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223弁護士白書 2015 年版
第 3 編 日弁連・各弁護士会の活動状況
3-5-3 あっせん・調停・仲裁活動
第3編資料3-5-3-1 紛争類型別受理件数の推移(紛争解決センター)
第3節 あっせん・調停・仲裁活動
ADR(AlternativeDisputeResolution=裁判外紛争解決手続)において、弁護士は、代理人として関与するほか、中立の第三者たる仲裁人・調停人・あっせん人として関与する。 ADRには、①裁判所で行う民事・家事調停等の司法型ADR、②行政で行う行政型ADR(建設工事紛争審査会、労働委員会等)、民間で行う民間ADR(各弁護士会紛争解決センター、日本知的財産仲裁センター、住宅紛争審査会、日弁連交通事故相談センター、交通事故紛争処理センター、日本商事仲裁協会等)がある。これらのほとんどにおいて弁護士が仲裁人・調停人・あっせん人として活躍している。 本項は、弁護士会が関係する各ADR機関の実情について各機関の統計資料をもとにまとめたものである。
1
弁護士会紛争解決センター 弁護士会紛争解決センターは(「示談あっせんセンター」、「あっせん仲裁センター」、「仲裁センター」などと呼ばれている)、民事上のトラブルを簡単な手続で、早く、安く、しかも公正に解決することを目的として、弁護士会が設置・運営している民間の紛争解決機関である。仲裁人が、申立人と相手方の双方の言い分を聞いた上で、話し合いで紛争を解決できるよう和解のあっせんをしたり、双方の合意に基づき公平・中立な立場から仲裁判断をして、紛争を解決している。なお、弁護士会によって、医療紛争、金融商品、震災に関する紛争について、専門のADRが開設されている。
(1)紛争類型別受理事件数
2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度
1
不動産売買を巡る紛争 47 36 44 18 23 25 うち手付金返還等 3 2 2 2 1 6 契約解除 5 4
11 1 1 0 買戻し 2 0 0 0 1 4 その他 37 30 31 15 20 15
2
不動産賃貸借を巡る紛争 82 76 225 114 101 95 うち明渡し 29 26 77 39 22
25 賃料増額 2 4 3 2 3 1 賃料減額 1 3 21 10 2 4 敷金・保証金返還 9 8 38 6 10
6 賃料配分・管理費用分担 1 2 2 0 0 1 滞納賃料 4 6 13 11 8 7 原状回復費用 7 7 11 7
13 9 更新料 2 1 0 0 0 1 借地権買取り 3 2 4 1 2 3 修理・修繕費用 6 3 28 14 9
15 その他 18 14 28 24 32 23
3
請負契約を巡る紛争 94 84 117 89 109 115 うち建築工事代金 28 32 30 29 30
50 契約の解除 12 11 8 14 12 13 建築工事の損害 23 21 33 20 44 31 デザイン料 1 1
0 2 2 1 その他 30 19 46 24 21 20
4
貸金を巡る紛争 31 35 31 20 25 21 うち債権額、過払金等を巡る紛争 8 10 10 4 4 6 債務弁済協定
9 8 7 1 2 3 その他 14 17 14 15 19 12
(単位:件)
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2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度
5
その他の契約紛争 135 113 176 163 128 128 うちリース契約 5 6 4 2 0
4 商品委託取引 15 4 3 9 7 1 預り金返還 2 5 4 2 1 4 動産売買 12 7 15 9 7
8 銀行関係 7 13 51 45 48 35 手数料返還 1 1 0 7 1 2 契約不履行 26 19 17 17
12 18 立替金 0 1 3 1 2 2 サービスの提供を巡る紛争 6 3 2 15 7 3 先物取引を巡る紛争 6 3
5 2 2 3 その他 55 51 72 54 41 48
6 債務不存在確認 13 10 19 7 4 10
7
不法行為を巡る紛争 405 341 393 385 357 359 うちけんか 12 11 16 13 5 9 動物事故
5 5 5 6 7 5 交通事故 86 49 41 53 50 38 医療紛争 132 121 147 165 168
185 名誉毀損 2 3 3 1 3 1 近隣紛争 11 16 16 18 12 9 婚姻外男女関係 39 30 42
40 42 27 賠償額確定 25 26 31 15 24 23 スポーツ事故 2 5 0 1 0 1 故意による加害 9
23 17 11 8 5 その他 82 52 75 62 38 56
8 知的財産権がらみの紛争 3 1 1 4 4 0
9
家族間の紛争 85 89 109 102 91 95 うち離婚・夫婦関係調整 30 26 44 35 33
26 婚約破棄 5 9 5 11 2 6 養育費・親権 3 4 4 2 3 7 相続 21 25 19 21 29
26 親子関係 1 8 8 10 8 12 その他 25 17 29 23 16 18
10
職場の紛争 70 59 59 50 65 55 うち解雇・退職 28 18 24 22 23 13 労働災害
1 4 3 4 4 6 賃金 16 17 7 4 7 11 その他 25 20 25 20 31 25
11 会社関係の紛争 20 14 17 10 10 1012 相隣関係 30 33 94 40
50 29
13 マンション(区分所有)関係 8 5 11 4 11 5 うち管理費滞納等 1 0 1 0 4 0 その他 7 5 10
4 7 5
14 その他 53 0 70 34 34 43合 計 1,076 896 1,366 1,040
1,012 990
【注】本件数には、専門ADRの件数も含まれている。
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第 3 編 日弁連・各弁護士会の活動状況
3-5-3 あっせん・調停・仲裁活動
第3編
資料3-5-3-2 専門ADRの受理件数・解決件数(紛争解決センター)
資料3-5-3-3 申立事件の終了状況・解決事件の審理期間等状況-全センターの平均-(紛争解決センター)
資料3-5-3-4 紛争解決センター別申立事件・解決事件数
(2)専門ADR(医療・金融・震災)における受理件数及び解決件数の状況
(3)2014年度活動実績の状況
【注】1.デリバティブ:株式・債券・金利・外国為替などの金融商品(原資産)から派生して生まれた金融商品。 2.�数値は、『仲裁ADR統計年報(全国版)2014年度版』(日本弁護士連合会・ADR(裁判外紛争解決機関)セ
ンター)によるもの。 3.専門ADRを実施しているセンターの実績によるもの。
2013年度(件) 2014年度(件)受理件数 解決件数 受理件数 解決件数
1 医療ADR 小計 170 68 190 68 一般医療(産科含む) 137 57
148 39 歯科 21 7 19 13 美容整形 7 3 8 4 柔道整復 0 0 1 0 その他 5 1 14
12 2 金融ADR 小計 45 17 46 17 デリバティブ損失を巡る紛争 2 0 2 1
その他の金融商品による損失を巡る紛争 4 1 5 1 説明・顧客対応を巡る紛争 20 9 23 7 その他 19 7 16
8 3 震災ADR 小計 32 17 0 2 不動産所有権(減失問題含む) 1 1 0 0
不動産借権(借地・借家) 10 6 0 0 相隣関係(妨害排除・予防・損害賠償) 4 2 0 0
住宅・自動車・船舶のローン、リース 0 0 0 0 原発事故・環境関連 0 0 0 0 労働問題 2 0 0 1
その他 15 8 0 1
合 計 247 102 236 87
申立事件 全国平均 解決事件 全国平均 応 諾 率 71.0% 平均審理期間 131.6日 受理事件対比解決率 25.5%
平均審理回数 3.2回 応諾事件対比解決率 52.9% 紛争の価格の平均額 571万5,000円
【注】1.応 諾 率:�受理事件の中で、話合いのテーブルについた事件の割合。但し、受理件数の中から回答待ちの件数を差し引いている。
計算式 応諾件数÷(受理件数-回答待ち件数)×100% 受理事件対比解決率:受理事件の中で当該年度に解決したケースの割合。 計算式 解決(新受)件数÷(受理件数-回答待ち件数)×100% 応諾事件対比解決率:当事者が話合いのテーブルについたもののうち、解決(新受)した事件の比率。 計算式 解決(新受)件数÷(応諾件数-進行中の件数)×100% 2.解決事件の審理期間等状況の全国平均は、各センターの数値を合計し、解決事件のあるセンターの数で除したもの。
【注】�『仲裁ADR統計年報(全国版)2014年度版』(日本弁護士連合会・ADR(裁判外紛争解決機関)センター)によるもの。
200180160140120100806040200
(件)
申立件数解決件数
札幌仙台福島県
山形県
東京第一東京
第二東京
横浜埼玉群馬静岡県
山梨県
新潟県
愛知県
西三河(愛知県)
岐阜県
金沢富山県
大阪京都兵庫県
奈良滋賀和歌山
広島山口県
岡山石見(島根県)
愛媛天神(福岡県)
北九州(福岡県)
久留米(福岡県)
熊本県
鹿児島県
沖縄