解-30 アメダスデータ可視化によるビール麦の栽培適地に関する考察浅井孔徳(栃木県)

2016220

41 01統解-31 近年の単位日照時間における全天日射量の経年変化藤井 聡(静岡県)

2016220

42 01統解-32 高温事例からみた多治見の暑さ吉田信夫(岐阜県)

2017225

43 01事例- 1 2008年8月29日の夜に発生した愛媛県東予地方の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

44 01事例- 2 2008年10月23日に発生した高知県西部の大雨について一 広志

(四国支部)2009215

45 01事例- 3 2008年4月10日に徳島県南部で発生した短時間強雨について高須賀大輔(四国支部)

2009215 08年度木村賞

46 01事例- 4生徒と取り組んだ積乱雲観測(バックビルディング積乱雲に迫る)

村山 保(関西支部)

2010213 09年度石井賞

47 01事例- 52009年8月9日の佐用豪雨の解析及び予報作業における実況監視上の留意点についての検討

廣幡泰治(岡山支部)

2010213

48 01事例- 62010年7月12日の愛媛県地方の大雨について~松山における大雨の成 因と降水域の移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2011220

49 01事例- 7 京都府宇治市の突風(ダウンバースト)実本正樹(京都府)

2011220

50 01事例- 8 現地観測によるフェーンの検証関谷不二夫(三重県)

2011220

51 01事例- 92009年8月1日に京都府宇治市で発生した突風(ダウンバースト)-第2報-

實本正樹(京都府)

2012225 12年度木村賞

52 01事例-10 鈴鹿おろしと風下波動関谷不二夫(三重県)

2012225

53 01事例-112011年7月4日に発生した松山の大雨について ~寒冷前線を形成した低温気塊の生成と移動に関する考察を中心に~

一 広志(愛媛県)

2012225

54 01事例-122012年4月22日に発生した高知県南西部の大雨に地形が及ぼした影響について

一 広志(愛媛県)

2013223

55 01事例-13 大気境界層の気象変化関谷不二夫(三重県)

2013223

56 01事例-14 台風1318 京都府の降水分布についての考察(速報)土井修二(京都府)

201431

57 01事例-15 生徒と取り組んだ琵琶湖の蜃気楼観測村山 保(京都府)

201431

58 01事例-16 支部会員による積雪の観測関谷不二夫(三重県)

201431

59 01事例-17 2013年台風第18号に伴う大雨により蘇った「巨椋池」實本正樹(京都府)

201431

60 01事例-18 鈴鹿山脈御在所岳における気温減率について関谷不二夫(三重県)

2015228

61 01事例-19 下位蜃気楼の発生条件について村山保

(京都府)2016220

62 01事例-20線状降雨帯の発生について~平成27年9月関東東北豪雨~

前川清(京都府)

2016220

63 01事例-21 2015年7月9日に発生した松山の短時間強雨一 広志(愛媛県)

2016220

64 01事例-22 2013年3月10日の温帯低気圧に伴う寒冷前線の解析實本正樹(京都府)

2016220

65 01事例-23 2016年4月17日の寒冷前線の特徴實本正樹(京都府)

2017225

66 01予測- 1 雲断面図による時系列予報(GPVの利用法)大門禎広

(北関東支部)2010213 09年度木村賞

67 01予測- 2 冬型気圧配置における地元での強風予測の試み土井修二(京都府)

2012225

68 01予測- 3 WebGISを活用した降雪情報の開発中山秀晃(東京都)

2013223 13年度木村賞

69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

講 演 予 稿 集

発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

  • 予稿
    • 【予稿の後】(附録)研究成果一
      • 過去の研究成果一覧 (1~8)
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69 01予測- 4 上層発散による大雨予想大門禎広(栃木県)

201431

70 01予測- 5 長期予報を利用した肱川あらし発生予報濱田和雄(愛媛県)

201431

71 01予測- 6 「雲断面図」による最大瞬間風速予想大門禎広(栃木県)

2016220

72 01予測- 7 過去の気温変動傾向を利用した2016年の平均気温の予想内山常雄

(神奈川県)2016220

73 01WB- 1気圧変化をグラフで視覚化する試み~「天気痛」に悩む方のために~

岡田みはる(山形県)

2016220

74 01実験- 1 空気塊の運動のシミュレーション佐藤 元

(神奈川支部)2009215

75 01実験- 2 気象実験のすすめ佐藤 元

(神奈川支部)2009215

76 01実験- 3 重さの微小変動と気象条件の関係梶原和利

(神奈川県)2011220 10年度木村賞

77 01実験- 4 密封容器の中にみる水蒸気圧梶原和利

(神奈川県)2013223

78 01実験- 5 温室効果気体の赤外線吸収実験関 隆則(千葉県)

201431

79 01実験- 6生徒の能動的参加を重視した気象実験事例「使い捨てカイロを用いた空気の保温実験」

関 隆則(千葉県)

201431

80 01実験- 7生徒の能動的参加を重視した気象実験事例(その2)「赤外線の放射と吸収実験」

関 隆則(千葉県)

2015228

81 01実験- 8 傘を叩く雨の音量から推測する降雨量梶原和利

(神奈川県)2016220 15年度木村賞

82 02解技- 1 スグダス2を利活用した関東南部の降雪予想と実況藤井 聡(静岡県)

2017225

83 02統解- 1 揚水発電所の稼働がおよぼす竹田城跡の雲海への影響の考察上田博康(兵庫県)

2017225

84 02統解- 2 直近28年間の日本の地表から高層の気温変動傾向内山常雄

(神奈川県)2017225

85 02統解- 3 降水パターンの類似性に着目した愛媛県地方の降水地域区分一 広志

(愛媛県)2017225

86 02事例- 1 投票率に対する天気の影響志摩恭臣(徳島県)

2017225

87 02WB- 1 Wikiを活用した旅行用気象情報サイトの構築について中山秀晃

(東京支部)2009215

88 02WB- 2国内外の確率的気象情報の利活用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第1報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

89 02WB- 3異常天候早期警戒情報を利用した在庫管理の意思決定について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第2報)-

平松章男(北陸支部)

2010213

90 02WB- 4確率予測資料を利用した意思決定のモデルについて-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第3報)-

平松章男(石川県)

2011220

91 02WB- 5季節依存性に注目したエアコン需要量の分析モデル―気象の平年値平年偏差データの活用―

栗原 剛(埼玉県)

2012225

92 02WB- 6意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第4報)-

平松章男(石川県)

2012225

93 02WB- 7意思決定者のリスク選好態度を考慮した確率予報の利用について-確率予報を利用した意思決定に関する研究(第5報)-

平松章男(石川県)

2013223

94 02WB- 8「気象要素の地域差加算モデル」による家庭用エアコンの全国需要分析

栗原 剛(埼玉県)

2013223

95 02WB- 9 太陽光発電による雲形態と日射量の関係調査有賀 勇(千葉県)

2015228

96 02WB-10 降水日数を指標とする天候デリバティブのプレミアム算定の試み高野哲夫(新潟県)

2017225

97 02運用- 1 当日のプロット図を使った天気図検討会の運営八木健太郎(東京都)

2016220

98 03統解- 1青森県の積雪期における雪関連災害の被災者数とその推測に関する一考察

小関英明(青森県)

2015228

99 03統解- 2過去災害時の雨量 定点観測等を利用した 地域の災害警戒雨量値作成の試み

土井修二(京都府)

2016220

100 03事例- 1 台風0806号 -船舶遭難との因果関係についての考察-土井修二(京都府)

2011220

101 03事例- 2 ヒマラヤ山脈カラコルム山脈における気象遭難事例の考察猪熊隆之(長野県)

2013223

102 03運用- 1 京都での台風体験から考える気象予報士の今後土井修二

(関西支部)2010213

103 03訓練- 1 気象災害の図上訓練(DIG)について多々良秀世

(東海支部WFT東海)

2010213

104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

126 06運用- 2新聞記事から読むldquo気象と私たちの暮らしrdquoに関する研究テーマの創出-気象予報士として相応しい研究テーマの探求-

小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

第9回日本気象予報士会研究成果発表会

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発 行 2017年2 月25日 発行者 一般社団法人日本気象予報士会会長

無断転載を禁じる

連絡先 一般社団法人日本気象予報士会

105-0001東京都港区虎ノ門3-3-3         虎ノ門南ビル3階A TEL 03-6435-7650 FAX 03-6435-7651 Emailjimuyohojp

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104 03教育- 1 身体の外の気象防災と身体の中の気象防災小室善隆(東京都)

2017225

105 04実験- 1 温室効果気体の赤外線吸収実験(その2)関 隆則(千葉県)

2016220

106 04実験- 2 ロートを滴る水滴の間隔時間から推測する雨の強さ梶原和利

(神奈川県)2017225

107 04実験- 3 スワール比との関係が観察できる竜巻実験装置関隆則

(千葉県)2017225

108 04授業- 1 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その1)船原克己

(千葉支部)2009215

109 04授業- 2 千葉県内小学校での気象実験教室の実施(その2)松田 聡

(千葉支部)2009215

110 04授業- 3 小学校出前授業「楽しいお天気講座」の活動状況と成果藤井 健

(関西支部)2009215 08年度石井賞

111 04授業- 42009年度小学校出前授業『楽しいお天気講座』の活動状況~神戸市総合教育センター理科支援員を中心に~

寺野健治(関西支部)

2010213

112 04授業- 5 出前授業を活用した気象教育の充実荒川知子

(神奈川県)2011220

113 04授業- 6 千葉県内中学校課外授業用の気象自由研究プログラム開発松田 聡(千葉県)

2012225

114 04授業- 7 『楽しいお天気講座』の活動と成果及び講座で行う実験について箭川昭生(大阪府)

2012225

115 04授業- 8 母親向けお天気教室『さいえんすママカフェ』活動報告山本由佳

(神奈川県)2012225

116 04授業- 9母親向けお天気教室「さいえんすママカフェ」活動報告及び母親の防災意識向上への取組み

山本由佳(神奈川県)

201431

117 04授業-10地元郷土史研究家に対しての発表報告-地方での防災活動への試みのひとつとして-

土井修二(京都府)

2015228

118 04授業-11生徒の能動的参加を重視した気象教室事例(その3)「天気予報をやってみよう」

関隆則(千葉県)

2016220

119 04授業-12 生徒の主体的活動を生かした気象教育(2)荒川知子

(神奈川県)2017225

120 04教育- 1 高等学校における気象分野の学習内容の分析瀧澤裕興

(関西支部)2010213

121 04教育- 2教育現場における気象予報士の活動~『気象』をテーマに中高大がつながる~

阪本和則(京都府)

201431

122 04教育- 3 生徒の主体的活動を生かした気象教育荒川知子

(神奈川県)2015228

123 04教育- 4 スマートフォンを活用した気象知識の普及について滋野哲秀(京都府)

2016220 15年度木村賞

124 04教育- 5大気圧に対する見方を変える-『空気分子(N2やO2など)の運動』の視点で-

槇野泰夫(愛知県)

2017225

125 05統解- 1 歴史時代における気象関係記録の利用促進へ向けて谷岡能史(兵庫県)

2016220

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小林勝広(東京都)

2011220

127 06WB- 1 ローカル放送局の気象情報に求められるもの吉井明子(静岡県)

2016220

128 07統解- 1 紅葉の見ごろ予想についての考察関谷不二夫(三重県)

2016220

129 07事例- 1 信州の天気のことわざ検証 三登山の逆さ霧について宮澤佳幸(長野県)

2011220 10年度木村賞

130 07事例- 2 「弘前藩庁日記ひろひよみ」の作成福眞吉美(青森県)

2013223

131 07事例- 3気象と絵画の関係についての一考察-画家金山平三の場合-

成川愼吉(兵庫県)

201431 14年度木村賞

132 08解技- 1 気候変動支配因子の探索井澤愼郷(長野県)

2012225

133 08事例- 1 気象予報士としてのロジカルシンキング井澤愼郷(兵庫県)

2015228

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