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2016 年度 複合文化論系 論系ゼミ要項 田中栄子 The Day before Eternity……いつからだろう。ふと気がつくと、/うつくしいということばを、ためらわず/口に することを、誰もしなくなった。/そうしてわたしたちの会話は貧しくなった。…… うつくしいものをうつくしいと言おう。/幼い猫とあそぶ一刻はうつくしいと。/シュロ の枝を燃やして、灰にして、撒く。/何ひとつ永遠なんてなく、いつか/すべては塵にか えるのだから、世界はうつくしいと。(長田弘) 2015 年 9 月 (作成)早稲田大学文学学術院事務所 最新情報は、論系ゼミ/ゼミ論文/卒業研究 Web ページ で随時確認するようにしてください。
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2016年度 複合文化論系 論系ゼミ要項 · 6月・7月は、試行的研究を始める。試行的研究にもとづく第二次ゼミ論構想発表を行なう。...

May 22, 2020

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Page 1: 2016年度 複合文化論系 論系ゼミ要項 · 6月・7月は、試行的研究を始める。試行的研究にもとづく第二次ゼミ論構想発表を行なう。 10月~12月は、ゼミ論の執筆。中間報告をする。また提出後はゼミ論発表会(3・4年合宿)

2016 年度

複合文化論系

論系ゼミ要項

田中栄子 《The Day before Eternity》

……いつからだろう。ふと気がつくと、/うつくしいということばを、ためらわず/口に

することを、誰もしなくなった。/そうしてわたしたちの会話は貧しくなった。……

うつくしいものをうつくしいと言おう。/幼い猫とあそぶ一刻はうつくしいと。/シュロ

の枝を燃やして、灰にして、撒く。/何ひとつ永遠なんてなく、いつか/すべては塵にか

えるのだから、世界はうつくしいと。(長田弘)

2015 年 9 月 (作成)早稲田大学文学学術院事務所

最新情報は、論系ゼミ/ゼミ論文/卒業研究 Web ページ

で随時確認するようにしてください。

Page 2: 2016年度 複合文化論系 論系ゼミ要項 · 6月・7月は、試行的研究を始める。試行的研究にもとづく第二次ゼミ論構想発表を行なう。 10月~12月は、ゼミ論の執筆。中間報告をする。また提出後はゼミ論発表会(3・4年合宿)

授業内容

【3 年生】地域言語調査と文献調査の方法を、実習をとおして身に付けるようにしたい。

春学期には、ゼミ参加者全員で特定の文献資料を取りあげ、それを解読し、その内容を検討する。こ

れまでに『安愚楽鍋』(仮名垣魯文)や『浮雲』(二葉亭四迷)の言語表現を調べた。また『唱歌と国語』

(山東功)、『漢文脈と近代日本』(齋藤希史)、『見えない文字と見える文字』(佐藤栄作)、『ヴァーチャ

ル日本語 役割語の謎』(金水敏)なども輪読して批判的に検討した。

夏休み後半から秋学期には、いずれかの地域で言語調査を実施する。これまでに「群馬県西南部地域

言語調査報告書」「静岡県伊東市言語調査報告書」「長野県東信濃地域言語調査報告書」「首都圏三代の言

語調査報告書」「安房館山市言語調査報告書」を毎年作成してきたし、2015 年度は「秋山郷言語調査報告」

ビデオを制作した。

【4 年生】学生個人またはグループでゼミ論を構想し、完成することを目標にする。

春学期には、言語研究と「交差」させるもう一つの要素を考えてゼミ論を構想し、試行的研究を始め

る。ゼミ論はグループ研究のかたちでも認める。

構想ならびに試行的研究の内容は、3 年生・4 年生の前で発表して、質問や意見をきく。

秋学期は、ゼミ論の途中経過を発表して互いに励ましあう。ゼミ論提出後、3 年生・4年生全員の参加

するゼミ論発表会(合宿)を行う。

シラバス

【3 年生】

4 月・5 月に、研究対象とする文献資料、または書籍を決定して読解・検討を進める。4 年生のゼミ論構

想発表に意見を述べる。

6 月・7 月に検討した資料と関連する内容のレポートを作成して発表する。

9 月~10 月には、地域言語調査地を決定して、実地調査に出掛ける(合宿)。4 年生のゼミ論中間発表に

意見を述べる。

10 月・11 月・12 月は、地域言語調査データの整理と分析。4年生のゼミ論発表に意見を述べる(合宿)。

1 月は、地域言語調査報告をまとめる。また、各自ゼミ論の構想を練って発表する。

担当教員 科目名

上野 和昭

言語文化ゼミ(ことばの歴史・ことばの地理)

副題:

プログラム:言語文化

1定員

10~15 名

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【2013 年秋の安房館山言語調査のときの写真】

【4 年生】

4 月・5 月は、それぞれゼミ論の構想を検討する。第一次ゼミ論構想発表を行なう。

6 月・7 月は、試行的研究を始める。試行的研究にもとづく第二次ゼミ論構想発表を行なう。

10 月~12 月は、ゼミ論の執筆。中間報告をする。また提出後はゼミ論発表会(3・4 年合宿)

1 月は、3年生のゼミ論構想を聞き、それについてアドバイスをする。

【2012 年暮ゼミ論発表会 於 川奈セミナーハウス】

教科書

【3 年生】【4 年生】とくに定めない。

参考文献

【3 年生】たとえば『講座方言学 3 方言研究の問題』国書刊行会、『日本語の歴史』1~7、別巻 平凡社ラ

イブラリー など。詳しくは授業で紹介する。

【4 年生】たとえば『言語学大辞典』三省堂、『日本語学研究事典』明治書院など。詳しくは授業で紹介

する。

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評価方法

【3 年生】〔1〕ゼミでの積極性〔2〕実習調査・合宿などへの参加、積極性〔3〕レポート

【4 年生】〔1〕ゼミでの積極性〔2〕実習調査・合宿などへの参加、積極性〔3〕ゼミ論への取り組み

関連 URL

http://wwww.f.waseda.jp/uenok/

授業実施曜日・時限(予定)

【3 年生】【4年生】2 学年合同で火曜日の 3 時限に行なう。場合によっては 4 時限にまで時間を延長する

ことがあるので、その時間はできるだけ空けておいてほしい。

ゼミ紹介

このゼミでは、とくに日本語を対象として「ことばの地理、ことばの歴史」を中心に研究する。3年生

のときは、地域言語調査(言語の地理)と文献資料調査(言語の歴史)とを、ともに全員で学ぶが、4 年

生になってからは、そのいずれかを選んで、または両方を関連付けて研究し、ゼミ論を執筆する。複合

文化論系という名前にもあらわれているように、言語研究という「主軸」に、文学・社会学・歴史学・

哲学などなど、学部の授業などから学べるさまざまな学問を「交差」させて、新たな視点から言語に関

連する事象を考察することを心がけてほしい。ゼミ論は、グループで計画する場合も、個人で構想する

場合も、いずれも認める予定である。例年 12 月後半に、全員で合宿してゼミ論発表会を行っている。

選考方法

・ゼミ志望理由書

・2 年春学期までの成績を参考にする。

・面接を行う。

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授業内容

【3 年生】

アジアの諸言語の、文字を中心とする表記の現状と歴史を見ながら、音声言語と文字の関係、文字の類

型、などについて皆で考えます。たとえば、漢字、ハングル、インド系のチベット字、タイやミャンマ

ーの文字、ウイグルで使用されるアラビア字など、歴史的には、ソグド系のモンゴル字に由来する満洲

字、ベトナムの字喃、西夏文字、契丹文字、女真文字、パスパ文字など、またアニメや映画に出てくる

人工文字も研究対象となります。ことばの伝達という視点から、書記メディアの素材と形態、書籍の流

通、印刷文化などもテーマになるでしょう。言語学の部門としては文字論や音韻論が中心となります。

【4 年生】

前年度に引き続き、表記と伝達の諸問題、表音文字や表語文字の原理、文字の系統、文字論の新たな展

開の可能性などについて考えます。ゼミ論の作成過程で生じた疑点や問題点を出し合って皆で議論しま

す。

シラバス

【3 年生】

教員による概論のあと、関連教材の読解や分析、そしてそれを踏まえた議論を行ないます。それと並行

して、各自内発的興味に従い研究テーマを決定、ゼミ論の構想を練り上げていきます。前期の後半に第

一段階の口頭発表(先行研究の紹介でも可)、後期の後半に第二段階の発表をしてもらう予定です。関連

教材の例:文字論、パスパ文字とハングル、など。

【4 年生】

関連教材の読解や分析、それを踏まえた議論も継続しますが、重点はゼミ論作成に移ります。お互いの

研究内容を理解する努力を怠りなく切磋琢磨しつつ各自の論文の完成を目指します。進捗状況にあわせ

て途中経過報告を行なってもらいます。

【3 年生】【4 年生】指定教科書は特にありません。関連教材はプリント配布。

教科書

【3 年生】【4 年生】指定教科書は特にありません。関連教材はプリント配布。

参考文献

【3 年生】『言語学大辞典』文字編、河野六郎『文字論』(三省堂)

フロリアン・クルマス『文字の言語学 現代文字論入門』(斎藤伸治訳、大修館書店)

【4 年生】『言語学大辞典』、河野六郎著作集(三省堂)

フロリアン・クルマス『文字の言語学 現代文字論入門』(斎藤伸治訳、大修館書店)

担当教員 科目名

古屋 昭弘

言語文化ゼミ(ことばの表記・ことばの伝達)

副題:

プログラム:言語文化

2定員

10~15 名

Page 6: 2016年度 複合文化論系 論系ゼミ要項 · 6月・7月は、試行的研究を始める。試行的研究にもとづく第二次ゼミ論構想発表を行なう。 10月~12月は、ゼミ論の執筆。中間報告をする。また提出後はゼミ論発表会(3・4年合宿)

評価方法

【3 年生】出席状況、研究発表やレポートの内容などによる総合的評価

【4 年生】出席状況、研究発表やレポートの内容、ゼミ論への取り組み状況などによる総合的評価

関連 URL

授業実施曜日・時限(予定)

【3 年生】【4年生】3 年生は金曜 3限、4年生は金曜 4 限に登録されますが、合同で授業を行う場合がありま

すので、3年生は金曜 4限、4年生は金曜 3限の時間を空けておいてください。

履修モデル

言語学入門、ヨーロッパのことばと文化、アジアのことばと文化、音声学・音韻論など

ゼミ紹介

各自が興味を抱く言語や文化は様々ですが、お互いの研究内容をしっかり理解しようとする姿勢が大事

だと思います。一昨年できたばかりのゼミですので、皆さんの自主性を存分に発揮してください(もち

ろん節度をもって)。音声言語と表記の対応関係は時代・地域の違いに応じて複雑な様相を呈します。ア

ジアに限りませんが、同じ文字を使用する異系統の諸言語、反対に、異なる文字を採用している同系統

の諸言語もあります。歴史や宗教にも関連してきます。アジアの多種多様な言語文化を探索しながら、

その中を貫く法則性や普遍性についても考えてみましょう。

備考

授業内容にあげたもの以外のこと、たとえば自分の知っている他のアジアの言語についての研究発表やゼミ論

も大歓迎です。

選考方法

項 選考方法 実施の場合は「○」

1 ゼミ志望理由書(必須) ○

2 2 年春学期までの成績を参考にする。 ○

3 面接を行う。 ○

4 抽選による。

5 その他(別途提出物を求めるなど)

上記「その他」の内容:

以 上

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授業内容

【3 年生】統語論、意味論、語用論等の基礎知識を身につけることに重点を置きます。言語学は数学など

と同じ積み上げ型の学問です。言語学の専門的な訓練を受けずに、言語について自分でなんとなく考え

たことを書いてもゼミ論文にはなりません。重要文献の読解、演習などを通じて、各自の問題意識を明

確にし、ゼミ論文のテーマにつなげます。

【4 年生】ゼミ論文に向けて各自の研究を進めます。一人の発表に対して全員がコメント(全員の名前入

りレビューシートのほか、二名からの匿名コメント)を作成し、発表者が全員のコメントを反映させた改

訂版を作成する、という作業を繰り返します。

シラバス

【3 年生】4 月~7 月: 文献講読および関心領域の発掘を行い、それぞれの関心領域に深く関わる文献 (一

つないし複数) について、(1) 内容、(2) 論評、(3) 各自の研究テーマへの展望を記したレポートを作成し

ます。10 月〜12 月: それぞれの研究テーマについて発表し、全員で議論を行います。1 月: ゼミ論文のも

とになるレポートを提出します。

【4 年生】4 月〜7 月: ゼミ論文の構想を発表します。9 月: ゼミ論文の完成原稿を提出します。10 月〜12

月: 授業中の討論およびレビューシート・匿名コメントに基づきゼミ論文を改訂します。

教科書

【3 年生】【4 年生】授業中に指示します。

参考文献

【3 年生】【4 年生】授業中に指示します。

評価方法

【3 年生】【4 年生】[1] 発表 (複数回) [2] ディスカッションへの参加度 [3] コメント (レビューシー

トおよび匿名コメント) [4] レポート

関連 URL

http://tomohirosakai.web.fc2.com

授業実施曜日・時限(予定)

3 年生は木曜日 5 限、4 年生は木曜日 6 限に登録されますが、合同で授業を行う場合が ありますので、5

限と 6 限の時間を空けておくことが望まれます。

担当教員 科目名

酒井 智宏

言語文化ゼミ(ことばの科学・ことばの哲学)

副題:

プログラム:言語文化

3定員

10~15 名

Page 8: 2016年度 複合文化論系 論系ゼミ要項 · 6月・7月は、試行的研究を始める。試行的研究にもとづく第二次ゼミ論構想発表を行なう。 10月~12月は、ゼミ論の執筆。中間報告をする。また提出後はゼミ論発表会(3・4年合宿)

履修モデル

複合文化論系演習 (日常言語の論理学)、複合文化論系演習 (文法の理論)、認知言語学入門、語用論入門

の履修を強く勧めます。これらの分野の知識が十分でない場合、ゼミ論文の作成等に支障をきたす可能

性があります。そのほか、自分の関心のある言語学関連の科目を履修するとよいでしょう。

ゼミ紹介

捉えどころのない言語という複雑な対象物を、それでもなんとか捉えてやろうと思う人たちのためのゼ

ミです。言語とは徒手空拳で挑んでなんとかなる相手ではありません。このゼミでは、(1) どの言語の、

(2) どんな側面を、(3) どんなアプローチで捉えるのか、各自の問題意識を明確にしていきます。

(1) どの言語? —英語、ドイツ語、フランス語、日本語、英仏語対照、日英語対照、etc. 世界のどの言

語を選んでも OK です。

(2) どんな側面? —統語論、意味論、語用論、社会言語学、統語論と意味論の関係、意味論と語用論の

関係、etc. どんな側面を研究しても OK です。

(3) どんなアプローチ? —生成文法、HPSG (主辞駆動句構造文法)、認知文法、論理的意味論、認知意

味論、etc. 欧米で生まれたアプローチであれば、どれを採用しても OK です。

このように、テーマの選択はゼミ生の主体性に任されていますが、これは「なんでもあり」ということ

ではありません。次の二点に留意しながら言語学的な思考法を養成し、ゼミ論につなげていきます。

A. 現代の言語学は科学の一分野です。どのテーマを選ぶにせよ、科学的な問いの立て方・科学的な議論

の仕方をしっかりと身につける必要があります。そのうえで、異なるテーマを研究する人とでも科学

的な議論を戦わせることのできる技術を身につけます。

B. 科学はときに暴走します。それは、科学自体の問題である場合もあれば、科学を使う人の問題である

場合もあります。いずれの場合も、科学の暴走を止めるのは広い意味での哲学です。このゼミでは、

(3)に掲げた言語への科学的アプローチのほかに、近代ヨーロッパの哲学的言語論、20 世紀以降の言

語哲学、科学哲学の思考法も重視し、「科学としての言語学」を醒めた目で眺める視点を養成します。

備考

選考方法

項 選考方法 実施の場合は「○」

1 ゼミ志望理由書(必須) ○

2 2 年春学期までの成績を参考にする。 ○

3 面接を行う。 ○

4 抽選による。

5 その他(別途提出物を求めるなど)

上記「その他」の内容:

以 上

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授業内容

【3 年生】

文化人類学は、理論と実践を兼ね備えています。文化人類学をより深く知っていただくため、このゼミを開

講しました。文化人類学をよく知っていただくため、次のような順序でゼミを組み立ててまいります。

まず第一に文化人類学の基礎知識を共有したいと思います。ここでは特に文化のもつ保守性とそれを変えて

ゆこうとする力、およびそうした環境の変化への適応の仕方について、文献学習とディスカッションを通して

知識を深めてまいります。

次に第二として、そうして学んだ一般的な知識を実際の社会、あるいは人々の生活の場で検証してみたいと

思います。本ゼミではフィールドワークの場所として、東京の下町に行き、そこでフィールド調査をしてみま

す。そのために、下町について、過去どのような調査や研究、そして見方がなされてきたのか、いままで書か

れてきたもの(研究論文ばかりではなく、小説なども含む)を検討してみます。そのうえで東京の下町を訪ね

てフィールド調査を行い、検証を行います。

【4 年生】

各自が東京の下町、そしてできれば東南アジアの地域を選び、3年で学んだやり方にそって研究調査を進め

て行きます。また、それ以外の地域でも、自分が観察できた、あるいは感じることができた「伝統」やその保

存について関連するトピックは、本ゼミでは研究可能です。特に一連の儀式や祭りが今の社会でどのように伝

統と言われるものの維持に役立ち、またそれがどのように変容してくるのかについて、あるいは老舗がどのよ

うにして維持されてきたのかなど、実際の調査を通して学んでゆきます。学んだ知識の応用をはかるため、各

自最終的に観光の問題、文化遺産の問題、地域の開発の問題、地域の活性化の問題、人々の流動性の問題、グ

ローバル化の問題などトピックを選び、見解をまとめ、それぞれのフィールドで学んだものをゼミ論文として

まとめて仕上げとしたいと思います。

シラバス

【3 年生】

本ゼミは、授業、ディスカッション、そしてフィールドワークの 3 つの形式で構成されます。授業とフィー

ルド調査をスムーズに進めるため、チームを編成します。3年では常にチームにおいて学習調査研究を進めま

す。ゼミ生の共通の認識をはかるため、文献学習をクラス内で授業し、さらにグループワークを行います。ま

ず文化人類学の理論的課題について学びたいと思います。特に、ゼミで追及する特殊な問題、文化の保守性と

変容について先にでている研究調査を綿密に検討してみたいと思います。春学期、秋学期を通して、東京の下

町調査の準備に入ります。特に、下町の地域の詳しい地図づくりから始め、地域と書かれない歴史について、

聞き取り調査をとおして「地域の記憶」を組みたてて行きたいと思います。フィールド調査に映像人類学の手

法を導入してみたいと思います。

【4 年生】

春学期において、伝統に関連する記憶が地域という場と結びつくことを確認してもらいます。このため、4

年になって各自自由にトピックを選んで調査ができるようにします。そのため基礎知識と技術の仕上げを行い

ます。3 年で行ってきたフィールド調査をさらに進めるのも良いですし、新たに 3年で学んだことを応用する

担当教員 科目名

西村 正雄

文化人類学ゼミ(<伝統>文化とその変動)

副題:下町の文化人類学

プログラム:文化人類学

4定員

10~15 名

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形で地域、トピックを選んでも結構です。その中で、本ゼミの共通テーマである文化の保守性と可変性、そし

て伝統の問題を考えてゆきたいと思います。秋学期において、それぞれの学生がゼミ論文を作成し、提出して

いただきます。

教科書

【3 年生】【4 年生】本年は特にありません。しかし、重要必読参考文献はその都度指示いたします。

参考文献

【3 年生】授業中各トピックごとにきめ細かく指示します。

【4 年生】授業中、また各自の研究に応じてきめ細かく指示します。

評価方法

【3 年生】授業中、ディスカッションの態度、フィールドワークの報告により評価したいと思います。

【4 年生】授業中、ディスカッションの態度、フィールドワークに基づいたゼミ論文により評価したいと思い

ます。

関連 URL

http://anthropologywaseda.web.fcw.com/Hp1/

授業実施曜日・時限(予定)

【3 年生】火曜 5 時限、およびたびたび平日の空いている時間、土曜日、日曜日、休日など利用してフィール

ドワークを行います。フィールドワークをおこなう日時については、そのつど相談の上決めます。

【4 年生】火曜 6 時限、およびたびたび平日の空いている時間、土曜日、日曜日、休日など利用してフィール

ドワークを行います。フィールドワークをおこなう日時については、そのつど相談の上決めます。また、3

年生との合同ゼミをしばしば行います。その場合、火曜の 5 時限に行いますので、4 年生は火曜の 5 時限も

できれば空けておいてください。

履修モデル

演習文化人類学入門、演習フィールドワーク入門、フィールドワーク実習、演習文化人類学史、演習エスノ

グラフィー講読、演習多文化社会論、演習民族文化論、演習開発人類学、演習近代文化の相互交流、講義文化

人類学1,2、講義環境と人間1,2、講義文化人類学の最前線1、2 などを履修するとよいでしょう。

ゼミ紹介

3 年生は、クラス内でフィールドワークのやり方、下町とはなにか、下町の描かれかた、また地図上での下

町の位置などを確認して、実際のフィールド調査に出ています。また下町では祭りやイベントも多く、それら

に参加し、観察することも積極的に行っています。こうして過去、浅草、日本橋、神田、築地、深川などに赴

き、調査を行ってきました。その結果をクラスにもちより、ディスカッションをとおして、各自関心のあるテ

ーマを絞ってまいりました。またしばしば行っている 4年生との合同ゼミで、4年生の経験を聞き、自分の論

文に向けての関心事の絞込みに役立ててまいりました。

4 年生は、3 年生時に行ってきたゼミ活動を通して、各自のテーマを決め、ゼミ論文にむけて個別研究を進

めてゆきます。その構想発表、フィールドデータの持ち寄り、その分析結果を、ゼミのなかで討論の形で披露

して、他の人々の経験からのコメントを求め、修正を行い、また新たな知見を得て、ゼミ論文完成にむけて進

んでいる。

備考

このゼミはクラスの中だけで行うものではありません。町に出て、そこで暮らし活動する人々との接触、会

話をとおして学んでゆくものです。行動力が重要であり、また人と会話を楽しめる、社交性のある人々が望ま

れます。

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選考方法

次の方法で選考したいと思います。

1.ゼミ志望理由書を提出していただきます(必須);2.2 年春学期までの成績を参考にします;3.面接

を行います(予定)

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授業内容

【3 年生】

3年生時の到達目標は大きく分けて2つあります。まず、第一に文化/文化遺産をめぐる今日的状況、お

よび、「持続可能な開発」としての観光開発の過去と現在を理解するための基本的文献を読破することで

す。そして、第二に各自のフィールドを選定し、来るべきゼミ論に向けて予備調査を実施することです。

その上で、学年末にゼミ論のコアとなるべき、レポート(8000 字程度)を作成・提出してもらいます。

また、フィールド選定時の留意事項ですが、みなさんがやりたい、やってみたい、ということとゼミ

論提出までの限られた時間の中でできることが一致するとは限りません。みなさんの「学ぼう」という

決意を実現するためにも春学期の過ごし方や夏期休業中の予備調査がとても重要な意味をもつことを理

解しておいてください。

【4 年生】

3年生時に作成したレポートをもとに問題意識を深化させ、ゼミ論の完成を目指します。特に春学期

については、就職活動等との関係で多忙となることも予想されますので、執筆計画は余裕をもって作成

しましょう。

シラバス

※ゼミ進級決定時に基本文献リストを配布しますので、3年進級時までに目を通しておいてください。

【3 年生】

4~6月:各自の関心領域について、報告・討議をおこないます。その過程で必要な文献の収集方法、

フィールドワーク等についてアドバイスも併せておこないます。

7月:各自のフィールドと仮テーマを決定・報告。

8~9月:フィールドワーク。

9月:ゼミ合宿(合宿費用は実費徴収となります。期間や場所にもよりますが、1~2 万円と想定して

います)

10~1月:フィールドワークの成果、ならびにレポート進捗状況の報告。

2月:レポートの提出。

※なお、フィールドワークについては、対象地域や年中行事等の関係がありますから、8~9月に限

定するものではありません。4年生時も同様です。

【4 年生】

4月:3年生時レポートの再検討とゼミ論テーマの確定。

5~7月:ゼミ論の執筆・フィールドワーク・進捗状況報告、および討議。

8~9月:ゼミ論の執筆・フィールドワーク。

9月:ゼミ合宿(合宿費用は実費徴収となります。期間や場所にもよりますが、1~2 万円と想定して

います)

担当教員 科目名

寺崎 秀一郎

文化人類学ゼミ(文化ツーリズム論)

副題:

プログラム:文化人類学

5定員

10~15 名

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10~12 月:ゼミ論執筆。この段階では個別指導を強化する予定です。

1月:ゼミ論最終報告会。3 年生にも参加してもらいます。

教科書

【3 年生】【4 年生】特に指定しません。

参考文献

【3 年生】【4 年生】適宜、教場にて指示します。

評価方法

【3 年生】【4 年生】出席状況、研究報告の内容、討議への参加などをもとに総合的に判断します。

授業実施曜日・時限

【3 年生】火曜日 3 限

【4 年生】火曜日 4 限

履修モデル

1~2年生時に文化人類学関連の科目を履修していることが望ましく、また、すでに関心のある地域が

決まっている人は、当該地域に関する歴史的背景を理解するためにも、史学系の関連ブリッジ科目等を

履修しておくとよいでしょう。なお、3年生は3限、4年生は4限に登録されますが、合同で授業をおこ

なうことがありますので、3 限・4限を空けておくようにしてください。

ゼミ紹介

1987 年に提唱された「持続可能な開発」の一形態として観光開発が注目され、近年、観光産業は世界経

済の中で、重要な位置を占めるに至っています(2008 年にはその経済規模は世界の国内総生産の(GDP)

の約 9.9%=5兆 8,900 億ドルに達しています)。増大する観光客のニーズは多様化していますが、その中

で、各地の文化/文化遺産も「資源」としてとらえられる傾向にあります。ゼミ担当である私自身もメキ

シコ、チアパスのラカンドン族の集落で、ジーンズにTシャツ姿でマウンテンバイクに乗っていた若者

が、観光客が到着した途端、彼らの民族衣装である貫頭衣に着替える姿を目の当たりにしたり、ホンジ

ュラスにおいては先スペイン期遺跡の保存修復整備事業に青年海外協力隊の隊員として参加し、その経

験をきっかけに中米における主要観光資源である先スペイン期遺跡と現代社会の関係に注目するように

なりました。本ゼミではツーリズムということを入り口に、文化/文化遺産を継承する人びと=ホスト側

とそこを訪れる観光客=ゲスト側の双方において、文化はどのように語られ、あるいは再構築されてい

くのか、あるいは、その未来はどうなるのか、といった問題を起点に人類社会の多様性や多文化共生型

社会について、ゼミ生のみなさんと共に考えていきたいと思っています。研究対象地域は、日本を含む

世界中です。

選考方法

1.ゼミ志望理由書(必須)

2.2年春学期までの成績を参考にする

3.面接を行う。

Page 14: 2016年度 複合文化論系 論系ゼミ要項 · 6月・7月は、試行的研究を始める。試行的研究にもとづく第二次ゼミ論構想発表を行なう。 10月~12月は、ゼミ論の執筆。中間報告をする。また提出後はゼミ論発表会(3・4年合宿)

授業内容

宗教をキーワードとするこのゼミでは、キリスト教やイスラームといった世界宗教のみを対象とする

のではなく、祝祭、治癒、巡礼、呪い、弔いといった、人間の多様な営為に焦点をあてます。テキスト

の事例は日本以外のものを多く含むため、東京に暮らす外国人による宗教的実践のフィールドワークも

行いながら理解を深めていきます。宗教の人類学という領域が取り扱う問題群の射程をつかみ、さらに、

そこから各自の関心を導き出して、最終的には、宗教なるものについての独自の考察を行うことを目的

としています。

シラバス

本年度はゼミ開講一年目にて、3年生のみを対象とします。

春学期は主に、宗教人類学の入門書と関連文献の輪読を行い、宗教人類学の射程をつかむと同時に、

各自の研究テーマを絞り込みます。ゼミ終了後、または週末を利用して、東京および近郊において合同

でフィールドワークを行いながら、フィールドワークの方法についても学習します。

夏期休暇中には、群馬県の谷川岳にて夏合宿を予定しています。星の鑑賞を通じて、古代ギリシアで

生まれた数々の神話について学びます。

秋学期からは、各自の研究テーマについての発表とディスカッションを行います。そのため、夏季休

業中に、フィールドワークを進めていることが求められます。

教科書

関一敏・大塚和夫(編)『宗教人類学入門』弘文堂、2004 年。

参考文献

適宜、指示します。

評価方法

出席状況、発表内容、ディスカッションへの参加態度などをもとに、総合的に判断します。

関連 URL

なし

授業実施曜日・時限(予定)

月曜3時限に行います。発表や指導等で延長することがありますので、4限も出席可能な体制を取っ

てください。また、ゼミ終了後の時間、あるいは週末を利用して、フィールドワーク調査に出ますが、

詳細な日時は事前相談の上で決めます。

担当教員 科目名

(新規嘱任者)

文化人類学ゼミ(宗教への人類学的アプローチ)

副題:宗教の人類学

プログラム:文化人類学

6定員

10~15 名

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履修モデル

文化人類学関連の科目を履修済みであることが望ましい。

ゼミ紹介

「無宗教」という言葉の使い方について考えてみましょう。特定の儀式や教義に基づいた組織に関与

しないことを理由に「無宗教」ですと答えるひとは多いと思います。その一方で、正月には神社で祈祷

を行い、夏の神事に参加し、お盆の時期には先祖供養をする。これらの行為は、外の人からすれば立派

な宗教的な行いであり、言動が矛盾していると思われてもおかしくありません。このような宗教に関す

る認識のズレが生じるのは、日本語の宗教という言葉の歴史にあるという指摘があります。日本語の宗

教とは、西洋社会のキリスト教のような教義体系を意味する言葉として、明治初期に、西洋人との交渉

の過程でつくられたものです。よって、地縁にもとづいた神事への参加や死者を養うといった土着の行

為は、日本語の宗教という括りに入らないというわけです。

このような背景を踏まえたうえで、日本語の宗教という括りを一旦取り払ってみましょう。そして、

祈る、弔う、祝うといった人間の行為に着目して世界中を見渡したとき、これまでは宗教の問題だから

私たちには関係ないと片付けていた問題が、実は非常に身近な問題であったことに気づくかもしれませ

ん。私たちとは異なる人々の営みについて学ぶことは、私たち自身のあり方を問い直す作業にもなりま

す。このゼミでは、様々な地域で生起する問題群に対して関心を示し、柔軟な思考でもって解釈しよう

とする態度、そして、慣れ親しんだ考え方から距離を置いて、別の視点から現状を捉え直してみようと

する姿勢をもつ人物の参加を歓迎します。

選考方法

項 選考方法 実施の場合は「○」

1 ゼミ志望理由書(必須) ○

2 2 年春学期までの成績を参考にする。 ○

3 面接を行う。 ○

4 抽選による。

5 その他(別途提出物を求めるなど)

上記「その他」の内容:

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授業内容

キーワード:

アート 社会 都市 異文化 建築 広告 デザイン パブリックアート ミュージアム

私たちの日常生活においては、広告やデザイン、ファッション、パブリックアート、建築空間が豊富

にあって、“視覚文化”に溢れています。また美術館や画廊など“アートの展示場”では、つねに展覧会

も開催され、視覚(ヴィジュアル)的要素は、現代社会において大きな意味をもつようになりました。

そこには、社会のさまざまな問題が反映され、古今東西の多様な文化が共存し、混在するのを見出せま

す。授業ではこうした周辺の環境に目を向け、仲間とともに実見・体験し、分析・考察を行っていきま

す。身近なアートや視覚文化に、私たちは何を感じ、何を見出せるのか。アートや視覚文化と社会にか

かわる問題を、都市、異文化接触、生活などを切り口にとらえることが目的です。

そのために、以下の手法で見ていきます。

①対象に備わったヴィジュアル的特性を、ミクロな視点からていねいに分析します。

②都市におけるアートの存在や意味をマクロな視点から俯瞰してみます。

ニューヨーク パリ

ロックフェラーセンターに出現した 2014 年秋開館したルイ・ヴィトン財団

ジェフ・クーンズの作品(2014 夏) 閑静なブーローニュの森のなかに出現した

ホイットニー美術館での展覧会が フランクゲリーの奇抜な建築

街の日常空間と連動した例 現代美術のコレクションを有する

担当教員 科目名

坂上 桂子

異文化接触ゼミ(アートと異文化コミュニケーシ

ョン) ― 漢陽大学(韓国)との共同授業を含む

プログラム:異文化接触

7定員

10~15 名

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ここでは、とりわけ異文化交流や比較文化の視点が有効なアプローチとなります。①においては、ス

タイル(様式)に着目し、地域や時代にかかわる特性、固有性を探ると同時に、“創造の交流点”として

その表現を詳細に分析、考察していきます。外国文化の影響、受容を具体的表象に見出すことから、文

化的、社会的背景を浮き彫りにします。②では、比較文化の視点が有効です。その実践として、国内の

都市に加え、韓国のソウルを訪れ、それぞれ調査・研究します。

これらを通じ、私たちの豊かな生活や社会を生み出し、発展させる要因として、アートやデザインは

どのような力をもちえるのか、その可能性を探っていきます。自分たちの置かれたアートと社会の環境

を明らかにするために、東京だけではなく、日本、さらには世界を見わたし、客観的な視野を得られる

力を身に付けます。

ソウル 梨花洞の壁画村

古い街並みを利用したアートの数々

ソウル 東大門デザインプラザ

ザハ・ハディド設計により運動場跡地に建てられた総合デザインセンター

【3 年生】【4 年生】

ともにフィールドワークを中心に行います。

街や建築、美術展、パブリークアートなどを見学し、グループごとに設定したテーマについて調査・

研究します。実習に際しては、計画を立てることからはじまり、実施後には、必ずレポートおよびプレ

ゼンテーションにてその成果をまとめてもらいます。

3 年生は考察の基礎を学び、4 年生はゼミ論を作成します。

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参考:2014 年度ゼミ論タイトル 「 」はタイトル、( )はテーマ

・「ウィリアム・ブレイクの彩飾印刷 」(文学/アート/イギリス/印刷/複製文化)

・「「清渓川」にみる都市デザインと現代アート」(都市計画/ソウル/パブリックアート)

・「山口裕子とハローキティ」(キャラクター/デザイン/サブカルチャー)

・「ジョルジュ・ルオー絵画とフォーヴィスム」(現代アート/フランス)

・「エドガー・ドガと踊り子」(19 世紀美術/フランス)

・「ケルト・リヴァイヴァル その源泉と 20 世紀芸術への融合」(ケルト/デザイン/現代アート)

・「ルイス・バラガンの建築における光と色」(現代建築/メキシコ)

・「ウィリアム・モリスのゴシック様式と自然主義」(デザイン/イギリス)

・「アートビジネスとアンディ・ウォーホル」(アートビジネス/アメリカ/ポップカルチャー)

・「ユダヤ人画家と日本におけるマルク・シャガールの特異性」(20 世紀美術/ユダヤ/ロシア/日本)

シラバス

春学期:美術館や街並みなどを中心に学習。1~2 泊程度の合宿を国内で行います。

4-5 月 美術館における展覧会見学(1~2 箇所程度)とこれに関わる学習。

6 月 実習旅行を国内で行う予定です。

合宿のあとはグループごとにテーマ学習した成果を報告しあいます。

秋学期:韓国ソウルで行う交流プログラムへの参加を中心とします。

9-10 月 合宿のための準備。

10 月末-頃 韓国(ソウル)で交流授業に参加。

11-12 月 3 年生はゼミ論テーマの決定。4 年生はゼミ論を完成させます。

2015 年度春学期 ゼミ活動 参考写真

金沢 21 世紀美術館にて 丸の内界隈にて パブリックアート、街並みの調査

評価方法

授業への参加の度合い、プレゼンテーション、レポート、ゼミ論など、総合的評価によります。なおゼ

ミ合宿は授業の基本となりますので、参加することが評価のための条件となります。

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履修モデル

【ブリッジ科目】西洋近代美術/芸術論争の歴史/芸術と社会(都市と美術)/美術史への招待

【演習】創造の交流点/世界のなかの日本のイメージ

アートに関する講義科目を、時代・地域に関わらず幅広く履修することが望ましいです。

授業実施曜日・時限(予定)

【3 年生】は火曜日の 5 時限目、【4 年生】は火曜日の 6 時限目に登録されますが、見学会などにおいて

両時間を使う合同の授業が多くあります。受講生は、5.6 時限両方をあけておくことが望まれます。

ゼミ紹介

アートを実際に見、感じ、体験することを共有し、ともに考えるのが本ゼミです。そのため見学会を

多く行いますが、その中心となるのが、毎年ソウルの漢陽大学にて実施する合宿です。1週間大学の寮に

滞在し、韓国の大学生たちとともに学びます。研究発表のほか、韓国の学生や先生がたとさまざまな交

流をします。

2015 年度秋には、以下の大学を訪れ学びます。

1、漢陽大学の人文学部

2、慶熙大学の美術学部

3、成均館大学の建築学部

また、大学でのセミナーのほかにも、「建築」「パブリックアート」「街並み」「現代アート」「伝統アー

ト」「広告」など、テーマを決め、グループごとにソウルの街や美術館を見学し、学習します。

政治においてさまざまな問題をかかえる両国間ではありますが、文化と人びととの実際の交流を通し

て見、体験し、感じることは、ニュース等の情報からはわからないことを多く孕んでいます。異文化に

ついて考察することは、私たち自身を見つめることでもあります。とくに隣国アジアの文化を見ると、

想像以上の共通点を多く見出せる一方で、似ているようで実は異なるものをたくさん発見することにも

なります。こうした視点の獲得は、私たちをとりまくこれからの環境においては、必要不可欠でしょう。

それは欧米の文化を考察するためにも有効です。ここでの体験は、将来、皆さんがどのような仕事をし、

どのように歩んでいくうえでも、重要な財産になるに違いありません。以下、2014 年度ソウル合宿にお

けるゼミの活動を写真で紹介します。

ソウル市庁舎にて 成均館大学の先生による授業

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漢陽大学にて

早稲田大学学生たちの発表 漢陽大学学生たちの発表

交流授業

慶熙大学にて

キャンパスにて 美術学部ギャラリー見学 先生、学生たちと交流授業

ソウル国立現代美術館にて 市場の見学

選考方法 成績・志望理由書・面接

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授業内容

【3 年生】このゼミは、文化が伝播し、それを別の文化が受容することによって新しい文化が生まれてい

く過程を考察する「文化変容論」のゼミとして展開してきました。その原因を分析し、整理することに

よって、文化が変容し、新しく生成していく過程を過去の偉大な遺産(思想、芸術、言語)から学んで

きました。「文化変容」をキーワードに、異文化接触に焦点を当てて、ゼミを展開しています。今後も従

来通り、文化変容を考察するという基本的な姿勢を堅持しつつ、同時に、少数でも文学テクストに関心

の高いゼミ生も受け入れ、様々な面から、異文化接触と文化変容を考えて行きます。

春学期にはそれぞれが関心のあるテーマを探し出すために、様々な題材を持ち寄り、それにアプロー

チするための手法(文献、言語、調査)を探っていきます。秋学期は、春学期の成果を踏まえ、各人の

発表を中心に行います。夏期休暇中に合宿を行ない、ゼミ論の方向性を模索します。

【4 年生】3年次の成果を踏まえ、ゼミ論を執筆します。春学期は、研究発表を中心に行ない、秋学期は、

ゼミ論完成に向けて、個別指導に重心を置きます。

シラバス

【3 年生】4-5月は基礎知識の共有と興味の発掘を主眼とする。6-7月には、各自の研究テーマを選

定し、研究の具体的手法を探る。夏期休暇中には、合宿によって情報交換をし、個人の調査・研究によ

ってテーマを深める。10-12月は、夏期休暇の成果をもとに、順番に発表・討議を行なう。1月に

は、3年次の研究成果をまとめ、ゼミ論を視野に入れた研究発表を行ない、レポートを提出する。

【4 年生】4-6月は計画的にゼミ論作成を進めるに際し、進捗状況を月1回程度のペースで報告し、そ

れについて討議する。7月には、ゼミ論の中間発表会を開く。10-12月は、ゼミおよび個別指導

を受けつつゼミ論を完成させる。1月には、ゼミ論最終発表会を行なう。

教科書

【3 年生】特に定めない。

【4 年生】特に定めない。

参考文献

【3 年生】ゼミ生の関心が多様なので、授業で紹介していく。

【4 年生】ゼミ生の関心が多様なので、授業で紹介していく。

評価方法

【3 年生】[1]ゼミ参加の積極性[2]授業・合宿などへの参加[3]ゼミでの発表[4]レポート

【4 年生】[1]ゼミ参加の積極性[2]授業・合宿などへの参加[3]ゼミでの発表[4]ゼミ論への取り組み

担当教員 科目名

宮城 徳也

異文化接触ゼミ(文化変容論)

副題:文化変容とその展開

プログラム:異文化接触

8定員

10~15 名

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関連 URL

「宮城徳也研究室」http://www.f.waseda.jp/tokuyam/index.htm

授業実施曜日・時限(予定)

【3 年生】【4年生】2 学年合同で木曜の5時限に行ないます。延長する場合もありますので、可能な限り,

6限も空けておいてください。

履修モデル

個別に相談に応じて、一緒に考えて行く予定です。

ゼミ紹介

このゼミは、異文化接触プログラムのゼミとして展開されます。

異文化が他の文化との接触によって新しい文化を生み出していくことに興味を持つ学生を対象に、文

化の変容と創成を一緒に考えていきます。個々の文化を深く学び、理解するためには多くのハードルを

クリアしなければなりませんが、本ゼミはその出発点に立つことを企図して、手に届く範囲の日本語文

献、英語ウェブページを批判的視点を持って精読しながら、何かを理解するために次に何をすべきかを

自分の頭で考えていく姿勢をともに築いていきたいと思います。担当教員の関心はイタリアを中心とす

るヨーロッパがいかにギリシャ・ローマ文化の影響を受けながら、それとは違うものを作り上げていき、

それが日本を初めとする世界各地に影響を与えたことにありますが、別の視点から、文化の変容に関心

を持っている人も歓迎したいと思います。それぞれの興味を活かしながら、自分のテーマを掘り下げて、

それをわかりやすく伝え合えるような、そのようなゼミにしていきたいと思います。過去のゼミ論のテ

ーマは多様で、ヨーロッパと日本の言語、美術、建築、思想、文学、歴史、食文化、庭園、都市、多文

化共生、宗教が取り上げられました。担当者は多くの場合、適切な指導、助言を行なうと言うよりは、

皆さんと一緒に勉強していく姿勢ですが、その中で、韓国や東南アジアを研究してゼミ論をまとめた人

もいました。どのような場合でも、核になるのは「異文化の伝播、受容、変容」で、その中から新しい

文化が形成されていくことに、関心があることを前提としています。

この趣旨は、文学テクストからアプローチする場合でも変わりません。ギリシア神話やキリスト教の

聖人伝説に見られる「物語」が、文芸作品のみならず、歴史、哲学、絵画、彫刻、音楽、演劇、映像な

ど多くの思想、芸術や、日常生活に深く影響していったかもヒントに、私たちの文化や芸術、文学創造

の個々の問題を様々な角度から取り上げて、皆さんと一緒に勉強していきたいと思います。文化の伝播

と受容、その変容、新しい文化の創成、それによって生まれた多くのものに関心のある皆さんは是非、

一緒に勉強して行きましょう。

選考方法

・ゼミ志望理由書

・2 年春学期までの成績を参考にする

・面接を行う

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授業内容

私たちはこれまで経験したことがないような変動する世界に生きています。加速するグローバル化

とデジタル化によって、日常生活はチャンスとリスクに満ちています。このゼミでは、このような時代

を生きる受講生のために、①グローバル化、デジタル化された現代社会におけるチャンスとリスクにつ

いて理解を深めるとともに、②コミュニケーション能力を身に付けることを目標としています。

現代社会においてメディアは、ビジネス、政治、

経済、教育、医療、スポーツなど至る所に入り込

んでいます。携帯電話やインターネットは私たち

の日常生活において様々な人や文化を結びつけ、

グローバル化を推し進めています。このゼミでは

共同プロジェクト(YMG: Youth, Media and

Globalisation)を通じて、現代のグローバル社会

における情報通信技術の発展によって得られる

チャンスとリスクについて明らかにしていきます。

2016 年度は、2015 年度に引き続き、「グローバル人材」に関するプロジェクトと、若者のメディア利

用に関する国際比較調査(Global Kids Online)を行う予定です。このプロジェクトは、英国ロンドンス

クール・オブ・エコノミクス大学大学院リビングストーン教授によって企画され、世界33カ国の大学関

係者が協力し実施されているものです。調査目的は、インターネット

利用によって生じる新たなチャンスとリスクについて国際比較から

明らかにし、政府やユニセフなどの国際機関にそのリスクと安全性

に関して具体的な提言を与えています。これまでは、ヨーロッパ諸

国中心に行われてきたプロジェクトですが、世界的関心の高まりか

ら、2015 年度から EU Kids Online から Global Kids Online とな

り、日本の研究代表としてこのプロジェクトに参加しています。

授業ではまず、グローバル化された現代社会を理解するためにグローバリゼーションや異文化コミ

ュニケーションに関する文献、またデジタル化を理解するためにメディア・コミュニケーションに関す

る主要な文献の講読やリサーチを行います。そして参加者各々の関心分野によってグループにわかれ、

プレゼンテーションを行います。この時、参加者全員は積極的にディスカッションに参加することが期

担当教員 科目名

高橋 利枝

異文化接触ゼミ(メディア・コミュニケーション論)

副題:グローバリゼーションとメディア

プログラム:異文化接触

9定員

10~15 名

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待されます。グループワークによって基礎的な知識を習得し共有すると同時に、スマートフォンや

ソーシャルメディア利用に関する街頭インタビューやビデオ製作、

メディア関係者とのディスカッション、企業とのコラボレーション

や他大学との合同ゼミなど様々な実践的な活動も行なっていきたい

と考えています。このように本ゼミでは理論的かつ実践的にグロー

バル社会におけるメディアの社会・文化的役割について理解し、グ

ループワークやプレゼンテーションを通じて各々のコミュニケーシ

ョン能力に磨きをかけることを目標としています。

シラバス

【3 年生】

3 年生はグループワークによる共同プロジェクトを行います。前期は文献講読やリサーチ、ビデオ

製作などによって基礎的な知識の習得を目標とします。後期はフィールドワークなどの結果を参加者全

員で一つの報告書にまとめていきます。共同プロジェクトに参加し知識や方法論を共有しながら、自分

の関心にあったテーマを見つけ来年度のゼミ論に備え、個人プロジェクトを立ち上げましょう。

【4 年生】

前期は個人プロジェクトについてプレゼンテーションを行い、研究プロポーザルを提出します。

前期の最後には、序章、理論枠組み、夏休み中のフィールドワークの計画に関する論文を提出します。

後期は、夏休み中に行ったフィールドワークの分析について、ゼミ論発表会を行います。個人プロジェ

クトの発表によってプレゼンテーション技術を磨くと共に、参加者から得られたフィードバックをもと

に論文の書き直しや推敲を行い、よりよいゼミ論を完成させていきましょう。

教科書

【3 年生】【4 年生】

参加者の関心に合わせて授業中

に適宜指定します。

参考文献

【3 年生】【4 年生】

参加者の関心に合わせて授業中

に適宜指定します。

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評価方法

【3 年生】

プレゼンテーション、ディスカッション、フィールドワークなどへの貢献度、レポートの総合評価

【4 年生】

プレゼンテーション、ディスカッション、論文の総合評価

関連 URL

高橋利枝オフィシャルウェブサイト http://blogs.law.harvard.edu/toshietakahashijp/

授業実施曜日・時限(予定)

2 学年合同で金曜日5時限に行います。但しグループワークやディスカッション、プレゼンテーション等

で延長することが多々ありますので6時限も出席可能な体制を取ってください。

履修モデル

それぞれのテーマや関心にあった履修モデルを考えていきましょう。

ゼミ紹介

グローバル社会をクリエイティブに生きるために

私たちが今生きている社会は、グローバル社会、デジタル社会、格差社会など様々に呼ばれていま

す。現代社会の中で夢を叶えるには、まず社会を知ることが大切でしょう。

中でも携帯電話やソーシャルメディア、テレビな

ど、デジタルメディアは私たちの日常生活の中に

深く浸透しています。社会やその中で繰り広げら

れる人間関係もメディア抜きで語ることはとても

難しいのです。

グローバル社会に適応しつつも、情報の洪水に押

しつぶされることなく生きていくためには、小さ

な目標を1つ1つクリアしながら、大きな夢に向

かって、自己をクリエイティブに創造していくこ

とが大切だと思います。グローバル社会、デジタ

ル社会でのチャンスを最大限に享受し、リスクを

最小限にしながら、現代社会をより強く生き抜く

為の「力」―「グローバルリテラシー」を身につ

けていきましょう。

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選考方法

項 選考方法 実施の場合は「○」

1 ゼミ志望理由書(必須) ○

2 2 年春学期までの成績を参考にする。 ○

3 面接を行う。 ◯

4 抽選による。

5 その他(別途提出物を求めるなど)

上記「その他」の内容:

以上

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授業内容

世界には多数の思想、宗教が存在する。それらのうち長い時間あるいは広い地域に展開したものは独

立して存続してきたのではなく、他の思想、宗教と時に影響しあい、時に反発しあってきた。それゆえ

特定の思想、宗教に研究を集中させる場合でも、孤立的に扱うことは不可能といってよい。本ゼミでは

思想を中心とした異文化接触を取り上げる。

思想を複合的に考究する場合は、思想相互の具体的影響の研究と、異なった思想の対比研究が主流で

ある。本ゼミでは前者の具体的接触の方を主とするが、後者のようないわゆる比較思想的視点を取って

もよい。また他思想との関係を視野に入れているのであれば、本ゼミで一つの思想に焦点をあててじっ

くりと研究してもかまわない。

担当教員の専門は中国思想と日本思想、およびその交渉である。それゆえアジア思想を中心に授業を

展開する。たとえば教説で言えば儒教、仏教、道教、神道、地域で言えば中国、日本、朝鮮の相互交渉

などを軸にすることになろう。またアジア思想と欧米思想(アジアにおける西欧近代思想の受容、中国

や日本におけるキリスト教、等)あるいはイスラームとの関係(中国におけるイスラーム、等)も、授

業の範囲に入れていきたい。なおこのような領域に関わるものであれば、受講生の研究テーマの設定は、

できる限り各人にまかせたい。

アジアの諸思想はアジアの中に生きる我々にとって宿命的とでも言えるものである。この方面を多角

的に研究することは我々の価値観や思考法をあぶり出すことになろう。またそれは我々の未来への指針

ともなろう。

授業は共通の議論の基盤を作るためにテキストを講読しながら、同時に各人の研究テーマについて発

表をしてもらう。またレポート執筆を通して、論文作成の訓練も行いたい。

シラバス

3年生

4年生と合同で行う。

4月 受講生が当面の研究テーマを決める。

5月~7月 テキストの講読を行う。テキストは受講生の研究テーマを見てから決める。その間、受

講生の発表も混ぜていく。

春学期最終授業までに中間レポートを提出。

9月~1月 テキストの講読を行う。その間、受講生の発表も混ぜていく。

秋学期最終授業までに、最終レポートを提出。

4年生

3年生と合同で行う。

最後にゼミ論文を提出する。

教科書

受講生の研究テーマを見てから、教室で指示する。

担当教員 科目名

土田 健次郎

異文化接触ゼミ(アジアの思想交流)

副題:

プログラム:異文化接触

10定員

10~15 名

Page 28: 2016年度 複合文化論系 論系ゼミ要項 · 6月・7月は、試行的研究を始める。試行的研究にもとづく第二次ゼミ論構想発表を行なう。 10月~12月は、ゼミ論の執筆。中間報告をする。また提出後はゼミ論発表会(3・4年合宿)

参考文献

受講生の研究テーマを見てから、教室で指示する。

評価方法

平常点(授業での発表内容、授業への参加姿勢)。レポート。

関連URL

なし

授業実施曜日・時限

金曜日の5時限

履修モデル

担当教員の演習と講義を、それぞれ一つは受講することが望ましい。ゼミに参加するうえでの共通の

地盤を作るためである。なおこれは可能な範囲の話であって、強要するものではない。

ゼミ紹介

本ゼミは、アジアの思想接触を中心とする。それゆえ儒教、仏教、道教、神道、アジア各地の民間信

仰などに関心を持っている諸君の参加を歓迎するが、欧米の思想、宗教やイスラームなどとの交流や比

較といった視点を持っている諸君も受け入れる。ただ、ひたすらドイツ観念論やフランスポストモダン

だけに関心を集中させようというタイプの要求には応じきれない。

ゼミ生には読書に精を出し、自分の学識を広め深めることを求めたい。特に自分の専門については何

語であれ初歩的にでも原典を扱えるようになってほしい。

またゼミでは、率直に自分の考えを言え、他者の考えも平静に聞ける空間を確保したい。受講生には、

自分の研究の内容と表現に普遍性を持たせられる能力を、ぜひゼミを通して獲得していってほしい。

選考方法

1.ゼミ志望理由書(必須)

2.2 年春学期までの成績を参考にする。

3.面接を行う。

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授業内容 感性文化論の基本コンセプトと三つのテーマ系

わたしたちは生身の身体をもち、衣服を身にまとい、生きとし生けるものを食し、この大地に住まいを

定めます。わたしたちは、見、聴き、味わい、触れることによってこの世界を生きるのです。しかしそ

れは、わたしたち個人の閉ざされた身体の出来事ではありません。わたしたちは、他者と関わり「共生」

することで初めてこの世界へと開かれた存在となります。他者を愛し憎み、共感しあい、やがて死にゆ

く存在、それがわたしたち人間です。

感性文化論は、このように生身の身体とともに生き、この世界を他者と共有し、有限な存在であらざる

をえないわたしたち自身の有り方を問題にします。感覚と知覚、身体と感情、言語とコミュニケーショ

ン、さまざまな生活文化の形態、それらのテーマを哲学的に主題化すると同時に、多様な現象をあくま

で具体的に考察すること、それが課題です。そしてこの課題は大きく三つのテーマ系から成っています。

【テーマ系1】 アートと生活世界の美学

ここでは、サブカルチャーやわたしたちの生活環境の美学をふくめ、現代の多様な芸術文化が主題化さ

れます。研究の方向性は大きく二つに分けられます。

-理論研究: 感性と身体をめぐる美学的・哲学的研究。現代思想における美学的テキストを中心に、そ

れに関する読解とディスカッションが中心となります。

-具体的な芸術文化の研究: 現代芸術にとどまらず、生活世界におけるさまざまな文化現象も、考察の

対象とします。

前者では一般的・抽象的次元での理論構成が試みられ、後者では個別具体的な現象に目が向けられます。

しかし両者はけっして無関係な研究と考えられてはなりません。机上の空論に陥らないためには、つね

に現実の経験にむきあう必要がありますし、逆に多様な現象に目を奪われて盲目にならないためには、

つねに一般的・理論的視点を確保していることが大事です。このゼミでは、両方の観点をたえず意識す

ることを求めたいと思います。

【テーマ系2】 性と愛の思想

わたしたちが他者と関係をもち、気分づけられてこの世界にあるということ、そのようなわたしたち人

間固有の存在様態を「感情」という言葉で考えてみたいと思います。この世界の現実に触れ、他者と共

鳴しあい、わが身を共振させること、それが感情です。なかでも「愛」は、わたしたちにとって、さま

ざまな感情の中核をなしていると考えられます。哲学者によって思索され、詩人によって直観的に歌わ

れてきた「愛」に関し、このゼミでもとりあげて議論を深めていきたいと思います。

【テーマ系3】 生と死の哲学

わたしたちが生身の存在であるということは、つまりわたしたちが死すべき存在であり、「終わり」ある

有限な存在であるということです。このことを理解することはわたしたちにとって決定的な意味をもっ

ています。わたしたちが自己の存在を問い、哲学という営みが始まるのも、まさに死を死として自覚す

るときでしょう。こうした問いもこのゼミに参加する者にとって、もっとも基本的なテーマとなります。

担当教員 科目名

小林 信之

感性文化ゼミ(芸術/性愛/死)

副題:感性と哲学的思考のレッスン

プログラム:感性文化

11定員

10~15 名

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シラバス

【3年生】研究を進めるうえでの方法論と参考文献、研究可能な領域、テーマの具体例を順次解説し、大

まかなフィールドとテーマの確定をめざします。正確にテキストを読解する能力、数多くの作品に触れ

て感じ取る力を身につけると同時に、自分の言葉で考えを明確化し、ディスカッションに積極的に加わ

ることが求められます。春学期に、研究の方法論、参考文献、具体的テーマ例等に関して、順次解説を

加えます。そののち各人の研究テーマ、研究計画等を定めていきます。秋学期には各人の研究テーマを

具体化します。研究発表やレポート等が課されます。

【4年生】3年生後半の成果を踏まえ、各人のテーマをさらに深化させていきます。最終的な研究の完成

に向けて、研究発表、ゼミ論の執筆が課されます。

このゼミにおいて可能なテーマの具体例としては、「生活世界の文化哲学」「身体性の現象学」「エロティ

シズムと死への問い」「感情論」「サウンドスケープ(音環境)論」「ヴィジュアル文化研究」「日本の美

学」等です。

なお、教科書や参考文献は、授業中に適宜指示します。

評価方法 研究発表、論文・レポート等。出席も考慮します。

関連URL http://www.f.waseda.jp/kobayashi/index.html

ゼミ紹介 哲学的思考によって深く考える力を養成すると同時に、芸術文化の具体的な現象に触れるこ

とで、文字通り感性を研ぎ澄ますことをめざします。なにより、「学ぶことの喜び」が感じられるような

ゼミにしていきたいと思っています。美術館やギャラリー、劇場などを実際に訪ねたり、遠隔地へのゼ

ミ旅行等も企画しています。またさまざまなゲストスピーカーの方に来ていただいて、お話をうかがう

機会も設けます。

なお、ゼミ生の主な進路としては、大学院進学、教職・公務員、広告会社、IT関連企業、マスコミ、金融

関連等々、多種多様な分野におよんでいます。

選考方法 ゼミ志望理由書(必須)。2年春学期までの成績を参考にする場合があります。面接も行う予

定です。

授業実施曜日・時限 金曜日の5時限(予定)。2学年合同で5時限に行います。但し論文指導等で延長す

ることがありますので、6時限も出席可能な体制を取ってください。

自律的な「個」の共同性をめざします!(田中栄子「沈丁花」)

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授業内容

【3 年生】

遠い過去から現代にいたるまで、日本の諸文化を生成した人々、またそれらを積極的に享受した人々

はどのような感性をはたらかせ、またどのような美意識をもっていたのだろうか。このゼミでは、感性

と美意識とを手かがりにして、日本文化の特質についてともに考える。特に次の(1)~(3)の点を

重視しながら、4 年次のゼミ論執筆に備えて各人の研究テーマを明確なものにしてゆく。

(1)近代よりも前の文化におけるものの見方、感じ方、考え方をおさえることに努める。

古くからつづく日本の文化については、かつて、その独自性ばかりが強調される傾向がみられたが、

少し前から、東アジア文化圏あるいは東ユーラシアの中における日本文化というとらえ方がますます

重視されている。たとえば、私は平安時代の文学(『古今集』『伊勢物語』『源氏物語』など)を専攻し

てきたが、それらは、調べれば調べるほど「国風文化」などというイメージに収まらない面をみせる。

すなわち、当時の中国・朝鮮などから流入してきた言葉・表現・文物等々からの影響が意外にも多い

のである。遣唐使を廃止した途端にドメスティックになるなどということはなかった。

一般に「日本的」あるいは「和風」などとされている諸事象は、本当に日本で生み出されたといえ

るのか。そうした疑問をいだきつつ、適宜近代よりも前の原典にふれてみよう。

(2)近代以降、西欧の文化(特に言葉・観念・思想など)との接触がもたらしたものを意識する。

私たちは、西欧の諸文化からさまざまな影響を受けたのちの日本にいる。特に看過しがたいのは、

私たちが思考したり研究したりする上で頻用する言葉の多くが西欧語から翻訳されているという点で

ある(この文中で用いている「文化」「美」「藝術」などの言葉もすべてあてはまる)。したがって、近

代以降の諸文化をとりあげる際、西欧文化との関わりに注目するのはもちろん、私たちには西欧流の

ものの見方、感じ方、考え方にどっぷり浸かっている面があることにも自覚的でありたい。

(3)日本文化が海外でどのようにみられ、また受容されているのかということをとらえる。

日本文化に精通する海外の研究者・翻訳者たちが、しばしば早稲田大学を訪れている。また、さま

ざまな国・地域から留学してきた学生たちの多くは日本文化につよい関心をいだいている。日本文化

の魅力を世界に向けて発信してきた人々、またその後継者たらんとする若手研究者・大学院生たちの

発言に耳をかたむけ、さまざまな角度から日本文化をとらえるための機会を設けるようにしたい。

【4 年生】

3・4 年生合同のゼミなので、授業内容は上記の 3 年生と共通する。加えて、3 年生の時のゼミにおけ

る発表の内容を適宜活かしながら、各自の研究テーマに即して充実したゼミ論文の完成をめざす。

シラバス

【3 年生】

4・5 月:さまざまな研究の着眼点、方法、参考文献の紹介・解説などを中心に講義する。

あわせて、それぞれが関心をよせる領域などを確認しつつ、研究テーマを少しずつ明確にしてゆく。

6・7 月:仮の研究テーマを決めて、各人の研究発表を行う。春学期は、特に前近代の諸文化との関わ

担当教員 科目名

陣野 英則

感性文化ゼミ(日本の美意識)

副題:

プログラム:感性文化

12定員

10~15 名

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りを重視したテーマを扱う。あわせて、ゼミ論文についてのおおまかな計画(第 1次)を考える。

9 月初旬または中旬:ゼミ合宿を実施する(ゼミ論文でとりあげる可能性のあるテーマで発表)。

9~12 月:日本の感性文化と美意識に関わる複数の基礎的文献(未定)をとりあげる。秋学期は、西欧

文化との接触、及び海外における日本文化の受容を重視して文献を選ぶ。

1 月:それまでの研究成果を発表し、それをレポートにまとめる。

あわせて、研究計画(第 2 次)を具体化する。

【4 年生】

4・5 月:ゼミ論文の構成(目次)案をかためてゆく。

6・7 月:ゼミ論文の一部の章について、草稿をまとめる。

9 月初旬または中旬:ゼミ合宿を実施する(ゼミ論文の内容に関する発表)。

9~12 月:ゼミ論文の完成に向けた添削指導など。

1 月:ゼミ論文の研究成果発表。

教科書

【3 年生】【4 年生】

特に定めない。必要に応じてプリントを配付する。

参考文献

【3 年生】【4 年生】

それぞれの関心、研究テーマをふまえながら、適宜指示もしくは配付する。

評価方法

【3 年生】【4 年生】

ゼミでの発表内容と参加態度、レポート・ゼミ論文への取り組み方を総合的に評価。

授業実施曜日・時限(予定)

【3 年生】【4 年生】

金曜日・3時限(2016 年度より時限変更)。

なお、3・4 年生合同なので、授業時間内にゼミ論文の指導が充分にできない場合もあると予想される。

そこで、ゼミ論文に関する相談・添削指導などについては、適宜面談の機会をもうけることとする。

履修モデル

感性文化論と美学に関する基礎がおさえられていることが望ましいので、ブリッジ科目の「感性の哲学」「美

学1」「美学2」、ならびに演習科目の「複合文化論系演習(感性文化基礎論)」の履修を奨める(ゼミに進ん

でからの履修であってもまったく差し障りはない)。また、このゼミの内容と密接に関わる演習科目として

は、ゼミ担当教員が受けもつ「複合文化論系演習(日本の美意識)」「複合文化論系演習(日本古典文化

の受容と変容)」がある。

なお、各人の関心の領域にあわせた履修モデルについては、必要に応じて個別に相談に応じる。

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ゼミ紹介

日本文化における感性と美意識というテーマは、世界中の少なからぬ人々にとっての関心事でもある。

そこには、「これから」の人間・文化・社会について考えてゆく上でのヒントが隠されているかも知れな

い。上記の「授業内容」に示した(1)~(3)のポイントは、いずれもやや迂遠な方法にみえるかも

知れないが、手間をかけて調べてみること、原典にあたること、自身の思惟をささえる言語自体に対し

て意識的になること、外からのまなざしに注意を払うこと等々によって、複眼的な思考の芽をはぐくむ

ことにつながることを期待する。

考察の対象としては、文学、藝能、美術、音楽、思想などはもとより、近年のサブカルチャーなどに

まで及ぶ。これまでの傾向としては、特に日本から発信される文化が世界の人々からどのようにみられ、

また評価されているのか、という点に関心を寄せる学生が多い。

選考方法

・ゼミ志望理由書 ・2 年春学期までの成績を参考にする ・面接を行う

以 上

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授業内容

人の感性、たとえば喜怒哀楽に発する情は、人類にあっては共通のものでしょうか、それとも時代や

地域によってさまざまに相違するものでしょうか。美醜や味覚に関するものはどうでしょうか。共通の

こともあれば、相違することもあるでしょう。表面的には相違するように見えて、実は根の部分では通

底しているということもあるでしょう。大きな括りとしては同じであっても、その中ではまた異なる表

現形態を取ることもあるのではないでしょうか。

このゼミでは、そうした人の感性に関わる様々な現れ方をテーマとして、それらが自然や社会や時代

とどのように相関しているのかを考えていきます。世界のどの地域や時代を取り上げてもいいのですが、

自らの感性から出発することを期待していることから、ひとまず私たちの身近であるアジアの風土と文

化を中心に進めていきます。

日頃、なんの自覚もなかったり、あるいは自分たちだけが特異だと思っているようなことも、他と対

照し比較検討することによって、それが単なるイドラであったり、ドグマであったりすることに気づく

ことになり、複合的に交叉する文化事象の面白さやそのダイナミズムを感得することができるのではな

いでしょうか。世界の万象を文化という側面から切り込むことで新たな地平の広がるのを実感してほし

い。

シラバス

4・5月は、まず共通のテキストを読んで基礎知識の共有し、そこから各自の関心のありかの確認を

する。6・7月には、関心の幅を広げつつ、各自の研究テーマを選定し、問題解決のための調査のやり

方をアドバイスする。夏期休暇中には、合宿などによって相互理解を深め、他の人のもつ関心事(文化)

にも注意を払うようにし、個人の調査・研究の方向性を定める。10-11 月は、夏期休暇の成果をもとに、

順番に発表・討議を行なう。12-1月には、3年次の学習成果をまとめ、ゼミ論を視野に入れた中間報告

的な発表を行ない、レポートを提出する。

教科書

和辻哲郎『風土―人間学的考察』(岩波文庫)。

参考文献

松田寿男『人間と風土』(六興出版社)、稲畑耕一郎監修『図説 中国文明史』10 巻(創元社)、稲畑耕一

郎『中国皇帝伝』(中央公論新社)、稲畑耕一郎『神と人との交響楽――中国仮面の世界』(農文協)、稲

畑耕一郎『紫禁城の女性たち』(西日本新聞社)など。

評価方法

発想力(着眼点)、調査力、発表力、対話力を養うことを主眼とするので、その四段階での総合的な評

価をする。具体的には、[1]ゼミ参加の積極性、[2]授業・合宿などへの参加、[3]ゼミでの発表、[4]レ

担当教員 科目名

稲畑 耕一郎

感性文化ゼミ(環境と文化)

副題:アジア世界の風土と文化

プログラム:感性文化

13定員

10~15 名

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ポートなどによる。

授業実施曜日・時限(予定)

月曜日 5時限目

履修モデル

とくにはありませんが、外国語の能力の習得には力を注いでほしい。

ゼミ紹介

私の専門とするフィールドは「中国」ですが、そこのみならず、アジアの各地をくまなく車で回るこ

とで、その文化の多様性や歴史の長久さを体に刻み込ませています。

中国についていえば、領土的には今日の 27 箇国からなる EU の2倍もあり、人口はその3倍にもなり、

歴史も圧倒的に長い。その地域と歴史に育まれた文化に多様性があることは言うまでもないはずである

にもかかわらず、知識人とみなされる人さえ、なぜか「ひとつの国」として、固定的でステレオティピ

カルな認識しか持てない人が多いようです。

中国のみならず、アジア全域の通時的な環境と文化の相互関係を考えることを通して、この種のイド

ラから脱することで、新たな認識を持つことができるようになれば、世界の姿も違って見えてくるので

はないでしょうか。

まず何であれ関心を持つこと、それを持続的に考え、また精力的に調査をし、他者にわかりやすく発

信すること、さらに他者とディスカッションして修正していく能力を身につけていきます。

選考方法

1.ゼミ志望理由書(必須)

2.2 年春学期までの成績を参考にする。

3.面接を行う。

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授業内容

近代化ならびに現代化が進展するにつれ、伝統的な共同体志向は次第に稀薄化し、一般に個人主義化

ないし個人化の流れが浸透することになりました。近代主義的な理念で言えば、われわれはあらゆる個

別的状況を離れ、一個の個人として各種の事実判断と価値判断をしていかなければならない、というこ

とになります。しかしながらその一方、一人ひとりの生は所属集団や帰属集団のありようの影響を強く

受けます。また、諸々の集団が織りなす文化の力によって、諸個人の意識と行動の多くが左右されてい

るというのも言うまでもありません。さらに近年、エスニックなものにせよナショナルなものにせよ近

代組織的なものにせよ趣味的なものにせよ、さまざまなところで集合的な文化や集合的なアイデンティ

ティが目立つようになってきました。

このゼミでは、こうした集団の力、文化の力を十二分に見据えつつ、現代社会における集合的アイデ

ンティティについて多角的に探究していきます。国民文化、地域文化、世代文化、性別文化、宗教文化、

組織文化などおよそあらゆる文化は広い意味での集団をベースにしていますし、他方、文化的な堆積物

を欠いた集団というものもまずあり得ません。集団の探究と文化の探究は相即不離の営みと言うことが

できるでしょう。

そして集団、文化、アイデンティティをキーワードに現代社会の集合的諸現象に挑んでいくに際して、

このゼミで主として依拠する学問は社会学です。つまり、社会学的想像力を駆使して集合的アイデンテ

ィティ現象の数々を読み解いていく、というのが本ゼミの目標にほかなりません。そのために、まずは

社会学という学問それ自体に関する基礎的な鍛錬が重要になってくるでしょう。ただし、一つの学問的

基礎をしっかりと修めたうえで、さらにその一歩先を目指し、学際的な視座を養って隣接諸学問との協

働を行うのも、また学問的世界それ自体を超え出て生活世界そのものへと帰還ないし飛翔していくのも、

とても大切なことだと思います。

このゼミは感性文化プログラムの中に位置づけられています。思えば、人が喜びに震え、哀しみに涙

するのも、ただ一人でそうしているのではありません。たとえその場では物理的に一人きりだったとし

ても、そこにはさまざまな関係的、集合的、文化的な背景が存在しています。その意味で、集合的な真

空状態においてはいかなる感性も育まれません。集合的アイデンティティ現象に挑むこのゼミが、集合

的に学問を修める場であるとともに、集合的に感性を磨く場にもなればと念じています。

シラバス

【3年生】

まずは社会学的想像力を鍛錬するため、基礎的な文献の講読を行います。またそれとともに、あるい

はそのあとで各人の学問的関心をリサーチ・クエスチョンに鍛え上げ、グループ研究ならびに個人研究

の可能性を探ります。グループ研究に関しては、サブゼミを構成して行います。春学期はここくらいま

でかもしれません。合宿を行うかどうか、行うとしてどのようにするかは参加者で協議して決めたいと

考えています。秋学期は、グループ研究ならびに個人研究を推し進め、それぞれの段階で報告を行うこ

とになります。最終報告はレポートの形で提出してもらうことになるかもしれません。

担当教員 科目名

山田 真茂留

感性文化ゼミ(集合的アイデンティティの諸相)

副題:

プログラム:感性文化

14定員

10~15 名

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【4年生】

3年次での研究成果を基盤にしながら、ゼミ論の作成を目指し皆で鍛錬を重ねていきます。ゼミ論は

もちろん個人で書くものですが、構想を練りリサーチを敢行し原稿に仕上げていく全ての段階において

集合的な討議から学ぶべきことが少なくありません。

教科書

参考文献

教科書、参考書を使用する場合は、教場にて指示します。ただし次に掲げる文献は社会学的な文化研

究の入門書として参考になるものと思われます。

*井上俊(編)『全訂新版 現代文化を学ぶ人のために』世界思想社.

*梅澤正・上野征洋(編)『企業文化論を学ぶ人のために』世界思想社.

*船津衛ほか(編)『21世紀社会とは何か』恒星社厚生閣.

*友枝敏雄・山田真茂留(編)『Do! ソシオロジー』有斐閣.

評価方法

ゼミへの参加状況を総合的に勘案して評価します。

授業実施曜日・時限

【3年生】は火曜日の3時限、【4年生】は火曜日の4時限に登録されますが、合同で授業を行う場合が

ありますので、3時限・4時限の時間帯を通しで空けておくことが望まれます。

履修モデル

文化構想学部ならびに文学部で開講されている社会学系の各種講義を履修することが望まれます。

ゼミ紹介

社会学的想像力を鍛錬しながら集合的アイデンティティ現象に挑みます。授業内容の欄にも書きまし

たが、キーワードは集団、文化、そしてアイデンティティです。ただし社会的現実に対して学問的に挑

戦しようとする真摯な姿勢さえあれば、集合的アイデンティティ研究に留まらず、広く現代社会論的な

諸課題を探究していっても構いません。なおこのゼミは2015年度に新たに開設されました。2016年度で

ようやく2年目になりますので、集団にしても文化にしてもアイデンティティにしても新たに立ち上げ

ていくスリルが味わえます。

以下に先輩たち(現3年生)からの歓迎メッセージを添えます。ゼミ長、サブゼミ長を中心に皆で書

いてくれました。

**********

私たち山田ゼミは、「集合的アイデンティティ」をテーマに個人の興味に即したテーマで日々活動して

います。今年できた新設のゼミなので、なにより自由度の高さが特徴です。ゼミ生同士で話し合いなが

ら、自分たちなりのゼミを一から作り上げることができますよ。(これを書いているのは6月末ですが)

夏にはみんなの要望を集めて秩父で合宿も行います!

また、ゼミの雰囲気は教授をはじめとしてとても和やかです。

山田教授は寸評に多くの時間を割いてくださいます。そこから学問の知識もたくさん学べるので、社

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会学にあまり触れてこなかった人でも安心して見学に来てくださいね。特に男子は大歓迎です!

**********

備考

演習形式で授業を進めるため、各回は、参加者各人による報告と討議が中心となります。ゼミという

科目の性質上、出席が欠かせないのはもちろんのこと、教場を離れた独自の探究にそれなりの時間とエ

ネルギーをつぎこむことになります。

選考方法

・ゼミ志望理由書(必須)。/・2年春学期までの成績を参考にする。/・面接を行う。

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授業内容

【3 年生】

人間をサイボーグ論の観点から考察しながら、後期資本主義あるいは情報化社会と言われる現代社会に

ついて様々な観点から考察し、新たな人間像ならびに社会像への視座を模索することをテーマとする。

具体的には、アニメ・マンガ論、映像論、現代社会論、先端技術論、サイボーグ論、現代思想研究、資

本主義論、脳科学論、広告論、ごく初歩的な動画作成体験などを扱う予定でいますが、ゼミ参加者の希

望を優先します。

【4 年生】

人間をサイボーグ論の観点からしながら、後期資本主義あるいは情報化社会と言われる現代社会につい

て様々な観点から考察し、新たな人間像ならびに社会像への視座を模索することをテーマとする。

具体的には、アニメ・マンガ論、映像論、現代社会論、先端技術論、サイボーグ論、現代思想研究、資

本主義論、脳科学論、広告論、ごく初歩的な動画作成体験などを扱う予定でいますが、ゼミ参加者の希

望を優先します。

シラバス

【3 年生】

3 年春期:各自テーマの紹介と発表;基本文献の輪読;プレゼンのための工夫(PPT 操作など)

3 年夏休み:基本文献を読む

3 年秋期:基本文献の読書報告と各自テーマの深化的発表;基本文献の輪読

3 年期末:プレゼミ論提出

3 年春休み:各自への課題文献の選定;ゼミ論へ向けての準備

【4 年生】

4年春期:プレゼミ論講評会;ゼミ論のテーマ紹介と発表

4年夏休み:課題文献読解を進行させつつ、ゼミ論を練り上げる

4年秋期:ゼミ論を仕上げる

教科書

【3 年生】

とくになし

【4 年生】

とくになし

参考文献

【3 年生】

上記の授業内容を実施するために、ゼミ生と相談の上決定します。

担当教員 科目名

高橋 透

感性文化ゼミ(現代文明への視座)

副題:

プログラム:感性文化

15定員

10~15 名

Page 40: 2016年度 複合文化論系 論系ゼミ要項 · 6月・7月は、試行的研究を始める。試行的研究にもとづく第二次ゼミ論構想発表を行なう。 10月~12月は、ゼミ論の執筆。中間報告をする。また提出後はゼミ論発表会(3・4年合宿)

【4 年生】

上記の授業内容を実施するために、ゼミ生と相談の上決定します。

評価方法

【3 年生】

発表とプレゼミ論を中心に評価します。

なお、プレゼミ論は(それ以外も)、文字言語による論文と平行して、希望者は教員と相談のうえ、ヴ

ィジュアル系作品などを提出しても OK です。

【4 年生】

発表とゼミ論を中心に評価します。

なお、ゼミ論は(それ以外も)、文字言語による論文と平行して、希望者は教員と相談のうえ、ヴィジ

ュアル系作品などを提出しても OKです。

関連 URL

とくになし

授業実施曜日・時限(予定)

【3 年生】【4 年生】金曜日4時間目。2学年合同で行ないます。

ゼミ紹介

最近の脳科学の知見によれば、いろんな分野を組み合わせてみることで脳のクリエイティビティは活性

化されるそうです。いまの世の中、知識もさることながら、クリエイティビティですね。そこで、ボク

のゼミでは、このクリエイティビティの能力を養うことを主眼としたいと思います。そのためには、脳

科学が勧めるように、各自のテーマに関連する領域を横断的に研究することで、一つのことでも様々に

見えてくるのだという感覚を身につけつつ、クリエイティビティの能力を養いたいと考えています。

クリエイティビティという観点に基づいて、受講生と一緒に作り上げていくゼミを考えています。

選考方法

項 選考方法 実施の場合は「○」

1 ゼミ志望理由書(必須) ○

2 2 年春学期までの成績を参考にする。 ○

3 面接を行う。

4 抽選による。

5 その他(別途提出物を求めるなど)

上記「その他」の内容:原則として面接はおこなわないが、必要な場合には高橋判断で適宜お

こなうことともある。

※ゼミ決定後ミーティングを行う予定です。詳細については waseda-net メールから連絡しますので、必

ず連絡がつくメールアドレスに転送するなどの設定をお願いします。

以 上