平成30年8月23日 発 行 弘果 弘前中央青果株式会社 弘前市大字末広1丁目2-1 TEL 0172-27-5511 URL http://www.hiroka.jp 第313号 30 年産りんご開市弘果津軽市場活発な取引で早生種に期待大◆黒星病の生活環(図Ⅰ) 感染した葉の菌が 雪の下で成熟して 偽子のう殻を形 成する 偽子のう殻内 で子のう殻が 形成される 偽子のう殻 卵巣のよう なもの 子のう胞子 菌(子供の ようなもの) 子のう殻 卵のような もの 一定条件下(降雨・低温 等)で一次感染源となる 子のう胞子が飛散する 若い果実や葉 が感染する 果実や若葉 がさらに感 染する 分生子 菌(兄弟の ようなもの) 二次感染胞子(分生子)は 春と夏の間に形成される 繰り返す 繰り返す 晩秋、感染した葉が落葉する 一次感染 二次感染夏 秋 冬 春 二次感染一次感染 年々菌密度が高まります(図Ⅰ参照)。菌密度の高まりは、近年の黒星病被害拡大の一要因となっており、これを防ぐためにも感染源となる被害果や被害葉を園内に放っておかないよう、十分注意する必要があります。被害葉に関しては、今現在の作業中に処分しきれない場合も多いと思いますが、落葉後から翌春の子のう胞子飛散までに収集・処分することができれば、翌春以降の被害抑制に十分効果があると考えられます。このように『黒星病に負けない園地づくり』は感染源自体を排除することが非常に大事になります。県や各指導機関においても、『被害果や被害葉の摘み取り、埋没など適切な処分をすること』黒星病は、一定条件下で年内に感染・被害を繰り返しますが、被害果や被害葉をそのまま園内に落としたままにすると、積雪下で菌が成熟し翌春の一次感染源になることが明らかになっており、と推奨しています。これまでの薬剤による化学的防除に比べて、耕種的防除は手間がかかりますが、確実な効果があると期待され、やろうと思えば今からでも取り組む事が出来ます。被害の大きかった地域に限らず、できるだけ多くの方々の耕種的防除を実施することが、黒星病被害の収束に繋がると考えられますので、積極的に取り組んで、津軽地域全体で『黒星病に負けない園地づくり』をしましょう。弘果りんご開市の様子 津軽りんご市場開市の様子 30 年産りんごの開市が8 月3日、弘果及び津軽りんご市場に於いて行われ、極早生種の「夏緑」「祝」「花祝」が上場されました。極早生種の作付面積の減少から、入荷数量は両市場合わせて3318箱(前年比84 .8%)と前年を下回りましたが、29 年産の在庫不足を背景に活発な取引となりました。午前8時45 分から行われた開市には買参人約150人、生産者約1000人が来場しました。開市にあたり大中忠社長は「西日本の豪雨による災害、全国的な猛暑等、異常気象による影響が見受けられますが、津軽地方には大きな被害は無く、りんごの生育は順調に進んでいます。懸念されている黒星病については、生産者の皆様が防除、摘果等、懸命に対応しております。当社に於いては、生産者の皆様に今年も世界一の品質のりんごを生産、出荷していただき、適正な産地価格の形成と円滑な流通に努めます」と挨拶しました。続いて、弘果りんご買参人共進会森山博幸会長の音頭による手締め、弘果りんご連絡協議会須藤惠司会長による乾杯が行われた後、競売に移りました。この日に上場された2146箱(前年比80 .8% )が競り落とされ、花祝は高値23760円(同110.0% )~中値8640円(同106.7% )~安値5940円(同110.0% )、祝は高値9720円(同105.9% )~中値6480円(同109.1% )~安値3240円(同100.0% )、夏緑は高値6264円(同116.0% )~中値3780円(同100.0% )~安値2700円(同100.0% )の取引となりました。葛西静男専務は「29 年産在庫不足から高値基調となりましたが、これだけの価格が付くとは思わなかった。今後は国内の果物が高温の影響で前進出荷の傾向にあり、食味良く、高品質なりんごが出回れば価格が下がることは無いでしょう」と話していました。午前7時30 分より行われた開市には買参人約100人、生産者約2500人が来場しました。三和登山囃子保存会による登山囃子で五穀豊穣を祈願し、大中忠社長による挨拶、津軽りんご市場曄峰会西塚光弘会長の音頭による手締め、津軽りんご市場連絡協議会葛西直人会長による乾杯が行われた後、競売に移りました。上場された1172箱(前年比93 .1%)が競り落とされ、花祝は高値16200円(同150.0% )~中値8640円(同111.1% )~安値5940円(同110.0% )、祝は高値8640円(同80 .0% )~中値5400円(同96 .2% )~安値3240円(同120.0% )、夏緑は高値5076円(同117.5% )~中値3780円(同109.4% )~安値2700円(同108.7% )の取引となりました。石戸谷繁副社長は「堅調な出だしとなり、今後出荷が始まる『つがる』にも期待が持てます。今後は、西日本の豪雨で柑橘類の産地が被害を受けた事から、国内の果物の価格は高値傾向が続くと思われます」と話していました。り ん ご 黒 星 病 対 策 耕種的防除で黒星病に負けない園地づくり