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Etsujir6 Yalima, Tδru Miyazaki, Takuo It6 and Masaaki Ma of FeW-Co Pr㏄ipitati㎝Hardening Stee1. The present work deals w aging for Fe-W-Co alloys containing additional elenlents, Cr and V。 The results obtained are as follows: (1)The super-saturated solid solutions of the alloys were deco皿po and W-poor zones in the early stages of aging. Age-hardening of the a structural modulation. The W-rich zone transforms to a meta二stable i tinuously and fina皿y to a stable pr㏄ipitate,(:FeOo)7W6. In the W-poor z6 or Fe3Co may be formed, and the superlattice gives some influence on th (2)The wave length and the amplitude of the modulated structure slowly. The fact that the softening rate of the alloys during over-aging the sman growth rate of the’modulated structure. The activation energy for the growth of the wave length in the m equal to an energy for volume diffusion of W atoms in alpha iron. There growth of the modulated structure is controlled by the diffusion rate o (Received Novenlbe1 14,1970、 1.緒 著者らは先にCを主要元素としない,Fe-W-Co系を基 とした析出硬化型高速度鋼の研究《1》ωを行なった.それに よるとこの高速度鋼は焼入れたままの硬さは低くてHRC 35~40程度で,焼入れ後加工が可能でしかもこれを焼もど すと時効硬化が著しく,最高HRC 67という高い硬さを示 す,すぐれた高速度鋼であることが示された.しかしこの 合金の時効硬化の要因としては,K6ster(3)の研究を基とし たθ相(C6WとFe3W 2の固溶体)の微細析出では説明でき ない点が少なくない.たとえば硬化に際して500。C程度の これらの合金としてはかなり低い時効温度においてさえ潜 伏期間が見られない.またこの合金の初期の硬化速度が合 金元素の普通の拡散による下生成一生長機構では説明し難 いことなどから,この合金の時効の初期段階は,核発生の 活性化エネルギーを必要としない基質のスピノーダル分解 によるものと考えた方が妥当であることを推測ωした. しかして時効硬化の要因としてスピノーダル分解を考え る時,これを実験的に確かめることは非常に難しい.特に 本系合金のような実用多元系合金においては平衡状態図も 明確でなく,したがって状態図上でのスピノーダル曲線を 予想して理論的な取り扱いをすることは不可能である.そ こで著者らは本系合金の強化の主役をなす時効硬化要因を 明らかにする目的で,初めに本系合金の硬化挙動を詳細に 追跡し,さらにその時効過程をX線回折,透過電顕観察の 結果から検討したので,その結果を報告する. 皿・実験試料および実験方法 試料は高周波真空溶解炉で溶製した9kgの小型鋼塊を 鍛造圧延して,15×5mmの断面を有する帯状の板にした ものを基にした.試料の化学分析値をTable 1に示す.試 料のうち合金A,A’はCo量の多い組成で, C含有量のや や高い組成の場合は,溶体化したままのものを加熱時効し ても硬化し難いことのある組成のものである.合金B,B’ はCo量の少ない組成で,これは溶体化したものを加熱時 効すると,つねに硬化する組成である.合金C,C’は初め Cr, Vを除いたFe-W-Co系合金を目標にして作ったが, 脆くて鍛造して所要の形の試料を得ることができなかった Table l Chemiαオ。㎝position of s㏄c (wt%〉 鵠8γcsiMnP sl Cr W Co V **名古屋工業大学(Nagoya Institute of Technology, Nagoya) *** 博ョ会社豊田中央研究所(Toyota.Central Research and Development Laboratories I:ncorporation, Nagoya) ****名古屋大学大学院(Graduate Schoo1, Nagoya Uni- versity, Nagoya) A 0.050.190.03 0.01010.0101435 16.22 27.84 1.95 A’ 0,012 0.020.020,005 0,009 3.98 16.07 27.75 1.86 B 0.050.180.030,010 0,010 4.09 15.98 24.40 2.56 B’ 0,007 0.020.020,005 0,009 4.03 16.07 24.23 2.56 C 0,006 0.020.020,005 0,007 0.25 16.01 23.94 2.51 C’ 0.01 15.60 23.03 2.16 *1966年10月本会尼崎大会,および1968年4月本会 東京大会に発表 (1)矢島,古沢,浅田,小林:鉄と鋼,49(1963),564. (2)矢島,古沢,小林=鉄と鋼,51(1965),2087. (3)W.K6ster und W.Tonn:Arch.Eisenh萱 32),431;W.K6ster:Arch.Eisenh丘tち6(1 (4)本会第59回大会(1966)講演概要,P.53.
8

鵠8γcsiMnP - jstage.jst.go.jp

Mar 17, 2022

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 Etsujir6 Yalima, Tδru Miyazaki, Takuo It6 and Masaaki Matsui:On Age-Hardening

of FeW-Co Pr㏄ipitati㎝Hardening Stee1. The present work deals with structural change during

aging for Fe-W-Co alloys containing additional elenlents, Cr and V。

  The results obtained are as follows:

  (1)The super-saturated solid solutions of the alloys were deco皿posed into two phases;W-rich

and W-poor zones in the early stages of aging. Age-hardening of the alloys is mainly due to this

structural modulation. The W-rich zone transforms to a meta二stable intermetallicア6’η’一phase con-

tinuously and fina皿y to a stable pr㏄ipitate,(:FeOo)7W6. In the W-poor z6ne the superlattice of FeCo

or Fe3Co may be formed, and the superlattice gives some influence on the age-harde:ning.

  (2)The wave length and the amplitude of the modulated structure during aging increase very

slowly. The fact that the softening rate of the alloys during over-aging is very small may be due to

the sman growth rate of the’modulated structure.

  The activation energy for the growth of the wave length in the modulated structure is nearly

equal to an energy for volume diffusion of W atoms in alpha iron. Therefore, this suggests that the

growth of the modulated structure is controlled by the diffusion rate of W atoms.

                 (Received Novenlbe1 14,1970、

1.緒 言

 著者らは先にCを主要元素としない,Fe-W-Co系を基

とした析出硬化型高速度鋼の研究《1》ωを行なった.それに

よるとこの高速度鋼は焼入れたままの硬さは低くてHRC

35~40程度で,焼入れ後加工が可能でしかもこれを焼もど

すと時効硬化が著しく,最高HRC 67という高い硬さを示

す,すぐれた高速度鋼であることが示された.しかしこの

合金の時効硬化の要因としては,K6ster(3)の研究を基とし

たθ相(C6WとFe3W 2の固溶体)の微細析出では説明でき

ない点が少なくない.たとえば硬化に際して500。C程度の

これらの合金としてはかなり低い時効温度においてさえ潜

伏期間が見られない.またこの合金の初期の硬化速度が合

金元素の普通の拡散による下生成一生長機構では説明し難

いことなどから,この合金の時効の初期段階は,核発生の

活性化エネルギーを必要としない基質のスピノーダル分解

によるものと考えた方が妥当であることを推測ωした.

 しかして時効硬化の要因としてスピノーダル分解を考え

る時,これを実験的に確かめることは非常に難しい.特に

本系合金のような実用多元系合金においては平衡状態図も

明確でなく,したがって状態図上でのスピノーダル曲線を

予想して理論的な取り扱いをすることは不可能である.そ

こで著者らは本系合金の強化の主役をなす時効硬化要因を

明らかにする目的で,初めに本系合金の硬化挙動を詳細に

追跡し,さらにその時効過程をX線回折,透過電顕観察の

結果から検討したので,その結果を報告する.

皿・実験試料および実験方法

 試料は高周波真空溶解炉で溶製した9kgの小型鋼塊を

鍛造圧延して,15×5mmの断面を有する帯状の板にした

ものを基にした.試料の化学分析値をTable 1に示す.試

料のうち合金A,A’はCo量の多い組成で, C含有量のや

や高い組成の場合は,溶体化したままのものを加熱時効し

ても硬化し難いことのある組成のものである.合金B,B’

はCo量の少ない組成で,これは溶体化したものを加熱時

効すると,つねに硬化する組成である.合金C,C’は初め

Cr, Vを除いたFe-W-Co系合金を目標にして作ったが,

脆くて鍛造して所要の形の試料を得ることができなかった

  Table l Chemiαオ。㎝position of s㏄cimens

       (wt%〉

鵠8γcsiMnP sl  Cr W  Co V

**名古屋工業大学(Nagoya Institute of Technology,

   Nagoya)*** 博ョ会社豊田中央研究所(Toyota.Central Research   and Development Laboratories I:ncorporation,

   Nagoya)****名古屋大学大学院(Graduate Schoo1, Nagoya Uni-

   versity, Nagoya)

A 0.05 0.19 0.030.01010.0101435

16.22 27.84 1.95

A’ 0,012 0.02 0.02 0,005 0,009 3.98 16.07 27.75 1.86

B 0.05 0.18 0.03 0,010 0,010 4.09 15.98 24.40 2.56

B’ 0,007 0.02 0.02 0,005 0,009 4.03 16.07 24.23 2.56

C 0,006 0.02 0.02 0,005 0,007 0.25 16.01 23.94 2.51

C’ 0.01一 一 一 一 一

15.60 23.03 2.16

*1966年10月本会尼崎大会,および1968年4月本会  東京大会に発表(1)矢島,古沢,浅田,小林:鉄と鋼,49(1963),564.

(2)矢島,古沢,小林=鉄と鋼,51(1965),2087.

(3)W.K6ster und W.Tonn:Arch.Eisenh萱tL,5(1931/

  32),431;W.K6ster:Arch.Eisenh丘tち6(1932),17.

(4)本会第59回大会(1966)講演概要,P.53.

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332 日 本 金 属 学会 誌 (197ユ〉 第 35巻

ので」これを防ぐため止むを得ず.Vのみを添加した組成の

ものである.各実験に必要な試料は前記の帯状の板から必

要の寸法に切り出し,しずれも900Cx珍hτ加熱後5σC/

比で冷却の焼鈍処理を施して実験に供した

 溶体化処理は特別の場合を除いて,すべて90㌍Cx2

皿血予熱後塩浴炉にて1270CxgO. secまたはユ325eCx90

sec加熱後油冷を行なった.時効処理は真空藤状電気炉あ

るいは塩浴炉を用い,所要時閥時効加工後水冷した.硬度

測定は戸ノクウェル硬度計にてHRCスケールを採用した.

X線回折はディフラクトメーターおよびデバイ・カメラを

用い,;斌陰極としてはFeおよびCoを用いた.ま九析出

物の同定には.15%H3PO4液で電解分離して得られた残査

にづいて,X線回折を行なって求めた。透過電顕用薄膜作

製にはH3PO4-CrO3溶液によりBo血職1n法によった,

∬1.実験結果ならびに考察

Fe-W-Co 3元系乎衡状態図の研究は比較的少なく, Fig.

1はK〔騰r<3,によるもので(a>図は20。および13◎0℃の等

温図,(b)図はW15劣における切断状態図である Kostef

はこの系の合金の時効硬化な,CoW-FeBW2固溶体の溶解

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  〔負) 20QC a1}d  1300  C is(>ther1エlaユ section of

   Fe-Co-W則uilibriu斑d嬉am

度変化による析出硬化に墓つくとしてしる.本研究の合金

はさらにCr, Vその他の成分を含んでいるが,これらは特

別の相としては現われない.

 L 溶体化処理

 溶体化処理温度1としては1270。と13250Cを、用いたが,

これらの温度は衝出のK(蹴erのFe-W-C⑪3元三状態図か

ら推定すると,いすれもγ単相.領域に属する.このことは

熱膨張測定および磁気分析力ら、窪→7変態が各試料共に

705~940¢Cて起こることからも了承される.この溶体化

処理を行なった試料をX線解析を行なう』た結果,基質は

配‘構造の過飽和相(ゴ相)で,試料のうち合金Aは溶体化

処理温度が高くなるにつれて7相が次第枚安定になり,

1200QC以上力らの溶体化処理では大部分のア柑が残留し

て硬度が著しく低下し,この溶体化処理したままの試料を

時効.しても硬化しない..これに対して合金BおよびC’で

は蔭体化後の組織にはほとんどア相.の回折線は靭められ

ず,かっこれらの合金は溶体化後時効処理によって著しく

硬化する.しえカって㌧れっ合金の時効硬化は肱6のゴ相

内の構造変化に基づくものであること.がわかる.

 2.時効硬化曲線

 聾g.2,3は合金BあよびC’を種々の温度て時’暮した時

の硬化曲線,またFig.4は合金A’, BおよびC’を650 C

の一定温度で,104面nまでの過時効を行なった場合の硬

度変化を比較して示したものである.ホ系合金の時効硬化

は図に見るように初期硬化が急速に起こわ,C虻を合金し

た試料では650。C時効の場合2~4坦ihて最大硬度に達

し、その蜜はむしろ過時効軟化が起こる..この場合時効硬

化のいわゆる潜伏期は存在していないし.また過時.効によ

る軟化はF奄.4の10エn鉛の時効に見るように,きわめて

.緩やかである..

 以上の諸煮力:本系合金の時効硬化過程の特微として挙げ

られる.一方合金元素の影.響としてはF嬉.4に見るよう

’6:00

§,400、

§1200.

匙ωσo§

」  800.

 600   80  70   60   50  40   50  20   ’ρ.  O

           Cρ ∫んノ

(b)S㏄tio且paτaneユto Fe-C◎side.with 15駕W

Fig.1 Phase{茸a琶闘of the鵬随Fe一σo-Wく3}

鴫」ヨ_L「 ム

lL4,ダ   .@ .  」 }ゾ乙÷γ

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       陶’噂  た血8 伽’ηノ

Fi藍.2  1s◎therエnal ag圭職g curve写of Rodζwe11-C

   hardne零s fbr alloy B que筑ched from.

   1270。C

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ミ 50皐

40

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判     x 55000 △ 600℃

 ■ 625℃

 ロ650℃ ・700℃    、

   0   0’  ”0  ’00  1000 ’0000

       49’ρ9  τ’π夢e   rπηρノ

Fig.3 1sothermal agi:ng curves of Rockwe11-C

   hardness for alloy C, quenched from

   1270。C

70

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9 50

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        49’π9  ア’ρ71e   rπMρ)

Fig.4 Variation of hardness during isotherm.al aging

   at 650◎C after quenching from 1325。C

に,Coの合金量が多くなると硬化の速度も最高の時効硬

さも上昇するのが見られ,この点は前の実験結果ω(2)でも

示されている.またCrの添加は本系合金の焼入性改善の

効果を期待したものであるが,図に見るようにCrは時効

硬化を著しく促進(Fig・4の合金BとC’の比較)するのが見

られる.

 一方合金Aは前述せるように溶体化処理温度が高くなる

につれてγ相が安定になり,1200。C以上からの溶体化処

理では大部分のγ相が残留して硬度が著しく低下し(HRC

硬度で7~15),この溶体化処理したままのものは時効加熱

しても硬化しない.しかしこれに50%の冷間加工を施し

たものは,X線回折からほとんど全部がγ→α’の変態が進

行したことが示され,この加工を施したものを時効すると

著しく硬化する.:Fig.5は合金Aを1270。cで溶体化した

場合で,図に見るように溶体化処理したままではこれを時

効してもほとんど硬化しないが,これに50%の冷間加工を

施したものは著しく時効によって硬化し,その硬化の速度

はFig.2および3の場合に比べてむしろ加速されている.

 次に本系合金の時効において一種の復元現象のあること

はすでに指摘㈲しておいたが,この点について実験を行な

った結果をFig.6に示す.すなわち合金Bの小試片(5 x 10

化の関係を示したものである.図に見るように時効硬化し

たものをより高い温度に短時間加熱すると,軟化の現象が

601

50

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耀。℃・go・θ・・ετ グ狭・.

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     ,49’η9 τθ∫77ρθfσ九1rθ   r角r 1ゐr/

Fig.5 Variation of hardness during agi:ng at

   various temperature for alloy A

65

60

§

§55皐

50

600℃■35〃7’η一●,650℃

  \ノ    !!  550『じ濯20〃〃η一→レ65000

   /}    1  ,’  /     500℃潔4ヵr一一レ55000

  ノこ)二==1沼 一一

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       ノ\\1@/ 1 /.、、 1/ レ/

\▽スぐ一       ノ   \歪00℃融一レ625℃

    500℃π4々r→600℃

  ハ〃0/8  900℃」ご20π~m  虐70℃疋905θら。〃9〃θ励θ4.   r〃σrdρθ55 紡~0432ノ

   0      ’     2      3

    κ016’ρ9  】r’mε  σナ  ∫『θレθr5’0ρ

    ハ鱒ρθrσナ〃rθ r側ηノ

Fig.6 Relation betwee:n hardness and

   heating time i:n case of various

   reverSion treatment

Page 4: 鵠8γcsiMnP - jstage.jst.go.jp

334 日  本 金 属 学 会 誌  (1971) .第35巻

見られる.この場合の硬さの低下は初期時効の温度の低い

ぼど,また初期時効温度と復元.処理温度との温度差の大き

いぼど多くなっている.これはA1-Cu合金の復元の場合

と同じく,初期寿効のあまり進行しない場合の方が,復元.

量力多くなつ.ていることを示して、る.

 5。.過時効.段階における析出物

 Table 2はCfを含まない合金Cfを650。C×50 hrの過

時効処理して,その試料の電解抽出残渣のX線回折の結果

から,FeとWとCoの租互の間の金属間化合物の格子間.

隔4(A>を比較したものである.この表から明らかのよう

に斗出残澄はFe7W6とC67W6力量まぼ一教している.それ

に珍PMAて元素分布をしらべた結果およびこれら化合物

め結晶構造(He漁9・圃まえはRh。皿b6h田r証)から,過時効

による析出物はFe7騨6と◎}7W6とが固溶して爾e・α)}7W6

の形て析幽するものと考託られる.この(Fe・CoルW6の安

定析出物は完全焼鈍試料のX線回折によっても確忍され,

また礎で電示すが電子回折像にようても六方晶の析出物

  Tab1〈…2 1dentlficatioエ10f electrica1ユy extr勘ct鉾

      phase with hi憾planer distanoe.d(A>      of alloy aged. at 6500C 岱Gr 500}1r

が認められ,(Fe・Cb)7W6と一致す.る.以上の結果から

Koster(3}による”相と本研究の過時効析出物は同じもの

で,この系の合金の最終安定析出物は(Fe・Co>IW6とした.

 4.時.効初期段階における析出

 Fig.7およひ8は合金C’をユ3妬匂Cで溶体化後油冷した

ものを時効した時の基質の(110)面に着目して,析出挙動

変化をX線回折によって追求し丸ものである.変化を明ら

かにするために,時効温度としてはやや高い65σ℃を用い

た,これらの図に見られるように時効の進むに従って基質

のく110)面が低角側で隆起し始め(F培7〈励,やや過時効の

1hr〈F塘.4参照)てはFig.8(a)に見るように,6=2.20の

新しい相のピータが明らかに認められるようになる.さら

に16hr時効していま少し広い範囲で撮ったの淋Fi昏8(b)

で,これよりこのピークはくFe・CoルW6によるものではな

く,詳い構造は不明であるが玩孟構造を持った相の

(110)面のピークであるこ.とヵわかる.樋omb◎genl(5}はFe-

W2元合金においてFe7W6の析出の叩網階に, Wの固溶

体η’相(配のが析出するこξを報告している.が,本研究の

悪銀酬 phase

ColnpoundS

・・調i・・,W,鰯・C。・W

2。367($)*

P灘/2033〈w)

i,2・80(80)**.

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.‘.σ’ .”02r’胃

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F触.8(a)X-ray diffrae亡ion pro茸le of a11σアαage哩at 65σCfdr l hr

(b>X一エay(鉦ffra(覚ion peaks of the twoみこのhases, whlch aエe凱段t甑and W≒ri£h phase,αf

  aUσy C’段ged at 6500C fbr 16 hr

(5)E.Hornlb◎ge皿=Z.Meta111勤52(1961),47.

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相は,最終的には安定な:(Fe・Co)17W 6のθ相に変わる性質

を持った準安定相であり,θ相の析出の核となるものと考

える.そしてこのように初期時効のやや進んだ段階におい

てう謡構造のη’相が形成されることは,これを含む基質が

加。である点からして,準安定状態図的に見た場合に(α+

η’)のmiscibility gapがこのFe-W-Co-Cr-Vの多元系状態

図中に存在することが推測される.そしてこのような

miscibility gaPの存在は,時効の初期段階にスピノーダル

分解の可能性を示すものであり,前に示した本系合金の時

効硬化の特徴的な挙動および後に示す透過電顕組織から,

本系合金の時効の初期過程はスピノーダル分解を経過する

ものと推測される.なおこれを支持するとも考えられる実

験結果の一つとして,時効初期においてX線回折でサイド

バンドが得られたが,これについての詳細は別に報告する

予定である.

 5.透過電顕組織の観察

 Photo.1は合金。’の溶体化処理したままの試料の透過

電顕組織とその電子回折像である.基質は過飽和固溶体

(α’相)の組織であり,電子回折像はこれに見るように基質

のみの反射が見られ,入射面は{110}である.P血oto.2は

やや低温の500。Cに100 hr時効した時の(110)X線回折像

うな状態の電顕写真はすぐ後で示す.なおPhoto.2の2θ

=46・5。付近の小さなピークはKβ線によるものである.

 Ph、oto.3は650。C x 256 hr時効した時の組織と電子回折

縁である.すでに過時効によって軟化の段階に入った状態

であるが,小板状の微細析出物が認められる.Photo。3(b)

はこの組織の電子回折像で,(c)はそのスポットの解析結

果である.基質のゐ66のスポットと,W-richのη,相と,

それに.(Fe・Co)7W6のスポットが見られる. Photo.4は合

金Bの最高硬度(HRc=62.5, Fig.2参考)付近の600。C×30

min時効における組織であり,その周期的な分解の様相が

明らかに見られ,その周期はおよそ110~160Aである.

そしてこの組織はスピノーダル分解を経てW-richのη’相

がすでに生成の段階に入った場合で,W-richの相と一poor

の相が周期的に変化している構造と考えられる.このよう

な微細な周期的濃度変化は格子変調を伴い,転位の運動を

妨げる本系合金の強化の主要因子と考えられる.Cahn《6》

はスピノーダル分解の際の濃度のゆらぎは<100>方向で

あることを示したが,本系合金についてはゆらぎの方向は

検討しなかった.このような周期を持った構造はX線回折

においてサイド・バンド出現の原因となることが考えら

れ,これについてはDallie1およびLipso:nσ)のモデルで周

Photo.1

II両醐づ陶生一A

〃σ〃1κ

秩V0ノ

」一《7嘲り

rcノ 害

   δ92

   聖

   2ξ2

〃Oo

oηO

o

2200

 〃2

 0 002 0

〃2

0

2220

Transmission electron mi(fograph and electron diffraction pattern of oil quenched alloy C’

                   期との関係が求められる.本研究において時効の初期段階

                   で(110)面に着目して,合金A’を600。Cx8min時効(こ

                   の合金の最高硬度でHRC=66.4)した時の基質の(110)面の

                   X線回折を溶体化処理したままのものと比較した.その結

                   果時効したものの基質の両面がかなりdiffuseし,主回折

                   線に関して非対称のサイド・バンドが存在すると考えられ

                   る結果が得られ,その周期をDanie1らのモデルから計算                                             すると約150Aとなり,電顕組織から得られた値とほぼ一

                   致した.

    45      510      55

Photo.2 X-ray diffraction profile of alloy

    C’aged at 500◎C for 100 hr

(6)J.W.Cahn:Acta Met,10(1962),179・

(7)V.Daniel and H.Lipson:Pr㏄・Roy・Soc・, A 181

  (1943),368;A182(1944),378.

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懲、遍ηr・譜  402X    ● 0022

oμσナ”κ x侮,Co/7膨6・β5¢ゐzoηρ

Photo.3 Transmission electron micrOgraph and electro:n diffraction pattern of alloy C’aged at 650。C for 256 hr

Photo.4 Transmission electron micrograph of alloy

    Baged at 600◎C for 30min

 一方スピノーーダル分解によるW-poor zoneの生成は,

いいかえるとCo-rich zoneの存在となり,ここにFeCoを

基にしてこれにFeが固溶したα相の規則化,あるいは横

山(8)またはElliott(9)の状態図で提唱されているFe3Co型規

則格子の生成が考えられる.これについてX線的に追求し

たがその禁制反射の存在は確認されなかった.この理由は

本系合金においては規則格子の規則度や量:的の問題の他

に,さらに両原子のX線散乱能か・と鳥の差が著しく小

さいことなどによる.このように規則格子の存在について

の直接的な裏付けは得られなかったが,しかし次に述べる

実験結果からこれを推論した.:Fig・9の合金C’の熱膨張曲

線において,加熱曲線上400。C付近からわずかな膨張が認

められるようになる.これはK6ster(3)によるFe-W-Co 3

元系合金でも報告されているが,K6sterはこれを残留オーー

ステナイト(γ一相)の分解による膨張であるとしている.し

かし本実験ではX線回折の結果,この場合の溶体化処理の

状態ではγ相の回折線はまったく認められず,したがって

溶体化処理では残留オーステナイトはほとんど存在しない

か,仮にあったとしても非常に少ないものと考えられ,こ

れらの理由から加熱曲線上の400◎C付近の膨張は,:K6ster

のいう残留オーステナイトの分解によるものとはいわれな

§

§

§

Q

  l i

S〃ρノ o’

@ κeσナθdσナ

@ COO’θd’ρナ加

5℃/」η’π

@ Aμmσ‘θ

普Bμ’400℃

@     ↓

625℃@ ↓

α一γナ脚5颪or〃7σナ’oρ

1

(8)横山:金属学会誌,20(1956),644,647,700;21  (1957),321,

(9)R.P.Elliott:Coπ3臨μ彦‘oπoヅBi駕ηノ膨。ヅ∫, First

  Supplement,319.

0    ’00  .200  300  400  500  600  7り0  800   900 ’000

       アeπ置ρθダσナμ’θ    rのC/

Fig.9 The dilatation curve of alloy C’as oil

   quenched from 1325。C

い.これに対して田中ら{10》のFe-Ni-Co合金に関する研究

や,一Fe-Co合金に関する横山(8)の結果と同様に,これは規

則化に伴う膨張と考えられる.また合金A’と合金Bを比

較すると,W, CrおよびV量は両合金ほぼ等しく, Co量

が約3・5%異なるだけであるが,Fig.4に示すように硬化

速度および最高硬さはCo量の多い合金A’の方ヵミ大きく,

α)量によるこの効果は前の実験結果ω(2)でも明らかに示

されている.このCo量の相違によるこの硬化挙動の差異

は,α)一rich zoneにおける規則格子の生成に、よって説明さ

れ,かつ本系合金を時効硬化したものは著しく硬化する反

面かなり脆くなるが,このような変調構造の固溶体の脆化

は,このCo-rich zoneの規則化領域の存在が原因するの

ではないかζも推察される.このような規則格子の生成に

ついては,Flor㏄nら(11)がFe-Ni-Mo-Coマレージング鋼

で指摘しているCoの添加による規則格子の生成,あるい

は田村働が同じ系統の合金で,規則格子生成傾向の強い

Coが固溶体中でFe2NiCoのような形に規則化され,規則

強化を起こして母相を強化するといわれていると述べてい

ることなどからも類推される.このように本系合金は時効

によってまずW-richとW-poor zoneの2相分離(spinαia1)

を起こし,このうちW-poor zon◎いいかえるとCo-rich

(10)田中,鈴木,小村:金属学会誌,31(1967),1016.

(11>S。Flor㏄n and R.F・Decker:ASM∫Trans・Quart,

  55(1962),518.

(12)田村:鉄鋼材料強度学,日刊工業新聞社版,(1969),

  P.149.

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 次にこの合金系の周期構造の成長について考察する.一・

般に析出物の成長速度については,次式によって論ぜられ

る(13).

    え%一λ♂=R(∫一云。)         (1)

    グここに2は周期溝造の周期,2。は周期構造が最初に形成さ

れた時の周期,らは周期がλoの時の時効時間,彦は時効時

間,.Rは常数である.そして伽は成長の速度に関する常

数であり,彿の大きい方が成長が遅いことを示す.普通の

析出物(板状とか球状の析出物)の場合には,その大きさを

λと仮定して,物=2~3といわれている.Hillert et a1・(13)

はCu-Ni-Fe合金の周期構造にこれを適用して,109λと

109云が直線関係にあることを用いて,甥=・4~5と算出し

た.またCarpenter(14)はAu-Pt合金において,スピノーダ

ル分解を起こす組成の60Au-40 Pt合金については㎜=

9.0,その両側の組成の40Au-60 Pt,80 Au-20 Pt合金につ

いては,それぞれ4・8と3.2の値を得ている.これらの値

はいずれも一般の析出物に対する値よりも大きく1周期構

造の成長はきわめて遅いことを示すものである.

 本系合金の合金C’について透過電顕組織よりその周期

を測定し,その時効時間に対して求めたものがFig.mで

ある.この直線の傾きより甥=6.6が得られる.これは前

述の周期構造のAu-PtおよびCu-Ni-Fe合金などと同程

度の値であり,本系合金においてもその周期構造の粗大化

はゆるやかであり,かなり長い期間安定した周期性を保つ

ことを示すものであり,本系合金において過時効軟化の遅

いことと関係しているものと思われる.

・ミ

§

rご

∬000

500

’oo

50

’∂

5

4〃oγご’1

             杢

^杢イ1

王一

!至 5’oρ800’θ5ρoρol’ρσ 施1胡366

   ,oo   ,0”02   ’05   104  ’05

         49’π9 η僧  白η1の ・

Fig.10 1sothermal wavelength growth for alloy C’

    quenched from 1325。C and aged at 650。C

,7。周期構造の成長の活性化エネルギー

Au-Pt合金の周期構造の成長の過程は,その活性化エネ

(13>M.Hillert, M.Cohen and B.L.Averbach:Acta  Meし,9(1961),536.

(14)R.W.Carpenter:Acta Met・,15(1967),1567.

 前述せるように本糸合金ではスピノーダル分解により形

成されたW-richの相とW-poorの相の微細な波長と振幅

を持った周期構造が転位の運動に対する抵抗となり,これ

が強化の主因となっていると考えられる.したがって時効

による硬さの変化はこれらの波長や振幅と関係していると

考え,硬度変化から求めた活性化エネルギーは硬化の活性

化エネルギーであり,これは周期構造の成長に関係するも

のであるとみることができる.よって田中ら(15)のマルエ

ーー Wング鋼の研究におけると同じように,Deckerによって

一定量の硬さの増加∠互に対する時間と温度の関係に対し

ては

    10詳=C+Qノ.RT           (2)

が得られる.ここにCは試料によって定まる常数である.

≠として最高の硬度に達するまでの時間を採り,109云と1/

Tの関係を求めると:Fig.11のようになりその直線の傾き

より活性化エネルギーを求めたQの値をTable 3に示す.

’.25

ノ.20

杢”5k

ミ〃。

此05

∴00

 4 8。∠乙

X

ロA〃oγ4’

ム4〃。ン8’

×4〃0ツ O

O4〃0ア C’

/xX

  ,oo  /0’  ノ02  ’03  /04       49’η9 η配θ  θη1ηノ

Fig.11 1sothermε江reaction time vs. recipr㏄al

    absolute temperature for specimens from

    the change of hardness

Table 3 Activation energy obtained from the

    change of a few properties with iso-

    thermal aginLg qf the specimens

Properties AlloyActivatio:n e:nergy

  (k(沿1/mo1)

Hardness

A’

B’

Coercive force

X-ray peε〔k of

 rich zone

C’

C’

Activation energy of diffusion

 of W inα一Fe by Gruzin

75.9

71.3

69.0

79.8

78.4

i 69.7

70.0

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338 日本金属学会誌(1971) 第35巻

 次に抗磁力と周期講造の関係については,Cu-Ni-Fe会

金に対するBieder憩an且ら{16}の研究.があるが,前述せるよ

うに本系合金においてWイich相とpoorの相の濃度の周

期的ゆらぎは格子間隔の変調を伴い,それが大きくなると

整合的なひずみが生じ,この整合ひずみによる大きな内部

応力場が磁壁移動の障害となり,抗磁力を大きくすると考

えられる.このようにして抗磁力は周期構造と密接に関係

しているとして,合金Eの抗磁力の時効時聞による変化よ

り,次のよ5に活性化エネルギーQの値を計算した.

 反応量Sに対してA鳶hen量qs typeの方程式が成立する

と仮定すると,Sは反応時聞‘,温度丁に対して

    S=∠しま曹8『Q!π『                (3)

の関係がある.ここにムは構造に俵存し,温度に依存し

ない常数である.したがってここで反応量εとして,抗磁

力の溶体化処理状態からの時効による最高値と,磁気的な

半量硬化量を採り,それぞれの対数と時効温度の逆数の関

係を求めると,その傾きは両者大体一致し,それから活性

化エネルギーQの値が得られる.その結果をTa1蜘3に付

記した.

 またX線回折において時効の進行に伴って前述したツ相

の回折線が認められたが,一般に析出物が時効によってX

線で明らかなピークとして出現するには,析出相の結晶性

が高くなり.かつ量的にもある程度まで多くなければなら

ない.本系合金の場合ηヂ相の回折線が認められた場合に

は,W-richのzoneがすでにり’相としての結晶学的な対

称性を備え、量的にもX線によって検出される縁どになっ

たことを意味する,したがって種々の温度で時効した時,

η’相の回折線が認められるまでの間の反応の量は.どの温

度においても同じであるとみることができる.すなわちこ

の場合も前述の②式を適用して,反応量Sとしてη’相の

ピークが認めちれるまでの反応量を採り洋をそれまでの

時効時間とすれば,ユ㎎fと1/Tの関係から直線関係が得

られ,その直線の傾きよりこの場合の活性化エネルギーQ

が得られる.合金C’についてこの揚合の括癌化エネルギ

(15)田中,漆原,鈴木,山本=本会第58回大会(1966)  講演概要,P.n6.(16)E、Biede㎜nn &nd E、 Kna1塾er:Z.Metaユ1k,.47  (]1956),289.

〈17).邦武:金属学会会報,3(1964),473.

一を求めた結果をTa國e 3に付記した.

 以上のようにして求めた活性化エネルギーQの値は,

Ta1加3に見るようにいずれも70~80 kca1/皿01であり,

この値は¢一Fe中でのWの拡散の活性化エネルギー70.O

kca1ノ皿01α7>にほぼ一致している.この.ことはW-hchの相

とpoorの相の周期構造の成長は, Wの拡散に依存するこ

とを示しているものと考えられる.

Iv,総 括

 Fe-W<沁系を基にした合金の時効における析出挙動に

ついて実験険討を行なった結果を総括して要約すると次の

よ5に..なる.

 (1)Fe-W-Co系基合金は時効の初期段階にスピノーダ

ル分解を起こし,W-r㎞の30巫eとW-poorのzoneとに.

分離する.この際形成される変調構造はおよそ70~100A

の波長で,この堅造はこ.の合金の時効による硬化に大きく

寄与していると考えられる。

 (2)W-richのzoneは時効の進行に伴って吾¢∫構造を

持ったW-f短hのが相を経て,次第に最終安定相の(Fe・Co)71醜へと移行する,

 (3)加熱膨張曲線上で400。C付近からの異常膨張は,(沁

の多くなったW-PQGr相においてFeCoを主体とした規則

格子またはFe3(沁を基とした規則格子の形成によるものと

考えられ,この規則化したZαneの存在は,本系合金の硬

化匹また寄与しているものと考えられる.

 (4)周期構造の成長過程を検討した結果,本系合金の周

期の波長および振幅の成長速度は著しく遅く,他のスピノ

ーダルをおこす合金.の場合と同じ程度であることが示され

たが,これは本系合金の過時効軟化の遅い原因である.

 (5)周期構造の成長の活牲化エネルギーは3α一Fe中に

おけるWの拡散の活性化エネルギーの値とほぼ等しく,

これよりこの周期犠造の成長はWの拡散に規制されるこ

とが示された.

 終りに本研究を遂行するに当り,研究の最初の部分の一

部を熱心に.担当された荒木健次郎工学士,ならびに試料の

溶製に御尽力して頂いた金材技研の中島宏興氏に深謝す

る.