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人工知能のための哲学塾 #Act_3 デカルトの機械論
三宅 陽一郎 @miyayou
2016.2.1 @小田急サザンタワー
人工知能のための哲学塾 https://www.facebook.com/groups/1056157734399814/ 第零回資料 (2015.5.28) http://www.slideshare.net/youichiromiyake/ss-48781470 第一回資料(2015.9.30) http://www.slideshare.net/youichiromiyake/ss-53507300 第二回資料(2015.12.3) http://www.slideshare.net/youichiromiyake/ss-55700355
https://www.facebook.com/youichiro.miyake http://www.slideshare.net/youichiromiyake [email protected]
Page 2
「ゲーム、人工知能、環世界」
• 現代思想 12月号
(青土社)
• 11月28日発売
• 「人工知能特集」
http://www.seidosha.co.jp/index.php?9784791713097
Page 3
WIRED A.I.
• WIRED A.I.+ Wired City
• 12月1日発売
• 「人工知能+街 特集」
なぜぼくらには人工知能が必要なのか──『WIRED』Vol.20「人工知能+未来都市」 2大特集・特別保存版 刊行に寄せてhttp://wired.jp/2015/12/01/vol20-editors-letter-ai/
Page 4
「IT、都市、ヘルスケア、あらゆる領域で 人工知能と人間が共創する未来」
• WIRED 「INNOVATION INSIGTS」
http://wired.jp/innovationinsights/post/analytics-cloud/w/cocreation_with_ai
Page 5
人間の思考、機械の思考
• 自然言語は、曖昧性が多く、学問で使うには適していない。誰が使っても同じような効果を得る記号を用いるべきだ。
• これは数学で実現した。 • 人間は、自らの思考を、記号操作として表現しようとして来た。
• 一方で、機械に、人間的な思考をさせようとするのが、人工知能である。
人間 機械 記号
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人工知能のための哲学塾(予定)
第0夜 概観
第一夜 フッサールの現象学
第二夜 ユクスキュルと環世界
第三夜 デカルトと機械論
第四夜 デリダ、差延、感覚
第五夜 メルロ=ポンティと知覚論
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本日のメニュー
• 序章 前置き-数学、物理学、認識-
• 第一章 分析哲学の系譜
• 第二章 分析哲学から人工知能へ
• 第三章 人工知能の拡がりと論理プログラミング
• 第四章 ゲームキャラクターにおける応用
• 第五章 記号論の反対側 – ニューラルネットワーク–
• 第六章 本能と記号
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前置き-数学、物理学、認識-
第零章
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数列と図形
数と図形は対応している。
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数列と図形
http://www.ies-math.com/chugaku/study3/pythaj/pythaj.html
ピタゴラスの定理
Pythagorean theorem water demo https://www.youtube.com/watch?v=CAkMUdeB06o
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数列と図形
http://www.ies-math.com/chugaku/study3/pythaj/pythaj.html
ピタゴラスの定理
Pythagorean theorem water demo https://www.youtube.com/watch?v=CAkMUdeB06o
どうやって証明しますか?
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数列と図形
A
B
A と B の直線の上には、どちらが多く点が存在するだろうか?
無限を数える
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数列と図形
A
B
A と B の直線の上には、どちらが多く点が存在するだろうか?
無限を数える
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数列と図形
A
B
線分Aの一点に対して、必ず線分Bの一点が存在する。 線分Bの一点に対して、必ず線分Aの一点が存在する。 つまり、線分AとBの上には、同じだけの無限個の点が存在する。
無限を数える
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数列と図形
A
B
線分Aの一点に対して、必ず線分Bの一点が存在する。 線分Bの一点に対して、必ず線分Aの一点が存在する。 つまり、線分AとBの上には、同じだけの無限個の点が存在する。
無限を数える 無限を数えるときは 注意しよう。
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ゲオルグ・カントール(独、1845-1918)
• 数学者
• 集合論の上に数学を再構築する。
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無限
自然数 = 1,2,3…. と 無理数 = 小数で表すと無限に続く数 1.2454985869856… はどちらも無限個あるけれど、どちらが多く存在するか? (結論) 無理数の方がずっとずっと多い無限。
無限を数える
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無限を数える「カントールの対角線論法」
もし、自然数と無理数が同じ個数あるとする。 自然数によって番号をつけます。
1 0.320909090539656565….. 2 0.405096059609509605…. 3 0.596959669959605955… 4 0.596059069509605906….. 5 0.550909590596095096….. 6 0.590650960950690596….. … …
無限を数える
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無限を数える「カントールの対角線論法」 もし、自然数と無理数が同じ個数あるとします。 無理数をでたらめに並べて、自然数によって番号をつけます。
1 0.320909090539656565….. 2 0.405096059609509605…. 3 0.596959669959605955… 4 0.596059069509605906….. 5 0.550919590596095096….. 6 0.590650960950690596….. … … そして、こういう数を考えてみます。 小数点1桁目が3でない 小数点2桁目が0でない 小数点3桁目が6でない 小数点4桁目が0でない…. …. 小数点n桁目n番目の数の小数点n桁の数字と違う。 この数は何番目に含まれますか?
無限を数える
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無限を数える「カントールの対角線論法」
1 0.320909090539656565….. 2 0.405096059609509605…. 3 0.596959669959605955… 4 0.596059069509605906….. 5 0.550919590596095096….. 6 0.590650960950690596….. … … そして、こういう数を考えてみます。 小数点1桁目が3でない 小数点2桁目が0でない 小数点3桁目が6でない 小数点4桁目が0でない…. …. 小数点n桁目n番目の数の小数点n桁の数字と違う。 この数は何番目に含まれますか?
1番目でない、1桁目が違う 2番目でない、2桁目が違う 3番目でない、3桁目が違う …. n番目でない、n番目が違う。 つまり、どの番号でもない。 = 無理数は自然数で番号が付けられない = 無理数は自然数よりずっと多い。
無限を数える
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無限を数える「カントールの対角線論法」
1 0.320909090539656565….. 2 0.405096059609509605…. 3 0.596959669959605955… 4 0.596059069509605906….. 5 0.550919590596095096….. 6 0.590650960950690596….. … … そして、こういう数を考えてみます。 小数点1桁目が3でない 小数点2桁目が0でない 小数点3桁目が6でない 小数点4桁目が0でない…. …. 小数点n桁目n番目の数の小数点n桁の数字と違う。 この数は何番目に含まれますか?
1番目でない、1桁目が違う 2番目でない、2桁目が違う 3番目でない、3桁目が違う …. n番目でない、n番目が違う。 つまり、どの番号でもない。 = 無理数は自然数で番号が付けられない = 無理数は自然数よりずっと多い。
無限を数える
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無限
自然数 = 1,2,3…. と 無理数 = 小数で表すと無限に続く数 1.2454985869856… はどちらも無限個あるけれど、どちらが多く存在するか? (結論) 無理数の方がずっとずっと多い無限。
無限を数える
無理数の無限 濃度(cardinal)
自然数の無限 濃度(cardinal)
>>
無限にも種類がある! 違う無限。
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無限
超越数 = 代数方程式 の解にならない数 は無理数よりも、自然数よりも多い。
無限を数える
無理数の無限 濃度(cardinal)
自然数の無限 濃度(cardinal)
>>
無限にも種類がある! 違う無限。
超越数の無限 濃度(cardinal)
>>
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物理法則とは?
アリストレスの運動論 = もし物体が自然に運動するとすれば円を描くはずだ。 円こそが完全な図形であるから。 = 天にあるものは完全であるから、円を描く = 天動説
中世までの自然哲学
地上と天上の法則は違う。
地上= 人の世界
天上= 天の世界
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物理法則とは?
ガリレオの運動論
= 落下する物体は加速される。
実は音楽がとても得意。物体を坂に置いて、途中に弦を置いて音が出るようにした。音が等間隔に聞こえるように置くと、スタート地点からの距離が、1,4、9、… と並ぶことになって、重力加速度の法則が導かれる。 L = ½ x g x (Δt) x (Δt) 世界の法則は数式で表現できる、 という発見。
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物理法則とは?
ガリレオの運動論 (慣性の法則)
= もし物体が自然に運動するとすれば直線を描くはずだ。
中世までの自然哲学
地上と天上の法則は違う。
地上= 人の世界
天上= 天の世界
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物理法則とは?
ニュートンの宇宙論 (万有引力) = リンゴが落下するのと、月が地球を回るのは同じ。 = 物は皆、引き合う(落下する)。
http://www.phys.u-ryukyu.ac.jp/~maeno/cgi-bin/pukiwiki/index.php
http://www.zenchu-ja.or.jp/other/AGURI/VILLAGE/village_susuki01.html
Page 30
ニュートン「プリンキピア」(1687年) 自然哲学の数学的諸原理
「ニュートン力学」を総合幾何学を 用いて解説。 当時、微積分学はニュートンが作った ばかりだったので、総合幾何学を用い て解説した。 人類至上、宇宙を大規模に解き 明かした最高の書物。
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物理法則とは?
ガリレオの運動論 (慣性の法則)
= もし物体が自然に運動するとすれば直線を描くはずだ。
ニュートンの自然哲学
地上と天上の法則は同じ。
地上= 人の世界 リンゴが落ちる
天上= 天の世界 月が地球に落ちる
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物理法則とは?
ガリレオの相対原理
=重力落下の法則は観測者によらない。
船のマストの上から物を落とす。 船の上からは重力加速度 g が観測される。
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物理法則とは?
ガリレオの相対原理
=重力落下の法則は観測者によらない。
これを陸地から見ると、ボールは放物線を描くように 見える。でも、 やはり重力加速度 g が観測される。 重力加速度は、観測者によらない。 これをガリレオの相対性原理という。
v
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物理法則とは?
アインシュタインの相対原理
=光の速度は観測者によらない。
マイケルソン=モーレーの実験。 地球は動いているから、地球の運動に 関して、赤道方向とそれに垂直な方向に 光を飛ばしたら、 同じ距離でも違う時間がかかるはず。 でも、同じだった!
http://homepage2.nifty.com/AXION/contents/relativity/001.html
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物理法則とは?
アインシュタインの相対性理論
=光の速度は観測者によらない。
光の速度で、光を追いかけたら 光は止まって見えるだろうか? そんなことはない。光の速度は、どんな時も一定。 変化するのは、時間の方。
光源
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相対性理論
ニュートンの物理法則
ガリレイ変換 ローレンツ変換
特殊相対性理論の物理法則
ニュートンの物理法則は ガリレイ変換の元で普遍である。
特殊相対性理論の物理法則は、 ローレンツ変換の元で普遍である。
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物理=変換の元で普遍な理論
ニュートン力学
ガリレイ変換 ローレンツ変換
特殊相対性理論
ニュートンの物理法則は ガリレイ変換の元で普遍。
特殊相対性理論は、 ローレンツ変換の元で普遍。
量子力学理論
ユニタリー変換
量子力学は、 ユニタリー変換の元で普遍。
U
変換の元で普遍、であることは、その物理法則が抽象的な対称性を持っていることを 意味している。
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問1 「認識と数学」
我々知能が、物理法則など、 この世界を、数学の助けを借りて、 深く理解できるのはなぜか? 人工知能に物理法則を 教えることは可能か? 人工知能が世界の法則を理解するとは、 どういうことか?
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本日のメニュー
• 序章 前置き-数学、物理学、認識-
• 第一章 分析哲学の系譜
• 第二章 分析哲学から人工知能へ
• 第三章 人工知能の拡がりと論理プログラミング
• 第四章 ゲームキャラクターにおける応用
• 第五章 記号論の反対側 – ニューラルネットワーク–
• 第六章 本能と記号
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分析哲学
• 形而上的な、思惟のみによる大理論を避ける。(ある意味、これはアリストテレス的ではなく、デカルト的態度を継承している)
• 現象学などとは対照的。一気に、真理へ至ろうとするよりは分析を通して、より思惟や論理を明晰化することで、あらゆる学問をより精緻化して行くことを目標とする。
• ただ、分析哲学は言語哲学や論理学などと重複する部分が多く、分析哲学、という哲学があるわけではない。
• 言語哲学の分析・反省を一つの軸としている。
• 英語圏(特に米)で圧倒的な人気を誇る。(プラグマティズム?)
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デカルト的世界観
• 「我」の確立=コギトー・エルゴ・スム
• 確立した「我」から、確実な推論に従って世界を認識する。
• ユークリッド幾何学的な数学の形式を、一気に学問全体に拡大する。
• 近代学問の基礎。
• 思惟(心)と延長(物質)。二元論。
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デカルトの後継者たち=西洋文明
• 機械的世界観
• 客観的世界観
• 科学そのものの勃興。
• 心理学もまた、機械論的世界観へ。
衝突の発生、哲学的反発。
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第一夜 「フッサールと現象学達」
弟子
第5回
第2回
革新
デカルト 16世紀フランスの哲学者 (欧州近代哲学・近代科学の父)
第3回
ワイエルシュトラウス ブレンターノ
ユクスキュル
ハイデガー サルトル メルロ=ポンティ
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第二夜 「身体と知能の関係」の 哲学者・心理学者・生物学者系譜
第1回
E. フッサール (1859-1938)
ベルクソン (仏、1859-1941)
ニコライ・ベルンシュタイン (露、1896-1966)
J.J.ギブソン (米、1904-1979)
メルロ=ポンティ (1908-1961)
未だ体系的に語られることの少ない 細い糸をたどって行く。
ユクスキュル (ドイツ、1864-1944)
第5回
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第三夜 「思考の算術化」のために
フレーゲ (独、1848-1925)
アリストテレス (希、384-322)
ラッセル (英、1872-1970)
ジョージ・ブール (英、1815-1864)
ヴィトゲンシュタイン (墺、1889-1951)
クルト・ゲーデル (墺、米、1906-1978) チューリング
(英、1912-1954)
ライプニッツ (独、1646-1716)
ユークリッド (埃、384-322)
デカルト (仏、1596-1650)
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幾何学、代数学、哲学、全学問
• ユークリッド「原論」(幾何学、紀元前3世紀)
• 5つの公準(公理)から、定理が推論によって演繹される。
• 16~18世紀の哲学者たちの一部にとって、これが学問の理想だった。
• 学問が宗教的、迷信的、議論的で、学問として独立できていなかった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ユークリッド原論
ユークリッド (エジプト、 アレクサンドリア、 384-322)
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アリストレス(B.C.383-322)
• 人類史上、最大の哲学者
• オルガノン(論理学に関する一連の著作)
• 形而上学 (キリスト教に強い影響)
• この後、2000年に渡って規範となる(なってしまう)
• 膨大な著作(弟子たちがまとめる)
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近代へ
科学の起源と哲学の起源
ユークリッド (埃、アレクサンドリア、 323-283 ぐらい)
アルキメデス (希、384-322)
アリストテレス (希、384-322)
巨大な形而上哲学の流れ (思惟によってたどりつく)
科学・数学の流れ
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近代へ
科学の起源と哲学の起源
ユークリッド (埃、アレクサンドリア、 323-283 ぐらい)
アルキメデス (希、384-322)
アリストテレス (希、384-322)
巨大な形而上哲学の流れ (思惟によってたどりつく)
科学・数学の流れ
ライプニッツ (独、1646-1716)
デカルト (独、1596-1650)
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哲学、自然哲学、自然科学
哲学
自然哲学
自然科学
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ニュートン「プリンキピア」(1687年) 自然哲学の数学的諸原理
「ニュートン力学」を総合幾何学を 用いて解説。 当時、微積分学はニュートンが作った ばかりだったので、総合幾何学を用い て解説した。 人類至上、宇宙を大規模に解き 明かした最高の書物。
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哲学、自然哲学、自然科学
哲学
自然哲学
自然科学
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哲学、自然哲学、自然科学
哲学
世界は時計仕掛け (仕組みで全部追える)
自然科学
ものすごく大雑把に言うと、近代以降(18世紀~)、 現代の世界観はこんな感じ。
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哲学、自然哲学、自然科学
哲学
自然哲学
自然科学
でも、近代以前は、そうではなかった。。。
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哲学、自然哲学、自然科学
哲学
自然哲学
自然科学
世界をどのように考えるか?要素は何か?方法は? 実験をすべきか、しないべきか。世界は機械的か、 目に見えない生気でできているか?世界と神の関係は?
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哲学、自然哲学、自然科学
哲学
自然哲学
自然科学
当時の、学究者の野望(?)は、全学問を統一的に捉えること。
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分析哲学の系譜
フレーゲ (独1848-1925)
ラッセル (英1872-1970)
ブール (英1815-1864)
ヴィトゲンシュタイン (墺、1889-1951)
ゲーデル (墺1906-1978)
ライプニッツ (独1646-1716)
デカルト (仏1596-1650)
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デカルト(1596-1650)
• 近代学問の父とみなされる
• 書物を読むのをやめ、自分自身で納得の行く哲学を構築する。
• 「方法序説」「精神指導の規則」「哲学原理」
• 数学では解析幾何学(座標幾何学)
• 小屋に閉じこもり、3つの着想を得る。
• 軍隊に入りながら各地を放浪
• 家庭教師など
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デカルトの動機 「混乱する学問を確かな基礎の上に体系化する」
• 当時(16世紀)における学問は、さまざまな議論や、宗教が混在しており、学問全体が体系化されていなかった。
• 学問全体をユークリッド幾何学のように整然と体系化できないのか。
• そのためには、あらゆる学問の出発点がなければならない。
• そして、それは誰にとっても確からしいものでなければならない。そこから論理的明証性によって学問全体を再構築するのだ。
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デカルト
世界
我
デカルト:学問をきちんと確実なものから基礎づけたい。
コギトー
http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN4-00-336131-8
Page 62
デカルト
世界
我
デカルト:学問をきちんと確実なものから基礎づけたい。 =もっとも確実なものから出発して論理を組み上げて行く。
コギトー
http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN4-00-336131-8
Page 63
デカルト
世界
我
もっとも確実なものってなに?
コギトー
http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN4-00-336131-8
Page 64
デカルト
世界
我
全部嘘かもしれない。幻影かもしれない。思い込みかもしれない。 しかし、世界の存在を疑う自分だけは存在する。
コギトー
http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN4-00-336131-8
Page 65
デカルト
世界
我
我、思う(疑う、思惟する)、ゆえに我あり(存在する)。 Cogito Ergo Sum (「デカルトのコギト」と略されます)
コギトー
http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN4-00-336131-8
Page 66
デカルト
世界
我
近代科学、近代合理主義。 近代の出発点を与えた(デカルトの後の人がそう基礎づけた)。
コギトー
http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN4-00-336131-8
Page 67
世界
疑い得ない、 論理の明証によって 築かれる世界
デカルト
我
近代科学、近代合理主義。 近代の出発点を与えた(デカルトの後の人がそう基礎づけた)。
論理的明証性
http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN4-00-336131-8
Page 68
デカルト「機械論」
• デカルトは世界は機械的にとは言わなかった。
• デカルト派の本流が、結果的に、そのような世界観を強固なものにして行った。
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分析哲学の系譜
フレーゲ (独1848-1925)
ラッセル (英1872-1970)
ブール (英1815-1864)
ヴィトゲンシュタイン (墺、1889-1951)
ゲーデル (墺1906-1978)
ライプニッツ (独1646-1716)
デカルト (仏1596-1650)
Page 70
ライプニッツ(1646-1716)
• 万能の天才
• ハノーファー候(ドイツ)に仕える外交官・文官
• 欧州全体に広い人脈(ロシア皇帝からバチカンまで)
• ベルリンアカデミー設立
• 法律、数学(『微積分』の発見、二進法に関する論文)、哲学(『モナド論』)に大きな足跡を残す
• デカルト批判
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ライプニッツ「モナドロジー」 (原著:1714, 翻訳:2005,清水富雄、竹田篤司、飯塚勝久)
• さて、部分のないところには、ひろがりも形もあるはずがない。分割することもできない。モナドは、自然における真のアトムである。一言で言えば真のアトムである。(P.3)
• 「一」すなわち単一な実体において、(瞬間ごとに)多をはらみ、多を表現している状態、その流れがいわゆる表象である。 (P.6)
• デカルト哲学の末流が、この点で大きなあやまりをおかしたのも、意識にのぼらない表象は無とみなしたからである。(P.7)
• そのあげく、魂と体がまったく切りはなされているとする、
• スコラ学者の偏見に(さかさまに)落ち込んだばかりではなく(p.7)
Page 72
ライプニッツ「普遍学」
• ホッブズが,われわれの心mensの働きはすべて計算computatioであると述べているがそれは正しい〉(Leibniz,Gerh.4,p.64) (Web辞典から)
• 「もし何らかの厳密な言語か、あるいは少なくとも、真に哲学的な表記法が与えられたなら、所与から理性によって獲得しうるすべてのものは、何らかの計算法により、ちょうど算術や幾何学の問題が解かれるのと同じように、見出すことができるであろう。」(ライプニッツ、普遍学すなわち哲学的算法について)(フレーゲ著作集1、勁草書房勁、P.138)
Page 73
Element Characteristics universalis Leibniz (普遍的記号法の原理)
http://www.iep.utm.edu/leib-log/
しかし、途中で終わる。 (ライプニッツはすぐに できると思っていたが、 実は人類史上の、 とても大仕事だった。)
Page 74
問2 「普遍記号学と人工知能」
自然言語は不完全な言語である
にもかかわらず、人間はなぜ、
研究でも仕事でも使い続けるか?
人間がすべてを記号で表現すれば、
人工知能も理解できるか?
Page 75
哲学
論理学
数学、論理学、哲学(=学問)
数学
Page 77
数学の歴史
代数学
幾何学
ディオファントス「算術」 方程式(当時はそう呼んでいなかったが)
ユークリッド (埃、アレクサンドリア、 323-283 ぐらい)
x2 - n y2 = 1 などの解を求める
Page 78
ニュートン「プリンキピア」(1687年) 自然哲学の数学的諸原理
「ニュートン力学」を総合幾何学を 用いて解説。 当時、微積分学はニュートンが作った ばかりだったので、総合幾何学を用い て解説した。 人類至上、宇宙を大規模に解き 明かした最高の書物。
Page 79
数学の歴史
代数学
幾何学
解析幾何学
純粋幾何学
Page 80
数学の歴史
代数学
幾何学
解析幾何学
純粋幾何学
x2 - n y2 = 1 などの方程式によって図形・曲線を表す。 記号操作によって、誰でも一定の手順で証明が可能。
補助線など「閃き」によって証明する。
Page 81
デカルトからライプニッツへ
幾何学を代数的様式で表す()。 記号操作によって幾何学を行うことが可能。 つまり数学を記号操作に還元することができる。
デカルトは数学的量を記号で置き換えた(代数)。 しかし、人間の思考一般を記号操作で表せるの ではないか? (普遍記号学)
ライプニッツ (独、1646-1716)
デカルト (独、1596-1650)
Page 82
デカルトからライプニッツへ
幾何学を代数的様式で表す()。 記号操作によって幾何学を行うことが可能。 つまり数学を記号操作に還元することができる。
デカルトは数学的量を記号で置き換えた(代数)。 しかし、人間の思考一般を記号操作で表せるの ではないか? (普遍記号学)
ライプニッツ (独、1646-1716)
デカルト (独、1596-1650)
しかし、対立は数学だけではなくて、 より深い思想的立場が違う。
Page 83
デカルトからライプニッツへ
つまり数学を記号操作に還元することができる。
人間の思考一般を記号操作で表せるのではないか? (普遍記号学)
ライプニッツ (独、1646-1716)
デカルト (独、1596-1650)
しかし、対立は数学だけではなくて、 より深い思想的立場が違う。
我、思うゆえに我あり。疑い得ないものから出発して、明晰な論理によって認識を広げて行くこと。
論理学まで含めて、全学問を普遍記号の原理の元に演繹する。
Page 84
デカルト
哲学
論理学
数学
確実な推論によって
記号の操作によって
Page 85
デカルト「近代学問の父」 「近代合理主義」
哲学
論理学
全学問
確実な推論によって
合理的推論によって
Page 86
デカルトの著作
1618年『音楽提要』Compendium Musicae 公刊はデカルトの死後(1650年)である。 1628年『精神指導の規則』Regulae ad directionem ingenii 未完の著作。デカルトの死後(1651年)公刊される。 1633年『世界論』Le Monde ガリレオと同じく地動説を事実上認める内容を含んでいたため、実際には公刊取り止めとなる。デカルトの死後(1664年)公刊される。 1637年『みずからの理性を正しく導き、もろもろの学問において真理を探究するための方法についての序説およびこの方法の試論(屈折光学・気象学・幾何学)』Discours de la méthode pour bien conduire sa raison, et chercher la verité dans les sciences(La Dioptrique,Les Météores,La Géométrie)
試論(屈折光学・気象学・幾何学)を除いて序説単体で読まれるときは、『方法序説』Discours de la méthode と略す。 1641年『省察』Meditationes de prima philosophia 1644年『哲学の原理』Principia philosophiae 1648年『人間論』Traité de l'homme 公刊はデカルトの死後(1664年)である。 1649年『情念論』Les passions de l'ame
https://ja.wikipedia.org/wiki/ルネ・デカルト
Page 87
ライプニッツ「普遍記号学」
哲学
論理学
数学
記号の操作によって
人間の思考全体を 記号操作によって、 表されるはずだ。
Page 88
ライプニッツ「モナドロジー」 (原著:1714, 翻訳:2005,清水富雄、竹田篤司、飯塚勝久)
• 表象も、表象に依存して動くものも、メカニックな理由、つまり形や運動を持ち出しては、 説明がつかないということである。ものを考えたり、感じたり、知覚したりできる(p.8)
Page 89
分析哲学の系譜
フレーゲ (独1848-1925)
ラッセル (英1872-1970)
ブール (英1815-1864)
ヴィトゲンシュタイン (墺、1889-1951)
ゲーデル (墺1906-1978)
ライプニッツ (独1646-1716)
デカルト (仏1596-1650)
Page 90
フレーゲ(1848-1925)
• 分析哲学の祖
• 人間の思考の形式化
• ゲッティンゲン大学で博士号
• イエーナ大学で殆どの時期を過ごす
• 数学と哲学の間で独自の学問を打ち立てる
• 現代数学の記号、一階述語論理はフレーゲに寄る。
Page 91
フレーゲ「普遍記号学」
哲学
論理学
数学
論理学の体系を 再構築する。
Page 92
近代へ
科学の起源と哲学の起源
ユークリッド (埃、アレクサンドリア、 323-283 ぐらい)
アルキメデス (希、384-322)
アリストテレス (希、384-322)
オルガノン (アリストテレス論理学)
科学・数学の流れ
ライプニッツ (独、1646-1716)
デカルト (独、1596-1650)
フレーゲ (独、1848-1925)
論理学の革新 人間の思考の 記号化
Page 93
述語論理
命題
一階述語論理
二階述語論理
~は~である。 (例)メアリは女優である。女優は女性である。 メアリは女性である。
すべての~はーである。 {∀ t | P(t) } (例)すべての人間は生まれた。 ~という ー が存在する。 {∃t | P(t) } (例) 体の白いライオンが存在する。
全称量化記号 (universal quantifier) ∀ と 存在量化記号 (existential quantifier) ∃
命題 と変数 P (t)
命題 と変数 と集合 P (t)、集合S
~という集合が存在する すべての集合について~である。 (例)任意のxについて、それは集合に属するか、属さないかである。 ∀S ∀x (x ∈ S ∨ x ∉ S)
三段論法
Page 94
フレーゲ「概念計算」
• ライプニッツもまた適切な表記法のもつ利点を認識していたし、恐らく、それを過大評価していたのだ。普遍記号学、すなわち、哲学計算(calculus philosophicus)、あるいは計算者(ratiocinator)という彼のアイデアは、あまりにも巨大だった
ので、それを具体化しようとする試みは単なる準備段階を出ることはなかった。 (フレーゲ著作集1、勁草書房勁、P.4-5)
Page 95
フレーゲ「概念計算」
• われわれは、現存する幾つかの式言語に見られる隙間を埋め、これまでばらばらであったそれらの分野をただ一つの領域へと結合し、更に、これまでそのような式言語を欠いていた領域へとそれを拡張することができるのである。 (フレーゲ著作集1、勁草書房勁、P.4-5)
Page 96
フレーゲ「普遍学」
「概念記法 – 算術の式言語を模造した純粋思考のための一つの式言語-」
Page 97
フレーゲの記号系
http://plato.stanford.edu/entries/frege-theorem/notes.html
Page 98
http://slideplayer.org/slide/667932/
フレーゲの記号系
https://www.math.uwaterloo.ca/~snburris/htdocs/scav/frege/frege.html
Page 99
問3 「論理思考と人間と人工知能」
人間の思考活動を、 記号的な論理法則ですべて 表現することは可能か? もし可能なら、それを人工知能に 移せば、人間の思考となるか?
Page 100
分析哲学の系譜
フレーゲ (独1848-1925)
ラッセル (英1872-1970)
ブール (英1815-1864)
ヴィトゲンシュタイン (墺、1889-1951)
ゲーデル (墺1906-1978)
ライプニッツ (独1646-1716)
デカルト (仏1596-1650)
Page 101
ブール代数
• 冪等則:x ∧ x = x ∨ x = x 、 • 交換則:x ∧ y = y ∧ x 、x ∨ y = y ∨ x 、 • 結合則:(x ∧ y)∧ z = x ∧(y ∧ z) 、(x ∨ y)∨ z = x ∨(y ∨
z) 、 • 吸収則:(x ∧ y)∨ x =x 、(x ∨ y)∧ x = x 、 • 分配則:(x ∨ y)∧ z = (x ∧ z)∨(y ∧ z) • (x ∧ y)∨ z = (x ∨ z)∧(y ∨ z) • さらにL の特別な元 0 ,1 と単項演算 ¬ について、以下が成り立つとき <L; ∨, ∧, ¬> を可補分配束(ブール束)と呼ぶ。
• 補元則: x ∨ ¬x = 1, x ∧ ¬ x = 0。
Page 102
論理主義
• 数学は論理学の一部である。
• フレーゲは公理系からそれを実証しようとする。(算術の基礎)
• しかし、公理の一つ(5つめの公理)がパラドックスを含むことがわかる。
• フレーゲはそのパラドックスを回避しようとする。論争。
• 現代ではフレーゲの公理系を修正できるという評価。
Page 103
分析哲学の系譜
フレーゲ (独1848-1925)
ラッセル (英1872-1970)
ブール (英1815-1864)
ヴィトゲンシュタイン (墺、1889-1951)
ゲーデル (墺1906-1978)
ライプニッツ (独1646-1716)
デカルト (仏1596-1650)
Page 104
論理主義
• しかし、数学は論理学の一部ではない。 • 実数(連続量)を定義できるか?
• 論理から数を定義しようとする(カントール、デーデキントなど)。
• しかし、数学の体系の中には、肯定も否定もできないような命題が存在する。
• これを「ゲーデルの不完全性定理」という。
• 論文「『プリンキピア・マテマティカ』とそれに関連する体系における形式的に決定不可能な命題についてI」 (ゲーデル、1931年)
Page 105
(例)連続体仮説
• 加算無限濃度(自然数)と、連続体無限濃度(実数)の間には、他の濃度は存在しない。(ゲオルグ・カントール)
この命題は実は否定も肯定もできない。 逆に言うと、この命題を付け加えても、付け加えなくても、 数学はそのまま成立する。(選択公理)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A3%E7%B6%9A%E4%BD%93%E4%BB%AE%E8%AA%AC
アレフゼロ
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分析哲学の系譜
フレーゲ (独1848-1925)
ラッセル (英1872-1970)
ブール (英1815-1864)
ヴィトゲンシュタイン (墺、1889-1951)
ゲーデル (墺1906-1978)
ライプニッツ (独1646-1716)
デカルト (仏1596-1650)
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バートランド・ラッセル(英、1872-1970)
• 英の数学者・哲学者・文学者
• ノーベル文学賞を受賞
• ケンブリッジ大学で教える。
• ヴィトゲンシュタインを見出す。
• 政治的運動も展開。
• 数々の著作。
• 論理学者としてラッセルのパラドックス
Page 108
ラッセルのパラドックス
• 「市長は自分が市長をする市以外に住まなくてはならない。市長を集めた「不在市長市」に、すべての市長が住まなくてはならない。「不在市長市」の市長は、どこに住めば良いか?」
• 不在市長市には不在市長市の市長は住めない。
• しかし、他の市に染めば、不在市長市以外に市長が住んでいることになる。どうしてもパラドックスが起こる。
• 自己言明に対するパラドクス。
• フレーゲによる修正 = 長い間議論になる。 • ラッセルによる修正 = 型階層理論 (集合にはクラスがある)
Page 109
述語論理
命題
一階述語論理
二階述語論理
~は~である。 (例)メアリは女優である。
すべての~はーである。 {∀ t | P(t) } (例)すべての人間は生まれた。 ~という ー が存在する。 {∃t | P(t) } (例) 体の白いラインが存在する。
全称量化記号 (universal quantifier) ∀ と 存在量化記号 (existential quantifier) ∃
命題 と変数 P (t)
命題 と変数 と集合 P (t)、集合S
~という集合が存在する すべての集合について~である。 (例)任意のxについて、それは集合に属するか、属さないかである。 ∀S ∀x (x ∈ S ∨ x ∉ S)
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述語論理
命題
一階述語論理
二階述語論理
~は~である。 (例)メアリは女優である。
すべての~はーである。 {∀ t | P(t) } (例)すべての人間は生まれた。 ~という ー が存在する。 {∃t | P(t) } (例) 体の白いラインが存在する。
全称量化記号 (universal quantifier) ∀ と 存在量化記号 (existential quantifier) ∃
命題 と変数 P (t)
命題 と変数 と集合 P (t)、集合S
~という集合が存在する すべての集合について~である。 (例)任意のxについて、それは集合に属するか、属さないかである。 ∀S ∀x (x ∈ S ∨ x ∉ S)
現代数学
Page 111
極限の概念「ε-δ論法」
• 「任意のεを取った時、|f(x)-b|がε以下になるような |x-a|<δ となるδが存在する。」
b
a
Page 112
ラッセル/ホワイトヘッド 数学原理(Principia Mathematica)
• 数学が論理学で記述できることを示す。
• ラッセルのパラッドクスを回避するラッセル自身の「型理論」(type theory)が盛り込まれる。
https://archive.org/details/PrincipiaMathematicaVolumeI
Page 113
分析哲学の系譜
フレーゲ (独1848-1925)
ラッセル (英1872-1970)
ブール (英1815-1864)
ヴィトゲンシュタイン (墺、1889-1951)
ゲーデル (墺1906-1978)
ライプニッツ (独1646-1716)
デカルト (仏1596-1650)
Page 114
ヴィトゲンシュタイン(1889-1951)
• オーストリアの哲学者
• 工学からその基礎に疑問を持ち、
• 数学、さらに哲学へ。
• イギリスのケンブリッジのラッセルのもとで哲学を研究する。
• フレーゲと交流。
• 孤高の哲学者。
• 20代で「論理哲学論考」を著して、小学校教師に。その後、再び、大学で研究する。「哲学論考」
• 講義を受けた聴講者が講義録をまとめる。
Page 115
ヴィトゲンシュタイン「論理哲学論考」
• 哲学の目的は思考の論理的明晰化である。
• 哲学は学説ではなく、活動である。
• 哲学の仕事の本質は解明することにある。
• 哲学の成果は、命題ではない。命題の明晰化である。
• 思考はそのままではぼやけている。哲学はそれを明晰にし、限界をはっきりさせねばならない。
(ヴィトゲンシュタイン「論理哲学論考」岩波文庫、P.51)
Page 116
ヒルベルト「数理論理学」
• 20世紀最大の数学者
• 「マテマティカ・プリンキピア」の成果を数学的に細分化し、数学基礎論として位置付けた。
• ヒルベルト/アッカーマン「数理論理学」(1927年、オリジナルはゲッティンゲン大学における講義 1917-1918)
• 決定問題を提起
Page 117
アラン・チューリング(1912-1954)
• ヒルベルトの関数計算の記法を体系的かつ有限個の記号だけを使うように変更すれば、その計算体系で証明可能なすべての論理式を見つけることができるような自動機械Hを構成できる。(チューリングに論文より引用)
(チャールズ・ベゾナルド「チューリングを読む」P.344)
Page 118
本日のメニュー
• 序章 前置き-数学、物理学、認識-
• 第一章 分析哲学の系譜
• 第二章 分析哲学から人工知能へ
• 第三章 人工知能の拡がりと論理プログラミング
• 第四章 ゲームキャラクターにおける応用
• 第五章 記号論の反対側 – ニューラルネットワーク–
• 第六章 本能と知能
Page 120
ダートマス会議(1956年)
• ジョン・マッカーシーのいたダートマス大学で、人工知能をテーマとして初めて開催された会議。
• Artificial Intelligence という名称もはじめてここで用いられた。
http://www-formal.stanford.edu/jmc/history/dartmouth/dartmouth.html
Page 121
ダートマス会議(1956年)
http://www-formal.stanford.edu/jmc/history/dartmouth/dartmouth.html
Page 122
ダートマス会議(1956年)
我々は、1956年の夏の2ヶ月間、10人の人工知能研究者
がニューハンプシャー州ハノーバーのダートマス大学に集まることを提案する。そこで、学習のあらゆる観点や知能の他の機能を正確に説明することで機械がそれらをシミュレートできるようにするための基本的研究を進める。機械が言語を使うことができるようにする方法の探究、機械上での抽象化と概念の形成、今は人間にしか解けない問題を機械で解くこと、機械が自分自身を改善する方法などの探究の試みがなされるだろう。我々は、注意深く選ばれた科学者のグループがひと夏集まれば、それらの問題のうちいくつかで大きな進展が得られると考えている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%9E%E3%82%B9%E4%BC%9A%E8%AD%B0
Page 123
Logic Theorist (1956年)
• 世界初の人工知能プログラム
• ダートマス会議においてデモンストレーション
• アレン・ニューエルとハーバート・サイモン(後にノーベル経済学賞)
• 「プリンキピア・マテマティカ」の定理を、プログラム上で、組み合わせにより証明。
• 「プリンキピア・マテマティカ」は定理を組み合わせて証明して行くので、適している。
https://www.ai-gakkai.or.jp/whatsai/AItopics5.htm
Page 124
Logic Theorist
http://www.slideshare.net/umeshmeher/artificial-intelligence-34661808
Page 125
Logic Theorist
http://www.slideshare.net/umeshmeher/artificial-intelligence-34661808
Page 126
ジョン・マッカーシー
「適切な形式言語(おそらく述語計算の一部)を処理するプログラムは共通の手段となる。基本プログラムは前提から直ちに結論を導き出す。その結論は宣言的かもしれないし命令的かもしれない。命令的な結論が導かれるなら、そのプログラムはその結論に対応した動作をする」 (1958年)
• 「ALGOL」「LISP」「Prolog」によって数理論理学の人工知能への応用を牽引した。
Page 127
論理プログラミング
人間の思考の 記号化の夢
人間の思考の 記号化の研究
人工知能における 論理思考 =述語論理プログラミング
分析哲学・言語哲学
LISP / PROLOG
数理論理学の成果をプログラミングに導入する。
Page 128
論理プログラミング
人間の思考の 記号化の夢
人間の思考の 記号化の研究
分析哲学・言語哲学
LISP / PROLOG
数理論理学の成果をプログラミングに導入する。
計算理論
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論理プログラミング
人間の思考の 記号化の夢
人間の思考の 記号化の研究
分析哲学・言語哲学
LISP / PROLOG
数理論理学の成果をプログラミングに導入する。
計算理論
哲学 論理学 数学 プログラミング 人工知能
Page 130
本日のメニュー
• 序章 前置き-数学、物理学、認識-
• 第一章 分析哲学の系譜
• 第二章 分析哲学から人工知能へ
• 第三章 人工知能の拡がりと論理プログラミング
• 第四章 ゲームキャラクターにおける応用
• 第五章 記号論の反対側 – ニューラルネットワーク–
• 第六章 本能と記号
Page 131
人工知能の拡がりと論理プログラミング
第三章
Page 132
人工知能の拡大
LISP / PROLOG
数理論理学的な人工知能 =考える存在としての人工知能 の拡がり
Page 133
人工知能の拡大
LISP / PROLOG
それ以外の人工知能 の拡がり - ニューラルネット - 知識表現 - 学習 - ベーアンネット - 強化学習
Page 134
人工知能の拡大
LISP / PROLOG
それ以外の人工知能 の拡がり - ニューラルネット - 知識表現 - プランニング
Page 135
人工知能の拡大
LISP / PROLOG
それ以外の人工知能 の拡がり - 強化学習 - エージェント - ディープラーニング
Page 136
人工知能の拡大
LISP / PROLOG
「人工知能=考える」だけではない。 (第二回「フッサールの現象学」参照)
Page 137
人工知能の拡大
LISP / PROLOG
「人工知能=考える存在」という枠組みは、 すでに超えられている。 考えるだけでなく、さまざまな知的機能、 知的経験、知的原理を取り入れているのが、 現在の人工知能。 しかし、それを中心で支えている、 伝統的な屋台骨として、「論理的な人工知能」も 進化している。
Page 138
問4 「論理プログラミング」
人工知能の発展が、 論理プログラミングだけで 閉じなかったのはなぜか? 現実を生き抜くために、 人工知能には論理思考以外に、 どのような能力が必要なのか?
Page 139
もう一つの問題「記号接地問題」 Symbol Grounding Problem
環境世界
論理的思考 (記号的思考)
記号的表現
環境世界、 あるいは、 内面世界を、 つまり論理的思考 の対象を、 記号でうまく表現できるか? 一つの対象ではなく、 全体のシステムを記号化する。
Page 140
http://cc-library.net/010000310_free-photo Joe St.Pierre // Joestpierrephoto.com
もう一つの問題「記号接地問題」 Symbol Grounding Problem
環境世界
Page 141
http://cc-library.net/010000310_free-photo Joe St.Pierre // Joestpierrephoto.com
もう一つの問題「記号接地問題」 Symbol Grounding Problem
窓 盆栽 キーボード 壁 衣 ディスプレイ 机 椅子
さらに それぞれの 関係性 (例) キーボード On テーブル ディスプレイ In front of キーボード
環境世界
Page 142
もう一つの問題「記号接地問題」 Symbol Grounding Problem
環境世界
論理的思考 (記号的思考)
記号的表現
人工知能が、自ら 記号系を見出すことはない。 (今のところ) 人間が作り出した 記号系の中で思考する。 しかも、その記号系は、 世界の捉え方に依存する。 また物ではなく、事、 状況に対しても、 シンボルに落とし込む 必要がある。
抽象化 =記号化
Page 143
本日のメニュー
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• 第三章 人工知能の拡がりと論理プログラミング
• 第四章 ゲームキャラクターにおける応用
• 第五章 記号論の反対側 – ニューラルネットワーク–
• 第六章 本能と知能
Page 144
ゲームキャラクターにおける応用
第四章
Page 145
身体性とインテリジェンス
Gray’s anatomy
脳の中心の部位は身体とつながっている。 生理機能を司っている。 それを囲うように、辺縁体、大脳がある。
http://square.umin.ac.jp/neuroinf/brain/005.html
http://www.amazon.co.jp/Grays-Anatomy-Anatomical-Clinical-Practice/dp/0443066841
Page 146
意識/無意識の知性
身体の制御に つながる
感覚を統合する
知性全体 人の意識的な部分 意識自身には機能がない
環境
身体
意識
無意識
意識的な知性
無意識的な知性
表象 意識に浮かび 上がるイメージ
Page 147
人間の精神
意識
前意識
無意識
知能
Page 148
人間の精神
意識
前意識
無意識
外部からの情報
解釈
顕在化
知能
Page 149
人間の精神
意識
前意識
無意識 言語による 精神の構造化
知能
Page 150
人間の精神
意識
前意識
無意識 言語による 精神の構造化
外部からの情報
知能
Page 151
人間の精神
意識
前意識
無意識
外部からの情報
ここで働く論理とは? ※生態=環境・身体との 結びつきを考える
形式論理
身体のロジックとは?
Page 152
人間の精神
意識
前意識
無意識
外部からの情報
人の意識が為しえる知能
人の無意識に為しえる知能
Page 153
人間の精神
意識
前意識
無意識
外部からの情報
人工知能の研究はこの部分に 集中している
この部分を作るのが難しい。
Page 154
人間の精神
意識
前意識
無意識
外部からの情報
生態学的人工知能 ※生態=環境・身体との 結びつきを考える
伝統的な人工知能
身体知
Page 155
人間の精神
意識
前意識
無意識
知能
言語による 精神の構造化
外部からの情報
言語化のプロセス シニフィアン/シニフィエ
言語回路 (=解釈)
Page 156
人間の精神
意識
前意識
無意識
知能
言語による 精神の構造化
外部からの情報
言語化のプロセス シニフィアン/シニフィエ
言語回路 (=解釈)
Page 157
環境
人工知能とは?
身体
人工知能=人工的な存在(=身体)を環境の中で活動させる
入力(センサー) 行動(アウトプット)
知能
Page 159
知能の世界
環境世界
認識の 形成
記憶
センサー・身体
記憶体
情報処理過程
情報 統合
Page 160
知能の世界
環境世界
認識の 形成
記憶
意思の 決定
センサー・身体
意思決定 モジュール
意思決定 モジュール
意思決定 モジュール
記憶体
情報処理過程
情報 統合
Page 161
知能の世界
環境世界
認識の 形成
記憶
意思の 決定
身体 制御
エフェクター・身体
運動の 構成
センサー・身体
意思決定 モジュール
意思決定 モジュール
意思決定 モジュール
記憶体
情報処理過程 運動創出過程
身体部分
情報 統合
運動 統合
Page 162
知能の世界
環境世界
認識の 形成
記憶
意思の 決定
身体 制御
エフェクター・身体
運動の 構成
センサー・身体
意思決定 モジュール
意思決定 モジュール
意思決定 モジュール
対象・ 現象
情報の流れ(インフォメーション・フロー)
影響を与える 影響を受ける
Page 163
INPUT OUTPUT
時間
情報抽象度
遅延反応系
Page 164
遅延反応系
INPUT OUTPUT
時間
情報抽象度
反射的に行動
少し場合ごとに対応
抽象的に思考
理論的に考える
言語化のプロセス
反応を遅延させるところに、知性の生じるチャンスがある。
Page 165
サブサンプション・アーキテクチャ(ロドニー・ブルックス)
INPUT OUTPUT
時間
情報抽象度
反射的に行動
少し場合ごとに対応
抽象的に思考
理論的に考える
言語化のプロセス = 自意識の構築化
Subsumpution Architecture
運動の実現のプロセス = 身体運動の生成
Page 166
知能
身体の反射レベル
脳の原始的な部分の反射レベル
無意識の反射レベル
意志決定
物理 情報
身体 感覚 情報
抽象 知的 情報
情報の抽象度
時間進行(流れ)の方向
Page 167
知能
身体の反射レベル
脳の原始的な部分の反射レベル
無意識の反射レベル
意志決定
物理 情報
身体 感覚 情報
抽象 知的 情報
情報の抽象度
時間進行(流れ)の方向
論理的思考
Page 168
知能
身体の反射レベル
脳の原始的な部分の反射レベル
無意識の反射レベル
意志決定
物理 情報
身体 感覚 情報
抽象 知的 情報
情報の抽象度
時間進行(流れ)の方向
論理的思考
生態的反射 (=環世界)
Page 169
知能
身体の反射レベル
脳の原始的な部分の反射レベル
無意識の反射レベル
意志決定
物理 情報
身体 感覚 情報
抽象 知的 情報
情報の抽象度
時間進行(流れ)の方向
論理的思考
生態的反射 (=環世界)
Page 170
身体性とインテリジェンス
Gray’s anatomy
脳の中心の部位は身体とつながっている。 生理機能を司っている。 それを囲うように、辺縁体、大脳がある。
http://square.umin.ac.jp/neuroinf/brain/005.html
http://www.amazon.co.jp/Grays-Anatomy-Anatomical-Clinical-Practice/dp/0443066841
Page 171
知能の進化
入力、反射から、より深い入力、反射へ。生態的反射から、論理的思考へ
論理的思考
脳の原始的な部分 (辺縁系)
INPUT OUTPUT
Page 172
知能の進化
論理的思考
脳の原始的な部分 (辺縁系)
INPUT OUTPUT
脳は単なる反射システムではない。反射を待たず、 自ら、外に向かって、認識と行動を作る主体性(志向性)を持つ。 それは内から外へ向かう波(認識・行動生成)と、 外から内に向かう波(感覚・行動)がある。 そうであるから、認識と行動は常に同時である。 認識を作ることは行動を作ることであり、 行動を作ることは同時に認識を作ることである。
Page 173
知能
身体の反射レベル
脳の原始的な部分の反射レベル
無意識の反射レベル
意志決定
物理 情報
身体 感覚 情報
抽象 知的 情報
情報の抽象度
時間進行(流れ)の方向
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知能
物理 情報
身体 感覚 情報
抽象 知的 情報
情報の抽象度
時間進行(流れ)の方向
無意識の反射レベル
意志決定
脳の原始的な部分の反射レベル
身体の反射レベル
Page 175
問5 「論理と本能」
人間は高度な論理思考を持ちながら、本能的欲求も持っている。
この二つは普段、どのように競合しているか? その競合を人工知能に与えることは、 いかにして可能か?
Page 177
MC = Machine Consiouness
• マシンの持つ意識(MC)についてはゲーム分野ではあまり研究されてこなかった。
• 最近は、MCの研究が盛り上がりつつある。
• ゲーム分野のAIについてもMCを考えたい。
• ここでは、あまり哲学的な議論に立ち入らないために、意識⇒注意 と置き換えて考えます。
Page 178
2つの意識の種類
P - Consciousness (Phenomenal consciousness) 現象的意識(主観的体験、クオリア)
A - Consciousness ( Access consciousness) 精神活動に対する意識 (Ned Block, 1942)
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2つの意識の種類
P - Consciousness (Phenomenal consciousness) 現象的意識(主観的体験、クオリア)
A - Consciousness ( Access consciousness) 精神活動に対する意識 (Ned Block, 1942)
Page 180
A-Consciousness に関する3つのアイデア
(1)黒板モデル =ブラックボード・アーキテクチャ
(Blackboard Architecture)
(2) GWT = Global Workspace Theory
(Baar, 1988)
(3) MDM = Multiple Draft Model
(Dennett, 1991)
Page 181
(1) ブラックボード・アーキテクチャ(Blackboard Architecture)
Blackboard
KS
KS
KS
KS
KS
KS
Arbiter
Motivations
Emotions
Attention
Etc.
特徴: - 中央の黒板に情報が蓄積される(されて行く)。 - モジュールはKS(=Knowledge Source)と呼ばれ、特定の専門的な知識や技術に基づいた操作を黒板の情報に対して行う。 - Arbiter(=調停者)がKSをどのように(順序、タイミングなど)動作させるかを行う。
Bruce Blumberg , Damian Isla, "Blackboard Architectures", AI Game Programming Wisdom (Charles River Media) , 2002
Page 182
(2) Baar’s Global Workspace Theory (GWT)
フォーカス している対象の
情報
Working Space
Processor
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GWT (Global Workspace Theory)
フォーカス している対象の
情報
劇場と観衆のモデル。スポットライトがあたっている部分(注意=フォーカスが向いている対象)に観衆(プロセッサー)が注意して処理を行う。
Working Space
Processor
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(3) Dennett’s Multiple Draft Model
意識
無意識
協調
http://www.conscious-robots.com/en/conscious-machines/theories-of-consciousness/multiple-draft.html
仮想マシン
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Dennett’s Multiple Draft Model
意識
無意識
協調
http://www.conscious-robots.com/en/conscious-machines/theories-of-consciousness/multiple-draft.html
仮想マシン
新聞社の編集モデル。新聞社にはたくさんの新しい情報が来て、何度も記事が 書きなおされる。最終版だけがリリースされる。編集者=協調するプロセッサー、
新聞=意識の登る情報。
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A-Consciousness に関する3つのアイデア
(1)黒板モデル =ブラックボード・アーキテクチャ
(Blackboard Architecture)
(2) GWT = Global Workspace Theory
(Baar, 1988)
(3) MDM = Multiple Draft Model
(Dennett, 1991)
3つのアイデアをかけあわせる
Arrabales, R. Ledezma, A. and Sanchis, A. "Towards the Generation of Visual Qualia in Artificial Cognitive Architectures". (2010) http://www.conscious-robots.com/raul/papers/Arrabales_BICS2010.pdf
Page 187
意識を生成する仕組み
CERA = レイヤー構造 CRANIUMU = プロセッサー群
Page 188
Global Workspace Theory (GWT)
注意の焦点 Focus of Attention
(スポットライト)
舞台裏の人々=ディレクター、シーンデザイナー、など。
コンテキストの生成とコントロール(舞台裏)
ワーキングメモリ (Scene,Stage)
専門 プロセッサー (観客)
ブロードキャスト
テンポラリー な連携
Arrabales, R. Ledezma, A. and Sanchis, A. “Towards the Generation of Visual Qualia in Artificial Cognitive Architectures”. (2010) http://www.conscious-robots.com/raul/papers/Arrabales_BICS2010.pdf
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Baar’s Global Workspace Theory (GWT)
注意の焦点 Focus of Attention
(スポットライト)
舞台裏の人々=ディレクター、シーンデザイナー、など。
コンテキストの生成とコントロール(舞台裏)
ワーキングメモリ (Scene,Stage)
専門 プロセッサー (観客)
ブロードキャスト
テンポラリー な連携
意識の構造を舞台に見立てています。ステージ(=ワーキングメモリ)上にスポットライト(=注意、アテンション)が注ぐところに、注意の焦点があります。
Arrabales, R. Ledezma, A. and Sanchis, A. “Towards the Generation of Visual Qualia in Artificial Cognitive Architectures”. (2010) http://www.conscious-robots.com/raul/papers/Arrabales_BICS2010.pdf
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Arrabales, R. Ledezma, A. and Sanchis, A. “Towards the Generation of Visual Qualia in Artificial Cognitive Architectures”. (2010) http://www.conscious-robots.com/raul/papers/Arrabales_BICS2010.pdf
Baar’s Global Workspace Theory (GWT)
注意の焦点 Focus of Attention
(スポットライト)
舞台裏の人々=ディレクター、シーンデザイナー、など。
コンテキストの生成とコントロール(舞台裏)
ワーキングメモリ (Scene,Stage)
専門 プロセッサー (観客)
ブロードキャスト
ブロードキャスト
テンポラリー な連携
その輝いている領域が、観客(=プロセッサー)と舞台裏のこのお芝居を支えている人々に向けて見られる(=ブロードキャスト)ことになり、観客から拍手なりアドバイスなりが返されることで舞台上の演技が変化して行きます。
いろいろな意見や反響が返されることで 舞台上の演技がまた変化していく。
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Arrabales, R. Ledezma, A. and Sanchis, A. “Towards the Generation of Visual Qualia in Artificial Cognitive Architectures”. (2010) http://www.conscious-robots.com/raul/papers/Arrabales_BICS2010.pdf
Baar’s Global Workspace Theory (GWT)
注意の焦点 Focus of Attention
(スポットライト)
舞台裏の人々=ディレクター、シーンデザイナー、など。
コンテキストの生成とコントロール(舞台裏)
ワーキングメモリ (Scene,Stage)
専門 プロセッサー (観客)
ブロードキャスト
ブロードキャスト
テンポラリー な連携
観客(=プロセッサー)は必要の応じて連携したグループ(Interim Coalition)になって、その中で意見を戦わせて調整して発表することもあります。
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Global Workspace Theory (GWT)
注意の焦点 Focus of Attention
(スポットライト)
舞台裏の人々=ディレクター、シーンデザイナー、など。
コンテキストの生成とコントロール(舞台裏)
ワーキングメモリ (Scene,Stage)
専門 プロセッサー (観客)
ブロードキャスト
ブロードキャスト
テンポラリー な連携
【まとめ】観客(=プロセッサー)はステージ(=ワーキングメモリ)上にスポットライト(=注意、アテンション)が注がれた役者の演技(=オブジェクトの振る舞い)について考えて(=情報処理、思考)意見を役者に伝えます(=ワーキングメモリに書き込みます)。
Arrabales, R. Ledezma, A. and Sanchis, A. “Towards the Generation of Visual Qualia in Artificial Cognitive Architectures”. (2010) http://www.conscious-robots.com/raul/papers/Arrabales_BICS2010.pdf
いろいろな意見や反響が返されることで 舞台上の演技がまた変化していく。
Page 193
劇場モデルを用いた 論理と生態の融合
Page 194
劇場モデル
劇場の舞台
一つの舞台を修飾する。この劇場の注釈のされ方が、 認識と、行動となる。
Page 195
劇場モデル
劇場の舞台
舞台の上にさまざまな登場人物が登場する (感覚から流入する)
Page 196
劇場モデル
劇場の舞台
下位の知能が解釈する。情報を付け加える。
(原初的な脳の部分)
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劇場モデル
劇場の舞台
下位の知能が解釈する。情報を付け加える。
(原初的な脳の部分)
認識を生成するベクトル 行動を生成するベクトル
Page 198
劇場モデル
劇場の舞台
より上位の知能が解釈して情報を付け加える。
(原初的な脳の部分)
より上位の知能
認識を生成するベクトル 行動を生成するベクトル
Page 199
劇場モデル
劇場の舞台
より上位の知能が解釈して情報を付け加える。
(原初的な脳の部分)
より上位の知能
認識を生成するベクトル 行動を生成するベクトル
Page 200
劇場モデル
劇場の舞台
最終的に、論理的な知能が解釈した情報を加える。
(原初的な脳の部分)
論理的知能
認識を生成するベクトル 行動を生成するベクトル
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劇場モデル
劇場の舞台
最終的に、論理的な知能が解釈した情報を加える。
(原初的な脳の部分)
論理的知能
認識を生成するベクトル 行動を生成するベクトル
認識空間を形成しながら、同時に行動を生成する。 環世界的なファンダメンタルな世界認識と行為生成を 観ながら、 高次の思考からも世界の姿を浮き彫りにするように、 モジュールを動作させる。
Page 202
劇場モデル
劇場の舞台
最終的に、論理的な知能が解釈した情報を加える。
(原初的な脳の部分)
論理的知能
認識を生成するベクトル 行動を生成するベクトル
認識空間を形成しながら、同時に行動を生成する。 環世界的なファンダメンタルな世界認識と行為生成を 観ながら、 高次の思考からも世界の姿と行動を浮き彫りにするように、 モジュールを動作させる。
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本日のメニュー
• 序章 前置き-数学、物理学、認識-
• 第一章 分析哲学の系譜
• 第二章 分析哲学から人工知能へ
• 第三章 人工知能の拡がりと論理プログラミング
• 第四章 ゲームキャラクターにおける応用
• 第五章 記号論の反対側 – ニューラルネットワーク–
• 第六章 本能と知能
Page 204
記号論の反対側 – ニューラルネットワーク–
第五章
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ニューラルネットワーク解説 (軽く読んでください) ゲームにおけるニューラルネットワーク「NERO における学習と進化 」(後半) HTTP://WWW.SLIDESHARE.NET/YOUICHIROMIYAKE/NERO-51549529
Page 206
ニューラルネットを理解しよう① 基本思想
コネクショ二ズム(結合主義)
知性とは脳の活動によって産まれるのだ。
知性とは脳は100億以上の
ニューロン(神経素子)の結合である。
だったら、ニューロン(のモデル)を用いた
回路(ニューラルネットワーク)によって
知能を作ることが可能ではないか!
(since 1943)
http://www.sanko-junyaku.co.jp/product/bio/catalog/nhc_animal/rat-neuronal-3striatum.html
ニューラルネットだけで知性の機能を
全て再現してみよう!
Page 207
神経素子(ニューロン)とは?
入力
入力
入力
出力
入力
この中にはイオン(電解,Na+,K+) 溶液が入っていて、入力によって電圧が高まると出力する仕組みになっています。
100mVぐらい ニューラルネットワーク内シグナル伝達スピード 100(m/sec) … 案外遅い
http://www.brain.riken.go.jp/jp/aware/neurons.html
Page 208
ニューラルネットを理解しよう② 基本原理
http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/brain/brain/11/index-11.html
医学的知識
http://www.biwako.shiga-u.ac.jp/sensei/mnaka/ut/sozai/ai.html
モデル化
数学的モデル
ニューロン 人工ニューロン
入出力関係のグラフ 入出力関係の関数(シグモイド関数)
Page 209
ニューラルネットを理解しよう② 数学的原理
http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/brain/brain/11/index-11.html
医学的知識
http://www.biwako.shiga-u.ac.jp/sensei/mnaka/ut/sozai/ai.html
モデル化
数学的モデル
ニューロン 人工ニューロン
入出力関係のグラフ 入出力関係の関数(シグモイド関数)
ニューラルネットワーク
(ニューロンをつなげたもの)
道具はこれで全て。これで何ができるだろう?
Page 210
ニューラルネットを理解しよう② 基本原理
http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/brain/brain/11/index-11.html
医学的知識
http://www.biwako.shiga-u.ac.jp/sensei/mnaka/ut/sozai/ai.html
モデル化
数学的モデル
ニューロン 人工ニューロン
入出力関係のグラフ 入出力関係の関数(シグモイド関数)
ニューラルネットワーク
(ニューロンをつなげたもの)
道具はこれで全て。これで何ができるだろう?
一旦、モデル化
したら、元に
なったモデルは
ひとまず忘れて
よいのです。
Page 211
ニューラルネットを理解しよう③ 数学的原理
数学的モデル
入力信号
=繋がっているニューロンからやって来ます
ウエイト(重み)
=各ニューロン間の結合の強さ
「入力信号x重み」+「バイアス」(初期電位、適当な小さな値)
出力信号
(0~1の間)
バイアスをうまく調整して、
このセンシティブな領域に入力が集中するように
調整しよう!(ニューラルネットの技術的なコツ)
Page 212
ニューラルネットを理解しよう③ 数学的原理
数学的モデル 階層型ニューラルネットワーク
… 一方向にニューロンをつなげたもの
入力層 隠れ層 出力層
重み 重み
最初に定義するもの=ウエイト(重み) 、バイアス とりあえず全ての結合を定義しておく(ニューロン間の重みを0にすれば切れる)
数値の組み
が入ります
数値の組み
が出ます
これは3層の例だけど、
何層つなげてもよい
一旦定義してから変えることができないもの…全体の構造
変えることができるもの…ウエイト(重み)
Page 213
ニューラルネットを理解しよう④ 学習
数学的モデル
数値の組み
が入ります
階層型ニューラルネットで学習とは、ある入力に対して特定の出力(学習信号)になるようにウエイトを変化させることを言います。
学習信号
実際の信号
誤差信号
① 手動で少しずつ勘を頼りに変えて行く。 まず無理
② えらい人が考えた方法を使ってみる。 誤差伝播法
伝播する
誤差信号
伝播する
誤差信号
どうやって?
Page 214
ニューラルネットを理解しよう④ 学習
数学的モデル
数値の組み
が入ります
教師信号と実際の出力の差を、ウエイトを調整することで、縮めて行く。
学習信号
実際の信号
誤差信号
伝播する
誤差信号
伝播する
誤差信号
ニューラルネットの出力側から、誤差分を、後ろ側に分担して
負担するように、後ろのニューロンへ、そのニューロンが
詰める大きさを含んだ情報を伝播して行く。
誤差伝播法(Back Propagation Method)
Page 215
ニューラルネットを理解しよう④ 学習
数学的モデル
数値の組み
が入ります
教師信号と実際の出力の差を、ウエイトを調整することで、縮めて行く。
学習信号
実際の信号
誤差信号
伝播する
誤差信号
伝播する
誤差信号
一つの学習信号に対して、誤差伝播法を何度もくり返して
ウエイトを変化させて収束させ、。学習信号を出力できるようにします。
Page 216
DEEP Q LEARNING 解説
Page 217
Deep Q-Learning
Volodymyr Mnih, Koray Kavukcuoglu, David Silver, Alex Graves, Ioannis Antonoglou, Daan Wierstra, Martin Riedmiller (DeepMind Technologies) Playing Atari with Deep Reinforcement Learning http://www.cs.toronto.edu/~vmnih/docs/dqn.pdf
画面を入力 操作はあらかじめ教える スコアによる強化学習
Page 218
深階層ニューラルネットワーク
http://www.nature.com/nature/journal/v518/n7540/full/nature14236.html
ニューラルネットワーク=信号(波形)処理だけで知能を作る。
Page 219
学習過程解析
Volodymyr Mnih, Koray Kavukcuoglu, David Silver, Alex Graves, Ioannis Antonoglou, Daan Wierstra, Martin Riedmiller (DeepMind Technologies) Playing Atari with Deep Reinforcement Learning http://www.cs.toronto.edu/~vmnih/docs/dqn.pdf
Page 220
分散深層強化学習でロボット制御
分散深層強化学習でロボット制御 https://research.preferred.jp/2015/06/distributed-deep-reinforcement-learning
Page 221
分散深層強化学習でロボット制御
分散深層強化学習でロボット制御 https://research.preferred.jp/2015/06/distributed-deep-reinforcement-learning
Page 222
分散深層強化学習でロボット制御
分散深層強化学習でロボット制御 https://research.preferred.jp/2015/06/distributed-deep-reinforcement-learning
Page 223
問6 「記号とニューラルネット」
記号思考にできて、
ニューラルネットにできないことは
何か?
ニューラルネットにできて、
記号思考にできないことは何か?
Page 224
本日のメニュー
• 序章 前置き-数学、物理学、認識-
• 第一章 分析哲学の系譜
• 第二章 分析哲学から人工知能へ
• 第三章 人工知能の拡がりと論理プログラミング
• 第四章 ゲームキャラクターにおける応用
• 第五章 記号論の反対側 – ニューラルネットワーク–
• 第六章 本能と知能
Page 226
本能と記号
• 個体の持つ、動物としての本能的なものと、
• 個体の持つ、高い知能としての部分。
• この二つをどのように結びつけるか、
• あるいは、対立したまま内包するか、
という問題がある。
Page 227
知能
身体の反射レベル
脳の原始的な部分の反射レベル
無意識の反射レベル
意志決定
物理 情報
身体 感覚 情報
抽象 知的 情報
情報の抽象度
時間進行(流れ)の方向
論理的思考 (記号系)
生態的反射 (=環世界) (記号系)
TYPE-I
Page 228
知能
身体の反射レベル
脳の原始的な部分の反射レベル
無意識の反射レベル
意志決定
物理 情報
身体 感覚 情報
抽象 知的 情報
情報の抽象度
時間進行(流れ)の方向
論理的思考 (記号系)
生態的反射 (=環世界)
(ニューラルネット)
TYPE-II
Page 229
知能
身体の反射レベル
脳の原始的な部分の反射レベル
無意識の反射レベル
意志決定
物理 情報
身体 感覚 情報
抽象 知的 情報
情報の抽象度
時間進行(流れ)の方向
論理的思考 (記号系)
生態的反射 (=環世界)
(ニューラルネット)
TYPE-II
記号系とニューラルネットをいかに接続するか? これはこれからの課題となる。 特に DEEP LEARNING の次に来るのは、 この二つの潮流の融合である。
Page 231
問1 「認識と数学」
我々知能が、物理法則など、 この世界を、数学の助けを借りて、 深く理解できるのはなぜか? 人工知能に物理法則を 教えることは可能か? 人工知能が世界の法則を理解するとは、 どういうことか?
Page 232
問2 「普遍記号学と人工知能」
自然言語は不完全な言語である
にもかかわらず、人間はなぜ、
研究でも仕事でも使い続けるか?
人間がすべてを記号で表現すれば、
人工知能も理解できるか?
Page 233
問3 「論理思考と人間と人工知能」
人間の思考活動を、 記号的な論理法則ですべて 表現することは可能か? もし可能なら、それを人工知能に 移せば、人間の思考となるか?
Page 234
問4 「論理プログラミング」
人工知能の発展が、 論理プログラミングだけで 閉じなかったのはなぜか? 現実を生き抜くために、 人工知能には論理思考以外に、 どのような能力が必要なのか?
Page 235
問5 「論理と本能」
人間は高度な論理思考を持ちながら、本能的欲求も持っている。
この二つは普段、どのように競合しているか? その競合を人工知能に与えることは、 いかにして可能か?
Page 236
問6 「記号とニューラルネット」
記号思考にできて、
ニューラルネットにできないことは
何か?
ニューラルネットにできて、
記号思考にできないことは何か?