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Agilent 86100A Infiniium DCAの測定感度の定義 Product Note 86100-5
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May 22, 2018

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Agilent 86100A Infiniium DCAの測定感度の定義Product Note 86100-5

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Agilent 86100A Infiniium DCAの測定感度の定義

図1. DCA感度テスト・セットの機能ブロック・ダイアグラム

Agilent 86100A Infiniium DCA(ディジタル・コミュニケーション・アナライザ)の感度を決定する主な仕様は、86100プラグイン・モジュールがもつ固有雑音レベルです。例えば、Agilent 86105Aプラグイン・モジュールの光チャネルの雑音仕様は12µWrms(実効値)、代表値の値は8µW rms未満です。これは、86100Aシステムの画面から直接に分かります(図2参照)。

プラグイン・モジュールの内部にはいくつかの雑音源があります。光検出器、電子サンプリング回路および電子増幅器からの雑音があります。他のものがすべて等しいとして、光検出器雑音を考えてみます。検出器の雑音源には、3つの識別可能な雑音源があります。1/f雑音、生成-再結合雑音および熱雑音です。高周波ではJohnson雑音電圧が支配的になり、次のように定義されます。

Vnoise = √4krT∆F

ここで、k =Stefan-Boltzmann定数r = 抵抗T = 温度∆F = 雑音等価帯域幅(NEQBW)

言い換えれば、検出器の雑音は帯域幅の平方根に比例します。これが、モジュールの帯域幅が広いと雑音が多くなる理由の1つです。

図2. 86105A光チャネルの雑音ヒストグラム

図2の測定は、信号を印加しないで、適合4次Bessel-Thompsonフィルタがオンの場合の測定器画面です。内部雑音のrmsレベルとピーク・ツー・ピーク・レベルの両方を表すヒストグラムが生成されており、それぞれ、8.9µWと71.5µWです。

Agilent 86103Aプラグイン・モジュールの光入力では、光検出器の後に電気増幅器が接続されています。このため、等価的に雑音レベルは減少して仕様値は2µW rmsとなり、代表値は1.5µW rms未満です。これは、図3のプロットから分かります。

図3. 86103A光チャネルの雑音ヒストグラム

70843B�パターン・�ジェネレータ�

86103A�モジュール�

86105A�モジュール�

86100A�ディジタル・�

コミュニケーション・�アナライザ�

83712B�シンセサイズド�

CW�ジェネレータ�

83433A�光�

トランスミッタ�

8156A�光�

アッテネータ�

RFOut

Data Out

ClockOut

OpticalOut

ClockIn

DataIn

TriggerIn

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マスク・テストは、波形が存在してはいけない領域を定義することでアイの形状を定義する、標準に基づいたテストです。このマスクは、3つの特長のある多角形からなり、それぞれアイの内部、上側、下側にあります。この例では、マスク違反すなわちマスク多角形に入る"ヒット"はありません。

この測定では、マスク・マージン・テストと呼ばれる斬新な機能が用いられています。マスク・マージン・テストでは、追加マージンすなわち「クッション」が標準マスクに加えられます。これは、トランスミッタが実際のマスク違反にどれだけ近いかを判断する際に便利です。

マージン・テストでは、生産ラインにおけるトランスミッタの性能レベル評価で重要となる情報が得られます。統計的違反解析を特定のトランスミッタ・デザインに対して実行することで、テスト時間を減らすことができます。長時間に渡ってマージン・ヒットの頻度を見ることによって、実際のマスク・ヒット違反を短時間で予測できます。この逆時間外挿法により、トランスミッタ・テストのコストを大幅に減らすことができます。

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プラグイン・モジュールの雑音性能だけが、86100Aにより測定可能な最小信号を表す訳ではありません。本質的に、問題はS/N比(SNR)の1つと、その測定確度への影響です。特定の測定では高いSNRが必要ですが、すべての測定で必要というわけではありません。

86100Aを使用して行う最も一般的な測定は、アイ・ダイアグラムです。これは、さらにアイ・パラメータ特性評価とマスク・テストに分けることができます。アイ・パラメータには、消光比、ジッタ、アイ幅などの測定があります。マスク・テストは、光トランスミッタの性能を定量化するときに使用されるテスト法です。

図4は、2.488 Gb/sのデータ・レートで動作するレーザ・トランスミッタの自動パラメトリック特性評価で、86105Aプラグイン・モジュールを使用した例です。

図4. 2.488Gb/sで変調したレーザ・トランスミッタのパラメトリック特性評価

平均パワーは–4dBmで、消光比は約14dBです。ジッタとアイ幅も表示されています。

図5のマスク・テストも、同じトランスミッタに対して行われています。

図5. レーザ・トランスミッタのマスク適合テスト

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アイのパラメトリック測定

消光比などのアイ・パラメトリック測定は波形データのヒストグラム測定に基づいたもので、前に示した雑音レベルのヒストグラム解析に似ています。例えば、消光比は、アイ・ダイアグラムの平均「1」レベルと平均「0」レベルの比です。ジッタはアイの交点に形成されるヒストグラムから導かれ、ヒストグラムからrms値とピーク・ツー・ピーク値の両方を導くことができます。

ヒストグラムの平均値を基にした測定は、低いSNRの場合でも実現可能となる傾向にあります。これは、消光比測定の場合に言えます。ヒストグラムによって、雑音に埋れた中から効果的に信号が抽出されます。一方ジッタは、交点に形成されるヒストグラムの広がりから測定されます。SNRが落ちるにつれて、雑音のヒストグラムへの寄与がより大きくなり、ジッタ測定値が増加する原因となります。

図6~図8の測定は、先に述べたレーザ・トランスミッタに対して行っています。アイ測定はAgilent 86105Aオプティカル・プラグイン・モジュールを使用し、アッテネータを用いてレーザ・パワーを元の値–4dBmから–15dBmまで順次減少させて測定しています。

図4の86105Aを使用した測定では、平均パワーは–4dBmで、rmsジッタは約6.7psと測定しています。消光比は14.7dBです。この測定結果は、パワー・レベルを減少させて行う以下の測定の比較のための"基準"として使用されます。

パワーを–10dBmに減少させた場合が図6です。消光比の測定値は12.1dBです。この結果、–4dBmでの測定と(線形項で)16%の差が生じます。ジッタは11.4psと測定され、パワーが–4dBmの場合の測定を基準として90%の差となります。

図6. 86105Aを使用した場合の–10dBmにおけるトランスミッタ・パワーのマスク適合試験

平均パワー・レベルをさらに減少させ–13dBm(図7)と–15dBm(図8)において測定を繰り返しています。

図7. 86105Aを使用した場合の–13dBmにおけるトランスミッタ・パワーのアイ・ダイアグラム

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図8. 86105Aを使用した場合の–15dBmにおけるトランスミッタ・パワーのアイ・ダイアグラム

86105Aの測定結果を表1にまとめました。

表1. 86105Aを使用した場合のパワー対消光比

パワー(dBm) 測定された消光比(dB) ∆%

–4 14 —–10 12.1 16–13 12.6 11–15 12.6 11

パワー(dBm) ジッタrms(ps) ∆%

–4 6 —–10 11.4 90–13 22.45 374–15 38.6 643

予想されるように、消光比測定は雑音が存在しても影響を受けにくく、ジッタ測定は信号レベルが–10dBm未満の場合には劣化しています。

図9~図14では、86103Aを使用して一連の測定を繰り返しています。プラグイン・モジュールの雑音レベルは86105Aより非常に低いため、解析は–10dBmのパワー・レベルから始まります。このレーザ・トランスミッタは、1.063Gb/sで変調されています。

図9. 86103Aを使用した場合の–10dBmにおけるトランスミッタ・パワーのアイ・ダイアグラム

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図10. 86103Aを使用した場合の–15dBmにおけるトランスミッタ・パワーのアイ・ダイアグラム

図11. 86103Aを使用した場合の–17dBmにおけるトランスミッタ・パワーのアイ・ダイアグラム

図12. 86103Aを使用した場合の–20dBmにおけるトランスミッタ・パワーのアイ・ダイアグラム

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図13. 86103Aを使用した場合の–23dBmにおけるトランスミッタ・パワーのアイ・ダイアグラム

図14. 86103Aを使用した場合の–20.3dBmにおけるトランスミッタ・パワーのアイ・ダイアグラム

86103Aの測定結果を表2にまとめました。

表2. 86103Aを使用した場合のパワー対消光比

パワー(dBm) 消光比(dB) ∆%

–10 13.7 —–15 12.7 8–17 12.9 6–20 12.4 10–23 11.1 23

パワー(dBm) ジッタrms(ps) ∆%

–10 8.8 —–15 9.9 13–17 11.3 28–20 17.4 98–23 31 352

消光比測定は–23dBmのレベルまで安定しているのに対して、ジッタ測定はパワー・レベルが–17dBm未満の場合には大幅に劣化しています。

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マスク測定

マスク測定は、どの信号レベルが正確に測定可能かという点では解析が単純です。マスク測定では、アイ・マスクが平均ハイ・レベル、平均ロー・レベル、およびアイの交点を基準にして配置されます。トランスミッタの信号パワーが減少した場合、マスク多角形の大きさが縮小され、それにしたがって配置されます。ただし、トランスミッタ信号のパワーが減少するにつれて、最終的に測定器の雑音レベルが大きくなりマスク違反が生じることは明らかです。何dBのトランスミッタ・パワーでこれが生じるのでしょうか。これを、Agilent 86105Aを使用した以下の測定で示します。

図15の始めの測定では、平均トランスミッタ・パワーは–9dBmです。消光比は13.9dBです。500個の波形において、マスク違反は検出されていません。

図15. 86105Aを使用した場合の–9dBmにおけるトランスミッタ・パワーのアイ・ダイアグラム・マスク・テスト

トランスミッタ・パワーを–10dBmに減少させた場合が図16です。同じ500個の波形において7個のマスク違反が検出されました。

図16. 86105Aを使用した場合の–10dBmにおけるトランスミッタ・パワーのアイ・ダイアグラム・マスク・テスト

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光入力チャネルがより広帯域なAgilent 86106Bの場合はどうでしょうか。同様の解析を–4dBmのパワー・レベルから始めます。

図17. 86106Bを使用した場合の–4dBmにおけるトランスミッタ・パワーのアイ・ダイアグラム

図18. 86106Bを使用した場合の–8dBmにおけるトランスミッタ・パワーのアイ・ダイアグラム

図19. 86106Bを使用した場合の–10dBmにおけるトランスミッタ・パワーのアイ・ダイアグラム

訳者注図18の消光比測定値が図17, 19と明らかに異なります。一連の測定ではなかったため、何らかの誤りが生じていると思われます。

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図20. 86106Bを使用した場合の–13dBmにおけるトランスミッタ・パワーのアイ・ダイアグラム

マスクテストの結果となる図21から分かるように、–8.5dBmの平均パワーにおいてマスク値違反は発生していません。

図21. 86106Bを使用した場合の–8.5dBmにおけるトランスミッタ・パワーのアイ・ダイアグラム

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まとめ

レーザ光源の光変調特性は、適切なプラグイン・モジュールを備えたディジタル・コミュニケーション・アナライザにより容易に得ることができます。光トランスミッタの平均パワーを減少させると、プラグイン・モジュールにより適合マスク違反が生じるポイントがあります。この平均パワーしきい値は、プラグイン・モジュールの感度と呼ばれることがあります。表3は、この実験でテストしたプラグイン・モジュールの感度について収集したデータをまとめたものです。

表3. まとめ

プラグイン・モジュール 感度(マスクテスト) 光入力帯域 電気アンプ

86103A –20dBm 20.7GHz 内蔵86105A –9.0dBm 20GHz なし86106B –8.5dBm 28GHz なし

結論として、「測定可能最小信号」は何を測定するかで決まります。消光比測定では、86103Aが–23dBmまで、86105Aが–15dBmまで、86106Bが–13dBmまで使用できます。多数の他の測定、特にマスク・テストでは86103Aが–20dBmまで、86105Aが–9dBmまで、86109Bが–8.5dBmまで使用できます。

消光比が減少すると、S/N比が劣化します。変調パワー(したがって、消光比)が低いと、良好な測定確度を得るためには高い平均パワーが必要になります。

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5988-3766JA100100001-H

October 30, 2001