タンザニアの疎開林に棲息する ブッシュハイラックスの単独オスの日周行動パターン 飯田恵理子、中村美知夫、伊谷原一 (京都大学野生動物研究センター) email:[email protected] 序論 目的 単独生活と群れ生活の日周行動に違いはあるか? < 巣穴の出入り口での行動を明らかにする> 背景 ・日周は採食・移動は観察されなかった ・日周は巣穴の出入り口付近で多くの時間を過ごす ・日光浴が生命維持には重要 (Sale 1970; Brown& Downs 2006) まとめ 単独個体は群れのオトナ個体よりも外に出ている割合が多い →周囲を警戒しているのではないか? *群れは1匹でも外に出ていれば、巣穴の外にいるとした 謝辞 本研究は日本学術振興会ITP-HOPEの援助を受けて実施されました 結論 ・単独個体が外にいる時間が多いのは、 日光浴のためだけ に出ているのではないから →周囲を警戒をしているのでは? ・群れよりも多く外に出ている(①) ・日なたで過ごす時間の割合が少ない (①) ・気温の低い明け方に日なたにいない (②) ・単独個体は外に出ている割合が多い (③) 調査対象・方法 調査対象 ブッシュハイラックス (Heterohyrax brucei) ・近縁種はゾウ目とカイギュウ目 ・原始的な形態を保持した哺乳類で、体温調節が苦手 ・自然にある岩場に棲み、体温を調節(Brown 2003) ・日中の生命維持に日光浴が不可欠である(Brown& Downs 2006) ・特に早朝は積極的に日光浴をする(Taylor & Sale 1969; Sale 1970; Brown 2003) ・1匹のαオスを中心とした家族が集まって群れを構成 群れにおいて、巣穴の外では見張り役がいる(Sale 1970; Brown& Downs 2006) ・家族を持てなかったオスは単独で生活をする 方法 ・場所:タンザニア共和国ウガラ森林保護区 ・観察期間:単独オス2010年7月24日~7月31日、 群れ7月30日~8月11日 (総計時間 55.62h, 48.4h) ・観察方法:30-50 m離れた見晴らしのよい観察ポイント から日中8:00-18:00に5分の間隔のスキャンサンプリング で活動パターンを記録した 結果・考察 ① 日周を過ごす場所 ② 日なたにいる時間帯 単独→仲間がいない分周囲を警戒しなければならないのでは? 見張りをしていると仮定すると、 少なくとも1頭が巣穴の外に出ていれば良い ③ 少なくとも1頭が巣穴の外に出ている割合 単独個体は早朝、日なたにいない →日光浴のためだけに出ているとは考えにくい ・単独個体はより多く外に出ている ・単独個体の外にいる割合に占める日なたの割合が少ない 単独オス 群れ なぜなら 1 m 1 m