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ACQUITY UPLC 理論操作コーステキスト
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おことわり
本書の内容は永久的なものでなく、予告なしに変更される場合があります。本資料は、発行時点においては完全で正確なものと確信しておりますが、もし万一誤りがあった場合には、日本ウォーターズは責任を負いかねますので御了承下さい。いかなる場合においても、本資料の使用に関連するまたは本資料の使用から発生する偶発的または間接的な損害に対して、日本ウォーターズは責任を負いません。発行者の文書による許諾なしには、いかなる形でも本書の全部または一部を複製することはできません。Alliance, Millennium, PIC, および Waters は、Waters Corporation の登録商標です。また、
LAC/E、PerformancePLUS、SAT/IN、SCC、Synchronized Composition Control は、WatersCorporation の商標です。
Micromass は Micromass Ltd. の登録商標であり、MassLynx、MassLynx NT は MicromassLtd. の商標です。
その他の商標や登録商標はすべて各社の独占的所有物です。
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ACQUITY UPLC 理論操作コーステキ ス ト -1
目次
第 1章 UPLC 概論 ------------------------------------------ 1-11.1 ACQUITY UPLC ファミリー --------------------- 1-21.2 ACQUITY UPLC 分離の理論 --------------------- 1-31.3 分析法移管 ---------------------------------- 1-91.4 ACQUITY UPLC パーティクルテクノロジー ------- 1-24
第 2 章 ACQUITY UPLC システムの構成 ------------------------ 2-12.1 システム構成 -------------------------------- 2-22.2 ポンプ:ソルベントマネージャ ---------------- 2-62.3 サンプルマネージャ -------------------------- 2-112.4 カラムコンパートメント ---------------------- 2-192.5 検出器 -------------------------------------- 2-282.6 データシステム ------------------------------ 2-32
第 3 章 分析前準備 ---------------------------------------- 3-13.1 溶媒注意事項 -------------------------------- 3-23.2 各モジュールに使用する溶媒:用途 ------------ 3-43.3 サンプル調製 -------------------------------- 3-83.4 溶媒置換 ------------------------------------ 3-93.5 システム準備 -------------------------------- 3-103.6 カラム・配管の接続 -------------------------- 3-22
第 4 章 各モジュールの設定 -------------------------------- 4-14.1 分析条件の設定 ------------------------------ 4-2
バイナリソルベントマネージャ:BSM ------------- 4-2クォータナリソルベントマネージャ :QSM ---------- 4-4サンプルマネージャ:SM/SM-FL ------------------ 4-6サンプルマネージャ・フロースルーニードル:SM-FTN 4-8カラムマネージャ:CM -------------------------- 4-10TUV 検出器 ------------------------------------- 4-13PDA/eλPDA 検出器 ------------------------------ 4-14ELS 検出器 ------------------------------------- 4-15FLR 検出器 ------------------------------------- 4-17
4.2 システムの設定 ------------------------------ 4-19プレート:Empower の設定 ----------------------- 4-19プレート:MassLynx の設定 ---------------------- 4-20リークセンサーの設定 -------------------------- 4-21アクティブプレヒータの設定 -------------------- 4-21圧力表示の切り替え ---------------------------- 4-21バイアルセンサーの設定 ------------------------ 4-22ライト点灯の設定 ------------------------------ 4-23装置情報の確認 -------------------------------- 4-23
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ACQUITY UPLC 理論操作コーステキ ス ト -2
第 5章 トラブルシューティング ---------------------------- 5-15.1 エラーメッセージ ---------------------------- 5-45.2 クロマトグラフィに関する問題 ---------------- 5-9
分析開始前のチェック項目 ---------------------- 5-9ベースラインの問題 ---------------------------- 5-11保持時間の異常 -------------------------------- 5-16ゴーストピーク及びキャリーオーバー ------------ 5-19異常なピーク ---------------------------------- 5-21感度の低下 ------------------------------------ 5-27分離が悪い ------------------------------------ 5-30定量分析結果が不適切 -------------------------- 5-31
5.3 システムレベルの症状 ------------------------ 5-33LED の状態 ------------------------------------- 5-33通信:ソフトウェアから制御できない「Empower」 -- 5-34通信:ソフトウェアから制御できない「MassLynx」 - 5-36システム圧力 ( 背圧 )の問題 -------------------- 5-38
5.4 カラムの取り扱い ---------------------------- 5-41
第 6 章 メンテナンス -------------------------------------- 6-16.1 ソルベントマネージャ:BSM/QSM のメンテナンス 6-36.2 サンプルマネージャ:SM/SM-FL のメンテナンス - 6-136.3 サンプルマネージャ-フロースルーニードル:SM-FTN のメンテナンス --- 6-26
第 7 章 Appendix ------------------------------------------ 7-17.1 ACQUITY UPLC カラムカリキュレータ使用方法 --- 7-27.2 フィッティング ------------------------------ 7-67.3 SM/SM-FL のニードル洗浄機構 ----------------- 7-87.4 SM/SM-FL の注入機構 ------------------------- 7-127.5 各 SM の注入量範囲 --------------------------- 7-157.6 H-CLASS によるメソッド開発 ------------------ 7-167.7 サンプルのサイクル時間を 小化する ---------- 7-217.8 シャットダウン ------------------------------ 7-23
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ACQUITY UPLC 理論操作コーステキ ス ト -3
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第 1 章 UPLC 概論
こ の章では UPLC の技術概論について紹介し ます。
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UPLC 概論
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1.ACQUITY UPLC フ ァ ミ リ ーウ ォーターズは 2004 年に 1.7μm 粒子径のカ ラ ム、 及び耐圧 15,000psi のシステム能力を有する テ ク ノ ロ ジーを UPLC と い う 名称で市場に出し ま し た。
UPLC によ って産業、 民間、 及び研究目的の ラ ボで向上し た分離技術を有効に活用でき る よ う にな り 、 2004 年は生産性、 品質、 サンプルのスループ ッ ト 、 及びコ ス ト 削減において大き く 飛躍し た新時代の幕開け と な り ま し た。
図 1. ACQUITY UPLC フ ァ ミ リ ーの歩み
2010 年に発表された ACQUITY UPLC H-CLASS は、 ACQUITY UPLC 分離の理論でご紹介する UPLC テ ク ノ ロ ジーと、 HPLC の使いやすさ を持ち合わせた メ ソ ッ ド開発に適し たシステムです。
2011 年に発表された ACQUITY UPLC I-CLASS は、 MS イ ン レ ッ ト と し て 適な、 低拡散システムです。
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ACQUITY UPLC 分離の理論
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2.ACQUITY UPLC 分離の理論
2.1 UPLC ®テ ク ノ ロ ジー
★小さい粒子 (粒子径 : 2μm 以下) を充てんし たカ ラムを使用し たク ロマ ト グラ フ ィ
★小さい粒子径の利点を 大限に引き出すこ とができる総合的にデザイ ン された装置
UPLC テ ク ノ ロ ジーの基本は上記 2 点が挙げられます。 システム及びケ ミ ス ト リ の両面どち らが欠けて も成し得ないテ ク ノ ロ ジーです。
このテ ク ノ ロ ジーによ り 、従来の技術では確立でき なかった利便性を も た ら し ま し た。
図 2. UPLC テ ク ノ ロ ジー vs HPLC
★粒子径の変化
カ ラ ム充てん剤の粒子径は、 時代 と と も によ り 均一に、 よ り 小さ く 製造する技術が開発されて き ま し た。 UPLC 用のカ ラ ムの粒子径はさ らに小さ く な り 、 1.7μm と、 業界
小サイ ズです。
感度
スピード 分離
UPLC HPLC
High ResolutionHigh Sensitivityを一度に実現
分離をとればスピードが犠牲
High Speed
Speed をとれば分離が犠牲 二つに一つの選択
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UPLC 概論
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2.2 van Deemter の式
UPLC では、 直径 1.7μm の球形粒子を充填し たカ ラ ムを使用し ます。 線速度 : LinearVelocity と カ ラ ム効率 : HETP の関係を説明する van Deemter の式は、 粒子径を 1 つの変数 と みな し ます。 こ の式によ り 、 粒子径の範囲全体の理論的パフ ォーマン ス を評価可能です
図 3. van Deemter の式
★ UPLC の領域では
粒子径が小さ く な る → 理論段高が小さ く な る ・ カ ラ ム効率が上がる
線速度を大き く する → 理論段高が大き く な り に く い ・ カ ラ ム効率が悪 く な り に く い
理論段高 = カラム長 / 理論段数
カ ラ ム効率を示す理論段数をカ ラ ム長さ で割る こ と で 1 理論段を得るに必要なカ ラ ム長さ を算出小さいほど短いカ ラ ムでよ り 高段数が得られて効率の良いカ ラ ム
( ) ( ) udpcubdpaH 2++=
H:理論段高
dp:充填材粒子径
u:速度
a,b,c:A,B,C 項の係数
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ACQUITY UPLC 分離の理論
XULCBAS0201 ACQUITY UPLC 理論操作コーステキス ト 1-5
図 4. van Deemter の各項
・ A 項 :
多流路拡散または渦拡散に基づ く 理論段高さ
固定相充填剤のつま り 方や粒子径に依存する
・ B 項 :
分子拡散に基づ く 理論段高さ
流速が小さい時ほど影響大 ・ 流速が小さすぎ る と カ ラ ム効率落ち る
・ C 項 :
物質移動における ピーク の広が り への寄与を示す
流速が大きい時ほど影響大 ・ 流速が大きすぎ る と カ ラ ム効率落ち る
UPLC 分離領域 : 充填剤粒子径 <2μm で実現>2μm の充填剤では 流速 (線速度) を上げる と C 項の影響で理論段高上がる (分離効率下がる)<2μm の充填剤では 流速 (線速度) を上げて も C 項の影響は小さ く 理論段高は 小さ なま ま (分離効率下がら ない)
( ) ( ) udpcubdpaH 2++=
A 項 B 項 C 項
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UPLC 概論
XULCBAS0201 ACQUITY UPLC 理論操作コーステキス ト 1-6
2.3 分離
分離度を表す式よ り 、 ハー ド ウ ェ ア由来の項目、 及びケ ミ ス ト リ 由来の項目が分離に影響を与え る こ と がわか り ます。
図 5. 分離
Rs:分離度N :理論段数k :保持係数α:分離係数
初期のクロマトグラフィ
αが増加
kが増加
Nが増加
ハードウェア ケミストリ
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ACQUITY UPLC 分離の理論
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図 6. HPLC → UPLC
図 7. 150mm カ ラ ムによ る高分離
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UPLC 概論
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HPLC 分析を超えて : 溶媒の使用量を削減し ながら生産性の向上を実現ACQUITY UPLC シ ス テムは、 効率的で環境に優し い ラ ボでの作業のために、 従来のHPLC よ り も溶媒の消費量を 大 95%削減し ながら ク ロマ ト グ ラ フ ィ の結果の向上が見込めます。 4.6mm カ ラ ムを用いた高流速条件で実施する 「高速 LC」 よ り も、 またはモ ノ リ ス固定相よ り も UPLC は溶媒の消費量を大き く 削減でき ます。 ACQUITY UPLCシ ス テムの 小シ ス テム容量および低拡散設計に よ って 2 µ m 以下の粒子を用いた1.0mm 内径のカ ラ ムを使 う こ と ができ ます。
■分析法を HPLC から 2.1mm スケールの UPLC ®に移管する こ と によ って 82%の溶媒を削減でき ます。
■さ らに 1.0mm ス ケールの UPLC への移管によ って、 97%の溶媒を削減でき ます ‐ これによ り 年間数百万円を節約する こ と ができ ます。
ACQUITY UPLC を用いた場合の溶媒及び環境上の費用削減を算出するには http://www.waters.com/green をご覧 く だ さい。
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分析法移管
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3. 分析法移管分析法を移管するには、 従来の分析法、 及び装置に関し て も把握する必要があ り ます。 ここ では分析法移管のステ ッ プおよびその考え方をご紹介し ます。
★分析法移管のステ ッ プ
1. 既存分析法に関する情報を収集
2. 既存分析法と同等の LC カ ラ ムを選択
3. LC 装置間のデュエルボ リ ューム差を補正
4. カ ラ ムボ リ ュームに比例し て分析法を ス ケー リ ング
5. 移管後の分析結果の確認
6. 適化
分析法移管のステ ッ プ : 簡易編 1. カ ラ ムの選択 : サイ ズ "L/dp” : 充てん剤 (まずは手持ちのカ ラ ムを使用) 2. Column Calculator で分析条件の移管 3. 移動相は同じ組成で確認 4. ク ロマ ト グ ラ ムを見て微調整
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UPLC 概論
XULCBAS0201 ACQUITY UPLC 理論操作コーステキス ト 1-10
3.1 既存分析法に関する情報を収集
既存分析法のパラ メ ータおよび結果 (ク ロマ ト グ ラ ム) に関する情報を収集し ます。
・ カ ラ ム
カ ラ ムケ ミ ス ト リ ( 官能基、 粒子径、 ブラ ン ド )
カ ラ ムサイ ズ
・ LC 分析条件
移動相
流速
グ ラ ジエン ト 組成 (再平衡化含む)
カ ラ ム温度
・ サンプル
希釈溶媒
濃度
注入量
分子量
・ ク ロマ ト グ ラ ム
成分 (ピーク) の数
必要と される保持
必要と される分離度
・ 定量
検出限界
定量限界
定量範囲
真度
精度
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分析法移管
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3.2 既存分析法と同等の LC カ ラ ムを選択
★カ ラムサイズ
分離効率を維持する ためには、 カ ラ ム長さ を粒子径で割った値 : L/dp が指標と な り ます。 L/dp が同等のカ ラ ムを選択する こ と で、 同等の分離効率が得られます。
例 : 一般的な HPLC カ ラ ム 4.6 × 150mm 5μm の場合
・ カ ラ ムサイ ズ移管のガイ ダン ス : L/dp
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UPLC 概論
XULCBAS0201 ACQUITY UPLC 理論操作コーステキス ト 1-12
・ 同等 L/dp によ る分離効率の再現
★カ ラム充てん剤
既存分析法の保持力および選択性を担保する カ ラ ムを選択し ます。
図 8. HPLC ⇔ UPLC カ ラ ムの選択
Minute
2.5, 3.5, 5 µm CSH2.5, 3.5, 5 µm HSS
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分析法移管
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図 9 は同じ移動相条件で、 カ ラ ム官能基種類を変え、 選択性を検討し た一例です。
同 じ逆相カ ラ ムで も こ れだけ選択性が異な り 、 こ のサンプルに関 し ては枠で囲っ たShield RP18 と い う 極性官能基内包型の ODS カ ラ ムが各成分の分離が一番良い と判断でき ます。
図 9. カ ラ ム選択性の検討
カ ラムの検討には分析法開発キ ッ ト がお勧めです。 (別紙参照)
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UPLC 概論
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カ ラム選択性チャー ト も ご活用 く だ さい。弊社ウ ェ ブサイ ト でご覧頂けます。「カ ラム選択性チャー ト 」 で検索または下記ページに直接アクセス し て く だ さい。www.waters.com/selectivitychart
図 10. カ ラ ム選択性チャー ト web サイ ト : www.waters.com/selectivitychart
カ ラム選択性チャー ト とはカ ラ ムの疎水性 と 選択性 (塩基性化合物/中性化合物) か ら数多 く のカ ラ ム を評価した情報を提供し ています。 チャー ト よ り 、 “同様の選択性を もつ” カ ラ ムを選択する こと が可能です。
Waters iPad App “Waters Part Selector”
By Waters Corporation
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分析法移管
XULCBAS0201 ACQUITY UPLC 理論操作コーステキス ト 1-15
★カ ラム選択性チャー ト
・ 保持能 (疎水性) の評価 : カ ラ ム選択性チャー ト 横軸の値
・ 選択性 (シ ラ ノ ール活性) の評価 : カ ラ ム選択性チャー ト 縦軸の値
α
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UPLC 概論
XULCBAS0201 ACQUITY UPLC 理論操作コーステキス ト 1-16
・ チャー ト へのプロ ッ ト
・ シ ラ ノール活性の評価例
分離係数 (α) が大=シラ ノ ール活性が高い
分離係数 (α) が小=シラ ノ ール活性が低い
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分析法移管
XULCBAS0201 ACQUITY UPLC 理論操作コーステキス ト 1-17
3.3 LC 装置間のデュエルボ リ ューム差を補正
分析法移管前後の LC 装置を比較し て、 デュエルボ リ ュームの違いを補正し ます。デュエルボ リ ュームは装置によ って、 またポンプの仕組みによ って も異な り ます。
デュエルボ リ ューム : Dwell Volume と は移動相が混合される部分から カ ラ ムヘッ ド (カ ラ ム入 り 口) までの容量です。測定方法は、 19 ページの 「デュ エルボ リ ューム : Dwell Volume 測定の推奨方法」 を参照し て く だ さい。
★低圧 ・ 高圧混合システム
・ 高圧混合システム (2 液混合)
高圧ポンプ と 呼ばれる混合シ ス テムは、 ポンプの後ろで溶媒を混ぜます。 こ のため、Dwell Volume は比較的小さ く な り ます。
(Waters システム例 : ACQUITY UPLC コ アシステム、 ACQUITY I-CLASS システム)
・ 低圧混合システム (4 液混合)
低圧ポンプ と呼ばれる混合システムは、ポンプの前で溶媒を混ぜます。こ のため、DwellVolume は比較的大き く な り ます。
(Waters システム例 : Alliance システム、 ACQUITY H-CLASS システム)
Dwell Volume
Dwell Volume
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UPLC 概論
XULCBAS0201 ACQUITY UPLC 理論操作コーステキス ト 1-18
★デュエルボ リ ュームが分析結果に及ぼす影響
★デュエルボ リ ューム補正の方法
a> デュエルボ リ ュームを比較
適な比較を行 う には、 使用する カ ラ ムボ リ ュームに対するデュエルボ リ ュームを換算し て比較する
b> 移管先のシステムでグラ ジエン ト のかかりが早いなら
グ ラ ジエン ト テーブルに イ ニシ ャルホール ド を追加し てホール ド 時間が同じ になる よ う に設定
c> 移管先のシステムでグラジエン ト のかかりが遅いなら
注入のタ イ ミ ングを遅らせる (ACQUITY UPLC カ リ キ ュ レータで補正可能)
既存の分析法⇒
Dwell Volume=0.9mL
Dwell Volume=0.35mL
より小さな Dwell Volume 装置へ移管
Dwell Volume=1.4mL
より大きな Dwell Volume 装置へ移管
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分析法移管
XULCBAS0201 ACQUITY UPLC 理論操作コーステキス ト 1-19
デュエルボ リ ューム : Dwell Volume 測定の推奨方法
1. カ ラ ムをはずす
2. 移動相 A にアセ ト ニ ト リ ル、移動相 B にアセ ト ニ ト リ ル with 0.05 mg/mL uracil を使用 ( 添加剤以外の混合および粘度の問題を排除する ため )
3. 254 nm でモニ ター
4. 移管元の分析法での流速および移管先で使用予定の流速を使用
5. 100% 移動相 A でベース ラ イ ンを 5 分間記録
6. 5.00 分の時点で 100%移動相 B に変更する よ う にプロ グ ラ ム し、 さ らに 5 分間記録
7. 100%移動相 A と 100%移動相 B の吸収の差を測定
8. 吸収の差が 50%にな る時間を測定
9. 移動相変更のステ ッ プ開始から 50%にな る までの時間を計算
10. 50%にな る までの移動相量 (9 で得られた時間×流速) をデュエルボ リ ューム とする
★中間点 (50%) の吸収を測定
★デュエルボ リ ュームの測定
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UPLC 概論
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3.4 カ ラ ムボ リ ュームに比例し て分析法を スケー リ ング
選択性が維持さ れる よ う にカ ラ ムボ リ ュームに比例し て既存分析法か ら目的の分析法にスケー リ ング し ます。 特に注意するポ イ ン ト についてご紹介し ます。
・ 移動相
まずは移管元 と全 く 同じ移動相を用いる移管後に評価を行い、 適化が必要な場合のみ変更する
・ サンプル
移管元 と全 く 同じサンプル、 同じ濃度を用いる
・ 注入量
カ ラ ムボ リ ュームに比例し てスケー リ ング
装置への推奨 小注入量は 0.5 – 1 µ L
計算値が注入量 と し て少なすぎ る場合には、 初期組成移動相で 5-10 倍に希釈
一般的には 2.1 x 50 mm カ ラ ムへの 大の注入量は 5 µ L
注入量のスケー リ ング
注入量はカ ラ ム容積の 5% 以下が推奨です。
1% 以下を目標と し て、 ク ロマ ト グ ラ フ ィ ー条件によ って よ り 多 く し たい場合には実験を行って決定し ます。 注入量が多すぎ る と、 過負荷によ り ピーク形状が悪化する可能性があ り ます。
<注入量のイ メ ージ>
・ 温度
温度は全ての ク ロマ ト グ ラ フ ィ ー メ カニズムに直接影響する ため、分析法移管に際し、温度は一定に保たなければな ら ない
プレ ヒーテ ィ ングが不可欠HPLC カ ラ ム (4.6 × 150mm) の場合、 溶媒ピークは約 1.5 分で検出UPLC カ ラ ム (2.1 × 50mm) の場合、 溶媒ピークは約 15 秒で検出UPLC カ ラ ムでは ヒ ーテ ィ ングの時間が短いためプレ ヒ ーテ ィ ングが不可欠です。
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分析法移管
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・ 流速
1.一定の線速度に対する カ ラ ム内径の二乗に比例し て流速を調整する(カ ラ ムボ リ ュームに比例し たスケー リ ング)
2.移管先のカ ラ ムで各グ ラ ジエン ト ステ ッ プで流れる溶媒量をカ ラ ムボ リ ュームに換算し た値が移管元と同じにな る よ う にグ ラ ジエン ト テーブルを調整する
3.小さい粒子径に合わせて流速 (線速度) を調整する(分析種の分子量を考慮する必要があ る)
移管後の分析条件は ACQUITY UPLC ® カ ラ ムカ リ キ ュ レータで計算でき ます。使用方法については 7-2 ページの 「ACQUITY UPLC カ ラ ムカ リ キ ュ レータ使用方法」を参照し て く だ さい。
★ ACQUITY UPLC ® カ ラ ムカ リ キ ュ レータ
HPLC ⇔ HPLCUPLC ⇔ HPLC
分析法移管前後のシステムに応じ て、 自動計算し ます。 また、 Waters 製ソ フ ト ウ ェ アでは計算結果の新分析条件をそのま ま ド ラ ッ グ&コ ピーでき ます。
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UPLC 概論
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3.5 移管後の分析結果の評価
移管後、 実際の ク ロマ ト グ ラ ムで移管前後の分析結果を確認し ます。
★ HPLC ⇔ HPLC の例
★ HPLC ⇔ UPLC の例
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分析法移管
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3.6 適化
必要に応じ て 適化し ます。 こ こ では一例をご紹介し ますが、 こ の限 り ではあ り ません。測定対象物質に応じ た 適化が必要ですので、 メ ソ ッ ド移管の許容範囲内で実際の ク ロマト グ ラ ムを比較し ながらの試行錯誤が必要です。
・ 保持を大き く し たい場合
強溶媒 (逆相の場合は有機溶媒) の比率を下げる
長いカ ラ ムを使用する
選択性の異なる カ ラ ムを使用する
・ よ り 高分離を期待する場合
グ ラ ジェ ン ト テーブルを工夫する (勾配を緩やかにする等)
長いカ ラ ムを使用する
選択性の異なる カ ラ ムを使用する
・ よ り 短時間分析を期待する場合
流速を上げる (カ ラ ム耐圧範囲内で)
カ ラ ム長さ を短 く する
グ ラ ジェ ン ト テーブルを工夫する
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UPLC 概論
XULCBAS0201 ACQUITY UPLC 理論操作コーステキス ト 1-24
4.ACQUITY UPLC パーテ ィ クルテ ク ノ ロ ジーUPLC パーテ ィ クルの製造は、 小さ なパーテ ィ クルの合成 と い う だけではあ り ません。UPLC の作動圧力 ( 例 :15000psi/1000bar) に耐え う る機械的強度および構造的な一貫性が必要です。
2μm 以下のパーテ ィ クルのカ ラ ム効率向上を実現するには、 高い線速度 ( 例えば、 高流量 ) で常に動作でき る性能が必要です。 2μm 以下と い う パーテ ィ クルの小さ さ と、高い線速度によ り 、 背圧も高 く な り ます。 そ こ で、 高効率で圧力耐性も備えた 3 つのUPLC パーテ ィ クルを作成し ま し た。
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ACQUITY UPLC パーテ ィ クルテ ク ノ ロ ジー
XULCBAS0201 ACQUITY UPLC 理論操作コーステキス ト 1-25
4.1 BEH [ エチレ ン架橋型ハイブ リ ッ ド ] カ ラ ム
幅広い用途の分析法開発に適合する カ ラ ムです。
・ 幅広い種類の化合物に
・ バッ フ ァ を使用する移動相の場合特に
・ 高 pH 耐性が も重要な場合に
比類ないレベルのカ ラ ム効率、 ピーク形状、 耐久性を実現し、 幅広い移動相 pH、 カ ラム温度、 圧力範囲で頑健な分析法を開発可能なカ ラ ムです。
HPLC ⇔ UPLC プラ ッ ト フ ォーム間でのシーム レ スな分析法移管が可能です。
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UPLC 概論
XULCBAS0201 ACQUITY UPLC 理論操作コーステキス ト 1-26
★ BEH カ ラム : 逆相ケ ミ ス ト リ
・ BEH C18
ト リ フ ァ ン ク シ ョ ナル結合 C18pH range: 1 – 12; Temp. limit: 80°Cバッ フ ァ移動相における卓越し たピーク形状と カ ラ ム効率
・ BEH C8
ト リ フ ァ ン ク シ ョ ナル結合 C8pH range: 1 – 12; Temp. limit: 60°CC18 に比べて疎水性が低い
・ BEH Shield RP18
モ ノ フ ァ ン ク シ ョ ナル結合 極性基内包型 [pH 2 – 11]pH range: 2 – 11; Temp. limit: 50°C直鎖アルキル鎖カ ラ ム と異な る選択性
・ BEH Phenyl
ト リ フ ァ ン ク シ ョ ナル結合 C6-PhenylpH range: 1 – 12; Temp. limit: 80°C芳香環を含む化合物に対し て直鎖アルキル鎖カ ラ ム と相補的な選択性
★ BEH カ ラム : HILIC ケ ミ ス ト リ
・ BEH HILIC
非修飾エチレ ン架橋型ハイブ リ ッ ドpH range: 1 – 9; Temp. limit: 45°C極性塩基性分析種の卓越し たピーク形状と保持
・ BEH Amide
HILIC 分離の異な る選択性pH range: 2 – 11; Temp. limit: 90°C極性酸性、 中性、 塩基性化合物保持のためにデザイ ン糖類や糖鎖分析に 適なカ ラ ム
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ACQUITY UPLC パーテ ィ クルテ ク ノ ロ ジー
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4.2 HSS [ ハイ ス ト レ ング スシ リ カ ] カ ラ ム
UPLC のために保証された唯一の 100% シ リ カパーテ ィ クルです。
UPLC 圧力下で も安定に使用でき る機械的耐性に向けて開発されま し た。
3.5 および 5 µ m HSS HPLC パーテ ィ クルは HPLC ⇔ UPLC プラ ッ ト フ ォーム間でシーム レ スな分析法移管のためにデザイ ン されています。
お客様のご要望によ り 開発されま し た。
★ HSS カ ラムケ ミ ス ト リ
・ HSS T3
低官能基密度、 ト リ フ ァ ン ク シ ョ ナル結合 C18 [pH 2 – 8]pH range: 2 – 8; Temp. limit: 45°C水系移動相で も安定し た保持で耐久性の高い C18 ケ ミ ス ト リ逆相 LC での極性化合物保持に向けた推奨カ ラ ム。 極性~疎水性化合物の迅速一斉分析に も 適。
・ HSS C18
高官能基密度、 ト リ フ ァ ン ク シ ョ ナル結合 C18 [pH 1 – 8]pH range: 1 – 8; Temp. limit: 45°C汎用、 高性能 C18シ リ カベースC18の選択性を希望されるお客様のためにデザイ ン。独自のエン ド キ ャ ッピング技術によ り 酸性移動相条件下での卓越し たピーク形状と化学的耐久性を提供。
・ HSS C18 SB [Selectivity for Bases]
低官能基密度、 ト リ フ ァ ン ク シ ョ ナル結合 C18 [pH 2 – 8]pH range: 2 – 8; Temp. limit: 45°Cシ ラ ノ ール と の相互作用に よ る 異な る 選択性のためにデザ イ ン さ れた ノ ン エ ン ドキ ャ ッ プ C18
・ HSS PFP
下記化合物の分離選択性向上 :疎水性塩基性化合物高極性化合物ハロゲン化合物、 異性体、 芳香族化合物塩基性および芳香族化合物の保持向上と卓越し たピーク形状
・ HSS CN
疎水性化合物の保持は弱め (vs. C18s) 順相分析に も対応水系比率の高い移動相で も使用可能CN 結合相 と し て酸性移動相条件下で非常に安定
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UPLC 概論
XULCBAS0201 ACQUITY UPLC 理論操作コーステキス ト 1-28
4.3 CSH [Charged Surface Hybrid] カ ラ ム
・ 塩基性化合物の卓越し たピーク形状 と ローデ ィ ングキ ャパシテ ィ
・ バッ フ ァ を使用し た移動相に もバッ フ ァ を使用し ない低イオン強度の移動相に も どちらに も 適
・ 移動相 pH 変更時の迅速なカ ラ ム平衡化
HPLC ⇔ UPLC プラ ッ ト フ ォーム間でのシーム レ スな分析法移管が可能です。
★ CSH カ ラムケ ミ ス ト リ
・ CSH C18
中 / 高官能基密度 ト リ フ ァ ン ク シ ョ ナル結合 C18pH range: 1 – 11; Temp. limit: 80°Cバッ フ ァおよび低イオン強度移動相中での卓越し たピーク形状 と カ ラ ム効率塩基性化合物の保持は弱め (vs. BEH C18)
・ CSH Fluoro-Phenyl
ノ ンエン ド キ ャ ッ ピ ング ト リ フ ァ ン ク シ ョ ナル結合ペン タ フルオロ フ ェニル (PFP)pH range: 1 – 8; Temp. limit: 60°C塩基性化合物の卓越し たピーク形状 と弱めの保持、 独自の選択性業界 高レベルの再現性
・ CSH Phenyl-Hexyl
ト リ フ ァ ン ク シ ョ ナル結合フ ェニルヘキシルpH range: 1 – 11; Temp. limit: 80°C塩基性化合物の卓越し たピーク形状芳香環を含む化合物に対し て直鎖アルキル鎖カ ラ ム と相補的な選択性
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ACQUITY UPLC パーテ ィ クルテ ク ノ ロ ジー
XULCBAS0201 ACQUITY UPLC 理論操作コーステキス ト 1-29