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28小・中学校及び高等学校の暴力行為の件数や高校生の
中途退学者数が減少するなど
いじめについては、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的に平成25年9月に施行された「いじめ防止対策推進法」を踏まえ、道においては、平成26年4月に「北海道いじめの防止等に関する条例」を施行するとともに、同年8月、北海道におけるいじめの防止等の対策の基本的な方向や具体的な内容を示した「北海道いじめ防止基本方針」(以下「道の基本方針」)を策定し、平成30年2月には、施行後3年を目途とする条例の見直し規定に基づき、より実効性のあるいじめ防止等の取組が行われるよう「道の基本方針」を改定したところです。
さらに、近年、携帯電話やスマートフォン、パソコンを利用したインターネットへの書き込みや投稿によって子供たちがトラブルに巻き込まれたり、児童生徒の性別を問わず、児童ポルノ事件等の性的被害に遭う危険性があり、中でもSNS等で知り合った相手に脅されて自分の裸体を撮影して画像を送信させられる、いわゆる「自画撮り被害」が増加傾向にあるなど、今後もこのような事案の発生が懸念されることから、家庭内のルールづくりやフィルタリングの
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教育相談は、児童生徒それぞれの発達に即して、好ましい人間関係を育て、生活によく適応させ、自己理解を深めさせ、人格の成長への援助を図るものです。
るように、全ての教師が学校生活のあらゆる機会と場をとらえて行う、カウンセリングマインドに裏付けられた援助活動です。 したがって、教育相談は、生徒指導の一環として位置付けられるものであり、その中心的な役割を担うものといえます。教育相談の考え方や方法を生徒指導のみならず、学校の教育活動全体を通して生かすことが大切です。
犯罪被害に遭われた方やその家族は、犯罪そのものによる直接的な被害だけでなく、精神的ショックによる心身の不調など様々な困難に直面します。北海道では平成30年4月、北海道犯罪被害者等支援条例を制定し、関係部署が連携・協力して対策に取り組んでおり、教育の分野においても、犯罪被害者等である児童生徒及びその保護者に対し、適切な対応ができるよう学校内の相談体制の充実を目指しています。
全て
条例に基づく取組
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教育相談の具体的な方法には、児童生徒の年齢や相談内容に応じて様々なものがあり
ます。代表的な相談の形態としては、「個別相談」、「グループ相談」、「チーム相談」「自
発相談」、「呼び出し相談」、「定期相談」、「チャンス相談」があります。
また、代表的な相談方法としては、「面接相談」、「電話相談」、「手紙相談」、「FAX相談」、
「メール相談」などがあります。
○ 日常の信頼関係づくりに努める。信頼関係があって初めて教育相談が成り立つ。○ 普段から児童生徒に気軽に声かけをするように心がける。
全て
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暴力行為やいじめ
インターネットやアプリ
SNSなどのコミュニティ
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http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/ssa/mondaikodo-chosa.htm
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遣
平成29年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果
を道教委ホームページに掲載しています。
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いじめとは、児童生徒に対して、当該児童生徒と一定の人的関係にある他の児童生徒
が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを
含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものを
いいます。
個々の行為がいじめに当たるか否かの判断は、表面的・形式的に行うのでなく、いじ
められた児童生徒の立場に立つことが必要です。
学校の内外を問わず起こるいじめは、いじめを受けた児童生徒の教育を受ける権利を
著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、
その生命又は身体に重大な影響を生じさせるおそれがある、児童生徒の人権にかかわる
重大な問題です。
○ 児童生徒の善意に基づく行為であっても、意図せずに相手側に心身の苦痛を感じ
させてしまい、いじめにつながる場合がある。
○ 無視や陰口、冷やかし、からかい、仲間はずれなど、暴力を伴わないいじめは、
目に見えにくく、気付きにくい。また、特定の児童生徒に対して、執拗に、長期に
わたって繰り返されることがある。
○ 殴る蹴るなどの暴力を伴ういじめであっても、グループ内で行われている場合、
単なる「けんか」や「ふざけ合い」として軽く考え、気付いていながら見逃される
ことがある。
○ いじめを受けた児童生徒は、「心配されたくない」、「仕返しが怖い」などの気
持ちから、いじめを否定する心理が働く場合がある。
○ いじめを認知した学級担任が、「学級の問題は、自分で解決しなければ・・・」「他
の先生の迷惑になる・・・」などとして、一人で抱え込んだ結果、問題が深刻化してし
まうことがある。
いじめる子どもの
「いじめ衝動」
●異質な者への嫌悪
●違反への制裁意識
●ねたみや嫉妬感情
●心理的ストレス
など
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教職員を含めた周囲に援助を求めることの重要性を理解させる。
いじめは、「どの子供にも、どの学校でも起こり得る」という認識に立ち、いじめの
些細な兆候にも積極的に認知して、いじめを決して見逃さないことが重要です。
また、いじめの対応に当たっては、「複数の目」と「外部の目」という2つの視点を
もって、一人で抱え込まず、「学校いじめ対策組織」に報告して組織的に対応するとと
もに、保護者はもとより、状況に応じて、スクールカウンセラーやスクールソーシャル
ワーカーなどの心理や福祉の専門家と連携しながら対応することが大切です。
○ 児童生徒に、校内外のいじめ等の相談窓口を周知する。
○ 児童生徒理解を深め、信頼関係を築き、児童生徒の些細な変化・兆候であっても、
早い段階から関わりを持ち、いじめを看過したり軽視したりすることのないよう努
める。
○ いじめを発見し、又は相談を受けた場合は、情報を記録するとともに、速やかに
学校いじめ対策組織に報告する。
○ いじめを確認した場合は、毅然とした態度でその行為を止めさせる。
○ 被害児童の安全を確保するとともに、「学校は全力で守る」という決意を明確に
伝える。
○ いじめの認知件数がゼロであった場合は、そのことを児童生徒や保護者に公表し、
検証を仰ぐことで、認知漏れがないか確認する。
○ 教職員の不適切な認識や言動、差別的な態度などにより児童生徒を傷つけたり、
いじめを助長したりすることのないよう十分留意する。
○ いじめの行為の事実を確認する。
○ いじめた理由や動機を聴き、本人の心の内を理解し、成長支援の観点を踏
まえて指導方針を考える。
なお、善意で行った行為や悪意なく軽い言葉で相手を傷つけてしまった場
合等、「いじめ」という言葉を使わずに指導するといった柔軟な対応も可能
である。
○ いじめの非に気付かせ、謝罪の気持ちを醸成させる。
○ 自分のよい面に気付かせ、友達との新しい関係がつくれるよう援助する
観衆や
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5 いじめの解消
6 いじめの未然防止
いじめが生まれにくい環境をつくるため、全ての児童生徒が自分が必要とされる存
在であると感じ、互いの違いを認め合い、支え合うことのできる取組等、いじめの未
然防止に向けた予防的な生徒指導を行うことが大切です。
指導に当たっては、全ての教育活動を通じて、道徳教育及び体験活動等の充実を図
るとともに、いじめを自分こととして捉え、考え、議論することにより、いじめに正
面から向き合えるよう、児童生徒の自主的な取組の工夫を図ることが求められます。
また、個々の児童生徒の特性を踏まえた支援や、保護者との連携、周囲の児童生徒
に対する必要な指導を行うことも重要です。
インターネット上のSNSや掲示板等を利用して誹謗中傷等が行われる、いわゆる
「ネット上のいじめ」は、外部から見えにくく、匿名性が高いことから、児童生徒が
行動に移しやすい一方で、一度拡散してしまった画像等の情報を消去することは極め
て困難であることから、深刻な影響を及ぼすものです。
ネット上のいじめの未然防止に向けて、
平成30年2月に改正した北海道いじめ防止基本方針において、いじめが「解消してい
る」状態には、2つの要件が満たされている必要があることを新たに明記しました。
1つ目の要件は、「いじめに係る行為が止んでいること」で、いじめに係る行為が止
んでいる状態が相当の期間(少なくとも3か月を目安とする。)継続していることとし、
2つ目の要件は、「被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと」で、被害児童生徒
本人及びその保護者に面談を行うなどして心身の苦痛を感じていないことを確認する
こととしています。
いじめの解消の見極めに当たっては、学校いじめ対策組織が中心となって、学校や
保護者のほか、必要に応じて、スクールカウンセラーなどを含めた集団で判断するこ
とが大切です。
また、解消している状態に至った場合であっても、再発する可能性やいじめを受け
たことによる心理的な影響が容易には消えない場合も十分にあり得ることから、教職
員は、被害児童生徒及び加害児童生徒等を、日常的に深く観察する必要があります。
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7 いじめの重大事態への対処
いじめの重大事態が発生した場合、学校は、直ちに設置者を通じて、当該の地方公
共団体の長に報告します。
報告を受けた学校の設置者は、「いじめ防止対策推進法」や国の「いじめの重大事
態の調査に関するガイドライン」に沿って、速やかに、当該学校の設置者又は当該学
校の下に、弁護士や精神科医、学識経験者、心理や福祉の専門家など当該事案の関係
者と利害関係のない者(第三者)から成る組織を設けて、事実関係を明確にする調査
を行い、同種の事態の発生の防止に努めます。
道立学校においては、道教委の附属機関である「北海道いじめ問題審議会」が調査
を行います。
特に配慮の必要な児童生徒(例)
■ 発達障害を含む障がいのある児童生徒
■ 海外から帰国した児童生徒や外国人の児童生徒等外国につながる児童生徒
■ 同一性障害や性的指向・性自認に関わる悩みや不安を抱える児童生徒
■ 東日本大震災により被災した児童生徒、原子力発電所事故により避難している
児童生徒
ア いじめの重大事態とは
いじめの重大事態については、いじめ防止対策推進法第28条第1項において、
次のとおり規定されています。
① 生命心身財産重大事態
いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害
が生じた疑いがあると認めるとき
・児童生徒が自殺を企図した場合
・心身に重大な傷害を負った場合
・金品等の重大な被害を被った場合
・精神性の疾患を発症した場合 など
② 不登校重大事態
いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを
余儀なくされている疑いがあると認めるとき
・不登校の定義を踏まえ、年間30日を目安としている
・一定期間、連続しているような場合には、上記の目安にかかわらず、迅速に
調査に着手する必要がある
なお、児童生徒や保護者から、いじめられて重大事態に至ったという申立てが
あった場合は、重大事態が発生したものとして対応します。
イ いじめの重大事態に係る調査
調査によって、重大事態に至る要因となったいじめが、いつ、誰から行われ、
どのような態様であったか、いじめを生んだ背景事情や児童生徒の人間関係にど
んな問題があったか、学校・教職員がどんな対応をしたかなどを可能な限り明確
にします。
調査は、教育委員会や学校が事実に向き合い、同種の事態の発生防止を図るもの
であり、民事・刑事上の責任追及や訴訟等への対応を直接の目的としていません。
学校や教育委員会は、調査結果を重んじ、主体的に再発防止に取り組むことが大
切です。
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