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2015 年 バイオベンチャー統計・動向調査報告書 2015 年 10 月 一般財団法人バイオインダストリー協会
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Jun 09, 2020

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2015 年

バイオベンチャー統計・動向調査報告書

2015 年 10 月

一般財団法人バイオインダストリー協会

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目 次

バイオベンチャー統計・動向調査の概要 ........................................................... 1

1.はじめに ~ 本調査報告書の目的・意義 ........................................................................... 1 2.バイオベンチャーを取り巻く環境 .......................................................................................... 2

第1章 バイオベンチャーの定義 .................................................................... 5

1.本統計調査における「バイオベンチャー」および「バイオ中小企業」の定義 ............................ 5 2.欧米の定義との違い ............................................................................................................ 6 3.本調査の特徴 ...................................................................................................................... 7

第2章 バイオベンチャー統計による実態調査 ................................................. 9

1.目的 .................................................................................................................................... 9 2.調査方法 ............................................................................................................................. 9 3.カテゴリー別企業数 ............................................................................................................. 9 4.バイオベンチャー企業数の推移 ......................................................................................... 10 5.事業分野別企業数 ............................................................................................................ 14 6.事業規模 ........................................................................................................................... 18 7.資本構成 ........................................................................................................................... 24 8.研究開発とコア技術 ........................................................................................................... 26 9.特許出願 ........................................................................................................................... 33 10.都道府県別企業数 .......................................................................................................... 37 11.経営者の経歴 ................................................................................................................. 43

第3章 バイオベンチャーの動向調査 ............................................................ 49

1.アライアンス(ライセンスアウト、共同研究および受託研究) ................................................ 49 2.大手企業との提携 ............................................................................................................. 51 3.医薬品開発状況 ................................................................................................................ 54

第4章 上場バイオベンチャー及びバイオ中小企業一覧および時価総額推移 ....... 55

1.バイオベンチャー企業の上場数 ......................................................................................... 55 2. 公開市場動向 .................................................................................................................. 57 3.バイオベンチャー企業およびバイオ中小企業(カテゴリーB)の時価総額の推移 .................. 58 4.ベンチャー企業への投融資関連情報 ................................................................................. 62

参考 ........................................................................................................... 64

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バイオベンチャー統計・動向調査の概要 1.はじめに ~ 本調査報告書の目的・意義

2015 年報告書は、2015 年 1 月~3 月に行った統計によるバイオベンチャーの実態調査と、web等の公表資料や報道によるバイオベンチャーの動向調査の結果をまとめたものである。

一般財団法人バイオインダストリー協会(以下、JBA と略記)は調査を開始した 2002 年から主

にベンチャーの企業状況を把握する観点で、バイオベンチャーの実態調査を継続して行ってきた。

2007 年には統計によるバイオ企業の実態調査に加え、バイオベンチャーを取巻く環境・動向調査を

行っている。その観点は、バイオ産業におけるベンチャー企業の参入と成長であり、2009 年にはア

ライアンスに関する項目、資金調達やライセンス・提携の状況、技術移転の状況等の動向調査など

調査項目を加えながら本格的に行うようになった。2011 年以降の報告書は、バイオベンチャーの動

向調査をより充実させた「バイオベンチャー統計・動向調査報告書」として再出発し、政府、メデ

ィア、関連企業等から大きな関心と反響を得た。 バイオベンチャーを取巻く環境は大きく変化しつつあり、最近では、バイオベンチャーと大手企

業、中堅企業にとどまらず、バイオベンチャー間の提携、大学を含めたコンソーシアム等形成とい

った新たな展開を見せ始めている。技術革新は国境や産官学の垣根を越え、連携して推進するオー

プンイノベーションの時代に入っている。 2015 年 1 月調査時点でのバイオベンチャー企業は、553 社(設立後 20 年を超える企業を含める

と総数 683 社)、2014 年から 26 社の減少であった。設立企業数は年間 10 社程度、廃業(解散・清

算)企業数もこの数年 10 社超が続いている。このうち、大学及び公的機関発バイオベンチャー1の

起業数は、バイオベンチャー総数と比例して減少の一途をたどっている。2008 年以降、その現象は

より顕著となり 3 分の 1 を占めていた大学及び公的機関発バイオベンチャーの起業数は、現在 5 分

の1程度となった。大学や公的機関からのバイオベンチャーの創出力低下に歯止めをかけるように、

START プログラム(大学発新産業創出プログラム)、A-STEP(研究成果最適展開支援プログラム)

や、COI STREAM(革新的イノベーション創出プログラム)、SIP(戦略的イノベーション創造プロ

グラム)など、大学や研究機関のシーズをビジネスに展開させる動きが活発化している。起業数の

増加や、投資額や投資件数からは、その効果はまだ感じられないが、バイオベンチャーの重要性に

ついては、政策においても認識され、少しずつではあるが制度が動き始めた。これらの投資が実際

に目に見える成果として世に出てくるのは、10 年後、20 年後になる。長期的な視点で、今後も産官

学政連携が継続されることが望まれている。 本報告書が、バイオベンチャーの現状の把握、今後の発展に資する内容であることを祈念してや

まない。

1 「大学発ベンチャー」については諸々報告書で定義されているが、本報告においては、後述のバイオベンチャーの定義に加え、

JBA の調査の過程で、大学及び公的機関等で公表されたか、大学及び公的研究機関等で「大学発」「公的機関発」と公表されて

いる企業を調べ、まとめたものを指す。

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2.バイオベンチャーを取り巻く環境 2015 年 6 月に改訂された“「日本再興戦略」改訂 2015 -未来への投資・生産性革命-”では、

ベンチャー企業を「経済社会や産業構造全体に大きなインパクトを与える」重要なファクターと位

置付けており、新たな技術シーズをビジネスに結び付けるための施策について講じている。この改

訂戦略では、経済の好循環を回転させ、持続的な成長路線をたどるためには、最も効率的かつ効果

的な投資を行い「生産性」を高めなければならないとしている。その投資とは、設備、技術、人材

への投資である。また、既存プレイヤー以外に、生産性に大きく影響を与えるイノベーション・ベ

ンチャーを継続的に生み出す仕組みについても言及している。 「科学技術イノベーション総合戦略 2015」においても、イノベーションの社会実装の主役は民間

企業であり、特にベンチャー企業はイノベーションの担い手として重要な役割が期待されるとして

いる。これまでの施策のなかで、その役割が十分に発揮できる環境が整備できなかったことの反省

から、起業家の育成、産業革新機構、科学技術振興機構等を通じたリスクマネーの供給や税制の運

用改善など、各省連携の下で環境整備を行っていくとしている。 2015 年 9 月に策定された「医薬品作業強化総合戦略」(厚生労働省)は、「健康・医療戦略」等に

加え、6 月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針 2015(骨太の方針 2015)」に盛り込

まれた「基礎的な医薬品の安定供給、成長戦略に資する創薬に係るイノベーションの推進」、「医薬

品産業の国際競争力強化に向けた必要な措置の検討」のための実施的な総合戦略である。これまで

に実施してきた AMED(日本医療研究開発機構)の創設による予算の一元化、治験環境の整備など

に加え、「国民への良質な医薬品の安定供給」、「医療費の効率化」、「産業競争力の強化」を進めてい

く上で、バイオベンチャーは重要な存在に位置付けている。また、アカデミア等の優れたシーズを

実用化するために、産学官が連携して機動力の高いベンチャー企業を育成するシステム(バイオベ

ンチャーのエコシステム)確立の必要性についても触れている。この背景には、世界の医薬品売上

上位品目に多くのバイオ医薬品が入っていること、創薬大国である米国の FDA 優先審査対象新薬の

半数以上がバイオベンチャー起源であること、一方で、革新的新薬を創出するバイオベンチャーに

よるイノベーションの適正な評価と市場価値への反映する国内の仕組みが整備されていないことが

あげられる。 2014 年 11 月に施行された「医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する

法律」(医薬品医療機器等法。旧、薬事法)は、「日本再興戦略 2014」の戦略市場創造プランにおい

て医療分野の研究開発やその実用化を加速する枠組みとして整備されたものである。なかでも医療

機器や再生医療等製品については、それぞれの特性を踏まえた迅速な実用化に向けた制度改革、規

制の合理化が図られる。医療機器および体外診断用医薬品の製造販売等については医薬品と区分し

て規定され、米国をはじめとする諸外国と同じくメディカルデバイスの扱いとなる。ただし、体外

診断用医薬品の品質管理については、これまで同様医薬品として位置づけられている。再生医療等

製品の規制については「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(再生医療等安全法)が制定さ

れた。再生医療等製品を新たに定義し、有効性や安全性の推定・確認により条件および期限付きで

早期承認できる仕組みを導入する。これらの制度改革により臨床研究から承認までのスピードは格

段に速くなることが予想され、バイオベンチャーによる医療機器産業、再生医療産業への参入促進

が期待される。 消費者庁は 2015 年 4 月 1 日より機能性食品表示に関するガイドラインを策定した。これまでは、

国が許可した「特定保健用食品(トクホ)」および国の規格基準に適合した「栄養機能食品」以外は

機能性表示を行うことができなかった。このガイドラインにより、事業者の責任において消費者庁

より安全性や機能性について事前に届け出た食品に、機能性表示を行うことができるようになった。

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これらの保健機能食品制度により、医療・健康分野以外のバイオベンチャーの参入機会は広がった。

既に、株式会社ファーマフーズの機能性素材である「GABA」が配合されたサプリメントが機能性

表示食品として消費者庁に受理され、販売される予定である。 民間では 2015 年 7 月、大日本住友製薬が公募型オープンイノベーション活動「PRISM

(Partnership to Realize Innovation Seeds and Medicines)」を始動した。自社創薬に加え、国内

研究機関や研究者を対象としたもので、「新規創薬シーズの探索/検証」「創薬研究ニーズの課題解

決」「保有する化合物の新規適応疾患の創出」の 3 つの募集グループ、8 テーマについてアイデアの

募集を行う。また、武田薬品工業では国内の研究者との協働によるオープンイノベーションを目指

し 2 つのプログラムを提供している。2013 年よりスタートした「RINGO-T(Recruit innovative ideas to generate original targets Takeda)」では既に 100 件を超える応募があり、うち 10 件程度

が採用されている。「COCKPI-T(Co-Create Knowledge for Pharma Innovation with Takeda)」では開示された創薬ターゲットや創薬技術に関するニーズに対し、日本国内の大学・公的研究機関・

企業に所属する若手研究者等広くアイデアを募集し、創薬関連技術や研究費の提供などを行ってい

る。第一三共の創薬研究公募「TaNeDS(Take a New challenge for Drug diScovery)」やアステラ

ス製薬のオープンイノベーション公募サイト「a3(エーキューブ)」、塩野義製薬の「SHIONOGI Science Program」に続くシーズ発掘プログラムとなる。今後も、公募型のオープンイノベーション

活動が活発になるものと思われる。 大手企業が続々とバイオベンチャーに対する資金、経営、研究への支援に着手し、またバイオベ

ンチャーや大学研究者等のシーズの発掘、共同研究開発に積極的な動きを見せている。バイオベン

チャーの生み出す新しい社会的価値の創造に、大きな期待が寄せられている。 政府による税制や制度改正のさらなる後押しにより、バイオベンチャーを取り巻く環境整備が進

み、研究開発成果の事業化、日本のベンチャー発の画期的な医薬品や様々な新産業が創出されるこ

とを期待したい。

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第1章 バイオベンチャーの定義

1.本統計調査における「バイオベンチャー」および「バイオ中小企業」の定義 「バイオベンチャー」および「バイオ中小企業」の定義を表 1、2 に示す。本調査報告書の「バイ

オベンチャー」の定義は表 1 の条件 1~4 を満たした「カテゴリーA」の企業であり、かつ表 2 の JIS K3600:2000 の「バイオテクロジー用語」に規定される分野の産業や技術を使用する諸活動を行う

企業としている。基本的な考え方は 2002 年度調査「平成 14 年度 バイオ産業基盤形成事業」で定

義したものと同じであるが、調査の過程で現状に即した条件に変更を加えている。なお、条件2に

ついて、当初中小企業基本法による中小企業の定義に準拠していたが、一般にバイオベンチャー(特

に創薬系ベンチャー)は研究開発費を増資により調達し資本金に組み込むことから、資本金が 3 億

円を超えるケースが多いため、2003 年調査から資本金に関する条件を外した。条件4について、「販

売、輸入・輸出等を主たる事業とするものを除く」という除外条件を付してあったが、他の条件と

そろえて採用条件の表記に変えている。以下、特記しない限り、本文を含め、「バイオベンチャー」

企業とは「カテゴリーA」企業を示している。また、表 1 のカテゴリーB、C、D については「バイ

オ中小企業」とした。 その他考慮すべき点については表 1 の下に記載している。

表 1 バイオベンチャーおよびバイオ中小企業の定義

カテゴリー ※3) A B C D

条件1 バイオテクノロジー(図表2 JIS K 3600:2000「バイオテクノロジー用語」による)を手段あるいは対象として事

業を行うもの (1256 中の"広義"の定義を採用) ● ● ● ●

条件2 中小企業基本法による中小企業の定義のうち、従業員数に関する条件にあてはまるもの ※1) ● ● ● ●

条件3 設立から20年未満のもの ※2)

● × ● ●

条件4 研究開発、受託研究サービス、製造、先端科学関連コンサルティング等を主たる事業とするもの ● ● × ●

特殊条件 非営利であるもの × × × ●

注)カテゴリー内、複数の●は AND 条件

※1) 従業員 製造業その他 300人以下 卸売業 100人以下 小売業 50人以下 サービス業 100人以下

※2)本調査(2015 年版)では 1995 年設立から 2014 年設立まで。 設立から 20 年以上であっても、社名変更等によりバイオ分野への事業シフトが明らかで、その時期より 20 年未満のも

のは加える ※3)

■バイオベンチャー → カテゴリーA ■バイオ中小企業 → カテゴリーB,C,D カテゴリーB … 条件3を満たさない企業群。長期にわたる安定した経営、異業種からのバイオ分野参入などが特徴。 カテゴリーC … 条件4を満たさない企業群。販売、輸入・輸出等を主たる事業とする。外資系、商社などが特徴。 カテゴリーD … カテゴリーAの条件を満たす非営利組織。NPO 型研究機関、官製ベンチャーなどが特徴。

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考慮すべき点として、SMO(Site Management Organization)、CRO(Contract Research Organization)については伝統的製薬企業からの派生業務と考え、原則、バイオベンチャーおよび

バイオ中小企業の範囲外としている。ただし本来の SMO、CRO の業務と別に、他のバイオベンチ

ャーおよびバイオ中小企業に見られるような研究開発等に注力する場合は、カテゴリーA~Cに加

えることもある。 医療機器メーカーについては、医療機器がバイオテクノロジーの発展とは別に発展してきた経緯

もあり、原則、バイオベンチャーおよびバイオ中小企業の範囲外としている。ただし、細胞、タン

パク質、DNA などを計測対象とした製品を扱う場合などは、カテゴリーA~C に加えることもある。 殺菌、抗菌、消毒などのテクノロジーおよび伝統的な発酵技術は、原則としてバイオベンチャー

およびバイオ中小企業の事業分野の範囲外とした。

表 2 JIS K 3600:2000「バイオテクノロジー用語」より 1255【バイオインダストリー】バイオテクノロジーに関連したあらゆる分野の産業。バイオテクノロジーに用いられる装置・器

具などの周辺産業までも含めていうことがある。発酵工業、医薬品、化学品、農林水産畜産業、食品工業、エネルギ

ー、廃棄物処理などを含む。 1256【バイオテクノロジー】狭義には遺伝子の組換え技術及びその周辺技術。広義においては、生物又はその機能を利用

または応用する技術。従来の発酵技術や育種技術に加えて、遺伝子組換え技術、酵素工学技術、細胞工学技術、発

生工学技術、たん白質工学技術などを含む。 <用語の分類> 1.基礎事項

a) 一般的事項 b) 酵素、タンパク質工学 c) 微生物、微生物工学 d) 動物細胞、植物細胞、細胞工学

2.基礎技術 a) 培養、培養工学 b) 細胞融合 c) 遺伝子操作、遺伝子工学 d) 一般的操作 e) 器具・装置

3.応用技術

a) 発酵 b) バイオリアクター c) バイオインフォマティクス d) バイオレメディー e) その他

2.欧米の定義との違い 欧米では「バイオベンチャー」(Bio-venture, Biotech Venture)を、一般的に「Biotech Companies」

と呼び、特に若い企業に言及する時は「Start ups」、大企業と区別する時には「SMEs (Small and Medium Enterprises)」を適宜使用している。

欧米の Biotech Companies と本統計調査のバイオベンチャーとでは以下の点が異なる。

設立後年数: ジェネンテック(1976 年設立)やアムジェン(1980 年設立)は今でも Biotech Company であるが、本統計の場合はそれらの企業をバイオベンチャーと呼ばない。

業務内容: Biotech Companies は基本として医療・医薬分野の研究開発型企業のことを指

し、加えて医療・医薬分野で使われる研究ツール、農業・食品を扱う企業などを指す。本統

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計では特に医療・医薬中心という考え方はなく、「ニューバイオテクノロジーを事業手段ある

いは目的とする企業」という観点から、コンサルタント業までを含む幅広い業務内容を対象

としてバイオベンチャーと呼ぶ。 誰にとって使い道のある定義となっているか: 欧米では投資対象としての企業リストが要

望され、Biotech Companies のほとんどは「ベンチャーキャピタルからの投資が資本政策の

中心」「急成長して株式公開を目標とする」などの特徴をもつ。本統計はベンチャー企業、ベ

ンチャーキャピタル、行政等に幅広く利用される統計・動向および企業リストの作成を目指

しており、投資家向けに特化してはいない。 したがって、欧米の Biotech Companies と本統計調査のバイオベンチャーの数を比較する際には

上記の相違点があることを認識する必要がある。特に上記3番目のポイント(投資対象としてのベ

ンチャー企業)が企業数の差異となる影響があり、日本のバイオベンチャーは欧米の Biotech Companies に比べてやや割り増しとなっていると考えられる。

3.本調査の特徴 当協会が 2002 年にバイオベンチャー企業に関する調査を開始して以来、今回の調査で 13 回目を

迎えた。ベンチャー企業数は、調査開始時の 334 社から増加し、2006 年には 586 社に達したが、

2007 年より減少し、2010 年に 534 社まで減少した。2011 年からは増加となった、2015 年では 553社と大幅な減少となった。

3-1 調査票の変更点

2007 年までの調査では、アンケート調査時点における企業状況を問うものであった。バイオベン

チャー企業数が減少の兆しを見せ始めたことを期に、2008 年からはバイオ産業に対するベンチャー

企業の参入と成長に関する項目を、2011 年では資金調達やライセンス・提携の現状等、2012 年で

はコア技術の移転についての有効性、2013 年、2014 年は IPO の希望と予定時期を追加した。2015年調査では特許制度のあり方、制度上の問題による臨床開発への影響についての設問を追加してい

る。

3-2 共同研究

2008 年から、一橋大学イノベーション研究センターと共同研究「バイオ・ライフサイエンス分野

のイノベーション過程に関する産学官連携研究」を実施している。 研究成果は 2008 年よりワーキングペーパーが公開2,3,4,5,6されている。ワーキングペーパーでは、

当協会で定義したカテゴリーA およびカテゴリーB(設立後 20 年超の企業)について集計を行って

いるため、本調査報告とは若干集計結果が異なっている。 2「バイオベンチャーの参入と成長」, 2009/08/04 一橋大学イノベーション研究センター 3「バイオベンチャーの成長への課題 ―資金調達,コア技術,アライアンス,特許制度に関する調査を中心に―」, 2010/07/22一橋大学イノベーション研究センター 4「バイオベンチャーの成長への課題-提携と代表者の交代を中心に-」, 2012/1/20 一橋大学イノベーション研究センター 5「バイオベンチャーの成長に向けての課題-科学的源泉に注目して-」, 2013/1/29 一橋大学イノベーション研究センター 6「バイオベンチャーの科学的源泉と成長に向けての課題-2012 年バイオベンチャー統計調査にもとづいて-」,2014/2/10 一橋

大学イノベーション研究センター

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第2章 バイオベンチャー統計による実態調査

本章では、2015 年 1 月から 3 月まで実施したバイオベンチャー調査の結果をまとめた。冒頭で記

載したとおり、本文で記載しているバイオベンチャーとは、「カテゴリーA」に該当するものを示し

ている。

1.目的 統計手法によって、日本のバイオベンチャーやバイオ中小企業の状況(実態)調査を行う。特に

バイオベンチャーの企業数やその事業規模、事業分野、研究開発とコア技術、研究開発費、および

特許(知的財産)取得状況等を明らかにするとともに、バイオベンチャーの抱える問題・課題を明

らかにする。この実態調査報告書が日本のバイオベンチャーの持つイノベーションの創造力や新産

業創出に繋がる方向性を探り、今後のバイオベンチャーの発展に繋がる検討資料に資することを目

的とする。 2.調査方法

過去の調査によって明らかとなった企業情報に加えて、インキュベーション施設の入居者情報等

より収集したバイオベンチャーおよびバイオ中小企業(カテゴリーA~D候補:定義は第1章の表1、表 2)に対して 2015 年 1 月~2015 年 3 月の期間、調査票を送付(719 社)し、web アンケートシ

ステム、FAX、E-mail 等により 179 社(うちサンプル企業は 170 社)から回答を得た。

3.カテゴリー別企業数 2015 年 1 月調査時点におけるバイオベンチャーの総数は 553 社である。カテゴリー別企業数と

調査票の回答数を表 3 に示す。直近のバイオベンチャー企業増加数と増加率は、2007 年以降 4 年

連続で平均 2%、トータル 63 社の減少となっていたが、2011 年では、1.0%(4 社)、2012 年では

2.6%(14 社)、2013 年では 6.6%(39 社)と大幅な増加となった。2015 年には再び減少となった。

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表 3 カテゴリー別企業数

企業数 調査票回答数

(企業数に対する回答率)

カテゴリーA 553 130 (23.5%) カテゴリーB 130 34(26.1%) カテゴリーC 25 6(24.0%) カテゴリーD 2 0 ( 0.0%)

※「2015 年 1 月時点において当協会が把握していた企業リスト」をバイオベンチャー情報資料集と

して添付する。

4.バイオベンチャー企業数の推移

4-1 バイオベンチャー企業総数の推移

まず、2014 年調査において、バイオベンチャーの定義に含まれない企業がカウントされていたこ

とが判明した。それらを除いた企業数をここで 579 社と修正したい。 2015 年調査においてメディア等による新規設立情報、ベンチャーキャピタル HP 掲載情報、イン

キュベーション施設入居情報などから、この 1 年間で把握できたベンチャーが 29 社(2014 年設立

11 社、新規把握 18 社)ある一方、廃業(解散・清算)した企業、あるいは吸収合併された企業が 9社、本調査におけるバイオベンチャーの定義から外れた(設立後 20 年経過、事業内容変更)企業が

27 社、所在不明など調査票が届かない所在不明の企業が 19 社となり、全体としては 26 社の減少と

なった(図 1)。

図 1 バイオベンチャー企業総数推移

75 78102 116 132

150167

212

254

304333

387

464

531

587 577 569 558534 538 552

579553

0

100

200

300

400

500

600

700

1992 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14

企業数

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4-2 設立企業数および廃業(解散・清算)企業数(2015 年 8 月)

2014 年 8 月までに当協会が独自に調査を行ってきた設立企業数・廃業企業数を以下に示した(図

2)。調査開始時点で当協会が把握した設立企業数および廃業企業数は、それぞれ累計で 996 社、144社となった。

バイオベンチャー設立数は、2000 年代前半では年間 90 社を超える設立がみられたが、2005 年以

降急激に減少し、2011 年以降も設立数は 10 社程度となっている。廃業(解散・清算)企業数は、

2008 年以降、若干減少したものの、10 社を超える廃業が続いている。また、この数年、所在不明と

なる企業も多く、実態が見えにくい状況となっている。

図 2 各年の設立企業数・廃業(解散・清算)企業数(把握分) 注)廃業(解散・清算)には、吸収合併・統合等に伴う解散等を含む。撤退、休眠企業は含んでいない。ま

た、2002 年より調査を開始しているため、それ以前の廃業については把握できていない。 注)起業数には、現在所在不明の企業が含まれるため、必ずしも現在のバイオベンチャー総数とは一致しな

い。

次に、大学及び公的研究機関発バイオベンチャー数推移(図 3)を示した。2003 年をピークに設

立数は減少を続けており、特に 2009 年以降の設立数は 10 社未満となっている。 起業数、廃業起業数に大学・公的機関発バイオベンチャー数を重ねたところ、2001 年から 2004

年に集中して大幅に企業数が増加し、バイオベンチャー全体の設立数のうち大学発ベンチャーはお

およそ 4 割を占めていたが、その後の設立数は伸びず、全体の 2 割程度となっている。(図 4)。

10 10

2317

26 2429

57

68

8892

100

108

75 74

43

3228 28 29

13 13 11

03 3 5

1117 15

1915

911 11

14

52

0

20

40

60

80

100

120

1992 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

企業数

起業数

解散・休眠・撤退企業数

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12

図 3 大学及び公的研究機関発バイオベンチャー設立・解散企業数

図 4 バイオベンチャー企業数および大学及び公的研究機関発バイオベンチャー企業数

大学及び公的研究機関発バイオベンチャーは、所属する機関からの、資金供給・補助、研究施設、

経営支援、知的基盤整備などのサポートを早い段階から受けることにより、起業までのスピードは

1 13 2

42 3

1113

3734

45

40

26 26

17

13

36

76

2 201

3 4

9

4

9

5 4 3 20

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50企業数

大学・公的研究機関発バイオベンチャー設立 大学・公的研究機関発バイオベンチャー解散

10 10

2317

26 2429

57

68

8892

100107

74 74

43

3228 28 28

13 13 11

03 3 5

1117 15

1915

11 1114 14

51 1 3 2 4 2 3

11 13

3734

4540

26 26

1713

3 6 7 6 2 21 3 4 9 4 9 5 4 3 2 0

20

40

60

80

100

120

0

20

40

60

80

100

120

1992 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

起業数 解散・休眠・撤退企業数

うち、大学・公的機関発ベンチャー起業数 うち、大学・公的機関発ベンチャー解散・休眠・撤退企業数

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13

早い。しかしながら起業後は民間のキャピタルから資金調達できるベンチャーは少なく、大学側に

もその機能はなかった。 しかし、START プログラム(Program for Creating STart-ups from Advanced Research and

Technology;大学発新産業創出プログラム)や A-STEP(Adaptable & Seamless Technology Transfer Program through Target-driven R&D;研究成果最適展開支援プログラム)の効果か、今

回の調査対象ではないが、2015 年に設立したバイオベンチャーは 8 社あり、そのうち 6 社が大学お

よび公的機関発ベンチャーとなっている。8 社の事業分野は、再生医療関連が 2 社、創薬関連が 3社、研究支援関連が 2 社、その他 1 社である。

今後、ますます大学および公的機関発ベンチャーの創出が期待される。

4-3 バイオベンチャーの企業規模概要

バイオベンチャー企業の事業規模を示す指標について中央値および平均値をまとめた(表 4)。 昨年の調査と比較すると、売上高(バイオ分)、研究開発要員数、研究開発費については増加して

いるが、資本金、売上高、営業利益が減少している。 詳細については、それぞれの項目で述べる。

表 4 バイオベンチャーの事業規模(2015 年 1 月調査)

資本金 (百万円)

従業員数 (人)

売上高 (百万円)

売上高 (バイオ分)

(百万円) 営業利益

(百万円)

研究開発 要員数

(人)

研究開発費 (百万円)

中央値 40.0 7.0 62.0 62.0 0.0 4.0 20.0

(最大値) 14,847.0 237.0 6,665.0 6,665.0 264.0 6.8 2,300.0

(最小値) 2.0 1.0 0.0 0.0 ▲2,295.0 57.0 0.0

平均値 650.7 18.4 238.0 242.1 ▲105.6 0.0 113.6

注)「売上高」と「売上高(バイオ分)」が同じにならないのは、特に異業種からの参入など、100%

バイオテクノロジーに関する事業を行っているとは限らないため。

2007 年からの調査結果より、売上高、売上高(うちバイオ)および経常利益について、中央値の

経年推移を図 5 に示した。バイオ分野の売上高は増加傾向にあり、また 2011 年から 2013 年までは

営業利益がプラスとなっている。 売上や営業利益については、最大値と最小値の差が大きいものの、半数以上のベンチャーで営業

利益が出ていることが示された。

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14

注)2007 年調査では「経常利益」、2008 年以降は「営業利益」として調査を実施している。

図 5 売上高および営業利益(中央値)の経年推移

5.事業分野別企業数

本調査では大分野 6 と小分野 31 に事業領域を分類している。主な事業分野として、小分類のうち

主要な事業分野 1 位から 3 位までの複数回答を得た。図 6 では、大分類による事業分野の内訳を、

表 5 では小分類の事業分野による内訳を示した。

バイオベンチャーの主要な事業領域は、1位が医療・健康、2位が研究支援であり、以下サービ

ス、農林水産、受託生産、環境・エネルギー、となった。 小分類の事業領域については、第1位が受託サービス(研究支援)、第2位が医薬品(医療・健康)、

第3位が実験試薬・消耗品(研究支援)となった。我が国では研究支援を主たる事業領域とする企

業、医薬品を含む医薬・健康分野を主たる事業領域とする企業がベンチャー企業の大半を占めてい

る。

4550 50 48

6064

68

62

30

3740 40

60 6258

62

0

1

2

3

4

5

6

7

0

10

20

30

40

50

60

70

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

営業利益

(百万円)

売上高

(百万円)

売上高 売上高(うちバイオ) 営業利益

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15

大分類 回答企業数 2014(H26)

小分類トップ10[大分類] 回答企業数

2014(H26) 医療・健康 125 受託サービス[研究支援] 40 農林水産 16 医薬品[医療・健康] 39 環境・エネルギー 13 実験試薬/消耗品[研究支援] 28 研究支援 117 実験機器類[研究支援] 17 受託生産 15 その他[医療・健康] 16 サービス 25 パーソナルケア[医療・健康] 15 人工機器・組織、再生医療[医療・健康] 14 その他[研究支援] 13 コンサルティング[サービス] 13 化粧品[医療・健康] 12 その他[サービス] 12

注)事業内容1位から3位までの事業分野に基づいて集計。(複数回答。N=130)

図 6 事業分野別企業数(抜粋)

86

39

16

13

117

15

25

0 20 40 60 80 100 120 140

医療・健康(医薬品を除く)

医薬品

農林水産

環境・エネルギー

研究支援

受託生産

サービス

企業数事業分野

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16

表 5 事業分野別企業数 (複数回答)

大分類 小分類 企業数 医療・健康 125

1 医薬品 39 2 診断薬 17 3 医療機器(治療器、診断機器など) 10 4 人工臓器・組織、再生医療 14 5 保健機能性食品 2 6 パーソナルケア(予防医学・健康増進分野、5 以外の健康食品など) 15 7 化粧品 12 8 その他 16

農林水産 16 9 遺伝子組換え・クローン等を利用する農林畜水産 2

10 動物用医薬品 3 11 診断、検査 7 12 その他 4

環境・エネルギー 13 13 エネルギー生産技術 2 14 環境修復技術 2 15 各種廃棄物処理技術 1 16 検査 1 17 その他 7

研究支援 117 18 実験機器類 17 19 実験試薬/消耗品 28 20 実験動物生産 2 21 チップ(DNAチップ、タンパク質チップなど) 6 22 バイオインフォマティクス 11 23 受託サービス(25~28 の受託生産を除く) 40 24 その他 13

受託生産 15 25 タンパク受託生産 3 26 ペプチド受託生産 2 27 DNA 受託生産 4 28 その他 6

サービス 25 29 シンクタンク 0 30 コンサルティング 13 31 その他 12

注)主な事業内容1位から3位までの事業分野にもとづいて集計。(n=130)

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17

研究支援分野、受託生産分野には、表 5 に示す通り小分類として受託生産等が含まれている。そ

こで、顧客に関する設問を新たに追加し、図 7 にまとめた。 研究支援分野、あるいは受託生産分野の企業に対し、主要な顧客について聞いたところ、医療・

健康分野(医薬品を除く)および医療・健康分野(医薬品を含む)が 55%、大学・公的機関が 31%と大半を占めている。

医療・健康分野に関係するバイオベンチャーの割合は多く、医療・健康分野のベンチャーは、研

究支援分野、受託生産分野に支えられていることが示された。

図 7 顧客の事業分野について(n=95)

医療・健康(医

薬品を除く)19%

医薬品

36%

農林水産

5%

環境・エネル

ギー3%

研究支援

3%

受託生産

0%

サービス

3%

大学・公的機

関31%

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6.事業規模

6-1 設立後経過年数別企業数

2014 年に設立した企業の設立後経過年数を 0 年として、設立企業および解散企業それぞれの企業

数を算出した。最も多いのは、設立後経過年数 9 年~11 年であり、平均値、中央値はそれぞれ 10.52年、10.00 年であった(図 8)。

また、同グラフ上に設立から解散までの年数を折線で記した。解散した企業のうち、設立から 3~5 年で解散している企業が最も多く、設立から 10 年以内に解散している企業が全体の 80%であっ

た。解散までの経過年数の平均は 9.22 年、中央値は 5.0 年となっており、設立後の 10 年をどのよ

うに乗り切るかが課題となっている。

注)2014 年設立のバイオベンチャー企業を 0 年として企業数を計算。

図 8 設立後経過年数ごとの設立企業数および廃業(解散・清算)企業数

23

72

125

166

128

4530

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

0~2年 3~5年 6~8年 9~11年 12~14年 15~17年 18~20年

解散企業数設立企業数

経過年数

設立からの経過年数

解散までの経過年数(ALL)

バイオベンチャー 経過年数(年) 設立からの経過年 解散までの経過年

平均 10.52 9.22

中央値 10.00 5.00

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6-2 設立時と現在の従業員数の比較

設立時の従業員数では、0~4人が最も多く全体の約 80%となっており、中央値は 3.0人であった。

現在の従業員数では、5 人以上が全体の 65%を占めており、中央値は 7 人となった。設立経過年数

とともに、従業員数は 0~4 人から 5~9 人あるいは 10~19 人と増加している(図 9)。 設立時と現在の平均を比較すると、それぞれ 4.2 人、18.4 人で、設立から現在で 4 倍強となって

いる。

設立時 現在 n(回答企業数) 114 % 118 %

0~4 人 87 76.3% 40 33.90% 5~9 人 20 17.5% 34 28.81% 10~19 人 5 4.4% 20 16.95% 20~49 人 1 0.9% 12 10.17% 50~99 人 1 0.9% 9 7.63% 100 人以上 0 0.0% 3 2.54%

中央値(人) 3.0 7.0 平均(人) 4.2 18.4 最大値(人) 70.0 237.0 最小値(人) 0.0 1.0

注)設立時および現在の従業員数に回答したバイオベンチャー企業を集計。

図 9 設立時および現在の従業員数

87

40

20

34

5

20

1

12

1

9 3

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

従業員数(設立時)

従業員数(現在)

0~4人 5~9人 10~19人 20~49人 50~99人 100人以上

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20

6-3 設立時と現在の資本金の比較

設立時の資本金では、1 千万円以上 2 千万円未満が最も多く全体の約 40%となっており、中央値

は 1,000 万円であった。現在の資本金では、2 千万円以上 1 億円未満で全体の 40%を占めており、

中央値は 4,000 万円となっている。設立時と現在を比較すると、平均値ではそれぞれ 2,490 万円、6億 5,070 万円となっている。また資本金 10 億円以上の企業が設立時では 0 社、現在では 15 社であ

り、従業員数同様に経過年数にともない資本金も増加している(図 10)。 設立時資本金の最高額は 4 億 8,000 万円、現在の資本金の最高額は 148 億 4,700 万円であった。

設立時 現在 n(回答企業数) 112 % 114 %

3 百万円未満 13 11.61% 2 1.7% 3 百万円以上 1 千万円未満 28 25.00% 17 14.9% 1 千万円以上 2 千万円未満 44 39.29% 19 16.6% 2 千万円以上 5 千万円未満 13 11.61% 23 20.1% 5 千万円以上 1 億円未満 8 7.14% 26 22.8% 1 億円以上 2 億円未満 2 1.79% 5 4.3% 2 億円以上 5 億円未満 4 3.57% 5 4.3% 5 億円以上 10 億円未満 0 0.00% 2 1.7% 10 億円以上 0 0.00% 15 13.1%

中央値(百万円) 10.0 40.0 平均(百万円) 24.9 650.7 最大値(百万円) 480.0 14,847.0 最小値(百万円) 0.0 2.0

注)設立時および現在の資本金に回答したバイオベンチャー企業を集計。

図 10 設立時および現在の資本金

13

2

28

17

44

19

13

23

8

26

2

5

4

5 2 15

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

資本金(設立時)

資本金(現在)

3百万円未満 3百万円以上1千万円未満 1千万円以上2千万円未満 2千万円以上5千万円未満 5千万円以上1億円未満

1億円以上2億円未満 2億円以上5億円未満 5億円以上10億円未満 10億円以上

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図 11、12 では事業分野別の設立時資本金、現在資本金額を示した。 医薬品を含む医療・健康分野の資本金は設立時から高い傾向にあり、設立以降も他事業分野と比

較してその規模は大きい。また研究支援分野の資本金はこれまでの調査と比較して規模が大きくな

ってきている。

図 11 設立時の資本金(事業分野別)

図 12 現在の資本金(事業分野別)

2

3

6

2

6

7

2

2

9

2

13

11

1

11

5

2

2

2

1

1

6

1

1

2

1

2

2

1

1

1

3

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

医療・健康(医薬品を除く)

医薬品

農林水産

環境・エネルギー

研究支援

受託生産

サービス

3百万円未満 3百万円以上1千万円未満 1千万円以上2千万円未満

2千万円以上5千万円未満 5千万円以上1億円未満 1億円以上2億円未満

2億円以上5億円未満 5億円以上10億円未満 10億円以上

1

1

1

5

2

1

6

2

6

4

6

1

2

6

5

1

9

1

1

2

3

2

1

1

1

1

1

6

6

2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

医療・健康(医薬品を除

く)

医薬品

農林水産

環境・エネルギー

研究支援

受託生産

サービス

3百万円未満 3百万円以上1千万円未満 1千万円以上2千万円未満

2千万円以上5千万円未満 1億円以上2億円未満 2億円以上5億円未満

5億円以上10億円未満 10億円以上

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6-4 売上高

全体の売上高の中央値は 6,200 万円、平均値は 2 億 3,800 万円であった。売上高(うちバイオ分

野)の売上高では、中央値は 6,200 万円、うちバイオ分野の平均値は 2 億 4,210 万円、1 億円以上

の売上のある企業は全体、うちバイオ分野ともに約 3 割であった。(図 13)

全体 うちバイオ n(回答企業数) 101 % 95 %

1 千万円未満 22 21.79% 21 22.11% 1 千万円以上 2 千万円未満 6 5.95% 6 6.32% 2 千万円以上 5 千万円未満 16 15.85% 15 15.79% 5 千万円以上 1 億円未満 22 21.79% 24 25.27% 1 億円以上 2 億円未満 17 16.84% 13 13.69% 2 億円以上 5 億円未満 10 9.91% 8 8.43% 5 億円以上 10 億円未満 3 2.98% 3 3.16% 10 億円以上 5 4.96% 5 5.27%

中央値(百万円) 62.0 62.0 平均(百万円) 238.0 242.1 最大値(百万円) 6,665.0 6,665.0 最小値(百万円) 0.0 0.0

注)売上高で現在および、うちバイオに回答したバイオベンチャー企業を集計。

図 13 全体および、うちバイオ分野の売上高別企業数

22

21

6

6

16

15

22

24

17

13

10

8

3

3

5

5

0% 20% 40% 60% 80% 100%

売上高(全体)

売上高(うち、バイオ)

1千万円未満 1千万円以上2千万円未満 2千万円以上5千万円未満

5千万円以上1億円未満 1億円以上2億円未満 2億円以上5億円未満

5億円以上10億円未満 10億円以上

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23

6-5 営業利益

営業利益が黒字となっている企業は、営業利益(全体)、営業利益(うちバイオ分野)ともに 50%を超えている。営業利益について、全体の営業利益の平均はマイナス 1 億 230 万円、うちバイオ分

野の営業利益の平均は、マイナス 1 億 560 万円となっている。営業利益の中央値では、全体の営業

利益、うちバイオ分野ともに 0 円であった(図 14)。

全体 うちバイオ

n(回答企業数) 97 % 88 % ▲1 億円未満 17 17.52% 15 17.0%

▲1 億円以上▲1 千万円未満 14 14.43% 12 13.6%

▲1 千万円以上 0 円未満 16 16.49% 15 17.0% 0 円以上 1 千万円未満 30 30.92% 27 30.7%

1 千万円以上 1 億円未満 16 16.49% 15 17.0%

1 億円以上 4 4.12% 4 4.5%

中央値(百万円) 0.0 0.0 平均(百万円) ▲ 102.3 ▲ 105.6 最大値(百万円) 264.0 262.0 最小値(百万円) ▲ 2,295.0 ▲ 2,295.0

注)営業利益に回答したバイオベンチャー企業を集計。

図 14 全体および、うちバイオ分野の営業利益

17

15

14

12

16

15

30

27

16

15

4

4

0% 20% 40% 60% 80% 100%

営業利益(全体)

営業利益(うち、バイオ)

▲1億円未満 ▲1億円以上▲1千万円未満 ▲1千万円以上0円未満

0円以上1千万円未満 1千万円以上1億円未満 1億円以上

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24

7.資本構成

7-1 負債比率

現在の負債比率(総資産に対する負債の比率)では、0%以上 20%未満の企業が最も多く全体の

26%となっており、100%以上と回答した企業も全体の 17%存在している。中央値は 45.0 %、平

均値は、100.8%であった。(図 15)

n(回答企業数) 91 %

0%以上 20%未満 24 26.38%

20%以上 40%未満 17 18.69%

40%以上 60%未満 14 15.39%

60%以上 80%未満 8 8.80%

80%以上 100%未満 11 12.09%

100%以上 16 17.59%

中央値(%) 45.0

平均(%) 100.8 注)現在の負債比率に回答したバイオベンチャー企業を集計。

図 15 総資産に対する負債比率

0%以上

20%未満, 24

20%以上

40%未満, 1740%以上

60%未満, 14

60%以上

80%未満, 8

80%以上

100%未

満, 11

100%以

上, 16

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25

7-2 株主構成

株式ないし持分の保有率では、創業者が最も多く設立時で 76.7%、現在で 71.0%であった。設立

時から現在にかけて、創業者の親族・知人・友人、個人投資家とその他個人、ベンチャーキャピタ

ル、その他法人の保有比率が増加している(図 16)。

株主区分 設立時 現在 n(回答企業数) 103 % 93 %

創業者(設立時の代表者) 79 76.7% 66 71.0% 創業者の親族・知人・友人 27 26.2% 37 39.8% 個人投資家とその他の個人 10 9.7% 22 23.7% 機関投資家 8 7.8% 11 11.8% ベンチャーキャピタル 13 12.6% 23 24.7% 公的機関・大学 6 5.8% 5 5.4% 設立時の親会社(事業会社) 25 24.3% 18 19.4% その他の金融機関 6 5.8% 10 10.8% その他法人 17 16.5% 32 34.4%

注)株式ないし持分の保有率 1 位から 5 位に回答したバイオベンチャー企業(合計が 95%以上と

なる回答企業のみ)を集計。

図 16 株主構成(上位 1 位から 5 位まで)

76.7%

26.2%

9.7%

7.8%

12.6%

5.8%

24.3%

5.8%

16.5%

71.0%

39.8%

23.7%

11.8%

24.7%

5.4%

19.4%

10.8%

34.4%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

創業メンバー

創業者の親族・知人・友人

個人投資家とその他の個人

機関投資家

ベンチャーキャピタル

公的機関・大学

設立時の親会社(事業会社)

その他の金融機関

その他の法人

出資者(設立時)

出資者(現在)

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26

8.研究開発とコア技術

8-1 研究開発要員数

企業全体の研究開発要員数では、1~4 人が最も多く 54.9%であり、中央値は 4 人であった。うち

バイオ分野の研究開発要員数でも同じく 1~4 人が最も多く 57.7%であり、中央値は全体と同じく 4人であった(図 17)。6.事業規模の項で示したとおり、現在の従業員数の中央値が 7 名であるこ

とから、その半数強が研究開発に従事していることを示している。全分野の研究開発要員数の平均

値は 6.8 人、うちバイオ分野は 6.7 人であり、バイオベンチャーにおける研究開発要員数は全体と、

うちバイオ分野ではほとんど差は見られない。

全体 うちバイオ

n(回答企業数) 113 % 111 %

0 人 6 5.3% 5 4.5% 1~4 人 62 54.9% 64 57.7%

5~9 人 28 24.8% 25 22.5%

10~19 人 9 7.9% 9 8.1% 20~49 人 7 6.2% 7 6.3%

50 人以上 1 0.9% 1 0.9%

中央値(人) 4.0 4.0 平均(人) 6.8 6.7

注)研究開発要員数に回答したバイオベンチャー企業を集計。

図 17 研究開発要員数(全体)および研究開発要員数(うちバイオ)

0 10 20 30 40 50 60 70

0人

1~4人

5~9人

10~19人

20~49人

50人以上

研究開発要員

研究開発要員(うち、バイオ)

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27

8-2 研究開発費

研究開発費では、全体および、うちバイオ分野ともに、1 千万円未満が最も多くそれぞれ約 40%と、昨年より若干減少している。中央値は全体の研究開発費では 2,000 万円、うちバイオ分野では

1,850 万円であった。また、研究開発費の平均値は、昨年調査では 8,090 万円、7,460 万円であった

が、今回の調査では、1 億 1,360 万円、1 億 780 万円と大きく増加している。比率としては、昨年同

様バイオベンチャーにおける研究開発費(全体)と、研究開発費(うちバイオ分野)ではほとんど

差が見られない。(図 18)

全体 うちバイオ n(回答企業数) 103 % 100 %

1 千万円未満 39 37.87% 39 39.0% 1 千万円以上 2 千万円未満 12 11.66% 11 11.0% 2 千万円以上 5 千万円未満 20 19.42% 21 21.0% 5 千万円以上 1 億円未満 10 9.71% 9 9.0% 1 億円以上 2 億円未満 10 9.71% 9 9.0% 2 億円以上 10 億円未満 10 9.71% 9 9.0% 10 億円以上 2 1.94% 2 2.0%

中央値 20.0 18.5 平均 113.6 107.8

注)研究開発全体および、うちバイオ分野に回答したバイオベンチャー企業を集計。 注)この設問における研究開発費とは、会社等、研究機関または大学等の内部で使用した研究費で、

人件費、原材料費、有形固定資産の購入費及びその他の経費を指す。委託研究等外部へ支出した

研究費は含まない。

図 18 研究開発費(全体)および研究開発費(うちバイオ)

39

39

12

11

20

21

10

9

10

9

10

9

2

2

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

研究開発費(全体)

研究開発費(うち、バイオ)

1千万円未満 1千万円以上2千万円未満 2千万円以上5千万円未満 5千万円以上1億円未満

1億円以上2億円未満 2億円以上10億円未満 10億円以上

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28

バイオ分野の研究開発費について、各事業分野別に示した(図 19)。 医薬品分野では、研究開発費が 1 千万円以上の企業は約 80%となっている。なかでも 5 千万円以

上の企業は 50%を超え、他の分野と比較して研究開発費は高額となっている。同じく、医薬品を除

く医療・健康分野では、研究開発費が 2 千万円以上の企業は約 60%、研究支援分野においては 40%近くを占める。

医薬品分野を含む医療・健康分野では、昨年と比較して研究開発費が 2 千万円以上であった割合

が大幅増加するなど、研究開発費の調達状況の改善がみられた。

図 19 事業分野別の研究開発費

6

6

4

5

10

2

3

1

1

1

4

1

7

6

1

6

1

3

6

2

3

2

2

4

3

1

2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

医療・健康(医薬品を除く)

医薬品

農林水産

環境・エネルギー

研究支援

受託生産

サービス

1千万円未満 1千万円以上2千万円未満 2千万円以上5千万円未満 5千万円以上1億円未満

1億円以上2億円未満 2億円以上10億円未満 10億円以上

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29

8-3 研究開発費・売上高(事業分野別)

事業分野別の研究開発費(第 1 位)と売上高(第 1 位)を比較した(図 20)。 医療・健康分野で最も多くの研究開発費が投じられている。一方で、約 40%の企業が研究支援分

野で売り上げを得ているという結果となった。例年同様バイオベンチャー企業においては、研究開

発を行っている分野以外の分野からの収入を多く得ていることが示された。

売上高

1 位 研究開発費

1 位 n(回答企業数) 80 73

医療・健康 32 42 医療・健康(医薬品を除く) 18 24 医薬品 14 18

農林水産 2 4 環境・エネルギー 4 6 研究支援 34 19 受託生産 4 1 サービス 4 1

注)研究開発費1位および売上高1位に回答したバイオベンチャー企業の事業分野を集計。

図 20 研究開発費第 1 位および売上高第 1 位に回答した企業の割合

18

24

14

18

2

4

4

6

34

19

4

1

4

1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

売上(1位)

研究(1位)

医療・健康(医薬品を除く) 医薬品 農林水産 環境・エネルギー 研究支援 受託生産 サービス

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30

また、研究開発集約度(研究開発費と売上の比率)を示した(図 21))。 全体の約 30%の企業において、売上が研究開発費を上回っており、そのうち売り上げが研究開発

費の 2 倍を超える企業が 18%存在しているとの結果であった。一方で、研究開発費が売上の 10 倍

以上の企業は 25%を超えている。

図 21 研究開発集約度(=売上高÷研究開発費)

0%以上5%未満

16.9%5%以上

10%未満9.0%

10%以上50%未満

29.2%

50%以上100%未満

15.7%

100%以上200%未満

11.2%

200%以上500%未満

4.5%500%以上

13.5%

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8-5 コア技術の出所

設立時と現在のコア技術の出所についてまとめた(図 22)。 設立時、現在ともに大学からコア技術を得ている割合が 40%超を占めており、設立時から現在で、

コア技術の出所に変化がないように見える。設立時と現在のコア技術の変化については、変化して

いると回答した企業は、回答企業全体の 5 分の 1 以下であった(図 23)。 またコア技術の出所については、設立時と現在で「大学」との回答が多いが、導入した技術を新

たな技術として自社で取りこむケースも見られる。

図 22 コア技術の出所

図 23 コア技術の出所の変化

60

53

11

11

6

6

10

10

30

25

3

10

2

1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

設立時

現在

大学 公的研究機関 親会社 親会社以外の企業 創業メンバー 自社 その他

設立時と同じ, 99 設立時と

異なる, 17

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

コア技術の変化

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32

事業分野別にみると、医療・健康分野(医薬品を含む)および研究支援分野で 80%以上の企業が設

立時と同じコア技術であると回答している(図 24)。

設立時と同じ 設立時と異なる

n(回答企業数) 99 17

医療・健康(医薬品を除く) 20 4

医薬品 19 2

農林水産 2 2

環境・エネルギー 5 0

研究支援 39 9

受託生産 6 0

サービス 4 0 注)現在のコア技術の出所に回答したバイオベンチャー企業を設立からの経過年数別で集計。

図 24 事業分野別 コア技術の出所の変化

20

19

2

5

39

6

4

4

2

2

9

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

医療・健康(医薬品を除く)

医薬品

農林水産

環境・エネルギー

研究支援

受託生産

サービス

設立時と同じ 設立時と異なる

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9.特許出願

9-1 特許出願の状況

特許出願状況において、国内、米国ともに出願の割合が高く、それぞれ 80%、70%となった。ま

た、医薬品分野の企業における特許出願状況では、国内では 90%近くが出願しており、海外でも 70%の出願があった。医薬品分野の出願率は全体に比べ高い。(図 25)。

国内特許出願 米国特許出願 国内特許出願 (医薬品)

米国特許出願 (医薬品)

回答数 115 104 22 21

なし 20 34 2 6

あり 95 70 20 15

図 25 日本と米国における特許出願状況(全体および、うち医薬品)

あり

95 あり

70

なし

20 なし

34

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

国内特許出願 米国特許出願

あり

20 あり

15

なし 2

なし 6

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

国内特許出願

(医薬品)

米国特許出願

(医薬品)

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特許累積出願数において、国内の 1 社当たりの累積出願数の平均は 15.2 件、米国では 5.0 件であ

り、うち登録数はそれぞれ 5.0 件、1.0 件であった。中央値では、国内の 1 社当たりの累積出願数は

5.7 件、米国では 3.8 件であり、うち登録数は国内では 2.0 件、米国では 3.0 件であった(図 26)。

国内 米国

累積出願数 平均値 15.2 5.0

中央値 5.7 3.8

登録数 平均値 5.0 1.0

中央値 2.0 3.0 注)バイオベンチャー企業で国内と米国の累積出願数と登録数を集計。1 社あたりの累積出願数お

よび登録数を算出。

図 26 国内と米国の累積出願数と登録数(1社あたりの平均値)

国内の特許累積出願において、出願ありあるいは登録ありと回答した企業数が最も多かったのは

研究支援分野であった(図 27)。主な事業分野別の 1 社あたりの累積出願数では研究支援分野が 16.3件と最も多く、次いで医療・健康分野が 15.6 件となっている。また 1 社当たりの登録数では医療・

健康分野が 5.5 件と最も多く、次いで研究支援分野が 5.1 件であった。 米国の特許累積出願において、出願ありあるいは登録ありと回答した企業数が最も多かったのは、

研究支援分野であった(図 28)。主な事業分野別の 1 社あたりの累積出願数については医療・健康

分野が 5.0 件と最も多く、次いで研究支援分野が 4.3 件となっている。また 1 社当たりの登録数では

研究支援分野が 2.1 件と最も多く、次いで医療・健康分野が 1.9 件となっている。

15.2

5.75

3.8

0

2

4

6

8

10

12

14

16

累積出願数 登録数

件数

国内特許出願

米国特許出願

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図 27 日本における特許出願状況(事業分野別)

図 28 米国における特許出願状況(事業分野別) 9-2 特許出願制度

イノベーションを促進する観点で、日本の特許出願制度のあり方の評価をまとめた(図 29、図 30)。 進歩性の基準については、現状のままで良いとの回答が 80%、基準が高すぎるが 20%となった。

発明の記載要件についも同様に、現状のままで良いが 80%、厳しすぎるが 20%であった。審査請求

後の審査機関については、半数以上が時間がかかりすぎるという評価であった。特許保護の期間延

長制度についても、対象を拡大すべきとの意見が 40%を超えた。特許侵害の抑止についても 40%が

強化が必要と回答した。グレース期間については、現状で良いが 70%超、長期化が必要が 20%であ

った。 特許制度については、審査期間の短縮、特許保護期間の延長などへの要望が強い。

24 20

4 4

37

2 2

2

1

11

3 20

10

20

30

40

50

60企業数

あり なし

18 153 1

29

1 1

4 6

1

16

3 30

10

20

30

40

50企業数

あり なし

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図 29 特許制度のあり方に関する評価(n=111)

(進捗性の基準) (発明の記載要件)

(審査請求後の審査期間) (特許保護の期間延長制度)

(特許侵害の抑止) (グレース期間)

図 30 特許制度のあり方に関する評価 詳細

21

18

61

50

45

20

86

87

49

59

63

80

3

3

7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

進歩性の基準

発明の記載要件

審査請求後の審査期間

特許保護の期間延長制度

特許侵害の抑止

グレース期間

(+要改善) (現状維持) (-要改善)

4

2

1

1

11

1

1

19

15

3

3

36

3

4

1

1

1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

医療・健康(医薬品を除く)

医薬品

農林水産

環境・エネルギー

研究支援

受託生産

サービス

高すぎる 現状で良い 低すぎる

7

8

2

1

16

18

4

3

37

2

4

2

1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

医療・健康(医薬品を除く)

医薬品

農林水産

環境・エネルギー

研究支援

受託生産

サービス

厳しすぎる 現状で良い 甘すぎる

18

9

1

3

23

3

2

5

9

3

2

25

1

3

0% 20% 40% 60% 80% 100%

医療・健康(医薬品を除く)

医薬品

農林水産

環境・エネルギー

研究支援

受託生産

サービス

時間がかかりすぎる 現状で良い もっと時間をかけても良い

16

10

1

18

3

7

8

4

4

29

4

2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

医療・健康(医薬品を除く)

医薬品

農林水産

環境・エネルギー

研究支援

受託生産

サービス

対象を拡大すべき 現状で良い 対象を限定すべき

15

9

1

18

2

8

8

4

4

29

4

3

0% 20% 40% 60% 80% 100%

医療・健康(医薬品を除く)

医薬品

農林水産

環境・エネルギー

研究支援

受託生産

サービス

強化が必要 現状で良い 強化しすぎている

4

5

9

1

18

11

3

4

36

4

3

1

1

1

2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

医療・健康(医薬品を除く)

医薬品

農林水産

環境・エネルギー

研究支援

受託生産

サービス

長期化が必要 現状で良い 短くてもよい

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37

10.都道府県別企業数

10-1 全国

バイオベンチャーの所在地地域別分布を探るため、都道府県別企業数(本社所在)をカウントし

た(表 6、7、図 31、32)。 過去 3 年間のバイオベンチャー数が多い都道府県は、 2011 年では東京、神奈川、大阪、北海道、千葉、京都、兵庫、愛知、茨城、福岡 2012 年では東京、神奈川、大阪、北海道、千葉、京都、兵庫、愛知、茨城、福岡 2013 年は、東京、神奈川、大阪、北海道、千葉、兵庫、京都、愛知、茨城、福岡

の順であったが、 2014 年は、東京、神奈川、大阪、兵庫、京都、千葉、北海道、愛知、茨城、福岡 で、兵庫、京都、千葉が上位となっている。この一年間では、東京、大阪それぞれで 10 社、神奈

川で 7 社、北海道で 5 社、滋賀で 4 社と大幅な減少がみられ、全体として 2013 年から 38 社の減少

となった。 バイオベンチャーが多く存在するのは関東、近畿であり、バイオベンチャー合計数は関東圏(1

都6県)では 274 社、近畿圏では 115 社であり関東圏は日本の全ベンチャーの 49.5%を占めている。 人口百万人当たりのバイオベンチャー数が全国平均よりも高い都道府県数は 13 都道府県であっ

た。

表 6 都道府県別トップ10

トップ10/企業数 人口百万人あたりトップ10 /百万人当たり企業数

東京都 149 東京都 11.3 神奈川県 63 京都府 11.3 大阪府 44 沖縄県 7.8 兵庫県 31 神奈川県 6.9 京都府 30 茨城県 6.0 千葉県 28 兵庫県 5.5 北海道 27 石川県 5.1 愛知県 22 徳島県 5.0 茨城県 18 香川県 5.0 福岡県 18 大阪府 4.9

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38

表 7 都道府県別企業数(2015 年 1 月現在)

エリア 本社 所在地

企業数 人口百万人あたり企業数 人口

(H22 国勢調査) 2014 (H26)

2013 (H25)

2012 (H24)

2011 (H23)

2014 (H26)

2013 (H25)

2012 (H24)

2011 (H23)

北海道 北海道 27 32 30 30 4.9 5.8 5.4 5.4 5,507,456

東北

青森県 2 2 2 2 1.4 1.4 1.4 1.4 1,373,164 岩手県 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 1,330,530 宮城県 9 9 8 7 3.8 3.8 3.4 2.9 2,347,975 秋田県 5 5 4 4 4.6 4.6 3.6 3.6 1,085,878 山形県 3 2 2 2 2.5 1.7 1.7 1.7 1,168,789 福島県 1 1 1 2 0.4 0.4 0.4 0.9 2,028,752

関東

茨城県 18 18 17 18 6.0 6.0 5.7 6.0 2,968,865 栃木県 1 0 0 0 0.4 0.0 0.0 0.0 2,007,014 群馬県 3 4 4 4 1.4 1.9 1.9 1.9 2,008,170 埼玉県 12 14 11 11 1.6 1.9 1.5 1.5 7,194,957 千葉県 28 28 28 28 4.5 4.5 4.5 4.5 6,217,119 東京都 149 154 153 145 11.3 11.7 11.6 11.0 13,161,751 神奈川県 63 69 64 66 6.9 7.6 7.0 7.2 9,049,500

中部

新潟県 2 2 2 1 0.8 0.8 0.8 0.4 2,374,922 富山県 4 4 5 3 3.6 3.6 4.5 2.7 1,093,365 石川県 6 6 6 5 5.1 5.1 5.1 4.2 1,170,040 福井県 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 806,470 山梨県 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 862,772 長野県 4 4 4 4 1.8 1.8 1.8 1.8 2,152,736 岐阜県 3 4 5 4 1.4 1.9 2.4 1.9 2,081,147 静岡県 7 7 6 5 1.8 1.8 1.5 1.3 3,765,044 愛知県 22 21 20 19 2.9 2.8 2.6 2.5 7,408,499

近畿

三重県 5 5 5 5 2.6 2.6 2.6 2.6 1,854,742 滋賀県 2 6 9 10 1.4 4.2 6.3 7.0 1,410,272 京都府 30 28 28 27 11.3 10.6 10.6 10.2 2,636,704 大阪府 44 51 45 45 4.9 5.7 5.0 5.0 8,862,896 兵庫県 31 29 26 25 5.5 5.1 4.6 4.4 5,589,177 奈良県 2 2 1 1 1.4 1.4 0.7 0.7 1,399,978 和歌山県 1 1 2 2 0.9 0.9 1.9 1.9 1,001,261

中国

鳥取県 2 2 1 1 3.3 3.3 1.6 1.6 588,418 島根県 1 1 1 1 1.3 1.3 1.3 1.3 716,354 岡山県 6 6 5 4 3 3.0 2.5 2.0 1,944,986 広島県 9 9 9 9 3.1 3.1 3.1 3.1 2,860,769 山口県 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 1,451,372

四国

徳島県 4 4 4 3 5.0 5 5 3.8 785,873 香川県 5 5 5 5 5.0 5.0 5.0 5.0 995,779 愛媛県 1 1 1 1 0.6 0.6 0.6 0.6 1,430,957 高知県 0 0 0 0 0.0 0 0 0.0 764,596

九州 ・沖縄

福岡県 18 19 15 14 3.5 3.7 2.9 2.7 5,072,804 佐賀県 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 849,709 長崎県 2 2 2 2 1.4 1.4 1.4 1.4 1,426,594 熊本県 5 6 5 5 2.7 3.3 2.7 2.7 1,817,410 大分県 0 0 1 1 0.0 0.0 0.8 0.8 1,196,409 宮崎県 1 1 1 1 0.8 0.8 0.8 0.8 1,135,120 鹿児島県 4 4 4 5 2.3 2.3 2.3 2.9 1,706,428 沖縄県 11 11 10 11 7.8 7.8 7.1 7.8 1,392,503

全国 553 579 552 538 4.3 4.5 4.3 4.2 128,056,026

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39

図 31 バイオベンチャー企業 本社所在地の分布(2015 年 1 月現在)

図 32 2011~2013 年設立のバイオベンチャー企業 本社所在地の分布

企業数

1 45 9

10 1920 2930

企業数

12 34 67 9

10

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40

過去のエリア別バイオベンチャー数をみると、北海道エリアでは減少傾向となっている(図 33)。中部エリア、近畿エリアでは増加傾向にあり、東北エリア、中国・四国エリア、九州・沖縄エリア

では若干の増減はあるものの、企業数はほぼ一定を保っている。

注)2002 年から 2014 年までの偶数年の調査結果による、バイオベンチャー企業の本社所在地を集計。

表中の数値は 2014 年の当該エリアの合計企業数を示す。

図 33 エリア別バイオベンチャー企業数推移 10-2 東京都(23 区)

東京都(23 区、本社所在)のバイオベンチャー企業について分布を示した(表 8、9、図 34)。 バイオベンチャー数が最も多い区は、港区であり、次いで中央区、文京区、千代田区、23 区以外、

であり、千代田区からの本社の移転が目立つ。過去4年間の東京都のバイオベンチャー数をみると、

千代田区、港区、中央区、文京区、渋谷区および「23 区以外」で、東京都内の約 7 割が集中して存

在している。 また人口百万人当たりバイオベンチャー数の東京 23 区の平均値は 14.8、中央値は 5.4(東京都全

体では平均値 11.3、中央値 4.8)であった。居住人口が少なく、また中小企業のインキュベーション

オフィスが充実している千代田区、中央区、港区により平均が引き上げられ、全国平均よりも高く

なっている。 2003 年当時の東京 23 区のバイオベンチャーの分布(図 35)と比較すると、特に中央区、港区、

千代田区、文京区に集中して本社が置かれている。

27 20

274

48

115

18 10

41

0

50

100

150

200

250

300

350

北海道 東北 関東 中部 近畿 中国 四国 九州・沖縄

2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014

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41

表 8 東京都内 23 区別トップ5(2015 年 1 月現在)

トップ5/企業数 人口百万人あたりトップ5 /百万人当たり企業数

港区 30 千代田区 360.3 中央区 21 中央区 170.9 文京区 19 港区 146.1 千代田区 17 文京区 91.9 23 区以外 16 渋谷区 34.1

表 9 東京都企業数(2015 年 1 月現在)

エリア 企業数 人口百万人あたり

企業数 人口 (H22 国勢調査) 2014

(H26) 2013 (H25)

2012 (H24)

2011 (H23)

2014 (H26)

2013 (H25)

2012 (H24)

2011 (H23)

特別区 千代田区 17 24 25 22 360.3 508.7 529.9 466.3 47,174 中央区 21 20 20 17 170.9 162.8 162.8 138.4 122,831 港区 30 22 27 26 146.1 112.0 131.5 126.6 205,303 新宿区 7 9 10 10 21.4 30.6 30.6 30.6 326,332 文京区 19 19 16 15 91.9 96.7 77.4 72.5 206,692 台東区 5 4 1 1 28.3 22.7 5.6 5.6 176,092 墨田区 1 1 0 0 4.0 4.0 0.0 0.0 247,645 江東区 2 3 5 5 4.3 6.5 10.8 10.8 460,585 品川区 3 3 2 2 8.2 8.2 5.4 5.4 365,412 目黒区 4 4 4 5 14.8 14.8 14.8 18.6 268,719 大田区 2 3 3 3 2.8 4.3 4.3 4.3 693,426 世田谷区 3 4 4 3 3.4 4.5 4.5 3.4 878,056 渋谷区 7 7 7 5 34.1 34.1 34.1 24.4 204,753 中野区 0 1 1 1 0.0 3.1 3.1 3.1 314,900 杉並区 3 4 2 3 5.4 7.2 3.6 5.4 549,723 豊島区 3 3 3 3 10.5 10.5 10.5 10.5 284,768 北区 0 1 0 0 0.0 2.9 0.0 0.0 335,623 荒川区 0 0 0 1 0.0 0.0 0.0 4.8 204,646 板橋区 3 4 4 4 5.6 7.4 7.4 7.4 534,564 練馬区 1 1 1 1 1.3 1.3 1.3 1.3 716,384 足立区 1 1 1 1 1.4 1.4 1.4 1.4 684,063 葛飾区 0 0 0 0 0.0 0.0 0.0 0.0 442,848 江戸川区 1 1 1 1 1.4 1.4 1.4 1.4 678,908

23 区 小計 133 139 137 129 14.8 16.3 15.3 14.4 8,949,447

その他 16 15 16 16 3.7 3.5 3.7 3.7 4,212,304

東京都 149 154 153 146 11.3 11.7 11.6 11.0 13,161,751

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図 34 東京都内 23 区別バイオベンチャー企業の分布(2015 年 1 月現在)

図 35 東京都内 23 区別バイオベンチャー企業の分布(2003 年)

企業数

1 ~ 45 1011 2021 30

企業数

1 ~ 45 1011 2021 30

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11.経営者の経歴

11-1 現在の代表者の経歴

代表者の経歴についてまとめた(図 36)。 現在の代表者の前織において、最も多いのは大企業で 39.3%、次いで中小企業の 31.1%、大学と

の回答も全体の 18.0%を占めている。また、創業者の前職については大企業が 32.8%、中小企業が

26.7%、大学が 20.7%となっており、前職が大企業・中小企業であった代表者は 7 割以上であった。

(現在の代表者の前所属組織) (創業者の前所属組織)

図 36 現在の代表者および創業者の前職

大学

18.0%

大企業

39.3%

中小企業

31.1%

金融機関

2.5%

公的研究

機関5.6%

その他

6.6%大学

20.7%

大企業

32.8%

中小企業

26.7%

金融機関

1.7%

公的研究

機関5.4% その他

6.9%

創業者 回答数 割合 n(回答企業数) 116 % 大学 24 20.7% 大企業 38 32.8% 中小企業 31 26.7% 金融機関 2 1.7% 公的研究機関 5 4.3% その他 8 6.9%

現在の代表者 回答数 割合 n(回答企業数) 122 %

大学 22 18.0%

大企業 48 39.3%

中小企業 38 31.1%

金融機関 3 2.5%

公的研究機関 3 2.5%

その他 8 6.6%

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44

現在の代表者の主な前職の職種において、最も多いのは研究者・技術者で 43.2%、次いで多いの

は、役員以上の経営者で 33.1%となっている。創業者の前職の職種では、研究者・技術者は 42.2%、

役員以上の経営者が 31.0%であった(図 37)。

(現在の代表者の前職の職種) (創業者の前職の職種)

図 37 現在の代表者および創業者の前職の職種

研究者・技

術者43.2%

経営者(役

員以上)33.1%

営業

8.5%

財務・経理

0.8% その他

14.4%

研究者・技

術者42.2%

経営者(役

員以上)31.0%

営業

6.9%

財務・経理

0.9%その他

11.2%

現在の代表者 回答数 割合 n(回答企業数) 118 % 研究者・技術者 51 43.2% 経営者(役員以上) 39 33.1% 営業 10 8.5% 財務・経理 1 0.8% その他 17 14.4%

創業者 回答数 割合 n(回答企業数) 116 %

研究者・技術者 49 42.2% 経営者(役員以上) 36 31.0% 営業 8 6.9% 財務・経理 1 0.9% その他 13 11.2%

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45

現在の代表者の最終学歴において、最も多いのは博士(理系)で 44.9%、次いで修士・学士(理

系)の 30.5%であり、理系出身の経営者は全体の 4 分の 3 を占める。創業者でも同様に、博士(理

系)が 41.4%、修士・学士(理系)が 25.9%で、最終学歴については現在の代表者と創業者に大き

な差は見られない(図 38)。

(現在の代表者の最終学歴) (創業者の最終学歴)

図 38 現在の代表者および創業者の最終学歴

博士(理系)

44.9%

修士・学士

(理系)30.5%

博士(文系)

0.0%修士・学士

(文系)15.3%

その他

9.3%

博士(理系)

41.4%

修士・学士

(理系)25.9%

博士(文系)

0.0%

修士・学士

(文系)16.4%

その他

7.8%

最終学歴 回答数 割合 n(回答企業数) 118 %

博士(理系) 53 44.9% 修士・学士(理系) 36 30.5% 博士(文系) 0 0.0% 修士・学士(文系) 18 15.3% その他 11 9.3%

最終学歴 回答数 割合 n(回答企業数) 116 %

博士(理系) 48 41.4% 修士・学士(理系) 30 25.9% 博士(文系) 0 0.0% 修士・学士(文系) 19 16.4% その他 9 7.8%

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11-2 現在の代表者の就任時年齢

バイオベンチャー企業における、現在の代表者就任時の年齢は、50 歳以上が全体の 3 分の 2 を超

えており、50 歳代は最も多く 33.9%であった。創業者の就任時年齢でも同様に、50 歳以上が全体

の 3 分の 2 を超えている。代表者の就任時年齢については現在の代表者と創業者に大きな差は見ら

れない(図 39)。

(現在の代表者の就任時年齢) (創業者の就任時年齢)

図 39 現在の代表者および創業時の就任時年齢

60歳以上

30.6%

50~59歳

33.9%

40~49歳

20.2%

30~39歳

11.3%

20~29歳

4.0%

60歳以上

27.6%

50~59歳

30.2%

40~49歳

23.3%

30~39歳

11.2%

20~29歳

3.4%

最終学歴 回答数 割合 n(回答企業数) 116 %

60 歳以上 32 27.6% 50~59 歳 35 30.2% 40~49 歳 27 23.3% 30~39 歳 13 11.2% 20~29 歳 4 3.4% 20 歳未満 0 0.0%

最終学歴 回答数 割合 n(回答企業数) 124 %

60 歳以上 38 30.6% 50~59 歳 42 33.9% 40~49 歳 25 20.2% 30~39 歳 14 11.3% 20~29 歳 5 4.0% 20 歳未満 0 0.0%

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47

主な事業分野ごとの代表者就任時の年齢層の割合では、医薬品を含む医療・健康分野で 20 歳代の

代表者が就任している。大半の事業分野において 50 歳以上の割合が高い結果となった(図 40)。 代表者の変更ついては、約 60%の企業が創業者からの代表者の変更なしと回答している(図 41)。

図 40 現在の代表者就任時の年齢(主な事業分野別、n=124 社)

図 41 代表者の変更

8

12

1

14

2

1

10

12

2

1

10

3

4

10

4

1

3

5

1

1

3

2

1

1

5

1

2

1

2

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

医療・健康(医薬品を除く)

医薬品

農林水産

環境・エネルギー

研究支援

受託生産

サービス

60歳以上 50~59歳 40~49歳 30~39歳 20~29歳

なし

63%

あり

37%

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49

第3章 バイオベンチャーの動向調査

本章では、バイオベンチャー企業が国内外のバイオ大企業等、あるいは公的研究機関・大学との

ライセンスや共同・受託研究を加速させている現状や上場バイオベンチャー企業の時価総額の推移

等の動向をまとめた。この動向調査を通して、日本においてもバイオベンチャー企業のシーズ探索

や研究等が次第に認められつつあること、存在感が次第に増してきていることを明らかにしたい。

さらに、大手・中堅企業とバイオベンチャー提携の動きも活発になってきており、バイオベンチャ

ー企業の活性化を把握することが期待される。

1.アライアンス(ライセンスアウト、共同研究および受託研究)

アライアンスの状況について、実績の有無とアライアンスの希望についてまとめた(図 42)。ラ

イセンスアウトでは 40 社、実績はないがライセンスアウトを希望している企業 45 社を合わせると

80%がライセンスへの強い意志を示した。また共同研究先としては、公的機関・大学が 82 社、国内

企業が 72 社であり、それぞれ全体の 3 分の 2 を超えている。受託研究においても、国内企業と公的

機関・大学の実績は 50%と、昨年と比較しても共同研究、受託研究など提携の実績は増えている。

実績はないものの、ライセンスアウト、共同研究を希望している企業は多く、今後も提携への動き

は活発になることが予想される。

図 42 アライアンス(ライセンスアウト、共同研究及び受託研究)の状況

40

72

24

82

49

11

43

45

25

44

10

26

36

23

21

7

19

8

15

30

19

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

国内企業

外国企業

公的機関・大学

国内企業

外国企業

公的機関・大学

ライ

ンス

ウト

共同

研究

受託

研究

実績あり 実績なし(意思あり) 実績なし(意思なし)

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50

提携実績のある企業について事業分野別でみると、研究支援分野の実績が多く、特に公的機関・

大学との受託研究件数は 100 件を超えている。一方、医薬品を含む医療・健康分野における提携実

績はライセンスアウトが 5 割以上、共同研究、国内企業との受託研究が 4 割を以上と、医療・健康

分野における提携が進んでいることがうかがえる(図 43)。

図 43 事業分野別アライアンス(ライセンアウト、共同研究及び受託研究)の件数(n=99) また、アライアンスの実績について、実績件数を以下にまとめた(図 44)。 ライセンスアウト実績件数は 110 件、公的機関・大学との共同研究件数と、受託研究件数はそれ

ぞれ国内外、公的機関・大学あわせて 600 件超に上る。

図 44 事業分野別アライアンス(ライセンスアウト、共同研究及び受託研究)の件数(n=99)

21

61

11

185

47

2

33

20

30

8

33

20

3

11

1

4

6

5

21

8

6

7

7

1

5

63

100

19

126

131

4

141

4

9

2

20

28

2

27

1

11

1

17

7

4

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

国内企業

外国企業

公的機関・大学

国内企業

外国企業

公的機関・大学

ライ

セン

スア

ウト

共同

研究

受託

研究

医療・健康(医薬品を除く) 医薬品 農林水産 環境・エネルギー 研究支援 受託生産 サービス

110

223

47

394

245

12

242

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450

国内企業

外国企業

公的機関・大学

国内企業

外国企業

公的機関・大学

ライ

ンス

ウト

共同

研究

受託

研究

件数

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2.大手企業との提携

バイオベンチャーと大手企業の提携について、HP 掲載情報を表 10 に取りまとめた。 直近では、Spiber とゴールドウイン(スポーツ用品の製造および販売を手掛ける国内企業)との

業務資本提携により、人工合成クモ糸素材「QMONOS™」(クモノス)を用いた製品開発が進めら

れることとなった。また、ペプチドリームは Novartis 社、MSD 社、Sanofi 社など次々と国内外製

薬企業との契約を結んでおり、その数は 11 社となった。 バイオベンチャー間の共同研究、資本提携についても、ライセンスアウトを目指した共同開発契

約や、研究開発事業の譲渡など幅広い提携が進んでいる。オンコセラピー・サイエンスと塩野義製

薬(2009 年~2015 年)や、アンジェス MG と第一三共(2002 年~2015 年)の契約終了など、長

期間の契約が終了するケースがある一方で、カイオム・バイオサイエンスと中外製薬、ペプチドリ

ームと Novartis といった、契約期間の延長など長期の提携も多くみられるようになった。

表 10 ライセンス契約等抜粋

年/月 国内ベンチャー 企業 形態 内容

2015 年 9 月 ペプチドリーム Sanofi(仏) 創薬共同研究

開発契約 ペプチド医薬の候補化合物を創製 (契約一時金受領。金額は非公開)

Spiber ゴールドウイン 業務提携契約 人工合成クモ糸素材「QMONOS™」(クモノス) (30 億円の出資)

2015 年 8 月 ジーンテクノサイ

エンス 持田製薬 業務提携契約 フィルグラスチムバイオシミラーの原薬

(契約一時金 5,000 万円)

2015 年 6 月 アンジェス MG 田辺三菱製薬 ライセンス契約 末梢性血管疾患を対象とした HGF 遺伝子治療薬 (契約一時金受領)

メディネット Becton, Dickinson and Company(米)

ライセンス契約 BNT3 に対応する新規モノクローナル抗体 (開発に応じて一時金、ロイヤリティを受領)

ペプチドリーム ファルマデザイン 事業譲渡契約 ファルマデザインの創薬研究事業譲り受け (譲渡価格 1 億 500 万円)

カルナバイオサイ

エンス Janssen Biotech(米)

ライセンス契約 キナーゼ阻害薬プログラムから創出された化合物 (契約一時金、開発に応じたマイルストーンを受領。詳

細は非公開)

2015 年 5 月 医化学創薬 トランスジェニック 共同研究開発

契約 共同でリード抗体(臨床試験に適う)の開発を行い、製

薬企業へのライセンスアウトを目指す

2015 年 4 月 ペプチドリーム Merck & Co.(米)

創薬共同研究

開発契約 ペプチド医薬の候補化合物を創製 (契約一時金受領。金額は非公開)

ペプチドリーム Novartis(スイス) ライセンス契約 PDPS 技術ライセンス許諾 (技術ライセンス費用受領)

2015 年 2 月 オンコセラピー・サ

イエンス 塩野義製薬 ライセンス契約

(変更) がん特異的ペプチドワクチン S-588410 (2015 年 5 月マイルストーン受領)

2015 年 1 月 ソレイジア・ファー

マ Meiji Seika フ ァ

ルマ ライセンス契約 末梢性 T 細胞リンパ腫治療薬「darinaparsin(ダリナ

パルシン)注射剤」 (契約一時金、開発に応じたマイルストーンを受領)

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年/月 国内ベンチャー 企業 形態 内容

2014 年 12 月 キャンバス Stemline Therapeutics(米)

ライセンス契約 抗がん剤候補化合物 CBS9106(SL-801)開発 (契約一時金 1,000 万円受領。技術アドバイザリーフィ

ーおよびマイルストーン総額の上限額は約 107 億円)

メディネット EMO Biomedicine ( 台

湾)

ライセンス契約 「抗原提示細胞の活性化処理方法」 (売上に応じてロイヤリティを受領)

ペプチドリーム Novartis(スイス) 創薬共同研究

契約(延長) 2010 年契約、2012 年延長契約 (共同研究開発費受領)

2014 年 10 月 ユーグレナ 武田薬品工業 包括的提携契

約 「ユーグレナ」を配合した新製品の開発

ペプチドリーム Novartis(スイス) 創薬共同研究

契約 ペプチド医薬の候補化合物を創製 (必要な経費等を賄う契約金を受領。金額は非公開)

2014 年 9 月 ディナベック 大日本住友製薬 ライセンス契約 臨床用 iPS 細胞作製技術 (契約一時金受領。マイルストーン最大 25 億円、売上

に応じたロイヤリティを受領)

デ・ウエスタン・セ

ラピテクス研究所 浜松ホトニクス 権利譲渡契約 Rho キナーゼ阻害剤H -1152 の PET 用プローブ化

及び組織の画像化方法に関する特許

ヒューマン・メタボ

ローム・テクノロジ

ーズ

クラシエ製薬 共同研究契約 抗がん剤コンパニオン診断バイオマーカー開発 (国立がん研究センター、がん研究会有明病院、クラシ

エ製薬、東京理科大学の共同)

トランスジェニック MEDI Biotechnology(中)

ライセンス契約 泌尿器 がんマーカーによるがん診断

2014 年 6 月 バイオセレンタック Sanofi(独) 開発協力・提携 自己溶解型マイクロパイルアレイ技術

ユーグレナ いすゞ自動車 共同研究契約 ユーグレナ由来の次世代バイオディーゼル燃料の実

用化

iHeart Japan タカラバイオ 実施許諾及び

技術移転 ヒト iPS 細胞をはじめとする幹細胞から分化誘導された

心筋細胞などの心血管系細胞を応用したリサーチツー

ルの製造販売業および試験受託

ナノキャリア エーザイ ライセンス契約 高活性の抗がん剤「E7974」

Clio 免疫生物研究所 共同研究・資本

提携 Muse 細胞を用いた再生医療

ツーセル 中外製薬 資本提携 発行済み株式数の 14%を保有

2014 年 5 月 ラクオリア創薬/

iPS アカデミアジャ

パン

共同研究契約 iPS 細胞の分化・誘導

2014 年 4 月 テラ コージンバイオ 資本業務提携 両社の協業体制強化、国内及び海外への事業展開

ラクオリア創薬 旭化成ファーマ 共同研究契約 特定のイオンチャネルを標的とした創薬研究

ジャパン・ティッシ

ュ・エンジニアリン

富士フイルム 業務委託契約 細胞培養足場材(リコンビナントペプチド)を活用した再

生医療製品の研究開発

注)この表はバイオベンチャー企業の HP および報道によるものを JBAで取りまとめ、抜粋して掲載したも

のである。

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ライセンス契約件数(導出)、共同研究・共同開発件数について独自にまとめた(図 45)。ライセ

ンス契約件数は、2001 年から 2011 年まで増加している。2012 年以降は、過去のライセンスや共同

研究契約などの期間延長などが多くなっており、新規の契約件数はそれほど多くない。また、詳細

は非公開となっているものも多いが、マイルストーンフィーやロイヤリティを受領するケースが増

えてきている。

注)2015 年については 9 月まで集計。

図 45 ライセンス契約件数推移

3 5

15 13 15 137

13

2418 21

26

1374

56

412 8

17

20

25

23 33

11

17

8

5

0

10

20

30

40

50

60

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

契約件数

ライセンス契約(導出)

共同研究・共同開発

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3.医薬品開発状況

バイオベンチャーの有するパイプラインにおける医薬品等の承認件数を下記に示した。国内承認

件数(累積)では 2015 年 9 月までで 21 件となった(図 46)。このうち 7 割は自社開発、導出品で

ある。また、ほとんどの品目において、国内外企業とアライアンスや共同研究・開発を行っており、

対象疾患は、がん、消化器疾患、代謝疾患など多岐にわたっている。

注)2015 年については 9 月まで集計。

図 46 医薬品等パイプライン数(国内、累計)

1 2 2 3

5 5

910

14

17

21

0

5

10

15

20

25

2004 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14

累積件数

国内承認件数

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第4章 上場バイオベンチャー及びバイオ中小企業一覧および

時価総額推移

2014 年 9 月にリボミック、2015 年 4 月にはサンバイオ、同 6 月にはヘリオスがそれぞれマザー

ズに上場した。リプロセルからの再生医療・医薬品系ベンチャーの上場が続いており、これでバイ

オベンチャーの上場総数は 31 社となった。10 月にはグリーンペプタイドの上場が予定されており、

今年度中に 32 社となる。

1.バイオベンチャー企業の上場数

2000 年以降で上場したバイオベンチャーについて、上場年別の企業数を以下に示した。キャピタ

ルのファンドが充実していた 2000 年前半の上場企業は最大 4 社であり、バイオベンチャー企業総数

が減少を始めた 2006 年前後やリーマンショックの翌年 2010 年は 1 社と、一時的に上場を見合わせ

る状況にあったが、2011 年、2013 年は過去最多 5 社の上場となった。2015 年 8 月現在では 2 社が

上場、1社の上場を予定している(図 47)。

図 47 上場年別の上場企業数

0

1

2

3

4

5

6企業数

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2015 年 6 月までに上場したバイオベンチャー企業について、設立から上場までの期間についてま

とめた。全体では平均年数は 7.16 年、中央値は 7.5 年であった。バイオベンチャー企業総数が減少

を始めた 2006 年までと、2007 年以降に上場したバイオベンチャーについて、それぞれ見ると、2006年までに上場した企業では、平均年数が 5.57 年、中央値は 3.5 年と早い段階で上場しているのに対

し、2007 年以降に上場した企業では、平均年数が 8.08 年、中央値は 8.00 年と、上場までの期間が

延びている(図 48)。

総数 2006 年までに上場 2007 年以降上場

3 年未満 7 6 1

3 年以上 6 年未満 8 3 5

6 年以上 9 年未満 10 2 8

9 年以上 12 年未満 11 1 10

12 年以上 15 年未満 1 1 0

15 年以上 18 年未満 2 1 1

18 年以上 1 0 1 中央値 7.50 3.50 8.00

平均値 7.16 5.57 8.08

図 48 設立年別の上場企業数

0 2 4 6 8 10 12

3年未満

3年以上6年未満

6年以上9年未満

9年以上12年未満

12年以上15年未満

15年以上18年未満

18年以上

企業数

設立から上場までの年数

2006年までに上場

2007年以降上場

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2. 公開市場動向

図 49 は、日経平均株価、日経 JASDAQ 平均株価、マザーズ指数、バイオベンチャー時価総額平

均について、2009 年末の数値を 100 として、公開市場の動きを示したものである。 2008 年 9 月のリーマン・ブラザーズの破綻、欧州政府債務危機など不安定な世界情勢を受けたも

のの、各市場は 2013 年にようやく 2007 年ごろの水準に回復し、徐々に上昇している。 新興市場やバイオベンチャー時価総額指数は、2013 年には 2009 年の 5 倍超まで上昇した。2014

年、2015 年と減少しているものの、業種別株価指数(医薬品)と比較しても、市場におけるバイオ

ベンチャーへの関心はいまだ高い。日本のバイオベンチャーに対する大手国内外企業の関心の高さ

や、医薬品・医療機器等に関する国内法改正など政策面での後押しにより、投資への期待感は暫く

続くものと思われる。

図 49 公開市場推移

0.00

100.00

200.00

300.00

400.00

500.00

600.00

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

日経平均株価(2009年末=100) 日経JASDAQ平均(2009年末=100)マザーズ指数(2009年末=100) バイオベンチャー時価総額平均(2009年末=100)業種別株価指数(医薬品)(2009年末=100)

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3.バイオベンチャー企業およびバイオ中小企業(カテゴリーB)の時価総額の推移

2015 年 6 月までに上場したバイオベンチャー31 社で、平均時価総額 100 億円を超える企業は半

数を超えている。特徴としては、2014 年後半から 2015 年前半の時価総額の中央値では 200 億円、

時価総額平均では、300 億円前後を推移している。時価総額の底上げとなっているバイオベンチャ

ーの業種は、再生医療系、研究支援系であり、特に再生医療系のみの平均では 400 億円前後となっ

ている。 バイオ中小企業7社は新日本科学を除き、新興市場であるジャスダック、マザーズに上場してい

る。2013 年から 2015 年にかけて、時価総額大きな変動は見られない。 図 50 に 2015 年 9 月までに上場したバイオベンチャーの、各月の時価総額合計を示した。 リーマン・ブラザーズが破綻した 2008 年 9 月から半年の間下がり続けた時価総額は 1,000 億円を

下回ったが、その後さらに半年をかけて 2009 年 9 月(図中①;上場企業数 17 社、1 社当たりの時

価総額平均 96 億円、中央値 65 億円)にリーマンショック前の状態まで回復した。その後、2011 年

まで上場企業数も増加し、山中伸弥教授(京都大学)のノーベル賞受賞をきっかけに、バイオベン

チャー全体の株価が上昇し始め、2013 年半ばから 2014 年 1 月にかけて、時価総額計は 1 兆円に達

した(図中②;上場企業数 28 社、1 社当たりの時価総額平均 362 億円、中央値 221 億円)。その後、

株価は下がり、2015 年 9 月時点での 1 社あたりの時価総額平均は 250 億円、時価総額計は 7,750億円となった。2012 年後半より、1 社当たりの時価総額平均と中央値のかい離が大きくなってきて

おり、バイオベンチャーの市場からの調達額の差が開いてきていることが示される。

図 50 バイオベンチャー時価総額推移(2004 年 5 月~2015 年 9 月)

0

5

10

15

20

25

30

35

0

100

200

300

400

500

600

700

上場企業数時価総額

(億円)

上場バイオベンチャー企業数

時価総額平均

時価総額中央値

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これまで上場したバイオベンチャー企業が市場からどの程度調達しているか、調達額別の企業数

の各年の割合を図 51 に示した。 2013 年に入ると、すべてのバイオベンチャーが時価総額 30 億円以上となっており、100 億円を

超える企業は全体の半数を超えた。2015 年に上場したベンチャーは初値が公募価格に達しなかった

企業もあるが、調達額は 500 億円を上回った。また、今年の 10 月には新たにグリーンペプタイドの

上場承認が報じられている。 最後に、表 11 及び図 52 に上場バイオベンチャー企業、表 12 に上場バイオ中小企業(カテゴリー

B)、それぞれの一覧と時価総額の推移(2014 年 1 月~2015 年 3 月)を示した。

図 51 市場からの調達額推移

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

15億円未満 15億円以上30億円未満 30億円以上50億円未満 50億円以上100億円未満

100億円以上150億円未満 150億円以上200億円未満 200億円以上500億円未満 500億円以上

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表 11 上場バイオベンチャー 一覧(2015 年 3 月までに上場したバイオベンチャーを掲載) 時価総額:億円

会社名 設立 時期

上場 時期 市場 公募価格

(円) 初値 (円)

2014(H26) 2015(H27) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

アンジェス MG 1999.12 2002.09 マザーズ 220,000 400,000 190 174 148 149 134 150 202 130 131 187 161 178 203 167 170

トランスジェニック 1998.04 2002.12 マザーズ 180 235 74 71 59 56 60 60 63 61 63 62 60 61 60 58 57

メディビック 2000.02 2003.09 マザーズ 270,000 518,000 102 87 111 101 115 97 92 85 89 75 81 81 75 77 80

メディネット 1995.10 2003.10 マザーズ 350,000 1,260,000 381 318 259 249 201 259 266 224 217 203 192 267 235 217 222

オンコセラピー・サイエンス 2001.04 2003.12 マザーズ 1,000,000 2,400,000 368 286 285 244 188 201 273 263 260 233 367 700 801 667 602

総医研ホールディングス 2001.12 2003.12 マザーズ 650,000 1,360,000 67 58 54 59 59 55 55 62 60 72 67 68 61 59 59

DNA チップ研究所 1999.04 2004.03 マザーズ 680,000 1,280,000 35 35 30 27 26 28 28 27 28 27 25 37 35 34 35

ファーマフーズ 1997.09 2006.06 マザーズ 230,000 314,000 58 48 48 45 41 41 43 41 43 41 197 294 164 188 180

ジーエヌアイ 2001.11 2007.08 マザーズ 90 80 589 474 474 367 329 335 370 325 434 389 355 394 366 337 313

J-TEC 1999.02 2007.12 ジャスダック(G) 120,000 96,000 772 666 633 557 473 626 668 571 619 572 510 585 561 578 550

ナノキャリア 1996.06 2008.03 マザーズ 20,000 27,000 911 763 619 596 447 527 624 519 540 493 477 505 556 533 505

カルナバイオサイエンス 2003.04 2008.03 ジャスダック(G) 110,000 99,300 70 54 40 47 42 47 82 72 79 69 66 69 65 58 60

テラ 2004.06 2009.03 ジャスダック(S) 310 300 343 259 258 218 156 185 247 221 218 199 201 215 200 210 233

キャンバス 2000.01 2009.09 マザーズ 2,100 3,730 35 26 23 23 23 26 31 30 33 36 47 53 56 74 60

デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 1999.02 2009.10 ジャスダック(G) 290 315 202 159 144 206 188 291 396 569 528 316 268 305 243 200 191

セルシード 2001.05 2010.03 ジャスダック(G) 1,500 1,400 145 138 112 98 86 103 104 96 96 91 90 97 90 83 83

ラクオリア製薬 2008.02 2011.07 ジャスダック(G) 1,600 1,480 90 82 72 64 66 80 84 76 77 75 70 73 67 63 60

シンバイオ製薬 2005.03 2011.10 ジャスダック(G) 560 450 116 96 89 80 72 80 88 75 86 85 93 120 111 109 109

スリー・ディー・マトリックス 2004.05 2011.10 ジャスダック(G) 2,100 1,200 626 940 822 886 763 805 841 788 774 635 534 599 465 402 386

カイオム・バイオサイエンス 2005.02 2011.12 マザーズ 2,700 2,350 300 332 518 600 416 328 328 283 294 283 291 274 304 291 283

ジーンテクノサイエンス 2001.03 2012.11 マザーズ 1,200 1,550 60 43 47 52 42 51 51 47 53 45 48 50 47 46 47

UMN ファーマ 2004.04 2012.12 マザーズ 1,300 1,196 276 262 220 180 234 254 254 265 293 314 294 334 288 327 312

ユーグレナ 2005.08 2012.12 マザーズ 1,700 3,910 1,076 839 784 772 765 840 1,016 1,117 1,041 1,039 1,048 1,294 1,245 1,474 1,583

メドレックス 2002.01 2013.02 マザーズ 1,000 2,200 127 105 94 87 96 123 106 96 96 88 69 67 60 60 58

ペプチドリーム 2006.07 2013.06 マザーズ 2,500 7,900 1,843 1,507 1,271 1,111 911 1,004 1,115 1,032 1,444 1,166 1,387 1,397 1,423 1,390 1,315

リプロセル 2003.02 2013.06 ジャスダック(G) 3,200 18,300 784 564 464 440 374 472 474 415 393 393 375 398 401 373 373

オンコリスバイオファーマ 2004.03 2013.12 マザーズ 2,600 3,500 269 241 187 138 60 67 76 66 85 78 75 83 72 67 63

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ 2003.07 2013.12 マザーズ 1,400 3,100 240 144 134 95 82 95 118 95 93 81 63 70 69 62 65

リボミック 2003.08 2014.09 マザーズ 2,300 1,830 187 163 200 164 138 132

時価総額合計10,149 8,772 7,998 7,547 6,450 7,229 8,093 7,650 8,171 7,532 7,676 8,867 8,487 8,339 8,187

(注)時価総額は各月初日を集計日としているため、上場した企業の最初の時価総額は翌月起算としている。

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図 52 上場バイオベンチャー時価総額推移

表 12 上場バイオ中小企業[カテゴリーB]一覧 時価総額:億円

会社名 設立 時期

上場 時期 市場 公募価格

(円) 初値 (円)

2014(H26) 2015(H27) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

医学生物学研究所 1969.08 1996.02 ジャスダック(S) 2,390 4,000 131 121 112 104 94 103 113 104 143 131 131 136 127 109 139

PSS 1985.07 2001.02 ジャスダック(G) 1,750,000 3,500,000 170 114 103 106 94 111 128 112 254 170 158 220 185 165 165

免疫生物研究所 1982.09 2007.03 ジャスダック(S) 11,000 10,000 87 76 73 71 66 73 71 73 73 68 68 75 69 67 71

アールテック・ウエノ 1989.09 2008.04 ジャスダック(S) 500,000 710,000 303 265 243 236 212 231 262 280 265 307 347 298 288 295 376

そーせいグループ 1990.06 2004.07 マザーズ 800,000 800,000 528 439 361 360 294 398 517 605 605 626 579 610 589 554 444

時価総額合計 1,775 1,626 1,390 1,316 1,114 1,300 1,498 1,552 1,713 1,657 1,635 1,719 1,609 1,538 1,605

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

55

60

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

11,000

12,000

上場企業数時価総額

(億円)

BV時価総額

上場バイオベンチャー企業数

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4.ベンチャー企業への投融資関連情報

産業革新機構によるバイオベンチャーへの投資について以下、表 13 にまとめた。産業革新機構発

足後、ベンチャー投資専業部門の新設・拡充を行った結果、ベンチャーへの投資は増加している。

官民連携での投資が定着し、政府の施策がバイオベンチャーに届きはじめた。

表 13 産業革新機構によるバイオベンチャーへの投資

年/月 国内ベンチャー 投資額 内容

2015 年 8 月

レナセラピューティクス 6 億円 必要資金の提供、社外取締役の派遣、サイエンスアドバイザーによ

る助言や業務体制の構築等の経営サポートを行う 2015 年

2 月 クオンタムバイオシステム

ズ 33 億円 今後の事業推進に必要な資金として。その他の出資;ジャフコ、東京

大学エッジキャピタル、みずほキャピタル、三菱 UFJ キャピタル 2014 年

5 月 クリエイトワクチン 2.83 億円 共同出資(大日本住友製薬:2 億 8,135 万円、日本ビーシージー:2

億 8,060 万円、総額 8 億 4,500 万円)

民間の投資関連では、投融資はやや回復の兆しを見せている。以下に、一般財団法人ベンチャー

エンタープライズセンター(VEC)の調査報告から、投融資額推移(図 53)、投資金額の業種別構

成比(図 54)、投資先のステージ分布(図 55)を作成した。図 53 より 2013 年のベンチャーキャピ

タルによる投融資額は 2007 年ごろの投資額に近くなっている。投融資件数はそれほど伸びてはいな

いものの、1 件当たりの投資額が前年から 2 倍近くになっているともいえる。 バイオ/医療/ヘルスケアへの投資総額に対する投資額の割合は前年度より若干増加、バイオベ

ンチャーの生命線であるシード、アーリーステージでの資金調達割合も、6 割を超えた。

出展:(一財)ベンチャーエンタープライズセンター「ベンチャービジネスに関する年次報告書」より

各年の投融資額の推移をまとめた 図 53 ベンチャーキャピタルの投融資額及び投融資件数推移

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

投融資数(社)投融資額(億円)

投融資金額

投融資社数

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出展:(一財)ベンチャーエンタープライズセンター「ベンチャービジネスに関する年次報告書」より

各年の投資額業種別構成比の推移をまとめた。

図 54 新規及び追加投資先金額の業種別構成比の変化

出展:(一財)ベンチャーエンタープライズセンター「ベンチャービジネスに関する年次報告書」より

各年の投資額業種別構成比の推移をまとめた。

図 55 新規及び追加投資先のステージ分布

35.2% 31.7%22.8%

59.5%49.5%

18.6%13.7%

22.4%

11.9%20.5%16.4%

19.7% 26.3%

18.3% 15.2%29.9% 34.9% 28.6%

10.4% 14.8%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2009 2010 2011 2012 2013

製品/サービス 工業/エネルギー/その他産業 バイオ/医療/ヘルスケア IT関連

5.0% 4.4%15.7%

22.5% 19.4%

31.8% 28.1%

28.6%

35.3% 45.1%

29.1% 34.1%20.4%

26.4%20.8%

34.1% 33.1% 35.3%

15.7% 14.7%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2009 2010 2011 2012 2013

レーター エクスパンション アーリー シード

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参考 1)「2014 年度ベンチャービジネスに関する年次報告書」(ベンチャー白書)(一般財団法人ベンチャー

エンタープライズセンター) 2014 年 12 月 2) 「日本再興戦略」改訂 2015 2015 年 6 月 30 日 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/dai1jp.pdf 3) 産業競争力強化法に基づく特定研究成果活用支援事業計画の認定について(文部科学省) 2015年 6 月 26 日

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/27/07/1359706.htm 4) H26 中小企業実態基本調査(中小企業庁) 2014 年 6 月 http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/kihon/index.htm 5)公募型オープンイノベーション活動「PRISM」(大日本住友製薬) http://www.ds-pharma.co.jp/prism/ 6)「RINGO-T」、「COCKPI-T」(武田薬品工業) https://www.takeda.co.jp/research/openi/ 7) TaNeDS〔タネデス〕(第一三共グループ) http://www.daiichisankyo.co.jp/corporate/rd/taneds/index.html 8) オープンイノベーション公募サイト 「a3(エーキューブ)」 (アステラス製薬) http://www.astellas.com/jp/a-cube/about/index.html 9) SHIONOGI Science Program2015 http://www.shionogi.co.jp/ssp/ 10)科学技術イノベーション総合戦略 2015 2015 年 6 月 19 日 http://www8.cao.go.jp/cstp/sogosenryaku/2015/honbun2015.pdf 11)「医薬品産業強化総合戦略~グローバル展開を見据えた創薬~」策定(厚生労働省) 2015 年 9月 4 日

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000096203.html 12)再生医療等の安全性の確保等に関する法律 2014 年 11 月 25 日施行 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisei_iryou/ 13)機能性表示食品の届出等に関するガイドライン(消費者庁)2015 年 3 月 31 日 http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150330_guideline.pdf 14)「GABA(ギャバ)」の機能性表示受理のお知らせ(ファーマフーズ)2015 年 8 月 21 日ニュース

リリース http://www.pharmafoods.co.jp/news/150821.pdf 15) 大学発新産業創出プログラム(START プログラム)科学技術振興機構 旧;大学発新産業創出拠点プロジェクト(文部科学省) http://www.jst.go.jp/start/index.html

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2015 年バイオベンチャー統計・動向調査報告書

発 行 2015 年 10 月 (2019 年 4 月にウェブ公開用に再発行) 発 行 者 一般財団法人バイオインダストリー協会 東京都中央区八丁堀2-26-9 グランデビルディング 8F 電話 03-5541-2731