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92 エレクトロニクス実装学会誌 Vol. 20 No. 1 (2017) して,若い世代中心に発足したタスクチームです。 初日は,遠方からの参加者の利便性を図るため,13 時か らの登録開始としました。その後,子林委員長(新川)か ら,今回のワークショップの趣旨説明,スケジュールおよ びルールの確認がありました。 1 セッションのアブストラクトトークでは,各発表者 に約 2 分半で発表要旨や技術ポイント,ディスカッション したい点などの説明をして頂きました。その後,第 1 セッ ションのポスター発表(24 件)がありました。今年は,ポ スター内容のバリエーションが豊富で,どのポスターの前 でも実物のサンプルや資料を手に活発に議論を交わし,熱 心にメモを取る様子が見受けられました。発表者も自分の ポスターの「Closed」の時間(40 分)に他のポスターを見 ることができることも本ワークショップの特徴となってい ます。 夕食は立食形式の懇親会が開催されました。慶応義塾大 学の平先生にご挨拶をいただき,東京大学の伊藤先生ご発 声の乾杯で,食事をしながら交流を深めました。 その後,自由時間を挟んで,株式会社フルハートジャパ 代表/國廣愛彦氏から「下町ボブスレー」というテーマ でナイトセッション講演が行なわれました。 下町ボブスレーは,東京都大田区を基盤にする企業が集 結して,2011 年に発足したプロジェクトで,「メイドイン・ 大田」のボブスレーそりで冬季五輪出場を目指して活動を 行っています。 修善寺ワークショップは,ラフォーレ修善寺(静岡県伊 豆市)を開催地とし,1991 年に始まり,本年で 26 回目と なります。本ワークショップは,宿泊を基本,ノースーツ /ノーネクタイ,撮影/録音禁止をルールとし,通常の講 演会や学会発表と異なり,最新技術ポスターの前で,発表 者と参加者が一体となった双方向のディスカッションを通 じて実装技術の現状と課題および将来像を幅広く自由に討 論し,かつ人的な交流を深めることを趣旨として開催しま した。参加者は 81 名でした。 今回は,メインテーマを「IoT 社会を先取りする先進実 装」,サブテーマを「実装のあらたな役割を探る」と定め, 実装技術とさまざまな分野の融合により生み出されるあら たな世界でキーテクノロジーとなる技術(実装関連材料, プロセス・接合技術・装置,評価・信頼性,IoT/センシン グ,ウェアラブル・プリンタブル,ヘルスケア,パワエ レ・カーエレ)の発表がポスター形式により行なわれまし た。発表件数は 50 件となりました。また,1 日目にナイト セッション,2 日目に招待講演が行われました。 今回は通常のポスター発表に加え,特別企画として JIEP ミッションフェローの活動紹介に関するパネル展示も行い ました。ミッションフェローとは,「今後の業界,学会の活 性化や将来に向けた活動,そしてそれを強力に推進してい く若きリーダーの育成と共に彼らを中心とする若い力を発 揮する機会と場を設ける」ことを理念に掲げ,未来に通じ る魅力ある技術を作り上げていけるような環境作りを目指 レポート 2016 ワ ー ク シ ョ ッ プ 開 催 報 告 2016 ワークショップ実行委員会 会 期:2016 10 13 日(木)~14 日(金)   会 場:ラフォーレ修善寺(静岡県伊豆市)    アブストラクトトーク ポスターセッション
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2016ワークショップ開催報告 - エレクトロニクス実装学会2016/10/13  · 2016ワークショップ開催報告 2016 ワークショップ実行委員会 会 期:2016

Mar 18, 2021

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92 エレクトロニクス実装学会誌 Vol. 20 No. 1 (2017)

して,若い世代中心に発足したタスクチームです。 初日は,遠方からの参加者の利便性を図るため,13時からの登録開始としました。その後,子林委員長(新川)から,今回のワークショップの趣旨説明,スケジュールおよびルールの確認がありました。 第 1セッションのアブストラクトトークでは,各発表者に約 2分半で発表要旨や技術ポイント,ディスカッションしたい点などの説明をして頂きました。その後,第 1セッションのポスター発表(24件)がありました。今年は,ポスター内容のバリエーションが豊富で,どのポスターの前でも実物のサンプルや資料を手に活発に議論を交わし,熱心にメモを取る様子が見受けられました。発表者も自分のポスターの「Closed」の時間(40分)に他のポスターを見ることができることも本ワークショップの特徴となっています。 夕食は立食形式の懇親会が開催されました。慶応義塾大学の平先生にご挨拶をいただき,東京大学の伊藤先生ご発声の乾杯で,食事をしながら交流を深めました。 その後,自由時間を挟んで,株式会社フルハートジャパン 代表/國廣愛彦氏から「下町ボブスレー」というテーマでナイトセッション講演が行なわれました。 下町ボブスレーは,東京都大田区を基盤にする企業が集結して,2011年に発足したプロジェクトで,「メイドイン・大田」のボブスレーそりで冬季五輪出場を目指して活動を行っています。

 修善寺ワークショップは,ラフォーレ修善寺(静岡県伊豆市)を開催地とし,1991年に始まり,本年で 26回目となります。本ワークショップは,宿泊を基本,ノースーツ/ノーネクタイ,撮影/録音禁止をルールとし,通常の講演会や学会発表と異なり,最新技術ポスターの前で,発表者と参加者が一体となった双方向のディスカッションを通じて実装技術の現状と課題および将来像を幅広く自由に討論し,かつ人的な交流を深めることを趣旨として開催しました。参加者は 81名でした。 今回は,メインテーマを「IoT社会を先取りする先進実装」,サブテーマを「実装のあらたな役割を探る」と定め,実装技術とさまざまな分野の融合により生み出されるあらたな世界でキーテクノロジーとなる技術(実装関連材料,プロセス・接合技術・装置,評価・信頼性,IoT/センシング,ウェアラブル・プリンタブル,ヘルスケア,パワエレ・カーエレ)の発表がポスター形式により行なわれました。発表件数は 50件となりました。また,1日目にナイトセッション,2日目に招待講演が行われました。 今回は通常のポスター発表に加え,特別企画として JIEPミッションフェローの活動紹介に関するパネル展示も行いました。ミッションフェローとは,「今後の業界,学会の活性化や将来に向けた活動,そしてそれを強力に推進していく若きリーダーの育成と共に彼らを中心とする若い力を発揮する機会と場を設ける」ことを理念に掲げ,未来に通じる魅力ある技術を作り上げていけるような環境作りを目指

レポート

2016 ワークショップ開催報告

2016ワークショップ実行委員会

会 期:2016年 10月 13日(木)~14日(金)  会 場:ラフォーレ修善寺(静岡県伊豆市)   

アブストラクトトーク ポスターセッション

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93エレクトロニクス実装学会誌 Vol. 20 No. 1 (2017)

趣旨説明する子林委員長

目覚ましいものがあります。 なぜ,「安全運転支援や自動運転が必要であるか?」と言う根本部分についても,若者や初心者に対する支援により「運転して楽しいクルマ」,事故低減などの「クルマ社会の課題解決」,高齢者や移動困難者に対する「社会的課題への貢献」と言う,自動運転がもたらす「価値」についての方向性を明確に示していただきました。 技術的な側面からは,ディープラーニングに代表される第三期 AIブームにより,車載 ECUの開発が加速しているものの,各種センサーからの膨大なデータを処理する計算能力の向上や消費電力の低減が今後の課題となっているとのことでありました。 今後は,スマホを用いた IVI(車載インフォテイメント:In-Vehicle Infotainment)について,現状と将来的な見解を示していただきました。 本ワークショップ終了後のアンケートでは,貴重な体験であった,あるいは発表者として幅広い聴講者から意見をいただけてよかったなどの御意見を多くの参加者の方々から頂きました。ナイトセッション&招待講演は大変好評でした。一方で,クロージングタイムが短い,など運営側に対する貴重なご意見もいただいており,今後に生かしていきたいと考えております。 また,今回のワークショップでは,新たな試みとして,参加者から良かったポスターを 3件選んでいただきました。集計の結果から,「IoT最前線!トリリオンセンサ」寺崎正氏(産業技術総合研究所),「内部加工型レーザダイシング技術」坂本剛志氏(浜松ホトニクス),「メガネ型ウェラブルデバイスの開発」上間裕二氏(ジェイアイエヌ)が上位となっており,サンプル(実物)を見せながらで判り易かった,新たなアイデアが湧いてきそうなどの意見を多く集めておりました。 2日間にわたる 3セッションの中で得られた,人的交流,現状の課題解決へのヒントや,将来技術への夢や期待,そして新たな問題提起や斬新なアイデアの醸成などが,新しい事業のきっかけとなれば幸いです。 最後に,御発表頂いた方々,御参加頂いた方々,事務局の方々に感謝を申し上げます。

 大田区は,日本のモノづくりを支える工場や企業が多く東京都内で最大の工場集積地ですが,生産拠点の海外移転や後継者不足で,1970年代から 2000年代にかけて,企業数が 1/3に減少しています。しかしながら,各社の技能・技術力は大変高く,連携による柔軟対応が可能なことから,技術力をアピールする手法として,「下町ボブスレープロジェクト」を立ち上げました。 ボブスレーは,「氷上の F1」と呼ばれ,最高速度が 140 km/hに達し,マシンクオリティーが成績に及ぼす影響も少なくありません。近年では,各国の大企業が参入し,その技術を競い合っているにも関わらず,メイドイン・ジャパンの競技用そりが存在していなかったこともボブスレーに着目した要因のひとつとなっています。 ソチ五輪への出場は,かなわなかったものの,折れずに開発を継続し,2016年 1月に見事ジャマイカナショナルチームへの採用が決定しました。採用に至るまでの経緯や詳細な技術について楽しくお話ししていただきました。 第 2セッションは,各部屋に討論資料を持ち込んでのフリーディスカッションを行いました。部屋ごとに,互いの技術課題や,実装技術の将来像,所属している会社,大学,研究機関のトピックスなどを語り合い,各部屋とも夜更けまで大いに盛り上がっていました。年代別×興味分野で部屋割を行ったことで,同様な課題を共有でき,活発な議論に繋がったようです。 2日目の第 3セッションは,アブストラクトトークの後,ポスター発表(26件)がありました。1日目と同様に,どのポスターの前でも,発表者と参加者が活発に意見交換を行い,時には一対一でじっくりと議論している様子も見受けられました。 昼食を挟んでのポスター発表終了後,株式会社本田技術研究所 上席研究員/坂上義秋氏から「自動運転技術動向とシステムアーキテクチャの今後」というテーマで招待講演が行なわれました。 前段では,自動運転に関しての俯瞰的な視点から歴史・プレーヤー・政策についてのご説明を判り易く実施いただきました。近年は,新プレーヤーの出現により,開発が加速され,各社が走行テストを実施するなど,その発展には

招待講演ナイトセッション