Top Banner
57 Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査 1.アンケート調査 1-1.アンケート実施概要 (1)目的 平成 18 年度及び 19 年度に実施した「海外展示・商談活動」及び「常設店舗活 用型輸出促進対策」の効果やニーズを把握し、今後の農林水産物・食品の輸出促 進に向けた支援事業に役立てることを目的とする。 (2)実施時期 平成 21 2 16 ()2 27 () (3)実施方法 ①対象 平成 18 年度及び 19 年度に実施した海外展示・商談活動の出展者 平成 18 年度及び 19 年度に実施した常設店舗活用型輸出対策における地域フ ェアの出品者(県担当者等) ②配布回収方法 郵送配布、郵送回収 配布回収数、回収率 配布数 244 回収数 121 回収率 49.6%
88

Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動...

May 23, 2018

Download

Documents

LêAnh
Welcome message from author
This document is posted to help you gain knowledge. Please leave a comment to let me know what you think about it! Share it to your friends and learn new things together.
Transcript
Page 1: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

57

Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動

及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

1.アンケート調査

1-1.アンケート実施概要

(1)目的

平成 18 年度及び 19 年度に実施した「海外展示・商談活動」及び「常設店舗活

用型輸出促進対策」の効果やニーズを把握し、今後の農林水産物・食品の輸出促

進に向けた支援事業に役立てることを目的とする。

(2)実施時期

平成 21 年 2 月 16 日(月)~2 月 27 日(金)

(3)実施方法

①対象

平成 18年度及び 19 年度に実施した海外展示・商談活動の出展者

平成 18 年度及び 19 年度に実施した常設店舗活用型輸出対策における地域フ

ェアの出品者(県担当者等)

②配布回収方法

郵送配布、郵送回収

③配布回収数、回収率

配布数 244 通

回収数 121 通

回収率 49.6%

Page 2: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

58

1-2.結果概要

(1)回答者の概要

アンケート回答者は、展示・商談会に出展している業者・団体が 121 件中 106

件、また常設店舗に出展している業者・団体は 30件であった。展示・商談会と常

設店舗の両方に出店している業者・団体は 18件であり、出展先不明が 3 件あった

(展示・商談会のみ出展したのは 88 件、常設店舗のみ出展したのは 12 件である。)。

回答者は食品製造業者が約 5割を占める。

(2)成約件数、事業の効果

これまでの展示・商談会に出展したことを契機とする、回答者のアンケート実

施時点での総成約件数は 319 件、展示・商談会あたり平均成約件数は 21.7 件であ

った。ヨーロッパの大きな展示・商談会である「Anuga」、「Sial」では出展者あた

りの平均成約件数が、アジアなど他地域の展示・商談会より多く、日本商品を受

け入れる土壌が育っているものと考えられる。

一方、常設店舗におけるアンケート回答者の総成約件数は 176 件で、総成約件

数の 90%以上が「菓子、飲料(アルコール飲料を含む)、調味料(しょうゆ、味噌、

酢など)」で酒造会社 2 社によるものであり、現地の飲食店等の取引先を増やして

いるものと思われる。常設店舗はアジアを中心に設置されているが、中国には 4

地域に設置され、特に北京、上海での成約件数が多い。

展示・商談会、常設店舗等の事業に参加した効果として、「市場調査・情報収集

ができた」、「企業・ブランドの PR ができた」、「新規顧客開拓ができた」、「販売促

進ができた」が多くあげられている。また、商談以外の効果としては、「国内での

ネットワーク形成をすることができた」が多くあげられている。

(3)今後の取り組み

今後の取組内容については「輸出向商品を開発したい」、「輸出のための国内パ

ートナー(流通業者、運送業者等) を探したい」、「輸出向け取組のための企業内、

団体内体制を充実させたい」と、出展、出品で得られた経験を生かして、次のス

テップに進もうとしている様子がうかがえる。

また、今後進出したい地域としては、中国、東南アジア、ロシアが多くあげら

れている。

(4)事業の反省点、事業の改善点

展示・商談会、常設店舗等事業を活用した際の反省点としては、展示・商談会

の準備や商談の準備が不十分であったことがあげられている。現地で何をすべき

か、現地での対応方法ではどのようなことに留意すべきか、商談時に販売ルート

Page 3: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

59

等を紹介することが必要である、等ということが出展者にはあまり認識されてい

なかったことが伺われる。これらの反省内容については、事前に情報を入手して

対処できることや、準備できることもあるため、モデル的な商談プロセスを示す、

経験者の事例紹介などの情報提供を行っていくことで、ある程度解決できると思

われる。

事業の改善点に関する意見は、国としての体系だった商談成立の支援や戦略の

必要性に集約される。展示会情報の早期のアナウンスや出展機会の拡大、展示ブ

ースや PR 方法の改善、展示・商談会や常設店舗以外での商談のフォローなども、

戦略体系に含まれる。

また、機会提供にとどまらず、輸出に関する海外の情報を収集・提供すること

や、「日本ブランド」としての海外への PR、「日本ブランド」の輸出戦略(価格や開

拓する市場など)が必要という声がある。同様に、輸出相手国の残留農薬基準や衛

生基準等に対して、国内基準の整備や普及、事業者の取り組みの支援等、国とし

て取り組んでほしいとの意見があげられている。

Page 4: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

60

1-3.調査結果

(1)事業実施主体

回答者の事業者内訳は、「食品製造業者」が約 48%と最も多く、次いで「農林水

産物生産者・生産者団体(農協・漁協・林協)」が約 16%、「流通業者と地方公共団

体(地域協議会等を含む)」が 14%と続く。

図Ⅱ-1 回答者の事業者内訳

15.7%

47.9%

14.0%

14.0%

8.3%

農林水産物生産者・生産者団体(農協・漁協・林協)

食品製造業者

流通業者

地方公共団体(地域協議会等を含む)

その他

回答者の事業者内訳〔単数回答〕 (n=121)

Page 5: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

61

(2)「展示・商談会」、「常設店舗」に出展・出品した商品(複数回答)

回答者の出展・出品品目は多い項に、「菓子、飲料(アルコール飲料を含む)、調

味料(しょうゆ、味噌、酢など)」54件、「生鮮農産物、農産物加工品」49 件、「生

鮮・冷凍水産物(切り身を含む)、水産加工品(缶詰など)」35 件、「茶」23 件であ

った。

図Ⅱ-2 回答者の出展品目(のべ)

49

23

6

3

2

35

54

8

1

1

0社 10社 20社 30社 40社 50社 60社

生鮮農産物、農産物加工品

きのこ類

食肉、食肉加工品

牛乳、乳製品

生鮮・冷凍水産物( 切り身を含む) 、水産加工品( 缶詰など)

菓子、飲料( アルコール飲料を含む) 、調味料( しょうゆ、味噌、酢など)

花き( 切花、苗木類( 盆栽を含む))

その他食品

その他設備機器

回答者の出展品目(のべ)〔複数回答〕 (n=121)

Page 6: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

62

(3)展示・商談会事業

①出展した展示・商談会

回答者の出展した展示・商談会は、「FHC2006 中国(上海)」25、「日本食品フ

ェア 2007(Japan Food Fair2007)タイ(バンコク)」23が多い。

常設店舗のみ出展した企業・団体 12、出展先不明 3があり、無回答 15 となっ

た。

図Ⅱ-3 展示・商談会別出展者数

②平均出展件数

展示・商談会への平均出展件数は、1.9 回であり、複数の展示会に出展して

いることが多いと思われる。

表Ⅱ-1 展示・商談会の出展件数

全 体 のべ出展件数 平均出展件数

106 206 1.9

5

12

25

9

15

7

8

7

18

18

10

23

6

14

5

13

11

15

0社 5社 10社 15社 20社 25社 30社

MIFB 2006 マレーシア(クアラルンプール)

SIAL2006 フランス(パリ)

FHC2006上海 中国(上海)

Gulfood 2007 アラブ首長国連邦(ドバイ)

International Restaurant & Food Service Show

of New York 2007 アメリカ(ニューヨーク)

IFE 2007 イギリス(ロンドン)

FHM 2007 マレーシア(クアランプール)

Asia Fruit Logistica 2007 タイ( バンコク)

Anuga 2007 ドイツ(ケルン)

FHC China 2007 中国(上海)

World of Food India 2007 インド(ムンバイ)

日本食品フェア2007(Japan Food Fair2007) タイ

( バンコク)

IPM Essen 2008 ドイツ(エッセン)

SIAL 2008 フランス( パリ)

International Boston Seafood Show 2008

アメリカ合衆国(ボストン)

Gulfood 2008 アラブ首長国連邦(ドバイ)

International Restaurant and Food Service Show

of New York 2008 アメリカ合衆国(ニューヨーク)

展示・商談会の出展なし/不明

展示会別出展者数〔複数回答〕 (n=121)

Page 7: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

63

③展示・商談会における成約件数

展示会別成約件数では、「Anuga 2007 ドイツ(ケルン)」が 73 件と最も多か

った。

図Ⅱ-4 展示・商談会別成約件数

④展示・商談会平均成約件数

展示・商談会 1 回あたりの平均成約件数は、21.7 件である。

表Ⅱ-2 展示・商談会の成約件数

総契約件数 展示会回数 平均成約件数

369 17 21.7

5

44

42

5

21

11

4

2

73

42

4

31

8

34

12

14

17

0件 10件 20件 30件 40件 50件 60件 70件 80件

MIFB 2006 マレーシア(クアラルンプール)

SIAL2006 フランス(パリ)

FHC2006上海 中国(上海)

Gulfood 2007 アラブ首長国連邦(ドバイ)

International Restaurant & Food Service Show

of New York 2007 アメリカ(ニューヨーク)

IFE 2007 イギリス(ロンドン)

FHM 2007 マレーシア(クアランプール)

Asia Fruit Logistica 2007 タイ( バンコク)

Anuga 2007 ドイツ(ケルン)

FHC China 2007 中国(上海)

World of Food India 2007 インド(ムンバイ)

日本食品フェア2007(Japan Food Fair2007) タイ

( バンコク)

IPM Essen 2008 ドイツ(エッセン)

SIAL 2008 フランス( パリ)

International Boston Seafood Show 2008

アメリカ合衆国(ボストン)

Gulfood 2008 アラブ首長国連邦(ドバイ)

International Restaurant and Food Service Show

of New York 2008 アメリカ合衆国(ニューヨーク)

展示会別成約件数〔複数回答〕 (n=106)

Page 8: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

64

⑤展示・商談会別、出展者の平均成約件数

展示・商談会別、出展者の平均成約件数は、「Anuga2007 ドイツ(ケルン)」が

最も多く 4.1 件、次いで「SIAL2006 フランス(パリ)」3.3 件であった。「SIAL2008

フランス(パリ)」も 2.4 件と平均成約件数では 3 番目に多い。EU における大き

な展示・商談会では他の地域に比較して成約率が高く、日本産の商品が受け入

れられやすいといえよう。

この他比較的成約率が高かった展示・商談会として、平均成約件数が 2 件以

上であった展示・商談会は、「International Boston Seafood Show 2008 アメ

リカ合衆国(ボストン)」2.4 件、「FHC China 2007 中国(上海)」2.3 件、「MIFB

2006 マレーシア(クアラルンプール)」2.0 件があげられる。

一方、平均成約件数が 1 件に満たなかったのは、「Gulfood 2007 アラブ首長

国連邦(ドバイ)」0.6、「FHM 2007 マレーシア(クアランプール)」0.5、「Asia

Fruit Logistica 2007 タイ( バンコク))0.3、「World of Food India 2007 イ

ンド(ムンバイ)」0.4 であった。ただ、「Gulfood」は 2008 年開催において 1.1

と成約件数が増加しており、出展商品に左右されるところもあると思われるが

今後に期待したい。

Page 9: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

65

図Ⅱ-5 展示・商談会別 出展者の平均成約件数

2

3.3

1.7

0.6

1.4

1.6

0.5

0.3

4.1

2.3

0.4

1.3

1.3

2.4

2.4

1.1

1.5

0件 1件 2件 3件 4件 5件

MIFB 2006 マレーシア(クアラルンプール)

SIAL2006 フランス(パリ)

FHC2006上海 中国(上海)

Gulfood 2007 アラブ首長国連邦(ドバイ)

International Restaurant & Food Service Show

of New York 2007 アメリカ(ニューヨーク)

IFE 2007 イギリス(ロンドン)

FHM 2007 マレーシア(クアランプール)

Asia Fruit Logistica 2007 タイ( バンコク)

Anuga 2007 ドイツ(ケルン)

FHC China 2007 中国(上海)

World of Food India 2007 インド(ムンバイ)

日本食品フェア2007(Japan Food Fair2007) タイ

( バンコク)

IPM Essen 2008 ドイツ(エッセン)

SIAL 2008 フランス( パリ)

International Boston Seafood Show 2008

アメリカ合衆国(ボストン)

Gulfood 2008 アラブ首長国連邦(ドバイ)

International Restaurant and Food Service Show

of New York 2008 アメリカ合衆国(ニューヨーク)

展示・商談会別、出展者の平均成約件数(展示会別、③/①)

Page 10: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

66

⑤展示・商談会別商品別成約件数

成約件数が最も多かった Anuga 2007ドイツ(ケルン)(73件)には、「茶」35件、

また「生鮮農産物、農産物加工品」13 件が大きく貢献している。

「菓子、飲料( アルコール飲料を含む) 、調味料( しょうゆ、味噌、酢など)」

は、いずれの展示・商談会においても成約しているが、その他の商品は展示会

によって傾向が異なっている。「生鮮農産物、農産物加工品」は、「Anuga」のほ

かは、「FHC 中国(上海)や日本食品フェア 2007(Japan Food Fair2007) タイ( バ

ンコク)」、「International Restaurant and Food Service Show of New York 2008

アメリカ合衆国(ニューヨーク)」などにおいて成約件数が多い。「茶」は、「Anuga

2007 ドイツ(ケルン)」のほか、「SIAL2006」で 13 件、「SIAL 2008」で 11 件成

約している。「生鮮・冷凍水産物( 切り身を含む) 、水産加工品( 缶詰など)」

は、「International Boston Seafood Show 2008 アメリカ合衆国(ボストン)」

12 件の他は、「FHC 中国(上海)」において 2006 年 8件、2007 年 9 件の成約があ

る。「花き」は、花き産業の展示・商談会である「IPM Essen 2008 ドイツ(エ

ッセン)」において、8 件の成約をしている。

なお、「不明」はいずれも、「生鮮農産物、農産物加工品」と「菓子、飲料( ア

ルコール飲料を含む) 、調味料( しょうゆ、味噌、酢など)」の 2 種の商品を出

展しているが、成約したのがどちらの商品かわからないものである。

Page 11: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

67

図Ⅱ-6 展示・商談会別商品別成約件数

1

9

1

2

13

9

6

0

4

9

3

13

2

1

7

3

2

35

1

11

1

2

7

3

4

9

5

12

2

4

29

24

11

8

1

2

21

20

3

14

18

4

2

8

0

13

1

1

1

1

1

0

5

5

3

0件 10件 20件 30件 40件 50件 60件 70件 80件

MIFB 2006 マレーシア(クアラルンプール)

SIAL2006 フランス(パリ)

FHC2006上海 中国(上海)

Gulfood 2007 アラブ首長国連邦(ドバイ)

International Restaurant & Food Service Show

of New York 2007 アメリカ(ニューヨーク)

IFE 2007 イギリス(ロンドン)

FHM 2007 マレーシア(クアランプール)

Asia Fruit Logistica 2007タイ

( バンコク)

Anuga 2007 ドイツ(ケルン)

FHC China 2007 中国(上海)

World of Food India 2007 インド(ムンバイ)

日本食品フェア2007(Japan Food Fair2007) タイ

( バンコク)

IPM Essen 2008 ドイツ(エッセン)

SIAL 2008 フランス( パリ)

International Boston Seafood Show 2008

アメリカ合衆国(ボストン)

Gulfood 2008 アラブ首長国連邦(ドバイ)

International Restaurant and Food Service Show

of New York 2008 アメリカ合衆国(ニューヨーク)

展示会別、商品別、成約件数〔複数回答〕 (n=106)

生鮮農産物、農産物加工品

生鮮・冷凍水産物、水産加工品

菓子、飲料、調味料

不明(生鮮農産物、農産物加工品または菓子、飲料、調味料)

花き

牛乳、乳製品

Page 12: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

68

(2)常設店舗事業

①出品した常設店舗

常設店舗の出品者は、30 社であった。91 件は常設店舗での出品はなかった。

図Ⅱ-7 常設店舗別出品者数

②常設店舗平均出品件数

常設店舗に出品した 30社の平均出品件数は、1.9 件である。

表Ⅱ-3 常設店舗の出品件数

全 体 のべ出品件数 平均出品件数

30 58 1.9

3

3

6

3

6

4

11

7

10

5

91

0社 10社 20社 30社 40社 50社 60社 70社 80社 90社 100社

中国(上海)[ 平成18年度]

中国(天津)[ 平成18年度]

中国(北京)[ 平成19年度]

中国(成都)[ 平成19年度]

香港[ 平成19年度]

台湾( 新竹、中壢)[ 平成18・19 年度]

タイ(バンコク)[ 平成18・19 年度]

マレーシア(クアラルンプール )[ 平成18・19 年度]

シンガポール(シンガポール)[ 平成18・19 年度]

アラブ首長国連邦(ドバイ )[ 平成19年度]

常設店舗の出品なし

店舗別出品者数〔複数回答〕 (n=121)

Page 13: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

69

(3)事業の効果

①最も効果のあった事業

最も効果のあった事業としてあげられている事業は、日本食品フェア

2007(Japan Food Fair2007) タイ( バンコク)13 件、Anuga 2007 ドイツ(ケル

ン)12 件であった。

表Ⅱ-5 最も効果のあった事業

展示・商談会、常設店舗

MIFB 2006マレーシア(クアラルンプール)

SIAL2006フランス(パリ)

FHC2006上海 中国(上海)

Gulfood2007 アラブ首長国連邦(ドバイ)

InternationalRestaurant& FoodServiceShow ofNew York2007 アメリカ(ニューヨーク)

IFE 2007イギリス(ロンドン)

FHM 2007マレーシア(クアランプール)

Asia FruitLogistica2007 タイ(バンコク)

Anuga2007 ドイツ(ケルン)

FHC China2007 中国(上海)

World ofFood India2007 インド(ムンバイ)

日本食品フェア2007(Japan FoodFair2007)タイ( バンコク)

IPM Essen2008 ドイツ(エッセン)

SIAL 2008フランス(パリ)

件数 1 4 6 1 3 1 3 6 12 8 2 13 5 3割合 0.8 3.3 5 0.8 2.5 0.8 2.5 5 9.9 6.6 1.7 10.7 4.1 2.5

展示・商談会、常設店舗

International BostonSeafoodShow 2008アメリカ合衆国(ボストン)

Gulfood2008 アラブ首長国連邦(ドバイ)

InternationalRestaurantand FoodServiceShow ofNew York2008 アメリカ合衆国(ニューヨーク)

中国(上海)[ 平成18年度]

中国(天津)[ 平成18年度]

中国(北京)[ 平成19年度]

中国(成都)[ 平成19年度]

香港[ 平成19年度]

台湾( 新竹、中壢)[平成18・19年度]

タイ(バンコク)[ 平成18・19年度]

マレーシア(クアラルンプール )[ 平成18・19年度]

シンガポール(シンガポール)[ 平成18・19年度]

アラブ首長国連邦(ドバイ )[平成19年度]

無回答 全 体

件数 4 5 3 2 - 2 - 2 - 4 2 6 - 23 121割合 3.3 4.1 2.5 1.7 - 1.7 - 1.7 - 3.3 1.7 5 - 19 100

Page 14: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

70

②効果の内容

事業における効果は、「市場調査・情報収集ができた」が最も多く 66 件、「企

業・ブランドの PR ができた」48 件、「新規顧客開拓ができた」48 件、「販売促

進ができた」47 件が多くあげられている。

図Ⅱ-10 最も効果のあった事業の輸出促進上の効果

「その他」の内容

・現地インポーターと細かいつながりのあった 2 社について、新商品提案等

によりレギュラー取引化が実現、ほか 2 社もそのインポーターとの関係構

築ができた

・従来取引のあった貿易会社との取組ができ、又現地法人と新規取引が始ま

った

・欧州全体に対する交流として非常によい場となった

・2007 年に開催された世界のお茶祭りの出展、参加の勧誘ができた

・近隣各国の既存取引先へのフォロー、販売拡大に繋がった

・輸出用出荷容器を新規作成し拡販に繋がった。市場調査を実施し、従来の

県産農産物販売店舗の販売ルートが明確化されつつある

47

48

21

48

13

1

66

2

21

12

21

4

9

14

0件 10件 20件 30件 40件 50件 60件 70件

販売促進ができた

企業・ブランドのPRができた

新商品のPRができた

新規顧客開拓ができた

新規代理店の発掘ができた

技術提携先の発掘ができた

市場調査・情報収集を実施できた

現地販売・製造拠点設立ができた

既存現地代理店・販売店支援ができた

企業・団体における輸出体制の整備、促進につながった

輸出向け商品の研究・開発の促進につながった

国内でのネットワークを形成することができた

その他

無回答

最も効果のあった海外展示・商談会、常設店舗における輸出促進上の効果〔複数回答〕 (n=121)

Page 15: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

71

・市場性の可能性を感じることができた

・量は尐ないが通年の注文を頂いている

・タイ国の植物検疫、牛乳の許可制度など輸入制度の知見を得た

・成約し、見本市出展後に1年間で20トンの輸出につながった

Page 16: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

72

(4)今後の輸出に向けた取組予定

展示・商談会の出展地域については、「これまで出展した地域の展示・商談会に

参加したい」63 件、「これまで出展した地域以外の展示・商談会に参加したい」

56 件と両者であまり差はなく、うち両者に回答したのは 35 社であった。

また常設店舗においても「これまで出展した地域の常設店舗に参加したい」17

件、「これまで出展した地域以外の常設店舗に参加したい」15件と両者に差はなく、

うち両者に回答したのは 7社であった。

取組内容については「輸出向け商品を開発したい」36 件、「輸出のための国内

パートナー(流通業者、運送業者等)を探したい」29 件、「輸出向け取組のための

企業内、団体内体制を充実させたい」26 件と、出展、出品で得られた情報を生か

して、次のステップに進もうとしている様子がうかがえる。

図Ⅱ-11 今後の輸出向け取り組み予定

63

56

17

15

16

36

29

20

26

9

2

0件 10件 20件 30件 40件 50件 60件 70件

これまで出展した地域の展示・商談会に参加したい

これまで出展した地域以外の展示・商談会に参加したい

これまで出品した地域の常設店舗に参加したい

これまで出品した地域以外の常設店舗に参加したい

これまで出展した商品とは異なる商品を出展したい

輸出向け商品開発を行いたい

輸出のための国内パートナー( 流通業者、運送業者等) を探したい

さらなる情報収集を行いたい

輸出向け取組のための企業内、団体内体制を充実させたい

その他

無回答

今後の輸出向け取り組み予定〔複数回答〕 (n=121)

Page 17: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

73

(5)今後の輸出活動について

①輸出地域

今後輸出が有望と考えている国として、中国 63 件、東南アジア 55 件、ロシ

ア 52 件があげられている。

図Ⅱ-12 今後、輸出が有望と考えている国、地域

63

55

24

36

33

4

2

52

0件 10件 20件 30件 40件 50件 60件 70件

中国

東南アジア

中東

ヨーロッパ

北アメリカ

南アメリカ

アフリカ

ロシア

(n=121)今後、輸出が有望と考えている国について〔複数回答〕

Page 18: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

74

②今後有望と考えている国、商材

「生鮮農産物、農産物加工品」、「生鮮・冷凍水産物(切り身を含む)、水産加

工品(缶詰など)」、「菓子、飲料( アルコール飲料を含む)、調味料( しょうゆ、

味噌、酢など)」は、中国、東南アジア、中東、ヨーロッパ、北アメリカ、南ア

メリカ、アフリカ、ロシアの全ての地域を有望と考えている。他の商品では、

南アメリカ、アフリカを有望とあげているところはない。

図Ⅱ-13 今後輸出が有望と考えている商材と国・地域

16

6

1

4

15

18

25

0

24

3

3

1

1

10

12

1

0

8

3

1

1

4

5

2

0

6

9

6

11

4

0

8

7

1

6

10

0

1

1

2

0

1

0

14

9

3

4

15

2

0

10

0

0

0

0

0

1

1

4

0 10 20 30 40 50 60 70 80

生鮮農産物、農産物加工品

きのこ類

食肉、食肉加工品

牛乳、乳製品

生鮮・冷凍水産物( 切り身を含む) 、水産

加工品( 缶詰など)

菓子、飲料( アルコール飲料を含む) 、調

味料( しょうゆ、味噌、酢など)

花き( 切花、苗木類( 盆栽を含む))

その他食品

その他設備機器

中国 東南アジア 中東 ヨーロッパ 北アメリカ 南アメリカ アフリカ ロシア

(n=121)今後、輸出が有望と考えている国、商材について〔複数回答〕

Page 19: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

75

(6)事業を活用したことによって得られた輸出以外の効果(自由記載)

事業を活用したことによって得られた輸出以外の効果については、国内外での

ネットワーク形成ができたこと、PR ができたこと、また現地情報を直接収集でき

ることなど、各社が今後の輸出に向けてそれぞれ効果を得ている。

自由記載の内容について、以下のような頄目にまとめられた。なお、複数の効

果が記載されているもの、複数の効果とうけとれる記載があり、件数は複数回答

とした。

輸出以外の効果は、展示・商談会および常設店舗に出展・出品した商品によっ

て異なることはなかった。

【輸出以外の効果】

・「国内でのネットワーク形成をすることができた」29 件

・「企業・ブランドの PR が行えた」19 件

・「市場調査・情報収集を実施できた」18 件

・「企業・団体における輸出体制の整備、促進につながった」11 件

・「国外でのネットワーク形成をすることができた」10 件

・「新規顧客が開拓できた」6 件

・「日本製品の PR ができた」5 件

・「輸出向け商品の研究・開発の促進につながった」4 件

・「特になし、無回答」52件

表Ⅱ-6 出展・出品した商品と輸出以外の効果

企業・ブランドのPRが行えた

新規顧客が開拓できた

市場調査・情報収集を実施できた

国外でのネットワーク形成をすることができた

国内でのネットワーク形成をすることができた

企業・団体における輸出体制の整備、促進につながった

輸出向け商品の研究・開発の促進につながった

日本製品のPRができた

特になし、無回答

全 体(回答者数)

19 6 18 10 29 11 4 5 52

生鮮農産物、農産物加工品

8 2 9 3 15 5 2 1 18

茶 4 2 4 1 10 4 2 2 4

きのこ類 1 1 1 - 4 2 - - 1

食肉、食肉加工品

- - 1 - - - 1 - 1

牛乳、乳製品 1 - - - - - - - 1

生鮮・冷凍水産物、水産加工品

5 2 3 3 10 6 - 1 16

菓子、飲料、調味料

8 1 7 6 15 4 - - 24

花き 4 - 1 - - - - 1 3

その他食品 - - - - - - - - 1

その他設備機械等

- - - - - - - - 1

注:回答者が複数の品目の出品を行っている場合があり、回答件数の合計が必ずしも回答者数にはならない。

「展示・商談会

」、

「常設店舗

」に

出展・出品した商品

Page 20: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

76

(7)事業を活用した際の反省点(自由記載)

展示・商談会、常設店舗等事業を活用した際の反省点について、事業に取り組

むことが初めての会社では、展示会出展のために必要な情報を事前に得て、具体

的な対応に結びつけられていないことが推測される。商談の重要性が事務局側か

ら説明されても、そのために準備すべきことは何か、また現地での対応方法では

どのようなことに留意すべきか、商談時に販売ルート等を紹介することが必要で

ある、等ということが出展者にはあまり認識されていなかったことが伺われる。

また、展示・商談会において、商談を行うことを認識していなかったところも、

わずかであるが見受けられた。

これらの反省内容については、事前に情報を入手して対処できることや、準備

できることもあるため、モデル的な商談プロセスを示す、経験者の事例紹介など

の情報提供を行っていくことで、ある程度解決できると思われる。

自由記載の内容について、以下のような頄目にまとめられた。なお、複数の効

果が記載されているもの、複数の効果とうけとれる記載があり、件数は複数回答

とした。

事業を活用した際の反省点は、展示・商談会および常設店舗に出展・出品した

商品によって異なることはなかった。

【事業を活用した際の反省点】

・「展示会へ向けた自社体制、資料、準備の不足」31件

・「販売ルート、物流ルート等、事業化の体制不足」13 件

・「現地での顧客対応が不十分であった」6件

・「出展にかかる経費負担が大きかった」6件

・「その他」14 件

・「特になし、無回答」59件

Page 21: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

77

表Ⅱ-7 出展・出品した商品と事業を活用した際の反省点

現地での顧客対応が不十分であった

展示会へ向けた自社体制、資料、準備の不足

出展にかかる経費負担が大きかった

販売ルート、物流ルート等、事業化の体制不足

その他特になし、無回答

全 体(回答者数)

6 31 6 13 14 59

生鮮農産物、農産物加工品

4 12 3 6 5 23

茶 2 10 1 - 1 9

きのこ類 - 3 1 - - 3

食肉、食肉加工品

- - - 0 1 2

牛乳、乳製品 - 1 - - 1 -

生鮮・冷凍水産物、水産加工品

2 5 1 4 6 19

菓子、飲料、調味料

2 17 3 7 8 21

花き - 1 - - 2 5

その他食品 - - - - - 1

その他設備機械等

- - - - - 1

注:回答者が複数の品目の出品を行っている場合があり、回答件数の合計が必ずしも回答者数にはならない。

「展示・商談会

」、

「常設店舗

」に

出展・出品した商品

Page 22: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

78

(8)農林水産省の輸出促進事業に関して、改善すべきと思われる点

農林水産省の輸出促進事業に関して、改善すべきと思われる点は、概ね以下の

ようにまとめられる。

改善点に関する意見は、国としての体系だった商談成立の支援や戦略の必要性

に集約される。展示会情報の早期のアナウンスや出展機会の拡大、展示ブースや

PR 方法の改善、展示・商談会や常設店舗以外での商談のフォローなども、戦略体

系に含まれる。

「展示・商談会実施内容の改善」では、ブースの広さや設営に関する意見もあ

るが、展示会においての商談活動の支援や、PR なども行うことが期待されている。

また、機会提供にとどまらず、輸出に関する海外の情報を収集・提供すること

や、「日本ブランド」としての海外への PR、「日本ブランド」の輸出戦略(価格や開

拓する市場など)が必要という声がある。同様に、輸出相手国の残留農薬基準や衛

生基準等に対して、国内基準の整備や普及、事業者の取り組みの支援等、国とし

て取り組んでほしいとの意見があげられている。

自由記載の内容について、以下のような頄目にまとめられた。なお、複数の効

果が記載されているもの、複数の効果とうけとれる記載があり、件数は複数回答

とした。

出展・出品品目による輸出促進事業に関しての改善点は、「生鮮農産物、農産物

加工品」で他の品目より「展示・商談会、常設店舗に関する情報開示、募集等の

早期化、改善」を要求する社がやや多かった。展示・商談会、常設店舗などの情

報開示が遅く、応募までに時間がないとの意見が多かったが、開催時期が同じで

あると収穫時期が同じであり、出展・出品する商品が同じになってしまうという

意見もあげられた。

【輸出促進事業に関しての改善点】

・「展示・商談会実施内容の改善」16 件

・「商談のフォロー・サポート、輸出事業の改善」14件

・「展示・商談会、常設店舗の実施方法、運営方法に関する改善」9件

・「日本ブランドとしての活動の強化、促進」9 件

・「展示・商談会、常設店舗に関する情報開示、募集等の早期化、改善」8件

・「参加条件の見直し(拡大)、参加枠の拡大」7 件

・「輸出助成金の実施」7 件

・「政府による輸出環境整備」6 件

・「展示・商談会、常設店舗等にかかわる費用負担の改善」4 件

・「常設店実施内容の改善」4 件

・「満足である」4 件

Page 23: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

79

・「その他」22 件

・「特になし、無回答」53件

Page 24: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

80

表Ⅱ-8 出展・出品した商品と輸出促進事業に関しての改善点

展示・商談会、常設店舗等にかかわる費用負担の改善

展示・商談会実施内容の改善

常設店実施内容の改善

展示・商談会、常設店舗の実施方法、運営方法に関する改善

展示・商談会、常設店舗に関する情報開示、募集等の早期化、改善

商談のフォロー・サポート、輸出事業の改善

参加条件の見直し(拡大)、参加枠の拡大

輸出助成金の実施

日本ブランドとしての活動の強化、促進

政府による輸出環境整備

その他 満足である特になし、無回答

全 体(回答者数)

4 16 4 9 8 14 7 7 9 6 22 4 53

生鮮農産物、農産物加工品

3 8 2 4 7 7 3 4 5 3 11 1 18

茶 3 3 - 1 2 5 - 1 3 2 5 2 3

きのこ類 1 1 - 1 1 1 - 2 1 1 4 - 1

食肉、食肉加工品

- - - 1 1 1 - - - - - - 1

牛乳、乳製品 - - - - - 1 - - - - - - 1

生鮮・冷凍水産物、水産加工品

1 5 1 1 2 2 1 2 2 1 5 1 18

菓子、飲料、調味料

1 11 3 5 3 4 4 4 4 3 11 3 21

花き - 1 - 1 - - - 2 - - 1 - 5

その他食品 - - - - - - - - - - - - 1

その他設備機械等

- - - - - - - - - - - - 1

注:回答者が複数の品目の出品を行っている場合があり、回答件数の合計が必ずしも回答者数にはならない。

「展示・商談会

」、

「常設店舗

」に

出展・出品した商品

82

Page 25: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

81

2.聞き取り調査

2-1. 実施概要

(1)目的

海外展示・商談活動および常設店舗活用型輸出対策に関して、商品タイプ別の成

功、失敗事例について、個別具体的な事例収集を行うとともに、その成功要因、失

敗要因について、整理・分析・類型化を行う。

(2)実施方法

①対象

下記出展者、出品者のうち、各事業の運営事務局より推薦をうけた事業者で、

出展・出品事業と品目で偏りのないように選定し、聞き取り調査の対応を了承い

ただけた事業者。

・ 平成18年度及び19年度に実施した海外展示・商談活動の出展者

なお、上記出展者のうち、自治体関係者を除いた。

②事業者数

26事業者

③選定方法

これまでの事業の運営事務局から推薦された企業のうち展示商談会の出展者

で自治体以外について、出展品目と出展エリアを整理したところ、以下のような

分布であった。

この出展品目と出展エリアの分布を参考に、優先項位を決めてインタビュー依

頼を行い、26 社の企業より協力を得られた。

表Ⅱ-9 インタビュー候補者の出展品目と出展エリア

注:上記件数には、同一事業者の複数国出展も含む

米国 欧州 中東 ASEAN 中国 インド 計1 生鮮農産物、農産物加工品 2 5 1 82 茶 2 3 1 1 2 94 食肉、食肉加工品 1 1 26 生鮮・冷凍水産物、水産加工品 8 2 4 3 2 1 20

7菓子、飲料(アルコール飲料含む)、水産加工品(缶詰など)

2 7 1 3 4 4 21

8 花き 3 39 その他 1 1

計 13 16 9 12 9 5 64

品目出展エリア

Page 26: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

82

2-2.結果概要

(1)回答者の概要

回答者の出展品目および回答業者数は以下のとおりであった。

品目 業者数 事例番号

生鮮農産物、農産物加工品 3 事例 1~事例 3

茶 5 事例 5~事例 8

生鮮・冷凍水産物(切り身を含む)、水産加工品

(缶詰など) 7 事例 9~事例 15

菓子、飲料(アルコール飲料含む)、調味料(味噌、

しょうゆ、酢など) 6 事例 16~事例 21

花き(切花、苗木類(盆栽を含む)) 2 事例 22~事例 23

その他 2 事例 24~事例 26

(2)商品タイプ別の成功、失敗事例

商品タイプは、大きく生鮮品と製造加工品に分けられ、またその中でもそれぞれ

品目によって検疫、通関制度、輸送面でのコールドチェーンや輸送時間などでハー

ドルが異なっている。

商品タイプ別の課題としては、温度管理が重要な生鮮品、製造加工品等は、展示・

商談会の出展、また実際の輸出の際の輸送において、コールドチェーンが整ってい

ない場合もあり、またコストもかかることが挙げられる。

成功事例、失敗事例に関しては、インタビューにおいては、明らかな失敗事例と

いうものはなかった。

例えば、商談を行う場合にはディストリビュータの存在が必要であることを知ら

なかったという例、また名刺交換ばかりしており、どの相手が重要な商談相手かが

帰国後わからなかったという例など、初めて出展した際に事前の情報や準備が不足

していたため、思うような成果が得られなかったという例はあるが、失敗というよ

りも経験を生かして次のステップにつなげていく積極的な姿勢の企業が多かった。

ディストリビュータがいなかったという企業では、展示・商談会で探したという例

があり、また、商談が成立しなかったことについても、タイミングや条件が折り合

わなかったというように捉えられていた。

これらの事例については、商談成立のために何が必要かという情報を共有化した

上で、各社なりの出展目的と戦略を持って展示・商談会に臨むことで、解決ができ

るものと思われる。情報共有の方法としては、出展者の経験を集めた資料収集・提

供やサイトの立ち上げ、また出展経験者の講演会の開催、輸出に関心のある人々の

交流会の開催などが考えられる。

展示・商談会の有効活用ができたかどうかについては、商品タイプというより、

Page 27: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

83

輸出経験の違いによるところが大きい。特に、本事業で初めて輸出事業を行う企業

にとっては、展示会準備から現地での設営、また商談を行うために事前に用意する

べきこと、展示・商談戦略、商談の進め方など、事前知識、準備がなく、準備、現

場、帰国後それぞれの段階の課題に都度ぶつかるという状況がある。

聞き取り調査の対象企業は、各展示・商談会の運営事務局の推薦もあり、輸出活

動に積極的な企業が多く、自ら課題を克服、また克服できる企業であったが、対象

とならなかった企業にとっては費用対効果もあるだろうが、それらの課題が輸出事

業を躊躇する材料になっている可能性もある。また、今後新規に輸出に取り組もう

とする企業にとって、各段階の課題をできるだけ取り除く努力をすることが肝要で

ある。

(2)事業の効果、意義について

本事業の直接的な目に見える効果は成約件数であるが、それ以外にも輸出事業に

取り組むことで、社内の活性化や国内外への PR、ネットワークの拡大などの効果

があり、事業の活性化につながっている。当然ながら、すぐに成約につながらなく

とも、輸出拡大の機会となっており、聞き取り調査を行った全ての対象者が継続を

望んでいる。

本事業は、新たに海外進出する企業への機会提供という役割だけでなく、これま

で輸出事業を行っている企業にとっても、直接現地の情報収集をすることや新たな

取引ルートの開拓、また現地の取引先の販路拡大や営業サポートができることで、

輸出拡大の有効な手段となっている。

他国の例を見ても、展示・商談会活動は継続的に行われており、また聞き取り調

査においても継続して出展することで商談成立につながった例もある。

また、ジャパンパビリオンとして出展する効果として、日本としての注目度、イ

メージを伝達できることがあげられており、ジャパンパビリオンの継続出展が求め

られている。

以下では、輸出事業をジャパンブースの出展・商談会を継続していくことを前提

に、改善が求められている事頄について聞き取り調査の結果を整理する。

(3)展示・商談会活動の改善について

①展示・商談会の公募

展示・商談会の公募時期から実際の開催時期までに期間が短く、様々な情報収

集や戦略立案のための時間がないことや、企業が大きくなると予算確保や稟議に

時間を要するなど、企業内での手続き等の負担もある。商材によって出展したい

主要な展示・商談会があり、それらについては毎回出展していくことが望ましい。

Page 28: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

84

②出展費用について

展示・商談会への出展にあたっては、応募、選定の手続きがあり、選定方法に

ついての意見はないが、予算の関係での出展企業数が決まるのであれば、ブース

代をある程度負担しても出展機会を増やしてほしいという意見があった。また、

無料であると、あまり準備をせずにとりあえず応募、出展してみるという企業も

あり、費用対効果を十分に検討して出展したい企業に枠を提供するのであれば、

ある程度の額を企業が負担することも必要ではないか、という意見もあった。

一方、小規模な企業からは、サンプル輸送や備品調達、社員の旅費やホテル代、

人件費などの捻出も負担であることから、ブース代の補助はありがたく、これま

でと同様に全額ブース代が無料であることが望まれている。

また、サンプル輸送について、ドバイでの展示・商談会で、費用が高額となっ

たとのことで業者から不満があげられていたが、事務局側からの説明が不足して

いたため、納得できないものとなったと考えられる。

③事務局の役割について

出展にあたり、事務局の事前説明がなされているが、サンプル輸送に関する税

関などへの対応等の情報提供や、商談につながる現地の情報収集および提供、ま

たブースの設営に関する備品の調達や、ホテルの情報など、事務局によってはも

ともと各参加者の自己責任において行うことであるとして、サポートがない場合

もあるようであり、事務局による対応の違いが見られる。

取引先や商談に関する情報提供やフォローについての JETRO の評判はよく、

現地ならびに国内における各出展者の JETRO とのつながりは出展効果として

もあげる出展者が複数あった。また、展示会は試食会や PR で終わるのではなく、

商談に結びつけなくてはならないという意味から、事務局の役割は現地でのパビ

リオン設営、運営などのイベントも重要だが、それと商談成立のしかけが一致し

ていることが望まれている。

一方、パビリオン設営、イベントについては、事務局を担う業者の中にも専門

業者がおり、その業者が担当した展示・商談会でのそれは評価されている。また、

サンプル輸送では、輸送専門業者の情報と輸送ルートを利用することができるメ

リットがある。ただし、それらの専門業者の商談に関する出展者への支援につい

ては、評価が分かれるところである。

聞き取り調査では、展示・商談会以後のフォローも必要という声があり、また

各展示・商談会が点として終わっており、面的なつながりがないという指摘もあ

った。輸出のトライアルについても、サンプル送付をある程度まとめて行っても

らえると助かるという意見もあった。

現在の事務局は、事務局の様々な役割のうちの一部の専門家であり、出展者の

Page 29: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

85

ニーズを 1 社で全て担う、また個々の出展・商談会を独立して実施するのは限界

があるものと思われる。

④パビリオンについて

ジャパンパビリオンについては、日本のイメージを伝えること、また商談につ

なげることを重視して、各事務局も工夫しているところである。

商談スペースの狭いことが指摘される例もあるが、商談スペースを設けても、

出展者の内輪のスペースになってしまう、重要な商談は場所を変えて行うなどと

いう意見もあった。また商談スペースがブースから離れると、尐人数で運営して

いる出展者は困るという意見もあった。

展示・商談会への来場者が、商談相手となる業者ではなく、一般市民の試食や

試飲ばかりで商談に結びつかないことを懸念する声もあるが、試食や試飲で現地

の反応を見て輸出商品を検討する例もあり、企業の戦略もあることから、一概に

一般市民の試食や試飲についてよくないとはいえない。ただ、展示・商談会の入

場者がどのような層が多いのか、出展者がどのように試食試飲を行うかなどの情

報は、展示・商談会に臨む戦略にとって重要であるため、運営事務局による情報

収集、出展者への情報提供が必要である。

また、パビリオンのイベントについて、取引先を招待して商談につながるイベ

ントの実施、出展業者のそれぞれの商品が日本食でどのように使用されているも

のかがわかる、日本食の提示などが期待されている。

⑤商談、取引について

現地での商談、取引には、あらかじめディストリビュータを探しておくこと、

またディストリビュータの存在が重要であることは、どの業者も指摘していると

ころである。出展して、商談をして取引先を聞かれ、初めてディストリビュータ

の存在が重要であることを認識する例もある。一方、現地でディストリビュータ

を探すという例もあり、企業の戦略によるところから、一概に必ずディストリビ

ュータが必要とは言えない。しかし、尐なくとも事前に、商談の進め方について

の情報は、事務局などから提供することが必要であろう。

また、日本から商品を輸出するとなると、輸送料や関税がかかり、どうしても

商品価格が高額となってしまうことから、富裕者層をターゲットとせざるを得な

いとの意見が多かった。また、価値を認めてもらえる層、また卸売業者に一定ロ

ット以上販売することを戦略としている企業が多い。

取引の成約不成約については、価格とともに、支払い条件も大きな要素であり、

中国では回収でない例もあるという。回収できないリスクのあるところでは、直

接輸出を行うのではなく、当該商品だけに注力はしてもらえないが、国内商社を

Page 30: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

86

窓口にするという企業がある。その場合でも、需要拡大のため展示・商談会を現

地訪問の機会としたいとの要望は複数ある。

⑥常設店舗について

常設店舗に出品している事業者からは、常設店舗の事務局も商談の支援をして

ほしいとの意見があった。対応が事務局によって異なっており、現地業者に委託

してフォローがないところもあるとのことである。

展示・商談会に出展する方が、自ら情報収集や商談活動ができることから、商

品を展示しておくだけであるなら、常設店舗に出品する効果はないであろうこと、

また常設店舗には出品しないとの意見があった。

しかし、常設店舗に出展している業者からは、企業が小さく、展示・商談会に

出展するのは費用負担が大きいため、商品を展示できる常設店舗は継続してほし

いとの意見があった。

また、常設店舗は現地の店舗の一部のスペースを借りるものであるが、東京に

ある各県の店舗のように、ジャパンブランドの店舗を持ち、日本人が店舗運営を

行うことを検討しても良い時期ではないかとの意見もあった。

⑥必要な国・自治体の支援策

生鮮品については、輸出相手国の検疫に関する障壁のハードルを低くする交渉

を政府に行ってほしいとの意見があった。例えば、日本の認証が、輸出相手国の

レギュレーションをクリアするために必要な一定レベルにあることなどを、厚生

労働省と農林水産省と協力して相手国と交渉することが期待されている。

また、税関などの手続きについても、国内の関係省庁が協力して相手国と交渉

し、簡素化を図ることなどが期待されている。

聞き取り調査の対象者からは、県や地域の JETRO 事務局が、輸出に関する研

究会や出展経験者の講演会を実施するなどの情報共有を行っている例がきかれ

た。それらの情報共有が、県や地域単位で行われることも重要であるが、地域格

差が生じないよう全国レベルでも行われること、また全国レベルでの情報提供を

企画、実施する主体があることが望ましい。

Page 31: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

87

2-3.調査結果

(1)個別結果

以下、個別の調査結果について記載する。

■事例 1 (生鮮農産物、農産物加工品)

輸出事業への取り組み経験

3~4 年程度以前から海外に目を向けてきた。果実の生産者組合の立場から PR

を行なっている。卸売市場、一部を国内の輸出商社に出荷しており、自ら直接輸

出はしていない。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

○来場者とのコミュニケーション

以前、タイの展示商談会に出展した際は、通訳対応者がたまたま不在で、来客

に対応できないという問題があった。ガルフードでは県のブースに参加し、県が

専任で通訳を雇ったため、来客とのコミュニケーション上の問題はなかった。

○出展物の輸送コスト

ガルフードで開催した際の輸送コストが高かった。展示会運営事務局に検疫も含

めて全て任せた。タイの展示会では、展示会運営事務局が現地の店舗とつながりが

あり、輸出実績もあったため、その便に一緒に載せてもらうことで輸送コストを安

く抑えることができた。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

②取引に結びつかなかった事例

ドバイでは、来場者からは味は評価してもらったが、価格を伝えると驚かれた。

当組合では、品質に強いこだわりを持ち、栽培方法も特別にしているため、価格

は高くならざるを得ない。特に海外であると輸送コストもかかるため、日本の店

頭よりもさらに高い価格になる。ターゲットがかなり限定されると実感した。

ドバイの日本料理店でも、この価格では受け入れにくいという評価であった。

ただ、下級グレードのものを安く仕入れてカットし、お客さんに提供するなら、

大丈夫であろうという話になった。

(3)事業の効果

メロックスメロンの品質の高さを、世界各地に情報発信することができた。

また、日本産、あるいは外国産の農産物の現状を見ることができた。

(4)展示・商談会活動の改善について

展示会から帰国後、現地から問い合わせの電話が数本入ったが、組合のスタッ

Page 32: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

88

フ全員が英語を話せないため、対応できなかった事は、今後、要改善である。

(5)必要な国・自治体の支援策

- 農林水産省または県が、展示会後に現地からの問い合わせ窓口としてサポート

してもらえるとありがたい。

(6)その他

Page 33: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

89

■事例2 (生鮮農産物、農産物加工品)

輸出事業への取り組み経験

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

全てが初めてだったため、苦労をした。展示会へのサンプルの持ち込みでは、

柑橘類は通常燻蒸処理が厳しいので、燻蒸処理を受けたが、検疫は受けなくても

大丈夫であったり、展示会の外には持ち出さないでという指示があったが特にチ

ェックはなかったりと、事務局に聞いても検疫官に聞いてもわからず、話が二転

三転し、対応に苦慮した。

生鮮品にとっては送料がネックとなる。直行便の運賃が変わらないと輸出は難

しい。

展示会という性質上だと思うが、税関でとまる時間が長く、展示会の 3 日前

に着くようにした野菜がしなびていた。(生産者から 3 日で届けられるとよい。)

輸出するのには保冷をしなくてはならず、尐量ロットだと保冷剤に費用がかか

り、また商品の価格に上乗せするとさらに商品が高額となる。ロットは最低

100kg(2000 円/kg)で、それだけの費用をかけて生鮮品を運ぶ意義があまり見出

せなかった。(購入する側も同様)

現地の野菜は安価であった。輸入品でも中国のりんごは 1 個 300 円以下であ

るのに、日本のりんごは 3,000 円もしていた。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

②取引に結びつかなかった事例

(3)事業の効果、意義について

出展したという事実による、国内の反響が大きかった。

輸出に取り組んでいる農家、ディストリビューター、エクスポーターなど、輸

出しようと思えば実施できるネットワークができた。

(4)展示・商談会活動の改善について

初心者だったので、事前に展示会運営事務局からアドバイスをもらいたかっ

た。商社とのマッチングや商談の支援など、それぞれの出展会社にあわせた支援

があってもよかったのではないか。

ブースが狭かった。韓国の 1/3 程度のイメージだった。お客様も立ち止まれな

いし、商談スペースもなく、ブースでお客さんと話ができなかった。広いブース

Page 34: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

90

を借りて一部助成でもよかったのではないか。

日本ブースで出展することについては、事務局業務だけでも自社だけで出展す

る負担がなくなるので、ありがたい。ブースの有料化も可と考える。

日本ブースで、日本の出展者が集まるのはイメージが伝わりやすいので、よい

と思う。ただ、日本全体で業者が多すぎて、何を売りたいのかわからなかった(す

し関係 2 件、冷凍食品 2 件、くだもの 2 件)。

ブースが狭いのでごみごみしており、イベントの雰囲気であった。イベントス

ペースはあってもよいが、奥はゆったりと商談ができるスペースがあるとよかっ

た。

輸出の機会となるので、展示会は続けてほしいと思う。大規模な支援が欲しい。

スペースを広くとり、出展者も多く集めるとよいと思う。

輸出までに必要な税関や検疫、エキスポーターが必要など、一連の流れをモデ

ルケースとして説明をしてもらえると、経験のない人でも取り組みやすくなるの

ではないかと思う。いいものを持っているのだが、それ以上のことをしたい人た

ちへの情報提供をしていただきたい。

運営事務局は輸送のプロだが、輸出については A 社が入ったほうが良いので

はないかと思う。展示会事務局が点で終わる仕組みになっている。

(5)必要な国・自治体の支援策

輸出に関して、国や自治体でセミナーをやっているという情報が伝わってこな

い。事業主だけでなく、初級者や若い人向けにも情報提供があったらよい。

(6)その他

本事業ではないが、新聞社のドバイツアーに参加し、市場や日本食レストラン、

フラワーセンター、商品保管場所などを見学し、また小売店トップの人に農家

10 人くらいで商品をプレゼンして、ドバイに輸出できるかどうかのコメントを

もらう機会があり、ドバイの市場調査ができた。

イチゴは、レバノンのイチゴがおいしいため、あまり評価されていなかった。

中東地域では、日本の果物がおいしいという認識はないようだ。

Page 35: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

91

■事例3 (生鮮農産物、農産物加工品)

輸出事業への取り組み経験

輸出を考え始めてから 7~8 年たつ。貿易会社を通じて輸出をしている。市場開拓したい

地域には、自分たちで直接出展をしようと考えた。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

プレゼンをわかりやすくすることに留意した。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

マレーシアの百貨店で、家庭用商品の商談が成立した。

②取引に結びつかなかった事例

(3)事業の効果、意義について

(4)展示・商談会活動の改善について

出展前にディストリビューターを決めなくてはならないとか、販売ロットをどうする

か、現地の商談はどうつなげるか、等についてのアドバイスがあるとよい。

東京にある、県の店舗のような日本商品を出す店をやってもらえるとよい。日本の駐

在員の家族がどこで購入できるのか、といわれる。常設店舗ではなく、日本で店を出す

時期に来ているのではないか。

輸送については、展示会運営事務局によっては、コンテナを仕立てると安く商品を輸

送できるが、ビジネスよりは出展のフォローをしてほしい。運営事務局は旅行代理店の

現地対応はしてくれているが、出展者はビジネスに行き、実績をつくっていきたいのに、

フォローの仕方が違うのではないか。運送会社に 50 万円支払うのは、1t サンプルを出

すのと同じであり、負担は同じでも効果は異なる。

(5)必要な国・自治体の支援策

(6)その他

海外の食習慣などのインフォメーションがあるとよい。現地についての情報、データ

があると助かる。

お金の回収は問題である。契約書が日本の様式と異なる。

中東ではハラルなどにも気をつけなくてはならない。

ディストリビューターとコストが課題である。コストは政策的に価格を出さなくては

ならない。

コールドチェーンの整備が必要である。中国は近くてよいが、アメリカや EU はコー

Page 36: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

92

ルドチェーンがないと輸出ができない。

物流については、小口のコールドチェーンがないことが課題である。日本の企業が共

同で、トライアルでコンテナに商品をつめて持っていってはどうか。20 フィートハー

フの冷凍コンテナと空輸とではコストは変わらない。

Page 37: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

93

■事例4 (茶)

輸出事業への取り組み経験

ディストリビューターを通じて各国に輸出をしている。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

マレーシアの FHM2007 には、2006 年の出展の際にみつけたディストリビュ

ーターとともに参加した。試飲の数は多かったが、ビジネスにはつながらなかっ

た。試飲数が多くて人気があっても、買うこととは別問題であり、物価水準から

みても、現時点で有望な市場ではなかった。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

当初、東アジアは距離も近く販売しやすいと考え、香港、台湾、中国と取引を

進めた。香港は物価水準が高く、農業国ではないこと、また日本への関心が高い

ことから、販売しやすかった。

②取引に結びつかなかった事例

台湾は所得水準がやや低く自国のお茶文化があることなどから、最も求められ

ることは安さなので、当社の目指す市場がなかった。

また、中国は百貨店との話があったが、取引条件が合わず、成約には至らなか

った。中国も自国のお茶の文化があること、現地で販売されている中国産緑茶と

価格が何倍も違うことがネックとなった。

(3)事業の効果、意義について

新規顧客の開拓のほか、現地の市場の特性について情報収集ができた。

出展して他の出展事業者と顔見知りになることで、新たな取引につながることが

あった。また、展示会終了後かなり時間が経過して、問い合わせが入ることもある。

(4)展示・商談会活動の改善について

展示会運営事務局は受託事業者によって展示会のジャパンブースの取り組み

方が違うと思う。予算にもよるが、広告・宣伝、運営方法を含めて、非常に熱心

な担当者もいれば、複数の出展社との調整役に向いていないような方もいた。

大使館や領事館でのイベントもあるが、今のところビジネスにはつながっていな

い。

インターネットで産品の情報を流す方がよりビジネスにつながるのではないか。

受託事業者がサイトを立ち上げるなど、効果的な方法があると思う。

(5)必要な国・自治体の支援策

お茶の輸出に関する最大の問題は、残留農薬基準である。特に、EU の基準値

が厳しい。お茶の残留農薬に関する基準値について、日本と欧州の間で歩み寄っ

Page 38: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

94

て、独自の基準値を設定できないか。

(6)その他

過去永年に渡り輸出を行なってきた同業者とは異なる視点で、品質の高い日本

のお茶を理解してもらえる現地事業者と取引するようにしている。

欧州では、業者のみが来場する SIAL と一般の人も来場する SIA の両方に参

加したが、一般の人も来場する展示会に参加すると得られるものも多い。一般の

人も来場できる展示会を対象にしていくのも、販促の上では好ましいと思う。

Page 39: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

95

■事例5 (茶)

輸出事業への取り組み経験

スポット的に尐量輸出はしてきたが、本格的に輸出事業を始めたのは 3 年程度以

前である。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

パッケージを現地の言語にし、各国の規制に対応した表示シールをつけてい

る。日本で販売している商品をそのままで販売するものと、形状を変えて販売す

るものとの両方がある。

輸入する側から見ると、日本からの輸入なので日本独自のものであることが売り

になると思う。レストラン向け(業務用)とスーパーやデパート向け(小売用)で

は、販売単位とパッケージを変えている。輸出向けにパッケージデザインをしたブ

ランドがあり、成分や飲み方をパッケージに表示している。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

・取引成立のための具体的な取り組み、作業

日本茶は高額であり、差別化を図れないと購入してもらえない。EU では緑茶

は中国から購入するのが当たり前になっているが、日本茶と中国茶では製法が異

なる。

業務用の価格を安価に抑えたい。安く出したつもりでも、中国茶の数倍以上の

価格である。日本食レストランといいつつ、日本人以外の経営者が多く、なかな

か日本の緑茶を使ってもらえない。

スティック粉末の緑茶を企画、販売した。栄養が取れ、茶殻のごみが出ないと

好評である。日本でおいしいと思っても、海外では好みに合わないこともあり、

展示会などの海外で試飲をしてもらい、意見を聞いて商品開発に生かしている。

・成約のポイント

成約のポイントは、タイミングやフォローがよいことである。残留農薬の資料

の用意、見積もりが迅速に出来る、サンプルを出すなど、対応のスピードが大切

である。展示会で興味を持ってもらったのに、早く対応しないと機会を逃す。

・取引に結びつける上での障害(現地の商慣行など)

ディストリビューターがいないことが、成約のネックとなる。展示会で「どこ

で購入できるか」と聞かれても販売できない。量をまとめないと、輸出効果はな

い。代理店があってその場で商談が出来ればよいが、必ずしもいない場合もある。

流通が確立していない場所、小売と業務用との棲み分けができていないなどとい

うところでは、取引先の選定に苦労をする。

Page 40: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

96

・取引成立のポイント、障害の克服方法

上記解決方法としては、パートナーをしっかり選ぶことが重要である。パート

ナーが試飲キャンペーンを行える、営業部隊がある、緑茶販売に予算がつけられ

るなど、余裕があることが重要である。

輸出すると、高いものは小売価格で日本市場での 3~4 倍になる。かといって

質を落とすと日本茶としてよいものではなくなる。輸出コストがかかっても、相

手が購入したくなる商品を作らなくてはならない。

海外では、苦味や渋みは理解されないため、市場にあった商品をつくらないと

取引は成約しない。

②取引に結びつかなかった事例

・取引が成立しなかった理由

タイミングと価格が課題である。品質的には悪くないが、関税で商品価格が3

~4 倍になる。高級でなくても舶来物として販売するなど、イメージ戦略が必要

である。

(3)事業の効果

直接オーダーに結びつき、チャネルも見つかった。台湾では代理店が見つかった。

シアルではアフターフォローミーティングがあり、A社の支援が大きかった。

A社が展示会運営事務局であったが、出展事務手続きをしてもらえるために負担

が軽くなる。また現地の情報ももらえるので助かる上、担当者にフォローもして

もらえる。

輸出していることが、海外でも売れるという自信につながっている。海外から

評価してもらえることもうれしい。成田ではお土産に購入する外人も多い。

(4)展示・商談会活動の改善について

展示会ではブースのベースが出来ているのでありがたい。出展するには出展料

のほか、渡航費、宿泊費、サンプル輸送料などがかかるため、出展料無料はあり

がたい。有料であると、かなりの売り上げが見込まれないと難しい。500 円程度

のものを 1 つずつ販売するのが現実である。日本パビリオンに出展する人はこ

れからも多いと思われるが、単価が安い商品も多いので、補助は手厚いほうがあ

りがたい。

ブースのデザインは、日本らしくてよいが、物産展的になりがちである。ヨー

ロッパはおしゃれである。扱う商品が農産物だと物産展的になるのかもしれない

し、ブース内の出展者の責任もあるが、ショーケースの使い方などを工夫しては

どうか。例えばドイツのブースでは無料のレストランがあり、そこが商談スペー

スとなっている。もっとも、予算がないとできないのかもしれない。

本事業は是非続けてほしい。結果は必ずしも大きな数字にならないかもしれない

Page 41: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

97

が、食料自給率を高めよう、輸入を尐なくしようという方向にあるので、輸出は意

味がある。

(5)必要な国・自治体の支援策

ジャパンブランド、「おいしい」キャンペーンは商工会議所などでもいろいろ

と取り組んでいる。日本には美味しい、いい商品がたくさんある。各企業に任せ

るだけでなく、戦略でまとまって取り組んでいくとよい。よい文化があるし、安

全などもアピールポイントはある。時間はかかると思うが、続けていくことが重

要である。

(6)その他

Page 42: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

98

■事例6 (茶)

輸出事業への取り組み経験

以前から、商社を通じて輸出を行なっている。アジアは近いので、自分で輸出

をしようと考えた。

(1) 出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

展示会場は、様々な人が集まり、とりとめない感じがした。名刺交換で終わる

ところが多く、名刺が多くたまる。

代理店、ディストリビューターを見つけることが大変である。当初、ディスト

リビューターがおらず、試飲をしていただいても、どこで購入できるのかと聞か

れて答えられなかった。他の出展者は現地に工場を持っていたり、現地法人があ

ったり、ディストリビューターをもっていた。出展する際に、事務局から言って

もらえればよかった。しかし結果、その展示会をきっかけに、自分で協力会社を

みつけて、現在も取引を続けている。

レギュレーションに関しても、協力会社と共に勉強した。香港はよいが、中国

は法律が異なる。何年も前にレギュレーションをクリアしている会社はすばらし

いと思う。

常設店舗はB社が全品買取をし、担当者が現地に行っており、フォローがすば

らしい。B社が運営事務局であれば出展したい。一方、C社は現地企業に任せて

いたので、商品代金がすべて回収できず、のぼり旗や茶器セットなどの備品も紛

失してしまったという状況である。

(2) 成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

海外では、商品の価格が高いといわれる。輸出品は関税や運賃がかかるので、

高額になるのは仕方がない。むしろ贈答用など高いものを持っていったほうがよ

い。ただ、贈答用はデイリーで普及しないと使ってもらえない。このため現地で

試飲などをして普及に努力をしている。

日本から行って、営業のサポートや指導、情報交換をしている。

日本茶は、中国のデイリーのお茶に比べると高いので、価格が高いことについ

て、理解できない人には理解できない。「高品質だったら高くても買う」という

考えは通用するので、いいものとして認められることが重要である。パイは今小

さいが、やらないよりやったほうがよい。

②取引に結びつかなかった事例

Page 43: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

99

(3)事業の効果

考え方がグローバルになる。これからはグローバルでないといけない。

(4)展示・商談会活動の改善について

展示会は、会社にとって魅力のある場所、内容であれば出展したい。せっかく

の機会なので、一生懸命取り組むためには、複数の人間で展示会に行きたい。渡

航費と宿泊費などを考えると、出展は無料であるとありがたい。費用対効果で考

える必要がある。

常設店は、終了前にバイヤーを紹介していただいたり、商談会を設けてもらえ

るとうれしい。

中国に特化しているので、今後、中国で常設店舗の予定があるのなら、出展し

たい。

(5)必要な国・自治体の支援策

県は、お茶を重要産品にしているが、輸出の補助制度は現在ない。

補助金があればできるのに、と思うことは多々ある。毎月でも現地に行って販

売をフォローしたいが、限度がある。

(6)その他

Page 44: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

100

■事例7 (茶)

輸出事業への取り組み経験

8年程以前から、海外の個人の輸入商と取引をしている。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

IFE にはじめ出展した際は、日本のかっこよさ(cool)を出そうとした。ブース

は 3m×4m くらいであったが、雛人形や茶道の御園棚を持って行った。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

営業をすることが取引成立のポイントである。事前レクチャーでもそのような

話があった。1 日 80 人と話をして 20 件名刺交換しても、取引の話のできる客は

2~3 件である。残りは売り込みや広告業者が多い。サンプルを送付するのは 10

~15 件で、事後にメールで見積もりを送るなど商談をして 3~4 件取引が決まる

という流れである。1 つの展示会で、2~3 件取引が決まればよいと思う。

取引の障害は特にない。EU は残留農薬の基準があるが、基準に合致している

商品を持っていっている。

中国では、高級店で販売する商品を出しており、採算が合えば取引に応じてい

る。支払いも請求して振り込む方法だが、これまでトラブルはない。

②取引に結びつかなかった事例

相手のニーズと合わないことが原因で、本格的交渉で決まらなかったことはな

い。残留農薬検査で輸出できないケースが一番多いであろう。

(3)事業の効果

取引先が増えた。展示会に出た実績が PR につながっており、また海外での苦労

を考えると、国内の営業がやりやすいと思える。

(4)展示・商談会活動の改善について

アヌーガ、シアルなどの大きい展示会に出展したい。10 引き合いがあれば、

そのうち 2 つくらいは大きい取引である可能性があり、なるべく多くの商談を

持ちたい。

ブースは豪華でなくてもよいので、なるべくたくさんの展示会に出展したい。

同じ予算でも、ブースは簡素でよいので、多くの業者が出られるようにしてほし

い。有料であっても、枠があれば出展したい。普通に出展して 50~60 万円程度

かかるのが 20 万円で出展できるのではあれば、躊躇なく出る。今は無料なので

多くの企業が応募するが、有料の方が真剣に取り組もうとする企業が応募するの

でよいのではないか。国の方針があるので、それに従うが、課金するのであれば、

過去の出展や、企業規模で差を設けるのではなく、一律がよい。

Page 45: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

101

日本ブースで出展すると、出展しやすい。単独で出展するのに比べて 1/3 程度

の労力ですむと思われる。日本は人気があり、日本パビリオンの中の 1 つであ

ることもメリットである。パビリオンの場所は関係ないと思う。

事務局が事前に招待券を現地バイヤーに送ってくれるが、事前の調べで役立つ

情報はあまりなく、実際にブースに訪れて商談が始まるケースが多い。

(5)必要な国・自治体の支援策

展示会に集中して予算をつけてほしい。支援策は特に要望はない。お茶は県で

輸出セミナーをやっており、県のブースも出ている。県のマーケティング室には、

大変お世話になっている。これ以上望むものはない。

(6)その他

Page 46: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

102

■事例8 (茶)

輸出事業への取り組み経験

昭和 40年代までは、ブランド名ではなく茶葉を販売してきた。昭和 40 年代後

半から海外の百貨店に進出し、ブランドでも販売するようになった。10 年ほど

前から、海外の展示会に出展をしている。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

ディストリビューターがいるところに出展する場合は、ディストリビューター

に声をかけて、現地で手伝ってもらう。

既に定期的に販売ができているところ(物流があるところ)での展示会は、現地

でサンプルを調達する。

ドバイ、インドでは、荷物が動いていなかったので、出展用の商品を日本から

送付したが、物流経費が高額であった。ドバイは想像していた以上に物流経費が

高く、事前に情報があればよかった。インドは D 社が事務局をしていたが、物

流経費が高いことを想定できたので、ハンドキャリーで持ち込んだ。しかし、天

候が悪く、違う空港に着陸し、荷物が行方不明になって困った。

出展して困ったことは、あまりなかった。通訳は場所によって質が異なる。香港

ではよかった。通訳には商品のプロモーション能力、やる気などが求められる。当

社でも現地での応援がない時は、通訳が重要なポイントとなる。スタッフが日本か

ら行くことに、それほど費用をかけられない。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

・取引成立のための具体的な取り組み、作業

取引成立のためには、現地の関係者と一緒になって行うことが重要である。現

地の関係者を通じて、引き合いのあった新たな取引をお願いできる。

上記の取引関係のある企業が、新たな取引の障害になることもある。同じ国の

中でも異なるマーケットならよいが、バッティングすることが多く、当社として

は新たな取引はできない。その場合は、新規取引を希望する会社は他の日本の企

業と商談することとなり、日本全体としては効果があるが、当社にとってはライ

バルが増えることになる。

・取引に結びつける上での障害(現地の商慣行など)

価格は障害になる。輸入業者を経由しているが、高額になるからと直接取引を

したいという業者も来る。しかし、社内での体制が必要なので、直接取引は考え

ていない。

Page 47: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

103

・取引成立のポイント、障害の克服方法

取引成立のポイントは、よいディストリビューターをみつけることである。展

示会に出しただけではみつけにくい。日本の食品貿易会社を通じて輸出していた

ので、新規開拓だけでも手伝いをしてもらえるところを探した。

②取引に結びつかなかった事例

(3)事業の効果

FHC2006 に出展する尐し前に、輸出がほぼ皆無であった中国の市場に売りた

いという人と商談が始まっており、FHC2006 で反応が良かったので、商談をし

ていた人が、いけるという可能性を感じた。中国側も輸入してから考えようとい

うスタンスであったのが、本腰を入れて取り組むきっかけとなった。

社員の採用で、海外向けの仕事をしたいという人が来るようになった。あまり

採用できないが、質の高い人材が来てくれる。

輸出に取り組むこと、海外に店舗を持っているということが PR になってい

る。

(4)展示・商談会活動の改善について

A 社は事務局など慣れているので安心である。全体の流れなど、事前準備の段

階から説明があり、気になる点についても教えてくれる。A 社は法人の性格上、

国の制度や知識が豊富であるが、商売に結びつくような仕組みをつくっているわ

けではない。展示会のあとをどうしたらよいか、フォローをしてもらえない。ま

た、イベント的な演出は足りないかもしれない。以前は考えなかったが、B 社や

D 社が事務局を担当したブースは、客に見せるようなブースづくりで、行ったス

タッフから良かったという報告があった。

ジャパンブースで出展するのがよい。お茶は中国産が海外で出回っており、価

格では対抗できない。差別化の意味で、日本のお茶として日本食と一緒に紹介す

ることに効果がある。今は、日本のブランドとしての方が、インパクトがある。

事業が継続して行われるとよい。1~2 年で終わってしまうと、後が続かない。

継続することが重要である。ルートのない企業が出展して、相手国で商品を扱い

たいと思っても、単発でやっていては取引につながらない。間に入る業者は手間

がかかるので、売れ行きがよくないと取引をやめるということもあるが、仕入れ

ルートがなくなるとやはり取引はやめざるを得ない。生鮮(野菜、果実)で、物流

が難しく、そういった声をよく聞く。

事業は、補助があるので、負担が尐なくて PR ができるため、継続してほしい。

新規取引の機会ともなるし、現地との関係強化のために訪問するきっかけにもな

る。有料は困る。A 社の独自の企画があるが、費用がかかる。農水の展示・商談

Page 48: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

104

会は、負担が軽く出展できるので、ありがたい。

日程が詰まっており、尐ない人数でやっているので、出展したくてもできない

ことがある。事業の募集があってから、展示会までの日程が尐なく、社内の手続

きが時間的に厳しいときがある。余裕をもって情報を提供してもらえれば、準備

も十分にできる(準備が間に合わなくて、断念した展示会がある。)。継続して実

施するのであれば、毎年この時期にこの事業に出展するという予定が立てられ

る。また予算計画も立てたいので、早めにスケジュールがわかるとよい。

展示会ではブースだけでなく、商談会を設けるのがよいのではないか。輸出サ

ポーター、日本食を扱いたい人を海外から招いて、商談をする場があってもよい。

展示会では現地のお客様への案内がどこまでできているのかがわからない。ど

んな人が来るのか、現地に行くまでわからない。日本ブースとして、現地の取引

を担ってくれそうな人に、どこまで日本ブースが出展することが伝わっているの

かわからない。経験のない出展者は、現地の人を集めてもらえるとよいと思う。

常設店舗は、出展したいと思うが、既に商品が輸出されている地域では異なる

ルートで輸出されることになり、既に商品を扱ってもらっている取引先には良く

思われない。常設店舗はプロモーションもあるらしいが、売り場を目立つように

してもらえれば認知度がアップし、商品を置いてもらえる効果はあると思う。

輸出事業の効果は輸出実績になるのかもしれないが、輸出実績はこの事業だけ

の効果とは限らない。具体的な効果を示せるものではないが、事業は継続が大切

で、輸出取引の機会をなくさないでもらいたい。是非継続してほしい。

(5)必要な国・自治体の支援策

国内の業者の補助だけでなく、現地で日本食を扱っている人への援助もあると

ありがたい。単発ではなく、輸出促進に援助があるとよい。

(6)その他

Page 49: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

105

■事例9 (生鮮・冷凍水産物、水産加工品)

輸出事業への取り組み経験

10年前に貿易部を立ち上げた。海外に現地法人工場 2件、営業所が 3件あり、

工場 1社が近々完成する。欧米文化に日本食を広めたいという意向が強く、いち早

く現地工場建設に着手した。北米の日本食ブームに乗り、輸出事業を始めた。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

日本人としての概念が弊害となり、ズレが発生するため、現地の志向にあわせた

味付けに心がける。日本には保存食としての塩辛があり、傾向として日本食は塩辛

く、欧米向けに塩度を下げる必要があった。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

よりイメージしやすい商品の使用例を示した。実際に、レストラン等で商材を

使用したら、一食あたり何グラム使用し、その原価がいくらになるか等、具体的

なコスト提案をした。商材を1キロいくらと示しても現地の人にはわかりづら

い。費用とおいしさの価値観をわかってもらえて、はじめて取引に結びつく。

まず、輸入業者を決めないと現地との取引は難しい。輸入業者を決めて、末端

のレストラン、ホテルへとつなぐ。

当初、台湾を開拓する際には、ホテルだけ取って、電話帳で「食品」「問屋」

という名のつく会社を探して、訪問するということをしばらく続けた。

②取引に結びつかなかった事例

成約は、一朝一夕に至るものではない。輸出においては、販売ロットが多くな

るため(何十トン、一本 1000 万円の取引)、販売リスクも増加する。そのため、

与信、決済方法等を慎重に見極めた上で、取引を行う。もらった名刺も紙質、字

体等を確かめ、信用できる相手なのかを判断する材料にしている。海外はあくま

で敵地であり、ブースに来る人が信用できるかどうか、十分に見極める必要があ

る。一方、日本で開催される展示会に来る外国人は、わざわざ渡航費を掛けて来

日しているため、本気どが高く、現地展示会に比べ信憑性がある。

中東では、アルコールフリー対応が難しい。アルコールが使えないと、商品が日

持ちしなくなる。また、現地の日本食マーケットがまだ小さく、寿司もカリフォル

ニアロールみたいなものしかない状況である。

(3)事業の効果

弊社の名を売ることで、日本の一企業としての信用度が増したこと。宣伝につな

がったこと。

現地エージェントに対して、当社商品取扱に関して自信を与えた。

Page 50: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

106

(4)展示・商談会活動の改善について

開催予定の告知をもっと早くしてほしい。展示会の 1 ヶ月前の告知では、準

備が間に合わない。

現地の顧客情報、市場市況、輸出高やその内容などの情報を、さらに詳しく提

供して欲しい。

新たな輸出先から、購入したいというオファーがあったときに、どういう手項で、

どこで何をしなければならないか、売る側が一から調べなければならないのも、企

業にとっては負担が大きい。

(5)必要な国・自治体の支援策

関税の引き下げ、撤廃を進めて欲しい。

EU に対しては、水産加工品に対する安全基準が厳しすぎると思われるので、

その点での規制緩和をお願いしたい。日本から米国に輸出できるものが、欧州に

は輸出できないなど、日本からの水産物の輸入に対して、特に敶居が高くなって

いる。欧州と交渉してガイドライン作りができないか。

(6)その他

国によって異なるが、関税、輸出規制(牛肉、ふぐなど)の問題がある。EU

では、水産加工品に対する EU サート取得などがある。

こうした規制については、輸出の都度調べるしかないのが現状である。

また、輸出ガイドライン設定までの時間がかかりすぎるため、海外からの取引

依頼をいただいても、一向に進めることができない。

Page 51: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

107

■事例10 (生鮮・冷凍水産物、水産加工品)

輸出事業への取り組み経験

取引をしている商社からオファーがあれば輸出していたが、07 年頃から輸出

を強化することになった。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

出展した展示商談会はシーフードショーであったため、出展品は生鮮品がメイ

ンであり、当社が出品した水産加工品は異質であった。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

海外に出先を持っている日系スーパーと取引が成立した。

②取引に結びつかなかった事例

当社は輸送ルートがないため、海外に出先をもっているところとしか取引がで

きない。

(3)事業の効果

新規顧客が開拓できた。

現地の市場の特性について情報収集ができた。

(4)展示・商談会活動の改善について

日本のブースが奥まった場所にあったため、人を引き込む工夫をもう尐しでき

ればよかった。

解体ショーをやった1メーカーのインパクトは大きかったので、そうしたブー

スと他のブースが連携してレシピ提案するなど、コラボレーションできればよい

と思う。

当社のように海外展示会出展のノウハウがなく、独自では出展できないところ

には、ホテルや飛行機の手配までパックになっていると助かる。

常設店舗への出展に関心がある。

(5)必要な国・自治体の支援策

(6)その他

輸出に関しては、コストが一番大きな問題となる。香港は関税も含めて規制が

無いので、非常にやりやすい。

一方、北米向けは、トランス脂肪酸の規制があり、5 万~10 万円かけて調べなく

てはならなくなる。関税では商品に含まれるチーズの量が多いため、輸出の際にナ

チュラルチーズ扱いとなり、3 割の関税があるため、日本の倍の値段になってしま

う。なんらかの支援策があるとうれしい。

Page 52: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

108

■事例11 (生鮮・冷凍水産物、水産加工品)

輸出事業への取り組み経験

国内の万博で出展をし、海外の人に興味を持ってもらったことから、輸出を考

え始めた。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

展示会では、食材として提供し、海外の食文化の中で使ってもらえるようなア

プローチをしている。フレンチ、スパニッシュ、スカンジナビアなどシェフに料

理を提案してもらう。

アジアでは味が重要であるが、ニューヨークではスタイルが重要で、いつ、ど

んなとき、どうやって、というのにこだわる。ジャパニーズレストランは、日本

人が経営しているのは 5%程度であり、日本人以外が関心を示し、柔軟に受け入

れてくれる。

商品はアレンジはしても、製法は「本物」を貫くことが重要と感じた。いろい

ろな使い方を提案しても、商品の味自体は変えるつもりはない。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

・取引成立のための具体的な取り組み、作業

パートナーを見つけることが重要である。相手にわかりやすく伝える。試食し

てもらい、味をアシストする「テリヤキ」というキーワードを使っている。

賑やかなブースにして、商談が舞い込むようにする。売れるか売れないかは、

お祭りの反応次第である。2006 年の Foodex で出展側の視点で特に外国のブー

スを見たが、賑やかなブースでは試食をしており、パンフレットだけ置いている

のでは伝わらないと思った。商品を知ってもらうことを前提とした試食で、活気

のあるようにする。

普及のためにも、出展を続けることが重要である。相手も続けていると商談を

してみようかという気になる。

②取引に結びつかなかった事例

・取引に結びつける上での障害(現地の商慣行など)

輸出するとなると、どうしても高額にならざるを得ないため、価格が合わない

ことが障害になる。

ディストリビューターを決めて販売戦略を立てるが、レギュレーションの問題

があり、ディストリビューターの商品知識がないと商談を進めるのが困難であ

る。レギュレーションをクリアするためには、取引先の販売意欲も影響がある。

Page 53: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

109

(3)事業の効果

試食した人の顔、反応を見ることができる。しかし、試食時においしいと評価し

てもらっても、ビジネスでは「おいしい」だけでは難しい。

台湾にはたまたまルートがあり、出展の機会を通じてパートナーになった。現

地に行くからこそわかることがある。

インポーター、ディストリビューターなどと、バートナーを組んでいかないと

商売にならない。展示会で「どこで購入できるか」と聞かれて、答えられなくて

はならない。マーケティングだけでは、出展の採算はとれない。

社員にとっては、輸出したということで、夢が膨らむ。

(4)展示・商談会活動の改善について

A 社には、お世話になっている。展示会にサンプルを送るパッケージを持って

いる、統一したデザインでできる、現地の広報活動を事務局がしてくれる、など、

展示事業はありがたい。また、事務局から現地の情報をもらえる。

2009 年のトロントでは、出展者の懇親会があり、有意義であった。分野は異

なっても出展者の交流の場があると、目的が同じであるので輸出仲間ができ、手

立てを探したりビジネスにつながり、参加者のレベルアップができる。

事業は継続してほしい。2006 年、2007 年 10 月までは、展示会は自己負担で

あった。支援策があり、何回も海外に出展して花が咲き始めており、ありがたい。

メリットがあれば、ブース代は有料でもかまわない。準備をしてもらえるなど、

有料でも納得できれば問題ない。ジャパンブースということで、日本食を探しに

来る人が集まるので、ありがたい。

(5)必要な国・自治体の支援策

A 社では、地区での出展者の情報交換会をしており、有効である。

国には、レギュレーションについて、対 EU HACCP の認証体制を整えることや、

日本の商品は同じアジアのものでも他国とは違うということをわかってもらえ

るよう、農林水産省、経済産業省、厚生労働省で協力して交渉してもらいたい。

ISO22000 の次に EU HACCP の認証をとろうとしたら、県には審査員がいな

いという。第三者認定機関による HACCP 認定されていなくても、一定の手続

きを踏み日本のものはここまで大丈夫という水準を超えた上で、対 EU HACCP

の基準をクリアしているということを認めてもらえないか。FDA では、HACCP

の認定書があれば、通関で優遇される。中国の衛生検査では HACCP があれば

有効である。

輸出したいとき、その国の壁が越えられるかどうかわからない。ディストリビ

ューターはシップバックや廃棄のリスクに敏感である。新しいものに手を出さな

くなっている。

Page 54: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

110

(6)その他

農業と商業の連携は面白い取り組みだと思う。水産品については、農産品に比較

して取り組みが弱いように思う。情報が伝わってこない。水産業も高齢化してしる

ので、水産業にも光を当ててほしい。

Page 55: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

111

■事例12 (生鮮・冷凍水産物、水産加工品)

輸出事業への取り組み経験

国内商社からの依頼で輸出をはじめ、10年くらい経過する。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

2007 ガルフードでは、50~60 万円(1 ケース 10 万円)もの輸送費を請求された。

しかも、延着もあった。2008 のガルフードでは、通常アメリカ向けの輸送を依頼し

ている業者に、ドバイまでの輸送を依頼した。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

ドバイ、ドイツで成約した案件は、今でも取引が継続している。ただ、成約で

きたのは、来場者のうちのほんの一握りである。

交渉はメールで情報交換し、注文書で処理している。取引は、前金をもらわな

いとできないという方針を貫いている。

現地の需要のある商品、品質の安定した商品、現地語表示対応、現地の検査・

規制をクリアする、といった点が成約のポイントである。

当社は、小回りのきく通関業者と連携して、現地の規制等に対応している。大

半の通関業者は、賞味期限が短く小ロットでありメリットがない我々のような事

業者との取引は、きらう傾向がある。この通関業者とは 10 年のつきあいになっ

ている。

②取引に結びつかなかった事例

中国で出展した際には、商談相手が自分の計算だけをする感じあったため、取

引には至らなかった。

また、中国は支払面で不安があり、輸入通関が長くかかる等の印象を受けた。

(3)事業の効果

参加した各展示会で、1 件は成約をしている。

異業種(農産物)の出展業者と情報交換して、商談につながった。

出展することで、現地の経済状況、文化がわかるのが大きなメリットである。

現地のアシスタントの会話から、現地で何が流行っているかを把握している。

(4)展示・商談会活動の改善について

単にブースをつくるだけでなく、魚とお米を一緒に食べてもらって、日本食を

PR していくといった工夫があるといい(実際、インドの展示会では、D 社の発

案でそうした工夫を凝らしていた)。外国の方の日本文化は間違ったものである

可能性もあり、食を文化として発信していくのが望ましい。

Page 56: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

112

(5)必要な国・自治体の支援策

(6)その他

Page 57: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

113

■事例13 (生鮮・冷凍水産物、水産加工品)

輸出事業への取り組み経験

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

来場者からの反応はあるものの、なかなか商談までこぎつけるのが難しい。

レンタルの冷蔵庫代が日本の4倍近くの値段だった。実際には、毎日主催者が

ブロックアイスを配っていたので、わざわざ高い冷蔵庫を借りる必要はなかっ

た。こうした運営ノウハウを身につけることが大事であることを痛感した。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

②取引に結びつかなかった事例

日本の資源を十分使っていないということで、取引が成立しないケースが目立

った。

(3)事業の効果

輸出できる手ごたえを感じた。

販売促進を行うことを目的に出展する場合、コスト面の工夫をするノウハウを

身につけることができる。

(4)展示・商談会活動の改善について

(5)必要な国・自治体の支援策

原産地規則に関する制約条件を、もう尐し緩めて欲しい。

(6)その他

期間中数多くのバイヤー、ディストリビューターと商談を行った。しかしながら、

加工品の場合、全て日本でとれたものを使うとなるとコスト的に高くなるため、ど

うしても輸入物を使い、国内で処理するものを使わざるを得ない。しかし、それは

商談をする中で認められないことがわかり、悩ましいところである。

Page 58: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

114

■事例14 (生鮮・冷凍水産物、水産加工品)

輸出事業への取り組み経験

以前は商社を通じて冷凍品を販売していたが、現在はほぼ 100%が生鮮品であ

る。1カ国は販売代理店を通じて、現地のレストランに販売している。08年に初

めて展示会に出展した。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

現地で、商材を卸しているレストランに来てもらった上で、取引条件等を詰め

ると商談がスピーディーに進んだ。

②取引に結びつかなかった事例

(3)事業の効果

当社が確認できたところでは、5 件成約することができた。

おいしい日本の食材があることを伝えられた。素直においしいと答えてくれた

人が多かった。他のブースの出展者で、期間中毎日試食目当てで来るという人も

いた。

(4)展示・商談会活動の改善について

(5)必要な国・自治体の支援策

EU向けの輸出のためには、HACCPを超えるレベルの施設登録が必要である。

加工場の材質をステンレスに変える、どの蛇口からもお湯が出るようにといった

レベルが求められる。なお、この審査は、地方の局が管轄しており、日本政府が

施設登録の基準を高くしている様子も感じられる。実際、当社よりもレベルの低

い加工場を持つ海外の会社が EU に輸出しているということも聞いている。

EU 向けの申請は時間もかかる。申請してから 3 年かかったというケースがあ

るということも聞く。途中で申請をとりやめるケースもあるようだ。手続きや審

査等が複雑な点を、米国向け並みにスピーディーに出来る方法を考えてもらいた

い。

農林水産省には、農業だけでなく、水産業にももっと力を入れてもらえるとう

れしい。

(6)その他

Page 59: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

115

■事例15 (生鮮・冷凍水産物、水産加工品)

輸出事業への取り組み経験

02 年頃から海外にも目を向けるようになった。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

鮮度を落とさずに魚を空輸するために工夫をした。

現地の人の口に合うように、薬味を上手く使って魚の臭みを抑えた。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

②取引に結びつかなかった事例

単価が高いため、なかなか取引に結びつかない。品質を評価してもらわないと

成約は難しい。

サウジアラビアで、パートナーにならないかとのオファーがあった。しかし、

プロモーターの D 社のスタッフから、サウジアラビアは中東の他国よりも、女

性が働きづらい、オペレーションがしづらいとの話を聞いたため、商談を進めな

かった。ドバイについては、出展の事前にレクチャーを受けていたが、サウジア

ラビア等の周辺国については知らなかった。

契約に至ったが実行という段階になってキャンセルになった案件が1つあっ

た。実行段階で、突然スキームの変更を言ってきたのがその理由である。法律を

盾に争っても徒労に終わるとのアドバイスがあり、実行はあきらめた。

中東では、紹介料だけが発生するようなケースもあるので、取引には注意が必

要である。

(3)事業の効果

食材の輸出成約はまだ得られていないが、レストラン事業へのアライアンス商談

のオファーが入り、現在も協議中である。

(4)展示・商談会活動の改善について

中東向けのコールドチェーンができていない。みかん箱くらいの大きさのもの

を送るのに、検疫も含めて 10 万円かかる。2~3 万円の商材を送るのにこれほど

費用がかかっては厳しい。今後ロジスティクスが完備されてくるとうれしい。

(5)必要な国・自治体の支援策

各種の書類作成、整備の負担を軽減してもらえると助かる。

(6)その他

Page 60: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

116

■事例16 (菓子、飲料(アルコール飲料含む)、水産加工品(缶詰など))

輸出事業への取り組み経験

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

当初、当社の戦略に対して、社内で、あまり理解されなかった。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

日本食に対して、クオリティの高さや憧れを持っていただいたバイヤーと契約

が成立し、600~1,000 本の契約にこぎつけた。

②取引に結びつかなかった事例

(3)事業の効果

輸出促進に関する効果は確実にあった。輸出のリスクや仕組み・現地の実情を肌

で感じられた。日本食はイギリスではかなり浸透しており、市場として魅力的なも

のとなっている。

(4)展示・商談会活動の改善について

以前、ある展示会で、旅行代理店系の運営事務局の時に、出展者に対して、ツ

アー企画の案内をしていたところがあった。オーガナイズする立場の事務局がそ

うした心構えではいけないのではないか。

出展経験に応じてランクをつけるなどして、出展経験を持つ企業が、出展が初

めての企業に色々とノウハウを伝えるような仕組みを考えることも良いのでは

ないか。初出展企業は現地の情報に明るいわけではなく、運営事務局から提供さ

れる情報にも限界があるので、出展経験の共有化を考えてもよいのではないか。

デモンストレーションをするのは良いが、毎年同じ人に頼むのはどうか。参加

者からするとワンパターンに見えてしまいかねない。通訳にしても、もう尐し国

や事務局の側で人材を紹介できるようにする必要があるのではないか。

(5)必要な国・自治体の支援策

出展者のリスクを減らす、あるいはリスク軽減の助けとなる仕組みを検討して

欲しい。国や自治体の後援があるだけで、更に信用が増すので最低後援者には名

を入れて欲しい。

(6)その他

Page 61: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

117

■ 事例17 (菓子、飲料(アルコール飲料含む)、水産加工品(缶詰など))

輸出事業への取り組み経験

海外には営業所を設置し、輸出に取り組んできた

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

中東の場合、しょうゆなどは醸造用アルコールの使用ができないという問題があ

る。酢の場合も同様で、アルコールを使用せずに時間をかけて醸造した品を用いて

いる。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

日本の輸出商社を通じて、一部中東への輸出が拡大してきている。(酢)

コーシャー、ハラルといった認証マークはないが、「すし」のブームからか、

引き合いが来ている。「すし」の楽しみ方をDVDにし一部配布、販売促進を行

った。

②取引に結びつかなかった事例

中東ではなかったが、食品展示会に「すし」をテーマに「酢」の展示・販促を

かけた。一般的な「酢」は発酵促進を目的に醸造用アルコールを使用。

醸造用アルコールは酢の主原料ではないことをうたっても、中東エリアより

こられたお客様には受け入れられず。

(3)事業の効果

輸出促進に関する効果はあった。日本食の広がりは、まだ十分とはいえないが、

日本食が広がらないと自社の商品の広がりが出ない。

(4)展示・商談会活動の改善について

当社として、まだまだ輸出促進につながるようなことができていない。

「認知」、「興味」を抱かせるような、工夫ができていない。

(5)必要な国・自治体の支援策

欧州・中東・韓国。各国地域で進めている食品法規の最新版情報をタイムリー

に入手できるような支援があるとありがたい。

(6)その他

代理店契約は、複数と行うことにしている。1 社の方がよい面もあるだろうが、

過去のケースではマイナス面も見受けられ、面の広がりが思ったようには出なかっ

たので複数の代理店と契約をしている。製造ロットに見合えばオリジナル商品を作

ることもある。

Page 62: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

118

■事例18 (菓子、飲料(アルコール飲料含む)、水産加工品(缶詰など))

輸出事業への取り組み経験

日本食がブームであることを活かして、海外での事業展開を行ってきた。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

出展にあたっては、展示会が実施される国の輸入規制に抵触しないよう配慮する

必要があることはもちろんであるが、輸入規制の情報収集にも苦労をする。

現地で普及していない商品を輸出する場合は、調理方法も合わせて普及するよう

努めている。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

EU の場合は、毎年ブースを出し続けることで、成約にこぎつけたケースがあ

る。

②取引に結びつかなかった事例

(3)事業の効果

1回の参画だけではなかなか成果が出ない。繰り返し出展することで、現地のバ

イヤーになじみを持ってもらうことが、輸出促進にとって大きな効果をもたらして

いる。

(4)展示・商談会活動の改善について

今後も積極的に本事業を活用していきたい。

改善点としては、事務局が毎日同じ内容のアンケートをとっているが、日によ

って商談の中身も変わっていくし、地域によって聞く内容も違うはずであり、質

問を工夫してはどうか。

(5)必要な国・自治体の支援策

現状は日本ブースを設けることで支援は終わりになっているが、企業にとって

は、その先のサポートが必要な場合が多い。各メーカーの目的もルートもある程

度同じであるのなら、輸出のトライアルに関して具体的なサポートや情報提供を

もっと行ってくれてもよいのではないか。(ロンドンの A 社はそうしたサポート

体制がうまくいっているが、それは稀な例である。)

商品を輸出する際に、相手国に対して、ある特定の原材料を使用していないと

いう分析証明書を提出しなくてはらないが、その原材料は日本でも輸入を禁止し

ているものである。分析証明書はメーカー毎、輸出時に提出するもので、分析を

してもらうにも費用が嵩む。日本でも輸入を禁止している原材料であるので、国

として輸出先の国と調整をして、輸出の都度その証明書が必要ないようにしても

Page 63: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

119

らえるとありがたい。

(6)その他

EU などではすしに使えるネタに制約があるので、日本食をどう普及させるか

工夫している。

すしとともにスープストック(コンソメ)を試すことができるなど、食生活の提案を

試す機会としても展示会を活用している。

展示会の場で結果を出すことが求められることはわかるが、実際に一回の結果

のみで結論を出すことが難しい。輸出促進という形での支援スキームであるな

ら、どのようにして正規に輸出できるかという、展示会の次のステップに対する

支援も必要である。そうすることで、成功事例は増えていくのではないか。

Page 64: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

120

■事例19 (菓子、飲料(アルコール飲料含む)、水産加工品(缶詰など))

輸出事業への取り組み経験

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

成約は 3 件あるが、確定ではない。今も日系百貨店より声がかかっており、商談

が継続中である。

・取引成立のポイント、障害の克服方法

日本からの輸出に関しては、賞味期間がクローズアップされる。日本の製造会

社は消費者に対して「消費者に対して同じ味の商品を提供する。つまり美味しく

食べていただける期間」という基準で賞味期間を設定するが、海外では身体に害

がないことが基準である。

商品は日本では賞味期限を 4 ヶ月にしているが、輸出する場合には 4 ヶ月だ

と短かすぎ、商談にも障害になる。輸送や税関で時間がかかるため、1 年間が望

ましい。海外で販売されている類似商品の賞味期間は、アメリカで 1 年、その

他の地域で 9 ヶ月から 1 年で設定されている。海外向け商品としてのスタンダ

ードを作ることを検討している。

②取引に結びつかなかった事例

2008 年に大きな引き合いがあったが、初めての取引相手であり、掛売りだと

怖いので支払い条件の交渉を行っていたが、折り合いがつかず話がなくなってし

まった。支払い条件は取引が成約するかどうかの大きな要素である。

中国では、代理店にとってみればお金の回収が難しい。リスク回避をいかにす

るかが課題である。

(3)事業の効果

出展が取引のきっかけになっている。

出展することにより、現地での認知度がアップした。現地での販売をしている

店舗に対して、日本的な販売管理サービス、サポートを実施できた。また、日本

側に顧客ニーズをフィードバックできた。

中国に進出している県内企業とつながりができ、中国および日本の両方で情報

交換ができるようになったことは収穫である。

Page 65: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

121

(4)展示・商談会活動の改善について

パビリオンの場所は重要である。政府でよい場所を用意してほしい。2008 年

の上海では、人の流れが切れる位置にブースがあった。12 月の展示会に関して

は不満が残った。

弊社は中国人スタッフに展示会に来てもらったため、通訳には問題がなかった

が、通訳で困る出展者はいるだろう。2007 年の展示会では各出展者 1 名の通訳

は無料で紹介してもらえたが、2008 年の展示会では有料でアルバイトの通訳を

紹介してもらったのみであった。

サンプルの持込や、会場からの持ち出し規制などについて、主催者側からの情

報を早く出してもらえるとありがたい。

展示会は出展料が無料でありがたいが、金額によっては有料でもよいと思われ

る。例えば、大企業は○%負担などでも、JAPAN パビリオンに入れることは集

客の面でありがたい。大企業と中小企業とでハードルが異なってもよいので、で

きるだけ多くの企業が出展できるようにしてほしい。

業界としての出展には参加しないと思われる。物産展ならばよいが、商談を行

うのであれば、他社の製品を PR するのは困難である。

前々日夕刻のレセプションは、なくてもよいのではないか。マスコミはほとん

ど来ずに、日本関係者が多い傾向にある。取引につながるようなレセプションが

望ましい。FOODEX ではフランダース地方のみで出展しているパビリオンで、

招待状を配布してレセプションを行っていた。

(5)必要な国・自治体の支援策

県の貿易セミナーなどを活用している。日本ブースに出展できない場合に、県

のブースで出展できればよいかもしれない。

自らが行動しなくてはならないが、相手国によって異なる原材料の規制などの

情報を提供してもらえるとありがたい。

本事業は是非継続してほしい。

(6)その他

Page 66: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

122

■事例20 (菓子、飲料(アルコール飲料含む)、水産加工品(缶詰など))

輸出事業への取り組み経験

輸出は 20 年以上行なっている。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

OCIA の証明書をつけて、有機であることをアピールした。よいディストリ

ビューターがいるかどうかが重要である。出展にあたっては費用がかさむた

め、ブース設営で借りるもの(電熱器や机など)を現地のスーパーマーケットで

調達するなど、節約をした。

展示会で出すのは商品であり、商品だけを強調する工夫をした。ナチュラル

プロダクトであり、試食も誤解を招かないよう説明を行なった。

人件費がかかるので、現地アルバイトも雇った。アルバイトは、雇用条件を

明確にし、契約書を取り交わす。説明をよくしてくれる人を見つけることがで

き、現地採用であれば、その人にまた依頼することもできる。

商品がなぜその価格なのかという、価値ある商品であることを理解してもら

うことが重要である。

展示会に出展するだけでは商売は成り立たない。情報を生かすのは自分であ

る、とわかる良いきっかけであった。熱心さがマーケットに伝わった。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

・取引成立のための具体的な取り組み、作業

ディストリビューターと打ち合わせをして、出展の機会に営業にまわる飲食

店などを相談し、展示会とは別の期間にローラー作戦で飲食店をまわった。レ

ストランシェフに味見をしてもらうため、保温容器に商品を入れて持ってい

き、先方にも努力と誠意をみせる。幅広く認めてもらい、一流のところに行き

たいと、よい店舗のトップに会いに行くことで、マーケットとチャンスがある

と感じた。

成功の秘訣は、次の販促にどうつなげていくかを考えていくことである。商

品の製法について、わかるやすい DVD を作成した。

・取引に結びつける上での障害(現地の商慣行など)

ブースに来る人たちが、どの職種の人たちかわからないことが障害となって

いる。

・取引成立のポイント、障害の克服方法

海外では国内と同様には動けないことを前提に、わかる範囲での事前調整を

しておくことが大切である。

Page 67: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

123

ディストリビューターと協力をしていくことが重要である。

②取引に結びつかなかった事例

(3)事業の効果

将来は、社員皆が海外に行けるようにしたい。皆、努力をしたら認め、労に報

いたい。10 月には社員にロス・アンゼルスにも出張してもらった。経営に参加す

る意識をつくことは、会社の雰囲気がよくなり、外部に対して強くなる。企業は

個人の能力をどれだけ引き出すかが重要である。

(4)展示・商談会活動の改善について

展示会に出展するだけで商売が成り立つのではないか、と錯覚している出展

者もいる。そういう人たちからは、展示会が終了すると、不満ばかりが出てく

る。無料だから出展するという人たちもおり、展示会に出展する人々の選定方

法なども含めて、選択するときではないか。

選定の際に、効果をもう出しているところ、効果がでるかもしれないという

ところなど、出展後フォローをするところを見てはどうか。運営事務局を情報

提供者と考えるのは辞めたほうがよいのではないか。ひとつのチャンスと捉え

る人が出展すればよい。

本事業には感謝している。展開できる人たちにチャンスをあげてほしい。

(5)必要な国・自治体の支援策

(6)その他

Page 68: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

124

■事例21 (菓子、飲料(アルコール飲料含む)、水産加工品(缶詰など))

輸出事業への取り組み経験

05 年に現地法人を設立した。2箇所に拠点がある。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

サンプルの持込みについて、トロントでは税関を全て通せとのことであり、大

変だったので、アメリカの現地法人の側でサンプルを用意してもらった。

物流面はいつも心配である。最悪ハンドキャリーとなるが、その場合はサンプ

ル数が限られる。フレッシュな商品を持って行き、よい商品を展示したいので、

輸送時の温度管理は重要である。EUのリーファーでは冷蔵コンテナがなく、エ

アー便となってコスト高になる。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

・取引成立のための具体的な取り組み、作業

英語のカタログ、パッケージのサンプルを用意する。英語で直接営業担当者が

話し、日本でも営業担当者が英語で対応できるところが大きい。通訳や担当者が

いないと対応できないというのは、相手からは嫌がられる。

海外のバイヤーは、どのようなところがあるかわからないので、事前には何も

せず、ブースに来た人を対象に営業をしている。A 社が現地に対しては案内を出

してくれている。日系の問屋には、弊社から出展する旨の案内を出している。

・取引に結びつける上での障害(現地の商慣行など)

当該商品の販売動向をみて、市場を判断する。販売動向については、特に障害

があるとは考えていない。価格は問題ではない。

②取引に結びつかなかった事例

(3)事業の効果

展示会は、直接興味のある人に話をできる場であり、PRで終わりにせずにビ

ジネスチャンスにつなげている。A 社も取引先を紹介してくれ、具体的な商談に

入ることができる。

出展できなくても見に行くというスタンスで、日本のブースに来るバイヤーに

会ってビジネスチャンスにつなげる。

成約が売り上げ増につながっている。

展示会に出た実績が PR につながっている。シアル、アヌーガに出展したという

ことが、ステイタスとなり、現地のお客さんに対してのPRになる。

Page 69: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

125

(4)展示・商談会活動の改善について

昨年のシアルでは、当社と同じ品目のブースが4件あった。同じ品目といって

も、それぞれ特徴があったのでよかったと思うが、海外で同じ品目で違いを理解

してもらうのは難しいのではないか。様々な業種で組み合わせるほうがよいと思

われるが、出展機会が狭き門になるのも困る。

カナダや他国のように、ブースの規模を大きくし、出展者を多くしてはどうか。

いつも出展する企業はだいたい決まっている。

商談スペースをドイツパビリオンのように大きく設けることは、立食パーティ

が苦手な日本人のメンタリティにあうかどうか疑問である。商談スペースは、

内々のお茶のみ場になりがちで、本当に商談したい場合は他人に聞かれたくない

ので喫茶店などで話す。

なるべくレベルの高い展示会に出展したい。一般の人向けではなく、業務用の

人が来場する展示会がよい。商品を買いたい人が来てくれる展示会に出店した

い。

ブースは無料だと激戦になるため、有料でもよいと思う。出展者の商品カテゴ

リーが偏ると面白くない。日本というくくりでPRすべきで、まとめてくれる事

務局がある展示会に参加するのがベストである。トロントでは、日本パビリオン

としてのデモを多くやってもらい、来客が多いこともよかった。お祭りっぽいと

ころもよかった。展示会は事務局がまとめてくれ、書類作成や手続きが自分で出

展するより容易にでき、デモもしてもらえ、今のままで十分である。今後も事業

を継続してもらいたい。

常設店舗はあることを知らなかった。どれだけの人が見るのか。デパートだと

消費者が見るので、広告効果はあると思うが、バイヤーにコンタクトしたい場合

の効果はどうだろうか。すでに輸出されているものであれば、常設店舗でもサン

プルを置けば効果があるかもしれないが、そうでない場合は紹介コーナーにしか

ならない。直接説明する人がいないと、悪いイメージになる可能性もある。

(5)必要な国・自治体の支援策

出展事業の全体の予定、スケジュールが事前にわかるとありがたい。

スープ類には動物エキスが入っており、輸出する際には動物検疫があるため、

書類を提出する。アメリカ向けは最近手続きが複雑になった。動物検疫、税関に

ついて、国として、例えば日本におけるこの認証であればこのレベルは確保でき

ているということを交渉して、貿易相手国に認めてもらうようにしてほしい。ヨ

ーロッパからは、日本はアジアの中のひとつの国で扱われているため、日本は違

うということを納得してもらうと、手続きがスムーズになると思われる。税関の

人など、実際に手続きを行う人に理解してもらいたい。現地で税関がスムーズに

Page 70: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

126

いかないと、輸入側も手間暇がかかるため取引がうまく続かない。

展示会に参加するにあたり事前に様々な書類を提出する。事務局に原材料の配

合比率などを記載した書類を提出するが、その書類が展示会にどう影響するかな

ど、書類作成の目的が不明瞭である。目的を明確にしてもらえれば、要点を抑え

て書くことができるし、簡素化できるとありがたい。

(6)その他

Page 71: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

127

■事例22 (花き(切花、苗木類(盆栽を含む))

輸出事業への取り組み経験

本事業での出展が初めてである。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

商材の検疫期間の長さを考えた準備が課題である。輸出するには、通常の商材

でも検疫期間は1年を要し、商品によっては2年間の検査が必要となる。このた

め、商談の結果トライアルで輸出することになると想定し、3年前から準備して

きた。

購入する人に、商品の情報を十分提供することが重要である。(海外では日本

独特の「作る技術」を持っていない)

ヨーロッパ向けに輸出できるよう、梱包・輸送方法を工夫した。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

メイドインジャパンではなく、現地の需要に応えた商品を生産することで、現

地の信頼を勝ち取る。

②取引に結びつかなかった事例

(3)事業の効果

アジアンテイストに対する需要が増えてきたことを実感した。

日本庭園とヨーロッパのガーデンとは調和するということがわかった。

日本文化を伝える良い機会となった。

(4)展示・商談会活動の改善について

現状では特にない。

当社が出展した日本ブースは、場所も良かったが、日本の花もあったことから

人気が高かった。

(5)必要な国・自治体の支援策

(6)その他

Page 72: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

128

■事例23 (花き(切花、苗木類(盆栽を含む))

輸出事業への取り組み経験

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

2008 年にはじめて出展した際は、展示会場が熱く(36℃くらい)、花の痛み

が激しかった。2 回目の出展時には、前年の 3 倍くらいの花を輸送し、新鮮なも

のだけをディスプレイした。

また、はじめて出展した際には、事前に雑誌やインターネットで、欧州では青や

白の花がポピュラーであると調べて、そうした色の花を展示した。ところが、そう

した色は見慣れた色であったため、来場者の期待を超えることができなかった。そ

こで、今年はいろいろな色の品種(10 品種)を用意して展示会に臨んだところ、「見

たことがない色だ」「きれいだ」という高評価を受けた。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

2009 年の出展の際には、欧州での導入試験を行おうという同意が取れた会社

が 8 件あった。日本から無償でサンプルを送り、栽培試験をしているところで

ある。

②取引に結びつかなかった事例

当社はまだ欧州に輸出した実績がないため、現地に代理店がない。そのことを

伝えると、関心をなくす会社があった。

(3)事業の効果

出展したことで欧州マーケットの特性が分かり、2 回目の出展の成功に結び付

けられた。

IPM では、決まった品種しか出展されていないことがわかった。いかに安く出す

か、ということに目が向いていた。これは、欧米の花の生産事業者が大規模の会社

が多く、原価を抑えて利益を出すことを追求していたためである。

(4)展示・商談会活動の改善について

D 社、E 社から十分なサポートが得られ、満足した。

ブースは十分な大きさであった(自費で出展するとブースは小さい)。日本ブ

ースとして旗をあげていたため、集客もあった。当社のブースの位置も、アメリ

カやドイツの有力会社にはさまれ、良い場所を得られた。

E 社からの声がけで、フラワーアレンジメント協会の方に、フラワーアレンジ

メントのデモンストレーションを期間中毎日やっていただいたことも、集客につ

ながった。E 社、新品種を開発すると、宣伝をしてくれ、頼りになる存在である。

Page 73: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

129

D 社は、通訳の確保を万全にしてくれた。IPM を主催する会社の 1 人を引き

抜いて社員にしており、体制も十分に整えていた。

(5)必要な国・自治体の支援策

上海などでは大きい会場での展示会を行っているが、日本国内でも、幕張メッセ

を上回るような規模での展示会ができるといい。ドイツには、幕張メッセの 4 倍の

規模の展示会場が、国内の各地域にある。

(6)その他

Page 74: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

130

■事例24 (その他)

輸出事業への取り組み経験

およそ 30 年前に、中東諸国に駐在している日本人への日本食の食材提供のため

に、輸出に取り組み始めた。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

日本の食材が、中東に受け入れられるにはハードルが高い。実際に食べてもら

わないと、良さを分かってもらえない。中東は、欧州の方を向いているが、日本

食材への認知度はまだ低い。

展示会は、メーカーにとっては新商品を紹介するよい機会であると思われる。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

既に取引をしているお客様に弊社のことを更に理解してもらう機会となった。

②取引に結びつかなかった事例

(3)事業の効果

中東人は「会社よりも人をみる」面がある。ただ、一度信用してもらうと、長

い付き合いができる。

宗教上の問題により、お酒、ポークを含む食品は中東への輸出不可である。

(4)展示・商談会活動の改善について

2008 年のガルフードは展示ブースの規模が前年よりも狭まっており、各社の

スペースも小さかった。

(5)必要な国・自治体の支援策

輸出先の着色料の規制や輸出上の規定などが急に変わることがあるが、商品は

輸出すると1ヵ月は海の上にあり、変更前に出荷した商品が無駄になってしま

う。変更に関しては、定期的に事前連絡してもらえるとありがたい。

常設店舗の場合は、現地での販売価格が高くなる傾向が強い。運賃を補助しても

らえると非常に助かる。日本と比べた価格差を2~3倍くらいにできることが望ま

しい。

(6)その他

Page 75: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

131

■事例25 (その他)

輸出事業への取り組み経験

国内で販売している商材に対して、海外から引合いがあった。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

現地の消費者の商品に対する嗜好が日本とは異なる。現地で受け入れられる食

べ方を把握し、それを提案しようという考えになった。商品をデザートとして食

べてもらうのもいいし、塩と一緒にフレンチで使ってもらうのもいいと思ってい

る。商品へのこだわりはあるが、マーケットインの発想で固定観念を持たないの

がポリシーである。自由な発想があっていい。

展示会の会期が3日あると、1日ごとに異なる商品を展示してテストマーケテ

ィングをしている。ある商品の販売が難しい国がわかる等の、嗜好の把握に役立

っている。

欧州は添加物、着色料に対する規制が厳しいが、当社の製品は添加物、着色料

は使用していないため、今のところ、こうした規制は問題になっていない。

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

展示会が開催される地域によっては、鍋を温める固形燃料が現地で入手できな

いという問題があったが、料理の仕方を工夫し固形燃料を使わないで済むような

提案を行なった。

②取引に結びつかなかった事例

現地の地場レストランから声がかかっても、ディストリビュートが上手くでき

ない場合がある。

小口の取引は尐ないため、流通ルートが確保できないと取引ができない。

(3)事業の効果、意義について

(4)展示・商談会活動の改善について

日本食材のコラボレーションを進めてもらえると効果的であると思う。

また以前、農水局主催で日本に海外バイヤーを集めた展示会を行ったが、そう

した機会を拡充してもらえるといい。いきなり海外に出るのは躊躇する事業者も

多いと思うので、国内事業者にとって良い機会になると思う。また、バイヤーだ

けでなく、末端のレストランの方にきてもらうように、対象者がさらに広がると

いい。

(5)必要な国・自治体の支援策

海外では、日本系の食材を取り入れるという工夫をしているレストランが多く

Page 76: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

132

なっており、レシピも含めて、日本食材に関する情報発信を農林水産省が行って

いくという方法もあるのではないか。

現地では、大きなスーパーがあっても、食材卸として強いところがなかなかな

い。現地の卸についての情報を収集、広報していくことも望まれる。

(6)その他

Page 77: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

133

■事例26 (その他)

輸出事業への取り組み経験

アメリカへの輸出は65年行なっている。ヨーロッパ向けはゼロだったが10

年前より開拓を開始し、現在は数多くの客先を持ち、日本における同業者間での

現地系市場向けでは当社は優位に立っている。

(1)出展・出品に当たって工夫した点、苦労した点、障害の解決方法

パッケージの言葉(日本語)を理解してもらうことが難しいので、わかってもらえる

よう英語をベースとして工夫をしている。(その一つの方策が、デザインパッケージ

の統一化)

(2)成功、失敗事例

①取引に結びつけた成功例

デザイン、パッケージの統一とネーミング、そして売れる商品を特定する事が

成功例の一つである。

②取引に結びつかなかった事例

市場性のない商品の見極めの失敗

(3)事業の効果

当社は弱いといわれた EU で多くの客先を得てビジネスに結びつけた事、デザイ

ンやパッケージの統一感の必要性を認識したこと、EU に合うものとは何かを考え

たこと等、また日本食文化を考え、その上に立った事業を心がけた事が効果である。

(4)展示・商談会活動の改善について

JAPAN ブランドとしての商品を紹介するという展開を期待している。

つまり、各県単位ではなく、国単位で JAPAN を売り込む。県単位から選考

になるがこれはやむ得ない。(これを主体としたショーを国が企画開始する事が

好ましい)

(5)必要な国・自治体の支援策

世界的に見ると経済発展をしている国々でないと世界一高い日本食は売れな

い(基本)。その高い日本食を売るための市場開拓に必要な予算提供を自治体か

らは期待したい。

(6)その他

日本食を海外で流通させる事は、日本食文化の上に立ってのアプローチが必

要。

食文化に立つ日本食輸出が末永く定着させて行く最善の方法であり、食文化の

上に立たないアプローチは根付くのを遅くさせる。

Page 78: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

134

(2)商品タイプ別の成功、失敗事例

①生鮮農産物、農産物加工品

生鮮農産物、農産物加工品は 3事業者への聞き取り調査を行った。

総じて日本の商品は、現地において味は評価されても、日本での価格に輸送費をプラ

スすると、消費者が日常的に購入できない価格にならざるを得ない。

野菜は、消費者にとっては日常的に素材として使用するものであり、現地では消費者

の味覚に合う安価で新鮮な野菜がある。日本から遠く輸送時の温度管理に課題がある国

に輸出する、貯蔵ができない野菜では鮮度に課題があること、また価格も高額となるこ

とから、現地でのニーズは低いことがうかがわれる。

一方果実は、贈答品や非日常での用途があり、現地で味覚が受け入れられれば富裕層

に利用してもらうことができる。聞き取り調査の対象であった果実の生産者団体では、

展示商談会において試食をすすめて PR に専念し、普及に力を入れている。実際の果実

の輸出は、生産者団体の販売先の業者が行なっているが、生産者団体の普及活動が効果

をあげているものと考えられる。

生鮮品、冷凍品ともに、輸送時の鮮度保持や温度管理が非常に重要であるが、聞き取

り調査を行った事業者からは、小口のコールドチェーンの整備が遅れていることが指摘

されている。尐量ロットであると保冷剤に費用がかかり、さらに商品が高額となる。

冷凍品を扱う事業者は、海外の百貨店との家庭用の商品で商談が成立している。出展

ではプレゼンテーションを分かりやすくすること、またディストリビューターが必要で

あることが留意点としてあげられた。商談では代金回収や現地の商習慣に対する理解、

コストを政策的に出すことが必要としている。これらは、他の商品にも通じるものであ

る。

②茶

茶は、5事業者への聞き取り調査を行った。

茶は古くから世界各地で日常的に利用されている商品であり、日本からの輸出はか

なり以前から行なわれていること、また中国茶が安価であり普及していることなど、他

の商品と異なる環境がある。

茶は茶葉を提供する販売方法もあるが、聞き取り調査を行った 5事業者は、自社ブラ

ンドの商品輸出を行なっている。輸出にあたっては、世界的に既に各地に独自の茶の文

化があることから、現地の味覚に合うよう茶葉を選定したり、加工品を製造したり、パ

ッケージデザインの変更、パッケージの説明文を現地の言葉に変える等、市場にあった

商品をつくる工夫をする例が多く見られた。

このほか、成約のためには、日本からの輸出商品の価格は高くならざるを得ず、価格

は高いがそれだけの価値のある商品であることを理解してくれる取引先を探すことが

重要であること、また良いディストリビューターや現地パートナーが必要であることや、

Page 79: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

135

現地に受け入れられる工夫が必要であることが留意点としてあげられている。

さらに、営業活動、引き合いがあった際の迅速な対応や、フォローをすることが成約

には重要であるとの指摘がされている。

失敗例の原因として、独自のお茶文化があること、価格が高いこと、商談の応対のタ

イミングが合わなかったこと、残留農薬基準をクリアできないこと等があげられている。

ヨーロッパでは、茶の残留農薬基準が厳しいことが指摘されている。

③生鮮・冷凍水産物、水産加工品

生鮮・冷凍水産物、水産加工品は、7社への聞き取り調査を行った。

聞き取りを行なった業者の中には、日本食ブームをきっかけに、出展した例がある。

他の商品と同様に、商品の販売価格が高いため、おいしさや品質を認めてもらうこと、

またディストリビューターやパートナーが重要であるという意見が多い。水産物では、

輸出相手国の基準をクリアしていることの認定を受ける必要があり、各国によってレギ

ュレーションが異なっている。基準をクリアしているかどうかについて、ディストリビ

ューターにも十分な商品知識が必要であるという意見があった。

成功例では、レストランなどにイメージしやすい商品の使用方法の提示、具体的な商

品の使用量と原価の提示、わかりやすく伝えること、現地の需要にあった商品提供や安

定した品質であることなどがあげられている。加工品では、食材として様々なメニュー

での利用方法の提案などを行なっている。

中には商品を卸しているレストランに、商談相手に来てもらうことで信用を得て成約

に結びつけるという事業者もいた。

失敗例ではないが、商談を進めたが販売リスクが大きい取引先との取引をやめた例が

あり、代金回収が商談時の留意点の一つであることが指摘されている。

また、輸入国の規制への対応が障害になっている例として、中東のアルコールフリー

対応、EU HACCP の取得、加工品では日本の原材料を使用しなくてはならない等があ

げらている。

失敗例としては、独自の輸送ルートがなく、海外に出店している日系企業と取引をし

ている例があげられた。

④菓子、飲料(アルコール飲料含む)、水産加工品(缶詰など)

菓子、飲料、水産加工品(缶詰など)では、6事業者への聞き取り調査を行った。

加工品では、賞味期限、添加物や原材料の分析証明書、検疫の実施などが輸出に際し

ては必要である。

日本酒や調味料の製造事業者は、自社の商品は日本食の一部であることから、自社商

品を認められるためには日本食の普及も重要と考えている。

酒の事業者は、日本食のプレゼンにも力を入れ、日本食に対してクォリティの高さや

Page 80: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

136

関心を持っていたバイヤーと契約できたことを、成功例としてあげている。

このほか成功例としては、大豆加工品の業者から、営業が非常に重要であり、出展時

に現地のディストリビューターと計画的に商品を持って歩き、商談をした例があげられ

た。また、英語のカタログやパッケージサンプルをつくり、営業担当者が英語で対応で

きることも、商談では重要との助言がある。

加工品では事業者が、使用する原材料に関する輸入規制への対応、また輸送や税関手

続きで要する時間を考慮した賞味期限の対応などを行っている。

ヨーロッパでは、展示会に出展しつづけて成約に至った例もあり、何回も出展しつづ

けることも重要であることが、複数の事業者から指摘されている。

失敗の事例として、取引条件が合わずに成約しなかった例があげられた。

⑤花き(切花、苗木類(盆栽を含む)

花きでは 2事業者への聞き取り調査を行った。

成約例としては、メイドインジャパンではなく、現地の需要に応えた商品を生産する

ことで、現地の信頼を勝ち取った例、欧州での導入試験を行なうことに同意がとれた事

業者が栽培試験をしている例があげられた。

失敗例としては、現地に代理店がないことがあげられた。

⑥その他

日本食・レストラン用品店では、デザイン、パッケージの統一とネーミング、売れる

商品を特定できることが成功例につながったとしている。

成約に結びつかなかった事例として、流通ルートが確保できなかった例があげられた。

Page 81: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

137

Ⅲ.海外展示・商談活動及び常設店舗活用型対策にかかる今後の改善方向につ

いて

海外における調査および国内におけるアンケート調査、インタビュー調査の結果より、

海外展示・商談活動及び常設店舗活用型対策に関しての、評価および改善方向について

以下にまとめる。

1.事業の効果、事業の継続

本事業の効果は、定量的には成約件数で把握することができるが、それだけではな

く定性的には、企業への輸出機会や海外取引先との商談機会を提供すること、またそ

のための社内体制整備や商品開発などの企業活動につながっている。国内市場の成熟

化、尐子高齢化による需要量の頭打ちなどの状況から、各企業の成長にとって海外マ

ーケットへの進出は必須といってよいであろう。

初めて展示会に出展する企業だけでなく、これまで複数回出展・商談活動を行って

いる企業からも、海外での商談機会があることは重要であり、これまでの展示・商談

会の出展者、常設店舗の出品者からは本事業の継続が望まれている。

各国の政府パビリオンのインタビュー等からもわかるが、欧州の国々では古くから

展示・商談会に政府パビリオンを出展しており、商談活動も活発に行っている。食の

グローバル化が進み、展示・商談会に出展する政府パビリオンは増加しており、輸出

事業の推進、海外における日本食の普及啓発という意味において、本事業を継続する

ことは非常に意義がある。

事業の継続に当たっては、出展者からの意見、競合国の出展戦略などを踏まえ、日

本パビリオンとしての戦略を見直し、改善が必要な部分は速やかに実施することで、

現地消費者、現地バイヤー、出展者、国のいずれも持続的に win になる関係構築の

実現を図ることが必要である。

Page 82: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

138

2.改善方向

展示・商談会、常設店舗の出展者、出品者からの意見、また海外における調査から、

以下の頄目について、他国の事例も参考にしながら、改善することが、今後本事業を

継続し、効果的に実施していくためには必要と考えられる。

(1)日本としての輸出戦略

①日本の輸出戦略の必要性

個々の出展者に機会を与え、活動を束ねるだけでなく、安全、安心、健康とい

った世界的認識が高まりつつある日本食の普及、ジャパンブランドの輸出戦略を

国として打ち出す時期に来ている。

このため、出展する主要な展示・商談会や常設店舗などを、戦略的に選定し、

それぞれの展示・商談会の性格や来場者特性などに応じて、ジャパンパビリオン

の設置、運営を行うことが効果的である。

また、それを実施するためには、各出展・商談会開催国におけるマーケティン

グ調査を実施し各市場における輸出促進戦略をつくること、また収集した情報を

国内業者に提供するなどの活動も必要である。

②商品ごとの戦略の必要性

日本としての輸出戦略に加え、商品それぞれでも輸出戦略を検討する必要があ

る。特に生鮮食料品については、鮮度(賞味期限)と価格の点が課題となってい

る。

輸送では国際間のコールドチェーンの整備が十分ではないこと、輸送や検疫、

通関に時間を要することが鮮度保持の上で障害となっており、時間のかかる船便

ではなく航空便を使用すると高コストにもつながる。

価格では生産価格に加えて、輸出のための費用が上積みされるため、輸出先で

の商品価格は高額にならざるを得ない。このため、現地で入手できる商品では、

例えば生産方法などで価値を認められるなどの高付加価値がなければ、市場での

競争力を持ちえない。また、現地では使用されない生鮮食料品である場合では、

食べ方や調理方法などを同時に伝達する必要があり、商品を送るだけでは普及は

難しい。

加工品については、各企業は直接輸出することを目的に出展・商談会に出展し

ているが、商談の中では内外価格差を考慮すると OEM(Original Equipment

Manufacturer:他社ブランドの製品を製造する企業)を探すという選択もある。輸

出促進事業は本来的には国内での生産活動を活発化することが狙いであるが、海

外マーケットの拡大という点で、輸出促進事業と他事業との連携などの政府の体

制を検討することも必要ではないかと思われる。

Page 83: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

139

(2)展示・商談会のあり方

他国の政府パビリオンでは、不特定多数の来場者向けに試食試飲やイベントを行

っているところはそれほど多くなく、商談機会の提供として共有スペースを広く取

っている政府パビリオンが尐なからず見受けられた。

日本の場合は輸出経験が尐ないために、普及やテイスティングを目的とした試食

試飲は必要な活動と思われる。しかし、本来の展示・商談会の目的である商談活動

をより一層重視し、他国政府パビリオンのように商談する機会や場を提供すること

に力点を置くことが今後は重要と思われる。

展示・商談活動の実施にあたっては、限られた予算とスペースから出展者の選定

が課題となるが、これまで出展した企業からは有料でも出展機会が欲しいといった

声も聞かれた。現在の各ブースを訪れた人と商談をする形は、取引先を探したい企

業の場合は有効と思われるが、出展機会の提供という政府の役割を考えると、他国

政府パビリオンのように、ブースを持たない企業でも共有スペースを商談スペース

として提供することも有効と思われる。ただしこの場合は、既に取引先がある場合

や、アポイントメントを各社で取るか、事務局が商談をアレンジする必要がある。

他国の商談活動をみると、様々な国の展示・商談会に出向くことで、開催国の情

報収集と市場開拓を行うとともに、場所を変えて開催国ではない取引先との商談を

重ねているところも見受けられる。

出展経験のある企業からの意見では、出展者が個別に商品を展示することの他に、

運営事務局として和食や日本のイメージを普及する活動をしてほしいとの意見が

複数あった。日本食は人気があるが、寿司やてんぷらのイメージが強く、他の和食

を普及することも重要である。各企業の出展品目は和食を構成する食材の一つであ

るため、和食を普及することがそれぞれの食材の普及には必要という考え方であり、

日本としての輸出戦略やパビリオンのあり方とともに、運営事務局のイベントや展

示会での役割についても再検討が必要である。

(3)常設店舗のあり方

常設店舗では、現地の家庭への日本食を普及させることが重要であり、店舗での

展示や販売方法について、運営事務局が常にサポートをする必要がある。常設店舗

の中には、数多くの現地企業と取引を行なうようになった例もあり、地味ではある

が方法によっては高い効果が期待される事業である。

出展・商談活動ではブース代を政府が支援しても、サンプル輸送やブース設営、

渡航等にかなりの費用がかかり、小規模な企業では何度も出展することが難しい場

合もあるが、常設店舗に商品を置くことで海外との商談機会ができる。ただし、事

務局の支援内容によっては、商談に結びつかない例もあり、事務局の役割などを見

直すことが必要である。

Page 84: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

140

(4)運営事務局体制の整備

運営事務局のサポート内容は、展示・商談会や常設店舗ごとに異なるのではな

く、どの展示・商談会、常設店舗においても、一定のサポートがなされるようにす

ることが、今後の展示・商談会には必要である。

早期の解決策としては、運営事務局がすべきサービスについて、頄目と基準を

整理し、公募時に提示することが考えられる。現在の応募者は、それぞれの専門分

野があり、展示・商談会の運営事務局として 1 事業者で対応することは難しいと

ころがある。必須となる頄目と基準を提示することにより、自社の不足する部分に

ついて専門会社との協力体制を構築し、より充実したサポート、サービスを出展者

に提供することが期待できる。(ロシアの Prod Expo では、運営事務局であるジェ

イコムが、ロシアへのサンプル輸送について近鉄エクスプレスに調査や出展者への

講義を依頼した。)

長期的には、全ての運営事務局の業務を 1 事業者で対応できるようになるか、

もしくは運営事務局の中心となる企画部分を任せる事業者と、マーケティング部門、

ロジスティクス部門などと分業体制を構築することが考えられる。

中でも JETRO は現地および国内において出展企業をサポートし、商談に関する

情報収集・提供、出展後の企業をフォローしており、常に本事業に関わることが事

業効果を高めることにつながると思われる。中東やロシアのように日本企業の進出

が限定的な地域においては特にこうしたサポート体制が必要である。

また、全国レベルの情報提供や展示・商談会事例の紹介、講演会、マニュアル

の作成など、輸出促進事業の普及促進を行うことが必要と思われる。

事務局体制については、これまで事務局を担った事業者の意見も収集し、他国

の例も参考にしながら検討をすることが望ましい。

(5)政府の支援

①出展・商談会に関する支援

出展・商談会に関して、現在のブース費用の支援は、出展者の費用負担を軽減

して出展しやすくなるため、非常に有効な支援であったといえる。今後も何らか

の支援を行い、各企業が出展を促進することが必要であるが、支援内容について

は、上記の改善案とともに、また他国の政府パビリオンの事例を参考にするなど、

再検討が必要である。

②制度など国レベルでの交渉

輸出事業には、検疫や税関の手続きが必要であり、商品によっては残留農薬基

準、衛生基準、添加物の規制等があり、また相手国によって異なる。事業者から

の声でも多くあげられているが、これら制度等については、各企業が個々で対応

Page 85: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

141

するには限界がある。

このため、農林水産省が中心となり、厚生労働省や経済産業省など政府機関が

協力し、日本の基準や規格を国際基準のレベルに対応できるものとすることや、輸

出相手国に日本の基準や規格等が輸出相手国の基準や規格等に相当するもので

あることなどの交渉を行うこと等、輸出を行いやすくする環境整備を望む声が大

きい。

③継続的支援

出展した企業に関する情報を、出展した展示・商談会の運営事務局だけでなく、

他の展示・商談会の運営事務局や JETRO のオフィス、大使館、領事館などでも

閲覧・検索できるようにし、展示・商談会後も出展した企業を持続的にフォロー

できる体制構築についても検討する必要がある。

また、商談は展示・商談会の出展時に名刺交換や意見交換を行い、帰国後に何

度もやり取りをしてまとまるため、帰国後の商談活動についても、例えばテスト

輸出する場合に何社かの商品をまとめて送る機会をつくるなどの、フォローの活

動があってもよいのではないだろうか。現在の支援は点であるという指摘が、何

人かの出展者からあった。出展時の支援だけでなく、出展したことで得たチャン

スを有効に活用できるよう、情報収集や情報提供、またテスト輸出の際の機会を

設ける類の支援など、出展・商談会が終了してからも商談活動を支援していくこ

とが、より一層の効果をあげるためには必要である。

Page 86: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査
Page 87: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査
Page 88: Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示 … Ⅱ.平成18年度及び平成19年度に実施した海外展示・商談活動 及び常設店舗活用型対策にかかるアンケート・聞き取り調査

平成20年度農林水産物等海外販路創出・拡大委託事業

(フォローアップ調査)報告書

(農林水産省委託事業)

発 行 平成21年3月

株式会社三菱総合研究所

〒100-8141 東京都千代田区大手町二丁目3番6号

電 話 03-3277-9211

FAX 03-3277-3466