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2012 年度 日本語教育機関調査 結果概要 抜粋
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2012年度 日本語教育機関調査 - Japan Foundation...3 過去33年間で機関数は14.0倍、教師数は15.6倍、学習者数は31.3倍に。...

May 25, 2020

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Page 1: 2012年度 日本語教育機関調査 - Japan Foundation...3 過去33年間で機関数は14.0倍、教師数は15.6倍、学習者数は31.3倍に。 1979年度調査から2012年度調査まで過去10回の調

2012年度 日本語教育機関調査          結果概要 抜粋

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 本調査の目的は、日本語教育の現状を把握し、主に以下の3つの点について有用な資料を提供することにある。①研究者などが、日本語教育に関する調査・研究を行う際の基礎資料

②日本語関係機関、国際交流団体などが、日本語教育に関する各種事業を実施する際の参考資料

③日本語教育機関・団体の情報交流や相互交流、ネットワーク形成のための参考資料

 本調査の結果は、報告書本冊、本概要版および国際交流基金のWebページ上で日本語教育機関検索として提供される。

ア.調査対象機関 本調査は、海外で日本語教育を実施している機関および日本国内において海外の公的機関を設置主体として日本語教育を実施している機関を対象として行った。以下は、調査対象に含めていない。①組織としての実体を伴わない団体(活動)②在留邦人子弟向けの日本人学校③不特定多数を対象に日本語教育を行っている放送局やWebページ管理者

④短期的な日本語体験活動

1.調査実施概要

2.全体概況

日本語教育の実施が確認できたのは全世界で136の国・<地域>。学習者総数は約399万人。

(1)機関数・教師数・学習者数

(1)調査目的 (2)調査対象

2012年 2009年

機関(機関) 16,046 14,925

教師(人) 63,805 49,803

学習者(人) 3,985,669 3,651,232

 2012年度調査で日本語教育の実施が確認できたのは128か国と8<地域>の計136。2009年度調査の125か国と8<地域>の計133から3か国の増加となった。学習者3,985,669人(2009年度比9.2%増)、機関16,046機関(7.5%増)、教師63,805人(28.1%増)。機関数、教師数、学習者数のいずれもが増加した。 なお、本調査で対象となっているのは、「語学教育と

して日本語を教えている学校やその他の機関」であり、国際親善や異文化交流が主目的で語学としては日本語を教えていない教室や講座、テレビ・ラジオ・書籍・雑誌・インターネットなどで日本語を独習している学習者は総数には含まれない。この点から考えると、日本語を学習している人の数は、総数を大きく上回っていると判断される。

表1-1-1 機関数・教師数・学習者数

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過去33年間で機関数は14.0倍、教師数は15.6倍、学習者数は31.3倍に。

 1979年度調査から2012年度調査まで過去10回の調

査結果を見ると、機関数は1,145機関から16,046機関と

なり14.0倍に、教師数は4,097人から63,805人となり

15.6倍に、学習者数は127,167人から3,985,669人となり

31.3倍に増加。海外における日本語教育は、この33年間、

常に増加を続け、大幅に拡大した。

グラフ1-1-1 機関数

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

1998 年 2003年 2006年 2009年 2012年1979年 1984年 1988年 1990年 1993年

10,93012,222

13,63914,925

16,046

1,1452,620 3,096

3,917

6,800

(機関)

グラフ1-1-2 教師数

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

1998 年 2003年 2006年 2009年 2012年1979年 1984年 1988年 1990年 1993年

27,61133,124

44,32149,803

63,805

4,0977,217 8,930

13,214

21,034

(人)

グラフ1-1-3 学習者数

1998 年 2003年 2006年 2009年 2012年1979年 1984年 1988年 1990年 1993年0

5,00000

1,000,000

1,500,000

2,000,000

2,500,000

3,000,000

3,500,000

4,000,000

4,500,000

2,102,1032,356,745

2,979,820

3,651,2323,985,669

127,167

584,934 733,802981,407

1,623,455

(人)

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グラフ1-1-4 日本語学習の目的

0

20%

40%

60%

80%

無回答

その他

機関の方針

家族、親族等の勧め

母語または継承語

国際理解・

異文化理解

日本語での

コミュニケーション

日本との親善・交流

日本への観光旅行

将来の就職

今の仕事で必要

日本への留学

受験の準備

(大学等)

日本語そのもの

への興味

科学技術への関心

政治、経済、社会

への関心

マンガ・アニメ・

J-

POP等が

好きだから

歴史・文学等

への関心

49.7%47.4%

54.0%50.6%

24.1%25.6%21.4%21.0%

62.2%58.1%

26.6%25.7%

34.0%35.0%

18.4%17.9%

42.3%42.6%

28.6%25.2%

20.4%21.0%

55.5%55.1%

32.4%32.9%

11.3%11.6%19.1%18.7%

35.3%31.4%

9.6%15.1%

2.1%

9.3%

2009 年(n=13,998 機関)*2012 年(n=15,272 機関)*

*2009 年度調査で、台湾の選択肢が異なったため、台湾の数値は含まない。

日本語学習の目的で最も選択の割合が高いのは「日本語そのものへの興味」(62.2%)。次いで「日本語でのコミュニケーション」(55.5%)、「マンガ・アニメ・J-P0P等が好きだから」(54.0%)。

 日本語学習の目的として最も多くの機関が挙げたのは「日

本語そのものへの興味」(62.2%)。次いで「日本語での

コミュニケーション」(55.5%)、「マンガ・アニメ・J-POP

等が好きだから」(54.0%)、「歴史・文学等への関心」

(49.7%)となっている。「将来の就職」(42.3%)は全体

5位、「日本への留学」(34.0%)は7位となっており、実

利的な目的より、日本についての知識面での興味が上回

る結果となった。また、「マンガ・アニメ・J-POP等が好

きだから」は、「歴史・文学等への関心」を上回っており、

日本のポップカルチャーが世界的に浸透し、日本・日本

語への興味・関心の入り口となってきていることがよくわ

かる。

 ポップカルチャーをはじめとする日本文化は、旧来の

各種マスメディアを通じて、さらに近年ではインターネッ

トを通じて世界中からアクセスがしやすくなっていることが、

こうした状況に拍車をかけているものと考えられる。

(2)日本語学習の目的

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(3)日本語教育上の問題点

日本語教育上の問題点で最も選択の割合が高いのは「教材不足」(28.5%)。次いで「学習者不熱心」(26.5%)となっている。

 日本語教育上の問題点として最も多くの機関が挙げた

のは「教材不足」(28.5%)、次いで「学習者不熱心」

(26.5%)、「施設・設備不十分」(26.1%)、「教材・教授

法情報不足」(23.9%)、「学習者減少」(21.0%)と続く。

2009年度との比較では、「他言語導入・日本語科目廃止

検討」が6.8%から8.6%へ、「学習者減少」が16.6%か

ら21.0%へ、「学習者不熱心」が23.3%から26.5%へと

増加しているが、他の項目では全て減少しており、日本

語教育環境の整備が少しずつ進んでいる状況がうかが

える。

 日本語教育上の問題点については、日本語教育が急

激に拡大している地域(東南アジアなど)や、まだ日本

語教育があまり行われていない地域(南アジア、中米、

北アフリカ、アフリカなど)では教材や教師、設備など

に関する項目の割合が高くなっている。一方、西欧や大

洋州など日本語教育の歴史が長い地域では、ほぼ全ての

項目で数値が低いなど、地域による差が大きい。また、「学

習者不熱心」については、東南アジアでの回答が多い。

その理由としては、同地域で中等教育における日本語教

育の導入が教育機関の方針などで急激に進んだことが考

えられる。

グラフ1-1-5 日本語教育上の問題点

0

10%

20%

30%

40%

無回答

その他

学習者不熱心

学習者減少

日本の文化・

社会の情報不足

教材・教授法

情報不足

施設・設備

不十分

教材不足

他言語導入・

日本語科目

廃止検討

教師の待遇

教師の教授方法

教師の日本語能力

教師不足

15.8%

20.0%

14.6%

19.0%16.0%

21.6%

11.9%12.6%

8.6%6.8%

28.5%

34.6%

26.1%

31.1%

23.9%27.2%

18.4%

22.0% 21.0%

16.6%

26.5%23.3%

16.3%

20.7%

0.0%

16.8%

2009 年(n=13,998 機関)*2012 年(n=15,272 機関)*

*2009 年度調査で、台湾の選択肢が異なったため、台湾の数値は含まない。

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機関数の62.9%、教師数の75.3%、学習者数の82.5%が東アジアと東南アジア。

 全世界における機関、教師、学習者の総数を地域別

に比較すると、いずれにおいても東アジアが占める比率

が圧倒的に高く、次いで東南アジアとなっている。また、

機関、教師、学習者それぞれの割合で、東アジア、東

南アジア以外の地域は全て1割程度かそれ以下である。

 学習者の割合は、東アジアは54.1%にあたる2,154,344

人、東南アジアは28.4%にあたる1,132,701人となっており、

この2地域で全体の82.5%を占める。

グラフ1-2-1 地域別機関数の割合

表1-2-1 地域別機関数・教師数・学習者数

東アジア41.3%

東南アジア21.6%

南アジア2.2%

大洋州10.9%

北米10.5%

中米 0.7%南米 2.8%西欧 6.7%

東欧 2.2%中東 0.4%

北アフリカ0.1%アフリカ0.5%

中央アジア0.3%

n=16,046機関

グラフ1-2-3 地域別学習者数の割合グラフ1-2-2 地域別教師数の割合

東アジア54.1%

東南アジア28.4%

南アジア0.7%

大洋州8.3%

北米4.5%中米 0.2%南米 0.8%西欧 1.9% 東欧 0.6%

中東 0.1%北アフリカ0.0%アフリカ0.2%

中央アジア0.1%

n=3,985,669人

東アジア61.1%

東南アジア14.2%

南アジア1.6%

大洋州5.0%

北米7.9%

中米 0.6%南米 2.6%西欧 4.2%

東欧 1.8%中東 0.3%

北アフリカ0.1%アフリカ0.2%

中央アジア0.2%

n=63,805人

地域機関 教師 学習者

(機関) (%) (人) (%) (人) (%)東アジア 6,630 41.3 39,000 61.1 2,154,344 54.1東南アジア 3,462 21.6 9,075 14.2 1,132,701 28.4南アジア 349 2.2 1,015 1.6 29,081 0.7大洋州 1,750 10.9 3,214 5.0 331,285 8.3北米 1,677 10.5 5,035 7.9 179,049 4.5中米 113 0.7 402 0.6 9,555 0.2南米 443 2.8 1,652 2.6 32,968 0.8西欧 1,069 6.7 2,698 4.2 76,132 1.9中央アジア 41 0.3 159 0.2 2,831 0.1東欧 345 2.2 1,141 1.8 25,412 0.6中東 72 0.4 171 0.3 3,508 0.1北アフリカ 21 0.1 90 0.1 1,592 0.0アフリカ 74 0.5 153 0.2 7,211 0.2

全世界 16,046 100 63,805 100 3,985,669 100

3.地域別の概況

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全学習者の26.3%が中国、21.9%がインドネシア、21.1%が韓国。3か国で全学習者の7割弱。

 世界で最も学習者が多い国・<地域>は中国で1,046,490

人。次いでインドネシアの872,411人、韓国の840,187人、

オーストラリアの296,672人、台湾の233,417人、米国の

155,939人、タイの129,616人となっており、この7か国・

<地域>が学習者数が10万人以上の国・<地域>となる。

学習者数が1万人以上10万人未満となるのは13か国・

<地域>、1,000人以上1万人未満となるのは33か国・

グラフ1-2-4 各国・<地域>別学習者数の割合

中国26.3%

インドネシア21.9%

オーストラリア7.4%

韓国21.1%

米国 3.9%タイ 3.3%

ベトナム1.2%マレーシア0.8%

その他7.5%

フィリピン0.8%

<台湾>5.9%n=

3,985,669人

<地域>、残りの83か国・<地域>は1,000人に満たない。

 地域的な集中のみならず、各地域における特定国への

集中の度合いも高く、上位3か国の占める割合は69.2%、

5位までで82.5%、10位までで92.5%である。全世界の

集計結果(教育段階別の集計や日本語学習の目的、日本

語教育上の問題点など)については、特に中国、インド

ネシア、韓国の与える影響が大きい。

表1-2-2 各国・<地域>の学習者数・機関数・教師数(2012年度学習者数順位)

2012年順位

2009年順位 国・<地域>

学習者(人) 機関(機関) 教師(人)2012年 2009年 増減率

(%) 2012年 2009年 増減率(%) 2012年 2009年 増減率

(%)1 2 中国 1,046,490 827,171 26.5 1,800 1,708 5.4 16,752 15,613 7.32 3 インドネシア 872,411 716,353 21.8 2,346 1,988 18.0 4,538 4,089 11.03 1 韓国 840,187 964,014 ▲ 12.8 3,914 3,799 3.0 17,817 6,577 170.94 4 オーストラリア 296,672 275,710 7.6 1,401 1,245 12.5 2,685 2,547 5.45 5 <台湾> 233,417 247,641 ▲ 5.7 774 927 ▲ 16.5 3,544 3,938 ▲ 10.06 6 米国 155,939 141,244 10.4 1,449 1,206 20.1 4,270 3,541 20.67 7 タイ 129,616 78,802 64.5 465 377 23.3 1,387 1,240 11.98 8 ベトナム 46,762 44,272 5.6 180 176 2.3 1,528 1,565 ▲ 2.49 11 マレーシア 33,077 22,856 44.7 196 124 58.1 509 388 31.210 12 フィリピン 32,418 22,362 45.0 177 156 13.5 556 422 31.8

本印刷物は、『海外の日本語教育の現状 2012年度日本語教育より』独立行政法人国際交流基金・編(2013年12月1日第1刷 株式会社くろしお出版・発行)から一部抜粋して制作しており、著作権上の保護を受けています。本印刷物の一部あるいは全部について、独立行政法人国際交流基金の許諾を得ずに無断で転写、複製することは禁じられています。

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編集:独立行政法人 国際交流基金〒160-0004東京都新宿区四谷 4-4-1TEL 03-5369-6066(日本語教育支援部)FAX 03-5369-6040

ご購入は、全国の書店・WEBブックショップ・くろしお出版営業部まで。

発行: 〒113-0033東京都文京区本郷3-21-10www.9640.jpTEL 03-5684-3389FAX 03-5684-4762E-mail [email protected]

●『海外の日本語教育の現状』(CD-ROM付)定価 2,000円+税 ISBN978-4-87424-608-5主要結果・地域別に見た日本語教育(29か国の国別分析を含む)・教育段階別の日本語教育を収録。加工可能なエクセル統計資料のCD-ROM付。192ページ。

●『海外の日本語教育の現状 概要』定価 500円+税 ISBN978-4-87424-609-2主要結果の一部と、地域別に見た日本語教育(上位5か国の国別分析を含む)を収録。48ページ。

●『Survey Report on Japanese-Language Education Abroad 2012』定価500円+税 ISBN978-4-87424-610-8『海外の日本語教育の現状 概要』の英語版。48ページ。*なお、WEB上で概要版の公開はいたしません。