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建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会規格 給水用高密度ポリエチレン管 PWA 005 : 2012 平成2411月 改正 建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会
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20121015 PWA005 改正(提出版)

Feb 10, 2022

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建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会規格

給水用高密度ポリエチレン管

PWA 005 : 2012

平成24年11月 改正

建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会

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規格制定 平成17年4月

改 正 平成24年11月

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1

建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会規格 PWA

給水用高密度ポリエチレン管 005:2012

High density polyethylene pipes for water supply

1 適用範囲

この規格は,使用圧力 0.75 MPa以下の給水用に使用する給水用高密度ポリエチレン管(以下,管とい

う。)について規定する。 注記 この規格の対応国際規格を,次に示す。 ISO 4427‐1:2007 Plastics piping systems-Polyethylene (PE) pipes and fittings for water supply - Part 1: General ISO 4427‐2:2007 Plastics piping systems-Polyethylene (PE) pipes and fittings for water supply - Part 2: Pipes

2 引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)

には適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その 新版(追補を含む。)を適用する。

PWA 001 建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会規格-水道配水用ポリエチレン管

PWA 002 建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会規格-水道配水用ポリエチレン管

継手

PWA 003 建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会規格-水道配水用ポリエチレン管

PWA 004 建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会規格-水道配水用ポリエチレン管

継手

PWA 006 建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会規格-給水用高密度ポリエチレン

管継手

JWWA K 144 水道配水用ポリエチレン管

JWWA K 145 水道配水用ポリエチレン管継手

JWWA Z 108 水道用資機材-浸出試験方法

JWWA Z 110 水道用資機材-浸出液の分析方法

JIS B 7502 マイクロメータ

JIS B 7507 ノギス

JIS B 7512 鋼製巻尺

JIS K 0050 化学分析方法通則

JIS K 6812 ポリオレフィン管,継手及びコンパウンドの顔料分散又はカーボン分散の評価方法

JIS K 6815-1 熱可塑性プラスチック管-引張特性の求め方-第1部:一般試験方法

JIS K 6815-3 熱可塑性プラスチック管-引張特性の求め方-第3部:ポリオレフィン管

JIS K 6900 プラスチック-用語

JIS K 6922-2:2010 プラスチック-ポリエチレン(PE)成形用及び押出用材料-第2部:試験片の作

製方法及び特性の求め方

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JIS K 7210 プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメ

ルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法

JIS K 7350-1 プラスチック-実験室光源による暴露試験方法 第1 部:通則

JIS K 7350-2 プラスチック-実験室光源による暴露試験方法 第2 部:キセノンアーク光源

JIS K 7350-3 プラスチック-実験室光源による暴露試験方法-第3部:紫外線蛍光ランプ

JIS K 7350-4 プラスチック-実験室光源による暴露試験方法-第4部:オープンフレームカー

ボンアークランプ

JIS K 8005 容量分析用標準物質

JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)

JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)

JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)

JIS Z 8401 数値の丸め方

JIS Z 8703 試験場所の標準状態

ISO 9080 Plastics piping and ducting systems-Determination of the long-term

hydrostatic strength of thermoplastics materials in pipe form by

extrapolation

ISO 12162 Thermoplastics materials for pipes and fittings for pressure

Applications-Classification, designation and design coefficient

3 用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JWWA Z 108 及び JIS K 6900 によるほか,次による。

3.1 EF枝付片受直管

電熱線などの発熱体を組み込んだ融着接合可能な受口をもつ枝付管 3.2 使用圧力

通常の使用状態における水の圧力であって,“ 高使用圧力”(静水圧)。

3.3 常温

JIS Z 8703 の標準状態の温度を 20 ℃とし,その許容差を JIS Z 8703 の 3.1(標準状態の温度の許容

差)の温度 15 級(±15 ℃)とした温度状態で,20 ℃±15 ℃。

3.4 形式試験 管の品質が設計で示されたすべての性能に適合するかどうかを確認するための試験。

3.5 供試水 塩素水試験に供するために調製した水。

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4 種類

管の種類は,形状によって表 1 のとおりとする。

表 1-管の形状による分類 形状による種類 呼び径

直管 20、25、30、40、50、75

EF枝付片受直管 25×20、30×20,25、40×20,25、50×20,25、75×20,25

5 性能

管の性能は,表 2 の規定に適合しなければならない。

表 2-性能

項目 性能 適用試験箇条

耐圧性 漏れ,破損があってはならない。 10.3 破壊水圧強さ MPa 4.0 以上 10.4 熱安定性 分 酸化誘導時間20 以上 10.5 浸出性 a) 味 異常でないこと。

10.6

臭気 異常でないこと。 色度 度 0.5 以下 濁度 度 0.2 以下 有機物[全有機炭素(TOC)の量] mg/L 0.5 以下 残留塩素の減量 mg/L 0.7 以下

熱間内圧クリープ性 漏れ,破損があってはならない。 10.7 耐塩素水性 水泡発生がない。 10.8 耐環境応力き裂性 き裂発生がない。 10.9 耐候性 b) 外観 き裂発生がない。

10.10 引張破断伸び % 350 以上 熱安定性 分 酸化誘導時間 10 以上

融着部相溶性 c) 漏れ,破損があってはならない。 10.11 引張降伏強さ MPa 20.0 以上

10.12 引張破断伸び % 350 以上 加熱伸縮性 % ±3 以内 10.13 低速き裂進展性 漏れ,破損があってはならない。 10.14 耐はく離性 d)

受口接合部のぜい性剥離長さ比率が 1/3以下

10.15

注 a) 浸出性の試験温度は,常温とする。 b) 管の耐候性については,同一の材料の 小厚さの管の試験で代表することができる。 c) 融着部相溶性については,代表口径の管の試験で代替することができる。 d) 耐はく離性は,電熱線などの発熱体を組み込んだ試験にのみ適用する。

6 外観及び形状

6.1 外観

管の外観は,内外面が滑らかで,きず,縦筋,割れ,ねじれなどの使用上有害な欠点があってはならな

い。また,管の色は,こい青とする。

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6.2 形状

管の形状は,図 1, 図 2 によるものとし,断面が実用的に正円でなければならない。なお, 図 2 に示す

形状は参考例であり,製造方法及び/又は意匠を制約するものではない。 7 寸法及びその許容差

管の寸法及びその許容差は,表 3, 表 4 による。

図 1-直管

表 3-管の寸法及びその許容差

単位 mm

呼び径

外径(D) だ円度 厚さ(t) 長さ(L) 参考

基準寸法 平均外径 の許容差 a)

大外径 - 小外径

基準寸法 許容差 基準寸法 許容差 (%)

内径 1 m当たりの 質量(kg)

20 27.0 ±0.15 1.3 3.4 +0.6 0

3120 又は 5000

+2 0

19.6 0.260

25 34.0 ±0.15 1.4 3.4 +0.6 0

26.6 0.338

30 42.0 ±0.15 1.5 3.9 +0.6 0

33.6 0.479

40 48.0 ±0.15 1.5 4.4 +0.7 0

38.5 0.620

50 60.0 ±0.20 1.6 5.5 +0.8 0 48.2 0.963

75 89.0 ±0.30 1.9 8.1 +1.1 0 71.7 2.096

注記 1 長さは,受渡当事者間の協議によって,変更することができる。 注記 2 参考に示した内径及び1 m当たりの質量は,管の寸法を中心寸法とし,管に使用する材料の密度を

0.960 g /cm3として計算したものである。

注a) 平均外径の許容差とは,任意の断面における相互に等間隔な 2 方向の外径測定値の平均値(平均外径)

と基準寸法との差をいう。

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図 2-EF枝付片受直管

表 4-EF枝付片受直管の寸法及びその許容差

単位 mm

呼び

主管部 枝管部 参考

外径( D1 ) だ円度 厚さ( t1 ) 外径( D2 ) 厚さ( t2 )

基準寸法 許容差 最大外径-

最小外径 基準寸法 許容差 基準寸法 許容差 基準寸法 許容差

有効長

(L)

許容差 (%)

25×20 34 ±0.15 1.4 3.4 +0.6 0

27.0 ±0.15

3.4 +0.6 -0

3200 +20

30×20 42 ±0.15 1.5 3.9 +0.6 0

27.0 ±0.15

30×25 42 ±0.15 1.5 3.9 +0.6 0

34.0 ±0.15

40×20 48 ±0.15 1.5 4.4 +0.7 0

27.0 ±0.15

40×25 48 ±0.15 1.5 4.4 +0.7 0

34.0 ±0.15

50×20 60 ±0.2 1.6 5.5 +0.8 0

27.0 ±0.15

50×25 60 ±0.2 1.6 5.5 +0.8 0

34.0 ±0.15

75×20 89 ±0.3 1.9 8.1 +1.1 0

27.0 ±0.15

75×25 89 ±0.3 1.9 8.1 +1.1 0

34.0 ±0.15

注記 1 長さは,受渡当事者間の協議によって,変更することができる。 注記 2 参考に示した内径及び1 m 当たりの質量は,管の寸法を中心寸法とし,管に使用する材料の密度を 0.960 g /cm3 として計

算したものである。

注 a) 平均外径の許容差とは,任意の断面における相互に等間隔な 2 方向の外径測定値の平均値(平均外径)と基準寸法との差を

いう。

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8 材料

管の材料は,エチレン重合体を主体とし,ISO 9080 の外挿方法及び ISO 12162 の分類表でPE 100 に分類される高密度ポリエチレンであり,附属書A による。成形後の品質は,均一で水に侵されないで,

かつ,水質に悪影響を及ぼすものであってはならない。

なお,管の製造業者自身の生産から生じたきれいな再生材料は,附属書A に規定する材料だけによって

製造した製品と本質的に同等の性能をもつ場合にのみ使用してもよい。

9 製造方法

管の製造方法は,箇条 8 の材料を用いて,押出成形によって行う。

EF枝付片受直管の製造方法は、箇条 8 に規定する材料を用いて、射出成形、押出成形及び/又は熱融着

など二次成形によって行う。

10 試験方法

10.1 外観及び形状

管の外観及び形状は,目視によって調べる。

10.2 寸法

管の寸法は,JIS B 7502 のマイクロメータ,JIS B 7507 のノギス,JIS B 7512 の鋼製巻尺,又はこ

れらと同等以上の精度をもつ計測器によって測定する。管の平均外径は,管端から外径基準寸法相当長さ

以上離れた任意の箇所で測定する。

10.3 耐圧試験

管の耐圧試験は,供試管から長さ 1 000 mm 以上の試験片を切り取り,適切な方法で内部に常温の水

で,2.5 MPa の圧力を加えて,そのまま 2 分間保持する。

10.4 破壊水圧試験

管の破壊水圧試験は,供試管から長さ 1 000 mm以上の試験片を切り取り,適切な方法で内部に常温

の水で,管が破壊するまで一定速度で加圧し, 大圧力を測定する。

10.5 熱安定試験

管の熱安定試験は,供試管の内面から 15 mg±0.5 mg の試験片を切り取り,附属書B によって行う。

この場合,示差熱分析装置又は示差走査熱量計を用いて,窒素雰囲気下で200 ℃±0.5 ℃に加熱し,安定

後,酸素雰囲気下に置き換え,酸化誘導時間を測定する。

10.6 浸出試験

管の浸出試験は,附属書C による。

10.7 熱間内圧クリープ試験

管の熱間内圧クリープ試験は,供試管から管外径の 3 倍以上の長さの試験片を切り取り,水,又は空気,

窒素などの不活性ガスを試験片内に満たした後,試験温度に保った水中に浸せきし,所定の試験圧力をか

け試験時間保持する。試験温度,試験圧力及び試験時間は表 5 に示す。

試験は,表 5 に示すいずれの試験条件についても行う。

なお,試験条件 2 については試験片が 165 時間以内に延性破壊した場合,その試験を無効とし,表 6 に示すいずれかの試験条件によって再試験することができる。

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表 5-熱間内圧クリープ試験の試験条件

試験条件 1 試験条件 2 試験条件 3

試験温度 a) 20 ℃ 80 ℃

試験圧力 b) 2.48 MPa 1.08 MPa 1.00 MPa

試験時間 100 時間 165 時間 1 000 時間

注a) 試験温度は,規定温度に対して,平均で±1 ℃以内, 大で±2 ℃以内の範囲に保つ。 注b) 試験圧力は,規定圧力の-1%を含め,それより高い範囲に保つ。

表 6-80℃における熱間内圧クリープ試験の再試験条件

試験圧力 小破壊時間

1.08 MPa 165 時間

1.06 MPa 256 時間

1.04 MPa 399 時間

1.02 MPa 629 時間

10.8 塩素水試験

管の塩素水試験は,附属書D による。この場合,供試管から約 30 mm×60 mm の短冊状試験片を切

り取り,切断面を平滑に仕上げた後,試験片の内外面と端面とを水でよく洗浄し,ろ紙上にて常温で乾燥

して試験片とする。

10.9 環境応力き裂試験 管の環境応力き裂試験は,JIS K 6922-2:1997 の附属書の 4.7(定ひずみ環境応力き裂試験)によって

行う。この場合,供試管の内面側を切削加工して切り開いた円弧状のもの又は供試管を切り開いて加熱

プレスした板状のものから図 3 に示す形状・寸法に切り取り,その外面側にノッチを入れたものを試験片

とし,温度 50 ℃±1 ℃のノニル・フェニル・ポリオキシエチレン・エタノール 10 %(mass)水溶液中

に 240 時間浸せきする。

単位 mm

A 試験片の長さ 38.0 ±2.5

B 試験片の幅 13.0 ±0.8

C 試験片の厚さ 2.0 +0.2

0

D ノッチの深さ 0.30 +0.10

0

ノッチの長さ 19.1 ±0.1

図 3-環境応力き裂試験片の形状・寸法

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8

10.10 耐候性試験

管の耐候性試験は,附属書E によって暴露し,次の試験を行う。

a) 外観 外観は,目視によって調べる。

b) 熱安定試験 熱安定試験は,10.5 によって行い,酸化誘導時間を測定する。この場合,試験片は供試

管の外面から切り取る。

c) 引張試験 引張試験は,10.12 によって行い,引張破断伸びを求める。

10.11 融着部相溶試験

管の融着部相溶試験は,管を異なる材料の管又は管継手と融着する場合,接合部を含む長さ 1 000 mm

以上の試験片を作製し,10.7 の 80 ℃における試験圧力 1.10 MPa の試験を行う。

10.12 引張試験

管の引張試験は,供試管から図 4 に示す形状・寸法の試験片を管の内側から打ち抜いて作り,23 ℃±2 ℃

で 2 時間以上状態調節後,JIS K 6815-1 及び JIS K 6815-3 に準じて行う。この場合,試験速度は毎分

25 mm±2.5 mm で行う。

l 1 l 2 l 3 r b 1 b 2 h L 0 L

幅の狭い平行 部分の長さ

幅の広い平行 部分間の間隔

全長 半径 狭い平行 部分の幅

端部の幅 厚さ 標線間距離 つかみ具間の 初めの間隔

60.0±0.5 115.0±0.5 ≧150 ≧60 10.0±0.5 20.0±0.5 管の厚さ 又は 10±1

50.0±0.5 115 +5 0

図 4-引張試験片の形状・寸法

10.13 加熱伸縮試験

管の加熱伸縮試験は,供試管から長さ 200 mm±20 mm の試験片を切り取り,表面の中央部に 100 mm

の間隔で二つの標線を記入して,23 ℃±2 ℃で 2 時間以上状態調節後に標線間の長さを測定し,110 ℃±

2 ℃のポリエチレングリコール内に 30 分間以上浸せきする。その後,試験片を取り出し,23 ℃±2 ℃の

空気中で 2 時間以上自然冷却させて標線間の長さを測定し,次の式によって長さ変化率を算出する。

単位mm

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l 1-l 0

l = ×100 l 0

ここに,l:長さ変化率(%)

l 0:試験前の標線間距離(mm)

l 1:試験後の標線間距離(mm)

10.14 低速き裂進展試験

管の低速き裂進展試験は,供試管から管外径の 3 倍以上の長さの試験片を切り取り,図 5 に示すノッチ

を試験片のほぼ中央に 4 方向等間隔に入れる。その後,0.92 MPa の圧力の水又は空気,窒素などの不活

性ガスを満たした後,80 ℃ の温度に保った熱水中に 165 時間浸せきする。この場合,試験温度及び試験

圧力の範囲は,表 5 の注a)及び注b)による。

呼び径 h

小 大

20 2.6 2.8

25 2.6 2.8

30 3.0 3.2

40 3.4 3.6

50 4.3 4.5

75 6.3 6.6

図 5-低速き裂進展試験片の形状・寸法

10.15 短冊はく離試験 短冊はく離試験は,EF 枝付片受直管の場合に行い,試験方法は,PWA006 の 10.12 による。この場合,

PWA006 の 10.12 の中の継手はEF枝付片受直管と読み替える。

10.16 試験結果の数値の表し方

10.2,10.4 ~ 10.6,10.10,10.12及び10.13の試験結果は,規定の数値から 1 けた下の位まで求め,JIS Z

8401 によって丸める。

11 形式試験

管の形式試験は,呼び径別に箇条 5~箇条 7 及び箇条 12 の規定に適合していることを確認した上で,

10.3~10.14 の試験を行い,箇条 4 の規定に適合していることを確認する。 なお,製造業者は,試験結果を記録し,注文者の要求がある場合は提出しなければならない。

単位 mm

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10

12 検査

管の検査は,次の項目について行い,箇条 4~箇条 7 及び箇条 12 に適合しなければならない。ただし,

e)及びg)は一定期間ごとに行い,f)は一定期間及び材料変更の都度行う。

なお,検査の試料の採取方法は,受渡当事者間の協議による。

a) 外観及び形状

b) 寸法

c) 耐圧

d) 破壊水圧

e) 熱安定

f) 浸出

g) 熱間内圧クリープ

h) 材料

i) 引張

j) 表示

13 表示 管の外側には,容易に消えない方法で, 大間隔 1 m 以内に次の事項を表示しなければならない。

a) )|( の記号

b) 呼び径

c) 製造年月又はその略号

d) 製造業者名又はその略号

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附属書 A (規定)

給水用高密度ポリエチレン管-材料

序文

この附属書は,給水用高密度ポリエチレン管(以下,管という。)の材料について規定する。

A.1 添加剤 材料には,管の製造及び性能を満足するために必要な酸化防止剤,耐候剤,顔料等の添加剤が含まれる。

添加剤の品質は,均一で水に侵されないで,かつ,水質に悪影響を及ぼすものであってはならない。

A.2 材料分類

管の製造業者は,ISO 9080 の外挿方法及び ISO 12162 の分類表でPE 100 に分類される材料を使用

していることを実証しなければならない。

なお,管の製造業者に代わって,材料の供給業者が実証してもよい。

A.3 密度及びメルトマスフローレイト

管の製造業者は,材料の密度及び JIS K 7210 によるメルトマスフローレイトの基準値を提示しなけれ

ばならない。ただし,材料の密度は,0.942 g /cm3以上とする。

A.4 顔料分散性

材料の顔料分散性は,箇条A.5 によって試験を行い,表A.1 のグレード 3 以下でなければならない。

A.5 顔料分散試験方法

材料の顔料分散試験は,JIS K 6812 に準拠し,次のように行う。

A.5.1 原理

試料を管,供試板又は材料から採取し,顕微鏡用スライドの間で圧縮する圧縮法か,又はミクロトーム

法によって試験片を作製する。ただし,供試板は,顔料を多量に含んだ材料(以下,マスターバッチとい

う。)と顔料を含まない材料(以下,ベースレジンという。)とを一定の配合割合で混練したものから作製

する。配合割合は,管の製造時にマスターバッチとベースレジンとを混合する比率とする。次に,作製し

た試験片を顕微鏡で調べ,粒子及び凝集塊の大きさを測定,記録する。その後,表A.1 と比較してグレー

ドを決定する。

A.5.2 試験装置

A.5.2.1 圧縮法

a) 150℃から 210℃の制御された温度で操作できるホットプレート

b) 顕微鏡用スライド

c) 圧力保持するためのプレス

d) 直交移動及び光学的影響を避けるのに十分な照明で必要な倍率に拡大できる顕微鏡

e) 粒子及び凝集塊の大きさを測定するための顕微鏡

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A.5.2.2 ミクロトーム法

a) 必要な厚さのスライスを作製することができるミクロトーム

b) 直交移動及び光学的影響を避けるのに十分な照明で必要な倍率に拡大できる顕微鏡

c) 粒子及び凝集塊の大きさを測定するための顕微鏡

A.5.3 試験手順

A.5.3.1 試験片の作製

a) 圧縮法

分析する試料の異なる部分から 1.25 mg±0.25 mg の試験片を切り取り,洗浄した顕微鏡用スライド

上のほぼ中央に置く。その後,別のきれいなスライドをかぶせる。

スライドを 150℃から 210℃の温度に制御したホットプレート上に置き,プレスなどで圧縮し,均一な

厚さのフィルム状の試験片を作製する。十分冷却した後,スライドを取り除く。

b) ミクロトーム法

製品の様々な部分から試料を切り取り,厚さ 125 μm±25 μm,幅 3 μmのフィルム状の試験片を作製

する。

A.5.3.2 顕微鏡による判定

顕微鏡を使用して,100 倍以上の倍率で透過光によって,試験片を順次調べる。試験片は,光の強さを

変化させ,可能ならば透過光及び反射光によって,その凝集塊が確かに顔料であることを確認する。5 μm

未満の凝集塊を無視して,各凝集塊の 大寸法を測定,記録する。その後,表A.1 と比較してグレードを

決定する。

なお,凝集塊の数は,試験片質量 0.25 mg当たりの個数とする。

A.5.4 試験結果の表し方

試験結果は,各試験片のグレードの平均値を算出し,小数点以下 1 けたまで結果を表す。

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表A.1-凝集塊に対するグレード(試料 0.25 mg当たり)

寸法 (μm) グレード

5 ↓ 10

11 ↓ 20

21 ↓ 30

31 ↓ 40

41 ↓ 50

51↓60

61↓70

71↓80

81↓90

91↓

100

101↓

110

111 ↓

120

121 ↓

130

131 ↓

140

141↓

150

0 0

0.5 1 0

1 ≦3 1 0

1.5 ≦6 ≦3 1 0

2 ≦12 ≦6 ≦3 1 0

2.5 >12 ≦12 ≦6 ≦3 1 0

3 >12 ≦12 ≦6 ≦3 1 0

3.5 >12 ≦12 ≦6 ≦3 1 0

4 >12 ≦12 ≦6 ≦3 1 0

4.5 >12 ≦12 ≦6 ≦3 1 0

5 >12 ≦12 ≦6 ≦3 1 0

5.5 >12 ≦12 ≦6 ≦3 1 0

6 >12 ≦12 ≦6 ≦3 1 0

6.5 >12 ≦12 ≦6 ≦3 1 0

7 >12 ≦12 ≦6 ≦3 1 0

注記 7 μmは,100 倍下では0.7 mmに相当する。同様に 60 μmは,100 倍下では 6 mmに相当する。

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14

附属書 B (規定)

給水用高密度ポリエチレン管-熱安定試験方法

序文

この附属書は,給水用高密度ポリエチレン管(以下,管という。)の熱安定試験方法について規定する。

注記 ISO TR 10837 [Determination of the thermal stability of polyethylene (PE) for use in gas pipes and

fittings]が,この附属書の熱安定試験方法と同等である。

B.1 原理

熱安定試験の原理は,酸素雰囲気中で 200 ℃に試験片が保持されている状態で,試験片中に含まれてい

る酸化防止剤が酸化を抑制し続ける時間を測定する。酸化の進行は,熱分析装置内の試験片と基準物質と

の間の温度差又はエネルギーフロー差を測定し,これを時間に対して記録することによってモニタする。

熱安定性は,この記録から導出する。

B.2 装置及び基準物質

B.2.1 示差熱分析装置(以下,DTAという。)又は示差走査熱量計(以下,DSCという。)セル

DTA 又はDSC セルは,次の性能を備えたものでなければならない。

a) 試験片と基準物質との間の温度差又はエネルギーフロー差を時間に対して記録できるもの。

b) 試験中±0.5 ℃以内に試験温度を維持できるもの。

c) 毎分 50 cm3±5 cm3の酸素流に試験片を暴露できるもの。

d) 150 ℃から 250 ℃の間で毎分 1℃以下の速度で試験片温度を変化できるもの。

e) 室温から試験温度まで,毎分 20 ℃±1℃の速度で試験片温度を変化できるもの。

f) 0.1℃の分解能で試験片温度を連続的に記録できるもの。

B.2.2 分析用天秤

分析用天秤は,0.1 mgの精度で 15 mg±0.5 mgの試験片を計量できるもの。

B.2.3 酸素及び窒素供給設備

酸素及び窒素供給設備は,スイッチ操作後 1 分以内に雰囲気が完全に切り換えられるように,DTA 又

はDSC セルの十分近くでガスの供給元を切り換えるもの。

なお,洗浄は,どちらのガス供給においても必要ない。

B.2.4 ガス流量測定装置

ガス流量測定装置は,正確な置換装置で校正されたロータメータなどを用いる。

B.2.5 高純度金属基準物質

インジウム:融点 156.6 ℃±0.5 ℃

すず :融点 231.9 ℃±0.5 ℃

B.3 試験片の作製

試験片の作製は,次による。

a) 供試管から 2 cm~3 cmの幅のリングを切断する。

b) リングから 2 cmの短冊片を切り取る。

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15

c) 短冊片から熱分析装置の試料皿の内径より少し小さい直径で,厚さが管の厚さと同じである円筒状試

料を切り取る。

d) メスなどを使って,管の厚さと同じ厚さの円筒状試料から 15 mg±0.5 mgの質量になるような厚さ

に試験片を切り取る。

e) 試験片は,直接日光に暴露しない。

B.4 試験手順

B.4.1 校正

インジウム又はすずの融点より 10 ℃低い温度で,試験片及び基準物質設置部分に流れる酸素を毎分 50

cm3±5 cm3に設定する。基準物質には,空のアルミニウム皿を使用し,2 mgのインジウム又はすずを

入れて密封したアルミニウム皿を溶融による吸熱が記録されるまで毎分1℃以下の速度で加熱する。イン

ジウム及びすず両方の融点をこの方法で測定する。金属の融点は,ベースラインの延長線と吸熱ラインの

初期の傾きに対する接線との交点によって示される(図B.1 参照)。

得られたインジウムとすずの融点が,それぞれ 156.6 ℃±0.5 ℃及び 231.9 ℃±0.5 ℃となるように装

置を調整する。

図B.1-典型的校正曲線

B.4.2 酸化誘導時間の測定

DTA 又は DSC セルの窒素流を毎分 50 cm3±5 cm3 に設定する。酸素に切り換えてもガス流は,毎

分 50 cm3±5 cm3 の速度のままで,再度窒素流に戻しても毎分 50 cm3±5 cm3の速度であることを

確認する。アルミニウム皿に 15 mg±0.5 mg の円筒状ポリエチレン試験片を封入し,これと空のアル

ミニウム基準皿とを熱分析装置にセットする。200 ℃±0.5 ℃で等温走査するように装置を設定した後,

毎分 20 ℃の速度で昇温し,温度を安定させる。

DTA 曲線(DSC 曲線)の記録を開始する(温度差対時間又はエネルギーフロー差対時間のプロット)。

窒素流下で安定な状態となったら(多くの場合約 5 分後)酸素流に切り換え,DTA 曲線(DSC 曲線)

にこの点を記録する。セル内は雰囲気切り換え後,1 分以内に完全に酸素雰囲気にならなければならない。

酸化による発熱が起こり, 大傾斜点に達するまでDTA 曲線(DSC 曲線)を記録し続ける。

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B.5 試験結果の判定

試験片の熱安定性は,酸素導入から,ベースラインの延長線と 大傾斜点で発熱曲線に対し引かれた接

線との交点までの時間であり,分で表される(図B.2 参照)。

供試体の熱安定性の試験結果は,測定値の算術平均で表す。

図B.2-ポリエチレンの典型的酸化熱安定性曲線

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17

附属書 C (規定)

給水用高密度ポリエチレン管-浸出試験方法

序文

この附属書は,給水用高密度ポリエチレン管の浸出試験方法について規定する。

C.1 共通的な条件

化学分析に関する共通的な事項は,JWWA Z 108 の 5.(共通的な条件)による。

C.2 浸出用液の調製方法

浸出用液の調製方法は,JWWA Z 108の6.(浸出用液の調製方法)による。

C.3 浸出試験における浸出液の調製

浸出試験における浸出液の調製は,JWWA Z 108 の 7.1.1(管)による。

C.3.1 供試品

供試品は,JWWA Z 108 の 7.1.1(管)による。

なお,供試管の長さは,0.5 mとする。

C.3.2 洗浄

洗浄は,JWWA Z 108 の 7.1.1(管)の a)(洗浄)による。

C.3.3 コンディショニング

コンディショニングは、JWWA Z 108 の 7.1.1(管)の b) (コンディショニング)による。 ただし、コンディショニングについては,省略してもよいこととし,浸出溶液で 3 回洗浄し,浸出操作

を行う。 C.3.4 浸出

浸出は,JWWA Z 108 の 7.1.1(管)の c)(浸出)による。

C.4 分析

検水の分析は,JWWA Z 108 の 8.(分析)による。

なお,各項目の分析方法は,次による。

a) 味 味は,JWWA Z 110 の附属書 17(味の分析方法)の規定による。

b) 臭気 臭気は,JWWA Z 110 の附属書 18(臭気の分析方法)の規定による。

c) 色度 色度は,JWWA Z 110 の附属書 19(色度の分析方法)の規定による。

d) 濁度 濁度は,JWWA Z 110 の附属書 20(濁度の分析方法)の規定による。

e) 有機物[全有機炭素(TOC)の量] 有機物[全有機炭素(TOC)の量]は,JWWA Z 110 の附属書 35〔有

機物[全有機炭素(TOC)の量]の分析方法〕の規定による。

f) 残留塩素の減量 残留塩素の減量は,JWWA Z 110 の附属書 4(残留塩素と残留塩素の減量の測定

方法)の規定による。

C.5 分析値の補正

分析値の補正が必要な場合は,JWWA Z 108 の 9.(分析値の補正)による。

C.6 評価(判定)

評価(判定)は,本体表 1 に適合していることを確認する。

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18

附属書 D (規定)

給水用高密度ポリエチレン管-塩素水試験方法

序文

この附属書は,給水用高密度ポリエチレン管の塩素水試験方法について規定する。

D.1 試薬及び水

この試験に用いる試薬及び水は,次による。

a) 試薬は,特に規定するもののほかは,JIS K 0050 の 8.1(水及び試薬)による。

b) 水は,JIS K 0050 の附属書 1(化学分析に用いる水の質)に示すA1 以上のものを用いる。

D.2 器具

器具は,あらかじめ洗浄乾燥を行った次のものを用いる。

a) 塩素水試験容器

塩素水試験容器は,ねじ付きふた付きのガラス製とし,容量約1 000 mLのものを用いる。

容器の一例を,図D.1 に示す。

図D.1-塩素水試験容器の一例

b) ガラス棒

容器内の試験片が浮き上がらないようにL 字形に曲げた直径約 6 mm のガラス棒。

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19

c) ガラスビーズ

容器の上部に空間を残さないように用いる直径約 5 mm のガラスビーズ。

d) フィルム

塩素水の蒸散を防止するために用いる厚さ約 50 μmの四ふっ化エチレン製フィルム。 D.3 供試水の調製

あらかじめ 10 ℃以下に冷却した 0.3%塩素水に,同様に冷却した水を加えて,有効塩素濃度を2 000

mg/L±100 mg/L とし,これに,二酸化炭素又は, 水酸化ナトリウム水溶液などを少しずつ注入し,pH

計を用いて pH 6.5±0.5 に調整する。供試水の有効塩素濃度は, 希釈後,次の方法によって手早く確認し

なければならない。

D.3.1 試薬

試薬は,次のものを用いる。

a) よう化カリウム

JIS K 8913 に規定するもの。

b) でんぷん溶液

JIS K 8659 のでんぷん 1 g を水 100 mL とよく混和し,これを加熱した水 200 mL 中に絶えずかきま

ぜながら徐々に加え,液が半透明になるまで煮沸した後,溶液を静置し,その上澄液を用いる。この溶液

は,必要以上に長く加熱すると溶液の鋭敏度が減少するので,使用の都度調整する。

c) 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液

1) 調整 JIS K 8637 のチオ硫酸ナトリウム五水和物 26 g 及び JIS K 8625 の炭酸ナトリウム 0.2 g をはかりとり,溶存酸素を含まない水約 1 000 mL を加えて溶かした後,気密容器に入れて保存す

る。調整後,2 日間放置したものを用いる。

2) 標定 JIS K 8005 の容量分析用標準物質のよう素酸カリウムの必要量を 130℃で約 2 時間加熱し

た後,デシケーターに入れて放冷する。その 0.9 g~1.1 g を 0.1 mg のけたまではかりとり,少量

の水を溶かして全量フラスコ 250 mL に移し入れ,水を標線まで加える。

この 25 mL を正しく共通すり合わせ三角フラスコ 200 mL にとり,JIS K 8913 のよう化カリウ

ム2 g及び硫酸(1+1)2 mL を加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜ,暗所に約 5 分間放置す

る。

1)で調整した 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,溶液の色がうすい黄色になったとき

に,指示薬としてでんぷん溶液約 0.5 mL を加え,生じたよう素でんぷんの青い色が消える点を終

点とする。

別に,共通すり合わせ三角フラスコ 200 mL に水 25 mL 及びよう化カリウム2 gをはかりとり,

硫酸(1+1)2 mL を加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜ,暗所に約 5 分間放置し,同一条件

で空試験を行って滴定値を補正する。0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクターは,次の式

によって算出する。

0.003 566 7×V

25

250 F =

m× A 100 ×

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20

ここに,F:0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター

m:はかりとったよう素酸カリウムの質量(g)

A:よう素酸カリウムの純度(%)

0.003 566 7:0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液 1 mL に相当するよう素酸カリウムの量(g)

V:滴定に要した 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の量(mL)

D.3.2 試験操作

有効塩素濃度が約 2 000 mg/L の供試水 20 mL を共通すり合わせ三角フラスコ 300 mL にはかりとり,

よう化カリウム 1 g 及び硫酸(1+1)2 mL を加え,密栓して暗所に約 5 分間放置する。遊離したよう素

を 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,よう素の黄色がうすくなったら,指示薬としてでんぷん

溶液約 0.5 mL を加え,生じたよう素でんぷんの青い色が消える点を終点とする。有効塩素濃度は,滴定

に要した 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の量から,次の式によって算出する。

C=V×F× ×3.55

ここに, C:有効塩素濃度(mg/L)

V:滴定に要した 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の量(mL)

F:0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター

B:供試水量(20 mL)

D.4 供試水量比率

試験片の表面積は,JIS B 7507 のノギスを用いて試験片の寸法を測定し,次の式によって算出する。

S=(L1+L2)(W+t)+2 tW ここに,S :表面積(cm2)

t :厚さ(cm)

L1:内周長さ(cm)

L2:外周長さ(cm)

W :長さ(cm)

容器の中に入れる各試験片の表面積の和と容器に注入する供試水との比率が 1 cm2当たり 1.2 mL とな

るように水量を決定する。 D.5 試験方法

D.2 a) の容器に試験片を入れた後,箇条D.3 の供試水を注入し,試験片が浮き上がらないように,D.2 b) のガラス棒で押える。さらに容器の上部に空間を残さないように,D.2 c) のガラスビーズで調整し,

図D.2 のとおり塩素水の蒸散を防止するため,D.2 d) のフィルムを容器の口にかぶせ,その上から,ね

じ付ふたで密封する。この場合,一つの容器には同一供試管から作製した試験片(通常 3 個)だけを入れ

る。

1000 B

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図D.2-塩素水試験容器の密封方法の一例

次に,60 ℃±1℃の恒温水槽の中に容器を浸せきする。24 時間ごとに容器を取り出し,塩素濃度が低

下した供試水を新しく調製した箇条D.3 の供試水と,速やかに取り替える。168 時間後に試験片を取り出

し,管状試験片については直ちに試験片を半割りにして判定する。 D.6 判定方法

箇条D.5 によって試験した試験片の内面状態につき,試験終了後直ちに試験片の両端部の長さ 5 mm を

除いた部分を拡大鏡で観察し,水泡発生の有無を調べ,判定する。

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附属書 E (規定)

給水用高密度ポリエチレン管-暴露試験方法

序文

この附属書は,給水用高密度ポリエチレン管の暴露試験方法について規定する。

E.1 種類

暴露試験方法の種類は,表E.1 に示す方法とし,いずれかの方法によって試験を行う。

表E.1-暴露試験方法の種類

種別 暴露試験方法

A 法 屋外暴露試験方法

B 法 プラスチック-実験室光源による暴露試験方法

E.2 共通的な条件

E.2.1 試験片

試験片は,本体図2に示す引張試験片の形状・寸法とする。

E.2.2 試験手順

試験片を,少なくとも 3.5 G J/m2以上照射する。

E.3 A 法(屋外暴露試験方法)

A 法は,次による。

E.3.1 試験棚及び試験片固定具

試験棚及び試験片固定具には,試験結果に影響を及ぼさないような不活性材料を用いる。この場合,木,

耐食性アルミニウム合金,ステンレス鋼又はセラミックスが適している。

なお,黄銅,鋼又は銅は試験片の付近に用いてはならない。

E.3.2 暴露場所

暴露場所は,樹木又は建物から十分に離れた広々とした場所とし,周囲に日光の照射に影響を与える邪

魔物があってはならない。

なお,暴露場所には,受けた日光の照射量及び周囲の温度を記録する装置が装備されていなければなら

ない。

E.3.3 暴露の方位

暴露の方位は,南に向かって水平面に対し 45°とする。

E.4 B 法(実験室光源による暴露試験方法)

B 法は,JIS K 7350-1 によって行い,JIS K 7350-2,JIS K 7350-3 又は JIS K 7350-4 のいずれかの実

験室光源によって暴露する。

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23

参考文献 JWWA K 127 水道用ゴム輪形硬質塩化ビニル管

JWWA K 129 水道用ゴム輪形耐衝撃性硬質塩化ビニル管

JIS K 6762 水道用ポリエチレン二層管

JIS K 6814-1 熱可塑性プラスチック管-加熱伸縮性-第1部:試験方法

JIS K 6814-2 熱可塑性プラスチック管-加熱伸縮性-第2部:試験条件

JIS K 7162 プラスチック-引張特性の試験方法第 2 部:型成形,押出成形及び注型プラスチックの試

験条件

JIS K 8001 試薬試験方法通則

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具

JIS R 3505 ガラス製体積計

JIS Z 8203 国際単位系(SI)及びその使い方

JIS Z 8402-1 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)-第1部:一般的な原理及び定義

JIS Z 8402-2 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)-第2部:標準測定方法の併行精度及び再現

精度を求めるための基本的方法

JIS Z 8402-3 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)-第3部:標準測定方法の中間精度

JIS Z 8402-4 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)-第4部:標準測定方法の真度を求めるため

の基本的方法

JIS Z 8402-5 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)-第5部:標準測定方法の精度を求めるため

の代替法

JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)-第6部:精確さに関する値の実用的な使い

ISO 161-1 Thermoplastics pipes for the conveyance of fluids-Nominal outside diameters

And nominal pressures-Part1 : Metric series

ISO 1167-1 Thermoplastics pipes, fittings and assemblies for the conveyance of fluids-

Determination of the resistance to internal pressure-Part 1: General method

ISO 1167-2 Thermoplastics pipes, fittings and assemblies for the conveyance of fluids-Deter

mination of the resistance to internal pressure-Part 2: Preparation of pipe test

pieces

ISO 4065 Thermoplastics pipes-Universal wall thickness table

ISO 11922-1 Thermoplastics pipes for the conveyance of fluids-Dimensions and tolerances

-Part1 : Metric series

ISO 13479 Polyolefin pipes for the conveyance of fluids-Determination of resistance to

crack propagation-Test method for slow crack growth on notched pipes

ISO 13761 Plastics pipes and fittings-Pressure reduction factors for polyethylene pipeline

systems for use at temperatures above 20 degreesC

Page 26: 20121015 PWA005 改正(提出版)

24

建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会規格 PWA 005:2012

給水用高密度ポリエチレン管 解説

この解説は,本体及び附属書に規定・記載した事柄,並びにこれらに関連した事柄を説明するもので,規

格の一部ではない。

1 規格制定・改正の趣旨及び経緯

水道用ポリエチレン管は,昭和 33 年 1 月に日本水道協会規格として制定後,昭和 34 年 7 月に日本工

業規格(JIS)に移行し,現在まで呼び径 13~50 について主要な給水管材料として使用されてきた。

今日,高普及時代を迎えたが我が国の水道は,従来にも増して,給水の安全性・安定性,またライフライ

ンとしての水道施設の耐震性強化が強く求められるようになった。

このような状況の中で,水道事業者のニーズに応えるためにポリエチレン管の特長である柔軟性,耐食

性,施工性等の性能を活かし,高強度・高密度の水道配水用ポリエチレン管材料を,更に管継手としては

施工性を考慮し,EF(エレクトロフュージョン)接合及び突き合わせ(バット)接合などを開発した。

規格制定に関しては,管及び管継手の規格の規格として,平成 8 年 2 月にPWA 001,002 を制定した。

これらの規格は,既に日本国内で使用されている JIS K 6762(水道用ポリエチレン二層管)に規定

されているサイズよりも大きなサイズである呼び径75 以上のサイズに加え,呼び径 50 についてもニー

ズがあるために規定した。

近年,水道配水用ポリエチレン管の使用拡大に伴い,主用途である水道配水用に加えて,配水管から分岐

して設けられる給水管,さらに受水槽以降の給水管についても使用されることが多くなり,呼び径 40 以

下についてのニーズが増大してきた。そこで,給水用途に使用する管として,呼び径 20~40 について新

規制定し,さらに給水管としてニーズの多い呼び径 50,75 についてPWA 001 と重複するが,この規

格にも規定することとした。

この規格は,平成 17 年 4 月に制定し,平成 18 年 4 月に協会名称の変更に伴い,関連規格の制

改訂に合わせた修正を実施し,更に,平成 20 年 4 月には JIS Z 8301:2005(規格票の様式及び作成方法)

による規格の様式の準拠及び引用規格も含めた修正を行った。

今回、給水管としてニーズの多いEF 枝付片受直管の規格化に対する追記、修正を行うこととした。

2 参考規格

この規格制定・改正に当たっては,規格本体に示す引用規格及び関連規格のほか,次の規格を参考にし

た。

JWWA K 128 水道用ゴム輪形硬質塩化ビニル管継手

JWWA K 130 水道用ゴム輪形耐衝撃性硬質塩化ビニル管継手

JIS K 0115 吸光光度分析通則

JIS K 0116 発光分光分析通則

JIS K 0121 原子吸光分析通則

JIS K 6742 水道用硬質ポリ塩化ビニル管

Page 27: 20121015 PWA005 改正(提出版)

25

JIS K 6743 水道用硬質ポリ塩化ビニル管継手

JIS K 6761 一般用ポリエチレン管

JIS K 6774 ガス用ポリエチレン管

JIS K 6775 ガス用ポリエチレン管継手

JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)

JIS K 8180 塩酸(試薬)

JIS K 8247 過マンガン酸カリウム(試薬)

JIS K 8312 クロム酸カリウム(試薬)

JIS K 8517 二クロム酸カリウム(試薬)

JIS K 8541 硝酸(試薬)

JIS K 8575 水酸化カルシウム(試薬)

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)

JIS K 8669 二塩化 3,3’-ジメチルベンジジニウム(試薬)

JIS K 8776 2-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-4-スルホ-1-ナフチルアゾ)-3-ナフトエ酸(試薬)

JIS K 8785 二りん酸ナトリウム十水和物(試薬)

JIS K 8951 硫酸(試薬)

JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)

JIS K 8987 硫酸ナトリウム(試薬)

JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬)

JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)

BS 3412 Methods of specifying general purpose polyethylene materials for moulding and

extrusion

WIS No.4-24-01

Specification mechanical fittings and joints including flanges for polyethylene

pipes for the conveyance of cold potable water for the size range 90 to1000

inclusive made of metal or plastics or a combination of both

WIS No.4-32-13

Specification for blue higher performance polyethylene,HPPE/PE100,pressure

pipes,nominal size 90 to 1000,for underground or protected use for the

conveyance of water intended for human consumption.

WIS No.4-32-14

Specification for PE80 and PE100 electrofusion fittings for nominal sizes up to

and including 630

WIS No.4-32-15

Specification for PE80 and PE100 spigot fittings and drawn bends for nominal

sizes up to and including 1000

ISO 1133-1 Plastics -- Determination of the melt mass-flow rate (MFR) and melt

volume-flow rate (MVR) of thermoplastics -- Part 1: Standard method

ISO 1133-2 Plastics -- Determination of the melt mass-flow rate (MFR) and melt

volume-flow rate (MVR) of thermoplastics -- Part 2: Method for materials

sensitive to time-temperature history and/or moisture

ISO 2505 Thermoplastics pipes -- Longitudinal reversion -- Test method and parameters

ISO 4582 Plastics-Determination of changes in colour and variations in properties after

exposure to daylight under glass,natural weathering or laboratory light sources

Page 28: 20121015 PWA005 改正(提出版)

26

ISO 4892-4 Plastics-Methods of exposure to laboratory light sources -Part4:Open-flame

carbon-arc lamps

ISO 6259-1 Thermoplastics pipes-Determination of tensile properties-Part1: General test

method

ISO 6259-3 Thermoplastics pipes-Determination of tensile properties-Part3:Polyolefin

pipes

ISO 8085-3 Polyethylene fittings for use with polyethylene pipes for the supply of gaseous

fuels-Metric series –Specifications-Part3:Electrofusion fittings

ISO 11922-2 Thermoplastics pipes for the conveyance of fluids -Dimensions and

tolerances-Part2:Inch-based series

ISO 13479 Polyolefin pipes for the conveyance of fluids-Determination of resistance

to crack propagation-Test method for slow crack growth on notched

pipes

3 規格改正の要点について

3.1 今回の改正内容

1) 表1 管の形状による分類 EF枝付片受直管を追加した。

2) 図2 EF枝付片受直管形状 新規に追加した。

3) 表4 EF枝付片受直管の寸法及びその許容差 新規に寸法追加した。

3.2 過去の改正内容

平成20年4月の改正内容

1)適用範囲

従来参考として{}書きで併記していた従来単位についての記述を削除し、従来序文で記述していた対応

国際規格に関する記述を行った。

2)引用規格(本体の箇条 2)

引用規格は, 新のものに改めた。従来国際規格であるISO規格を引用していたが,ISO規格に基づき

新たにJIS規格が制定されたものについては,JIS規格を引用した。また,附属書で引用している規格に

ついても,この箇条で記載することとした。また、規格の様式は,JIS Z 8301:2011(規格票の様式及び

作成方法)によるものとする。これに基づき,単位表記はSI単位系とした。

3) 寸法及びその許容差

新たに楕円度を規定する。

平成18年4月の改正内容

1) 団体名を配水用ポリエチレン管協会規格 PWA005 から建築設備用ポリエチレンパイプシステム研

究会規格 PWA005 へ変更した。

平成17年4月の改正内容

1) 浸出性試験方法の基準項目

経過措置が設けられていた有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)の経過措置期間が過ぎたため削除

する。

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4 各構成要素の内容

各構成要素の内容は,従来の内容と今回の改正で修正した内容を盛り込んだものとを記載した。

4.1 規格の名称

現在,水道給水用途で主に使用されている呼び径13~50の日本工業規格 JIS K 6762(水道用ポリエチ

レン二層管)と区別し,給水管としての規格であることを明確にするため,給水用高密度ポリエチレン管

とした。

4.2 適用範囲(本体の箇条 1)

適用範囲は,水道管として既に多くの実績のある JWWA K 127(水道用ゴム輪形硬質塩化ビニル管),

JWWA K 129(水道用ゴム輪形耐衝撃性硬質塩化ビニル管)及び JIS K 6762(水道用ポリエチレン二層

管)に合わせるとともに,給水管としての規格であることから,“使用圧力0.75MPa以下の給水用に使用

する”とした。従来参考として{}書きで併記していた従来単位についての記述を削除し,従来序文で記述

していた対応国際規格に関する記述を行った。

4.3 引用規格(本体の箇条 2)

平成 20 年 4 月には下記の内容を改正した。

a) ISO DIS 13949 が ISO 18553 に移行し,対応する JIS K 6812 が新たに制定されたため,引用規格を

変更した。

b) ISO 6259-1 及び ISO 6259-3 に対応する JIS K 6815-1 及び JIS K 6815-3 が新たに制定されたため,

引用規格を JIS K 7161(プラスチック-引張特性の試験方法 第1部:通則)から変更した。

c) JIS K 6762 の塩素水試験の改正に伴い,新たに引用された JIS K 8625,JIS K 8637,JIS K 8659 及び JIS K 8913 をJIS規格と整合させるため,この規格にも追加した。

4.4 用語及び定義(本体の箇条 3)

JIS Z 8301 に基づき,記載用語を選択し内容の見直しを行い,新たに規定した。従来記載の用語で補足

として必要と判断したものは,解説内に記載した。

今回の改正では,EF枝付片受直管を追加したため,用語及び定義に追加した。

4.5 性能(本体の箇条5)

性能は,対応国際規格の性能に日本の地域事情を考慮し,浸出性,耐塩素水性,耐環境応力き裂性及び

低速き裂進展性を規定した。さらにポリエチレン管の特性を考慮し,軸方向及び周方向の剛性について短

期評価する必要があることから引張降伏強さ,引張破断伸び,耐圧性及び破壊水圧強さを規定した。

今回の改正では,EF 枝付片受直管を追加したため,耐はく離性を追加した。

4.6 外観及び形状(本体の箇条6)

色は,浸出性,耐塩素水性及び耐候性の性能を満たし,かつ,給水管をイメージできるこい青とした。

4.7 寸法及びその許容差(本体の箇条7)

管厚設計において,管の材料は本体箇条 8 のPE100 とし,設計内圧( 高許容圧力)1.0MPaを負荷

して20℃,50 年間使用した後でも,安全率2(内圧2.0MPaで20℃,50年以上の耐久性をもつ)を確

保できる厚さを選択した。これはSDR11 と分類される厚さに相当する。但し,呼び径20については,

電気融着(EF)式継手の施工性も考慮し,呼び径25と同一とし,SDR11よりも安全側のSDR8 相当と

した。

SDRとは基準寸法外径と基準寸法厚さとの比を表し,管の長期性能を考慮する場合の要素である周応力

(内圧によって管の円周方向に働く応力)に影響する。例えば,SDR11 の場合,ある内圧Pに対して管

に発生する周応力σは次のNadayの式によって内圧Pの5倍と算出される。

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(D-t)P (11t-t)P σ=───────=────────=5P 2t 2t ここで D:基準寸法外径(SDR11の場合 D=11t)

t:厚さ

外径については,厚さがSDR11 を確保し,JIS K 6762(水道用ポリエチレン二層管)の1 種二層管,

2種二層管及び JIS K 6774(ガス用ポリエチレン管)第1種寸法で実績のある寸法を採用した。

また,平成20 年4月の改正ではだ円度を追加した。

なお,今回の改正で枝付片受直管の寸法及びその許容差を追加した。

4.8 材料(本体の箇条8)

材料は,対応国際規格に準拠し,再生材料の規定を設けるとともに,附属書A に材料の性能を規定した。

PE100とは,ISO 9080 の方法1を用い,20 ℃で50 年外挿下方信頼性限界(LCL)を用いたとき

の 小要求強度(MRS)が10.0MPa規定に適合したポリエチレンとする。50年外挿下方信頼性限界は,

内圧クリープ試験をもって求めることとする。内圧クリープ試験は,温度は3水準で行い,各温度ごとに

解説表 1 に示す破壊までの時間になるように設定した圧力水準及びデータ数で行うものとする。

下方信頼性限界(lower confidence limit)LCLとは,20℃水中において50年後に予測される長期静

水圧強度の97.5%下方信頼限界値であり,メガパスカル単位量で表される材料の特性をいう。また, 小

要求強度(minimum required strength) MRSは,ISO 12162に規定するMRSから選ばれる値であ

る。

解説表1-内圧クリープ試験のデータ数

破壊までの時間 必要なデータ数

10時間以上100時間未満 8

100時間以上1000時間未満 8

1000時間以上 9

うち7000時間以上 うち 4

うち9000時間以上 うち 1

4.9 製造方法 今回の改正では,EF枝付片受直管を新規に追加したため,その製造方法を追加した。

4.10 試験方法(本体の箇条 10)

4.10.1 破壊水圧試験(本体の 10.4)

一般的にポリエチレン管の破壊水圧試験では,内圧が 大圧力に達した後,管がクリープするのに伴っ

て内圧が低下し,その後に破壊する。この規格では,この 大圧力を求めることとした。

4.10.2 熱安定試験(本体の 10.5 及び附属書B)

ポリエチレン管の融着は,200℃を超える温度で行われるため,融着時の熱酸化劣化に対する管材料の

性能を確認しておく必要があり,対応国際規格に準拠して規定した。熱安定試験方法は,ISO TR 10837 に準拠した。実際の融着に要する時間は20 分以内であり,酸素雰囲気中で測定する酸化誘導時間20分

は十分な性能である。

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4.10.3 浸出試験(本体の 10.6 及び附属書C)

浸出試験は,対応国際規格には規定されていないが,水道用資機材の浸出試験方法として,平成12年

厚生省令第15 号に基づき,JWWA Z 108 及び JWWA Z 110 が制定されたのを受け,分析方法などを

引用した。また,平成16年厚生労働省令第5号によって浸出基準項目から削除され,経過措置が設けら

れていた有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)の経過措置期間が過ぎたため平成 17 年 4 月に削除し

た。

今回の改正では,コンディショニングを行わなくても製品が浸出基準を満足する場合も有り,従来規定

していたコンディショニングは行わなくてもよいこととした。

4.10.4 熱間内圧クリープ試験(本体の 10.7 及び付属書C)

熱間内圧クリープ試験は,管の長期寿命を評価する方法であり,試験方法は ISO 1167 に準拠し,試験

条件と再試験条件とを対応国際規格 ISO 4427 に準拠し規定した。解説図2に熱間内圧クリープ試験の各

試験条件についての説明を示す。

解説図 1 において,

直線A:PE100 の性能を満足する直線(本体表3の試験条件1の点を通り,PE100の判定基準点を

通る直線)

直線B:直線Aと平行な直線で,試験条件3の点を通る直線

である。試験条件1と直線B とを満足する(試験条件2及び試験条件3を満足する)場合,管は直線A を

満足すると考えられ,PE100 の性能をもっていると推定できる。試験条件2は,直線Bよりも厳しい条件

を設定しているため,延性破壊した場合その試験を無効とし,再試験できることとした。

なお,再試験条件は,試験条件2よりも緩やかな条件ではあるが,直線Bを満足する条件であり,試験

条件1,試験条件3及びいずれかの再試験条件を満足すれば,管はPE100 の性能をもっていると推定で

きる条件を設定した。

また,今回の改正では,対応国際規格の改正に準拠して試験条件の一部(圧力,時間)を変更した。

解説図 1-熱間内圧クリープ試験の試験条件及び再試験条件

1

10

100

1 10 100 1000 10000 100000 1000000

試験時間(h)

周応力

20℃

80℃

試験条件1の点

試験条件2の点試験条件3の点

PE100の判定基準点

50年後

(MPa)

再試験条件の点

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4.10.5 塩素水試験(本体の 10.8 及び附属書D)

塩素水試験は,対応国際規格には規定されていないが,日本の水道水中に含まれる遊離残留塩素が比較

的高濃度であることを鑑み,規定した。

なお,試験方法及び試験条件は,JIS K 6762 に合わせた。

4.10.6 環境応力き裂試験(本体の 10.9)

環境応力き裂試験は,対応国際規格には規定されていないが,過去に給水用途で使用されたポリエチレ

ン管でき裂漏水事故が多発したため,JIS K 6762 に合わせて規定した。ただし,ポリエチレン樹脂の高性

能化を考慮し,かつ,性能判定を容易にするために240 時間浸せきすることとした。

4.10.7 耐候性試験(本体の 10.10 及び附属書E)

耐候性試験は,管の保管・運搬中に受ける太陽光による紫外線劣化に対する性能を調べるための試験で

あり,試験方法は,対応国際規格をもとにしたJIS規格に準拠した。

なお,日本ではB法に準拠する暴露試験装置が普及していなかった時期に,従来から使用されていた JIS A 1415(プラスチック建築材料の促進暴露試験方法)による暴露試験方法のC法があるが,,この暴露試

験方法は,国際規格と整合化した内容のB法のオープンフレームカーボンアークランプによる暴露試験方

法となるため,適用可能期限を過ぎたC法は削除している。

4.10.8 融着部相溶試験(本体の 10.11)

融着部相溶試験は,管を異なる製造条件(重合方法及び添加剤処方)によって作られたポリエチレン材

料を用いて成形した管又は継手と接合した場合,融着部における異種材料の適合性を評価するため規定し

た。

なお,試験方法は,対応国際規格に準拠した。

4.10.9 引張試験(本体の 10.12)

引張試験方法は,JIS K 6815-1 及び JIS K 6815-3 に準拠した。

4.10.10 加熱伸縮試験(本体の 10.13)

成形加工時に管に発生する残留ひずみを調べる試験であり,試験方法は,JIS K 6814-1 及び JIS K 6814-2 に準拠した。

4.10.11 低速き裂進展試験(本体の 10.14)

低速き裂進展試験は,ポリエチレン材料が比較的柔らかい材料であるため,運搬中,施工時,施工後に

何らかの原因によって表面にきずが付く場合がある。このようなきずの付いた管を使用した場合の長期強

度を評価する方法として,規定した。

なお,試験方法は,ISO 13479 に準拠した。

4.11 形式試験(本体の箇条 11)

形式試験は,呼び径別に 初の1回のみ行うものである。ただし,材料又は製造方法を変更した場合は,

再度の形式試験を行う。

4.12 検査(本体の箇条 12)

検査は,出荷時に必ず検査しなければならない項目を規定した。ただし,試験の作業時間などを考慮し,

熱安定検査及び熱間内圧クリープ検査は,一定期間ごとに,また浸出検査は,一定期間及び材料変更の都

度行うこととした。なお,材料又は製造方法に変更がない限り,性能の変化が少ない加熱伸縮試験,塩素

水試験,環境応力き裂試験,耐候性試験,低速き裂進展試験及び融着部相溶試験については,形式試験に

よる確認のみとした。

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検査の試料の採取方法は,受渡当事者間の協議によるが,特に指定のない限りにおいては,解説表 1 を

使用してもよい。

解説表 1-検査の試料採取方法

試験項目

試料採取方法

形状 作製方法 個数

状態調節

温度

時間

耐圧試験 管状

供試管から,長さ1000mm以上

切り取る。 1 常温 1 以上

破壊水圧試験

熱安定試験 板状

供試管から15mg±0.5mgの試

験片を切り取る。 5 - -

浸出試験 管状

供試管は,0.5mの長さに切り取

る。 1 - -

熱間内圧クリープ試験 管状

供試管から管外径の3倍以上の

長さの試験片を切り取る。 3

20±1

80±1 1 以上

塩素水試験 管状

供試管から30mm×60mmの

短冊状試験片を切り取る。 3 - -

解説表 1-検査の試料採取方法(続き)

試験項目

試料採取方法

形状 作製方法 個数

状態調節

温度

時間

環境応力き裂試験 本体の図 1

供試管から,図 1 に示す形状に切

り取る。 10 23±2 1 以上

耐候性試験

本体の図 2

解説表 1

暴露試験後,供試管から図 2 に示

す形状に切り取る。暴露試験後,

解説表 1 の熱安定試験と同型の

試験片を切り取る。

3 23±2 1 以上

融着部相溶試験 管状

接合部を含む長さ1000mm以

上を切り取る。 3 80±1 1 以上

引張試験 本体の図 2

供試管から図 2 に示す形状に切

り取る。 5 23±2 2 以上

加熱伸縮試験 管状

供試管から,長さ200mm±20

mmを切り取る。 1 23±2 2 以上

低速き裂進展試験

本体の図 3

供試管から管外径の3倍以上の

長さの試験片を切り取り図 3 に

示すノッチを試験片のほぼ中央

に4方向等間隔に入れる。

3 80±1 1 以上

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4.13 表示(本体の箇条 13)

表示は,対応国際規格を考慮し, 大間隔1m以内に表示することとし,通常の表示事項に加えて材料

分類についても表示することとした。

5 取扱い上の注意事項

5.1 保管及び輸送上の注意

a) 管はきずが付きやすいので,放り投げたり,引きずったりするようなことは避ける。

b) 管は,直射日光(紫外線)が当たると,管の材質が劣化するので,保護カバーなどで直射日光を避け

て保管する。

c) 管は可燃性であるので,火気又は熱源に近付けてはならない。

5.2 配管上の注意

a) 配管に当たっては,内外面の状態をよく確かめ,取扱い時に発生した使用上有害な欠点があった場合,

その部分を切断除去する。

b) 管の埋設は,サンドクッションとし,石,まくら木,胴木などの固形物が直接管に触れないように埋

め戻す。

c) 多量に灯油,ガソリンなどの有機溶剤を扱う場所などでの管の布設は,水質に悪影響を及ぼす場合が

あるので,土の汚染度の確認,非汚染土による埋め戻し,更に影響を受けにくい経路の検討などを行

う。

5.3 維持・管理上の注意

管は,0℃~40℃の温度範囲で使用する。ただし,管の耐圧性は,温度依存性があるので,管を 20℃~

40℃の温度範囲で使用する場合,使用圧力を低減することが望ましい。使用温度別の圧力低減係数を,解

説表 2 に示す。 高許容圧力は,使用圧力に水撃圧 0.25MPa を加えた圧力とする。

解説表 2-使用温度別の圧力低減係数

使用温度 ℃ 20 25 30 35 40

圧力低減係数 1.00 0.93 0.87 0.80 0.74

高許容圧力 MPa 1.00 0.93 0.87 0.80 0.74

使用圧力 MPa 0.75 0.68 0.62 0.55 0.49

5.4 その他の注意

a) 地域住民の迷惑になるため,廃材を現場焼却してはならない。

b) 配管材料の残材や廃材の処分は,法律及び地方自治体の条例に従うこと。

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建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会

正会員: 積 水 化 学 工 業 株 式 会 社

東亜高級継手バルブ製造株式会社

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不許転載

平成 21 年 3 月 初 版

平成 24 年 12 月 改訂 1 版

建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会

建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会規格

給水用高密度ポリエチレン管

PWA 005:2012

2012.12 0HU TX/ST PWA03-05 資料コード