竹の伐採から加工までの 低コスト生産の試み竹の伐採から加工までの 低コスト生産の試み ~竹を利活用するために必要なコスト~...

竹の伐採から加工までの 低コスト生産の試み

~竹を利活用するために必要なコスト~

石川県農林総合研究センター 林業試験場

2015年2月17日 成果発表会

タケノコ生産 竹材の加工品 農耕資材の利用

管理放棄地の増加 放置竹林

人工林への侵入 森林機能の低下

放置竹林の拡大

生産量の低下 生産者の高齢化

管理竹林

土壌改良剤、堆肥

農業利用

飼料、敷料、堆肥化

畜産利用

竹林

竹粉の供給

竹を利用するための課題

竹粉製造コストが高く、商業的な利活用が困難 ⇒ 安価に竹粉を供給する方法がないだろうか？

竹利用の障壁

竹粉製造工程

伐採

搬出

運搬

加工

伐採に必要な労力は？

人力搬出コストは？

竹稈の運搬効率は？

竹粉生産にかかる費用は？

調査条件

能美市 坪野町

加賀市 菅谷町 （２箇所）

小松市 五国寺町

調査地位置図

10m

10m

参考「機械化のマネジメント」（全国林業改良普及協会）

コスト算出基準

日給単価

（円/日）

軽作業

（搬出・積込）11,092

重作業

（伐採・運搬）16,311

人件費

作業内容

機械経費

（円/時）

チェンソー 521

2tダンプ 1,752

スカイウッド

シューター

（SWC）

219

竹粉砕機 4,635

機械経費

機械種

調査地名成立竹本数

（本/ha）

資源量※1

（トン/ha）

能美市坪野町 5,900 91

小松市五国寺町 5,300 82

加賀市菅谷町① 5,100 79

加賀市菅谷町② 4,400 68

※1 竹稈1本15.4kgで換算

伐採から搬出までのコスト

9.4円/kg

伐採

運搬

10.5円/kg

加工（竹粉生産）

11.8円/kg

搬出

3.0円/kg

伐採から搬出までのコスト

石川県農林総合研究センター林業試験場調査

搬出距離は20m

運搬距離は60kmで計算

34.7円

伐採から加工までの作業コスト

代替製品との比較

表面施用

商品価格との比較

竹粉は資材の約2倍

竹粉はおが粉の3.5倍 牛舎の敷料

竹　粉 マルチング資材

価格 208 円/㎡ 100 円/㎡

参考：石川県農林総合研究センター畜産試験場おが粉購入単価

竹　粉 おが粉(敷料)

価格 35 円/kg 10円/kg

伐採から搬出までの課題

9.4円/kg

伐採コスト

搬出コスト

3.0円/kg

竹を自伐する場合 ・ オガ粉の販売価格(10円/kg)の約9割の費用（9.4円/kg）が必要 ⇒ 伐採の費用を含めると竹粉の利用が困難

人力で搬出する場合 ・ 少量ずつしか搬出できない ・ 林地の傾斜により作業効率が低下

運搬から加工までのコスト

竹粉生産コスト

運搬コスト

10.5円/kg

竹稈を運搬する場合

・ 中空のため運搬効率が悪い ・ 加工のための場所が別途必要

機械経費＝

固定費（管理費等）＋

変動費（燃料費等）

10.5円/kg

11.8円/kg

異なる製造条件によるコストの違い

① 搬 出 方 法 （人力 ⇒ ）

② 運 搬 方 法 （竹稈 ⇒ ）

③ 加 工 方 法 （青竹 ⇒ ）

④ 竹材供給元 （自伐 ⇒ ） 林地残材

SWC（スカイウッドシューター

割竹、竹粉

枯れ竹

SWC（スカイウッドシューター） 林地残材 枯れ竹

搬出方法（SWC）と運搬方法（竹粉）

SWC（スカイウッドシューター）

① SWCによる搬出作業の低減

② 現地加工による運搬効率の向上

竹粉を運搬

現地で

竹粉に加工

現地にて加工

② 運搬方法（割竹）

割竹の製造工程

切れ込みを入れる 竹を裂く 丸竹

○ 丸竹を割竹にするためには、6.3円/kgのコストが必要

さらに半分に裂く 節を取り去る 割竹

竹割作業

2.9円/kg

節取り

0.6円/kg その他※

2.8円/kg

※ 竹の整理・移動・作業員の休憩

割竹の運搬効率

体積が

３割減少

ただし、丸竹を割竹にするためには、6.3円/kgのコストが必要

竹材販売価格が25.4円/kg以上が必要。それ以外では、割竹の作業コストが運搬メリットを上回る。

割竹による運搬メリットを享受するには、

未満 以上

収　支 ― ＋

竹材販売価格25.4円/kg

青竹（含水率 40~60%）

乾燥した竹※（含水率 15~30%）

③ 加工方法（青竹と乾燥した竹）

乾燥しているため 機械の目詰りが少なく、 作業性が向上

青竹 乾燥した竹 ※ 伐採後1～2年間林内にて自然乾燥

竹粉の粒径ごとの生産コストの違い

5mm 8mm 10mm 15mm 30mm

10mm

竹粉の粒径が大きいほど、生産コストは小さくなる。

林地残材の利用

竹林伐採後の残材

いしかわ森林環境税による

竹林整備計画（平成24～28年度）

竹林伐採面積 100 ha/年間

竹 林 密 度 2千～2万本/ha

伐 採 推 定 量 約6,000 トン/年間 （4,000 本/ha 換算）

林地残材(乾燥した竹※)

含水率 15～30%

林地残材による

竹粉(8mm)生産コスト

13.8 円/kg (人力搬出・林地加工・竹粉運搬)

※ 伐採後1～2年間林内にて自然乾燥

林地残材からの竹材供給シナリオ

放置竹林

林地残材の利用

乾燥竹材

林地残材

林地残材

竹材供給元

伐採方法

搬出方法SWC

（1.1）

竹粉粒径 5 mm

加工方法

運搬方法

工場加工

竹稈

（22.3）

生産コスト

（円/kg）34.7 23.2 13.8 12.7

8 mm

林地加工

竹粉

（10.8）

（　）内の単位は円/kg

放置竹林林地残材

の利用自　伐

（9.4）

人　力

（3.0）

まとめ ~竹粉生産コスト~

まとめ ～竹粉生産コスト～

竹粉 (8mm)

（低コスト化な場合）おが粉(敷料)

価格 13.8 円/kg 10 円/kg

商品価格との比較 竹粉 (8mm)

（低コスト化な場合）マルチング資材

価格 82 円/㎡ 100 円/㎡

マルチング資材の約0.8倍

おが粉の約1.4倍

34.7円/kg 13.8円/kg